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1964-05-13 第46回国会 参議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十三日(水曜日)    午後一時十八分開会   —————————————   委員異動  四月二十七日   辞任      補欠選任    鈴木  強君  加藤シヅエ君    鬼木 勝利君  二宮 文造君    浅井  亨君  渋谷 邦彦君  五月十三日   辞任      補欠選任    佐野 芳雄君  亀田 得治君    渋谷 邦彦君  鬼木 勝利君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     横川 正市君    理事            佐藤 芳男君            相澤 重明君    委員            北口 龍徳君            沢田 一精君            鈴木 恭一君            谷口 慶吉君            仲原 善一君            野知 浩之君            二木 謙吾君            加藤シヅエ君            亀田 得治君            杉山善太郎君            鬼木 勝利君            二宮 文造君   国務大臣    大 蔵 大 臣 田中 角榮君    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君    厚 生 大 臣 小林 武治君    国 務 大 臣 福田 篤泰君    国 務 大 臣 宮澤 喜一君   政府委員    防衛政務次官  井原 岸高君    防衛庁長官官    房長      三輪 良雄君    防衛庁人事局長 小幡 久男君    防衛庁装備局長 伊藤 三郎君    防衛施設庁長官 小野  裕君    防衛施設庁総務    部会計課長   大浜 用正君    防衛施設庁施設    部長      鈴木  昇君    防衛施設庁労務    部長      藤本  幹君    経済企画庁長官    官房会計課長  平山 正隆君    大蔵大臣官房会    計課長     御代田市郎君    大蔵省主計局次    長       澄田  智君    大蔵省主計局司    計課長     江口  穣君    大蔵省理財局長 吉岡 英一君    大蔵省管財局長 江守堅太郎君    文部大臣官房会    計課長     安嶋  彌君    厚生省社会局長 牛丸 義留君    農林政務次官  松野 孝一君    農林大臣官房経    理課長     竹内 直一君    運輸政務次官  田邉 國男君    運輸大臣官房長 佐藤 光夫君    運輸大臣官房会    計課長     上原  啓君    運輸省港湾局長 比田  正君    建設大臣官房会    計課長     吉兼 三郎君   —————————————    会計検査院長  芥川  治君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    日本国有鉄道総    裁       石田 禮助君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十七年度一般会計歳入歳出決  算、昭和三十七年度特別会計歳入歳  出決算昭和三十七年度国税収納金  整理資金受払計算書昭和三十七年  度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和三十七年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 横川正市

    委員長横川正市君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  四月の二十七日、鬼木勝利君、浅井亨君及び鈴木強君が委員辞任され、その補欠として、二宮文造君、渋谷邦彦君及び加藤シヅエ君が選任されました。本日、渋谷邦彦君が委員辞任され、その補欠として鬼木勝利君が選任されました。  以上でございます。   —————————————
  3. 横川正市

    委員長横川正市君) それでは、昭和三十七年度決算外三件を議題とし、審査を行ないます。  なお、昭和三十七年度決算外三件につきましては、去る二月十二日に関係当局より説明を聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑の通告がございますので、順次これを許します。相澤君。
  4. 相澤重明

    相澤重明君 会計検査院長お尋ねをするわけでありますが、会計検査院といたしましては、毎年検査をした結果を国会報告をいたしておるのでありますが、その中で、政府関係省庁に対して改善意見を出されておるものも相当あるわけでありますが、昨年、三十六年度と今年度、三十七年度と比較してみて、政府に対して会計検査院指摘した事項や、あるいは改善意見に対して、どういうことが特徴的に三十七年度にあらわれたかということについて、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  5. 芥川治

    会計検査院長芥川治君) お答えいたします。  改善措置要求並びに改善意見の表示は、御承知のように、三十六年度から特に力を入れまして、検査報告にも掲記し、当委員会においても御審議を願ったわけでございます。三十七年度はさらに件数も若干ふえました点を検査報告にも掲記した次第であります。三十六年度改善意見の結果どうなったか、こういう御質問だろうと思います。今後改善意見を出していく場合に、その後の措置を私どもとしても絶えず関係当局に連絡をいたしまして、改善されている分につきましては、逐次私どものほうに資料を取り寄せまして、だいぶ効果があがってきておるように考えております。まだ、何ぶんにも三十六年度から発足したようなわけでありますので、御期待に沿うような結果までは至っておりませんので、三十七年度検査報告にも若干その点を触れて、三十六年度改善意見とその後の経過を掲記いたしておる次第であります。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 いま一点は、会計検査院が各省庁に対して検査資料提出を求めた場合に、その期間内に必ず提出をしておりますか。また、もし提出をしておらないという、いわゆる検査が十分行なわれないというような場合には、会計検査院法に基づいて処置をとることになっておるわけでありますが、そういう事例はございませんか、いかがでしょう。
  7. 芥川治

    会計検査院長芥川治君) 全般的に申しまして、書面検査で、資料を、これは法に基づきまして要求いたしておるわけでありますが、若干おくれて出るのもあるわけでありまするが、これは督促することによって充足をいたしております。ただ、検査院実地検査も済ませましたあと回答を要求するわけであります。この場合に、非常に回答がおくれる向きがありまして、われわれのほうの検査官会議で結論を出すのに非常に時間を要する。これは、各部局にわたりまして、私のほうから特に責任者にもお願いして、早く出していただくようにいたしております。現在のところ、検査報告掲記までに、まず大体において私どもの希望を入れてやってもらっておる、こういうふうに考えます。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 会計検査院長が大体良好だという御答弁であれば、それを信じていくのがいいと思うのですが、いわゆる会計検査が時間がかかる、日時がかかる、という点については、前段にあなたが御答弁されたように、回答を求めても回答がおくれておるということが、私はやはり基本になっておるのではないかと思うのです。この場合、会計検査院の姿勢を正しくするには、やはり会計検査院法に基づいて、もしそういう手続きを直ちにとらぬというようなものがあれば、処罰をしてもいいと思うのです。そういうようなところまでいくような事例はございませんでしたか。これは、検査官が、どうもあまり政府をいじめてはというようなことであっては、会計検査院法というものは死んでしまう、こう思うのだが、そういうことがなかったかどうか、いかがですか。
  9. 芥川治

    会計検査院長芥川治君) ただいま重ねてお尋ねでありますが、検査報告をつくるまでに回答が非常におくれて、われわれのほうの事務がおくれてまいりました場合には、腹づもりといたしましては、もうそうなれば、回答を待たずに、われわれのほうの一方的な判断、われわれの調査で、そのまま国会提出してもいいのじゃないか、それは考えたのでありますが、幸いにして、いままでのところ、相澤委員の御指摘のような、回答がなかったために検査報告に支障を来たしているということはございません。そういう例はないということだけ申し上げます。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 きょうは総括質疑で、少し時間が、他の省庁のもありますから、いずれ、その点は、またお互いに質疑をやりましょう。  いずれにしても、会計検査院がこの国会政府に対して検査報告をするのに、各省庁が十分協力する体制を整える必要があると思う。従来私がいろいろ調べているところでは、その点、どうも役所のほうが比較的回答というものに対しては延びているというように私は見ている。これは、私の私見でありますから。  そういう点で、会計検査院の院長をはじめ、各位に、ひとつ積極的に会計検査院法に基づいて取り組んでいただきたいことを希望しておきます。ないということでありますから、それはまことにけっこうな話でありますが、特に今年は、御承知のように、予算をふやして会計検査院定員をふやしたわけでありますから、そこで、会計検査院長としては、定員増に伴う今後の会計検査上におけるあり方として、どういうふうにお考えになっているか。定員をふやして、いままでどおりということはないはずだと思いますが、その点だけをお答えいただきたいと思います。
  11. 芥川治

    会計検査院長芥川治君) たびたび当決算委員会の強い御指示もあり、また大蔵事務当局の非常に理解ある措置等によりまして、幸い本年度は二十名増員になりました。その内容は、参事官一名、上席調査官、つまり課長級が五名という大幅な増員になりましたので、主として、いままで、出資団体関係が相当ふえているにかかわらず、そのほうが手薄になっておりまして、昨年度部門にふやしましたのを、さらに本年度は十部門にふやしまして、その十部門の上に参事官一名を専任配置いたしまして、出資関係調査に特に力を入れるように機構を改正いたしたわけであります。さらに、防衛建設等につきましても若干名の増員配置をいたしました。これで私ども十分とは考えておりませんが、逐次増強いたしまして、できるだけ御期待に沿うようにいたしてまいりたいと存じている次第であります。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 次に、経済企画庁長官お尋ねをするわけでありますが、大蔵大臣との関連もあるわけですが、あと田中さんがおいでのようでございますが、まず第一は、昭和三十七年度一般会計決算額から考えて、歳入が前年度に比べて少なくなったということはどういうふうにあなたはお考えになっているのか。この三十七年度の、普通ならば一般会計歳入超過はやはり政府高度経済成長政策といういままでの持論であれば、当然私は、三十六年度よりは三十七年度のこの一般会計歳入超過が多かったと思う。ところが、三十七年度におきましては三千九百十億、前年度歳入超過四千五百二十億余に比べると、現実に三十七年度歳入は少なかった、なぜこういうふうになったのか、こういう点について経済企画庁長官の御説明をいただきたいと思います。
  13. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まことにおそれ入りますが、ただいまのお尋ねは、一般会計歳入総額が減ったということでございますか。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 総計についてね。
  15. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一般会計歳入総額としては、三十七年度は三十六年度よりも四千億ばかりふえておったと思いますが、あるいは私がお尋ねを取り違えておりますか。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 会計検査院のこの指摘報告書ですね、報告書最初にある。もちろん、いまの総論的な長官の御説明については、それはそれでいいんです。そうでなくて、私の言っておるのは、会計検査院が出されているところの「第1節歳入歳出決算」、この内容を見ると、この中で、一般会計歳入超過は三千九百十億余ということになっておるわけです。したがって、これを前年度歳入超過四千五百二十四億余に比べれば、六百十四億余という減少を示しておるというのを会計検査院指摘をしておる。これはどういうことかということをお尋ねしているわけです。
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) わかりました。お尋ねの意味は、前年度歳入超過四千五百二十四億に比べると、一般会計歳入超過は三千九百十億であって減っておる、この点のお尋ねでございます。これは、一般的な経済の動き、経済現象の結果として御説明することはちょっと私にはできないように思います。と申しますのは、これは、補正予算を組みました、なお残りを言っておるわけでございますから、したがって、どういう補正予算の組み方をしたかといったようなことに関係があると思いますので、この歳入超過そのものが減った、あるいはふえたということ自身は、経済現象がかくかくであったからということと直接の因果関係はないのではないか。歳入総額についてならば因果関係はもちろんございますけれども歳入超過そのもの、この会計検査院検査報告によります歳入超過そのもの増減ということは、経済現象との関係因果関係を見つけることは、ちょっと困難ではないかというふうに思っておりますが。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、ことばをかえて、昭和三十六年度政府のこの経済政策方針というものは、所得倍増計画に基づく公共投資、あるいは社会保障、あるいは文教施策を三本の柱として、そうして三十七年度については二四・三%のいわゆる積極大型予算をつくったのじゃないですか。その積極大型予算が、この年間を通じてどうなったですか。その辺を御説明いただけば、あなたの言う、いまのいわゆる補正予算等との関係という問題もおのずから答えが出てくるのじゃないですか。私は、あとで、その点も進めていこうと思うのですが、三十七年度には、三十六年度よりは二四・三%の増の大型予算をつくったのでしょう。それらは、結果がどうなったのですか。その年度末には、どういうふうな傾向があらわれたのでしょうか。
  19. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 三十六年の九月、十月ごろであったと思いますが、いわゆる景気調整に、輸入担保率の引き上げをはじめとして、入りましたわけでございます。そうして、その期間が、結果としては、結局ほぼ一年続いたわけでございますが、その間に三十七年度予算編成をされております。  そこで、予算編成基本態度としては、やはり総需要をある程度引き締めるというようなことを経済運営基本態度にしておりましたが、他方で、所得倍増計画のこれが二年目に当たっておりまして、いわゆる経済基盤の拡充を急ぐという要請は変わっておらない。予算そのものは、いま御指摘のような予算を組んだわけでございますが、そこで、現実に起こりましたことは、たしか三十七年の六月であったかと思いますが、貿易収支がそこで黒字基調に転じまして、そうして三十七年の十、十一月ごろにいわゆる景気調整を終わった。この間の事情を見ますと、三十六年の十月から始めました景気調整が、比較的短期間の間に少なくとも国際収支に関する限り、その効果をあげたということでございます。この原因は幾つかございますと思いますが、ただいま相澤委員の御指摘のように、財政支出ばかりでなく、消費あるいはその他にも原因があったと思いますが、そういう形であの年の景気調整が終わった。こういうことが三十七年度予算の少なくとも最初前半期について起こったことだというふうに考えておるわけでございます。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 大蔵大臣も出席したから、ともにひとつお答えをいただきたいのですが、この三十七年のいわゆる国税収納金整理資金への受け入れ等の問題を、会計検査院検査の結果を見ると、収納未済額は五百五十四億七千百十二万円という額になっているわけですね。こういう点と、いまの経済企画庁長官が言われるところの景気調整というものはどうなっておったか。  つまり、当初予算大型予算を組んでおったけれども、実際には、もう三十七年の十月以降というものは、この景気引き締め政策というものは、実際にもう解除せざるを得なかったということなんでしょう。しかし、そのことは、結果論として言えば、国民の大多数はかなり困難な事態に逢着をしたということは、税金を納める立場になって、そういう問題が生まれてきたということでしょう。そういうことにはなりませんか。特に高度経済成長政策を謳歌しておる池田内閣がとった当初の基本構想というものを、なぜ途中で変えなければならなかったか。しかも、これは、また来年の、ことしの十二月にまた会計検査院から報告が出されると思うのですが、三十八年には、また再びそれを、いわゆる積極政策をとって引き締め政策をやめたのを、また引き締めに移ったんじゃないですか。その間における政府のそういうとった態度というものが、私は、納税者立場にぴんと響いていると思うのですよ。これはまた、大蔵大臣もひとつお答えをいただきたいのですが、なぜこの収納未済額が多い、つまり、税金が納まらないのが多いのかということは、どういうことなんです、これは。こういう点について、ひとつ経済企画庁長官大蔵大臣両者からお答えをいただきたい。
  21. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それでは、経済情勢のほうの部分を私から答弁を申し上げますが、結局、途中まで申し上げましたように、三十七年の六月ごろに国際収支黒字基調に転じまして、そうして政府景気調整策は、御指摘のように、三十七年の十月、十一月ごろに打ち切られたわけであります。で、その間に起こっておりましたことは、いまから回想いたしますと、非常な信用の梗塞がございました。いわゆる企業間の信用増大膨張といいますか、そういう現象が起こっておったわけでございます。このころには、各企業が実際現金の手当てに相当困りまして、しかるがゆえに、企業間の信用膨張したわけでございます。納税資金などにも相当困ったということはたしかであったと思います。そこで、しかし、国際収支基調を回復いたしましたので、十月、十一月ごろに景気調整を打ち切りました。建築制限の撤廃をはじめ、打ち切りましたわけであります。そうして、その後、ほぼ一年間、いわば普通の経済運営が行なわれましたが、昨年の十一月ごろになりまして再び景気調整に返らざるを得なかった。  そこで、おそらくは、相澤委員の御指摘は、三十七年の段階においてもう少し徹底的に景気調整をやっておけば、その後一年にして再びただいま行なっておりますような景気調整をしなくて済んだのではないか、こういうことに関連してのお尋ねであると思います。その点は、私もしばしばいろいろ顧みて考えているわけでございます。意味合いの深い御質問だと思いますが、何ぶんにも、事態を再現することは不可能であります。で、あの際に、さらに突っ込んで、もう何カ月か景気調整を行なうべきであったかどうかということについては、企業間の信用膨張だけを考えましても、事実問題として、それはおそらく行ない得なかったであろう。何回かの景気調整を経ながら、わが国の経済規模そのものは、そのつど大きくなっております。経済水準が、生産にいたしましても、消費にいたしましても、上がってきておるわけでございますから、願わくは、それが景気調整というものが、ぎくしゃくした形をとらずにいければ、これはもう最上でございますが、事実は、何回かそういう景気調整をやっております。  で、あの際、さらにこれを突っ込んで行なうことが、はたして可能であったか、あるいは、かりにそういたしました結果が、よりよかったであろうかどうかということは、私もたびたび考えてはみておりますが、いずれとも判断がいたしがたい。ただいま御指摘のような、まさに、納税の困難というような問題も現実にあったわけでございますので、にわかに判断が、ただいまのところ、いたせないように思うわけでございます。
  22. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は、ただいま出席したばかりでございまして、どうもお話の続きがよくわかりませんので、ちょっと違う御答弁をするかもしれませんが、そのときはひとつ御了解願います。  三十六年は歳入超過が非常に多かった、三十七年は少なかった、一体なぜか、こういう御質問のようにとったわけでございますが、そうであるとすると、三十六年は、御承知のとおり、引き締めをやっておりましたから、補正予算その他の問題等引き締めぎみに組まれたということでありますから、三十六年には剰余金が多くなるということであります。三十七年は、もうそういう特殊な事情がございませんので、補正要因が当時どうであったかは、まだつまびらかにいたしておりませんが、いずれにしても、通常における状態であったという差で、三十六年のほうが多いということが言い得ると思います。こまかい問題については、後ほど調べて、また御発言の途中から申し上げます。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 大蔵大臣に。  それでは、なぜ三十六年と三十七年と比較してみて、徴収決定済額に対する収納未済額が、前年度の一・四%に対して一・八%になったのか、〇・四%税金が上がってこないというのは、一体どういうことなのか、こういう点を、いま少し解明をしてほしいわけです。いかがですか、大蔵大臣
  24. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ちょっとお待ちください。御質問、よくわかりましたから。できたら、主税局でいま調べて、正確なお答えをいたしますから。   —————————————
  25. 横川正市

