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1964-02-26 第46回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十六日(水曜日)    午前十時九分開議  出席分科員    主査 稻葉  修君       井村 重雄君    今松 治郎君       加藤 精三君    松澤 雄藏君       山本 勝市君    安宅 常彦君       田原 春次君    堂森 芳夫君       中井徳次郎君    堀  昌雄君    兼務 井手 以誠君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 古池 信三君  出席政府委員         郵政政務次官  金丸  信君         郵政事務官         (大臣官房長) 武田  功君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  畠山 一郎君         郵政事務官         (監察局長)  秋元 三郎君         郵政事務官         (郵務局長)  佐方 信博君         郵政事務官         (貯金局長)  淺野 賢澄君         郵政事務官         (電波監理局         長)      宮川 岸雄君         郵政事務官         (人事局長)  増森  孝君         郵政事務官         (経理局長)  長田 裕二君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   熊田淳一郎君         郵政事務次官  西村 尚治君         郵政事務官         (電波監理局放         送部長)    吉灘  中君         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社副総裁    米沢  滋君         日本電信電話公         社職員局長   中山 公平君         日本電信電話公         社営業局長   千代  健君         日本電信電話公         社理事         (運用局長)  水谷 七代君         日本電信電話公         社計画局長   宮崎 政義君         日本電信電話公         社経理局長   井田 勝造君     ――――――――――――― 二月二十六日  分科員江崎真澄君及び五島虎雄委員辞任につ  き、その補欠として加藤精三君及び田原春次君  が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員加藤精三君及び田原春次委員辞任につ  き、その補欠として江崎真澄君及び堀昌雄君が  委員長指名分科員選任された。 同日  分科員堀昌雄委員辞任につき、その補欠とし  て安宅常彦君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員安宅常彦委員辞任につき、その補欠と  して五島虎雄君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第一分科員井手以誠君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計予算郵政省所管  昭和三十九年度特別会計予算郵政省所管  昭和三十九年度政府関係機関予算郵政省所管      ――――◇―――――
  2. 中井徳次郎

    中井主査代理 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  主査が所用のため、主査指名により私が主査の職務を行ないます。  昭和三十九年度一般会計予算及び同特別会計予算郵政省所管並びに昭和三十九年度政府関係機関予算日本電信電話公社関係を議題といたします。  前会に引き続き質疑を行ないます。田原春次君。
  3. 田原春次

    田原分科員 主として郵政大臣、また場合によっては政府委員に質問申し上げます。私の主題目テレビプログラムに関する件であります。  その前にお尋ねいたしますが、民間放送許可されます場合、たとえばはなはだしく政府方針と違った場合には不許可にするとかあるいは不許可までいかなくても、何か警告とか勧告とか条件をつけて許可しておるのでしょうか。それとも条件をつけてなくとも、問題によっては警告あるいは勧告あるいは不許可認可取り消しというかそういうふうな権限を郵政省は持っておるのですか、まずそれをお伺いしたい。
  4. 宮川岸雄

    宮川政府委員 民間放送を認可いたします場合には、電波法並びにそれによって制定いたしております政令等によりまして、一つ免許基準というものを持っておりまして、それに合わせて許可免許をしております。もちろん電波法にはそれぞれ民間放送放送内容その他につきましての規定というものがありまするから、それらの順守をわれわれは期待しておるわけでございますけれども、免許の期間というものが三年ということになっておりますので、この現実の問題といたしましては、免許の更新の時期において、そういうような問題を全部考えてまた再免許をする、こういう形になっているような次第でございます。
  5. 田原春次

    田原分科員 一たん免許したものを、相当設備をしており、民放経営ですから、いろいろな背景があるので、簡単に不許可あるいは免許取り消しができないことはわれわれもわかるわけです。したがって、その中間ですね。はなはだしく民心の動向に影響があると思われるようなプログラムの場合に、警告あるいは勧告というようなことをやらないのか、いままでやったことがありますか、もしくはそういう特殊な委員会でも別につくってやっておるのですか、この点をひとつ明らかにしてもらいたい。
  6. 宮川岸雄

    宮川政府委員 電波法規定によりますと、番組個々内容につきましては、これをわれわれといたしまして報告をとることができないようになっております。全体の計画というようなものはもちろん出してもらうということになっておりますけれども、個々内容について報告をとることができないようになっておりますので、相当長期間にわたりまして、番組内容電波法規定からはずれている。たとえば公安良俗を害するというようなことが相当長期間にわたって行なわれて、これが何人も認めるというような段階になりますならば、それはわれわれも考えなければなりませんけれども、個々番組それぞれの問題につきましては、私たちといたしましては、特に法律的に行政措置をするということは、いままでのところいたしておりません。
  7. 田原春次

    田原分科員 それは主として許可するほうの立場から、内容とか設備とかということの形式上の問題だと思うのですけれども、さてテレビを見る国民からいたしますと、許可基準とか資力とかということではなくて、どういう影響を与えるかということが主でありますから、したがって報告を求めないにいたしましても、そのテレビ聴視率影響等はやはり種々調査をしておかなければいかぬのじゃないか。調査機関等は持っておりますか、どうですか。
  8. 宮川岸雄

    宮川政府委員 番組の問題につきましては、私たちといたしましても非常に関心ば持っておりますけれども、番組それ自体の規制の問題につきましては、NHK及び民間放送の中に自主的に番組を規制する機関を設けるように法律によって定められておりまして、その機関が自主的に番組の問題を取り上げて、電波法精神に沿うように、また放送というものの社会的機能を十分に発揮するように、番組審議会がその活動を通じまして自主的にやっていく、こういうことを期待しているわけであります。
  9. 田原春次

    田原分科員 NHK並びに民放部内の者で審議会をつくっておるのですか。その審議会には、NHK及び民放からの代表と、それから一般学識経験者も入っておるのですか、入ってないのですか。
  10. 宮川岸雄

    宮川政府委員 NHK及び民間放送が適当と認めるところの学識経験者等に委嘱いたしまして、一つ番組審議会を構成しておるわけであります。
  11. 田原春次

    田原分科員 NHK民放及びこれらの推薦された学識経験者番組審議会からは何の批評も出てこないのですか。自発的に何の報告もないのですか。これでいいのだということなんですか。いままで電波当局との間にもしくは電波当局に対して、これじゃ困るからとかこのままでいいのだとか、何の報告もなかったのですか。
  12. 古池信三

    古池国務大臣 お答えいたします。ただいま局長から御説明申し上げましたように、NHKと言わず民放と言わず、それぞれの事業者おきましては番組審議機関を設けまして、この学識経験者に委嘱しました審議機関においてそれぞれの番組を審査し、社会公共のために悪い影響のあるような番組は使用しないという線に沿って今日まで努力されてきておるわけでございまして、ただいままで審議機関のほうにおいて、非常に悪いからかような番組はやらないというふうな具体的な話は、役所のほうに直接は参っておりません。しかしながら特に近年、世論おきましてもあるいは新聞の論調その他に見ましても、番組において必ずしも適当でないようなものがときおり見られるのではないか。そうしてそれによって年の若い人たち、言わばまだ判断力の十分にできない人たちに与える影響というものは決して少なくない、こういうふうな心配を非常にされる意見が出てきておるということもよく承知をしております。私自身は御承知のようにたいへん忙しい仕事の関係もありまして、常にいろいろの番組を見るという機会がございませんけれども、それにしましても、ときたまひまのあるときに見たり、あるいはまた人々の話を聞いたりしまして、最近のテレビ番組の中には、あるいは非常に殺伐なシーンが出てきたり、あるいはまた若い人たちを扇情するような場面が出てきたり、こういうことは決して好ましいことではない、こういうふうに私は考えます。しかしながら、いま申し上げましたように、個々番組について政府として干渉するということは、現在の法制のたてまえから言いますと慎んで、しないというたてまえになっておりまして、あくまで各事業者なりあるいは番組審議委員方々の自主的な判断によって適正な番組を出してもらう、こういうたてまえになっておりまするので、積極的に政府からこの番組はいけないといったことは今日までないと存じております。しかしながら、かような状態で、しからば満足してよいかというと、私は決してさようには思いません。そこで、政府干渉にならない程度において何とかこの番組をよくするような方法はなかろうか、こう考えまして、昨年の秋でありましたが、とりあえず東京にありまするNHK民間放送事業者方々に、その中から番組審議委員長というふうな立場のお方に集まっていただきまして、ごく自由な姿において御意見を伺いたいというので、第一回の会合を催していただいたわけであります。そうしていろいろな御意見が出ましたが、結局やはり将来番組の問題についてはお互いに検討をして、そして青少年に対する悪い影響をなくするように努力しようじゃないかというふうなことになりまして、その後この方々の間で数回お集まりになって案を練られたようでございます。そして自主的に各放送事業者協同して、何か番組を向上する機関を設けようということになって、最近具体的にその検討が進められておるということを承っております。御承知のように、映画につきましては映倫というものがございます。テレビのほうには今日まで共通したそういうものはなかったのでございます。それから映画の場合はあらかじめ試写をして検討するという機会がございますけれども、テレビの場合にはそういうふうなこともなかなか困難のようでありまして、映倫とは多少実際の趣は変わってくるかとも思いまするが、精神においては同様な精神のもとに皆さまが御心配になっておる。私も非常にこの問題には関心を持ちまして、政府干渉するということのない範囲において、この番組向上のために努力をしていきたい、こう考えております。
  13. 田原春次

    田原分科員 大体われわれもそういうような方向を希望しておったわけですが、しかしNHK及び民放部内のものの番組審議会だけでは、どうしてもやはり一般聴視者が思うほどには解決されないんじゃないかと思うのです。大臣及び政府委員皆さん子供を持っておられて知っておると思うのですが、ここに私はこの二、三日の新聞を持ってきたのですが、どの新聞を見ましても、最近非常に少年犯罪が多い。代表的なものは、この間東京都内で一晩に六カ所も、おもちゃのピストルで――それは新聞によるとテレビ影響だというのですね。ある特定テレビの名をあげては気の毒だけれども、たとえばNET――近ごろはNETと言いだした。本来日本教育テレビというものだが、日本教育テレビと言えないのですね。私はずっと見ておりますが、西部劇が一日二つくらい入っている。アメリカのものであるけれども、アメリカにはないのです。昔物語にすぎない。見ている子供たちから見ると、いまもアメリカにああいうものがあるように思う。日本のものは刀でやるが西部劇ピストルでやる。確かにおもしろいけれども、教育テレビじゃないですね。われわれは日本教育テレビが出現したときに期待したのは、NHK教育テレビでなお捕捉し得ないような新しい分野を見せる、たとえば早朝とか深夜に外国語――英語だけじゃありませんよ、英語は、日本ではむしろ普及し過ぎているくらいであります。それ以外の外国語ですね、アラビア語とかインドネシア語とかイタリア語に至るまで勉強する機会があるであろう、あるいは外国文化科学、歴史あるいは地理、風物、風俗、人情といったようなものを目で見るようなものがあるんじゃあるまいか、それはむろん民間経営ですから広告が要るのですから、広告とにらみ合わせながら適当にやるんじゃあるまいかと期待しておったんですけれども、最近はもうどの映画も必ず西部劇をやっておるんです。アメリカ自身はそんなものはありません。もちろんおもしろいから見ます。しかしアメリカ人はあなたも御承知のように、アメリカ家庭は新教とカトリックとの家庭的なものを持っておるのです。ですから映画テレビで多少そういう教育に悪いものがありましても、善良な家庭というのはちっともそれによって影響されない。ところが日本では残念ながら敗戦後非常に状況が変わってきておりまして、一般家庭における教育学校教育等に対しても、それぞれ民主主義と称して非常にいろいろなものが出ておりますけれども、そこへ持ってきてテレビが発達し、売らんかな主義珍版日本教育テレビといったものまで名前を変えて、そうして興味本位のものをやる。要するにスポンサーのお気に入るもので、聴視率がよければいいということになってくるんじゃないかと思うんですね。いま大臣の御答弁の最後にあった、たとえば映倫に比較すべきものを考えているということは、確かにこれはいいと思います。そこで二本立てでそのテレビ――民間テレビNHK番組審議会が自発的に自重する、自粛することもいいけれども、もう一つ聴視者会議というか、聴視者代表による、母親とか宗教家とかスポーツマンとか、何か政府干渉にあらずして、しかしながら政府に正しい民間判断を伝えるような諮問機関をつくられて、その諮問機関で出した答申については、政府側でこれを民間放送側その他に伝えて自粛の材料にさせるような方法はあるまいかと思うんですね。映倫のことが出ましたから、それならばそれでひとつ進んで映倫よりか――いまテレビ関係のほうが影響力が多いのです。全国で千数百万でしょう。映画は最近斜陽産業みたいで、行かなければ見られませんけれども、テレビはスイッチを入れれば見られるのですから、どうかこれをひとつ力を入れてやってもらわぬことには、私はこういうことに対してはわりに憶病だと思うのです。政府干渉することはいかぬにいたしましても、正しい世論を知る機関をつくって、それに耳を傾けるということは、ちっとも政府干渉じゃないのですから、そういう点の、この年度内か無理なら次年度でもいいのでありますが、たいして費用もかからぬことでありますから、私の仮の名を聴視者代表者会議か何か知らぬけれども、それを一定の任期をきめて交代でやってもらったらどうかと思うのですが、こういう案は考えておりませんですかどうですか。
  14. 古池信三

    古池国務大臣 先ほどからの御意見を伺っておりまして、私も非常に同感する点が多いのであります。アメリカによらずイギリスにしましても、私皮相な観察か知れませんが、非常にキリスト教の影響が各家庭にしみ込んで、非常に家庭の中は敬虔な厳粛な生活が行なわれておる。したがって子弟の教育につきましても、家庭のしつけがやかましくて、テレビを見ることについても親たちが厳重に監督をして、もしも子供たちによくないと思われるようなテレビは見せないということまでされておるということも聞いております。これに比べますと日本家庭では、非常な自由主義と申しましょうか、何でも子供が自由にテレビも見るというふうな現状になっております。そういうふうな点もありますし、またテレビに限らず映画にしましても、あるいは出版物にしましても、相当青少年にいかがと思われるような記事の掲載されたものもあるように存じます。そこで、これは郵政省だけの問題でございませんが、御承知のように青少年問題に対する懇談会が総理府のうちに設けられまして、民間学識経験者にもお集まり願って、この問題の将来についていろいろと改善策を講ぜられておることは御承知のとおりでございます。そこで、郵政省としましては、ただいまお話のありましたように、聴取者の方の御意見も伺うということは、確かに一つ方法であろうと存じます。そこで、これも御承知と存じますが、現在の放送法なり電波法なりは制定されてから相当な年数も経ております。と同時に、それ以上に数年の間、あるいは十年以内ぐらいの間における日本テレビの発達というものが非常なものでございまして、おそらく十年前には今日のこのようなテレビの発展、普及は予想されなかったではないかと思います。したがって、今日の段階、さらに将来のテレビを考えてみます場合に、現行の放送法あるいは電波法ではたして適切であるかどうか、こういう面からこれを再検討する必要があるというので、現在調査会が設けられております。臨時放送関係法制調査会と申しますが、ここでやはり民間の有識者に集まっていただきまして、慎重に検討を進めてもらっておりまするが、その結論が大体この夏ごろには出る予定になっております。六月ごろと考えておりまするが、ただいまの御意見の御趣旨につきましては、私からその調査会のほうにもお伝えをしまして、かような意見十分考慮に入れながら、法制調査会答申を出される場合にはぜひ考えてもらうように申したいと思います。その結果によりまして、かくかくの機関を置くことがいいじゃないかという意見調査会から出てまいりましたならば、その線に沿って実行に移してまいりたい、かように考えております。ただいまのお話で早ければ年度内にでも実行したらどうかというお話でございますが、せっかく調査会ができて、ここに諮問をしておりまする関係もありまするので、その答申が出てくるまでしばらく御猶予をいただきたいと思います。
  15. 田原春次

    田原分科員 しばらく政府のその答申待ちをまたわれわれも待って、また意見があれば申し上げたいと思います。  続いて、それに関連いたしますが、テレビ外国ものが出る場合、ときどき見ておりますと、圧倒的に米国ものが多いんですね。おそらくドイツフランスイギリスイタリアというようなものはまとまったものとしてはほとんど見られないようです。ニュースはあるようですけれどもね。しかし世界米国だけではないので、むしろ米国のほうのことはわりあいに新聞、それから映画等でもわかるのでありますが、わからない国のものをやはり紹介する必要があるのじゃないかと思うのです。たとえば米国のものでもベン・ケーシーとかドクター・キルデアなどといういいものもありますから、全然入れるなとは申しませんが、比率があまりにも一方に偏しているようですね。これは占領直後の虚脱状態の当時、まず米国ものが入ってきて、既得権実績かということでだんだん振り回されて、それに抵抗できずに、また米国は非常に商売がうまいものですから、次々売り込んできまずから、もうこの辺で一ぺん切りかえて、英語ものといいましてもイギリスものもありますし、それからソ連もの中国ものイタリア、スエーデン、フランスドイツばもとより、いろいろあります。劇ものにいたしましても、スポーツものにしても、あるいは文化科学ものにいたしましても、相当勉強になるものがあるのでありますから、特定のイデオロギーにこだわらず、ある意味においてはソ連中国のようなめったに見ることのできないようなものを見たらどうかと思うのです。したがいまして、これは希望になりますから、その答申を待って方針をきめる場合、一国に偏しないようにしよう、それから一つの、適当なことばでありませんが、演劇ものだけに偏せずに、あらゆる部門にわたって日本人の素養を高め、外国の正しい知識を得るようにしたらどうか、共産主義社会のものだから見ないということではなく、むしろキューバのものとかあるいは――東ヨーロッパ各国も相当テレビは進んでおります。私はほとんど一年おきソ連にも東ヨーロッパにも行っているのです。去年も柔道選手を連れてソ連に行っておりますし、アメリカのほうは、私はアメリカ学校を出たし、子供も孫もあちらにいるので一年おきに行っておりますが、両方見られるというのがテレビの特権だと思います。アメリカテレビを見ましても、共産主義は悪いということだけは盛んに言いますけれども、ソ連生活というものはわかりません。ソ連では全くアメリカのものはやりません。日本こそソ連圏あるいは自由主義圏の両方見られるのでありますから、どうぞ一つに片寄らずに、自主独立ということを日本の首相も盛んに言っておるように、プログラム編成にあたっても、外国ものを入れるにしましても、公平に、いながらに世界のあらゆるものを見られるようにしなければならぬ。私は諮問委員でも何でもないけれども、これは私は常に郵政大臣のほうに言うのでありますが、プログラム編成に対する勧告なり方針なりをきめる場合に、そういう心がまえでやるように、これは参考にしていただきたいと思うのですが、この考えはどうでしょうか。
  16. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまの御意見全くごもっともで、私も同感でございます。広い世界の中でよいものはどしどし取り上げて日本国民皆さんに見てもらうようにするということが最も大事なことではないかと考えております。したがいまして、さような御意見もよく承って、適当な機会に私から放送事業者の方、または調査会方々十分お伝えをして考慮を促すことにしたいと思います。
  17. 田原春次

    田原分科員 たいへんいい御方針のようで期待しております。それで輸出の面になりますと、従来の実績等アメリカものがすでに多く入ってきているし、アメリカものの商人が多いのでありますから自然入ってくる、そういうことになるのでありますが、ここで考えられることは、何という名前を使っていいか知らないが、同量交換主義というか、たとえば日本アメリカものを買う場合は日本のものを同本数だけ引き取らせる。そういうふうにすることによって、今度は逆にアメリカやその他の外国日本テレビを見る機会がある。日本テレビも、だじゃれの連発の喜劇ものなどあまりつまらぬと思います。スポーツとか、それからいい意味の古い演劇ものだとか、実写といいますか、記録といいますか、そういうものは存外出ると思いますから、したがって、公平に各国から輸入させると同時に、日本のものを各国にも必ず売り出すようにして、為替上の損失のないようにしてもらわないと困ると思います。この点は希望でありますけれども申し上げておいて私の質問を終わります。あとは大臣の次の機会における、どこまでやれるかという実績を見た上でまたもう一度申し上げたいと思います。
  18. 中井徳次郎

  19. 堀昌雄

    堀分科員 本日は電電公社関係の問題と郵政省予算関係の問題について少しお尋ねをいたしたいと思います。最初に電電公社の問題からお伺いをいたしますが、総論として公社の総裁にお尋ねをいたします。  公社が公文書によって一つの見解を発表した場合に、公社は、その公文書による見解については責任をはっきりととられますか。そのことからちょっとお伺いをしたいと思います。
  20. 大橋八郎

