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羽生三七君
先ほどの御答弁の中に、ベトナム問題は、
日本としては西欧と同じに、同列に考えるわけにはいかないということで、ベトナム賠償のことを事例にあげられましたが、実はこのベトナム賠償問題が、今日のような事態にも将来発展し、関連を持つということも含めて、当
外務委員会ではベトナム賠償問題の
審議の際には異例の何週間という長時間を費やしたわけです。だからそのときの展望とほぼ同じようにいまなっておるわけですね、事態が。でありますから、そういう
意味で言うならば、ベトナム賠償の
関係国であるから西欧と同列ではないというお話は筋が違うし、また、いま提起されておる問題とそれは直接の関連性はないと思います。でありますから、むしろ問題は、それは森
委員が指摘されたように、私はこの場合たとえそれが資本財であれあるいは技術であれ、商業物資であれ、いずれにしても
アメリカの要請でいまの事態に関連して援助をやることはやめたほうがいいと思います。これは絶対にやめるべきだと思います。というのは、もし正当な商業
関係ならば、普通のコマーシャル・ベースでやればよろしい、この
アメリカの要請と
関係なしに。それから、医療
関係ならば、国連等が正当な
機関を通じて要請があったときにやればよろしい。資本財の場合はかなり広範囲になりますが、これはかなり直接戦闘に関連するものが出てきます。でありますから、私はいずれの角度から見ても、今度
アメリカの要請でこの種援助を
日本が受諾することは絶対避けるべきだと思います。そうでない普通の援助——と言うより、通常の経済交流なり、それから国家間の借款とかいうことになれば、これはまた全く別の、
アメリカの援助とは別の形でそういう事態が起こる場合はまた別の問題であります。しかし、今日の
アメリカの要請によるそういうことは、絶対避けるべきだと思います。
それからもう
一つ、私は、いま最後に森
委員が触れられた極東の範囲という問題なんですが、その
解釈は私はいずれでもよいと思います。いやよくないが、ここで問題にするわけじゃありません。そうすると、問題は、極東の範囲という安保
条約にあるそういう問題との関連で
アメリカは援助を要請してきているのかどうか、それが
一つであります。どういう
意味でそれを要請しているのかどうか。
アメリカの側からいえば、どういう立場で要請しているのであろうか。それから、もし
日本が極東の範囲のいかんにかかわらずこの種の要請を受け入れた場合、
アメリカの要請に基づいてそれを実行した場合、これは極東の
諸国に与える、少なくともいまの南ベトナムについては中立を保っておる
諸国に対して、私は
日本として悪い影響を与えると思います。そういうこともあるので、私はこの際重ねて申し上げますが、
アメリカの要請による南ベトナム援助というものは、はっきりこれはお断わりになったほうがいいんではないかと思います。それからもう
一つは、こういう種類の
アメリカの要請、二十五カ国間に出されたようでありますが、喜んでみんな協力するような情勢にないということは、そもそも一体何であるかというこの問題であります。おそらく
アメリカが、正当な条件を持ったベトナム紛争であったならば、私は
アメリカの要請がなくとも諸外国がきん然として南ベトナムを援助するだろうと思う。それが回状を回さなければ、要請状を回さなければ諸外国が参加しないということ自体、この問題が非常に無理だということを証明しておる。その片棒を
日本がかつぐ必要は毛頭なかろうと思います。
それから、
アメリカが一生懸命やっておるときに横で涼しい顔をしておるのもどうかと言われますが、
先ほど森
委員も触れられましたが、あの種のことに汗をかいていまのような形で
アメリカがやることが、はたして問題の終局的解決になるのかどうか。それが正しいことかどうか。そう考えた場合に、私はやはり汗をかくにもかき方があると思う。もっとほかのやり方があると思う。ですから、いまのような形ではいよいよ私はどろ沼に入っていくんじゃないかと考えるので、むしろ
日本としては、前にも一度私申し上げたことが、予算
委員会のときですか、あると思いますが、重ねて申し上げることになるけれども、やはりアジアの将来の世界平和という大きな展望に立って、
アメリカにむしろ
政策転換を求める。それじゃ、その結果何かうまい解決策があるかということになれば、やはりこの種のことは、
先ほど、これも森
委員が触れられましたが、ジェネーブ協定に関連したようなああいう形でもう一度問題を正当な国際間の間で解決するような方式を考えるべきじゃないか。そういうことに
日本が全力をあげるべき時期なのに、いま
アメリカの側から重ねて要請があったからといって、御検討中というとこでありますが、私は、むしろはっきりこの際
日本としては断わるということで態度を表明されたほうが適当ではないか、こう思うわけであります。たぶん森
委員と相当ダブった点もあるかと思いますが、重ねて御
意見を承りたい。