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1964-02-22 第46回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十二日(土曜日)    午前十時六分開議  出席委員    主査 稻葉  修君       今松 治郎君    加藤 精三君       保科善四郎君    松澤 雄藏君       山本 勝市君    田口 誠治君    兼務 竹谷源太郎君 兼務 玉置 一徳君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         建設政務次官  鴨田 宗一君         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     吉兼 三郎君         建設事務官         (計画局長)  町田  充君         建設事務官         (都市局長)  鶴海良一郎君         建 設 技 官         (河川局長)  畑谷 正実君         建設技官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君         建 設 技 官         (営繕局長)  建部 仁彦君     ————————————— 二月二十二日  分科員江崎真澄君、五島虎雄君及び林百郎君委  員辞任につき、その補欠として加藤精三君、田  口誠治君及び谷口善太郎君が委員長指名で分  科員に選任された。 同日  分科員加藤精三君及び田口誠治委員辞任につ  き、その補欠として江崎真澄君及び五島虎雄君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  第二分科員竹谷源太郎君及び第三分科員玉置一  徳君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計予算建設省所管  昭和三十九年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 稻葉修

    ○稻葉主査 これより予算委員会第四分科会を開会します。  昭和三十九年度一般会計予算及び同特別会計予算建設省所管を議題といたします。  前会に引き続き質議を行ないます。山本勝市君。
  3. 山本勝市

