運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1964-04-09 第46回国会 参議院 外務委員会 第14号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十九年四月九日(木曜日) 午前十時四十一分開会
—————————————
委員
の
異動
四月三日
辞任
補欠選任
柏原
ヤス
君
二宮
文造
君 四月七日
辞任
補欠選任
山本
利壽
君
鈴木
万平
君 四月八日
辞任
補欠選任
鈴木
万平者
山本
利壽
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
黒川
武雄
君 理事 草葉
隆圓
君
長谷川
仁君 佐多
忠隆
君
委員
青柳 秀夫君
山本
利壽
君
岡田
宗司
君
羽生
三七君 森 元治郎君
二宮
文造
君 曾祢 益君 国務大臣 外 務 大 臣 大平 正芳君
政府委員
法務省入国管理
局長
小川清四郎
君
外務省アジア局
長 後宮
虎郎
君
外務省条約局長
藤崎
萬里
君
事務局側
常任委員会専門
員
結城司郎次
君
説明員
警察庁交通局交
通企画課長
宮崎
清文
君
外務省国際連合
局外務参事官
力石健次郎
君
運輸省自動車局
管理課長
大竹
達哉
君
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
○
道路交通
に関する
条約
の
締結
につい て
承認
を求めるの件(
内閣提出
) ○
自家用自動車
の一時
輸入
に関する通
関条約
の
締結
について
承認
を求める の件(
内閣提出
) ○
国際情勢等
に関する
調査
(
国際情勢
に関する件)
—————————————
黒川武雄
1
○
委員長
(
黒川武雄
君) それでは、
外務委員会
をこれから閉会いたします。 この際、
委員
の
異動
について御報告いたします。去る四月三日、
柏原ヤス
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
二宮文造委員
が選任されました。
黒川武雄
2
○
委員長
(
黒川武雄
君) 本日は、
道路交通
に関する
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件及び
自家用自動車
の一時
輸入
に関する
通関条約
の
締結
について
承認
を求めるの件の二件を一括して議題といたします。 まず、
補足説明
を聴取いたします。
力石参事官
。
力石健次郎
3
○
説明員
(
力石健次郎
君)
道路交通
に関する
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件及び
同家用自動車
の一時
輸入
に関する
通関条約
の
締結
について
承認
を求めるの件につきまして、
補足説明
を申し上げます。 まず第一に、
道路交通
に関する
条約
のほうでございますが、これは
自家用自動車
の一時
輸入
に関する
通関条約
とともに、
営業用
の車以外の
自動車
による
国際
的な
交通
を容易にする
目的
で
国際連合
の主催した
会議
で採決されたものでございます。この
二つ
の
条約
とも
国際連合主催
の
会議
において採択されたものでございます。そのうち
道路交通
に関する
条約
は、一九四九年、すなわち
昭和
二十四年の八月二十三日から
ジュネーブ
で開催されました、
道路輸送
及び
自動車輸送
に関する
国際連合会議
という
会議
で採択された
条約
でありまして、
国際道路交通
の発達及び安全を促進するために統一的な
規則
を定めたというのがその主たる
内容
でございます。この
条約
は、一年以内という短期の滞在を
目的
としまして入国してまいります
自家用自動車
の一時
輸入
について与えられます
通関
上の
便宜
について
規定
するということがまず第一。その次に、そういう
自動車
については
新規
の
登録
を
免除
する。また、逆転する人につきまして、
国際逆転免許証
の効力を認めて、それだけでその国の中で
運転
ができるようにしてあげる。またさらに、
国際交通
の安全を確保する見地から
締約国
の
道路交通規則
を
一定
の基準に合致させるということ。この
四つ
をおもな
内容
としております。 この
四つ
につきましてもう少し詳しく申し上げますと、まず第一に、
通関手続
の
簡素化
に関する
規定
でございますが、これは
当事欧米諸国
におきましては数十年にわたってすでに一般的に行なわれておりました
制度
でございまして、これは
通関手帳
による
団体保証
の
制度
と呼ばれておりますが、その
制度
を念頭に置きまして設けられました
規定
でありまして、各
締約国
は、この
条約
第三条の
規定
によりまして、
国際交通
と認められる
自動車
の
輸入
につきまして、
輸入税
の支払いを
保証
する担保の提供を要求することができるということになっております。また、自国の「領域内に設立されている
団体
であって、
当該自動車
について有効な
国際通関書類
(たとえば
通関手帳
)を発給した
国際団体
に加入しているものによる
保証
を認める」という
義務
を負うことになっております。すなわち、よその発行した
通関手帳
を認めるということが第一でございます。それによって
通関
を
簡素化
するということがその
趣旨
でございます。 第二番目に、新たに
登録
する
義務
を
免除
するということでございます。この
条約
の第十八条におきましては、
自動車
かこの
条約
の
利益
を享受するためには、
締約国
またはその
下部機構
かその
自動車
を
登録
しなければならず、また、
締約国
は、その
登録縦書
に記載された
事項
を認めなければならない旨
規定
しております。これは、たとえば
日本
なら
日本
で
自動車
を運行するためには、それを
一定
の様式で
登録
しなければならない、そのかわり、その
登録
した
登録証明書
に記載されたものは、この
条約
にもし
日本
が入りますれば、
外国
にも通用するということでございまして、
外国
において
新規
の
登録
を受けることなく、各
締約国内
で
通行
することができることになるわけでございます。 第三番目に、
国際運転免許証
の
規定
でございます。すなわち、
国際運転免許証
を持っております者は、他の
締約国
において、新たに
国内免許証
の発給を受けなくても、その国の中でこの
国際逆転免許証
だけで
運転
をしていいということが定められております。
わが国
について申しますれば、
わが国
の
自動車
の
国内運転免許証
によりまして、都道府県の
公安委員会
から
国際運転免許証
の交付を受けまして、これを持って他の
締約国
を訪問いたしました場合には、この
国際運転免許証
がそのままその国で認められ通用しまして、
日本
人はその国で
運転
ができる。また、
わが国
を訪れる
外国人旅行者
が持ってくる同様の
国際運転免許証
を
わが国
は認めて、彼らの
運転
を許してやらなければいけないということがその
趣旨
でございます。 以上のように、この
条約
の
締約国
の国民は、
自動車旅行
について非常な
便宜
を受けることになります。しかし、第四番目に、そのためには
各国
の
自動率交通
の安全を確保するために、
道路交通規則
がほぼ統一されていなければならないという要請があるわけであります。したがって、この
条約
は、各
締約国
がよるべき
道路交通規則
の基本的た準則を定めております。また同時に、各
車両
が満たすべき基本的な、技術的な要件を定めている次第でございます。すなわち、第六条におきまして、「
締約国
は、この章に定める
規則
の遵守を確保するために適切な
措置
を執る」ということを定め、各
締約国
を
キープ
・
レフト——
要するに
左側通行
、または
キープ
・
ライト——右側通行
のいずれかを採用しなければならない。それから
車両
の速度を適正に規制しなければならないこと、追い越しや行き違う場合に守るべき
事項
、
左折右折
及び交差点における
注意事項
、運行の際の
優先権
、それから動物の
通行
に関する
規定
、灯火に関する
事項
、それから自転車の
通行方法
、こういうものについてこまかい
規定
を設けております。また各種の
標識
及び
信号機等
についても詳しく
規定
いたしております。 したがいまして、この
条約
に加入するための
国内措置
といたしましては、
道路交通法
の一部を改正する
法律案
、及び
道路交通
に関する
条約
の
実施
に伴う
道路運送車両法
の
特例等
に関する
法律案
が今
国会
に提出されております。前者は
警察庁関係
の
法律案
でございまして、後者は
運輸省関係
の
法律案
となっております。これで第一の
道路交通
に関する
条約
の御
説明
を終わりまして、次は
自家刑自動車
の一時
輸入
に関する
条約
について
補足説明
を申し上げます。 この
条約
は、
道路交通
に関する
条約
を補完する
目的
をもちまして一九五四年、すなわち
昭和
二十九年の五月十一日からニューヨークで開催されました、
自家用自動車
の一時
輸入
及び
観光旅行
のための
通関手続
に関する
国際連合会議
という
会議
におきまして作成されたものでございます。この
条約
は、
旅行者
