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1964-08-31 第46回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年八月三十一日(月曜日)    午前十時四十二分開会   —————————————    委員異動  七月一日   辞任      補欠選任    横川 正市君  野溝  勝君  八月二十六日   辞任      補欠選任    成瀬 幡治君  小酒井義男君  八月三十一日   辞任      補欠選任    加藤シヅエ君  亀田 得治君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     柴谷  要君    理事            佐藤 芳男君            野知 浩之君            山崎  斉君            横山 フク君            相澤 重明君    委員            鈴木 恭一君            谷口 慶吉君            仲原 善一君            西田 信一君            岡  三郎君            亀田 得治君            小酒井義男君            野溝  勝君            二宮 文造君            天田 勝正君            村上 義一君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    防衛政務次官  高橋清一郎君    防衛庁長官官房    長       三輪 良雄君    防衛庁人事局長 小幡 久男君    防衛庁経理局長 大村 筆雄君    防衛庁装備局長 伊藤 三郎君    防衛施設庁長官 小野  裕君    防衛施設庁総務    部会計課長   大浜 用正君    法務省人権擁護    局長      鈴木信次郎君    会計検査院事務    総局第二局長  樺山 糾夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十七年度一般会計歳入歳出決  算、昭和三十七年度特別会計歳入歳  出決算昭和三十七年度国税収納金  整理資金受払計算書昭和三十七年  度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和三十七年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告をいたします。  去る八月二十六日、成瀬幡治君が委員辞任され、その補欠として小酒井義男君が委員に選任されました。  また、本日、加藤シヅエ君が委員辞任され、その補欠として亀田得治君が委員に選任されました。  以上でございます。   —————————————
  3. 柴谷要

    委員長柴谷要君) それでは、昭和三十七年度決算外三件を議題とし、審査を進めます。  本日は防衛庁決算につき審査を行ないます。  まず、防衛庁決算について説明を求めます。高橋防衛政務次官
  4. 高橋清一郎

    説明員高橋清一郎君) 先般防衛政務次官を拝命いたしました高橋清一郎でございます。  今後、何ぶんにも非才でございますけれども皆さま方の御指導によりまして大過なく職責を全ういたしたいと存ずる次第でございます。何ぶんよろしくお願い申し上げます。  本日は、小泉長官が出ましてこまかい御説明等々がある場面でございますが、御存じのごとく、第五回の日米安保協議委員会が開催されるというような事情がございまして、私かわりまして出席いたしたような次第でございます。その意味におきまして、何ぶんよろしくお願い申し上げます。  昭和三十七年度における防衛庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  経費説明をいたします前に、昭和三十七年度におきましては当庁の行政組織が一部改廃されましたので、御報告いたします。  すなわち、自衛隊及び駐留軍関係施設取得維持管理、その他これに関連する業務は、従来防衛庁建設本部調達庁とにおいてそれぞれ行なっておりましたが、この両者を統合して昭和三十七年十一月一日防衛施設庁を設置し、業務の一元的かつ効率的な運営をはかったものであります。  次に経費につきましては、  まず昭和三十七年度防衛本庁経費について御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は千九百九十三億九千八百四十七万九千円でありまして、これに昭和三十七年十月以降政府職員給与改善するための予算補正追加額五十一億六千三百二十五万八千円、成層圏における放射能調査等のため科学技術庁から移しかえを受けた額八百八十八万一千円、代替庁舎等取得のため大蔵省から移しかえを受けた額三千四百九十一万九千円、オリンピック東京大会実施準備のため文部省から移しかえを受けた額九千九百七十五万九千円、前年度からの繰り越し額五十八億六千百五十二万六千円を加え、防衛施設庁設置に伴ない防衛庁建設本部経費防衛施設庁移しかえた額五億二千二百八十八万一千円を減じますと、差し引き歳出予算現額は二千百億四千三百九十四万一千円となります。  この歳出予算現額のうち、支出済み歳出額は二千五十六億七千五百十八万八千円でありまして、これを歳出予算現額に比較いたしますと四十三億六千八百七十五万三千円の差額を生じます。この差額繰り越し額不用額でありまして、繰り越し額は三十六億二千七百九十九万八千円、不用額は七億四千七十五万四千円であり、これを昭和三十六年度の決算と比較いたしますと、繰り越し額において二十二億三千三百五十二万八千円の減少となっており、不用額において四億三千六十一万円の増加となっております。  昭和三十七年度の予算につきましては、昭和三十六年七月に国防会議決定された第二次防衛力整備計画に従い、その初年度の諸目標を円滑に達成するための経費を使用しました。そのおもなものは次のとおりであります。  陸上自衛隊につきましては、防衛力及び警備力の向上をはかるため、北部、東北、西部方面隊管区隊二、混成団三を五個の師団に改編して、昭和三十六年度に着手した十三個師団態勢を完成いたしましたほか、ナイキ大隊通信運用大隊等所要部隊の新改編を行なうとともに、前年度に引き続き第七師団機甲化を中心として装備充実改善をはかりました。また、施設部隊の諸器材、軽渡橋セット、その他災害救援用器材整備する等民生協力面の強化をはかりました。  海上自衛隊につきましては、第二次防衛力整備計画初年度として計画した甲型警備艦一隻、駆潜艇一隻、中型掃海艇二隻、高速救命艇一隻、雑船七隻、計十二隻四千四百三十五トンの建造に着手いたしましたほか、大型対潜哨戒機(P2V−七)の国産最終年度として十五機の生産を行なうとともに、新たに同機六機の継続生産を開始し、ヘリコプター十一機、練習機十八機を購入することにいたしました。また、定員につきましては、三十七年度就役艦海上要員航空機増強に伴う航空要員並びに後方補給及び教育関係要員確保のため、自衛官千百九十五名、自衛官以外の職員五百十八名の増員をはかりました。  航空自衛隊につきましては、F104戦闘機の配備、警戒管制および航空保安管制部隊整備並びに教育及び後方支援態勢充実によって、全国防空警戒態勢の基盤を確立するため、F104飛行隊及び術科教育本部を新たに編成するとともに、通信電子部隊及び後方部隊増強を図り、これに要する自衛官七百二十一名、自衛官以外の職員八十三名を増員することといたしました。航空機につきましては、既定計画によるF104J、DJ戦闘機並びにT1Aジェット中間練習機生産を引き続き行なうとともに、救難ヘリコプター二機の購入をはかりました。  以上のほか、自衛官募集を推進するための経費対空誘導兵器の導入に備えG・Mの研究を推進するための経費航空機騒音防止対策を進めるための経費を、それぞれ使用いたしました。また、定員につきましては、官房各局統合幕僚会議及び技術研究本部等附属機関において自衛官以外の職員二百五十三名の増員をはかりました。  繰り越し額三十六億二千七百九十九万八千円のうち、おもなものは、器材費等十二億五千百二十四万六千円、航空機購入費三億五千三百八十九万八千円、艦船建造費等六億九千十三万円、施設整備費十億四千六百九十二万六千円などでありますが、この繰り越しを生じました理由の概要を申し上げますと、器材費等及び航空機購入費につきましては、装備器の大部分及び航空機が、一般市販品と異なり、特殊の規格性能が要求されますので、調達に際して、規格決定仕様書調整に慎重を期したこと、また有償供与を主とする輸入品手続等にやむを得ない日数を要したため、契約または納入が遅延したこと等に基づくものであり、艦船建造費等につきましては、要求性能決定及び設計の作成等に長期の日数を要したことに基づくものであり、施設整備費につきましては、用地取得に際し所有者の納得を得ることが困難であり、また補償折衝に意外の日数を要したこと等により、工事が遅延したことに基づくものであります。  また、不用額七億四千七十五万四千円のおもなるものは、人件費器材費及び装備品等維持費でありますが、人件費につきましては特別退官退職手当を要することが少なかったこと、器材費及び装備品等維持費につきましては、契約価格予定価格より低かったこと、計画の変更により維持費を要することが少なかったこと等によるものであります。  不用額は、前に述べましたように、前年度に比較して四億三千六十一万円の増加となっておりますが、繰り越し額につきましては前年度に比較して二十二億三千三百五十二万八千円の減少となっております。これは、昭和三十七年度予算におきまして、防衛力整備計画に基づく自衛隊任務遂行に必要な予算でこれが適正な執行をはかるために年度内消化可能なもののみを歳出予算に計上いたし、その執行にあたりましても計画的、合理的運営をはかった結果、前年度に比べ大幅に圧縮することができたものと思っております。  次に、昭和三十七年度防衛施設庁経費について御説明申し上げます。  当初の歳出予算額はゼロでありまして、これに昭和三十七年十月以降政府職員給与改善するための予算補正追加額八千百八十二万二千円、行政組織の改廃に伴い移しかえを受けた額、防衛本庁より五億二千二百八十八万一千円、調達庁より八十七億九千百三十六万三千円、前年度からの繰り越し額調達庁より七億二千五百十七万四千円、板付飛行場拡張に伴う基地周辺整備に要する経費等として予備費を使用した額四億二千二百五十六万一千円を加え、提供施設周辺土地等改修事業等に要する経費として移しかえた額、農林省所管農林本省へ五億一千七百九十三万二千円、建設省所管建設本省へ二億四千九百六万七千円を減じますと、差し引き歳出予算現額は九十七億七千六百八十二万二千円となります。  この歳出予算現額のうち、支出済み歳出額は九十一億六千四百六十四万八千円でありまして、これを歳出予算現額に比較いたしますと、六億一千二百十五万三千円の差額を生じます。この差額繰り越し額不用額でありまして、繰り越し額は三億三百九十一万五千円、不用額は三億八百二十三万八千円であります。  支出済み歳出額のおもなるものについて概略御説明申し上げますと、まず調達労務管理事務費で六億九千三百九十万九千円を支出しております。これは「日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」に基づく「地位協定」の規定により駐留米軍の使用する従業員労務管理事務等に必要な経費でありまして、そのおもなるものは労務管理事務及び離職者対策としての職業訓練を都道府県に委託した経費であります。  次に、国際連合軍等関係補償費で三億七千四百三十三万七千円を支出しております。これは、国際連合軍の使用により荒廃した広島県原村演習場復旧工事に対する補助金占領期間中における連合国軍等不法行為により人身被害を受けた被害者及び遺族に対する見舞い金等に要した経費であります。  次に、施設提供等諸費で五十七億五千四百七十五万円を、防衛支出金で九百五十八万円を支出しております。これは、「日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」に基づく「地位協定」の規定により駐留米軍の使用する「施設及び区域」等の提供に必要な経費として、民公有土地建物動産等の借り上げ、買収費及びこれらに連関しての補償費等、また駐留米軍または構成員等行為によって受けた損害に対する補償費等に要したものであります。  その他、所管事務執行のための人件費物件費等として、調達庁で十七億九千百九十四万七千円、防衛本庁で五億二千十九万一千円を支出しております。  翌年度繰り越し額三億三百九十一万五千円は施設提供等諸費でありますが、これは補助金工事等におきまして、気象、用地関係により工事が遅延したこと、また買収及び各種補償等で額の確定、相手方との折衝に不測の日時を要したこと等に基づくものであります。  不用額三億八百二十三万八千円につきましても、そのおもなるものは施設提供等諸費でありますが、これは提供施設移設予定土地の造成が未完成のため移設工事ができなかったこと、また施設提供に伴う補償においてこれに要する経費が少なかったこと等に基づくものであります。  以上昭和三十七年度のおもな経費概要について御説明申し上げましたが、予算執行につきましては、国民一般から多大の関心を寄せられておりますので、特にこれが執行にあたりましては、諸法規を順守することはもちろん、最も効果的に運用するよう戒め、また綱紀の粛正にも留意し、国民の信頼にこたえるよう努力してまいったところでありますが、会計検査院昭和三十七年度の決算検査報告におきまして、不当事項として指摘を受けましたもの七件、改善意見を表示されましたもの一件がありましたことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。  指摘事項の内訳は、物件四件、補助金三件、改善意見を表示されましたものは、陸上海上航空自衛隊間における共通器材の融通及び調達調整についてでありますが、これらの趣旨につきましては、よく部内に徹底させ、将来再びこのような過誤を繰り返さないよう万全の措置を講ずるとともに、改善を要するものにつきましては、すみやかに改善のための諸施策を推進する考えであります。  以上をもちまして説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  5. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。樺山会計検査院第二局長
  6. 樺山糾夫

