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1964-11-04 第46回国会 参議院 決算委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十一月四日(水曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   委員異動  十一月四日   辞任      補欠選任    鬼木 勝利君  小平 芳平君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     柴谷  要君    理事            岡村文四郎君            佐藤 芳男君            野知 浩之君            山崎  斉君            横山 フク君            相澤 重明君    委員            加賀山之雄君            北口 龍徳君            鈴木 恭一君            西田 信一君            岡  三郎君            加藤シヅエ君            小平 芳平君            天田 勝正君   国務大臣    通商産業大臣  櫻内 義雄君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    通商産業政務次    官       村上 春藏君    通商産業省通商    局輸出振興部長 今村  昇君    通商産業省鉱山    保安局長    川原 英之君    中小企業庁長官 中野 正一君    会計検査院事務    総局第四局長  小沢 定司君    会計検査院事務    総局第五局長  宇ノ沢智雄君  参考人    日本開発銀行総    裁       平田敬一郎君    日本輸出入銀行    総裁      森永貞一郎君    中小企業金融公    庫総裁     舟山 正吉君   —————————————   本日の会議に付した案件昭和三十七年度一般会計歳入歳出決  算、昭和三十七年度特別会計歳入歳  出決算昭和三十七年度国税収納金  整理資金受払計算書昭和三十七年  度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和三十七年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  それでは、昭和三十七年度決算外三件を議題とし、審査を進めます。  本日は、通商産業省日本開発銀行日本輸出入銀行及び中小企業金融公庫決算について審査を行ないます。  まず、通商産業省決算につき説明を求めます。村上通商産業政務次官
  3. 村上春藏

    説明員村上春藏君) ただいま議題となっております通商産業省所管昭和三十七年度経費決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算につきまして、御説明いたします。  昭和三十七手度歳出予算現額は三百六十四億九千二百万円でありまして、これを歳出予算額三百四十七億六千万円と比較いたしますと、十七億三千二百万円の増加となっておりますが、これは総理府所管よりの移管額三億七千五百万円、大蔵省所管よりの移管額一億二千四百万円、予備費使用額五千百万円、前年度より繰り越し額十一億八千二百万円による増加であります。  歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は三百二十八億四千三百万円でありまして、そのおもなるものは、貿易振興及経済協力費中小企業対策費鉱工業技術振興費工業用水道事業費石炭鉱業特別対策費通商産業本省及び通商産業局の各項に属する経費であります。  翌年度へ繰り越しました金額は三十二億四百万円、不用となりました金額は四億四千五百万円となっております。  次に、当省所管の各特別会計決算について御説明いたします。  第一に、アルコール専売事業特別会計でございます。  三十七年度収納済み歳入額は五十億三千百万円、支出済み歳出額は、四十二億三千百万円であります。  この会計損益計算上の利益は十二億一千七百万円でありますが、この利益のうち二億二千九百万円は固有資本増加に充てることといたしまして、残余の九億八千八百万円を一般会計歳入に納付いたしました。  第二に、輸出保険特別会計でございます。  三十七年度収納済み歳入額は百二十三億九千八百万円、支出済み歳出額は十六億七千九百万円であります。三十七年度における保険引き受け件数は二十九が件、その保険金は四千四百六十四億円でありまして、前年度に比し五百二十一億円の増加となっております。  第三に、特定物資納付金処理特別会計でございますが、この会計特定物資納付金処理特別会計法を廃止する法律によりまして、三十七年度限りで廃止され、この会計に属しておりました現金を除く資産及び負債は一般会計に帰属させることとなりました。  三十七年度収納済み歳入額は三十六億四千九百万円、支出済み歳出額は三十億八千二百万円でありまして、この支出額のおもなるものは産業投資特別会計に繰り入れたものであります。  第四に、機械類賦払信用保険特別会計でございます。  三十七年度収納済み歳入額は六億八千四百万円、支出済み歳出額は九千二百万円であります。保険契約件数は七千件、保険金額は百六十七億円でございます。  以上をもちまして通商産業省所管一般会計及び特別会計決算に関する説明を終わります。  最後に、三十七年度通商産業省所管決算につきまして、会計検査院より不当事項として指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じます。  今回、不当事項として指摘を受けましたものは、中小企業近代化促進費補助金財源の一部として、都道府県が行なっております中小企業設備近代化資金及び工場等集団化資金貸し付け事業に関するもの十五件の機械類賦払信用保険保険金に関するもの一件の計十六件でございます。  この十六件の指摘金額は、ただちに返還を命じまして、すでに全額収納済みであります。今後この種の事例の発生を未然に防止するため、より一そうの指導監督を行ない、予算執行の適正を期する所存でございます。  以上をもちまして御説明を終わりますが、なお、詳細につきましては、お手元昭和三十七年度通商産業省所管経費決算概要説明をごらん願いたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。
  5. 小沢定司

