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吉田忠三郎君 ただいままで先輩の
相澤先生から各般にわたって
質問がございましたから、私は、できるだけはしょって、ダブらないように二、三の点をお伺いをいたしたいと
考えます。
提案の際、さらにはただいままでにもかなり質疑応答で明らかになりましたけれ
ども、
国際観光協会の私はあり方の問題、あるいは
国際観光そのものにもかなりいまだ問題が内包しているんじゃないか、こう
考えます。しかも、その問題は、政治的に見て一体那辺にその問題が存在しているのか等々も
考えてみますと、ここでかなりの時間を費やして、ある意味におきましてはお伺いし、ある意味におきましては意見を申し上げまして、
局長あるいは
政務次官の御高見を拝聴したい、こう
考えますけれ
ども、そろそろ、
委員長が当初はかったように、かなり時間が進行しておりますから、こういう点はいつかの機会にまたあらためて私なりの意見を申し述べたい、こう思っておるところであります。
ともあれ、最近
日本を訪れます
外国人のお客さんは年々歳々ふえてまいりましたことは、各位御承知置きのとおりであるが、去年だけでも三十万人にものぼる方々が
日本においでになりまして
日本の
観光をいたした、こう
資料には出ております。しかも、この人々が
日本での消費をいたしました金額などは、私
どもの想像をはるかにこえるものでございまして、たいへんなものだということは、先般本
委員会であっ旋業法あるいは
ホテルの
整備法等を審議した際にお願いをいたしました参考人の
日本交通公社の津田参考人の言葉の中にもございました。具体的に参考人はこの
委員会で申し述べて、外貨の消費額は為替ベースにして六千五百万ドル、消費額のベースで一億五千万ドルもある、こういう非常に私
どもとしては参考になりまする意見を拝聴をいたしたわけであります。しかも、つけ加えまして、本年は東京
オリンピックの年でございまして、こういう
関係を控えて、今日各
関係の人々は、大体
日本に参りまする
外国のお客さんというものは五十万をこえるのではないかと、そういう想定でそれぞれの分野で準備したりあるいは計画を立てておる、こう言われたわけなんです。さらに、ただいまの御答弁にもございましたように、香港の例などをあげましたが、
日本の場合もかなり、さいぜんから申し上げておりますように、外人客がふえてまいっておる。その
傾向は、非常にりっぱな私は
資料だと思いますけれ
ども、この
資料を見ましても、一目瞭然に私
どもは認識することができるわけであります。おおむね
昭和四十五年くらいまでには百二十五万人という、私
どもはこれまた想像もつかないほどの人が来るであろうという目標に向かって計画を進めているのである、こう先般の
委員会で津田参考人が申されました。
さて、そういう客観的な事情の中で、しからば
日本の
国際観光というもののあり方は一体どうあらねばならないかと、こういうことがやはり非常に国民全体の問題として私は問題になってくると、こう思うのです。そこで、私は、その
国際観光というものは一体何かというふうに
考えてみますると、
一つには
国際親善の発展に私は寄与するものだと、こう思います。それから
二つには、先ほ
ども政務次官が申されましたように、
わが国の
国際収支の改善に大きく貢献いたしておりますことは、すでにもう先輩の各位でございますから、これもまた申し上げる必要もないことだと思うのです。さて、この
二つの大きな目的といいますか、眼目といいますか、これらの問題を達成するにあたっては、私は必ずしもそう楽観したものの見方で対処していくのでは達成できない。現に、
相澤先生もいま指摘いたしましたように、たとえば
在外事務所の
関係にいたしましても、出先の
運輸省の
職員の数にしても、あるいは予算の
関係におきましても、しかもいまこの
法律を
改正をして——私は
ジュネーブに
在外事務所を一カ所設けることについては心から
賛成するものであります。このことは別に、つまり
観光協会なる
機関に対する
補助の
関係にいたしましても、
資料を見てもおわかりになりますように、一四ページに掲載されておりますが、わずか六億に満たない、まことに少ない金額になっておるように掲載されております——五億九千二百万円ちょっとぐらいですね。こういう程度ですから、こういう面から見ても容易ではないと思うのです。しかも、私は参考人の例をたびたびあげまして恐縮ですが、先般の津田参考人のお話にもございましたように、この人々が
日本においで願う場合にどういう経緯で参るかというと、結果的には
あっせん業の手を経て
日本に
観光におもむく率というものは、去年のかりに三十万人といたしましても、八割が
あっせん業の手を経て来る。こういうことになりますと、私は必ずしも、
運輸省が
観光局長を中心にいたしまして今日まで懸命な努力をされておったことは認めますけれ
ども、こういう明らかな数字から見ましても、その目的が達成されたものだというふうには
