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1964-05-12 第46回国会 参議院 運輸委員会航空、海難、路面事故防止対策に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十二日(火曜日)    午後二時三十八分開会   ————————————— 昭和三十九年四月十四日運輸委員長に おいて、左のとおり本委員を指名し た。            金丸 冨夫君            木暮武太夫君            平島 敏夫君            村松 久義君            大倉 精一君            吉田忠三郎君            中村 正雄君 同日運輸委員長において、左の者を委 員長に指名した。            平島 敏夫君   —————————————  四月二十四日   辞任       平島 敏夫君  五月七日   補欠選任     平島 敏夫君   ————————————— 五月七日運輸委員長において、左の者 を委員長に指名した。            平島 敏夫—————————————  出席者は左のとおり。    委員長     平島 敏夫君    委 員            木暮武太夫君            吉田忠三郎君   政府委員    運輸省船舶局長 藤野  淳君    運輸省航空局長 栃内 一彦君   説明員    警察庁交通局交    通指導課長   片岡  誠君    運輸省大臣官房    審議官     河毛 一郎君    運輸省海運局参    事官      高林 康一君   ————————————— 本日の会議に付した案件 ○航空海難路面交通事故防止に関  する件   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまから航空海難路面交通事故防止対策に関する小委員会を開会いたします。  委員長の指名により、私が小委員長をつとめさしていただくことになりましたので、何とぞよろしく御協力のほどをお願いいたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて。  まず、最近における事故状況と、政府施策についてそれぞれ当局側から説明を求めます。河毛審議官
  4. 河毛一郎

    説明員河毛一郎君) 官房審議官河毛でございます。ただいまより運輸省といたしまして、本日問題になっております航空海難路面交通関係交通事故につきまして、その現状及び対策を簡単に御説明申し上げます。お手元交通事故現状とその参考資料というものが届いていると存じますが、以下大体この二つ資料について御説明申し上げたいと思っております。  最近、交通事故、しかも社会的な非常に関心を引く多くの交通事故が起こっておりますことは申すまでもないところでございます。これは非常に膨大な輸送需要に対しまして、限られた輸送施設による過密ダイヤ、あるいは輸送機関高度化高速化というものと安全というもののバランスがいろいろと問題になっておりますことに起因しておるわけでございますが、運輸省といたしましては、従来も交通安全のためには保安施設整備交通安全意識の高揚、その他万全の措置を講じたわけでございます。しかし、昨今の交通事故重大性にかんがみまして、省内に、事務次官を長といたします交通事故防止対策委員会と申しますものを昨年末設置いたしまして、事故防止に関する総合計画総合調整、実整計画の推進、連絡体制整備ということをこの委員会中心として実施いたしております。本委員会におきまして、まず最初に交通事故現状というものを、いままででもいろいろな資料は持っておるわけでございますけれども、これを統一的に把握いたしまして、問題の真相を解明するということがやはり交通事故防止対策の第一手段である、こういうふうに考えまして、以後その作業を続けたわけでございますが、その結果、お手元にございますような交通事故現状及びこの交通事故現状の基礎となっております別冊の交通事故現状参考資料というものをつくり上げたわけでございまして、この四ページ以降に総説が出ておりますが、これにつきまして簡単な御説明を申し上げたいと考える次第でございます。  まず、この資料は、実は国鉄軌道も含めました運輸省全体の事故について述べておりますが、本日問題になっておりますのは三点でございますので、国鉄軌道関係は省略さしていただきまして、本日問題になっております三点につきまして簡単に御説明を申し上げたい、こう考える次第でございます。以下いろいろ数字が出てまいりますが、参考資料の七ページに(2)といたしまして事故統計総括表というものがございます。これは最近十年間における部門別事故につきまして、その件数なり、死者なり、負傷者数というものを年別に推移を見たものでございます。