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1964-10-20 第46回国会 衆議院 災害対策特別委員会農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十月二十日(火曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員  災害対策特別委員会    委員長 中山 榮一君    理事 稻葉  修君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 稻村 隆一君    理事 岡本 隆一君 理事 村山 喜一君       天野 光晴君    岩動 道行君       池田 清志君    大竹 太郎君       亀岡 高夫君    仮谷 忠男君       田澤 吉郎君    田中 正巳君       田村 良平君    渡海元三郎君       松田 鐵藏君    湊  徹郎君       森下 元晴君    大出  俊君       泊谷 裕夫君    永井勝次郎君       山口丈太郎君    栗山 礼行君       小平  忠君  農林水産委員会    委員長 高見 三郎君    理事 仮谷 忠男君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 芳賀  貢君       池田 清志君    亀岡 商夫君       吉川 久衛君    倉成  正君       小枝 一雄君    坂村 吉正君       笹山茂太郎君    田邉 國男君       中川 一郎君    丹羽 兵助君       八田 貞義君    松田 鐵藏君       亘  四郎君    川崎 寛治君       兒玉 末男君    東海林 稔君       中澤 茂一君    松浦 定義君       安井 吉典君    湯山  勇君  出席国務大臣         国 務 大 臣 増原 恵吉君  委員外出席者         内閣官房長官 齋藤 邦吉君         北海道開発政務         次官      大泉 寛三君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         厚生事務官         (社会局保護課         長)      加藤信太郎君         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         食糧庁長官   斎藤  誠君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    田中  勉君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      山中 義一君         自治事務官         (財政局地方債         課長)     首藤  堯君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(北海道における異常低温  による災害対策)      ――――◇―――――   〔中山災害対策特別委員長委員長席に着く〕
  2. 中山榮一

    中山委員長 これより災害対策特別委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  北海道における異常低温による災害対策に関する件について調査を行ないます。  この際、北海道における異常低温による被害状況について政府より説明を求めます。舘林農林政務次官
  3. 舘林三喜男

    舘林説明員 農林政務次官舘林三喜男でございますが、先日農林大臣の命を受けまして北海道冷害視察をいたしましたので、御報告いたします。ただ、その内容につきましては、先般農林水産委員会並びに災害対策特別委員会で御視察になりまして、詳細に当委員会に御報告がありましたので、なるべく簡単に御報告させていただきたいと思います。  私たち官房長その他各部局の責任者九人で視察団を編成いたしまして、十日から十五日まで六日間にわたりまして視察に参ったのでございます。大体視察先は、道庁の御案内によりまして、北見、十勝、空知、上川、それから石狩というような方面でございまして、道庁の案内された大体の目的は、目標といたしましては、水田地帯の一番被害の大きなところ、それから畑作地帯で、酪農関係中心畑作地帯、それから雑豆関係畑作地帯、そんなものを大体中心視察するということになったと私は思っております。  ことしは、北海道におきましては、六月ぐらいまでは相当天気がいいという見通しでございましたけれども、七月に入りまして急激に寒冷前線の関係から温度が下がってきた、そうして日照時間が非常に少ないというようなことで、六月、七月ぐらいから、冷害になりはしないかということで長期予報警告等もあったわけでございます。しかし、北海道は、冷害のために不作だということをいわれましても、やはり大体は八割から九割までは収穫ができるのじゃないかということを予想されていたのでございますが、九月二十七日の晩に非常に激しい霜が降りまして、そのためにいわば壊滅的な打撃を与えたじゃないか、もしあの霜がなかったならばこうまでひどい被害は受けていなかっただろうと私は思う。あの霜のときは、全道あげて、いわば防霜というか、薫蒸のためにあらゆる努力をされた。もう各町の自動車の古タイヤがなくなってしまって手に入れることができなくなるほど、古タイヤもたくし、煙の出るものはすべてたいて、鉄道の連行が不可能になって国鉄関係から市町村関係当局者抗議申し込みがあったというくらいまでに実は涙ぐましい防霜対策をやられたわけです。しかし、それほどの防霜対策にもかかわりませず、ほんとうにひどい霜害を受けました。  それで、その被害といたしましては、その九月二十七日の被害前の、九月一日の米、九月十五日の雑豆というような関係で、一般の降霜以前の被害として農林省統計調査事務所が集めた被害は、二百四十一億でございます。それから、降霜前の九月二十日に北海道庁が集めた被害というのが四百二十八億でございます。いずれも、私たち農林省統計調査部統計にいたしましても、九月一日から九月十五日、また道庁のほうも九月二十日ということでありまして、先ほど申しました一番打撃を受けた北海道の霜による被害が入っていないわけでございます。したがいまして、いま農林省としても、北海道庁といたしましても、十月十五日現在の被害というものを月末にまとめたいということでやっておりますが、多分被害総額といたしましては五百億をこえるのじゃないかということでございます。五百億と申しますと、北海道の三十一年の被害とか、あるいはその後の被害等考えますと、全く比較にならないような大きな被害でございます。さような立場から、非常にお気の毒だということ以外にないのであります。実はあちこちに参りましても、穂の実らない米ばかりだ。また、至るところの雑豆は凍害でやられて、まるで蒸れているような状態でございまして、視察する身になりましてはほんとうに心の詰まるような思いでございました。ちょうど日本内地におきましてはオリンピックのムードで非常に盛んな景気ができている。また、二十号台風とか十四号台風被害を受けていない各府県におきましては、史上最大の豊作の空気を味わっている。そんな空気に比べますと、北海道のあの冷害の姿を見ると、くっきりと明暗所を分かつという感じで、何とお慰めしたらいいかということを感ずるような次第でございます。私たちも非常に深刻なショックを受けまして、全力をあげて、応急対策はもちろんのこと、恒久対策に力を尽くさなくちゃいけないということを感じてまいったのでございます。  以上大体御報告いたしまして、あと応急対策並びに恒久対策につきましての委員皆さん方の御質問にお答えいたしたいと思います。簡単でございますが……。
  4. 中山榮一

    中山委員長 これにて説明は終わりました。
  5. 中山榮一

    中山委員長 これより質疑に入りますが、先ほどの両委員会理事各位と協議の結果、質疑時間はおおむね三十分となっておりますので、御了承願います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。本名武君。
  6. 本名武

    本名委員 本日の連合審査におきまして、私は、ただいま政務次官から御報告のありました北海道の冷湿被害について主としてお尋ねいたしたいと思いますが、この災害に関連もいたしますので、この際最初にお伺いいたしておきたいのは米の問題であります。時期別格差最終期日が参りましたが、諸般事情から詳しくは申し上げませんが、大体この期に及んで政府はどのような処置をなさろうとしておられるか、まずその点を最初にお伺いいたしたいと思います。
  7. 舘林三喜男

    舘林説明員 米の時期別格差につきましては、北海道につきましては、先ほど御報告いたしましたような北海道の特別の事情がありますので、第三期の十月二十日を十日間延長いたしました。なお北海道以外につきましては、福島県を、第三期を同様に四日間、その他の東北地方並びに長野県を三日間延長いたしました。
  8. 本名武

    本名委員 すでに農林委員会等におきましてこの問題は指摘されたのでありますが、先ほどの災害の御報告ともあわせ、また最近の経済全般状況の中にあって、農業生産実態というのは、必ずしも既往の制度の上に立ってそれぞれの生産並びに流通の手続が行なえるとは考えられない。そのようないろいろな変化のもとに、政府は、また委員会において指摘をされたことを一つの参考として取り上げられて、いま御報告のあったように十日、四日、三日というようにそれぞれ延期をなさったと思うのでありますが、少なくとも私どもの考えるところでは、特に北海道のようなあの状態における米の生産状況あるいは被害による減収その他によって、品位の低下、合格品判別等、いろいろな手続からいいまして、この十日間で時期別格差のいわゆる生産者に対する処置というものの目的はなかなか達せられないと思うのであります。したがって、十日間という日数は私はいささか不満なのであります。さらにまた、私は、資料が手元にないのではっきりわかりませんが、三十七年あるいは昨年等もやはりこの期間の延長をしたはずでありますが、たとえ制度が十月三十一日が第三期であっても、最終期に臨んで諸般事情から四日か五日延ばした年もあったわけであります。時期別格差という制度と、生産者生産をして納めるその時期というものは、私は、制度の日にちが変更になったからといって、実体が変わるものではないので、そこにもつていってさらに冷災害によるところのいろいろな不都合が生じている生産者に対しては、少なくとも従来最終的な制度として恩恵のあった、十一月に食い込んでもやはり延ばしてやることが、この際このような状態に置かれた災害の年には当然とられてしかるべきだと思うのであります。したがって、十日とおきめになったといういまの御答弁でありますが、さらにこれを、ここ数日間の事態の推移によって、十一月に、前例もあるので、少なくとも五日なりあるいは十日なり延ばされるというお考えをお持ちで一応十日ときめられたのか、その辺をもう一度お尋ねしておきたいと思います。
  9. 舘林三喜男

    舘林説明員 時期別格差北海道につきましては十日間延ばしたことは、先ほど御説明したとおりでございます。地元の御希望等によりましても、ぜひ十日ないし二十日程度に延ばしてもらいたいという希望等もあったのでございますが、ただ農林省のいままでの取り扱いから申しますと、三日、あるいは最高の場合も四日くらいがいままでの前例でございます。何も前例を踏襲するわけではありませんが、と同時に、北海道天気も大体持ち直していったような感じもいたしますので、一応十日間延ばしますと相当程度供出量まで達するのではないか。申すまでもなく、時期別格差の問題は、やはり端境期におきまして政府相当量手持ちのものを保有してそして配給に遺漏なきを期するというほんとう端境期対策でございますし、全般的な日本全体の政府手持ち量供出状況というものを考えますと、やはり十日ということが最大限ではないか、したがいまして、いろいろ理由はあられましょうけれども、現在農林省といたしましては十日を延ばそうという気持ちはありませんことを御了承願いたいと思います。
  10. 本名武

    本名委員 御趣旨はよくわかりました。それでは、もう答弁は要りませんが、希望として申し上げます。  前例が大体三日、四日であるということ、それから端境期対策としてやられているということ、これは十分承知いたしております。それであるからこそ、現状に照らして、特にさっきは生産者の実情の一、二を申し上げたのでありますが、いま次官のおっしゃったように、端境期対策ということになると、北海道は今年の減収によっておそらく地元に滞荷されている米というものは、私はまだ調べておりませんけれども、相当少ないと思う。したがって、当面は相当内地から輸送しなければならぬ、そういうような現況下にあって、やはりつとめて一日も早く出させるということ、出させるためには、実態災害その他でいろいろな悪条件のもとにおいて出しにくい状態にあるから、私は十日では足らぬからもっと延ばしたらどうかと申し上げたのであります。答弁は要りませんが、大臣でもお帰りになったら、大臣現地ごらんになっておりますから、どうかひとつゆっくり御相談なさって善処していただきたいと思います。  それから次に冷湿害について二、三お尋ねいたしますが、その前に、先ほど御報告がありましたとおり、国会はもとより、政府におきましても、政務次官を筆頭に、大ぜいの方が大挙して現地調査されたということは、いかにこの冷害が深刻であり過酷であったかというその証左であろうと思うのであります。その調査に行かれた御労苦とその熱意に対しては心から敬意を表する次第であります。またその後におきましては、内閣を代表して運輸大臣現地にお見舞いを兼ねて調査に行かれ、本日も農林大臣みずからが現地に乗り込んで調査をしておられるはずであります。このことはまことに感謝にたえない、敬意を表するのでありますが、ただ私は、調査をされてきて、ほんとうにひどかった、いままでにない災害であるということを繰り返されるだけではいけないと思う。農民はなるほど、農林大臣政務次官あるいは行政の責任ある当局につぶさに見てもらったことに対しては、心理的には非常に、一つ安心感といいますか、非常な期待を持っていることだけは間違いない。その期待を裏切らないようにこの際ひとつ十分な善処をしていただきたいと思うわけであります。  それにつきましても、きょうはまだ大臣もわざわざ調査に行かれてお帰りになっておりません。したがって、行政的な、あるいは今度の臨時国会に対して予算措置をおとりになろうとする最終的な結論的御相談はできていないと思いますから、私はあえて的確なお考えや方針をお聞きしようとは思いませんけれども、二、三についてお尋ねいたしますが、その前に一つお伺いしておきたいことは、今回の北海道冷災害というのは、なるほど、北海道の有史以来の大災害であるということは、私もつたない経験でありますが、そう思いますし、また、ごらんになった皆さんもそう言っておられるのでありますが、しかし、これは一度や二度のことではないのであります。いかにしてこのような冷湿害による被害が大きくなったか、この原因をどういうふうに考えておられるか、この考え方いかんによって、この災害を契機として、よほど思い切った抜本的な施策を講じて、再び冷災害の起きることのないような農業の姿をつくり出す必要があろう、そういう意味で、政務次官が政治的にも御判断なさるでしょうし、また事務当局のお考え等もそれぞれ御論議をなさったと思いますが、今回の冷災害に際して、一体いかなる原因でこのような災害が起きたか、単に、集中豪雨から始まって低温寡照によるものである、そういったことだけではなくして、農業経営を常に指導され、また行政的にそれぞれ処置をなさる万般の農業政策を、十分とはいわないまでも、推進しておられる農林省当局としては、あるいは政府当局としては、今度の災害原因といいますか、よって起きたところのどういう大きな問題点がある、どういう点を察知されたか、感知されたか、あらためてお考えをまずお聞きしておきたいと思います。
  11. 舘林三喜男

    舘林説明員 本名委員から北海道農業に対しての非常に重要な御質問がありましたが、私は四日間視察いたしましたばかりでございますし、農業しろうとでございますが、ただ現場で率直に感じたことだけを申し上げさしていただきたいと思います。  なぜこんな被害ができたかということは、とりもなおさず、今後どうしたら被害をなくすことができるかということとうらはらの関係でありまして、先ほど陳情団の方が陳情されておりました恒久政策をどうしてとるかということと相関連する問題だと思います。今度私しみじみ感じましたことは、北海道寒冷地における米作というものが非常に発展している、被害を受けましたけれども、驚くべき発展だということ、これはぜひ日本国民方々も、また皆さん委員方々も買っていただきたい。寒冷地あれだけ米をつくる技術が発展したということは、世界に例がないことだと思うのです。そんな意味で非常に評価していい。ただ、最近ここ数年にわたって北海道の米が非常にまずいというような関係、また、やはり科学者といたしましては、寒冷地の北へ北へと極限を越えて米をつくりたいという品種改良の熱情のあることは当然のことなので、そんなことと相まちまして、いわゆるユーカラというのですか、品種がどんどんできてきた。味も非常にいい、収穫量も多い。しかし、これがややおくてでございまして、冷害に必ずしも強くない。これが大雪山の向こうから十勝あるいは北見のほうまでどんどんできていった。これが私は今度の水田被害の大きな原因だと思います。したがいまして、私のしろうとの乱暴な意見でございますけれども、北海道の人も米をつくることについてはある限度というものを考えていただきたいということを注意することは非常に無理だろうかと私は思うのです。実際米の値段はよくなりますし、ある農民の方に聞きましたら、どうしてこんなところまで米をつくるのだということを率直に聞きましたら、いや米値段がいい、そうして凶作の場合も農業共済制度が非常に発達している、それだから、三年間平年作で四年目に収穫皆無であっても、四年間のどんぶり勘定をすると、いいのだ言っておられた。そんな考え方があったら非常に私はあぶないのではない九という気がする。と同時に、やはり国立農事試験場としても、ユーカラ品種は非常に評判がいいようですから、これをわせとか中生種のものに品種を変えることができないだろうか。これは私ぜひ予算をとって国立北海道配賦をしたいと思う。これが第一点でございます。米の品種改良の問題、それから農民方々ほんとうに米のできる極限というものをやはり考えてやっていただきたいということの希望でございます。  それから第二は、やはり十勝とか北見あたりは、ほんとうに至るところ雑豆をつくっておられる。値段がいい、収入も多い。しかし、そんなところが壊滅的な打撃を受けておりまして、ほんとうに豆をつくる人の今度の被害というものは非常に大きいと思うのです。しかし、いままでの例から考えますると、やはりてん菜中心とする酪農よりも、豆をつくったほうが利益があるということで、どんどん豆をつくっておる。はなはだしいところになりますと、一戸当たり三十町の作付反別を持っているが、これをすべて豆でやっておるというような、非常に失礼ですけれども、いわば投機的な農業が行なわれている感じがいたすのであります。やはり北海道冷害というものは何年かに一ぺん避けられない以上は、幾ら何でも、作物のうちの二割か三割ぐらいに豆作をとどめてもらって、あと安定作物をやっていただくというようなことはできないか。しろうと意見でございますけれども、そんなことをずいぶんあちらこちらで言っておりましたので、こんなことは新しい問題だと思うのであります。  それから最後は、先般も知事もずいぶん強く言っておられましたが、やはり畜産の奨励ということがどうしても動かないことなんで、幸いにしててん菜もあれだけ発達しておりますし、てん菜酪農結びつきということは知事も今後の施政の中心としてやりたいというようなことを言っておりました。  そんないろいろな問題がありまして、もちろん、それについては価格の問題等が随伴いたしましょうが、とにかく私があちらこちらの農民の方に直接当たって感じましたことは、大体品種改良の問題あるいは作物極限の問題、それから雑豆をつくる限界の問題とか、あるいはまた、畜産てん菜結びつけの問題、こんなことがやはり技術的な問題としては今後の北海道冷害対策一つの方向じゃないか。ただこれは私の全く、いわば蓄音機のような、見たり聞いたりした場合の感じでございますので、もしも間違いでございましたら御批判願いたいと存じます。
  12. 本名武

    本名委員 政務次官は非常に御熱心に御調査なされ、また、お立場からいって適切な御判断をなさっていると思われます。その点は非常に敬意を表しますが、ただ私は重ねてもう一ぺんお聞きしたいと思いますことは、今後の対策をとる上にも、せっかく政府がとうとい国家財政を投入していろいろ救済の手を伸べられ、また恒久対策をおとりになろうとするのでありますから、農民の将来の経営安定のためにも繁栄のためにも、また国家の投資がむだにならないためにも、やはり私はこの機会にこの冷災害原因をしっかりと究明しておく必要があろうと思うわけであります。そこで、いまの次官のお答えを伺っておりますと、いま申し上げましたように、非常に精密な点まで御調査なされ、また御研究なさっている点は敬意を表しますが、ただ私のお伺いしたいことは、今日まで行政やあるいは制度の面において欠陥がなかったかどうかということであります。なるほど、考えてみますと、水田には限界がある、おのずから地域的な気象的な限界があるとおっしゃいますが、品種改良土地改良やあるいは耕種改善等、その他いろいろな苦労と努力によって、国も農民努力したことによって今日まで北海道におけるあのような優秀な米作地帯が生まれたことは私は否定できないと思います。それが、かりに四年、五年に災害があるからといって、米は限界を越えているからつくってはいかぬということは、今日の農政に携わっているお立場としては言えないのであって、むしろ、この際、極限を越えた現実の水田地帯というものが何かの方法によって救われて、再び冷害をこうむらないような処置ができないものかどうかという配慮が農政の上にあってしかるべきだと私は思うのであります。そういう意味において、たとえば畑作にいたしましても、投機作付をやって豆をつくるから、地力がなくなって、そしてそこへまた連作をやるから、ちょっとの低温でも冷害減収をこうむるのだということの批判だけではなくして、いかにして地力を増すか、いかにして投機的な経済心理というものを調整しながら安定させるか、あるいはまた、行政として指導の上に欠陥がなかったかどうか。末端には改良普及員がいまして、農家個々に直接営農について相談もいたしております。また耕種その他の技術的な相談指導もいたしております。そういう末端に至るまでのいわゆる行政的な指導の上において欠陥がなかったかどうか。私は、この災害機会に将来救済の上にも恒久対策の上にも徹底した抜本的な処置をとらなければならないと思うからこそ、この点についての重大な反省を農政の上に持ってもらいたいというために、いまこういう質問をしたわけであります。したがって、いろいろ前向きの恒久対策としては、畑地を酪農に切りかえろとおっしゃるけれども、なるほど、それはそのとおりであります。いかにして地力を増し、そして生産性を上げるかということは、やはり根菜あるいは牧草等によるところの飼料の自給度を上げる処置と相まって、農民ほんとうに牛を飼うこと、家畜を飼うことの安定性をみずからが自覚する者は今日においても発展する、その自覚をさせないところに、していないところに、今日までいま御指摘のような必要以上の投機作付をやったり、あるいは地力考えない耕作をやるという結果が生まれていると思うのであります。したがって、一体行政制度、政治の上においてどういうような処置をもって、再びこのようなあやまちというか、今日まで踏んできた道を、悪いところがあるならば、どういう方法で改めさせるかということが、私は、災害対策をとる上において、特に再び繰り返したくないこの冷害を克服する上においてどうしても必要だと思う。したがって、今回のいろいろな救済策あるいは恒久策を打ち出すについては、私どもとしてはもっといままでにない徹底した処置をとっていただかなければならないと考えますので、この点の深い反省と――言っては失礼でありますが、深い経験の上に立ってこれから――きょうはどうせ結論的なことは伺えませんから、私は概略のことしか申し上げられません、また聞くことはできませんが、その点だけを、今後の審議の上に間に合うように、大臣もお帰りになったら十分検討されて、長期対策についてさらに進んだ処置をしていただきたいと思うわけであります。  そこで、時間もありませんので一、二の点について具体的に伺いますが、同僚委員のどなたが口を開いてもまず第一に伺いたいのは、金融の問題であろうと思います。当委員会におきましても、農林委員会においても、すでに何回となく繰り返されていろいろ当局意見を承っておるのでありますが、私はあらためて、大臣がお帰りになれば、具体的にひとつ大臣の御決意も伺いたいと思っております。また機会を見て大蔵当局考えも聞きたいと思っておりますが、一体、天災融資法を制定して、天災によるところの被害農民に対して、施設なり営農に影響を及ぼした被害をできるだけめんどうを見てやる、一方においては、生活困窮の状態に追い込まれた罹災者については、自創資金をはじめとして、生活に事欠かないようにしてやろうということでありますが、その貸し付け条件、金額及び金利、償還期間等は、いずれも前時代的な制度であると申し上げたほうがはっきりしていると思うのであります。申すまでもなく、池田さんがおっしゃっているように、今日の日本の経済で必要なことは、中小企業と農業を救うことだ、安定させることだ、こう言っておられますが、依然として金利も償還期間も、あるいはその他の貸し付け条件というものを現行法のままでいくということをよもやお考えになっているとは思いませんけれども、およそこの時代に合った、しかも災害に対して再び立ち上がらせるという対策としては、すべてが私は時代おくれの制度であると思うのであります。したがいまして、天災法による激甚災の指定がかりに受けられるとするならば、基本の法律である天災法に対しても、その金利並びに償還期間等については相当改正を要すると思います。同時にまた、かりに金融制度が前向きに改正されたといたしましても、累積された負債の始末あるいはまた、幸いにかりに農民の一部に連年のやや平年作、やや豊作の状態を続けてまいりまして旧債がかりになくなったとしても、経済の発展と農業の将来の近代化のために新しい資金をここ数年続々と導入している、その負債の償還等を考えますときに、やはり私は、先ほど申し上げましたように、いろいろな災害原因があろうと思いますけれども、その原因を克服し、再び繰り返すことのないようにするためには、この際徹底した救済方法をとらなければならないと考えるのであります。そういうふうに考えてくると、どうしてもこの貸し付け条件等を大幅に改善すると同時に、もう一つ必ずこれに付随してやらなければならないことは、旧債償還に対する処置であります。なるほど、この前政務次官もおいでになったときには、この現在償還期を迎えている負債に対しては、これはひとつ繰り延べ、たな上げの処置をとろうという御意見も承りました。農民は非常に喜んでおります。その中身がどうなるかは、いろいろ問題があろうと思いますが、ただ、ことし延ばしたから来年二年分払うというようなむごいことのないように、先ほど申しました期間延長もあわせてやらなければならないと思います。具体的なことについては別な機会に伺いますが、もう一度その点について当局の御意見を承っておきたいと思います。
  13. 舘林三喜男

