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1964-03-31 第46回国会 参議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月三十一日(火曜日)    午前十一時四十六分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     米田 正文君    理事            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            天坊 裕彦君            吉田忠三郎君    委員            江藤  智君            河野 謙三君            木暮武太夫君            野上  進君            平島 敏夫君            村松 久義君            相澤 重明君            大倉 精一君            小酒井義男君            浅井  亨君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    運輸大臣官房長 佐藤 光夫君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    運輸省自動車局    整備部車両課長 隅田  豊君    運輸省鉄道監督    局民営鉄道部長 岡田 良一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査私鉄事故  に関する件) ○地方自治法第百五十六条第六項の規  定に基づき、海運局支局出張所  の設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付) ○道路運送車両法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいまから委員会開会いたします。  この際、運輸事情等に関する調査議題といたします。  名古屋における列車衝突事故等について運輸省当局から発言を求められましたので、これを許します。
  3. 岡田良一

    説明員岡田良一君) 一昨三月二十九日に、名古屋鉄道株式会社名古屋本線名古屋駅構内で、ただいまお配りいたしましたような資料内容事故の発生を見ましたことは、まことに遺憾に存じます。運輸省といたしましては、早急にこの事故原因を究明して、かかる運転事故再発防止をはかるために、特別保安監査を実施することとして、昨日夕方、当局運転車両課長主任監査員といたしまして、六名の監査員現地に派遣いたして、事情調査をいたします。  事故内容は、ここに詳細記録してございますが、追突でございまして、下りの急行の九一一列車がまさに新名古屋駅を発車せんといたしておりますところへ、うしろから下りの特急九〇九列車というのが参りまして追突をいたしまして、その結果死傷者といたしまして、重傷十一名、軽傷百七十四名、合計百八十五名の負傷者を出しました。うち入院している方は二十七名でございます。  その事故原因につきましては、現在までなお調査中でございますので、確定的なことは申し上げられませんが、信号並びに車両のブレーキについては、大体故障がなかったということがいまのところ判明しておりますので、追突列車担当運転士運転操作上の誤りではないかというふうに推定されるわけでございますが、その点につきまして、現地監査員によって詳細なる理由が解明されることと存じております。  以上であります。
  4. 米田正文

    委員長米田正文君) 質疑のおありの方は、逐次御発言を願います。
  5. 小酒井義男

    小酒井義男君 実は私、あの当日宿舎におりまして、テレビを見て、ああいう事故がどうして起こったかと思っておるのですが、運転士負傷をしておるようですけれども、運転士に対して、何か取り調べといいますか、何かが行なわれておる状態ですか、どうなんですか。
  6. 岡田良一

    説明員岡田良一君) 現在、警察と検察庁のほうで運転士取り調べをしておるようでございますので、陸運局のほうとしまして、警察のほうの関係ともよく相談をいたしまして、相当重傷でございますので、それに差しさわりのない範囲内において調査をするということで、非常に積極的にまだ運転士からこまかい事情を聞けない情勢にありますので、詳細なことがなお判明しないという状況でございます。
  7. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると、現在運輸省のほうから現地監査には出かけておられるわけですね、大体いつごろまでかかる予定ですか。
  8. 岡田良一

    説明員岡田良一君) 大体四日ぐらいの予定で出かけております。
  9. 小酒井義男

    小酒井義男君 監査の結果が出てくると思いますけれども、これ、将来においてもそういう事故再発はさせないといういろいろな方法が必要だと思うんですが、そういう点について最終的な監査が終わった後にでもいずれ御報告が願えると思います。
  10. 岡田良一

    説明員岡田良一君) 監査の結果によりまして、またいろんな対策をとる必要があると思いますので、その際にもまた御報告いたします。
  11. 米田正文

    委員長米田正文君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  12. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記をつけて。
  13. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いま民鉄部長から報告を聞きまして、結果は調査してからということですから、直ちにここでその結果を私どうこう聞きません。この追突事故のみならず、民営鉄道に全国的にかなり事故がございます。主として踏切における事故かなり統計的にも上昇カーブを示している、こういうことなんです。国鉄の場合は、したがって、事故防止のために、保安関係あるいは踏切対策等々、たびたびこの委員会で議論をいたして、細々であるけれども、年々歳々そうした整備のためにかなり予算を投入をして、しかも今度の予算にも、従前から見ますと、大幅とはいいませんけれども、相当額をふやして整備するようになっているんです。民鉄の場合は、より三種の踏切が多い、こういう実態ですが、こういうものについてあなた方は監督官庁としてどう指導していくのか、さっぱり民営鉄道については明らかになっていません。そこで、その考え方をこの委員会で示していただきたいと思うんです。
  14. 岡田良一

    説明員岡田良一君) 踏切事故の問題でございますが、踏切道改良促進法という法律によりまして五カ年計画踏切整備するという方針でやっております。この法律によりますと、一定量以上の交通量のある踏切指定いたしまして、その踏切に対して、警報機なり、また立体交差なりをやることを会社に義務づけております。それで、これに対しましては、政府としましては、私鉄のうちの赤字の社会または非常に利益率の低い会社に対しましては、整備に要する費用の三分の一を政府補助をいたしまして、なお残りの三分の一は地方公共団体から補助をしていただいて、私鉄としては三分の一の負担で済ませるようなことで、毎年予算をいただきまして整備をしております。なお、立体交差につきましては、開銀資金を融資いたしまして、それによって整備を進めるという方法をとっております。
  15. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 踏切関係については、国が三分の一の補助、それから地方公共団体が三分の一補助残りがそれぞれの民鉄を経営している経営企業負担をする。ですから、三分の一で済むじゃないかということは思いますね。それにしてもたいへんだと思うんです。最近の、確かに、東急であるとか、あるいは南海であるとか、大きな企業を経営しているところでは、三分の一というのはその負担に私は応じ切れると思うのです。しかし、そうでない民鉄というのは、特にローカルのほうにいくとたくさんございますね。こういうところは、さなきだに、いろいろ政府のぼくはやり方のまずさだと思いますけれども、企業内容よくないですよ。そういうところに、あなたのほうは踏切道整備法というものを制定して、こういう五カ年計画で、しかも資金関係についても、三分の一なら三分の一というものを国が見てやるのだから、直ちに五カ年計画というものは実行されて、計画どおり遂行される、こういうことではないかというふうにおそらく思っているのだと思う。必ずしも私はそうならないと思う。いなかのほうに行ってごらんなさい。ほとんどが、法律で義務づけておったって、やっていない。そういうところにえてして事故が非常に多く発生しておる。多くの人命を失っていっているのです。たいへんなことだと思うのです。ですから、そういう面を、一体どう金融関係等々、開発銀行がたとえば融資の道があるといったって、開発銀行のほうから金を借りたって、かなり利子を取られる。その利子さえ負担できない。こういう実態等々が、民鉄の場合は、二、三のところを除いては、あるのです。こういう点はあなた方どうこの法律とかね合わせてやっていくのかということを、やはりこの際私は明らかにしてもらいたい。そういうことが一つ。  それから二つには、三分の一地方自治団体負担させていると、こういうことですが、これはわれわれがその法律賛成しなかった意味はここにもあったんだが、地方自治団体というのは、少なくとも赤字再建整備法に基づく市町村の自治団体というものがこれは大多数でしょう。あなた方御存じのとおりだ。そういう中で、本来民鉄が敷設されておるところに、道路であるからといって三分の一負担させてまいらなきゃならぬということは、私は筋論としてはまことになっていないと思う。本来、これは国が、民鉄でできないとすれば、補助をしていかなければならぬですよ、行政政策として。ですから、私のほうは、三分の二くらい、少なからず政府補助をする、こういう方向に漸次変えていかなければならぬじゃないか、こう思うのです。いい例は、道路を見てごらんなさい。道路などは、今度の計画を見ても、そういうことはるる言われておる。おそらくやがて三分の二くらい国が見ていくというかっこうになるのじゃないですか。ですから、そういう意味で、ぜひこの踏切等改良についての経費を国が基本的には補助をしていくのだ——本来は企業内容充実してくれば金融面を持つのは当然ですけれども、いま持てない実態なんです。ですから、いまいったようなことは、過渡的過程の中で、私はやはり政府の施策としてこれを行なってくるべきものだと、こう思うのですが、この点どうですか。
  16. 岡田良一

    説明員岡田良一君) 踏切関係補助につきましては、実は三十九度度予算においても、もう少しいろんな点で増額したいということを考えまして、いろいろ大蔵省と折衝したわけでありますが、いろんな事情で実現に至らなかったわけでありますが、今後とも運輸省としてはできるだけ何らかのかっこうで増額するような形で努力したいと思っております。
  17. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連をしてお尋ねをしておきたいと思いますが、運輸省指定を受けられた踏切改良がどの程度期限内に進んでおるか、そういう点が一点と、もう一つは、地方自治体が三分の一の負担というものをやっておるかどうかですね、そのことを最近お調べになっておったら、それもお聞きしたいと思います。
  18. 岡田良一

    説明員岡田良一君) どの程度進捗しておるかにつきましては、大体指定をしましたのはほとんど予定どおり進捗いたしておると思いますが、いま手元にちょっとこまかい資料を持ち合わしておりませんので、何%進捗しておるかということをちょっとお答えできませんが、大体予定どおり進捗いたしております。  それから、地方公共団体補助ですが、法律施行した当時には多少いろいろな問題があったようでありますが、最近はもう各地方公共団体とも、全部国が補助金を出したものには地方も出すということで、完全に実行されております。
  19. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いまの小酒井委員質問に対して、地方公共団体が完全に指定されたものについては出している——そんなことになっていませんよ。ぼくは特に北海道民鉄の実情を全部知っておりますが、とりわけ北海道のほうは、民営地方鉄道というものは、まことに零細といいますか、弱小といいますか、そういう企業ですから、その実態を把握するために道内調べて歩いたことがありますが、そうしてまた、そういう鉄道が敷設されている地域の自治団体というのは、ほとんど赤字団体ですよ。ですから、国から特別平衡交付金を交付されて、その財政——地方財政をまかなっているという実態ですから、あなたのいま申されたように、完全に実施しているなんていうことはありませんよ。  そこで、それに対してどうこう私はここで答弁を求めようという気はさらさらございませんけれども、時間がありませんから、ぜひ、いま小酒井さんが申された点について、資料で、あなた方の法律指定をして、そこの自治団体負担すべき金額——国はもとより補助していると思いますけれども、それのつまり踏切がどの程度促進されたか、改良工事促進されたか、そういうものを、資料を出してもらいたいと思います。その資料を要求して終わります。
  20. 岡田良一

    説明員岡田良一君) そういう資料、さっそく提出いたします。
  21. 米田正文

    委員長米田正文君) 他に御発言がなければ、本件については一応この程度にいたします。  暫時休憩いたします。    午後零時四分休憩    ————————    午後五時十八分開会
  22. 米田正文

    委員長米田正文君) 休憩前に引き続き委員会を開きます。  まず、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局支局出張所設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。  御質疑のある方は御発言を願います。——別に御発言もなければ、本件質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、これより採決に入ります。  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づぎ海運局支局出張所設置に関し承認を求めるの件を問題に供します。本件賛成の方の御挙手を願います。   〔賛成者挙手
  25. 米田正文

    委員長米田正文君) 全会一致と認めます。よって、本件全会一致をもって原案どおり承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長は提出すべき報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  27. 米田正文

