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1964-01-30 第46回国会 参議院 運輸委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十九年一月三十日(木曜日) 午前十時十四分開会
—————————————
委員
の異動 一月二十四日 辞任
補欠選任
二宮
文造
君 浅井 亨君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
米田
正文
君 理事 金丸 冨夫君 谷口
慶吉
君 天坊 裕彦君 岡 三郎君
委員
江藤 智君 河野 謙三君
木暮武太夫
君 野上 進君 村松 久義君 相澤 重明君 大倉 精一君
小酒井義男
君 加賀山之雄君
国務大臣
運 輸 大 臣
綾部健太郎
君
政府委員
運輸政務次官
田邉 國男君
運輸大臣官房長
今井
栄文
君
運輸省大臣官房
会計課長
上原 啓君
運輸省船舶局長
藤野 淳君
運輸省鉄道監督
局長
広瀬 真一君
運輸省自動車局
長 木村 睦男君
事務局側
常任委員会専門
員
吉岡善次郎
君
説明員
運輸省海運局参
事官
高林 康一君
日本国有鉄道
副 総裁 磯崎 叡君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
運輸事情等
に関する
調査
(
昭和
三十九年度
運輸省
及び
日本国
有
鉄道関係予算
に関する件) (
運輸省関係今期国会提出予定
の法
律案
に関する件) (
日本国有鉄道
の
運営
に関する件) ○
派遣委員
の報告
—————————————
米田正文
1
○
委員長
(
米田正文
君) ただいまから
委員会
を開会いたします。
運輸事情等
に関する
調査
を議題といたします。 まず、
昭和
三十九年度
運輸省関係予算
について
説明
を聴取いたします。
綾部運輸大臣
。
綾部健太郎
2
○
国務大臣
(
綾部健太郎
君)
昭和
三十九年度の
運輸省関係
の
予算
について御
説明
申し上げます。 初めに、
予算
の
規模
について申し上げます。 まず、
一般会計
について申し上げますと、
歳入予算総額
は十五億九千七十一万三千円、
歳出予算総額
は八百六十七億三千七十九万七千円であります。この
歳出予算総額
を前年度
予算額
と比較いたしますと、三十八億九千三十一万五千円の
増加
となっており、約五%の
増加率
を示しております。 この
増加額
の内訳を見ますと、
行政部費
では、三十六億三千十六万二千円、
公共事業費
では二億六千十五万三千円の
増加
となっております。なお、ただいま申し上げました
歳出予算総額
のうちには、
他省予算
に計上され当省に移しかえて使用される
予算
七十八億四千四百二十一万二千円が含まれております。 次に、
特別会計
について申し上げます。まず、
木船保険特別会計
の
歳入歳出予算額
は、三億五千四百六十二万九千円で、前年度に比較して約一千四百万円の
増加
となっております、
自動車損害賠償責任
再
保険特別会計
につきましては、
保険金
の
支払い限度額
を大幅に引き上げましたことと
自動車数
の
増加
に対応いたしまして、
歳入歳出予算額
を前年度
予算額
の約三倍に当たる三百億三千七百九万三千円といたしております。
港湾整備特別会計
の
歳入歳出予算額
は、
港湾
の
整備
を
推進
するため、前年度より約四十二億七千四百万円増額され、四百七十二億九千六百十一万六千円となっております。また、三十九年度より新たに設置する
自動車検査登録特別会計
の
歳入歳出予算額
は、十五億二千四十三万四千円となっております。なお、以上の
経費
のうちには、
一般会計
、
特別会計
を通じ、定員三百四十四名の純増に伴う
経費
が含まれております。 このほか、
昭和
三十九年度
財政投融資計画
中には、当
省関係分
といたしまして、約二千六百九十一億円が
予定
されております。
昭和
三十九年度
予算
におきましては、当省は、
開放経済体制下
における
国際収支
の均衡と
経済
の
安定成長
に寄与するため、
貿易外収支
の
改善
、
海陸空
の
輸送部門
を中心とする
社会資本
の
充実
、
交通保安
及び
防災対策
の
強化
並びに
運輸関係科学技術
の
振興
の四点に
重点
を置き、次に申し上げる諸
施策
を強力に
推進
する
所存
であります。 以下、
部門別
に
重点施策
の要旨を御
説明
申し上げます。 まず、
海運関係
では、第一に、
外航船舶
の
建造
に必要な
資金
として、
日本開発銀行
からの
融資
二百四十七億円を
予定
しております。これによりまして、
昭和
三十九年度において六十四万二千総トンの
船舶
の
建造
を行なう
予定
であります。特に、O・E・C・Dへの加盟に伴い、
海運
の
国際競争
がいよいよ激化することを考慮し、十九次船以降は
大型油送船
及び
専用船
への
財政融資
の比率を従来の七〇%から八〇%に高めて、
国際競争力
の
強化
に資することとしております。 第二に、
外航船舶建造融資利子補給
に必要な
経費
として、
市中金融機関分
七億三千四百四十二万四千円、
日本開発銀行分
九億二千八百六十八万円を計上しております、これは
外航船舶
の
建造融資
にかかる
海運企業
の
金利負担
を軽減し、わが
国外航海運
の
国際競争力
を
強化
するため、
市中金融機関
及び
日本開発銀行
に対し
利子補給
を行なおうとするものであります。特に、昨年来
推進
してまいりました
海運企業
の
集約化
も順調に行なわれつつありますため、
集約
を完了した
企業
に対しては、十八次船以降の
融資
について、船主の
負担
が
市中金融機関
からの
融資
については年六分、
日本開発銀行
からの
融資
については年四分となるよう、
補給率
を引き上げることといたしております。また、十八次船以降の
利子補給
について、新たな
契約限度額
として、
市中金融機関分
二十四億一千九百六十一万七千円、
日本開発銀行分
百七億七千八百六十万円を計上いたしております。なお、
海運業
の
再建整備方策
として、
集約化
を実施した
海運企業
に対しては十七次船以前の
融資
にかかる
利子
の
支払い
を猶予いたしますため、その
利子
に相当する額を
日本開発銀行
に交付することとし、
大蔵省所管予算
に七十億五千万円が計上されております。 第三に、三
国間輸送助成
に必要な
経費
として、九億六千万円を計上しております。これによりまして、三
国間輸送
を
促進
して、
わが国海運
の市場の拡大と外貨の獲得をはかろうとするものであります。特に
ニューヨーク航路
の
維持安定策
として同
航路
の
経営
の一本化を
推進
することとし、その結果生じた
余剰船腹
を三
国間輸送
その他に有効に転用することにより
国際収支
の
改善
をはかるため、
ニューヨーク航路
を
経営
している
企業
に対しては、本
助成金
の
交付率
を
一般
に比して高めることといたしております。第四に、
海運
の
国際競争力強化対策
の一環として
外航船腹
の
船質改善
を進めることとし、これに必要な
資金
として
日本開発銀行
からの
融資
十億円を
予定
しております。これによりまして
老朽化
の著しい
船舶
の
代替建造
と
標準型油送船
の改造を行なう
予定
であります。 第五に、
移住船運航費補助
に必要な
経費
として、四億六千五百十二万六千円を計上しております。これは、国の
移住者輸送計画
の円滑な遂行をはかるため、
昭和
三十八年度における
移住船
の
運航
によって生じた欠損に対し
補助
を行なうものであります。 第六に、内
航海運対策
に必要な
資金
として、
財政融資
二十五億四千八百万円を
予定
しております。
わが国
の内
航海運
は、
国内貨物輸送分野
で大きな比重を占めつつありますが、その
経営基盤
はきわめて脆弱な
実情
にあります。
昭和
三十九年度におきましては、内
航海運
の
近代化
をはかるため、
特定船舶整備公団
との
共有方式
により
老朽船
、
運炭機帆船
、
沿岸木造タンク船
の
代替建造
を
推進
することとし、これに要する
財政資金
を同
公団
に対し
融資
することといたしました。 第七に、
離島航路整備費補助
に必要な
経費
として五千九百九十万三千円を計上しております。これは、
離島住民
の
交通
を確保するため、
航路
の性質上
経営
が困難な
離島航路事業者
に対して
補助金
を交付しようとするものであります。 第八に、
老朽国内旅客船
の
代替建造
に必要な
資金
として、
特定船舶整備公団
に対する
財政融資
九億円を
予定
しております。これによりまして、
老朽旅客船
の
代替
を緊急に
推進
し、
海難事故
を防止して
旅客
の安全をはかりたいと考えております。 次に、
船舶関係
につきましては、 第一に、
船舶
の
経済性向上
に必要な
経費
として、一千四百七十六万八千円を計上しております。これによりまして、最近の
船舶
の
自動化
、
船体構造
の
合理化等
の趨勢に対応し、
わが国海運
並びに
造船業
の
国際競争力
の
強化
に資するため、高
経済性船舶
の試設計及び
調査指導
を行なうこととしております。 第二に、中
小型鋼船造船業
の
合理化促進
に必要な
経費
として、三百八十八万円を計上しております。これにより、前年度に引き続き
船舶
の
標準設計
の
作成
を行ない、これら
造船業
の
技術
の
向上
と
経営
の
合理化
を
推進
いたしたいと考えております。 第三に、
原子力船
の
開発
に必要な
経費
として百六十四万六千円を計上し、これをもちまして、
原子力船
の第一
船建造
を円滑に進めるため、
安全審査
、
設計承認等
の
業務
を行なうこととしております。なお、
原子力船
の
建造計画
を
推進
するため、別途
総理府所管原子力予算
として、
日本原子力船開発事業団
に対する
政府出資
三億二千百万円が計上されております。 次に、
船員関係
につきましては、 第一に、
海技行政
の
強化
に必要な
経費
として、百五万三千円を計上しております。これによりまして、
船舶
の
自動化
と
技術
の革新の進展に伴う
船員
の
教育制度
、
船舶職員制度
、
海技試験制度
の
改善
と調整をはかるため、昨年設けられました
海技審議会
の一そうの
充実
を進めることとしております。 第二に、
船員厚生施設
の
整備
に必要な
経費
として、二千五百万円を計上しております。これは、
船員
の福祉を増進するため、
国内
における
船員厚生施設
を
整備
する
公益法人
に対して
施設費
の一部を
補助
するものであります。 次に、
港湾関係
について申し上げます。 第一に、現行の
港湾整備
五カ年
計画
が
昭和
三十六年度に策定されて以来、予想を上回る
貨物量
の
増大
、新
産業都市
の
建設
をはじめとする最近の
地域開発
諸
施策
の
推進
、
船舶
のふくそうによる
海難防止
の
必要性
の
増大等
の新情勢が現われておりますため、これらに対応し、今回
昭和
三十九年度を初年度とする新たな五カ年
計画
を策定して
港湾
の
整備
を急速に
推進
することといたしました。 このため、
港湾整備事業費
として、当
省所管一般会計予算
に二百七十一億四千七百五十四万三千円を計上し、
総理府並び
に
労働省所管予算
に六十五億五千五百十万円を計上しております。この
合計額
三百三十七億二百六十四万三千円を前年度
予算額
と比較いたしますと、約二一%の
増加
となっております。これに対応いたしまして、
港湾整備特別会計
の
規模
を四百七十二億九千六百十一万六千円といたしております。 これによりまして、
横浜港外
三百十八港の
整備
を行なうとともに、
石油港湾
として
横浜港外
三港、
鉄鋼港湾
として
千葉港外
六港及び
石炭港湾
として苫小牧港について
特定港湾施設
の
整備
を行なう
予定
であります。 第二に、
港湾
の
整備
に並行して
荷役機能
の
強化
をはかるため、
財政融資
四億円をもちまして
特定船舶整備公団
と
港湾運送事業者
との
共有方式
により引き続きはしけ及び
引き船
の
整備
を行なうほか、三十九年度より新たに
荷役機械
についても同様の方式によりその
増強
をはかる
予定
であります。また、
港湾管理者
による
荷役機械
、上屋、
引き船等
の
整備拡充
のため、
地方債
の
起債
の
あっせん
八十億円を
予定
しております。 第三に、
臨海工業用地
及び
都市
再
開発用地
の
造成
を
促進
するため、
地方債
の
起債
の
あっせん
三百八十一億円を
予定
しております。これによりまして、
臨海工業用地等
の
造成
を
計画
的に
推進
し、
わが国工業
の
振興
と
地域格差
の是正をはかる
予定
であります。 第四に、
港湾都市防災事業
の
推進
に必要な
経費
として、当
省所管予算
に八十七億六千七百二十五万五千円、
総理府並び
に
労働省所管予算
に二億一千百五十三万円を計上しております。これによりまして、
港湾都市
を
高潮
、
地盤沈下等
の
災害
から守るため、
東京
湾、
大阪湾
、
周防灘地区
及び
裏日本海岸等
の
危険港湾都市
の
海岸事業
を
計画
的に進めるとともに、
災害
の復旧を強力に
推進
する
所存
であります。 次に、
鉄道関係
につきましては、 第一に、
国鉄
五カ年
計画
の
推進
に必要な
資金
として、
財政融資
一千三百三十億円を
予定
いたしております。なお、
国鉄関係予算
につきましては、後ほど別途御
説明
させていただきたいと思います。 第二に、日本
鉄道
建設
公団
に対し、
産業投資特別会計
からの
政府出資
十億円を計上し、
財政融資
として十億円を
予定
いたしております。これによりまして、
鉄道新線
の
建設
を
推進
し、国土の
開発
、
地方産業
の
振興
をはかりたいと考えております。 さらに、
日本国有鉄道
に対し、
昭和
三十五年度から三十八年度までの新
線建設費
の一部を
補助
するため、九億百一万五千円を計上いたしております。 第三に、
大都市
における
地下高速鉄道網
の整価を
促進
するため、
建設資金
として
帝都高速度交通営団
に対する
財政融資
百五十億円及び
東京
都、
名古屋
市、大阪市、神戸市に対する
地方債
の
起債
の
あっせん
二百五十五億円を
予定
するとともに、
地下高速鉄道建設費補助
に必要な
経費
として二億四千七百三十万八千円を計上しております。これは、
地下鉄道
の
建設費
が巨額にのぼっている
実情
にかんがみ、
昭和
三十八年度における
建設費
の一部を
補助
しようとするものであります。 第四に、
大都市
における
輸送力
の
増強
をはかるため、
地下鉄
と
郊外私鉄
との
相互乗り入れ
及び高架または地下による
都心部
に達する
鉄道
の
建設
を
促進
することとし、次に申し上げる
踏切道
の
立体化
の
促進
のための
融資
とあわせ、
財政融資
四十五億円を
予定
しております。 第五に、
踏切道
の
抜本的改善策
として、主要な
踏切道
の
立体化
を進めるため、
財政融資
を
予定
するとともに、
踏切保安設備
の
整備
を
促進
するため四千二百十一万七千円を計上しております。この
経費
は、
踏切道
における
保安設備
の
整備
を行なう
地方鉄道
、
軌道事業者
に対してその
費用
の一部を
補助
するものであります。 次に、
自動車関係
につきましては、 第一に、
自動車
の激増に対処し、
自動車
の
検査
及び
登録
の
業務体制
を拡充
強化
するため、新たに
自動車検査登録特別会計
を設けることとし、さきに申し上げましたとおり、
歳入歳出予算額
十五億二千四十三万四千円の
規模
で発足を見ることとなりました。これによりまして、三十九年度には、
車検場
一カ所を
新設
し、九カ所を拡張するほか、
車両検査施設
の
整備
