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1964-02-12 第46回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十二日(水曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   委員異動  十二月二十三日   辞任      補欠選任    鈴木  壽君  岡  三郎君    伊藤 顕道君  小酒井義男君  二月十日   辞任      補欠選任    林   塩君  市川 房枝君  二月十一日   辞任      補欠選任    天田 勝正君  基  政七君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     横川 正市君    理事            佐藤 芳男君            山崎  斉君            横山 フク君            相澤 重明君            小酒井義男君    委員            沢田 一精君            鈴木 恭一君            仲原 善一君            二木 謙吾君            谷村 貞治君            加藤シヅエ君            杉山善太郎君            渋谷 邦彦君            二宮 文造君            市川 房枝君            基  政七君            鈴木 市藏君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    大蔵省主計局次    長       澄田  智君    農林政務次官  松野 孝一君    農林省農政局長 昌谷  孝君    水産庁長官   庄野五一郎君    運輸大臣官房長 佐藤 光夫君    運輸省船舶局長 藤野  淳君    運輸省船員局長 亀山 信郎君    海上保安庁長官 今井 榮文君    郵政政務次官  金丸  信君   —————————————    会計検査院長  芥川  治君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○昭和三十七年度一般会計歳入歳出決  算、昭和三十七年度特別会計歳入歳  出決算昭和三十七年度国税収納金  整理資金受払計算書昭和三十七年  度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和三十七年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出) ○派遣委員報告    ————・————
  2. 横川正市

    委員長横川正市君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告をいたします。  去る十二月二十三日、鈴木壽君及び伊藤顕道君が委員辞任され、その補欠として岡三郎君及び小酒井義男君が選任されました。  また、二月十日、林塩君が委員辞任され、その補欠として市川房枝君が選任されました。  さらに、昨十一日、天田勝正君が委員辞任され、その補欠として基政七君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 横川正市

    委員長横川正市君) この際、理事辞任及び補欠互選の件につきおはかりいたします。  大森創造君から文書をもって都合により理事辞任いたしたい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 横川正市

    委員長横川正市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 横川正市

    委員長横川正市君) 御異議ないと認めます。  それでは理事小酒井義男君を指名いたします。   —————————————
  6. 横川正市

    委員長横川正市君) これより昭和三十七年度決算外三件について、その概要説明を求めます。  まず、昭和三十七年度決算を議題といたします。  政府委員より昭和三十七年度決算及び昭和三十七年度日本専売公社決算につき説明を求めます。斎藤大蔵政務次官
  7. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 昭和三十七年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算同国税収納金整理資金受払計算書及び同政府関係機関決算書会計検査院検査報告とともに本国会に提出し、また、昭和三十七年度末における国の債権の現在額について本国会報告いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十七年度予算は、昭和三十七年三月三十一日に成立いたしました本予算昭和三十七年十二月二十三日及び昭和三十八年二月十五日に成立いたしました補正予算とからなるものであります。  昭和三十七年度予算は、国際収支の均衡をすみやかに回復することを主眼とし、健全財政を堅持し、経済情勢推移に即応して、その弾力的運用に配意しつつ、長期にわたる国力発展の基盤を充実するため、引き続き既定の重要施策を重点的に実施し、新規の施策は特に緊要なものに限定することを基本としたものであります。  この基本方針に基づき、一般会計予算は、租税収入その他の普通歳入の範囲内において、中小所得者租税負担の軽減をはかるとともに、経費重点的配分効率的使用につとめ、公共投資社会保障及び文教等重要施策を推進することとして、編成されたものであります。  なお、本予算成立政府職員給与改善に必要な経費災害復旧事業に必要な経費産業投資特別会計資金繰り入れに必要な経費及び地方交付税交付金財源繰り入れに必要な経費等について、予算補正を行なったのであります。  昭和三十七年度におけるわが国の経済は、昭和三十六年九月以降とられた引き締め措置が順調に浸透し、民間在庫投資減少に続いて民間設備投資もようやく鎮静に向かい、生産面では資本財生産財の需要の減少から鉱工業生産は、昭和三十七年度に入ってから弱含み横ばいに転じ、また、卸売り物価も総体的に緩慢な下落を続けたのであります。このような経済動向を反映して、国際収支面では輸入の著しい減少と輸出の順調な増加が見られ、国際収支改善という目的は、目標より早く上期中に達成されるに至ったのであります。  このような情勢の変化に応じて、昭和三十七年十月から十一月にかけて引き締め措置は解除されるに至ったのでありますが、引き締め解除後は、鉱工業生産及び卸売り物価はゆるやかな回復に転ずるなど、総じて経済回復の途についたのであります。  以上のような経済推移の結果、昭和三十七年度の国民総生産は十九兆三千百五十二億円に達し、前年度に対し八・九%、実質五・九%の拡大となり、鉱工業生産においても同じく四・四%の増加を示す一方、国際収支も三億ドルの黒字になり、外貨準備高も十八億六千三百万ドルに達するに至ったのであります。  以下決算内容数字をあげて御説明申し上げます。  まず、一般会計におきましては、歳入決算額は二兆九千四百七十六億円余、歳出決算額は二兆五千五百六十六億円余でありまして、歳入歳出を差し引きますと三千九百十億円余の剰余を生ずる計算であります。  この剰余金から昭和三十八年度に繰り越しました歳出財源に充てなければならない金額五百二十二億円余及び前年度までの剰余金使用残額二千六百二十六億円余を差し引きますと、七百六十億円余が昭和三十七年度に生じた純剰余金となるのであります。  なお、右の剰余金三千九百十億円余は、財政法第四十一条の規定によりまして、翌年度すなわち、昭和三十八年度歳入繰り入れ済みであります。しかして、そのうち、昭和三十七年度に新たに生じました純剰余金七百六十億円余から地方交付税及び道路整備事業費財源に充てられることとなる額三十六億円余を控除した残額七百二十四億円余の二分の一を下らない額に相当する金額につきましては、財政法第六条の規定によりまして、公債または借り入れ金償還財源に充てられるものであります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては予算額二兆五千六百三十億円余に比べて三千八百四十五億円余の増加となるのでありますが、このうちには、昭和三十六年度剰余金の受入れが、予算額に比べて三千二百七十三億円余を増加しておりますのでこれを差し引きますと、昭和三十七年度歳入増加額は五百七十一億円余となるのであります。そのおもな内訳は、租税及印紙収入における増加額百七十五億円余、専売納付金における増加額四十四億円余、官業益金及官業収入における増加額一億円余、政府資産整理収入における増加額三十八億円余、雑収入における増加額三百十一億円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額二兆五千六百三十億円余に昭和三十六年度からの繰り越し額六百四十六億円余を加えました予算現額二兆六千二百七十七億円余から支出済み額二兆五千五百六十六億円余を差し引きますと、その差額は七百十一億円余でありまして、そのうち、翌年度に繰り越しました額は、前述のとおり五百二十二億円余、不用額は百八十八億円余となっております。  なお、翌年度への繰り越し額内訳を申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定により、あらかじめ、国会の議決を経、これに基づいて翌年度へ繰り越しましたものは四百九十五億円余、財政法第四十二条ただし書きの規定により避けがたい事故のため翌年度へ繰り越しましたものは二十億円余、財政法第四十三条の二第一項の規定により継続費年割額を繰り越しましたものは六億円余であります。  次に、不用額のおもなものは、食糧庁国産大豆等保護対策費につきまして、昭和三十六年産大豆交付金交付基準となる標準販売価格決定遅延等のため大豆及びなたね生産者団体等交付金を要することが少なかったこと等のため不用となったもの二十一億円余、厚生本省国民年金国庫負担金につきまして、国民年金の被保険者が少なく保険料収入予定を下回ったので、国民年金特別会計繰り入れを要することが少なかったため不用となったもの十九億円余、大蔵本省の国庫受け入預託金利子につきまして、日本国有鉄道及び日本電信電話公社預託金利子支払い予定まで要しなかったこと等のため不用となったもの十二億円余、大蔵本省国債費につきまして、大蔵省証券を発行しなかったこと及び国債利子支払い予定より少なかったこと等のため国債整理基金特別会計繰り入れを要することが少なかったため不用となったもの十二億円余、食糧庁農産物等価格安定費につきましてカンシヨでん粉及びバレイシヨでん粉売却価格の上昇、輸入飼料経費減少等により農産物等安定勘定損失が少なかったので食糧管理特別会計繰り入れを要することが少なかったため不用となったもの十億円余であります。  次に、予備費でありますが、昭和三十七年度一般会計における予備費予算額は二百億円余であります。その使用総額は百九十九億円余でありまして、そのうち、昭和三十七年十二月までの使用額百三十億円余につきましては、すでに第四十三回国会におきまして、御承諾をいただいております。  また、昭和三十八年一月から同年三月までの使用額六十九億円余は、本国会に別途提出いたします予備費使用承諾案について御審議をいただきますので、その費途及び金額につきましては、その御審議をいただきます際、御説明申し上げますので、ここでは説明を省略させていただきます。  次に、一般会計国庫債務負担行為について申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づく国庫債務負担行為権能額は六百五十六億円余でありますが、このうち実際に負担いたしました債務額は六百十九億円余でありますので、これに既往年度からの繰り越し額千百二十一億円余を加え、昭和三十七年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額五百九十四億円余を差し引きました金額千百四十六億円余が、翌年度以降に繰り越されたことになります。  次に、昭和三十七年度特別会計決算でありますが、これにつきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと思います。  なお、同年度における特別会計の数は、四十一でありまして、これら特別会計歳入決算総額は四兆七千九百八十四億円余、歳出決算総額は四兆二千八百三十六億円余であります。  次に、昭和三十七年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、この資金への収納済み額は二兆二千二百一億円余でありまして、この資金からの支払い命令済み額及び歳入への組み入れ額は二兆二千百四十六億円余でありますので、五十四億円余が昭和三十七年度末の資金残額となるのであります。これは、主として国税にかかる還付金支払い決定済み支払い命令未済のものであります。  次に、昭和三十七年度政府関係機関決算でありますが、日本専売公社日本国有鉄道及び日本電信電話公社決算内容につきましては、別途それぞれの主務大臣から御説明申し上げる予定であります。  また、その他の政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、国の債権の現在額についてでありますが、昭和三十七年度末における国の債権総額は三兆五千六十六億円余でありまして、その内訳の詳細につきましては、昭和三十七年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上、昭和三十七年度一般会計特別会計国税収納金整理資金及び政府関係機関決算等につきまして、その概略を御説明申し上げた次第であります。  なお、昭和三十七年度予算の執行につきましては、予算の効率的な使用経理の適正な運営に極力意を用いてまいったのでありますが、なお、会計検査院から、不当事項につきましては、六百五十一件にのぼる御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  これにつきましては、今後一そう経理改善に努力を傾注いたしたい所存であります。  何とぞ御審議のほどお願いいたします。
  8. 横川正市