    委員長米田正文君) 次に、道路運送車両法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑の方は順次御発言を願います。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 ただいまの質疑に入るわけですが、まず大臣お尋ねしたいのは、この一般会計が先ほどの参議院の本会議で議決をされた。この道路運送車両法法律趣旨からいきますと、これを特別会計にするということですね。したがって、もうすでに一般会計は終わっているのですから、あまり御無理をなさらなくともよさそうなものだという意見もあるわけです。しかしまた、四月一日からという月切り法案ですから、何が何でもきょうあげたいという意見もあるわけです。そういうこともありますが、私が基本的にお尋ねをしたいというのは、こういう一般会計から切り離して特別会計で処理をするということは、どういう得策があるのか。将来この検査手数料等限度額の引き上げについて、さらにこれを改定をして額を引き上げることがあるというものについて、まず最初にひとつお答えをいただきたい。これは局長も含んで後段の問題についてはお答えを願いたい、こう思うのです。最初運輸大臣
  29. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 相澤委員も御承知のように、年々自動車が非常にふえまして、その車検事務というものも非常に錯綜してまいったことは、御承知のとおりでございます。そこで、一般会計にしておきますというと、その事業の拡張とか、それに引き続く人員の増加等がなかなか思うように予算過程において得られません。そういうことそれ自体が、すなわち、車検事務を敏活にして、そして使用者国民大衆便宜に沿うという趣旨に反するというきらいがありますので、私どもといたしましては、こういう一般国行政事務として、全く簡単な事務でございますから、これを特別会計にして、そのつど早く、しかして便利にやるようにいたしたいというのが趣旨でございます。現在、車検場なんかも、いろいろなよその建物の一部を借りたり、非常に簡単な検査をしてもらうというだけに一月も半月もかかるようなことがあったり、いろいろな不便があるので、そういうことを順次、この会計におきまして、一般予算とは切り離しまして、促進をいたして、利用者国民大衆便宜に供したいというのが、本法案を提出いたしまして、そして特別会計にお願いする根本の理由でございます、手数料のどうするなんていうことにつきましては、自動車局長よりお答えいたします。
  30. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 補足して申し上げますと、手数料限度額を将来どう改定するかという御質問でございます。今回御審議をいただいております手数料値上げが御承認いただけますと、とりあえず五年間は、これで五年間の一応の整理計画を立てて、整理の充実をはかるつもりでおります。五年ほどになりまして、あらためて必要があるかどうかはそのときの状態で検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 それから、いま一つは、やはりそういう歳入、歳出予算の基礎的なものになろうと思うのでありますが、資料で「自動車推移」というようなものが出されておるわけですが、貿易為替自由化、あるいはオリンピックを目前にしまして、政府の推進をする方向から考えると、こういうのは、いままでの実績からこの比率というものは出されたのか、それともそういうこれからの新しい要素というものも加味されて出されたのか、まず資料作成の点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  32. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 自動車数増加資料でございますが、毎年翌年度の計画を立てます場合に、常に推定を出しております。いままでも十数年来そういった作業をやってまいっておりまして、これから先五年間の推定もいたしておりますが、大体推定のし方は、従来と同じ推定のいたし方をしております。いまお話しのように、貿易自由化その他の要因も一応考えてはおりますけれども、この自動車の両数の推移というものは、これは生産の数の推移ではございませんので、日本国内使用状態になる、使用される自動車数増加の傾向でございますので、かりに自由化になりまして外国の車が入ってくるという場合でも、これが日本に使われます場合には、やはりこの数字の中に含めて日本で使用されるであろう車の総数の数として今後の増加推定をいたしたわけでございます。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 それからいま一つ。その関係資料の二枚目の「自動車種類」の中でいろいろとあげられておりますが、特に問題にやはりなってまいりますのは、小型、あるいは大型、いろいろ分けられると思いますが、特にこの農林漁業等の使用するものについては、これはやはりかなり関係農林漁業等に従事する人たちの強い要望があるわけですが、そういう意味で、具体的に、種類内容が書いてありますが、ひとつ御説明をいただきたいと思うのです。どういうふうにこのものについては、この種類に対するところの現行料率に対して、改定案も出されておりますから、それを、そのきめた基準について御説明をいただきたい。
  34. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 「自動車種類」の内容説明が要すれば、車両課長から申し上げますが、料率との関係について私申し上げます。  今回改正いたして御審議を願っておりますのは、手数料が三種類に分かれておるわけでございまして、普通車と、それから小型車と、それから小型二輪、この三種類に分けて、現行でも手数料が違っておるわけであります。それを、それぞれ五十円ないし百円上げるわけでございます。これらの上げ方につきましては、小型二輪とそれから小型については大体五割、普通車につきましては三割三分、つまり三百円が四百円になる。御質問趣旨は、この率についての御質問でございますか——これは、このそれぞれの車の種類によりまして、検査のかかる時間あるいは検査内容が違うわけであります。それらにつきまして一応原価計算をいたしまして、人件費、あるいは出張検査等の旅費、それからこの検査のために使用いたします施設関係施設費、こういうものを、この三つに分けまして原価計算の上に一応積み立てをいたしまして、このような値上げの率を考えたわけでございます。
  35. 隅田豊

    説明員隅田豊君) 私から車の種類の御説明をいたします。  お手元資料の中に、自動車種類を一番しまいに絵にかいた表が行っておると思います。これを見ていただきますと、口で御説明いたすよりもよくわかると思うのでありますが、手数料値上げの中で申し上げました普通自動車と申しましたのは、一番上の絵にございますような、普通の大きなバス、トラックの類でございます。それから大型特殊自動車と申しましたのは、この絵にございますような普通の建設用機械などに使われているものでございます。小型自動車範囲に入りますものが、この絵にございますように、一番大きいものでいいますと、普通よく使われております二千CCまでの乗用車から三輪車までも含んだものでございます。それから二輪の小型自動車といいますものが、その次に書いてございますオートバイでございます。二百五十CC以上のエンジン排気量を持ったオートバイでございます。それからその次の軽自動車に入りますものは、そこにやはり絵で示してございますが、エンジンの大きさが三百六十CC以下のものでございます。あと二輪の軽自動車と申しますものは、オートバイの中でエンジンの大きさが百二十五CCから二百五十CCのものをさします。それから小型特殊自動車と申しますものが、普通に使われております農耕作業用自動車。それから、この絵でごらんになって右端にございますのが、普通に使われておりますホーク・リフト、こういうようなものが小型特殊自動車というものに入るわけでございます。先ほど手数料の普通と小型及び小型二輪車とありましたが、普通と申しましたのは、普通自動車大型特殊自動車、それから小型は四輪の乗用車三輪車の絵のかいてある部分でございます。小型二輪と申しますのは、その次の絵でございます。軽自動車以下のものは、これは検査・登録を行なっておりませんので、手数料には関係ございません。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、いま御説明をいただいたわけでありますが、この普通自動車小型自動車、あるいは二輪の小型自動車、こういう分類をして改定案を示されておるわけですね。そこで、こういう先ほどの局長の御答弁いただきました「自動車数推移」というものに対して、一体農林漁業用に使うもの、こういうものの推移と、一般に使われるものの推移というものについて政府がどう考えているのか。同じような、いままでの国内使用のことから判断をされて、この推移数字というものをあげておると、こういうのでありますが、私はその点少し政府説明をはっきりしておかなければいかぬと思ってお尋ねするのでありますが、いわゆる農業の近代化ということからいけば、こういう問題についても若干触れてくるわけですが、それがただ単に従来の数字推移ということから——答弁をいただいたことですよ、そういうことからいくと、私はそういう点に取り組んでおるのがまだ少し消極的ではないかという気がするわけなんです。そういう面で、運輸省農林漁業関係の問題と一般自動車との伸びの趨勢についてどう判断をされておるかということをひとつお答えをいただきたい。
  37. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 農林漁業用自動車漁業用自動車——魚を運んだりいろいろあると思いますが、これは普通車もありましょうし、あるいは小型トラックもありましょうし、あるいは三輪のトラックもあろうかと思います。それから農林用と申しますと、つまり農耕用の車が主だろうと思います。で、漁業用トラックにつきましては、先ほど種類別で申し上げましたように、いわゆる普通車あるいは小型自動車範囲に入りますものは検査、登録の対象になりますが、軽自動車は対象にならないということで、分かれておりますが、総括して考えまして、過去の両数のふえ方は相当にふえております。一般の車全体のふえ方の比率よりはるかに上回っております。それから農耕用自動車も、両数としては相当平均以上にふえております。今後ともこれはふえていくと思います。もっとも農耕用自動車は府県のほうに全部管理を移しておりますので、府県のほうでやっておりますが、数字の上では相当ふえておる。いままでの自動車のふえ方のとり方でございますが、実は今回来年以降のふえ方について一応の想定をいたしました場合に、過去十年余り毎年やっておりましたものをさかのぼって一応検討いたしてみまして、たとえば五年前の昭和三十四年に一応推定した数字があるわけでございます。で、三十五年のときの推定数字と三十四年の実数とどういう開きがあるかということも振り返ってずっと見たわけであります。そうしましたところが、かなり推定と実績とが非常に接近しておりまして、いままでわれわれのとってきておりました推定のし方がそう実情と離れていなかったという確信を持ったものですから、同じような方法によって今後にわたっても推定をいたしたわけであります。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 特に私は何回も繰り返して農林漁業ということを申し上げておるのでありますが、この名称自身からして——実はすでにお気づきになっておると思うのですが、これは道路運送車両法ですね、したがって道路を利用するものを中心に考えておることであって、私は特に、いわゆる農業とか、林業とか、道路をあまり利用しない、こういうものについては、本来同じような形で考えるというのは少し酷ではないか。もっと積極的に言うならば、農林漁業の面については政府が手厚い恩恵をこそ与うべきであって、一般の営業をする者等、あるいは——まあこれはもちろん自家用車も含んでおりますけれども、特に道路をひんぱんに利用するというものは営業が多いわけでありますが、トラックにせよ、ハイヤーにせよ、タクシーにせよ、そういうものから考えてくると、道路を利用する、道路運送を中心にした車両というふうに考えてくると、私はこの農林漁業の問題については、別個の観点を持たなければならぬというふうに思うわけなんです。そういう点の配慮というものがこの中にあるのかないのか、こういう点を実はお聞きしたかったので、少しくどかったのですが、前の御説明をいただいたのですが、こういう点はいかがですか。
  39. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) お話しのように、道路上を走る自動車ということの前提でいろいろ法規制をいたしておるわけであります。しかし、いわゆる自動車という観念の中には、農耕用のようにもっぱらたんぼの中で運転をして耕作に使う車もございます。それから漁業用の車は、やはり水産物を積んで道路上を走るというのが大体主になろうかと思いますので、その意味では、漁業用の車と、それから農林用の車、若干違う点があると考えます、で、農耕用の車につきましては、現在でも、そういう趣旨から、他の車に比べまして扱いを非常に差をつけておりまして、たとえば検査とか登録ということもいたしておりません。届け出だけで、自動車の総数を把握する面にのみ法律上に触れるわけです。  それから、農耕用の車でも、それじゃ全然道路を走らないかと考えますと、やはり農家からたんぼに行くまで道路を走りますし、またその道路上で交通事故等も皆無ではございませんので、やはり道路を一部走る車として、ある程度保安等のほうも規制をしなきゃならぬ。しかし、その程度は十分ほかの車と差をつけて扱うようにいたしております。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣一つお尋ねをしたいんですが、いま局長からは、農林漁業の車両についての考え方はまあ一応御説明いただいたんでありますが、私はまあ、何といっても、日本の産業の中で特に農林漁業の問題は国家的な問題として保護しなきゃならぬ重要な問題だと考えているわけであります。そこで、運輸省の中でも、ガソリン税や軽油引取税の問題について、一体農業用の、あるいは農林漁業用のものについて、どういうふうに政府として進めてきたのか。これは大蔵大臣の若干の意見も私どもは聞いておるわけでありますが、運輸大臣としては、このガソリン税やあるいは軽油引取税の引き上げの問題について、こういう一般自動車農林漁業用のものについてどう考えておったのか、この際ひとつ御説明をいただきたい。
  41. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) その税金の問題につきまして、農林漁業用について特殊の配慮を払うことが、私は国策として望ましいと思っております。そして、そうなる何か特殊の免税と申しますか、減額と申しますか——をやられるようなことを、大蔵省なり農林省の主張なりが私は出てくるものと思っております。そしてまた、農林水産は、日本の国民の層からいいまして、一番大きな層でございますから、その人々、しかも、昔と違いまして、非常に飛び抜けた富豪も、飛び抜けた何もないように——森林業者についてはちょっと違いますが、まあ申さば零細企業と申しますか——に属している人が多いので、そういう配慮をすべきであると考えております。
  42. 相澤重明

