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1964-05-12 第46回国会 参議院 運輸委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十二日(火曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————   委員異動  五月十一日   辞任      補欠選任    中村 順造君  岡  三郎君  五月十二日   辞任      補欠選任    井野 碩哉君  田中 啓一君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     米田 正文君    理事            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            天坊 裕彦君            吉田忠三郎君    委員            河野 謙三君            木暮武太夫君            田中 啓一君            野上  進君            平島 敏夫君            相澤 重明君            岡  三郎君            小酒井義男君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    運輸政務次官  田邉 國男君    運輸省海運局長 若狭 得治君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    運輸省海運局参    事官      高林 康一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○小委員長選任の件 ○水先法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいまから委員会を開会いたします。  初めに、委員異動報告いたします。  五月十一日付をもって、委員中村順造君が辞任し、その補欠として岡三郎君が選任されました。
  3. 米田正文

    委員長米田正文君) なお、岡君の委員辞任により欠けておりました鉄道事故防止対策に関する小委員長補欠として、再び岡君を指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  5. 米田正文

    委員長米田正文君) 水先法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を聴取いたします。田邊政務次官
  6. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) ただいま議題となりました水先法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  最近、わが国経済の急速な進展に伴って、主要な港湾及び内水航行する船舶は、急激に増加するとともに、大型化、高速化しつつありますが、この船舶交通の実情にかんがみまして、これらの水域における船舶交通の安全を確保し、かつ、運航能率の増進をはかることが現下の重要問題となっております。これに伴いまして水先業務の円滑な遂行を確保する必要がありますが、このためには、水先人技術水準を高めるとともに、水先人がその利用者に対して利便を組織的に提供する体制とこれを適切に監督する制度を確立する必要が生じてまいったのであります。  このため、政府としては、運輸大臣諮問機関である海上航行安全審議会に対し水先制度改善について検討をお願いしていたところ、最近答申をいただきましたので、その趣旨に沿って、所要改正をしようとするものであります。  次に、改正のおもな内容を申し上げます。  第一は、水先人技術水準引き上げるため、船長履歴に関する水先人免許要件を三年以上、総トン数三千トン以上の船舶に乗り組んでいたこととしたことであります。  第二は、水先船その他の水先業務に必要な施設の確保に関する水先人義務を明確にすることとしたことであります。  第三は、水先約款事前届け出制を設けるとともに、その変更命令及び掲示義務に関する規定を設けることとしたことであります。  第四は、水先業務の円滑な遂行をはかるため、水先区ごとの水先人の組織に関する制度を確立したことであります。すなわち、水先区を同一にする水先人は、その水先区について一個の水先人会を設立しなければならないこととし、この水先人会が、会員の水先の引き受けに関する事務を統合して行なうほか、水先人養成水先人指導及び連絡に関する事務を行なうことといたしました。  第五は、公共の利益を確保するため、水先人に対する業務改善命令に、関する規定を整備するとともに、水先業務の実態を正確に把握するため、報告及び検査に関する規定を設けることとしたことであります。  以上が、この法律案提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  7. 米田正文

    委員長米田正文君) 本案について御質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 本法律案提案する御説明の中で、いわゆる海上航行安全審議会答申をいただきましたので、その趣旨に沿って所要改正をしようとするものでありますと、こういうのがまず冒頭にあります。そこで、この海上航行安全審議会委員長関谷さんの答申が出ておるわけでありますが、この審議会委員の構成はどういうふうになっておりますか。
  9. 高林康一

    説明員高林康一君) 海上航行安全審議会は、水先法及び船舶職員法に定める事項その他海上航行の安全に関する事項を調査審議する機関でございますが、全体の委員長関谷さんでございます。それで、水先部会というのがございまして、部会長海難防止協会理事長でございます。委員といたしましては、海事検定協会、あるいは船長協会、あるいは商船学校の会、あるいは船会社、あるいは港湾管理者、あるいはパイロット協会、こういうようなところで構成されておる次第でございまして、全体の委員は九名でございます。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 いまのは水先部会委員が九名ですか、海上航行安全審議会全体の委員は何名ですか。
  11. 高林康一

    説明員高林康一君) 先ほど申しましたのは水先部会委員でございますが、全体といたしましては二十九名でございます。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、いまの御説明によりますと、水先部会の九名の委員からなる部会意見というものと、全体の審議会にかけられて、全体の審議会答申という形になっておるんだと私は思うんですが、これはいまの御説明ですとその点まだはっきりしておりませんが、水先部会意見というものがまとまって、そして全体の審議会にかけられて、その審議会答申となってきたものかどうか、いま一度御説明いただきたい。
  13. 高林康一

    説明員高林康一君) 部会結論がそのまま審議会全体の結論になっておるわけでございます。  なお、海上航行安全審議会令という政令がございますけれども、その六条におきましては、「審議会は、その定めるところにより、部会決議をもって審議会決議とすることができる。」という規定がございまして、両方実質的には一致するというようなかっこうになっておるものでございます。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、いまの御答弁でありますと、水先部会意見がまとまったものを提出をされた場合には、これは海上航行安全審議会意見というものに即なる、したがって、全体会議を開かなくても海上航行安全審議会委員長の名で答申というものが出される、こういうことですか、いま一度その点をはっきりしてください。
  15. 高林康一

    説明員高林康一君) 部会意見がそのまま審議会委員長の名前でもって答申が出るわけでございます。ただ実際の手続といたしましては、部会結論が出ました場合に、さらにそれを全体会議に御報告申し上げてやるというふうに実際上は措置しております。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、私は手続上のことを聞いておるわけですが、部会意見というものが審議会答申となるということについてはほぼ間違いはないと思うのですが、全体の会議をやるか、やらないか、こういうことを聞いておる。だから、審議会としての答申ということになれば、全体の会議にやはりかけられて、そこで部会意見というものが全体の意見として答申となる、こういうふうに理解をされるわけなんですが、そういう手続をとっておるか、おらぬか、こういうことです。全体会議をやるという手続をとったのですか。
  17. 高林康一

    説明員高林康一君) 全体会議を開きまして、そうして報告をさせていただいたという状況でございます。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 そういう手続がとってあることが私は正しいと思う。そうでないと、部会といえども、その諮問機関でありますから、運輸大臣諮問機関として出されておる問題について、やはり海上航行安全審議会そのもの意見というものが十分反映されなければならぬと思う。一部会がいいから必ずしも全体の意見が一致したとは言えないと思うのです。そうでなければ、この航行安全審議会というものの意味がなくなってしまうと思う。そういう意味でいま手続上のお話を聞いておったのですが、全体会議にかけられて、そうしてその水先部会意見というものが答申案として満場一致了承された、こう解釈していいわけですね。  そこでひとつお尋ねをいたすわけでありますが、この答申の中にあるところの、水先制度を改める必要が生じたということでありますね。そこで、この水先人技術水準引き上げるために船長履歴に関する水先人免許要件を改める——ここでまず第一に履歴をそういうふうによくしていくということでありますが、いまの水先人人数水先人がこれだけでもっていまの日本の港湾に中における重要な任務というものを遂行できるかどうかということが一つ。それから、その遂行ができるかどうかということに対して、技術的に、あるいはまたその人たち労働条件的にはたしてどうだろう、こういう点について私どもも非常に関心を持っているわけです。たとえば、水先案内料というものがきまって、先日引き上げられて、そして時代にふさわしい制度というものに近づけつつあるということは私どもも了解をするのでありますが、いまのこの水先人というものがこれからはたしてあとを継ぐような人が生まれてくるだろうか。つまり、お年寄りの方は確かにまだ残っておりますが、若い人たちがこれから水先人になるような人が出るだろうか、そのあとを継ぐような人が出るというには一体どうしたらいいだろうか、こういうような問題を考えないというと、私はこの業務に対するところの十分な把握ができないじゃないかと思いますので、そういう意味で、まず第一は、現在の水先人平均年齢というものはどのくらいになっておるか、それから現在の水先人のいわゆる業務に従っておるところの勤続年限というものは、どのくらいになっておるかという点をひとつあげてほしいわけです。
  19. 高林康一

    説明員高林康一君) 現在の水先人平均年齢は六十・八才でございます。それから勤続年限でございますけれども、大体平均いたしまして十二、三年という状況であります。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 これは、いまの御説明によりますと、終戦後でも十九年になるわけですから、結局は水先人の勤務というものはきわめて短いということが言えるわけですね。年齢は高年齢層であって、そして勤続年数は比較的短いということだと思う。そこで、私が先ほど心配したように、これからの多くの船舶の出入についてどうしても水先人人たちの大きな役割というものを考えていく場合に、やはりこういう重要な職務に従う人たち養成をしていく必要があるだろう、こう思うわけです。そうでないというと、いわゆる港におけるボスといいますか、港におけるそういうオーソリティーの人たちがたまたま欠けてしまうというと、実際この港はどういう状況であるかということはなかなかわからなくなってしまう。つまり航行の安全をはかることができない。水先人を雇うという点で心配なわけですね。そこで、港湾のことを十分知っておるそういう有為な人たちが必要なわけでありますが、いま一体どのくらいの給与——いま平均六十・八ということでありますから、いわゆる港であの人に聞けば全部知っておるという人は大体七十才前後の人たちですね。そういう人たちを除いてしまうと、あとは若い年齢層になる。ところが、その若い年齢層といえども、やはりかなり一般の会社等から見ると年齢は多いほうでありますね。そういう点からいきまして、かなりの労働条件あるいは賃金条件というものを考えてやらぬと、こういう水先という重要な仕事に携わってくれる人がだんだん少なくなってしまう、私はこういう心配を持っているわけです。そこで、このいまの平均給与というものはどのくらいになっておりますか。
  21. 高林康一

    説明員高林康一君) 大体水先人は一定の船長履歴を持っております者がなるわけでございます。したがいまして、かなり全体といたしまして年齢は高い。大体四十才以上くらいの人から構成されておるという状況でございますが、その年間の一人当たり平均水先料取得月額は、三十七年におきましては二十二万一千円という状況でございます。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 これは昨年改定をしたのじゃなかったのですか。いまあなた三十七年と言われたのですが、昨年改定したのじゃなかったのですか。
  23. 高林康一

    説明員高林康一君) 水先料金は昨年十月に改定いたしました。これは大体五〇%水先料引き上げをやったわけでございます。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 いまあなたの最初の御答弁は、三十七年に二十二万一千円月額と、こういう話でしょう。そうすると、三十八年の——昨年の引き上げをして幾らになったのですか。改定をして幾らになったのですか。数字的にですよ。
  25. 高林康一