につとめるとともに、八十名を増員してサービスの
向上
と
業務
の
能率化
をはかることとしております。 第二に、
自動車事故
の
増加傾向
にかんがみ、
被害者
の救済を
強化
するため、
保険金
の
支払い限度額
を大幅に引き上げることとし、これに伴い
自動車損害賠償責任
再
保険特別会計
の
規模
を前年度の約九十六億八千七百万円から一躍三百億三千七百九万三千円に拡大することとしております。この結果、
自動車事故
の
被害者
に対する
保険金
は、死亡の場合を例にとれば五十万円から百万円に引き上げられ、さらに後遺症についても最高百万円まで支払われることとなっております。 次に、
航空関係
について申し上げます。 第一に、
日本航空株式会社
に対する
助成策
として、
産業投資特別会計
からの出資十七億円を計上し、同社の発行する社債三十億円について
債務保証
を行なうこととしております。これによりまして、
日本航空株式会社
の
経営
する国際線を
増強
し、激化する
国際競争
に備えるとともに、
資本構成
の
健全化
をはかろうとするものであります。さらに、
国際航空路線
の
充実
のためには、乗員の
増強
が急務であることにかんがみ、
日本航空
に対し
国際航空路線
の
乗員訓練費
の一部を
補助
することとして、三億五千万円を計上いたしております。 第二に、新
国際空港
の
計画
並びに
調査
のための
経費
として、一億円を計上しております。現在の
東京国際空港
は、
航空機
の
急増傾向
から見て遠からず能力の限界に達するとともに、やがて就航を
予定
される超
音速旅客機
を受け入れることができないため、早急に新
国際空港
を
建設
する必要がありますが、新
空港
の
建設
はきわめて
規模
の大きい
事業
となりますため、さらに慎重に
計画
並びに
調査
を行なうことといたしました。なお、この
計画調査
を行なうための組織を新たに設けることとし、二十五名を増員することといたしております。 第三に、
大阪国際空港
の
整備
に必要な
経費
として、二十七億三千四百万円を計上しております。これによりまして、
航空旅客数
の
増大
と
大型ジェット機
の
乗り入れ
に応ずるため
大阪国際空港
を拡充
整備
することとし、
用地造成
、エプロンの
新設
並びに
現有施設
の
改良
を行なう
予定
であります。 第四に、
国内空港
の
整備
に必要な
経費
として、当
省所管分
十四億六千四百四十二万八千円を計上し、ほかに北海道及び
離島
の
空港整備費
として
総理府所管予算
に九億一千六百三十万円が計上されております。これによりまして、
青森空港外
十一
空港
の
整備
を続行するとともに、新規に
鳥取空港
の
整備
に着手し、
名古屋空港外
十一
空港
の
改良
、南紀・
播磨等
の
空港調査
を行なう
予定
であります。 第五に、
航空
の
安全強化
に必要な
経費
として、三億四千八百三十七万二千円を計上しております。これによりまして、
航空交通管制本部
の
対空通信施設
の増設、
三沢地区管制所
の移設、
九州地区管制所
の
整備
及び
航空保安施設
の
整備
を行なうこととしております。 次に、
観光関係
につきましては、 第一に、
国際観光事業
に対する
補助
に必要な
経費
として、五億九千二百四十五万九千円を計上しております。これは、
国際観光
の
振興
をはかるため、ジュネーブの
海外事務所
の
新設
その他
海外宣伝網
の
充実
、
宣伝資料
の
作成
、
総合観光案内所
の
運営等
に必要な
費用
及び
管理費
の一部を
国際観光振興会
(これは仮称であります)に対して
補助
するものであります。 第二に、
ユースホステル
の
整備
に必要な
経費
として、五千二百八十六万四千円を計上しております。これによりまして、
内外青少年
の交歓による
国際親善
の
促進
と健全な
国民旅行
の発展をはかるため、十ヵ所の
公営ユースホステル
の
建設
を行なうこととし、その
整備費
の一部を
補助
することといたしております。 第三に、
国際観光施設
の
整備
に必要な
経費
として、三千万円を計上しております。これは、
わが国
に来訪した
外客
の旅行を便宜快適ならしめるため、重要な
国際観光地
に
有料休憩所
及び
観光案内地図板
を
整備
することとし、その
費用
の一部を
地方公共団体
に対して
補助
するものであります。 第四に、
オリンピック東京大会
時における
外客
の
増加
に対処するために必要な
経費
として九十五万四千円を計上し、
ガイド
の
臨時試験
、
講習会等
を実施して
ガイド不足
の解消をはかることといたしております。 次に、
海上保安関係
について申し上げます。 第一に、
海難救助体制
と
海上治安体制
の
強化
をはかるため、
老朽巡視船艇
九隻の
代替建造
を行ない、
航空機
の
増強
、
航空基地
の拡充をはかることとし、九億五千九百九十七万八千円、
国庫債務負担行為額
三億三千八百四十四万円を計上しております。さらに、密航、密輸等続発する
海上犯罪
の
広域化
、
悪質化
に対処し、
高速機動艇
の
増強
、
ロラン受信機
の
整備等
を行なって、
海上警備力
を
強化
するとともに、
海上保安組織
を
強化
し、
通信施設
を
整備
するため、一億八百四十一万九千円を計上しております。 第二に、
船舶
の航行の安全と
運航能率
の
向上
をはかるため、
航路標識
の
整備
に必要な
経費
として十二億六千五百万円を計上しております。これによりまして、
港湾標識
、
沿岸標識等
を
新設
するほか、
既存航路標識
について、
老朽標識
の
代替
、
集約管理体制
の
強化等
を
推進
し、その
機能
の
向上
をはかることといたしております。 次に、
気象関係
について申し上げますと、 第一に、
防災気象業務
の
整備
に必要な
経費
として、五億四千五十九万円を計上しております。これによりまして、富士山及び福井に
気象用レーダー
を設置し、
九州西部沿岸
に
沿岸防災用観測施設
を設け、その他水害、地震及び火山の
観測施設
を
整備
するほか、
防災気象官
六名を増員して、台風、
豪雨雪
、
高潮
、
地震等
の
災害防止体制
の
充実強化
をはかるとともに、
農業気象業務
の
対象地域
を拡張する
予定
であります。 第二に、
気象関係通信施設
の
整備
に必要な
経費
として、一億六千百七十五万七千円を計上しております。これによりまして、
無線模写放送施設
及び
気象官署
間の
通信施設
の
整備
を実施するとともに、
国際気象通信施設
を
整備
して
わが国
の
国際的気象中枢
としての
機能
を高めてまいりたいと考えております。 最後に、
科学技術関係
について申し上げます。 第一に、
船舶技術研究所
の
整備拡充
に必要な
経費
として五億九千五百九万二千円、
国庫債務負担行為額
三億一千二百四十一万八千円を計上いたしております。これによりまして、三十八年度に引き続き基本的な
研究施設
たる
大型高性能試験水槽
の
新設工事
を
推進
するほか、
電子航法評価試験体制
の
強化
をはかり、
研究試験
の
充実
を期しております。 第二に、
港湾
の
建設
及び
防災
に関する
技術
の
向上
をはかるため、
港湾技術研究所
の
研究施設
の
整備
に必要な
経費
として三千四百八十万三千円、
国庫債務負担行為額
五千百三十万円を計上しております。これによりまして、
港湾施設
の
耐震性
に関する
研究等
の
重要研究
を
推進
する
予定
でおります。 第三に、
気象研究
の
推進
に必要なる
経費
として、四千二百十八万一千円を計上し、
集中豪雨雪
の
研究
をはじめ、
宇宙線観測
、地球の
内部開発等国際的協力
のもとに展開される
研究
の
推進
をはかることといたしております。 第四に、
科学技術応用研究費補助
に必要な
経費
として、七千百五十万円を計上しております。これによりまして、民間が分担する
試験研究
を
促進
し、
運輸
に関する
科学技術
の
振興
をはかる
所存
であります。 以上をもちまして、
昭和
三十九年度の
運輸省関係
の
予算
についての御
説明
を終わります。
—————————————
次いで、
昭和
三十九年度
日本国有鉄道予算
の概況につきまして御
説明
申し上げます。
昭和
三十九年度の
予算
の編成にあたりまして、三十九年度における
わが国経済
の見通し及び
国鉄輸送需要
の動向並びに
昭和
三十九年十月に
開業予定
の新幹線を考慮して
収入
を見積るとともに、
国鉄
の
輸送力
の
増強
及び
輸送
の
近代化
並びに
保安対策
の
強化
に
重点
を置いて
支出予算
を組んだ次第であります。 以下、
収入支出予算
について、損益、
資本
及び
工事
の各
勘定別
に御
説明
申し上げます。 まず、
損益勘定
について申し上げます。
収入
といたしましては、
鉄道旅客輸送人員
を六十三億六千五百万人、
輸送人キロ
を一千六百三十七億人
キロ
と想定いたしまして、
旅客収入
を対前年度一六・四%増の三千八百三十二億円と見込み、また、
鉄道貨物輸送トン数
を二億一千九百万トン、
輸送トンキロ
を六百二十五億トン
キロ
と想定いたしまして、
貨物収入
を対前年度に比し二・七%増の二千二百二十億円と見込んでおります。以上の
旅客
及び
貨物収入
のほかに、
雑収入等
を見込みまして、
収入合計
六千二百六十六億円を計上いたしております。 他方、
支出
といたしましては、
経営費
のうち
人件費
につきましては、三十九年度の昇給と
期末手当
、
奨励手当
三・七か月分を見込みまして、給与の
総額
を二千六百五十五億円といたしております。
物件費
につきましては、節約に特段の努力を払わせることにいたしておりますが、おもなものといたしましては、
動力費
四百五十三億円、
修繕費
八百二十六億円等を見込んでおります。これらをあわせまして、
経営費総額
は四千四百七十八億円となっております。以上の
経営費
のほかに、
受託工事費
四十億円、
利子及債務取り扱い諸費
三百九十九億円、
減価償却費
六百八十五億円、
資本勘定
へ繰り入れ五百九十九億円を見込みまして、
支出合計
六千二百六十六億円を計上いたしております。 次に、
資本勘定
について申し上げます。
収入
といたしましては、先ほど申し上げました
減価償却引き当て金
六百八十五億円、
損益勘定
からの受け入れ五百九十九億円に、資産充当四十一億円、
鉄道
債券一千五十五億円、
資金
運用部等からの借り入れ金四百七十億円を加えまして、
収入合計
二千八百五十億円を計上いたしております。 他方、
支出
といたしましては、このうち二千三百九十七億円を
工事
勘定に繰り入れるほか、借り入れ金等の償還に三百六十六億円、日本
鉄道
建設
公団
(仮称)及び
帝都高速度交通営団
等への出資に八十七億円を
予定
いたしております。 最後に、
工事
勘定について申し上げます。 三十九年度は
輸送力
の
増強
及び
輸送
の
近代化
並びに
保安対策
の
強化
に
重点
を置き、本年
開業予定
の東海道幹線増設
工事
を完成するとともに、主要幹線の複線化、電化・電車化、ディーゼル化、さらには通勤
輸送
の混雑緩和、踏切及び信号保安施設の
改良
等をはかるために、二千三百九十七億円を計上いたしております。 以下、
工事
勘定の内容について御
説明
申し上げます。 まず、東海道幹線増設
工事
につきましては、
昭和
三十四年度に着手してから六年目を迎え、
工事
も最終段階に入り、
工事
費の最終年度分として六百四十三億円を計上いたしております。 次に、通勤
輸送
対策につきましては、
東京
付近八十五億円、大阪付近十六億円、電車増備費七十六両十六億円、計百十七億円を計上し、
輸送
需要要の
増大
に対処するとともに、混雑緩和をはかることにいたしました。 次に、幹線
輸送力
増強
につきましては、前年度より三百四億円と大幅に増額いたしまして八百億円を計上し、東北本線、常磐線、上信越線、中央本線、北陸本線等
輸送
能力の限界近くまで利用されている諸幹線の
輸送力
の
増強
をはかり、これらの線区における
輸送
の隘路をできるだけすみやかに解消することにいたしました。 次に、電化・電車化につきましては、
工事
費六十一億円、車両費二十四億円、計九十五億円を計上し、現在
工事
中の東北本線、常磐線、信越本線、北陸本線、中央本線及び山陽本線の電化を
促進
いたしますとともに、既電化区間の電車化を積極的に行ないまして列車回数の
増加
等
輸送力
の
増強
をはかるとともに、サービスの
改善
と
経営
の
合理化
に資することにいたしました。 次に、ディーゼル化につきましては、
施設費
十一億円、車両費六十三億円、計七十四億円を計上し、電化されない区間のディーゼル化を
促進
することにいたしました。 次に、諸施設の取りかえ及び
改良
につきましては、前年度より百四十五億円増額いたしまして五百六十一億円を計上し、緊急に
整備
を要する踏切及び信号安全施設の大幅な
改良
をはじめとして、諸施設及び車両の取りかえ及び
改良
をはかることにいたしました。 以上のほかに、総係費百七億円を加えまして、
支出合計
二千三百九十七億円を計上いたしております。これらに要する財源といたしましては、
資本勘定
から受け入れます二千三百九十七億円を充てることにいたしております。 以上御
説明
申し上げました
日本国有鉄道
の
予算
につきましては、
予定
されました
収入
をあげ、
予定
されました
工事
計画
を完遂するために特段の努力が必要であろうと考えられますので、公共
企業
体としていま一そうの
経営
合理化
をはかり、もって
わが国経済
の発展に資するよう指導監督してまいる考えであります。 以上、
昭和
三十九年度
日本国有鉄道
の
予算
につきまして御
説明
申し上げました。
米田正文
3
○
委員長
(
米田正文
君) これに関連して、天坊君から質疑の申し出がありましたから、これを許します。ただ、
運輸
大臣は、衆議院の
予算
委員会
にすぐ出られなければなりませんので、その都合がございますので、ごく簡単にお願いいたします。
天坊裕彦
4
○天坊裕彦君 本日は、
自動車損害賠償責任
保険の問題について少しお尋ねしたいと私思うわけでありますが、大蔵省の方も見えておられますか。
運輸省自動車局
の方にも若干補足
説明
をお伺いながら、お忙しい中をまことに大臣にお気の毒ですが、少しお聞きを願いたいと思うわけであります。 先ほどの
予算
の御
説明
にもありましたとおり、
自動車
損害賠償保険につきまして、
自動車事故
の
被害者
に対する
保険金
を、たとえば死亡の場合には五十万円ということになっておりますものを百万円に引き上げ、あるいはさらに後遺症があるような場合にはこれに対して最高百万円まで支払われるというようなことをねらって改正が実施されることになっておるわけであります。ところが、まず、そういうふうな制度が実施されることにつきまして、私どもとしては、現在非常に問題になっております物価安定策といいますか、増税の問題、あるいは公共料金のストップというような問題にからんで、一方では
自動車
業者のいろいろな運賃料金の値上げの問題等もあるわけでありまして、そうした点と十分いろいろな条件を関連して勘案されて答えを出すべきものだというふうに考えておるのでありますが、急にこのお正月になってからこの問題について閣議をお開きになって、二月一日から実施するということをおきめになったそうであります。二月一日と申しますと、もう二、三日の問題でありますが、何ゆえにこの問題について早急に御決定になり、早急に実施しようというふうにおきめになったか、その理由をまずお伺いしたいと思うわけであります。と同時に、二月一日から実施という政令の内容を私まだ十分存じていないのでありますが、五十万円を百万円にするという
保険金
の
支払い
額の
増加
ということが二月一日から実施されるのでありましょうが、同時にまたその裏に、
保険金
の
増加
