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1964-03-19 第46回国会 参議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十九日(木曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     米田 正文君    理事            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            天坊 裕彦君    委員            江藤  智君            加賀山之雄君            野上  進君            村松 久義君            相澤 重明君            岡  三郎君            小酒井義男君            浅井  亨君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    運輸大臣官房長 佐藤 光夫君    運輸省船舶局長 藤野  淳君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小型鋼船造船業合理化臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提  出)     —————————————
  2. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいまから委員会を開会いたします。  中小型鋼船造船業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、補足説明を聴取いたします。藤野船舶局長
  3. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 提案理由補足説明をさせていただきます。  わが国の造船業は、昭和三十一年以降その生産高において世界第一位を占め、海運進歩発達及び国際収支の改善に貢献し、国民経済発展に大きく寄与しております。これら造船業のうちその合理化のおくれている中小型鋼船造船業に対しましては、昭和三十四年中小型鋼船造船業合理化臨時措置法が施行されて以来、同法に基づきまして、お手元に配付いたしました資料のとおり、合理化基本計画及び同実施計画を制定し、合理化に必要な資金として現在まで五ヵ年間に、日本開発銀行及び中小企業金融公庫に対し財政資金約十七億円の融資あっせん一般会計予算約二千三百万円及びモーターボート競走法第十九条交付金約三千五百万円をもって、技術向上及び経営合理化指導等施策を講じてまいりました。このほか、金属加工機械金属工作機械及び運搬設備等重要機械について、約三億五千万円の特別償却を実施し得るように措置いたしました。  これらにより、中小型鋼船造船業合理化を推進してまいったのでありますが、最近における中小型鋼船造船業状況本法制定の際基準年次といたしました昭和三十三年度におけるそれとを比較いたしてみますと、次のとおりであります。  まず第一に事業者状況についてでありますが、昭和三十四年三月末現在二百十七企業であったものが、三十八年三月末現在は三百四十二企業と約六〇%増加しております。増加した企業のほとんどは、木船造船業との兼業企業であります。資本金別に比較してみますと昭和三十三年度に五千万円以上であった企業は十三でありましたが、三十八年三月末には十八となっております。  第二に生産状況についてでありますが、昭和三十三年度の竣工実績五百四十一隻十六万八千総トンに対し、三十七年度は一千二百六十一隻約三十万総トンと倍増いたしております。昭和三十八年度上半期の実績は六百七十七隻約十四万総トンと三十七年度の横ばいに推移しています。このうち、輸出につきましては、昭和三十三年度の四十四隻二万八百十四総トンに対し三十七年度は二十三隻一万三十総トンと減少いたしておりますが、三十八年度は隻数、トン数ともに三十三年度における実績を上回るものと推定されます。  なお、修繕実績は、昭和三十三年度約七十五億円に対し、三十七年度におけるそれはドック等修繕設備の増設及び近代化により百二十億円となっております。  第三に雇用状況についてでありますが、総トン数五百トン以上また長さ五十メートル以上の鋼船建造または修繕することができる施設を有する工場の昭和三十三年十月末における常用雇用者及び臨時雇用者は、一万八千四百十六名であるのに対し、三十八年七月のそれは一万九千四百九十九名となっております。  これら雇用者のうち、常用雇用者出勤率平均労働日数平均超過労働時間等は三十三年十月におけるそれと三十八年七月におけるそれはほとんど差はありませんが、一時間当たりの賃金は、三十三年十月におけるそれが八十三円なのに対し、三十八年三月におけるそれは百三十円となっております。  なお、中小型鋼船造船業の全雇用者は、昭和三十八年七月末現在約三万一千人であります。  第四に設備近代化状況でありますが、昭和三十三年度以前はほとんど見るべきものがなかったのでありますが、法施行以来合理化基本計画及び実施計画に基づきまして、造修用機械八百六十六台、運搬設備二百七基、ドック等二十二基、電源設備その他の設備の設置が行なわれ、その近代化がはかられました。  第五に合理化目標達成状況についてでありますが、まず生産費低減については、合理化目標は一〇%以上となっておりますが、昭和三十八年度末には約六・七%低減するものと思われます。  次に技術向上につきましては、安全性能を確保するための技術については、大部分のものはほぼその目標に到達していると思われますが、経済性能の高い船舶建造技術及び生産費低減に役立つような技術については、いまだ目標に到達しておりません。  いままで申し述べましたことは、中小型鋼船造船業現状等についてでありますが、最近自動化船等建造要求が中小型鋼船の分野においても強まり、これに即応するための新たなる造船技術が要請されている次第であります。  このような中小型鋼船造船業現状と最新の造船技術要求にかんがみ、現行法目的とする中小型鋼船造船業合理化を達成し、船舶輸出の振興と海運業の健全な発達に寄与するためには、中小型鋼船造船業について、昭和四十一年度末を目標とする合理化基本計画を策定するとともに、合理化施策を講じ、当該事業合理化に対する政府の決意と責任を明確にする必要があると思われます。  かくすることによりまして、中小型鋼船造船業は、企業間の協調等の推進、造船法の適切な運用等と相まって、大手造船業が達成し得た世界的に優位な技術及び生産方式等をも円滑に導入することとなり、大手造船業との生産性の格差は無理なく漸次縮小してくるものと思われます。  したがいまして、本法律案は、産業政策としてのみでなく、中小企業に対する特別対策としても重要な意義を有するものと考えられます。  以上、中小型鋼船造船業現状施策の概要について、簡単に御説明申し上げた次第であります。
  4. 米田正文

    委員長米田正文君) 御質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 浅井亨

    浅井亨君 いまこの補足説明の中に、合理化のおくれている中小型鋼船造船業に対してと、このおくれたという理由はどういうわけなんですか。いわゆる五年間でやるつもりだったのですが、これができなかった、そのおくれた原因をひとつ話していただきたいと思います。
  6. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 合理化のおくれました主たる理由は、三十六年度下半期における景気調整の影響を受けまして、従来円滑に推移しておりました受注が一時減少したというような状況もございまして、またもう一つは、当時新造よりも修繕のほうの需要が非常に出てまいりまして、新造の方面における合理化投資よりも、修繕施設に対する投資のほうが多くなりました関係上、建造関係合理化投資はそれだけおくれたというような事情もございまして、所期の目標に到達しなかったわけでございます。
  7. 浅井亨

    浅井亨君 そこで、いまからまた三年間ですね、これ延ばしますのは、現在までどれくらい目標に達しているのですか。現在五年間の目標としてこうだと、だけれどもいま現在どれくらいまで進んでおるかということをひとつ説明していただきたい。
  8. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 先ほど御説明申し上げましたとおり、生産費低減につきましては、五年間に一〇%の低減目標でございましたのが、六・七%にとどまっております。今後三年間この法律を延長さしていただきますれば、さらに設備投資の面におきましては財政資金で約十五億円の投資をもくろんでおりまして、これによりまして、みずから自己資金として調達し得るものと合わせまして、おくれている合理化目標は達成できると、かように考えている次第でございます。
  9. 浅井亨

    浅井亨君 では、一番よく進んでいるのはどれぐらいの企業があるのですか。いわゆる一番よく合理化が進んだ企業はどれくらいあるのですか。
  10. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 企業の中に、いわゆる中小企業でございませんかなり大きな企業もございますが、それらにつきましては合理化が相当進んでおりまして、生産費低減も、的確な数字はわかりませんが、一五%以上のものも中には含まれていると考えております。
  11. 浅井亨

    浅井亨君 この中小型のものですね。これは五百トン以上のものは許可制になっているわけですね。
  12. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 建造許可制は五百トン以上で、かつ近海区域以上の航行区域を持つような船でありまして、沿海区域の五百トンということでございますと、建造許可は要らないわけでございます。なお、造船法によります設備の新設、拡張等許可につきましては、五百トン以上、長さ五十メートル以上のものは全部許可にかかるということになっております。
  13. 浅井亨

    浅井亨君 ときどき新聞とかいろいろなところで見るのですが、小さい船がよく事故を起こすのですがね。いわゆる沈没したり、いろいろ事故をちょいちょい見受けるのですが、こういうような原因についてはいろいろとお考えになっておられるのでしょうか。
  14. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 仰せのとおり、小型船につきましては、しばしば海難が起こりまして、貴重な人命が失なわれることが多いのでございます。これにはいろいろな原因がございますが、木造船業需要が減退いたしまして鋼船業のほうに転換したというものもございますし、なお経済発展に伴いまして相当の輸送需要が出てまいりまして、中小型船——五百トン未満の船をどんどんつくったという時期がございますし、現在でもかなりのものが建造されております。これらの建造を行ないます造船所につきましては、設計に関する技術がまず劣っていることが指摘できるわけであります。したがいまして、安全性基本でございます復元性の十分でない船も中にはございましたが、もう一つ理由は、これを動かします乗組員技術が、資格は持っておりましても、ふなれのために、木船と違いまして、鋼船におきましては、空艙航海、全然荷物を持っていないときの、浮き上がったときの航海に、いわゆる足にバラスといったようなものの搭載が十分に行なわれていなかったとか、あるいはデッキの上に重量物を相当搭載しておった場合とか、あるいは漁船等におきましては、現在積み荷制限がございませんので、漁獲物を過載いたしましたり、あるいは網でありまするとか、漁具、それから持ち運び得る燃料輸送デッキの上に搭載するといったような、漁船復元性を悪くするような操船を行ないました結果惹起した転覆その他の重大な海難が多かったわけでございます。こに対しましては、われわれは、設計技術の未熟に対しましては、標準設計を幾つかつくりまして、この使用を勧奨いたしまするとか、あるいは建造技術の未熟に対しましては、中小造船所に対しましてあらゆる機会に技術指導もやっておりますし、また工程管理指導所をつくりまして、大企業造船所技術を取り込んだ近代的な技術をもって適正な工作を行なわしめるというような指導もやっているわけでございます。  なお、この点につきましてはまだ不十分でございますので、引き続いてこの法律に基づきまして、一般会計による指導あるいはその他の団体による資金援助等をもちまして、設計工作運用その他の各般の指導を強化してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  15. 浅井亨

