運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-03-27 第46回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十七日(金曜日)    午後一時二十分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     向井 長年君    理事            丸茂 重貞君            小林  武君            松澤 兼人君    委員            上原 正吉君            江藤  智君            源田  実君            白井  勇君            鈴木 一司君            平島 敏夫君            山本  杉君            横山 フク君            浅井  亨君   国務大臣    国 務 大 臣 佐藤 榮作君   政府委員    科学技術政務次    官       鹿島 俊雄君    科学技術庁長官    官房長     江上 龍彦君    科学技術庁振興    局長      杠  文吉君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   参考人    東京大学教授  小谷 正雄君    三菱造船株式会    社技術管理課長 古賀 晴人君    日本電業工作株    式会社資材部長 中村 修一君    国立国会図書館    長       鈴木 隆夫君    日本科学技術情    報センター理事    長       丹羽保次郎君    日本科学技術情    報センター常務    理事      三輪 大作君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本科学技術情報センター法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 向井長年

    委員長向井長年君) ただいまより科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  前回に引き続き、日本科学技術情報センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、参考人の御出席をお願いいたしておりますので、初めに各参考人から御意見を聞かせていただくことにいたしたいと思います。  私から参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人皆様方は非常に御多忙中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。当委員会といたしまして、ただいま審査中の日本科学技術情報センター法の一部を改正する法律案について、皆様方の忌憚なき御意見を伺いまして参考といたしたいと存じております。何分よろしくお願いいたします。  審査都合上、まず参考人よりお一人が大体十分程度で御意見を述べていただきまして、終わり次第、委員質疑にお答えをいただきたいと存ずる次第でございます。なお、小谷参考人は時間の都合もございますので、先に小谷参考人より御意見を拝聴いたしまして、そして質疑が終わって順次進めたいと思いますので、御了解願いたいと思います。それでは小谷参考人にお願いいたします。
  3. 小谷正雄

    参考人小谷正雄君) 私小谷でございます。きょう伺いましたのは、日本科学技術情報センター法の一部を改正する法律案について意見を申し上げるわけでございますが、私申し上げますことは、その法律案に非常に密接に結びついているかどうか少し確実ではないのでございますけれども私大学におりまして、それからまた学術情報科学情報の問題に関心を多少持っており、またFIDと称します国際組織などにも関係しておりますので、そういう観点から、日本科学技術情報センターで行なっておられます情報サービスという問題が非常に重要であることを、かねがね感じておりますので、この機会に私の思っておりますことを、二、三申し上げまして御参考に供したいと思います。  皆様方御存じのように科学進歩に応じまして、研究の結果出てまいります業績、これは大体文献の形をとるわけでございますが、この数は年を追って非常に急激に増加してまいります。部門によって違いますが、大体十年というような程度文献の数が倍くらいにふえてくるわけでございます。科学技術は、こういう過去の成果の上に積み上げられていくわけでございますが、このつくられました、新しい結果、成果すなわち情報、これを十分に適宜に適当なところに利用する道が講じられませんでしたならば、科学技術進歩がそこで支障を来たすということは容易に考えられることでございます。で、以前の時代におきましては、学者研究者は個々に自分で過去の情報を調べるというようなことは大体できたわけでございますけれども、今後二十年、三十年、数十年の期間というようなことを見通してまいりますと、そういうことがほとんど不可能でございます。研究者がもしそういうことをしますと、ほとんど全部の応問を文献を調べるというようなことに使わなければなりません。で、そういうことを解決いたしますのは、組織的な情報サービスということが考えられなければならないわけでございます。科学技術振興ということが、現代におきまして国の負うべき大きな責任であるといたしますならば、その一環といたしましての情報サービスを円滑に行なうような組織をつくるということは、まさに国が考えなければならない、国家的にその責務を負担しなければならない重要な項目であると考えるわけでございます。この科学技術情報サービス、その情報の問題は非常に複雑でございまして、情報を、研究によってつくっていくところから、それを発表し、その発表されたものがいろいろ処理されまして、そして必要とする研究者なり技術者なり、そういうところに適宜に適切な情報が得られるようにする、それは全体として非常に複雑な問題でございまして、これに関していろんな研究国際的会議どもたびたび開かれているわけでございまして、また、これには研究者も、それから技術者も、それからまた国家も、それからまたこの方面の教育を受けました特殊の、いわゆる科学情報技術者、そういう全体のコオペレーション、協力によって行なわれなければならないわけでございます。きょう問題になっております日本科学技術情報センターの、その中で演じる役割りというのは非常に大きなものであると考えます。で、科学技術情報センターでは、御存じのように、その一番大きな仕事といたしまして、日本語抄録誌を出しておいでになります。これはかなり多くの部門に分かれまして、最近の世界、特に海外の文献の非常に簡単な抄録を出しておられるわけでございますが、これは日本におきまして組織的につくられている世界文献抄録のほとんど唯一のものであると存じます。これが十分利用されるような形で出され、研究者に対して適切な道具になることが非常に望ましいわけでございますが、われわれから見まして、なおその抄録作成の点につきまして、幾つか要望したい点もあると思うわけでございます。一つには、取り扱われておりますフィールド分野が、科学技術の全分野をおおっているというわけには、いまのところいっていないと思います。たとえば科学技術と申しましても、現在は非常にいろんな範囲が入り組んできておりますので、たとえば生物学とか医学とか、そういうような方面でありますとか、現在まであるいは農学でありますとか、そういう部門も関連して入ってまいります。そういうような科学技術の全分野に対しまして、抄録誌が得られることは、日本として非常に必要であると存じますが、これはもし別の組織がつくられないのであるといたしますと、この日本科学技術情報センターで取り扱っていただくのが適当であろうかと思うわけでございます。フィールドの点と、それから現在出ておりますのが、やはり論文が雑誌に出ましてから実際にその科学技術情報センター抄録が出ますまで数ヵ月の期間のおくれは避けられないようでございます。この点は、伺いますと、もっと所内の人員等の充実がなされますならば、そのおくれを二ヵ月ぐらいは減すことができそうでございますが、とにかくこの科学技術情報センターで出しておられます抄録は、速報的な意味を多分に持っておると思いますので、この発行がおくれるということは非常に致命的な問題になると思いますので、そのネックになっておりますところを解決いたしまして、できるだけ早く抄録が出るということがたいへん望ましいと思うわけでございます。そういう速報という面と同時に、それが毎号が積み重なりまして、そして過去に出ましたものを容易に索引する、引き出すことができますような、完全なインデックシング、索引のシステムが用意されることが必要であると思いますが、この点については、なお改善の余地があるのではないかと存じます。それからもう一点は、実はこの科学技術情報センターで出しておいでになります抄録類が、大学等においてはわりあい利用されていないような傾きがございます。もちろんこれは大学研究者はその自分分野自分文献を調べるというようなことが多いわけでございますが、文献の激増とかいろいろの今後の問題を考えますならば、やはり大学研究者ももっと抄録誌にたよらなければならない点がふえてまいりますが、そういう面に関しましては、大学等研究者要望をも聞いていただきまして、同時に、またこれが大学のほう、研究者のほうにあまり抄録存在が周知されていないという傾きもあるのではないか、私理学部におりますので、あるいは工学部等におきましては、もっと利用されておるのかとも思いますが、理学部等方面ではあまり利用が十分でないというふうに思われます。この点、周知方等もお願いしたいわけでございます。  なお一言つけ加えさしていただきますならば、こういう科学技術情報センター情報サービスが、今後改善されます上に、いろいろのことが必要でございますが、一つには基礎的な研究、それは機械化等をも含みまして、基礎的な研究が十分行なわれますように、科学技術情報センターが、研究方面分野を持たれるか、あるいは別に、その情報の問題に対する研究の施設をつくるか、何か基礎的な研究が、これに伴って行なわれなければならないというふうに考えるわけでございまして、ソ連等におきまして、こういう方面に非常に力を入れておりますが、わが国におきましても、これにおくれるというようなことがないように、基礎研究の面においても、国として力を入れていただきたいと思うわけでございます。では簡単でございますが……。
  4. 向井長年

    委員長向井長年君) 小谷参考人質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  5. 松澤兼人

    松澤兼人君 たいへん先生お急ぎのようでございますから、簡単に二、三お尋ねしたいと思います。  実は先生お話を承らない前から、大学においてこの情報サービスというものが、どの程度まで現実利用されているかというところに、多少私疑問を持っておりましたので、御質問申し上げたいと、こう思っておりましたところ、先生から、大学方面ではあまり利用されておらない、特に先生が所属されている理学部方面では、ほとんど利用されていないんではないかというお話を承ったわけであります。これはその原因として、提供される情報サービスというものが、現実大学等における研究に適合していないということであるのか、あるいはまた、このサービスを受ける場合に、相当の金額も必要だと思うんですが、そういう金銭的な、あるいは財政的な関係から利用されないのであるか、何が利用度の少ない中心原因であるかということをお聞きしたいと思います。
  6. 小谷正雄

    参考人小谷正雄君) 御質問の点につきましては、おそらく工学部ではもっと利用度が多いのだと思いますけれども理学部は、わりあいに少ない実情でございます。それに対しましては、いま御質問にございました、その経費がかかるという点、これが確かに一つあると思います。  それからもう一つは、わりあいそういうサービスが周知されていない。抄録が出ている、それから問題に応じて情報の回答が得られる、あるいは翻訳を頼んで翻訳をつくってもらえる、そういうことのインフォーメーション、そのこと自体情報が、あまり伝わっておらないということが一つあると思います。それから理学部特殊性といたしましては、非常に学問が細分化しておりまして、そして世界中でいって、その方面の同じ専門学者の数は、わりあい限られている、そういう部分では、わりあいその学者自身が、自分情報を集めているというケースが多うございまして、これは将来は、そのままでは続かないと思いますけど、現状までのところでは、あまりそのサービスにたよっておらないというような伝統的な傾向がございます。大体そのように思います。
  7. 松澤兼人