    説明員高林康一君) 水先料改定を、昨年十月五〇%上げたわけでございますけれども、三十八年の統計がまだ完全ではございませんけれども、三十八年全体といたしましての見込みは、大体一人当たり二十六万九千円ということでございます。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 これは結局、計算の基礎をあなたのほうで十分つかんでいないんじゃないですか。つまり、いままでの水先に必要な人数一つのグループ、これが何人であるか、これではやっていかれないから水先料をふやしていただくと同時に人数をふやさなければならぬと、こういうことが、実は昨年の水先人に対する審議の中で私どもが申し上げたことだと思う。そこで昨年の十月に改定をされたわけです、この水先料金については。そこで、人数定員もこれは三十七年よりもふえているはずですよ。そういうことはないのですか。ただそれでいくと、水先料は五〇%値上げしたけれども、同じ人数でいけば、二十二万一千のものが二十六万九千になったといっても、五〇%値上げにならないわけです。それはもっと人数もふえてきて初めてこれだけの値上げになったと——額は一人は少ない、五〇%じゃないのです。そういう点ももっと説明しないと、私どもは一体どうなっているかということがわからないのです。いま少し深みのある御説明をひとついただきたい。
  27. 高林康一

    説明員高林康一君) 水先料を昨年十月五〇%上げた次第であります。そこで、水先料収入といたしましては、三十七年度は九億七千三百万という収入総額でございます。三十八年度は、これは五〇%値上げが大体十月からでございますので、全体といたしまして水先料収入増ということは十月以降になるわけでございますが、ただこの提案理由にもございますように、船舶の入港が非常に多くなっております。したがって、仕事量がふえておるという関係もございまして、十二億二千七百万というのが三十八年の大体の収入総額でございます。そのうちで、三十八年度の数字で申しますと、支出が六億九千万ということでございまして、一人当たり平均といたしましては二十六万九千円ということになるわけであります。その場合の人数は百七十九名でございます。なお、三十七年度の人数は百六十名で、十九名の増加になっております。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 そういうことを説明しないとわからなくなってしまうのです。それを説明すると、なるほどということになる。そこで、人数がいま言った三十七年よりは三十八年末においては十九名の増、こういう御説明をいただいて、これはたいへんよかったということになる。しかし、これでよいかということがまた考えられるわけです。ということは、先ほどの御説明にもありましたように、提案趣旨にもございますように、非常に主要な港湾及び内水航行する船舶が急激に増加をしている。特に今年のオリンピック時を中心として外国船舶航行というものも非常に多くなってくる。停船も多くなってくる。そうしますというと、水先人業務というものはますます多岐にわたってくると私思う。こういう面で、特にいま時期的にも私は水先法の一部を改正する法律案提案趣旨は非常にけっこうだと思う。しかし、ならばもっとやはり万全の対策を講ずる必要があるのではなかろうか、こう考えられるわけです。そこで、いま御説明をいただいた、昨年度における審議の過程において水先料の五〇%のアップと十九名の定員増というものはできたけれども、一体これで十分だろうかというと、私はなかなかそうはいかないのじゃないかと思う。そこで、まず第一にこの提案趣旨と関連をして考えられるのは、港域法港則法等の問題があると思うのであります。こういう点を政府としてはどういうふうにお考えになっているのか。これは水先法の問題を、水先人人たちのいわゆる労働条件等の問題を中心にいま出されているわけでありますけれども、そういう関係法律についてはどういうふうにお考えになっているのか、この際政府のお考えを聞いておきたい。
  29. 高林康一

    説明員高林康一君) 御指摘のように、海上の交通安全をはかりますために関係法令がいろいろ多岐にわたっているわけでございますけれども、私どもといたしましては、今国会には、この水先法と、それから先般御審議をいただきました海上衝突予防法改正をはかるということをまず考えておるわけであります。なお、前国会におきまして港則法改正いたしました。関係政令省令等を整えまして、そうして改正法によって現在のところこれをいま進めつつあるという状況でございますが、さしあたりすぐ——昨年改正をいたしましたばかりでございまして、なおいろいろなその後の施行状況を見まして今後検討を進めてまいりたいと思っております。港域法につきましては、いろいろ現在の港湾事情が非常に大きく変化しつつありますので、そういうようなことに対応いたしますために一昨年の改正をやったわけでございますけれども、今後の港湾事情の変化をさらに見て、また所要の措置をとる必要のある港湾について検討を進めてまいりたいと思っております。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 これは、水先人が、この法律改正をされて、技術上あるいは経歴上非常に優秀な方々に重要な業務に従ってもらうということになるわけでありますが、それはまことにけっこうなことでありますけれども港域法港則法という問題は水先人人たちが無視するわけにはいかないわけです。たとえば、一つの例が、港湾管理者港則法、あるいはそれぞれの港湾管理者港域法、そうしてまたこの水先法というものは、それぞれ独立立法でありますが、実は関係がないわけではない。みんな関係があるけれども一つの例をたとえば横浜港の場合にとってみると、港の管理者横浜市長である。けれども、これらの問題について、港の混雑、いわゆる船込み等の問題については、運輸省の皆さんにやはり事実上はいろいろな指導、指揮を仰がなければならぬ、あるいはその現場仕事はこの水先人人たちがしなければならない、こういうことから考えてくると、命令系統というものはいろいろ出てまいりますが、結局現場におけるところの仕事のいわゆる繁雑というものはなかなか抜け切れないところがある。こういう点を、私ども実は先日も港を船で回ってみて、いろいろ教えられるところがあるわけです。どうしたらいいだろうか、なるべく港の管理運営については統一的な方向に行くのが望ましいということは意見が一致するわけであります。しかし、法律というものは、たくさんのそういう関係法律があるわけです。そういうことになるというと、この点は、水先人人たちの非常な過労という、労働過重ということにもなってくる。あるいは、その人たちに思わざる仕事の負担を重くさせるということにもなってくる。こういうことで、いままでのような人数なり、いままでのような賃金では、どうも水先人人たちが気の毒ではないかということさえ私どもは感じられるわけです。そこで、いまの御説明ですと、港域法なり港則法は、一昨年なり昨年審議をして、一応改正案ができておるから、いまは全然考える必要がない、こういうお考えのような御答弁があったわけですね。どうも私はその点が、やはり毎年改正をしようと、その時代にふさわしい法律行為が行なわれることが望ましいのではないか。だから、法律があるからといって、その法律だけにたよっておるということでは、関係業務円滑化を期待することはできないだろう、こういうふうに考えて御質問を申し上げたわけであります。たとえば、横浜の港の管理者である横浜市長は、港湾管理者であっても、これは港に関する限り無能力者です。別にたいして能力はない。これはやはりいま申し上げた法律上の規制があるわけです。こういうことから考えると、このオリンピック時を迎えて、船舶停泊あるいは航行というものが複雑化するというような状況において、なおさらこの水先人人たちにたいへん重荷をしょわせるのじゃないかなという気がしておるわけです。すでに横浜港でも、四隻なり六隻の船が停泊をする、そうすると、いままでの航路というものをどういうふうにとったらいいのかということも当然問題になってくるだろうというようなことを考えて、どうもその点、運輸省の皆さまのお考えというものが、現場のそういう管理者なり、現場仕事をしておる港湾荷役者、あるいは航行の安全をはかる水先人人たち意見というものは、一致して政府が取り上げておるだろうかという点を私は実はちょっと心配になったわけです。そこでお尋ねをしたわけでありますが、そういうようなもろもろの条件というものについてはあまり心配ございませんか、これは端的に伺っておきたいと思うのです。
  31. 高林康一

    説明員高林康一君) 最近の港湾事情から見まして、先生御指摘になりましたように、いろいろ法律の面、あるいはまた実際の業務運営の面、いろいろ改善を要する点が多々あると思います。この水先の問題につきましても、非常に船舶大型化する、あるいはまたトン数が非常に多くなっているというような最近の状況でございます。そのために、大型化に対処いたしまするための改正というものを今回御提案しておるわけでございますけれども、それと同時に、やはり激増するところの需要というものに対応いたしまするために、先ほど申しましたように、三十七年から三十八年にかけましては、百六十名から百七十九名というふうに、十九名増加いたしておりますけれども、さらに三十九年度におきましてはこれを二十五名増加させたいというふうにいま検討しておるわけでございます。これはいろいろの点で、船主あるいはその他からもいろいろ要望もございます。これらの水先人増員ということについては、政府側といたしまして積極的に努力してまいりたいというふうに考えております。それと同時に、この水先に必要なところの業務用施設整備拡充というようなことについても、いろいろこれを進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 前向きの姿勢での御答弁で、たいへんけっこうだと思います。  そこで、二十五名三十九年度において増員をいたしますと、二百四名ということになるわけでありますが、その配置条件をひとつ御説明いただきたいと思います。
  33. 高林康一

    説明員高林康一君) 大体三十九年度におきまして増加いたしますところの配置地区といたしましては、函館水先区は一名、それから東京湾水先区については六名、それから名古屋、四日市三名、それから阪神三名、内海五名、関門五名、佐世保一名、それから島原海湾一名、計二十五名ということを予定しております。
  34. 相澤重明

    相澤重明君 東京湾はたった六名ですが——東京、川崎、横浜、これは千葉まで含むのでしょう。千葉はどういうことなんですか。
  35. 高林康一

    説明員高林康一君) 千葉は含みます。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 これは一つの例ですが、そうすると、東京湾は全体で幾名になるのですか、六名をふやして何名になりますか。
  37. 高林康一

    説明員高林康一君) 東京湾全体といたしましては四十五名になります。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 この数字は政府の資料ですから間違いはないと思うのですが、前回のときには、非常に数が少なくて、どうしても水先人定員をふやさなければならぬ、こういうことが結論だったと思うのです。そこで今回、たとえば東京湾の場合六名というのでありますが、千葉、東京、川崎、横浜というような、この東京湾の港域における人数については、六名というのはあまりにも少ないのではないかという考えがするわけです。しかし、私の考えが少ないと思うんですよ。そういう意味で、それこそそのほうの専門家の意見を聞かなければ私もわからないわけですが、現在のところ、これらのパイロットによって航行されている。たとえば東京湾における船舶の数量はどのくらい月間見込んでいるのですか。あるいは一日どのくらい。
  39. 高林康一