    委員長横川正市君) 続いて日本専売公社説明も一緒にやって下さい。
  9. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 昭和三十七年度日本専売公社決算概要につきまして、御説明申し上げます。  まず、昭和三十七年度事業概況を御説明申し上げます。  たばこ事業におきましては、葉たばこ購入は、数量で十五万トン余、金額で六百三十五億円余であり、予定に比べ数量で一万八千トン余、金額で三十八億円余減少しております。  たばこ製造及び輸入数量は千五百五億本余で、予定に比べ十四億本余減少しております。その販売数量は千四百五十六億本余、金額三千五百二十三億円余で、予定に比べ数量で三十三億本余、金額で二十八億円余減少しております。  塩事業におきましては、塩の購入数量は、国内塩八十七万トン余、輸入塩二百六十三万トン余、計三百五十万トン余、金額にして百九十三億円余であり、予定に比べ数量で三十四万トン余、金額で二十三億円余減少しております。  塩の販売数量に三百五十八万トン余、金額にして二百五十七億円余であり、予定に比べ数量で四十万トン余、金額で二十一億円余減少しております。  しよう脳事業におきましては、しよう脳購入数量は六百六十一トン余、金額にして一億円余であり、予定に比べ数量で千六百四十八トン余、金額で三億円余減少しております。また、その販売数量は千三百四十七トン余、金額三億月余であり、予定に比べ数量で二千百二十二トン余、金額で五億円余減少しております。  なお、しよう脳事業につきましては、しよう脳専売法を廃止する法律により、昭和三十七年度限りでその専売を廃止いたしました。  以下、決算内容数字をあげて御説明申し上げます。  まず、収入支出決算について御説明申し上げます。  昭和三十七年度における収入済み額は三千八百十四億円余、支出済み額は二千三百三億円余であり、収入支出を超過すること千五百十億円余であります。  また、昭和三十七年度の総収益三千八百二十一億円余から総損失二千百二十二億円余を控除した純利益は千六百九十九億円余であり、日本専売公社法第四十三条の十三第二項の規定により積み立てる固定資産及び無形資産増加額六十八億円余を控除して算出した専売納付金は千六百三十億円余であり、これはその予定額千五百八十八億円余と比べますと四十一億円余の増加となっております。  以下、これを収入支出の部に分けて御説明いたします。  まず、収入の部におきましては、収入済み額は三千八百十四億円余であり、収入予算額三千八百六十六億円余に対して五十二億円余の減少となっております。なお、この収入減少は、たばこ事業において製造たばこの売り払い代が予定に達しなかったこと等のため二十五億円余、塩事業において塩の売り払い代が予定に達しなかったこと等のため二十一億円余、しよう脳事業においてしよう脳の売り払い代が予定に達しなかったこと等のため五億円余収入減少したことによるものであります。  一方、支出の部におきましては、支出予算現額は二千四百六十億円余、支出済み額は二千三百三億円余であり、差し引き百五十七億円余の差額を生じました。この差額のうち、翌年度に繰り越した額は八十億円余、不用となった額は七十六億円余であります。  なお、昭和三十七年度において、日本専売公社法第四十三条の二の規定により予備費使用した額は、職員給与支払いのため五億円、日本専売公社法第四十三条の二の規定により予算を流用した経費の額は、職員給与支払いのため五億円余、葉たばこ乾燥室建設費補助金支払いのため一億円余、合計六億円余であります。  また、日本専売公社法第四十三条の二十二第二項の規定により使用した額は、業績賞与支払いのため四億円余であります。  次に、債務に関する計算について御説明申し上げます。  日本専売公社法第三十五条第一項の規定に基づく昭和三十七年度債務負担行為限度額は、塩事業費において四十九億円でありますが、実際に負担した債務額は七億円余であります。  次に、日本専売公社法第三十五条第二項の規定に基づく昭和三十七年度債務負担行為限度額は一億円でありますが、実際に負担した債務額はありません。  また、日本専売公社法第四十三条の十四第二項の規定に基づく昭和三十七年度短期借り入れ金最高限度額は千億円でありますが、実際に借り入れた額は六百八十億円であり、これは昭和三十七年度内に償還し、翌年度に繰り越した債務額はありません。  なお、昭和三十七年度日本専売公社決算につきまして、会計検査院から、不当事項として指摘を受けたもの  以上が昭和三十七年度日本専売公はありません。社の決算概要であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  10. 横川正市

    委員長横川正市君) 次に綾部運輸大臣より昭和三十七年度日本国有鉄道決算説明を求めます。
  11. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 昭和三十七年度日本国有鉄道決算書会計検査院検査報告とともに本国会に提出いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十七年度における日本国有鉄道収入は、貨物収入は前年度下期における景気調整策の影響を反映してやや伸び悩みの傾向に終始しましたが、旅客収入は前年度に引き続き比較的好調な歩みを続け、収入全体としては予算を上回り、運輸成績はやや向上いたしました。  他方支出面におきまして、日本国有鉄道は、極力支出の節約につとめ、経営の合理化をはかりましたが、輸送量増加に伴う経費増加のほか、主として人件費増加等により、営業経費は前年度より増大いたしました。しかし、損益計算上は約四百九十七億円の純利益を生じ、前年度に引き続いて黒字決算となっております。  以下決算内容勘定別に御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入済み額は五千三百二十九億円余、支出済み額は五千三百三十六億円余でありまして、支出収入を超過する額は七億円余であります。これは前年度からの繰り越し額があったためであります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額五千二百四十六億円余に対しまして、約八十三億円の収入増加となっております。その内容は、運輸収入におきまして約五十九億円、雑収入等におきまして約二十四億円の増収となっております。  他方支出におきましては、予算現額五千四百十七億円余から支出済み額を差し引きますと、その差額は八十一億円余でありまして、そのうち翌年度への繰り越し額は約七十二億円で、残りの九億円余は不用額となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は二千九百九十九億円余、支出済み額は二千九百二十五億円余であります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額二千五百十六億円余に対しまして四百八十三億円余の収入増加となっております。これは原価償却引き当て金資産充当による収入増加が二百八十六億円余あったことと、鉄道債券の発行と借り入れ金における収入増加が約二百六十二億円あったのに対し、損益勘定からの受け入れ減少による収入の減が約六十五億円あったことによるものであります。  他方支出におきましては、予算現額二千九百六十一億円余から支出済み額を差し引きますと、その差額は三十六億円余でありまして、そのうち翌年度への繰り越し額は三十一億円余で、残りの約五億円は不用額となっております。  最後に、工事勘定におきましては、収入済み額は二千六百四億円余、支出済み額は二千五百十八億円余であります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、資本勘定からの受け入れが多かったため、予算額二千百九十六億円に対しまして四百八億円余の収入増加となっております。  他方支出におきましては、予算現額二千六百八十三億円余に対しまして百六十五億円余の差額を生じておりますが、そのうち百五十九億円余は翌年度への繰り越し額であり、残りの約六億円は不用額となっております。  以上が勘定別決算概要でありますが、次に、工事勘定決算内容に関連して、昭和三十七年度における日本国有鉄道主要施策の実績について申し上げます。  昭和三十七年度は、五カ年計画の第二年目に当たり、昭和三十九年の開業を目途とする東海道幹線増設工事をはじめといたしまして、主要幹線複線化輸送方式近代化車両増備等の諸工事を実施いたしておりますが、第二年度末における決算額は二千五百十八億円余であります。  これを事項別予算と対比してみますと、新線建設につきましては、七十五億円の予算を計上いたしましたのに対し、八十七億円余を決算いたしました。これによりまして昭和三十七年度中に全通いたしましたのは、赤穂線播州赤穂東岡山間四十六・九キロであり、三十四線区一千六百五十九・九キロは引き続き工事中であります。  東海道幹線増設工事につきましては、第四年目に当たり、引き続き用地の確保と工事の推進につとめました結果、七百七十一億円の予算に対しまして、一千二十七億円余を決算いたしました。  通勤輸送につきましては、東京付近約六十五億円、大阪付近十七億円余、電車増備(二百三十両)四十五億円余、計百二十七億円余、計百二十七億円余の予算を計上いたしましたが、決算額では、東京付近約六十六億円、大阪付近八億円余、電車増備(百八十五両)約四十億円、計約百十四億円となりました。  幹線輸送力増強につきましては、北海道、東北・常磐線裏縦貫上信越線中央線、北陸線、東海道山陽線九州等複線化及び車両増備で約四百九十億円の予算を計上いたしましたのに対し、決算額では約五百四十一億円となりました。  電化電車化につきましては、東北本線、常磐線、信越本線、北陸本線、山陽本線等電化工事費として九十三億円余、車両電気機関車七十八両・電車四百三十両)として百五十五億円余、計二百四十八億円の予算を計上いたしましたが、決算額では、工事費六十七億円余、車両電気機関車五十九両・電車百二十両)約七十五億円、計百四十二億円となりました。  ディーゼル化につきましては、工事費七億円余、車両(ディーゼル機関車四十両・気動車四百三十七両)百十億円余、計百十七億円余の予算を計上いたしましたが、決算額では、工事費八億円余、車両(ディーゼル機関車三十五両・気動車四百二十二両)九十九億円余、計百七億円余となりました。  取りかえその他につきましては、約二百八十二億円の予算を計上いたしましたが、決算額では、施設の取りかえ三百四十一億円余、車両の取りかえ六十八億円余、計四百九億円余となりました。  以上のほか、総係費として約八十六億円の予算を計上いたしましたのに対して約九十億円を決算いたしましたので、工事費全体としては、二千百九十六億円の予算に対しまして、二千五百十八億円余の決算額となっております。  なお、五カ年計画につきましては、計画発足後におきまして、当初の想定を上回る日本経済の高度の成長と発展に伴い、日本国有鉄道の輸送力を年々増加する輸送需要に対応させるために輸送力増強計画を拡大する必要が生じたこと、また保安対策につきましても抜本的対策を講ずる必要が生じ、さらに、工事遂行につきましては、用地、労賃等の値上がりのため当初の資金内では計画遂行が不可能となったこと等のため五カ年計画の修正を行ない、輸送力の増強と安全の確保をはかり得るよう配慮いたしました。  東海道幹線増設工事につきましては、五カ年計画の一環として当初総工事費一千九百七十二億円で昭和三十九年完成を目途に昭和三十四年度から施工しております。この工事は、着工後昭和三十七年度で第四年目に入りまして、各種工事は最盛期を迎えましたが、一方、工事費につきましては、用地費、賃金等の値上がり、設計協議等に伴う原計画の変更等の影響から当初計画額では工事の施行が困難となったため、昭和三十七年に至りまして九百五十四億円の増額を行ない、総工事費を二千九百二十六億円に改定することといたしまして、昭和三十七年度予算におきまして百六十一億円の補正措置を行なって、予定どおり完成するよう努力いたさせております。  なお、東海道幹線増設工事につきましては、三十八年度に至りまして、さらに八百七十四億円を増額して総工事費を二千九百二十六億円から三千八百億円に改定することが必要となりましたので、工事に支障を来たさないよう、昭和三十八年度予算におきまして四百四十三億円の補正措置をいたしております。  最後に、昭和三十七年度予算の執行につきまして、会計検査院から十件の不当事項改善の意見表示二件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに綱紀の粛正と予算の効率的運用に一段の努力をいたすよう指導監督してまいりたいと考えております。以上、昭和三十七年度日本国有鉄道決算につきまして、その概要を御説明申し上げましたが、詳細につきましては、さらに御質問のつど御説明申し上げたいと存じます。  何とぞ御審議のほどお願いいたします。
  12. 横川正市