が持ち込みます
自動車
につきまして再
輸出
を
条件
として
免税
の一時
輸入
を認めること、また、そのための
手続
を
国際
的に統一することを
内容
といたしております。
わが国
も同年十二月二日にこの
条約
への署名を行なっておりますが、今回
批准
のために
国会
に提出された次第でございます。この
条約
は、
わが国
の
関税定率法
第一七条第一項第十号に再
輸出免税
の
規定
に該当する
手続
が定められておりますが、これをさらに簡易化しようとするものでございまして、具体的には次に述べますような
仕組み
になるわけでございます。
世界
の
各国
には、
観光旅行
または、
自動車旅行
に関する
団体
がございます。
わが国
の場合では、今後どうなるかわかりませんが、一応
日本自動車連盟
というようなものがあるわけでございます。これらの各
団体
は、それぞれパリ及び
ジュネーブ
に本部を有する
国際
的な
団体
でありますところの
国際自動車連盟
または
国際旅行協会
に加盟しております。そしてまた、それが
世界
の
観光旅行
、
自動車旅行
の
団体
の大結合をなしておるわけでございます。したがいまして、前述の一時
輸入書類
と称する
税関用
の
書類
、すなわち、代表的なものは
通関手帳
でございますが、この
通関手帳
は、
国際自動車連盟
のまたは
国際旅行協会
の傘下にごて
ざいます各国
の
国内団体
が
お互い
に発給し合い、かつ、
輸入税
の納付を相互に
保証
する。つまり、
自動車
を持って来た御
本人
が
輸入税
を払う必要が生じたときに、こういう
団体
がそれを
保証
して払うという
仕組み
になっておる次第でございます。つまり、少し詳細にわたりますが御
説明
申し上げますと、一時
輸入書類
の代表的なものであるところの
通関手帳
、これを
外国
が発給しましたものは、
わが国
においては、
日本自動車連盟
が、
わが国
の
関係官庁
が定める
条件
を満たした上で
通関手帳
を発給する認可を受けまして、他方におきましてはいわば親
団体
でありますところの
国際旅行協会
、
国際自動車連盟
というふうなものの間で
保灘契約
を結びまして、
通関手帳
を発給する権限を与えられる次第であります。そうして、この
日本自動車連盟
が発給したところの
通関手帳
は
外国
で有効に認められますし、よそから来たものは
日本
で有効に認められるということになる次第でございます。したがいまして、万一
通関手帳
によって一時
輸入
を認められました
自動車
が、一年以内に
輸入国
から再
輸出
されないというような場合が起こりました場合には、
輸入国
にある
団体
が
税関当局
に対して、その
自動車
にかかわる
輸入税
を御
本人
にかわって納める。そうして、
自分
が納めただけのお金を、その
通関手帳
を発給した
外国
の
団体
に対して、
自分
がかわりに納めたからそれを払ってくれということを求償するということになるわけでございます。この
条約
を
批准
いたしまするための
国内措置
といたしまして、町家川
自動車
の一時
輸入
に関する
通関条約
の
実施
に伴う
関税法等
の
特例
に関する
法律案——
これは
大蔵省関係
の法案でございますが
——法律案
か本
国会
に提出されております。 このいま述べました
二つ
の
条約
、これらの間には、直接
法律
上の
関係
はなく、一応別々の
条約
でございますが、
二つ
の
条約
の
成立
の経緯から判断し、また、一時
通関条約
の近い将来における
成立
を予想しているところの
道路交通条約
の第三条第一項の
規定
、これは同時に
通関条約
ももうすぐできるということを
道路交通条約
のほうですでに予想してできている次第でございます。また、一時
通関条約
は、
道路交通
に関する
条約
の
目的
を考慮して一時
通関条約
を結んだということを前文に書いてございまして、
お互い
に密接な
関係
を持っております。この
二つ
の
条約
は精神的に密接な
関係
を持っていると考えられますので、ここで
一括審議
をお願いしている次第でございます。これは
便益
上の問題でございますが、これらの
二つ
の
条約
に加入いたしますと、
わが国
から他の
締約国
へ旅行する者だけでなくて、
わが国
を訪問します
外国人旅行者
も、その
自動車
の
通関手続
の
簡素化
及び
新規登録
の
免除
、
国際運転免許証
の
使用
など、従来にも増して
便益
を与えられることになります。このことは、
国際
間におきまする
人的交流
を促進するという面におきまして、
国際協力
、
国際親善
の増進に資することはもちろんのことでございます。さらに、
オリンピック
の
本邦開催
を控えている現在におきまして、
わが国
の
観光政策
の振興にも寄与するところが大きいものと考えております。 これで私の
補足説明
を終わらしていただきます。
黒川武雄
4
○
委員長
(
黒川武雄
君) 以上で
説明
は終了いたしました。これから
質疑
に入ります。御
質疑
のおありの方は、順次発言を願います。
曾禰益
5
○
曾祢益
君 この
二つ
の
条約
に関連して、ちょうど
自家用車
の
自由化
の問題が、取上げられる時期でもありますので、しかも、こういう
自家用車
を一時
簡易手続
で実質上無税で
輸入
するという取り扱いについて、やはり
乗用車
の
自由化
の変形ですね。形を変えたやり方ではないかというふうに、
日本側
はこういう
国際
的な話し合いにいままで入っておりませなんだ
関係
で、そういう
心配
を持っている向きもあるわけです。つまり、これを利用して、
外国
の
自動車
を持って
自家用車
という形で
日本
に来て、結局
日本
に居すわってしまって
輸入
された、そういうような
心配
はないかと、こういうことをいわれているんですけれ
ども
、その点はどういうふうに
政府
では考えておられるのか。
力石健次郎
6
○
説明員
(
力石健次郎
君) 御承知のとおり、
わが国
は島国でございまして、
自動車
の
運送費
は
相当
かさむので、一時
輸入
が
簡素化
されただけで直ちに
輸入件数
が非常に激増するというふうには考えておりません。また、従来
わが国
が
自動車輸入
を制限して、一時は非常な
外車
には
やみ値
が生じておったような時代がございます。その
転売差益
も最近におきましてはだんだん少なくなっておりまして、
自由化
とともに解消していく筋合いのものであると考えております。したがって、
自由化
を目前に控えまして
わが国
の
自動車産業
は非常な
輸入抵抗力
をつけつつある時期でもございますので、この
条約
を
批准
したからといって、
わが国
の
自動車産業
を圧迫するというような事態にはならないと考えております。もっとも、万一多少でも
転売差益
が生ずるというような場合に、
転売
を行なうことはこの
条約
は認めておるわけではございませんで、これは
法律
に
違反
する
不正行為
でございまして、その
防止措置
については別途考慮しておる次第でございます。
曾禰益
7
○
曾祢益
君 まあ大体そうだろうと思うのですけれ
ども
、
現実
にやはりそういう
違反行為
をやって
日本
に
自家用車
の一時
簡易輸入
をやっておいて、そうして一年以内に
転売
したと、あるいは一年以後に居すわったといいますか、再
輸出
しなかった場合に、どういうふうにしてそれを
摘発
することになっておるのか。これは
外務省
ではなくて
運輸省
その他の
——
あるいは
警察当局等
は来ておられるかどうか知りませんが、そういう少し具体的な
取り締まり励行
の
方法
についてどういうことになっておるかを伺いたいわけです。
力石健次郎
8
○
説明員
(
力石健次郎
君) 私も
専門
ではございませんので、あるいは御満足のいく答えにならないかもしれませんが、一時
輸入自動車
の
転売
の従来の
実績
を見ますと、三十年度に
輸入件数
が四十二件、
転売件数
が二十九件。三十一年に九十八に対して
転売
が六十六。三十二年に
輸入件数
が六十三で
転売
が五十七というふうに非常に多かったのでございますが、三十三年から
取り締まり
を非常に厳格にいたしまして、
転売件数
は三十三年が二件。三十四年が全くない。三十五年が二件。三十六年が四件。三十七年がゼロというふうな
実績
になっておりまして、そう御
心配
になるほどのことはないのではないかと考えております。
曾禰益
9
○
曾祢益
君 これは
ほんとう
に技術的なことですけれ
ども
、やはり
運輸当局
なり
警察当局
から、この次の
機会
でいいですから、そういうことはきちんとしておいて、何しろこれは
相当
な数が
オリンピック
を前にして入るわけです。また、入ってくれなければ、この
条約
を早く通す意味はないわけです。善意の人が大部分だと思いますけれ
ども
、
相当
の
自家用車
が入る。それに伴なって、万一悪い者が出た場合に、
転売
その他がどういうふうにしたら
摘発
できるのか、これらのこともはっきり私は聞いておきたいわけです。この次の
機会
に、
事務当局
でけっこうですから、
運輸当局
並びに
警察当局
の人を呼んでいただきたいと思います。
羽生三七
10
○
羽生
三七君 ちょっと……。この
条約
は
案件
としては処理上ただ
外務委員会
、こういうことですか、この辺はどうでしょう。
黒川武雄
11
○
委員長
(
黒川武雄