    松澤兼人君 それでは、先生は、特に理学部に所属されておられて、その研究という立場からいって、情報センター情報サービスというものは、あまり利用されていないというお考えをお持ちなんですが、他のほうでは、利用されているかどうかわからないと、こうおっしゃるわけですね。
  8. 小谷正雄

    参考人小谷正雄君) ええ、工学部ではもっと利用されていることは確実だと思いますけど、いま具体的な数字を持っておりませんです。
  9. 松澤兼人

    松澤兼人君 三点にわたって情報センターに御要望があったわけでありますが、中心の問題としては、医学部関係からいえば、医学であるとか、あるいは生理学であるとか、生物学であるとかというようなものが現在ではセンターとして十分に集められてもいないし、またそれが抄録されてもいないということに、一つの大きな原因があるようにも考えられますが、そんなようなことなんですか。
  10. 小谷正雄

    参考人小谷正雄君) そのとおりでございますが、特に理学部の中には、たとえば天文学でありますとか、非常に特殊なものが含まれておりますので、そういうところでは、一体日本語抄録誌というのが必要であるかどうかということも問題でございますが、それで、たとえば物理学のような——私、物理学でございますが——ところでは、日本語抄録誌が必要だと思いますが、これは物理学自体研究者に対して持っている意義はもちろんあるわけでございますけれども物理学がその応用技術方面とか、大学の中での工学部とか、そういうところに応用される場合のほうが、よりその抄録誌の効力といいますか、意義といいますか、それはやはり大きいと思われるわけでございます。そういう意味純粋化学基礎化学専門研究者が、たとえその抄録誌に対して非常に強い要求を持たない場合でも、応用化学のほうから見まして、基礎化学成果抄録誌というのは、私たいへん意味があるものだと考えております。
  11. 向井長年

    委員長向井長年君) 小谷参考人には貴重な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。   —————————————
  12. 向井長年

    委員長向井長年君) 次に、古賀参考人にお願いいたします。
  13. 古賀晴人

    参考人古賀晴人君) 私、三菱造船本社技術部におります古賀と申します。  今回改正案が出ておりますが、私、法律そのもののことはよくわかりませんが、民間企業一つとして、情報センターをどう利用しているか、また、どういう期待情報センターにかけるかというようなことについて申し上げたいと思います。  日本国内情報活動とか情報サービス重要性というものが、戦後盛んに叫ばれてまいりましたが、具体的の形になってあらわれましたのは、民間企業とも、ちょうど情報センターの発足と同じような時期に発足しております。私ども会社でも、全社的に組織立った情報活動情報サービス活動をしようという動きが、組織の上にもあらわれましたのは三十三年でございますから、ちょうど情報センターが止まれたときと同じ時代でございます。そのときに、私たちが、社内にこういう組織を張りめぐらす、そういう活動を始めますその活動のスケールといいますか、行動範囲、そういうものに対して一年以上もかけていろいろ検討いたしましたが、現在その結果によって活動を続けております。  ここでひとつ特に申し上げなくてはならないと思いますことは、われわれ民間企業でこういう活動をする場合に、その前提といたしましたものは、情報センターにできるだけたよる、そういう前提で、われわれは会社の中の活動を開始したわけでございます。ですから、われわれが情報センターにたよるといいますか、期待するということが、非常に大きいわけなのでございますが、時間がございましたら具体的に数字申し上げたいと思いますが、そういうようなことで現在までに至っております。そうしてこういう情報提供分野仕事というものは、民間企業体の中におきましても、ますますそれに期待する要求というものが大きくなっております。それは、いまも小谷先生から最初にお話がありましたように、最近の科学技術の異常な発展といいますか、その速度の早さからいきまして、従来のような落ちついた研究室での研究というものが、民間企業となりますと、これは全部商売につながるものでございまして、その商売とテンポが合わなくなるというようなこともございまして、世の中にあるわかっていることは何でも利用して、その上にものを築き上げるということになりますので、この情報というものの価値がますます高く評価されてまいります。それに従ってわれわれの情報センターに対する希望なり要求というものは、ますます強くなってくるということでございます。そうして数字的に例を申し上げますと、三十三年われわれのほうがスタートしたときと現状と比べますと、情報センター利用度——利用度と申しますと、情報センターで持っているいろいろな資料なり何なりをわれわれが利用するという意味のその利用度は、十倍以上、二十倍近くなっております。ということは、これは考えようにもよりますけれども情報センターがこの五、六年の間に二十倍近い成長をしたというふうに考えるわけにはいかないと思う。その一番大きな理由は、企業体の中の第一線に働く技術者研究者というものが情報センター利用すると得だという思想がだんだん末端にまで知れわたっていった、そして情報センターから発行するいろいろのもの、そういうものを極力利用して、自分が勉強するほんとうに有効な時間というものを少しでもふやそうというようなことで、情報センターというものの様子がわかるにつれて、そのたよる度合いというものが大きくなっております。ですから、今後そういう思想はますます企業体の中で広がっていくと思いますが、それにつれて、同時に、情報センターに対する要求というものはますます強くなってまいるわけです。現在でも情報センターに対していろいろな不満なり改正してもらいたいというような事項もございますが、これを一言で申し上げますと、情報センターは、ますます強くなってくれ、こういうことで言えると思います。まあ情報センターがますます強くなってくれなくて、企業体にかかる荷というものがその割合にふえてまいりますと、各企業体とも情報センターに似たような動きをしなくちゃならなくなる、そうすれば、こういう大きな活動というものは、とうてい一企業あたりでまかなえるものではなくて、そのために非常に大きな負担がかかるか、それともその負担をいやがってやめてしまうことによって、いまの技術進歩というものにだんだんおくれていくか、どちらかの形になると思いますが、そういうような意味情報センターの強化ということが、われわれ第一に望まれることでございます。  まあ雑誌の例を一つとりましても、普通われわれ程度企業でございますと、大体三百から四百種類ぐらいの雑誌——定期刊行ですが——読んでおりますが、情報センタに参りますと、その十倍のものがございます。結局われわれとしては情報センター利用することによって、われわれが買うことのできない雑誌まで利用することができる。非常にいま経費の問題もありますが、われわれは非常に安く利用できるというふうに考えております。まあ世界的に科学技術関係のいろいろな雑誌類を申し上げますと、先ほどお話がありましたように、科学技術という分野がいろいろな分野と交錯してまいりますので、おそらく各国で発行されている文献というものは、情報センターが持っているものの十倍あると思います。ですから情報センター世界中の一割を持っている、われわれは情報センターのまた一割を持っているというのが現状じゃないかと思います。そういう意味においても、情報センターの一割という数字をなるべくたくさん上げていっていただきたいと思います。  それともう一つ、これは日本国内の特殊な事情になると思われますが、日本国内情報活動様子を見ますと、われわれ末端企業と、それから国の中心になる情報センターが、結びついているというか、われわれ中小企業の上に乗っかっているのは情報センター一つ、その中間の段階がないという一つの問題がございます。たとえば欧州とかアメリカの例を見ますと、その中間にたとえば同業者の組合であるとかという強力なものが存在しまして、中間的な情報サービスをしておりますが、日本国内ではそういう存在というものがなかなかむずかしいと申しますか、まあ国内における同業者間の争いというものもございますし、なかなか同業者だけが力を合わせるというようなこういう活動に協力するという問題も、いろいろ商売上の関係もあって、むずかしい問題があります。そういうものの存在がなければ、一気にわれわれの末端企業から情報センターと結びつける、そのためには情報センターそのものを強化するということも非常にむずかしい問題もあると思いますが、われわれにとっては非常に必要であるというふうに考えます。特に欧州のようにEEC的な思想情報活動にまで全部及んでおりますそういう例を見ますと、日本情報センター活動範囲の広さ、むずかしさということは一応うなずけるのでございますが、われわれ利用する側といたしましては、ただうなずいているわけにはいかなくて、要求は幾らでも出すというのが現状でございます。  一応大ざっぱな情報センターに対する期待を申し上げましたが、あとは、まあ御質問があれば、こまかい数字のことは時間の関係もございますから、その点、御質問に答えたいと思います。終わります。   —————————————
  14. 向井長年