    説明員高林康一君) 三十八年度一人平均の月間業務量、これは隻数でございますけれども東京湾——これは東京、横浜、横須賀地区全体の平均でございますけれども、四十四隻ということでございます。これは大体三十八年度の実績でございますけれども、若干やはり、ことに横浜方面におきましては、相当これがふえる。たとえば、この六名と東京湾で申しましたけれども横浜湾におけるところの伸び率は非常に大きいものでございますから、それでそのうち四名は横浜増員したいというふうに考えております。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 これはいま少し説明を聞かないとどうもはっきりしないのですが、いまの政府の御説明では、確かにふえるところを重点的にふやしていった、こういうことがうかがえるわけです。そこで、定員を三十九年度二十五名増加をさせるについて、昨年の十月に水先料引き上げたから、これで十分である。あるいは関係船会社、あるいはそういう協会等との話も、昨年度のこの実績で御相談をされていく、こういうことなんですか。それともまだ定員増に伴う、あるいは船舶航行増加に伴うところの措置というものを何らかお考えがあるのかどうか、この点もひとつお答えいただきたいのです。
  41. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 相澤先生から御指摘のございましたように、今後の船舶の数の非常な増加、傾向に対応しまして、水先人の数を増員しなければならぬということと、それから水先業の施設の整備という問題は、今後とも引き続いて行なっていかなければならないという状態でございます。昨年の値上げによりました増員というものは、すでに終わっているわけでございます。現在の状況は、引き続いてさらに増強しなければならぬという状況でございますので、われわれはさらに水先料引き上げということを考えざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。端的に申しまして、日本の水先案内料というものは、世界的な水準から見まして非常に低いわけでございます。たとえば具体的な例をとって申し上げますと、韓国あるいは台湾等の極東における湾の水先料に比較いたしましても、大体二分の一でございます。それからアメリカ等の港湾に比較いたしますと、三分の一ないし四分の一というような状況でございますので、これをわれわれとしては一応国際水準まで引き上げたいというようなことを現在考えておるわけでございます。その中で、必要な水先施設の増強、あるいは人員の増加ということを行なってまいりたいと考えておるわけでございます。  で、先ほど水先人収入平均を申し上げましたけれども、これは水先施設の経費というものを当然含んでおるわけでございまして、決して個人的な収入としては高いものではないというように考えますし、また非常に長い船長経歴を持った人たちが従事しておる仕事でございますので、それ相応の報酬というものも当然考えていかなければならぬというような状態でございますので、われわれとしては今後水先施設の充実のためにはさらに値上げ考えていかなければならぬというように現在考えております。
  42. 相澤重明

    相澤重明君 おそらくなかなか私どもがただいまの政府説明を聞いただけでははっきりわからない点がある。ということは、たとえば先ほどの、三十八年の十月に水先料五〇%改定をして、そして三十八年の平均は二十六万九千円ということを言われたのでありますが、これは一般にいう俸給、給料の出し方と違うわけですね。だから、これがいわゆる月収幾らだと、こういうような計算をされると、全く違ったベースになってくるわけです。こういう点を御説明がないというと、二十六万九千円というと国会議員より給料が高いじゃないかということが考えられるわけです。この点、いま局長の御答弁いただいたように、人件費は幾らなんだと、このうちにね。実際の——船長の経歴を持った水先人の幹部の人たちはともかくとして、普通のパイロット、水先人人たちの給料というものは一体月額どのくらいになっているんだということを話をしてもらうとよくわかるわけなんです。この点はどうなんですか。普通の、さっき言った平均年令六十・八歳で、そして勤続十二、三年の普通の者は幾らなんですか、給料。人件費引き直してみてください。そういう説明をしてもらわぬとわからぬ。
  43. 高林康一

    説明員高林康一君) 先ほど申しました二十二万一千円、あるいは二十六万九千円と申しますのは、水先人は結局、個人企業と申しますか、水先人個人がその水先業務に対する対価としての水先収入を得まして、それに対しましていろんな経費がありますので、それを除いたものを平均したわけでございます。まあ大体平均値といたしましてでございますから、特に年寄りというふうなことを一応抽出されておりますけれども、全体的にこういうような数字になるのではないかと思います。ただ地区によりまして、非常に船の入港が少ないというようなところがございます。そういうところは、やはり何と申しましても、収入率というものが非常に悪いというような状況になっております。
  44. 相澤重明

    相澤重明君 やはりいまの御説明は、言いたいことも言えないところもあると私は思うんです。またのどから先声になっていないところもあるんじゃないかと私は心配するんですが、やはり、ざっくばらんに知りたいわけですよ、ほんとうにね。  そこで、政府のお考えはもうよくわかっておるわけなんですが、私どもはやはり、この現場に、第一線における業務に従っておる人たちに、そういう意見を聞いてみたいわけです。で、委員長にこれはひとつお願いしておきたいんですが、まあ非常に重要な法案で、単にこの法案の改正趣旨からいけば、みんなもう賛成なことでありまして、こんなものは別に長く審議するとかへちまとかいうことはないわけですけれども、事は一つ間違うとたいへんなことなんです何億という財貨を失う、人命を損傷するわけです。こういう実は、港、あるいは周辺における重要なパイロット業に従う人たちの問題なんです。そこで、全国のそういう業界の人たち、あるいは関連をする——先ほどの船主の立場も重要な問題であります、そういう人たち意見をやはり聞くことも私は必要ではないか。特にオリンピックを迎えての今日の国会の中においては、オリンピックだけはりっぱにやり遂げたいというのがいまの日本人の気持ではないか、こう思うわけです。ですから、水先人人たちも大いに、外国の船舶が来ても、なるほど日本のパイロットは優秀で、港も管理運営がいいというふうにやってもらいたいわけです。そういう意味で、私は、たとえば横浜の山下組合長のようなベテランの人もおりますから、そういう人たち意見も当委員会お尋ねをして、意見を述べてもらったり、聞いたり、十分われわれがそういうものに知識を得ると同時に、先ほど申し上げたように、この仕事をりっぱにやってもらいたい、こういう気持があるわけです。  そこで、委員長にそういう参考人を呼んでもらいたいわけなんですが、いかがでしょう。これは委員長にひとつお尋ねをいたします。
  45. 米田正文

    委員長米田正文君) この法案審議の中において呼ぶか、あるいはその事後において呼ぶか、あるいは他の方法もいろいろありますから、ひとつ理事会において理事の間で相談をした上、御返事を申し上げたいと思います。
  46. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、どうもその理事会の終わるまではこの法案は審議を継続するわけですな。当然そうなると思う。
  47. 米田正文

    委員長米田正文君) 至急理事の間で相談します。これは審議しながら相談をしていきます。
  48. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、ともかく理事が私の希望をひとついれていただくように御相談をされることを委員長にも要求しまして、そこで私は、この水先業務に必要な施設の確保ということも、これは非常に大事なことでありますので、いま政府考えておりますのはどんなものをどういうふうにやろうとしているのですか、その点をお答えいただきたい。
  49. 高林康一

    説明員高林康一君) まず業務用施設といたしましては、一番問題になりますのは水先船でございます。この水先船につきましては、相当程度現在整備されつつありますけれども、なお非常に足りないところもございます。そういうような関係からいたしまして、水先船を現在三十八ぱい、これを四十年度中に大体建造しようということを考えまして、三十八はいをいま進めるつもりでございます。なお、三十八年度にこの計画中で竣工いたしましたのは七隻でございます。したがって、あと三十一ぱい、四十年度までにこれを建造したいというふうに考えておりますものでございます。
  50. 相澤重明

    相澤重明君 三十九年度は何隻。
  51. 高林康一

    説明員高林康一君) これは大体四十年度までにこれをやるわけでございますので、あと大体やはり十五はい程度——十ぱいないし十五はい、多少水先区の収支状況によって違いがあるわけですが、大体十ぱいないし十五はいを建造したいというふうに考えております。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 できれば私は、四十年度までに三十八隻をおつくりいただけるということはたいへんけっこうだと思います。できるだけ今年度重点的にひとつ極力建造をして、そして定員増に伴う労働条件というもの、これは非常に実は重労働なんです。そういう意味で、できるだけの労働条件を確保してやってほしいわけです。いま一つは、いまお話が出ましたように、水先船がもう古くなっておりますので、やはり新しくする必要がある。こういう問題で、いま三十八隻をつくられるということは、急を要することだと私は思う。そういう点で賛成です。まことに適切な処置だと思うのです。  それから、先ほど局長もお答えいただいたわけで、本日の場合、直ちにこれからどうということには、私は的確なお答えをいただくということはむずかしかろうと思うのでありますが、先ほども政府自身がお答えになりましたように、外国のパイロットの諸君の業務量あるいはそれに対する報酬ということから考えてまいりますと、日本の場合安いわけです。したがって、国際船も多く出入りする今年秋のオリンピック時において、やはりこういう機会をのがすというと、何か機会がなければ変わるものじゃないわけです。ですから、こう機会に外国の船が来てみて、外国の人たちも、なるほど日本の状況はこうだ、日本はこれほどいいとか悪いとかいう批判も出るわけですから、こういう機会にできるだけ私は改定してやるのがよかろうと思うのです。そういう意味で、本日直ちにというお答えを私は要求いたしませんけれども、先ほどの局長さんの御答弁のように、ぜひこのオリンピック前に、私は水先料というものを改定をしてやってほしいのです。条件をよくしてやってほしいのです。こういう点をひとつ希望するわけでありますが、いかがでしょうか。
  53. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) いま御指摘のとおりの方向で、海上航行安全審議会に国際水準から見て日本の水先料というのはどういうふうにあるべきかということを早急に諮問いたしまして、できるだけ早くその結論を得まして、これを実施したいというように考えておるわけでございます。
  54. 相澤重明

    相澤重明君 次に、第三の水先約款事前届け出制の問題でありますが、これは地元の海運局なんですか、本省なんですか、そういうところを明らかにしていただきたい。
  55. 高林康一

    説明員高林康一君) 地方海運局を考えております。
  56. 相澤重明

    相澤重明君 次に、第四の問題でありますが、水先区ごとの水先人の組織に関する制度を確立する、非常にいいことでありまして、この水先区を同一にするところの水先人がこういう組織を確立するということに対する指導、あるいはまた現在の組織状況、こういうものについておわかりになったならばひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  57. 高林康一

    説明員高林康一君) 現在水先区は二十三区ございます。そのうち、一人だけしかいないという水先区が七区でございます。それ以外の十六区につきましては、一区を除きましては、みな水先人組合というものを組織しておるという状況でございます。したがって、そういうような組合が結成いたしておりませんところの未組織の水先人は、一人区が七つで七人、それから三人おります一区が未組織でございまして、残りの百六十九名がそれぞれ水先人組合というものを組織しておるというような状況になっております。
  58. 相澤重明

    相澤重明君 それで、この百六十九人は組合を組織しておる、その他は一人区なり、そういう形になっておるというのでありますが、これが地区別にいま言った組織がされますというと、これはやはり連合会といいますか、全国といいますか、そういうことに組織上義務づけるということについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  59. 高林康一

