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1964-06-10 第46回国会 参議院 運輸委員会航空、海難、路面事故防止対策に関する小委員会 第2号 公式Web版

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  1. 海難事故防止対策に関する件 (会議録情報)

    昭和三十九年六月十日(水曜日)    午後一時二十四分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     平島 敏夫君    委員            木暮武太夫君            大倉 精一君            吉田忠三郎君    担当委員外委員            相澤 重明君   政府委員    運輸省船員局長 亀山 信郎君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    運輸省海運局参    事官      高林 康一君    運輸省船舶局検    査制度課長   佐藤美津雄君    海上保安庁警備    救難部長    猪口 猛夫君   参考人    社団法人日本パ    イロット協会理    事       山下 博明君    社団法人日本海    難防止協会理事    長       三村令二郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○海難事故防止対策に関する件   —————————————
  2. 委員長(平島敏夫君)(平島敏夫)

    委員長平島敏夫君) ただいまから、航空、海難路面交通事故防止対策に関する小委員会を開会いたします。  本日は、前回の申し合わせにより、水先人の方に参考人として御出席いただきましたので、これから海難事故関係について御意見を拝聴したいと存じます。  まず、参考人の方に小委員会を代表して一言ごあいさつ申し上げます。お二人の参考人の方には、御多忙のところわざわざ御出席を賜わり、ありがとうございました。  それでは、まず一人十五分程度で御意見をお述べ願いまして、お二人が終わったところで小委員質疑にお答えいただくことといたしまして、進行してまいりたいと存じます。あらかじめ御了承をお願いいたします。  それでは、まず三村参考人からお願いいたします。
  3. 参考人(三村令二郎君)(三村令二郎)

    参考人三村令二郎君) 私は、海難防止協会理事長をつとめておりまする三村でございます。  海難防止について何か意見を申し述べよということでございますが、海難防止ということは非常に広範多岐にわたっております。いわば、運輸省海事関係行政はことごとく海難防止につながっていると申しても過言ではないと考えるのであります。たとえば、船舶行政海難を防ぐためにりっぱな船をつくる、あるいは船員行政海難防止のために優秀な船員を養成する、あるいは海止保安行政海難防止することが最も大きな目的ではないかと考えるのでございます。  私ども海難防止協会は、こうした政府海難防止の施策に御協力申し上げるという趣旨で、いまを去る五年前、昭和三十三年の八月に、関係官庁の御指導のもとに、海事関係のあらゆる団体を網羅いたしまして設立された団体でございます。  私どもは一体どういう仕事をしておるか、その事業内容を御説明申し上げまして、御参考に供したいと思います。まず、私ども仕事は、海難防止思想の普及という項目、それから海難防止施設整備海難防止のための訪船事業、それから船舶安全性に関する調査研究事業漁船及び小型船海難防止に関する調査研究事業、大体この五つに大別することができると思います。  海難防止周知宣伝、これはどういう内容かと申しますると、海難防止に関する各種の講習会全国にわたって開催し、あるいはまた海難防止のために特に作製したスライドあるいは映画というようなものを全国的に配布いたしまして、各地で映写会を開催する。それから、お手元に差し上げてありまするような海難防止のためのいろいろな解説書あるいはポスター等をつくりまして、いずれも無料で必要な向きに配布しておるのであります。  それから、海難防止施設整備と申しますると、たとえば狭い水道あるいは港の入口等で、船舶交通がふくそうして危険が生じやすい場合には、航法を守れとか、あるいは右側を通航せよというような大きな立て看板を立てまして、そうしてそこを通航する船舶注意を喚起して海難防止するとか、あるいは港内に停泊中の船舶にいろいろな海難防止注意事項を伝達するために電気拡声機を購入いたしまして全国主要港に配布するとか、こういうのが施設整備でございます。  それから、海難防止のための訪船事業と申しまするのは、海難防止で一番問題になっているのは小型船あるいは小型漁船海難の多いことでございます。こういう漁船乗組員海難防止に関する知識が乏しい。したがって、無理な運航をする。その結果、悲惨な海難を惹起する場合が多いので、多年海上に生活して知識経験の豊かな人を選択いたしまして、小型船機帆船の集まる場所へみずからおもむいて、そうして船に参りまして乗組員にいろいろな知識を授ける、あるいは乗組員の質問に答える、こういう事業訪船事業でございます。  それから、船舶安全性に関する調査研究と申しまするのは、船舶の安全に関するいろいろな諸問題を、それぞれの専門家に集まっていただきまして、あるいはまた商船大学とか海上保安大学というような権威のある機関に委嘱いたしまして、調査研究を行ない、その結果を一般に発表して海難防止に資する。  それから、漁船及び小型船海難防止に関する調査研究というのは、小型船漁船を主体とした海難防止についての種々なる調査研究を行なうものであります。こうした事業を強力に推進することによって少しでもわが国の海難を減少したい、こういう念願のもとに海難防止協会仕事を続けておるのであります。  まことに簡単ではございまするが、海難防止協会のやっておりまする事業の概要につきまして御説明を申し上げた次第でございます。
  4. 委員長(平島敏夫君)(平島敏夫)

    委員長平島敏夫君) どうもありがとうございました。  次に、山下参考人には、特に水先業務についてお願いいたします。
  5. 参考人(山下博明君)(山下博明)

