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1964-02-13 第46回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十三日(木曜日)    午前十一時十八分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     米田 正文君    理事            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            天坊 裕彦君            吉田忠三郎君    委員            江藤  智君            河野 謙三君            木暮武太夫君            野上  進君            平島 敏夫君            相澤 重明君            岡  三郎君            浅井  亨君            加賀山之雄君   衆議院議員    発  議  者 久保 三郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    運輸政務次官  田邉 國男君    運輸省鉄道監督    局長      廣瀬 眞一君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 向井 重郷君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      磯崎  叡君    日本国有鉄道常    務理事     河村  勝君   —————————————   本日の会議に付した案件運輸事情等に関する調査  (日本国有鉄道の運営に関する件) ○日本鉄道建設公団法案内閣提出、  衆議院送付) ○鉄道新線建設緊急措置法案衆議院  送付予備審査)   —————————————
  2. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいまから委員会を開会いたします。  まず、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  まず、国鉄当局から、前回委員会において質疑のありました事項について、その後の調査結果を御説明願います。
  3. 河村勝

    説明員河村勝君) 先般の事故に関しまして、転覆いたしました貨車発送地における荷役は、これは通運業者扱いではございませんで、三井金属会社作業員が積みつけたものでございまして、積み荷業者関係がないわけでございますが、その取り扱いにつきましては、昭和三十七年に事前試運転をやっております。と申しますのは、この亜鉛の出荷は大体毎月二千トンくらいでございまして、したがって、毎日四重か五車くらいの出荷がある定量貨物でありますので、それの荷積みにつきましては、あらかじめ形をきめておきまして安全を期する必要がありますので、昭和三十七年に二回大牟田−西八幡間において試運転をいたしまして、そこで今回積みつけておりますような荷姿試験をいたしました結果、この形でもって十分安全を期せられるという結論のもとにずっと輸送を継続しておりまして、今回まで事故はなかったわけでございます。ただ、今回の場合には、貨車の床が鉄板でございまして、試験をいたしましたときには床が木であった関係で、多少事情が違います。そういう意味で、今回の事故はまだ詳細に調べませんというと最終的な結論にはならないわけでございますけれども、とりあえず鉄板車をこういった転動しやすい貨物に使用することは禁止をいたしまして、また同時に、角材等を使いましてこれの転動防止をやる措置を直ちに全国的に手配をいたしました。とりあえずのこういう事政の防止対策を講じておりまして、なお詳細に結論が出次第またあらためて対策考えたい、そういうふうに考えております。
  4. 相澤重明

    相澤重明君 委員長に先に質問に入る前に聞いておきたいのだけれども、前回委員会継続案件を質疑する、そういうことでいまの鉄道事故の問題に入ったわけですね。それから、実は私がこの前申し上げておいたのは、与党の諸君がほとんど質疑したのだけれども、そのときに、この自動車保険掛け金の問題で、なぜ掛け金が高くなるかというと、保険金が赤字である、こういうことで、それではその保険会社経理をひとつこちらへ出してもらおう、場合によればぼくら決算委員会でやるのだけれども、当運輸委員会としても、大事なことだから、ひとつその資料を提出してもらおう、こういうことで、私としては、大蔵大臣保険審議会がそういう答申をしたから、その答申を急いで大蔵大臣が二月一日に強行せしめたという理由が薄弱である、したがって、大蔵大臣を次は出席をさせよう、こういう話を、私はこれはもう幾らもない時間だったから、皆さんのほうが大ぜいやったんだから、私の質問の時間が少なかった、そこでまあそれを言っただけでそのままになっておったのですが、委員長はこのことについてはどういうふうに大蔵大臣連絡をとっていただきましたか、それからまず。
  5. 米田正文

    委員長米田正文君) いまの問題は、保険料の問題については、これは与党議員も一非常に関心の深い問題で、まだ十分審議を尽くしておるとは言えないのであって、資料要求をいろいろしてあります。それで、その資料が出た上で、また理事会でその後の取り扱い相談をするという予定にいたしております。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 委員長も御承知のとおり、今度のこの自動車保険のいわゆる掛け金、二月一日にこれはもう実施されたわけです。そこで、私なんかも、自動車保険を切りかえてみるというと、三倍以上になっている。そういうことで、皆さん、この運輸委員全体が、おかしいじゃないか、なぜそんなに早くやるのか、こういうことで、この前の委員会では皆さんからお話があったわけです。私もそのとおりだ。そこで、なぜ緊急にこんなことを強行したのかということは、これは大蔵大臣を呼ばなければ理由がわからない。いま一つは、会社経理調査をしなければ、この前のお話のように一件扱えば千二百円も手数料を取るなんというべらぼうなことが許されていいのかどうか。それがみんな自家用所有者にいわゆる圧迫を加えるわけです。こういうことで、その両面からいっても、これは最も私は緊急性のあるものだと思うのですが、だからできるならば、いま国家全般予算審議をやっておることだから、四月以降にしてもらいたいというのが私どもの願いなんです。これはどなたも反対がないわけです。ところが、強行しちゃったわけです。一月の運輸委員会で、綾部健太郎運輸大臣には、何とか善処してもらうように、いま次官もここにおりますが、政務次官にもこのことは頼んだ。それを強行しちゃったから、前回委員会で、これはけしからぬじゃないか、それならばその正当性を裏づける資料を御提出願いたい、私はまあ一番最後に、皆さんがおやりになったあとだから、とにかくこれではしようがないから、大蔵大臣を出してもらおう、こういう話をしておいた。委員長のいまのお話を聞くと、とにかく資料提出要求をされておるから、その資料が提出されてからというお話ですね、いまのお話は。そうすると、私の言う大蔵大臣をという要求については、お考えにならなかったと、こういうことですか。これは御返答いかんによっては、なかなかそういうわけにはまいらぬわけですがね。
  7. 米田正文

    委員長米田正文君) 大蔵大臣出席要求の問題は、いまの私が前段申し上げた資料が提出されて、その内容等について見た上で、大蔵大臣のいまの御要求の分も一緒にして、理事会に私ははかってきめるつもりであります。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 委員長のお考えもうなずけますね、委員長としてのお考えは。ただ、私の委員としての立場では、とにかく二月一日から強行したというこの事実ですね。一月末の運輸委員会で、何とかこれをひとつ考慮できないのか、こういう点で、運輸大臣にも、政治次官にも、申し上げておった。しかし、現実に二月一日には強行してしまった。値上げを行なった。そこで、前回委員会では、これでは納得できないということが、皆さん、私も含めて、この運輸委員会の空気だった。だから、各委員皆さんからは資料要求があったけれども、私はその資料要求とともに、大蔵大臣出席要求をしたわけです。だから、私の発言がちょっと弱かったんですね。それでは、委員長のお聞き取りがまだそこまでいかなかったということになると、いま少しこれは声を強めて言わなければいけなかったかと反省をいたしますが、まあしかし、その点については、委員長の、資料とともにというお話になれば、そのことも、まあまるっきり委員長を責める理由もないと思う。ただ、私の気持としては、時期的に最も緊急性を持ったものだ、こういう理解は、これはできると思うのです。委員長はどうお考えになりますか。
  9. 米田正文

    委員長米田正文君) 私もこの問題は重要な問題だと思っております。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、委員長も私と同感のようでありますから、なるべく、これはもう保険会社資料を提出させるといったところで、そんなに時間のかかるものではない、決算をやっているのですから。ですから、大蔵省政府委員運輸省政府委員前回委員会説明をしただけでは、われわれには納得できない、こういうところに問題の起因があるわけです。それで、同時に、大蔵大臣答申を受けて、この答申に基づいて強行をしたというその事実、そういう内容は、やっぱり大蔵大臣責任も私はあると思う。前回大蔵省政府委員からの答弁では、運輸大臣にも十分御相談をしてありますと、こういうことなんです、そこで私は、せっかく政務次官がおいででございますから、一体運輸省というのは、そういう大蔵省と具体的な相談を受けた、それで三倍にも、中には五倍ですね、これは五倍、そういうことをのめのめと単に大蔵大臣がこうしたいからというだけで、最も運輸委員会関係の深い自動車の問題を、私のあれだけ委員会で何とか善処してほしいという意見に対して一顧だも与えられなかったという現実を顧みると、一体運輸省というものはどっちを向いているんだ、こういうことにもなりかねないと思うんですよ。そこで、たまたま運輸大臣が御出席にならないので、ひとつ政務次官に、運輸大臣とあなたがどんなお話をされたか、ひとつ聞かしてほしい。それでまああとの問題に入っていくわけなんですね。別にきょうはこの問題を中心にやるわけじゃないんだけれども、前回委員会のときに私が大蔵大臣出席を求めた経緯を私はお話をしているわけなんです。そういうことで、私は政務次官のお考えを聞いておきたいんですがね。
  11. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 運輸省は主体性をもってこの問題につきまして努力をしたつもりでございます。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 まあ政務次官の政治的なお答えだろうと思うから、私はそれ以上きょうは申し上げません。しかし、もしあなたのお答えのようなことがほんとうだとすると、当委員会とあなたの考えとはうんとずれがある。率直に申し上げておきます。このことがきょうの委員会の主体でありませんから、私は深く申し上げません。申し上げませんが、もしあなたの言うようなことだったら、これはもうたいへんなずれがある。このことだけはきょう申し上げて、いつかの時期にこれはもう十分審議するつもりです。そういうことはきょう申し上げておきたいと思うんです。  そこで、前回熱海——湯河原間の脱線事故についての問題でありますが、いま河村常務理事から御説明補足をしていただいたのは、前回質問では、どこの通運会社一体これを請け負ったかと、こういう質問に対する答弁だと私は思うんです。まあ河野さんがこの前もお話しになったように、あれは日通がやったんじゃないか、どこかの通運じゃないか、とこういう話があった。そこで、いまのお話では、三井金属作業員が行なったということであり、しかも、そのことについては、事前に、昭和三十一年ごろに試運転を行なっておる。だから、従来の木で張ったところの床張りのもので試験をしたときには別に支障はなかった、だいじょうぶだった、こういうお話補足ですね、前回委員会——と私承ったわけだ。そこで、三井金属作業員が行なったから、あるいは昭和三十一年ごろに試運転を行なったから、それで国鉄指導監督というものが免れるということには私はならぬと思う。つまり、現実には、鉄板で張った床であって、そしてそのための荷物のいわゆる片寄りといいますか、まあ荷くずれ的な問題がこの今回の事故を起こしたということが、説明をされておる。そうすると、一体、民間のそういう会社等専用線、引き込み線といわれるようなもので、そこの会社が扱ったものを、国鉄検査をしないでいわゆる輸送をそのまま行なっておるものかどうか、こういう疑問点が出てくるわけなんです。こういう点についてはどうなっておるか、お答えをいただきたい。
  13. 河村勝

    説明員河村勝君) 専用線発着貨物につきましては、必要があると認めた場合には、中継駅においてその駅の貨物掛が調べるわけでございますが、こういう定量貨物につきましては、積みつけやり方も非常に定型化しておりまして、この場合でも、両側に一列に七個を置きまして、まん中にそのささえのために二個を置くというように、それで、上に積みつけるものでなしに、ただ床の上に並べるだけでございますので、非常に積みつけ方といたしましては規格にはまったものでございまして、とにかく非常に、毎日四重も五車も出るものでございますので、一々検査するのでなしに、あらかじめ試運転をし、会社にそういう積みつけ方を指導いたしまして、それで検査を省略していることは、決して現場としてそれについて責任があるとは私は考えておりません。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 いま河村常務理事の話を聞いておるというと、検査の省略もあり得るし、そういうことで責任というものを追及する必要もなかろうという印象だと思うのですね。いわば普通ならば事故は起きない、試運転もやって経験をしておるし一ということになると私は思うのですね、いまのお話は。ところが、現実には大きな事故を起こしたわけだね。そうすると、事故を起こした、原因というものが、いま言った荷くずれ的な、積載貨物が片寄った、こういうことで、浮き上がりかせり上がりか知らぬが、とにかくそれが原因脱線事故を起こし、しかも反町間にわたって東海道幹線列車運転を麻痺せしめたということになる。そうすると、一体これは責任はないことですな、どこにも。そういうことになりませんか、これはどうでしょう。
  15. 河村勝

    説明員河村勝君) この事故原因につきましては、一応この貨物偏積の状態になったということにあろうというふうに推定されておりますけれども、これは現在なおこまかいいろんな状況を調査中でございまして、いままでのところ他に原因がつきとめられないので、残るところは、原因はここに求めるよりはかなかろうという推定でございますので、なお現地の事情について、これから詳細に調べるわけでございますが、一応推定された結果から見まして、鉄板の床を利用した場合についての積みつけについて、あらかじめもう少しこれを解決する必要があったのではないかということを考えておりますので、その点については、現場ではなしに、そういった場合の試験はもう少し慎重にやらせる必要があったというふうに、本社あるいは局等責任があったものと考えます。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 いまの河村常務理事反省から、今後の方針というものがちょっぴり述べられたと私は思うのです。思うのですが、いままでのお話を聞いておる限りにおいては、昭和三十一年ごろにこの試運転をやったと、こういうことですね、昭和三十一年ごろに、それはどうなんですか。
  17. 河村勝

    説明員河村勝君) 私が先ほど申し上げましたのは、三十七年でございまして、三十七年八月。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、とにかくこういう運転問題については、これはもう鉄道始まって以来客種の研究を行なっておるわけですね。ですから、私はむしろ研究そのものは行なわれておっても、実際に扱った場合の検査というものが十分行なわれておったかどうか、あるいは検査を行なえないような——作業時間というものが足りなかったのかどうか、なかったのかどうか、こういう点も、先ほどの御説明によりますというと、とにかく三井金属作業員が積載したものをそのまま輸送せしめたと、こういうことに聞こえるわけでありますが、そこが一つの問題点なんじないかと思うのです。いままでの本社として御連絡をとったところでは、検査をしたという確認はないんですか、いかがでしょう。
  19. 河村勝

    説明員河村勝君) この場合、中継駅において検査をしたという事実はございません。ただ、この積みつけにつきましては、過去においては非常に荷くずれによる事故が多かったのでございますが、昭和二十七年に、そういう事例にかんがみ、荷物の積みつけ標準というものをこしらえまして、こういう形の荷物あるいはこういう重量荷物はこういうかっこうで積むんだという標準をこしらえまして、それを現場指導して実行せしめた結果、昭和三十年ごろから以降はほとんどこういう荷くずれに基づく事故がなくなってまいっておりまして、そういう意味現場指導はずいぶん徹底しておりますので、当該会社についても日ごろの指導は十分やっておりますので、こういう定量——繰り返して申すようでありますけれども、大量貨物の場合に全部が全部をチェックするということは、実際問題として現場仕事としては困難でありますので、こういうやり方をとることはやむを得ないことだと考えております。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 いまのお話を聞いておると、どうもやはり十分な検査確認等が行なわれておらなかったという結論だと私は思う。どこでも確認をしてないという、中継駅でも。これはどちらかというと仕事になれ過ぎてるということも言えるかもしれませんね、まあこの辺ならだいじょうぶだろうという。専門家があまりにも専門過ぎちゃってなれ過ぎたという感もないではない、今のお話を聞いていると。しかし、事運転については、それほど国鉄は甘くないと思うんですね。運転事故だけはどんなにきびしくしてもきびし過ぎるということはないと言われるほどの、国鉄は私は従来のあり方だと思う。またそれが国鉄事故を減らし、また国鉄の信頼を国民から持たれることだと私は思うんです。そういうことからいくと、やはり事故が起きたということは、どこかにそういう粗漏があった、手落ちがあった、あるいは足りなかった点があったということになろうと思う。そこでひとつお尋ねしたいのは、この大牟田駅ですね、会社から最初国鉄発送駅は。——大牟田のいまの貨車取り扱いというものは。どのぐらい一日に行なわれているんですか、それで三井金属からはどのぐらい出ているんですか。
  21. 河村勝

    説明員河村勝君) 正確な数字を持っておりませんが、大体貨物掛が三十人ぐらいいる駅でございますが、大体二百両ないし三百両の発送があるというくらいの見当ではないかと思います。三井金属からは毎日四単科度でございます。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 これだけの、二百両ないし三百両の発送を行なう——駅としては非常に大きいですね、大牟田駅というのは。ここには車両等検査するそういう専門的な国鉄の機関があるのでしょうね。
  23. 河村勝

    説明員河村勝君) 客貨車区はございません。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、これはどこでそういうものの検査をするのですか。
  25. 河村勝

    説明員河村勝君) 濶大貨物の場合は、検車区から来てもらいまして、それを調べるわけでございますが、こういう荷物はそういう濶大貨物に該当いたしませんので、これは貨物掛が積みつけを調べるだけでございます。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 この検車区というのはどこにあるのですか、この大牟田の駅の付近では。
  27. 河村勝

    説明員河村勝君) 鳥栖でございます。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 大牟田から鳥栖までは何キロぐらいあるのですか。
  29. 河村勝

    説明員河村勝君) どうも正確な数字を持っておりませんが、おおむね三十キロ程度であると思います。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、たとえば大牟田の駅で発送する場合に、これは検車区の人に見てもらわなくちゃいけないというときに、三十キロもあるところに電話をして来てもらうということになると、かなり時間を費やすということになるのですね。そうすると、見てこれはと思ったものは、貨物掛がこれは危険であるとかあるいは危険でないとかいう判断をした場合に、危険であると認めた場合には、その会社手直しをさせるとか、あるいはその発送を停止して構内にとめて置くとか、あるいはその検査掛検査の終了を待つと、こういうことになるわけですか。
  31. 河村勝

    説明員河村勝君) こういうところの駅におきましては、ほとんど全部が専用線発送貨物でございまして、したがって、品物の中身、荷姿等はもうきまっているわけでございまして、事前に全部わかるわけでございます。したがって、そういうものの発送のしかたについて、あらかじめこういう形でやるということにきめておりますので、そういう輸送渋滞というようなことはございません。したがって、特に異例なもの発電機とかなんとか、そういうようなものを積み込む場合に限って検車区から来てもらうということで、決して仕事渋滞を来たすというようなことはないということでございます。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 私のお尋ねをしているのは、まあ仕事渋滞ということよりは、列車運転に危険が伴うか伴わないかという判断をする場合ですね。駅の貨物掛貨車を見て、そうしてこれは運転に危険であるという判断をした場合には、自分が専門家としての立場と、またそういう客貨車の、安全運転のための検査を行なう専門家立場と、こういうものがあろうから、その場合に、もしこれは会社側荷物手直しをしてもらう、積み直してもらう、そういう判断ができるときには、それもいいでしょう。これはまあ検査掛に見てもらわなければいけない、こういう場合もあるかもしれない。その場合に、いまの御質問を申し上げたわけですが、お話を聞いておりますと、もう通常この荷物はきまっているから、そういう検査掛検査を必要としないという判断国鉄本社は持っている、こういま私は聞えたのですが、そういうことですか。
  33. 河村勝

    説明員河村勝君) そうではございませんで、検車区、客貨車区の検査を必要とするものの範囲は、あらかじめ貨物運送規則に基づいて「かつ大貨物その他検査心得」というものがございまして、これによってきまっております。したがって、濶大貨物は、これはもうめったにあるものではなく、それ以外には車扱いによる鉄板類及び一個の重量一トン以上の転動防止を必要とする貨物または密閉貨物ということになりまして、それに限られておりますので、これに基づいて客貨車区と連絡をとるわけでございます。そういうものについてはチェックは容易でございます。そう現場において判断に苦しむことはなかろうと思います。
  34. 相澤重明

