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1964-06-30 第46回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月三十日(火曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————   委員異動  六月三十日   辞任      補欠選任    小酒井義男君  成瀬 幡治君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     柴谷  要君    理事            岡村文四郎君            佐藤 芳男君            野知 浩之君            山崎  斉君            相澤 重明君    委員            鈴木 恭一君            谷口 慶吉君            西田 信一君            大森 創造君            加藤シヅエ君            杉山善太郎君            成瀬 幡治君            渋谷 邦彦君            天田 勝正君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    厚生大臣官房長 梅本 純正君    厚生大臣官房審    議官      伊部 英男君    厚生大臣官房会    計課長     戸澤 政方君    厚生省公衆衛生    局長      若松 栄一君    厚生省医務局次    長       大崎  康君    厚生省社会局長 牛丸 義留君    社会保険庁医療    保険部長    竹下 精紀君    会計検査院事務    総局第三局長  小原  剛君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十七年度一般会計歳入歳出決  算、昭和三十七年度特別会計歳入歳  利決算昭和三十七年度国税収納金  整理資金受払計算書昭和三十七年  度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和三十七年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動がございましたので、報告いたします。小酒井義男君が委員を辞任され、その補欠として成瀬幡治君が選任されました。  以上でございます。   —————————————
  3. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 昭和三十七年度決算外三件を議題とし、審査を進めます。  本日は、厚生省決算につきまして審査を行ないます。  まず、厚生省決算につき説明を求めます。梅本官房長
  4. 梅本純正

    説明員梅本純正君) 昭和三十七年度厚生省所管一般会計及び特別会計決算概要について御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算額につきましては、当初予算額二千七百二十三億二千九百余万円でありましたが、その後、生活保護費児童保護費国民健康保険助成費結核対策費等不足に伴う補正予算額百二十八億四千百余万円、総理府所管及び大蔵省所管からの移しかえ増加額五億九千三百余万円、前年度繰り越し額二十億四千五百余万円、予備費使用額三億九千六百余万円、計百五十八億七千七百余万円を増加し、予算現額は二千八百八十二億六百余万円となりました。これに対しまして、支出済み歳出額は二千八百三十億八千八百余万円、翌年度繰り越し額は二十四億四百余万円、不用額は二十七億一千三百余万円で決算を結了いたしました。  以上が一般会計決算大要であります。  次に、特に重要な事項について、その概要を御説明申し上げます。  第一は、国民保険推進に要した経費であります。国民健康保険につきましては、療養給付費国庫補助率を二割から二割五分に引き上げたほか、事務費の一人当たり単価を増額し、その改善整備につとめました。  また、国民保険推進に必要な基礎的条件整備するため、公的医療機関整備及び僻地診療所設置等を行なったのであります。  以上、国民保険に要した経費として、予算補正を加え五百八十一億九千九百余万円を支出しております。  第二は、生活保護費及び社会福祉増進に要した経費であります。  まず、生活保護費でありますが、生活扶助基準につきましては、飲食物費の引き上げと、内容改善をはかり、一五%引き上げたほか、教育扶助出産扶助生業扶助及び葬祭扶助につきましても、それぞれ必要な基準改定を行ないました。また、各種加算及び勤労控除についても所要の改定を行なったほか、保護施設職員待遇改善を行なったものであります。  以上、生活保護費として予算補正を加え六百八十八億三千百余万円を支出しております。  次に、社会福祉に要した経費でありますが、身体障害者及び精神薄弱者保護更生につきましては、前年度に引き続き収容施設拡充等を行ない、また、老人福祉対策といたしましては、軽費老人ホーム九カ所を設置し、新たに老人福祉センター三カ所及び老人家庭奉仕員を設置いたしました。このほか、低所得者階層自立更生の促進につきましては、世帯更生資金として二万九千余人に対し十七億五千四百余万円の貸し付けを行ないました。  以上、社会福祉に要した経費として二十八億一千四百余万円の支出を行なっております。  第三は、児童福祉及び母子福祉増進に要した経費であります。  児童保護費につきましては、保育所給食費収容施設飲食物費及び日常諸費をそれぞれ増額するとともに、新たに産休代替制度を創設し、また児童福祉施設職員待遇改善を行なったのであります。  以上、児童保護費及び母子福祉費として百六十六億一千七百余万円の支出を行ないました。  このほか、児童扶養手当につきましては増額の措置をとり、延べ四十九万六千余人受給者に対し十五億八千八百余万円の支給を行なっております。  第四は、主要疾病対策に要した経費であります。  結核及び精神衛生対策につきましては、命令入所及び措置入院についての対策を前年度に引き続き強力に実施いたしました。  以上、結核対策費として予算補正を加え三百四十七億五千四百余万円の支出を行ない、精神衛生対策費につきましても予算補正を加え九十一億七千七百余万円の支出を行なっております。  次に、小児麻痺対策に要した経費であります。小児麻痺対策につきましては、前年度に引き続き予防措置徹底をはかるため、ソークワクチンによる定期予防接種を行ない、このほか特別対策として、全国で約二千七百万人の乳幼児及び児童に対し経口生ポリオワクチンの投与を行ないました。この結果、昭和三十七年の発生患者数は二百八十九人で、前年度の約一割程度に減少し、その効果は顕著なものがあったのであります。  以上、小児麻痺対策費として総額五億三千三百余万円の支出を行なっております。  第五は、生活環境改善向上に要した経費であります。  明るい生活環境を実現するため、前年度に引き続き環境衛生施設整備をさらに強力に推進いたしまして、簡易水道等施設六百二十三カ所、下水道終末処理施設十七カ所、し尿処理施設百二十一カ所、ごみ処理施設十八ヵ所を、それぞれ新設いたしました。  これらの経費に、環境衛生施設災害復旧費を加え三十九億二千四百余万円の支出を行なっております。  このほか、国立公園等施設整備のため三億三千四百余万円の支出を行ない、また地方改善事業費として、三億一千百余万円の支出を行なっております。  以上、厚生省所管に属する昭和三十七年度一般会計決算概要を御説明申し上げましたが、次に特別会計決算大要について申し上げます。  第一は、厚生保険特別会計決算であります。  厚生保険特別会計につきましては、一般会計より百一億四千二百余万円を繰り入れました。  まず、健康勘定決算額について申し上げますと、収納済み歳入額一千四百二十七億九千五百余万円、支出済み歳出額一千四百二十六億二千九百余万円でありまして、差し引き一億六千五百余万円の剰余を生じ、これをこの会計積み立て金として積み立て決算を結了いたしました。  昭和三十八年三月末の事業所数は四十四万一千余カ所、年間平均保険者数は一千二十万三千余人に達しております。  次に、日雇健康勘定でありますが、その決算額は、収納済み歳入額百一億八百余万円、支出済み歳出額百億九千余万円でありまして、差し引き一千八百余万円の剰余を生じ、これをこの会計積み立て金積み立て決算を結了いたしました。なお、年間平均保険者数は八十九万三千余人であります。  次に、年金勘定でありますが、その決算額は、収納済み歳入額一千六百四十二億三千四百余万円、支出済み歳出額百五十億七千四百余万円でありまして、差し引き一千四百九十一億六千余万円の剰余を生じ、これをこの会計積み立て金積み立てました。  最後は、業務勘定でありますが、その決算額は、収納済み歳入額九十億六千五百余万円、支出済み歳出額八十二億二千余万円、翌年度繰り越し額四億四千七百余万円でありまして、差し引き剰余額は三億九千七百余万円であります。  第二は、国民年金特別会計決算であります。  国民年金特別会計につきましては、一般会計より四百九十一億七千余万円を繰り入れました。  まず、国民年金勘定決算額について申し上げますと、収納済み歳入額三百四十一億七千三百余万円、支出済み歳出額一億五千五百余万円でありまして、差し引き三百四十億一千八百余万円の剰余を生じ、これをこの会計積み立て金として積み立て決算を結了いたしました。  昭和三十八年三月末までに適用届のあった被保険者数は二千四十七万余人で、そのうち、保険料免除該当者は二百十五万二千余人であります。  次に、福祉年金勘定でありますが、その決算額は、収納済み歳入額三百四十六億三千百余万円、支出済み歳出額三百十一億六千五百万円、翌年度繰り越し額三十三億四千四百余万円でありまして、差し引き剰余金は一億二千百余万円であります。  昭和三十七年度においては、延べ七百六十五万八千余人に対し福祉年金給付費の支払いを行なっております。  最後に、業務勘定でありますが、その決算額は、収納済み歳入額二百六十二億九百余万円、支出済み歳出額二百五十七億余万円、翌年度繰り越し額一千二百余万円でありまして、差し引き剰余金は四億九千七百余万円であります。  第三は、船員保険特別会計決算であります。  船員保険特別会計につきましては、一般会計より四億五千余万円を繰り入れました。その決算額は、収納済み歳入額百二十七億一千百余万円、支出済み歳出額八十四億六千百余万円、翌年度繰り越し額二千三百余万円でありまして、差し引き四十二億二千六百余万円の剰余を生じ、これをこの会計積み立て金として積み立て決算を結了いたしました。  本年度事業概況を申し上げますと、年度平均の被保険者数普通保険で二十二万九千余人保険給付につきましては、疾病保険で六十億三千三百余万円であります。  第四は、国立病院特別会計決算であります。  国立病院特別会計には、一般会計より二十三億九千余万円を繰り入れました。その決等額は、収納済み歳入額百八十三億百余万円、支出済み歳出額百七十六億二千五百余万円、翌年度繰り越し額五億三千八百余万円でありまして、差し引き一億三千七百余万円の剰余を生じ、これをこの会計積み立て金として積み立て決算を結了いたしました。  本年度事業概況を申し上げますと、入院患者数は、一日平均二万五千余人外来患者数は一日平均二万七千余人であります。  第五は、あへん特別会計決算であります。あへん特別会計決算額は、収納済み歳入額四億四千四百余万円、支出済み歳出額三億三千余万円でありまして、差し引き一億一千四百余万円の剰余を生じ、剰余金は、この会計の翌年度歳入に繰り入れました。  本年度における業務実績は、購入五十六トン、売却五十四トンであります。  以上が、厚生省所管に属する一般会計及び特別会計歳入歳出決算概要であります。  最後に、本決算につきまして、会計検査院から指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  今回指摘を受けましたものは、一般会計におきましては、国庫補助金等経理当を得ないもの十一件、特別会計におきましては、健康保険厚生年金保険及び船員保険保険料徴収不足の是正に関するもの並びに健康保険保険給付の適正を欠いたものであります。  補助金等経理当を得ないもののうち、工事の施行不良及び出来高不足につきましては、補助の目的に沿うよう必要な措置を行ない、国庫補助金の精算が過大となっているものについては、すでに、国庫補助金相当額の返還を命じておりますが、今後はさらに一そう指導監督を強化して経理の適正を期する所存であります。  次に、保険料徴収不足につきましては、かねてから鋭意その解消に努力を重ねてきたところでありますが、前年度に引き続き指摘を受けましたことは、まことに遺憾とするところであります。  今後は、さらに適用事業主及び船舶所有者に対し指導啓蒙を積極的に行なうとともに、調査徹底をはかり、事務取り扱いについても、なお一そう慎重に検討を行ない、適正な保険料徴収努力いたす所存であります。  また、保険給付の適正を欠いたものにつきましては、今後、特に適用事業主及び船舶所有者の証明の適否の確認を強化するとともに、被保険者等に対して、制度の趣旨はもちろん、関係法令についても十分な指導を行なうとともに、極力実地調査を行ない、給付の適正を期する所存であります。  以上をもちまして厚生省所管に属する一般会計及び特別会計決算の御説明を終わりますが、何とぞよろしく御審議のほど御願い申し上げます。
  5. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。
  6. 小原剛