これをごらんになりながら聞いていただきますと非常に幸いであると考える次第でございます。  まず第一の五ページのところでございますが、路面交通の問題でございます。路面交通は、これは軌道もございますけれども、大部分自動車関係でございます。ここにございますように、自動車増加というものが自動車事故を非常に激増させておるということでございます。終戦直後から今日まで自動車自動車のふえ方を見ますと、このあと詳しい資料がいろいろございますか、大体四〇倍以上に車両がふえております。したがいまして、自動車関係事故もこの七ページにございますように、二十八年に四万二千百九件でございますものが、三十七年には三十七万件と飛躍的に増加いたしております。しかし、これを自動車のふえた割合で事故件数を見ますと、単位当たり事故件数死傷者数というものは漸渡いたしております。このような数字十九ページに書いてございますが、全体の件数は非常にふえておりますが、単位当たり件数は渡っておるというような状況でございます。  その次が、次のページにまいりまして海上事故でございます。海上事故関係につきましては、統計数字が二十八ページ以下に詳しいものが載っておりますが、これも自動車ほどひどくはございませんが、やはり海上事故というものは逐年増加いたしております。しかし、海上事故はふえておりますけれども、だれかが助けに行かなければならないという海難、これは逆に少しずつ渡っております。で、事故件数がふえておりますのは、海上交通が非常にふくそういたしたことでございますが、要救助海難が減っておりますことは、船舶性能向上、あるいは信号、燈台、水路、港湾等保安設備整備されまして、非常に全体としては、助けてもらわなければならない程度事故が渡ってきたということでございます。それからまた海難につきましては、死亡行方不明者数というのが毎年必ずしも一定傾向をたどっておりません。ふえたり減ったりいたしておりますが、これはたとえば旅客船の非常に大きな事故が起こりますと、こういった数字がふえるということによってそういうイレギュラーなラインを示しているわけでございますが、傾向から見ますと、ここ数年間はやや減っている、ただ三十八年度にはふえている、こういうような現象を示しております。  次に、航空事故でございますが、航空事故民間航空発足以来全部で四十一件発生いたしております。しかし、これも輸送量増加に比較しては増加していないということが数字的に申し上げられると考えております。それから事故件数死傷者とも年別に非常な違いがございまして、必ずしも一定傾向というものを把握できないわけでございますけれども先ほども申し上げましたように、輸送量飛行時間の飛躍的増大に対比してみますと、そのわりあいに増加していない、こういうような現象がうかがわれるわけでございます。  以上が大体非常に簡単な、問題になっております三つ交通事故現状でございますが、その次に七ページにまいりまして、交通事故原因分析ということを簡単に御説明いたします。  交通事故は、ここにもございますように大きく分けますと、たとえば車両故障というようなそれ自体の原因に基づく部内原因と、たとえば踏み切り障害あるいは列車妨害のように部外的な原因によって起こるものとに大別されます。先ほど申し上げました部内的原因は、さらに人的な原因と物的な原因とに分かれております。これは申すまでもなく人的原因と申しますのは、たとえば運転士過失であるとか、そういった性質のものでございます。物的原因は、たとえば車両整備が非常に悪い、そういった車両欠陥、そういったものでございます。そこで、こういった事故原因から見て、ここで問題になっております三つ分野につきまして、どういう傾向が察知されるかということが九ページに書いてございます。  まず、自動車でございますが、これは原因別に見ますと、直接的にはほとんど人的な原因に基づいております。運転手過失その他によるものでございますが、しかし、さらに事故原因を詳しく分析してみますと、そういった過失その他が起こります遠因は、交通環境が非常に不良である、路面が非常に込む、そういった道路事情というものが自動車事故を非常に多くしているということでございまして、まあこの辺に今後検討を要する問題があるのではなかろうかと考える次第でございます。一方物的原因と申されます車両欠陥その他の事故は、やはり車両施設その他が逐年よくなってまいりまして、割合いといたしましては低下の傾向にございます。  次に海難でございますが、これも大部分が人的な原因に基づいております。すなわち、運航機関取り扱いの誤まりというものが過半数を占めておりまして、気象、海象あるいは不可抗力というような海難は非常に少ないということが分析の結果出てまいります。  最後航空事故でございますが、これは大半が操縦士過失によるものでございます。これも着陸時における事故というものが非常に多いということがお手元に配りました資料によりましてわかるわけでございます。