    相澤重明君 私の申し上げたことがまだ大分のみ込めておらないように私は思うのですが、いまあなたのお話は、鉄道のこの標準輸送貨物の積みつけ標準といいますか、そういうことに対する解釈だと私は思うのですね。私の申し上げておるのは、それはそれとして、しかしこういう場合は危険ではないか、こういう判断をされたときに、専門家に来て見てもらわなければならぬこともあるだろう、こう言っておるのです。そういうことがあるとする場合に、いわゆる検査掛を呼ばなければならぬだろう。そういうことをやらないでいいということには私はならぬだろうと思うのだが、その点の私の質問に対するあなたのいまの御説明では少しズレがあると思うのですが、どうですか。
  35. 河村勝

    説明員河村勝君) 私はズレはないと考えておるのですが、一トン以上で転動防止を必要とする貨物でありましても、全部が全部毎日検車区に連絡して調べてもらわなければならぬということはないのでございまして、そういうものは、最初にこういう荷姿でやるのだということにきめておけば、その荷姿に従って出たものは貨物掛判断によって検車区に連終をする必要はない。特に危険と認めた場合は、これは非常に事例が少ない。そういう場合には、当然連絡をとって見てもらうことになると思います。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 あとのほうのお話でやや私の質問お答えになったと思うのですが、最初にこの積みつけ標準お話があって、しかし特別の場合は検査掛を呼ぶこともあり得る、こういう話ですから、私の質問もそこにあったわけです。そこで、先ほどのお話ですと、一つのといいますか、一本の重さといいますか、それが一トン以上という、そういうものについては検査をするということですか。
  37. 河村勝

    説明員河村勝君) 一トン以上であって、それで転動防止を必要とするもの、要するに転動しやすいものという両方の条件がございますので、一トン以上であるから調べなければならぬということはないわけです。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、これはやはり明らかに国鉄のそういう取り扱い制限に対する指導が足りなかったということですね、今度の事故原因は。つまり、いままでは木の板で、そういう柱か何か知らぬが、転動をしないようにすればよかったかもしれぬけれども、いままでは木の板の床のもので試運転をしておって、そうして亜鉛を積んでも試験の結果は心配がなかった、こういうことですね。ところが、たまたま今度の事故が起きたのは、そうではなくて、鉄板だった。それで結局荷物が片寄ったのではないかという想像でしょう。そうすると、鉄板車に対するそういういままでの指導というものは具体的にはしてなかったわけですね。いかがですか。
  39. 河村勝

    説明員河村勝君) 先ほど申し上げましたように、鉄板の床を使った場合の指導について欠けることがあったことは反省しております。  なお、検車区は鳥栖と申しましたが、大牟田の隣の荒尾に検車区がございます、ちょっと訂正しておきます。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、国鉄はずいぶん長い間信頼されてきて、絶対に国鉄ならそう間違いはないという誇りを持って私どもきたと思うんでありますけれども、いまのたった一つ鉄板車扱いについてすら実はこれだけ長い間の鉄道でも研究が足りなかった、ミスがあった、こういうことは、明らかに私はやはり指導部の責任だと思うんですよ。ですから、現場でもってこまかくきめられたものについて、それをそのまま扱っておれば間違いがないと、こういう判断をされておる。ところが、現実にはそれは間違いが出てきた。それは、いま言った鉄板車取り扱いについて指示がなかったので、たまたまそれが一つ事故原因になった、こういうことになると、やはりこれは国鉄のそういう輸送運転の安全確保という面に国鉄は十分尽くしていなかった、こういうことの解釈に私はなっていくと思うんですが、そうお考えになりますか、いまでも。
  41. 河村勝

    説明員河村勝君) これは繰り返して申すようでありますが、確かに鉄板車——先ほど申し上げましたが、結論は簡単に出ておりませんけれども、鉄板であるがため、それによってすべって偏積になったという結論に到達するならば、確かにその点についての指導が欠けたということは、私ども反省をいたしております。
  42. 相澤重明

    相澤重明君 率直に反省をされておるんですから、こういう事故を再びなくすという御努力を期待するわけですが、そこで先ほどもちょっとお話があったようですが、今後そういう鉄板車を、重量物を扱う場合の指導というものを何か示達をしたんですか。
  43. 河村勝

    説明員河村勝君) 示達をいたしました。その内容は、先ほど申し上げましたように、こういう転動しやすい貨物についての鉄板車の使用を禁止いたしますと同時に、こういう種類の転動しやすい貨物については、二寸角ぐらいの角材を使いまして、そのすべりをとめるというような措置を講ずるように、現場にとりあえず指示をいたしております。
  44. 相澤重明

    相澤重明君 その指示はいつですか、またどういう文書ですか。
  45. 河村勝

    説明員河村勝君) 文書をちょっとここに持ってまいりませんが、内容はいま申し上げたとおりでありまして、事故の発生をいたしました翌日にこれを出しております。
  46. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、二月七日ですね。
  47. 河村勝

    説明員河村勝君) そうでございます。
  48. 相澤重明

    相澤重明君 これひとつあとで示達したものを資料として当委員会に御提出をいただきたい。  それから、こういう事故が起きて、前回も私は石田総裁にきびしく申し上げたんですが、事故が全国的に大きい個所でありますし、また広範囲のものですから、確かにいろいろな形の事故があることは、これは事実だと思う。私どもそのことを否定をするわけではございません。けれども、事故をなくすという努力はしなければならぬ、事故をなくするという努力はしなければならぬ。事故があってもやむを得ぬという考えはいかぬわけですね。ですから、石田総裁に前回のときに、貨物列車の脱線についてどう思うか、こういう私の質問に対して、まあ貨物列車の脱線というものもいままでたくさんあったと、やむを得なかったと、こういうような御答弁があったから、私が御注意申し上げたわけです。国鉄は国民から信頼をされる国鉄になってもらわなければならぬ、事故をなくす努力をしなければならぬ、安全輸送を確保しなければいけない、こういうことで私は総裁に申し上げたんでありますが、国鉄の安全輸送という問題について、いま鉄板貨車輸送の場合の重量トンのあるものについての一つの示達は出た。しかしその他の一体国鉄の安全輸送ということについてどうお考えになっておるか、これは政務次官と副総裁とそれぞれからお答えをひとついただきたい。
  49. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) きょう総裁は病気引きこもり中でございますので、私がかわってお答えいたします。  ただいま相澤先生からおっしゃいましたとおり、国鉄といたしましては、何と申しましても事故をやってはいけない、絶滅できないまでも、とにかく何とかして事故を減らす努力をすべきであることは、もうお説のとおりでございまして、私どもも現在頭の中は九五%以上事故問題でふさがっておるような次第でございます。しかし、不幸にしてやはり思いがけなかったような重大事故がときどき起こりますことは、もうまことに残念しごくでございます。  過般のこのいままで御議論のありました問題につきましても、一年数カ月間、車数で申しますと千五百車、鉄板車につきましても約四百車程度のものが無事に送られていながら、やはりこういう事故が起きたということは、事故に対する安全度の見方あるいは余裕の見方がやはり足りなかったのじゃないかというふうな気がいたします。したがいまして、私どもといたしましては、あらゆる方面で事故が起こり得る可能性のあるいろいろなケース、いろいろな事態をつかみまして、そして本社現場一体となって事故の防止に邁進している次第でございます。毎月一回必ず管理局までの責任者を集めまして、事故防止の研究会をいまさらながら実はやっておる次第でございますけれども、やはり一つ一つ事態をつかまえてあとを追っていくということでは国民に対してまことに申しわけない次第で、何とか事前に起こり得るあらゆるケースをつかまえて事故防止をやってまいりたいという熱意に燃えている次第でございます。力及ばずして事故が起きていることは、まことに申しわけない、残念しごくでございます。今後ともできるだけの最大限の努力を払いまして事故防止に邁進いたしたいというふうに考えております。
  50. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 相澤先生から御指摘のように、国鉄は、先般の鶴見事故もございますし、また今回の事故考えまして、もう事故防止の対策を徹底的にやるべきであると考えております。  なお、最近も、貨物列車の長大と申しますか、非常に長大列車が多くなりました。こういう問題につきまして、今後とも事故が再び起こらないように、徹底的な究明と、そしてこの調査につきましては、私はできるだけあまり時間をかけないと申しますか、結果をできるだけ早期に出しまして、そして国民の国鉄に対する不信の念を一掃するようなひとつ措置運輸省といたしましても国鉄に督励をし、またわれわれも協力をしまして最善の策をとりたい、かように考えております。
  51. 相澤重明

    相澤重明君 政務次官及び副総裁から誠意のある御答弁をいただいたわけで、私も喜んでおるわけですが、しかし、言葉の上の誠意というのは、これはどこまでも使えるわけです。事故というものは現実なわけです。過般の昨年末の国電鶴見事故というものは多くの生命を奪われた、こういうことになると、やはり事故をなくす努力というものは、お互いに職員も首脳部も一体となってやることは、これは当然な話です。しかし、単に精神訓話だけでは私はいけないと思う。そこで政務次官に、国鉄の安全輸送確保について運輸省はどういう国鉄に骨を折ってやったのか、つまり安全輸送を確保させるためにどういうその裏づけをお考えになってやったのか。これは、国鉄に単に事故をなくせ、総裁示達だ、命令だと、こう言ってみたところで、裏づけがなければ、私はやはり口頭禅に終わると思うのです。それで、運輸省として、これだけのことをひとつわれわれも政府全体が力になって国鉄のためにやるから、ひとつ国鉄もしっかりやってくれ、こういうことにならなければ、事故というものは私は起こり得る。現にこういう私どもが話をしているときにも事故が起きているかもしれぬ、今後もさらに起こるかもしれぬ。その事故を食いとめるためには、定員の問題や、予算の問題や、事故のそういう究明策や、いろいろな問題が私はあろうと思う。特に人が足りない点、予算が足りなくて、どうも修理をしなければいけない、根本的に直さなければいけないというところが直せない、こういうことをよく言われておるのでありますね。こういうことについて、運輸省はどういう国鉄のために力を尽くしてやったのか、これは政務次官からお答えをいただきたい。
  52. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) この点につきましては、運輸省といたしましては、国鉄の十分意向を聞きまして、事故関係の予算につきましては、三十九年度は約二百七億の予算を計上いたしました。なお、この事故原因につきましては、私いろいろの諸条件があると思います。それにつきまして、運輸大臣も非常に心配をされまして、今回は国鉄の基本問題調査の審議会をつくりまして、そうして七月までには基本的にこの問題を調査検討をしたい、こういうことを総理にも強く要望をし、総理もその考え方で進んでおる、かように考えております。
  53. 相澤重明

    相澤重明君 事故対策のために二百七億の金を出した、そうして根本的な問題としては、基本問題審議会をつくって、七月までに何とかそういう方針というものを明らかにしたい——まことにけっこうなことですね。それで、基本問題審議会というのは、いまの性格は事故対策ということになろうと思うのですが、構成とか発足とか権限とかいうものはどういうものですか。
  54. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) まだその詳細につきましては今日お話を申し上げる段階に至っておりませんけれども、他の審議会と同様の権限を持ってまいると私は考えております。
  55. 河野謙三

    河野謙三君 時間がだいぶ経過しましたから、一言だけ。  あの今度の事故原因というものは、あなた方はその所在をはっきり知っておりながら、僕はポイントをはずしておられるのじゃないかと思うのですがね。私は、大きな、鉄道に限らず、日本の社会全体の共通の一つの問題が原因にあると思う。それは労力不足ですよ。労力が不足していますから、たとえば運送の場合、今度の場合で言うならば、積み込み地におけるところの作業員というものの経験というものは非常に私は不足していると思うのです。私は見なくたって、調べなくたって、聞違いない。これは日本全国共通の問題ですよ。一方、貨物掛というものが一々積み込みに立ち会って、積み込みが終わったなら封印をしてということになっておりますけれども、そんなことをやっている駅はありませんよ、実際を言って、人手不足や何かで。だから、結局たよるところは作業員の問題でしょう。その作業員が質が非常に低下しておる。それならそれをカバーするのに、貨物掛というものが完全に立ち会ってそれを検査するということでも実行されればいいけれども、それも現状において定員その他の関係において不可能だ。そこに原因があると思うのですね。そうじゃありませんか。だから、今度の鉄板車とか何とかいう問題もあるけれども、それは鉄板車よりも木造車のほうがベターであることは間違いございませんよ。しかし、あなた方がかねて示しておるところの規格によってぴちっと積み込みをやっておれば、私はそんなことはないと思うのですよ。問題は、作業員の私は経験の問題だと思うのです。だから、この問題が片づいても、政務次官、とてもこれは次から次へ起こりますよ。問題は日本全国ですよ。自動車といい、電車といい、貨物といい、何でもかんでもそれに関連するところの経験不足、労力不足によるところの経験不足、一方において貨車が非常に多くなった、交通が多くなった、 このカーブとカーブのぶつかったところに私は大きな問題が起こっておると思うのです。私は、政府が、相澤さんが一生懸命責めるから、責任がどうのこうの言われるけれども、現状においてそこに原因があるのを私は簡単に解決がつくとは思わない。思わないけれども、これはこの大きな問題に取っ組まなければ抜本的な解決にならぬと思うのです。私がいま言うように、作業員の労力不足、質の低下、それに基づくものに大きな原因があるとするならば、一体これとどういうふうに取っ組まれますか。たとえば、これは三井金属の形式は職員になっておりますよ、形式は。それで常用の人夫だけがあれになっておりますよ。しかし、大部分はきっと臨時の者を使っているに違いありませんよ。その大部分の臨時の者は、どこの何々組とか、何々親分というところから来ておりますよ。これはそうですよ。それは間違いありませんよ。そうでなければ会社は経営成り立つものじゃない。そういう制度の問題まで取っ組まなければ私はいかぬと思うのです、制度の問題まで。そこらのところ河村さんどう思います。私は、少し急所に触れないで、何か変なところで議論をしておると思うのですが、どうなんですかそれは。
  56. 河村勝

    説明員河村勝君) 一般的な傾向として、先生がおっしゃるように、全般的な労力不足の問題が出てくると私も考えますけれども、実際現実にあらわれた結果としましては、相澤委員質問お答えいたしましたように、 ここ七、八年の間犠牲、事故というものがほとんどなくなりまして、一年に一件あるかなしかということです。総体的に非常に改善されております。この場合に、この具体的な場合は、亜鉛の梱包されたものを両側に七つずつただ置くだけなんです。幾つも積むような技術的なことは何も要らないから、特別な技能も何も要らない。ただ七つ並べて閥に二つ置くというだけでございますから、この場合に関しては労力不足というものが直接には影響あるとは考えられない、そう考えております。
  57. 河野謙三

    河野謙三君 そこまで詳しくおっしゃれば、私は申し上げますが、このごろ簡単な米俵を積んでも、麦の俵を積ましても、完全にハイツケのできるやつはいませんよ。非常に多くかかっておるのですよ。そういう熟練工はいない。いわゆるそこらから集めてきたところの臨時の人夫を使って作業の大部分をやっておるのです。会社の経営からいきましても、そういう熟練工を持っておるよりは、常用でかかえておるよりは、臨時でそこらで拾ったほうが安いから、そういうことになるのですよ。そこが作業の中心になっておるのですよ。そこに原因があるのですよ。だから、いままで貨車の脱線とかしょっちゅう起こるけれども、国鉄はそのつど原因を究明しておられるけれども、私は少なくとも、今度の事故だけじゃなくて、貨車脱線事故には相当積み地におけるところの積み荷の状態も悪かったということは非常にあると思うのです。それで、形式的には、ちょっと状態の悪いのは、さっきの話で、途中で検査するとか何とかいいますけれども、そんなのをほんとうにやっておりますか、あなた、その検査なんていうことは。そこらは、労力が不足しておるか何か知らぬけれども、それはとにかく、私は決してあなたを責めるのじゃない。このいまの日本の社会全体において、すべてのものが労力不足、質の低下、そこから出発していろんな問題が起こっておるのですよ。その労力不足で、質の低下で一番大きくかぶっているのは、いろんな問題をかぶっているのは、国鉄だと思うのですよ。だから、これは国鉄だけの責任じゃないと思う。ないと思うけれども、そういう意味合いで実は長々と話をするけれども、この間ぼくは、綾部運輸大臣はおられなかったと思いますけれども、石田国鉄総裁にも言ったのです、いまの日通の制度についても再検討をしてみたらどうだと。一駅一店というようなことで実質的には動いていますよ、大部分の日本の国鉄の駅は。そういうことがはたしていいか悪いか。私は悪いと言うのじゃないのです。検討する段階にきていると思うのです。そうして、一駅二店なり三店なりになれば、同じ作業員を頼むにも、あそこの運送屋を使ったほうがいいとか、ここは親切でいいということになりますね。現状において、いなかの駅へ行ってごらんなさいよ。日通の看板で——私はいま金丸さんがいるから言うのじゃないのですよ。金丸さんによく監督してもらいたい。いなかの駅へ行きますと、日通の看板でみな仕事をしていますよ。ところが、背後地からトラックで物を持ってきます。これは別のものが持ってくる。その持ってきたものを、積み荷か何かそのまま貨車へ積み込んで、日通はそこで立ち会っている。その作業賃は払いますよ。そういう形になっているのが私は非常に多いと思うのです。日通は自分でやりたいけれども、いまのお話のようになかなか人夫が獲得できないということなんですしそこらのところは、やっぱり労力不足からくる作業員の質の低下、これを改善しなければ、すべての事故の問題は解決しませんよ。だから、その問題を大きく、国鉄とか運輸省とかいうだけじゃなく、それこそ政府全体において私はこの問題を解決しなければいかぬと思う。はなはだ長広告をふるいましたけれども、その点についてもし綾部運輸大臣なり河村常務理事の御意見があるならば伺いたい。その問題は、私はあると思うのですよ。  そこで最後に申しますけれども、徹底的に究明してもらいたいのは三井金属だ、三井金属が積み荷について責任があるのなら、これは私は処分してもらいたいと思う。そうすれば、国民全体に迷惑をかけたあの事故原因は、三井金属の積み荷の問題に原因があるなら、三井金属を処分してもらいたいと思う。それをやらなければいけませんよ。これだけ原因がはっきりしているでしょう。何も国鉄総裁なりあなた方が責任を負うことはない。その前に三井金属そのものを処分したらいい。その処分をする決意ありますか。
  58. 河村勝

    説明員河村勝君) 一般的な問題として、先生がおっしゃるような労力不足という面から今後の十分対策考えてまいりたいと思います。具体的に三井金属につきましては、まだ調査の結果が完全に出ておりませんので、また鉄板を使用したことによる事故であるとするならば、そこらはちょっと問題が別になりますし、また実際発送した場合の荷姿がどうであったかということの証拠がなかなかつかむことが困難だろうと思います。しかし、今後これから、まだ調査が完了しておりませんので、十分調査をいたしまして、その結果によって判断をしてまいりたいと思います。   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕
  59. 河野謙三

    河野謙三君 私はその責任だけははっきりしておいてもらいたいと思うな。会社がかりに積むでしょう。それはやっぱり形の上においては貨物掛が立ち会うでしょう。立ち会わないですか。立ち会って封印するでしょう。それを引き込み線は立ち会わないですか。その会社が勝手に積み込んで勝手にやるのですか。
  60. 河村勝

    説明員河村勝君) 専用線につきましては、接続駅におきまして封印をして、それから発送するという形式になっております。また、この三井金属の場合につきましては、これは三井の専用線、現在地方鉄道の認可がおりている線でございまして、非常に数量も多く長いところでございますので、一一貨物掛がその算用線の現場に行って見るということはできないと思います。
  61. 河野謙三