    浅井亨君 以上で終わります。
  16. 岡三郎

    岡三郎君 いままで合理化を進めるために、一般会計予算約二千三百万円、モーターボート競走法によって三千五百万円。一般会計予算二千三百万円で中、小型鋼船合理化するということ自体ですね、これは予算的にいっても非常に微温的ではないかという感じがするわけです。そういう面からいって、五ヵ年間に終了されるものが三年間延長した一つ原因になっているのかどうか。もう少し抜本的な中小型船設計なりその他いろいろな面における指導ということになれば、経費政府自体としても今度積極的に取り組む必要があるのではないかというふうに感ずるのです。この点どうですか。
  17. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私どもはその要求を順次やっておったのでございますが、なかなか思うようにいきませんでした。
  18. 岡三郎

    岡三郎君 局長にこれは詳細に説明してもらってから、もう一ぺん大臣に聞きます。大体予算つけ方自体がどういう推移になっているのか、二千三百万円というのは一体これでいいのかどうか、もうちょっと伺っておきたい。
  19. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 一般会計の二千三百万円を中小型鋼船造船業技術向上その他にどのように使ったかということでございますが、これは一般的な技術指導、講習ということのほかに、代表的な船型を選びまして標準設計をつくりました。この標準設計を採用するように勧奨するという目的でやっておるわけでございます。これが一番大きな項目でございます。標準設計でございます。これにつきましては、なおその他の団体による資金をもちまして、さらに他の船型をも追加いたしまして、なるべく多数の船型を選びまして、あまり設計に頭脳を用いなくても、安全性の十分な、さらに経済性の高い船が安くできるというような道を開くつもりでやっておるわけでございます。
  20. 岡三郎

    岡三郎君 いま言ったのは、そういうふうな仕事をされて、技術向上及び経営合理化指導をせられてきているというのは、五ヵ年にこれを考えるというと、五百万円足らずの金になるんだね、年間にしてみれば。そのほかにモーターボートのほうから三千五百百万円ということは、ちょっと主客転倒しているのではないか。ギャンブルのほうからくる金を当てにして、政府自体がこの法案を出して、そうして積極的に合理化を進める、そういう点で今後とも三年法律を延長してやるということについて、何か人のふんどしで相撲をとるという形で、指導がはたしてできるのかどうか、実際問題として、この点を聞いておるわけですよ。だから、二千三百万円程度で、今後ともどういうふうに指導費というものを一般会計で考えておるのかということを聞いておるわけです。それで余っておるのかどうか、二千三百万円で十分いいのかどうか、不足とするならば、一体どういう面で不足するのか、そういう点をちょっと聞いておかないと、いたずらに三年間延長したってしょうがないじゃないか。
  21. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 技術指導につきましては非常に少ないじゃないかということでございますが、標準設計は一件が三百五十万円でございまして、これを四件やりまして約千四百万円使っております。なお、工程管理につきましては、約百五十万円ばかりの財政資金を使っております。われわれは、この種の予算は潤沢であれば、もっといろいろ考えられるわけでございますが、別途安全性向上という面におきましては、根本的には、小型船に対する積み荷制限と申しますか、満載喫水線を中小型船舶にも適用する道を開く。このための法改正基本的な問題でございますので、これら漁船を含みまして実施するつもりでございまして、三十九年度予算にこの調査費を予定しておるわけでございます。これによりまして、安全性の最も基本的な要請であります積み荷制限といいますか、過載防止ということを法的に規制したい、かように考えておる次第でございます。
  22. 岡三郎

    岡三郎君 いまの説明では、不得要領で、わかったようなわからぬような、多くあるにこしたことはないというけれども、これから一そう経済船というか、合理化を進める、なお自動化を進める、いろいろの要素があるわけだけれども、中小型自体造船業というものは資力が乏しい。そういう面で、非常に海難事故等も、漁船を中心にして多いわけです。そういうことを考えるというと、積極的に政府自体が、標準設計ということにとどまらず、こういうふうに中小型船はあるべきだという点について、やはり各個々の小さい零細業者にはできない点を積極的に指導して、それに即応してつくらせるという方向がないというと、なかなか進歩しないのじゃないかというような気がするわけであります。だから、そういう面でますます合理化を推進して、有能ないわゆる中小型船をつくるということになるならば、いまの程度では微温的ではないのかという気がするわけです。業者数もかなり多いし、これからさらに三ヵ年間やるとするならば、もうちょっと積極策を打って出るべきではないかと考えるわけですが、特に最終に「本法律案は、産業政策としてのみでなく、中小企業に対する特別対策としても重要な意義を有するもの」となれば、中小企業に対する対策というものは、特に公定歩合の値上がりというときに、非常に危険が逼迫してきているという現状から、ますますそういう面における経費というものを中小企業が生み出すということはむずかしいのではないか、こう考えるならば、三年間にもう一ふんばり、これに対する合理化資金というものを、やはり指導費というものを出すべきだという考え方が当然だと思うのですが、大臣どうでしょう。
  23. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) そのとおりでございまして、私ども毎予算期にこの小型船についての予算を相当要求しているのですが、いつもどうも、大蔵省その他の認識を異にしておりまして、削られまして、外航船舶に非常に重点を置くような海運予算のとり方になっているのは、私どもとしては非常に残念に思っております。しかし、この法案の御審議を得まして成立すれば、さらにその意味におきまして、今後一そう合理化を促進する予算その他についても努力していきたいと思います。
  24. 岡三郎

    岡三郎君 中小型造船指導している部局というのは海運局なんですか。
  25. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 船舶建造その他のものについては船舶局、運航その他については、海運局でやっております。
  26. 岡三郎

    岡三郎君 その指導者のスタッフはどのくらいあるのですか。
  27. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 事務当局にお答えいたさせます。
  28. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 地方におきましては、船舶局の関連しておる課がやっております。監理課造船課関連工業課技術課、あるいは場合によりましては、安全検査の面では検査制度課あるいは検査官室が全部これに関与いたしております。また、現場の技術指導その他につきましては、地方海運局船舶部がこれに当たっておるわけでございます。
  29. 岡三郎

    岡三郎君 ここの補足説明にもあるように、世界一の日本の造船業、こういうものに比して、中小造船業はまだまだそれに到達してない、三ヵ年延長して、大手造船業が達成し得たところまで推進したいと、こういうふうに、抱負はいいですね。いいですが、現実の問題としてなかなかそうはいかない要素というものがあるんじゃないか。ですから、そういう点では、やはり国自体も、法律を延長して、これを積極的に中小企業に対する特別対策としてやるという、この意義を考えていけば、私はまことに微温的だというふうに考えるわけです。だから、目的とするところも、産業政策としてだけではないんだ、中小企業を育成するんだということになるならば、大蔵省自体も、この見地に立てば、やっぱり積極的にやらなけりゃならないんじゃないかという気がするわけです。だから、そういう点で、今後のこれに対する積極的な指導と相まっての、やはり指導費といいますかね、そういう積極的な指導に必要なる、設計にとどまらず、機械設備その他全般について、自動化というほうの問題についても、簡単に口では言っても、なかなかいけないんじゃないかというような気がするんです。自動化などというものは、中小型船にこれをどう適用するのか。最近における若年労働者の減少ということがいろいろと、そういう注文が時々刻々出てきているわけですから、そういう面では、やっぱり積極的にやってもらうための予算というものもひとつやってもらいたい、こう思うわけです。これは運輸大臣にもう一ぺん答弁願います。
  30. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) お説のとおりでございまして、毎期相当な額を要求するんでございますが、どうも大蔵省その他の認識が、焦眉の急である外航船舶についてのみ非常な重点が置かれまして、折衝その他において、まあ率直に申しますと、そういう点を問題にしてないというような態度をとられるので、私は非常に遺憾に思っておるのですが、御趣旨に従いまして、今後とも十分気をつけてやりまして、さらに御支援を得たいと思っております。
  31. 岡三郎

    岡三郎君 その問題はあとでひとつ……。いま答弁のように、積極的に今後とも、三ヵ年のうちにひとつ達成するように極力ここで主張しておきたいと思うのですが、次に、小型木造船漸次鋼船にかわっていくといっても、先ほど出た漁船の問題ですね、四十トン未満制限して、小さい船にできるだけ漁獲というか、多くの魚を載せるように設計するために、船員のいる場所も極力狭くして、非常に無理を重ねておるので、しかもある程度相当外洋にも出てくるという形で、非常に不安定だという話を聞いているわけですがね。これは、直接横須賀近傍のそういう造船業に当たっている中小型従業員は、こういう面については非常に無理がある。したがって、漁業会社のほうは注文するけれども、それが償却しないうちに沈没する等のことが起こって、なかなか回転がむずかしい面もあった。現状においてはこういう点どうなっているのか。いま四十トン未満設計ということで苦労せられて、これはいまのところは重点的にやられてないように思うのですが、その点はいいと思うのですが、その点はどうなんです。
  32. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 御指摘のとおり、四十トン未満のカツオ・マグロ漁船については許可制でなかったのでございますので、最近非常に無理な操業をやりまして、船型の一応大きさによって限度があるわけでございますが、その限度を越えた遠方で操業するようなことが行なわれております。また、過当競争ということから、漁獲物を過載するという事例もしばしばございまして、このたび水産庁におきましても、四十トンの問題を取り上げまして、法規制を強化するというように決定したようでございます。  なお、問題は、操船運用の問題、非常に大きいわけでございまして、この点につきましては、水産庁とも協力いたしまして、漁業種別ごとに、積み荷制限積み荷制限という基準を設定するということに踏み切ったようでございます。これは一般商船満載喫水線に相当するものでございまして、安全性確保基本になる問題でございますので、これは水産庁当局と協力いたしまして、早急にこれが実施できるように推進してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  33. 岡三郎