ということも二月一日から実施されるということになるかと思うのですが、その点別々になるということになるのかどうかということもあわせてお聞かせ願いたい。大臣から、何ゆえに二月一日から実施しなければならないというふうに早急におきめになったということの事情をお聞きしたいと思います。
綾部健太郎
5
○
国務大臣
(
綾部健太郎
君) 御承知のように、本年度の
予算
は非常に苦しいので、主として大蔵当局の財政上の理由によって早急にやらざるを得ないようになったと私は了承しております。
天坊裕彦
6
○天坊裕彦君 いまのお話で、五十万円を百万円に
増加
するということは、私はその趣旨においては決して異存があるわけじゃありません。いいことだと思うのであります。しかし、この場合でも、やはりいろいろな事故によってなくなられる方の補償の
一般
のバランスということも十分考えなければならないということですから、これはなるべく早くやることがいいのだと思いますが、二月一日からやるなんていうことは別にきまったわけじゃない。いろいろな
予算
問題と関連して、新年度からやるというのが普通の順序だと思う。それが、いろいろ本年度の
予算
で非常に苦しいからとおっしゃいますが、その点がよくわからないので、来年度の
予算
をおきめになっているのですから、四月一日からでもいいのじゃないかと思うのですが、特に二月一日からやるということがいまの御
説明
では納得がいきかねるのですけれども、何かつけ加えておっしゃることはないのですか。
綾部健太郎
7
○
国務大臣
(
綾部健太郎
君) 御承知のように、この保険の問題につきましては、たしか一昨年だったと思いますが、それ以来非常な問題になっておりまして、
研究
をいたしました結果、早急にやるということにきまったものと思います。 なお、詳細につきましては、事務当局から御
説明
申し上げます。
天坊裕彦
8
○天坊裕彦君 その点どうもまだ納得がいきませんけれども、話をもう少し進めていきたいと思います。 今度の措置でとにかく五十万円を百万円にする倍額の引き上げであります。したがって、掛け金のほうも普通ならば大体倍にすれば、それで大体とんとんになるだろう。もし事故の起こる率、死亡者の数というものが一定であるならば、倍額なら倍額の引き上げで済むはずであります。ところが、今度の料金の改定は、多いものは三倍六分、非常に大きな値上げになるわけであります。三倍六分と一口に申しますが、たとえば、大型のトラックなどを持っている者からいたしますと、現在九千円そこそこの料金を一台についてかけておるのですが、それが三万五千円というふうな額になる。それを相当の数量持っている会社その他については、非常に大きな掛け金にふえるわけであります。これが、ことしは特に新年度からはガソリン税その他の燃料の税金が上がるわけであります。しかし一方では、それだけ
経営
が苦しくなってくることについて運賃値上げというようなことをお願いしておる向きに対しては、これは公共料金だからストップする、そういうふうな状況のもとだ。ですから、普通ならば五十万円を百万円にするというなら、倍額ぐらいの上げ方ということで、いいわけであります。ところが、それがいま申し上げたように三倍六分というふうになっているわけですが、一方では、御承知のとおり、
自動車
の
増加
趨勢というものは、非常に大きな率で毎年ふえております。したがって
自動車
の数が大きくふえてくれば、これはもし事故の数、死亡者の数が一定だとすれば、
自動車
の数がふえてくれば、それだけ一台ずつみな料金をかけるわけでありますから、ふえてくればふえてくるほど掛け金が安くなってくるわけであります。
自動車
のふえ方は、今日おそらく六百万台以上もあるわけであります。三十六年に比べて倍ぐらいふえている。もしかりに倍ぐらいふえているとすれば、掛金も安くなっていかなければならないはずであります。もう一つ逆に言えば、死亡率が一定であるとすれば、いま申し上げた
保険金
を倍額にしても倍くらいは払えるかもしれないということも言えるわけです。しかるにそれがやっぱり三倍六分というようなところまでいくという理由がどうしてもわからないということが一つなんですが、もう一つ、じゃ事故が一体どんどんふえているかどうかということの問題なんですが、昨年の暮に
自動車
局からこの
委員会
にお配りになった数字がある。これは別の理由で社会党の諸君から要求があってお配りになった、三十五年、三十六年、三十七年と年度別の事故件数というものの表をいただいている。この事故件数を見ると、いろいろ道路の
整備
が行なわれ、事故防止に対する対策がいろいろ慎重にうまく
推進
されているという結果として、三十七年では非常に減っているわけです。三十五年のときよりも減っているわけです。といたしますと、一方で
自動車
がうんとふえて、事故が減っているというときには、明らかに掛け金はうんと減ってしかるべきだ。掛け金というものは、
保険金
の
支払い
を倍額にするにしても、三倍六分まで上げる必要は私は毛頭ないと考えるのですが、それが三倍六分というふうなところまで上げなければならないようになったということの数字的な理由がどうしても私は納得できないのですが、その数字的な理由をひとつお聞かせ願いたい。
木村睦男
9
○
政府委員
(木村睦男君) 私から申し上げます。 今回の
自動車
損害賠償保険の値上げにつきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、実は一昨年あるいは一昨々年ごろからと思いますけれども、国会方面におきまして、あるいは世論といたしましても、現在の
自動車
損害賠償保険の限度額が、死亡五十万円、重傷十万円というふうに、非常に低過ぎる。これでは
被害者
の救済にもあまり役立たない。最近の物価情勢からして、こういうことではいけないという声が非常に強く起こってまいりました。われわれ責任者といたしましても、その点は痛感いたしておりまして、
昭和
三十一年にこの制度を初めて日本に実施いしたましてから、逐次
改善
の方法を講じてまいったのでございますけれども、こういう声もありますし、そこで一昨年から、この引き上げの問題についていろいろ検討してまいったわけであります。で、昨年この問題が政府においても非常に重要視されまして、限度額の引き上げの問題につきましても、
交通
関係閣僚懇談会におきまして、限度額を現在の五十万円から百万円まで上げようというふうな政府としての一応の意思決定も昨年早々に行なわれたわけであります。この方針に基づきまして、事務当局であります
運輸省
と大蔵省といろいろ協議をいたしまして、そしてこれらの問題につきましては、保険審議会にも一年以上前におきましてすでに諮問いたしまして、審議会でもいろいろ検討していただいたわけであります。その結果、昨年の末になりまして、審議会から答申をいただきまして、今日政府案として決定いたしましたような、死亡の場合は百万円、重傷の場合は三十万円、さらに後遺症につきまして別に百万円までというふうな、限度額の引き上げの方針を審議会の答申どおり決定いたしたわけであります。 で、申し上げましたように、限度額は死亡の場合は倍に上がったわけでございますが、さらに保険料が三倍近く上がっている、あるいは三倍以上上がっているという理由といたしましては、限度額の引き上げのほかに、現在でも損害額の査定が、従来の基準でやっておりますというと、たとえば限度額五十万円の場合でも、実際の
支払い
が平均いたしますと三十六、七万円というふうな実績になっております。この額自体が非常に死亡の場合低いわけでございます。この損害額の査定にも再検討の必要があろうということで、損害額の査定の基準につきましても再検討いたしたわけでございます。したがいまして、限度額が倍に上がります上に、今後は起こりました損害につきましての損害額の査定の基準が上がるわけでございます。そういう結果、
支払い
ます——支払うであろうとわれわれが計算しております
保険金
額というものが相当大幅に上がる。こういうことから、今度は
支払い
保険料のほうの料率の算定をしたわけでございますが、しかも車の種類ごとに事故率その他を詳細に検討いたしました結果、車の種類別の保険料というものを定めたわけでございまして、その個々の保険料が御指摘のように三倍以上になっているということは、いま申し上げましたように、限度額の引き上げと、それから損害の査定の基準をさらに
実情
に合うように合理的に改める、その結果、支払われるであろう損害額が相当高くなる、この二つの要素が加わりまして保険料が相当高くなったという
実情
でございます。
天坊裕彦
10
○天坊裕彦君 ただいまの御
説明
では、私まだ納得ができないのであります。いまのお話のように、限度額を五十万円から百万円に上げるということについて、いろいろ御検討になったということは、そのとおりでありましょうけれども、そして、それ自体は私それほど異議がないのです。それはけっこうなことだと思うのです。とうとい人命をなくして、百万円でも決して足るものではないわけであります。しかし、そういうふうに限度額を上げることが、同時に掛け金を出す側のほうからいってどういうことになっていくかということは、当然考えられなければならぬので、しかもそういう事情を——そういう
負担
ができるかどうかということを特にお考えになるのが、私は
運輸省
御当局の一番大事な役目だと思うわけです。そういう五十万円を百万円にするという社会政策的なやり方がいいか悪いかということについて、そのとおりきまるなら、
運輸省
はこの問題についてタッチされる資格はないと思う。三倍六分という上がり方は、そんな激しいやり方で上がるということは、ほかに例がないと思います。現にほかの損保の問題でも、掛け金を上げるかどうかという問題について、それは
一般
に影響することが大きいというようなことで押えられておるというふうなことさえも聞いておるわけです。ですから、五十万円を百万円に限度額を上げられるにしても、そういうことに対して、三倍になるならばとてもたえきれない、ほかの方法によって考えてもらいたいというような主張を
運輸省
としてはしなければならぬと思うのですが、そういう御主張がなされてなかったような御答弁でありまして、そういうことでは私は納得がいきかねるのであります。 それから、五十万円を百万円にするということについても、実際受けるやつは、査定の仕方が値切っている、一ぱい一ぱいにやらなければいかぬから、実際はふえるだろうというようなお話でありますけれども、しかし、この点は、いま申し上げましたように、
自動車
のふえ方が、ものすごいふえ方をしておるわけです。そして事故の件数も実際に減っておるわけです。私はここに数字を持っておりますから、一々申し上げてもいいのですが、一々申し上げるのも、大臣隣にいて非常にせかれておるようでありますから、申し上げません。一体査定の基準になった
自動車
の台数とか事故率というものはどういうふうな数字になっておるかということは、これは大臣がお立ちになったあとでも伺いたいと思うわけです。納得ができません。大臣、こういうふうな事情なんで、三倍六分というかっこうで上げるということは非常に無理だと思うのです。しかも、年度末になって、ことしの
予算
が苦しいのだというようなお話は、これまたよくわからないのですが、しかも、聞くところによると、過去の年度でやった保険の
支払い
が赤字になっている、その赤字の補てんをこの際一緒にやろうということでこういうことがきまっておるということも聞いておるわけです。そういたしますと、これはそのときの
予算
の査定なり立て方というものが非常にずさんだということになるのです。それは赤字が出てもいいのだ、腰だめでやっておけばいいのだということなら、こういう際に、五十万円を百万円に限度を上げるということが必要なら上げるけれども、掛け金のほうはもう少し腰だめで、また赤字を出しておいて、ある時期に赤字解消の措置を講ずればいいのだということで、掛け金はだんだんと上がっていくことが大事なので、一ぺんに三倍も四倍も上がるということは、私は穏当を欠いた措置だと思う。そして、いま申し上げましたように、
自動車
の数もふえておりますし、事故も実際減っておる状態です。現実に
予算
に盛られた三百億の金を出すのは、私は、従来の、とり方によって三百億は出せる、掛け金ももっと減少できるという数字がある——そういう数字があれば、掛け金のかけ方について改める必要があると思うのですが、改めていただけるかどうか大臣にひとつお聞きしたい。これは非常におかしい。その数字を、あとから
自動車
局長
、大蔵省のほうともお話しして、納得いくような話で、なるほどこういうかけ方をしなくてもいいのだということがあれば、掛け金のかけ方についてはひとつ改めていただきたい。その点ひとつ大臣に、そういう場合にはそういうふうにしてもいいということについてお考え願えるかどうかについてお考えをお聞きしたい。
綾部健太郎
11
○
国務大臣
(
綾部健太郎
君) 数字的にそれが不合理であるという点がわかれば、それは改正するにやぶさかでありません。
天坊裕彦
12
○天坊裕彦君 大臣、そこのところだけ答えていただければ……。
金丸冨夫
13
○金丸冨夫君 関連して。大臣にぜひこの際お伺いして、しかもひとつはっきりお答えを願いたいのは、公共料金の一年間停止ということを閣議でおきめになったとわれわれは新聞紙上で見ました。公共料金は、御承知のように、いまサービス関係ということで、従来の国会におきましても、相当問題があって、それをまあ現内閣は、今度は公共料金一年間停止というようなことを大きく打ち出されたと思うのでありますが、これに伴って、われわれの考えるところでは、
一般
の
運輸
関係の問題はほとんど全部サービス業であるというようなことから、労賃の値上がりその他によって当然
経営
は非常に苦しくなっておる、こうお考えいただけるとわれわれ思うわけでありますが、これについて、たとえばいまのガソリン税の値上げの問題、さらに引き続いては今度の
自動車
保険の三倍という——われわれも三倍値上げというのは見たことない、聞いたこともない、こういうものを突如として取り上げて、しかもあまりわれわれ関係の方面で十分の審査をするひまもなく、また案もお尋ねするひまもなく、二月一日から実施する——十四日決定で、二十日の公布だったと思いますが、こういうぐあいに急ぐ理由というのはわれわれ全くわからない。なるほどそれは、社会政策ということから考えていけば、死んだ場合の例をとれば、五十万円が百万円になるといようなことは、これはあるいは妥当かもしれないけれども、国でもそれじゃ社会保障をやるからといって腹一ぱい初めからやるためしはない。おのおのその時期に応じて財政上の措置等も考えながらやっていくというのは、これは当然なわけです。この場合において、政府がどうお考えになってこういう案を出されたか、私その点わからないのですが、少なくともこれは、掛け金を出すほうの
自動車
利用者全部のために、この政策をきめる場合に十分な御考慮及び御
調査
を願わなければならぬのは
運輸省
なんです。その
運輸省
が突如として、ただ審議会の決定があったからといって、右から左やるというのは、はなはだ私どもは理解に苦しむのです。大臣にぜひお伺いしたいのは、公共料金一年停止ということの閣議の席上において、この問題もガソリンあるいはその他と同様にお考えになり、御議論になっておきめになったかどうか、そのところをひとつお伺いしたい思います。
綾部健太郎
14
○
国務大臣
(
綾部健太郎
君) もちろん、そういう点を議論した結果、多数の意見に従ってそういうことになったわけであります。ところが、私も非常にこれは不満なんです。というのは、公共料金だけをストップするという一方、政府でやれるガソリン税を上げる、保険料を上げる、これは非常に矛盾したのでありますが、これは政策以前の問題でありまして、内閣の方針として、非常に無理だけれども、国家の現状にかんがみまして、政府の物価対策に熱意のあるということを示すためにどうしてもこうやらなければならぬ、こういうことに相なったので、これは
自動車
営業に携わっておいでになる方々がみんな不満であろうということは私自身が一番よく知っている。そこで私は、就任以来、
