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政府委員(
藤野淳君) この
法律に関連いたしまして、木
造船業を含む小型
鋼船造船業に対する
運輸省の
考え方ですが、
先ほど吉田
先生から全般的な御
質問がございましたので、それに対しまして
お答え申し上げます。
鋼船、
木船を含めまして、この種の小型
鋼船造船業は、非常に数も多うございますし、生産能力も相当ございますが、ほとんどすべて国内市場、国内船主からの注文に依存いたしておりまして、大きな
造船所のごとく、海外の市場をほとんど持っておりません。したがいまして、国内の船主、注文者が非常に弱いという
状況が続きますると、この種の小型
鋼船造船業、木
造船業も次第次第に力が弱くなってくるのは当然でございます。
法律は、内航の
近代化、強化をはかりまして、注文船主のほうを強化する、こういうことがねらいでございまして、
基本的には
造船業の需要を強化するという意味におきまして、われわれといたしましては、その
効果のあらわれることを信じまして、賛成をいたしておるわけでございます。しかしながら、平段、方法につきましては、
先生から御
質問御意見がございましたような、やり方いかんによりましては重大な影響を受けるということにおきまして、両局はしばしば運営方法につきまして協議をいたしている次第でございます。書初の適正船腹の問題につきまして、あるいは
最高限度の設定の問題につきましても、
鋼船、
木船を別々にきめるということはしないということは、先般御報告申し上げたとおりでございます。
簡単に申し上げますと、最初の御
質問といたしまして、老朽船の代替その他につきましては、
海運局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、ひとつ私は補足
説明を申し上げたいと存じまするが、
代替建造と申しますると、
鋼船におきましては、スクラップ・マーケットというのがございまして、普通の商業的に代替されるわけでございますが、
木船につきましては、代替というのがちょっと意味合いが変わってくると思います。私
どもの資料によりますと、
漁船を除きまして、一年間に二万七千トンの
木船が登録を抹消されております。この中の大
部分は沈没及び行くえ不明でございまして、解撤あるいは放棄もございましょうが、これが四千七百トンぐらいでございます。したがいまして、代替というのは、
鋼船のごとく代替のマーケットはないわけでございます。船を失い、船が行くえ不明になった人が、さらにこの次の代替をつくる場合には、相当一年や二年金策に年月がかかりますので、代替を行なう権利の保存ということは当然
考えなければならぬ。これはきわめて技術的な問題でございますので、これは両局協議して処理していくつもりでございます。
それから、
木船を含め、こういう
小型船、内航船は、やはり大型船と同様に、相当将来変わってくる
——変わってくると申しますのは、国内の
荷物を出します陸上産業がどんどん大型化、
近代化いたしておりまするし、相当
荷物も内容も違い、ロットな
ども違ってまいりまするし、
先ほど海運局長から
お話がございましたように、セメントのごときものも内航で一万トンという単位で輸送されることが、将来近く予見されるというような見通しもございまして、われわれといたしましては、こういう技術革新が内航界においても急速に進展するというふうに
考えまして、将来貨物船におきましても、
鋼船と
木船の輸送の割合ということは一応の数字はわかっておりましても、これが直ちにその数字がくずれ去ってしまうということも当然
考えられるわけでございます。また、こういう技術革新を大幅に応用いたしまして大幅なコスト・ダウンをいたしますのは、これは大資本というのは当然
考えられることでございます。しかしながら、小資本を集めて共同の事業としてこれをやるというやり方も当然
考えられることでありまして、この種のものは、一例を申しますと、バージライン・システムという方式を実用といたしますために私
どもは
調査団を海外に派遣いたしておりますが、成果を待っておるわけでございますが、
日本にどのような範囲で、またどのようなタイミングで実用化されるかということは十分予測できませんけれ
どもこのようなものが用いられますと、ばら積み、それが、桟橋の輸送におきましては、内航以下は相当大きな革命が起こるということはわれわれも
考えております。そうなりますると、
造船業はうかうかしておられない。これは早く
近代化、体質改善をして、とにかく国際的新時代に適応する体制を整えなければならぬということは当然
考えられるわけでございまして、したがいまして、こういう技術革新を軸として、輸送需要、輸送
構造の変革に対しまして、造船能力の質的な改善、体質の改善、あるいは生産体制の整備ということは非常に大きな問題でございまするので、こういう前向きの
近代化ということは当然
近代化促進法の対象として第一に
考えなければならぬ問題でございまするので、この点につきましては、過去競争を排除することはもとよりでございますけれ
ども、このような前向きの
設備投資をどしどしやっていきまして、そしてそれによって脱落するものがございましたら、そのときに初めて国家的な援助の手を差し伸べて救済するということは当然やらなければならぬ、かように
考えておる次第でございます。
なお、
相澤先生がちょっとおっしゃいました
安全性の向上つきましては、
基本的には貨物積載船の
規制ということがございまして、これは早く
実施いたしたい、かように存ずる次第でございます。
それから、登録船につきましては、過当競争の
防止ということがねらいでございまして、船大工が道具箱
一つかついできて、大工でございますということで、低賃金、低船価、それから労働
基準法
違反、あるいは法的な綱をくぐりまして不当とも言える競争をやるということを厳に
規制する必要があるということで、これは数年来問題になっておりますが、なかなか原始的な
造船業が太刀打ちできないような船をつくることこそ正しい行き方だということを
考えまして、登録制ということは、運用いかによりましてはうしろ向きということも
考えられますので、われわれはしばらく
近代化という前向きのほうに全力を傾けたい、かように
考えておる次第でございます。