    説明員小沢定司君) 三十七年度決算検査報告通商産業省所管の分につきまして簡単に御説明申し上げます。  ただいま通商産業省のほうから御説明がございましたとおりでございますが、五二五号の案件は、機械類賦払信用保険保険金の査定にあたりまして政府調査が不十分でありましたために保険金が過渡しとなったという事案でございます。  それから次の五二六号から五四〇号までの案件は、国から支出いたしました中小企業近代化促進費補助金財源といたします都道府県中小企業者等に対して行ないますところの貸付金運営につきまして検査をいたしましたところ、対象設備を購入していないというものに貸し付けましたり、あるいは実際の設備申請額よりも低額で設置しているというような事態で、資金運用が当を得なく、ひいて国庫補助金が所期の目的を達していないと認められるものでございます。  簡単でございますが、以上をもって概要の御説明を終わります。
  6. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に、日本開発銀行決算について説明を求めます。平田総裁
  7. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) ただいま議題となりました昭和三十七年度決算に関連しまして、本行業務概要について御説明申し上げます。  三十七年度経済情勢の推移につきましては、別途資料に簡単に記載してございますが、特に御説明するほどのこともございませんので、業務内容につきまして直ちに御説明さしていただきたいと存じます。  日本開発銀行の三十七年度におきまする貸し付け金額は、当初計画におきまして総額で九百八十五億円、そのうち前年度の当初計画に比べまして百六十億円の増加を予定しておりましたが、その後下期に入りまして、財政投融資計画の改定によりまして、電力石炭硫安などで二百二十三億円を追加し、結局合計いたしまして千二百八億円となり、これに対応しまする融資承諾実績は、電力が三百五億円、海運二百十二億円、地方開発二百億円、その他四百九十一億円と相なります。  なお、検査報告にもありますとおり、このうち年度内に承諾しましたものは千百七十一億円で、三十七億円は次年度に入って承諾しました。また、三十七年度中の貸し付け実行額千二百四億には、経済援助資金貸し付け四億円、世銀借款外貨貸し付け一億円余を含んでおります。  次に、三十七年度貸し付け運営の特色について申し上げたいと存じます。  まず電力につきましては、新たに貿易自由化に対処するため国産重電機器延べ払い融資を取り上げましたほか、三十七年十月、金融引き締めの一環といたしまして、九電力資金緩和及び関連産業への波及効果を考慮いたしまして、九電力会社に対しまして本行は緊急融資七十二億円を行ないました。  次に、海運融資にあたりましては、国際競争力強化のため、財政資金融資比率を若干引き上げ、特に専用船及び油送船の整備重点を置くこととし、本行の融資方式も、従来の計画造船方式、すなわち一括公募一括決定方式を改めまして、本行の金融判断中心といたしました個別受付個別融資とし、新造船建造を円滑に推進することといたしました。  さらに地方開発につきましては、従来の九州、四国、中国、北陸の四地方を引き続き拡充いたしますとともに、四地方以外の低開発地域工業開発地区重点を置きまして後進地域経済振興開発などを積極的に推進いたしました。また、地方開発地域内の産炭地振興にも特に留意いたしました。  次に石炭鉱業につきましては、合理化基本計画に基づき、エネルギー源としての経済性の確立をはかりましたほか、昭和三十七年十月、本行は、石炭鉱業調査団答申に基づきまして、石炭緊急対策の一つといたしまして追加融資四十五億円を行ないました。  さらに硫安工業につきましては、政府硫安工業対策に基づきます硫安輸出赤字解消のため、硫安メーカーに対する市銀既往貸し付け金のうち百三億円を本行が肩がわり融資いたしました。  その他の産業では、新たに輸出産業の育成に重点を置きますとともに、新規産業及び新技術工業化産業関連施設都市交通国際観光施設などの整備を推進いたしました。  以上がおもな特徴でございます。  次に、三十七年度におきまする既往貸し付け金回収は、外貨貸し付け金回収四十七億円を含めまして、検査報告にもございますとおり、三百八十九億円となっております。この結果、年度末におきまする貸し付け残高外貨貸し付けも含めまして七千八百七十三億余円となりましたが、このうち延滞額は五十二億円、貸し付け残高の〇・七%弱に当たります。前年度末に比べまして六億円増加いたしております。これを業種別に見ますと、石炭鉱業がおもなものでございます。なお、このほかに海運の内入れ猶予額が四百十九億円ございます。  また、三十七年度におきまして外貨債務を保証いたしました額は、電力航空等で四百六億円余であり、年度保証残高は八百五十五億円となっております。  最後に、三十七年度決算概要について申し上げます。  検査報告にございますように、百七十四億の純益金を計上し、期末の貸し付け金残高の千分の七に相当する五十五億円を法定準備金として積み立て残額百十九億円を国庫へ納付いたしました次第であります。  以上、簡単でございますが、三十六年度に引き続き三十七年度におきまする本行業務内容につきまして補足御説明申し上げた次第でございます。何とぞ慎重御審議あらんことをお願いいたす次第であります。
  8. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。
  9. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 日本開発銀行検査の結果につきましては、検査報告の一六一ページに指摘してございます。検査報告に記述いたしました以外に特に御報告申し上げることはございません。  以上でございます。
  10. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に、日本輸出入銀行決算について説明を求めます。森永総裁
  11. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 昭和三十七年度決算につきましては、お手元参考資料がお配りしてございますが、ごく簡単にその概要を御説明申し上げたいと思います。  昭和三十七年度融資承諾額は千四十三億円となり、前年度の千四百二十億円に対し約三割の減少を示しましたが、これは主としてインドパキスタンに対する円借款新規承諾減少によりますほか、一般プラント輸出の低調に基づくものであります。  一方、貸し付け実行額は千八十六億円で、前年度実績の千三十六億円を約五%上回り、開行以来の最高を記録いたしましたが、これは主として船舶輸出の向上を中心とする輸出金融が前年度に比し七十五億円と大幅に増加したことに基づくものであります。  回収順は四百六十二億円で、前年度実績に対し八億円の増加となりましたが、貸し付け額に対する比率は前年度に比して低下し、資金回転率はわずかながら鈍化の傾向を示しております。これは主として延べ払い条件長期化並びに円借款等年度内回収のない新規貸し付け増加したことによるものであります。  以上の結果といたしまして、年度中の貸し付け純増額は六百二十四億円となりまして、貸し付け残高も二千六百十億円とこれまた開行以来の最高を記録いたしたのでございます。  三十七年度の当初の資金計画では、貸し付け総額千二百五十億円、回収額四百九十五億円、差し引き貸し付け純増額七百五十五億円と予定し、この調達資金として、政府出資金二百億円、政府借り入れ金六百十億円を予定しておったのでございますが、貸し付け実績が、相手国側事務不なれ等によるインドパキスタン円借款実行の遅延などの事情により、当初計画を百六十四億円下回りましたほか、回収額も同様三十三億円の減少をみましたので、この結果、貸し付け純増額計画を百三十一億円下回る六百二十四億円となり、その資金手当てといたしましては、政府出資金二百億円、政府借り入れ金四百八十億円にとどまったのでございます。  なお、年度末現在の運用資金量総額二千六百四十九億円でございまして、その内訳は、資本金九百八十三億円、内部留保金七十一億円、借り入れ金千五百九十五億円となっており、したがって、年度間の原資の構成割合は、自己資本が四二%、借り入れ資本が五八%と相なりました。  次に決算について申し上げます。  三十七年度収入額は、貸し付け金利息並びに債務保証料等合計九十四億七千四百万円、一方支出額は、借り入れ金利息及び業務諸費、諸給与等事務費その他を合わせまして、九十億六千六百万円でございます。したがいまして、収入額支出額との差額四億八百万円から動産不動産価額償却額一千百万円を差し引きました貸し倒れ準備金繰り入れ前の利益金は、前年度実績六億二千三百万円を二億二千五百万円下回る三億九千八百万円となりましたが、この金額は、日本輸出入銀行国庫納付金に関する政令第一条第三項の規定により、大蔵大臣の定める貸し倒れ準備金繰り入れ率限度——年度貸し出し残高の千分の十でございますが、この限度に達しませんでしたので、その全額貸し倒れ準備金に繰り入れまして、当年度利益金を計上するに至りませんでございました。  以上きわめて簡単に概要を申し上げましたが、何とぞ御審議の上御承認賜わらんことをお願い申し上げます。
  12. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。
  13. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 日本輸出入銀行検査の結果につきましては、検査報告の一七〇ページに記述いたしておりまする事項以外には特に御報告申し上げる事項はございません。
  14. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に、中小企業金融公庫決算につき説明を求めます。  舟山総裁
  15. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) 昭和三十七年度におきます中小企業金融公庫業務概要につきまして、御説明申し上げます。  昭和三十七年度におきましては、前年の秋以降に実施されました金融引き締め政策の結果、経済活動は概して停滞のうちに推移いたしましたが、十月の引き締め政策解除後は、景気も回復に向かいました。  中小企業もその生産は比較的高水準を維持するとともに、中小金融機関の資力の充実政府中小企業対策早期実施中小企業不況抵抗力増大等から、不況の影響はかなり軽微でありまして、設備投資も、企業近代化合理化生産品目転換等資金需要が強くありましたので、景気停滞下にもかかわらず、前年度とほぼ同水準に推移いたし、これに伴いまして、当公庫に対する資金需要も、依然として根強いものがありました。  当公庫は、当初貸し付け規模を九百八十五億円と定められましたが、その後、政府景気調整策の浸透に伴う中小企業金融逼迫、三十八年一月の豪雪災等による災害復旧のための資金需要に対処いたしますために、六月、十月及び三十八年二月の三回にわたり、百五億円の追加借り入れが認められましたので、これにより、前年度実績に比較いたしますと、一二・〇%増の千百八億円の貸し付け実行いたしました。  このうち、設備資金は、総貸し付けの七九・一%の八百七十七億円、運転資金は二〇・九%の二百三十一億円であります。  承継貸し付けを含めました年度貸し付け残高は二千百三十四億円で、前年度に比較いたしますと三百七億円、一六・八%の増加となっております。  なお、昭和三十八年度におきましては、前年度実績に比較いたしますと一九・二%増の千三百二十一億円の貸し付け実行いたしました。また、昭和三十九年度におきましては、当初貸し付け計画は千三百七十五億円でありましたが、先般二百四十億円の追加がきまりましたので、前年度実績に比べ二五・二%増の千六百十五億円の資金貸し付ける予定となっております。  昭和三十七年度貸し付けを直接貸し付け及び代理貸し付けの別に見ますと、直接貸し付けにつきましては、特にその充実貸し付け促進に意を用い、定員の直接貸し付け部門への重点的配置をいたしますとともに、横浜、岡山及び松山に支店を新設いたしました。これにより、昭和三十七年度におきましては、二千九百二件三百七十二億円の貸し付け実行いたし、これは総貸し付けの三三・五%に相当いたします。  なお、昭和三十八年度におきましては、三千八十八件四百六十億円の貸し付け実行いたし、これは総貸し付けの三四・八%に相当いたしますが、昭和三十九年度におきましては、さらに総貸し付けの三六%に当たる五百七十五億円の資金貸し付け計画であります。  代理貸し付けにつきましては、昭和三十七年度におきましては二万五千八百九十五件七百三十六億円の貸し付け実行いたしました。  なお、昭和三十八年度におきましては二万六千七百六十八件八百六十一億円の貸し付け実行いたし、昭和三十九年度におきましては千四十億円の資金貸し付け計画であります。  次に、日本開発銀行から当公庫が承継いたしました復金承継債権等につきまして申し上げますと、回収促進に努力いたしました結果、昭和三十七年度におきましては、九千九百万円の回収と、九百万円の償却を行ない、年度残高は二億一千八百万円となりまして、開銀から承継いたしました額、七千五百五十九件、百十九億八千百万円の九八・二%の整理を終わりましたことになります。  最後損益計算について申し上げますと、昭和三十七年度におきましては、二十億四千七百万余円の償却利益金をあげましたが、固定資産減価償却引き当て金繰り入れ額二千万余円を差し引きました残額、二十億二千六百万余円は、大蔵大臣から承認されました滞貸償却引き当て金への繰り入れ額及び積み立て額限度内でありましたので、その全額を滞貸償却引き当て金に繰り入れました結果、利益金はなく、国庫納付はいたしませんでした。  以上、簡単でございますが、中小企業金融公庫昭和三十七年度業務概況の御説明を終わらせていただきます。
  16. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。
  17. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 中小企業金融公庫検査の結果につきましても、検査報告の一六八ページに記載いたしましたこと以外には特に御説明申し上げる事項はございません。
  18. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ただいま委員異動がございましたので御報告いたします。鬼木勝利君が委員を辞任され、その補欠として小平芳平君が委員に選任されました。  以上でございます。
  19. 柴谷要

    委員長柴谷要君) それでは、これより直ちに質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 通産省に最初にお尋ねしたいのは、輸出振興についてであります。通産省が、三十九年の通商白書によりまして、輸出中心型の経済発展をはかる必要を強調されておるということでありますが、わが国経済の現状を分析をしてみて、輸出中心という経済発展方策というものがそんなに簡単にできるだろうかという点も反面あると思う。どういうふうにしたならばわが国のいわゆる経済発展のための輸出振興策がとれるのかという点を、輸出中心型という政府の考えておる具体策をひとつ御説明いただきたいと思う。
  21. 村上春藏

    説明員村上春藏君) ただいまの相澤先生のお尋ねでございますが、今後のわが国経済安定成長をはかるためには輸出の伸長が緊急の課題であるということは、御承知のとおりであります。このためにわが国経済輸出中心型の経済パターンをとることは必要であると思います。個人消費支出割合が大きいことは、ある意味では国民生活が豊かになったことであると考えるのでございます。それ自体否定されるべきことではないと思いまするが、また設備投資が大きいことは日本経済近代化合理化重化学工業化の根底となるものでありまして、輸出構造重化学工業化のために望ましいことであり、また、たとえば西ドイツは一九五〇年に、経済重化学工業化を達成したいために、今日輸出中心型の経済を……。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 そこのところよくわからなかったけれども、何ですか。輸出中心型の振興をはかる経済の何ですか。最後のところは、経済協力をするのか、それともわが国のいわゆる重化学製品をどうとかいう、その最後に読んだのはさっぱりわからなかったのですが、何を言っているのですか。
  23. 今村昇

    説明員今村昇君) ただいまの御質問に対してお答え申し上げますが、わが国は、御承知のとおり、相当まだ、産業合理化近代化あるいは重化学工業化という面におきまして、先進諸国に比べまして見劣りのする点がございまするので、そういう点につきましては、相当設備投資というようなものをやりつつ、しかもその焦点を今後の輸出というところにしぼりまして、輸出振興の上で最も効果をあげ得るような設備投資というようなことを考えながら経済成長を進めていかなければならないわけでございまして、たとえばドイツなどにおきましては、すでにそういう重化学工業化あるいは設備近代化というものをある程度こなしておりますために、すべてのことが輸出ということに対して非常にすっきりした形で集中できるような体制になっておるのではないかと思いますが、そういう点から申しまして、日本はまだそこまでいくためには相当今後努力をしてまいらなければならぬというふうに考えております。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 いまの局長の答弁ですと、結局国内設備充実をする、そして輸出振興策をとるということなんですか、端的に表現すると。
  25. 今村昇

    説明員今村昇君) さようでございます。ただ、設備充実近代化におきまして、やはり輸出という問題に焦点を当ててやっていくということを申し上げたのでございます。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、いまの部長の言う、輸出重点にする設備投資ということになると、相当の私はやはり政府としての問題点が出てくるのではないかと思うので、そこで、設備投資をするといったところで、いわゆる政府関係金融機関と民間金融機関との協調というものも必要になってくるわけです。三十九年度輸出中心振興策をとるということになると、いまのあなたの説明でいくと、民間設備能力はどのくらいに見ておるのか、投資額はどのくらいに見ておるのか、この点もひとつ発表してもらいたいと思います。——時間がないから、それはあとで資料で提出しなさい。  そこで、ひとつその次に質問を進めていきます。輸出振興ということも私どもは十分よくわかります。そこで、輸出振興もさることながら、わが国資金をもって海外に協力をしておるという問題もあるわけですね。そこで、輸出入銀行が今日までそういう事業に協力しておるのもたくさんあると思う。そこで、総裁も出席しておりますから、政府とともにひとつお答えをいただきたいのでありますが、昭和三十二年ですか、操業を開始するようにアラスカ・パルプの融資を私は決定をした、こう思うのです。これは当時どのくらいの金額を融資をされて、そして操業はいつ行なわれておるのか、ひとつ御説明をいただきたい。
  27. 今村昇

    説明員今村昇君) お答えいたします。  ただいままでに日本輸出入銀行が実施いたしましたアラスカ・パルプ関係の融資並びに保証は、三十九年の十月末現在についてでございますが、貸し出し金額が百四十八億八百万円、保証金額が七十二億円ということになっております。その内訳を申し上げますと、ただいま申し上げましたもののうち、三十二年の七月に八十七億円を貸し出しております。それから引き続き三十四年の七月に三十一億六千八百万円、三十九年の五月に二十九億四千万円、これが貸し出しの内容でございます。それから保証につきましては、三十五年の十二月四十三億二千万円、それから三十七年の六月に二十八億八千万円、以上でございます。
  28. 天田勝正