    舘林説明員 お答えいたします。  天災融資法並びに激甚災害法の指定につきましては、去る十六日の閣議におきまして、必ずこれを適用するということの内諾を得ておりまして、ただ、これは災害被害とのにらみ合わせでございますので、十月十五日現在の被害を十月三十一日にまとめまして、十月三十一日に必ず両方ともに適用するつもりでございます。  なお、前向きに今後考えたらどうか。お話のとおりでございまして、現場に参りまして農政のいろいろの欠点を痛感したわけでございまして、その一つとしてやはり金融の問題があるわけでございますが、お話のとおり、天災融資法も十五万円で、北海道は二十万円でございますか、六分五厘ということで、六分五厘の利率が高いことは申すまでもないので、それで農林省といたしましては、天災融資法の貸し付けの利子あるいは償還期限というようなものにつきましてひとつ思い切った改正をいたしたい、いわば北海道冷害を禍をもって福に転ずるというようなかっこうでやりたいというようなことで、できましたら臨時国会にでも出したいという気持ちでございます。もちろん、他のいろいろな制度金融あるいは系統金融等の利子との関係がいろいろありまして、利子の体系をこわすということで他の省の相当反対があるだろうと思います。しかし、農林省としては、これだけ待望されている天災融資法の適用でございますから、六分五厘の利子だけはぜひ下げたいという強い希望を持っておることを申し上げたいと思います。
  14. 本名武

    本名委員 かなり具体的な御意見を持っているようでありますが、数字のことは後刻お伺いいたしますが、天災資金は、申すまでもなく明年度の営農に対して一つの道を開くという性格を持っておりますが、実際の羅災者、いわゆる被害者は、申すまでもありませんが、いろいろな事情で今日の生活に苦しむ者があります、農業経営を見捨てて一日も早く離農したいという者もある、また、農業はやりたいけれども、きょう食うものがなくて困るという状態がある、かわいい子供にも弁当を持たしてやれないという実態があちらこちらにたくさんある、この中にあって、やはりここで、負債や経営ばかりでなく、思い切った生活自体に対する処置もとらなければならない。生活保護法の適用にいたしましても、いろいろな問題があろうと思います。土地を所有し、農業を経営し、家を持っている農民と、普通の都市における生活困窮者とはおのずから違うのでありましょうが、その点はおそらく、制度の改正も必要かもしらぬが、運用の面でかなり具体的に拾い上げる道があろうと私は思います。これをお考えいただくと同時に、やはり経営でありますから、一つの励みの上からも、私は、金融の制度というものが徹底するところに一つの前向きの意欲も生産者にわいてくると思う。  天災資金のほかに当面必要なものは、やはり自創資金でありますが、この自創資金も、貸し付け限度の増額であるとか、あるいは期間の変更であるとか、今日までわれわれも非常に苦労しながら改定をいたしてまいりました。やはり今日の経済伸展の情勢下にあって、また経営規模や経営内容や、あるいは農民の生活実態の上からいって、この自創資金がいかに有効であるかということを考えますときに、私は、少なくとも今年度から実施された金利体系の整理にあたって、自創資金などはいさぎよく三分くらいに引き下げるべきだったと思うのであります。それが依然として五分に貸し、そしてまた三年の据え置き、二十年ぐらいのことで、こういう大きな災害に対しての自創資金の効果がはたして上がるかどうか。貸し付け限度も五十万円になったとはいえ、今日まで生活の上に、あるいは今回の災害によってこうむった生活の困窮状態の上にあって、いままで借りている金を差し引けば、おそらく二十万か三十万しか借りられないのじゃないか。北海道が三十万まで貸し出した、その残りといえばわずかなものであります。そこで私は、そういう面からも、天災融資法とあわせまして、自創資金の金利並びに償還期間、さらに貸し付け限度についても相当の配慮が必要であろうと思うのであります。  同時にまた、この自創資金の総ワクの問題でありますが、その数字をまだ承っておりませんけれども、おそらく現在予算上にあらわれているものでは不足をするのではないか。要求はたしか五十億ぐらい道を通じて要求していると思いますが、それらについての準備があるかないか、その点をお伺いしておきます。
  15. 中西一郎

    ○中西説明員 生活の実態に即した救済措置についてのお話でございますが、一番初めにお話しになりました生活保護の関係、これについては厚生省の所管でございますけれども、牛一頭ある、あるいは二頭あるというような、生産資材があることを条件にして生活保護の適用からはずすというのが通例のようでございましたけれども、厚生省のお考えとしては、今回の冷害にあたっては、生活の実態に着目して、機械がある、牛馬があるということで生活保護を適用しないということはとりやめるというふうに聞いております。  なお、自創資金につきましては、災害のワクとしてまだ実は四十数億残っております。要望はそれよりもこえておるようでございますが、今後北海道庁とよく詰めまして適切な措置をとり得るのではないかと思っております。  また、自創資金の金利五分、あるいは償還期限二十年、貸し出し限度五十万円というのをどうするかということについてお話がございました。また、自創資金の総ワクを北海道はどうするかというお尋ねもあわせてございましたが、これらにつきましては、当面は、やはり法律上の問題もございますし、五分、二十年ということでやらざるを得ないと思っております。金利体系全体を考える時期が来ますれば、十分に配慮をいたさなければならないと考えておるわけです。  なお、自創資金につきまして、開拓者につきましては、前向きの振興計画を立てるにあたって旧債がじゃまになるというような場合は、開拓者に対しまして、新たに、九月の六日だったですか、通達を出しまして、自創資金に借りかえをさせるという道を開きまして、それで前向きの資金がさらに借りられるということに相なっております。  事務的な答弁ですが、以上でございます。
  16. 本名武

    本名委員 時間がきたので次回に譲ることにいたしますが、大臣調査してお帰りになり、またそれぞれ御相談をなさって、この次には具体的な御意見を聞きたいと思います。  このほかに種子対策、飼料対策あるいは検査規格の問題その他いろいろありますが、全地域にわたって起きた災害であって、飼料にも一部に余裕があるものがあるとか、あるいは種子にも一部分が不作で一部分にはとれたというような状態にないというところを十分配慮されて、政府の物資を放出するなり、あるいは補助率を引き上げるという相当積極的な対策を心から期待するわけであります。  以上のことは次会に譲って、私はこれで終わります。
  17. 中山榮一

    中山委員長 泊谷裕夫君。
  18. 泊谷裕夫

    泊谷委員 質問に先立ちまして、中西官房長、舘林政務次官、そうして委員長、松浦、赤城両大臣北海道調査に、道選出の議員として心から感謝の意を述べておきたいと思います。  今回の北海道冷災害は、根本的には、農業基盤の整備、先ほどもお話がありましたが、品種改良など、特に農業試験場などの強化によりますところの試験機関の強化、さらには畑作農産物の価格支持制度並びに共済制度、これらが根本的な問題だと思うのでありますが、当面する問題とあわせて、与えられた時間、単刀直入にお尋ねをいたしますので、できるだけ簡潔に要点だけお答えをいただきたいと思います。  まず最初に、災害委員会でも再三爼上にのっておりますが、道内においでになりました各位からもお話がありますが、天災融資法に基づく災害の指定は、二十三日の閣議できめられるというふうに聞いておりますが、間違いないかどうか、あわせて激甚災害としての特別被害地域の指定は道との関連を持つということを承知しておりますが、いつごろ――というよりも、いっこの発動がなされるか、以上二点についてお答えをいただきたいと思います。
  19. 舘林三喜男

    舘林説明員 先ほど本名委員の御質問にお答えしたとおりでございまして、北海道に対して両法を適用するということにつきましては、去る十六日の閣議で内諾を得ておるわけでございます。ただ、十月十五日現在被害を集計いたしまして、それが十月三十一日にまとまるわけでございます。それを待たなくては両法の適用を指定することはできませんので、十月二十三日にやるということは、これはできないと思います。しかし、十月三十一日に必ずやるということだけは御報告申し上げたいと思います。
  20. 泊谷裕夫

    泊谷委員 事務的な関係で十月三十一日指定することが明らかにされましたが、二項目にお尋ねいたしました激甚災害の特別被害地域の指定も同時になされると理解していいかどうか、再度お答えをいただきたいと思います。
  21. 舘林三喜男

    舘林説明員 いままでの例から申し上げますと、大体同時にやっておるようでございますが、あるいは北海道の場合はいろいろ計数の整理等の関係から二、三日おくれるかもわかりませんが、なるべく一緒にやりたいと努力いたしたいと思います。
  22. 泊谷裕夫

    泊谷委員 次のお尋ねに移りたいと思いますが、農林省としては、現行法の融資条件を思い切って改正し、臨時国会に提案したいと館林政務次官からお答えがありまして、金利の問題にちょっと触れたようでありますが、期間などについてどういうお考えをお持ちであるか、この際内容を明らかにしていただきたいと思います。
  23. 舘林三喜男

    舘林説明員 天災融資法をこまかく改正する内容につきましては、私まだ申し上げかねます。と申しますのは、天災融資法を改正したいというふうに農林省が申し上げましたのは、きょう初めてだと思うのです。と申しますのは、農林省の幹部と一緒に現地に参りまして、またいろいろ天災融資法の適用の状態等から、いままでの前例等から考えまして、多分これは三十一年にできたことだと思いますが、それからいろいろ情勢の変化もございますから、ほんとうに天災融資法を活用させるためには、改正すべきじゃないかという考えを持って、さような意味で改正をしたいということを言ったわけでございます。しこうして改正するということになりますと、結局金利の問題が一番大きいので、償還期限の問題とかその他具体的な問題につきましては、まだ御説明する段階ではありません。ただ、そんな方向で前向きの姿勢で改正したいということを先ほど申し上げたことを御了承願いたいと思います。
  24. 泊谷裕夫

    泊谷委員 再三くどいようで恐縮ですが、いま政務次官のお答えは、被災農家の負債が増大して、農業経済が逼迫して再生産が期し得ないというお考えに立って、抜本的に長期低利の構想をお持ちになって改正を提案されたというふうに考えておるのですが、それでよろしゅうございますか。
  25. 舘林三喜男

    舘林説明員 天災融資法の精神は、当面の天災に対して、いろいろあの条件に書いてあるような資金をどうして援助するかということでございまして、必ずしも農家全体の負債との関係じゃない。ただ、一つの天災の場合に、十五万円の金で、六分五厘で、はたして額がいいか、あるいはそれで天災を受けた人が返せるかという現実の姿から考えまして、天災融資法それ自体の問題として、改正したほうがいいじゃないかということでございまして、農家負債全体のことは、いま私は考えておりません。しかし、それは考えてないというのは、決してオミットするわけじゃなくて、農家負債全体の処理は処理としてまた別に考えなければいけないことは当然でございます。
  26. 泊谷裕夫

    泊谷委員 しかりとすると、現象面としては、被災農家が累増する負債で苦悩しておるわけです。理論上、政務次官の言われる話は了解できますが、ともあれ、抜本的にこの問題について農林省として救済をしなければならぬと思うのでありますが、それについてのお考えをあらためてお聞かせいただきたいと思います。
  27. 舘林三喜男

    舘林説明員 先ほど本名委員の御質問に対しまして官房長が答えたとおりでございます。
  28. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは次に移ります。  土地改良事業の補助金外の八割は、現在農林漁業資金の借り入れ金でまかなっておりますが、冷害災により農民の負担が困難であることは、御承知のことと思うのです。補助残は、この際全額融資の措置と貸し付け条件の緩和措置を講ぜられるべきだと思うのでありますが、お考えを明らかにしてほしいと思います。
  29. 中西一郎

    ○中西説明員 お話の補助残の融資につきましての率でございますが、将来の問題として申しますと、補助率を上げるというようなこととの関連がございます。全国的に一律に考えるのではなしに、離島あるいは僻地について特例を設けるとかいうようなことで、補助率の関係と補助残融資の率の問題、さらに農家全体のその事業に対する受け入れの可能性、それぞれからみ合いがございます。現段階では、これをいますぐどうするということは申し上げかねるのですが、検討さしていただきたいと思います。
  30. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いつも中西官房長からはずばりとわかりやすい御答弁をいただくのでありますが、いまの話は、臨時措置も考慮される用意はあるけれども、まだその決断ができてないということに理解してよろしいのですか。
  31. 中西一郎

    ○中西説明員 当面の問題としては、この制度を変えることは非常に困難であると思っております。四十年度予算の仕組みで補助率とのからみ合いを考えたい、こういうことでございます。
  32. 泊谷裕夫

    泊谷委員 具体的な問題で一つ被害農家に対し政府米麦を低価格で無利子、無担保で払い下げをすることが好ましいと思うのですが、農林省のお考えを明らかにしてほしいと思います。
  33. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 お答えいたします。  米作農家が今回の被害によりまして飯米にも事欠くというような場合におきましては、もちろん一般の配給を受けることになるわけであります。しかし、われわれといたしましては、そういう農家に対しまして、都道府県知事から申請がありました場合におきましては、政府から卸値段で都道府県知事に払い下げ、市町村を通じて米作被害農家に配給をする、こういう措置をとりたいということで、検討いたしておるわけであります。その際におきましては、無担保、一年間の延納というような措置も、法律上とれることになっておりますので、そういう措置も検討いたしたい、こう考えておるわけであります。いま価格について一般の被害農家につきましてお話がありましたけれども、現在生産者価格と消費者価格が相当逆ざやの安い価格になっておりますので、生産者価格で払い下げるということよりも、むしろ一般の消費者価格で売ったほうが現在においては安いということになりますので、特別の安い価格ということは考えておりません。
  34. 泊谷裕夫

    泊谷委員 前回の災害特別委員会で預かりになっていた問題について、その後の審議状況をお尋ねしたいと思うのですが、畑作農産物の種子の補助の問題でありますが、この前も申し上げましたように、共済制度がある水稲が二分の一で、畑作が逆に三分の一というのは、本来の趣旨からいって逆ではないか、この補助率を逆に三分の二考慮されてしかるべきではないかというお話を申し上げておきまして、中西官房長のほうで検討されるという答弁でありましたが、その後この扱いがどうなっているか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  35. 中西一郎

    ○中西説明員 お話の点、われわれ北海道内を調査いたしましたときにも同様の御要望がございまして、なお検討を続けておりますが、まだ結論は出ておりません。ただ、米作畑作の差ということになりますと、いろいろな角度からの見方ができます。そういう点もう少し詰めさしていただきたいと思います。いずれにしても、大蔵省には予備費の要求はいたしますから、何らかの結論は早急に得たいと思います。
  36. 泊谷裕夫

    泊谷委員 官房長のお答えは、農林省としては質問者の私の意を了とされて、その筋で大蔵省と折衝中であるというふうに理解してよろしいですが。
  37. 中西一郎

    ○中西説明員 三分の二にするか二分の一にするか、その辺のことをまだ結論を出していませんが、現状を一歩進めるとすればどうするかということで検討いたしております。
  38. 泊谷裕夫

    泊谷委員 農林省としての結論が出るのはいつごろになりましょう。
  39. 中西一郎

    ○中西説明員 いまのところ、できるだけ早くと申し上げる以外に考えはございません。できるだけ早くいたします。
  40. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは事情を了解いたしましたので、次の問題に移ります。  これも前回預かりになっております畑作共済制度の確立の問題でありますが、昭和三十一年の災害以来、畑作共済制度の確立を求める農民希望というものは相当強いものがありまして、農林省としてもこのことはよく御承知おきのことと思います。今日に至るもなおこの制度が確立されていないのでありますけれども、前回も申し上げましたように、制度的には若干欠陥があり、また共済範囲は不十分であったとしても、こういう大きなできごとがあったときであるだけに、新しい畑作農民に激励を与えるという意味からも、早急に――事務的にはほぼ煮詰まっておる段階と聞いておりますので、もう残るところは、関係は大蔵省もありましょうけれども、農林省としての決断と思うのでありますが、これについて特に現地をお回りになりました政務次官官房長も強く胸を打たれたと思うのでありまして、これに対する方策をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  41. 舘林三喜男

    舘林説明員 御質問畑作共済の問題でございますが、実際現場を見まして、もしも畑作共済があったらどれほど農民のためによかっただろうという感じが強くいたしたのでございます。また、地元といたしましての農民方々も、ぜひひとつ畑作共済をやっていただきたいという強い希望がございました。農林省としても、実は三十七年からこれの実施の方向で調査を進めておりまして、今日まで何か研究会を設けてずっとやってきているわけでございます。ただ非常に技術的に困難で、たとえて申しますると、北海道とか九州は加入者があるが、東海地方とか近畿地方というようなものはほとんど加入しないじゃないか、また対象をどの限度に限るか、あるいはキュウリとかナスとか、その他種々雑多あるわけでございまして、そんなものの把握が非常に困難である、また損害の把握が米と違いまして非常に困難な関係がございまして、したがいまして、いま直ちに踏み切りたい気持ちはありますけれども、技術的な問題がたくさんありましてまだ踏み切るという段階に行っていないのでございますが、農林省としても、せっかく数年間研究してきたところでございますから、実施の方向に向かってこれから先数年ぜひひとつ調査を進めたい、かような感じでございます。
  42. 泊谷裕夫

    泊谷委員 せっかくの次官答弁でありますので、ありがとうございましたということで引き下がりたいのでありますが、現地農民の感情をこの際申し上げておきたいと思うのは、燕麦など、総じて政府資金の持ち出さない問題についてはこの制度化が急がれ、その他の問題について制度が技術論で遷延しているということについて激しい憤りを持っております。このことを強く訴えまして、いま次官が言われた早急にということばは、ほんとうに早急に取り急いで、できることならば先ほどの資金上の問題とあわせまして臨時国会に提案する気がまえをとっていただきたいことを申し添えておきたいと思うのです。  次に救農事業でありますが、農業生産に直結した救農土木を考慮してほしいと思いますし、あわせて、九百二十円という労務賃は、現状においては、イモ拾い一人頼んでも千百円ないし千五百円かかる、こういう現状にあります際でありますから、この労務賃の引き上げについても特に考慮されなければならぬと思うのでありますが、農林省のお考えはいかがか、お尋ねしたいと思います。
  43. 中西一郎

    ○中西説明員 救農事業につきましては、北海道開発庁の関係あるいは道自身の問題、農林省関係、特に営林局関係の砂利採取とか、あるいは谷どめ、じゃかごというようないろいろな事業がございます。そこで、労賃の問題ですが、これは聞くところによりますと、北海道開発庁では、千三百円をこえる程度の日当での計算を最近やっておられるようです。それぞれの事業の内容によって違うとは思いますけれども、その辺、実情に即した措置をわれわれもいたしたい、かように思っております。
  44. 泊谷裕夫