    河野謙三君 でありますから、理屈の上からいけば、貨車に物を積んだ以上は、必らず国鉄責任において立ち合って、そうしてそれに封印すべきでしょう。私はさっきから申し上げているのです。理屈はそうであっても、現実において、人手不足その他の関係で、またここずっとの慣習からいきまして、一々貨物掛が立ち会っておりませんよ。それで、日通なら日通を信頼してやっているわけです。ところが、今度こういう事故が起こってみれば、やはりそこは理屈に従ってやるよりしかたがないじゃないですか。どういうその責任をとらせますか。私は、その会社側がどこまでも、私どもは示されるとおりきちんと積みましたと言い張るならば、これは国鉄責任になってくると思うのだ。もっと具体的には、貨物掛責任になってくる。したがって、その駅の駅長の責任になる。これだけの事故を起こしたのだから、その責任を究明しなければいけませんよ。それだけの態度で臨んでおられますか。
  62. 河村勝

    説明員河村勝君) 先ほど御説明申し上げましたように、この場合には、積みつけ方を鉄道三井金属の間で打ち合わせをいたしまして、その荷姿で試逆転をいたしました上でやっておりますので、もしその積みつけどおり積んだといたしますれば、会社側責任を追及するわけにはまいらないわけでございまして、もしそのとおり積んでいないとすれば、これは会社側責任があるわけでございます。したがって、結局は証拠いかんという問題になりますので、追及すべき責任はあくまで追及いたすつもりでございますけれども、なかなか実際問題としてはむずかしい問題だろうというふうに考えております。
  63. 河野謙三

    河野謙三君 話が飛ぶけれども、私はおかしいと思うのだ。鉄道が示した基準に従って積み込みをしているなら、これは運送屋の事故もございませんよ。それから鉄道事故もございませんよ。これは、きのうの御説明と違って、それは積み荷の荷姿責任じやなくて、その他の原因で脱線したということになる。そうでしょう、一応は。だけど、現実に、積み荷が横に片寄って、そうして脱線の原因がそこにあるようだということになれば、積み地におけるところの責任があるじゃないですか。それがわからないといったって、あなたのほうはそんなわからないということは言えませんよ。形の上においては鉄道がちゃんと立ち会うことになっているだから、わからないということは言えませんよ。わからないといったら、今度はなぜあなたたちは立ち会わなかっか、どういう責任鉄道は封印したかと、こう言われても困るでしょう。結局、三井金属なんかが正直に、あなたたちに、それは私のほうが悪うございましたと言うか、私のほうはちゃんとやりましたが、鉄道のほうの何か他の原因でございますと、こう言うか、どっちかですよ。原因不明というあれでは私はいかぬと思うが、どうなんですか。
  64. 河村勝

    説明員河村勝君) 別段私どもは三井金属に遠慮しているわけでも何でもございません。もしこれが責任が追及できて損害賠償の金が取れれば、それにこしたことはないと考えておりますけれども、先ほどから御説明申し上げておりますように、試運転を木の床を使った車でやっておった問題でございまして、証拠の問題とかいろいろな条件が込み入っておりまので、実際問題としてなかなか困難だろうということを申し上げただけで、決してやる意思がないかと何とかいう問題ではございません。
  65. 河野謙三

    河野謙三君 くどく申しますが、いずれにしても、これは鉄道責任があるか、三井金属責任があるか、どっちかですよ。両方とも何だかわからないでは済まされない。きのうの御説明によりまして、積み荷のやり方について一つの落ち度があった、こういう御説明ですよ、きのうは。この間の積み荷の事故のようにどこがどういう原因だかわからないということでなくて、今度の熱海の貨物の脱線というものは、その原因わかっているんですから、その原因は、要するに、三井の側にあるか、国鉄側にあるか、どっちかでしょう。そのまん中のものはないはずですよ。そのいうふうに受け取っていいんでしょう。そのどちらにあるかということをわれわれはあなたたちの調査の結果待って報告してもらいたい、こういうことですね。それでいいのですね。
  66. 河村勝

    説明員河村勝君) けっこうでございます。
  67. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣にせっかく御出席いただきまして、御苦労さまでございます。あなたの答弁を待っておったわけです。  そこで、実は前回委員会で熱海湯河原間の貨物列車脱線事故の問題を質疑しているわけです。いまの河野先生からのお話も、それなんです。先ほど、運輸大臣はどういう、このこういう事故をなくし、いわゆる国鉄の安全輸送確保ということについて御努力をされたか、ただ国鉄職員に事故をなくするために一生懸命やれという精神訓話だけではだめだ、それには定員の問題もあるだろうし、予算の問題もあるだろうし、あるいは過密ダイヤの問題もあるだろうし、直したいところが金がないために直せない、こういうようなことで危険の度合いというものは重なっているのではないか、そこで、そういう人の問題とか予算の問題の裏づけがなければ、これは運輸大臣国鉄事故をなくするために一生懸命やれという実は仏つくって魂を入れることにはならぬという、まあ証をしたわけです。そうしたところが、政務次官から、いや運輸大臣はたいへん御心痛いたしまして——まあそういう言葉ではなかったけれども、非常に御努力をいただいて、何とか事故をなくそう、こういうことで、実は基本問題審議会等を政府の中でもご相談をされてつくるようにして、できれば七月ごろまでに結論を出したい、こういうまあ誠意ある御答弁があったのです。そこで運輸大臣にお尋ねするわけですが、いつごろからこれをお始めになるつもりですか、またこの構成はどういうふうにお考えになっているか、簡単でけっこうですからひとつお答えを願いたいと思います。   〔理事谷口慶古君退席、委員長着   席〕
  68. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) その問題は、過日の予算の緩衝におきまして、国鉄が主として過密ダイヤを解消するためにはどうしても保守費その他の国鉄のやっている五年計画を今度もう一挙に繰り上げて三十九年度にやってもらいたいというので、たしか五百何十億の予算を要求いたしました。それがどうしても国家の財政から許されないので、約半分近いものに、千三百億ぐらいに削減されたので、その復活要求の途上におきまして、毎年国鉄の過密ダイヤを解消するために措置費を要るだけ出せないというのならば、根本的にひとつ国鉄のあり方、すなわち、財政とのつり合い、あるいは運営の問題その他について、根本的にひとつ調査をして、そうしてきめようじゃないかということでございまして、その閣議の席上でそういうことを私が要望して残念ながら大蔵省の削減に応じた、こういうことでその議が始まりまして、内閣におきまして——運輸省だけではいかぬから内閣でひとつやれというのですから、いま官房長官のところにおいてせっかくやってくれている最中であります。この間国鉄総裁も催促しましたし、私も催促いたしました。  それから保安対策につきましては、国鉄要求するだけの本年度の保安対策費は、この前あなたからもやかましく言われておりましたから、たしか二百七億円だったと思いますが、国鉄が想像し得る保安対策の今年度の要求額は全部予算に計上してありますからして、それを実行していけば、いまの想像し得る保安対策は全然もう万遺憾ないと申しますか、十全を期すという意味に私は考えております。そういうことで国鉄指導をいたし、国鉄を信頼いたしましてやっておるつもりでございます。
  69. 相澤重明

    相澤重明君 いまの運輸大臣の御答弁を聞いておると、事故対策の基本問題審議会は、結局内閣官房ですか、官房長官のところで立案をしておるという段階だ。
  70. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 保安対策ではないのです。国鉄の根本について——もちろん保安対策もその一つ、過密ダイヤの解消もその一つ、あるいは公共性の問題、あるいは企業性の問題、あるいは何と申しますか、国鉄を中心にして運輸体系その他全部について、根本的に国鉄の問題について研究しよう。そうしてどうすればいいという結論によって予算を組もう、そうでないならば、国鉄のいま言うとおりの予算を大蔵省が全部出すならそれは何をか言わんやであるが、国家の現状出せない、そうするにはどうしたらいいかということについて——単に保安対策というだけではありません、そのうち保安対策ももちろんあります、過密ダイヤもあります、あるいは運賃のあり方、あるいは企業体、ただいま何べんも申しましたように、公共性と企業性をいかに調和していくかというようなこと、すべてを研究をして、そうしてそれを予算編成の基本方針にしよう、こういうことでやっておるのでございまして、あなたの言う単に保安対策委員会をこしらえるというのじゃありません。より大きな見地に立ちましてやろうとしておる。それには、運輸省だけでやっちゃいかぬというので、内閣にその委員会を持ちまして、そうして根本的な問題を研究しよう、こういうことでございます。
  71. 相澤重明

    相澤重明君 私もいまそのことを聞いたのです。事故対策についての基本問題審議会は内閣官房で立案をしておるのか——保安対策の話じゃなかった。それについてお答えがありました。そこで、そういうことは当面日本の国として緊急性を持ったものである。こういうことですね。そうしますと、そのことについては、これは意見が一致します。私ども社会党も、どうしても国鉄の問題はやはり緊急に整備をしなければいかぬ、こういうことになります。全く同感です。社会党と運輸大臣の意見一致ですから、ひとつ私のほうの意見も入れてそれをやりましょう、一致なんだから。それはまたあとで聞きますが、それはそれとして、先ほどの事故対策の問題について、もろもろの条件があるということは、政府、国鉄ともに認めておるわけなんですが、先ほどの大臣の大蔵省との予算折衝の過程におけるお話と、いま予算に提案をしておることにちょっと触れてお答えがあったのですが、 これではやっぱり根本的な問題の解決にはならぬということは、いま大臣もおわかりですね。従来やっぱり事故というものは、非常に大きな事故がたくさん起きておって、常に研究、あるいは対策委員会等を持たれており、今回も熱海——湯河原間の貨物列車の事故において、当局としては事故防止の分科会というようなものを設けた。そうして、先ほどの河村常務理事お話では、翌日に総裁の示達かなんかを出されて、今後の積み荷等の問題についての対策を講じられたと、こうお話があった。そこまで進んでくれば、私はやはり、運輸大臣国鉄に対していま必要とする、いますぐ手を打たなきゃならぬものがあると思うのです。さらに、河野委員からもお話があった人が足りないということ、これは現実の問題じゃないかと思う。人が私は余っておるとは思えない、現状でいいとは思えない、輸送力は増強しなきゃならぬ、こういうことからいけば、人が足りないということははっきりしておるのだし、運輸大臣はことし当面そういう応急対策としてどのくらいの人をふやしたらいいとお考えになっているのですか。これは運輸大臣国鉄からもいろいろ聞いたろうけれども、あなたの所管ですからね、お答えいただきます。
  72. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 私は国鉄の監督上責任は背負っておりますが、現実の問題に、どの係に何人おってどういうようにやらにゃいかぬということをつまびらかにいたしません。それは信頼する国鉄総裁がやっておると思いますから、国鉄の人からお答えします。
  73. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 国鉄仕事を運営する際の人間の問題でございますが、御承知のとおり、仕事の量はいま先生のおっしゃったとおり毎年ふえております。それの業務に当たります人間の数は、大体四十五万ということでずっと前からやってきております。その中でもちろん人の能力には限界がございますので、仕事の量がふえればある程度の人間がふえなければいけませんが、一方、御承知のとおり、いろいろ機械化なり、近代化なり、あるいは合理化によりましてある程度の人間を生み出さなくてはならないことも事実でございます。その意味におきまして、長期の人員計画をつくりまして、主として余剰の仕事のほうから必要な仕事のほうに人間を回してやりくりいたしておりますが、本年度は新幹線の開業等もございますので、予算におきましては約千三百人の増員要求を認めていただいております。そのほかに、現在新幹線に従事しております人間が約三千三百人おります。これが仕事がなくなりますが、一部新幹線の、何と申しますか、運営に当たりますし、一部は非常にふえてまいりました工事のほうの設計監督等に回す予定でございます。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣、いま副総裁がお答えになったとおりのようですね。しかし。これじゃ私は少ないと思うのですよ、まあいま言った近代化、機械化、合理化という、これは合い言葉ですが、いまの時代では。だけども現実には、先ほど河野委員からもお話があったように、事故問題ということから考えてくると、ここへもっと手を打っておかなきゃいけないというところが私はあると思うのです。現実に人が足りないのだから、そういう特に工事関係とか、保守関係という問題については、あまりにも国鉄の企業性ということに力が入り過ぎちゃって、合理化性に力が入り過ぎてしまって、そうしてこの問題の焦点がぼやけていないか。さっきあなたの御説明いただいた要求額も、まあ二千五百億ぐらい必要だったけれども、結局は大蔵省との予算折衝で千三百億になってしまった。そういうものじゃないですかね、現実は。いま国鉄の背負わされておる十字架は、この十字架を打開しない限り、私は事故というものはなかなか尽きないのじゃないか、事故は少なくならぬのじゃないかという心配をするわけです。ですから、先ほど保安対策については国鉄要求どおり通したからもう万遺憾ない態勢だ、こうおっしゃるが、たとえば一つの例を出すと、この間の国電の鶴見の事故がありましたね、あそこの前に花月園前という踏切があるのですよ。あれなんかもうまるっきり人が通れない、ほとんどもう締まっている。それでなまじっかちょっとでも油断しようものならたいへんだ。すぐ事故が起きてしまう。運輸省は踏切整備計画というものも立った、国鉄もそういうことで一生懸命やろうとしておるけれども現実には予算がないと、こういうことになりはしないかと思うのです。どうです。保安対策であなたがお考えになっているように、国鉄要求をしたものはみんなだいじょうぶだ、こういうお話になれば、私は副総裁、河村常務理事から聞いておきたいのだが、東海道線のあの大混雑をする、しかも国電事故のなまなましい鶴見のあの地域の花月園前踏切なり、子安の踏切なり、そういうところの立体交差ことしやりますか。そういうふうに予算は、いわゆる幹線の踏切事故をなくするように、あるいは過密ダイヤのところは立体交差でもって障害を少しでも減らそう、 こういうような意欲に燃えた要求、保安対策というものができますか、どうです。
  75. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま具体的な例をもっていろいろお示しございましたけれども、先ほど大臣がおっしゃいましたとおり、私どもといたしましては、現在の保安対策の重点を、いまの先生のお話の踏切の問題と、それからよく問題になります車内警報の問題、それから信号機の問題、この三つに重点をしぼりまして、ことし二百七億の要求をいたしました。それはまあそのまま認めていただいたわけでございます。その中に踏切が約九十億入ってございます。この踏切の中には、いまおっしゃった立体交差の問題と、踏切整備と申しまして、主として無人踏切を退治する問題と、二つございます。この立体交差の問題につきましては、御承知のとおり、踏切道の改良促進法がございまして、建設省と運輸省の間で具体的な踏切を指定いたしまして、その指定された踏切を私どものほうの金で直すということになっております。ところが、私どものほうで非常に問題になっておりますあの鶴見付近の踏切につきましては、たいへん道路のアプローチがとりにくく、建設省のほうでもどういうふうにして、あれを立体化すべきかということについてなかなか具体案がまだないようでございますし、私どもといたしましても、もうなるべく早くああいった踏切の立体化をやりたいというふうに思っておりますが、本年度はまだあれに着手することになっておらないと思います。しかしながら、この九十億の中に立体交差が約十五億入っておりますが、この立体交差につきましては、建設省あるいは都道府県といろいろ打ち合わせいたしまして、具体的な仕事を進める予定でございますが、同時に、私どもといたしましては、現在一番重点を置いておりますのは、複線の区間の無人踏切でございます。これが約三千くらいあります。この中には、もちろん人だけしか通れない狭い踏切もございますが、やはり相当四輪の車の通る踏切もございますので、その三千のうち千の踏切につきましては私のほうが全部自動警報機をつける。しかし残りの二千につきましては、都道府県あるいは地元と御相談して、なるべく踏切道の整理統合をやっていただきたいということで、ちょうど一昨年南武線の踏切事故がありました直後、非常に地元の御協力をいただきまして、南武線にはほとんど現在無人踏切は残っておりません。相当思い切った踏切道の整理統合に御協力いただきまして、少なくとも南武線につきましては、現在自動車運転手が警報機に注意さえすれば踏切事故が起こらないというところまで持ってまいりました。できるだけほかの線区につきましても、それと同じように、少なくとも一番あぶない踏切事故、しかも向こう側から列車が来る際に非常に大きな事故になりますので、この複線区間の無人の踏切をなくすということに最重点を置いておりますが、ただ遺憾ながら国鉄だけの力では、いかんともいたしがたいので、警察、あるいは自治省、建設省、各方面の御協力が必要でございますので、現在私どもといたしましては、運輸省にお願いいたしまして、なるべくこの問題を閣議等でお取り上げ願って、閣議決定まで持っていっていただいて、そうして政府全体として複線区間の踏切を整備していただくということに、いまお願いしておる最中でございますが、私どもといたしましても、せっかくいただきましたこの二百億に余る予算、過去の数年から比べますとほとんど十倍くらいの予算でございますが、 これにつきましては、十分国民の利益にすぐ直結するような方法で使ってまいりたいというふうに思っております。
  76. 相澤重明

    相澤重明君 予算の使い方についていま御説明いただいたわけでございますが、いまの副総裁の御答弁を聞いておってもおわかりのように、この間の国鉄の鶴見事故のなまなましい現場を間近にしたところでさえ、ことしは手がつかない。もちろん、道路管理者、あるいはそういう建設省、運輸省との関係もあるかもしれませんが、私はやはり手をつけなければいけないところは勇敢に手をつけるべきだと思うのですね。それをほうっておいて、この人命の尊重とか安全輸送確保ということは私はないと思うのですよ。複線どころではない、あれは複々線だね。そういうような個所さえ手がつかないようでは、私はいくら言ったところで、やはり実際には幹線というものに対する運輸省なり国鉄の認識の問題になってくるんじゃないかと思うのですよ。これはひとつ少なくとも、いまの運輸大臣なり副総裁のお考えであるなら、そういう御趣旨なら、私は、建設省と相談して、京浜間の、あるいは阪神でも、そういう重要個所、幹線のそういうところについては、やはり立体交差をすべきだ。今年度着手してほしいと思う。それがより優先ですよ。口でいくら安全輸送確保と言ったって、踏切がそういうことがいつまでもできないことでは、私は決してこの安全輸送確保はできないと思う。それをひとつやっていただきたいと思うのですが、運輸大臣どうですか。
  77. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) それにこしたことはありません。私どもも一生懸命でそういうことをいま考えてやっておるんですけれども、遺憾ながら、ただいま副総裁が説明したように、建設省、自治省、その他地方公共団体等の折衝がまだ全くできておらないのです。それを努力しておるのが現況でございます。
  78. 相澤重明

    相澤重明君 私は神奈川県出身ですから、その地元の横浜市はやると言っておるんですよ。ところが、建設省なり国鉄がそういうことで、積極的に取り組めばこれはできるわけです。だから、これはひとついまの大臣の言葉を信頼をして、国鉄副総裁も御出席になっているわけですから、ひとつ関係省、自治体と相談してやってもらいたい。まずそれが一つ。  それから、この事故対策ついて、先ほどから何回も一申し上げるように、人の問題やそういう予算でできるだけ危険度合いというものをなくするということについての御努力をいただいておるわけですが、いま最も大事なのは線路と、客車、貨車の問題だと思うのですね。この間の事故も、東海道線のこの貨車の脱線も、やはり貨車原因があったのですね。湯河原の問題も貨車の問題、それは積み荷であるとか積み荷でないとかということは、これはもう先ほどから言われた責任の問題を即時今後そういうことの起きないようにすればいいわけだ。しかし、そういうことは起き得る問題だ。これは先ほど大臣も言われました過密ダイヤの問題にある。これはこの基本問題審議会であなたは御討議をするつもりですか、それとも当面の緊急問題として処置をするお考えですか、どちらですか運輸大臣は。
  79. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 国鉄当局からお答えします。私は事実どういうことになっておるかわからない。どうかひとつ。
  80. 相澤重明