    ○大橋説明員 公文書で公社の見解を発表した以上は、むろん公社が責任を持って発表しておる次第であります。
  21. 堀昌雄

    堀分科員 そこで実は電電公社が臨時行政調査会からの照会に応じて、臨時行政調査会に対して報告をされている文書がございます。その中で少し確認をいたしたいと思いますけれども、「給与総額制度」という問題に対する報告でありますが、「予算上の給与総額を超えてはならないとされておるので、生産性の発揮に即応するような企業にふさわしい給与水準の実施が困難とならざるを得ない。またこれに加えて給与総額の決定は一般公務員との均衡を特に重視して行なわれる嫌いがあるので前述の困難性はより顕著となる。右のように企業経営上の重要問題である給与については、依然として強い拘束の下におかれたままとなっており、特に当初は自由であった基準内外給与の流用も昭和三十二年以降厳重に制限されることとなったので、拘束性は、益々強化されたものといわざるをえない。」こういうふうに述べておられるわけであります。ちょっと中を略しまして、「業績手当等について」ということにつきましては、「給与総額に関する制限を補う意味において業績手当(特別給与)、生産性向上協力手当等が認められてはいるが、後者は支給額がわずかであり、また前者はその支給の際の政府の認可が国家公務員ならびに他公社職員との比較を特に重視して行なわれる嫌いがあり、その結果、業績手当の支給により業績の実情に即応して信賞の実をあげ従業員の企業意欲を向上させるという企業として極めて当然のことが自主的に而も十分に行なわれないこととなっていると考えられる。」その次に、「基準内給与と基準外給与の流用について」「以上のような制限に加えて基準内外の流用も制限されているので、自主的に弾力性をもった措置をとることさえ困難であり、その結果職員の能率向上の意欲をさらに抑制する結果になっていると思われるので、前述と同様の理由からその制限は当然廃止されるべきものと考えられる。」その次に「労使紛争解決の自主的能力について」――ここのところを特によくお聞き願いたいのですが、「前述のような給与総額制度の存在によって労使紛争解決のための自主的能力を事実上奪われているため、公社における労使間の紛争は」云々というふうに報告をされておりますね。これは御確認いただけますか。
  22. 大橋八郎

    ○大橋説明員 これは臨時行政調査会から幾つかの項目につきまして公社の希望なり意見を求められましたそれに対する回答であります。一般に公表したものではございませんけれども、しかしこの回答については、むろん私どもの意見を申し述べておるわけであります。
  23. 堀昌雄

    堀分科員 そこで、もちろん公表された文書ではないでしょうが、行政調査会が出しておる文書でありますから、公文書であります。この中には確かにおっしゃる面が非常にはっきりあると私思うのです。これは郵政大臣特によくお聞きをいただきたいことなんですが、実は私も少し公社のいろいろな予算上の問題を調べてみました。どうも特別会計とほとんど区別がないような感じがいたしております。昨日予算の第一分科会で専売公社の問題を取り上げて、大蔵大臣との間で少し論議をいたしましたけれども、その点について、私はここに述べられておることはしごく当然のことだというふうに考えます。少なくとも電電公社が企業としてさらに能率をあげることが国民のためでもあり、これは特別会計その他から公社に変わった主たる目的ではないかというふうに私は考えておりますので、一面は私はそのとおりだと思うのであります。  そこで私は、この問題に関連をしまして、ちょっと公社のほうにお伺いをいたしておきたいのは、要するに「労使紛争解決のための自主的能力を事実上奪われている」というふうにこの中に断定がされておるわけです。これは確かに最初に公文書については公社の総裁は責任上これを確認してもらいたいというふうに伺ったわけですが、ここは思うとかなんとかでなく、「労使紛争解決のための自主的能力を事実上奪われている」というふうになっておるわけですね。だからこれは公式な見解としてお出しになったものだから間違いないと思いますから、そのように了解をいたしますが、よろしいですね。
  24. 大橋八郎

    ○大橋説明員 これは行政調査会で、御承知のとおり、目下各方面の現行制度について改革の調査をやっておられるわけでございます。その場合に、公社として望ましい点を実は意見として申し上げたのであります。
  25. 堀昌雄

    堀分科員 望ましい点をお書きになったのはわかる、だから私は、率直に言って公社の応援をしようと思っているわけです。公社の応援をしようと思っているけれども、ここの部分だけいまちょっと確認をしておりますのは、こういうふうにしてもらいたいとか、いろいろ願望の形で書かれておる部分はあるのですけれども、この点は非常にはっきり断定がされておるものですから、そこを私はいま確認をしたわけですが、総裁の御発言でも、これは公社として公式に確認をされたものと了解をいたします。そういうことになると、現在もいろいろと労働組合との間に交渉が行なわれておるだろうと思うのですが、どうもこの事実から見ると、自主的な交渉能力はないということを明らかにされておるものだと私は理解をいたしますので、この点は団体交渉という問題の中では非常に重要な見解を公式に確認をされたものと理解をいたします。  そこで今度は郵政大臣にお伺いをいたしますが、まさにいまの問題を除いては、確認をしたことは別に特に私にとっては重要なことではありませんが、この公社の予算のこういう問題について、予算総則の中で少なくとも基準内外の給与の流用は、昭和三十二年まで認められておったわけですね。それが三十二度以後認められなくなった。ここでいみじくも指摘をせられておるように、これは一体何によって起こっておるかというと、政府関係の職員との権衡というものが非常に大きな問題になって、おそらく流用が禁止をされたかっこうになっていると思いますが、こういう姿が、公社の側に立って大臣お考えになってみた場合には適当かどうか。少なくともあなた方のほうでは合理化をやっていこうといわれる段階においては、その合理化によって生じてくる生産性の付加価値の増加というものが、一部は加入者に、一部は職員に正当に還元をされるということは、合理化として当然のことではないかというふうに考えるのですが、そういうことはここで非常に大きくはばまれておる、私は公社の見解はもっともだと思うのですが、郵政大臣立場として、あなたが公社の監督官でもありますから、そういう意味でこれは一体どういうふうにお考えになるか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  26. 古池信三

    古池国務大臣 私は、公社が独立をして電信電話事業を専門に運営することになりまして、そのこと自体の目的としては、もちろんできるだけ自主的に運営して活動を活発ならしめて、国民によりよきサービスを提供するというところに主眼があったのではないかと考えておるのであります。したがいまして、監督官庁とは申しますが、できるだけこまかいことは干渉しないで、総裁以下の皆さんが十分にその手腕を発揮してやっていただきたい、こういう考えでおります。したがって、労使間の交渉等についても、私としては干渉あるいは容喙ということはすべきでない、こう考えて今日までやっておりません。ただ、しかし、給与関係というものを広く考えますと、御承知の三公社五現業、これらはいずれも公務員と大きな差のあることがいいか悪いか、これは非常に問題だろうと思いますけれども、こういうふうな公に奉仕する立場にある職員は、むろん生産性向上によってある程度の所得を確保するということは認めなければならぬかとも思いますが、しかし、これらの各事業の間に大きな格差が出るということになりますと、これは国全体の問題としてあまり好ましいことではないのではなかろうか、こんなふうに考えておる次第でございます。郵政事業におきましても、特別会計とは申しながら、たくさんあります特別会計の中で、ほんとうに事業をやっておるという意味から申しますと、非常な特異の存在でありまして、そういう意味からいえば、公社ともあまり違いはない、事業面から申せばそういうふうに考えられるのではないか、かように考えております。
  27. 堀昌雄

    堀分科員 私もその権衡を完全に失して、公社はどんどん好きなようにやってもいいということを言っておるわけではないのです。しかし、企業として公社を運営していこうということになるならば、やはりここに述べられておるように、一番企業の中で重大な問題というのは、職員がどのような気持ちで働くかという問題だと思うのです。これは何も公社に限らず、民間の企業も私は同じことだと思うんです。ですから、企業というのは、まさに従業員によって成り立っているわけですから、その従業員が働いたことに対して、その付加価値が幾らか返ってくるんだということでなければ、幾ら働いても要するにきまった給料しかもらえないんだということになれば、それじゃそう働かないできまったものだけもらいましょうかという消極的なことになるおそれも、率直に言いますとあるわけです。そこで、やはりまずその付加価値が正当に分配をされるということでなければ、企業としてのうま味というものはないんじゃないかと思う。そこで昭和三十二年まで流用が認められていて、それじゃ電電公社の職員の給与というのはそんなに高いかというと、並べてみてそんなに著しく相違があるとも思わないわけですね。だからそう考えてみると、少なくとも郵政大臣としては、大蔵省あるいは閣議にこういう問題について少し前向きの提案をしていただく必要があるんじゃないか、それでなければ公社にした意味が私はあまりないんじゃないかという感じがしてならないのですが、大臣はこの問題を閣議あるいは大蔵大臣との話し合いの中に持ち出される勇気があるかどうか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  28. 古池信三

    古池国務大臣 なかなかいまの問題はむずかしい問題だと思います。もちろん企業体である限りにおいては、働く人が大いに希望を持って、進んで仕事をするという気分を盛り上げるということは確かに大切だと思います。しかしながら、やはり公企業でありますから、一般民間の私企業とはよほど趣が違っておるのであって、生産性が向上したからその付加価値の分は、大部分働くほうの人たちが分けてよろしいというものでもないのではないか、やはりそういうことがもしあれば、ある程度は国民、公衆のほうにやはりそれを十分に配分するということも非常に大きいのではないかと思います。  それから先ほど申しましたように、郵便事業と電信電話事業というものは、これは通信事業として見ましたら全く一本のものでございます。たまたま形態が片一方は国の直接の事業であり、片一方は公社の事業であるということが違っておりますだけで、この両者の間には、仕事の性質からいいまして何ら変わりはないもの、こう考えまするので、やはりその間に、ある程度の調整をはかって不均衡のないように考えていかなければならぬのではないか、こんなふうに考えております。その辺でひとつ御了承いただきたいと思います。
  29. 堀昌雄

    堀分科員 どうもあまり答えになっていないのですが、これ以上時間がありませんので伺いません。  その次に、いま逓信委員会に出されておる電話設備の拡充に係る云々の特別措置に関する法律というのがありますね。そこで一体このためにいまの公社の予算の中に幾ら予算が計上されておるのか、予算金額とその対象者積算の基礎をちょっと伺いたいのです。
  30. 井田勝造

    ○井田説明員 明年度全国で改式等をやりまして、要員がその局で余りました場合には、これをほかの局に配置転換をいたしますとか、あるいはほかの職種に転換いたしますとか、そういうことをやるわけでございます。それで、そういうふうにできない者が千七百名ほどある。これを何とかしなければいけないわけでございますが、その千七百名のうち、九割はこの特別給付金を出すことによって円満に退職するということになるのではなかろうか、こういう想定のもとに千六百人余りでございますが、この対象人員につきまして、給与その他を勘案いたしまして、平均二十三万円余りでございますが、これをかけまして公社予算の中には三億八千九百万円の特別給付金という予算を計上しております。
  31. 堀昌雄

    堀分科員 そこで、私、ずっといろいろ拝見をしておりまして、ちょっとわからない点がありますので、二、三お伺いをいたしますが、いろいろと条件がついておりますね、その特別給付金がもらえる人は。法律の中で、「その者につき配置転換及び職種転換ができないか又は著しく困難であると認められる場合以外の場合」を除く、こういう非常に複雑な言い方になっています。  そこで、これまではこういう人はあったのでしょうか、なかったのでしょうか。今度来年からはこの給付金をもらえるわけですね。これまでもやはり電話の合理化をやってきたに相違ないんですが、これまではあったのかなかったのか。もしあったとしたら、一体三十八年は何人あったのかちょっと伺いたいと思います。
  32. 中山公平

    ○中山説明員 三十六年度までは電電公社の合理化による職員に関する限り大体配職転がうまくなされまして、このような例はなかったわけでございますが、もちろんこれは多少時期的あるいは場所的に若干の過員の上積みをして、それが一年間の減耗に見合うというようなことで処理をされておりまして、大体順調にいったのでございますが、三十七年度になりまして大体五百名ぐらいのものがどうしても配職転困難という事態がまいりました。それにつきましては、いま申しましたように増員の目当てが将来ある、あるいは減耗を見合いとして若干期間上積みをしておけば解消する、こういうことでやってまいりましたが、三十八年度以降になりますとなかなかそういうことになりにくくなってまいりまして、三十八年度においては、公社関係で約五百五十名のものがこの法律に該当するものとして出てくるであろう、こういう予測でございます。
  33. 堀昌雄

    堀分科員 いまお話を伺っておりますとどうもよくわからないのですが、三十六年まではまあ何とかやりくりをしてきた、しかしそれもやはり上積みがしてあったということは、要するにある程度の上積みというのか、あなたのほうは調整定員というのか何というのですか。
  34. 中山公平

    ○中山説明員 調整要員というものを持っておりまして、ある局で若干の期間上積みをしてありますと他の局では定員がきまっておりますから退職ができないというようなことで業務に支障がございますものですから、それを調整要員で採用ができるようにして業務に支障のないようにしていくということで、三十七年度以降そういう必要を生じましたので、この点は予算上も認めていただきまして処置をいたしております。
  35. 堀昌雄

    堀分科員 そうしますと、もう一ぺん伺っておきますが、上積みしてあるのと調整要員とはイコールだ、こういうふうに理解していいのですか。
  36. 井田勝造

    ○井田説明員 上積みという表現でございますが、結局、先生のおっしゃるとおりでございまして、三十七年度にこれが四百名、三十八年度に六百名、それから三十九年度には、これは今度の給付金が出てまいりましたので、それだけ二本立てでいくということになりましたので若干減りまして、三十九年度には三百七十九名でございますか、そういう数字になっております。
  37. 堀昌雄

    堀分科員 そうすると、最初のお話では、千五百三十名該当があるというふうな御答弁があったんですね。ところがこれはこれから法律ができることだから、そういうことに該当してきた人に適用するとこの法律の中にはなっていますから、三百七十九名分には該当するけれども、あと千二百人ほどは一体どこから出てくるのでしょうか。いまのお話をずっと聞いておりますとちょっとそれがよくわからないのですがね。
  38. 中井徳次郎

    中井主査代理 答弁は簡単に願います。
  39. 井田勝造

    ○井田説明員 正確な数字で申し上げます。残過員が千七百九十二名、このうち九〇%の千六百十三名が給付金の対象、残りの一割が百七十九名でございまして、これは調整要員として残る、こういう計算でございます。
  40. 堀昌雄

    堀分科員 ところが、私がいま、これまでの経過の中で千六百十三名に該当する部分の人はどのくらいありましたかと聞いたら、いま職員局長は三十六年までは何とかやりくりをして、要するに上積みに残してきた、調整要員として何とか弾力をつけてやってきた。ところが三十七年には五百人だ、こうおっしゃったのですが、いま経理局長のほうは四百人なのです。三十八年は五百五十名だ、こうおっしゃった。経理局長お話は六百名。ここらはその六百名でもいいのですが、三十九年は三百七十九名となると――大体この法律を読みますと、新しくそのときに合理化されて人間がいらなくなったときに何とかと非常にこまかいことが書いてあるのだけれども、過去における人はともかく、そういう該当者はあったけれども、要するに調整要員というかっこうその他のかっこうで何とかなっただろうと思うのです。あったかどうか。だから、私はいま伺っているのは、こういうことで退職をした人間というのは幾らかということを聞きたいわけなのです。どうもそこが、該当者と該当して退職した者との間には差があるわけですから、私はここで退職者のほうをあわせて聞いておきたいと思うのです。
  41. 井田勝造

    ○井田説明員 退職者のほうは職員局長のほうからお答えすることにいたしまして、前段のことをお答えいたしたいと思いますが、予算のたてまえで申しますと、三十六年度まではどうにか調整定員というものを設けなくて措置ができた。三十七年度からは調整要員といったようなものを設けないとどうにもできなくなった。そこで私が申し上げました数字と職員局長から申し上げました数字の食い違いでございますが、この予算の要員というのは単人員ではございませんでして、この四百人に十二カ月ということで金を積算をしておるわけでございます。したがいまして、年度当初には六百人くらいございましたのが、だんだん減りまして、そういった平均でございますから、そこに数字の食い違いがございます。退職者の数はちょっといま私にはわかりません。
  42. 中山公平

    ○中山説明員 お尋ねの退職者の数でございますが、自動化に伴って退職手当法五条の適用に該当した者の数が、三十七年度二百十六名、三十六年度二百十九名、三十五年度は百五十四名、三十四年度は百四名、三十三年度は九十名、こういうことになっております。
  43. 堀昌雄

    堀分科員 そうすると、これまでの経過から見れば、合理化によって退職した人は三十七年を例にとると二百十六人。しかし予算措置としては四百人、実質的に五百人という調整定員のほうへいった。そこで一応弾力をつけてやってきた。だから今度はいまのお話では三百七十九名というのは、これは調整定員ではなくて、百七十九名がどうも調整要員のように感じるのですが、三百七十九名というのは、そうすると三十九年度は何に当たりますか。
  44. 井田勝造

    ○井田説明員 いままでのとおりの手法でいきますと、この千七百九十二名が調整定員になるわけでございます。それで三十八年度に六百名ということを申し上げましたが、これはこういうことになっております。三十七年度の四百名のうち半分は三十七年度中にやめていきまして、二百名が三十八年度に持ち越される、三十八年度に新たに四百名が発生する、こういうことで六百名になっておるわけでございます。そうしますと三十九年度には三十七年度の分はゼロになりまして、三十八年度の分が二百名になります。その二百名と、この千七百九十二名、これを足した千九百九十二名が調整要員の対象になるはずなのでございますが、それは給付金で救済される、こういうことになるわけでございます。
  45. 堀昌雄

    堀分科員 よくわかりました。そこでこの経過を見ておりますと、実際はこんなにここで一ぺんに退職者を予想する必要はないのじゃないか。これまでもやってこられたわけだし、おまけに予算上七千何人の増員を皆さんのほうは要求しておられるわけですね。だから、やめる人とやる人とのバランスが非常に狭いなら別ですが、七千人でこの程度ということなら、私はやはりもうちょっと調整の処理ができるのではないか――これは時間がありませんから議論はしませんが、そういう感じがします。  そこで私は、この問題を見ていてちょっとわからないのは、自発的な退職者の問題です。それを認定というのは、公社が一方的にするようになっていますが、認定というものは非常に私は問題があると思うのですね。困難であるということは、要するに本人のほうが困難であるということを認めるのか、公社のほうが困難であると認定をするのか、これで私は非常に重大な問題が残ってくると思うのです。一体この認定については――これまでのいろいろな関係を見ておりましても、ここに書いてあるように、配置転換及び職種転換ができるかできないかという問題も、私はこれは多分に公社側としての恣意的な判断にゆだねられておるし、著しく困難であると認めるなどに至っては、私はこれは非常に認定上の恣意的な判断が入ってくると思います。きょうは時間がありませんから、次にまた合同審査等があればそのときに詳しく伺いますけれども、どうも私はこの問題については、いろいろな点で疑義があるという点を少し明らかにしておきたいと思います。  その次にお伺いをしておきたいのは、今度はちょっと角度は違いますが、電話の収入の中に未収金という項目があって、本年は一億二千万円というものがあると思いますが、そこで、未収入金の問題は、時間がありませんから、少し調べてみたところが、警察との関係における未収金というものが非常にたくさん残っているということがわかりました。しかしこれは一般会計との間のやりくりで処理がされておるということで、これはもうたびたび論議をされておるようでありますから触れませんが、現在なおかつ六カ月以上の長期にわたるそういう電話料未収金というものがあると思いますが、それについて、どういうところか――その個々の企業名その他はお話しにならなくてけっこうです、どういう業態のところにそういう未収金が残っておるのかをお答えを願いたい。
  46. 井田勝造

    ○井田説明員 一番最近の決算で出ました十二月末の未収金をあげますと、これが二百十五億でございまして、そのうち六カ月以上経過したものが十九億でございます。このうち十七億七千万、これがいま先生のお話しの警察の専用電話関係でございまして、残りますものは非常にばらばらとあるのでございますが、おもなものを申し上げますると、一般の電話収入で六千万円、それから電信収入で三百万円、電話専用料で百二十万円、それから雑収入で六千八百万円、こういうことになっておるわけなのでございます。この内訳につきましては、業種別にこれは全国から調べなければいけませんので、手元に東京関係なんか一部わかりましたのですが、もう各業種雑然と一ぱいございまして、なかなか分類に苦しむような状況でございます。
  47. 堀昌雄

    堀分科員 六千万円、雑多なものが未収入になっておるということですね。ところが一般の加入者が電話料を支払わないと、大体三週間もすると電話をとめられてしまいますね、とめられて話ができない。電話が六千万円滞納している、この六千万円滞納分についてはとまっているのでしょうか、その点ちょっと明らかにしていただきたい。
  48. 井田勝造

