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1964-03-17 第46回国会 参議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十七日(火曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     米田 正文君    理事            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            天坊 裕彦君            吉田忠三郎君    委員            江藤  智君            木暮武太夫君            河野 謙三君            野上  進君            平島 敏夫君            村松 久義君            相澤 重明君            大倉 精一君            岡  三郎君            小酒井義男君            中村 正雄君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    運輸政務次官  田邉 國男君    運輸大臣官房長 佐藤 光夫君    運輸省航空局長 栃内 一彦君    運輸省観光局長 梶本 保邦君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    運輸省航空局航    務課長     浜田 幸晴君    運輸省観光局計    画課長     小林 正典君    運輸省観光局業    務課長     見角 修二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (航空事故に関する件) ○旅行あっ旋業法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○国際観光ホテル整備法の一部を改正  する法律案内閣提出) ○中小型鋼船造船業合理化臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提  出) ○地方自治法第百五十六条第六項の規  定に基づき、海運局の支局の出張所  の設置に関し承認を求めるの件(内  閣送付、予備審査)     —————————————
  2. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいまから委員会を開会いたします。  まず、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  航空事故に関し、運輸省当局から発言を求められましたので、これを許します。浜田航務課長
  3. 浜田幸晴

    説明員浜田幸晴君) ただいままで私どものほうで調査いたしました結果、判明いたしました事故につきましては、ただいまお手元にお配りいたしました刷りもので大体の概要を尽くしてございますので、一応読ませていただきます。   富士航空株式会社所属ビーチクラ   フト式CI−一八S型機事故につ   いて一 事故概要   富士航空株式会社所属ビーチク  ラフト式C−一八S型(陸上双  発・六旅客座席)JA五〇二八  は、昭和三十九年三月十六日、機  長三宅一郎外一名が乗り組み、旅  客五名を乗せ、同社の三〇一便  (鹿児島−中種子)として十時五分  ランプアウトし、鹿児島空港の滑  走路三六から離陸を開始した。離  陸滑走開始後間もなく滑走路の東  側に逸走し、右回りにほほ一回転  して擱座した。   この事故旅客中の一名が全治  十日程度、他の一名が四日程度の  打撲傷を負った。二 航空機の要目及び経歴   発動機二基各四五〇馬力、巡航  速度二四八粁/時、航続距離一、  五七六粁、耐空証明有効期間自  昭和三十八年十二月十七日至昭和  三十九年十二月十六日、製造年月  日一九四五年(昭和二十年)六月二  十七日、製造飛行時間八、五九  七時間、前回点検後の飛行時間  七六二時間、前回点検後の飛行時  間六五時間。三 機長及び副操縦士の略歴及び最  近の飛行時間   機長 三宅一郎 昭和五年九月  十三日生昭和三十一年七月防衛  庁海上自衛隊入隊昭和三十八年  九月富士航空株式会社入社、総飛  行時間二、二一一時間(内海上自衛  隊二、〇三八時間、富士航空(株)一  七三時間)、上級事業用操縦士第二  二〇号(昭和三八・一一・一五)。   副操縦士 佐藤勝己 昭和十三  年三月十七日生昭和三十四年一  月防衛庁海上自衛隊入隊昭和三  十七年十月富士航空株式会社入  社、総飛行時間八九九時間(内海  上自衛隊五〇六時間、富士航空(株)  三九三時間)、事業用操縦士第一  二五一号(昭和三七・一二・一)。四 気象   概況 快晴、風向 北西、風速  十五ノット(突風二十二ノット)、  視程二十哩。五 富士航空株式会社概要   創立年月日 昭和二十七年九月  十三日、社長名松嶋喜作資本金  十億八千万円。事業内容路線、  東京高松大分鹿児島、鹿児  島−種子島鹿児島屋久島、種  子島−屋久島新潟−佐渡島、大  阪−新潟免許業種定期航空運送  事業不定期航空運送事業及び航  空機使用事業所有機材、コンベア  CV−二四〇型二機、D・Hヘロ  ン 一機、ビーチクラフトCI−一八  S 一機(今回の事故機)、パイパー  アパッチ一機、セスナ一七二一  機、ベル四七G四機、シコルス  キーS−六二 一機。所属航空従  事者操縦士一四三名、整備士二  二名。六 とりあえずの事故防止措置  1 富士航空株式会社から、事故   の続発にかんがみ、運航及び整   備について全面的に再検討を行   なうため、全路線運航を本十    七日から一時中止したい旨の申    し出があったので、これを了承    した。   2 当局は、右の再検討に際し、    同社東京基地及び鹿児島基地    に係官を派遣してこれを指導す    るとともに、機長の技能の再審    査、航空機整備状況の再点検    等を行なうこととした。  以上が概要でございます。
  4. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 今回の富士航空事故は、再度にわたるものでございまして、前回も多数の死傷者を出しました。今回は、乗客につきましては負傷程度でとまりましたけれども前回も、当委員会におきまして、航空機安全性につきまして、先生方、各方面からの非常な御注意、御指摘を賜わりました。運輸省といたしましても、最善努力を払いまして、事故原因、また操縦士実情実態調査につきまして、その原因を究明中でございますが、そのさ中におきまして、再度かかる事故を起こしましたことは、まことに申しわけないわけでございます。特に、富士航空につきましては、四月一日をもちまして合併する会社でございまして、私ども、この富士航空につきまして、非常に特段の注意を払っている際にもかかわらず、かような事故が起きましたことは、まことに残念でございますし、また航空に対する非常な不安感国民全体に与えることは、まことに申しわけないわけでございます。運輸省といたしましては、こういう不祥事が相欠いで起こるということにつきましては、今後一段の注意を払うとともに、やはり、民間航空運営、また経営、あらゆる面につきまして再検討を加えることはもちろんのこと、国内線整備拡充ということを、これを機会に、真剣に、十分検討を加えまして、かかる事態が再度起きないように、最善努力を払うつもりでございます。まことに、今回の事故につきましては、申しわけないと考えております。
  5. 米田正文

    委員長米田正文君) 御質疑のある方は、順次御発言願います。
  6. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ただいま報告があり、政務次官から、再度このようなことが起きないようにと、こういう、ある意味におきましては、遺憾の意と、今後の決意のようなものを述べられましたが、先般の委員会におきましても、私は、大分空港における航空事故の問題をとらえまして、いろいろ質問したり、あるいは要望、注意を喚起をいたしておったところでありますが、またまたこういう事故が起きたということに対しては、たいへん私は遺憾にたえないと思います。しかも、事故が起こるたびに、たいへん遺憾である、今後かようなことが起きないようにと、何かのうたい文句のような、きまり文句のような政府答弁、あるいは決意と、そういうものが述べられまして、この点で、私どもは、まことに機械的であって、事務的だと思うのです。前の委員会でも、運輸大臣は、新たな事故を撲滅すると、こういう強い態度を示されました。これに関連いたしまして、免許等基準についても、各委員からそれぞれ質問を行ない、あるいは答弁を行ない、あるいはまた意見を申し上げてきたところであります。私は、前の委員会における運輸大臣答弁決意からしても、こういうたびたび事故を起こすような航空会社には——この資料では、何か自発的に当分運航を中止をして整備に専念したい、そのことを運輸省は了承したと、こう書いてありますけれども、私は、こんな程度ではなまぬるい、国民は決して安心をして航空機というものを、富士航空のみならず、全日本航空業界まで信頼をしない、こういうことになろうと思いますので、先般の運輸大臣決意にもございましたように、この際は免許を取り消す、こういう手段に私は政府として出るべきだというふうに思うのでありますが、こういう点いかがでしょうか。
  7. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 吉田先生からの御指摘、私どもまことに相共鳴する点が多々ございます。たまたま近く合併する段階にまいっておりますし、富士航空からも、当分の間運航を中止したいと、こういう申し出がございますので、できるだけ私ども吉田先生の仰せに沿うようにひとつ考えてまいりたいと考えております。
  8. 河野謙三

    河野謙三君 ちょっと単刀直入にお尋ねしますが、こういう会社が今度合併しますね。合併して、一体どれだけ会社が優秀な内容を持つようになるのですか。合併のしかたですね。私はこの前も申し上げましたが、マイナスをいくら三つ寄せたって、四つ寄せたって、ちっともプラスにはならないので、たとえばこの前の藤田航空全日空合併したという場合には、確かにわれわれの納得のいくようなプラスがありますよ。しかし、今度は、たいした会社じゃないのが寄り合っていって、合併のしかたが悪ければ……、たとえば、赤字を全部切り捨てて、そうして資本を新しく持ち寄って、それで資本的にも内容充実する。操縦士その他の従業員も、ただ心を新たにしたというだけじゃだめですよ。質的に従業員充実するという何かがあるのだと思うのですがね。ただ三つ寄ったというだけでは、ちっとも安全にはならない。むしろ私は不健全になると思うのですよ。合併を慫慂された政府といたしましては、合併条件においてどういう点にプラスがあるのですか、ひとつ具体的に示してもらいたい。
  9. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 今回の合併につきましては、ローカル線が非常に採算が合わない、それを今日まで無理をして会社経営をしておりますので、操縦士等の待遇の問題、また経営バランス問題等を見ましても、きわめて不安定でございます。そういう意味から、今回三社が合併をいたしまして新会社になるわけでございますが、政府もこれにつきましては慫慂をいたしておるわけでございまして、当然ローカル線経営というものが、ある程度採算に乗るような路線をやはり与えるということでなければ私は航空会社の健全な運営にはななぬと考えております。現在、日航は主として国外線、それから全日空、今回の合併をいたしますのが日本国内航空株式会社という新社名で発足するわけでございますが、できるだけ国内線採算の合うように、路線を、やはりある程度政府もそれに協力をしてやっていく、そうして運営をいたしませんと、従来とも何ら引き続いて変化はないという結果になるわけでございますが、しかし、資本充実をしてまいりましたし、また政府のできるだけの協力と、そして援助によりまして、採算の合う路線運輸省としては考えなければならない、かように考えております。まだ具体的にどこをどうするかという問題までは出ておりませんけれども、そういう考え方に基づいて合併も進めておる、こういうことでございます。
  10. 河野謙三

    河野謙三君 政府委員の方に伺いたいのですがね、合併条件ですよ。四月一日から合併するのでしょう。合併条件ができておるでしょう。赤字会社ばかりでしょう。いままでの赤字会社赤字を持ったまま一緒になるのでしょう。少なくとも、三つ一緒になって将来採算がよくなるまでには、二年、三年かかりますよ。その間、こういうような——こう言っては何ですが、ぼろ飛行機をみなで持ち寄って、赤字を持ち寄って、そうしてこうやっても、何のことはないじゃありませんか。私はきのうの新聞を見て驚いた。あの飛行機は、風に弱い飛行機だと書いてある。風に弱いとか、雨に弱いとかいう飛行機が一体あるのですか。ですから、合併条件ですよ。合併をして、赤字を切り捨てて、そうしてもっと優秀な飛行機、いままでのこういうようなものはやめてしまって、新しい飛行機で出直すとか、全く新しい会社をつくるのだと、具体的に言うならば、全日空程度民間会社になるんだと、持っている飛行機もそういうものに全部するのだということなのかどうなのか。重ねて申しますが、赤字を持ち寄っていままでのぼろ飛行機を持ち寄ったって、何のことはないじゃないですか。私はその点を憂えるのですが、合併条件は具体的にどういうふうになっているのですか。政務次官、担当の人でいいですよ。
  11. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 航務課長だから、その内容がわからないのです。
  12. 河野謙三

    河野謙三君 それでは資料をいただきますが、合併条件についてひとつ詳しく御説明をこの次にしていただきたいと思います。政務次官、私はしろうとですけれども、これは国民の常識だと思うのですよ。これをどう考えても、いまの三つ会社赤字があるんでしょう。いわゆるぼろ会社でしょう。それをただくっつけただけでは意味がないので、これは要するに、おっつけ仕事ではなくて、全く体質改善をして、新しくひとつ会社が出発する。それには、運輸省として、路線の権利を大いに与えてやる。場合によったら新規に与えてもいいと思うのですよ。そういうものにしてもらわなければ、合併意味がないと思う。そういうことでないと、不安が解消しないですよ。とにかく、風に弱い飛行機はやめてくださいよ。この次お答え願います。
  13. 江藤智

    江藤智君 関連。
  14. 米田正文

    委員長米田正文君) なるべく簡潔に願います。
  15. 江藤智

    江藤智君 新会社合併につきましては、これはこの次に運輸省から御説明願うことにしまして、かりにこれまでの赤字などは切り捨てて、りっぱな会社をかりに四月から発足させるにしても、一方においては事故が御承知のように続発しておるわけです。路線六社というのが、みな非常にわずかの路線を長い間やっておりますから、非常に疲弊をしておるということは事実です。そこで、この前、昨年の八丈島の事故以来、日東航空の淡路島、あるいはキャブレターが凍結して起こした事故、また富士航空が連続して大分鹿児島事故を起こした。これらの事故を見ますと、いずれも不可抗力的であるとか、あるいは非常に天候が悪いという場合じゃないのでありまして、みんなある意味におきましては、操縦の熟練の度合いが非常に低いのではないか、あるいは気象条件を十分に考慮に入れていないのではないか、こういうようないわゆるミスに類するような事故が続発しておる。そこで、なるほど一方に新会社をつくって基礎を固めるということも、これももちろん必要でございますが、こういう事故は、今度こういうことは起こさないと運輸省が言いましても、何らかの措置をとらなければ、これは幾らでも起こるのではないかという感じがしてならないのです。そこで、富士航空は、幸いに、みずから経営を一時やめて、自分で徹底的な検討をしたいという申し出があるようでございますが、監督官庁としての運輸省としては——運輸省はもとよりでございますが、ひとつこういう方面においては何といっても非常に優秀な操縦士を訓練する機関を持っております自衛隊などとも十分に協力をして、日本航空技術というものを集結して、徹底的にひとつ査察をする、こういうような考え方運輸省としてお持ちであるかどうか、この点をお伺いしてみたいと思います。
  16. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) ただいま江藤先生の御指摘になりました問題につきまして、先般運輸省におきましてもいろいろと協議をいたしまして、問題はやはり操縦士質的向上ということが非常に強く要求されると思っております。前回事故も、今回の事故も、操縦士に何か過失があるのではないかというように思うわけでございますが、いまの操縦士の大部分がみな自衛隊から入っておる実情から考えましても、やはり今後自衛隊と密接な連携をとりまして、そうして、この操縦士養成と申しますか、質のいい操縦士民間航空に入れる、こういう体制をとるためには、自衛隊と緊密な連絡をとるとともに、現在運輸省にも航空大学、こういうものが九州にございますが、こういうところも自衛隊と相提携しまして、そうしてあらゆる航空事業に対します操縦技術向上という問題を十分検討をいたしまして、そうして質的な充実をした操縦士養成をしていく、かようにやってまいりたい、かように考えております。
  17. 江藤智

    江藤智君 実は、五年半前に全日空DC3が下田沖で落ちましたね。それを契機にいたしまして、これじゃいかぬというわけで、内閣にはそういう事故対策審議会をつくって、そうして機種の統一には国庫補助を出す、日航からは技術的な援助をやる、あるいは国内の幹線についても、従来は日航が独占しておったものを、半々ぐらいにまで路線を与えて育成するというように、非常に努力をやってきた。まだ十分ではありませんが、しかし、これだけの事故におきましても、これだけの努力を払って、全日空というものに力をつけたわけでございますが、昨年以来からは、それよりひどい六回も立て続けの事故でございますから、ひとつ運輸省としても、おざなりの対策じゃいけないので、具体的な抜本的な対策を立てる時期にいよいよぎりぎりに来ていると私は思う。その中でも、私が特に先ほど申しましたように、とにかく緊急の対策を立てたい。予算を伴うものはおそらくことしの暮れになりますか、予備費でも出すようになればもっと早く出すようになるかもしれませんが、いずれにしてもある時間が必要であると思いますから、とにかく飛行訓練、あるいは整備状況、こういうことにつきましては、至急その対策をひとつ立てていただきたいということを重ねて要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 関連して。先ほど河野委員から資料要求がありましたが、私も資料一つお願いいたしたいと思うのですが、新合併会社操縦士整備士スチュワーデス——乗客掛ですね、そういう人たちの数と平均ベース勤続年数、それぞれを区分して教えていただきたい。これは資料要求です。  それから、いまの江藤委員質問政務次官のお答えがありましたが、私少しその点についてはひとつ根本的な議論をいつか一度やってもらいたいと思うのです。私は実はむしろ非常に奇異に感じておるのは、民間航空会社操縦士というのは自衛隊の者が比較的多い。私は、戦闘訓練をしておる航空士と、民間輸送の場におけるところの航空士とは、少し違うと思う。たとえば、これはもう三、四年ばかりに前に一度、国鉄ドライバー——国鉄機関士養成の問題について、自衛隊機関士養成という、自衛隊機関士の教育という問題を当委員会で取り上げたことがあります。こういう問題についても、私はやはり、自衛隊列車輸送の問題、あるいは自衛隊戦闘訓練の問題、こういうものと、いわゆる陸上における国鉄輸送機関をあずかる機関士養成問題とは、やはり違う。飛行士の場合においても、自衛隊戦闘訓練を指揮した飛行士養成と、民間航空をいわゆる中心にしておるところの操縦士あるいは飛行士養成とは、私は違うと思う。飛行機種もおのずから違う。こういう面からいって、自衛隊におけるいわゆる勤続時間、飛行時間といいますか、こういうものが長いから、経験があるから、これが必ずしも民間航空に適するとは、私は考えられない。こういう問題で、むしろ私は、日本国内航空については、外国のそういう民間航空のレベルを上昇させるための航空大学なら大学に入学させるのも一つの方法であり、国内においては運輸省航空大学をもっと拡張整備して、そして根本的ないわゆる操縦士整備士というものを私は基本的に養成していく必要があるのではないか。これは、前回九州班人たち現地調査の結果、宮崎の航空大学の機能というものはまだ少ない、もっと大きくしろ、もっと魂を入れろ、こういう御指摘があったことと私は思うのです。そこで、この事故を見てみると、そういう操縦士機長、こういう人たち飛行時間の経歴の中に、自衛隊の勤務時間、飛行時間というものがきわめて多く出ておって、これだけの滞空時間があるからこれはだいじょうぶだというような印象のもとにもし今後の民間航空というものが続くとなると、私は一つそこに疑問点が出てきはしまいかと思うのです。戦闘訓練の場合は、とにかく敵にぶつかって敵を落とせばいいのであり、自分は死のうと敵を落とすことが問題である。民間航空の場合は、どんなことがあっても旅客の安全を期さなければならない。安全航空をはかるのが民間航空のたてまえである。こううことからいくと、やはり戦闘訓練民間航空の場合の航空とは根本的に違う。こういう問題を持っておるので、これはきょう議論をする考えは私はありません。ありませんが、運輸省の根本的なお考えをひとつ後刻聞かしてもらいたいと私は思うのです。こういう点については、政府の中に航空事故対策のあれをつくっていただくことは、江藤委員のお話のようなことは、私も大賛成である。しかし、民間航空自衛隊航空ということになると、私は若干意見を異にするわけです。こういう点についてひとつ政府のお考えを後日どういうものであるかということを出してもらいたいということを要望して、私の質問は終わります。
  19. 岡三郎

