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1964-09-01 第46回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年九月一日(火曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     柴谷  要君    理事            佐藤 芳男君            山崎  斉君            横山 フク君            相澤 重明君    委員            加賀山之雄君            谷口 慶吉君            坪山 徳弥君            仲原 善一君            西田 信一君            大森 創造君            亀田 得治君            小酒井義男君            二宮 文造君            天田 勝正君   国務大臣    大 蔵 大 臣 田中 角榮君    自 治 大 臣 吉武 恵市君    国 務 大 臣 増原 恵吉君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    大蔵政務次官  鍋島 直紹君    農林政務次官  谷口 慶吉君    農林省農地局長 丹羽雅次郎君    農林省畜産局長 桧垣徳太郎君    農林省園芸局長 酒折 武弘君    食糧庁長官   齋藤  誠君    林野庁長官   田中 重五君    水産庁次長   和田 正明君    通商産業政務次    官       村上 春藏君    通商産業省石炭    局長      井上  亮君    運輸省鉄道監督    局長      佐藤 光夫君    建設省道路局次    長       三橋 信一君    会計検査院事務    総局第一局長  保川  遜君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告昭和三十七年度一般会計歳入歳出決  算、昭和三十七年度特別会計歳入歳  出決算昭和三十七年度国税収納金  整理資金受払計算書昭和三十七年  度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和三十七年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  それでは、委員派遣報告に関する件を議題といたします。  先般当委員会が行ないました昭和三十七年度決算外三件の審査並びに国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のための委員派遣につきまして、それぞれの班より報告を求めます。  それでは、第一班東北班につきましては、私より報告をいたします。本班は、本年八月五日から十一日までの七日間、山崎理事天田委員と私が参加をして、宮城県、岩手県及び青森県において、昭和三十七年度中心とした経済企画庁、大蔵省及び農林省所管決算並びに県財政等実情調査いたしました。  最初に、大蔵省関係調査について申し上げます。その内容は、東北財務局管内経済情勢仙台国税局管内国税収納状況及び日本専売公社仙台地方局事業概況等であります。  東北財務局管内経済情勢は、当局説明によりますと、この地域経済が依然として後進性を有しており、これを打破するにはなお今後の発展に待たねばならない状況であります。昭和三十七年の産業構造を見ますと、就業者数においても、生産所得の面においても、第一次産業がきわめて優勢で、第二次産業構成比は小さく、いわゆる後進的な産業構造を示しているのでありますが、さらに、第二次産業の中でもわりあい盛んな活動を続けている鉱業の製品の大部分が粗原料として中央に送られ、そこで加工され、完成品として再び送り返されて住民の需要を満たしていること、つまり原料供給地であると同時に商品の市場でもあるということ、並びに、製造工業の大多数を占める中小企業の低い生産力などは、この地域後進性を一そう明確にあらわしているものと考えられます。金融事情についても同様のことがいえるのでありまして、この地域金融は、端的に言えば、供米代金が集中的に支払われる第三・四半期に最も預金が増加し、これを反映して消費購買部門も活況を呈するため、資金需要もやはり下期に増加するという季節性を有するということ、言いかえれば、景気循環影響に対する反応は比較的鈍感だということが指摘できます。なお、銀行経営最低規模預金面で通常一店舗当たり十名、七千万円を必要とすると考えられるのに、東北地方では一店舗当たり七、八名、二千五百万円ないし三千万円が標準となっております。このような後進性は、従来行なわれてきた各種開発計画にもかかわらずいまだ解消の段階に至らず、したがって問題は今後に残されているのであります。以上が東北財務局の的確な説明によって知り得た管内経済情勢の近況であります。  なお、東北財務局は、最近の重要な金融問題の一つである歩積み、両建ての実情調査について八月下旬完了を期し、人手不足の中にあってよく中央の指示に従い職務に精励しておりましたことを特に申し上げておきます。  仙台国税局管内国税徴収状況は、たとえば昭和三十七年度の五百八十六億円から三十八年度の七百三十二億円へと対前年度比が二四・九%増加し、全国平均の一四・一%増を上回るというように順調な足取りを見せております。これに逆行する徴税批判団体としては、民商労音労演などがありますが、民商は何といってもいわゆる「うちもの」であって問題はありませんが、労音労演には政治的な動きが見られました。三十八年度の税収を種目別に見ると、酒税が総額に占める割合、対前年度伸び率ともに第一位を占めておりますが、これを追うように企業活動活発化を反映して法人税源泉所得税伸びており、また収納率を見ても、連年記録を更新する成果をおさめている状況でありますので、当局は、政治的反税の動きに留意しつつ、今後一そう健闘されることを望みます。  また、これら二局の職員住宅事情改善を要する実情にあると認められますので、総合庁舎建設促進とあわせて、当局特段配慮が必要と思われます。  次に、日本専売公社仙台地方局事業は、たとえば塩の販売実績伸びが三十七年度に停滞するなどの状況が見られましたが、以後回復のきざしを見せており、たばこ部門も概して順調な伸びを示しております。すなわち、製造たばこ販売実績の対前年度伸び率は、三十五年度の七・〇%増から三十八年度の九・二%増へと増加し、たばこ消費税納付実績のそれは、三十五年度の七・〇%増から三十八年度の一四・五%増へと増加しております。この間、生産及び労務の面での合理化努力が続けられ、特に四十のたばこ工場のうち十七のハイライト工場においては週五日制の操業が実施されているなどの画期的企ては注目に価するものがあります。  以上、大蔵省二局の業務及び日本専売公社仙台地方局事業については、局長以下全職員がまさに一体となって職務に精励している状況に接することができ、素直に言ってよくやっているものと認められます。  第二に、宮城県、岩手県及び青森県の財政について申し上げます。  健全財政基調として策定された昭和三十七年度地方財政計画は、その実施段階で前年秋に始まった景気調整影響を受け、地方税収入伸びが鈍化するなどの局面を呈したわけでありますが、三県の状況は、宮城県が景気調整に対する反応をわずかに示した程度であり、実質収支は三県とも黒字を記録いたしました。しかし、三十七年度地方税歳入額に対する構成比は、三県とも都道府県平均の約三〇%に比べて依然として低く、わずかに一一・三%ないし一七・五%にすぎない反面において、地方交付税及び国庫支出金に対する依存度は依然として高く、財政自主性に乏しいと言わねばなりません。もっとも各県は、三十一年度から三十七年度に至るまでは、多少時期的ズレはあっても、財政再建期にあったので、このように自主性に乏しいことはやむを得なかったものと思いますが、この状態が今日まで継続しておりますことは、善処すべき問題であると考えます。それは、言いかえれば、県財政後進性を解消することであり、したがって、近年における地方財政計画地域格差是正に力を入れてきていることは歓迎すべきことであり、財政政策の方向としても正しいということは、今回のささやかな経験からも言い得るのであります。すなわち、宮城県が再建期間を二カ年短縮することができた一つの大きな要因は、産業基盤整備及び農業中小企業等産業を振興したことであり、岩手県は赤字額の大部分を長期の起債に切りかえ、かつ行政水準の向上をはかるなどの努力をしたこと、青森県は経済の好況を背景として県民税の増税をはじめとする自主的財源の増収をはかるとともに、中間給制により臨時的に職員給与支出の節減をはかったことなどによって再建期間予定どおり終了しております。ここでは、国家財政のささえる力が大きかったことは申すまでもありませんが、それと同時に、各県の再建策一つ重点は、直接あるいは間接に経済力を土台としているのであります。したがって、地域格差是正については、当局は今後とも一そう努力を傾け、その効果をあげるように希望するものであります。  なお、各県から次のような要望事項が出ておりますので、当局特段配慮を払うことが必要であると存じます。  すなわち、宮城県からは、開拓地区内における国有存置以外の導水路敷の市町村への無償払い下げ、及び農業金融貸し付け条件を、無利息のものを除き、年利三分五厘、据え置き期間五年、償還期限三十年以上に統一すること、岩手県からは、県財政自主性健全性確保するための地方交付税等国費繰り入れ率の引き上げ、地域格差是正のため国の施設県内設置は望むが、その際財政秩序を確立すること、及び国庫補助負担改善、また青森県からは、三十八年度積み立て金を全額食いつぶしていることに対する財源手当てとして地方交付税国庫支出金の増額及び起債ワクの拡大、さらに高校生急増期が四十二年まで続くという特殊事情に対応した措置等について要望が出されました。これらは、県財政黒字基調にあるとはいえ、その運営の苦しさを物語るものでありますから、当局の格別の配慮が必要であると考えます。  第三に、東北地方開発について申し上げます。  東北地方開発が本格的に日程にのぼる契機となったのは、昭和初年の不況及び九年の大冷害でありまして、昭和十一年十月には東北興業株式会社が設立され、三十二年八月に東北開発三法により面目を一新し、現在の東北開発株式会社として再発足したことは周知のとおりであります。翌三十三年から五カ年にわたって前期東北開発促進計画実施され、一方つとに特定地域総合開発も進められ、最近に至って、低開発地域工業開発及び新産業都市建設が行なわれるといった状況であります。実施後日の浅い低開発地域工業開発及び新産業都市建設は別として、他の開発計画実績を見ますると、必ずしも十分な成果をあげているとは言えません。たとえば、東北開発促進計画前期計画は三十七年度をもって終了しておりますが、三十三年度価格に換算した実質投資額についてその進捗率を見ると、全般的に計画額を少し下回っており、道路だけが完全に計画額をこえ、鉄道農地電力は中でも進捗率がおくれている状況であります。特定地域の現在までの進捗率は、仙塩地域閣議決定事業費に対し一〇〇・九%、変更要望事業費に対し六五・四%、北奥羽地域がそれぞれ六八%、北上地域確定事業が七四%、追加確定事業が三八・二%という結果が出ており、これは、たとえば技術革新消費革命背景として政策重点が既成大工業地帯に向けられ、特定地域開発などが色あせたものとなったことを示しているとの指摘がありますので、特に当局反省を促します。  それから、東北開発株式会社事業については、三十七年度末までの損失累計額約二十二億四千三百万円が資本金の約七五%に達したという状況を受け継いで、現在再建五カ年計画が検討されているのでありますが、これが未定であって、せっかく三十九年度予算に計上した十四億円の再建資金が配付されず宙に浮いた形になっていることは好ましくない状態でありますので、これを一日も早く有効に使用できるよう改善することについて関係者の注意を促します。また、三十七年度当期損失金約七億五千万円の事業別内訳を見ると、欠損が当然と考えられる亜炭並びに公共投資的性格を有する土地造成のほかは、すべて利益をあげることが可能な事業であると考えられます。したがって、会社の事業運営にあたっては赤字の出る事業と出ないものとを明確に区別して両方ともうまくやっていくことが肝要であると思われますが、総裁も同様の考えであることが明らかになりましたので、今後の運営に期待をかけている次第であります。さらに、事業運営にあたって忘れてならないことは、当然黒字であるべき事業赤字を出したり、損益計算予定利益をあげられないのみか、損失を招いたり、予定損失額を上回る損失額を出したりした過去の事態に対するきびしい反省態度を常に持つということであると考えます。  最後に、結びといたしまして、東北三県における財政金融並びに経済後進性を打破する糸口ははたして求めることができるかという問題が残ります。これについては、当地の関係者の間で、地元が本腰を入れて地域開発を行なう態勢を整えれば、豊富に存在する資源を利用して第二次産業中心とする各種産業を成長させることによって地域格差是正することは可能であるとする見解が有力でありまして、たとえば国有林野開放もこの観点から見るならば有意義であると考えます。ただ、林野面積に占める国有林野面積の比率の特に高い東北三県におきましては、国有林野開放は反動としてかえってその破壊に通ずることも十分考えられます。したがって、好ましい姿としては、昨年方針がきめられた農業構造改善事業に対する開放等問題のない分野においては開放促進し、その他意見の分かれる分野においては将来の方針を誤らぬよう慎重に検討することであると考えます。国有林野開放に例をとりましたが、要するに以上の後進性を解消するための重要な因子は、地域格差是正の方法を誤らぬことであると存じます。  以上をもちまして報告を終わります。  次に、第二班北海道班報告をお願いいたします。相澤重明君。
  3. 相澤重明

