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本名委員 政務次官は非常に御熱心に御
調査なされ、また、お
立場からいって適切な御判断をなさっていると思われます。その点は非常に
敬意を表しますが、ただ私は重ねてもう一ぺんお聞きしたいと思いますことは、今後の
対策をとる上にも、せっかく
政府がとうとい
国家財政を投入していろいろ
救済の手を伸べられ、また
恒久対策をおとりになろうとするのでありますから、
農民の将来の経営安定のためにも繁栄のためにも、また
国家の投資がむだにならないためにも、やはり私はこの
機会にこの
冷災害の
原因をしっかりと究明しておく必要があろうと思うわけであります。そこで、いまの
次官のお答えを伺っておりますと、いま申し上げましたように、非常に精密な点まで御
調査なされ、また御研究なさっている点は
敬意を表しますが、ただ私のお伺いしたいことは、今日まで
行政やあるいは
制度の面において
欠陥がなかったかどうかということであります。なるほど、
考えてみますと、
水田には
限界がある、おのずから地域的な気象的な
限界があるとおっしゃいますが、
品種改良や
土地改良やあるいは
耕種改善等、その他いろいろな苦労と
努力によって、国も
農民も
努力したことによって今日まで
北海道におけるあのような優秀な
米作地帯が生まれたことは私は否定できないと思います。それが、かりに四年、五年に
災害があるからといって、米は
限界を越えているからつくってはいかぬということは、今日の
農政に携わっているお
立場としては言えないのであって、むしろ、この際、
極限を越えた現実の
水田地帯というものが何かの方法によって救われて、再び
冷害をこうむらないような
処置ができないものかどうかという配慮が
農政の上にあってしかるべきだと私は思うのであります。そういう
意味において、たとえば
畑作にいたしましても、
投機作付をやって豆をつくるから、
地力がなくなって、そしてそこへまた連作をやるから、ちょっとの
低温でも
冷害減収をこうむるのだということの批判だけではなくして、いかにして
地力を増すか、いかにして投機的な
経済心理というものを調整しながら安定させるか、あるいはまた、
行政として
指導の上に
欠陥がなかったかどうか。
末端には
改良普及員がいまして、
農家個々に直接営農について
相談もいたしております。また
耕種その他の技術的な
相談、
指導もいたしております。そういう
末端に至るまでのいわゆる
行政的な
指導の上において
欠陥がなかったかどうか。私は、この
災害を
機会に将来
救済の上にも
恒久対策の上にも徹底した抜本的な
処置をとらなければならないと思うからこそ、この点についての重大な反省を
農政の上に持ってもらいたいというために、いまこういう
質問をしたわけであります。したがって、いろいろ前向きの
恒久対策としては、畑地を
酪農に切りかえろとおっしゃるけれども、なるほど、それはそのとおりであります。いかにして
地力を増し、そして
生産性を上げるかということは、やはり根菜あるいは
牧草等によるところの飼料の
自給度を上げる
処置と相まって、
農民が
ほんとうに牛を飼うこと、家畜を飼うことの
安定性をみずからが自覚する者は今日においても発展する、その自覚をさせないところに、していないところに、今日までいま御
指摘のような必要以上の
投機作付をやったり、あるいは
地力を
考えない耕作をやるという結果が生まれていると思うのであります。したがって、一体
行政制度、政治の上においてどういうような
処置をもって、再びこのようなあやまちというか、今日まで踏んできた道を、悪いところがあるならば、どういう方法で改めさせるかということが、私は、
災害対策をとる上において、特に再び繰り返したくないこの
冷害を克服する上においてどうしても必要だと思う。したがって、今回のいろいろな
救済策あるいは恒久策を打ち出すについては、私どもとしてはもっといままでにない徹底した
処置をとっていただかなければならないと
考えますので、この点の深い反省と――言っては失礼でありますが、深い経験の上に立ってこれから――きょうはどうせ結論的なことは伺えませんから、私は概略のことしか申し上げられません、また聞くことはできませんが、その点だけを、今後の審議の上に間に合うように、
大臣もお
帰りになったら十分検討されて、長期
対策についてさらに進んだ
処置をしていただきたいと思うわけであります。
そこで、時間もありませんので一、二の点について具体的に伺いますが、同僚
委員のどなたが口を開いてもまず第一に伺いたいのは、金融の問題であろうと思います。当
委員会におきましても、農林
委員会においても、すでに何回となく繰り返されていろいろ
当局の
意見を承っておるのでありますが、私はあらためて、
大臣がお
帰りになれば、具体的にひとつ
大臣の御決意も伺いたいと思っております。また
機会を見て大蔵
当局の
考えも聞きたいと思っておりますが、一体、天災融資法を制定して、天災によるところの
被害農民に対して、施設なり営農に影響を及ぼした
被害をできるだけめんどうを見てやる、一方においては、生活困窮の
状態に追い込まれた罹災者については、自創資金をはじめとして、生活に事欠かないようにしてやろうということでありますが、その貸し付け条件、金額及び金利、償還期間等は、いずれも前時代的な
制度であると申し上げたほうがはっきりしていると思うのであります。申すまでもなく、
池田さんがおっしゃっているように、今日の
日本の経済で必要なことは、中小企業と
農業を救うことだ、安定させることだ、こう言っておられますが、依然として金利も償還期間も、あるいはその他の貸し付け条件というものを現行法のままでいくということをよもやお
考えになっているとは思いませんけれども、およそこの時代に合った、しかも
災害に対して再び立ち上がらせるという
対策としては、すべてが私は時代おくれの
制度であると思うのであります。したがいまして、天災法による激甚災の指定がかりに受けられるとするならば、基本の法律である天災法に対しても、その金利並びに償還期間等については相当改正を要すると思います。同時にまた、かりに金融
制度が前向きに改正されたといたしましても、累積された負債の始末あるいはまた、幸いにかりに
農民の一部に連年のやや平年作、やや豊作の
状態を続けてまいりまして旧債がかりになくなったとしても、経済の発展と
農業の将来の近代化のために新しい資金をここ数年続々と導入している、その負債の償還等を
考えますときに、やはり私は、先ほど申し上げましたように、いろいろな
災害の
原因があろうと思いますけれども、その
原因を克服し、再び繰り返すことのないようにするためには、この際徹底した
救済方法をとらなければならないと
考えるのであります。そういうふうに
考えてくると、どうしてもこの貸し付け条件等を大幅に改善すると同時に、もう
一つ必ずこれに付随してやらなければならないことは、旧債償還に対する
処置であります。なるほど、この前
政務次官もおいでになったときには、この現在償還期を迎えている負債に対しては、これはひとつ繰り延べ、たな上げの
処置をとろうという御
意見も承りました。
農民は非常に喜んでおります。その中身がどうなるかは、いろいろ問題があろうと思いますが、ただ、ことし延ばしたから来年二年分払うというようなむごいことのないように、先ほど申しました期間延長もあわせてやらなければならないと思います。具体的なことについては別な
機会に伺いますが、もう一度その点について
当局の御
意見を承っておきたいと思います。