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説明員(片岡誠君) お
手元に交通統計とそれからあと
資料三部ばかりお配りしてございます。
昭和三十七年中に発生しました
交通事故は四十七万九千八百二十五件でございます。被害者は死者が一万一千四百四十五人、
負傷者が三十一万三千八百十三人、物的損害が百八億四百十三万六千円という数が出てございます。これを一日当たりに換算いたしますと、千三百十五件の
事故が発生し、三十一人の死者、八百六十人の
負傷者、二千九百六十万円の物的損害が生じたことになっております。
交通事故は依然として遺憾ながら
減少してまいりません。累年の
増加傾向を見ますと、やはり
自動車の保有台数の
増加に比例して
件数は上昇をたどっているようでございます。それから、その
交通事故を主たる
原因者、われわれ第一
原因者と呼んでおりますが、主たる
原因者別に申しますと、何と申しましても
自動車による
事故が圧倒的に多くて、道路上の
交通事故の全体の七七・六%を占めております。また被害者も死者は全死者の六八・四%、
負傷者は全
負傷者の六六・八%、こういう
数字を占めております。その次に問題になりますのは、原動機付き自転車による
事故でありまして、
件数で全
事故の一五・三%、死者で全死者の一九・六%、
負傷者で全
負傷者の二三・八%を占めております。それから
自動車による
事故の場合に、その
自動車の車種別に見ればどのような
傾向があるかと申しますと、一番多いのが普通貨物の二五・六%、それからその次が普通乗用の二三・三%、大型貨物の一五・三%、軽自動三輪以上の一三%、自動三輪の一一・六%、こういう数になっております。それから
交通事故の
原因のとらえ方の一つといたしまして、いかなる違反行為によってその
事故が起こっておるかという違反累計からの
原因の
分析をいたしますと、一番おもな
原因となっておりますのが徐行義務を怠った、たとえば見通しの悪い交差点であるとか、あるいは見通しの悪い曲り角といったようなところで、徐行すべきところを徐行しないでぶつつかった、こういう
事故が最高でございます。それから、それ以外に、ついわき見運転をしておった。あるいは車間距離を十分とりませんで連続進行をしておった。あるいは右折するとき、左折するときにその行為が不適当であった。あるいは追い越しの不適当、俗に申しますセンターライン・オーバーをして違法な追い越しをやるといったようなことが
原因である。その次にめいてい、いわゆる酔っぱらい運転でございますが、めいていというような順になっております。私
ども酔っぱらい運転の
事故がやはり
増加の
傾向にあるという点に非常に関心を持っております。
それから
交通事故による死傷者の年齢なり性別でございますが、
交通事故による死傷者を年齢別に見ますと、死傷者では十五歳以下の幼少年層が全死者の一七%、六十歳以上の老人層が同じく一七%を占めております。それからこれは事柄の性質上当然なのでございましょうが、男が全体の七八%、女が二二%を占めております。それから
交通事故を起こしました
運転者の年齢別あるいは運転経験年数別に見ますと、年齢構成では二十歳代の
運転者が全体の五三・七%を占めております。それから運転経験年数別に見ますと、一年以上五年未満の者が圧倒的に多くて全体の七二・九%、中でもさらに一年未満の者が全体の二六・七%を占めております。したがいまして、経験を積み重ねるに従って
事故を起こす率が少なくなっているということが言えると思います。それから
事故を起こした
運転者の中に無免許であった者が六%、数にして二万六千六百五十五人、そのうち二十歳代が全体の四六・五%、十六歳から十九歳までの者が二九・二%を占めております。この無免許運転というのが酔っぱらい運転に次ぎまして、あるいはそれと並んで大きな問題であると思っております。
それから幼児、学童の
事故でございますが、幼児、学童の
交通事故による死者が千九百三十八人、
負傷者が五万四千四百四十三人であります。幼児、学童の幼い子供の
事故につきましても、われわれは非常な関心を持って
事故の
防止につとめております。
それからいわゆるひき逃げ事件、
事故を起こしておりながら、
負傷者の救護もしないで逃げ去った、
交通事故の中では一番質の悪いといわれている
事故でございますが、それが全
交通事故の四・三%に当たります二万四百九十件でございます。これも逐年
増加の
傾向がございまして、私
ども非常にこれにつきましても捜査体制を強化いたしまして、対処してやっている次第でございます。
事故の一般的なケースにつきましては以上のとおりでございますが、従来ややもしますと、