    相澤重明君 第二班は、西田委員二宮委員と私の三名で編成、八月十日から十七日までの八日間にわたり北海道に派遣され、国家財政の経理及び国有財産管理状況地方産業経済状況道路港湾等社会資本整備状況防衛施設並びに地方財政状況等につきまして調査をしてまいりました。調査の範囲も広範多岐にわたりましたので、御報告すべき事項もまた多いわけですが、以下おもなるもの数件を御報告いたします。  北海道開発については、道路港湾河川等中心社会資本整備状況について調査をいたしました。  まず苫小牧港の整備状況ですが、本港は、わが国で最初の掘り込み式人造港湾として、昭和二十六年から建設に着手し、三十四年度には東西防波堤建設、三十五年度に内港の掘り込みに着手し、三十六年度に石炭埠頭雑貨埠頭建設を始め、三十七年度石炭岸壁バースを完成し、三十八年四月二十五日閉港し今日に至っております。  本港の完成によって、石炭輸送費トン当たり百円前後節約され、石炭産業合理化の一翼をにない、現在一万トン岸壁二バースが稼働しており、今年度中にさらに一バースが完成する予定であり、雑貨埠頭は現在の一万トン岸壁一バースが今年中に次の一バース建設されます。しかしながら、苫小牧港の本格的な発展はこれからで、用地、用水に恵まれ、日高水系の豊富な電力と石狩炭田を背後に控え、北海道中央圏という立地条件のよさも加わって、将来鉄鋼、石油精製中心とする一大コンビナート建設が予定され、道央新産都市中心として、苫小牧港本来の目的である工業港の築港に今年度着手し、四十三年度までに約三キロにわたる掘り込みが行なわれることとなっております。昨年四月に開港した苫小牧港が、石炭埠頭雑貨埠頭とも不足ぎみで、予想外貨物取り扱い量伸びは、将来の無限の発展を暗示しておりました。  右のように、開港後順調に発展している苫小牧港でありますが、将来の発展を考えると、臨港鉄道の敷設がぜひ必要であり、その計画はあるが、敷設費用の負担をめぐり、国鉄、市、受益者の間の意見の一致を見ていないが、将来の工業港としての役割りを考えると、一日も早い臨港線の敷設が必要となります。  次に、釧路港は、道東の農林水煙物輸送をはじめ、背後地紙パルプ工業原木荷揚げ港として重要な地位を占めており、現在の港の施設では貨物をさばき切れず、施設の増強とともに、現在の港に隣接して釧路西港を新たに築設することとして、本年度から実施設計調査が始まっておりました。  苫小牧、釧路の二港はもちろん、その他の道内の港湾は一般に北海道開発の進展に伴う港湾貨物取り扱い量の増加に比べて港湾施設が立ちおくれており、各港湾とも船舶がふくそうして、現在の荷役施設では増大する取り扱い貨物を正常で経済的にさばき切れず、輸送上の隘路となっております。今後の開発計画を進める上で、陸上輸送の確保とあわせて、港湾整備に一段と留意すべきであります。  さらに、港湾関係については、漁港の問題があります。開発局整備を行なっている漁港は三十港を数えておりますが、その整備はたいへんおくれております。特に漁港整備工事に非常に長い年月を費しており、工事に着手してから五年ないし十年もかかっている漁港が多いとのことであり、他方その間に漁船の大型化水産業近代化が進んで、整備が終わらないうちに、手狭となったり、使用不能の事態も生ずるとのことで、予算を重点配分するとともに、工事を集中的に行なう等改善をはかって、漁港整備事業がむだになることのないよう十分注意すべきであります。  北海道直轄河川は、石狩、十勝、天塩の三大河川のほか約四十河川で、この河川改修費金額国費で行なわれております。河川改修が本格化したのが他の建設事業に比べややおそかったこともあって、多くの河川自然河川であり、無堤防地帯が多く、水害発生の危険が感ぜられました。三十九年度開発局治水事業費は百億円をこえ、対前年度比でも全国平均を上回って伸びてはおりますが、まだまだ河川改修必要個所は随所に残されているというのが実情でありました。  北海道開発局が保有する建設機械の稼働について——北海道は冬の期間が長く、寒気もきびしい特殊気候条件に制約され、建設工事も休止を余儀なくされるが、これらの特殊事情を考慮に入れてもなお建設機械の稼働は著しく低調で、開発庁がきめている標準運転時間を大きく下回っている旨の北海道管区行政監察局報告がなされている。その原因は、機械配置計画の不適切なもの、いたずらに外国製機械を購入したため作業実態に即応しないもの、あるいはこれら輸入機械の部品の入手が困難なため休止しているもの、機械整備点検が不十分なために故障を生じ休止しているもの、事業計画とマッチしない過剰購入のため遊休しているもの等となっており、ほとんど開発局の不注意、無計画の結果で、機械稼働状況はよくない。ことに三十八年度においては、遊休機械が三十四台もあり、これらは性能が良好であるにもかかわらず使用計画が全くなかったために遊休を余儀なくしたとのことであるが、これらの機械については、現地開発局とも十分打ち合わせて、将来の事業計画を立て、もし不要ならば民間に払い下げる等の措置をとり、過剰機械を放置することのないよう厳に注意すべきであります。  次に、機械整備の点では、機械定期整備の費用を事業費でまかなっている事例が多いとの報告を受けたが、建設機械整備費が不足している結果とは思われるが、予算運用の面から見て勘定区分を乱るもので好ましくないので、予算の適切な計上と配分、使用に心がけるべきであります。機械整備工場整備能力は、開発局の要整備台数の約二分の一程度で、半数を外注に出しているとのことであるが、その自家整備費民間整備工場に比べ約一側高く、経済性の点についても問題があり、直営工場運営について十分検討を加える必要があるのではないか。  さらに、購入機械については、三十七年度に購入した砂散布機、転圧機のごときは現場ではほとんど使用されなかったとのことであるが、機械購入にあたっては、現場の条件や状況十分調査研究の上で、使用計画を立てて購入する等の慎重な態度が肝要であります。  次に、北海道石炭産業について申し上げます。石炭鉱業生産体制の確立は、石炭鉱業調査団の答申及びこれに基づく閣議決定の「石炭対策大綱」に基づいて、四十二年度五千五百万トンの生産規模合理化が促進されておりますが、今年度の出炭計画五千四百万トンの確保はむずかしく、五千二百万トンが精いっぱいと見られ、今日あらためて石炭合理化計画の進め方が問題となり、近く第二次調査団による現地調査が行なわれようとする重要な段階を迎えております。道内の炭鉱は、三十七年度末の百二十二炭鉱が、三十八年度末には百三炭鉱と、十九炭鉱が減少し、その中には三井美唄三菱芦別庶路等主要炭鉱の閉山も含まれておりました。このような閉山、合理化に伴う人員整理が三十八年度に集中して行なわれた結果、炭鉱労働者の間に退職ムードを醸成し、計画以上の自己都合退職者が多数発生し、結果的には労働者の不足、生産原価騰貴等経営条件の悪化から予想外に多くの中小炭鉱閉山等合理化計画作成当時予想しなかった変化が北海道炭鉱にも起きておりました。  次に、合理化計画の目標と対比しながらその進捗状況を申し上げますと、炭鉱労働者実働人員数合理化実施計画を大きく下回り、今年度中には計画最終年次の四十二年度計画数字に近づく見通しであります。三十四年度には炭鉱労働者の数が七万四千八百六十五人であったものが、三十八年度には四万五千九人となり、これは合理化実施計画の四万九千二百四十人に比べて四千二百三十一人も小なく、計画に対し約一〇%の減となっております。  次に、出炭能率実績は、予想外に大幅な人員減少があったため、合理化実施計画を大きく上回っております。数字で申しますと、三十四年当時月産一人当たり十八・一トンであった出炭量が、三十七年二十八・五トンとなり、三十八年は三十九・一トンと、合理化実施計画を約三トン上回って、その達成率は一〇七・七%となっております。合理化目標の四十二年度の出炭能率が月産四十四・七トンでありますから、この目標は今年度中に達成される見通しであります。  さらに、石炭生産原価も大幅に引き下げられており、山元原価は、大手炭鉱では三十三年度がトン当たり四千四百十七円でありましたが、三十八年度上期には三千百三十六円と、千二百八十一円の引き下げ中小炭鉱でも同期間中にトン当たり四百八十一円の引き下げとなっておりました。これに輸送費等を加えた生産原価は、三十三年度と比較して、三十八年度上期には、大手でトン当たり千四百九円、中小ではトン当たり五百八十六円と、大幅な引き下げがなされております。  以上のように、出炭能率といい、生産原価といい、合理化計画は順調に推移しているかに見えますが、生産実績を見ますと、三十七、八の両年度とも合理化実施計画に見合う石炭は採掘されておりません。すなわち、三十七年度は実施計画二千八万四千トンに対し、一千九百八十六万五千トンであり、三十八年度は二千百四十七万トンの計画数字に対し二千百十四万トンと、いずれも計画の九八%台にとどまっており、三十九年度の生産計画二千二百六十八万トンの確保はむずかしい見通しのようであります。これは、閉山ムードの浸透で、炭鉱労働者、ことに良質の労働が多く退職したため、機械化等により生産原価出炭能率計画を上回る実績を示したにもかかわらず、出炭量は目標に達せず、合理化計画を進める上で今後の大きな問題点であります。石炭産業が将来ともわが国エネルギー資源の供給者としての役割りを果たすためには、将来性のある高度、良質の労働力の確保は絶対に必要だからであります。  石炭の流通経費の合理化は、炭鉱のスクラップ・アンド・ビルド方式に次ぐ重要な項目とされており、この点でも道内炭鉱実績合理化計画を上回っております。合理化計画では、昭和三十三年度にトン当たり千八百三十七円かかっておりました経費を、三十八年度までに千六百三十円と、トン二百七円の引き下げを目標にしており、三十八年度の実績は千五百七十一円となっており、三十三年度比二百六十六円安、合理化計画に比べトン当たり五十九円も多く経費の節減がなされておりました。これは、石炭専用船の建造、貯炭、荷役設備の近代化等の施策が強力に推進された結果で、流通経費面に多くの問題をかかえているといわれていたわが国石炭鉱業にとって大きな成果であったと考えます。  そこで、流通経費の合理化を一そう徹底するために、石炭スラリー輸送経済効果について見ますと、現行荷揚げ施設に比較して、積み込み、荷揚げ時間の短縮、さらに船による運搬回数の増加等を考慮して計算すると、石炭トン当たり八百四十二円、北海道から移出する石炭輸送費は年間二十五億円が節約されるとのことであります。(昭和三十九年三月北海道炭鉱技術会議の試算による)スラリー輸送石炭の流通経費の合理化に果たす役割りは実に偉大なものがあると思われます。なお、合理化計画作成後に国鉄運賃の改定があり、これらの影響もあって陸送費は合理化の目標額よりトン七十六円高くなっていることを考えると、スラリー輸送によればこれらの値上がり影響も受けなくて済み、流通経費の軽減、合理化に役立ち、その早期実現が期待されております。石炭合理化計画を進める上で重要な施策の第三は、産炭地振興の問題であります。私どもは三井鉱山閉山後の美唄市に参りました。そこで市当局及び市議会関係者、さらに同地の商工会議所の皆さまと懇談いたし、意見の交換を行ない、なお産炭地振興の目的で誘致された五企業のうち、アンネルベッドをつくっている泉製作所、ホームウレタン製造の北日本カラーフォーム株式会社、割りばし製造の北海道山田号株式会社の三社を訪れ、つぶさに視察してまいりました。  まず市の財政状況について申し上げますと、炭鉱合理化に伴う多数離職者の発生は、失対事業費、生活保護費等の財政需要の膨張を招き、他方この需要をまかなう歳入の面では、市民税、鉱産税等の激減で極度の窮迫状態にあります。  まず歳入面で拾ってみますと、三十七年度に比べて三十九年度は、市民税千八百万円余、固定資産税が三千七十四万円余、鉱産税は一千七百五万円余の減で、以上の三税の合計額が六千五百七十九万円余となっております。  歳出の面で見ますと、生活保護費は三十九年七月現在で市全体では三十二年より七割の増加であり、炭鉱関係者の比率は同期間中に二・一七倍となっております。金額では、三十二年度二千五百二十一万円だったのが、三十八年度には八千三十五万円、三十九年度は一億一千八百五十五万円と見込まれております。失対事業費総額は、三十三年度三千九百三十二万円であったのが、三十八年度決算額は一億一千十万円であり、今年度は一億四千万円が見込まれ、この間に四倍にふえております。美唄市が失対事業の増加に伴い超過負担分等を加えて計算した実質負担額は、三十三年度に比較し今年度は実に六倍半という膨張ぶりを示しております。  以上のように、美唄市の財政はまさに危機に直面しており、市議会は非常事態の宣言を行なうという、まことに切迫した実情にあります。このように苦しい財政状況の中で、市当局は現在多くの市費を投じ、または市の負担において企業誘致に努力しております。われわれが視察をいたしました企業主は、いずれもその従業員のほとんど全員を炭鉱離職者またはその子弟を雇用しており、産炭地振興事業団の融資も行なわれ、おくれながら産炭地振興にかすかな光がさしてきたという感じであります。しかしながら、閉山、合理化等の施策が強力に、かつ計画的に推進されたのに比較して、産炭地振興は声のわりに具体策に乏しく、企業誘致対策のごときは、地元なり企業なりにまかされて、国の立場からのバックアップが不十分のようであります。炭鉱離職者に雇用の機会を与え、産炭地域経済的地位の向上をはかるためには、どうしても国家的な立場からの援助がぜひ必要だと考えます。  そのためには、美唄市あげて検討もし、各方面に陳情もしております。次の事項について、十分検討の上、産炭地振興の一助にすべきものと思います。  一、たばこ製造工場の誘致。道内のたばこの年間消費量は八十億本といわれておりますが、道内では凾館で年間十四億本製造され、残り六十六億本は本州からの移入とのことであります。専売公社の運営、経理上の見地も大切ですが、疲弊した産炭地経済救済の点から検討を加うべきであります。  二、国鉄車両製造工場の誘致。道内の国鉄第三次五カ年計画が四十一年度にスタートすることとなっておりますが、道内で必要とする車両の建造等を産炭地振興対策の一つとして考慮すべきものと思います。  三、共同重車両整備工場の誘致。国鉄バス、自衛隊各種車両、開発局建設用車両等、国または政府関係機関等が道内で使用している重車両の共同整備工場の建設。  四、産炭地域進出企業に対する減税。現在の企業減税は市の負担において減免措置を行なっておるのが実情ですが、立地条件の不利等を克服して進出している企業の減税は国の立場でもっと考慮さるべきでありましょう。  次に、道——本州間の交通輸送力の確保と青函トンネル建設の必要性について申し上げます。  北海道開発並びに経済的発展を積極的に推進する上で重要なのは、輸送力確保の問題、そのうちでも道——本州間の輸送をどうするかは非常に重要な課題だと思います。国鉄北海道支社の調べによれば、青凾経由の輸送客は、上り下り合計で三十四年度が約二百五十四万人であったものが、五年後の三十八年度では三百五十一万人と約百万人ふえており、青凾航路経由で道外に移出せられた貨物の輸送量は旅客と同じ期間に約五十万トン増加しております。これが、第二期北海道開発計画が終わる四十五年度には、旅客四百万人、貨物七百万トンが見込まれております。  私どもは、八月十六日松前郡福島町吉岡にある青函トンネル調査事務所をたずね、説明を聞くとともに、調査斜坑を見てまいりました。青函トンネルは、海底部の延長二十二キロメートル、陸上の取り付け部十四・四キロメートル、合計三十六・四キロメートルで、その規模においていまだ世界にその例を見ないもので、計画中のものとしてはドーバー海峡の海底トンネルに匹敵するのであります。過去十数年、弾性波調査、音波調査、海底ボーリング調査等を行ない、地表調査はほぼ限界に達し、今年三月から実際に掘さく調査を行なうため、この斜坑掘さくに着手しておりました。地表より行なった各種調査の結果では、トンネル掘さくは可能であるとの一応の結論を得ており、現地調査事務所の技術者諸君も大いに張り切ってこの世紀の大事業に取り組んでおりました。ただ、この海底には十数カ所の大小の断層があることも判明しており、この断層破砕帯を通じて来たる海水の量と水圧がこのトンネルの成否を左右するもののようでございます。この試掘坑は昭和四十五年で終了し、その後に直ちに本トンネルの掘さくにかかり、昭和五十年に完成する計画で、総工事費は一千二百億円あるいは一千五百億円程度が見込まれております。国鉄北海道支社の調査によっても、青函航路の上りの輸送需要と輸送力を比較してみますと、三十八年度までの実績では輸送需要のほうが上回っているというのが実情で、今後北海道経済が一そう発展すれば需給のアンバランスはひどくなるのではないかと心配され、一日も早く試掘坑による科学調査を終わり、本トンネルの完成が期待されております。しかし、目下のところ青函トンネルの完成が昭和五十年というのでは、その間青函航路の船舶のトン数を多くしたり、就航回数を増加するくらいの手当てでは、青函輸送は行き詰まり状態におちいるのではないか。綿密な科学的調査の必要性を否定するものではないが、十年の年月は運輸状況の現状から見ても長過ぎるのではないか。行き詰まりを招くようなことのないよう慎重な配慮が望まれるところであります。  この調査斜坑現場の福島町では、この工事に協力するため、調査事務所用地をはじめ、職員住宅用地等に必要なる土地一万三千坪の用地買収を行ない、その費用九百六十万円を五年償還の約束で道から借り入れております。工事終了後は、土地は町有財産となり、また借り上げ料も鉄道建設公団から支払われることはもちろんですが、何分にも人口一万三千人、その七割五分までが零細な漁民でありますから、財政事情は決して豊かではありません。このような事情から、九百五十万円の負担は町にとって相当きついのは確かで、特別交付税で若干の考慮はされても、なお十分とは言えず、町の当局者は、国家的な大規模建設事業を行なう場合、現地町村への国家からの財政的配慮を強く要望しておりました。  次に、北海道の農業について申し上げます。  北海道の農業では、何といっても畑作農業と酪農が重要で、特に酪農は、広大な草地の適地を有することからも、成長農産物としての将来性が大きいのであります。  第二期北海道開発計画(三十八年度——四十五年度まで)によりますと、酪農振興対策として、三十五年度に二十二万一千五百頭だった乳牛を、四十五年度には六十一万頭と、十年間に三倍という意欲的な構想を描き、草地は三十六万ヘクタールの改良事業を行なうこととしております。  酪農振興上の隘路は、道路整備が不十分である点であります。一級国道の整備は着々と進んでおりますが、道道、農道等はその整備が不十分で、四月からの融雪期には牛乳の搬出ができず、生乳を廃棄しなければならない事態がしばしばあるとのことで、酪農振興の基本は道路からと、道民の多くの方々が異口同音に訴えておりました。また、今後酪農を積極的に導入していこうとする山ろく、海岸沿いの地帯には、酪農に欠くことのできない水が不足しており、いわゆる無水地帯が散在し、酪農振興の一大阻害要因となっているとのことで、酪農水道の施設設置を強く要望しておりました。  日本の酪農経営上の最大の問題点といわれる濃厚飼料偏重の経営から脱却する上で欠くことのできない草地造成については、国は三十一年度から助成を行ない、三十七年度には公共事業に繰り入れるなどしてその一そうの拡大をはかり、三十七年度末には、国費補助、融資、道単独事業等を合わせると、集約草地は三万七千ヘクタール、改良草地は八千ヘクタールの造成が行なわれております。しかしながら、これらの草地はいずれも個人別利用の草地で、畜産経営の飛躍的な拡大をはかるためには、どうしても大規模な公共ないしは共同利用の草地の造成がぜひ必要と思われますが、この事業はあまり進捗していないのが実情であります。今後の方向として、畜産の主産地形成と、そのための飼料基盤の整備は、草地の大規模化をはからなければなりません。さらに、公共草地の造成は、収益性の低い育成家畜の集団化推進の基礎的な条件をつくることにもなるので、一石二鳥の効果があります。大規模草地の造成は、面積三十から四十ヘクタールと膨大であり、その造成資金もまた相当多額に必要と思われるが、その資金調達を町村や農協に調達させたり、従来どうり補助金を流すやり方では、公共用大規模草地の造成を早期に実現することは不可能であるし、資金効率も落ちると思われるので、これらの点に十分留意して、草地適地の調査を早く完了し、国の援助なり国営なりの方式を考えて事業実施すべきものと考えます。なお、公共草地の造成に関連して、国有農地、特に未墾地の処理、国有林野で草地利用可能地の活用をはかることも有意義なことと考えられる。  次に、北海道の主要農産物であるてん菜は、寒地農業の経営の主柱として積極的な指導奨励が行なわれ、三十八年度の作付面積は五千ヘクタールをこえております。てん菜は経営の安定と地力の維持増進という点から北海道の畑作農業に不可欠の作物であります。特に酪農との有機的な結びつき、すなわちてん菜の頸葉及びビートパルプの飼料化は農業経営を一そう安定発展させることに役立っております。しかし、その栽培面積は必ずしも期待どおりには伸びておりません。したがって、道内のてん菜糖工場が十分稼働するのに必要な量は確保されておりませんでした。栽培面積が伸び悩んでいるのは、投下労働力が大豆等の他の畑作物に比べ多くかかることで、この点では、近年ペーパーポット方式による移植栽培が成功し、農業面の技術革新が行なわれ、この方法の普及によっててん菜の増産と省力栽培が可能になるものと大いに期待されておりました。さらに、てん菜の価格決定の時期と価格については、ややもすると価格決定の時期が、農家の種をまく時期とズレがあり、価格も農民の希望額を下回ることが多く、今年度も農林省の原案六千九百二十円が七千二百円(トン当たり)に引き上げられた経過からも明らかなごとく、てん菜栽培の意欲を減少させる一因となっております。  最後に、自衛隊関係について申し上げます。私どもは、在道中、千歳の第二航空団をはじめ、札幌の北部方面総監部、第七師団、旭川の第二師団、帯広の第五師団等をつぶさに視察いたしました。視察した各部隊は、いずれも職務に精励し、おおむね所期の目的を全うしておりました。  千歳の第二航空団では、F104の飛行練習を視察しましたが、スピードといい、上昇速度といい、相当高度の性能を有していることがわかりました。この高性能と表裏の関係かと思われますが、発着時及び低空飛行時の爆音は相当にきついので、防音対策は千歳市の教育施設には十分行なっている旨の現地での説明がありましたが、今後とも防音対策面への配慮、さらに飛行の際の消音対策にも万遺憾なきを期すべきであります。  なお、付言いたしますと、F104の部品不足による飛行不能の問題は、現在では完全に解消し、配備された全部の飛行機が完全に飛行でき、パイロットの不足のほうが心配される旨の報告がありました。  陸上自衛隊につきましては、部隊本来の職務のほかに、民生協力が積極的に行なわれ、道民から感謝されておりました。災害派遣については、北海道特有の五月前後の異常な乾燥期における大火、山林原野等の山火事、融雪期の各河川のはんらんに対する水害等に間髪を入れず積極的に出動しており、本年四月から七月までの間に六十六件、派遣延べ人員は八千名に及んでおります。その他、無医村地帯の多い北海道で、急患輸送は同期間に六件あり、人命救助に果たす役割りは大きいものがあります。部隊活動としてではなく、隊員の自主的な奉仕活動に援農があります。北海道の田植え時期は非常に短く、また秋の収穫期も短期間に行なわねばならない関係上、労働力の不足を生じがちなので、母子家庭、困窮家庭を中心に農事の手伝いをしております。昨年中に百十一町村、延べ日数二万八千六百七十六人日に及んでおります。  次に、隊員諸君の生活環境について申し上げますと、まず老朽隊舎の建てかえの必要性を痛感いたしました。道内在住の自衛隊員は、米軍から引き継いだカマボコ兵舎に寝起きしている者が多数おり、この兵舎は建築してから相当の年数を経過しており、雨漏りや窓ガラスの破損等がひどい現状で、冬が長く寒気がきびしい北海道でありますから、隊員の健康管理の上からも早急な建てかえの必要があります。なお、矢臼別、別海、鹿追等の駐とん地では、隊舎も不足の上、間借りをしようにも貸してくれる民家もないというような辺境の地でありますが、このような土地への配属、転任等を命ずる場合は、国が責任を持って隊舎等の確保をはかるべきであります。住居問題のいま一つは、営外居住隊員の宿舎が不足していることであります。陸曹クラスの入居率は希望者の三四%程度であり、幹部クラスで五五%ほどの入居率であります。営外居住隊員のために、公務員宿舎、組合住宅等の対策を積極的に推進する必要があります。  終わりに、隊員の健康管理上の問題として、医官の不足は全国的な問題ですが、北海道でも非常に不足しており、町の開業医と特約しているというのが実情でありました。相当多数の隊員が集団生活をしていることにかんがみても、何らかの方途を講じ、医官の充足に一そうの努力を払うべきであります。  以上をもちまして御報告を終わります。(拍手)
  4. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 第三班東海班につきましては、文書による報告委員長の手元にまいっておりますので、これを会議録に掲載をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいをいたします。  以上をもちまして派遣委員報告は終了いたしました。  なお、ただいまの派遣報告に関しまして質疑の通告がございますが、都合により質疑は午後に譲ります。   —————————————
  6. 柴谷要

    委員長柴谷要君) これより昭和三十七年度決算外三件のうち、大蔵省の審査を行ないます。  まず、大蔵省決算について説明を求めます。鍋島大蔵政務次官
  7. 鍋島直紹