    相澤重明君 それじゃ副総裁。
  81. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点は、私のほうのことしの予算の内容の問題でありますけれども、先ほど大臣がおっしゃいましたように、予算によりまして私どもの要求は相当大幅に削減されましたが、その大幅削減は主として本年度に着手いたしたかった複線化等に影響があるわけでございます。その意味で、根本的な過密ダイヤの改正に相当近づくということは、ことしの予算では不可能と思います。したがいまして、私どもといたしましては、この過密ダイヤの解消問題を含めて基本問題調査会でぜひ御審議願いたい、このように考えております。
  82. 相澤重明

    相澤重明君 過密ダイヤの問題を基本問題調査会で根本的に御検討をされるということも一つの方法だと思う。しかし、これほど世間をわかした、マスコミも全部取り上げている問題を、基本問題調査会という場所において答えを出すというのは相当先の話でしょう。そんなに簡単に出ますか、基本問題が。運輸交通政策全般の問題ですよ。そういうことからいけば、私は、やはり当面取り組まなければいけないこの過密ダイヤの問題については、真剣に基本問題調査会でやるのもけっこうです。私はそれもぜひやってほしい。けれども、当面取り組まれなけれならい問題もやってもらいたい。  そこで、国鉄は、いつも四月とか十月とか、あるいは年末年始輸送とか、ダイヤ編成をやるわけですね、ダイヤ改正を。  そうすると、きょうはせっかく国鉄の首脳部が出ておるんですから、これはもう私が二、三日実はずっと見ておるんですが、よくわからない。東京に大体十時ごろ着く臨時「いでゆ」というのがある。四両か五両ぐらいの編成。お客ほとんど乗っていないね。ところが、横須賀線の通勤客を見ると、どの車も満員である。これはなぜあんな乗らない車を運転するんだろうと、私実はホームで待ちながら思うわけです。こういう点について、一体ダイヤ編成というものが、もうけ主義におちいってはいないか。つまり、お客さんの宣伝、お客さんに遊んでもらいたいということについて国鉄輸送というものを考えられていないか。通勤通学、そういう日本の国の産業上あるいは教育上最も大事なものを中心にダイヤ編成というものは行なわれておるのかどうか。こういうことを実は私は、別に全体の問題でずっと調べて言っているわけじゃないけれども、 いまちょっとした、ここ二、三日毎日見ておるんだけれども、どうもそれが納得がいかない点が出てくる。これはひとつ、国鉄の首脳部がおいでですから、臨時「いでゆ」なんという人の乗らない、幾人も乗っていないのはどういうことなんだろう、しかも土曜日であるとか、日曜であるとか、休日であるというならまだしも、ふだんの定期のときに、ほかの電車は押すな押すなの盛況のところに、そういうようなものがあっていいだろうかという疑問を持たないだろうか、私はそう思うんですがね。これ、おわかりですか。わかったらお答えいただきたいし、きょう、もしおわかりにならなかったならば、毎日の乗降人員というものはどのくらいか、調査をして報告をしてほしい。これは、国鉄当局ではわかるはずなんだから、この点について、もしわかったらお答えいただきたいし、わからなかったならば、調査して資料として提出してほしい。いかがですか。
  83. 河村勝

    説明員河村勝君) 具体的にちょっとお答えいたしかねますので、調査の上、資料を提出いたします。
  84. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、私は一つ事例をあげたわけですが、もちろん私も土曜日とか日曜にそれに乗っていないから、その混雑のしかたは知りません。私はまだ「いでゆ」で伊東までなかなか行くからだの余裕もないわけですから、わかりませんから、いま平常時の問題を取り上げたわけですが、もしこういう問題が検討をされてあるとすれば、ある程度の必要性を若干でも欠くものがあるとすれば、私は抜いてもいいじゃないか。それが過密ダイヤをやはり直すことになりはしないか、こう思うんです。そうしてまた、昼間の貨物列車と客車とのいわゆる競合の問題も、そういうダイヤ編成のしかたによって、また違ってくるのじゃないか、こう考えられるわけです。もちろん、こういうことは専門家皆さんが御検討されるべきことでありますから、それによって、私は、この過密ダイヤという問題、必らず変わってくるだろうと期待をしているのです。期待をしているのですが、これは運輸大臣、当面やらなければいけないことなんですよ、当面。これをやらずにほうっておいて、それでいわゆる安全輸送が確保されるなんということには私はならぬと、こう思うのです。そういう点で、これは大臣と副総裁からお答えをいただいて、きょうのところは、この問題については私は終わっておきたいと思うのです。いかがですか。
  85. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 当然のことでございまして、国鉄当局によく調査させまして、それの必要がなければ、臨時ダイヤをやめることは当然でございます。
  86. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま大臣のあっしゃったとおりでございます。
  87. 相澤重明

    相澤重明君 それで、あとの議題に入る前に、いま一つだけ大臣に、先ほどお留守だったので、聞いておきたいわけです。  それは、前回委員会で、自動車保険保険料の問題が出たわけです。まあわれわれも、二月一日に何とか強行しないで、大臣にひとつ善処をしてほしい、こういう御要望を申し上げておいたのです。ところが、二月一日から強行してしまった。そこで、前回委員会で、私は委員長に先ほども御質問したのですが、とにかく今度は大蔵大臣を呼んでくれ、それから与党皆さんからも、どうも納得がいかないから、だからひとつ保険会社の書類を出してもらって、そうして実際に保険料を値上げしなければいけないのかどうかですね。そういうことを見なければ納得できない。この間の御説明いただいただけでも、一台で千二百円も手数料を払っているのがあるというのですよ。こういうことではわれわれは納得がいかない、こういうことでいろいろ質疑をしたところが、大蔵省政府委員がですよ、あなたはおらなかったけれども、大蔵省の担当者が、いや大蔵。大臣は保険審議会答申に基づいてきめたのだけれども、その際には運輸大臣に十分御相談をいたしましたという答弁になっているわけです。そうすると、少なくとも運輸大臣は、この自動車問題については専門家ともいうべき運輸委員会ですね、運輸大臣の所管としては最も大きい問題ですよ、この自動車関係は。バスにしろ、トラックにしろ、自家用車にしろ、とにかく運輸省自動車局を持っているゆえんのものなんですよ。この自動車関係保険料率の改定にあたって、あなたが、あんな五倍にも上がる、普通にいって、われわれの自家用車でも三倍以上になるこんなのを、なぜ二月一日から強行しなければならぬのか。本委員会としては、いま予算審議をしているのだから、四月にできれば持っていって、その間十分話し合ってもいいじゃないか。それからまた、全体の中で、全部を直せといっても無理かもしれぬけれども、ある程度でこぼこを訂正してもいいじゃないか、そのくらいの努力は運輸大臣のほうでやってもらいたい、こういう強い希望だったわけです。にもかかわらず、二月一日には強行実施をされたという現実なわけですね。そうするというと、全くの話が、与党皆さんだからあまりおこりはしないだろうけれども、私どもはそうはいかぬわけだね。なぜ運輸委員会の、参議院の運輸委員会でそこまで言っておるのに、運輸大臣はこの運輸委員会の意見というものを聞かないのか、あなたは一体自動東問題について何と考えておるのか、こういう結論になるわけだ。大蔵省のほうでは運輸大臣には御相談をいたしました、最も妥当なものであるから三倍に上げました、五倍に上げましたと、こう言う。それでは納得できないわけです。あなたは保険会社決算内容を知っておりますか。まず、それから聞いておきましょう。運輸大臣お答えをいただきます。
  88. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 私は、実は保険会社決算内容は存じません。
  89. 相澤重明

    相澤重明君 そうだろう。だから、大臣が保険会社決算内容がわからなければ、保険会社が手数料を上げなければならぬ、赤字を埋めなければならぬという理由が成り立たぬわけです。それは、確かに大蔵大臣は、この審議会の答申に基づいて、そうして倍率をきめたということもわかりますよ、これは。わかるけれども、少なくともあなたが御相談を受けたという限りにおいては、あなたがそういうことがはっきりわかって、なるほどこれじゃ保険料率をもっとこういうふうに上げなければ、いまのように三倍なり五倍に上げなければいけないのだという結論にならなければならぬわけです。だから、この点は、むしろ大蔵省がこういうことは、えてしてかってにやるのですよ。運輸大臣がおっても、運輸大臣に実際は、やあ今度は頼むよ、と言うだけだと私は思うのです。あなたは、こまかい数字を出されて相談されましたか。
  90. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) それは、こまかい数字は、事務当局の間において折衝いたして、その結果、私は信頼する部下の適当であるという報告を得ましたから、これに同意したのです。
  91. 相澤重明

    相澤重明君 そうするというと、この三倍に上がった、五倍に上がったのを、あなたは了承したわけですね。
  92. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) そのとおりであります。
  93. 相澤重明

    相澤重明君 それじゃ、けしからぬじゃないですか。少なくとも運輸大臣が、この自動車保険の問題について、掛け金の問題等について、当委員会で、一月ですよ、一月、われわれはこの運輸委員会で、金丸委員をはじめ、天坊委員等も一緒になって、これはだれもみんな意見が食い違っているわけじゃないのです。みんな同じなんです。みんな同じで、 これではけしからぬじゃないか、納得できないじゃないか、なぜ三億ぐらいの赤字のものをこんなに大幅に引き上げなければならぬかという理由が納得できない。だから、理由を納得させるためには、もっと資料を出してもらって検討させろというのが皆さんの意見なんです。私もその意見なんです。ところが、現実に上がってみたら、どうなんですか。全くばく大もない金である。それが単に五十万を百万円にするからというだけの話で、実際にはそういうことをしなくても、自動車の漸増ということや、それからいままでの赤字のことを、少しぐらいのことを考えれば、こんなに上げなくたっていいんですよ。このために、どのくらいの自動車業界の人たちと、自動車を持っている人たちは苦しむかわかりませんよ、こういうことからいって、私は、少なくとも運輸交通の問題での専門委員会としての運輸委員会に、しかも自動車局を所管をする運輸大臣が、運輸委員会の意見を馬耳東風と聞いたなんということになったら、これはもう許せない。許せないですけれども、与党皆さんは、与党だからしかたがないと言うかもしれないけれども、それはわれわれは、幾ら協力するといっても、大臣は何を言っても馬耳東風だ、それじゃまるきりやることがなくなってしまう。まさか綾部運輸大臣の人格にしてそんなことはないと確信している。確信しているけれども、結論としては、そういうことになってしまう。  そういうことで、あなたが形式的に大蔵大臣相談を受けた、それで、信頼する部下がやったんだからということで、あなたが賛成をされた、こういうことは、少し私は大臣に反省をしてもらいたいと思うのですよ。これはもうほんとうですよ。これは、あとの公団法の問題の審議に入りたいから、与党の諸君だってものを言わないのです。いわば、与党だからしかたがない、がまんしているのです。本来、この公団法の問題の審議に入らないでよかったのなら、与党の諸君だってやりますよ、資料提出要求をしているのだから。そういう重大なことを、私は運輸大臣が、やはり委員会の意見というものを十分聞く態度であってほしいと思うのです。もう綾部さんにして、これは一つのミスだったと思うのです。あなたの政治生活を通じて、あなたほどまじめな、また出席率もいいし、ほんとうに私は信頼をされる運輸大臣だと思っておるのだが、しかし、事今度の自動車保険の料率改定の問題については、全く与野党一致して、あなたの不信任ですよ、ほんとの話が。ことばの上ではそう言わない。先輩であるあなたに、また与党である皆さんも、まさか綾部運輸大臣不信任とは言わない。これは私が代表して言いますよ。けれども、そういうことにまで立たされたのは、これはあなたの非運なんです。だから、これはひとつ直してもらうということは、何もいつだっていいわけです。  だから、そこでひとつ、せっかく二月一日から強行をされたけれども、今後保険会社決算資料が出てまいりますから、この委員会に提出してもらうことになったのです。それで、先ほど委員長に私確認したのは、それならば、その委員会へ提出の資料も出すということですから、私は、そのときには大蔵大臣に出てもらおうと思っておる。大蔵大臣をこっぴどくやってやろうと思っている。だから、そういうことで、あなたも、もしなるほどこれでは少しめくら判過ぎた——めくら判とは言わぬけれども、まあとにかく大臣があまり信頼し過ぎてしまって、実はその信頼より、大蔵省を信頼し過ぎたと、こういうことになる、結論は。そういうことで、大蔵省にもお話ができて、変えることができるならば、是正ができるならば、是正してほしいわけです。これは決算を見てですよ。内容を調べてみて、悪いところがあったら、改むるにやぶさかなかれということばがありますね。いかがですか。
  94. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 相澤さんの御趣旨ごもっともで、私はさように申しておるのです。二月一日から政令を出してきめたのであるから、やってみまして不合理な点があれば、あらためて訂正するということも申しておるのです。数字の問題でありますから、数字上、あなたのおっしゃるように、またわれわれが考えても、どうも急処一ぺんに何倍に上げるなんていうのは不合理だということになれば……。ところが、大蔵当局の原案につきまして、私どもの事務当局も、この点では現在ではやむを得ぬだろうという結論に達して、二月一日やるということをきめておるのですから、そのやった結果、神さまでないから、悪い点があったら直すのがこれは当然でございます。それは、私をひとつ御信任くださるようにお願いいたします。
  95. 相澤重明

    相澤重明君 私も大臣を、先ほど言ったように、信頼をして、そこで、これは大臣だけでなくて、大蔵大臣来てくれなければいかぬ。大蔵大臣にあなたがそういうふうに言っておるのですね。
  96. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) そのなには、事務当局の段階でやむを得ずなにしたことについて、悪ければ直すということは、私はたびたび申しておるのです。どうぞひとつ御了承願いたい。
  97. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、あとで質疑は継続いたすことにいたしまして、岡委員も見えましたから、私はこの辺で……。   —————————————
  98. 米田正文

    委員長米田正文君) 引き続いて、日本鉄道建設公団法案鉄道新線建設緊急措置法案の審議に入ります。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  99. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記を始めてください。
  100. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そういうふうに、事務当局で派遣報告の結果の報告が、報告書ができていない、こういうことであれば、それは一週間も日数が経過しておりますから、まことに私は遺憾だと思うけれども、そう言っても、今日の段階でどうにもなりませんから、室長のほうでそれを早くやるように強く要望しておきます。  そこで、今委員長が申されたように、前の本委員会で、運輸大臣から日本鉄道建設公団法案の提案理由説明があった。さらに、久保衆議院議員から鉄道新線建設緊急措置法案が同時提案された。したがって、委員長はきょうの委員会で審議するということなんですが、私は審議しないということではございませんが、いずれも、この二つの法案は予算が伴っておるものですから、この問題を本格的に審議するということになると、当然大蔵大臣出席しなきゃならぬ問題だと私は思うんです。きょうはどういう手はずになっておるのか、大蔵大臣も見えておりませんので、審議するといたしましても、一般的な問題点にのみに限定して私どもが質問して、運輸政務次官からせいぜいお答えを求める、こんな程度しかできないと思うんですが、委員長、この点どうですか。
  101. 岡三郎

    ○岡三郎君 議事進行について。  いま承っているというと、建設公団法に入るというわけです。入ることについては、何もわれわれ反対するわけじゃないけれども、やっぱり時間を見てやらなければ、いつまでやるんだかわけがわからない。運輸政務次官に不足ではないけれども、こういう重要なるものを冒頭から政務次官でやられるということ自体が、これは慣例になってくる。だから、こういうものを審議するには、やっぱり大臣が出て、それからやはり運輸政務次官がバトンタッチするならいいけれども、予算委員会があるからといって、こっちだけやるという、こういうばかげたことでは私は困る。だから、その前に、前回、いま相澤委員がやっていた保険料の引き上げに伴う件について、運転手の問題等について、ダンプカーの運転免許等について、ちょっと聞いたことがあるので、その問題に関連して、私ちょっと聞きたいと思うんだが、そちらのほうを聞かしてもらいたいと思う。
  102. 米田正文

    委員長米田正文君) いまの公団法の審議は、私も運輸大臣がおることが必要だと思っておりますが、いま予算委員会のほうへ、三十分ぐらいしたらまた帰ってくるということで出かけましたから、すぐまた帰ってくると思いますから、それで公団法の審議に入っていただきたい。いまあなたお申し出の分は次の機会にひとつお願いしたい。
  103. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと速記をとめてください。
  104. 米田正文

    委員長米田正文君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  105. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記をつけて。三十分間休憩いたします。    午後一時十四分休憩    ————————    午後二時二十三分開会
  106. 米田正文

    委員長米田正文君) 休憩前に引き続き、委員会を再開したします。
  107. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 休憩前にも申し上げたとおり、建設公団法については、運輸大臣から提案理由説明があったのでございますが、同時に、鉄道新線の緊急措置法案が久保衆議院議員から出された。いずれも予算を伴っておる法律案ですから、私は、本委員会には大蔵大臣がやはり出席すべきだと、こう考えます。しかし、並行的に予算委員会が開かれておりますから、あえて私はさような無理を申し上げようとは思いませんけれども、少なくとも一次回の委員会には、ぜひ大蔵大臣出席をしていただきたい、このことを強く委員長に要望しておきます。したがってきょうは具体的な予算関係等を含めて質問をいたすということにはならぬと思いますから、ごく一般的な、しかも常識的な点で二、三質問をしてみたいと、こう思いますので、それぞれの提案者から、御意見なりあるいは答弁をしていただきたいと、こう思うわけであります。  第一に、久保衆議院議員にお尋ねをいたしておきますけれども、提案理由説明中で、今日の予定鉄道路線の総数について、二百三十一線に達する、こう申されたのでありますけれども、これは私の理解では、鉄道建設審議会の答申にかかわる数ではないかというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
  108. 久保三郎

    衆議院議員(久保三郎君) 二百三十一線は、鉄道敷設法第一条別表でありますが、これに掲げてあるものがほぼそういう数だと承知しております。
  109. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、さらに説明の中に、四十三線が現在着工線、それから調査をされておりますものが十八線ある、まあこう言われておる。ですから、これを二つ足したものを二百三十一から引いた残りの百七十線がいまだ何ら手がついていない、こういう認識でよろしいかどうか、ひとつお答え願いたいと思います。
  110. 久保三郎

    衆議院議員(久保三郎君) 二百三十一線は全部でありますから、いまお尋ねの点でよろしいかと考えております。
  111. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、理解をしたわけですが、こういうそれぞれ答申された二百三十一線をこれから建設する場合に、現在の国鉄で行なっております六十億ないし八十億程度の資金では、今後十年先はおろか、二十年先になっても完成をみないと、こういう断定を使って提案理由説明されておるわけですけれども、その建設がされない、こういう提案理由説明にありますような見方というのは、一体どの辺で判断をしてこういう表現になっておるかを、この際お聞かせ願っておきたいと思います。
  112. 久保三郎

    衆議院議員(久保三郎君) いまのような資金量では、調査線並びに着工線だけでも、御案内のとおり、概算、海峡を除いて三千三百億ぐらいかかるわけでありますから、ましてや、二百三十一線全部をやるというのは、五十年はおろか、百年かかるだろうというのは、常識的な算術的計算で出るわけであります。そういうことを提案説明の中で申し上げたわけです。
  113. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 さらにお尋ねしたいことは、今日これを、いま久保先生が申されたようなことであるならば、具体的な数字は言わなかったが大体五千億から六千億くらいかかるのじゃないか、こういうことが一般世間でもいわれておりますし、今日それが常識になっていると思います。ところが、この提案されたものを資金の面で見ますると、三千億くらい、十カ年の計画で建設を進めると、こう言われているわけですが、そうしますと、いまあなたがお答えしたような膨大な資金が必要であると、こう言っているわけですけれども、この二千億で国民要求が満たされるのか、この点をひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  114. 久保三郎