    委員長横川正市君) 次に、政府委員より昭和三十七年度日本電信電話公社決算説明を求めます。金丸郵政政務次官
  13. 金丸信

    政府委員(金丸信君) 昭和三十七年度日本電信電話公社決算書類を会計検査院検査報告とともに第四十六回通常国会に提出いたしましたが、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十七年度における日本電信電話公社収入は、一般経済界の動向及び昭和三十七年九月から実施された新料金制度の影響を受け予定額をかなり下回ったのでありますが、他方支出面におきまして業務の能率的運営、経費効率的使用につとめました結果、予定された純利益をあげるには至らなかったものの、損益計算上では五百四十二億円余の純利益を生じたものであります。  また、建設投資の面におきましては、昭和三十七年度は電信電話拡充第二次五カ年計画の最終年度に当たったのでありますが、ほぼ所期のとおりこれを完了いたしたのであります。  以下決算内容勘定別に概略御説明申し上げます。  まず、損益勘定について申し上げますと、収入済み額は三千百十二億円余、支出済み額資本勘定繰り入れたものを除きますと二千五百六十四億円余でありまして、差し引き五百四十八億円余の収支差額を生じたのであります。なお、これに収入支出決算に含まれていない営業外の損益を加減しますと、本年度の純利益はさきに申し上げましたとおり五百四十二億円余となります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては予算額三千二百四十三億円余に対しまして百三十一億円余の減収となっておりますが、そのうち電信収入及び電話収入の減収額は合計百二十五億円余となっております。他方支出におきましては、支出済み額予算現額三千二百五十三億円余に対しまして百三十四億円余下回ったものとなっておりますが、その内容は、翌年度繰り越し額二億円余とさきに申し上げました減収額百三十一億円余を含めた百三十二億円余の不用額とであります。  次に、資本勘定について申し上げますと、収入済み額は二千三百四十五億円余、支出済み額は二千三百三十八億円余でありまして、収入支出を超過すること約七億円となりましたが、これは収入済み額収入予算額より多かったこと及び債務償還に充てた額が予算額より少なかったことによるものであります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額二千二百七十八億円余に対しまして六十七億円余の増収となっております。これは損益勘定より受け入れ予算額に対し百三十八億円余の減となりましたが、資産充当で約九十四億円、電信電話債券で七十八億円余、減価償却引き当て金等で三十三億円余がいずれも予算額より増加したことによるものであります。他方支出におきましては、支出済み額予算現額二千三百六十一億円余に対しまして二十三億円余下回ったものとなっておりますが、これは全額不用額としたものであります。  最後に建設勘定について申し上げますと、収入済み額は二千百八十五億円余、支出済み額は二千百六十八億円余でありまして、支出収入を約十七億円下回っておりますが、これは建設工程の翌年度以降への繰り延べ等があったためであります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、資本勘定より受け入れ予算額に比べ多かったため、予算額二千百一億円余に対しまして八十三億円余の増となっております。他方支出におきましては、予算額二千三百十九億円余に対しまして百五十一億円余の差額を生じておりますが、これは全額翌年度へ繰り越すこととしております。  なお、昭和三十七年度において実施いたしました建設工程のおもな内容について申し上げますと、加入電話増設につきましては六十万四千四百五十加入の予定に対し六十二万八千八十九加入、公衆電話増設につきましては二万七千五百個の予定に対し二万六千三十六個、また市外電話回線増設につきましては二百六十一万九千四百キロの予定に対し三百十二万九千三百九十五キロをそれぞれ増設し、おおむね所期の設備拡充を行なったのであります。  その他の点につきましては、提出いたしました決算書類により御了承願いたいと存じます。  最後に、昭和三十七年度予算執行につきまして、会計検査院から三件の不当事項の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾なことでありまして、日本電信電話公社に対し、経理事務の適正化、経費経済使用につきまして一そうの努力をいたすよう指導監督してまいりたいと考えております。  以上日本電信電話公社決算の概略を御説明申し上げましたが、詳細につきましてはさらに御質問をいただきましてお答え申し上げたいと存じます。  以上   —————————————
  14. 横川正市

    委員長横川正市君) 次に、芥川会計検査院長より、昭和三十七年度決算検査報告概要について説明を求めます。芥川会計検査院長
  15. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 昭和三十七年度歳入歳出決算は、三十八年十月二十五日内閣から送付を受け、その検査を了して、昭和三十七年度決算検査報告とともに三十八年十二月四日内閣に回付いたしました。  昭和三十七年度一般会計決算額歳入二兆九千四百七十六億余円、歳出二兆五千五百六十六億余円、各特別会計決算額合計は歳入四兆七千九百八十四億余円、歳出四兆二千八百三十六億余円でありまして、一般会計及び各特別会計決算額を総計いたしますと歳入七兆七千四百六十余円、歳出六兆八千四百二億余円となりますが、各会計間の重複額及び前年度剰余金受け入れなどを控除して、歳入歳出の純計額を概算いたしますと、歳入四兆六千八百六十二億円、歳出四兆三千七百九億円となり、前年度に比べますと、歳入において三千七百九十五億円、歳出において六千三百五十九億円の増加となっております。  なお、国税収納金整理資金の受け払い額は、収納済み額二兆二千二百一億余円、支払い命令済み額歳入組み入れ額の合計二兆二千百四十六億余円であります。  政府関係機関昭和三十七年度決算額の総計は収入二兆三千六百九十二億円、支出二兆千七百四十七億余円でありまして、前年度に比べますと、収入において三千二百五億余円、支出において三千二百七十五億余円の増加となっております。  ただいま申し上げました国の会許及び政府関係機関の会計の決算額のうち、会計検査院においてまだ確認するに至っていないものは総計二百六十二億五千五百万余円でありまして、そのおもなものは、総理府の航空機購入費の項で百七十三億七千百万余円、防衛本庁の項で四十四億千五百万余円、昭和三十五年度甲型警備艦建造費の項で十六億八千五百万余円などであります。  会計検査の結果、経理上不当と認めた事項として、検査報告に掲記しました件数は合計六百五十一件にのぼっております。  三十七年度不当事項件教が、三十六年度の五百七十九件に比べて増加いたしましたのは、主として租税及び補助金において増加したためであります。  いま、この六百五十一件について、不当経理の態様別の金額を概計いたしますと、租税収入で徴収決定が漏れていたり、その決定額が正当額をこえていたものが四億二千百万円、工事費、物品購入代金の積算にあたり処置適切を欠いたため契約額が高価に過ぎたり、または物件売渡代金等が低額に過ぎたと認めたものが五千四百万円、右のほか、工事の施行、物件の購入などにあたり計画等が適切を欠いたため経費使用が不経済となっていると認めたものが四千二百万円、工事の施行または物品の購入にあたり検収処置が適切でなかったなどのため支払いが過大となっているものが千五百万円、保険金の支払いが適切を欠いたり、保険料等の徴収額が不足したりなどしているものが三億千六百万円、補助金で交付額が適止を欠いているため返納または減額を要するものが二億六千三百万円、災害復旧事業に対する早期検査の結果補助金の減額を要するものが十億六百万円、職員の不正行為により国または政府関係機関に損害を与えたものが千五百万円、用地の買収または損失補償にあたり処置当を得ないと認めたものが三億千五百万円、その他が四千万円、総額二十四億九千百万円にのぼっておりまして、三十六年度の十八億八千五百万円に比べますと約六億六百万円の増加となっておりますが、これは主として「災害復旧事業に対する早期検査の結果補助金の減額を要するもの」において一億九千百万円、「保険金の支払いが適切を欠いたり、保険料等の徴収額が不足したりなどしているもの」において一億三千九百万円がそれぞれ増加したことと、「用地の買収または損失補償にあたり処置当を得ないと認めたもの」が三億千五百万円あったこととによるものであります。  検査の結果につきまして、租税、工事、物件、役務、保険、補助金、不正行為などの各項目に分けて検査報告に記述してありますが、これらのうち、会計経理を適正に執行するについて、とくに留意を要するものとして、工事、物件、保険及び補助金に関してその概要説明いたします。  まず、工事及び物件について説明いたします。  工事の施行並びに物件の調達、管理及び処分において不経済な結果となったと認められるなどの事例については、毎年指摘してきたところでありますが、三十七年度におきましても、なお総理府、農林省、建設省日本国有鉄道などにおいて見受けられております。  工事の施行につきましては、工事の計画などが実情に沿わないため不経済となっているもの、工事費の積算が適切を欠いたためひいて契約額が高価となったと認められるもの、工事の出来形が設計と相違しているのにそのまま竣工検査を了しているものがあります。物件の調達、管理及び処分につきましては、契約にあたって必要量、仕様等に十分な検討を加えなかったため不経済な結果を来たしているもの、予定価格の積算が適切を欠いたためひいて契約額が高価となったと認められるもの、国有財産の管理が当を得なかったため土地を無断で使用されているもの、土地の貸付料が時価に比べて低廉となっているものなど適切を欠く事例が見受けられます。  次に、保険について説明いたします。  国が、特別会計を設けて経営する各保険事業における保険事業の運営、保険金の支払いまたは保険料などの徴収につきましては、従来、厚生省、農林省、労働省の所管するものにつき、適正を欠いていると認められる事例を多数指摘して注意を促してきたところでありますが、三十七年度においても、依然として、健康保険、厚生年金保険、船員保険または労働者災害補償保険の保険料などの徴収不足を来たしているものや、健康保険、失業保険などの保険金または漁船再保険金の給付が適切でないものや、農業共済再保険において農業共済組合の共済金の経理に適正を欠いたものが見受けられるのであります。  次に、補助金について説明いたします。  補助金につきましては、その経理が当を得ないものを毎年多数指摘して注意を促してきたところでありますが、三十七年度においても、なお多数の不当な事例が見受けられるのであります。  まず、農林、運輸、建設各省の公共事業関係のものにつきましては、補助の対象となる工事の監督及び検査が十分でなかったため、その施行が不良となり工事の効果を著しく減殺していたり、設計に対して工事の出来高が不足したりしているものなどが依然として多数にのぼっているのであります。  また、災害復旧事業の事業費査定の状況につきまして、工事の完成前に早期に検査を行ないましたところ、採択された工事のうちには、関係各省間で重複して査定しているもの、災害に便乗して改良工事を施行しようとしているもの、現地の確認が十分でなかったため設計が過大となっているもの、計算を誤ったため工事費の積算が過大となっているものなどが多数見受けられましたので、これを指摘して工事費を減額させることといたしました。  次に、その他の補助金につきましても、厚生省の簡易水道事業関係、農林省の農山漁村建設総合対策事業関係、労働省の失業対策事業関係などにおきまして、精算額を過大に報告して補助金の交付を受けているもの、補助の対象として不適当なものに補助金を交付しているもの、補助の目的を達していないものなどの不当な事例が見受けられております。  最後に、是正改善の処置を要求しまたは改善の意見を表示した事項について説明いたします。  ただいままでに申し上げました不当事項のほか、三十七年十二月から三十八年十一月までの間に、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定に基づき主務大臣等の責任者に対して是正改善の処置を要求し、また法令、制度もしくは行政に関して改善の意見を表示したものは十一件であります。  これらの内訳は、国の機関につきましては、陸上、海上、航空各自衛隊間における共通器材の融通及び調達の調整に関するもの、刑務作業における契約賃金等の決定に関するもの、海外移住者受入事業の補助金経理に関するもの、都道府県の事務費に対する補助金経理に関するもの、消費者米価の値上げに伴う販売業者の差益に関するもの、国有林野事業特別会計に所属する国有財産の管理に関するもの並びに道路整備、治水両特別会計経理および直轄公共事業に対する都府県等の負担金に関するものの七件でありまして、政府関係機関その他の団体につきましては、日本国有鉄道購入資材の規格に関するもの及び連絡運輸に伴う貨車使用料に関するもの、日本道路公団の道路建設工事予定価格の積算に関するもの並びに雇用促進事業の会計経理事務の執行に関するものの四件であります。  以上をもって概要説明を終わります。会計検査院といたしましては、適正な会計経理の執行について、機会あるごとに関係各省各庁などに対して是正改善の努力を求めてまいりましたが、なおこのように不当な事例が多数見受けられますので、関係各省各庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。
  16. 横川正市