    説明員高林康一君) 全国組織が御指摘のように必要になるかと思います。そこで、現在全国組織といたしまして全国の日本パイロット協会というのがあるわけでございますけれども、これは法人格を持たないような団体でございますけれども、これを民法三十四条によりますところの社団法人といたしまして、大体この六月ぐらいから発足することになっておりまして、現在それを進めつつあるわけでございます。
  60. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、これは政府指導としても、全国組織化するということを行なっているということですね。そうしてその時期は本年の七月ごろ、そういうことですか。
  61. 高林康一

    説明員高林康一君) 現在そういうふうに——水先人の方々自身の自発的な意思が主力でございますけれども、私どもといたしましても、そういうような全国団体というようなものが非常に必要であろうと考えておりまして、大体今月中にはできるであろうということで、すでに定款その他の検討を終えております。
  62. 相澤重明

    相澤重明君 たいへんけっこうなことだと思います。そこで、同時にいま一つの点は、第四のあとのほうにある、水先人養成水先人指導及び連絡に関する事務、こういうことで全国組織あるいは地区組織ということが必要になるわけでありますが、特にこの養成の場合はどういうふうにお考えになっておりますか。
  63. 高林康一

    説明員高林康一君) 水先人養成につきましては、水先人たるの資格は、一定の船長経歴というようなことと、それと同時に実務の修習ということが大きい眼目になっているわけでございます。船長の履歴の問題その他につきましては、それぞれ各船会社において船長が在籍しているわけでございます。問題は水先の実習であると考えられますが、その実習につきましては、水先人組合——今回考えておりますところの水先人会法律案におきますところの水先人会におきまして、こういうふうな水先修業生というようなものについてのいろいろ訓練といいますか、そういうようなことについて、こういうような水先人会において積極的にやらせるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  64. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、一個の水先人会というのは大体全国組織の中で考えられる。つまり、全国的な水先人養成というものは、現状というものを把握して、そうして養成していく必要があるという判断が出た場合には、定員をきめ、あるいは募集をして、あるいはまた関係船会社に要請をするなりして、パイロットになっていただくような人に出てもらう、こういうようにしてとにかくこの水先人養成していくというお考えなんですか。それとも地区ごとにやるというお考えですか。全国的にやるお考えなのか、地区ごとにそういうことはその希望によって地区で行なう、こういうことなのか、そのいずれでしょうか。
  65. 高林康一

    説明員高林康一君) 当該水先区の港湾事情というようなものについての実務の修練ということが一番基本になるかと思います。もちろん根本的に、一般的な操船技術というようなことはございます。これらの点については、もちろん一般の船員養成機関においていろいろやっているわけでございますが、具体的な水先実習につきましては、やはりそれぞれの当該水先区に関するところの知識というものが一番大事であるかと考えられますので、原則的には、その地方々々、地域的な水先人会においていろいろの実習をやっていくということになっております。ただ、全国的な需要につきましては、これはやはり全国的にいろいろ港湾の繁閑というようなものを考えてまいらなければならぬというふうに考えられますので、それらについては、全国的な需要のあり方というようなことについては、中央においていろいろ検討を進めてやってまいっている次第でございます。
  66. 相澤重明

    相澤重明君 第五の問題は、「公共の利益を確保するため、水先人に対する業務改善命令に関する規定を整備する」、こういうことを言われております。そこで、規定を整備することはいいんだが、報告及び検査に関するというような規定を設けるというのは、実態というものを十分把握していなければ実際問題としてできない。その実態を把握するために、報告をさしたり、あるいは臨検をする場合もあるだろうと思うんですが、これらの業務を行なうのに政令でやるのですか、それともこれは単に運輸大臣が、そういう監督権という名による、場合によれば改善命令を出すと、こういうようなことをお考えになっておるのか、これはどういうやり方をするのですか。省令でやるとか、政令でやるとか、単に監督権だけの発動であるとか、いろいろありますね。そういうのはどういうふうにお考えになっておりますか。
  67. 高林康一

    説明員高林康一君) 改善命令につきましては、これはいわゆる行政処分といたしましてやるわけでございます。ただ、これの発動につきましては、海上航行安全審議会の御意見を聞いて、そうしてやっていきたいというふうに考えております。
  68. 相澤重明

    相澤重明君 いまのあなたの答弁、いま一度端的に言いますと、運輸大臣改善命令を出す場合には航行安全審議会の議を経てやる、こういうことですか。つまり、私の聞いておるのは、これだけの多岐にわたる業務でありますし、それからまた、このパイロットの皆さんのそういう実態というものを十分把握してやるのに、そういう業務を整備するということの規定を設けるにしても、その扱いのし方として、政令をもってやるのか、省令をもってやるのか、単にそれは船舶局の中でやるのか、いろいろ政府のやり方があろうというんですよ。こういう問題について改善しなければならぬというときは、いまの審議会で御協議いただいて、審議会の議を経てということについてはわかりました。けれども、全般的な——ただ改善命令を出すことだけが仕事じゃないでしょう。改善命令というものはやむを得ず出す場合であっても、本来そういうものは好ましいことではないわけです。そういうことになると、日常のそういう業務というものに対していかなる指導監督をされ、そういう整備をされていくのか、こういう根拠というものはどこに置くのか、それをお尋ねしているわけです。
  69. 高林康一

    説明員高林康一君) そういう命令を出します前提といたしましての実態把握という問題につきましては、これは改正案の二十九条の規定によります報告聴取権というものによってやるわけでございます。それの具体的なやり方といたしましては、現行法でも水先法施行規則によりましていろいろな報告の内容その他を規定しておる次第でございます。この改正案に基づきまして、やはり施行規則におきましていろいろの報告事項その他を整備してまいりたいというふうに考えております。
  70. 相澤重明

    相澤重明君 結局、施行規則で日常の問題は処理をする。それで、改善命令を出すような場合には、当該行為の停止等の問題、そういう重要な問題等については、改善命令を出す場合には運輸大臣はこの審議会の議を経る、こう理解していいわけですね。もちろん、私どもも、免許の取り消しだとか、あるいは行為の停止というようなものを好むわけではないし、そういうことがあってはならない、こう考えておるわけですが、その実態の把握が不十分であるというと、ともするとあやまちを犯すわけでありますから、その点において、施行規則でおやりになるというならば、それが一番無難かもしれませんね。無難かもしれませんが、そういう点をやはり現場に徹底をすることが私は必要だと思うんです。そういうし方については、政府のそういう行政の監督指導というものについては、水先人の組織ができた場合に、その組織を通じて説明をするとか、講習をするとか、示達をするとかいうことなんですか、それとも今後のやり方はどういうふうにお考えになっておるんですか。
  71. 高林康一

    説明員高林康一君) 各地方海運局におきまして、各水先区における水先人会にいろいろ連絡をするというふうに原則的には進めてまいりたいと思います。ただ全国的の問題につきましては、また中央において先ほど申しましたような中央団体にもいろいろ連絡をするというふうにしてまいりたいと思っております。
  72. 相澤重明

    相澤重明君 それから、先ほども説明いただきましたが、水先人会が設立をされまして、そうして将来の水先人のいわゆる指導養成ということを一つ義務づける形になるわけですね。これは、水先修業生の修習に関する規定だとか、あるいは水先人会の会則だとか、いろいろなものを今度の法律の中では整備をすることでしょう。そうすると、一つのこれは法律行為によってそういうふうに指導をしていくわけですね。監督指導をするわけですね。その場合の、たとえばこの水先人会事務所が持たれる、全国的な組織の中に持たれると、そういう中で、これらの国の重要な公共的な仕事に従うパイロットの養成等についての予算ですね、そういうものの助成というものについてはお考えになっておるんですか、おらないんですか。
  73. 高林康一

    説明員高林康一君) 水先人養成ということにつきまして、船長等の履歴を要しますが、それらの点については国の機関において養成その他をやっておるわけであります。水先人自身の実務修習につきましては、国の補助というようなことは直接的にはございません。しかしながら、これらの事務が非常に重要な問題でございますので、これらの実務修習というようなことをも考えまして、また先ほどの業務用施設の整備というようなことも考えまして、水先料改定いたし、さらに今後改定をできるだけ早い機会に実施してまいりたいというふうに考えております。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 いまの改善命令を出す場合は航行安全審議会の議に付するということについては、わかりました。  次に、運輸大臣が勧告をする場合がある。そういう場合は、どういう場合に勧告を行なおうとするのですか。例をひとつお示しいただきたい。
  75. 高林康一

    説明員高林康一君) 運輸大臣が勧告いたします場合といたしましては、たとえば改正案の二十五条にございますように、水先人会の適正な運営を確保するために業務について勧告するわけであります。たとえば、修業生の修習というようなものにつきまして、そのところにおいて必ずしも修習が円滑に行なわれていないというような場合もあるかと思います。また、水先の場合に、これを水先の求めがありましたときに、当然これを受けなければならないわけでございますけれども、これらの点につきまして、やはり合同事務所といたしまして統一的にやっていく必要があるにもかかわらず、何らかのかっこうで損をしたという場合におきましては、やはり必要な勧告をしていかざるを得ないのではないだろうかというふうに考えております。
  76. 相澤重明

    相澤重明君 それから、運輸大臣の職権をいわゆる政令で定めて海運局長に行なわせる、この範囲というものはどの程度までお考えになっておりますか。
  77. 高林康一

    説明員高林康一君) 三十条の規定に基づきますところの地方の海運局に委任いたしますところの職権は、まず二十二条の四の第一項、第三項にあります水先人会の会則の設定及び変更の認可権あるいは二十九条の規定によりますところの立ち入り検査権等を委任することをいま検討しております。
  78. 相澤重明

    相澤重明君 大体わかりました。そこで、先ほどの点にまた戻るわけでありますが、これらの水先人の重要な業務を安全に行なわしめるという点については、定員の問題と予算の問題ということで先ほども申し上げたわけですが、船主関係ですね、船舶関係、この所有者の人たち意見というものも私は大事だと思うのです。そういう人たちに対しては、どういうふうにこれらの人たちに理解をしてもらう、あるいは水先料をふやしてもらうというような場合のそのやり方について問題が出てくると私は思うのです。必ずしも、水先料を今度はアメリカ並みに引き上げよ、ヨーロッパ並みに引き上げよといっても、私は素直になかなか「はいそうですか」というわけにこれはまいらぬと思う。そういう関係の業界に対する政府考えとしては、どういうふうにして御理解を得ようとしておるのですか、この点を少し聞いておきたいと思います。
  79. 高林康一