    岡三郎君 海運関係の方来ておりますか……、これに関連するわけではないけれども、ちょっと一言、中小型鋼船に限らず、非常に乱造されて、横浜等の港の中においての交通について非常に無統制になっている。こういう点については、自治体港湾局等においては何ら権限がない、中央本省のほうにおいてこれを許可すればいい。無尽蔵につくられているのですが、中小型船だけでなく、はしけとかそういうものは非常にはんらんしている。老朽船は運河とかそういうところに腐りっぱなしでほっとかれる。これに対して、自治体としては取り締まりの何らの権限もなく港を預かっておって、海運局自体が全部こういうことをやっておるので、まことに港の管理としてはできない状態だ。これは先般横浜港に行って実情を聞いてきたばかりなんです。こういう点について、五百トン未満は特別のあれがなくてもつくられるわけですが、ということになると、いまの漁船の問題と同じように、制限以内のものをどんどんつくって、それがはんらんするという状況になって、特定の港にそれが集中する。いまのように、日本の波止場というものは、近代設備ができているところもあるけれども、まだ沖の操業が多いのです。そういうふうな点で、中小型船が非常に必要な点はわかるのです。これが非常に港の航行の安全を阻害しているということを聞いておるのです。まあ鋼船を含めて、中小型船も含めて、木造船も含めて、こういうものの管理については、具体的に就航その他の問題については、特定の港にある一定の権限を与えて取り締まらせないと、無秩序になるおそれがある、こういうことなんです。
  34. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 御指摘のようなことがありますので、今回たしか法律を改正しまして、五百トン以下も許可制にするように改正いたしまして、そういう面から規制を加えていきまして、事故を少なく、無秩序な運航をさせないようにいたしたいと考えております。なお、港湾管理者ともよく連絡をとりまして、遺憾ないようにいたしたいと思っておりますが、何といいましても、ごらんのようにもう実に小さい船がはんらんしておりまして、それがために海難の大きな事故を誘発した実例が少なくないので、その点私どもどうして取り締まるかということに苦心いたしておるような次第でございます。
  35. 岡三郎

    岡三郎君 これも申し上げておくにとどまりますが、いま言ったように、中小型鋼船木造船を含めて許可制にすることもいいわけですが、結局、特定の港に就航する場合においては、港全体の安全航行に考えていった場合に、現場に監督権をある程度与えて、そして、そういうふうなものが就航する場合には、横浜港についてはどれくらいの隻数が妥当であるか、あるいはそれに要する収容場所というものも考えなければならぬ。はしけも含めてやたらにそういうものが来るから、はしけを収容する場所もない、結局無秩序になってくるわけです。ですから、運河という運河にみんな入り込んで、港のはしけのたまり場に入れないわけです。だから、中小型鋼船木造船を含めて、港としては一応文句を言いたいけれども権限がない。監督権を持っているものは中央官庁だという形で、その間における連絡がうまくないわけですよ。ですから、少なくても、造船をするということについてはいろいろと中央で指導せられても、そのものがみなある特定の港に来る場合には、その港における使用許可というものは、ある程度実情に即応させるために、やはり港の管理者にそういう権限を与えなければならぬと思うのです。これは世界各国そうなっておりますよ。日本のように義務があって権限が全然ない管理者というものはないんじゃないか、私はこういう感じが最近特にするのです。だから、この点については、実情に即していくためのこういう問題をやはり検討してもらいたいと思うんです。これは無理ないと思うんです。最近において、汚物を投棄してはいかぬというようなことで、海上の美化というか、そういうふうな問題等についても、何ら管理者に権限がない。いろんなものを投棄するという場合を実際に見ても、それを取り締まるという権限が全然ないから、向こうのほうもしゃあしゃあとしてやっているのです。それから油輸送船を洗う場合にしても、そういうものに対して港を守っていく管理者に全然権限がないので、何を言うかというような顔でそういうことが平気で行なわれている。そして、港自体の清掃というものは維持しろ、こう言われても、非常にむずかしいんじゃないか、できないということを言っているわけです。ですから、これはどこまでが妥当であるかということは十分検討せられても、少なくても、港を管理する管理者に対して、ある一定の、こういうものを守らせる監督権といいますか、許可権といいますか、そういうものをやっぱり一応考慮していってもらわなければならぬと考えるのです。これは中小型鋼船の造船との関連で言ったわけですが、そういう点を少し御検討してもらいたいと思うんです。
  36. 小酒井義男

    小酒井義男君 運輸大臣から毎年度合理化実施計画というものが出されているわけですが、これを見ますると、昨年度は十三億円、三十八年度は十五億円の資金が必要だと、こうなっておるんですが、その資金というものは、政府のほうでそれだけものを調達するというのですか、業者自体の手でそういうものをつくれというのですか、どういうわけですか。
  37. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 一部業者が負担する、それで大部分は政府のほうで負担するという形であります。
  38. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、実施計画資金というものは、大体この計画どおり出しておるんですか。
  39. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 大体向こうが計画しましたとおり採用しておりますが、少し不当に高く見積もったり、不当に要求したものは削っておりますが、大体業者の、船の持ち主の計画を尊重してやっております。
  40. 小酒井義男

    小酒井義男君 比率はどういうような傾向ですか。
  41. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 先ほどの大臣の御答弁、一部が民間ということです。逆に一部は政府でございまして、六十三億円の要求は、これは指定設備でございます。指定しました合理化設備の中で、六十三億円のうち十七億円は財政資金として政府のあっせんしたもので、開銀並びに中小企業から受けておるわけであります。
  42. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは当初は、今年の三月三十一日までに一応終わる予定で始めたわけですね。それがおくれてきたということは、それぞれの毎年の年次計画がおくれてきた、こういうことですか。
  43. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 先ほど申し上げましたように、三十六年の景気調整に際しまして、新造需要が一時出おくれたというときに、非常に修繕需要が多く出てまいりまして、この修繕需要を充足いたしますために、修繕関係設備投資のほうに——自己資金のほうでございますが、回ったという関係で、建造のほうの合理化投資がおくれたというのが主たる原因でございます。
  44. 小酒井義男

    小酒井義男君 三十八年度の実施計画のほうにこまかく出ておりますね。大体、これらはどのくらい達成されそうですが、イからトまで出ておるわけですが。
  45. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 大体九〇%ぐらいは達成できるという見通しでございます。
  46. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから企業が、先ほど説明した六〇%ぐらいふえておる、こういう話ですが、今後やはりふえる見通しか、どうですか。
  47. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 木造船業鋼船造船業への転換あるいは兼業というものが主たる原因でございますが、今後は内航船のほうの規制もある程度行なわれるわけでございますので、従来のようなピッチでふえてまいるというふうには私どもは予想していないわけでございます。
  48. 小酒井義男