    参考人山下博明君) 私は、大正七年に東京商船学校を卒業しましてから、長く郵船会社船員として第一線に立っておったわけでございます。その後、昭和十四年に横浜水先人となりまして、ただいまも電車の中で考えますると、約四十六年間海上第一線で活動しているものでございます。それで、きょうのお招きは、昨日お電話をいただいたようでございまして、非常に時間がなく、少しも勉強しておる間がありませんものですから、何を申し上げていいかと迷うことでございますけれども、ただ、この経験と、現在海上に働いておる者の常に考えておることにつきまして、一言何かの御参考に申し上げてみたいと思います。  戦後、船が非常に大型化したということは、新聞その他において御承知のことと存じますが、実際にどんなに大型になっているんであろうと、こういうことは、実際に取り扱ってみないとおわかりにならぬと存じますけれども戦前一万トンの貸物船というものはほとんどなかったのでございます。また、有名な浅間丸とか龍田丸とか申しましても、せいぜい総トン数一万七千トン程度だったわけです。ところが、戦後になりまして、総トン数一万トン以下の普通の貨物船が建造されないばかりでなく、タンカーとか鉱石専用船は、ついこの間まで二万トン、三万トンといっておりまして、川崎における築港許画は十二メーター水深で二百二十五メーターの船長、約五万トンの船を標準にして完成したのでございます。ところが、まだ完成し終わらないうちに、五万トンの船ではだめだ、これが七万トンになり、八万トンになり、十万トン、あるいは十三万トンと、日に月に船型は大きくなっているのでございます。それと申しますのも、いろいろの問題でもって日本欧米に追随していたのでございますけれどもスエズ運河河口水深は十一メーター半でございます。パナマ運河は十二メーターでございます。それでございますから、欧州でも、アメリカでも、南米鉱石を運ぶにパナマ運河を通らなきゃならぬ、ペルシャの油を運ぶにはスエズ運河を通らなきゃならぬというので、大体十二メーターを最大の喫水といたしまして建造され、現にその趨勢であるのでございます。日本南米から鉱石を運ぶにパナマ運河を通る必要もない。ペルシャから油を運ぶにスエズ運河を通る必要もない。でございますから、幾らでも大きい船がつくれるのでございます。この点は船の経済上非常に重要なことでございまして、私ども第一線にある者は、日本産業のために、この立地条件有利性を生かしまして、欧米にできないような大きい船でたくさんのものを経費を安く運ぶ、これは私ども海一線の者に課せられている、日本産業に貢献する唯一の道ではないか、こう考えておるのでございます。しかしながら、このことは、言うはやすくして、実際の実行は非常に困難でございます。何となれば、この間も、御承知かもしれませんけれども、出光興産で建造されました日章丸——十三万トンでございますけれども、その長さは東京ステーションよりもはるかに長いのでございます。それで、そういうものを一体いまの港で、いままでのような衝突予防法、いままでのような港則法で安全に着けられるか。いままでのそういう港の諸設備あるいはルールは、みんな一万トン以下を標準にしてつくっておるのでございます。ところが、急激にこう船が大きくなりましたから、要するに子供の服をおとなに着せるようなもので、すべてのことが間に合わない。しかし、これを何とかやらなければならないというのが、いま私ども及び日本海運界の置かれた運命でございます。で、私ども一線にある者はできるだけこれをやろうと思いますから、ひとつ港湾の建設とか、あるいは港則法海上取り締まり、あるいはこれはインターナショナルにわたりますけれども衝突予防法、そういうものも、この大型船運航に差しつかえないように官民一致協力していただくことが、欧米ではとにかく、日本海運のためぜひ必要なことではないかと、こう考えるのでございます。  きょうも、来ながら、事務所でもって書類をさがしましたときに、ことしの二月二十日付のロイドのガゼットには、ハンドリング・ビッグ・タンカー・イン・ザ・テームズというサブジェクトで、八万五千トンのバージバーゲンという船が十二メーターちょっとの喫水でテームズ川に入ったということを大きく報告しておりますけれども、たとえば東京タンカー星光丸は九万六千トンで喫水は十五メーター・一八あるのでございます。これをすでにわれわれは入れ出ししているのでございます。またアポロは総トン数十一万五千トン、ドラフトは十六メーターでございます。これも千葉出光桟橋には入れ出ししておるのでございまして、そのやっておることにつきましては欧米のそれに劣っておるものではないと、こう確信しておる次第でございますから、ひとつ大型タンカーに対してはどういうふうにやっていったらいいかということについて、お役所も、また関係者も、そうして私どもみたように一線にある者、協力してこの難局を解決したい、こう思うのでございます。  いろいろ申し上げてみたいと思いますけれども、ただいまも申し上げましたように、海難防止大型船ということについて申し上げましたが、ただに大型船操船が困難ばかりでなく、きょうもちょうど出かける前に裁決がありまして、NHKの記者がなんか来ていろいろ言っておりましたが、一昨年の十一月十八日に第一宗像丸及びブロビグ号衝突がございまして、きょう裁決があったのでございますが、私どもは、いくら大きな船、あるいはある程度狭い所でも、自分だけの択船ならばあまり心配してないのでござまますが、この大型化と同時に、港湾における海上輸送量が非常にふえた。それで、小型タンカー小型船、このトラフィックが非常にふえた。でございますから、あの海難を起こしました当時の川崎運河通航量というものは、一時間に三百隻の大小小型船がその地点を通過しているのでございます。ですから、一分間に五隻の船が通過する。そこを縫って歩かなければならぬ。それで、これではとてもだめだということで、あの事件から、この四月一日に、運輸省でもお考えくださいまして、港則法の改正ができ、そしてあそこの航路の規制というものもだいぶ進歩しまして、大いに、きょうも申し上げましたけれども海難はだいぶもう減るだろう、楽にはなりました。ああいう大きな犠牲をただそのまま新聞種にして過ぎ去ることは、非常に残念なことである。今後もこういうようなことについてまだまだ研究することが多々あると、こう私どもは存じておるのでございます。  それから、これは、いまの港湾の問題ですが、こう申し上げておるわけですけれども、いままで大正時代、あるいはその前、昭和の初め、戦前につくりました日本の港は、ほとんどもういまの大型船には役に立たないんじゃないか。どうもいろいろ考えますると、港湾施設とか、そういうことに対して、日本人のやることは、目の先だけのことで、永久的のことをやってない。われわれが自分のうちを建てるには、たとえ十坪のうちを建てても、子供がふえたときとか、孫が生まれたときとか、どういうふうにこれを建て増ししようというようなプランのもとに建てますけれども日本港湾は、そのときどきでもって完成して、先のことを考えてない。だから、すぐ行き詰まってしまう。たとえば、まだ船を入れておりませんあの田子の浦の港にいたしましても、最初は千五百トンぐらいの船が入ればいいのだといってスタートとし、三千トンになり、五千トンになり、まだ船が入らぬうちに一万トンになる。一万トン以下の船はほとんども外国航路にはなくなるものですから、一万五千トンだ。一万五千トンに広げるには、だんだん広げていって東海道の鉄道線につかえてしまう。これではどうもならぬ。もし田子の浦の港の設計を、前々からこの大型船になるということを見通して、一万五千トンあるいは二万トンというふうに計画しておいたならば、入り口をつくって奥がなくなるというようなへまなことにはせなかったのではないか、こう思います。同じようなことが、日本の各港になされております。もう戦後十年ぐらい前につくった千葉の川鉄のピアにしましても、いまの大型のオア・キャリアにつきましてはもうどうにもならぬ域に至っておるのでございまして、この辺をひとつ、港湾設計には御協力をしていただきたい。そして運用の面から、港湾はどうつくるべきであるか、航海の安全、操船の安全の面からどうあるべきかというようなことを考慮していただきたい。ただ、ばかにここの港は水路が広いなと思えば、埋め立てをするのに土が足りなかったから水路を広くした、ばかに狭いなと思えば、これは土が幾らでもあるから水路を狭くしたというような港のつくり方では、どうも航海の安全ということに御協力されていないじゃないか、こう思うのでございます。  さらに、この大型船操船の難易とかいろいろの点でいま横浜でも問題になっておりますことをひとつ申し上げまして何とか御参考にしていただきたいと思いますが、開港検疫は、これは悪疫を防ぐためにぜひ必要なものでございます。ですから、これはもちろん厳重にやらなければいかぬのでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、船型が大きくなる、そうして狭いところにもう入ってこられないということになりまして、たとえば今度つくりました根岸の日石のピア星光丸を入れるのに、普通だと一度横浜検疫錨地まで持ってこなければならない。その検疫錨地も、船が一ぱいいるから、ずっと奥でなければならぬ。そこに検疫官が行って検疫して、それからまた外のほうへ出て行って、そうして根岸ピアに入れるのだということでは、非常に時間がロスする。かつ、その狭いごたごたしたところでこの大きいものをああ取り扱う、こう取り扱うということから、非常に危険が伴う。しかし、もちろん伝染病を防がなければなりませんけれどもペルシャならペルシャから来た船には船医が乗っておりますので、必ずしもこういうことをする必要があるかどうか。もしこういうことが必要ならば、飛行機もどこかにとめておいて検疫せなければならぬけれども飛行機の人はどんどん蒲田でおろしてしまう。船の人間だけこういうめんどうなことをする。もしこういう船を一時間ロスいたしますると、約二十五万円から三十万円のロスになります。それで、こういう大きい船は喫水一ぱい一ぱいでございますから、われわれは、ハイ・ウォーター——潮の上げたときよりほかに取り扱うことができないという問題がございまして、喫水一ぱい一ぱいに来て、これが間に合わなければ翌日に回されるわけであります。そうしますと、検疫をするために、少なくても、安全にいっても、五百万円は損をするのであります。同じように、クリーブランド号なんかにいたしましても、一時間二十五万円は、これが延びることによって損をしておるのでありまして、この辺は、検疫をどういうふうにするかということで、実際ある船会社その他において、何とかせなければいかぬということになっております。現地横浜検疫官は、実際やってあげたほうがいいんだと思うけれども検疫人間が少しも多くならない、検疫のボートも多くならない。そういう特殊の船のために特殊の検疫をすれば、一体一般の船がどうなるのだ、だからできないのだ。要するに、検疫官検疫官で、やりたいけれども設備がないのだと言いますし、それから業者はもちろん不平はたくさんありますけれども日本官庁は非常にこわいものですから、表からどうもやってくれなければ困るじゃないかと強く突っぱねていけば、次にかたきを討たれるというようなことで、これも泣いておるのでございまして、厚生省としましても、新しい港が非常にできていますから、新しい港の設備のために、横浜のような古い港はネグレクトされるわけであります。私ども戦前七人で水先業をやっておりましたのが、いまは三十人になるのでございまして、三十人でも忙しいのでございます。同じように、横浜の港に出入する船は戦前の三倍、四倍にふえております。ただ、一番大事な検疫業務は、戦前そのままでございます。これでもって間に合いようがないのは当然でございまして、新しい港の設備を拡充していくということも必要と存じますけれども、こういうような港の進運につれて必要なそういう事業には、十分予算を差し上げまして間を欠かせないようにすることはぜひ必要じゃないか、こう思うのでございます。  その他いろいろ申し上げたいこともありますけれども、大体十五分になりましたから、終わります。
  6. 委員長(平島敏夫君)(平島敏夫)

    委員長平島敏夫君) どうもありがとうございました。  これでお二人の御意見陳述は終わりました。ただいまの御意見に関し、参考人及び政府に御質疑の方は、順次御発言を願います。  ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕   〔委員長退席吉田忠三郎君着席〕
  7. 委員長代理(吉田忠三郎君)(吉田忠三郎)

    委員長代理吉田忠三郎君) 速記をつけて。
  8. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 三村参考人お尋ねしたいと思うんですが、海難防止にたいへん協会皆さんの御努力をいただいて感謝しているのですが、今日までの海難について、木造船鋼船の場合に分けて、どちらが一番事故が多かったでしょうか。
  9. 参考人(三村令二郎君)(三村令二郎)

    参考人三村令二郎君) こまかい数字は存じませんが、戦後、小型鋼船、つまり五百トン以下の鋼船がたくさん建造されまして、木船にかわりつつある。この種の船舶には特に海難が多いと、そういうことを承っております。
  10. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 政府で把握しておる状況はいかがですか。
  11. 説明員(猪口猛夫君)(猪口猛夫)

    説明員猪口猛夫君) 海上保安庁のほうで統計をとっておりますが、それによりますと、海難船種別パーセンテージを見ますると、大体機帆船漁船が約七六%を占めております。機帆船漁船は必ずしも木造船とは申し上げませんが、そのほとんど八〇%程度のものは木造船であることは、御承知のとおりでございます。以上の点から見ましても、この数字的な見地から見ますと、木造船海難が現段階においては多いということがわかると思います。
  12. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) それから、いまの政府答弁、さらにひとつ続けて求めたいんですが、たとえば七六%が機帆船漁船、いわゆる木造船が大多数、こういう御説明でございましが、これを三十九トン型とか、あるいは九十九トン型とか、いわゆる百トン以上の場合、百トン以上の場合というふうに分けた場合に、どちらが一番多いんですか。
  13. 説明員(猪口猛夫君)(猪口猛夫)

    説明員猪口猛夫君) 九十九トンと三十九トンのどちらが多いかということでございますか。
  14. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) いや、百トン未満と百トン以上。——救難部長、それではあとで資料でひとつ提出をしてほしい。  その次に、これは三村参考人お尋ねをしたいわけでありますが、協会の方々が非常に御努力をされておるわけですが、協会予算というものは年間どのくらいですか。
  15. 参考人(三村令二郎君)(三村令二郎)