    委員長横川正市君) ただいま委員異動がございましたので報告いたします。  佐野芳雄君が委員辞任され、その補欠として亀田得治君が選任されました。  以上でございます。   —————————————
  26. 相澤重明

    相澤重明君 宮澤さんに、それではいま少し、その点でお答えをいただきたいんですが、結局、いま大蔵大臣もちょっと触れたけれども、三十六年度景気上昇方向が三十七年度も続けば、当初予算に組んだ方向というものは守られたと思うんです。ところが、あなたのお答えになったように、三十七年の十月以降は、この景気引き締めというものを実は解除したわけですね。そうして、実は一年たって、三十八年はまた引き締めに移った。公定歩合でいえば一厘下げてやってみたり、しまいには二厘上げてみなければならぬというような結果論から、この間の藤山さんの経済批判というものが出てきたのじゃないですか。だから、私は率直に言って、政府の三十七年度予算方針というものが少し甘くはなかったか。それが、結局は、景気調整へのそういう配慮が欠けたために、実は大型予算を組んでしまったんだ。結果論としては、税金が思うように上がってこなかった。これは数字のことですから、そういうことに私はなったのではないかと思うのだが、政府はあくまで強気で、いやそんなことはない、これは税金を納める方がかってに納めなかった、こういうことなんですか。どういうことなんですか。両者からお答えいただきたい。
  27. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) たびたび景気調整をやらなければならないような経済運営というものは、これはもちろん最善のものではないことはたしかであります。で、かりに、これだけの成長景気調整なしにスムーズに持ってこれたとすれば、それは最善であったことはたしかと思います。けれども現実には、なかなかそこまでの完全な経済運営ができませんで、景気調整を経ながら、経済全体の水準が上がり、規模が大きくなってきている、これが過去における経緯でございます。それについてのいろいろな批判というものは、当然あるべくしてあるわけでございますが、私ども最善ではございませんし、そのつど国民に御迷惑をかけるということは申しわけないことだと思いますけれども、しかし、そういう景気調整を経ながら、経済全体の規模なり水準なりは向上してきておるということは、これは認めていただいてよろしいと思うわけであります。  そこで、ただいまのお尋ねそのもの考えますと、かりに昭和三十七年度歳入欠陥を生じておったといたしますれば、予算の見積もりに誤りがあったということになるでありましょうが、現実には歳入欠陥を生じたわけではございません。ただ、景気調整の中途において、企業間の信用が梗塞、膨張いたしましたために、納税等について、かなりの困難があったであろうということは推察にかたくないと思います。
  28. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほどの御質問お答えいたします。  三十六年度収納未済額は三百四十五億八千余万円でございます。三十七年度は五百五十四億七千一百余万円、こういうことになっておりまして、前年度の一・七%に比して二・四%と、どうしてこう大きくなったかという御質問であります。  御承知の三十六年度引き締めをやりましたので、三十五年の下期のものが三十六年の税になってずれ込むわけでございますが、ところが、三十六年の引き締めした下期のものが三十七年にずれ込んでおる、こういうことでありまして、引き締めをやっておった当時の状態としては、延納等認めておりますので、そういう場合には、収納未済額のパーセンテージが大きくなった、こういうことであります。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 時間の関係で、宮澤さんも退席されなければならぬということですから、いま一つ、二人そろっておるときに、これはやはり聞いておいたほうがいいと思うのです。  財投関係——財政投融資関係、これは、経済全般について、私は非常にやはり大きな問題を提供しておると思うのです。で、私はいつでも、決算委員会で、財投計画というものは、政府の一方的な考えだけでなくて、やはり国会にそういうことは提示をして、少なくとも国会の審議の対象にすべきではないかということを常に主張してきておったわけです。ところが、御承知のように、三十七年度の財政投融資計画の結果を見ると、実に一兆円にもなろうという膨大な額になっているのですね。九千三百八十二億ですか、こういう多くの額を政府がかってに一般予算とは違った形で使うということについては、やはり非常な問題点が出てくる。その結果が、こういう決算の上にあらわれてくるということは否定できないんじゃないかと思う。どうですか、率直に言って。財投計画というものは、予算審議の際にやはり提案をして、そうして国会審議を受けるという考え方は今日でもできないですか。  これは、特に経済企画庁は、経済全般についてのそういう方向というものを、大綱というものをきめるのですから——大蔵大臣そばにおりますが、大蔵省がそう考えたところで、政府と相談してきめるわけでしょう。そうでしょう。そうすれば、政府できめることは国会に提案するんだから、政府だけで握っていなくてもいいでしょう。どうですか。そこでひとつ、経済企画庁は、経済全般の問題として、この半分にもなろうとする財投計画を国会に提案する考えがないのかどうか。また、大蔵大臣にそういうことをやらせればできるはずだと私は思うのです。そこで、大蔵大臣としても、何か自分だけが使うわけじゃなくて、関係各省の経済閣僚の意見も聞くということになるのですから、そういう点、あまり固執する必要はないと思うけれども、どうですか。先に宮澤さんのほうからお答えいただきたい。
  30. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 三十七年度に財投が相当ふくれましたのは、いまから回想いたしますと、景気調整が進みまして、そのしわ寄せが相当中小企業に寄った。この手当てが必要であったということ、あるいは例の石炭の問題が当時ございましたとか、また、国鉄の新幹線でありますとか、オリンピック等々、そういうことが財投の大きな要素であったと思うわけであります。三十七年度の財投そのものを三十六年度と比較いたしますと、補正をいたしましたあとの伸び率は、大体両方とも同じくらいでございます。特別に三十七年度のふくれが大きかったということはなかったように思います。  それから財投計画そのものを国会の御審議の直接の対象にすべきかどうかということは、これは大蔵大臣の主としてお答えになる問題だと思いますが、本来、予算国会の審議の対象になりますのは、もちろん、国民生活、国民経済への歳出の及ぼす影響が大きいからでございましょうが、同時に、歳入そのものの大部分が租税あるいは専売益金等でございますので、そういう関係からして、やはり国権の最高機関である国会の御審議に待つというたてまえになっておるのではなかろうか。財投の場合には、大きな部分は、そのような性格の原資ではございませんで、そこからおそらく両方の取り扱いが分かれておるのではなかろうか。こう思っております。
  31. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 財政投融資計画を国会の議決案件にしたらどうかという議論は、前々から両院にございます。ございますが、政府は一貫して、議決案件にしない、こういう御答弁をしておるわけでございます。これは、御承知のとおり、憲法の規定で、会計は一般会計及び特別会計に分かれておるわけでありまして、これは国会の議決がなければ政府に歳出権が与えられないわけでございます。当然のことでございます。財政投融資は、御承知のとおり、投融資計画でございまして、一般会計や特別会計と、民間の金融とのちょうど中間に位しておるわけであります。しかも、財政投融資は、法律によって政策を進める場合とか、また、政府関係機関を通じて民間金融との補完業務を行なうというような立場によって財政投融資計画を策定しておるわけでございます。しかも、これは予算を審議いただくときには、参考案件として同時に提案をして、御説明もし、審議もいただいておるわけでございます。特別会計予算また政府関係機関予算として御審議をいただいておるわけでありまして、ただ、議決案件でないというところだけが違うわけでございます。財政投融資計画は、御承知のように、民間金融機関との補完業務の任務もありますので、場合によっては、資金運用部資金から短期に貸し付けたりして、弾力的に運用しなければならないものでございますので、憲法の規定からいいましても、国会の議決案件とはしておらないわけであります。地方財政計画、それから財政投融資計画、かかるものは、国会で御審議はいただきますが、年間いろいろな状態によって弾力的に運用せられるべきものということで、議決案件にするには非常にむずかしい案件であるということだけは申し上げられるわけでございまして、議決案件にしなくても、一般会計、特別会計とあわせて御審議をいただいておることでありますので、御理解いただきたいと思います。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 私は、大蔵大臣や経企長官のお話も、わからぬわけではないが、今日までの財投計画なり、その実績というものを見ると、財投計画そのものも数次にわたって計画変更がされておるでしょう。実際には、三十七年度も七百八十六億というような追加が行なわれておるわけですよ。これは、そう簡単な金じゃないわけです。国民経済全体から見ても、そんなこまかい、とても国会の審議まで、議決まで、と言われなくとも済むというような問題ではなくて、私は、弾力的に運用するという政府のその考え方は、まあ景気調整等の問題も出るのであるから、一応わかるけれども、やはり、本来からいけば、これはやはり財投計画というものは、私は、この一般会計と不即不離の問題である、こう考えれば、国会の議決案件としていいのじゃないか。そのために、いまの法律上、その行為が越権であるというなら、その越権でないように直したらいいじゃないですか、法律を。国会で法律を改正することは幾らでもできるのだから。ただ、やろうとするかしないかの、その境にあるわけですよ。  私は、いまのせっかくのお話で、まあ、あなたたちの言うことを了承しておきたいのだけれども、どうも財投計画というものが全般に及ぼす影響が大き過ぎる。このために、やはり、あまり弾力的運用ということだけをたてにとって、この問題をどうも少し過小評価をしておるようなところが政府考えにあるのではないか、それが根本になって国会というものに実は議決案件としないというような、まあ、いわば今日のこの会計検査院検査報告をしたこの決算についても、政府は今日までまだ議案としない、いわゆる報告説と同じですよ。今日の日本の国会がいまの憲法のもとに、明治憲法とは違っておる立場からいけば、当然会計検査院のこの報告というものは議案にしなければいかぬですよ。けれども、いまだにそういう説をとっておるわけです。何といっても、政府報告だけして、それをやったのだといえば、それで済むという、そういう安易な考え方が根底に流れているからだと私は思うのです。  そういう点について、どうも予算の問題については、政府はいろいろに力を入れて盛んに宣伝をするけれども、事決算になると、軽視しがちになる。きょうも出席していないから、特に大きく言う必要はないけれども、私は、この次にまた文句を言おうと思うのだけれども、建設大臣も出ていない。総理大臣もなかなか出席しようとしない。全く、決算軽視ということは、こういう面から出てくるわけです。ですから、私はやはり、そういう中で、これはあなたのほうの会派の考え——会派かどうかわかりませんが、これはとにかく国民全体の立場からいけば、財投計画というものは、私は議決案件とすべきだという主張は変わりない。そういうことについて、どうですか、経済企画庁長官、あなただって将来またいろいろ重要なポストをまた持つかもしれぬし、大蔵大臣大蔵大臣だけで終わらないかもしれぬ。その前に親分が先になるかもしれないけれども、いずれにしても、財投計画を一般会計と同じような措置をとるというようなことを御研究される考えはありませんか。やっぱり、いまのあなたの答弁のように、これはもう弾力的な運用をするのが一番必要だからいままでどおりでいいんだ、こういう考えですか。どうですか。これはひとつ、両者意見があろうと思いますから、それぞれの派があるから、ひとつお答えいただきたい。
  33. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほども申し上げましたように、相澤さんのような御議論が両院において絶えずあるわけでございます。しかし、議決案件にしなければならないという理由がなかなかないわけでございますし、議決案件にした場合の障害というものも、いろいろ考えられるわけであります。でありますから、私は、いまの相澤さんの御議論のとおりにやりますと、それよりももっと大きい地方財政ということがございます。地方財政というものは、御承知のように、法律で地方財政計画は国会には出しますけれども、議決案件にはなっておりません。これは、その当該地方公共団体の議会の議決を経てやっておるわけでございます。三権分立のたてまえからいいましても、これは、内閣が、金融と一般会計、特別会計との中間に位する財政投融資を弾力的に運用するという権限は与えておっていただいても、国会一般会計とあわせて財政投融資計画も御審議をいただいておるわけでありますから、支障があるわけではないわけでございます。それから国会の意思は、資金運用部資金の運用に関しては、資金運用審議会というものをつくって、第三者の意見を十分聞いてうまくやりなさいよと、こういうことになっておるのでございますから、かかる問題に対しては遺憾なきを期しておるわけでございます。しかも、財政投融資計画というものでありまして、一応の目算を立っておるということであります。でありますから、そのつど、財政等の事情があったり、災害があったり、輸出が非常に伸びたために輸銀の資金が足らなかったり、という場合には、随時資金運用部資金も短期に提供するというような、これはもう、この種のものの性格として、国会の議決案件にすることは適当でない、こういう考え方を持っておるわけです。  もう一つの問題でございますが、この原資になる問題は、御承知のとおり、郵便貯金法とか、郵便年金法とか厚生年金法とか、あらゆる問題で法定になっておるわけであります。でありますから、原資が法定になっており、また、財政投融資計画については、予算と一緒に同時に審議願っておる。ただ、議決案件であるかないかだけにしぼられるわけでございますので、まあ、政府が毎度申し上げておるとおり、財政投融資計画は、在来どおり私たちも御説明いたしますし、在来どおり御審議いただくということにいたしまして、これを議決案件とするということにつきましては、ひとつ政府の発言を御理解いただきたい、こう考えます。
  34. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) かりに、財政投融資計画を国会の議決にまつという制度にいたしましたときに、どれほど弾力性が失われるものであるかということについては、必ずしも私はっきりいたさないように実は思います。これは、私の経験がございませんので、そう思うのかもしれませんが、私はそんな感じがいたします。それから、財政投融資そのものが持っておる経済的な効果、影響というものは、一般会計、特別会計と実際ひとしいような大きな影響があるということも、これも御指摘のとおりだと思います。ただ、おそらくは、推測いたしますのに、御審議の対象そのものにしておらないのは、やはり一般会計等々であれば、その主たる財源は国家権力の発動によって一方的に徴収されるものでありますから、これは政府の意思によって左右し得るものでございます。しかし、財政投融資の原資の大部分はそういうものではございません。一定の原資を見込みましても、それがそのとおりになるかならないかということは、政府の意思に最終的には関係のないきまり方をしておりますので、そこが両者を分けておる大きな理由なのではなかろうか。直接の所管でございませんので、誤まっておる部分があるかもしれませんが、私はそういうふうに考えております。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっとこの問題は平行線のようですが、私は、そういう強気一点ばりだけでは池田内閣も再来月の選挙はなかなかたいへんだと思う。だからやはり真剣にこの国民経済の動向というものから考えて、宮澤さんは少なくとも知恵袋なんだから、もう少し検討する必要があるんじゃないかと思う。そういう方向が出れば、これは、大蔵大臣はさいふのひもを握っているわけですから、出し得るわけですね。ですから、政府の、特に池田内閣としての考え方が、国会にこれはひとつ出して議案としようじゃないかといえば、できないはずはないんです。そんなむずかしいことじゃないんです。いま、あなたが説明されておるように、たとえば議案としたって、弾力性の問題や、その金額の問題について、やはりいろいろな点があるかもしれぬということは、私もこれは認めているわけですよ。私も認めている。けれども、全般からいって、そういういままでの財投計画のその実績、それから数次の改定ということが経済全般に大きな影響を与えておることは否定のできない事実だと思う。このことから考えれば、私はやっぱり、当初計画の中に、一般予算とともに、これはそういう措置をとるべきではないかという主張は、これはあなたと少し違うかもしれぬけれども、つきつめて言えば、そんなに違わないと思う。ひとつ御検討いただきたい。こういうことで、宮澤さん時間がないようですから、けっこうです。いずれまたやりましょう。  それから、その次に大蔵大臣お尋ねをするのは、三十七年度一般会計の歳出決算額が二兆五千五百六十六億余万円、この予算執行の過程で翌年度に繰り越された額が五百二十三億からになる。五百二十二億九千九百九十余万円。なぜこんなに繰り越しが多くなったか。一方においては大型予算を組みながら、そうしてまた一方においては、仕事ができなくて翌年度に五百二十三億にもなろうとする大きな額を繰り越した。ということは、結局は、当初計画というものがやはり十分でなかった、こういうことを言われてもしかたがないでしょう。これは、各省別にそれぞれあげてありますから、ひとつ担当の大臣なり、次官も御出席のようですから、なぜ、うちの省ではこういうふうに予算を繰り越さなければいけなかったか、こういう点を説明してください。
  36. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 三十三年から三十七年を申し上げますと、明許繰り越し、事故繰り越し、それから継続費、逓次繰り越し、合わせまして、三十三年が二百四十八億、それから三十四年が三百四十一億、三十五年が四百十五億、三十六年が六百四十六億、三十七年が五百二十二億九千九百万円、こういうことでございます。三十六年度は、御承知のとおり、景気調整一般会計の繰り延べ措置をとりましたので六百四十六億ということでございますが、三十七年度は、いま申し上げたとおり、五百二十二億ということでございます。まあ、大体三、四百億というものは、年々繰り越すというような状態でございます。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 理由を言わなければいかぬ。
  38. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほども申し上げましたように、特に景気調整等で繰り越しをする場合は別といたしまして、年々一%程度の金が繰り越されるということでありますが、これはまあ、用地買収ができなくて、工事を繰り越す、繰り延べるという場合もありますし、また、今年度予定いたしておりましたものができなくなったというようなものもございます。でありますから、明許繰り越しと、事故繰り越しと、継続費、逓次繰り越しという内訳によりまして、合計五百二十二億九千九百万円の繰り越しを行なったと、こういうことでございます。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、ひとつ大きいところから御説明を願いたいわけでありますが、一番大きいのは、何といっても、旧軍人遺族等恩給費の六十七億余ということになるわけですが、そのほかに、官庁営繕費あるいはこの東京オリンピック大会の準備費というようなものは、一体これはどういうことなんですかね。やるつもりだったけれども、いまあなたのおっしゃられたような、用地が買収できなかったとか、あるいは東京オリンピックの場合に準備をやろうと思ったけれども相手がなかなか乗ってこなかった、そういうことなんですか、簡単にいうと。ひとつ御説明いただきたいのですが。
  40. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 三十七年度の大きなものだけを申してみますと、まず文教施設の十七億余というのがございます。これは、用地の選定、気象の関係、設計変更等によります工事の施行に不測の日数を要したために生じたものと、こういうことでございます。  それから科学技術振興費関係で十三億余がございます。これは、研究施設設備の設計等に不測の日数を要した、いわゆる設計に非常に時間がかかったということでございます。特殊核物質等の購入、加工の完了に日数を要したというようなことでございます。  防衛関係で三十八億余でございますが、これは、調達計画の調整、それから設計、製造、修理等に相当不測の日数を要した、こういうことでございます。  公共事業で百十五億円余でございますが、用地買収及び補償処理、資材調達、こういうようなものが遷延をしたり、設計変更や、雪が降ったり、大雨が降ったり、ということで、気象上不測の事態が起こりましたために、百十五億余の繰り延べが行なわれたわけです。  住宅及び環境衛生対策費の三十八億円でございますが、これも、ただいま申したとおり、用地の選定、買収、移転補償処理という問題がなかなかうまくいかなかったということでございます。  石炭対策費の二十五億ばかりございますが、合理化事業団が行なう非能率炭鉱の整理に際して、炭鉱の評価もしくは鉱業権者の債権債務の処理というものが非常におくれたということでございます。大ざっぱに申し上げますと、大体そのような理由に基づくものでございます。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 いま一点は、いまのような繰り越しが多いということは、私は、反面からいうと、予算さえつけておけば何でもできるんだ、まあ、できないときはしようがない、繰り延ばせと、こういう思想がやはりあるんじゃないかと思うのです。だから、いまあなたは、まあ、できなかったという理由を述べられたのでありますが、私は、どうも、この予算ぶんどり主義というようなものが、こういう中にやはりあらわれているんではないかと思うのです。  そこで、端的に、今度は不用額ですね。不用額の百八十八億余もあるというのは、これは一体どういうことなんですか。これは、まさしく私は、そういう繰り越し額が多くなったり、不用額が多くなるということは、大型予算に対して、各省庁が、何でもいいから予算をつけておけばいいと、こういう思想がやはり根底にあるんじゃないかという心配をするわけなんですが、この不用額については、どういうことなんですか、御説明いただきます。
  42. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) まあ、あなたが申されたとおり、どうも予算さえとっておけばという思想が絶対ないということは言い得ません。これはしかし、そういうことがあってはいかぬというので、私のほうで代案をつくって査定をいたしておるわけであります。これは、問題の本質は、御承知のとおり、予算年度主義から来ておるわけであります。この問題に対して、まあ継続費制度、それから繰り越し明許の制度、いろいろな制度をもおつくりいただいているわけでございますが、どうも、いままで予算もないのに用地を当たったり構想をきめたりすると問題になるわけでございます。予算がついてから、予算国会を通ると、そのときから、さあこの道路に幾らついたからやろう、こういうことになるのであって、これは制度上いろいろな問題があるのです。私は、大蔵省に参りましてから、少なくとも公共事業などは、どうも道路等に関しては、買収が内諾を得ておるというものに対してこれはつければいいんだ。そうでなくて、内諾のないものをつけるから、とにかく、橋をつけるにしても、上流にかけろ、下流にかけろ、というので十年もけんかをしておって、毎年それが返納になるということがあるわけでございます。戦後特にそうなんです。予算がつくまでは黙っておって、ついたら、さあ、あっちにやれ、こっちにやれ、こういうことがありまして、予算の上で不用が立つということに対しては問題もございますし、もらった予算はどうしても使えということになると、今度は事故を起こして会計検査院からいろいろ指摘をされる。こういうことになりまして、なかなかむずかしい制度上の問題でございます。  そういう意味で、ひとつ、事情は、これはずっと申し上げますと、まあなるほどなと、こういうことばかりでございますから、御理解をいただきたいと思います。
  43. 横川正市