    説明員(鍋島直紹君) 御説明の前に一言ごあいさつを申し上げます。  先般の七月末の内閣改造によりまして、私大蔵政務次官を任命せられました。微力ではございますが、最善を尽くして任務を全うしたいと思いますので、何とぞ皆さま方の御支援と御協力を切にお願いを申し上げる次第であります。よろしくお願いをいたします。  それでは御説明を申し上げます。  昭和三十七年度大蔵省主管一般会計歳入決算並びに大蔵省所管の一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳決算及び政府関係機関収入支出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、一般会計の歳入決算について申し述べます。  昭和三十七年度の歳入決算額は、二兆八千二百九十五億六千三百万円余でありまして、歳入予算額に比較いたしますと三千七百三十三億千六百万円余の増加となっております。  以下、各部について簡単に申し述べます。  第一に、租税及印紙収入でありますが、その決算額は二兆千四百三十二億七千百万円余で、予算額に比し二百十二億百万円余の増加となっております。  収入増加のおもな理由は、申告所得税において譲渡所得、不動産所得等の課税額が予定より増加したほか、課税額に対する収入歩合の向上があったこと、法人税において年度上期における企業収益が予想を上回ったこと、相続税において財産価格の上昇等により課税額が予定より多かったこと、砂糖消費税、通行税において消費水準の向上等により課税数量と有税乗客がそれぞれ予定より多かったこと、及び関税において有税品の輸入が予定より多かったこと等によるものであります。  第二に、専売納付金でありますが、日本専売公社納付金の決算額は千六百三十億四千百万円余で、予算額に比し四十一億五千五百万円余の増加となっております。  これは、上級品製造たばこの販売数量の増加、及び経費の節減等によりたばこ事業の純利益が増加したこと等によるものであります。  第三に、官業益金及官業収入でありますが、印刷局特別会計受け入れ金につきまして、その納付金がなかったのは、印刷局特別会計の利益の全額を固有資本の増加に充てたためであります。  第四に、政府資産整理収入でありますが、その決算額は百九十二億九千九百万円余で、予算額に比し三十七億八千九百万円余の増加となっております。  これは、土地、建物等の国有財産売り払い収入が予定より増加したためであります。  第五に、雑収入でありますが、その決算額は五百十四億八千七百万円余で、予算額に比し百七十二億二千六百万円余の増加となっております。  これは、土地、建物等の国有財産貸し付け収入、預託金等利子収入、日本銀行納付金等が予定より増加したためであります。  第六に、前年度剰余金受け入れでありますが、その決算額は四千五百二十四億六千三百万円余で、予算額に比し二千二百七十三億三千四百万円余の増加となっております。  これは、予算額としては、例年の方式として前々年度の新規剰余金を計上いたしておりますが、決算上においては前年度に生じた歳計剰余金を受け入れているためであります。  次に、一般会計歳出決算について申し述べます。  昭和三十七年度の歳出予算現額は、二千三百八億六千三百万円余でありまして、支出済み歳出額は二千二百三十七億五千百万円余、翌年度へ繰り越した額は、三十二億七千三百万円余でありまして、差し引き不用額は、三十八億三千九百万円余となっております。  以下、大蔵省所管の経費のうち、おもなものにつきまして、その概要を申し述べます。  まず第一に、国債費につきましては、国債整理基金特別会計へ繰り入れるため六百七十二億五千百万円余を支出いたしましたが、これは、一般会計負担に属する国債の償還及び利払い財源並びにこれらの事務取扱費に充てるためのものであります。このうち、国債償還財源につきましては、国債整理基金に充てるべき資金の繰り入れの特例に関する法律に基づきまして、財政法第六条の規定により前々年度決算上の剰余金の二分の一相当額と旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律第八条の規定による繰り入れ額を繰り入れたものでありまして、その金額は、四百九十七億六千七百万円余となっており、また国債利子の支払い財源として繰り入れた金額は、百七十三億八千二百万円余となっております。  以上の国債費に関連して、一般会計負担に属する国債の状況について申し述べます。  昭和三十七年度首の未償還現在額は、内国債約四千三百二十六億円、外貨債は、邦貨換算額にして約四百六十六億円でありましたが、内国債につきましては、昭和三十七年度において国債開発協会に対する通貨代用国庫債券による出資により約二十二億円、遺族及び引揚者に対する国庫債券の交付並びに満期到来国債の借りかえ発行等により約二百五十六億円、計二百七十八億円が増加した一方、国際通貨基金通貨代用国庫債券及び国際開発協会通貨代用国庫債券の償還二百六億円、遺族及び引揚者国庫債券の年賦償還並びに満期到来国債の償還等により約二百九十九億円、計五百五億円が減少いたしましたので、年度末現在額は四千九十九億円となっております。  外貨債につきましては、昭和三十七年度に約六十四億円を償還いたしましたので、年度末現在額は約四百二億円となっております。  なお、国債利子につきましては、内国債利子約百三十六億円、外貨債利子約三十八億円、計約百七十四億円となっております。  このため、この経費において、国債利子の支払いが予定に達しなかったこと及び大蔵省証券の発行がなかったので割り引き差額を要しなかったこと等により十二億五百万円余が不用となりました。  第二に、相互防衛援助協定交付金につきましては、日米相互防衛援助協定第七条の規定に基づいて、日本国政府がアメリカ合衆国政府に対して負担する経費として三億一千六百万円余を支出いたしました。  この経費は、合衆国軍事援助顧問団交付金及び日本住宅公団に交付する顧問団員の住宅管理費でありまして、合衆国軍事援助顧問団交付金の使途につきましては、日米間に合意された経理手続に従いまして、軍事援助顧問団から報告されており、事務費、労務費等に支払われております。  第三に、賠償等特殊償務処理費につきましては、賠償等特殊債務処理特別会計法に基づく連合国に対する賠償等特殊債務の処理に充てるための財源をこの会計へ繰り入れるため二百九十二億五百万円余を支出いたしております。同会計においては、この繰り入れ財源をもって、ビルマ、フィリピン、インドネシア及びベトナムの四カ国に対する賠償費二百四十六億七千五百万円余のほか、ラオス及びカンボジアの両国に対する経済協力費七億三千七百万円余及びタイ国に対する特別円処理費十億円の支払いが行なわれました。  第四に、政府出資金につきましては、百五十六億五千万円を支出いたしましたが、その内訳は、理化学研究所に対しまして科学技術の振興に寄与する事業に充てるため七億三千万円、農林漁業金融公庫に対しまして造林事業に対する長期低利の融資を行なう資金に充てるため十三億円、医療金融公庫に対しまして私的医療機関の適正な整備及び機能の強化をはかるための長期低利の融資を行なう資金に充てるため二十五億円、新技術開発事業団に対しまして新技術開発の重要性にかんがみ事業団の資金の増大をはかるため四億二千万円、森林開発公団に対しまして水源林造成事業を行なう資金に充てるため十三億円、海外経済協力基金に対しまして東南アジアその他の開発途上にある海外の地域に対する経済協力の促進をはかるための資金に充てるため六十五億円、国民生活研究所に対しまして国民生活の実情及び動向に関する総合的な研究を行ない、その成果を普及し、国民生活の安定及び向上に寄与する事業に充てるため一億円、中小企業信用保険公庫に対しまして信用補完制度の強化をはかる資金に充てるため二十五億円、水資源開発公団に対しまして水資源の開発、利用のための事業を行なう資金に充てるため三億円を、それぞれ支出いたしました。  第五に、国際開発協会出資金につきましては、国際復興開発銀行の開発目的を促進し、その活動を補完し、低開発地域経済開発促進するために、国際開発協会に対しまして、昭和三十七年度においてはわが国の出資引き受け総額の一九・二五%に相当する二十三億二千七百万円余を出資したのでありますが、そのうち現金による出資金額は一億五千百万円余であり、残額の二十一億七千六百万円余は通貨代用国庫債券をもって出資いたしました。  第六に、産業投資特別会計への繰り入れとして二百三十億円を支出いたしましたが、この経費は、同特別会計の行なう産業投資支出の財源に充てるためのものであります。  第七に、産業投資特別会計資金への繰り入れとして三百五十億円を支出いたしました。  この経費は、同特別会計の原資を補完し、将来の出資需要の増大に対処するとともに、今後の産業投資を経済情勢等に応じて弾力的に行ない得るようにしたものであります。  第八に、公務員宿舎施設費につきましては、国家公務員のための国設宿舎を設置するため三十一億三千百万円余を支出いたしました。  公務員宿舎につきましては、その不足状況にかんがみ、逐年その増設をはかっているのでありますが、以上の支出によりまして、昭和三十七年度五千三十六戸を新たに設置いたしました。この結果、同年度末における公務員宿舎施設費による設置戸数累計は三万八千八百五十二戸となりましたが、これによりましても、なお、公務員の必要とする戸数に対しまして、その充足率は約六〇・五%にとどまっている状況であります。なお、公務員宿舎施設費につきましては、敷地の選定、その他工事の関係から支出が翌年度に繰り越されるものがありましたので、以上の支出のほか八百六十七戸分五億八千百万円余が支出未済で繰り越しとなっております。  以上申し述べましたおもな経費のほか、旧令共済組合等の年金交付その他経費として、国家公務員共済組合連合会等補助及交付金の項から二十五億三千四百万円余、日本国有鉄道、日本電信電話公社及び資金運用部特別会計の国庫預託金に対する利子として、国庫受入預託金利子の項から四億三千四百万円余を支出いたしました。  この経費において、国庫預託金利子の支払いが予定に達しなかったこと等により十二億七千百万円余が不用となりました。  内国税の過誤納金の払い戻し及び青色申告制度に基づく還付金に対する加算金として、租税還付加算金の項から十六億円を支出いたしました。  なお、大蔵省所管一般行政を処理する等のための経費といたしましては、大蔵本省において二十九億六千二百万円余、財務局において三十八億一千万円余、税関において三十八億九千百万円余、国税庁においていわゆる徴税費として三百四十七億九千八百万円余、計四百五十四億六千三百万円余を支出いたしましたが、この経費のおもなものは、人件費及び事務費でありまして、人件費の占める割合は約七五%であります。  なお、徴税費について、その支出額を、国税庁において取り扱った租税及び印紙収入の収納済み額と比較いたしますと、徴税費コストは一・七六%となっております。  次に、各特別会計の決算につきまして、それぞれの会計の事業実績等を主として、簡単に御説明いたします。  まず第一に、造幣局特別会計につきましては、この会計の主たる事業である補助貨幣の製造について申し述べますと、百円銀貨幣外四種の補助貨幣を十億七千六百万枚、額面金額にして七十四億八千万円を製造し、その金額を補助貨幣として発行いたしました。この結果、昭和三十七年度末における補助貨幣の発行高は七百九十七億九千百万円余となっております。  第二に、印刷局特別会計につきましては、この会計の主たる事業である日本銀行券の製造について申し述べますと、一万円券外四種の日本銀行券を十一億四千七百七十五万枚、額面金額にして一兆七百三十五億円を製造いたしまして、その全量を日本銀行に引き渡しております。  なお、経済の成長及び経済活動の拡大に伴いまして、通貨の流通高が逐年著しく増加しておりますので、これに対処するため、印刷局及び造幣局の設備の拡充や人員の増加により日本銀行券と補助貨幣の大幅な増産をはかってまいりました。  第三に、資金運用部特別会計につきましては、その資金運用及び資金調達の実績について申し述べます。  新規運用額は、五千五百六十八億円でありまして、当初の計画に対しまして四百八十六億円の増加となっております。その内訳は、特別会計、政府関係機関、地方公共団体等への貸し付けまたは債券の引き受け等となっており、この原資は郵便貯金、厚生保険等預託金の増加額四千四百二十億円及び既運用資金の回収等千百四十八億円であります。  なお、運用が当初の計画より増加いたしましたが、この追加運用の内容は、中小企業への金融対策、石炭、硫安の不況産業対策及び災害復旧対策等につきまして意を用いた次第であります。  第四に、国債整理基金特別会計につきましては、収納済み歳入額は四千七百四十一億四千六百万円余、支出済み歳出額は四千百八十五億六百万円余であります。  収納済み歳入額のおもなものは、一般会計及び特別会計からの国債、借り入れ金及び短期証券の償還並びに利子等の支払い基金の受け入れとして四千百六十八億六千八百万円余、満期到来内国債のうち一部を借りかえ元償還するための公債発行収入として二百三十三億四千二百万円余、前年度以前における国債の満期到来分の未払い及び利払い期到来分の利子未払い等による前年度剰余金の受け入れとして三百十二億千二百万円余となっております。  支出済み歳出額のおもなものは、国債、借り入れ金及び短期証券の償還として三千七百十三億七千百万円余、国債、借り入れ金利子及び短期証券割り引き差額として四百七十億八百万円余となっております。  なお、以上の支出済み歳出額を収納済み歳入額から差し引いた残額は、国債の満期到来分の未払い及び利払い期到来分の利子未払い等によるものでありまして、それぞれ翌年度へ繰り越しております。  第五に、貴金属特別会計につきましては、金管理法に基づきまして、新産金の百分の五を政府が買い上げることになっておりますので、金地金を四百八十九キログラム余、金額にして一億九千八百万円余この会計において買い上げており、これに要する資金は、前年度剰余金受け入れ及びこの会計保有の銀地金を売却して調達いたしております。  なお、この会計が保有している金地金は、昭和三十七年度末現在二十五トン六百九十七キログラム余となっております。  第六に、外国為替資金特別会計につきましては、収納済み歳入額百五十六億千七百万円余、支出済み歳出額百三十四億七千二百万円余であります。  収納済み歳入額のおもなものは、保有外貨資産の運用収入として百三十三億四千万円余であります。  支出済み歳出額のおもなものは、国債整理基金特別会計への繰り入れ百三十三億七千五百万円余となっております。  なお、この年度の国際収支の状況は、好調に推移し、三億二百万ドルの受け取り超過となっております。  第七に、産業投資特別会計につきましては、石油資源開発株式会社外四社、日本輸出入銀行外三政府関係機関、日本住宅公団外一公団及び商工組合中央金庫に五百三十二億円を計画のとおり出資いたしました。  以上の結果、この会計における昭和三十七年度末現在の出資額は五千七百二十六億円余、優先株式の引き受け額は五億円余貸し付け額は五百十五億円余となっております。  第八に、経済援助資金特別会計につきましては、わが国の工業力強化のための資金として日本開発銀行へ四億円を貸し付けたほか、日本航空機製造株式会社へ五億五千万円を出資いたしました。  その結果、昭和三十七年度末現在におけるこの会計からの投資残高は、日本開発銀行への貸し付け額約十六億四千万円、日本航空機製造株式会社への出資金二十六億円となっております。  なお、これら投融資のためのこの会計の原資は、農産物の購入に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定及び経済措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づき、日本国に贈与された資金をこの会計が受け入れたもので、その贈与受け入れ額は約三十三億九千万円であります。  第九に、余剰農産物資金融通特別会計につきましては、電源の開発等のため電源開発株式会社へ十三億円、日本生産性本部へ五億円の貸し付けを行ないました。  その結果、昭和三十七年度末現在におけるこの会計の貸し付け残高は約四百二十六億円となっております。  なお、この会計の原資として、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づいて借り入れた資金は約三百七十七億円であります。  第十に、賠償等特殊債務処理特別会計につきましては、一般会計歳出の部において概要を申し述べましたので、説明を省略させていただきます。  第十一に、国有財産特殊整理資金特別会計につきましては、熊本国税局外十二官署の庁舎等の売り払い及び前年度剰余金等により二億七千五百万円余の収入がありましたが、昭和三十七年度においては資金を効率的に使用するため、全額翌年度に繰り越しをいたしました。  以上が、各特別会計事業実績等の概要であります。  各会計の決算上の計数につきましては、さきに提出いたしました昭和三十七年度の「決算書」及び「決算説明」によって御承知いただきたいと存じます。  最後に、大蔵省関係の各政府関係機関の決算につきまして、それぞれの機関の事業実績等を主として、簡単に御説明いたします。  まず、第一に、国民金融公庫につきましては、資金運用部からの借り入れ金五百億円及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借り入れ金百億円並びに貸し付け回収金等の自己資金をもって件数にして約五十六万件、金額にして約千五百二十三億円の貸し付けを行ないました。  この貸し付け額を当初の予定に比較いたしますと、約七十五億円の増加となっております。これは、中小企業者に対する年末資金等の融資のため年度中に政府資金の追加が行なわれたためであります。  この結果、この公庫における昭和三十七年度末の貸し付け残高は、件数にして約百三十三万件、金額にして約千六百十四億円となっております。  第二に、住宅金融公庫につきましては、産業投資特別会計からの出資金九十五億円、資金運用部からの借り入れ金三百二十五億円及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借り入れ金七十億円並びに貸し付け回収金等の自己資金をもって、住宅の建設約十万九千戸、金額にして約五百八十億円及び宅地の造成約百七十九万坪、金額にして約四十八億円の貸し付けを行ないました。  この結果、この公庫における昭和三十七年度末の貸し付け残高は、件数にして約六十六万件、金額にして約二千八百十六億円でありまして、この公庫創設以来の住宅貸し付けの総契約戸数は約百五万戸となっております。  第三に、農林漁業金融公庫につきましては、一般会計からの出資金十三億円及び産業投資特別会計からの出資金百二十億円、資金運用部からの借り入れ金二百六十七億円及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借り入れ金二十七億円並びに貸し付け回収金等の自己資金をもって、件数にして約十二万件、金額にして約六百七十五億円の貸し付けを行ないました。  この結果、この公庫における昭和三十七年度末の貸し付け残高は、件数にして約七十万件、金額にして約二千七百八十五億円となっております。  第四に、中小企業金融公庫につきましては、資金運用部から借り入れ金五百九十五億円及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借り入れ金百四十億円並びに貸し付け回収金等の自己資金をもって、件数にして約二万九千件、金額にして約千百八億円の貸し付けを行ないました。  この貸し付け額を当初の予定に比較いたしますと、約百二十三億円の増加となっております。これは、中小企業者に対する年末資金等の融資のため、年度中に政府資金の追加が行なわれたためであります。  この結果、この公庫における昭和三十七年度末の貸し付け残高は、件数にして約九万五千件、金額にして約二千百三十五億円となっております。  第五に、北海道東北開発公庫につきましては、北海道東北開発債券の発行による収入金約百四十億円、資金運用部からの借り入れ金二十億円及び貸し付け回収金等の自己資金をもって、約二百二十五億円の投融資を行ないました。  この結果、この公庫における昭和三十七年度末の貸し付け残高は、件数にして九百四十九件、金額にして約七百七十一億円、出資残高は、件数にして十五件、金額にして約八億円となっております。  第六に、公営企業金融公庫につきましては、産業投資特別会計からの出資金三億円及び公営企業債券の発行による収入金約二百十九億円のほか、貸し付け回収金等の自己資金をもって、件数にして八百七十七件、金額にして約二百四十二億円の貸し付けを行ないました。  この結果、この公庫における昭和三十七年度末の貸し付け残高は、件数にして三千五百八十三件、金額にして約七百七十二億円となっております。  なお、このほか、本公庫は農林漁業金融公庫の委託を受けて地方公共団体の行なう造林事業に対し、当年度に五百二十九件、約十億円の融資を行なっております。  第七に、中小企業信用保険公庫につきましては、貸し付け金の原資として、一般会計から二十五億円の出資を受けました。当年度における業務の実績は、保険業務におきましては、件数にして約五十一万五千件、金額にして約三千八十三億円の保険の引き受けを行ない、また、貸し付け業務におきましては、信用保証協会に対し、件数にして五百二十二件、金額にして約七十四億円の貸し付けを行ないました。  この結果、この公庫の昭和三十七年度末の付保残高は、件数にして約四十五万千件、金額にして約二千八百三十億円となっており、また、貸し付け残高は件数にして七百十一件、金額にして約百十三億円となっております。  第八に、医療金融公庫につきましては、一般会計からの出資金二十五億円及び資金運用部からの借り入れ金五十九億円のほか、貸し付け回収金等の自己資金をもって、件数にして二千八百四十五件、金額にして約九十四億円の貸し付けを行ないました。  この結果、この公庫の昭和三十七年度末の貸し付け残高は、件数にして六千七百二十件、金額にして約百七十九億円となっております。  第九に、日本開発銀行につきましては、資金運用部からの借り入れ金七百九十三億円、経済援助資金特別会計からの借り入れ金四億円及び外貨債の発行による収入金約百三十五億円並びに貸し付け回収金等の自己資金をもって、約千二百十二億円の貸し付け承諾、約千二百二億円の貸し付けを行ないました。貸し付けの内訳は、電力約二百九十七億円、海運約二百十四億円、地方開発約百九十二億円、その他約五百億円となっております。  この結果、この銀行の昭和三十七年度末の貸し付け残高は、件数にして三千三百八十八件、金額にして約六千八百七十四億円となっており、その内訳は、電力約三千八十二億円、海運約千九百五十三億円、地方開発約四百十二億円、その他約千四百二十七億円となっております。このほか、外貨貸し付け金は、件数にして二十二件、金額にして約千億円となっております。  なお、この銀行が昭和三十七年度利益を国庫に納付した金額は、約百十九億円となっております。  第十に、日本輸出入銀行につきましては、産業投資特別会計からの出資金二百億円、資金運用部からの借り入れ金四百八十億円及び貸し付け回収金等の自己資金をもって、約千八十六億円の貸し付けを行ないました。その内訳は、輸出金融約九百八十六億円、輸入金融約十四億円、投資金融約八十六億円となっております。  この結果、この銀行の昭和三十七年度末の貸し付け残高は、件数にして千件、金額にして約二千六百十億円となっております。その内訳は、輸出金融約二千二百十億円、輸入金融約四十億円、投資金融約三百六十億円となっております。  以上が各政府関係機関の事業実績等の概要であります。  各機関の決算上の計数につきましては、さきに提出いたしました昭和三十七年度の「決算書」及び「決算説明」によって御承知いただきたいと存じます。  これをもちまして、昭和三十七年度における大蔵省所管の決算の概要説明を終わります。  なお、会計検査院から不当事項二百二件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。これらにつきましては、それぞれ適切なる措置を講じますとともに、今後一そう事務の合理化をはかり改善努力を傾注いたしたい所存でございます。  何とぞ、御審議のほどお願いいたします。
  8. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。保川会計検査院第一局長
  9. 保川遜

    説明員(保川遜君) 昭和三十七年度大蔵省所管決算の検査の結果、検査報告に指摘いたしました事項は、三十六年度と同様に、租税の徴収過不足の事案、三十七年度は九百六十四事項を主といたしております。これらは主といたしまして、課税資料の活用漏れがあったということによるものと考えられます。  次に、国有財産関係で、普通財産の売り渡しにあたりまして、その評価が低額に失したもの、これを二件掲げております。いずれも時価算定上の方法が不十分であったということによるものでございます。  簡単でございますが、概要説明を終わります。
  10. 柴谷要