    参考人三村令二郎君) 協会予算は、事業費として昭和三十九年度は四千万円、それから管理費といたしまして千九百二十四万円ということになっております。
  16. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 海難防止協会等に対しては、この資料にもありますように、モーターボート競走法に基づく日本船舶振興会、こういうところからの補助金が出ておるんですか。
  17. 参考人(三村令二郎君)(三村令二郎)

    参考人三村令二郎君) 出ております。
  18. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) その金額はどのくらいですか。
  19. 参考人(三村令二郎君)(三村令二郎)

    参考人三村令二郎君) 詳しく申し上げますと、会費が四百七十九万円、それから賛助会員からいただく賛助会費というものが二百二十九万円、それから振興会からの助成金が千百五十万円、これは管理費でございます。その他事業費の四千万円というものは、全額が船舶振興会からの助成になっております。
  20. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) それで、先ほど理事長さんからいろいろ御説明をいただいたのでありますが、宣伝やらあるいは周知等について非常に御努力をいただいておるわけでありますが、この会員のそういう海難防止のための調査研究あるいはそういう御指導等についてですね、特に船員さんを集めて教育をされるとか、そういう映画会とか、講演会とかいうようなものは、年間どのくらい行なわれておるんでしょうか。
  21. 参考人(三村令二郎君)(三村令二郎)

    参考人三村令二郎君) 昭和三十八年度に行ないました講習会について申し上げますと、一般講習会という名前の講習会全国で五十カ所、参加人員が六千百名でございます。それから、漁船だとか、機帆船、旅客船というような業種別に行なった講習会が、十二カ所で、参加人員が千三百七十名でございます。それから、巡回講習会と申しまして、海岸の僻地をスライドなどを積んだ自動車で巡回をいたしまして講習を行ないましたものが、六十一カ所で、参加人員が二千五百名に達しております。
  22. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) たい  へんな御努力だと思うのでありますが、そういう中で協会がそれだけの御努力をされておって、今後のお考えとして、どうしたならばもっとよくなるだろうか、意欲的に協会皆さんがやりたいというお考えはどんなものでしょう。
  23. 参考人(三村令二郎君)(三村令二郎)

    参考人三村令二郎君) いま申し上げましたように、周知宣伝施設整備調査研究、この三部門をさらに一そう強力に推進したいと考えております。
  24. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) そこで、山下参考人お尋ねをするわけでありますが、先ほど政府から答弁の中で、海難事故の中で機帆船なり漁船、いわゆる小型のものが七六%からの事故がある。全体の中で非常に大きなウエートを持っておるわけです。こういう小さい船がたくさんあることは、参考人が先ほどもお話しのように、大型化しておる現在では、いわゆる海上交通整理というものはなかなかたいへんではないか、こう思うのでありますが、港域法や、港則法や、あるいは衝突予防法や、いろいろな点でお触れになったわけですが、どうしたらこういうものをなくすることができるでしょう、その点ひとつ御意見を伺ってみたいと思うのです。
  25. 参考人(山下博明君)(山下博明)

    参考人山下博明君) 私の考えでは、この交通のラッシュに対する取り締まりは、陸上交通取り締まりと同じようにやらなけりゃいかぬじゃないか。それで、たとえば小型船免状にしましても、陸上ではオートバイから免状が必要になる。ところが、海上は、小型船免状というようなこともありまけれども、つい七、八年前までははしけに乗っていたのが、いわゆる人に引かれて、引き船にのみよって動いていた、そのはしけが、機付はしけというような名目のものとでエンジンをみんな備えつけるようになった。この辺は一人に引っぱられているものの衝突、いろいろ海難に対する処置と、自分で動くものの処置は、陸上の自転車とか歩くのと、それからオートバイや自動車と違えるように、相当違えて考えなけりゃいかぬじゃないか、こう思うのでございます。しかしながら、そんなことを言っていたでは、まずその機付はしけが動かないというようなことが主に論じられて、小型船、そういうものに対する免状の交付は、いわゆる政策上非常に不備があったのじゃないか。それが今日も横行しているのじゃないか。もう一つは、陸上では、運転手が運転手免状を持っていなければすぐつかまるというのでございますけれども、いまの船員法によりますと、東京湾あるいはあるところまで出ていく船も、免状を持っている人間は一人で行く。一人で二十四時間も三十時間も仕事のできないということは明らかであるにもかかわらず、当分は一人でよい。これでは、どこかで免状を持っていない人間が運営してもいいという法律ではないか。だからして、たまたま海難のあったそういう船をつかまえてみると、船長さんはきょうは陸上で用事でもって乗ってないとか、船長でないいいかげんの人間が運転していたというのが、ほとんどそれじゃないか。この辺は、海上交通がラッシュでない場合はよろしゅうございますけれども、こうラッシュになってきたら、ますます免状の交付及び取り締まりを厳重にしなければ、これはやっていけないのじゃないか、こう考えます。
  26. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) たいへんに重要なお話が述べられたわけですが、山下さん、そういうようなことで起きた事故というものはございますか。
  27. 参考人(山下博明君)(山下博明)

    参考人山下博明君) それは事故は、そういうもの同士の事故は、横浜の港でも毎日一件や二件はあるのじゃないかと、こう思います。大きい船の事故は、最近港湾局でもよく取り締まっていただきますし、港則法も改正されましたから、だいぶ減っていますけれども、これは大きい船に乗っている人間は、とにかく衝突しちゃまずいのだから、たとえば自動車のうんと走るところに子供が三輪車でよたよたしていても、ひいていいということはない、こういうようなもので、非常に気をつけて、そしてはれものにさわるように操船しているから少ないのであって、この間もある事件は、油はしけが大きい船と衝突して沈んだ。そして一人死んだ。調べてみると、それは免状のない人間が動かしていた。そして、ほとんど見張りをしていなかったから、船のどてっ腹へ持っていってぶつけたというようなことで、非常に遺憾の点があると、こう思うのです。
  28. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) いま山下さん、船の航行について、船員が、免状を取得しておる者が、時によると一人ぐらいのところで、そういうものがたくさんあるというのですが、これは法律上は何トンまでは何名というようなことがきまって……。
  29. 参考人(山下博明君)(山下博明)

    参考人山下博明君) きまっています。
  30. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) きまっておるのですね。そうしますと、結局は、大きい船にはそういうことはないけれども小型船に比較的そういう問題が多い、こういうことですか。
  31. 参考人(山下博明君)(山下博明)

    参考人山下博明君) そうです。
  32. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 三村参考人の御意見によると、これはまあ、海上における衝突予防法をつくっても、あるいは港則法があっても、問題は、運航をする人たちがそういう条件が備わっておらないというと、なかなかこれは避けることができない、こういうふうに思えるのですが、運輸省としては、このいわゆる船員の資格要件、海技免状というものは、何トンまでは幾人、何トン以上は幾人、こういうような法律上の問題についてひとつ御説明をいただきたい。
  33. 政府委員(亀山信郎君)(亀山信郎)

    政府委員(亀山信郎君) 現在の船舶職員法に規定がございまして、総トン数二十トン未満の帆船、それから平水区域のみを航行するもの、そういうものは船長一人ということになっております。ただし、総トン数百トン未満で四十馬力以上のエンジンを持っておるものは、船長と機関長ということになっております。おおむね、平水区域につきましては、千トン未満のものにつきましては船長と機関長、平水区域を走るもので千トン以上は、船長のほかに一等航海士、機関長のほかに一等機関士、二人ずつの乗り組みを必要としておるわけでございます。
  34. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) そうしますと、百トン未満の場合は二人、百トン以上あるいは千トン以上になれば三人、五人というのがあるけれども、実際にもう百トン前後のものについては船長と、場合によっては機関長だけだ、こういうことですか。
  35. 政府委員(亀山信郎君)(亀山信郎)

    政府委員(亀山信郎君) 先ほどのお答えを少し訂正しますが、ただいま港内と平水区域につきましては、千トン未満は船長と機関長だけ、そうして百トン未満であって、四十馬力以上の推進機関を有しない、エンジンが四十馬力以下のものは、船長だけで、機関長は乗らなくてよろしいという規定になっております。
  36. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) いまの山下参考人のお話のように、もし船長だけが免許を持っておって、その人がからだのぐあいが悪いとか、仕事の都合でほかの者を乗せたというようなことは、明らかにこれは事故が起きることの率は私は多くなると思う。そういう場合のことは、運輸省ではお考えにならぬのですか。
  37. 政府委員(亀山信郎君)(亀山信郎)

    政府委員(亀山信郎君) 船舶職員法十八条は、船舶所有者の義務として、いま申し上げましたような乗り組みを要する船舶職員を必ず乗り組ましておかなければならないということでございますから、用があるからといって、船長が上陸をして、そのあと資格のない者がその船舶を動かすというふうなことは、船舶職員法十八条の違反であるというふうに思っております。
  38. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 法律上の違反ということはわかりました。けれども、現実にそれでは違反をしておるか、しておらないということは、どこでそれを区分けします、どこでそういうことを摘発します。事故があった場合には、そのときに乗っておらないといえば、そのときにそれははっきりする。日常の航行の場合、いま山下参考人のお話のようなことがあり得るとするならば、どこでそれを監視をしたり、摘発をするのですか。
  39. 政府委員(亀山信郎君)(亀山信郎)

    政府委員(亀山信郎君) これは、陸上の警察が無免許の自動車の運転を取り締まると同様に、海上におきましては、海上保安官が違反を発見した場合には適当な措置をとるというふうに承知いたしております。
  40. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 海上保安庁はいかがですか、一々港におる船あるいはそういう運航している船を、どういうふうにしてこれは免許を持っておるかあるいはおらないかということを判別いたします。
  41. 説明員(猪口猛夫君)(猪口猛夫)