    説明員小原剛君) 厚生省所管事項につきまして、簡単に御説明いたします。  昭和三十七年度決算検査報告に掲記いたしましたものは、報告書の三六ページ以下にございますように、健康保険厚生年金保険船員保険各種保険事業における保険料徴収及び保険給付の問題と、公衆衛生並びに環境衛生関係補助金の問題でございます。  まず保険関係でございますが、保険料徴収不足の事態を是正させましたものは、二二一番、——二二二番に掲記してございますように、健康保険及び厚生年金保険で合計六千五百七十万円、船員保険で三千五十万余円となっておりまして、いずれも保険料算定基礎となります報酬の額を的確に把握しなかったということに起因するものでございます。  保険給付関係は二二三号でございますが、これは健康保険事業におきまして、被保険者事業主から報酬を得ておりますのに、これを考慮することなく傷病手当金を支給いたしましたものでございまして、千七百六十六人、五百五万円の不適正給付指摘いたしております。  次は補助金関係でございますが、二二四から二二八までは、伝染病予防等公衆衛生関係補助事業におきまして、補助対象とはならない経費補助基本額に含めて計算していたものでございまして、六事項百八十二万円となっております。  二二九から二三四までは、簡易水道下水道等の還境衛生対策事業におきまして、工事の施行が不良であったり、あるいは工事の設計が過大であったりしまして、補助金の交付が適正でないと認めた事案でございまして、八工事二百二十四万円となっております。  簡単でございますが、以上で説明を終わります。
  7. 柴谷要

    委員長柴谷要君) それでは、これより直ちに質疑に入ります。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 最初に、いまの会計検査院から指摘をされました不当事項二二一号「健康保険および厚生年金保険保険料徴収不足をきたしたもの」と、これについて政府としては、具体的にどうすればこういうことがなくなるのか、そういうことについての現状把握された上に立っての対策をどうつくられておるのか、ひとつ御説明をいただきたい。
  9. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 不当事項として指摘されました政府管掌健康保険及び厚生年金保険保険料徴収不足の問題でございます。  この問題につきまして指摘を受けましたことは、まことに残念なことで、申しわけないと思っております。一昨年社会保険庁ができましてから、いわゆる現業庁といたしまして、保険料徴収あるいは事業主、被保険者指導啓蒙に当たる、こういうことを重点事項として取り上げてまいったわけでございます。  で、現在指摘されております事項の一番の問題点といたしましては、事業主から保険料基礎となります標準報酬届け出があるわけでございまして、それを事務所におきまして審査をして決定をする、こういろ手続を経るわけでございます。そういった場合に、事業主からの届け出が法規に従った正規の届け出がなされていない、そういう点からいたしまして徴収不足の問題が出てまいるわけでございます。かように考えますると、何と申しましても、事業主、特に業務担当の者がこれを理解する、これが一番の問題であるかと思うわけでございまして、そういった点につきましては、事務所を単位にいたしまして、定期的に事業主あるいは担当者を集めまして講習会等を催しまして、保険料の適正な理解ということにつとめておるわけでございまして、また、御指摘のございましたように、そういった不正あるいは無理解のための届け出、こういったものが出ることはやむを得ない次第でございまして、そういった問題につきましては、社会保険調査官を設置しておりますが、こういった調査官実地に参りまして指導者調査指導をいたす、かようなことで保険料徴収不足の問題につきまして努力をいたしているわけでございます。その結果、三十七年度に御指摘のような金額が出たわけでございますが、社会保険庁ができましてからの問題といたしましては、逐次向上しておるような次第でございますので、今後ともさらに一そう努力をいたしたい、かように考えております。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 いまの御説明を聞いておりますと、調査官が現地で指導を行なっておるという反省の上に立った指導体制ということをお話しになったのですが、この会計検査院指摘事項を見ると、いま御説明もあったように、事業主届け出が適正に行なわれていないということですね。この標準報酬把握のし方が不十分であるというところにやはり大きな問題が提起をされておると思うのです。しかも、この四保険課、百十三の社会保険事務所において滞納保険料、いわゆる延滞金徴収決定状況等を調べたところが、非常に悪い、こう言っているわけですね。是正させたものが三保険課、十七社会保険事務所、千二百四十五事業所にあったと、こういうのですね。そうするというと、非常にいわゆる政府としての指導というものが的確に行なわれていない、こういうことが、事業主届け出というものを漫然とただ書類で届け出ただけのもので実はいままで作業を進めてきたからこういう結果が起きたのではないかということが逆に指摘されると思うのです。これに対して、いまの調査官を派遣して指導を行なうというのでありますが、調査官というのは一体何人おるのですか。
  11. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 調査官は、現在定員五百四十一名でございますが、現員は五百名内外でございます。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 定員が五百四十一名で、現員が五百名ということは、それだけしか調査官を採用することのできない理由というのは何ですか。
  13. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 特に調査官に限って採用できない、こういったことはございませんが、先ほど御説明申し上げましたように、調査官が各事務所を回って指導をする、こういった点からいたしまして、十分仕事を認識しておるということが前提の条件になりますが、そういった点から適格者を得られないという問題はございます。しかしながら特に調査官だから補充できない、こういうことはございません。ただいま申し上げました数字の開きと申しますのは、これはやむを得ないことでないかというふうに考えております。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 これは、きょうは大臣も次官もおらぬので、ほんとうは決算の進め方としてはよくないことなのですが、しかし一応話を進めるにして、官房長、いまの局長答弁をどうお聞きですか。つまり、やむを得ない、定員を充足することは、やむを得ない事情なのだ——やむを得ない事情というのは何ですか。いわゆるこの調査官定員に対する予算というものが取れない、こういうことなのか、人が足りないというのか、あるいは適格者がないというのか。やむを得ないという事情というのは、一体予算編成期において、当然この調査官予算定員というものは組むわけです。それが現在四十一名——定員五百四十一名という御報告ですから、それに対して現員が五百名ということになれば、四十一名足りないということになる。四十一名足りないのは、やむを得ないという事情はどういうことなのですか。
  15. 梅本純正