経営
の
合理化
をはかるために、そうして
輸送
の安全を確保するために、そうして事故をなくするために、ある程度の値上げ、すなわち
運輸省
として査定いたしました値上げ案ということにつきまして終始一貫争ってきたのでございますが、政策以前の問題である、そうしてこれが内閣の根本方針で、ただいま申しましたように物価対策にせめて政府の力が及ぶ範囲だけでも一生懸命で取り組んでいるということを示すための手段として私はやられたのだろうと思いまして、閣議の席上で不満ながら同意をしたような次第でございます。
金丸冨夫
15
○金丸冨夫君 もう一度。いま
運輸
大臣が、公共料金一年停止の場合にも、そういうことを考えて大いに主張せられたというお話がございましたのですが、どうもわれわれのほうの聞くところによりますと、業界その他では、実は、ガソリンにいたしましても、この保険の値上がりにいたしましても、すべて反対を強力に主張したのは通産大臣だというふうなうわさが流れている。これはわれわれまことに残念なんです。通産大臣も関係あるかもしれぬけれども、とにかく保険の場合には、友払いをする
自動車
利用者のほうの問題ですから、これはほんとうに強く御主張願いたかったのですが、これに触れて、その結果できめられたということなら、これはやむを得ぬことだけれども、しかし、先ほど天坊
委員
の御質問の、少なくとも、従来の赤字を処分するために料金の値上げ三倍をやるとか、あるいは今年度内にこれを上げなければならぬということは、どうしてもわからない。こういうものこそ、政府は大きい方針できめるならば、自分のふところから出してやればいい。金がないわけじゃない、わずかな金だ。それを、三百何十億というものを、ガソリンを上げるわ、料金は一年間停止、そうして三百億に及ぶものを取り上げなければならぬということは、私どうしても納得がいかない。いまやかましく言いましても、きまったということであれば、これはどうするわけにもいかぬと思いますが、少なくとも、
運輸省
のご
あっせん
によりまして、たとえば今度の値上げというものを
調査
して、掛け金等についても三倍というようなことにはならないように御考慮願える余地は先ほどのお話では私はあろうと思うし、またあるいは一年間公共料金を停止というようなことであれば、おまえたちも一年間は苦しかろうがしんぼうしろ、われわれもしんぼうするということ、また保険のごときは社会もこれをしんぼうするということでなければ、話はわからない。取るだけは取り上げる、上げるだけ上げる、しかしおまえたちは泣き寝入りせいということでは、国の政治ではないと思う。ぜひひとつそれをお考えになって、たとえば業界等において掛け金一年間停止ならば、一年間はこの増徴を延期する——おきめになったことならしかたないが、増徴を延期するとかなんとかいう方法を、ぜひひとつ大臣の御配慮によって、この
自動車
業界のためにひとつ特段の御配慮を願いたいと思うのですが、この点はいかがですか。
綾部健太郎
16
○
国務大臣
(
綾部健太郎
君) 先ほど申しましたように、その数字の検討の結果明らかになります場合には、これを是正するのにやぶさかではありません。しかし、全体の問題として、一年間だけはまあしんぼうしてもらおう、こういうことにきまったのでございまして、内閣の方針できまったことで、私がいまここでそれをくつがえすような力は私にはないので、ひとつこれから……。
米田正文
17
○
委員長
(
米田正文
君) ちょっと申し上げます。衆議院の
予算
委員会
からたびたびの使いが来て早くよこしてくれと言われておるから、向こうの審議の関係上もありますから、大臣はきょうはこれで……。
金丸冨夫
18
○金丸冨夫君 私のは関連質問になりますから、本質問でまた別にお伺いします。時日はございません。すぐ始めるんだから。
天坊裕彦
19
○天坊裕彦君 大事なところで大臣が立たれるので、少し気合いを抜かれたようなことですが、しかし、先ほども大臣は、不合理だというような気運があれば直す、こういうことをはっきり言明してお立ちになったわけです。そこで、今度私は、もう少しこまかい数字をお尋ねしながら、大臣のおっしゃったように不合理なと思われる部分があるかないか御検討願いたいと思うのですが、この前いただきました事故発生状況というようなものを見ましても、たとえばいま三倍に掛け金が上がった——バス、トラック両方で見ましても、
昭和
三十五年ではバス関係の営業用では三百八十五人の人が死んだ。ところが、三十六年には三百五十一人に減って、三十七年には三百三十人に減っておる。死んだ人が現実に減っている。トラックのほうでは三十五年に千百六十九人死者があったのですが、それが三十六年には千百八十三人、それから三十七年には千十六人、とにかく減ってきた。そこで、今回のいろいろな料率改定をなさるデータを三十五年の数字をおとりになったというふうに聞いているのですが、なぜ三十五年の数字をおとりになったか。明らかに三十七年の数字をおとりになれば何割かの死者の数が減っているし、それから、いま申しましたように、
自動車
の数なんというものは大きくふえているのですから、それだけまた全体として掛け金の上がりが大きくなる。事故は減るということなんですから、私はその数字がよほど変わったものになってくると思う。ですから、先ほど大臣が言われたように、
運輸
行政として自分も責任があるから、いろいろ業者の
合理化
も望むし、心配もしているんだというお話ですが、いろいろなことがあって限度額を上げて、掛け金額を相当上げねばならぬというような場合でも、
運輸省
としては、できるだけ少ない数字で、それも決してうその数字ではないのですから、明らかに有利なような数字の出し方があるのです。その数字をとらないで、わざと一番高いところの数字をおとりになった、今回のものをおきめになったというところが、納得がいかない。 私は、もう一つ、
運輸省
かどっちか知りませんが、赤字の問題が出ておりますが、一体
自動車
損害賠償の会計においてどういう赤字が出てどういうふうになっているのかという全体の数字をひとつ資料としてお出しを願ってその数字を見てその問題についてはあとから質問をしたいと思う。
委員長
に資料の要求を願います。資料が出てからもう一ぺんこの問題を御検討願ったほうがいいかと思います。
米田正文
20
○
委員長
(
米田正文
君) いまのは、
運輸省
よろしゅうございますか。
田邉國男
21
○
政府委員
(田邉國男君) はい。
米田正文
22
○
委員長
(
米田正文
君) その資料は提出することにいたします。
金丸冨夫
23
○金丸冨夫君 私も資料について。 今度の審議会においていろいろ御決定の模様でありますから、その審議会における資料を、これも全部ひとつ御提出を願いたいと思います。
米田正文
24
○
委員長
(
米田正文
君) よろしゅうございますか。
木村睦男
25
○
政府委員
(木村睦男君) 審議会の資料と申しますと……。
金丸冨夫
26
○金丸冨夫君 審議会で決定されたのがあるのでしょう。審議会の報告に基づいておやりなったのでしょう。
木村睦男
27
○
政府委員
(木村睦男君) 審議記録ですか。
金丸冨夫
28
○金丸冨夫君 答申があったのでしょう。
木村睦男
29
○
政府委員
(木村睦男君) ですから、ここの
委員
さんの発言があった記録という意味じゃございませんね。
金丸冨夫
30
○金丸冨夫君 答申のことです。
谷口慶吉
31
○谷口
慶吉
君 ぼくも実はおかしいと思うのです。九十六億八千七百万円——前年度で五十万の実払いというものがもし可能であったとすれば、三百億にふやす必要はないような気がするのです。だから、そういうことは、事実現在まで
特別会計
は赤字であったということなんですか、これはどうなんですか。
木村睦男
32
○
政府委員
(木村睦男君) この
特別会計
は、現在まで赤字でございました。それで、今日まで、まあ大体一年平均いたしまして
自動車
の持ち主がこの保険で払われる保険料といいますか、これはいまお話のように百億前後でございます。それに対しまして、事故が起きて
被害者
にこの保険で支払った額が百億以上ある——これが赤字という意味でございます。したがいまして、いままでも、保険料としていただいておりますが、
自動車
の持ち主が
自動車事故
のために払ったこの保険の保険料の額よりも多額の金が
被害者
のほうに出ておるということで、もしその損害保険がなければ
自動車
の持ち主はこの保険料で支払うよりももっと多額の損害額を支払わなければならぬという
実情
にあるわけです。その間のこともいままでの実績その他で勘案いたしまして、今回の限度額の引き上げにつきましても、相当大幅にいま申しましたように上がっておりますけれども、この大幅に上がった額をそれぞれ
自動車
の持ち主がお払いになりますけれども、さらに事故に対して損害額のほうがこれよりおそらく上回るじゃないかというふうにわれわれは考えたわけでございます。したがいまして、理屈だけで申しますというと、決してこの保険料はむだな
支払い
ではないじゃないかというふうにも考えるわけでございます。
天坊裕彦
33
○天坊裕彦君 とにかく、きょうはだいぶ日程も詰んでおりますし、先ほど申しましたように、この損害保険の会計の数字を御提出願って、そのときにもう一ぺんこの話は質問することにいたして、きょうはできるだけ簡単にして、これで切りたいと思いますが、ただ一つ、二月一日から実施ということになっておりますので、この掛け金は二月一日からすぐ徴収するということになるのですか、どうですか、それをひとつ。
木村睦男
34
○
政府委員
(木村睦男君) この保険契約は、二年から一年あるいは一年半と、いろいろ期間がございますが、期間の来るごとに更改する。そこで、二月一日以降更改期が来て保険契約の更改をするときには、この新しい制度できまった保険料を納めていただく。で、二月一日以前に契約しておりまして、それがさらに有効期間が二月を越して継続するものは、もちろん書きかえは必要はない、こういうことでございます。
天坊裕彦
35
○天坊裕彦君 そこで、私、これは目の子の話で恐縮なんですが、三百億近い
資金
が要るという話で、先ほど申しましたように、私はデータを使えば倍率は変わるけれども
総額
の
予算
的な数字は守れるような線が出てくるのではないかというふうに考えているのですが、したがって、掛け金のかけ率、料率は私は変えてもらいたいと、こう思っておるのですが、二月一日からすぐあとに契約の更改期が来た人にはいまのきまった高いほうの料率で契約しなければならぬということになって非常に困るのですが、何かそれをもう少し便宜延ばす方法は考えられませんか、暫定的に。ここの国会の審議を通じて、どうしても改定していただきたい、あるいは改定できないという答えが出るまで施行を延ばすということはできませんか。次官どうでしょう。
木村睦男
36
○
政府委員
(木村睦男君) 申し上げましたように、二月一日から実施するということございますので、二月一日の実施を延ばすかどうかというお話でごいざますが、実は保険審議会におきましても、
交通
事故の多発、それから損害額がだんだんふえてくるという現状にかんがみまして、できるだけ早く実施すべきだ、
交通
事故の
被害者
のためにこの制度は一日も早く実施すべきだという答申をいただいておりますので、関係省相談いたしまして、実は二月一日から実施するという方針をきめ、閣議におきましてもその線で決定をしたわけでございますので、時期の点につきましても、いろいろ考えた末でございますので、いまこれを変更するということは私の判断では困難ではないかと考えております。
天坊裕彦
37
○天坊裕彦君 しかし、この本年の年度内——二月、三月の二月の間に、いままで出てきている赤字というのはどの程度のものかどうか知りませんが、もうたいしたことはないと私は思う。どうせ出ている赤字がもうちょっとふえるだけの話だ。それを何も、二月一日ということをがんばって、新年度全体を通じて、あるいは将来にわたって高い、三倍半、四倍というような料率がきまってしまうということは、もしこれからの議論で、それはなるほど不合理だ、もう少し考えてもいいという答えが出たときに、それを誤ったというか、無理押しをしていくということは、私は非常に無理を重ねるというふうに思うわけであります。したがって、ことに
自動車
業者その他も、
交通
事故がやかましく言われて、事故を少なくしなきゃいかぬという努力をみな一生懸命やっておる。その一生懸命やった努力が、現実にここに数字が出ているように、事故件数としては減ってきている。そういう減ってきたところに、三倍も四倍もまたかけるというような行政は、私はないと思う。したがって、どうせある程度まで上げなきゃならぬことはわかりますが、三倍半なり四倍ということが非常に無理だと思うので、しかも数字的にそういうふうにしなくて済むと思うので、御検討願いたいと思うわけですが、いま申しました二月一日の契約を、もう少し待ってもらうような話を、何か特別の措置をお考え願いたい。われわれもだらだらねばっていたずらに遷延することを考えるわけじゃないのです。この問題は早急に答えを出していただきたいと思うのです。
田邉國男
38
○
政府委員
(田邉國男君) 天坊先生のお話は、私ども非常に合理的なお話だと承りました。ただ、この問題も、審議会の答申を得まして、そしていろいろやってまいりまして、各省との協議の結果、二月一日からということでございますが、私もいままでのお話の経過を伺っておりますと、もし不合理な問題が実際にあるようでございましたら、大臣とも相談をいたしまして、これは省でよく検討もしてみたい。そして、もしそれが不合理な点があるのでしたら、それは多少猶予も考えなくてはならぬ、かように考えます。しかし、現在の時点におきましては、でき得れば二月一日に実施をしたい、こういう省の考えであります。
相澤重明
39
○相澤重明君 関連ですが、いまの天坊さんの質問に答えて、二月一日から実施という方向を明らかにしたのだけれども政令は公布したのですか。
木村睦男
40
○
政府委員
(木村睦男君) 公布いたしております。
相澤重明
41
○相澤重明君 そうすると、政令を公布したものを取り消すということはなかなかむずかしいね。そういう私は少し政府に意見を聞きたいのだけれども、政府が単に、物価抑制策というのをとっている反面に、いまのような保険料の問題が具体的に提案されるのに、関係者間の意見というものは聴取しないのですか。何でもこれは政府が自由にやれるのだということだけでそういうものをおきめになって、二月一日から実施、しかも政令まで公布してしまってやるのだ、こういうことなんですか、その点聞いておきたい。
木村睦男
42
○
政府委員
(木村睦男君)
自動車
損害賠償保険につきましては、保険審議会にかけるわけでございます。保険審議会が民間の方たちでもって構成されておりまして、そこで検討をいただく。そして、その答申をもらいまして、その答申を尊重して政府の案を決定するというやり方になっておりますので、保険審議会の段階で、
自動車関係
のユーザーの人、あるいは保険会社、あるいは学識経験者、そういう人たちの発言の場がありまして、保険審議会で実は一年にわたって議論を尽くしていただいたわけでございます。
相澤重明
43
○相澤重明君 もちろん、これは
運輸
大臣の一つの
補助
機関ですからね、審議会というのは。だから、審議会を尊重しないということでなくて、審議会の答申というものを尊重するということは、各
委員
もそういう話をしておりますね。ただ、やはり関係業界というのは、これはきわめて大きな影響を持つということ、これは事実ですね。だから、
運輸
大臣がものをきめるのに自分だけで判断をするのを、公平な立場でやりたいからこそ審議会というものを持って、それをやっているわけでしょう、そうでしょう。その審議会の諮問を得るということも、これは当然なことでありますが、また反面、そういう関係業界の意見というものも十分聞いておくというのも私は政治の上で必要だろうと思うのです。その点の連絡、あるいはそういうことをやったのかどうか、その点はどうなんですか。