    山本(勝)分科員 きょうは、久しぶり河野建設大臣に会って大臣抱負経綸を聞きたい、こういうことで実は質問することになったのであります。しかし、大臣がおくれるようでありますから、こまかな点を先に伺うことにいたしますが、そういうことを伺います意味は、先に申し上げておきますが、こういうことなんです。政務次官が見えておられますが、次官もよくひとつ聞いておいていただきたいと思うんですが、私がいろいろなことをお尋ねするのは、結局こういう立場からなんです。  今日、保守政党といいますか、保守政治家に与えられた最大課題は何か、自由な社会を守っていこうという保守政治家立場から見て、最も重大な課題は何かということについての私の考えを申し上げますが、その課題にこたえるために、建設行政責任者、広くは国務大臣として、どういう抱負経綸を持っておられるかということであります。それについて私自身考えも申し上げて、御意見を伺いたいと思うのであります。  私が常々考えますことは、今日、保守政治家として最大課題というのは、こういうことだと思うのです。経済成長させていかなければならぬし、また、経済はだんだん成長していく。国民所得はふえていく。この経済成長するにつれて、独立した自由な労働者といいますか、経営者が、だんだん数が減っていって、人に雇われて生活をする賃金労働者ないしはサラリーマンの数がふえていくという事実であります。これは絶対数においてもだんだん減っていくと思いますが、明らかなことは相対的な比率から申しまして、農民であるとか中小企業者であるとか、ああいう自分判断仕事計画し、自分責任において仕事をやっていくという、そういう意味労働に従事しておる者がだんだん減っていく。人に雇われて、人が立てた計画を言いつけられて、そうして監督を受けて仕事をしていく、それに対して報酬をもらって生活をしていく、つまり賃金労働者またはサラリーマンといわれておる者の数が、少なくとも全体の総就業労働者の中での比率が、だんだんとふえていく。これは私は避けがたい一つの勢いだと思うのであります。経済成長していくという場合には、一般に工業化していく。第一次産業がだんだん二次の工業化していくということにあると思いますが、その場合から考えましても、明らかに賃金労働者ないしサラリーマン比率が、全就業労働者の中でふえていく。そうして、賃金労働者ないしサラリーマンという、人の計画した仕事を、人の命令を受け、人の監督を受け、そして自分が働いたその労働に対して報酬を受けて生活するという人たちは、これはまず必然的と言ってもいいように労働組合を組織していく。つまり組織労働者となる。これは憲法の上でもそういうものを基本的人権として認めておるわけであります。  ところが、そういう労働組合というものには、やはり一つ傾向というものがどうしてもできてくる。それはどういう傾向かといいますと、第一には、組合を組織した以上はなるべく組合をくずしたくない。くずしたくないから、組合指導者の言うことが無理だと思っても、ほんとうは、腹の中からは好ましくないと思っても、それに反対をしたのでは結束が乱れるから、したがって無理と思いながらそれに従っていく。外部から見ると、ほとんどふしぎなくらいに指導者に対して従順である。たとえばねじはち巻きで赤旗を立てて県庁の前にすわり込んだり、ジクザグ行進を大ぜいの前でやるというようなことは、子供がテレビで見ておっても、お父さんがそういうことをしておるのを好ましいと思わぬでしょうし、本人自身だって、そういうことはあまりいいことと思っていない者が大多数じゃないかと思うのですけれども、しかしそれをいやだと言ったのでは組合結束がくずれるから、指導者がやれと言えばやる。こういう一つの、指導者に対して驚くほど従順な態度をとるものである。これは結束を乱したくないということからくるのだろうと思うのです。  それから、もう一つ傾向は、人に雇われて、人の指図で仕事をしていくという人は、自分責任で自由に仕事をやっておる人とは違って、いつでも人の命令で動いていく。また上役の顔を見ていかなければ自分の運命に大きな影響を持つものですから、そういう点では、農民とか中小企業者とはふだんの生活様式が違うものですから、そういう人たちはいつもやはり上下の命令と服従の関係日常生活がそうなっておるものですから、やはり上の者に対して絶えず緊張していかなければならぬ。俗に言う上役の顔を見なければならぬといいますか、いかに陰では反抗しましても、面と向かってはどうしてもそれに従わなければならぬという、その緊張の中に暮らしておるから、何とかして緊張を緩和したいという要求が起こってくる。しかし、自分が面と向かって反抗したのでは、自分影響してくるもんですから、自分にかわって上の者に反抗してくれる政党を、自分を支持してくれる政党判断をする。政府に対して猛烈に突っかかる、あるいは自分たちを使っておる企業者に対して仮借なき批判を下すような人々を、ほんとう自分の味方だと考え傾向を持ってくる。それは自分でやれない。労働組合というものは、どこの国でも、そこの国で存在する保守的な政党を支持しないで、やはり革新的といいますか、ひどく言えば、革命的な政党を支持する傾向を持ってくる。これはアメリカのようなところでも、共産主義社会主義は非常に弱いですけれども、それでも民主党共和党二つある場合には、労働組合民主党を支持する。共和党を支持しないというのは、程度は違いますけれども、やはりそういう傾向アメリカにもある。いわんや共産党、社会党、保守党というようなものがある程度の力を持っておる場合には、どうしても革新政党を支持していく傾向がある。これは日本においても現実にそうだと思います。  最初に返りますが、労働二つ形態がある。一つ独立労働自分自分判断でやる仕事と、人の計画した仕事を人の指揮を受け命令を受けて労働する労働と、二つのカテゴリーがありますが、そのあとのほうの労働者またはサラリーマンの数がだんだんふえていく。つまり労働組合を組織するものがだんだんふえていく。それが革新政党を支持していく、革命的なものを支持していくということが、経済成長の必然の結果としてあらわれてくる。これは現に日本でもそうなっておると思うのであります。明治、大正、昭和——昭和時代になってから、一進一退は多少ありましても、だんだんだんだんその傾向をとってくる。こういう一つの動きに対して、保守政治家として、そのままこの課題にこたえないでおってはならぬと私は思うのであります。いかに科学技術を振興し、あるいは道路をつくり、住宅をつくり、工場をつくり、そうして経済成長に努力いたしましても、努力すれば努力するほど結果は組織労働者がふえてくる。その組織労働者も革命的な傾向革新的傾向を持って、保守党反対立場をとる労働者の数が、経済成長の結果としてだんだんふえていくというこの傾向をどうすれば阻止できるか、あるいは反対傾向に持っていけるかということが、私は、今日保守政治家に与えられたというか、政党の問題というよりも、むしろ自由な社会を維持していかなければならぬという決心をしておる政治家にとっては、最大課題だと思うのであります。もし労働者の大多数がいまいったように組織労働者となり、しかもその組織労働者赤旗を振ってジグザグ行進をやるということになっていく場合に、はたして自由な社会というものが維持できるかどうか。ほかの点でどんなに努力しても、私は維持できないのではないかと考えるのであります。  こういうふうな課題を私は考えるのでありますが、この課題に対しては、もちろん建設関係だけで答えられる問題ではない。それは農業問題、たとえば農民という自由な独立労働者を、今後どうしてその数を減らさないように、しかも生活が安定できるようにしていくかということは、農林大臣が主として考えなきゃならぬ問題であろう。あるいは中小企業者というものがだんだんと少なくなっていく場合に、これをどうして維持していくかということは、通産大臣の重大な責任でありましょうが、私は建設大臣としてもこれに答えるべき責任もあり、また大きな影響を持っておると思うのです。だから、それについての大臣に対する——久しぶり、十年ぶりですけれども、実は鳩山自民党以来ほんとうに面と向かって尋ねたり答えたりという機会を失っておったのですけれども、私は、やはり大臣の将来に大きな期待を持つという意味で、自分意見も申し上げ、大臣考えも聞きたい、こういうつもりであったのですが、しかし、きょうは来られないはずになっておって、来てくれるにしてもおくれてくるということですから、来られたら大臣にも伺いたいと思うのです。しかし、そういう意味でこれから事務関係の方にも聞いてみたいと思うのです。  それで、第一に政府委員に伺いますが、実はこの間連絡がありましたときにも、私は大体こういうふうなことをお伺いするということは申し上げておいたのです。昭和四十五年までに一世帯住宅を実現するということを政府のほうで掲げておるのですが、その住宅という中には、一戸建て住宅でなしに、アパートの小さな室に住んでおるものも住宅の中に入れておるのかどうか。どの程度のものを住宅としておるのか。まあ一間だけでは住宅とは言えないかもしれませんが、どの程度のものを住宅として見ておるのか。これを最初に伺います。
  4. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまの山本委員の根本的な問題につきましては、ひとつ大臣にお聞きを願いたい思いますが、次の御質問であります一世帯住宅ということにつきましての構想としては、大体三部屋ぐらいのものを考えております。もちろんキッチンもありますしバスもあるし、近代的な感覚を盛った住宅、こういうふうな考え方をしております。詳細な点は住宅局長が来ておりますから説明させます。
  5. 山本勝市

    山本(勝)分科員 三部屋といいますと、それは一戸建てとかあるいはアパートとかいうことの区別なしに——いわゆるアパートでも高級なアパートもあり簡単なアパートもありますが、木造のアパートでも、三間あればそれを大体住宅と見て一世帯住宅、こういうことに考えておるわけですか。
  6. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 さようでございます。
  7. 山本勝市