君) ちょっと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
黒川武雄
12
○
委員長
(
黒川武雄
君)
速記
をつけて。
曾祢委員
、
運輸省
の
自動車局管理課長
が見えております。
大竹達哉
13
○
説明員
(
大竹達哉
君)
運輸省自動車局
の
管理課長
でございます。 この
条約
の
適用
を受けまして
輸入
されました
自動車
が、その後
転売
された場合にどうなるかという御
質問
であると存じますけれ
ども
、この
道路交通
に関する
条約
の
実施
に伴う
道路運送車両法
の
特例
に関する
法律案——脱着運輸委員会
のほうで御審議いただいておりますけれ
ども
、この第二条の第二項第二号におきまして、
道路運送車両
の
登録
あるいは
検査
の
適用除外
の
利益
を受ける
車両
の定義の中で、「
当該自動車
を
輸入
した者の
使用
に供されるものであること。」と定義いたしておりまして、その
自動車
が
第三者
に
転売
された場合におきましては、一応この
条約
の
利益
を受けることを排除するというふうに私
ども
のほうでは考えております。したがいまして、
第三者
に
転売
した場合には、その
自動車
は当然
登録
あるいは
検査
を受けなければならないということになると思います。
曾禰益
14
○
曾祢益
君 それは当然そうで、そんな抜け道があってはならないので、そういう
転売
されたような場合には、
登録免除
とかその他の
便益
は受けられないという
規定
があることはわかる。ただそれが、どういうふうにしたら
摘発
というか、かりに
違反行為
があった場合に、わかるかということは、これはいま
速記中止
中に
岡田委員
も言われたように、主として現場的には
警察
の問題だと思うけれ
ども
、
道路交通法
その他の立場からいって、
運輸当局
としてもいわば簡単に言えば
インチキ
を征伐する具体的な
措置
はどうなっているのかということを聞いているのです。
法律
上そういう
転売
した者には一時
関税
を
免除
するとかそういう
便益
を与えられないことはあたりまえの話なんで、
現実
の
法律
の
適用
、
励行
、これがどうなっているかということを聞いているわけなんです。
大竹達哉
15
○
説明員
(
大竹達哉
君) 実際に
転売
されました場合には、
税関
のほうから御通告をいただきまして、私
ども
といたしましては、その
自動車
に
登録
あるいは
検査
を受けるように指示をするという考えを持っております。
曾禰益
16
○
曾祢益
君 そんなことじゃない。つまり、
ヤミ
で売った場合のことを言っているのですよ。
現実
に
ヤミ
で売ることがよくあるでしょう。そういう場合にどうしたら
——道路交通
で、ときどきいわゆる一斉
検査
をやっているでしょう。そういう場合に、
現実
にそこにいるのは
警察
官でしょう。そこで
転売
されたかどうかということがわかるのかということなんです。たとえば
期限
が過ぎているとか
——
一年以上たっているから、これは
期限
が過ぎているから
インチキ
だということがわかる。
現実
に
転売
されているものについて、どうして
転売
されたかということがわかるか、そういうことを見届けておかなければいけない。これはいいことなんですよ。
国際
的にいいことであって、悪い者ばかりではないと思う。一方において、
日本
の
自動車産業
が
自由化
という大きな波にぶつかっているわけなんです。先ほど
力石参事官
のお話にあったのですけれ
ども
、過去とそう大きな違いはありませんけれ
ども
、しかし、何といっても
外国車
に対しては
関税
の
障壁等
があってやはり
日本軍
が保護されていることは事実なんです。そこで、どっと
外車
が
自家用車
の形で一年間入ってくる。そのときに、もし
違反者
があった場合に、
日本
の法益を守り、
日本
の
乗用車
を守るだけの具体的な
違反摘発
のどういう体制が整っているかどうかということを聞いているのです。あとで
警察当局
と両方で相談して返事をしてくださってもいいのです。
法律
上どういうことが書いてあるかということを聞いているのではない。
大竹達哉
17
○
説明員
(
大竹達哉
君) それでは、具体的な
摘発
の
方法
その他につきましては、後ほど
警察庁
と御相談いたしましてお答え申し上げます。 それから
罰則
の
関係
につきましては、
転売
された車が発見された場合において、それが運行されたときには、
道路運送車両法
の
違反
として、
国内一般
の場合と同様に
罰則
を
適用
することができます。
宮崎清文
18
○
説明員
(
宮崎清文
君) 御
質問
の御
趣旨
は、具体的にどういう
取り締まり
をしているかということだと思いますか、私、実は
交通関係
を担当しておりまして、具体的な
取り締まり
の面になりますと、実は
所掌事務
の
関係
で、恐縮でございますが、
刑事局
の担当しておる問題でございます。したがいまして、過去において
関税法違反
あるいは
物品税法
にかかる
自動車
の
違反
について、どういう
取り締まり
をした実例があるかどうか、また、具体的にどういう
取り締まり
をすることになっているか、こういうことにつきましては、さっそく
調査
の上で御返答申し上げたいと思います。
長谷川仁
19
○
長谷川仁
君
オリンピック
を控えまして一時
輸入
を予想される
外車
の
台数
はどのくらいですか。
力石健次郎
20
○
説明員
(
力石健次郎
君) 実は、
わが国
はいままで
自動車
を
自由化
しておりませんで、いままで
自動車
の
輸入
を認めた
件数
というものは極端に少ない数になっております。そうして、
オリンピック
の際に
相当
の人が
自分
の
自動車
を
日本
に持ってくることを望むであろうということは一応われわれも予想していた次第でございますが、それがどのくらいの数にのぼるかということは、
専門家
の間でも非常に見当がつきかねる。しかし、
相当
の数にのぼるであろうというふうに言われております。
長谷川仁
21
○
長谷川仁
君 私が
質問
をしたのは、そうでなくても東京が車の大洪水ですし、
交通事故
が毎日たいへんな数にのぼっておる。そうした場合に、何台来るのかわからぬということでは困るわけです。ことに私
ども
心配
するのは、
外車
が入ってきた場合、
観光客
が入ってきた場合に、われわれのほうでは駐車の問題、車庫の問題いろいろありますね。そういった場合、この
観光客
に対しては特典を与えるのか、与えないのか。もう一つは、たとえばインターナショナル・ライセンスを持ってきても、
日本
の場合には
制限数
は
キロ
ですね、その
標識
は
キロ
ですけれ
ども
、
観光客
の場合にはほとんどマイルです。その
交通標識
を全部かえるのか、そのこともひとつお聞きしたい。
宮崎清文
22
○
説明員
(
宮崎清文
君) 御
質問
の
自動車
の
台数
でございますが、これはむしろ、私のほうよりあるいは通産省なり
運輸省
のほうの御担当かと思いますが、私
ども
のほうで予想しておりますのは、
日本
に来て、たとえばこの
条約
の
批准
をなさった場合に、
国際運転免許証
を持って
日本
に来て
運転
しようとする
人たち
が大体どのくらいになるであろうか。これは
ほんとう
の
推定
でございますが、
昭和
三十九年度の
オリンピック
におきましては、年間約八千名くらいの人が
運転免許証
を持って
日本
で
運転
をするのではなかろうか、このように、これはまったく
推定
の
数字
でございますが、
推定
いたしております。その根拠を簡単に申し上げますと、現在
外国
の
行政庁
が発行いたしました
運転免許証
を持って
日本
に参りまして
日本
の
免許証
に書きかえておる
件数
が、大体、三十七年でありますが、二千七百人くらいおります。これが
観光客
が
オリンピック
の際には
相当
ふえるであろうとその他のデータから
推定
いたしまして、約八千人という
数字
を一応出しております。 それから次の問題は、このような
国際運転免許証
を所持する者が
日本
に参りまして、
日本
の
道路交通法
令上何らかの特典を与えることがあるかないか。今回お願いをいたしておりますこの
条約
と、これに関連いたします
道路交通法
の一部改正をお願いいたしておりますが、それによりまして、大体
道路交通法
令は
各国
とも共通をいたしておりますが、多少
条約
と違っておる点もありますので、この際、
道路交通法
の一部を改正いたしまして大体
条約
並みにする。それによって
外国
から来た
人たち
が特に不便を感じることはないであろう。ただ、特に
利益
を与えるとかなんとかということは、いまのところ考えておりません。 それから
標識
の点につきましては、実は昨年の四月におおむね
国際
標識
に準ずるように改めております。ただ、細部におきましては、多少
国際
慣行その他が違いますので、
標識
につきましては、
条約
加入とともに
国際
標識
に必ず合致させなければならぬという
義務
がございませんので、いまのところ
警察
といたしましては、昨年改訂いたしました
標識
で大体よいのではないか、かように思っております。
長谷川仁
23
○
長谷川仁
君
交通標識
が
国際
並みになってきたのですが、
交通
法規、たとえばスピード
違反
あるいは人身事故に対するそういった方面、たとえば泥酔
運転