    説明員樺山糾夫君) 昭和三十七年度防衛庁関係決算につきまして検査報告不当事項として掲げましたものは、物件四件、補助金三件、計七件でございますが、まず物件関係でございますが、二号は、海上自衛隊の木船に使う下塗り塗料につきまして、在庫量や消費の実績をよく調べないで購入したため、数年分に当たる多量の塗料を買い込んだ結果となったものであります。また三号は、海上自衛隊補給所で実爆雷発火装置などを修理不能品として多数保管いたしておりますが、これは訓練用爆雷部品としては十分使えるものでありますのに、これを活用しないで、別に新しく訓練用爆雷を製造しているものでありまして、いずれも不経済な事態と認めたものであります。四号と五号は、航空自衛隊購入物品受領検査が不十分であったために、塗装がはげていたり、部品が不足しているものをそのまま受け取っていたというものと、防衛大学購入した輸入機械の支払いが経費年度区分を乱っていたばかりでなく、関係書類などの調査が欠けていたため、過払いとなっていた事態でありまして、いずれも本院の検査注意をし是正をさせたものでありますが、防衛庁物品調達については依然としてこのような事態が見受けられますのは、注意を要する点と存じます。  次に補助金関係の三件は、教育施設防音工事補助金につきまして、工事費から差し引く金額の計算を誤ったため補助金を過大に交付していたというものと、特損防止のための補助工事である堰堤工事の施行がよくなかったため、堰堤としての強度が非常に低下していて補助の目的を達していなかったというものでありますが、本院の注意によりまして、いずれも是正または手直し済みとなっております。  以上の不当事項のほかに、防衛庁に対して改善処置を要求したものが一件ございます。  防衛庁物品調達について不急不用のものを調達している事例が多いという点につきましては、これまでにもたびたび検査報告に載せるなどの方法注意をいたしてきているのでございますが、防衛庁におかれましても、このような事態改善には相当努力のあとが見られるのであります。しかし、陸、海、空の三自衛隊調達を横に総合して検討してみますと、共通して使用できる器材についてなお不十分な点が見られるのであります。これは各自衛隊の間で共通器材についてお互いに融通するような処置が積極的にとられていないことによるものでありまして、このような不経済な事態を改めるためには、現在実施中であります物品整理番号の統一を急ぐとともに、共通器材につきましてこれをお互いに融通したり調達調整を行なう機構を設けるとか、またはそのほかの適切な処置をとる必要があると認めたものであります。  以上簡単でございますが御説明を終わります。
  7. 柴谷要

    委員長柴谷要君) それでは、これより直ちに質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 質問に入る前に、防衛庁に、先日私ども参議院北海道現地調査を行なうことになりまして、八月十日から十七日まで、私と西田委員二宮委員が参加したわけでありますが、その際自衛隊の飛行機でたいへん便宜を供与していただいたことを厚くお礼を申し上げます。おかげさまで現地調査はたいへんスムーズにいきましたことをほんとうに喜んでおります。いずれその報告は明日行なうのでありますが、明日また皆さんにおいでいただくのもたいへんですから、また時間の関係もありますので、きょうお礼を申し上げておきます。  そこで、感想報告をしない前でありますけれども申し上げておきますと、輸送機で行かしてもらったのでありますが、いまジェット機は大体五十分ないし一時間で行くのに三時間かかるということは、たいへん乗りごこちはいいけれども、やはり時間のロスがあるんじゃないかということが考えられる。それから、北海道四個師団を全部見さしていただきましたが、非常によくやっておるということについては、政務次官おいでになりますが、私どもも敬意を表しておきたいと思います。  その中で、いろいろな問題は抜きにして、たいへん私どもとして喜んだのは、北海道は山林が非常に多い場所でありますが、山火事というのがかなり件数が多い。その件数の多い中に、道知事の要請にこたえて出動をされるその件数等の御苦労というものを、私ども心から感謝するわけであります。それから、農民の非常に繁忙な時期に援農の事案が非常に多い。これも私は地域の人にずいぶん喜ばれておることじゃないか。先日の東京都の水飢饉自衛隊諸君が水を住宅まで配ったということは感謝をされておりますが、これはまあしかしそのことと東京都の都政がいいか悪いかということについてはまた問題が別だと思う。これは東京都に都政がないということを言われるくらいですから、それとこれとは別だけれども、とにかく非常に努力された——災害等の場合に出動されたとか、あるいはそういう農民援農に力を尽くされたということは、非常に私どもはよいことだと思う。こういう点は率直に申し上げておきたいと思う。そういう中で、山火事の場合に、何といっても非常に広大な土地でありますから、火事が起きた場合にせっかく要請されて出ていっても、実は積極的に消火方法がない、こういうこともいわれる。ということは、山火事の場合には、やはり何といっても早く延焼を拡大するのを防ぐための処置をとらなければいけない。そういう場合に、そういうふうな機械的な消火対策というものが欠けておるんじゃないか。自衛隊諸君が出動してもお手あげの形であるということで、明日また関係農林省等に対してもそういう点について指摘をするつもりですが、できれば伐木する機械があれば、同じ要請されて行ってもやはり被害をできるだけ少なく食いとめることができるのではないかというような現地での貴重な意見も私ども承りまして、もっともだと考えておる。  それからいま一つの点は、北海道という場所的、いわゆる地域的条件というものがあることで、いわゆる物価が非常に高い。まあ全部が全部どうかわかりません。これは西田先生も地元でありますが、まあ私ども聞いた範囲ではやはり物価が高い。したがって、俸給生活者給料生活者は、税金等物価の問題を考えると、なかなか住みよいところではない。東京周辺から行くと、少し物価高や税金攻勢でいじめられるという印象を受ける。したがって、国全体としては、北海道にもっと手厚い保護、もっと税金の安い対策、もっと投資をということが一般的に望まれる。同時に、俸給生活者自衛隊諸君にすれば、たとえば将校の住宅は五〇%しかない。曹クラスのいわゆる住宅は三四%程度しかない。こういうことでは、いかにも全体としては暮らしにくいということがいえる。しかし、先ほどのこの御説明の中では、防衛庁関係人件費の問題が出ておりましたが、最近における北海道関係における募集人員は非常によくなっておる。一〇〇%みなこしておる。こういう努力をしておるけれども、とにかく住宅対策等についてはまだまだという感がある。あるいは、特に旭川等を見まして、非常に自衛官諸君が住んでおるところが古い建物で、雨漏りがしておるのをようやく手直しをして、そうして苦労されておるというような実情もわれわれ見てきて、なるほどこれは北海道地域における特殊事情とはいいながら、やはり全般の問題としては考えさせられる面がたくさんあったと、こう思うのです。そういう点については、いずれまた報告書も出ますし、皆さんのほうでも調査されたことがあると思うので、当局においても善処方を私は要望しておきます。これは先日の決算委員会現地調査における私ども感想であります。  そこで、いま政務次官から御説明をいただきましたが、この防衛施設庁が三十七年度から一元的に行なったわけでありますが、そういう中で、先ほどの御説明の中で不用額が七億四千七十五万四千円あった、こういうことについての説明がございましたね。それは具体的に評価のしかた、積算のしかたというものについてのいわゆる差が生じたことが一つあったのか。あるいはまた、お話が出たように、買う品物が実はもっと低廉で済んだからこれだけ不用額になってきた、こういう御説明もあったわけですが、その具体的なものをひとつあげて御説明をいただかないというと、これだけの不用額があったというだけでは、私はやはり問題の本質をえぐることにはならぬと思う。  それから二つ目には、自衛隊員が不足をしておるという数字が出ておるわけですが、これはどういうことによってそういうことができておるのか、充足をされていないのか、あるいはこの募集人員がうまくいかなかったのかという点についても御説明をいただきたいと思う。  それから、提供施設周辺土地等改修事業に要する経費としての移しかえた額というものが説明をされましたが、その中で、予算現額は九十七億七千六百八十万二千円となっておりますと、こういう政務次官説明をしておるわけです。その中で支出済み歳出額は九十一億六千四百六十四万八千円、そうしてその繰り越し額は三億三百九十一万五千円、不用額は三億八百二十三万八千円と、こう説明をされておりますね。こういうことは、一体当初計画に対してどういうふうにしてこういうふうなことが生まれてきたのかですね、この点についても説明を願いたい。  あと具体的なものについて私のほうから質問をいたしますから、まずこの三つの点について最初に御説明いただきたい。
  9. 高橋清一郎

    説明員高橋清一郎君) 最初、相澤委員から、過般視察をされました結果によりまして、いろいろまだ防衛庁施設としての態様を整備されておらない感懐の率直な面をお述べになったわけでありますが、特にその中で山林火災に対する災害派遣の問題でございますが、これにつきましては、施設部隊及び演習場管理のため駐とん地に備えております伐採機などを用いましてこれに当たっておりまするほか——まあもっぱらそれに依存するほか目下のところございません。でありまするけれども、この伐採機の充足ということにつきましては一そう努力いたしたいと存ずるのであります。今年度——昭和三十九年度部隊の必要といたしまする伐採機は現在調達中でございます。なお、来年度——四十年度につきましても、具体的な数字を申し上げますが、三十二台を要求いたしまする予定でございます。  なお、北海道地区におきまする官舎の状況ということについてお触れになったわけでございますが、自衛隊の官舎設置につきましては、特に僻地遠隔の地に置かれておりまする部隊を優先的に考慮するというたてまえからいたしまして、いまお述べになりましたけれども、従来より見て北海道はよくなったというお説でございまするけれども、もちろんその全きを期しておりません。今後、北海道地区の宿舎につきましては、重点的に建設する方針をとっております。  なお、決算説明の中に重点的におとりいただきました三点の項目につきましては、関係局長からそれぞれ説明をさせます。
  10. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 経理局長でございますが、ただいま御質問のございました不用額七億余の点でございまするが、まず人件費につきまして、特別退官退職手当等が少なかったという点でございますが、特別退官退職手当につきましては不用額が八千百万余でございます。そのほか共済組合負担金の不用額が三千四百万余ございます。次に器材費及び装備品等維持費につきまして契約価格予定価格より低かったこと、あるいは計画の変更により維持費を要することが少なかったこと等によるものといたしましては、たとえて申し上げますと、器材費におきまして約九千百万円、あるいは油の購入費におきまして四千八百万円余、あるいは通信維持費におきまして一億一千六百万円余、あるいは航空機の修理費におきまして一億一千八百万円余というような内訳に相なっております。
  11. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) 三十七年度の募集につきまして、募集の悪かった原因いかんという御質問でございます。  三十七年度は計画数三万二千五十を計画しておりましたが、実際に採用されましたのは二万八千二百七十余でございました。また、この時分には、数年来経済成長に伴いまして若年労働者が非常に逼迫しておりまして、募集にも相当困難を感じておりますのみならず、経済的活況のために自然退職の数が非常にふえまして、はなはだしきは、陸上自衛隊の例を申しますと、一年間に二士の隊員が二五%やめるというような著しい現象がございまして、所期の目的を下回っております。その後いろいろ対策を講じまして、最近におきましては、大体離退職も相当の線に落ち着きまして、なお来年度は、さらに自衛官充足に重点施策を用いまして、そのようなことのないように充足をはかりたいと思います。
  12. 大浜用正

    説明員(大浜用正君) ただいま相澤先生から御質問のございました、三十七年度の施設庁の繰り越し三億三百九十一万五千円の問題と、それから不用額三億八百二十三万八千円という内訳を申し上げます。  相手方の関係がございまして、繰り越し額の中で特に七件、一億四千万ほどは、相手方の不同意で支出することができませんでして、後年度に繰り越したというわけでございます。  それから、米軍関係との設計変更その他いろいろ着手することが困難の事件が三件ほどございまして、八千八百万円程度後年度に繰り越しております。  それからその次には、天候その他設計の変更等で三件ほどございまして、七千五百三十三万一千円というのを後年度に繰り越しております。  この十三件で三億三百九十一万五千円となっております。  それから、不用額三億八百二十三万八千円につきましては——これはいわゆる人件費関係定員減がございまして一千百万の不用額、それから特別給付金と申しまして労務管理事務費の中にございますが、これがそれの支給を必要としなかったというのが一千二百万程度。一番大きなのは提供等諸費におきまして移設工事、いわゆる米軍の施設を移設する工事につきまして、米軍との関係で必要としなくなったのでございますが、八千代ビルとか、名古屋の通信施設の問題というのが七千万程度ございます。それから、不動産購入におきまして、相手方が価格の調整で折り合わずとうとう売らなかったということになりましたのが二千万円。それから補助金関係で約六千万円程度不用になったということでございます。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 私は、たとえば提供施設の周辺土地等改修事業等に要する経費、農林省とか建設省の移しかえの問題がありますね、そういう点、先ほども申し上げたように、繰り越し不用額というものが、繰り越し額は三億三百九十一万五千円、不用額は三億八百二十三万八千円、こうなっておりますね。ところが、実は私は一つの例を申し上げるわけですが、私が生まれた横浜市戸塚区でですね、ここの相沢川の改修工事について、横浜市長の半井清さんから三十七年の九月一日付であなたのほうに書面を出しているわけです。これは、御承知のように、上瀬谷の通信隊があるわけです。上瀬谷の通信隊の施設ができたために、私どもの山は全部木が切られてしまったわけです。そうして米軍にあの土地提供しているわけです。だから私のところの相沢の土地は、そのための被害というものが非常に大きいわけです。ですから、上瀬谷の通信隊の出される汚水その他の被害によって、私のところの団地というものはほとんど被害をこうむっておるわけです。これは三十七年来、一方ではこういう不用額を出しておっても、その改修工事というものは具体的に進んでいないんじゃないか。私は私の名前と同じだからどうも言いにくいことなんだけれども、あなたたちが誠意をもってやってくれたのなら実際に被害というものは起きないんです。私は、この三十七年に当時そういうような陳情書を横浜市長が出されて、三十七年のあの災害のときも——これは写真も当時のときのがあります、私のところに——こういうふうにほとんど上瀬谷通信隊の施設の汚水が川に流れて、それでどういうことかというと、汚水が流れるというと草が出るのですね、川の中にモが生まれるわけです。モが生まれるというと、それに土が流れてくるとまあみんなたまってしまうわけです。それで川が浅くなっちゃったんです。それで、私のところの相沢の土地の作物というものは、農民の作物はつくれない、ろくにとれない、これが三十七年の六月のいわゆるあの状況なんです。それで、私どもは、そういうことがあってはいけないというので、こういうふうに皆さん方のほうに具体的に三十七年にいろいろ陳情を半井横浜市長から出さしたわけです。現在までそれが実際に改修工事が十分行なわれていないため、実は非常に地元の農民は困っている。そういう点について、特に今年大蔵省なり施設庁の方々の御努力をいただいておると思うのですが、三十七年の不用額を出されると、私どもが——横浜市長が申し入れた事項について、実際に相沢川の改修工事はなされてないじゃないか、被害を受けるのは土地の住民であり農民である、こういうことになると、一体防衛庁としてはどういうふうにやったのかということになるわけです。この点について、ひとつ率直に小野長官なり政務次官のほうから、どうしてこの不用額というものを出しながら私どもの困っているこのことをやってくれないのか、この点について説明を求めたい。
  14. 小野裕