    説明員梅本純正君) ただいま部長からお答え申し上げましたが、特別にその調査官だからといって採用にネックとなります、いわゆる障害となりますものはないという意味でございまして、先ほど申しましたように、やはりこの調査官につきましては、調査しますだけに十分な経験者でなければならないということでございまして、その点一時的な現象といたしましてそういう定員のあきができたのでございます。これは早急に適格者を見つけまして補充をしてまいらなければならない筋合いのものでございますし、われわれのほうも努力をしてまいりたいと存じております。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 三十七年度決算でいま指摘をされておるのは、この現状把握が不十分である、つまり標準報酬について事業主届け出が適正に行なわれていない、こういうことを指摘されておるのでありまして、この三十七年のときには調査官は何名おったのですか。
  17. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) おそれ入りますが、手元に三十八年の一月末の現状しかございませんので、お答えいたしますが、三十八年の一月末で五百八名でございます。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、官房長官房長はいま適格者をできるだけ登用する努力をするという話があったけれども、三十八年の一月現在で五百八名だったと、こういうのですね。現在は五百名だ。これじゃむしろ前向きでなくてうしろ向きじゃないですか、結局は。こういう会計検査院から指摘されておるにもかかわらず、政府監督指導者あるいはまたそれの調査官というものに対する熱意が欠けておったと逆に言われるのじゃないですか。どういうことなんですか、いま一度お答えいただきたい。
  19. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 先ほど私が御説明申し上げましたのは、五百名内外と申し上げたわけでございます。と申しますのは、月によりまして若干異動がございますので、五百名切ることもございますし、五百名をこえることもある、そういうことでございまして、一月は五百八名であったということでございます。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 これは、いまの速記残っていますからね。政府がそういう答弁することがけしからぬ。役人が毎月毎月数が変わることがあるか。死亡するとか、あるいはいわゆる不時の災害があったとかということになれば、これは別かもしらぬけれども、予算定員というものがあって、また現員がおれば、これは当然人数においてそう変わりがあるわけではない。五百人前後なんという、そういう報告があるか。  これは私は、委員長、きょうは、いま速記が残っておりますから、この速記に基づいて、あと大臣を呼んでこれは究明をいたします。そういうようなことは、これは許されない。官庁役人が月によって変わっていくなんという話があるか。そんな答弁を許すことはできません。官庁組織令というのはどういうふうになっているかということは、諸君が知っているはずだ。その答弁はそれで終わり、これはあと大臣を呼んで究明いたします。  その次の問題に入ります。  その次の「船員保険保険料徴収不足を来たしたもの」、これはまことにひどいですね。このことを見ると、北海道外十六都県における十六保険課及び四社会保険事務所管内の六千四百十三船舶所有者のうち、四百三十七船舶所有者調査したところ、その五二・八%に当たる二百三十一船舶所有者徴収不足の事態が見受けられる——半分以上じゃないですか、これは。調べたところが、半分以上はいわゆる徴収不足だ、こういうことは一体どこから出てくるのですか。いまのような金額の問題でなくて、各事業所について少なくとも半分以上が徴収不足なんという実態がわかったということがですね。この点について御説明いただきたい。
  21. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 漁船の標準報酬の問題でございますが、漁船の特殊性といたしまして、漁期によって収獲が変わってまいります。また、船員の報酬も、陸上と違いまして、収獲高によって報酬が変わる。出発の前に標準報酬決定する一わけでありますけれども、収獲は区々でございまして、そういった漁業の特殊性からしまして、非常に標準報酬把握という問題がむずかしかったわけでございます。そういった面からいたしまして、昭和三十五年に実態調査を行ないまして、大体の年間の収獲というものを把握いたしまして、これに基づきまして、三十六年、三十七年と、暫定的な標準報酬を設けたわけでございます。その間におきまして、船主並びに海員組合等を交えまして、標準報酬の適正化懇談会というものを設けまして、これをできるだけみんなが納得した線できめていこう、まあこういうことをはかってまいったわけであります。その実施が、三十七年の八月三十一日から実施することになったわけでありますが、以上のような事情からいたしまして、三十五年、三十六年、いわば過渡期の時期にあったわけでありまして、船主の皆さん方の了解と申しますか、理解が十分でなかった。かような点が、いま御指摘のございましたような、半数以上の標準報酬徴収不足という問題になったかと考えるわけであります。三十七年の九月以降につきましては、そういった事情で、できるだけそれを船主の方々にも理解いただくように、各団体を通じまして、また私ども直接指導いたしまして、逐次この問題につきましても、徴収不足の問題は改善されるというふうに考えています。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 三十五年に実態調査を行なって、それでこの標準報酬について暫定的な措置をとったと、だからしたがって、この三十七年度報告の中では、前期と後期というものから考えれば不十分な点があったということがいま言われておるのですが、この適正化懇談会で標準報酬をおきめになったのは、どういうふうな形で行なわれたのですか。標準報酬はどの程度にきめられたのですか。
  23. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 適正化懇談会におきまして主として問題になりましたのは、歩合報酬における臨時、ボーナス的な問題をどうするかということでございますが、これは陸上と均衡という問題もございまして、ボーナス的なものをある程度認める、こういうような結論に達したわけでございます。それによりまして、三十七年の八月三十日に標準報酬決定方法についての通達を出した、こういう事情でございます。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっとよくわからないんだけれども、ボーナス的なものを出したというのはどういうことなんですか。これは漁船の場合は四十九トン型とか九十九トン型というのがあって、それで私も実は当決算委員会なり運輸委員会でよく言うのですが、船の構造によってはボーナストン数というのがある。これは実は実際の水揚げ量というものは船の重量トンよりはよけいに積み込める、つまりたくさんの収獲を得るために無理をしておる、こういうので、実は居住区なんかを少なくして水揚げ量をふやしておる、これを称してボーナストン数と、こう言っているわけなんです。だから船員の労働条件が悪くなっていく、こういうことを私はよく話をしておるのですが、いまのあなたの、これは保険の問題ですから、つまり標準報酬をきめるのに、ボーナス的な、いわゆる何といいますか、水揚げの中から特別にはじき出しておる、こういうようなことを認めて、そのはじき出したものを除いたものをいわゆる水揚げにして標準報酬というものを頭で割ってきめる、こういうようなことをやったのか、そのボーナス的というのはどういう意味なんですか、いま少し御説明いただきたい。
  25. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 陸上の健康保険の場合、あるいは厚生年金もさようでございますが、臨時的な給与につきましては、それを標準報酬に算定しないということになっております。こういった陸上の事情もございますし、海上におきましては、別に夏期の手当あるいは冬期の手当、そういったものはないわけでございまして、いまお話がございましたように、非常に大漁であったというような場合は分け前を何がしかもらう、こういう慣習があるわけでございます。それは魚種によっていろいろ違うわけでございますが、そういったものを標準報酬には一定限度を限って算定をいたさないということにしたわけでございます。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 それから、こういう点についてはどういうふうにお考えになっておるでしょうかね。政府管掌健康保険、そういうものよりは、組合健康保険が最近非常に多くなりつつある。むしろ組合健康保険のほうが加入者がふえるというのは、サービスがよい、こういう点が政府管掌健康保険よりも特徴があるということがいわれて、非常に組合保険の設立、加入者が増加をしてきておるということをいわれておるのでありますが、この点についての実態はどうなっておるんでしょう、実態の把握はどうなっておるんでしょう。組合保険というものはどのくらい設立をされておって、加入者はどのぐらいおりますか。
  27. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) 大体組合数は千百余り、被保険者数は五百万人余でございます。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 それで、このいまの御説明ですと、千百からの組合がある。五百が人からの加入者がある。で、一組合は何人からの設立を認めておるのですか。
  29. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) 総合組合においては三千人以上、単独組合においては千人以上を基準としております。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、大きい会社では単独で組合が設立できますね。それから、小さいのは地域的な条件が合えば三千人まとまればこれはできる、こういうことになりますね。そうすると、政府管掌健康保険というものはだんだん数が少なくなってくる、加入者が少なくなっていく、こういうことも言えますか、これはどういうことになります。
  31. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 現在のところ、経済成長と申しますか、そういった経済活動が非常に活発でありますので、組合の加入者の減員よりも、新しく増加するほうが多うございます。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、政府管掌健康保険の掛け金をひとつ御説明いただいて、それから組合保険の掛金はどうなっておりますか、両方御説明いただきたいと思います。
  33. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 政府管掌健康保険の掛け金は、現在のところ千分の六十三でございます。それから健康保健組合の保険料率でございますが、これは実は私どもの所管ではないのでございますけれども、御参考までに申し上げますると、千分の四十五から千分の八十までの料率に分かれております。
  34. 相澤重明

    相澤重明君 これはどなたが担当なんですか、健康保険は。
  35. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) 保険局長でございます。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 いまの医療部長答弁は、千分の四十五ですか、千分の三十じゃないのですか。
  37. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 組合の関係につきましては、千分の四十五が最低になっております。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 政府は管掌については千分の六十三で折半、そういうことですね。組合保険については千分の四十五から千分の八十。それで、これは両者でもって団体交渉というか、話し合いできめられる、こういうわけのものですか、それは折半ということですか、どういうことですか、その内容は。
  39. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 組合の問題につきましては私よく存じ上げておりませんので、団体交渉できまるかどうかは承知いたしておりません。三十七年度平均で申し上げますると、組合の平均保険料率が六十四・九五でありまして、そのうちで被保険者が負担するものが二十五・九七、残り三十八・九八を事業主が負担をいたしておる、こういうような平均の負担割合になっておる次第であります。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 いまの正確なお答えを実は知りたいわけでありますが、社会保険局長、これはどういうことなのですか、この問題について。
  41. 梅本純正

    説明員梅本純正君) 保険局長の所管なんですが、いま保険局長呼びます。
  42. 相澤重明

    相澤重明君 問題の焦点は、結局政府管掌保険というものが、いま言った千分の六十三で、事業主と従業員が折半だと。ところが、組合健康保険はある程度任意性を持つということがいまの説明の中でも出てきているわけですね。つまり、事業主と組合員とが折半もあるかもしれぬけれども、折半でもないところがある。しかし、これは組合員のやはり権利というものを守るために、どこまでかけてもいいということではないと思うんですね。何か一つの基準があるんじゃないですか。いまあなたのお話しになったのは、千分の六十四・九五が平均で、二十五・九七が従業員ですか、払っておると、こういう例を出されたんですが、これは組合員が掛け金をかける場合、何でも千分の八十なら千分の四十までかけてもいいと、そういうことじゃないんでしょう、これは。どうなんです、そういうことはわかっておりませんか。
  43. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 私正確に存じておりませんので、答弁を差し控えておきます。
  44. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) 法律では、折半を原則といたしまして、場合によって事業主の負担をふやすことができるというふうになっておるかと記憶しております。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 これは政府管掌保険は折半であることは間違いがないが、健康保険、いわゆる組合保険についてはそういうことに私はなっていないと思う。それからいま一つは、限度額というものがあると思う。組合員の権利を守るために、千分の三十五なら三十五をこえてはならないというたしか規定があるはずだと思う。そういうことを考えていけば、これはあとでひとつ正確に、資料でけっこうですから、お出し願いたい。会計課長がお答えになっておりましたのは間違っていると、私はそう思っている。たしか千分の三十五以上は支払いをさせてはいけないということになっていると私は思うんです。そういうことになると、特別にその上にサービス問題、いわゆる産休の問題はどうするかというような問題が出てくると私は思うんです、お産の取り扱いについて。というようになってくると、非常に組合保険については有利な体制が私はできていくと思うんですね。ところが反面、政府管掌保険についてだんだん——反面を言えば、組合保険がよくなれば、そちらに多く移動して、政府管掌保険というものはだんだん少なくなっていくという可能性が出てくる。だから、この辺で再検討する時期がきているのではないか、健康保険の問題について。そういう面も考えられるので、そういう点についてあとでひとつ、御検討をいただいておるなら検討しておる、あるいはまだそういう点進んでいないならいないと、こういう点、官房長なり会計課長、どちらでもけっこうですが、ひとつお答えいただきたい。
  46. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) それでは後ほど、この時間中に調べまして、また回答いたしたいと思います。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 私は健康保険保険料というものは非常に基金のドル箱というように考えておりますから、そういう点でいまの政府管掌保険と組合保険との実態を把握して、そうしてやはりこれからの時代に対する的確な資料をつくっていかなければいけないんじゃないか、こう思って実は申し上げたわけですから、あとでひとつお調べになっていただきたいと思うんです。  その次に指摘されておる二二三号の「保険給付の適正を欠いたもの」、これも各都道府県を見ると非常に多いわけですね。この中の会計検査院指摘をしたのを読んでみると、たとえば「三保険課および百十三社会保険事務所管内で傷病手当金受給者一万九千四百五十六人についてその適否を調査したところ、実施機関側の事業所に対する調査指導が不十分なため、事業所から報酬を受けている者に対して傷病手当金給付していたものなどが千七百六十六人」あったと、こういうようなことが指摘をされておる。これもやはり実態の把握が不十分であるという一言に尽きると私は思う。こういう点については、どういうふうにしてこれを直すのか、その対策はどうなっておりますか。
  48. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 御指摘にございますように、保険給付の適正、傷病手当金の問題につきましては、実態の把握が不十分であるということでございます。最近におきましては、特にこういった時代からいたしまして、いろいろ問題を生じているような事情がございますので、昭和三十九年度の目標といたしましては、傷病手当金の適正化対策というものを立てまして、これに基づきまして、ただいま御指摘のありましたような事業主の問題につきましては、まず事業主の就業規則、こういったものを十分承知をいたしたい。これは私どもの本来の仕事ではございませんけれども、大体政府管掌事業主は二十人以下がほとんどでございますので、こういった問題からいたしまして、なかなか就業規則をつくっていない、こういったことで、実際傷病手当金を支給しながらこっそり報酬を出している、こういうような事情が多いわけでございます。そういった面におきまして、こういった就業規則の把握という問題、あるいは労働関係とも協力いたしまして、こういう就業規則をつくっていただくというようなこと。それから、ただいま御指摘がございましたように、現地の実地調査を行なうという点に重点を置いて対策を立てているような次第でございます。
  49. 相澤重明