    岡三郎君 先般出張で種子島へ行ってきたので、この事故は非常に印象が強いのであるが、非常に損害が軽微であったことは不幸中の幸いだと思いますがね。しかし、年々飛行機旅客がふえている。そうするというと、飛行機がそこから出るということになると、お客はその機種が安全であるかどうかは別にして乗らざるを得ない——急用の場合がありますからね。そうするというと、たまたまわれわれおっこっていないから安心しておるのだが、安心しておるように見えるのですけれども、かりに運輸省の役人とか、国会議員がおっこったとすると、こんなどころの騒ぎではないと思います。一般の民間人が落ちたということで、時がたてば忘れるということでは済まぬ。そういう点で、一体、いま操縦士の問題も出ていますが、操縦士が四十三名、整備士が二十二名、こういう程度でいいものなのかどうか。よその会社に出すんでしょうけれども、全体から言って、十億八千万円で飛行機を飛ばすなどということ自体、運輸省はどういう心がまえで許可をしたのか、私はそのことを聞きたいと思うのです。十億八千万円で安全飛行ができるというふうにお考えになっておるのか。飛行機一台、ちょっとした飛行機は億になるでしょう。そうするというと、これを回していくのに、十億八千万円程度資本金で、借り入れ金がずいぶん多いとすれば、利息も払わなければならぬということになれば、根本的にそこにもう事故原因があるのじゃないかというふうに考えますが、しかもその弱体会社に先般東京高松大分鹿児島という長距離路線を許可したんでしょう。これはヒルトン・ホテルかどっかで御披露したのだから、知っていると思います。そういう弱い会社に対して長距離のこういう航路を最近において許可した、こういう点について、一体どういうところに基準を置いて許可しておるのか。それだけの内容を持った飛行機会社なのかどうか、こういう点について、ひとつ新路線を決定する場合の認可条件とか、あるいは十億八千万円程度で、それだけの飛行機でもって——各いろいろの機種を一機ずつ持っているけれども、こんなことで安全航空ができるのかどうか、常識的な点で私は聞きたいと思うのです。何がなんだかわけがわからぬような名前の飛行機が一ぱいあって、そんなことを言うとおこられるかもしれぬけれども、パイパーアパッチとかなんとか、よく知らぬけれども、とにかくちょっと役に立ちそうもないような飛行機の古さ——おっこった飛行機昭和二十年でしょう。もう十九年もたっているのだから、こんな科学の進展の時期にこれでいいのかどうか。風に弱いとかへちまとかいっても、人間が乗るんだから、根本的に、いま言ったように、十億八千万円という会社を許可したという基本問題、だれの大臣のときにこれは許可したのか、これをひとつ聞いておきたいと思います。
  20. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) この許可の問題でございますが、これはちょうど航空局長が参りましたから答弁させていただきたいと思いますが、私の考え方といたしましては、やはり当時ローカル線、いわゆる民間航空を育てていくという考え方に立ちましてローカル線の許可をした時代があったわけでございますが、先般以来の事故考えまして、やはり航空事業というものは人命を預かる大事な輸送機関ですから、こういう事業につきましては、私は非常に慎重で、そして経営が健全にいくような路線機種を持った会社でなければ許可をしてはいけないんじゃないか、こういう考え方を強く持っております。現在の運輸省といたしましても、そういう考え方で進んでおるわけでございますが、あとは局長がちょうど参りましたので御答弁させていただきたいと思います。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 私の聞こうとするのは、田邊政府次官からもお答えがあったのですが、事故があっても、航路が開設されるというと、お客さんは緊急の場合には乗るわけですよね。やめるわけにはいかなくなると私は思うのですよ。一たんそこに航空路が開設されれば、やはりそれは、事故が起きたからやめるということになれば、これはえらい不便になって、そんなものなら初めから当てにしない、飛行機をそこから飛ばさない、それだけのやはり慎重さがなければいけないと思うのです。一ぺん航路を開設したら、その航路が安全で確実に運航できるようにしなければ、開設しない前よりも私は悪いと思う。そういう点で、十億八千万円のこの富士航空が、次には合併するということですが、少なくとも十億八千万程度長距離路線を持っていて、これで実際確実安全に会社運営飛行の安全、そういうものが常識的に言って守られるのかどうか、期せられるのかどうか、そういう疑問を持つのですよ。しかも、この会社の所有の各種各様の飛行機の種類、こういうものの部分品とか、そういうものがどういうふうに整備されているのかもちょっとわからないが、根本的に言って、このような資本金でこういう飛行機会社を許可するということ自体がむちゃではないか、こういうふうな感じを持つのですが、どうですか。一体だれのときにこれを許可したのですか。
  22. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) この路線の許可は、昨年の六月ごろであったと記憶いたしております。正確な日にちはいま覚えておりません。  それから、いま長大路線について懸念はないかという御質問でございますが、この会社資本金が十億八千万円であるということで、あるいは大きな航空会社に比べて資本金はもちろん少ないわけでございますが、私は、東京高松大分鹿児島、長大路線と言えば長大路線でございますが、コンベア240という型の飛行機がこの間を飛ぶということは決して技術的には無理がない。また、整備上の点につきましても、これは東京鹿児島整備の基地がございますので、そこでもって点検をするということによって安全は確保できる、かように考えられましたが、現に鹿児島で、また前回大分事故をやったではないかという点でございます。この点、まことに、事実でございまして、遺憾な点でございますが、私は、免許そのものが決して不適当である、かようには考えておりません。ただ、あるいは政務次官から御答弁があったかと思いますが、やはり小さな会社が乱立しましていろいろな路線をやることは好ましくないという点は、そのとおりでございまして、その点につきましては、三社合併という線で、強力な基礎を持った会社、すなわち、合併だけでは、即資本金はもちろんふえますけれども、しかし、それはただ形式的に足し算でふえたということでございまして、やはりそれが一体となりまして、技術面におきましても新しい会社になって、そうして強力な基礎をつくっていくということが必要であり、またこのためには航空局あるいは運輸省としてもできるだけの援助はしていかなければならないということは痛感しております。御質問の、東京高松大分鹿児島という、いわゆる長大路線をこの会社ができないという点は、私はないと、かように考えております。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 私の言っておるのは、要するに、たびたび事故が起こる原因はどこにあるのか。操縦士が未熟なのか、飛行機の機材が好ましくないのか。気象関係とか、風速とか、そんなものをあげて、このくらいの風で吹き飛んでいく飛行機旅客を乗せて飛ばすということ自体、根本的問題になってくると思う。突風によってこれがから回りして、滑走路の上で足を折ってしまって、けがになった。まことにたわいのない飛行機にお客さんを乗せているということになる。だから、そういう点で、たとえば離陸した、それで突風にあったんでおっこっちゃったんじゃないかという感じがするんです。そういうときには飛ばさない、こう言うかもしれぬけれども、これはわからぬ、気象現象というものは。ということになると、一体安全というものを守るということはどういうことなのか、なぜ事故が起きるのか、そういうことを突き詰めて考えていけば、基本的な直接的な原因だけじゃなくて、積もり積もった多くの原因がそこにしわ寄せになってきているんじゃないかという感じです。会社運営そのものが全体の士気に影響を及ぼしているのかどうか。そういうふうな点で、私の言わんとするところは、とにかく、航空路が開設されれば、飛行機が安全であるかどうかということを抜きにして、お客さんは乗るんですよ。運輸省——日本の国が許可をしたんだから心配ないだろう、安全だろう、こういうことで、安全のほうは運輸省のほうにまかして、そうして乗るわけなんです。しかし、たびたび事故が起これば、先ほど吉田委員が言ったように、免許取り消しぐらいのことをやらなければ、会社自体が事故を起こして人命を殺傷するということになったら、これは各外国にも一ぱい例がありますけれども、何か画期的に、飛行機の機能とか、こういうものを再点検して、もっと優秀な飛行機を得るようにするとか、あるいは、こういうことができなければ、これは自発的にと言っているけれども、私は、これは会社のほうは、自発的というよりも、もうみんな神経衰弱みたいになって、これからまた事故が起こるかもわからない、こういうような恐怖症におちいってくると思う。お客さんがもう乗らないですな、あぶないから。富士航空というものはあぶないから。しかし、のど元過ぎれば熱さを忘れるもので、しばらくたつとまた乗る、また事故が起きる、そういうことが起こるので、抜本的に、あなたの言っているように、許可したのは間違いじゃない——間違いだという答弁をしたらたいへんだから、あなたの答弁することはわかっているけれども、実際問題として私は言うんだが、こういうような小さな会社が、先ほど河野委員が言ったけれども、集まっても、在来の同じようなこういう飛行機で実際内容が従前と同じような形なので、また事故が起きる。二度あることは三度ある。また起きるかもしれない。そのときに、また先ほど言ったような同じような答弁で、十分これに対して対処するということばだけでは許されなくなってくる。大分事故から間もなく鹿児島空港事故ですからね。どうしたらいいのか、この事故をなくすのには。こういうぼろ会社はやめさせる以外にはないと思うのだが、どうですか。
  24. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 富士航空に  つきまして、短い期間に二つの事故が起こったという点で、非常におしかりを受けておるわけでございますが……。
  25. 岡三郎

    岡三郎君 おしかりどころじゃない。
  26. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) この富士航空につきましては、やはり、たび重なる事故でございますので、特別の手段として、私ども協力いたしまして、パイロットの点検、あるいは整備状況点検をやるということで、今後の事故のないように細心の注意を払わせる、かように考えております。  なお、繰り返すようでございますが、四月の十五日には新会社として発足するわけでございますので、私は現在、富士航空免許を停止するというよりも、むしろ富士航空一緒に参加します新会社の基礎を固めていくという方向でやっていくほうがいいんじゃないか、かように思います。
  27. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 関連して。東亜航空全日空合併するのですか。
  28. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 東亜航空全日空との合併ということは、別に決定しておりません。
  29. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 そうしますと、新たにできる航空会社には、東亜航空は加入するのですか、しないのですか。
  30. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 東亜航空は新会社には加入いたしません。
  31. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 岡委員質問に、昨年の六月東京高松−大阪−鹿児島路線認可、この路線の認可は昨年の六月なんでしょう。ほかの路線の認可はそれより早いのでしょう。
  32. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) おっしゃいますように、東京高松大分鹿児島が昨年でございまして、鹿児島を中心とした路線はその以前でございます。
  33. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 この事故の報告で見ますと、同社の三〇一便が中種子を十時五分にランプアウトしと、こうなっておりますが、東亜航空は、これは九時半ごろ、おそらくこれは西之表の方向に向かって離陸したはずだと私は判断しているのですが、その辺のところはわかりませんか。
  34. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) いまのところはまだわかっておりません。
  35. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 これは御存じない方が多いから申し上げるのだけれども鹿児島種子島鹿児島屋久島種子島屋久島、この路線は、東亜航空富士航空とせり合っていて、両方で競争しながら、両方ともこれは赤字を出している路線だと私は見ている。だから、やっているパイロットも私は意欲がないのじゃないかと見るのです、この路線については。ところが、会社の至上命令でやはり交代にずっと飛んでいますから、だからその辺のことで、何か仕事あるいはお客の奪い合いとか、あるいはほかの会社から取られまいとするような、一つのそういう意識的なものがあって、むしろ、安全運航よりも、そういう経営の面に、私は不当、過酷な競争があっていけないのじゃないかという気がかねがねしているのですよ。この際、どうですか、これはどちらの会社かにするようなお考えはないですか。私はこれを二つの会社に許すことがもともと不自然であったと思う。
  36. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) いま御質問のありましたように、この鹿児島を中心としまして、種子、屋久、これにつきましては、現在東亜航空が別に路線をやっておりますが、両者間で時間帯の調整その他によって旅客の便宜をはかるということになっております。現在直ちにこの両社を合併するということは、現在の情勢では不可能ではないかと、かように考えております。
  37. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 しかしね、いま他の委員の御発言を聞いてみれば、富士航空みたいなこんなたびたび航空事故を起こすようなところは免許を取り消してもいいじゃないかというきつい御批判も出る今日でしょう。だから、何かその合併について進められない理由とか根拠というのはどこなんですか。
  38. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 私は、富士航空は、繰り返して申し上げますが、今度の新しい航空会社に入ります。それから、東亜航空は東亜航空として、全日空と提携関係のもとにやっていくと、こういうことになっております。したがいまして、富士航空をいまつぶしてしまうということはむしろ不得策で、新しい航空会社一つの構成要素として、大きなものに発展していくという方向がいいのではないかと、かように考えております。
  39. 岡三郎

    岡三郎君 だから、航空局長の言わんとすることはわかるけれども、じゃああなた監督官庁として、こういうしばしば事故が起きていることに対して、いまの答弁は通り一ぺんの答弁ですよ。もうちょっと真摯な態度で、安全運航というものについて一体どうするのだと、そういうところがあなたの口から出なければ、一緒にして、これはあとで——河野委員も言っているとおりに、どういうふうに合併するのか、合併条件とか、合併内容ですね、こういうものをあとでやられるということで、いま差し控えておるわけですが、結局弱い資本会社というものは、総体的にこれは機材も乗員も私は弱いと見ておるのですよ。ですから、これを強くするのは、いま言ったように、大きくすれば強くなると——ほんとうに強くなるのかという疑問があるから、あなたが来ない前に質問が出ておったわけですがね。弱いのがみんな集まって強くなるわけはないでしょう。だから、抜本的に事故をなくすために一体どうするのか。機材の点検から、いま言った乗員の点検、こういうものをやられると言うのですがね。一体どの程度大分事故からやられてきておるのですか、具体的にひとつ伺いたいと思う。富士航空に対して、大分事故以来、実際にどういうふうに安全運航させるための手を打ってきたのか、それを伺いたいと思う。
  40. 浜田幸晴

    説明員浜田幸晴君) 二月二十七日の大分空港におきまする富士航空所属コンベア機の事故におきましては、先日中間発表のようなかっこうで発表いたしましたように、それまでに約十日間の調査の結果わかりましたことをもとにいたしまして、とりあえずの事故防止対策といたしまして、着陸時の速度の規制の問題、それからリバース操作の問題、ブレーキ操作の問題等につきまして、予想される問題点を掲げて、同型式機及び類似の航空機を使用している会社に対しまして注意を喚起いたしました。それと同時に、富士航空が保有しておりまする他のコンベア機につきまして、今回の事故原因一つではないかと疑われる一番問題になりまする機構上の面として、リバース機構及びブレーキ機構、この点につきまして再点検をいたしました。  以上でございます。
  41. 岡三郎