    委員長柴谷要君) これより直ちに質疑に入ります。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 大蔵大臣の所要時間が少ないようですから、簡単にひとつお尋ねしておきたいと思うのですが、まず第一は、昭和三十七年度以降設置をすることになりました国立高等専門学校の用地の問題について、政府はどういう考えを持っておるのか、ひとつお尋ねを先にしておきたいと思います。
  12. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 国立高専につきましては、国有地を提供するということが第一でございます。  国有地に適当なものがないという場合には、地方公共団体が持っておる適地と、その周辺における国有地の交換、等価交換というようなものを考えております。  第三の方法といたしましては、地元から任意の提供の申し込みがありましたものに対しては、この提供を受けて、政府が借り上げて、これを使用するというような考え方でまいっておるわけであります。  また、そのような状況でございますので、三十六校の設置をきめておりますが、文部当局からは、三十九年度予算編成にあたりましても、用地費の要求はなかったわけであります。しかし、その後、決算委員会、また予算委員会等で、要求をしない文部省も悪いが、きっと大蔵省で要求をさせないのだろうというようなお話もございますので、そんなことはございませんということで、るる事情をお述べしてあるとおりでございますが、できるだけ適地の選定につとめ、国有財産の効率利用及び等価交換等によりまして、地元、地方公共団体等には迷惑をかけないということを本義にして、これからやってまいりたいという考え方でございます。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 大臣のお話を聞いていると、政府としては決して地方自治団体に迷惑をかけないと、こういうお気持ちを発表されたわけですが、三十七年度に設立をされた高校のうちで、県やあるいは市から敷地を借用しているものが幾つあるのですか。
  14. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 三十七年度と言わず、三十七年度から九年度までのものを申し上げますと、三十六校のうち、国有地の使用が七校ございます。それから地方公共団体の設置期成同盟会からの無償借用というものが十六校ございます。なお十三校は国有地との交換を予定いたしておりますので、計算上三十六校ということになるのでございます。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、大臣のお話では、文部省は費用を要求してこないと、こういうお話ですが、私、やはり政府の考え方が問題ではないかと思うのです。いわゆる地方財政法の十二条、これを見ると、そういうことにはなっていないと思う。国がこれは当然法律によって出さなければならないものを、なぜ出さないのか。こういう点は、これはやはり政府のきちっとした方針がなければ、そういうふうに大臣の一つの、私から言いますれば言いのがれだ、文部大臣であろうと、大蔵大臣であろうと、国務大臣については変わりないので、池田内閣としてのやはり今日まで施策を進めてきたとすれば、法律に基づいて所要の手続をとっていくというのが本来の姿ではないかと思うのだが、地方財政法との関係について、どういうふうに政府は考えているのか。この点はいま少し説明をしてもらわぬと、単に文部省が予算を要求しなかったからというだけでは、ちょっと問題が残るのではないかと思うのですが、大臣いかがですか。
  16. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) この問題に対しては、御理解を得るためにざっくばらんに事情を御説明申し上げます。  第一の段階は、学校の設置ということに対しては、地元は非常に教育熱心である。こういう適地がございます、無償で出します、どうでもいたしますから、ぜひわが土地にと、こういう熱烈なる御要望がございますので、歴史的に長い過去を見ますと、大体は文部省の要求もないし、土地の問題も解決してきたというのが、歴史上の事実でございます。  第二の問題は、地方財政法の改正点の問題でございますが、いわゆる税外負担とか寄付金とか、そういうものは、地方財政健全化のためにやってはならない、もちろん国が事業を行なう場合、当然負担すべきものに対しては、原因者負担ということを貫くべきであることは言うをまたないわけでございまして、そういう事態に対処しまして、第二の段階として、国有地の使用、等価交換その他というふうに前進をはかった次第でございます。  第三の段階としては、いま相澤委員がお述べになりましたように、予算委員会でも、決算委員会でも、相手がどうぞと言って提供してくるからといっても、国が無償で借り上げるという大体心得が悪いのだ、姿勢が悪いと、こういうことでございますが、いろいろ考えてみますと、やはりこういうものは明確にしておく必要がある。国がこれだけの施策を行なう場合、できるだけ国のものは当然これを使う。また、ない場合には、国自体の責任において確保しなければならない。まあ、できれば、ぜひ無償で使ってくださいということがあっても、お断わりするくらいの気持ちがほしいというような御叱正もございましたので、第三の段階においては、国有地の交換とか、また、文部省に対して所管がえをするとか、また、地方公共団体との等価交換につきましても、積極的にこれを処理するという考え方に立ちまして、現在ここにずっと例が書いてございますが、三十六校に対して大体この程度にしておりますというような、議院の御意思に沿った、ひとつ前向きの姿勢をとっておるわけでございます。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 せっかく大臣御答弁いただいたので、それくらいで終わりたいと思うのだけれども、それじゃ、国有財産と地方のそういうことで交換をしてやろうと、まことにけっこうな前向きの姿勢だと思うのですが、今日までどのくらい交換が手続を終わりましたか。
  18. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) これは長い懸案の問題でありますから、少しこまかく申し上げます。  国有地と現に交換が成立をいたしましたものは鹿児島がございます。三十九年の三月三十日に契約をしまして交換を終えております。これはいままでは減額貸し付け中のものでございます。  第二には、国有地との交換手続中のものがあります。これは三十七年度の設置校である鈴鹿でございます。それから三十八年度の設置校である阿南でございます。それから三十九年度設置校である秋田、こういうものでございまして、これは現在は貸し付け中のものを交換すると、こういうことでございます。  その次は、国有地との交換について検討中のもの——検討中のものというのは、大体相手がいいと言えば交換をするという姿勢で検討したものです。これは昭和三十七年度設置校の明石、それから三十八年度設置校のうちの長野、津山、三十九年度設置校である和歌山、苫小牧、都城、富山、それから米子、松江、奈良。  それから文部省に所管がえしたものといたしまして、これは未利用地を使うということで、三十七年度設置校の佐世保、それから文部省へ制度の上で所管がえ予定のもの、三十八年度設置校のうちの高知、それから三十九年度の設置校である呉、こういうところでございます。  それから文部省所管国有地を現在もう使用しておるもの、これは三十七年度設置校のうち長岡、四国の新居浜、三十九年度の設置校である久留米、こういうことで、非常に積極的に議院の御意思にこたえたいと、こういうことでございます。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 だいぶ積極前向きに進めたという御報告を受けて喜ぶものですが、なお残された問題についても、なるべく早くやはりいまのお話のように進めていくのが、地方自治の負担を軽減することになると思いますので、ぜひそういうふうに進めていただきたいと思うのです。  それからその次に、私ども実は先ほど各決算委員会現地調査報告を行なったわけですが、その中で、私、北海道へ行ったので北海道報告を申し上げたわけですが、その中で特に産炭地振興にも関係がありますので、美唄市からの非常な強い要望が出ておるので、この点について大蔵大臣に一つお聞きをしてみたいと思うんですが、先ほど政務次官から、専売公社の、非常な納付金が多く、予算額に比して四十一億五千五百万円も多かった、こういう報告を受けた。ところが、北海道状態を調べると、道内のたばこの年間消費量は八十億本といわれておる。ところが、北海道の中では函館だけで年間十四億本を製造しておる。あとの六十六億本は、これは内地から北海道に持っていっておる、こういうことがいわれておるわけです。ところが、石炭合理化政策のためにこの美唄は非常に苦しい地方財政に追い込まれておる。そこで、でき得ればたばこ製造工場の誘致をしてもらいたい、つまり、大蔵大臣にぜひそういう点にひとつ骨を折ってもらいたい、こういうことが要望として出されております。ですから、六十六億本も向こうへ持っていくなら、北海道でつくったならば、なおそれはけっこうなことではないか、こう思うんですが、大蔵大臣としてどう考えるか。
  20. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、大体北海道として、たばこの消費量は年間七十億本ないし八十億本という数字でございまして、現在は函館に製造工場があるわけでございますが、この問題、できれば美唄でも何でもやってやりたい、こういう気持ちで、私も印刷工場とか、造幣局とか、たばこの専売局とか、いろいろなものをひとつやったらどうかということで検討しましたが、専売局側の意向を聞いてみますと、やはり函館に置くほうがいい、こういうことになったわけであります。  それは、北海道でもって葉たばこが全然できないので、葉たばこは全部内地から持っていかなければならない。現在約二十八億本くらいつくれる能力があるわけですが、設備の近代化によりまして、大体近く六十億本ないし七十億本の製造工程まで引き上げるという計画が専売公社当局にございます。ですから、これを美唄まで持っていきますと、たばこは、北海道は保管とか輸送とか湿気の問題とか、いろいろの問題もありますので、本州に一番近い凾館——歴史的にも、また設備の上でも、新しい工場をつくるよりも、これを増強して設備の近代化を行なうということで足る、こういうことでございます。  でありますので、たばこの製造工場の美唄地区への移転ということは、いまのところむずかしいという結論でございますが、産炭地の振興ということにつきましては、前にも申し上げましたとおり、政府も熱意を持っておりますし、税制上、また資金上いろいろな特例を設けて、産炭地の振興ということをはかっておるわけでありまして、一つの例としましては、石狩川改修に基づくブロック工場等は美唄につくろうというようないま考え方で進めておるわけでありますが、何ぶんにも全く石炭の山であって、何万人かの人がそこに主んでおるわけでありますし、しかも、そこには炭住——住宅等もみな用意されておりますので、何らか民間企業の誘致及び政府企業、政府関連企業というようなものを誘致したいという考え方で、各方面と折衝をいたしておるわけでありますが、まあ期待に沿うほどの実績が現在あがっていないということは事実でございますが、やはり北海道、特に産炭地の美唄というものに対しては、焦点を合わして積極的な施策を進めなければならないという考え方であります。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 これは大蔵大臣、いま考えていないというお話でしたが、私はそれは先ほども報告しましたが、失業者といわゆる要生活保護者というようなものを考えてみると、積極的な取り組みをしてやらぬと、いかに政府が石炭合理化政策を進めていっても、やはり地元のものが一番困るわけですよ。ですから、そういう意味で、たばこ製造というのはなるほど耕作者のそばにあれば一番いいことは事実だけれども、どうせないということならば、これは輸送費の問題、輸送上の問題だと思うんですが、やってできないことはないと思うんですよ。だから、そういう点についてはひとつ私は検討してやってほしいと思う。  それからいま一つの点は、国鉄なりあるいは自衛隊なり北海道開発局のいわゆる重車両の工場をつくってくれないか。これは、しかし、各省庁にまたがるわけですから、なかなか各省の意見が合わなければこれはできないけれども、しかし、でき得れば共同作業をできるように、これもやっぱりある程度、政府のそういう融資あるいは減免税の問題等も含んでやれば、できないことはないと思う。私どもが現地を見たときに、工場が誘致されておりましたけれども、しかし、これはみな小さいのですよ。しかし、幸いに、ここに働いておる人は、ほとんど炭鉱の離職者あるいはその子供さんを採用しておるわけです。非常にいいことです。ですから、それまで苦心をしてやっておるのですから、政府がいま少しやはり積極的に取り組んでやってほしい。これはもうそうふうにひとつ大蔵大臣、各省の大臣にも、どうだ、産炭地の苦しい状況をひとつみんなして助けようじゃないか、こういうことでやってほしいと思うのですが、ひとつ大臣の、これはもういい返事をもらいたいと思うのですがね。
  22. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 明確にいたしておきますが、先ほども申し上げましたとおり、私も当初いろいろ考えてみて、専売公社当局とも話をしましたが、これはまあ、逆に今度、北海道と津軽海峡とを横断する鉄道とパイロット隊道をやっておるのですから、そうすると、歴史的に有名な函館もさびれる。そういう意味で、専売公社はぜひひとつどこかへ持っていかぬで拡充してくれ、こういう御要求もあるわけです。ですから、いろいろ諸般の状況も考えまして、専売公社はひとつあきらめていただく、こういう結論です。ところが、いま電力が余っているところは全国で北海道だけであります。これは御承知の芽登とか幾春別とか、こういうダムをつくって水力発電が非常に大きくできましたので、内地に比べて電力事情は非常にいいわけです。にもかかわらず、北海道は幾らかずつ、年年人が減っているという事態、また、北海道で使うマッチまで本州から入れてくる。この間も、酒などに対しましても、本州から八割方酒が入っている。これも、北海道として少なくとも自給自足するということになれば、まっすぐ北海道に着いても、横浜に着いても同じことですから、そういう意味で、もっともっと積極的にやればやれるんじゃないか、こういう考え方で、産炭地を中心にした北海道開発ということに対しては、具体的問題を各省とも積み上げながら、また、民間の十分な協力も得ながらやってまいりたいという考えであります。特に、電力のほかに水の問題もおおよそ解決をしつつありますので、条件は非常にいい。ですから、あとは地方税の問題とか税制上の優遇の問題とか、そういう問題をあわせて考えていけば、当然企業誘致というものはでき得るという考え方であります。  それから北海道開発庁の仕事も、できるだけ地元の労働者を長期、永続的に雇用するという計画を立てていまやっておるわけでありますので、御指摘のように、十分ひとつ前向きで積極的な姿勢をとってまいりたいと、こう考えます。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 再度にわたる御答弁をいただいたのですが、私の言うのは、何も函館のを美唄市へ持っていけというのじゃない。函館は大いに二十億本でも二十五億本でも製造するようにやってくれ。しかし、北のほうに、やはり消費量がとにかく六十六億本も内地からいくというなら、じゃ、北海道に少しはサービスしてやってもいいじゃないか。私ども現地に行った者の議員の心理状況は、率直にいえば、北海道は気の毒だ、だから北海道は税金をとらないでやってもいいじゃないか、それくらいの気持ちを持った。十年間くらいはもう一銭も税金をとらないで、そして北海道伸びた金はそれを投資しろ、そうしてやれば、北海道独立王国ができるじゃないか、かなりの夢だけれども、そのくらいまでしなければほんとうに北海道のあの僻地というのに開発されないだろう、そのくらい国も財政上の問題について考えてやってほしい、こういうふうに思うわけです。  それからいま大臣からいみじくも言われた青函隊道の問題ですが、あれも現地で話を聞いてみると、十年かかるというのですね。予算もなかなかこれはいままでの計画じゃたいへんだ、こういうことも建設公団から説明を受けたわけです。ところが、十年もほうっておいたのでは、いまの青函航路の輸送状況から考えると、これはもういわゆる国民経済上から大きなマイナスだと私は思う。ですから、そういう面について、それは大蔵大臣よりは、むしろ運輸大臣なり公団のほうから大蔵大臣のほうに陳情があると思うから、それはそのときによく相談してやってもらいたい。もっと早めてもらいたい。そうして北海道と本州とがほんとうに経済性の交通ができるようにするということが必要だと思う。この点は特に北海道を見てきた者としては同情するわけです。  それからいま一つは、公務員なり内地から転勤された人たちが北海道に住むのに、物価が高いということが一つと、それから税金が比較的高い、それから住宅がない——この住宅がないところは、これはほんとうに困っておる。私は自衛隊の話をきのうもしたのですが、ほんとうに将校クラスで半分、五〇%ないし五五%、それで陸曹クラスをいうと三〇%から三四%程度しか家がない、こういう話が出ておるわけですから、ひとつそういう点も各省とよくお話し願って、北海道にも役人が行って一生懸命仕事ができる、あまり心配がないというような施策を、前向きの施策を私は講じてやってもらいたいと、こう思う。その点は要望を申し上げて、その次に、いま一つだけで私きょうのところは大臣の質問を終わりたいと思う。  その一つは、先ほどやはり次官から御報告を受けた中に関連をするわけですが、いわゆる日米安保条約による米軍に対する施設提供等の問題、そこで、横浜市根岸あるいは山手、本牧というところに兵隊さんの住んでおる家がたくさんあるわけです。これについて私は昨日の当委員会でも、できるだけ早く施設庁として調査を完了して、そうして移転をする予算を大蔵大臣にひとつ折衝してはどうか、米軍側はすでに厚木の座間基地の中にどのぐらいの戸数が移転できる、あるいは横須賀の基地にどのぐらい移転できるという話も検討しておるわけですよ。ですから、接収解除促進ということは、横浜のような場合にはきわめて大事な問題ですから、できるだけ早く、国有財産国有財産、民有財産は民有財産ということにして調査が終わったら、これはひとつ移転をするように促進をしてもらいたいと思う。それで今年度二千万円の調査費を計上してもらったわけです。その調査費はいわゆる実態調査であるけれども、私どもは実態調査だけでなくて、移転をする調査費というものを計上し、移転費も計上してもらいたい、こういうことで、きょうも午後四時からあなたに陳情に行きますけれども、これはひとつやはり横浜市民の、あるいは神奈川県民の切なる願いであると同時に、それだけ国は実は迷惑をかけておるのです。その地元の繁栄を阻害しておるわけですから、だから、そういう意味からいって、私はこの本牧あるいは根岸、そういう米軍の住宅移転費を来年要求してもらいたい、出してもらいたい、こう思うのだが、ことしの予算調査費二千万円をつけたその考えから、そういうことはお考えになっておるかどうか、ひとつ率直にお尋ねをして、きょうは私は終わりたいと思う。
  24. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 戦後すでに十九年ということでありまして、横浜山の手の米軍住宅問題に対しては、非常な問題があるということは、私は十分承知をいたしております。でありますから、何ぶんにも膨大もない施設でございますし、相当な国費がかかるということで今日までは取り上げなかったわけでありますが、昨年の暮れに、しかも十二月三十日だったと思いますが、もう最終段階において、地元の代議士諸君、また地元の代表者の方方、また家を二十年近く接収されておられる方々、これが横浜地区の発展の大きな阻害だというような問題もございましたので、思い切って相当大幅に調査費をつけたわけであります。初めの考えから、初年度調査費は百万円というのが大体のものでございますが、大きく踏み切って、いま御指摘のとおり、また思い切った予算をつけたわけであります。まあ防衛施設庁がどういうお考えでありますか、概算要求はきのうまでで締め切ったわけでありますが、まだ私は内容は見ておりません。相当大きな調査費をつけましたので、調査段階はどの程度進んでおるか、また、米軍側の希望やいろんな事情もございましょうが、こういう問題も十分調査をいたしまして、できるだけ前向きといいますか、前進的といいますか、できるだけ解決点を見出してまいりたいという考え方であることを申し上げておきます。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 まあ大臣のせっかくのよい返事で、私もそれ以上言う必要もないと思いますが、実は米軍側でも、もう越していいと言っているのです。ただ、でき得れば座間に、あるいは東京に近いところ、こういうことで、大体三十分ないし遠くても一時間というのが向こうの希望条件です。だけれども、五十億かかるのか、百億かかるのか、それは相談をしてみないとわからないけれども、すでに米軍側ではいいと言っておる。しかも、その越す先の座間基地内に何戸建てますということを司令官は言っておる。それから横須賀でもどのくらい受けられますという話はしておる。そういうことからいって、残されたものをどこへ持っていくかということは若干ある。両方に行かれない、それがあるからまだ全部とは言えないのだけれども、私はせっかく向こうでも、米軍側でもいいと言っておるのだから、いまあなたのお話のように、ひとつ積極的に取り組んでいただけば解決する問題であると思う。  それからいま一つは、本牧の埋め立てをいまやっておる。ところが、せっかく埋め立てが四十一年度なり四十二年度なりに完成をしても、その埋め立てをする前が全部米軍のハウスであって、これは背後地として困る。もう半減です、効率は。したがって、そこを十分利用できるようにしてもらいたい。大多数はやはり国有財産です。あなたのほうの所管ですよ。だから、これはやってできないことはない。だから、私はでき得れば国有財産を横浜市に払い下げてもらってもいいと思う。あるいは特殊なもので考えてもいいと思う。そこで、横浜港をせっかく埋め立てしたその目的をやはり早く達成するようにしてもらいたい、こういうことで、きょうもあとでそういう話をしに内山さんと一緒に行きますから、よろしくひとつお願いいたします。
  26. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  27. 柴谷要