    説明員猪口猛夫君) 現実に航海しておる船につきましては、明らかに情報等によりまして船員法あるいは船舶職員法等に定められた職員等が乗っていないということがわかりました場合には、立ち入り検査及び調査を行ないますが、私たちのほうでやっております船員法または船舶職員法の法令違反関係に関する立ち入り検査及び調査等につきましては、おおむね時期を定めまして、一斉に立ち入り検査をやって、そういう船の法令違反を実際に検査しておる次第でございます。
  42. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) いまのお話ですと、これは他からの情報を提供されて、その情報をキャッチした場合には、これはいまのお話ができるか、あるいは船舶安全なりあるいはまた海難が起こり得ると予想された場合にそういうことはできるかもしれません。しかし、なかなか平常の場合はそういうことはむずかしいということが私は言えるのではないか。そこで、山下参考人がお話しになったようなことを、海上保安庁承知をしておりますか。いままでの経過から見て、そういうふうに資料的に、あるいはまた現実にそういうようなことにあったことがございますか。
  43. 説明員(猪口猛夫君)(猪口猛夫)

    説明員猪口猛夫君) 先ほど参考人がお話しになりました件のすべてにつきまして私たち経験したことはございませんが、その一部については経験したことはあります。また、そういうお話を承ったり、御連絡を得ていることはあります。また、先ほど申し上げました船舶職員法、あるいは船員法の法令違反に関します立ち入り検査、調査等につきましては、先ほど申しましたのは一航海中のものにつきましては確かな情報を得た場合ということでございまして、おおむね立ち入り検査等は停泊中の船舶につきましてある期間を定めまして一斉にやると、要するに、のんべんだらりと毎日やらないで、一定の期間を定めまして一斉に抜き打ち的な検査をやってその効果をねらい、またその反省を促すという次第でございます。
  44. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 海上保安庁がそういう取り締まりをするときには、船員局なり船舶局は一緒に乗るのですか、それとも海上保安庁単独で行なうのですか。
  45. 説明員(猪口猛夫君)(猪口猛夫)

    説明員猪口猛夫君) 海上保安庁がやる場合は、おおむね単独に海上保安庁法に定められました権限に基づきましてやるわけでございます。しかし、御承知のように、行楽時におきます海難防止週間等の場合には、それぞれ関係機関が協力してやることになっておりますので、現地におきましては、船員労務官等と協力して、ときには同時に立ち会ってやっておる次第でございます。
  46. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 船舶局なり船員局は、そういういまの参考人から指摘されたような問題があるとするならば、海上保安庁が取り締まればいいと、こういうお考えで、それだけでおまかせになるのですか、それともやはり、船舶の航行安全ということからいって、連絡をとって、場合によれば一緒に乗り組むと、こういうこともあり得るのですか、その点はいかがですか。
  47. 政府委員(亀山信郎君)(亀山信郎)

    政府委員(亀山信郎君) 現在、船員法の遠反事件を調べるためには、各海運局に船員労務官というものが常駐しておりまして、主として船員の労働条件の保護という点に当たって、船舶に参りまして臨検、監査をいたします。そういう場合に、船舶職員法の違反事件を発見した場合に、つまり所要の資格を持った者がその船舶に乗り組んでいないというふうな場合、あるいは免状だけ人のを借りて乗っておるというふうなことを発見した場合に、直ちに海上保安官に連絡をとって、そのほうの手によってあるいは司法事件として処理をしていただくというふうにしておりまして、私ども・本省といたしましても、最近のように職員法の違反、つまり法定の職員を乗り組ませないものがときどき発見されるというふうな場合に、特にこの点を海上保安官のほうで注意をしていただきたいというふうなことは、常時お願いをしておるのであります。
  48. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) それから、これは山下参考人お尋ねをするわけですが、船舶の安全についての問題ですが、構造上の問題や造船技術の問題もいろいろ関係をしてくると思うのですが、先ほどの御説明によると、やはり小さい船が比較的事故が多いと、こういう点については、そういう造船業界なり、あるいは運輸省なりに、あなたのほうの協会等で御注文をしたことはございますか。これはまた海難防止協会理事長さんにも——三村参考人にもお尋ねしておきたいと思うのです。最初に山下さんから。
  49. 参考人(山下博明君)(山下博明)

    参考人山下博明君) 一体こういうようなことは、陸上のことを例にとってお話しすればわかりますけれども陸上で自動車の運転手免状を取るには、相当の金と期間とかけて一そうして試験して取っているのじゃないか。一体船のほうのそういう小型船免状講習とか教育とかいうことは、三村さんの関係しております海員板摺会が戦前は相当やったと思いますけれども、この教育というものは陸上のそれに比べて非常に微々たるものじゃないか、非常にウイークなものじゃないか。現にそういうような講習する一つの会がつい二・三カ月前にできたというようなことをちょっと新聞で見ましたけれども、それに対する補助とか何とかも、まず二百万円、三百万円程度で、一体これで日本小型航の船員の教育ができるのか、ほとんどやりっぱなしにされているのじゃないか、こういうふうに私は考えております。
  50. 参考人(三村令二郎君)(三村令二郎)

    参考人三村令二郎君) ただいま山下参考人から申されましたが、小型船舶職員養成講習会に対しましては、三十八年度は海難防止協会を通じまして九百万円の助成金を出しております。これで十分ということは申し上げられませんけれども、それだけの協力はしてまいっておるのであります。
  51. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) どうも陸と海では少し事情が違うようで、たいへん問題点が出ておるように思いますが、政府としては、いまのこの船員の資格要件取得について、教育上の問題については、これからどうやろうとお考えになっているのですか。
  52. 政府委員(亀山信郎君)(亀山信郎)

    政府委員(亀山信郎君) 船舶職員の充足ということは、運輸省としても非常に大事な仕事考えておりまして、従来大型汽船、外航汽船の船舶職員の養成につきましては、文部省所管の商船大学校並びに商船高等学校、大学が二校、商船高校が五校、これを中心にいたしまして新しい人の教育を行なっております。運輸省所管の海技大学校は、現在船に乗り組んでおる人の再教育によりまして上級の免状を取得させる、こういうことをいたしております。ただいまお話しの小型船小型漁船等に対する養成につきましては、漁船関係は、水産大学のほかに、水産高校が各県に——水産県には各地にございます。水産関係の学校が教育を行なっております。しかし一実態は、その学校だけでは非常に足りませんので、やはり現在船舶職員でなく普通船員として働いておる人たちを教育いたしまして免状を取らす、これが働く人にとっても将来への希望であり、安定した職場としてそれを考えていくという面もございまして、各地でそのための講習会が行なわれておることは、先ほど参考人からお話のあったとおりでございます。で、昭和三十七年度には、こういう講習によりまして船舶職員試験、国家試験を受けた方々は一万六千名、三十八年度は二万一千名、三十九年度は二万四千名というような見積もりを出しております。これは、学校出でない方の受験の実績並びに見込み数、これが出ておるわけで、主としてこれは当然、大型船の船長あるいは機関長というような大学出が受けるような試験ではございませんで、木造船あるいは内航五百トン程度鋼船及び漁船という方面でございます。で、この講習会は、いままで海難防止協会のほうから九百万円の助成金が各地の講習会に出されておるわけでございますが、なお数年前まで国庫で補助をいたしておりました。そのほかに、特に農林省の予算といたしまして、漁船船員の練成費として一万数千円のものが各都道府県に出されておりまして、それに応じて都道府県もそれぞれの財政から所要の経費を援助いたしまして、かかる講習会が行なわれておる次第でございまして、私どもといたしましては、こういう方面の職員の養成、数を養成することと同時に、内容を充実していくということは特に必要であると考えておりますので、現在これらの講習会全国的な組織を持ちまして、優秀な講師を確保する、あるいは講師の研修を行なう、あるいは講習がやりにくいような山間僻地——山間はございませんが、海岸の僻地方面にこういう講習会ができるように、全国的な規模の船舶の職員の養成をやる機関をつくってはどうかということで、関係の船主あるいは船員団体等といろいろお話をしておる次第でございまして、こういう方策によりまして各地が行なわれます講習会内容をよくして、それと同時に、講習を受けられる、働いておる人たちの負担もなるべく軽減していくというふうにいたしたいと、目下計画を進めておる次第であります。
  53. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 多くの船員の諸君が免許を取る、免状を持つということ、これは希望でありますから、非常にけっこうなことだと私は思う。そういうための講習会なり教育を積極的に行なわせるということは、私もぜひやってほしいと思う。  それはそれとして、免許を取ったから、それだけでそれでは海難事故防止できるかというと、なかなかそうはいかない。そこで政府として、たとえば旅客船、あるいは貨物船、あるいは漁船というような、そういう、同じ免状を持っておっても、船の構造によってはかなり私はやはり違ってくると思う。そういう問題で、種別によるいわゆる免状というようなものをお考えになることがあるのかないのか、そういうことを考えておるかどうか、いかがですか。
  54. 政府委員(亀山信郎君)(亀山信郎)