    委員長横川正市君) 以上で昭和三十七年度決算に関する概要説明の聴取は終了いたしました。   —————————————
  17. 横川正市

    委員長横川正市君) 次に、昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書昭和三十七年慶国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十七年度国有財産無償貸付状況総計算書を一括して議題といたします。  まず、政府委員より説明を求めます。齋藤大蔵政務次官
  18. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) まず最初に、昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書概要を御説明申し上げます。  昭和三十七年度中における物品の増加額は九百五十九億円余、物品の減少額は六百億円余でありまして、差し引き三百五十九億円余の増加となっております。  また、右のほか本年度における物品の価格改定による増加額は五億円余でありますので、これらを前年度末現在額二千五百十七億円余に加算いたしますと二千八百八十二億円余となり、これが昭和三十七年度末現在における物品の総額であります。  この総額内訳をおもな品目別に申し上げますと、防衛用車両四百九十八億円余、試験及び測定機器三百九十三億円余、車両及び軌条三百十六億円余、土木機器三百十一億円余となっております。  次に、物品の増減の内容について、その概略を申し上げます。  まず、昭和三十七年度中における増加額について、その内訳のおもなものを申し上げますと、土木機器において百七十億円余、車両及び軌条において百十一億円余、試験及び測定機器において九十四億円余、雑機器において八十六億円余であります。  次に、減少額について、その内訳のおもなものを申し上げますと、土木機器において百七十二億円余、車両及び軌条において八十九億円余であります。  また、物品の価格改定による増加額のおもなものは、産業機器、試験及び測定機器であります。  以上が昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書概要であります。  次に、昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに国有財産無償貸付状況総計算書について、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和三十七年慶国有財産増減及び現在額総計算書概要について申し述べます。  昭和三十七年度中に増加しました国有財産は、行政財産三千二百九十二億円余、普通財産千四百三十八億円余、総額四千七百三十一億円余であり、また本年度中に減少しました国有財産は、行政財産二千一億円余、普通財産五百億円余、総額二千五百二億円余でありまして、差し引き総額において二千二百二十九億円余の増加となっております。これを前年度末現在額三兆千九百六十三億円余に加算いたしますと三兆四千百九十三億円余となり、これが昭和三十七年度末現在における国有財産の総額であります。  この総額内訳を分類別及び種類別に申し上げますと、行政財産においては、公用財産九千七百七十九億円余、公共用財産二百三十二億円余、皇室用財産二百五十四億円余、企業用財産八千五百六十六億円余、合計一兆八千八百三十三億円余となっており、普通財産においては一兆五千三百六十億円余となっております。なお、この普通財産のうち一兆二千三百十六億円余は政府出資等となっております。  また、国有財産の総額内訳を区分別に申し上げますと、土地七千二百十四億円余、立木竹五千九百九十一億円余、建物三千九百四十六億円余、工作物二千四百九十三億円余、機械器具十七億円余、船舶千二十一億円余、航空機千百八十三億円余、地上権等三億円余、特許権等三億円余、政府出資等一兆二千三百十六億円余、合計三兆四千百九十三億円余となっております。  次に、国有財産の増減の内容について、その概要を申し上げます。  まず、昭和三十七年度中における増加額を申し上げますと、前述のとおりその総額は四千七百三十一億円余でありますが、この内訳は、  第一に、本年度中に国と国以外の者との間の異動によって増加した財産は二千五百十七億円余でありまして、このうち、購入、新営工事、出資等歳出を伴うものは二千二百七十七億円余、寄附、交換、現物出資等歳出を伴わないものは二百三十九億円余となっております。  第二に、国の内部における異動によって増加した財産は二千二百十三億円余でありまして、このうち、各省各庁または各省各庁の部局の間における財産の移管等調整上の増加は二千三億円余、土地の実測、立木竹の実査等整理上の増加は二百九億円余となっております。  次に、減少額について申し上げますと、その総額は二千五百二億円余でありますが、この内訳は、  第一に、国と国以外の者との間の異動によって減少した財産は三百三十六億円余でありまして、このうち売払い、出資金回収等歳入を伴うものは百八十九億円余、交換、譲与等歳入を伴わないものは百四十六億円余となっております。  第二に、国の内部における異動によって減少した財産は二千百六十五億円余でありまして、このうち各省各庁または各省各庁の部局の間における財産の移管等調整上の減少は二千五十六億円余、土地の実測、立木竹の実査等整理上の減少は百八億円余となっております。  以上が昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算書概要であります。   —————————————  次に昭和三十七年度国有財産無償貸付状況総計算書概要について、申し述べます。  国有財産法第二十二条並びに同条を準用する第十九条及び第二十六条の規定により地方公共団体等に無償で貸し付けてある国有財産の本年度中に増加した総額は四十四億円余であります。また減少した総額は七億円余でありますので、差し引き三十七億円余の純増加となっております。これを前年度末現在額百九十一億円余に加算しますと二百二十八億円余となり、これが昭和三十七年度末現在において無償貸し付けをしている国有財産の総額であります。  この増減のおもなものを申し上げますと、増加したものは、公園の用に供するもの三十五億円余、生活困窮者の収容施設の用に供するもの八億円余等であります。次に減少したものは、公園の用に供するもの三億余円、生活困窮者の収容施設の用に供するもの三億円余等であります。  以上が昭和三十七年度国有財産無償貸付状況総計算書概要であります。  なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。   —————————————
  19. 横川正市

    委員長横川正市君) 次に、芥川会計検査院長より説明を求めます。芥川会計検査院長
  20. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 昭和三十七年度物品検査報告につきまして、その概要説明いたします。  昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書は、三十八年十月二十五日内閣から送付を受け、その検査を了して、十二月四日内閣に回付いたしました。  右物品増減及び現在額総計算書における三十七年度中の物品の増減等を見ますと、三十六年度末現在額は二千五百十七億三千九百万余円でありましたが、三十七年度中の増が九百五十九億九千二百万余円、同年度中の減が六百億四千四百万余円あり、また、同年度中の価格改定による差し引き増が五億四千七百万余円ありましたので、差し引き三十七年度末現在額は二千八百八十二億三千五百万余円となり、前年度末に比べますと、三百六十四億九千六百万余円の増加となっております。  なお、物品増減及び現在額総計算書に掲げられております物品の管理について不当と認め昭和三十七年度決算検査報告に掲記した事項はありません。   —————————————  次に、昭和三十七年度国有財産検査報告につきまして、その概要説明いたします。  昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに国有財産無償貸付状況総計算書は、三十八年十月三十一日内閣から送付を受け、その検査を了して、十二月四日内閣に回付いたしました。  三十六年度末の国有財産現在額は三兆千九百六十三億九千四百万余円でありましたが、三十七年度中の増が四千七百三十一億千万余円、同年度中の減が二千五百二億余円ありましたので、差し引き三十七年度末の現在額は三兆四千百九十三億四百万余円となり、前年度末に比べますと二千二百二十九億千万余円の増加となっております。  次に、国有財産の無償貸し付け状況について申し上げますと、三十六年度末には百九十一億三百万余円でありましたが、三十七年度中の増が四十四億五千三百万余円、同年中の減が七億千三百万余円ありしまたので、差し引き三十七億三千九百万余円の増加を見まして、同年度末の無償貸し付け財産の総額は二百二十八億四千三百万余円となっております。  国有財産の管理及び処分について不当と認めましたものは、国有財産の取得に関するもの一件、同じく維持及び運用に関するもの六件、同じく処分に関するもの二件、計九件であり、また国有財産の管理について会計検査院法第三十六条の規定に基づき改善の意見を表示しましたものは一件でありまして、これらはいずれも昭和三十七年度決算検査報告に掲記しております。
  21. 横川正市

    委員長横川正市君) 以上で昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書外二件に関する説明聴取は終了いたした。  なお、本件に関する質疑は、後日に譲ることにいたします。   —————————————
  22. 横川正市

    委員長横川正市君) 次に、派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般当委員会が行ないました昭和三十六年度決算外三件の審査並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から報告願います。  まず第一班、九州班の報告をいたします。  九州班は、去る一月十日から九日間、沢田委員と杉山委員、それに私が参加いたしまして、大分、宮崎、鹿児島、熊本、長崎の五県にわたり、各県の財政状況、新産業都市の建設、離島振興事業、災害復旧事業、自衛隊の基地などにつきまして、調査視察してまいりました。  以下、気づきました点をかいつまんで申し上げます。まず、県財政についてであります。各県とも三十六年度から三十七年度にかけましては黒字決算となっておりますが、どの県でも県税収入などの自主財源は依然として伸び悩み、その額も歳入総額に対しましては二〇%から三〇%前後にすぎません。残り七、八〇%が地方交付税や国庫補助金等の国庫金に依存しているのであります。これは他面から見ますと、それだけこれら後進地域に対し地方交付税の傾斜配分など国の助成が手厚くなされてきたこととなりますが、なお歳出の面では、実質上消費的な支出が投資的な支出を相当上回ってなされております。したがって、かような国の助成も、地域格差の現象面に追われ、その格差の単なる穴埋めに終始していくことが懸念されるのでありまして、今後は、この格差をもたらしている産業基盤や所得水準の低さなどをもっとその根源から改善し、それによって県財政がかような国への依存度から早く脱却できるよう、前向きの施策を強化すべきであります。  また、県財政にかようなウエートを持つ国庫金についてでありますが、地方交付税の場合、離島関係事業のようなその県独特の投資的経費の需要に対しましては、必ずしもこれに即応するよう算定されてはおらず、国庫補助金について見ましても、その補助単価が現実離れした低いものであることがわかりました。これらのため、事業費等についての県費の継ぎ足しが累年相当額にのぼっておりますが、かような県の負担は、不当経理発生のもととなるおそれだけでなく、自主財源の乏しさとも相まちまして、いわゆる税外負担となり、それが県下の市町村や住民に転嫁されるおそれが多分にあるのでありまして、財政秩序の面からも早急に改善さるべき点だと思われます。  次に、新産業都市の大分地区と日向・延岡地区の建設に関してであります。これらは、御承知のように、立地条件には恵まれておりまして、地元でもすでに一部は先行投資の形でこれに取り組んでおり、企業の進出もおくればせながら目鼻がつくに至っておりますが、資金の調達につきましては、大分地区の場合、当初地元で見込んだように国費が出され、また起債が認められましても、自主財源などの関係から、県費では所要の額の七〇%、関係市町村ではその三五%程度しか、調達のめどはついておりません。したがって、現状では、最終の四十五年度になっている目標をずらすか、計画を縮小するかということで、正式指定を前にして、あらためて計画を策定中でありました。しかし、政府としては、この際、目先の経済効果にとらわれてはなりません。その計画が国土総合開発の一環として適切なものであり、また、近い将来にわたる全国的な企業需要と設備投資の限界に照らして、なおこれら地区への企業の進出が見込まれる限りにおいては、積極的に国費を投入すべきであります。そして、このためには、国としても、本事業にかかる地方公共団体の財源措置の立法化をすみやかにはかり、公共投資の重点的な配分を行なうことが期待されるのであります。  なお、予定されております用地の地価は、これらの地区でも上昇しておりますが、その抑制は県の段階では無理であり、他に内定されている十一の地区にも共通な懸案として、特に資金面での国の手当てが急がれるのであります。  次は、離島振興事業についてであります。本事業は、二十八年度以降引き続いて行なわれておりますが、鹿児島県における三十七年度までの第二次計画の実績は、その八三%となっております。これは、第一次のそれが各省ばらばらの総花予算の弊にたたられて二三%に終わったことに比べますと、格段の進歩ではありますが、地域別にこれを見ますと、まずは生活環境の改善からして手をつけねばならぬ南西諸島での事業の施行は、五二%しかはかどっておりません。これに対しましては、県でも単独に助成を始めておりますが、この振興事業は、その種類が三十近くもあり、これが長期にわたって実施されますので、なお、おろそかにできないのは、各地域ごとの全体計画の適否だと思います。今後その計画は、各種事業が一そう関連性をもって円滑に施行されるように立てられることが望まれるのでありまして、現在、各省ごとに計上されている厚生、文教事業などの国費予算も、これを経済企画庁に一括計上する等、改善すべきは改善し、地域ごとに総合的な効果をあげさせることが肝要と思われます。  次に、航空自衛隊ニュー田原基地の周辺における防音対策について申し上げます。  当基地には、F86Fジェット機のほか、F104ジェット機も数機配属されておりましたが、学校防音の場合、地元の要望による二十一校のうち、近く十七校の防音工事が完了する運びでありまして、これは、この種基地対策として比較的順調な推移をみているほうかもしれません。しかし、残りの四校については、従来の測定結果などから見まして、国庫負担の適用基準に該当しない由であり、また計画外にありまして、地元では、来年度予定されるF104ジェット機部隊の本格的な展開を前にして、あらためてその工事方を熱望しております。  と申しましても、本経費は全額国庫負担であり、その使用は、交付基準など、法令に照らし、あくまで厳正でなければならぬこと、もちろんであります。しかしながら、騒音によるその被害を国庫負担に値する被害として判定すべき基準も、また妥当な納得できるものでなければ、結局、国費の効率的な使用は望まれぬと思います。  いまのところ、医療施設にかかる防音工事の実施も、一カ所にとどまっておりますが、本対策は、今後著増するF104ジェット機に対処して、かような点も再検討の上推進さるべきものと思われます。  終わりに、農林省所管の災害復旧事業費について一言いたします。  この査定額に対する会計検査院の実地検査で検査を受けた工事数の半ば近くが指摘されるという県がありました。その多くは、市町村工事の査定であり、また、それによる国損も現実には生じていなかったにしましても、これらは不当な事態発生の原因をなすものとして、関係当局には猛省を求めたいと思います。  簡単でありますが、本班の報告を終わります。
  23. 横川正市