    山本(勝)分科員 そうしますと、現在の事情は、世帯の数に比べて住宅の数がどれくらいになっておるか。つまりどれくらい不足しておるのかということと、その不足しておる状況が、約十年くらい前から、あるいは五年前からでもいいのですけれども、政府住宅政策というものをかなりやかましく言い出してから、その住宅不足というものはだんだん緩和してきているのだろうと思いますが、どういうふうな数字で緩和してきておるのか。こまかい数字あとでいただいてけっこうですから、どういう傾向で進んできておるか。
  8. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 住宅不足につきまして、昭和三十六年に所得倍増計画を立案いたしますときに、一つ計画数字を持ちました。詳細な住宅統計につきましては、実は三十三年度の国勢調査を基礎にいたしました住宅統計基礎にいたしましたが、昭和三十六年度に今後十カ年の住宅建築考える場合に、その当初の不足というのを約三百万戸と押えました。この不足と申しますのは、現在住宅がないために、住宅でないところに住んでおる者、あるいは他人と同居しておる者、及び非常に狭小過密で、ございまして、九畳未満のような小さい家に二人以上住んでおる場合、あるいは十二畳未満の家に四人家族以上住んでおる場合、こういう非常に狭小過密住宅、これを不足と数えまして、そういうものを算定いたしまして三百六万、こういう計算をいたしたわけであります。その後今日まで三カ年たちましたので、だんだんと住宅不足も解消されてきまして、現在は、昭和三十八年の終わりには約二百六十万戸くらいがいわゆる住宅不足考えてよかろう、かように考えておるのでございます。
  9. 山本勝市

    山本(勝)分科員 その住宅をどれだけつくったかということをお伺いしたいのではなくて、その不足率というものはだんだん緩和してきておるのか、ますます不足を続けてきているのかという点はどうですか。
  10. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 先ほど申しましたように、三十六年の四月で考えておった三百六万戸の不足というのが、昭和三十八年におきましては約二百六十万戸くらいであろうというふうに推定しております。
  11. 山本勝市

    山本(勝)分科員 減ってきているわけですね。
  12. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 はい、さようでございます。
  13. 山本勝市

    山本(勝)分科員 そうすると、現在日本の全世帯の中で、自分住宅に住んでおるものと、それから自分住宅なしに、人の借家とかあるいは政府公団住宅とか、要するに人の家に住んでおるものの数字、あるいは比率日本に全世帯がどれだけあって、その中で自分の家に住む——おそらく農村農民とか中小企業者というものの大部分自分の家に住んでいるだろうと思う。サラリーマン労働者といわれるものの多くが自分の家に住んでない人が多いんじゃないかと思うのですが、いまなかったらあとで、全世帯の中で自分の家に住んでおる人は何%ぐらいという大体のところをひとつ……。
  14. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 正確な資料はいま手元にございませんので、後刻調べまして……。
  15. 山本勝市

    山本(勝)分科員 現在どれくらいな比率になっているかということと、それから将来十年たった場合に、最後に一世帯住宅というものが実現した場合に、自分の家に住んでおる人間と、自分の家を持たない世帯とはどういうふうな数字になるのか、あるいは比率になるのか。
  16. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 住宅所有形態は、その地域によっても違います。たとえば関西におきましては、特に都市部におきましては、戦前は相当貸し家も多うございまして、全住宅の八割近いものがいわゆる大家さんの提供する貸し家であったようでございますが、戦後住宅建築状況が変わりまして、民間貸し家が非常に建築しにくいという事情もありまして、戦後できたものは、当初はかなり部分がいわゆる自分持ち家でございました。最近はまた建築状況が少し変わってきまして、貸し家かなりふえてきております。しかし、これは個人の希望及びその地域の特性によってそれぞれ違いがきておりまして、われわれの住宅計画におきましても、特にその持ち家貸し家比率を幾らぐらいに置こうという明確な数字は、実はまだ出しておりません。低所得者のためには低家賃貸し家が多いほうが望ましいので、政府としてはその線を押していきますけれども、一般民間住宅につきましては、かなり持ち家がふえていくだろうというふうに考えております。
  17. 山本勝市

    山本(勝)分科員 結局いまの建設省住宅政策というものは、自分の家を持たせるという特定一つ政策目標というものがないのですね。とにかくそこに寝て、そこでめしをたいて食えればいい。それはなるべくきれいな家のほうがいいでしょうけれども、別に自分の家か、自分の家でないかということには、そう考慮を払わないで、一世帯に一住宅を与えよう、こういうことできておるわけですか。
  18. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 住宅につきまして特に政府が対象とする低所得者の方方は、自分の家を持つことが非常に困難でございまして、むしろ政府の援助による低家賃住宅を望む者が多いようでございます。しかし、住宅に対する希望は、いまお話のように、単に家賃で住むことよりも、自分の家を持ちたいという希望も多うございます。所得の少ない方でも自分の家を持ちたいことと思いますので、政府は一方において低家賃公営住宅をつくっておりますが、同時に金融公庫によりまして、所得の低い方でも低利で長期の資金を国から借りることによって、自分持ち家を建てるということにいたしまして、両々相待って国民希望する形に、御希望に応じてあるいは持ち家、あるいは貸し家というところに住めるように進めておるのでございます。
  19. 山本勝市