    相澤重明君 次に「国庫補助金等経理当を得ないもの」二二四号から二三四号まで。「伝染病予防事業に対する国庫補助金等経理当を得ないもの」、たくさんの都道府県があげられておるわけですが、この伝染病等の問題については、非常に大きな問題であるし、また先日の新潟のああいう天災とかを考える場合に、非常に私どもとしては心配をするわけなんですが、こういう国庫補助金等のなぜこういうふうな不当なことが行なわれておるのかという点について、公衆衛生局としてはどうお考えになっておるのか、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  50. 若松栄一

    説明員(若松栄一君) 防疫関係の事業について御指摘をいただいたこと、まことに遺憾に思います。防疫という仕事は、御承知のとおり、伝染病が多発するというような事態、または災害その他で伝染病の発生のおそれが非常に増大するというような場合が起こりますが、そういう場合にはきわめて迅速適確な処置を専門的な技術を持って行なわなければなりません。また伊勢湾台風とか、あるいは北九州災害のように、数府県にわたって災害が起こり、防疫業務も数府県にわたって実施するというような場合がしばしばございますので、常時専門的な職員を養成をしておくということがきわめて緊要でございまして、そのために、法律に基づきまして防疫委託職員というものを置きまして、平生からその訓練を行なっておりまして、今回のような新潟の地震に際しましても、水害を受けました地域が非常に広うございましたために、近県数府県から防疫職員を直ちに派遣いたしまして、防疫作業を行なったような次第でございます。そのような防疫職員を配置いたしておりますが、その職員が常時防疫の仕事ばかりで手一ぱいというわけではございませんので、防疫と非常に関連の深い、たとえば環境衛生とか、そ族昆虫駆除とか、食品衛生、あるいは細菌検査というような業務担当することは承認しておりますが、それらの職員が、今回の監査にあたりまして、私どもが承認しております以外の、たとえば結核予防の仕事であるとか、精神衛生の仕事というようなことをやっておりました職員がありましたので、それらの職員の仕事は、防疫委託職員の業務として適当でないということで指摘をいたしまして、そうしてこれについては、すでに指摘を受けました五県とも現在までに不当分を返納を命じ、すでに返却を完了いたしております。  なお、その他の一点は、伝染病隔離病舎において要します経費の中で光熱水道費、これは病院の運営費の中に入れてあるのでございますが、それを管理費の中にダブって補助対象にした点が指摘されましたので、これは不当分として、これも返上を命じております。  以上であります。
  51. 相澤重明

    相澤重明君 次に、これはもう当面する問題ですから、厚生省の意見を聞いておきたいのですが、オリンピックがいよいよ間近に迫ってきたわけです。四十六国会の当初においても、池田総理が施政方針の中で衛生関係の問題を取り上げたのは初めてともいわれるべき重要施策の一つであります。オリンピックを迎えるにあたって、たとえば横浜港の場合には外国の船が停泊をするわけですね。この場合のいわゆるし尿処理といいますか、こういう問題については、非常に大きい問題に私はなると思う。停泊地帯にそれを流されてしまえば、港の水の色は変ってしまうわけです。それからいま一つは、それと同時に停泊設備が完備をすることと、その停泊期間中の排せつ物をどこで処理をするかということはきわめて大事なことでありますから、どう処理するか、これをひとつ聞いておきたいことと、いま一つは、わが国の船員の諸君は船に乗っておるわけですからまあいいのでありますが、港の荷役関係者、特に沖に出て荷役をする人たちが、港湾労働者といいますが、こういう人たちは非常に多いわけです。ところが、皆さんがたまたま港へ行ってごらんになればおわかりになるように、船の上でおしりをまくって用をたしている。あるいは立って——というようなことは、間々港の関係では多いと思う。これはやはり、国際的な行事を行なう場合に、そういう便所等を施設をしないと、いくらやめろと言ったところで、なかなかやまるものではないと思う。こういう点で、オリンピックを前にして、港をきれいにするとか、あるいはそういう保健衛生関係に力を尽くすとかいうことは、具体的にどうするのか、どうやったならばそういうものがなくなるのか、こういう点については、すでに日本港湾労働組合連合会とかあるいは全国港湾労働組合とかいう港の関係の労働組合の人たちは、オリンピックの担当の問題として関係の各国務大臣に要求書をすでに出しておるわけです。したがって、その衛生面を担当するのは、これは私はいわゆる厚生省関係ではないかと思うのです。前にも外国の船がコレラが発生しておるという場合に、上陸をしてしまって、その足あとをさがしてコレラの予防をするのはたいへんむずかしい。けれども、水打ちぎわで、いわゆる上陸前に保菌者というものをよく検査をして、そうして上陸しない前に隔離をしてしまう。こういうことになれば、これは患者というものの蔓延というものを防ぐことができる。こういうような問題は、昨年も厚生省の中でも私はたいへんよくやったことがあると思う。けれども、いまオリンピックを前にして、そういう外国の船がたくさん泊まって、し尿処理の問題、あるいは日本のそういう労働者の多くが船において行なう問題について、どうしたならばそういうことを食いとめることができるか、直すことができるか、こういうことについて厚生省としてお考えになったことがあるのか、その対策はどうなっておるのか、ひとつお聞きをしたい。
  52. 若松栄一

    説明員(若松栄一君) 私、公衆衛生局長でございます。ただいまの問題は、実は環境衛生局で所管いたしておりますが、私どもオリンピック衛生対策を一緒に協議してやっておりますので、大体の大筋の内容を心得ておりますので、御説明申し上げますが、ただいまお話しのように、オリンピック対策本部で綿密な計画をいたしておりまして、どこの国の船が、何人どこに泊まるかという計画がはっきりいたしております。そうしてその船も、場所と船の構造によりまして、桟橋の上からバキューム・カーをもって吸い上げることのできるような施設を持っておる船と、それができない船とがございますので、できる船につきましては、これは全部くみ取りの手配をして、その能力等も計算して、どれくらいのバキューム・カーを配置するかという計画もいたしておりますし、排せつ口が水ぎわ以下になりまして、どうしてもそのくみ出しができないという構造の船もありますので、その船につきましては、消毒薬等を投入いたしましてやむを得ず廃棄する。しかし、その廃棄の量も計算いたしましたところ、それほどひどく海水を汚染するものではないというような見当がつきましたので、そのような手配がきまったというふうに私存じております。
  53. 相澤重明

    相澤重明君 次に、私は先ほど官房長から厚生省所管の御説明をいただいたわけでありますが、その中で、生活保護、児童保護、先ほども申し上げた国民健康保険助成費、あるいは結核対策費、これは非常に重大な問題でありますが、特にその中で生活保護費ですね、生活保護費については、何といっても低所得者の非常に多い今日、大事な施策であると私は思う。そこで、厚生省がお調べになった統計から出ておる低所得の水準世帯というものはどのくらいになっておるのか、三十七年度は何世帯何人、そして現在は何世帯何人というひとつ御説明を、三十七、八、九といただきたいわけです。三十七年度ですから、三十七年、三十八年でいいですね、それからことしの予算
  54. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) これは毎年厚生省で厚生行政基礎調査というものをやっておる結果によって低消費水準世帯数というものを推計をしておるわけでございます。その結果によりますと、三十六年からでございますが、三十六年は全国推計の世帯数で申し上げまして百三十万世帯で、世帯員数で申し上げますと四百九十八万人でございます。三十七年は約百三十三万世帯でございまして、世帯員数から申し上げまして五百四万人、で、三十八年は少しふえまして、百四十八万世帯で、世帯員数から申し上げまして五百十一万人。これは全世帯人員に対する割合から申し上げますと、世帯に対する割合が、三十六年で五・六%、三十七年で五・七%、三十八年で六。一%、人員に対しましては、三十六年が五・三%、三十七年が五・五%、三十八年が同じく五・五%というような数字でございます。
  55. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、政府が調べた統計の中から出た数字が、全体からいって、三十六年、七年を通じて五・六から六%前後が政府の数字ですね。いわゆるボーダー・ラインといわれる——政府が調べたところまでの低所得者ではないけれども、決していいほうではないというボーダー・ラインを合わせると一千万人以上だと、こういうことがよく言われるわけですね。それについて、この生活保護費というのは幾ら現在は出しておるんですか。一人当たり幾ら、五人世帯で幾ら。
  56. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 生活保護の中で、生活保護におけるいろいろな扶助がございますが、ただいまの御質問はその中の生活扶助の問題だと思うわけでございますが、これは三十六年から申し上げますと、一人当たりで——これは一級地から四級地までございますので、一級地の金額で申し上げますと、三十六年が四千二百七十五円、それから三十七年が四千九百八十四円、三十八年はまだ正確な数字はわかっておりませんが、大体三十七年と同じ程度の額だと思います。で、これは四人世帯について申し上げますと——これは標準四人世帯でございますが、三十六年が一万三百四十四円、三十七年が一万二千二百十三円、三十八年が一万四千二百八十九円、三十九年は一万六千百四十七円というようになるわけでございます。
  57. 相澤重明