    ○天田勝正君 相澤さんが先に進まれたので、間に挾んで恐縮ですが、先ほどの御答弁ですね、これは、私はたいへんなことだと思うのです。というのは、政府の方針が、元来、設備投資行き過ぎということで、今日のような引き締めになったのであって、その根本は、どこで変わったのやら、われわれは一向承知しておらぬ。ここに政務次官も来ておられるけれども、いつからそういうふうに内閣で方針を変えられたのか。私は、これは経済政策の大転換だと、これは資料で出すと言われましたから、それでもよろしいんだけれども、そういう重大な発表をなさる以上は、内閣の指針としてきまったという確信を持って答弁されなければ困る。次の資料提出まで時間があれば、こういうことは新聞等で知らされるかもしれぬ。御注意願いたいと思う。  それで、私は一点だけ、それに関連して聞きたいのは、逆に、いままでの輸出状態では、いささか壁に当たっておる。この説明はやめます。きょうは、与党のほうで後継内閣づくりの相談があるというので遠慮しておるのですが、そういう説明はやめますが、とにかく、そういう点、どうしたらいいかというのか。内閣にできております後進国輸入懇談会、後進国はこちらから輸入しなければ、こちらの輸出もできないと、向こうのものを買ってやらなければ輸出ができない。そこで内閣で検討の最中のはずであります。かなり作業は進んでおると私どもは聞き及んでおる。ところが、これが全部、わが国の農業とかち合うものを輸入する以外に道はないのですよ。で、いま一方においては、援助と、こういう話も出ましたが、これも、木内さんなどが帰ってこられましての話を聞きますと、先進国という話も出ましたけれども、先進国は、日本を含めまして、大体において失敗である。何が失敗かというと、一定の技術水準を持ち、これが国民多数が理解しておるという状態でなければ、後進国援助をして、工場等をつくっても、高い賃金の先進国の人が行ったときは黒字であるのに、安い賃金の人たちを使うようになって、先進国の技術者が引き揚げた後には、みんな赤字になっておるでしょう。どこからやっていくかといえば、日用の必要なものをつくらせると、そういう援助にしなければだめだというこれは結論になって、政府もお聞きになっておるはずなんです。そういたしますと、さっきの後進国輸入懇談会ということは、政府がいままで説明したのとはまるで違って、そっちを買ってやるから輸出しなければならない。さらに経済援助のほうも、向こうが受け入れられるような技術のものを輸出してやらなければならない。この二つに後進国についてはなってきておる。それが最近の傾向、先進国同士の貿易のほうが得なんだと、簡単に言ってしまえばそういうことになる。それはしかし困るからというので、いま指摘したようなことが行なわれておる。この関係は、一体、どういうことになるのですか。その点、一点だけお聞きしておきます。もし答えられなければしかたがない。相澤さんの質問の途中でありますから、これまた次の機会に、ぴちっとつじつまの合うような答弁をする準備をしてください。できれば、いま答えてください。大方針が変わっちゃった。よく、相澤さんは、あれで先に進むことを承知したものだ。
  29. 村上春藏

    説明員村上春藏君) たいへん勉強が足りずに、ただいまの天田先生の御質問に的確なお答えにならぬかと思いまするが、東南アジア、いわゆる低開発国に対する貿易に対しましては、非常に通産省としても、一つの大きな悩みでございます。特に三十八年度実績から見ましても、東南アジア十八カ国に対する日本輸出超過が五億ドルであります。御承知のとおり、なかなかこの東南アジアの国々からやかましく言ってきております。特に一番ひどいのはイラン、イラク、ナイジェリアというような国は、日本から約十一、二倍の輸出超過、これらの国は特にやかましく言っておりますので、今後どうするかというような問題につきましていろいろ検討いたしておりまするが、どうしても東南アジアからできるだけ輸入したいわけでございまするが、何しろ品質が非常に低い。それから日本が望む品物がないというようなことで困っております。そこで、どうしてもこの東南アジアの低開発国を納得さして貿易するには、五億の輸出超過、この二〇%程度の一億ドル程度の金を後進国に貸しまして、そうしてそれで日本が買い得る一次産品の品質を向上する資金に使ってもらって、そうして輸入し得る品物をつくってもらう。こういう考え方で、いわゆるアンタイド・ローンということでこの問題を取り上げて、御承知のとおり、この東南アジアの貿易は、日本のほうが輸出超過であります。非常にこれに対しては、私ども通産省としても悩みの種でございまして、今後いかに解決するかということについて、目下検討いたしております。さよう御了承いただきたいと思います。
  30. 天田勝正

    ○天田勝正君 大転換のことはどうなります、あとで答えますか。これだけの大転換ですよ。
  31. 村上春藏

    説明員村上春藏君) 大転換のことについて、あとで一つ、後刻お答えさしていただきたいと思います。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 アラスカパルプの問題について、先ほど政府から答弁があったのは、昭和三十二年の八十七億の貸し出し、今日までで合計が百四十八億八千万円余と、そうして保証が七十二億余という御説明があったわけです。操業開始はいつですか。
  33. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 三十二年に工場の建設に着取いたしまして、三十五年に完成、三十六年の初頭から本格的操業を開始いたしております。
  34. 相澤重明

    相澤重明君 それで操業開始は、その当時の年間生産量はどのくらい見込んでおりましたか。
  35. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 当初十万トンでございます。それでその後におきまして、一部の改良増設をいたしまして、現在は十六万トンに増加いたしております。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 そうしてその後の経営状況によってこれは黒字ですか、赤字ですか。
  37. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 遺憾ながら、まだ黒字というところに立ち至っておりません。その理由を申し上げますと、一つには当初予定いたしましたより工場建設がよけいにかかりました点、さらには当初の資本構成が、自己資本が過少でございまして、他人資本が過大でございましたために、その利子負担が非常に過重であった点、さらにこれが最大の原因でございますが、本計画をもくろみました当時に比較いたしまして化繊パルプの市況が大幅に悪化いたしましたために、所期の収入が得られなかった。そのような事情が相重なりまして、今日までのところまだ黒字をあげるに至っておりませんことは、非常に残念でございます。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 返済はいつから開始するのですか。
  39. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 昨年の暮れに第一回二千万円分の期限が到来いたしましたが、これはただいま申し上げましたような事情でございますので条件を変更いたしまして、本年度の三月三十一日まで猶予いたしておるような実情でございます。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 これは政府にお尋ねしますが、いまの輸出入銀行が資金貸し出しなり、あるいは保証する場合の取り扱いについていまの条件変更というものについては、政府はどういうふうに監督の中でお考えになっておるのですか。
  41. 今村昇

    説明員今村昇君) 輸出入銀行の融資は、非常に厳密な審査を経た後に行なわれますものでございまして、たてまえといたしましては、やはり計画的に当初の条件が貫いていかれることが望ましいわけでございますが、しかし経済情勢が非常に変化をいたしましたり、あるいは国際情勢の関係等でやむを得ず情勢が非情に変化をしたと認められるような場合におきましては、これは例外のケースとして扱わざるを得ないのじゃないかと思っております。
  42. 相澤重明

    相澤重明君 そんなことはわかりきっているよ。そういうことを聞いているのじゃないのだよ。いわゆる国の資金が系統機関に流される場合に、その系統機関が利用ができないような状況になるということは、最もこれはお互いに留意しなければならぬ問題である。輸出入銀行がそれだけの資金量というものを他に転用できる、利用できるということが、最もいわゆる国家資金というものを十分効率的に運用することである。それができなくなるということは、いわゆる政府の政策がやはり悪い、あるいは金融機関としての貸し付け条件を甘く見過ぎた、こういうことになる。決算委員会としては、いかに国政の中で国家資金というものが効率的に運用され、あるいは不正不当が行なわれないかということが当委員会の対象なんだ、一番重要な課題なんだ。そういうことから言って、端的に言って、いわゆる情勢の変化によって、そして条件というものが次から次に目の玉の変わるようにくるくる変わっていったら、これはもう一つの政策というものは浸透されない。そういうことであってはならぬわけです。これについては私は条件というものを変更された理由というものが、いまのような説明では納得できない。どういう条件というものを出したか。ここにそれならばアラスカパルプの会社と、この輸出入銀行との交換をした条件というものを明らかにしてもらいたい。どういう契約をしております、条件の契約は。
  43. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) アラスカパルプそのものに対する貸し付け金の条件は、金利が四分五厘、据え置き五年の十年払い、したがって期限十五年ということで分割払いでございます。  なお条件変更につきまして私のほうの事情をこの際若干補足さしていただきたいと思います。年間約手数百件の貸し付けをいたしておるわけでございますが、それにつきましては、もちろん当初の条件どおりに励行せられることを期しておるわけでございまして、かりそめにも条件違背にならないよう、債務者を督促いたしておるわけでございますが、何ぶんにもいろいろな経済情勢の変化の伴うことが多い契約でございますので、たとえば外国における為替当局の管理の強化でございますとか、あるいは国内におけるストライキ等による納付の遅延でございますとか、船積みのおくれでございますとか、いろいろな事情が伴うことが多いわけでございます。そういう事情が起こってまいりました場合に、直ちに当初の条件を厳重に実行いたしまして債務取り立ての措置に出ることは、いろいろな意味でかえってまずいというようなこともございますので、そのときどきの状況を勘案いたしまして究極においての取りはずれがあっては、これは困るのでございますが、そういうことがなくて、しかも八方円満におそまるような見込みがございますような場合は、私どもの裁量でしかるべき条件を変更させていただいておるような次第でございまして、それらの条件変更につきましては、事前に大蔵省なり通産省なりの御同意はいただいておりません。私どもにおまかせいただきまして、私どもの責任において増資先を開拓し適当な条件変更をやらせていただいているような次第でございます。実はこのアラパルに対する債務につきましては、化繊各社並びに貿易各社が保証いたしておりまして、これを取り立てますことは、これはいつでもできるわけでございます。しかし、それを強行いたしましてどういうことになるかと申しますと、アラパルの事業そのものの存続が不可能になりますのみならず、化繊業界その他に対しましても、非常に重要な影響を及ぼしますので、そこで私どもといたしましては、先ほど申し上げました自己資本の過小ということは、何といってもこの事業の根本的欠陥であって、そこで何とかこの自己資本充実をさせる必要があるというので、増資による事業再建策をはかってまいりまして、その見通しが立つという情勢のもとにおきまして先ほど申し上げました二千万円の第一回の元本償還につきましても、しばらくこれを猶予しているようなわけでございまして、とりもなおさずせっかく進出したアラスカパルプという事業の今後の存続を期待し、その再建を期待し、また国内各業界に対する影響のショックを緩和するという意味で、この際は元本の、取り立てを猶予することが適当であるというような判断のもとにおいて実存いたしましたような次第でございまして、以上の点を補足申し上げまして御了解を得たいと存じます。
  44. 相澤重明