    委員長柴谷要君) それでは速記をつけて。
  28. 小酒井義男

    小酒井義男君 二、三点お尋ねをしますが、いよいよ四十年度予算要求が出た段階を迎えたわけなんですが、先回も申し上げたように、補助金の整理をやられる決意は大臣も決算委員会においてお答えをいただいておるのですけれども、予算要求をする段階で各省がそれぞれ補助金を整理をして要求をするというようなことはおやりになったのかどうかということ、それと補助金の整理をこの四十年度予算ではやるのだという御決意をお持ちになっておるかどうか、最初に伺います。
  29. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 補助金の整理合理化ということにつきましては、御承知の堀委員会をつくりまして、昨年の末に答申をいただいておるわけでございます。その答申の線に沿いまして、三十九年度予算編成のときに約六十件ばかり整理統合を行なったわけでございます。まあ四十年度予算編成に際しましては、予算の効率的な使用ということが一つの目的でありますし、第二には、補助金が零細また縦割り式であるということによって地方財政の圧迫になり、地方機構なり人員の膨大化を招くということになれば、これは当然整理統合をしなければならないということも考えまして、去る何日でございますか、閣議決定をいたしました。補助金に対してはひとつ思い切った整理を行なおうということであります。私は及び腰だと言われておるわけでありますが、最小でも二〇%程度はぜひやりたい、こう言いましたら、総理は五〇%、こういうことで意気盛んな御発言がありまして、閣議は五〇%ということで一応決定をいたしております。いままでの補助金整理というのは——大体補助金関係の予算の概算要求は、多くなりこそすれ、少なくなりません。対前年度三〇%増しの増額で概算要求をしてもらいたい、その中で各省大臣がみずからの力で、みずからの責任で概算要求の前に御自分で統合されるか、また整理をされるか、またこれを廃止するか、最もよくおわかりになっておるわけでありますから、いままでのように、補助金を出したのだが大蔵省が反対してということよりも一歩進めて、大蔵省が出でる前にひとつ整理をなさって出していただきたい、こういうことを私も付言して閣議の了解を得ているわけであります。御承知のとおり、補助金といわれるものの中には、補助金とか、負担金とか、分担金とか、委託費とか、こういうものを全部含めて補助金と俗にいわれております。こういうものを合わせますと約千件ございましたが、それが九百件ぐらいに減っております。しかも、この中でもって、分担金とか、それから地方に対する委託費とか、そういうものを除きますと約四百九十件ございます。この四百九十件が実際の補助金というものでございます。この補助金の四百九十件の中で文部、厚生、それから農林、こういうものが大体相当な数であります。数字は後ほどお届けしてもいいのですが、大体六〇%以上を三省で占めているのであります。金額にして七〇%に近いものが三省で占められている、こういうふうに考えられるわけであります。農林行政などは補助金行政とさえいわれているのでありますが、一体この方向をどう変えられるかという問題は、相当むずかしい問題があると思いますが、いずれにしても、末端にいくと、一件二十万円とか三十万円というものになってしまう、人件費とか、機構費とか、自転車とか、車代とか、そういうもので一体末端まで届くのかどうかという手きびしい御批判もございます。そういうものに対しては各省ももちろん御検討願って概算要求されたと思いますが、これから予算編成の十二月までの過程におきまして、各省と十分詰め合う段階において合理化をやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  30. 小酒井義男

    小酒井義男君 補助金の中にどうしても必要なものは確かにございましょうし、あるいは増額を必要とする場合もあると思います。そういう点は十分検討をして効果のないものについては、断固としてひとつこれを整理をしていくという方針で四十年度予算を編成をされますように御要望申し上げておきたいと思います。  それから、これも前回の繰り返しでありますが、四十年度予算についてはいろいろ財源難だということは想像されるのでありますが、しかし、国民の世論にしても、あるいは税制調査会にしても、所得税の減税はこれは大幅にやるべきだという声は、もうどこでも正論だと思うのです。そういう情勢の中で、やはり予算編成の過程において特に給与所得の減税を重点的にやっていくという御方針は変わりませんか。
  31. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 三十九年度に引き続きまして、四十年度経済成長率をまあ予想いたしますことは、現在の段階ではまだ非常にむずかしい段階ではございますが、おおむね名目で九%ないし一〇%と、こういうふうに予想しますと、税収がまあ四千五百億程度しか伸びないだろう、こういう数字が出るわけであります。九月決算数字を見なければわかりませんが、実際において三十九年度の六千八百二十六億というような大きな数字に比べて非常にかたい数字ということになるわけでありまして、その中でも、もうすでに三税による交付税、使途特定増、こういうものが自動的に千四百億余はじかれるわけでありますし、そのほかに食管特別会計だけでも、ちょうどいまのままであれば千億新しく一般会計から繰り入れを増加しなければいかぬということになれば、四千五百億のうちで、前年度剰余金の減が六十七、八億でございますが、こういうものや、いまのそういう既定のような数字だけを積み重ねても、非常に財源は苦しいということは、これは事実でございます。厚生省だけでも、平年度化する費用が、国保の家族の七割給付とか、そういうものを入れますと、約七百億という概数が算定されるわけです。非常に財源的にむずかしいということは事実でございます。  この中において減税をどうするかということでございますが、過去十年間に単純累計として一兆一千億余の累計をやってまいったわけであります。このうち八十何%、約九千億余は所得税減税でございます。しかし、その減税を行なった結果でも、税負担率は二二・二%という現状であります。なお、所得税を現状のままにしておけば、納税人口は二千万人をこすということも事実であります。そういう事実から考えまして、いま税制調査会は三カ年間の予定をもちまして、一昨年は間接税、昨年度地方税と直接税、本年度は税制をどうするか、長期的な見通しに立ってどうするかというような根本的な問題まで御答申になる段階になっておるわけでありまして、非常にむずかしい問題でございますが、財源はくめんをしながら減税というものに対しては、やはり答申尊重、この線を貫いていかなければならない、これは当然のことだという考え方をとっております。ただ、所得税と企業減税といろいろございますが、こういう問題も、答申を待ちながらでございますけれども、十分検討しながら、将来への希望を託し得る路線を見出しながら減税政策というのは踏み切っていかざるを得ないという考え方であります。
  32. 小酒井義男

    小酒井義男君 やはり減税の場合に一番重点的に取り上げるのは、源泉徴収をされる層に対する減税でなければならぬと思うのです。もう一銭のごまかしもできぬ税金を取られておるのですし、その他の所得税の中では若干いろいろなテクニックがあるのですね、やっておるのです、実際。そういう点から考えると、源泉徴収というものに対する減税を最優先に取り上げて実行すべきだというふうに私は考えておる。どうか、そういう点についても十分考慮をしていただきたいと思います。  それから最後に、少し話が飛躍するようですが、国有財産の項をずっと見ておりましても、おそらく国有財産だと思うのですが、日本銀行に保管されておるダイヤモンドというのは、国有財産のどの欄に載っておって、量、金額というものはどのくらいあるものか、一度お教え願いたいのです。
  33. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) きっと日銀の地下に眠っておるダイヤモンドその他のことだと存じますが、御承知の、大蔵省には国有財産局の中に貴金属処理部を設けまして、これが保管処理等の事務を行なっておるわけでございます。連合国の占領軍から日本政府に引き渡されました接収ダイヤモンドは約十六万一千カラット、こういう大きな数字でございます。これに対しまして返還の請求がございましたものが六十三件でございます。このうち四十四件の認定棄却を終えております。残りも今年中に処理をしたいという考え方で鋭意努力をいたしておりますが、まあ、このうちの大部分というものは、来年度中には国に返還または帰属する、こういう考え方に立っておるわけであります。  まあ、この数というものは、カラットにしますと、いま申し上げた十六万一千カラットといいますが、数にしますと何か非常に大きい数でございます。私にも、もう三年目だからかかるものは検査すべしと言うのですが、こまかいものもありまして、約百五十万個くらいの数じゃないかと思う。全く吹けば飛ぶような、こういう小さな砂利ダイヤ式のものもあって、うっかりさわれない、こういうことで私自身も見に行かなかったということでありますが、これらの問題に対しましては、いろいろ問題にもなっておりますし、いろいろ関心も多い問題であります。でありますから、私もこの機会に、この問題を少し勉強しまして、これが合理的活用ということ、また、法律上に帰属権のあるものに対しては迅速に処理をする、こういう考え方で詰めてまいりたいというふうに考えます。
  34. 小酒井義男

    小酒井義男君 それをどういうふうに処理をしたらいいかという意見を私は持っておりません、おりませんが、世上いろいろな動きが伝えられてもおりますし、やはり国民の納得のする方法で処理をされるべきだと思いましたので御質問申し上げたのです。問題が問題ですから、私はこれだけで質問を終わります。
  35. 二宮文造

    二宮文造君 先ほど相澤委員が大臣に質問したのですが、同じことですが、国立高専の用地の問題ですが、先ほど相澤委員地方財政法の十二条に違反するのじゃないかというふうに申し上げた。ところが、それに対する大臣の答弁が、どうも地元が熱心だということを強調されて、大蔵省当局としては、その地財法に違反するのかどうかということに対する答弁がなかった。さらにまた、その後国会で非常に問題になりまして、いま盛んに等価交換の手続を進め中であると言う。作業をお進めになっておる限りにおいては、どうも違法性がくさいというふうに御了解になっておるのかどうか、この点をまずお伺いしたい。
  36. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 御質問の要点は、地方財政再建促進特別措置法の第二十四条の第二項、こういうことだと思います。
  37. 二宮文造

    二宮文造君 いや十二条です。地方財政法の十二条とあわせて………。
  38. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 税外負担の禁止またはこの促進特別措置法におきましては「当分の間、国に対し、寄附金、法律又は政令の規定に基かない負担金その他これらに類するものを支出してはならない。」、この二つの規定に違反するか、こういうことですが、これは違反しない、こういうことを明確に申し上げております、これは私のほうは強要をいたしておりませんから。そして強要いたすということよりも、まず私のほうは、こういう条件に適合する地域はないかというようなさがし方はしておらぬのです。たくさん要求はございますけれども、より高い立場から、国立高専はかくあるべし、また、こういうところへひとつ合理的に設置をしよう、こういう考え方で設置をきめておるわけであります。でありますから、その過程において期成同盟会がつくられたり、また、期成同盟会と府県市町村との間にいろいろな話がまとまって、まあ出そうじゃないか、こういうことがあっても、これは全く相手の意思というものを尊重しながらその好意を受けるという長い明治からの慣習に従っておるわけでございまして、いやしくも大蔵省や文部省が法律違反という考え方はございません。しかし、こういう法律条項が制定せられて、そして国会でも、しかし少なくとも身を正すべきだ、この法律の条文には抵触しなくとも、違法性はないが妥当性のないものに対してはもっと身を正すべきだ、こういうお考えに対しましては、より身を正そうという意味で、国有財産は当然使います。また国有財産、こういうところもございますから民間との間に早くひとつ等価交換を進めましょうとか、いろいろなことを短い間にばたばたとこれだけのものを進めてきておるわけでございますので、この条文がつくられた趣旨というもの、またつくられた当時の状況、また現在のこの条文に対する評価、また学校の敷地に対する歴史的な事情、こういうものを十分ひとつあわせて考えていただいて、できるだけ、高専ばかりではなく学校その他のものをつくる場合でも、国は、寄付金や土地を出すということを前提にして当然のことのように考えてはならないというふうに考えておりますので、まあ、そんなところでひとつ御理解賜われば幸いだと思います。
  39. 二宮文造

    二宮文造君 大臣の答弁を聞いておりますと、どうもわからなくなるのですが、明治以来の慣習だから寄付行為を受けた。ところが、その慣習というものは、やはり慣習に優先するのは法だと思うのです。しかも、これは厳然とここに「措置をしてはならない。」と、こうきめておるにもかかわらず、明治以来の歴史的な慣習だということでは、どうも納得ができませんし、そういうことがまた地方財政に対する負担の転嫁になっておると思うのです。先般も、税外負担の問題で、あるいはまた、近江鉄道の景色代の問題で違法じゃないか、こう質問をしますと、いや違法じゃない、妥当を欠くのだ。いまのような同じような答弁で、非常にあいまいなんですけれども、私が心配しますのは、もしも国が、法律できめておきながら、たとえば財政負担区分の問題にしても、基準単価とか、あるいはその基準費用だとか、そういうことで縛っていくために、実際に施設をつくっていく地方団体のほうにはしわ寄せがいっているわけです。それが逆な形で今度は住民の税外負担という形をとっているのが、これがいまの姿だと思うのです。それを何とか正さなければもうどうしようもないというのが、私たちの考え方なんです。たとえば高松の問題ですけれども、県と市と両方で約一億三千万円ですか、それぐらいの用地に対する負担をしております。市のほうは約五千万円くらい負担をしております。一方、用地のほうでそういう財政負担をしておきながら、今度は高校に対しては入学金を取るというふりな形、これは非常に国の財政方針があいまいだからこういうことになるのじゃないかと思うのですが、いま等価交換を進めておる、あるいはまた、今後こういうふうな措置はとらないということを確約できるかどうか、お伺いしておきたい。
  40. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 非常によくわかります。よくわかりますし、国もそういう考え方に立っておるわけであります。しかし、これは御承知のとおり、法律の規定は、地方公共団体がそういうものを出してはいかぬ、こういうことになっておりますが、地方公共団体はときどきいろいろなものをやります。これはやるだけの事情があってやっているのでしょうが、やっぱり国も地方公共団体も国民の税金を使うということでありますから、正さなければならぬということはけだし当然のことであります。でありますから、いま国有地を使用するとか、それから等価交換を進めるとか、未利用地を出すとか、こういう精一ぱいの努力をいたしております。ですから、国のほうは大体そういう考え方、あなたがいま御指摘になったような考え方でおりますが、国が、そうなりますとなかなかいいところがないから、今年度は三カ所だと、こう言いましても、なかなか、民主政治でございまして、とにかく五カ所、八カ所、十カ所やれと………
  41. 二宮文造

    二宮文造君 陳情政治。
  42. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 陳情というよりも、非常に声が大きいわけであります。でありますので、ついどうも三カ所を六カ所にしようかと、こうなってきますと、一面において、先ほど御指摘がございましたようにもしなければならぬし、他のいろんな問題もあって、ついこんなことになったのでして、これからもうそういうものは絶対いたしません、こう言えるかと言いますと、それは私はそういう姿勢です、基本的に。ところが、国民の皆さんのやはり意思というもの、これもやはり重要視して施策に反映しなければならぬ、こういうこともございますので、少なくとも文部省と大蔵省の間においては、土地があるとか、そういうことは絶対にやりたくない、私はやらない、こういうことであります。  ただ、その高専の問題だけがいま問題になっておりますが、いろんなものの誘致がございます。国民金融公庫のとにかく支所をつくれとか、役場がちょうどあいておりますから、これを提供いたしますとか、それから農林漁業金融公庫をどうしてくれとか、それから裁判所をどうだとか、いままで持っておった駅舎とか、そういうものの統合とか、それから貨物の集約、そういうものになりますと、いままでとにかく貸しておった土地を全部提供しますから、ここを何とかしてください——これは私たち少なくとも一般会計の中でそういうものは全くやりたくない、こういう考えであります。でありますが、国民各位との間においては、政府関係各機関との間に現に行なわれているところもありまして、こういう条文というものは地方自治体もやはり身を正して守る、こういう考え方でいてもらうことによって実があがるだろう、こういうふうに考えるわけであります。  特に私がいま困っておるのは、登記所の統合です。登記所をとにかく統合されちゃ困る、こういうことで、いろんなことを地元の方々が言ってきておる。こういうものをまたやるとたいへんだぞということで、私も非常に慎重にやっているわけでございますので、政府の、そういうひとつまじめな姿勢に対しては御理解を賜わりたいと、こう考えます。
  43. 二宮文造

    二宮文造君 るる大臣の御説明なんですが、もう一点、それは非常に地方団体も、また当局のほうも、政府のほうも、地財法の十二条に遠慮気がねをしているという事例を出したいと思います。と言いますのは、無償借り上げをいたしましたその地方公共団体と、その用地に対する契約がまだできてないと思うのです。契約書はかわされていないと思うのです。そうして、その市とか県とかはちゃんと県有財産として登記、記録はしてあるのですけれども、それを国に結びつけるものはまだないと思うのですが、こういう問題、それをひとつ教えていただきたい。
  44. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) それはどういう事例かわかりませんが、県や市が直接高校の敷地を提供しているということの例はないと思います。これは期成同盟会とか、そういう別な人格をつくりまして、それと市と条例をつくってやる、そうすると、国はその人からの申し出を、まあ受けざるを得ない、こういうようになっていると思うのですが、実際はまだそれがやりかけているところの土地は——明らかに何々県、何々市のものではないかという事例をきっと御指摘だと思いますが、事例があれば、ここはどうしているかということになれば、いや、それは国有地と交換します、それはいまこういう手続になっている、こういうことがお答えできると思います。
  45. 二宮文造

    二宮文造君 具体的に申します。高松の問題ですが、高松の市も県も、やはり国有財産との等価交換を望んでおります。ですから、現に、いまの大臣の答弁ですが、期成同盟会と国との契約もございません。それから県並びに市と国との無償借り上げの契約もまだできておりません。非常にあいまいな性格のままで今日まで推移しております。ただ、私がこの問題を取り上げましたのは、こういうふうに財政窮屈な地方公共団体が国の施設を誘致する。誘致することについては非常に熱心ですけれども、それがまた今度は一般の民生安定の部面の財政負担にしわ寄せが出ていって、税外負担の形をとる、これが好ましくないということを先ほどから申し上げているわけなんです。また、国の財政方針のやり方としても、こういうことは、現に会計検査がありましても、こう歴然とした証拠があっても、会計検査院の検査報告にはあらわれてこない。先般も私、院長に尋ねました。国が負担区分をはっきりしているにもかかわらず、実情に即した、三分の一なら三分の一の負担をしないで、そのために超過負担を来たす。この問題について会計検査院はどう考えるか、こう申しますと、それは政治の問題である、検査院の知るところではない、こういうことになりますと、事は会計検査院の法そのものにも反してくる。その存立の原則論になってくると思うのです。ですから、これはまあ事会計検査院に関する問題ですけれども、政府に対して、それの法を厳然と守っていくという形、これをくどいようですけれども、もう一度要望して私の質問を終わります。
  46. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 午後は二時から委員会を再開することにし、暫時休憩をいたします。    午後一時十一分休憩    ————・————    午後二時十二分開会
  47. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ただいまより決算委員会を再開いたします。  午前中に聴取いたしました派遣報告に関し審議を進めます。  質疑の通告がございますのでこれを許します。相澤君。
  48. 相澤重明

    相澤重明君 私ども北海道現地調査を行なった結果を午前中に報告したわけでありますが、きょう、関係各省庁の方々に御出席いただきましたのは、特に北海道石炭産業についてであります。これは北海道の事情を調査をしてまいりますというと、いまの石炭合理化政策を進めていって、現在、三十七年度末に、百二十二の炭鉱があったのですが、三十八年度末には、十九炭鉱減って百三の炭鉱になっておるわけです。そういう中で三井美唄の山は閉鎖されまして、非常に美唄市そのものは財政的にも困難な状況にあるわけです。そこで、石炭産業合理化政策を進めていく中で、産炭地振興について、自治大臣の地方財政に対するところの援助、あるいは通産省のこの石炭合理化政策を進める中に、これからどういうふうにやっていこうとするのか、こういう問題について、それぞれ御答弁をひとつ願いたいと思いますのは、私どもが美唄市の事情を聞きますというと、石炭合理化政策というものが非常によく進んで、むしろ進み過ぎたというくらいにいわれておるわけです。しかし、その進み過ぎたという中にも、政府が考えておるような出炭量あるいはまた炭価の見通し、こういうものが少し甘くなっていないかという考えをするわけです。したがって、合理化政策についても再検討の時期が来ておるのかどうかという点について、私は先ほど数字をあげて御報告申し上げたのでありますが、通産省側にひとつお尋ねをしたい。  それから自治大臣には、美唄市が、そういう閉山をした中でいわゆる保護世帯あるいは失業者ですね、こういうものが非常に多いので、地方財政が逼迫をしておる。したがって、こういう地方財政の困難な地域に対して、やはり自治省としては積極的なあたたかい手を差し伸べる必要があるのじゃないか。そういう中で関係各省庁と連絡をとって、午前中も田中大蔵大臣に私は要請をしたのですが、たとえば美唄の場合は、たばこ専売工場をひとつ誘致をしてくれぬか、こういう話がある。あるいは建設省に対して、国道をひとつつくってくれないかというような要請もある。あるいは国鉄、また防衛庁あるいは北海道開発局に対して、重車両工場をつくってはくれないかというような、それぞれ国なりあるいはそういう公共機関の援助というものを、企業誘致をしてくれないかというような点が多数、意見として出されておるわけです。したがって、そういう閉山に伴う地域社会の振興というものをどう考えているのかということもあわせてひとつお答えをいただきたいと思う。  それからその次に、石炭鉱業については、何といってもやはり日本のエネルギー源でありますから、これは重油の問題がどうあろうと、あるいは電力の問題がどういうふうになろうと、一応はやはり石炭鉱業というものをわれわれは保護しなければならぬと思うのです。そういう中で、たとえば北海道炭鉱を維持改善するといいますか、それを十分生かしていくために、輸送費というものが非常に大きなウエートを持っておる。幸いにして北海道開発局なり、あるいは北海道庁なり、いろいろな地域の人たちも政府の通産局と一緒になってこういう問題については積極的な研究をしてきたわけです。その中に、スラリー輸送がいま通産局としてはお考えになっておる。このスラリー輸送で私どもが説明を受けて聞くというと、現在の少なくとも輸送費等については半額になるのじゃないか、こういうデータを私どもに示してくれたわけです。そこまで通産局が積極的にいま取り組んでおる現状であるが、本省としては、こういう問題についてどうするのか。あるいは今年度そういうことでスラリー輸送を実現させる考えがあるのかないのかという点についても、ともにひとつ承っておきたいと思う。  こういう中で、もうすでに国鉄総裁等が、来年の国鉄運賃の問題についてもアドバルーンをあげておりますが、やはり現在の青函航路だけではなかなか輸送の要請にこたえることはむずかしいと私は思う。しかも、青函隊道は十年間もかかると、こういうわけです。こういうことを考えてくると、京浜間をお得意とするところの石炭の問題は、決して現状のままであってはならぬと思う。そういう意味ではスラリー輸送というものがきわめて重要な部面を担当するのではないかと、こう思うので、ひとつ自治大臣と通産政務次官、石炭局長から、それぞれお答えをいただきたいと思う。
  49. 村上春藏