    委員長横川正市君) 次に第二班、四国班の報告をお願いいたします。
  24. 相澤重明

    ○相澤重明君 四国班の報告をいたします。  四国班は、本年一月十一日から十七日までの七日間、二木謙吾、奥むめお両委員と私が参加して、香川県、徳島県、高知県下において昭和三十六年度を中心に大蔵、農林、運輸各省所管の決算等の実情を調査いたしました。  第一に、農業構造改善事業について申し上げます。  これは、申すまでもなく、昭和三十六年に施行された農業基本法に基づく事業でありまして、農業と他産業の間の格差を是正し、農業の発展をはかるため、それぞれの地域に適した基幹作目を選定して土地基盤整備及び経営近代化を行なうものであります。  構造改善事業は、昭和三十六年度以後約十カ年計画で全国約三千百の市町村を対象地域として実施せんとする遠大な構想を有し、このうち、昭和三十八年度現在において実施されている一般地域は四百三、また、別にパイロット地区として実施されているもの七十六を数えるのでありますが、今回調査の対象といたしましたのは三つのパイロット地区と一つの一般地域であります。パイロット地区は、香川県長尾地区、徳島県嵯峨地区及び高知県土佐山田西部地区を、また一般地域として高知県仁井田地区を選定いたしました。  パイロット地区は、本事業の展示的拠点として事業の早期実施をはかり、その成果を他の地域に波及させる使命をになうものでありますが、事業の進捗率は、たとえば米及び牛乳を基幹作目とする香川県長尾地区について見ますと、昭和三十七年度年度別進捗率において、土地基盤整備六九・九%、経営近代化一〇〇%と、かなりの成績をおさめているものと認められますが、目標年次は三地区とも昭和四十二年で、事業完成にはいずれも六、七年を要することとなっており、パイロット地区農業構造改善事業促進対策実施要領にうたわれているパイロット地区の展示的拠点的性格並びに事業の実施期間はおおむね三年とするという趣旨に照らして、その期間はいささか長きに失するものと思われます。また、かかる例は全国にも相当数あると了解しておりますが、パイロット地区の事業の早期達成につきましては、特に一考を要するのではないかと感じました。  事業の成果につきましては、これが実施に移されて以後まだ日も浅い今日、軽々に論ずべきではないと思いますが、現地の状況は、香川県長尾地区においては、畜産関係として、アメリカからの最新技術の導入等による一人当たり生産性の九七%増、労働人員の一千六十人から八百二十八人への減少等を目標として着々事業の実績をあげており、また、ミカンを基幹作目とする徳島県峨地区においては、ただいままでに共同防除施設、共同貯蔵庫、共同集荷所及び三車線の農道の一部を完成し、機械の導入と相まって、労働能率は著しい向上をみたが、今後も一そう意欲を燃やして事業を推進するとのことであり、牛乳を基幹作目とする高知県土佐山田西部地区においては、酪農経営の最難点であった子牛の預託育成と搾乳労働の改善による多頭飼育によって、現在の四十五頭から百五十頭へと増産が予定され、年間二千万円の生産性増大が見込まれている状態であります。  集約蔬菜を基幹作目とする仁井田の一般地域においては、れき耕ハウス、つまりザラメ状の特殊土壌を入れた温室の導入等により、連作による障害等を除き、飛躍的労力節減と収益増大を目ざしておりました。それは、普通の土耕栽培と比べて、労力節減五二%、生産性二三三%増及び単位所得二七六%増ということでありまして、厳冬の最中、ボタン一つで室内に展開している真夏の光景に接して、なるほどと思ったのであります。  しかしながら、事業の実績を顧みるとき、幾多の困難や障害があったことがこれらの地区において指摘され、国に対する要望が出されました。これを要約して申し上げますと、  (1) 事業費及び補助額の増額  (2) 土地基盤整備事業の全額国庫負担  (3) 実施地区に対する国有林払下規準緩和の措置  (4) 経営近代化施設に対する普通交付税の交付措置  (5) 市町村の技術職員・特技改良普及員等の配置助成措置  (6) パイロット地区の展示的性格に伴う印刷費等の諸経費に対する助成措置  (7) 一般地域のうち、実質上パイロット地区の性格を有するものに対する特別の措置  (8) コンバイン等大型未完成機械導入の国営事業化  (9) 融資ワクの拡大及び融資条件の緩和  (10) 補助金交付及び資金貸し出しの迅速化  (11) 第二次及び第三次農業構造改善事業の早期実施  (12) 流通、価格安定策等関連施策の樹立推進等でありまして、政府においては、すでにこれらを充足すべく一歩を進めている面も見受けられますが、なお慎重に検討されて、これらの要望にこたえられるよう希望いたします。  このほか、われわれは現地の産品を試食いたしまして、品種の改良につき特段の配慮を行なう必要のあることを痛感いたしました。申すまでもなく、万一市場性のない産品を世に出すならば、営々として続けられたすべての努力は無に帰するからであります。  また、農業構造改善対策費は、三十七年度に多額の繰り越しを生じているのでありますが、中国四国農政局管内においては、主として土地基盤整備事業のおくれによるものであります。現地では、ブルトーザーが田のあぜ道を消しつつある光景も見えましたが、同局管内の一般的状況は本事業推進のむずかしさを物語っているのでありましてこれが迅速な推進にあたっては特に慎重な配慮を要すると考えられます。  最後に強調したいことは、農業基本法に基づく昭和三十八年度農業の動向に関する年次報告、いわゆる農業白書が、わが国農業の現状は他産業の発展に比して相対的に立ちおくれたとして、その格差是正の要を指摘しているのでありまして、これは第二次、第三次構造改善事業の早期実施の必要性を示すものにほかならないということであります。政府当局の格段の御配慮を促すものであります。  第二に、昭和三十六年度決算検査報告指摘事項第三七九号、災害復旧事業費の査定額を減額させたものについて申し上げます。  本件は、都合上説明聴取にとどめましたが、その内容は、地方公共団体が施行する昭和三十六年発生災害復旧工事の査定が適切に行なわれていないので、検査院が是正させたものでありまして、三県下の状況は、徳島県三十七工事、一千三百万円、香川県七十工事、二千二百万円、高知県二十工事、一千五百万円の工事費減額是正の指摘となっております。指摘をうけた原因は、  (1) 査定官の人員不足  (2) 県技術者の人員不足  (3) 検査院の事前検査の査定との間の時間的ズレによる現地状況の変化  (4) 復旧計画の再度災害防止に関する判断について技術的見解の相違等でありまして、これらに関する防止対策はすでに進めららているとの説明でありましたが、二重査定の防止については、特に関係各省の間で連絡を密にする必要があると感じました。災害査定に関連して注目すべき要望は、  (1) 事前検査は、被災状況が変化しないうちにできるだけ早期に実施していただきたい  (2) 再災害防止のための見解を拡大してほしい等であります。これらについては、実際的論理的理由による反論は可能であっても、いずれも現地の切実な声でありますので、関係当局の御考慮を望む次第であります。  第三に、漁港修築事業について申し上げます。  漁港修築事業は、申すまでもなく、漁港法に基づく漁港整備計画によって、昭和二十六年以後実施されているものであります。今回調査いたしましたものは、香川県引田漁港、徳島県瀬戸漁港、高知県室戸岬漁港の三カ所でありますが、そもそも漁港法は、戦争により失われた漁船の戦後における立ち直りに比べて、漁港の整備がはなはだおくれているという状況のもとで、いわば両者の格差を解消し、水産業の発達をはかるために制定されておりますので、事業の進捗率については特に留意して調査いたしました。  昭和二十六年度から二十九年度に至る第一次整備計画及び三十年度から三十七年度に至る第二次整備計画における事業の進捗率は、引田、瀬戸両漁港において同率の八三%でありまして、これは香川県下八港の平均進捗率七九・四%及びこれと同率の徳島県下八港の平均進捗率を上回る成績を示しておりました。さらに、これを全国平均進捗率七二%と比べますと、両漁港の事業成果はほめてよろしいと思います。  しかし、これはいずれも漁港としては未完成でありまして、防波堤、物揚げ場、船揚げ場等の工事を三十八年度以後の第三次整備計画にゆだねている状況であって、たとえば全長四百メーターの物揚げ場や船揚げ場となるべき場所に、天然の砂浜がなだらかなスロープで海に落ち込んでいるところがありました。高知県下では、第二次整備計画までに完成したものは十一港中わずかに三港に過ぎず、やはり漁港整備は、漁港としての工事を完了しなければ十分な経済効果を期待することは無理ではないかということを痛感いたしました。  地元関係者の間では、事業の早期達成ないし計画年次自体の短縮を望む声が強く、  (1) 事業予算の増額  (2) 国庫補助率の引き上げ等についての要望が出されました。  現地を訪れたときは、風速三ないし十メーター程度の天候でしたが、堤防を越える波を見受けました。高知県下で工事が難航しているのは、激浪のためということで、外洋に突き出している室戸岬漁港の工事進捗率は一一・五%で、県下平均の一四・八%を下回っていたことは、特殊事情に対する配慮の必要性を示すものと考えます。  それから、徳島県伊島漁港の修築事業に関し、昭和三十六年度の検査院の指摘がありましたので事情を聴取いたしました。本件第三五二号の詳細は検査報告に譲りますが、要するに、漁港防波堤延長二百六十三メーターを県が新設するにあたり、計画に相違した粗悪な工事を施工したため、結局国庫補助金相当額一千万円を除外すべき旨の指摘を受けたものでありまして、これについて農林省は、徳島県に対し五百七十万円で手直し工事をさせ、昭和三十七年度以後国庫補助金を五百六十万円減額する措置を講じております。かかる指摘を受けたおもな原因は、本工事現場が洋上の小島にあり、気象、交通等の条件が悪く、請負業者に対する監督が不十分であったこと、その上請負業者も適当でなかったこと等があげられ、これに対処する方策はすでに遺憾なきよう進められているとのことでありましたが、残念ながら、気象等の条件はこのことを現地において確かめることをはばみました。  会計検査院は、漁港修築事業に関して、工事の著しい遅延、漁家の減少等事情の変動に即応しない工事の施行等の事例が見受けられるので、この種事業に対する国庫補助金の効率的使用について当事者の注意を喚起しております。漁港の適正な整備は、漁船の避難、安全操業の観点からも、また漁業の振興を期する上からもきわめて重要であることは申すまでもありません。幸い、三十八年度からは従来の整備計画の実績に関する反省の上に立つた第三次整備計画が発足し、また、これと歩調を合わせて漁港改修事業も実施されることとなったのでありますから、政府は、これら事業の推進にあたっては特に運用の妙を発揮して充実した成果をあげるように望みます。  第四に、漁船安全操業対策について申し上げます。  昭和三十八年五月、海上保安庁発行の海上保安の現況によりますと、三十七年の遠洋における海難船舶六十三隻中漁船は実に六十一隻の多数を占め、水産庁の資料は漁船の海難のうち、カツオ・マグロ漁船のそれが圧倒的に多いことを示しております。カツオ・マグロ漁船の近年におけるトン数別海難統計は、四十トンないし百トン級に最も多く、二十トンないし四十トン級がこれに次ぐ状態でありますが、最近、三十九トン型カツオ・マグロ漁船の海難のニュースがしきりに伝えられ、世上の関心は同型漁船の海難を中心とする安全操業対策の間頭に集中した観があります。すでに私は、昨年十二月十三日、本委員会の席上この問題を取り上げ、今回特にこの問題に関連の深い高知県室戸岬漁港における現地調査を行なった次第であります。  漁船海難原因の最上位は、運航の誤り、次いで機関取り扱い、材料衰耗、気象・海象等、つまり主因は人災によるものであります。これに対する安全操業対策としては、関係当局の施策をはじめ、海上人命条約改正会議の勧告、漁業法一部改正の際の国会の附帯決議等衆知が集められているのでありまして、もちろん、現地におきましても、関係者が一体となって努力を傾けておられました。すなわち、人災防止のための各種の啓蒙活動や船舶の検査等がそれでありまして、たとえば、四国海運局による船舶検査の三十八年の実績は、臨検回数三千百四十四回、隻数七百九十六隻にのぼり、これは高知県の三十九トン型カツオ・マグロ漁船総数の約七〇%を網羅する等、これらの努力は海難減少の成果をあげているのが認められました。  室戸岬漁港における会合、及び高知県庁における会議は、盛会のうちに終了いたしまして、関係当局並びに漁業協同組合、カツオ・マグロ船主組合、船員同志会等現地の関係者から次の要望が出されました。  (1) 近海許可漁業トン数規制上限の引き上げと企業統合による漁船大型化の認可  (2) 海上保安本部を主体とした救難対策委員会に対する助成措置  (3) 海外港湾への緊急避難に関する外交措置または中継基地の整備  (4) 漁港整備は漁船安全操業の基盤であるので、これが早期完成のための方策の実施  (5) 漁船運航技術研修等講習会補助金の増額  (6) 四国海運局への海技試験官の増員等であります。  四国海運局への海技試験官の増員の必要性につきましては、昨年十二月十三日の本委員会において、私は特に漁船安全操業の問題と関連して強調いたしておいたとおりでありますが、同海運局管内の海技従事者の国家試験受験者数の増勢を客観的に見ますと、前述第六項の要望が出されたわけが首肯できるのでありまして、三十九年度において認められた増員の配分方に関しましては当局の適正な措置を要望いたします。  すでに、われわれが四国現地調査から戻りましてからも、南方洋上にある、カツオ・マグロ漁船からSOSの発信が続いているというニュースが伝えられております。カツオ・マグロ漁船の海難頻発と、これを中心とする安全操業対策の問題は、所管の当局が多岐にわたる上に、終局的には日本漁業の基本問題にもつながる複雑な問題でありますことは、あらためて申すまでもありません。関係当局におかれましては、今後とも緊密な連絡のもとに、漁船安全操業の実をあげていかれるよう希望してやみません。  第五に、高松国税局における三十六、七両年慶の租税徴収不足に関する会計検査院指摘事項について同局より説明を聴取いたしました。指摘内容及びこれに対する措置については、いずれも検査報告並びに説明書によって御承知のとおりでありましたが、租税徴収不足の解消を促進するために、  (1) 租税特別措置法により非課税とされている再建整備法人の整備終了状況について、政府内部の連絡による周知徹底措置及び  (2) 一定額以上の官公庁関係資料、たとえば山林伐採資料、土地購入資料、工事代金支払資料等を会計検査院に対すると同様、国税庁にも提出することの措置を講ぜられたい旨の要望がありましたので、関係当局の御配慮を促す次第であります。  以上のほか、われわれは、香川県において、沿岸漁業構造改善の中核とも言うべきクルマエビ及びハマチ養殖施設並びに栽培漁業センターを、また、徳島県阿南市において十二万五千キロワットの出力を有する四国電力の重油専焼火力発電所を視察いたしましたが、これらについて述べることは割愛いたします。  なお、上述の現地関係者から寄せられました要望等、調査内容の詳細につきましては、調査室に資料を保管してありますので、これによって御承知願いたいと思います。  以上をもちまして、四国班の報告を終わります。
  25. 横川正市

