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1964-02-20 第46回国会 参議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十日(木曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     米田 正文君    理事            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            天坊 裕彦君            吉田忠三郎君    委員            江藤  智君            河野 謙三君            木暮武太夫君            野上  進君            平島 敏夫君            前田佳都男君            村松 久義君            相澤 重明君            小酒井義男君            浅井  亨君            加賀山之雄君            中村 正雄君   国務大臣    大 蔵 大 臣 田中 角榮君    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    大蔵省主計局次    長       澄田  智君    大蔵省理財局長 吉岡 英一君    運輸政務次官  田邉 國男君    運輸大臣官房長 佐藤 光夫君    運輸省鉄道監督    局長      廣瀬 眞一君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 向井 重郷君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    日本国有鉄道常    務理事     山田 明吉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本鉄道建設公団法案内閣提出、  衆議院送付) ○運輸事情等に関する調査  (自動車行政に関する件)  (海運に関する件)   —————————————
  2. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいまから委員会を開会いたします。  日本鉄道建設公団法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  まず、資料の御説明を聴取いたします。山田理事
  3. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 前回要求のございました資料昭和二十七年度以降に開業したものはどうかというものと、その開業線営業係数がどうなっているかという御要求でございましたので、本日提出いたしましたのでございますが、最初に「昭和二十七年度以降開業線」という資料について御説明申し上げます。一番左側が線名でございまして、それを開業いたしましたものをその次の営業線名と表示してございます。それからその次が区間でございまして、それから引き続き延長キロ、それから開業年月日、その次が列車回数でございまして、これは昨年の十月一日現在の列車回数旅客貨物別に分けて表示いたしました。その次が動力車別でございまして、S・Lといいますのは、これは蒸気列車、DCは御承知のようにディーゼルカーでございます。それから、中ほどにD・Lとございますが、これはディーゼル機関車で引っぱっておる列車という意味でございます。それから、その最後右欄旅客列車編成長でございまして、たとえば一から五(P・C)と書いてございますのは、一両ないし五両の旅客列車という意味でございまして、一ないし二(D・C)と書いてございますのは、ディーゼルカーを一両あるいは二両で運転しているという意味でございます。  おも立った点を申し上げますと、まず二十七年度以降の開業いたしました線が二十四線ございまして、総延長キロで五九〇・二キロでございます。  開業年月日は、順を追ってございますので、これは説明を省略させていただきますが、列車回数では、各線旅客営業はいたしておりますが、全然貨物営業をいたしておりません線が六線ございまして、中ほどの列車回数の、貨とございます欄でゼロと示してあります線が、貨物営業をやっておらないということを表示しているわけでございますが、一番上の江川崎線とか、それから、五、六、飛びまして、魚沼線とか、それからずっと下のほうへまいりまして、津軽線南勝線、あるいは只見線、枕崎線というようなところは、貨物列車を運転しておらない線ということでございます。  旅客列車は、これは一々申し上げませんが、一番上の江川崎線、P・Cで四本、それからディーゼルカー十六本、合わせて二十本の旅客列車が運転されておるわけでございまして、それと、そのずっと右の編成長という欄を見ていただきますと、P・C、つまり客車列車で、客車をつないで運転いたしております列車が五両編成が走っておるということは、これは通勤、通学時に非常にお客が多いので、そういう長い列車を運転しておりますが、いわゆるデイ・タイムにはディーゼルカー一両で間に合うというような状況で、列車回数を設定しておるわけでございます。旅客列車回数の比較的多い線を申し上げますと、中ほどよりちょっと上にございます白新線、これは沼垂−新発田の間の線でございますが、これに旅客列車としては三十五本、それから貨物列車としては十二本運転されておりまして、旅客列車でも、十両編成客車列車が運行されておりますし、八両編成ディーゼルカーが運行されております。これは、御承知と存じますが、信越羽越を結びます、むしろ幹線になってまいっておるわけでございます。それからさらに、下のほうから五番目に、赤穂線というのがございまして、これは播州赤穂から東岡山を結ぶ線でございまして、一昨年の秋に開業いたしたものでございますが、これはディーゼルカーが二十九本旅客列車として運転されております。その編成長も、一番長いのは七両という編成を持っております。その上の紀勢線、これはこの表では、熊野市と尾鷲という間が紀勢線として開業したことになっておりますが、この区間をもちまして、いわば天王寺から紀伊半島をずっと循環いたしまして名古屋に通ずるという、いわゆる紀勢線が東西結んだかっこうになったわけでございまして、したがいまして、列車回数も、この熊野市、尾鷲の間だけをとりましても、二十七本の旅客列車、八本の貨物列車を通しておりまして、これも準幹線になっておるような状況でございます。  以上、開業線の大体の状況を御説明いたしましたが、次に、その営業係数はしからばどうなっておるかと申しますと、これにやはり「昭和二十七年度以降開業線営業係数について」という表を用意いたしましたが、宇和島以下各年度——三十年度からの営業係数を調べてまいりました。これは国鉄経済計算で、三十年度から全国的に一つの統一したものをつくりましたので、三十年度からのものを、これは比較的に比較し得る材料でございますので、とったわけでございまして、二十七、八、九は資料が不備でございますので、省略させていただいたわけでございます。それで、この間に、昭和三十二年からと、それから昭和三十六年からと、それぞれ運賃改正がございまして、したがって、そのために営業係数がよく、収支のバランスが、前後同一条件でありますならば、運賃値上げによりまして収入がそれだけふえるはずでございますので、三十二年度あるいは三十六年度段階として、若干の変化がそれぞれの線に出ておるわけでございますが、運賃値上げにかかわらず、依然として営業係数の悪いという線もございます。これは、運賃値上げはいたしましたが、他方におきまして物価騰貴もございましたし、あるいは人件費の増加毎年相当のベース・アップをいたしてまいりまして、そのための経費増というような点でございます。三十七年度の営業係数を見ていただきますと、営業係数が二〇〇以上の線が十三線ございまして、最も悪いのが岩日線営業係数六三五というのでございます。それに準ずるものが、上から五番目の宮原線、それからまん中ほどにございます小本線。宮原線が五一二、小本線が四一四というような営業係数でございます。先ほど循環線と申しました紀勢線、これは下から六つ目にございますが、これが三十五年度ぐらいから逐次好転いたしまして、三十七年度には営業係数一三一という数字を示しております。それから上から三分の一くらいのところにございます白新線、これは先ほど申しました信越羽越を結ぶ幹線並みになったという線でございますが、これは昭和三十七年度で営業係数一三〇という数字を示しております。なお、名もないと申しては失礼でございますけれども、樽見線というような線、これは下から三分の一くらいのところにございますが、これは大垣から出るいわゆるローカル線でございますが、これが営業係数が一〇四というローカル線としてはきわめていい営業係数を示しております。これは沿線に産業が興きまして、貨物輸送相当いい成績を示しておるためでございます。  以上、簡単でございますけれども、御説明といたします。
  4. 小酒井義男

    小酒井義男君 ちょっと一点だけ。たいへん具体的な資料をつくっていただいて参考になりますから、これは一度資料を検討させていただいて、具体的にあらためて質問をしたいと思いますが、列車回数の点だけですけれども列車回数は、これは一例を申し上げますと、一番最初江川崎線というのの列車回数の四、十六とあるのは、これはむろん片道で計算してあるわけでございますね。
  5. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 単線でございますから、上り下り両方入っております。
  6. 小酒井義男

    小酒井義男君 結局、十となっているのは、五往復ということでございますね。
  7. 山田明吉

    説明員山田明吉君) はい。
  8. 小酒井義男

    小酒井義男君 それだけお尋ねしておけば、それに基づいて一度資料を検討した上で、あらためて質問させていただきます。
  9. 江藤智

    江藤智君 ちょっと表でお尋ねしますけれども岩日線ですね、これは六三五という係数になっていますけれども、私が聞いているところでは、非常に乗降客が多くて困っているというような話を聞いているのですし、この表で見ても十四回のディーゼルカーとそれから六両の貨物列車を動かしておりますから、相当輸送量も出て運んでいるようなんですが、何か六三五というのは、あまりそういう輸送量から考えて営業係数のあれが大き過ぎるような気がするのですが、一度これは調べておいて下さい。今でなくてもいいですが。
  10. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 承知しました。多分これは貨物が、鉱山か何かが廃止になって、最近出なくなったせいじゃないかと思いますが、正確にまた調べて御報告いたします。
  11. 江藤智

    江藤智君 それも聞いておりますけれども、とにかく十四回ディーゼルを動かしておりますし、ちょっとその割合に、何か計算の基準か何かでこういうことになっているのではないかという気がするので、一度調べておいていただきたいと思います。
  12. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記をちょっととめて。   〔速記中止
  13. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記を始めて。
  14. 浅井亨

    浅井亨君 この鉄道建設公団法の問題に対しましては、いろいろと御審議されておりますので、もはやほとんど審議を尽くされたかのごとく、私しろうととしては感ずるわけでございますけれども、私自身としてやはり納得のいくために、だいぶ気のついたものから一々お聞きしていきたい、このように思うわけでございます。そこで、第一番目にお聞きしたいことは、この新線建設公団ですね、これをなぜ別個の問題としてつくらなければならないかというその基本、それをひとつはっきり私の頭に入るように説明していただきたい。
  15. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 御承知のように、従来新線建設は、国有鉄道が一般の改良工事と同様に国鉄自体で行なっておったわけでございます。しかし、ここ数年間の戦後の様子を見ますと、国鉄は、たとえば幹線の増設であるとか、大きな改良工事等、要するに既設線輸送力増強、これは非常に荷が張っておりまして、いきおいそちらのほうに重点が向けられておった。したがいまして、大事な新線建設ということになかなか手が回りかねておった。これはある程度やむを得ないことでもございます。また、資金の面もなかなか思うようになりませんので、在来線輸送力増強ということにいきおい力を入れておった。したがって、まあ語弊がございますが、新線建設のほうがややなおざりにされてきたというのが実情でございます。ところが、御承知のように、所得倍増計画の一環といたしまして、後進地域開発、あるいは地域格差の是正、あるいは臨港地帯開発というようなことから、新線建設はやはり国家的に非常に大事な仕事である。政府としては、やはり新線建設にかなり重点を置いてやっていかなければならないという情勢になりまして、一昨年の五月の鉄道建設審議会におきましても、いろいろ慎重に審議がされまして、その結果建議がなされた。この建議に基づきまして、一応責任体制を明確にするという意味から、国鉄とは別個の性質の公団方式を用いまして、これには、国鉄資金だけでなくて、国の資金も入れまして、積極的に新線建設を推進してまいろうというのが、この公団法を提出いたしました趣旨でございます。
  16. 浅井亨

    浅井亨君 いまの説明は、これは何べんもお聞きしているわけでございます。要旨にもちゃんと出ておりますので、これは私も了承いたしておりますけれども、いまのお答えを聞きますと、いまの国鉄の中においては新線建設はスムーズに推進することができない、いわゆる飽和状態になっているのだと、こういうふうな感じを受けるのですが、私は、このたびお立ちになった国鉄総裁石田さんは非常な信念の強い人でありますし、またすべてを前向きにやっていこうという方であるように見受けられるのであります。これは、今日までいろいろ事件が起きましたし、そういう際に対する態度というか、そのお話から受けるところのものを見ますと、非常にりっぱな総裁であるように私は思います。そういうりっぱな総裁がおつきになっているにもかかわらず、まだ現状のままでは、こういう新線建設に対しては別個公団をつくらなければどうもスムーズにいかないというようなことでは、どうも現在の国鉄不信任のような気持ちがする。私は、現在のままで、いわゆるこの新線建設に対しては、万全の策を講ずれば必ずでき上がるものと、こういうふうに思うわけであります。そういうところの観点がどうしても私にはぴんとこないんですが、いまの総裁で、こういう別個のものをつくらなくてはいかぬだろうというような、何か根本があるんでしょうか、どうでしょうか、このように思うわけですが。
  17. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 石田国鉄総裁の評価につきましては、私も先生と全く同意見でございます。人格、識見、手腕、いずれの点から申しましても非常に名総裁ではないかと感服しております。決して総裁がどうのこうのということではなくて、先ほども申し上げましたように、たてまえとして重点をはっきりいたしまして、国鉄在来線改良を主眼とする長期計画に全力をあげていただきたい。したがいまして、総裁能力最大限にこの方面に生かしていただきたい。それから公団によります建設は、一応国鉄とは別なかっこうにいたしまして、これまた新線建設の面につきまして責任体制を明確にして、最大限の努力をさせたいというのがねらいでございまして、決して国鉄に対する不信であるとかあるいは石田総裁能力ということからきているわけではございません。これは、先ほども申し上げましたように、三十七年の五月の鉄道建設審議会建議ということに端を発しているわけでございまして、石田総裁とは全く関係のない問題でございます。
  18. 浅井亨

    浅井亨君 いま御説明を聞きますと、まだピントが私には合わないわけなんです。いままではやっていたわけです。現在の時点においては、もはやいまの国鉄内部においてはやれないなぜやれないんだろうか。やろうと思えばやれる。何でも仕事というものは、自分の一念によりまして、やろうと決心すればやれると思うんです。現在までやってきて、いまそれがスムーズにいかなくてというんですが、なぜいかないんだろうか。そうすれば、首脳者能力がないといわれるのか、それとも事業そのものをやっていく上に人手が足らないとか、金が足らないとか……、この新線建設に専念することができないというのは、私はどうもふに落ちない。だからおくれているのだ、こういう考え方は、どうもぴんと腹にこないんですがね。いわゆる、なせばなる、なさねばならぬ何ごとも、ならぬは人のなさぬなりけりということわざもありますが、いまのままでできないということは、どうもそこに何か問題があるように思うんです。鉄道建設審議会のほうでそういうふうに上申されたといいますけれども、現在の日本経済高度成長の結果いろいろな問題が起きましたので飽和状態になっている、とても手が少ない、金が少ないのでできないのだという、何かそこに根本にあるものを審議会のほうで認められたのではないかと思うのですが、その点がちょっとわからない。ただ名目の上に書いてあることは、抽象的なのです。その裏に何かほんとうにこういうわけだということを、はっきりしたものを知りたいのですけれども、いかがでしょうか。
  19. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 私が申し上げておりますのは、従来の国鉄でできないということではないのでございまして、くどいことになりますが、国鉄改良工事重点を置かせ、それから新線建設は別の組織でやらせるということが、従来国鉄がやっておりましたよりもさらに両方ともよくなるのではないかということで、決して国鉄が従来できなかったということではないので、両方とも責任体制を明確にすることによりましてさらによくなるのではないかということでございます。
  20. 浅井亨

    浅井亨君 言葉じりをつくわけではございませんけれども、その責任をと、こうはっきり言うておるのですけれども、いまの国鉄の中において新線建設部門というものはやはりあったのじゃないのですか、国鉄の中に。そうすれば、そのほうが責任を持っていけばいけるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点。
  21. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) もちろん、従来国鉄内部組織として新線建設を担当しておる部門があるわけでございます。中央におきましては、建設局の中でやっておりました。地方組織としては、地方工事局の中で新線建設を担当しておったわけでございます。今回は、これを中心といたしまして一応組織は分けまして、責任を分けてやっていこうという考え方でございます。
  22. 浅井亨

    浅井亨君 そうすると、やはり私の考え方では、どこまでもいまの中で、工事局とかそういうところではもしいけなければ、責任を持った人が立って、いまの国鉄の中においてそういう部門をはっきりした線で推進していっていいんじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、その点いかがですか。
  23. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 先生の御意見も十分わかりますが、私どもは見解を異にしまして、組織を分けて、明確に分けたほうが効果があがるというふうに考えておるわけでございます。
  24. 浅井亨

    浅井亨君 国鉄の中で明確に責任を分けてもいいんじゃないかと、こういうのです私は。別に置かないで、その中で責任を持った人がおればいい、こういうふうに私は思うのですが、その点どうでしょうか。
  25. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) それをさらに一歩進めまして、組織を分けたいと考えておる次第でございます。
  26. 浅井亨

    浅井亨君 わかりました。  そこで、もう一歩前進して分けたと、こういうことでございますと、いまここに出ているところの問題から考えますと、非常に資金の問題で難がある、こういうことですが、おまけに全部新線赤字線と聞いております。そうすると、そこにやはり一つ部門をつくれば、そこにりっぱな総裁、副総裁監事とか、理事とか、たくさんおいでになると思います。そういう方々の費用に対して、また人件費においても、やはり分かれますと、人員はたくさん要ることになりますし、施設にいたしましても、それだけたくさんの施設が要るように思うのです。そうすると、そういうような経費というものは、全部これは赤字になってくるわけでございますが、これに対する根本的な対策はおありなんでしょうか。
  27. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 組織を分けますことによりまして、ただいまお話がございましたように、総裁、副総裁、あるいは理事監事といったような役員をはじめ、若干の管理要員は確かにふえることは事実であります。それによりまして総係費的なものは若干かさみます。しかし、私どもは、若干経費はかさみますが、それによって能率を上げていくことによりまして、全体としては能率によってカバーできるというふうに考えております。  なお、先ほど国鉄の中においてきちんと組織を分ける——私は、それをさらに一歩前進させて、国鉄の外に組織をつくると申しましたが、これは実際問題といたしまして、国鉄の中に置いておきますと、なかなか政府資金が出しにくいというのが実情でございます、現状におきまして。したがいまして、組織を分けることによりまして、三十八年度の予算で御承認をいただいておりますように、政府出資が五億、運用部資金の借り入れが五億というふうに、政府資金が入っておりますし、目下御審議を願っております三十九年度の予算案におきましても、政府出資は十億、融資が十億というふうに、政府資金を導入するには組織を分けたほうがぐあいがいい、やりいいという実際面もございます。
  28. 浅井亨

    浅井亨君 いまお聞きしますと、何か政府資金を出しにくいというふうにおっしゃったのですがね。この出しにくいということは、ちょっと私にはわかりませんがな。国家政治であり、国家国鉄で、国有鉄道——名前からして国有鉄道ですね。それが、国家当路者責任者として運輸大臣もおれば、ちゃんとその傘下に国鉄総裁もおられて、そしてそれに出しにくい点もあるという、これはちょっと私には考えられないのですがね。なぜ出しにくいのでしょうかな。私はその出しにくいというのがちょっとわかりませんのですが、ひとつ教えていただきたいと思います。
  29. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) これは、新線建設に対しまして、政府出資なり融資をやるという場合に、組織を別にしたほうが実際問題として出しいいということを申し上げたわけでございます。
  30. 浅井亨

    浅井亨君 どうもそこはっきりしないのですがね、私は。頭が悪いのかね、僕は。予算のぶんどりといいますと、国家予算審議をすることは、われわれ予算委員会でやっているはずですし、またそれまでに、当路者責任者としての運輸大臣は、それに万全の策を講じたやり方でやっていると思うのです。鉄道建設公団ができて、そこで赤字が出た、その場合にはこれを補てんするところの方法がいわゆる国家において審議されて、それを支払うことができる、こういうことになるならば、何も初めから出しにくいという点はないと思うのですがね。そうすると、国家政治といえども、一面から見れば、やりやすいものはやりやすいが、やりにくいものはどこまでもやりにくいのだと、こういうことになりますと、どうも信用が置けなくなっちゃうというようなかっこうになるのですがね、これは私の考えなんですが。その点、どうもはっきりしないままにこの法案も見送られてしまうのではないか、こういうように心配するのですが、その点いかがでしょうかね。
  31. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) これは三十七年の五月の鉄道建設審議会建議の中に入っているわけでございますが、新線建設を積極的にやるためには、従来これは国鉄だけでやっておったわけでございますが、それとは考え方を別にいたしまして、公共事業というような考え方を入れて、国鉄資金のほかに政府資金も入れてやるということがもとになっているわけでございます。私が申し上げましたのは、そういった意味を申し上げたので、表現のし方があるいは皆さまの誤解を生むような表現をしたかもしれませんので、一応趣旨はそういうところであるということに訂正させていただきます。
  32. 浅井亨

    浅井亨君 この点はそれくらいにしまして、この新線建設についての、この線をつくろうとか、あの線をつくろうとか、こういう問題についての審議は、一番最初にどこでやって、それからどこへいって一番最後の認可になって、初めてこうするのだという、その順序を一応教えていただきたい。
  33. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 従来、新線建設の手順と申しますか、順序といたしましては、鉄道敷設法の別表あるいは附則の二項の予定線というのがございますが、そのうちから、鉄道建設審議会審議をされまして、調査線というものを取り上げます。それで、その調査が一応終わりますと、調査線のうちからさらに着工線というものを選定して、着工線について運輸大臣建議がございまして、その着工線のうちから今度は国鉄運輸大臣の着工の認可をとりまして着工するというのが、従来の手続でございます。なお、その一番前に敷設法の別表を追加するという段階もございまして、これは同じく鉄道建設審議会の議を経まして、これは法律改正という段階になりますので、国会の御審議を願うというのが、従来の手続でございます。
  34. 浅井亨

    浅井亨君 結論として、いわゆる新線建設に対しましては、審議会で一応の結論が出るというわけですね。そして、それが運輸大臣へいって、認可する、こういうことになるのですね。そうすると、審議会というものは非常なポストになってくるわけですが、その審議会の構成メンバーはどのようになっておりますか。
  35. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) これは鉄道敷設法に書かれておりまして、第六条でございますが、「審議会委員二十七人ヲ以テ之ヲ組織ス」、衆議院議員の中から衆議院の指名したる者六人、参議院議員の中から参議院の指名したる者四人、それから運輸政務次官、運輸事務次官、大蔵事務次官、農林事務次官、通商産業事務次官、建設事務次官及び経済企画事務次官、それから運輸大臣の諮問機関としてございます運輸審議会の会長、日本国有鉄道総裁、それから運輸業、鉱工業、商業、農林水産業、金融業等に関しすぐれた識見と経験を有する者六人、鉄道建設に関し学識と経験を有する者二名、これが二十七人の構成でございます。なお、この法律によりまして今回公団が設立されますので、鉄道建設公団総裁もこのたび法律が通りますれば改正されまして加えられることになります。なお、手続といたしましては、内閣がこれを任命する。ただし、いまの運輸業云々、それから鉄道建設に関し学識経験、こういった部外の学識経験者につきましては、両議院の同意を得ることを要するというのが、審議会委員の構成及び任命の手続でございます。
  36. 浅井亨

    浅井亨君 いま一々のお名前をお聞きいたしましたが、これを官庁のほうとそれから政治家の方とまた学識経験者というこのたてまえから分類するというと、まあまことに申しわけないですが、それを分けてみますと、どのようになっているんでしょうか。
  37. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) ちょっと御質問の趣旨を聞き落としたのでございますが……。
  38. 浅井亨

    浅井亨君 このいまおっしゃったたくさんの方ですが、その中で、学識経験者が何名、また普通の財界から何名、また官庁のほうで何名と、こういうふうに分類してみて、どういう数字になるでしょうか。
  39. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) ただいま申し上げましたが、もう一回繰り返しますと、衆議院議員は六人でございます。参議院議員は四人でございます。それから官庁関係が、政務次官——これは運輸省だけでございますが、政務次官と事務次官が七名でございます。それから運輸審議会の会長、これは一名。それから国有鉄道総裁一名。それから一般の産業界の代表、これが六人。それから鉄道建設に関して学識経験を有する者が二名。そのほかに、私がいま申しましたように、鉄道建設公団法が成立いたしますと、公団総裁が一名。これが、二十七名ではなくて、二十八名の内訳でございます。
  40. 浅井亨

    浅井亨君 いま学識経験者二名とおっしゃったのですが、どなたでございますか。
  41. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 学識経験者は、いま申しましたように、産業界の代表は六人、それから鉄道建設の学識経験は二名でございますが、その二名の具体的な名前でございますか。
  42. 浅井亨

    浅井亨君 はい。私はここに表を持っておりますので、それをチェックしたいのですよ。そうでないとはっきりしませんから。私は、一番最初に申し上げましたように、全部はっきり知りたいのです。
  43. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 鉄道建設に関する学識経験者といたしましては、東大の教授の今野源八郎氏、それから加藤閲男氏、この二人でございます。
  44. 浅井亨

    浅井亨君 これは元運輸審議会委員でしたね。
  45. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) さようでございます。加藤氏は元運審の委員でございます。
  46. 浅井亨