    相澤重明君 いま数字を御説明いただいたわけですが、これを見ると、いわゆる物価倍増の今日の世相から考えますと、生活保護の人たちもこれはなかなかたいへんなことですね。三十六年の一万三百四十四円が、これから見ると六千円ほどの上昇にはなっておりますが、物価全体から見ると私はたいへんなことだと思うのです。そういう点で、この生活保護の人たちに対するいろいろな手の差し出し方もあると思うのですが、こういうものを実際に調査をされて、それで基準をおつくりになるのは審議会等でやられると思うのですが、実際に物価の上昇率というものは、各官公庁職員なりあるいは民間労働者の実態調査の上に立ったものと比較してみて、どういうふうに政府が諮問されるなり、あるいはまた審議会で討議をされる資料というものをつくられるのかですね、そのつくり力についてひとつ御説明をいただきたいと思う。どういう形でやられておりますか。
  58. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) これはまあ、いまいわゆるエンゲル方式ということで、生活保護基準を策定をしておるわけでございます。それは食料費と、それからその他の生活費というように分けて考えているわけでございます。食料費につきましては、従来のそういう標準四人世帯の平均のカロリー摂取量というものがございまして、それの前年度のものに対して消費者物価指数というもの、これは内閣統計局なりその他の的確な、ちゃんとした統計の資料に基づきまして、あるいは経済企画庁のその翌年度の経済見通し、そういうような資料に基づきまして、従来までの物価指数に対して翌年度の消費物価の伸びというものが、政府の公式な見通しというものができるわけでございますから、そういうふうなものをそこの中に加算しまして、それにプラス、三十六年でございますが社会保障制度審議会の、生活保護基準を四十五年までの十年間に約三倍に引き上げるという勧告の線もございますので、そういう一般の生活に必要な物資の物価にスライドするというだけじゃなくして、そういう物価の上昇という要素は必ず考慮しますけれども、それに、その他の勤労者との格差是正ということを、制度審議会の答申の線も十分尊重いたしまして格差の是正というものもそこに考慮して、そして年々、たとえば三十九年度におきましては、前年度の一三%の基準引き上げを行なったわけでございますが、そういうふうにして、物価の上昇は必ずしも一二%ではございませんけれども、そういう物価にスライドするということ、プラス格差是正という、二つの要素で生活保護基準の策定をやっているわけでございます。
  59. 相澤重明

    相澤重明君 次に、先ほど御説明をいただいた中の、五ページですか、社会福祉に要した経費の中で、身体障害者及び精神薄弱者保護更生、これは老人福祉対策等も含んで御説明をいただいたわけですが、「世帯更生資金として二万九千余人に対し十七億五千四百余万円の貸し付けを行ないました。」、こういう御説明がありますね。そこで、三十七年のこの実績の上に立って、三十八年はどういう形になったのか、三十九年度予算はどうなったのか、そこで、貸し付けに対するワクですね、こういう資金というものが、需要者の要請にこたえられるにはどの程度がまだ足りないのか、こういう点について、現況をひとつ御報告いただきたいと思います。
  60. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 世帯更生資金は御存じのように、国がその三分の二相当額というものを補助いたしまして、あとの三分の一を府県が出している、それを社会福祉協議会という、いわば民生委員の活動の一環として、そういう低所得者の実際の必要に応じて貸し付けをすると、そういうふうな制度になっております。したがいまして、政府補助する分はそれの三分の二相当額になるわけでございますが、三十八年は国庫補助八億、三十九年度は国庫補助十億というものが予算措置されております。それはその年の三分の二相当額でございますから、それのあとの三分の一分は府県がそれに足し前をしてくれまして、そして全体が貸し付け融資の総ワクと、それにすでに発足いたしましてから——これの発足は二十七年でございますから、すでにもう十数年たっておりまして、いままで貸し付けたものが返ってくる金額もございますので、それも貸し付け原資に算入されてきておるわけでございます。そういうことで、貸し付けの総額は現在相当の金額になっておるわけでございますが、それにいたしましても、まだ資金需要というものが相当多いわけでございまして、大体申し込みに対する資金の貸し付けの決定金額というものは六八%——七〇%をちょっと切っているくらいが現状でございます。人員にいたしましても七七、八%くらい、したがって、資金需要としては、なお相当の資金需要があるというふうに申し上げて差しつかえなかろうというふうに考えております。
  61. 相澤重明

    相澤重明君 次に、老人福祉対策として、軽費老人ホーム九カ所を設けて、そして「新たに老人福祉センター三カ所及び老人家庭奉仕員を設置いたしました。」となっておりますね。それでまず第一に伺いたいのは、老人家庭奉仕員というのはどういう性格を持ち、そしてまた、報酬等についてはどうなっておるのか、どのくらいの人数をおきめになっておるのか、その家庭奉仕員をどういう形で選ばれるのかということについてひとつ。  それからいま一つは、せっかく昨年、法律で老人福祉法ができて非常に全国でもお年寄りを大事にするということについては、運動が盛んになってきたわけです。ところが、老人クラブというのがありますね、老人クラブ。この老人クラブに対しては、一体、施設問題については、国は全然考えてやらないのか。それとも、先ほどのいわゆる世帯更生資金のような形で、いわゆる社会福祉協議会等を通じて、そういう施設費についても、ある程度めんどうを見るのか、あるいはまた、老人クラブに対する助成、そういうようなものをお考えになっておれば、助成金というものはどの程度なのか。また、老人クラブというものは自主——いわゆる任意組織であろうと思うのでありますが、たとえば何人ぐらいから一体、組織として対象にお考えになっておるのかというような点についても、少しく御説明をいただきたいと思います。
  62. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) まず家庭奉仕員の点でございますが、これは外国にこういうふうな制度がございまして、結局、縁故のない、身寄りのない老人の方々には、これはまあ施設に収容いたしまして、そしてお世話をしていくということが、これが従来とられている制度でございます。しかし、そういう老人をすべて施設に入れるということになると、たいへんなこれは数にもなりますし、また、社会生活の実態から申し上げまして、その家庭におりながら手の足りないところをお世話するというやり方のほうが、より効果的でもあるというようなことから、まあ、いわばホーム・ヘルパーと申しますか、家庭奉仕員という制度予算化したわけでございます。しかし、これは、まだ全体といたしましては、実験的な段階でございまして、全国で五百七人の予算予算化しております。各府県にそれを補助しておるわけでございまして、補助率は三分の一でございます。そして、これは大体そういう家庭奉仕員という方の報酬の三分の一ということになるわけでございますが、報酬の単価は月一万二千円ということで、あまり十分とは思いませんけれども、そういう方々、いわば家庭でわりあいに手のすいているような中年の御婦人の方々に、一週間に二回ないし三回、そういう介護を要するような在宅の老人の家を回っていただきまして、そうしていろいろと洗たくなり身の回りのお世話をする、あるいは話し相手にもなる、そういうようなことで、非常にこれは実際としては喜ばれておりますけれども、私どもとしては、もっとこれを予算化しまして、必要に応じて拡充をしていきたいというふうに考えておりますが、現在のところは、まだ、いわば試験的な段階でございまして、これからさらに制度の充実をはかっていきたい、かように考えているわけでございます。  第二の、老人クラブでございますが、老人クラブというものは、これはすでにいまから十年ぐらい前から、全くそういう老人の方々の発意に基づいてできた制度でございまして、ちょうど国民年金の福祉年金の問題、そういうふうなもので、世間の中で老人に対するそういう関心なり、あるいは老人に対する年金制度というものが一般に関心を持たれ出したころから、自発的な一つのクラブとして発生を見たわけでございます。しかし、これは私どもも、まあ一日じゅう家庭の中に閉じこもっておられるということも気分転換にもなりませんので、そういうものを奨励をしていこうということで、奨励的な補助として補助金予算化を——奨励的な予算化をはかったわけでございまして、現在、三十八年度でその対象になっておりますクラブの数は、一万六千百六十七クラブでございます。それを三十九年度は二万クラブの補助にまで予算を増額したわけでございまして、これは施設とかなんかじゃなくして、そういうクラブの会場の貸し代というようなことで、あまり大きな金額ではございませんが、月額千五百円の単価で補助をしていくというような形でございます。これはしたがって、そういう人たちの会館なり集まる場所というものは、老人クラブに対する補助ということではなくして、県なり市等で、たとえば融資その他の方策で、老人のための会館の設置の動きもございますので、そういうものに対しましては、これは社会福祉施設の一環として補助をしていくという考えで、これは一般の社会福祉施設整備補助として、別に予算を考えているわけでございます。
  63. 相澤重明

    相澤重明君 天田委員からも質問がありますので、少し残しておきたいと思うのですが、次に、日雇健康保険、先ほども御説明をいただいたわけでありますが、収納済み歳入額が百一億八百余万円、支出済み歳出額が百億九千余万円、こういう御報告をいただいておるわけです。そこで、この日雇健康保険財政について、現状はどうなっておるのか。いわゆる保険料の収入、あるいは保険給付の状況というものの御説明を、三十七年度から、ひとつ行なっていただきたいと思う。
  64. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 三十七年度決算額でございますが、収納済み歳入額が百一億八百余万円、支出済み歳出額百億九千余万円でありまして、差し引き一千八百余万円の剰余を生じ、それを積み立て決算を終了した次第でございます。  次に、三十八年度でございますが、三十八年度はまだ決算が出ておりませんので、現在のところ、決算の見込みとして申し上げたいと思います。三十八年度決算の見込みでございますが、歳入におきまして百九億九千七百万円、歳出におきまして百九億九千万円、差し引き七百三十余万円の剰余を生ずる見込みでございます。
  65. 相澤重明

