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相澤重明君 松野政務次官は、いま日本の農民の、たとえばレモンの場合に自由化されてもそんなに価格が下がらない、また、そういう利益が少なくなるというようなことはないというような御発言だけれ
ども、これは私はたいへんなことだと思います。もちろん関東地方に多いのではなくて、むしろ広島——
池田さんの地元のほうに多い。実際は兵庫県や広島県の農民のほうに多い。そういうところの人の実態を聞いてみたら、私はそんなことじゃないと思うのです。これは実際にレモンの自由化をやったところで、日本の農民なりあるいは
消費者がよくなるかというと、そうではない。私は、むしろこれは、これらの
関係の農民の端的な表現の言葉でいけば政治的な暴力だと言っております。つまり自由化によって、特定の輸入業者なり、あるいはそれを扱う人たちはもうかるかもしらぬけれ
ども、農民や
消費者にとってはそんなにプラスにならぬ。むしろ農民にとってはせっかくの、いま政務次官がお話のように三十一年に自由化された。ところが、日本農民のその苦衷というものがわかって、そうして三十三年に再び取り上げたわけですね、自由化を。そうして果樹振興法で、やはり
政府としての手厚い保護立法を持ってこれは農民の
立場を救済したわけですよ。それが今回突如として、五月七日の
経済閣僚懇談会できめられるなんということは、全く農民の意思というものはどこにあったかということをつかんでいない証拠だと私は思う。私は、実は当院の派遣
委員として、一月に四国の現地
調査をしたわけです。そのときも農業構造
改善の事業というものをよく見さしていただきました。そのときに、非常に農民は一生懸命になってやっておるし、これが進めば自分たちの生活もよくなってくると、こういう
期待を持っておるわけです。ところが、品物がよくできて、生産が上がってきてもその輸送費等について、四国の人たちが阪神間に品物を送り出すにしても経費がかかる、こういう点についても
政府は検討をしてくれということまで農民からいわれておるわけです。ましてや国内のそういう生産体制なるものがせっかくよくなりかかってきたのを、いま自由化によって押しつぶしてしまうということは、私は耐えられない問題ではないか、そういう点を、ひとつ農林省としては、積極的に農民の
立場を擁護するというのがあなたの
立場であって、通産省は、なるほどそういういろいろ外国の商社との取引
関係というものについても自由化ということを強いられるから進めるかもしらぬけれ
ども、私は、この問題については、通産省と農林省とが反対の
立場であっていい、こう私は
考える。それから日本の農民の
立場というものをもっと直視して、そうして今日の、せっかく意欲を持った農業構造
改善事業に精を出しておるところの農民の
立場を守ってやってもらいたい。きょうは農林大臣が出ていませんから、ひとつあなたから農林大臣にもよくお話をして、先ほどの不当不正事項ということをなくすることはもちろんでありますけれ
ども、農民をやっぱり保護する
立場にある農林省が積極的なひとつ
態度をとることを私は特にあなたに御注意を申し上げておきたい。このことについては、いずれ内閣でそういうことを行なっても、何も取り消すのにやぶさかではないわけですから、悪いとわかったら取り消してもいいですよ。三十一年に自由化をしたものを三十三年に取り消したのですから。それを今日幾ら自由化を迫られておっても、農民の
事情というものをもっと聞いてもらいたい。だから、私は積極的にいえば、広島県なり、兵庫県なり、静岡県なりのそういう地帯における真剣な農民の気持ちを聞いて、この問題をいま一回検討することをひとつお願いしたいと思うのですが、いかがですか。