    浅井亨君 その構成からして、ここに先ほどから申し上げておりますとおり、審議会というのは重要ポイントのように私は思うのですが、その中に学識経験者がお二人、こういうことになっているのですが、それで万遺憾なかろうかと、このように思うのです。ということは、常に私らが世間で耳にする、また社会党さんからもこれは出ているところの、しまいのほうにありますが、よく世間から政治路線の指弾を受けますような、政治的圧力によってそれが左右されることのないように、このようにおっしゃっております。私もこれは非常に同感でございまして、そういうような点がありはしないか、また、そういう言葉が出ている以上は、やはりそれはあるということになっていると思うのですが、火の気のないところには煙は立たぬ、こういうたとえのように、こういう言葉も出てきております。そういう点から考えまして、この審議会のメンバーというものは、ほんとうに民衆のために、この日本の発展のために、先ほどの目的にありましたような地域の格差とか、いわゆる低開発地の開発とか、また産業経済開発というような面でございますが、そういう面に対してほんとうに真剣に考えていく人が選ばれてこの中に入っていかなければならぬと思うのです。もちろん、そういう方々の集まりであるとは思いますけれども、私は個人的にはまだあまり知りませんので、先ほどからその人々についてお聞きしたわけでございますが、こういう審議会委員の任命は、これは運輸大臣にあると思うのですが、違うのでしょうか。
  47. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) お尋ねの点は、私も先生と全く同意見でございまして、非常にこの審議会の任務というものは重いというふうに考えております。したがいまして、この任命手続も非常に、何と申しますか、慎重を期しておりまして、ただいま申し上げました各産業界のまあ代表と申しますか、各産業に関してすぐれた識見と経験を有する方六人と、鉄道建設に関して学識と経験を有する方二人、この任命につきましては、運輸大臣の任命というかっこうじゃなくて、非常に高い、高度の、何と申しますか、ポリシーをきめる問題でございますので、両院議員の同意を条件にしております。しかも任命は、運輸大臣ではございませんで、内閣任命というかっこうをとっております。
  48. 浅井亨

    浅井亨君 いまのお話を聞きますと、そうでございますかと、こういうふうにまあ私は思うのですけれども、人事の問題は、特に現在の日本の世相においては、重大のように思いますので、この点は、われわれはこれに対して参画するわけにもまいりませんので、どうかこの点はひとつよくお考えになっていただきたいと要望申し上げますと同時に、こういう政治路線というような、政治家の圧力のかかったような、問題の起こらないようによくよく御注意願いたいと、このように思うわけであります。  それはそれだけにいたしまして、今度この公団をつくりますといたしまして、そこの要員でございますが、これはるる御説明もあったのでございますけれども、これはやはりいまの国鉄のほうからお求めになると、またそこから移されていくと思うのでございますが、それだけではとうてい人数が足らないのじゃないかと思うのですが、そういう点はどのようなことでしょうか。
  49. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 現在私どもが考えております公団の定員は、八百九十五名でございます。これは大部分は国鉄職員がそのまま移ってくるというかっこうになります。現在、国鉄の工事関係の職員というものが全国で一万一千七百十九名おりますが、そのうちから主として現在建設線関係に従事している職員を七百九十三名移ってもらいまして、そのほかに若干、あるいは従来国鉄におりましてすでに退職したような人、あるいはまあそういったような人を中心にいたしまして、全体の定員は八百九十五名でございます。大部分は国鉄職員に移ってもらいたいというように考えております。
  50. 浅井亨

    浅井亨君 そのように、いわゆる現在の人が移管される、そのほかに要員をまだ必要とするのじゃないでしょうかと、こう思いますが、要らないのですか、それだけでいいのですか。
  51. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 国鉄から移ってもらう人は七百九十三名を予定しておりまして、公団の現在のところの定員は八百九十五名でございますから、百二名それよりふえるということでございます。
  52. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連をして一点お尋ねしたいのですが、国鉄から行く人は国鉄をやめていくことになるのですか。
  53. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 組織が違いますので、退職をしてまいります。
  54. 浅井亨

    浅井亨君 そうすると、また前の問題に返ってくるのですが、七百九十三名ですね、そのまま行って、そして公団だったらば、それでやめて、百二名ふえると、そうすればそれでいけるのだ、いわゆる八百九十五名ですか、それになりますとできるというのですが、そのままでやはり国鉄の中でやってもらったら、これはあまり変わらぬのじゃないかと、こういうふうに、またここのところでもちょっと考えが逆戻りするのですが、その辺はどうでしょうか。
  55. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) これまた私の話を前に戻しまして、組織を分けたほうがよりぐあいがいいというふうに考えております。
  56. 浅井亨

    浅井亨君 これは、そうすると、考え方の相違で、私らは常にとにかくもう何でも一念かけてやればやり通すと、まあ私は名前が亨でございますからそうかもしれませんけれども、そういう根性でございますので、ひとつあしからず御了承願いたいと思います。  で、今度これをつくり上げると、これを貸し付けまたは譲渡することになっておりますが、国鉄に。それは譲渡の場合、または貸し付けすると——これは譲渡したほうがよい、これは貸し付けたほうがよい、こういうことに対する基本はきちっとしたものがおありのことと思うんですが、これはどういうんでしょうか。
  57. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) こまかい基準は、これは第二十三条でございますが、政令で定めることになっておりますが、大体の考え方を申しますと、国鉄在来線と一貫して管理をし、経営をする、たとえば例を申しますと、在来線がありまして、そこへちょっと新線をつけることによりましてかなりの幹線になるというような場合がございます、事実上。そういった場合には、やはり在来の幹線あるいは亜幹線と一緒にして管理をし運営をするというほうが実際に即しますので、おそらくそういった場合には譲渡することになりましょう。しかし、大部分の場合は貸し付けるということになると思います。貸し付けの場合には有償の場合と無償の場合があるわけでございまして、法文によりますと、「建設した鉄道施設を貸し付け、又は譲渡するものとする。」、貸し付けはもちろん有償でございますが、「ただし」——ただし書きがございまして、「運輸大臣後進地域その他特定の地域の開発等のため無償とする特別の必要があると認めて指定した鉄道施設は、無償で貸し付けることができる。」と、条文の上ではただし書きで例外的に無償貸し付けということが書いてございますが、これは実際の運用といたしましては、この間相澤先生の御質問にお答えしましたように、数線を除きまして、いま予定しております線は大部分が当分の間赤字ということになります。したがいまして、国鉄の経営の問題にかんがみまして、実際問題としては大部分が無償で貸し付けられるということになるというふうに考えております。まあ、この辺の考え方は、前の国会の答弁、あるいは今国会の運輸大臣、大蔵大臣の答弁からも大体明らかになっておるというふうに考えております。
  58. 浅井亨

    浅井亨君 その譲渡と貸し付けですが、これは譲渡すべきものか、貸し付けすべきものかということは、どこできめるんですか。
  59. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 二十三条によりますと、「公団は、政令で定めるところにより、日本国有鉄道に対し、有償で、第十九条第一項第一号の規定により建設した鉄道施設を貸し付け、又は譲渡するものとする。」ということで、ただいま私が例示を申し上げましたが、そういった考え方で政令で基準をきめてまいりたいというふうに考えております。
  60. 浅井亨

    浅井亨君 そうすると、「運輸大臣後進地域その他特定の地域の開発等のため無償とする特別の必要があると認めて指定した鉄道施設は、無償で貸し付ける」——この「必要がある」というのは、これは抽象の言葉で、この「必要」というのはどういうのなんですか、具体的にこういうことが必要だと。
  61. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) この認定は運輸大臣がいたします。ここに書いてございますように、「後進地域その他特定の地域の開発等のため無償とする特別の必要がある」と運輸大臣が認定いたしますれば、無償で貸し付けることができるわけでございます。
  62. 浅井亨

    浅井亨君 そうすると、運輸大臣の考え一つになるんですか。
  63. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 認定は運輸大臣がいたします。
  64. 浅井亨

    浅井亨君 そうすると、運輸大臣というのは、何年ぐらいおつとめになって、何年ぐらいでおやめになるということはおわかりになっていないということになるのですが、そうすると、運輸大臣かわるたびにこういうところでこの基本が変わりゃしませんか。一人でお考えになって、私は浅井という人間でろくな人間でありませんが、今度まじめな方がおいでになるというと、さらにまた考え方が変わってくるということになりますが、そういうところが、これはちょっと「必要」と言っておるけれども、どうもはっきりした線が私はぴんとこない、頭が悪いものだから。
  65. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 運輸行政一般でございますが、大臣が交代いたしましても、各省といいますか、運輸省の行政というものは一貫しておりますので、その辺は別に御心配にならないでもいいのじゃないかと思います。
  66. 浅井亨

    浅井亨君 こういう別個のものを初めてつくるときには、よほどものを考えなくちゃならない。初めほど大切なことはありませんので、できてしまうと人間というものはずるずるになります。一番最初が大切だと思いますので、頭の悪いところは御了承願って、お聞きすることだけはまたひとつ御返事願いたいと、こういうふうに思うわけです。  そこで、全部この問題をひっさげて概略考えてみますと、全部赤字でございますが、その赤字の補てんは、何べんも聞いておるように自分も思うのですけれども、どうもぴんとこないのです。ということは、国鉄で七十五億出して、政府でこれだけやって、あれしてこうしてと、そして全部これは赤字だと、そしてもうからぬから、そのもうからぬ金はどっから出るのかと、そうすると政府がこれに対してまた補償すると、どうもあまりすっとしたものじゃなくて、きりきり舞いしてやるならやってみろ、あかんならおれが出してやるからと、子供を分家させて、お前食えなかったら来いというふうに、相談してもルーズになるのじゃないかと、こんなふうに思うのですがね、こういう考え方を持つわけなんです、私は。で、この赤字の補てんというものは、赤字はずいぶん大きいものになると思うのですね。これはやってみなければわからぬので、何でもやってみて、これは赤字になったと、じゃこれをひとつ、そういうふうに——まあいいぐあいだと思いますが、出すところもあるから。そういう点非常に心配するのですが、この赤字補てんということについて、こうしてこうしてこうするんだというひとつ最後の線をお聞かせ願いたいと思うのですが。
  67. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) これは前回委員会で相澤委員にもお答えいたしましたが、国鉄サイドから見ますと、実際問題として大部分が無償貸し付けになるということでございます。その前に、公団建設いたしました鉄道施設というものは国鉄が全部経営をやるということでございますので、経営の一貫性はもちろん保てるわけであります。それで、国鉄がどうなるかということでございますが、従来、国鉄が自分の資金を投じて建設した場合には、減価償却費、あるいは利子、あるいは税金といったようなものを国鉄が自分で負担しておる。それで、ローカル線と申しますか、あるいは新線建設でつくられた線の赤字の大部分の原因は、いま申し上げました減価償却、あるいは利子、それに税金といった間接経費が、これが大部分の赤字の要素でございます。ランニング・コストの赤字というものはほとんど目立っておらないというのが現状でございます。したがいまして、公団が鉄道施設をつくりまして、これを国鉄に貸し付ける、しかも大部分の場合は無償が多いといいますか、そうなりますと、減価償却費、利子あるいは税金といったものは公団が負担することになりますので、国鉄の経営上の負担は従来自分で建設しておったときよりも非常に軽減されるということは申せると思います。
  68. 浅井亨

    浅井亨君 いわゆる減価償却とか、固定資産税とか、利子、それは国鉄が負担しなくちゃならぬからというのですが、しりぬぐいは結局これは政府で補てんしなければならないとすると、公団においてもやはり同じところが出るのではないですか、いわゆる切り離してやりましても。公団がやったら、固定資産税も、償却費も、そして利子の補てんもしなくていい——それは国鉄さんは分離したのだからしなくていい。だけれども公団はやるでしょう。そのしりぬぐいはやはり国家がやるでしょう。同じことではないですか。この点、私どもにはわからぬのですがね。国鉄はいま赤字だとしますね。それはほんとうに困っているでしょう。そして、これは公共性なのですから、これは国家が補てんしなくちゃならない。ほうっておくわけにはいかない。そこで、今度は公団を別にして、それで赤字が出た、これはやはり国家が見なければならない。どちらにしても見なければならぬ。国鉄さんから言えば、それは固定資産税も利子も減価償却費も要らないから、楽だ。そういうものが要るやつは別口に立てておいて、そこで困ったら、お前いくらでも勝手にやったらいいじゃないか、こういうようなふうな考え方と思うのですが、結局同じしりぬぐいを政府がやるのなら、何もこういうものをつくってどうこうということは要らないと思うのですが、そこのところはどうなんですか。国鉄さんは要らぬが、公団が要るのでは、同じでしょう。そして、そのしりぬぐいはやはり政府がやる、そうだとすると同じことではないか。国鉄さん自身とすれば、そういうものが要らなくなって、国鉄さんはいいでしょうが、赤字が出るのは同じです。その赤字のしりぬぐいは政府がやるのではないですか。そうすると、政府から見たら同じじゃないか、だから別のものは要らないじゃないか、こういう結論になってくるのですが、この点はいかがですか。
  69. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、国鉄サイドから見ますれば、国鉄が自分で建設するよりも楽になります。しかし、公団のほうでは公団のほうで減価償却毛きちんとやらなければなりませんし、したがいまして、公団経費が非常に苦しくなってくるということは事実でございます。これは長い目で見まして、将来非常に採算のとれる線路も考えられます。短期間でそういった赤字を処理するわけにはまいりません。長期間で処理をしてまいりたいと思います。したがいまして、場合によりましては、政府から公団赤字のしりぬぐいと申しますか、補助的なものも考えていかざるを得ない。政府公団のめんどうを見るということになっておるのは、先生の御指摘のとおりでございます。
  70. 浅井亨

    浅井亨君 そういうふうになりますと、今度この公団総裁になって責任を持たれるという人は、ずいぶんたいへんな問題だと思いますね。赤字赤字で続きますからね。これは絶対もうかりっこないことをやっているのだから。その責任者になる人は一体いるかなと心配するのですが、いまの日本のしきたりというものは、月給はちゃんと取りますけれども、だけれども、そういうことに対してはあまり誠意がないんじゃないか、こういうふうに思うんですがね。この人選はたいへんだと思うんですが、よくひとつその点はお考え願いたいと思うんです。以上のようないろいろなことから、ずいぶんと不審な点もありますし、納得のいかない点もありますが、どうしてもこれはやらなければならないんでしょうけれども、私個人としてはどうも納得はいかない。あなたのほうで長い目で見ぬとわからぬ、こうおっしゃやっておりますから、私も長い目で、長生きして見ていきたい、このように考えている次第であります。  以上をもって質問を終わります。
  71. 中村正雄

    ○中村正雄君 いままでの委員会の会議録がまだ全部できておりませんので、賛同が重複するかもわかりませんが、要点だけでけっこうですので、御答弁願いたいと思います。  ほとんどの委員がそれぞれ質問いたしていると思いますので、まとめて御答弁願いたいと思います。  質問の第一点は、この公団をつくることの利害得失です。提案理由の説明を見てまりますと、公団をつくることが新線開発をスムーズにやることになり、国土開発にも寄与する、こう書いてあるわけですが、国鉄が現在直営でやっております新線開発を、この公団をつくってやろうというのが提案の内容になっているわけですが、国鉄が直営でやることと、公団をつくってやることによって、具体的にどういう利益があるかということをひとつまとめて御答弁願いたい。
  72. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 公団設立の理由は、端的に申しまして、国鉄は現在の既設線改良輸送力増強に全力をあげていく、それで新線建設のほうの責任公団に負わせていこうということでございまして、これによりまして責任体制が明確化するというふうに考えております。  それから、利害得失と申しますと、公団をつくることによりまして、先ほども御答弁申し上げましたが、若干の総係費的なものはふえると思いますから、それによって新線建設のほうの能率は上げてまいるということができると思います。一番大事なことは、もとになりますことは、責任体制を明確にするというのがねらいでございます。
  73. 中村正雄

    ○中村正雄君 苦しい御答弁なんですが、そうすると、責任体制をはっきりするためにという理由で公団をつくる、これが一番根本の理由のように聞こえるわけなんですが、そうしますると、いまの国鉄責任者総裁になっているわけですが、国鉄総裁では責任がはっきりしないから、別な責任を負う人をつくるというだけで、これだけの膨大な金を使い、膨大な機構をつくるというのは、ちょっと私納得できないんですが、これをつくることによって私は責任体制もはっきりすると思うんですけれども、いまの国鉄の機構でも責任体制がはっきりしないとは私は考えられないわけなんです。それよりも、これをつくることによって新線開発がいま以上によくなるという私は具体的な理由を聞かしてもらいたい。  また、もう一つは、国鉄新線開発をみずからやるよりも、他の機関にやらしたほうが国鉄は非常に現実的に利益になるという点があるだろうと思う。そういう点を私はお聞かせ願いたい。
  74. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 公団を設立いたします一番もとになっておりますのは三十七年五月の建設審議会建議でございますが、今後積極的に新線建設を進めていく、そのためには一応別個組織にするということ。それから考え方としましては、在来鉄道は自分で新線建設をやっておりましたが、独立採算制のたてまえからとかく企業性の範囲内に制約されがちで、実際問題として新線建設を積極的に推進し得ないというのが実情である。したがって、国民経済的に考えまして、企業的立場よりも、やはり国家的立場から新線建設を推進する必要がある。そのためには、まあ道路あるいは港湾整備と同じような考え方で、公共投資的な考え方を入れて、政府資金をこれに投入してやっていくということが書いてございまして、要するに公共投資的な考え方を入れて政府資金をこれにつぎ込んでいく、それで積極的に新線建設をやっていこうというのが趣旨でございます。
  75. 中村正雄

    ○中村正雄君 国鉄が直営でやっておっても、国鉄は御承知のように公共企業体ですから、企業性の追求されるのみならず、公共企業性の追求をしなければならないわけです。国鉄も離さなければ政府出資の金を出すわけにはいかないという理由にならないと思うのですが、この点については、なぜつくらなければならないかという必要性について非常にあいまいな点があるわけです。御答弁聞いてみても、非常に苦しいような御答弁で、これ以上追及しようとは思いませんが、一つお尋ねしたいのは、国鉄側にお尋ねしたいんですが、これは公団をつくることによって現実に国鉄はどういう利益があるか、これを一ぺんお尋ねしたい。
  76. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いま御審議願っております公団法のたてまえがそのまま実現されますと、国鉄新線建設するといたした場合と比較して、今後の新線建設にかかわる償却費、それからその建設費の利子、それにその新線部分に関します固定資産税的な税金、これが、先ほど鉄監局長の御説明にもありましたように、赤字のものを原則として無償で貸してもらえるという立場に立ちますならば、それを国鉄が免れるということになるわけでございます。
  77. 中村正雄

    ○中村正雄君 ぜひともつくらなければいけないということで政府も提案しているわけと思いますから、これのいい悪いは別にして、つくる以上は間違いのない運営を考えなければいけないと思って、もう一点お尋ねするわけなんですが、法案を見てまいりますと、大体新線開発するということと、あとの運営と、二つに分かれるわけなんですが、前段については法案相当詳しく書いてありますが、あとの運営はすべて政令にまかされておるわけです。したがって、今後どういう路線を無償で貸すのか、どういう路線は譲渡するのか、あるいはどういう路線は有料にするのかということも、大体御説明にはありましたけれども、その基準がはっきりしておらないし、またそういう今後の運営の問題についてはほとんど政令になっておるわけですが、そういう無償にするか有償にするか決定するについても、これは運輸大臣がやるわけですけれども運輸大臣が単独でおやりになるのではなくて、何らかの委員会なりそういうものができるんではないかということも想像できるんですが、法案を準備される以上は、政令もおそらく準備されていると思うのですが、政令の内容について大体の準備のできているものがあればお示し願いたいと思うのですが、いかがですか。
  78. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) まあ政令の準備はもちろん一応進めておりますが、現在法案審議中でございますので、まだお示しするだけの段階になっておりません。
  79. 中村正雄

    ○中村正雄君 まあ普通の部分的な点について政令にまかす、一定のワクのもとにそれはどの法案にもあるわけですが、公団法を見ますると、つくることについて、公団の機構なり新線開発するということについては大体公団法に載っておりますけれども、私はつくるということよりもあとの運営の問題が一番大きな問題になると思う。したがって、政令の内容がはっきりしないと公団法全体の内容が私はわからないと思ってお尋ねしたわけですが、まだ発表の段階にないということを言われるならば、これはやむを得ないと思うのですが、その内容について一点お尋ねしたいのは、国鉄は毎年七十数億の出資をするわけなんですがね、この出資国鉄側とすればどういう財政上の費目になるわけなんですか。一
  80. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 予算書上では出資金の項になると思います。
  81. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうしますと、先ほど国鉄側から、こういう利益があると言われているわけですが、毎年七十数億の金を出して、そうして新線をつくる財源にする。つくりました新線は、これは公団の所有になると思うのですね。したがって、まあ政府がどれだけ出資するかわかりませんが、おそらく国鉄が出す金と同額程度出資してくれれば僕は上の部だと思うのです。そうしますと、つくった路線の半分の所有権は国鉄にあると、これは出資金から見てですよ。百五十億で新線を年間建設する資金とすれば、そのうちの半分は国鉄が実際負担しておると。それで、できました路線の所有権が公団になり、そしてそれを有料で貸してもらったり、あるいは無料で貸してもらうわけなんですが、そうすると、国鉄出資というものは、これは結局公団出資しているだけで、それの効果といいますか、投資効果というものは一体どこにあるわけなんですか。それとも、出資金では利子でもやっぱりもらえるわけなんですか。
  82. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 国鉄が、一応計画がいま予定計画で、今後七十五億円程度、まあ大体現在程度の出資を続けていくという予定で話が進んでおりますが、この国鉄出資をいたします七十五億と申しますのは、その金はどういうふうに調達されるかという御質問が第一点であろうかと思います。  これは別に色がついておりませんので、どこから出る金というわけにはまいりませんが、御承知のように、国鉄予算は運輸収入を大宗といたしまして、それから発生する自己資金とが外部からの借り入れ金とが国鉄のいわゆる財政の資金になるわけでございます。その一部の七十五億円を出資するわけでございます。そうしまして、公団国鉄の出資金政府の出資金、あるいは公団自体の外部資金で構成した原資で公団自体が新線建設していくわけでございますから、したがいまして、国鉄の出資金相当する財産という観念は直ちには出てこないわけです。それから、将来公団建設するいわゆる公団所有の新線は、先ほども申しましたように、大体大部分は無償で貸し付けていただけると考えておりますので、その際、先ほど申しましたような間接的な経費——償却費でごさいますとか、利子とか、あるいは税金というようなものは、国鉄としては免れるわけでございますので、しいて七十五億円の出資に対しまして得る利益は何かといいますと、そういう点が具体的には指摘できるかと存じます。
  83. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうしますと、建設しました新線の譲渡以外の場合は、所有権は公団にあるわけなんですから、したがって、税金なり減価償却等は全部公団自体が計算もしたり、払ったりもするわけですか。
  84. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) さようでございます。
  85. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうしますと、無償貸し付け、あるいは有料貸し付けの場合もあると思いますが、無償貸し付けの場合は、そういう税金、その他のものも一切国鉄は払わない、いわゆる現実に路線の利用に対する反対給付でなくして、間接的な諸経費も全部公団が負担して、国鉄は払わなくてもいい、こういう運営になるのかどうか。
  86. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) さようでございます。
  87. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうしますと、公団のほうの収入というものは、どういうふうにお考えになっているわけですか。
  88. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 大部分が無償貸し付けということになりますと、公団の経理は非常に苦しい経理になります。したがって、短期間ではなかなか見通しが立ちませんので、長期にわたってこれは考えていく、場合によりましては政府で手当てをしていくということになります。長期と申しますのは、現在調査線になっております青函の海峡連絡鉄道というようなものが完成いたしますれば、これは幹線でございますから、相当な収入はあるということになります。短期間での公団の経理というのは、非常にむずかしいことになります。
  89. 中村正雄