事故が起こりました場合に、それを刑事事件として処理するために、事件捜査という形で
運転者の責任を追及するという
傾向がやや強かったのではないか、もちろん
運転者そのものの不
注意あるいは故意による
事故もございますし、また、それも大きな
原因ではございますが、御承知のように、
交通事故の
原因といたしましては、道路の条件なりあるいは道路の交通の条件、それから車の条件、それから車を運転する
運転者、あるいは通行人といった、道路と車と人との非常な微妙な相関
関係がございます。現実に私
ども今年になりましてから、
重点を置きまして、この
事故を
減少さす、半減さすという国家公安
委員会の方針もございますので、この
事故を従前よりもさらに掘り下げて検討する、そうして単に
運転者の不
注意といった
角度からのみならず、道路条件あるいは交通の条件も、具体的な道路について
分析を固めるということによりまして、
道路交通条件の変化によって
事故を減らすというほうにも力を入れたい、このように考えております。お
手元にお配りしました一つの
資料で、「ガソリンの消費量等から見た
事故率」という
資料がございます。この
資料をちょっと
ごらんいただきますと、
先ほど運輸省の御当局からお話がございましたように、車の
増加に従いまして
事故者数はふえてまいっておりますが、人口十万人当たりの死傷者とか、
自動車一万台当たりの死傷者、あるいはガソリンなり、軽油の一万キロリッター当たりの死傷者という共通の分母をとってみますと、このような表が出てまいります。この一番下の欄を
ごらんいただきますと、死傷者の合計の欄をちょっと
ごらんいただきますと、たとえば
昭和三十四市にガソリン、軽油一万キロリッター当たりの死傷者が三百八十三人でございます。それが三十五年、三十六年、三十七年ときまして、三十八年には二百七十七人といったように、走行キロ数に比べますと、死傷者の数は漸減してきております。それから
自動車一万台当たりの
死傷者数を
ごらんいただきますと、これは
昭和三十四年の六百九十六から三百八十二というふうに減ってまいっております。人口十万人当たりの死傷者は二百六十から三百八十三ということでふえてきておりますが、そのように車の一万台当りなり、走行キロから大体見られるガソリンの消費量から見ますと、
事故は減っておる
傾向がございます。それから
先ほど申しましたような考え方で、従来私
どもは、ややもしますと、どの県は幾ら、どの県でもどの警察署の管内が
事故が多いか少ないかという
角度で見ておりましたが、ことしからは特に主要幹線道路の道路別に
分析してみよう、お
手元にございます「一級国道一号線上の
交通事故類型に関する分類」という別の冊子がございますが、それで
ごらんいただきますればおわかりいただきますように、一級国道一号線——東海道線を取り上げて、それの沿線の各県の
事故をずっと統一的に見ていって、そしてその
事故の類型、
自動車が人をはねた、
自動車が自転車をはねた、あるいは二輪車が人をはねた、二輪車が自転車をはねた、あるいは
自動車同士がぶつかった、
自動車が単独で引っくり返ったというような
角度で、
事故の衝突の分類によってさらに
分析を深めてまいろう。そしてその具体的な、特に
事故の多発している地点につきましては、その道路の管理をしておられる道路管理者、それから運輸行政の担当機関、私
ども警察の担当機関とが一緒になってそこの
原因を詰めていく。そしてその
原因が道路構造にあれば道路をよくしていただく、あるいは交通の規制のしかたに問題があれば、あるいは信号機をつければその交差点
事故が減るということであれば信号機もつけていくという形で、
道路交通の条件をよくすることをいたしたいと思っております。もう一方の
運転者のほうにつきましては、永続的な、いわば永久的な欠格者と申しますか、道交法にもございますてんかんであるとか、あるいは性格的に非常に片寄っておって正常な運転ができない人といった人たちにつきましては、
心理学者ない、あるいは
医学者、あるいは精神
医学の
専門家にお願いいたして、適正にその不適格の証明をするテストといったようなものの開発を現在お願いいたしているわけであります。
それからもう一つ、
運転者だけではなくて、その
運転者の属する組織といいますが企業体といいますか、企業体ごとの、たとえばバス会社ならどのバス会社が年間通じて
事故が多いかというようなことも、今後
運行管理の面からとらえていきまして、
事故の多いバス会社、あるいは
事故の多いタクシー会社といったようなものにつきましては、陸運行政の機関と十分連絡をとりながら、あるいは場合によりましたら基準行政をやっておられる機関とも連絡とりながら、一つ一つ
事故を生ずる要因をつぶしていきたい、かように考えている次第であります。