    相澤重明君 これはいずれ三十八年度決算の中で会計検査院から検査にも来ると思うのでありますが、そこでいまの森永総裁のお話ですと、三十八年返還をすべきものができなかった、こういうことを言われたのでありますが、累計今日までどのくらいの赤字であったのですか。
  45. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) この会社は複雑な構成になっておりまして、日本にまず日本アラスカパルプ株式会社というのがございます、そのアラスカパルプという会社がアメリカに二つの子会社を持っております。一つがこれはちょっと略称ですが、ランゲル材木会社、それからもう一つはアラスカ・ランバー・アンド・パルプ・カンパニー、この二つの子会社を持っておるわけでございます。  それから実質的に一番大きな事業は、アラスカ・ランバー・アンド・パルプ・カンパニーがいたしておるわけでございまして、これがアラスカパルプの事業の主体でございますが、この事業における三十九年三月までの赤字の累計額は、これはもちろん償却は厳重に実施いたしておりますが、その償却後でございますが、九十五億円ということに相なっております。日本のアラスカパルプは、このアラスカ・ランバー・アンド・パルプ・カンパニー等からの利払いを実は受けていないのですが、それが資産に計上されておりますので、若干の創業費以外には、そんな大きな赤字はございません。現に最近の単年度といたしましては、赤字でない状態におさまっております。問題はアラスカにございます子会社のアラスカ・ランバー・アンド・パルプ・カンパニーが問題なのでございます。
  46. 相澤重明

    相澤重明君 総裁そうですか、あまり赤字になっていませんか、今日までの累計ですよ、累計を私どもが聞くところによると、七億余に及ぶ赤字になっている。したがって三十八年もこれは決算をすでにされておると思うのでありますが、とにかく一億以上の三十八年は赤字になっているということも聞いているわけです。それが結局三十八年にわずか二千万の負債を返済すべきものが返済ができないということにも通じるわけなんです。そういう意味で私はランゲルのこのアメリカの会社が、いま九十五億余の赤字になっておるということについては、これは十分承知しておりますが、それはそれとして、このアラスカパルプの会社が幾ら累計赤字があるのか、こう聞いておるわけですよ。
  47. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 先ほど創業費以外そう大きな赤字はないと申し上げたのでございますが、累計欠損額が約六億でございます。単年度といたしましては、最近の状態が改善したということを申し上げたわけでございまして、累積の欠損額はただいま申し上げたとおりの金額になっております。
  48. 相澤重明

    相澤重明君 その次に、事業計画がおそらくあなたのほうにも提出をされておると思うのですが、三十九年度はそうすると黒字に転化するという見通しはあるわけですか。どのくらいの見通しですか。
  49. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) いま手元に正確な数字を持っておりませんが、三十八年度も黒字でございます。三十九年度もAPCとしては黒字になると思います。
  50. 相澤重明

    相澤重明君 これはいわゆる輸出入銀行としての資金融資の問題について、いわゆる先ほどの政府の言う輸出中心型といいますか、そういう輸出対策というものを政府がはからう中に海外協力の問題も出てまいりますから、できるだけわが国の資本出資あるいは融資についてはこれを確保する必要があるという面で、私は御質問を申し上げたわけです。そこで、これらについては後刻いままでの経理状況をひとつ御報告をいただきたい。これはきょういまやるといっても時間がかかりますから、あとで資料でひとつ御提出を願いたいと思うのです。  それから輸出入銀行についてはいま一点ひとつ伺っておきたいと思うのであります。それはブラジルにおけるウジミナスの製鉄事業というものは一体どうなっておるのか、これをすでに政府が、今日の国内の製鉄状況を見ましても、必ずしも安定をしておらない、国内製鉄事業というものは必ずしも安定を私はしておらぬ、こう思うのです。しかし現地に出資をし、あるいは融資をしてウジミナス製鉄事業を興しておるわけですが、これの今日までのいわゆる融資状況、いつこのウジミナス製鉄の事業を始めて、そうしてそのときの出資金は幾ら、それから操業開始はいつという点について、まず最初にお答えをいただきたい。
  51. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) ウジミナス製鉄につきましては、三十二年の四月に閣議決定がございまして、日伯間で協力いたしましてミナス州に製鉄所をつくるということで事業が始まったわけでございます。当初の事業計画は百五十億クルゼイロでございましたが、御承知のようなブラジルのインフレでございまして、その後天文学的とは申し上げませんが、非常に事業資金が膨張いたしまして、昨年の十二月九号予算というのを組んだのでございますが、そのときの所要資金総額が四千六百二十一億というような大きな膨張をみたわけでございます。日本側のこれに対する協力でございますが、当初の協定によりまして設備資金の四割を日本側が資本金で持つ、当初これは一回、二回と増資がございまして、その関係での日本側の出資額は七十二億クルゼイロ、九十七億円を出資で持っておるわけでございます。残りにつきましてはプラント輸出で協力をするという当初の約束でございまして、その関係で融資を約束いたしました金額が三百五十六億円、うち輸銀が融資いたします金額が二百七十億円、市中金融機関がさらにこれに六十七億五千万の協調をいたす、そういう約束でございます。残りにつきましては、日本ウジミナス等の出資がこのプラントの購入資金として充足せられたというような事情に相なっております。本行の融資は、ただいま申し上げました輸出金融の二百七十億円、この大部分を今日までに融資いたしております。そのほかに、出資の四〇%、七十二億クルゼイロ、これは日本ウジミナスから出資いたしておるわけでございますが、この会社に当行から投資金融といたしまして邦賃で四十八億五千二百万円を融資いたしております。残りのブラジルのウジミナスに付する出資は、民間の製鉄会社その池が日本ウジミナスに出資いたしまして、それがブラジルのウジミナスに出資されておる、そういった関係に相なっております。さらにもう一つ、このウジミナス関係で融資いたしておりますのは、ブラジルにございまする開発銀行——ブンデといっておりますが、そのブンデに、これは日伯間の為替関係債権国会議等の結果としての為替血での援助の協定ができまして、その実施の一部ということに相なるわけでございますが、このブンデに二回にわたりまして六十三億千七百万円の融資をいたしております。結局、最後にかいつまんで申し上げますと、融資の種類が三つあるわけでございまして、一つは輸出金融、第二が投資金融、第三がブンデに対する直接金融と、この三口ということに相なっております。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 それで操業開始はいつですか。
  53. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 部分的にできたものから操業を開始いたしておりますが、一昨年の夏でございましたか、溶鉱炉が完成いたしまして、さらにそれによりまして銑鉄、さらに厚板工場が昨年でございましたか、昨年の七月完成いたしまして、厚板の生産に入り、目下は薄板の工場の建設をいたしておるわけでございまして、来年の二、三月ごろそれが完成するのではないか、それが完成いたしますと、当初予定いたしました五十万トン生産計画が全部完了するということに相なっております。
  54. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、いままでの説明によりまして、ブラジルのインフレ傾向というものも頭に入れて、いまの投資、融資、直接融資の問題が出たと思うのですが、これからはもう金額をふやすお考えはないわけですか。
  55. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 以上申し上げましたのは、実は昨年度中に実行した額でございます。で、会社の事業計画は先ほど申し上げましたように、非常にインフレで膨張いたしましたために、当社としては、ブラジルのウジミナスといたしましては膨大な資金不足の問題が起こってまいりまして、その問題を昨年来どう解決するかということが、日伯間の重要な交渉事項としてあるわけでございます。昨年九月ですか、九号予算によりますと、その資金不足額は千二百五十四億クルゼイロ、それを日本とブラジルとでどういうふうに分担するかということで、昨年こちらから向こうへ使節団が参りましたが、そのときは交渉が不調に終わり、さらに今度八月の末から、先方から交渉団が参りまして一カ月余にわたりまして目下交渉を継続しておる最中でございます。初めは非常に彼我の意見が対立いたしまして、なかなか結論を得ることが困難でございましたが、最近の見通しでは、どうやら交渉も煮詰まってまいりましたので、不白何らかの結論に達するのではないだろうか。その結果に従いまして、また融資の問題を前国会におきまして法律改正の御承認をいただきましたいわゆるリファイナンスの問題等が起こってくるというような情勢になっております。
  56. 相澤重明

    相澤重明君 大体いまのは報告ですからけっこうです。  その次に、通産省に御説明をいただいた産炭地振興対策、これはまた過日北海道を私ども、現地視察した結果、御報告申し上げ、その際いろいろと政府の考えも明らかにしてもらったのですが、当時電力の問題について石炭スラリー輸送の問題を私から質問しておきましたが、いずれこれもそのうちに明らかになると思いますが、きょうは、そういう多岐にわたらないで、鉱山保安対策について一つ伺っておきたいと思うんです。今日まで政府としても、昨年の三井炭鉱の爆発によって保安対策というものは真剣にお考えになっておると思うんでありますが、いままでの通産省通商産業省年報、三十七年度のそれを見ると、非常に多くの労働者が被害を受けておるということが言われるわけであります。そこで、具体的にどういうふうにしたならばこういう鉱山保安対策を進めて、労働者のいわゆる被害というものを最小限度に食いとめることができるのか、またそれらの災害をなくするための融資というものは、たとえば開銀なら開銀は、どういうふうにいま政府と折衝して進めていこうとしているのか、こういう点について基本的な点をひとつ御説明をいただきたいと思う。
  57. 川原英之