    ○中村正雄君 しかし、いま鉄監局長お話しになりました幹線をやる場合は、これは有料、無償の貸し付けでなくして、国鉄に譲渡する、国鉄幹線になるわけですから、そういうほうが私は主たる方向になるのじゃないかと思うのですね。そうしますと、今後まあ公団の運営については、建設のための出資金と、そして運営の今後のための赤字と、これをいつも政府国鉄が負担いたしていく、こういう結果になって、公団自体が、公団自体の収入によって少なくとも経常経費をまかなっていくというようなことは、いまの段階では私は想像できないと思うのです。こういう点についても、おそらくその覚悟で私は公団を設立されておるのだろうと思うのですが、その点はどういうふうにお考えなんですか。
  90. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) まず前段の御質問でございますが、一般的に陸上の鉄道で幹線の一部になるようなものは、これは国鉄に譲渡する場合が多かろうと存じますが、青函隧道の場合は、これは隧道自体がきちんとしたものでございますから、これに簡単に北海道側あるいは本州側という関連で改良を加えるというようなことは事実上考えられませんので、こういったものは公団の所有にしておきたいというふうに考えております。  それからなお、公団の経理が非常にむずかしい、長期的にやるということは、私どもはその覚悟でおります。
  91. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうすると、いま鉄監局長の御答弁にありましたような、たとえば青函のような海底トンネルについては、公団自体の所有にしておって、国鉄に有料貸し付けするというような御答弁があったわけなんですが、陸上のものは、主要幹線であれば譲渡する、また海上の場合は、維持その他について非常に困難だから、公団自体の所有にして、有料貸し付けにする、それはいま鉄監局長の方針だろうと思うのですが、そういう譲渡するか、貸し付けするか、有料にするか、無償にするかというような基準というものは、法案審議するときの方針と五年十年後にまた方針が変わるということもあると思うのですが、はっきり政令で基準を示すお考えですか。
  92. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 譲渡、貸し付けの基準は、政令できめたいと考えております。
  93. 中村正雄

    ○中村正雄君 元に戻りますが、さっきの国鉄出資の問題なんですがね。どうも私納得できないのは、出資のしっぱなしになると思うのですね。七十五億が年々減っていくかもわかりません。減っていくかもわかりませんが、毎年何がしかは国鉄がやはり出資するということだけは、この法案のたてまえ上ぼくは当然だろうと思う、金額の多寡は別にして。そうしますと、それだけは、これは一つの出資金ですから、公団に対する財源として国鉄に残るわけですか、それとも出資のしっぱなしになるわけですか。
  94. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 出資のしっぱなしと申しますか、出資でございますから、あくまで国鉄の財源として残るわけでございます。
  95. 中村正雄

    ○中村正雄君 その出資金については、利息その他はどうなるのですか。
  96. 山田明吉

    説明員山田明吉君) ただいままでの経過では、利息は期待できないような状況になっております。
  97. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうしますと、帳簿の上で債権として年々累積していって、最後に何百億になるか何千億になるかわかりませんが、帳簿の土で資産として残るだけであって、投資効果というものは、いま言ったように、無償で貸してもらう、無償で貸してもらうものはこれは赤字にきまっておるわけですから、どろぼうに追い銭みたいな損益勘定になると思うのですね。そうしますと、国鉄とすれば、自分でつくってもやはり赤字の負担は負わなければならぬ。国土開発から見ればもうかる線だけ国鉄開発するんでは困るということはだれしも考えておると思うのですが、ただ出資した金が、帳簿の上だけ、気分の上だけ財産として残っておって、しかもつくったものは国鉄以外の財産となっていく、そして国鉄がそれを使う場合は金を払って使わせてもらわなければならぬというのは、私はどうも納得できないのですが、そういう点やはりそういうシステムでなければならぬのですか。
  98. 山田明吉

    説明員山田明吉君) それは、先ほど御質問ございましたような根本問題に戻るかと思いますけれども政府の方針として、従来国鉄がやっておりました新線建設という事業は、むしろ道路、港湾と同じように公共事業の性格を持っておる。したがって、国鉄の公共性をそこまで広く考えれば、あるいは国鉄自体で従来のように国鉄の事業として公共事業そのものをやってもいいじゃないかという議論もございましたし、過去の審議会でもそういう意味の考えが建議の中に盛られていたこともございますが、政府の方針として、今回国鉄が従来やっておりました純然たる公共事業的な新線建設別個の主体でやることにするからという方針で現在進行しておりますその過程におきまして、国鉄が七十五億円を出資するといいますのは、これは国鉄の公共性に基づく出資というふうに私は国鉄としては解しておるわけでございます。それで、それにつきまして、従来新線建設建設費の利子に相当する額を政府から補助をいただいておりましたその制度は、国鉄として今後七十五億の出資については続けていただきたいという熱望は持っておりますが、これは将来の問題でございますので、希望だけはいたしておるわけでございます。
  99. 中村正雄

    ○中村正雄君 そのむずかしい財政上のことばは別にして、結局国鉄側とすれば、また運輸省としても、いままで国鉄が七十五億程度は新線建設のために出しておったわけですから、これくらいはひとつ国鉄の公共性ということに対する税金だと思って出してくれ、そういう意味で、七十五億はもう捨て金になるけれども覚悟しなければいけないと、こういうふうな気持で、いままでの額だけは出すということで運輸省も考え、国鉄も考えておるのですか。それに対する反対給付とか何とかということは考えないで、国鉄という名前上、やはり新線建設国鉄仕事のうちですから、別会社でやる場合も、これは七十五億円は国鉄がいままでと同じ程度のものだから捨て金だと思って出しなさい、出しましょう、こういう考え方ですか、もうくだいて話をすれば。
  100. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 国鉄の公共的な性格、それから従来大体、年によって違いますが——七十五億、八十五億と違いますが、大体従来どおりの負担をしてもらいたい、平たく申せば先生のおっしゃるとおりの気持ちでございます。
  101. 中村正雄

    ○中村正雄君 具体的な問題については、政令の内容がわかりませんので、今後どういうふうな運営をされるかという点についてはわかりませんが、一応条文の表に出ている問題だけは御質問したわけですけれども、全部理解する段階に至っておりませんが、時間の関係もありますので、一応質問を打ち切ります。
  102. 小酒井義男

    小酒井義男君 けさほど出していただいた資料に基づいて数点お尋ねをしますが、表の上から二つ目の湧網線ですね、これは二回貨物が出ておるようですが、この貨物は何両くらいの貨車を引っぱって動いておるか、わかりませんか。
  103. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 正確にはちょっと資料にございませんが、この線は簡易線でございますので、おそらく一個列車十両以内の貨車を引っぱっている線だと思います。
  104. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは客車は一両で走っておるわけですね。
  105. 山田明吉

    説明員山田明吉君) ディーゼルカーが一両で運行しております。
  106. 小酒井義男

    小酒井義男君 旅客だけでしたら、バスで輸送できる範囲ですね。
  107. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 道路の状況がつまびらかでございませんが、抽象的に申しますならば、ディーゼルカー一両分は大型のバスならば運べると思います。ただ、道路の状況、あるいは冬季どういう状況になりますか、ちょっと手元に詳細な資料がございませんので、はっきりいたしたことはわかりかねます。
  108. 小酒井義男

    小酒井義男君 同じことですが、札沼線というのもわかりませんか。いまと同じようなお尋ねなんです。
  109. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 札沼線と申しますか、これもディーゼルカーで一両でやっておりまして、十四回、貨物列車は二回運行いたしております。これはたしか川をはさんで道路が使えない状況の線だったかと存じますが、それも必ずしも正確な資料がございませんので、わかりかねます。
  110. 小酒井義男

    小酒井義男君 次に倉吉線ですが、これは二両組成されて、動かしておるのは朝晩のラッシュ時間だと思うのですが、相当回数が、二両で走るときが多いのでしょうか。
  111. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 倉吉線、関金−山守間四・八キロでございますが、二両のディーゼルカーが朝晩の通勤通学時に増結をいたして運行いたしております。平日、日中は一両で運行いたしております。
  112. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは一日六往復やっておるわけですから、朝晩増結するのは、やはり一回か、一列車ぐらいのものなんでしょうね。
  113. 山田明吉

    説明員山田明吉君) さようであると存じます。
  114. 小酒井義男

    小酒井義男君 次に、会津線をお尋ねしますが、これP・Cで二両ということは、電気機関車に客車が二両ついているのですか、一両の電気機関車が引っぱっているのを二という数字になっているのか、どうですか。
  115. 山田明吉

    説明員山田明吉君) これは蒸気機関車で客車を二両引っぱっておる線でございます。
  116. 小酒井義男

    小酒井義男君 いまお尋ねをした路線で、どうしても鉄道でなければ、ほかの交通機関では利用者の便がはかれないというような絶対的な条件のあるところは、一つ何か道路がないというところがあったですが、そのほかにもそういう例がありますか。
  117. 山田明吉

    説明員山田明吉君) この具体的な二十四線につきまして、過去におきまして鉄道がいいか自動車がいいかという議論がありましたことは事実でございます。それから今後のいわゆる新線につきましても、同じような国家経済的に見てどちらがいいかという議論が当然出てくるものと考えますが、そういう議論の過程を経まして、建設審議会等で、新線建設すべきものであると、これが国民の要望にこたえるものであるという建議、答申がなされまして、着手したものでございます。ここにございます線以外に、たとえば近畿地方の阪本線のごときは、部分的には鉄道新線が全通するまで一部自動車で代行してみたらどうか、テスト・ケースとしてそういうことをやったらどうかという線もございます。
  118. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから、鉄道を建設したほうが経済的か、道路のほうが安く上がるのじゃないかというような意見もあるのですが、私は、道路というものは、これは鉄道と違って、道路ができれば、国鉄のバスならバスを走らせるだけじゃなしに、ほかの自動車も自転車も利用するのですね。そういう点から、ただ金額だけで比較するということは少しおかしいと思うのです。国鉄で、道路にするか、バスを走らせるために道路をつくるというようなことを過去において考えられたことがあったのでしょうか。私は、鉄道にしても、バスにしても、必要のあるのは、その地域に相当の人口があって、そうしてそれの利用者のために必要なんで、そういう人のいるところ、あるいは何か産業——工業なり林業なりのあるところは、大体すでにもう道路というものはできているところだと、その道路のできているところを走るのだったら、一部道路の幅を広げるとか、あるいは修理をするということだけでやれるのであって、どちらが金が安く上がるからというような努力というものは、少し現実離れがしておるのでないかという気がするのですが、どうなんでしょう。
  119. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 私が道路がいいか国鉄がいいかと申しましたのは、根本的に国鉄の手で道路をつくるというところまでは考えておりません。道路には建設省というりっぱなお役所がございますので、私どもが申しましたのは、大体現在あります線を撤去した場合に、そのあとを、その線路敷を利用して国鉄の自動車を走らせることと、そしてそのまま鉄道を運営していくことが国鉄の経営上どうなるかということを検討したことがございます。それから、新しい線につきまして、すでにりっぱな道路があった場合に、その道路に、ほかの交通機関でもけっこうでございますから、鉄道を引くか、あるいはその道路を利用したほかの交通機関を動かすのと、どちらが利害得失があるか、そういうような検討をいたしたのでございます。現在に至るまで、新線が行なわれておりますものにつきましては、そういう議論を経た上で、なお国民からぜひ鉄道を引いてしかるべきものであるという声に応じた建設審議会の答申に基づいて鉄道として敷設して経営しておるのが、本日に至るまでの経緯でございます。
  120. 小酒井義男

    小酒井義男君 鉄監局長にお尋ねするが、政務次官からお答えいただいてもけっこうですが、いま私がお尋ねをしておるように、一日に六往復か七往復、しかも車両一両で貨物もないというような路線は、これはやはり自動車で大体代替し得る地域じゃないかと思うのです。こういうところを将来も鉄道を建設されるというようなことは、まあおそらくやられぬと思うのですが、これらなどについても、やはりそういう点で、将来の見通しといいますか、検討に問題点があったんだというふうにお考えになりませんか。
  121. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) いま国鉄の側から答弁がございましたが、従来鉄道建設審議会が調査線を選定し、あるいは調査線のうちから着工線を選定するという場合に、主として考えておりました選定基準というものは、交通計画上重要な交通網を形成する。それから経済成長の基盤となる重要資源及び産業開発に必要なもの、それから地方開発に必要なもの、こうした主として三点を考えて選定の基準としておりましたが、その際、最近一番建設審議会で議論されておりましたのは、やはりいまお尋ねの道路交通との比較ということを非常に重点的に考えておりまして、これは国鉄の経営上の観点ではございませんで、国民経済的な観点から、道路交通によったほうがいいのか、あるいは鉄道がいいのか、あるいは両方いいのかというようなことを、道路網までかなり詳しく調べまして最近はやっております。結局、数字は持っておりませんが、考え方としては、貨物相当あれば旅客は少なくてもいいということも言えますし、それから旅客が非常に多ければ貨物は少なくてもいい、ここで一定の、何といいますか、カーブが引けまして、それに一々当てはめてみまして、鉄道が国民経済上有利であるというようなものを調査線なりあるいは建設線に選んでおるというのが、最近の鉄道建設審議会審議の、何といいますか、傾向でございます。先生のおっしゃったことも十分に念頭に入れながら、慎重に審議をしておるというのが、最近の実情でございます。
  122. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は、今度公団ができて、資金的にもいままでより楽になる、積極的に促進できるのだということの裏には、やはり建設が安易に流れて、こういうものが今後またつくられていくのじゃないかという、そういう心配を持っておるのです。そういう心配はありませんか。
  123. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) これは、調査線、着工線を選定をいたしますのは、建設審議会がもとになります。私いま申し上げましたように、公団を設立いたしまして、資金量もふえてまいります。私ども考え方としましては、やはりあくまで国民経済的な観点から、重点的に工事を施行していくということが一番大事なことだというふうに考えております。
  124. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは少しむずかしい質問で、むしろ大臣にでも出てもらって意見を聞くほうがいいと思うのですが、まあ大臣と政務次官は同じことですからお尋ねをしたいと思いますが、従来の建設審議会の構成は、私は問題があると思うのです。その審議会のもし委員なんかに不幸にしてなっておって、自分の選挙区に新線ができたなんというと、非常に誤解を招くような場合もあるのですね。ですから、この建設する路線の選定などは、あまり選挙をやる者がそういうところに入っておらないほうがいいのじゃないか。もっと純粋な各層の知識経験者なり、所管の役所の代表だけで建設路線をきめるということのほうがいいんじゃないかという気がするのですよ。どうですか、この機会に建設審議会委員の構成をお変えになったらどうです。そういうお考えはないですか。
  125. 田邉國男

    政府委員(田邉國男君) いまの御質問でございますが、私どもは、鉄道建設審議会のメンバーにつきましては、やはりこの鉄道新線建設の場合には、さきも申しましたように、鉄道だけの問題でございませんで、やはり国民経済上から非常に重要な問題があるわけでございますので、いわば高度の政治性を有するということも考えられますので、国会の議員の方がやはり入っておられて、そして審議をしていただくことがむしろ公正妥当ではないか。しかしながら、いま御指摘のように、その審議委員の地域に新しい路線が敷かれるという問題がある場合、これは仮定でございますが、そういう場合には非常に慎重に考慮をしなくてはならないと考えております。
  126. 小酒井義男

    小酒井義男君 なかなかここで私ははっきりした答弁を求めるのは無理な質問だと思って質問しておりますが、何らかの機会にやはりこの問題も明らかにする必要があると思っておりますけれども、私の質問は時間的なつなぎのつもりで質問をしておりますから、資料に基づいた質問をしただけですから、あらためて次回ごろもう少し根本的な問題をお尋ねをします。
  127. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 質問を続ける前に、委員長にお願いを一つ申し上げておきます。十八日の日の委員会には、のっぴきならない私的な事情がございまして欠席をいたした関係で、同僚の委員の方々がどういう質問をしたか承知しておりません、会議録が手元にきておりませんから。ですから、これから質問いたすことは、若干ダブって質問をいたすかもわかりませんから、あらかじめ御了承を願っておきたいと思います。   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕  それからもう一つは、政務次官にお願いをしておきますけれども、あなたはきょう大臣の代理で出席しておられるわけで、これからの質問は、私を通して国民全部に理解のできるような明快な答弁をしていただきたい、こういうことをお願をいたして質問に入りたいと思います。  先般、この公団法提案にあたりまして、運輸大臣から文書を朗読したような提案を出されました。それぞれ私どもは勉強さしていただいております。そこで、この提案の理由の説明から申しますれば、日本の事鉄道に関する限りは、かなり運輸政策というものを変えているような感じがするのです。それだけに私は重要な法案だと理解をいたしました。そこで、ひとつ政務次官に聞くわけですけれども、そういうことであるならば、私はこの際政府として運輸交通政策というものを総合的に策定をしたものだと思うのです。つまり、総合政策と申しますれば、陸の関係、海の関係、空の関係もございますけれども、この際は特に陸海空の輸送分野における交通政策というものをどう策定したか、この点を大臣にかわって政務次官にひとつお答え願いたいと思う。
  128. 田邉國男

    政府委員(田邉國男君) ただいまの御質問でございますが、日本所得倍増計画に伴いまして、陸海空のいわゆる交通政策、運輸政策というものは総合的にこれを推進しなければならない。そういう中にありまして、特にこの運輸、鉄道の問題につきましては、やはり総合政策の一環として他の交通運輸政策と並行いたしまして強力に推進をする必要がある。そういうことになりますと、この鉄道建設公団というものをつくりまして、国鉄本来の輸送、特に現在国鉄の新しい幹線をつくるという問題につきまして、ともすると予定どおりの推進ができない。そういう面から考えまして、新しい公団を  つくりまして、そしてこの国民的な要望にこたえるように鉄道の新幹線をつくっていきたい、それが即総合的な交通運輸の対策になる、こういうふうに考えております。
  129. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも次官の答弁では、私の質問を通して国民に理解のできるような答弁でないので、まことに遺憾にたえないと思います。たまたま大臣がお見えになられましたから、大臣に重ねてお尋ねをいたしますけれども、この大臣が提案をいたしました公団法の提案理由全般をながめますと、日本の運輸交通政策についてかなりの私は従来にない変わった政策が出ているような気がするのです。したがって、今日以降におけるわが国の運輸交通政策について総合的な政策を私は政府は策定したと思うのです。  そこで、きょうは特に私は、陸と海と空の輸送分町における交通政策を具体的にどう政府が策定をしたか、このことについて運輸大臣からお答えを求めたいと、こういうことで政務次官に聞いたところが、冒頭に申し上げたように、理解のできないような答弁をいたしましたから、大臣御出席ですから、大臣から明確に答弁をしていただきたいと思います。
  130. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 申すまでもなく、私どもといたしましては、今後の運輸交通政策といたしましては、陸海空にわたりまして運輸省の所管でございますからして、緩急をはかりまして、鉄道につきましては、御審議を願っておる鉄道建設公団法によりまして、地方格差の著しくおくれておりますところの是正に、著しくおくれておりますところの鉄道を早くやりたい。  それから空につきましては、御承知のように、羽田はもう一ぱいでありますから、第二国際空港を新たに長期計画のもとに計画いたしまして、超音速機が実用化されるであろうと予想されている昭和四十六年までに完成いたしたい。その規模は、御承知のように、相当な思い切った規模によりましてやってみたい。  それから船につきましては、本年度を初年度とする港湾新五カ年計画にのっとりまして、新産都市指定あるいは工業指定等の背後関係、それから海における港湾関係等等をひとつ改善してまいりたいと、かように考えております。何と申しましても、国が繁栄いたしますためには、どうしても現在のような日本におきましては、工業の先行投資を多額にいたしまして、そうして国全体が狭い国土をいかにすれば有効に使えるか、それに対する施策を主眼の点に置きましてやっていきたいと、かように考えております。  鉄道は、申さば人間の血管でございますから、この血管が老廃いたしたのでは半身が不随になるということは、もう御承知のとおりでございますから、その点につきまして、私鉄といわず、国鉄といわず、一番輸送のウエートをしょっている鉄道網の完成ということに努力いたしてまいりたいと考えております。
  131. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、路面交通の中でも自動車行政、自動車運送について、この点について……。
  132. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 自動車行政は、御承知のように、道路と並行して、道路を完成することによって、ますます自動車の運送ということがやはり重要な面になりますので、私どもといたしましては、道路の改修と並行いたしまして、それに適当するような自動車行政をやっていきたい。たとえば、いま交通の問題になっている大都市におきましては、バス・ターミナルあるいはトラック・ターミナル等をひとつ新設いたしまして、いささかでも交通の緩和に資したい、かように考えております。
  133. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣からおおむね基本となる考え方説明されましたけれども、細部にわたっての御答弁がありませんし、また、ここで細部にわたって答弁を求めることも無理だと思いますので、私はこの際資料要求をいたしたいと思います。  鉄道網整備については、たまたま公団法が出ておりますから必要ございませんけれども、空、船、路面交通の中の自動車運送、この関係については、運輸省としてできるだけ早い時期にそれぞれの政策的な資料を私はこの際求めておきたいと思います。  そこで、質問を続けるわけですが、大臣のいまの答弁の中にも、国鉄、私鉄問わずという表現が出てまいりましたので、この際お尋ねをしておきますが、路面交通の政策として、大臣が、道路網の整備が拡充されてまいりますると、バスやその他の自動車の関係の政策も樹立しなければならぬし、具体的には施策も施さなければならぬ、こういうことを申されましたが、これは理の当然だと思う。そこで、そうしたことと関連をさせて、鉄道網の整備、これは大臣も申されたように、国鉄と私鉄を合わして私はお答えを求めておきたいというふうに思いますけれども、将来の展望に立って、路面交通と国鉄と私鉄の関係についてどうお考えになっておられるか、この点ひとつ聞いておきたいと思います。
  134. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 基本問題につきましては、先ほど申しましたが、私鉄、国鉄等の数字につきましては、鉄監局長から御答弁させます。
  135. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) ただいま大臣がお答えいたしましたが、運輸省といたしましては、日本経済の成長に伴い、これに対する将来の見通し、動向というものを一応頭に置きながら、効率的な交通投資の配分、それから合理的な運賃体系、こういった交通問題の基本政策を強力に推進してまいりたいと考えておりますが、やはりその一番基礎になりますと申しますか、将来の展望、いまお尋ねになりました国内の貨物輸送にいたしましても、あるいは旅客輸送にいたしましても、国鉄、トラック、あるいは内航海運、私鉄、こういったものが将来どのようなかっこうになるかということを描きながらやっておるわけでございますが、その数字につきましては、私からごく概略申し上げますと、これはもとになりますのは所得倍増計画でございまして、三十三年度を基準といたしまして、目標年次には、国内の貨物輸送量全体——これはトンキロであらわしますが、貨物輸送量全体といたしましては、三十三年度を一〇〇といたしまして、目標年次の増加の指数でございますが、貨物輸送量全体で二二三。   〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕 この内訳を申し上げますと、国鉄は一八〇、それからトラックが三八二、内航海運は二一九、それから私鉄は、ほとんど貨物を運んでおりませんので、この数字は省いてございます。  以上申し上げましたように、国内の貨物輸送量を見ますと、トラックの伸びが非常に著しいということでございますが、なお、絶対量一を見ますと、目標年次におきまして、貨物輸送量全体が二千百七十三億トンキロ。その内訳といたしまして、国鉄は八百十五億トンキロ、トラックが四百九十八億トンキロ、内航海運が八百六十億トンキロ、私鉄は非常に小さいのでございますが、九億トンキロということで、増加の比率は、トラックが非常に大きくて、その次に内航海運、国鉄となっておりますが、絶対量から申し上げますと、いま申し上げましたように、国鉄が一番大きな輸送量を誇っておるということが申し上げられます。  なお、国内の旅客輸送につきましては、これは同じような考え方で、旅客輸送量全体の伸びは、三十三年度に比較いたしまして、目標年次では二四一となっております。この内訳といたしまして、国鉄と私鉄とバス、それから乗用車、航空機、旅客船、こういう内訳がございますが、全体の増加率は二四一で、内訳を申し上げますと、全体の絶対量は、旅客輸送で——これは億人キロでございますが、五千八十二億人キロ、国鉄は二千三十九億人キロ、これは一九二%、それから私鉄が九百八十一億人キロ、一八三%、バスが、これは非常に大きゅうございまして、千四百四十五億人キロ、三三一%、乗用車が五百四億人キロで、これは非常に大きな伸び率を示しておりまして八〇〇、それから航空機、これは絶対量が小さいせいもございますが、これは百三億人キロで、伸び率と申しますか、倍率は二五〇七、旅客船は非常に小そうございまして、十億人キロということになっておりまして、国内の旅客輸送におきましても、いま申し上げましたような数字で、絶対量は国鉄が非常に大きくなっておりますが、伸び率から申しますと、航空機であり、あるいはバス、乗用車というものが非常な伸び率を示しております。こういった所得倍増計画数字というものを一応目標といたしまして、国鉄の投資なりあるいは私鉄の投資といったものを総合的に配分をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  136. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私の質問はさらにたくさんございますけれども、大蔵大臣がただいま本委員会に見えました。予算の質疑、さらに前の委員会から継続案件となっておりました大蔵大臣に対する質疑がありますから、相澤委員に発言を譲りたいと思います。   —————————————
  137. 米田正文