    小酒井義男君 三年間延長して、さらに延長するというような事態が予想されますか。
  49. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) この法律は、船舶輸出の振興、それから海運業の健全な発達という二つの目的があるわけでございます。輸出の伸長が所期のような成果をあげますれば、延長の必要は私は起こらないと思っております。ただいまのところでは、三年延長していただきますれば、十分合理化目的は達成できるというふうに考えまして、三年後のことは実はただいま予想していないわけでございます。
  50. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 政府にお聞きしたいんですが、この基本計画なるものができておりますね。これは結局、五ヵ年間でやるということを目途としてでき上がっておるわけですね。それに毎年年次計画として指示されておる。それが結局、これに合致しないために非常に残っておるから、それをあと三ヵ年でやらなければならぬということなんですね。そういうことになれば、この三年法律を延ばすというのは、これは三年間延ばすということだけでありますけれども、内容については、少なくとも、三年間で残っておるものがどういうぐあいに残っておるか、それから新たなる造船業の変化に伴っての、先ほどから御説明があったものを織り込んでの一応の計画があるはずなんですが、それはどうなっておりますかね。
  51. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 五年の間に合理化基本計画を達成できませんために、三年間の延長をお願いするわけでございまして、今後三ヵ年延長するにあたって、基本計画と申しますか、基本計画を変える必要があるかないかという御質問かと思いますが、三年延長すればまた新たなる観点に立って基本計画を打ち立てる必要があるんじゃなかろうかという御質問じゃないかと思います。それにつきましては、当初の基本計画を達成できなかったために、基本計画を達成するために三年を延長するということをお願いしておるわけでございまして、なお細部につきましては、最近の自動化船、専用船等の伸展というような問題もありまして、実施計画は向こう三年間現実に即した実施計画に相なるわけでございますが、生産費低減でありますとか、あるいは技術向上でありますとかその他の基本計画につきましては、変える必要はない、かように考えている次第であります。
  52. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 基本計画は変えなくてもいいというお話なんですが、それにしましても、いま三割なら三割未達成だということであれば、この三年間延ばさなければ、あるいは二年で済むかもしれない、一年で済むかもしれないが、そこの計画を三年と見たにつきましては、その残りの部分を毎年の年次計画によってこれを織り込んでいく大体の見通しがなくちゃ、法律は三年延ばすけれども、その内容を進めることはそのときの行き当たりばったりで毎年やるんだということでは、予算、あるいはまた融資等の計画等につきましても、また先ほど岡委員のお話の政府出資の問題につきましても、全く見当がつかないんじゃちょっとぐあいが悪いと思うのですが、それはどういうぐあいにお考えになっておるか、その点をお聞きしたい。
  53. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 先ほど私のお答え申し上げましたのが不明確でございましたので、ただいまのもう一回申し上げます。合理化基本計画は三十九年度から四十一年度に対しまして設定をしなければならぬわけであります。これにつきましては、項目を七つばかり分けてあります。造修用機械設備電源設備運搬設備、上架設備、ドック、その他でございまするが、これが三十八年度までに、一例を申し上げますと、ドック等につきましては、三十八年度計画までに六十件の基本計画に対して四十六件が達成できるというわけでございまして、三十九年度から四十一年度の三年間におきましては、さらに——これは残りでございますね、残りの十四件、それから船台等につきましては、二十八基が二十二基達成されておりますので、さらに新たに十一基という基本計画でございます。各項目につきまして達成できなかった部分が、今度の合理化目標ということに相なるわけでございます。
  54. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そのおのおのをいま一々聞こうとは思いませんが、おそらく計画があると思いまするから、その計画に基づいて三年間に最も可能な計画を立てて進められる、その計画はちゃんとできておることと思います。またそれでやらなきゃならぬと思うのですが、これについて海運造船合理化審議会というのが、みんなこれの計画を進めるわけですが、これは年次計画も、やはり合理化審議会の議を経て、それの答申に基づいて大臣はおやりになるのですか。
  55. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 大体そのとおりでございますが、全部をまとめて答申してくれる場合もありますし、その一部を答申してくれる場合もありますが、大体基本海運造船合理化審議会の人の意見に従ってやっております。
  56. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そういうことでありましたならば、結局合理化審議会も、三年間の延長をもってするにあらざれば当初の基本計画の目的は達成できないという見通しに立っておるわけでございますね。
  57. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) さようでございます。
  58. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それでは、この年次計画が問題なわけですが、この財政的な問題、融資ですね、それから今度はさらに政府出資、それからもう一つモーターボート関係、そういう方面を合わせての財政計画というか、融資計画というものは一応つくられておると思うのですが、その大体状況はどういうことに相なっておりますか。
  59. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 合理化設備の融資のあっせん計画は、指定設備に対して三十八億のうち財政資金は十五億を予定いたしております。また一般会計によります指導関係予算は大体従来のような規模で考えておるわけでございまするが、しかし、先ほど岡先生から御指摘がございましたように、われわれ要求はもっと大きな要求を出しまして、なるべく多額の指導関係経費を取りたい、かように考えております。  なお、モーターボート競走法第十九条交付金によります助成関係経費は従来以上に多額な経費を見込んでおるわけでございますが、ただいま的確な数字は現在持っておらないわけでございます。
  60. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そうですが。実は私のお聞きしたいのは、これを三年間延長するということになれば、三年間の大体計画の見通しと、それの融資その他の財政計画の見通しと、そういうものに立った年次計画がきめられるものと思うのでありまするが、どうも計画を持たずに大蔵省要求するのでは、先ほど言われましたように、五ヵ年間でわずか二千三百万円くらいしか出ないということになるので、だからこれはやはり、計画を基本として三年間延ばすなら、今度は三年間のこの達成にはどのくらいの融資が必要であり、またそれを織り込んでワクを取るとか、あるいはまた政府出資の場合にはこういうところまで拡張してもらわなければならぬ。特に中小企業の振興というようなことを織りまぜて考えていくならば、その方面もまた大臣の努力次第によっては私は取れると思うのですよ。計画なしにそういうことを行き当たりばったりにやられるならば、大蔵省がうんと言うはずがないと思うのです。だから、そういう点、もし三ヵ年間延ばすということであるならば、しかも三ヵ年あとには、もうそのころはやらなくてもいいというお見通しになっておるのなら、なおさらのこと、この計画をはっきりきめて、そうしてそれに基づいて年次計画で御要求をしっかりなさらぬというと、これはできないと思うのです。ことに、これは産業関係の非常な変化によって、おそらくこの基本計画自体もこれはふくらむはずなんです。五年前にきめたのが、その計画だけで済むはずはないと思うのですよ。だから、基本計画自体もやはり、年次計画で修正するかどうかは別として、三ヵ年間には相当私は業界の要求としてやっぱりまた政府としてやるべきことを考えた場合に必ずあると思うのですね。まあそういうことをあわせて、合理化計画については、しっかり、先立つものは金ですから、金の心配をひとつ政府がなさるということでなければ、いかにこの基本計画が年次計画だということを打ち出してやってみましても、実効はあがらないと私は思う。だから、その点をひとつお考えになってやっていただきたいと思うのですが、さしあたりこの三十九年度はどういうことになっておりますか。私記憶しませんが、予算要求として、中小型鋼船造船業合理化に対する政府の出資、それから開銀その他での融資じゃないのですか、これは中小企業だから中小企業の今度のあれでいくわけですか、その点をひとつお答えいただきたい。
  61. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 初めにおっしゃいました、一般会計その他における三ヵ年の基本的な計画をはっきりきめろということですが、全く私も同感でございます。今後、設備投資も含め、中小型鋼船造船業に対する需要構成が相当変わってきつつありますので、自動化船でありまするとか、あるいは専用船でありまするとか、そういう面におきまして年々新しい様相を呈してまいりますので、そのときそのときによって適切な標準設計その他を設定いたしまして、これらを大幅に活用するような方向へ指導強化いたしたい、かように考えます。  なお、基本計画につきましては、一ぺんきめたことが情勢の変化に全然関係なく固定するということはむしろ不自然なことでございまして、情勢の変化により基本計画の改定ということも当然考えなければならぬ点でございますので、適宜これは臨機にやるべき問題だと考えます。  なお、三十九年度の設備投資の面におきましては、今後三十八億円と申しましたが、三十八億円の大体三分の一、十三億円を年間の、三十九年度の設備投資と考えまして、このうち財政資金といたしましては、大きなものに対しましては開発銀行三億円、それから中小企業に属するものに対しましては中小企業金融公庫から二億円を予定いたしております。見通しといたしましては、大体確保できるものと、かように考えております。
  62. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 わかりました。  もう一つお伺いしておきたいのは、この特別償却によって金属工作機械及び運搬設備等重要機械について三億五千万円の特別償却を実施するように措置をいたしたというのは、これはいつやったのですか。またその方法は、今度評価がえ等の問題が変わっているのじゃないんですか。そういうことになったら、その影響はどうなりますか、及び、これはやったことだけにしてあるが、今後の見通しはどうなるのか、そういう点をひとつお聞きしたい。
  63. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) この中小型鋼船造船業合理化臨時措置法ができまして、その翌年租税特別措置法の特別償却を適用する企業に相なったわけでございまして、これは初年度にこれらの重要機械に便して三分の一の特別償却が許されることになりました。今後はこれが四分の一になる予定でございます。この合理化設備の内容が、詳細な——どういう機械を買うかという詳細な機械がきまりませんと、大体どの程度ということははっきりしないわけでごさいまするが、大体この割合に——これは三十五年以降に三億五千万円の特別償却をやっております。今後三十八億の設備投資をいたしまして、そのうち特別償却の対象になる指定の設備がどのくらいかということにつきましては、一応の数字はございますが、これは内容的には相当変わってくるというふうに考えますので、ただいまのところ的確な数字は申し上げられない次第でございますが、大体従来のような金額で推移するのではないかと考えます。
  64. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そうすると、三億五千万円というのは、これは五年間がこういうことになるわけですね。
  65. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 三十五年以降です。
  66. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それからもう一つは、三分の一が四分の一になるということは、これはいつから、それからなぜそういうぐあいになるのか、ちょっとその点を説明を願います。
  67. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) これは三十九年度から四分の一というふうに大蔵省のほうで指定してまいっております。全般的な問題でございまして、中小型造船業だけじゃなくて、同種の企業は同様な数字で特別償却することに相なるわけでございます。
  68. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 全体に受けた感じといたしましては、どうも法律は三年間延長ということだけに主力が置かれて、その内容に対する準備がまだ十分にできないと思うのですが、できていないような気がするわけですが、これは年次計画が毎年出ることになっておるようでありますし、この年次計画によっておやりになるといえば、まあそういうことで私は了承しますが、それにつきましては、ひとつ年次計画等、三十九年度のがおきまりになりましたら、これはそういう場合に十分にひとつ、以上私の申し上げたような、三ヵ年間必ずこれを基本計画の線に従って、また、基本計画を修正する必要があれば、その修正した線に沿ってやり得るように十分努力をして、そして融資その他のワクの獲得、それから政府出資等の増加等について、ひとつ大臣も十分御努力願いたいと思います。
  69. 江藤智

    ○江藤智君 関連。いま、金丸委員から、この法案は時限立法でございますから、三年間の年次計画を、しかもしっかり立ててやってもらいたい、こういう要望がありましたし、それを大臣以下了承されたようでございますけれども、その問題につきまして一点お伺いいたしたいのは、そういう年次計画を立てるためには、その対象となる仕事がある程度はっきりしておらなければ立たないわけですね。ところが、この説明で見ますと、昭和三十四年のときには企業が二百十七だったのが、三十八年には三百四十二企業と、六〇%もふえているわけですね。これはもう自由主義経済ですから、景気がよくなればこれはふえると思う。その対象が六〇%もふえたり減ったりしますとね、三ヵ年ではっきりでき上がりますと言っても、どうもそこがはっきりしないのじゃないか。もし非常に景気がよくなれば、もっとふえるかもわからない。しかも、これは自由にそういうものがふえたのじゃ困るので、今後ふえるようなものは、この合理化一つ基準に沿ったようなものをつくらせれば、その分についてはこれはもう手を加えなくていいのですけれども、野放しでそういうものがふえてきたのじゃ、いつまでたってもこの目的は達せられないのじゃないか、こういう疑問があるのでございますけれども、その点どういうふうにお考えなんですか。
  70. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) この中小型鋼船造船業合理化臨時措置法は一定の建造需要を想定をいたしております。いたしまして、過大な能力の増大ということは考えていないわけでございます。しかしながら、合理化に伴いまして、自然的に建造能力が増してくることは、これはやむを得ないことであると、かように思っております。この合理化臨時措置法の適用を受けていろいろの助成を受ける対象が、ただいま御指摘のように、六〇%増大をいたしておりますが、これらに対しましては、設備投資の面で財政資金をあっせんするという企業は、企業数がふえましても、必ずしもふえないのでございます。それらのふえました企業は、説明にも申し上げましたように、木造船業が鋼造船業に転業したりあるいは兼業した企業が相当多いんでございまして、これらの企業に対しましては、建造する船舶がまず第一義的に安全の面で正しい技術を習得するというふうな指導が非常に重要な点だと考えまして、こういう面に指導を強化してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。これにつきましては、対象がふえますんで、おのずから予算も相当ふえてまいるわけでございますが、これらの企業を私どもこの法律によりまして調整するというようなふうには考えていないわけでございます。正しい技術でりっぱな船を安くつくるということがこの目的でございます。  なお、輸出の振興ということがこの法律一つの大きな目的でございますんで、最近の、昨年からいろいろ市場調査にも東南アジア方面に参りましたが、今後この種の小型船が東南アジア方面においても相当需要が伸びてくるというふうにわれわれは判断をいたしておりますんで、国内市場ばかりでなくて、大いに輸出市場においても活動してもらいたいというふうに考えておりまして、これにはまず技術的な面で近代技術を習得して安い船を十分海外市場に送り込み得るような力をつけるためにこの法律を活用するという考えもございますので、努力していきたいと考えております。
  71. 江藤智