    説明員(川原英之君) ただいま相澤先生から御指摘のございました鉱山保安対策につきまして御説明を申し上げます。ただいまお話がございましたように、昨年三池の非常に大きな事故を起こしました。まことに私どもといたしまして遺憾に存じておる次第でございますが、その後も今年に入りまして一月より今日まで、鉱山——特に石炭鉱山について申し上げますと、昨年同期から今年一月−十月までの間におきまして、死亡が昨年三百五十六、ことしが二百八十五というような、絶対数におきましてはやや減少いたしております。昨年より二割少ない状態でございますが、しかしながらこういう災害が、死傷者が出るということ自身、私どもとしましては絶対にこれを防ぎたいと、かように念願いたしておるものでございまして、昨年の事故以来、三池の災害の体験を中心にいたしまして、まず本年の当初に石炭鉱山保安の緊急対策を実施いたしました。これによりまして、とりあえず最も重点を置いて行なうべきところを推進いたしました次第でございますが、特に今年度より始めました、先ほど御指摘のございました保安融資あるいは鉱山の保安教育、こういう点に特に重点を置いて指導いたしました。そしてことにいろいろな作業につきましての保安の教育あるいは待避訓練、救護隊の問題というような点を特に融資いたしたわけでありますが、なお現在におきましても、罹災率といたしまして、全体の鉱山労働者数が漸減いたしておりまする関係もありまして、なおまた坑外の分離された問題もありまして、率といたしまして、昨年同期よりは減っておりますけれども、なお絶えないということは、まことに私どもといたしまして遺憾に存じておる次第でございます。その間石炭鉱山の緊急対策を実施いたしますと同時に、この前の国会におきまして鉱山保安法の一部改正をお願いいたしまして、これによりまして、これは三池の事故にかんがみました点もございますが、鉱山のいわば保安確保体制と申しますか、鉱山の保安についての体制を整えるという意味が主眼でございまして、鉱山長を保安の統轄者にいたしますと同時に、鉱山労働者の意見が十分に達するようにするという意味で、鉱山労働者の中から、鉱山労働者の推薦する保安監督補佐員という制度を新たに設けまして、これが幸いに御賛同を得まして、七月以降現在こまかい省令をいろいろと検討いたしておるところであります。なおこういうふうな検討にあたりましては、三者構成になります中立労使双方から同数をもって構成されております鉱山保安協議会というものがございまして、この保安協議会にすべて御相談を申し上げて、その一致した意見によって実施をしていくという体制を、鉱山保安法に基づきましてとっております。保安状況全般につきましては、ただいま申しましたようにやや減っておりますけれども、これを私どもとしましては、今後なくしていきたいという念願に燃えておるわけであります。具体的にその方向として、まずことし、ただいま申し上げましたような法規の改正及び実際上、行政指導をまじえまして、保安教育の徹底あるいは保安融資の推進というような点に重点を置いてまいったのでありますが、現在のいろいろの災害の中身を見ますと、ことしに入りましてから特に目立ちますのは、いわゆる頻発災害でございます。非常に多数の負傷者が一度に出るという重大災害は減っておりますけれども、頻発災害、特に毎日各個所におきまして出てまいります。たとえば落盤でございますとか、あるいは坑内のいろいろ機材が非常に重量化してきたということに伴う機材運搬による——これはけがが多うございますが、負傷というような種類の災害が目立っております。こういうふうな点は、いろいろ今後坑内がだんだんに深くなってまいりますことに伴いまして、いろいろわれわれといたしましては、十分注意を要する点であろうかと考えておる次第でございます。  まず保安行政の基本的な持っていき方といたしまして、私どもがいま進めつつあります点を、ごくかいつまんで御説明申し上げたいと思います。  まず、これは三池の災害の際に、いろいろと御指摘をいただいたのでございますが、最初に何と申しましても、今度こういうふうな非常に石炭自体も若しい状態でありますが、こういう状態におきまして保安を確保していくというためには、保安監督検査ないし保安監督機構を十分に充実したものにしてまいりたい。現在もちろん各現場におきましては、監督官がこれは非常に一生懸命やっておるわけでありますが、なお、われわれとしましては、たとえば監督の密度を強化する、あるいはさらに全体的な保安、その山ごとの全体的な保安計画というものを中心にいたしまして、これを十分しっかりしたものにしながら総合的に見ていく、いわゆる総合検査というようなやり方を今後十分充実をしてまいりたい。で、もちろん人命の尊重は至上命令でございますので、このためにこれは今度の石炭調査団で参りましたときにも、現地においていろいろと御要望があったのでありますが、事後監督ということから、さらに指導的な監督、予防的な監督ということにわれわれとしては力こぶを入れていきたい、かように存じておるわけであります。  第二に、先ほどお話のございました保安融資でございます。この保安融資につきましては、これは石炭鉱業合理化事業団からのいわゆる近代化融資の一環といたしまして、三十九年度から創設をいたしたものでございます。この内容は、先生つとに御高承のことと存じますが、四割を融資で出しまして、あとの六割を開銀あるいは中小企業金融公庫の融資ワクから出すということでございます。で、三十九年度におきましては、予算額といたしまして約四億九千万、それにその前の中小企業炭鉱関係の近代化融資の返済金を加えまして、いわゆる無利子融資分が五億三千万、したがいまして、貸し付けの総工事額は十三億五千万という規模でございます。これにつきまして本年度さらに、何と申しましてもこの保安融資——保安設備に対する融資を充実するということが一番基本的に保安につながる問題でございますので、われわれといたしましては、さらにこれを拡充いたしたいと、かように存じまして、現在お願いしておるわけであります。  第三の問題といたしまして、保安技術の問題がございます。先生御高承のように、だんだんいろいろと新しい合理化機械が入ってまいりますし、新しい保安上の問題、あるいは石炭採掘技術上の問題が出てまいるわけでありますが、この新しい合理化技術に並行、あるいはさらに先行して、その保安技術を開発していくという問題が、これはじみな仕事でございますけれども、実は非常に基本的な大事な問題であると私どもは考えております。で、これは私どもとしましては、現在資源技術試験所、その他工業技術院傘下の各試験所、あるいは石炭技術研究所、こういう機関がございまして、ここでいろいろと具体的な問題につきましての検討を続けておるわけでありますが、たとえば落盤でありますとか、ガス突出の問題であるとか、あるいは急傾斜採炭の問題であるとか、それぞれの項目につきまして究明をいたしておりますが、今後深部に移行いたします——これは全部の炭鉱が同一の傾向でございますが、深部に移行いたしますこと、あるいは大型機械が導入されるというようなことから考えまして、この技術の進歩に先手を打って開発していくというような体制をとりたい、こういう意味でこの保安技術の開発研究につきまして今後特に重点を置いてまいりたい、かように存じておるわけであります。  なおそのほかに、いろいろこれは直接石炭鉱業内部の問題、いわゆる石炭鉱山労働者にかかわる問題と少しはずれますけれども、いわゆる三十六年に九州におきまして、ボタ山が崩壊いたしました。この危険ボタ山はことしからその除去にかかっておりますが、いろいろの問題をなお今後も持っておりますので、この危険ボタ山の崩壊によって、これはむしろ一般の方に災害を及ぼすというようなことがございませんように、われわれとしましては、この危険ボタ山の除去についての予防を特にやってまいりたい。もちろんこういうふうな保安の問題は、いま申し上げましたような監督の強化、あるいは保安融資によって保安施設を十分にする、たとえば昨年来これは各鉱山に事故救命具を相当備えつけましたが、こういうことが非常に具体的に有効でありますので、そういうふうな施設、組織をいたしますと同時に、なおこれは何と申しましても、やはりみんながこれを意識して、真剣にやっていかなければ、なかなか所期の目的をあげ得ないという意味もありまして、われわれのことばでは自主保安体制ということを申しております。この自主保安体制を強化してまいりますために、今年度、これは十月に設立いたしましたのでありますが、鉱山労働災害防止協会という協会を設立いたしました。これによってたとえば具体的な指導員による巡回指導、あるいは保安技術についての講習でありますとか、あるいはもっと進んだ保安教育を徹底的にやる、こういう問題を推進してまいりたい、こういうことで現在着々準備をいたしている次第でございます。
  58. 相澤重明

    相澤重明君 せっかく大臣が御出席になったので……。この石炭鉱業の問題については、先ほど開銀からの説明でも、三十七年にはこの調査団の答申に基づいて緊急対策費として四十五億余の追加融資を行なった、こういうことは説明を受けたわけですが、先ほど私の質問をした中心は、いわゆる鉱山保安対策が具体的にどう施行されるかということは、労働者の災害をいかに少なくするかということに通ずることである。そこで、三十七年度のこの鉱山のいわゆるそういう労働者階級の災害発生状況というものを見ると、国内で約六万七千件の災害が出ている。しかも、死亡者は六百二十七人、負傷者は実に五万七千人ということになると、十人に二人もの被害者というものが出るという勘定になる。これでいいのか。幾らうまいことを言ったところで、国の金は十分活用しますと言ったところで、近代化設備を行なわせますと言ったところで、労働者の命はなくなっていく、負傷者はどんどんふえていく、これであっては私は鉱山保安対策はできないのじゃないか。したがって、もっと積極的な施策というものを、前向きな考え方というものを政府が出すべきである。こういうのが三十七年の経過から考えて私は今日とらざるを得ないだろうという点で質問を申し上げたわけです。いま担当者からこまごまと長い間説明をいただきましたが、そういうことを具体的に現地で行なうにしても、いわゆる三者協議会ですか、労働者側の意見、いわゆる資本者側の意見、政府の意見、そういうものもほんとうにやる気にならなければ、幾らつくったところで、実際に災害というものはなくなっていかないと思うのです。決算国鉄の事故にしろ、あるいは鉱山の事故にしろ、一番大きな事故というものをいま日本はかかえておる。そういうものをなくする努力というものについては、やはりそれだけの政府が出資金なり融資なり、そしてまた、そういう具体的な事故対策というものを立てなければ私はいかぬと思う。先ほども、たとえばこのボタ山の処理の問題でお話が出ました。しかし、開発銀行から協調融資しているのはわずか二十六億かそこらでしょう。そんな金でもって、そしてこの災害をなくするというようなことが言われるなんていうことは、私はほとんど不可能だと思う、今日の状態では。だから、もっと政府が積極的に資金援助をして、そしてこの労働者階級の災害を未然に防いでいく、こういう対策がなくてはならぬと私は思う。しかも反面、この労働者の炭鉱離職者の数というものは毎年ふえていっておるわけです。そのふえていっておる人たちが、今度はそういういろいろの手当てをされて企業に復帰できるか、こういうことを見ると、私はこの前の北海道の三井美唄の現地調査をして、そして北海道はたいへんいいなと、こう思ったけれども、福岡等の問題を聞くと、まだまだもっとひどいというじゃないか、実際に政府があまり積極的にやってない、こういうところに私はこの問題があると思うのです。ですから、この鉱山保安対策というものは真剣に考えてもらわないと、事故はきょうでも明日でも起きていくということになる。先ほどもお話がありましたが、大きい事故がないからといって事故対策というものをゆるがせにされてはたまらないわけです。ですから、この鉱山保安対策というものをもっと真剣に取り上げてもらいたいということで私は申し上げたのです。大臣御出席ですが、具体的にどう進めますか。それから、そのための銀行融資というものはどのくらいやるつもりなのか。二十六億かそこらのいわゆる協調融資をして、これで能事終われりということじゃ私はこれを許すわけにいかない。そういう点で、日本の労働者階級の災害をなくしていく、こういう立場に立って政府の前向きのひとつ答弁をいただきたい。
  59. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 閣議や経済閣僚懇談会のためにおくれてまいりましてたいへん失礼いたしました。  ただいまるる鉱山保安対策の重要性について御指摘がございました。私も就任以来、全くそのとおりに感じておるのでございまして、このことは監督官庁の通産省だけがいろいろ苦慮いたすだけでなくて、就任後、業界の代表の皆さまとお会いしたおりにも、もし不幸にして災害事故が起こるならば、それは経営者として大きな被害を受けるばかりでなく、特に重要なことは人命を損傷するということであって、こういうことはできるだけ避けなければならない。それがためには、通産省として、また私として、十分な対策を講ずるけれども、しかし、経営者の皆さま方にその熱意がなければ、せっかくやろうとすることもうまく進んでいかないのであるというようなお話をたえず申し上げておるのでございます。また、御承知のように、最近石炭関係につきましては、重ねて調査団を派遣をいたしまして、その後の実情をつぶさに調査をしていただいておるわけでございます。おそらくこの調査団からも御指摘のような点について、種々答申があるものと信じております。特に鉱山保安の不十分な点から、労務者の諸君が離山をしていって、そして再びもう戻ってこないというようなことであってもいけませんし、また新規の雇用者がそういうことに不安を感ずるようなことであっては、経営上からもまた監督官庁の上からも非常に避けるべきことだと思うのでございまして、鋭意その辺は十分心得て努力をするつもりでございます。また御承知のように、現在政府としては予算の編成期に当たっておりまして、私としては、保安局長から説明いたしましたそういう具体的な点を、特に予算面の上におきまして十分反映せしめて、皆さんの御不満のないように、また御指摘のとおりに、前向きに進んでいきたいと、かように考えておる次第でございます。
  60. 相澤重明