    委員長米田正文君) この際、議題に追加をしまして、運輸事情等の調査をあわせて行ないます。
  138. 相澤重明

    ○相澤重明君 大蔵大臣に三つほどお尋ねをしたいわけです。一つは自動車損害賠償金の問題について、いま一つは、難局航路等の補助金の問題、いま一つ鉄道建設公団資金の問題ということで、あなたの時間も制限されておるようですが、できるだけ私も要領よく質問をしたいし、要領よくお答えいただきたいと思います。  まず第一は、この自動車損害賠償責任保険審議会が大蔵大臣に答申をされて、その答申に基づいてあなたはどういう措置をとられたのか、お話に聞くと、交通閣僚懇談会等にも説明をされたようでありますが、考え方をまず第一にひとつお尋ねをしておきたい。
  139. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) まあこういう専門的なものでありますので、政治的な観点によって方向をきめるべきものではないということで、主計、理財当局等と、まず主管官庁である運輸省と十分検討をするように、そうして、できるだけかかる問題に対しては政治的に大臣間で話を詰めるようなことがないように、事務的に十分検討をして、また業者その他の利害関係者の意見も聞きながら、世界各国の例等にも徴し、事務当局間において円満に話しがまとまるという方向で検討すべし、こういうことで、私は最終段階まで、この問題に対して、まあ非常に予算編成中でもございましたし、忙しい状況でもありましたので、あまり突っ込んで入っておりません。しかし、最終段階においては、両省の専門家たちが十分検討した結果円満に妥結をした結論でありますという報告を受けておるのであります。
  140. 相澤重明

    ○相澤重明君 この自動車損害賠償責任保険制度を改正する動きが、実は一月にありまして、それで私ども参議院の運輸委員会は、一月にそういう考え方について各委員と実は質疑をかわしたわけであります。その際に、大蔵省なりあるいは運輸省自動車局なりの考え方というものは、いまあなたのお話しになった事務的折衝の段階で意見が一致をしたとお話しになりましたけれども、どうもこれはあまりにも苛酷ではないか、今度の料率改定というものは自動車を持つ者について非常に多くの資金を必要とさせるようなことが行なわれるのではないかということで、再考をすべきである、こういうことを私どもは運輸委員会の態度として出したわけです。そうして、二月一日にこの保険料率の改定を行なうということに対しては、時期を若干再検討すべきである、ここまでまあいまお隣にすわっておる綾部運輸大臣にもわれわれは意見を申し上げ、そうして大蔵大臣の善処を求めたい、さらに私は大蔵大臣にも御出席いただいてその真意というものを問いたい、こういうことで今日まで何回かの委員会であなたの御出席を実は求めておった。ところが、実際にそういうこの運輸委員会の意向というものはじゅうりんをされて、二月一日に強制実施をしたわけですね、これは。なぜ二月一日に強制実施をしなければならなかったか、あなたのいまのお話のように、たまたま国会の予算案審議中である、三十九年度予算案審議中であるにもかかわらず、この問題だけを二月一日に強制実施するということは、一体どこにその真意があるのか、こういう点について私どもとしてはわかりかねるわけです。その点、二月一日になぜ強行をしたかということについて、ひとつ大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
  141. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) いま事務当局から、二月一日に施行したという理由については、幾らか書いてございますけれども、そういうものよりも、この問題については、十二月十九日に支払い限度額の引き上げ及びこれに伴う保険料の引き上げについての答申が行なわれたわけであります。この答申を契機としまして、こういう実施に移す場合には、十分ひとつ両当局で検討をしなさいということを、私先ほど申し上げましたように、事務当局に強く言っておきましたので、私は、綾部運輸大臣とどこかで会ったときかと思いますが——あまり正式な会合でないということを申し上げるのですが、事務当局同士でうまくまとまっているらしいですな、こういうことを申し上げたわけです。綾部さんは、いや、私は問題があるということを言っておられたように記憶しておりますが、その後私は何回か事務当局に念を押したのですが、いや、これは完全に一致しておるので、特に早い機会に、特に閣僚会議なり懇談会においても引き上げについての決定が行なわれておるのであって、両省では異議がないので、一日でも早く引き上げることによって、毎日毎日事故が頻発をしておる被害者に対してもいいことであるし、また、そうすることによって、お互いが努力をして当然事故が減れば、この金額は業者に還元をされるという性質のものでありますので、問題はありません、こういうようなことで御報告がありましたので、私はあえてそのときに別に私のほうから特別に指示をしておるというようなことはありません。ただ、そのときに私が申し上げたことは、ガソリン税の引き上げということがあるので、時期を同じくしてこういう問題が起こるということを避けられないのかということを私のほうで申したと思いますが、それから、もう少し、これによって、引き上げられることによって、いま週刊誌などに出ておりますが、飛び込み屋というものがあるそうですが、こういうものが激発しないか、こういうところも研究したかということも言いました。それからもう一つは、五百万台にもなっておる自動車が、一説に聞くと五百億も納めなければならないような事態になるので、こういう問題に対しては十分検討したか、こういう大臣として言わなければならないことは、早々の間でありましたが、言っております。そうしましたら、いや、もうそういう問題に対してもあらゆる角度から検討いたしまして、両省がうまくいったのでありますから、おまかせをいただきたいということでありましたから、ではまかせようと、こういうことがこの問題に対するすべてであります。
  142. 相澤重明

    ○相澤重明君 大臣だから、実際こまかい点まで一々なるほど目を通すということは、確かにそれはたいへんかもしれぬけれども、事務当局が意見が一致したからといって、実際に出されたものを見ると、ね、大臣、多いのは四倍になっている。三倍ですよ、三倍。いかにこれは保険金額を引き上げる、五十万を百万にするからといって、引き上げ方の問題なんですよ。われわれは、大臣のお話のように、自動車による事故のための犠牲者に百万、ちっとも高いと思っていない。もっと出してもいいと思う。けれども、問題は、掛け金をする人がどういう立場に立つのかということは、これは数字ですからはっきりしちゃっているわけですよ。事務当局が言うには、まあいままでの赤字が三億幾らかある、それで今度は限度額を引き上げたからどうしても保険金を多く取らなければいけない、こういうことを言っておるわけです。しかも、料率改定に対するところの基準をどこに求めたかというと、三十五年度に基準をとっている。ところが、これはもう各委員からも強く拙摘されたのでありますが、三十五年度以降のずっと事故率を見るというと、だんだん減っておるわけですよ。事故は減っておるのです。自動車は反対にふえておる。ですから、収入はふえるばかりなんですよ。こういうしろうとでもわかることを、どうして、しかも予算審議の最中に、二月一日に実施を強行しなければやっていかれないなんということが出るのでしょうかね。私はいまのあなたの御説明を聞いておると、全く大臣はいいところをついておる。こういう点はどうかという心配をされたということは、私は非常にいいことだと思うんですよ。それでこそ初めて、政治衣として、大臣として、大蔵大臣としての責任が持てると思うんです。その点は私は敬意を表します。けれども、敬意は敬意としても、いかに私があなたに敬意を表しても、具体的に出てきたものを見た場合に、これであなたが納得をしたということについては、これは今度こちらが納得ができないわけです。そこで、私は、関係の業界の人たちにも相談をしたか、こういうお話をしたわけです。これは強制保険ですからね——自動車を持てばそれだけかけなければならない。強制保険をとるのに、関係の業界の意見毛十分に聞かないで、しかも予算審議中にもかかわらず二月一日になぜ急いで実施したか。こういうことは不信ですよ。これは政治に対する不信になりますよ。そこで、あなたに、そういう事務当局間の話し合いで、しかも答申の精神をくんで実施をしたというけれども、こういう答えが出てくるということがあなたはおわかりにならなかったかどうか。特に、私は先日もこの質疑をした中で、たとえば乗用車の取り扱い手数料というものはどのくらい会社に払っておるかというと、千二百円くらい一台で払う、一台でですよ。この事務当局が出された数字を見てごらんなさい。どんなに大きな額になるか。会社が赤字であるということ、そうして政府資金が不足をしておるということが理由ですね、その理由で上げてあるのですよ。五十万円を百万円にしたということを含んで。けれども、この推移を見ると、何とこれでは、会社にうんともうけさせるために、特定の保険会社にもうけさせるためにあなたのほうではこれを値上げを認めたと非難をされても私はしかたがないんじゃないか、こういうふうにまで考えられるわけです。だから、あなたのほうで、一台に千二百円も手数料を払うようなことをお考えになって、しかも、三億円そこそこの赤字を埋めるために、そうして五十万円を百万円の限度に引き上げるために、これだけの膨大な、自動車に対して多くのいわゆる料率を改定しなければならなかったという理由が見出せますか。この点、いま少し、あなたの先ほどお話しになったことは、私はたいへんなけっこうなことで敬意を表しますが、具体的に出されたものについていまどうお考えになるか、お尋ねしたいと思います。
  143. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 私もあなたと同じようなことを考えたことがございます。いずれにしても、合理性を求めるためにということであっても、倍になるということは、これは物価抑制の上からいってたいへんな問題だから、倍というような数字になるということに対しては、非常に慎重に配慮しなければなりません。でありますから、農地等の土地家屋の評価がえの問題に対しても、理論的には評価がえをしなければいけないし、凹凸是正をしなければならないけれども、激変をさせてはならないということで、農地に対してはこれを押え、他のものに対しても二〇%こえてはならないということを特にやっておるということから、この問題に対しては十分検討しなければならないという考え方でありましたが、これは御承知のとおり特別法による制度であります。でありますから、保険数理の上から計算しますと、議論よりもはっきり出るんですと、こういうことであります。でありますから、五十万円の保険金を倍額の百万円にするということによって事故が減りますし、また、アメリカはそういうことによって非常に、日本に比べると、三千万円、七千万円、八千万円という高額の賠償金を払っておるという例もありますけれども、そういうことによってだんだん事故率は低下をしてきておるのであります。でありますから、これらの保険数理の面から考えるときには、私企業である一般保険会社がこれによってもうけてはいかぬということが一つ、もう一つ営業的な感じをこの中に盛り込んではならない。そうして、全くの数字上の問題としてこれを検討し、また将来も数字的に事故が減ってくる場合には、当然還付をしていくという立場でもって、料率を引き下げていくという、こういうたてまえに立っておるのですから、いま政治が関与するよりも、お互いに専門家同士でもって計算をして出た数字が妥当なんですと、こう言われると、私も合理性は認めざるを得ないので、まあ両省で話がつくならばよかろうということでいったわけであります。ですから、この問題に対しては、百万円でも死んだ人は安いかどうかという問題はあるのですから、国民的な視野に立って考えるときには、やはり事故を少なくしていかなければならない。事故を少なくしていくことによってだんだん料率も下がっていくのだということで、この人命に関する問題が焦点になっておるのでありますので、私はやはり、いろいろな観点から検討をされた結果出てきたこの問題に対しては、ひとつお認めをいただいて、そのかわりに保険数理の上で、保険会社がもうけてはならない、どんどんと事故が減るたびに料率を引き下げていくべしという結論をお出しになっていただくのが、私が最もお願いをしたいというところであります。
  144. 相澤重明

    ○相澤重明君 大蔵大臣のその御答弁を聞いておると、それではこういうことになりますか。たとえば半年——いまのとにかく二月一日から掛け金を上げたのですから、私なんかも三倍とられた。そうすると、いまあなたのお話を聞いておると、事故が減る。無事故運動ということをやる、国民運動として。政府もそういうものを指導する。そうすると、事故が減ってくる、車の数はふえてくる、収入は多くなる、こういうことだから、そうでしょう。支出が少なくなって、収入が多くなって、これはたくさんもうかるということなんです。利益金が多くなる。そうして、料率を改定するということになりますね。これは確認できますね。
  145. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 当然そういうような観点に立っております。
  146. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、それならば、それをいまの大蔵大臣が御答弁になったのですから、もう私はそれを信頼するわけです。  そこで、実際、たとえば営業用の乗用車の場合、いままで二万三百五十円のものが四万一千七百円ですからね。普通の貨物なんか九千三十五円のものが三万二千五百十円ですよ。こういう、とにかく三倍というのが営業用貨物等に出ておるのですからね。特に霊柩車の場合は、これは数が少ないから特別だけれども、とにかく普通一般の事業に必要なものが三倍なんていうことは  あなたの公共料金を一年間据え置きたいというのに、いまの三倍なり、四倍ですね。そういうことからくると、これはもう全く政府の言っておることを自分でこわしておることだと思う。私はそう思うのです。だから、とにかく実施をしたものの結果を見なければわからぬということにあなたの御答弁はなっておるのですね、そうでしょう。だから、とにかく今度は、その結果が半年なり一年たってよければ下げるという確認をひとつしていただいて、その次にいま一つの問題は、会社の赤字というものが、実際に保険料、手数料というものを一台に千二百円も取らなければやっていかれない数字なのかどうか。これは、この前私が質問したときに、たとえば手続料は、乗り合いの場合に千二百円払う、こう言っておる。そんなことが一体いいのだろうか。自家用車の場合でも大体五百六十円ぐらい。こういう数字というものは——これは特定のもので、だれでもが、どこでもがやるというわけのものではないですからね。こういう会社にそれだけのもうけをさせなければいけないということなのか、これは私にはわからないわけなんだ。大蔵大臣はこういう点を知っておりますか。大蔵大臣、お答えをいただきたい。
  147. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 先ほども申し上げておきましたように、事務費として、乗り合いが千二百円、営業用に対しては千二百九十円でありますか、自家用車で申し上げますと五百六十円ということでありますが、これは計算をすればすぐ実費が出てくる問題でありますから、あなたの御発言等を研究して、かかる問題に対してはできるだけ合理的なものにするために検討をしていく必要はあると思います。こういうものに対しては、私が先ほど申し上げたように、保険会社はもうけてもいかぬし、また自動車会社が自分でもってやっておる車に一台ずつ手数料を取ってもうけようなどという魂胆はないわけですから、できるだけこれは合理的に——必要なものに対してはやむ一を得ずこうしなければならないけれども、実績によってこれを還元するために保険料率は下げなければいかぬということが原則でありますから、あなたの言うように、手数料の名義において不当なものが取られておるというようであれば、もちろんかかる問題に対しては合理性を追求していくことの必要性は認めます。
  148. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、いまの御答弁で、結局は会社の手数料というものは決算書に出てきますね、経営ですから。そうすると、これはもうけ過ぎておるかおらぬかということはわかってくる。もっと減らしてもいいかどうかということは出てくる、あなたのいまの答弁からは。ですから、私どもは実はこの会社の内容についてそういう決算書を提出してもらいたいというお話をしたわけです。そのくらいまでしなければ、いまあなたの合理性というものが出てこない。単にこれは、一台千二百円とか、五百六十円とか言われても、全体の扱い量というものを考えていけば相当の金額になる。そういうことで、私どもとしては内容について検討しなければいけないということを言ったんですがね。これはひとつ、あとで大蔵大臣が、少なくともそれを検討されて、それでなるほどこれは運輸委員会で言われるようなことだというならば、是正をしてもらいたい。
  149. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) いま事務当局の話を聞きますと、この料率でもとんとん、もしくは赤字になっておるということでございますが、しかし、会社の決算という問題ではなしに、この事務を取り扱うために最小幾ら要るかというやはり合理性がなければいけないわけであります。でありますから、一社ごとにこういうものを計算しておるものではなく、全社を対象にして一やっておりまして、合理性があると認めた上で手数料を取っておるわけでありますから、この手数料は——大体いままでは政府関係機関などは手数料を引き上げるという方向にばかりきておりますが、こういうものは、合理性を持つものであれば、引き下げの方向でいくわけであります。しかし、いまの事務当局の考え方では、これでも赤字が出ているといいますか、まあそういうもっと合理化できないかというような問題に対しては、十分検討いたします。
  150. 相澤重明

    ○相澤重明君 検討して、ぜひ引き下げてもらいたい。  それから、いま一つの問題点は、これは強制保険でしょう。そうすると、強制保険を政府が法律に基づいて、あるいは特別会計としてそういうふうにやるということになれば、この事務費はどうですか、政府の金を出したならば。何も自動車を持っておる者に全部これをかけなければならないということはないでしょう、国の財政上の問題からいけばね。そういうふうに政府が強制的にやらせるというならば、政府の一般財政から出してもいいのじゃないですか。事務費は政府が持つべきだと言うのです。強制でなしに、任意ならば、これらの場合に、こういうふうにあとの補償のために有利なことなんだから、自分自身で入るということであれば、そういう任意の問題ならば、いまそこまでいかなくてもいいかもしれませんが、しかし、強制ということになれば、政府がやらせるのですから、その事務費というものは政府がお持ちになっても私はちっともおかしくないと思う。こういう点は大蔵大臣どうお考えになりますか。
  151. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 政府の再保険特別会計におきましては、その事務費として三十九年度の予算で一億六百八十四万三千円の予算を組んで−おるわけであります。また、保険料につきましては、付帯経費というものを織り込み済みであるということでありますので、現在の状態から考えて、営業保険料として平均五、六%程度というような状況から考えて、将来は別でありますが、いまこの事務費まで全部国庫補助するというような必要はないものだと考えております。じゃ、大蔵省は出すことは何でもきらいだな、こういうことになると困りますので、つけ加えて申し上げますと、これからだんだんトラックや車がふえて、先進工業国並みになりつつありますし、そうすることによってわれわれの生活自体が維持できるのでありますから、こういう事務費補助——いま農林でもなんでも事務費補助、事務費補助ということをやっておりますが、一面においては補助の合理化をやれ、こういう答申もきておるのでありますから、これから補助したほうがいいのか、もっと税制上だんだん償却率を上げていくほうがいいのか、そういう広範な問題から考えなければならぬことでありますから、いまこういう再保険特別会計においても一億六百万円ということでありますので、あるいは保険料の中で保険会社に事務費補助ということをやるよりも、いまのものを時点にしまして、この制度が将来どうあるべきかということを、外国の例をみな見まして、最も合理的なものにしていくという方向のほうがいいのではないか。事務費補助という問題に対しては、外国に例がないのか、こういうことを私も調べてみましたが、外国にはそういう例はないのです。こういうものは、政府がなるべく干渉しないで、相互扶助的なものとしてやったほうがいいのだというような議論もあるようであります。しかし、いまの状態においては国庫補助をする必要がないのではないか、こういう御答弁を申し上げておきます。
  152. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、大蔵大臣はとにかく、自分が審議会の答申を受けて事務当局にやらしちゃったから、まさか事務当局が悪い、こう言えないから、あなたそういう話をされておるのだろうと思うけれども、やはりこれは悪いことは直すことがいいのですよ。何もこれは、不合理なものには、合理性を持たして直すことは、私はちっともおかしくないと思う。ただ、時期はたしか二月一日にやっちゃったから、これをぜひすぐ三月に直す——これはあなたのほうもいろいろな手続上の問題もあるでしょうし、そういう将来性の問題をお考えになるでしょうけれども、私はやはり、むしろ、先ほどから申し上げたように、任意ならば、いま言った、行政が干渉する必要はない。しかし、強制である限りは、政府が強制的にやらなければいけないということになった以上は、政府が見てもちっともおかしくない。いま再保険のお話もあなたが出されましたが、一億や二億の金を出したからこれでいいというものではないので、いまや自動車の問題は、これは国民の必需品ですよ。乗用車にしても、耕うん機にしても、また産業上の必要なトラックにしたって、バスにしたって、なくちゃならぬ一番重要な問題ですから、政府が力を入れてやっていくのが当然だと私は思う。そういう意味で、せっかく事務当局が査定をされて、あなたが判をついたということになるのだから、その態度としては、外国の例に見習うというお話だけれども、何も必ずしもいいことは外国にまねないだってどんどん進めてやっていい。悪いことをまねる必要はない。池田総理の話じゃないけれども、世界の水準ではいいほうだ。いいことをやるのはけっこうだ。そういう点で、あなたにぜひひとつ、事務費は、強制加入させるという建前であるから、政府が持つべきだ、こういう筋を私はやはり確立してほしい。赤字赤字と事務当局が言っておりますが、それはいまの話ですよ。いまの話なんです。いま、なるほど三億幾らの赤字があるかもしれませんよ。けれども、これだけの値上げをした点からまいりますと、私は必ずこれはもう金は余ってくる。だから、赤字を五カ年間で解消するというのですよ。政府の事務当局の言っているのは、五カ年間で赤字は解消するとこの前は説明をされた。向こう五カ年間で赤字を解消する。こう言っておるのだけれども、何も、政府が強制的にやらせるものを、そういう採算制のことを考えていけば、無理にこんなに多く取ってしまっておかなければならないというばかな話はないでしょう。そうでしょう。だから、そういう意味からいって、私はこの点は譲れない。強制加入をたてまえとしておるこの行政上の問題ですから、行政府がやはり行政費を出すべきである、事務費は負担をすべきである、こういうことに私の主張はなるわけなんですが、大蔵大臣の先ほどの御答弁では、検討するという意味で私も了承したいのだけれども、やはりそういうことですな。検討をして、なるべく前向きの姿勢にいく、こういうことでいいんでしょう。いま一度。
  153. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) どうも御質問が非常におじょうずでありますから、そういうところに追い込まれそうでありますが、私は、明かに、再保険特別会計の中では一億六百万円計上いたしてございます。この手数料は料率の中に込められておるものでありますし、また、少額の補助金等に対しては整理をしろという答申さえ受けておるのでありますから、なかなかいま政府がこれを補助するという方向にない。でありますから、率直に言えば、一般会計から出す必要はないと思いますし、こういうことを答弁しておるわけであります。がしかし、料率が非常に、倍にも三倍にもなっておるということでありますし、原則としては、事故がなければ、できるだけすみやかに還付の精神をもって料率を引き下げるということが一番大きな問題であります、こういう姿勢をとっておるわけでありますから、いまあなたが言われた政府補助の道等もまた考えるべきだという議論は、私どもから率直に申し上げるとすれば、自動車保険法を含めた議論として、いまよりもいっときでもいいものに前進しなければならぬわけですから、そういうものの中の一こまとして考えていくことはいいことだと思います。
  154. 相澤重明

    ○相澤重明君 なかなかやはり答弁がうまいものだから、巻き込まれるといかぬからね。大蔵大臣が答弁したのは、やはり前向きな姿勢でやる、しかし全般的なこともあるからと、こういうお話だから、私としては、やはり私の言ったことを大臣がよく理解されて、全般の中で前向きの姿勢をとる、こういうことで、あまり意見違いませんよ、これは。そういうことで、ひとつ国が強制保険として進めておる以上は、やはり国がそういう前向きの姿勢をとってもらうということで、私もこれは了解をして、次の問題に入るわけなんですが、関連があれば、お尋ねいただきたい。   —————————————  それではその次に、先ほど申し上げた第二番目の問題は、政府が離島航路の補助金というのを出しておるわけです。これは、この前も綾部運輸大臣にいろいろ御質問を、同僚の小酒井委員等と一緒に行なったわけでありますが、実は、この離島航路について、国が補助をしておるものと、地方が補助をしておるものとあるわけです。ところが、地方が補助しておるにもかかわらず、国が補助しない、こういうところもあるし、また、そういうものを地方が非常に多額に出しておるのに、国はもうごく一部しか出していない、また半面、国が非常に多くを見積もっておるところもあるというアンバランスというか、不合理性というか、というふうに見られるものは、この提出された資料の中にはたくさん見受けられます。こういう国庫補助を出す場合の基準というものは、どういうことなのか。  それから、少なくとも、地方財政が非常に困難な事情にある今日、地方が出しておるようなものにはなぜ政府がめんどうをみてやらないのか、こういう点について、私どもよく資料説明を受けた限りにおいては、あまりわからないのです。ですから大蔵大臣は、こういう点については、運輸大臣の申請に基づいて査定をされて決定されたことと思うので、一体、こういうふうな査定基準というものは、大蔵大臣はどういうふうにとっておったか、ひとつ御説明をいただきたいわけです。
  155. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 離島航路の整備費補助につきましては、御承知のとおり、離島航路整備法に基づきまして、最小の必要な輸送確保をするための航路業者に対する欠損補てんということで行なっておるわけであります。三十八年度は五千二十五万円でございましたものが、五千九百九十万円余と増額をいたしております。これは、赤字がふえておるという立場に立っておるわけであります。これは、いまのように、離島振興法もあるわけでありますから、政府が画期的な補助をすべきだという議論がありますのと同時に、いま一つ、私鉄整備法に基づく補助のように、私企業であるものに対しては、国民の税金を使うのであるから、必要やむを得ざるものに制限すべきであるという両論があるわけであります。でございますから、私鉄整備事業も離島航路振興と似たようなものでございますから、こういうものに対して、昨年度の豪雪等に対して、やむを得ざる経費を一部補助した、しかもその補助には、一割の配当をやる場合にはこれを全額返済をしなければ配当をすることができないという配当制限を行なっておるわけであります。こういう両論の調和をはかって決定をするということが基準であるというふうに申し上げられると思います。  地方が財政困難の中にもかかわらず、やっておるものに対してなぜ国が肩がわりしないか、地方がやるものに対して同額ぐらいみたらどうか、という論があることも承知しておりますが、これは、原則的に、地方財政、地方分権制度というものが戦後確立されておりますから、地域限りのものについては、やはり地方がやることがまあいいのであります。制度上は、そういうことになっておるのです。なっておるのでございますけれども、そうばかりも言っておられませんので、一般会計が一四・二%しかふえないときに、今度出しておる地方財政計画においては三兆円をこし、一九・二%も、はるかに一般会計よりも大きく財政は伸びておりますけれども、しかし、そうだからといって、一般に国は地方の補助を打ち切ってしまうということはできないのであります。でありますから、国と地方が個々のケースによって、補助をしたり財政負担をしておるわけであります。これからは地方財政がだんだんふえてまいりますので、国が補助しないというのではありませんし、いままでのものは引き続きやってはまいりますし、また、補助金等合理化審議会の答申も待ちながら検討していきますが、すべてのものに対して国が補助をするという考え方よりも、国と地方実情に応じながら分担をしていくという現行の制度が、やはり合理的だというふうに考えられるわけであります。
  156. 相澤重明