    説明員(小野裕君) 相沢川の改修工事につきましては、その改修を必要とすることに至りました理由、原因といたしまして、基地からの排水ということももちろん関係があると思いますけれども、なおその他にも一般的な原因があるのでございまして、その間において、私どもといたしまして、当時といたしましては、高率の補助をもって、当時の調達庁において、あるいは施設庁に切りかわりました直後においてこれを実施するというまだ決定に至っていなかったのであります。そういうようなことから、その後いろいろ事情調査をし、あるいは地元の方との話し合いもし、ようやく私どもとしてもこれは手をつけなければならないだろうというような結論に達しまして、明年度の予算におきまして何とか実現したいということでいま検討をしておるわけであります。当時予算が残ったからと申しましても、これは年度の終わりになりまして出てくる金額でございまして、しかも当初から予定をしていないものについてすぐ切りかえるということについては難があったことはお察しいただけると思います。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 これは政務次官も小野長官も十分知ってもらいたいと思うのだが、上瀬谷の通信隊があるために私ども土地を持っておる者は実は建築ができない。そのために、このAゾーン、Bゾーンというようなゾーンをつくって、そうして土地に対する補償金も若干出してもらったわけです。これだって、ずいぶんども横浜市民なりその関係者が何回か政府と話し合った結果でしょう。だから、私どもから言えば、祖先伝来持っておった土地が、施設として提供されるために、大きい木も切られてしまって裸になって、その上に自分の土地だって家を建てられない。かてて加えてつくっているたんぼの耕作物もとれなくて、いわゆる川にモが生まれて、そうして土がそこにしわ寄せられたために、川に六メートルも突っ込んで、ふさがって埋まってしまっているわけです。だから、川が浅くなっているから、水が出ればすぐはんらんをしてしまう。それが、この三十七年の洪水のときには、具体的に百姓の米がとれなかった原因なんです。それから、そればかりじゃない。附近の住宅だって浸水されている。がけもくずれる。こういうことからいって、二重の責め苦に相沢川の附近の者はなっている。私の生まれたところだから、私はだれよりもよく知っている。だからまた、そういうことからいって、いま小野長官の言われるように、三十七年の当時はなかったと、こう言うけれども、最終的なことだから三億幾ら余ったというけれども、私どもの住民感情からいえば、それは許されない、そういうことでは相済まぬとこう思う。しかし、幸いいま小野長官のお話のように、四十年度から、大蔵省ともお話しになって、そうして予算をつけて実行に移す、こういうことについては私も敬意を表しておきたいと思うのですが、具体的にどうやるのですか、この私どもの相沢川の大体河川の範囲でいまの上瀬谷の通信隊の影響を受けるものは約五キロあります。どのくらいやってくれるのですか。
  16. 小野裕

    説明員(小野裕君) ただいまのところでは、現地のいろいろそういした実態の話、調査等によりまして、実害区域あるいはそのうちで改修を直接しなければならないところの範囲というようなものを検討し、さらにまた、先ほども申し上げましたように、申しにくいことでございますけれども、この原因の追及という点から補助率の問題もあるわけでありまして、そういう点について現在横浜防衛施設局と地元の御当局とお話し合いを始める段階になったところでございまして、具体的にどこまでやる、どれだけの予算でやると、そこまではまだ参っておりません。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 だからおかしいと言うのだよ。三十七年に不用額を出しておきながら、具体的に私ども被害があるにもかかわらず、やっていないじゃないですか。いま今度はやるという話は聞いたけれども、いま答弁されれば、具体的に何をやるのかまだわかってない、調査をする段階であるという。あるいは調査をしてからどのくらいやるかということをきめるのだと、それではやるという誠意にならないじゃないですか。少なくとも被害というものが現実に出ているのですよ。それでもって、ことしは異常渇水で、つまりいままでにないといわれるほどの長い暑さのために、日照りのために水がないから出なかったからいいけれども、これがもし水が出たらどうなります。そういうふうに手をこまぬいて、調査をします、改修工事をやりますと言っているうちに、政府は言っておっていいかもしれないけれども、地元民はたまったもんじゃない、被害が出るのですから、きょうはせっかく小野長官がそこまで答弁されるなら、具体的に、ことしはどのくらいの距離、区間、あるいはどういうふうにやりますと——誠意がない。誠意がある答弁がなければ、何でこの不用額というものを出すかということについて納得ができないわけですよ。どうですか、政府次官。私は自分の生まれた土地のことだから、実際の話なかなか言いにくいのですけれども、私はしかし一個人じゃないのだ。そういう意味で、相沢川の改修工事について、いまのような答弁では黙っていられない。政府次官どうですか。
  18. 高橋清一郎

    説明員高橋清一郎君) 御存じのごとく、就任以来大体一カ月程度でございますので、こまかいことを、ただいまの相澤委員のほうの地元の事情につきましては、こまかいところまで実は承知いたしておりませんでした。でありますが、この場面にきまして、御熱意のほどよくわかりました。また、長官に打ち合わしたのでありまするけれども、さしてきわめて難渋だという面もなさそうでございますから、熱意を持ちまして、大蔵折衝に際しましては、相沢地区の問題については、何とか納得してもらうように、あとう限りの善処をとりたいと思うております。今後長官ともよくひとつ連絡を密にいたしまして、内容を十分に検討したいと思うています。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 くどいようだけれども、小野長官、政府がこの基地周辺等のこういう問題について手を打たない限り、神奈川県でも、横浜市でも、やりたいと思ってもできないのですよね。そうでしょう。だから、やはりあなたのほうで、今年度——四十年度なら四十年度の予算でそれではどういうふうにやるから県も市もこれに協力してもらいたいということでなければ、これはできないわけですよ。市や県がやろうとすれば、それは君のほうでかってにやったとなれば、あなたのほうだってそれは出さないでしょう。そういうことでは私はないと思うのですよ。ですから、三十七年に横浜市長半井清があなたのほうに出したことを、私はやはり誠意をもってやってもらいたい、そのことを言っておるわけです。それで、今年はそういうふうにやってもらえるかどうかということをあなたのほうに聞いているのです。
  20. 小野裕

    説明員(小野裕君) 先ほど申し上げましたように、私どもとしてはぜひやりたいと考えておりまして、私ども内輪においてはある計画、かなり固まった計画を持っております。しかしながら、これから予算折衝もございます。また地元といろいろお話し合いの問題も残っております。そういうような点から、いまこの席でははっきりしたことを申し上げかねるわけでありまして、私どもとしては、何とか来年度から着手をしたいということを考えて、計画は持っておるのでございまして、その点は御了承いただきたいと思います。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、その点については誠意ある答弁として私は受けとめて、この問題を終わりたいと思います。  その次に、今年度の予算で、米軍の住宅地区の調査費というものが二千万円ついたわけですね。そして横浜の山手、本牧等の具体的な調査に入るということになったのですが、長官、これは具体的に調査を始めたのですか、どういうことなんですか。
  22. 小野裕

    説明員(小野裕君) お尋ねの横浜市内三住宅施設につきまして、その実態調査、現状調査という形で、最近調査に着手いたしました。一両月、両三カ月のうちには一応の調査結果が得られる、こういう段階になっております。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 そうなると、防衛庁決算審査については、大体二日を予定しておるわけですから、きょうは私はそういう点についていまの御答弁いただきますと、次回——次回というのはいつになりますか、かなり日があると思うのですが、次回のときにはこれは御報告できますね。
  24. 小野裕

    説明員(小野裕君) 御報告できるかというお尋ねでございますが、今回の調査は、現在の施設区域の中の土地のいろいろな権利関係、あるいは境界、図面の関係、あるいはそれの使用の状況というような実態の調査でございまして、こうしたものについては、それぞれの地域について詳細な図面とかあるいは調査というものができるのでありまして、これを特にまとまった形で御報告申し上げると申しましても、すぐおわかりいただけるような簡単な資料にはまとまらない性質のものであろうかと思うわけでございます。現在の提供区域三十八万坪につきまして、それぞれその区画を考え、所有者を考え、あるいはその他のいろいろな利用状況あるいは埋設施設というようなものを調査をするわけでありまして、これは一筆々々の、あるいは一区画一区画の実態の調査でございまして、これは特に報告書という形になるものではないのじゃないか、このように思います。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 それじゃかわった質問でひとつお答えいただきたいのですが、二千万円の調査費は使うつもりですか。それとも、先ほどの不用額というものがありますが、そういうふうに場合によると残すつもりですか。
  26. 小野裕

    説明員(小野裕君) 大体その金額を使って調査を終えることになると考えております。
  27. 相澤重明

    相澤重明君 私はいま長官の後段の答弁で了承いたしますが、前段のような答弁だったら、おそらく調査費はろくに使わないでしょう、できないです。具体的なこの住宅地区の移転等に対するところの根本的なそういう調査にならない。私ども横浜としては、もう膨大な費用をかけてそれは調査してあるのです。あとおたくのほうで、つまり政府のほうで具体的にその調査をやってもらえば、それが合うか合わぬかです。それぐらいまで私どもの地元では熱意を持っているわけです。それに対して、二千万円のせっかく予算をつけたけれども、前段のような答弁の形だったら、おそらく金は使わない、実際調査も進まない、こう思う。ところが、後段の御答弁で大体使うようなお話ですから、私はそういう熱意ならばできると思う。これは熱意の問題ですね。それで、先ほどこの調査をするという基準を政府は出されたようでありますが、私はそれだけでは不十分だ。したがって、やはりせっかく国家予算でこの調査費を計上されたならば、その計上した趣旨に基づいて徹底的に調査をして、その目的達成のためになるように私はやってもらいたい、こう思うのです。したがって、この本牧、山手三地区の住宅調査計画は、これはそのために二千万円は使う、こういう考え方に立ってもらいたいと思うのですが、そう理解をしてよろしいのですか、小野長官、いま一度聞いておきたい。
  28. 小野裕