考えないのであります。したがいまして、将来かなり私はいま申し上げましたことを含めまして問題があると、こう言わざるを得ません。
たとえば、
一つには、
在外事務所の
関係の問題がございます。これなどは現在十三カ所、今度この
法律が制定されまして一カ所
ジュネーブに設置されたとしても十四カ所だけでございますから、
事務所の数によって私はその
事業の内容というものは即判断をすべきものではないと思いますけれ
ども、アメリカであるとか、あるいはスイスであるとか、イギリスであるとか、あるいはドイツ等々のことなどを比較いたして見ましても、問題にならない数だと思うのです。
国際観光の
重要性については。
相澤先生から申されましたから、あえて申し上げませんが、かく重要な
日本の
観光産業の
一つになってきました事柄だけに、私はこの
事務所の問題を、やはりいやおうなしに取り上げてみなければならぬ
一つの問題ではないか、こう
考えるわけです。
それからもう
一つの問題は、やはり
あっせん業の
関係が問題になってくると思うのです。具体的な数字等については、先ほど申し上げましたから、申し上げませんけれ
ども、とにかくこの人々をどうあっせんするかという問題は、やはり
一つの問題点になることだけは間違いないのではないか。過去の実積等を見ましても、そういうことが言い得るのではないか、こう思うのです。
それから第三番目には、
宣伝活動の問題、これまた申し上げる必要なかろうと思いますが、つまりPRの問題ですが、幸い
運輸省当局としては、何かこの
海外のPR活動の強化、こういうことで、
国際観光振興策を
政府としてまとめた一こういうことを、過般の二十四日に、そういう
関係の人々がお集まり願って会議をいたしまして、具体的なつまりこの
国際観光の
振興に対する施策をきめた、こうまあ新聞に出ております。たいへんけっこうなことでございますが、私
どもはこの新聞の内容だけではなかなか判断がつきかねる面もございます。そこで、この問題について——
観光局長もこれを見ますると出席をいたしておるようでございますから、できるだけ本
委員会に、この活字だけではなくして、もう少しこの点については御
説明を願い、あるいはある意味におきましては報告を私はしていただきたいというふうに思うのです。とりわけ
外国人の
観光客の
誘致ということを
一つの問題として提起いたしておりますが、「
海外観光宣伝活動の充実強化=
日本紹介
事業など広報活動の強化、
日本観光協会法を
改正し、」——ただいまここに提案されておる、この意味だと思いますけれ
ども、「
改正し、
組織を強化するとともに、三十九年度に
ジュネーブに
日本観光協会の
海外宣伝事務所を新設、このほか
外国放送の利用による
日本の紹介などを検討する。」こうまあ新聞で明らかにされておりますから、この際はこの面だけ私は取り上げますけれ
ども、
ジュネーブに一カ所
海外事務所を新設して、一体この新聞のタイトルに出ておりますような「
海外のPR活動強化」などという強化に当てはまるのかどうかということがまだ
一つと、それからもう
一つには、「
外国放送の利用による
日本の紹介などを検討する。」こういう、ことですから、具体的にこの検討がその後どうなされて、しかもその計画がどのようになっておるのかということをここで明らかにいたしていただきたいと思うのであります。
それから第四番目の問題点というのは、やはり
国際観光だけに、出入国に関する査証の相互免除等々の——これは外務省に
関係することでございますけれ
ども、かなり私は問題があろうと思うのです。この表を見ますると、たとえば二ページで、確かにアメリカの
観光客が多い。それからイギリスもかなり多い。あるいはまたドイツもかなり多い。しかし、カナダがまたかなり下がった数字になっております。ですけれ
ども、私
ども諸
外国に行ってみまして、カナダもかなりヨーロッパにおきましては
観光客の多い国でございます。これなどを
考えてみても、やはり
日本とカナダとの査証
関係についての協定などというものはまだ未協定だと、私の調査の範囲では知っておるのですが、こういう事柄がやはり災いをして、具体的にカナダからの
観光客などというものは少なくなっておるのじゃないか、こう思うのです。こういう点も含めて、とにかくこの査証など相互免除していく、こういう問題等がかなり私はあろうと思うのです。ですから、こういう
関係、それから時間がありませんから一括
質問いたしますけれ
ども、
補助関係の問題で先ほ
ども触れましたように、
観光協会に対するつまりこの
補助の
関係につきまして、まことにわずか五億か六億何がしかの金では、問題に私はならないと思うのです。やはり
日本の国は、私のほうの
考え方ではございませんけれ
ども、とにもかくにも開放経済体制の中にいやおうなしに進みつつあるし、入らなければならない。こうした
国際貿易の自由化に伴いまして、やはりこの
観光事業といえ
どもその余波をかなり私は受けるものだと思うのであります。そういうときに、いまのような