以上が簡単な原因分析の御説明でございます。  次に、このような現状、あるいは原因分析の結果といたしまして、運輸省として今後どういう施策方向を考えるべきであるかという点でございます。まず、根本的な問題といたしましては、やはり輸送能力輸送需要に対しまして各分野とも絶対的に不足している、この問題を解決することがやはり事故防止の最も徹底的な対策であるというふうに考えられます。しかし、これにつきましては、時間的にも長期間を要しますし、また、ばく大な資金を要するというような問題がございます。やはり国をあげての総合的な抜本策というものを早期に樹立する必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。で、こういった根本問題のほかに、より直接的なものといたしまして、高度の保安技術を開発するといったことが非常に必要でございます。この点につきましては、私どもといたしましても、現在、科学技術試験研究補助というような制度がございますが、その一環といたしまして、交通事故防止、あるいは航空管制施設近代化というものにある程度補助金を出しまして、そういった安全施設が開発されるように努力を行なっておりますが、今後この方面における努力というものをさらに一段と進めていく所存でございます。  で、そのほか、当面どうすればよいかというような点があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この三部門につきまして、しかも、国鉄その他も含めまして、非常に人命殺傷というようなことを伴う重大事故は、非常に人的原因によるものが多いわけでございます。この点よりいたしまして、なれによる安易感や不注意運転技術の未熟、運転者状態不良原因といった原因がございますので、人命尊重最優先というような思想を徹底することがまず何よりも大事でございますが、個々の原因に対しましては、交通法規の順守、安全教育徹底実地訓練運転技術向上労働環境整備改善運行管理労務管理、そういった点を取り上げまして、これらを総合した対策というものを立てるよう努力しておるわけでございます。  次に、施設の面でございますが、先ほど申し上げましたように、最近施設面が非常によくなりまして、こういった向きの事故が非常に減っておるということを御説明いたしましたが、こういった点から見ましても、やはり施設を改良していくということは非常に重大なことでございまして、今後も車両及び施設開発整備徹底十分意を加えていきたい、こう考えております。また、道路交通に関連いたしまして、踏切障害事故というものが非常に多うございますので、これに対しましては高架立体交差、あるいは地下構造にして車馬接触事故減少、そういったものをはかるためのこういった措置をする必要があろうと考えております。  それから海上につきましては、不可抗力的要素による原因は非常に減少傾向にございますけれども、さらにこういった事故をなくするために、船舶性能向上、あるいは保安施設の充実というものに努力していきたいと考える次第でございます。  最後に、航空事故につきましては、その運航形態、その他非常に高度の安全性を必要とするものでございまして、さらにこの方面設備というものを整備拡充することに重点を置いていく、こういうふうに考えておる次第でございます。  これら、いま申し上げました点は、これから運輸省先ほど申し上げましたような委員会中心といたしまして進めていくべき施策方向でございますが、現在運輸省として考えておりますことを総括的に御説明いたしました。
  5. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) それでは、次に航空局長にお願いいたします。
  6. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 航空関係の最近の事故の問題について御説明申し上げます。  航空事故輸送力輸送増加に比例してみると、むしろ減っておるということが、官房のほうから御説明ございましたが、全国的な傾向としては、そういうことも言えるかとも思いますが、申しわけないことでございますが、最近におきましては、非常に事故が頻発いたしまして、皆さまにたいへん御心配をかけて申しわけないと存じます。特にことしになりましてから非常に事故がふえておるという点がまことに残念なことでございますが、そこで、お手元にお配りしてあります航空機事故一覧表という資料がございますが、この資料は先般調製いたしましたものでございますが、飛行機ヘリコプター二つに分けて資料ができております。そこで、事故と申しましてもいろいろございまして、いわば飛行機がこわれたというようないわゆるわれわれが事故と申しておるもの、それから飛行機なら飛行機機体の一部に不工合があったというようないわゆる私ども事故と称しておらないけれども、いずれにしても何らかの不工合がある、こういうものと二つございますが、ここには事故という範疇に入るもののみを掲げたわけでございます。