    説明員高林康一君) 先ほど海上航行安全審議会委員の構成についてお答え申し上げたわけでございますが、この委員の中に、まず船会社の方が入っておいでになります。なお、先ほどのところで専門委員について御説明するのが抜けておりまして申しわけございませんが、専門委員といたしましては、たとえば東京湾水先区の水先人の山下さんとか、あるいは各代表的な水先区の水先人の方、それから船主協会の方、それからこの各船会社の代表的な水先をよけいとるというような方々、そういうような方が専門委員になっておいでになるわけです。そういうような方々につきまして、いろいろな水先のたとえば員数とか料金とかいう問題について、水先人及び船主側の両方の方、それから学識経験者と申しますか、そういう方々にお集まり願いまして、この委員会をやります前に、水先懇談会というようなものをやっておりまして、そこでいろいろな方に加わっていただいてお話をしておるという状況でございます。大体この水先懇談会においていろいろ意見のまとまったものが、結局、海上航行安全審議会水先部会に大体両方共通しておる方も多うございますので、反映するということになっておるわけであります。それと同時に、なお全般的に水先料等の問題については、船主側経済には大きな影響がございます。したがって、代表的な船主方に——これは個々の事案によって違いますけれども、代表的な船主方にいろいろお話をして、そしてどういうふうに持っていくかというようなことをやっておる。また、先ほど申し上げました全国のパイロット協会の方々にも、理事の方々なんかにもお集まりを願ってお話をするというようなことを同時に並行して進めておるというのが実際のやり方でございます。
  80. 相澤重明

    相澤重明君 船主側からすれば、いまの国際競争の中において経済的な要素というものが多分に問題になると私は思うのです。ですから、貿易自由化に伴ってのわが国海運業というものに対する収支バランスというものから考えてくると、なかなかむずかしい点も私はあろうと思う。けれども、日本の海運界が近代的に進めば進むほどやはり苦悩は一歩々々前進をさせなければならない、解決していかなければならないと、こう思う。その中で、特にパイロット諸君の港湾の中における重要な業務に対しては理解をしてもらう必要があると思うので、私もそういう船主諸君、船会社諸君の実態も聞きたいわけですね。委員長、参考人をひとつ呼んでいただけませんか。そして私は、慎重審議をして、りっぱな法律をつくってもらいたい、こういうことを希望をするわけでありますが、いかがでありましょうか。
  81. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  82. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記をつけて。
  83. 岡三郎

    岡三郎君 この水先法の一部を改正する法律案提案理由説明書の中にいろいろ書いてありますが、確かに大型化、高速化しつつある。いろいろ理由があるけれども、いま話し合いの中に出たように、大型化というのは千トンが三千トンになったという話じゃないのです。一万トンが二万トンになり、五万トンになり、これが七万トン、九万トン、十万トン、タンカー等になれば十五万トン、こういう大型化になってくるわけですね。それを千トンの船長の経歴のあった者はいままで許可しておったのを、急速な大型化から三千トンにした。一体これはどういう理由なんだ。千トンではだめ、二千トンではだめ、今度は三千トンに資格要件をした。それはどういう判断に基づいて三千トンにしたのか。こういうことになるというと、いままででも、現在かなり大きな船が港に入っております。それで、千トンの経歴者でもこれを認めてきた。それがこの改正によって、三千トンの船長の経歴でなければ資格要件にはならぬ、こういうふうにすると、それにはある程度やはり厳密なる意味のものがないと、これはなりたくてもなれぬ人が出てくることになる。この点、ひとつ説明を十分にしていただきたい。
  84. 高林康一

    説明員高林康一君) 千トンを三千トンにいたしましたことにつきましては、まずこの最近の大型化状況に対応いたしまして、船長履歴をどういうふうに考えたらいいかということが、航行安全審議会でもいろいろ議論が出たわけでございます。率直に申し上げまして、非常に区々の意見が出まして、たとえば五千トンというようなお考え方の方もあります。あるいは千トンというようなお考え方の方もございましたが、まあ結論といたしまして、三千トンというふうに航行安全審議会ではなったわけでございます。その場合の考え方といたしましては、まず水先を利用いたしましたところの船舶平均トン数がどのように推移しておるかということを検討したわけでございます。その点につきましては、昭和二十三年におきまして、水先を利用いたしました船舶平均トン数は三千百三十八トンでございます。それに対しまして、三十七年の水先利用平均トン数は七千五百トンというふうに、大体二倍半近くにこの水先利用船の船形が大きくなっておるということが第一点でございます。  さらに、第二点といたしましては、わが国の保有船舶のトン数別の、階層別の構成を検討したわけでございます。この場合には、昭和二十四年——現在の水先法ができたときでございますけれども、千トン未満の船が昭和二十四年には二五%程度でございましたが、昭和三十七年におきましては、大体三千トン未満の船が二一、二%というふうに、千トン未満と三千トン未満の船腹構成比率というものが大体同じような構成比率になっておるということでございます。  それから次に、第三点には、水先区の中の各港の年間の入港いたしました最大船舶平均でございます。これは昭和二十四年には最大船舶は八千六百トンでございましたが、三十七年には三万二百五十トンというふうに三・五倍ぐらいになっております。  大体こういうような一応の最近の、現在の水先法が制定されました昭和二十三、四年から今日に至りますところの水先利用船あるいは船腹構成比率というようなことから勘案いたしまして、これを大体三千トンにするほうがいいのではないかということで海上航行安全審議会の御意見が究極的には一致したわけでございます。そういうような観点を考えまして、これを三千トンに引き上げるということにいたした次第でございます。なお、現在の水先の利用船というものは大体三千トン以下というものも非常に少ないというような状況一つの判断の材料となった次第でございます。
  85. 岡三郎

    岡三郎君 まあいまの説明で、その後の推移がそういうことになったということであれば、今後船がだんだん大型化になってくることと、さらにこれを五千トンとか一万トンの船長の経歴者に限るというような、そういう考え方もあるわけでございますが、これはどうなんです。とりあえず三千トンということにしたのかどうかね。
  86. 高林康一

    説明員高林康一君) 確かに、現在の入港するところの船舶というものにつきましては、たとえば石油なんかをおもに処理いたしますところの下津等におきましては、非常に大型タンカーが入っておるということでございます。ただ、全体的にそういうような大型化という船の入り得ますところの港湾というものは、まあ港湾施設の整備の関係もございますけれども、やはり全般的にそういうふうに十万トンというようなふうに大きくなるということではない。また、定期船やその他の関係も多々ございますので、大型化はいたしておりますけれども、現在の趨勢から見まして、大体これは、まあ今後非常な技術革新によりまして変化はある得るとは思いますけれども、当分の間はやはり現在の改正いたしました三千トンぐらいということが大体いいのではなかろうかということを考えておる次第でございます。それと同時に、この給源の問題もあるかと思います。そこで、そういうような給源の問題ということも考えあわせまして、日本の大体三千トン以上の船長履歴を持っておりますところの船長が約千人おりますが、こういうような船長さん方が大体水先になられるわけでございますけれども、そういう給源の状況もにらみ合わせて考えますと、さしあたりこのような三千トンというような改正で当分の間は大体まあ満足し得るのではなかろうか。まあ今後のもちろん船舶に対するところのいろいろな技術革新の要素というものを絶えず研究をしながら進めてはまいりたいと考えておりますけれども、当分の間はそういうふうに考えておるものでございます。
  87. 岡三郎

    岡三郎君 まあこの審議会がそういうふうに結論を出したということで、こういうふうに案をつくられたという話ですがね。ここでやはり、一体どういうふうに——いまいろいろ説明があったのですが、やったのか。たとえば、いままで千トンの船長は資格があったわけでしょう。すると、二千トンの船長も資格があったわけですわね。それが資格が落ちるわけですよ。すると、そういう人たち意見もやはり聞かなきゃいかぬと思うのだけれども委員会としては。千名ぐらいの経歴者があった。しかし、水先人定員というのは、ふえても二百名そこそこの数になりますな。そうなるというと、全体からいって、やはりこの優秀なる者を選ぶということが大切なんで、そういうことから言えば、一足飛びに三千トンがよかろうといっても、これは目の子算みたいなもので、確たる根拠がないと思うのです。だから、そういう点で、やはり除外されるそういう船長経歴の者からも意見を聴取しないと、いままでは千トンにすぎなかったが、今後は三千トンだ、こういうことについては、やはり釈然としないのだな。で、船が大きくなるからというのならば、もうちょっとまた抜本的に考えなければならないけれども、そういうふうな点で当該者からやはりよく事情を聴取しようという気があるわけだ。そこで、先ほど相澤君が言ったように、まあとにかく現状においては日本パイロット協会というものがあるのだから、いままでそういうふうにしてきた。ところが……。じゃいままでの話の筋をちょっと質問の筋を変えますがね。いままでのこの水先人になった人の船長経歴、トン数、それから年数経歴、これをちょっと説明してくれないかね。いままで現状において水先人になっている人のいわゆる経歴だ。実態がわからぬのだ。
  88. 高林康一

    説明員高林康一君) 現在百七十九名の水先人がいるわけでございます。これにつきましては、その昭和二十四、五年程度の時期になった方においては、大体千トンぐらいの経歴者というような方もございましたが、最近におきましては、大体やはりみな三千トン以上の経歴者ということが実態でございます。そこで、三十八年の水先人の新規の免許を受けた方、これについて調べてみたわけでございますが、その船長履歴を見ますと、三千トン未満の船しか乗っていないという方が実は一人いらしたわけでございますが、全般的にみな三千トン以上の船長経歴を持っておるというのが状況でございます。
  89. 岡三郎

    岡三郎君 それで、もうちょっと詳細に聞きたいのですけれども、大体外郭的な説明だが、そうするというと、そのパイロットのいわゆる出身校別のようなものはわかりますか。つまり、東京高等商船とか、昔の神戸高等商船とか、いわゆる出身校別のやつ。学歴ですね。
  90. 高林康一

    説明員高林康一君) 出身校といたしましては、普通商船の出身の方の数はむしろ半数以上で、いまの商船大学でございますか、前の高等商船、こういう方、東京、神戸等におきますところの方も、パーセントはちょっとはっきり覚えておりませんけれども、四割程度はおいでになった。その他は大体普通商船の出身の方、こういうような状況になっております。
  91. 岡三郎

    岡三郎君 それをもうちょっと詳細に説明してくれないか。そういう説明ではだめだよ。もうちょっと具体的に、どこの学校はどうなっているのかということを具体的に説明してもらわないとわからぬね。その点は、派閥関係があると思うから。
  92. 高林康一

    説明員高林康一君) まことに申しわけございませんが、出身校別にはいま手元に資料を持っておりません。まあ大体の概数というのは、先ほど申し上げたような状況でございます。
  93. 岡三郎