    泊谷委員 次に、開拓農民関係のことでお尋ねをしたいと思います。せっかく次官、中西官房長の御答弁をいただきまして、天災法による融資が決定されましても、開拓農家の場合は、受信力の低下並びに過去の金融機関の貸し付け実績、こういうことから、一部の開拓者を除いては、全般的には天災法による融資の利用は不可能に近い実態にあります。したがって、開拓者資金、政府資金、自作農維持資金、天災法資金、こういう順序など含めまして、この開拓農民生産資金が実際的に確保できるように考慮さるべきだと思うのでありますが、これについて農林省の具体的な今回に対する方策があればお示しいただきたいと思います。
  45. 中西一郎

    ○中西説明員 天災融資法、さらに自創資金、開拓者資金融通法によります融資、そういう順序で考えておることは、すでに御承知のとおりであります。開拓者資金の災害につきましては、約一億円のワクを持っておりますけれども、現在の条件の中でもし金額が足りなければ、それをさらに追加するということもあわせ検討いたしております。
  46. 泊谷裕夫

    泊谷委員 中西官房長にもう一度お尋ねしますが、端的にお尋ねしたいのは、との開拓農家の諸君が具体的に金融の恩恵を受けられるというふうな措置をお考えいただくということに理解してよろしいですか。
  47. 中西一郎

    ○中西説明員 どういうふうにお答えしていいのか、よくわからないのですけれども、天災融資法を受けられる方はそれでいい、あるいは自創資金は、これはおそらく全体に回ると思います。それから、それでもなお営農の上で被害が非常に大きいという場合には、開拓者資金融通法の道が開かれておる。もし金額が足りなければそれを増加する用意があるということでございます。
  48. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私のほうの要請は、具体的に金利、期間の問題も含めまして、できるだけ開拓者資金、自創資金、それから天災、こういう配置で使わしていただくようにお願いをしたいところでありますが、これはもう一度ひとつ御考慮をいただくということにしていただきたいと思います。  厚生省の方は見えておりますか。
  49. 中山榮一

    中山委員長 もう五分ぐらいしたら……。
  50. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは農林省関係で、先日、中西官房長は、共済は年内に完結払いをしたい、事務的におくれる場合は例外であるけれども、そういう気持ちでおるということが明らかにされましたが、ことしの北海道農民はこれがたった一つの収入になると思われるのでありまして、これに対する税金は免除してほしい、非課税にしてほしいと思うのでありますが、これに対する農林省考え方を明らかにしてほしいと思います。
  51. 中西一郎

    ○中西説明員 税金の問題、私よく勉強しておりませんですが、やはり農家としての総合的な所得にかかってくるのが原則だと思うのです。そういう意味で、全体として見ますと、税金を払っておる農家というのは非常に少ないと思うのですけれども、共済金が入ることによって一定限度の課税対象になるという――まあ大きな規模の農家については、これは税金がかかってもやむを得ないのじゃないか。個々の共済金について、それを個別に収入とみなさないという特例は、非常に困難だと思います。
  52. 泊谷裕夫

    泊谷委員 共済の非課税は困難というお話でありますけれども、これだけ災害、農林委員、そして農林省関係大臣、それから閣議から大臣まで派遣いたしまして、たった一つの収入の共済が税の対象になるということは、どうしてもわからないことでありまして、いま中西官房長から答弁がありましたが、これはもう一度再考いただきたいということを要請として申し上げておきます。  次は、先ほどから気持ちとしては、天災あるいは激甚をすみやかに実施をしたいという気持ちを持ちながら、事務的に停滞をしておって間に合わないという話でありますが、道内四統計調査事務所は、もうすでに御承知のとおり、畑作調査などというのは主要農産物だけでありまして、今回のように全農産物に対しての調査ということはほんとうに例外であります。現地の四事務所から中央に、これに対する職員の派遣諸がかり、ほとんど現地の職員は夜昼なしに、むしろ、勤労奉仕ということばはいま適切でありませんけれども、負担過重どころか、労働オーバーになりまして、五百万道民のうちの四分の一を占めます百二十六万農民救済をしようということで、精魂を傾けて一生懸命調査をしておるのでありますが、これに対する予算措置が、聞くところによると、わずか二十三万程度で、要求の十三%程度しか配付されていないというふうに聞くのでありますが、こんなことでは、冬もう雪がきます北海道としてはたいへんなことになると思うのでありまして、この統計調査事務所の諸君の調査活動をすみやかにできますように手当ては当然さるべきだと思うのでありますが、次官のお答えをいただきたいと思います。
  53. 舘林三喜男

    舘林説明員 北海道冷害を把握するために、いま統計調査部といたしましてはもう全力をあげてやっておるわけでございますが、いま御指摘のとおり、予算の足りないところはもちろん申しわけないと思います。したがいまして、今度補正で相当の額を要求中でございまして、多分これはできるだろうと思います。
  54. 泊谷裕夫

    泊谷委員 厚生省を残してもう一つでありますが、先ほどの現地の陳情の際ありました、本来ここで議論の対象になるものでありませんけれども、ことしはあまりにも農産物の成育がひどかったために、クマが出て人畜にまで被害を及ぼすという現象を呈しておりまして、各市町村でハンターを急遽雇い入れましてこのクマ退治に一生懸命になっておるわけであります。ところが、このハンターも身の危険を感じながらこの作業を推し進めておるのでありますが、この作業過程において労災の適用を受けないということで、たいへん問題をかもし出しておるのであります。当然これなどは労災の対象としてしかるべきだと思いますが、農林省並びに関係役所の考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  55. 中西一郎

    ○中西説明員 クマの出没、それに対する動員、いろいろ聞いておりますけれども、私どものほうは、林野庁を主体にしましてその実態調査いたしております。それで、労災の適用になるような形での稼働なのかどうかという点にも問題があります。若干調査の上で必要な日数をいただきたいと思います。
  56. 泊谷裕夫

    泊谷委員 緊急を要する問題でありまして、札幌市内でさえ飛び出してきておるのでありますから、調査などというなまぬるい話でなくて、すみやかに結論を出して地方の要請にこたえるようにお願いをしたいと思います。  それでは、厚生省はまだ来ておらないようですから、交代しまして、厚生省が来てから厚生省の部分だけやらしてもらうことにします。
  57. 中山榮一

    中山委員長 芳賀貢君。
  58. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最初に、官房長官の出席を要求しておるのですが、どうですか。
  59. 中山榮一

    中山委員長 副長官が来ております。
  60. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではお尋ねします。北海道冷害につきましても先ほど舘林政務次官から概要の御報告がありましたが、そこでお尋ねしたい点は、政府としまして、閣議において、北海道冷害被害状況報告、並びに北海道冷害に対する対策等についての報告、並びに対策に対する協議あるいは打ち合わせが今日まで行なわれておりますかどうか、その点に対してお尋ねいたします。
  61. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)説明員 今回の北海道冷害につきましては、閣議におきましても、非常に深刻な状況についての発言がございました。
  62. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは所管大臣から報告がなされたのですか。いつの閣議で報告がなされたのですか。
  63. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)説明員 いつという日にちは記憶いたしておりませんが、たびたびお話がございました。
  64. 芳賀貢

    ○芳賀委員 たびたびといったって、一年じゅう冷害問題が出るわけではない、これは一カ月以内の最近においてですから、たとえば十六日の閣議の場合にそういう報告農林大臣からなされたかどうか。すでに現在、北海道出身の松浦運輸大臣は、政府を代表して災害見舞いをかねて調査に来たということを言いふらして北海道内を回っておるわけです。ですから、政府を代表したということになれば、運輸大臣を代表閣僚として実際に派遣しておるのか。あるいはまた、赤城農林大臣も三日前から、所管の事項ですから、北海道冷害調査に出張しておられるわけです。こういろ、閣僚を派遣するとか、被害状態報告の時点にどうなっておったとか、あるいは対策についても、これをどうすべきかということが閣議の場において現在まで取り上げられたかどうかということをこの機会に御説明願いたいわけです。
  65. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)説明員 先ほどもお答えいたしましたように、最近の閣議におきましても、北海道の深刻な冷害状況についてお話があり、運輸大臣からももちろん発言がございました。農林大臣からも被害の深刻な話について発言があった次第でございます。
  66. 芳賀貢

    ○芳賀委員 北海道冷害については、天災融資法並びに災害対策基本法に基づく災害の地域指定、特に激甚災については、災害基本法あるいは激甚災に対処するための国の財政援助法の規定に基づいてこれは指定するわけでございますから、これらの指定は当然閣議決定事項ということになっておるわけです。でありますから、たとえば十六日の閣議において、激甚災並びに天災融資法に基づく地域指定というものを行なうということをすでに了解しておるのか、あるいはおらないのか、それから、正式に今後取り上げるとすれば、一体冷害対策に対する所管大臣というものをだれに予定しておるか、そういう点はおわかりになると思うわけです。いかがですか。
  67. 舘林三喜男

    舘林説明員 私の農林省関係でございますから、全般のことにつきましてお答えいたします。  それは、私が北海道から十五日に帰ってまいりまして直ちに農林大臣に復命したわけでございまして、現状は統計調査部の被害が二百四十一億とかいっておるが、その後の霜害の関係から五百億をこえるかわからぬ、よほどの覚悟でもってやらなければいけないと思います、また、天災融資法とか激甚法の指定は当然のことと考えますが、よろしくということを大臣に言ったわけです。それで、大臣が私の報告を受けられて十六日の閣議で北海道の御報告をなさっていただきまして、そのときに、激甚法の指定と天災融資法の指定につきましては、農林省として十月十五日現在の被害がまとまる、それで決定しよう、決定する時期につきましては十月三十一日でございますけれども、とにかく、北海道については両法ともにこれを適用しようということの内諾を得たのは十六日の閣議でございます。その点御了承いただきたいと思います。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは副長官にお尋ねしますが、十六日の閣議において、所管大臣の赤城農林大臣から概要の報告がなされて、その報告に基づいて、北海道冷害については天災融資法並びに激甚災の財政援助法に基づいて指定を行なうということがすでに了解事項として決定されておるといういまの政務次官のお話でありますが、その点は間違いありませんか。
  69. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)説明員 先般の閣議におきまして、農林大臣から被害状況等のお話もあり、激甚地の指定もしなければならぬであろうといったふうなことで、一応の内定的な了解、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  70. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうしますと、おそらく農林大臣はきょうじゅうにお帰りになるというふうに聞いておるわけですが、きょうの閣議には冷害問題は何も話は出なかったわけですね。いかがですか。
  71. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)説明員 きょうは、御承知のように農林大臣北海道事情視察に行かれておりましたものですから、そういう提案はございませんでした。
  72. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうしますと、次回は定例が二十三日ということになっておるわけですから、そのとき赤城農林大臣北海道調査における報告をなさって、この天災融資法並びに激甚災指定の閣議決定を求めた場合には、事前に十六日に了解されておる事柄ですから、その場できまるということは当然あり得ることですね。
  73. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)説明員 激甚地の指定につきましては、それぞれ諸般の必要な手続が必要でございますので、主管省においてそれぞれ関係各省といろいろ事務的にも詰めてまいりまして、こういうことが詰まりましてから閣議に提案になる、こういう順序かと思っておりますので、その後の事務的な準備状況等につきましては、主管省である農林省にひとつお聞き取りをいただくようにお願いをいたしたいと思います。
  74. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、今回の冷害については主管大臣農林大臣である。これは間違いないですか。災害対策基本法によると、総合的な主管は、総理府総務長官がこの災害基本法関係を扱うということに一応なっておるわけですが、冷害ですから、冷害の様態というものは農作物だけに激甚な被害を与えたということになるわけですから、当然これは農林大臣主管ということで明快にしておいていいわけですね。
  75. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)説明員 全般の主管につきましては、御意見のように総理府総務長官でございますが、農林省所管の部分が非常に多いと思いますが、その部分については当然農林省所管になるわけでございます。厚生省の部分については厚生省、総括の事務が総理府総務長官、こういうことになろうかと存じます。
  76. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際特に申し上げておきたいことは、今後災害対策を進める場合も、北海道冷害の位置づけというものがきまらないと、それに基づいた具体的な施策を進めることができないわけです。ですから、北海道の今次の災害というものを、法律に基づいてこれを激甚災として扱うか、あるいは普通被害として扱うかということが、まず政府の方針として災害の位置づけが明確にならないと、各省においても具体的な施策を進めることはなかなかできがたいと思うわけです。そこで、次回の二十三日には、これは農林政務次官あるいは官房長も来ておられるので、何も被害総額統計調査部の最終報告を待たなければ扱えないというわけじゃないと思うのです。国民経済に及ぼす影響が北海道における冷害被害総額が最低限度どの程度以上であれば、激甚災あるいは天災融資法の指定を受けられるという、そういう政令に基づく基準というものはすでにきまっておるわけですから、その基準をすでにこえておるということであれば、何も今月末とか来月早々でなければならぬということはないと思うのです。ですから、それから考えた場合には、当然これは次回の二十三日でもおそすぎるわけで、ほんとうはき、ようきめてもらいたかったわけですが、農林大臣がいないということでやむを得ぬとすれば、次の二十三日の定例閣議においてはぜひ激甚災並びに天災融資法の指定をきめるということを、ここで、副長官からでもいいですから、明言しておいてもらいたいと思うのです。そういうことがきまらないと、気のきいた答弁だけ聞いても何も進まぬと思うのです。
  77. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)説明員 御承知のように、農林大臣が今夜お帰りになりますので、十分すでに検討はされておると思いますが、事務的ないろいろな手続を経て決定される、こういうことになろうかと存じます。
  78. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、すみやかに措置を要する問題から順次、時間の範囲内で申し上げますが、その第一は、政府米の買い入れについての特例措置です。具体的には、たとえば九月二十八日の食糧庁の告示によりますと、等外米の上、あるいは規格外玄米については水分過多の分について甲乙、それから胴割れ米あるいは発芽粒及びやけ米混入とか、それからモチ米の関係等についても、それぞれその生産地域に適合した規格外玄米の買い入れ規格というものをすでに発表されて、買い入れが進められておるわけでありますが、北海道の場合には、現在きめられておる等外あるいは規格外のいずれの規格に当てはめても、それで解決のつかない特徴を持っておるわけです。この点については、先日農林政務次官及び中西官房長一行が北海道の主要な地域を調査されまして、米の買い入れ措置についても、すみやかに北海道の産米に適合する検査規格というものを設定して、それによってこれをできるだけ  でき得る限りということは、食糧に供されると判定された米については国の買い上げを行なう、こういうことで問題の解決に当たるということを言明されておるわけでございますので、これは食糧庁の扱いでございますが、現在食糧庁としてはどのような規格外あるいは等外の下などについて作業を進めておられるか、その点について具体的な説明を願いたいと思うのです。
  79. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 お答えいたします。  いまお話しになりましたように、等外上あるいは規格外として本年度きめたものにつきましては、これに該当するものについて買い上げをすることは当然の措置でございます。それに加えまして、北海道におきまする今回の冷害に伴って、その等外上なりあるいは規格外に該当しないものについてどのような措置を進めておるかという点の御指摘だと存じますが、第一の点は、水分過多の五等に該当する米をどうするかという点でございます。水分過多の規格外甲並びに規格外乙についてはすでに告示をいたしておるところでありますが、さらに北海道の産米の状況に応じまして水分過多の規格外丙をつくるかどうかという点でございますが、これは現在つくる方向で手続を進めておるわけでございます。したがって、規格外丙が設けられました場合におきましては買い上げの措置をとりたい、こう思っております。  第二の御指摘の、等外上あるいは等外下に該当するようなものの中で特に本年度は青米の混入が非常に多いということでございます。もちろん、これが等外上なりあるいは規格外に該当する場合におきましては、青米混入について当然買い上げの対象にいたすわけでありますが、さらに青米の混入が多いものにつきましてこれを規格外として取り上げるかどうかという点でございます。この点は、本年は北海道の産米の事情から見まして、私は相当出るのではないかと思っておりますが、ただ何ぶんにも青米のこのような混米の状況におきまして、はたしてそれが食糧として適用できるかどうか。さらに、実は一番心配される点は、青米の程度によりまして、あるいは混米の程度によりまして、搗精した場合に相当の砕けができるのではないかという点が一番技術的には心配されるわけであります。見かけは整粒の形をいたしておりますけれども、これを一たん搗精施設にかけました場合にこれが砕けてしまうというようなことが懸念されるわけでございます。そういうことで、これを食糧に配給するといたした場合に、砕けて配給対象にならなくなるということがないようなことに対する十分の配慮が必要であるという考えに立ちまして、現在混入度合い別の搗精試験を現地において進めようといたしておるわけでございます。これにはやはり相当時間がかかるかと存じますが、そういう性質のものでございますので、道内の一般消費者に配給する場合に、これに不平がないようなことも十分配慮する必要がありますので、その搗精試験によりまして何らかの結論を出して、そして規格外を設けるということが可能であれば設けて、これによって買い上げの対象にいたしたい、こう考えております。
  80. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この件については、中西官房長一行と、食糧庁からも中検査課、長並びに買入課の担当官も一緒に行っておるわけです。だから、これからなかなかひまがかかるなんということでは、これは間に合わないのですよ。昨日も上京前に札幌で北海道食糧事務所に立ち寄って、昨日までの出荷状況とか、あるいは米質等についても具体的な見解を実は聞いてきたわけですが、これは早期決定を要するということは、たとえば先ほど政務次官からお話のあった三期米の十日間延長の問題にしても、結局、適合する新たな規格というものがきまらないと、なかなか玄米を調製して出荷できないということは、食糧庁長官も御存じのとおりであります。ですから、食糧庁として許容される最高の配慮というものをすみやかに行なって、この程度の規格については政府の買い入れにするということを明らかにすれば、それに基づいて、現地においても収穫した米を調製して、そうしてできるだけ政府の買い入れに応ずるという態勢ができるわけですが、それが遅々として進まない場合には、幾ら十日間延長してむ期待の成果はあがらないと思うのですよ。昨日北海道の食糧事務所の計画によると、明二十一日、空知支庁管内の一巳というところで、いま長官の言われた搗精試験とか、あるいは新規格に対する規格の決定等の実験を行なって、そうして至急食糧庁の本庁と打ち合わせて決定をみたい、こういうことを現地でも心配しておる。ですから、なかなかひまがかかるということでなくて、すみやかにこれは新しい規格をきめて告示するということの態度にしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  81. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 お答えいたします。  いま申し上げました点は、慎重にと申しましたが、時間をうんとかけてという意味ではございませんで、いまお話の中にもありましたように、あした北海道の深川市におきまして搗精試験を実施いたします。したがいまして、きょうあすというふうな早急にはまいりませんけれども、できるだけ早く結論を出したいということで、せっかく努力いたしておるわけでございます。
  82. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると、整理して、新しい規格を考えておる点については、まず等外の下をつくるということですね。等外の上というのは、これは九月二十八日に告示されておるわけですから、等外の下と、それから水分過多は、甲乙はすでにきまっておるわけですね、一六%、一七%は。ですから、丙を新設されるとすれば、おそらく一八%のものを新たに決定になると思うのです。それからもう一つは、青米混入ですね。表現は未熟米であってもいいですが、青米の中にも生き青と死に青があるということは、長官も御存じのとおりですが、この点については、青米であっても、実はこの種子の確保対策のために各市町村においても発芽試験を一斉に行なったわけですが、この二十八日の霜害前に種子を刈り入れた農家はほとんど少ないのです。それで、霜が一回来てからの分とか、二回、三回というふうに区分して発芽試験をやった結果、大体二十八日の霜害を受けたもみについても九〇%程度の発芽歩合を示しておるのです。ですから、発芽するということは、結局米が生きておるということになるわけです。青米の中にも死に米ももちろん混入されてはおりますが、青米はもう大部分これは死に米であって、搗精した場合には精白米にならぬというものではないのではないかとわれわれも思いますし、また官房長現地においてそういう点は十分調査されたわけですから、こういう点についても、搗精歩どまりの問題は、実は共済金の損害評価の場合にも、一・七ミリ以上の米については収穫とみなすということが、共済の損害評価要綱あるいは実測調査要領にも示されておるし、あるいは統計調査部の実収調査の場合においても、一・七ミリ以上というのが基準になっておるからして、この一・七ミリ以上の粗玄米であっても、これを搗精した場合に、平年度の搗精歩どまりと冷害を受けた今年度の搗精歩どまりに相当の差が出てくることは、いまから予測されるわけです。ですから、この搗精歩どまりという問題は、単に買い上げ米の検査規格をきめるということでなくて、その歩どまりというものを押えて平年次との差をそこから算出して、そうしてこの統計調査部の実収推定の報告あるいは共済制度関係のある減収報告等についても、あるいは経済局の損害評価の場合の実測調査要領等に基づく損害評価の認定等についても、同一基準のものを適用するという点は、先般の農林委員会においても方針としてはさまっておるわけですから、この点は他の制度にも関係があるということで十分積極的にやって結果をすみやかに得て、そうして新規格を発表してもらいたいと思うわけです。そうして規格に当てはまって国が買い入れる米は当然であるが、どうしても今度新設される規格に当てはまらないものは、これは国民の食糧としては適合しないわけですから、そういうものは、統計調査減収報告にしても、共済制度の損害評価の場合においても、政府が新しい規格を設けても食糧にならぬという分については、これは当然損害である、収穫でないということが統一して行なわれるようにやってもらいたいと思いますが、この点については、特に政務次官のほうから、この統一して処理するという点に対する御答弁をお願いいたします。
  83. 舘林三喜男