    ○江藤智君 だいぶ長く御説明になったんですが、端的に私が質問しておりますのは、この合理化実施計画の対象になる造船所というものがどんどんふえるとか減るとか変わってくるんじゃないかという、こういうことを聞いているわけです。要するに、四十一年で、あと三年間で大体計画を完了するんだという、こういう目標であり、御説明なんですが、その対象の造船所が情勢においてふえて、また伸びるんじゃないか、こういう点を聞いておるんです。
  72. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 確かにふえるわけでございますが、しかし、従来のような六〇%の割合で今後三年間ふえるかどうかという点につきましては、先ほど御質問がございましたが、これはさほどふえるというふうには私ども思いません。ただ、この法律は、設備投資に対する財政資金のあっせんということが、これは非常に重点になっておりまするが、そのほかにもいろいろな目的があるわけでございまして、技術指導といったような面につきましても相当この法律を活用してやらなきゃならぬ面があるわけでございます。したがいまして、企業数がふえるということは、それに従って設備投資も当然ふえなきゃならぬじゃないかというふうな見方もあるわけでございますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、零細な企業もあるわけでございまして、これらはまだ設備投資という段階でない企業も相当あるわけでございます。これらに対しましては、まず正しい建造技術を習得させるというふうな点に重点を置いて指導したい、かように考えます。
  73. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 いま船舶局長言われた輸出ですが、非常に減っていますね、半分ぐらいにね。だから、輸出の、どういう種類の船が輸出される、仕向け地ですね、いま東南アジアのお話がありましたが、そのおもなるもの、それをひとつ伺いたい。特に減ったのはどういう理由で減ったか。
  74. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) ただいま御指摘のとおり、一時輸出が減ったことがございます。どのような船が輸出の対象となる船かと申しますと、台湾の漁船であります、あるいはフィリピンの内航船、あるいは漁船、それからインドネシアの貨物船、しゅんせつ船、それからビルマ、東パキスタンの河川航行船舶、それから同様にしゅんせつ船もございます。これらの船が中小型鋼船造船所輸出船型でございます。従来もこのような船が輸出されておったわけでございます。市場調査によりまして、かなりこれは伸びるというふうにわれわれは判断をいたしております。
  75. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 それは最近減ったわけですね。特に半分ぐらいに減っておるのですが、それはどういう理由によるものですか。
  76. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 失礼いたしました。これは相手国の状況によることが相当多いわけでございます。買手側の状況によることが相当多いわけでございまして、これは日本が国際競争力において他国に負けたために減ったというふうには判断していないわけでございます。相手国の状況が日本から船を買う状況になかったこということが主たる理由でございます。
  77. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 そうしますると、いま述べられたような、相手国が需要がなかったということになりますか。市場調査をしたら伸びる余地があるとおっしゃったが、それはどういうことなんですか。
  78. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) お答えが非常にわかりにくいお答えで恐縮でございますが、これは今後日本の造船業、中小型鋼船造船業の市場活動のあり方でございますが、これが非常に不十分であったということも一つ原因でございますし、また的確な潜在需要をさがし出して、これを売り込むための努力が十分でなかったということも一つ原因でございます。先般派遣いたしました調査団は、この辺の事情を十分調査してまいりまして、じっとしておっては日本に注文がこないけれども、いろいろな需要構造の深部にまで浸透する活動をいたしまして、むしろ需要を喚起するというふうな活動をいたしまして、相手に船を買わせるというふうな輸出活動をいたしますことによりまして、これらは顕在化する、潜在需要は顕在化するという見通しを持って帰ったわけでございまして、その方向に沿って今後輸出活動をしたいと、かように考えておる次第でございます。
  79. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 そうしますと、そういう市場調査とか、そういうことはどこでやられるのですか。このただでさえ財政資金に乏しい五千万円以下という資本金の会社が、自分で海外まで手を伸ばしてそういう市場調査をやったり販売の宣伝をやったりすることはなかなかできないと思いますが、それをどこでやるのですか。
  80. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 三十九年度からジェトロと協力いたしまして、東南アジアに小型船舶機械等の輸出センターを設置することに相なっておりまして、これは東南アジアに小型船用の船舶機械を売り、なお船舶をも売り込むための一つの拠点でございますので、これを活用することによりまして輸出の伸長をはかる一助にいたしたいと、かように考えております。
  81. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 そういった先ほど来お話を聞いておって、何だかこの合理化に関する臨時措置法が、細々三年間やってきた、三年間で実績が果たせなかったから、また細々延ばすのだという感じを伺っておって受けるわけです。財政資金の、つまり設備投資のあっせん、これも非常にいいと思うのですが、この中で合理化に関するその他の重要事項があるわけですね、たとえばさっき船舶局長が言われた標準設計あるいは標準工作方法というようなもの、こういうものはただ奨励しておるというふうに書いてありますが、これは標準設計というのはどのように業者から受け入れられて、実行されているか、そういう点はどうですか。
  82. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) これは強制はできないわけでございまするが、この標準設計をもとにいたしまして、これをいろいろ修正をいたしまして採用した船型は相当たくさんございます。そのものずばりで採用したものは比較的少ないわけでございますが、しかしながら、たとえば七百トンと申しますと、これを六百トンにしましても、八百トンにしましても、それを基準に修正設計することによりまして、標準設計目的は達成できるというふうに考えておるわけでございます。
  83. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 私はこういうことを聞きますのは、たとえば輸出をすることにしましても、やはり船価が安くて非常に向こうの需要者に合うものをつくらなければなるまい。ところが、こういった中小型造船所では、これは自分でりっぱな研究所を持ってやるということはなかなかできまいと思うのです。そうなると、この点は非常に重要な問題になってくると思うので、そういったジェトロならジェトロでこういうものをやる。そうすると、それをすぐ受けて、それに合うようなものをつくる。東南アジアの諸国に合うようなものをつくらなければならないわけです。それは新たな設計ということで、そういうことはとてもこの造船業の規模ではできまいと思うので、こういうことを強く助成されるということはぜひ必要だと思う。それに関して、この最後の欄の、事業協同組合の設立、あるいは原材料の共同購入、その他過当競争の排除ということがのぼっておる。これはなかなか重要なことですね、中小企業としては。先ほどから、数がふえてきた、しかも木船がだんだん鋼船化してくる、鋼船ならばこういった政府の助成策もあるということで、これはもう木船専門にやっておったものは鋼船にかえてやっていくということは必至の勢いであろうと思う。そうすると、つまりますます資本力の弱い会社がふえてくるわけですね。そうでしょう。先ほど、数が六割かふえた。数がふえたというのは、そういう事情に基づくもので、これは必至の勢いだと思う。木船だけでやっていけない、だんだん鋼船化していくということ。そうすると、こういう共同研究とか、共同的にやる事業協同組合の設立なんとかいうことが非常に重要な課題になってくると思うのですが、これの実情はどうですか、そういうものは。
  84. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 協同組合は、ただいま十四設立されているわけです。最初に先生が御指摘になりました、輸出にあたっても最も適当した船舶設計ができないじゃないかといったような御趣旨の御質問がございましたが、これにつきましては、ただいま同業者団体が、中小造船工業会におきまして設計センターというものの設置を考えておりまして、これに対しましては、この団体が大手の組織しております日本造船工業会の団体会員でございますので、大手の高い技術の援助をも受けまして、りっぱな設計活動を臨機にいたしまして、海外進出の技術面の弱点を補強するようにいたしたい、かように考えております。これに対しましては、民間団体からも資金援助その他技術援助もやらせるつもりでいるわけでございます。
  85. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 過当競争というのはどうしても起きると思うのです。ところが、非常に中小型造船業になると、やはり地域的な配分も考えなければいかぬのです。まとめて一ヵ所大きいのをつくるというわけにもいかないと思うのだが、しかし大企業、大きな造船業においても、合併等が起きている。そうすると、やはり会社の基礎を強くするためには、こういった進んでは企業合同あるいは合併ということも考える余地がある。これは強制はできませんですけれども、それらについての方針はどうですか。そういうものを勧奨されるのか、むしろ群小のものがたくさん並列してくることを望んでおられるのか、どちらですか。
  86. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 群小の弱小が相当ふえてまいりまして、過当競争になりますれば、造船業自体としても、非常に困るわけでございますので、その状況を見まして、合併等における税法上の特例をこれに適用する等のことを考えまして、合併が容易にできるような情勢をつくっていくべきじゃないか、かように考えております。現在はその状況を見ているわけでございます。当然御指摘のような事態も予想されますので、その際には税法上の特例をはかりたいと考えております。
  87. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 共同化の実績、たとえば共同設計センターをつくる、これは非常に共同化の大事なポイントだと思うのですが、そのほかの共同購入以下のそういう共同的なやり方は、実績はどうですか。この協同組合のあるもの、あるいはないものについて、進んでおりますか。
  88. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 共同行為で、営業面につきましては非常に困難でございますが、たとえば資材の共同購入でありますとか、あるいは試験等の共同施設というようなものは、協同組合として普通に考えられる共同行為でございますが、資材におきましては、非常に豊富でございますので、共同購入の必要もあまりないわけでございまして、現在は協同組合はあまり大きな効果をあらわしていないという状況でございます。
  89. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  90. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記を始めて。
  91. 相澤重明