    相澤重明君 大臣の御答弁はそれなりに聞いてもけっこうだと思うのですが、開発銀行は今日までどのぐらい融資をしておるのですか。
  61. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) 石炭の炭鉱の保安施設につきましては、従来とも融資の対象にいたしていたわけでございますが、従来は一括しまして実は対象にいたしておりましたのを、本年度から、特に重要性にかんがみまして、特別に別記しまして取り上げる方針にいたしております。そうしまして、融資の方針としましては、このほうは会社の計画をそのまま尊重していくという基本方針にいたしておりまして、できるだけそういう面からいたしまして、目的を達成するようにいたしておる次第でございます。三十九年度の見込みといたしましては、石炭の融資を百十億予定しておりますが、そのうち大体二十数億円程度が保安施設の対象になるのではないかと存じております。  なお、いまいろいろ御指摘がございましたが、やはり保安施設につきましては、先ほど通産省から御説明がありましたように、近代的な施設、近代的な管理方法、そういう点につきまして、私どももさらに推進の必要があるのじゃないか、将来ともそういうことにつきまして計画が出ますれば、私ども優先して融資の対象にする考えでございます。
  62. 相澤重明

    相澤重明君 いま一度答弁してください。開発銀行が石炭鉱業に融資しておるのは、いままでは一括して融資しておる。しかし、これは融資の内容というものははっきりしますね。どういう設備に、どういう施設にということにこれはなるわけです。その中で災害防止という意味で、保安対策に使われたというのは私は出てくると思う。先ほど私は、大体いままでの協調融資というものは、三十七年度は二十六億ぐらいだろうと申し上げたのですが、そういう分類を銀行ではしておるのか、しておらぬのか。そうしてもし分類しておるならば、それが累計して今日どのぐらいになっておるか、説明を願いたい。
  63. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) 従来一括しておりましたので、厳密な分類はなかなか簡単ではございませんが、一応私どものところで資料整理したところによりますと、石炭の融資が、三十六年度が七十七億のうち、保安施設と認められるものにつきまして十一億円、三十七年度は百二十五億円——先ほどの緊急融資を含めまして——その中で約十七億円程度が保安施設に向けられたものと見ております。三十八年度におきましては百十億円融資いたしましたが、そのうち二十億円程度と見ております。さらに本年度におきましては、先ほど申し上げました趣旨で、特に明らかにいたしまして、会社の計画を尊重する方針で優先融資する考えでありますことは、先ほど申し上げたとおりであります。
  64. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、時間がもうありませんので、あとはまたいずれそういう点について、いま少しこの保安対策だけは、どうしても私は政府に積極的にひとつ取り組んでもらいたい、こういうことだけきょうは申し上げてこの点は終わりたいと思うのです。いずれまたお尋ねしたいと思いますから……。  そこでその次に、先ほど大臣がお見えにならなかったときに、通産省輸出振興対策というものはどういうふうに考えておるかという点で質問したのでありますが、大臣せっかく御出席いただいたので、国内の設備中心に考えていくというようなお話があったのですが、いま一度大臣から、輸出中心型というような通産省の基本的考え方というのは、どういうことをやろうとするのかどうしたならば輸出振興ができるのか、この点について、大臣からひとつ御説明していただき、関連として天田君から質問をしてもらいます。
  65. 天田勝正

    ○天田勝正君 関連しますから、一緒に御答弁願います。  大臣、いまお聞きのとおりです。きょうは与党のほうの内閣づくりの相談というので、われわれも協力して実は相澤委員一人に質問しぼろう、こういうつもりでありました。ところが、先ほど、いま再び相澤委員が述べられたような質問がなされた際に、政府側の答弁は、どうも先進国とわが国の工業設備とは著しく見劣りがするので、その面の手出てをしなければならない、要約すればさような答弁でございました。これは私の感じでは、どうも政策の大転換でありまして、大体、えらい見劣りするということ自体の認識が、私とすれば指摘したい。それはよくわれわれ政治家の中にも、外国へ行ってびっくりした報告などをしておりますけれども、そんなものではない。技術水準がそう落ちているのではなくて、その労働環境や作業環境が落ちている。一部の時計とか繊維とか光学というようなものを除けば、労働環境が落ちている。技術はそう落ちてないから輸出ができた。ところが政府の方針が、それも行き過ぎがあってはいけないというので、設備投資行き過ぎだから今日のような施策をとってきた、しかるところ、今度は設備投資に大いに重きを置いて輸出振興をはかるのだ、これではまるきり今日まで池田内閣がとってきた姿勢とはもう回れ右になるのです。それは私としては、内閣の責任ある立場において発表してもらうのでなければ困る。それどころか、私が指摘したいのは、内閣においては低開発国輸入懇談会、こういうようなものを内閣で組織して、経済各省ともでありましょうが、どうせその中心通産省と外務省でありましょう。ここで検討している。いままでの単に輸出と言ってみたところで、それだけではやはり頭打ちである、今度は低開発国のほうに輸出する、輸出するためには第一次産品を大いに輸入しなければならない、これがまたことごとく日本の農業生産物とかち合う、こういうことであります。で、先ほどのお話の中にも、第一次産品を、こちらがほしいようなものをとにかくつくらせる、こういうお話であったけれども、ほしいようなものといっても、米なんかでも、イランの話も出ましたけれども、ついでに申し上げておきますが、日本の米はまる米というものです、型のほうでいえば。イランの米のほうは長米というので、日本の米の二倍半くらいある。食べ方一つだって、お焦げが上等なごちそうなんです。われわれのほうでいえば、お焦げを出す、そのほうがいいのです。そのほうが向いておる。こういう食べものの話は長くなるからやめますけれども、そういうわけで、まるきり向こうが輸出したいそのもののことも全然研究しておらないのです。それじゃ話になりませんよ。そういうことで低開発国輸入懇談会の相談も相当進んでいると私は聞いておる。それをやるには、ドイツがやっておるがごとく、三カ国貿易のめどをつけなければ、これは第一次産品などをどんどん日本に持ってきたらたいへんなことになる、そういうことになっているでしょう。それを再び国内の工業設備投資を行なう、こういう政策の大転換をどうも青天のへきれきのごとくにやられたのでは、これはちょっといただきかねる。大転換をするのかしないのか、これが結局ポイントである。  ついでにあとは私が質問しておきました低開発国輸入懇談会、このほうは一体どうなっておるか。以上です。
  66. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま輸出振興、それに関連してのお尋ねでございます。実はこれをまとめて要領よくお答えするということは、だれが私の立場でも困難ではないかと思います。申し上げるまでもなく広範な施策を必要とすると思います。そこで、御指摘のポイントについてまずお答えをいたしまして、もし私の答えが不十分でございましたらば、重ねてお尋ねをちょうだいいたしたいと思います。  設備投資の問題でございますが、現在政府としては、設備投資の行き過ぎが、これが輸入を増大せしめてはならないということから、ある程度これを抑圧してまいっておるということは御承知のとおりであります。しかしながら、これからの日本の国際競争力から考えていきますならば、ただいまお話のように非常に設備の進んだ企業もございますが、また、まだまだ不十分な面もあろうかと思います。さらには、中小企業などについては、近代化を進めていかなければならないというような、やはり設備投資をそういう趣旨においてある程度進めていかなければならない面があるということは、これはおわかりいただけると思うのでございまして、抑圧をしてはおるけれども、必要な面については、これはやはり考えていこうということが大事だと思うのであります。それから、ただいまお話のように、私としては、輸出々々といっても、これはいずれは極限が来るのだ、特に日本輸出が東南アジア諸国あるいはアフリカ方面等にその相手国を求めておりまして、これがほとんどが日本輸出が過大になっておる、片貿易になっておるという実情からいたしまして、どうしてもこれらの諸国にもっと力をつけていかなければならないというようなことで、輸入懇談会などにおきましては、いわゆる開発輸入などを進めていったらばどうか、あるいは日本が国際的にいま経済援助を国民所得の一%程度まではやれ、また、日本もそういう立場に立とうという決意をいたしておりますので、経済援助の方法なども、相手に力をつけて、そうして日本の品物を買ってもらえるようなふうに持っていきたいというふうなことで、輸入懇談会などでいろいろ話をこれからもしていきたいと、こういうふうに考えておるのでありますが、ただいまお話のように、これらの諸国から日本が買い得るものは何かというと、一次産品でございます。ところが、この一次産品が日本の国内農業に相当影響があるということは御指摘のとおりだと思います。したがって、その点は十分考えまして、一次産品の買い付けと申しましても、私どもとしては、いわゆる原材料の買い付けということを主として考え、農産物につきましては、国内に大きな影響がないように心がけていくべきである、かように考えておる次第でございます。したがって、ケネディ・ラウンドでこれから関税問題もやかましいと思いますが、これについては、農産物などはこれは別に考えていこうというような方針を立てておるような次第でございます。
  67. 相澤重明