    委員長向井長年君) 次に、中村参考人にお願いいたします。
  15. 中村修一

    参考人中村修一君) 私ただいまお呼び出しをいただきました中村と申します。日本電子工作資材部につとめております。  先ほどから学者的あるいは大企業の方からの御意見がありましたが、私の所属する会社は非常に小さな会社であります。むしろ小企業よりもっと小さい零細企業でございますので、ここに数字をおこがましく出して申し上げるほどの大きな利用はいたしておりませんが、私なりに考えますと、私が会社予算を預かるようになりまして、外国誌は非常に高価でありますので、できるなら必要最小限度にしたいという点から、科学速報利用することを決心しました。十冊近い外国雑誌を取っておりましたのが、現在ではこれを、ほんの必要な四冊にしぼるということができたということは、小さい企業でありますと、予算の点から見ましても、できるだけ出すのを少なくして利益を追求したいというのは、もう皆さん御存じのとおりでありますので、外国誌を最小限の四冊にしぼれたということは、会社の金銭上からいきましても、いかに速報をありがたく利用しているかという一つお話になると思います。  それから私ども会社では、調査あるいは文献複写というようなことは、大企業に比べますと、はなはだ少なくありまして、月間にせいぜい文献複写は五点ぐらい、調査は多い月もありますが、平均しますと、一点あったりなかったりというような状況でありまして、非常に少ないのでありますが、内容的には全面的にこの速報利用さしていただきまして、予算の面もありますために、全部の複写をお願いできない、全部の調査をお願いできないというところは、この実際の担当者が図書館に本を見に行くというような状況にまだなっておりますが、行く行くはそういう時間も省いて予算の許す限りで、もっともっと利用したいというのが念願であります。  あと科学情報センターに対して希望事項がありますので、それを二、三申し上げて私の責任を果たしたいと思います。科学情報センターから出される速報は、現在のところ各国にわたります外国文献がほとんどでありますが、できるだけ国内文献も入れていただきたいという希望を持っております。それと同時に、何と申しましても科学情報センターの設立はまだ日が浅いのでありまして、これ以上前にさかのぼって文献を調べようというときに非常に不自由を感ずるのであります。こういうために、既往にさかのぼってこういうものを整備されればそれにこしたことはありませんが、現在、整備あるいは発行に対しても全力を注いでおられるのに、過去のことまでやっていただけるとはちょっと思えない状況でありますので、できれば古いバックナンバーのものを科学情報センターにそろえていただきたいということの一つ念願を持っております。古いバックナンバーは、私は実は専門が化学でございまして、化学のバックナンバーはどこが持っているということは、私が過去二十年間研究しておりました関係で大体存じておりますが、いまの会社の性質として、電気とか特殊物理とかいうようなものに対しての文献の資料をさがすのに実は非常に困っておるのでありまして、それにつきまして科学情報センターが古いバックナンバーのものをそろえると同時に、それの国内の所在のひとつリストをつくっていただけたらば、私どもは非常に助かるのではないかと考えております。ちょっとここで一例を申し上げますと、化学のほうではこういう「化学文献所在目録」というのがありまして、この本はどことどこが持っておる。たとえばケミカル・アブストラクトでいうと、一九〇七年から現在に至るまで持っておるのはどことどこということがこれだと一目にわかります。電気、機械とかその他の部門においてもぜひこういう索引をつくっていただきたい、こういう希望を持っております。  それから私どものような小さいところ、あるいは私ども会社の下請というようなところは、基礎的研究でなくて、実際あった研究をどういうふうに利用して現在を進歩さぜるかということで頭が一ぱいでありまして、そのためには文献を拝見したいということが痛切になります。とりあえず自分の要る文献だけは複写していただくが、はたして内容が自分のところの商売に要るかどうかということを知るためには、本をのぞかしていただくということが重大なことになってまいるのでありますが、現在の情報センターの施設では、図書の閲覧の設備というものが、まあ端的に申せば、非常に不完全であります。あれをもっと拡充していただきまして、図書閲覧の設備までできるようなところにしていただきたいということを考えております。昔は私ども図書館に行きますと、筆記で写すかタイプライターをさげていって自分でたたいて写すかということでありましたが、タイプライターでたたきますと隣近所の人にうるさいので、朝早く行くとか夕方おそくなってから出してもらうというような状況であります。現在はポータブルの複写機もあるような状況でありますから、ひとつ特殊なもののごく一部分の数字などは、私どものような小さい会社から行って複写もできるというような設備のいい閲覧室、図書室というものを非常に希望してやまないものであります。概略申し上げました。   —————————————
  16. 向井長年

    委員長向井長年君) 次に、鈴木参考人にお願いいたします。
  17. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) 私のほうの科学技術関係資料の収集と利用がどういうふうになっておるかということについて主として御説明申し上げたいと思っております。  申し上げるまでもなく、国立国会図書館は、内外の諸文献を広く集めまして、国会はじめ行政及び司法の各部門はもちろんのこと、一般公衆の利用に供することを使命として設けられ、これがために内外の資料の納入とか購入とか寄贈とか交換とか寄託等の方法によって、つとめて網羅的に収集し、その収集資料の効果的利用のために目録とか索引の作製につとめてまいっておるわけでございます。  また調査研究に必要なあらゆる情報を収集し、職員みずからもまた常に専門的知識の涵養につとめまして、国会並びにその他の利用者の調査研究に資することをもって創設以来今日までの最大の任務といたしておるわけでございます。したがいまして、科学技術資料の整備につきましても、この線に沿って努力をいたしてまいったのでありますが、昭和二十七年の六月に、衆参両院の図書館運営委員会におきまして「産業技術上における有用性が世界的に認められているPBリポートを国立国会図書館において整備し、一般の利用に供するようにし、政府もまたこれに必要な予算上の措置を講ずることを要望する」というような決議が行なわれました。そこで当館といたしましては、PBリポートの整備につとめますとともに、国内における科学技術資料の画期的収集をはかり、また、その利用を促進するために雑誌記事索引の刊行を試み、さらに海外における科学技術関係の資料の収集に必要な調査をも実施してまいってきております。  次いで、科学技術振興ということが国策として重視されるに及びまして、行政各省庁間においてもこれに伴う諸計画が進められるようになりましたが、科学技術に関する情報の提供について、関係各機関の業務の調整の必要が生じまして、ことに、ただいまここに議題になっております科学技術情報センターの設立をめぐってこのことが痛感され、関係各機関当局の間で協議決定された点は、「将来設置される情報センターは、科学技術に関する図書、雑誌については国立国会図書館のものを利用し、やむを得ないものを除いて収集の重複を避ける」ということでありました。また、昭和三十二年の一月には衆議院の議院運営委員会におきまして「科学技術関係文献整備に関する決議が行なわれましたが、その要点は、「一、科学技術関係文献は、国立国会図書館に集中統一的に収集し、各省庁及び関係研究機関はこれを利用すること。二、国立国会図書館は、右の使命を達成するために必要なる文献を収集し、これが活用に必要なすべての措置を講じ、わが国の科学技術振興の目的完遂につとめること。」ということでございました。また、同年四月参議院の商工委員会及び同年五月の参議院議院運営委員会におきましては、科学技術関係資料の収集及び利用について、わが国のとるべき方針並びにその体制等について熱心な討議が行なわれまして、国立国会図書館に対しましては、「内外の科学技術関係資料並びにこれに関する情報をつとめて網羅的に収集し、その利用については、研究機関、研究者を初め広く一般国民を対象として迅速適確を期するように」との御要望があったのであります。また、同年に制定されました日本科学技術情報センター法の第二十四条には「情報センターは、その業務を行うに際しては、できる限り、国立国会図書館その他関係機関の文献及び資料の利用を図るほか、関係機関と緊密に協力しなければならない。」という規定も設けられております。  右のような経過を経まして、当館では国会の強力な御要望と御支援のもとに、大蔵省と予算の折衝をいたしました結果、昭和三十六年度を初年度とする科学技術関係資料整備三カ年計画が認められまして、昭和三十六年度に八千七百五十万円、三十七年度に一億一千五百万円、三十八年度に一億二千万円の科学技術関係資料購入費が計上され、さらにこの間、人員につきましても六十名の増強が行なわれたのでありました。当館では、この予算的裏づけによりまして、現在次のような種類の外国資料を保有するに至っております。  その概要は、関係分野の基本的文献及び参考図書等のほかに、PB及びADリポートが十七万件、航空宇宙関係資料が一万三千件、外国官庁の出版物が四千件、主要外国の学位論文一万四千件、ソ連圏文献英訳リポート五千件、特許抄録が五種、それから工業規格が五種、それから科学技術関係雑誌が一万種、その他各国原子力関係資料が八万件でございますが、これがおもなものでありまするが、これらのものは購入によるほか、アメリカの原子力委員会、国際原子力機関、あるいはカナダ政府、世界保健機構、ランド・コーポレーション、国際連合、ヨーロッパ共同体等の寄贈または寄託によるものが多量にのぼっております。これらの収集資料の迅速適確な活用をはかるため、書誌類としては「原子力資料月報」、「技術文献ニュース」等の月間速報を初め、各種の目録を刊行して全般的広報につとめ、これらを学界、産業界等に配付いたしております。  このような目録や書誌類の刊行、広報等によって、利用は逐年増大いたしまして、雑誌を除き、PBリポート、ADリポート等の特殊資料の複写が、現在では年間約百十万ページ、閲覧者が一万五千人、貸し出しが一万六千件にのぼっております。複写の件数のごときは、十年前においては年間約十万ページにすぎませんでしたが、これに比べますと、今日では約十倍余りに増加しているわけでございます。また、地方における科学技術資料の利用、ひいては産業開発に貢献するために、全国十カ所に地区科学技術資料館を設けまして、当館から複写資料を貸与いたしております。  昭和二十七年から本年度末までに科学技術資料の整備及び利用のために充て得ました経費は六億九千百三十四万円で、これに三十九年度の一億一千二百九十六万円を加えますと、全体では八億円をこえ、七十八名の職員が二の業務に現在は従事しておるわけでございます。利用につきましては、さきに述べましたように「研究者及び一般公衆に対して公開によって広くかつ迅速適確な奉仕をすること」をモットーといたしており、この点、専門家ないしは事業体等を対象とした有料制による情報の提供を主とする他の機関あるいは一機関関係者のみの利用を原則とする奉仕体制とは大きな違いがあるわけでございます。したがいまして、この分野活動におきまして、他の機関との間に、ことに情報センターとの間にむだな重複や摩擦は起こらないものと考えております。しかし、周知のように科学技術進歩が著しく、関係資料の増加は量、質ともに驚くべき勢いであり、これらのうちから有効なものを集め、迅速な利用に供することはきわめて困難なことでありますので、私は科学技術資料整備審議会を設けまして、これは茅先生を初め、大学研究機関、事業体等の——ここにおられます丹羽先生にもお願いいたしておるわけでございますが——権威者から資料の収集、利用について種々御意見を求めるとともに、この分野専門的知識や経験の深い職員の確保にもつとめてまいっておる次第でございます。  なお、迅速正確な資料の検索の重要性については、さきに参議院の商工委員会でも指摘されたところであり、また、さきの審議会からの答申にもあったのでありまするが、外国ではすでに機械検索が部分的には実用化されておる状態でございますので、私はこれらの事情を考慮いたしまして、資料の機械検索ということを、今後における大きな目標としてその方法を研究し、必要な措置を講じまして、資料の収集と相まって、その利用に万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。
  18. 向井長年