    説明員(小野裕君) ただいまの先生のお尋ねにつきまして、若干私念を押さしていただきたい点があるのでありますが、先生のお気持ちは、この調査費を活用することによって移転計画をはっきり前進させろ、こういう御趣旨でお尋ねではないかと思うのであります。その点につきましては、私ども従来から、前国会におきましてしばしばお答えいたしましたように、本年度の調査はあくまでも現在の三地点の三十数万坪の地所の個所につきまして実態の調査をするのである——現状の調査をするのであって、その先どこへ移るとか、どういう順序でやるとか、どういうものをつくるとか、そういうことについては本年度の調査は入っておりませんということを申し上げたわけであります。私どもは、いま一番気になって本年度手をつけましたことは、現在、あの地帯の全体の不動産の所有関係土地の所有関係の境界等も実は不明確になっております。そのうち約半分は国有地でございますが、国有地と民有地が非常に入りまじっておりまして、そういう点から将来大きな問題を残すだろう、いわば国有財産管理の万全を期する、あるいは民有地借り上げについて将来禍根を残さないようにするというような点が根本で、本年度の調査はいま始めたところでございます。そういう意味におきまして、先生のお尋ねがどういう点にございましても、いま申し上げたところで御了承をいただきたいと思います。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 国有財産の実態調査ということは、昭和三十二年から始めている。いまの池田総理が大蔵大臣のときから始めさしたのです。それで、当初三カ年計画でやり出したけれども、それがなかなか実態調査ができなかった。そこで、さらにこれは予算を増額をして、延長して実態調査をやったのです。いまごろ施設庁が実態調査をやるのですというのは、国有財産の実態調査をやったときサボっておったと言われても仕方がない。だから私は、そういうことじゃなく、いまの小野長官の言われるのも一つの理屈かもしれないけれども、この本牧あるいは山手の三地区の米軍の住宅調査を行なうということは、この地帯を接収解除をする、いわば移転をする、しかし、移転をするといったところで、具体的にどうなっておるかわからぬものを手をつけようがないじゃないか、こういうことの議論の始まりがいわゆる調査費をつけるもとですよ。それを、調達庁のそういう前の考え方というものが引き続いてきておるから、施設庁になっても、いまごろの時点になっても、いや実は実態調査をするのです、こういうことに変えて言っているわけです。国有財産の調査ということは昔の話です。いまごろそんなことを言うことは、一体、池田さんが大蔵大臣の当時三カ年計画でこの国有財産の実態調査をやったときに、調達庁は何をやっている、当時の調達庁は何をやっていたかということになる。私はそうじゃない。何もいま米軍の住宅地区の実態を調査して、どこに置くのか、どうするのかということをきめないで、ただ調査をすればいい——民間の土地がどのくらいあって、公共の財産がどのくらいあるということを調べるだけの問題じゃないと思うが、そういうことに変わってきたのはあなた方じゃないですか。何のために調査費をつけたのですか。調査費をつけるということは、これは米軍の住宅地を解除してもらいたいという地元の横浜市長なり神奈川県知事の要請にこたえて、そうしてあなた方もそのことを認め、国会も、私どももそういうことを主張して、そうしてこの調査費をつけたのでしょう。それをいつの間にかすりかえられては困ります。だから、私が先ほど一番最初に聞いたのは、あなたたちは二千万円の調査費を使う気がありますかと聞いた。使わないとは私は言わぬ。後段に小野長官は使います、と言うから、私はその誠意を尊重するわけです。けれども、中身をすりかえられたら困る。そこで、小野長官、ひとつぜひあなたもがんばってもらいたいし、努力してもらいたいが、政務次官も幸いおるから、あと防衛庁長官がおれば地元のことだからわかってもらえると思うが、少なくとも本年度の二千万円の調査費をつけたのは、そういう実態を調査して、そうしていまの移転をする場合には、どのくらいのという問題が出てくる。あなた、来年度は移転のための費用を計上しなければいけないのですよ。そういうことをやるのが政府の施策じゃないですか。だからそれが、たとえば横須賀のこの基地の中なり、厚木の基地の中にどのくらいのうちが入りますということをアメリカでさえやっている。アメリカの司令官が言っている。うちの座間の基地の中にはどのくらいの収容ができますということを言っているじゃないですか。それをなぜ日本の政府がそういうことをひっくり返すのですか。私は、そういうことじゃなくて、誠意をもって、せっかくとうとい国家予算二千万円を調査費につけたから、その調査費は、今度この次には移転ができるように、移転をする場合にはどのくらいの費用が必要か、どういうところにやったらいいか、どういう計画を持つのかという、そういう前提になるべきものでなければ私は相ならぬと、こう思う。どうですか、長官、私はそういう点はそんなにあなたと私と意見が違うはずはないと思います。それでアメリカでさえ、司令官は、今後も私のほうは、たとえば横須賀のほうはどのくらい、座間の基地ならばどのくらい入りますという計画を考えている。そういうことを、私はやはりむしろ四十年度の予算を、政府がことしの二千万円の調査費の中から、来年はどのくらい、その次はどのくらい計画を持つというのが本来のあるべき姿ではないか、三カ年計画調査をするという当初の考え方であったのですから、そのくらいの前向きの姿勢をとっていただきたいというのが私の偽らざる気持ちですよ。長官、そうでしょう。あなただって、まさか二千万円つけたのを、調査をしてそれで終わりだということじゃないでしょう、国家の貴重な金を。そういうことで、長官にも前向きの姿勢をとってもらいたいけれども政務次官、どうですか、私の言っていることを聞いてもらえればあんまり無理なことじゃないでしょう。あなたの答弁をひとつ聞いてみたい。
  30. 高橋清一郎

    説明員高橋清一郎君) 調査費を計上するということは、すでにいままでの慣習等からいたしましても、実施するということが前提であらねばならないと思うのであります。要は、それについて関係当局のほうで熱意を持つかどうか、三年継続ならば三年のものに、たいがい調査費は計上いたしましても、目標三年でございましても四年、五年かかるということが普通でございます。この防衛庁に関する限りは、一応年限等につきましても厳守いたしまして、いろいろ事情があるようでございますけれども、せっかく私勉強いたしまして、ただいま相澤委員のお話でございますと、小泉長官も地元で非常によく事情を知っているはずだというおことばがございましたので、長官とも横の連絡をとりまして、あとう限り善処いたしたいと思うのであります。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 政務次官の熱意ある御答弁で私もこの問題を終わりたいと思いますが、小野長官がやはり最高の責任者ですから、だからあなたは、やはり政務次官の言うとおり、調査するということは、そういう目的があってやるわけですから、そういうことで、長官が具体的にいろいろとよく知っておるわけですから、それを次官なり大臣にひとつ話してもらいたい。小泉長官も幾ら防衛庁長官になったからといって、やはりあなたにはかなわない、仕事の面では。ですから、これはもう政党出身の大臣ですから、そのときの内閣によって、おまえはどの大臣になれ、どの政務次官をやれ、こういうことですから、専門家とはいえない。専門家は事務当局です。施設の問題については小野長官です。ずいぶん勉強をしている。そういう意味で、小野長官もいま政務次官の言われたようなことで私は了承してもらいたいと思います。長官、何か文句がありますか。
  32. 小野裕

    説明員(小野裕君) 本年度の調査費の性格につきましては、御異論はおありのようでございますけれども、私どもといたしましては、本年度の二千万円の調査費は、移転を前提としない現地の実態の調査である、土地の権利関係、あるいは使用関係、こうしたものについての調査をするのだということで進めております。この住宅地区の移転問題ということの深刻な問題であり、重要な問題であるということについては、十分承知いたしております。しかしながら、今日までの段階におきましては、政府部内におきまして、これを至急に移すという段取りまでの決心、あるいは決定と、こういうものには至っていないのでございまして、今日までの段階においては、この調査費もあくまでも実情、実態の調査であって、移転を前提とするいろいろな調査ではないということで、これは政府部内の考えがいまのところ一致しておるのでございます。まあいま御要望の点につきまして、われわれもわからないわけでございません。今後の問題として熱心に検討し、また努力をしてまいりたい、こういうことは申し上げられますが、ちょっとその点につきまして、まあ現在の段階といいますか、事情というものは、こういうわけであるということを重ねて申し上げさしていただきたいと思います。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 やはり小野長官は、公式な答弁だというと、なかなか肩のこりがほぐれない答弁をするのだけれども、そういう形式論を幾ら言っておっても始まらない。私どもは、先ほどから言ったように、いままでやっておけば、何も施設庁が実態調査をことし予算をつけてやるなんということをしなくてもいいのですよ。しかし、目的があるから、そういうふうな世論、また強い要望があるからこそ、政府も腰を上げたわけで、予算をつけたわけでありますから、予算をつけて調査をするのは実態調査でありますから、私もそれはそのとおりだと思う。実態調査だと思う。実態調査をするのはいわゆる目的がある。その目的は、移転をということでいままできたのですから、やっぱりそういうふうにわれわれは理解をしてもらいたい。明日、私ども藤山さんと田中さんと一緒に、小泉さんも含んで予算折衝をやります。これはもう私はきまると思うのですよ。だから、小野長官がまずやってくれと、待っていましたということで、それで予算は済むのです。そういうことでひとつ私は了解をしておきたい。  そこで、いまの問題をさらに進めていくのでありますが、いま一つの、そういうせっかく米軍側から、いろいろと日本政府の申し出によってはお話し合いになるというようなことを私どもは聞いておるわけであります。そういうことでひとつぜひ、きょうもあすも日米協議委員会も開いておるようでありますが、私はやっぱり今後ねばり強く日本の国民の立場に立って、ひとつ政府が善処されることを要望します、この点は。  それからいま一つの点は、防衛庁の首脳部がおそろいですが、かねてから厚木基地の騒音防止、爆音反対期成同盟の申し出、こういうことによって何回か現地調査をやりました。これはNHK、郵政省、あるいは施設庁、地元の神奈川県大和市等、厚木基地の問題についてはずいぶん数多くのことをやりました。しかし、この問題について結論がいままで出なかった。ようやく出たのは、爆音下において一キロの範囲内におけるところのテレビ、ラジオの受信料の減免という問題が講じられただけです。しかし、最近のベトナム問題をはじめとして、ジェット機の騒音というものはまことに激しい、こういうことはだれ一人今日知らない者はないわけです。そこで、すでに藤澤市議会等においては、基地撤廃をしてくれ、こういう動きも現場では出ておる。そういう点で、地元としては、住民はたまらなくてアメリカの大統領に、国連を通じて、当時の大和市長がいわゆる要請を持っていった。人権侵害であると、したがって、人権侵害をなくするようにということをアメリカ大統領にまで手紙を、レターを持っていっておるわけです。これはこの前私が当委員会で申し上げた。ところが、なかなか政府が色よい返事をしないものですから、厚木基地の爆音反対期成同盟の地区委員長をはじめとして、横浜の法務局にこれを訴えて、横浜の法務局で実態調査をした、そうしてその結果を東京法務局に提出したと、東京法務局は、この横浜の法務局から出された問題についてどうなっておるのか、これをひとつ説明を願いたい。
  34. 鈴木信次郎

    説明員鈴木信次郎君) ただいま御質問のとおり、本年の七月の八日付で所轄の横浜地方本部から管区の長でありますところの東京法務局長に対しまして、調査の結果の報告と処理についての意見がこれにつけましてまいっております。そうして七月の十七日付で東京の法務局長から、同事件の内容、それから事件の処理についての意見をつけまして私のほうに上申がありまして、現在検討中でございます。前回の御質問に対して、できるだけ早急に結論を出したいというお答えをいたしたと思いますが、自来、若干の日数を経過しておりますが、私といたしましては、できれば一両日中にも——と申しましても、まさか明日すぐ結論を出すというわけにもまいらないかもしれませんが、早急に結論を出す、こういうふうにしたいと考えております。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 局長のできるだけ早く、できれば一両日中にもという熱意のあるお答え、たいへん私はありがたいと思うのですが、横浜の法務局の実態調査の内容について、お読みになったと思うのですね。その内容については、あなたはどう受け取っておりますか。人権侵害的な要素があるのか、ないのか。あなたのほうには中間報告という立場になるかもしれないが、横浜法務局の出されたその報告書については、あなたはどう受け取っておりますか、文書のときに。
  36. 鈴木信次郎