    相澤重明君 大臣がどの程度大蔵大臣やあるいはまた閣議の中でお話しされたのか、私まだ十分承知してないからお尋ねしたのですが、大蔵省の方針では、大体農林関係については七十億、漁業関係については三十億の減税というようなことが、まあ農林漁業関係で百億ということが言われておるわけですね。そうすると、私は自動車の概念というだけで法律というものはすべてつくられるものではないと思うのです。やはり国策として進められるということになれば、最も目的税的なものになっておるわけでありますから、そういうことからいけば、受益者ということで税というものなり手数料というものは出てくると思うのですよ。そういう意味で、たとえば今回のこの一般会計からはずして特別会計にするということで、自動車という概念からすれば、すべてのものは、自動車自動車、それに類するものということになると思うのですが、私はやはり、道路運送というたてまえからいけば、そういう基本的な考え方を持たないと、やはり目的税的な、まあ税ではないにしても、手数料にしても、少しはずれるのではないか、こう思うのです。そういうことで、いま一歩進めますと、なぜ二輪の小型自動車のようなものについて百五十円も取らなきゃいけないのか、こんなものは取らなくてもいいじゃないかということまで私は言われるのではないか。そういう範囲の中に特に農林漁業関係が含まれるということになると、私は問題があとに残るので、その関係というものをただしたわけですが、幸いにしてそういう先ほどの御説明でなかったわけですけれども、それにしても、今度は、それはまあ百歩譲るにしても、二輪小型自動車現行百円のものを五十円上げる、こういうことについて、私はもっと、たとえば上げることは認めるにしても、少し高過ぎはしないか、こういう点について、政府がこれをきめるまでにやはり私は考え方があったと思うのです。そういう点についてどうお考えになっておるか、これは事務的な域、あるいはそういういろんな調査の段階においてのお考えもあるだろうと思いますので、局長からひとつ御答弁願いたいと思います。
  43. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) まず、農耕用の車につきましては、昨年の前通常国会で道路運送車両法を改正していただきまして、その際検査、登録から全部はずしてもらったわけでございますので、これは一応問題は解決いたしております。  それから、水産用に使われるであろうところのオートバイその他でございますが、これらにつきましても、まあ用途が水産であろうとなかろうと、要するにオートバイオートバイでございますが、その検査、登録という見地から車をとらえますのは、やはり道路を運行する場合の車両の保安ということが主たるねらいでございます。したがいまして、オートバイならオートバイを二つに分けまして、いわゆるこの表にありまする小型自動車に該当する二五〇CCをこえるオートバイ、それから二五OCC以下のいわゆる軽自動車、二通りに分けまして、この二五〇CC以下のオートバイにつきましては、これも登録、検査の対象からはずしておりますから、手数料は取っておりません。たとえば魚屋さん、あるいは小さい漁業をする人が使いますような軽オートバイ等は、したがって検査、登録の対象になっておりません。少し複雑な大型オートバイにつきましては、検査の対象になっておるわけで、手数料を取ることになっております。この手数料を取ります趣旨が、常に車の持ち主が車を整備して、常に点検をしなければならぬことが前提でございまして、それによって道路上の車両欠陥による事故をなくしておるわけです。この整備点検を確実にやっておるかどうかということを確認する意味で、一年に一回、あるいは二年に一回役所が車両検査をするわけです。その車両検査のときに、手数料として検査手数料をもらうわけでございますので、機械構造の複雑な自動車につきまして検査をして確認する必要があるということから、小型自動車以上を検査の対象にいたしておるわけです。そういう意味で、それが農林業に使われようと、他の産業目的に使われようと、そういう観点からは同じに扱っていくのが公平であろうということで今日まできておるのであります。
  44. 相澤重明

    相澤重明君 だんだんと御説明いただいてよくわかりましたが、そうすると、別に道路運送ということは必要はない、自動車車両点検のいわゆる手数料と、こういう法律に私はなろうと思うのですね。したがって、この際運輸大臣は、道路運送というのを削る——取って、やはり単にその目的だけにはっきりするように、自動車の登録あるいは自動車検査、こういうふうに私は名称を変えるべきではないか、こう思うのですが、運輸大臣はいかがでございますか。
  45. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) そういう御議論もあると思いますが、道路を安全に運行するための必要においてこの検査をやろうというのが趣旨でございますから、相澤先生のおっしゃるだけの目的でこれをやろうというのではないので、その車が道路を走ることによって人に危害を与え、おのれが危害におちいるようなことがないように、道路運行の安全を期するというほうへウエートを置いてあるからして、こういう法律になったのであります。御了承願いたいと思います。
  46. 相澤重明

    相澤重明君 いやそこで、そういうふうな答弁が出ると思うから、前段に私は申し上げた。自動車の性能を確保する、よくする、そのためにはやはり登録をさしたり、あるいは検査をしたりしなければ安全が確保できない、これが私は目的だと思うのですよ。そこにくると、たとえばまあ一つの例を出しますと、山林業者が使用するものというものは、あまりこういう一般道路運送というものとは違うと私は解釈するわけですね。これはまあ一つの例ですよ。ですから、農林漁業というようなものについて考えていけば——比較的多数の人が通る道路というものは、これはよくしなければいけないし、安全を守らなければならぬ。こういうところで、もろもろの規制というものを考えるわけです。そのところが、いま運輸大臣の言われる理由にもなると私は思う。そのとおりだと私も思う。ところが、ざっくばらんに言えば、山の中だけにおって使うものであれば、これは自動車の性能が破壊されなければ、自動車としての利用価値があれば、別に道路をじゃまをするわけではない。こういうことからくると、単に自動車検査あるいは登録というような、いわゆる検査手数料というものを取ることだけならば、そういう名称で私は一向差しつかえないと思う。特にこの道路運送車両法という法律、これは前からあったんですが、私どもは、そこに若干問題点が近ごろ出つつある、こういうことで、むしろこの際は、いままでの御説明をいただいたようならば、そういうふうに名称を変える意思はないのか。それから、もしこのままの、いま大臣の御答弁いただいたような、いやこれはまあ御了承いただきますというようなことであるなら、そういう独自の農林漁業というようなところで使用するものについては、別途いま少し安くしてやっていいのではないか。ざっくばらんに申し上げれば、こういうことが考えられるのだが、運輸大臣としてはいかがでございますか。
  47. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 農林省その他の調べによりますと、農耕用に使っている車の九割九分までくらいがやはり道路を使っているようでございます。そこで、あなたのように、全然道路を使わないで、山の中を走るという——車は、道路のよしあしは別として、とにかく道路を走っているのですから、その車は、道路でないところを走る車も、ときたま検査をしなければ、エンジンその他に故障があるということはなかなかわかりませんから、私はやはり、この範疇の中に入れて検査をして登録をすることが、運輸車両行政を扱う者としては適当じゃないかと考えております。しかも、相澤先生のお説に従いましても、九割九分、その一分のために、ほんの一分のために特別の法律を設けるということはいかがかと考えまして、今日の時点におきましては、一緒にやるのがいいんじゃないかと、かように考えております。
  48. 相澤重明

    相澤重明君 私は、運輸大臣が、この法律趣旨に基づいていわゆる手数料を取るということが目的であるのですからね、おもちゃの自動車をうちの中で回しているとは思っていないのです。しかし、この法律のそういう、どこから一体取り上げたらいいのか、どういうものを目的にしてこういうことを考えたらいいかという、その目的が、いわゆる道路を利用する人たちが十分安全であり、しかもそのことの趣旨に沿えるということが目的 私は一番重要なことだと思うのです。そうすると、先ほどから申し上げましたように、普通の国道とか県道という公の道路と違いまして、農林道等は、これはもう御承知のように、特別な保護をしているわけですよ。また、そういうところは、一般自動車というものはそう通るものじゃない。そういうことで、普通のトラック、ハイヤーという、もとは私は取りやすいところから取るということが実は一番多数であったと、目的が。どこから一体収入をあげるのがいいのかということが目的なんですよ。これは、そういうことからくれば、数の多いところからあげる。しかもそれは、その理由として、道路をそういうふうに使う、こういうことが目的だと私は思うのですよ。何も家の中に置くおもちゃや模型を、こうやって手数料を取るということではないわけです。そういうことからいって、先ほどの大臣の御答弁、せっかくいただいたのですが、少し私の質問趣旨から見ると、どうも合っていない、こう思うのです。それはそれとして、とにかく自動車整備する、そうして事故を防ぎ、人命の安全をはかるということは、趣旨私は賛成です。ぜひそういうことを強化しなくちゃならぬというのが今日の事態だと思うのです。また、今後そういう方向に行かなければよくならない。そこでむしろ私は、これではなまぬるいんではないかと、そこまでいくなら。したがって、この特別会計なんと言わずに、これは政府一般会計の中で本来やるべき仕事ではないか、あまりにもこそくな手段におちいっていないかということを考えるわけです。私は、なぜ政府はもっと一般会計の中からこれらの重要施策の問題について財政上の資金が出せなかったのか。こういう点については、運輸大臣は力がないとは私は思わない。運輸大臣は実に人格円満、しかも識見豊か、お生まれは大分県——選挙区のようでありますが、それだけに、今日の池田内閣の中でも最も尊敬されて、当運輸委員会でも満場一致いつでも大臣の言われることはみんな支持されるような立場にあるあなたが、なぜ、こういう手数料だけをふやして特別会計を持たないで、一般財政の中から、そういう方向に力を入れることができないのか。この点については、せっかくの大臣の識見豊かな人格を私どもは慕っている一人として、これはやはりなぜできなかったかということについては、ひとつ御説明をいただきたいわけです。
  49. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 相澤先生かち過分のおことばをいただいて恐縮でございますが、私も、毎予算年度におきまして、この検査事務につきまして、乏しい経験でございますが、二カ年間予算を編成いたしまして、そのつどこの自動車の安全な輸送のために苦慮いたしまして折衝いたしたのでございますが、なかなか定員の増、あるいは全国の、さっき申しましたように、大衆の利便をはかるための施設が行なわれぬのを遺憾といたしまして、これだけ収入があると、それは全部雑収入として取られてしまって、くれるほうの金はどだい問題にならない。だから、これはひとつ自分でかせいで自分で思うように運輸行政のために尽くすのがいいと判断いたしまして、今回これを提案いたした次第でございます。
  50. 相澤重明