    岡三郎君 先ほどちょっと相澤君が触れられたが、パイロット養成について、まあ資格要件というものが一応ありますが、その資格に該当する人が三千トン以上千人という話が先ほど出ましたが、そうすると、やはり一定年数船会社につとめてやめられる人にとっては、水先人というのはかなり魅力のある仕事ではないかと私は思うのです。そうするというと、その人たちが自由に志願して、自由になれるほど定員のワクが大きくないわけですね、実際問題として。そうするというと、どういうようにしてそれをセレクトするのか、それがわからぬわけです。だから、そのことについてお伺いするわけです。つまり、定員が非常に少ない、資格のある人がある程度多い、それを一体どういうように修業生としてこれを認めていくのか、それをひとつ具体的に説明してもらいたいと思います。なりたくともだれでもなれないということになるのではないかという心配があるわけです。この点はどうなんです。
  94. 高林康一

    説明員高林康一君) 御指摘のとおり、水先人につきましては、ことに修業生の採用というようなことにつきましては、門戸の開放という必要が相当あるということは、前からいろいろ検討されておったわけであります。この点につきましては、やはり海上航行安全審議会におきまして、昨年三月、この試験制度、それから採用制度、こういうような問題につきましてどのようにすべきかということについての中間答申がございまして、それによって現在いろいろ運営指導をしておる次第でございます。この中間答申におきましては、毎年各水先区におきますところの水先人の適正人数検討する。先ほど申しましたように、たとえば、三十九年度におきましては二百五名程度というようなことを、これは船主及び水先人両方からいろいろ資料を持ち寄りまして、船主側の要望その他も考えまして、毎年度の適正人数検討する。そこで、この水先人が足りないというような水先区につきましては、水先人試験を実施いたします。この水先人試験につきましては、一次試験と二次試験に分かれておりまして、そして一次試験の合格者について一定の実務修業をやって、それに二次試験を行なって、そうして水先人たるの免許、資格を持たせるというふうに考えておるわけでございますが、この場合の水先修業生の採用につきましては、先ほどの海上航行安全審議会委員あるいは専門委員、そういうような方々、これはまあ船主、それから水先、それから学識経験者、これはたとえば各船長協会というような人たち、そういうような方々によって一種の選考委員会というものをつくりまして、その選考によりまして一次試験の合格者中から水先修業生を採用するというふうにして、そこでクローズすることのないようにやっておるわけでございまして、こういうような、いわば一次試験の合格者の中から——修業生の選考委員会というようなものを設けまして、その推薦によって修業生を採用させるというような方式を昨年から実施したわけでございまして、これによりまして、かなり修業生の採用については、何といいますか、公平に進みつつあるものというふうに考えております。
  95. 岡三郎

    岡三郎君 いまの説明によるというと、第一次試験をやって、次にその試験の合格者を選考委員会のふるいにかけると、こういうことですね。そういうことですか、もう一度説明してください。いまの話はそういうようにとられる。つまり、第一次試験をやって、その合格者を選考委員会に付して、そしてそのほうで需給関係を勘案して修業生を選ぶ、こういうことですか、現在やっておる方法は。
  96. 高林康一

    説明員高林康一君) 現在やっておりますその選考委員会によっては、すべてこれは推薦制度ということになっておりまして、そこの水先組合がいやだとか何とかということではなしに、その第一次試験合格者の中からこれを推薦するというふうにやっておるわけであります。したがって、推薦というようなかっこうでこれをやっておる状況でございます。
  97. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、第一次試験を受けて合格しても、修業生になれないこともあるわけですか。選考委員会で推薦されないという場合はどういう場合だか、具体的にひとつ説明してもらいたいと思うのですがね。
  98. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 第一次試験は、一定の船長経歴を持っている者、現行法では千トン以上の船長二年以上経験した者ということになっております。今度は三千トン以上の船長を三年経験した者、こういう資格を持っている人はどなたでも第一次試験を受験することができるわけであります。その合格者の中から、各水先区におきましてその年度において採用したいという希望が出ておりますから、それに見合った人員を選考委員会において各水先区に対して推薦するということになるわけでございます。その推薦によりまして、各水先におきましては水先修業生を採用する。一定の期間修業生として当該水先におきまして勉強しまして、いろいろな航路の状況その他を勉強いたしまして、それからさらに第二次の当該水先についての水先人の試験を受けるということになるわけでございます。そうしてその試験に合格いたしまして初めて水先人免許を受ける、こういう段階になっておるわけでございます。したがいまして、第一次試験に合格いたしましても、各水先区の需要がその合格者の数に満たない場合は当然あり得るわけでございまして、そういう場合には、第一次試験がありましても、必ずしも水先人になり得ないという事態も起こり得る場合がございます。
  99. 岡三郎

    岡三郎君 その実態をもう少し説明してもらえぬかな。本年なり昨年、いわゆる試験制度によって水先人を選ぶということになった以後の実態はどうですか。
  100. 高林康一

    説明員高林康一君) 三十八年度について申し上げます。三十八年度の受験者総数は七十九名でございます。第一次試験の合格者は三十二名でございます。それで水先修業生となりました者が二十八名でございます。そういうようなのが三十八年の実況でございます。問題は、各水先試験の第一次試験の合格者の希望いたしますところの水先区というものと水先区の今度は需要というものとがかみ合わないようなのがこの場合に四人ばかり出たというのが実態でございます。
  101. 岡三郎

    岡三郎君 まあいまの説明でいうと、七十九志願者があって、三十二合格して、二十八修業生、水先区によってうまく当てはまらなかった者もある、こういうことですが、第一次試験の成績等から考えて、そうするというと港々別に試験をするということではないんですね。一般的にやって、あとは当てはめ方式をとって、そこの港のいわゆるパイロット協会の選考委員会とか、そういうものにかけてやるということで、結局そうするということですね。よく知らない者がはみ出すという形になりませんか。要するに、港々別ではなくて試験を受けて、あとは当てはめていくという形になると、これは非常に、どういうふうにして——たとえばある港が非常に条件がいいからそこへ大ぜい希望する、こういけば当然はみ出すね、はみ出すときにはどういうふうにして選考するんです。つまり試験の成績のいい者順から採るのか、これはどうなっているんです。
  102. 高林康一

    説明員高林康一君) これは、第一次試験は全国的にこれをやるわけでございますけれども、その場合に、受験者がどこの水先区に配置を希望するかという、そのものを具体的に書いていただくわけでございます。そこで、今度は選考委員会と申しますのは、これは地区ごとではございませんで、中央で、大体先ほど申しました水先懇談会のような構成の方、船主、それから水先人、それから中立の方、こういう三者構成でございますけれども、そういうようなところで、先ほど申しましたように各水先区に今度は所要増員数という計画数がございますので、それと志望というものとをにらみ合わせて、それでもし志望でたとえばほかのところへかわってもいいというようなところであきが相当あるというようなところで、そういうような御本人の希望というようなことでかえる場合ももちろんございますけれども、そういうものになるべく合わせるようにいたしまして、実はこの三十二名中二十八名の方を大体そこで修業生として採用したわけでございますけれども、その場合にもちろん基本的には、何といいますか、希望が上回るというような場合におきまして、やはり試験成績ということが一応一番基本的な選択の基準になるという状況になっております。
  103. 岡三郎

    岡三郎君 まあその点がちょっと問題で、二十八名で、試験に受かった者もなれない、この人たちが一体その次にこの試験の合格というものが有効に使われるのかどうか。たとえば、横浜に行きたいと思ったが今度あふれた。しかし合格しておる。次には優先してこれを入れるとか、そういうことにはなっておらぬのですか。つまり、三十二名一次試験に合格して、二十八名採用になったというのでしょう、修業生になる。あと四名は試験に合格しても修業生になれないわけだね。それはどうなるんですか。
  104. 高林康一

    説明員高林康一君) 第一次試験は、一年間その資格が、試験合格の資格と申しますか、それが一年間は有効なわけでございます。それで、実際の考え方といたしましては、実はこういうやり方をやりましたのは、昨年度——昭和三十八年度からやっておる次第でございます。それで、私どもといたしましては、三十九年度は、先ほどちょっと申し上げましたように、また二十数名の増加を要るわけでございます。そういうようなところについて、前の方の希望というものは極力これを取り上げるようにやってまいりたいということで、選考委員会ともいろいろ話をしておるというような状況でございます。今後さらにこういうような問題について、この制度の円滑な運用というものをいろいろわれわれといたしましても思量してまいりたいというように考えております。
  105. 岡三郎

    岡三郎君 いろいろと水先人の選考について、三十八年からこういうふうに改められたということは、非常にけっこうだと思うのですがね。年齢的に言って、まあ寿命がかなり伸びたから、六十歳といっても私は年寄りとは言わぬ。言わないけれども、かなりやはり若い層といいますか、特に仕事自体がかなり荒い仕事になる場合もあるわけですから、そういうふうな点で、この前にもちょっと私は当委員会で質問したことがあるわけですが、そういうふうな点で、極力試験選考制度というものを合理化して、やっぱり全体の需要といいますか、こういうものにやっぱり適合するような近代化が必要ではないかということを前回も言ったわけですが、大体受験をしてくる一番若い層はどのくらいですか、三十八年度でけっこうです。七十九名の内訳をちょっと言ってもらいたい。
  106. 高林康一

    説明員高林康一君) 七十九名の内訳は、年齢階層別には持っておりませんが、一番若いのは四十四歳でございます。
  107. 岡三郎

    岡三郎君 一番高年齢層は。
  108. 高林康一

    説明員高林康一君) 高年齢層は、ちょっと資料を持ち合わせておりません。
  109. 岡三郎

    岡三郎君 だいぶ答弁できないから、これは困ったな。参考人を呼んで聞かないとうまくいかないことだな、これは。で、平均年齢が六十・八歳、こういう説明がありましたね。これは現在の平均年齢ですか。
  110. 高林康一

    説明員高林康一君) 現在の平均年齢でございます。なお、先ほど最高年齢者についてちょっとわからないと申し上げましたが、五十八歳でございます。
  111. 岡三郎

    岡三郎君 現在パイロットをしておる人ですね、六十八歳という平均のトータルがここにあるわけですが、それをちょっと、百七十九名について大体どういうようになっているのか、内容を説明願いたい。
  112. 高林康一

    説明員高林康一君) 百七十九名のうちで年齢構成でございますが、四十四歳から五十歳までの者が十一名、それから五十一歳から五十五歳まで二十八名、それから五十六から六十までが五十九名、六十一歳から六十五歳までが二十九名、六十六歳から七十歳までが三十四名、それから七十一歳以上が十八名。現在の最高年令者は七十七歳であります。
  113. 岡三郎