    舘林説明員 非常に技術的というか、むずかしい問題でございますが、とにかく、いままでの農林省考え方を申し上げますと、等外下というものはまず買い入れの対象としないということできておるわけでございます。問題は、水分過多の甲規格外と乙規格外の両方、これはいままでどおりに買い上げの対象といたしたいと思います。それで問題は、水分がそれよりもなお過多な、いわば丙の規格を設けるかどうかということが第一点と、それから青米混入のものをどうするかという二つの問題だろうと思います。この問題につきましては、いま長官が申し上げましたように、あしたでございますか、地元で研究会を開きまして、早急のうちにきめたい、かように考えております。
  84. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それとあわせて、新しい規格を設定してもその買い入れ対象にならない分は、たとえ一・七ミリ以上の玄米であっても、それは収穫でない――いいですか、この点が大事なんですよ。国は買い入れはしない、ところが共通のほうでは、一・七ミリ以上のものは収穫である、損害でない、統計調査部のほうも、一・七ミリ以上は、これは収穫量であるということで扱うことは、不当な措置なんです。この点は今月九日の農林委員会においても私から特に発言した点でありまして、これは経済局あるいは統計調査部等においても、担当の部長とかあるいは課長の皆さんは、それは当然であるというふうに考えて、あらかじめ作業は進めておるのですよ。ところが、政務次官とか長官とか官房長ということになると、なかなか頭をひねってむずかしいような態度ですが、こういう大事な点こそ、大臣とか政務次官とか長官、局長がきめる問題だと思うのです。どうですか。
  85. 舘林三喜男

    舘林説明員 非常に大事な問題でございますが、実は農業共済の問題は十分研究しておりませんので、長官に答えさせます。
  86. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 搗精試験の結果、搗精度合いによりましてこれを減収に見るということは、これは共済の扱いになろうかと思いますが、私、統一的な答弁はできませんが、買い入れに関する面で言いますと、たとえば等外上の規格について申し上げますと、整粒歩合が三〇%、被害粒が四五%ということになりますと、残り二五%については、一・七ミリ以下のものでも混入して十分等外上の対象になり得るわけでありますから、その分は、統計上は収穫なしと見られるものも、いまの二五%の範囲内において入ってくる場合におきましては、これは等外上ということになるわけであります。買い上げの対象になるわけです。つまり、買い上げの対象と、それから共済の面の扱い方におきましては、とらえる面が違いますので、いまの一・七ミリ以上を境にして買い上げるとか、あるいは収穫皆無に見るとかということと、直接買い上げの場合におきましては結びつかないのではないだろうか、規格は規格であるというように考えておるわけであります。
  87. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。あなたが米のことも共済のことも知らぬ人物であれば別ですが、そういう三百代言的なことを言って、おかしいじゃないですか。あなたの発言はいままでの政府の見解と違うですよ。食糧庁が買い入れる場合は、一・七ミリ以上のものでも、規格に当てはまらぬ場合は買えない場合もあるでしょう。それから共済とか統計のほうは、一・七ミリ以上のものは、原則的にはそれは収穫である、損害でないということになっているでしょう。収穫であって損害でない米でも、食糧庁の現在の検査等級規格からいえば買い入れの対象にならない分が相当あるわけですね。あるから、青米混入の規格外を設定するとか、あるいは等外の下をつくるとか、そういう必要性が出ているのじゃないですか。だから、一・七ミリ以上は全部買うのじゃないから、そこから除外される割合もある。もちろん、買い上げの場合には、一・六ミリのものであってもそれは混入して悪いというわけじゃないですからね。それを総合して対比した場合において、やはり基本的には、政府の買い入れの対象にどうしてもならない分は、それは人間の食糧としては不向きであるからして、米でないということに通念的にも当然なるでしょう。米でないものを、収穫されたとか損害でないというような扱いは不当である。だから、この点は、統計調査部でも、長官の言われた搗精歩合の差というものは当然予想されるから、その搗精歩どまりの差というものは、当然一・七ミリ以上のものであっても、その指数でこれを減収のほうへ回す、あるいは死に米等に  ついても、これは実情を把握しなければならぬということは、最初から言っておるのですよ。それから農業保険課のほうでも、これを妥当な取り扱いをするという場合においては、一・七ミリ以上というのが水稲の損害評価実測調査要領にはっきり出ておるのだから、北海道だけ別のふるいを使うというわけにはいかぬわけですね。しかし、現実にこれを措置するためには、食糧庁が買い上げる場合も、玄米で国民は食べるわけではなくて、精白して食べるわけですから、その場合の搗精の歩どまりというものは当然差が出てくるからして、それらの差を考慮して、その指数をこの収穫量にかけて出た数量は損害に落とすように進めたい、こういう点は、各担当の課においても所管においてそれぞれ研究を進めておるわけです。ですから、そういう点はやはり実情に合致したように処理するということを明確に言ってもらえばいいのであって、御出席の皆さん方が、むずかしいとか、できないような態度では、進まないのですよ。何にもむずかしいことではない。それなら何のために北海道なんか行ってきたのですか。
  88. 中西一郎

    ○中西説明員 お話の点、技術的な点でございますが、一・七ミリの縦目ふるいにかかるものでも、搗精したときにそれが砕けて下へ落ちてしまう、搗精した結果砕け米になって下へ落ちてしまうというようなものは、共済のほうで代々木の食糧庁分室で搗精試験をするのですけれども、そのときに当然砕け米とかくず米として下へ落ちてしまう、したがって被害とみなされるというように考えております。
  89. 芳賀貢

    ○芳賀委員 時間切れになりそうで、あと残った問題だけ並べますから、それに対して答弁願いたいと思う。  いまの買い入れ規格の問題は、この委員会だけで議論しても尽きないのですから、政府が熱意を持ってきめるまで私たちは東京におりますから、きょう終わったから安心だというわけにはいかぬですよ。北海道現地でいろいろな試験をやって、それは東京へすぐ持ってくるわけですから、そういう場合にもわれわれは関心を持って、やはり一日も早く対策が進むように、閉会中ではあるが待機しておるつもりですから、その点はいまから含んでおいてもらいたいと思います。  それから時期別の延長の問題は、先ほど北海道については十日というお話がありましたが、これは新しい規格がきまらぬとなかなか出荷態勢に入らないし、昨日の北海道の食糧事務所の報告によりますと、十月十五日現在の北海道全体における買い入れ数量はわずかに二千三百トンしかない。だから、石数にしてもこれは一万五千石に満たないわけですからね。ことしの買い入れ予測の大体〇・四%しかまだ二期においては出荷が行なわれていないわけです。だから、十日くらい延ばしたって幾ばくの米も出ないと思いますから、新規格を早くきめるという問題と、十日たってまだこれは延ばす必要があるという場合には、当然これはできることですから、再延長の措置というものは、農林大臣と十分相談して行なうということをこの際明らかにしておいてもらいたいと思うわけです。  もう一つ、これにあわせて、従来の時期別格差奨励金の対象は、規格外には当てはまらぬということで扱ってきたわけでありますが、そういうことは当を得ないと思うのです。政府が買い入れるという米については、当然時期別格差の恩恵を与えることが至当ですから、こういう点については早急に大蔵省とも打ち合わせをして適用するようにしてもらいたいと考えるわけです。  次にもう一点尋ねておきたい点は、これは政務次官も中西官房長も、北海道において、金融対策については、臨時国会においてたとえば天災融資法の改正をしなければ、これは内容が妥当でない、こういう発言をそれぞれ行なわれておるわけです。まことにけっこうな発言であるというふうにわれわれは考えておるわけですが、天災融資法の改正については、われわれ社会党としても毎回党の改正案というものを提出しておりますけれども、これが成立を見ないでおるわけです。今回たまたま北海道において政務次官並びに官房長から、天災融資法の内容の改正が必要であるという御発言があったわけでございますから、改正の内容等についても、その主要な点についてこの際できればここで説明をしておいてもらいたい。当然これは臨時国会において改正することになるわけでございますから、この点と、もう一つは、自作農維持資金というものは、現在では災害対策の重要な方法としてこれは講ぜられておるわけでございますが、当初この予算というものは非常に消極的でありますから、この予算そのままで災害対策の配分を行なうことはなかなか無理だと思うわけです。ですから、これらの問題については、現在どの程度自作農維持資金のワクというものが残っておるか、その程度で間に合うかどうか、不足であれば、臨時国会等において各種の全面的な予算補正が必要になってくるわけでございますから、財政投融資関係についても積極的なワクの拡大を行なって、そうして遺憾のないような政府資金からの対策を講ずるという点に対しては一体どうするかという点について明確にしてもらいたいわけであります。  もう一点は、救農事業の問題でありますが、この点については、北海道は、農林省の所管とあわせて、北海道開発庁が所管しておる事項が非常に多いわけです。それで、一体公共事業を重点として救農事業をやるつもりであるか、あるいは土地改良事業、いわゆる農地の基盤整備事業というものを重点にしてこの際北海道冷害対策のための救農事業を進める考えであるかどうか、これは基本的にも非常に大事な問題であります。われわれの考えとしては、この際被害地域において土地改良事業、たとえば客土事業であるとか、暗渠排水の事業であるとか、あるいは耕地整理の事業であるとか、あるいは冷害防止の対策として深水かんがいということは非常に効果的であります、水田に深水を張るということになれば、どうしても水田のあぜを高くする作業というものが必要になるわけでございますが、できればこういう深水かんがいあるいは温水保持のための改良事業というようなものをこの際政府の方針として取り上げて、総合的な救農事業というものを土地基盤の整備、改良を重点として進めることが将来のためにもいいのでないかというふうに考えておるわけでございますので、この点は農林省並びに開発庁のほうから明確な答弁をお願いしたい。  もう一つは、土地改良事業をやる場合の規模の問題ですが、従来は大体二十町歩を一団地とする事業対象ということになっておるわけでございますが、これは従来から問題のある点でございまして、でき得れば一団地五町歩程度の小規模団地というものをこの際認めることにして、そうして現地事情に対応した積極的な施策というものを進めるべきではないかという点であります。  以上申し上げた諸点に対してそれぞれ担当者から明快な説明を願いたいわけです。
  90. 舘林三喜男

    舘林説明員 第一に、時期別格差の問題でございますが、いままで天災の起こりましたつど、米の供出の時期別の格差の適用の時期を延長したことがありますが、いずれも三日あるいは四日という程度でございました。今回も東北地方冷害におきましては、長野とか福島その他に第一期におきまして三日間延長したことは、御承知のとおりでございます。さような意味でございましたけれども、北海道冷害は、先ほど御報告いたしましたように非常に重大なものでございますので、第三期を特に十日間延長したわけでございます。もちろんこれで十分ではないかもわかりませんけれども、その後天候の回復等もございますし、また時期別格差のこの制度自身が、政府手持ち米をなるだけ端境期に豊富に持ってコントロール、安定させるという趣旨にあるわけでございます。そんな趣旨から一申しますと、大体今日十日間延長した、また東北地方においては三日ないし四日延長したということによって政府の操作が可能である、かような立場から十日ということに決定した次第でございます。
  91. 芳賀貢

    ○芳賀委員 必要に応じて再延長するのですか。
  92. 舘林三喜男

    舘林説明員 必要に応じて再延長するという考えは今日ありませんです。  それから天災融資法でございますが、これは先ほども申し上げたように、私現地を見まして、天災融資法はやはり改正したほうがいいと考えましたのは、法律そのものが非常に古い、また金利の点からいっても高い、また物価高の今日からいいますと、十五万円あるいは二十万円ということは必ずしも適正ではない、いずれの点からいっても、これだけ罹災民が待望されておるのでございますから、やはり改正したほうがいいというのが私の考えで、私の考えを政治家として率直に新聞にもおしゃべりしたのでございます。と同時に、帰りまして大臣にもお願いいたしましたし、また主管の局課長にも申し上げておりまして、それでこれから――いま芳賀委員は具体的にどの点をということをおっしゃいましたけれども、それほどまでにコンクリートになっておりません。しかし、私は政治家の立場から、また農林省立場から、これは改正すべきだ、ことに金利の点については特別に考えるべし、かようなのが私の考え方でございます。  それから自作農維持資金の問題でございますが、これは実際現場を見ましても、非常に役に立っている。したがいまして、この予算のワクというものは、公庫のワクはぜひ増額いたしたいと思いますし、いま事務のほうから承りますと、十数億しか手持ちがないそうでございますから、これはぜひワクを拡大するようにいたしたいと思います。  それから最後の、救農事業でございますが、ここに北海道開発庁長官もおいでになりますが、農林省関係する限りでは、向こうでいろいろ知事さんからもお話を承りましたが、北海道としては、北海道庁がやられる分、それから市町村がやる分全体を合わせまして十二億一千万円程度だと思います。それにつきましては、たとえば本省といたしましては自治省に対してぜひ起債のワクをお願いしなくてはいけないということもありましょうし、その他いろいろ農林省としてやらなくてはいけない問題もあるだろうと思う。と同時に、やるにつきましても、やはり土地基盤の整備ということは大事だ。私ずっと被害地を回りましても、よく土地基盤が整備をされて明渠、暗渠等がよくできていたところはやはり被害が非常に少ないということを考えまして、一般に抽象論で、土地基盤の整備、土地基盤の整備と言いますけれども、なるほど、冷害を見て、これほどまでに役に立つかということをしみじみ感じたわけでございます。そんな意味で、今後としても、たとえば十勝の重粘地帯でございますか、あんなものの改良というようないろいろな問題につきましては、ぜひひとつ御趣旨に沿うよう努力いたしたいと思っております。
  93. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 このたびの冷害対策といたしまして、開発庁としては直接所管ではありませんけれども、主として農林省に対しまして諸種の救済策をお願いしているわけですが、所管として、救農土木の関係につきましては、現在のところ約一億一千六百万見当のものを現在の予算の中で充当できるという計算を立てました。これは道庁知事が全体の要望を取りまとめたものに関連して、開発庁としてできるだけ現在の予算をしぼり上げたわけでございます。そしてこれは仰せになりましたように、やはり農家に直接密着した土地改良等の事業をやることが、将来のためもありまして最も適切であることは、仰せのとおりでございます。  内訳を申し上げますと、開拓関係が八千五百八十万ばかり、土地改良が千七百十九万ということで、まあ開拓、土地改良が最も多い金額でございます。なお河川、道路というふうなものが若干あるということでございます。こうした約一億一千六百万見当の開発庁の持っておりまする現在の開拓、土地改良、河川、道路等の予算におきまして、早急に道庁のほうと連絡をとりまして実施に移す、開発局長にその旨指示をいたして一おる次第でございます。
  94. 芳賀貢

    ○芳賀委員 五町歩の小団地というのは……。
  95. 中西一郎

    ○中西説明員 小団地の土地改良について団体営の採択基準を下げるという要望が相当あったのですけれども、これは自治省のほうで、市町村で市町村債を発行するということでそういう事業を取り上げる、そういう方向で検討されております。
  96. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林省はやらぬわけですね。
  97. 中西一郎

    ○中西説明員 特段には考えておりません。
  98. 中山榮一

    中山委員長 小平忠君。
  99. 小平忠

    ○小平(忠)委員 前委員質問になるべく重複をいたさないように簡潔にお伺いいたしたいと思います。  このたびの北海道冷災害に際しまして、農林政務次官をはじめ農林省の各担当責任者がつぶさに現地調査されまして、特に政務次官の場合は、非常に熱意を持ってその現地視察され、また適切な所信を披瀝されてこられたことについては、心から敬意を表する次第であります。ただ、ただいまの前委員質問を通じて、特に現実に即しないお考え方をいま固められておることについては、これは直ちに改めて処置をしていただきたいという点が数点あるのであります。  第一は、時期別格差について、第三期がきょうであります。それを十日間延長するということをおきめになったようでありますが、北海道の現状は、あなたが視察をされた、それと並行して私も、実は十二日に災害危機突破の全道農民大会が持たれたその翌日からやはり冷害地をつぶさに一週間回って昨日帰ってきたのですが、実際は二十日から一月おくれております。十月十五日の道食糧事務所のいわゆる買い上げがわずか三万九千俵、さらに、この第三期のいわゆる期末である二十日現在で道の食糧事務所は四十万から四十五万を予定しておりますが、十七、十八日の降雨によってその予定は根底から変わるでありましょう。それは変わって、逆に三十万から三十五万俵ぐらいの出荷しか認められないということになるのでありますから、あと十日間延長して――昨年の三期末では四百六十八万俵買い入れしておるわけです。そういう現状から見て、十日間という期間延長は、これからまず早く稲を刈ってしまわなければ十一月の末にはもう雪が降ってくる、こういうので、まず稲を刈ることに全力をあげる、はざかけをする、乾燥をする、それに今度は夜業をかけてもみすりをして供出、いわゆる政府買い上げの方向に持っていく、こういう作業をもし十日というようなことに限定するならば、非常に無理がかかるし、それによって結果的には本年のごとき非常にくず米が多いというその欠陥が逆に拍車をかける、こういうことになるのでありますから、この点は、ただいま前委員質問を通じても答弁されておりますけれども、これはもう直ちに今後の出回りを見てさらに十日なり十五日の再延長をするという考え方を持っていただきたい。この点について政務次官の率直な御意見を承っておきたいと思います。
  100. 舘林三喜男

    舘林説明員 時期別格差につきましての私の意見は、先ほどるる申し上げたとおりでございますが、一応御参考までに長官意見を聞いていただきたいと思います。
  101. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 先ほど政務次官からお話ありましたとおりでございまして、今回の十日延長というのは、いままでに見ますれば異例の措置であるというふうに考えておりますが、お話のように地域によりましてずいぶん刈り入れの時期がおくれた地域もあると思います。しかし、また同時に、天候その他の関係でもっと早く出せる地域もあるわけでございまして、現地に行かれました方々の御意見なり、またその後の状況等も判断いたしまして、また実はけさほどは北海道に行っておられる農林大臣とも連絡いたしまして、そうして十日ということに決定いたしたわけでございますので、十分それらの間も考えました措置であるということをひとつ御了承願いたいと存じます。
  102. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それは現地ごらんになったいわゆる責任ある答弁とは言えないんですよ。農林大臣もきょう帰ってきて、おそらく十日ではこれは無理だな――昨晩から電話連絡をされて正式におきめになったことであるけれども、実はそのことも農林省だけでいかないから、大蔵省当局とも協議されておることも当然でございましょう。これは過去の例、二日、三日あるいは四日という例、北海道の場合に、この激甚災害、この被害をどうして救ってやるかということに重点が置かれるのである。同時に、食管会計のこの時期別格差の奨励金に、いわゆる当初予算がこれによって大幅に食い違うとかいうような問題が起きるならいざ知らず、そうではないのですから、この冷害救済するという意味からも、また奨励金を出すという意味からも、これは当然な処置だと思うのです。私、この機会に大蔵省当局の御意見も承っておきたいと思いますが、それは、大蔵省とも協議されておきめになるについては、大蔵省当局ほんとう現地のなまなましい実情を知っておられると、そういう点は十日というあまりにも非現実的なきめ方をなさらなかったのではないかと思うのですが、大蔵省の考え方を承っておきたいと思います。
  103. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 お答え申し上げます。  時期別格差の問題につきましては、ただいま農林省のほうからいろいろ御説明のあったような次第でございまして、私のほうも、第一期の延長の際から、ことしの作柄の状況、それから米の政府買い入れの状況等につきましていろいろとお話を伺いまして、この問題について検討してまいったわけでございます。御承知のとおり、この時期別格差につきましては、三十七年の米価審議会の研究の結果やはり従来の制度を若干合理化して縮小すべきであるというような方向が出ておるわけでございまして、三十八年に一度、一段階従来の時期を縮めたわけであります。ことしはそれを据え置いておりまするが、そういった全体の方向というのはやはり変わらないのではないか、こういうような考え方を持っております。ことしの実際の災害状況ということについては、私どものほうも、食糧庁のみならず、他の部局の方あるいは私のほうの出先の財務局等からもいろいろの被害報告が入っておりますので、十分勉強をいたしておるつもりでありますが、全部の問題を時期別格差の延長というようなことで救うというわけにはいかない、やはり災害対策災害対策として本来の措置がいろいろあるわけでございまするから、そういうことはそれぞれに進めることにいたしまして、時期別格差の問題としては、いま農林省のほうで御答弁のありましたような考え方によってやっていくということに私どものほうも賛成をいたしたような次第でございます。特にこの問題について原則的にどうかということになりますると、先ほど申し上げたようなことでございます。今回の実情によって異例の延長になりますけれども、これは適当であろうということで賛成をいたしたような次第でございます。
  104. 小平忠

    ○小平(忠)委員 宮崎主計官にお尋ねしますが、実は昨晩農林省からただいまの点について正式に相談があったのでございますか。
  105. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 昨日朝からそういった数字等について資料をいただきまして、昨晩は食糧庁の第一部長あるいは長官からもお話を伺いまして、私どものほうも、局長、さらに大臣に御相談をいたした結果、御返答申し上げた、こういう次第でございます。
  106. 小平忠