    説明員鈴木信次郎君) 具体的には当委員会からの御要望によりまして、まだこれは内部の意見でありまして、提出するのもいかがかというふうに考えますが、たっての御要望でありますので、横浜からの中間報告を文書でお出しいたしたというふうに記憶いたしております。  で、これにつきまして、どういう点が問題か、一体人権侵害があるのかないのか、こういう御質問だろうと思いますが、非常にその限度がむずかしい問題でありまして、このような問題が一体どのような人権に関係するかと申しますと、これはあらためて御説明いたすまでもないかと思いますが、憲法第十三条の幸福追求権、あるいは同第二十五条の生存権、さらにもし有形的な侵害があるといたしますと、これはやはり所有権、憲法で申しますと第二十九条の財産権に関する問題であろうと考えます。ところで、これらの憲法の規定、これは一般的な解釈によりますと、国民に対して具体的な請求権を与えたと、こう解釈すべきものではなくて、国の政治政策の使命、国の政治責任を規定したものであるというふうに一般的には解釈されておるわけであります。ところで、この厚木基地問題に関しましては、すでに昭和三十五年十月十八日の閣議決定に基づく各種補償及び学校、病院に対する防音工事実施され、あるいは日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別の損失補償に関する法律によりまして、農業補償が行なわれておるように聞いております。さらにまた、日米合同委員会は昭和三十八年九月十九日、ジェット機の騒音を軽減するための規制措置を決定し、以後この規制を行なっておるというふうに伺っておるのであります。一方、このような飛行場が設置されております以上、これに伴う騒音について、社会観念上認容すべきものと認められる程度、これまでは国民はこれはしかたがないものとして受忍する義務があるものと思われますけれども、その限度を越えます場合、これは初めて人権侵犯の問題が生ずる、かように考えるわけであります。  そこで、厚木の現状がいま申しました一般的な基準、すなわち国民の受忍すべき限度を越えており、しかも、国がこれを防止するために各種の措置をとっておりますそれ以上に相当な措置をとり得るにもかかわらず、これをしない、放置していると認められる場合に、初めて憲法の要請する基本的人権の尊重、これに違反するもの、このように考えられるのであります。  そこで、御指摘のように、横浜から東京法務局を通じまして一応の報告があったわけでありますが、はたして、この結果に基づいてこの飛行機の騒音によりましていかなる被害が具体的に認定できるか——一般的ではなくて具体的に認定できるか、第二番目に、その被害は、いま申しました基準、すなわち、諸般の状況に照らしまして国民の受忍すべき限度を越えていると認められるかどうか、さらに、これに対しまして現在の科学をもっていたしまして、すでにとられました措置以上にいかなる措置が可能であろうか、このような点を判断をいたしました上で、人権侵犯の事実があると認定できるかどうか、これを判断すべきものと考えておるのでありまして、相当この作業は進んでおりまして近く結論を出せる段階になる、こういう状況にあるわけであります。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 いま局長の言われたのは、資料に基づいて、調査結果に基づいてお述べになっていると思うのですが、私は、施設庁長官も政務次官もおりますが、たとえば厚木基地でこの騒音調査をした結果、どういうふうに出ているかというと、一つの例ですが、百人の人を対象に調べてみた。そうすると実にその三〇%、三十人が障害が起きている。その障害の内訳を申し上げると、百人のうち、健康上の被害で百人の住民から直接調査したところ、胃腸疾患が八人、頭痛、めまいが五人、安静療養障害が三人、咽喉疾患が三人、神経障害、不眠症、おかあさんの母乳障害、疲労、こういうものがおのおの二人ずつ、御婦人の生理の不順、視力の減退、血圧の高進、聴覚の障害それぞれ一人ずつ、いわゆる百人のうちに三十人が障害が起きている。ですから厚木基地を中心に大体区域を十キロとして、その十キロの範囲内には、神奈川県の大和市、横浜市の戸塚区、保土ケ谷区、藤沢市、東京都の町田市、相模原市、厚木市、高座郡の座間、綾瀬町、海老名町、寒川町、こういうたとえば十キロの範囲をとってみると、その中でいまの局長が答弁された人権侵害になると思われる限度というものはどの程度に……、これが七十フォンであるのか、百フォンであるのか、百フォン以上でなければいけないのか、百フォン以下ならば人権侵害にならぬというのか、限度というのはどうなのか、こういうことになると私はかなり問題が出てくると思う。そこで局長は、たとえば法務局は人間の許容されるいわゆる騒音、これはどのくらいの程度をお考えになっているのか、この点は少しやはり聞いておかなければいけない。いかがです。
  38. 鈴木信次郎

    説明員鈴木信次郎君) 人間の生活上、騒音がどの程度まで認容すべきであり、どの程度越えれば人権の侵害として許されないかという御質問でありますが、これは一がいに言うことはできないと解しておるのでありまして、やはりその土地の具体的な状況にもよるのでありまして、一般的な問題は、先ほど御説明いたしたとおりでありますが、具体的な問題になりますと、なかなかその限度の認定というものは困難であります。そこで具体的な事件がありまして、しかも、関係者の間でその限度につきまして意見の相違、争いがあるということになりますと、これは最終的には裁判所の判断によらざるを得ない、こうなると思うのであります。御承知のように、裁判には相当時間と費用を要します。われわれ行政庁にあります者が行政措置をとります場合に、一々裁判の結果を待つというのでは非常に時間もかかり、行政措置としても妥当なものではない。そこで、各地の具体的状況によりまして、これは飛行機の騒音に関する場合ではありませんけれども、一般の騒音の問題につきまして、騒音防止条例というふうな条例がつくられますと、一応これで具体的標準が明らかになると思われるのであります。ただいまの厚木の場合にはどうかというと、これは非常にむずかしいのでありまして、まさにその点を現在検討中でありますが、いろいろ調査の結果によりますと、まだ具体的にどうということを申し上げる段階には至っておりませんが、何らかの影響が一般住民の日常生活にあるということは、これは言えるのじゃないかと、かように考えております。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 それから局長は、最近における横田基地の爆音の影響は深刻であるというお医者さんの調査をした経過というものをお聞きになっておりますか。そういうことは聞いておりませんか。
  40. 鈴木信次郎

    説明員鈴木信次郎君) 私どもの出先のほうには、あるいはただいま御指摘のような事実が入っておるかもしれませんが、本日現在まで、私の手元まではまだ出ておりませんです。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 これは今月の十八日に、人体に対する影響は明らかである、こういう医師会の皆さん報告書がすでに出されておるわけです。横田基地をいろいろ調べたところが、ストレスが蓄積をしておって、精神面に与える障害はきわめて大であるということが、十七人のリストをつけて報告書が提出されておる。こういうことも私どもは——いろいろと調査をしたことが述べられておるわけでありますが、何といってもその根本になったのは厚木基地の、アメリカの大統領にまで騒音問題について要請書を出されたことが一半の問題点なんです。そこで、この内閣においてもいろいろと基地周辺等の問題については御苦労されておると思う。しかし、いまこの厚木基地の問題をはじめとして、ほとんど全国民がおそらく要望しておることは、基地を提供しておるための被害の問題については、これはなかなかむずかしいだろう、むずかしいだろうけれども、住民感情として解決をしてもらわなければならぬ、そのために基地周辺等民生安定法をつくれというのが、これは都道府県知事の要望じゃないですか。関係の議会の要望じゃないですか。だから前回も、東京都出身の福田さんが防衛庁長官のときに、あの原町田にジェット機が落ちましたね。あなたは長官であるけれども、一体あなたが国会議員という立場だったらどうなのか、あなたがいままで進めてきた国会議員という立場でこの問題考えたらどうなんだと言ったら、私もそのとおりだ。やはりそれは国会議員としては、ああいう問題は困る、ずいぶん自分もそういう運動をやってきた、こういうことをいみじくも言われているわけです。ですから基地周辺等民生安定法をつくれという声は、これはどこの都道府県知事でも、あるいはそういう地方議会の人たちでも、みんな意見は一致しているわけです。ただ、やってくれないのは政府だけだ、政府が四の五の言っているだけだ。そういう法律をつくらないでも、政府は個々の事例で処理をいたしますと言っているのだね。そこに私は問題があると思う。私は、きょうは防衛庁審査ですから、ある程度質問の問題も局限をされますけれども、やはり法務局は人権に与える影響というものを基本的に考えておりますね。そうでしょう。何よりも大事なことは人権ですよ。人権の侵害ということは、どんなことがあっても、どんな社会でも、これは食いとめなければいけないでしょう。これは純真な立場で法務局は考えていくべきだ。そこで、人間の社会生活の中における社会性の問題については、確かに国家的な立場、あるいは個人的な立場、いろいろあると思うけれども、大多数の国家的な立場でそれはものを処理できるでしょう。できるからこそ、たとえば公務員が誤った場合には、国家賠償法というものがあるわけです。そうでしょう。私は六年もこの参議院の決算委員会で叫び続けているのは、いまの国家賠償法はだめだ、人権を守ってくれない。したがって、国家賠償法を広義の意味に私は法律を改正すべきではないか。そこで、私はフランスの法律なり、アメリカの州法なり、連邦法というものを参考にして、そうして池田さんとずいぶん決算委員会でやり合った。池田さんも、最終的に一昨年の十二月、国家賠償法を改正するならば、検討に値すると言っている。これは議事録に残っておりますよ。私は国会図書館の村法学博士と一緒に、この問題で長い間実は研究を進めてきた。だから、西ドイツの法律を見ても、フランスの法律を見ても、あるいはアメリカの法律を見ても、日本の法律がまだまだ足りないという点がある。その足りない点を直すのがあなた方の、人権をいかに守るかということが最高のものですよ。そのことは、法務局が政治的に解釈すべきではない。政治的にやるのは政府の仕事です。行政当局は事務的に人権を守るという立場でいくべきだと思う。こういう意味で法務局が出される調査の結果というものは、きわめて私は大事なことだと思う。したがって、十分ひとつ審査をされて、そうして実態調査も十分慎重にされて、私は結論を出していただきたい。私は、決して私が言っているのは正しい、政府の言うのは全部間違っている、そういうことを言っているのではない。いわゆる法務省人権擁護局としての立場というのは、私は、人権を守る立場でなくてはいけないということで、この調査結果というものにきわめて関心を持っているということで、先ほどのあなたの答弁の、できるだけ早い機会に、このひとつ調査結果を発表を願いたい。資料を御提出をいただきたい。  そういうことで今度は防衛庁に返るわけでありますが、防衛庁としては、この人権侵害という問題が起きた場合には、そのための予算措置は講ずる、こういうことに私は当然なろうかと思うのですが、その点は政務次官、いかがですか。
  42. 高橋清一郎

    説明員高橋清一郎君) 予算措置ということでございますが、はっきりした具体的な欠陥条項ありと認定されました場合には、補償する義務が出てまいります。また、防衛庁といたしましても、それに対する関連事務遂行につきましては、一刻も早く遅滞のないように努力したいと思います。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 たいへんけっこうです。これは小泉防衛庁長官が就任のあいさつの中でも、実は私どもの地元にお見えになったときにも、そういういまの政務次官のお話しのようなお話をしているわけです。なかなかむずかしい問題だけれども、こういういろいろの問題を考えてみると、やはり前向きの姿勢で積極的に取り組むべきであるということを言われているわけです。だから、この点については、やはり私は政府は事実の上に立って、そうした政策というものを織り込んだものを出すべきだ、こう思うわけです。したがって、いまの政務次官の答弁で、ぜひそういう方向づけをお願いしておきたいと思います。  それからまだたくさんあるわけですが、きょうは法務省人権擁護局と防衛庁だけでありますが、いずれこの予算的な問題点は、郵政省なり電波監理局なり、あるいはNHKなりという問題にからんでくるわけです。そういう問題についても、これは総合的な問題ですからやはり政府として十分御相談をいただきたい、関係者にね。地元の神奈川県としても、現在調査をやっぱりやっております。これはもう毎年やっておるわけです。ですから、そういう点についてもひとつぜひ御理解を得ておきたい。  それから、天田委員の質問もありますから、私も終わりたいと思うのですが、いま一つ、二つですが、先ほどの政務次官のこの報告書の中で、二八ページの「翌年度繰り越し額三億三百九十一万五千円は施設提供等諸費でありますが、これは補助金工事等におきまして、気象、用地関係により工事が遅延したこと、また買収及び各種補償等で額の確定、相手方との折衝に不測の日時を要したこと等に基づくものであります。」ということが述べられて、それからいま一つの問題は、二五ページの「国際連合軍等関係補償費で三億七千四百三十三万七千円を支出しております。これは国際連合軍の使用により荒廃した広島県原村演習場復旧工事に対する補助金占領期間中における連合国軍等不法行為により人身被害を受けた被害者及び遺族に対する見舞い金等に要した経費であります。」と、こうなっております。そこで一つ問題をお尋ねをするわけでありますが、連合国軍等不法行為により人身侵害を受けた被害者及び遺族に対する見舞い金、この問題でありますが、連合軍がおったときに日本国民が受けた被害、これに対するいわゆる被害者連盟なるものがあります。この人たちは強く政府に対して改正の要請を行なっております。これは衆議院においても、本参議院においても、附帯決議までして政府に善処方を要望しておるわけです。これについて今度は改定をする意思がありますか。まず第一点。  それから、先日、御承知のように多くの関心を集めましたところの日本人従業員が岩国基地で殺された、あるいはそういう基地の中における、あるいは周辺におけるところの米軍のいわゆる不法行為といいますか、あるいは人権侵害といいますか、こういう問題が起きて、これらの人に対する補償問題、遺族に対する見舞金、こういう問題については、きわめて私は大きい問題だと思うのです。こういう点についてはどういうふうにおやりになるつもりなのか、この点についてもひとつお答えをいただきたいと思います。
  44. 小野裕