    岡三郎君 いまの説明の内容で、かなり——七十七歳でも一がいに年だけでは言えないと思いますがね。しかし、常識的に言って、もう七十をこした人はやはり後進に道を開く——勇退をするということはおかしいかもわかりませんが、とにかく後進に道を開く。何かそういうふうにしないと、新しい層が入ってこれないんじゃないかと思うんですよ。後継者が養成されない、こういうふうなことを常識的に思うんですが、これについてはどういうふうに海運局で思っていますか。パイロット協会意見も聞きたいんだな、委員長。これはやっぱり聞いて、われわれの名判断が間違っているかもしれないし、七十七歳だってだいじょうぶなんだ、こういうふうなことを聞けば、あながち高年齢層攻撃ばかり言っていられないかもわからない。ひとつ運輸省から聞いて、それからだ。
  114. 高林康一

    説明員高林康一君) 確かに、非常に全体の平均年齢が六十・八歳、それから最高年齢者が七十七歳というふうな状況で、新陳代謝というようなことも相当考えなければならない。実はこの改正案におきましても、その点いろいろ検討してみたわけであります。外国の立法例におきましても、たとえばアメリカのニューヨーク州でございましたか、ここではたしか七十歳というように定年を設けておったかとも思いますけれども、やはり一つのそういうような新陳代謝をはかる手段というものを考えるべきじゃないか。もちろん個人差がありまして、一律にそうやることは非常に問題があるだろうということで、そこで考えましたのは、実質的に、かりにおやめになりましても、今度は老後の安定というようなこともできませんと、逆に言いますと、またなかなかやめないというような状況にもなるわけでございます。そこで、共済年金制度というようなことを考えまして、先ほど相澤先生の御質問のございました全国団体でございますが、全国のパイロット協会というものに、各パイロットから、それぞれ各水先人が一定の拠出金をいたしまして、その拠出金によりまして、退職いたしました場合に、その一定の年額、大体現在は月に一万九千円を出しまして、やめてからはずっと毎月五万円は必ずもらうというふうな制度で進んでおりまして、これはすでに信託銀行にそういうような基金を集めましてやっておるわけであります。この制度を大体この四月からとりまして、その結果、七十七歳の方が二人いらっしゃいましたが、一人はこの制度によってやめられ、また六十八歳の方もやめられるというようなことで、そういうような共済年金制度、養老年金制度と申しますか、それからそれと同時に遺族制度というようなこともかみ合わせましたような共済制度というものを立てまして、それによってこういうような面の新陳代謝をはかっていきたいというふうに現在進めておりますし、もう現にそういうような点では多少実効があがりつつあるというふうな状況でございます。それとなお、この問題と同時に、やはり具体的には、個人的な一つの体力と申しますか、そういうような点について、非常にいろいろ検討を要する点がございますので、こういうような共済年金制度とともに、現行法ですでにあるわけでございますけれども、毎年体格検査を一回実施する、これによっていろいろな体力というようなものについてこれを実施いたしまして、そうして非常に不適格であるというような方についてはおやめを願うというようなことを措置するということを考えておる次第でございまして、またそういうふうに進みつつある状況でございます。
  115. 岡三郎

    岡三郎君 なかなかよくわかりましたが、そういうふうに老後の安定をはかるということは非常にいいことだと思う。ただ、一年に一ぺんぐらい検査したって、若いほうはいいけれども、高年齢層はなかなかそうはいかぬと思うのですよ。だから、この問題をもう少し抜本的に検討して、七十なら七十以上の方々はりっぱに勇退できて老後安定できるように積極的に指導をして、やっぱり新しい層にかえていくという方向でなければ私はいかぬと思うのですよ、全体的に。だから、五万円が十万円になってもいいと思うのですよ、これは。だから、そういう点に——それも四月からなんて、いままで一体何をしたのかということを言いたいのだな。海運局の指導なんてあったのかないのかわからぬじゃないですか、これじゃ。あなた方はどんどん出世してかわっちゃうから、きょうここで答弁している人はもうあしたにはどっかに行っちゃうかもしれないから、日本の官僚制度の欠陥がここにあらわれてきたと思うのですね、根本的に。だから、これはもう少し抜本的に、やっぱり若い層にこれを持っていくということになれば、いま言ったように、老後の安定をもう少し抜本的にやって、そうして内容をもう少し若返らせる、こういう点の指導をやってもらいたいと思うのですが、ただやめろやめろということじゃこれはだめですよ。一応それだけ貢献しているのですから、その港々においては生き字引きとか主というような人もあるのですから、そういう人もやっぱり長い功労に報いなければならぬということになれば、ある程度やはりこういう者については、やめやすいように、勇退されやすいように指導するような具体的な方法を考えてもらいたい。それはひとつやってもらえますか。五万円じゃいま安いよ。
  116. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 海上生活者は陸上生活者に比べまして非常に規則的な生活をいたしておりますし、一般の陸上で考える以上に、年齢の問題につきましては、頑健な方々が多いわけでございます。したがいまして、従来は一年一回の身体検査によりまして十分この問題を解決されるというように考えられておったわけでございますけれども、いま先生の御指摘のような、つまり若い熱心な方々にどんどん新陳代謝してもらうということも必要でございます。ただ、法律によりまして定年制度を設けるということに関しましては、非常に個人差のある問題でございますので、いろいろ問題があるわけでございます。したがいまして、先ほど御説明いたしましたような退職年金制度というようなものを充実いたしまして、そうしてやはり新進気鋭の方々をどんどん水先業務に従事させていくということが必要であると思いますので、今後われわれといたしましては、さらにこの制度の充実に努力してまいりたいと考えております。
  117. 岡三郎

    岡三郎君 どうも時間が経過して気がひけてしようがないのですがね、まわりの人に。ここら辺で昼食にして、それからひとつゆっくり——まだまだ聞きたいことがいっぱいあるので、お取り計らい願いたい。
  118. 米田正文

    委員長米田正文君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  119. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記を始めて。
  120. 岡三郎

    岡三郎君 次に、水先料金の問題について先ほど局長から話があったわけですが、日本の水先料金は国際的に低い、私もそう思います。そこで、一体どうしてこういうふうに水先料金が低かったのか。東南アジアに比べても低いという説明がありましたが、われわれはそうこまかいことは知りませんが、欧米諸国との比較においては非常に低い。しかし、国内的に見て水先人の待遇は、それほど悪いということよりも、かなりいいのではないか、こういう評判があります。しかし、全体的に言って、水先料金改定をするということは異議がないわけですがね。しかし、いままでどうしてこういうふうに低かったのか、これから値上げを欧米並みにするのか、もう少し、海運局の確たる方針というか、そういうものを説明してもらいたい。従来の経過をあわせて。
  121. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 水先料金は、法律によりまして、これを各水先区ごとにきめておるわけです。具体的には、運輸省の告示によりましてきめているわけでございます。したがいまして、これを改正をするという問題は、単に水先だけの要求ということでこれは解決できないということで、まあその改定がおくれてきたのではないかというようにわれわれは考えておりますけれども、やはりこれを国際水準にできるだけ早く改めて、そして水先制度自体をできるだけ合理的に、その施設も充実させるということが必要であるというように考えられますので、われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ早急にこれを改定いたしまして、国際水準に近いものに持っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  122. 岡三郎

    岡三郎君 まあ国際的に持っていきたいと願望の説明があったわけですが、具体的に水先料金値上げするということになればどういう手続が必要なのですか、いろいろな問題があるということを言われておりますが。
  123. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 手続といたしましては、航行安全審議会に対する諮問という問題だけでございますけれども、具体的には日本の船主がその値上げの相当部分を負担しなければならない。それが海運のいまの現状から見てその負担にたえ得ない者があるのではないかということで、従来なかなかこの値上げという問題がスムーズにいかなかったという面があるのではないか。しかし、やはり水先制度を充実するということ自体が、日本の船主にとってもこれは非常に利益になることでございます。現実に水先の供給が円滑でないために船舶の円滑な運航ができないということでは、そのほうの損失がかえって大きいわけでございますので、日本の船主の協力も得てこの制度の充実のために必要な値上げを実施したい、こういうふうに考えているわけでございます。
  124. 岡三郎

    岡三郎君 先ほどの相澤君の質問にお答えがあったようですが、水先制度を充実するということを根本的にどういうふうに考えているのですか、海運局長。どの程度まで充実するのか、外国の状況等と勘案して。
  125. 高林康一

    説明員高林康一君) 水先制度の充実の眼目は、やはり必要な水先人の確保ということと、それからその手足といいますか、その水先用の舟艇の整備、この二つが一番眼目になるかと思います。そういう点で、私どもといたしましては、今後大体におきまして、たとえば三十九年度におきましては先ほど申しましたように二十五名の増、大体これは各年のまた傾向は違うかもしれませんけれども、いまの見通しといたしましては、今後当分の間約二十名ずつくらいは年間増員を要するのではないかと思っておりますので、そういうような点については、各年について検討を進めて、適正人数を確保してまいりたいということが一点でございます。第二点といたしましては、先ほども申しましたけれども、三十八ぱいの水先艇を整備する、こういうようなことをやりまして、大体四十年度中にこれらの船腹整備というものを完了してまいりたいというのが当面の考え方でございます。
  126. 岡三郎

    岡三郎君 三十八ぱいの船ですね。これはタグ・ボートですか、何なんですか。いわゆる船に乗り移っていくための移動船ですか。
  127. 高林康一

    説明員高林康一君) 船に乗り移っていくための、何といいますか、足船といいますか、そういうものでございます。
  128. 岡三郎

    岡三郎君 その状況は現在どうなっているんですか。
  129. 高林康一

    説明員高林康一君) 現在水先艇は、これは水先人が所有しているものと、借り受けているものと、この二通りの種類がございますけれども、所有しているのが三十七はい、それから専用的に借り入れしているものが二十三ぱい、合計五十ぱいが現状でございます。
  130. 岡三郎

    岡三郎君 その二十七隻の修繕とか、それから二十三隻の借入料、こういったものは、どのくらいになっていますか。
  131. 高林康一

    説明員高林康一君) いますぐ調査いたしましてお答え申し上げます。
  132. 岡三郎

    岡三郎君 いまの質問はどういうことかというと、先ほど水先人一人の収入、全部込みで数字が出ましたね。それが具体的に、いま言ったような船、あるいは借り入れにどのくらいかかるとか、いろいろなことで実態的に水先区が幾つかに分かれていますがね。その実態的なものを資料として説明してもらいたい。実際どうなっているのかね。たとえば横浜水先あるいは神戸の水先の人の実際の待遇、実際にどういうふうに収入があがって、それがいま言ったように、船を借り上げているとすれば、それにどのくらい払っているのか、水先船を年間どのくらい修繕するか、その他どういう費用がかかって、実際に先ほどのように、養老年金というんですか、互助年金というか、そういうものに掛け金をどのくらい払っているか。内容的な説明の中から、これが少なければ、これは直していかなければならぬし、実際に新らしく人を求めるということになれば、総合的に、内容的にやはりいいところは伸ばして、悪いところは是正していかなければならぬということで、その一環としてお伺いしたわけです。収支の関係だな。
  133. 高林康一