    相澤重明君 いまの点については、あらためてまた臨時国会や通常国会の中でいろいろ政府の方針も聞き、また御質問も申し上げるときもあると思いますが、そこでまあ先ほどは具体的な資料の提出を求めておきましたが、それはそれとして、時間の関係で中小企業対策だけ、あと一点だけ、お伺いしてきょうは終わっておきたいと思うのです。  大臣も御承知のように、十月末の、十月三十一日までの中小企業の倒産数というのを東京商工興信所が調べたところによると、全国の企業倒産の数は、負債額が一千万円以上のもので、件数にして四百四十九件、負債金額は四百十二億一千五百万円余というまことに膨大なものになっているというのであります。しかも、東京手形交換所の三十一日の発表によりますというと、不渡り手形は十万枚、全く戦後最高というべき不渡り手形が出ている。これはたいへんなことだと私は思います。そこで、先ほどの御説明を聞くと、二十七年度に、中小企業対策費として、予算金額六十四億三千五百万円を考えて、実際に使用済み額は六十二億七千九百万円余である、こういう御説明をいただいたわけです。ところが、政府の言う、この三十六年から三十八年間におけるところの公定歩合の引き上げや、あるいは三十八年の暮れにおける引き下げに伴って、中小企業というのはうろうろうろうろ、くるくる目の回るような金融機関のいわゆるそういう扱いによって全く経営を混乱させられておる。そのことが、このようないわゆる東京商工興信所の発表や、あるいは東京手形交換所の発表のようなものになってきたと私は思うのです。これをなおざりにしておいたならば、私は全くもう政治なんというものはないというにひとしいと思うのです。そこで、この中小企業金融公庫に対して、説明をされたけれども、こういうことでもって一体中小企業というものが維持できるのか、中小企業の諸君を救済をしていくことができるのか、こういう点を私はいま一度真剣に考えてもらわなければいかぬと思うのです。池田さんが公定歩合を常に上げたり下げたりしてきました。そのことが私は大きな影響だと思うのですが、しかし、池田さんはすでに総理大臣をおやめになるという意思表示ですから、十一月九日の臨時国会で新しい内閣が生まれると思うのでありますが、しかし依然として、大臣御承知のような、皆さんのいわゆる政権が誕生すると思うのです。そういう場合に、政治は次から次にと変わっていくかもしれませんけれども、中小企業の諸君は仕事をしていかなければ食えないわけです。中小企業の倒産というものが一番全国最高だと、こういうことを今日の事態が言われることについて、どうしたら一体これを直すことができるのか、この人たちに対するあたたかい手を差し伸べてやることができるのか、こういうことが私ども政治の場におる者は心がけなければならないことではないか。特に通産省はやはり大きな関心を持たれておると私は思う。これからもう年末も近いわけでありますから、あわせて中小企業対策について、今日の状況をどう把握しておるのか、それから年末金融対策はどうやろうとするのかという点について、ひとつ政府の御答弁をいただきたいと思います。
  68. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま御指摘がございましたように、十月末の倒産件数、その額が戦後最高である、こういうことはまことに遺憾に思っておるのでございます。なお七月、八月、九月と引き続いてそのような傾向をとっておることを私として非常に責任を感じております。しかし、ただ責任を感じているというだけでは問題にならないのでございまして、私としては、できるだけの措置をとってまいっているつもりでございますが、大体倒産の原因などを詳細に調べてまいりますときに、確かに金融引き締めが、これが直接の原因になっていると思いますが、しかし、この中小企業の実態を調べてまいりますと、過去における業績が不振であるとか、不健全な経営であるとか、あるいは過小資本であったとか、設備を急に増大せしめたとかいうようなことが引き締めによって影響を受けて、そうして倒産をしている場合も、倒産の件数の中で大体半分ぐらいそういうような原因も加わってのことであろうと思います。こういうような点をよく実情を調査しつつ、それに対応する施策をしていきたい、かように考えているんでございますが、何といっても、当面金融の逼迫ということが大きい原因でございます。また御指摘のように、年末をも控えておりますときに、先般閣議におきまして、財投を五百二十億円ふやしまして、その貸し出し規模を八百億円を拡大するとか、あるいは十一月の買オペを五百億円やるとかいうような当面の手は打ったつもりでございます。また、政府三機関だけではなかなか手が及びませんので、民間金融機関の協力をわずらわすということから、銀行関係では三千億円の貸し出し規模をふやす、あるいは相互銀行、信用金庫、信用組合等でおそらく三千六、七百億円の貸し出し増をするというようなことで、当面は当たっていきたいと思うのであります。しかし、これではやはり十分であるとは云えません。そこで、私どもの出先機関である地方通産局が中心になりまして、地方公共団体に対しましても、また親企業に対しましても、また政府三機関あるいは金融機関との間にしばしば金融懇談会を持ちまして、その地方地方の実情に応じた対策を手まめにいたしていきたい、こういうことでございます。鋭意努力をいたしている次第でございまして、その辺御了解をいただきたいと思うのであります。  なお、明年度の予算編成時期もございます。先ほど三十七年度中小企業関係の決算のことについてお触れになりましたが、現状におきましては、中小企業関係が百六十億円と少しというような実情で、これではなおほんとうに不十分ということばを言うのも恥ずかしい程度ではないかと思うのでございまして、明年度の予算では、歳入上に非常に欠くるところがございますが、中小企業に対しては、特に一般会計においては二百六十億円は確保いたしたいと、いま折衝をいたしております。また、財政投融資の関係につきましては、本年度当初計画千六百十七億円でございましたが、これまた三千四百八十五億円をただいま要求をいたしまして、予算の上でもあるいは財政投融資の関係におきましても、相当な増額をいたし対処していきたい、かように考えている次第でございます。
  69. 相澤重明

    相澤重明君 大臣もたいへん御苦労を願っていると思うんですが、この中小企業対策は、近ごろはだんだん大きいところまで倒産が続いているという状況にあるということを私どもは聞いているわけです。従来は、零細企業といわれたようなものが、大体資金融資等がつかないで倒産をしていると言われておったのですが、だんだんそれが単位が上がってくる、いわゆる中の分まで倒産の数に入ってくるということは、きわめて日本産業の中で重要な課題を投げていると思うのですよ。冒頭に、天田委員と二人で先ほども大臣がおいでになったときにお話ししたように、輸出中心的な考え方というものを通産省は持つと言われても、一体中小企業対策をどうするかということによって日本産業構造というものは変わってくると私は思う。そのくらいまで重要な問題をこの中小企業というものは持っているんじゃないかと私は思う。  そこで、当局に大臣が一々こまかい点をどうこうと言ったって、なかなかこれはたいへんだと思うのですが、これは中小企業金融公庫なり、あるいは政府事務当局で、たとえば中小企業金融を申請をした場合に、どのくらいで審査を終わって融資ができるのか。これは口では、いま大臣は、二百六十億準備しますとか、財投は三千四百億円以上出しますとか言われたところで、なるほど年間を通じればそうなるかもしれませんね。ところが、中小企業というのは仕事をしているわけですから、資金融資ができない限り仕事はとまってしまうわけです。だから、早急に融資をしてやらないことには、企業の倒産の数はふえていくのはあたりまえだ。しかも、政府のいわゆる経済政策のあり方が、私が先ほど申し上げたように、三十八年当時にいわゆる二%の公定歩合の引き下げをした、あるいは三十八年の暮れには、今度は二%の引き上げをしたことが、前の引き下げたのと、そういうぐるぐる転換をするから、中小企業というものはあっぷあっぷしている、こういう状態であったと思う。そのことがずうっとしわ寄せになって、今日中小企業の皆さんが御苦労されておるのじゃないかと私は思う。そういうことで、この金融を、たとえばうちの会社では百万円なら百万円必要だと言われた場合に、そういう書類を提出をされてから、どのくらいで審査を終わって、どのくらいで現金化してその企業に融資ができるのか。こういう点を私は、特に年末を控えておって、この政府の進め方いかんによってはたいへんなことになってしまうと思うのです。先ほど私が申し上げたように、より以上の苦境が出てくるんじゃないかと思うので、これは事務レベルでけっこうだと思う、ひとつ金融公庫までも含めて、両者から御説明願いたい。
  70. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 前段の問題について、中野中小企業庁長官
  71. 中野正一

    説明員(中野正一君) 私から概括的なことを申し上げまして、詳細は中小公庫総裁がお見えになっておりますからお答えしていただきたいと思いますが、ただいま御指摘ありましたように、特に年末の金融対策を二十三日の閣議で決定していただきましたときも、その点は非常に大臣から強調していただいております。特に三機関における年末金融については、手続等も迅速にやって、ほんとうに年末金融対策にならなければ意味がございませんので、特にいま中小企業の方々が困っておられるのは運転資金でございます。したがって、今度の八百億円の、貸し出しワクの三機関の増ワクをいたしました際も、そういう点を十分考慮いたしております。閣議に大臣から報告された中にも、特に運転資金の供給については、その円滑な実施を確保するように配慮するという閣議了解かできておりまして、商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫、三機関ともに、その方針でやっていただいております。  たとえば中小公庫につきましては、先ほども総裁から説明がありましたように、三十七年度につきましても、大体八割近いものが設備資金でございますが、年末にかけましては運転資金を主として供給するように、したがって、中小公庫につきましては、直接貸しと代理貸し——いわゆる代理店を通ずる貸し出しと両方ございまして、代理貸しのほうは、日ごろ銀行と取引がある者が来ますので、わりに簡単な手続で迅速に主として運転資金を貸す、こういうようなことにさせております。  それから中小公庫につきましては、大体われわれが聞いておりますのは、やはり申請をして、申し込みをしてから二カ月ないし三カ月かかるわけでございます。これは、特に直接貸しの場合は新しいお客さんでありますし、しかも、普通の銀行と違いまして、日ごろ預金をいたしておりません、中小公庫には。政府資金で貸しておりますから。そういう関係で、審査には相当時間がかかるのは、これはやむを得ないかと思います。しかし、これもできるだけ手続等は簡素化をするように、日ごろわれわれのほうから厳重に監督をいたしておる次第でございます。
  72. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に舟山総裁
  73. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) 中小金融の問題につきましては、いろいろ問題がございますが、さしあたっての問題といたしまして、年末金融のことについて、いまの企業庁長官の御説明につけ加えさしていただきたいと存じます。  特に中小公庫といたしましては、商工中金、国民金融公庫と並びまして政府の中小金融の三機関となっておりますが、それぞれ特色がございまして、私どものほうといたしましては、元来長期の資金を扱うことが設立の趣旨でございます。したがって、設備資金を主として扱うということでございましたが、近年の金融情勢、特に中小企業の窮状というようなことにかんがみまして、運転資金につきましても、これは長期の運転資金ということになるのでありますが、運用の許します限り、運転資金について重点を置いてまいっておる次第でございます。  若干この計数を申しますと、大体残高で申しますと、運転資金は全体の貸し付けの一二%——一割ぐらいでございましたが、ことしの上半期の実績を見ますると、一七%になっております。これは直接貸し付け代理貸し付けと合わせた平均した数字でございまして、御承知のとおり、直接貸し付けは、ただいまも長官の御説明ございましたように、設備を新設する場合に直接にお申し出になる、そのときには審査相当慎重にいたさなければならないのでございますが、運転資金は急を要するものでございまして、これは私たちといたしましては、代理貸し付けを活用いたしまして、私どもの代理店の店舗が全国に六千余りもございますが、そこにこの業者のほうからお申し出があると、代理貸し付けをやっていただきまして、その資金を私のほうでめんどうを見る、こういう方式をとっておるのでありますが、この代理貸し付けによる運転資金の供給ということに最近は重点を置いております。  そこで、今年度実績を見ましても、代理店だけについて見るというと、全体の貸し付けの三割——三〇%ぐらいにもなっておると思います。さらに年末に際しましては、この比率が多くなると思います。そこで私ども、今度ちょうだいいたしました増ワク分につきましても、その過半数を代理店に配分いたすのでありますが、その際に運転資金について十分の重点を置くようにという指示をいたしておるような次第でございます。まあ代理店におきましては中小企業の方も平素取引がございまして、比較的短期間に話がつくわけでございます。  直接貸しにつきまして、二カ月ないし三カ月の日数が申し込み受付から審査決定までかかりますのは、はなはだ遺憾でございますけれども、直接貸し付けにつきましては、金額もかさみますし、長期にわたる設備資金貸し付けでございますから、審査も念を入れなければならぬというような事情がございます。特にまた、公庫の職員は毎年新規増員をしておりまして、その審査能率というようなものももっともっと向上させなければならぬということで、そのほうもつとめておる次第でございますが、現状そうなっておりますが、これはできるだけ短縮するようにつとめてまいっておる次第でございます。
  74. 西田信一