    委員長向井長年君) ただいまの各参考人意見に対しまして、質疑のある方は順次発言を願います。
  19. 小林武

    ○小林武君 国立国会図書館長にお尋ねいたします。  先ほど情報センターとの間の業務の調整のお話があったのですが、これはごもっともなことだと思うのです。情報センターがほんとうに活躍するということのためには、この調整が行なわれないで、いわば二本立てのような形でいくということになると、ほんとうに情報センターを成長さぜることには私はならないと思います。そういう面ではあれですか、われわれの理解としては、大体資料、図書、そういうものを統一的に収集するのが大体図書館の役目だと、それから情報活動といいますか、利用面ですね、もちろん図書館ですから利用面を忘れるわけはないのですけれども、こういう問題に関する限りは、その利用面は情報センターがやる。こういうふうな理解で大体よろしいですか。
  20. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) いやそれと違いまして、図書館はこれは国家的に、ほかの機関では高価なものであるとか、先ほど参考人のどなたからかお話がございましたけれども、網羅的に集めないと、バックナンバーが先のものが欠けておったり、中間のものが欠けておれば全体的に資料の利用ということができないわけでございますから、そういうものを国家的にどこかで一カ所完全にそろえておいて、それを学者であろうと一般の民間の人であろうと利用させるというのが一つのねらいでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたが、この資料が年々増加してまいる。これに対して民間の人たちは、これは国会図書館とあるのだから、国会だけが利用するのじゃないか、民間利用できないのじゃないかというふうに思っているわけですから、このPRをいたしまして、しかも、われわれのところでは無料で奉仕している。ただ問題は、先ほどもちょっと触れておきましたのですが、非常な膨大な資料でございますので、それがただちに検索利用できなければ、たくさんのものを積んでいてもそれはみなむだになるわけです。それには人手も要しますし、同時に機械化ということもどうしても今後考えなければならぬのじゃないかということで私のほうは進んでおります。そうして情報センターのほうは、これは申し上げてどうかと思いますけれども、そのときもお話があったわけでありますが、いまもまた私のほうの図書館を御利用になっていらしゃいますけれども複写する場合に、自分のところにないものに、注文を受けてきて私どものところで複写して持って帰られる。向こうのほうは有料でございますから、そこがちょっと違うのじゃないかと考えております。
  21. 小林武

    ○小林武君 そうすると、大体有料と無料ということの違いぐらいのものですか。業務の調整というのは一体どういうことを言うのか、具体的にいって。
  22. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) 向こうのほうは、大体特殊な問題とか特殊な機関から依頼を受けて、そういうものを調べるわけなんです。私のほうは依頼を受けなくても、一般がこういうものは利用するであろうと思ったものについては、インデックスをつくりましたり、いろいろなものをつくって、いつでもその利用に応ぜられるようにいたそうということでございます。
  23. 小林武

    ○小林武君 大体その御説明でわかったのですけれども、あなたのほうの科学技術資料室というところを利用している業者が、あなたのところに入ってきて、自由にというか、自由というのは一つの規則をある程度認めての自由でございますけれども、これは図書館をなるべく利用するということはけっこうだろうと思いますが、しかし、この図書館の利用の規則というようなもの以上の利用の仕方というものがあれば、これはだいぶ私は問題だと思うのです。そういうことはありませんか。
  24. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) それはやはり規制をいたしております。たとえば貸し出しにつきましても何部に限るとかいうことで規制しておりますけれども、一般に、迅速に、あることを知りたいということについては、雑誌にしても大体種類が限られているんじゃないか。そういうものに対しましては、いままでは一々請求カードを出してみたりしていたんですけれども、ただいまではオープンにいたしまして、自分らがそこに行って、必要なものは直ちに見て帰れるように整備いたしておりますので、そうたいして不都合はないのじゃないかと考えております。
  25. 小林武

    ○小林武君 館外貸し出しによる利用というのは、これは科学技術資料室関係のものであると、原子力産業会議等の加盟団体だけということになりますか。
  26. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) さようでございます。それは、大体いまおっしゃったように、六種類か七種類の原子力研究機関とか、あるいは、いまおっしゃった原子力産業会議ですか、そういうものに入っている人たちには貸してあげるということになっております。
  27. 小林武

    ○小林武君 その原子力産業会議に貸し出す件数というのは、一体どのぐらいのものを貸し出すことができるわけですか。たとえば図書館利用規則というようなものに照してみて、どれぐらい貸し出すことができますか。
  28. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) あれは普通二十部ということでございます。
  29. 小林武

    ○小林武君 二十件ということになっておりますが、三十件ぐらいは貸しているんですね、いま。
  30. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) それは、この間も社会党の議員さんから御指摘を受けたのでございますけれども、現在ではそれじゃ間に合わないので、臨時的に三十部を貸し出したことがあったそうですけれども、御注意を受けてから、規則どおり、きちっと二十部にいま制限しているそうでございます。
  31. 小林武

    ○小林武君 三十件貸し出しておったということは、この間衆議院のほうでちょっと問題になったようですね。私は、十件よけいだったとかなんとかということはたいした問題じゃない、と言うと、しかられるかもしれませんけれども、そのことよりも、もっとその中に問題点があると思いますのは、結局、その加盟団体に委託されたといいますか、いわゆる複写業者というのがあるわけでしょう、それが貸し出されたものを複写する。これは十一社ぐらいあるという話ですね。この十一社のものが三十件ずつということになるというと——これは算術をやってみればわかるのですけれども、これは三百三十件です。そうなると、これは原子力産業会議への資料の貸し出しではなくて、複写業者そのものに対する貸し出しということになるわけでありませんか。ぼくは、やっぱりそういうところにいろいろな事情があったものと判断いたしましても、それらの複写されたものが、今度は他のいわゆる原子力産業会議というようなものに加盟していない小さい業者といいますか、特権のない業者に、非常に大きな手数料を取ってコピーを販売したりするというようなことになると、これは、私は国立国会図書館として正しい運営だとは、ちょっと考えられないのです。このことは同時に、私もこの前のここの委員会で非常に心配いたしましたのは、情報センターがりっぱに機能を果たすようなところまでとにかく成長する、発展するということのためには、国内におけるところのその関係情報機関というものが、どう密接に一体協力し合うか、業者との関係の調整をどうするかということが重大だと考えて質問をしたのですけれども、大体そういう面はたいへんよく行っておりますというような、きれいごとの御答弁しかないわけですけれども、まあ国会図書館との関係が一番大きいと思いますけれども、いまのようなことが行なわれているとしたら、私は、これは情報センターのためにもならないし、また、国会図書館の中が、いわゆる金もうけの手だてみたいなことでやられておるということになると、きわめて私は重大だと思うんですよ。そういう点についてはどうなんですか、あなたのほうで事実があったということをお認めになりますか。
  32. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) いま小林委員から指摘されましたような点については、私の館といたしましても、つとに思いをいたしまして、複写をそういう業者がやるよりも、なるべく館のほうでやるのがよろしいのじゃないかということによりまして、今度の三十九年度の予算におきましても、新しい機械を入れていただきまして、ゼロックス一九四を入れていただきまして、そうして、そういう問題を逐次解消してまいりたいと考えて二台要求したのでありますが、半分の一台に削られましたけれども、それでもよほど緩和できるのじゃないか、こう考えております。
  33. 小林武

    ○小林武君 私の質問は、図書館として、それはたとえ善意がそういう結果を生んだにしろ、そういう事実のあったことをお認めになりますかどうか、こういうことです。
  34. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) そういう点もあったように聞いております。それですから、私といたしましては、そういう点を改めるようにいろいろ点に指示をいたして、逐次改善いたしておるつもりでございます。
  35. 小林武

    ○小林武君 あったとお認めになっておる。そうすると、図書館の貸し出し規則ですか、それにとにかく違反した行為だということになるわけですね。そういうことが行なわれておって、しかも、そのことの結果、図書館をもうけ口の場にするような複写業者が、とにかく、そういう資料を半ば独占的に利用しておった、こういうことになると思うんですが、私は、やはりお認めになったら、認めたから責任をどうこうなんというような、やぼなことは申しませんけれども、やはりこの点は相当考えなければいかぬと思います。われわれの、耳に入るところによりますと、それから先が悪いのです。そういうことが行なわれておるということは、これは公然とした事実であって、そのことは皆さんがすでに承知しておるわけです。承知の上でやっておるというように聞こえてくるわけです。そうして、その業者との間にきわめて不明朗な関係があるような、そういう声も聞こえてくるわけです。このことは、やはり国立の国会図書館としてはきわめて不名誉なことだと思います。それとからんで、私は、情報センターをとにかく育てるといいますか、ほんとうに学界からも、業界からもそれぞれ期待されるような方向にするためにも、国会図書館も自粛するところはしなければならぬし、業者間の調整を行なうところは十分しなければならないと、こう思うんですが、この点については、先ほどのお答えですというと、今後は間違いないと考えてよろしいわけですね。
  36. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) さようでございます。
  37. 小林武