    ○小平(忠)委員 問題は、災害災害、時期別格差に対する期間延長は期間延長、別々に考えることも当然でありましょうが、この北海道の今次災害により非常におくれておることについては、これはいまの十日間というような非現実的なきめ方によって、いわゆる検査規格外の問題が非常に重要な関連を持ってきて、結果的には粗悪米を、くず米をたくさんつくるようになる、結果的には買い入れの対象が非常に少なくなってしまう、そういうようなことに拍車をかける原因ともなるので、これは重要な点であるのでありますから、これは大蔵省としての考え方も一応理解できますけれども、今回のこの早出し期間の延長は私は一カ月と思うのです。これは全く予想しなかった現地の姿です。従来のいわゆる異常気温あるいは遅延型、そういうものにふくそうして、九月二十七日の降霜というのは、降霜ではないのです。俗に北海道のことばで、しばれるということばがあるのですが、零下六度まで下がりますと一ぺんに氷が張ってしまう。稲がいわゆる凍ってしまう。そういう決定的な被害を受けたというようなことが今日のような状態を招来しておるのでありますから、これはどうしてもこの現実のおくれに対しては一カ月、私は、いわゆる延長については、むしろ最低ぎりぎり二十日間くらいは当然やってもらうべきだと考えるのでありますから、先ほどから政務次官なり食糧庁長官答弁も聞いておるのですが、ぜひこれは主計官、局長とも相談され、大臣とも相談されまして、今後の出回りを見て再延長ということについても考慮しようということは当然考えていただきたい。所見いかがでしょうか。
  107. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 時期別格差につきましては、先ほど原則的な方向について申し上げたわけでございますが、その一期の期間というものが大体十日で切られておるわけでございます。今回の延長にあたりましても、もっと少ない日数ではどうかという私のほうは内部的な意見もあったわけでございますが、この際むしろ最終的なものとしてきめるという線から十日ということでぜひきめたい、こういう農林省の強い御意見がございまして、私どもも賛成したような次第でございまして、これは今回の措置として最終的に決定されたもの、こういうふうに考えております。
  108. 小平忠

    ○小平(忠)委員 これは農林省が十日ということできめてほしいという強い意見だと、いま主計官はおっしゃったが、これは農林省としては現地を見てこられた政務次官意見も聞いておられるのです。むしろ大蔵省の立場でブレーキをかけたのではないかと想像されるのですが、食管会計の当初予定している予算額を上回るわけではありませんし、このような災害に対してこれはぜひ考慮してもらうということは当然だと思う。過ぎ去った一期、二期について言及しているのではないのです。いわゆる残された問題は、きょう期限が切れる、すなわち第三期を、最小必要限度ぎりぎりの線でわれわれは一カ月ということを考えておったが、しかし二十日は最低限延ばさなければならぬというのが趣旨なのです。政務次官大臣もきょう帰られて――それに今後の出回りを考慮されて、この点だけはぜひ再延長を考えてもらいたいと思いますが、最後にいかがですか。
  109. 舘林三喜男

    舘林説明員 時期別格差につきましての小平委員の御熱心な御希望はよくわかるわけであります。私も現地を見まして、いままでのうちで最大限の延長をぜひひとつやってくれということで事務当局にも申し渡した次第でございます。ただ外部から考えると、何だ、けちけち三日くらいしか延ばさなかったじゃないかというようなお心持ちもありましょうが、食管法を長くあずかっている事務当局といたしましては、三日の延長ということもよほどの決意のようでございました。また今度第二回の東北地方の三日の延長、福島の四日の延長でございますが、そんなことも、何と申しますか、相当強い決意でやっているような次第でございまして、いわんや、十日間延長は、食糧庁としては全く前例のないような――何も前例にとらわれるわけではありませんが、前例のないことでございます。と同時に、やはり先ほども長官官房長あるいは私からも申し上げましたように、時期別格差というものは性格論も無視してはいかぬと思います。先ほども私が申し上げましたように、これは政府の操作をやさしくして、安定した姿で国民に米を配給するという立場が何と申しましても前提でございます。私はそんな法律上のへ理屈を何も言う意味ではありませんが、たとえば、現場を見まして、天災融資法を改正しなければいけないと初めて言い出したのも、決して現場をいいかげんに見てきたつもりではありませんで、ほんとうにあんなかっこうから申しますと、天災融資法を適用してくれという現場の気持ちから申しましても、もっと変わった形で適用すべきではないかという気持ちで、私は一個の考えで言ったような次第で、できましたら時期別格差については延ばしたいという気持ちはないわけではありませんが、時期別格差は時期別格差としての特殊な性格がある、また、その他の救済につきましては、天災融資法の改正とか、あるいはその他のいろいろな金融措置がありまして、やはりそれはおのずから違った性格を持っているわけなのでも時期別格差の性格をすべて塗りつぶして、ただ金融的に農村の米穀生産のみを援助するというわけにもいかぬじゃないかというのが私のいつわらぬ気持ちでございます。
  110. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それは、低品位米の買い上げについてこれからお伺いしますが、それと重大な関連があるので、私はしつこくこのことを訴えているわけでありますが、委員会が開会される前に、長官が、いや大体出るのではなかろうかというようなこともおっしゃったが、これはそんなことはありません。極端に申し上げて、もう今月一ぱいの状態においては、これはまことに局限された驚くべき数字でありますから、したがって、私も、このことは現実に即するように、大臣が帰られたら次の委員会を開いていただいて、どこまでもこの点は再延長していただくという点において主張していきたいと思います。  次に低品位米の買い上げですが、前委員質疑を通じて明らかになったことは、従来の規格外の買い上げの線より一歩も出ていないのです。これでは実際に北海道の低品位米を買い上げの対象にして救済してやろうということには全然当たらないし、それと、水分過多の問題も、北海道生産県として本州、四国、九州に移出をするという、いわゆる生産県という立場から、今年のごとき状態においては消費県に逆戻りしておるわけです。貯蔵の面等、これから寒さに向かうのですから心配ありません。先ほどおっしゃった中で、結局水分過多の甲乙については、これはいわゆる品位四等を限度としておるのであって、問題はそれが一七%が甲であり、一八%が乙なんです。したがって、水分過多の丙を認めるというのは、品位五等の、すなわち一七%を認めようということなのでありますが、これは事新しいことではなくて、一昨年も水害地の米についてはこの丙を認めておる。その丙を認めることがいいか悪いかという検討の段階ではないと私は思うのです。こんなことは、むしろ丙よりも、現地でいま希望しているのは――この丙というのは品位五等の水分過多一七%であって、さらに一八%を認めてほしいというのが現地の要求なんです。この点はどのように検討されておるのか。
  111. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 お話の水分過多の規格外の丙の設定につきましては、今回は北海道の産米の状況を見まして、水分一八%を認めたらどうだろうか、こういう方向で検討しております。
  112. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それは品位五等についてもでございますね。
  113. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 五等についてでございます。
  114. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それは品位五等について一八%まで認めよう――従来一七%は実は前例があることでありますが、ただいま長官答弁で明らかになりましたように、一八%まで認めるということはまことに時宜に適した措置であろうと思うのでありまして、これはすみやかに下部に徹底して、被害地の人たちが安心をして最後の仕上げをするようにしていただきたいと思うわけであります。  さらに、一・七ミリのいわゆる等外の上下についての問題であります。これは整粒米三〇%まで従来等外の上として買い上げておるのでありますが、ことしは晩生種でも、案外、小粒であって小できの場合には被害を受けていないのです。ユーカラのごとき晩生種でも、小できの場合は比較的収量があるということで、一・七ミリの米選機をくぐったものでも案外整粒米があるというような現状、さらに、従来買い上げの対象となっていない一・八ミリ、一・九ミリの問題も実はあるわけです。こういった問題は、五等の上中下をどのようにしてつくるか、従来の整粒三〇%を等外の上として買い上げておるのでありますが、ことしの場合には、整粒米一五%以上のものを中とし、一五%以下のものは下として、この三つぐらいのランク、いわゆる三段階に分けた場合に、問題は、食用に供されるものは全部買い上げてほしいという現地の要望に対しまして、やはり農林省としては、この際、等外の上と中まで、いわゆる整粒米の一五%以上までくらいは買い上げの対象としてやるということが最も親切な考えではないか、このように思うのでありますが、その点はいかがでございましょうか。
  115. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 いま御質問になりました等外上に該当する、食糧に適応するものについては、われわれといたしましてももちろん問題ないわけでありますが、お話の中では、むしろ等外上を区別するというお話なのか、等外下の中でさらに区別してやるというのであるか、ちょっと聞き取れなかったわけでありますが、先ほど芳賀先生の御質問にお答えいたしましたように、今回問題になりますのは、やはり青米の混入の関係だと思います。検査規格自身につきましては、これはやはり一つの約束としてできておる規格でありますから、これをそう簡単に改正するというわけにはまいらないと思いますけれども、今回の青米の状況から見まして、これが相当多量に出るだろうということに対応いたしまして、青米混入に関してのいわば規格外的な規格を設けたらどうか、等外下を当然に買い上げの対象にするという意味ではなくて、青米混入のものにつきまして、いわば規格外的な扱いで買い上げの対象にすることを検討してみたらどうか、ただし、それには、青米につきましては、先ほど来申し上げましたように、搗精の過程におきまして相当砕けができるわけであります。玄米で食べればもちろん食糧になるかもわかりませんが、搗精の過程におきまして相当砕けができるわけであります。そこで、これらにつきましては、搗精試験の結果を待たないと、いまにわかにそれを全部買い上げるといたしました場合に、直ちに道内に配給する場合に混乱を来たすおそれもあろうということで、慎重に検討したい、こういうことを申し上げたわけであります。
  116. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私が申し上げたのは、等外の上を従来の規格を変えるという意味ではなくて、等外の下を二つに分けてやはり拡大してほしいという意味で、従来の等外上について、整粒米の比率三〇%、被害米四五%、これは従来の取り扱いなんですから、これを一歩拡大して、すなわち一五%までくらいはやはり認めてやるべきである。このことは、さらに搗精試験とおっしゃるけれども、水分過多を一八%程度まで認めるという今日の根拠も、検査課長みずから北海道に行って食糧事務所とも協議されて、もう現地で試験をやっている。私も見てきたのだから、現実に水分過多を一八%まで認めるということを今回非常の処置としてやられるならば、いまの整米の混粒三〇%をやはり一五%あるいは二〇%に下げるということも決して現実に即しない手段ではないのです。ですから、このことは早急にひとつおきめいただきたい。与えられた時間がないので、さらに次の委員会のときに譲りたいと思いますが、この点はひとつ急速に少なくとも等外の下を二つくらいに分けて、中くらいは買い入れの対象にするということにお願いしたいと思います。  次は、時間がありませんから、たいへんお昼の時間も過ぎて皆さんに迷惑をかけているので――救農土木事業について私は率直に申し上げて、雪が降ってから手当てしてはいけないし、それから従来の救農土木事業というものは、公共事業、いわゆる道路とか河川というものの維持、補修、改修に重点が置かれて、農業基盤整備という点に、実はいろいろ被害のつど出されるのであるけれども、率直に申し上げていろいろな条件がついて、対象になるものが結果的に少ない、こういう結果なんであります。特に私は、開発庁長官の先ほどの芳賀委員に対する答弁で、開発庁でいま考えているのは一億一千六百万とおっしゃるが、これは本年度事業の中でまだ残っている分だと思うのですが、現地としましては、これがもし着工していかんともできないのであるならば、さらに明年着工を予定しておるようなものまでについても考えてほしいというような現実の姿なんです。これは救農土木事業というものが、従来の扱い方からいって切実な問題でありますから、開発庁長官、あるいは農林省責任者も十分にこの点について考えてほしいと思うのです。
  117. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 救農土木について開発庁が直接自分の持っております予算で処理できるものが一億一千六百万程度と申し上げたのでございますが、先ほどの御質問の中にもございましたように、大体現在十四億をこえる程度の救農土木を道としては全体を取りまとめて、希望農家は三万をこえるようなものであるわけでございます。現在の予算でやりますものは、八億を若干こえる程度のものではないかと思うのですが、あとは起債をもって道、市町村等がやるものが残余になるわけでございます。開発庁でやりますものは、現在の予算の中でやりくりのつきますものを、土地改良等を主にできるだけ多く農家に密接に関係できるものというつもりでおりますし、道市町村もそういう意図でこの問題を解決していこうということであります。そうして、もちろん、なるべくすみやかにこれは着手しなければならぬということを考えておりまして、道のほうとも密接な連絡をとっておりまして、さらに道の新しい増額された数字が出てくるようでありますれば、開発庁としては、大体現在のところもぎりぎりなのでございますが、さらに若干の考慮はあるいはできるかもわからぬと思うのでございまして、道と密接な連絡をとって――現在の道で締め上げました数字に基づいて申し上げた数字が先ほどの数字でございます。十分遺憾なきを期してまいりたいと思っております。
  118. 中西一郎

    ○中西説明員 農林省関係では、特に谷どめあるいはじゃかご、砂利採取等を主にしてまして、造林も若干含めますが、北海道の営林局関係で約五千万円程度の事業を現在計画しております。なお、北海道庁関係、あるいは開発庁の関係、それぞれ調整が済みましたところでさらに検討いたしたいと思っております。
  119. 小平忠

    ○小平(忠)委員 先ほどの芳賀委員質問に対する答弁で、結局、従来の救農土木事業の中の団地ですね。二十町歩、これをやはり現実に即する姿としては、点在する三町歩、五町歩あるいは八町歩というような、そういうところを実際に見てやらないと、遠距離になったのでは、実際に働いて賃金を得るという結果にならないのです。そういうことから、これは農林省ではなく、市町村が経営主体となって、その起債を起こしてやるということについて、自治省に実はそれはまかしているんだというお話でありますが、この点はそんな自治省にまかせるなんということではなく、農林省はもっと積極的に、従来のこの団体営まで拡大して、もちろん、この団体の中でも適切なものは今回この緊急措置としてやるのだ、これは新規のものは予算が伴う、予算は予備費を流用するという方法も、方法としてはあるのです。ですから、そういうことも考えてほしいことが一点。  さらに自治省にお伺いしたいのですが、ただいまの救農土木事業で、そういった小団地について実際に五町歩以上の土地改良を行ないたいという人たち意見を総合して市町村がこの経営主体となってやるという場合に、起債を認めるということについての考え方は、それはよろしいのですか。
  120. 首藤堯

    ○首藤説明員 お答えを申し上げます。  救農土木事業につきましては、先ほどからお話がございましたように、全体で十二億余りの事業のうち、道の行ないますものが、三億五千万円、市町村営で行ないますものが一億五千万円、これを道庁から起債を許可するようにという要求を承っておるわけであります。この点につきましてはできるだけ御要望に沿いますように措置をしてまいりたい、このように考えているわけでございます。それで、その事業の種目、内容でございますが、これは従前の例によりますと、道庁、それから市町村、これにおきまして適正な事業を選択するわけでございます。市町村営あるいは道営で行ないますものとしての公共性を持っております事業ならば、それが賃金収入になりますことは、私どもとしてはさしつかえないわけでございます。
  121. 小平忠

    ○小平(忠)委員 時間が参りましたので、最後に一点お伺いをして次の委員会に譲りたいと思いますが、北海道開発庁長官にお尋ねをいたします。  それは、今回の冷害は開発庁としてはいわゆる所管外かもしれません。しかし、北海道の総合開発を強力に推進する、すなわち企画官庁として所管大臣がきめられておるといういまの制度から見て、単なる救農土木事業だけに重点を置いてというようなことでは、これは今回の北海道被害ほんとうに救うという道にならぬと思う。きょうは時間がありませんから、恒久対策について触れることができませんことは遺憾でありますが、恒久対策につきましては、次の委員会なり、あるいは臨時国会におして、その機会に私は徹底した政府の所信を承って、大いなる前進を遂げなければならぬ、禍を転じて福となさなければならぬと思っておるのでありますが、そこでことしの被害の場合に、水田も畑も同じ被害でありますけれども、水稲の場合には価格的な補償の面があって、これは確かに畑作に比較すると救われておるのです。やはり今度の場合は、何といっても  平年度において豊作のときにしからばどうかというと、価格においてたたかれておるために、豊作貧乏ということばがある。実態は、平年度豊作においても凶作なんです。そこへもってきて、今回の冷害によって特に道東、道北は壊滅的な打撃を受けている、こういう現状からして、私はこの機会にこの畑作地帯の重粘地帯火山灰地帯、こういった地帯に対する抜本的な新しい制度畑作振興、北方農業確立についての抜本的な施策を講ずべきである、このように考えるのでありますが、この点について開発庁長官の所見を承っておきたいと思うわけであります。
  122. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 このたびの北海道冷害冷害に加えまして、たいへん異例な霜の害も加わったわけでございまして、開発庁としては、特別の自分の所管という狭い限界でもちろんございませんで、北海道冷害、霜の害の対策については、全般的にこれは主管省庁に対しまして、道で取りまとめました要望対策を強く要望し、全般的な対策をお願いをしておるのでございます。私がお答えをしましたのは、所管としての救農土木についてお尋ねがありましたので、それに限定をしてお答えをしましたが、閣議の際等に必ず所管各大臣に強くお願いをし、毎回の閣議で――閣議の席上でなくとも、事前の際にも具体的なこまかい各省所管の問題についても一つお願いをして善処を願っておるということでございます。その点はさらにこれからも十分に努力をするつもりでございます。  なお、北海道の特に畑作被害というものが、終局的には、共済というものもなくて非常に困った状態になっておることは、仰せのとおりでございます。抜本的なこれが対策ということは、もとよりきわめて重要喫緊のことでございます。しかし、営農関係等については各所管省の研究配慮をいただくのでございますが、開発庁としては、総合開発の見地から、北海道は適地適作ということを考えますならば、どうしても冷害等に強い作物を振興すべきものと考えまして、第二期計画において三十五万町歩の土地造成改良をいたします中で、二十三万町歩は草地造成という大きい開発計画を持っておるわけでございます。このたびの被害状況を見ましても、草地は被害もきわめて軽微であるということでありますので、草地の開発には二期計画の三十五万町歩造成の中でも特に力を入れたい、来年度からは大規模の草地、これは公共用と申しますか、これの草地を開発するための着手を二カ所においてやりたいということでございます。これに伴いまして、さらに一般的には土地改良に来年度以降一そうの重点を置き、経費を獲得してまいりたいということが、開発庁の総合開発計画の中における重点に相なっておるわけでございます。営農の面においても、冷害に強い適地適作という考え方をもりと力強く、さらにきめこまかく施行してもらうということで関係の主管省にはお願いをし、研究をしてもらうというふうに進めてまいりたいと考えるわけでございます。
  123. 小平忠

    ○小平(忠)委員 答弁は要りません。最後に、私ただいまの長官の御答弁を聞きまして、表現では、なるほどごりりっぱな答弁でありますが、やはりこれを現実に実行に移すことが問題です。四十年度の予算編成期に入っておるのでありますから、ぜひこれは農林省とも十分に相談されまして、大蔵省が国家全体予算を、要求をいかに新財源を見つけて新規のものも認めてやるという、そういうことに苦労されておる大蔵省に対して、やはり重点施策を取り上げてこれを実行に移していくということがきわめて重要でありますから、ひとつ大臣が陣頭指揮されまして大いにがんばっていただきたいと思う。  きょうは時間がないために十分に質問できなくて意を尽くしませんが、先ほどの中でやはり緊急問題は、どうしても時期別格差の期間延長十日ではいけない、最低二十日間は延長しなければ困るのだという問題、それから等外の従来の上だけではいかぬ、中についても買い上げの対象にして考えるという問題、さらに、実は直ちにいま困ることは、資金あるいは飯米等の当面困っている問題については、現在の制度資金の実態は、旧債をどうするか、新たに借りるといっても、十五万や二十万のワクではどうにもならぬ、このワクについても、本州、四国、九州の小規模な経営面積と、北海道の五町、十町という大規模な面積と、基準を同じにして考えるということは間違いなのです。したがって、この融資のワクや、あるいは金利体系にしましても、この機会に私は、先ほど政務次官も改正いたしたいということを主張されたのですから、この点を急速に前進していただきたいと思いますし、特に大蔵省でこの件を担当されておる主計官、これは一番責任が重いのです。また責任があるのです。そういう意味で、宮崎主計官も十分にこれらの点については考慮していただきたいということを私は申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  124. 中山榮一

    中山委員長 午後は二時に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後一時二十六分休憩      ――――◇―――――    午後二時十二分開議   〔細田災害対策特別委員長代理、   委員長席に着く〕
  125. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。安井吉典君。
  126. 安井吉典

    ○安井委員 午前中の質疑で相当多くの部分が明らかになってまいっておりますが、私も今度の農林省北海道に対する現地調査の結果に基づきまして、若干のお尋ねをいたしたいと思います。  調査団の出発の前日に災害対策特別委員会で、私もその調査に対する注文をつけるというふうな意味をも含めまして、いろいろな問題について御当局意見も伺っておいたのでありますが、そういうような問題の処理がどうなされたかというような問題をも含めて、時間が十分ございませんけれども、その時間内でお尋ねをいたしたいと思います。  初めに、食糧庁長官が所用でお立ちにならなければならないそうでございますので、長官にお尋ねをいたしておきたいのでありますが、先ほどの、午前中の論議の中でも、今度の米の出荷の時期別格差の適用期間を十日間第三期を延ばすくらいのものでは実効がないという点について、いろいろと委員の側からの論議がなされておりました。私も全くそのとおりであると思います。やはりもっと進んだ段階において再延長というふうな措置がぜひなされなくてはならないと思います。その点は先ほど来の論議に私も全く同感でございますので、政府に一そう御検討を願っておきたいわけであります。  ところで、私ここで特にお聞きをいたしたいのは、時期別格差の奨励金でございますが、この奨励金は規格外等について支給はどういうふうな形で行なわれるのか、どの等級まで支給が行なわれて、それ以外は行なわれないとか、そういうふうな点についてまず伺っておきたいと思います。
  127. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 時期別奨励金のつきます対象の等級は一-五等と規格外水分過多甲だけでございます。
  128. 安井吉典