    岡三郎君 いま聞いてみるというと、対症療法にすぎないと思うのですがね。その対症療法で悪いとは言っていないですよ。言ってないけれども、根本的に言って、この会社自体の、先ほど資料の要求があったように、給与の面とか、待遇の面とか、従業員の士気の点、いろいろに総合的に判断をして、どうもこの会社自体、内容的にいっても、全体的にいっても、これは非常にあぶなっかしいというふうな内容というものが私はあるんじゃないかという気がするんです。しかし、許可をしたんだからそれはもう運航すると、こういう内容条件を持っているからこれは許可して間違いなかったと言ってみても、こういうたびたび事故が起こるというと、根本的にそういうふうな点に原因があるんじゃないかと、資本が弱いとか、そういうふうな面で赤字々々で追いまくられていけば、性能のほうは、金繰りに忙しくて、内容的にそれを取りかえるとかなんとかというところに手が回らぬ。整備のほう自体にしても、やられるとしても、従業員全体のやはり生活条件とか、そういう問題が時々刻々上昇して初めて勤労意欲というものが出てくるんじゃないかというように考えると、内容的にいってとにかく弱体なものが、これから統合して一つのものに生まれ変わるんだから、まあそれを見てもらいたいという、そういうことを言われておるけれども、抜本的に事故を防止するために、いま言った対症療法ではなくして、根本的にひとつ、民間会社なら民間会社全体について、先ほど谷口さんが言われたように、弱体会社をもっと強力にするために、国内路線全日空に全部集まれ、統合するんだと、そうして全日空のもとに国内路線というものを整備するなら整備する。小さいものを少し集めてやったって、心配が絶えないと思うんですよ。そういう点で、なかなか、航空局長にこういうことを言っても、すぐそういうことができるとは言えないと思うけれども、われわれの願いは、やはり日航国内の主要幹線と国際線を持っているけれども全日空はとにかく国内線を専門にやっておるんだから、これにとにかく統合して、安全運航機種、機材、それから乗員を含めて、やっぱりしっかりしたものをここでつくるという構想がなければ、心配は絶えないんじゃないかという気がするんです、一体、安全を守るためにいま言ったように上のほうから注意した、厳重に催促してやらしているといっても、たよりがない、また事故が起こりますと、こんな調子では、世界的に見て事故がないということはありませんよ、ないことはないけれども、しかし、非常にひんぱん過ぎるという、こういう印象が強いわけです。だから、谷口さんが言ったように、東亜航空にしても、何にしても、いますぐはできないにしても、そういう一つの構想を持って、これは集約統合してしっかりした基礎のある会社にこれをまとめていく、そういうところで責任を持ってやるということにすれば、やはり全日空ということになれば、鹿児島事故にしても、大分事故がかりに起こったとしても、会社自体は、ゆゆしき問題だと、ねじりはち巻きで会社の信用を取り戻すためにがんばらにゃいかぬ——普通、会社つぶせませんからね、そこまでいけば。だから、私は、そういう点で、安全運航するために抜本的にひとつ運輸省考え方というものを立ててもらいたい。航路が開設されればやめるわけにいかないんですからね。利便が与えられれば、あぶなくても乗らざるを得ない現状というものがあると思うんです。これをより安全にするためには、抜本的に——対症療法のみでなくして、抜本的にそういうふうな安全性を確保するための方法というものを、航空局として、運輸省として考えるべきだというのがわれわれの意見なんですがね。それはどうです、航空局長、なかなか根本的には答弁はできないけれども
  42. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 全日空日本ローカル線全部を一本にするという方針は、現在は持っておりません。もちろん、繰り返すようでございますが、乱立することは好ましくないということで、現在国内航空というものを新たに設立するという方向で、これはまあ一種の行政指導と申しますか、そういうことで、各会社ともそのつもりになっていま努力しておるわけでございまして、現在全日空に一本にするということは考えておりません。
  43. 岡三郎

    岡三郎君 そういうことを言っておるのじゃないのだ。これは現在考えておりませんということじゃなくて、安全運航させるために抜本的にどういうふうに考えていったらいいか。弱小なものを競合させる気持はないと、そういうことを言っておられる限りにおいて、弱小な日東航空なんというのはどうか。あなたにこれを聞くのは無理だから、これ以上言わぬが、根本的に、事故が起こってから、それに対して対症療法をやって、厳重に会社に対して注意を喚起するということで指示を与えて、それに沿っていろいろと安全運航ができるようにやると、それはいいです。しかし、根本的に言って、いま三社合併によって四月の半ばから新しいものが生まれるといっても、これ自体もう、各委員が心配しておるように、なかなか強力なものになり得ないのじゃないか、こういう心配があるわけです。航空局長はそれによってよくなると言っておられますが、今度事故が起こったら、あなた責任をとりなさいよ、これだけははっきり言っておくから。
  44. 大倉精一

    ○大倉精一君 あとから来たのでダブるかもしれませんが、この事故を新聞で見て、またかという感じが起こった。それで、簡明率直にこの事故原因についてひとつお考えを承りたい。
  45. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 昨日の事故でございまして、ここで最終的な結論というものは申し上げかねますが、現在わかっておる範囲におきましては、気象条件、すなわち風の問題、操縦士操縦上の操作というものとの二つによって事故が起こったのではないか、かように推定しております。現在まだ現地で調査中でございますので、最終的な結論はここでは申し上げかねます。
  46. 大倉精一

    ○大倉精一君 いまの答弁でありますというと、風が吹いたということと、それから操縦士操縦の誤りといいますか、こういう問題があるのじゃないかという推定ですが、そういう程度のものなら、運航を中止をするということはたいへんな決断だと思うのですが、運航を中止をして何を検討しようとするのか、富士航空は。これはどういうぐあいにお聞きになっておりますか、富士航空から。
  47. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) いま申し上げましたように、風の問題と操縦士の操作上の問題ということでございますが、これはあくまで推定でございますが、その場合に操縦士がどういうふうな判断をしたか、あるいはどういう操作をしたかというようなことがこの事故の直接の原因であるとすれば、操縦士につきまして、もちろん資格は持っておるわけでございますが、路線別のチェックをやるというようなこと、また前回大分事故につきましても、これも最終結論が出ておりませんが、やはり操縦上の問題等、気候上の問題等に疑点があるという点で、この引き続いての事故ということで、会社としてもこの際根本的に、パイロットの面、あるいは整備の面を洗い直すということによって安全運航を期そうと、こういう考え方に立ったものと思われますが、これにつきましては、航空局としても、専門の係官を立ち合わせまして、十分指導するということにいたすことになっております。したがって、風についての判断というようなものが操縦士全体のそのほかの判断というようなものにもやはりつながる面があるのではないかというような点で、この際、これを契機といたしまして、会社側がいわば総点検をやるという場合に、航空局もこれを指導していきたい、かように考えております。
  48. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも監督官庁として一歩ずつおくれておるような気がしますね、一歩ずつ。こういうようなものは、むしろ運輸省のほうから、この前大分のような事故が起こった場合に、総点検せい、その対策について自主的に報告せい、こうあってしかるべきなんですね。で、いまの答弁でいくというと、風の判断とか、何々の判断、そういうものを検討するために運航を中止したというのでありますけれども、それだけの問題を討議するなら、長期間何も運行を中止する必要はないと思う。そのほかに原因があると思う。それで、いま私は、岡君の質問答弁を聞いておりますというと、どうも、抜本的な対策ということを非常に主張しておりますけれども、抜本的な対策というものは、いわゆる潜在的な原因というものを掘り下げて考えていかないというと、ほんとうの対策はできないと思うんですね。特に、いま日本航空会社は、観光関係から、たくさん中小——弱小ということばが使われましたけれども、中小企業のさまざまな航空会社があると思うんです。で、同じような要因を中に持っているんじゃないかということを心配するんです。で、この際、富士航空自体としても、全面的に運航を中止して、そうして抜本的な対策を講じよう、そういうかまえでありまするが、当局としても、全部の航空会社に対して、この際抜本的な再検討をして、機材の点検から、何から、全部オーバーホールして——命のオーバーホールをするというような考えはありませんか、また続いてどこの航空路、どんな小さい航空路で同じような事故が起こるかもしれませんからね。そういうお考えはありませんか、全部の飛行機、全部の航空会社に対してこの際点検する、そういうお考えはありませんか。
  49. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 私は、この富士航空のように二度も引き続き事故を起こしたという場合に特別の措置をとるということは適当と思いますが、現在日本じゅうの飛行機点検をいま一度にやるということは、かえってぐあいが悪いんではないか。むしろ飛行機は、いつも御説明しておりますように、定時の点検というものがきめられておりまして、それに従って計画的に点検を行ない、それによって定期路線運航の確保ということを行なっており、しかも定時の点検ということで安全性を確保するということになっておりますので、全部の飛行機をいま一時に点検するということは全体的には不適当ではないか。むしろ、こういう異例な事故の続出した当該会社について行なうということのほうがいいんじゃないかと考えます。
  50. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういうことはだれでもやることなんです。だから、さっき言っている抜本的な対策にはならぬと思うんですけれども運輸省のみずからの手によって全機を点検するということは、これは不可能かもしれないですね。しかし、この際、各会社に対して臨時点検を命ずる、その結果を報告させる、さらにあわせて会社ごとの安全対策を報告させる、こういうことはできるでしょう。これで見ますと、前回点検をしてから六十五時間しかたっていないけれども事故が起こっている。だから私はやはり心配になるんです。私も飛行機に乗るので、心配になるんですよ。あなた方の手によって全部やるということは不可能かもしれないが、この際、全航空会社に対して、全機について臨時点検を行なう、そうして会社ごとに点検して報告せい、このくらいのことはできるでしょう、どうでしょうか。
  51. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 点検時間は、百時間その他の時間できまっておりますので、そういう際に念を入れて点検をする、ふだんよりも念を入れて点検をするということはできると思いますけれども、この点検にしましても、いろいろな段階がございますので、非常に大きな点検、いわばオーバーホールというようなところの段階まで考えますと、これは定時運航ができなくなる——会社かやるにしましても、できなくなるというような点がございますので、この百時間点検といたしますれば、かなり頻度を多く点検しておるわけでございますので、その際に一段の注意をするというようなことは実際的に可能ではないかと、かように考えます。
  52. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ私さっきオーバーホールということばを使ったのですけれども、これは飛行機のオーバーホールといった意味じゃなくて、飛行機会社のオーバーホールということを、こういうことをもじったのでありまして、私の言うのは、国民全部が飛行機に対して非常に不安感を持っているのですよ、飛行機に対してですね。ですから、この国民不安感を払拭する上においても、運輸省として各会社点検をせい——やり方はいろいろあるでしょう、あなたの言うように一ぺんにやれば、運航を中止しなければならぬと思うのですけれども、やはり日にちを切って点検を命ずる、結果を報告させる、さらにまた会社ごとに安全対策について報告させる、こういうことが必要じゃないかと思うのですよ。現に富士航空は、運航を中止して、そうして安全対策について検討しようという。その結果を報告させるのでしょう。それと同じことをやらしたらどうですか、各航空会社に。各航空会社運航を中止しなくてもいいのですよ。したくてもいいのです。そういうことが、処置が必要だと思う。同時に、先ほどから、四月になると合併するのだから、こういう話でありますけれども合併すれば一体事故が減殺されるのか。合併しない現在のままであればやっぱり事故が起こる懸念があるのだとするならば、ほかにも合併しなければならぬような規模の航空会社がたくさんある。それならば、こういう会社もある程度の規模にまとめなければ航空の安全は期せられない、こういう逆論になるのですがね。ですから、合併問題は別といたしまして、もう一回お伺いいたしますけれども飛行機会社に自主的に——方法はいろいろ考えてもらってけっこうですけれども点検をさせて、その結果を報告させて、同時に富士航空と同じように各会社ごとに安全対策について報告させる、このくらいのことはできるでしょう。——できませんか。
  53. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) いまの御意見につきまして、私どもは御趣旨に沿うようにできるだけのことをいたしたいと、かように考えます。具体的にどういう方法が一番効果があるかという点につきましては、研究さしていただきます。
  54. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 一点だけちょっといままで触れなかった点で私疑問に思った点をお尋ねしたいと思います。  この合併は四月十五日ということを言われておる。それから、長距離合併会社——今回の合併会社に対して許されたのが、大体昨年の六月ぐらいですか。大部分みな出しておりますね。これは、たとえば、民間あたりで会社合併とか何とかいう場合には、そのできた会社はりっぱな、しかも今後その運営に万全を期するという意味において、資本その他すべて堅実なものにするために相当注意をしてやるということになれば、これは合併をしてから、たとえば新航路というようなものを許すというようなことにすべきじゃないかと思うのですが、これはそうじゃなくて、四月十五日といえば、もう昨年の六月時分は合併というようなことは少なくともわかっておるはずなんです、決はつかなくても。それに取り急いで、たとえば富士航空において、いまの東京航路であるとか、それから北日本もでしょう——日本なんかも、ずっと札幌はじめ、東京とか、日東航空におきましても、大阪、富山、新潟というような長距離を、種子島鹿児島間あたりを簡単にやっているような会社に、合併する前にそういうことを急いでやった理由ですね。これは結局、先ほど岡委員の御質問もありましたけれども、どうも腐れ会社三つ集めてもやっぱり腐れには間違いないというのと同じ理論から、それではいけないからということで、その腐れの裏打ちをするためにこれを許したというようなことじゃないですか。もしそうだとすれば、整備も何もすべての体制ができていない会社長距離を許しておいて、そしてまあこういう航路を持っているのだからということで合併させる。それは、合併自身はいいかもしらぬけれども、そのために、人員の関係も、訓練も、それから飛行機のごときも、すべてお粗末ぞろいで、こういうものをまずやる、そこに非常な危険が生まれた。言いかえれば、もし私の言うようなことであれば、今回の事故は一にかかって長距離免許の結果こういうことになった、まだこれから何が出るかわからぬというようなことにもなりかねないような気がするんですが、こういうことについては、運輸省は、少なくても合併ということであるならば、私の言をもってするならば、合併して、そうして腐れを整理して、そうして資本総額について、あるいはまた保有飛行機、あるいはまた人員、そういうことについてすべて計画を立てて、全く人命尊重の上において安全だ、安全第一だという体制を整えて許可したらいいんじゃないかと思うんですが、この点の事情はどういうことか、何かあればひとつ聞かしてもらいたい。また、そういうことで、知らずに、四月十五日ということは偶然そういうことになったというのであるなら、はなはだ監督官庁として見通しがまずかったということになるように思うのですが、どうですか。
  55. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 東京高松大分鹿児島路線は昨年のたしか六月だったと思いますが、その当時北日本につきましても札幌−八戸−東京という路線免許になりました。そこで、この免許の経緯と申しますか、この点は、従来から北日本につきましては、東京へという強い希望を持っておりましたし、富士航空につきましても、相当な機材を用意しまして、東京から鹿児島までつなぎたいという希望を持っておりました。当時はすでに合併という話は出ておったわけでございます。したがって、これらのいわば中小の会社合併するということによって強固な基礎に持っていこうという方針のもとにこういう路線を許したわけでございまして、むしろこういう中小の会社を育てて、これを合併して、そして強固な一つ会社をつくっていこう、こういう考え方のもとに行なわれたわけでございまして、その後最終的には、去年の末に合併の具体的な問題がきまりまして、この四月十五日に新会社は発足する。そうしても発足いたしまして、中小を合わせましても、決して内容がそのままでは強くなるということがないことは事実でございますので、私どもとしましては、この新会社を強いものに育成していこう、こういう考えで現在いろいろ考えておりますが、まだ具体的にどうするというところまでは結論が出ておりません。しかし、方向としましては、新会社を育成して基盤を強化していきたい、かような考え方でございます。
  56. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 新会社を育成するというけれども、このままで育成するならば、これを許してもわかるんですね。だけれども合併するということはすでに昨年の末にきまったというなら、その間に四月だったら三、四カ月しかないでしょう。そういう際に、これは合併条件として私はこういうような長距離を許したんじゃないかという疑問が起こるんですね。もしそういうことだったならば、体制もできないのにやせ馬に重荷を負わせるから、結局そのままでいまきておるから、合併してはっきりがっちりしたものになって、体制ができて、そうしてやられるのなら、それはいくらやっても、私は無理はいかないという一応の考えができてくると思うのですけれども——浮かんでくると思うのですけれども、これではどうも、合併のために急いで許して、そうして合併させる、長い路線をね。そういうことをやるとすれば、これはもう体制も何もできていないんだから、みんなありのままでもって長距離を無理やりにやる。コンベア240というようなものがこの路線のほうに書いてあるようですが、これは何機あるか知りませんが、おそらく一つでもってつっ返しつっ返しでやるというようなことになれば、乗務員にいたしましても、何にいたしましても、無理がいくし、機材の点検等においてはもちろんのこと、非常にひまがないというようなことになって、結局重なり重なって、こういうことが事故を次々に発生さしてくるというようなことになりゃしないかと思うのです。まあどういう事情か説明ができなければ問いませんが、実にこれは、免許合併の時期については、非常に疑問があると私は思います。
  57. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記を始めて。
  59. 大倉精一

    ○大倉精一君 まことにお手数で恐縮ですけれども、各航空会社の使用機材、航空回数という資料がありますが、各航空会社で持っているこういうような飛行機に対して、この事故報告の中に「航空機の要目及び経歴」というのがありますが、これをひとつ各機種ごとに出してもらうわけにいきませんか。
  60. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) かしこまりました。     —————————————
  61. 米田正文

    委員長米田正文君) 次に、旅行あっ施業法の一部を改正する法律案及び国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。
  62. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 局長なりあるいは運輸大臣でなければならない質問がございますからこの点は参りましてからお尋ねしたいと思いますが、なお答弁のいかんによっては質問を保留しますから、あらかじめお断わりしておきます。  法律が提案されましてから、各委員からかなり専門的な立場で条文等についても質問がございました。それぞれ答弁されまして、かなり解明されたものもございますけれども、私はこの際この法律の考え方についてお伺いいたしておきたいと思います。  前の国会で観光基本法が制定されまして、この観光基本法との関連についてでございますけれども、この観光基本法の目的は、私たち、二つの側面を持っていると、こう考えます。その一つは、旅行者の安全と保護の問題であり、その二つは業者の育成と助成にあると思います。つまり、この今度提案されましたあっ旋業法は助成の立法であります。取り締まりの立法ではないと考えるわけでございます。したがいまして、本法律案を提案されました運輸省、とりわけ観光局でございますが、この二つの面をどのように配慮されて、しかもこの法律ではどのようなそれぞれのいま申し上げた面での考慮がなされているのか、この点をひとつ聞いておきたいというふうに思います。
  63. 見角修二

