○曾祢益君 私の申し上げたのは、もう少し幅が広いことを申し上げているつもりなんであって、確かに
トンキン湾における
アメリカ海軍と
北ベトナム海軍との交戦が二回起こり、
状況がどうであったか、公海上であったかどうか、いろいろ問題はあるにせよ、確かに両
海軍に交戦
状態が二度起こり、次いで
アメリカの沿岸に対する報復措置がとられた。これは一応一回限りの措置のようでございますが、私はその措置そのものに対する
事件不拡大、これはむろんそのとおりでなければならないのでありますが、問題は極東の平和と安全と、それから、
日本が
アメリカに
基地を貸している以上、
日本の平和にも関連するインドシナの不安定な
事態、これに対して
日本の
考え方はこうであるということを、
アメリカにも、また、国連等の場面で世界にも、はっきり打ち出しておくことが必要ではないか。ただ
アメリカから今度の報復措置についての報告を受けてそれに対して不拡大の希望を申し述べておいた、第四条の
協議をやっておりますというのでは、どうもそれこそ何といっても事後の
——六菖十菊の感なきにしもあらず、したがって、そういうことでなくて、ただ私
ども日本人が在日
アメリカ軍の
出動だけを気にしているのも、これは一応無理からぬ点はあるけれ
ども、おかしいのである。やはり、
日本としては、東南アジア、インドシナの
事態に対してこう
考える。たとえば、一方においては、
アメリカの、特に大統領選挙を前にして、こういう問題で非常にはでな
軍事行動をとるというような傾向もあるとするならば、こういうことに対する今度の
行動だけでなくて、そういうことに対する
事件不拡大の警告は、これは私は必要だと思う。同時に、
戦闘というものは、一方だけで起こるのでなくて、いかなる理由にせよ、
北ベトナムの
海軍が交戦したという事実もあるのでございまして、
アメリカの
軍事行動だけを非難するというやり方は、私は正しくない。であるから、両方に対して軍車
行動を差し控えろと言う
態度が、当然なきやならない。であるから、この間の報復
行為が一回限りだ、それで
事件不拡大だと言って安心しているのでなくして、やはりインドシナの危険な
事態をどう緩和していくかということについての
日本政府の方針、希望というものがなきやならぬのではないか。一つは、
アメリカに対し、並びに
北ベトナム及び中共に対する
事件不拡大、
軍事的介入は差し控えろという、こういう
日本のきちっとした申し入れが第一必要なのではないか。
第二には、その
事件不拡大の方針とともに、やはり結局は
軍事行動だけでこの
事態を解決するわけにはいかないはずである。したがって、 いかなるかっこうかで、
国際的な
関係国を中心とする
国際的な会議等の話し合いの場を持って、やがては政治的解決に向けなきゃいけない。その場合に、いわゆるジュネーブ十四カ国会議がいい、あるいは国連がいい、いろいろな
考え方があると思います。いずれにしても、国連の場を通ずるか、あるいは直接でもいいから、やはりこの
関係国の会議によっていわゆる政治的解決をもたらす、こういうことが必要じゃないか。ただその場合に、いままでのラオスの例かち見て、あのような、いわゆる停戦の監視
委員会みたいなものでは、実際上中立なり独立の保障というものは守られておらない。したがって、会議を開くのはけっこうであるけれ
ども、会議のねらいであるインドシナ三国
——あるいは
ベトナムだけでもけっこうでありますが
——の中立なり独立なりをどう有効に保障するのかという、そのことを十分に
考えたような
国際会議が開かれて、いわゆる単なる口約束だけでなくて、りっぱな中立保障、独立保障が得られるということが必要ではないか。
第三に、われわれはこの東南アジアの諸国、インドシナの三国が次々に一つ一つ共産圏におちいっていくということに対してわれわれは無関心であってはならないと思う。われわれは、そういうこと
——軍事行動を防止するとともに、将棋倒し的に東南アジアの諸国が共産圏に繰り入れられていくような
事態を、
軍事行動によらずして、どう防いでいったらいいか、ここにやはりポイントを置いていかなきゃならない、かように
考える。ですから、
国際会議による狛江の保障けっこうであるから、有効な保障を得るように努力する。
いま一つは、そういう当面の危機解消の方策だけでなくて、もっと抜本的な東南アジア諸国に対する援助というものが、あるいは東南アジア諸国における危険な
事態を防止するために、もっと抜本的な策が必要ではないか。こういう恒久策というものを
考えていく。
その第一の恒久策は、これは私はこの間の世界貿切開発会議にあらわれたように、また、池田総理大臣のみずからの提案によって
日本みずから提案したように、
日本の
国民所得の一%ぐらいは後進国の開発援助に向けていくんだ。そういうような後進国、特に中共の周辺における不安定な国々に対する経済、社会の援助計画というものを進めて、このことによって
——軍事力によるのではなくて、政治によって、経済、社会的な進歩によっていわゆる共産化というものを防いでいくということが第一のやはり基本的政策でなければならぬ。
第二は、基本的政策とまで言えるかどうか知りませんが、先般ソビエトから提案がございまして、いわゆる国連の常設的な警察軍というものをつくってはどうか
——これは何もソ連が言い出しっペではなくて、御
承知のように、むしろスカンジナビア諸国なりカナダのような、中立ないしはいわゆる中小国側が、まあ大国のにらみ合いの場合に、そこにピンチ・ヒッターとして、火消し役として、コンゴやなんかでやっているように、そういう大国でない国連警察軍を随時つくったことから
考えまして、そういうものを常設したらどうか。私はソ連の言っていること自身、なかなかソ連らしい少し虫のいい点もあって、中小国でつくらせるけれ
ども、安保理事会の
もとに置いて、それで拒否権をふるうということはどうかと思いますが、いずれにしても、これらの問題について国連の安保理事会の
もとがいいか、あるいは総会の
もとがいいかは別といたしまして、そういうものをつくって、そして、たとえばインドシナで何らかの
国際協定ができるという場合に、一つの、いわゆる相対立している
軍隊を引き離し、そこに火消し役を置いておくという意味で
国際警察みたいなものをつくるということを
考えてはどうか。
日本がこの問題にどう取り組むかということについては、いろいろ
国民感情その他の問題があります。これは将来の課題ではあるけれ
ども、そういう方向の警察部隊を設置するということについては、ひとつわれわれがもっと積極的に
考えたらどうか、こういうようなことを私は
考えるのであります。たいへんこっちばかり言って申しわけありませんが、要するに、一つは随時
協議というものも、これまた
アメリカの一回とってしまった措置に対する
通告に終わっているのではなくて、インドシナの
事態は確かに極東の平和を脅かし、
日本の平和を脅かす
事態なのであるから、その
状態をどう緊急に平静におさめていくか。
軍事行動を慎み
国際会議に持っていく。
国際会議で何をねらってやっていくかということと、いま私が申し上げたような根本政策ということについて、
日本の
政府として、
外務大臣としての一つのはっきりした方針を内外に示していただきたいという意味で申し上げたわけです。御意見を伺います。