    説明員(小野裕君) 占領中の国連軍兵士から受けました被害の賠償という点につきましては、いまお話しのございましたように、いわゆる事故給付金という形でお見舞いを差し上げておるわけでありますが、この額が少ないのではないか、もっと増額改正したらどうかという御意見かと思うのであります。被害者連盟の方々もそういうような御要望に見えておられました。私どもも御同情を申し上げております。ただ、今日ただいまの段階におきましては、この関係法律を改めるという準備はまだできておりません。  それから次に、最近あちこちで非常にやっかいな、非常に遺憾な事件が起こったわけでございますが、たとえば岩国あるいは御殿場というようなところで日本人が不法に殺された、死んだというケースがございまして、まことに残念なことでございますが、この方々に対しましての遺族の補償その他につきましては、比較的順調に処理されております。御承知のように、本年の四月一日から、こうした米軍将兵の起こしました事故についての補償の基準というものは引き上げられまして、ホフマン方式を採用することによりまして、従来と比べますならば、数倍の引き上げになったわけでございます。いままで起こりましたケースとして、町田における飛行機の墜落、御殿場における婦人の射殺、また岩国における従業員の刺殺、こうしたような案件につきましては、私どもがいま考えております、持っております基準に従って被害者の方々、御遺族の方々と御相談をしまして、大体御納得をいただいてその線で補償を行なう、これは日本政府が支払うものもございます。また米軍から直接払わせるものもあるわけでありますが、その辺の手順はただいまのところ順調に取り進んでおります。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 長官、端的にお尋ねしますが、結局これからはホフマン方式による、ホフマン方式を採用すると、こういうことですね。そういうことでありますと、私は前段に申し上げた占領軍期間中のいわゆる不法行為によるところの人身被害を受けた人たちの問題については、衆参両院の附帯決議というものは、私はあなたのほうでもやっぱり生かさなくちゃいかぬと思うのです。国会の附帯決議というものは聞きっぱなしだということには私はならぬと思う。したがって、現時点におけるやはりホフマン方式を採用するということであるならば、そういう方向に沿って、私はやはり国会の附帯決議というものもあなたのほうで尊重していく、附帯決議に沿っていくというのが、私は政府の仕事の進め方ではないかと思うのですが、この点は長官はどうお考えですか。
  46. 小野裕

    説明員(小野裕君) ただいまお話しの国会における附帯決議は、参議院のほうでは決議されておりまして、衆議院のほうはなかったかと存じますが、いずれにいたしましても、大きな問題として残っております。ただ私どもといたしましては、ただいまの占領中の事故に対するお見舞いというものにつきまして、ただいまお話しの附帯決議のつきました法律の制定が三年、四年前の法律でございますが、過去約二十年にわたりまして一切のそうした被害補償を大幅に改定をするということになりますると、いろいろと影響するところが多うございます。そういうようなことから、非常に大きな問題ではございますが、簡単に片づかない問題であるというように考えます。いろいろとそうしたことについて検討はいたしておるのでございますけれども、ただいまの段階においては、すぐこれを増額改正に持っていくというまだ決心はできていないということは先ほど申し上げましたとおりでございます。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 私は、いまの長官の答弁では、これは了承しかねます。国会の決議というものをそんな軽く扱われては困る。国会の決議というものは、ただ話し合ってきめたのから政府の役人に示しただけで、役人がどうこれを処理しようといいということではない。そんな軽く取り扱われては困る。少なくとも国会の決議の精神に沿って私はその方向づけをしなくちゃいかぬと思うのです。金がかかるからなかなかそういきませんという金の話です、それは。銭が幾らあるかないかという話ではない。国会は少なくとも国権の最高機関であって、そうして国会の意思というものは国民の意思を代表するものなんです。その附帯決議をそういうふうに取り扱わないでもし政府がいくということになると、これは重大な問題だと思う。そんな国会決議なんというものは必要ないじゃないか、まさかそういう御答弁ではないと思うが、これはやはり選挙をやって出てきたのですから政務次官にひとつ聞いておきたい。政務次官は一体法律とか国会の決議というものについてはどう考えるか。
  48. 高橋清一郎

    説明員高橋清一郎君) 従来国会の一員を占めてまいりましたことにつきましては、そのつど特にいろいろな事象に会いましたが、衆議院にせよ参議院にいたしましても、各項目につきまして、事案について附帯決議が伴うという場合におきましては、よほどの内容に重大な事を秘め、また、その実行について関係庁の特別な善処を要望するということが前提にあらねばならないと思うてまいりました。その意味におきまして、いまの問題につきましては初めてお聞きするわけでございますけれども、いま長官の説明の中に参議院の附帯決議はあったが衆議院にはなかったというようなことは、私はこれはよけいごとであると思います。いやしくも一院において出されたものについては、これはもう他院にあろうがなかろうが重大視し、その実行についてあとう限り熱意をもって善処するということがとるべき態度であろうと思います。したがいまして、本問題につきましては、今後つぶさに長官から、また関係皆さま方の御意向も体しましてあとう限り態様整備につきまして努力し、皆さま方の特に附帯決議を経ました本問題でございますだけに、決議の内容にのっとりまして善処いたしたいと思っておる次第でございます。
  49. 天田勝正

    ○天田勝正君 関連。ただいまのことで、これは質問じゃありませんけれども、要望いたしておきたいと思います。  それは、一院である種の決議がなされ、他の院においてこれがなされなかった。言うなれば、二院あるものの一院で行なったがゆえに、軽さが、あるいは重さが半分であるという解釈が事務当局にあるとするならば、これはたいへんなことであります。本院の各委員会におきましても次のごとき例が実にあります。衆議院において附帯決議がなされたがゆえに、本院においての審議期間が短い等の関連もあって、こちらにおいてはむしろ遠慮をして、そうして討論の中にそれらを述べてやめるという場合も数々あるのでありまして、それがまた、衆議院においても決議がなされたけれども、なおまたそれに足らざる点もあるから、同様ではあるけれども——衆議院の決議を盛り込まなければ本院においてはその衆議院の意思というものは認めないというようにとられてはいかがかということで、同様な趣旨も盛り込み、かつはこちら側の意見も付加しての決議、こういうのもある。でありますから、これは衆議院にこの本院の回付案が回ったときも、やはり私は同様に衆議院でも行なっておるということを承知しておるのであって、そういう実情でありますから、一院では欠陥を認めた、他院では認めなかった、そういう解釈はとほうもない解釈でありますから、これは政務次官からよく大臣にも申し上げてもらいまして、これは各省庁通じてかような解釈があってはならないということを私は申し上げて、要望といたします。
  50. 小野裕

    説明員(小野裕君) ただいま私の御説明が不十分であったために誤解を招きましたことを残念に思いますが、実は相澤先生が両院の附帯決議があったとおっしゃいましたので、それは一つでございましたということを申し上げたつもりでございます。一院でありましても当然これはもう最大に尊重しなければならないことは、これは御指摘を待つまでもないことであります。そういう意味でございますから、御了承願います。
  51. 相澤重明

    相澤重明君 私は、いわゆるいま政務次官が答弁されたように、国会は国権の最高機関であるし、国民を代表しておるものであるから、少なくとも国会の審議、国会の決議、こういうものについては政府は尊重するのが当然である。したがって、国会の附帯決議が出されておるのに、その附帯決議が、それは国会がしたのであるから事務当局はこれはもうどうなってもしかたがないということではない。これはいけない。やはり国会の決議に沿うように政府は前向きの姿勢をとるべきだと思う。その点について、小野長官もそういうことであろうと思いますので了承しますが。したがって、了承するということは、私はやはり参議院の附帯決議を、この占領期間中における連合国軍等不法行為によって人身被害を受けた被害者及びその遺族に対してホフマン方式をとるならば、そういう方式を盛り入れたものをやはり取り入れるように私は政府が前向きの施策をとる、こういうことが今日の段階でも御答弁あってしかるべきだ、そういうことで実は申し上げたのであって、なるほど予算の問題とか具体的な金額の問題になれば、政府も頭の痛いことは事実だと思うけれども、考え方として、国会の決議というものは国会議員がかってにするのだということにはならぬと思う。そういうことで、一歩一歩積み重ねておいでになった政務次官ですから、私はあなたにお尋ねしたわけです。もしあなたがそうでないなんて言ったらたいへんなことです。地元へ行って言ってごらんなさい。それで終わりです。ですから、そういうことではないけれども、私は国会の意見というものは尊重してもらいたい、こういうことです。その点については、小野長官もまた政務次官も誠意ある御答弁をいただいたものとして、私はその点は了承いたします。  時間の関係で、きょう省略いたしますが、次の機会にお答えをいただくために質問だけしておきます。横浜市の大船のPXの移転について、すでに事務的にはかなり仕事が進んでおるのであります。どういうふうに今後処理をされていくのか、次回にひとつ具体的に折衝過程を御報告いただきたい。きょうは時間の関係で、私はこまかい点についての質問は省略いたします。ただ、この前の決算委員会で御答弁を大臣からいただいたのは、地元のいわゆる自治体、神奈川県なり横浜市なり、この自治体と十分御相談をいたします。そうして同意を得なければ決して政府がかってに仕事をやりません、こういう大臣の御答弁があった。そのことを私は了承しておりますから、今後の進め方についてはどうやるのか、関係者と相談をされるなり、あるいは米軍側と折衝されるなり、その経過について、次回御発表いただきたい、こういうことで、私の質問を終わります。
  52. 天田勝正

    ○天田勝正君 すでに委員長理事打ち合わせ会におきまして時間がきまっておりますので、時間を守らなくてはなりませんから、私の質問は三点にしぼりたいといたして、なおその三点については、すでに当局側に通告済みであります。しかし、ここで先ほどの報告を聞きながら、どうしても一点だけ追加してお伺いしなければならぬ点がありますから、まずそれを伺います。きわめてこまかい問題でありまして、大かたはどうも見過ごしがちのことでありますが、この検査報告のうち、防衛庁に関しての不当事項会計検査院から指摘されております。そのうちの(4)の点だけをひとつ伺います。これは、書いてあるように、「検収処置当を得ないため不良品をそのまま受け入れているもの」、この受け入れ方であります。これは検収をしないで受け入れた。説明には、梱包を解かずして受け入れた、こう書いてあるのですが、要するところは、検収しないのです。怠ったのです。こういうばかなことが一体一般の民間企業にあるであろうか。なるほど忙しくて全部その性質までも検査することは不可能だといたしましても、もしさような場合だったら、予防線を張ってこれこれの数だけ受け取りますと先に断わって、あとでその内容について、いけなければ返品する。こういう処置を当然とるべきところが、さような処置をとらないで、まるっきり中身は見ずして、どういうものが入っているかわけがわからないで受け取った、これは見方によればまるで小役人いじめみたいなことになりがちでありますけれども、それはそうではないのであります。一般的にはさようなことは容認できないことなんです。これはまあ私一口に言うならば、役所というものが利息のつく金を使ったためしがないからこういうことになる、一般の企業であれば、自分の出資した金であっても、金利をつけてこれを計算しなければ、どんな企業だって成り立ちません。ところが、さようなきびしいことを一向しないし、元来——古い車のことをここに持ち出すのは少しく意地が悪過ぎますけれども、そういうことで一番だらしのないのは軍部であって、この惰性というものが今日ここに及んできておるという気が私はするのです。  そこで、これはどういうものについてこうなったのか。もうあとのことは指摘されましたから、私は改善したと思う、そのことについては。しかし、一般的にかようなことがあってはならないということを私は指摘しておるのでありまして、この指摘された部分だけを改善したからと言って済むものではございません。そこで、これはこまいことでありますから、政務次官でなくてもけっこうでありますので、担当者——これを知ってる人どなたでもよろしゅうございますから、もうちっと詳しく説明してもらいたいと思う。
  53. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘いただきました航空自衛隊第一補給処におきまして購入いたしました整理箱台でございまするが、これの検収は、まず製造工場におきまして当該注文品の製品の検査をいたしまして、その後、工場は検査の済みましたものにつきまして梱包いたしまして、所要のところに発送をいたすわけでございますが、今回の検査院から御指摘いただきました点は、受領したときに梱包はぬれていたから、開梱してそのときはさらに改めるべきではなかったかという御指摘でございまして、それにつきましては、当時の受領責任者は、受領当時なかなかその湿気が目で見てわかる程度でなかったのでという弁解もいたしておりますが、したがって、異状ないとして開梱しなかったんだということも言っておりますが、何にいたしましても、湿気の結果、塗装の剥離があったということは事実でございます。したがいまして、この点は、契約条項に基づきまして、隠れた瑕疵として業者に手直し方を指示いたしまして、事後措置を十分いたした次第でございます。
  54. 天田勝正