    相澤重明君 先ほども御説明をいただいたことをいまお答えになったのですが、私はその内容を聞きたい、こういうことを申し上げておるのです。この年間平均保険者数は八十九万三千余人、こういうように数字があがっておりますね。そこで、実際の日雇健康勘定をした場合に、収入と保険給付というものから考えて、だんだん保険金というものは苦しくなっていくのではないか、こういうことが考えられるのだが、そういう内容について、政府はどう考えておるのか、そういう点の御説明を少しいただきたかったわけです。実際の給付状況等を考えていく場合には、だんだん支出が多くなって、収入というものが比較的少なくなるのじゃないか。また、社会状勢全体からいっても、なかなか料率の改定ということは困難な状況です。そういうことからいって、この保険勘定というものはどうなのかという点を、いま少しく御説明をいただきたいわけです。
  66. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) お話がございましたように、日雇健康勘定は、収入に対しまして支出が非常に大幅に伸びておるような状況でございまして、極端なアンバランスを生じておる、そういう状況でございます。御承知のように、日雇健康保険保険料は二段階に分かれておりまして、四百八十円以下につきましては保険料二十円、四百八十円以上につきましては二十六円、こういういわば非常に少ない保険料でございまして、この二段階ということにつきましては、最近の経済状況の成長に伴いまして、賃金その他が相当上がっている状況もあるわけでございますが、こういった経済の動きに対しまする賃金の上昇が、この保険料ではなかなか補充できない、いわば弾力性を失っておる、こういう保険料の状況でございます。三十七年度決算について申し上げますると、一人当たりの保険料にいたしまして五千六百四十七円程度でございまして、それに対しまする医療給付費は一万二千二十七円、半分以下にも保険料が足りていない、こういう実情でございます。
  67. 相澤重明

    相澤重明君 次に、先日の総括質疑の際に、小林大臣に私から質問をして大臣答弁があったのですが、審議会にかけておるということの御説明をいただいたのですが、実は、北九州におけるクリーニングの料金の問題、これについては五月十九日ですか、厚生省が、いわゆる料金規制というものを、できるだけやはり中小企業、零細業を守ってやろう、こういうことで、たしか審議会にかけられたと思う。そのことを大臣答弁されたのですが、その後の状況はどうなんですか、おわかりになったら御説明いただきたい。わからなければ、次回でもけっこうです。
  68. 伊部英男

    説明員(伊部英男君) ただいま御質問のございました北九州のクリーニングに関する問題は、御指摘のとおり、第一回は五月に正式の諮問をいたしまして、七月三日、第二回を開催する予定です。
  69. 相澤重明

    相澤重明君 次に、これをもって私の質問を終わりたいと思うのでありますが、医務局次長に御出席いただいたのは、これは厚生省の直接の問題ではないけれども、全国の医療設備の改善対策、いわゆる病院、診療所等の問題でありますが、この点について、医療金融公庫に対する増資、いわゆる需要状況というようなものについて政府がどう考えておるかということであります。会計検査院報告の中には、国立病院特別会計決算については、もちろん御報告がありましたが、民間の病院、診療所等について力を入れてやらなきゃならぬという現状だと私思うのです。そこで、前回も総括質疑の際に、厚生大臣に話を聞くと、予算が成立をした早々に、もう医療金融公庫の本年度の貸し付け資金というものはなくなったようだ、こういうことを聞いておるがどうかという質問をしたら、厚生大臣は、いや、まだそんなことはありませんと言われたのだけれども、実際に大臣は直接、そういう医療公庫の監督とか、あるいは医務局のそういう仕事というものはなかなかこれはわからぬわけです。そこで、これは次長に、あなたのほうにいろいろな実態というものが報告されておるだろうし、また、見通しというものもおわかりになっておると思う。そういうことで現状がどうなっておるのか。それから現在の需要に対して、政府の割り当てというものは、いわゆる医療金融公庫が貸し付ける額というものはどれくらいになっておるのか。できれば件数、金額、そういうようなものをあげて御説明をいただきたいと思う。
  70. 大崎康

    説明員(大崎康君) 医療金融公庫は御案内のように、三十五年七月から発足をいたしたわけでございます。三十五年からの貸し付け原資の年度別の推移を申し上げますと、三十五年では三十億、三十六年では七十億、三十七年には九十億、三十八年では百十億、三十九年では百三十五億に相なっておるわけでございます。三十九年の内訳は、政府出資金が二十九億、運用部の借り入れ金が八十五億、貸し付け回収金等が二十一億でございます。  そこで、借り入れの申し込み受理の状況でございますが、三十五年では九十八億、三十六年では七十一億、三十七年では百六十六億、三十八年では年度末までに百四十六億に相なっておりまして、累計約四百八十三億でございます。  これに対する貸し付け決定額は、三十五年では四十一億、三十六年で六十九億、三十七年で百十八億、三十八年で——十二月末でございますが、百七億でございます。  いずれにいたしましても、民間の医療機関の資金需要は主としてまかなっております医療金融公庫の資金需要というものは、相当窮屈であることは私どもも疑いを持っていないところなのであります。  それでは、三十九年度においては一体どれくらいの貸し付け原資があればいいかということになりますと、これは相当むずかしい問題でありますが、私どもの概算にいたしますと、大体二百億程度あれば足りるんじゃないかというふうに考えておるわけであります。ことしの貸し付け原資百三十五億、あるいは契約額にいたしますと百四十五億になるわけでございますが、この額は二百億に対しまして七二・五%になるわけでございまして、その点につきましては、必ずしも満足であるということは私どもも申し上げにくいわけであります。しかし、この額につきましては、政府全般の財政上その他を勘案いたしまして、かように決定いたしたわけであります。私どもといたしましては、来年度以降につきましてさらに努力を傾けたい、かように考えておる次第でございます。
  71. 相澤重明

    相澤重明君 いまの答弁を聞いていると、三十五年から申し込みを受けたものが四百八十三億、そして貸し付けを実際にしたものが約三百三十億ですか、そういうことになって、実際には百五十億余の資金が不足しておる。三十九年には百三十五億の資金を見込んでおるが、実際には契約を含むと百四十五億だ、需要見込みとしては二百億前後である、こういう答弁なんですね。そうすると、まるきりこれは足りない、こういうことで、それでは、新規に申し込むという人は来年以降でなければできない、こういう答弁のように聞こえるのですが、そういうことですか、どうなんですか。これはつまり、もういままでの説明を聞くと、百五十億余の不足があって、しかも、三十九年度予算というのは百三十五億しかない、契約高はもうすでに百四十五億あるのだ。だから、ことしから出てくるものを見ると二百億くらい必要だ、こういうのだから、いまから申し出られても、いまはもうありませんよ、こういう答弁に聞こえるのだが、これはどういうことですか。
  72. 大崎康

    説明員(大崎康君) 私が二百億と申し上げましたのは、大体どの程度あれば、公庫におきまして、いわゆる優先順位による査定を受けなくてもほぼ済むのではないかということを申し上げたわけでございます。公庫の今日現在の貸し付け状況につきまして、私まだ手元に報告を受けておりませんが、現実の状況から申し上げますと、借り入れ申し込み額が多いことは、これは事実でございますが、その中で、おのずから緊急度の低いもの、あるいは欠格条件のあるもの等に振り分けられるわけであります。その点は、今後借り入れ申し込み者が全然だめであるということにはまいらぬと考えておるわけであります。
  73. 相澤重明

    相澤重明君 いまのような政府説明でありますと、結局は、これは公庫を呼ばなければ、内容についてはつまびらかにできないのですが、いまの監督者の立場からいって、結局、上半期でもうこれはすでに終わり、下半期については、もう、とてもではないけれども資金がない、申し込みをされてもできない、こういうような御説明に私は受け取れるわけですね。ですから、実際に政府がこの医療制度そのものについても根本的な再検討をしなければならない段階に来ておると私は思う。先日も、報酬診療費の問題で大臣とも話をしたわけでありますけれども、きょうはそれは別にしまして、とにかく国民の健康を守るという立場では、病院が官立であろうと、民間であろうと、必要なことなんですから、そういう意味合いからいくと、まことに民間の病院、診療所等についての施策というものが不十分である、こういうことが決算上から見ますと、また、資金需要状況から見ると指摘をされると、こう思うのでありますが、これについては、今年度の三十八年度が百十億で、三十九年度が百三十五億、しかも、その百三十五億の中には貸し付けの回収二十一億を含んでおるということでしょう、これは。そうすると、結局は、昨年度とたいして差がない。こういうことも一面においては言えるわけですね。だから、政府はもっと資金を増加をさせるという予算折衝というものは行なわなかったのですか。実際に平面解釈からいっても、二十五億しかふえていない。しかも、二十五億のふえた中に、貸し付けの回収二十一億というものが含まれておるということになると、新たなる資金増というものは幾らでもないということが言えると思うのですよ、それは算術上ですね。政府がこの医療金融公庫に対する資金を増額をしてやるという基本的な考え方は、もっと予算的に多く主張しなかったのですか。この点はどうなんですか。
  74. 大崎康

    説明員(大崎康君) 三十八年の百十億の内容は、政府山山資金二十六億、資金運用部借り入れ金七十二億、貸し付け回収金等十二億でございます。したがいまして、政府出資金は三十九年度におきましては、三十八年度比三億の増加、運用部資金の借り入れにつきましては、十三億の増加、貸し付け回収金の増が約九億、こういうふうな見込みをやっておるわけでございます。  この医療金融公庫のいわゆる貸し付け原資の増額につきましては、厚生省といたしましても、相当懸命に折衝いたしたつもりでございますが、現在程度に終わったことは、私どもといたしまして、まことに残念である、こういうふうに考えておるわけでございますが、来年度につきましては、せっかく努力をいたしたいと思います。
  75. 天田勝正