    相澤重明君 まあ、せっかくの大臣お答えをいただいたので、もう私も全面的に賛成をしたいわけなんでありますが、私やっぱり、いまのお答えを聞いておると、大臣の努力にもかかわらず、定員の増やあるいはこういう施策について受け入れることができなかった池田内閣のいわゆる弱さをまざまざと見せつけられたわけなんです。そこで、この間の予算委員会の中で私ども社会党の藤田議員からも質問をしたわけでありますが、大臣どうですか。やはりこういうことは、いま大臣の御説明いただいたように、本来は政府一般会計の中でやるべきことであって、池田さんの政権の座が少し長過ぎるから、そういうことに力が入ってこないと思うんですよ。せっかく運輸大臣が御努力されたのに思うようにいかなかったのですから、この際やっぱり、藤山さんなり河野さんなり佐藤さんなりに政権を渡していけば、こんなことは私はやってくれると思うんですよ。これはやっぱり池田内閣が長過ぎるんだ、こういうところに問題の焦点があって、どうも運輸行政について池田さんはあまり知らないんじゃないか。せっかくの政治家としては、とにかく、いまの衆議院の清瀬議長と同じように、わが国の議会の中でもその人ありと言われた運輸大臣綾部健太郎氏のその願いもあまり認めないような池田内閣は、やはりこの際かえなきゃいけないと私は思うんですが、大臣いかがですか、この点は。
  51. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私は、池田内閣の閣僚としておる現状におきまして、いまの相澤委員質問お答えすることはなかなか困難な事情は、賢明なる相澤さんは御了承くださると思いまして、御批判は御自由でございますが、私の答弁だけはひとつごかんべんを願いたいと思います。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣の御心中察するにあまりあります。ぜひ、本年七月の総裁選挙におきましては、ひとつ革新的に、しかも当運輸委員会における審議過程において運輸大臣のお心持ちがさらに進むような内閣ができるように私は期待をするわけです。しかし、別に本日は、問責決議案でもなければ、内閣不信任案でもございません。私が質問をしておるその過程の話でございます。したがって、運輸大臣の御答弁については、池田内閣をやめさせることに閣僚として賛成するとかしないとかお答えができないのは、まことに御心中察するにあまりありますから、けっこうでございますが、そこで私はお尋ねをするわけでありますが、とにかく、一般会計とするには、金が足りない、人も足りないということで、特別会計として、最もスピード的に、サービス的に、しかも安全を確保しよう、こういうことのようであります。たいへんけっこうなことでありますが、今後これは、自動車の両数がふえれば、手数料はそのまま自然に入ってくるわけでありますから、予算は増大になる。そうしますというと、手数料を下げる時期もあるのですか。それともまた、手数料現行のままでいくとしたならば、施設あるいはそういう定員というものを今後はできるだけ拡大、増員していく方向にあるんですか、この点はいかがでしょうか。
  53. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 特別会計にいたしましても、不必要に収入をふやしてやろうという考えではございませんので、今回の手数料値上げによりまして特別会計の収入のワクがそれで一応できるわけであります。なお、ただいまお話しのように、毎年車の数の自然増によりまして三億なり四億なりの増収を見込んでおるわけでございます。それらに対応いたしまして、検査場の施設整備、あるいは人員増加に伴う人件費の手当て、こういうものを考えておるわけでございまして、現在の手数料値上げを了承していただきますと、それによって、五カ年間の計画を持っておりますが、五年たちましてから、そのときの全国の検査場の施設整備の状況、それから将来の車の増加の傾向、そういうことを考えまして、もし従来どおりの手数料ではもうおつりが出るのだということになれば、下げるにやぶさかではございません。そういう考えでおります。
  54. 相澤重明

    相澤重明君 いま御説明をいただきまして、多くなったときに、下げても独立採算ができるという場合には、下げる場合もあり得る、こういう御答弁だと私は思うんです。たいへんけっこうだと思うんです。  そこで、いま一つは、何といっても登録なりあるいは検査なりというものが、運輸省として安全確保のために行なうわけでありますし、できるだけ——そういうふうな多くの人を対象とするわけでありますから、サービスができるようにしてやってもらいたいと私は思うんですね。そこで、現在の車検場というものは全国に幾つあって、先ほどの五カ年間という一応の計画をお持ちのようでありますが、これは毎年どのくらいずつふやして五カ年後には幾つになるか、都道府県的にいうならばどうなのかという点を、ひとつ御説明をいただきたいわけであります。
  55. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 現在のわが国の政府の持っております車検場は、大体各県の県庁の所在地に一カ所、なお、東京、大阪、名古屋というようなところは二カ所以上ございまして、総数で約六十カ所でございます。そのほかに、民間の施設を借用等いたしまして検査員が出張してそこで検査をします出張車検場、これが大体二百九十余りでございます。この五年間の計画で、現在六十あります——政府の直轄車検場と申しておりますが、これをふやしていきたいということと、それから現在あります車検場の、検査のコースと申しておりますが、何列かに分けて、ブレーキの検査、あるいはハンドルの検査等やるわけでありますが、その検査場におけるコースの数を、大体現在よりも倍にいたしたいというふうに考えております。  なお、先ほど申しました車検場の増設あるいは新設、こういったものも毎年度、計画を一応立てておりますが、一例として三十九年度を申し上げますと、車検場新設、ないしは移転による新設も含まれますが、六カ所ございます。それから、現在の施設を増備、増設いたしますものが二カ所、それから用地を拡張しますものが二カ所、こういうような計画をもちまして、これは三十九年度でございますが、漸次予算の規模がふえてまいりますれば、四十年度はさらにこれ以上の計画をもって整備いたしたい、かように考えております。
  56. 相澤重明

    相澤重明君 それから要員の説明がなかったんですが、定員ですね、定員はどういうことですか。
  57. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 定員につきましては、これは一般会計特別会計も同じく定員法の適用を受けますので、その点につきましては、一般特別会計の間に差はないわけでございます。ただ、定員に対します人件費特別会計負担をするわけでございます。そういう意味では若干の差がある。それで、来年度からは人件費負担特別会計になりますので、それだけ予算折衝におきましても定員増の要求につきましては要求しやすいとわれわれは考えておるわけでございまして、みだりに定員をふやすということも政府の方針として考えものでございますが、最小限度の人はふやしていきたいということで、人員につきましても一応の、何といいますか、もくろみを持っております。三十九年度は、これは特別会計がお認めいただけますと初年度になるわけでございますが、この関係で八十名の増員が認められております。三十八年度は五十名でございましたので、まあ六割の増加ということになりますが、絶対数はまだ少のうございます。したがいまして、四十年度以降は、業務量の増加に対応いたしまして、もう少し多く増員を要求して努力いたしたい。また、一方仕事の簡素化等につきましては、従来どおりいろいろくふうして、業務の簡素化、合理化をはかっていきたい、かように考えております。
  58. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、特別会計になると、政府としても事業に応じた定員の張りつけができると、こういうことになろうと思うのでありますが、現在の一人当たりの業務の割当てといいますか、そういう車検あるいは登録事務、そういうものについての件数というものは一人当たりどのくらいになっているでしょう。それが、この特別会計として先ほどの三十九年度は八十人の増員が認められると、こういうのでありますが、そうなった場合にはどのくらいの緩和がはかられるのでしょうか、そういう点についてひとつ御説明をいただきたい。
  59. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 一人当たりの業務量を一年間を通じましてその一人に対する受け持ちの車の数で一応出してみますと、これは登録と検査、二通りに分けて考えておりますが、三十八年度——今年度におきましては、登録は一人について年間八千四百両、検査が四千六百両という数字になっております。大体一日に分けますと十二、三両という勘定になろうかと思います。これが、来年度八十名の定員がふえますが、車の数も二割前後ふえるわけでございますので、一人当たりの受け持ち量は大体三十八年度とほぼ同数になろうかと考えております。したがいまして、八十名ふえましても、非常に一人当たりの仕事量が楽になるということは毛頭私ども考えておりません。実はもっと多数の要求をしたのでありますが、いろいろな関係で八十名で最終決定を見るに至ったような事情でございます。
  60. 相澤重明

    相澤重明君 ただいま局長から御答弁いただいたように、私はやはり、いまの特別会計にしても、八十人の要員が増加しても、三十九年度においてあまり作業量というものが減らないと、こういうことは、いわゆる利用者にとってはむしろサービスがよくならなければいけない。金は上がるけれども実際にそれだけのサービスができないということは、残念だと思うのです。金が上がるからもっとやはり早くしかも完全にできるようにしてやるのが、私は運輸省の立場だと思う。そこで、せっかく局長さんがだんだんと御苦労の点をいま披瀝をされたわけでありますが、これは運輸大臣お答えいただきたいのですが、いま自動車局長の言うように、いろいろと御苦労されている、そのいろいろと御苦労されたのをなぜ取れなかったのか。これだけの資金が今度は上げられてくるということになれば、特別会計ならば当然必要な人数というものをふやしてもいいんではないか、こう私は思うのです。これは一会般計なら、他の会計上の、あるいは振り合い上の問題もあるから、これはどうしても一ぺんにそうふやすわけにもいかぬということは、一つ理由になると思うけれども、特別会計ということになれば、そこでこの収益等の問題も見通していけば、私はいまの自動車局長の言うような御苦労が少なくとも緩和されるということが期待されると思う。その期待が三十九年度にできないということは、先ほどもちょっと申し上げましたが、せっかくの綾部運輸大臣の御努力をいただいたことと思うのだが、これが実っていかないと、こういうことになるので、運輸大臣としてはどうお考えになっているかお答えいただきたいと思うのです。
  61. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 一挙にすべてを解決するということはなかなか困難でございまして、私どもは順次五カ年間のうちに、ただいま申しましたような大衆の便宜をはかりつつ、それに従事する人間の労働の環境をよくするべく努力をいたしたいと考えております。
  62. 相澤重明

    相澤重明君 次に検査手数料、いわゆる検査及び登録に関する手数料については、自動車検査登録印紙ということで、この納付を義務づけているというのでありますが、この検査登録印紙というのはどういうものなんでしょうね。私よく見たことがないので、ここにお持ちをいただいたんでしょうか。見せていただけますか。それがまた地域によって印紙の種類があるのかどうか、あるいはまた色刷りが違うのかどうか、こういう点についてもひとつ御説明をいただきたいわけです。
  63. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 特別会計になりまして、一般会計の収入印紙とは違った収入印紙にいたしまして、そうして特別会計との区分をやるわけで、現在もう図案もできておりますが、後ほどお手元にお渡しいたしますけれども、模様といたしましては、中に日本最初に使用されました自動車を図案化いたしまして、そうして普通の収入印紙のようにやっておりまして、そうして色によりまして、五十円印紙と、それから百円印紙と、二百円印紙。五十円が地の色が緑、百円が青、それから二百円か赤、この三種類にいたしまして、この特別会計の印紙をつくりまして、大蔵省の印刷局でつくってくれておりますが、全国一律にこれを使うということになっております。ただいまお手元に差し上げます。
  64. 相澤重明

    相澤重明君 なるほど自動車検査登録印紙というのは芸術的ですな。これはたいへんいいと思う。これはすでに印刷はできているのですか。四月一日から実施ということでありますが、そうするとこれはもう全部配付がされておるのですか、いかがでしょうか。
  65. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 準備をいたしますわれわれといたしましては、法律が通らぬのにそういうことをやってはけしからぬというおしかりを受けるかもわかりませんが、四月一日から実施できる場合に、手続に粗漏があってはいけませんので、印刷局にお願いしまして、すでに印刷をいたしまして、四月一日から使用できるような態勢にいたしております。
  66. 相澤重明

    相澤重明君 この印紙の原価はどのくらいですか、どのくらいでこれは一体できるものですか。
  67. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 一枚が一円二十五銭であります。
  68. 相澤重明

    相澤重明君 たいへんけっこうな印紙のように見られますが、先ほどの、色は三色とかあるそうですが、そこで私としては、そういう非常に御苦労されて準備をされたわけでありますから、ぜひきょうはこの法律を通して実施をしたい、こういう趣だと思うのでありますが、運輸大臣は、もうこの印紙は先ほど局長のお話では全部準備をされておると、こういうように承っておるのでありますが、もし私ども社会党はじめ全野党が、与党の皆さんの一部を含んで——一部というのは、池田内閣の池田派は別でありますから——そこでもし、きょうはこれはあまりおそくなってやってもそれだけの手配ができない、したがってあすそれではあらためて全国に通知をするためにもあす法律をということになったならば、一日どのくらい違うのですか。印紙を張るのに、きょう法律を公布をして明日から実施をするのが一日おくれたとすると、どのくらいのこれは印紙を張るのがだめになるのですか、これをちょっとお伺いしておきます。
  69. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 大体一日四百万円の収入でございますので、一日おくれれば一日ごとに四百万円ずつ特別会計が減ってくるのです。
  70. 相澤重明