    説明員(村上春藏君) ただいまの相澤先生のお尋ねにお答えをいたしたいと思いますが、石炭合理化されておるけれども予定の五千五百万トンになっていないじゃないかというようなお尋ねのようでございます。石炭鉱業合理化は、石炭合理化基本計画中心にいたしまして、昭和四十二年度目標年次として、その自立安定の達成を目ざして進んでいきたいと思います。  三十八年度においては、生産数量五千五百万トンの想定に対しまして、約三百万トン下回る五千二百万トン弱となっておりまするが、これは生産調整、また、三井三池の災害を加え整備が予想以上に進んだための一時的な現象として起こったものであります。今度は整備が漸減していくことに加えて、高能力炭鉱の造成が積極的に進められていくということでありますので、合理化計画目標である五千五百万トンの出炭規模の維持は可能と考えておるわけでございます。いま直ちに合理化基本計画を改正する必要はないのじゃないか、こういうぐあいに考えておる次第でございます。  それから、お尋ねの産炭地域の振興は、かけ声ばかりで進んでいないじゃないかというお尋ねでございまするが、産炭地域の振興につきましては、事実地元の関係者に多大の御努力をお願いしておる次第であります。政府といたしましても、産炭地域の振興臨時措置法並びに同法に基づいて産炭地域振興基本計画及び実施計画中心としまして、民間企業の誘致、政府関係工場の導入、あるいはまた、産業基盤整備促進にできるだけの努力をいたしたいと思っておる次第でございます。  産炭地域への民間企業の進出状況は、特に疲弊の著しい石炭産出地域だけで、昭和三十七年並びに三十八年の二年間で二百二十二件、設備投資規模は約四百五十億円に及んでおるようなわけでございまして、産炭地域立地条件も次第に見直されつつある段階であります。また、政府関係工場及び国の施設として、ただいまお話しのあった専売工場の下請、フィルター工場あるいは自衛隊の移駐とか、九州に御承知のように工業技術試験所の設置等がきまっておるようなわけでございます。政府関係工場の産炭地域への導入については、昨年来の検討の結果では、膨大な資金を必要として、業務の合理的運営に逆行することになりますために、政府が現在所有している工場、施設は著しく困難な状況にありまするが、可能なものがあれば今後とも移駐に努力していきたい、こういうぐあいに考えておるわけでございます。  なお、今回の石炭鉱業調査団意見を尊重いたしまして、企業誘致活動活発化はもとより、産業基盤整備、所要資金の調達の確保等に遺憾のないよう配慮してまいりたいと考えておる次第でございます。今後一そう産炭地域振興の実をあげていくよう政府といたしましても努力してまいりたい、こう考えておるわけでございます。  それから第三の石炭のスラリー輸送の問題でございますが、これはまことに重大な問題でございまして、石炭のスラリー輸送につきましては、産炭地域振興調査費によりまして、石狩炭田をモデルといたしまして、委託調査を三十七年、三十八年にわたって実施いたしました。その結果は、今年三月報告されておりますが、それによりますれば、石炭鉱業合理化に相当程度貢献し得るのではないかと期待される向きがあります。なお、技術的に検討すべき点が残されておりますので、当面はこれの解決に努力を傾けたいと、こう考えているわけでございます。  合理化の効果が具体的にどの程度になるかは、現段階ではなおはっきりしないのでありますが、効果の大きい画期的な事業なので、技術的な諸問題が解決の見込みになれば、関係業界とも実用化の方策について検討の上、積極的に前向きの姿勢をもって取り組んでいきたいと、こう考えております。特に、もうすでに御承知のとおりでございますが、現在の海上輸送費は、室蘭から運搬、輸送いたしますと、一トン当たりが千六百八十三円、苫小牧から運搬しますと千四百九十七円、こういうことになります。それで、現在の予想としましては、スラリー方式でやる場合にどうなるかといいますと、八百四十一円ということになります。苫小牧港湾がようやく整備いたしまして、これが相当効率をあげてまいりますと、大体室蘭と苫小牧が同じになったと、こう仮定いたしましたときに、いわゆる出港量が同じになる、こういうぐあいに考えますと、八百四十一円、平均いたしますと大体七百円ばかりスラリー輸送のほうが安くなる。でありますから、これは画期的なことでございます。ただ、技術的に非常に私ども心配いたしますのは、水と石炭、いわゆる粉炭と一緒に船に積み込む、そうすると、御案内のとおり、石炭が約七〇%下へ沈澱してしまう。上に三〇%の水が上のせになる。こうなってきますと、万一水と石炭——粉炭とが分離されますというと、船が傾斜する。そうすると一度に荷が片方に寄るので、非常な危険がございます。したがって、この面については、運輸省にも依頼いたしまして、十分にいわゆる検討いたしまして、そして先生のお説のとおりに、前向きでこれが実施に向かって進みたいと、こう考えております。
  50. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 相澤委員のお話しのように、石炭鉱業に対する保護の問題は、これは私、所管ではございませんが、同感でございます。国内資源であり、外貨を払うことを考えますならば、何とかして日本の石炭産業というものを保護して維持したいということは、私も念願をしているところでございます。そこで、そうはいいましても、コストが高くなりますというと、勢い重油その他に転換をせざるを得ませんから、いわゆる合理化というものが行なわれているのでございますが、その合理化が行き過ぎたかどうかという点を、目下石炭調査団でまた調査をされるようでございますから、私がいまここでとやかく申し上げかねるのでありますが、しかし、それによって生じた産炭地の問題、すなわち、失業者をどうするかという問題、あるいは生活保護世帯に対する処置をどうするかという問題は、北海道のみならず、九州におきましても大きな問題でございます。自治省といたしましては、これらの生活保護その他失業等の問題につきましては、特別交付税においてめんどうを見ております。また、今後とも続いて見るつもりでございます。さよう御了承いただきたいと思います。
  51. 相澤重明

    相澤重明君 両者から御答弁いただいたわけですが、北海道の地下資源埋蔵量は、全国の中でも四八%からになり、重要な宝庫を持っているわけですが、やはり何といっても北海道に対する十分なる政府の施策というものが望まれるわけです。北海道開発庁長官もお見えになりましたが、何といってもやはり地域的な条件というものが、内地から考えると非常に差があると私は思う。そういう面でこれは政府としても、やはり総体的な考えをもって手厚い保護をしなければいかぬと、こう私は思うわけです。そういう意味で、いまの石炭合理化政策についても、これはやはりできるだけ北海道石炭が日本の産業のために使われる、必要であるという認識をもって、しかも、それをできるだけコストが引き合うような形を講じてやるということは、国のやはり責任体制の問題だと思う。そういう意味で御答弁いただいたことを私も喜びます。  そこで、端的に通産次官にお尋ねしたいのですが、ことしは北海道通産局の考えておるスラリー輸送というものを実地に移すのかどうか、こういうのを本省ではどう考えておるのか、そのことをひとつここできちっとお尋ねしておきたいと思うのですが、どうですか。
  52. 村上春藏

    説明員(村上春藏君) ただいまのお尋ねでございまするが、先ほど私が申し上げたように、スラリー輸送に対しましては、なお技術的に相当な疑問がございます。結論においては、アメリカでもこれは成功しておるわけでございまして、ただアメリカの場合は、成功したのは産炭地から直接火力発電所にパイプラインを引いた、こういうことで、海上輸送というものがないわけであります。しかし、日本の場合は、スラリー輸送をやるという場合は、どうしても海上輸送というものがそこにはさまるわけです。この海上輸送に非常な疑義があるわけでございまして、これはなお来年度、四十年度一ぱいくらい十分な研究をいたしまして、そしてその方向に向かって、私は、相澤先生のお説のスラリー輸送というものがトン当たり七百円も安くなることでございますから、これは非常に大きな画期的な仕事でございます。これが技術的に可能とすれば、この面も私はぜひ推し進めていきたい、こう考えます。
  53. 相澤重明

    相澤重明君 それからいまのお話しで、スラリー輸送については、政府がやる意思があるということで私も了解いたします。  それからいま一つは、先ほどもお話ししましたが、合理化政策がわりあいに順調に、しかも、北海道の場合は、たいへん予想以上に進んだという反面に、労働力の不足がきているのであります。これは率直に申し上げますと、いまの、おそらくことしあたりは、生産トン数についても、見通しとしてはよいことになると思うのですが、三十四年度炭鉱労働者の数が七万四千八百六十五人おった。それが三十八年度には四万五千九人と、いわゆる合理化実施計画の四万九千二百四十人に比べて四千二百三十一人も、約一〇%も少なくなった。これはやはり労働力の不足というものは相当私どもは考えなければならぬ。きょうですから、閣議でも中高年齢層の雇用計画というようなものをお考えになったようでありますが、これに合わせて府政の考えを聞いておきたいと思う。合理化もけっこうだけれども、今度は、労働不足であっていわゆる目標に到達しないということであってはいかぬ。それから全体に労働力は不足なんでありますから、そういう点についても、中高年齢層のいわゆる雇用問題ということも非常に大事なことである。政府の施策を進める上に、特に北海道は比較的人口の伸びが少ない。そういう面からいってももっと積極的な考えがなければいかぬと思う。これは北海道開発庁長官からも、雇用問題を含んでともにお答えをいただきたい。
  54. 村上春藏

    説明員(村上春藏君) ただいまの相澤先生のお尋ねでございますが、労力の非常な払底ということは全国的な問題でございます。お説のように七万四千八百が四万五千に減ったということだけでないのでありまして、むしろ以前よりも出炭量は多くなったしどうして労働者が減って、なおかつ以前よりも出炭量が多いかということは、御承知のとおり非常に設備が近代化したということで補っておるわけであります。現在のところでは、この問題は、まあ一部の炭鉱には労力不足ということがございます。けれども、総体的に見ましては、機械化いたしました、近代化いたしましたために、これは十分補っておるわけであります。
  55. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 御指摘になりましたように、目標年次の計画をこえて労務者の数が減っているという状態はたいへん重要な問題と考えるべきだと思いますが、ただいま村上次官からもお答えになりましたように、合理化の面が相当に進みまして、出炭量としては十分な成果をあげているということでございます。北海道は全体としての経済開発といいますか、そういう場合の労力の見積もりというものが若干甘かったわけでございます。これは北海道だけでなくて他の方面でも、大都市を除くとそういう点が甘かった面が全国的にあるわけであります。そういう点は十分開発計画の面で再検討をいたしたいと思っております。しかし、具体的な石炭の問題について考えますと、一面において適切なる合理化が進んでいるということでもあるわけであります。しかし、必要な労働力が確保できないことがあってはたいへんであります。お説のように、その面の手当て等については十分に考慮をしてまいりたい。  中高年齢層の雇用の問題は、これは北海道だけでなくて一般的な問題でもございまするが、本日閣議で決定がございまして、具体的な職種を示しまして、そういう方面には進んで中高年齢層の採用をするようにということでございます。そういうことで若干労働力を要する方面には適切な供給ができるよう全般的な措置をしているわけでございます。北海道におきましても、その点は十分配慮をして力を入れていきたい、かように考えます。
  56. 相澤重明

    相澤重明君 それから、いわゆる合理化のために閉山をした山元にある中小商工業者はきわめて苦しい立場にありますね。これは自治大臣に聞いてもらいたいのだけれども、そういう地方では不動産担保の価値力というものはきわめて低下しているわけです。したがって、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫の産炭地中小企業特別融資取扱要綱では、これは非常に苦しくなっている。特別のやっぱりそういう施策を講じてやらぬ限りは私はいかぬと思う。だから現状のままではだんだん人が減っちゃう、よそへ行っちゃうのです。山がしまってしまうというともう商売が成り立たない。したがって、よその地に出て行ってしまう。これでは産炭地振興という政府が施策をとっても、実際に地域住民のためにはなっていない。そこで私は、そういう中小商工業者のために、不動産の担保の価値を失わないようにしてやる、いわゆる国がたとえば金を貸す場合にも、保証人だけで貸し付けができるような制度というものを特別に考えてやる必要があるのじゃないか。こういうことは少し政府が御研究になれば、そう私はむずかしいことではないと思うのです。あるいは産炭地振興事業団の融資の対象を、まあ鉱工業ということになっているのでありますが、そういうものをも、そういう産炭地振興のためには、いわゆる農業あるいは観光事業でもいいでしょう、とにかくその地域があまり困らない、すたれないようにやってやる必要があるのじゃないか。先ほど自治大臣は特別交付税等の面でできるだけの努力をしているというお話であったのでありますが、現実に行って見ると、いままで山があったためにどうにか生活をしておったところの商工業者が、なくなってしまうというと、売り掛け金はたくさんあるし、もうそれからの新しい購買力はなくなると、こういうことでもって地域におることができないということで、実は夜逃げのようにして行ってしまう。これではあまりにも国の政策のために犠牲になる住民がかわいそうではないか、こう私は思うのです。そういう問題でいま少しそういう点について、政府として前向きのことをお考えできるかどうか。これは石炭合理化ということになれば通産省の責任であるし、あるいはまた、産炭地振興事業団の融資の問題については、これはまあ北海道開発庁長官も、また通産省も自治省もお互いに考えていいじゃないか、国民金融公庫にしてしかり、中小企業金融公庫にしてしかりだと私は思うのです。こういう点についてはいかがでしょう。それぞれひとつお答えいただきたい。
  57. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 自治大臣、やりますか。
  58. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 相澤委員の御質問は、産炭地における中小企業金融なり窮状を訴えてのおことばで、私もあるいはそうであろうと思います。これらの中小企業につきましては、中小企業庁で産炭地の中小企業に対しての相当の処置を講じておられると思います。担保を、どうするこうするの問題は、これはなかなかめんどうだと思いますが……。  それからもう一つは、いつもこれは出る問題でむずかしい問題でありますが、やはり産炭地振興に適した仕事を早く誘致をして、そこの振興をはかるということがこれは先決だと思います。ところが、なかなか産炭地に適した仕事というものが見つからぬのでありまして、産炭地振興事業団も骨を折っておるようです。九州のほうではある程度成功しておるようでございますが、これらも北海道におきましてもさらに進んで手を伸ばしていくべきだと私は思っておりますが、自治省の所管でございませんので、私からお答えをするというわけにはまいりません。ただ自治省としては、そういう産炭地で疲弊をしておりまするところの自治団体の窮状に対しましては、先ほど申しましたように、生活保護の関係、あるいは失業事業等の問題等における処置は、できるだけ特別交付税でめんどうを見ていく、こういうことでございます。
  59. 村上春藏

    説明員(村上春藏君) 産炭地のいわゆる閉山したところの中小企業が非常に貧窮しておる、これに対する何か方法を考えておるかというお尋ねでございますが、従来から通産省といたしましては、中小企業庁を通じまして、そうしてこれらの中小企業に対しても、中小企業金融公庫を経まして、できるだけその救助の手を伸べておるわけであります。これは十分とは申せません。したがって、本年度におきましても、この融資のワクを拡大すべく努力いたしております。なお、それだけではとうてい私ども十分でないと思いますので、企業を起こす、できるだけ誘致するというように努力をいたしまして、少しでもこの閉山地区の産炭地域を繁栄に導くように、また、潤うようにという努力を続けてまいりたい、こう考えております。
  60. 相澤重明

    相澤重明君 せっかく大臣も御出席ですから……。そこで、開発庁長官と自治大臣、それから建設省の道路局に、産炭地振興の問題についてやる気をひとつ出してもらいたいと思うのですが、それはたとえば芦別−富良野以東の地域と札幌間の距離の短縮をはかるために、産業開発道路建設してはどうか、こういう問題が具体的に提案されておるわけです。そこで、現在まではまだ具体的にあまり調査はされておらないようでありますが、四十三キロほどの区間だそうでありますが、やる気になればそんなに金のかからない、せいぜい五十億か六十億だと私は思うのです。それが北海道のためにはどれくらい役に立つかわからぬ。しかも、まあそういう産業開発のためには非常に大きな益になると私は考えるので、こういう芦別−富良野間のいわゆる札幌に通ずる道路調査をして、そうして建設への方向をとってもらいたいと思うのですが、これについて長官並びに、ひとつ自治大臣も協力して、産炭地の問題ですからこれは通産省はもちろんでありますが、それから建設省の道路局としてはどう考えるか、お答えをいただきたいと思う。
  61. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 事前にちょっと内容を伺っておらなんだので、いきなりおっしゃって、具体的な問題でお答えいたしかねるのですが、御趣旨としては全く賛成でございまして、ぜひそういう問題は十分取り上げてやりたい。おっしゃった芦別のほうに一本道路をやる計画があるようでございまして、その問題とおっしゃるものが同じものであるか別のものであるか——同じものであるとすれば、計画中であると申し上げて差しつかえない。御趣旨のような方向でやるつもりでございます。
  62. 相澤重明

    相澤重明君 建設省はどうだね。
  63. 三橋信一

    説明員(三橋信一君) お答え申し上げます。ただいま増原長官から御答弁がございましたが、実はこの美唄から富良野へ参ります線、それと十文字に交わります芦別から三笠へ行く線につきまして、ただいま開発道路としてこれを着手しております。そこで、ただいまお示しの路線につきましては、まだ検討をすると申しますか、調査をまだしたことがございませんので、そういう調査を進めてみたいというふうには考えておりますが、この芦別から三笠へ参ります路線、これが同時に途中から大夕張のほうにつながっております。これでだいぶまだ残工事がございます。したがいまして、そこらを勘案しつつ、いまの北海道開発庁長官の御趣旨も体しまして調査を進めてまいりたいというふうに考えております。
  64. 相澤重明

    相澤重明君 端的に伺いますが、道路局としては、今年、いわゆる四十年度調査をするという意思があると、こう理解してよろしいですか。
  65. 三橋信一

    説明員(三橋信一君) 北海道道路事業につきましては、開発庁が開発計画の一環といたしましていろいろ調査をしておられまして、そのスクリーンを通しまして私ども北海道開発庁と相談しながら進めてまいりたいというふうに考えます。
  66. 相澤重明

    相澤重明君 だから私は、先ほど先に長官に聞いておるわけです。長官も、先日私どもが現地調査に行った前においでになってお帰りになった。私は奥深く入って行ったからそういう問題が出てきたわけです。やはり現地を見ると、いまのこの調査していないけれども、そういう計画がすでに国民経済研究協会の稲葉先生等が十分もう研究してやったほうがいいと、こういうふうになっておる。ですから、いま建設省は開発庁と協力をして、それでこれをやることは、札幌に対する、経済的にも非常に大きな問題を出すから、ぜひこれはひとつ四十年度調査をしてもらいたい、こういう地元の要望ですから、私はぜひこれをやってもらいたいと思うのですが、再度ひとつ長官にお答えをいただきたい。
  67. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) いまの次長のお答えで思い出したのですが、芦別から三笠、そうして都合によっては大夕張に行くという線を開発道路としていまやっておる。それと相澤先生のおっしゃるのは違うようですね、十文字になる……。これはここで来年度から調査にかかりますと明言はちょっといたしかねるまだ心持ちでございます。ひとつ御趣旨を体しまして研究をするというところできょうは御勘弁を願いたいのですが、方向としてはぜひやるようにいたしたい、こう考えます。
  68. 相澤重明