    政府委員(亀山信郎君) あるいは漁船免状というふうな考え方も従来もございましたけれども、私どもは、国家が試験をいたしまして、その資格を持った者でなければ船に乗ってはいけないという海技資格制度という面からいいますと、漁船も、また同様の大きさの貨物船、旅客船も、同じ試験を行なうべきものである、同じ資格を与えるべきものであるというふうに考えておるのです。ただ漁船につきまして問題がございますのは、貨物船と違いまして、いままでの法律——現行法は、漁船につきましてもトン数別が主になっております。それに若干甲区域、乙区域というふうな区域が加えられて資格がきめられておりますが、最近のように非常遠くに出かける漁船が法制定当時予想もしなかった以上に多数にのぼってきたという面から考えますと、いままでの船舶職員の資格の定めが主としてトン数が基準になっておるというのに対して、もっと航行区域、特に漁船について航行区域に関する考え方を入れていくべきではないかということについては、必要があるのではないかというふうに考えて、現在研究を進めておるわけでございます。  なお、多数の人命を預かります旅客船につきましては、これは仰せのごとく、特に厳重な、なれたと申しますか、その航路になれた船長が乗り組むことが望ましいわけでございまして、法律上は現在のところ免状の点では特に貨物船と区別いたしておりませんけれども、定期旅客船事業はこれは免許事業でございます。そういう免許の機会その他をつかまえまして、私どもといたしましては、当該航路に熟練をした船長を乗せる——免状だけでなくて、これは旅客のサービス、安全ということからぜひ必要でありますので、そういう行政指導という手段でこれを行なっておる次第でございます。
  55. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 次に、漁船の話ですが、漁船の場合でも、先ほどの御説明によれば、トン数によっては、いわゆる百トン以下の場合ですと、船舶所有者あるいは船長、こういう人が免状を持っておれば、他はよろしいということですか。
  56. 政府委員(亀山信郎君)(亀山信郎)

    政府委員(亀山信郎君) 漁船も、遠洋区域を航海いたします場合は、百トン未満でも、船長のほかに一等航海士、機関長のほかに一等機関士、遠洋区域の航海をいたす場合には合計四名の乗り組みを必要といたしております。
  57. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) これは内航といわゆる遠洋との区別についてはわかりましたけれども、この前私が四国に現地調査に決算委員会で行きました際に、やはり漁船の問題で意見が出たのは、若い船長さんが免許を持っておっても、実際に経験の深い年配の漁労長が若い船長の言うとおりになるかどうか、こういう点で漁労長に対するやはりそういう問題の対策というものも考えなくてはいけないのではないかということがあったわけです。これはまあ、決算委員会として報告をすると同時に、政府にもそういうことについての御検討を願っておったわけですが、たとえば船長だけが免許を持っておればよろしいと、こういう場合と、漁労長もある程度機関長なりあるいは航海士なりと同じように持たせるという場合もあるのかどうか。そういうまた漁船の場合の操業等の問題を含むと、非常に微妙な問題だと思うのですが、政府はどうお考えになっておりますか。
  58. 政府委員(亀山信郎君)(亀山信郎)

    政府委員(亀山信郎君) 御指摘のとおり、漁船におきましては、漁労長というのが船頭とか親方とかというふうな名称で呼ばれておりますが、船内においてほんとうの実力者と申しますか、経営上の責任者でもございますので、実質上非常に船内において力を持っておる。そういう者が、経験は豊富でありますけれども、国家試験を受けて免状を取るというふうなことができませんで、船長にはやはり勉強をした若い人がなるというケースが多いわけでございます。この間に職務の不権衡を来たして、それがひいては海難の原因にもなるというふうなことは、私どももしばしばそういう話を聞くわけでございます。しかしながら、法律上やはり航海の指揮は船長が責任を持って行なうべきものでありまして、もし漁労長が実際に航海の指揮に当たっておりまするならば、法律上は漁労長が船長である、したがって船長である以上船長の免状を持っていなければならないというふうに解釈されるわけでございますので、私ども船舶の職員の雇い入れの公認ということを海運——局の窓口で、船員を新たに乗り組ませる場合、すべて雇い入れ契約の公認という制度で役所側が一応チェックをする。そういう機会に、漁労長と船長の関係につきましてそのつど注意を喚起する。つまり、船長が航海の指揮を行なう者であるということをよくのみ込ませた上で公認をいたしておりまして、こういう指導によりまして、実際の免状を持たない漁労長が航海上の指揮をする、そのために間違いが起こるというふうな事故防止いたしたいというふうにつとめておる次第でございます。
  59. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) いままでのお話で、やはり現状から見ると、現在までの船舶職員法についてやはりある程度改正をしなければならないということもうかがえるわけです。そういう点について改正をするということになれば、もちろん国会に提案をすることになるわけですが、そういうことが検討されておるのかどうか、あるいは船舶職員法は現状のままでいくという考えなのか、いま一度その点について御答弁いただきたい。
  60. 政府委員(亀山信郎君)(亀山信郎)

    政府委員(亀山信郎君) 現在すでに検討を始めております。
  61. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) そこで、ひとつ資料要求ですが、現在の船員が、これは旅客、貨物、あるいは漁船、それに機帆船、二十トン以下の小型船を含んで何隻になって、人数がどれくらいおるか、そのうちに今度は免状を持っておる者が何人おるか。それからさらに——昭和三十五年からでけっこうですが、昭和三十五年から、先ほども参考人から御説明いただきましたように、いろいろ教育なり講習を受けて船員免状を取った方がたくさんいるわけです。先ほど三十九年度の見込みまでお話しになったわけですが、それをひとつ資料として御提出いただきたいのです。いかがですか。
  62. 政府委員(亀山信郎君)(亀山信郎)

    政府委員(亀山信郎君) 承知いたしました。
  63. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 次に、山下参考人お尋ねするわけでありますが、先ほど、港内の航行について、小さい船がたくさんある中に、だんだん今日では大型化しつつある、したがって。パイロット協会皆さんも非常に御苦労願っておると私は思う。そこで、現状の港湾設備を改善しなければならぬということは、私も同意見だと思う。したがって、いまある港を深く掘ればさらにそういう御指摘のような点にも若干沿うと思うのですが、掘るということにもおのずから限度があると思う。そういう面で、もっと港湾の拡大といいますか、沖へ出ていくといいますか、そういうようなことで大型化に対応するやはり港湾設備というものを考えたらいいのか、あるいは現在の港湾を金をかけて水深十五メートルなり十六メートルにしていく、こういうことが適切なのか、ひとつ長い間の御経験でありますので、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  64. 参考人(山下博明君)(山下博明)

    参考人山下博明君) お答え申しますと、現に横浜で大きいタンカー、いわゆる七万トン、八万トンの入るのは、鶴見・川崎地区でございまして、この鶴見・川崎地区はもともと総トン数七千トン、排水トン数一万五千トンの船を限度といたしまして防波堤をつくったのでございます。それが戦後、つい四年くらい前にいまの水深——そのときは水深は九メートルだった。それで、大体において水深が九メートルで、そうしていわゆる総トン数一万トンの船が入れば、もうちっとも心配なかったのであります。喫水その他において、横浜はちっともトラブルもなし、心配なかったのでございますけれども、先ほど申しました船の大型化によりまして、これを十二メートルに掘ったのでございます。そうしてスーパー・タンカー七万トンまでも入れようということにして、現にスーパー・タンカーの七万トン、喫水十二メーターの船を入れておりますけれども、もう七万トンではもの足りない。まだでき上がらないときに、もの足らない。ひとつもっと大きい八万トン、九万トンを入れてくれないか、こういう提案がありまして、しかしいくら何にしても、十二メーターのところへ十三メーター喫水の船は、これは入らぬことはだれでも御承知でございますので、そういう大型船は、オア・キャリアみたいな船は、元地でもって十三メーター積めるところを十二メーターまで積んで入ってくる、あるいは輸送船は、たとえば根岸ピアでもって、瀬取りというんですが、これも十二メーターあるいは十一メーター半に調整して、そうして二百四十五メーター、二百五十メーターの船を入れている状態でございまして、ただ川崎の運河が非常に幸いなことは、あれはつい最近川崎寄りのほうに、六郷川の口にもう一つ口をつくったのでございます。それですから、そういう船を、いままでは入ったやつは必ずあの狭いところへ回して出たのでございます。ところが、最近は入れたままつないで向こうを出るものですから、こんなような大きい船でも喫水さえ許せば、ほかのところで瀬取りすれば、あるいは瀬取りせなくても少し積んでくれば入っていくと、こういう状態でございますけれども、これは千葉の川鉄のピアになりますと、必ず回さなきゃならぬ、口が一つでございますから。それで、現状お手あげの状態になっておりまして、一体オア・キャリアのほうはどうしてもピアへ着けなきゃならぬ。そうしますというと、いまの日本鋼管で南米から輸入されているオアにしましても、十二メーター喫水のところで十三メーターまで積める船を使うということは非常なロスでございます。だけれども、やむを得ぬからこれをやっていますけれども、私どもは、もう川崎の運河は、掘ってこれ以上大きい船を着けるには、広さにおいて限度がきている。それで、実際におきまして五万トンの船と七万トンの船は、二万トンの大きさというものは非常に操船上難易があるものでございまして、もうこれは掘っても困る。いわゆるスーパーまででもって、七万トンまででがまんしてくれ、そしてウエートも七万トンまでで制限してくれ、がさは大きくてもウエートで制限してくれということは、もう掘っても困るということで、何か鉄鋼協会でございますかなんかは、港湾審議会かなんかに働きかけまして、盛んにこいつを掘って大きい船を着けようというようにやっておるように聞きますけれども、私どもの技術としては、もともとが小さい船を着けるように狭くつくったところでございまして、そう無限に大きくなるのもどうか、ただ、いま申し上げましたように、ウエートでもってもうあれすべき時代じゃないか、こう思うのです。  もう一つ御質問に答えますると、ただ輸入される石油でございますが、これは必ずしもああいう桟橋へ着けなくてもよろしい。いま盛んに唱えられておりますイモトコ・ブイというようなものは、ずっと沖にブイを置きまして、ブイからサブマリン・パイプを取ります。そして、ブイに船をつないで、パイプでもって陸揚げしますものですから、これは十万トンでも十三万トンでも、日章丸が現に徳山でやっておりますように、それは桟橋に着けないものですからまずいいと。ですから、そういう油の輸送船はそれがききますけれども鉱石の輸送船は、ことにいまの鉱石の輸送船には、これを自分で揚げる設備がないのでございます。岸壁へつけて、岸壁のクレーンで揚げるものでございますから、どうも港は狭くなるし困ったことだと、いわゆる水島のほうに川崎製鉄などは新しく港湾設備をしているそうでございますけれども、まだでき上がらないうちにどうも狭過ぎるじゃないかと、いまの鉱石輸送船にはまずいじゃないか、田子の浦の港と同じような問題が起きているというようなことをちょっと耳にしたのであります。
  65. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 次に、三村参考人お尋ねするのですが、京浜運河において火災が起きたことがございます。こういう点、やはり火災が船で起きますというと、実質上ほとんどが品物が損害になってしまいます。そういう場合の消防艇というようなものがあれば、これを消火あるいは財産を守るのには非常にいいと思うのですが、協会としては、そういうようなことを、地方自治団体に、あるいは政府に対して持ってほしいというようなことをお話しになったことありますか。あるいはまた、もし全国の中で特徴的にそういう点がございましたら、ひとつ参考に御意見を聞かしてほしいのです。
  66. 参考人(三村令二郎君)(三村令二郎)