    説明員(見角修二君) お答え申し上げます。  私の所管は旅行あっ旋業法だけでございますので、旅行あっ旋業法についてただいまの吉田先生の御質問にお答えいたしたいと思いますが、旅行あっ旋業法は、その第一条に、「旅行あっ旋業の健全な発達を図り、日本人及び外国人の旅客の接遇の向上に資することを目的とする。」と、こううたわれております。これは目的がここに書いてありますように、「旅客の接遇の向上に資する」ということが最終目的でございまして、そのためには健全な旅行あっせん業の発達をはかることはもちろんでございますが、同時に、往々にして起き得る悪質な旅行あっせん業、こういうものが悪質な行為を行なわないようにということを目的といたしまして、一方ではそういう意味では悪質業者の取り締まりということをも同時にこの法律は兼ねている、かように考えております。
  64. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いまの答弁で、この法律の目的はここに書いてあるとおりでありますから、十分私どもも承知しておりますが、私の申し上げたのは、観光基本法との関連です。観光基本法の目的からながめてみますると、一つは旅行者の安全、いま答弁されたように、もう一つ旅客の接遇等々があろうと思うわけですが、一つの側面は、何と申し上げましても、業者の育成、助成だと思うのです。これがために今度法律が具体的に改正されて出てまいったのですけれども、先日来、参考人であるとか、あるいは木暮先輩からも、この面についてのそれぞれの質問なり意見がかなりございました。私どもも拝聴しておりまして、何かいま答弁なされましたように、一面ではやはり取り締まりを行なっていく、こういうことでございます。確かに悪質なものについては、私は、徹底的に取り締まっていただきたい、行政指導していただきたい、こう思いますけれども、ややともしますと、この取り締まりが、非常に何かしらかつての古い形の取り締まりの面が出てきやせぬか、こういう懸念等がおそらくや業界の諸君にはあるんじゃないか、こういう点を——私は答弁を求めようと思いませんけれども、十分、この法律が制定された場合に、この面の配慮というものを行なって、いま申し上げたようなことのないようにしていただきたい、こう思うわけであります。  その次に、この法律は、大体全般をながめてみまして、その比重が国際観光にかなりかけられているように見られる。もとより、オクリンピックという国際行事が本年日本で開催されるわけでございますから、やむを得ないといたしましても、それにいたしましても、あまりにも国内観光に対する配慮がないのではないか。したがいまして、旅行あっせんをいたす場合は、国際観光だけでは私はないと思います。とりわけ日本の場合は、もはや観光はただ単に物見遊山の観光ではない。観光資源の開発を行なって、一つの産業である、こう言われておりますだけに、私は、国内観光に対する配慮、施策が並行して進められるべきではないのか、こう考えるわけです。特に国民大衆に対する配慮、こういうものを私考えるべきだと、こう思うわけであります。  最近国民大衆旅行が、かなり各方面、各階層から叫ばれておりますけれども、御承知のとおり、その普及が、ヨーロッパあるいはその他の諸外国と比較をいたしまして、日本の場合は、そのわりに成果があまり上がっていないように、私どもは、それぞれの資料、統計等を見てまいりますと、明らかになっているところではないか、こう思うわけであります。すなわち、家族旅行その他健全な国民大衆旅行が、いま申し上げたように、非常に諸外国から見ましてこの面ではおくれているのではないか。なぜわが国にこういう家族旅行であるとかあるいは健全な大衆旅行というものが普及しないのであろうか、この点について私は非常に疑問を持つものであります。私は、その大きな要因としては、第一に旅行費の問題、経済的な負担の問題があるのではないか。そうして次に、今日それぞれ、国家公務員であるとかあるいは地方公務員等々には労働基準法に示される休暇制度がございまするけれども国民全般にわたっての休暇制度の確立の問題等は、これまた、ただいま申し上げたように、ヨーロッパ諸外国から比較をいたしまして問題になっておりません。ですから、こういう点が第二の問題として普及しない要因になっているのではないか。第三は受け入れ機関の問題、この法律の中にもございまするように、交通機関であるとかあるいは宿泊あっせんなどのいわゆる一貫したこれが抜本的な対策政府にないのではないか、こう考えておりまするので、この点についてのお答えを願いたいと思うのであります。
  65. 小林正典

    説明員(小林正典君) お答え申し上げます。  ただいまの先生のお話は、国際観光と比べまして、なお国内観光についてより一そうの施策の重点を置くべきだ、そういった点に欠けるところがあるんではないかというようなお尋ねだと思います。先ほど御指摘がございましたように、家族旅行その他国民大衆の観光旅行を中心といたしました国内旅行につきまして、したがって私は、観光行政上も、国内観光に重点といいますか一についての施策を行なうべきだということは、基本法にも書いてあるわけでございます。で、基本法の九条には観光旅行の関係の安全の観点からの問題、それから十条では旅行者の利便増進、それから特に十一条を設けまして、国民大衆の観光旅行の容易化という、この三条を中心に国内観光についての施策の方向が明示されておるわけでございます。で、これらにつきまして、一口に国内観光と申しましても、先ほど来申し上げましたあっせん業法というような改正によりまして、やはり国内観光の適切な発展というようなものを期待しておるわけでございます。こういった九条ないし十一条の問題に関しましての施策は、したがいまして非常に広範でございまして、単にあっせん業法を改正するというだけの施策ではとうていまかない得ないわけでございまして、たとえば施設の整備というような点につきまして、具体的に申し上げますと、ユースホステルの整備促進をするというようなことを国みずからがやっておるわけでございまして、あるいは観光旅行に関します、何といいますか、事業の健全を発展というような、業界の指導と申しますか、そういった点に関しましては、現在では特殊法人日本観光協会を中心に業界の指導というようなことをやっておりますが、これらにつきましても、さらに、すでに本国会に提案になっております日本観光協会法というようなものを発展的に二つの団体に分けまして、そうして国内観光に重点を置きますところの新しい社団法人日本観光協会というようなものの構想も着々とできつつあるわけでございます。それ以外に、先ほど先生のお示しになりました、国民大衆といいますか、勤労者に十分旅行可能を時間を与えて、そうしてしかも容易に旅行をし得るように施設も整備するというようなことが必要なわけでして、そういった点に着目したところの施策というようなものは、それだけ個別に取り上げて、立法の問題となっておるわけではございませんけれども、それに関係いたします諸般の施策というようなものが講じられつつあるわけでございます。今後の問題といたしましては、積み立て旅行というようなものが盛んになりつつありますから、そういった問題につきまして、ヨーロッパ各国でやっておりますような旅行金庫制度というようなものをわが国に適用するように、どうすれば取り入れることができるかというような研究をやっていきたい、万般につきまして考えておるわけでございます。
  66. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 答弁をいただいたわけでございまするが、たとえば宿泊の関係等は、ユースホステルの関係も着々進んでおると、こういうお話でございまして、国際的には日本観光協会の法律を一部改正をして充実をしてまいりたい、こういうことでございますけれども、この資料の三十一ページを見ますると、お答えではかなりユースホステルの計画等も積極的にやりつつあるかのごとき答弁ですけれども、私が質問した大綱から申し上げますと、問題にならない数だと思うのです。ないよりはましでございますけれども、私はあとから岡先輩からも修学旅行等について御質問もあろうから省略いたしますけれども、こんな数では最近の大衆旅行者あるいは修学旅行者に対する宿泊を満たしていくということにはならないと思うのです。ですから、こういう点は、決して皆さんのやっておられる仕事にけちをつけるわけではございませんけれども資料を見ても十分でない、こういうことだけは明らかに言えると思うのです。私は、いま答弁されましたように、大衆旅行がヨーロッパのように、あるいは諸外国のように——日本の場合はかけ声はかけますけれどもあまり普及しない、その要因は、先ほど三つあげました中でも、きょう審議いたしておりますこの法律に関係いたすものは、やはり交通機関であるとか、ただいまも指摘したように宿泊の関係、あるいはあっせん業そのもの自体の問題、こういう問題があろうと思うのです。とりわけ、何といたしましても、旅行する場合には費用を伴いますから、旅行費の問題、こういう問題が非常に大きな問題だと思うのです。ただいま、ヨーロッパのような旅行金庫などのことについても研究をしたい、こういうことでございますけれども、もう研究の段階を私は今日日本の場合は過ぎておるのではないか、むしろ政府は、いま申し上げたように、これらをまとめた総合的な一般大衆旅行というものについての考え方をきちんときめて、それを具体的に施策として施す時期にもうきておるのじゃないか、私はかく考えるものであります。したがいまして、これから、いま申し上げました大衆旅行、修学旅行も含めて、新しい旅行の流通機構の確立こそ私は最も今日急務であり、かつまた、この基本法はもとより、今回提案をされております法律案の目的にも沿ったものと考える。  そこで私は、時間もあまりございませんから、はしょりまして、簡潔に、端的に私なりの意見を申し述べてみたいというように思います。  この際、政府は、観光の総合的な見地に立って、国民旅行休暇制度の問題、それから、先ほど御答弁がございましたように、旅行金庫の設置等についても、研究じゃなくて、もう検討を加えて具体的に実行する方向をひとつ出すべきだ。それから宿泊施設についても、さいぜん指摘したように、こんなちゃちなものではなくして、一般大衆あるいは修学旅行者を完全に収容のでき得る設備というものを十分確保するように、その施策というものを充実をさしてまいらなければならぬではないか。それからもう一つには、この法律にも関係ございますけれども、先般来各それぞれの委員が御指摘になりましたから、あえて私はダブって申し上げませんけれどもホテル業にしても、あるいは日本旅館にいたしましても、こうした施設を拡充する場合には、当然資金が伴ってまいります。そこで、この資金不足の問題と、それから開発銀行の利子の問題が、かなり先般来指摘をされたところでございます。ですから、こういうこと等々を早急に、しかも運輸省当局も真剣に検討を加えて、これを踏まえて新たなる施策を樹立すべき時点に私はあると考える。観光基本法制定の趣旨から見ても、私は当然のあり方ではないか。そこで、この法律を起案いたしました運輸省といたしましては、この際おそらくや一つの方針あるいは施策というものをお持ちになっておろうと思いますので、今日のところ私は前向きの皆さん方のお考え方を示していただきたい、こう思うわけであります。
  67. 小林正典

    説明員(小林正典君) 国内旅行の発展といいますか、そういったものについて前向きにやるべきだというお説に対しまして、全く同感でございまして、具体的にも、ただいま先生のお示しの三点の線に沿いまして、今後なお一そう強力にやってまいりたいと考えております。
  68. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私もこの趣旨に賛成で、今後もっと努力していきたいと、こういうことでございますが、そのまま答弁を聞いていますと、たいへんけっこうに聞こえますけれども、ただその三点について努力ということだけでは、私は理解できない。この三点について具体的にどう進めるかということこそが、私は問題だと思うのです。たとえば休暇制度の問題についても、労働省の関係であるとか、あるいは交通関係でございますと鉄道当局との関係であるとか、あるいは旅行金庫などというものは郵政省関係になろうと思いますけれども、こういう関係等々、すべてこれは法律改正が伴ってくると思いますので、こういう関係、どう具体的に、この観光基本法、そしてまた今日このあつ旋業法あるいはホテル業法をお出しになりました皆さんはお考えになっておるかということを、この委員会で示していただかない限り、ただ努力をしましょう、あなたの趣旨には賛成であります、意見にはごもっともでありますと、こういうことだけでは、私は理解できないわけなんで、いま少しく具体的にこの考え方、進め方といいますか、こういうものをお聞かせ願いたいというふうに考えます。
  69. 小林正典

    説明員(小林正典君) 国内観光の発展といいますか、そういった点につきまして、最近非常に目ざましい発展をしておりますが、なお先生の御指摘のとおり、まだまだ旅行の容易化といいますか、そういったものは不十分な点がある。諸外国に比較しても、まだ今後大いに伸びるであろうし、まだ伸ばすべきだと、そういうふうに考えております。ただその際に、現在の旅行ブームというか、観光ブーム、そういったものに対応する第一は宿泊施設でございますが、それにつきまして、さらに、旅行でございますので、当然交通機関、こういった二つの施設につきましての整備というようなものが具体的にはおくれておる、現在の旅行者の需要というようなものについて十分まかなっていないというように感じますので、今後の具体的な施策といった場合につきましては、そういった宿泊施設あるいは交通機関整備というようなことがまず第一に必要ではなかろうかと思うわけでございます。それ以外に、もちろん、旅行の発展でございますので、休暇制度の問題だとか、あるいは旅行金庫制度の問題といったものにつきましては、私どものほうだけでできる問題ばかりではございませんので、そういった点については、やはり十分検討をしてまいりたいと、前向きの方向で検討していきたいと申し上げるほかはございません。
  70. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 前向きの方向で検討をするほかはない、その必要性は認めましょうと、こういうことでございますから、たいへんけっこうだと思います。ただ、私は観光局当局に要望しておきたい点は、それほど必要性を認めて前向きにやらなければならないとするならば、今日的な時点で各関係の省庁と話し合う場、検討する機関でもけっこうでございますから、そういうものをすみやかにつくりまして、労働省、あるいは国鉄当局であるとか、あるいは修学旅行等については文部省、あるいは厚生省にも関係がございましょう、そしてまた郵政省にも関係はございましょう、こういう省庁の関係の人々の集まる場といいますか、検討、研究をしていく機関、こういうもの等をすみやかに設置をして、いまあなたがお答えになりましたような、その必要性、そしてまた前向きにこれを進めねばならぬ、こういう方策というものをその機関の中から見出していくべきだと思うのです。これこそが前向きの姿勢というか、方向ではないかと思うのですが、その具体性がさっぱりこの法律を起案した当局者から答えられないので、私どもまことに残念だというふうに思うのです。この点いかがに考えておりますか。
  71. 小林正典

    説明員(小林正典君) お答えいたします。  各省にわたる問題につきましては、当然各省間でいろいろ話し合いをいたすわけでございますが、観光につきましては、御承知のとおり、内閣に観光政策審議会もございますし、あるいは各省間で連絡会議というものも設けておるわけでございます。したがいまして、そういったところにそういった場もあるわけでございますので、運輸省を中心にいたしまして観光の問題については検討を進めるという体制になっておるわけでございます。
  72. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 先ほど申し上げた、ように、岡先生もまだ質問が残っておりますから、私は次のほうに進めてまいりたいと思います。  次に、ただいま申し上げたように、修学旅行そのもののあり方についてお尋ねをいたしたいと存じます。基本法の審議の際、観光局長が私の質問答弁されまして、ただいまもユースホステルその他で若干宿泊のことを申し上げましたけれども、この施設などは、それぞれあの段階で申し上げましたことは、私は実に理想だと思うのです。しかし、理想だけでは今日の問題は解決しない、こう私は確信をいたします。つまり、観光局なりあるいは関係の省庁で行なっております宿泊の施設というものは、今日は修学旅行全体を収容するというようなことはもうとうていできない。これはことばは悪いのでございますけれども、皆無だと、こういうことを言っても私は過言ではないと思うのです。したがって、これからも、現在の施設の改善であるとかあるいは保護であるとか育成というのがこの当面の課題にされているのではないか、こう考えざるを得ないのです。この法律改正案の中には、修学旅行については何ら触れておりません。そこで観光局長は、これらの問題に対して今後いかに対処していくのか、その見解を承っておきたいというふうに思うのでございます。  で、時間がございませんから、私は私なりでの意見を持っておりますから、これまた端的に申し上げておきますけれども、この問題については、一つには供託金の問題がございます。それから二つには、違反発生に伴いまして補償手続の簡略化及び迅速化の問題があるわけです。それから三番目には、もうそろそろこの修学旅行という特殊性にかんがみまして、しかも修学旅行というのは御承知のように教育行政の一環としてなされているわけでございますから、現行法では一般と邦人の二種別に分かれてあっせん業が行なわれるようなことになっておりますけれども、前に申し上げたように、今日的時点では、修学旅行というものを別に設けて、あえて言えば三種別にして、その指定はあっせん業者の資力、信用、規模などを勘案をしていっていい時期じゃないか。もとよりこの本来的なものを申し上げますれば、修学旅行法というものをこの際やはり制定して何ら差しつかえないと思うのであります。しかし、それがいま直ちにできないとするならば、暫定的なものとして、ただいま申し上げた三、四点という問題は、非常に修学旅行に重大な問題ではないのか、こう思いますので、前の質問と私の意見に対する観光局の考え方、見解、この点を明らかにしていただきたいと思うわけです。
  73. 米田正文

    委員長米田正文君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  74. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記を始めて。
  75. 見角修二