政府の姿勢、いまのようなつまり
運輸省の
観光施策では、私は太刀打ちできないと思う。ですから、こういう
関係、みずから国の
財政規模、
財政事情等を
考えて、その限界があろうと思うけれ
ども、さいぜん
相澤先生がおっしゃったように、
一つの
観光産業である——これについては
政務次官からもかなり積極的な答弁がございましたから、心から喜んでおりますけれ
ども、そういうことであるとするならば、もっともっとこういう
補助政策につきましても積極的に前向きの姿勢がなければならないのではないか、こう思うのであります。
それから
在外公館、あるいは
機関、
在外事務所等の関連でございますけれ
ども、
運輸省もたしか、
在外事務所はここにございまするように十三、あるいは今度の
ジュネーブを含めまして十四、こういうことになりますが、その他に
民間機関として
在外に
事務所を置いておりまするたとえば
交通公社の
関係、こういうところの
関係は、先ほど言ったように、
外国のお客さんを八〇%もその人々の手によって扱ってきておるが、さて
在外の
事務所はどうかというと、この
資料にもございますように、まことに少ない——わずか四カ所あるいは五カ所程度のものよりない。しかも、そういう悪条件を克服をしながら、いま申し上げたように、ほとんど八割程度
日本においで願うお客さんのお世話をする。そういうことの、直接間接的に
政府の施策に
協力を私はしておりまする
機関だと思いますが、さて
補助関係になりますと、私のこれは認識不足かもわかりませんが、しかし、この一四ページの
資料を見てまいりますと、
昭和二十九年までは、
交通公社に対しても、どういうことになりますか、四千二百万ですね。それで、全
日本観光連盟、当時あったんでしょうが、これには九百万そこそこ。こういうことになって、その後は、
国際観光振興会といいますか、
国際観光協会といいますか、こういうところにのみ集中して、
政府の国庫
補助関係というものは、その
推移を見ましても、ないような気がするのです。で、これはまあ、いろいろな先ほ
ども言ったような国の
財政事情等々がつまりこういう面にも反映してできなかったのではないかというように善意に解釈してみても、何か私は不自然なような気がするのであります。
そこで、私は
一つ意見を申し上げるわけでございますが、
運輸省の出先
機関が、つまりこの現在既設のものが十三、それから外務省の
関係になりまするけれ
ども、
在外公館がかなりのものが
外国にございます。こういう
関係な
ども直接
財政事情によって
補助ができないとするならば、先ほど来の
宣伝活動と相関連して、つまりこういう資力、信用のおける
日本交通公社などというものが、かなりその
在外事務所をつくるためには資金その他で非常に問題がやはりこういう
事業を行なっておる企業といえ
どもあろうと思うので、そういう面を
考えまして、無形の
補助をしていくという、いわゆる助成をしていくというような
立場で、
在外事務所であるとか、あるいは
在外の公館等々を、この間の鉄道公団法じゃないけれ
ども、無償で貸しつけていくというようなやり方、あるいはまた有形無形の、
運輸省の出先の人々、あるいは
在外におります公館の外務省の
関係の諸君が
協力するというような態勢をとってまいらなければ、かなり強大な、たとえばアメリカのような
観光のやり方、スイスのようなやり方、あるいは北欧三国のやり方、英国においてしかりです、等々の向こうの
観光施策には私はとうてい太刀打ちできない、こういう
考え方から、いま申し上げたような
一つの
考えを持っているので、これに対する
観光局長の
考え方をこの際御答弁願いたいと思う。
それからもう
一つ、この
法律の
条文そのものに入りますけれ
ども、十九条の
関係でございます。
相澤先輩が、これについての具体的な構成員であるとか、あるいは学識経験者についても触れましたが、私はそれはそれとして、もっと
政務次官が答弁をいたしたように、お説ごもっともである、できるだけそのようにしたいと、こういう答弁なんで、できるだけという、そういう抽象的なことでは、これはいつの場合でも国会答弁としてその範疇より
政務次官が出ないのかしれませんが、もっと私はこれは具体的にこの
関係については出していいのではないか。これまた
一つの私は例を取り上げますけれ
ども、ただ単に
日本の
観光の、とりわけPRの活動も含めて諸
外国における
観光宣伝などというものは、
日本のこれに関連いたします各種産業といいますか、企業といいますか、そういうものを助成しつつ
国際収支に貢献させるという目的だけで私はないと思う。やはりこの面を通して
日本を広く紹介をする中から、
日本というものを十分に認識してもらいたいというものもあると思うのです。で、私は一九六〇年にアメリカの教育の都でございますクリーブランドというところに参りました。そこの教育
委員会に参りまして、いろいろ教育についての勉強をさしていただきましたが、