    参考人三村令二郎君) お手元に差し上げてありまする京浜運河の火災と対策の中には、そういう点も触れてございます。しかし、全国港湾都市に対しましてそういう設備をするようにというような陳情はまだいたしてございません。
  67. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) これは政府関係はどちらが、そういうことは資料的に、また現実的に把握しておるでしょうね。海上保安庁だと港内の問題はあまりないわけですから、港湾ですか、船舶ですか、どちらですか。
  68. 説明員(猪口猛夫君)(猪口猛夫)

    説明員猪口猛夫君) 港内の火災防止のために消火艇が必要なことは、仰せのとおりでございまして、現在でも、海上保安庁でも、京浜、それから神戸等におきましては、都市が専門の消防艇を持っておるのでございますが、しかし、現在の消防艇を建造いたしました当時の情勢と現状では相当に情勢が変わっておりまして、ことに宗像丸事件後におきましては、化学消防艇が必要であるということを痛感しておる次第でございます。海難防止協会のほうのいろいろな研究の結果、答申にもそういうことが盛られておりますが、実は私のほうも、昭和三十九年度の予算のときから化学消防艇を増強すべく努力したんでございますが、何分にも化学消防艇となりますと、一隻が百トン内外の船で一億以上かかります。このために、なかなか思うように獲得できないというような実情でございます。現在化学消防艇らしきもので、私どもが注目しておる、あるいは刮目しておる消防艇は、現在大阪市が持っておるものが一隻ある程度であると思っておりまして、他の港におきます消防艇は、従来の消防艇で、本格的な、大規模な化学消防艇はまだないように記憶しております。
  69. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) いまの海上保安庁の御説明ですと、まあ大阪市が化学的なそういう消火艇を一隻持っておるというだけのようにいま把握されておる、こういう御答弁。まあ御承知のように、この臨海地帯においては、石油コンビナートが非常に多いわけです。いわゆるタンカーの出入りも必然的に多い。これは単に京浜、阪神ばかりではないと私は思う。こういうことから考えて、一たん事があったら私はたいへんなことだと思う。京浜運河の場合も、わずか川崎市の消火艇が一隻だったということで、当時これじゃたいへんだということが内外の人から指摘をされた。これは海難防止協会皆さんにそれをやれということではなくて、海難防止協会皆さんのそういう事故防止という面のアッピールはもとよりでありますが、その港湾の管理者なり、あるいはそういうところをいわゆる管理運営をするという立場にある政府なり、地方自治体の、私は重要な仕事だと思う。それがしかし、地方自治体だけに、いまのお話のように一隻一億以上もするものを何隻もつくれといったところで、これはなかなか私はたいへんだと思う。しかし、現実に事故が起きれば、火災が起きれば、とうとい財産というものはなくなってしまう。どうしてもやはりこの海上の問題として、特に港湾関係においては、港の中で火災が起きたからといって、陸上に移らぬとは限らぬわけです。むしろ陸上に延焼することも相当考えられる。その際に、陸上に移った場合に、コンビナートの中にもし火が飛んだら、これはまたたいへんなことになる。そういう意味で、この海上あるいは港湾の中における消火艇というものは、私は緊急を要する問題じゃないかと思うのですが、これについては、政府としては積極的に——海上保安庁に持たせるという意味では私申し上げるわけじゃないのですが、海上保安庁が持ってもけっこうですが、むしろ地方自治体にそういう援助をして設備をさせるということが大事だと思うのですが、この点はいかがですか。どなたが御答弁になるか知らぬが。
  70. 説明員(猪口猛夫君)(猪口猛夫)

    説明員猪口猛夫君) ただいまの御質問の点につきましては、先般港則法改正の際にも、各運輸委員会の附帯決議として、消防艇のことについてもございました。私たちもなお一そう消防艇の確保に努力いたしたいと思っております。なお、消防艇が唯一の港湾におきます火災防止設備ではないと思われます。たとえば科学消火剤とか、それから火災拡散防止壁とか、そういうようなものを、やはり各港湾管理者なり、港湾の保安に従事する者が、鋭意整備していかなくてはならぬと思う次第でございます。まあ私たちが港湾の火災がございました場合に経験しているところでは、それぞれ、たとえば石油コンビナートのものでありますれば、その人たちが大量のシーライト的な科学消火剤を持っておられるようでございまして、漸次、宗像丸事件を契機といたしまして、そういう港湾におきます火災防止の思想が浸透してきて、現実に整備されつつあるんではないかと考えております。しかし、まだ十分ではないと思っております。
  71. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) これは、国会の附帯決議の問題もありますが、私は、これをたとえば陸上の石油コンビナートの資本家の諸君に設備をしろと言っても——これはもちろん陸上におけるものはできると思う。しかし、海上において、たとえば陸上の消防車があっても、港の中なり海上においては、これはなかなか届くわけのものじゃないわけです。したがって、まあ消火艇というものが必要になってくると私は思う。そういう意味で、先ほども参考人からもお話がありましたように、何といっても、国家的に見れば、重要な産業経済の資材を運ぶのでありますから、そういう面からいって、国の仕事として当然やはり私はその面に力を入れていくべきだと思うのです。したがって、本日は大臣も御出席になっておらないし、そういう点について若干御答弁をしていただくのはむずかしい点があろうと思うのですが、私は本日、運輸省関係者の諸君に、こういう海上における、あるいは港湾の中における火災等の事故対策というものは、早急に立案をして、しかも海難防止協会等皆さんにもひとつ御協力をいただくということを策定をしてほしい、これは要望として申し上げておきます。  その次に、船舶関係の方にお尋ねをするわけですが、最近マグロ・カツオ漁船事故というものがありますが、同時に、神奈川県の葉山付近に、あるいは油壷付近においては、ヨットの事故がやはり相当数多く出ております。非常に小さい船でありますし、一つの運動でもありますが、しかし、これが非常にばかにならない数があるのです。そこで、どうしたならば事故をなくすることができるかという中に、私は、一つ構造上の問題と、いわゆる設備の問題があるのではないか。たとえば、漁船のような場合ならば、ラジオ・ブイを持つとか、あるいはまあ無線を取りつけさせるとか、これは海難防止協会の方々にもいろいろ御努力を願っているところでありますが、各都道府県でもそういう点に積極的に取り組んでもらうように、私はやはり指導をすべきではないか。先ほど申し上げたように、四国にことし一月現地調査に行った際には、高知県ではこの点非常に力を入れているのですが、不幸にして北海道はじめたくさんの海難事故の経過を調べてみると、どうも設備がよくない、あるいは構造上に欠陥があるということが指摘をされているのです。こういう点について、船舶局としてはどういうふうに考えていこうとするのか、あるいはまた、各都道府県、そういう地方自治体に対して要請をされようとするのか、事故撲滅の立場からひとつそういう点を明らかにしてもらいたい。  その次には、たとえば、先ほどの七六%のいわゆる小さい船の事故が多いのだという中で、漁船と、あるいは砂利等の運搬船、あるいは鋼材ですね、特に大企業が専用船として持っておる、そういう鋼材を積んでおるところの船、あるいはいまのような、運動の一面にもなっているかもしれませんが、ヨット等、こういうような小さい船等の事故比率というものはどのくらいになっておるのか、種別、わかったら御答弁いただきたいし、もしわからなかったら、あとで調べて資料として報告してもらいたい。以上ひとつお尋ねします。
  72. 説明員(佐藤美津雄君)(佐藤美津雄)