    ○小林武君 それともう一つ。  何かアメリカの科学財団から七百六十万円の寄贈を受けてやっている英文雑誌の記事索引ですが、これはどうなんですか、今度は金がないために打ち切るということになるわけですか。
  38. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) これはまだ結論に到達しておりませんけれども、いままではアメリカの科学財団からの援助を受けて、その費用によって雑誌索引をつくっておったわけでございます。しかし、今回アメリカのほうから打ち切りたいという申し出がありますので、どうしたらいいかということは、今後考慮したいと考えております。
  39. 小林武

    ○小林武君 これは今年度の予算要求はなかったわけですか。
  40. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) 図書館としましては足らぬ部分の二百何万円かだけを要求いたしておるはずでございます。
  41. 小林武

    ○小林武君 要求して、それはどうしたのですか。
  42. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) それは認められております。
  43. 小林武

    ○小林武君 認められておる、そうすると、さらにこれは必要性が認められたことでありますから、その財団からの補助といいますか、寄付ですね、寄付が打ち切られた場合でも続けていくということになりませんか。
  44. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) 予算がございませんので、予算は八百万か九百万かかるわけであります。そうすれば、二百万だけの予算がついていたのでは、あとのところをまかなうことができませんので、これをどうするかという問題が、今後大蔵省とも折衝して、大蔵省が出してくれるということであれば続けていくし、どうしたらいいかということは、これから——二、三日前に言ってまいったばかりでございますから、ちょっとまだ結論を出しかねております。
  45. 小林武

    ○小林武君 いや、こういうことです。大体不足分に関しては、今度予算を出して、そうしてそれについては予算は通ったと、こういうわけですね。そうすると、大体方針としては、あなたのほうの方針としても、このことの必要性をお考えになって、さらに来年度もこれを続けていきたいという御意向なんでしょう。
  46. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) でき得るたらば、技術的に援助を受けなくても、そういうものがあれば便利なんですからやっていきたいということには変わりないです。
  47. 小林武

    ○小林武君 そこまでいったら、あなたも積極的に来年度もみんなの支持を得てぜひともこのことについては継続していきたいというような御意見を持つべきのが当然だと思うのですが、そういう御意見は持っておられるのでしょう。来年削られるかどうかはわからぬというような不安はおありでしょうけれども、続けていきたいという気持ちはお持ちなんでしょう。
  48. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) おっしゃるように、続けてまいりたいといたしましても、御承知のようにアメリカの会計年度というのは日本と違いますので、七月までなんです。ですからあとの半年続けようとしても、二百万だけじゃどうにもならぬものですから、その問題を大蔵省と折衝して、何か方法があるかないかということを考えてみてからでないと一がいに——ただ気持ちといたしましては、なるべくやれるならば続けていきたい、こう考えております。
  49. 小林武

    ○小林武君 大蔵省と折衝をしてだめだということがわかるのはいつなんですか。
  50. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) これはまだ両院の議運の庶務小にもはからなければならぬ、いつでも許可を得てやっておるわけでありますから、こういうことが来たがどうするかということを、はからなければならぬいろいろな手続がありますものですから……。二、三日前に来たので、まだその手続もやってないものですから、ここで私から気持ち以外のことを申し上げるというわけにいかないと思います。
  51. 小林武

    ○小林武君 わりあいに御熱意のないような御発言で私もがっかりしたのですけれども、やはりこの問題も、申し上げるまでもなく、科学財団から寄贈を受けてやったことで、科学技術との関係の問題なんですね、そうすれば、当然先ほどのいろいろなあなたのお話から大体類推いたしましても、この問題については非常な熱意がなければならぬ問題だと思いますよ。あなたはいろいろな手続を踏まなければならぬと、これはよくわかっているのです。予算を取る手続もありましょうしあるいはその前に図書館の運営の何かについては、それぞれの機関を経なければならぬということもよくわかる。しかし、図書館長として、この問題についてこうなければならないというようなお考えは当然持たなければならぬと思うのですよ。そういう機関を経るにしても、それについてどうも自分の気持ちが言えないというようなことでは、私は実際情けない。もしこういうことなら、情報センターの担当の方々にお会いになれば、情報センターの方は、何で一生懸命そんな討論しなければならぬかということになるのですけれども情報センタのほうはそういうふうにおっしゃっていませんけれども、あなたのほうで、もし少し御熱意を持っていただきたいということと、これは前回の質問でも私はいたしたのですけれども科学情報センターというものをほんとうにやるには、いろいろな要素があるのでありますけれども、その要件の中に、やっぱり人間の問題が大事だということを申し上げた。特にああいうような仕事をなさる方々を養成するという問題もたいへんだと思う。いままでのいろいろな図書館の司書を養成するというような部類のものとはまた違った要素もあることでしょうから、養成の問題もありましょう。しかし、現在おやりになっておる方々を最もいい条件の中で能率的に働かせるというためにはどうしたらいいかという問題がある。そのためには、いろいろ勤務の条件その他についてお考えになりますかというような質問をしたのですけれども、あなたの場合、私はこれらの仕事に携わっている方々は、あまり数は多くないようでありますけれども、勤務条件というものはきわめて悪いですね。何年続いたのかもしりませんけれども、これは日給ですか。
  52. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) ただいまは月給にいたしておりますけれども、これはおっしゃるように、こっちの予算でやっておるわけでございませんし、また、こっちの正式な定員の中に繰り入れられている職員の仕事でもなくて、単にそれの仕事だけを、別にアメリカの財団からの金に見合った人を雇って、そうしてやっておるわけでございます。しかし、いま仰せのように、科学に対する国立図書館職員の中にも、いろいろな者を養成していかなければならぬ、また指導者を得なければならぬということについては同感でありまするので、私は昨年来東大の理学部長をやっております坪井氏を迎えて、科学技術方面のほうの指導者として、いまなお新しい職員を採る場合にも科学関係の職員も採用するようにして、養成にもつとめております。
  53. 小林武

    ○小林武君 そこで科学技術関係仕事に携わる、たとえば、情報センターに働く人でもあるいは図書館につとめている方でも、私は特にやはりその勤務条件その他については、先ほど申し上げたような考え方を、皆さん責任ある方々が持たなければいかぬと思います。特に、いま申し上げたような方々は、その金がなくなった、この先はどうなるかわからないというようなことを言って、いままでの経験年数によってかなりこの方面一つ技術を持った方、そういう人たちが簡単に首を切られてしまうというようなやり方をやっておったら、私はきわめて非能率的なやり方になるのじゃないかと思うですよ。そういう一体労務管理というものはあるものなのかどうですか。しかも、現在までの間に期末手当、年度末手当制度もない。アメリカから金がこないんだから仕方がないじゃないかというような考え方でおやりになっておったとしたら、私は非常に問題だと思うのですよ。特に、今度、あなたがおっしゃることによると、ことによると首を切らなければならぬというような事態も起きかねないという心配を私は持ったわけでありますけれども、その点については慎重なひとつ御配慮を願わなきゃならぬと思うのです。その点についてはよろしゅございますか。
  54. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) いまのお話の点でございますが、そういう人たちに対する日給の問題、期末手当とかいろんな手当が普通の職員と違うじゃないかというようなお話でございますが、これについては、やはりそういう季節になりますと、若干それに見合った日給というか、月給を上げまして、その月の分は少しそれに見合ったものだけはプラスしてやっているつもりでございます。
  55. 小林武

    ○小林武君 まああなたいろいろなことを言いわけなさるようですけれども、結局どうですか。ほんとうに科学技術のいまの情報活動関係する職員の方々を待遇するということからいえば、結局問題点はたくさんあるということはお認めになるでしょう。いいとはお考えになっておらぬでしょう。
  56. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) 現在の科学雑誌の編さんについての職員については、現在図書館自体予算でやるならば同様にできますけれども、それ以外のものでやる限りにおいては、あれ以外にはちょっと方法がないということで、どうしてもこれはやるならば図書館が技術的に、計画のもとに、自分仕事としてやるべきだということで、私が参りましてからそれを交渉いたしまして、昨年来——昨年も三十九年もそうですが——大蔵省から金を出してもらって、そして幾ぶんずつそれでまかなうようにしよう、こう考えてやっているわけでございます。
  57. 小林武

    ○小林武君 そのぐらいにしまして、それで最後に一つだけお尋ねいたしますが、外国から来た資料その他について、著作権のことで、昭和三十七年度——八年度について何か照会がございませんでしたか。
  58. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) 照会がございまして、これは文部省のほうへ私のほうの者がそのことを申し出ております。
  59. 小林武

    ○小林武君 申し出ているということではなくて、まずお尋ねしているのは、そういうイギリスの資料を初め世界各国の資料の著作権が正しく保護されているかという問い合わせがあったかどうか、あったと言うんですね。
  60. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) ええ、そういうことはございました。私の申し上げましたのは、そうでなしに、文部省でいま著作権の改定問題が審議されているわけです。それに関連して文部省のほうから著作権に関して何か意見がないかということがありますので、それについても意見を申し述べておりますということを申し上げたのであります。
  61. 小林武

    ○小林武君 その回答はどういう回答をなさったんですか、照会に対して。著作権が侵害されていないかどうかという、そういう問い合わせがあったわけでしょう。それに対してどういう回答をなさっておりますか。
  62. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) 外国のほうの問い合わせに対しましては、当館におきましては複写業務につきましては、なるべくその著作権のないもの、しかも著作権のあるものについては複写を請求する人が著作権者から承諾を得て、そうして申し出るようにという規則のもとにやっているという回答をい  たしております。
  63. 小林武

    ○小林武君 それではそういう手続を  とって行なわれてきたということを、あなたは確認できますか。
  64. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) みんなそういうふうにやっておると了承いたしております。
  65. 小林武