    委員長横川正市君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  ただいまの報告に対し、質疑の通告がございますので、これを許可いたします。相澤君。
  26. 相澤重明

    ○相澤重明君 農林省に最初にお尋ねしたいのですが、農業構造改善事業に関する問題点として、先ほどいろいろ要望を持っておりましたが、パイロット地区の事業の早期達成ということは非常に重要なことだと私ども思うわけです。そこで、このパイロット地区は、一般のお手本とも言えるものではないかと考えるのでありますから、早期完成が望ましいのであります。現状は、先ほども報告いたしましたように比較的長期を要するというものが多いのでありますが、この早期達成についてどういうふうにお考えになっておるか、農林省からお答えをいただきたいと思います。
  27. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 農業改善事業中のパイロット地区は、農業構造改善事業促進対策を円滑に推進するための、ただいま御指摘の展示的な拠点として事業の早期実施を期しその成果を一般に波及せしめるために、特にパイロット地区に対しては濃密な指導助成を行をなっておりまして、昭和三十年度までに全体計画のおおむね八割を実施し、昭和三十九年度にはほとんどパイロット地区の全体計画を完了させる方針のもとに、三十九年度予算案を編成いたしておる次第でありまして、できるだけ早くこの完成を期することに努力するつもりであります。
  28. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に土地基盤整備の推進について、非常にこれは整備がおくれが目立っておるということなんです。事業推進上の障害と、これに対処する方策を述べていただきたい。
  29. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 御指摘のとおり、この土地基盤整備事業は、事業の性格上、計画の樹立にあたって設計に時日を要すること、農地等の権利関係の調整が伴うこと等のため、ある程度の期間が必要である上に、水稲の作付等の関係から、工事の実施期間も制約されているような状況であります。  したがって、政府といたしましては、農業構造改善事業における土地基盤整備の重要性にかんがみまして、まず地元負担の軽減措置として、国による五割補助のほか、地方交付税による財源措置を講じまして、都道府県費により二割の補助率かさ上げ措置を講じましたほか、地元負担分に対しましては、農林漁業金融公庫の低利長期資金の貸し付け、または市町村起債を認めることとしており、また、調査設計等の計画の樹立及び事業の実施の指導援助に要する市町村及び都道府県の経費に対して補助を行なう等、合理的な調査設計の樹立と適正円滑な事業の推進を期しておる次第であります。
  30. 相澤重明

    ○相澤重明君 第三点は、農業構造改善事業促進対策費は、三十七年度において多額の繰り越しを生じておるわけです。そのおもな理由と、これに対処する今後の方針について御説明をいただきたい。
  31. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) いまお話しのように、この農業構造改善事業は、三十七年度においては多額の繰り越しを生じたのでございますが、それは昭和三十七年度は、事業実施の初年度でありまして、土地基盤整備事業の水量調査、測量等、基礎調査に時日を要し、設計樹立が遅延したことと、それから土地基盤整備事業の実施に伴う用地買収、立木補償等の権利関係の調整に時日を要したこと。また、経営近代化施設についても、敷地の選定、取得等の権利関係の調整に時日を要したこと。加えて、三十七年度の冬期は、異常降雪がありまして、工事がしたがって遅延したこと、等の原因でおくれたのでございますが、三十八年度においては地方農政局も発足いたしましたし、計画の審査、補助金の交付等の権限を大幅に地方農政局に委譲し、各市町村の実情に応じた計画の認定、事業実施をはかる等、本対策の弾力的強力な指導を推進しております。したがって、当初予定の事業の実施率をおおむむね達成する見通しにあるのであります。  なお、今後は、さらに事務手続の簡素化、能率化をはかるなどによって、年度当初に実施準備を完了し、できるだけ繰り越しなどの事態が生じないように努力したいと思います。
  32. 相澤重明

    ○相澤重明君 第四点は、実施地域においては、特に品種の改良の実をあげる必要があると思われますが、どういう配慮を行なっておりますか。
  33. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 農業構造改善事業の実施地区においては、トラクターの導入や定置配管防除施設を設置する等、高度の技術を中心とした農業生産が行なわれることになるが、これらの農業機械等を効率的に利用してその実効をあげるためには、品種の統一や作付の調整等の集団栽培が前提条件として考慮される必要があると思います。ただいま御指摘のとおりと私も考えます。  なお、これらの栽培条件の整備は、計画樹立の段階において関係者の総意を調整しておくことが必要であり、農林省といたしましては、計画樹立のための基礎調査、協議会の開催等に必要な経費を計上しておるわけでありまして、一地域約十四万五千五百円を出しておるようなわけであります。そうして、さらに都道府県の専門職員あるいは改良普及員等によって編成をして行なう指導班の指導援助に要する経費も付帯事業費の中に含めて補助を行なっておるのでありまして、これによって指導体制の万全を期して、いま申し上げたこの品種の統一、集団栽培等に対処いたしたいと思います。
  34. 相澤重明

    ○相澤重明君 第五点は、この事業推進途上必ずしも農民に歓迎されないで、たとえば千葉県のように返上されたところもあるが、どこにその問題があると考えるか、また、どのように対処する方針なのか、御説明を願いたい。
  35. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 農業構造改善事業は、新しい技術や営農の仕組みを前提として、農業生産基盤の整備及び開発、環境の整備、農業経営の近代化のための施設の導入等、農業構造の改善に関し必要な事業を総合的に実施する事業であるのであります。したがって、これらの推進にあたって新しい機械の導入に対する不安などもあるようであります。また、大規模の共同施設による協業組織、協業経営に対する心配などもあるようであります。本事業の性格上、こういうことがあり得るのでありますが、政府といたしましてはできるだけ農家負担の軽減につとめると同時に、新しい技術、新しい経営の試験研究の強化、また啓蒙普及の推進、事業実施後における経営管理の指導等を行ないまして、本対策が円滑に実施ができるようにしていきたいと考えておる次第であります。
  36. 相澤重明

    ○相澤重明君 第六点は、国庫補助金が少な過ぎやしないか。現在の高物価情勢から考えて、三十八年度の一戸当たり事業費が四十三万円ではこの事業が果たせないのではないか。融資を含めた地元負担はあまりにも過重な割りに、国庫補助金が総花的に使われて、重点的に取り扱われていないというようなことも考えられやしないか。こういう点についてどう考えているか。
  37. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 農業構造改善事業は、それぞれ事業を実施する地区ごとに現地の実態に即して計画を立て、その計画に基づいて農業構造の改善に関し必要な土地基盤整備事業、経営近代化施設等の事業を総合的に行なうことにしておるのでありますが、市町村の農業の大きい小さいによって補助事業費も異なるようになっておること、また、国及び都道府県で一五%程度の調整費を保有いたしまして、事業計画の内容、開発の必要度等を勘案して配分調整加算をすることができるようにしておるのであります。三十九年度より融資単独事業費の一地域平均一千万円の増額をすることになっておりまして、全体の事業計画を大きくすることができるようになっておるのであります。で、三十七年度の事業実施地域については、三年目に当たる三十九年度には、物価上昇に伴う調整を必要に応じて配慮することができるようになったのでありまして、これらのいま申し上げた諸措置によりまして、地域の実態に即応しながら適切な措置を講じておりますので、事業の目的は果たせるものと考えておる次第であります。  次に、この事業の主体をなす補助事業については、たとえば経営近代化施設は共同施設として共同利用、共同経営のために使われる施設に限られておりまして、また、事業実施主体も市町村、農協、農家グループでありまして、これに補助金は一括して交付されておるのであるから、ただいま御指摘の総花的ということよりも、むしろ、いま申し上げた点におきましては、相当集中的であるというふうに私は考えておる次第であります。  なお、地元負担についてもただいまお話しの一戸当たり平均九万円という地元負担について過重ではないかというお話もございましたが、事業主体が市町村、農協等の場合があり、その場合には、直接に農家が負担することにはならないので、地元負担はさほど過重であるとは、その点においては考えられないのであります。
  38. 相澤重明