    衆議院議員(久保三郎君) 私どもの構想は、御承知のように、現在着工しているもの、それから着工を前提とした調査線、これだけにしぼりまして、先ほど申し上げたように、海峡を除いて三千三百億くらい、あるいは海峡関係を入れますれば、五千から六千億かかるということでありますから、最小限十カ年間に、着工しているものは全部いずれにしても完成せねばならぬ。さらに、調査線の中には、もちろんこれは法案が幸いにして通過いたしますれば、基本計画の中でこれは選択していかなければならぬ。選択するにいたしましても、大体事業量としては、国鉄の現在の計画の実態、さらには政府の国家財政の中では、その辺がまあまあ妥当であろうというふうなことで実は提案をしたわけです。でありますから、二百三十一線全部を完成するという提案ではありません。これは、政府の提案の中にも説明がおありかと思うのでありますが、政府のいわゆる構想としては、政府というよりは運輸省だと思うのでありますが、これも大体この調査線並びに着工線だけくらいは、一応、私がいま申し上げたような中身でひとつやっていこうじゃないかと、こういう構想のようでございます。しかし、これはもちろん、われわれの提案と違いまして、十カ年計画というものは法案の中には出てまいりません。  さらにもう二つは、基本計画は運輸大臣が策定をいたしまして、国鉄に施行計画を、実施計画を命ずるわけであります。単なるそういうところでありますから、政府全体の責任で、われわれの提案のように、閣議決定でひとつやっていこうというような強い意思と計画ではない。ことばは悪いのでありますが、基本計画は、現在やっているような新線建設の方式と実態を継続してやろう、御承知のように、今年度は五億出資、五億が借り入れということで、国鉄から出資七十五億ということで、来年度はそれが倍になるという予算措置でありますが、その程度、年間五億ないし十億の増額でやっていこうというのであります。これは、言うならば、しり抜けの基本計画ではなかろうかと考えております。もしも真剣に新線建設を国民経済的な立場から進めていかなければならぬというならば、まず、第一に、新線建設で一番不満の多いのは、たとえば着工いたしましても、何年先にこの鉄道が完成するのだかわからぬ。そのうちには並行した道路網が完備して、むしろ中途でその鉄道のいわゆる存在価値について批判が起きているのも事実であります。たとえば、これは紀州のほうでありますが、阪本線のごときは代表的なものではなかろうかと思います。戦争前から着工している。今日ではもう道路でいくべきじゃなかろうかというような論も出ているのであります。これでは、地域格差も、国民的な経済の開発も、私はできないと思うのです。特に経済の進展のテンポの早い今日、しり抜けのような今日のようなやり方では、残念ながら、国民的要求にはこたえ得られない。だから、われわれとしては、先ほど申し上げたように、まず十ヵ年計画を策定する、その策定にあたっては、政府が責任を持つ、こういう立場から線路はつくるべきだ、こういうふうに考えたわけです。
  115. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いろいろ、この法案がかりに可決をされた場合の将来の考え方について答弁がありまして、非常に親切丁寧な答弁に感謝しているわけですが、いまの久保先生のお話にもありましたように、運輸大臣の提案にかかわる建設公団法では、確かに、具体的な計画はうたわれていないと私も承知しております。ただ、久保先生もおっしゃったように、われわれに配付された資料の中には「十箇年計画の規模(試案)」こうなって出ているのですが、これをずっと見ますると、国有鉄道の負担がそれぞれ年次別に分かれておりまして、年間やはり八十億くらい負担をしていく、予算計上をしていく、こういうことになって、地方公共団体の負担がそれぞれ、これまた年額にして三十億くらい負担をしていく、こういうことです。さらに通行税相当額の二十億くらい、これまた年々計画をされ、加えて、市町村の納付金相当額、これまた八十億だと思いますが、等々の計画がなされておりまして、結果的には五千億ですか、これは——程度の資金規模で十カ年で建設していく、こういうことです。私は、きょうの資料でわかっているんです。  そこで、久保先生にお尋ねをするわけですけれども、久保先生のほうは三千億でやっていこう、政府のほうは同じ十カ年で五千億でやっていこう、こういうことなんですけれども、ここでざっと、まあ最終的にトータル金額で二千億くらい違うのですが、その違いというのは、いま申されました点で若干理解できるのですけれども、さらに政府原案の、これは衆議院でやはりいろいろ審議をした上ですから、そういう内容と、久保先生のほうのこの緊急措置法案なるものの内容を、もう少し相違点というものを具体的に御説明いただきたいと思うんですが。
  116. 久保三郎

    衆議院議員(久保三郎君) まず、第一点の、政府から出た試案というのでございますが、これは私も今拝見しましたが、これは確か一昨年の五月の鉄道建設審縫合の試案でございまして、これは海峡関係も入れて五千億という数字になっております。先ほどお断わりしたように、私どものほうの一応の計画は、海峡を除いて三千三百億ぐらい大体考えているわけです。でありますから、その間に二千億程度の差ができているわけです。この点は御了解願いたいと思います。なぜ海峡関係を除いたのかというのは、海峡関係は、まだ実際の施工というか、そういうものの調査も完全にいっている段階ではございませんのでありますが、大体それ以外の、いわゆる丘へ敷く鉄道については、およその試算といいますが、そういうものも何回か運輸省並びに国鉄で出ておりまして、そういうものを基礎にしてものごとを判断していく、こういうことでございます。  それから政府提案と議員提案である私どもの提案の相違点について説明をしろというお話でありますので、かいつまんで申し上げてみたいと思うのであります。  一つは、先ほど来申し上げたように、鉄道新線に対するものの考え方でございます。われわれは、なるほど法案の中には、ものの考え方は、政府提案と同様に、経済の発展並びに地域格差解消というようなことで、大体同じような表現でありますが、そのほかに、新線建設のいわゆるねらいというか、それを受けとめる態度は、だいぶ政府の案とはわれわれは違うのであります。一つには、言うならば、最近国鉄の経営も苦しいのでありますが、たまたま世論としては、新線建設といえば政治路線、こういうふうに同意義に使われる場合が非常に多いのであります。この点は厳重に反省していかねばならぬことが第一点であります。御案内のとおり、戦後におけるところの陸上交通の発展は——単なる陸上ばかりじゃありません。貨物の大半は、御案内のとおり、鉄道じゃなくて、これは内航海運で運んでいるような現状も変わった点であります。さらには、航空は、御案内のとおり、ジェット機の導入によりまして、従来の飛行機は貨物輸送に転換せねばならぬという情勢もございます。そういう情勢が、陸上においては、バス、トラック並びに道路整備とあわせて、鉄道の対抗機関というのが出てまいりました。でありますから、そういうものを勘案して、真に鉄道というものでなくてはならぬところに鉄道は計画的に敷設せねばならぬというのがわれわれの考えの第一点であります。ところが政府のほうの提案でも、衆議院でもいままでそれぞれ御説明がございましたが、そういう点については必ずしも明確ではない、むしろ、この提案された一つの動機というのは、先ほど話に出ましたが、一昨年の鉄道建設審議会、これの建議に基づくものでありますが、この建議自体も——別して建設審議会を批判するわけではございません。鉄道新線建設のあり方については何ら二百も触れておらないのであります。でありますから、前段私が申し上げたように、いわゆる受けとめ方については必ずしも明確でないし、従来の方針どおりだ——これではいわゆる政治路線というものの推進がこの公団法では重点になりはしないかという心配が一つございます。でありますから、私のほうの法案の中では、これをチェックする意味においても、経済企画庁長官と協議をしなければいかぬというような条項を特に入れているわけであります。これは、御承知のように、所得倍増計画も中期に入りまして、現在アフターケアについての中間検討もなされて、これからこれの計画の策定をするわけであります。吉田委員も御案内のとおり、所得倍増計画のいわゆる交通体系の分科会といいますか、この中でも、指摘された事項は何かというと、新線建設は今後もうやめろ、一切やめるべきだというのが、この所得倍増計画の主張であります。そういう矛盾は、これから倍増計画の中で解決されると思うのであります。でありますから、経済企画長官が、全体的な輸送のいわゆる調整、こういうものをはかる必要があると思うのであります。これとの協議をしようということであります。ところが政府原案には、御案内のとおり、そういう点はございません。運輸大臣一人の責任においてこの基本計画を定めるというのがございます。  それから第二段目は、御案内のとおり、新線建設が意のごとくならぬというのが国鉄経営自体の問題であります。国鉄経営自体は、もうすでに御案内のとおりでありますから、私からるる申し上げる必要はございません。しかも、鉄道敷設法の由来というか、出てきた由来は、御案内のとおり、吉田議員も御関係が深いので御案内と思うのでありますが、草創期において、いわゆる陸運における独占機関としての国鉄の時代にこれはできたのであります。いわゆる建主改従であります。建設が主であって改良は従である。それでよろしかった。だから、ほんとうに政府が鉄道新線に対して新たな観点から堀り下げてやろうというならば、鉄道敷設法そのものをまず検討してかからなければならぬと思うのですが、これに対しては何も触れておりません。もちろん、これはむずかしいのでありましょう。そういうことできたわけなんであります。しかも、建設が意のごとくならぬというのは、経営の問題から来ている。と同時に、もう一つ、ものの考え方を変えろというのは、この建設審議会の建議にもありますように、この建議はお手元にも配付されているようでありますから、私が朗読することは省きますが、要点は、結局、国民経済的な観点からすれば新線建設は必要である、必要であるが、遅々として進まない理由は何かというと、国鉄経営の問題であります。これはむしろ国の責任としてものごとを考えろというのがここに指摘されている。結局、資金の面においてもそうでありますから、主たる財源は政府の責任において出資しろ、いわゆる、いうならば、道路、港湾と同じように、公共事業の一つとして新線建設はあるべきだという一つの進歩したものの考え方を言っているのであります。ところが、法案の中にはさようなことは一切どこにも触れておりません。この点は、われわれのほうの提案は、御案内のとおり、現在の実態からまいりますれば、道路、港湾と同じように、大体国鉄が半分、政府の公共投資としての半分、こういうことで、両者合わせてひとつ建設資金を充当していこう、こういう考え方であります。もちろん、提案説明でも申し上げましたが、はたして今日ただいまの国鉄経営の中で、年間たとえば平均いたしますれば三百三十億であります、その半額をはたして負担できるかどうかには問題があります。でありますから、この点については、あらためて御論議を要請しているわけです。いずれにしても、国が公共投資として、公共事業の一環として道路や港湾と同じような扱いをしない限りは、新線建設の資金は確保できないだろう、こういうふうに考えているわけであります。  それからもう一つ申し上げたいのは、いわゆる建設後の経営についてであります。政府提案原案は、御案内のとおり、いわゆる有償原則であります。有償原則。ところが、これから予定されるものは、御承知のように、直ちには黒字線というか、そういうふうにはなりません。ところが、一方国鉄の経営は、赤字線区が多いというのが、これは定評というか、そういうことになっておる。そこへ、さらに不良資産、国鉄の経営自体から見れば不良資金であるところの新線をさらに追加することは、国鉄経営をさらに圧迫します。でありますから、われわれのほうとしては、そういう有償原則ではなくして、赤字のものについては国の責任においてこれを補てんするということで経営に当たらせるようにするということが、まあ大きな変わり方であります。  以上が、大体かいつまんで、私のほうの案と政府案との違いかと思います。
  117. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ただいまの説明を聞いておりますと、たいへんけっこうな内容になっておる、こういうことがわかったわけですが、このことは、国鉄も、企業を今日経営担当しておる人々も、そういう方向を望んでおるのではないかというふうに私は思います。一面また、国民の大多数、もわが村に、あるいはわが町に鉄道を敷いていただきたい、こういう人の願いも、私はそこらあたりにあるんじゃないかというように考えているわけなんで、たいへんけっこうな内容だと、 こう思います。ただ、そこでさらにお尋ねをしたい点は、久保さんの提案にかかわるこの法律案でも、国鉄のこの新線の公共性ということがかなり強い印象を受ける表現になっておると思うのです。それから運輸大臣の提案にかかわる鉄道建設公団法案にも、明らかに国家的な政策上の見地から論ずべきで——したがってこの公共性が非常に強くうたわれておる。具体的に、ここに鉄道の新線の建設を、道路、港湾整備等と同様に政府の公共投資とする以外にないと説明されている。これのあとの、この十カ年計画の規模の試案と関連させて、私なりに意見もありますけれども、冒頭に申し上げたように、きょうは意見を申し上げるのではなくして、それぞれの提案者から具体的な内容を、時間の関係等も考えまして、聞きおく程度にしよう、こういうことですから、あえてきょうは差し控えますけれども、そういう基本の精神といいますか、この法律の私はバックボーンだと思う。そう考えてみると、いま久保先生がいろいろ説明されたように、本来的には私は全額国庫の負担にすべきではないか、こう思うのであるけれども、久保先生のほうのこの法律の提案の中では、二分の一と、こういうことですから、具体的な計数を申し上げますと、千五百億が国庫負担だ、こういうことになるわけです。そこで、いま前段に申し上げた精神から申し上げると、やや欠ける点があるんじゃないか、こう思うのですが、この辺はどうお考えになっておりますか。
  118. 久保三郎

    衆議院議員(久保三郎君) これは、最近の一応の試算でありまして、大体ものの考え方の基本は、先ほど申し上げたように、国鉄、政府とも大体投資額の半分ずつを負担せよ、二分の一負担ということが基本でありまして、もちろん、このわれわれのほうの法案が通りますれば、政府において試算をし直さなければならぬものも出てまいります。一応、三千億あるいは三千三百億と申しますか、これは試算に、やはり最近の地価の問題とか、あるいは建設路線の選定によっては多少の幅が出てくると思うのです。それで、一千五百億——三千億という提案でありますから、半額一千五百億、国鉄でしょっていこう、こういうことで、いまの御質問お答えが、それでいいかと思いますが、もし不十分でしたら再び申し上げます。  なお、先ほど申しおくれましたが、政府提案との大きな違いを述べろというお話でありましたが、前提になっている公団か、国鉄の従来方式でやるかという問題でありますが、御案内のとおり、政応提案は、国鉄から切り離して公団でやれ、こういうふうになっております。問題の本質は、公団か国鉄かじゃなくて、先ほど申し上げた幾つかの点にあると思う。そういう点では大きな違いがあります。また、もちろん公団が、たとえば政府案が通過いたしまして、この建設に携わる者は、よそのそういう技術者を、あらためてたくさんの技術者を求むることは、今日の段階では不可能に近い問題であります。だとするならば、当然のごとく、これから御説明があるかもしれませんが、国鉄の現在そういう職場におられる技術者を公団に移しかえするということになるだろうと思います。ところが、御承知のように、国鉄は、建設線だけにそういう技術者がいるのじゃなくて、むしろ既設線区における改良工事、そういうものもあわせてこういう技術陣営が運営しているのである。また、この技術者の技術交流という問題もまた今日やって、そのために、ある程度鉄道のこういう工事の技術者の技術は年々高まっているとわれわれ考えております。ところが、分断されることになりますれば、なるほど新線建設はじょうずだろうが、既設線区における改良工事はへたということになりかねないのではなかろうかと、こう思われるし、それからこの大きな世帯でありますから、ある程度特殊な技術者は機動性を持たなければ運営はむずかしいのじゃないだろうかと思うのです。実際は、そういうことを言っているけれども、二分される形は、これは今日決してプラスにならない、かえってマイナスだという、こういうふうにさえ考えているわけです。つけ加えて申し上げます。
  119. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これからのでき上がった場合の運営についても付言があったので、さらにお尋ねするわけですが、国鉄一体、先ほど来申し上げておりますように、審議会のそれぞれの答申があったけれども、なぜこの新線が国民の要望にこたえるようにできないか。この点については、私は大きく分けて三つ理由があると思うのです。これは、久保さんの提案にかかわる内容にも若干触れていると思うのだが、第一に、やはり私は国鉄の今日的な経営のあり方に問題があろうと思うのですが、きょうは聞くだけですから、あえて言いませんけれども、この点についてもう少し詳しく御説明願いたい。それから第二は、資金の関係にあると思うのです。政府は、今日いろいろ所得倍増計画とかなんとか唱えて、それを進めているわけですけれども、その計画の中にも、年々歳々かなり膨大な公共投資をしていることは、これはまあ運輸大臣、時の内閣の大臣ですから、十分承知しているわけですけれども、国鉄自体として考えてみると、資金の問題が第二の問題としてやはり取り上げなければならぬことだろうと思うのです。それから第三に、今度はそのあとに、でき上がった場合の経営運営といいますか、こういう問題も当然起きてくるわけです。こう私は思うのですけれども、こういう点について、もうちょっと具体的に、この機会に説明を私はできたらお願いしたい、こう思うのです。
  120. 久保三郎