    ○小林武君 了承いたしたというのは、複写をする業者が、はいわかりましたということではなくて、図書館としてそういうことを申し合わして、著作権を侵害しないという手続上のことを全部踏んだということを確認してからやるのが至当じゃないですか。そこまでは図書館としては責任を持たないわけですか、どうです。
  66. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) 著作権のあるものについての複写要求する場合には、その請求書の中にその条文がうたってありまして、それに署名してはんをついた限りには、それを了承したものと当館では心得ます。
  67. 小林武

    ○小林武君 そういう手続をとってきた全部が、著作権のあるものについては、あなたのほうでそういう正確な手続をとったということを認めますか、確認しますか。それはあなたのほうで思ってもだめなんですよ。そういうことを言ったというだけではだめなんであって、あなたのほうで手続をとっているということを確認して、その上それによって複写をやらした。こうでなければ、あなたのほうの責任は果たされないことになるでしょう。
  68. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) 複写の場合には、全部がそういう規定になっておりますものですから、その規定に従って、条文に従ってやっているものと考えます。
  69. 小林武

    ○小林武君 それではあれですね、そういう著作権の問題にかかわっては国会図書館のほうには絶対誤りがないと了解してよろしいですね。もしそういうことがあったらどうなさいますか。仮定のことですから答えませんか。私はあると聞いているのですよ。証拠をあげて争うなんという、そういうやぼったいことは言いたくありませんけれども、あまり軽くそういうものを、あなたのほうのような権威のある国立の国会図書館がやるということになると、私は重大だと思うから申し上げているのです。そういう意味で、あなたが非常に軽く考えられて、手続をとっているからいいでしょうなんというような話なら、実際巷間に流布されているというぐらいに言っておきますけれども、その間では、とにかく著作権侵害が堂々と行なわれている。そういうことの心配はございませんというあなたたちの答弁は、まっかなうそであると、こう言っているのです。だから私は心配して、国立の国会図書館ともあろうものがそういうことをやるということになったら重大だ。あなたのほうでいまそういう心配があるならば、正直に、十分ひとつ調べてみますとか、今後そういう失敗はいたしませんとかいうようなことをおっしゃればいいので、あまり確信のないことを、絶対ございませんということじゃ、あとで始末が悪くなるんじゃないかと思うのです。
  70. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) いま御親切にいろいろお話ありましたけれども、これはいま御指摘のように、私が図書館長になりましたときに考えまして、会議に持ち出しまして、いやしくも国立の国会図書館が世界に著作権を侵害するような行為があっちゃいけないということで、わざわざそのために委員会も設け、会議も厳重にやって、その点を改めるように、もう何年かやってきておりますけれども、もし、まだ改まらない点が、御注意のようにあったとすれば、一そう注意をいたしますので、御了承をいただきたいと思います。
  71. 小林武

    ○小林武君 それじゃ私の質問を終わります。
  72. 松澤兼人

    松澤兼人君 参考人の方に、お忙しいところを来ていただいたので、簡単に二、三質問いたしたいと思います。  最初に古賀参考人でございますが、古賀さんのほうでは、情報センターができるということで、それを前提として、企業内における情報の収集あるいは文献の収集等は極度に押えて、できるだけ情報センターの機能を利用するというふうにおっしゃっていらっしゃいましたし、さらに御希望としては、情報センターが強くなってもらいたいということをおっしゃったわけなんですが、実際の問題として、利用者の立場からいって、情報センターに対する要望とか希望とかというものは、どういう方法を通じて御希望を反映させるということをしていらっしゃいますか。
  73. 古賀晴人

    参考人古賀晴人君) いまの御質問、ちょっと伺いますけれども情報センターに対する要望を具体的に言えと、こういう……。
  74. 松澤兼人

    松澤兼人君 じゃないんです。じゃもう一度申します。古賀さんのほうは非常に情報センターをよく御利用になっていらっしゃる。しかし、まだまだ情報センターの機構なり機能なりというものがりっぱになってもらいたい、こういう御希望を持っていらっしゃるわけなんですね。しかし、そういう反面には、現在の情報センターのあり方というものに対して、御希望なりあるいは要望なりというものを持っていらっゃると思うのですが、現実利用者の立場として、そういう希望なりあるいは要望なりというものを、情報センターのほうに反映させるという方法ですね、個人的にこうしてほしいとかということをその窓口の個人に対して希望をおっしゃるのか、あるいはまたは、あなたのほうは、いま中小企業とおっしゃったかと思いますけれども、大企業じゃないかと思うのですけれども、そういう大きな立場から、情報センターに公式にこのところはこういうふうにしてもらいたいというような要望の伝達と申しますか、向こうへ通ずる方法を、どんなふうにしていらっしゃいますかということなのです。
  75. 古賀晴人

    参考人古賀晴人君) 情報センターに対しまして、大きいこと、こまかいこと、いろいろ希望もございますが、大きな問題につきましては、一つの道といたしましては、情報センターの、あれは何になりますか、中の参考会議とかいうものがございまして、そこの会に私ども会社技術部長が名を連ねております。ですからそういう会を通してわれわれの下部で働いております者の意向は伝えます。日常のこまかいいろいろな問題につきましては、私自身、じかに情報センターに伺ってお願いすることもございます。公式に書面をもって何とかかんとかということはいたしておりません。非常に日常の接触を密にして、希望をなるべく達してもらうように、われわれとしては努力しております。
  76. 松澤兼人

    松澤兼人君 それだけよく情報センター利用していただいているわけなんですが、なおかつ自分の手元で必要な文献というものを相当、三百とか四百とかとおっしゃったようですが、それだけは手元に持っていなければならないとおっしゃいますことは、すぐに役立つという利用の問題から、その程度の外国文献というものは手元に持っていなければならないということでございますか。あるいは情報センター文献を提供してもらっても、かゆいところに手が届かないといううらみがあるから、それほどの外国文献というものは手元に常時置いておかなければならないということでございますか。
  77. 古賀晴人

    参考人古賀晴人君) 一言で申し上げますと、かゆいところに手が届かないという向きがございます。もう一つつけ加えなくてはならないと思いますのは、情報センターで収集したいろいろな論文が表に形となってあらわれますのは、例の速報なんです。速報抄録の要領と申しますか、それを見ますと、重要な論文を取り出すということになっておりますが、その論文の重要性とか、中の記事の重要性というものが、企業によって少し違う場合がある。でその道の専門家がごらんになって、これは非常にかおり高い論文だといって抽出されても、われわれ企業体として目先きの商売を追い回すような場合には、大きな論文でなくても、広告一枚でも非常に参考になるやつがある。そういうためには、どうしても自分企業の中でなまの雑誌をゼロにするわけにはいかない。代表的な、たとえば船でしたら船の部門世界中の代表的なものは取ってきたいボイラーならばボイラーの代表的なものだけ目を通しておきたい。もっとたくさん目を通したいけれども、それを全部収集することは、一企業ではちょっと不可能である。ですから、われわれ雑誌利用する場合に、情報センター速報利用すれば、四千くらいの雑誌の主要論文に目は通せることになります。ところが、その主要だけではちょっとかゆいところに手が届かないというので、われわれのところで三百五十種類ぐらいの雑誌は取っております。それにプラスいたしまして、情報センターで取っております雑誌抄録だけにたよらないで、雑誌の表紙の次には必ず目次と申しますか、コンテンツス・シートがついておりますが、それを早急にサービスしてもらえば、あれですと論文全部載っかっている。重要もへちまもなく全部載っかっております。そういうものをわれわれの気持ちで選べばいいので、そういうものを情報センターにお願いして三百種類ぐらい取っております。ですから少なくとも雑誌の題目ぐらいにつきましては、うちの三百五十プラス三百ぐらいのものは現に目を通しております。そういう状態で、自分のうちでも取らなければならないという一つのお答えになるんじゃないかと思います。
  78. 松澤兼人

    松澤兼人君 一つ私考えますことは、企業としての機密といいますか、秘密とかいうような点から考えて、やはり情報センター自分の必要なものを注文を出すということになると、あの会社はどういうところをねらっているんだというようなことがわかるという、企業の機密というようなことは全然心配はございませんか。
  79. 古賀晴人

    参考人古賀晴人君) その点に関しましては、企業体の中には必ずいろいろな秘密がございますが、やはりわれわれ情報センターをこれだけ利用している反面は、情報センターを信用してかかっておる、それだけの問題で信用できないとなれば、全然使いものにならぬ。現状は、信用してかかっておるわけです。
  80. 松澤兼人

    松澤兼人君 それではその次に、国会図書館長にちょっとお伺いするのですが、やはりこれは当面国会図書館を情報センターとの関係からいいますと、他の研究機関なりあるいは調査機関なりと比べまして、情報センターと国会図書館の科学技術文献収集あるいはその解説等、一番競合するような関係にありますし、かつまた、図書館長が言われましたように、各衆議院あるいは参議院の議運等におきまして、国会図書館が収集あるいは備えつけ等の中心にならなければならないと、こういうような意見も出ておりまして、相当、国会図書館としては強気でその方面を今後も強化していこうというお考えのようですが、この点は、科学情報センターの法律の上から見ましても、なおなお協調なりあるいはまたは調整なりを必要とするように考えるわけなんです。そこで、私たちの考えから言えば、図書館は目録をつくったりあるいは閲覧に供するということ、あるいは文献の収集、そういうことで、情報センターはさらにこれを抄録をつくるとかあるいはそれに解説をつくって外部に出すとかいったような、何かそこに分野を確定し、その分野を守っていく必要があるんじゃないかと、こう思うのですけれども、その調整とかあるいは連絡とかいうことについて、今後どうしたいというお考えがございますか。
  81. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) 松澤先生は、この前の商工委員長時代からこの問題に取り組まれておって、私がとやかく申し上げるまでもないことと存じておりますが、いまの点につきまして、そのときに論議がかわされましたように、情報センターは特殊な問題、あれはいまもちょっとお話がありましたが、会社として秘密性を保持しなければならないというようなものについての調査を依頼して、そしてこれは情報センターが全部の資料を網羅的に集めるということは不可能なことでございますから、それに必要な資料は、図書館にあれば図書館に来て自由に本を借りて複写するなり、あるいはまた大学にあるものは大学へ行ってそれを写して、そしてそういう依頼を受けたものをまとめていくということで、私のほうはそういう秘密というようなものはないのでございまして、一般国民が利用——だれに利用させ、だれに利用させないということはございません。そういう点からいたしましても、両者の間には何らの紛淆というか、そういうものは来たさないものと考えておるわけです。
  82. 松澤兼人