    ○相澤重明君 御答弁でわからないということではないのだけれども、わかるところもあるのだけれども地方が苦しい財政の中から助成をしておるのに、国も助成をしておるところとおらないところとある。これは、私たちの立場でいけば、合理性が欠けるのではないかというのが一つ。  それからいま一つは、同じ国庫補助をしておる航路に対しても、実は非常に多額なものを補助をしておるのと少額なものとある。これは、もちろん航路とか事業主体によって違うかもしれませんけれども、その点は、やっておるところと、やっておらないところとあって、同じやっておるところでも、非常なアンバランスを見ると、何か、つかみ金をやっておる、あそこはだれかの関係があるから——まあ、そうではないと思うけれども、そういう印象を受けるわけです、この数字において。数字ほどきびしいものはないのですから。これは現実ですから。この数字から私はそういう印象を受けるので、いま少し、そういう点については、何か基準というものをお示しにならないと、そういう誤解を受けたり招いたりしないか、こういう点で、大蔵大臣にお考えを願いたいというのが、私の質問の趣旨なんです。いかがですか。
  157. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 離島航路整備法に基づきまして、公益上最小限度必要な輸送を確保する、こういう限定があるわけでありますから、この限定を一体どこまで広げるのか。道路は無料公開の原則に立っておりますから、道路として、昔は航路も道路でありましたから、そういうものに対して補助をすべきだという議論も一つありますし、もう一つは、制限があるわけであります。航路業者の経営が困難である、いわゆる常時最小限度の輸送さえも確保できないということになっては困りますので、この航路業者の経営の内容によって損失補てんというふうにワクをかけておるわけであります。でありますから、業者別に経理状況も十分勘案をしまして、しかも、一定の基準に該当するものに対して補助を行なっておるわけでありますから、でたらめに、つかみ金で、政治的な圧力等によってやっておるということは絶対にございません。これだけは申し上げておきます。ただ、公益上最小限の必要程度の輸送ということと、国が主体になり、また地方公共団体が主体になって道路と同じように無料公開の原則に立ってやらなければならないものを、一業者一免許基準としてやっておるのだから、もっと前向きに考えろという議論は、ここから存在しておるわけであります。こういう問題は、離島航路整備法の中の問題でありまして、こういう問題に対しては、まあ政府も、また皆さんの間でも、いろいろ議論がありますし、検討いたしておりますが、私は、いまの財政事情の中でやっておる航路補助というものに対しては、まあ適切な規模でやっておる、これを大きく出しますと、私鉄整備法毛、私たちも昔やったことがありますが、これもなかなか問題がありまして、国民の税金を賢明に使えという面から言うと、議論が存するところでありますから、相当ものわかりよく調和点を見出したわけでありますから、まあひとつ御理解いただきたい。
  158. 相澤重明

    ○相澤重明君 それ、ひとつ、いまの大蔵大臣のお話も、政治家としていい答弁でありますから……。まあしかし、何といっても、やはり政府国家財政を預って使途する場合には、やはり基準というものがどうしても合理性を持たなければならぬわけですから、いまの御答弁になったようなことを、査定をする場合に基準というものがありますね、それをひとつ資料で御提出をいただきたいのです。やはり今後の参考になりますからね。  それで、前向きの姿勢をとっていただくという御答弁がありましたので、その問題は終わります。   —————————————  次に、鉄道建設公団法をいま運輸委員会審議をしているわけなんですが、大蔵大臣にお尋ねをしたいのは、大体五千億にもなんなんとする投資をして、輸送力増強地方の産業発達のために新線建設させようということになっているのですね。それで、国鉄には年間大体七十五億ぐらいの出資をさせよう、あと、まあ政府が五億とか十億とか出資をする、そして、いま着工線とか調査線のものは政府が現物出資として国鉄からとろうと、こういう内容のものなんですね。そこで、今年度、大蔵大臣は、この建設公団が法律が通って設立をされるとき、幾らあなたは三十九年に国から出すつもりなんですか。あるいは、いや出資ばかりでなく融資も考えているというようなことがあれば、融資はどういうふうにお考えになっておるか、あるいは、国鉄が七十五億出資をするというのだけれども国鉄の苦しい経営状況の中に七十五億出資させるというなら、その出資に対する利子はいや国がみるとか、こういうようなことをいろいろお考えになっておると思うのだが、真意はどこにあるのか、ひとつお尋ねをしたいわけです。
  159. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 鉄道建設公団法がつくられた趣旨は、運輸大臣から十分御説明があったと思います。これを運輸省から持ち込まれて、私ども運輸大臣との間に合意に達してこの法律案を提案しようとした真意はどこにあるかということをこの際ちょっと申し上げておきたいと思いますが、鉄道に対しては、年々大きな予算要求がありますけれども、財投のワク等の関係上、なかなかそう思いどおりにもできない。鉄道というのは一体これでいいのかという考え方に掘り下げてみたら、これでいいとはだれも思っておりません。昭和二十七年から十年以上、道路整備五カ年計画は四回の改定が行なわれて、今度四兆一千億になっているというにかかわらず、鉄道というものに対しては、予算の許す範囲内、と同時に、独立採算制が強く戦後要求されているというわけで、鉄道の経営は非常に苦しいというわけであります。私たちが運輸大臣との間に話をしましたときに、鉄道新線建設審議会建議もありましたので、これらを十分検討しましたときに、やはり日本は、道路、内国航路、それから鉄道、この三位一体になって国鉄輸送網の強化ということを新しい観点から検討しないと、これはたいへんになる。特に、鉄道というものに対しては、鉄道会計から見ますと赤字が出ますけれども、道路は無料公開の原則でありますから、道路の投資後の計算というものは出てこないわけであります。でありますから、道路は必要であるけれども、鉄道は赤字が出る。赤字線政治路線だとすぐきめつけてしまう。これは、明治初年から九十年の鉄道の歴史を見ますと、日本の鉄道の総延長が発展してきたのとほぼ並行して日本経済が発展してきているわけであります。でありますから、時代も違ったし、いろいろな条件も違ったけれども、本州のまん中に山岳地帯を持っている、狭いけれども特殊な地形、地勢上、気候上の中にある日本全体の交通網の整備を考えるときに、やはり鉄道というものは新しい立場で検討する必要がある。私はそのときにいろいろ考えて、一級、二級国道や、主要指定地方道等五万キロまでは、これは幹線として必要である、五万キロ以上の道路整備というものを考えるときに、鉄道と道路はやはり比較しなければいかぬ、道路の維持修繕費と、それから鉄道会計で出る赤字というものはどういうふうに一体なるのか、財政当局としては当然経済計画をすべきである、という考え方に立っていろいろな面から検討した結果、鉄道も重要である。鉄道もあわせて検討すべきである。今度は所得倍増計画の五カ年計画の、残余の五カ年分につきまして経済審議会に諮問をしているわけであります。  でありますから、このときには、当然、昭和四十五年を目標にした場合に、道路が幾ら、道路は四兆一千億ということでできました。なお、それに対して、港湾五カ年計画を少し待っておりますのは、三十九年度を起点にするけれども、待ったのは、いい加減な状態できめたくない、やはり港湾で持つものは幾ら、道路はきまっておりますから、そうすると、残るものは鉄道輸送になるわけであります。でありますから、そういう意味で、鉄道の五カ年計画もそこでできるものだと私は理解している。そのときに、鉄道に一般会計から入れたり、いろいろな借り入れが一体できるかというと、世銀の例もありますと一おり、どうもなかなかむずかしいのです。ですから、鉄道が負担しなければならないというふうに現行法で規定しております。いいも悪いもかかわらず鉄道が新線建設をやれと言っておっても、過去において年間千キロも新線建設が行なわれたものが、戦後一番悪いときには百キロ割っているというような状態も、国有鉄道新線建設を行なわしめて、その上に公共負担も押しつけ、新設建設もやらせるというのは不可能なことでありますから、全然別個なものにしましょう、形を変えれば鉄道の分割案もあったわけでありますから、こういうものに対応して、新線建設公団をつくって、改策目的——地域開発とか、産炭地振興とか、それから新産業都市建設とか、港湾都市建設法とか、こういう国土開発計画に合わした鉄道建設をやるには、どうしても他の事業的な事業団が必要だということで反対がありましたけれども鉄道建設公団の設置に踏み切ったわけであります。  ですから、今度もそのくらいの勇気をもって踏み切ったならば、百億以下では不足だろうという議論でありますが、これは去年お通ししてくだされば、もう少し大きくなったと思うのですが、とにかく、去年の発足がことしになりましたので、二年分の金を使うということにもなりますし、予算の上一では九十五億ということであります。去年のだったら七十五億。法案を御審議願ってるだけでも二十億よけいに出したわけでありますから。私は、これから七十五億や九十五億でやれるとは考えておりませんし、これは国民全体が、いまでも二十億ふやしても、赤字政治路線につぎ込むのだという議論が多いときでありますので、あらゆる四囲の情勢を勘案しながら、財投、出資あわせて二十億ということに踏み切ったわけです。これが道路と同じウエイトをもって、鉄道の新線を九十年昔の先人が考えたのと同じ考え方でやるべしということになれば、当然そこに年次計画ができるわけであります。でありますから、いまの九十五億ぐらいの、そこばかり見ておられないで、この法案を一日も早く通してもらうことによってやれるのだ、こういうふうにひとつぜひお願いをしたいと思います。  それから、その鉄道に出しておる九億余の新線建設費に対する補助でありますが、これは昭和四十年で時限立法として廃止になるわけであります。私はその意味において、議論の存するところでありますが、鉄道建設公団の新設を契機にして、鉄道が出しておる七十五億に対するわずか十億弱の利子補給などというものは、きれいさっぱり私はやめてしまって、そして鉄道がいやでも応でも建設しなければならぬものを、新線建設公団が新しい視野、立場に立って建設をして、それはだれが運営するのでもない、日本国有鉄道が全部それを運営するわけでありますし、特に無償で貸しつけるという大きな制度を開いておりますので、私は、政府がいま考えておりますように、新線建設の出資金として出す七十五億程度のものに対する一般会計からの補てんは打ち切りたい、打ち切るべきであるという考え方を持っておるわけであります。
  160. 相澤重明

    ○相澤重明君 大蔵大臣、無償という制度を持っておる一やはりこれは、公団ができて新線建設されれば国鉄に無償で出すということになるわけだね。そこで、ただ法律の提案の内容からいくと、譲渡または無償貸し付けということになっておるのだけれども、いままでの事務当局の話でも、大多数は無償貸し付けと、こういう話で、そうすると、中には有償のものもあるということになるわけだね。全く私は、その点、さっき大臣の御説明になったように、道路整備に四兆一千億も金をつぎ込むとか言っておるのでしょう、それで、国鉄新線建設に五千億を予定をしておって、そして地方も有利になるのだと地方からも吸い上げる、国鉄も、国鉄は運営をあとまかされるのだから国鉄出資をしろ、政府の出すのはちょっぴりだ——これはちょっぴりですよ。そういうことからいくと、この公団法というものは名目的なものに過ぎない。それで、なぜ、政府が道路にたくさん金をつぎ入れるのに、国鉄につぎ込んではいけないのか、こういう議論が一つ出ると同時に、先ほど来各委員からもいろいろ質問の中に出たのは、政府が、いまの国鉄ではなぜいけないのだ。あの松永安左衛門さんのときに、産業会議で、国鉄の分割論、民営論というものも一時出ました。出たけれども、それは、だれもがいまそういう議論はあまり支持していないわけです。だから、いまの公共企業体といいますか、日本国有鉄道そのものが、現実の姿として公共性を持って一番いいとしかも国鉄の職員は、まあ事故は若干あったから問題もあるけれども、技術にしても運営にしても、まあいまの職員でそんなに悪いことはない。むしろ事故が起きるのは、この間の国電の鶴見事故のような、ああいう事故が起きるのは、過密化がやはり一つの原因ではないか。国鉄のいわゆる監査委員会が出された監査報告によっても、その主因は何だ、とにかく原因はわからない、原因はわからないが、いままでいろいろな試験をやってみて、その結果出てきたものは、いままでの国鉄自体が、すでに同じような事故が、最近五カ年間のうちに車両脱線事故が九件もあった。しかも、それを部分的に原因を究明しただけで、総合的な究明をしておりませんから、事故の対策が不十分であるということが一つあります。それからいま一つは、列車ダイヤの稠密化という表現をしておるのですが、いわゆる非常にダイヤが、ひっきりなしにレールの上を列車、電車が走っておる、こういうことと、複線以上の区間において競合する場合に、そういう条件というものがやはり起きたのではないかということで、これを直すときには、もっと国家資金を導入すべしということが言われているのですよ。いわゆる国鉄のそういうことを直すためには、やはり国がもっと積極的に力を入れなければいけない、こう言っておるわけです。公団をつくれと言っていないのですよ。公団をつくれというのは別の方面から出た話です。それは、国鉄の監査委員会の報告、事故対策から考えた報告によれば、そういうことを言っているわけです。  そこで、先ほどから鉄監局長や、前回からも運輸大臣等のお話を聞いておるのですが、国鉄では金は出せない、だから、別な公団をつくらなければ政府は金を出さないと、こう言っておる。なぜ国鉄では出せない。国鉄にやらせればいいじゃないか。金を出せば国鉄だってやるのです。資材をやり、定員をふやして、土地を買収してやれば、線路は広げられるのですよ。ところが、国鉄には金を出さない。おまえたちはそれだけ能力がないからだめだ、こっちに公団をつくって、実際できるのだ、これならば金を政府は出すのだ、こういう話は少しとんちんかんではないか、こう言うのです。しかも、監査委員会の監査報告を見れば、いまの国鉄のそういう当面する緊急整備を行なう必要がある、こういうことを言われておる。実は私ども、社会党も、当面の緊急整備を行なうべきであるということで法律案を提案しておるのですが、どうです、大蔵大臣、あまり意見違わないですよ。当面非常に困っておる問題をまず処理をして、輸送力増強のために、国民の信頼を回復するためにやろうじゃないか、産業の発展のためにひとつ尽くそうじゃないか、という意見は変わらないと私は思うわけですが、どうですか。
  161. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 相澤さんの言われておるような議論は、何回もやられておる議論であります。特に識者があなたのような議論をされておるわけです。ところが、識者の言に反してなぜ建設公団設置の建議をしたかというところにもまた政治的な問題がある……。
  162. 相澤重明

    ○相澤重明君 政治力が高過ぎるのじゃないか。
  163. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 高い政治力で建議されたと思いますし、われわれもその立場で採用しておる。これは相澤さんよく御存じですが、具体的な問題として、国鉄には負担がかかっておる。明治時代に国鉄が一体幾らかけたか、大正時代に幾らかけたか、戦前に幾らかけたか、戦後物価指数を換算して幾らかけておるか、国鉄は非常に無理をしておるのです。財政当局がこんな甘い考えではいかぬかもしれませんが、どうしても現実に目をおおうわけにいかない。そういう国鉄が発足した当時から考えると、非常に低い運賃で押えられております。同時に、戦後の一時的な状況でやむを得なかった高率な割引、いわゆる公共負担を要求されておる。その上になお地方開発上必要であれば赤字建設もやらなければいかぬ。こういうことをやられて、あまりに求めることのみ多く、国鉄が耐えられない現状に来ておるのでありますから、そういう事情がわかっておるなら国鉄が出せばいいじゃないか、ここに問題があるわけです。国鉄というものは、公共負担を持っておりながら、一面において、こういう企業は、明治初年からわれわれの先人が踏襲したえらいものがあるんだというが、国鉄がやらなければ民営にすればいいじゃないか、われわれ幾らでも配当をしてやってみせる、こういう議論が起こっておりますので、国鉄に対して、政府が一般会計から金を出すとか、利子補給の問題に対しても、ごうごうたるものがあるわけです。でありますから、九十年も年とっておりますと、こういう国鉄に対して国が要請するほどいろいろな問題ができるかというと、非常に議論が多いのです。  もう一つは、国鉄は過密ダイヤの解消とか、明治時代につくったれんがの上を何百台という電車が通っているのですから、そういう問題に対して集約をされて、高い立場でもって、北海道の開発をやろうとか、四国、九州をやろうとかいうのは、国鉄がやるべきことではないですね。これはやはり政府が別の観点から、地方開発のために、離島振興のためには航路補助をやっておるじゃないか、そういう別の立場でやるべきもので、これについては国鉄責任を全部押しつけるところに、理論はくっついておりますけれども、無理があるのでありますから、三十八年度の予算で特に鉄道建設公団をお願いしましたのは、こういうことなんです。財政当局としては画期的なものです。そういう意味から、結局、国鉄が全部運営はしますけれども、他の政策目的にウエートを置いてつくられる新線に対しては、国鉄に対して無償譲与をしよう、無償で貸し付ける、こういうことを開いたわけでありまして、一体国鉄が東京や大阪の過密ダイヤを解消することも中途半端でありながら、北海道の新線一キロやってごらんなさい。こんなことをやっているから鉄道はいかぬのだという議論が国会でも出てくる。北海道から赤字だといって鉄道を取ってごらんなさい。明治初年太政官布告で全額国庫負担の道を開いた。こういうための政策目的を行なうために、北海道の国鉄は営々として経営されてきている。ですから、こういうものは、大都会に産業も文化も過度に集中してしまって、分散をしなければならないというときには、どうしても国鉄会計内では処理できない。そういう意図に出るものでありますので、鉄道建設公団を早く通して、来年はよけいふえるだろうなあと、こういう……。新線建設公団が五カ年や十カ年間でどういう計画をもってどういう資金でつくるかということが問題であって、私は、鉄道建設公団で出せるものなら国鉄で出せるという議論は常識論としては通りますが、過去何十年間の基本を土台にして考えると、鉄道建設公団ができたほうがいい。同じ議論が東北開発のときにあったのです。開発銀行が地方開発部を設けておって、東北開発というものはつくってはいかぬ、こう言ったのです。ところが、強引に議員が中心になって東北開発、北海道開発法をつくったのです。そうして何百億も資金をかけるようになったのです。今度第二は、いろいろな財政の問題もあるので、開発銀行の中に地方資金部を設けた。北海道と東北だけは特別の機関をつくって、西日本はかまわぬじゃないかという議論が国会にあるんじゃありませんか——こういう新しい政策に対しては新しく対処するということが、より合理的であり積極的である——これも運輸大臣が言うならいいけれども、財政大臣が言うのはたいへん不穏当な発言でございますが、いかに踏み切ったかということを申し上げるために、あえて申し上げる次第であります。
  164. 相澤重明

    ○相澤重明君 時間の関係もあるので……、大蔵大臣、楽しんで答弁されているのだけれども、これはやはり政策議論ですよ。私はやはり、高度の政治性であるし、政策議論だと思う。だから、与党の皆さんと私どもの政策議論は若干違う。だけれども、緊急整備ということについては変わりはないだろう、こうさっき申し上げたのです。国鉄の輸送力を増強するということは、いまやもう国家的使命ですよ。そういう点で、国鉄をつくることについては、もう私も大蔵大臣も同感です。私どもは、国鉄をつくる、つくるには、公団を持たしてやるか、あるいは国鉄にやらせるかという議論、それから民営か国鉄かという問題についても政策議論です。ですから私は、政策議論としては、いまの名演説、楽しんだ演説も、これは若干筋が違うわけだと思うのです。そこでひとつ焦点をしぼって、これだけはどうなのか。つまりあなたの言う、いまの国鉄ではとにかく新線建設は無理だから公団をつくってやるべきだということは、それは、それをそのまま別にどうこう言わないで、国鉄に公共負担を押しつけておくことが現状でしょう。したがって、公共負担法というものをつくれとか、あるいはもっと税金で政府がめんどう見よとか、公共投資を、引き合う額を政府がめんどう見ろとかいう議論がありますね。ところが、先ほど申し上げた七十五億の国鉄出資するものについても利子は政府がめんどう見ない、ただ国鉄の帳簿には出資をしておりますというだけで、からざいふ。何にも役に立たない。公団の帳簿には載っておるわけですよ。だから、公団がもうかる、もうからぬは別にして、とにかく国鉄は毎年公団出資をしていくと、これが七百五十億というのですか、十カ年計画で。そういうことを提案をされておるわけですが、それは、働いているところから苦しい中からこの七百五十億というものを出資をさせておるじゃないか、しかもそれには利子はないのじゃないかと、こういう議論が私は出てくるのは当然だと思うのです。だから、その点については、まあせっかくあなたの名演説が出たのだから、それじゃ公共負担を無理じいをしておるのだから、それはひとつ大蔵省が今度は運輸大臣とよく相談をして、そのくらいのめんどうは見ようというくらいのお話があれば私はりっぱだと、こう思うのです。あったらりっぱだと思う。そこで、大臣にそういうこともひとつ聞いておきたいし、それからいま一つ、時間がないから……。  この今度の着工線、調査線の予定ですね。この中で、道路と鉄道というものを考えた場合に、先ほどもあなたのお話にあったように、海運とか、あるいは陸上の場合、道路、鉄道というものを考えた場合に、鉄道を敷くよりは道路のほうが輸送事業にいい、こういうようなところもありはしないか、この中にも。その点については、大蔵大臣は閣議の中でこの公団法をおきめになったのだから、何でもかんでもこれは鉄道を敷いてやるのだ、こういう考えで提案をされておるのかどうか、ひとつお尋ねしておきたい。
  165. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 新線建設審議会からの建議に対しては、政府は拘束を受けておるわけでありますが、まあしかし、これから鉄道建設公団が発足をしまして、新しい視野と角度の立場に立って考えると、しかも相当膨大な財政支出さえも必要であるということを考えるときになりますと、先ほども申し上げたように、港湾でもってやれるもの、それから道路でやらなければならないもの、鉄道のほうがより有利なもの、これは率直にいって、北海道とか東北、裏日本、九州、四国、山陰、こういうところは鉄道のほうがずっと有利である、これはもう季節的に雪が降り、山岳がある、狭隘の土地を通らなければならぬところは、道路のような大幅な土地が収容できない、こういう特殊性から考えれば当然そうなるのでありますから、まあそういう意味で、いままでの立場もさることながら、やはり新しい立場で何千億かの計画がいつかできるでしょう、これは当然つくらなければいかぬと思うのです。そういうときには、やはり鉄道、道路、港湾というのを十分検討をして、何十年か後には、港湾も必要である、鉄道も必要である、道路も必要である、そうなると思いますが、国が財政投資をする場合に、いかに高率投資をするかということを考えるときには、もう一ぺん新しい意味から、調査線、それから予定線、着工線というような問題は、施工計画、年次計画をきめるときに一ぺん検討してみるべきだと思います。検討しますということになると、これはいまの法律による競合が起きますから、新線建設に関する審議会委員の皆さまの建議に対しては、これはもう尊重するというたてまえでありますけれども、これはやはり広い立場から、新しい視野でもう一ぺん考えてみるということは必要だと思います。
  166. 相澤重明