    ○安井委員 私はそれがたいへん大きな問題ではないかと思うわけです。規格外の甲だけしかつかないというわけですから、規格外の乙や、それからまた、午前中に長官は規格外の丙の設定も前向きの姿勢で考えているというふうなお話もございましたし、あるいは等外下の問題についても検討中の旨お話がありました。私もきのう郷里におりましたものですから、あちこちの食糧検査所の実際の検査の状況も見てまいりました。いまの段階では、きのうはお天気がよかったのでだいぶ米が出ていたようでありますが、おもしろいのは、いま出ているのは非常にいい米が出ているわけです。大体わせとかなかての、上川の中央部辺ですと、ふくゆきだとかシオカリだとか、こういつたような品種が出ています。これはもう霜がくる前に完熟するものは完熟するし、だめなものはだめになる、そういうようなことですから、成熟した米だけが出ているわけで、比較的等級はよろしいわけです。しかしその中にも、規格外の甲には当てはまらないで、そしてまた水分が多いということで検査所から戻されている米が相当あるということをきのうも私見てまいりました。これは例のユーカラではないわけです。現在のわせの段階でそれが出ているわけです。やはり青米が相当あって、青米というのはこれは何といっても水分をよけい含んでいるわけですから、そういうようなわけで、いまの段階でも、規格外の丙が設定されなければ助からないというふうなものが相当あるということが認められるわけでありますが、これがこれから先、ユーカラがかわいて出荷されてくるという段階になったら、たいへんな事態が起きてくるのではないかと思います。それにいたしましても十日間を延ばすという、これは不満ですけれども、一応十日間を延ばすということは、それはそれとして一応認めるにいたしましても、規格外の甲までしか奨励金がつかない、甲以上でなければつかない、それ以下のものはつかないということになったら、幾ら延長しても、こんなものは何にもならないわけですよ。現実には非常に水分過多の米が出てくる、規格からいっても非常に悪いものが出てくる、そういうおそれがある際に、ただ無意味に延長だけしたからそれでいいじゃないか、これでは私は大きな誤りが生ずるのではないかと思うわけです。やはり規格外の甲だけではなしに乙にも、それから今度新たに設定するという考えのある丙にも、あるいは等外の下にも同じように時期別格差の奨励金が支給されるということでなければ、ことしの実態からいって農家の経済は救われないし、あるいはまた、時期別格差の適用期間を延ばしたということは全く意味がないことになるわけです。どうですか、この点。
  129. 田中勉

    田中説明員 不十分ではありますが、私からお答え申し上げます。  規格外の関係につきまして時期別格差をつけておりませんと申しますのは、ただいま水分過多規格外の甲につきましては時期別格差金をつけているわけでございます。そこで私ども時期別格差の問題につきましては、やはり食糧庁の操作上の観点から、端境期の需給操作というようなことからいたしまして、まずこれをつけるものは一-五等である。これは例の売買の条件の中にもございますけれども、政府に売り渡すものは一-五等を原則といたします。その他災害等によりまして、規格外とか等外とか、こういう買い入れの道を開いているわけであります。そういたしまして、私どもの時期別格差の対象といたします米といたしましては一-五等と、それからこれに準じまするところの水分過多の甲というものを一部対象にいたしているわけでございます。したがいまして、等外上とか、あるいはその他の規格外のものにつきましては、やはり需給操作の観点から見て正常な米でないというようなことからいたしまして、従来も時期別格差の適用の対象にはいたしておらないわけでございます。  以上でございます。
  130. 安井吉典

    ○安井委員 私は、食糧庁のいまの考え方は非常に機械的であると思います。現在の段階で時期別格差というのはこの奨励金が単作地帯の農家の所得補償というふうな意味合いだけではありませんけれども、そういうふうな意味合いを相当強く含んでいるということは、食糧庁のほうはおわかりになっているのではないかと私は思うのです。そういうことからいって、ことしは北海道の御承知のような冷害実態、農家の所得が激減するという実態があるわけです。こういうような際にもいままでと同じような考え方で臨まれるということであっては、時期別格差の期間を幾ら延長したって、こんなのは意味ないわけです。私はそう思うのですが、どうでしょう。ことしのような特殊な事態に対しては、特殊な配慮というものがやはりなさるべきではないか。農家の所得補償といいますか、そういうような観点をも加えまして再考慮されるべきではないか、こう思うのですが、どうですか。
  131. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 お話の趣旨は了解できるわけでありますけれども、やはり時期別格差を設けました趣旨そのものは、結果的に農家の所得補償にはなっておろうかと思いますけれども、やはりたてまえとしては一定の時期に出荷を促進するという意味もありまして、実は北海道におきましては時期別格差を二段階にすべきところを、本年度の端境期の需給操作の面も考え合わせまして三期を延ばすというふうな措置をとったわけであります。したがって、やはり需給操作上正常な米の出荷を促進するということが本来のたてまえでございまして、等外上であるとか規格外であるとかいったものの出荷を奨励するための奨励金を出すという性質のものではないということでございますので、その点はもうすでにそういうことで各県とも扱っておるわけです。これをいま急に制度を改正するということになりますと、地域的に非常な混乱を生ずることになりますので、その点はひとつ御了解願いたいと思います。ただ、時期を延長しても意味がないではないかという点につきましては、まだまだ、北海道におきまして最近の天候のぐあいが続けば、正常な米といえども相当この時期を延ばすことによって出てくるのではないだろうかというふうに思われるわけでありまして、下位等級米を救うために延長するというようなことになりますと、もはや収穫がほとんどないというような農家にとりましては、ちょうど減収加算と同じように、延ばしても全然恩典を受けられない。つまり被害の非常にひどい農家については、もはや時期別の問題では救済されないというような性質もありますので、この点はひとつ時期別格差のたてまえの中におきます運用ということで御了解願いたいと存じます。
  132. 安井吉典

    ○安井委員 被害のない農家だから、被害のある農家とのバランスのことも考えろということも、いま最後におっしゃったわけですけれども、被害のない人にはないような措置が当然あるべきだし、被害のある人にはそのある態様に応じた措置が当然講ぜられるべきだし、被害がないといっても、全然ゼロなんという人はありませんよ。それから三割ぐらいの被害の人には全然措置がないのですよ。やはりそういうような人の所得の問題も十分に考えてあげなくてはならないという段階ではないかと思うのです。いまの御答弁で私思うのですが、どうしても水分を減らして持ってこい、そうしなければ買わない、そういうふうに言われるのですが、それなら十日などというけちなことを言わないで、二十日とか一カ月延ばすべきだと思うのです。一カ月ぐらい延ばせば、それは水分含有量が一八%から一七%まで、一%くらい下げるのは可能かもしれません。しかし十日ぐらい延ばしておいて、いまのような論議では私はどうも理解ができないわけであります。規格外の乙も買って配給しているのではありませんか。どうなんですか。買うことは買うけれども、配給の対象にはしないのですか。どういうふうな措置をとっておりますか。
  133. 田中勉

    田中説明員 お答えいたします。  規格外の乙は政府買い入れをいたしております。水分過多は、普通の米に比べて二%の水分の過多になっておるわけであります。これを配給はいたしております。
  134. 安井吉典

    ○安井委員 だからおかしいと思うのだ。そういうふうな措置を規格外の乙にもとっている。しかし早場米の奨励金はやらない。こういうことなんですね。同じような扱いをしながら、これはどうなんですか。
  135. 田中勉

    田中説明員 水分過多の二%の問題につきましては、需給操作の観点からいたしますならば、これは保管期間等に若干の問題のある米なのであります。そういうわけでございまして、私どものほうといたしましては、米の取り扱いが管理操作上非常に注意を要する、こういうたてまえになっているわけでございます。そういう観点からいたしまして、乙の米につきましては時期別格差はつけておりません。
  136. 安井吉典

    ○安井委員 たくさんほかの問題がありますから、この問題は今後の宿題として残しておきたいと思います。これはやはり冷害に打ちひしがれた米作農家の場合、一等ないし五等のいい米や、あるいはまた、水分含有量が少なくて等級の高い規格外の甲、そういうようなものも出るには出るのでしょうけれども、それよりももっと質の悪いものの出荷という形でことしのなけなしの所得を得なければいけない、こういう態勢の中にいまの北海道冷害農家はあると思うのです。そういうことをやはり考慮の上に置いた措置というものが、私は必要ではないかと思うのです。北海道だけやって全国やらないとおかしくなるというようなことかもしれませんけれども、バックペイすればどうですか。すでに出たところにはこれからさらに追加払いをしてもこれはやれるわけですよ。おやりになろうと思えばできるわけです。この点は少し真剣に、別な角度からさらに御検討を願っておきたいと思います。そのことだけひとつ強くお願いしておきます。  それからもう一つは、これも先ほど来の論議の中で、例の検査規格の問題についてのお話があったわけでありますが、規格外の丙の設定についても考えているし、それから等外米の下ですか、そういうような問題についても、いま搗精試験だとか、そういうような中から考えている、こういうことでございます。その結果がどう出るかということにもよると思うのですが、先ほどの芳賀委員質問に対する政府側のお答えの中で私どうも理解しにくいのは、この前の災害対策特別委員会で、中西官房長に私がこの同じ問題をお尋ねしたときには、政府の買い上げの対象になるものは当然生産量だが、ならないものはすべて共済の対象にする、その間に、損害ではあるけれども共済の対象にならない、宙に浮くようなものはなくする措置でやりたいということをはっきり言明されていたと思います。私の記憶が間違っていない限り、そうだと思います。ところが、先ほどの食糧庁長官の言明からいえば、これからの試験検査の結果どういうふうなことになるかはわかりませんが、しかし、どうやら青米の中で生産とはみなされながら政府が買わないものが出そうな気がするのですが、どうでしょうか。この前の中西官房長の言明とどうもそこらにちょっと食い違いが出てくるような気がするのですが、その点いかがですか。
  137. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 従来とその点変わりはないわけでありまして、たとえば等外下のようなものの中には、収穫としてみなされるものであってなおかつ等外下であるというようなものもあったと思います。その点従来と変わらないと思います。
  138. 安井吉典

    ○安井委員 結局そのことは、農家がことし北海道でつくった米の生産量のうち、被害とみなされてないものは全部買うというふうに理解していいのですか。
  139. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 検査上、食糧庁の買い上げます規格と、それから収穫の有無を判定する基準と違います関係で、いまお話になりましたように、被害粒以外のものは全部買うのか、こういうことだけでは買い上げの基準とならないわけでありまして、先ほどの御質問の中にありました例の統計でふるいにかけた一・七ミリ以下のものは、これは収穫とみなさない。一・七ミリをこえたものにおきましても、搗精によって下に落ちる、つまり米にならないものは被害扱いをする。これは先ほど中西官房長から、収穫の見方について、特に共済の取り扱いについて答弁があったわけでありますが、今度は逆に政府が買い入れます場合におきましては、一・七ミリ以上のものがすべて買われるという、そういう規格には全然なっていないわけでありまして、先ほどちょっと例がまずかったかと思いますが、それぞれの等外上あるいは規格外についての規格がございますので、その規格に該当すれば買い上げの対象になりますが、その際には収穫としては皆無とみなされる。一・七ミリ以下のものを混入されても買い上げの対象になり得る。つまり一・七ミリをもって買い上げするかしないかということは規格の面が違うということを先ほど申し上げたわけでございます。
  140. 安井吉典

    ○安井委員 そういたしますと、一・七ミリ以下のものであっても買う場合もあるし、それから一・七ミリ以上であっても買わない場合もある。だから差し引きちょんちょんになって、つまり被害というものと、被害調査というものと買い上げというものが大体一致するだろう、こういう意味ですか。
  141. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 そういう意味ではないのでありまして、先ほど申し上げましたように、等外上であれば整粒歩合が三〇%以上ということになっておりますので、それに被害粒を加えた七五%、残りの二五%まではいわゆる未熟粒とか、そういったものが、一・七ミリ以下のものが入っても買い上げられる。つまり一部混入されても、規格に該当すれば買い上げられるということを申し上げたわけです。しかし差し引きして、ちょうどとんとんになるというふうなことではないわけでありまして、一・七ミリ以上のものでありましても、これは等外下に該当する、しかし上にはならないというようなものがあれば、これは買い上げの対象になりません。しかしまた、等外下のものの中でも、これをえり分けて等外上にするというふうなことをすれば、これまた等外上の規格に該当する場合もありますので、これは商品としてのつまり検査規格でありますから、いきなり収穫量結びつけて、被害粒は買わない、被害粒以上のものはみな買うといったようなことに、規格上ならないわけであります。
  142. 安井吉典

    ○安井委員 私はきのうの秋晴れの一日、あちこちの現実に検査をしているところをずっと歩いてみたのです。その中から言えますことは、いま出ているのは、さっき言ったように、いい米ですね。わせやなかてのいい米です。そういうような形でいまどんどん出ているわけですよ。――どんどんも出てませんね。いつもならだあっと列が並ぶのが、午前中の一時間か二時間来たら、それでもうばったりです。あとは何も車が来ない、そういうようなことでありますが、とにかくそういうことで、出ている米はいい米です。そういう形で出てしまって、収穫のたびに出してくる。最後に残るのは例のユーカラです。そのユーカラだけが残って、それはもう調製をしても反収四俵ぐらいに見られた米であっても、整粒は一割か二割ぐらいしかない。そういうやつだけが残るわけですね。いま新しいいい米を出さないでおいて、ユーカラとまぜて出せば、あるいはそういう問題は比較的起きないかもしれませんが、いい米をいま出しておいて、あとユーカラが出てくるわけですよ。そうなってごらんなさい。おそらく最後はそうなればものすごい青米の、政府の買わない米が残るのではないか、そういうことをおそれるわけです。だから、そういうことを予想して――しかしその青米のほうも、いまの長官のお話からすれば、これは被害にならぬでしょう。統計調査事務所統計の中では、それは生産されているということになっているのじゃないでしょうか。そういうようなところで、被害のほうと政府の買い上げ量とで大きく食い違ってくるおそれがあると私は思うのです。生産量が即食糧配給量だと思ったら、北海道のことしの配給なんというのはたいへんなことになりますよ。やはりその点を食糧政策の上からもお考え願わなければならないし、それからまた農家に中途はんぱな米を残すというようなことでなしに、どうしても限度を下げても買えないような米があったら、必ずそれを被害に入れていく。つまり、いままで一応被害計算ができているかもしれぬが、その被害計算は間違いなんだから、政府が買わないものが残るということが明らかなら、その被害計算を改める必要があると私は思うのです。どっちかですよ。全部買うか、あるいは残ったものは必ず被害に入れて計算をする。そのどちらかをはっきりしなければ、この問題は重大な禍根を残すと私は思うのですが、どうですか。
  143. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 その点は従来も等外下というのがございまして、この等外下は、おそらく生産量として扱われた分もずいぶん入っておることだというふうに思います。そこで今回の場合には、そのような下が非常に出ることが予想されるわけでありますが、主としてその原因が水分過多と青米混入が非常に多いということに基因する場合におきましては、先ほど来申し上げたようなことでも水分過多のものについては丙の規格を設けるとか、あるいは青米混入については搗精試験の結果によって、等外下を買うというわけにはまいりませんけれども、等外上の規格外というふうな扱いで、搗精試験の結果食糧に回し得るかどうかという判定のもとに措置をきめたいというふうに申し上げたわけであります。残るものにつきましては、これは従来とも北海道におきましては、そう取引が大量に行なわれておったかどうかは存じませんけれども、各府県におきましては、これらの等外米は実需者団体にやはり食糧加工用原料、たとえば菓子の原料といったようなものに相当売買されておったわけであります。今回も北海道におきましておそらくそういったものも相当出るのではなかろうか。私たちといたしましては、御質問の中にありませんでしたが、これらのつまり政府買い上げの対象にならない等外下にして、しかも加工用等に回り得るものにつきましては、ぜひとも生産者団体等におきまして集荷していただいて、これを実需者団体のほうに回す。これについては食糧庁としては積極的にあっせんをはかってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  144. 安井吉典

    ○安井委員 そういう等外の下ですか、それ以下の悪い米の処置という形でいまお話があったので、それで明らかになりましたけれども、しかし私はその前に、長官お忙しいようですから、そこでそのことについてちょっと伺っておきたいのですが、どうでしょう、今度の場合、そういう米が非常にたくさん出てくるわけなので、やはり一応政府が何らかの形で買って、それを実需者団体に渡すとか、価格を政府が特別にきめるとか、何かそういう措置がないと、ただくだけたとかいうのなら、いつの年だって出ますよ。しかしそういうようなものについて、ことしのような場合には、値段ががったり落ちてたいへんなことになるのじゃないかと思うのですが、政府としてそれらについてどうでしょうか。農家の所得を補償する意味で特別な措置、別ワクで政府が買い上げるとか、何かそういうような措置をお考えになる必要はないか、どうでしょうか。
  145. 斎藤誠

    ○斎藤(誠)説明員 これはやはり食糧として買い入れ、それを一般の道民の消費者に配給し得るという性質のものでありませんので、政府で買い上げるというわけにはまいらないかと思います。ただ、これが相当出るということでありますれば、ぜひともひとつ北連なりあるいは系統生産者団体等におきまして積極的にこれを集めていただく。そしてその間、食糧庁も間に立ちましてそしてあっせんをいたすというふうなことにより、できるだけ有利な販売ができるようなことにいたしたい、こう考えておるわけです。
  146. 安井吉典

    ○安井委員 その問題については、長官お急ぎのようですが、これはやはり農家の所得が十分に補えるようなそういう措置を――できれば長官のほうの対象にして買い上げということになれば一番いいと思うのですが、とにかくぜひお考えを願いたいと思います。しかし、私は最初申し上げていた本論を忘れているわけではありません。やはりそういうようなものができるだけできないような買い上げの方法というものを考えてもらわなければいけないと思います。買い上げの規格をよく考えていただかなければいけないと思います。  それからもう一つは、これは官房長のほうにお尋ねを進めることになると思うのですが、そういうようなものも被害粒とみなさないで、とれたという考え方にしていくということ自体に、私はやはり問題があると思うのです。そういうものをはっきり被害にするのですか、どうですか、その点をひとつ伺いたいと思います。あるいはこれは統計調査部のほうのお答えでもけっこうですが、どうでしょう。
  147. 中西一郎

    ○中西説明員 政府買い上げの対象にならないものを全部被害と見るかというお尋ねだと思うのです。被害と見ますほうは、統計のほうも共済のほうも共通ですが、御承知のとおり一・七ミリメートルの縦目ふるいの下に落ちたものは全部被害と見る、その縦目ふるいの上に残ったものをさらに搗精試験をやりまして、搗精に歩どまらない分は全部被害と見るということをやっています。政府買い入れのほうは、御承知のように、下位の等級になりますと被害粒も入っていますし、青米も入っていますし、いろいろなものが少しずつはまざっているわけです。これは当然政府買い上げ対象として買われてしまう。そういう意味被害調査をやっております粒が一部は買い入れの対象の中に入っておるというふうに考えていただいていいと思います。
  148. 安井吉典

    ○安井委員 ちょっとおかしいのですが、いまのとにかく検査のほうはできるだけ程度を下げて全部買ってもらう、そういう仕組みを一応つくっておいて、それでも一・七ミリのふるいから残るものでありながら、残れば全部これはとれたということになる、収穫があったということにみなされているが、そのうちでいまおっしゃったのは何ですか、搗精のそれで落ちるようなものは除くというのですね。それは被害とみなすというふうに私はいま伺ったわけです。そうだとすれば、一・七ミリのふるいでいまのいろいろな被害調査が全部行なわれているわけですね。その被害調査を少し変えなければいかぬですよ。調整しなければいけないと私は思うのですが、どうですか。そうでないと、共済金の支払いもおかしくなるし、何分作、何分作というその天災資金にしたって、三分五厘とあれの差がありますね。そういう問題にも影響がありますよ。被害の見方をどこに置くかということで、いままでの政府がおすすめになっておりますやり方を変えてもらわなければいけないわけです。その点はどうですか。
  149. 中西一郎

    ○中西説明員 繰り返しになるのですが、一・七ミリメートルの縦目ぶるいの上に残るもので、しかも政府の買い上げの対象にならないというものを精米にするわけです。搗精試験と申しましたが、精米にしまして、その精米として歩どまる分は収量であり、歩どまらないものは被害であるということを申し上げておるわけであります。その考え方と、政府がいろいろな規格をつくって買うというのとは、理論的な結びつきはございません。ただ実態からいいますと、政府が買い上げる下位等級のものの中には、くず米もくだけ米も青米も若干は混入する。品位が低くなるに従ってたくさん混入するというのが実態であるということを申し上げておるわけでございます。
  150. 安井吉典

    ○安井委員 官房長、どこかそこでごまかしているわけですね。すると、みんな一々搗精してみなければわかりませんよ。搗精して残るもの、残らぬものということなら、全農家のものを搗精してみなければ被害調査統計が出ないじゃないですか。指数でいくのですか。
  151. 中西一郎

    ○中西説明員 たとえば北海道でいいますと、単位の共済組合ごとに十八点ずつ資料を集めて、それを全部搗精試験をやるわけでございます。
  152. 安井吉典

    ○安井委員 それによっていままで進めてきたいろいろな作業を修正するといいますか、調整をするわけですね。
  153. 中西一郎

    ○中西説明員 その搗精試験の結果、指数を求めまして、それを現地に適用をするわけです。
  154. 安井吉典

    ○安井委員 そういうふうに初めから言ってくれれば、こんなに時間をかけないでよかった。もう私の時間はなくなりました。そういうふうな修正を行なう、そういうことでございますが、具体的な問題はさらにまたあとで詰めていただきます。きょうは一応の方向として御説明をいただいたことにいたします。  そのほかたくさん問題があったのに時間がなくなりましたが、官房長、全体に災害対策をお進めになる上で、いままである法律をそのまま適用できるものもあるし、それから相当改めなくてはならないというものもいろいろ出てくると思うのです。対策のうち新たな法律事項として考えておられるのは何々ですか。
  155. 中西一郎