    松澤兼人君 この法律によれば、情報センターも図書館と連絡して、図書館に備えつけの文献等は利用することになっているわけなんですが、情報センターから図書館備えつけの文献等を利用するということは、実際上ございますか。
  83. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) ございます。特に複写も申し出ておるようでございます。
  84. 松澤兼人

    松澤兼人君 どの程度——どの程度というのはちょっと……。件数ぐらいしか明確じゃないと思いますが……。
  85. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) まあ月大体千五百件くらいの利用があるそうでございます。
  86. 松澤兼人

    松澤兼人君 情報センターのほうでは、雑誌がだんだん古くなると、まあ廃棄するという話を聞いているのですけれども、図書館のほうはそういうことはないですね。そこで情報センターがまあ廃棄するような古い雑誌になった場合に、それを引き取って、先ほど中村参考人からお話がございましたけれども、バックナンバー等にして図書館に備えつけておくことは非常にけっこうだと思いますが、情報センターと図書館の間でそういうお話し合いはございませんか。
  87. 鈴木隆夫

    参考人鈴木隆夫君) そういうものはたいがい私のほうでも保持していると思いますものですから、もし私のほうにないようなものをこちらへ移管するということであるならば、ちょうだいする場合もあると思いますが、数においてはるかに上回っておりますもので、スペースの関係もございますので、いまだそういうもののお話を承ったことはないと承知いたしております。
  88. 松澤兼人

    松澤兼人君 連絡協議をしなければならないという、これは情報センターの側からですけれども、実際には、そういう研究機関なりあるいは情報機関なりというものが定期的に連絡調整をしているということはあるのですか。
  89. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 関係機関とは定期的あるいはそのつど必要が起こった場合に連絡調整をやっております。たとえば特許庁、国会図書館あるいは文部省というような、非常に密接なところは定期的にやっておりますが、その他の学会あるいは協会につきましては、そのつど連絡を依頼しております。
  90. 松澤兼人

    松澤兼人君 参考人に対する質問は、私これで打ち切りますけれども先ほど小林君から図書館に対していろいろお話がありました。多少私も聞いているわけなんです。以前図書館に多少の問題があったわけです。今度またそういう轍を踏まないように、新しい館長もできたわけですし、この点は綱紀粛正とかいうような厳密な意味ではございませんけれども、十分に注意していただきたいと思います。
  91. 向井長年

    委員長向井長年君) 参考人の方々に対しましては、長時間にわたって、安市な御意見を賜わりましてありがとうございました。
  92. 向井長年

    委員長向井長年君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  93. 向井長年

    ○委長長(向井長年君) 速記を起こして。  これより議案について質疑を行ないます。御質疑のある方は順次発言願います。
  94. 浅井亨

    ○浅井亨君 今度この一部改正法案につきましていろいろとお聞きしたいこともきょうは用意してまいっております。また、先ほどから参考人の方々からいろいろに御意見も拝聴いたしまして、非常にその点に対しても、また当局におかれましていろいろと推進していただかなければならない問題があるやに思います。先ほどからお聞きいたしますと、何だか大臣のほうで御用があるそうでございますが、何もいまこれを急速にやらなきゃならない——この法の改正については実際そうでありますけれども、あとでまたいろいろと申し上げまして、そしてそのことについて強力に推進していただきたい。この確約の上で、次のときに私に質疑させていただきたい。このように思うのでございますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
  95. 松澤兼人

    松澤兼人君 先ほど参考人として国会図書館長に来ていただきまして、相当館長は強い意思をもって従来やってきた科学技術文献の収集でありますとか、あるいはまたその他両者の希望に沿った利益を与えるということをやっていらっしゃるようありますけれども、今度はこちらの側、科学技術情報センターの側から見ますと、現在図書館がやっております特に科学技術部門における文献の収集及びその解説の提供等についてはどのようにお考えでございますか。
  96. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 国立図書館の収集とわれわれセンター側の収集との問題につきましては、図書館のほうは、先ほどお話を聞いてみますと、科学技術、これは医学、農学、全部入れまして、理工学合わせてまして一万極程度雑誌をお取りになっておると聞いております。われわれのほうは医学、農学を除いて、理工系だけ四千種ということになっておりますので、この四千種と一万種の中で、同じ雑誌を重複して取っていることもあります。これは先般国会でもそういう御指摘がありましたが、われわれのほうの主たる目的は、雑誌の中に書いてある論文の内容を検討いたしまして、この論文は何が書いてあるかという抄録をつくるのが図書館と違った使命を持っておるわけであります。したがって、論文そのものの題目だけで論文の価値を判断できませんので、内容の重要語を取り出して抄録をして、その重要語から必要な文献を取りますというところに違いがございます。したがいまして、抄録をつくるという意味におきまして、雑誌をばらして、それぞれの専門家が抄録をするということで、図書館の収集した雑誌をわれわれのほうへお借りして抄録をつくるというわけにはまいらない。そういう意味から、かりに重複して収集してもよろしいというような御了承を、前に国会で得ておるわけであります。それから国会図書館のお取りになっておる一万種の雑誌については、先ほどお話がありましたように、うちの理事長が収集計画をする会議に列席しておりまして、われわれのほうとしての意見を申し述べております。そういうことで、現在収集されておる一万種につきましては、異議がございません。非常に適切な収集をしておると考えております。
  97. 松澤兼人

    松澤兼人君 しかし、いまお話がありましたように、やはり重複しているという点はお認めになるわけなんですね。なるべく重複しないことが望ましいということは、この法律が成立いたしましたときの附帯決議でもあるわけなんです。重複を全然避けるということは不可能ですか。
  98. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 抄録をつくるには、その雑誌をやはり二週間なり一週間手元に置かなければ抄録ができませんので、国会図書館が収集した雑誌情報センターが二週間なり三週間貸し出しをしてもらわないとぐあいが悪い。そういうことは国会図書館側からなかなか全部について許されないとわれわれは考えまして、どうしてもそういう意味からいいましても、重複ということはやむを得ないというように考えております。
  99. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、情報センターが図書館にないものを持っている、それから重複しているものの関係はどんなことになりますか、冊数とか……。
  100. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 重複しておる雑誌のほうが多いかと思います。
  101. 松澤兼人

    松澤兼人君 この附帯決議にあります「情報センターの業務運営は関係諸機関の自主性を尊重しつつこれと緊密なる協力を図り重複と摩擦を避ける」というようなことが附帯決議になっているわけです。重複ということは、文献の冊数だけの問題でなく、業務の点でもやはり重複しておるのではないかと、こう考えられる点もあるわけですが、この重複という点について、もう一度センターのほうからのお話を承りたいと思います。
  102. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 先ほど申しましたように、センターの一番の使命とするところは、抄録誌を早くつくりまして文献速報として各企業体なり研究所に積極的にそれを送るというのが大きな使命でござい写す。その抄録作業をするということは、国会図書館と全く違った大きな点でございまして、国会図書館では抄録はやらない、ただ、題目というものは取り出してリフレックスなり、索引をつくりますけれども、論文の内容については触れないというところに、私は両者の大きな差があると思います。したがいまして、複写をいたす場合、私のほうも複写をいたします。図書館もしておりまするが、われわれのほうの複写は、文献速報を見た人が、フル・ペーパーを見ないと研究に役立たないという面から要求がございます。したがいまして、図書館のほうの複写とはおのずから内容が違うかと思います。そのほか、われわれのほうは翻訳もやっております。それから依頼調査ということもやっております。  以上でございます。
  103. 松澤兼人

    松澤兼人君 情報センターは、現在では国内文献抄録ということはやっていらっしゃらないのですか。
  104. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 国内文献は、経営管理篇と原子力と、これは外国と国内と一緒にやっております。それから国内だけでは、化学は国内全体の化学論文について抄録をやって速報を出しております。それから今後、機械、電気のほうも国内のほうはやる予定で計画しております。
  105. 松澤兼人

    松澤兼人君 図書館のほうでは、国内化学の文献に対する解説みたいなものを出していらっしゃるのじゃないですか、抄録は出していらっしゃらない……。
  106. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 出していません。
  107. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、抄録するかしないかということが業務上の分岐点といっていいですか。
  108. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) さようでございます。
  109. 松澤兼人

    松澤兼人君 今後、図書館が先ほど館長のお話のように、相当まあ力を入れてこの方面を開発していこうということになると、あるいは抄録というものをつくるようなことを必要とするかもしれない。それを抑制する、あるいは阻止する、そういう法的な根拠、ございますか。
  110. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 法的の根拠はございませんけれども、これは両者の話し合いで現在も図書館においては抄録はやらない、将来ともやらないという話し合いをしておりますから、心配ないと思います。
  111. 松澤兼人