    ○相澤重明君 最後に、それはぜひそういうふうにお考えをいただきたいのです。現にあるのです。これは、政府が出された資料の着工線の中に阪本線というのがある。その阪本線は、この国鉄の出したこれについても載っておるわけです。これは、建設線の自動車代行というのが、五条−城戸間十一・六キロ、すでに路盤工事の完成したところは自動車を走らしておる。これは、鉄道建設審議会建議をされて、国鉄、運輸省、運輸大臣もそういうふうに認めたのだと思うのです。そういうことからいけば、何もレールを敷くばかりが問題ではないわけです。だから、そこで私は、合理性を持ったいまの総合交通政策の上からの話とすれば、あなたのお話のあったように、建設審議会意見というものは、私はやはりそういうふうに出せるように合理性を持たせるべきだと思う。だから、何でもかんでも鉄道を敷くということだけの問題ではないというふうに、現実の問題として私はこれを持っておるわけです。ぜひこれは、運輸大臣も同席しておりますが、そういうふうに、最も国費というものが効率的に使用されるように、しかも土地の発展がはかられるように、ひとつ私は考えてもらいたいと思う。  で、最後に、あなたの答弁の、先ほど私申し上げて、二つあったのだけれども最初の、公共負担をするということを言えばたいへんりっぱだということを申し上げたのですが、それだけりっぱにお答えになってお帰りになっていただくとけっこうですけれども
  167. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 公共負担の問題等もありますので、三十九年度予算編成の、予算決定の晩の閣議で運輸大臣が特に発言をせられまして、ただいま申し上げましたような趣旨を広範かつ慎重に積極的に検討するために、国有鉄道基本問題調査会というのをつくろうと、こういうのでありますから、大蔵大臣もその閣員の一員でありますので、非常に前向きであるということを御答弁申し上げておきます。
  168. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 予算関係については、次回に大蔵大臣に質問を実は続けたいと思います。ただここで、大臣が分科会に出なければなりませんから、一つだけ考え方として確かめておきたい点の問題がございますから、お尋ねをしておきます。  去年の本委員会で、豪雪の対策をいろいろ議論したことがあるのです。そのときに運輸大臣は、豪雪対策その他勘案して、建設審議会建議後、検討を加えた結果、日本の地理的条件を勘案して、物資輸送、つまり貨物輸送は鉄道に比重を置く、こういう答弁をしている。これは、先ほどの鉄監局長も、係数を並べたときに、絶対数としては貨物輸送というのは鉄道に比重がかかっている、ということはわかるわけですが、それと同時に、大蔵大臣は、六月二十四日の衆議院運輸委員会においてこういうことを言っているのです。建設経費については、いまも若干触れましたけれども、地形、地勢、気象等々の制約がある特殊事情を考えると、何年かたつと、道路より鉄道のほうが安くつく、高速道路はキロ当たり単価十一億円である、鉄道は一億から二億くらいかかっているのではないか、したがって、国家的立場で鉄道の功罪を考えると、やはり鉄道によらざるを得ない、とあなたは述べているわけですよ、速記録を見ますと。この考え方は、依然として変わならないのかどうか。これは両大臣にひとつ伺っておきたいと思います。これからのこの法律を審議するにあたって私は参考にしたいと思いますから。
  169. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 全然変わっておりません。運輸大臣鉄道建設公団の御要請がありましたときに、これを受けて三十八年度予算で認めましたのも、その趣旨によっておるものであります。新線建設というと、たえず赤字線政治線と言われておりますが、私はこれらの方々に対しても、より高い立場で検討していただきたいということを真に考えておるわけです。ヨーロッパで鉄道が要らないものになっているとか、アメリカは横断鉄道さえも赤字だというけれども、これは、アメリカのように飛行機でさえも長く時間がかかるところの地形、地勢と、日本のようにこんな小さな所でありながら、とにかく新潟は大雪であるにもかかわらず、三国を一つ越せば東京はかんかん日照りである、このような地形、地勢、気候上の変化のある所は、世界にどんな国があるかといえばイタリアがあります。イタリアは、道路も相当よくなっておりますけれども、鉄道の持つ輸送力のウエートというものは絶対に落ちていないのであります。そういう意味で、山岳地帯を持ち、四季を持つ所であって、しかも今度は、産業的に東京や大阪に過度集中しているものを地方に分散して、その間を交通網でつながなければならぬということが事実であるとしたならば、鉄道建設というものは全く新しい観点から検討すべきだというふうに考えております。道路は、先ほどちょっと申し上げましたが、私は、二十七年に現行道路法を自分で提案したわけです。五カ年計画法も、ガソリン税を目的税式にした道路整備費の財源等に関する法律も、私が参議院で百日も審議に応じながら議員提案で出したわけですが、その当時の気持ちと同じ気持を私は鉄道に持っております。それから山岳道路でもって、いま技術的に九メーターから十一メーターの道路をつくるとするならば、いま高いと言われておる東京−大阪間の広軌複線の単価と同じくらいなものになるのですから、これは数字の上で技術屋が検討すれば、何が一体いいかということはすぐわかると思うのです。ただ、鉄道は全部赤字線であるという観念を前提にして議論をすることは私はよろしくない、こういう観点に立っておりますから、私が衆議院の委員会で申し述べた考えは今日も将来も変わりません。
  170. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 運輸大臣いかがですか。
  171. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 変わりません。
  172. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 両大臣が昨年の委員会でそれぞれ答弁されたことの考え方は依然として変わらない、こういう確認をいただきましたので、これからさらに私はこの公団法について質問をいたしたいと思いますが、時間がかなり経過しておりますので、あとの委員会で、この変わらない考え方に立って、しかもこの建設公団法なるものが出されたゆえんのものは、池田内閣のこれはまあ一大柱でありまする政策の所得倍増政策の中から出てきているわけですから、これと関連して私は質問を続行いたしたいというふうに思います。
  173. 米田正文