    委員長横川正市君) 二宮君。
  44. 二宮文造

    二宮文造君 大臣に時間の制限があって、どうも映画のこま切れ撮影みたいで都合が悪いのですが、質疑を進めます。  今度の三十七年度会計検査院決算報告、これを見まして、相変わらず、不正とか不当とかの支出が非常に多いわけです。私は、きょうは、この決算の性格の上から、会計検査という問題で大臣にお伺いしたいのですが、従来からも会計検査院からたびたび指摘を受け、改善意見が出ております。また、総理大臣も、三十七年の決算委員会ですか、当院の決算委員会で、あらゆる機会に、あらゆる方法で、このような不正不当支出はなくするという御答弁ございましたし、また、ことしの予算委員会でも、不正不当事項について質問がありました場合に、そのために会計検査院があるんだ、こういうようなお話でございましたが、いずれにしても、今回の出てまいりました決算報告では、件数もまた金額も多いわけです。これは、いろいろ理由もあると思いますけれども国民立場から見ますと、これは国の損であり、国民の負担にはね返ってくるわけです。したがって、大臣としては、こういう不正不当事項の指摘を受けて、それを財政当局としてどういうように受けとめていかれるつもりなのか。まず、それからお伺いしたいと思います。
  45. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 会計検査院からの御指摘はもとよりのこと、国会の、両院の決算委員会及び予算委員会でも、いろいろ御注意を受けておりますので、これをまず予算編成の時期に、御指摘を受けましたもの、特に国会で御決議をいただきましたようなものに対しては、逐条これを守るようにということで、大いに大蔵省としては、これを基本にいたして予算編成作業を進めておるわけでございます。  問題は、国会の議決がございましたら、閣議で発言をいたしまして、このようなことが再び起こらないようにということで各大臣の御協力を求め、なお、末端まで、かかる趣旨が徹底をいたすように処置をいたしておるわけでございます。ここに、あとからまた時間があれば申し上げてもいいのですが、「三十七年度決算会計検査院指摘及び国会の審議議決にかんがみ予算決算上考慮された事項」という——まあ、いろいろな問題につきましては、大蔵省はもとより、各省出先を通じまして、かかることができるだけ起きないように努力いたしておりますし、また、若い出納官吏等の研修、それから服務の要領等に対しては、絶えず末端機構まで意思が徹底をし、おしかりを受けないようにという措置をとっておるわけでございます。
  46. 二宮文造

    二宮文造君 いまのお話でございますが、「三十七年度決算検査報告に関し国会に対する説明書」、まあ、これは会計検査院指摘を受けた事項に対する各行政官庁の弁明書みたいなものですが、これを読んでおりまして、ちょっと理解に苦しむところがあるのです。たとえば、農地なんかを貸し付けていて、それを他用途に転用していた場合、それはすぐあとから措置をして弁償をさせているようなケースもあります。あるいは、まあ地方団体の場合は、補助金を不当に使っていたということで、それをまた返させたという説明も出ております。しかし、国有財産を売り渡した場合、その売り渡し価格の査定がまずかった場合、これはまことに遺憾であったという説明だけなんですが、一体事後どういうふうにするか。まあ事後改善をいたしますということなんですが、これに対しては、会計検査院指摘というものの効力が私は疑わしいと思うのです。
  47. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御指摘の事実も間々あったと思います。特にこの問題は、御承知の、戦後旧軍用財産を多量に引き受けたこと、それからもう一つは、物納財産というものがございます。それで、大蔵省としましては、一時とても手に負えないというようなこともございましたので、軍から人がそのまま管財局に移りまして、軍の事情をよく知っておる人、こういうような皆さんが管理をしておったわけでありますが、中にはいろいろな問題もあります。この間御指摘を受けましたが、国会のすぐ前にも、銅像の隣にまだ人が住んでおる。一体あれはいつ明け渡すのだということをこの間から御指摘を受けておりまして、ことし一ぱいにはようやく明け渡すというところまで話がついたわけでありますが、何ぶんにも、戦後のどさくさといいますか、非常にたいへんな時代でございましたが、相当台帳も整備をし、陣容組織も整備をしてまいりまして、現在では、御指摘を受けることがないとは断言できませんが、私が参りましてから、少なくとも窓口だけにまかしておかないで、財務局長の大きな仕事として処分をする、国有財産等に対しては、最終責任は財務局長が負うべし、また、いろいろな問題もあって長い間係争になっておるものに対しては裁判所の判定を待つべし、それから本省で合議をすべし、こういう基本をつくりましたので、このごろは、私は大体適正に処分されておるのではないかというふうに考えております。しかも、各財務局別に、第三者構成による審議会がございまして、審議会の議を経て、交換、売り渡し等をやっておるわけでありますから、いままではありましたが、これからはだんだんと御指摘を受けないようにということに努力をいたしておるわけであります。
  48. 二宮文造