    説明員(見角修二君) お手元にお配りいたしました資料の一一ページをごらん願いたいと存じますが、「国鉄の団体旅客輸送人員の推移」という表がお手元にあろうかと思います。その中に学生団体と一般団体と分けて輸送人員を列挙されておりますが、ごく最近の、昭和三十七年の学生団体の輸送実績が二千百十九万九千人、こういうことになっております。そこで、学生団体全体の輸送人員はここにあげましたように約二千万人余でございますが、このうち一応正確に修学旅行といわれるものに類するもの、これは文部省その他で定義をしておられますが、この一学年全体で学校課程の一環としてやられるいわゆる修学旅行というものがこの二千百万人のうちどれだけあるかということを調べましたところ、大体年間約五百万人程度でございます。この狭い意味での修学旅行につきまして旅行あっせん業者がどのようにタッチしているかという現状を調べますと、修学旅行はほとんど大部分が大規模の旅行あっせん業者によって行なわれている。——と申しますのは、修学旅行がほとんど国鉄の輸送にたよっている。したがいまして、国鉄が団体乗車券の発売を委託しているような旅行あっせん業者、こういうものに扱わせざるを得ない、こういう事情になっております。したがいまして、これは国鉄のほうのことになるかと思いますけれども国鉄の指定業者と俗にいわれているものが十三社でございますが、それがほとんどこの狭い意味の修学旅行を扱っているわけでございます。国鉄のほうでは、その指定業者を指定いたします場合に、資力、信用、経営規模、営業所のネットワーク、こういったものを十分に厳重に審査いたしまして、これのある基準にかなうものばかりを指定業者にする、こういう現状になっております。したがいまして、修学旅行については、もちろん旅行あっ旋業法の適用を受ける旅行あっせん業者がやるわけでございますが、それにさらに国鉄当局によってふるいにかけたりっぱな旅行業者が引き受ける、こういう形になっておりまして、われわれがこれをさらに旅行あっ旋業法の中に修学旅行だけを扱うあっせん業者という種別を設ける実益と申しますか、そういうものは現在われわれとしてないのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。ただ、修学旅行につきましては、いろいろ問題がございます。最近新聞にも出ておりましたように、先生に対する下見旅行の招待とか、その他日々の業務取り扱い上の諸問題につきまして、いろいろ問題を起こしておりますけれども、これは資力、信用のある業者といえども、そういうことは競争手段として往々にして起こす例でございまして、まあ一応こういった個々の行為、遺憾な行為の絶滅につきましては、行政指導その他によって対処する以外にはないのではないかと、かように考えております。もちろん、われわれ旅行あっ旋業法の運用をやります場合にも、修学旅行を扱う業者につきましては特に資力、信用を厳重に審査するという行政運用をやっております。現在、旅行あつ置旋業法の登録申請がありますときに、修学旅行をやるかどうかということを事業計画書に書かせまして、修学旅行をやることを事業計画に入れている業者については、そうでない業者に比べて一そう厳重な審査をする、こういうふうな行政運用で現実にやっておりますし、また今後も対処してまいりたい、かように考えております。
  76. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、修学旅行の中で、もう二、三、若干こまかくなりますけれども伺っておきます。補助金の関係でございますけれども、文部省からは約五億近い補助金が予算化されておりますから、この点は私はもうとやかく言うのではございません。ただ、ただいま答弁にもございましたように、最近どうも新聞紙上を見ましても、業者の誘惑と言いますか、みにくい過当競争の結果とでも言いましょうか、下見招待などといういかがわしい行為が行なわれているということが大々的に新聞に出ております。私は非常にこの修学旅行だけに憂慮をいたしておるものでございますけれども、こうした中で、こうしたあっせん業者の手数料の問題にもやはり関係があるのではないかと思うのです。私の調査をしたところでは、手数料は六%をちょうだいしているところもあるし、七%をちょうだいしているところもあるし、はたまた一〇%をちょうだいしているところもある、こういうようなところで、まちまちなんですね。この間の委員会でも、たしか相澤先輩だと思いますけれども質問をいたしました。こういう料金、この手数料などというものは、従前のものの考え方ではなくして、明らかに一種の料金のようなものではないかとは私は考えます。したがいまして、こういう見解に立ちますと、少なくとも一定基準のあっせん料というものを運輸省として行政指導の面で明らかにして指導すべきものではないのか、こう思うんです。こういう点が、従前のように、そのまま放置をされますと、先ほど申し上げたような結果にもなりかねないし、はたまた、観光地におきましては、最近、何か神社仏閣などの拝観をする場合に、その料金を値上げするとかなんとかということになりました結果、詰まってまいりますものは、そのしわ寄せとして修学旅行者に付されることになるわけです。その結果は、その学生を持っております大多数の父兄に負担増となってあらわれてくるわけです。こういうことになろうと思うんです。しかも、二月の二十五日には、これはたいへんだと思うのですが、ことしの修学旅行は一・五割から二割値上げをする、具体的に、小学校の場合は、一泊二食で四百八十円以上になる、中学校の場合は五百二十円以上になる、高校生の場合は七百五十円以上になる、等々のことが具体的に新聞報道でなされている。これなどは、たいへんな事柄ではないかと思うんです。いま申し上げた料金の手数料といいますか、手数料の一定基準の問題とあわせて、こういう最近の動きを観光局はどう見ているのか、お聞かせ願いたいと思うんです。
  77. 見角修二