    委員長米田正文君) ここで休憩をして、三時に再開いたします。    午後二時九分休憩    ————————    午後三時二十九分開会
  174. 米田正文

    委員長米田正文君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  日本鉄道建設公団法案について質疑を続行いたします。
  175. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 午前中に引き続きまして質疑をしたいと思います。きょうはもうかなり時間が過ぎましたから、大筋を運輸大臣に質問しておきたいというように思うんです。午前中にも、去年の六月に運輸大臣並びに大蔵大臣が申されたことが変わりがない、こういうお答えをいただきましたから、その観点で若干質問してみたいというふうに思います。  両大臣に、これからの輸送の大半というものを鉄道にゆだねなければならない、こういうようなことを言っているのですけれども先ほど来鉄監局長もちょっと申されたが、この法案そのものを出した真意は、一にかかって所得倍増計画によって出てきておる、こういうことなんです。そこで、ちなみに私は、所得倍増計画なるものが、これは池田さんが非常に楽しんでやっているようなものなんですが、その話は別としても、投資計画をずっと見てみますと、いろいろな部会であるとかの報告が出ていますね。この報告書と、若干私はこの報告を出すにあたっての考え方が矛盾しているような気がするのです。  そこで聞くのですが、その報告書そのものを読んでみますと、こう書いてあります。いろいろ前段書いてありますけれども、いま大臣に聞こうとするところだけに限って言いますから、読み上げますから、聞いていただきたいと思います。所得倍増計画の中で交通体系小委員会というのがございますね。そこで出した報告書では、ローカル線については特殊な線区のほかは今後建設はすべきではない、だからすべて中止をして、そのほか既設線についても、国民経済的に非合理的な、つまり不採算路線は撤去しなさい、そうして自動車にゆだねるべきである、また新規投資については十分採算性を検討して累を将来に残さないように注意すべきである  ここのところを非常に強く主張しているのです。そして国の交通政策のあり方としても、こう考えてみることができる。あなたはいま提案をした建設公団法、つまり審議会の答申に基づく数のことは書いております。二百三十一、今日予定線を含めまして六十一になりますね、四十三線、十八線を引きますと百七十というのがまだ依然として残っているわけです。こうしたものを、提案では、鉄道にやらしておくと、さっぱり促進しない、進まない、公団をつくれば非常に促進しやすい、とりわけ、この間大臣は、資金の調達は非常に容易になるのだと言っているのですが、そこらあたりがよくわかりませんが、それはそれとして、あと聞きますけれども、どうも交通政策についての考え方に一貫性がないように私どもとしては考えられる。片や、経済成長政策計画の交通体系としては、こういうところはやるべきじゃないと書いてある。池田内閣の経済政策としてやるべきでない。ところが、あなたの提案では、これをやるようになっているのですね。だから、ここらあたりは非常に私は考え方の相違点というものがあるのじゃないか。もう少しつけ加えますと、ローカル線というのは一体どんな線であるかというと、これは既設の線区でおわかりだと思うのですけれども、これから建設していこうという、新線建設をやろうというところのものに、この二百三十何線の中で二つ三つは経済効果のあがる経済線があるのかもしれませんが、ほとんどは私はこの交通部会の体系に沿わないような線じゃないかと思うのです。しょせん、これからやっていこうとする二百三十一線の中というのは、ほとんどサルかタヌキか、田中さんが言っておった北海道などはクマの出るようなところですね。ですから、そういうところに、この答申とは別な角度でやっていかれるという行き方ですね。具体的に私は非常にそこに矛盾があるような気がするので、矛盾がないものならないように大臣のお答えをひとつ願っておきたいというふうに思うのです。
  176. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 私は、午前中も申し上げましたように、そういう場所もあるいはあるかもわかりませんが、どうしてもやはり建設公団をして地方開発の助成に役立たせたいと、北海道のあなたのいまおっしゃいましたようにクマやタヌキばかりおるというような……。
  177. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 北海道ではクマです。
  178. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) それをそのままに置いておいて、そういう地方の人がやっていけるかということ、高い政治目標から考えますと、そういうところだから建設をして、そして文化の恩典に浴せしめ、同時にそこに資源の未開発の問題があれば開発して、そこの住民を豊かにする、そういうことが私は新線建設の大きなねらいであると思います。新産業都市のその得所倍増計画でそういう委員の方の言があったかもわかりませんが、そういう見方もあるわけです。それはあって私は一向かまわないと思います。ただ、われわれとしては、どうしても政治の目標というものは、多数の人が文化生活ができて、そうして人間としての快適な生活が行なえるようにする、それには私は、やはり日本のような地理のところでは、やはり鉄道が一番早道である、これが午前中——午後の初めでしたか、大蔵大臣が言われたように、日本経済、文化の発達は、国鉄の発達と同様に、時を同じくして実現してまいったという事実を見ましても、私はやはりそういう人跡まれなようなところへどうしても鉄道を敷くことが必要である、その線路そのものは赤字になりましても、それによって受けるところの一般住民の幸福というものは、それは言語に絶するものがあると私は確信いたしておりまして、一日もすみやかに本法案を通していただいて、そうしてどんどん建設を進めていきたい、かように考えております。
  179. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 提案された運輸大臣の気持ちはそういうところだと思うのですけれども、私は、池田内閣の政策の大きな柱の一つだと思うのです。いろいろな議論があるけれども所得倍増計画というものは。その中で、その快適な旅行とかなんとか、そういうことは、別に汽車だけが快適というわけではない。汽車より以上に自動車のほうが快適であるし、もっと快適といえば、金さえあれば、飛行機のほうがもっと快適。あなたも飛行機会社を経営しておりますけれども、そういう話はここでするつもりはありませんけれども、いまあなたに聞いたのは、その所得倍増計画の中に盛られている交通体系としてどうあるべきかということは、強いことばでうたわれている。これは御承知でしょう。その強いことばで主張している中に、先ほど申し上げたような、これからの新しい投資というものは、先ほども大蔵大臣も言ったけれども、投資効率を考えていかなければならないということは、もとより基本だと思うが、そういうところはやめなさいと言うのだ。すべて中止をしなさいと書いてある。それから、現在の既設の線区についても、たとえば、先ほど山田務理事から説明された営業係数を見ても、宮原というところ、五一二であるとか、こういうようなところなど、それから六三五なんという岩日線、こういったところは撤去して自動車でやりなさいと言うのですよ。だから、何も人跡未踏のところに鉄道をしゃにむに引っ張るのでなく、引っ張れば喜ぶにきまっておるけれども、問題は、便利になるかならぬかですよ、だれがやったにしたって。だから、その場合、国の政策として、経済効果のあがらぬ、投資効率のあがらぬところですから、だから自動車でやりなさいと、あえて言っている。だからぼくは、いま自動車でやることについては何も触れなかったけれども、この点はどうなんですかと、こう聞いているんですよ。しかも、この考え方と、あなたが提案したものでは、およそ逆じゃないかと言うんですよ。あなたの場合は、いまの答弁にもありますように、投資効率があがろうと経済性が低かろうと、人跡未踏のところに、どんどんどんどん鉄道をつくっていくんだと、こう言っておる。これは、そういうことをやったら、所得倍増計画ではいけないのですよと書いてある。これは私が書いたのじゃなくて、あなたのほうで、りっぱなものを、ちゃん  と書いてあるんですからね。ここの考え方の相違点を明らかにしてくれと、こう言っておる。
  180. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) ある一定の、特定の場所を限りまして議論されるならば、あなたのおっしゃるような議論も成り立つでしょうが、大体、鉄道の大部分がただいま申されたような状態にあるとは、私どもはどうしても考えられません。それについては、やはり自動車も必要であろうが、輸送量その他から考えて、鉄道がよりいいと、私はかように信じて、そして鉄道建設公団を出したのでございます。所得倍増計画を批判をする委員の中に、そういう特定の場所に限っては、そういう考えを持つ、私もそれは否定しません。そういうところは、数多い鉄道線路の中にはあるかもしれませんが、大体私は、鉄道を敷くほうが、日本のような地理的な状態、日本のような経済状態においては必要であると確信いたして法案を提出した次第でございます。
  181. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、ぼくは特定の部分のみ摘出をして例にとったのではないのですよ。既設の線でも、ここに、午前中ですか、これは資料として提示して、山田常務から例にあげたものでも、一体今日の、これは全部と言ってもいいと思うのですよ。国鉄の経営上から見ても、国鉄という組織の性格上から見ても、これは採算がとれているということにはなっていないと思うのですよ。これは既設のものだ。だから、特定のものを言ったのじゃない。たまたま営業係数の最もよくない岩日線と宮原という線区だけを言っただけの話で、この点、誤解のないようにしていただきたいと思うのですよ。  さらに、こういう現状の中で、これからこの公団法を提案した立場でやっていこうとするには、着工線が四十三、調査線が十八線、残りが——まだ何らあなた方のところで認可していないものだと思うのですがね。建設審議会建議ということで答申されていると思うのですが、百七十ぐらいあるわけでしょう。だから、これをトータルした二百三十一線というものは、一、二のものは、これはある程度経済効率は高まるか知りませんが、ペイになるか知らぬが、大多数は、私はそういうことにならないという確信を持っているのですよ。だから、この所得倍増計画なるものの交通体系部会として出されたものと同じ考えを持っているのですよ。その所得倍増計画を立てた政府のあなたは一閣僚ですから、それと違った方向に行ってはせぬかと、こういうことなんです。これはどうなんですか。方針だから、大臣に、そのためにぼくは午前中にあなたに念を押して、去年六月はあなたは鉄道に依存しておるのだ、こういうことを言っているから、これとの関連で聞いているのですから。
  182. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) たびたび申し上げましたように、そういう見解の人があるのもやはりやむを得ない。
  183. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 見解じゃないんだよ。
  184. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 見解なんですよ。私はそういうことは一向矛盾してないと思います。
  185. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 確かに見解だわね。見解の相違点かもしれませんがね。ただ単にぼくは見解の相違だということで済まされない。そこに山田さんおりますけれども、現実問題としてどうですか。私どもも鉄道に奉職してかなりの間仕事をしてみたわけでね。現職の常務理事もおりますけれども、これは答弁求めようとは思いません。しかし、あなたがこれから進めようとする線区が、百歩譲って、公団ができて、そうして新線建設を、あなたの提案理由のとおり、国鉄でやっているときよりはかなりの速度で施工され、あるいは進展を見た、こういうことになったとしても、現在ここに書かれておりまするような、部会として答申をしたような、ローカル線、あるいはその他の線にしても、採算が伴っていくというようなことに私は断じてならないという見解、それこそ見解だ。事実問題として。だから、そういうところは、この答申では、直ちにあなた中止しなさいという、今日やっておる未完工の分までやめなさいと書いてあるのですよ。くどいようだけれども、今日の既設の線区、先ほど資料を出して説明したようなところは、これは撤去して自動車でやりなさいと書いているのだよ。見解の相違といえばそれは知らぬが、見解じゃないでしょう。ところが、同じ政府の運輸交通を責任を持って担当する大臣は、池田内閣の閣僚の一人であるあなたは、この答申とは別な方向であなたは前に走って行っておるような気がするのでね。これは、何人といえども、そうではないということだけは言い得ると思うのですよ。これはちゃんと書いてあるのですからね。あなた方の内閣で出した答申なんでね。うそも隠しもない。池田さんは特にうそを言わないと言っているのですから、ぼくは信じ切っているのだから、これは見解の相違ということじゃないのじゃないですか。  それと関連してもう一つ。一緒にこれは答えてけっこうですから。とりわけこの所得倍増計画なるものの——先ほど来ぼくは総合交通政策ということを冒頭に言ったのだけれども、雑談になりますけれども先ほど天坊さんは、おまえはどえらいことばかり聞くやつだといって笑われましたがね。とにかく、やはり所得倍増計画の中に総合的交通体系という論文が書いてありますね。これには、国鉄そのものについて次のような答申をしている。国鉄そのものに対して。いいですか。これを読んでみますと、どういう国鉄の面だけ指摘しているかというと、国鉄の新規投資の中に経営収支上採算のとれないローカル線建設——建設ですよ、ここのところをちゃんと、「国鉄の経営収支上採算のとれないローカル線」ということで固有名詞を使っている。そうして指摘している事項はこうなっている。ローカル建設がたくさんある。これは国民経済上他の交通機関と比較して鉄道を有利とするものを選定するのだ、こういう考え方が払われているにもかかわらず、実際には鉄道経営を圧迫する原因の一つになっていると考えられる。これがつまり、いろいろ大蔵大臣が何だかんだと言っても、直ちに赤字路線だというふうに世の中ではきめつけている、こういうようなことをさっき言っておりましたが、そういうようなことを意味しているかいないかは別として、つまり、新線建設していく場合に、鉄道が有利になるように考慮していかなければならぬにもかかわらず、今日では国鉄を圧迫している。その原因はこういうところにあるということを固有名詞を使ってその答申をしている。一体圧迫したものは何か。国鉄の経営の存在の価値さえ認めない政府のやり方に第一に私はあったと思う。  第二には、とやかくいわれております政治的な、つまり、この建議をした結果がそうなっていることは、これは火を見るよりも明らかであります。現にこの岩日線のごときは、国鉄が走っておる平行線として国鉄のバスがつく。バスだけで事足りるのです、これは。ところが、そこは政治的であったかないかは杳としてわかりませんけれども、当時この建設をしたときには、総理大臣は岸さんだ、現在の佐藤さんもあそこの出身でしょう。しかも建設審議委員をやっておった方だから、だから世の中からは、しかもここは今日営業係数六三五という膨大な赤字を背負うような線区になっている。これを見て、ただ単にあれが政治路線だなんということは、何でもかんでもそこに押しつけたということにはならないと思う。そういう印象をやはり強く国民は持つと思うのです。話が若干よそのほうにそれましたけれども、本論から申し上げますと、そういうことをなくしなさいと、こう書いている。なくしなさい。このくだりでも。したがって、特殊な線区を除いて今後国鉄は一切の、前段で申し上げたような線区の建設は中止すべきである、こう書いてある。そうしますと、私は、新線建設を進めていく過程において、公団だからすみやかに建設ができるとか、公団でない国鉄だから建設がおくれていくということにはならないんではないか、この答申をきちんと理解するならば。ですから、あなたが、この間も私が質問したときに、公団になると金が非常に入りぐあいがよくて、非常に国民の要望にこたえられるように新線建設というものは促進されるのだ、こう言っているのだが、問題は、私はそこらあたりにあるのじゃないかという気がするのですが、どうですか、この答申との関係で。
  186. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) ただいま大臣が答弁いたしました点を若干事務的に補足いたしますと、確かに所得倍増計画の中には、ローカル線等の建設は原則として中止するというように述べられております。これは、交通体系小委員会の中でそういうふうに述べられておりますが、一方、所得倍増計画にその後若干の経緯がございまして、同じ所得倍増計画でも、国民経済の体質を改善して均衡ある発展を実現するために、後進地域開発を促進し、所得の地域格差を是正することが必要である、というふうに述べられております。これを受けまして、昭和三十七年の十月の全国の総合開発計画が策定されまして、その中には、主要幹線の複線化、電化、東海道新幹線の完成とともに、特に既成大集積地帯及び大規模な地方開発投資を中心とする地方の鉄道施設の整備拡充、工業開発地区を育成するための臨海鉄道を含む貨物輸送施設の増強及び整備、及び青函、本州、四国の海峡連絡鉄道の建設等輸送力の増強と施設の近代化、輸送効率の増進をはかることが必要だ、というふうに少し変わってきておりまして、これを総合的に判断いたしますと、交通体系小委員会で述べられておる答申が、あとで全国の総合開発計画の関連で若干修正されて、地域格差の是正、地方開発という点にかなり重点が置かれまして、既設線の増強と同時に、必要な鉄道の新線建設も必要であるというふうに変わってきておるわけであります。したがいまして、なおローカル線建設の中止というような交通体系小委員会考え方は、国鉄の、何と申しますか、当時はもちろん国鉄新線建設するということを考えておったわけでございまして、国鉄の経営的な観点にかなり重点を置いて意見が述べられている。それがいま私が申しましたような経緯で、所得倍増計画自体がその後変わっておるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  187. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、鉄監局長も、その当時の倍増計画が変わっているというふうに思うと、こういうことなんです。で、そういう立場で公団法を出すと、こういうことだったんですけれども、これはそうすると、それぞれ二つの交通関係については答申しておりますね、所得倍増計画の中でね。それを鉄監局長あるいは運輸大臣おりますからね、いまのここの場でその考え方がかなり変わって修正されたというふうな理解でいいんですか。池田さんの内閣のその大黒柱である所得倍増計画というものは、そのようにいまの時点で修正されたというふうな理解でいいんですか。聞いておると、どうもそういうふうに聞こえるのですがね。
  188. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) いまの時点で修正されたのではなくて、所得倍増計画の交通体系小委員会では、確かにおっしゃられるように述べられておりますが、同じ所得倍増計画の中で、国民経済の体質改善という観点から、全国の均衡ある開発をはかる、要するに後進地域開発地域格差の是正ということも同時にうたわれておるわけでございまして、それを総合的に判断をしていただきたいと申しておるわけであります。
  189. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 総合的開発というものは、ただ単に運輸交通の開発だけでないわけですから、そこでぼくは開発の議論をする気はさらさらございませんが、ただここの中で何だかんだ言ってみても、所得倍増計画というものは、この段階で、やはりいま出されておる法案趣旨から見ても、かなり交わった。修正ということばを使うと、あなた方びくびくしているのですが、変わったという点は間違いないでしょう。そういう理解でいいんでしょう。大臣どうなんですか、これは。そうでなければ、いま廣瀬さんが言ったような、地域開発に鉄道網を整備していくということにならないというように、ぼくは理論的にそう考えるのですが、どうですか。
  190. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 修正とおとりになっても、どちらでもけっこうでございますが、所得倍増計画の交通体系小委員会で云々と言われておると同時に、同じ所得倍増計画の中で、地方開発という点を力説しておる。それを受けまして、三十七年の十月の全国の総合開発計画が策定されておるということでございまして、それを総合的に御判断を願う。ですから、総合開発計画の面で、あるいは交通体系小委員会の所見が若干修正されているというふうにおとりになってもけっこうでございます。
  191. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 若干修正されているように考えてもけっこうだと、こういう答弁ですから、そこで、それは了承しますけれども、そうなってくると、やはり問題がかなり出てくる気がするのです。一つには、今日のこの国鉄組織、性格、こういうものから見て直ちに出てくるものは、したがって、大臣のほうでは所得倍増計画なるものの答申と変わったようなのを出してくるわけですから、必然的に、国鉄の企業の公共性というものと企業性という問題が出てきます。それと今度は、いま言った所得倍増計画というものとの関係を、いま廣瀬鉄監局長が答弁したようなことで理解していくと、私はかなり疑問が出る。実際私どももそこの職場で仕事をしていた者として感ぜざるを得ないのです。ですから、この関係を、疑問を解く意味においても、大臣から少し、公共性というものと企業性という問題と、それから鉄監局長が言ったようなことで、若干修正されたのだから、地域開発のため鉄道網を整備するということでこれは膨大な赤字が出ますけれども、この法律を進めていくのだ、こういう関連性を御説明願いたいと思うのです。
  192. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 少しこまかいお話をいたしますが、まあ国鉄の公共性と企業性といいますか、能率の問題、これは非常にむずかしい問題でございますが、なかなか一刀両断というような御答弁はできないかもしれませんが、国有鉄道法の第一条をごらんいただきますと、一応筋はきちんと通っておりまして、国有鉄道の目的というものは、公共的な目的に奉仕するために日本国有鉄道というものはつくられておる、ただし、この経営を能率的に行なうために企業性というものが手段として使われておるというふうに私どもは法律から解釈いたしまして、したがって、実際問題としてはいろいろむずかしい問題が出てまいると思いますが、筋としては、公共的な目的に奉仕するために日本国有鉄道をつくって、その企業を経営的に効率をあげるために能率的な経営を行なう。企業性というのは、公共性を達成するための手段方法であるというふうに、国有鉄道法第一条から私どもは解釈しております。
  193. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 国有鉄道法の法律の、そういう事務的な機械的なことは、鉄監局長、私よく知っておるのです。いまあなた、しゃくし定木の法律議論をここでして、それで国鉄の経営が成り立っていると思ったらとんでもない話ですよ。現実問題はそうなっていないから、今日の国鉄はいろいろな悩みを持っておるのです。企業上、企業性をいろいろな角度から追及していますね。しかし、幾多の問題があるのじゃないですか。今日現実に三十九年度のいま審議している予算の中でもそうじゃないですか、運輸大臣国鉄がそれぞれ企業性を発揮しつつ、鉄監局長のことばにもありますように、公共性を高めていく、こういう立場で予算要求をしたものに対して運輸省当局はどういう措置をしておったのですか。これは、予算の理論上からいったって、原則からいったって、債務負担行為なんというものは、これは予算ということに言い得ますか。言い得ないですよ。どんな学者がこれを解釈したってならない。定義から言って。そういうことをしなければならない今日の企業の現状組織があるのですよ。あなたからそういう事務的な機械的な国会答弁をわれわれは求めるために聞いているのじゃない。大臣、どうですか、これは。
  194. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) どうも吉田さんの質問は、ちょっとあまり問題が大き過ぎて、どういう……ちょっと理解ができにくいのです。私は頭が悪いかどうか知らんが、どういうことを……。相澤さんが聞くように、ぴっしゃりとひとつ……。
  195. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ぼくが言っていることは、いとも簡単に聞いているのです。審議に協力する意味で、委員長の顔を見ながら、与党の理事の顔を見ながら聞いているのですから、そうむずかしくない。鉄監局長がまことにむずかしいことを言うから、あなたが横で聞いていて、こんがらかってわからなくなる。  ぼくが聞いているのは、順を追って聞いてきたわけです。そこで、所得倍増計画なるものの交通体系の答申には、かくかくしかじかのものになっていた。それはつまり、国鉄の企業性を高くウエートに置いたから、赤字の出るようなところはやめなさい、新線建設についても、投資効率のあがらぬところは直ちにやめろ、そんなところは自動車でやりなさい、こう言っているじゃないか。ところが、そのあとの総合交通体系の中でも、やや——ややどころじゃなくて、国鉄という限定をして、固有名詞を使って、このことをさらにまた強く主張しているわけなんです。ところが、それと逆なものがあなたから提案をされてきているわけだから、これはもう、これを進めていくと、つまり、公団でやろうと国鉄でやろうと、あるいは公社でやろうと、赤字がどんどんどんどん出ていくのですよ、企業性から見たら。こんなものはナンセンスです。だけど、地域開発であるとか、大臣のうたい文句にもあるように、人跡未踏のところに文化の恩恵を浴さしていくためには、公共性を主張する中でやっていくのだということだから、それは違っていはしないかと、こう聞いたら、所得倍増計画なるものの今日の時点では若干修正されたと理解してもいいのだ、こういう答弁だから、そうなってくると、今日の国鉄の、たとえばこの問題をはずしても、既設線の中でも、公共性というものと企業性という問題が残るじゃないか。さなきだに、百歩譲って、公団ができてなおかつ、具体的に言うと、国鉄は毎年七十五億くらいの金を支出するわけでしょう。利子はどうかといったら、利子は、先ほど大蔵大臣が言ったように、それは見ないと言う。利子補給はしないと言う。そうしてあなた方は盛んに鳴りもの入りで宣伝をして、そういうものができれば国が金を出しやすいとか、金が集まってきやすいのだ、こう言って、反面出した金はわずか十億か、二十億じゃないか。しかも、完成された場合は、無償ということは原則だけれども、有償の条項もあります、とにかく国鉄が経営を受け持っていくのだということになると、精一ぱい今日まで赤字路線をかかえても、プラスできていくものは、これは五〇〇や六〇〇の係数じゃないと思います、営業係数。そういうものを国鉄が背中に背負わなければならぬわけです、なったときに。つまり、国鉄の公共性というものと企業性という問題と、あわせて所得倍増計画なるものの考え方とあなた方がいま提案される考え方の関連性を御説明願いたいと、こう言っている。まことにわかりやすいことを言っている。
  196. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) そういうことが想像されましても、私は鉄道建設公団によりまして新線建設することが非常な商い見地から必要であると考えて本提案をしたのであります。
  197. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、高いとか低いとかいうのはちょっと私にはわかりませんが、大臣のいまのお話を聞いておりますと、何が何んでも、どんな借金を背負おうとも、地球のあらん限りは、おれが大臣をやっている限りはこれを進めるのだ、こういう考え方ですか。
  198. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 私は、地球のあらん限りとか、そういうような言葉じりじゃないですが、さようなことは考えませんが、当面の所得倍増とか、そんなことを抜きにいたしまして、私は、日本経済をよりょくするために、しかして地方と都会の格差を是正するために、どうしても鉄道建設によるのが一番いい方法だと考えておるのでございます。鉄道をやるのが一番いい方法であり、その鉄道をやるのに、国鉄にやらすか、建設公団でやらすかといえば、建設公団でやらすほうがいいということを私は申し上げておるのでございます。あなたのおっしゃるような、不採算線であって、もうどうしても要らないから、国鉄は全部やめてしまって、古くなるからローカル線のもうからないものは撤廃してしまえという御議論とするならば、いつの日にか日本は、自動車と船だけでは日本の発展は望み得ない、どうしても鉄道というものが一番必要だからそれをやりたい、こう言うておるのでございまして、あなたの、所得倍増計画に関するいろいろな調査の一部をとらえまして、そんな鉄道はもうやめてしまえ、あるやつを取っぱずして自動車にしてしまえという議論には、私はどうしても賛成いたしかねます。そうして、どうしても少々赤字であろうが、長い目で見て日本経済がよりよくなるためには、いろいろな輸送機関、その他いろいろな方法はあるでありましょうが、やはり鉄道によるのが一番いいと考えまして、この鉄道建設公団の御審議を願っておるのでございます。どうかひとつ御了承願います。
  199. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも大臣は、連日予算委員会、小委員会、運輸委員会などなどで皆勤しておりますからね、非常にその点ではりっぱだと思うのですが、少し判断がややしにくいのじゃないかというような私は印象を受けるのですね。私は決して鉄道を取っぱらえということを言っているのじゃないのです。撤去しちゃって自動車でやつちまえというようなことを言っているわけじゃないのです。ぼくは大臣が後段に言ったことについて賛成なんです。日本の産業経済の基盤、動脈というものは、鉄道であり、道路であると、こう思う。ですから、当然経済を進めていく場合の大きな要素になることは、何人もこれは否定できないから、池田内閣のうたい文句たる所得倍増計画にも、交通体系であるとか、総合交通体系などというものが出てきたと思うのです。そういう点で、あなたはぼくの質問を誤解して、自分の頭の中でとんでもない方向に判断して、そういうことについては賛成しかねるなどということで——速記録を見て国民は笑いますよ。ですから、この点は間違いないようにしてください。私は撤去しろと言っているのじゃないですよ。池田内閣の今日の政府が、その大きな柱の一つである所得倍増計画の中でなくそうと言っているのですよ。採算のとれないものはやめなさい、既存のものでも撤去して——いいですか、自動車でやれと、こう言っているので、だから、ぼくが言っているのじゃなくて、運輸大臣が所属している政府が言っているということなんですからね。だから、政府が言っているにもかかわらず、今度は政府の一機関である運輸省を代表して運輸大臣が、公共性を追求しなければならぬからといって、多少の赤字なら——これは多少じゃないですよ、莫大な赤字を背負うのですから、これはね。そういう多少であるとか、莫大であるということは、実績がいまないから言わぬけれども赤字を出すことについては間違いない事実なんです。だから、そういうものはやめれというのにもかかわらず、あなたが運輸省の代表として、赤字が出たってやるのだと、こう言っているから、この違いは一体どこにあるのかと。しかも、今日の国鉄にやらしておったのでは新線建設は促進できないと、公団でやらせたほうがよりつまりこの促進が早められるのだと、まあこう言っているわけですからね。だから、一つには、この違いを明らかに、簡単にしてもらえばいいですよ。もう一つは、なぜ国鉄でやらせたら一体促進ができないのか、なぜ公団にしたら促進ができるのかということを、もう少し、あなたが提案したものとするならば、親切に私の質問を通して国民に納得のいくように、財政的な計画にしろ、全体の計画にしろ、私は明らかにすべきだと思うのですよ。明らかにしてくださいよ、これ。
  200. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) ただいま申し上げましたと同じことの繰り返しになりますが、確かに、吉田先生のおっしゃるように、ローカル線建設を中止すべしというのが所得倍増計画の中の交通体系小委員会で述べられた。しかし、同じ所得倍増計画の中で、国民経済の体質を改善し、均衡ある発展をはかるために、後進地域開発と所得の地域格差の是正ということも強く指摘されておりまして、後段の関係におきまして、交通体系小委員会というのは一部修正されたというふうに端的に言って御理解願っていいと私は申し上げているわけです。そこで、先ほど国鉄の経営の問題になりますが、国鉄法の第一条をとりますと、さっきのような味もそっけもない答弁になりますが、確かに国鉄の経営というのは非常に苦しいわけで、私ども、公共性を発揮するためにも、国鉄の経営を少しでもよくしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。その意味におきまして、従来の新線建設というものは、確かに国鉄に負担をかけております。建設費に毎年七十億とか八十億という金を費やし、しかも、完成後の運営におきまして、経営上の赤字を生じているということは、確かに事実でございますが、ただ、この赤字の内容を見てみますと、大部分が、一昨日も申し上げましたが、いま考えられております建設線、着工線あるいは予定線というものを——これはラフな計算でございますが、一応総合的に見ますと、収入とそれから直接経費というものは大体見合っております。したがいまして、赤字の一番大きな原因は、減価償却費であるとか、利子であるとか、それから固定資産税というものが非常に大きなウエートを占めておりまして、そういったものは、先ほどの大蔵大臣の御答弁にもございますように、事実上、大部分のものは無償で貸与するということになりますと、従来、国鉄が自分で建設をし、間接経費的な減価償却費であるとか、利子であるとか、あるいは固定資産税というものを自分で負担しておったのを、今度はこれが公団で負担することになりますので、直接経費だけを見ますと、収支が非常によく改善され、ほぼとんとんになるわけでございまして、そういった意味から、公団によりまして、資金量も従来の国鉄資金のほかに政府資金を投入して、積極的に推進してまいりますが、これを借り受けました国鉄の経営上の負担は、従来、国鉄が自分で建設をし、自分で経営をしておった場合に比べまして、非常に改善されるということだけは申し上げられると思います。
  201. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 前段のほうの鉄監局長の答弁は、大体、見解違いますけれども、答弁としての説明はわかりましたが、後段の経営上の分ですね、だいぶ改善される——だいぶという抽象的なことでは僕はわからぬのですが、具体的に営業の面で幾ら幾ら、何々の面で幾ら幾ら改善されるということにならなければ、われわれがこれを審議する場合に、一体賛成していいのか、反対していいのか、わからぬですよ。これはだいぶというのはどういうことなのですか。そういう資料も見当たらないですね。
  202. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) いま私が申し上げましたのは、一応国鉄だけで試算をいたしました数字に基づいて申し上げたわけでございます。国鉄資料でございますから、国鉄の当局から説明をいたします。
  203. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 私から補足して申し上げます。  けさ御説明いたしました資料完全なものではございませんが、この各線の営業係数先ほど吉田委員からも、一番悪いのは岩日線で、営業係数が六三五になっているじゃないかという御指摘がございましたが、営業係数は、これを算出いたしますのに、この中に収入と支出が入っていることはもちろんでございますが、その支出の中に、減価償却費と、それから建設に要しました財源に対する大体六分五厘に見合う利子を計算してございます。それを入れますと、支出が非常にふえる結果になりまして、大体国鉄の減価償却費は大ざっぱに申しまして三十三年で一回転することになっておりますので、大体毎年三十三分の一の減価償却費が経費として立っていくわけでございます。ただいま鉄監局長が答弁されましたように、もしこの岩日線なら岩日線建設公団でつくって、これは赤字線でございますから、無償で国鉄が借りるとしますると、その一番大きな減価償却費、それから利子は公団が負担する、したがいまして、経費としては、国鉄はそれをかぶらないで済むということになりまして、その点では一歩前進——国鉄の経営の面からいうと、一歩前進する結果になるわけでございます。
  204. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも大臣のほうは要領よくて、大臣が答弁しないで、大体鉄監局長、さらには事務当局に答弁さして逃げの態勢に入っているのが、そういうようなことは僕はあまり言いたくないほうだけれども、せっかく国鉄の常務理事が答弁したから、さらにいまの面だけで御質問しますけれども、こういうことですか、そうしますと——たとえば石勝線の建設が予定線になっておりますね。そこで、この石勝線が、公団で着工していった、完工した、国鉄はこれまた原則で無償ということになるのですからね。あそこの線は、直ちに経済線になるということは、これは何人も考えられませんから、おそらくや無償貸与ということになると思う。そうしますと、建設経費はもとよりでありますけれども、貸与されて、今度は営業開始した、営業経費、あるいは施設の保安の経費等々、人件費も含めまして、かなりな経費がかかっていますね。現実問題として、それで採算をとってみたら、国鉄はそれで黒になるということは断じて僕はないと思いますよ。たった一つの例をとってみてもね。その場合、減価償却の面が非常に従前から見ますと楽になる、改善される、それからもう一つは、利子の補給は、公団建設したものであるから、つまり国鉄がその利子を見ない、こういうことを言ったのですけれども、それはもうそういう方向で間違いないのですか、間違いありませんか。さっき大蔵大臣がちょっと利子補給について触れたものですから、これはあなたに聞いておくのですけれども国鉄側が、公団でやることがより経費的に、財政的に改善されるということだから、これは山田務理事に聞いておきます。
  205. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 石勝線の具体的な例で御指摘がございましたので、申し上げますが、ただいまの段階では大体建設費に百七十億円程度かかる見込みでございます。それで、それに基づきますと、減価償却費が大体三億円ないし四億円になろうかと思います。それから利子が、これもやはり三億五千万円程度になろうかと存じます。ですから、その合わせました七億円ないし八億円が、国鉄の手で建設いたしますならば、国鉄経費に上がるわけでございますが、建設公団建設して、これを無償で貸してもらえるとすれば、それだけ国鉄経費は免れるわけでございます。それから、先生承知でございますが、それが将来輸送計画上幹線並みに使うといたしますと、そこの収入の、割賦の方法によりますが、若干旅客貨物ともほかのいわゆる簡易線よりは有利な収入になろうかと思います。これは仮定の前提でございますが、それと経費を見合いまして、結論的に申しますと、公団でつくってもらって、ただで貸していただくことが、国鉄としては有利になる結論が出ようかと思います。
  206. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 山田常務のその答弁、ようわかりました。ただいま石勝線だけ一つの例であげたのですけれども、これはその二百三十一線の中で一つだけです。北海道にかなり建設線あるいは予定線がありますけれども、この石勝線のみが、将来を展望して見て、将来経済線になるであろうと考えられているから、山田さんの推定もそういうことになる。これは問題はない。僕の求めようとしたのは、建設公団建設したわけだから、利子の補給と減価償却でこのくらい国鉄が改善される——経営上、こういうことですので、これはわかりました。そこで、山田務理事に重ねてお願いしますけれども、この案でいっても、年々歳々国鉄は七十五億出す、こういうふうになる。で、当初の審議会の計画では十カ年計画でございますですから、七百五十億というものになるわけでしょう。これには何か資料をもらいましたけれども、ほかの人にいっているかどうか。私の手元にあるのは、そういう計画はない。三千三百億で、どうやって算出するのかはっきり書いてない、廣瀬さんからもらったのですが。あとでこれは具体的に聞くつもりですが、それは別として、国鉄の側が年々歳々七十五億の出資をしていく。こういうことに対して、国鉄が財政豊かで投資しているなら問題はないと思うのです。ところが、さなきだに今日逼迫している国鉄の財政の事情から考えますと、勢い支出するといってみても、財投を仰ぐか、あるいはみずから留保されるか、何とか経営上やり繰りして七十五億というものを投資すると思うのです。そうすると、借り入れ金は別だ。つまり、機関に投資するわけですから、利子を当然考えなければならないと思いますですね。そうすると、その利子は、大蔵大臣の先ほどのお答えでは、利子補給はしないということですから、七十五億に対して、かりに六分五厘でも、かなり国鉄はその面で利子を払っていかなければならぬということになりますから、相殺してみますと、あまり経営上改善されたということには、個々の部面だけではならないのじゃないかという気がします。この点が一つと、それからもう一つは、この提案理由の中にもありましたけれども公団のつまり規模、とりわけ財政的な規模を、国鉄の七十五億、そして政府出資 ——今度の場合十億、十億ですから二十億ですか、その他と、こうなっておりますですね。その他の中には、今日国鉄が数千億という膨大な金を投資してきた未完工の分があるわけです。ですから、夫完工の分が公団に  かりに公団ができたと仮定して、公団側に債権債務として引き継がれる金額、トータルでけっこうですから、未完工の分がどの程度になっているかということをひとつここに明らかにしてもらう。そうして、その利子が一体、あなたが先ほど言った、最低、おそらく六分五厘か、高くとも七分だと思いますけれども、その利子をやはり払っていかなければならないわけでありますから、国鉄側のその利子の分が何億になるか、明らかにしてもらいたいと思うわけです。
  207. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 第一段の、国鉄が、公団ができた場合に、将来一応出資する予定としては、ただいま七十五億見当というものは、政府案としてわれわれにも提示されておりますが、これが国鉄のどういう金から出るかというのが第一のお尋ねかと思います。
  208. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いや、どういうところから出るかということじゃなくして、七十五億というものを出資しておるわけですから、国鉄政府からことしの場合だって財投を仰いでおるわけですから、そのほかに、予算外義務負担行為であるとか、あるいは今度その何かえたいの知れない、予算の定義からいくと名前のつかないようなものが、今年度百億、来年度四百億——五百億認められたでしょう。認められたというか、予算折衝の段階で。そういうことなんだから、すべて国鉄というものは借金政策でやっておるわけでしょう。だから、どこから金を出すとか何かということじゃなくて、公団ができて七十五億出すという場合には、借金をしてきたものを、またこれを再投下することになるわけですよね。投資をするかっこうになるでしょう。だから、この七十五億というものに対しての利子は見ないわけですよ。政府が見ないのだから、国鉄が見なければならぬわけでしょう。その利子と、それから未完工の分で債権債務としてつまり公団に引き継ぐ金額が幾らくらいになるかということです。大体四、五百億ぼくはあると推定しておるけれども、推定ですからわかりませんから、あなた方事務当局ですから、はっきりしたものをつかんでおると思いますから、それを聞いておることが二つ目。しかも、その四、五百億程度私が推定しておるものに対して、六分五厘か、あるいはせいぜい高くても七分でしょうから、一体年々歳々国鉄が負担しなければならぬ利子がどれくらいあるかということをいま聞いておるわけです。
  209. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 第一段の、その七十五億円につきましては、御承知のように、国鉄の財源全体といたしまして、その内訳は、第一には自己資金でございます。これはいわゆる会社でいいますと利益金でございまして、これは運賃収入、まあその他若干の雑収入がございますが、いわゆる運輸収入と経営に要する経費との差額が自己資金になるわけでございまして、これは釈迦に説法でございますけれども、それが大体一千億円あるわけでございます。そのほかに、外部資金で、先ほどこまかく御指摘になりましたが、鉄道債券なり、あるいは利用債なり、あるいは政府からの直接の借り入れ金、これらを加えました差額、三十九年度予算で総額二千八百五十億円くらいというものが国鉄の持っておる金になるわけでございます。その中から公団ができますならば出資する額が七十五億円でございまして、したがって、その二千八百億円のうちの自己資金分から幾ら出るのか、あるいはその外部資金から幾ら出るのかという、そこまで金に糸目がついておりませんので、その中から七十五億円を出すということになるわけでございます。それで、それをかりに全額外部資金の借り入れ金の分から回したとすれば、六分五厘の利子を払わなければならないという計算をいたしまして、一応の利子計算はするわけでございます。
  210. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、全額七十五億の借り入れ金であると、こういう立場に立って、利子はどのくらいになりますか。
  211. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 年間で約四億八千万円に相なります。  それから第二段の御質問の、いままでに国鉄の手で建設をいたしまして、まだ開業までに至らない施設が二百九億円に相なります。したがいまして、公団設立のときには、この二百九億円が現在の公団法の規定によりまして国鉄の現物出資分になるわけでございます。
  212. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 非常にわかりやすい。そこで、前のほうだけはほんとうによくわかりました。ただ後段の未完工の分ですね。二百九億相当額が現物出資になる、こう説明されましたが、そうしますと、この公団法の中にあります、建物であるとか、あるいは既存の施設を利用する部面もかなりございますね、この法律をそのまますなおに解釈しますとね。これもこの二百九億に入ってくるのですか。
  213. 山田明吉

    説明員山田明吉君) ちょっと専門的になりまして恐縮でございますけれども建設線工事のために建設費で建てた建物がございます。これは現物出資の中に入ってまいります。それから、公団ができますについて、国鉄が現在持っておりますいろいろな施設、たとえば宿舎なんかが代表的なものになるかと思います。それから、地方の事務所とか、これらを無償で貸すという建前になっておりますので、それらは現物出資の対象にはなっておりません。二百九億の中には評価いたしておりません。
  214. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、たとえば事務所であるとか、あるいは宿舎の関係、そういう関係を無償で当分の間貸すのでしょう。本来そういう商売はないわけですから。これを金に換算したら、そういう関係のものはどの程度のものになりますか。
  215. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 実は、まだこれはどの建物をどの程度貸すかという話し合いはつけておりませんので、正確なところはわかりませんが、推定で申しますと、ほとんど償却済みすれすれの事務所、宿舎でございますので、金額としてはごく微々たるものになると思います。
  216. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 つまり、この二百九億に対する何がしでもない、こういう理解ですか。
  217. 山田明吉

    説明員山田明吉君) さようでございます。
  218. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうすると、山田さん、このラウンド・ナンバーを捨てて、二百億と、こう僕は読んでみてもいいのですが、これの利子はどうなるのですか。
  219. 山田明吉