    説明員佐藤美津雄君) お答えいたします。  最初の小型船、すなわちヨットのような船舶につきましては、実は船舶安全法は十トン以上の船舶につきまして大体規制ワクをきめて検査をやっております。さらに、それ以下の船がございますので、そういうものにつきましては、一応安全法の対象外、したがって構造、設備が法的に野方図に放置されている状態になっておるのでございます。これにつきましては、安全法の二十九条におきまして、都道府県知事のほうに権限が委譲になっております。したがって、私のほうでも、最近の海難の発生に伴いまして、これに関する措置を講ずる必要があるという関係から、運輸大臣名をもって都道府県知事に、地方でこの規制に関してどういう態度でおられるか実はお聞きしたことがございます。  これにつきましては、大体地方としましては、できるだけ全国の統一した基準のようなものをつくってもらいたいという希望が多いのでございます。したがって、われわれとしましては、そういう基準をいずれつくって示して、都道府県で実施していただきたい、こういうふうに考えております。しかし、これも実は都道府県の都合ではたして実施できるかどうかという面もございますので、一方われわれは将来の船舶安全法の改正ということもあわせ考えまして、これを処理したいというふうに考えております。  なお、ヨットにつきましては、特に舟艇協会とか、外洋ヨット協会、そういうところがございますので、われわれのほうとしましては、内規をつくって、とにかく業者同士で十分に安全を確保していくというふうに現在指導いたしております。そしてその内容は・内規は実はまだ私のほうにもまいっておりませんが、非常に詳細に検討しておるようでございますので、近くそれが提出されるものと期待しております。  それから、漁船につきましていまのお話がございましたですが、小型船漁船、これは九十九トン型と三十九トン型が非常にいろいろの問題を起こしているわけでございますけれども、大体これは木船でございまして、木船の問題と申しますか、それは先ほど警備部長からお話があったように、機帆船の部類に入ってくるわけですが、われわれとしましては、さらに救命の設備、そういう点を十分に強化していきたい、こういうふうに考えております。ふくらましボートなんか最近非常によくなっておりますので、そういうものをつけさせるような方法を講じて、万一の場合には十分な効果をあげるように持っていきたいと考えております。なお、実は私のほうは、安全条約をこの前批准のための御承認をいただきましたので、それの全面的な規則改正ということでいま作業を進めております。したがって、その中に直接——その漁船なんかも特に安全条約とは関係ないことになっておりますけれども、一緒にその点全般的に改善をはかるようにただいま準備中でございます。  それから、最後の実は統計資料ですが、実はこまかい統計資料をただいま持ってきておりませんので、あとで出します。
  73. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) それから、いまのあとの問題については資料を御提出いただいて、次に漁船の場合にいままでの調べによると、一ぱい船主、つまり一人で一隻持っておるという人がかなり多いということがいわれております。あるいは三人で共同出資をして持っておるというのもあるそうでございます。しかし、これが私はやはり、漁労の、いわゆる収獲を、水揚げを多くするために無理な作業をする、いわゆるこの前私が決算委員会なり運輸委員会で申し上げましたボーナストン数という問題がそこにある。ですから、そこで、この漁労に従事する人たちの生活をよくすることや労働条件をよくすることも私はきわめて大事なことだと思います。そういう意味で、船主の人たちに、特に遠洋に行くような場合には、共同化といいますか、あるいは合同作業といいますか、そういうようなことを推し進める考えはないだろうか。そうした場合に、一ぱい船主の場合には十五人、二十人の漁労員きり乗っておりませんけれども、そうい人たちだけではなかなか海難がありました場合でも補償金はきわめて少ないわけであります。これは千日分もらったところでたいしたことはないわけです。もともと賃金が安い、そうしてまた補償というものも限度があるわけです。そこで、社会労働委員会なり、私どもの決算委員会なり、この運輸委員会では、常にそういう点を指摘しておったわけですが、多くの人が加入しておれば、質的にも向上するし、また補償関係についてもよくなってくると私は思うのです。そういう意味で、従来の一ぱい船主というのを、できるだけそういういわゆる共同化、組織化の方向に持っていくお考えはないかどうか。これはどちらが担当ですかわかりませんけれども事故にかんがみて、ひとつそういう点は運輸省では考えておりませんか。
  74. 政府委員(亀山信郎君)(亀山信郎)

    政府委員(亀山信郎君) ただいまの船舶の安全をはかる意味において、船舶大型化、そのために漁業の共同化というようなことにつきましては、実は水産の問題でございまして、水産庁のほうの御所管かと思いますけれども運輸省といたしましても、船員の居住設備の改善、あるいは救命その他の安全設備、さらには作業上の安全を確保するためにも、船舶大型化ということは特に望ましいことであるというふうに考えておりますので、そういう御意見は水産庁には機会あるごとに申し述べておる次第でございます。
  75. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) 次に、山下参考人お尋ねをするわけでありますが、パイロットは皆さんまことに御苦労でありますけれども、ようやくまあ今年度予算的に、あるいは人員的にも、これに対してパイロットの増員等もはかられたわけですが、先日当参議院運輸委員会で同僚の岡三郎委員からもやはり、この業界自体の近代化といいますか、さらにその御苦労に前向きの姿勢で政府考えてやるべきじゃないかという話があったわけです。特に、パイロットの皆さんのお仕事というものはたいへんですから、そういう人を育成助長するというのはたいへんだろうということで、お年寄りには長い経験と功労者でありますから、できるだけまあお年寄りを大事にして、しかも第一線から退いても老後の生活保障はできる、少なくとも十万や十五万の月々の保障はできる、こういうふうにして後進を育ててもらいたいという実は話があったのです。そこで、そういうふうに協会自体として、いわゆる多くの後進者を、いわゆる後輩を育っていくと同時に、先輩の人たちが安心をして仕事がまかされる、こういうことについて何かお考えになっているかどうか、あるいは共済制度というような面について協会としてどうやろうとしておるのか、この際ひとつ承っておきたいと思います。
  76. 参考人(山下博明君)(山下博明)

    参考人山下博明君) これは高林参事官にもよく聞いておいていただきたいと思うような非常にありがたい御発言でございまして、実はこのことにつきましていままで長い間いろいろやっておりましたけれども、ハンド・ツウ・マウスでもって、あまりにそういう余裕もありませなんだところ、昨年十月料金を上げていただきましたのを機会に、その金は協会、いわゆる全日本水先人の強化、それから先ほど申し上げましたように、やめましてからの——安心してやめられるという年金制度、かくすることが、水先のいまの制度からいって、あまり年とった者が無理をしてやらなくてもいいようになるということは海難防止上も望ましいことじゃないかというようなこと。それから、日本のいまの海運の置かれている経営状態はそんなに楽ではない。そして昔のように二十年、三十年船長をして楽に食うほど船会社でも見てくれぬというならば、パイロットの数を外国のように多くして、そうして一つの、長く会社に勤めた者は、パイロットをしてまたからだの続く限りある程度やったらいいじゃないかと、そうやるにも、いままで取っているパイロットの収入の犠牲においてこんな高遠のことはとてもできないのですから、いろいろとお願いいたしまして、昨年の十月と今度、二回に分かちまして料金を上げていただきまして、そうして水先協会も社団法人といたしまして、強固な、日本じゅうの水先を一丸として成り立ち、これも運輸省からいろいろ御援助をいただいて発足したわけであります。それから同時に、その協会事業といたしまして、年金制度も、毎月の収入から協会へ払い込んで、そうして三井信託か何かにお願いして・まず一応何とかやっていけるじゃないかという制度を確保したわけであります。これはこの二月から発足したわけです。それから、いろいろみんなの気分も、なるべくひとつ後進の者のために水先をふやしていこうと、そうして、楽をすると言うと語弊がありますけれども、長く無理をせなく、そうして仕事を分担して、そうしてひとつ余裕を持った生活と余裕を持った仕事の範囲でもってやっていくというようなことが、いま日本じゅう、各水先区の者に響き渡ってきまして、同時に運輸省御当局の非常な御指導が実を結びまして、おそらくはここ一、二年ぐらいには、日本の水先制度も、昔のようなちゃちなものでなくて、りっぱな一つの仕事となりはせないかと、こう思いまして——どうかそういうようなことについては、相澤さんや何かから高林さんあたりに非常に始終御忠告を願いたいと、こう思います。
  77. 担当委員外委員(相澤重明君)(相澤重明)

    担当委員外委員相澤重明君) それじゃこの辺で。
  78. 委員長代理(吉田忠三郎君)(吉田忠三郎)

    委員長代理吉田忠三郎君) 他に発言ございますか。
  79. 木暮武太夫君(木暮武太夫)

    木暮武太夫君 さっき山下参考人のお話の中にあった、伝染病防疫のための検疫仕事というものがいろいろ非常に大きな船なんかの運航上問題を起こしているというようなことを聞いて、これはこれからいろいろ大きな問題になると私は思うのですが、運輸省の人に伺いますが、これについて運輸省のほうではいろいろ御研究になったことがあるか。厚生省のほうに連絡をとって——いろいろ非常にロスがあるような話も聞いたのですが、そういう問題について、これは厚生省関係の仕事だから、運輸省として御相談になったことがあるのかどうかということを御説明願いたいと思うのです。
  80. 説明員(高林康一君)(高林康一)

    説明員(高林康一君) 検疫の問題につきましては、先ほど山下さんから御指摘のございましたように、非常に港あるいはそのときの状況によりまして、いろいろ変化はございますけれども、相当程度滞船といいますか、そこで時間を空費する、またそのことに伴いまして、かなり、何と申しますか、船舶の経済上のロスというものが出てくるという点につきましては、お話のとおりの事例が多いようにも聞いております。私どもといたしましては、船の運航能率を高めますためには、港湾におきますところの検疫のみならず、その他一般的に全体の港湾のいろんな手続というようなものが、極力迅速にいけるように、こういうような点につきましては、港湾関係のいろんな出先機関が多数ございますけれども、それぞれ各主要港におきまして、各関係官庁がいろいろ連絡しながら、いろいろの問題を迅速に処理するように、このような点については、各地方海運局、あるいは税関、検疫所、植物検疫というような各機関におきまして、相互に会合を開き、また連絡をとりまして、事務処理の迅速化をはかるように努力している次第でございます。ただ、御指摘にもございましたように、やはりいろいろの面におきまして、定員あるいは予算というような面におきまして、必ずしも所期したようにいかない場合もままあるかと思います。こういうような点につきましては、関係官庁努力いたしまして、それらの港湾手続の簡易、迅速化というような点については、今後ともさらに努力を重ねてまいりたい、また関係各省ともよく相談しながら進めていきたい、かように考えております。
  81. 木暮武太夫君(木暮武太夫)