    山本(勝)分科員 結局自分の家をつくらせるという特定政策目標というものはないと判断していいんじゃないかと思います。しかし、私は、自分考えを申しますが、衣食住と申しますか、着物などは自分着物であって、人から借りた着物など着ておったのでは、寒くはなくても、人から借りた着物自分着物とじゃ違う。食うものは食ってしまうのですなら、その場その場で腹が満ちて栄養分があればいいということでしょうが、衣食住の中で、住という問題だけは、やっぱり原則として、そこで生まれて、そこで暮らして、そこで死ぬというのが元来住宅というものの意味だろうと私は思う。ただそこで寝られればいい、ベッドさえあればいいというなら、宿屋でも変わりはない。私は実際宿屋住まいもしてみ、アパート住まいもしてみ、あるいは人の宅地の上に自分の家を建ててそれにも住んでみたし、また小さくても自分宅地の上に自分の家をつくって住んでもみた。住んでみた気持ちは、これは私の経験など言わなくても明らかですけれども、やっぱり小さくてもいいから自分宅地の上に自分の家で住むということが、人間生活にとって非常に大きな意味がある。庭でも、いかに大きなりっぱな美しい公園であっても、小さな自分の庭のかわりにはならないと思う。それ以上に自分の家に住みたい。これは人間の本能であって、それは財力がないからしかたがないということはありましょうけれども、自分の家に住みたいという本能的な要求もあるし、またほんとう人間らしい人間をつくっていく人づくりをするという考えから言いますと、あの高層の大きなアパートをたくさんつくっておりますが、あのアパートに生まれてあそこに育った子供は、二階、三階、四階は同じ階段で、ときどき新聞を取りに行ったり牛乳を取りに行って会ったりしてあいさつすることもあるでしょうけれども、隣の階段から上がる人たちはもう顔も会わせないし、あいさつもしないというのが実際の実情であります。そういうところに住まい、それも住宅だと一がいに考えておるかもしれませんが、それは寝ることはできましょう。しかし、そこで育った子供と、そうでなしに、小さくても自分の家だ。農村の場合を考えると、隣も隣の家だ。だから、そこに生まれてからそこに育ち、そこで死ぬということですから、親もそうしてきた、子供も孫もそうなるというところから、近所隣つき合いはしなければいかぬ。したがって、ほんとう共同体としての人間の自然の感情が養われていくのだと思うのです。あの団地のアパートの中ではたしてほんとう共同体としての精神が生まれるかどうかということを考えますと、私は生まれないと思う。よくあそこの票をねらって代議士諸君が行って演説をすると、うるさいというので窓をぴしゃぴしゃと締めてしまう。隣できれいなふとんを干したから、うちのほうもきれいなふとんを干そう、干すだけ専門のふとんをつくっておるといううわさすらある。そういうことですから、政府住宅政策というものは、ただそこで寝てめしをたいて食うというだけでなしに、人間形成というものにとっての意義を考えると、まず第一が、あの都会のごみごみした子供の遊び場もないようなところに建てるか、それとも広広として川で泳ぐこともできるし、あるいは砂原で相撲もとれるしといったような、また母親一緒にヨモギもつみに行けるようなところにつくるかということは大きな問題になる。それから家の構造自身にしても考えなければならぬ。たとえば経済的に快適という点からのみいえば、セントラルハイツで、一ところで石炭をたいて、そうして全部にスチームを通すというようなことがいいかもしらぬけれども、しかしほんとう人間生活というものを考えれば、ヨーロッパでいうとストーブのそばに寄って一家団らんする、日本でいえばいろりのそばで、あるいはこたつで一家団らんするということで、その暖をとるということにしても、一ところでやって全部の人がただ温度だけをとるというのではなしに、その火のそばで家内じゅうが団らんしていくというふうなことを考えていくと、家の構造だって考えなければならぬ。こういうふうに思うのですよ。ですから、もしこれまでの政府住宅政策というものが、極端にいうと、単にそこで寝るということだけが間に合えばいいというふうな考え方で進んできておったのなら、私は、今後は自分の家を持たせる一それは十年、二十年かかるかもしれぬ、三十年かかるかもしれませんけれども、そういう一つの長い計画を立てて、全部が全部という必要はありませんし、また現に農村中小企業者というものは大体自分の家におるのですから、彼らが非常に穏健な考え方人間らしい考え方になっておるというのも、私は、一つ自分の家に住んで隣近所つき合いをしていくという、そういう生活影響しておると思うのです。−最初に私が申しました、経済成長するにつれて、どうしても都市というものが発達していく、あるいはサラリーマン労働者がふえていくということは避けがたい傾向ですから、そういうサラリーマン労働者というものに自分の家を持たせるか持たせないか、しかもそれがごみごみしたところでなしに、小さくても自分の家を持たすということが大きな——私が先ほど言った、それらの人々労働組合を組織しておりましても、うちへ帰れば自分の家だ、そして、そこに、できれば小さくとも菜園がついて、庭がついて、そこで土曜日の午後から日曜にかけて、子供一緒おとうさんトマトをつくることができる。おとうさん一緒につくったトマト価値と、八百屋で買うてきたトマト価値というものが、子供にとって非常に違うということですね。母親がつくった草もちと、店で買うてきた草もち、これはいかに味がよくても、店で買うてきたのは、母親がつくって食わした草もちほどの価値子供人間形成にとっては持たないということです。ですから、私は、小さくても自分の家を持たせるということが住宅政策の大きな柱になるべきだと思う。こういうことで、あまり時間をとりますが、実は私はこの話は初めてしたのではなしに、約十年になると思いますが、建設委員会でこのことを強く言ったのです。そうしたら、武知勇記君でしたか、それを聞いて、自分建設大臣になったらそれをやるのだといって非常に共鳴してくれ、産経新聞でしたか、それを取り上げて、女子大学か何かの卒業論文に団地の子供の心理に及ぼす影響という論文が二つ出たということをつけ加えて、私の質問を取り上げたことがある。だから前から言っておる。だから、その当時の大臣も、それから事務当局も、聞いてくれておるわけです。しかし、それから約十年たって、相変わらず、住宅政策というものの中に、ほんとうに健康な人づくりに及ぼす住宅というものはどういうものか、こういうものか、こういうことの考慮が入っておらぬとしたら、まことに遺憾だと思います。これからでも立案の場合にそれを考えてもらう余地はないか。これは大臣のために私はほんとうに大きな期待を持っておる。河野氏のような人がおるときに、少なくとも最初のそういう十年計画になるか二十年計画になるか知らぬけれども、国民の全部といったって、農村は大体自分の家を持っておるのですから、あるいは地方の小さな都市では持っておるのですから、問題は全国の中の一部分ですよ。大都市あるいは今後ふえてくるサラリーマン労働者だけの問題なんです。いかがですか、そういうことを考える余地がないものか。
  20. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまの山本委員の御意見、非常に私たち感銘をしてお聞きをしておりました。ただ現在の日本経済の総合的な観点からいたしまして、国において一人一人の個人を中心といたしまする家庭生活においての要望を取り入れまして、国の施策の中に生かすということは、これは並みたいていのことではございません。しかしながら、山本委員の御意見に幾ぶんでも近づこうと、一つの理想を持ちまして、昭和三十九年の予算もわずかでありますけれども、持ち家といたしましての住宅債券を発行いたしまして、できるだけひとつ民間で自力でつくる、それを国においてひとつ援助しようじゃないかというので、昭和三十九年におきまして、予算で御承知のとおり大体八十三万戸の住宅の建設になっておりまして、その中で国といたしましては三十一万余戸であります。そのほかの五十余万戸というのは民間の自力でひとつやらせよう、それにタイアップして、できるだけいま申しますとおり理想に近づいてやっていこうじゃないか、こういう考え方でおります点だけ、ひとつ御了解願いたいと思います。お説のとおり、アパートにおきます住宅の弊害も確かにございますけれども、何にいたしましても、現在のように若い方々の意見を聞きますと、できるだけ親と離れて、小さいながらも、四畳半でもあるいは三畳でも、ひとつ夫婦ともども生活したい、その場所がないのだということで結婚難だということも、一つ社会事象として批判されておるところでありまして、国といたしましてもできる限りアパートでもひとつ数多くつくって、そうして一世帯一戸の実現をはかりたい、こういう考えで実はおるわけでありまして、その根本には、ただいま申しましたとおり、山本委員の御意見も相当深くその中に内蔵しているということだけは、ひとつ御承知おき願いたいと思います。
  21. 山本勝市