    説明員(見角修二君) 旅行あっせん料金についての御質問でございますが、御存じのように、現在、旅行あっ旋業法におきましては、旅行あっせん料金というものは運輸大臣に対する届け出をしなければならない、こういうたてまえになっております。で、届けられた料金を、運輸大臣が、能率的な経営のもとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものである、それから特定のものに対して不当な差別的取り扱いをするものでないと、こういうふうふうに認めれば、そのまま受理するわけでございますが、そうでない場合、いまの二つの条件に合わない場合には、受理した後この変更を命令することができる、かようなたてまえになっておるわけでございます。  そこで、問題を修学旅行の料率ということに限定いたしますと、現在、旅行あっせん業者から届け出られている旅行あっせんの料率というものは、届け出でございますから、業者によってまちまちになっておることは、御指摘のとおりでございます。大体、あっせんをする旅客の数、学生の数が非常に多い場合は安くなっている、それから小人数の場合には若干割り高になっている、こういうことになっております。料率が業者によって異なりますのは、これはあっせん業者の提供する旅行あっせんの内容が、業者によってサービスの内容が必ずしも一様ではないということ、それから第二には、先ほど申し上げました国鉄から国鉄の指定業者として団体取り扱い手数料をもらっているものと、それから、中には、そういう指定業者になっていない、手数料をもらっていないものもあるわけでございます。そういう業者の相違、こういうようなもので、一がいに、完全に一律に料率を統一させるということは、いまの二つの基準から申しましても、不可能ではないか、困難ではないか、かように考えるわけでございます。しかしながら、修学旅行というものは、御指摘のように、非常に公共性のある旅行でございます。現在でも、一般の旅行のあっせん料率よりは若干低目に多くの業者が届け出をされておりますが、なお、この料率の統一化ということについては、現在の法律の運用の範囲内におきまして、きわめて御趣旨に沿うように極力善処してまいりたい、かように考えております。  それから、最後にお話のございました、実際に学生が旅行のために払う経費のすべての問題につきましては、これはあっせん業者だけの問題でございません。泊まる旅館なり、それから乗る交通機関の相違によりまして、またいろいろこまかいサービスの相違によりまして、これを一律に画一的にきめるということは困難なことではないか、かように考えておりますが、これは総合的な観光施策ということで、極力特に修学旅行につきまして経費の低廉化ということにいろいろな施策を講じてまいりたい、かように考えております。
  78. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 経費の低廉化に重点を置く、こういうことですから、たいへんけっこうなことです。申し上げるまでもなく、修学旅行は学習活動の一環として実施されるものでございまして、たいへん大きな意義を持っていると思うのです。いま申し上げたように、このようにどんどん宿泊料金が値上がってみたり、あるいは手数料にしても、六%から一〇%というような私の調査なんですよ。こういう幅の中で手数料料率というものがきめられ、しかも、いまのお話によりますと、届け出て、認可をする、こういうことなんですから、皆さんのほうは十分チェックしていると思うのです。そこで、特に申し上げておきますけれども、このようにしてどんどん——さなきだに物価騰貴の池田さんのやり方に加えて、こういう修学旅行の問題にしても値上げをしていかなければならぬという実情が出てまいりますと、これはまあ非常に学童と、そして学習という面と、それから負担をしてまいらなければならぬ父兄との関係での相関関係の問題だと私は思うのです。学童が、学習の一環であるということで、教育者から、先生のほうからいろいろ指導を受けて修学旅行に参加をしたい、こういう願いを持っておっても、このようにして、どんどん、どんどん料金が上がったり、あるいは宿泊料がどんどん上がっていくということになると、先ほど来申し上げたように、このことについても同じことが言えると思いますが、旅行費の問題が問題になって、今度は親としてやりたいけれども負担にたえない、こういう事情から修学旅行に参加をさすことができないという例が多々今日までもあったし、これからもこういう傾向が増大をしてまいりますればどんどん出てくると思うのです。ですから、ぜひひとつ修学旅行だけについては、ただいま答弁の趣旨を十分徹底して、関係者にある意味においてはきつい行政指導をして、学習活動の一環の私は助成にしていただきたい、こう思うものであります。  そこで、その次に、この法律を改正する、こういうことになっているのですが、この法律改正に伴って予算関係が若干変わってくると思うのです。なぜならば、先般来種々問題になりました、たとえばこれからホテルであるとかあるいは旅館に対して、場合によっては立ち入り検査を行なう等々のことが、先ほど来も、ある意味においては悪質なものは取り締まるというたてまえからかくかくしかじかのことを制定した、こう言っているわけですから、こういう関係の人手の私は関係がやはり出てまいると思いますから、人手がある程度ふえてまいりますれば、これまた当然予算関係が増大するであろう——たいしたことはないと思いますけれども、そういう関係があろうと思います。そこで、予算関係についてはどの程度の数字が求められているのか、それからこの法律がかりに制定されて施行される場合にどの程度人手を見込んでいるのか、お聞かせ願いたいと思うのです。
  79. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 今度のただいま御審議中の二法案の改正につきまして、直接定員増というものは来年度は計上されておりません。それから予算につきましても、本年度と同額のものしか計上をされていない状況でございます。
  80. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、予算はそのままであって、したがって人手もこの要員がふえていない、増員されていないということ、こういうことになりますと、この法律を施行する場合に、現在の要員数でこの法律の完ぺきを期すと、こういうことになりますと、かなり私は仕事量がふえてまいるような気がするのですが、こうした場合にオーバー労働にならないかどうか、この点どうですか。
  81. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) できるだけ現在の定員の中で、さらに事務の合理化をはかりつつ、今度の法改正の趣旨をさらに徹底さしていきたい、かように考えております。
  82. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 さらに、十三条の関係でございます。第三号を扱う場合の考え方といいますか、指導のあり方といいますか、この点をお聞かせ願いたいわけです。この三号は、「旅行あっ旋に関し取引をする者に対し、その取引きに関する重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」、こうなっております。こういうものは取り締まると、こういうことではないかと考えますが、そこでこの「重要な事項」というものはどういう事柄であるか。それから二つ目は、「故意に事実を告げず」と、それから後段にいってこの「不実のことを告げる行為」、この行為をもう少しく注釈をつけて説明していただきたいと思うわけです。
  83. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 「故意に事実を告げず」と申しますと、たとえばスケートに関して、お泊まりになる旅館のすぐ近くにスケート場がございますと、もう靴はいてそのまま行かれていいのですと言って、行ってみたらあにはからんや旅館からバスに乗らなければスケート場に行けなかった、こういうような場合、こういう場合が故意に事実を告げなかった。それから「不実のことを告げる行為」、ほんとうじゃないことを告げる行為ですから、ちょうどいまモミジが盛りでございますということでモミジ旅行に行ったらちっともモミジがなかった、こういうふうな場合をいうわけでございまして、その「重要な事項」と申しますのは、お客さんがあらかじめその事実を知っておったならばその旅行を中止したであろうようなもの、これを「重要な事項」というふうに解釈しております。
  84. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 解釈はようわかりましたが、このままでは、先般も参考人あるいは木暮先生からもやはりいろいろ心配されて伺ったとおりでございますけれども、私は法制上のことはようわかりません、ですけれども、何かこういう三つにわたる事柄をここに記載するということであれば、簡単に常習的なものとか何とかというのは法文にしてもいいのじゃないかと、こういう気がするのですが、これはまあ法体系上どうなるのか。法制局の関係で皆さんこういう条文にしたと思いますが、こういう点はどうなるのですか。私がいま言うような常習的な行為を行なうものと、こういう、つまり局長が詳しく説明したように、そしてまた私がこういう事柄というのは、常習的なものだという解釈でよろしいのですか。
  85. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 旅行あっせん業については、まあ旅行の形態が多種多様、ほんとうに多種多様でございますので、これが常習的だということを例示的に法律に書けば、お説のとおり非常にいい考えとも思うのでございますけれども、実際問題として、法律でそういう表現をすることが、多種多様でありますだけに、不可能に近いわけでございますので、結局法律的な表現といたしましては、このような表現をとらざるを得なかった次第でございまして、この点につきましては、この法案立案の過程におきまして、法制局とその点についても十分審議を尽くした次第でございます。
  86. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私はその点は承知をいたしました。  次に、ガイドの関係についてお伺いをいたしておきたいと思います。  観光基本法を審議いたしました場合にも、私はこのガイド問題を取り上げましていろいろ質問をいたしたところであります。当時から、このガイドがなかなか募集しても集まってこない、こういう事実がございましたので、とりわけ今年はオリンピックの年だけに、たいへん重要な事柄であるからということで、それぞれ観光局長にも私ども意見を申し述べて、すみやかに関係のものに対する対策を樹立していただきたい、こういう要望を申し上げたところであります。その後一体このガイドが集まらないという事情に対してどういう手を打ったのか、お聞かせを願っておきたいというふうに思うのです。で、これまた時間ありませんから、私のこの意見を述べてみますると、ガイドの今日ございます国家試験が非常にむずかしいというところを観光基本法の審議のときにも申し上げたところでございます。しかも、この非常にむずかしい国家試験を受験をいたしましてパスした者が今日ガイド業に専念できないという実態を、この際指摘しておかなければならないと思うのです。こういう事柄について、皆さんのほうはこの実態をどう把握をしているのか、そしてまたこれが対策を具体的にどうおとりになろとしているのか、そしてまた改善されているとすれば、どういう点を今日までに改善されたか、こういうことを第一に伺っておきたいというふうに思います。  それから第二は、ガイド、そしてまた通訳業は、現状ではあっせん業的な業務を兼ねている面が非常に多いのです。そこで私は、先ほども申し上げましたように、今年はオリンピックの年でもありますことと、これに伴いまして外人旅行者も非常に年々歳々ふえてまいりましたこと等を考えまして、これらの傾向を一体観光局長としてどう考えているのかということ。で私は、この需給のバランスがいまのところとれていないんじゃないか、需要側とガイド専門家というものの需給の関係がバランスがとれてないんじゃないか。このままにしてオリンピックを迎えるとすれば、先般この問題がやはり社会問題としてテレビにも取り上げられておりましたけれども、依然としてこのかなりのガイドの募集が集まらないという現状を訴えられておりましたので、こういう点について皆さんがどうお考えになっているかということなんです。私の考えでは、資格制度等については変えまして、たとえば国家試験というようなことではなしに、認定試験程度にして、現状、実情に沿い得るような措置はできないものかどうか、こういうことが一つ。現状試験制度によりますと、運輸省がおそらくやこの試験制度に関係いたしまして行政指導をするとか、あるいは試験官等も運輸省がおやりになっているんだと思いますけれども、この人々、先ほどもこれとは別な問題でお伺いいたしましたけれども、非常にこれまた人手が不足のように私どもは聞き及んでいるわけであります。ですから、結果的に、指導したりあるいは試験官がただいま申し上げたような現状である限り、そう一朝一夕にいままでのような制度ではいま求められようとする需要に応じ切れないのではないか、こう考えますので、この点例を一つ私は申し上げたわけでありますけれども、観光局長は一体これなどについてはどう間もないオリンピックに対処するために手を打っているのかということを聞かしていただきたいということが一つ。もう一つは、後段に申し上げたように、一体試験官などはどの程度、あるいはこれに携わり指導いたしていく方々は何人おって、しかもこの人々がこの種業務を扱っていく場合に勤務の状態がどうなっているのかということをつけ加えて説明を願えれば幸いだと思うわけであります。
  87. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) ただいまの点は、非常に多岐にわたっておりまして、まず第一の問題は、試験がむずかしいのではなかろうかというお話でございますが、この点につきましては、昨年も先生から同様なお話をちょうだいいたしております。で、私どもはことさらむずかしい試験を行なうのが決して能ではないということは十分承知いたしております。したがいまして、委員先生方に十分御説明をいたしまして、昨年度の問題は、従来に比べまして少し、何と申しますか、そういう意味では御趣旨に沿った問題になっているのじゃないかというふうに考えております。現に、お手元に差し上げておりますこの資料の二〇ページをごらんいただきますと、その合格率が、三十五年度が三・一%、それから三十六年度が五・九%、三十七年度が八・六%、三十八年度が八・九%というふうに、この四年来合格率はふえております。受験者もふえたが、合格者もふえた。しかも合格率がずっとふえてきておる、こういう状況でございます。  ところで、このガイドそのものの需給がアンバランスになっておるのではないかという次の第二の御質問でございますが、これはやはり、シーズンとオフシーズンとがある現在の観光の実情からいたしますならば、ある程度はこれはやむを得ない現象ではなかろうかというふうに考えております。むしろ日本の国全体として、ガイド対策よりも、もっといろいろの問題として、シーズン対策、オフ・シーズン対策というものを兼ね合わせるべきではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。それから、そのガイドが足りないことの一つ原因は、やはり何と申しますか、オフ・シーズンにおける給与が一定しないというふうな状況でございまして、現在日本観光通訳協会という社団法人がございますが、これに加盟いたしておりますガイド、つまりガイド試験に合格した中でこの協会に加入いたしております者が八百十八名ございます。ところが、会社の専属的なガイドとして働いておる者が百五十名、それから社員であってガイド試験に合格しておる者、つまり社員たる資格を持っておるが、その社員がガイド試験に合格した者、これが約百名、それから弁護士や医者と同じようにフリーな自由業としてやっておる者が約五十名、大体実際に活動をしておる者は合わせて三百人程度じゃないかというふうな考えをいたしておるわけでございます。社員がガイドのほうは、もちろん、健康保険だとか、厚生年金だとか、失業保険だとか、いろいろ問題はございます。いわゆるそういったことは他の社員同様に与えられておるわけでございます。専属ガイドの百五十名につきましては、健康保険と厚生年金と失業保険の問題だけは現在適用があるようになっております。ただ退職金の問題だけが目下検討中でございますけれども、これは前向きの姿勢で検討いたしております。それからフリーのほうは、これはもう何と申しましても、その余暇に翻訳をしたり、あるいは学生生徒を教えたりというふうなことでやっておるのじゃないかというふうにも考えるわけでございます。そういうふうな状況で結局給与というものを年間を通じてコンスタントなものにすることが、一つのガイド対策の大きな問題ではなかろうかというふうに考えた次第でございます。それでは次の問題としまして、その方法として一体それでは運輸省は何を考えたかということになるわけでございますが、今度の旅行あっ旋業法の中にガイドの問題が織り込めないかということをずいぶん立案の過程で法制局と論議をしたのでございます。正直なところを申し上げておるわけでございますが、そうしまして私どものねらいは、運輸省の原案は、旅行あっせん業者が、特に一般旅行あっせん業者はある程度のガイドを雇用していなければならないという義務づけができないかということを考えたのであります。これは他の医師の例を求めますならば、病院とお医者さんとの関係で、病院の規模がこれだけあるならばお医者さんはこれだけというような一つの方程式のようなものがございますので、それと同じような方程式が旅行あっせん業者とガイドとの関係には何らか求められないかということをずいぶん私ども検討をいたしたのでございます。もちろん、方程式そのものは求められるわけでございます。ある程度は求められます。ところが、理論として、あっ旋業法の本質なるものとガイドの本質なるものとの間に必ずしも必然的な因果関係はないというのが、いわゆる専門家の御意見でございまして、それが本質的につながるものならば、旅行あっ旋業法の中にガイドを一定数雇用していなければならぬということを入れられるのですけれども、別にガイドを雇用していなくても旅行あっせん業はりっぱにやっていけるし、またガイドを必要としない旅行あっせん業だってあるのだというふうなことが法律的に論議になりまして、結局ずいぶんその点で、私どもはそういうところにねらいの焦点を定めてやったのでございますけれども、今回の改正ではまだそこまでまいらなかった、こういう次第でございます。  それから、それだけの手段を尽くしたのでございますけれども、なおかつ現実の問題としては、オリンピックを控えてガイドが足りないといういわゆる現実論としてせっぱ詰まった問題がございます。それに対して運輸省のとりました措置は、いわゆる普通の本試験のほかに、臨時試験の制度を今年度限りで設けた次第でございます。それは、いま在外経歴が二年以上ある方に対しましては、運輸省として本年度はオリンピック対策として臨時試験を施行いたします。まず語学の試験をいたしまして、そして合格されました方に、日本地理、日本歴史、産業、経済、政治及び文化に関する一般常識等につきまして今度は講習会を運輸省のほうで行なうということにしまして、この予算はわずかではございますけれども、九十五万四千円というものがこの臨時試験に合格されたガイド講習会の費用として予算に計上された次第でございます。そのようなことで、今年度現実に締め切りを終わったのでございますが、まだ最終的には、最後の消印のある日の申し込みまで有効ということでございまして、まだ郵便物が到着しておる段階で、正確な数字をきょう申し上げられないのでございますが、大体本試験の方が約六千四、五百名、それから臨時試験の者が五百名程度、合わせて七千人程度が本年度のガイド試験の受験者ではないかというふうにただいま考えておるわけでございます。いっそのこと認定試験にしてしまったほうがガイド対策になるんじゃないかという御意見もございますが、私どももそういったことを考えたこともございますけれども、やはり現在行なっておりますこういった語学に対する試験といたしましては、これが唯一の国家試験になっております。それで、従来ともこのような方法で昭和二十四年以来行っておりますので、いまこれを急に認定制度にすることについては、研究をいたしましたのでございますけれども、直ちに踏み切れない、こういう状況でございます。  それから、職員の勤務についてまことにありがたいお話をちょうだいいたした次第でございまして、ガイドの問題とか、旅行あっせん業とか、こういったことは、業務課で所管をいたしておりますけれども、課長以下定員が十三人でございまして、その十三人で、あっせんの関係が三人、それからガイドの関係が三人、それから国際関係が三人、計画係が二人、あとは補佐官と課長、こういう実情でございまして、それが手一ぱいの作業をいま続けておるような次第でございまして、受付になると、もう机をちょうど区役所のこのごろの税金の受付みたように、机の配置を全部変えまして、外向きに一列に並べまして、そうしてお客さんからどんどん受付をしたものに番号を押していっておる、これが運輸省業務課の現在の勤務状況でございまして、私どもまことに職員の皆さんに対してほんとうにすまないことだというように考えておる次第でございます。
  88. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも、いま最後の職員の定員の問題と勤務の実態が答弁されまして、その面でさらにお答えを願うことはどうかと思いますけれども、私は、このガイドの研修といいますか、養成というものは、この段階にきますならば、もう一般ガイドというものと、それから専門ガイドを目的別に考えてみる時期にきているんじゃないか、そういう指導をする時期にきているんじゃないか。諸外国の例をとってみますと、すでにいま私が申し上げたような目的別に分けて、それぞれ政府はかなり力を入れてガイド養成あるいはガイドの研修をやっているのであります。特にアメリカでは、国務省が直接かなり膨大な予算を編成して、それで一つの学校のようなところに全部集めまして、ただいま申し上げたように、一般ガイド、それから専門ガイド、こういう目的別に分けて、積極的に指導をいたしておりますことは、私はそこの学校を視察、参観をしてまいりまして、非常に感銘深いものがあったわけでございまして、それに比較いたしまして、日本の場合は、ただいま観光局長が率直に申されたように、この指導するほうですね、あるいはまたこの研修所などというものは、おそらくないんじゃないかと思うのですが、こういうことを長く聞いておりますと時間が経過しますから、あえて申し上げませんけれども運輸大臣に強く要望しておきたいと思います。この国際観光がかなりこれから重きをなす時期に来ておりますから、たいへんな問題だと思うのです。前の国会でも、運輸大臣に、ただ単に観光局だけではなく、運輸省全体の定員の問題を私は取り上げて強く要望したんです。大臣は、やはりことしはもう少なくとも三けたの——三けたというのは五百以上だというようなことを言っておりましたけれども、ほんとうのこの予算査定の段階、それから予算書に盛られている数ははまことにこれは少ない、あるいは全くゼロだ、こういうことなんですから、大臣はさっぱり努力していなかったというふうにこれは言わざるを得ないのですよ。で、おそらくは、大臣は、そう言ってみても、かなり努力をしたのだと思いますけれども、ただいまガイドの問題では、ガイドの関係いたしております職員の関係や何か見てまいっても、まことにさみしい限りなんです。ましてや法律を制定して施行いたすという段階になってまいりますと、かなり私はよそに出て仕事をしなければならぬ面が出てくると思う。こういう点ですね、もっと運輸大臣は積極的に、要員の仕事量に対する、それに見合う確保といいますか、こういうことに留意をすると同時に、予算だって、これはまことに少ない予算ですから、こういう点も、少なくとも、外国からおいでになる人に対して、日本の観光あっせんはもとより、それを監督、指導するところの実態というものはこんなものかということで笑われることのないように私はしていただきたいということを要望しておきたいと思うのです。  さらに労働条件であるとか賃金のことも伺ってみたいと思いましたが、たまたま給与のことについてただいま観光局長から触れましたから、あえて申し上げませんが、一般公務員、あるいは地方公務員、公共企業体の職員等に、あるいは民間企業を人々から見まして、専門ガイドは別に、フリーのガイドなどの賃金あるいは労働条件あるいは生活の実態等々、非常に私が申し上げるまでもなくたいへんな実態になっております。ですから、こういう点も、せめて最低生活ができるように、十分行政の面で私は関係者に指導することでなければいけないと思いますから、こういう点も十分配慮していただきたいと思います。  さらに、国際観光協会のあり方の問題で私はこの際お伺いしようと思いますけれども、これは関しては、改正の法律案が追って本委員会に付託されると思いますから、そのときに伺いたいというふうに思いますが、その場合は、民族資本というものと、それから国際貿易の自由化と相まって、外国の資本というものがかなり問題になってくるようでありますから、こういう事柄について私はひとつ伺っておくつもりであります。それとあわせて、先ほども申し上げたように、開銀の利率の問題、こういう問題などについても多少伺っておきたいと思うのであります。  そこで、岡先生もこれから修学旅行の一応の問題についていろいろお伺いするはずになっておりますから、ここで最後に私は一つだけ伺っておきたいと思うものは、直接は運輸省の関係でないとお答えになるかもわかりませんが、今度のオリンピック、あるいはオリンピックでなくとも、先ほど来申し上げておるように、国際観光のために日本に往来する外国人の人々はたくさんございます。加えて国内の大衆旅行あるいは家族旅行等々と、あるいは修学旅行も同じことでございますけれども、第一には、やはりこの防疫問題が、これは厚生省の関係になろうかと思いますけれども、大事な事柄だと思うのです。それから、外国に行ってみて、特にスイスであるとか、あるいは北欧の三国であるとか、アメリカでも同じことでございますけれども、かなり観光地では公衆衛生であるとかあるいは環境衛生というものが整えられておる、こう私ども見受けてきているのですけれども、こういう事柄について、一体、これは運輸大臣の関係になろうと思いますが、どのように今日厚生省の関係と、あるいは場合によってはここの場合は東京都庁がかなり予算などを組んでおるようでありますが、都庁との関係ですね、そういう関係でどう打ち合わせをしたり、あるいは検討を加えたりしているのか、この際聞かしていただきたいというふうに思うのです。
  89. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 東京都その他につきましては、観光審議会におきまして、おのおの分野をきめまして、ただいまお示しの中にも、衛生のこと、あるいは町をきれいにする、あるいは防疫のこと等につきましては、観光問題の観光審議会でやっております。
  90. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 観光審議会でやっております結果の資料を私もだいぶ承知しておるのですけれども、今度、大臣も御承知のように、この関係の国の予算というものは、わずか一千億くらいですね。まことに微々たるものだと思うのです。それでしかも、全体の予算の大半が東京都にしわ寄せされておりますことは、もう資料を見て明らかなとおりである。こういうことでは、私のほうとしてはまことに心もとない実態だと思うのでございます。で、中国あたりでは、たしか一九五三年だと思いますけれども、毛沢東が三悪追放といって、それを国民的な運動にするために、スローガンとして、ハエであるとか、蚊、あるいはネズミの駆除について徹底的な政府の施策を施した。しかも、国民一人一人がこれを運動に取り上げてまいりまして、ハエがいない、蚊がいない、こういうことが今日いわれております。私も五六年の年に中国を訪問してこの実態を見てまいりました。確かにハエや蚊などはいないのです。全く一匹もいないということではございませんよ。かつての中国の蚊とかハエの実情を知っておる者でありましたら、全くいないと言っても過言でないような状態になっておりましたことを私ども見てまいりました。さて、このわが国の場合、世界の一等国だとか何かということは別問題にして、私は今日やはり日本の一応国際的に見て文化国家だと思っているのです。ですから、こういう文化国家だと自負するものは、せっかくこのオリンピックという機会でございますから、こういう機会に徹底的に政府のこれに対する施策というものを施して、国民各階層の協力を願ってその万全を期さなければならぬのではないか。したがって、このいま申し上げた公衆衛生であるとか、あるいは環境衛生などというものは、道路であるとか、鉄道であるとか、あるいはこのいままで議論してまいりましたホテル関係というものは目に見えますから、直ちに施策を施すことができる。ところが、そうでないところのものになってまいりますと、なかなか直ちに目に見えるものじゃないのですから、勢い国民協力を求めなければならぬと思う。ですから、そういう点で、より積極的に政府はこの際これらの問題を取り上げて、国民運動を展開して、万遺憾ないようにしていくべきだと、こう思いますので、この点については答弁を求めようとしません。私は、この観光のあっ旋業法、ホテル業法を審議するにあたって、運輸大臣に要望しておきたいというふうに思うのです。  それから最後に、たびたび申し上げますけれども、もはやこの日本の観光は観光産業である、こう言われているのです。先般来、参考人の津田さんも申しておったように、これからの新しい旅行というのは、日本が、ただ富士山を見たり、あるいはかつて言われておりました桜を見たり芸者さんを見ると、こういう物見遊山的なものではないと思う。こういう面について、私は先般「日経」の新聞を見ましたところが、「産業観光いよいよ実現」という大きな見出しで、「一流企業ズラリ10コースに分けて」などということで、非常に大きく取り上げているのです。これなどは、私はもうたいへんりっぱな考え方だと思うがゆえに、ただ単にこういうものは、日本交通公社であるとか、あるいは観光協会であるとか、あるいは東急観光であるとか、こういうところにだけおまかせするのではなくして、政府がいま行政指導として積極的にこういう問題を取り上げて私はいくべきではないのか。そうしてまた、この海外のPR活動強化ということで、国際観光振興策がまとまるということで、政府——これは運輸省でこざいましょうけれども、去る二十四日にこういう問題について話し合ったことが新聞に載っております。そこで、この活動強化ということで、具体的なことがきまったという見出しになっているけれども、中身を読んでいくと、さっぱり具体性か——新聞面だけでございますけれども、私の理解ではないような気がする。むしろこういう点は、より具体的に一企業が考えたことが出ていますので、この点ではまことに私は政府が手おくれをしているのではないか、こう思いまして、残念に思うのであります。とりわけこの海外のPRの活動の強化ということになりますと、私はたびたび申し上げますけれども、海外にはかなり在外事務所を持っておるところがございます。交通公社もそうでございますし、日本航空も海外に事務所を持っております。あるいは国際観光もそうであります。今度の法律改正でも、何かジュネーブに海外事務所を開設するという趣旨のようでございますけれども、そのようにして持っております。おりますけれども、海外に三つか四つ程度の海外事務所を持っておってこれからの自由化に伴う国際観光競争力に対応できる体制であるかどうかというと、私は問題にならないと思う。私は前々から言っている。そこで、せめて政府がこういう活動強化の対策をつくり上げたとするならば、私は、今日ありまする海外の事務所に、政府機関の、たとえば外務省の出先機関であるとか、あるいはその他いろいろございます、こういう機関を、せめてPR活動の一つですね、ネット・ワークというものを無償で提供するというような、私はより前向きの施策というものが望まれるべきだと思うのです。こういう点、どうも運輸省観光局がやや動向については緩慢のように考えられますが、今後これらについてはどうお考えになっているか、これは大きな問題ですから、運輸大臣から伺いまして、私の質問を終わりたいというふうに思うのです。
  91. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 観光局の出張所も、二、三にとどまらず、約十四持っております。それから、えてして役所の仕事は連絡が不十分のようでございますが、外務省なんかにも連絡して、ことにオリンピックを控えまして、宣伝ということに万遺憾なきを期しておるというつもりでございますが、御注意がございましたから、さらに一そう努力をいたしてみたいと思います。
  92. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  93. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記を起こして。
  94. 岡三郎

    岡三郎君 関連質問として、冒頭に、先般、観光ホテル建設に伴う事項として、栃木県鬼怒川の業者が便宜を与えられたということで、運輸省の役人に何か贈与をした、こういうふうな記事。それからもう一つは、神奈川県においてもそういう問題があって、現在警視庁等で捜査中である。そういう記事が、たしかこれは産経ですか、掲載されておったと思うのです。で、特にオリンピックを控えて、ホテル事業というものが急速に伸びつつある。政府もこれに対して各種の便宜を与え、そうして、これに対する融資等についても、補助等についても、いろいろとめんどうを見られておるわけですが、そういう中におけるたまたまこういう問題が起こったのかどうか。いずれにしても、当面する問題として、こういう問題についてはやはり心しなければならぬ、こういうふうに考えておるわけですが、ただ新聞の記事を見たということですから、その真偽のほどを確かめてから内容に入っていかぬというと、こちらの一方的な話になってもいかぬので、その間の経緯について大臣なり観光局長の、一体現状においてどういうふうになっておるのか、こういう点をひとつ冒頭にお尋ねしてから入らぬといかぬから、お尋ねしておきます。
  95. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 私もただいま御指摘の新聞を昨日読みました。そのような事態があってはならないというので、あるべきではないというので私ども観光局職員は今日までやってまいっておるつもりでございます。ただいま御指摘のような問題について運輸省観光局の職員がただいま現時点におきましてまだ取り締まりを受けたということは全然ございません。
  96. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、あの記事は、なお私のほうも調査しなければいかぬと思うのですが、現状においてはそういうことはないというふうにいま局長が答弁されたことで間違いないですか。
  97. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) さようでございます。
  98. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、運輸省観光局としては、やはりかなり大きな記事として出ておるわけなんですから、こういうものについてやはり真偽のほどを明確にする必要があると思うのです。だから、そういう点についてなお局内においてこういうものを調査して、そういうことが確かにないと言われるならば、ああいう記事は取り消させなければいかぬと思うのですね、実際は。一種の新聞の暴力だということになると思うのです。そういう点で、課長補佐がやめるとかやめないとか、いま捜査中であるということになると、運輸大臣これをもっていかんとなすかということを聞かざるを得ないと思います。いまのようなことであるというと、これは逆にそういう記事に対してはやっぱり訂正の申し入れをしなければいかぬというふうに考えるのですが、この点はどうですか、これは事実と違反しているのなら。
  99. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 私は就任以来、運輸省は御承知のように免許可の権限が非常に多い役所でございますから、そういうことにつきまして一番注意をいたしてまいりました。ただいまの新聞の記事につきましては、私、局長のただいま御答弁申し上げましたように、私どもの知れる範囲内においてはさようなことはないと確信いたしております。同時に、ほんとうにそれがまだ警察当局としてはあるいは調べるつもりかもわかりませんから、その判明次第に、岡さんのおっしゃられたような措置をとりたいと考えております。
  100. 岡三郎