    ○井田説明員 とまっておりません。
  49. 堀昌雄

    堀分科員 普通の一般の加入者の場合にはとめて、いまの雑多か何か知りませんが、この六千万円の滞納分はとめないというのは、どういう理由でしょうか。
  50. 米沢滋

    ○米沢説明員 この問題につきましては、一般の加入電話につきましては、発信をとめましても着信のほうは入ってくる。専用線のほうはそれが両方切れてしまうという関係で、主として専用線の場合はとめられないということになっております。
  51. 堀昌雄

    堀分科員 私、専用線は聞いてないのです。六千万円という一般のほうだけを聞いているのです。専用線百二十万円ですからね。
  52. 井田勝造

    ○井田説明員 ちょっと私、みなとまってないようなお答えをいたしましたが、これは間違いでございます。結局これを分析いたしますと、会社が倒産をいたしまして、そうしてそれの清算に入っておるとか、個人が行方不明であるとか、そういうものが相当多いのでございまして、そういうものにつきましては、これはもう当然とまっておるわけでございます。
  53. 堀昌雄

    堀分科員 相当多いとか、いやに抽象的ですが、これは私は非常に国民の権利に関する問題ですから、そこで電話をとめるという根拠法は一体何でしょうかね、法律のあれで何ページとちょっと言ってください。
  54. 千代健

    ○千代説明員 公衆電気通信法第四十二条でございます。
  55. 堀昌雄

    堀分科員 ページで何ページですか、この法令集の。
  56. 千代健

    ○千代説明員 十一月三十日付でございましょうか。
  57. 堀昌雄

    堀分科員 そうです。
  58. 千代健

    ○千代説明員 三百六十二ページであります。
  59. 堀昌雄

    堀分科員 読んでください。
  60. 千代健

    ○千代説明員 「公社は、加入電話加入者が左の各号の一に該当するときは、六月以内の期間を定めてその加入電話の通話を停止し、又は加入電話加入契約を解除することができる。一この法律の規定に違反したとき。二電話に関する公社の業務の遂行又は公社の電気通信設備に著しい支障を及ぼし、又は及ぼすおそれがある行為であつて、郵政省令で定めるものをしたとき。」
  61. 堀昌雄

    堀分科員 もういいです。なるほど、ここにはおそらくいろいろな規定の中で、違反をしたら停止をすることができると、こう書いてありますね。停止をすることができるというのは、国民全般に対して公平、平等に行なわれなければならないと思うのに、一般の加入者の場合には大体二十日したら皆さん方とめているでしょう。企業のほうは、伺ったところによると五十日間猶予がある。企業と個人の差があって、五十日の猶予はいいと思うのですが、五十日たったら、公平の原則に従ってとめるものはとめるべきじゃありませんか。さっきの会社が清算中とかなんとかいうのは、私は例外のほうだと思うのですが、これは私は非常に重要な問題ですから、この六千万円は全国を一ぺん調べていただいて、これは来年私予算委員会でもう一ぺんやらしてもらいますから、正確な資料を私は要求をいたします。これは国民の公平の原則に非常にもとる行為だと思いますので、本日はここまでにとどめておきますけれども、その点はひとつ御検討願って、来年の予算委員会において論議をいたしますから、それまでにそういう不公平なことがやめられればけっこうです。六千万円はとうとう取れなかっということで落ちるのならけっこうですが、いまのお話の中で、すでに問題があるのはもっとあるだろうということです。六カ月以上のものがこれですから、いまの皆さんのほうは電話料の請求書を出して、入るまでに多少事務的な一カ月や一カ月半の問題の処理はあると思うのですが、私はもうちょっとこまかく伺うならば、二カ月以上六カ月までの滞納分でこういうのは一体幾らあるか、これはお調べになっているかどうかわからないですけれども、わかるならばいま答えてください。私はもっとあるのだろうと思います。
  62. 井田勝造

    ○井田説明員 いま手元に資料がございません。
  63. 堀昌雄

    堀分科員 それではひとつ私の手もとに、今後早急にお調べを願って、少なくとも二カ月以後の未収の対象は全部一ぺん出していただきたいと思います。これは公平にやらなければ――そうすると、片一方もとめないようにするが、一般のほうもとめないようにするのか、とめるのなら全部とめるということに、ひとつこれは確認をしておいていただきたいと思いますので、これは一ぺん資料を要求いたします。  それから電電公社関係で最後にもう一つ、私非常に問題を感じておりますのは、電話がなかなかつかないために、一般の加入者は非常に困っております。電話の積滞数については、私が申し上げるまでもなく、これはすべてみな国民が知っておるわけですね。そこで資料を拝見いたしますと、現在の積滞数は百二十万ぐらい三十八年十二月現在であることになっております。そこでその積滞数の問題に関連して、電話は申し込んでも優先順位があって、早くつくものとあと回しになるものとがありますね。時間がありませんから、簡単にひとつ順位を追って答えてください。
  64. 千代健

    ○千代説明員 優先設置順位というものを定めまして、その順位によってやっておるわけでございますが、先生御案内のように、一つの局が自動式に変わりますと、その局では非常に低順位のものがございましても――片一方収容余力がございません主として自動式にならない局は、高順位のものまでそこにたまっておる、こういうような現状でございますが、その順位を申し上げますと、優先設置順位を定めることは郵政大臣の御認可を得てやるようになっております。それによりまして第一から第六順位まで定めまして、その順序によってやっておる、こういう次第でございます。
  65. 堀昌雄

    堀分科員 何か昨日同僚議員からこの論議はされておるそうですから、時間がありませんので簡単に私のほうから申し上げておきますけれども、私どもはこの優先順位の中の第一の項目は「業務の遂行上必要と認められるもので、事務所もしくは事業所および極めて公共性の強い電話の申込。」 とこういうことになっておりますね。そしてこの事業所にやはり人数の関係が制限をされて、事務所ならば十五人以上、事業所ならば三十人以上というのは第一に入るけれども、今度はそれでないのはがさっと落ちて第四順位になっている。まさに大企業優先というか、企業であるならばそれは一人、二人のところは個人とみなしてもいいけれども、事務所で十五人以上と十五人以下で区切るなんというのは、どうも適当でないのではないかという感じがいたします。第二点は、同じように第一順位の中ではこういう表現になっておりますと、――私は医者ですが、医療というのは第一順位に入るのですが、弁護士というような職業の方も相当公共性があって重要だと思いますが、弁護士というのは第一順位に入るのかどうか。それから地方に県会なり市会に議員がおりますね。これも公共の事業に携わっておりますから、私は公共性の強いものだと思いますが、地方議員というのは一体この第一順位の公共性の高いものに入るのか入らないのか、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  66. 千代健

    ○千代説明員 現在弁護士というのは第一順位に入っておりません。それから先ほどの地方公共団体のほう、これも入っておりません。
  67. 堀昌雄

    堀分科員 これが入りませんと、こういう人たちは一ぺんに第五順位に飛んでしまうわけですね。この中には何もないのだからね。第五順位になりますと、皆さんの資料で拝見いたしますと大体二年以上かからなければつかないんですね。長さもいろいろでしょうが、この資料で客観的に判断してみると、第三順位まではおおむね販売数のほうが積滞数をこえておりますから、一年以内につく可能性はある。これは総括的な問題ですから、地域によって多少違いがあります。ところが、第五順位以下になるとその比率は著しく変わってきて、第五順位では三十二万三千九百八、これは三十七年度の実績だそうでありますが、三十二万三千九百八残っているのに、実際十六万四千しかついていないのですから、少なくともその年度のうちには半分しかつかない。どっちにしてもそうなるわけです。それは積滞数の残額のほうを見れば非常に明らかでありまして、第四順位というのが四二・三%、第五順位以下が四八・二%、だから第五順位以下というものが半分も残っているというのは、いまのこの順位の関係で残っているわけですね。だからこれは、公共性の強いか弱いかという判断をもう少し弾力的にする必要があるのではないか。  もう一つ私がこういう規定で非常におかしいと思うのは、会社の従業員の家に会社が電話をつけるときは早くつく。ところが、その人が同じポストにいながら個人で申し込んだらもう第五順位になってしまう。会社で電話をつけたらどういうことが起こるかというと、たとえば会社の経理部長の家だというので電話をつける、経理部長が業務部長にかわったら経理部長の電話はなくなってしまうから、さっそくその人は困ってしまうということになるので、ここらについても非常に弾力のない措置がとられているし、率直に言って、この制度はまさに大企業優先の制度ですね。私は、国民のための電話という考え方をもう少しこの中に一本貫いてもらいたいと思いますが、公社の総裁どうですか、姿勢の問題として。
  68. 大橋八郎

    ○大橋説明員 優先順位についてはいろいろいままでも意見を聞いたことはあります。ところが、前にきめたものを今日まで手を触れずにきているわけでありまして、今日の時勢に合わない点もあろうかと思います。至急よく調査をいたしまして、是正すべき点があれば是正したいと考えております。
  69. 堀昌雄

    堀分科員 それでは、時間もあまりないようでございますから、電電公社の問題はいまの――昨日議論か出ているかどうか知りませんが、いまの加入についてもう一つだけ伺っておきたいのですが、公社の予算を調べておりますと、これまで特急通話、至急通話、あるいは待時通話というようなものがたくさんあって、その収入が一時は電話料金の三〇%に達した時代もあったという説明を聞いております。ところが、自動化に伴ってそういうものはどんどんなくなりましたから、そういうものを払っておったのはどこが払っておったかというと、おおむね大きな企業が仕事の性質上特急なり至急報でかけてたくさんそういう電話料を負担する。合理化に伴ってダイヤル通話になってそういう収入がなくなったわけです。なくなったということは、同じ電話料金でかけられることになって、大企業側の人は電話料を非常に節約されておると思う。最近の電話料の収入の状態は、こまかく分析してみればこの事実は間違いない。加入をして電話がつくのも早いし、合理化をして電話料も総体として減ってきているという問題が、大企業というか、第一順位の中には非常にたくさんある。そこで私は、昨日話になったかもしれませんが、ずいぶん長く待たされておる一般加入者の債券負担は、少なくとも他の優先順位にあるものとは少し差額を設けたらどうかという感じがする。少なくとも大企業の負担能力のあるところ、そういうふうに市外通話料金その他がダイヤル通話になって電話料金が非常に合理化をされたところは、加入するのに三十万、五十万出したってちっともかまわないのじゃないか。零細な市民は長いこと置いてきぼりで待たされて、大会社と同じように十五万円の債券を買わされるというのはまことに不公平じゃないかという感じがするのですが、ここらは、そういう非常にたくさん残っておる地帯――大体加入債券は大都市、中都市、小都市と金額によって差がついていて、電話がないのは大体大都市だから、大都市における一般加入者の債券負担額は、こんなうしろの順位なんだからもうちょっと下げて、それをこっちへ上積みするというふうに考えることはできないのかどうか。これも非常に政治的な問題ですから、公社の総裁から、そういう考え方を今後検討されるかどうか、ちょっとお答えを願いたい。
  70. 大橋八郎

    ○大橋説明員 ただちょっと見て感じで差別をつけるということは、これは公平の問題としてよほど慎重に考えないと、すぐここでそうやったほうがいいというまでの結論には達しにくいと思います。十分ひとつ研究させていただきます。
  71. 堀昌雄

    堀分科員 それでは以上で電電公社の問題を終わりまして、郵政大臣に郵便局の局舎建設の問題をちょっと一言だけお伺いをしておきたい。  実は郵便局の建築の予算を拝見いたしておりますと、どうも私納得のできない点が一つあるわけです。年末に大蔵委員会にお越しを願って、ちょっと簡易保険の転貸し問題の論議をさしていただきました。そのときに郵政大臣から、毎年百局くらいは特定郵便局も国の費用で建てていくというお話がございまして、私もそういう点はもっと広げられるべきだと考えておりましたけれども、ちょっとこの資料を拝見いたしますと、局舎その他の建設費というのは昭和三十五年度は五十億七千四百万円でございましたのが、三十九年度は百億に、ちょうど倍になりました。局舎建設について費用がふえたことは、私たいへんけっこうだと思うのであります。ところが、その中身はどういうことになっておるかといいますと、郵便局舎の建設費というのは、最初の二十八億から七十一億へ約二・五倍にふえておるわけです。ところが特定局舎のお話になった国有局舎の新設はこの間わずか一・三倍にしかなっていない。局舎の数は昭和三十五年は二百三十四局、三十六年は二百三十五局も予算としてとっておられたのが、三十八年は百七十局になり、本年は少しふえて百九十局ということで、まことにどうもこれは前向きに問題が取り上げられていないという感じがいたします。この点この前大臣も少し前向きに検討しようというお約束があったのですが、来年度以降これは予算上の措置としてはもう少し大幅にやっていかなければ、問題はなかなか解決しないのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  72. 古池信三

    古池国務大臣 ただいま御指摘のとおり、この統計の過去の数字を見ますと、普通局の新増築に要します予算は、この五年間に相当な率でふえていることは事実でございます。それに比較いたしますと、確かに特定局のほうの予算の増加の割合というものは普通局よりは少ないということも事実でございまして、これについてはいろいろこうなった理由はあると思います。ここで時間の関係で詳しいことは申し上げませんが、まずその大きな問題は、最近東京をはじめといたしまして都市部が異常な発展を遂げてきております。そういうところには多く集配の大きな普通局がございます。したがって、まずとりあえずそういう方面に力を入れて新築なり増築をいたした、かように予算がふえてきたその大きな原因はそういうところにあろうと思います。  そこで特定局のほうは確かに局数は三十五年度、六年度に比べますと減っております。減っておりますが、これは予算の額からいいますと若干ながらふえてきまして、三十五年ごろは六億程度であったものが、三十九年度は八億になっておる、こういうことになっておりまして、母数の多いのは、おそらくその時分はまず小さなものから手がけてきたために、数が多くなったのだろうと思います。しかし私もこれで決して満足すべきものだとは思っておりません。三十九年度の予算編成が終わりましたからしかたありませんけれども、四十年度からは相当大幅にこれは広げていきたい、私はさように考えております。
  73. 堀昌雄

    堀分科員 それで私ちょっとこの間、国有局舎になった特定郵便局というのは特定郵便局でなくなるのかと思っていましたら、やはり特定郵便局だ。そうすると、国営局舎になった特定郵便局と家を貸している特定郵便局と、特定郵便局の中で二通りの問題が出てくるわけです。ところが、どうも任用その他の関係には区別がないんじゃないかと思うのですが、ここは区別があるのでしょうか。
  74. 古池信三

    古池国務大臣 先般も申し上げたかと思いますが、特定局長の選考、任用の制度と局舎の所有者がどこにあるかという問題とは、私ども全然別個に考えておりますから、たとえ局舎が国有のものであろうと、あるいは私有のものであろうと、特定局長としての任用につきましては同一の基準方法で行なっておるわけであります。
  75. 堀昌雄

    堀分科員 ちょっと私、率直に言いますとそれは理解しにくい。特定局の沿革から見ましても、局舎を借りているということは、確かに郵政側としてその人に対して、負い目というほどのこともないですが、やはり優位の関係からするとお願いしたという関係があると思うのです。しかし国有局舎になったら何もお願いするんじゃなくて、今度は対等だと思うのです。お願いしておるものと対等なものとが同じルールで任用されるということについては、私はちょっと疑義がありますが、それはあとに問題を残しておきます。  ただ一つ、この間時間がなくて、関係者もおいでにならなかったんであれですが、今度のこの問題は、地方自治体が起債に関する決議をしないと、皆さんの通達実施ができませんね。そこで地方自治体が決議をしなかったら皆さん方どうするかというのをちょっとここで伺っておきたい。
  76. 古池信三

    古池国務大臣 これは地方債として簡易保険の積み立て金を借りるわけでありますから、地方議会の議決がなければ当然その起債は成り立たないわけでありますから、この問題の処理は、当初の方針どおり、その分についてはできないわけでございます。
  77. 堀昌雄

    堀分科員 そこで、あるところの知事が、どうもこれはルールとして適当でない――ルールとして適当でないということは、この間大蔵委員会で私が申し上げたように、要するに地方自治体がこういうかっこうで個人に金を貸し付けておるのは、東京都の水洗便所改良資金、これが一年間ですか二年間ですか、年利九分で貸している。あとは公営質屋に貸しているだけで、その例を見ないというのはこの間明らかになっておりまして、まさに地方自治体としては望ましくない起債だろうと思います。そこである地方の知事等がこういうことはやりたくないんだということを言っている人もある。名前は申しませんが、事実ある。その場合に郵政のほうでは――いろいろとその他に地方自治体が簡保資金その他で起債をするものがあるという関係で、いろいろとどうも地方自治体に圧力がかかってくるやにも実は承っておるわけですが、郵政省側としては、そういう地方自治体の自主的な権利を侵害するようなことは、私は万々なさる意思はないと思いますが、その点をちょっと確認しておきたい。
  78. 古池信三

    古池国務大臣 もとより知事さんなりあるいは地方議会の独自の御判断でなさることでありまして、それが原因になって私のほうで特別な扱いをする、そういうふうな考えは毛頭ございません。
  79. 堀昌雄

    堀分科員 終わります。
  80. 中井徳次郎

  81. 安宅常彦

    安宅分科員 電電公社の担当者どなたでもいいのですが、電信事業の赤字というのが累年ずっと出てきて、非常に困っておるのじゃないかと思うのですが、三十八年度の予想の電信事業に関する限りの積算した赤字というのはどれくらいになる予定か、ちょっとお伺いいたします。
  82. 井田勝造

    ○井田説明員 三十七年度が二百十一億の赤字でございますので、三十八年度はこれより一割方はふえるものと考えております。
  83. 安宅常彦

    安宅分科員 電信事業がそういうふうな状態の中で、何かこのごろ公社はあせっておるのかどうか知りませんが、いろいろなことをやる。いろいろなことをやるのはいいのです。もうかるものは私らも黙っていますけれども、損を覚悟でやる場合があり過ぎるような気がします。そのうちの一つで、三十五年の総選挙のときに、電電公社が、便宜措置か何か知りません、どういう法律に基づいてやったのかわかりませんが、代議士をしておって、そうして解散になった、解散よろしく頼むという電報を、みなたいへん打つのです。私らは金がないから一通も出しません。ところが、新しく出る人は、解散よろしく頼むなんという電報を打ったってどうにもならない。当時現職であった議員がそういうものを出すわけです。しかも金のある連中が出す。何千通と出す。こういうときに、たとえば私は山形でありますが、山形から電報を出しても、国会で発信したように見せかけ得るところの便宜措置が行なわれた。これは公衆電気通信法第何条に基づいてああいう措置をおとりになったのか。ちょっとそれからお伺いいたします。
  84. 水谷七代

    ○水谷説明員 お答え申し上げます。  三十五年の解散の際に、お話のありましたような措置を実はしたのでございますが、御承知のように解散の際に非常に多数の電報が発信されまして、その電報を疎通することが実はたいへんなことでございます。また、その他の一般の電報の疎通にも混乱を生ずるおそれがございますので、通信疎通確保にあたりましていろいろな措置をするわけでありますが、あのときの状態では、実は地方で、東京へ行って打つのがほんとうだが、何かそういう便宜の方法を講じてもらえないかというような話がありまして、疎通を確保する意味で、異例な措置でございましたが、国会内の電報局にかわりまして受付処理をするというたてまえで、そういう措置をした事例がございます。
  85. 安宅常彦

    安宅分科員 第何条によってやったか。
  86. 水谷七代

    ○水谷説明員 これは実は法律あるいは規則の根拠に基づきませんで、そういった異例の繁忙時における特別措置として実施したわけでございます。
  87. 安宅常彦

    安宅分科員 そういうでたらめなことをやって、そうして電報をいきなり出されて、一通三十円か四十円で受け付けて、今度は配達するときには、配達をしかねちゃってうろうろして、ハイヤーで運んでみたり、回線では発信できないものですから汽車で運んでみたりして、それで大赤字を出したのじゃないかと私は思うのです。ところが、それはなぜやったか。法律に基づかないであなたのほうではやった。こんなことを電電公社はやれるのでしょうかね。どうでしょうか。やったのだからやれたのでしょうけれども、法律に基づかないでやったということについて責任を感じませんか。
  88. 水谷七代

    ○水谷説明員 こういった解散の場合のように一時に数十万といった電報が出るような場合でございまして、電報の疎通を確保する意味で、やむを得ずやった措置でございます。
  89. 安宅常彦

    安宅分科員 公衆電気通信法には、そういう法律に基づかないでやる場合には試行の制度がある。わざわざ法律改正して、いわゆる試行という制度がある。そういう手続も経ずしてやったということについて、あなたはどういうふうに考えておりますか。
  90. 水谷七代