    山本(勝)分科員 結局は考え方で、二十年計画になるか三十年計画になるかわからぬけれども、当面目標をどこに置くかという問題なんですよ。大体私は、この際申し上げますが、住宅不足するということ自体、こんなばかなことはあるものじゃないですよ。需要供給の法則というのはもう千古の鉄則で、需要供給のアンバランスが一方に傾いたままで十年も二十年も続くなんということは、あり得ないことなんです。必ず需要と供給というものは均衡をとるというのは自然の勢いであって、それで過ぎたり足らなんだりという動きはありますけれども、過剰になったり不足になったりしながら均衡をとっていくというのが自然の勢いですよ。それが十年も十五年も足らぬままでおるというときには、必ず人為的にその均衡を妨げておる事情があるに違いない。もし人為的に妨げなかったら、自然の勢いとしては必ず需要と供給はやがて均衡をとる。不足はやがて過剰になり、過剰は不足になるという過程をとる。住宅不足だけではありません。ほかの方面でもアンバランスがあるところは、私は、必ず顧みて、人為的にそれを阻害していないかどう史自然の勢いを阻害していないかどうかを考慮してもらいたいと思うのです。住宅問題で長い間障害になっておったのは家賃の統制令だ。だんだん緩和してきたのはそこに気づいてそうなってきたのですが、しかし借家も入れて住宅を解決するというのなら、戦前に借家が余っておったように、自然の勢いを阻害さえしなければ、必ず借家を含めてなら住宅問題は解決できる。ただ、私は借家だけではどうしてもいかぬ、やはり自分の家を持たせたいということがありますから、これは特に政府一つ政策目標を立てて、自分の家を建てるための長期金融というものは昔はあったけれども、今日はない。サラリーマン労働者でも、ある程度になればその長期資金を借りて家が建てられるようにするということ。それからもう一つの障害は、これもぼくはむしろ建設省のほうから大蔵省へやかましく主張してもらいたいと思うのですけれども、自分の家を建てると、その建てた金がどこから出てきたかということを税務署が調べる。金がないのじゃない。建てたいけれども、建てると必ずその金はどこから出てきたのだということを調べに来る。これがこわい。だから、そういうふうな家賃統制令とかあるいは家を建てた所得の源泉を税務署が調べにくるとかいったようないろいろな障害を取り除きさえすれば、住宅問題はそんなに長い間アンバランス——同じ一方へ傾いたままで続くものではないと思うのです。その原因を取り除かずしておいて、そうして不足を解消しよう、不足を解消しようとしていろいろな苦労をしておる。  時間がないということですから、これで終わりますが、そういう意味から申しまして、今後はその方針を取り入れてもらいたいが、最後に、これまですでにできておる、政府がつくったりあるいは地方でつくった家は、できる限り、希望があれば何らかの方法で個人に払い下げるといいますか、長い間のいろいろな方法で個人の私有にさせていくような方法をとっていくべきだ。これは私一個の考えではなく、党内にもずいぶんそういう意見がありますが、これだけを申し上げて私の質問を終わることにいたします。とうとう大臣が来なかったから、大臣に言う機会がなかったけれども、ほんとう大臣に言いたかった。それではこれで終わります。
  22. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 山本委員の言われまするとおり、国でつくっております政府施策住宅につきましては、できる限り、諸種の状況を勘案いたしまして、これが個人の所有のほうへ移行するような手は御承知のとおり逐次打っております。
  23. 稻葉修