日本でいえば大体性格的に文部省のようなところではないでしょうか一そういうことは別にして、驚いたことには、向こうの各教育
関係者が集まって私に幻灯を見せてくれた、その幻灯が、
日本の子供たちはまだかすりの着物を着たり、あるいは貧乏で——確かにアメリカから見ますと
日本は貧乏なことは間違いありませんが、貧乏で楽器などを買い求めることができなくて、なべのふたをはたいてタンバリンのかわりをして音楽を習っているのだなどという幻灯を見せられたわけです、私は。いいですか。そこで私は、これは違うと、もはや
日本はその生活様式、生活態度というのは欧米と何ら変わりませんと、子供のころからみんな洋服を着て学校に行っているのであると、だから
日本の着物などというものは、古典的な
日本の文化の保有のためであるとか、あるいは特定の人々は和服などという高級なものを買い求めて
一つの趣味で持っておる程度で、大多数というものは、もう日常の生活、それからいま言ったようなある
一つの作業をする場合においても洋服を着用しつつやっているのであるし、たとえば学校教育の
一つの音楽をとらえてみても、楽器などはああいうなべぶたをたたいたりしているのは、これは戦後の混乱期にいなかでそういうことはあったかどうかは別として、これをすべて見て、
日本の生活状態、
日本の文化の状態はこうであるとするなら、たいへんなあなた方は、外交上も、あるいはすべてのアメリカのつまり
日本に対する政策のあやまちを来たすと、こう私が言いましたら、きょとんとしておりました。こういうことですから、こういう事柄だってやはり、
国際観光の面を通じて、私はいわゆる
宣伝活動の強化などというものを取り上げたというゆえんのものは、こういうものも含まれているんじゃないかというふうに
考えまして、さいぜんから実は
一つの具体的な
交通公社——特定のところを申し上げてたいへん恐縮でしたが、
交通公社という
一つの名前をあげて申し上げたようなわけなんです。ですから、ぜひこういう
関係の面は、皆さんの特段の御努力を願うと同時に、それのやはり基本となるものは
政府、
運輸省、
運輸省の
観光局が具体的な施策を樹立しますけれ
ども、それに諮問いたすといいますか、そういう
関係のものがこの十九条に載っているんで、そこでそのメンバーの
関係になるわけですが、
観光局長の答弁では、
会員であらねばそのメンバーになれない、こういうことで、これはお説ごもっともだと私は思うので、だれでもかれでもというわけにはまいらないと思います。しかし、いま申し上げたような事柄が非常に重要でありますことと、それから、アメリカあたりは、これは
局長、あるいは次官も、皆さんおいでになったと思いますけれ
ども、向こうでは、あまりこういう点では、第何条にこう書いておって、附則にはこうなっておる、省令にはなどなどというようなことを、確かにアメリカという国は、これはデモクラシーの国であって、それだけにやはり
法律というもの、あるいは州の条例といいますか、そういうものもきびしいけれ
ども、事の運営、運用ということについては、かなりこれがつまりその、国の得策であるということになりますと、積極的に法なりあるいは規則なりの解釈を善意に解釈して活用している面が多々あるのです。ですから、私は、このメンバーは、アメリカでも、英国でも、あるいは
観光の国だといわれるスイスなどでも、明らかにその
関係者を運営の
委員に入れております。ですから、この際、先般のあっ旋業法あるいは
ホテルの
整備法等々を審議したときにも、ややそういう面の質疑応答がございましたけれ
ども、端的に具体的なものが出てきませんでしたから、私はここであえて申し上げますけれ
ども、こういうメンバーには、
日本の
国内の審議
委員等々の制度がたくさんございますが、いずれもそういうところには
関係者の代表を入れております。私も地方でそういう
委員をやった経験がございますが、代表者を入れている。ただし、その場合、たとえばこれから審議してまいらなければならない道路運送法に基づきまする自動車の協議
委員会などというものがございます。前は、われわれが任命されたときには審議
委員といっておりましたが、そういうものにもやはり業界代表が、たとえばトラックの
関係、ハイヤーの
関係、そうして私が出ておりましたから、私は何も学識がないのだけれ
ども、学識経験者などという名前をどっかで運用してくっつけたと思いますけれ
ども、明らかに私はつまり利用者代表、労働者代表で入っていった経験等もございます。ですから、私は、この運営審議会ですから、運営をする審議会ですから、ぜひこういうところには
あっせん業代表あるいは
ホテルの代表あるいはそこで働く人々の労働者の代表等々を入れて、名実ともにそういう
関係者を網羅をして、この運営、運用のあやまちを犯さないようにしていくことがより賢明なやり方ではないのか、こう思いまするので、私は先ほどの
政務次官の答弁では満足しないのです。もう少し具体的にこの点については明らかにしていただきたいと申し上げまして、とりあえずの
質問を終わりたいと思います。