    相澤重明君 たいへんですね。これは運輸大臣は少なくともやはり全精力をあげて通過をはからなければいかぬ。そこで、あなたはどういう工作をされるわけですか。やはりこの法律が早く通過をして、一日四百万円の減収を与えないで、そうして出先機関が混乱しないように、やはり運輸大臣は努力を国会でしなければいけないと思うのです。私もこれから……。いままでのお話を聞いておりますと、四百万といっても、これは三色あるということでありましたね。そうすると、幾枚くらいになるのでしょうね、これは枚数にして。
  71. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) ざっと私いま概算でございますけれども、大体二万枚くらいになろうかと思います。
  72. 相澤重明

    相澤重明君 職員の数からいきまして、多くの自動車にそれだけの仕事をしてもらうわけでありますから、たいへんなことだと思う。そこで、自動車局の皆さんの御努力に私は敬意をあらわしておきたい。そういうことで、ぜひ本日やはり法律は上げなければならぬ、こう私は思うのです。  そこで、先ほどのことに若干触れるわけでありますが、私どももこれから相談をしたいと思うのです。社会党としては、いままでの大臣の誠意ある御答弁をいただき、自動車局長以下出先の職員の非常な御努力をいただいておるのに、何とかもっとよくしてやりたい、こういう点を申し上げて、その点については御努力をされるという御回答をいただいたわけでありますが、この道路運送車両法という名による今回の特別会計をつくるということについては、やはり若干問題がどうしても残りはしないか、そういうことについてやはり相談をしなければならぬ。いま一つは、御説明をいただいた中で、やはり農林漁業関係については、まだ政府の前向きの姿勢というものが少し足りないような気もするので、後刻私どもも相談をいたしますが、政府で善処されることもあり得るかどうか。いま一つは、せっかく手数料も上げて、そうして安全を確保すると同時にサービスをできる態勢をおつくりをいただくというのが目的のように思いますので、もっと定員を、三十九年度の中でも、特別会計になったら、これはふやせないものか。八十名というのは、いままでの折衝過程における計画だと私は思う。そうしますというと、実際に収入もふえてくるし、またそれだけの作業量というものは増大をするわけでありますから、そこで、そういうことは可能であると私は思うのでありますが、これは運輸大臣ですよ、運輸大臣お答えをいただくわけでありますが、そういう点については、増員というものは特別会計という名によって私はできないものなのか、こういう点のお答え大臣からいただきまして、そうして同僚諸君とともに私は御相談をいたしたい、かように思うので、委員長休憩を要求いたします。これは私の気持ちです。
  73. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 特別会計によりまして収入がふえ、そういうようなことで、定員改正をいま期の途中にできるかというお話でございますが、さっき局長が申し上げましたように、収入と定員というのは別個の観点から政府と交渉せねばならないので、本年度はかりに収入がふえましても定員を改定するということは困難でございます。再来年度から、すなわち昭和四十年度から大いに御趣旨に沿うように努力したいと思います。
  74. 米田正文