木村睦男
44
○
政府委員
(木村睦男君) 先ほど申し上げましたように、保険審議会の
委員
の中に、
自動車
運送業者といわず、
自動車
を持っておるユーザーを含めまして代表の立場にある方もおられまして、一年間の審議の間におきまして、そういった代表の方は、おそらく業界あるいは
自動車
の保有者等との間におきましていろいろ議論をされ、そして保険審議会の場においていろいろ発言された、こういうふうに考えているわけでございます。そういう意味では、この保険審議会で
自動車
の保有者側の意見も十分述べられ、そして議論を尽くされた、かように考えております。
相澤重明
45
○相澤重明君 私は、政務次官もおいでですから、少し聞いておきたいのですが、さっき大臣がいるときに実は言いたかったのですが、今度の
自動車
保険料率の改定をやるのに関連して、地方公営
企業
のバスの問題、料金値上げを一年間ストップしましたね。私は考え方に賛成なんです。ところが、さっきもお話しのように、事故の起きた場合はやはりそれ相当のものを支払わなければならぬ、一方ガソリン税も値上げされるという趨勢にある地方公営
企業
の場合でも、だんだん赤字が大きくなってくるわけですね。こういう場合に、財政援助というようなものを金丸先生もお話しになったようですがね、そういうような点を考えないですかね。私は抑制するという趣旨においては一貫してもらっていいと思う。一方ではそれをくずしていくというようなことはよくないと思うのですね。だから、公共料金を押える、それはいいことだから、それはやる。しかし、その反面には、そういう自治体なり、公営
企業
なり、あるいはまた財政援助というようなものを、
保険金
の中にも、私は、政府自体が政策の問題としてきめるのだから、やはり出すべきじゃないかと思う。そういう点は議論はないのですか、どうなんでしょう、これはひとつ政務次官に聞いておきたいのですがね。
田邉國男
46
○
政府委員
(田邉國男君) 先ほど大臣からお話がございました、公共料金が一年間ストップした、これは政策以前の問題である、こういう答弁がございました。いまの
自動車
損害保険の問題でございますが、この公共料金が一年間ストップするという以前から、保険審議会の議を経て、そして答申の結果を
運輸省
が各省と協議の上でかような決定を見たわけでございますが、公共料金のほうは、そのあとの公共料金一年ストップという問題でございまして、ですから、これが一年も前にそういう問題があれば、当然私は関連して
自動車関係
の助成の問題も当然考えなくちゃならなかったと思います。しかし、公共料金の一年ストップの問題は、つい最近にはっきり言明されたことでございまして、そこに非常に時間的な差というのですか、あとからそういう問題が出たわけでございますから、またこの問題は、今後引き続いてかような問題が議論される場合には、相澤先生のおっしゃったような道を、やはり助成の問題も考えなければならぬ、こういうことは当然起こると思います。
相澤重明
47
○相澤重明君 政務次官の答弁は、足元かな鳥が飛び立ったというような話をされておるのですが、それでは国会審議なんというものにはならぬので、私は、政府が
予算
を提案をして、それで関係法案を提案をしておるのですから、当然、政府の政策の方針として公共料金を抑制をするという政策を出したんだから、その出したものに対する裏づけをしなければ、これは私は議論にならぬと思うのですよ。だから、私は、公共料金の抑制の方針というものは正しい、それはよろしい、それは支持する。しかし、それを支持するけれども、同時に、それではそのために起きる影響の問題についてはどう処理するかということは、当然財政的な裏づけを考えてやらなければならぬだろう、これは国の責任ではないですか、こういうお話を聞いているわけですよ。だから、先ほどの
自動車
損害保険の問題にしましても、何も二月一日に全く足元から鳥が飛び立つようなことをしなくても、一年間その審議会で審議をしたからそれで万全ということにはならぬわけです。いま国会に新しく政府が提案をしているんだから、
予算
はこれから審議するのですよ。いまやっと審議を始めたところなのです。国会の審議権というものをお考えになれば、そうすれば、やはり、過去のそういうことはわれわれは尊重しつつも、いまのそういう提案されておる内容について合わしていかなければならぬわけですね。それでなければ、政府の趣旨というものは一貫しないわけです。だから、
予算
案が通るのは三月末——いまの形で普通でいけば、衆議院を三月の初めに通って、参議院を三月末という、まああり方によっては四月になるかもしれぬけれども、とにかくいずれにしても四月から実施というのがいまの提案している内容ですわね。そういうことになれば、何もここで一カ月や二カ月急ピッチを上げて、理屈の通らないような
説明
をされても、私はやはりそれは困るのじゃないか。そういうことが、私どもやはり政府の一体趣旨というものはどういうふうになっているんだろうということを聞きたいわけです。それと関連して、私は、先ほど申し上げた地方公営
企業
のバス料金の抑制については、趣旨は賛成だが、一体六
大都市
等の赤字というものをどうしてやってやるか。財政的な裏づけを、これこそ政府がやったらいいじゃないか。
自動車
損害保険料の財政的な援助は幾ら出るか知らぬが、それはあとで赤字の資料を出してもらうけれども、そんなものを一カ月や二カ月でもってどのくらいの——ここでもう急ピッチに、足元から鳥が飛び立つような上げ方をしなきゃいけないのか、こういう趣旨の
説明
が納得できなければ、私は意味がないと思うのですよ。そういう点で次官にお尋ねしておるのですがね。どうなんです、これは、次官。時間がきたかね。そうじゃないのでしょう。
木村睦男
48
○
政府委員
(木村睦男君) あとで政務次官お答え申し上げると思いますが、私からこまかい点を申し上げたいと思いますが、今回の保険料の値上げは、赤字だから値上げというのではございません。
支払い
の限度額を引き上げるために、保険の損害額がふえますから、したがって保険料も上げよう、こういうことでございます。 それから、公共料金の六
大都市
の問題でございますが、これにつきましては、先ほど大臣が非常に苦しい心境を
説明
いたした次第でございまして、まあ大臣の御
説明
で御了承願いたいと思います。 それから、国会にかけて変更すべきではないかというお話でございますが、これは
予算
全般の問題でございまして、
予算
案自体も閣議で決定して国会に御審議を願っておるので、国会の御審議のいかがによっては変更され得ることもあるのは当然でございます。同じように、これにつきましても、
予算
の中に含まれておりますので、
予算
審議を通じて修正されることもやむを得ない。これは
予算
全般と同じような問題だと思います。
天坊裕彦
49
○天坊裕彦君 だいぶ時間が迫ってまいりましたので、この質問はこの辺で打ち切りたいと思います。ただし、先ほど大臣の不合理な点があれば直すというお話を信じて、今後もう少し検討を——数字の御提出を願って、御検討を願いたいと思います。 特にお願いしたいことは、この損害賠償保険の改定の数字というもの、それから、三十五年度をめどにおとりになったようでありますが、三十六年、三十七年の数字を基礎にしてはじけば一体どういうふうになるかというデータをお出し願って、この次に質問を延ばしたい。 それから、二月一日を延ばせるか延ばせぬかという実施期日の問題でありますが、次官のお立場もあって、ああいうような御答弁でございますけれども、まあ私どもとしては、できるならば二月一日と政令にあるのは三月一日の誤りという訂正でも出してほしいと思いますけれども、その点はまあ次官におまかせします。しかし、大臣の、これは不合理ということになれば改正にやぶさかでないというお話を、これは信頼して、あとの問題に残したいと思います。私はきょうはこれでおしまいにします。
金丸冨夫
50
○金丸冨夫君 もう長くは言いませんが、たいまのだ相澤
委員
のお話で、よく私の要点は尽きておるわけですが、
局長
にお伺いしますがね。先ほど、どうも保険自体はかけておいても決してむだにはならないというようなことを言われるけれども、これは、いまの事故が起こった場合に、また保険料以上に払わなければならぬ場合も起こるでしょう。また起こるかもしれないが、それは全体の問題じゃなくて、事故を起こした当事者というか、会社なんですね。それはほかの保険も、自家保険も考えるだろうし、いろいろなことを考えておりますから、強制保険としてやる場合には、いまのようなよほど確固たる数字をもってやっていただかぬと困ると思うのですよ。その意味において、たとえば赤字——これはもう私も聞いておりますが、この料率を決定する場合に、赤字があるのだからそれを補わなきゃならぬというような話があったのですが、これはとんでもない話で、これからかけるやつはずっと先までずっとずっとかけるわけですわね。それを赤字の問題を考えてやるというようなこと、そういう赤字こそ、ほんとうに政府がこれは当然措置をしてもらうということにすべきだと思うのです。もしそれができぬならば、そういうものについて、長目に見て——総理の言うように、いつも長目に見て考えていくというのならば、
自動車
はどんどんふえているのだし、事故も、先ほどのあれによれば、まあ数量がふえればどんどん絶対数が減るということにはいかぬかもしれませんが、とにかくわりあいに減っている。業界も一生懸命にそういうことをやりたいからやっているわけではない。あるいはまた
一般
自家用車もやりたいからやっているわけではないのですから。だから、そういうことを考えて、そうしていわゆる納入者の、掛金かける人の気持ちになってやっていただくのは
運輸省
しかないのですよ。各省と相談したとかいうけれども、そういうような見方——見方というのはおかしいが、そういうことをよくお考えになって主張をしていただくのは私は
運輸省
だと思う。あなたのほうが、政令であるから、もう各省の話し合いがついたからということで、その利用者方面のことをお考えにならずに、すぐに賛成するというようなことは、はなはだ私はおかしいと思う。残念でたまらないのです。でありますから、先ほどの大臣のお話もありましたし、料金その他について遺憾な点があれば直すということをわれわれ絶対信頼します。しまして、今後の掛金等につきまて、再検討をぜひひとつお願いしたい。 それまで、二月一日から実施、その後にきました契約の更改というような問題については、ぜひ暫定措置をひとつ政令でおきめになって出していただきたい。これが希望なんです。それはできぬことはないと思う。業界ではこういうことを言っている。今度はひとつ、五十万円のところで百万円とられてもいいから、掛金を五十万円のところで契約をしてくれる方法はないか、こういうことを言っている。事故が起こったら百万円払っていいとまで言っている。ただ、保険審議会というか、そこに業者の関係が一、二名入っておったからといって、すべておまえたちは承知の上だというような考え方というのは、あまり血も涙もない私は行政だと思う。ぜひひとつそれはお考え願いたい、どうですか。
木村睦男
51
○
政府委員
(木村睦男君) 御指摘までもなく、
運輸省
といたしましては、
運輸
事業
の健全な発達ということを念頭においてやっておりますので、血も涙も持って考えている次第でございます。なお、手数料につきましては、われわれは責任を持って確たる数字で検討いたしてまいっておりますので、次回にその資料を提出いたしまして御
説明
いたします。
岡三郎
52
○岡三郎君 私は、少し角度は変わるかもしれませんが、損害保険を百万円にしなければならない、百万円では少ない、もっと多くしてもらいたいということ。事故があってからもらってもしようがない。ほんとうは殺されてから百万円もらってもしようがないけれども、五十万円よりいいという結論になるかもしれませんが、しかし、いまの金の問題の出し方については、やはり、いろいろと考究されてもらわなければならぬけれども、根本的にいって、事故を起こす層というものは一体どこにあるのか。もっと端的に言うと、ダンプカーの運転手の年齢の問題とか、いろいろな問題をもっと考えて、いまのような形のままで、事故に対して損害金をふやすだけで私は能事終われりとは言えないと思う。ダンプカーの運転手なら運転手は妻がある者とか、そんなことを言うとおこられるかもしれないが、もう少しむちゃくちゃに運転しない年齢層まで上げてもらいたい。 それから資格要件というものを、事故を起こしたらそういうものはやらせないというくらいこれはやらなければ、国民が安心して道路を歩けないと私は思う。だから、そういう点で、やはり特に、私最近における一つの特徴点としては、ダンプカーの運転免許というものの資格制限、資格というものをもっと厳重にしてもらいたい。そして、極端に言えば、妻子がある者とか、あるいは二十五歳なり三十歳なり、資格を与える年齢を上げてもらいたいというふうに思うわけです。とにかく少しルーズ過ぎるじゃないか、全体的に国民の立場からいけば資格をとるやり方が。だから、そういう点をやっぱり考えて、事故を少なくするというふうな方向への努力があって、あと損害をどうするかという問題に私は行くのではないかというふうに考える。そういうふうな点で、政務次官にひとつ、いま特徴的にダンプカーの問題をちょっと取り上げましたが、お考えを聞きたいのです、真剣に……。
田邉國男
53
○
政府委員
(田邉國男君) 私も岡先生の御意見に同感でございます。確かにいまの事故を数字的に見ましても、ダンプカーの運転手の事故が非常に多いように私記憶いたしております。そういうことから考えまして、やはり、いま申しましたような
自動車
の免許につきましても、特別な考慮と申しますか、本人の資格につきまして、ある程度やはり他の
自動車
の業種として比較して資格を厳重にする必要があることは考えておりまして、御趣旨に沿ってやってまいりたいと思います。
岡三郎
54
○岡三郎君 で、御趣旨に沿ってやると言うから、早急にこの問題を取り上げてやってもらわぬと困ると思います。これは
工事
が進むに従って、また砂利とか何とかがだんだん遠距離から持ってくるということになるというと、同じ
自動車
を運転している連中自体にしても、人たち自体にしても、かなわぬ、猛獣があとから追っかけてきて逃げまどうというふうな、こういう心境だというのですね。猛獣に追っかけられる心境だ、そんなばかなことがあっていいわけじゃないから、だから私は、いま次官が言ったように、その問題については早急にひとつ、いまの事態を
改善
するためにやってもらわなければいかぬと思うのです。そういう点で、やはりやっている人自体も、何も事故を起こすためにやっているのじゃない。しかし、仕事のいろいろな面から、やっぱりからだが続く若い層がダンプカーの運転手になるという傾向があるのではないか、こういうふうなことで、ひとつその点については早急に善処願いたいと思います。お願いします。
相澤重明
55
○相澤重明君 さっきの私の質問の答弁、
局長
が答えられたけれども、次官に私は要請しておったのですが、地方公営
企業
の赤字に苦しんでおるものについて、公共料金の一年間ストップということを私は賛成、支持する。しかし、その裏づけを政府が財政援助をすべきじゃないか。やり方としていろいろあると思う。そういうことを、さっき
運輸
大臣は衆議院の
予算
委員会
に行ったから、次官から答弁して下さい。
田邉國男
56
○
政府委員
(田邉國男君) よく省内におきまして検討いたしまして、御趣旨に沿うようにやってまいりたいと思います。
—————————————
米田正文
57
○
委員長
(
米田正文
君) 次に、今期国会における
運輸省関係
提出
予定
法案につきまして官房長から
説明
を聴取いたします。今井官房長。
今井栄文
58
○
政府委員
(今井
栄文
君) 御
説明
申し上げます。 現在提出を
予定
しております法案資料がお手元にあると思いますが、全体で十三件でございまして、
予算
関係が四件、その他が九件ということでございます。