    二宮文造君 その財務局長が最終的に責任を負うべしというのは、まことに責任の所在がはっきりしていていいのですが、決算が出てまいりますのは、こういう事態になりまして、三十九年に至って三十七年度決算をする。そのときに彼はどこに行ったかわかりません。従来はそういうことで、この決算の審議というものが、問題を浮き彫りにすることができませんし、また、してみたところで、この決算報告を不承認という結果をみたところで、政治的責任は残りましょうけれども、金額的な面についてはどうしようもなかった。  もう一点私伺いたいのは、会計検査院指摘と、それから当該行政官庁の考え方とが食い違った場合、たとえば、具体的に出ておりますが、近江鉄道のあの補償の問題にしましても、会計検査院としては非常に好ましくない、当を得ていないという表現です。ところが、一方、運輸省側の説明では、やむを得なかったというふうな説明になっております。こうした場合に、会計検査院としては当を得ていない、行政官庁としてはやむを得なかった、国民感情としては不可解千万である、という場合に、政府としてはどのような対策をお立てになるのか、それを伺いたいわけです。
  49. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 不正不法なものに対しては、法律がこれを罰するということになっておるわけでございます。それから、法律から見ますと違法ではないが、妥当性のないもの——景色代などというものは、私は、違法などというよりも、妥当性のないものだ、こういうことだろうと思います。そういうことでもって予算を使われるということになると、こちらもだんだんと査定をきびしくしなければならないことになるわけであります。でありますから、会計検査院から指摘を受けたものに対しては、私たちは、予算をやるときに、こういうものは入っておらぬだろうな、こういうことだけは確実に予算編成のときに当たっておるわけであります。もう一つは、事前に会計検査院判断を求める、こういうこと、大蔵省などは特にそれをやっております。こういうものに対し、違法ではない、またもっと妥当性のある解決をしたいけれども、長い歴史的な事情があって、こういう解決をせざるを得ないのでありますが、会計検査院は一体どうですか、事前にこれを聞くということになれば、私は、指摘事項というものは少なくなるし、もっと予算は効率的に合理的に使用せらるる、こういう考え方であります。私は、過去二年間、大蔵省に参りましてから、少なくとも新しいケースのもので将来疑義を生ずるおそれのあるものというものに対しては、事前に会計検査院判断を仰ぐようにしている。こういうことで、大蔵省などは全部そういう措置をとっております。
  50. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 関連して。  ただいま大蔵大臣のあなたの御説明を聞いておるというと、まことにごりっぱな答弁で、水も漏らさぬような御答弁で、まことにけっこうだが、しかし、事実において毎年毎年決算において不正不当がこのように行なわれておるということに対して、大蔵省ではこうやっております。あなたの答弁はまことにりっぱだけれども、事実において不正不当が毎年そのあとを絶たない。しかも、会計検査院から逐年指摘を受けておる。行管のほうからもそういう話が出ておる。これは、三者あなた方の御意見が一致していないのじゃないですか。ばらばらじゃないですか。三者の意見がよく一致して、実際に現地を調査し、あるいは現地に派遣し実情をよく調査して、しかも、いま大蔵大臣の御説明を聞いておるというと、違法なものはそれは法がさばきます、そういうことで、あなたの方が能事これ終われりというような考えでもってあとを絶つか。そういう不正不当の予算執行をやらないように、その対策をもう少し具体的に私は示してもらいたいと思う。抽象的に、あなたのおっしゃっているのは、通牒を出しました、管内みんなによく言うて聞かしております、言うて聞かせ、通牒を出し、そしてあとを絶つことができるのなら、それでけっこうです。事実においてあとを絶っていない。もう少し具体策について大蔵大臣からもう一度御説明を聞きたい。なお、行管やそれから会計検査院長からもお話を聞きたい。もう少し明確な答弁をしていただきたい。
  51. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) たいへん努力はいたしておりますが、遺憾ながら御指摘事項が絶えないということに対しては、これは全く遺憾なことでございます。でありますから、かかることがないように、あらゆる努力をいたしておるわけでございます。私は、予算のときに、会計検査院から指摘された案件に対しては大臣に相談をしなさい、そうしないで、まあまあといって片づけてやるというようなことをしてはいかぬぞ、こういうことさえも言ったのですし、場合によったら、そういう指摘事項があったら減俸するようなつもりで予算を少し削減するぞ、こういう荒っぽいことまで考えてみたわけであります。しかし、なかなか予算も大きくなっておりますし、法律をつくる場合に、新しい法律がたくさんできてきて、予算の執行の段階はむずかしい状態でもございます。でありますから、皆無になることが望ましいことであり、政府はまさにそのように努力をしなければならぬわけでありますが、全然ないようにできるという自信もないわけでございます。でありますから、先ほど申し上げたように、妥当性のないことをやらしてはならない。窓口だけに権限をまかしてはいかぬ。少なくとも私のところでは、国有財産に対しては財務局長がすべての責任を負える立場においてやりなさい、また、いろいろな一年以上かかっているようなものは、少なくとも本省に合議をしなさい、系争中のものに対しては確実に大臣の決裁を求める、こういうこと。なお、新しいケースのもので、何かあぶないなあと思うものについては、事前に会計検査院判断を仰ぎなさい、その上に、なお、こういう批難をされながら、いつのまにやら次官へ局長になったということがよく決算委員会で言われますので、そういう場合は、今度は次官、局長の登用のときには少し考えるぞ、こういうこと以外になかなかないのであります。これは、私たちは予算を組んでおりますから、確かに——そうでなくても大蔵は出しが悪い、出しが悪いと言われながら不当な支出をされておったのでは立つ瀬がないわけでありますから、私のほうでは、そういう問題に対してはしごく厳密に考えておりますし、各省とも考えておりまして、昭和二十一年、二十二年、三年当時から比べると、予算が非常に大きくなったという面から、批難事項の数、金額、また内容等、質の面からみますと、私は相当国会の御指摘のように内容改善せられておる、こういうふうに考えるわけでございます。しかし、皆無になるように内閣をあげて努力をいたします。
  52. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 大蔵大臣のあなたの御説明は一応わかります。あなたも責任者として、これが対策に非常に苦心をなさっている、その労は大いに多といたします。ところが、国家予算が大きくなるから、だからしたがってそれに比例して不正が行なわれるのだ、そういう安易なお考えは私は間違いだと思う。国家予算が大きくなろうが大きくなるまいが——だったら、人間が多くなるから悪いことをする人間がだんだん多くなるということと同じことになる。そういうお考えでなくて、私は、こうした不正不当を指摘された事項に対しては、単なる抽象的な答弁、弁明でなくして、それが最後まで処理解決を十分にしていただいて、国民が納得するように、国民の血税をそんなむだに使ってもらっては困るのだから、なるほど指摘をいただいたことに対しては、かようかようにいたしましたと、はっきりその点を明確にしていただいて、抽象的でなくして、具体的にこれが処理をしいてただきたい。  なお、これが皆無ということに対しては、まあ、あなたの先ほどの御答弁のように、大蔵大臣といえども、それは人間だから万全を期すことはできないかもしれぬけれども、あなたの答弁としては、これはどうもうまくいきません、なかなか万全を期すことができません、というような答弁は、ちょっとおかしい。いかなることがありましょうとも、国家予算がたとえ膨張いたしましょうとも、責任を持ってそういうことはいささかもないように断じて努力をいたします、こう答弁をすべきじゃないかと思う。もう一度伺います。
  53. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私も先ほど、あなたが御発言になられたことを申し上げたわけでございますが、まあ少し演説がへただったということでございます。先ほど、予算膨張したからというのでなく、予算が大きくなったけれども指摘件数は少なくなっております、質的な面から見ますと、と、こう申し上げたわけでありますから御理解いただきたいと思います。何もないようにしたいと思いますが、というのではなく、私は、何もないように全力をあげて努力をいたします。
  54. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 それで大体私も了解いたしますが、大蔵大臣もお時間があるそうですから、ちょっと一口言って、それでよろしゅうございます。(「まだこっちがある」と呼ぶ者あり)ああそうですか。  会計検査院のほうにもお尋ねをしたいのですが、あなた方としては、例年こうして指摘をいただいておるのが、同じようなケース、同じような不正不当があとを絶たない、単にあなた方は指摘をすればそれでいいのだというようなお考えで、事務的にこれをやっておられるんじゃないか、そういうふうなきらいがあるのですが、私はそのように考えるが、あなた方のお立場としては、どういうお考えのもとにこれに指摘をしておられるか。明らかにあとを絶つように、これら事項について同じようなことをたびたび繰り返すようなことをされて、そうして会計検査院は黙っている、その点を御答弁願いたい。
  55. 横川正市

    委員長横川正市君) 鬼木君、大蔵大臣は時間が半を過ぎておりますから、二宮君の質問で終わらせていただきたいと思います。いまの会計検査院のは、あと答弁いただいたらどうですか。
  56. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 それでは、大蔵大臣に対する私の質問はこれで終わりますが、今後とも、あなたも池田内閣の大番頭で、最も信頼を受けておる有力者なんだから、これに対しては、ひとつ先ほどの意気をもって将来御努力願いたいと思います。  私はこれで終わります。
  57. 二宮文造

    二宮文造君 もう一つ大蔵大臣にお伺いしたいのですが、指摘事項の取り扱いの問題ですが、たとえば自作農創設特別措置特別会計ですか、その特別会計法の中では、その、他用途に転用されているものについては、指摘を受けた場合に、それを当該者について摘発をして、そうして契約を取り消す、あるいは損害賠償させたり、また今度は、国有財産を貸し付けている場合には、いままでは正式の賃貸契約であったけれども、当事者と話し合いをして、新たに賃貸契約を取り結んで、指摘事項を受けたのを忠実に実践しているならば、同じような考え方でいくならば、こういう国有財産の売り渡し契約についても、これは正式な売り渡しの契約であっても、前の賃貸契約の場合と同じように効力は過去に遡及してよろしいんじゃないか、こういうような考えがいたします。  また、くどいようですけれども、近江鉄道の問題にいたしましても、会計検査院指摘を受けたんですから、財政当局あるいは政府としても、この支出が適当でなかったという判断を下されて、事後措置を何らかの形でおとりになるのが国民を納得させる唯一の方法だと思うのですが、そういうことについてはどのようにお考えなのか、承っておきたいのであります。
  58. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 国有財産につきましては、国有財産法の改正をいま大蔵委員会で審議をいただいておるわけでございます。それに対しては、国有財産の売り払いを行なう場合、用途指定を行なっております。用途指定を行なっておるもの以外の用途等にした場合については、さかのぼってこれを解除する、こういう条項が衆議院修正になっている。参議院でも審議をいただいておりますので、大体このような法律改正ができると思います。でありますから、国有財産に対してはできるだけ万全を期す態勢でございます。  いまの近江鉄道に対する問題等は、先ほど来申し上げたとおりこれはもう違法行為であれば、これは当然国損を来たしたということでございますから、逆にまた徴求をするという話もございますが、刑事事件にもなるわけでございますが、会計検査院からは、会計検査院法に基づいて指摘を受けて、本件については違法行為かどうかということではなく、いわゆる妥当性があるかないかという問題で、いまの景色代とか、電源開発で、総裁が道路をつくってやると言ったけれども、道路はたいへんよけいかかりそうだから、つかみ金を三億やる、こういう問題も同じケースの問題だと思います。学校のプールをつくってやったものもございます。学校のプールの場合は問題になりませんが、道路をつくった場合も問題になっておらぬわけで、いろいろな理屈がつくわけですが、つかみ金三億やったというのは、これは指摘を受けております。こういう問題は、将来かかるものを絶対になくすということに対しては努力をいたしておりますことは、先ほど来るる申し上げておりますが、現に行なって支出してしまったものが、違法でない、いわゆる両者が民法上の対等でもって、ちゃんと契約しまして、契約を履行したものにすぎないというものに対して、逆にこれを三億徴求することができるか、これは非常にむずかしい問題でございます。  私たちのほうは、できるだけ、そういう金は返ってくるほうがいいという立場をとっておりますから、会計検査院等の御意見もよく聞いて、違法性があればこれを返してもらうことになりますし、まあ、いろいろ景色料というけれども、そうでなければその土地を売らなかったというような、逆ないろいろな事情もあるようであります。表に出たのは景色料でありますが、景色料というものを払わないと土地は売らない、こういうなにがあるのでしょう。そういう問題がありますので、違法性の問題に対して、もし違法性があれば、私のほうではそれを追及するという立場でございますが、いま御指摘になったような近江鉄道の問題等は、どうも正式な契約であって、議論にはなり、指摘は受けましたが、返還を求めるということは、なかなかむずかしいように聞いております。
  59. 横川正市

    委員長横川正市君) ちょっと大蔵大臣、いまの答弁は、決算委員会としては少し問題があるのじゃないかと思いますが、当委員会は、この不当事項、不正事項等で関連して審議をするのでありまして、もちろん刑事事件その他に発展する問題もありますけれども、相当広範な問題で審議をしているわけでありますが、いまの近江鉄道の場合は現地調査もいたした上でのことで、その結果が会計検査院によって指摘を受けるような案件になったわけですから、ここであなたの答弁で問題はありませんということは、不当事項としての取り扱いについては、政府は少し穏当を欠くのではないかと私は思います。再答弁を求めます。
  60. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 問題はありませんと申し上げたわけではありません。先ほどの御質問で、そういう指摘を受けたようなもの、不当に支出せられたようなものは、逆にこれを取り戻すことはできないのか、こういうことでありますので、違法性があれば取り戻すことは当然でございますけれども、現在の近江鉄道のものは、国有鉄道との間で協議の上、両者納得の上、民法上の契約をして支払ったものでございますので、これが国会では不当だというふうに言われますし、また、会計検査院からも指摘をせられておりますが、国が当然の権利として返還を求めることができるかどうかという問題については、非常にむずかしい問題でございますと、こう答弁を申し上げておるわけであります。
  61. 相澤重明

    相澤重明君 大蔵大臣、時間がないようですから。職員の不正行為。  今回の三十七年度報告の中にも、結局、不正行為を行なった職員というのはあまり多くはございませんが、「会計事務職員に対する検定」という項で、大蔵省、郵政省等が爼上に上がっているわけです。先日の新聞でも出たように、あなたの秘書課の者が、実はつかまえてみたらば自分の秘書課員がどろぼうだった、こういうことは、一体どういう弁解をするのですか。この中にも少し新聞記者の諸君がおりますが、これは、率直に言って、大蔵省はたるんでいないか。銀行の窃盗事件というものも非常に騒がれておる際に、本家本元の大蔵省が、しかも秘書課の者が大蔵省の中でどろぼうをやっておったというようなことは、これはもう奨励するようなものだ。しかも、新聞記事を見ると、大蔵省は、警察や東京地検に、なるべく不起訴処分にするようにというようなことを言ったというのですが、一体どういうことなんですか。これは、新聞記者の諸君が聞き取り方が早まったのかどうか、よくそれはわかりません。けれども、そういうことがもしあったとすれば、これはもう私はたいへんなことだと思うのです。まず、会計検査院指摘をされた職員の不正事件というものはどうしたら是正できるか。それから会計上におけるところの、こういう会計事務に従事しておる職員の検定に対しての、会計検査院指摘をされておる事項について、大蔵大臣としてはどう考えるか。それから、いま最後に申し上げた、あなたの地元で、地元というか、あなたの大蔵省の秘書課でそういう事犯が起きたということは、どういう責任をとるのか。この三つについてお答えをいただきたい。
  62. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 会計事務職員というものは、大蔵省のみならず、政府、地方公共団体、全部特に勉強してもらわなければいかぬということで、まず精神的な基本的な観念から教え込むように、新しい職員に対しては、先ほども申し上げたとおり、研修を行ないましたり、いろいろな措置をとって、まず人格の、人間的なつちかい方から始めまして、会計業務に対する基本的な観念を教え込んで、いま努力をいたしておるわけでございます。  私の秘書課の者が、いま御発言になったような間違いを犯したということに対しては、はなはだ遺憾でございます。新聞にもございましたとおり、秘書課員がいろいろなことをやったというので、秘書課長を呼んで聞いてみたのですが、話を聞いてみると、まあうなずけないことでもないわけであります。この男は、公務員試験を通りまして、地方から上京してまいりまして、四ツ谷の大蔵省の寮におります。まあ、非常に優秀な男でありまして、主計局の総務課から二カ月ばかり前に大臣官房秘書課勤務にいたしたわけであります。そのくらい将来を嘱望してめんどうを見ておったわけでありますが、まあ魔がさしたというか、間違いを起こしたわけでございます。これは、公金を横領したとか、そういうものではなく、何といいますか、友だちの金を、でき心といいますか、間違いを起こして自分のものにした、こういうことでございます。いま司直の手で調べられておりますので、初犯でありますし、非常に優秀な人材でありますので、何とか傷をつけないで処置ができればということで、秘書課長は何とかごれんびんをということを言ったかもわかりません。そういう意味でありまして、私もその事情を聞いてみて、人間というものは魔がさすのだなということを、まわりの人で注意してやらなければ、特に地方から単身で来ておるような人たちに対しては、こういう問題をほんとうに深刻に考えてやらなきゃいかぬということで、おととい、きのう、きょう、秘書課長にも指示しておるのであります。これは、会計検査院から指摘を受けるような事項ではないのであります。これはほんとうの刑事犯罪でございます。私のところで秘書課からそういう事故を起こしたということに対しては、はなはだ大蔵省の名誉のためにも、私自身も非常に遺憾に考えておりますが、同時に、この男の将来というものに対しても、できるだけ曲がらないようにということを個人的に配慮をいたしたいということを考えておるわけでございます。この点に対しては、こまかくはまだ申し上げられる段階でございませんので、どうぞ一つ御了承をいただきたい。
  63. 二宮文造