なんという場合には、
日本
は要するに、法規でいきますと、非常に軽いわけですね。今度
観光客
がどっと押しかけてきて人身事故を起こしたとかなんとかいう場合、この法規を改正するという意向は全然ないわけですか。
宮崎清文
24
○
説明員
(
宮崎清文
君)
わが国
の
道路交通法
令の
罰則
と、それから西欧諸国の
罰則
とを比較いたしますと、実はいろいろ国情その他の相違がございまして、ちょっとたいへん比較はいたしかねますが、概して申し上げますと、自由刑、つまり懲役とか禁錮とかの自由刑におきましてはちょっと
わが国
のほうがやや多い。罰金刑におきましては西欧諸国のほうが多いように見受けられます。ただ、御指摘の泥酔
運転
は、
わが国
におきましても非常に問題があると思われますので、
条約
に加入するといなとにかかわらず、今回の
道路交通法
の一部改正におきまして、自由刑の引き上げをただいまお願いしております。
黒川武雄
25
○
委員長
(
黒川武雄
君)
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
黒川武雄
26
○
委員長
(
黒川武雄
君)
速記
起こして。
佐多忠隆
27
○佐多
忠隆
君 自家稲車一時
輸入
に関する
通関条約
が採択されたのは一九五四年、それが発効したのが五七年の末ということになって、その間かなり期間を経過しているのですが、これはどういう事情によるのですか。
力石健次郎
28
○
説明員
(
力石健次郎
君) この
条約
の効力発生の
規定
に、「この
条約
は、
批准
書又は加入書であって十五番目に審託されるものの寄託の口の後九十日目の日に効力を生ずる。」、ということになっておりまして、五四年の
会議
のあとで
各国
が
条約
を持ち帰りまして、それを各自の
国会
に提出しまして
批准
をする。それが十五の国が
批准
するまで効力を発生しなかったわけでございます。そのためにそれが五七年までかかったということになっております。
佐多忠隆
29
○佐多
忠隆
君 その、正規に
批准
したのはどういう国ですか。
力石健次郎
30
○
説明員
(
力石健次郎
君) これはちょっときょうわかりませんので、この次調べましてお答えしたいと思います。
黒川武雄
31
○
委員長
(
黒川武雄
君) ちょっと
速記
とめて。 〔
速記中止
〕
黒川武雄
32
○
委員長
(
黒川武雄
君)
速記
始めて。
—————————————
黒川武雄
33
○
委員長
(
黒川武雄
君) 次に、
国際情勢等
に関する
調査
を議題といたします。 御
質疑
のおありの方は、順次御発言を願います。 なお、大臣の出席は十二時三十分までと御了承願います。
羽生三七
34
○
羽生
三七君 最初に、大平外相とフランスの外相との間で昨日中国代表権問題その他いろいろ会談が行なわれたことが新聞に報道されております。それからまた共同声明も出るのではないかと思いますけれ
ども
、大体新聞に出ておることと相違はないのですか。まず最初に……。
大平正芳
35
○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。
羽生三七
36
○
羽生
三七君 その中で、国連における中国代表権問題は重要
事項
であるとの見解を大平外務大臣は述べられたと言われておりますが、これに関連してお尋ねをいたします。中国問題が重要であるということはもう当然でありまして、私たちもこれは非常な重要問題であるということは前々から幾たびか指摘したとおりでございますが、しかし問題は、それが重要問題であるということと、それから重要
事項
に指定するということとは根本的にその性質が違うということです。そこに私はまず問題があると思います。それで
日本
政府
は今日までこの重要
事項
指定の共同提案国となってきたわけでありますが、この過去の経過を見ても
日本
政府
の真意は、重要
事項
に指定することにより、実質的には中国代表権問題をたな上げにして、中国の国連加盟を阻止することを真の
目的
としているのではないかという感じがするわけです。いかがでありますか。最初この点からお伺いいたします。
大平正芳
37
○国務大臣(大平正芳君) きのうの会談では、
わが国
がただいまとっておりまする中国政策というものを
説明
いたしたわけでございます。国連におきまして中国代表権の問題は重要
事項
という態度をとってまいったわけでございます。ただいままでそれを変えていないということでございます。それから私は、この問題が国連におきまして過去において問題になっておりましたことは、いろいろな形で問題になっておったわけでございまするが、いずれにいたしましても、これを国連の場で討議する。まさしく代表権問題でございまするから、国連の場以外に討議する場はないのでございますから、国連の場で討議するということになっておるわけでございます。したがって、それを国連の場で討議しないとかというかたくなな態度を決してとっておるわけじゃないのでございまして、この問題はアジア並びに
世界
の問題として非常に重要であるという認識は依然として変えていないわけでございまして、討議にあたりましてもそういう態度で臨んでまいりますことは、私は当然だと思うのでございます。ただ、第十九回総会におきましてこの問題がどういう形で問題になるかというテクニックの問題までまだわかりません。議案が出ていないわけでございまするから、基本的な考え方といたしましては、国連の場で討議すべきであるということ、
日本
のこの問題に対する認識は重要問題であるという認識を捨てていないということでございまして、これは中国の国連加盟をじゃまするのではないかとかなんだとかいう、そういうことでなくて、もっと公明に国連の場で討議すべき問題だというように私は考えております。
羽生三七
38
○
羽生
三七君 そうすると、今秋の国連総会においても、結局は
日本
が中国の重要
事項
指定問題を提起する当事国となる、共同提案国となる、そういう含みを持っての御発言でありますか。
大平正芳
39
○国務大臣(大平正芳君) 第十九回国連総会の国連対策というのはまだきめておりません。これをきめるにあたりましては十分検討しなければならぬわけでございますので、まだきめておりません。従来こういう態度をとってきたということを
説明
し、いまの段階におきましてこれまた変えていないということだけを
説明
いたしたわけです。
羽生三七
40
○
羽生
三七君 私、考えるのに、
日本
が重要
事項
指定の共同提案国となって、いままで
——
過去、しかもその中心的な役割りを果たしてきているわけです。私はそう信じております。アメリカとともに、
日本
が中心的役割りを果たしてきている。ただ、ここで私
ども
は非常にふしぎにも思い、また奇怪にも思うことは、重要
事項
の指定の提案国となる限り、
日本
政府
自身が具体的にどういう考えを持っておるのか、明確な見通しがなければならぬと思うのです。これは、昨年も一昨年もこの問題について私お尋ねいたしました。だから問題は、重要
事項
指定ということを国連の場に持ち出して提案国となるかどうかは別として、持ち出すだけで、これを結局持ち出すことによって、これを
手続
問題として扱って問題の前進を阻止することがねらいではないかと考える以外にないわけです。もし、そうでないとするならば、重要問題であるから国連の場で討議してくれというのはそれはわかりますが、
日本
はこういう考えを持っておるということがない。これは私何回も去年、一昨年も申し上げたとおりです。
日本
自身に案がなくて、ただ単に国連の場で御随意に御討議ください、そんなばかなことはないと思うのです。私は、
日本
は
一定
の中国政策を持っておる、しかし重要な問題であるから、国連においても
各国
の意見を十分聞きたい、そういうことで重要
事項
だと言うのなら、これはわかります。そうでなしに、去年もおととしも私は承ったけれ
ども
、
日本
自身が確たる方針がなさそうであります。そうすると、全くあなたまかせの
国際連合
で、
各国
の意見がきまったら
日本
もしかり、まあしかるべきだということと受け取れる。
日本
自身としては中国
政府
は非常に重要であるが、と同時に、
日本
としてはこういう考えをもってこの問題を処理していきたい、あるいは解決していきたい。そういう
一定
の方向のもとに、同時に、
世界
の
各国
の世論も十分国連の場で聞かせてもらいたい。こういうことでなければならぬと思う。そういう方針なしに、いつも
手続
問題として、実質上は代表権問題の解決を阻止することがどうもねらいのように思われてしかたがないのですが、その点はどうですか。
大平正芳
41
○国務大臣(大平正芳君)
日本
は中国問題につきましては、他のいかなる国よりも深甚な関心、いわば致命的な関心を持っているわけでございます。それほどの問題でありますがゆえに、
羽生
先生がおっしゃるように、非常に明快な結論を出して、その答案を持って国連に臨めというお気持ちはよくわかりますが、ただ、私が申し上げておりますように、この問題は
日本
にとりまして非常に重要な問題であるばかりでなく、アジアにとりましても、
世界
にとりましても非常に重要な、いわば間口の広い、奥行きの深い問題である。非常にむずかしい問題であるだけに、軽々に結論は明快に打ち出すというに至っていないわけでございます。しいて申しますならば、
世界
の世論の帰趨を見きわめながら
日本