    岡三郎君 事がないということが一番いいわけですから、これ以上私のほうとしても立ち入って質問する意思はございませんから、ひとつそういう点については早急にやっぱり調査されて、そうしてそれが事実に反するならば、そういう点についてやはりきちっととらぬと私はいかぬと思うのです。かりに、ことによるとそういうことになるかもわからぬ、現状はそういうことにはなっておらないという状態で、疑心暗鬼のままでいかれるのも、これはどうかと思う。だから、そういう点については、ああいう記事を書いた新聞記者の方々、あるいは新聞の幹部ですね、こういうところと連絡をとって、やはりかなり一つの影響を与える問題ですから、そういう善処をひとつよろしくお願いしたいと思うのです。  そこで、この問題は終わって、次に修学旅行の問題については、これは先般の観光基本法の中で非常に論じられて、しかも観光基本法が通過した暁においては、抜本的にまず第一着手としてこの修学旅行の問題を取り上げなければいかぬ、こういうふうに、これは議員提案ですが、観光局長もわきにおってよく聞いておられたと思うのです。  第一にお聞きしたいことは、修学旅行というのは、大体運輸省の観光局ではなくて、文部省がやっているのか。一体これは観光国策上、非常に多くの子供を輸送しておるわけですから、国としても、これを計画的にまたスムーズに運行するということは非常に重要な問題だと思うのです。しかも、旅行に関連していろいろと事故が起こるということもかなり多いのです。そういうふうなことを考える場合に、一体この問題について、運輸省と文部省が両方相提携してこういうものを指導していくのか、その点はどうなっているのですか。
  101. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 観光基本法律案の過程におきまして、修学旅行問題を一番早くお取り上げになりましたのは、岡先生でございます。岡先生から、修学旅行の項目を観光基本法の中に織り込むべきである、こういう強い御要望をちょうだいいたしました。で、率直に話を持っていきますから、御了承いただきたいと思いますが、実は社会党のほうではこういう御意見だということで、自民党のほうにお話しをいたしましたところが、自民党のほうももっともだ、修学旅行という一つの条文を基本法の中に織り込むべきだということが、与野党の間で話としてきまったのでございます。その線に沿いまして、いわゆる法制化すべく、衆議院の法制局といろいろ折衝をいたしたのでございますけれども、要するに、結論的に申し上げますと、修学旅行ということだけを観光基本法の中に一つの条文として入れることについては、法体系上必ずしもいいとは言えない。と申しますのは、観光旅行者の保護あるいはまた利便の増進をはからなければならないのは、何も修学旅行だけに限られたことではない。そのほかにも、宗教関係の団体もあれば、遺家族の団体輸送もあるではないか、そういったものもひとしくこれ観光基本法の中で、安全の確保、利便の増進峠の見地から対策を立てなければならない問題であるというわけで、観光基本法の中に修学旅行ということばを織り込むと申しますか、修学旅行についての対策を立てるということが法律上できなかったわけでございます。しかしながら、何とかしてそういった精神を織り込んだ条文がほしいというのででき上がりましたのが十一条の条文になっておる次第でございまして、「家族旅行その他健全な国民大衆の観光旅行の容易化」という中に修学旅行が含まれるというのが、今日の法律解釈になっております。もっとも国民大衆とは何ぞやということがずいぶん立法の過程において問題になったのでございますけれども、これは国民金融公庫法だとか相互銀行法のおのおの第一条に国民大衆ということばがあって、もうそのことばは世上すでに十分に何と申しますか熟知されていることばであるから、国民大衆ということばを基本法の中に用いてもよかろう。そして、この国民大衆の中に修学旅行も含むのだというのが法制局の解釈であり、今日まで観光基本法はその精神でやってきた次第でございます。  ところで、修学旅行について、一体何が一番問題なのかということを、私その後基本法制定以来検討をしたわけでございます。  まず第一は、やはり修学旅行に対する補助金の問題でございまして、これは貧困家庭の児童生徒にかかる修学旅行費の援助という項目で、三十八年度は三億三千四百万余り出ております。それから来年度は四億一千七百万というわけで、約八千三百九十二万円の増額ということになっておるわけでございまして、これはもちろん文部省の予算に計上されております。  それから、その次の問題になりますのが宿泊施設の問題でございます。この点につきまして、修学旅行を扱っております旅館が比較的加盟をいたしております日本観光旅館連盟、いわゆる日観連の方々と話し合いまして、率直に申し上げますと、人づくりもけっこうです、修学旅行の教育もけっこうでございます、しかしそれをなぜ旅館業者だけが負担しなければならないのですか、修学旅行が教育であるならば国のほうでめんどうを見てもらいたいというのが、率直にこれらの旅館業者の考えを御披露申し上げますと、そういうことなんです。これも私もっともだと思います。そうしますと、結局そういった修学旅行の学生が泊まる宿泊に対して国が何らかの補助なり助成の手を差し伸べるというのが次に残された問題ではなかろうか、かように考えております。  第三の問題は、この途中を結ぶ交通機関、これはすでに「ひので号」だとか「おもいで号」だとかいうのがございまして、だんだんとよくなっているように、国鉄のほうでも御努力なさっているように伺っている次第でございます。  その次問題になりますのは、児童の健康管理の問題、この問題は、現在、これは岡先生に申し上げますのはまことに釈迦に説法でございますけれども、修学旅行に出かけられます前に、校医が修学旅行に学生が行く先等のお医者さん、医師会と申しますか、そちらのほうに連絡をとって、うちの学校の生徒が行くがよろしくという連絡をとられるというふうに私は聞いております。  要するに、修学旅行そのものに対する補助と、施設に対する補助と、途中の交通機関の便利を与えることと、それから修学旅行期間中における児童の健康管理の問題、これが修学旅行についてのいわば根本的な問題だ、かように考えております。したがって、この考え方は、運輸省としましては、いわゆる日本修学旅行協会の幹部の方々の御意見を聞きと申しますか、お会いしていろいろと話し合った結果、そのような結論と申しますか、気持に観光局としては到達しておるわけでございます。  ただここで問題になりますのは、修学旅行を観光旅行の一つとして把握するか、いやそんなものじゃないのだ、修学旅行は教育そのものなんだというふうな見方をするか、これによって立場がだいぶ変わってくるわけでございまして、修学旅行は教育なんだ、観光基本法の中に織り込んでいただくこと自体がまあいわば少し筋違いじゃございませんかというのが文部省の御見解のようにも思えるわけです。私どもは、そうじゃないんだ、やはり基本法ができる以上は、修学旅行もこの中で取り扱ってちっともおかしいことはない、こういう立場を運輸省としてはとっておる次第でございまして、この問題についてまだ十分の調整がとれておりません。それで、この問題を今後前向きの姿勢で詰めていかなければならないのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。  以上申し上げましたのが、非常に概括的ではございますけれども、基本法制定の立案の過程から今日に至るまで、運輸省としまして修学旅行について検討を続けてまいりました経緯でございます。
  102. 岡三郎

    岡三郎君 親切な御答弁をいただいたんですが、やっぱり根本的にはいろいろと問題がありますが、文部省は教育的にこれをどういうふうにうまく利用していくか、修学旅行ですから、学問の一環としてこれを取り扱うということの趣旨もわかるけれども、現状は、輸送の問題と宿泊施設の問題、そういう問題と、いま言われたような健康管理の問題があるわけですが、旅館業者が言うのももっともです。特に私の指摘するのは、高校生以上は義務制ではないわけですが、少なくとも小中というものを対象にして国がやはりめんどうを見なければいけないのじゃないか、こういう点で、いま言ったように貧困児童に対する救済策はぼつぼつ講じられてきているけれども、もっと端的に言って、修学旅行自体は全額国庫が補助してやるべきだという論も持っているわけです。ということは、いまの制度そのものにしても、やっぱり貧困児童は肩身が狭いというふうな気持ちを持っております。多くの子供たちは自費で行く、ある子供だけは国でこれをめんどう見る、やはり義務という形の中で行なわれるにしては、肩身がそういう形でも狭いのじゃないかというふうなことで、かなり膨大な経費がかかるにしても、そういう点はまあ思っているわけです。  これは意見になりますが、端的に計って、宿泊施設の問題ですが、ユースホステルとか、いろいろなものが考えられておるけれども、先般九州へ行って、宮崎交通が南宮崎の駅の前に修学旅行用のホテルをつくって運営されておる、それで私は感心してきたんですが、長い旅に出るというと、子供の管理ですね、監督というものが非常に重要なわけですが、特に分宿というんですか、分散宿泊ということになれば、なかなか思うようにいかぬ。かえって修学旅行のために子供に悪い道徳というんですかね、しつけ、そういうものを身につけさして帰ってくる。旅行ということで、開放感に浸るから、結局中学の三年くらいになってくれば、いろいろとその地域地域において脱線するという点もあるというふうなことで、分散宿泊は一番困るということで、かなり大きなホテルに全部収容するという方法でやられておることを見てきて、民間自体もそこまで考え方が進んでおるということになれば、国としても、これはやはり、そういう面の仕事というのは、運輸省のほうで、そういうところで施設は整えて、そうして教育のことは文部省がおやりになるということに、分担すればいいのじゃないかと思うんですが、私はそういう点でいままで業者にまかせきりでおるということについて非常に歯がゆく思っているわけです。吉田委員も言ったように、物価騰貴で、宿泊料の値上げ等もひんぴんとしていわれておる昨今において、こういう問題について、やはり国がそういう旅行を快適にするために、一足飛びには完備しないとしても、ぼつぼつ計画的に、年に幾つか各地にそういうふうなものを建設していって、その子供を収容していくような形をとったらいいんじゃないかという気持ちを強く持っておったわけです。端的に言って、民衆駅とか、いろいろなものができますね。たとえば、今度上野に民衆駅をつくられるというんだけれども、ああいうところに修学旅行の児童等の施設なり宿泊施設なりというものをつくって、そうして東北方面なり北陸方面から来る子供たちに対して、なかなか収容し切れないとしても、先ほど言ったように、「ひので号」とかその他専用列車というものをぼつぼついまやられておるというのが現状だと思う。そういうような面で、なかなかそれで全国的に収容し切れるものではないけれども、やはりそういう目途に向かって前進せられていかなければ私はならぬのじゃないか。これは、国有地を開放して、それを建設していくということが、まず考えられることだと思うんです。  それから、いま言ったように、繰り返しますが、民衆駅等をつくった場合に、その上のほうには一般の人も泊まれるけれども、修学旅行の子供を対象にしたような建築様式というものを取り入れて、一般にもそれが使用できるようにすれば、団体旅行のためには非常に快適な施設が提供でき得るように考えるわけですが、まず私としては、やはり東京、関西、ここら辺にかなり大きなものをつくる——小さいものではやはり分宿になりますから、相当大規模なものをつくって、そうしてそこにある程度まで入れる。それに対して、全部収容し切れませんから、その他の面については、旅館等についても、いろいろ施設をした場合については、やはりぼつぼつでもこれについて補助なりそういうものを講じていくということで宿泊料の値上げ等を防いでいくような形をとれば、まず全額国庫負担という形でなくても、かなりよくなるのじゃないかというふうに考えるわけです。特にどうしてこういうことを言うかというと、旅行に行くというと、悪いことを覚えてくるのが間々あるわけなんです。これは特に高等学校の生徒なんかで、いま少なくなったかしらぬけれども、けんかしてみたり、酒飲んでみたり、それはごく少ない例ですけれどもね、やっぱり宿舎そのもの自体が団体宿泊に適しているところが少ないと思うのですよ。東京でも、本郷あたりの旅館をかなり利用しておるし、上野等も利用しておるようだけれども、われわれが見ても、旅館のほう、業者のほうもたいへんだろうけれども、連れていく先生方、それから子供自体もなかなかたいへんじゃないかという気がするわけです。だから、そういう点で、積極的にひとつ宿泊施設というものを建設する方向へ御努力願いたいと思うのですが、これは大臣どうですか。つまりね、教育の問題だから文部省ということもわかるけれども、快適な施設を提供してよき教育環境をつくってやる、そういう環境整備のことについては、ひとつ運輸省なり国鉄等が力を合わして、列車のダイヤ等もそれについて便宜を与えてやる、そういうことをぜひ考えてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  103. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 全く同感でございまして、大蔵大臣にその趣旨のことを言ったんでございますが、現在の国家財政状態においてはそこまではなかなかいかぬだろうというのが大蔵大臣の意見でありました。私どもはあなたのおっしゃることに全く同感でございます。ぜひやってみたいと思います。もう修学旅行に行っていいことは覚えずに悪いことばかり覚えてくるというのが父兄一般のどうも考え方のようですから、ぜひそういうようにありたいと思っております。
  104. 岡三郎

    岡三郎君 最近における輸送関係については、専門用について、昨年、一昨年、ぜひとも専用車をひとつふやしてもらいたい。   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕  で、東海道新幹線ができたらば、これについて配慮したい。先ほど河村国鉄常務に聞いたところが、八両利用債でやることになっている。これも非常に微々たるものですが、少しずつ前進していますね。だから、いまの点について全額国庫でやるということが財政上むずかしいとしたならば、やはりこういう問題は全国の子供の問題ですからね、ですから、そういう点では、負担になるということも心配されるけれども、各都道府県自体がやっぱり半分なら半分ぐらい持って、国が半分なら半分補助して、そうしてつくらせるとか、何か具体的に一歩前進させる形をとってもらいたい。いま専用車の問題については、利用債をもって国鉄がこれについてダイヤを編成するということまできているわけです。だから、財政的に見て無から有を生み出せと言ってもむずかしいけれども、何とかしてそういう面についての資金を、国民全体もこれについて関心を持っているから、これについてはある程度御研究——というと変ですがね、そういう面について協力を求める。国自体も、それに伴ってやっぱり負担を徐々にふやしていくならふやしていく、そうして主要地にまずつくって、順次それを遠きに及ぼすという形をとってもらわぬと、修学旅行の収容、生徒は泊まれても、いま言ったように、監督その他はむずかしいですからね。宿泊所に医者なら医者を置いて、そうして見てやるなら見てやるというふうにして、一歩ずつ前進してもらいたいと思うのですが、理想を言ってもなかなかむずかしいけれども、ひとつ一年たつごとに宿舎が一つか二つくらいずつできていって、かなり便宜を提供していく、またまわりのほうもそれに関心を持って大きく考えていく。これは毎年たいへんな生徒が行ったり来たりしていますからね。これがほんとうに教育に利用され、交通あるいは宿泊施設がよくなるということになれば、これが、道徳教育、人つくりなんかにおいてもエチケットなんか仕込むについても、非常にいいと思うのです。だから、その基礎をひとつ運輸省が積極的に、これはワク外の仕事と思わないでやってもらいたいと思うのですがね。
  105. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 全く同感でして、そのために、私どもといたしましても、漸次やっていく意味で、御承知のように、大津市におけるキャンプのあとを利用いたしまして、ユースホステルのりっぱなのをこしらえてございます。私もこの間実は、京都の観光案内所の開所式に参りまして、ついでにそこを見て回ったのですが、それはもう実にりっぱなユースホステルでございまして、三百十人くらい泊まれるりっぱなのができております。それは進駐軍のキャンプのあとを利用いたしまして、それでやっておりますが、漸次、予算を逐次ふやしてまいりまして、よその省の仕事と思わずに、いまいったような教育上の見地、あるいは道徳上の見地から考えまして、その必要性は十分認めておって、努力いたしたいつもりでございます。
  106. 岡三郎