    衆議院議員(久保三郎君) 国鉄経営のあり方についておまえの考えはどうかということですが、なるほど新線建設で、われわれどもの提案からいきましても一、それ相応の資金を捻出しなければなりません。ところが、御案内のとおり、国鉄経営は、今日もう破局寸前といってもいいくらいの問題になっております。たとえば投資不足は、今日の時点で約一兆四、五千億になります。いわゆる今日の時点で一兆四、五千億の投資不足が、今日の輸送渋滞、あるいは保安設備の欠除、それからくる混乱、こういうものが一つ片方にはあるわけです。今日の時点では、この問題をどう解決するかが一番焦眉の急ではないだろうかと思うのです。これが国民的要望の大きな問題だと思います。これをないがしろにして、新線建設だけが先行するがごときは、断じて国家的な、国民経済的な立場からの判断だとは私は言えないと思うのです。  だから、国鉄経営について、それではどうするのかという問題ですが、御案内のとおり、国鉄は第一次、第二次五カ年計画をやってまいりましたけれども、中途においてこれは挫折であります。来年度予算でももう御案内かと思うのでありますが、先ほど事故対策政務次官並びに運輸大臣からも御説明があったようでありますが、来年度予算を一生懸命に運輸大臣以下お骨折りはいただいたが、残念ながら、国民的要求にこたえ得られない。はなはだしいふまじめな予算案ができておると思うのです。ふまじめな一つの例は、たとえば、いわゆる三十六年から始まった第二次五カ年計画は、言うならば、施設の老朽取りかえ等は大体終わったというよりは、さしあたりのことはできた。ついては、今度は輸送力増強である、通勤輸送の緩和である、保安対策である、こういうようなことで、実は運賃値上げもその当時出てきたわけです。もちろん国民大衆は運賃値上げに対して強い反揆を示しました。しかし、考えてみれば、毎日の通勤電車を見ても、足が宙に浮いて、ヒラメのようにして乗らなければ乗れないというようなことから解放されるならば、まあまあがまんしようというのが昭和三十六年の運賃値上げの国民が受けとめた感情ではなかろうかと考えている。でありますから、この要望にこたえることが第二次五カ年計画のまず第一に大きな目的でなければならぬ。ところが、御承知のように東海道新幹線の建設がございました。もちろん、われわれは新幹線そのものに反対はいたしておりません。なぜならば、東海道の輸送力緩和という使命でこれは出たんです。その後デラックスな夢の超特急、超特急ということは、これはわれわれの意に反したことであります。いずれにしても、新幹線ができた。しかも膨大な資金を要する問題でありますから、早期完成もわれわれはあえて忍ぼうというのが国民的感情だった。ところが、中途において、去年の三十八年度予算の通過後において、御承知のように過小予算のために、さらに補正をしなければならぬというような事態が出てきた。その当たりはどこへ来るかというと、政府はこれに対して十分な責任を持っておりません。そのために、改良計画は御承知のように後退の一途をたどって、昭和三十八年度、今年度一ぱい計画どおりやりましても、計画の四〇%、三年目一ぱいで四〇%では足りないことは御案内のとおりです。算術計算からいくならば、今年度、三十八年度終わりには六〇%の計画が達成されなければならない。ところが、この計画自体は、御承知のように、この第二次五カ年計画に盛られたいわゆる改良工事をひっくるめての計画は、もう現在の時勢には合わぬ過小なものであることは、さっき申し上げたように、一兆四、五千億の投資不足が如実に示しております。その実際に合わないような過小計画さえ達成できないというのが今日の時点でしょう。これにあと二カ年あります。第二次五カ年計画は、三十九年度、四十年度と二年度あります。二年度において、あとの残りの六〇%を完成するのが、国鉄と政府に課せられた大きな使命でなくちゃならぬ。ところが、来年度予算全体を見ましても、これはわずかに六〇%の完成ができればいいほうです。六割。あとの四割は、それじゃ残りの四十年度でできるかというと、いまの資金計画その他のやり方でいったんでは、残念ながらこれはできない、かように考えているわけです。  で、なぜそうなったかというと、まず第一に、投資不足に対する政府の責任が、十分にこれは責任を感じておらないというところが一つあります。それからもう一つは、いわゆる輸送、特に道路、港湾、鉄道、こういう輸送というものの産業は、他産業に従属するものであるという観念が、いまだ政府の中にも完全に払拭されていないということがある。国民的にもそのとおりです。簡単に言うならば、人間の生活に水と空気が一番大事でありますが、水と空気は人間の生きている限りついて回るという考え方、その考え方がいわゆる倍増計画の中でも出てきているわけです。そこに今日のゆがみが一つあります。だから、それを取り除かなきゃならぬ。しかも、それを取り除く勇気はありません。第二次五カ年計画——第一次から第二次に来たこの五カ年計画は、なぜもろくもそれでは破壊されているのかというと、過小見積もりであっても、その計画であっても、その計画が計画どおり進められるならばまだしもいいんです。それが全部進められないのは何でかというと、これは、政府の責任はちっともない、五カ年計画というのは国鉄がかってに立てて、これだけやりたいと思います、毎年度のいわゆる予算編成は、政府がそのときの財政事情で左右される、こういうことでは、残念ながら国鉄の経営は、これは円満にいくはずはないのであります。  そこで私ども一は、近く、皆さんの御協力も得て、国鉄の財源整備措置法というのを出すのです。この中身については、まあ説明の過程でありますから、これに関連して申し上げさしてもらいたいのでありますが、一つは、十カ年計画を閣議決定ということで、道路、港湾と同様な形で、これは政府の責任できめさせます。もちろん、実施計画は五年に区切ります。まず、さしあたり十カ年計画を立てる。その前期五カ年計画をまず着手して、問題は何といっても財政計画、資金計画であります。でありますから、資金の三分の一については政府がいわゆる投資をする、投資をさせる。あとの三分の二はいわゆる国鉄の自己資金と借り入れ金、そういうものでまかなっていく。おおよそ予算規模は十カ年間で三兆三千億、こういうような計算をいたしております。これも、もちろん多少低目でありますが、そういうことをやらぬ限りは、残念ながら国鉄の経営というのは成り立たないし、事故は絶え間がないということは、午前中の各議員さんの御質問からも見受けられるとおりであります。でありますから、そういうものを、この新線建設の法案と並行して、国鉄全体の中でひとつ解決していこう、でありますから、このわれわれが提案する新線建設の法案にいたしましても、今年度は、いわゆるこの法案に盛られている新しい初年度は、七十五億であります。政府七十五億では、百五十億であります。これは残念ながら、先ほど提案説明したものの中身には、半分であります。その財源を捻出するには、次に申し上げる国鉄経営の全体の中でやはり生み出していき、それを解決しなければならぬ、こういう考え方であります。  それからもう一つは、国鉄の公共性と企業性の問題でありますが、これは、国鉄はやはり公共性を失ってはなりません。かような考え方であります。でありますから、新線がたとえば赤字であっても、これは全体経営の中で消化していくべきである、こういうふうに考えているわけです。それから新線建設後の経営の問題でありますが、経営は、もちろん国鉄は全体として、その一環として新線経営も国鉄自前でやるということであります。それから先ほど申し上げたように、経営の赤字については、当分の間、これはめんどうをみるというのが、政府の責任であるということからして、先ほど申し上げたように助成をしていく、こういうのが第二点。第三点として注意を喚起しておきたいのでありますが、政府も最近はその方針になったと思うのですが、先年でありましたが、枕崎線というのか、あるいは指宿線というのか知りませんが、鹿児島半島の先のほうの線でありますが、このときに、たしか差別運賃をつけたと思うのであります。これは、あとでなくなったと思うのです。いわゆるそこでは、あとでもペイしない。だから、多少ともその線区に対しては、全体の賃率と違った賃率を適用させよう、こういうような倫もあるわけでありますが、これは決して新線建設の何といいますか真意から出ているものではなく、これはむしろ逆行です。たとえば、地域格差というものは、どこに住んでいる人間でも、同じ運賃で同じ距離が乗れるということが地域格差の解消なんです。新線建設はできたが、東京の人と鹿児島の人が違った運賃で乗るというのでは、地域格差の解消にはなりません。でありますから、われわれは断じてそういう格差賃金というものを想定してはおりません。  以上であります。
  121. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いまの説明で、最後の経営のあり方についてですね。当然新線建設は赤字が出るのだから、出た場合に、当分の間、その赤字に対しては政府がめんどうをみるという精神ですね。そこで、めんどうをみるということは、具体的には、その赤字を補てんするというような、予算で措置することだと思うのですがね。これはまあいいとして、この法律を立法するにあたって、当然これに新線だけじゃなくて、既成路線運営についても、いろいろこれは考えなければならぬことですが、あわせて今日的この国鉄の財政が破局寸前に到達をしたという中には、政府の大きくは運輸交通政策の欠除——欠除というより、たいへんことばは悪いけれども、全くなかった、そういう事柄がしわ寄せされて、今日的現状になったということが考えられると思う。その場合に、公共負担の関係であるとか、あるいはいま久保先生が申された赤字負担の関係、さらには御承知のように、戦前債務についてもいまだに国鉄が自前で負担している、こういう事柄等は何ら考えてみなかったのか、この点ひとつ、お聞かせ願いたいと思います。
  122. 久保三郎

    衆議院議員(久保三郎君) 御指摘のとおりでありまして、申しおくれましたが、国鉄昭和二十四年に公共企業体になりまして、企業性の追求というよりは独算制という一つのワクの中で経営をしいられているわけです。  ところが、過去を振り返ってみますというと、軍部はなやかなりしころは、軍の要請にこたえて経営をやってまいり、戦争中には、御案内のとおり、老朽施設をそのまま軍事優先ということで酷使してまいりました。戦後は、経済復興ということで、低賃金と言っては語弊がありますが、低運賃で実は経営をしいられてまいりました。もちろん、国家的な要請、全体的な観点からすれば、あの時点ではあるべきであったでしょう。そのために先ほど申し上げましたように、今日の時点で一兆四、五千億の投資不足が来ているのであります。そういう問題は当然政府の責任で解決をしてもらわなければならぬ、やるべきである、こういうふうに考えているのが一つ。その投資不足をいまさらながら国民大衆の背中でこれを軽減していこうというようなことは、断じて政策ではない、こういうふうな考え方。  それからもう一つは、鉄道院時代から、鉄道省あるいは運輸通信省、こういうことになりまして、今日の国有鉄道になったのでありますが、その国鉄に課せられた公共的な負担というものが御承知のとおりございます。たとえば、定期の割引、これは産業振興のために必要であるというので、いわゆる多額の定期の割引をしております。あるいは学生定期の割引も、これは文教政策から出た一つの政策の一環であります。あるいは農林物資の特割の運賃も、そのとおりであります。最近では、御承知のように、石炭運賃のいわゆる延納の措置、もちろん、私は確かめておりませんが、この延納さえ今日滞っておるそうでございます。そういうものは国家が当然のごとくやらねばならぬものを、独算制というワクの中におるところの公共企業体である国鉄にしわ寄せしておるということは、これは政策の矛盾であります。  でありますから、この矛盾を解決するのには、御承知のように、われわれのほうが従来出しておりましたいわゆる公共負担法、そういうものによって、政策的なものは政府の責任において解決してもらうというのがたてまえかと考えておりまして、近くこの法案も再び国会に出しますので、そのときまた詳しい説明をさしていただきたいと考えておるわけです。  大体そういうことでございます。
  123. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、金の関係については、いろいろと具体的な考え方が申されまして、私としても了といたしますけれども、さて、かりにこの法律が成立をした、そうしますと、直ちに建設にかかる、こういうことになるわけでございます。いま申された建設を進める場合に、資金の問題が解決したとしても、これで私は万全だとは言えないと思うのです。人の問題があろうと思うのです。技術の問題もあると思うのです。午前中の委員会で、これとは全く別の問題ですけれども、やはり人不足の問題がいろいろ当委員会で議論になりましたが、そのようにして、やはり一つの企業なり、あるいは建設工事にしても、すべてやはり人の問題が問題になるような気がするのです。  そこで、私はこの際久保先生に伺ってみたいことは、今日の国鉄の技術陣の水準をどう評価したか。鉄道建設ですから、具体的には建設施設の関係の技術の水準をどう評価しているのか。それから第二には、運転関係の技術をどう評価したのか。これは国際的な例など引き合いに出してけっこうですから、先生は、かなりヨーロッパ方々を外遊されておりますから、他の国々の鉄道事情等を比較に出してけっこうですから、これらの評価をどうしたかということについて、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  124. 久保三郎

    衆議院議員(久保三郎君) たいへんむずかしい御質問でありますが、鉄道のたとえば新線建設にかかる技術でございますが、トンネルなどは、吉田先生御案内のとおり、トンネル技術は世界一とも言われているのです。コンクリート技術もそのとおりだと私は思っております。橋梁もそうじゃないかと思うのです。大体において、国鉄の技術は世界一番と言えないにしても、最高の水準を持っておるのが日本の国有鉄道の技術だと考えています。でありますから、何ら、技術の点について、公団をつくって、さらに新しい別な技術者を迎え入れるがごときは必要ないだろう、むしろ、そういうことをしては技術の低下がありはしないか、しかも、長い経験というようなものも、やはりこの際生かさなければなりませんから、そういう点からいきますれば、私は何ら心配はない、資金さえつけば。  ただし、人間の問題でありますが、最近、先生御案内のとおり、国鉄独算制の中で一番やりやすいのは人間の頭数を減らすというか、ふやさぬということで経営を何とか帳じりを合わしていくのが一番やさしい方法なのであります。たとえば、汽車に一つの例をとりますれば、千人乗せるのに十両、車の数が要るとすれば、十両確保しなければなりませんが、運転手なり助手をいままで乗せた、それを運転手一人にするとか、車掌二人乗せたのを一人に減らすということと、どっちがやさしいかといと、うこれは車を減らすことがなかなか困難であります。人間を減らしたほうが早道だということで、不増不減の原則というのか、最近は生産性に見合った数は全然御承知のように要員は充足されておりません。要員が充足されないから、ある年齢層においては断層がきているのではなかろうかと思うのです。これは非常に危険だと私は思っております。いままでの貴重な経験と技術を持った者は、年々これは国鉄を去ってまいります。去ったあとで、その断層にきたときに、はたしていまの最高の技術水準を保っていけるかどうか、こういうふうな心配があるし、最近の要員事情は御案内のとおりです。御案内のとおり、たとえば東京とか大阪とかいうふうな所では、国鉄に入る者はだんだん少なくなったそうでありまして、試験をやりましてもその募集人員に足らない。そこで、昔と同じようでありますが、いなかへ参りまして、それで人間をかり集める、と言っては語弊がありますが、そういう勧誘をして東京へ来て試験を受けさせる、こういうようなことまでやっておるのが実態のように伺っております。これはゆゆしき問題だと思うのです。  そこで、これに対応する政策としてどうあるべきかというのが、戦前には、御案内のとおり、鉄道教習所というのがかなり充実した機構でありまして、今日も教習所はございますが、そうでなくて、もっと戦前のような鉄道教習機関の拡充強化が必要なことは事実でありますが、そういう点もあわせて考えない限りは、優秀な職員を、高度の技術を必要とする職員を採用することは不可能ではないか、こういうふうに思う。これは国鉄当局なり運輸省にも反省をこれからも求めたい一つの点であります。  それから運転技術でありますが、これはもう吉田先生も専門的に扱われた経験もおありでありましょうから、私から申し上げる必要はないと思うのでありますが、少なくとも、いまの日本国有鉄道運転技術は、これは世界に類を見ないものではないだろうかと思っております。大体において、ダイヤを引いた私も経験がございますが、いまのダイヤなどはおそろしくて手がつけられない実態でございます。二分ヘッドに電車が走るというがごときは、世界各国でないだろうと思うのでありますが、大体二分ヘッドに電車を走らせて、その信号器が三本も立っていれば、これは御案内のとおり、何秒閥に一本くらい見ておるのでありますから、先般も朝の電車で、原因はよくわからないのでありますが、総武線かどこかで電車の追突事故がありました。これは、車内警報器をつけていたから、初発からずっと信号器は鳴りっぱなし、信号は赤でありますから、そこで一たん停車していれば、あとがまただんだんおくれるというので、見切り発車じゃなくて見切り運転をしていたのじゃなかろうかと私は思うのです。見切り運転ということばはありませんけれども、見切り運転です。いつか青になるだろう、いつかあとも見えるだろうとか、いつかけつが見えるだろうということの予測のもとに運転せざるを得ない。人間の習性で、最初乗ったときからずっとブザーが鳴るときは、わかったということで、たまたまブザーをとめたとたんに前の電車の後部があったから間に合わなかったということではなかろうか。これはもう技術水準の問題じゃございません。これは技術水準の限界を越えた運転をやっていると思います。こういうところからは、残念ながら、昔われわれが籍を置いたころの最高の水準を維持することは逆に不可能になってきたと私は考えております。というのは、慢性的なそういう運転のしかたでは、技術の技量が上がるはずはないのであります。でありますから、この最高の技術水準を運転のほうでも維持したいというのならば、やはり午前中運輸大臣からも答弁あったように、端的にあらわすものは過密ダイヤの解消、こういうことに尽きるのではなかろうかと思います。それをやらぬで、昔は技術水準がよかった一なるほどダイヤも引き方は、いまでもこれは技術水準としては一番でしょう。世界最高でしょう。ところが、ダイヤは書けますが、実際の運転の技術は、逆に低下するという心配があるということですね。そういう点を大分注意しなければ、国鉄の独占としての性格は薄らいでまいりまして、日本の特殊的な地形あるいは経済の地域的な分散、そういうことを考えますれば、国有鉄道は、やはり根幹として将来にわたってこれは維持発展させなければならぬ地位を占めておるのでありますから、独占の性格は失われても、これをないがしろにし、軽視すべきではない。当面を糊塗するようなことはやってはならぬ。ましてや、新線建設も大事でありますが、全体的な国鉄経営の中から新線建設というものの方針を道守き出すべきだと、かように考えておるわけであります。
  125. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうすると、きょうは、まああとあとも御質問しますけれども、きょうのところは、最後にまた久保先生に対しては質問しておきたいと思いますけれども、いまのお答えで、この国鉄の技術の水準、両方合わせまして世界で最高のものだと、たとえばダイヤについてもそうである、こういうことで説明がなされましたが、私もそう考えておる者の一人です。そこで問題は、そういう点を評価をしてこの法律が成立をした場合に、この中にありますように、既設の線を経営しております国鉄が一環として経営をする、工事に従ってそういうふうに進める、こういうように考えております。そこで、そういうふうに国鉄でやらせるというものの考え方の中には、いま言った人のほかに、さらに技術水準の関係、自分は今日の国鉄が、確かに先生のおっしゃったように、その後あまり人間をふやすということにはならない。仕事量が二倍ないし三倍もふえておるけれども、そのふえ方に対して、要員はふやしていないという、こういう現状認識は私もしておりますが、四十五万人という人々がおりますけれども、この人的資源をやはりこれまた高く評価をして、こういう事柄が現実にあるわけですから、あとあとは建設の今日まで隘路になっておった資金の面だけがある一定の方向で解決されれば、国鉄自身でやれる、こういう結論で認識していいのですか。
  126. 久保三郎