もとっくり考えていかなければならぬ問題である。そういう意味におきまして、この問題につきまして国連で真剣な討議を期待いたしておったわけでございまするが、過去におきましてまだそこまで来ていないわけでございまして、
世界
の世論の段階、現段階はなるほどこれは
相当
めんどうな問題であるということで、いろいろな議案が出まして、それに賛否ないし棄権の表決が展開されたという段階にまだとどまっておるわけでございます。しかしそれほど重要な問題であるということでございまして、御不満もありましょうけれ
ども
、それほどまあ深刻に考えておるのだということは御理解いただきたいと思います。
羽生三七
42
○
羽生
三七君 いや、それは、重ねて申し上げますが、この問題が重要であるということは、大平外務大臣だけでなく、私たち自身も重要と考えながら
質問
をしておるわけで、その点は決して軽々しく考えているわけじゃないことはあえて申し上げるまでもないと思います。そこで、どんな疑問の余地も残さぬような形で明白に割り切って、いまどうしておるか、こう聞けば、これはなかなか御回答も困難だろうと思いますが、フランスの立場は、いまや中国の国連加盟問題はこれは
国際
的常識である、残されているものは技術的問題だけではないかという見解を述べたとも言われておりますけれ
ども
、まあそれはとにかくとして、そういう割り切った考え方でないにしても、とにかく
政府
としてはある程度の
一定
の方向を持って、そういう方向を模索しながら、同時に、
国際
世論に十分に耳を傾けていくということでないと、もうずっと何年も、重要であるからということだけで、それじゃ
日本
自身はどうするかということについてはもう全く何らのお考えも示されておらぬ。そして、重要
事項
指定問題にするということになると、
手続
問題として実際にこの問題をまたずっと向こうのほうへ時期的に追いやっていくということ以外にどうもねらいはないのじゃないか、それがねらいじゃないかという感じがあまりにも濃厚になるわけです。ですから、
政府
自身として、少なくともどんぴしゃりと割り切ったような回答は出なくとも、一応やはりこの問題の解決の方途というものはこういう方向じゃないかというものがあってしかるべきだと思います。いかがでありますか。 それからもう一つ、それに関連をして今回また、先ほどまだ態度をきめておらぬと言われましたけれ
ども
、私は、重要
事項
指定の共同提案国や当事国となることは好ましくないと判断いたしますが、その点もあわせてお答えいただきたいと思います。
大平正芳
43
○国務大臣(大平正芳君) 国連における審議の経過は、御案内のように、長い間たな上げ方式で行っておりまして、それから重要
事項
指定方式というものに、牛歩というか、非常に遅々たるものがございますけれ
ども
、そのように変わってきておるわけでございます。つまり、この問題が重要な問題であるだけに、腰の重い問題であるだけに、
世界
の世論のテンポというものも、まあ、あまりスピーディでないと言えます。しかしながら、徐々に、そのように変化は私は認められると思います。それから、私
ども
は、重要
事項
であるということで、重要
事項
指定方式について提案をいたした立場を持っておるわけでございます。これをこの第十九回総会にこの態度について再吟味する要があるかどうかということでございますが、まあ
政府
が一度とりました政策は、よほどのことのない限りは私は変えるべきではないと考えるわけでありまして、ただいまのところ、これを変えなければならぬという積極的な理由をいま発見いたしかねておるわけでございます。がしかし、それまでに時間もあることでございまするし、十分の検討をやらしていただきたいと思っております。 それから、人さままかせでじんぜん日をむなしゅうしているじゃないかというおしかりでございますけれ
ども
、私
ども
は私
ども
なりに、この問題については、
日本
の外交の直面しておる最も重要な問題として非常に真剣に検討を続けておるわけでございまして、明快なる結論をお示しすることができないことを遺憾に存じますけれ
ども
、依然として真剣な検討を続けておるということだけは御了承願いたいと思います。
羽生三七
44
○
羽生
三七君 この中国問題は衆参両院とも今
国会
で非常な多くの論議を呼んだわけですが、最初衆議院段階で、中国国連加盟の場合
日本
も国交正常化を考慮すると言われてから、参議院の段階へ来てだいぶ変わってきた。それで、どんなに
説明
をされようとも、それが大幅な後退であることはもう間違いないと思うのです。そこへもってきて、また今度のきのうの日仏会談で、私たちもまさかと思っておった重要
事項
指定をまた重ねて再確認されたようなことになって、もう非常な私はこの中国問題に対しては大幅な後退だろうと思います。これは
政府
はいかようにも
説明
されましょう。
速記
録に出ておることばの解釈から始めて、いろいろなそれは御
説明
をなさると思いますが、常識的に見て、非常に大きな後退だと思うのです。それはまあ、ある意味においては、自民党内の党内事情もあると思いますけれ
ども
、何といってもこれに非常な大きな特徴だろうと思います。あれだけの答弁をされておいて漸次後退していく。それで結局もとに戻ってしまった。完全にもとに戻ってしまった。まあ非常に遺憾に思うのですが、その点いかがでありますか。
大平正芳
45
○国務大臣(大平正芳君) これはまだ将来の問題でございまして、
日本
政府
が具体的な問題として提起されて、それに対する
措置
が、これは前進であるとか、あるいは後退であるとかいうことを論ずる問題では私はないと思うのでございます。将来を予想していろいろな論議が、たまたまフランスの中共
承認
というアクションを契機として朝野にわいたわけでございます。したがって、これは前進であるとか、後退であるとか、よほど進んだことを言っておったが、またもとに返ったじゃないかとか、そういう御批判でございますけれ
ども
、私
ども
はそう思っていないわけでございます。将来の問題として、
国会
で、私
ども
の一般的な感じ方は申し上げたわけでございまして、そういう考え方に別に変わりはないわけでございます。
羽生三七
46
○
羽生
三七君 これと面接の関連はないのですが、けさの新聞を見ますと、インドネシアがAA
会議
を、二十五ヵ国に正式に招請状を出して、明日からですか、あるように聞いておりますが、これは予算
委員
会で私お尋ねして、
日本
としてはまあ過去二回正式、それからもう一つは非公式ですか、過去二回断られたようですが、この参加するということになるとなかなかむずかしい問題があるとは思いますが、さりとて、私は前に申し上げましたように、アジア問題の解決は中国問題の解決なしにはほとんど不可能ではないかとさえ思われる。そして池田内閣が、近隣外交ということをたいへんな重要な柱にして外交政策をとっておられる。そのアジア、アフリカの二十五ヵ国が、
日本
と並びに若干の三、四ヵ国を除いて大部分が参加をして、そして一つの
会議
を持つ。この中には中国も入っておる。だから、断られたのは、いまさら間に合うわけではないからやむを得ないとしても、そういう形で近隣外交というものをどうしてお進めになれるのか、非常に疑問なきを得ない。これは非常に私は重要な問題だと思う。私は、AA
会議
に参加して、ある一部の国の考え方の言うとおりになるとは毛頭考えておりません。しかし、
日本
は
日本
としてアジア政策というものを持たなければならない。ただ、 いま
政府
が言っておるような近隣外交で、特定の仲のいい国とだけしかるべくやって解決する性質のものではないと思う。だから、そういう意味で、このAA
会議
の開催に対して
日本
が不参加ということは、非常なそういう意味での重要性があると思いますが、この点はいかがでありますか。
大平正芳
47
○国務大臣(大平正芳君) 私は、基本的な考え方は
羽生
先生と同一でございまして、アジア外交を進める上におきまして、あらゆる
機会
をつかまえて、
日本
として積極的に活動を展開してまいらなければならないものと思います。今度のAA
会議
でございまするが、私
ども
といたしましては、その
会議
は今日ただいまのアジアの緊張というものを緩和する方向に働くのか、あるいはむしろそういうことをやることによって激化する方向になるのか、その点をいろいろ吟味いたしまして、この時期においてこの
会議
を開催するということは、時期として適当でないという意味で、私
ども
は参加につきまして消極的であったわけでございます。その
趣旨
は、
関係
国には十分お伝えしておいたわけでございます。しかしながら、それでも、
日本
のそういう懸念を十分メンバー
各国
が承知の上で、しかもなお、
日本
にぜひ出ていただきたいという
会議
全体として正式な招請があれば、これはもう一ぺん考え直してみようと、こういう態度でおるわけでございましす。
森元治郎
48
○森元治郎君 重要
事項
指定方式というのを
説明
してもらいたいのだが、
条約
局長
もいるから、そちらからでも。
羽生三七
49
○
羽生
三七君 ちょっと、そのお答えの前に、重要
事項
指定問題を新しく提案するのか、前からの引き続き効力を持っているというのか、そこのところの解釈もあわせてひとつ。
藤崎萬里
50
○
政府委員
(藤崎
萬里
君)
国際連合
憲章第十八条第二項に「重要問題に関する総会の決定は、出席し且つ投票する構成国の三分の二の多数によって行われる。」ということがございまして、そのあとに、憲章自体が重要