    ○天田勝正君 たくさん質問があるのでありますが、きょうは時間がありませんから、三点ほどにとどめまして、残った部分は、また適当な機会に質問いたしたいと思います。  そこで、厚生省側におきましても、質問に対しては二度、三度繰り返して質問をせなくても済むようにお答え願いたいと思います。  第一の質問は、生活保護の問題でありますが、これが大体、生活保護人員というものは、ここ数年間、全国的には横ばいのようであります。しかし、府県別に見ますと、たいへんこれがふえるもの、減っておるもの、いろいろであります。ところが、いわゆる高率の保護人員をかかえておる県、低率のそれ、こういうのを並べてみますと、必ずしもこれが先進県だから低率であり、後進県だから高率である、こうすっぱりと割り切れないのが現状です。  そこで、まあ例をあげれば、福岡とか高知であるとか鹿児島——鹿児島などは後進県ですから、一応全体として保護率が高い、こういうことが言えると思います。低率のほうで見れば、埼玉とか愛知とか静岡、こういうことになって、これよりも、地方財政の上からするならば、はるかに黒字県もある。だけれども、こういうところが低率と、こういうことになっておる。  そうすると、これは一体どこに原因があるのか、こういうことを当然厚生省側としても考えられなければならないし、特に低率のいまあげた三県は、若干ずつさらに低下しておるのですね。今度は高率の県のほうへいくと、若干ずつではなくて、おそろしい勢いで高率になっておる。そうすると、これは何かで是正しなければならない。つまり、生活保護費の配付あるいは地方交付税、これも全国一律の比率がありますから、そうかって気ままというわけにはいきませんけれども、特別交付税なんかをしなければならないじゃないかと思いますが、そういうお調べをなさったのか。これは当然自治省とも相談されなければならない事項と思いますけれども、そういうことをなさっておるのか、まずこの点を伺います。
  76. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 御指摘のように、生活保護の保護率の傾向を見ますと、府県によって非常にアンバランスがあるわけでありますが、私どもは、そのアンバランスは、ただいま御指摘のように、先進県、後進県というようなことではなくして、今日の現実の各県の財政状況を大体見てみますと、ブロック別な傾向を最近調査いたしておるわけでありますが、ブロック別に見ますと、東北なり、それから四国、九州、北陸というようなところは、保護率が傾向として多少上がってきておるわけであります。しかし、関東各県——東京も埼玉よりは多少高率でありますが、関東各県あるいは中部、それから近畿というようなところは、傾向としてどんどん下がってきておる、こういうことが確かに言えるわけでございます。しかし、いずれにしても、財政が悪い県なり市、そういうところに生活保護がやはりまたさらに重圧としてかかってきておるのは、ただいま御指摘のとおりでございますので、この点については、一般の平衡交付金でも、その府県なり、あるいは市の持ち分に対する積算は当然含まれておるわけでありますが、傾向として非常に高い。前年度に比べて、ちょっといま数字を忘れましたが、前年度の生活保護率よりも急激にふえている府県につきましては、これは特別平衡交付金の交付をするということで、自治省のほうでそういう手当てをやっておるわけでありまして、この点は、私どもも自治省のほうと連絡をして、そういう資金の需要、財政需要に対しては、特別の交付税交付金の配当によってそれをまかなっていく、こういうふうな措置を自治省のほうでもとっておるようでございます。
  77. 天田勝正

    ○天田勝正君 だから私は、再度質問しないように答えてくれと申し上げてあるので、それは局長、こうなんですよ。なるほど、自治省で手当てをしておるのは、それは後進県——一口でいえば赤字県、そういうものにはやっておるのでございまして、しかし、先進県で黒字県であっても、この部分に関する限りは高率であると言うんです。非常にね。いうなれば、高率県がちょうど後進県で、きわめて赤字県である、低率県が先進県であると、こういうふうにすぱっと割り切れれば、私は質問しないのです。かつて十年前ですが、地方財政が一番赤字におちいったとき、そのときに黒字県は七県になりました。七県になったということは、残るのは六大都市のある府県、その次の七番目が埼玉なんです。以下全部、それこそ、まくらを並べて赤字県になった。そういう順序のごとくに生活保護率のほうも序列がついておれば、いま私が質問するようなことは申し上げない。ところが、そうでなく、むしろ埼玉よりも東京のほうが高率である。ほか例をあげればきりもなくあります。そういうことだから、どうもそれに対しては特別交付税なんというものは決して考慮しておりませんよ。おらないならおらないで、何かの根拠をあなた方のほうで持たなきゃならない。あるいは、あなたのほうだけでなしに、自治省として持たなければ、それは筋としては通らないでしょう。後進県なるがゆえに、一般的に持別交付金をやるというならば話はわかるのだけれども、そうでないんだから。けれども、そのことのために生活保護を受けざるを得ない低所得者というものは、むしろ、回りが高所得者が多いから黒字県なんですから、そういう中に生活するのは、なおさら困難とさえ言えるのです。少なくとも、他の県よりも住みいいというわけにはいかない。でありますから、生活保護を受ける人たちは、やはり十分受けなきゃならぬ。そうするためには、単に現在を言っているのじゃなくて、数年間の傾向を見ると、いま言ったように、高率県は幾何級数のごとくに上がっていっておる。低率県のほうはわずかずつ、算術級数のようにいっておる。たいした減り方はしてない。上がるほうは、おっそろしく上がっているから、それは何か処置を今後考えるべきじゃないですか、どうなんです。考えないとすればおかしいと思うんだ。
  78. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 確かに、いま御指摘のような傾向はございまして、私どもも、まさにそのような感じを持ちまして、各県ごとに、そういう傾向をいま詳細に検討しておるわけでございますが、その高率化している原因というものが、むしろ、県の財政というよりも、これは県民の生活というものが直接的に影響しておるわけでございますので、一番大きな傾向としては、福岡県なり、そういうふうな産炭地が非常に大きく高率化しておるという傾向を持っています。そういうふうな原因がそれぞれ、私どもも発見できるというように考えて、その原因の探究をしておるわけでございますが、たとえば、非常に県全体の経済開発がおくれたために保護率が高くなったと思われるような県がある。あるいは、そういう産業の転換によって一時的に現象が起きた福岡県なり長崎県のようなところもございますし、そういうふうな、それぞれの生活保護率の傾向が、詳細に見れば、県によって多少ニュアンスが違っているのじゃないかと思いますが、その点は、さらに私どももよく検討いたしまして、適正な手を打っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  79. 天田勝正

    ○天田勝正君 たぶん産炭地ということを言うんじゃないかと思っていた。ところが、あにはからんや、そうじゃないんですよ。それならば、やはり北海道も、同様な現象が起きてこなければならない。そういうことでなくて、産業分布のやはりアンバランス等が響くのである。だから、福岡県などは、産業の発達がおくれているどころのさたじゃないんで、世界百社の中に入れたって、四十二番目ぐらいに位する大産業があるのですから、ですから、そこに問題があるのじゃないのです。ですから、もう少し——私がなぜこれを持ち出したかというのは、総合行政というものをもっとやっていただかなければならぬという引例で実は持ち出した。そういう意味ですから、これは要望しておきますから、一そう総理府やら自治省と相談されて、こういう原因について究明されたいと申し上げたいと思います。  それから、さっき説明を受けました最後のほうの、二三ページ以下のことでありますが、会計検査院指摘を受けたという事項であります。これは各省と毛に、補助金経理当を得ていない、あるいは工事の施行不良、あるいは出来高不足と、こういうようなものは、どこの省でもあり、またかと思うほど、われわれは聞いている。そこで、この中に「補助の目的に沿うよう必要な措置を行ない」以下云々とまあありますが、「必要な措置」というのはどういうことをやるか。  それから一緒に質問しますが、二五ページのまん中から「保険給付の適正を欠いたものにつきましては、」云々と、これは船員保険のことを言っているのだと思います。そこで、「適正を欠いた」というのは、どういうふうに適正を欠いているのか。  それから、さらに船員保険については、私は特別、時間をさいて質疑したいと思うのですが、きょうは簡単に触れておきますと、実は、船員保険よりも、そのもとになる船員の生活自体のことについて、私は考えていただかなければならぬ。というのは、保険のことはあなた方のほうなんです。ところが、労働という面に入るというと、これが運輸省なんです。そうして労務担当官というのがあって、これがかつて一度も船に乗ったことがないのですよ。私は他の委員会等でも質問した。いま毎日われわれの食膳にあがっているマグロでもエビでも、みんなアフリカから来ていますし、そんなところに、船に乗った労務官は一人もおりません。これは質問でいままではっきりしている。そういうことなんです。  そこで、えらくこの職務は外貨をかせいでおるのだけれども、その行き先で一年三カ月——それも海員組合で交渉した結果、一年三カ月以上いちゃいけないということになって、ようやくそういうことになったのですよ。そうして毎日現地で売るから、そのまま外貨は入るし、当然こっちは買わなければならぬものを持ってきて、われわれの食膳にのぼるのですから、外貨放出しなくても済む、両方でやっているわけです。  この諸君の娯楽施設などは、他の委員会で私追及したのですが、まことに足らない。そういうことに、たとえば現在の健康保険が非常にすばらしい施設を国内にいろいろつくりますね。それと同様に、この保険でも私はできないはずがないと思うのですよ、剰余金をもって。そういうことは必ず経理的に私はできると思うのですが、どうも三省にまたがってしまうようなことで、これもさっきの総合行政の欠陥の一つなんですね。また、これが労働関係は労働省で見るというならば、ずいぶん議論の場もあるのだけれども、案外、運輸省で見ているなんていうのを知らない人さえあるくらいなんですね。ですから、せめて、そういう船員の現地休養施設といいますか、そういう面にこれは使えると思いますが、そういうことをひとつやる御意見がありますかどうか。一ぺんに三つばかり伺いました。
  80. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 船員の福利厚生につきましては、船員保険の立場からいたしますれば、福祉施設という費目がございまして、その運用によりまして、船員の保養所あるいは宿泊所、病院、診療所その他を運営いたしているわけでございます。従来、福祉施設の運営につきましては、国内の問題は非常に要望が強かった関係もございまして、主として国内向けにいろいろ対策を講じておるわけでございます。お話しのように、海外におきまする船員の福祉施設につきましては、最近非常にやかましく問題になっておりまして、ことしの四月から、私どもも、運輸省の主催いたしておりまする海外基地の船員福祉に関する協議会に参加をいたしまして、どういったところで船員保険の福祉施設を活用したらいいか、こういうことで協議をしているわけでございます。したがいまして、その協議の結果によりまして、来年度予算におきましては、海外の船員のための福祉施設を何らかの形で要求いたしたい、かように考えております。
  81. 天田勝正