    二宮文造君 先ほどの話に戻ります。私がさっき売り渡し契約が不当であった、その場合には事後にも遡及してそれを取り戻す、そういう方法はしないのか、あるいはまた、この問題、近江鉄道の問題に対しても非常に疑義があるのだから、それを取り返すようにしたらどうか、そういう方法はないのかと申し上げたのは、大臣も言われましたように、つかみ金という形が今後も出てくるのじゃないか、そういうふうな種類の不正不当事項というものを未然に防止したい、こういう考え方からなんです。で、そうでありませんと、何回会計検査院から指摘を受けましても、この種の事項はあとを絶たないと思うのです。で、その件についてお伺いしたいのですが、いま行政官庁で、それ自身で内部監査をしております、あるいはまた行管で行政監察をやっております。また、会計検査院指摘事項をこのように出しております。しかし、どうもその三者に並行的なものがあって、それだけの監査機構がありながら、こういう事項を未然に防止できない、また国会としても、この決算委員会で不正不当ということをいつまでも問題にしている限りにおいては、国の予算の執行という問題についても、何かこう時代逆行的な感じがするわけです。できれば、こういう問題は皆無にしたいということで、このような監査制度というものをもっと統括的に、そして事故の発生が未然に防止できるような審議機関、そういう機関をお考えになっていい段階じゃないかと思うのですが、その点について大臣のお考えを聞いて私は終わります。
  64. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 非常に重要な問題でございまして、毎度政府意見を申し上げておるわけでございます。各省庁とも、自分の組織の中に監査の機能を設けております。それだけではなく、御承知の大蔵省が歳出を行なうという立場から、大蔵省監査も行なっておるわけでございます。その上、会計検査院検査も行なわれております。まあ私は、これは会計検査院法の問題になりますので、検査院長からお答えがあったほうがいいかと思いますが、政治的な立場で申し上げると、会計検査院が、新憲法になってさえも、旧憲法の思想をそのまま受け継いだということは、会計検査院が独立した権能というものを相当強く必要とするということでございます。でありますから、私は、会計検査院法そのものを、会計検査院の組織というようなものを会計検査院がお考えになられて、もう終わってしまったものに対する、ただ不正不当事項、非違事項を批難をするという立場から、現在の法制はそうなっておりますが、もう少し予算執行の途中において会計検査院が何か介入をすることができ得るのか——それはまあ、会計検査院が行政府から独立をしておる、予算執行権を持っておる行政権との紛淆という問題が起きて、学問的にはむずかしい問題だと思いますが、やはり制度上の問題を考えて、会計検査院の機能を拡充するというようなことは、将来私はやはり必要になってくるのではないかということを前から考えておるのでございます。
  65. 相澤重明

    相澤重明君 私は、大蔵大臣の先ほどの御答弁は不満です。ということは、公金でない友だちの金だ、あるいは仲間の金だというようなことで、人を憎まないという趣旨で、人を生かしていこうという考えの御答弁だと思う。私一番心配するのは、あなたが監督されておるのは銀行関係ですね。いわゆる金融関係、しかもその銀行関係というものは、最近やはりそういう問題が非常に多い。ところが、銀行関係というのは、何かというと、やはり国民のみな貯金をしておるものです。多くの人たちが金を預けておる。そういう預けておるところで事故があれば、その預けた人たちがやはり動揺するということは必然的に起きてくるわけですね。こういうことを考えると、大蔵省は、銀行でそういうような事件が起きれば、そういうことはなくせという、私は監督省としての、主務大臣としてのやはり指示をしなければならぬと思うのです。ところが、肝心の本家本元の大蔵省がどろぼうを飼っておったということになれば、これは、監督権、指示権というものは全く信頼をされなくなってしまう。こういうところに根本の問題があると思う。私は、この若い青年の行為そのものよりは、そういう全体に与える影響というものをやはり考えて、綱紀粛正ということは厳に私は行なわなければならぬだろうと思うのです。そういうところからいくと、あなたのせっかくのお話であるけれども、秘書課長のとった態度というものは決してよくない。やはり、綱紀粛正をみずから襟を正して行なうところに、他にもそういう影響を与えるのであって、そういう点からいくと、新聞社の報道を私は正しく受けとるとすれば、やはり少し秘書課長の行為というものは、綱紀粛正というものに対する反省というものがないのじゃないか。だから、あなたが秘書課長を呼んで、なるほど聞いてみれば同情するところがあるようなお話であるけれども、少し私はそういう点が、あまり長く政権の座にあると、そういうふうになってくるんじゃないか、こういう心配をするわけです。そういうことはどうなんですか。私は、綱紀粛正ということは、そんな簡単なものではないと思うのですよ。内閣が綱紀粛正ができないようで、どうして腐敗汚職を追及するということができますか。そういう点について、いま一度あなたの御答弁を聞いて、お帰りいただくのはけっこうです。きょうだけではないですよ。この次、ゆっくりやりますから。きょうは、このことについて聞いておきたい。  それからあとの問題は、先ほどの二宮君の質問に対するあなたのお答えは、専門的でないから私はある程度黙っていたけれども、これは運輸省や国鉄当局がおりますからね。国鉄の営業法というものは一体何か、こういうことからくると、少し問題が違ってきますよ、性格が。だから、私はあとでこっちから聞きますから、あなたのほうは時間も過ぎておりますから、いまの綱紀粛正という問題でお答えをいただきたい。
  66. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 綱紀粛正に対しましては、内閣全体として厳重にこれを守ってまいりたいということを考えております。それから秘書課長問題等が出ましたけれども、秘書課長は、いままで私が話を聞いたことからいたしますと、警察へ行って何とかしてくれというようなことを言ったのではなく、非常に優秀な男でありますからして、まだ二十二、三の若い独身者であるし、将来もあるので、まあ本人が悪くならないように、本人の再生のために腐心をしておるんだということでありまして、この間の事情は御了解をいただきたいと思います。大蔵省という特殊な立場にあって、いかに私的なものであっても、これが及ぼす影響というものは非常に大きいということに対しては、私もそのとおり感じておるわけでございまして、大蔵省の中で金銭の盗難があるというようなことに対しましては、将来とも厳にこれを防止するように、大いに努力をいたしたいと思いますし、この事件直後に、とる人も悪く、とられる人も悪いから、大体そういうとられるようなところに金を置くな、こういうことは厳重に申し渡すからということを言っておりますので、とる人もなくなる、またとられないように努力をするということになれば、今後はよくなると思いますから、御了解をいただきたいと思います。
  67. 横川正市

    委員長横川正市君) 会計検査院長、先ほどの鬼木君の質問について……。
  68. 芥川治

    会計検査院長芥川治君) 先ほどの御質問に対してお答えいたします。  会計検査院は不当事項の摘出だけをやっておるのではないか、こういうお話であると思いますが、根本は、不当事項を摘出するのが本来の任務ではありますが、いろいろな御要望もあり、御承知のように、三十六年度から、毎年注意いたしましても容易に是正をされないというような案件につきましては、特に院法三十四条、三十六条を適用いたしまして、改善方向に進みまして、三十六年度検査報告にも、三十七年度検査報告にも、改善措置を掲記いたしております。その後の経過も、若干、有効に働いております分も三十七年度決算報告に掲記いたしております。今後、こういう方向で努力してまいりたいと考えております。
  69. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 これで終わります。  私が、先ほど申し上げたことに対するいまの御答弁では、ちょっと私、まだ見当がはずれておるように思うのですが、要するに、会計検査院検査をするということについて、あなた方の立場、心がまえとして、単に機械的に、事務的に指摘するのみでなくて、大蔵省あたりとよく会議し、また、これに対して研究をされて、なおその処理に対して、どういう考えをあなたは述べられたか、どういう意見を開陳されたか、単に指摘のやりっぱなしで、毎年毎年同じことを、ただ単に指摘するのみであると、それでは会計検査院としての存在は非常に私は弱いと思う。先ほど大蔵大臣も、あなたの答弁するようなことを先に答弁しておったのですが、もう少し、会計検査院は突っ込んだところまでやって、そして強く指摘すべきである。多少遠慮しておられるのじゃないか。しかも、行管もやっておるし、大蔵省自体も内部的に監査はしておると、指摘したことがここにも出ておるようですけれども、三十七年の決算においてあなたが指摘されておるのは二十四億九千百余万円ですね。これは、私はほんの氷山の一角じゃないかと思うのです。もっともっと、あなたたちが徹底的に追及さるれば、私はたくさんあると思う。そういう点において、ただ同じようなことを毎年指摘して、そして能事終われりというような考えを持っておられるんじゃないか。あなた方が指摘されたところの案件に対しては、その事態に対しては、その後の処理はどうなっておるか、これをどうしておるか、あるいはまた、これはどうすべきだというような、もう少し能動的に、積極的にこれが処理に当られないというと、ただピックアップしていくだけでは、同じことを毎年繰り返すのみで、会計検査院の意義、存在というものが非常に希薄なものになりはしないかと、こういうことを私は申し上げておる。その点に対して、あなた方に私まだずっと質問したいのだけれども、関連だから……。  あと、一騎当千の偉い方がたくさんおられるから、これで引き下がりますが、会計検査院は、もう少し使命を、あなた方自体が認識されて、こういうことが皆無に、こういう同じようなことを二度と指摘しないように、もう少し大蔵省あたりにも積極的に働きかけると、ただ事務的に指摘するだけじゃいけない、こういうことを申し上げておる。御答弁を願いたいと思う。
  70. 芥川治

    会計検査院長芥川治君) まことに仰せのとおりでありまして、検査院が遠慮しておるというようなこともないわけでございます。  それから毎年同じことを繰り返しているではないかと、こういう御質問でありますが、先ほど私申し上げましたように、三十六年度から前向きにいたしまして、改善の要求をいたし、その結果が逐次出てまいっております。われわれは、検査院の重大なる使命を十分認識いたしまして、千人余りのわずかな職員でありまするが、誠心誠意職務に邁進するよう努力いたしております。
  71. 相澤重明

    相澤重明君 先ほどの二宮君の質問とも関連をするわけですが、運輸省と国鉄当局に説明を求めたいわけですけれども、近江鉄道の二億五千万の支払いというものの理由は何ですか。
  72. 田邉國男

    政府委員(田邉國男君) この近江鉄道に対する補償の経緯につきましては、相澤先生もすでに御承知かと思いますけれども、長い間のいろいろな経過がございまして、当初においては約七億ぐらいの補償という問題が出たわけでございます。そこで、国鉄といたしましては、でき得る限り、この問題につきまして誠意をもって努力を続けまして、最終的には土地収用法という法律も使ってやろうということも考えたわけでございますが、一方において、新幹線も予定どおり着工しなくてはならぬ、しかしながら、こういう問題につきまして円満な解決をはかる必要があるということで、数次にわたりまして折衝をいたしまして、最終的に二億五千万円という契約になったわけでございます。で、これにつきましては、先ほども大蔵大臣からも御答弁がございましたけれども、契約としては、当時においてやむを得なかった契約となったわけでございます。しかしながら、国会におきましてもいろいろの御批判もございますし、また、会計検査院においても、まことに遺憾の点があるというようなお話でございます。で、私どもといたしましては、契約上においては何ら間違いはないということでありますけれども国会におきましてそういう御批判を受ける、また御指摘を受けるということにつきましての結果を考えまして、まあ、かようなことが再びあっては相ならぬことでございますし、まあ万全の解決策でもなかった。しかしながら、当時においてはやむを得ない事情であったと、かようなわけでございまして、今後やはり新しいいろいろの新線建設があるわけでございますから、かようなことにつきましては、やはり運輸省といたしましても、今後慎重にやるべきでございますし、また国鉄においても、さようなことについては、今後さらに慎重を期すると、こういう形でやってまいりたいと考えております。
  73. 相澤重明

    相澤重明君 文部大臣への質問に入るのですが、その前に、やはり少し国鉄の問題は、先ほどの関連があったから申し上げたのですが、営業補償ではないのですか。単なる話し合いということでそれはまとまって、つかみ金を出したということですか。これは、あとでいま一回答弁を求めることにして、文部大臣の時間がないようですから、先に文部大臣からお尋ねしていきましょう。  文部大臣は、三十七年度決算の中で、いわゆる繰り越し、あるいは不用額、こういうものについて、公立文教施設費補助、あるいは施設整備費等が出されておるわけであります。あるいは国立学校の費用というようなものでありますが、これはどういうことですか、内容をひとつ御説明いただきたい。
  74. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 御指摘になりましたような事項でございますが、おもなものといたしましては、文教施設費で用地の選定、気象条件、設計の変更あるいは資材調査の遅延というような事情によりまして工事の施工に思わざる日数を要しましたために、年度内の支出を終わらなかったような次第でございます。
  75. 相澤重明

    相澤重明君 そういう形式的な答弁はだれでもできることで、実際に計画性が乏しかったのではないか、こういうことが言えると思うんです。  そこで、時間の関係で、そういう点についてはいずれまた文部省の項のときに進めますが、いま一つは不当事項として国庫補助金の経理当を得ないものというのがたくさんあります。こういう一体不当事項にあげられる経理問題、しかも一事項が十万円以上のものだけをあげたのが六件からあるわけです。こういうことに対しては、文部大臣としてはどういう措置をとっておるのか。この不当事項として指摘されたたてまえで、文部省の態度をひとつ聞かしてほしい。
  76. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 不当事項として指摘せられますことは残念なことであります。私どもとしましても非常に遺憾なことと存じております。そのような場合におきましては、できるだけ是正の措置も講じますと同時に、関係者に対して十分注意をうながしておるところでございます。
  77. 相澤重明