    ○相澤重明君 第七点は、事業実績に関する反省として、制度的障害というものが考えられる。特に、日本農業の零細農耕体制、食糧管理制度、価格流通機構等が考えられる。特に現地を見たときに、せっかく生産をしたものが阪神方面に出されるのに非常に交通費用がかかる、輸送費用がかかる、こういう問題点が投げかけられておるのでありますが、事業推進上の障害をどう判断しておるか。事業の実績につき、第二次、第三次構造改善事業の早期推進についてどう考えておるか。
  39. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 農業構造改善事業は、農業技術の革新と農業生産の選択的拡大を目途として、自立経営の育成と協業の助長をはかり、農業従事者の所得の増大を達成することを主眼として推進しているわけであり、現状の、ただいまお話しの零細農耕体制や食糧管理制度、あるいは価格流通機構等と無関係ではむろんありません。むしろ、農産物の需要の動向に即した農業生産体制の整備、資本装備の増大、技術の革新等を積極的に実現いたしまして、生産性の高い農業経営の確立、流通機構の近代化等を達成するという立場に立って、他の農業生産施策、あるいは価格流通対策との調整をはかりながら推進しておるような次第であります。  なお、事業の既着手市町村において、事業実施地区になり得なかった地域にかかる第二次構造改善事業については、昭和三十九年度から実施できるよう、三十九年度予算案にこれを織り込み済みであるのであります。したがって、実施体制の整備された地域については、第二次事業を実施することができることになっておる次第であります。  また、今後において山村地域に対する構造改善の行き方、あるいはまた、昨年来問題になっておるこの新産都市の地域における農業構造改善事業等のやり方等に、なお検討を要する点がありますので、それについても、三十九年度に調査費を計上いたしまして、本年においてこれが調査を実施して、農業の構造改善事業を推進いたしていきたいと、こういうふうに感ずる次第であります。
  40. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、漁港整備計画について関係当局から御説明いただきたいんですが、第一は、漁港整備計画を実施した結果、漁港法の目的とする水産業の発達、国民生活の安定、国民経済の発展にどう寄与しておるか、事業の実績を顧みて、どういうところを直さなければならないという反省をしておるかどうか、御説明をいただきたい。
  41. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 漁港整備の目的は、漁港整備計画の実施により逐次その整備を行ない、水産業の発達をはかることにあるのであります。戦後水産業は、その漁獲高においてみても驚異的な発展向上を示しましたが、遺憾ながら漁港の整備がおくれておったわけでありますけれども、しかしながら、その発展の大きな要因となっているのは否定することができないと考えるのであります。  なお、水産業の発展を通じて国民の必要とする動物性たん白質食糧の大部分を供給して、その食生活の改善向上に資し、水産物の輸出によって外貨を獲得し、もって国民生活の安定と国民経済の発展に寄与しておるということがいえるのであります。しかしながら従来国及び地方公共団体の政財の事情がありまして、なお所期の効果があがっていない点も御指摘のとおりでありまして、今後とも漁港法の目的の達成のために努力いたしたいと考えておる次第であります。
  42. 相澤重明

    ○相澤重明君 第二点は、工事の進捗率と港湾単位の完成との関連において、この第二次整備計画の進捗率は、三十七年度までに七二%を記録しましたが、港湾単位の完成の状況は、六百四港の計画に対して、二百四十三港しかできなかった。現地を見て、港湾整備の経済効果は、工事進捗率よりも港湾単位の完成いかんによることが、われわれとしては痛感されたわけですが、政府として、どう考えておるか。整備計画運用の重点は、港湾単位の完成に置くべきものと考えるのでありますが、お考えを聞いておきたい。  なお、工事着工後、港湾単位の完成上までに長年月を要することが非常に多いのであります。かかる事例の生ずる原因と、これを解消するための対策について、説明されたい。
  43. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 漁港整備の経済効果を発揮するためには、各漁港について、いまお話のごとく、その計画が全部完成することが望ましいのでございます。しかしながら、工事の進捗に伴いまして部分的完成によって、その利用が増進され、相当な効果をあらわしておるものも多いので、全部完成することに主力を注ぎながら、一方また、部分的完成によって効果の発揮をも考慮すべきでありますので、今後においても、でき得る限り、重点的に工事促進をはかるように努めたいと思います。  また、ただいま御指摘のごとく、工事着工後、漁港単位の完成までに長年月を要する事例の生ずる原因と、これが解消について、その対策をお尋ねがありましたが、工事着工後は、でき得る限り工事の促進につとめておるわけでありますけれども、国の財政の制約もありますし、また、地方公共団体の財政事情の問題、あるいはまた自然的な地形、地質、海象等、自然条件によって、施行上の問題等が生ずることもあって、一部漁港については、工事の進捗がおくれておるものもあります。これらの問題の解決については、今後適正な予算及び必要な起債の確保、施行技術の研究等につとめまして、整備の促進をはかっていきたいと考えておる次第でございます。
  44. 相澤重明

    ○相澤重明君 第三点は、会計検査院が、三十六年度検査報告で、漁港修築事業に関する国庫補助金の効率的使用についての注意を促しておるのでありますが、これについて、どういう配慮をいたしましたか。
  45. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) お答えします。  漁港修築事業の保進にあたっては、各漁港の漁業情勢を勘案し、できるだけ、その利用効果が早期に発揮できるよう、国庫補助金の効率的使用に努力してきたのでありますが、一部には、十分効果を発揮し得ないものもあったので、今後は、これらの点を慎重に考慮していきたいと考えておる次第であります。すなわち、昭和三十八年度を初年度として実施しておる第三次漁港整備計画の策定にあたっては、遠洋及び沖合い漁業の重点的な根拠地を、沿岸漁業については、その構造改善対策の中核となる漁港及び漁船の避難、漁場の開発上重要な漁港を選定し、それぞれ重点的に整備することにいたしておりまして、可及的すみやかに完成せしめる方針で事業の促進をはかることにいたしております。
  46. 相澤重明

    ○相澤重明君 漁船避難の点に触れられましたから、次に、第三次整備計画及び各事業の運用方針の説明をしていただきたい。現行の予算、法制等に関し改善意見があれば、それを御説明願いたい。
  47. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 第四種漁港は、漁船の避難、漁場の開発上特に必要な漁港でありますので、その整備促進については、鋭意努力しておる次第であります。すなわち、現在の第四種漁港七十三港のうち、第一次及び第二次整備計画の実施により、避難漁港としての機能を果たし得るようになったものが五十七港あります。そのほか、自然の湾形もしくは既往の施設によって避難港の機能を果たしておるものは、六港で、最近指定したこと等により、未整備のため避難港の機能を果たしていないものは、十港にとどまっておる次第であります。今次整備計画においては、未整備の十港と、そのほか、五十港について、拡充整備をはかることといたしておる次第であります。  また、第三次漁港整備計画は、昭和三十八年度以降の八年間に、三百八十港の対象漁港について、総事業費一千億円をもって整備をはかることとし、漁港改修事業は、同じ期間内に、約四百五十港の漁港について、総事業費約二百五十億円をもって行なうことといたしております。漁港整備計画の運用にあたっては、沿岸漁業構造改善事業等の他の水産諸施策との調整も考慮しながら、緊急性の高いものから、逐次着工して早期完成をはかって、計画の期間内に達成を期する所存でございます。漁港改修事業の運用にあたりましては、漁業情勢等の変化に対応しながら、弾力的に運用し、すみやかに完成することを旨として実施してまいりたいと考えております。  政府といたしましては、漁港整備計画に基づく漁港修築事業の効率的施行と早期完成をはかるため、種々努力しておるところでありますが、これが目的達成に必要な予算の確保をはかるとともに、法制上の措置を講ずる必要がある場合には、その方向に向かって努力を進めてまいりたいと考えております。なお、漁港改修事業についても、修築事業と同様な考えのもとに、今後措置をしてまいりたいと考えております。
  48. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、漁船の安全操業対策の問題ですが、昨年十二月、私も、この問題を本委員会で提起しておるのですが、漁船安全操業対策関係費の使用状況及び本対策の概要を述べてもらいたい。
  49. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) お答えします。  漁船の海難の防止に役立たせるため、都道府県知事の行なう漁船運航技術修練会に補助を行なっており、また、小型及び中型の漁船を対象として、漁船の運航、機関の操作及び通信のそれぞれについて、技術向上をはかっておる次第であります。三十八年度では、これに要する経費として、五百三十六万円の予算を計上しまして実施中でございます。また、漁業中央無線局を漁業用無線陸上局として、昭和三十六年度に設置いたしたのでありますが、その運用により、海難事故の防止につとめておる次第であります。  次に、漁船の構造上の安全性を向上するために、漁船の建造、改造の許可に際し、特に問題の多い船型については、性能の審査を行なっておるのでありますが、さらに、漁船の積み荷の過載と海難との関係を究明するために、三十八年度より三年間の予定で、載荷基準設定のための調査を行なっておるような次第であります。また、漁船保険の一環として、漁船の事故防止のため、漁船検診技術員による漁船の検診を行なうほか、事故防止の奨励金及び講習会、講演会を行なう経費を、漁船保険中央会等に補助いたしておる次第であります。
  50. 相澤重明

    ○相澤重明君 次にこの海難防止と漁業内部における格差是正との関連の問題でありますが、カツオ、マグロ漁船の場合は、二十トンから百トンくらいまでの間が非常に多いのであります  この層の経営自体が、大規模漁業層のそれに比べて、漁獲高を無理をしてとっておる関係から、非常に海難が多いという、安全性を無視したことが現実にあらわれておると思うのであります。こういう無理な操業による生産性の向上につとめておるところが問題なのでありまして、それに対するところの指導、格差の是正と海難防止との関連、そういう点について、どういうふうに考え、あるいは船舶の安全について、どういうふうにしようとしておるのか、これは農林省と運輸省と両者からお答えをいただきたい。
  51. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) お答え申し上げます。  本件に関しては、相澤委員から、前回も御指摘がございましたが、カツオ、マグロ漁業の場合、従来百トン未満から百トン以上へ大型化する道が閉ざされておったのでありますが、昨年の二月から実施されました漁業法改正によって、大型化ができる道を開きまして、現在一定の条件のもとに合併して大型化することを認めておるようなわけであります。また、四十トン未満の漁船によるカツオ、マグロ漁業は、従来自由であったのでありますが、今回漁業法の政令を改正いたしまして、二十トン以上を許可制といたしたのであります。今後便乗組みを排除して、厳密な条件のもとに、これらの漁船について大型化を考慮していきたいと考えております。これらにより、経営階層間の片寄りも改善されることを期待しているが、なお、安全性を無視した操業を行なわないように、関係者に対して指導を行なっておるような次第でございます。
  52. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 漁船の安全性の向上のためには、現在船舶安全法に基づきまして、漁船の安全の規制をやっております。重量制限に対する検討を含め、航行制限に対する問題を、農林省と協議して今後検討してまいりたいと思います。  なお、積載量の制限につきましては、ただいま農林省の御回答がございましたが、これも農林省と協議いたしまして、過載防止のため、適正な基準を設定する検討を行なってまいりたいと思います。  なお、救命設備の問題につきましては、海上人命安全条約の勧告第二項を取り入れまして、設備基準の向上につきまして、これを省令でもって規制いたしたいと、かように考えております。
  53. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、漁船員等で海難を受けた者の救済措置については、どういうふうに、指導しておるのか、御説明をいただきたい。
  54. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) お答え申し上げます。  海難によって漁船乗り組み員が行くえ不明または死亡した場合の補償は、船員法の適用を受ける漁船、これは原則として、総トン数二十トン以上の漁船であります。これら漁船の乗り組み員については、船員保険法による保険給付がなされ、このため船主には、その雇用する乗り組み員を対象として船員保険に加入する義務を課しておるのであります。  なお、船員保険法に基づく保険給付については、次のとおりでありまして、すなわち、遺族年金として支給されるものは、船員が職務上の事由によって死亡した場合は、遺族が受給権を失権——死亡、婚姻、養子及び満十八歳以上等によって、受給権を失権するまで、最終標準報酬月額の五カ月分の年金が支給されることになっております。それから遺族一時金として出されるものについては、船員が職務上死亡した場合で、遺族年金を受ける者がない場合、最終標準報酬月額の三十六カ月分が遺族に払われることになっております。また、行くえ不明手当金として、支給されるものは、職務上船員が行くえ不明になったときは、その船員の標準報酬月額に相当する額を、三カ月を限度として支給されることになっております。なお、三カ月間生死が分明しないときは、死亡と推定されることになっております。  それから葬祭料については、被保険者死亡により、葬祭を行なう遺族に対して、最終標準報酬月額の二カ月分が支給されることになっております。  次に、船員法の適用を受けない漁船で、五トン以上のものの乗り組み員は、労働者災害補償保険給付を受けることになっておる。保険給付の内容については、遺族補償については、遺族に対して、平均賃金の千日分が支給されることになっておる。また、葬祭料につきましては、平均賃金の六十日分が葬祭を行なう者に支給されることに相なっております。
  55. 相澤重明