    ○水谷説明員 こういったきわめて多数の電報が一時に出るようなケースはきわめてまれな事態でございますので、従来営業規則にそういった特殊取り扱い制度というものは設けてないのでございますが、部内各局に対しましては、こういった一ぺんにたくさんの電報が出るときには、いろいろなそういう疎通確保をするための措置をするような通達を出しておりまして、それによっておるわけでございます。  なお、つけ加えますが、三十五年にやむを得ずそういう措置をいたしましたが、前回の解散のときは、事前の手配によりましてどうにか疎通確保のめどが立ちましたので、そういうことを実は中止いたしております。
  91. 安宅常彦

    安宅分科員 私は電電公社出身ですから、同じかまのめしを食った一人として、委員会でそんなものを取り上げたって顔をつぶすばかりだと思ったから、ちょっとおどかしただけで、あれはたいしたことでなくて済んだのです。それでやめるかと思ったら、それに似たようなことを三十八年にまたやっておるから、少し私は頭にきておるんですがね。  それではこれは大臣にお伺いします。政治的な問題です。  あなたは政治家という立場で、規則、規定とか、法律とか、そういうことを抜きにして、これは私も俗な質問をするのですから俗な答弁でいいのですが、公職選挙法では電話で選挙運動をしてもいいことになっていますね。電報でやっちゃいけないことになっているでしょう。ところが、それは解散と同時に出す電報ですから、解散よろしく頼むという電報です。よろしく頼むといったら、選挙よろしく頼むで、わたしのかあちゃん、からだが悪いからよろしく頼むなんという電報じゃない。解散よろしく頼むといったら、選挙よろしく頼むという電報ですよ。これは明らかに電報でもってやる事前運動ではないですか。こういうことについて、常識的に考えて私はそう思うのですが、大臣どう思いますか。
  92. 古池信三

    古池国務大臣 これはなかなかむずかしい問題です。いままで選挙法の改正の特別委員会がしょっちゅう開かれて、いろいろな面において大きな問題からこまかい問題まで論議されておるわけですけれども、この解散のあとか先か知りませんが、その瞬間といいましょうか、よろしく頼むというふうな電報が多数出る事実は、もう国会議員である以上皆さん承知のわけなんですが、それでありながらいままで問題にされないということは、やはりこれは選挙違反じゃない、こういう点で問題にならなかったものだと、政治的にさように私は解釈しております。
  93. 安宅常彦

    安宅分科員 まあ俗な質問をして、俗な答弁をしろと言ったから、俗な答弁をしたと思うのですがね。これは明らかに選挙違反ですよ。ただ取り締まりが、金を使う人があまり多過ぎて、買収、供応、もう腐敗堕落その極に達しているから、そっちのほうばかりやって、検察陣は手がこっちのほうに回らないから、いまのところかんべんしてもらっているみたいなものでありまして、明らかにこれは事前運動です。そういう事前運動のやり方に対して、電電公社が法律に基づかないでサービスを提供するなんというべらぼうなことをやろうというのは、大体私は不届き千万だと思うのですよ。そして現議員優先主義である。新しく立つ人はひどい目にあう。現議員であった私でも今度は金がないからひどい目にあった。一通も出せません。(笑声)あなたは笑っているけれども、あなたは出したほうだろう。とにかくそういうことを電電公社は絶対にやってはならぬと私は思うのです。この前の、三十五年の次の選挙においてどういうふうにこれを直したのか。あなたは中止したと言いましたが、普通一般の電報の受付とほんとうに同様な取り扱いをしたのか。幾らかでも違った取り扱いをしなかったか。それをもう一回答弁してください。
  94. 水谷七代

    ○水谷説明員 先ほど申し上げましたように、解散のときに限りませんが、非常にたくさん電報をいっときにお出しになるような場合には、受付処理につきましても、あるいは電送処理等すべてにわたりまして、いろいろな便法と申しますか、便宜の措置を講じておるわけであります。その一般通達をしておるあれによりますと、先ほど申し上げましたように、三十五年にやりました地方の局で打ったものを国会の発信とすることはやめました。その他の点については三十五年及び三十八年大体同様でございます。
  95. 安宅常彦

    安宅分科員 それでは、たとえばこういうことがあり得るのです。私が青森なら青森におったといたします。それで山形県で、大きな選挙、地方選挙でもいいですが、選挙が行なわれて、予定されたこと、たとえば大集会がある、こういうふうな場合に、私が青森から電報を出そうとするときに、あのやろう青森まで来ていて、電報でごまかしたなと言われたくないものですから、国会から出したことにしてくれと言ったとしても、三十五年以降三十八年までの間、あなたは受け付けなかったでしょうね。それが一つ。  それからもう一つは、今度は国会から出したことにはしなかったけれども、あとは全部同じにしました。たとえばこういうことがあるのですよ。解散がいつかわからない。あのときは大体二十三日とわかったが、午後何時何十分ぐらいになるかわからない。しかしそれで出しておく。そしてどんどん電報を受け付けておるのです。山形だったら山形で受け付けておく。そして今度解散になったら、大体六時ごろ受け付けたことにしてくれ、ああそうですかと言って電報局は虚偽の受付時刻を書いて受け付けているでしょう。ではそんなことは公衆電気通信法の第何条にありますか。
  96. 水谷七代

    ○水谷説明員 第一点の、違う局で発信したことにすることにつきましては、三十五年の解散のときにやむを得ずやった措置でありまして、その後実はやっておりませんから、どういう場合がありましてもやっていないと思います。  それから、第二点につきましては、先ほど申し上げましたように、非常にたくさんの電報が出まして――そのときには事前に国会の局に発信の方が来まして、たくさんの頼信紙の要望があったりいたしまして、大口の発信をされそうな人はわかっておりますので、そういう方々に対しまして、できるだけ早く出していただきまして、受付事務処理等を事前に準備を進めたわけでございます。発信人の御意向をそんたくいたしまして、打ち合わせをいたしまして、解散の直後の時間を受付時刻にするというきわめて特別な措置でございますが、疎通を確保するためにやむを得ずそういうことをやったわけであります。
  97. 安宅常彦

    安宅分科員 疎通を確保するためにやったと言いますが、一日、二日ずれて出すばかはいないのですから、受付時刻はみな一緒になりますよ。受付時刻をその人の恣意のままに記載させるということをやっても、電報の疎通状況には一向影響はないはずであります。そういう理由は私は立たないと思います。  それから、大体出す人はわかっておりますから、その人におすすめを申し上げて、そうしてそういう制度がありますということをあなはた通知したと言いますが、私は、安宅常彦君は出さないと思ったのでしょうね。何もこなかったのですがね。そういうでたらめな差別をつけて、そうして選挙運動に有利ならしめるような行動をあなたのほうはまだとっているのですよ。こんなことはやめてもらわなければ困る。そのために電電公社がもうかるのだったら、私は電電公社出身ですから、涙をのんで目をつぶります。けれども、それによって電電公社の末端の職員は繁忙に困り、配達要員はいない、課長から局長から全部電報配達、電報なんか普通の日にはこない山の奥までみな電報がきまずから、そういうところまでみな配達しなければならないから、ハイヤーに乗ってみたり、電車に乗ってみたり、汽車に乗ってみたり、バスに乗ってみたり、局の中はからになってしまう。こういうことがわかっておって、まだこういう制度をやっておるのですか。そういうことはわからなかったのですか。  まず疎通確保には、受付時刻を思うままに記載されても全然影響がないはずです。しかも解散と同時にいたしますということを言っておかないで、その差し出し予定者から何時何分にしてくれという電話一本で、受付時刻を書かせるような制度にしておる。こういうことは公衆電気通信法の第何条にあるのかということが一つ。それから、疎通状況を理由にしてあなたは答弁ししたけれども、そういう影響はないはずだという私の質問に対する反論と、二つ答えてください。
  98. 水谷七代

    ○水谷説明員 周知の点につきましては、先ほど私のことばが足らなかったのですが、国会内の局におきまして、局員を動員いたしまして、各議員会館を回りまして、漏れなく周知いたしましたり、あるいは各政党の事務局にもお願いして周知をお願いしたり、さらにそれを補足する意味で、先ほど申しましたような電話で、もしお出しになるのならなるべく早く出していただきたいということをやったわけでございます。それから、時間の問題は、実は事前に電報をお預かりいたしまして、受付事務処理を進めておいて、解散という事実が発生した時点において受け付けたたてまえにするという便宜の措置でございます。これは、先ほど来申し上げておりますように、法規に根拠はございませんが、こういった異例のケースの場合のやむを得ない処置としてやったわけでございます。
  99. 安宅常彦

    安宅分科員 各政党、各議員全部におすすめを申し上げたと言いますが、私にはきませんでした。各政党というとどことどこへいきました。
  100. 水谷七代

    ○水谷説明員 自由民主党、民主社会党、共産党、各党にわたっておるはずでございます。   〔「社会党が抜けたな」と呼ぶ者あり、笑声〕
  101. 安宅常彦

    安宅分科員 そういうばかな制度、法規に基づかないで、試行の制度の手続もとらないでやるということは、公衆電気通信法違反であって、しかもこれは選挙の事前運動を助けるものであって、しかも金のある議員とない議員とを差別をつけるものであって、しかも現議員と新しく立つ議員との間に重大なハンディキャップをつけるやり方であって、そのほかに、電電公社の職員にべらぼうな迷惑をかけるやり方であるから、電電公社の見解としては、電報で選挙運動をやれないことになっておるので、解散と同時にこういう電報を出すのは明らかに事前運動だというふうな疑いがあるということを選挙管理委員会等に申し出て、進んでこういう電報は出さないようにするのが、電電公社のためでもあるし、国のためでもあるし、国の民主化のために非常に重大なことだと私は思うのです。それをやったならば、あなたは今度大統領くらいになれるかもしれない。それくらいの気魄でやる御意思はありませんか。もしあなたがそういう答弁ができないとすれば、電電公社総裁ひとつ……。
  102. 水谷七代

    ○水谷説明員 先ほど来いろいろ御指摘いただいておりますように、こういった特別の措置を、法規に基づきませんで、やむを得ない措置としてやることにつきまして問題がありますので、営業規則上の特殊取り扱い制度の一つといたしまして制度化することを、実は検討しておるわけでございます。その際、いまお話しのように手数のあまりかからない方法を考えたいと思いまして、いろいろ検討しておるわけでございます。
  103. 安宅常彦

    安宅分科員 これは監督官庁である大臣から答弁を伺いますが、あとのほうの電電公社の従業員に迷惑がかかるとかかからないとか、そういう問題は別として、あなたはいままで警察庁あたりからひっくくられたことがないから、選挙違反ではないというやり方だと思いますという、そういう答弁でありましたが、やはり常識で考えて、電報で選挙運動をやって悪いという公職選挙法がある間は、これは明らかに先ほど言ったように差別がっく。ちょうど競馬の馬だったら、三百メートル前から出発するやっと、スタートラインのうしろから出るやっと一緒に用意、ドンというようなやり方だと思うんで、こういうことは常識的にいけない。そういう選挙法の問題から言っても、郵政省としてはごく常識的に考えて、これはそういう特別の取り扱いは廃止をすべきではないか、そういう気持ちはありませんか。
  104. 古池信三

    古池国務大臣 私は、先ほど申し上げましたように、公社が独立して事業の経営に当たっておる以上は、あまりこまかいことまで指図しないという方針でやっております。   〔「退職のあいさつだ」と呼ぶ者あり〕
  105. 安宅常彦

    安宅分科員 こまかいことは指図しないそうですか、あまりあなたはえらいこまいことを指図しておるので――えらいこまいことを指図しておるということはこの次質問しますから、まあいいでしょう。しかしこれは国会議員としてお互いに考えなければならないことじゃないでしょうか。退職のあいさつだというやじが飛んだようですが、退職なら退職しましたという電報だったら体裁がいいけれども、解散よろしく頼むだったら、選挙をよろしく頼む、そういうことは明らかに事前運動です。そういうふうに思います。だから、この問題については、明らかに電電公社の法規に基づかないでやったということが明らかになりましたから、この問題はやめます。  次に、これは電波局長に、NHKの三十九年度の予算書の内容を私ちょっと見せてもらったのですが、三十九年度の計画でもって、基地周辺のテレビ並びにラジオを持っておる皆さんに対しては聴視料を半額にする、それからラジオだけ持っておる人については聴取料を免除する、こういう計画があるようであります。これに対して、監督的な立場にあるあなたは、どういう理由でそれはいいことだというふうにおっしゃったのか。その辺から聞きます。主管外だったとすれば、どなたか担当の方から御答弁願います。
  106. 宮川岸雄

    宮川政府委員 NHKの三十九年度予算は、先ほど郵政省のほうに参りまして、われわれといたしましてもこれを検討いたしました。これに意見書をつけまして国会に出すことになっております。その中におきまして、十分にいろいろ御審議があり、また御意見があると思います。ただいまの御指摘の問題もその中に含まれております。
  107. 安宅常彦

    安宅分科員 それは基地周辺ということになっていますが、基地という定義はどういうものかお伺いいたします。
  108. 宮川岸雄

    宮川政府委員 基地ということばは、これは俗称みたいなものでございますけれども、自衛隊法に基づきまして一つの基地というものがあると思いますけれども、この問題につきましては、現実にNHKから減免の申請がいずれ国会でもし承認になった場合におきましては出てくると思います。そういうときにおきまして十分考えていきたいと思っております。
  109. 安宅常彦

    安宅分科員 そんなことをいまから考えられないのじゃ、予算計画はインチキになるじゃないですか。積算がちゃんとあるのだから、それを知らないというのは監督官庁おかしいじゃないですか。自衛隊法に基づいての基地というのだったら、アメリカ軍の基地はどうなります。それから飛行機が飛ぶたびにうるさいからという理由だという説明を受けていますが、そうしますと、一般民間航空基地はどうなりますか。
  110. 宮川岸雄

    宮川政府委員 基地の問題につきましては、前々からいろいろと基地に発着いたしますところの飛行機の騒音の問題というようなことが議論されております。そのほかの問題もいろいろ議論されておると思いますが、われわれといたしまして、基地におきます飛行機の騒音というものが、ほかのものと比べまして特に格段であるということの判断に立ちまして、この基地の問題を取り上げたわけでございます。
  111. 安宅常彦

    安宅分科員 それではここでこまかいことまで言ったってしようがないですから、そこであなたのほうから資料をぜひ出してもらいたいのは、どういう基地の分を減免するのか。それが明らかになっていないなんというのはうそですよ、だって予算をちゃんと出してきているのだから。どのくらいの件数でどのくらいのところが該当するというのがなければ、予算書は提出できないじゃないですか。だから、まず資料をひとつ要求するのでありますが、アメリカの基地とそれから自衛隊法に基づく基地と、それから民間航空の基地と、それから、この間の予算の説明で内々伺ったのですが、ジェット機が飛ぶところという話もあったようです。飛ばないところと飛ぶところとどういうふうに区別をつけたのかよくわかりませんが、おもにジェット機が飛ぶところだとすれば、日本には純然たる民間の航空基地は何ぼあるのか。供与のやつは何ぼあるのか。この問題をひとつぜひ出していただきたい。きょうは時間がありませんから、それは逓信委員会でやります。だから資料だけ要求します。
  112. 宮川岸雄

    宮川政府委員 ただいまの御指摘のうち、今回取り上げようといたしております基地というものは、その名前につきましては放送部長のほうから説明いたします。
  113. 吉灘中

    吉灘説明員 お答えいたします。  今回NHKで考えております減免の対象としておる基地は、民間航空のジェット機のみが発着しているところは対象にしておりません。それから、いわゆる米軍あるいは自衛隊の基地につきましても、ジェット機が飛ばないでプロペラ機しか飛ばないというところは対象にしておりません。いま対象にしておるのは全国で十九カ所でございまして、北から申しますと、千歳、八戸、松島、入間、浜松、小牧、小松、岐阜、築城、芦屋、新田原、下総、鹿屋、それから三沢、横田、厚木、木更津、岩国、板付の十九カ所を一応対象にしております。
  114. 安宅常彦

    安宅分科員 民間のジェット機はうるさくないのですか。
  115. 吉灘中

    吉灘説明員 お答えいたします。  民間の航空機でジェット機が発着しておるのは羽田の飛行場だけでございます。あとほかには、現在のところは――近い将来はともかくといたしまして、現在のところは羽田しかございません。民間航空の飛行場であるところの羽田を対象にするかしないかということにつきましても、われわれとしてもいろいろNHK意見を聞いたわけでございますけれども、NHKの考え方といたしましては、民間航空と自衛隊、軍のジェット機と違う点は、軍のジェット機は消音装置をつけていないわけでございます。民間航空のほうは消音の装置をつけておる。それから軍の関係になりますと、タッチ・アンド・ゴーといいまして、発着の航空母艦を想定いたしまして、急激に上がったりおりたりするという訓練をやっておる。そのために騒音が、民間航空と比較しまして、一時的な爆発音といいますか、ジェット機の爆発音が強いわけでございますが、民間航空はそういうことも少ないわけでありますので、この際は一応羽田は対象にするのは考えておらないわけでありますが、今後、来年度以降におきましては、やはりこれも一つ検討の対象に当然なると考えております。
  116. 安宅常彦

    安宅分科員 今回は対象にしないけれども、将来は対象になるであろう、こういう答弁ですか。どうもおかしいことを言う。郵政省は全く無責任なことをするものだと思うのですね。羽田の飛行機は、それこそもう発着陸ができないほどガーガーやっておる。私はいま高輪の衆議院宿舎におりますが、いいかげんうるさい。これは音と関係なしに、画面がちらちらしている。そういうことも考えたならば、よほどもっと広範囲なことを、もし考えるとするならば考えなければならない。ところが私はそういうことを聞いているのじゃないんです。だから、ぜひ資料として要求したいのは、日本の航空基地で、アメリカの専用、それから自衛隊とアメリカ軍と共用、それから自衛隊と民間の共用、民間だけというのを、ぜひ資料を出してもらいたいと思うのはそういう意味なんですが、それは出すことができますかどうか。
  117. 吉灘中

    吉灘説明員 われわれがいま持っておる資料でも一応御説明はできると思いますけれども、それではあとで出します。
  118. 安宅常彦

    安宅分科員 そうすると、この措置は、民間の航空機が発着するところはたいしたことはない。いわゆる軍事航空基地、これに限った措置だというふうに私は理解いたします。これは、さっきも不公平の話が出ましたが、まことに不公平なやり方だと私は思います。同じうるさくとも――うるさい人はもっとおりますよ。たとえば、私のうちなんかは片いなかでありますが、ちょうど向かいに私の分家の自動車工場がありまして、こわれた車が毎日ワーワーガーガーやるんです。それで電力をよけい使うものですから、何かのかげんでラジオなんかは聞こえないのです。電気の研磨機か何かでガーガーとやられると、ラジオに入ってきて、幾らいろんな装置をしても聞こえません。それから国道に面しているものですから、ここはすごくトラックがどんどん通りますから、そういうときにはほんとうに何も聞こえないのです。そういう人はたくさんおるんですよ。軍事基地だけこれを減免するなんというやり方は、全くもっておかしいやり方である。しかも、私がもっと考えなければならないと思うのは、農村、漁村、山間の部落などで、テレビが見えない部落が日本中たくさんあります。こういうところで、テレビが見えないからという苦情をNHKなりに出しますと、補助アンテナを立てろとか、中継所をつくってやるとか言いますが、それはほとんど地元負担で、若干の金をNHKが補助するにとどまっております。そうしますと、軍地基地の周辺におる人だけが厚遇をされて、免除になって、いなかのテレビの見えないところは、逆に高い金を払ってテレビを見なければならない。これはプラスマイナスたいへんなものだ。月とスッポン、やかんとてんかんの違いだ。こんなばかなことをやって、あなたのほうではゆうゆうと、たいへんりっぱな措置だと思っておられるのかどうか、ここからまずお伺いしましょう。
  119. 宮川岸雄

    宮川政府委員 NHKテレビジョン放送が満足に受信できない地域がありますことは、確かに御指摘のとおりでございます。そういう地域におきましては、前から、いろいろ御説明も申し上げましたとおり、受信ができますように、放送局の設置ということを、われわれとしては第一に考えてやっております。それから、それが遠い将来の問題の場合に、ただいま御指摘の共同聴視の設備を地元でする場合に、それに対して一部負担するというような形で行なう。しかしながら、NHK放送が受信できない――できないかできるかという判定は、これは現実にNHKのほうでやってもらっておりますが、ある程度以下、受像が鮮明でないということで、見えない地域におきましては、これは契約を結んでおりませんので、したがいまして聴視料は取っておらないわけでございます。
  120. 安宅常彦