そのうちでもここにございますように、人員負傷または死亡というようなことを伴ったいわゆる社会的に非常に問題を起こした事故と、それからそれほどの問題を起こさないけれども、やはりこういうことは一歩間違えば人命の損傷を起こしたというようなもの、かように二つに分れると思います。この表をごらんになっていただきましても、三番目の欄にありますところの日東航空事故、あるいは大分空港における富士航空事故というようなものは、いわば新聞にも非常に大きく取り上げられたものでございますが、そのほか新聞には出なかった、あるいは出ても非常に小さい取り扱いを受けた、しかし航空局といたしましては、これらも非常に遺憾な点でございますので、ここにすべて掲げているわけでございます。これらを通じてみますというと、事故原因の欄をごらんになりますと、多少形態は違っておりますが、やはり大づかみに言えることは、操縦士過失、あるいは判断の誤り、不注意、こういうようなものが事故原因の大部分を占めておるわけでございます。それから次のページごらん願いますと、富士航空鹿児島における事故、それから次の事故はそれほど大きく騒がれませんでしたが、やはり日本航空の「訓練教官指導の不適切」というので、この二つにつきましても、やはり何らか人の注意力なり何なりというものに欠陥があったというふうに考えられるわけでございます。それから欄外に「(その他)」ということで出しておきました、これは先ほど申し上げましたように事故というものの範疇には入りませんが、ある意味で非常に社会的な反響を呼び起こしたという意味におきまして、参考までにここに掲げておいたわけでございます。これはいわば機体の一部に不工合があったというようなもので、いわゆる事故というところまで至っておらぬ、かようなものでございます。  それから三枚目のヘリコプターでございますが、ヘリコプターにつきましては、これもまことに残念なことでございますが、事故はかなり頻発しております。しかし、幸いなことに、ことしの事故につきましては、小破という程度で、負傷者または死者というものはあらわれておりません。ただ、事故原因につきましても、やはり不注意というような点が事故原因になっているという点は非常に遺憾なことでございます。  お手元に配付いたしました資料につきまして、以上のように御説明申し上げたわけでございますが、この資料調製後、実は五月三日に事故がございまして、これは伊藤忠航空輸送会社所属のセスナ機が、この飛行機は小西六写真にチャーターされておりまして、そして五月三日富山県の砺波市付近のチューリップ・フェアの共賛及び取材のための宣伝飛行というようなことで会場付近を飛んでおりましたのでございますが、この飛行機が、目撃者の話から推定しますと、会場上空を約三回旋回した後、急上昇の姿勢をとり、若干上昇した後、尾部から後退落下を始めて、高圧線に接触して付近の水田に突入した、こういうことでございます。遺憾ながら搭乗者は全員即死いたしました。ただこの事故は公衆の乗客というものがなかったということは、まあ不幸中の幸いでございます。いずれにしても三名の人命が失われたということはきわめて遺憾なことでございます。これらの原因北つきましては、目下私のほうの係官のところで調査中でございます。以上がことしになりましてからの事故の大体の内容でございます。  そこで、次に事故に関連いたしまして、まず何よりも考えなければならないことは、対策の問題でございます。そこでこの点につきましては、先ほどから申し上げておりますように、今年になって非常に事故が多いという点で、私どもとしましても、この際何らかの方策を立てるべきだと考えておりまして、ところが、たまたま自民党のほうの航空小委員会のほうでもこの問題を重視されまして、そして党議として一つの御決定がなされました。そしてこれの結果を政府申し入れをされたわけでございますが、運輸省といたしましても、この種の何らかの対策を考えておりましたので、この申し入れを契機といたしまして、とりあえず臨時民間航空事故防止専門調査団というものを設置いたしまして、この調査団編成によりまして、全国の主要な基地というものを視察をする、そして事故原因がどこにあるかということを調査すると、こういうことになりました。ただこの際、事故原因調査につきまして、責任者を追及するというような検察的な立場でこの調査をやりますということは、ややもすれば事故原因真相というものがおおい隠されるおそれもあるわけでございますので、このたびの調査団は、いわば摘発するというような態度よりも、むしろ真の原因が何であるかということをよく究明いたしまして、むしろ今後の改善の資にいたしたい、かような角度調査をやってもらうということになっております。  