    ○天田勝正君 これも最終的には要望いたしておきます。ようやく参加されたので、まあ、わずか半歩くらいでも、前進なことは前進です。そこで、私が指摘したように、保健といってみたところで、その前の労働実態は、さっぱり運輸省もかつて行っては見ないのです。これは驚くべき行政と言わなければならないのですね。ですから、私は、むしろ厚生省のほうが、国民の生命をつかさどるところですから、そういう面から厚生省が、わが省こそ実態調査に出ていくと、こうやれば、運輸省のほうでも黙っちゃいられぬということになるので、そういうぐあいにひとつ、大いにこの問題は推進していただきたいと思います。  次に、環境衛生の問題、これは相澤さんもすでに触れられましたから、私は、それ以外のことを聞くのでありますが、これもやはり総合行政の一つの問題であります。昨今、盛んに地方に工場が出てまいります。私はもの好きですから、そういう工場をずいぶん注意して見ております。しかるところ、私の知る限りでは、汚水処理などの設備をしている工場は、まだ見たことがないのです。いま東京の隅田川は死の川となって、蚊はいなくなった。蚊のいなくなるのも、衛生的になって、いなくなるのと、ああいうふうに死の川になって、ボウフラも生きることができなくなって、いないのと、こういう二つがあるのだが、地方でも、大河川はなかなか年限がかかろうけれども、小河川は、ほとんどいまの調子でいけば、私は死の川になってしまうと思っているのです、何も施設していないのだから。ただ、そこらにある農家の使っている用水堀あたりに、しまいにはつないで、そこへどかどか流しているというだけなんです。これがまた、厚生省であってみたり、労働省であってみたりというようなことで、しまいには、責任がだれかさっぱりわからない。  さっき相澤委員の質問に対して、船の汚物処理、これもいろいろ説明がありました。あの程度ではたいしたことはないという説明なんです。ところが、この害というものは、一ぺんくらいの試験で判断されては、とても困るのですよ。木更津沖は、すでに二メートル以上、そういうものがたまっておるはずですよ。大阪から姫路にかけての海底には、三メートルだと私は聞いておるのです。そういう累積したものが害があるので、ちょうど私は、いま、大正末期における煙害のあとを汚物がたどっておるのじゃないかと思うのです。煙害だって、煙突を高くすれば、初めのうちは煙害はないんだと、こういうわけなんです。何のことはない。ただ煙突を高くしただけではだめなんだ。範囲が広くなって、それが堆積してくると、すべてが死滅するのです。初めのうちはいい。だから、この程度にすればたいした害がないのだというやり方、これは煙突を高くしたのと同じなんですよ。堆積されたら、これはえらい害になってしまう。ところが、商工の関係では、染織の工場でも何でも、かって気ままに用水堀に流している。それで、よほどのときでないと、米がとれないということにはならないから、それをかまわないでおく、こういう繰り返しなんですね。  ところが、それが結局、衛生面ということになると厚生省、こうなってしまうわけです。ですから、これなどはもうさっそく、東京の工場が分散していけば、地方が、いま言ったように、全部が死の川になってしまう、こういうことになってくる。利根川まで死ぬということになったら、これはおしまいだから、そういうところまで行かざるうちに、早く手を打たなければだめなので、せめて、地方に分散した工場は、厚生省が何とか指導権をとって、工場なんか汚水処理施設をつくらぬものは、もう許可しない、こういうぐあいにやれば、工場がたいへんだというけれども、そのたいへんなことをやらせれば、過剰投資なんということはなくなって、まことにいいことずくめだと私は思うのです。いかがですか。これは大きい問題で、官房長、そういうことについて、厚生省側を代表した意見を聞かせてもらいたい。ほんとうですよ。笑いごとじゃないんだ。
  82. 梅本純正

    説明員梅本純正君) 先生御指摘のとおりでございまして、最近、経済の高度成長によりまして、いわゆる公害問題ということが各所に起こってまいりました。この点につきまして、早急に対策を講ずる必要のあることは、もう御承知のとおりでございます。で、現在のところ、この公害の問題につきまして法的な規制がございますのは、大気汚染につきましては、ばい煙規制法というのがございます。水質汚濁につきましては、水質保全法というふうな法律がございます。しかし、御指摘のとおり、この法律の施行につきましては、水質保全は経済企画庁、それから、ばい煙は厚生省、通産省というふうに、役所の所管におきましても、いろいろ問題が分かれております。で、厚生省の関心事といたしますところは、大臣が常に申しますように、公害の問題につきまして、厚生省は被害者の立場に立ってこのことを考えるようにというふうに言われておりまして、今国会におきまして、厚生省設置法におきまして、環境衛生にかかります公害の防止につきましては、明文をもって厚生省の任務というふうにされたわけであります。今年四月一日から、環境衛生局に公害課を設けまして、これに取り組んでいくということで、まず厚生省といたしまして、役所としての体制というものを、この設置法によってつくられたわけでございます。その中身といたしますところは、いわゆる被害者の立場に立って、この公害問題を厚生省は処理していく。で、処理の手段としましては、衛生ということに重点を置いていく、こういう形になったわけであります。この対策につきましては、すでに新聞で御承知かと思いますが、四日市その他の公害の問題につきましては、調査団を派遣しまして、厳密に調査をして、それに対する対策は、関係省協議をして見出していくというようなことも、すでにやっております。  そういう形で進めてまいりまして、今後の問題としましては、公害は、ただに大気汚染あるいは水質の問題だけでなしに、自動車の排気ガス、それから亜硫酸ガス、あるいは騒音、あるいは特定物質から発する悪臭、こういうものも公害の範疇に入ろうかというふうに考えるわけでありまして、大臣も、次の通常国会には、公害基本法というふうな法律を設けて、公害というものについてのはっきりしたワクをきめて、それに対する所要の対策を講ずるというふうな決意で厚生省としてはおるわけでございます。そういう体制も一応整いましたので、今後の問題としましては、現在のところ、それではどういう対策をやっていくかという段階にあたりましては、具体的に申し上げる十分な対策もないわけでありますが、前々からこの問題はいろいろ調査をしておりまして、特に厚生省の立場からは、甚大な影響があるという観点が一つのポイントになるわけでありまして、その辺の調査を現在進めておるわけであります。
  83. 天田勝正

    ○天田勝正君 約束ですから、最後に要望だけしてやめます。  いずれにしても、私は議員としてもずいぶんあれですから、いまおあげになった法律は、みな知っているのです。だけれども、残念なのは、一向、そういう法律ができても、改善されないというふしぎな国だということなんです。おまけに、かなりインテリと言われる人の認識でも、新聞や雑誌に出た意見を見ても、しかも、私がびっくりしたのは、NHKで発行している本を見ても、公害は日本ばかりの問題ではなくって、水質汚濁などというのは、どうも経済が発展すると世界じゅうやむを得ざる現象だ、こういうことを書いてある。まず迷信もはなはだしいものがあると私は思っている。そんなことないのですよ。あれだけの大工業都市シカゴに行ったって、湖の水は岸辺からひとつも濁っておりません。パリへ行けば、なるほど、地下道に入ってみれば、東京の隅田川みたいな汚水が流れているけれども、セーヌ川はちっともよごれてない。二十キロ下へ行って汚水処理場があって、それから流れ出たセーヌ川を見たって、水の色は、かえって、そこで処理してしまうからきれいになってしまう始末なんです。だから、工業が発展したからやむを得ざる現象なんというのは、とんでもない迷信なんであって、もしそんなことを厚生省あたりで考えているのなら、とんでもない話でありますし、先ほど、公害ということで臭気とか、そういうことも言われたけれども、私の知る限りでは、まあ世界の有名な都市というのは、たいてい行って見たけれども、だけれども、中仙道のすぐそばにある板橋の志村化工、あのくらいくさい工場を持っているものは世界じゅうどこにもない。新河岸川なんかに至っては、これはあすこは——もっとも、五感のうちでは鼻の神経が一番麻痺するのだそうですけれども、あすこに住んでいる人はあまり感じないらしい。  そういうことも、いまあげたような法律で何も処置はできないで、人体に害がないという、だんだん害があるのだけれども、それは目につかないというだけなんで、そういうことではとても困るから、大臣がせっかく被害者の立場に立てと言うのだから、ますますもって厚生省あたりが主導権をとってやってもらわなければ、国民は立つ瀬がない。こう思いますから、ひとつ大いにがんばってください。以上要望いたしまして、きょうのところはやめます。
  84. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 先ほどの相澤委員の質問に対しまして、答弁漏れがありますので、発言を許します。
  85. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) 先ほど相澤先生から、組合管掌の健康保険につきまして御質問がありまして保留いたしました点を、御答弁申し上げたいと思います。  まず保険料率の問題でございますが、政府管掌につきましては、現行千分の六十三を、事業主と被保険者で折半負担するということになっておりますが、組合管掌につきましては、法律七十一条ノ四の規定によりまして、千分の三十ないし八十の間におきまして組合会できめて、厚生大臣の認可を受けてきめるということになっておりまして、現在、全組合平均料率は千分の六十五・〇三となっております。なお、被保険者の負担が千分の三十五を超過する場合におきましては、先生の御指摘のとおり、その超過部分は事業主の負担ということになってございます。  次に、こういう組合管掌の健康保険に対する厚生省指導方針と申しますか、考え方でございますが、現在のところ、特にこういうものを奨励をするという方針もとっておりませんが、しかし、規定の要件を満たしまして、その内容が健全な運営のはかられる見通しのつくものというものにつきましては、認可するような方針をとっておりますが、しかし、お話しのとおり、政管健保との関連におきまして、その給付内容あるいは財政状態等におきましていろいろアンバランスがございますし、問題もございますので、各種保険の総合調整を検討いたしておりますので、その一環といたしまして十分に考えてまいりたいというふうな態度でいるわけでございます。
  86. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 他に質疑がなければ、厚生省に関する審査は、本日のところ、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十五分散会