    ○中西説明員 現段階で考えておりますことは、天災融資法の関係です。これは場合によっては、激甚災害法のほうに影響を及ぼしまして、両方の法律を改正しなければいかぬということになろうかと思います。
  156. 安井吉典

    ○安井委員 いまのところそれだけですか。
  157. 中西一郎

    ○中西説明員 さようでございます。
  158. 安井吉典

    ○安井委員 天災資金の中に家畜共済の共済掛け金も入れてくれないかという要望があるわけです。被害が非常に多くなりますと、家畜の共済の掛け金をかけないような形で、将来の営農の発展を阻害してしまうというおそれもあるわけです。この問題は午前中の陳情の中にもありましたし、各地で出ているわけですが、その点はどうですか。
  159. 中西一郎

    ○中西説明員 農家にとっては経営資金の融資をするわけですから、その中で掛け金をおかけになることは農家の御自由でございます。
  160. 安井吉典

    ○安井委員 別に法律措置は要らないで、いまのような措置で、官房長の御答弁でいいわけですね。  特にきょう自治省からおいで願っておりますので、農林省関係もまだありますけれども、割愛いたしまして、自治省の御答弁だけ伺って終わりたいと思います。  先ほど、道三億五千万、市町村一億五千万の救農土木事業の設定を単独債として考えているというお話でございますが、これは既定の単独債の外ワクとしてお考えになっているのか、その中に含んでいるのかどうか。それからその起債を市町村別にワクをきめる場合において、何を基礎にしておきめになろうとお考えなのか。それからもう一つは、適債事業につきまして先ほどもちょっと御質問がありましたけれども、市町村が今度考えているのは、国の救農土木事業、道の救農土木事業、そういうようなものでどうしてものせにくいようなものを市町村の事業というふうなことで考えてくるのではないかと思います。したがって、非常にユニークなものも出てくるだろうし、普通の場合ならなかなか国の基準に当てはまらないようなものまで出てくると私は考えます。いままでの例からいいますと、せっかく市町村が頭をひねって、これなら一般農民に賃金収入を得させられるという自信を持って出してきたら、自治省まで行ったらけられてしまった。こういうのは起債の対象になりません、こういう事例がいままでたくさんあったわけでありますが、その適債事業の制限について、この際やはり緩和した考え方で臨むべきではないかということであります。この三点についてお伺いいたします。
  161. 首藤堯

    ○首藤説明員 第一の、三億五千万と一億五千万、合わせて五億の救農土木事業の起債でございますが、これは既定ワクではございませんで、今後の、特に本年度分の現年災害の起債の追加ワクの設定を現在考慮中であるわけでございますが、その追加ワクのほうで処置してまいりたい、こういうふうに考えております。  それから第二点は、市町村の救農土木事業の配分でございますが、市町村ごとの配分は、私どもといたしましては一町村ごとの額を決定するという材料と申しますか、実情に乏しゅうございますので、道のほうで御判断をいただきまして、道で現実の道の実情、各市町村の実情、これに応じまして配分をされました額を承認いたそうと考えております。  それから第三点でございますが、救農土木事業のうち、特に市町村分が国の補助事業あるいは道営の事業の対象にならない、これの穴埋めをするような現実の事業をピックアップしてくるだろう、こういうことは当然想定されてくるわけであります。その事業が適債事業であるかどうかは、救農土木事業の性質上、市町村が市町村営の事業として公共的にやりますものとして妥当なものでありますならば、事業の種目を特にあげつらうことなく、住民の賃金収入にしていってもらって差しつかえない、こういうふうな方針で臨もうと思っております。
  162. 安井吉典

    ○安井委員 いつごろ出せますか。その時期は、下から上がってこなければいけないと思いますけれども、十一月一ぱいとか、年内とか、そういうふうな時期に分けて、できるだけ早く当然出すべきだと思うのですが、いつごろまでに出せますか。
  163. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま御質問の中にもございましたように、市町村別の配分の額をまだ道でも検討中でございますので、時期をちょっとはっきり申し上げる事態でございませんが、できるだけ早急に決定をいたしたい、このように考えております。
  164. 安井吉典

    ○安井委員 終わります。
  165. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 中川一郎君。
  166. 中川一郎

    ○中川(一)委員 このたびの災害がたいへんなものであるということについては、だいぶ御認識をいただきまして、昨日も農林大臣とともに現地で見てまいりました。農林大臣のおっしゃるのには、中央でいろいろ聞いておって、相当ひどいものであろうと思っておったけれども、現地に来てみて実際はだで感じて、たいへんなことであるということを承知したというふうに言っております。おかげをもちまして、農林省ではいろいろな対策を講じていただきまして、一応北海道民は、農林省の今後の処置政府対策に対して期待を持っておるわけでありますが、この機会に私は、なぜこの災害ができたか、先ほど政務次官も、いろいろと北海道農業の弱点について触れておりましたが、私の見るところでは、米の制度に比べてあらゆる面でおくれておる。第一番目に試験研究からいたしましょう。試験研究で言うならば、小向に重粘地の試験場があります。あそこに行ってみますと、年間の予算が実に三十万円、場員一人という、ほんとうに哀れな、石炭を買って人夫を数人雇えばもう三十万円を使いはたしてしまうというような哀れな現状であります。あるいは中標津にあります試験場あるいは芽室にある畑作試験場等もほんとおにお粗末限りがない。また、土地改良の問題をとりましても、北海道に八十三億の土地改良予算が入っております。そのうちで実に八〇%、わずか二〇%しか畑作に入っておらないというのが現状であります。また資金面におきましても、自作農創設資金であるとか、近代化資金だとか、マル寒資金だとか、いろいろ項目がありますけれども、これも外国の金利に比べますと非常に金利が高い。あるいは償還期限が短い等々の問題があります。さらに困りますのは、共済制度が全くない。先ほど来一・七ミリ論で十分やっておりましたけれども、共済制度というものはまるきりない。裸であります。そのほか一番困るのが、集約的に修正されるのが価格対策であります。ほかの米の価格は、昭和三十一年度に比べまして四七%上がっております。公務員の月給は約一〇〇%、二倍になっております。あるいは農業総合パリティ指数が四十何%とかいろいろありますが、畑作の一番大事なでん粉価格も先般は据え置かれた。ずっと三十一年以来上がっていないにひとしい、非常に安い価格である。あるいは乳価にいたしましても、これまた生産費を償うことができないような安い値段である。あるいは近く問題になります大豆、これもまた二・五%しか上がっていない。これも上ががっていないにひとしい。一方、貿易は自由化をされて外国からどんどんとそういった品物が入ってくる。外国においてはどうやっておるかというと、日本が米に力を入れるように、非常な力を入れております。したがって、でん粉価格でも大豆の価格でも、バター、チーズでもきわめて安い。これらと競争していく。北海道農業冷害がなくても、これでは成り立っていかないのではないか。先般わりあいいい農協に参りまして、ことしの災害を何とか乗り越えていかれる農家は二〇%しかない、非常に負債が大きい。北海道農業は世界の農業の中に立っていま曲がりかどにきておるように思っておりますが、農林省当局ではどういうように考えておられるか。いまのような農林省の体系であってはこういったことが抜本的にできないのではないか。舘林政務次官は、非常に力を入れてやろう、心強いお話を午前中いただきましたが、今後はひとつ農林省の中に畑作振興局というようなものでも置いていただいて、試験研究から土地改良から、あるいは資金対策から共済制度から価格対策まで、一貫した農政というものを行なっていただかなければ――いまの農林省制度というものは、米を中心にした農林省制度になっておるように思います。その中から畑作があっちにいって大豆の値段をお願いし、でん粉の価格をお願いし、あるいは試験場の予算をあっちにいってもらいというような虫食い、落ち穂拾いの制度のような気が私はいたすのでありますが、その点について、冷害対策とは直接関係ありませんけれども、根本原因がこの辺にあるんじゃないかというふうに思いますので、農林省の中において非常に力のある中西官房長の御意見を承りたいと思います。
  167. 中西一郎

    ○中西説明員 非常に広範な、何といいますか、農政全般、北海道農業全般にかかわるお話でございますので、私の答弁で御満足願えるかどうか問題があると思います。  お話の小向の重粘地試験地につきましていろいろなことをやっておる中で、特に御指摘の重粘土地帯における草地規制因子と草地の管理技術というような特定の課題につきましての予算が少ないじゃないかというお話もございます。これらについては、将来の問題として当然配慮してまいりたい。特に草地開発が本年度から発足いたしますし、その一つの研究室としてこの重粘地試験地も吸収されていくことになりますが、北海道農業全体の試験研究の充実については、そのほかの点についても十分配慮をしてまいりたい。特に先ほど来話の出ています水稲関係品種改良につきましては、現在琴似にあります人工気象室を月寒へ移動します際に、さらに充実したものにしたい。そういうふうにしますと、水稲のみならず、畑作関係品種改良にも大いに役立つのじゃないか。私その辺しろうとでございますが、寒冷地の試験施設としましては、非常に卓抜した機能を持ったもののようです。ソ連あたりにもそういう施設はないというふうに聞いておりますけれども、大いに期待したいと思っています。  それから共済制度の御指摘もございました。これは米のような仕組みにしますと、非常に膨大な経費と人員を要する非常にむずかしい制度になるだろうと思うのです。その辺、簡明で実行可能なものということで、学識経験者等の意見も聞きながら考えておるわけですが、とりあえずは果樹につきまして、ある程度の進捗を見ております。そこで、四十一年度以降ぐらいの目標で果樹についての共済は何とか実現したいということで、事務的な検討を進めておるわけです。  価格薄策云々についての御指摘もございました。確かに畑作物、特に麦、なたね、大豆以外のものの価格の変動が非常に激しゅうございます。これらについては、農業協同組合の出荷力といいますか、出荷調整の力に期待するところが大きゅうございます。政府農業団体がいわば二人三脚で初めて価格の安定が期し得られる。農業団体のほうでの体制が整えば、政府から援助の手も差し伸べやすい。現段階でやっております青果物の価格政策が非常に難航しておりますけれども、だんだん緒についてきておる。ああいう形で畑作物の振興ができれば、ずっと伸ばしてまいりたいという態度でおるわけでございます。  土地改良全般の問題としまして、泥炭地の問題とか重粘土地帯あるいは火山灰地帯というようなところ、それぞれの対策が今後要ると思いますが、私どもの観測しています限りでは、五年前に今回のような被害があった場合には、さらにひどい壊滅的な打撃北海道農業にあったのじゃないか、やはりこの五年間の北海道農業の体質改善というもの、あるいは品種改良などを含めまして相当進んでまいっておる、さらに五年たてばもっとりっぱな農業北海道に実現するのではないかというふうな見方をしておりますけれども、今回の災害を契機にしまして、いろいろ反省すべき点も多うございます。それぞれ反省を重ねまして、将来の農業のやはり中心的なにない手は北海道であろうと思いますし、十分力を入れていかなければならない、かように思っております。
  168. 中川一郎

    ○中川(一)委員 私が心配しますのは、今後五年たてば北海道農業は非常によくなるのじゃなかろうかと思う。思いますけれども、世界の農業がもっとその五年間のうちには進んでしまうのではないか。北海道が少々やっても、さらに外国が進んでしまえば価格の面でたたかれる。これはたいへんなことじゃないか。ここでひとつ思い切って外国の情勢を勘案して、北海道畑作農業はどのくらいを日本の食糧の中で受け持って、そうしてこれ以上はだめだから切り捨てるという全体的な計画、見通しというものが必要ではないだろうか。それなくして、少々の冷害にあったからどうする、あるいは共済制度をちょっといじる、資金面をいじる、酪農振興対策を少々やっていくということでは、非常に心配なものがあるような気がする。特に北海道の場合、これは第一期拓植計画あるいは第二期拓植計画、あるいは戦後の開拓、どちらかというと国の指導によって入れられた日本内地の人である。外国から入ってきた、あるいは北海道従来の人がいたわけではございません。国の指導によって、政府を信頼して北海道へ行った人ばかりであります。それが食糧不足のときにはかねや太鼓で送られる、ところが、食糧が余ってきて、戦争がなくなってきて、平静になってくると、いつも苦しんで逃げていく。戦後行なわれた開拓も、四万五千戸ほど入ったかと思います。いま残っておるのは二万五千戸、しかも今後一万戸も逃げるのじゃないか。御承知のように根釧の開拓パイロットというのがあります。あれは一戸七百万円金をかけました。そのうち、公共投資が三百万円、融資が四百万円、概括的に言うとこういう数字になります。当初は、えらい金をかけるものだ、ぜいたくだといわれておりましたが、このパイロットだけは何とか安定化した。そのほか、みみっちく開拓をやったところでは、だんだん離農していってしまって、建設工事だけでも一戸当り一千万円、将来は千五百万円もかかったことになるのじゃなかろうかといわれるような過去の歴史もございます。こういった北海道の開拓者の方方、農民は、全般的に政府からの指導によって入った方々であって、安定するたびに苦しんでおるのが現状でございますので、できましたならば、先ほど御質問申し上げましたように、畑作振興局か部か知りませんけれども、そういった全体的なながめを持つ――官房長のように何でもかんでもよく見識のあられる方はけっこうでありますけれども、全般的にどうも農林省の中に責任を持って畑作のことを相談する部門がないというのがわれわれの悩みであろうと思いますので、ぜひひとつそういったことをお考え願いたいと思います。その点について一言だけ、畑作振興部なり局なり、そういったまとまったものをつくるお考えがあるかないかということだけを簡単にひとつ承っておきたいと思います。
  169. 中西一郎

    ○中西説明員 畑作振興、非常に重大でございますが、機構として畑作振興局をつくるのがはたしていいかどうか。これは今度の臨時行政調査会の答申の関係もございます。さらに一般行政と試験研究、これは分離したほうがいいのではないかというのが、ある意味で農林行政の鉄則のような形になっております。米麦等につきましても、一般行政をやっておるところと試験研究をやっておるところを明確に分けておることは、御承知のとおりでございます。その辺、大きな問題として、畑作をあらゆる角度から振興していかなければならないという御趣旨には全く賛成でございます。その辺機構にはどう生かしていくかについては、いましばらく検討さしていただきたいと思います。
  170. 中川一郎

    ○中川(一)委員 これに関連をいたしまして、ものごとをやるのには総合的にやらなければいかぬ。一つ一つやっておるとどうも効果を発揮しないというふうに考えるわけであります。今度の災害についても、いろいろな関係機関の御協力を仰がなければいかぬ。厚生省からも、あるいは自治省からもあるいは税の問題では大蔵省からも、あるいは救農土木では建設省、開発庁等からも御協力を仰がなければいかぬ。そういう意味において、何かまとまった責任体制というか、政府災害対策本部というようなものを置いてもらいたいというのが私の考え方であります。これが従来の例、あるいは中央災害対策本部ですか、ああいったものとの関係でどうなるのかわかりませんが、もしこれができないとするならば、農林省の中にひとつ今度の災害対策本部というようなものをつくっていただくならば、現地で泣いておる農民も非常に心強く思うのではないか。また、仕事をする上でも今後やりいいのではないか。基本的には天災融資法あるいは激甚法を発動していただき、またこれの条件緩和も考えてやろうというところで、非常にありがたいわけでありますけれども、今後きめのこまかい対策を講じていただくには、そういった機関を設けていただく必要があるのではないかと思いますが、この点について、従来の例等もございましょうから、農林省のお考え方官房長からお聞きしたいと思います。
  171. 中西一郎

    ○中西説明員 今回の災害、まことに激甚でございます。農林省としては、例年豪雪に始まりまして長雨あるいは凍霜害、集中豪雨、台風あるいは干害というふうなことがない年はないわけでございます。そういう意味で、全体として災害対策の有機的な関連づけあるいは総合的な促進というようなことについて絶えず配慮をいたしておるわけです。特に今度の被害が大きかったということの御指摘もありました。そのとおりだと思うのです。なお上司等ともよく相談いたしまして、お気持ちのほどはよくわかります、検討いたしたいと思います。  ただ、農林省は非常に広範にわたっておりますので、臨時の機構をつくるというようなことがいいのか、あるいは恒久的な機構の中で臨機応変、速戦即決でそれに応じていくというような仕組みがいいのか、その辺は問題があろうかと思います。十分検討さしていただきます。
  172. 中川一郎

    ○中川(一)委員 最後に、こまかくなりますが、先ほどちょっと触れましたように、北海道の開拓者は、もうあすにでも逃げたいという戸数が二千戸あるいは三千戸といわれております。四十五万円の離農資金がことし北海道に五百戸ワクが配分になりました。非常に喜んでおるわけでありますが、どうも数が少ない。もう少し何とかふやしてもらいたいものだ、焼け石に水の感がしないでもないといわれておるわけでありますが、承りますと、出たい者は、この機会にひとつ予備費からでも金を出してそして出してやろうという話を耳にするのでありますが、事務当局でそのように進んでおられるかどうか、この点もお伺いいたしたいと思います。
  173. 中西一郎

    ○中西説明員 お話のとおり、本年度予算五百戸であります。舘林政務次官を団長にします調査の結果も、これを何かの形で増額すべきじゃないかというふうな所見でございました。現在、大臣は向こうに行っておられますけれども、お帰りになりましたらさっそく相談いたしまして、前向きに対処いたしたいと思います。
  174. 中川一郎

    ○中川(一)委員 時間もございませんので、以上、私の考えておる点を御質問申し上げたわけでありますが、どうか農林省におかれては――私は間違っておるかどうか知りませんけれども、北海道農業はどうもガンの症状を呈しておる。外部症状としていま冷害の時期に非常に苦しいのであって、表面だけを治療してもほんとう意味の治療にはならない。根本対策もひとつ大いに考えてもらいたい気持ちを持っておることを申し上げまして、農林省に対する御質問は終わりたいと思います。  次に、厚生省の方に先般もちょっとお尋ねを申し上げたのでありますが、北海道の農家が非常に困っておる、場所によっては農家の人は昼めしも持っていけないのではないか、給料取りの人だけが弁当を持ってくるという事態すら予想されておる状況であります。先般お伺いしましたところ、農家として設備あるいは土地、家畜等が中以下であって、そうしてほんとうに生活資金のないものが対象になるというお話でありましたが、昨日も現地でいろいろと聞いてみますと、どうしても牛、馬を持っておるものはだめだ、土地を若干でも持っておったらそれを売ったらいいじゃないかということで、末端に反映しておらないようでありますが、その点について厚生省は末端事情についてどういうふうにお考えになっておられるか、ひとつその点をお伺いしておきたいと思います。
  175. 加藤信太郎

    ○加藤説明員 お答えいたします。  実は中川先生から御指摘がございましたので、北海道庁から来てもらいまして、一体今回の災害についての周知方法に欠けるところがあるのじゃないかということを指摘いたしましたところ、北海道では実はいままでのところあまり農家は保護を受けなかったから、初めは非常に誤解が多かった。道庁のほうで積極的に農業団体とそれから市町村を集めまして、そうしてただいま先生のおっしゃいましたように、馬を一頭持っておったら保護は受けられないとか、土地が若干でもあったら保護は受けられないということは、道庁の従来の方針と違う。概括で申し上げますと、普通のところなら馬一頭、それから特に開拓地で馬がどうしても二頭なければならぬところは二頭、そういう具体的な基準を道庁のほうで設定いたしまして、その基準以下ならば保護をする、そういうふうにいま周知徹底を一生懸命やっているから、ほぼ理解が浸透しつつあるということであります。
  176. 中川一郎

    ○中川(一)委員 非常にけっこうなことであります。生活保護法の適用を宣伝する必要はありませんけれども、もらえないという先入観に立って泣いておる人がたくさんある。救農土木事業を先ほど来十二億ばかりということですが、五百億の災害のところに十二億や三億の救農土木事業では、これは焼け石に水であります。ほんとうに困っておるこの生活保護法の適用を受けなければならぬような人、これらについてひとつ厚生省はあたたかい措置をやっていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  177. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 松浦定義君。
  178. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 すでに同僚委員からいろいろ御質問がありましたので、きわめて簡単に二、三の点だけをお伺いしておきたいと思います。  まず、先ほど来からいろいろ御意見がありまするように、今回の農林省関係当局から調査に行かれましても、この数字が非常に膨大な被害であるということについての意見は一致しておるわけであります。最近北海道も、二十四年の干害では被害二十四億、二十八年の冷害が二百四十億、二十九年が冷害または例の台風等の被害で三百九十一億、さらに三十一年が全道的な大冷害で三百九十六億であります。本年度の被害は、先般の道のあれが四百二十八億で、それに霜害を合わせますと、おそらく私どもの推定では五百二、三十億になるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。そこで、そのような膨大な被害に対して、今度天災法並びに激甚災害法が当然適用はされますけれども、適用された場合には、北海道においては一戸当たり二十万、あるいはそのうち乳牛を飼っておるものであれば五万、乳牛以外の家畜のものには三万、それで二十三万か二十五万というだけしか、これだけの大被害にいま問題になっておる災害法が適用された場合の恩恵がないわけなんです。その場合でも、三分五厘と五分五厘と六分五厘と、こう分けておられるので、こういうような点で、この天災法だけを非常に強くわれわれも最初は要求しておりますし、政府当局といたしましても、現地に参りますと、とにかくもう天災法は間違いないと言うだけで、あとは終わってしまうといったようなことでありますけれども、これがうまくいって二十五万、この程度では、五百数十億になるだろうと予想されまする対策としては私は十分でないと思うのでありますが、先ほどから政務次官等のお話を聞いておりますと、現行法ではとうてい救えないので改正をする。その改正の要点については、いろいろ先ほど芳賀委員の御質問に対してお答えがありましたので、そういう点についての答弁は要りませんけれども、私どもとしては、いかに改正されましても、この二十三万、五万が倍になるなんということは考えられないと思うのです。しかし、実際農家といたしましては、御承知のとおりに、この天災法は、やはり再生産資金、すなわち経営資金しかないわけでありますから、これと同額のものをことし損害として農家が負担をしなければならぬわけです。来年の生産資金というものは、再生産ということでありますから、これと同額のものがやはり要るわけです。その同額というのは、いま政府の言っておるような二十万ないし二十五万でなくして、少なくとも、今日畑作あるいは水田農家をくるめて、最低三十万から四十万程度のものは、肥料なりあるいは農機具、農薬その他のもので投資をしておると私は思うのです。したがいまして、今度の改正によっていま申し上げました天災法が適用されるとしても、どちらかと言うと、来年の生産だけしか該当しないのであって、ことし投資したものについては別なもので考える、こういうことであろうと思いますが、実際官房長も親しく調査をされまして、この天災法を改正して、その適用だけではたしてこの北海道の激甚な被害を受けた農家が救えるとお考えになっておるのかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  179. 中西一郎