そこで、調査団編成といたしましては、団長に航空審議会委員であります法制大学工学部教授松浦四郎氏にお願いいたしまして、そして団員としては十四名の方になっていただく、全部で十五名ということで調査団編成いたしたわけでございます。すでに去る五月四日第一回の調査団打ち合わせをいたしました。この調査団団員につきましては、いろいろな方面専門家の御参加を仰ごうということで、しかも、その方々は、いわばきわめて専門的な角度から調査をしていただくということに重点を置きました。したがいまして、人選につきましても各方面権威者ということにいたしてお願いしましたところ、皆さまの御快諾を得ました。たとえば航空事故原因の大部分というものが人的事故ということにあるという点にかんがみまして、医学専門また心理学専門というような方に入っていただく。この方々民間の方でございまして、大学においてこういう点の専門的な研究をやっておられる方でございます。それから航空会社で実際に運航なり整備というものを担当しておられる実務家というような方にもなっていただきました。そのほか関係各省職員といたしましては、自衛隊専門の方、自衛隊でも非常に事故で悩んでおられますので、この方面について非常に専門的に研究しておられる方がございます。特に医学関係からパイロット事故防止研究をされている方、あるいはパイロット整備士それぞれの方面専門家、それから航空局職員、それから気象関係が非常に事故に影響がございますので、気象庁の予報部長というようなわけで、いわば各界の技術的な意味においては最高のレベルの方に御参加を願って、そして先ほど申しましたように、すでに第一回の打ち合わせをいたしまして、それから去る七日、八日には調査団羽田に行っていただきまして、羽田において日本航空及び全日空運航整備の実態というものを調査していただきました。これはわが国におきまして、何と申しましてもやはりいろいろな点で充実しておりますのは日本航空また全日空であるという点から、日本の航空についての一応の水準というものを頭に入れていただこうということで、これらの視察調査をお願いしたわけでございますが、ただいまの予定といたしましては、来たる十四日から広島、鹿児島、宮崎三カ所の御視察を願い、それから二十九、三十日と名古屋の御視察を願う。それから六月になりましてから、大阪あるいは札幌、あるいは函館というような所の御視察を願って、地方の現地調査というものは大体六月一ぱいにすましていただきまして、その後報告書整理等をお願いしまして、七月の初めには結論をいただきたい、かようなスケジュールで現在進めております。この専門家によるところの調査団調査の結果、おそらく非常に有益な結論が出るのではないか。この結論をいただきまして、今後の施策を十分やっていきたい、かように考えております。  この調査団は、ともかくこれだけ頻発する事故ということにかんがみまして、とりあえず即効的な何らかの手を打とう、何らかの解決の糸口を見出だそうという観点から早々に開始したものでございまして、私どもとして、これのみをもって事故対策が万全であるというふうには考えておりません。これらの御意見も十分参考にいたしまして、またその他の角度からもいろいろな施策を今後考究いたしまして、これをあるいは直ちに実施に移し得るものは実施に移し、また予算人員等を伴うものにつきましては、明年度予算に十分これを織り込んで事故対策の万全を期したい、かように考えておる次第でございます。  以上でございます。
  7. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に高林参事官
  8. 高林康一

    説明員高林康一君) 先ほど官房審議官が御説明なさいました「交通事故現状」という縦長の資料の三十七ページ以下に海難発生状況が書いてございます。それから「交通事故現状参考資料」というものの二十八ページ、二十九ページにございますので、これを中心に御説明さしていただきたいと存じます。  海難発生状況でございますが、現在御存じのとおり船舶が非常に増加しておる、そうして、しかもそれが相当大型化しておるというような状況でございますので、海難は逐次全体といたしましては増加傾向をたどっております。たとえば三十五年には全体といたしまして七千八百隻というのが海難の全体でございまますが、三十七年には八千九百二十四隻というふうに増加をしておるわけでございます。ただこの中で要救助の海難というものの件数を見ますと、三十九ページの上のほうの第三図というのがございますが、それによってごらんいただきますように、三十一年の四千百三十二隻というものがピークでございます。それをピークといたしまして三十七年には二千八百十八隻というふうに、要救助海難は大体減少傾向を示しておるというのが現在の海難状況でございます。  なお、年間の発生状況を見ますと、やはり台風の関係がございまして、九月から三月に至る下半期のほうにおいて相当海難の発生件数が多いという状況でございます。