    松澤兼人君 まあ両者の話し合いで心配ないということであればけっこうですけれども、相当図書館が科学技術の面に力を入れていますから、今後そういう重複どころではない、末端における業務の競争ということができないように、ひとつ御希望を申し上げておきます。  これはすでに他の委員からも質問があったと思うのですけれども、三十八年度の財政状況ということを少しお話し願いたいと思うのですが……。
  112. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 三十八年度の事業規模といたしましては、全体で五億七千九百万程度でございます。そのうち自己収入は二億八千九百万、それに対しまして現在三月十四日現在で二億六千二百万現金が入っております。十四日以後三月三十一日まで二千六百万程度の金が入る予定になっておりますので、合計二億八千九百万は予定どおり入る予定でございますので、年度当初の計画に対して、十分これは達成ができると考えております。
  113. 松澤兼人

    松澤兼人君 これはお配りいただいた業務の内容というので大体わかるのです。もしすぐにお聞きすることができなければ、センターの特殊法人としての収支決算とかあるいはまたは他の経理面における御説明というものを知らしていただきたいのですが、何か印刷したものございませんか。
  114. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 印刷物が手元にございませんので、これは後日松澤先生のところへ御報告にあがりたいと思っております。
  115. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういうことをお聞きいたしますことは、職員は特殊な業務に携わっているわけでありまして、その給与はおのずからまた別な立場から決定されなければならないと思うのですが、給与はどういう立場から決定していらっしゃいますか、その点を。
  116. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 給与は、国家公務員に準じまして初任給あるいは昇給額などを決定いたしております。
  117. 松澤兼人

    松澤兼人君 それですが、国家公務員と申しましても、ほんとうに事務的な仕事もございますし、こういう情報センターのように特殊な技術を要する職員もあるわけですし、準ずるということは一般の公務員よりも上回った給与を決定し、それを実施していらっしゃるということですか。
  118. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 国家公務員の中の研究公務員に準じて、技術系統の者はそれと同じような手当をつけております。したがいまして、国家公務員よりは大体一五%程度のアップをしております。
  119. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまお話のありました「国家公務員の研究職に準じて」ということばをお使いになったのと、「ような」というおことばがあったと思うのですけれども、国家公務員の研究職の給与表なるものをそっくりそのまま適用されているのか。あるいは多少それに色をつけるという方法をとっていますか。
  120. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 技術系の職員について国家公務員の研究職に準じて、しかも「準ずる」というのは、高いわけです、少し国家公務員よりは。
  121. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうすると、国家公務員の研究職をやはり土台として、その上にいまおっしゃった一四%ですか、十何パーセントとおっしゃったのは、横すべりの上に、それだけ高く見ていらっしゃるということなんですか、それとも国家公務員の平均から見て一四%高いということなんですか。
  122. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) これは一人一人ではなくて、平均で一五%高いということでございます。
  123. 松澤兼人

    松澤兼人君 それが国家公務員の研究職の俸給表より平均して一五%高いということですか。
  124. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) そうであります。
  125. 松澤兼人

    松澤兼人君 今度新築が予定されておりますビルの規模やあるいはその配置など、何かいただいたものがございましたか。
  126. 杠文吉

    政府委員(杠文吉君) それは資料を差し上げてございませんが、前回の御審議の際に、私のほうから御答弁申し上げておりますが、なんでございましたら松澤先生に差し上げたいと思います。
  127. 松澤兼人

    松澤兼人君 今度は相当機械的な設備を収容するようなことになると思うのですが、それらの機械的な設備を収容する何というのですか、スペースと申しますか、それと普通の事務的なものと、もう一つは書庫のようなそういう割合は、簡単にお話できませんか。
  128. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) ここで的確な数字は申し上げられませんけれども、地下二階はほとんど機械室になります。それから書庫は非常にたくさん面積をとりますので、地下一階と地上一階、二階、三階にわたって、それぞれ必要な書庫を各フロアに設けます関係上、相当の面積が書庫にはとられると考えております。
  129. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしてその上は普通職員の事務をとるような都度になるわけですか。
  130. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 地下二階、地上四階の建物でございますが、新技術開発事業団と一緒に入ります関係上、四階は事業団が入る予定で、それ以下に情報センターが入ります。したがって、書庫と事務所とは切り離すわけにはいきませんので、必要な書庫は各階に設けて、事務所と一緒のフロアに置く予定でございます。
  131. 松澤兼人

    松澤兼人君 一説によりますと、先ほどお話がありました国会図書館と、相当密接な連絡もとらなければなりませんし、あるいは仕事の調整もしなければなりませんし、現在は総理府の下にございますか、それと国会図書館との地理的な関係からいって、現在から見れば相当近くなったと思いますけれども、もっとも図書館の近所にあったほうがいいというようなお話もある。その図書館と情報センターとの地理的な距離関係というものは、現在の所で適当であるとお考えですか。
  132. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 現在予定の図書館に行くのは、いまセンターのある事務所から考えますと、非常に近くなりまして、あの程度ならば歩いて数分で参れますので、十分不便はないと思います。
  133. 松澤兼人

    松澤兼人君 やはりいろいろまあお話を聞いてみまして、図書館の業務というものと情報センターの業務というものが、どうも重複したり、あるいは摩擦したりすることが一番心配だと、先ほども同僚の人に——小林君じゃないです——同僚の人に、まあ話を聞いたんですけれども、どうも科学情報センターというものは現在は非常に活発にやっているけれども、他の調査機関なり、あるいは図書館なりとの関係からいって、どうも先細りがするんじゃないかという話を聞いたんですけれども、やはり競合をできるだけ避けて、そして独自の業務分野というものを確保して、しかも利用者の開拓とか、そういう業務の十分なる発展を期待するということでないと、私も当初この法案ができますときに委員長をやっていて多少心配になっていた点が、現在でも完全にこれは解消されたと見ることはできませんし、特にいま図書館長などの強気の話を聞いてみますと、前途いろいろと問題があるように思われます。この点について、ひとつ決意の点を、まあ長官、これがなければ法案あげられませんから……。
  134. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来たいへん御熱心に御審議をいただいておりますが、御指摘のように、図書館と科学情報センターとの間に重複しておる面もある。また将来もそういうことがあるんではないだろうか、この御懸念はまさしくそのとおりだと思います。しかし、私は本来から申しますと、これは重複したって実は差しつかえないんじゃないだろうか、ある程度の重複はやむを得ないんじゃなかろうか、むしろ問題は、いかに利用されておるか、その利用度の問題だろうと、かように考えますので、重複する結果非常に国家予算にむだがあるといえばともかくですが、ある程度重複することもやむを得ない。ことに科学情報センター情報の提供、それによって科学技術の向上をはかるということが本来の目的だと思いますので、そういう意味からやっております業務内容、これはおのずから違うだろう、したがって、その特色を生かすようにということでありたいものだと思いますが、幸いにいたしましていままでのところ、たいへん活発な活動をいたしております。あれだけの事務所の不整備にもかかわらず、なかなかよく利用されている。こういう一カ所に情報センターができ上がりますと、この利用度が一そう高まるんじゃないだろうか、ただ、その意味から見まして御指摘があったと思いますが、大企業部門では比較的よく利用するが、むしろ産業の状態から見て科学技術の弱いと考えられる中小企業がもっと利用ができるようにすべきではないか、この方向にもっと力を入れまして、そうして科学技術情報センターを設けました本来の目的を達成するように、一そう活発に活動してまいるつもりでございます。もちろん図書館や大学や、また民間研究所等の要所とも十分連絡をとり、係官の連絡はもちろんでございますが、相互に資料を提供し合うことによりまして、緊密な連携をとりたいと思います。要は、この利用度をもっと上げていく、その方向に一そう努力すべきじゃないだろうかと、かように考えておる次第でございます。
  135. 松澤兼人

    松澤兼人君 それでは最後にお願いなんですが、また御所見があれば聞かしていただきたいのですが、これはすでに小林委員からも質問のあったことでありますが、非常に情報センターの業務というものは特殊なものでありまして、したがって、それに従事している職員の健康管理という面では、最善の努力をしていただきたいと思います。まあ理事長、あるいは常務理事、そういう方々は従来ともその点では御苦労をいただいていると思うのであります。ひとつ御決意のほどを承りたいと思います。
  136. 丹羽保次郎

    参考人丹羽保次郎君) いま御指摘の点につきましては、何ぶんこういうような仕事にはやはり非常に頭脳を使いますので、健康管理ということは最も必要だと思いますので、今後も十分努力いたしたいと思っております。
  137. 松澤兼人

    松澤兼人君 最後の最後で悪いのですが、先ほど参考人小谷先生からお話がありまして、ほかにも利用できないという理由をあげられたわけなんです。で、その中に一つやはり財政上の理由で十分利用できないというお話がありました。これはまあ大学のように限られた経費で運営しておられる研究機関としてはもっともなことだと思うのです。こういう非常に公共性の富んでいる国立大学等、あるいは国の機関など、そういうものに対するサービスの提供というものには、何か料金の減免とか、あるいは無料とかいう措置はございませんか。お答えを願う前に、今後そういうことを十分に注意していこうというようなお答えがあればけっこうです。
  138. 三輪大作

    参考人(三輪大作君) 現在大学とか中小企業とかいう規模とか業種によって定価の差はございません。全部定価は一律でございます。また、将来について、たとえば国家機関とか、そういうものについての料金の格差をつけるかということについては、現在はまだ考えてはおりません。しかし、これは方々から、実は中小企業の問題でも、あるいは大学先生方のほうも、高いという声が出ておりますので研究をするようにいたします。
  139. 向井長年

    委員長向井長年君) 他に御発言ございませんか。——他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 向井長年

    委員長向井長年君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 向井長年

    委員長向井長年君) 御異議ないと認めます。  これより採決を行ないます。本案に賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  142. 向井長年

    委員長向井長年君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書の作成については、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 向井長年

    委員長向井長年君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十一分散会