    ○稻葉主査 田口誠治君。
  24. 田口誠治

    田口(誠)分科員 いま熱心に住宅問題を質問されておりましたが、時間がないようでしたので、十分でなかったと思います。私もそれに関連をして、住宅問題について若干お聞きをいたしたいと思います。  いま、日本の高度な経済成長計画に基づいて、新産業都市とか低開発地域を指定をして、そうしてそこへ産業を持ってくるというようなことから、また御案内のとおり、農村というのはあまり農民所得が十分でないということから、どんどんとそうした地域に出てくるということで、みずから生まれた家を捨てて、町へ都へ出てくる。こういうことになりまして、特に住宅の問題は政治の重要な課題になってきておるわけでございます。最近特に国民生活の近代化というようなことからいっても、住宅問題が重要な問題として取り上げられておりまするので、そういう点から、私は、この問題を解決しようといたしますれば、やはり建設省だけでなしに、これは商工関係との関連もございまするので、予算要求等の場合には、こうした関係した省との連繋をどういうようにとって予算要求をされるのか。まずこの点から伺っていきたいと思います。全く個々ばらばらでやっておるのかどうかということです。
  25. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 住宅対策につきましては建設省が主管でございますので、建設省に関することにつきましては建設省で、あるいはそれが農民、商工業者が入居する住宅につきましても一括いたしまして調査をし、予算を要求いたしております。ただ、具体的に厚生省の関係で、厚生年金の還元融資等がございますので、これにつきましては厚生省が要求いたしますが、これは事前に事務当局間で協議をいたしております。
  26. 田口誠治

    田口(誠)分科員 厚生省関係住宅の問題は、個人の衣食住する住宅ということとの関係は若干かけ離れておりまするが、特に日本住宅難を解消するということから十カ年計画を立てて、それぞれ予算を盛られておるわけでございます。そこで私、お伺いをいたしたいと思いますることは、十カ年なら十カ年、五カ年なら五カ年のうち住宅問題が解決できるという、一つ基礎的な面から年次計画を立てていかなくてはならないと思いまするので、やはり日本の人口がどれだけふえるかというようなことから割り出していかなければ、解決はしていかないと思いまするので、最近の日本の人口はどのくらいずつふえておりますか。
  27. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 人口の統計資料はあとで申し上げますが、われわれの現在考えておりますところの住宅計画昭和四十五年までに一世帯住宅を実現するその基礎は、昭和四十五年における人口、これに基づくところの世帯から、必要住宅戸数を計算いたしまして、それがどういうふうになっていくか、及び現在ある住宅というものを計算いたしまして、その足らないところをつくっていくという基本的な考え方でございます。
  28. 田口誠治

    田口(誠)分科員 住宅難を解消しようとすれば、これは年々人口がふえていくということになりますれば、それにマッチした住宅を与えていかなくてはならない。この住宅民間が自力で建設するものもあれば、あるいは場合によっては、経営者が雇っておる労働者住宅経営者の資金で建てる場合もありまするし、また国のほうの計画によって建てられるものもあるわけでございますが、いずれにいたしましても、私はどの面からいきましても、これは人口増と並行して考えていかなくてはならないと思います。私が把握しておりまするのは、一年間に三十万人口がふえると思っておるのですが、大体そういうように聞いておられるのじゃないですか。計画を立てられるときにはおそらくそういうような数字も一応はあなたのほうでも把握されて計画はされておると思いますが、三十万ぐらいだと思う。三十万だとすると、まず最初には夫婦、子供一人、三人世帯というようなものが大体目標になりますると、一年に十万戸というようなことになっていきまするが、それにいま不足の分を加えていきますると、今度は何万戸になるかということになるわけです。こういうようなことから、住宅難の解消をはかっていかなければなりませんので、そういう基礎的な面からひとつ伺って、政府の今後の方針をただしたいと思います。
  29. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 現在七百八十万戸の住宅を建てる計画をいたしたその基礎は、昭和三十六年におきまするところの住宅不足、この不足と申しますのは、先ほど申し上げましたように、同居、あるいは狭小過密居住住宅、こういうような客観的に見て住宅とは言えないようなものをとりまして、これを住宅不足数と申しておりますが、それが三百六万戸、これを解消すると同時に、昭和四十五年までに人口がお話しのようにふえていきます。この人口がふえますのを世帯に換算しますと、世帯の構成人員も、現在よりは昭和四十五年におきましては、だんだん下がってきます。平均値でいきますと、現在四・八人くらいがそのときには四・三人くらいになりますが、そういたしますと、この十カ年に四百二十七万世帯増加するという見積もりでございます。これは人口統計に基づくところの世帯の増加の数字でございます。またこの十カ年間に家が、あるいは災害で、あるいは老朽して、建てかえを必要とするものがございます。これは七百八十一万戸でございます。また、同時に、人口の社会移動に伴いまして、ある程度ゆとりのある戸数をつくりませんと、一般の需要に応じ切れませんので、その需要の調整数が若干ございます。合計いたしまして、一千万戸建設する必要があるということから、十カ年一千万という計画を立てたわけでございます。そのうちに三十六、三十七、三十八年の三カ年で二百二十万戸を建設する予定でございますので、残りの七百八十万戸を、あと昭和三十九年度以降七カ年で建設するという構想に基づきまして、施策を進めておるのでございます。
  30. 田口誠治

