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帆足分科員 それすら
承知していない外務
大臣ならば、お人柄はいかになつかしく感じようとも、私はやはり祖国のために危険を感ぜざるを得ない。したがって、われわれ野党の者はいよいよ自重自戒、勉強してそして
政府に苦言を呈しなければならない、こら思う次第です。先日これらのことを申しましたら、
調査費が足らないという嘆きのことばを伺いました。
私は少年時代に外交官にあこがれておりまして、実は一身上のことにわたって恐縮ですが、家内も英語のできる妻をもらいました。ところが、当時喀血をしまして、健康を害しましてついに外交官試験をあきらめて、そのとき外交官になっていたならば、おそらく外務
大臣と莫逆の友になっていたであろうものを残念に思います。
そこで、その後外務
委員として世界各国をほとんど歩きました。私は、外交官の
生活は魅力に富むものと思っていました。ところが、ちょっと議員の
生活に似ておりまして、まず家族と離れ離れに住む、始終動く、それから
子供たちの
教育の問題、
家庭は留守宅との二重
生活、住宅難、これらのことを思いまして、在外公館におる外務省の職員、従業員諸君、幹部諸君の御苦労のほどをいろいろ知りまして、私は外交官にならずによかったとつくづく思いました、そういうような状況のもとに外務省の職員諸君を置いておくのは、
ほんとうにお気の毒だと思います。したがいまして、
予算を審議する
分科会におきまして、大蔵省の方、ひとつよく聞いておいていただきたい。
外務省の方々の
生活は、
一般の国内でじっとしている役人の方々と非常に違う
生活をしているわけです。いつ辞令が来て海外のどこへ行くかわからぬ。アルゼンチンへ行くかと思えば、パリに行くと思えばパキスタンに、そして私は、当然在外手当というものは十分にあると思っていましたところが、この物価の高い時代に一五%か二〇%、幾ばくもないということも伺いました。移転料は十分出ると思いましたら、旅費はわずかしか出ていない。当然住宅はあると思いましたら、住宅はかってにさがせ。家財道具は、移転するたびにちゃんと規格のある
程度とれたものが備わっていると思ったら、かってに買ってしつらえろ。
子供たちの
教育はどうなるかと思っていましたら、英語
教育、その外地の
教育、日本語の
教育、まことに困っている状態です。しかも適当な年になれば、日本に帰して日本の
学校に入れねばならぬ。そうすると日本語の学力がおくれる。
大学に入れるのも容易なことではない。それらの苦労に対して十分な措置が総合的になされているかといえば、ほとんどの措置がなされていない。私は、これは大蔵省の怠慢だと思います。一体、大蔵省の外務省
予算を査定している主計宮殿は鬼か蛇かとすら、私は思うものであります。遠く異境の土地にあり、そして病気のときはどうするか、
子供を、妻を本土に帰して、やもめ暮らしをしている方もおありでしょう。人間にとって一番の楽しみは、一家団らんということです。その
子供を遠く離さなければならぬ。しかも給料は、驚くなかれドイツの三分の一ぐらいでしょう。また外交官補などは、アメリカに比べて、私は四分の一ぐらいじゃなかろうかと思います。あるアメリカの
大学卒業生に聞きますと、日本人の外交官の、やはり何倍かの給料をもらっております。
昔、私が青年時代に経団連におりましたときに、経済使節団が来まして、さすがに英国とアメリカからの経済使節団には、われわれは一目置きました。しかし、イタリアからの経済使節団、文化使節団が来ましたときは、われわれは対等の資格で交際することができました。やがてスペインから代表団が来ましたときは、まああまりわれわれよりもそう高くないように思いまして、ダンスパーティーに出ましても、平服でよかろうくらいに気楽な気持ちで出席いたしました。いまは、そのイタリーに比べまして、国力は劣っておりませんのに、外交官の待遇は非常に悪いのです。貧すれば鈍するということで、こういうことになるのかと思いますから、外交官としてしかるべき待遇を、それから職員としてしかるべき社会保障を――そして
一般の国内の官吏と違う。すなわち始終移転し、時としては妻子と離れ、住宅もなく、家財道具の取りまとめもたいへんなことです。しかも各国の各種の激動する社会情勢を正確に把握し、勉強もしておかねばならぬ。その上次々に国内の議員さんたちがやってくれば、まるでツーリストビューローみたいにお供をして、時にはキャバレーまで御案内しなければならぬ。そういうような激務の中に働いておられる外務省の職員に対して、私は大蔵省の
主計官の査定はどうも冷酷であって、一ぺん体温をはかってみる必要がある、こう思っておるくらいです。したがいまして、大蔵省の方に言うておきますが、議員はお手盛りで八万円の歳費を上げることができました。町にはそれは
相当の理由のあることであって、週刊現代を読めばそのことはよくわかります。というのは、二つの家族に分かれているから、議員の
生活は苦しいわけです。したがいまして、家族がばらばらになっておる、始終任地が動くということ、それから比較的
生活水準の高い外国人と対等の資格で交際せなければならぬということ、外交官の諸君に貧しさのためにさもしい思いをさせたくないというわれわれの気持ちもお察しくださって、大蔵省当局においてはもう少し深く
考えていただきたい。私は外務
委員の一員として、それを強く
国民を代表して要求します。
以上について外務
大臣の御感想を、それから大蔵省当局の答弁をお願いしたい。事と次第によっては、私は諸君をつかまえて体温をはかる必要があると思います。体温が三十七度をこしておるか、三十四、五度であるか。