    安宅分科員 これは重大なことを伺いました。そうしますと、テレビを買っても見えなかったら、金を納めぬでもいいのですか。
  121. 宮川岸雄

    宮川政府委員 全然見えないところにテレビをお買いになることがあるかないかわかりませんが、一応テレビが見えると思ってお買いになるものと思っておりますが、要するに放送法第三十二条におきまして、協会の放送を受信することができる受信設備を設置したものは、協会と受信契約を結ばなければならない、こういうふうになっております。その受信できる受信設備とは何であるか、この判定になるかと思います。
  122. 安宅常彦

    安宅分科員 たとえば皆さんも――いまのところ四角四面の答弁をしておりますが、たとえばいなかの旅館に行って、ここのテレビ、さっぱり見えない、だめだ、こんなりっぱな旅館のくせに、やはりいなかなんだな、めんどうくさいといって、ぱちんと消すようなことがありますが、宮川さん自体、旅館にとまってそういう経験があるでしょう。
  123. 宮川岸雄

    宮川政府委員 私、あまり旅館にとまりませんから……。
  124. 安宅常彦

    安宅分科員 そういうことがあるのです。あるものだから、旅館にとまらないなんてごまかしておる。あなたぐらい旅館にとまっている人はいない。出張回数をみな調べてみたらよくわかる。だから、そういうことをやらなければならないところの人は、高い金を出して聴視しなければならない。軍事基地の周辺におる人はおそらく――私は、軍事基地反対闘争で、いま罰金一万円やられておるところでありますが、そういう人は、おそらく反対闘争なんかしないで、米軍の基地が来たらもうかるから、来い来いと言ったほうじゃないんですかね。そういうところの人はだだで、おれみたいなやつはよけい金を出さなければならぬ。つまらぬみたいな気がしておるのです。これはまあたいへん冗談みたいなことになりますが、とにかくNHKの、そういう共同聴視の設備をしようとする部落に対しての補助のしかたについて、どういう機構になっておるか、ここに詳しく説明願います。
  125. 宮川岸雄

    宮川政府委員 詳しい金高その他につきましては、放送部長に説明してもらいます。
  126. 吉灘中

    吉灘説明員 NHKが共同聴視の施設に対して助成をしているわけでございますが、これはだいぶ前からやっておりまして、三十七年度までの決算額で申し上げますと、約十八億程度の助成をやっております。これは個々テレビの共同聴視の組合その他から、補助金といいますか、助成金の申し込みがありました場合には、大体三割程度を助成しているわけであります。
  127. 安宅常彦

    安宅分科員 それは私は知らないわけじゃない。そういうことをやってもらいたいというので、いろいろお世話申し上げたこともありますから知っていますが、三割程度というのは大体の基準であって、その土地によっていろいろ標準が違うと思います。簡単な装置で見えるようになるところもあるし、六百メートルくらいの高い山に共同のアンテナを立てなければだめなところもあります。そういうところはNHKの負担なんというのはスズメの涙ほどにしかならない。あとは大部分地元で負担しているのです。そういうことをやらしておいて、現在のテレビのネットワークのあり方、あるいはあなたのほうで計画しているたくさんのテレビの中継局の計画がありますが、その計画とにらみ合わせてみますと、将来にわたって難聴視地域というのはまだなくならない。こういう人々はみずからの負担で何とかしてテレビを見るようにしなければならない。軍事基地の周辺の人は、料金をただに、あるいは半額にしてもらえる。まことに不公平なやり方だと私は思います。したがって、軍事基地のやつはまけるのはいかぬということまではいまのところ私は言いません。もう少し研究さしていただきますが、難聴視の地域というものを解消するためにNHKが補助しているようでありますからなどと言わないで、そういうことを監督官庁として郵政省が何らかの手を打つということが条件でない限り、そういう不公平なやり方については納得はできないというのが国民の感情じゃないかと私は思いますが、これはどうですか。
  128. 吉灘中

    吉灘説明員 お答えいたします。  ちょっと誤解があるといけませんから、はっきりとしたことを申し上げたいと思いますが、現在NHKテレビの受信機を持っている者に対しては全部受信料を徴収しているというわけでございませんで、NHKで、いま受信の品位といいますか、それを五段階に分けております。一番よく見えるのは五で、その次が四、普通三、二はやや見にくい、一は見えない、全然ものにならぬというのが一でございますが、現在三以上を受信契約の対象にしているわけでありまして、かりに二以下の場合にNHKが受信料を取っているとするならば、これは問題であると思います。したがって、どこでも、ともかく受信機を買ったら必ず契約をさせられて料金を取られているというわけのものではありません。  それから、難視聴の解消でございますが、これにつきましては、去年の五月にテレビの第二次チャンネルプランを修正いたしまして、全国二百二十九カ所の置局予定地をきめたわけでございます。それに基づきまして、NHKとしましても、教育、総合合わせまして一年間に百五、六十局の置局をどんどんやっておりますが、何しろ日本の地形上、山の陰になりますと見えない、こういうことでありますので、共同聴視の施設もつくらなければいかぬ。それからさらに、できるだけこれから――簡便な送信機がいまいろいろとくふうされて技術的な開発も行なわれております。したがって、送信機の安価なものを簡便に山の上にかつぎ上げて、すぐ放送波を受けてその地域に送信ができるという、きわめて微小な電力の中継施設をこれからどんどんつくっていかなければならぬと思っております。このためにいまいろいろやっている最中でございまして、そういった山の陰、谷間につきましては、われわれとしては早急に具体的な施策を立てまして、積極的な置局の促進をはかっていかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  129. 安宅常彦

    安宅分科員 あなたに聞けばそういう事務的なことを言うと思いますから、もう少し事務的なことを聞いて、それから大臣なり局長の答弁を聞きたいのですが、二十一日の読売新聞に、「郵政省は二十日、七百八十八億  八千万円にのぼるNHKの三十九年度予算、事業計画に関する電波監理審議会の承認をえたので」云々という記事がございまして、見出しは「受信料乱費にクギ」、こうなっておりますが、その内容を見てみますと、「NHK聴視者から公共料金のような形で徴収している受信料を湯水のように使っている結果「番組みにカネをかけすぎ“札束番組み”をつくっているとか、放送施設も民放に比べ必要以上のデラックスだという声がある」(郵政省電波監翼同市川放送業務課長の話)」こうなっておる。その内容は「タレントを送迎するハイヤーの使い方も乱脈をきわめ「職員やタレントのなかにはNHKのチャーター車で海水浴場までとばしかり、バーの女給を自宅まで送らせる」」、これはNHKの広報室の話なんです。これは安宅常彦の話じゃない。そういうことまでやって「数えあげたらキリがないという。」そして「「豊富な資金にまかせ、ぜいたくな宴会を開いているとか、テレビ局などの建設をもう少し合理的にやれるのではないかという話もきいている」と西村事務次官はいっている。」こういうことまでやっているのですから、共同の設備をつくるとかいう場合に、もっと補助金を出すなり、あるいは郵政省予算を出して、そういう難視聴の地域を解消する予算を、たとえば当面倍額にするなり、こういうことをしてから軍事基地周辺の何とかということもやる――してからでなくて、あわせてやってもいいのですが、できればそういうところの広範な日本国民に対するサービスがあって、しかる後に基地周辺などということをやるのが正しいのではないかと思うのでありますが、これは電波局長からひとつお答え願います。
  130. 宮川岸雄

    宮川政府委員 ただいま御指摘のとおり、難視聴の解消という問題につきましては、われわれとしてあくまでもこれを積極的にやっていきたいと考えておりますし、また御指摘の共同聴視その他の問題、あるいはUHFテレビの場合のコンヴァーターの問題、そういうような問題の助成の問題につきましては、三十九年度のうちにおいてなおNHKをして検討させていきたい、こういうふうに考えております。
  131. 安宅常彦

    安宅分科員 最後に大臣に聞きますが、いろいろ私の質問に対する疑問な答えがたくさん出ています。これは逓信委員会で私は一つ一つ取り上げます。たとえばテレビの聴視の段階が五段階あるとかなんとか言っていますが、そうしたら、先ほどの電話の順位じゃないけれども、一番見えるところは高くして、二番目に見えるところは安くして、三番目に見えるところは少しにしてなんということも考えなければならないし、共同施設に対しても、ただ補助金を出すだけではなくて、そういうところに対しては全額国庫負担でやるとか、郵政省が何とか予算の差し繰りをしてNHKと相談してやるとか、日本全国各地域にまたがっておる、テレビを見ようとしても見られない、あまねく公平な文化の恩典に浴せない人々に対するところの手当てというものを、ただいまの答弁を聞いた中で、その中から予算を増額するなり、ただいま言ったようにほとんど国家負担でやるなら、そういうことを将来必ずやるということを大臣はお考えにならないでしょうか。これを承りたいと思います。
  132. 古池信三

    古池国務大臣 当委員会おきましても、先ほど来広範にわたって、また具体的な問題について御意見の開陳がございまして、私よく拝聴いたしました。また、将来逓信委員会においても種々の問題について具体的な御意見を承ることができるようでありまするから、さような機会に具体的な問題について十分にわれわれの考えもお話しし、またあなたの御意見も伺いまして、そうしてほんとうにこれは改正すべきである、こう考えますような点は、できる限りすみやかに実行に移してまいりたい。そうして、テレビにしましても、あるいは電信電話にしましても、郵便にしましても、すべてこれをより一そうよいものにしていきたい、こういう前向きの姿勢で考えてまいりたいと存じます。
  133. 安宅常彦

    安宅分科員 このごろ、自由民主党に所属する人々は前向きの姿勢ということばを乱発するようになったのですが、いいことばを覚えたと思ってあなた方言っていらっしゃるかもしれぬけれども、あなた方のやっていることはいつもうしろ向きなんですよ。だから、私は逓信委員会で具体的なことを聞くと言ったのです。したがって、きょうは予算関係する分科会ですからこれ以上申しませんが、そういうやり方をするについても、これは国庫負担で何とかするなり、NHKと相談して補助率を高めるなり、そういうことをしなければならぬと思いませんか。こういう基本的なことだけを聞いているのです。大臣、そう思わぬですか。私の意見をもっと聞かなければ、そこまで考えつきませんか。
  134. 古池信三

    古池国務大臣 予算の問題にしましても、その他の問題にしましても、いずれもやはり相当慎重に検討する必要があると思います。私がここでいいと思いましても、軽々しくそのとおりいたしますというようなわけにはまいりませんので、御意見は十分尊重して検討をしてまいりたい、こう存じております。
  135. 中井徳次郎

    中井主査代理 この際暫時休憩いたします。午後一時三十分より再開いたします。    午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――    午後一時三十四分開議
  136. 井村重雄

    ○井村主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  主査は所用のためおくれてまいりますので、主査指名により、私が主査の職務を行ないます。  郵政省所管及び日本電信電話公社関係に対する質疑を続行いたします。井手以誠君
  137. 井手以誠

    井手分科員 本日はテレビのことで一言承りたいと思っておりますが、その前に、きのう山口委員からいろいろと質問がございました農村における市内電話の取り扱い、このことで私は大臣に特に考慮してもらいたいと思います。  地方自治法によりますと、これはもう基本原則で、公の施設は差別的待遇をしてはならぬということになっております。水道にしても、ガスにしても、役場から地域が遠いから料金を高くするとか、そういう公の施設は差別的待遇をしてはならぬということがはっきりとうたわれております。また、町村合併促進法によっても、これは国の政策として合併を促進しなくちゃならぬ。そのためには、いろいろな公の機関があるが、これは協力をしなくてはならぬという条文があるのであります。東京都内のこの広いところでも市内電話で取り扱われる。話があったように、自分の町役場に電話をかけるのに二十円も三十円も取られるということは、私はなすべきではないと思っております。公社のほうでは、技術的にはいろいろ問題がある。かつては四キロまで市内電話取り扱い。今日では六キロになっておりますが、私も同一市内であるから二十キロでも三十キロでも離れたイノシシの出るようなところまで市内電話の取り扱いにしろとは申しません。しかし、公の機関に差別的な取り扱いをしてはならない、また地方自治に協力しなくちゃならぬという法のたてまえから申しましても、これが何キロまでが正しいか私にわかに申し上げられませんが、十キロか十二キロの一つの限界を設けて、その範囲内は市内電話の取り扱いにする、こういうことにすべきではないかと思う。この点について大臣の所見を承っておきたい。単に考慮する、もっともであるという程度じゃなくて、せっかく公社のほうからもお見えになっておりますから、よく相談してひとつお答えをいただきたい。私はぜひともきょうは、長い間の懸案でございますから、この逓信委員会なり予算分科会では毎回この意見は党派を越えての要望でございますから、そういう意味でひとつお考えをいただきたいと思います。
  138. 古池信三

    古池国務大臣 お答えいたします。町村合併促進法の趣意、また法の精神については、ただいまお説のとおりだと存じます。すでに町村合併もほとんど実施せられまして今日を迎えておるわけでありまするから、公の機関は極力法の趣意に沿うように努力をいたすべきことは当然であろうと存じます。ただいま御指摘になりました問題は、大きく分けますと技術的な問題と経済的な問題とに分かれるだろうと思います。昨日私は理想的な形を申し上げましたが、たとえば、三つの郵便局で電話を扱っておる、これが合併した場合において、できまするならばその中央部一カ所に集中をしまして、そうしてただいまお話しのように何十キロという先は別問題として、その中心部は少なくとも同一の普通加入区域といたしまして市内通話を実施するということが理想の形であろうと存じます。しかし直ちにその理想の形に到達するということはなかなか容易ならぬことだと存じます。そういたしますれば、まず三つの電話取扱局があるとすれば、それは一応そのままとしておいて、その間の市外回線をすみやかに増設をしまして、待ち時間なく即時に通話ができるようにする。これが第二段階として工事的に必要なことであり、また急がねばならぬ問題であろうと存じます。そうして第三には、経済的な問題としましては、その同一町村にあった区域内においては、どこにかけても同一の料金によって通話ができる、こういうことにしなければならぬと思いますが、この問題は法律にもございますように、経済的あるいは社会的な諸情勢を勘案して区域の指定はいたすことになっておりまするので、その辺の点は、今後公社と十分に打ち合わせをいたしまして、でき得る限り公社の財政状態、その他を勘案をしました上で、御期待に沿うように努力してまいりたい。これが私としては、この問題処理の筋道ではなかろうか、かように考えております。
  139. 井手以誠

    井手分科員 そういうお答えを承るつもりではなかったんです。第二の問題の市外電話を増設してなんということじゃないのです。同じ市内であれば、公の施設というものは差別を受けないはずです。ある部落は遠距離だから水道の基本料金が高いということはあり得ないはずです。そうでしょう。東京都内だって同じじゃございませんか。公の施設については、地域によって差別は受けられないはずです。これは地方自治の原則です。憲法のたてまえですよ。そういう市町村の合併を広域にしなくてはならぬというので、合併促進法ができました。その合併を促進させ、その合併の目的を達成するために、国鉄にしろ、電電公社にしろ、国のあらゆる機関は協力をしなくてはならぬということが、わざわざ一条を設けられておるのです。一つの市町村内の施設については同じ利便を受けなくてはならぬはずです。ただそれを持っておる経営主体が――電電公社というものは市町村ではございませんが、その電電公社は協力をしなくてはならぬというたてまえになっております。役場から八キロ離れておるために、役場に電話をかけるのに二十円も三十円も払わなくてはならぬということが正しいのかどうか。そういう差別待遇があってはならぬから、関係機関は協力をしなくてはならぬというのはそこにあるんですよ。ただ、やはり架設する場合は、イノシシが出るような山奥にまで同一の取り扱いをしろとは、これは少々無理でしょう。けれども、三カ町村あるいは五カ町村が合併をしたようなところにおいては、その間に幾つかの局がある。そういうところから、八キロくらいのところから役場に電話をかけるとき、市町村の中央部に電話をかけるときに、一々市外料金を二十円、三十円払わなくてはならぬというのはおかしいではないか。東京のこの広いところだって市内電話じゃございませんか。大阪市内だって市内電話じゃございませんか。八キロとか十キロじゃございませんよ。もっと遠いんですよ。そういう事情でありますから、私は二十キロも三十キロも市内電話の取り扱いをしろと申してはおりません。六キロではあまり狭過ぎるから、これを十キロか十二キロに広げてはどうですかと聞いておるのです。あなたは、第一に施設が必要だとおっしゃった。これは私は、電電公社計画もありましょうから、一時に電信電話施設を統一することは困難であろうということはわかる。私が申し上げておるのは、十キロか十二キロの範囲は市内同様に取り扱ってはどうですかということです。農村電話の普及については、私は電電公社の大きな政策の一つであると考えております。当局もそう説明をされておる。だから私の言っておるのは、十キロか十二キロの範囲内までは市内と同様に取り扱ってはどうですか。ある部落から役場にかける時分には、いつもわざわざ即時通話とかという問題じゃございませんよ。料金がかかるという問題ですよ。市外料金は二十円から、一番高いところは三十五円だそうです。もっとひどいところもあるかもしれませんが、大体二十円から三十五円と聞いておりますが、その市外料金を出さねばならぬという不合理をこの際改めてはどうかと聞いておるのです。本来ならば市内電話であるべきですけれども、ただ山奥とかその他の問題でこういうことが起こっておる。局舎の統一の問題じゃございません。同一市内であれば、これは市内電話で取り扱うのが原則ではないか、こういうたてまえで申し上げておるわけです。公社の経済については、年間六百億円も建設資金に回しておりますから、赤字でどうにもならぬという状態ではないのです。ただ、建設資金に回すのが若干少なくなるという程度である。それも金額にしてわずかなものです。それくらいのことは郵政大臣として、もう少し幅のあるお答えができないはずはないと思うのです。
  140. 古池信三

    古池国務大臣 私の申し上げたことと御質問の趣旨、少し食い違っておるように思います。私が申し上げたことに誤りがあればもちろん訂正さしていただいていいのでありますが、その最初の基本的な前提と申しましょうか、考え方については、私、全く御同感でありまして、町村合併促進法の精神に基づいて各公的機関は協力をすべしということは、そのとおりだと思います。ただ協力の方法としまして具体的に申し上げますと、たとえば甲乙丙の村が合併をして、従来甲乙丙に郵便局があり、そこで電話を扱っておった。そのうち役場が一カ所に決定をして、そこの所在地から甲乙丙の部落に電話をするという場合がございます。そうすると、甲の部落はいままで役場のあったところ、今日の役場と同じ区域になっておるから、これは直ちに市内通話でできます。ところが乙あるいは丙の部落にかけようと思うと、これが市外通話の取り扱いになり、したがって待ち時間を要します。甲の部落だったら直ちに通話ができるのが、乙、丙だとそこで三十分なり一時間なり待たなければならぬ。こういうことは不公平である。それをみな同じような市内の通話ができるようにするためには、その局間の回線が従来不足しておるから、これを増して、それでどの部落にかけるにしてもすぐにかけられるようにするということが第一の条件であろう。これは経営上の問題だとさっき私が御説明いたしましたのは、その点であります。  それから、市外通話ということになっておりますから、したがって、従来の甲乙丙の局の普通加入区域と今度新しくできた役場の周囲とは、必ずしも一致しておりません。それを一致して、全部役場を中心にした親局といいましょうか、その局の普通の加入区域に統合すればいいんじゃないか、こういう問題が第二段になってきます。これが経済的な問題であろうと思います。  そうしますと、これについては法律の規定に基づいて、これらの区域を広げて普通加入区域に指定をするという問題がありますが、その点は財政上の、要するに収入の問題に加わってきまずから、公社と十分に打ち合わせ、相談をしてきめていきたい。こういうことでありまして、決して私はあなたの御質問の趣旨に反するわけじゃなくて、むしろその御趣旨をどうしたら実行の上において早くやっていくことができるかということを具体的にいま御説明したつもりでおりますけれども、どうも私の申し上げたことが徹底しないのか、少し食い違いがあるように思いますので、その点私も非常に残念に思いますけれども、要するにせっかく町村合併ができたのだから、電話においても全く一本になるべきだ、これは通話の上においてもあるいは料金の上においても一本にすべきだ、こういう御趣旨には私賛成でございます。したがって、その御趣旨が達成できるように今後十分努力をしてまいりたいと考えております。
  141. 井手以誠

