○
華山分科員 私は根本的な問題に触れませんけれ
ども、その問題が解決されない限りこの状態は継続するものではないか、こういうふうに
考えます。いままで閣議で問題になったことがない、
予算の計上もないというふうなことははなはだ不満でございますから、ひとつこの点について最大の御努力を願いたい。何もかも都会に出て仕事をしなくちゃいけないということはないはずです。十月から十二月末までは雪国といえ
ども仕事ができます。二月を過ぎますれば仕事ができます。農村地帯におきまして農業基盤等の問題、道路等の問題もございますので、その方面にも——たとえば山形県で四万人と申しましたが、四万人の収容ができなくても、地場においても働くことができるのじゃないか、そういうふうないろいろな問題がございます。この点は農林
大臣にもお聞きいたしますけれ
ども、そういうふうなことでひとつ大きな社会問題として御認識になって、ここに対する
政府の統一したところの処置、そういうものを閣議にでも、どこの所管か存じませんが、提出されまして、御決定になっていただきたい。
大臣の御努力を切にお願いを申し上げます。
次に、この問題の
労働省所管のことについてお尋ねいたします。またお願いいたしますが、いま安定局長からお話がございましたその前提として申し上げますが、大体この四万人のうちで職安を通して京浜地区に出てまいったというものは三〇%にすぎません。あとは職安を通しておりません。職安を通さないのは
本人の責任ではないかと言われればそれだけのことでございますけれ
ども、そういう
実態でございます。それで、来た者はどういうふうな状態かと申しますと、昨年におきまして——山形県だけのことでございますが、死んだ者が三十人ございます。大体土木に来ておるわけでございますが、死んだ者が三十人ございます。この点から推定いたしますと、不明でございますが、けがをした者は相当な数に上るのじゃないかということが推定されるわけでございます。それから
賃金の不払いが多い。大体山形県で調べたところでわかっているだけで、件数にして四百件、金額にして五百万円に上がっております。それはどういう
実態か、私はそういう問題のあるときにいろいろ聞いてみたことがございますけれ
ども、こういう
職場に行かないかといって誘いにいくのは友人、知人でございます。それじゃ行こうかといってくる。そのときの話がやれ何々組、やれ何々組という第一流の会社の名前を言うわけでございます。
本人がこちらに来てみますと、その組には
関係がございましょうけれ
ども、
三つも四つも下の下請けのところです。私は下請けがあるたびにその中におきまして中間のピンはねがあって、
賃金も安くなっているのではないかというふうに
考えますけれ
ども、その不払いが起きるわけでございます。実例を申し上げますならば、とにかく季節労務者でございますから、農繁期には——これは保険をもらっている人は別でございましょうが、帰らなければいけない。それで上野から切符を買う。そうしますと西郷さんの銅像の前で待っていろ、そのときに持っていくからと言う。西郷さんの銅像の前に待っていると、きょうは払えないからと言ってくる。もう切符を買っているから帰ってしまう。それで不払いになる。彼らには何らそういう団結権もなければ交渉する力もございません。驚くべきことに彼らが雇い主に言うことばは一様に親方ということばを使う。これは封建的な昔の
労働体制にいるわけでございます。住居なんかにいたしましても、保安施設にいたしましても、またけがや死んだ場合や、あとのことにいたしましてもほとんど放置されている状態でございます。私はこういうふうなことはどうしても
労働省において極力防いでいただきたいと思う次第でございます。具体的なことをあげますならば、悪質なもぐりの周旋屋というものを徹底的に取り締まっていただきたい。それから府県でもまたやっているようではございます。地方の職業安定課等でも座談会等開いて一生懸命にやっているようでございますが、
職業安定局はそういうもののあっせんを通すことに徹底的な宣伝をしていただきたい。それから
職場職場につきましてはときどき巡回でもいたしまして、どんな状態かをひとつ調べていただきたい。そうして東京の要所要所に彼らが困ったときに
相談を受けるところの
相談所、そういうものをつくって、そして出発するところの地、それからこちらの
職場、そういうところに困ったことがあったならばここに
相談に来いというふうな
趣旨を徹底していただきたい。
それから消防の問題、留守家族の問題、そういうようなことにつきましてはここでは御所管ではございませんので、別な
機会に別なところで申したいと思います。
それから、若い青年でございます。この若い青年につきましては、特に集団して
就職ができる集団就労のことを強力に
労働省で
考えていただきたい。そうすることによって
監督もできまするし、それから悪化も防がれますし、青年学校の教育もできると思います。そういう点につきまして、青年についての集団就労ということをお
考えいただきたい。
それからもう一つは、段階的な雇用
制度——これは建設省の御所管かもしれませんが、建設省にも強硬にお話になって、三階も四階も下の下請業者との契約になる。もう人入れ稼業以外の何ものでも一ないようなものとの契約が、自分がそう意識しないにもかかわらず、出発するときはそうでないのにかかわらず、そういう結果に陥るようなことは極力避けまして、契約はやはり何々組ならば何々組の仕事というものはあるわけでございます。その下請でございますから、その大もとの組と契約する。また大もとと契約することが困難である場合には、事故があった場合には必ずその大もとまでさかのぼって
賃金の支払いをする、そういう
制度をひとつこの出かせぎ
労働者については符に御配慮を願いたいと思うのでございます。
なお、御参考までに申し上げますが、
労働時間は大体八時間ないし十時間でございます。ただし残業が非常に多いようでございます。
賃金は一日五百円ないし千円というのが
実態のようでございます。就労時期は大体におきまして十月の末に始まりまして三カ月前後というのが多いようでございます。そういうふうなことでございます。
ほんとうに一番熱心なのは地元の市町村で、地元の市町村ではまことに涙ぐましいような話でございますけれ
ども、留守宅の奥さんや子供さんの声をテープレコーダーにとって、こちらの出かせぎ
労働者に聞かせているというふうな、まことに何とも申しかねるような心配や努力をいたしております。府県でも心配はいたしておりますが、いまのところ一番この問題に
関心を持っていないのは国ではないか、こんなふうにも
考えられますので、今後ひとついろいろな仕事の
関係のございます建設省、農林省、
労働省はもちろんでございますが、
関係の省におきまして強力な機関をつくられまして、そして統一的な政策、そういうものを立てていただけますようにお願いしたいと思いますが、
大臣の御所見を伺いたい。