    説明員山田明吉君) これは、六分五厘で計算いたしますと、十三億五千万円程度になるかと思います。
  220. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 わかりました。じゃ、山田さんについての質問は、それで大体わかりました。  運輸大臣は、国鉄でそのまま新線建設を促進する場合は、これはもう全く問題にならぬのだ、公団で進めると非常にこれが国民要望にこたえられるような促進になる、こう再三申されましたね。ですから、そこのところの違いを明らかにしてもらいたいと思うのですよ。
  221. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 休憩前の会議におきまして大蔵大臣が説明されましたとおりです。国鉄は、新線建設もさることながら、他に非常な任務を持っております。すなわち、輸送の安全確保等々あります。そこで、たとえば国鉄で北海道をやると、そうすると、一体北海道で鉄道をやる場合に新線を、しかも吉田委員の言うようにクマだけしか住まないようなところに建設をやらずに、そういう金を、いまの運転の安全であるとか、保安整備とか、そういうものに使ったらいいじゃないかという議論が世上に行なわれまして、どうしても国鉄としてはそういうことはやりにくいというのが一般の考え方で、現時点におきましてはそういうことも国民の世論のうちにあります。北海道の先、九州の山の中、そのような鉄道に使う金があるなら、新線に使う金があるなら、こういう施設にやったらどうかということに対しまして、なかなか国民大衆を納得せしめるだけの説明は困難であるからして、したがって、新線建設が順次おくれている。そこで国鉄は、現鉄道の保守運転、そうしてあらゆる生産に協力するような態勢に全身全能を打ち込んでやるのが現時点においてはいいのではないかというような気がいたすので、そういう観点から、私は、やはり鉄道建設公団新線をやるほうが政府としても金を出しやすいし、また順次そういうことによって、鉄道建設を無償で貸与し、有償で貸与するといういろいろな議論がありますが、鉄道の本来の使命である輸送の確保安全ということに主力を注ぐべきじゃないかという考えから、私はやはり、現在の国鉄がやるよりも別個公団をこしらえてやるほうがいいという考え方は、休憩前の会議で大蔵大臣が言われたとおりでございます。私もそういうように感ずる一人です。ところが、そうなるというと、そういう新線はみな党利党略の線じゃないかというような、そういうことを言う人があるが、さようなことは断じてありません。どうしても全体として地方格差の是正、それから国民の大部分を鉄道の恩恵に浴せしめ得るという高い政治理念のもとに私は新線建設をやるべきだ、かように考えております。
  222. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも大臣の答弁、私にはどうしても理解できないんですよ。いまの答弁を聞いておりますと、ちょうど僕のところの中学二年生の坊主が工作やっていて、うまくいくかいかないかということを聞いているたぐいになるのかもしれませんが、そういう答弁はね。ですから、理解できません。ですから、この際は、明らかに、こうなれば、国鉄でやるより公団でやるほうがこことここでよりよくなるのだ、つまり、問題が、いまもあなたがおっしゃっておるように、あるいは大蔵大臣が午前中に答弁したように、大きな問題点は、やはり金だと思うのです。ですから、その金の財政計画というものは明らかになっていませんね、これは。で、運輸大臣は提案にあたって、建設審議会建議に基づいてやったと言っている。その建議なるものは、最後のほうにいって、十カ年計画それぞれ出して、資金計画も明らかにされておりますが、大体通行税相当額が幾らで、市町村の納付金額の相当分が幾らで、もとより国鉄の負担が幾らで、地方公共団体の負担が幾らということになりまして、最後にこれは五千億ですか、ちょうどこうなっている。これならばこれのように、私どもは議論する余地はあるけれども、いまの段階で鉄監局長から出されておる資料、鉄道新線建設事業計画及び資金計画ということになって、ただ単に、着工線が四十三あって、お金がこのとおりかかるというだけで——これは国鉄出資はわかりましたよ、それから政府の二十億はわかりましたよ、それ以外のものは何らここに明記されていないんですよ。鉄道の七十五億と政府出資の二十億で、こんなもので、九十五億くらいでできっこないんですよ。のみならず、あなたの、大臣の精神である、つまりより新線建設を促進さして国民負託にこたえるという何ものもこれはないんですよ。ですから、私はこの際資料を求めておきます。資料を、鉄監局長、これはこまかく資金計画を出していただく。それからもう一つは、二百三十一線に対する、つまり新線を促進していくわけですから、それの工事計画、これをこの際本委員会で明らかにするために、私は資料要求しておきたいと思います。  それから、運輸大臣にさらに質問を続けるわけですけれども、あなたは再三、鉄道建設審議会建議によってこういうものを提案した。しかも、国鉄ではあまりやらせたらできないのだ。それには、財政事情の関係もあるであろうし、あるいはその他の関係もありましょう。さて、しからば、その国鉄が、あの四千億という膨大な予算を、財政計画をそれぞれ立てて、新幹線の工事を年次計画を樹立して、すでにことしの十月ですか、完工するという段階に相なっておりますことは、御承知おきのとおりです。一体新幹線なるものは、鉄道建設審議会のもとより議は経ていないだろうし、答申もなかったはずですよ、私の記憶では。ないけれども国鉄がやろうとすれば、七十五億やそんなものじゃない、四千億に近い膨大な財源を捻出をして、しかも政府はこれに対してたびたびやはり財投もしているはずだ。そうでしょう。やってのけているではありませんか。問題は、この新線建設の促進がさらに要るというのは何かというと、国鉄はそういう事業を行ない、あるいは既設線の保守であるとか、あるいは構内改良であるとか、あるいは線増等々の問題をかかえておるから、金の関係でできない、これだけのことですよ。ですから、政府が新幹線のように支出をしていく、国鉄の事業にめんどうを見ていく、こういう腹になれば、国鉄はできる。しかも、国鉄には四十五万という人的資源を持っておる。あなたもこの間認めたように、その中でも高い土木技術あるいは建設技術というものを持っているのです。これがちゃちな、こんな公団をつくって、何千人の人間でやるか知らぬけれども、そんなもので、どんなことをあなたおっしゃっても、国鉄でやっておったときより国民大衆に奉仕するような、満足がいくような新線建設には私はならない、このことだけは断言できると思うのです。一体、運輸大臣として、国鉄でやれないというのはなぜかということは、先ほども言ったけれども、明確でない。私は金だと思うのです。なぜ一体あなたは、新幹線と同じように、国鉄新線建設についても政府がめんどうを見てやるということをしないか。私は、先ほど来所得倍増論の中での交通体系でいろいろ伺っておきましたけれども、今日国鉄が一番困っておるのは何か。国鉄の経営者もおりますけれども、池田内閣の高度経済成長政策なり所得倍増計画に伴って国鉄の設備改善や鉄道網の整備というものが今日なされていなかった。そのいなかったというのは、だれの責任かというと、私は政府責任だと思う。国鉄が運輸に関係しておるとすれば、これは運輸省の責任だと思います。そこに一番私は問題があるように思うのであるが、それを解明していく、解消していく。しかも、あわせて所得倍増計画なるものの一環として産業経済の基盤の動脈にしなければならぬということであるならば、私は、この際、この程度の金を公団にあなた方がめんどう見るぐらいであったら、なぜ国鉄にそれをめんどう見てやらせるという根性にならないのですか。あなた方は声を大にして、国鉄ではできない、公団にすればできる、こう言っておきながら、たった二十億じゃないですか、予算書には。どれほど国民負託にこたえるように新線建設が促進されますか、これで。しかも、その国鉄から七十五億。平均になおすと利子だけで約五億だ。そのほかに、未完工の現物出資というものを利子換算すると十三億五千万だ。大体二十億ぐらいを国鉄にすでにもう損失をかけている。こういうことがいままでの質問の中で明らかになったじゃありませんか。利子に足りないですよ、政府出資しようというものが。それで一体、別なそういう組織をつくって、国民輿望にこたえる、国鉄にやらせるより公団でやらしたほうがよりベターである、こういうことなどの理論というものは、私は成り立たないと思いますが、運輸大臣、どうですか。
  223. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 私は、新設建設に要った金を国鉄へ、今後とも国鉄でやる新線建設に回したらできるじゃないかとおっしゃるのでございますが、休憩前の委員会でも申しましたように、国鉄は新幹線がようやくまあ、数次の改定によりまして、非常に、まず予定をいたしました、千九百二十億で始めたのが、結局三千八百億にまでなったのですね。そういうようなことにその新幹線をやりかけておる。それに出す金は、国民もどうにかしぶしぶ納得しましたが、これができ上がってしまうと……。
  224. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 国民じゃないですよ。そんなものは政府、大蔵省が納得しないので、国民はみな納得していますよ。
  225. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) それは、あなたが言うように、国民でも政府でもどっちでもいいですが、とにかく新線をやろうというときに、あなたがさつき資料の膨大なのを要求せられましたね。そういう要求せられたような資料を、いいかげんな資料をまだ計画も何もしないのに出すというと、それらが実施移行にあたっては、ちょうど新幹線と同じように、幾たびか改定せんならぬようになるからして、大体の新線計画はこういう方針でやる、確定しておる財源は、国鉄の七十五億の出資、あとは単年度で特別会計の御審議を願って、そうしてそれに必要なる予算を出そう、こういうことは、大蔵大臣が言われたとおりでございますから、私は大蔵大臣を信頼して、再来年度——四十年度におきましてはおそらくは二百億ぐらいになると思います。さらにだんだん年次計画を経るに従ってよけい出るようになるのです。この新幹線に出しただけを新線建設に出せといったって、国民は私は納得せぬと思う。というのは、さっきから何べんも申しますように、新線というのは山の中の線路であって、そんなところに金をかけるならば、いまの当面のこれをやったらいいじゃないかと必ず言うにきまっておって、出しにくいと、こう言っているのですよ、大蔵大臣は。それよりは、そういうようなものはひとつ鉄道建設公団によって、そうして順次やっていく。しかし、国鉄としては、そのでき上がった線路は大部分が無償で国鉄の経営に回ってくる。国鉄の経営に回れば、いままで国鉄でやった赤字新線を経営するよりも、山田務理事説明したように、何がしか国鉄の経営を楽にする。しこうして、鉄道の建設はどんどん進んでいく。ゆえに、私どもはこの新線建設公団でぜひひとつ御了解を得たい。あなたのおっしゃるなには、私は現時点において建設公団のほうがいいと思うのです。鉄道新幹線の工事のたびたびの追加、補正予算でなかなかめんどうであったのですが、やりかけた仕事ですからどうしようもないので引っぱられてきたというのが私は偽らざる状態だと思います。そこで私は、賢明なる吉田委員は、そのぐらいのことはおわかりになると思います。
  226. 小酒井義男

    小酒井義男君 大臣、いろいろお話し聞いておって、私こういう気がするのですけれどもね。のどがかわいておるから水が飲みたいと言っておるのに、バケツにある水をコップで飲んではいかぬ、茶わんで飲めと言っておられるような気がするのですが、そういうことじゃないですか。
  227. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) あなたのおっしゃるようなそういうたとえが合うか合わぬか知りませんが、山手線を増強するとか、あるいは大阪付近のあれを増強するとかというと、すぐ国民に、なるほど国鉄は金がかかるなと、こういうことがわかるのですが、山の中に鉄道を敷くなんというと、そんなところに回す金があるならば、まずこれをやったらいいじゃないかということを言われると、政府としても予算は出しにくい。それですから、順次そういうことはそういうことで別計算に置いて、そしてそういう人類未踏の地に鉄道を敷くというようなことを建設公団がやれば、そういうところに鉄道を敷くなんということは、なるほど金がかかるということは、国民にわかると思うのですけれどもね。
  228. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) 先ほど吉田先生資料要求のことにつきまして、ちょっと御了解を求めたいのですが、お読みになりました鉄道建設審議会建議は、確かにこの構成は、第一が新線建設の規模、第二が財源、第三が方式というふうになっておりまして、いまいろいろおっしゃいました点は付属資料、ごく参考の資料でございまして、この中には、いろいろ案がたくさんございまして、国鉄の負担、地方公共団体の負担、それから政府の負担、こういう体系になっておりますが、私どもが現在御提出申し上げております法案は、国鉄出資政府出資、投融資、これだけで、地方公共団体は入っておりません。  それからなお、確かに私どもが提出いたしました資料計画、年度別のはございます。これはきわめてラフなものでございまして、これは率直に申し上げまして、まだ財政当局と全然話し合いしてございません。私どもの一応の素案として御審議のごく参考に供するということで出したものでございまして、そういった意味から、一応国鉄出資は、毎年七十五億で七百五十億となっておりますが、政府資金の内訳は、これは出資と投融資両方ございますが、これはまだ考えておりません。したがって、この内訳というものは、今後政府部内において十分検討しないと固まってまいらないものでございますので、御了承願いたいと思います。  なお、鉄道敷設法別表の二百三十一線の全部とおっしゃいますが、この敷設法別表の予定線というのは二百三十一、それから附則第二項の線路は七十一、計三百二線ございまして、この総延長は、ラウンド・ナンバーで申しますが、一万六千八百キロ、このうちで開業したものが八千二百キロございます。したがって、現在残っておりますものは八千六百キロ。このうち私鉄で開業しておるものが千二、三百キロございますから、二百三十一というのはあまり意味がないので、私どもいま考えておりますのは、お手元に差し上げました着工線と調査線だけでございまして、その他のものについては、鉄道建設審議会でもお取り上げになっておりませんし、計画ももちろんございませんので、ちょっと私ども資料はにわかには提出しかねるわけであります。
  229. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 にわかに資料は提出しかねるということだけれども、それは四十三線と十八線、それだけはそれでけっこうですよ。せっかくあなた方重要法案を出しておいて、それを、資料はにわかに出しかねるなんてとんでもないことです。資料がなくてどうしてわれわれ審議ができるか。雲をつかむような法案を出しておいて、資料がなくてどうして審議ができますか。そういう不穏当な答弁はするものじゃない。注意しなさいよ。  それから政府資金国鉄資金、これだけで考えておるのだ。それにしても金額だけは年次別に出ておりますよ。この計画案では、この予算書とは別に政府二十五、国鉄七十五、計百となっておりますが、金額を見ると、五億くらい計画では多いように思うが、そういうことは別にして、やはり具体的に年次別に、どの線とどの線をどうやっていくかということは、このあなたのほうからの資料の中に出ておるのですから、予定線と調査線が出ておるのだから、そういうものを具体的に計画として——しかも年次計画では一斉にはできない。これを見たって十カ年計画だ。そうでしょう。だから、金の面で十カ年計画がざっと出ておるのですから、工事を進めていく、つまり建設していくという十カ年計画は、具体的に出さなければこれは議論になりませんよ。審議の対象になりません、これは。ですから、そういう点を資料要求したわけですから、だから可及的すみやかに——直ちにということは言わない、可及的すみやかに資料を提出してもらいたい、こういうことですから、あまり鉄監局長、力まなくて弔いいよ。
  230. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) なるべく早くできます分は提出をいたします。
  231. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そういうことでひとつ理解してもらいたいです。  それから運輸大臣先ほど来大蔵大臣がやはり説明したように、政府がかなりめんどうを見ておるのだ、こういうことですが、かなりといったって、二十億もかなりだし、二百億もかなりだし、いまあなたの答弁では、来年度は二百億くらいになるだろう——だろうなんだ。あなたは同じ仲間だから大蔵大臣を信頼しておりますが、私は鉄道に入って二十年ずっと国鉄予算を見てきた。歴代の大蔵大臣が、国鉄からかくかくしかじかの金が必要であるという予算を出して、ただの一回もそれを認めたためしがない。だから、田中さんはその点では、最近まれに見るりっぱな方で、私はかなり信頼しておりますが、完全に信頼するまでにいかない。だから来年度は二百億くらいになるだろうというようなことでは私は了解できぬ。しかも、何といいますか、いま言ったように、これは、そこのところだけ国家財政的な規模から見てそう極端に金を出せるというものじゃないでしょう、この計画を見たって。だから、直ちに運輸大臣のいまの答弁を信用するわけにはまいりません。したがって、かりにこの金だけの計画で進めるにしても、運輸大臣が提案をしておるように、画期的な新線建設促進ということには、私は断じてならないと思うのです。いわんや、池田さんが言っているような、革命的なんということにはならない。ですから、こういう年次計画で政府が二千二百五十二億を財投でやるか、あるいは融資でやるか知らぬが、こういうめんどうを見るような計画になっておりますから、なっておるとすれば、新幹線でやった国鉄には力があるとぼくは思うのです、技術的にも人的にも。だからこの際、ぼくは新線建設に何も反対ではないのですから、正しい意味の国民の要望にこたえられるような、しかも、日本の産業経済の一番動脈になるような新線建設であれば、私はもう手をあげて賛成するのです。ですから、問題はやり方ですから、そのやり方として運輸大臣に、今日こういう計画をお出しになった熱意があるとすれば、この二千二百五十二億というものを、国鉄に、新幹線でやったときと同じような考え方に立って、本来の仕事国鉄仕事ですから、国鉄でやらせるべきではないかと考える。そうすると、国鉄でまた、新幹線予算が動いたので苦労したのだということで盛んに頭を痛めているようですけれども、これを見るとたった百億、二百億、二百四十六億なんという、こういうことをやって漸進的にほんのちょっぴりふえていくだけですから、それでこの間の七百四十二億の穴があくようなことはありませんよ。そういう狂いはない。七百四十二億という狂いが出たのは、一にかかって池田さんがあまり所得倍増の太鼓をたたくものだから、土地がどんどん値上がっていった、鋼材費がどんどん値上がっていったのだ。そういう関係で穴があいたので、当時の十河総裁石田総裁が赤坂に行って飲んで食ったというものではないのだよ、金が不足したのは。そうでしょう。だから、そういうところに欠陥があったわけですから、そういう将来の日本経済性の推移などをきちんと見きわめて、そして綿密な慎重な計画を立てると、大臣の心配するようなことはありませんから、鉄道にやらせなさい。どうですか。
  232. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) たびたび申し上げましたように、いつまでいきましてもこれは議論ですから、私は国鉄でやらせるよりは新線建設のほうがいい。それはただいま、いろいろな理由もございましょうが、休憩前の委員会で大蔵大臣が言いましたように、国家の金を出しやすいのですよ、新線建設にするというと。ただそれ一点です。技術の優秀さ、能力のあること、その他あなた以上に私は国鉄を信頼し、認めております。ゆえに、この新線建設公団になりましても、大部分の人は、現在国鉄で携わっている優秀なる技術と優秀なる訓練をもとにした国鉄の人にやっていただくのだというふうになっておるのでございますから、ただ金の面だけを出すのは、ただいまも何べんも言うように、財政を担当する者として、当面の問題として四国に鉄道をこしらえる、九州に鉄道をこしらえる、北海道に鉄道をこしらえる、そんな鉄道をこしらえるくらいの金があるならば、なぜこれを早く解消しないかという議論が起きて、財政投融資をふやすにしても、非常に従来の国鉄のままであると、新線建設に金をよけいに出すようにするということは、私はなかなか財政当局としてもやりにくいと、かように考えまして、あえてあなたの意に従いませんが、新線建設に踏み切らざるを得ない、よりいい方法と、かように考えておる次第でございます。
  233. 相澤重明

    ○相澤重明君 いませっかく運輸大臣の御答弁ですから、そのままほっておくのもいいですが、やはりこれは逆をいうと、何か国鉄はいまの通勤通学対策を、新線建設公団でやらせるために、なおざりにするというような印象をまた受けないとも限らぬので、ですから、やはり通勤通学対策、踏切対策というものは、説明があったようにやはり重点施策としてやる、そのほかの新線建設としてはこうだというように、あわせて強調してもらわぬと、ひとつ新線建設という話をされても、受ける印象が違ってくる。この点は、別にあなたの言い方が悪いということじゃないけれども、そのほうがより親切じゃないかと、こう思うのです。  それから、それはそれとして、この次の審議のときに質問をするのに大事なことだから、私はやはりこの際大臣にひとつ御答弁を願っておきたいのですが、公団法の提案理由の中で、最後のほうに、「日本国有鉄道別個組織を設け、政府日本国有鉄道等」、「等」というている。ところが、先ほど吉田委員の質問に鉄監局長が答えたのは、当面は政府出資国鉄出資先ほどのいろいろな資料はあるけれども地方公共団体とかというようなものについては、まだこれからの問題である、こういう御説明だったね。そうすると、やはり法律ですからね、この「等」というのは、何をさすのか、こういう点を補足に私は文書でひとつ出してもらいたい。これは、ですからたとえば、それがいままでの御説明によると、現物出資になるのか、あるいは通行税というそういう問題になるのか、これは政府考え方はいろいろあるでしょうが、国鉄出資政府出資だけです、ということになれば、「等」は要らない。「等」というのが入っている限りにおいては、そういう意味があるわけです。したがって、そのことは法律上の御説明になったことの中で、やはり各委員にわかるように出してもらうのが、私は親切だと思う。また、それでなければ審議できないと思う。そういうことでこの「等」の解釈について、こういうものであるというひとつ補足を文書で出してもらいたい。  それからいま一つは、これは国会と政府という関係ですから、自民党がいま政権を握っておるので、自民党がいわゆる責任を持つということでお話は出ておるわけでありますが、本来私は、やはり吉田委員の言うように、十カ年計画なら十カ年計画というものを策定をして出すのがほんとうだと思うのです。民間の株式会社でさえ、初年度と次年度の予算というものは出さなければならぬ。それをましてや政府が行なう、いわゆるこういう限定をされた計画性というものを持つ限りにおいては、本来は私は出すべきだと思う。しかし、それがいまの政府の財政事情あるいは国会との関係というもので、初年度のことしか先ほど御答弁をいただけないのでありますが、私は、本来ならばやはり計画性というものがなければ、これはそのときの政治情勢で変革があるということは好ましいことではないと思う。こういう点について、でき得れば、民間の株式会社でさえ、二カ年間のをやはり出すものでありますから、そのくらいの取りつけは私はやってほしいわけです。当初せっかく運輸大臣が努力されても、二百億が百億になってしまうというようなことも、これは私はなくなると思うので、そうして先ほど公団をつくって地域格差をなくし、産業の発展のために尽くすことができる、信頼される国鉄に経営させる一つ新線建設公団仕事ができるということになると思うのです。さもないと、やっぱり口ではそう言っても、つくってしまえばとにかく政治力で押していってしまうのだということで、計画性のないことをよけいに心配される、こう思うのです。これはしかし私の受けた感じですよ。私はいままで皆さんの質疑を通じ、また、私もお尋ねをした中で、一般の民間でさえ、そういう計画性はある程度持っているものを、ましてや国家が行なう事業に対して計画性のないということは、これはもうはなはだ残念である。したがって、でき得るならば、そういう方向に意思統一をされて出されるならば、反対は反対、賛成は賛成であっても、多くの人たちに迷惑はかからぬし、理解をされるものだと私は思う。そういう点でこの次の日程の関係もありまして、まだ、岡委員がきょうおりませんから、岡委員相当の質問を持っておるというし、私もまだ実は具体的に入っていくのもあるわけです。それで、そういうことに対する、一つのこの次の資料を出していただくために、考えを統一していただくために、いまの二点を申し上げたわけです。  それからいま一つは、国鉄の工事職員を公団に出す、その場合の取り扱いとしては、一応公団であるから退職をしてもらう、こういう解明がなされたわけでありますから、そういう退職金というようなものは予算に計上をされておる、こういうことになろうかと思うのでありますが、そういう点についても、ひとつ後刻どのくらいの金額になるのか、これはやはり予算の関係ですから、ひとつお示しをいただきたい。  あとはそれぞれいろいろの項目に分れておりまして、私どもも準備しておりますけれども、大ざっぱに申し上げて、いまの三つの点は、この次の御説明いただくときに冒頭に御説明でもいただければたいへんありがたいと思っております。  以上委員長にこれはお願いしておきます。
  234. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) ただいま相澤先生の第一点について、資料要求ございましたが、これはちょっとここで御説明するとわかるのですが、というのは、ここに掲げてありますのは、一昨年の鉄道建設審議会建議をごくはしょりまして、「日本国有鉄道別個組織を設け、政府日本国有鉄道等」というこの「等」というのは、地方公共団体の負担のことを言っております。建議をはしょりましたのでこういうかっこうになっておりますが、この法案は、地方公共団体のことを考えずに、国鉄政府だけのことを考えた、こういうことでございます。
  235. 相澤重明

    ○相澤重明君 だから、それでは不明確だから、さっき言ったように出しておいてもらうといいと思うのですよ。
  236. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 きょうはあらかじめ五時ということで審議したのですが、すでに五時をかなり過ぎ去っておりますから、私の質問は、これから業務の範囲をどうするとか、あるいは運営のあり方の問題、とりわけ人の問題等々たくさんまだございます。こういう問題を伺っておりますと夜中になりますから、きょうは質問しないことにして、本日はこの程度で委員会を終わることを提案をいたします。
  237. 米田正文

    委員長米田正文君) 次回の日程は、後刻理事会で相談をした上、公報でお知らせをいたすことにし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会