    ○相澤重明君 各委員からそれぞれ御質問がもう出されましたが、この中小型造船合理化基本計画、御説明いただいたわけですが、私は全体の問題でひとつ運輸大臣に、また関係局長にお答えいただきたいのですが、この中小型鋼船をつくる——合理化というのは、やはり船をつくるために、なるべくコストを安くする、いいものをつくる、こういうことが目的なんでありますから、そこで政府の考えでは、中小型鋼船はこれからどのくらい一体つくるつもりなのか、本法を三年延長して。三十三年度以降のずっと出ておりますが、政府のほんとうのお考えというものは、これから三ヵ年間延長をして、何隻、何万トンつくる予定か、これを詳細にひとつお答え願いたい。
  92. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 中小型鋼船需要の予測でございますが、商船につきましては三年間に約八十万総トン需要があるものと想定をいたしております。そのほかに漁船需要がございますので、漁船につきましては毎年約八万総トン需要があるものと考えます。そのほかに、これは相手があることでございますが、輸出船の需要が相当出てくるんじゃなかろうかと考えます。それから雑船が——漁船、貨物船、油送船以外の雑船がまた八万トンくらいあるのではなかろうかと、大体このような予測を立てております。
  93. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣、この中小型船は、輸出は、先ほども委員から言われているように、ごく少ないですね。国内が多いわけですね。そこで、先ほども委員からの質問の中で、大蔵省がなかなか資金融資の問題で非常に渋いというか、出し渋る、こういうお話でございますが、国際収支改善のためには何といっても輸出船が非常にはなやかなものである、またそれだけの必要があるだろう、こういうことで輸出船舶に力を入れておるようでありますが、計画造船として十九次は幾らになっておりますか。
  94. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 六十四万七千トンと記憶いたしております。
  95. 相澤重明

    ○相澤重明君 これからいま私は一番問題にするのは、中小型鋼船合理化臨時措置法を三ヵ年間延長するというけれども、国内船、輸出船を含んでやはりかなりの受注量が出てくる、またそれだけ必要になると思うので、そういう中で、いまの計画造船と、それから今度は相手の国からわが国に船舶建造を依頼するというものと出てくるわけですね。そうすると、そういうあらゆるものを含んだ船台の確保とか機械設備の改善とかいう問題が出てくる。いまこの中で指摘をされておる、審議会で合理化計画なるものが出されておる、造修用の機械百三十四台とか、あるいは電源設備とか、岸壁とか、いろいろいわれておりますが、中小型鋼船をそういう法律改正、延長をしてつくることはわれわれも賛成なわけです。賛成だけれども、はたしてこれが、基本計画を策定をして、そのようにいくだろうかという心配があるわけですね。ということは、何といっても、輸出船舶というものには力が入れやすいし、また事実それは国際収支改善のために一番必要だろうということは、これはだれでもわかることです。したがって、それだけのものが、これだけのいまの基本計画策定をしたけれども、実際に実績があがるかという点の展望が、先ほど局長の言うとおりに、一つの見通しになるわけですが、展望をはっきりつかんでおらぬと問題があると私は思うのです。そこで、いま日本で船舶建造については中小も含めて全体でどのくらいが必要だということを造船業界あたりはいわれておるのですか、政府に要請をされておるのは幾らなんですか、またどのくらいの資金というものをあっせんをしてもらいたいという要請があったのですか。
  96. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 大小含めまして全部の日本の造船業界はどれくらいな建造を必要とし、それに対してどれくらいの資金要求しておるかという御質問でございますが、御承知のように、昨年輸出船の大量受注がございまして、現在六百万総トン以上の手持ちがあるわけでございます。しかしながら、これが三十九年に相当部分が消化されまして、四十一年にはきわめてわずかしか残らないという状況でございます。全体を含めましてどれくらいな需要が必要かということは、言いかえますと、大量受注しております造船業界の消化の過程において、さらにどれくらいな新規の受注を要するかという問題にすりかわるわけじゃないかと思いますが、これにつきましては大体の数字を申し上げますと、最近個々の船型が非常に大型化しておりますので、約三百二、三十万総トン建造が三十九年度に行なえるとわれわれは考えます。船型の点で変更がないと仮定いたしますると、四十年度におきましては、大体そのような、三百二、三十万あるいは三百五十万総トン建造が必要じゃないかと考えます。しかしながら、三十九年度におきましては輸出船のうち約二百六十万総トンだけが進水をいたしますが、四十年度におきましてはそれが六十万総トンに減るわけでございます。したがいまして、相当の余隻が四十年度には出る。先ほど申し上げました数字からそれを引きますと、相当多量の輸出船または国内船が必要となるというふうに考えるわけでございまして、どれだけの資金要求するかという御質問に対しましては、いまだ的確に幾らの資金を必要とするという申し出は造船業界からはないわけでございますが、しかしながら、大量の国内船の話もございまするので、造船業界といたしましては、国内船及び輸出船の大量の建造を引き続いて希望をいたしておる次第でございます。
  97. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、いま少し聞きたいのは、先ほど運輸大臣のお答えになったところの十九次計画造船六十四万七千総トン財政資金は幾らですか。
  98. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 二百五十五億だったと思います。
  99. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから、現在はもう賠償船というものは建造しておらぬのですか。
  100. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 賠償船は、大手造船業建造しております数字はただいま持っておりませんが、中小型鋼船造船業において建造することになっております認証されました賠償船舶は、金額で申しますると百三十六億円ございます。仕向け地はビルマ、フィリピン、インドネシアでございます。
  101. 相澤重明

    ○相澤重明君 これはどのくらいのトン数ですか。隻数、トン数。
  102. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) ビルマにつきましては、認証済みの賠償契約の船が一万重量トンの貨物船が二隻——重量トンでございます。それから、七百六十総トンの貨客船が二隻、ビルマでございます。そのほかに、ランチとかバージというような小型船がございます。  それから、フィリピンの賠償船は……。  ただいまお答え申し上げましたのは、終わったものも含んでございます、現在手持ちのものじゃなくて。現在手持ちのものは、大きいものはここにございませんが、これはお答えがちぐはぐになりまして恐縮でございますが、前に戻りまして、中小型鋼船造船業の手持ちの賠償船が百三十六億円と申しましたが、この内訳の船型はいかんという御質問でございますが、これは二千トン以下の小さな船ばかりでございます。詳細なリストをただいま持っておりませんが、後刻お出しいたしたいと思います。
  103. 相澤重明

    ○相澤重明君 賠償船の建造については、あとで資料を、隻数、トン数ですね、相手の国別に出してもらいたい。  本来賠償船は、この基本計画の中では別なんでしょう、一般の輸出船と。それから、国内船の建造というものと賠償船とは別なんでしょう。それは入っているのですか、どうなんですか。
  104. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) これは、輸出船の中に含めて処理いたしております。
  105. 相澤重明

    ○相澤重明君 いままで船舶建造についての方針の中では、賠償船は別にしておったのじゃないんですか。いまあなたの言う輸出船舶の中に入っておりましたか。
  106. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 統計的には賠償船は別掲といたしまして、別掲であるけれども合わせて輸出船として幾らというふうに——これはもう外貨収入がございませんので別掲になっておりますが、国内船と輸出船を分けますと、輸出船のほうに入れて処理いたしているわけでございます。
  107. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、先ほどもお話がございましたこの中小型鋼船合理化の中に、賠償船も含まれたものをお考えになっておるということですね。先ほどのお話のように、二千トン以下ということになると。結局この中小型ですからその中にも含まれておると、こういう御説明ですか。  そうすると、これはもう賠償船ということになると、政府の、いわゆる日本と相手の国との契約でありますから、これはもう全然先ほどの財政融資の問題とは別個の問題であると、こういうことになりますね。先ほど、これはたとえば財政資金、いままで十七億円を融資をしておったと、これからも幾らをするのだと、こういう説明があったけれども、賠償船というものはもう国と国との契約ですから、全然違うわけなんですね、資金が。
  108. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 十七億円と申しましたのは、中小型鋼船造船業設備資金でございます。したがいまして、この設備資金を用いまして整備されました設備が、国内船もつくり、賠償船もつくり、輸出船もつくるということを予定しているわけでございます。
  109. 相澤重明

    ○相澤重明君 いや、もちろんその船の単価を私は言っているのではなくて、つまり、この法律ができる前に、いわゆる改正をする前にもそういう議論をしたことがあったものですから、この中小型鋼船業の合理化を進めなければ、何といっても、外国とのいわゆる国際収支の改善をはじめとして、競争力、国内のいわゆる産業発達の上に困ると、こういうわけでなったのですから、その関係が昨年の基本計画策定になっているわけですよ。その中に当然、政府資金というものも、財政投融資をしなければ、これはとても個々の造船業者ではできないというものもあるわけですから、当然、政府の賠償として、わが国の賠償として出すものについては、これはもうこの一般の設備の費用のほかに私は出していいのではないか、政府がやらしているわけですから、こういうことを言っているのですよ。だから、そういうものは、この中に、十七億の中に計算をされておるということは、少しおかしいじゃないか。政府が当然やるべきものだ。民間に、こういう中小型鋼船をつくる人たちに、こういう基本計画でもって合理化を進めなさい、人の問題もできるだけ考慮していきなさいということまで言っているわけですよ。そういう問題は、民間の人たちにそれだけしいる反面には、政府がやるべきことを——そういうものの中にも一緒につくることになるでしょう、船をつくる場合は。だから、その資金は別の形にならなければおかしいじゃないかというのが私の質問の趣旨ですが、とにかく含んで、こういう機械の設備であるとか、岸壁の設備であるとかいうものまでそういうものの中に含めておったと、こういうことなんですか。元来政府は別に賠償船についてはめんどうを見なかった、普通の船舶建造と同じような考えでおったというのですか、その点を聞きたいのです。
  110. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 賠償船は、大型大手造船所、それから中小型造船所、これはもう全く平等の立場で受注活動をいたしました結果、一部が中小型鋼船造船業の受注になったというわけでございまして、政府といたしましては、賠償船舶建造いたしますために特別に設備を考慮するということはいたさなくても、十分日本全体の造船業としては必要な賠償船舶はいつでも建造し得る体制にあるというふうに申し上げてよいのではないかというふうに申し上げられます。
  111. 相澤重明