予算
関係の法
律案
から申し上げますと、第一に「
日本国有鉄道
建設
公団
法案」でございますが、これはすでに提出をいたしております。 その次が、「
運輸省
設置法の一部を改正する法
律案
」でございますが、これは、資料にもございますように、現在
昭和
三十六年の伊勢湾台風など
災害
対策として設けました伊勢湾
港湾
建設
部を第五
港湾
建設
局に改組するというものでございます。新しい
建設
局は、愛知、三重、静岡の三県の港を管轄することになります。それから第二は、
東京
陸運局の現在の
自動車
部を
自動車
第一部、第二部に分けるというものでございまして、
東京
の
自動車数
あるいはまた免許申請その他の件数から申し上げましても、全国の三分の一をこえるという状況でございますので、これを、貨物関係、
旅客
関係というふうに二部に分けて
運輸
行政を円滑に処理してまいりたいということでございます。それからその次に定員増がございまして、これは
航空
、気象、海上保安等における新しい施設に対しまする増員でございます。 それからその次が「
特定船舶整備公団
法の一部を改正する法
律案
」でございますが、これは、従来の
公団
は
旅客
船及び戦標船についての
業務
をしておったわけでございますが、今度新たに
予算
でお願いしております老朽の貨物船及び
運炭機帆船
の
代替建造
並びに
港湾
荷役機械
につきましてもこれを新造いたしたいということに考えておりますので、その点の改正をいたしたいということでございます。 それから第四は、「道路運送車両法の一部を改正する法
律案
」でございますが、これは、
自動車
の
検査
手数料を値上げすることを現在考えておりまして、この値上げに伴いまして、値上げに関する手数料に関する条項の改訂を行なう趣旨でございます。 それからその次が「
国際観光
ホテル
整備
法の一部を改正する法
律案
」でございますが、オリンピック等も控えまして、外国人の観光
旅客
の接遇を
改善
するために、ホテル、旅館等の宿泊約款を新たに届け出させるというふうな制度をつくること、それからまた、これらホテル、旅館等の施設に関する
登録
の基準を
整備
して接遇を
改善
しよう、こういうものでございます。 その次が「水先法の一部を改正する法
律案
」でございますが、水先人の数が非常に少ないこと、また水先人自体の組合が必ずしも十分な完備した
組織
を持っておらないというふうな点を考えまして、免許の要件を緩和し、あるいはまた大臣の監督権を
強化
するふうなことによって、水先
業務
の円滑な遂行をはかりたいということでございます。 それからその次が「海上運送法の一部を改正する法
律案
」でございますが、これは
旅客
定期
航路
事業
の免許等につきまして規定の
整備
を行なうわけでございますが、対外
航路
につきましては、外国等の関係もございますので、運送法の改正案につきまして現在外務省その他と検討いたしておる段階でございまして、したがいまして、提案も相当おくれる見通しでございます。 その次が海上衝突予防法の一部を改正する法
律案
でございますが、これは、一九六〇年の海上人命安全会議におきまして、衝突予防関係の規則、特に灯火であるとか、あるいは新しく出てまいりましたレーダー等に関する規定の改正がございましたが、これに対応する
国内
法の改正をいたしたい、こういう内容でございます。 それから、その次に、「小型船
海運業
法及び小型船
海運
組合法の一部を改正する法
律案
」でございますが、現在小型船につきましては、大体五百トン末満を対象といたしているのでございますが、これを内航
船舶
全般に及ぼしたい、したがいまして、この対象の範囲を拡大したい、こういうことと、それから、もう一つは、内航
船舶
が非常に船腹過剰というようなことが現在問題になっておりますが、法律の改正によりまして、
船舶
の需給の均衡をはかるために、適当な必要規定を
整備
いたしたい、かようなことでございます。組合法につまましても、先ほど申し上げましたように、これに合わせまして、現在の五百トン未満の
船舶
のみならず、内
航海運
に従事する
船舶
全般について、この組合に加盟できるようにいたしたい、こういう内容のものでございます。 その次が「臨時
船舶
建造
調整法の一部を改正する法
律案
」でございますが、これは、造船所の能力であるとか、あるいはまた施設の面から
船舶
の
建造
を調整する法律でございますが、今年の三月三十一日限り失効いたしますので、これをさらに
海運
の再建の期間との関連もございまして、四年間延長いたしたい、こういう法
律案
でございます。 その次が「道路
交通
に関する条約の実施に伴う道路運送車両法の特例等に関する法
律案
」でございますが、これは道路
交通
条約に加盟するということを政府としても現在考えておるのでございまして、したがいまして、その批准を予想いたしまして、オリンピック等の関係もございまして、入国する外国人が
自動車
を持ってきた場合に、それの
登録
であるとか、あるいは検車等について特例を設けるということを内容といたすものでございます。 その次が「日本観光協会法の一部を改正する法
律案
」でございますが、日本観光協会法の日本観光協会を
国際観光振興会
と改めまして、現在政府の観光
補助金
を全部
国際観光振興会
に集中いたしまして、したがって、いわば政府の観光の代行機関というふうにこの協会を改組いたしたいという趣旨の内容でございます。現在、日本観光協会は
国内
観光についても行ない得るようになっておりますが、
国内
観光の面につきましては、別途任意の民間団体をつくりまして、そこで、これを
推進
していきたい、かように考えるわけであります。 その次が「
旅行
あっ旋業法の一部を改正する法
律案
」でございますが、
旅行
あっせん
業者の中には、
外客
等につきまして、従来しばしば不正行為というふうなものがあったわけでございますが、こういった面を防止するために現在取っております営業保証金額をある程度引き上げて、この業者の水準、資格、その他の面におきましてそれを精選していきたい、かような趣旨のものでございます。なお、
旅行
あっせん
業者が、契約とか、あるいは案内人等について必要な免許を持った有資格者を必ず雇うというふうな点についても規定を
整備
する
予定
であります。 法
律案
は以上でございますが、その次に、国会の承認案件が一件ございます。これは、私どもが現在考えております北海道あるいは東海
海運
局というようなところの出張所の
新設
を考えておりますが、出張所の
新設
につきましては、地方自治法によりまして、国会の承認を得なければこれを設けてはならないということになっておりますので、今般国会の御承認を得て、こういった地方の支局、出張所の設置を行ないたい。以上でございます。
米田正文
59
○
委員長
(
米田正文
君) 御質疑ありますか。
相澤重明
60
○相澤重明君 いまの
説明
で、いつごろ政府は提案をするのか、その時期を……。この法
律案
の。
今井栄文
61
○
政府委員
(今井
栄文
君) それでは大体の見当を申し上げますが、先ほど申し上げましたように、
建設
公団
法と
運輸省
設置法の一部改正は、すでに提出済みでございます。
特定船舶整備公団
が大体二月上旬の
予定
でございます。それから道路運送車両法の一部を改正する法
律案
、これが最も早い時期でございまして、二月早々にはもう出したい。それから
国際観光
ホテル
整備
法の一部を改正する法
律案
、これも二月上旬の
予定
でございます。水先法につきましては、まだ法案の内容が十分確定しておりませんので、三月上旬。それから海上運送法の一部改正につきましては、大体三月下旬を目途といたしております。それから海上衝突予防法の一部を改正する法
律案
につきましては、衝突予防規則の承認等の関係がございまして、大体三月上旬ごろを
予定
いたしております。それから小型船関係につきましては、両法案とも二月中旬を
予定
しております。それから臨時
船舶
建造
調整法の一部を改正する法
律案
も二月中旬。道路
交通
条約に伴う道路運送車両法の特例に関する法
律案
も大体二月中旬。それから日本観光協会法の一部を改正する法
律案
は二月の大体上旬には出せるのではないか。 それから
旅行
あっ旋業法の一部を改正する法
律案
についても、二月の中旬を大体
予定
いたしております以上でございます。
小酒井義男
62
○
小酒井義男
君 官房長、この間佐世保へ行ったのですが、またあとで報告するのですけれども、そのときに、港内の
航路
に水上機の、飛行機の発着に使われておる場所があるですね。何か港則法の改正をやってもらわなければならぬのだという話があったのですが、そういうのはいま考えられておらぬのですか。
今井栄文
63
○
政府委員
(今井
栄文
君) 港則法の改正は、現在また原局から話が出てまいっておりません。
相澤重明
64
○相澤重明君 いまの小酒井
委員
の質問の趣旨は、政府が港則法の改正を考えておりませんということなのかという、そういう聞き方に聞こえたのですが、港則法を変えなければ、どこの港もいま困りますよ。それぐらいのことはいま少し勉強してもらいたいと思いますね。港則法を改正しないと、これから大型船が入ってきて、港は困っておるのです。港則法を変えなければならぬという、それぐらいのことは準備をしてもらいたいと思うのだが、どうか。
今井栄文
65
○
政府委員
(今井
栄文
君) 御趣旨に沿って、十分検討して、早急に結論を出したいと思います。
—————————————
米田正文
66
○
委員長
(
米田正文
君) 次に、
派遣委員
の報告に関する件を議題といたします。 先般当
委員会
が行ないました
委員
派遣について、すでに
調査
を終わりました各班からそれぞれ御報告を願います。天坊君。
天坊裕彦
67
○天坊裕彦君 ただいまから関西、中部地方の派遣報告をいたしたいと思います。 派遣されました
委員
は、私と大倉
委員
の二人で、一月八日から十二日までの五日間にわたり、
大阪
、神戸、
名古屋
の三
都市
を中心に、
運輸
事情各般にわたる
調査
を行なってまいりました。 今回の視察におきましては、まず三
都市
において、所在の
運輸省
地方機関及び
国鉄
関西支社、同中部支社からそれぞれ詳細な資料の提出により、当該所管事項並びに要望事項等につき、きわめて熱心な
説明
を聴取いたしました。
大阪
におきましては、東海道新幹線の終着駅である新
大阪
駅の
工事
現場を視察し、引き続き、
国鉄
、
大阪
市、
大阪
府警察本部の案内により、市内の
都市
交通
事情を視察いたしました。次に、豊中インターチェンジより名神高速道路に入り、大津まで行き、次いで
大阪
陸運
局長
、京福電鉄社長の案内により、本年一月五日起こった京福電鉄鞍馬線の衝突事故現場を視察いたしました。
港湾関係
として、神戸港、
名古屋
港の
整備
状況を視察してまいりました。以上が日程の概要であります。 以下、各事項別に、現地の状況や要望事項等について御報告したいと思いますが、それぞれの関係機関からは、いずれも詳細な資料の御提出があり、それらは
調査
室に保管いたしておりますので、特に現地からの要望事項を中心に、主要な点について御報告いたしたいと思います。 まず第一に、
大阪
市の
都市
交通
事情について申し上げます。 最近の
大阪
市は、
経済
活動の活発化と急激な人口増により
都市
交通
事情はきわめてふくそう化しております。特に、都心四区には、全市社会活動機関が集中しているにもかかわらず、
地下鉄
は一号線があるのみで、ラッシュ時における各
交通
機関のターミナルは激しい混雑を呈しております。その一つとして、私たちは、ラッシュ時における梅田駅とその周辺における混雑ぶりを視察したのでありますが、その激しさはまことに驚くべきものでありました。また、警察当局の資料によれば、きびしい
交通
規制をしているにもかかわらず、
交通
停滞数は年々
増加
し、
昭和
三十七年の二千七百六十回に対し、
昭和
三十八年は三千四百二十六回と著しい
増加
を示し、特に昨年十二月には六百二十八回になったとのことでした。
大阪
では、車列五百メートル以上で三十分以上継続した異常な状態を停滞一と計算しているとのことで、
大阪
の
都市
交通
事情の逼迫している一面がうかがわれるのであります。 かかる状況に対し、当面の混雑対策として、陸運局を中心に、市、各
交通
機関等からなる
大阪
交通
対策懇談会が設立され、
一般
に対し
交通
事情の
実情
をPRするほか、時差出勤の実施、指導等積極的な
施策
を遂行し、その効果が次第にあがっているとのことでした。 また、基本対策については、
昭和
三十三年
都市
交通
審議会の答申があったが、その後の
輸送
需要の
増加
があまりに激しく、
計画
の再検討が行なわれ、答申七号、八号が出され、目下その線に沿っての
都市
計画
を強力に進めているとのことでありました。その重要
施策
の一つである
地下鉄
建設資金
の確保方について、市当局から強い要望のあったことをお伝えしておきます。 このように、地元においては、官民一体となって
都市
交通
対策に取り組んでおりますが、最近の
経済
事情と
都市
人口集中化の傾向から、国家的見地における高度の
都市
交通
対策樹立の
必要性
を痛感したのであります。 なお、
大阪
市当局より、市営バス運賃の値上げについて、また、
大阪
府貨物
自動車
協会より、
交通
規制緩和についての強い陳情がありました。 次に、京福電鉄鞍馬線の事故について御報告いたします。 この事故は、本年一月五日十七時三十分ごろ、鞍馬線の二ノ瀬貴船口間で、上り、下りの電車が衝突、車両二両を炎上、六十七名の重軽傷者を出した事故であります。本件に関しては、
運輸省
としても係官を現地に派遣し、特別保安監査が行なわれております。
大阪
陸運局、京福電鉄側から詳細な資料の提出があり、懇切な
説明
がなされました。陸運局の資料によりますと、事故の原因としては、上り電車の運転士及び駅側の通票授受の誤認が主要な原因といわれております。幸い、死者のなかったことは不幸中の幸いに存じますが、事故後の負傷者に対する会社側の処置はおおむね適切に行なわれているようでありますが、いまなお病床にあられる負傷者の方々に対しては一日も早い全快をお祈りしたいと思います。 今回の事故は、さきに述べた原因のほか、いろいろな悪条件が重なっているように思われるのでありますが、このような安全運転の基本的精神の欠陥に基因する事故は、今後絶対に起こさないよう関係者一同の一そうの努力を要望いたしたいと思います。 次に、
運輸省
地方機関関係について申し上げます。いずれも詳細な資料により、所管事項並びに要望事項等につき熱心な御
説明
があり、私どもとしても認識を深めることができました。 今回訪問した地方機関は多数にわたりましたので、ここでは要望事項の概要を御報告することにとどめたいと思います。
大阪
陸運局からは、
業務
量
増加
に伴う
予算
の増額と定員の増員について、トラック・ターミナル設置に要する用地及び
資金
の
あっせん
について、また、
地方鉄道
に対する開銀
融資
の拡大等についての要望があり、
名古屋
陸運局からは、
予算
、定員については
大阪
と同様の要望がなされたほか、タクシー運賃の値上げの
必要性
と不採算私鉄の救済等についての要望がありました。
海運
局関係からは、
老朽船
の
代替建造
促進
と、内
航海運
の再建
整備
及び
港湾
労働者対策についての要望があり、第三
港湾
建設
局からは、瀬戸内海
航路
の
工事
促進
と、特に水深十三メートル以上の
航路
の
工事
費については、これを全額国庫
負担
とするようにとの要望があり、伊勢湾
港湾
建設
局からは、漁業補償解決
促進
の
必要性
が強調されました。次いで第五及び第四管区海上保安本部からは、最近の警備救難
業務
の激増に対応しての船艇の新造、
改良
についての要望がなされ、 気象台関係からは、老朽施設及び庁舎の
改善
と
通信施設
の
充実