事項
と認めるものが列挙してございます。その次の項に、それ以外でも「三分の二の多数によって決定されるべき問題の新たなる部類の決定を含めて、」
——
新たな部類の決定が行なわれる場合を焼足しております。この項に基づきまして、中国の代表権問題は重要
事項
であるという決議をいたしたわけでございます。この前の総会の決議が将来とも引き続き有効であるかどうかということでございますが、これについては、いままであまりはっきり争われたことがございませんけれ
ども
、取り扱いとしては、一たんそういう意思決定をした以上は引き続き有効と認むべきが当然であるという意見のほうが、われわれが照会した限りでは、多いようでございます。
森元治郎
51
○森元治郎君 新たな重要
事項
指定の決議を打ち消す決議をもって対抗することもできるわけですね。
藤崎萬里
52
○
政府委員
(藤崎
萬里
君) 前の決議と
趣旨
において相反する新たな決議が行なわれれば、そういう結果になるわけでございます。
羽生三七
53
○
羽生
三七君 ちょっと関連して。 そしてその場合に、
手続
的には一番最初にどういう論議になるのですか。国連の場においてそういうことを論議するわけですか。いま森
委員
とやりとりのあったようなことがどういう前提
条件
の形をとるのですか。
藤崎萬里
54
○
政府委員
(藤崎
萬里
君) これは当然こうなるはずだというようなふうに申し上げられないと思うのでございまして、機長がもう当然前の総会できまった決議が有効だと取り扱って、その前提で議事を進めているものに対して、ある国の代表から議長の裁定をチャレンジする、そしてそのことが表決に付されるというようなこともあるかもしれませんし、あるいは重要
事項
指定の決議をまたどこかの国が確認するような
趣旨
の決議を出してくるかもしれませんし、その場合場合によっていろいろな形があり得るだろうと思いますので、当然こういう道行きになるだろうということは想定しがたいと思います。
岡田宗司
55
○
岡田
宗司
君 関連して。重要
事項
指定方式につきまして、総会で議決でもってそういう指定をした先例はあるのかどうか。
力石健次郎
56
○
説明員
(
力石健次郎
君) 議決でそういうことをやった先例はございません。
岡田宗司
57
○
岡田
宗司
君 議決以外に指定方式をとった先例は。
力石健次郎
58
○
説明員
(
力石健次郎
君) 議決以外で三分の二の票が必要であるということになった例はございます。
岡田宗司
59
○
岡田
宗司
君 それはあとまで続いたのであるか、そのとき限りでそれは消滅したのであるか、その点は、その先例は。
力石健次郎
60
○
説明員
(
力石健次郎
君) そのとき限りのことであったので、それが続いたかどうかということがはっきりわかるような事例はなかったと存じます。
森元治郎
61
○森元治郎君 そこで大臣に伺うが、
日本
政府
としてはこの決議の解釈をどっちをとりますか。この決議は、たいていの国は、この決議は生きておって今後とも続くのだという立場をおとりになっているのか、どっちですか。
大平正芳
62
○国務大臣(大平正芳君) 国連憲章の上ではっきりとした明文がないわけでございまして、いま
条約
局長
が御
説明
申し上げましたように、これは議長の議事運営についてチャレンジがあるか、また別な国連決議が出るのか、それはわかりませんので、出たときに考えなければならないと思います。
森元治郎
63
○森元治郎君 すべて大平さんの御答弁は出たとこ勝負で非常にやりにくいのですがね。こういう方針で決議は生きているつもりだというたてまえで議長が裁定に出てきたときに、その立場から論議を進めていくと、こうおっしゃってくださればいいと思うのだが、どうですか。
大平正芳
64
○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。
森元治郎
65
○森元治郎君 初めからそう言わないと、非常にやりにくいんです。そこで、この重要
事項
指定方式というのは、中共に代表権を認めまいとするために十八条を引っぱり出してきた作戦的な単なる数の問題なんですね、数。われわれはそう思うが、大臣はいかがに思うかということが一つ、もう一つは、大臣のただいまの
羽生
さんに対する御答弁を見ると、広くて深くて慎重にも慎重にやらなくてはならぬ、アジアにも
世界
にも影響する、友好国とも相談しなければならぬ。たいへんな前提
条件
で、認識の深さを御答弁になったんだが、それくらいに広く、深く、何ともならないくらいむずかしいなら、重要に指定されたものは、みなで検討しましょうというんだから、一体その努力をいかなる形でされているのか。アメリカも
——
アメリカのことを聞いてもしかたないですけれ
ども
、
日本
が、いかに重要かということを国連でおやりになったのか。国連の場以外に討議する場所がないと言うんですから、いかに国連でおやりになったか。やったとしたら、いかなる態度をとったのか、イニシアチブをとったのか。
二つ
の問題をひとつ。
大平正芳
66
○国務大臣(大平正芳君) 重要でございますから三分の二という票数が必要だという決議になっていると思うのでございまするが、私
ども
といたしましては、先ほど
羽生
先生にもお答え申し上げましたとおり、国連の場でこの問題が取り扱われた経緯は、森先生も御承知のとおりでございまして、厚い実質討議が行なわれてはいませんのでございます。つまり、この問題についての十分な実質討議を行なうような
世界
世論にはまだなっていないというのがいままでの実情であったと思うのでございます。
日本
としてそういう環境の中でこれはひとつ大いに実質討議をやろうじゃないか、イニシアチブをとってやろうじゃないかということをやったかということは、そういうことはやっておりません、ただいまのところ。
森元治郎
67
○森元治郎君 これは共同提案国でなければいいんですよ。並び大名で、これどうだ、君も賛成だろうといって引っぱり込まれて、これでいこう。重要だから三分の二方式でいこう、三分の二でいこう、重要だから、こうくるのじゃないか。重要だから三分の二の投票でいこうというのが十八条の
趣旨
なんですね。重要だからといって、
日本
が共同提案国で、岡崎さんがきつい演説をして、それで世論を見るでは、何のために共同提案国になったんですか。
日本
が、やさしいことばで言うと、張
本人
ということになりますね。張
本人
がわからなくて、だれがわかるんですか。世論は、これこれだから重要だというので初めて他国をしてこれを納得させることができると思うんですよ、通過しちゃって、三分の二で、重要だか軽いんだかわからないじゃ、国連外交なんかどこへいったってわからないです。
大平正芳
68
○国務大臣(大平正芳君) これは国連の議事運営の問題でございまして、私がコントロールできない問題でございまするが、先ほど申し上げましたように、いまそういう決議が出ていて、それでは大いに実質討議をやろうじゃないかという空気にまでまだ熟してきていない現況であります。
森元治郎
69
○森元治郎君 そんなら重要でなくてもいいでしょう。これは軽小
事項
で三分の二、これでもかまわないんだな、入れなければいいんだから。熟していないと言うけれ
ども
、それはそのくらいのことを、やはり国連中心という三本の柱ですか、これはアジアの一員がなくなって二本の柱になったけれ
ども
、それくらいは当然
政府
としてやるべきだと思うのですね、どうもはなはだ一歩も進まないので、残念だけれ
ども
。ところで、松井大使の報告はいかがですか。行ったきりですか。あなたのほうには報告が来ていると思うが、三十数ヵ国ですか、お回りになった結果、だいぶ安心するような報告らしいのですが、お差しつかえなければ、何カ国くらい中共の……。
大平正芳
70
○国務大臣(大平正芳君) けさほどようやく大使の報告が参りまして、これから私は読ましていただこうと思っております。
羽生三七
71
○
羽生
三七君 関連してちょっと一つ。この前、池田総理、外務大臣がそれぞれ予算
委員
会で私の
質問
に答弁された際に、中共が祝福された状態で国連加盟を認められた場合に、
日本
はそのときには踏み切る。これははっきり言われたわけですが、そのときに、祝福された状態とは何かとお尋ねしましたけれ
ども
、それはそれだけにしておいてくれということで、何回も重ねてお尋ねしたが、御答弁がなかったが、依然として私はそれは疑問が残っているわけです。その場合にはっきりするというのですから、きょうはひとつその点を具体的に承りたいと思う。というのは、祝福された状態ということばが出る限りは、それはどういう状態であるか、あなたの頭の中になければことばは出てこないわけですね、ただことばのあやじゃないから。具体的にこういう状態、祝福された状態というものがあって初めてああいう御発言になったと思うのですが、その点を一つお聞かせいただきたい。
大平正芳
72
○国務大臣(大平正芳君) 論議の入り方は
羽生
先生と逆でございまして、祝福された状態というものを形成する素材というものは、これはいまないわけでございます。これは将来の問題なのでございます。将来どういう素材が出てまいりますかということがわからないので、この
内容
を
規定
せよと言われても、私には不可能でございますが、ただ一般的感じ方として、祝福されたような状態と申し上げるその感じ方に
相当
する素材が出てきてれば、というような感じ方でございます。その素材は将来のことでございまして、いまわからないわけでございます。