    衆議院議員(久保三郎君) 御説のとおりでありまして、資金の面をそれぞれめんどう見ないから新線建設も思うようにできないという一点に、大まかにいえば御説のとおりなると思う。資金の問題が要点でなくちゃならぬ。ところが、先ほど申し上げたように、政府案では、資金の問題には何ら触れておらないというと語弊があるかもしれませんが、そのとおりだと思います。やるとすればたった五億か十億ということで、言葉は悪いのでありますが、非難するわけじゃありませんが、政治家はお互いに後世にもわたって責任を負うべきだと私は考えています。能力についてはもちろんこれはやむを得ませんが、少なくともその時点においてまじめにものごとを考えて、それでやっていくのが正しいと思います。公団法が成立すれば、おまえのところの新線が全部できるのだというようなことでは、国民大衆にアピールして、われわれのところにも、おまえが一番政府提案の公団法には反対しているというがほんとうかなんということを言わせるようなことは、政治家としてあるまじき行為だと私は思うのであります。もちろん、これにはわれわれの力不足ということもございます。少なくとも真剣に、私は、党利党略じゃなくて、新線建設を国鉄はどうするかということは、これは決してイデオロギーの問題じゃありません。国民の生活そのものでありますから、だから、やはりまじめに考えてここでいいものをつくっていただきたい、かように思うのであります。そういう意味から私どもも提案をしているわけです。決して私どもの法案がりっぱだとは思っておりません。もっといろいろ御注文も聞いて直せるものは直していかなければならぬと思います。ただ単に、公団をつくれば新線が幾らでもおまえの地元の新線をもつくってやる、この線も延ばしてやるというふうな一つの宣伝手段に使うような態度で万が一この公団法が提案されたとするならば、断じて政治家としてこれはとるべきではない、こういうふうに考えております。
  127. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 運輸、交通の権威者であります久保先生からる説明を受けまして、認識を新たにいたしました。心から感謝申し上げまして、きょうは、この程度で久保先生に対する質問は終わりたいと思います。   次に、政務次官にお尋ねいたしますけれども、いま久保先生にも申し上げたように、政府がこの建設公団法を提案するにあたって、やはり考え方にはこれはかなり相違点があるようだけれども、鉄道新線の建設促進をして国民要望にこたえていくというこの精神が充実していると思うのです。ですから、そういう立場から考えてみますと、一体、今日の、いままで申し上げた国鉄の技術水準あるいは四十五万人という人的資源を、どう政府当局は評価をしているか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  128. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 国鉄の人員の運用の問題でございますが、非常にこまかい具体的な問題になりますので、鉄監局長に説明いたさせます。
  129. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ぼくがいま聞いたことは何もこまかいことじゃない。…十五万人いるということは間違いないのです。これは国鉄の今日の要員の人的資源ですから貴重なものです。四十五万人いるということは、あなた知っているわけでしょう。その評価を、どうこの法律をつくる場合にしたかということなんです。それから技術の水準というのは、先ほど申し上げているように、建設線をつくっていく国鉄の今日の技術陣の水準を言っているわけです。それからもう一つは、施設をしていくわけですから、施設をしていくこの技術屋の技術水準をどこら辺に評価をしたのか、どの辺に評価したのかと、こう聞いているのですから、何も鉄鑑局長などに答弁を求めるものではない。これは大きな問題がある、ある意味においては。ですから、責任ある大臣が本来いなければならぬが、大臣いないから、大臣を補佐するためにあなた政務次官になった、だから次官に伺っているわけです。
  130. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) ただいまの御質問お答えいたしますが、鉄道の現在の四十五万人の人員につきましては、現在の鉄道運営の上には、私は当然必要な人員だと考えております。しかも、このうち、今回建設公団をつくるにつきましては、鉄道建設に現在従事しておりました八百人程度の技術者を公団に移行いたしまして、そしてこの技術者によって新しい鉄道、新幹線の建設をやっていきたい、かように考えております。
  131. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 技術の水準は——建設技術の水準、施設の水準、この両方の点は……。
  132. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 技術の水準は、非常に最高の水準だと考えております。
  133. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 日本で最高……。
  134. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) これは、各国に比較いたしまして日本の技術水準というものは、りっぱな技術水準といえると思います。
  135. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで次が国鉄の技術が高いとお認めですが、この関係でぼくが聞いたのは、四十五万人ぐらいが今日の国鉄経営について必要な人員であるかどうかということを聞いたのですが、あなたのこの提案をされた原案は、このままで国鉄に新線建設をやらせたのではできないということになっている。だから、別な性格の公団をつくってやるのであると、こう言っておるが、しかも、具体的に中を見ていくと、あまり具体性はないけれども、四十五万人はおろか、いまあなたの申されたように、国鉄の八百人の建設関係の技術屋を公団に移行するんだと、こう言っておりますけれどもね、これは八百人じゃないんですよ、実は。今日この新線建設をやったり、あるいは保守をやるための施設をやっておったのは……。だから、これは有形無形に相関関係がある。だから、そういうところでやっておってさえ、このあなたのほうで出した提案理由説明ではできないといっている。まして、いまあなたが言ったことは、八百人を移行したらできると思っておるのですか。これはもし、あなたの場合、公団をつくるということなんですから、公団というのはどの程度の人間の数で、どうやるかということがまだ具体的になっておりませんから、人間の数でけっこうですから、どんな程度で、どんな人間の規模でやるかということをこの際聞かしていただきたい。政府次官に聞きたい。鉄監局長じゃない、政務次官にだ、最高の方針なんだから。
  136. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) この鉄道建設公団の発足につきまして、人員の移動等については、非常にこまかい技術者の移動についての人員、それから配置等については、私ども、そのこまかい人員配置ということは、具体的には存じません。それは、現在鉄監局長が最もその内容をよく存じておりますので、鉄監局長に御報告させたいと思います。
  137. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まあ次官が存じていないということだが、それは大事なことだから、鉄監局長より大臣が出席してから別の機会にお尋ねしますからけっこうです。  で、どうも政務次官は、大事な基本的な問題なのに存じ上げておりませんということになると、ぼくは、これ以上質問をしていく勇気を失うのだけれども、困るのですよ。あなたは役不足というのではないのですよ。もう少し基本の問題だから、すかっと答えられないと審議になかなか参加することは困る、実際問題として。しかし、実際問題として、予算委員会のほうに大臣が行っておるから、そう言うては無理ですから、ちょっと聞いておきますが、この法律の提案理由の冒頭に、わが国の産業経済は最近目ざましい発展を示している、国民生活もしたがってたいへんよくなってきた、こういうようなことを頭に書いて、そのあと、地方経済がどうであるとか、あるいは低開発地域の開発の問題がどうであるとか、臨海工業地帯の整備がどうであるとか、この間、きめた新産業都市の建設の問題が必要である等々、いろいろ書いてある。書いてあって、このために鉄道の新線建設というのは、従前鉄道でやらしておったけれども、鉄道の力でやれないから、別なものをつくってやるのだ、こういう簡単にいえば理屈になっている。  そこで、私は政務次官に聞いておくのだが、事のよしあしは別として、池田内閣の成立以来、高度経済成長政策という銘を打って、いろいろとわれわれがそれぞれ意見を述べたり、ときには注意なども申し上げてきたのであるけれども、今日なお進めておるわけですね。そこで、私は考えるのだけれども、一体高度の経済成長改築なるものを、ただ単に貿易を促進するとか、あるいは国内の産業を高めていくというだけじゃないと思う。総合的なやはり政策を、ここまで考えなければいけないと思う。今日になってこういうものが出てくるのは、高度経済成長政策の中に総合的に運輸交通政策が——陸海空、いずれもそうです——入っていないところに、こういったものを今日出さざるを得ないことになってきたのじゃないかというふうに思うのですが、この点どうですか。
  138. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) この公団の設立の理由にもお話ししてございますように、日本が高度経済成長を遂げていく過程におきまして、地方の経済の格差の是正という問題もございますし、また、低開発地域の開発、また、臨海工業都市の整備、新産業都市の建設、こういうようなものが順次必要になってまいるわけでございます。そこで、その基盤として、やはり鉄道の新線の建設が必要である、こういうように考えるわけなんです。そこで、従来国鉄が行なってまいりました新線の建設という問題が、ともすれば旺設線の大幅な整備計画また改良工事、そういうような面に強く費やされまして、非常に新線の建設がおくれてくる。そこで昨年の鉄道建設審議会の答申に基づきまして、国鉄の従来の新幹線の建設というものは、別個の公団をつくってやるということが最もこの日本の高度経済成長の発展のためには必要なことだということで、この公団の設立ということになったわけでございます。
  139. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも政務次官の言っていることは、政務次そのものはわかっているのかどうか、ぼくにはどうもぴんときません。そこであなたは、いま一般的に言ったように、産業経済の基盤にしなくてはならぬ、こういったことですけれども、これは、もう小学校の子供でもわかるはずなんです。荒業、経済、文化の発展の基盤、動脈というのは、これは鉄道であって、最近非常に政府が力を入れてきた道路の整備、これは当然のことなんです。だから、明治何年かに鉄道敷設法という法律をつくって、日本の国鉄というものはできてきて、今日百年に近い歴史を持つような状態になっているわけでしょう。そんなことはもう十分承知だと思うのです。ましてや、そういう経過なり歴史をたどってきて、池田内閣になって、とりわけ高度の経済成長を遂げなければならぬ、最近では、高度よりも高い、高々度経済とかなんとかいう話になってきているわけだけれども、それはそれとして、そういう別な角度、別というより、高いそういう経済成長の政策をつくり上げて推し進めていく、計画をしてその計画を遂行していく、こういうことになりますと、それは当然、いまあなたの認めたように、鉄道というものの整備というものは考えてやらなければならぬ。これはもう路面交通だって同じことです。空だって同じ、海運だって同じだと思うのですよ。とりわけ、私は、いまは鉄道建設の問題で話しているから、鉄道だけに限定するのだけれども、それが今日的に何もなされていなかった。だから、いま鉄道にやらしておったのではそういうことができないから、別なものをつくってやるのだと、こういうことで、ぼくは、出してきたものだと理解しているのです。さて、そういう理解の上に立って、なぜ鉄道でできなかったかというところの根本問題をやはり議論しなければならぬ。その問題をもっと見きわめなければならぬと思うのであります。先ほど、公団法じゃない、緊急措置法のほうで久保先生からいろいろ伺って聞いてみましたが、大体私が考えておった三つの問題が問題点になってきた。特にその第二の資金の問題がネックになっておる。こういうことがこの場合明らかになってきた。で、私は、第一に、やはり国鉄ができなかったというものは、今日の国鉄の企業体の性格にもあるだろうし、具体的には、独立採算制をしいられているのですから、企業性を追求していく、もうかるところにどんどん仕事をしていかなければならぬ。あわせて、政府には、正しい意味の運輸交通政策が、さっき育ったように、ゼロにひとしいわけだから、結果、国鉄は新線のほうに手が回らぬ。それにしても、年年歳々、八十億くらいの金を使ってきて、政府が当然やるべきことを国鉄が国民要請にかわってこたえてきた、こういう実情です。あわせて高度経済成長政策が、提案理由にあるように、どえらく進んできた、国民生活も改善されたと、たいしてよくなってきはせぬけれども、そういうことの議論は別にして、かなりの国内外でのものの動きというものが高い水準になってきたことは、これは間違いない。したがって、それに伴う輸送量というものは増大をしてきた、それを何とか国鉄側としては解決をしなければならぬと思うのです。輸送量のつまり拡充整備ということから第一次五カ年計画、さらには、第二次五カ年計画というものを進めて、それもかってに国鉄側がそういう計画をなさったわけじゃないので、諮問委員会なり、審議会の答申なり、監査委員会の監査の結果の報告に基づいて、そういうことをやってきた。ところが、先ほどのお答えにもありますように、第二次五カ年計画はもう間もなく終わるというのにもかかわらず、何%計画が遂行されていると思いますか。なぜ計画が遂行できなかったか、政府が資金的にめんどう見なかったから、こうなっている。こういう議論は、私は追ってやりますけれども、とにもかくにも、国鉄が新線建設できなかったという、一体あなた方が問題を真剣に議論してみたり話し合ってみたり、掘り下げてみたかということを、私は、この際ひとつ、運輸大臣もいま来ましたから、大臣にお尋ねをしたい。したとするならば、どういう点をしたか、この委員会で明らかにしていただきたいと思います。
  140. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 思うように国鉄輸送力を増強し、保安対策を、やり、安全対策をやるために、ばく大な資金が要ります。その資金は、国家財政と見合いまして、そうして許される最高の額でそれぞれ、国鉄にとりましては、足らぬ額であるかもわかりませんが、それで今日まで輸送の安全と、それから経済の格差の是正等々をやってまいったのでございますが、どういたしましても、われわれは、一番必要であるという新線建設につきまして、別個の案で別個の公団組織でやることが最善と考えまして、本案を提出したような次第でございます。しこうして、国鉄のこのたびの予算接衝の結果、国鉄の問題につきましては、国鉄のいうとおり、なかなか財政状態がそのようにまいりませんので、この際ひとつ根本的に、第二次五カ年計画はもう三十九年度で打ち切りまして、四十年度から新発足をするさらに五カ年計画を制定いたしまして、そうして国鉄をさらにさらによくするように検討いたすために、しこうして、国鉄の問題点を、日本全体の交通政策の上から考えるために、今度内閣に国鉄の基本問題について調査をする委員会をこしらえてもらいまして、それによりまして、国鉄に対する財政との見合いにおいて最善の方法を、たとえば道路計画のごとく、たとえば港湾計画のごとくやりたいという考えで今日はいるような次第でございます。
  141. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いま大臣のおっしゃるようなことだと、大臣は提案者だからそう思っているんでしょうが、これならば逆にですね、この提案したときの説明にも、非常に今日伸びてまいった経済性からかんがみて、輸送力が逼迫している、最近とみに輸送量が激増した、こうしたものを緩和すると同時に、国民の要請にこたえるんだ、こういうことなんですね。そういうことであるなら、ぼくは、従前国鉄がそういうことについて懸命に努力してきた、最近は事故が連続しておりますから、毎回委員会は、事故をなくするために、それぞれお互いに頭を痛めている別状ですけれども、とにもかくにも、大臣がその提案理由説明した内容については、努力してきたんだ、このことは大臣お認めだと思うわけです。にもかかわらず、できないというのは、いまあなたがおっしゃったように、資金の関係だけなんです、端的に、言えば。その資金の関係について、今日まで、大臣になってからかなり財投を認めるようになりましたが、前年度と今年度は。この点は私はその意味では非常に敬意を表している一人でありますが、それ以前に、何ら資金的に援助しようなどという態度さえ私はうかがうことができなかったことは、きわめて残念だったと思うわけであります。しかも、いま大臣が答弁されたような角度で進むということであれば、これは政策、施策のやり方の違いかもしれぬが、むしろ国鉄輸送量を高めていくということにのみ考えていくならば、今日のある既設の線区の輸送量を増血することが、国策としては私は先決ではないか。つまりこの単線区間を複線にしていくとか、あるいは電化をするとか、あるいは最近非常に事故が多いわけですから、そういう関係の問題の、たとえば構内改良をするとか、保安設備をよくしていくということこそが、より先決ではないか。そのことによって今日世評でいろいろ問題になっております輸送量もあわせて緩和していくことができるのじゃないかと思うが、この点、大臣どうお考えになりますか。
  142. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) もちろん、それが必要でございまして、そういうことを解決するためには、やはり予算措置が必要であるから、国鉄の、いまあなたがおっしゃったような輸送増強なり、あるいは保安対策あるいは過密ダイヤの解消なり、それぞれがすべてそういうことに、あなたがおっしゃったようなことをやることが必要です。それをどういうように財政と合わすか、財政を無視して計画だけ立てたってなかなか困難でございますから、この間の予算が、保安費の予算が前年度よりは三百六十億か、九十億だったと思いますが、ふえておるけれども、国鉄要求するあなたのおっしゃったような複線化の促進、ディーゼル化の促進、電車化の促進等々の保守費の予算が、前年度よりは相当ふえておりますけれども、削減せられた。これについて、これじゃ責任を持てぬからということを、私が予算が決定する最後の閣議のときに申して、それじゃ、どうすればいいか。本年はこれで忍びがたきを忍んでやろう、しかし、今後はどうしても国鉄の言うとおりの金を政府が出すか、しからずんば、公共性、企業性、運賃その他の問題について、根本的に調査をいたしましょう、それには大蔵省はもちろん、経済企画庁その他入りまして、政府に調査会、調査組織を設けて、今年度の予算のおくれを取り戻すために、予算編成期までには結論を出すようにやろうじゃないかというのが現段階でございまして、あなたのおっしゃるとおり、そうすることが必要なんです。それも必要であるが、現在まだ着工線区あるいは調査線になっている鉄道を建設することも必要なんですから、それは、私は、それを促進する意味において、この本法によってやることが早くいくんじゃないか、こういうように考えて本法案を提出した次第でございます。
  143. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣は公団をつくることの提案者だから当然だと思います。えらい力が入ったけれども、前のほうはさっぱり空気の抜けたような言い方で、力が入っていなかったのだが、ともかく、計画としてもその計画が遂行できなければ意味がない、こういうことです。私も当然だと思います。そのとおりだと思うのですよ。しからば、なぜその計画が遂行できなかったかということなんです。国鉄はちゃんと第一次五カ年計画なり、第二次五カ年計画を計画して、第一次五カ年計画の場合は途中で挫折して、第二次五カ年計画をつくり上げた。それがいままた挫折せんとしているわけでしょう。それは、問題は大臣御承知のとおり、政府が資金的にめんどう見ないからなんです。だから、その計画が遂行できない。それさえ満足にやっていないで、今度大臣がこの新線建設にあたって公団法を通して、公団をつくり上げて、これも十カ年計画になっているのですよ。しかも、この参考資料を見ますと、年次別に出ていますが、五千億かかるということになっているわけだ。そういう計画をしてみたって、あなたはこれをつくったほうが早くできるというけれども、具体的にしからば、どういう面で早くなるかということについて、私は非常に疑問を持つ一人なんです。もしできるというならば、この五千億というものを国鉄のほうに、年次計画を立てて政府が責任を持って財政投融資をして、従前の国鉄で、しかも今まで伺っておるところによると、国鉄の技術水準というものは、あらゆる角度からながめてみても、国際的に最高である、こういうことを政府も認めているのですよ。しかも、四十五万人というかなりの人員を擁している。しかも、百年に近い伝統と歴史を持っている。こういうものを国の政治として、政策として活用していくことが、私は、こういうちゃちな公団でやるよりも、大臣言うように、すみやかに輸送量が増強されて、新線が、それぞれ計画されたものが建設されて、国民の負託にこたえることができるのじゃないかと思う。それさえ今日やっていないところに、こういう矛盾が出てきたのですが、その矛盾をここで再び繰り返す必要ないじゃないか、こういうことの考えを私は持っているのです。どうですか。
  144. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 私は、国鉄でやってやれぬことはないんです。しかし、国鉄はもうあまりにも規模が大きくなり過ぎまして、建設公団をこしらえて、別個に建設専門にやらすほうがよりよく早くできるということで、私はこの法案を出したので、国鉄がやれぬからという意味よりも、そのほうが、まあ早く、言うてみますというと、金を集めるにしても、国鉄はもう非常な大きな予算が要りますから、それよりも別個の会社、公団でやったほうが、資金を集める面から言うてもいいのじゃないか等々考えまして、そこへもってきまして、一昨年五月に鉄道建設審議会が、何かひとつ早くやるために、何か方途を考えたらよかろうと、その方途は別個の組織でやるか、あるいは従来のとおりやらすか等がありますが、その答申に基づいて、私どもはやはりこの別個の組織でやるほうがいいと考えましたので、これに踏み切ったわけであります。もちろん基本問題を研究いたしまして、あなたのおっしゃるようなすべての保安、保守その他についての予算をどういうようにとってくるか、国家の財政とどう合わすかというようなことについて研究をしながら、一方においては、新発足して鉄道建設にまず最初は、本年は政府出資、財投が五億、五億で十億、それに国鉄の予算七十五億を加えた八十五億でありましたが、三十九年度におきましては、さらに、まあ発足早々でございますから、その面で二十億−十億、十億にして九十五億でとりあえずかかろう、ちょうど道路公団も、最初は寡少な資本でありましたが、今日は非常な大きな何千億という仕事をやっておるように、どうもこの大きなものがあって、これで金を集めるというのはなかなか困難であるけれども、別個の主体をこしらえまして、資金その他において、日本人というものはどういうものか、それを好むようです。私は、それをぜひひとつやりたいと思います。こう考えておるのです。
  145. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣ね、建設公団は全く専門的にやらすのだ、こういうことなんで、鉄道では専門的でないという逆論になるのですけれども、鉄道は建設局というものを持って専門にやっているのです、専門に。だから、こういう点誤解のないようにしてきちんと私は認識してもらいたいというように思うのです。それから、国鉄という組織でやると、どえらい組織になってその金が集まってこない、集めにくい、何か別な公団が、あなた会社というような言葉を使いましたが、会社でやれば銭が集まりやすいのだ、こういうことを申されたけれども、ぼくの認識では、それは逆だと思うのですよ。大臣はこれは経済界の大立て者ですからね、そういう点では、小さいものでやれば銭が非常に集まってくるのだ、こういう経験がおありでぼくはそう申されているのだと思うがね。会社にしたから、公団にしたからといって、われわれ建設大臣ということじゃなくて、個人綾部健太郎ということで、あなた、銭すっと出すということであるならば、逆に、これはもうこの書かれている精神と相反すると思うので、大臣、あなた提案したときに、こういうふうに、ここで言いたものを読んだんですけれども、もう一回ぼくは読んでみます。この新線建設については、「国家的な政策上の見地から論ずべきであり、日本国有鉄道の企業的立場からのみこれを論ずべきでないことは明らかである。」「従って、この矛盾解決の方法としては、鉄道新線の建設を道路、港湾整備等と同様に政府の公共投資とする以外にない」と、こうあなたが言っているのです。公共投資ですよ、公共投資の性格というのはどういうものなんですか。いままでのたとえば道路、住宅公団、水資源公団、あるいは日本航空に対する公共投資もあるわけであります。何かいまあなたが前におっしゃったように、小さい細微にすれば、そこら辺から金を集めやすいと言うけれども、そういうことではこれは君かれていないのですよ。だから、公共投資をするというなら、国鉄というものは全額といってもいいじゃないですか。国庫負担、国賊の支出によるものじゃなくして、そういうところに逆に投資をしていくということが、この書かれている意味からいっても、正しいということになりませんか。いまあなたのお答えを聞いておりますと、ことしは五億、五億で十億だ、三十九年度の予算では十億、十億で二十億、こう言われましたけれどもね、そんなもので書かれている文章の精神が生かされますか。鉄道は七十五億、合わせて九十五億でやる。従前に鉄道は八十億くらい使っている。たしか三十八年の場合は、八十七億くらい、この資料にもありますように。それをやってきて建設が進まぬ、鉄道では力がないのだ、だめだ、別なものをつくってやる、いま、あなたがいみじくも、公団でやれば早くできるのだといっておるけれども、この金額を見ただけでも、早くできるような要素は一つだってないじゃないですか。  さらにつけ加えて申し上げますけれども、この十カ年計画を見ると、私の一番心配だと思うのは、さなきだに経営が財政的に逼迫をして、しかも、審議会の答申にもありまするように、昭和四十五年になりますと、国鉄の場合は、二兆四千億という負債を背負うことになると書いている。これを何とかするようにということが、答申に書かれておるわけでしょう。そういう状態の国鉄が、年次計画で毎年約八十価円をこの建設公団のところに金を出資する。まずこれは一つぼくは矛盾しておるような気がする。国鉄ではやれないといっておきながら、従前と同じように、国鉄から金だけ取る。ここに一つ非常に私は理解ができない問題がある。  それから、私どもが常に言ってきた、地方公共団体がこれまた受益者であるということで、三十億毎年負担する。毎年これは三十億ですよ。さらに通行税の関係、これはかなり、あとあとぼくは意見がありますから言いますけれども、これは二十億程度ですから、これはいまここでは伏せておきますけれども、市町村の納付金を、これまた八十億か納めてありますね。さなきだに、市町村の財政事情というものは、毎回、  この委員会ばかりではなくて、地方行政委員会でも問題になっておりまするように、再建整備計画の中に入れられておる市町村というものは多いんですよ、大臣。しかも、新線建設をしていくというところのものは、立地条件から見たって、つまりこの財政再建計画に入っているようなところの市町村が多い。そういう自治体も負担をしいる結果になるのです、これは。その結果、どうなるかというと、その市町村の自治体は増税をせざるを得ない。あるいはそれに似通ったものを新たに制定をして市町村民からその負担を仰がなければならない。こういうことになることは、私は、火を見るよりも明らかだと思う。しかも、これが今度の計画のほとんどになっている、この計画を見ると。そうしますと、前段であなたは、巧みに言葉では表現したり、このように文字に、鉄道の建設については、道路であるとか港湾であるとか、あるいは飛行場のように公共事業であるから、公共投資をしなければならぬ、それ以外にないのだ、政府が国庫で持つべきだ、こういう意味のことを書かれておることとは逆になりはせんですか。この点、どう運輸大臣判断をしてどう考えておるか。この際お答えをしていただきたいと思う。
  146. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 先ほど吉田委員が、私は国鉄の技術を非常に世界的水準にいっていることを信じないかのようにおっしゃっておりますが、私は……。
  147. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 違う違う。そんなことは言わない。
  148. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 私は何人よりも、国鉄の技術人の水準が世界的に高いということをよく信頼しておる一人であります。
  149. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そんなことを聞いたんじゃない。あなたの国鉄の高い技術水準を認めているようにと、こう言ったのだから、あなたが信じないということを言っていない。あなたが信じていると言った。
  150. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 認めているんです。
  151. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あなたは認めている。だから、あなたも認めているようにと、こう言ったんです。
  152. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) わかりました。それじゃその点は速記録を見てあれします。  それで、あなたがいま御引用になったのは、鉄道建設審議会の答申資料であって、私どもは、これをもちろん参考にいたしますが、私は、どうしても審議会が、いま言ったように、どうすれば建設線、調査線を早く建設できるかということについて、方法を答申の中に、別個の組織によるか、共通でやるか等々書いてありますが、私は、別個の組織でやる、すなわち、ここに提案しているほうがいいという信念のもとに提出した次第でございまして、初年度は、わずかに八十五億ですけれども、三十九年度は、さらにそれが倍に政府出資、財投がふえるというように、工事の進捗に伴いまして順次、政府にも出資を多くせしむるように、しこうしてまた、他の方法によりまして資金を集める手段を講じましてやるほうが早くいくという信念には変わりがないのです。そういきますというと、あなたと私の意見は並行線でして、私は、どうしてもそれがいい。あなたは、それじゃだめだ、国鉄に従来のようにやらしてやれぬことはないじゃないかということだが、鉄道建設審議会の答申にもあるように、現状のままではなかなか、国鉄はあまりにも膨大になり過ぎておるから、新線建設はひとつ別個の組織でやるほうがいい、私どもはこう考えて、一昨年の五月の鉄道建設審議会の答申の線に沿って考えたのがこの案でございますから、どうか御了承を願いたいと思います。
  153. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 岡先生も質問がありますから、私は、これできょうのところはやめますけれども、運輸大臣と私とは、そう変わりはないんですよ。とにかく、鉄道の新線建設というものを、今日の既定路線を整備拡充していくと同時に促進をする、こういうことについては、変わりはないんですよ。ただ、やり方の問題で多少相違点があるものだから、あなたに質問しているわけなんです。これ以上、きょうは言うても、時間がかなり過ぎておりますから、次回の委員会で、具体的に業務範囲をどうするとか、あるいは基本計画をどうするとか、その他工事の施行計画などについてもどうするか、あるいは人の問題をどうするか等々の問題を質問をいたすことにして、本日はこの程度で私の質問を終わります。
  154. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  155. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記を起こして。
  156. 岡三郎