    木暮武太夫君 それから、パイロットの数も非常にふえて、いろいろ仕事が多くなってきたというようなことを先ほど御説明になったわけですが、これで私は運輸省のほうに伺いたいことは、日本ではいま、御承知のとおり、貿易外の国際収支ということが非常に問題になっているわけなので、この外国船を水先案内して受け取る水先料というものは、今後ますます日本としては、貿易外の収支の上から見て、重要なものであろうと思うのですがね。そこで、一体これは、運輸省は、外貨獲得の上から、国際観光の収入なんていうものを重く見ていると同じように、外国船から受け取る日本の人の水先料というものは、相当重く見ていいと思うのだが、統計上どのくらい年間あるものだということはわかっているだろうと思うが、どのくらいあるのですか。
  82. 説明員(高林康一君)(高林康一)

    説明員(高林康一君) 現在の外国船からの水先収入は、大体ドルにいたしまして二百三十万ドル程度でございます。
  83. 木暮武太夫君(木暮武太夫)

    木暮武太夫君 それから、この海難の場合に、私はまあどういう条件や時期でやることか知らぬけれども、自衛官の出動を要請するということもあるわけですね。海上保安庁のほうで、それは何か条件でもあっておやりになるのですか。自衛隊というものは、いま日本じゃ、別に戦争を何もやるために使うわけじゃないので、大雪とか大水が出たりするときに自衛隊員が働くということをやっていることが、非常に自衛隊の効果をあげているわけだから、私は海難救済なんということには自衛官が活動するのがいいんじゃないかというふうにふだん思っているのだが、海上保安庁じゃ、自衛隊というものと連絡をとって、どういう場合に自衛官の出動を要請するというようなことになっているか、その事情をちょっとお話しを願いたい。
  84. 説明員(猪口猛夫君)(猪口猛夫)

    説明員猪口猛夫君) 海難救助に関します海上自衛隊と私のほうとの関係につきましては、業務協定的なものを取りかわしておりまして、私たちのほうの要請に基づきまして、いつでも海難救助に出動する体制になっております。しかし、御承知のように、現在持っております海上自衛隊の艦艇の性能につきましては、私のほうの巡視船の性能と大差ない実情でございますので、艦艇の出動をお願いするような大きな、大規模な海難が昨今はまだないというようなことで、常時海上自衛隊関係の出動をお願いしておるということはございません。おそらく年に一回か二回くらいだと思います。ただし、飛行機につきましては、ほとんど、海難がありますれば、海上自衛隊の航空機に依存すると言ってもいいくらい、その出動をお願いしておりまして、まず海上自衛隊の足の長いP2Vという型式の飛行機でありますが、それの出動によって捜索をしていただき、われわれのほうの巡視船と協力して海難捜索救助に当たるということになっております。格別に条件というのではなく、私のほうからいつでもお願いすれば出ていただけるようなことになっております。
  85. 大倉精一君(大倉精一)

    ○大倉精一君 所用のためにたいへんおそくなりまして申しわけないと思っておりますが、この際一言だけお伺いしておきたいと思います。  先般新聞で拝見しましたが、北海道の遭難のときに、ゴムボートの上で十三名の方が遭難されたのですが、これに関連いたしまして、ラジオ・ブイがあれば、遭難個所が早くわかって、あるいはああいう方も救助できたのではないかということを新聞でちらっと見たのでありますが、同時に、ラジオ・ブイを持っている業者ですか、船というものが非常に少ないという、そういう新聞記事がありました。そういうものを持っておらずに、そういう危険な船を出して、そうしていろいろな操業をさせるということについての問題点を指摘したのでありましたが、そういう遭難時における安全施設、特にラジオ・ブイ等についての現状というものについてどういうぐあいになっておるか、ラジオ・ブイというものは一体どのくらいで買えるかということをこの際お伺いしたいと思います。
  86. 参考人(三村令二郎君)(三村令二郎)

    参考人三村令二郎君) ラジオ・ブイを持っておりますると、遭難船の所在を保安庁の巡視船その他に知らせる上において非常に有力でありまするから、海難防止協会といたしましては、極力ラジオ・ブイを備えつけるように、会報あるいは講習会のつど奨励しておるのでありますが、何分にも相当な価格の品物でございますから、その普及はまだ微々たるものだと存じます。したがいまして、どのくらいラジオ・ブイを備えているか、どのくらいの隻数の船がラジオ・ブイを備えているかという統計はまだとってございません。  価格の点につきましては、実は私あまりはっきりしたことは記憶しておりませんが、たしか二十五、六万円くらいじゃなかったかと存じます。あるいは私の記憶違いかもしれませんが——私の記憶違いで、五万ないし七万円ということでございます。
  87. 大倉精一君(大倉精一)

    ○大倉精一君 それでは、運輸省のほうにお尋ねしますけれども、最近こういう小さな船の海難というものは非常に多いのです。原因は乗り上げあるいはその他いろいろあるでしょうけれども、とにかく小さな船の海難に対しまして、船の改造をする云々ということについては、相当日時がかかるわけです。でありますから、当面の措置として、わずかに五万円か六万円で買えるなら、やはり船主に義務づけをするという、法律的根拠はありませんけれども行政的措置でそういう措置をすべきであると私は思うのです。そういうものを備えていなければ海へ出ちゃいけないというところまで行政措置すべきだと思いますけれども、そういうことについて、当局としてどういう実情把握をしておられるか、どういう指導をしておられるか、これについてお伺いたいと思う。
  88. 説明員(高林康一君)(高林康一)

    説明員(高林康一君) 御指摘のございましたように、小型船につきましては非常に海難が多い。そういうために、根本的には、何と申しましても、老朽船というようなものが多いということに起因することかと思います。こういうような点につきましては、船質の改善をはかってまいることが根本的な措置といたしまして必要でございます。その点につきましては、本年度より、また、従来旅客船につきましてもそうでございますが、特定船舶整備公団等におきまして、船質改善事業というようなものを、これを進めている次第でございます。これをさらに長期的な計画のもとに船質改善をはかるということが第一に必要かと思う次第でございます。それと同時に、やはりそれにつきましては相当長期間を要することは、ただいま御指摘のございましたとおりでございます。そういうようなために、さしあたりいろいろな事故が起こりました場合の連絡通信というようなものを確立いたす必要があるかと考えます。その点につきましては、漁船のほうにつきましては、私残念ながらよく存じておりませんけれども一般機帆船、あるいは一般の汽船におきましてはもちろんでございますけれども、大体SSBなんかによりますところの無線通信ということをいま各地区におきまして大幅に取り上げて、そうしてSSBによりまして、いわゆる中短波でございますけれども、これらによっていろいろな連絡のとれるようにやっているようなわけでございます。ただ、将来の問題といたしまして、非常に、こういうような無線連絡というような方法をやっていきますときに、いろいろな機械設備その他につきまして相当の資金が要るかと考えます。そういうような点につきましては、現在機帆船海運組合等におきましてもいろいろ共同でそれらの設置について努力しているわけでございますけれども、私どもといたしましても、そういうような無線設備というようなものについて、自主的にまずいろいろ設置を進めていただくと同時に、極力それの所要資金について配慮あっせんを進めていきたい。また、将来におきましての問題でございますけれども、これらの無線設備というようなものについて、これを必要な船舶設備というふうにするように、今後措置する方法をいろいろ検討している状況でございまして、なお今後ともその点を進めてまいりたいというふうに考えておりまる。
  89. 大倉精一君(大倉精一)

    ○大倉精一君 無線設備ではなくて、私もラジオ・ブイなんて見たことはないのです。ないけれども、想像すると、遭難したときにぽんと海の中へほうり込んでおけば、自然に位置が知られると想像するわけです。わずか五万円——昔の五万円なら高いけれども、いまの五万円なんて、一ぱい飲めばすぐなくなってしまう。そのくらいのものは指導をしてやはり備えつけておかないと、無線無線といいますけれども、この前の北海道も、無線電話が何かで、機関長早くボートに乗れといって、そのまま切れてしまったということがあります。それはそれとして、遭難した場合においてゴムボートなんかで漂流する、幾日も漂流するということになれば、わずか五万円か六万円かのものを持っておって、ほうり込んでおけば非常に海難救助に役立つ、そういう指導をしなければならぬと思うのですが、どうかひとつ協会のほうでも、そういう意見、希望をどんどん遠慮なしに当局にねじ巻いてやってもらわないと、なかなか当局はやりませんから、あなたのほうからうんとひとつねじ巻いてやってもらいたいと思います。
  90. 委員長代理(吉田忠三郎君)(吉田忠三郎)

    委員長代理吉田忠三郎君) 他に発言はございませんか。——ないものと認めまして、この際参考人の方に対して一言御礼申し上げたいと存じます。  両参考人には、長時間にわたりまして、本小委員会調査に御協力をくださいまして、たいへんありがとうございました。本日の御意見及び御答弁は、今後の調査にきわめて貴重な参考となりましたことを、小委員会一同といたしまして厚く御礼申し上げておきたいと存じます。  本日の小委員会はこの程度にいたしまして、これにて散会をいたします。  なお、次回の予定につきましては、小委員長不在でございますから、協議をいたしまして、公報をもって連絡いたしたいと考えます。    午後三時三十分散会