    相澤重明君 たとえば一つの例をみると、長野県の高等学校産業教育設備費にかかる事業、これは工業課程の補助対象設備のうち四フィート旋盤は購入の事実がない。購入の事実がないものを買ったようにして措置をしておるなんというのはもってのほかだと私は思うんですね。いまあなたが言われるような一片の通達くらいではこういうものは直せないわけですよ。どうして直しますか。あなたがいま言ったようなことだけでは直りませんよ。監査をどうする、あるいはこういう対策を立てるということを文部省としてはとられていないんですか。あなたの答弁だけでは何にもやってないということですよ。どういうふうにやりますか。
  78. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) その問題についてのお答えは、政府委員から答えさせていただきます。
  79. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 検査院の御指摘のとおり四フィートの旋盤の購入の事実はないわけでございますが、別の産業教育関係の設備を購入しておったのでございまして、その間の補助対象品目の変更の手続が行なわれていなかったという事実があるわけでありまして、早速これに対しまして是正の措置を講ずるとともに、関係の職員に対しましては今後そのようなことがないように十分注意をいたしておるのでございます。
  80. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、どういう対策をとっているかということなんだよ。注意をするというのはあたりまえだよ。悪いことをすれば注意をするのはあたりまえだよ。文部省としては今後こういう事案をなくするようにどういう対策をとっておるのかというんだよ。内部監査をやるとか、あるいはそのための監督者が出ていくとか、年に一回やるとか二回やるとか、いろいろな方法があるはずじゃないか。何をやっているのだ、一体。
  81. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) ただいま申し上げたとおりでございまして、関係者に対しましては、事務次官の通達をもって厳重に注意いたしております。かつまた、関係課長会議等におきましても、補助金の執行事務の手続その他につきまして、詳細な指導をいたしております。かつまた、実地監査等も励行するなどいたしまして、今後このようなことが起こらないように十分気をつけている次第でございます。
  82. 相澤重明

    相澤重明君 それからいま一つは、収入金を歳入に納付しなかった、こういう予算外に経理したものがある。しかもこれは国立大学で、こういう事案が出ているわけですね。いまの前の経理当を得ないものというものを含めて、会計課長としていま答弁されたことだけでははっきりしない。そこで内部監査をどうしてやるか、どういう対策を行なっているかという答弁になっていない。もし対策があるなら、それをひとつ文書でもって当委員会報告してもらいたい。対策委員会というものを、文部大臣のもとに本省の中に、どういうふうな構成で——こういう事案がないようにやっていくという対策がなくちゃならぬはずだ。それが会計検査院から指摘されても、実際にはしかられたからしかたなく、口頭であるいは会議があったときに集めて訓示するというだけの口頭禅に終わってしまう。そういうことであっては、私は対策にならぬと思う。そこで、そういう対策がつくられているなら、どういう名前で、どういう構成、どういうふうな内容なのか、そういう点について、文書をもって報告してもらいたい。どうですか。
  83. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 文部本省におきまして、特にこの種の事件を処理するために、特別な組織を設けたことはございません。従来引き続きましてさらに指導を徹底させたいというふうに考えているわけでございますが、検査院から御指摘事例のうち、たとえば東京大学医学部附属病院について申し上げますならば、このような事態が生じましたのは、やはり中央検査部の機構に不十分な点があったかと思われますが、中央検査部の機構を整備いたしまして、検査はすべて各診療科でなくして中央検査部で行なうような組織を東大をしてとらせているわけでございます。それから東京教育大学の農学部附属農場におきましては、従来経理事務は教官が担当いたしておりましたが、新たに事務長等を設置いたしまして、これをして経理事務を行なわせるようにいたしております。また横浜大学の工学部におきましても、自今この種の受託研究につきましては、工学部にこれを審査する委員会を設けまして、受けるか受けないかといったことを検討するような是正措置をそれぞれ具体的に講じているのでございます。
  84. 相澤重明

    相澤重明君 いずれ文部省の項のときに、十分そういう内容についてお尋ねしますから、いまの場合は、先ほど申し上げたように、それらの対策委員会をつくられて、そういう具体的な内部監査の方法というふうなものがあると思いますから、そういうものの御提出を、次の機会までにしていただきたいと思います。  それから文部大臣に、最後にひとつ聞いておきたいのは、学校給食の問題でありますが、特にその中で、牛乳の問題については、どういうことになりましたか。特に昭和三十九年度は、このミルクを飲ませるということを政府として進めていると思うのですが、その中で生乳の問題と脱脂ミルクの問題とがあると思うのですが、少し経過を御報告していただきたい。
  85. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 生乳の問題につきましては、昨年は約二十万石であったと思いますが、三十九年度からその倍近くの約四十万石というものを、ミルク給食として取り上げることにいたしたような次第でございます。この問題につきましては、もっと学校給食に国産のミルクを取り入れるという方向でいろいろの御要望もあり、お話もあるわけでございます。そうして外国から脱脂粉乳を輸入することをやめたらどうか、こういうような御意見もかなり強いものがあるのでございます。その御趣旨について、文部省は別に異存も何もあるわけではございません。現実問題としまして、どの程度毎年確実に牛乳を給食の面に取り入れることができるかというようなことにつきまして、計画がはっきりし、また財政が許せば私どもとしましては、どんどんこれを取り入れることにいたしたいと、かように考えておる次第であります。現在の考えといたしましては、逐次生乳を学校給食の面に取り入れる方向において努力してまいりたいと考えておるような次第でございます。
  86. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、次の文部省の決算の際まででけっこうですから、そういう計画を樹立されておるならば、その計画をひとつ文書で御提出をいただきたいと思います。それでは文部省の項は終わります。  次に、国鉄の先ほどの問題に移るわけでありますが、特にこの決算指摘事項の中で、日本国有鉄道が東海道新幹線のいわゆる支払いについて、出来高相当額に対する支払いをしておるのでありますが、これが仮払い金にしておったということが会計検査院から指摘をされておるわけです。この点は会計法上の問題として非常にやはり疑問が私は出てくると思うのですが、なぜこういう措置をとらなければならなかったのか。また今後はこういうことを繰り返す考えは、もちろんもう新幹線はほとんど終わっておるわけでありますから、ないと思いますが、他のやはり国鉄のそういう事業を行なう場合についても、やはり会計上の処理として当を得ない。こう考えられるので、この指摘をされておるところのいわゆる仮払いにして翌年度に繰り越したというのはどういう理由なのか、こういう点をひとつ御説明をいただきたい。
  87. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) この問題はよく調べて後刻答弁いたします。
  88. 相澤重明

    相澤重明君 少なくとも決算書に載っているやつですからね、これはもう見ればすぐわかる、どういうことをやったということが。そこで私としては少なくとも会計検査院指摘されておるような、こういうことはいけないと思うのです。そういう点でどうしたらば今後こういうことをなくすることができるかということも含んで、いま石田総裁の言うように次回にひとつ報告をしてほしいと思うのです。  それからくどいようだけれども、先ほどの近江鉄道の景色料と言われる、あるいは踏切整備という名によるところの支出、こういうものについては、これは特に踏切整備ということになれば、これは運輸省は当然監督官庁として責任があるわけです。国鉄から金を払ったもので踏切が整備されておるのかおらないのか、その現状はどうなっていますか。それから営業補償ということで出すならば、当然営業法に基づいた補償であるということになる、こういう慣例を国鉄としては、先ほどの大蔵大臣やあるいは運輸政務次官答弁のようなことでは、これは法律上の解釈ができないわけです。こういう点についてのやはり解釈をしないと、決算委員会から、あるいは他の常任委員会からでも、これは国鉄が指摘されるのは当然なわけです。こういう解釈について統一した解釈を下して、なるほどと国会にも十分御理解がいただけるということでなければ私はならぬと思う。そういう面で前段の踏切の問題については一体踏切は整備されているのかいないのか。それから支払った側の国鉄としては営業補償ということで払ったのかどうか。払ったとすればその解釈、こういうものについてひとつ御説明いただきたい。
  89. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 踏切の問題につきましては、国鉄としては当然これは近江鉄道でやらにゃならぬものだということの判断のもとにわれわれは払ったのでありまして、やるかやらぬかということは、これは近江鉄道の責任、そしてこれについては運輸省の監督というものもあると思いますので、これはやるところまでわれわれが責任を持つということは、これはちょっとできないのであります。
  90. 相澤重明

    相澤重明君 運輸省はどうですか。
  91. 田邉國男

    政府委員(田邉國男君) 踏切の問題につきましては、ただいま国鉄総裁が答弁を申し上げたとおりでございまして、やはり近江鉄道がやるということでございまして、詳細についてはやはり国鉄の当局から答弁していただくのが最も適当だと考えております。
  92. 相澤重明

    相澤重明君 何を言っているか、両方でわけのわからぬことを言っては話にならぬ。もちろんこれは会計検査院がその内容を調べて、その支払ったものが正当に受領されて、あるいはまたそのために使用されているということになれば、これは問題ないわけです。けれどもそういうことが監督官庁の運輸省として、やはりこれは踏切道整備ということはやかましいのですから、特に内閣においても踏切道改良促進法という法律まで国会に提案をして、そして人命の安全ということを進められている今日でありますから、単に金が出されたけれども、それはどこかへ雲のごとくに飛んでいってしまったというのでは困る。そういう点でやはり監督官庁としての立場で、これは実際がどうなっているかということを調べてもらいたい。それから国鉄総裁は、この一億五千万円の補償というものが営業の減収ということによって支払われたということであれば、そういう解釈を下すべきである。だからそういうことは、こういう理由によるものだということが計数的に出てこなければならぬわけです。そういうことがなければ、これはやはりつかみ金で談合の結果と、こういうことになるわけですよ。ところが、国会にせよ、あるいは少なくとも政府の各関係の機関としては、これはつかみ金で談合の結果こうなりますということでは説明がつかないと私は思う。そういう意味でひとつ後刻説明のできるようにしてもらいたい。きょうはそこまで言っても無理かもしれませんから、運輸省、国鉄の審査の際にそれをひとつ説明してもらいたい。  それから運輸省がやはり指摘をされている問題につきましては、特に港湾関係の問題があります。この港湾関係の中に、なぜこれだけ港湾整備の重要性の時期に繰り越しをしなければならなかったか。あるいはこれを、いわゆる不用というような形にしなければならなかったかという点について、いま少し政府説明を求めたいと思う。港湾というものに対して今日の各都道府県単位に考えてみても、いかにいま整備を促進をしてもらいたいという要望があるかということは、政府自身が御承知のはずなんです。にもかかわらず、この港湾予算というものがこういうふうになったかということについて、ひとつ運輸省の見解を聞かしてほしい。
  93. 田邉國男

    政府委員(田邉國男君) 運輸省の見解につきましては、ひとつ局長に答弁をいたさせますので御了承下さい。
  94. 比田正

    政府委員比田正君) 御指摘のとおり、運輸省関係の繰り越しあるいは不用額の中では、港湾が非常に多うございますが、港湾の公共事業費は相当大幅の中のものでございまして、その内容をいろいろ調べますと、先ほど大蔵大臣から総括的に御説明がありましたのと全く同一でございまして、繰り越し額につきましては漁業補償がまとまらなかった。それから工事でございます。特に工事関係につきましては、海の中の工事でございますから、波風あるいは台風というようなものに災いされることが非常に多うございます。そのために工事が手間どったということで繰り越しになったものが大部分でございます。不用額になりましたものは、漁業補償がどうしても行き詰まりまして、もうこれ以上実行不可能だというようなものも一部ございますが、大部分は工事の計画が、予算を要求いたしましてきまりましたときと、実施の時期の段階までに新しい事情が起きまして、たとえば会社の負担金を持ちますような工事は、会社のほうの経営状態で、要求するときにはやれる自信があったけれども、もう一年延ばしてくれ、あるいはやめてもらいたいというような申し出が出たものもございまして、工事を取りやめたものがございます。額は非常に多いようでございますけれども、港湾の整備はますます今後やらなくちゃいかぬというときにこういうものが出まして、私どもも非常にこれは遺憾と思っております。これに該当いたします工事は、大部分が補助のほうの工事でございまして、国の直接のものでございませんので、公共団体に厳重に、その後の事情調査いたしまして、また厳重に忠告を与えているわけでございます。  また一部には、東京都関係等におきましては、オリンピック等の工事が急に繁忙になったために、都といたしまして持つような費用がないというもので、一応所期の目的を達したので、さらに次の計画をもうちょっと増したいというような意味で繰り越しになったものも、この中には一部含まれておる次第でございます。詳細につきましては運輸省の所管の御審議のときに各逐一、また御説明いたしたいと思います。
  95. 相澤重明

    相澤重明君 それから、運輸省の二港建で職員の不正行為により四百十三万九千円を経理担当の事務官が歳出金をほしいままにした、こういうことが指摘されているわけでありますが、こういう特に経理関係の者がこういうような事件を起こすということについては、何らかのやはり相互牽制対策とか、あるいは事件をなくすることに対する政府態度というものが、やはりたるんでいるのではないかという点が思われる。二港建のこの事項についてはどういうふうに考えておるのか。それからまた、こういう不正行為というものをなくするためにどういう対策を運輸省としては持っているのか、御説明いただきたい。
  96. 田邉國男

    政府委員(田邉國男君) まことに申しわけない事件が運輸省の中に起きておるわけでございますが、ただいま相澤先生のお話は第二港湾建設局の支出官の補佐官を命ぜられております運輸事務官の高須徳次が昭和三十七年の十一月から三十八年の二月までの間に、一般会計の百十七万、それから港湾整備特別会計の二百九十六万九千円、計四百十三万九千円を債権者に交付しないで、これを横浜銀行本店において現金化し、横領した、こういうものでございます。これにつきまして、現在運輸省といたしましては司直の手にかかってこの問題をいたしておりますので、私どもといたしましては、現在東京法務局にこの賠償等の問題につきまして調査を依頼をいたしておりますので、その結果が出次第、厳正なる処置をいたす考え方でございます。
  97. 二宮文造

    二宮文造君 運輸省にちょっとお伺いしておきますが、先ほども相澤委員からお話がありましたが、近江鉄道の件に関してです。会計検査院指摘事項によりますと、その会計検査院指摘の表現のしかたとそれから運輸省の説明書の表現のしかたと違っております。この点についてお伺いしたいのですが、会計検査院検査報告では、防護補強工事費二億六千二百十五万余円、それから沿線風致阻害観光価値減殺による旅客収入減補償一億五千四百十万余円、計四億一千六百二十六万余円の要求があったのに対して、こういう説明をしまして、三十六年の十二月が一億五千万円、それから三十七年の六月に旅客収入減額見込みを算定して一億円を概算払いし、と、こういう分け方をした検査報告があります。ところがそれに対する運輸省の説明は、国鉄としては、解決方法等を種々検討した結果、経済上、工期上からも、また、事後の工事を円滑に進めるためにもと、こういう説明をして、総額において二億五千万円で解決したがと、一方は明らかに項目を立てて指摘をし、運輸省のほうはそれに対して反駁書みたいなんですが、当時の実情についてはやむを得ないとして二億五千万円——一括して説明しております。この辺の食い違いがどうも私は納得ができないわけです。この点について後刻でもけっこうです。相澤委員から先ほど注意がありましたが、私もこの点だけ指摘しておきます。
  98. 田邉國男