    相澤重明君 たいへん増原長官の誠意ある答弁で私も了承します。ぜひ実行に移るように希望しておきます。  それから自治大臣ね、生活保護費、あるいは失対事業費負担が地方自治体に対してきわめて大きいわけですね。ここ三カ年間のを私どもいろいろ調べてみると、現在は金額だけでも、失対事業費総額が、三十三年度には三千九百三十二万円であったものが、三十八年度決算額を見ると、一億一千十万円と実に三倍になっておるわけです。これは地方財政にとっては、小さい市にとってはきわめて大きい負担だと私は思うのです。ですから、こういう点について、やはり政府が少なくとも、全部持てと、こういうことがいいのだけれども、そうもなかなかいかぬでしょうが、少なくとも国が九割程度負担をしてやるというくらいの、ひとつ私は考えを自治省で持ってもらいたい。  それからいま一つは、山がなくなったために、いままで学校がありましたね、あるいは病院がある、そういうようなものが必要なくなってしまうわけだ。たとえば、私どもが美唄に行ったときに、今度新しい企業誘致をしてそれに使ってもらって五つの新しい企業が出てきておる。しかも、その五つの会社の企業の内容を見ると、ほとんどが炭鉱離職者を使ってくれているわけです。あるいはまた、その子供さんを使ってくれておるわけです。こういう点は非常に私はよくやってくれておると思うのですが、それだけ努力しておるのに、そういう学校とか病院とか、あるいは該当設備というようなものが、実際にはもういままで金をかけたものが必要なくなってしまうということになるから、それだけ市の負担になるわけです。こういう問題はこまかいようだけれども、産炭地振興という意味から私は十分国が考えてやっていいのではないかと、こう思うのです。  それから、これは本来はまあ厚生省なり、それぞれでやることでしょうが、国民健康保険会計がやはり非常によくない。ということは、離職者の集団加入によって、それだけふえるわけですから、こういうような問題も私はやはり政府が考えてやる必要があるのではないかというふうに思うわけです。ですから、市民税あるいは鉱産税、固定資産税、電気ガス税等の減収になった財源補てんというものは、これは地方自治団体だけにやらせたら、さっき言ったようにたいへんなことになってしまう。ですから、そういう点をひとつよくお調べになって、そうして国ができるだけの施策を講じてやるということは私は必要であろう、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  69. 西田信一

    西田信一君 ちょっと関連してついでに一緒にお尋ねしたいのですが、私も一緒に参った一人ですけれども、実は二万人からの離職者が出た、相当あちこち散らばっておりますが、先ほど相澤君申しましたように、わずかながら誘致した企業で働いておる人もあるわけです。しかしながら、まだまだたくさんの人が何百人という人が仕事の来ることを待っておるわけです。そこで、通産政務次官もおっしゃったように、なるべく国がしかるべき事業等の誘致にお骨折り願いたいのだが、町が誘致した事業、これはいろいろ国の世話にもなったでしょう。道の世話にもなったでしょう。しかし、これが誘致をするについて、市もなけなしの金を相当貸し付け金を出しているとか、あるいは土地を出すとか、あるいは建物を提供するということをやって、企業を誘致しているわけです。自治大臣にお聞きしたいのでございますが、そういうことで、一方においては市の収入は減る、一方においてはそういう誘致した企業に対する事業資金の貸し付けまでやって苦労しているわけです。こういうものが一体どういうふうに国の財政援助を受けられているのか。特別交付税のお話もありましたが、起債の対象になっているかと聞いてみると、起債の対象にはなっておらぬと言っておりました。いま五つばかりの企業ですが、とてもそれくらいでは焼け石に水ですから、もっともっと企業を国の力で呼んでいただくことはけっこうですが、町のほうでもそういう努力はすると思うのですが、そういう場合に、どうしても企業誘致をする場合に、市が一応事業資金を貸し付けなければならぬというような事情が将来も生ずるというような場合には、国のほうではどういう財政援助が考えられるのだろうか、あるいは起債なんかということが対象になるのかというようなこと、あるいはまた交付税、特別交付税でめんどうを見てやるのか、そういう点現地に行って見て、そんなに苦しんでいるのにその困っている町がまた事業資金まで貸し付けているという現状を見まして、ちょっと気の毒に思ってきたのですが、この点はいかがでしょうか。
  70. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 産炭地の窮状につきましては、お二人の委員のおことばを聞きましても相当深刻であろうと思います。お気の毒に思いますが、いま御指摘になりました住民税についての補てんなり、あるいは鉱産税の補てんというような問題は、地方交付税なり特別交付税等でめんどうをもちろん見ていかなければならぬと思っております。ただ、地元が誘致するために貸し付け金をやる、その貸し付け金のめんどうまでというのは、これはちょっとなかなかむずかしいだろうと思いますが、しかし、産炭地についての状況は、もう少し私どもも調査をいたしまして、できるだけの措置はとっていきたいと思います。
  71. 相澤重明

    相澤重明君 それから開発庁長官と関係省の方にまあこれをお尋ねするわけですが、特に北海道農業問題、まあ非常にたくさんの問題をかかえておるわけです。  そこで、通産省関係については、まあきょうのところではそれ以上深くというわけにもいかないと思いますからけっこうですが、輸送関係等は運輸省の関係といえども、やはり石炭関係は通産省関係でありますから、そういうことであとでよくお話を聞いてひとつ連絡をして、そしてよい結論を出してもらいたいと、こう思うのです。ですからそういう意味で御退席願ってもけっこうです。  まだ長官に、青函隧道ですね、青函トンネルをことしから斜坑を掘って進めておるわけです。しかし、鉄道建設公団のお話を聞きますというと、今後十年間かかる。十年間かかるというと、いまの北海道経済状態輸送状態から考えていくと、少し期間がかかり過ぎるのではないかという気がするわけです。もっと短縮する、あるいは資金を投入してそういう方向にいくものかどうか、これは北海道開発庁と、それから運輸省がやはり積極的な手を伸べないと、私はなかなかむずかしいのではないかと思うのです。  それから運輸省の監督局長には、同じ北海道のトンネルを掘って、本州——北海道が直通できることはたいへん喜びですし、必ず世紀の事業として喜ばれることだと私は思う。ところが、同じ掘るなら鉄道だけでなくて、鉄道と同時にこの自動車の輸送のことも考えてはどうか。ただ従来からいえば、排気ガス等の問題があって、この点はなかなか技術的に問題点はあろうと私は思う。思うけれども、せっかくの運輸省のいわゆる技術の進歩、この評価からいけば、私はそういうことも可能ではないか、こう思うのです。ですから青函隧道を抜いて鉄道輸送だけをお考えになっておるのか、あるいはそういう問題についても、将来はいまの斜坑がいわゆる本坑を掘る一つのテストですから、そういうものは電電公社に使われたり、あるいはいろんな使用の方法があろうと思うのですね。そういう有機的なものにするためにもお考え願うことがいいのではないか、こう思うのです。  それから、いま一つは、鉄道輸送の場合でも、これはどうなりますかわかりませんが、たとえば鉄道車両に自動車をそのまま乗せて輸送することができるのかできないのかというような問題も、同じ検討するんなら今日からそういう問題を検討していかなければ、でき上がってから追加をしていくことでは私はたいへんだと思う。そういうことで北海道開発についていま非常に大事な時期に来ておるし、北海道経済の転換期にも立つと、こう思うので長官並びに運輸省の鉄道監督局長からお答えいただきたいと、こう思う。
  72. 佐藤光夫

    説明員佐藤光夫君) 青函隧道につきましては、昭和二十一年ごろから現在まで地形測量、地質調査、海洋気象の調査等を実施いたしまして、地上より可能な調査を終了いたしておる次第でございますが、御承知のように、なお海底部断層の位置、性状、規模、それから火山岩の分布状態等地質構造の詳細が依然不明確でございまして、本隧道建設に際しましての施工法上の問題が未解決のまま残されておるわけでございます。したがいまして、これらの問題を一挙に解決するために、お話しにございましたように、昨年末から北海道側に斜坑を、また北海道から本州側に立て坑を試掘しまして、行く行くはこれら斜坑、立て坑より海底部に豆トンネルを掘さくしまして、海底部について調査研究するという、調査工事に現在取りかかっておる次第でございます。これらの試掘調査の結果を待ちまして本隧道の施工方法、工事費、工期が明らかになる次第でございますが、青函隧道は全長三十六キロ、そのうち海底部分が二十二キロという画期的な長大隧道でありまして、これを短期間建設することは、現在のトンネル技術では相当むずかしいことである。したがいまして、今後広く海外にも新しい知識と技術を求めて画期的な新工法を導入しなければならないと考えておるところでございます。お話しにございましたように、鉄道建設審議会等におきましても、すみやかにこの調査を終えてこの青函隧道の完遂をできるだけ早くするようにという御趣旨の御答申もいただいておるわけでございますが、いままで申し上げましたような状況でございますので、現時点で調査期間を含めて今後約十年間の工期を要するということは、現在といたしましてもまだ相当不確定な要素があるわけでございまして、やはり最小限、相当いい条件でも現在考えられておる状態ではこの程度かかるのではないかというふうに見られておる次第でございます。  なお、建設いたします場合に自動車等の問題でございますが、お話しにもございましたように、これは排気の問題等ございまして、現在考えられている考え方といたしましては、車両に簡単に自動車を積み込めるようなことを考えて、自動車を鉄道に乗せて走らせることを考えたらどうかというようなことを中心にして、現在内容としては検討をいたしておる次第でございます。
  73. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) いまのお答えで御了解を願ったと思いまするが、開発庁の立場といたしましては、これは運輸省にお願いをして大いにひとつ促進をしてやっていただきたい、相澤さんの仰せられるのと同じ立場でございます。せんだって私も吉岡へ行ってみまして現地の技術者から話を承りますると、いま調査坑を吉岡から掘って、せんだって竜飛のほうからも立て坑を掘るように起工式が行なわれたわけでございます。非常に順調に北海道側は掘り進んでおるようでございまして、いま局長説明をされましたように、斜めに入っておる断層の分布、火山岩の分布、特に火山岩がどの程度に水を通すかということがやはり具体的にわからないといけないそうでございますが、一応推定するところではきわめて順調にいくのだろう、それでもやはり十年くらいはかかるのじゃないかというお話を承り、私はいままで聞いておったところと現地で見て説明を受けたところと、たいへん明るいいいお話を聞いて喜んだわけでございます。調査坑といっても、これは本坑を掘る場合に絶対に必要な補助手段になると申しまするか、でき上がったあともたいへん有用な活用手段になると申しまするか、これは私は本トンネルに着手をしたものだというふうに解釈をして帰ってきて、たいへん喜んでおるわけでございます。大体の見通しは、あそこで特別な技術的な困難が起きそうでないと思うのでありまして、十年たてばこれはでき上がる、その間に輸送量の増高でたいへん困ることになりはしないかという御心配は、開発庁として特別にいたしておるわけでございます。現在までの調査するところでは、その間の運輸省の連絡船の大型化、優秀化によりまして、やはり大体においてカバーはしていけるのではないかというふうに一応考えておるわけでございます。  自動車をそのまま走らせるという問題も、いま局長から答えられたような方向で研究がされておるようであり、私どもの知識をもってしても、現在ではそういうことではあるまいか、現実にあそこを自動車が走るということは、三十何キロのトンネルとしてはたいへんな換気装置にばく大な金が要ることで、いまのところまだ実行不可能ではないかと思うのであります。要するに、このトンネルがなるべくすみやかに運輸省の努力で技術的な問題を克服をして完成をされるように、その間の輸送力の増高に対処する部分も適切な優秀船の建造によってカバーをしていただくように期待をいたしておる次第であります。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 次に、いまの青函トンネルを抜くために地元の福島町は非常に努力しているわけですね。一万三千坪からになる土地を町が買い取って道から金を借りて、そうして鉄道建設公団の職員の住宅、あるいは事務所等に対する、あるいはまた河川のつけかえ等を実ははかっておる、そのための予算というものも、これは小さい町から見ればばく大なものなんです。でありますから、これは運輸省としては、建設公団として支払える限度というものもあろうと思うのですが、できるだけこれはひとつ北海道庁あるいは開発庁等と相談をして、やはり小さい町にあまり苦労をかけないで将来発展するような道をできるだけ講じてやってもらいたい。私は出し得るものはできるだけ出してやるというふうに運輸省としては考えてもらいたいと思う。  それから開発庁としては、せっかくそういうふうに地元の福島町がよくやっておるわけでありますから、農林省と相談をされて、そして漁港整備を、いわゆる福島町にある第三種福島港、第二種吉岡港、こういうものについて早急にひとつ態勢づくりをしてやってほしいと思うのです。  いま一つは、建設省もおりますが、いわゆる二級国道の改良工事、これは本庁市街地改良工事ということで相当道路を改良すれば、この地域発展というものは予想されるわけです。したがって、福島峠の改良工事とあわせて、この点について、函館から福島に通ずる道路のひとつ施策を進めてもらいたい、こう思うわけです。ですから、福島町がこの青函トンネルの通る一番のどっ首に指定をされたということは喜ぶことであるけれども、同時にそれだけ町が苦労しているんですから、国も関係省庁がそういうふうに協力をして、ひとつぜひこの地域の人たちの御苦労を私は見てやってほしい、こういうふうに思うわけでありますが、それぞれひとつ関係者からお答えをいただきたいと思うわけです。
  75. 佐藤光夫

    説明員佐藤光夫君) 青函トンネル工事実施に伴いまして、日本鉄道建設公団の職員並びに労務者用の宿舎用地をはじめ、土捨て場、坑口敷地、坑外設備用地、車庫、事務所用地等の土地が当然必要となってまいります。御承知のように、福島町におきまして日本鉄道建設公団は三十九年四月から調査斜坑の掘さく工事に着手いたしまして、現在百メートル程度掘り進んでおるわけでございますが、工事のために、必要な土地として約九千八百坪ということを見込んでおります。現在公団が使用しております土地が約七千六百坪でございまして、このうち千百坪は公団が用地を買収いたしましたが、残余の土地につきましては、いまお話がございましたように地方から、ごあっせんを願ったものでございまして、これは近く相当の単価を定めて町当局と正式に借り上げ契約を定めて借り上げをしたいというふうに考えておる次第でございます。
  76. 三橋信一

    説明員(三橋信一君) ただいまお示しの函館から、福島までまいります二級国道でございますが、これは相当重要な路線でございますので、お説のように促進してまいりたいと思います。
  77. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 地元になるべく無理な負担のかからないようにといういまの思いやりのあるおことばをいただいて、ありがとうございます。運輸省からお答のように、必要なものは、できるものは公団のほうで支払いをしてもらうように私からもお願いをするつもりでございます。道路のほうは、いま次長からお答えをいただいたように、これを整備をやっていただく。漁港は、仰せになりました福島も吉岡も予算を出しまして整備をいたします。
  78. 和田正明

    説明員(和田正明君) ただいまお尋ねのございました吉岡漁港及び福島漁港は、それぞれ三十八年度から昭和四十五年度までの漁港の第三次整備計画というものを定めたのでございますが、この計画の中へ取り入れまして、昭和三十八年から着工いたしておりますが、今後その事業の施行につきましてはいっそう努力をいたします。
  79. 相澤重明

    相澤重明君 いや、計画が少し長いんだよ。私の言っているのは、せっかくそういうふうに地元で国の事業として正規の事業をやるのに協力をしてくれているんだから、せめてその計画を縮めて早く整備をしてやれと、これを言っているんです。長官が答弁しているのは、できるだけそういうふうにということですが、農林省のほうではそういうふうな計画を縮めるということはできないというのかな、いまの答弁は。それでは地元の人たちの要望に、せっかく協力してくれるのに、政府が前向きの姿勢で答えたということにならぬわけです。その点をいま一度お答え願いたい。
  80. 和田正明

    説明員(和田正明君) 私が申し上げましたのは、第三次漁港整備計画の中に二港が入っているということを申し上げたわけでございますが、ただいま御指摘のように四十五年まで別にかかりませんでも、先生の御指摘のように地元に呼びかけまして、極力早く実施をいたしまして、今後予算折衝に努力いたします。
  81. 相澤重明

    相澤重明君 たいへんけっこうです。  その次に、先ほど通産次官から苫小牧港におけるスラリー輸送の問題を聞いたわけですが、北海道苫小牧港というものは、北海道にとっては全くのかけがえのない港であります。ここに地元の西田先生がおいでになります、その開発者でもあるわけですが、私はこの苫小牧港の調査をさしていただいて、非常に前途洋々たるものがある、しかも、すでに石炭埠頭あるいは雑貨埠頭等も非常に進んでおるわけです。これから工業港として進めるためには、さらに掘さくを進めていくというような市の将来計画についてもお話を聞きまして、たいへんいいと思った。しかし問題は、せっかくの良港も、最も経費を節減できて、しかもすみやかな輸送計画が立つというのには、そうした港にとって、かけがえのないやはり鉄道ということを忘れてはならないと思うのです。そこで、現在までの国鉄の計画及び私鉄の一部の問題はありますけれども、やはり従来から考えてみると、この際一段とひとつ積極的な施策としては臨港鉄道というようなものを考える必要があるのではないか。これはすでに千葉なり、あるいは川崎において臨港鉄道実施済みであります。したがって運輸省なり、あるいは国鉄なり、市なり、工業関係者なり、そういうところにあっせんをしてやるのが北海道開発庁ではないかと私は思うのです。ですから、開発庁長官がこの苫小牧港の前途を考えた場合に、早急にそういう関係者を集めて、そうしてできるならばこの臨港鉄道というようなものをひとつ推し進めることが、ほんとうに北海道の最も有機的な連絡をとることにもなるし、発達をするだろうと、こう私は考えるんですが、開発庁長官としてそういう私の申し上げたようなことができるかどうか、お考え願えるかどうか、この点については担当の関係の西田先生がおりますから御発言もあろうと思いますから、私としてはぜひそういう点をやってほしいと、こう思うのですがどうですか。
  82. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 苫小牧臨港線は、いま竣工をしておる石炭埠頭に対する臨港線は、三十八年竣工の石炭埠頭臨港線があるわけでございます。今後雑貨埠頭と、さらに増設をされる石炭埠頭臨港線を延ばしていくという問題がある。これはもう相澤先生のおっしゃるとおりで、開発庁としても何と申しまするか、大いにあっせんをいたしまして、臨港線をしっかりやる。その前にも来年度からは工業港掘さくというのに取りかかるという大きな問題がある。これはぜひ予算を組みまして工業港の掘さくにかかる。全体としての計画的な産業誘致の実施ができますように開発庁としてもいま努力をしていくつもりでありまするし、また現在道がこれに関与する形が何と申しますか、不十分であると思いますので、道にも適当な関与のしかたをしてもらうということで、これを計画どおりりっぱに開発してまいりたい、かように思います。
  83. 相澤重明