    田口(誠)分科員 数字を見て御答弁なさったから、数字に間違いはないと思いますけれども、ちょっと私の把握しておるのと違いますので、小刻みにお聞きいたしますが、現在日本には何戸あるんですか、戸数は。どうもいま御発表になった一千万戸という数字からいって、それから七カ年の七百八十万戸、三百六万戸、いろいろいきますると、ちょっと勘でいってもおかしい面がありますので、現在はどれだけですか。
  31. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 現在、全国の総住宅戸数は約千九百万戸でございます。
  32. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それで、結局、現在国民の人口からいって、どれだけ足らぬということになりますか。
  33. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 現在足りないと申しましても、一定の基準で申し上げますが……。
  34. 田口誠治

    田口(誠)分科員 間借りなんかしておりますのは、一軒持つという計算にして、そうでないと、いまの九千何百万人の者が、千九百万戸だけでは相当の家族数になりますから、これは間借りがずいぶんあるのですから、そういう人たちが一軒持つとして計算をして、どれだけ今日現在足らぬということを……。
  35. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 われわれは一定の基準で住宅不足数を推定いたしまして、それが先ほど申しましたように、昭和三十八年の終わりでは二百六十万戸というふうに考えおります。
  36. 田口誠治

    田口(誠)分科員 現在足りないのが二百六十万戸。それから年々新しく人口のふえるのが大体三十万人ずつ。そこでちょっと食い違いのございまするのは、いまの日本世帯が四・八、将来は四・三というように計算されておりまするが、いま間借りをしておる人たちは、四・八の人も四人家族もあろうと思いますけれども、これから人口が増加して、そうしてその人たちが家を持とうとすると、まず最初には夫婦二人ということになって、そうして子供さん一人ということで、私は夫婦二人ということで計算してはちょっと数字が違ってくると思いますので、まず三人という計算でこの数字を出さなくてはならないと思うのです。そうなりますると、いまの計画数とちょっと違ってくると思いまするし、それから四・八なり四・三という計算でいきましても、現在不足分の二百六十万戸と、それから大体一年に三十万ぐらい人口がふえるということから、今後十年に三百万人ということからいきますると、あなたのほうの計画されておる計画数字とマッチしないと思うのですが、そこらをちょっと。
  37. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 ただいまの先生のお話しの三十万の人口増加というのは、たぶん東京における人口増加じゃないかと思いますが、私が申し上げましたのは、全国の総数でございますので、東京都の数字とは……。東京都は全国のうちの一部でございますので……。
  38. 田口誠治

    田口(誠)分科員 間違っておりました。全国でどれだけになっておりますか。
  39. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 人口の数字あとで申し上げますが、三十七年十月から三十八年三月までの期間には、七百万ふえております。資料をもう少し整備してあとで申し上げます。
  40. 田口誠治

    田口(誠)分科員 いまの時間には間に合いませんので、またいつかの機会に資料をもらってゆっくり私直接聞いたり、またお願いしたりいたします。いずれにいたしましても、いまの十カ年の計画で、いまの不足分と人口増加、そうしてそれを大体三人家族ぐらいにして、十カ年で解消するということになりますと、結局どれだけ建てばいいかということ。それが年間どれだけずつになって、今年はそれにマッチしておるか、しておらぬかということなのです。その計画計画だし、予算はちょっと計画どおり行っておりませんよ。
  41. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 人口の数字を申し上げますが、三十七年は、人口は全国で九千五百万余でございます。これに対しまして、昭和四十五年度の見込みは一億二百万余と推定いたしております。そうしますと、この八カ年に七百万——九千五百万と一億二百万でございますので、七百万の差でございます。これによりまして、人口の一世帯の構成の傾向を見ますと、先ほど申し上げましたように、現在はだんだんと世帯が細分化していきます。全国平均で申し上げますと、五人家族あるいは二人家族もございますが、総平均いたしまして、現在のところ一世帯当たり四・八人ぐらいでございますが、これは四十五年ごろになりますと、だんだんと小世帯もふえてきますので、そのときには約四・三人ぐらいの世帯になるだろうというふうに推定いたしまして、これがそれぞれ家を求めるということから、先ほど申し上げました昭和三十六年から昭和四十五年度までの十カ年に、世帯増といたしまして七百二十万……。
  42. 稻葉修

