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衆議院議員(久保
三郎君) まず、第一点の、政府から出た試案というのでございますが、これは私も今拝見しましたが、これは確か一昨年の五月の
鉄道建設審縫合の試案でございまして、これは海峡
関係も入れて五千億という
数字になっております。先ほどお断わりしたように、私どものほうの一応の計画は、海峡を除いて三千三百億ぐらい大体
考えているわけです。でありますから、その間に二千億程度の差ができているわけです。この点は御了解願いたいと思います。なぜ海峡
関係を除いたのかというのは、海峡
関係は、まだ実際の施工というか、そういうものの
調査も完全にいっている段階ではございませんのでありますが、大体それ以外の、いわゆる丘へ敷く
鉄道については、およその試算といいますが、そういうものも何回か
運輸省並びに
国鉄で出ておりまして、そういうものを基礎にしてものごとを
判断していく、こういうことでございます。
それから政府提案と
議員提案である私どもの提案の相違点について
説明をしろという
お話でありますので、かいつまんで申し上げてみたいと思うのであります。
一つは、先ほど来申し上げたように、
鉄道新線に対するものの
考え方でございます。われわれは、なるほど法案の中には、ものの
考え方は、政府提案と同様に、経済の発展並びに地域格差解消というようなことで、大体同じような表現でありますが、そのほかに、新線建設のいわゆるねらいというか、それを受けとめる態度は、だいぶ政府の案とはわれわれは違うのであります。
一つには、言うならば、最近
国鉄の経営も苦しいのでありますが、たまたま世論としては、新線建設といえば政治路線、こういうふうに同意義に使われる場合が非常に多いのであります。この点は厳重に
反省していかねばならぬことが第一点であります。御案内のとおり、戦後におけるところの陸上交通の発展は
——単なる陸上ばかりじゃありません。
貨物の大半は、御案内のとおり、
鉄道じゃなくて、これは内航海運で運んでいるような現状も変わった点であります。さらには、航空は、御案内のとおり、ジェット機の導入によりまして、従来の飛行機は
貨物輸送に転換せねばならぬという情勢もございます。そういう情勢が、陸上においては、バス、トラック並びに道路整備とあわせて、
鉄道の対抗機関というのが出てまいりました。でありますから、そういうものを勘案して、真に
鉄道というものでなくてはならぬところに
鉄道は計画的に敷設せねばならぬというのがわれわれの
考えの第一点であります。ところが政府のほうの提案でも、
衆議院でもいままでそれぞれ御
説明がございましたが、そういう点については必ずしも明確ではない、むしろ、この提案された
一つの動機というのは、先ほど話に出ましたが、一昨年の
鉄道建設審議会、これの建議に基づくものでありますが、この建議自体も
——別して建設審議会を批判するわけではございません。
鉄道新線建設のあり方については何ら二百も触れておらないのであります。でありますから、前段私が申し上げたように、いわゆる受けとめ方については必ずしも明確でないし、従来の方針どおりだ
——これではいわゆる政治路線というものの推進がこの公団法では重点になりはしないかという心配が
一つございます。でありますから、私のほうの法案の中では、これをチェックする
意味においても、経済企画庁長官と協議をしなければいかぬというような条項を特に入れているわけであります。これは、御承知のように、所得倍増計画も中期に入りまして、現在アフターケアについての中間検討もなされて、これからこれの計画の策定をするわけであります。吉田
委員も御案内のとおり、所得倍増計画のいわゆる交通体系の分科会といいますか、この中でも、指摘された事項は何かというと、新線建設は今後もうやめろ、一切やめるべきだというのが、この所得倍増計画の主張であります。そういう矛盾は、これから倍増計画の中で解決されると思うのであります。でありますから、経済企画長官が、全体的な
輸送のいわゆる調整、こういうものをはかる必要があると思うのであります。これとの協議をしようということであります。ところが政府原案には、御案内のとおり、そういう点はございません。
運輸大臣一人の
責任においてこの基本計画を定めるというのがございます。
それから第二段目は、御案内のとおり、新線建設が意のごとくならぬというのが
国鉄経営自体の問題であります。
国鉄経営自体は、もうすでに御案内のとおりでありますから、私からるる申し上げる必要はございません。しかも、
鉄道敷設法の由来というか、出てきた由来は、御案内のとおり、吉田
議員も御
関係が深いので御案内と思うのでありますが、草創期において、いわゆる陸運における独占機関としての
国鉄の時代にこれはできたのであります。いわゆる建主改従であります。建設が主であって改良は従である。それでよろしかった。だから、ほんとうに政府が
鉄道新線に対して新たな観点から堀り下げてやろうというならば、
鉄道敷設法そのものをまず検討してかからなければならぬと思うのですが、これに対しては何も触れておりません。もちろん、これはむずかしいのでありましょう。そういうことできたわけなんであります。しかも、建設が意のごとくならぬというのは、経営の問題から来ている。と同時に、もう
一つ、ものの
考え方を変えろというのは、この建設審議会の建議にもありますように、この建議はお手元にも配付されているようでありますから、私が朗読することは省きますが、要点は、結局、国民経済的な観点からすれば新線建設は必要である、必要であるが、遅々として進まない
理由は何かというと、
国鉄経営の問題であります。これはむしろ国の
責任としてものごとを
考えろというのがここに指摘されている。結局、資金の面においてもそうでありますから、主たる財源は政府の
責任において出資しろ、いわゆる、いうならば、道路、港湾と同じように、公共事業の
一つとして新線建設はあるべきだという
一つの進歩したものの
考え方を言っているのであります。ところが、法案の中にはさようなことは一切どこにも触れておりません。この点は、われわれのほうの提案は、御案内のとおり、現在の実態からまいりますれば、道路、港湾と同じように、大体
国鉄が半分、政府の公共投資としての半分、こういうことで、両者合わせてひとつ建設資金を充当していこう、こういう
考え方であります。もちろん、提案
説明でも申し上げましたが、はたして今日ただいまの
国鉄経営の中で、年間たとえば平均いたしますれば三百三十億であります、その半額をはたして負担できるかどうかには問題があります。でありますから、この点については、あらためて御論議を要請しているわけです。い
ずれにしても、国が公共投資として、公共事業の一環として道路や港湾と同じような
扱いをしない限りは、新線建設の資金は確保できないだろう、こういうふうに
考えているわけであります。
それからもう
一つ申し上げたいのは、いわゆる建設後の経営についてであります。政府提案原案は、御案内のとおり、いわゆる有償原則であります。有償原則。ところが、これから予定されるものは、御承知のように、直ちには黒字線というか、そういうふうにはなりません。ところが、一方
国鉄の経営は、赤字線区が多いというのが、これは定評というか、そういうことになっておる。そこへ、さらに不良資産、
国鉄の経営自体から見れば不良資金であるところの新線をさらに追加することは、
国鉄経営をさらに圧迫します。でありますから、われわれのほうとしては、そういう有償原則ではなくして、赤字のものについては国の
責任においてこれを補てんするということで経営に当たらせるようにするということが、まあ大きな変わり方であります。
以上が、大体かいつまんで、私のほうの案と政府案との違いかと思います。