    井手分科員 地方自治法に、公の施設住民は公の施設を利用することについて差別的取り扱いはしてはならないと書いてある。距離が遠いから利用料金が高かったり安かったりするわけにはいかないわけです。これは鉄則です。そういう地方自治の鉄則のもとに町村合併が行なわれ、それを促進するために国のあらゆる機関が協力をするということになっております。これは明らかです。  そこで、大臣は、趣旨はわかった、そのとおりだ、あとは経済的な問題だけだとおっしゃる、そうですね。経済的な問題、財政的な問題だけが残っておる。しかしいま公社の収支計算によりますと、六百億円以上の金が建設資金に回されておりますね。千億円の令が建設資金に回されても、財政的事情があると言われれば困るわけです。収支計算が赤字であればこれはまた考えも変わりましょうけれども、建設資金にそれほど膨大な資金が回されておるということでありますならば、経済的理由は障害にはならないと私は思うのです。だれが考えてもそうでしょう。八百億円もうかるから、経済的には解決がつくというわけではないのです。六百億というばく大な利益が建設資金に回されておるならば、それは解決するじゃございませんか。むずかしい問題はないはずですよ。そのくらいの善政を施してはどうですか。きょうはうちわですからあまり理屈っぽく申しませんが、みんなから要望されておる、党派をこえて、与党も野党もみんなそれぞれの地域のいろいろな悩みを持ち込んで、ここで市内扱いにしてはどうですかとみんな口をそろえて相談をしておる。理屈ははっきりわかった。経済的にも見込みがあるというのならば、六百億円も、七百億円も建設資金に回るのですから、どうですか。いままで六キロ以内は市内扱いにしておるのを十二キロくらいに広げるということ、そのくらいのことはできそうじゃないですか。善政の一つとして、あなた、もうお約束しなさい。そのくらいのことは簡単でしょう。ええやります、それはしかし距離は十キロにするか十二キロにするか公社と話をしてやりますと、そのくらいは言えないはずはないでしょう。
  142. 古池信三

    古池国務大臣 私、元来正直なものですから、考えておるとおりを申し上げるのですが、確かに相当な資金を建設方面に回していることは事実です。しかしながらそれだけの建設資金を回してもなおかつ積滞数が容易に解消できない。そういう方面からの、中の批判も受けておるような次第でありまして、いまの建設資金が旺盛とは決して言えないと思います。同時にまた、せっかく町村合併をしながら、電話のほうにおいては一向ごりやくがないじゃないか。何とか早くこれを一本の市内通話にすべきだという御意見も私はごもっともだと思うのです。だからその辺になりますと、どれだけを建設資金に持っていき、どれだけをそういう方面――この料金の値下げになると思いますが、値下げに持っていくかという問題は、これはやはりその間の調整の問題になってくると思います。したがって、ただいまの御趣旨にはできるだけ私も沿うように今後努力していきたいと思いまするが、ここで、いままで六キロという基準であったのを十キロにしようとか、そういうことはちょっと申し上げられませんが、しかしその線に沿って十分検討も加え、努力もいたしたいと思っております。ただいま全国のこの合併町村の電話を全部一本の市内通話にした場合には、その料金収入がどの程度違ってくるかというような問題については、私いまここで資料を持ち合わせておりません。いずれ公社とも十分相談をして、そういう点もにらみ合わせましてできる限り御期待に沿うように今後努力いたします。
  143. 井手以誠

    井手分科員 これは実際には財政状態考慮してという問題ではないと思う。これは筋の問題だ。東京都内のこんなに広いところでもみな市内電話ですよ。農村は気の毒だから電話を普及してやるというのがいまの電電公社のやり方でございませんか。その困っておる農村が、町村合併をしたために、いままでは近所に電話があって市内であったけれども、合併のために役場が遠くなった。八キロになったから二十円の市外料金を一回一回払わなければならぬ。これはしてはならぬはずですよ。これは筋ですよ。だから、もうあなたはわかっておるはずですよ。だから、趣旨はわかったから六キロを延長したいと思う――その六キロを十二キロにするか十キロにするかは、私はここではそこまで詰めませんけれども、延長することにいたしますということくらいは、あなたは言えるはずですよ。大臣ですからね。それが言えないようじゃ大臣の値打ちはない。三十九年度中に延長することについて、ここで、いたしますくらいは言えますね。
  144. 古池信三

    古池国務大臣 先ほど来御趣旨は私もよく腹に入っております。したがって、その理想の姿に早く到達するような線に沿って私も努力してまいりますから、さように御承知を願います。
  145. 井手以誠

    井手分科員 理想の姿に努力する、そんなことはだれでも言える。それを聞いておるのではないのですよ。市内電話の距離六キロを延長することについて考慮いたしますということをおっしゃってください。私はそれを言っておるのです。このくらいの問題で、大臣、そのくらい言えないはずはないじゃないですか。
  146. 古池信三

    古池国務大臣 その先生のおっしゃる意味が私正確に言ってちょっととりかねておるのです。その距離といいますのは、あれは統合の場合の距離だと私は考えておりますが、市内回線になれば市内電話であることは間違いない。ただ市内電話の料金と、普通の加入区域内の料金とを同一にしろということならば、それは私はわかります。しかし距離をただ何キロまでを市内にしろと言われても、これは私にはちょっと受け取りがたい点があるものですから、お答えにはなはだ明確を欠くようなお答えをするわけなんですけれども、この点はひとつ公社のほうの意見も聞いていただきたいと思います。
  147. 井手以誠

    井手分科員 では総裁か副総裁に……。
  148. 米沢滋

    ○米沢説明員 町村合併の問題につきましては、ただいま先生も御指摘になりましたように、公社といたしましても、いままで努力をしておる点はお認め願いたいと思います。たとえば従来四キロを合併するということで進んでおりましたが、たしか昭和三十三年ごろだと思いますが、はっきりと私は覚えておりませんけれども、それを六キロまでは合併をするということにいたしまして、その六キロをこえるものにつきましてはいわゆる市外線として線をふやしまして、直通といいますか、即時通話にするということで、いままで非常に町村合併については金をかけてやっておったことはお認め願いたいと思います。  それではこれを延ばしたときどうなるかという問題でありますが、まず第一に、この六キロというのはいわゆる直線距離ではございませんで、もともと線路の延長沿いの距離であります。親局に別な局が入ってまいりますと、当然その間に加入のロスがふえてくる。したがって、たとえばもしも六キロをふやすということにいたしますと、線路を太くしなければならないという問題がまず起こってまいります。それから長さが長くなるために生ずる経費、それから線路の心線を太くしなければならないという経費が出てまいります。それからまた、その個所も、いま私はっきりした数字を持っておりませんけれども、全国相当たくさんあるのではないかと思うのでありまして、その経費も相当なものになると思います。  それからもう一つ先生が言われました、いまのままで市内の料金にしてはどうかと言われる点につきましては、いわゆる現在市内にするということは、電話機を上げれば直ちに電話がかかるということなんでありまして、したがって、そのためにはやはりその二局の間の線をうんとふやさなくてはならぬ。たとえばいままで十対のケーブルが張ってあったところを十倍くらいにしなければいけないのだというふうに考えるのであります。そういうふうにいたしまして、いまの伝送路等から考えて心線を太くするという問題、それからまた線路の距離を長くするための経費、それからまた、十対のものをかりに市内料金にいたしましても、これを百対にしなければならぬ、そういったような経費、そういう建設関係の経費が必要になってくると同時に、また一方収入のほうも若干減ってくる。先ほど郵政大臣がお答えになりましたように、現在積滞がありまして、このほうもはかさなければならぬというふうなこともありますので、いま直ちにここで六キロをすぐ変えていいんだということはちょっと申し上げかねる次第であります。
  149. 井手以誠

    井手分科員 電電公社は公社の経営からいろいろ意見はあるでしょう。きょうは大臣意見を伺っている。いわゆる電電公社経営というものも考え、町村、地方自治という立場、公の施設は差別してはならないという鉄則、あるいは町村合併に協力しなくてはならぬという国の政策、これらを総合して判断なさるのが大臣のお立場ですから、サービスを改善するためにはもちろん金がかかるのはあたりまえ、また積滞数が非常に多うございますから、金は幾らあっても足らぬことはわかっております。しかし、金が足らぬからといって筋を曲げるわけには参りません。同じ町民、村民が役場に電話をかけるのに、甲の部落の人は市内でただでやる、片一方は二十円もかかるということは、これは許されないはずです。ただその筋だけであまりに広げると、これまた困る場合も出てまいりますから、そこを私はまげてあくまでもとは言っていないのです。四キロを六キロに延長した、これはけっこうです。しかし、六キロでもう絶対それで終わりというものじゃないはずです。六キロが科学的な根拠は何もないわけです。その六キロというものをさらに十キロくらいに延長することがいいんじゃないか。施設を改善していって即時通話にすることも体質改善の一つでしょう。しかし、市内取り扱いにするということも、もっともっと基本的な問題じゃないですか。市外通話のために、あるいは回線のために通話の時間がおくれる、待ち時間がかかるということは早く改善すべき問題ではあるかもしれませんが、これは順次にやる。やはり改善ということは一ぺんにできるものではございませんから、そこは私は無理を言うわけではないのです。同じ町村民が部落によって料金を二十円もよけい出さなければならぬ、片一方は市内でただですぐかかるという、この料金の差別だけは撤廃しなければならぬというたてまえで申し上げているのです。そういうわけですから、これは財政状態のことを言えばきりがございません。いま一千億、二千億もうけても、直ちに積滞数が解決するのではないのです。したがって、大臣に結論的に申し上げておきたいことは、これはそういう筋の問題がありますから、公の施設は差別されないように、少なくとも十キロか十二キロ程度は市内取り扱いにできないのか、その延長について考慮しようということぐらいは、もうあなたも大臣をなさってからだいぶ日にちもたってまいりましたし、御判断もつけられると思うのです。もうそれだけでいいのです。何もかもおっしゃられぬでもいいのです。延長について考慮いたしますとおっしゃればいいのです、それだけでけっこうです。
  150. 古池信三

    古池国務大臣 実は、私としては、正直に申しますと、この問題については先生ともう少しよくお話し合いをしたい、そうしてよく御理解を得たいと思うのであります。きょうは時間もあまりないようでございますからあれですけれども、要するに局が一つにならぬと、専門的に言うとやはりその間の通話は市外通話ということになるのです。そうだとすると、簡単にいいますと、市外通話を無料にするということになるわけです。この市外通話を無料にするということはなかなか無理だと思うのですけれども、ですから先生のおっしゃる御趣旨は最初からもうよくわかっておるのです。私はよくわかっておりますから、その御趣旨に沿うように、いまの距離を延ばすとかそういうことをすべて含めて、御趣旨に沿うようにやりたい、こう私は考えております。
  151. 井手以誠

    井手分科員 まあ機会がありましょうから、とっくり御相談に乗ることにいたします。説得はされませんが、あなたのほうを説得いたしますから……。それでは、距離の延長を含めて考慮するというお話でございましたから、けっこうです。  次に、テレビについてお伺いしますが、電波監理局長には何回も話した問題です。この機会に簡単に大臣から承っておきたいと思います。  実はこういう状態です。UHF、これは難視聴地区を解消するために新たなチャンネルで超短波のテレビ放送をなさっておる。ところが、UHFを見るためにはコンバーターという器具を備えつけなくてはなりません。これが一万二千円かかります。私のうちにも備えつけました。備えつけなくては見えないのです。そこで私がお伺いするのは、放送法の第七条に「日本放送協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」という条文が冒頭にうたわれておるのです。また、第九条には「テレビジョン放送がそれぞれあまねく全国において受信できるように措置をしなければならない。」と書いてある。これは義務規定です。「あまねく」とは、これは私たくさんの辞書を引いてみたのですが、「あまねく」とはどういうように書いてあるかというと、一様に広く行き渡ることというふうに書いてある。これは常識です。あまねくとは一様に広く行き渡るということです。それで、UHFであるから一万二千円のコンバーターをつけなくてはテレビが見られないというのでは、この放送法の原則に反するのではないか。この点はここでも逓信委員会でもいろいろ論議された問題です。そこで、もし従来のテレビ放送が、民放のチャンネルを押えて、全国都道府県全部にあまねくチャンネルが行き渡るようになっておれば、こういう問題は起こらないはずです。VHFだけの中継所をつくれば見れるはずです。ところが、電波行政が民間民放の圧力に屈して、大阪、東京、北九州などという一部人口の多い地帯に集中されたために、それと少し離れたところにおいてVのテレビが見られないようになった。しかしこれは、あまねく受信できるようにしなくてはならぬ放送協会の立場から、UHFというものを新たに加えられるようになった。そうでありますならば、電波行政があまりうまくいかなかったためにそういう不公平が起こっておりますから、UHFのそのコンバーターをつけねばならぬ。将来は七千円に下がるかもしれませんが、現在は一万二千円の負担をしなくてはなりません。その一万二千円の負担をどう調整するのか。受信料で調整するのか、あるいはコンバーターの代金で調整をするのか、それはやはり解決しなくてはならぬ問題だと思うのです。それはもう地方にとれば、とにかくよく映ることが一番の願いですから、放送局にわさわさ押しかけて文句を言うようなことはいたしませんでしょう。けれども、そうしないからといって、この不公平を、従来のテレビでは見れない難視聴地域の人々がわんわん文句を言わないからといって、このままで済まされる問題ではないと思う。このUHFを見る地区においては、この問題をどう解決なさるおつもりであるのか。いまの町村合併の問題とこの問題も若干似たところがございます。しかしこれは、あまねく日本全国において受信できるように措置しなくちゃならぬのが放送協会のたてまえです。これを曲げるわけにまいりません。あるいは、ある人は言うでしょう。とにかくよく映るところと映らないところと場所によって違いますからしようがありませんとおっしゃるかもしれません。それは、山陰であるとかどことかであって、土地によってよく映らないのはやむを得ない。しかしその地区によって――私は佐賀県です。北九州にはたくさんのチャンネルを与えておる。そしてチャンネルがなくなって、佐賀県というところは全然ないのですよ。そういう佐賀県の北部にUHFの中継所を設備してもらいました。これがもし民放の割当を二つか三つか減らして、各府県に行き渡るようなチャンネルの配置であるなら、認可であるならば、こんな問題は起こっておらぬはずです。それはVの中継所だけで済まされるはずです。コンバーターの一万二千円の負担はかからぬで済むはずです。それは電波監理行政が至らなかったことです。この問題について大臣はどう法律に照らして御解決をなさろうとするお考えであるのか、その点を承っておきたいと思います。
  152. 古池信三

    古池国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でございまして、確かに法律によってあまねく国民が見られるようにせねばならないということは、これはもとより公共放送の性質からいって当然のことであろうと思います。しかしそこには残念ながらやはり技術面における制約というものがありますから、波にも制限がある。したがって、いま波があり、かつまた例にお引きになりました佐賀県にVの局をつくることが可能であれば、当然Vの波の局ができるはずだと思います。ところが、調べてみますと、現在すでにVの波の割当の余裕はない。しかし一方においてはできる限りあまねく見ていただくという見地から、政府もまたNHKも努力されて、難視聴区域を一日も早く解消したいというので、第二次のチャンネルプランあるいはその修正というようなことで努力を払っておることは、御存じのとおりだと存じます。その努力の方法一つとして、Vは割当の波の余裕がないけれども、中継局としてUならば見ていただけるというような地区がこれまた全国にたくさんありますから、そういうところの波を割り当てまして、そして中継局をつくってその付近の方にはUで見てもらおう、こういうことになったのでありまして、なるほど全国津々浦々Vの波が行き渡らぬということは、あまねくということばの意味からいって妥当ではないじゃないか、こういう御意見は一応私ごもっともに思いますけれども、そこに技術的な困難があるということもやはり考慮に入れなければならぬのじゃあるまいか、したがってUHFの中継局を置いたということは、いまの事情を勘案してみますと、やはり最善の措置をとったもの、こう考えるよりしかたがないだろうと思っております。  ただ問題は、それによって普通の受像機と違ったものを置かなければならぬじゃないか、したがってその負担についてどうするかというお話でありますけれども、これも普通の受像機と違ってコンバーターをつけなければならないから、その分を全部NHKが負担すべしということも、これはそう簡単にはまいらぬと存じます。そこに悩みがあるわけでありますけれども、将来はUHFというものが非常に発達してまいりまして普及をされますから、その機械も自然量産化されて安くなるということは当然申し上げられると思います。そういうことで、たいへん御不便をかけておることは遺憾に存じますが、いまの情勢ではまずその程度でひとつごかんべんを願わざるを得ない、こう思っております。
  153. 井手以誠

    井手分科員 難視聴地域の解消について努力されていることは、私も認めております。しかし私は、こういう結果になったのは電波行政の誤りではないか、あまり民放の圧力が強いために、限りのあるVのチャンネルを割り当ててしまった、満配した結果です。佐賀県にはこういう難視聴地区があるから、これは残しておかなければならぬ、どの県にはこういうところがあるから、やはり一つの都道府県の単位であるから、Vの中継所でやれるような地区には、そこにもチャンネルを残しておかねばならぬという配慮がなければならぬはずです。それを民放の圧力にどんどん押されて、せい一ぱい割り当ててしまったから、波がなくなったのですよ。なくなったからといって問題は解決しないから、それではしようがない、Uのほうでやろうということになったわけです。Uのほうでやれば、一万二千円のコンバーターの負担がかかる。将来安くなるといっても、いま買った人はどうなるのですか。もしそういうことであるならば、将来は五千円になるなら、五千円をこえた分についてはだれか負担すべきがほんとうじゃないですか。受信者が負担するのじゃなくて、それは協会が負担すべきじゃないですか。将来負担がかからない、安くなるというならば、その差額は別に考慮すべきじゃないでしょうか。いまのこうなった原因は、第一には、もう何回も申し上げたように、民放に押されてチャンネルを腹一ぱい割り当ててしまった結果ですよ。あの県にもこの県にもまだやはりVを普及しなくちゃならぬ、その中継所をつくる必要があるからというので波を残しておけば、こんなことは起こらぬはずです。一地区にどうして五つも六つもチャンネルを配当する必要がありますか。五つ配当するところを三つぐらいに押えておれば、そんな問題は起こらぬはずですよ。しようがないからこうしてくれとおっしゃる。それではその負担についてはどうなるのですかと、そこを私は聞いているのですよ。法律に違反してはなりません。法律の精神にそむいてはならぬはずです。あまねく日本全国に受信できるよう措置しなくちゃならぬと書いてある。地区によって差別があるじゃございませんか。山の陰のほうだから映らないとか、どこだから映るという問題とは違うのです。これはビルディングの陰だから映りにくいという問題とは違うのです。地域によってUでなくては受像できない。Uであれば一万二千円のコンバーターの代金がかかる。これは差別じゃございませんか。私はそれを申し上げているのです。だからそこに何か調整の方法はないのか、ただ困った問題だということでは済まされません。受信料を安くするのか、コンバーターの負担をある程度以上は協会が見るとするのか、あるいはもっと別な面でサービスをしようとするのか。解決の方法は私はあると思うのです。ある県においては、自分の県のニュースは映らぬ、よその県の県会のニュースがどんどん映ってくる、よその県のニュースがどんどん入ってくるということになる。よその県の野菜の相場、値段なんか知る必要はないのですよ。自分の県のニュースがほしいのです。そういう問題もあちらこちらにあるのですよ。だからこういう差別的な待遇を受けておる問題に何か大臣としてこれを調整する方法はないでしょうか。何もかも法律だからこうせよとは私はそう厳重に言っているのではないのですよ。そうわけのわからぬことは私は言わぬつもりです。何かそこに調整の方法はありはしないか。コンバーターは一万二千円かかる、将来は五千円くらいでコンバーターができるから、その差額だけは、五千円をこえるものについてはどうかしてやろうとか、あるいは受信料はしばらくの間免除してやろうとか、半分にしてやろうとか、何かの方法はあるはずです。その解決に向かって努力なさることが大臣のつとめではないか。さあ困った問題だ、努力しておることを認めてもらいたいと言うだけでは済まされぬ問題だと思いますが、重ねて大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  154. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまの御発言、私は多分にごもっともな点があると存じます。ただこれをどういう方法でしからば救済するかということになりますと、これはなかなか簡単に解決のできる問題ではない、こう思いまするが、まあ最初から完全にその救済ができないにしましても、幾分なりともそういう方に対して、サービスの面なり、あるいは費用の面なりで、若干でも何とか償うことができやせぬか、そういうことでひとつ私も検討いたします。そうしてできるものは実施に移していきたいと考えまするから、さように御了承いただきたいと思います。
  155. 井手以誠

    井手分科員 八百屋お七の話じゃないけれども、私も解決の方法を申し上げているのです。何かうしろからメモが来たようですけれども、方法はあるはずですよ。ただ困った問題だとか、やむを得ないということではこれは済まされません。きょうのところは、ただいま大臣の少しばかり誠意の片鱗が見えてまいりました。もう少しその誠意の大きなところを見せてもらえば、私は、きょうはそれでよろしゅうございます。解決の方法はあるはずだと思うのです。ただいま法はこうなっておる、法は差別をしてはならないとなっておるのに、電波行政の結果がこうなっておるということだけで、私は詰め寄ろうとは思っておりません。この差別待遇を受けておる住民に対して何か別のサービスの方法はないのか、そういう道もあるはずだと思うのです。そういう点について大いに検討なさる御用意があるかどうか伺いたい。
  156. 古池信三