以下この資料の三十九ページ以下で、汽船、機帆船、漁船というふうに種別に分けまして、海難の発生状況を御説明申し上げます。  まず第一に、三十九ページの下のほう三行からございますように、汽船の海難は過去十カ年平均は四百五十六隻でございます。そして三十年は三百五十隻でございましたが、これを底辺といたしまして、大体年三十五隻くらいの割合で増加しておりまして、三十八年におきましては、十月までに五百九十八隻というような状況でございます。この汽船の海難状況のうちで、特に最近の傾向といたしまして目立ちますものは小型鋼船、すなわち百トンから五百トンまでの鋼船でございますが、この海難が急増の傾向にございます。これは非常に多うございまして、年平均二四%増というような高率でこの小型鋼船の海難が発生しておるという状況でございまして、三十八年には十月までに二百四十九隻、年間を通じまして二百八十五隻というふうに発生しておりまして、この全体の四〇%がいわゆる小型鋼船の海難であるということが最近特に著しい傾向でございます。  次に、四十ページの中にあります機帆船の海難でございます。機帆船の海難につきましては、十カ年の平均では千百五十七隻でございまして、三十一年の千四百十四隻をピークといたしまして漸減をしておりまして、三十七年は八百九十一隻というふうに漸減をしております。ただ、このところで注目しなければなりませんのは、漸減はしておりますけれども、機帆船については全損率が非常に高いということでございまして、三十七年について見ましても、全損率は二五%ぐらいに達しておるような状況でございまして、これは機帆船の老朽化ということに基づくことが非常に多いというふうに考えられるわけでございます。  次に、四十一ページの漁船の海難でございます。過去十カ年の平均は千六百五隻でございまして、汽船、機帆船、漁船というものの全体の中では約半分が漁船の海難でございます。それで、これももちろん三十一年をピークといたしまして漸減をしておりますけれども、しかしながら、全体の中では非常に大きいパーセントを占めておるわけでございます。この点については四十二ページの上のほうに第六図というのがございますが、そこで漁船、汽船、機帆船、その他というふうに船種別の海難の百分率が出ておりますけれども、漁船が大体五〇%くらい、それから汽船が一〇%くらい、機帆船三五%程度、その他のものが五%というふうになっておりまして、漁船、機帆船、それから汽船というような順序の海難の発生状況になっておるわけでございます。  この海難原因でございますけれども、四十二ページ以下に書いてございます。そこでこの横長の資料の二十八ページにもございます原因別の発生状況でございますが、この原因別の発生状況を見ますと、やはり大部分人的原因でございます。特に運航あるいは機関取り扱いというようなことから見ますと、これが全体といたしまして五八%程度を占めております。運航機関取り扱いというようなものによるところのものが非常に大きい、こういうような点で、そういうような人的要因というものをかなり注目しなければならないというような状況になっております。それからこの場合に、たとえば気象、海象だとか不可抗力だとかいうようなもの、こういうようなものについては比較的パーセントが少のうございまして、気象、海象というようなものがわずか一〇%程度というようなことで、そういうような点のいろいろの原因については、やはりこういう運航面のいろいろな注意の喚起ということが非常に重大な要素であるというふうに考えらます。また四十三ページの下のほうにございますように、海難の種別について見ますと、機関故障が二六%で一番多うございます。それで次いで乗り揚げ、衝突、浸水というようなもので、この四種だけで大体七八%というようなことで、これが大部分原因になっておるというふうに考えられるわけでございます。これが大体のごく大ざっぱに見ましたところの海難現状でございます。  これにつきましては、やはり何と申しましても、今後の海難減少ということをはかりますために、いろいろな施策を講じていかなければならないわけでございまして、その点冒頭に審議官からお話がありましたように、基本的な方向で考えまするとともに、特にこの海難問題につきましては、いろいろ交通関係海上関係の交通安全関係法令というもののいろいろ改正をはかっていく、あるいはまた老朽船というものを今後どんどん代替建造を進めていくというようなこと、こういうようなことを積極的に進めていきまして、この海難に対してできるだけ万全の体制を確立したい、かように考えておる次第でございます。
  9. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に庁岡交通指導課長