    相澤重明君 それから時間のない関係でできるだけはしょりますが、先ほど漁港の問題で水産庁の御答弁をいただいたのですが、長官、北海道には苫小牧釧路港のようによい港がある半面に、たくさんの港が三十からあるわけです。ところが漁港整備というものが比較的長過ぎる。さっきの説明にもあったように、そのために非常に整備がおくれておって、五年十年というような長年月では、実際計画当時とでき上がったときは全く違ってしまう。こういうことであっては北海道開発にならぬと私は思う。そこで漁港整備についてもひとつもっと短日月のうちにできるように、むだのないように進めてもらいたいと私は思う。そういうことをどういうふうにお考えになっておるか。  それからいま一つは、北海道直轄河川というものを見て参りましたところが、ほとんど堤防というものは整備されていないのですね、あるいは護岸というものは。まだまだ北海道直轄河川開発すれば、多目的ダムをたとえばつくるとするならば、私はこんなに産業開発のために役に立つものはないだろうと思う。こういう点についてもひとつ開発庁としてどうお考えになっているか、お尋ねしておきたい。  それから農林省の問題に入るわけでありますが、先日長官も北海道の現地へおいでになったのだが、何といっても北海道農業関係としては、米作の問題とビートの問題あるいは大豆等の問題を度外視するわけにいかないと私は思う。酪農関係と合わした北海道農業というものを考えていくと、たとえば酪農振興を取り上げても、いまのような草地計画が不十分であっては、やはり実際の北海道農業に対するところのてこ入れにならぬ。ですから、それを個人の力で草地を開拓しろといってもこれは私は無理だと思う。長官もお帰りになって、あるいは現地においても新聞記者会見等でお話しになっているようでありますが、私はやはり長官の構想を聞いて、ぜひこれはひとつ公共なり国なりで草地の開発を行なうべきであるというように承っておるのでありますが、もし長官がそういうふうにお考えになっておったらそれを実現してもらいたい。これはとても個人でいまの酪農振興のための草地開発をしろといってもできない。こういうふうに考えるのでありますが、農林省と開発庁ともにひとつお答えをいただきたい。
  84. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 漁港整備が数が多くてほうぼうちょびちょびと長くかかっておるというお話は、まことに痛いごもっともな御指摘でございまして、私も行ってその実情を聞いて参りまして、たいへん残念に思っております。これはまあ予算をひとつしっかりもらって、短時日のうちに整備をするということに努力をしたいと思いますが、全般的に取りかかっているものを全部短時日にやるということはなかなか予算がもらえることも期待のできがたいところがありまして、これは場合によってはむずかしいところですが、重点的な整備を短時日にやってしまう。全体としては場合によっては少々かかるのがおくれるところもあるという考え方でないとむずかしいのではないか。一つには予算をよけいもらう、もらった予算重点的に配分をして早く仕上げてしまう。いつまでもだらだらと長くかかっておるのが一番いかぬのじゃないか。そういう気持でこれはやりたいと思います。  直轄河川がほとんど堤防のないようなところが多いとおっしゃることはそのとおりでございます。これも今度の治水新五カ年計画とはずを合わせまして、何と申しても北海道開発が全般的におくれておるのですから、ひとつ割り前を少しよけいにちょうだいをして、皆さんのお力をいただいて、この直轄河川整備は少しピッチを上げてやるようにしたい、かように考えます。北海道農業の問題で、いろいろ重点を置き、また開発の見込みのあるものがありますが、特に酪農、その場合の草地の開発は御指摘のとおりでございます。これはいままでもいろいろやっておりますが、もうちょっと大規模のものをまあ国営でひとつやってもらおう、国営そのものずばりでいきますか、公団営というふうな国営の形になりますか、とにかく私どもとしては国営という形で大規模の千町歩以上まとまった草地を開拓をするということをひとつやってみたい。来年度は二つはそうした大規模の草地の開発を国営というたてまえでとりかかりたいというふうなつもりで努力をいたしておる次第でございます。
  85. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 酪農振興の基盤になります草地の開発が非常に重要な問題でありますことは御指摘のとおりでございまして、従来農林省としましては、草地の造成改良については農林漁業金融公庫の融資によります個人あるいは共同による草地改良の事業のほかに、国の助成事業として市町村営あるいは都道府県営の事業について助成を行なつて進めてまいってきたのでございますが、御指摘のように相当大規模の草地改良につきましては、これは国の責任において開発を進めるということの必要性を痛感をいたしてまいりましたので、私どもとしては、でき得れば四十年度から国営による草地開発の方式を創設をいたしたい。また国営直轄の事業のほかに、農地開発機械公団の組織がえを行ないまして、公団営によります共同利用模範牧場の建設をいたしまして、それを都道府県を通じて地元に譲渡するといいますか、簡単に申せば建て売り牧場式の方式も考えてみたい。また子牛の育成が酪農家の経営の負担になっておりますので、公団営による直営育成牧場の建設運営というようなことも考えてまいりたいということで、目下それらの予算化のために検討を進めておるところでございます。
  86. 相澤重明

    相澤重明君 それから政務次官がおりますが、酪農振興について、どうビートの生産等の結びつきを考えておるか。これは北海道は非常に乳牛がふえてきております。この十年間には約三倍、六十一万頭にもなっておるわけですから、そこで先ほどの草地の問題を前向きでやっていただくというお答えがあったのですが、それと関連して、やはり北海道農業にとってのビートの問題これは無視するわけにはまいらない。そのビートと畜産との結びつきをどうお考えになっておるかということをひとつお尋ねしたいと思います。基本的にビートの生産振興対策をどうするか、これはいわゆる国立農場あるいは北海道庁の農場、これも私どもも見せてもらいまして、北海道の農場を見せてもらって、非常に場長初め若手の博士グループが熱心にこの農業のために献身をされておることをまのあたり見まして、たいへん私どもは感謝をしておるわけです。しかし現実にはビートの栽培面積というものをどういうふうにこれからやろうとするのか、現在なぜビートの栽培面積は伸びないのか、そういう理由というのはどこにあるのか。それからいま一つは、てん菜の最低価格の問題がやはり非常に大事なことだと私は思うわけです。すでに今年も農林省に対しては強い要請が行なわれておったと思うのでありますが、こういう生産者価格の決定方式をどうするのか。それから三十九年生産者価格算定の考え方をひとつ具体的に明らかにしてもらいたいというふうに私どもは思うわけです。したがって、第一は酪農の方向について農林省としてはどういうふうにお考えになっておるのか、それからビート栽培と酪農との結びつきはどうか、それからビートの生産をこれから振興するのにどう必要な道をとろうとするのか、それから価格はどうするのかという点についてお答えをいただきたいと思います。
  87. 谷口慶吉

    説明員谷口慶吉君) 相澤先生のお尋ねのことにつきましては、本省から畜産局長、園芸局長を帯同申し上げておりまするので、それぞれ所管の局長をしてお答えいたしたいと思います。
  88. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) お尋ねのございました酪農振興の今後の方向の問題でございますが、私どもとしましては、今日まで日本の酪農もいろいろな難点を克服しつつ発展をしてまいりましたが、今日、日本の経済が高度成長を遂げつつあり、また外は開放経済体制への接近、移行の問題がございます。また、農業の内部におきましても労働事情等構造の変化が起こっておるのでございまして、その中で私どもは増大する国内の牛乳、乳製品の需要に対応いたしまして、国内の資源をできる限り活用いたして国内の需要に対する自給の体制を確立してまいるという方向でものを考えてまいりたいということでございまして、そのためには酪農経営の安定的な発展が必要でございますから、先ほど御指摘のございましたまず畜産の生産基盤であります草地の改良造成に重点を置いて進めてまいる、また、日本の酪農ないし乳業の現状から見まして、生産、処理、加工、流通の各方面の合理化というものを進めて国際競争力の培養をはかるということを考えてまいりたいわけであります。また、将来の国内需要伸びは、おそらくといいますか、現実にそういう方向をとっているのでございますが、飲用乳の需要の増大ということが予測されますので、長期的には飲用乳の需要に対する完全な供給体制をとるということを目途に施策を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。大体の方向はそういう考え方でおるのでございますが、第二点のビートの生産と酪農の問題でございますが、ビートにつきましては、園芸局長からお話があるかと思いますが、私どもの立場から考えましても、ビートの生産を上げていくということのためには相当地力の増進を必要とするわけでありまして、そのためには堆廐肥その他の有機物の投入等、他の肥料とともに必要であるということから、そういう面からも酪農ないし他の畜産との結びつきということが必要である、また、ビートの生産に伴いますビートのトップ——茎葉あるいはビート・パルプというものは畜産飼料として非常に利用価値の高いものでございますから、従来もビート生産と酪農の生産とを結びつけて指導をしてまいったのでございますが、営農の実際問題としてはビート生産におきます労働のピークの問題と畜産経営におきます労働事情とが衝突をするという面がございますので、今後ビートの生産におきます機械の導入等による省力化、それから酪農等畜産におきましても飼養の省力化ということで、双方の問題の解決によって、現在までとってまいりました指導の方向をさらに効果的に進めてまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  89. 酒折武弘

    説明員(酒折武弘君) 最近ビートの生産がやや停滞ぎみでございますことは御指摘のとおりでございます。これの原因でございますけれども、いろいろございますが、われわれおもなる原因として考えておりますことは、まず反収が他の作物に比べて低い、その結果非常に魅力的でなくなってきておる。反収と申しますのは反当収量でございますが、要するに反当たり生産量が少ないということでございます。それから労働集約的な作物でありますが、それに対応いたしまして栽培の機械化が進んでおらないということ、それから従来栽培せられておるところが、よいところが水田になっていく、そこでだんだんよいところからビートの栽培は悪いところへ移っていくというふうな問題もございます。それから基本的には土地改良とか土壌改良とかいう基盤の整備が進んでおらないというふうないろいろな理由がございまして、最近の情勢は思わしくないというわけであります。そこで現在におきますわれわれの対策といたしましては、何はともあれまず反当収量を増大して魅力のある作物にする、それから労働の省力化をはかって農家にとって取り入れやすい作物にする、そういう点に力を入れていきたいということで、そういうことで予算面におきまして土地基盤の整備はもちろんのこと、さらに機械化の促進、土壌の改良、そういった面に力を入れまして生産性を向上し、それを基幹といたしまして生産の増大をはかっていく、そういうふうに考えております。
  90. 相澤重明

    相澤重明君 それから酪農振興の話が畜産局長からありましたが、これについてはやはりいま一つの問題点は、北海道がきわめて時期に左右される。春夏秋冬の時期が思うように使えない。いわゆる冬期は役に立たぬ。したがって道路がまず整備されなければ、実際はせっかく乳牛を飼って乳をしぼっても、その乳を捨てなければいけない。こういうことまで出てくるという話を聞いておるわけです。これは道路の問題についてはやはり道路の問題や農道の問題も関連をしてくると思う。国道というのは、一級国道はわりあいによく整備されておるけれども、そういう具体的に農家のところに乳集めに行く道路というものはきわめて悪い。ですから実際に冬の時期になると乳は捨てなければいけないというような問題が出てくる。こういう点について道路関係の整備というものは一体農林省は関係の個所と話をして、どういうふうにこれから進めようとするのか、こういう点をまず私はお聞きをしておきたいと思う。  それから価格の問題を先ほど落とされてしまったんですが、このビートの価格についてパリテイ方式を採用するということが心要ではないか、いわゆる大臣勧告価格をどのように参酌をして、ことしの価格というもの、取引価格というものをきめようとするのか、私どもは少なくとも参議院の附帯決議をいうものを政府が十分参考にされて、そしてその附帯決議を尊重して、その方向に沿った価格というものをきめてやるべきじゃないか。これが農民に対する、先ほど園芸局長はビートの生産があまり伸びていないということをみずからお話しになっておりますが、そういうところにやっぱり大きい影響があるわけです。そういう点をどうお考えになっておるのかということをお尋ねしておきたい。  それからもう最後の時間ですから、農地局長に。いまの土地改良なりあるいは土地造成の問題について、北海道としても非常に広範囲の問題でありますから、どういうふうにやろうとしておるのか。それから米作の問題について、食糧庁長官もおりますが、ことしの——ことしのですよ。ことしの全般の国の米作の方向というものはどう見ておられるのか。その中で北海道が持つ位置づけですね、北海道生産というものはどういうふうになっておるか。従来は北海道だけでもなかなか自給が不十分でありますが、最近はむしろ北海道は米を内地に送ることができるようになってきたというふうに私どもは聞いておるわけです。ですから、これをさらに農地を多くして、そして米作をふやしていくお考えなのかどうか。これは農林省として、いまの草地造成あるいは酪農振興対策、ビートの生産等との関係がありますから、そういう点を食糧庁長官とそれから農地局長にひとつお尋ねをしておきたいと思うのです。で、さらに北海道のそういう食糧事情というものの中で重点政策をやはり進めなければ、最終的に——先ほどの増原長官のように、どれもこれもみなおくれてしまうのではないか、どれもこれもみないいものはないではないかというふうになるので、重点政策は一体農林省は何を北海道について取り上げていくのかということをお答え願って、私の質問を終わりたいと思います。
  91. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 最初に農道に関してお話がありました。農道につきましては、いま御指摘のとおり、これは主として耕作のための道路として考えられておるわけでございますが、いまお話しのとおり、それは同時に搬出の役に立つわけです。それで農道というものは、あるいは搬出道路というものは開拓事業——北海道には開拓事業が非常に多いわけでございますが、開拓事業で開拓道路ができておりますほかに、耕地におきまして農道を整備する必要がある。これはあえて北海道だけでなくて全国的にあるという立場に立ちまして、昨年以来農道の拡充ということを政策の大きな柱といたしまして、昨年度も農道の補助率の引き上げ等を行なったわけであります。しかしそれではまだ不十分でございまするので、幅員が大きく、かつ延長の非常に長い道路につきましては、新しく基幹農道という考え方を取り入れまして、明年度から幅員、舗装、延長という角度から、基幹農道というものの充実をはかりたいという新規な姿勢をいま用意いたしておる次第でございます。なお、それが道路法の道路等につながります場合の問題が御指摘のとおりあるわけでございます。これにつきまては、現在各地の経済調査をやっておりますので、この調査の結果を待ちまして、建設省にお願いすべきものは農林省としても積極的にお願いをしてまいる、こういう姿勢で前進してまいりたい、かように現在考えており、その線で進めております。  それから北海道におきます土地改良のあり方の問題でございまするが、先生御承知のとおり、北海道には第二期北海道総合開発計画というのがございます。ここで各方面から問題を詰めまして、生産基盤あるいは先ほど来のお話の運輸、港湾を含めまして、一つの体系を持った御計画がございまするので、私どもはその御計画を尊重しつつ仕事を進めておる次第でございます。考え方といたしまして、北海道の米作に問題は確かにあろうと存じます。私どもも同じ米作といいましても、生産性の立場から北海道の米作に若干の疑問を持ちまして、数年前からいろいろと私どもの意見北海道関係者に申し上げておるわけでございますが、何ぶん米価というものが相当高水準にある、かつ安定作物である、北海道の作が非常に技術の発達の結果安定いたしてまいっております。それからただいまお話に出ておりましたビートあるいは酪農につきましてもなかなかいろいろの問題がある。したがいまして、北海道の農家の方々は田への希望というものが相当強いわけであります。考え方といたしましては、新しく末墾地を切り開いて田をつくるという考え方は相当押え込んでおるようでございます、この計画でも。しかし、畑から田への計画というものはやはり相当この総合開発計画においても織り込まれておるようであります。私どもといたしましては、この総合開発計画が各方面の審議の結果でございますので、これを一応尊重しつつ、ビート、酪農の振興がそういう水田への指向を経済ベースでかえていってもらうという形になるならば、一番理想的ではないか、かように考えておりますが、一応結論的には、北海道総合開発計画の線に沿って仕事を進めておる次第でございます。以上でございます。
  92. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) ビートの価格についての御質問でございますので、それにつきましてまずお答えいたしたいと思います。先生御指摘のとおり、ビートの価格につきましては、先国会において、北海道におきまするビート農業経営、及びビート農家の所得の安定と、砂糖類の国内自給度向上ということを目的といたしました甘味資源特別措置法いとうものが成立いたしたわけでございます。これに基づきまして価格をきめるというのが現在のたてまえになっております。最低価格については、いまお話の中にもありましたとおり、パリティ価格を基準といたしまして、それに生産費なり、他の競合農作物の粗収入の均衡ということに十分考慮を払ってきめるというたてまえをとっております。その際、勧告価格というものをどのように参酌したらいいのかという御指摘があったわけでございますが、甘味資源特別措置法におきましては、政府が農業経営の維持、あるいは甘味作物の再生産確保という意味におきまして、最低価格の決定をいたしておりますけれども、取引の形は自由でございますので、むしろ農業団体あるいは製糖企業との間におきまして支払い能力等、あるいは市場の糖価等も考え合わせて業者の間において取引価格をきめさせる、こういうシステムになっておるわけでございます。昨年度の決定価格の経緯を簡単に申し上げますと、たとえば三十九年まきのビートにつきましては、取引価格としては六千八百円というふうになったわけでございます。それに対しまして、最低価格は六千四百五十円というふうにきめたわけでございますが、パリティ価格による計算でありますると六千三百円。それから生産費でありますと、六千二百七十三円、それから競合農作物でありまするバレイショで計算いたしますると、六千三百円ないし四百円、こういうような数字になりましたので、いまお話がありましたように取引価格も参酌すべきではないかというような御要望もありまして、生産費、パリティ価格のほかに取引価格というものを参酌して六千四百五十円というふうにきめたわけでございます。来年度まくビートにつきましても、われわれといたしましては同様な考え方でまいりたいというふうに思っておりますが、先生御承知のように、生産者団体の多少懸念している問題は、最近におきまする糖価が著しく変動してきている、そういう市価の反映というものが生産者価格にいろいろの影響を及ぼすのではないだろうか、こういうふうな御懸念じゃないかというふうにも思われるわけであります。われわれも実は率直に申しまして、この問題は十分検討すべき問題であるというふうに考えておりますけれども、まあいずれにいたしましても、甘味資源特別措置法ができましたので、生産者に対しては十分安心がいくような価格にいたしたい、こういうことで考えておるわけでございます。  それから第二点の北海道に対する米作あるいは米の供給力についてはどのように考えておるのか、こういう御質問でございますが、確かに北海道におきまする最近の生産量の伸びは、全国の平均の伸びに比べてみますと相当著しいものがありまして、その結果といたしまして、また全国の政府の年々の買い入れ量の増加率に比べまして、北海道の買い入れ量というものは非常に伸びておるわけでございます。そういう意味から全体の食管の需給につきまして北海道の米の供給力というものが大きく寄与していることはお話のとおりであります。ことに北海道産の買い入れ量の増加に伴いまして、県外搬出数量というものについても、大体一割ぐらいを占めているわけでありますので、この面からも北海道の米の供給力については、現在の需給状況のもとにおきましては非常な大きな寄与をしておるわけであります。ただ、今後それではどのように伸ばしていくべきかという点につきましては、先ほど農地局長から答弁したように、われわれも考えておりますが、ただ北海道におきまする食糧庁の立場から言いますと、量のほかにだんだん消費者の嗜好も変わってまいりまして、北海道におきましても、だんだんと品種の改良等に努力されておりますが、産米改良の面におきまして、北海道産の米は味がいいんだという方向もあわせて指導していただくということを道庁関係者には申しておるわけでございます。蛇足でございますが、つけ加えさせていただきます。
  93. 相澤重明

    相澤重明君 いまのビートの価格ですね、パリティ方式を採用して、生産者価格等についてもお考え願うというのですが、これは希望としては七千二百円、こういうことを希望しておるのでありますから、六千円台では農民はやる意欲は減退するわけです。こういう面について農林省の原案だつて六千九百円くらいだったでしょう——七百円か。ですから、やはり七千二百円という農民の希望をやはり入れるようにして、意欲を盛り込ませるように私はしてもらいたい。これは要望です。  それから先ほど申し上げましたが、北海道の農場、試験場を見たわけですが、大豆の品種改良ということが行なわれて、いままで大豆の黒いふんどしがあったのが、これがなくなったわけです。これはもう非常に市場性に富むわけです。ぜひこれはそれだけ品種が改良されて増産もできるようですから、これは農林省もひとつ積極的に取り上げて、こうした若手博士グループの研究をひとつ市場性に持ち込むように私は応援してやってもらいたいと思うのです。わが国の生産量そのものは全消費量から見ればわずかなものでありますから、これがもっと大衆的になるようにひとつ農林省の前向きの施策を望んで、これを要望しておきます。  最後に林野庁の長官ですが、きのうも防衛庁の中で要望しておきましたが、山火事が北海道では非常に多いわけです。その場合に何といいますか、伐木体制がないと、木を伐って火を食いとめるということがなければ山火事は食いとめられない。したがってそういう機械化というようなものを農林省がやはり進める必要があるんじゃないか、林野局長や営林署長の話を聞きまして非常に私は感心をしているわけです。そういう点についてはもっと自衛隊にもそういうものを持たしたらどうかということで、きのうは自衛隊は何か四十台か買い入れるというようなことを答弁しておったようでございますが、私はむしろこれは農林省がそういうふうに進めるべきではないだろうか。いま一つ国有林野管理は非常によく届いているわけですが、やはり下草の刈り取りとか、枝を下ろすということは、火事をなくするという前提だと思う。それで入会権の問題について林野庁も何か案をつくったようでございますが、できるだけ早い機会にそういう慣習を規定化したものをつくって、そうして国有財産を守れるように私はやはり政府の施策を考えてもらいたい、こう思うのです。時間の関係でこまかい点について触れませんが、以上申し上げて林野庁長官からお答え願ったら、これで終わっていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  94. 田中重五

    説明員田中重五君) 北海道の山林の山火事につきましては、お説のとおりに以前は相当にひどかったのでございまして、それは現在の林相から見てもよくわかるわけでございますが、林野庁といたしましては、特に山火事の防止について配意をいたしまして、国有林野の分につきましては、年々の山火事予防費の過半を北海道に投入しておるという状況でございます。いまお話のございました防火線の開設なり、その他防火器具の充実、その点につきましては経費の投入を年々増加をするということでございまして、今後も積極的に進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。  なお、最後にお話のございました入会林野の整備につきましては、目下検討中でございますけれども、次の国会には何とか努力いたしまして提案をいたしたい、こう考えている次第でございます。
  95. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 本日の審議はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十七分散会