    ○天田勝正君 それじゃ、まあ時間もありませんから繰り返しませんが、私はさっきも言ったように、これは一つのことだけれども、これが直ったからいいというのではない。端的に言うならば、さっきから相澤委員がずいぶん追及いたしましたが、この不用額、こういうものが出たと。これが一般の民間会社であれば、それはやはり大きな利子を生む財源になるんです。国のさいふなるがゆえに、そういうことも見過ごしがちなんです。そういうことが結局いまのような検収なども不十分と、こういうことになる。ですから要望いたしておきますけれども、たとえ、かわりの者であっても——現在そこに携わっておる係でなくても、大ぜいの人間なら幾らでもやりくりができるんですから、民間会社ならみんなやってることです。そういうことをやれば、いま認めざるを得ないようなことは防げるはずです。でありますから、もっとこの点はしっかりやってもらいたい、御注意申し上げておきます。  次に、兵員充足の問題でございます。私の知る限りでは、おそらく、いま少なくとも三万人不足しているのだと思います。そこで、きょうは三十七年度の予算のことでありますが、この三十七年、三十八年、三十九年にわたって、それぞれの年次において、海上航空関係はよろしゅうございますから、陸上自衛隊について、逐年どのくらいの兵員が不足してきたのか、まずこれをお答え願い、次には、この政務次官説明で、「十三個師団態勢を完成いたしましたほか」と、こうなっている。ところが、十三個師といっても、七千人から九千人でありましょう、おそらく。昔の一個師団の編成から見ればはるかに少ない。この人数で計算いたしますると、「十三個師団態勢を完成いたしましたほか」——ほかどころか、そのうちにおいて四個師足らないということになりますよ。それでは政務次官説明は、まるで違う話になりゃしませんか。それは逐年どういうふうに変わっておりますか。三十七年、三十八年、三十九年——それ以前のことを言い立てると時間がかかるから、まず、せめてその三年だけでもはっきり示してもらいたい。
  55. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) 陸上自衛隊の三十七年以降の欠員状況を申し上げますと、三十七年度におきましては、陸上自衛隊は十七万一千五百の定員に対しまして、不足は二万六千六名であります。三十八年は二万八千三百六十名であります。三十九年度、これは現在七月末の統計でございますが、陸上自衛隊は二万九千四百七十九名の欠員であります。
  56. 天田勝正

    ○天田勝正君 だから言うたでしょう。そうすると、「十三個師団態勢を完成いたしましたほか」じゃないじゃありませんか、政務次官。いま私が指摘したように、四個師団も人間の上において足らないのです。足らない分は何で一体補って「完成いたしましたほか」になるのです。ほかじゃない、うちですよ、それは。
  57. 高橋清一郎

    説明員高橋清一郎君) 一応編成ということをたてまえにいたしましてのものでございまして、お説ごもっともなんでございますが、今後の充足等の問題につきましては、関係者も非常な熱意を持っているわけなんであります。いまお説ございましたように、航空海上のほうはさして心配ないのでありますけれども、一番のやはり焦点は陸上でございます。したがいまして、今後——就任以来その間の実情もよくわかりました。本来あらねばならない姿においてその充足を期すべく、鋭意努力したいと思います。
  58. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、このあなたの説明の九ページの部分は、これはお認めにならないことですね。なかりしものと私は受け取りますが、受け取れば、それですなおにいくのだし、受け取らないということになれば、それは困ることなんだ、いいですか。
  59. 高橋清一郎

    説明員高橋清一郎君) 編成ということでひとつ御了承願いたいと思います。
  60. 天田勝正

    ○天田勝正君 編成にならないのだよ。防衛局長いませんか。——じゃいいです。私が指摘したように、日本の、師団編成になっても、昔とはまるで違った少ない兵員なんです。それはいいとして、一個師というのは、じゃ最低幾らならいいのですか。編成にならないと私は思う。まあ、その政務次官の後段の部分だけで、もうよしにしようと思ったけれども、変なことを言い出したからこっちもまた……、どうですか。
  61. 三輪良雄

    説明員(三輪良雄君) 編成のことにつきまして、防衛局が所管でございますが、防衛局長もきょうは日米安保協議会のほうへ出ておりまして、所管の者がおりませんので、便宜私から申し上げますが、もちろん仰せのとおり、編成という形だけでなく、定員も充足しておらねばならないということは、そのとおりと私ども思います。ここで政務次官から御報告いたしましたのは、従来ございました管区隊二、混成団三を五個の師団の形に改編をいたしましたということでございまして、実はこの欠員の状態は三十四年ごろから出てまいっておりまして、改編前も実は二万九千人の——三十六年末で申しましても、二万九千人の欠員があったわけでございます。そこで、それぞれの幹部につきましては充足をいたしまして、その隊の中に欠員があるという遺憾な状態でございまするけれども、編成後、混成団あるいは管区隊からの五個師団の態勢にいたしたということを御報告いたしたのでございます。その際に欠員がありますことは重大な欠陥でございまして、自来努力をしてまいりましたので、特に来年度の事業といたしまして、募集態勢を画期的に強めるということとともに、先ほど人事局長からもお答えいたしましたが、新しく採る者をふやすと同時に、従来採りました者が中途で、期間を待つことなくやめていくという者をとめなければなりません。その努力をいたしまして、一番悪い三十七年度ごろから比べますと、最近数カ月は、ほぼやめる率も半分くらいになっております。また、募集の応募の状態なども、最近少しく上向きになっております。いろいろな対策を加えまして、できるだけすみやかにこの定員を充足をいたしたい。明年度も年度末におきましては八八%の充足、やがてそれを一〇〇%に近づけてまいりたいという努力防衛庁あげていま考えつつ努力いたしておるところでございます。
  62. 天田勝正

    ○天田勝正君 担当の局長がおらないと——こう官房長が言われておるのだし、政務次官はまだ就任早々で、せっかく大いに勉強してと、こう第一、人の口をふさぐようなことをもう先に言っちゃっているから困るのでありますが、それ以上言うと、私ども意地が悪いことになって、いいかげんにしますが、いずれにしろ、この問題を私は担当局長が来たときに、もう一ぺんお聞きしたいと思うのです。われわれが政治的に判断すれば、人数がこのとおりだって、十三個師のうち四個師団足らないというのは、はしたの足らないのじゃないのですよ、実際その三分の一も足らないのだから。これがせいぜい一割ぐらい足らないというなら、何かやりくりをしてどうやらやれるということになるけれども、三分の一も足らない。これはたいへんなことなんです。それで官房長も実は答弁しなければならないから答弁しているのであって、まことに苦しい答弁なんです。実はそういうことで、これはたいへんな問題ですから、ほかの何かの器材をたくさん設けたから要らないというような問題じゃない。幹部は充足いたしましたという話もあったけれども、そのことを、幹部だけ充足したって、ほかの者がいなければ、子分なしの親分みたいなもので、何にもなりゃしない。ですから、これは結局、防衛庁は充足に努力をしているのだと、こういう話でありますが、その努力のしかたが、今後私は二番目に質問する問題に関連してきちゃうのですよ。むやみやたら努力をすると、やくざみたいな者でも何でも自衛官にしてしまう、こういう問題が起きてくるし、また、実にしばしば、上野公園あたりをふらふら歩いていたところが誘われた、こういうようなことが出てくるのであって、ですから結論を言えば、何か私は特技をつけるほかないのじゃないかと思う。通信隊なんかは、陸上でもそういうことはないだろうと思う。私自身も通信隊は見たことがあるけれども、その器材のそろっていることなんというのは、とてもこれは普通の民間の——民間のというか、公立、官立の学校だって、はるかに及びやしない。通信器材なんかの使い方は無限と言ってもいいくらいですね。だから、大学の電気科を出たっても、さてラジオなんといったらお手あげになってしまう連中が近ごろ多いけれども、実技ということになると、実力第一等になるのじゃないか。これはほめていいほうでありますが、そういう何かを与える、たとえば土木工事のオペレーターとか、一つでも特技をつけてやって、民間に行った場合、これがどうやらではなくて一人前以上の技術をたった一つでも与えるのだ、こうなれば、私はきびしい訓練の中にかなり自衛隊の役割りはそれはそれなりに果たせるというふうにも考えられるのであって、いままでの説明だと、われわれは政治的に判断すれば、それならこれは人員を減らしたっていいのじゃないか、師団なんか減らしてもいいのじゃないか、こういう結論にもなりかねませんから、次の機会に十分調べておいてもらいたいと思うう。  次は、やたら募集した結果のことでありますが、これは当局もすでに十分お調べになっておると思いますけれども、去る七月の三十日に起きた市谷駐とん部隊の陸士長以下数名の者がけんかをして、そうして相手を結局殺してしまった、即死ではなかったけれども殺してしまった、こういう事件が起きた。このやったことはまるでやくざ者のそれですよ。それもさっき指摘したような募集のしかたということが関連している。のみならず、これはずいぶん私は防衛庁でも苦心して実は新聞社へ頼み込んだのだろうと思うのです。どの新聞を見ても、この程度の記事だ。ところが、事実はそうではないのですよ。外出してはならない時間に外出していってけんかした。初め遊びに行ったときは、それは外出してもよろしい時間であったかもしれないけれども、この人殺しをしたというときには、一ぺん帰ったものが出て行ったのです。出るべからざる、しかも、それがこっそり出たのではなくて、正門から堂々と出て行ったのです。しからば、その出るということが問題です。出すということが、それを認めたということが、そうして、おまけにけんかをして帰ってきたときは、自動車で帰ってきたでしょう。そうなんです。おまけに、自衛官だけが帰ってきて寝ておったのならばさることながら、次の日になってみますと、自衛官でも何でもない者が寝ていたんでしょう。この自衛官でも何でもない者が寝ていたのは、新聞に出ていない。よほど頼み込んだのだろうと私は思う。どうしたたって摩訶不思議です。昔の軍隊ほどきびしくないにしても、かりにこれが女子学生の寮だっても、全然女子学生でも何でもない者が朝寝ておったというなれば、かなり教育上の大きな問題になると思うのだな。政府が戦力なき軍隊なんと言っているから、外国ほどのきびしさもないし、日本の旧軍のきびしさもないかもしれないけれども、普通の集団生活においてもあり得べからざることなんですね。別の者が寝ていた。部屋のだれもふしぎに思わないで、翌日起きてみたら、この中の点呼をしてみたら、全然隊員でない者がいた。おまえ何だ、いや、もとは自衛隊員だったけれども、てんでいまはそこにいるのじゃない、こういうようなわけでしょう。世間一般は、そういう新聞にはこれしか出ていないから、私がいま指摘したようだとは思っていないはずです。ところが、これは出て行くときからふしぎだし、帰ってくるときも、そういう別な者が入っていて、制服も何も着ていない者が自動車に乗って、そうして正門を通ってしまったというのは、一体どういうわけなんです。どの局長が担当か知らないけれども、おかしな話じゃないですか。この経緯をすっかり話してもらうとともに、もう一つ、ついでに時間がありませんから言ってしまいます。  三月の海上自衛隊の下総基地のあれも大きく新聞に報道されておりましたから、これはもうよく御承知だと思うのです。あれだっても、結果においては、暴力団のなぐり合いとそう変わりませんよ、仕返しに行ったのだから。いやしくも国家の、まあ言うなれば広い意味で役人なんですから、それが仕返しに押し出して行く。しかも、そのときには、旧軍で言うならば憲兵が押し出して行ったんでしょう。憲兵が出かけて行って、そしてけんかをやってくるというに至っては、もう何をか言わんやということになる。ですから、こういうことは新聞には隠していたって、調べればわかるのですから、もっとはっきりさして、あとをどうするのかということを知らせてもらいたい。
  63. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) 市谷ではまことに不始末な事件を起こしまして、心から申しわけないと思います。  御質問がございました、無断で営門から最初に外出したのではないかという点につきましては……
  64. 天田勝正

    ○天田勝正君 最初じゃない、二度目だ。
  65. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) 当人たちはさように申しておりましたが、営門の歩哨をつぶさに調べましたところ、その時間に歩哨は当人たちが出るのを認めておりません。したがって、これは脱さくと判断いたしております。  その次に、途中で車で引き返した。これは事実でございます。車の中に乗っておりまして、身分証明書を見せて営門を入れてもらったわけでございます。ただ、車につきましては、非常に厳重な規則がございまして、部隊の各門ごとに規則があるのでございますが、せびろを着ておりましたものですから、身分証明書を見て、大体まあ臨時の外出をして帰ったものと甘く考えまして入れた歩哨の責任は重大と思いまして、事件直後、東部方面総監部では、各歩哨の監督責任を十分に追及いたしまして、それぞれ処分したわけでございます。なお、その後、事件の重大性にかんがみまして、東部方面総監部では、規律刷新週間を設けまして、一カ月にわたりまして励行期間中厳重な監視をつけるという努力をいたしております。  御承知のように、市谷は非常に各機関が多くございまして、陸海空その他の部隊が二十七ございまして、あそこだけで四千五百人おります。一日の出入量が部内者で三千名でございまして、部外者がそれに約数百名加わる——こういうことは弁解にはなりませんが、そういう困難な事情も若干あって、そういうことから突き当たったのではないかというふうに反省しております。  なお、御質問の前にお話がありました、職業等を身につけるという点につきましては、全く同感でございまして、われわれは募集に際しまして、特技の訓練の付与ということに非常に力を入れておりまして、毎年、今後は、四年以上の入隊者につきましては、二千名程度いろいろな特技を付与してまいりたいと思っております。  なお、募集方法におきましても、先ほどまあ非常に質の悪い者を採って、それが隊内に悪影響を及ぼすのではないかという点の御指摘がありましたのですが、これはごもっともでありまして、従来ややもすれば、数をそろえんとするあまり、そういう点に走ったことは、これは反省しておりまして、現在は相当慎重に面接調査を行ないまして、できるだけ良質の者を採るように努力しております。
  66. 天田勝正