    説明員高林康一君) 全体の平均で申し上げますと、三十七年でございますけれども収入としましては、九億七千三百三十八万六千円というのが収入でございます。それから支出といたしましては、五億六千百五十万円というのが支出でございます。これが、先ほど先生の御指摘になりました水先艇等、あるいはその他水先用の施設等に対するところの新設、改善というようなものが大きい項目になっております。そこで、収入に対するところの支出の割合は五七・七%になっております。これを横浜の例にとってみますと、三十七年では、収入が一億五千四百万円でございます。支出が八千九百四万円ということでございます。そうして、大体一人当りの収入が二十六万円ということでございます。
  134. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、水先区においては、全部プール計算しておいて、給与表というものが出ておるのですか。全国的には、この水先関係資料によると、一人平均月間業務量というものがずいぶん港によって差がありますね。これは収入においてもずいぶん格差があるのではないかというような考え方が出てくるわけです。しかし、先ほどの説明によって、全国的に社団法人にして協会をつくるということになると、水先人全体が一本になるというふうなことになってくるというと、その点についてどういうふうにお考えでしょうか。つまり業務量ですね、そういうものとの関連で収入がどうなっておるのか。
  135. 高林康一

    説明員高林康一君) 御指摘のございましたように、水先区によりまして非常に業務量が違うわけであります。それに伴いまして、収入の格差と申しますか、そういう点も非常に著しいわけでございまして、先ほど、三十七年の平均といたしまして、水先人収入から支出を引きました残りの平均所得というものが二十二万一千円というふうに申し上げましたが、たとえば船の入港が少ないというような地区につきましては、極端に言いますと、これがわずかに一人当たり収入というものが二万円を切るというような地区も中にはございます。そこで問題は、実はそういうような、地区ごとにいま非常に収入の格差がある。それをどういうふうに調整するかという点でございますけれども、そういうような格差を直接国の命令なり何なりでやるということは、非常に個人のいわば営業に対するところのはなはだしい干渉になりますので、そういうような点につきましては、やはりそういうような地区のいろいろ、たとえば水先艇の整備というようなことについて、かなり支出というものがやはり入る船が少なくてもやらざるを得ないというような観点もございますので、そういうような点は、全国団体におきまして、もちろんある程度の会費をそれぞれから取ってでございますけれども、そういうような修繕あるいは新造、改造というようなことについてはできるだけ資金的な援助をするというふうなことで、若干これを何とかカバーしていきたいというふうなことを考えておるのでございます。
  136. 岡三郎

    岡三郎君 そういう点の運営も参考に聞かなければ、運輸省自体のほうから詳しくやっぱり話ができてこないわけです。これは、いま話をしたように、ずいぶん格差がある、アンバランスがある。で、先ほど言ったように、高年齢層の人に勇退をしていただいて、その老後の保障をするといっても、こんなにまちまちの収入においてはなかなか全体一律的なことができないということになれば、やはり水先全体としてこれはどういうふうに合理的に収支を考えるかという問題、これは大きな問題じゃないかと思うのです。で、鹿児島等は、水先人最低員数が二人で、水先人現在員数は二で、三十八年度は四隻しか入っていない、月間。片っ方は一人で、現在も一人で、二十七隻もやっておる。これは一体どういうことになっておるのですか。これじゃ収入がふえっこないと思うのです。全国一律的な法人をつくって運営するにしても、これは会社による大企業と中小零細企業を含めているようなもので、なかなか運営というものはむずかしいのじゃないですか。もう少し合理的にあんばいするというわけにいかぬのですか。まず、水先人のいままで省令によってやっていたものがずっと三十九年二月末においてここに数字が出ておるけれども、月間業務量が非常に格差がある。こういう点で、鹿児島あたりは一人にして、もうちょっとほかのほうへ修業生として回してその能力を生かすとか、全体的なアンバランスを是正するということの必要性はないのですか。
  137. 高林康一

    説明員高林康一君) 御指摘のように、鹿児島なんかにつきましては、実は一人当たり収入が二万円を切るというようなことは、鹿児島の例なんかでございますけれども、確かにこういうように各地区で非常に収入のアンバランスというものはあるわけであります。ただ、これについては、何と申しましても、水先料を取ります船舶がどの程度水先港へ入ってくるかということによってきまるわけでございます。そういう意味で、水先区によりましてはいわば地域的な有利性というものを持つところと持たないところということがあることは、ある程度はやむを得ないと思います、ただ、先生のおっしゃいましたように、あまりにもその間に格差が多いというような点につきましては、とにかく格差をいかにして解消するかという点については、水先人をある程度配置転換するということももちろん考えられるわけでございます。この点につきましては、実は水先人の方がやはりその土地の方という方が相当ございまして、必ずしも実はそういうふうにいかない点が多々あります。また、そういうような点で、かなり実際問題としてはむずかしい点があるわけでございますけれども、こういうような点については、また修業生として別の地区へいろいろ考えるということももちろん一つの方法と考えられますので、これらの点についてはいろいろ検討をまた進めてまいりたいと思います。  また、先ほどの養老年金の問題にいたしましても、これは全国的にそういうような非常な格差があるということを是正する一つの方法といたしまして、各会員からそれぞれの積み立て金を拠出いたしまして、そうしていわばそこで収入が非常に少ないというような方でもやめられた場合には一定額を平均的に取られるというようなやり方をやっていく、これはもうすでに実施をしておる状況でございます。なお、施設の整備等につきましても、やはり全国団体においていろいろの意味で資金的な援助を進めるということも今後積極化してまいりたいというふうに思っております。
  138. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  139. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記を始めて。
  140. 岡三郎

    岡三郎君 だいぶきょうは質問時間が制約されて、まだまだ質問したいことがあるわけですが、後刻委員長理事打ち合わせ会でなお本問題について検討せられるということでありますので、最後に、この水先法の運営について非常に改善されてきたあと説明によってわかるわけですが、なおますます港に対する船舶の出入隻数も、それから大型船化というものも非常に飛躍的になっていくというときに際して、水先人仕事というものが非常に重要になってくると思うのですよ。単に水先人だけではなくして、港の整備というものがこれに即応していかなければならぬことは当然ですが、そうなってくるというと、抜本的にいろいろと改善して水先人の待遇というものを確保していかなければならない、老後の保障もする、そうしてその中からやはり総合的に若返らしてはつらつとした業務にする。現在が何もちびっているということではないけれども、やはり全体的に見て、七十歳以上というのは、いかに寿命が延びたといっても、ぼつぼつ後進に道を開いていいのではないか、こういうふうに私は考えるのです。その場合に、先ほど言ったように、全国的に格差が非常に大きい。  これを全国一体の法人化して運営していくということになれば、やはり率先指導して全国的にそういうものがうまく円滑に運営できるようにどうしたらいいかというふうなことについて具体的にしてもらって、その間に、先ほど局長が言ったように、料金の改定というものも、船主も非常に多く取られるので困るという意見もあるけれども、やはり総合的に日本の港自体がそういう面からもよくなるということになれば、船主全体も、単に料金が上がったから損するというんじゃなくて、てきぱきとさばいて滞船数も減るということになれば、損ばかりじゃないと思うのですよ。ですから、量と質を充足して、ひとつ積極的に、日本の港における船の積みおろしとか、そういういろんな面が円滑に運営できるように、さらによくしてもらいたいと思うわけです。そういう点で、水先法を一部改正する法律案についていろいろの問題点を残しますが、以上で大体私の質問を一応ここで打ち切ります。
  141. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣御出席ですから、この海上航行安全審議会答申に基づいて今度の法律改正は御提案になったわけですね。それで、内容的にはいろいろ質問を岡委員も私もしましたが、前向きの姿勢がとられておることはたいへんいい、そのことについては私も賛成をしております。そこで、水先人、いわゆるパイロットの諸君の労働条件あるいは港湾の船込み条件をどういうふうに直していくかということについて非常に大きい問題があるので、審議会委員の定数が二十九名と言われましたね——先ほどそうだったね。そこで、定数については法律上の問題として変えることができるのかできないのかが一つ。  それから、そういうパイロット協会人たち、パイロットの人たちをできるだけやはり入れるということが私はいいことだと思うのです。そこで、そういうパイロットの人たちをこれから増員をしていく考えがあるかないかということをひとつお尋ねをしておきたいと思うのですが、運輸大臣に。
  142. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) これは三十名以内となって政令にきまっておりますので、その必要があれば、私は大事な問題でございますから、委員の定数を是正するその他はやってやれないことはないと考えておりますが、現在のところはこの政令の範囲内の三十名以内でやっていきたいと、かように考えております。
  143. 相澤重明

    相澤重明君 いま一つ、パイロットをふやす気があるかないか。
  144. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) この現在の委員の中にもパイロット出身の人もだいぶ出ておりますから、これでいいのじゃないかと考えております。もし必要があれば、その政令改正して定員をふやして、そうして員数をふやして、その中に必要な人を入れることも考えられますが、現在ではもう各方面の代表者がこの中に入っておりますから、いいんじゃないかと考えております。
  145. 相澤重明

    相澤重明君 各方面の人が入っていることはもうわかっているわけだ。私の質問をしておるのは、いわゆるいままでまあ八十名、百名なりの者が、水先人がだんだんふえて、百六十名になり、百六十九名になり、百七十九名というふうにことしはなる。そこで、全国的の重要港湾についてはやはり数がふえていくというようなことから考えて、パイロットの人たち審議委員の中に数をふやすことが必要になってくるのではないか。こういう点で、運輸大臣として審議委員の数の中にその数をふやすことが考えられないか、こう言うのです。あなたは現在では各方面から出ているからこれで適当と思いますということでは、私の趣旨一つも答えてはいない。(「前向きじゃない」と呼ぶ者あり)前向きじゃない。だから、もっとパイロットの者をふやしていく——検討してみて必要があればもっとふやします」。こういう答弁があるなら、ああやっぱり運輸大臣前向きにやっておるなということになるけれども、どうなんですこれは。
  146. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 現在は三人入っておりますが、総数は非常にふえておるのは相澤委員指摘のとおりでございますから、それに比例してふやすことはあえてやぶさかではありません。   —————————————
  147. 米田正文

    委員長米田正文君) この際、委員異動報告いたします。  本日付をもって委員井野碩哉君辞任し、その補欠として田中啓一君が選任せられました。   —————————————
  148. 米田正文

    委員長米田正文君) 他に御質疑がなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、討論はないものと認めて御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、これより採決を行ないます。  水先法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  151. 米田正文

    委員長米田正文君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、諸般の手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこの程度とし、次回は十四日午前十時開会の予定といたします。  これにて散会いたします。    午後一時二十一分散会