    委員長米田正文君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  75. 米田正文

    委員長米田正文君) それでは速記をつけて。
  76. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 本会議の時間がございますから、できるだけ質問点をしぼって、しかもそのポイントだけ若干の疑義を尋ねたいと、こういうふうに思います。  この法律の提案の理由によりますと、最近の自動車の数というのがたいへん増大をしてきた、これに伴って自動車事故増加をしているので、「政府といたしましては、これが保安の確保につきまして種々施策を講じているところであります。」、こう冒頭に書いてある。車の数のふえた推移資料にございまして、四十年度は七百四十九万台、四十四年になりまして一千万台をこえる、こういう数字が出ておりますから、その数で承知するのでございますけれども、一体冒頭に書いておりまする「これが保安の確保につきまして種々施策を講じているところであります。」、こういう抽象的な文章になっておりますが、具体的にどういう施策を講じたのか、この際お聞かせを願いたいと思います。  その一つは、確かに非常に自動車事故というのは激増をして、国民の関心の的はかなりその方向に行っていることは間違いないのです。その場合に、この法律車両検査でございますから、ある意味におきましては、整備関係で一面においては事故を防ごう、こういうことだと思うのです。ですから、現在の日本事故の統計から見て、車両検査整備等が欠陥で事故になったものと、それから、そうではなくして、運転者のつまり不注意であるとか、あるいは技術が未熟である、これがために起きた事故、この二つに分けてひとつお答えを願うと同時に、これに対する、つまり、ここに保安の確保についていろいろ政府がやっているのだと、策を講じているのだと、こう言っておりますから、具体的にどういう手を打っているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  77. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 車の増加に伴いまして、自動車交通事故相当ふえてまいっております。事故原因車両の機能の整備観点から申し上げますと、事故の件数で言いますと、約四十万件近くの事故が毎年最近は起きておりますが、そのうちの約九割は、これは運転する者の過失あるいは不注意から起こる事故でございまして、残りの一〇%足らずが車両の欠陥の事故その他でございまして、その中で明瞭に車両欠陥による事故は、大体四%弱でございます。車両欠陥による事故は、最近の趨勢といたしまして、だんだんと率は減ってまいっております。こういうような実情でございます。しかし、四%といいましても、件数としては相当多いのです。この車両欠陥による事故をなくするのが道路運送車両法によります車両整備でございまして、ここ数年来、対策といたしましては、この車両法に規定しておりまする保安基準等につきましていろいろ改正をいたしてまいっております。一例を申し上げますと、いままで車の外の前輪のほうにバックミラーがございますが、片方しかつけていなかったのを、もう片一方も見えるように両方つける、あるいはそのほか整備の基準についていろいろ新しい項目を加えた——公害の発生防止のためのガスの清浄器を備えつける方法であるとか、いろいろやっております。それからさらに車両検査は、先ほども申し上げましたように、車の所有者が常に整備しておくべきものを運転するわけでございますが、検査制度が軽自動車以下はございませんが、軽自動車につきましても、かなり最近では機械の性能が向上してまいっておりますので、必要な場合には臨時検査ができるように、昨年の国会でも改正を願ったわけでございます。そういうふうにいたしまして、ここ一、二年いろいろと、車両整備、それによる事故防止方法を講じております。なお、車の保有者に定期点検、整備するということをまずはっきりと法律の上で明示して、これが原則であるということもうたっているような次第でございます。なお、足らざる点もございますので、今後とも鋭意その点には注意いたしまして、実情に合うように、適宜保安基準等も改正をしてまいりたい、かように考えております。
  78. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 車両機能の問題から事故を招来をした、こういうことは、総体の率は——最後に言いました中でも、全くこの機能の欠陥による事故というのは四%、こういうことですから、非常にそういう点では、これで満足していけませんけれども、計数的にはいい方向を示していると思うのです。そこでさらに、この車両機能による事故というのは大きな事故になると思いますから、より積極的にゼロになるように指導監督をしていただきたい、こういうことを要望しておきます。ただ、九割ぐらいの運転者の不注意であるとかあるいは過失による事故というものは、これはかなり高い数字を示していると思うのです。で、一体そうした高率の事故を示しているものに対して、運輸省はどう監督指導しているのかということなんです。私どももいろいろそうした関係の諸君とも話し合ってみますけれども、いろんな問題が内在しているような気がするのです。で、一つには、運転者の訓練といいますか、再教育の問題があるでありましょう。それからもう一つには、やはり運転者の給与の関係があると思います。言いかえますと、職場の環境を含めて、労働条件にも大きな私は問題がある、こう考えるわけです。現実にたとえばいまの運転者の給与体系といいますか、形態といいますか、これなどは、前時代的な給与体系に基づいて雇用契約が結ばれている。このことは、局長も十分おわかりだと思う。これがために、運輸省は指導として、賃金基準なるものをある程度示して指導しておったはずだと思います。つまり、基準内の賃金が全体の収入の六〇%、四〇%程度が時間外手当、いわゆる基準外の賃金、こういうことで指導しているところも、ここらあたりからきているのじゃないか、こう思いますが、実態はそうまだまだやっていない。特に最近は、つまり先般も本委員会で問題になりました東京都の料金の改定問題を含めて、逆な結果が出ている、こういう事例も私ども二、三承知をしています。そういう傾向から、全国的に皆さんが指導しておりまする方向とは逆に、歩合給がその率をさらに高めるような方向で運転者を雇用して、そうして働かしている、こういうこと等がたいへん多い傾向になってきているのです。結果的に、運転者は走らなければ食える賃金にならない、こういうことになりますから、勢いスピードを出す。きのうも用事がございまして羽田にちょっと参りました。やはりスピード違反で、かなりの人間が交通違反で警察官に抑えられていた。ちょっと私も立って黙って両者の話のやりとりを聞いておりました。聞いておりますると、そういうものがやはり含まれている。もとより羽田の場合は、飛行機に乗るお客さんですから、時間的なお客さんの制約等がありまして、お客さんの要請があって多少スピードを出したというのもその中に一人二人でございましたが、根本的には私はやはり、走らなければ食えない賃金という体系にいま置かれているので、こういう点は、運輸省として、担当の自動車局として、もっともっと私は料金改定と並行して業者に対する指導をしなければならないと思うのです。前に私がこの点について質問したところが、局長は、東京都の場合は当然、労働者の賃金に——おおむね一割九分を値上げをしたわけですから、それに見合うものがはね返るように指導しております、こういう答弁をしたのです。ところが、そうではなくして、最近は歩合給の率などについてもぐんと減らすという傾向のものが、二、三東京都に出まして、御承知のように、自動車のバックに何かそういったものを書いて走っておる自動車も都民の人々はほとんど見受けている。これなどは一体どう考えておるか。しかも、これからどう、その基準内賃金と基準外賃金について、そういう今日まで指導してきた方針でございますけれども、よりどういう方法で業者の諸君に対して木村局長は指導しようとしているかということを、この際お聞かせ願いたいと思うわけです。そうでないと、この九〇%という高い事故率というものを下げていくということは、なかなかこれは解消できない。もとより、ただ単に賃金だけでなく、労働条件だけでなくて、根本的な問題がございます。都市に集中してまいりまする人口であるとか等々、つまり自動車の増大していくということ等とバランスのとれない面がありますから、そういう根本的なものはあるけれども、とりあえずこうした賃金の関係をどう見ているか、お聞かせを願いたいと思います。
  79. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 交通事故の大半が運転者の不注意、過失に基づくわけでございますから、根本的には運転免許の問題もあろうかと思いますが、運輸省といたしましては、他人さまの生命を預かり、他人さまの大切な荷物を預かる自動車運送事業者につきまして、特に運転者の不注意、過失による事故の防止には努力をいたしておるわけであります。何と申しましても、そういった自動車事業の運転者につきまして、運転者自身のもちろん教育、それから注意心の高揚等も必要でございます。同時に、経営者の親身のこもった労務管理、これが私は絶対に必要である、かように思いまして、あらゆる機会をとらえて、このことを事業者に強く要請しておるわけであります。特に、ただいまお話がありましたように、運転者の給与の状況、これにつきましては、非常に当局といたしましても関心を持っておりまして、御承知のように、歩合給が非常に高くて固定給が少ないということが運転者を交通事故の惹起に向かわしめるというふうな傾向も大いにあるわけでございます。神風運転がその一つでございますが、そういう意味から、この点に特に注意をいたしまして、機会あるごとにこの固定給と歩合給の改善に努力をしてまいってきたわけでございます。方法はいろいろくふうをいたしているわけでございますけれども、たとえば、車を増車いたします場合に、会社ごとにこの固定比率というものを見まして、東京のタクシーの場合を例にとりますと、大体現在平均六〇%が固定給で、四〇%が歩合給になっております。これは平均でございますから、それより悪いのももちろんございます。で、現在では、この平均の固定比率より水準の高い会社に対しては増車等の場合に有利に扱い、この平均より低い会社については不利に扱う、そういうことによりましてこの平均の固定比率をさらに上げていこうというふうに努力もいたしております。それから、先般タクシー運賃の改定を認めたわけでございますが、この改定理由は、これは十年近く運賃改定をしなかったために、今日まで諸経費の暴騰、特に人件費の高騰ということが大きな原因で、事業の収支の均衡がとれなくなったということから、これを適正な運賃にいたしまして、企業の安定、継続性を確保しようということから運賃改定をしたわけでございますが、   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕 その後、この運賃の改定を機会に、会社内におきまして給与についてのいろいろ争いの起きておる会社承知いたしております。実情はそれぞれ違うようでございまして、たとえば、この運賃改定の話がもう一年前から出ておりまして、会社によりましては、三十八年の秋には改定になるであろう、あるいは三十八年の夏には改定があるであろうということで、三十八年の初めにベースアップの交渉のときにそれを考慮してベースアップをした会社もあるようでございますし、また、運賃改定の見通しが立たないので、従来のままの状況でベースアップの交渉に応じた会社もあるようでございます。したがいまして、そういう会社によって事情は違いますが、運賃が上がったのだからそれだけ会社の収入もふえる、ふえた分を給与に回せということで、要求もされておるやに聞いております。当局といたしましては、事業の健全な運営のためには、やはり乗務員の給与制度、労働の条件というものが適正なものでなければいけない、かように考えておるわけでございまして、しからばどの程度が適正であるかということは、これはなかなかむずかしい問題でございまして、給与関係を、労働問題を担当しております労働省におきましても明確な数字は出しがたいというふうな状況でございますので、われわれも明確な数字は出せませんが、これはやはり経営者の良識を待ちまして、あるいは労使の適正な折衝によりまして、健全な給与体系に向かって進むように要請はいたしているわけでございます。そういうふうなことで、現在労使間で交渉がもめているところもありますが、双方お互いにそれぞれの立場を十分理解し合って、よりよき労働条件に持っていくようにということを期待しておるわけでございます。ただ、個々のそういった交渉について当局が干渉するということは差し控えたいと思いますが、いろいろな、当局が事業者を集めまして会議等のあります機会に、今申し上げましたようなところを強調いたしまして、とにかく交通事故防止のためにも、また労働者の安心して働ける職場にするということが結局サービスの向上にもなるわけでございますので、給与体系については深い関心を持って指導いたしておるのが実情でございます。
  80. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 つまり、働く人々の賃金をきめるについてはたいへんむずかしい問題だと、労働省でもそうだ、私どももそうだ、まあいまこう申されましたけれども、一般的に賃金ということで論ずる場合は、私はその答えでけっこうだと思うんです。ですけれども、自動車の、とりわけタクシー運転者の賃金が、ある意味において私は単純なものだと思うんです。なぜかならば、その車一台々々みずからが運転して一つ企業を行なっているんだ、こう言っても過言じゃない商売です、職業的には。ですから、料金改定に伴って運収が幾ら幾ら上がるということは明確に統計で出るんです。出てまいります。それと償却費それから一般事業費等々差し引いてまいりますと、従前から見ますると、幾ら幾らの今度の料金改定に伴って運賃増になったのかということは明確に出るんです。そこで私は、その出たものは全部働いている諸君に還元しろ、こういうあほうなようなことを言う気はさらさらないんです。ないけれども、彼たちのつまり労働によって運賃の収入の増になったことは間違いない。ですから、あなた方に釈迦に説法ですから申し上げる必要がないと思うけれども、一体賃金とは何かということなんです。労働の質と母に対する代償なんだ。このことがこの自動車の運転手だけにぴったり私は当てはまると思う。そういう意味で、ぜひ、少なくとも、この基準内の賃金と基準外の賃金についても、運輸省の指導というものをもう少し、東京のみならず、全国的に業者に徹底した私は指導をしなければならないものではないか、こう思うのです。しかも、東京都の場合は、先ほど申し上げたように、それとは逆のコースで、つまり料金改定に便乗してもうけている諸君がかなりいることは、これは事実です。そういう事実がなかったら、ああいう行動になって社会に訴えるなどということには私はならないと思うんです。これなどは、もう少しく自動車局として、そういう関係者を呼んでその事実を明らかにすると同時に、実態を把握して、そのことによっていやしくも都民に迷惑がかからないようにしていただかないと、私は、先般の料金改定をする場合に、あなたが本委員会答弁したことにはならない、こう思うんです。ぜひこの点については、私どもは積極的に取り上げていただきたいことを申し上げますが、この点木村さんどうですか。
  81. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 運転者の給与の問題につきましては、運賃改定の際にも、実は適正な原価はどうあるべきかということで項目ごとに査定をいたすわけでありますが、各項目の中で給与以外は当局で標準的な金額に査定をして削るわけです。   〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕 人件費だけは、幾らが適当であるかということは、先ほど申し上げましたように、非常に困難でありますので、人件費につきましては、実績をそのまま必要経費として計上いたしまして、運賃改定を実施しておるわけであります。そうして、この運賃改定によりまして、平均いたしますと、今回の東京の場合は一五%前後の増収になるわけでありますが、この運賃改定によりまして、各会社の収入と支出との関係は、もちろん会社によって実情が違いますので、まちまちでございまして、したがって、運賃値上げで非常に収入がふえる会社もございますし、まだこれでも足らないという会社もあるわけであります。それらの会社の特殊事情の中におきまして、乗務員の給与等についての労使の交渉が行なわれておるわけでありまして、一がいには申しにくいのでございますが、しかし、それだけ増収になりますと、いままで無理をして土地を売却して配当するとか、あるいは償却を十分にしないままに配当して経営を維持しておったというふうな会社もございますから、そういうふうな経費に充てるということもございましょう。したがって、各会社によっていずれも事情が違いますが、いろいろな常識から考えますと、運賃改定によって増収になったということのある程度の恩典は乗務員にも分けてやって、そうして乗務員の質の向上、サービスの向上にも向けるというのが私は常識であろうかと思います。したがいまして、そういうふうな気持ちは十分陸運局を通じて、全国の陸運局会議の席上におきましても、陸運局長に話しておるわけであります。  給与改善等に対します私の考え方は以上のとおりであります。
  82. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これ以上木村さんと議論しても、木村さんそのものは経営者じゃないから答えが出ないかもしれませんが、とにかくどうも僕は矛盾があるような気がするのですよ、実態で。で、今度の料金改定については、少なからず人件費の騰貴による、つまり経営上の苦境から改定していただきたいということで長い間運輸省あるいは東京陸運局にそういう働きかけをした結果が一割九分何がしかの料金改定になったと思うのですよ。その場合に、先ほど来も申し上げておるように、その他を私どもが指摘をしたところが、それはそれなりに還元される、こう自動局長答弁して、いまの答弁では、何がしかが還元されているのじゃないか、こういう言い方ですから、そこらあたり非常に私は理解に苦しむのです。のみならず、あなたに申し上げてもこれはどうにもなりませんけれども、料金改定によって増収されたことは間違いないのです。それが正しい意味で、運輸大臣にも常に申し上げますけれども、その企業の基盤を強化しつつ、公益性の事業を行なっておるわけですから、その公共性にかんがみて、社会に貢献するようなことをやっているのであれば、私はあえて問題にしないのです。しかも、いまのお話を承っておりますと、なおかつそれでも足らないのであるなどと言うもし業者がいるとするならば、免許事業だけに、これほど政府補助政策といいますか、保護政策をとって、なおかつやれないというなら、やめればいい、免許を取り消せばいい。にもかかわらず、一面そういうことを言っておきながら、しからば増車の場合どうですか。今日でも増車の申請などは、アリが砂糖を求めるがごときたぐいのように、あなた方の下部機関の陸運局では、その問題の扱いに苦慮しているような実態ではございませんか。おかしいじゃないですか。やっていけないのに、しかもかなり資本を必要とする自動車事業が、一面においてはどんどんどんどん増車をして、監督機関が手に負えないようなことをやっておって、片一方では保護政策、補助政策を受けながら、なおかつやっていけないなどとうそぶいておるような業者などというのは、明らかに悪質だと思うのです。そういうものは免許を取り消せばいいのです。にもかかわらず、増車の申請に対しては、平気であなた方は既存業者にどんどんどんどんやっているではありませんか。ここに私は問題があると思うのです。陸運行政のあり方として、これは今日全国的に一般国民の批判の的になっているのです。既存業者だけ育成をする方向陸運局がある、とりわけ自動車局がある、こう言われているのじゃないですか。私はこれ以上申し上げようとはしませんが、ですから、あなたも、先ほど申し上げたような増車などについて、私からいま申し上げたことが確立されない限りは、フリーなどということではなくして、一切認めない、こういう方針の中から、少なからずあなた方がすでに指導はしておりますけれども、その指導の方向を強めていただきたいことを、この際私は申し上げます。答弁は求めようとはしません。  それからもう一つは、最近プロパンガスによる自動車かなり多くなってまいりました。これなども、プロパンは御承知のように税金がいまのところかかっておりませんから、ガソリン税の値上げなどということが問題になっておりますが、税金がかけられているガソリンよりはいわゆる経費として非常に経済的である、こういう角度から全国的にプロパンのガス自動車というものがかなり普及してきたことは、御承知のとおりです。札幌などでも、すでにプロパンのスタンドができました。そのことによって確かに経費は節減されて、もっと欲を言うと料金を下げるべきだ——それまでは私は言いませんけれども、そういう傾向と並行してプロパンの事故が増大をして、この間も大阪でこれに伴う大きな事故が発生した。こういうことについて、あなた方監督官庁はどうこれから指導しようとしているのか、この際、やはり国民は全部心配しておりますから、プロパンについては明らかにしてもらいたいと思うのです。
  83. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 乗務員の給与の改善につきましては、お話の点もっともでございますので、さらに指導を強化したいと思っております。  それから、プロパンガスにつきましては、御指摘のように、昨年、一昨年の末あたりから徐々に普及してまいりました。その間いろいろプロパンガス自動車事故もふえております。これに対しては、事故原因が、ボンベから機械の部分までまいりますパイプの継ぎ目が、震動によりましてボンベがゆれて、そこから漏れる、それが軍内に充満するという原因がほとんどでございます。それで、先般省令を改正いたしまして、新車——折らしく出ます車につきましては、プロパンの装置を、ボンベをただトランクに台をつけて載せるのじゃなくして、車自体に固定したものでなければいけないというふうに改めまして、これはこの一月一日から実施いたしております。それから、在来の車にプロパンを備えつけます場合には、半年の猶予を置いてやりまして、五月三十一日までに全部新車と同じように固定施設にして、六月一日からは固定施設でないプロパン自動車は走ってはいけないというふうにきめて、現在その実施をいたしておりますので、プロパンガスによる事故の発生はこれで防げると思っております。なお、パイプから漏れたガスが客室に入らないように、客室とトランクとの隔壁につきましても規制を設けまして、その防止を実施いたしております。そういうふうな措置を講じまして、六月一日からは、全車両固定施設によるプロパン自動車が動くことになりますので、事故は防げる、かように考えております。
  84. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 冒頭に申し上げたように、たくさんございますけれども、本会議関係がありますから、あと二、三点で終わりたいと思います。  その一つは、この法律では、提案理由の末尾にもございますように、非常に車両が増大をしてきて、検査場の設備の関係であるとか、あるいは検査官、登録官の要員が不足であるので、この法律改定して、特別会計をつくって効果をあげよう、こういうことになっている。そこで本質的な問題点については、相澤先輩からお話がございましたから、私はあえてここで申し上げませんけれども、この文章に書かれているような方向に、しからば今度の特別会計を設けて、十五億何がしかの財政規模でやって、伸びつつあります自動車検査あるいは登録事務、あるいは車検場整備をして国民の負託にこたえる結果になるかどうかというところに、私は非常に疑問を持つ一人であります。確かに文章は名文章に書かれておりますけれども、実態を見ますと、たとえば車検場の場合、六十一カ所が六十二カ所になるだけです。一カ所よりふえない、この資料では。間違いないでしょう。それから車検コースの場合も、従来は九十八カ所が百六ですから、八カ所より予定されていない、こういうことになります。しかも、既存の車検場あるいは車検のコースというものは、ここにも書かれておりますように、車の伸びと人の関係、こういう設備というものが相伴っていないために、いわゆる登録事務車検事務というものが渋滞をしがちである、こう書かれておりますが、これはそんななまっちょろいものではない。現実に地方を歩いて、私は先般も新潟でこの車検場を見てまいりました。札幌の車検場も見ました。あるいは鹿児島に参りましたときに、向こうの車検場を見せていただきました。いずれもこの名文章になっているような事実はございません。しかも、この特別会計で、いま申し上げたような数よりふえないとすれば、ないよりはましかもしらぬけれども、問題に私はならないと思うのです。先ほど来のお話を聞きますと、五カ年計画でそれぞれ国民の負託にこたえるような積極的な施策を施すと、こういうことですから、けっこうですけれども、この資料を見ましても、昭和四十四年になりますと一千万台をこえる、今日のちょうど倍になる。そうして反面、この前の整備法審議したときに、事務の簡素化、合理化等々で事務能率が上がるようにしておりますと、こういうお答えてございましたけれども、現実はそうなっていません。何といたしましても、登録事務などは人手がなければならぬのです。検査にしても、最終の検査の仕事などというものは人間でなければならぬような性格のものですから、私は人にかかってくると思う。人の関係どうでしょうか。たとえば、ことしと来年になりますと、すでに五十万台くらいの車がふえるという見通しなんです。これは二割くらいふえるわけでしょう。さあ人のほうはどうかというと、わずかに、この資料で見ますると、八十人ですか、これは検査要員のほうで三十二名、登録要員のほうで四十八名、合計八十名でしょう。そうすると、これは一割にも満たない要員なんです。ですから、いかにこの提案理由説明で、たいへんこの文章はりっぱにできておりますけれども、実態は私は伴っていないと思う。こういう資料を見て、この点は明らかだと思うのです。そこで、運輸大臣に申し上げるわけです。私は、去年の三月の十日の本委員会車両整備法審議するときに、強く要請をしたはずなんです、人の関係で。これに対して、運輸大臣は、三十九年度においては少なくとも五百人くらいの要員要求をする、そうしてわれわれが指摘した方向にこたえたい、こういう答弁をいたしておりますことを、私は去年のこの会議録を見ましていま思い出しているのですが、そのことがどうなされたかは別として、私はほんとうに賢明な運輸大臣を尊敬する一人でありますから申しにくいわけでありますけれども、残念なことにはその努力は見られないのじゃないかと、こう思うのです。しかも、本来的には一般会計でなされるべきものが、形を変えて特別会計で今度要員を満たしていく。去年は五十人、今度は八十人——三十人ふえた。去年より三十人ふえたじゃないか、こうおっしゃるのかもわかりませんけれども、運輸大臣のやり方で私はないと思うけれども、今日の池田内閣のやり方、私はすべてそうだと思うが、取りやすいところから金を取って、そうして当然政府の責任でやるべきことを国民のほうに何か転嫁をしておるようなきらいが非常に多い。この法律改正も、私はそのたぐいだと思う、率直に言って。あなた方が大蔵省と予算折衝に当たる場合に、大臣が積極的に私は御努力しておられると思いますよ。今度の場合も、去年の暮れに私は二十九日まで東京に居残って大臣にこの問題について強い要請をしたはずなんだ。だから、そういう努力をしておることは私も承知していますけれども、結果的には、大蔵官僚にはねつけられて行き場がないから、国民大衆、特に車の保有者に、わずかながら——そのわずかであるというお考えに立っているかもしらぬけれども、いわゆる手数料改定をしてその財源を求めているということ自体は、やはり私は転嫁していると、こう言ってもあえて過言じゃないと思うのです。ですから、先ほど相澤委員質問に対する大臣答弁は、昭和四十年以降にはまた努力をしてと、こう言っているんですけれども、去年のことしでさっぱり努力のあとがうかがわれないのに、私どもこれ以上信頼するわけにはいかぬのですよ。大臣、ぜひ来年度は、こんな二けたじゃなくて、せめてこの要員関係については三けたになるように、特段の私はこの機会に努力をお願いをしておきたいというふうに思うのです。  あわせて、立ったついでですから、この強い決意をひとつ伺っておくことと、もう一つは、政府の方針として公共料金のストップをすることにいたしました。私は、そのやり方は、物価値上がりの今日ですから、これで万全とは言えないけれども、よいことだと思うのです。思うのですが、このことに伴って、何か新聞紙上で見ますると、運輸大臣が告訴をされた、こういうことを私は新聞で拝見いたしたのでありますが、私は、告訴をされた内容と、それから若干新聞に出ておりますから承知しておりますが、そういう何かいやらしい、運輸大臣に圧力をかけて運賃を改定していくというような動向について、私は屈してならないと思うのです。こういう点で、この際やはり運輸大臣の、今度の場合も、料金の改定ということでないが、手数料値上げになっておりますから、ぜひその方向をこの委員会で聞かしていただきたい、これが運輸大臣に対する質問です。  それから、この法律の中で、結局は、大蔵省が一般会計で認めないから、つまり運輸省の末端の現場でたたき出した手数料によって要員を解決していこう、設備改善を行なって国民の負託にこたえよう、こういうことになっているので、私は、本質的には違うけれども、これはとやかく言いません。しかし、実際問題として、これと全く類似するつまり事務陸運局なりあるいは現場の陸運事務所で扱っている問題がございます。一つは、臨時に発行いたす臨時運行の標板使用手数料というのがございます。これが百円でございまして、五日間お認めをしていく——認可をする、許可をするといいますか。しかし、この事務の扱い量というものは、調べてみますると、大体全体の事務量の一割に相当するんです。一〇%を占めているんです。ところが、そのようにして同じ陸運局の陸運事務所の職員の人々がさなきだにいまたいへんな事務を扱っているときに、一生懸命汗水たらして扱ったこの関係手数料が、この収入から除外されているではありませんか。こういう点は、まことに私は理解できない、納得できない。全部これは大蔵省の収入に入る。  それからもう一つ、これは私は、税法を改正しなければならぬ問題ですから、ここでその改正まで言いませんけれども、自動車の抵当権を設定する場合の登録税の関係であります。これはもう御承知のように、千分の三納めることになっておりまして、この事務の扱いが陸運事務所でやっているのですから、大蔵省の厳密にいいますと委託事務のようなものだと思いますけれども、これがそのままそっくり大蔵省に吸い上げられているということについても、私どもは一〇〇%譲ってこの法律特別会計を認めるにしても、歳入の財源になっていないというところに釈然としないものがございます。これなども、木村局長かなり大蔵省との折衝の段階で御努力されたと思いますけれども、もっともっと私は、こういう正しいものについては、できるだけ財源にするようなことにさらに努力をされて、そういう中からも、さいぜん申し上げたような人の関係、あるいは設備改善の資金に充てる必要があるし、それが正しいのじゃないか。しかも、自動車の抵当権の登録税を扱う事務量が、これまた全体の五%に当たる事務量を持っている。大きな仕事をしている。ですから、こういう点ひとつ、木本さんはどう考えているのか、この際お聞かせ願いたい。答弁いかんによっては再質問いたしますけれども、私の胸にすとんと落ちるような答弁であれば、私はこれで終わりたいと思います。
  85. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 運輸大臣に対する御答弁を申し上げます。私は、すべての行政は結局人にありということを私の考え方として始終持っておるのであります。本年度予算折衝等におきまして、少なくとも登録事務検査事務に携わる方は三けたにしたいと思いまして、私少しオーバーに申したのかもしれませんが、私はなるべく三けたにするように努力いたしたのでありますが、どうしても成果を得られないことは、まことに遺憾であります。そこで、私は主として金の面で、定員の問題で、いつも給与と関連しますから、本提案をいたしまして、金の面で少なくとも大蔵省のやっかいにならないということで踏み切ったわけでございます。私は今後ともその考え方で、吉田委員の御指摘ごもっともでございますから、その線に沿って、この法案が幸いに通過いたしまして、所期の収入が得られるようになりますならば、私はそういう趣旨に従ってやってまいりたいと思います。  なお、臨時の面につきましては、事務当局からお答えさせます。
  86. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、それで告訴された話……。
  87. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) これは、開放自由経済のもとにおきまして、政府の一方的の力によりまして運賃その他をきめる場合におきまして、自由経済の原則に反することは、私はむしろ、先ほど来るる申されたように、適正な利潤を与えて、適正な企業を育成して、大衆に便利を与えるという趣旨ですべてやっております。私どもは、さらに大きな政治目的のために、公共料金を一年間ストップするということに閣議できめられたもので、了承いたしたのでありますが、その点につきましては、法律上いろいろ疑義があるようでございます。そこで、経営者といたしましては、やはり株主総会その他がありますので、善良な管理者としての注意に沿わないということになると、会社を経営する者といたしましても、そういう責任感の結果、訴訟その他法律的にこの解決を求めようといたしたのだと思います。私はその被告でございますから、その裁判の結果を待ちまして善処いたしたいと思います。運賃を上げぬほうがいいことはさまっておりますが、ただいま申しましたように、政府だけがかってに自分の力でできるガソリンの使用料、保険料あるいは軽油引取税等々を上げておいて、その運賃の形成の要素であるものを今度値上げして、運賃をおいといて、しかも交通の便利を与え、しかも業務を改善せいと言ったって、なかなか無理であると思いますけれども、運賃は上げないにこしたことはないのですから、私は上がらぬことを希望いたしますが、るる申しましたような事由によりまして、適正な運賃、したがってそれによってサービスが向上し、企業が円満に発達しなければ、いわゆる交通の使命というのは達せられないのでありますから、裁判の判定の結果を待ちまして、両々うまくいくようなふうに考えてみたいと思います。これはなかなかむずかしゅうございますが、一方において吉田委員のように値上げすべきにあらずという御意見も立つかもしれませんが、私は判決を待ちまして適当に善処したいと思います。
  88. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 自動車検査登録の業務に伴います予算関係特別会計の形でやっていこうということにつきまして、実は長年にわたってわれわれは研究してまいったわけであります。今日国会内でも特別会計の問題が非常に議論を呼んでいるようでありますが、私どもも初めて特別会計というものを主張いたしまして、昨年政府案としてきまりますまでに、特別会計というものは非常にたいへんなものであるということを身をもって深く体験いたしたわけでございます。ただ、これから業務量がますますふえていくのに対しまして、車の持主に対するサービス行政の実をあげるためにも、またそれに携わります職員の負担を幾らかでも軽くして仕事ができるようにしてやりたいという二つの考えから、相当の抵抗はございましたけれども、みんなで力をあわせてようやく政府案の決定まで持っていったのであります。その間の折衝の過程におきまして、今日御審議いただいております特別会計のワクの中に入るべくして入っていないとわれわれが考えているものがあるわけでございまして、それはただいま吉田先生から御指摘になったようなものがそれでございます。当然われわれは当初はこういうものを対象に入れて議論してまいったのでありますが、非常に特別会計論がもめまして議論百出いたしました。しかし、どうしても特別会計だけは何とか三十九年度で政府案としては設けたいということから、ある部分につきましては問題をやむを得ず今後に持ち越さざるを得なかった面もございます。ただいま御指摘の臨時運行許可手数料の収入が特別会計から結果的にははずれましたが、こういう問題につきましても、とにかく特別会計制度をこの際まず確立をいたしまして、そこでわれわれが要求をし主張をして、足らなかった点はこれから根気よく逐次努力いたしまして、当初われわれが考えたとおりの特別会計の実を備えていきたい努力を今後に残しまして、一応今国会に提出するまでにようやく持ち運んだようなわけでございまして、足らざる点はわれわれも十分わかっておりますので、今後この実施につきまして、毎年足らざる点を少しずつ補いながらますます充実したものに持っていきたい、かように考えております。  なお、抵当権の登録税につきましても一応考えたのでございますが、ただいまも御指摘のように、法律改正等のことも考えられますし、一応手数料のような実態でございますが、形式的には税金ということにもなっておりますので、これも一挙に問題を昨年未解決するだけの時間的余裕もございませんでしたので、割愛せざるを得なかったということでございまして、昨年の初めて特別会計をこの曲府部内で折衝いたしましたときに痛感いたしました足らざる点を十分心得ておりますので、今後さらに努力いたしまして、補足的に充実していきたい、かように考えております。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連。
  90. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記とめて。   〔速記中止
  91. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記つけて。
  92. 大倉精一