森元治郎
73
○森元治郎君 差しつかえない限り、次回でもけっこうですが、松井報告ですね、これは大事な報告だと思うので、お差しつかえのない限り報告を聞かしてもらいたい。せっかくあそこら暑いところを回ったのですから、よく聞かしてもらいたいと思うのです。 そこで、国連脱退という問題もこれは一言聞いておかなければならない。国連脱退ということは、だんだんあなたの御答弁は後退してまいりまして、最初は
世界
の大勢がそっちに向いたならば考えると言う。そのうちだんだん、党内でしかられて、
世界
の大勢がそうなっても、かりに入っても、友だちと
——
友好国と相談してみなければならない、よく意見を聞いてみなければならない。そのときの入るときの態様といいますか、形、これもまた考えなければならない。こういうふうに下がってきたわけですね。そうしますと、多数の国が中共
承認
をして参加する。参加ができたけれ
ども
、すぐそれが
承認
にはつながらないよ。代表の
承認
にはつながらないよ。まず一番の強い友好国アメリカとも相談してみなければならない。アメリカがうなずかないというなら、たとえ少数派になっても居残るのだ、こういうふうに下がってきたのですね、大臣は。そこで、こういうふうに下がってきますと、入り方いかんによっては
——
入り方はどういう形になるか、これはわからないけれ
ども
、入り方いかんによって、アメリカも
相当
に強硬なつき上げもあって、しかも国連の分担費も払わないということになってきまして、苦しい立場になったときに、アメリカも重大な決心をする場面も出てくると思うのです。したがって、
日本
も重大な決意をしなければならぬ場面が来ると思うのですが、いかなる場合でも国連は脱退しないというたてまえでお進みになるかどうか。
大平正芳
74
○国務大臣(大平正芳君) 私はたびたび本院におきましても申し上げておりますように、国連の現在の平和維持機構としての本来の機能が十全に果たされておるかと申しますと、必ずしもそう思いません。きわめて不十分、不満足な、状態でございますが、しかもなお、国連が百十三国をメンバーとして、加盟国が一票一票の行使の権限を与えられて、非常にデモクラチックな運営をやられておる。定期的に総会は開かれ、各種の
委員
会が
世界
的に各地で開かれておるという、不満足ながら今日行なわれておる国連活動全体として評価いたしますと、これは
世界
平和の維持にとりまして最小限度ともかく大きな役割りを私は果たしておると思うのでございます。したがって、何としても国連は守らなければならぬと思います。どういう危機に際会いたしましても、国連は守るという方向に
わが国
の外交は進めてまいらなければならぬと思っております。それで、いま森さんが言われた中国代表権問題というのは、まあ
世界
の平和とか、アジアの平和とかということに対して重要な問題ばかりでなく、国連にとりましても非常に重要な問題だと思います。そうしてこの加盟ということになると、国連というものの運営にとりまして
相当
大きな問題を投げるという御
心配
、場合によっては脱退というようなケースが起こり得ないと
保証
できないというような御認識、それほどの重要性を持った、重さを持った問題であるという認識も大体感じとして私も同感でございます。ただしかし、私といたしましては、前段に申し上げましたように、どういう危機に際会いたしましても国連を守り抜くということで
日本
は進んでいくべきだと思います。
森元治郎
75
○森元治郎君 国連を守るのなら外に出て守るわけにいかないので、中におって守らなければいけないので、あくまで出ないということだけは確認できますか。
大平正芳
76
○国務大臣(大平正芳君) 当然のことと思います。
森元治郎
77
○森元治郎君 私の
質問
に、大臣も、そういう危機の場面が国連に来るだろうことも想像されるような御答弁だったと思うのですが、聞き違いであるかどうか。この入り方ですね、あるいは中共を
承認
する、引っぱり込むほうのやり方、態様といいますか、それ次第ではアメリカとしてもメンツもなくなるようなこともあるかもしれぬ。そういうことを想像して私は申し上げたのですが、危機感というのをどういうふうに大臣はとられておりますか。
大平正芳
78
○国務大臣(大平正芳君) 国連憲章前文、国連憲章を貫いている精神等から見ての見方もあると思いまするし、同町に、しかしながら、ユニバーサリティの平和維持のためには生かしていかなきゃならぬじゃないかという議論もあるかと思います。そういう根本的な論議に及ぶ性質の問題じゃないかということはわかるわけでございまして、国連にとりまして
相当
重要な問題になる場合が全然ないとは言えないものだろうと、そういう感じ方はいたしております。
岡田宗司
79
○
岡田
宗司
君 ちょっと関連。 ただいま、国連を守るため、こういうことを言われましたが、これはたいへんけっこうなこと、だと思うのですが、中国の代表権問題を重要
事項
方式に指定された、それの共同提案者になったということは、やはり国連を守るというその立場からそういう
方法
をおとりになったのかどうか、その点をお伺いしたい。
大平正芳
80
○国務大臣(大平正芳君) これは従来たびたび申し上げておりますように、この問題は、アジアの、平和、
世界
の平和にとりましてきわめて重要な問題である。したがって、国連憲章の条章に従いましてそういう決議の提案国になったわけでございます。
岡田宗司
81
○
岡田
宗司
君 そうすると、国連を守るため、端的に言って、そういうことでございますか。
大平正芳
82
○国務大臣(大平正芳君) そのことは、先ほど申しましたように、国連憲章に従ってとっておる行動なんでございまして、当然のことだろうと思います。
岡田宗司
83
○
岡田
宗司
君 そうすると、中国を国連に入れないためのやり方としてああいう方式をとるということになりますというと、中国はやはり国連に破壊をもたらすであろうということを考えておやりになった、こうしかとれないんですけれ
ども
、そういうふうにお考えになってあの重要
事項
指定方式をとられたんでしょうか。
大平正芳
84
○国務大臣(大平正芳君) 重要
事項
であるという決議でございまして、そのとおりお受け取りいただきたいと思うのでございます。
曾禰益
85
○
曾祢益
君 日仏共同声明も出たようでございますが、共同声明は非常に簡単なことしか書いてないんで、大体池田・ポンピドウ会談、それから大平・クープドミュルビル会談で、ただ単に、いまちょっと外務大臣が御
説明
になったように、
日本
の従来中国に対してとってきた政策を
説明
したと、その従来の政策は今日においても変わっていない、また、フランスのほうとしてはなぜ中共を
承認
したか、それは事実がそうなんだからそうしただけで、あとは瞬間と技術的な問題だけだという程度のあっさりしたすれ違いだけであったのか。そうだとすれば、鳴りもの入りでということばはどうかと思いますが、とにもかくにも、日仏間の第二回目のこういう重要な協議、意見の交換としてはあまりにも
内容
がなさ過ぎたんではないか。むろんここで発表できないこともあろうとは思いますけれ
ども
、そう簡単に、単に両方から
説明
し合ってさようならでは、全くコンサルテイション、協議の意味はなさない。したがって、いま同僚各
委員
から御指摘になったような、重要
事項
指定方式の問題もあるいは俎上にのったかどうか知りませんが、少なくとも
日本
としては、フランスの態度にしても、国府との
関係
はどう
ほんとう
に考えているのか、あるいは国連総会において
日本
としてはそういう中共だけに国連の代表権を与えることは絶対反対だ、国府はどうしてもこういう
関係
で残さなければならぬという考えがありとすれば、そういうところまで
相当
突っ込んだ
日本側
の意見というものもお述べになったとわれわれ
推定
するんです。それについて必ずしも意見が合わない。合わなくてもいいと思います。合わなくてもいいんだけれ
ども
、そこまで突っ込んだ討議をしなければ、ただ、そうろう文みたいな、前提みたいな話だけですれ違ったのでは、あまりにもとの
機会
を取り逃がしたような気がしてならない。どういう程度に話を進められてどういう成果があったのか。双方の違いは違い、今後の協議、今後の協力について、特に中国問題、第二には東南アジアにおけるフランスのインドシナ中立化の問題に関して、あるいは東南アジアの共産主義に対抗する有効な手段として軍事方式一点ばりじゃいかぬ。アメリカのやり方がいかぬならいかぬでけっこうです。
日本
の考えとフランスの考え方と接近がどの程度できたのか、できないのか。そこら辺のことは大まかなことをひとつお教え願いたい。
大平正芳
86
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、定期協議をやる以上は、単なる周知の事実を
お互い
に型とおり確認し合うということでは意味がないと思います。共同声明にもありますように、この定期協議ばかりでなく、
政府
間のレベルの協議というものをさらに強化拡大していこう、そうして可能な限りの調和をはかっていこうということが共同声明にもうたわれているわけでございます。そうして、問題によりましてアグリーすることももちろんございます。多くの点にアグリーしましたし、それからまたディスアグリーしたこともございます。しかし一番大事なことは、なぜアグリーしたか、なぜディスアグリーしたか、これが十分論議されなければならぬと思いまして、なぜディスアグリーするかの理由、背景ということについて十分アグリーしておく必要がある。こういう考え方で臨みまして、御指摘の中国問題につきましては、総理会談、外相会談の大半