    政府委員(田邉國男君) ただいま運輸省の見解と会計検査院指摘内容が違うということでございますので、私先ほど相澤先生にも答弁を申し上げましたのですが、まだ十分納得がいただけないようでございますので、次回までにはっきり調査をいたしまして、そうして御納得のいくような答弁を申し上げたいと思います。
  99. 相澤重明

    相澤重明君 運輸省けっこうです、国鉄けっこうです。  次に、防衛庁にお尋ねをするわけですが、会計検査院から是正、改善の処置を要求されたものについて、陸上、海上、航空、各自衛隊間における共通機材の融通及び調達の調整、こういうことが指摘をされておるわけでありますが、これに対する防衛庁のお考えをひとつ聞かしてほしいわけです。
  100. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) 政府委員よりお答えさせます。
  101. 三輪良雄

    政府委員(三輪良雄君) 陸、海、空で同じような部品がございまして、これを相互に融通すれば経済的にいくではないかという御指摘を毎々受けておりまして、このために防衛庁といたしましては、内局、装備局に類別管理官というものを置きまして、実はこれを将来非常に増強をいたしまして、陸海空の備品を一連の同じ番号を付してこれを整理をいたします。そういうことによりまして彼此融通を可能ならしめるような機構にいたしたいということで、ただいま内部で計画をし、大蔵省にも来年度予算においてお願いをいたそうと思っておるところでございます。それを待つまでもなく、この類別管理官を中心にいたしまして、陸海空の従来の伝統によります別個の整理をできるだけ統一したものにし、そういった意味での不用品が一方においてあり、一方において新たな調弁をするというようなことのないように、ただいま努力をいたしておるところでございます。
  102. 相澤重明

    相澤重明君 次に、輸入品の購入に当たって処置当を得ないもの、特に私はこの点はまことに遺憾だと思うのですが、防衛庁の防衛大学校で購入した品物に対して、実際に部品が不足しておるのにもかかわらず、品物が入ったということでもって金を支払ってしまった、こういうことが指摘をされておるわけでありますが、私はすでに四年前に、イタリアのロッキードの購入問題について、防衛庁にもこういう点については指摘をしておいた。ところが、今回もまたこれが出てきておるということは、まことに防衛庁の予算というものが多過ぎるから、結局は何でもそういうふうな机上プランによって伝票が整理をされ、現金が動かされるということに考えられるわけです。この問題については、どうしてこうなったかということについてのひとつ説明をいただきたい。
  103. 三輪良雄

    政府委員(三輪良雄君) まことにこれは遺憾なことでございまして、御指摘を待つまでもなく、こういうことがあっては相ならないのでございます。この事情でございますが、防衛大学で万能分光分析器といいますか、レフレクティング・モノクロメーターというものを輸入をいたしたのでございます。これが年度の末に入る予定で計画をもちろんいたしておったわけでございますけれども、輸入がおくれまして、実際に入りましたのは六月になったわけでございます。そこで、会計の係といたしましては、三月末納入でございませんと当該年度で支払いができないというようなことから、三月末納入があったような形で小切手は実際切っておきまして、六月に物の入りましたときに支払ったというのでございます。その際に、御指摘にございましたように、約八万円ほどの部品の不足がございましたにかかわらず、全額支払ったということでこの御指摘を受けたのでございます。これはもう何とも、こういう理由でございましたといって御理解をいただくようなことでございませんので、重々遺憾に思っておりまして、二度とこういうことがないように厳重に注意をし、一般的にも検査を励行してまいりたいと思うのであります。なお、この過払い金八十八万六千円につきましては、納入をさせて国庫に納付済みでございます。
  104. 相澤重明

    相澤重明君 この事故対策としては、どういうふうに、こういう事件が起きてからおやりになっておりますか。
  105. 三輪良雄

    政府委員(三輪良雄君) 申すまでもございませんが、この当該の事故につきましては、関係の会計課長、出納係長、用度係長に対しまして訓戒処分に付し、なお監督責任で厳重注意処分にした者が五名あるのでございます。このことにつきましては、今年の監査の方針にも、予算の適正な運用、それから不正不当事項の絶無、それから先ほど御指摘になりました不用不急品の活用という問題につきまして、三本の柱にして監査をいたしております。この内容と同種のことがありませんように、それぞれ御承知のように内部に監査組織がございますので、この監査組織をフルに使いまして、こういった事故が再び起こりませんように鋭意監査をさせておるところでございます。
  106. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、その対策、いまお話になったような問題が下部に徹底するように私希望いたしますが、そういう条件といいますか、監査対象、内容、そういうようなものについて、後刻ひとつ文書で提出をしていただきたい。  その次に、これは時間の関係で、他の問題については防衛庁の決算の際にまたお尋ねしますが、当面する問題で、防衛長官にひとつお伺いをしておきたいのですが、例の駐留軍要員の解雇の問題です。この点、たいへん努力をいただいたのでありますが、具体的にはどういうふうに駐留軍労働組合からの要求問題は解決をされましたか。
  107. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) この問題は全駐労からいろいろな御要望がございまして、また、国会側の諸先生からも熱心な御尽力がございまして、私も昨年以来全力をあげてまいったのでありますが、一応ベースァップの遡及だけは、米軍の同意を得まして昨年解決しまして、残りましたものは退職手当の増額と、それから特別給付金の増額、できれば雇用奨励金というようなものの法的処置というような問題が残ったわけであります。そこで、雇用奨励金その他につきましては、御存じのとおり、大蔵省が主管でございまして、法律改正の必要があるわけでございます。労働大臣とも、その線に沿って何とかできないかとしばしば打ち合わせをしてまいったわけでありますが、なかなかこの点は政府部内の調整ができません。そこで、問題をしぼりまして、法的改正の手続の要らない、特別給付金——これはもう行政処理でできますから、この点を最重点にいたしまして、組合側の代表の方にも一応の御納得をいただいて、いわば形は共同作戦的と申しますか、あらゆる勢力を動員いたしまして折衝いたしました。最後に、大蔵大臣との間で話し合いが煮詰まったかっこうになりまして——官房長官大蔵大臣にも陪席してもらいました、オブザーバーといたしまして。いままでのを五千円ずつ上げました、一万円、一万五千円、二万円という三段階、これは昨年やはり予算折衝してまいりまして、相当大蔵当局で難色がございましたが、この五千円の引き上げは成功したわけであります。したがって、事務としてはたとえわずか五千円でも、見舞金であるから、引き上げた直後は引き上げることは非常に困るという非常に強い態度でございましたが、幸い政治的に解決しまして、最高七万円まで引き上げられました。十段階に分けまして、短期の退職者も含めまして最高は七万ということで細目の話し合いがきまり、組合の方々にも御納得いただいて、ストライキが解消したというのが経緯でございます。  なお、残されました退職手当のほうは、昨年の十二月末日にアメリカ側から文書で、応じがたいという回答が来まして、私どもは文書でアメリカ側の回答は不満足であると、いろいろデータをこまかく整理いたしまして、いま折衝を続けております。何とかこの点も、なるべく近い機会にアメリカを説得いたしまして、改善をいたそうと考えておるわけであります。
  108. 相澤重明

    相澤重明君 で、実際に退職をしなければならぬ、いわゆる首を切られる者は、六月末でどのくらいの数になりましたか。
  109. 小野裕

    政府委員(小野裕君) 本年一月一日から六月末日までの間に、およそ六千名程度ということで考えられてまいったのでありまするが、現実にいろいろ各職場、職場についての再検討をやりながら、いま具体的な数字の出ておりますものは、現在のところで約五千強でございますが、なお少し残っておりますので、五千数百ということになるのでないか、五千四、五百ということになるのではないか、こう考えます。
  110. 相澤重明

    相澤重明君 それから、大臣にいま御答弁いただいたこの雇用安定の問題ですが、これはもちろん主体は労働省になると思いますけれども、何といっても、いま小野長官の言うように五千数百名、六千名あるいは臨時の者を含めると、当時は八千名とまでこの前は言われたわけですから、それだけの大量の解雇者が出るということは、これはたいへんなことですから、やはり防衛庁自体も積極的に労働大臣と組んで、やはり雇用安定の道を私は法律的にも講ずべきだと思うのです。こういう点については、いま労働省との話し合いはどの程度まで進んでいるのですか。
  111. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) この点は、昨年の秋からずっと引き続き実は話し合いを続けております。先ほど申すとおり、解雇制限でありますとか、そのほかいろいろな難点がございまして、ただいまのところ遺憾ながら、労働省側としても改正に踏み切り得ないというのが現状でございます。しかし、私どもは、前回におきましてもお答えしたと記憶しておりますが、何らかの形で調和点を見出して法的改正にまでもっていきたい。これは民生安定法ともからんでおりますが、一応解雇された方々の公務員との比較でありますとか、たとえば年金なども不利な立場にございます。有利な点も確かにある、いろいろな点、デリケートな点もございますが、一歩でも進めて、何とか強力な措置を少しでも前進させたい。この線でこれからも交渉を続けるつもりでございます。
  112. 相澤重明

    相澤重明君 いまの駐留軍労働組合の諸要求について、だいぶ御努力をいただいておるようですから、ぜひ実のあるものに、いま大臣の御答弁のようにやっていただきたいと思うのですが、いま一つは、例の原町田のジェット機の墜落の問題も含んで、基地をかかえておる周辺の人たちは、やはり米軍飛行機の航行区域の問題、あるいはその制限の問題、いろいろありますね。それといま一つは、補償の問題が出てくるわけです。こういう点については残念ながら、たとえばテレビ、ラジオ聴視料の不払いの問題についても、せっかくラジオ等の聴視料の問題については、政府も努力をされたけれども、その周囲のとり方について、やはり地元とはなかなか意見が合っておらんようですね。特に大臣は、町田の選挙区の関係もある、私も神奈川県の選挙区の関係もあるが、とにかくこの大和の爆音反対期成同盟の人たちのいうには、実際にいまの一キロというような制限では、特に高速化するところのジェット機の渦状から考えると、これはとても無理だ、もっと範囲というものを広げて適用されるように政府に努力を願いたい。もちろん、その直接の対象はNHKかもしれません、テレビ、ラジオになれば。けれども郵政省という、そういうことになるかもしらんけれども、やはりこれは防衛庁の所管事項の中にあるいわゆる基地でありますから、そういうアメリカ側と折衝をし、また日米合同委員会の中でも話のできる問題でもあるし、また日本政府が、またそういうふうに意思統一すればできる問題でもあるわけです。こういう点について現在までのところ非常に不満が多いのですが、大臣はそういうことを知っておりますか、それともまた、その問題についてどう解決されようとするのか、ひとつお答えをいただきたい。
  113. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) ラジオ、テレビの点につきましては、一歩前進して一応の措置がとられたわけであります。実は御指摘の点も、私も直接陳情を伺っております。非常に画一と申しますか、単純な区割りがございますので、すぐ隣りといいますか、近辺のものがほとんど同じ被害を受けながら、一定の基準のためにだめだという不合理もあるようですから、これを施設庁に実はデータを整理させております。一地点だけではいけないので、全国のそういう基地の問題を、資料を整理するように——いま集めておる最中でございまして、一応私ども自信の持てる資料を得た場合には、あらためて関係の郵政省その他と御相談をしたい、こう考えております。
  114. 相澤重明

    相澤重明君 それから、これは長官おそらく知っておるだろうと思うのですが、横浜市と大船にあるPXが移転をするというような話が出ておるわけですが、この場合に私は、もし移転がきまったら、これは先ほども話のありました、多くの解雇される人たちが横浜あるいは神奈川県にはおるわけです。そういう人たちの職業訓練とか、あるいはそういう人たちの仕事の場所とかは、非常に大きなところというものは近ごろ場所がなかなか少ないわけです。ですからそういう再就職に必要なものとか、あるいはその人たちの、離職者のために役立つような方向において施設を使えるようにしてもらえばたいへんいいと思うけれども、こういう問題について、もし返還がきまっておったならばお答えをいただきたいし、きまっておらなければほとんど内部は移動しているようですから、ひとつ返還を促進していただいて、返還になったらそういうふうなひとつ御努力をいただきたいと思うのですが、長官いかがですか。
  115. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) 具体的にまだ私、報告を受けておりませんが、こまかい点は施設庁長官から御答弁させますが、御指摘の点についてはもちろん最善を尽して、あらゆる便宜を与えたいと思います。
  116. 小野裕

    政府委員(小野裕君) ただいまお尋ねのPXについては、移すというような話題もあったようでありますけれども、まだ移すということにきまってはおりません。まだ少し先の問題ではないか、こう思います。なお、その後の問題につきましては、いま大臣から申し上げたとおりでございます。
  117. 相澤重明

    相澤重明君 それからいま一つは、いまの場合、もしそういうとき、私らは移るのではないかということは思っているわけですが、その場合に例の本牧等の米軍の住宅ですね。これは横須賀と相模原に政府としても移すことについては、そう意見は変わらないと思う。私どももそれがいいと思うのです。三カ年間の調査費を計上して、どういうふうに米軍住宅というものを移動させるかということも、これからの仕事だと思うのです。場合によればそういう住宅政策の一環と実は考えられる。米軍側としては自動車で三十分前後のところを希望しておるようですから、少なくとも一時間以内というのが最大の問題です。そういうところからいけば最も場所的にはいいところでありますから、いろいろ御検討を願いたいわけです。そこで、前回も小野長官質問したのですが、調査費の具体的な使用方についてもう案がきまったのですか、それともまだそういうふうなものは立案ができていないのですか。
  118. 小野裕

    政府委員(小野裕君) 実はまだ細目的な案がきまっておりません。目下検討中でございます。
  119. 相澤重明

    相澤重明君 いつごろできるつもりなんですか。
  120. 小野裕

    政府委員(小野裕君) なるべく早くいたさなければなりませんので、ここ一両月のうちには調査計画を立てたいと思っております。
  121. 相澤重明

    相澤重明君 それから防衛長官に一つお尋ねをするわけですが、先日、全国の都道府県議長会が開かれ、あるいはまた関係の都道府県の知事が御相談をされて、基地周辺等の民生安定法をぜひ政府に提案をしてほしい、こういう御要請があったと私は思うのです。これに対して自民党の党議なり、あるいは政府の中の御意見というものもあろうと思うのですが、私は基本的な考え方としては、全国の都道府県知事なり議長会がとっておる態度というものは、私はやはり必要ではないかと思うのです。そういう点について基地周辺等民生安定法というようなものをお考えにならないのかどうか。この点をひとつ最後に聞いて、私は防衛庁の問題は終わりたいと思うのですが、いかがですか。
  122. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) 各都道府県の知事の皆さん方が集まって、御指摘の基地周辺民生安定法案提出の問題を陳情されました。実は長官に就任する前は私も関東地区の促進世話人の一人でございました。理論的に申しましても、基地周辺のものだけがいわば国家防衛の負担を受ける、不均衡ではないか、国民全般、国家全般がやはりこの犠牲なり被害を均等に負担すべきだ。私も実は理論的に当然そう思っておるわけでございます。何とか法的に進めたいと実は考えた。ところが最初の法案は、御承知のとおり少し広範に過ぎまして、各省間の意見調整がほとんど不可能になりました。長官就任以来、やはり何とかならないかと、いろいろと総理府を中心にいたしまして話し合いを進めたのでございますが、現在のところ大蔵省その他各省にわたりますので、話し合いがまだ一致点を見出しがたいというのが残念ながら現状でございます。そこで一歩後退しまして、一応審議会というものをつくって、総理府の中で、基地周辺の問題の所在、それから特質というものを一ぺん整理しようじゃないかという一歩後退した案を、実は自民党の特別委員会でつくられまして御相談したのでありますが、これも残念ながらまだ政府の同意を得られないで、本国会への提出を実は見送られたというのが実情でございます。はなはだ私の無力を遺憾に考え、法案の内容の性質は少しも変わりませんが、やはり法的に一歩進めて、何らかの安定に対する強力な措置を打つ責任があると私はいまでも考えておる、今後もその方向で進みたいと考えておる次第でございます。
  123. 相澤重明