    ○西田信一君 ただいま中小企業のことが問題になっておるわけでありますが、私も中小企業の実態はかなり深刻なものがあると見ておるものでありますが、そこで関連いたしまして、少し具体的な問題でひとつお伺いをいたしたいと思います。  それは、ことしの全国的な豊作に反しまして、北海道がきわめて深刻な冷害の被害を受けたのです。最近の調査によりますと、五百七十億余の農作物の被害を受けたということでございまして、北海道の農民十五万余戸がこの被害を受けておるということでありまして、まことに北海道農業にとっては深刻な危機が来ておるというような状態でございます。これに対する対策は、政府としてもいろいろ講じていただいておるのでありますが、この冷害による影響というものが、ひとり被害農民だけでなくて、中小企業に重大な関係が出てまいっておる。秋の取り入れを唯一のたよりにして農家に対して相当貸し付けが行なわれておりまするが、これが回収がきわめて困難であるという状況のようであります。すでに被害の全貌が明らかになったことでありますから、中小企業に対する影響というものも大体おわかりになっておることだろうと思うのであります。  そこで、中小企業全体に対する年末の金融措置等について、政府もいろいろ御配慮をいただいておるようでございますが、この現実的な北海道の非常に苦しい中小企業が、さらにこのような冷災害によって深刻な影響を受けておるという事態に対しまして、どういうふうな措置をおとりいただけるのか、年末金融のそのワクの中でというお考えであるのかどうかということもあわせて伺いたいのでありますが、別途に何か御考慮を願えるのか。また、私ども聞いておるところでは、相当中小企業に対する影響が大きいということを聞いておるんでありますが、はたしてどの程度の影響が出るのか、それに対する措置はどのようにおとり願えるのかというようなことにつきまして、やや具体的にひとつお考えを伺えれば伺っておきたいと思います。
  75. 中野正一

    説明員(中野正一君) 北海道の冷害による農業関係の被害は非常に深刻なものがございますのは、御指摘のとおりでございまして、その関係から間接的ではございますが、中小企業の皆さま方が売り掛け金がとれなくなったとか、売れ行きも悪いというようなことで、相当深刻な影響が来つつあることは、御指摘のとおりでございます。ただ、具体的にこれがどのぐらいの、たとえば金融方面で特別の手当てをしなきゃいかぬかというようなことにつきましては、いま現地の通産局とそれから北海道庁におきましていろいろ調査をされまして、それに基づいてわれわれのほうとしては手を打ちたいというふうに考えております。ただ、いずれにしても、すでに影響が出てまいってきておりますので、政府関係金融機関の三機関に対しましては、現地において、たとえば償還の期限の来たものを延ばしてやるとか、あるいは新しい貸し付けについても手続等を簡素化するというようなふうなことは現地でやるように指示をしております。この前の、いまちょっと忘れましたが、三十何年かに北海道に非常な冷害がありましたが、そのときにも同様な影響を受けまして、そのときにもたしか、正確なことはちょっと記憶しておりませんが、総額で約十五億円程度の特別融資をしまして、その約半分程度が政府関係三機関でめんどう見たように記憶しておりますが、今度の場合は当時の冷害の金額よりも、いま御指摘になりましたように、私どもがいままで承知しておりましたのは、約四百数十億というふうに聞いておりますが、それをなお上回るような情勢にあるようでございまして、この前の農村の被害はたしか四百億弱であったかと思います。そういうところから考えましても、相当の金融面の手当てを年末金融とあわせましてできるだけとるように措置したいと考えております。
  76. 相澤重明

    相澤重明君 これで終わりたいと思います。予定の時間をだいぶ過ぎてしまったですが。  中小企業の金融問題で先ほど御説明を受けましたが、たとえば中小企業金融公庫運転資金は代理店を通じて融資するという御説明もいただいたのでありますが、これも融資のしかたによっては、非常に問題が出ると思う。なぜかというと、決算委員会でも常に問題になっておりますし、あるいは大蔵委員会でも強い意見が出たところの両建て、歩積みというようなものは、非常に中小企業の金融面に大きなかせを着せているということがいままで言われ、政府もそういうことはなくそうということで今日までつとめてきた。そこで、政府のそういう系統機関の金融というものが、民間との協調融資という形になって、民間のベースだけ先に進んだら、せっかくの政府資金というものが、中小企業対策にならぬわけです。こういう点の問題は、私は過去において何回か話したこともあるのですが、特に今年度のように中小企業の倒産の激しいときに、もしいままでの金融機関でなければ中小企業の融資はできぬというようなことになってしまうというと、私はたいへんなことだと思う。だから、政府の系統三機関の問題についても、十分そういう点は通産省がやはり各省の中で話を進めていかないと、せっかくの親心というものは、実は無になってしまうと思う。  それが一つと、いま一つは、設備資金の貸し出しについては、二、三カ月の審査を必要とするということはわかりましたが、年末金融については、これはもう文字どおりこの暮れを迎えるのにどうするかということであります。そこで、いつまでに一体年末金融については締め切りをするのか、十二月一日でもって申し込んだ、あとは融資はできませんとか、十二月十五日まではそういうふうにやりたいというのか、これは金融機関によっては私はまちまちになるのではないかということを心配するわけです。もし政府中小企業融資の問題で、独自の運転資金ということで年末金融をするということの方針がきまっておれば、それをひとつお答えいただきたい。  その次の問題点は、御承知のように、オリンピックも終わった、あるいは東海道新幹線の工事も終わった、大きな建設工事というものはだんだん少なくなってきている。特にいま建設業界が一番問題にしているのは、大手の企業がそういう大工事がなくなったために、中小企業が従来は請け負っていたところに進出してきている。そこで、受注分野の調整ということが、こういう業界の中では強く要望されているわけです。私はやはり、中小企業対策として通産省がそういう基本方針というものをおつくりになって、建設省なりあるいは大蔵省なり、関係機関にやはり相談されて、この中小企業の倒産を防ぎ、あるいは中小企業の育成ということを考えていくべきではないか。だから、いままで、もう五千万円以下の仕事では大企業——大手企業は手をつけなかった、入札に参加しなかった。それが、こういうものも、大手企業が三千万円でも五千万円でも仕事をどんどんとっていくということになると、何といったところで、大企業のほうが設備もいいし、それから資金融資もできるわけでありますから、これは中小企業を圧迫することは目に見えている。こういうことで、私はやはり受注分野の調整ということは、倒産の戦後最高といわれる十月末の現状から考えて、早急にやはり手を打ってやる必要があるのではないか。大手企業ももちろん大事にしなければならぬけれども、だからといって、中小企業が倒れていっていいということにはならぬと思う。そういう意味で中小企業を守っていくことについて、受注分野の調整ということについてお考えがあるかどうか、これを私はお尋ねをして、きょうの質問を終わりたいと思います。  どうか中小企業対策について、政府は、通産省当局は非常に御苦労だと思うのですが、あなたのほうが中心になって各省に働きかけて、そうして、この年末の苦しい事態を切り抜けるように、ひとつ御努力願いたい。  以上申し上げて、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  77. 中野正一

    説明員(中野正一君) 年末金融についての御指摘の第一点、第二点については、御趣旨のところ十分体しまして措置したいと思います。特に年末金融ですから、年末に間に合わないようなやり方は厳重にさせないようにいたします。  それから第三点の問題でございますが、特に中小企業の官公需確保対策、これは最も大事なことでございます。特に、御承知のように、中小企業基本法の第二十条にその規定があるわけでございます。この趣旨に沿いまして、従来から積極的に各省に働きかけまして、中小企業者に官公需の受注の機会を十分に与えるように、連絡会議、あるいは中小企業の官公需関係の団体のかたがたをお招きして、そういう懇談会を再々開きまして、そこから平素の不平不満が出ております。そういう点を十分各省にわれわれのほうから申し入れをするというようなことをやっております。特にいま建設工事関係について御指摘がございましたが、これは、いま起こっている問題は、競争の参加資格基準の格づけ等について、中小の建設業界のかたがたからわれわれもお話や要望を聞いております。これにつきまして、中小建設業者に対して受注が増加するような方法をもちまして、基準の検討につきまして十分配慮するように建設当局に申し入れまして、現在検討していただいておる段階でございます。
  78. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) 年末金融につきましては、せっかく政府も御配慮になっておりますので、私ども実施に当たります者といたしましても、極力その趣旨を体しまして、混乱、摩擦のないようにいたしたいと思います。業者の間でも、もう年末に備えていろいろ資金計画を立てられて、借り入れ申し込みの方もありますが、こういう際におきましては、一番こわいのは連鎖反応と申しまして、自分のところはしっかりやっていても、はからざる要因で金繰りの不足を来たすといったようなこともあり得るわけです。そういうのは、申し込みに対して十分の時間のゆとりを持ち得ないといったようなこともあるわけでございますが、これらにつきましても善処いたしてまいりたい。そのために資金が万一そういうことで足りないというようなことがありますれば、そのときには、第四四半期の資金の繰り上げ使用を政府にお許し願うとか、その他善処してまいりたいと考えております。
  79. 相澤重明

    相澤重明君 総裁、いまの基本方針については、政府が答弁したことでいいわけです。あなたのほうは実施機関ですから、金融機関として、十二月の一日に締め切るとか、十二月十五日に締め切るとかいうことがなければ、融資三百億するとか言ったところで、全国のいわゆる金融機関の代理業務に対して、いつまでに申し込んだものは年末金融の対象になるかということがなければ、わからないでしょう。したがって、もうそういう方針は公庫としても指示されておると私は思うんですけれども、私ども聞いておらぬ。そこで、一体具体的に、いつまでにそういうことをやるのか、特別のものについては、先ほど政府もお話しになったし、総裁もお答えになったことでけっこうだと思う。一般の年末金融というものをどうするのか、こういうことについての期日をいつまでに——十二月一ぱいまでに申し込んで十二月の年末金融なんてあり得ない。そういうことで、いつまでに申し込んだものについて年末金融というものを考えて、特別のものについては、たとえば第四四半期のものを繰り上げる、これは私も十分わかる、これは政府間で相談されることですから。一般の方については、総裁はどういうふうに指示をするのか。
  80. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) この年末の所要資金というものは、業者も大体の見当は、ある程度前におつきになるわけで、それから金融機関へお申し出になるわけでございます。そこで、これを幾日前までにお申し出願わなければならぬかということは、別にございませんが、たとえば御相談を受けますと、私どもだけで思うように資金の調達ができない場合には、あるいは市中金融機関と相談しまして、協調融資を進めるといったようなこともあるわけです。幾日までに申し込んだものを取り上げるのかという期限は別に置いておりません。しかし、私どものほうの資金計画の都合もございますので、きょういってあしたといったようなことは無理なわけで、ただし、先ほども申し上げましたように、緊急の事態が起こればこれは別でございますけれども、おのずからそこに世間の取引慣行に基づく、あらかじめ申し出る期間というものがあるかと思います。しかし、それが幾日ということは、ちょっと申すことは困難かと思います。
  81. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 他に御質疑もなければ、本日はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後一時七分散会