    ○岡三郎君 私は、建設公団法案提案理由説明の前文について、なお詳細な、しかも具体的な内容、計画、特に十カ年計画というものが内容的にあるわけですから、それに基づいた具体的なものをひとつ御提示願いたいと思います。まず第一はそれを伺いたいと思います。
  157. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) ただいまのお尋ねでございますが、現在、私どもは新線建設につきまして、具体的に十カ年計画といったようなものを政府部内でまだ提案を得ていないのが現状でございます。しかしながら、省内におきまして、きわめて素案でございますが、現在の工事中の三十線、着工線の十三線、合わせて四十三線。それから調査線で取り上げておりますのが十八線でございますが、このうちの三線は、北海道の関係連絡鉄道あとの二線は、四国の関係連絡鉄道でございますので、陸上の鉄道といたしましては、調査線が十五線あるわけでございます。これらにつきましては、鉄道建設審議会で慎重に審議されまして、着工線なり調査線に取り上げたわけでございますから、こういったものをやはり早急に重点的に片づける必要があるということで、これらにつきましては、一応、先ほど申し上げましたように、素案ではございますが、一応のめどを各線別に立てております。これについては、資料をいつでも提出できる段階になっております。
  158. 岡三郎

    ○岡三郎君 それとあわして、提案理由説明の中にある、特に最近いわれている低開発地域の開発というのは、従来のそういうふうないわゆる線との関係ですね、それから臨海工業地帯の整備をどういうふうにやるのか、鉄道網をどういうふうにするのか、これは、われわれも先般の委員派遣で鶴崎の臨海工業地帯の鉄道網をどうするのか、これは緊急のことだというので、すでに操車場の確保等も非常に大分管理局あたりで考えておる。こういうふうに、具体的に臨海工業地帯というのは、各所各地にありますから、こういうもののほうが具体的に優先されるのかどうか、こういうことを考えていなければ、こういう文字が出てこないと思うのです。それから新産業都市の建設ですね、これに付随するところの新線の建設、これは従来の線に含まれているのか、新しい構想のもとにこれがつけ加えられてこなければ、この提案理由説明というのはおかしくなる。それは、いまあなたの言った関連でどういうふうになっているのか。
  159. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 地方開発、それからいま例をおあげになりました臨海鉄道関係、それから新産都市の関係、こういったものは、いままですでにある程度議論になりましたものにつきましては、調査線を選定なさる場合に、相当考慮をされておりますが、新しく起きるものにつきましては、これから鉄道建設会等の審議を経て是正さるべきものだと考えております。  なお、いま例をおあげになりました鶴崎等は、これは改良工事計画でやるか、あるいは新産都市でやるか、その辺は個々の具体的なケースについて検討を要すると考えております。
  160. 岡三郎

    ○岡三郎君 だから、私のいま言ってるのは、ここに具体的に提案理由説明として、大臣がなされているわけです。そうすると、こういうものについてはこうだ、一々鉄道建設審議会とかなんとかということじゃなくて、これは総合的に経済企画庁等を含めて、早急にこういう問題については、やっぱり明確にしてもらわないと、どこから何をやるのか、さっぱりわからないで、ただ公団をつくれつくれといったって、私たちは、具体的に仕事内容等を見なければ、にわかに問題について、はっきりとわれわれも、あなた方の言っておることを了解することはできないわけです。新産都市の問題についても、鉄道建設審議会がどういうふうに論議しておるか、たいして鉄道建設審議会でもしていないと思う、この問題については。そうすると、これは新しい問題として浮かび上がってきておる問題だと思う。こういう問題について、やはり経済企画庁なら企画庁なりに、やはり見解があるのじゃないかというふうに私は考える。こういうもののほうが非常に焦眉の急として要求されておるのじゃないかというふうにも考えます。ですから、こういう点がもう少し具体性を持ってこないと、比較的に急がなくともいいものを先に急いで、日本の経済の全体の均衡の上からいって早急にしなければならぬものがおくれるという結果になってもうまくない。こういうような問題はやはり明確にしてもらえば、われわれの考え方も少しは変わるかもしれない。ただ、群盲象をなでるみたいに、ただつくれば新線がうまくできるんだ、一体、新線というものは、過去から現在まで、いろいろと検討されてきておるけれども、この提案理由説明の中にあるものについても、具体性がないと私は思うんです。だから、そういう問題についても、早急に資料を出してもらわなければいかぬと思うが、大臣、どうですか。あなたが提案理由説明をしておる、このために新線建設をする、そのためにこれが必要だと、こう言っておるから、その点について言ってもらいたい、大臣はわかっておると思う。
  161. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 調査をいたしまして、後日お答えいたします。
  162. 岡三郎

    ○岡三郎君 だから、調査をいたしましてというのはおかしいので、すでに提案理由として出ておるわけですよ、文言として。しかし、内容的には非常に重要なんです。最近における問題点としては、特に臨海工業地帯とか低開発地帯とか、あるいは最近における問題点であるところの新産業都市、この建設に即応する新線の建設が強く要望されておるというふうになっておる。ですから、これは鉄道建設審議会が従来検討してきておる線と、こういう新しい角度の線というものを、どういうふうに価値判断をしてやられるのか、これは非常に重要な問題となってくると思うんです。ですから、そういう点について調査せられることはけっこうですが、提案理由説明として、内容としてひとつ出してもらいたい。  それから新線建設十カ年計画の財源ですね、大臣は、公団をつくったほうが金の集めぐあいがいい、こう言われておりますけれども、実際問題として見たところでも、各所にぶち当たるような問題がかなりあると思う。ですから、十カ年計画の財源について、これは当然自治省も了承しておると思うんですが、この点の関連はどうなんですか。これは最高の問題です。閣議の問題です。
  163. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 詳細ですから、事務当局に。
  164. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) いまの岡先生のお示しになりました財源は、これは実は一昨年、三十七年の五月の鉄道建設審議会が建議をした際の付属資料でございまして、はっきり申し上げて、私どもはこれをもとにしてこの法案を提出したわけでございますが、先ほど私、申し上げましたように、現在まだ政府部内におきましては、長期の十カ年計画というものをお示しする段階に至っていないというのが実情でございます。
  165. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、なぜ急がなければならぬかということは、政治的に地方の要望のほこ先をそらすために公団法をつくるというふうにしか考えられないんです。ほんとうに抜本的な施策とかなんとか当初言われておる、この説明のように、国の大きな方針に沿ってやるんだということにしては、お粗末過ぎるのじゃないかというふうに考える。ですから、財源の問題についても、明確にならない限りは、私は、これは審議の対象にならぬと思う。財源がどういうふうになるかわからないで公団をつくって、あとでそのそしりをこちらが受けるということでは、私は困ると思う。至急それはやはり明確にしてもらいたい。それでなければ審議の対象にならぬ。
  166. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) これは、先ほど大臣のお答えにもございましたように、現在の段階においては、運輸省の素案程度は持っておりますが、政府部内まだ一致したというかっこうにはなっておりません。しかし、私どもといたしましては、現在経済企画庁が中心になりまして、いわゆる所得倍増計画のアフターケア、中期計画というものを現在策定中でございまして、その中には、私どもとしましては、国鉄の長期の資金計画というふうなものも一応織り入れてまいりたい。さらに、ただいま私が申し上げました素案ではございますが、一応手元にある数字をさらに検討いたしまして、新線建設の長期計画というものも織り入れてまいりたいというふうに考えております。経済企画庁も大体そのような考え方で、現在作業を進めておる段階でございます。
  167. 岡三郎

    ○岡三郎君 少なくとも法律というものを審議するならば、目安がなければできないですよ。目の子算でわれわれは法律を審議するわけにはいかぬのですよ。これが生まれたらどういうふうになっていくのかという筋が、一つのビジョンじゃなくて、計画だけじゃなくて、やはり実効の伴う一つの大綱というもの、それは個々にこまかくやれとは言いませんが、閣議筆で大綱的にもきちっときまって、こういう方向でやるのだということでなければ、また十カ年計画が、今度の国鉄の新五カ年計画のように、途中までやったけれども、うまくないからまたやり直しで新しい五カ年計画、またこれをやったら、十カ年計画がうまくないから途中で新規十カ年計画などということでは困ると思うのですよ。そうすれば、下のほうはおれのところへ早く引け、おれのところと早く引けでわれわれ自体もまだ見当がついてないのだ、ぽつぽつこれからやるのだ、法律は通っちまったのだ、それじゃ、私は情けないと思います。ですから、それは出してもらわなければ困る。大臣、どうですか。出さなければ審議の対象にならぬ。
  168. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 素案は出します。
  169. 岡三郎

    ○岡三郎君 素案なんというものじゃだめだ。素案なんというものでは、どこにどう変わるかわからない。計画も、内容の問題もわからなくて、法律だけつくって、公団をつくってくださいと言ってもむちゃです。どういう財源かわからなくて、計画もわからなくて、ただ公団をつくったほうがうまくいくだろうという子供だましのようなことでは困る。審議の対象にならぬ。抽象的にただつくればいいということではだめですよ。
  170. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 先ほど申し上げましたように、私ども一応のめどを持っておりますので、これをお目にかけまして、これは一応現在めどでございますが、これを早急に具体化するように努力しておりますので、そういった全体計画を一応もとにいたしまして、とりあえず本年度——来年度は単年度の予算を組んでおります。素案は提出いたします。
  171. 岡三郎

    ○岡三郎君 素案というものもどの程度だかわからぬけれども、それは提出するというから提出してもらってもいいけれども、それを検討してから、われわれの意見また言いますけれども、具体的に大臣が提案理由説明をして、具体的にこうやるのだと言っているけれども、抽象論で、とりあえずまずやらしてくれ——それもいいかもわかりませんが、私たちとしては、それは困る。財源的についても明確にならなければ、どっからどういうふうに金を集めるのかもはっきりしない。特に地方自治体、公共団体とも関係が出てきますから、やはりそういうふうな基本大綱だけはがっちりしたものをきめてもらわないと、私は責任を尽くせないと思います。その点、大臣同感だと思いますが、どうですか。
  172. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) それは、そうしたことにこしたことはないのですが、そういうことは何人も私は不可能であろうと思います。
  173. 岡三郎

    ○岡三郎君 そんなことはないですよ。
  174. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) それは議論になりますが、それで運輸省はこういう計画によって、こういうだけの資金で、十カ年にこの路線をやるのだ、こういうことで御審議を願って、そしてそれを順次実現してまいるように努力するということで私はいいと考えております。
  175. 岡三郎

    ○岡三郎君 いま大臣が、そういうことは不可能だと言ったが、財源の目安というものをつけないで——つけることが不可能なんですか。いま地方自治体も経済企画庁も検討しているようでありますが、そういうことを閣議で明確にしてもらわないと、そんなことが不可能ならば、大臣失格ですよ。
  176. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 私は、いまの建設審議会の建議案の内容なんで、私どもはこれとは別に、十カ年計画というものをこしらえて、それはまだ至って素案でございますが、それをとりあえずこしらえて第一歩を踏み出すことを、この建設公団によって踏み出したいというのであります。あなたは、十カ年計画が間違いなくこれこれこれである、そういうことは理想なんですが、たとえば道路公団をやったときでも、そういうなにはありませんよ。それでもどんどんやっていっているのですから、私は、日本の行政の進め方、考え方では、これは素案でそれを単年度で具体化していって、それをまた御審議願うのですから、私はそれでいいと考えております。
  177. 岡三郎

    ○岡三郎君 大臣はそういうふうに言われるが、財源の見通し、それについてやはりいろいろと、審議会とは別個の案をつくられているわけでしょう。そうすると、それについて、決定ということでなく、おおむねこういうふうにいくとか、大体こういう方向について、財源の見合いというものが、ある程度めどが立たないで出発するということになると、これは、どこの役所においてもそうですが、そういうふうないいかげんなことでは、私は困ると思います。やはり現状において確定すべきものは確定して、あと、これ以降はこういうふうに考えているなら考えているのだというふうに、計画案と現在の出発にあたって最小限度必要なものについて、ここにもずっと書いてありますが、全体の十カ年計画というものの上に立ってこれをやるということははっきりしておりますから、やはり十カ年計画というものをある程度はっきり浮き彫りにしてもらわないと、審議の対象にならない。だから、大臣を十年やっているわけではないから、また次の大臣が適当に答弁をされていくというようなことになると困る、やはり現状において明確になる点は明確にしてもらいたい。これは十カ年計画の仕事内容、財源の見通し、こういうものについて明確にしてもらいたいと言うことは、私は無理じゃないと思いますが、いかがですか。
  178. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) ただいま申しましたように、十カ年計画の素案はあるのです。とりあえず、それで来年はこれでいきたい、それで毎年御審議を得るのですから、三十九年度は政府出資、財投で二十億、国鉄から七十五億、合計九十五億で発足、三十九年にはそれだけ使うが、来年になると、来年は素案の計画に従ってこれではとても資金が少な過ぎるから、それじゃ来集、四十年度におきましては、政府出資を百億にしてもらう、あるいは五十億にしてもらう、そういうことをきめて、それをまた皆さん方に御審議願って仕事を進めていくということは当然だろうと思います。全部何年何月までに、どれだけの金をどうして集めるのだということは、私は、今日の日本の財政組織において不可能だろうと思っております。素案はもちろん出します。
  179. 岡三郎

    ○岡三郎君 私の言うのは、結局資金量五千億なら五千億というものを、どういうふうに目安を立てていくかという計画というものと、それに伴って地方公共団体なら地方公共団体は大体こういうふうにやる、これはこういうふうな了解になっている、そういうことをやらなければ、九十五億で出発するならば、国鉄にやらせても何の心配はない、これは国鉄がやっていく分についてもできることだと思うのです。だから、もう少し計画自体というものを、素案があるというのだから、素案を出してもらってからまたやりましょう。やりましょうが、もう少し大臣、財源というものをはっきりしてもらわなければ、私は困ると思う。  きょうはこれでおしまいだな、いま資料要求したが……。
  180. 米田正文

    委員長米田正文君) 資料は政府側で準備するそうですから、次回には間に合うと思います。  残余の質疑は次回に譲り、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会    ————————