    ○中西説明員 農家の資金需要に対しまして、現在の天災融資法がそれだけで全部対応し得るというふうには考えておりません。そこで、補完的な措置といいますか、自創資金のワクについても十分な配慮をいたしたい。それでもなおもっと被害が大きいというような場合には、開拓者等については開拓者資金融通法の資金の手当てをいたしたい、そういう段階で考えております。そのほか、天災融資法による融資の補完的な措置としましては、種子代の補助、あるいはえさの安いものの供給というようなことも十分手当てをいたしたい、救農事業についてもできるだけの配慮をいたしたい、あれやこれやで今回のむずかしい現状を何とか乗り切ってもらおうということで検討いたしておるわけでございます。
  180. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 自創資金の拡大の問題もいま出ましたが、実は先般松浦運輸大臣政府代表というようなことで北海道へ参りましたときに、知事からの、自創資金のワクを五十億にしてほしいという要請に対して、そうするように、実はこれは十六日だったと思うのですが、閣議でもってそれをきめてきた、こういうようなことを発表しているのですが、これはきまっておるのかどうか、この点ちょっと、いま関連でありますから、お尋ねいたしておきたいと思います。
  181. 中西一郎

    ○中西説明員 自創資金のワクは現在四十数億残っております。五十億というのに足りませんけれども、北海道とよく打ち合わせしてまいれば、現在の自創資金の災害のワクで大体対処し得るのではないかと思っております。
  182. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 私のお尋ねしておるのは、閣議で五十億にきめてきたと政府代表の松浦運輸大臣が言ったから、きめてあるのかどうかということを聞いておるのですが、その点はいかがですか。
  183. 中西一郎

    ○中西説明員 五十億というのを最終的な決定としては承っておりません。天災融資法のほうのワクとの関連で、最終的には閣議であわせて論議をしていただくということになります。
  184. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 いずれにいたしましても、いまのような形で今度改正をされ、額がふえて、ある程度政府としては努力をしたと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、被災農家にしてみれば、まだまだたいへんだということになるわけでありますが、そういう点については、これから漸次政府努力の結果を見ながらわれわれとしても要請をしていきたいと思います。  そこで一番問題になりますのは、たとえば先ほど申し上げましたように、二十九年の三百九十一億あるいは三十一年の三百九十六億に対する政府の貸し付けのワクというのは、三十一年のときには政府でもって出してきたのが八十億ですか、それが国会修正で百億ぐらいになったのですが、その程度のときですら、ほんとうに必要な農家には十分いかないで、そうでない農家に相当いったというような批判が実はあったわけです。そういう点から考えてまいりますと、一番問題になるのは、その貸し付けの責任になる市町村なり、あるいは扱う農業協同組合その他の機関でありますが、主として農業協同組合が窓口になると思うのです。この場合の国庫補助に対する利子補給等はありますけれども、損失補てんに対するその額というものが非常に低いのではないか。これは天災法の中で見ますると、全部または一部ということになっておりますけれども、やはりこれは一部ということになれば、いま言ったように、回収できるものしか貸さないんだといったようなことにどうしてもなるわけであります。ですから、ことしのような被災のときには、むしろ回収不能な被災者が相当出てくると私は思うのですが、そういう場合には、どういう措置をすれば実際この法律の中で救われる農家が完全にあるかどうか、こういう点についての考え方をはっきりしていただきたいと思います。
  185. 中西一郎

    ○中西説明員 まず訂正させていただきます。先ほど四十数億と言ったのは、十四億の間違いでございます。  それからお尋ねの損失補償の問題ですが、これは通常の場合、貸し出し額の百分の五十については国が負担しましょう、県の段階では百分の三十、町村の段階で百分の二十という関係になっております。なお、さらに町村財政等の関係で、町村と県と話し合いがうまくいけば、町村の負担はなしにして、県段階だけの負担ということも可能であります。その場合には、国と県で全部損失補償の負担をするということに相なるわけでございます。
  186. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 これは従来からの負担の方法でありまして、これから修正しようというような御意見でありまするので、これをやはり私どもとしては全部国がやるべきでないか、こういうような異例の場合ですから、町村でやりましても、やはり国が何らかの形で補てんをしなければならないわけでありますから、そういうめんどうなことをしないで、この激甚災害あるいは天災融資法等に該当するものについては、全額国がこれをやるのだという形に今度の修正ではならないかどうか、こういう点をちょっとお伺いいたしたいと思います。
  187. 中西一郎

    ○中西説明員 まだ具体的な検討の段階に入ったばかりでございますので、現段階で、損失補償の割合をどうするかということは、ちょっとお答えしかねます。こういうことも含めて検討をいたしたいと思います。
  188. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 十分この点についてはひとつ御考慮いただきたいと思います。  それから次に、あまり大きな問題ではございませんが、先般も十勝においでになりまして、いろいろ意見がありまして、先ほどから米に対する規格外の検査規定の問題等についていろいろ御意見がございましたが、やはり豆類につきましても同様な意見がございます。ですから、先般も、何とかして今年の――これはもう四等以上になったということでございますので、五等規格をぜひ設定してもらうと同時に、さらにまた、こういう場合ですから、たとえ一坪でも、どんなものでも、やはり販売用として農家としては金にせなければならぬのでありますが、この場合、五等並びに規格外の少なくとも上下程度の規格を設定される意思があるのかないのか、この点をひとつはっきりしていただきたいと思います。
  189. 田中勉

    田中説明員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの件でございますが、現在、道のほうにおきましても、道庁中心といたしまして、生産者の方面と、それから実需者の方面といろいろ相談をいたしております。なお、この二十一日には東京のほうにも出向きまして、取引所関係の要望とか、こういうものも確かめることになっておりますので、むしろ取引業者、生産者の両面におきまして、そういう等級を設定したほうがいいというようなことでございますれば、そのように特例措置を講じて下位等級の設置を考えることといたしたい、かように考えておる次第でございます。
  190. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 どうも農林省は消極的だと思うのですが、業者を込めたいろいろのものでありますと、すでに私も現地で見ておりまするように、できればこういう年には、そういう五等をつくるとか、規格外をどうするとかいうことは、業者としてやってもらいたくない、こういう意見がどんどん出てきておるのです。そういう意見を聞けば、いま私の質問したようなことは、なかなかめんどうだということにならざるを得ないわけですが、こういう実態に即応いたしまして、農林省としては、業者が何と言おうと、これはやはり生産者希望するようなそういう格づけを当然すべきである、こういうふうに私は思うのです。やはり依然として業者本位でそういうような御意見がいままでのような形で出るということについては、ちょっと私遺憾に思うのです。ひとつ思い切ってこういうことにするよう指導することはできないものかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  191. 田中勉

    田中説明員 本来この豆類等におきましては自由流通品でございますので、先ほどたてまえを申し上げた次第でございます。買い手の要望というものも十分尊重しなければならぬ、こういうことでございます。しかし、農林省立場といたしまして、御指摘ございましたように、なるべく生産者立場に立ってのそういう方向への指導とか、こういうことの気持ちは持っておる次第でございます。
  192. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 早急にその点をひとつはっきりして善処していただきたいと思います。  それからもう一つこれに関連いたしますが、来年度から豆の包装資材、かますの規格が変わる、こういうことで、実は私自身も毎年三百枚くらいかますを使うわけですが、それが来年はもう使えなくなってしまう。ことしはおそらく、大体普通作にいけばということで、十勝だけでもやはり百五、六十万枚、北見その他の関係を合わせますと、優に二百万から二百五十万枚くらいの新しいかますを実は今年も仕入れているわけです。それがほとんど使えないような収穫でありますから、当然来年に持ち越すわけですが、来年に持ち越しますと、これが規格が変わって使うことができない。一枚八十円でありますから、もしかりにこれが二百万枚といたしますと、千六百万円というものはだれの損失になるのか。むろん、本州の生産地帯のほうは当然系統機関を通じて買い上げておりますから、これに損させるわけにいかないということになりますと、農家個人がやるのか、あるいは農業団体がやるのか、いずれにいたしましても生産者にはね返りがくるような、そういう制度になってしまったわけですが、何とかしてこれを来年度一あき、一回使ったかますであるというような、そういう含みをもって、ことしの残った新しいかますは全部来年度にこれを使わせる、こういうようなことができるかできないか、そういう点をひとつお答え願いたいと思います。
  193. 田中勉

    田中説明員 御指摘ございましたように、ことしの豆類等の包装等で準備いたしました包装容器が、凶作等のために確かに手持ちになったということの実態があるわけでございます。御指摘ございましたように、来年からはかますの規格は変わることになっておりますので、このまま参りますれば、新しい規格のかますを使わざるを得ない、こういうことになっておる次第でございますが、何ぶんにも凶作等のためにやむを得ずそういう手持ちになった次第でございますので、来年度におきましては、私のほうといたしましても、よく取引の関係の業界あるいは実需者、需要者の団体等に徹底をいたしまして、来年度におきましても特例措置といたしまして、本年度の手持ちのかますが適用できるように特例の措置を講じてまいりたいというぐあいに考えております。
  194. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 そういうことでは私はちょっと弱いと思うのです。そうすれば、必ず実需者とか、いろいろなものは、きめた、きわめて簡単なものといいますか、そういうものでいいということになるのです。私は原則的なものの考え方をこの際ひとつ理解していただきたいと思うのですが、これは入れものなんですから、中身をつくる農家が、入れものを勝手によそのほうでそういうことから選ばれては私は困ると思うのです。やはり中身に相応した包装というものは農家自身が選ぶべきでありまして、それを農家が知らないうちに、いまお話のように、実需者や入れることに関係のある者の意見を聞いて変えなければならぬというようなことでは、私は農林省指導方針としてはどうかと思うのです。このような五百億も損害を受けておるときに、わずかなかますの八十円のものが百万や二百万のことはどうあろうとも、そんなことで農家が生きられるものではございませんから、いいですけれども、それではちょっと農林省考え方としては私は穏当ではないと思うのです。ですから、この場合にはっきりもしここで言明されておけばそれは私は通ると思うのですが、いまのような形で何とかするということになると、また文句が出て、いろいろな問題になると思いますから、委員会でこういう質問があって、こういうように態度をはっきりしたから、これはいかぬ、もしそうであるなら、生産者のほうへそのことを言っていただけば、今後の包装につきましては、私どもはやはりどういうような処置でもできるわけです。実際問題として、現地では、最近三ちゃん農業とか二ちゃん農業とかいっているので、六十キロでは重過ぎる、ですから、女でも子供でも持てる、せめて三十キロくらいにしてほしい、そうして入れものは、できればいまのような紙袋か何か簡単なものにしてほしい、こう言っているのです。ところが、同じ農家の本州の生産者がそういった副業としてつくっておられるかますであるから、現地では、業者が何と言おうとかんと言おうと、これを了承していままで相当数使っておるわけなんです。もし業者がそう言うなら、私どもとしては、むしろ、現地のほうでは、これはやはり紙袋なりあるいは麻袋なりにしてもらいたいという意見はたくさんあるけれども、同じ農業をやっている者でありますから、それを言わないでがまんしておるのでありますから、農林省指導方針としては、この際ひとつ、やはりこの分については来年は使うのだとはっきり言ってもらわなければ、私は了承できないのです。
  195. 田中勉

    田中説明員 私のお答えがちょっと不十分でございましたが、要するに、私のほうといたしましては、来年度におきましてもそういう特例措置でやってまいりたい。そのためには、来年は新しい規格を設定しておるわけでございますので、その点とのかみ合わせにおきまして十分取引業者なり実需者に徹底したい、こういう考え方で申し上げた次第でございます。
  196. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 その回答で了承いたしました。  それから、これはちょっと私も言いにくいことなんですけれども、実は先ほど芳賀委員から、松浦運輸大臣政府代表で行ったかどうかということについてはいろいろ御意見があったようでありますが、運輸大臣現地へ来られましていろいろ記者会見その他をやっておられますことを私どもが聞きますと、当然これは政府代表で来た、こういう表現を使っておられるのであります。それともう一つは、かりにそれが政府代表であろうとなかろうと、現地を多く見てもらうことについては私は賛成でありますが、松浦運輸大臣の日程表を見てまいりますと、十月の十六日から十月の二十一日まで、この間におきまして、驚くなかれ、災害地の現地調査というものは三時間ないし三時間半です。そうして一番やっておられるのが、なるほど周知徹底は必要だと思いますけれども、記者会見。記者会見を約八回、こんなに記者会見をしなければ、この政府代表としてのことが北海道にわからぬのかどうか。松浦運輸大臣は私と名前は同じなんだけれども、けっこう北海道では知られておる。私の名前はわからなくても、松浦運輸大臣はよくわかっておるのだから、記者会見をしなくてもわかるはずなんです。私は、北海道ほんとう農民のことを考えて公平な記事を発表してくれる人は、おそらく全部中央においてそういう機関があると思うのです。地方新聞――と言うと語弊がありますけれども、先ほど言ったような記事がたとえばちょっと間違って書いてあっても責任をとらないような、そういうものでなくて、こうしたわずか四日間の間に八回も九回も記者会見をしなければならぬ、しかし現地調査はまあ三時間か三時間半である、こういうことについて、もう少し、政府代表が現地調査をするというなら、圃場に立ってやってもらいたい。しかもこれはほとんどヘリコプターを使ってやっているのですから、校庭でもどこでも途中でおりて抜き打ちに見るというぐらいの誠意はあってもいいのではないか、こういうふうに思うのです。さすが農林大臣の日程では、そういう記者会見はやっておりません。それで私はこの点についてはあまり追及はできませんけれども、農林大臣にしましても、やはり帯広で現地調査は二時間、ほんとにわずかの時間だけであって、ここで皆さん政府代表として行った、農林大臣現地に行ったといわれますけれども、私は、先般政務次官並びに官房長等十名おいでになりました、あれでやめられたほうがかえってよかったのではないかと思うのです。もし行ってその結果をいろいろ言われて、先ほどのように五十億にちゃんと閣議できめてきたとか、先ほど中川委員質問しておりました、たとえば開拓者は三千戸となっておるが、一戸四十五万円をこの際申し出のあった分全部承認する方針だ、こう言っておる。そういうことがどんどんとできるのでしたら、そういう人はこちらにおってやっていただければ、記者会見はしなくても私はいいと思うのですが、こういう点で、政府はこんなに熱心におやりになっておる、しかも現地調査というよりも、私は現地のお見舞いに行かれたというふうに理解したほうが、かえっていいと思うのです。しかし、お見舞いに行かれるなら行かれるような形をとってもらわないと、私はちょっと困ると思うのです。三十一年の三百九十六億の被害のときには、これはもう内地府県からもずいぶん救援物資が参りました。それからまた、アメリカ等からララ物資でもってずいぶん救援物資が来たのです。そういうことはなかなかできないにいたしましても、少なくとも松浦運輸大臣政府代表として行くならば、何かやはり持っていかれるべきではないか、こういうふうに思うのです。お考えつかなかったのでできなかったのでしょうが、実は私、先般衆議院の災害対策特別委員会と農林委員会との合同で参りましたときに、十勝川の堰堤でサケをとっておるところを見てもらったわけです。ところが、そこへ行ってみますると、例年五、六万から七万ぐらいしかとれないところが、ことしは二十万尾以上とれる。戦前戦後を通じて史上最高の豊漁だ、こう言っておるのです。農業は史上最低の凶作だ、サケの漁は史上最高の豊漁だ、こう言っているのです。そうしますと、こんなにとれている魚を、せめて、被災農家が困っておるのでありますから――もう魚も買えない、こう言っているのです。特に開拓地、奥地等の農家の子供がもう学校へ弁当を持っていけないということを先ほど本名委員がちょっと言っておりましたが、そういう人が多いわけです。ですから、できればこのサケを被災農家に対してこの際無償でもって、二、三尾ずつぐらい配給をされたら、政府代表として誠意があったのではないかというふうに思われるのですが、どうですか。この点について何かお考えがあるかないか、お聞かせ願いたいと思います。
  197. 山中義一

    ○山中説明員 水産庁の漁政部長でございますが、ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。  サケが豊漁ということはたいへんありがたかったわけでございますけれども、サケの払い下げにつきましては、現地にあります水産庁のふ化場長に権限をまかしております。そして親魚から卵をとりまして、その卵でふ化をする、あとの、親魚の卵が抜けた、からとよく申しておりますが、これは一括して競争入札によりまして払い下げいたします。この点あるいは多少御不満があるかもしれませんが、早い時期に払い下げの契約をしてしまうものですから、ことしはもうすでに北海道のサケマス増殖漁業協同組合と地元の漁業協同組合とが一応入札を済ましております。しかし、いまのような御趣旨もございますので、水産庁といたしましては現地のほうへ指導をいたしまして、その増殖組合のほうからできるだけ御要望に沿うようにお分けする、これは無償ということはちょっと困難ではないかと思いますが、お分けするようにいたしたいというふうに考えております。
  198. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 そういう事情はわかっておるのです。しかし、われわれ農家だって、ことしは凶作だと思っておれば、先ほどお話のようにつくりものも考えたと同じように、契約したからそれでもう取り戻しができないわけではないのです。そうすれば、水産組合ですか、これは少し冷害だなあ、凶作だなあと思うだけのもので、五万尾や八万尾は、私は用途別を変えたって一向差しつかえないと思うのです。  それからもう一つは、無償ではできないと言われますけれども、何もかかったものをただお互いに使うのではなくして、政府がお買い上げになってお見舞いとして持っていかれるについては、われわれは一向差しつかえないと思うのです。それでは水産業界が見舞いをしてくれるということになってしまうので、そうではなしに、政府がやってもらいたいということですから、そういう額の点についてもひとつ十分検討してもらいたい。  それから、これは私が聞いた話ですが、いまそういう経費としては大体三千万円くらいの収入があればいいということになっているそうですね。ことしの総収入は三千万円だということになっているそうです。三千万円といいますと、十勝川だけでも二十万尾とれるというのですから、おそらくはかのほうに参りますと、三十万尾とれたら、一尾百円で、三千万円の経費だけあればいいことになっているのです。それ以上はいいわけですから、そういう点で、私は無償にしたってそうたいしたことはないと思うのです。
  199. 山中義一

    ○山中説明員 ただいまの点につきまして私も一つお尋ねさしていただきたいと思うのですが、いまの払い下げの先は学校でございますか。
  200. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 これは被災農家です。被災農家には子供があるから、子供の弁当のおかずにしよう、こういうことなんです。してもらいたいと、これは政府が言うのです。
  201. 山中義一

    ○山中説明員 その先が一括して団体のようなものをつくっており、適当なものであれば、これはいま一尾百円というふうなお話がございましたけれども、もっと安くても、ほんの形ばかりというようなかっこうに、あるいは数その他を勘案いたしましていろいろ検討してみたいというふうに考えております。
  202. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 これはたとえば各関係支庁長に政府のほうから道庁を通じて話をして、町村長がそれを責任をもってまとめて、農業協同組合が扱う、こういうことになればいいわけです。その場合に、被災農家の類型がわかりますから、皆無、三分作、五分作――七分作もあるような人はないですけれども、そういう人は遠慮するでしょうから、私は、少なくとも皆無、三分作以下の人に対してはこれは当然必要だ、こう思うわけです。
  203. 中西一郎

    ○中西説明員 お話の点、漁政部長からお話したとおりでございますが、どういう対象に払い下げるか、どの程度の価格にするかというようなことを、文部省当局なんかも含めまして相談してみたいと思います。
  204. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 ただ、あまりおそくなっても、またとれなくなったのでは困りますから、さっそくいまのうちに話をして、十万尾くらいは一応確保してもらうということでぜひ御努力願いたいと思います。
  205. 山中義一

    ○山中説明員 ただいま十万尾というお話でございますけれども、十万尾というのは、これはなかなかむずかしいのではないか。十勝で十万尾あがっているという点、これはほんとうにそうごらんになっていらっしゃるのでしたら、何とも申し上げられないのですが、(「二十万だ」と呼ぶ者あり)十勝一川だけで二十万ですか。それはどうもちょっと多いように思うのですが、ほんとうにあがっておりますか。――それではまた研究いたします。
  206. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 まあそういう事情ですから、十分ひとつ御調査を願いまして善処を願いたいと思います。  以上で終わります。
  207. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十七日に開会することといたします。  これにて散会いたします。    午後三時五十一分散会