について、また
名古屋
気象台からは、特に管区気象台への昇格についての強い要望がありました。 海技大学校からは、教材の
整備
と練習船の新造についての要望がなされました。 なお、
大阪国際空港
のジェット化に対応する拡張
工事
は、地元各機関の協力により順調に進んでいるとのことでした。 次に、
国鉄
関係について申し上げます。 関西支社からは、当面の問題として、近畿圏
整備
本部において最近梅田駅移転について検討されているが、
国鉄
としては、吹田操車場との関係もあり、慎重な御検討が望ましいとの要望があり、その他、臨海工業地
造成
と臨港
鉄道
建設
問題、新幹線新
大阪
駅と現在の
大阪
駅間の
輸送
問題等につき熱心な御
説明
がありました。 また、中部支社からは、管内五カ年
計画
の進捗状況は、投資額で見れば
昭和
三十九年度で八十四%に達するが、これは管内で利用債の引き受けが百七十億円もある等、地元の協力が強いのがこの地方の特色であるとの報告があり、次いで、東海道新幹線開業に伴う現在線の運用について、及び臨海工業地帯の
造成
計画
と
輸送
体制の
整備
計画
等について熱心な
説明
がなされました。 なお、両社管内の新幹線
工事
は、十月開業を目標にきわめて順調に進んでいるとのことでありました。 次に、
港湾関係
について申し上げます。 神戸港においては、当面の重要
工事
として、
昭和
四十二年度を目標に、四突提十八バースの摩耶埠頭の
建設
が行なわれておりますが、昨年八月には、第一突堤のA、Bニバース及び上屋が完成し、今春にはC、Dニバース及びその上屋が完成、さらに七月にはHバース及び上屋が完成するとのことで、上屋につきバースとして
港湾
機能
発揮が期待されるとのことでありました。 また、
名古屋
港におきましては、
防災
施設として、長さ八千二百五十メートル、高さ六・七メートル、幅十メートルの膨大な防波堤の
工事
が施行されておりますが、本年の台風期までには完成するよう努力しているとのことでした。 最後に、
名古屋
において、中央西線複線電化実現に関する陳情書及び
国鉄
越美線全通
促進
に関する陳情書がそれぞれの期成同盟会から提出され、その実現方についての御要望があったことをお伝えして報告を終わりたいと思います。
米田正文
68
○
委員長
(
米田正文
君) 小酒井君。
小酒井義男
69
○
小酒井義男
君 北九州班の視察報告をいたします。 派遣されました
委員
は、木暮
委員
と私との二人であります。派遣期間は一月十日より十五日まで六日間で、現地における
調査
並びに視察個所としては、在九州
運輸省
地方機関のうち、陸運局、
海運
局、管区海上保安本部、管区気象台、
港湾
建設
局、門司海員学校等、及びこれと関連して、
国鉄
西部支社、門司及び熊本
鉄道
管理局、門司、小倉、洞海及び佐世保港、佐世保重工及び三菱長崎造船所等であります。 以上が今回
調査
及び視察いたしましたところで、各個所においてそれぞれ所管事項並びに要望事項が述べられました。また、受領いたしました詳細な資料と陳情書は
調査
室に保管してありますので、以下、現地における諸問題のうち、
港湾整備
と
国鉄
経営
状況を中心に、次いで、
運輸省
地方機関の問題点及び要望事項並びに陳情について
重点
的に報告いたします。 最初に、
港湾整備
についてでありますが、まず、第四
港湾
建設
局管内、すなわち山口及び九州地区における
港湾整備
について、総括的に申しますと、北九州及び山口工業地帯の産業基盤の
強化
、外貿
港湾施設
、
地域開発
の拠点となる臨海工業地帯、
離島
及び僻地の
振興
並びに沿岸
輸送力
強化
のための
整備等
を基本方針として、外貿
港湾
、産業
港湾
、関門
航路
、関門締め切り堤及び新
産業都市
建設
のための
港湾整備
を
重点
的に三十九年度以降五ヵ年間を
計画
期間とする新
港湾整備
五ヵ年
計画
を積極的に
推進
したいとのことで、これを全体
計画
であらわしますと、総
事業
費は九百四十二億円であります。 次に、今回視察いたしました門司、小倉及び洞海三港の
整備
について申し上げますと、まず門司については、葛葉外二地区の外貿岸壁及び裏門司臨海工業地帯
造成
の関連
事業
を、また小倉については、砂津地区の
航路
拡幅しゅんせつ及び日明臨海工業地帯
造成
の関連
事業
を、さらに洞海については、本
航路
拡幅としゅんせつ等をそれぞれ
整備
中で、三港の全体
計画
は二百五億二千万円、現行五ヵ年
計画
による本年度実施高は十九億円であります。 なお、裏門司総合
開発
に関連して、地元においては、現在、
国鉄
予定
線に編入されている裏門司臨港
鉄道
線、すなわち下曽根——田野浦間二十
キロ
の早期
建設
を要望しております。 また、関門港
整備
と密接な関係にある関門
航路
及び締め切り防波堤
整備
について、一部本年度から着工しておりますが、関門国際
航路
期成同盟会より早期完成を要望されました。 さらに、洞海港務局より、一万トン級
船舶
の出入り可能な
航路
の拡幅としゅんせつ、臨港道路の
整備
促進
及び直轄
港湾整備
事業
にかかる国庫
負担
率を七五%にせられたいとの陳情がありました。 次に、佐世保港について申しますと、産業
港湾
として物揚げ場、岸壁及びしゅんせつ等の
整備
を実施中で、全体
計画
六億三千万円、本年度実施高一億二千六百万円であります。 次に、門司、小倉及び洞海港の管理
運営
につき一言つけ加えますと、北九州市誕生の経緯にかんがみ、かねて一元化のため協議中のところ、本年四月一日より県及び北九州市がその管理者として管理組合が発足することに内定したとのことであります。 次に、
国鉄
経営
について申し上げます。 まず、支社管内における
運輸
概況について総括的に申しますと、
旅客
はやや好調である反面、貨物は石炭産業の不況を反映して横ばいを示し、したがって営業係数が一二一となり、本年度もこれを下回る見込みとのことであります。また、管内における新道路
整備
五ヵ年
計画
による国道
整備
及び九州縦貫高速道路の完成による影響についても十分考慮する必要があると思われるとのことであります。したがって、
国鉄
支社においては、将来の
輸送力
改善
策として、
旅客
については積極的に観光客誘致による
収入
増をはかるため、中長距離
輸送
の
改善
を、また、貨物については第二次製品及び消費物資に対する主要
都市
間
輸送
体制
強化等
をはかるとともに、主要幹線の線増、電化及び電車化等を強力に
推進
したいとのことであります。 次に、博多——長崎間
国鉄
バス路線申請について申しますと、本路線は、長崎本線の補完
輸送
及び博多以遠の
輸送
サービス
改善
等を主眼として三十五年末に申請したのでありますが、現在、地元
資本
を主体とする九州急行バス外二社と競願関係にあり、昨年五月中旬公聴会が開催され今日に至っておるとのことで、
国鉄
の
説明
によりますと、地元関係県、市及び町議会からそれぞれ関係当局に対し
国鉄
による特急バス運行の意見書が提出されているとのことであります。 次に、熊本
鉄道
管理局管内について一言つけ加えますと、まず、新
産業都市
指定にかかる有明、不知火及び大牟田地区における八代臨海工業地帯
造成
に伴う将来の
輸送
施設
改善
の
必要性
及び四十一年九月に完成
予定
の天草架橋や本年九月末に完成
予定
の九州縦貫高速道路の開通がもたらす三角線及び豊肥本線等への影響等に対処し、強力に
輸送
改善
策を講じたいとのことであります。 次に、
運輸省
地方機関より聴取いたしました問題点及び要望のうち、おもなる点について申し上げます。 まず、九州
海運
局について申しますと、管内における大宗貨物である石炭
輸送
に従事している
海運業
者については、石炭不況とそれに伴う石炭産業
合理化
政策の実施により
輸送
量が激減しているので、運送取り扱い業者を含めた強力な
運炭機帆船
対策を講ずること、また、内
航海運
の不況の原因の一つに思量されている船腹過剰に対しては船腹需給調整に関する法規制の必要があること、また、最近の
旅客
船
輸送
の安全性確保の点から、老朽客船の
代替建造
をさらに一そう
推進
したいこと、さらに日本道路
公団
の施行による天草架橋完成に伴う既存
航路
業者の転職及び補償問題及び
離島
航路
補助金
の大幅増額等であります。 また、第七管区海上保安本部について申しますと、管内における密航、密輸等の犯罪
増加
及び産業
経済
の発展に伴う
業務
量の
増大
に対処するため
業務体制
を
整備
し、あわせて救助体制の
強化
をはかるため、老齢巡視艇の
代替建造
の
促進
及び
航空機
配属と
航空基地
の
新設
を強く要望するとともに、
港湾整備
の進捗に伴う
船舶
の大型化、
増加
による航行安全をはかるため、
航路
標織の
整備
と水路測量の
充実
をはかりたいということであります。 次に、福岡管区気象台について申しますと、従来、東シナ海方面から襲来する台風観測点が皆無のため、予報作業に支障を来たしているので、気象
災害
の防止軽減をはかる目的から、九州西部五島列島の福江に大型
気象用レーダー
の設置を要望し、また
離島
官署に配属されている職員の生活環境を
改善
したいということであります。 また、門司海員学校について申しますと、三十九年度から他の諸校に先がけて本校のみが従来の一年制から二年制に
教育制度
が変更されることに伴い、教育施設等全般について
整備
されたいということであります。 次に、三菱長崎造船所について申しますと、日程の関係上、詳細な
説明
を聴取することができませんでしたが、最近の受注状況は三年間の
工事
量を確保しており、現在
船舶
の大型化に対処して、十五万重量トンのドライ・ドック
工事
中で、これに要する設備投資額は約六十億円とのことでありました。 最後に、各地において受領いたしました陳情の要旨について申し上げます。 まず、佐世保市長から、西九州地方の
重点
語光地域指定と、主要
国際観光
ルート編入及び
東京
——佐世保間特急列車の運行等について、また、佐世保重工株式会社等から、現在同社
経営
にかかる造船部門のうち一部のドックが米軍に接収中であるから、これの早期返還及び払い下げについて、また、長崎県知事からは、
運輸
交通
施設全般に対する
改善
策として、第一は、長崎外港
整備
、第二は、諫早——長崎間
国鉄
浦上線の
建設
線編入及び長崎本線等の電化、復線化の
促進
、第三は、
国際観光
ルートの指定及び
整備
促進
等、第四は、ローカル
航空
網、特に
離島
航空
網の
整備
、第五は、
離島
航路
の
整備
改善
対策
強化
についてであります。 以上をもって視察報告を終わります。
米田正文
70
○
委員長
(
米田正文
君) ただいまの報告に関して御質疑がございますか。
小酒井義男
71
○
小酒井義男
君 いま報告をしました中で、
重点
的に二、三お尋ねしたいのですが、まず最初に、
国鉄
として、長崎線そのほか線増電化を
促進
する必要が相当あるというふうに私ども視察してきたのですが、その
計画
をひとつ御
説明
願いたい。
磯崎叡
72
○
説明員
(磯崎叡君) だいまの御報告を拝聴いたしておりましたが、現地で先生方に申し上げたと大体同じ事情でございまして、現在の九州におきましては、非常に道路
整備
がテンポが早くて、一方私のほうの線増
計画
が非常におくれておりまして、九州の
輸送
計画
を実施いたします上に非常に苦心しておるところでございます。 ただいまのお尋ねの点でございますが、ことしのこれから御審議願います
予算
に計上いたしておりますのは、まず、鹿児島本線の複線化でございまして、これは、福岡県の中は全部完成いたしました。今後、熊本県の部分に——若干現在取りかかっておりますけれども、これを熊本まで極力進捗したい、これが第一でございます。これは、地元の熊本県におきましても、非常に協力していただきまして、約十億程度の利用債を
負担
していただくというような話が現在進んでおります。 次に、長崎本線でございますが、長崎線は、現在まだ全面的な複線化
計画
はございません。ただし、佐賀から長崎のほうに向かいまして久保田というところがございます。これはちょうど、唐津線と長崎線の分かれるところでございます。その佐賀——久保田間の線路容量が、非常に現在詰まっております。百本以上の列車が現在走っておりますので、とりあえずその区間だけ複線化いたしますれば、相当長期にわたって——いますぐ手をつけるわけにまいりませんが、一応とりあえずの急場しのぎになるというふうに考えております。 それから先ほどの御報告にございました長崎、浦上の近所の線路をつけかえるというお話がございます。これは、非常に坂がきつうございまして、貨物
輸送
に非常に大きなネックになっておりますが、これもまだ
計画
の域を脱しませんので、長崎本線につきましては、全面的に申しますと、まだまだ当分の間、現在の
輸送
状況から根本的な
改善
ができる段階になっていないというふうに申し上げざるを得ないと思います。 次に、やはり御報告にございました、日豊線と申しまして小倉から、大分、宮崎に行く線でございます。これは現在、北の方から徐々に複線化をやっております。そうして大体、福岡県の部分が半分ぐらい進んでおりますが、それの残りと、大分県につきましては、別府——大分間が、非常に現在
輸送
が込んでおりますので、そこを複線化するという一部分的な複線化
工事
を本年から始めております。 ただ、先ほどの御報告の中の、九州縦断の道路
開発
に対する
鉄道
の、豊肥線なり久大線の
輸送
状況は、目下のところ、まだ全く手がついておりません。この点、私どものほうでもって、いまの
予算
で九州全体に投入いたします来年度のいわゆる線路の複線化あるいは電化の総体の
費用
が、せいぜい三十億前後だと思いますが、道路のほうは、たぶん三けたの百億台のところじゃないかと思いますので、非常に道路の
整備
と比べておくれているということを申し上げざるを得ないと思います。 それから、電化につきましては、現在御承知のとおり、鹿児島本線が久留米まで電化されております。これを久留米から熊本まで延ばすということで、これも現在やはり地元で利用債を持ってやろうというお話がございます。福岡県と熊本県が一緒になって、相当協力してやるというお話が現在事務的に進んでおります。これができますれば、たぶん
昭和
四十年、おそくとも
昭和
四十一年には熊本まで電化されるというふうに思っておりますが、これではおそいので、なるべく早く実施いたしたい、大体いまの御質問の点は、こういうことでございます。
小酒井義男
73
○
小酒井義男
君 あなたのほうの
計画
ですと、電化をして、そうしていまのお話のように、線増をして、というような方法でやられるようですが、線増だけ先にしてしまっていくというようなことはできないものですか。
磯崎叡
74
○
説明員
(磯崎叡君) その点は、御指摘のとおり、私のほうは、電化によりましてはそれほど
輸送力
はふえませんので、ぜひ線増を進めたいわけでございますので、私どもの自己
資金
でやる場合には、ほとんどいま先生の御指摘のとおり線増だけを進めております。ただ、いまも申し上げましたように、熊本のようなことになりますと、地元でもって相当利用債を持っていただく関係上、地元としては、どうしても電化がなければ利用債が集めにくいというようなお話で、複線化と電化とが、どちらかと申しますと、電化が先行するような場合がございますが、極力そういうことのないように、複線化に
重点
を置きまして、そうして複線化になったところを電化いたしたい、こういう順序で進めてまいりたいと思います。自己
資金
でやります場合には、大体そういう順序になっております。
小酒井義男
75
○
小酒井義男
君 こまかいことは、またいずれ、
予算
なり、あるいは
国鉄
のこれからの方針についてお尋ねをいたしますが、どちらにしても、九州全体が、
輸送
状態というものがきわめておくれておるという印象を受けてきましたので、どうか、せいぜい
計画
