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説明員(
白木康進君)
昭和三十六
年度の
日本国有鉄道の
決算の
検査の結果につきましては、同
年度検査報告の一二三ページ以下に
決算の概要、それから
不当事項七件を掲記しております。その
うち、
不当事項につきまして、若干補足して御
説明申し上げます。
七件の
不当事項の
うち、
工事に関するものが五件、それから物件が一件、それから職員の
不正行為が一件となっております。
まず、
最初の五六九号から五七一号の三件は、いずれも
機械土工における
機械損料の
過大積算に関するものでございまして、
最初の五六九号は、
東京幹線工事局におきまして、
幹線の南郷山の
墜道工事から発生いたします
ずりを同じく
幹線の品川
駅構内の埋め立てに使用するため、もよりの真鶴駅で
工事用列車に
積み込みましてこれを輸送する
工事でございますが、この場合、
ずりの
積み込みに使用いたしまする
ブルドーザーの
機械損料の算定にあたりまして、実際の
積み込みに必要な時間のほかに、
構内で
ずりを適当にかき集めて貨車に積みやすいようにする、その
作業を実際の
作業時間と同じくらいのものを
積算されておりますが、私ども、現地で調査しましたところ、
駅構内の二百数十坪程度の狭いプラットホームでこのような大きなかき寄せ
作業をする必要はないということで、実情に即しまして再
計算いたしまして、約四百十万円が高価ではなかったかと考えておる事案でございま。
次の五七〇号は、
下関工事局で施行いたしました新博多駅の
改良土工工事に関するものでございまして、これは
土取り場から
現場まで土を運ぶダンプトラックと、もう
一つ盛り土を転圧する
ブルドーザー、両方の
損料と燃料の
積算過大に関するものでございます。ダンプにつきましては、たとえば
計算の際に誤って六トン車の
価格を六トン
半積みの
価格で
積算したものがあったり、また、本
工事に先立ちまして、同じく
日本国有鉄道の
東京操機工事事務所が同一
現場で施行しておりました際の
工事の
実績を十分に参考にしなかったなどのために、
積み込み量を過少に見込み、あるいは
ブルドーザーにつきましては、
盛り土の
土質条件、その他各種の
積算例等から見まして、これも相当高い
積算になっておるということで、合計約千百万円高価であったと認めておるものでございます。
その次の五七一号は、
東京鉄道管理局におきまして、青梅線の線路増設のための路盤
工事におきまして、
工事用のトラクターショベル、それからダンプトラック、これらの機械の
損料積算を過大に見積もったと認められるものでございます。本件は、
積算方法として、どちらも民間から運転手つきで借り上げるという方法で、そういうたてまえで、一日当たりの稼働時間と拘束日数をもとにして
損料を
積算しておるわけでございますが、この種の
工事におきましては、国有鉄道部内におきましても、ほとんど大部分は、機械の
損料計算によって
積算を行なうということになっておりまして、本件の場合も、一般の例によることができない事由が何らございませんので、その方法によって
積算しますと、やはり相当高価な
積算になっておると認められるものでございます。
なお、以上三件につきましては、いずれも、これらの
工事を
積算いたしました当時、
日本国有鉄道のこの種
機械損料の
積算基準が、
建設省その他一般の基準に比べて若干低くなっておったというような関係もございまして、
現場当事者のとられた措置としましては、若干これを補正する必要があったのじゃないかということは、私どもも認めておりますけれども、また、現にそのために、三十六年の九月には、これらの基準が改定になっておるわけでございます。私どもとしましても、この点は十分勘案いたしました上でこの問題を検討いたしまして、この三十六年の九月に改定されました基準から見ましても、ただいま申し上げました三件は、いずれもなお相当高価なものと認められる事案でございます。
次に、五七二号でございますが、これは中国支社で施行いたしました広島駅の
旅客ホームの木造上屋を鉄骨のスレートぶきに改造する
工事におきまして、所要鋼材の形状とか寸法に誤算がありましたり、あるいは、この
工事に使用します鋼材の量から見まして、当然大口の取引
価格によって
積算すべきものを、小口の販売
価格によっておる、こういったために、材料費が高価となっておりましたり、また、これらの鋼材の工場加工費を相当高く見積もり過ぎておったというようなことで、
工事が全体としまして、私どもの
計算では約三百八十万円高価ではなかったか、こう認めておる事案でございます。
次の五七三号は、
新潟支社で施行いたしました上越線の新津・
新潟間の線路に並行して設備されますところの通信用市外ケーブルの張りかえ
工事に関するものでございます。この
工事に使用されましたケーブルは、特に交流
電化区間用といたしまして、交流電気の誘導を受けないように特別の規格につくられておるケーブルを使用することとして、実際にもこれで設備されておりますが、この区間が、国鉄部内においても直流
電化区間として決定されておりまして、
新潟支社にもその旨、本社から通知のあった線でございますので、何も高価な特殊規格品を使う必要はなかったのじゃないか、もし、一般用のケーブルを使用しましたとすると、約二百八十万円の経費を節減することができたという事案でございます。
次に、五七四号は、一件、資材に関するものでございますが、資材局が、三十六
年度中に購入しました
現場で使用いたします拡帯電話機に関するものでございます。本件は、私どもで
検査いたしました際に、予定
価格の
積算について、十分の
説明を聴取できなかった関係もございまして、私どもで日本電信電話公社が購入いたしておりますところの本品と類似の携帯電話機と比較いたしまして調査いたしたわけでございますが、この国鉄の携帯電話機と、それから電電公社の携帯電話機との間には、付属品とか、あるいは部品の規格等に若干の相異点はございますけれども、用途、性能その他はほとんど同じでございまして、したがって、構造、部品等もほとんど同じものが使われております。しかるに、
価格に相当の大差がございまして、若干部品の違うところや、それからもうひとつは、電電公社は電話機については、若干一般より安く購入しておりますが、その点を多少補正いたしましても、なお、相当高価に購入されておると私どもで認めた事案でございます。
最後に、職員の
不正行為に関するもの一件を掲げておりますが、これは門司鉄道管理局後藤寺駅におきまして、出納職員が貨物掛として貨物運賃の収納等の事務に従事いたしております際に、
貨物収入日報に車扱い貨物通知書を添付しないというような方法によりまして、
収入金を少額に
報告し、この分を領得したものでございまして、私どもその実情を調査いたしましたところによりますと、最近業務が非常にふえてまいりまして、部内の
審査あるいは検簿というようなものが、若干従来に比べて徹底していない面があるようでございまして、本件もそういう間隙において発生した事案と考えております。
簡単でございますが、以上で
説明を終わります。
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