    ○相澤重明君 どうもその点は、私と局長の考えとは違うようです。私は、国でやる、相手の国と日本の国と——たとえばアメリカと日本との間に日米安保条約がある、それでもって今度は施設を提供するということになれば、これは国費でもってやるわけですよ。日本の国が賠償を取りきめておいて、相手国に幾らの賠償船を出すということがきまっておれば、そのことはどっかの造船所でやらせなければならないでしょう。まさか日本の政府が船を相手の国に賠償を出しますといったところで、政府自体でつくるわけでないから、どっかの造船所にやらせなければならない。それは国のためにということでしょう。だから、私は、そのいわゆる設備の費用とか、そのための使う金というものは、これはもう政府が全面的にめんどう見ていいんだ、こういう考えなんです。それをしも含んで一般の財政投融資のワクの中でいわゆる合理化を推し進めるということは、少しおかしいじゃないか。戦後どのくらいの賠償船が輸出されておりますか、戦後どのくらい出ていますか。私は相当出ていると思うのです。今日まで賠償船をつくっておるのは、それはなるほど船舶局等のいわゆる運輸省から見れば、いや自分の会社へひとつ受注をさせてくれ、こう言って陳情に来るから、その陳情に来たところへは賠償船を割り当てて、そのかわり計画造船をあわせてやろうという話があるかもしれないけれども、本来これは筋が違う。賠償船というものは、相手の国と日本の国との契約なんであって、そういうものを私は中に含んでおるのかどうか、こういう点について少し議論が出てくると思うのです。
  112. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 戦後どのくらいの船舶を賠償として出したかという数字は、ただいま調べておりまするが、賠償船の受注におきましては、政府は賠償契約を認証するということをやっておるにとどまりまして、どこの造船所に賠償船舶を受注させるかという面におきましては何ら指導も何もしていないわけでございまして、造船所が求償国と自由な商談をいたしまして、その契約を政府が認証するにとどまったわけでございます。なお、賠償船の建造につきましては、これは一般の賠償以外の商業ベースの契約と考えまして、造船業にとりましては、私企業にとりましては、全く同じに考えておるわけでございまして、この点につきましては、賠償船を建造する余力は常にあるわけでございますので、賠償船を建造いたしますために特別な施設あるいは特別な造船所を考慮する必要はなかったのがただいままでの現状でございます。
  113. 相澤重明

    ○相澤重明君 歴代の運輸大臣が賠償船輸出についてどういう態度をとってきたかということは、いまの局長の言う答弁では私は納得できない。ということは、なぜかといえば、この計画造船をはじめとして、船腹を建造させるのに、第一は財政投融資の問題、第二は市中金融の協調資金の問題じゃないですか。何を言っているのですか。どこでも船がつくれるということはありますか。冗談じゃないですよ。今日まで、計画造船すら、これは民間金融としては非常に問題があったのです。しかもそれは、運輸大臣が、協調しろ、こういうことをあなた指示しているのですよ。どこの造船所でもかってにつくれるということになれば、そんなに全国の造船業者が困りはしないですよ。そうじゃないのだ。いままでは、船腹を、いかにして造船を多く受注しようかという中に、しかも財政投融資は少ない。政府資金援助は少ないですよ。だから、民間の市中金融と協調さしたじゃないですか。いままでの運輸大臣のずっと計画造船の中の条件を出してごらんなさいよ。私はそんな答弁なんてないと思う。そういうことを言うのなら、たとえば京都の舞鶴ですか、あそこの造船所なんかのつぶれかかったような問題なんて、ほんとうにそういうのならば、それはどこでも相手の国とかってに結んでいいというなら、みんなやります。つぶれる造船所なんかありませんよ、あんた。ところが、そうじゃない。ちゃんとワクがあるのだ。財政資金計画——計画造船何万総トンに対しては政府はどのくらいの財政資金を出す。それでも足りないから、市中金融に協調をさせなさい、こう言っている。そんなどこでもかってにやれるなんていうことがいままでありますか。これは私は責任問題だと思う。運輸大臣どうなんですか。いままで野放しでどこでも仕事を受けなさいと言いましたか。そんなことないでしょう、あんた。そんなばかな話あるかい。いままでない。何のために運輸大臣が協調融資させたのか、おかしい。
  114. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) いま相澤委員の御質問の趣旨を聞いていますというと、合理化のために政府資金を使って、その合理化された造船所設備で賠償の船をつくるのはけしからぬというお話のようですが、この部分は賠償船のためにつけた、改善した設備である、この部分は邦船のためであるということは、なかなか合理化をやった場合に判明することは私は困難だと思う。そこで、一々賠償の、政府の認証といいますか、政府の指図を得まして、賠償船をつくるなり、受注するなら受注するというふうにやりまして、賠償船をつくる造船所も、一般のワクの船舶をつくる造船所も、その設備近代化する資金は全体として政府のいままでとってきた助成政策でやっておる。こういうことを申して、純理論からいえば、相澤議員のおっしゃるように、分け得るならばそう分けることがいいのですけれども、船の注文を受ける場合に、この造船所近代化した施設は賠償のためにつくるのはいかぬじゃないかというのでは、なかなか区別がしがたいと思うですがね。  そこで、いままで一般に造船業を国策として推進していく場合に、民間の協調もいたしますし、政府もできるだけ財政の許す範囲で融資もするということで拡充してまいりまして、そこで船を賠償船もやれば民間船もやるというのが今日までの実情であると思います。ただかってに賠償船で引き受けて、かってにというのじゃなくて、一々、それがはたして、政府の賠償契約に基づく船として、そこでつくることが適当なりやいなやということは、政府が指示してやっておるのでありますから、あなたの御趣旨とあまり違わぬような気がするのですが。
  115. 相澤重明

    ○相澤重明君 いや、大臣、政治的答弁をしているけれども、私は根本的に違うと、こう言っているのだ。根本的に違う。  それではいま一つぼくは局長に答弁してもらいたいのは、そういう中小型鋼船をつくる造船所が賠償船をどのくらい輸出していますか、賠償船をどのくらい建造していますか。全国の二百四十幾つあるのが、幾らやっているのか。
  116. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 先ほど申し上げましたように、昨年十二月末現在の累計で、中小型鋼船造船所において認証されたものが、賠償船舶の金額が百三十六億でございます。
  117. 相澤重明

    ○相澤重明君 だから、私は一番問題にしているのは、政府は、これはもう終戦直後造船業界が非常に困難を来たして、それで船台ががらあきになって、ペンペン草がはえるから、何とかこれを、船をつくらしてくれというのが、計画造船のそもそものもとなんですよ。あまりふざけたことを言っちゃあ困るよ。とにかくそういうことでもって、大手に金融との結びつきをさせて、銀行との結びつきをさせて、計画造船というものはできたのだよ、あんた。ところが、一方においては、戦争に負けたということで、いわゆる金で払うか、物で払うかの中に、船を払うところもあれば、自動車を払うとこるもあれば、汽車を払うところもあったでしょう。賠償物資なんですよ。そこで当時は、船台ががらあきでペンペン草がはえるということで、計画造船を推し進める、そういう過程の中で戦標船の解撤作業、こういうことも進んできたのですよ、歴史的にいえば。ところが、そういう賠償船のほとんどはやはり大手ですよ、受注しているのは大手です。いままで賠償船の輸出全部出してごらんなさいよ。百三十六億これはありますとこう言ったって、これは何分の幾つです、あんた。私はだから、大手に発注してはいけないとは言っていないのだ。そうじゃなくて、いま全国の造船業者もたくさんあるし、そこに働いておる労働者もたくさんおるのですよ。その人たちは、その造船の配分のしかたいかんによっては首を切られているんです。合理化のために首を切られるんですよ、あなた。だから、いわゆる全造船という労働組合は十ヵ年間の長期プランというものまで立てているんですよ。そうして、造船業をわが国の大事な輸出産業ともあわせて、自分たちは労働者の誇りを持ってその道を守っているんですよ。ところが、政府の財政援助というものは必ずしもそうなっていないんだ。そういうところに実は私は——私がきょうそういうことを言ったから、無理なように聞こえるかもしれぬけれども、私は、本来は国と国とがきめたものは、これは全部国が責任を持つと。それから、民間の商業ベースでもってやるものは、これは国際収支等に関係があれば、そこに財政投融資の問題が出てくる。こういう二本立てでやるのが当然のことなんですよ。それをまるっきり、いやどこでもそれを受注をすればいいのであって、それについては同じように見ていくんだというようなことを言われても、そうやってないから私は言っておるんですよ。だから、現にこの全造船の組合の中でも、中小企業の造船が多くの労働者を首切りをしなければならぬという問題が出ているわけです。一方においては、先ほどお話のあった六百万総トンの受注量がある、こう言っておったって、それは大手なんですよ。大手はあったって、中小企業は少ないんですよ。こういうところを、私どもが、この全造船の人たちの十ヵ年長期プランなんというものを見せられた場合に、ほんとうにこれじゃたいへんじゃないかという気持ちになるわけですよ。だから、船をつくらしてもらうことは私大賛成なんです。ぜひやらしてもらいたい。やらしてもらいたいが、民間の商業ベースのものと、政府のものとは、いまの高度経済成長とか開放経済に向かうというような今日では、それはやはり政府がきめたものは政府がある程度めんどう見てやるのが私は当然ではないか、こういうことを言いたかったから、実はこの話を聞いておったんです。ところが、まるっきり答弁が違うから、私は納得しない。そうすると、何かといえば、いままでの計画造船なり、あるいは外国との、リベリアをはじめとしてたくさんの注文をとっても、いつでもその問題にしぼられてくるのは財政資金の問題になってきて、ただ政府財政資金が足りないから市中金融も協調しなさいということは運輸大臣は必ず出している。出してないということはないですよ、あなた、この資料は。そういうことからいえば、今日の時代では、せっかくのいい——私はこの法律案の提案はまことに適切だと、局長の言うのもまことによくわかる。わかるけれども、もっと実はほしいんだ、こういう目的を実は言いたかったわけです。  それで、それはそれとしてひとつ御検討をいただくことにいたしまして、こういう合理化をいわゆる基本計画を策定をする合理化審議委員四十人ですか、この中にはそういう労働組合の代表というものはいますか、幾人いますか。
  118. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 各小型船舶の労働組合の委員長と中地君と、たしか二人労働者代表おると思います。
  119. 相澤重明