  10. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) お手元に交通統計とそれからあと資料三部ばかりお配りしてございます。  昭和三十七年中に発生しました交通事故は四十七万九千八百二十五件でございます。被害者は死者が一万一千四百四十五人、負傷者が三十一万三千八百十三人、物的損害が百八億四百十三万六千円という数が出てございます。これを一日当たりに換算いたしますと、千三百十五件の事故が発生し、三十一人の死者、八百六十人の負傷者、二千九百六十万円の物的損害が生じたことになっております。交通事故は依然として遺憾ながら減少してまいりません。累年の増加傾向を見ますと、やはり自動車の保有台数の増加に比例して件数は上昇をたどっているようでございます。それから、その交通事故を主たる原因者、われわれ第一原因者と呼んでおりますが、主たる原因者別に申しますと、何と申しましても自動車による事故が圧倒的に多くて、道路上の交通事故の全体の七七・六%を占めております。また被害者も死者は全死者の六八・四%、負傷者は全負傷者の六六・八%、こういう数字を占めております。その次に問題になりますのは、原動機付き自転車による事故でありまして、件数で全事故の一五・三%、死者で全死者の一九・六%、負傷者で全負傷者の二三・八%を占めております。それから自動車による事故の場合に、その自動車の車種別に見ればどのような傾向があるかと申しますと、一番多いのが普通貨物の二五・六%、それからその次が普通乗用の二三・三%、大型貨物の一五・三%、軽自動三輪以上の一三%、自動三輪の一一・六%、こういう数になっております。それから交通事故原因のとらえ方の一つといたしまして、いかなる違反行為によってその事故が起こっておるかという違反累計からの原因分析をいたしますと、一番おもな原因となっておりますのが徐行義務を怠った、たとえば見通しの悪い交差点であるとか、あるいは見通しの悪い曲り角といったようなところで、徐行すべきところを徐行しないでぶつつかった、こういう事故が最高でございます。それから、それ以外に、ついわき見運転をしておった。あるいは車間距離を十分とりませんで連続進行をしておった。あるいは右折するとき、左折するときにその行為が不適当であった。あるいは追い越しの不適当、俗に申しますセンターライン・オーバーをして違法な追い越しをやるといったようなことが原因である。その次にめいてい、いわゆる酔っぱらい運転でございますが、めいていというような順になっております。私ども酔っぱらい運転の事故がやはり増加傾向にあるという点に非常に関心を持っております。  それから交通事故による死傷者の年齢なり性別でございますが、交通事故による死傷者を年齢別に見ますと、死傷者では十五歳以下の幼少年層が全死者の一七%、六十歳以上の老人層が同じく一七%を占めております。それからこれは事柄の性質上当然なのでございましょうが、男が全体の七八%、女が二二%を占めております。それから交通事故を起こしました運転者の年齢別あるいは運転経験年数別に見ますと、年齢構成では二十歳代の運転者が全体の五三・七%を占めております。それから運転経験年数別に見ますと、一年以上五年未満の者が圧倒的に多くて全体の七二・九%、中でもさらに一年未満の者が全体の二六・七%を占めております。したがいまして、経験を積み重ねるに従って事故を起こす率が少なくなっているということが言えると思います。それから事故を起こした運転者の中に無免許であった者が六%、数にして二万六千六百五十五人、そのうち二十歳代が全体の四六・五%、十六歳から十九歳までの者が二九・二%を占めております。この無免許運転というのが酔っぱらい運転に次ぎまして、あるいはそれと並んで大きな問題であると思っております。  それから幼児、学童の事故でございますが、幼児、学童の交通事故による死者が千九百三十八人、負傷者が五万四千四百四十三人であります。幼児、学童の幼い子供の事故につきましても、われわれは非常な関心を持って事故防止につとめております。  それからいわゆるひき逃げ事件、事故を起こしておりながら、負傷者の救護もしないで逃げ去った、交通事故の中では一番質の悪いといわれている事故でございますが、それが全交通事故の四・三%に当たります二万四百九十件でございます。これも逐年増加傾向がございまして、私ども非常にこれにつきましても捜査体制を強化いたしまして、対処してやっている次第でございます。  事故の一般的なケースにつきましては以上のとおりでございますが、従来ややもしますと、事故が起こりました場合に、それを刑事事件として処理するために、事件捜査という形で運転者の責任を追及するという傾向がやや強かったのではないか、もちろん運転者そのものの不注意あるいは故意による事故もございますし、また、それも大きな原因ではございますが、御承知のように、交通事故原因といたしましては、道路の条件なりあるいは道路の交通の条件、それから車の条件、それから車を運転する運転者、あるいは通行人といった、道路と車と人との非常な微妙な相関関係がございます。