    ○大倉精一君 せっかくの機会ですから、関連してお尋ねしておきたいと思うのですけれども、先般も予算委員会の分科会でお尋ねしましたが、公共料金、運賃の値上げストップの問題ですけれども、いまも吉田委員質問に対する御答弁、どうも私は歯切れが悪いと思うんですね。そこで、運賃料金というのは、むろんこれは認可制度になっておりまするから、政府においてこれは運賃料金というものは責任を持たなければならぬと思いますね、自由なものではありませんから。そこで、現状というものが、民間のハイヤー、タクシーなり、トラックなり、バスなり、通運なりというものに対して料金をストップしておいて、そうして公益性を十分発揮し得るようなそういう状態ができるかどうか。先般の質問のときには、木村局長は、たとえばというお話から、通運の場合には駅ごとに査定をして料金を上げる、こういうぐあいにおっしゃっておりますけれども、やはりそういうようなことを聞くというと、現在では通運料金手放しでもってストップということには、これは非常に問題があるのではないかと思いますが、大臣いかがでしょう。
  93. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 非常に私もその点苦慮いたしておるのでございまして、同じ事業に対しまして、Aのところにおきましては違い、Bのところにおいて違うというようなことは、なかなか行政上むずかしいので、何か名案がないかと、せっかくいま苦慮しておるところでございます。
  94. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、大臣としては、現在の路面交通——ハスその他ですね、運賃値上げをしなければいけない、こういうぐあいにお考えになっておるのか、あるいはしなくてもいいというようなぐあいにお考えになっているのか、どちらかをお聞かせ願いたい。
  95. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) ちょっといまのお話、聞き取れなかったのですが……。
  96. 大倉精一