    岡三郎君 もうだいぶ時間も経過したから、はしょりますが、私はやっぱり、人つくりとか、国づくりとかということをいわれているけれども、根本的にやはり幼児教育から義務教育の時代に人間がつくられなければうそだと思っている。特にいまのような入学試験の弊害が出ているときにおいて、四の五の言っても、もうだめなんですね。いまの形でいけば、個人主義というものが先行していくことは、もう当然ですよ。だから、非常に競争激烈な中において、友愛だとか、信義とかいう言葉を言っても、これはなかなか実現できない時代になってきていると思うのですが、だから根本的に言って、やっぱり子供は国の子供なんだ、古い時代のことばじゃなくて、このことばは、私は昔もいまも、時代が変わっても、やっぱり根本的に言って、人つくりの基本は子供、特に義務教育までは、幼児教育を含めても、国として責任を持って育ててやるというふうな大きな筋が通らぬと、私はやっぱり子供をほんとうにりっぱに育てるということが空転すると思うんですよ。そのいわゆる貧富の差によって、小さいときから義務教育終わるまで、さまざまな階梯の中でいろいろと子供が育っていくわけですが、そういうことを基本的に考えていった場合に、不良化でも何でもやっぱりびしびしこれをやるならやるということとともに、反面、あらゆる面において、子供たちを国として、これはやっぱり筋を通して見てやる。貧富の差がないように、とにかく義務教育完了までは国として大きな筋を通してやるという根本的なものがなければ、何とも私はならぬというふうな気がするわけです。これは全然、社会主義国がどうだとか、自由主義国がどうだとかということじゃなくて、そういうものを超越して、やっぱり人間をつくるならば、ある程度そういう面における環境、施設の整備というものをきちっとやっていかなければいかぬじゃないか。特に学業が終わって、小学校から中学校、中学校から社会に出たり、あるいは高等学校へ行くというときに、きちっとした模範的な旅行をさしていくということ自体は、非常に有意義なものを残すと思って、これは無形で、金にかえられない大きな問題をつくっていくというふうに感じますよ。いまの形では、先生方はもう疲労こんぱいしちゃって、教育もへちまもないわけですよ。子供をとにかくけがさしたりいなくなったりしたらたいへんですから、やっとこさとにかく臨時の車に押し込んで帰ってくるというのが精一ぱいで、それ以上要望したって無理ですね。そういう点で、心ある者は、とにかく旅行というものに値する、修学旅行に値する、そういうふうなものを国として本格的にひとつやってもらいたい。ですから、この点は、先ほど言ったように、輸送の問題についても、利用債を全額持たしてやるということ、これはいまやれないかもわからない。これも、将来やはり運輸省としてそういう点についてもある程度見ていくというふうなこともお考えを願いたいと思う。国の財政が限られておるから、理想論ばかり言いません。言いませんけれども、とにかく基本的にひとつそういう点を実行してもらいたいと思う。そうしないというと、外国からお客さんを呼んでも、子供のしつけをどうしろこうしろといっても、ふだんやっていっても、旅行に出ていったならばもうてんでん勝手早い者勝ちにならなければ、いいところへも泊まれなければ、いい場所もない。いまのところはようやく腰をかけていくような形になっておりますが、それにしても、とにかくダイヤの組み方が夜中になってみたり、時間外になってみたり、いろいろな形の中において無理して押し込められてきておるのですよ。ですから、そういう点について、一ぺんに改善できないとしても、心を入れて、観光局としても、運輸省としても、ひとつやってもらいたいと思う。そうして、教育の問題については文部省のほうに極力善処してもらう、こういうことで私はいいのじゃないかと思う。よろしくこれはお願いしたいと思います。  以上でやめます。
  107. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 この間私はいろいろ質問をして、大体いろいろ御答弁を得たのですが、どうもあの時分の答弁が、運用で気をつけるとか何とかいうような、われわれから見ると、成文法である以上はある程度法文に書かなくちゃならない問題を、今後の運用に待つようなお話があったのだが、これは観光局長がかわってしまえばまた違った運用になるおそれもいろいろあるので、これからひとつ二、三の点をお伺いをしてみたいと思います。ことに、きょうは運輸大臣が御出席のようですから、どうぞ私の言うことをお聞きくだすっておいて、そうして運輸大臣からもわれわれが納得するようなひとつ御答弁を願いたいと思う。  まず第一は、この国際観光ホテル整備法というものが、観光局長がたびたび説明するとおり、外国人を接遇する設備を整備していくために、その業者に対して一方じゃ恩恵を与える、すなわち地方税についてもあるいは固定資産の耐用年数等についても恩恵を与える、そのかわり外国人の接遇の施設の整備というものはこれこれをやってもらいたいものだというのが、この法律のたてまえであるわけなんであります。それで、ことに地方税の減免の問題については、この間も言ったのですが、昭和二十四年の第六回の国会において、議員提出の法律案におきましては、これは地方税の家屋税とその付加税を減免するということが書いてあった。で、衆議院はその原案のとおりで通って、今度参議院に来ると、当時は運輸大臣も知っている板谷君が運輸委員長で、板谷君が委員長のときに修正が行なわれて、それで家屋税の減免でなく、公益による地方税の不均衡課税というものを採用するということにこれがきまって、そうしてこの観光ホテル整備法の第七条にこれがうたってあるわけなんであります。第七条に、「登録ホテル業の用に供する建物についてに、地方税法第六条第二項(公益等に因る不均一課税)の規定の適用があるものとする。」ということが書いてある。そこで観光局長に伺いますが、この不均衡課税がこれだけ法文に出ているのだから、いわゆるあなたがおっしゃる、一方では恩恵を与え、一方では基準を厳格にして整備させるというこの法律から見ると、この不均一課税というものはどこまでも恩恵として、観光局としてはぜひやらしたいというお考えだろうと思うのですが、どうですか。
  108. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) お説のとおりでございます。運輸省といたしましては、もうそのつもりで、機会あるごとに関係方面と折衝して今日まできておる次第でございます。
  109. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 そこまでおわかりになっているなら、今度の法律の改正でなぜそれを入れなかったかということですね。こまかく言うと、第二十八条は——従来は第二十八条において、これは登録ホテルというものを日本旅館に読みかえる法律なんですよ。そんなことは言わなくても観光局長わかるでしょうが。ところが、第六条とか第八条とか第十一条までのものを日本旅館に読みかえるということがいままで書いてあって、いまも六条と八条が書いてあって、六条と八条の間の第七条がここに落ちているわけですね。落ちてるでしょう。いまあなたがぜひこれをやりたいといった第七条が落ちている。落ちているならば、今度はこれだけの法律改正をするなら、第二十八条に落ちている、しかもあなたがこれはぜひやらしたいものであるというその不均衡課税の第七条というものを何がゆえに今度の改正法に入れないか、こういうことなんですよ。おわかりになりますか。どういうわけで入れないのか。あなたが再三言うとおり、恩恵を与えて整備をさせるんだという、その恩恵の二つの中の大きな柱である地方税の不均衡課税というものをぜひやりたいと、こう言う。いままでは、それがどういう都合か知らぬが、二十八条で六条から七条を飛んで第八条から第十一条までを日本旅館に読みかえることで入っているのに、七条だけ特に落としてある。そういう落としてあるものならば、いまのあなたのお気持ちからいえば、今度はこれだけの大改正をやるというのならば、こういうものを一番先に入れなくちゃならぬわけであります。こう思いますが、どうですか。
  110. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) お説のとおり、準用はいたしておりません。が、地方税法の第六条の第二項に、「地方団体は、公益上その他の事由に因り必要がある場合においては、不均一の課税をすることができる。」というのが地方税法の中にございますので、それで実際上は可能になっておる関係だと私は考えております。実際問題としまして、ホテルと旅館とどちらのほうがより高率適用になっておるかと申しますと、前回も申し上げましたように、ホテルよりは旅館のほうが適用になっておる率が高い次第でございます。むしろ実際面としては、御趣旨に沿っているんじゃないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
  111. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 そういうふうに実際になっているなら、法律で落ちているものをお入れになったほうがいいんじゃないですか。いまこれを、七条というものを入れないで、従来どおり二十八条の中から落ちているということは、日本旅館の登録されたものと西洋式のホテルの登録されたものとの間に何か区別をしているような感じを業界に与えるのじゃありませんか、どうですか。
  112. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 実際登録の事務をいたしました場合には、そのつどその旅館、ホテルのございますところの府県に対しまして、立法の趣旨に沿うようにというので、そのつど依頼の文書を一件ずつ個別的に出しておる次第でございます。なお、ホテルと旅館とを区別するのはけしからぬじゃないかという御意見は、旅館業界の側に立ちまして考えました場合は、まことにごもっともな御意見かとも存じますけれども、外人宿泊の実績等の面から考えました場合に、まだなかなか、運輸省考えるように、運輸省の希望するように関係各省のほうでうんと言ってくれないというのが実情でございまして、そのつど運輸省としては、一件ずつ登録の際に個別的にお願いの文書を出し、かつまた機会あるごとに今日まで努力をしておるというのが実情でございます。
  113. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 どうもいまのお話を聞いておりますと、私の質問には合っていないので、地方税法でもって第六条第二項でかくかくのことをやっているからよろしいというのは、これは地方税法の問題なんで、この法律の上から見ると、いままで落ちていたということがすでに違うのじゃないか。今度改正するなら、この第七条というものも日本旅館に読みかえに入れるということをやるべきじゃないか。あなたが、いやそれは通知をしているからとかなんとか言うけれども、これはあなたのほうで故意に落としたのか、あるいは気がつかずに落としたのか、いずれにしましても、これだけの法律の改正をする場合には、これは入れなくちゃならない。改正の技術の問題だと私は思うわけなんですから、それであなたはどこまでもこういうものを入れなくてもよろしいんだというふうなお考えでありますか、また適当なときに今度改正するときはこれを入れたほうがいい、よりベターだというふうにお考えになるのか、それをひとつ伺っておいて、それは修正するなら修正する問題で、なかなか大きな問題ですから、運輸省のお考えを聞いてみたいと思うのです。運輸大臣、どうですか。
  114. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) さっき局長が言いましたように、地方財政の上から、明らかにホテルというものと日本旅館がホテルと登録されたものと違った考え方を自治省では持っておるわけです。ですから、これを一律に直すということになかなか同意を得がたいというのが実情でございます。ホテルという観念につきまして、自治省の言ういわゆるホテルと、日本旅館を直した木暮委員のいま御趣旨の宿屋をホテルに登録した場合のホテルと、本質的な違いがあるという、こういうような考え方を自治省は持っておりまして、なかなか自治省としては同意しがたいというのが現状で、こういう運用でやっていきたいと思っております。
  115. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 自治省の考えはあるいはそういう考えかもしれないが、運輸省の観光局としては、あなた方がむずかしい条件をつけて外国人の接遇の施設をこれこれやれ、そうしてホテルと同様に日本旅館にも外人の接遇をやらせようという指導をしている以上は、運輸省のお方が法律でもって区別をつけるということは、これはちょっとおかしいんじゃないかと私は思うんですが、どうですか観光局長。
  116. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 運輸省の立場としましては、お説のとおりだと思いますけれども、なかなか相手のある仕事でございますので、一番実効のあがる方法をただいまとっておるという次第でございます。
  117. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 これはいくら言っても水かけ論だが、おそらく第三者が公平に聞けば、私の言うことのほうが正しいと思うんです。これは当然改正の場合に、第七条というものも旅館に読みかえるように、二十八条にこれは入れるべきものだというふうに私は考えるんですが、しかし、これはいくら言っても、押し合いになるだけで、もしやるならば修正するだけの問題で、修正しなければ意見が通らぬ。運輸省はそれを直す意思がないというんですから、これは水かけ論だから、これは意見の対立でやめときますがね。   〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕  それから次は、この間も質問したんですが、附則の4ですね、附則の4で、すでにむずかしい基準でもっていままで条件をつけて登録したところの旅館の中で、設備を改善するものやなんかある。そういう場合に、増築または改築の工事が行なわれた場合には、いまの昇降機などをそのときにつけるんだということなんですけれども、これは非常にあいまいであるというか、あぶないので、これはこの程度は増築だから昇降機をつけるんだとか、この程度の改築なら昇降機をつけるんだというようなことも、一切観光局の方々にまかしておくということは、これは非常に不安なんです。これは、この間の答弁でも、常識でもってやるとか、運用でやるとかいうことを言っておったけれども、これはなかなかむずかしいことで、われわれとしてはすこぶる不安があるわけでございまして、まあ実際のことを言うと、いままでむずかしい条件をつけて基準の施設をやらしているわけですから、そこで朝令暮改で、今度はいままで許しておいたものの中で新しい施設をやられるなんということは、どうかと思うんですが、そこで、もし増築や何かをした場合に昇降機をつけるなんということになると、いまは東京などでは、ある一定の坪のところにはこれだけの坪数の建物しか建てられないという建築法の建蔽率というものがある。そういうものにもさわるし、建物の構造上からも不可能のようなことが多いんです。そこで、いまのどこまでが増築だか改築だかわからないというんですから、そういう増築、改築とかいうような場合を除いてみてはどうかというふうに私は考えるんですがね。
  118. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) ただいまの先生のお話、最後の御議論は、増築または改築を除くということは、とにかくどんなに世の中が変わろうとも、すでに登録を受けたホテル、旅館はそのままでいけ、こういう御意見かとも思いますけれども、やはり建築業界の情勢も日進月歩でございますし、やはりこういった問題は前向きに考えていくというところに一つの進歩があるのじゃなかろうかというふうにも考えておる次第でございます。ただ、いくら建築業界が進歩するにいたしましても、やはりすでに現在登録になっておられる旅館というものに対する既得権の尊重ということは、当然これは運輸省としては考えていくべきではなかろうかというのが、この第四項になってまいりいました次第でございまして、前回、改築とはどういうことを言うかというふうなことにつきましても、建設省住宅局からの国家消防本部に対する公文書がございましたので、それを朗読させていただきましたので、省略さしていただきますけれども、要するに内部の改造とか模様がえだとかというようなことはこの中には含まれていないというふうに私どもは解釈いたしておりますし、またそれで十分ではないかというふうに信じております。
  119. 小酒井義男

    小酒井義男君 前回少し質問を保留してあるのですけれども、時間の関係もありますから、一点だけ明確にしておきたいのです。局長からお答え願えればけっこうですが、国際観光ホテル整備法の今回の法律の第十六条、これの3に立ち入り検査という項がありますね。立ち入り検査をする者は証明書を携帯するというふうになっておるのですが、この証明書というものはそのつど発行されるものか、常時そういうものを携行しておる人があるのかどうかということと、それから証明書は本省で出すのか、陸運局あるいは陸運事務所の段階ででもそういうものを発行して検査をさせることになるのか、その方法を少しお尋ねしておきたい。
  120. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 運輸省の組織は、お説のとおり、本省、陸運局、陸運事務所となっておりますけれども、事観光につきましては、陸運事務所とは全然仕事の関係はございません。したがって、陸運事務所は運輸省観光局の下級機関にはなっておりません。陸運局の総務部の総務課と、それから海運局の総務課でございますけれども、登録事務は陸運局総務部の総務課がこの仕事を所管いたしております。それから、この登録ホテルについての今度の法律についての立ち入りの問題は、これは事務屋が行ったのではむしろわからない問題なんです。本省にしかいま建築の専門の技術屋はおりません。私どものほうで、ここにおります整備課長以下みんな建築の専門屋でございます。そういった建築の専門屋が見に行くというふうに御解釈いただきたいのでございます。  立ち入りの場合に、この証票云々の問題でございますけれども、これは一つの例文——全部法律にはこういうふうに書いてあるのでございまして、そういう例文になっておるわけでございまして、常時そんなものを持っておって、いわば警察手帳みたいに持っておって、それを振り回していくという、たとえばパトカーがこの東京都内を回って交通違反を見つけて歩くというようなことは毛頭ございませんので、その点につきましては、前回から申し上げておりますように、法の精神に沿って十分良識ある運用をしていきたい、かように考えております。
  121. 米田正文

    委員長米田正文君) 他に御質疑がなければ、両案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 米田正文

    委員長米田正文君)御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案及び国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案の両案を問題に供します。両案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  124. 米田正文

    委員長米田正文君) 全会一致と認めます。  よって、両案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  126. 米田正文

    委員長米田正文君) 次に、中小型鋼船造船業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の出張所の設置に関し承認を求めるの件を便宜一括して議題といたします。  まず提案理由の説明を聴取いたします。綾部運輸大臣
  127. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) ただいま議題となりました中小型鋼船造船業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  中小型鋼船造船業合理化臨時措置法は、中小型鋼船造船業の合理化を促進することにより、中小型鋼船の輸出の振興と海運業の健全な発達に寄与することを目的として昭和三十四年に制定されたものでありますが、その法律の期限は昭和三十九年三月三十一日までとなっております。  政府は、本法に基づき昭和三十八年度末を目標とする合理化基本計画及び毎年の合理化実施計画を制定いたしまして、本法制定以来現在までの間に、財政資金約十七億円のあっせん、造船技術向上のための指導、経営合理化のための指導等の施策を講じてまいりました。  これらの施策により中小型鋼船造船業の合理化を推進してきたのでありますが、その事業活動の大部分が中小企業によって行なわれておりますために、経済事情の変化等の影響を受けまして、昭和三十八年度末までには合理化基本計画に定めた合理化の目標に到達できない状況にあります。さらに、最近における技術革新の進展に伴いまして、画期的な高経済性中小型鋼船の需要が生じてきておりますので、中小型鋼船造船業におきましても、これに即応できるような技術が必要になってまいりました。  このような現状から見まして、現行法の目的を達成するためには、本法の有効期間をさらに三年間延長いたしまして、昭和四十一年度末を目標とする中小型鋼船造船業の合理化基本計画を策定し、これに基づいてその合理化を促進する必要があるのであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。     —————————————  次にただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の出張所の設置に関し承認を求めるの件につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この案件は、最近特に目ざましい発展を遂げつつある北海道の苦小牧港に北海海運局室蘭支局苦小牧出張所を、岡山県の水島港に中国海運局玉野支局水島出張所を、それぞれ設置しようとするものであります。  苦小牧港につきましては、同港を中心として八百万坪にわたる臨海工業地帯の建設及びこれに伴う港湾施設の整備が急速に行なわれつつあり、すでに年間二百万トン以上に及ぶ石炭その他の貨物の荷役が始められ、同港への入出港船舶数は年間四千隻をこえております。  水島港につきましては、同港を中心として一千百万坪にわたる臨海工業地帯の建設及びこれに伴う港湾施設の整備が急速に行なわれつつあり、すでに二万トン以上の大型外航船による原油、大豆等の荷役が始められ、同港への入出港船舶数は年間二万隻をこえております。  このように、両港は発展の途上にありますが、すでに相当数の荷役量及び入出港船舶があり、また新たに海運関係業者が進出しつつありますので、海事に関する行政手続の利便をはかるとともに、これらの港における海運行政の円滑、かつ、適正な運営を確保するため、苫小牧港及び水島港にそれぞれ出張所を設置する必要が生じてまいったのであります。  以上の理由によりまして、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づいて、海運局の支局の出張所の設置に関し、国会の御承認を求める次第であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
  128. 米田正文

    委員長米田正文君) 次回は十九日午前十時の予定とし、本日はこれて散会いたします。    午後二時五十分散会      —————・—————