    相澤重明君 けっこうです。いずれ防衛庁のほうはまたお尋ねいたします。  それでは、その次に農林省についてお尋ねいたします。  農林省が会計検査院からの検査の結果によりますというと、三十七年度の歳出決算の中で繰り越したものは、いわゆる国産大豆等保護対策費あるいは農業構造改善対策費、土地改良事業費等が見られ、さらに農産物等価格安定費というようなものまでが繰り越されておる、あるいは不用になっておるということは、一体どういうことでなんでしょうね、これは。
  124. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) ただいま御指摘の農林省の三十七年度における会計検査院指摘事項、これに工事の繰り越し、あるいはまた、その他の面における繰り越しがあるというその理由につきまして、やはり工事につきましては、できるだけ期間内に工事が完了するよう努力をしておるのでありますけれども、いろいろな事情関係でおくれておることと思っておるのでありますが、遺憾ながら七十八億余円の繰り越しをせざるを得なかったのは、まことに残念であります。これは主として工事のおくれによることが大部分だと考えております。今後出そう気をつけることにいたします。
  125. 相澤重明

    相澤重明君 いずれまた、こまかい点について、いまのような説明でなくて、ひとつ資料提出してもらってから、また説明を求めます。  次に、是正改善措置を要求されたものの中で、特に私はやはり問題になるのは、消費者米価の値上げに伴う販売業者の差益に関するものと、それから、国有林野事業特別会計に所属する国有財産の管理に関するもの、こういうようなものはやはり非常に大きな問題を投げておると思うのでありますが、これらの措置についてはどういうふうにいたしましたか。
  126. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) この消費者米価の値上げに伴う販売業者の差益についての御指摘でありますが、この問題につきましては、まあ差益の場合もありまた差損の場合もあり得ると思いますが、現在食糧配給制度上においては、この販売業者の在庫によるところの差益または差損について現行法上これを徴収し、払い戻す規定がない。また実際上、多数の米穀の販売業者から差益または差損を公平に徴収する、または払い戻すというのは技術的にも非常にむずかしい点がありますので、差益、差損の継続をそのままにしておるのでありますけれども、しかしながら、これをほうっておくということも問題であろうと思いますので、いま米穀の売り渡しの方法に関して、その措置改善を加えるように努力しておるところでございます。  それからもう一つの、国有林野の特別会計に所属する国有財産の管理については、これは三十六年度でも多数指摘されて恐縮しておるのでありまして、これは、指摘された事項については、契約期間ではありますけれども、お互い話し合いの上、会計検査院指摘のとおりに改善いたしております。  また、昭和三十八年の四月からは、統一的なその評価基準というものを設けまして、その基準に従って、今後において契約をするもの、あるいは契約を改定するものについてはそれを適用して、そうして適正な料金を徴収することにいたしております。
  127. 相澤重明

    相澤重明君 まあその第一の、消費者米価の値上げに伴う販売業者の差益金は、この会計検査院指摘しておるのを見ると、新旧価格の間の差益は、卸売り販売業者だけで十一億八千三百三十一万円、小売り販売業者で四億八千七百九十五万円、合計十六億七千百二十六万余円というような膨大なものなんですからね。これはやはり政府が、この取り扱いがむずかしいとか、計算のしかたが厄介だということだけでは済まされない私は問題だと思う。私は、きょうはその点についてこまかく質疑を続ける気持ちもございません。いずれ農林省のほうの際に説明を求めてやりたいと思うのですが、ぜひ、あとお答えになったように、適切なひとつ処置を講じてもらいたいと思うのです。  それから、国有林野事業特別会計に所属する国有財産の管理の問題ですが、この検査の結果判明したところだけでも五百十三件、約八百四十六万一千坪もそういうものがあるということは、これはやっぱりこの管理が当を得ていない。こういうふうにいわれるのは当然だと私は思う。したがって、こういう点についても、ひとつどうしたらばこれが直るか、所管がえ、あるいは売り払いというような問題についてひとつ資料を御提出をいただきたいと思うのです。  それから、きょう時間ももうおそくなりましたので、最後に一つだけお尋ねをしておきたいのは、これは本来は通産大臣にお答えをいただくことでありますが、緊急の問題でありますので、ひとつ、所管は通産省といえども、日本の農民の問題ですからお尋ねをしておきたいと思うのですが、それは、政府が農業構造改善を進めて果樹栽培ということを積極的にお進めになっておるわけですが、レモンの自由化問題について、突如として五月七日の経済閣僚懇談会で福田通産大臣の発言によってきまった。こういうことが、日本の農民に与える影響というものはきわめて私は大きいと思うのです。先ほども大臣に、生牛乳を学校の子供に飲ませるようにということも言いましたが、いわゆる農業構造改善を進めても、その生産されるものの対価によって農民の生活が向上するようにしなければ、これは意味がないわけです。牛乳の場合でも、外国から買う脱脂粉乳によって多くをまかなわれていくとか、あるいはレモンの自由化によって、せっかく日本の農民の生産拡大をされるものが実際に心配になってくるということでは、私はやはり非常に問題があるだろう、こう思うのです。したがって、農民の保護政策を扱うところの農林省が、通産省の大臣がこういう発言をしたからといって、直ちにそれをうのみにするということは、私は納得ができない。日本の農民に対して農林省はいかにおこたえをするか、こういうことになるのです。日本の農民は決して大農ではなくて、中小企業的な立場にあるのですから、これらの人たちの利益を守ってやる立場にあろうと思うのです。そういうわけで、レモンの抜き打ち的な自由化の取り扱いについて、私はどうしても農林省に積極的に農民の立場をひとつ援護してもらいたい、こう思うのですが、農林政務次官としてはいかがですか。
  128. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) われわれは常に、農民の立場考えて行政をやっておるのでありまして、したがって、今後残されたいわゆる自由化問題にいたしましても、ただ人に言われたからすぐ応ずるということは絶対にしない。よく農民のことを考えて、これが国際競争力にこのままでやっていけるかどうかという点を慎重に考慮して、その裏づけのもとにやる方針でおるのであります。ただレモンの問題に関しましては、その後とかくの議論があるようでございますけれども、これは三十一、二年のころも自由化したことがあり、そしてまた、もとに戻した経歴もあるものでありまして、最近レモンの値段が非常に高くなっておるという状況から、物価対策の立場でそういうふうに自由化したらどうかということになって自由化に踏み切ったのであります。それがために受ける生産者の打撃という点も十分考えたのですが、このレモンの栽培業者というのは非常に数の少ない、また非常にわずかな面積を保有しておるものでありまして、それは農業粗収入の約一%程度が大部分を占めているような状況下にあるわけでありまして、かりにその自由化の結果、サンキストのレモンが大量に入ってきて価格が下がったにしても、いまの見通しでは、普通の果樹栽培業者と同じくらいの利益が確保される見通しでもありますので、物価対策、諸般の立場から自由化に踏み切ったような次第で、それがために、ほかのミカンとか、あるいはコンニャクとか、そういうようなものまでに直ちに波及して、どんどんやるということは絶対にないのであります。
  129. 相澤重明

    相澤重明君 松野政務次官は、いま日本の農民の、たとえばレモンの場合に自由化されてもそんなに価格が下がらない、また、そういう利益が少なくなるというようなことはないというような御発言だけれども、これは私はたいへんなことだと思います。もちろん関東地方に多いのではなくて、むしろ広島——池田さんの地元のほうに多い。実際は兵庫県や広島県の農民のほうに多い。そういうところの人の実態を聞いてみたら、私はそんなことじゃないと思うのです。これは実際にレモンの自由化をやったところで、日本の農民なりあるいは消費者がよくなるかというと、そうではない。私は、むしろこれは、これらの関係の農民の端的な表現の言葉でいけば政治的な暴力だと言っております。つまり自由化によって、特定の輸入業者なり、あるいはそれを扱う人たちはもうかるかもしらぬけれども、農民や消費者にとってはそんなにプラスにならぬ。むしろ農民にとってはせっかくの、いま政務次官がお話のように三十一年に自由化された。ところが、日本農民のその苦衷というものがわかって、そうして三十三年に再び取り上げたわけですね、自由化を。そうして果樹振興法で、やはり政府としての手厚い保護立法を持ってこれは農民の立場を救済したわけですよ。それが今回突如として、五月七日の経済閣僚懇談会できめられるなんということは、全く農民の意思というものはどこにあったかということをつかんでいない証拠だと私は思う。私は、実は当院の派遣委員として、一月に四国の現地調査をしたわけです。そのときも農業構造改善の事業というものをよく見さしていただきました。そのときに、非常に農民は一生懸命になってやっておるし、これが進めば自分たちの生活もよくなってくると、こういう期待を持っておるわけです。ところが、品物がよくできて、生産が上がってきてもその輸送費等について、四国の人たちが阪神間に品物を送り出すにしても経費がかかる、こういう点についても政府は検討をしてくれということまで農民からいわれておるわけです。ましてや国内のそういう生産体制なるものがせっかくよくなりかかってきたのを、いま自由化によって押しつぶしてしまうということは、私は耐えられない問題ではないか、そういう点を、ひとつ農林省としては、積極的に農民の立場を擁護するというのがあなたの立場であって、通産省は、なるほどそういういろいろ外国の商社との取引関係というものについても自由化ということを強いられるから進めるかもしらぬけれども、私は、この問題については、通産省と農林省とが反対の立場であっていい、こう私は考える。それから日本の農民の立場というものをもっと直視して、そうして今日の、せっかく意欲を持った農業構造改善事業に精を出しておるところの農民の立場を守ってやってもらいたい。きょうは農林大臣が出ていませんから、ひとつあなたから農林大臣にもよくお話をして、先ほどの不当不正事項ということをなくすることはもちろんでありますけれども、農民をやっぱり保護する立場にある農林省が積極的なひとつ態度をとることを私は特にあなたに御注意を申し上げておきたい。このことについては、いずれ内閣でそういうことを行なっても、何も取り消すのにやぶさかではないわけですから、悪いとわかったら取り消してもいいですよ。三十一年に自由化をしたものを三十三年に取り消したのですから。それを今日幾ら自由化を迫られておっても、農民の事情というものをもっと聞いてもらいたい。だから、私は積極的にいえば、広島県なり、兵庫県なり、静岡県なりのそういう地帯における真剣な農民の気持ちを聞いて、この問題をいま一回検討することをひとつお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  130. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 御趣旨の点は、いずれも農民の保護ということに論点があるのでありまして、十分、私どももいま当座の問題についても、また、今後の生産対策という問題についても、大臣によくお話いたしたいと思います。
  131. 二宮文造

    二宮文造君 だいぶ時間がおそくなったようですが、若干ただしておきたいことがありますので……。会計検査院検査報告に対する各省の大臣や、あるいは関係者の説明はお聞きになったとおりです。そこで会計検査院は、検査院法では、その地位が内閣に対して独立の地位を有するというふうに規定されておるわけですけれども、そういう指摘事項と、それから行政官庁の受け取り方について、現在までのところ、会計検査院としてはどのような考え方を持っていらっしゃるか、その点についてまず伺っておきたい。
  132. 芥川治

    会計検査院長芥川治君) 検査報告は、御承知のように政府提出し、政府から決算につけて本委員会に送付されてきておる。検査報告がどういうふうに各行政庁で受け取られておるか。回答書等をごらんのとおりでありまして、若干、受け取り方が不十分な点もあるとは思いますが、われわれもできるだけ積極的に相手方に納得してもらうような方向に努力してまいりたいと思います。つきましては、結局、検査院が不当事項を摘出し、また改善意見提出いたします。決算委員会が各政府機関を呼ばれまして、ここで大いに熱心に御審議を願うということによっていよいよ検査報告も生きてくるのではないか、こういうふうに考えております。絶えず決算委員会の熱心な御審議に対して、国民の一人としても、また検査院長としても敬意を表しておる次第であります。
  133. 二宮文造

    二宮文造君 非常に御謙遜なお答えなんですが、ならばこの三十四条の末尾にあります「その後の経理について是正改善の処置をさせることができる。」という検査院の権能ですね。これを検査院はどのように活用されておるのですか。決算委員会の審議がこの決算報告を生かしてくれるのだと、国民の一人としてありがたいというようなお話なんですが、それじゃ三十四条の末尾の規定はどうも性格があいまいになるし、そのような従来の決算会計検査院態度が、同じような種類の不正不当事項が毎年重なってくるというようなことにつながるのではないかと私は心配しますが、その点についてはどうですか。
  134. 芥川治

    会計検査院長芥川治君) 会計検査院は、御承知のように法律できめられておる範囲において行動いたしておるわけであります。したがって、政治からも中立に、もちろん政府からは独立した機関として、憲法上、検査院法上認められて活動いたしておるわけでありますから、各行政府に対しましても、法律上認められておる三十四条、三十六条によって三十六年度提出しました改善意見のその後の各省の措置も、この検査報告に載せておりますが、これをごらん願うとどの程度効果があったかということが相わかるように思います。
  135. 二宮文造

    二宮文造君 それでは、具体的に先ほどいろいろ問題になりました運輸省との見解の相違については、会計検査院としては当を得ない、運輸省としてはやむを得ないというふうな説明になった場合には、会計検査院としてはどのように改善処置をさせることができるのですか。「本属長官又は関係者に対し当該会計経理について」という三十四条の規定でどうさせることができるのですか。
  136. 芥川治

    会計検査院長芥川治君) 不当事項として単独案としてすでに提出いたしておりますが、これは政府が——それから先のことは実を申しますと行政府の問題であります。違法であれば行政府がこれを是正しなければいけない。検査院はそれから先のことは権限外でございます。先ほど大蔵大臣からるる御説明があったとおりだと私も思いますが、検査院としての立場であくまで法律的、事務的にこれを指摘し、改善意見を出し、当決算委員会において、何と申しますか、さらに高い立場であるいは政治的に御批判を願う。そして政府がこれを是正していくというのが理想の姿ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  137. 二宮文造

    二宮文造君 それからもう一つ、検査報告事項という、この会計検査院法の第二十九条の五号に、「懲戒の処分を要求した事項及びその結果」ということで、あれば報告することになっておりますが、ずっと私見たのですが、検査報告等にそういう事項が書かれたことはなかったように思うのですが。
  138. 芥川治

    会計検査院長芥川治君) 最近においては、そういう事項がございませんので、検査報告に掲記いたしておりません。もしありましたら、もちろん掲記いたしたいと思います。
  139. 横川正市

    委員長横川正市君) 本日はこれにて散会いたします。   午後四時二十六分散会