    古池国務大臣 いままでもいろいろ研究はしておったのですが、今後もさらに検討いたしまして、まあ十分にとは申し上げられぬかもしれませんけれども、でき得る限り極力やってみたいと思います。私は、結果はどうあろうとも、十分にやりますから、さように御了承いただきたいと思います。
  157. 井手以誠

    井手分科員 結果はどうあろうともということじゃ済まされません。せっかく引き下がろうと思ったのが、「が」ということばはいいことばじゃございません。誠心誠意をもっておやりなさる御用意があるかどうか伺いたい。
  158. 古池信三

    古池国務大臣 誠心誠意をもってやります。
  159. 井村重雄

    ○井村主査代理 中井徳次郎君。
  160. 中井徳次郎

    ○中井分科員 きょうは三時で終わる予定だということでございましたが、前の質問者が一時間ほどおやりになりましたので、はなはだ恐縮でございますが、少し延びるかもしれませんが、ひとつ御了承をいただいて、私が最後の質問者のようでございますから、お願いをいたしたいと思います。  なお、質問申し上げますることは、たいへんどうも不勉強でありまして、きょう午前中もう一度調べてみたいと思っておったのですが、時間もありませんし、いろいろな都合でできませんでしたので、粗雑な質問をいたしまして御迷惑を相かけるかもしれませんが、御了承願いたいと思うのであります。  まず第一に、ちょっと調べればわかると思いまするけれども、電話の加入者の数でございますが、三十四年末、五年末、六年末、七年末、八年末、この五年間の加入者数をちょっと教えていただきたい。
  161. 宮崎政義

    ○宮崎説明員 加入者の総数について年度別に申し上げますと、三十七年末では四百七十七万、三十六年末四百十五万、三十五年末三百六十三万、三十四年末三百二十八万となっております。
  162. 中井徳次郎

    ○中井分科員 三十八年度末はどのくらいになりますか。
  163. 宮崎政義

    ○宮崎説明員 一応の予定でございますが、五百四十七万ないし五百四十八万ぐらいになるかと存じます。
  164. 中井徳次郎

    ○中井分科員 もう一つお尋ねをいたしますが、きのうちょっと関連質問でお尋ねをして御回答がなかったのですけれども、電話にいまだに相場がありまして非常に迷惑をしておるということでありますが、いま日本全国の中で電話の相場の一番高いところはどこで、どのくらいのものであるか、中ぐらいのところはどこで、相場のないところはどういうところか、ちょっと簡単に御説明を願いたいと思います。
  165. 千代健

    ○千代説明員 毎日相場が変動いたしておりますが、大体のところで申し上げますと、東京で、三十万円を切る所、二十七万円見当の所が石神井、渋谷それから代々木、こういった所でございます。それから全国的には、大阪でもこういった所が若干ございます。札幌等にもございますが、平均と言われますと非常に出しにくうございますけれども、大体五万円見当からただいま申し上げましたような見当のところまで、それから小都市の場合には、こういった取引というものは例外的に行なわれることはございますけれども、原則としてこれをやられる場所が非常に少のうございます。
  166. 中井徳次郎

    ○中井分科員 小都市でも盛んに行なわれていますよ。そんなでたらめ言わぬほうがいいですよ。場所によって違いますが、関西では盛んに行なわれておりますよ。  そこで、いまのようなあいまいなことだからお尋ねするのですけれども、三十万とか四十万とかいうのは、新しく加入を申し込みますると電話債券を持たなければいかぬ。その電話債券との関係はどういうふうになっておるのですか。たとえば石神井で電話を申し込むときには幾ら電話債券を買わなければいかぬのか。それとの関係はどうですか。それをちょっと伺いたい。
  167. 千代健

    ○千代説明員 石神井の場合には、電話をつけます場合に、債券は単独電話で十五万円お申し込み願っております。
  168. 中井徳次郎

    ○中井分科員 そういたしますと、石神井で電話を買う人は、その十五万円は要らない、そのまま三十万円出して名義変更、こういうことになるわけですか。
  169. 千代健

    ○千代説明員 お説のとおりでございます。
  170. 中井徳次郎

    ○中井分科員 そういたしますと、電電公社の電話をつけるのに、そういう十五万円というふうな高額な電話債券を買わねばならぬということがなければ、この相場はたちまち半分になる、こういうふうに了解をしてよろしいですか。
  171. 千代健

    ○千代説明員 その御見解は正しくないと思います。そうはならないと思います。現に十五万円の債券のある場所でも五万円何がしの市価が立っておる、こういう所がございますので、五万円何がしの所には、関係はあろうと思いますけれども、直接これが四十万円、三十万円、大きく開いた所とは、間接的にはもちろん関係がございましょうけれども、直接の関係というものは非常に少なかろう、こういうように考えております。
  172. 中井徳次郎

    ○中井分科員 そうなりますと、十五万円の債券を買わなければ加入できない所で五万円で電話を売っているということになれば、だれも新規加入しません。五万円の電話を買うて名義変更して移転したらいい。その場合にはどうなるのですか。それだと電電公社はどういうことになりますか。それでもいいわけですか。
  173. 千代健

    ○千代説明員 現在かりに銀座で電話をおつけになる場合、電話局へお申し込みになりますと、加入料が三百円、それから設備費が一万円。これは加入料はこちらへちょうだいする。設備費もこちらへちょうだいしてしまう。そのほかに十五万円の債券を持っていただく。かりにこれを換価いたしますと、百円が八十八円から八十九円になるというのを十五万円にかえてやってみますと、公社の電話をつけてすぐ債券を換価した場合に、その負担分はいまの五万円よりも少し下回ることに相なります。したがっていまの銀座等で二十数万円というものからはるかに低く五万二千円とか、こういった相場が立っておりますのはそれとの関係でございまして、私どものほうとしては、なお正規におつけになるほうが安くつく、こういうぐあいに考えております。
  174. 中井徳次郎

    ○中井分科員 やはり関係があるんじゃないですか。相場というものはその十五万円を取ることによって――十五万円を取って加入するような所で、五万円で売っているような所はありはしませんよ。十五万円の債券を売ったら五万円以下でないと買い手がないのですか。たちまち三割に減るのですか。ちょっとおかしいじゃないですか。私が冒頭言うたのは、電話に相場がある、その相場が電話債券と関係があるかどうか。あるにきまっていますよ。あなたはないと言うて、十五万円で債券を買わなければいかぬところで五万円で電話を売っていますと言う。それではだれも債券を買わずに五万円で買うだろうと聞いたわけです。十五万円の債券を市場に持っていったら五万円以下でないと買手がないというのはおかしいじゃないですか。そんなものですか。
  175. 千代健

    ○千代説明員 回答が非常に不十分で、お取り違えいただいたようでございますけれども、十五万円のものを市場へ売りますと約九掛けでございますか、十二万幾らで売れる。そうすると実際上の負担が二万幾ら、そのほかに一万円、それから三百円といった御負担が要るわけであります。それをトータルいたしますと五万円以下になります。こういったところが公社の電話をおつけになるときの債券を売った場合の御本人の負担ということでございます。  それから、関係があるのじゃないかというお話は、関係ございますけれども、二十万、三十万ということになりますと、ここいらの関係は非常に少なくなりまして、ほとんど大半がその地域の電話の需要と供給の関係で大きく出ておる、こういうぐあいに私、申し上げたかったつもりでございます。
  176. 中井徳次郎

    ○中井分科員 ややわかりました。しかし、やはり加入者に電話債券を持たすということが電話の相場に非常に関係がある。その債券をすぐに売るということでありますが、これは私あとで聞こうと思いましたが、たいへん何ですから、いまついでに聞いてしまいますが、総裁、いま聞いたようにこういうふうなことなんですね。これじゃ全く、その差額の二万円か三万円はだれに入るかといいますと、大体町の金融業者に入るのです。こういうことをやるのならば、電電公社は金が要るのですから、むしろ十五万円なら十五万円でいいですから、その十五万円をもっと正当な金融機関、銀行なりあるいは信用金庫なり相互銀行なりあるいは信託会社、そういったところでももちろん扱っていますけれども、そういうところで最初から電電公社がその十五万円を調達されるという形にいたしましたら、そのような二万円損したり三万円損したりということは全然なくなるわけなんですが、こういうことについて電電公社は抜本的なものの考え方をなさらないのですか。この辺をちょっと伺ってみたいのです。それに私は、これは悪習慣だと思う。
  177. 大橋八郎

    ○大橋説明員 ただいまの御趣旨、私ども全く同感なんであります。もともと私のほうは、決して現在の加入希望者に債券を引き受けていただくことはいい制度だとは思っておりません。やむを得ざる最後の窮策ということでこういうところに落ちてきたのでありまして、本来から申せば財政投融資なり、あるいはただいま御指摘のような銀行その他の金融機関から公社が社債を募集し得るならば、こういう手段はもちろんとらない。私ら好ましくない制度だと思っております。しかしどうもいろいろやってみましても、今日まで長年の経過をたどってみますと、財政投融資にも限りがあるので、しかもこれに対していろいろな公共事業その他から要求が出ておるので、なかなか全部の要望を満たし得ないということになりますると、結局最後は一種の利用債というか、特に加入希望者にお願いをしまして負担をしていただくという最後の窮余策に落ちたわけであります。決してわれわれはこれをもって適当な措置と考えておりません。
  178. 中井徳次郎

    ○中井分科員 この問題はおそらく公社の中でもずいぶん御議論があったと思うのでありますが、私はこの間からこの電電公社予算を拝見をいたしまして、これから少し聞かしていただきますけれども、総体的に非常に堅実過ぎるくらい堅実だと思うのであります。したがいまして、どうもよくわからないのは、いまの大橋さんの御意見のようなことで、ことしは電話加入五十万個ふやすのだ。したがって一千億の資金が要る。しかしそれに対する償還計画はかくかくのごとく、堅実そのものである。ゆえに十大銀行なら十大銀行でシンジケートをつくってもらって、そしてどうだ引き受けぬか、こういうことを電電公社とそういう市中銀行と直接話をする。その十大銀行は必ずオーケーと言うと私は思うのです。何か聞けば、アメリカのほうに行って外債を募集だとか、けっこうなことですよ。にぎやかでけっこうですけれども、何もそんなことをする必要はない。私拝見していますと、減価償却一千億、資金勘定へ繰り入れ五百億、三千八百億の収入の中で、千五百億という金が余るわけです。減価償却は議論があります。建設をするのにも、三千億の建設の中で千五百億までは自己資金、こういうすばらしいところに千億貸せと言ったら、みんなオーケーで、一時間で話が済むという気がするのですが、そういうものを妨害しておるものは何であるか、それが私はどうもよくわからないのです。そういう計画そのものを郵政大臣なりあるいは大蔵省は、全体の計画としてチェックされることはいいでしょう。ことしは千二百億くらいにしておけとかことしは千五百億ぐらいにしておけということはいいでしょう。しかしその実施に際しましてまで、それは加入債でなければいかぬとかあるいはそれは大蔵省の預金部は何ぼでこれはどうだとかというようなことを言わなくてもいける。そういうことによって、電話の相場などというまことに恥かしいことが世界の文明国の中で残っておるのは日本だけでしょう。おそらくはかにはないでしょう。そういうものを早く片づけていけぬかと思うのですが、それがどうしてできないのですか。直接電電公社が折衝をするということ、これは古池郵政大臣意見も聞きたい。国鉄だって同じだと思う。この間私は補正予算の総括質問のときにも言いましたが、国鉄は電電に比べて非常に苦しいですね。苦しくてもああいうふうな、たとえば東京-大阪間の新幹線をやるというふうなことになれば、事を分けて話せばできると思うのですが、特に電電公社に至りましては、これは日本じゅうでこんなかたい仕事はありはしません、いわゆる民間の企業家が見ましたら、金融家、バンカーが見たら。借入金を見ますと千二百億ですか、そのくらいのものです。何でもないと思うのですが、いまだに加入者からお取りになるのか。現実の姿を見ますと、電話をとりたい。とりたいが十五万要るらしい。売ったら先ほどの営業局長の話じゃないが八掛け、そうすると三万円損だ。この三万円が電電公社にもプラスにならず、加入者にもプラスにならず、どこかへ行っている。極端に言うと、これは高利貸し資本的なものですよ、この三万円というのは。そういうものをいいかげんに整理しないと……。そういう意味において、総裁、私がいま申しましたような、皆さんが直接、もちろん下交渉でありましょうが、やられまして、もちろん大蔵省の承認をおとりになるのもけっこう、郵政省の承認をおとりになるのもけっこうだが、そういうふうに早く転換をなさる必要があるし、またなさることに困難はないと私は思うんです。いずれ総括的な考え方においては、国家全体の予算の資金繰りの中なんですから、国庫が金を出そうが出すまいが――そういうことでございますが、この点につきまして私は、郵政大臣の素朴な御意見でけっこうですが、伺ってみたいと思います。
  179. 古池信三

    古池国務大臣 素朴な考えを申し上げますが、この建設工事が非常に膨大である。これに対する資金量もまたきわめて多大である。それに対しましては、まず第一段階としては公社の自己資金というものを充て、しかしとうていそれじゃ十分じゃございませんから、借り入れ金をする。この借り入れ金については、かような公共事業でありますから、財政投融資の面において政府としても極力協力をいたす、こういうたてまえに今日なっております。そのほかに一般の市中金融機関から借り入ればせぬのか、こういうお尋ねでありまするが、これは政府が圧力をかけて、市中銀行の金融を支配するというようなことはとうていできないことは御承知のとおりであります。直接は大蔵省がこの金融情勢については考えているわけでございますけれども、大蔵省としても決してこの電信電話事業の重要性ということを認識されないわけはないのでありますから、できるものなら当然さような手も打たれるであろうと思いますけれども、やはり日本の金融事情を大局的に勘案された結果、今日のような事情になってきておるもの、こう私は理解しております。したがって郵政省としましては、財政投融資の面におきまして、できるだけ電信電話公社のほうに財政資金が回るように努力をしてまいっておりますし、今後もその線で努力をしていくつもりでおります。市中銀行の資金が簡単に公社のほうに回りはしないかというお説でありますが、その辺のところは私もよくわかりません。直接その衝に当たっておられます公社の総裁から御答弁があるかと思いますが、ちょっと考えただけでは、なかなか資金需要も旺盛でありますし、多額の資金が市中銀行から回るということは困難ではないか、こう私は考えておる次第であります。
  180. 中井徳次郎

    ○中井分科員 古池さん、ちょっとあなた誤解があるのですよ。あなたがそういうお世話をして、大蔵省の資金運用部ですか、そういうところから出される以外に、さっき言ったような電話債券というのがあるのですね。この三十九年度政府関係機関予算の一〇〇ページ、日本電信電話公社資本勘定、この二つ目に、「電信電話債券」というのがあるのです。これはさっき営業局長が説明をしました一加入について東京は十五万円、ずいぶん高くなったと思って私はびっくりしながら聞いておるのですけれども、こういうものをやめて、肩がわりですね。国鉄あたりが今度は電電のあとを追うような形で、最近利用債などといっておりますが、これだって、大体地方自治体だとか、大きな団体でありまして、個々の人から貨車の何だとか、駅の何だとかいうものをやってやしません。ですから私はこれを言うのです。千百九十四億というのは大体それだろうと思いますが、これのカタがある。私は、大蔵省やあなた方がうんと言えばできると言うのですよ、こんなものは。それをあなた方はできないようなことばかり説明をしておるが、そんなものはできますよ、一千億ばかりのもの。これを言うのです。これについてよくわかりましたか、よく検討してください。総裁いかがですか、私のこの考え方は。
  181. 大橋八郎

    ○大橋説明員 私も実は金融のことはしろうとでありまして、申し上げるだけの力はありませんが、ただ今日まで長年の間大蔵省もしくは関係方面と接触してきました経験からいいますと、これは御承知のように、民間の銀行、金融家から直接社債を募集するというようなことはなかなか困難ではないかと思います。
  182. 中井徳次郎

    ○中井分科員 それは、あなたが直接おやりになる権限があればできるんだけれども、そういう権限を政府の他の機関が押えておるからなかなか困難、こういうことじゃないのですか、大臣いかがです。
  183. 古池信三

    古池国務大臣 先ほど御指摘になりましたように、電電公社は外債すら募集して外国の資金を借り入れることができるわけでありますから、市中の金融が許せば、あえて私のほうでそれをとめるという必要はないと考えております。それから、なお、先ほどの御質問に関連いたしまして、鉄道等は地方の公共団体に利用債というものを持たせて資金繰りをやっておるということは、私も聞いております。ただ、鉄道は利用する人が非常に流動的でありますから、一般の利用者から個々に債券を引き受けてもらうということは非常にむずかしいのではないかと思いますが、電話のほうは加入者ということがはっきりして固定しておりまするから、その加入者から債券の形において金融を受けるということは、そのこと自体は、私は決していいこととも理想的とも思っておりませんけれども、やむを得ざる措置として、これも一つの便法であろう、かように考えております。
  184. 中井徳次郎

    ○中井分科員 その便法が長くなって、電話に相場ができたりなんかして何ともならぬから、いいかげんにこういうものを簡単に――事務も非常に楽になりますよ、電信電話の運営も。中央において一本で折衝するということでありまするから。いま大臣はたいへんけっこうなお返事をいただいて、そういうふうにできれば、市中銀行が引き受けてくれるようなら、これはやってもらいたいということでありましたから、私は非常にありがたいと思うのですが、それは市中銀行のほうは聞かなくても大体私は想像つくのです、こんな確実な投資はありませんから。もちろん大蔵省の銀行局ですか、いろいろなことを言いましょうけれども、本質的にはのどから手が出ている電信電話の債券ではなかろうかと思います。きょうはあまりこの点でくどくは申したくありませんのでやめますけれども、この原則だけはどうぞ近い将来に貫いていってもらいたい、かように考えます。二千八百億ですか三千億ですか、非常に金が要って、五カ年計面でやろうということでありまするから、電信電話債券もそういうことで、将来十年たって、この間の御回答じゃないが、朝言えば昼から電話をつけてくれるというふうなことになってまいりますと、こんなものもできなくなるし、そうなるとさらに建設をしようといえば、それこそやはり金融機関なり何なりに話をしていかなければいかぬ。建設があまり多くないと、いまのこの減価償却と資本勘定繰り入れの千五百億でいけるかもしれません。いけるかもしれませんが、私は何といいましても、加入者から十五万円も金を借りてやる、しかもやった電信電話は加入者のものでも何でもないのです。これは電電公社のものなんです。そういうものの取り運びがどうも筋が合わぬように思いますので、簡単にこの点だけちょっと触れようと思ったが、長くなって恐縮ですが、特にこの点は、将来こういうことは一刻も早くやめて、直接金融機関と折衝なさるということを強く要望いたしておきます。  それから関連しましてお尋ねをするのですが、日本電信電話公社の予算書を見ますと、九十五ページに収入の部で電信収入が百八十六億とありまして、けさ安宅君の電信の赤字は一体幾らあるかという質問に対して、何か二百億とか二百五十億とかいう御回答でございましたが、いかがでございますか、この点もう一度伺っておきたい。
  185. 井田勝造

    ○井田説明員 電話事業、電信事業の収支、赤字、黒字がどうなっておるかという数字は、決算に基づいて出しますので、安宅先生の質問に大体の見込みを申し上げたわけでございますが、おおよそ三十八年度で二百三十億程度になるだろう、こういうふうに申し上げました。
  186. 中井徳次郎

    ○中井分科員 そういたしますと、この赤字は三十八年度で二百八十億でありますならば、三十九年度は二百億に減るなんというものじゃなくて、むしろふえる、こういうふうに了解しておいてよろしいですれ。
  187. 井田勝造

    ○井田説明員 公社といたしましては、この赤字を少なくするためにいろいろ努力をしております。したがいまして、何とかこれを食いとめたい、あるいは少なくしたい。いろいろ施策をしておりますので、三十九年度になると必ずふえる、こう限ったものではございませんです。
  188. 中井徳次郎

    ○中井分科員 ここ数年、大体二百億前後の赤字でいっておるのですか、いかがですか。
  189. 井田勝造

    ○井田説明員 三十三年以来の電信事業の赤字を申し上げますと、三十三年度は百二十四億でございます。それから三十四年度が百二十九億、三十五年度は百四十二億、三十六年度が百六十二億、三十七年度になりまして二百億をこえまして二百十一億、こういうことでございます。
  190. 中井徳次郎