    ○天田勝正君 身分証明書を持ってきたからどうしたというのですけれども、それはどこかしら民間の何かの会社かなんかで出した身分証明書でどんどん通せるのですか。それがふしぎだし、同時に、もし自衛隊の身分証明書を持っていたというなら、その身分証明書の出た場所が、今度はまたふしぎになってくる。あるいは、だれかからかっぱらったのか借りたのか。借りた、貸したということになれば、貸した人間がいるということが、これもまたふしぎになるんですよ。  それから、私がさっき指摘したのは、最初出たときは、これは外出してよろしい時間に出たのであるからそれはいい。一たんけんかをして、今度は帰ってきてまた押し出して行ったのです。それで、その結果が向こうを傷害致死におとしいれしめた。今度帰るときは、いま言ったように、せびろを着た人間がいた。それが入って行く。あとは、あなたは答弁しにくいから、しまいまで答弁しないのですけれども、翌朝になってその人間が寝ていたのですよ、隊内に。それはどういうふうに処置したのです。だから、だれかが連れてきたなり、だれかが——だれかというより、部屋じゃうが黙認だろうね。だらしがないもはなはだしい、翌日の点呼までいたんだから。それが出たときはどうしたんだ。いや、間違えたといって、まぎれて入ったというので、もとへというようなわけで、もとへ行ってしまったのかわからないが、どう考えたって奇態でしょう。いかがなんですか。
  67. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) ちょっとことばが足らず恐縮でございますが、部外者が泊まったという点でございますが、この部外者は元自衛隊員でありまして、そういうような意味で、非常に知り合いの者と一緒に飲んでおりまして、自動車で連れてきておりまして、そのときに、自動車の中で、身分証明書を持っていた同乗していた他の二名が証明書を出しまして、これはもちろん自衛官としての身分証明書であります。部外者は持っておりませんのを確かめておりません。したがいまして、この部外者の入門につきましては、歩哨の失態であると考えております。
  68. 天田勝正

    ○天田勝正君 一番おしまいの、朝まで寝ていたんでしょう。その部分は……。
  69. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) 面会に来たと称して、営門を通したということを聞いておりますが、そのために、歩哨を監督不十分で処罰しております。
  70. 天田勝正

    ○天田勝正君 約束の時間を超過してしまいますから、全部やっていると。ですからやめますけれども、実際苦しいのだよ、答弁が。それはめちゃくちゃですよ。だれかから注意されたので、それはもう帰って行ったんでしょう。面会に来たというが、ゆうべ入った人間ですよ。結局、せびろの人間は身分証明も何も持っていなかった。持っていない。現職の自衛官だけ持っていて、現職の自衛官のを見せて、そうして見て、持っていざる者も一緒に入れた、こういうことなんですよ。営門の兵隊か何か知らないけれども、それでそのまま変な者が入ったというのを見過ごしたら、せめて、見過ごしても、さっそく出てくるところを注意しなければならないものを、そんなことは忘れ果てたのか、いつも市谷の基地というのはそういう慣例になっているのか知りませんけれども、どうも外部から見ると、慣例になっているように思う。あまりにもだらしがない。結局、戻ってこないままに、そのままほったらかしにしたんでしょう。かまわなかった、少なくとも。その結果が、次の朝寝ていた。隊内に寝ていたということは、少なくとも、めくらではない限りは、自衛隊はめくらがいないから全部知っていた。それで、その人間がただ出て行った。そのときに面会に来たのだ、こういうわけだけれども、面会だって、面会の時間があるのだから、そんな朝っぱらから面会に通したという記録がないのに——みんな、われわれが行ったって、ちゃんと記録をとる。それを、面会に来たという記録がないのに、面会に来たのをそのまま見過ごすのも、これまたおかしな話。結局、これを幾ら言いわけしたって、どうせ苦しくて答弁はできやしないから、いいかげんのところでやめますけれども、そうであっては、集団生活というものは成り立たないということを私は指摘しているのですよ。これが学生の寄宿舎だって何だって、それが病気で外泊してしまったのか何か、責任者は必ず心配するはずなんです。山にでも行く者であれば山にでも行ってしまったのではないか、必ずそういうことを心配するのが普通で、それが集団生活の規律というものなんですから、それさえもいまの自衛隊が守っていないということがここに証明された。それではだめでありますから、もうちっとはっきりした答えを次の機会にしてください。  それから次は、予算の問題について一点だけ聞いてやめますけれども、とにかくアメリカの方針が変わりまして、対日援助も打ち切りの方針だ、こういうことになって、この点はなかなか防衛庁も苦しかろうと思う。しかし、これが現実ですね。そうすると、結局、その影響というのは、予算の面ではどのくらい影響がありますか。四十一年まで百五十億くらいあると思いますけれども、そうですか。もしそうだとすれば、そのものだけは、われわれのほうから見れば、税の増、国民負担、こういうふうにどうしても受け取ることになるわけです。そうして、いま三十七年度の決算を審議しているのだけれども、そうは言ったって、四十年の編成期がすぐきておりますけれども、それには大体四十億の予算化と六十億の債務負担行為、このくらいのことをしなければならない。最終的には、何かおとついあたり会議できめたようでありますけれども、そういうことになると受け取って間違いありませんか。いかがです。
  71. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) ただいま天田委員の御指摘のとおり、大体そのような数字でございますが、現時点で考えておりますのは、六五年度以降の対日軍事援助は、バッジ関係分を除きましては、供与の見込みはきわめて困難でありますので、今後そのために予算化を必要とするものは、少なくとも百六十億円見当と考えております。その百六十億円のうち、四十年度で予算化を必要とするものが約九十八億円余でございまして、四十年度でそのうち歳出分にするのが三十二億円、残りが四十一年度以降ということになるわけでございます。
  72. 天田勝正

    ○天田勝正君 一点だけでやめます。このことについては、次の機会までには、資料等もっと出していただけますか。出せますね。きまったことですから。どうです。そうすれば、そのときに聞きますから。秘密文書じゃないですね。
  73. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) ただいま申しました四十年度の予算化を必要とします九十八億、そのうちの当年度歳出分三十二億、四十一年度以降六十七億というものの内訳につきましては、御説明を次の機会にいたします。
  74. 天田勝正

    ○天田勝正君 それじゃ、その関連があるから、きょうはこれでやめます。
  75. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 資料の提出はそれでよろしいですか。
  76. 二宮文造

    二宮文造君 時間がありませんので、具体的な問題で一つだけお伺いしたいのです。北区のあれは赤羽にありますか、陸上自衛隊の武器補給処十条支処のこの問題ですが、これは当局とも相談をし、かつまた、地元の住民の意向もありまして、施設の移転を願いたいというふうな動きを聞いておりますが、どの程度まで当局として理解されているか、これをお伺いしたい。
  77. 三輪良雄

    説明員(三輪良雄君) 私がお話を承っておりますので、便宜私からお答えをいたします。  十条には、戦前から陸軍のそういった兵器廠がございまして、それを戦後アメリカ軍が使っておりまして、アメリカ軍が撤退をいたしますときに、自来、一時使用ということで、いま自衛隊が使っておる施設があるわけでございます。土地が三万五千坪ほど、建物が七千坪ほどのものでございます。これにつきましては、従来から、もともとは、これは明治時代に、おそらく、あたりにはあまり家のないうちにできまして、むしろその周囲に住宅ができるという状態であったということでございますけれども、いま周囲は全く住宅の稠密な地域になっております。  そこで、地元といたしましては、第一に、そこで修理をいたしました戦車等が、修理のあと試走をいたします。その音が非常にやかましい。それから、ヘリコプターの発着所もございまして、そう回数は使いませんけれども、そういった意味で非常にほこりが立つ。それから、あたりがそういう住宅地でございまして、緑地あるいは運動場というようなものがないので、そういうものにしたいから、この施設はどこか都外に移ってもらいたいというようなお話であったと思うのでございます。  そこで、自衛隊といたしましては、都内にそういう首都の治安の維持といいますか、直接間接侵略を防ぐという自衛隊の任務から申しましても、都内に一部の部隊があり、また、その部隊で必要といたしますそういう車両等の修繕の施設もあるということが、自衛隊として望ましいわけでございますし、また、非常に明治時代以来の施設で、米軍の使っております際にも、そこで使われていた人がほぼ四百人と記憶いたしますが、その方は、現在の従業員ですぐ周辺に住んでいる方々でございます。そこで、これを埼玉、群馬等に移しますというと、そういう熟練した付近の方々にとっては、重大問題でもあるわけですし、もちろん、自衛隊としてもそれだけの熟練者を採ることがなかなかむずかしゅうございますというような意味で、自衛隊といたしましては、そこにずっと施設を持ちたい希望でございます。  ただ、先ほど来申しましたように、非常に騒音がひどい、あるいは、ほこりがひどい、きたない、また、そういう運動場というような施設がほしいというようなお気持ちは、あの地域に即して考えますと、まことにごもっともと思いますので、実は将来移転する、しないということにむしろ関係なしと申しますか、さっそくにヘリポートに芝張りをいたしまして、それから、その周囲にございますいろいろ古い戦車等も、廃棄するほかないようなものにつきましては、すみやかにこれを払い下げる、あるいは米軍のものも処理をしてもらうというような措置もいたしました。あるいは、へいが非常に破損をしておるというようなことも、これを直すということによりまして、その前で試走をいたします場合の防音効果も若干ある。将来、現在のキャタピラをつけまして、都営住宅のそばまで延びております試走路をもっと詰めまして、住宅地から少しく試走をいたします場所を離す計画もいまいたしております。  同時に、もしこれは地元との話がつけばでございますけれども、つけばと申しますか、そういうことで御満足していただいて、あそこに居残りたい希望が私どもあるわけですが、現在の試走場の端のほうにくぼ地がございますので、それを隊力で整地をいたしまして、そこに運動場を設置をする。もちろんこれは、その職員も週に一日、二日使うことでございましょうけれども、余力を区役所等で調整していただけば、区民の方々に使っていただくというようなことで、いま具体的計画を進めまして、そういうお話を地元ともやってみたいと思うのでございます。  かりに、これを動かすということにいたしましても、実はこまかい計算いたしませんが、三十億、四十億を必要とする施設でございまして、また、そういうものを遠距離に持ってまいりますということは、自衛隊から見ますと、先ほど来述べたような事情があるわけでございます。  そういうことで、両方そういったことが両立しますような方法をいま具体的に考え、これを地元ともお話をいたしたいというふうに考えておるのでございます。
  78. 二宮文造

    二宮文造君 説明ですが、地元ではもうすでに十万名に及ぶ署名運動をしまして、早く移転をしてもらいたいと、これはもう切なる要望です。  それからもう一つは、これが毎年毎年、一年の契約で更改されている。いまの説明にもありましたように、これは一時使用だと。しかも、その契約の更改を一年でやっておるということは、自衛隊としても、当然どっか移転しなければならないという予測のもとに、あるいは大蔵省も、そういう予測のもとにこれまできたと思うのです。いまの段階になって、これはもう施設の移転はむずかしい、四十億、五十億かかるということは、ちょっといままでの経過と、いまの防衛庁の態度と、だいぶ食い違いがあるように思うのですが、この点はもう一つ説明をいただきたい。
  79. 三輪良雄

    説明員(三輪良雄君) 当初から申しましたように、施設が戦前からのそういった施設でございます。それから、アメリカ軍が移転いたしましたあとで、今度は、国有財産でございますから、これをどういうふうに使うかということを審議されるわけでございますけれども、これは地元の方も、区長さんでございますか、どなたか入っていらっしゃる委員会で審議されるわけでございます。そこで、地元として、これをそういった意味で開放してくれという御要望があることは、先ほど申したとおりでございます。そういうことでございますので、大蔵省国有財産当局といたしましても一致した見解に立てませんので、終局的に、まだ自衛隊に行政財産として移すというところまでなっておりませんで、そういうものはいわば年々一時使用という形で大蔵省から使わしてもらっているという形にならざるを得ないのでございます。そういう意味で、私ども、いま申したようなこちら側でやれますことをすみやかに実施をするということで地元とお話し合いをいたしてみたいと思うのでございます。
  80. 二宮文造

    二宮文造君 大体防衛庁の意向はわかりましたし、また、これは地元の意向とは相当食い違っておりますから、また自後にこの問題を継続的に伺いたいと思いますが、きょうはこの程度にしておきます。
  81. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 防衛庁に関する審査は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時十二分散会