——
半分以上の時間をそれについてさきまして、くまなく論議をかわしたわけでございます。結論として
相当
の開きがあることはありまするけれ
ども
、フランスの気持ちという点、それから
日本
の考え方というのは、
相当
の深度において私は理解されたと思います。
曾禰益
87
○
曾祢益
君 もう一つ、お話のように両方の意見が合致しない点もあるので、合致しないけれ
ども
同意した、了解し合った、これもけっこうだと思います。同時に、共同コミュニケにもあると言われた可能な限りにおいて協調調整をはかっていこう、これもまあなおけっこうだと思います。したがって、中国問題等についても、少なくとも
お互い
に自由陣営の一員、
お互い
にアメリカとも協力はしているけれ
ども
、少なくとも自主性を貫いていきたい点においても変わらない。
お互い
に現に共産主義に対して屈服しているわけじゃない。そういう点から見ると、フランスの中共
承認
は一つの歴史的流れに沿った新しい方向だとぼくらは考える。ただ同時に、
日本
の立場、あるいは全体から見て、台湾問題を全然無視した行き方というものは適期でない。それならば、そこら辺に関連して、両方でもっと相談し合って、いまのところ、むろん出発点も多少違うし、
条約
関係
も違うし、国の置かれた環境も違うと思いますけれ
ども
、少なくとも自由陣営の
二つ
の柱として、アメリカ、台湾を含めてという意見でひとつ相談し合って、何か自由陣営の意見をまとめようじゃないか、前向きの姿で、というようなところまで今日
内容
はまだできていないにしろ、可能な限りにおける接近を求めるという意味において、そこら辺のところまで話が行っているのか。行っていないにしても、そういう、何というか、望み、展望をお持ちになったのか。それとも、これはとてもだめなんだ、国連における共同行動なんか全然問題にならぬというようなインプレッションなのか、どうなのか。そこを押えれば私はもう
質問
をやめます。
大平正芳
88
○国務大臣(大平正芳君) 私は、単に外交辞令としてだけでなく、
相当
フランス側も満足しておると思います。私は、一番大事なことは、
お互い
にフランクに話し合うことでございまして、何らの留保なく話し合う雰囲気が一番大事だ、それを
キープ
してまいることが一番大事だと思うのでございます。そういう意味におきまして、今度は第二回目の定期協議でございましたが、第一回目より多くの前進があったと思うわけでございます。それから、それ以外の、
政府
レベルにおきまして、まあ大使館レベルの情報並びに意見の交換にいたしましても、よほど緊密になってきております。より緊密になっていくものと思うのでございます。基本は、共同声明にもうたわれておるとおり、平和と正義とそうして自由を達成することを道標としていくんだという基本を踏まえて、そうして
お互い
にフランクに、しかも、緊密に協議し合っていこうという気持ちは
お互い
盛り上がってきておるわけでございまして、私はこの空気は大事に
キープ
してまいりたいと思っております。
佐多忠隆
89
○佐多
忠隆
君 昨晩、南漢宸総裁が来日した。総裁は、今後二ヵ月間くらい滞在をして、そうして
日本
の各方面の方々と意見の交換をしたいということを切望しておるようです。南漢宸氏は、御承知のとおり、中国銀行の総裁であり、中国の
国際
貿易促進
委員
会の主席でもあり、経済人として第一等の人物だと思うのです。その人が各方面の方々とお会いしたいと言っておりまして、少なくとも経済的には日中両国の
関係
を推進をしようとしておられる大平大臣は、この南淡農民とお会いになることが当然であり、また望ましいと、こういうふうに考える。それば、この間、金鍾泌氏が来られたときも、各方面の
人たち
になるべく会って
国際
的な意思疎通をはかることが大臣の任務だとお考えになっておったというような御答弁もありました。そういう心がまえからも、お会いになってしかるべきだし、望ましいと思うのですが、その点をどういうふうにお考えになっておりますか。
大平正芳
90
○国務大臣(大平正芳君) 南漢宸氏御一行が見本市を契機とされて御来日されて、経済界方面とお話しをいたすことはけっこうなことだと私は思っております。 で、
政府
との接触でございますが、私
ども
といたしましては、結論として南漢展氏とお目にかかることを御遠慮いたしたいと思っております。何となれば、国交が結ばれない国との間におきまして、
政府
の
関係
者がお目にかかるということは適当でないと考えるからであります。
承認
国との間におきましては、私はできるだけ、この間も申しましたように、各界の方と時間のある限りお目にかかるというようにいたしております。そのようにけじめをつけていくことが、日中
関係
のためになるのではないかと私は考えております。
佐多忠隆
91
○佐多
忠隆
君 未
承認
国だから会わないという話はおかしいのじゃないかと思うのですが、たとえば韓国の皆さん出力とは、これは未
承認
国であるにかかわらず、お会いになっている。それからまた、日ソの国交が回復するころ、国交回復以前に
政府
の方々が向こうの方々とお会いになったというような前例は、たくさんあるのです。そういう意味で、未
承認
国だから
政府
関係
者は会わないのだというようなことは、筋として通らないことじゃないか。むしろ、少なくとも貿易は促進をしようというお考えであるならば、向こうの財界の代表である南漢宸氏にお会いになることが当然じゃないか、こういうふうに思いますが、いま大臣の言われる会わない理由は、理由にならないと思う。その点どういうふうに思いますか。
大平正芳
92
○国務大臣(大平正芳君) 多少佐多先生に誤解があるようでございますが、国交正常化の前に
承認
ということがあるわけでございまして、ソ連の場合も、韓国の場合も、
承認
はいたしておる。で、正常化が話し合いの途中であるという状態において、あったと思うのであります。中共の場合とは、事情が違うと思うのでございます。中共の場合は、まだ
承認
というところまで行っていない。
佐多忠隆
93
○佐多
忠隆
君 正常化と
承認
の場合は、むしろ、場合によっては、大臣の言われるのとは逆なこともあり得るのじゃないですか。正常化をして、その積み上げの結果、
承認
という最終的な
措置
までやるということもあり得る。
大平正芳
94
○国務大臣(大平正芳君) 論理的にはそうじゃなくて、
承認
というのが先にありまして、それから外交
関係
の設定のお話に入るというわけでございます。たとえば外交
関係
の設定ということ
——
承認
だけかあって、外交
関係
か事実上設定されていない場合、たとえば外蒙なんかの場合もありますけれ
ども
、あなたのおっしゃるように、中共の場合なんというのは、
承認
と国交正常化というものをそんなように区別していくということば、なかなか事実上むずかしいと思いますけれ
ども
、論理的には私は
承認
が先であって、そうして国交正常化ということになっていくものと思います。
佐多忠隆
95
○佐多
忠隆
君 そこのところは意見が違いますが、それは意見として違ったままにしておいても、かりに国交の正常化が行なわれていない、あるいは
承認
が行なわれていないという場合であっても、だからといって、
政府
の者が相手国のいろいろな人と話し合いをしてはいけないということはないのじゃないか。これまでの、たとえば日ソの国交回復の場合でも同じだったと思うので、
承認
をしていないから、国交が正常化していないからわれわれはく会わないのだ、こういうことは筋が通らないじゃないか。そういう態度を固執されるということは、少なくとも貿易の
関係
は進めようというお考えならば、進んでそういう点は突き破っていかれることのほうがいいんじゃないかと思いますが、どうですか。
大平正芳
96
○国務大臣(大平正芳君) これはまあ考え方だと思うのでございます。私は、冒頭に申しましたように、貿易の
関係
が促進されることはけっこうなとでございまするし、そして、それは、民間レベルでやるというたてまえをとっておりますので、民間の方々とお話し合いをいただくことは、けっこうなことだと思っておるわけでございます。で、事
政府
となりますと、まあかたいことを申し上げるようでございますが、ちゃんとしたけじめをつけてお目にかか石ということにするのが礼儀だろうと思っておるわけでございます。
佐多忠隆
97
○佐多
忠隆
君 もう一つ。けさ松村使節団が中国にお立ちになったようでありますが、これに対して、
政府
のほうでは、どういうことを期待をしておられるのか、どういうことをやってくるというふうにお考えになっておられるのか。その点をお話し願いたい。
大平正芳
98
○国務大臣(大平正芳君) いま、国交がない状態でございますが、日中の間に人の行き来があり、それぞれの立場につき、それぞれの事情について理解が進むということは、けっこうなことと思うのでございます。特に、松村謙三先生のような方が先方に行かれるということは、理解の増進におきまして裨益するところがあるだろうと思います。
黒川武雄
99
○
委員長
(
黒川武雄
君) それでは、本一日はこの程度で散会いたします。次回は、四月十四日午前十時でございます。 午後零時三十三分散会
——
——
・
——
——