    ○相澤重明君 安全操業というのは非常に大きな問題でありますが、先ほど運輸省から、海上人命安全条約のお話が出ましたが、四国の現状を見てまいりますと、小さい船はほとんど無線の設備すらない、こういうような状況ですから、現状の予算あるいは法制で現在までとってきた農林省なり運輸省なりのそういう形で、はたして安全操業対策が万全であるかという点について、どう考えておるのか。特に、先ほど私が御報告申し上げました中に、海難の場合に、外国の避難港の問題等についても、関係各省が連絡をして、十分ひとつ配慮してもらいたい、こういうことも出ておるわけであります。したがって、海上保安庁としての安全操業問題に対する状況、あるいは農林省あるいはまた運輸省の船舶局、こういうようなところから、それぞれひとつお答えいただきたいと思います。
  56. 今井榮文

    政府委員(今井榮文君) 漁船の安全操業対策につきましては、海上保安庁といたしましては、船艇の全勢力をあげて海難の救助に当たる体制になっております。さらに、現地におきましては、それぞれの海上保安本部あるいは海上保安署等の所在地におきましては、適時講習会を開催するとか、あるいは直接保安官が臨船指導するような方法によりまして、海難の防止につとめておるわけでございますが、今後とも、私どもとしては、こういった努力を傾注いたしますと同時に、さらに現在、巡視船あるいは航空機等の、海難救助に使用する施設の手薄な点につきまして、これを拡充整備していくという努力をいたしたいと思っております。
  57. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 漁船の安全性向上につきましては、ただいま御指摘の海上人命安全条約改正会議の勧告に基づく救命手段及び無線設備の問題がございます。これは、条約発効の時期に合わせてこの改正が発効いたしますように、ただいま関係省庁と協議を進めておる次第でございます。なお、ふくらましいかだ等の設備につきましては、行政指導を強く進めておる次第でございます。また、小型漁船の問題でございまするが、これにつきましては、船舶安全法の適用外の小型漁船がございます。これらのものにつきましても、ふくらましいかだの備えつけにつきまして、行政指導を行なっておる次第でございまするが、今後ともこれを強力に実施していく所存でございます。また小型漁船の安全設備等につきましては、都道府県知事に委任をいたしておるところでございまするが、各都道府県におかれましては、規則の制定方を勧奨いたしましたところ、準則の制定を希望する向きが非常に多いわけでございまして、目下私どものところで、準則の制定につきまして検討を進めておる次第でございます。したがいまして、できる限りすみやかに、都道府県に対しまして、規則制定を具体的な基準をもって、そして要望いたしたい、かように存じておる次第でございます。
  58. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 安全操業対策としては、ただいま海上保安庁あるいは船舶局のほうからもお述べになったのでありますが、農林省といたしましても、先ほど申し上げたように、海難防止の啓蒙指導、漁船の安全性の向上、乗り組み員の環境改善等の対策を講じてまいったのでありますが、今後さらにこの技術修練会の充実、それから啓蒙指導の強化をはかるとともに、漁船の構造上及び運航上の安全確保についても、さらに改善策を検討してまいりたいと考えておる次第でございます。  また、海難を受けた者の救済措置として、先ほど申し上げました船員保険及び労務者災害補償保険への加入が、船主に義務づけられておるわけでございますけれども、中には、加入漏れ、あるいは加入に際しての不当な申告によって十分な給付が得られない面もあるように考えられますので、特にそういう点指導してまいりたいと考えております。
  59. 相澤重明

    ○相澤重明君 いま一つの答弁が漏れておるが、海外港湾への緊急避難あるいは中継基地、そういうものについては、外交措置を関係各省が連絡をしてとってもらいたい、こういう強い要望があったが、それについて、どういうふうに考えておるのか。  それからいま一つ、運輸省に、四国は非常に漁船員の多いところである。ところが、試験を受ける人たちが非常に多いのですが、海技試験官が足りない、こういうことで増員を要求しておるわけでありますが、予算としては、いま二名が定員増になっておるようでありますが、四国に対して、そういう考えを持っておるかどうか、この点もあわせて運輸省からお答えいただきたい。
  60. 今井榮文

    政府委員(今井榮文君) いま御指摘の海外港湾への緊急避難の問題でございますが、これは関係各省、特に農林省、外務省等と十分な連絡をとって現在やっておるわけでございます。その大体の事情を申し上げますと、海上保安庁では、現在緊急入域の手引き書という相当詳細な手引き書をつくりまして、漁船乗り組み員全部にこれを配付するという方法をとっておりまして、現在、漁船からの要請がありました場合には、米国の太平洋諸島あるいはまた信託統治地域におきましては、海上保安庁と在日米海軍司令部との間、テレタイプ回線によりまして、在日米海軍司令官を経由して、任意基地の米海軍の基地に許可を取りつけるという方法をとっておりまして、これは現状におきましては、即時にオーケーをとるというふうな体制になっております。  さらにまた、北方海域におきましては、特にソ連から千島列島の関係でございますが、これは現在日・ソの海難救助協定によりまして、通信所が指定されております。で、現在は、第一管区海上保安本部小樽の通信所から、ウラジオストックにありますソ連の無線局に対して申請を出すというふうなことで、これも緊急入域につきましては、円滑に行なわれておる現状でございます。  なお、それ以外の地域につきましては、外務省を経由して、海上保安庁のほうから申請をするか、あるいはまた、直接に船舶が現地におきまして現地で申請をする、あるいはまた、現地におきましては、それぞれ漁業組合が代理店を太平洋地域には持っておりまして、その代理店を通じて、現地の外国の出先との間に連絡をとるという方法でやっておりまして、私どもの調査によりますと、緊急入域に関しましては、おおむね順調にいっておるというふうに考えております。ただ問題は、ときどき起こりますのは、水の補給であるとか、あるいは食糧補給というふうな場合におきましては、現地との間に、それが緊急入域なりやいなやとうことで多少トラブルを起こしたというケースはございますが、先生のお話のとおり、私どもとしては、今後さらに関係の各省との間の連絡を緊密にいたしまして、こういった点そごのないようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  61. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 四国地区における試験官の増員につきましては、御審議中の来年度予算に、試験官の二名の増員を計上いたしておりますので、この予算が成立いたした場合には、四国地区について、機関科試験官の一名増員をいたしたい、かように考えております。
  62. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、特に高知県は国有林が非常に多いところであります。そこで、私どもが参りましたところが、国有林野の払い下げの要望が強く出されておる。たとえば土佐山田地区におきましても、せっかく農業構造改善事業の指定を受けながら、なかなか思うような土地の交換、あるいはまた、そういう事業の成果をあげるに必要なる国有林の払い下げということを強く要望しておるわけであります。こういう問題について、政府としては、どう考えておるのか。これは大蔵省と農林省と両者にひとつお答えをいただきたい。
  63. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) お答え申し上げます。  国有林の開放については、今日非常な大きな世論となっておるのでありますが、農林省といたしましても、農業構造改善、つまり狭義の農業構造改善もまた、広い意味の農業構造改善あるいはまた畜産のための草地の造成とか、そういうようなことのためにも、広い意味で農業構造改善の用に供するための国有林払い下げに関しましては、いわゆる治山水等に支障がない場合、あるいは国有林の経営にどうしてもなければならぬというような場合を除いては、積極的に協力することにいたして、そうして農業構造改善その他広い意味の、あるいは草地の造成とかあるいは開拓、改良、そういうものに推し進める方針でございます。
  64. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 大蔵省といたしましても、ただいま農林政務次官からお答えがありましたように、特に農業構造改善事業等につきましては、国有林の活用と申しますか、開放と申しますか、積極的にいたすべきものであるという考え方で努力をいたしておるような次第でございます。
  65. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、高松国税局の説明を聴取したのでありますが、その中で、先ほど御報告いただきましたように、関係各省間の連絡がとれておらないために、たとえば、国税局でもってこれは調査しなければならぬというものが、実は出てこない、こういうような問題点が指摘をされておるわけです。租税徴収不足の現状というものを、どうしたら解消することができるかということについて、たとえば山林を伐採したとか、土地を購入したとか、こういうようなことが関係の官公庁で行なわれた場合には、国税局に連絡をとってほしい、国税局に知らせてほしい、こういうような意見が出されておるのでありますが、これについては、大蔵省としては、どういうふうに考えておるのか。また、関係各省に対しては、どうやろうとするのか、お答えをいただきたい。
  66. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 徴税につきましての非常に御理解ある御質問をいただきましたわけでございますが、なるほど仰せのごとく、いろいろな課税上必要な資料を国税庁がいただくということは、非常に徴税の上においてもけっこうな話でございます。今日までのところ、私どものほうといたしましては、各省庁にできる、だけ出向きまして、資料をいただく、御理解をいただいてやるというふうなやり方でいたしておりますが、今後とも各省庁にお願いをいたしまして、できるだけ課税に必要な資料をお出しいただくようにお願いをいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  67. 相澤重明

    ○相澤重明君 会計検査院長にお尋ねをするわけですが、災害地等のいろいろ説明を聞いてまいりますと、災害発生時にいわゆる査定をすれば、指摘を受けることのないこともあったのではないか。ところが、非常に時期的にズレがあって、会計検査院が検査に行ったときには、すでに原状がわからない、こういうようなことで、非常に現地としては苦労をする。したがって、もちろん会計検査院の査定官の人員不足ということもあろうかと思いますが、会計検査院は、人員をふやすことについて、どういう措置をとったのか、あるいはまた、そういう査定官が、この時期的なズレというものを今後どう処置をするつもりなのか、こういう問題について、検査院長からひとつお答えをいただきたいと思います。
  68. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) ただいまのお尋ねの査定検査でありますが、査定検査は、御承知のように、時期の問題がありますので、時期の問題等につきましては、なるべく現地と十分連絡をとった上で、検査院としても出ていっておるつもりでございます。ただいま御指摘のような点がやはり出てくるかと思います。そういう点については、今後十分連絡をとった上で、そういうことのないように努力いたしたい。なお、人員等についても、御承知のように、年々増員の要求を出しております。幸いにして、三十九年度から約二十名の増員をもらったわけでございまして、逐次そういう方面につきましても、予算と人員とを強化して御趣旨に沿うように努力してまいりたいと思っております。
  69. 相澤重明

    ○相澤重明君 最後に、赤城さんの地元である水戸射爆場の移転ということが、政府の方針としてきまったようでありますが、一体この水戸射爆場の開放については、長い間、関係地元からも強く要望があったわけですが、きまったとすれば、その場合は御蔵島に、というような話を聞いておるのでありますが、それが事実政府の中で決定をしたのかどうか、これが第一点。  第二は、農林省、水産庁関係として、この御蔵島周辺は漁業の最も宝庫といわれるところである、東京、神奈川あるいは千葉、静岡等の関係の漁民としては、非常に重要視しておるのであります。もしここに演習場がきまるということになると、いままでの漁民の生活保障というものは、非常に大きな問題になってくるのではないかということで、政府が決定をしたとするならば、一体漁民に対するところの生活保障というものはどうしていくのか、こういう二つの点について、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  70. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) お答え申し上げます。  水戸射爆場の代替地として御蔵島が決定したかということでありますが、決定しておるとは聞いておりません。また、お話のごとく、御蔵島周辺の海域は、本邦でも回遊魚の好漁場でありまして、東京都、千葉、神奈川、静岡、一都三県のアジ、サバ、サンマ漁業者の入り会い漁場であり、また、全国カツオ、マグロ漁業のかっこうの操業の場所でもあるので、御蔵島を対地射爆撃場の代替地にするかどうかということにつきましては、慎重に対処してまいりたいと思います。
  71. 横川正市

    委員長横川正市君) 他に御発言ございませんか。——他に御発言がなければ、派遣委員報告に関する件は、これをもって終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後一時八分散会    ————・————