    ○大倉精一君 一年間ストップして、そうしてハイヤー、タクシーなり、トラックなり、バスなり、通運なりというものは経営に差しつかえないと、こういうぐあいにお考えになっているのか、その点を質問しているわけです。
  97. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) たびたび申しますように、いまの場合におきましては、まあ忍びがたきを忍んでいただきまして、この値上げムードを押える内閣の方針に沿っていく、かように考えておるわけでございます。
  98. 大倉精一

    ○大倉精一君 私も値上げには反対です。反対ですが、ただ精神訓話だけでしんぼうしろ、これは無理だと思うのです、経済は生きものですから。ですから、ストップするならするで、やはりそれに対する手当てをしていく必要があるのではないか、責任があると思うんです。で、通運にしろ、トラックにしろ、あるいはバス、ハイヤー、タクシー、これはあなたが免許したのですよ。国家が免許した事業でありまするから、これをただ精神訓話だけで一年間がまんせいということになると、これは公益企業としての機能が果たせないという心配がある。この間からの答弁を聞いておりますと、大臣としては値上げをしてはならぬというぐあいにお考えになっていると私は受け取る。そうしたら、値上げしない場合の責任は、みずから免許した事業に対しての大臣の責任はどうなるのかというところにくるわけですね。
  99. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 御指摘の小さな、いわゆる中小企業につきましては、閣議決定に際しましても除外例がありますから、いまその実態調査いたしまして、経済閣僚懇談会にはかつて、そうして経営が成り立つようにすべく努力いたしたいと思います。
  100. 大倉精一

    ○大倉精一君 それもこの前局長から聞きました。聞きましたけれども、中小企業あるいは零細企業の経営の成り立っていかないものについては考慮ずるということですけれども、たとえば通運の場合とか、あるいはトラックの場合、あるいはタクシーの場合でもそうでありますけれども、同じ地域で料金を上げるものと上げないものが出てくるというと、これはたいへんな混乱になる。この前の答弁では駅ごとにやるとおっしゃったが、通運の場合日通も含めてやるのか。日通は大企業ですよ。閣議決定のワクに入っていない。そういうことになるというと、これは非常に混乱になると思うんです。そういう行政をあえておやりにならなければならないというところに、一年間運賃ストップの非常な無理がある。それよりも、何かほかに手当てをしなければならないでしょう。そういうような駅ごとにやるというようなかっこうが、はたして混乱なしに行なうことができますか。運賃値上げをしたほうがかえって自分のお客をとられてつぶれますよ、ばらばらになって。こういう点は、この前も分科会で言ったけれども、それなら通運という一体の線は地域ごとに運賃料金をきめるということも考えられると思う。ですから、地域差いろいろありますが、地域一本にするという問題があると思うんです。そういう点はお考えはいかがでしょう。
  101. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 御指摘のように、現在当局が考えております方法は決して賢明な方法ではないということは十分存じておりますが、抑制された一つの制限の中で、何とか苦しい業者についても解決してやりたいと考えれば、いまの現状では実はそういう方法しかないわけです。したがいまして、これでいつまでも行っていいとは考えてはおりません。いまのきびしい物価高騰抑制の政府の政策の中でやる場合でございますので、まことに拙劣なるやり方かもしれませんけれども、やらないよりかその経営の苦しい事業主のために役に立つという非常に苦しい考え方であります。御了承願いたいと思います。
  102. 大倉精一

    ○大倉精一君 それで、たとえば公営バスのごときは政府でもって起債のワク等をめんどうを見ることになるんですけれども、民間のほうに対しては何もめんどう見ないんですね。ごしんぼう願うということだけですよ。これでは、さっき吉田委員が言ったように、あるいは訴訟なども起こってくるということになるんですが、これは何か政府のほうで、こういう混乱した行政をやるよりも、もっと考え方があるんじゃないでしょうか、めんどう見る考え方が。今度ガンリン税を、ストップする間はこれは免除すべきだとこう思っておるが、予算関係があってできない。何かこれに対処する措置をしなければならぬのじゃないか、それが運輸大臣の責任だと思うんです。
  103. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) その点につきまして、公営のバスその他の公共事業につきましては、自治大臣運輸大臣、大蔵省の間において、何らかの救済措置をすべく、いませっかく準備して折衝中でございます。それに準じまして、私営のバスにつきましても、このことによって、すなわち運賃をストップしたことによって、私営バスその他におきまして、運賃におきましてどのくらいな損失があって、どのくらいな資金が足りないのか、どのくらいな損害があるのかという調査——運賃ストップ令によりまして、この損害の程度を各社に申し出るようにして、その総額がわかりましたときに、それに対する私営と公営との差がないように、公営バスに救済の手段を講ずると同じ程度のことをやって、それをまたやるべく、経営が著しく危殆に瀕したものについてはこれを考えるという措置を講じていきたいと、かように、いませっかく調査をして、どのくらいな収入減になるかということを各社に出すように要求しておるのでございますが、いまだに出してこないのであります。この金額がわかりますれば、私どもとしても公営バスと同じようなことの救済手段を講じていきたいと思っております。ただ、その間におきまして。ただいま訴訟が起こされておりますので、その結果等を考えましてやっていきたいと、かように考えております。
  104. 大倉精一

    ○大倉精一君 私営のバスのことはわかりましたけれども、それではほかの私営の路面を走る事業に対してはそういう調査はされておりますか。それはバス以外のものはやらないのですか。
  105. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) バス以外の問題につきましては、私どもはまだそういうなにはやっておりません。と申しますのは、とりあえず交通料金のうちのバスの運賃の値上げのストップをいたした事実にかんがみまして、ただいま申しましたように、私営のバス事業に対する施策を考えてまいりたい、かように考えております。
  106. 大倉精一

    ○大倉精一君 同じ公営企業であるところのバスとハイヤー、タクシー、トラック、通運等、どういうふうにそういう差別はされているのですか。たとえば人員輸送にしましても、ハイヤー、タクシーもやはり人員輸送ですね、これはやはり。ですから、そういう業種によって差別されていくということは、何か特に理由がありますか。
  107. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 大臣の申し上げた点を補足さしていただきますと、特にバスにつきましていろいろそういう施策について検討いたしておりますのは、六大都市の公営、それと競合しておる大手のバス会社、これは理由のいかんにかかわらず一年間ストップ、その他の公営事業につきましては、経営が著しく困難なものについては経済閣僚懇談会にはかって必要なものは認めるということになっておりますので、そして六大都市の公営及び競合します大手のバスはいかに経営が苦しくても絶対やらないということになっておりますので、それで区別をつけて検討いたしておるわけであります。
  108. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは答弁は要りませんが……、(「議事進行」と呼ぶ者あり)ああいう発言もありますので、私はこれで終わりますけれども、答弁は要りません。要りませんが、十分に特に大臣責任を持って検討してもらいたいということを申し上げます。  いまの運賃ストップということと、それから物価政策、そういうものはちぐはぐです。たとえば、民間のおとなしいほうはストップする、政府のふところへ入っておるのはどんどん上げていく、こういうところに矛盾がありはしませんか。真剣に考えてもらいたいと思います。  それから、さらにまた、自動車行政として、先ほど吉田君がプロパンガスの質問をしておりましたが、これも矛盾ですよ。あれは危険であるから今度一月一日から何か固定的な施設をすると、こう言う。従来も、ボンベのほうは五月三十一日ですか、それまで猶予してやる。一月から五月の三十一日まで安全なんですか、そういう危険なものをなぜ許可したのですか、こういうことをひとつ考えてもらいたい。それから、あるいはまたタクシーの——これは分科会でもやりましたけれども、増車の問題でも、増車の免許については反対だったようですが、つまり運転者はあとから工面するとして、需要が非常に多いから、とりあえず車両をふやす、こういうことをおっしゃる。車両をふやしても動きません、人間がいなければ。逆に、運転手さえ増加すれば、車はいつでも動く。こういうところに矛盾があるから、これを十分ひとつ検討してもらいたい。こういう矛盾から、この路面交通のあらゆる弊害が起こっており、また問題点があるわけですから、自動車行政は非常に重大な行政でありますから、特にひとつ格段の御検討をお願いしたい。答弁は要りません。
  109. 米田正文

    委員長米田正文君) 他に御発言がなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見がなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  道路運送車両法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  112. 米田正文

    委員長米田正文君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時五十五分散会    ————————