    ○中井分科員 やはりだんだんふえているじゃないですか。私はふえているのをいい、悪いと言っておるわけじゃありませんが、電信の赤字を防ごうといったって、実際問題として非常に困難であることは、私もよくわかりますが、それをカバーをしておりますのは電話事業、こういうことになりますと、ちょっとお尋ねしながら考えていきたいのですけれども、受託業務収入というのが九億五千三百万円かございますが、これはどういう収入でございますか。
  191. 井田勝造

    ○井田説明員 これはいわば工事代金でございまして、会社、銀行等で構内交換電話を公社に注文される場合がございます。その代金でございます。
  192. 中井徳次郎

    ○中井分科員 わかりました。次にもう一つお尋ねをいたしたいのは、支出の部におきまして管理共通費というのが百九十三億円ありますが、これはいかがですか。
  193. 井田勝造

    ○井田説明員 これは本社、通信局、これは全国に十一ございますが、それから通信部、これは大体各府県にございます。これを私ども管理部門と申しております。それから共通費と申しますのは、電報電話局におきますところの庶務課でございますとか会計課でございますとか、そういう直接電信電話のサービスに関係のない、そういうところを共通部門と申しております。
  194. 中井徳次郎

    ○中井分科員 さらについでに聞いておきますが、資本勘定へ繰り入れる五百四億八千三百八十六万一千円というのは、昭和三十九年度予定額ですが、これは率直に申して利益金と考えていいんでしょうね。
  195. 井田勝造

    ○井田説明員 そのとおりでございます。
  196. 中井徳次郎

    ○中井分科員 そういたしますると、もう一つ減価償却費が一千四十六億あるんですが、これは償却いたしまするのには、どういう基準でやっておられるんですか。償却の基準等をちょっと伺っておきたい。
  197. 井田勝造

    ○井田説明員 公社におきましては、建物でございますとかいろいろな雑施設、こういうものにつきましては、定額法によりまして、毎年定額で償却してまいります。ところが電信電話、線路、機械、これにつきましては、昭和三十六年度から定率法をとっております。  その概要を申し上げますると、それまで公社の線路、機械の平均耐用年数は、二十一・五年が平均耐用年数でございました。ところが、御存じのとおり電信電話は非常に技術の進歩が著しい部門でございまして、この昭和三十年第一次、第二次計画で非常に設備拡張が急激に進みましたので、従来の定額法による償却では不足である。結局設備の陳腐化でございますとか、あるいは不適応化、こういったような現象が出てまいりまして、耐用年数以前に撤去しなきゃいけない、撤去するほうが有利である、こういうようなものが出てまいりました。それを特別償却ということでやってまいったのでございますが、この三十一年から減価償却委員会というものを公社の内部に設けまして、いろいろ研究いたしました結果、この耐用年数をいまのように平均十六年にいたしました。それから定額法の場合には残存価格はゼロということにしておったのでございますが、これまた実際につきまして詳細に検討いたしました結果、残存価格は原価の一割、こういうふうに押えました。そして定率法でやるようになった、こういうことでございます。
  198. 中井徳次郎

    ○中井分科員 もちろん土地なんかには減価はやっていないんでしょうね。
  199. 井田勝造

    ○井田説明員 はい、やっておりません。
  200. 中井徳次郎

    ○中井分科員 ずっといま御説明を伺っておって感じますことは、資本勘定への繰り入れが五百四億という点は五百四億の利益である。特に電信収入において二百三十億も赤字であるということでありまするので、電話だけでありますると、これは七百四十億もうけておる。三千八百億の予算のうら大体二割。電話はその二割をもうかる。特に減価償却をいま伺いました。固定資産の総計が幾らかというと一兆二千億である。それを十六年で償却するというのですから。これは一兆二千億の中には土地もありますよ、三十年の建物も入っておって一千億の減価償却。十六年とつじつまが合わない。ことしになって急に二百億減価償却がふえておるわけだ。一昨年は六百億、去年は八百億、ことしは一挙に千億。堅実過ぎて非常にけっこうでございましょうけれども、こういうことを考えてまいりますると、もう一つ――これは二つの理由です。利益が二割、減価償却は十分過ぎるほど十分であるということ、それからもう一つ、五カ年計画で建設をなさるなさるというが、それは新しく加入をする電話加入者のためには圧倒的な利益になるわけであります。現在加入しておる人も助かりましょう、加入者がふえるから通話区域がふえるといって助かりましょうけれども、それはわずかなものであります。ところが、建設の内容を見ますると、二千八百億というふうな建設費の中で実に千五百億までは現在の加入者が金を出しておる。そうして一千億ばかりが借金。この借金も十分返すだけの堅実な経営である。国鉄の場合とまるで逆なのです。私はここまで考えてみますると、職員の給与も五千円ベースアップと言っておるが、一万円くらいベースアップしてもいけますよ。二十二万人として、一万円ずつ上げると月に二十二億円。五千円ベースアップ・オーケーといっても百六、七十億ぐらいあればいい。しかもなお、市外通話料なんかも、実際計算してみますると、市外通話の収入は一千二百八十九億ですか。いま東京から大阪に電話をかけると、大体一分百円ですね。十分かけると千円ですから、十二、三分かけますと、大阪へ汽車へ乗って行ったほうが安いんだ。十二分で二等と同じですよ。これは私は高いと思うのです。でございまするから、非常に堅実でけっこうでありますから、むしろ堅実に過ぎはせぬかとさえ思うので、どうですか、この際こういう市外通話料なんかは少し下げたら。これは池田内閣の一大善政になりますよ。いかがですか。たいへんどうも大まかな話しようでありまするけれども、建設建設に追われて、その建設の利払いをしたら、元金を返すのは新しく加入者からどんどん入るのですから、いまの加入者の料金をそう高くせずに十分電話事業としてはやっていけると思うのですが、この辺について、これは電電総裁の総括的な御意見を伺っておきたいと思うのです。大蔵省は、国鉄と電電、それから専売公社、三公社を一緒に御検討なすっておると思うのでありまするけれども、これは、検討しておる人は三つの状況がずいぶん違ってびっくりしておるだろうと思うのですが、私が総理大臣なら、市外通話料はこの際一割ぐらい下げますな。二、三年でけっこうですよ。暫定措置でもけっこうですがね。それから職員の給与なんかも、あまりけんかをせずに、午前中どなたか、堀君でしたか、機構改革委員会か何かに対する電電公社の返事の中にもありましたように、なかなか職員の待遇その他についても最終的な決定ができない。さらにはまた郵政方面とも関係があるというふうなことでありまして、まことにそのとおりでありまするけれども、できれば郵政関係あたりのいわゆる特定局でございますか、古池さんたいへん御苦労なすっているところなんかでも、五十億や百億は、ことしきりというならば何でもありませんよ。私はすっと見てそう思いました。だから、いま下げて永久に上げないなんというのじゃありませんが、これはけっこう過ぎるほどのことだと思うので、そういう意味において、私はいま大橋総裁意見を聞きたい。同時に、また申しておきまするが、現在のところはもうかっておるけれども、将来はいなかのすみのほうまでいきまするので、将来はなかなかもうかりませんなんという御返事を必ずなさると思うのですけれども、これなんかも、過去の統計はそんなものじゃございません。国鉄もしょっちゅう、赤字線だ、黒字線だといいますが、そんなこというなら、東海道だけ残して、あとみんな鉄道やめてしまえとぼくは言ってやったんだ。東海道だけ黒字なんて、冗談じゃない、赤字線があるから東海道が黒字になっておるんだ。そういうふうなコミュニケーションの本質的なものとの関連において、私はここ五年ぐらいは絶対値上げをする必要はありませんし、物価は少々騰貴しても、ことにここ二、三年はむしろ下げたらどうか、下げてもやっていける。そういうふうなものの考え方もいたしましたので、その点について――下げても職員のベースアップができますよ。皆さんの待遇もきちっとやれます。サービスもくだりやしません、ただ建設費に対するものの考え方さえちょっと変えれば。そういうふうに考えまするが、大体収入が四千百五十億ですか、その中で三千億近い建設を毎年やって、そのうちの千五百億まではその年々の、現在の加入者の納める料金からやっていく。ちょっと世界でも珍しいと思いまするので、ひとつ基本的なことでありますけれども、率直な御意見を伺ってみたいと思います。
  201. 大橋八郎

    ○大橋説明員 お答え申し上ます。ただいま御指摘の利益の処理の問題でありますが、これは公社ができました翌年、つまり昭和二十八年に、当時の状況から判断しまして二割の値上げを提出いたしまして、これが通った、こういうことが一番大きな原因となっております。当時の提案の理由といたしましては、当時の状況から見ると、どうも建設費が足りない。それで公債を募集する、借り入れをするという道もなかなか困難だ。そこで建設改良費の一部に充当するということが値上げの理由の一つであります。いま一つは、当時の状況で、先ほど御指摘のありました減価償却の原資が非常に不足しておりましたので、この二つに充てるために二割の料金の引き上げをやっていく。それによって今日、いま御指摘のありましたように減価償却も割合に潤沢にやることができ、また建設改良費に回すことができる、こういう状態になったわけであります。同時に、当時の政府並びに委員の各位のお話で、これは建設改良費並びに減価償却に充てるものであるから、この値上げの分をベースアップに充てるというようなことはその趣旨に反するのだというような議論がありまして、したがって、この値上げの結果の二割の増というのは、大体先ほど申し上げました減価償却と建設費に充てる、こういうことで今日までやってまいっておるわけでございます。
  202. 中井徳次郎

    ○中井分科員 そういう御回答ではちょっとわかりかねるのですが、実は二十八年には皆さんのところで、二割五分であったと思うのですが、そういう話がありまして、私も賛成をいたしました。直接委員ではございませんが、日本の電信電話は非常におくれているんだから、ひとつ――社会党は反対はしましたけれども、案はもう通っちゃった、こういうことにおける賛成です。やらしたらいいじゃないかというようなことで、私自身がかけ歩きまして、それはそうしなさい、日本はどうも非常に電話がおくれているんだから。しかしながらその後の経過を見ていると、あれから物価は五割くらい上がっている。そして人件費も相当上がっております。にもかかわりませず、こういうふうな非常にいい状況なんですね。ですから、電話などというものは、加入者がふえればふえるほど何か比例的に、ただ三十万の加入者が五十万になったから、収入が三から五になったというのじゃなくて、五割五分にも六割にもなっていく。特に経済活動が活発になってきまして、国民生活がこういうふうになってきますと、昔は一人当たりの電話の加入者が、月三千円というのが、このごろは四千円ないし五千円になってきたというふうな形から、非常な見込み違い、うれしい見込み違いというふうなものも、私は隠れた事情としてあると思いますので、いま総裁がおっしゃるようなこともよく知っております。しかしながら、ベースアップに入れろとか入れぬなというのは、その当時まだそういう議論の激しいときでございまして、今日のような高度成長とかなんとかいう話じゃなしに、人事院あたりでも――あのようなベースアップの非常に少ない時代でありましたが、今日そういう事情が非常に変わりまして、なおかつこんなふうなすばらしい成績である。これについて皆さんの御努力は私は多といたします。多といたしますが、何といたしましても二割以上の利益。大体公企業でありますと一割、せいぜい一割二分ぐらいでいいと思うのでありますが、とにかくこういういい成績で、しかもさっき言いましたような減価償却で相当逃げておる。失礼ながら私はそう思います。たとえば国鉄の減価償却はことしまだ六百億か七百億なんですよ。国鉄は二兆円あって、収入は六千億です。でございますから、それもけっこうなことでありますけれども、どうも私は何か食い足りない。もう少し流動的なものの考え方をしていってはどんなものであろうか。なおかつ、このようにいい成績であります上は、私が先ほど言いましたような恥しい、電話に相場があるようなことだとかなんとかいうこと、さらにまた――きょうはもう時間がありませんからあまりお聞きはしたくないが、先ほどから、本年度の電話をふやす都市なんか拝見をしましたが、これなど、おのおの御都合があるんでしょうけれども、私がちょっと考えて、こんな町までこんなふうに早くせぬならぬのかというところもあったり、いろいろ盛んにおやりになることはけっこうでありますが、そういうことを考えますと、この辺で私は――電電公社の職員の待遇などというものは、ちっともいいものではありません。古池さんも、郵政のほうはもっと悪いとお考えになるかと思いますが、御一緒にこういうものは幾らでも改める余裕がある。ことに特定局舎の問題などは、あるいは法的な措置を必要とするかもしれません。しれませんけれども、とにかく千五百億というふうな新しい建設をしておるのでありますから、過去六十年、七十年、長いおつき合いの昔の三等郵便局長さんのことでありますから、ああいう問題も、簡易保険の積立金をどうこうするというような芸のこまかいことをやらなくとも、解決方法があるんじゃなかろうかと思います。特に申し上げたいのはベースアップの問題でありますけれども、私は素朴に考えまして、市外通話料はいかにも高いと考えるのです。市外通話の料金は遠距離逓減制になってはおるんでしょうな。いかがでございますか。
  203. 千代健

    ○千代説明員 遠距離逓減制になっております。
  204. 中井徳次郎

    ○中井分科員 それではちょっと伺いますが、東京と鹿児島まで一通話というか最初の三分というのか、幾らでございますか。即時になったでしょう。
  205. 千代健

    ○千代説明員 千百キロをこえるものが六百円でございます。
  206. 中井徳次郎

    ○中井分科員 ここから鹿児島まで六百円ですか。千百キロ、もっとありますね。私が言っているのは具体的に聞いているんです。この間も何か三十九年度に電話局を開局する表か地図か何かありませんかと言ったら、ないと言うんですね。千百キロとか何とかいうよりも、東京-鹿児島というような、そういう一覧表があるでしょう、どうですか。
  207. 千代健

    ○千代説明員 ございます。   〔井村主査代理退席、主査着席〕
  208. 中井徳次郎

    ○中井分科員 まあいいです。とにかくそういうふうで、いま伺っただけでも、六百円というふうな非常なことでありまするし、電信電話の技術が非常に発達をいたしまして、私どもが子供のころ、あるいは青年のころ扱っておりましたものから比べますと、ケーブル一体にいたしましても、非常に銅の使用量も少なくて済むというふうなもので、それで何百回線もできるというわけでありますから、技術は非常に高度になりましたけれども、経費は逆にかからなくなった、こういうことなんです。昔の装荷ケーブルが何だかんだというのに比べますと、非常に安くなった。そういう意味からいって、どうもこの市外通話料なんかは非常に高過ぎる。一般的な、基本的な立場からいえば、電話使用料六百三十四億とありますが、こういうものを下げるのは一般の人には一番喜ばれるかもしれません。しかし、経営のなにから考えますると、私は、素朴に考えて市外電話料というふうなものをもっと検討してもらいたいものだ。こんなものは少々、一割や二割下がりましても、二、三年たったらまた使用度数がそれぐらいふえて、えらい安くなったな、もう一ぺんかけようかというふうな形になりますので、そう心配したほどのことはありません。要するに基本的に申し上げたいことは、二十八年か九年でありまするか、電電公社が、これから電信電話の大拡張をするから、二割ないし二割五分値上げをするというときに、私ども将来の繁栄のためにひそかに賛成をした。それが実は非常にいい結果になり過ぎたような状態で、こういうふうな超堅実な経営になっておる。この際こういうものは少し――池田さんじゃありませんけれども、アフターケアか何か知りませんが、少し整理をして、高過ぎるものはひとつ下げていったらどうだ、そういうことによってあなた方の将来の活動にはいささかも私は影響はないというふうな判断をいたしましたので、以上のことを申し上げまして、きょうはもう時間がありませんから、私の最後の意見として申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  たいへんどうも粗雑であったと思いまするけれども、さらにこの点についてはあと一年よく研究させていただきまして、明年度また予算委員会において引き続きお尋ねをいたしたいと思います。本日はこの程度にいたします。
  209. 大橋八郎

    ○大橋説明員 先ほどの私の説明にさらにちょっと補足さしていただきます。いま御指摘のように、現在においては確かに利益が出ていることは御指摘のとおりなんです。その利益の出た原因も、先ほど私が御説明申し上げましたほかに、実は、二十八年に値上げをしてから今日十年たっておりますが、まだ一度もその後の値上げというものを電話に関してはやっておりませんで、ほかの事業を見ますと、その間にたいてい二回か三回の公共料金の値上げがあったが、電話としては値上げをしておりませんが、これは一方において、先ほど御指摘のありましたように技術の発達がありまして、たとえばケーブルにしても非常にいいケーブルが現在だんだん発明されているということで、建設費なり維持費なり費用の節減ができたためにおそらく今日まで、ほかの公共料金に比較いたしまして値上げをせずにやってきた、こういう点の利益があったと考えます。ただ、今後だんだん拡張をいたしますると、これは将来のことになってあるいはおしかりを受けるかもしれませんが、今日の状況を見ますと、事業所の申し込みよりも住宅の申し込みのほうがだんだん多くなる、これはもう当然のことでございまして、普及すればするほどそうなっていくわけであります。個人の加入の収入というものは、これは御存じのとおりどうしても一般の事業所の収入よりも単価が少ないのでありまして、これがふえるということは、収入の上において、今後は必ずしももとのように増収増収ということになりかねる一つの要素であります。これをこの際に値下げをやるということになりますと、将来の経営上も非常に困る、また建設費の原資もそれだけ少なくなるわけでありますから、現在のところ私どもとしては値下げということはあまり考えておりません。この点御了承を願います。
  210. 中井徳次郎

    ○中井分科員 やめようと思いましたが、そんなことを申されると……。私の申し上げているのがちょっとことばが足りなかったかもしれませんが、永久に下げろなどということを言っているのではありませんよ。ここ二、三年条件をつけて――どうも市外通話料なんかあまり高過ぎやせぬか、即時通話になりました、なったとたんに非常に上がりまして、そのままであります。だから、そういうものはこの際暫定的に措置をしてやったらどうか。その基本の考え方としては、いまの加入者に将来の建設の資金の半分以上出さすという理論的な根拠は、これはもうほんとうに経済的にもちょっとあり得ないですよ。そういう面もある。二十八年に私どもが二割五分値上げに賛成をいたしたのも、それはあなた方が言うような大いに電信電話をふやすということのために賛成したのだが、これをやってみて、今日まで約十年きてこういう次第であるならば、これはちょっとここで制御したらどうだというのが私の意見なんです。これは実は自民党の諸君あたりから出される話じゃなかろうかと思うのですが、私は社会党でありますから、もちろん職員の給与のことも考えました。こんなもの幾ら上げたって、いま五千円ぐらいベースアップしたって平気だということでありますから、それをやって、問題は借入金の問題です。将来の建設への借入金を現在の加入者に出さすというものの考え方、そのものの考え方がどうも妥当でありませんから。借入金のできにくいという問題はありますけれども、いまの堅実な経営から見れば、一般の市中銀行――経済ベースからいえは、日本でこれほど投資したくなる事業はないと私は思うのです。そういう意味おきまして、一般市中銀行なんか、事を分けて話せば、これはすぐオーケーです。ただ難色は、いわゆる金融全体から見て、大蔵省あたりが、電電だけが先走ったのはけしからぬとかいかぬとかいうふうなことではなかろうかと私は心配をしておるので、そういう点だけが心配でありますけれども、全体の状況から見ますと、私の言うようなこともやれないことはありません、ひとつ考えてみてはどうですか、こういうことであったわけであります。大橋さんができないと言われるのも立場上ごもっともでありますけれども、やはり政治というものはしょっちゅう動いておるのですし、電信電話のことだって戦前はひど過ぎたのです。また戦後もひど過ぎたのでここまできたわけですから、あと十年たって、古池さんの言われるように、きょう、朝申し込めば昼からつくというふうになったら、やはり大きく見直す時期がある。鉄道と電信電話を比べてみると、鉄道は今日非常に苦しい、電信電話は非常にいい、こういうものについても政府としては調整を考えなければいかぬ、こういう意味でお尋ねをいたしたわけでございますので、あげ足をとったり、ことばじりをとったりする意味のことでありませんことを最後に一言つけ加えさせていただきたいと思います。
  211. 稻葉修

    ○稻葉主査 これにて郵政省所管及び日本電信電話公社関係に対する質疑はすべて終了いたしました。  以上をもちまして、本分科会所属の運輸省所管、郵政省所管、建設省所管及び自治省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     ―――――――――――――
  212. 稻葉修

    ○稻葉主査 この際、おはかりいたします。  昭和三十九年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算中、運輸省所管、郵政省所管、建設省所管及び自治省所管に対する討論採決は、先例によりまして、予算委員会に譲ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 稻葉修

    ○稻葉主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  分科員各位の御協力を心から感謝を申し上げます。  これをもちまして、第四分科会を散会いたします。    午後三時三十四分散会