現実に私ども今年になりましてから、重点を置きまして、この事故減少さす、半減さすという国家公安委員会の方針もございますので、この事故を従前よりもさらに掘り下げて検討する、そうして単に運転者の不注意といった角度からのみならず、道路条件あるいは交通の条件も、具体的な道路について分析を固めるということによりまして、道路交通条件の変化によって事故を減らすというほうにも力を入れたい、このように考えております。お手元にお配りしました一つの資料で、「ガソリンの消費量等から見た事故率」という資料がございます。この資料をちょっとごらんいただきますと、先ほど運輸省の御当局からお話がございましたように、車の増加に従いまして事故者数はふえてまいっておりますが、人口十万人当たりの死傷者とか、自動車一万台当たりの死傷者、あるいはガソリンなり、軽油の一万キロリッター当たりの死傷者という共通の分母をとってみますと、このような表が出てまいります。この一番下の欄をごらんいただきますと、死傷者の合計の欄をちょっとごらんいただきますと、たとえば昭和三十四市にガソリン、軽油一万キロリッター当たりの死傷者が三百八十三人でございます。それが三十五年、三十六年、三十七年ときまして、三十八年には二百七十七人といったように、走行キロ数に比べますと、死傷者の数は漸減してきております。それから自動車一万台当たりの死傷者数ごらんいただきますと、これは昭和三十四年の六百九十六から三百八十二というふうに減ってまいっております。人口十万人当たりの死傷者は二百六十から三百八十三ということでふえてきておりますが、そのように車の一万台当りなり、走行キロから大体見られるガソリンの消費量から見ますと、事故は減っておる傾向がございます。それから先ほど申しましたような考え方で、従来私どもは、ややもしますと、どの県は幾ら、どの県でもどの警察署の管内が事故が多いか少ないかという角度で見ておりましたが、ことしからは特に主要幹線道路の道路別に分析してみよう、お手元にございます「一級国道一号線上の交通事故類型に関する分類」という別の冊子がございますが、それでごらんいただきますればおわかりいただきますように、一級国道一号線——東海道線を取り上げて、それの沿線の各県の事故をずっと統一的に見ていって、そしてその事故の類型、自動車が人をはねた、自動車が自転車をはねた、あるいは二輪車が人をはねた、二輪車が自転車をはねた、あるいは自動車同士がぶつかった、自動車が単独で引っくり返ったというような角度で、事故の衝突の分類によってさらに分析を深めてまいろう。そしてその具体的な、特に事故の多発している地点につきましては、その道路の管理をしておられる道路管理者、それから運輸行政の担当機関、私ども警察の担当機関とが一緒になってそこの原因を詰めていく。そしてその原因が道路構造にあれば道路をよくしていただく、あるいは交通の規制のしかたに問題があれば、あるいは信号機をつければその交差点事故が減るということであれば信号機もつけていくという形で、道路交通の条件をよくすることをいたしたいと思っております。もう一方の運転者のほうにつきましては、永続的な、いわば永久的な欠格者と申しますか、道交法にもございますてんかんであるとか、あるいは性格的に非常に片寄っておって正常な運転ができない人といった人たちにつきましては、心理学者ない、あるいは医学者、あるいは精神医学専門家にお願いいたして、適正にその不適格の証明をするテストといったようなものの開発を現在お願いいたしているわけであります。  それからもう一つ、運転者だけではなくて、その運転者の属する組織といいますが企業体といいますか、企業体ごとの、たとえばバス会社ならどのバス会社が年間通じて事故が多いかというようなことも、今後運行管理の面からとらえていきまして、事故の多いバス会社、あるいは事故の多いタクシー会社といったようなものにつきましては、陸運行政の機関と十分連絡をとりながら、あるいは場合によりましたら基準行政をやっておられる機関とも連絡とりながら、一つ一つ事故を生ずる要因をつぶしていきたい、かように考えている次第であります。
  11. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  12. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけてください。  以上で交通事故についての概括的な説明聴取を一通り終わったわけでありますが、本日はこの程度とし、次回は五月二十日水曜日、午後一時から海難関係について審査に入る予定でございます。  なお、当日の小委員会には水先人関係者の参考人の出席を求める予定でございますが、その手続等は小委員長から委員長に要求いたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十五分散会