を早めるように御検討願いたいということを申し上げておきます。
磯崎叡
76
○
説明員
(磯崎叡君) まことに御指摘のとおり、たいへんおくれておりまして、私どもといたしましても、現在の五ヵ年
計画
の中に極力入れたいと思っておりますが、やはり全国的にいろいろ問題もございますので、今後十分この方面にも頭を使ってまいりたいと思っております。やはり、要は
予算
のワクの問題でございますので、どうぞひとつ今後ともよろしくお願いをいたしたいと思います。
野上進
77
○野上進君 熊本までのことをお伺いいたしますが、電化と複線化は、どちらを先にやられるのですか。
磯崎叡
78
○
説明員
(磯崎叡君) ただいま申し上げましたように、熊本までの問題は、ちょうど地元の知事がこの間上京されまして、具体的に折衝中でございます。地元といたされましても、いま小酒井先生のおっしゃったように、先へとにかく複線化をしてくれ、そのあとに電化をしてくれと、しかしその間が、あまりあいては困る、こういうようなお話がございまして、とりあえず複線化の約十億につきましては、すでに
工事
を始めまして、利用債を持っていただくことにいたしました。電化のほうは、まだちょっと話がつきません。いずれそう遠くない期間に、できれば年度内に、地元の熊本県とお話をきめたいというふうに考えております。
相澤重明
79
○相澤重明君 視察報告の中の質問ではないのですが、関連をして。 実は、第二次五ヵ年
計画
の策定の当初、前吾孫子副総裁のときに、私がこの
委員会
で申し上げておいたのですが、横浜線の複線化について、第二次五ヵ年
計画
の終期においてこれを入れるように検討してもらいたい、検討いたしますということになっておるわけです。御承知のように、東海道新幹線がことしの十月開通を
予定
しておるわけですね、先ほど
運輸
大臣が述べられたように。そこで、東海道新幹線の新横浜駅ができても、これは不使では困るわけなんです。したがって、現東海道線の横浜駅と、新東海道線の横浜駅との間、あるいは横浜線の全般の複線化、こういうものについて、私はやはり早急に検討して答えを出してもらいたい。少なくとも東海道新幹線だけは、そういうふうになっても、まわりが不便では何も意味ないと思うのです。それは、きょういますぐお答えというのも無理だと思いますから、ひとつ検討してお答えを出してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
磯崎叡
80
○
説明員
(磯崎叡君) 横浜線の複線化につきましては、私どもといたしましては、現在神奈川県におきましては、南武線の複線化に最
重点
を置き、まして、御承知のとおり現在
工事
をやっておりますし、横浜線につきましては、その後の問題になると思いますが、現在一応全力をあげて
研究
いたしております。ただ、御承知のとおり、五ヵ年
計画
がだいぶ進歩率がおくれておりますので、あるいは次の、と申しますか、五ヵ年
計画
自体を再検討いたしたいと思っておりますので、その際に十分検討させていただきたいと思っております。
小酒井義男
81
○
小酒井義男
君 次ぎ——
船舶
局だと思うんですが、おられすまか。 三十九年度の
予算
要求を見ましても、現在大型のドックが不足をしておるから
開発
銀行の
融資
を必要とするということで請求をせられておるのですが、私ども佐世保で陳情も受けましたし、現地も見てきたのですが、現在接収されておるドックがあるのですね。現地の
説明
によりますと、それほど米軍のほうで必要とする、利用しておるというふうには考えられない事情にあるのです。で、新しいものをつくって、またいつこれが過剰な設備になるかというような先の見通しなどを考えた場合に、これの返還をしてもらうことができれば非常に
経済
的にも助かることになるのじゃないか、そういう印象を受けてきたのです。この佐世保のドック返還について、従来何か問題にされたことがあるのか、ですね。そういうことはいままでなかったのか、お尋ねしたい。
藤野淳
82
○
政府委員
(藤野淳君)
船舶
大型化にほとんどなってまいりまして、この傾向が非常に最近顕著になってまいったわけでございます。世上、
船舶
の大型化に即応して、船台でありますとか、ただいま問題になっております修繕船渠でありますとかいったような施設が間に合わないわけでございまして、それに対しまして、既存の施設をできるだけ活用するという見地から、ただいま米軍が管理いたしております、横須賀でありますとか、あるいは佐世保のドックの返還、あるいは活用等につきましては十分検討いたしてまいりました。佐世保のドックにつきましては、ただいま御指摘のように、現在日章丸をつくりました隣に第三船渠というのがございまして、これが従来米軍が管理をいたしておりまするが、この返還につきましては、昨年三月になりまして、
運輸省
に対しましてこれを返還を受けたいという陳情が、佐世保港から出てまいりました。私どもといたしましては、
運輸省
の既往方針が、大型施設は開銀の
融資
ということまで考えまして、至急に
整備
したいという方針がございますけれども、これは非常にけっこうなことであるということで検討をいたしております。これにつきましては、日米合同
委員会
に提出する準備を整えておる状況でございまして、まだ審議はいたしてないようでございますが、われわれといたしましては、その結果返還ということがきまりました場合には、これを活用する方向で検討いたしたい、かように考えております。
小酒井義男
83
○
小酒井義男
君 これは会社だけじゃなしに、佐世保市としても、あの地方の唯一の基幹産業であって、それが地方の
経済
とか、あるいは民生に非常な大きな役割りを果たすことになるから、ぜひ早急に返還をして、それを利用さしてもらいたいという要望を持っておるのです。で、
運輸省
の出先のほうからも、その妥当なことについては本省に対して申請が出してある、こういう
説明
もあったのです。これから初めて合同
委員会
に問題になるのですか。
藤野淳
84
○
政府委員
(藤野淳君) 一年余りこの準備をいたしておりましたが、合同
委員会
に提出する準備ができたようでございます。ただいま御指摘の第三ドックは、大きさは隣の日章丸をつくりました第四ドックと比べますと、かなり小さいのでございます。これの返還を受けました上は、第四ドックと全く同じ寸法のように拡張
工事
をいたしまして、第四ドックの新造
工事
の
促進
のために、修繕専用に使いたいということでございまして、私どもといたしましては、側面的に返還
促進
に努力したいというふうに考えております。
小酒井義男
85
○
小酒井義男
君 現在の利用状態でしたら、返還をしてもらえるのじゃないかというふうに考えているのです。ですから、積極的に利用するように今後
促進
をしてもらいたいということを要望申し上げておきます。
藤野淳
86
○
政府委員
(藤野淳君) そのようにいたしたいと思います。
小酒井義男
87
○
小酒井義男
君 それから
委員長
、もう一つですが、長崎県で特に強い陳情があったのですが、御承知のように、非常にあそこは
離島
の多いところでして、その
離島
航路
をやっている業者というものが、きわめて零細な業者でありますから、相当古い
船舶
もまだ使っているようです。そういうことに対して
補助
というものがきわめて手薄であって、現在の
経営
状態のもとに
老朽船
の
建造
をやれといっても、なかなかそういうことが運ばないという、そういう事情にあるので、ひとつ国としても、
離島
の唯一の
交通
機関である
航路
に対しては、
補助金
の増額なりをしてもらいたいという要望があったのです。 それの要望と関連して、これは私の考えなんですが、
離島
航路
というような仕事を、船を一ぱいや二はい持って個人
事業
としてやっているような形で、いつまでも放任をしておいていいであろうか、どうであろうか、そういうことなんです。もう少し
運輸省
で、
近代化
を
促進
するような積極的な
施策
が必要じゃないかというふうに考えてきたのですが、そういうことをお考えになっておりませんか。
高林康一
88
○
説明員
(高林康一君) お答え申し上げます。
離島
航路
の
補助
の問題でございますけれども、御指摘のありましたように、
離島
航路
の重要性にかんがみまして、私どもといたしましても、その
離島
航路
の維持安定ということに主力を注ぎまして、
航路
補助金
の増額ということについては努力をしてまいっている次第でございます。ただ、残念ながら、その欠損に対する
補助
というたてまえをとっておりますけれども、その欠損を完全にカバーするようには、現在なお至っていないという点でございまして、そお点については、今後さらに特段の
補助金
の増額について努力してまいりたいと考えております。 それから、その場合におきまして、
航路
の赤字欠損のみでなく、非常に老朽の
旅客
船が多いという現状でございますことは先生御指摘のとおりでございます。この点につきましては、しかもそれらの
事業
者がおおむね
資金
の獲得が困難であるというような状況であるかと考えられます。この点につきましては、私どもといたしましては、
特定船舶整備公団
というものによりまして、この
資金
の調達が困難であるような
事業
者と共同いたしまして、
国内
旅客
船、
老朽船
の
代替建造
というようなことで、共有な
方式
で、七割を
公団
が所有して
資金
的な援助をするというような体系でやっていっているわけでございまして、来年度
予算
案におきましても、若干それらの
予算額
の
増加
を私どもとしてはばかっておる次第でございます。 最後に、先生のおっしゃいました個人
事業
の問題でございます。現在の
離島
航路
につきまして、これは
国内
旅客
定期
航路
事業
でございますので、免許制によってやっておる次第でございます。
資金
あるいは
経営
能力というような点もいろいろ勘案してやっておるのでございますが、ただ、御指摘のありましたように、いろんな形態がございます。市町村の
経営
の場合もございますし、あるいはまた会社
経営
の形態もございます。あるいはまた、個人
企業
という
経営
もございます。これらのものの中で、特に個人
企業
の
経営
形態というものは非常に脆弱であるということは事実でございます。しかしながら、当該
航路
が民生の安定のために欠くべからざるものであるという観点からいたしまして、私どもといたしましては、先ほど申しましたような
航路
補助金
及び
代替建造
に関しますところの
公団
との
共有方式
ということを進めますとともに、それらの
企業
の共同化と申しますか、協同組合なり何なりというような形でもって、もっと力がつくようにということを、いろいろな点では指導してまいっておる次第でございます。
小酒井義男
89
○
小酒井義男
君
航路
補助
の三十九年度
予算
がふえてますね。一千万円足らずです。あれだけふやしてみて、はたしてそれじゃ新しい
航路
に対する
補助
がどれだけできるかというような問題、それから
補助金
を交付する場合に、地方自治体からもやはり
補助
しているというところがありますね。そういう地方自治体の
補助
と、国から出す
補助
との率のきめ方とか何かは、どういう方法でやられておるか。そういう実態を、少し資料としてお出し願って、その資料に基づいて、詳細の質問を後日いたしたいと思いますから、きょうは時間の関係もありますから、総括的なことだけお尋ねして次回に譲ります。
高林康一
90
○
説明員
(高林康一君) 資料を至急準備いたします。
—————————————
米田正文
91
○
委員長
(
米田正文
君) この際鶴見事故に関し、特別監査の結果について、
運輸
当局から発言を求められておりますので、これを許します。
広瀬真一
92
○
政府委員
(広瀬真一君) お手元に「東海道本線鶴見・横浜間における運転事故に関する特別監査報告書」、やや厚いものと、それからこれを要約しました二、三枚の薄いものがございますが、時間の関係もございますので、要旨について報告をいたします。 鶴見事故が起きまして、昨年の十一月十一日付で
運輸
大臣から事故の原因の究明につきまして特別監査を行なうように監査
委員会
に対して命令を出しまして、これに基づきまして、監査
委員会
は、昨年の十一月十四日から二十八回にわたりまして
委員会
を開催したしまして、本日お手元の結論に到達したわけでございます。この間、監査
委員会
は、事の重大性と、それから公正なる判断、さらにいろいろ
技術
的な問題がございますので、特別に早稲田大学の第一、第二理工学部の教授、前に東大の教授をされておりました沼田教授。それから原子力
委員会
の
委員
、東大の名誉教授の兼重教授。それから
東京
大学の教授で、
東京
大学生産
技術
研究
所長の藤高教授。この三名の方と特別の
技術
顧問といたしまして、二十八回の会議を重ねまして、本日お手元にございます結論に到達したわけでございます。 その要旨につきまして読みながら簡単に御報告いたします。 1 鶴見事故の原因については、本
委員会
としては、
国鉄
技術
調査
委員会
が先般中間的に推定した結論、すなわち、列車の走行状態、線路条件、隣接車両の動揺及び脱線車特異の悪条件が競合して起こったものであるとの推定は、現段階においては時間的制約もあり一応やむを得ないものと認めますが、この推定は、車両を脱線に導く素因の解明と各素因の関係度合いがいまだ十分に追求されておらず、事故の原因を最終的に解明したものであるとはいいがたいので、
国鉄
がこの究明をさらに持続して行なうことを強く要望するとともに、その
調査
にあたって留意すべき
技術
的諸事項を具体的に指摘いたしました。 2 本
委員会
は、今回の鶴見事故の背後的問題として、
国鉄
が過去において発生した類似事故の究明に徹底を欠ていたこと、線路と車両の総合的管理に不十分なところがあったこと、さらに、
輸送
需要の
増加
に対して線路増設を主軸とした
輸送力
の
増強
がおくれ列車ダイヤが稠密化して安全確保上大きな問題を内蔵していることの三点を指摘するものでありまして、これらの問題に対して
国鉄
が今後線路と車両の動的かつ総合的管理の確立、隣接線防護設備の
開発
、踏切の
整備
の
促進
、線路増設の
推進
等諸般の
保安対策
をすみやかに実施するよう要望いたします。 3
国鉄
の今後のあり方として、本
委員会
は、列車ダイヤの稠密状態を緩和するために、国家的立場からの強力な
交通
政策の確立、
国鉄
各部門の能力が最高度に発揮されるがごとき
国鉄
業務
の態勢の確立並びに
国鉄
職員のモラルの
向上
が緊要であると考えます。 結論として、
国鉄
は、この際そのよって来たる原因について深く反省するとともに、今後はより総合的見地から事故防止の要諦を適確に把握し、それに対する諸
施策
を果敢に遂行するよう切望するものであります。 これが、この本報告の要旨でございまして、実は、けさほど監査
委員長
から大臣が報告を受けましたので、御報告をいたします。
運輸省
といたしましては、いま読み上げましたように、事故発生の直接原因は、種々の悪条件が競合して起こったものと推定される、
国鉄
においてさらに引き読き原因の究明を行なう必要があるというふうに言っております。現在の段階においてはこの程度でやむを得ないと考えられますが、
国鉄
の
技術
を総動員いたしまして、今後さらに徹底的に原因の究明を進めまして、遠からず結論を得ることを期待しております。 本報告におきましては、原因のほかに、事故防止のための全般的な方策が明らかにされておりますが、
運輸省
といたしましては、これを慎重に検討いたしまして、その結果を
国鉄
行政に十分反映させたいと考えております。 とりあえず、特別監査報告書の内容につきまして、要点だけを御報告申し上げます。
米田正文
93
○
委員長
(
米田正文
君) ただいまの報告に関する質疑は後日に譲ることといたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十七分散会 ————・————