    ○相澤重明君 四十人ですよ。四十人の中に、これだけの心配をしておる多くの全国の造船所に働いておる労働者の代表というものは……、これは全日本海員組合ですよ、中地君は、あなたそんなこと言ったって。全造船労働組合連合会の天野委員長は入っていないでしょう。
  120. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 入っています。
  121. 相澤重明

    ○相澤重明君 入っておる——それじゃおかしい、二人じゃないじゃないか。
  122. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私それでたしかと言ったんです。
  123. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、とにかく四十人のうちで二人や三人じゃいかぬ。それはそうですよ。これはやはり業界の人ももちろん入ってもらわなければいかぬですね。けれども、いままでともすると、そういう審議会には、全く、どちらかというと、労働者側の代表というものはほとうにお義理に一人か二人入れておったのです、それだから、たとえば十ヵ年長期プランなんというものをつくって、一生懸命実は経営者に協力しているのですよ。その協力しておることが、実は一つも反映をしていない。こういうところは、私は遺憾だと思う。そういうところの中で、ただまあ学識経験者なる名によって多くの人がこの中に参加をしておるわけですけれども、私はむしろそういうほんとうに働いておる人たちを多く入れてもらいたいと思うのです。まあいま大臣が言った二人か三人かわからぬけれども、ひとつできればあとでその審議委員の名前も資料で出してもらいたい。
  124. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 名簿は差し上げます。
  125. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから、そういうことで、私は、いまのこの基本計画を策定をして、先ほども説明いただいたその中に、今年度は十三億円を見込んでおると、こう言っておりましたね。これはやはり、かえって去年とことしは減らしたのじゃないですか。なぜ減らさなければならぬか。どういうことなんです、これは。
  126. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 三十八年度は別に減らしていないわけでございます。
  127. 相澤重明

    ○相澤重明君 いえいえ、三十七年、三十八年が減っているじゃないですか。その前はどうなんです。
  128. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 毎年大体同じような規模でやっております。
  129. 相澤重明

    ○相澤重明君 だって、これはあなたのほうで出したのを見てもわかるじゃないですか。減っているでしょうが。去年とことしが十三億でしょう。その前は十五億じゃないですか。その前は十四億じゃないですか。これは少なくとも、経済高度成長に伴って、そういうふうに船腹も増大をはからねばいかぬし、また輸出もふやさなければいかぬ、こういうことについては私は賛成なんですよ。ぜひそれをやってもらいたいと、しかし三十六年から見れば三十七年、八年は減っているではないか、なぜ減らしたのだと、こういうことを言うわけです。それは、先ほどのたとえばあなたのほうの答弁としては、ことしの三月で切れるからもうできると、こういう考えだっただろうと思うのです。そこに策定の私は見通しの誤りがあるだろうと思うのです。三ヵ年延長するということは、いままでの合理化計画というものが完全ではなかった、そこに三ヵ年延長の基本があるでしょう。いまの必要性というものが出てきたということもあわして、そうでしょう。ところが、なぜ三十七年、八年というものは減らさなければならなかったかと、こう言うのです、三十六年から見ると。そういうことはどういうことなんです。
  130. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 先ほど申し上げましたように、やはり景気調整の影響を受けて、修繕その他に投資が少し移っていったというのが一つの傾向でございます。しかしながら、基本的には三年間に三十八億の指定設備についての設備投資を民間ではやるというふうに言っておりますので、多少は御指摘のように少し減っておりますけれども、今後三年間に減った分を取り返す計画でおるわけでございます。
  131. 相澤重明

    ○相澤重明君 どうもそういう点が、少し運輸省はなまぬるい感じがするのですね。せっかくこういうものを国会がつくって、そうしてそれに基づく政令を出して、審議委員の四十名という大ぜいの人の協力も得ながら、まあとにかく三十四年、五年と進んできたと、三十六年といえば、十五億を出したときは、私は決して今日の事情よりはいい事情じゃないと思うのですよ。経済体制はどうなんですか。今日はもう三十六年度から見ればうんと上がっているでしょうが。国の予算だってまるっきり違うじゃないですか、ベースは。そういうことからいって、三十七年、三十八年も減らしたということ自体が私はやはり誤りではないか。そうして、ここにきて三ヵ年間の延長をせざるを得ない——私は延長をしなければいけないと思うのですよ。だから賛成をしておるのだ。延長をてなければいけないのだけれども、それはむしろ政府の見通しが誤っているのだと、こう言っているのですよ。なぜ少なくしたのか。本来ならば、三十六年が十五億ならば、三十七年には十六億にするとか、三十八年は二十億にするとかいって、もっと設備合理化を積極的に推し進むべきですよ。これは向こうから出されたものをもとに、審議会でもってまあこのくらいしかたがないだろうということだと思うのだ。だから、政府の金はこのくらいきり出せませんということで、結局押えられてしまうことになる。ほんとうにやるなら、もっと私は合理化を積極的に推し進めていく政策がなくてはいけないと、こう言うのです。それを三十六年より減らして、三十六年が一番よかった時期で、それからまあだいぶ落ちついてきたという話は、そんなら三ヵ年延長する必要はない。三ヵ年延長するというのは、むしろ必要性があるということを強調しているわけです。そういう点で、なぜ運輸大臣は減らしたか、もっとふやさなかったか。こういう回答にはなっていないですよ、あなたの答弁は。いま一回言ってください。
  132. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私は、そういう点、あるいは誤っておったかもわかりませんから、どうぞひとつ、今度そのあとの三ヵ年で取り戻すべく御勉強願っておるのですから、どうぞ……。
  133. 相澤重明

    ○相澤重明君 それじゃそれは大臣の誠意をくんで、私は、将来、せっかく国会に政府が御提案されて、大臣のおっしゃるような方向で合理化が推し進められることを期待をして、この問題を終わりたいと思うんです。  そこで、これは少しこの合理化計画と若干離れますが、ひとつ、せっかくの機会ですから、船舶局長に聞いておきたいんですが、いまわが国の船主の中で、船をつないでおるところがありますか、係船をしておるところ。長期係船はどのくらいありますか。あるいは短期係船はどのくらいありますか。
  134. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) それは海運局長が承知しておると思いますが。
  135. 相澤重明

    ○相澤重明君 これはなぜかというと、やっぱりそれぞれの専門的な立場で局長が御答弁されることはもちろんですが、実は私は、この造船問題と係船問題というものは、頭が離れないんです。英国の造船工業界の状態を見てみなさいよ。どんなに苦悩をしておるかということ。しかも、世界各国の中で長期係船を持っておるのは英国なんです。いまや、世界の七つの海を全く支配しておった英国といえども、その造船工業界も苦悩をしておるし、それから、しかも船がたくさんつながれておる。古い船もある。米国の利子補給の問題とも関連をして、いかに世界全体が船の問題では苦労しておるかということですよ。そういうことからいって、わが国の国際収支の改善のために、外航船舶の問題はじめ、内航船舶、そしていまの造船のいわゆる中小型鋼船の問題をも含んで審議する場合に、私は、世界のことを頭に置かないでひとりよがりなことを言っておったってしかたがない。そういうものにわれわれは十分力をお互いに尽くして、日本の国があまりよその国に負けないようによくなってもらいたい、こういうことを実は考えておるから、これは運輸大臣に聞いておかないといけないと思ったから言ったんです。しかし、これはどうも船舶局長の所管でもないということで、あっさり言われましたから、それはそれとして、せっかく皆さんの御意見もあるので、きょうのところは一応、先ほど申し上げましたように、少しのんびりし過ぎた感があったけれども、提案をされたことはけっこうなことであるし、さらにひとつ、これをよい方向に、前向きの方向に推し進まれんことを期待をいたしまして、私の質問を終わります。
  136. 岡三郎

    岡三郎君 最後に運輸大臣に。一番問題点は、悪くなってから日本の政府はやるという、こういう立場が非常に強いと思うのですよ。何んでもとことん押し詰まってからでないと手を打たない。外航船舶の問題についてそうでしょう。事故の問題もそうですよ。それから今度の外貨の問題もそう。見通しが悪いのか、それだけ政治力が弱いのかは別ですよ。この前、大臣は、外航船舶やったのだから、内航船についてやるのだ。ところが最近は、一つ仕事終わって、へなへなっとして調子が出ないのかという心配がある。きょうも、この問題については、内航の問題については、大蔵省が強いと——そんなことではだめですよ。次にかわって内航船舶の問題について各種各様の手段をとらぬというと、外と内は一体ですから、実態は。だから、その点について、格段の努力の一環として、私はこの中小型鋼船造船業合理化に賛意を表するけれども、この点をひとつ含んでやってもらいたい。これが最後です。
  137. 米田正文

    委員長米田正文君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、これより採決に入ります。  中小型鋼船造船業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  140. 米田正文

    委員長米田正文君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は二十四日午前十時開会の予定とし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会