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政府委員(梶本
保邦君) ただいまの点は、非常に多岐にわたっておりまして、まず第一の問題は、試験がむずかしいのではなかろうかというお話でございますが、この点につきましては、昨年も先生から同様なお話をちょうだいいたしております。で、私
どもはことさらむずかしい試験を行なうのが決して能ではないということは十分承知いたしております。したがいまして、
委員の
先生方に十分御
説明をいたしまして、昨年度の問題は、従来に比べまして少し、何と申しますか、そういう
意味では御趣旨に沿った問題になっているのじゃないかというふうに
考えております。現に、お手元に差し上げておりますこの
資料の二〇ページをごらんいただきますと、その合格率が、三十五年度が三・一%、それから三十六年度が五・九%、三十七年度が八・六%、三十八年度が八・九%というふうに、この四年来合格率はふえております。受験者もふえたが、合格者もふえた。しかも合格率がずっとふえてきておる、こういう
状況でございます。
ところで、このガイドそのものの需給がアンバランスになっておるのではないかという次の第二の御
質問でございますが、これはやはり、シーズンとオフシーズンとがある現在の観光の
実情からいたしますならば、ある
程度はこれはやむを得ない現象ではなかろうかというふうに
考えております。むしろ
日本の国全体として、ガイド
対策よりも、もっといろいろの問題として、シーズン
対策、オフ・シーズン
対策というものを兼ね合わせるべきではなかろうかというふうに
考えておる次第でございます。それから、そのガイドが足りないことの
一つの
原因は、やはり何と申しますか、オフ・シーズンにおける給与が一定しないというふうな
状況でございまして、現在
日本観光通訳協会という社団法人がございますが、これに加盟いたしておりますガイド、つまりガイド試験に合格した中でこの協会に加入いたしております者が八百十八名ございます。ところが、
会社の専属的なガイドとして働いておる者が百五十名、それから社員であってガイド試験に合格しておる者、つまり社員たる資格を持っておるが、その社員がガイド試験に合格した者、これが約百名、それから弁護士や医者と同じようにフリーな自由業としてやっておる者が約五十名、大体実際に活動をしておる者は合わせて三百人
程度じゃないかというふうな
考えをいたしておるわけでございます。社員がガイドのほうは、もちろん、健康保険だとか、厚生年金だとか、失業保険だとか、いろいろ問題はございます。いわゆるそういったことは他の社員同様に与えられておるわけでございます。専属ガイドの百五十名につきましては、健康保険と厚生年金と失業保険の問題だけは現在適用があるようになっております。ただ退職金の問題だけが目下
検討中でございますけれ
ども、これは前向きの姿勢で
検討いたしております。それからフリーのほうは、これはもう何と申しましても、その余暇に翻訳をしたり、あるいは学生生徒を教えたりというふうなことでやっておるのじゃないかというふうにも
考えるわけでございます。そういうふうな
状況で結局給与というものを年間を通じてコンスタントなものにすることが、
一つのガイド
対策の大きな問題ではなかろうかというふうに
考えた次第でございます。それでは次の問題としまして、その方法として一体それでは
運輸省は何を
考えたかということになるわけでございますが、今度の
旅行あっ旋業法の中にガイドの問題が織り込めないかということをずいぶん立案の過程で法制局と論議をしたのでございます。正直なところを申し上げておるわけでございますが、そうしまして私
どものねらいは、
運輸省の原案は、旅行あっせん業者が、特に一般旅行あっせん業者はある
程度のガイドを雇用していなければならないという義務づけができないかということを
考えたのであります。これは他の医師の例を求めますならば、病院とお医者さんとの関係で、病院の規模がこれだけあるならばお医者さんはこれだけというような
一つの方程式のようなものがございますので、それと同じような方程式が旅行あっせん業者とガイドとの関係には何らか求められないかということをずいぶん私
ども検討をいたしたのでございます。もちろん、方程式そのものは求められるわけでございます。ある
程度は求められます。ところが、理論として、あっ旋業法の本質なるものとガイドの本質なるものとの間に必ずしも必然的な因果関係はないというのが、いわゆる専門家の御
意見でございまして、それが本質的につながるものならば、
旅行あっ旋業法の中にガイドを一定数雇用していなければならぬということを入れられるのですけれ
ども、別にガイドを雇用していなくても旅行あっせん業はりっぱにやっていけるし、またガイドを必要としない旅行あっせん業だってあるのだというふうなことが法律的に論議になりまして、結局ずいぶんその点で、私
どもはそういうところにねらいの焦点を定めてやったのでございますけれ
ども、今回の改正ではまだそこまでまいらなかった、こういう次第でございます。
それから、それだけの手段を尽くしたのでございますけれ
ども、なおかつ現実の問題としては、オリンピックを控えてガイドが足りないといういわゆる現実論としてせっぱ詰まった問題がございます。それに対して
運輸省のとりました
措置は、いわゆる普通の本試験のほかに、臨時試験の制度を今年度限りで設けた次第でございます。それは、いま在外
経歴が二年以上ある方に対しましては、
運輸省として本年度はオリンピック
対策として臨時試験を施行いたします。まず語学の試験をいたしまして、そして合格されました方に、
日本地理、
日本歴史、産業、経済、政治及び文化に関する一般常識等につきまして今度は講習会を
運輸省のほうで行なうということにしまして、この予算はわずかではございますけれ
ども、九十五万四千円というものがこの臨時試験に合格されたガイド講習会の費用として予算に計上された次第でございます。そのようなことで、今年度現実に締め切りを終わったのでございますが、まだ最終的には、最後の消印のある日の申し込みまで有効ということでございまして、まだ郵便物が到着しておる段階で、正確な数字をきょう申し上げられないのでございますが、大体本試験の方が約六千四、五百名、それから臨時試験の者が五百名
程度、合わせて七千人
程度が本年度のガイド試験の受験者ではないかというふうにただいま
考えておるわけでございます。いっそのこと認定試験にしてしまったほうがガイド
対策になるんじゃないかという御
意見もございますが、私
どももそういったことを
考えたこともございますけれ
ども、やはり現在行なっておりますこういった語学に対する試験といたしましては、これが唯一の国家試験になっております。それで、従来ともこのような方法で
昭和二十四年以来行っておりますので、いまこれを急に認定制度にすることについては、研究をいたしましたのでございますけれ
ども、直ちに踏み切れない、こういう
状況でございます。
それから、職員の勤務についてまことにありがたいお話をちょうだいいたした次第でございまして、ガイドの問題とか、旅行あっせん業とか、こういったことは、業務課で所管をいたしておりますけれ
ども、課長以下定員が十三人でございまして、その十三人で、あっせんの関係が三人、それからガイドの関係が三人、それから国際関係が三人、計画係が二人、あとは補佐官と課長、こういう
実情でございまして、それが手一ぱいの作業をいま続けておるような次第でございまして、受付になると、もう机をちょうど区役所のこのごろの税金の受付みたように、机の配置を全部変えまして、外向きに一列に並べまして、そうしてお客さんからどんどん受付をしたものに番号を押していっておる、これが
運輸省業務課の現在の勤務
状況でございまして、私
どもまことに職員の皆さんに対してほんとうにすまないことだというように
考えておる次第でございます。