    ○稻葉主査 速記をやめて。   〔速記中止〕
  43. 稻葉修

    ○稻葉主査 速記を始めて。
  44. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それで私は最後に申し上げておきますが、とにかく昭和三十六年から十カ年計画ができて、そうして住宅難を解消するということになっておりまするが、現在住宅の足りない戸数と、それから人口増に対しての十カ年の計画が、年次計画として、今年度の予算にはマッチしておらない、簡単に言ってそうなんです。そういうことであるから、これから計画を立てられる場合には、やはりそういうような点を十分に勘案をしてやってもらいたいし、厚生省とか商工関係との関連もございまするので、こういう点の総合調整をして予算要求をする必要もございまするので、十分に政府間で話し合いをしてもらって、この住宅難の解消に努力をしてもらいたい、こういうように結んで、これは終わります。もう少し資料を整えてもらいたいですね。  それでは、時間がございませんので、住宅問題はこの辺で終わりまして、次に、道路関係でお伺いをいたしたいと思います。  毎年、道路関係は、私は御質問申し上げておりまするが、特に日本経済成長に伴って産業構造も変革されまして、そして道路網というものは一つの大きな計画の上に立って、それぞれ必要なところから推進をしていかなくてはならないと思うのです。特に、河野大臣道路大臣といわれるくらい道路には力を入れておられるので、こういう点には、こまかい点について検討されておられると思いまするが、いま政府計画されておるこの経済成長に伴う産業構造の変革にマッチした道路網は、大まかに言ってどういうようにされるのかということをまず伺って、あとこまかい面について伺いたいと思います。時間がないから、ひとつ能率的にお願いをいたしたいと思います。
  45. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 道路は御承知のとおりの重要性を持っておりますので、政府といたしましても、新しい五カ年計画を樹立いたしまして、これによって道路網の完備を期したい、こういう考えでおります。
  46. 田口誠治

    田口(誠)分科員 五カ年計画はわかりますが、大体五カ年計画に、日本の地図を置いて、五カ年のうちにはどういうように幹線を完成しなければならないという一つのめどがなければ、日本経済成長に伴う産業構造の変革に対して、それにマッチできる道路網の計画というものは立たないので、私はそれを聞いておるのです。これは次官でなくとも、局長さんでも課長さんでもいいのですが、いずれにしても能率的に説明できる人に説明を願いたいと思います。
  47. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 今後の道路計画の構想といたしましては、全国の主要な拠点を中心に、これらの地域間を相互に結びまして、拠点中心に開発していく、こういうような考え方に基本的には立っております。このために、昭和五十五年に目標を置きまして、このような幹線的な道路網を五十五年までに約六千五百キロぐらい整備するということが、一つの骨になっております。したがいまして、新しい五カ年計画におきましては、その目標に従いまして、従来やっておるもの並びに新たに若干のものに着手したい、かように考えております。  それから、そのほかに、一般の国道あるいは県道等につきましては、なるべく早く地方的な道路を整備するという目標で、大まかに申しますと、昭和四十三年には一級国道、四十四年ぐらいには二級国道、四十五年ぐらいには主要地方道の幹線的な道路の改良、舗装を目標にいたしたい、こういう方針でございます。
  48. 田口誠治

    田口(誠)分科員 物価が上がってきますけれども、六千五百キロというこの計画に対しては、およそ予算見積もりをどの程度考えておられますか。
  49. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいまのところ、積算いたしておりますのは、おおむね四兆七千億であります。
  50. 田口誠治

    田口(誠)分科員 この点についてこまかく聞きたいけれども、時間がありませんので、もう少し縮めた面で伺いたいと思いますが、いま御推進をいただいております岐阜−高岡線の進捗状況をちょっとお伺いいたしたいと思います。今年度何キロ……。
  51. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 岐阜−高岡、二級国道百五十六号線でございますが、本年度仕事をやりまして達成されます状況は、この線全体で二百二十四キロございますが、改良が百十七キロ、およそ五三%、舗装が五十八キロ、二六%ぐらいになる予定でございます。
  52. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこでこの線で特に期限を切ってやっていただかなくてはならないことは、昭和四十年に岐阜県に国体がございまして、それから郡上八幡には相撲の競技場もございまして、八幡までは完全に改良、整備、舗装というような計画になっておって、そのように推進していただいておるのですが、その点は責任を持っていただけますか。
  53. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 岐阜−八幡間は特にこの国道の中でも先に急いでやるべき区間と考えております。ただいま三十八年度までやりましても、まだ改良で五六%ぐらいしか進んでおりませんが、残事業がまだ十数億ある予定でございます。できるだけ早くこれを重点的に進めたいと思っておりますが、その進める方法につきましては、なるべくそういうような行事に間に合うように、県当局ともよく連絡いたしまして、今後の問題として措置いたしたいと思っております。
  54. 田口誠治

    田口(誠)分科員 県との連絡はついておると思うのですが、県からの要請にこたえて、国のほうがそのように工事が進められるかどうかということなんです。これも県のほうはいつもお願いをしておるのですからね。だから、あなたのほうでそれにこたえられるかどうかということなんです。これはずっと前からその点を目標にやっていただいておって、誠意のほどはわかりますけれども、もう来年に迫っておるんですから……。私はこの間も自動車で一回行ってきましたが、これでできるかなと思ったので、特にこういう点をお聞きしておきたいと思いますし、八幡町でもやかましくそういう点を要請して出しておりますからね。
  55. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 そのような要請は伺っておりますが、これは予算の面もございまして、やはりどれだけこういうところに投資できるかという問題もございますので、またやり方を具体的に相談いたしまして、少なくともそういう行事にあまり支障を与えないように進めたいと、ただいまいろいろ相談しておるところでございます。
  56. 田口誠治

    田口(誠)分科員 予算に拘束はされておりまするけれども、予算は岐阜から高岡までの予算でございますし、そして両方からやってきておりますから、やはりそういう目標があれば、予算の操作をいたして、そして来年の国体までに間に合うように、工事をあなたのほうで推進をしていただきたいと思います。これはほんとうにしていただきたいと思います。これは東京都のオリンピックを控えての工事と同じことですから、そのように強くひとつお願いをしておきます。  時間がきましたので、私は終わりますが、一つだけ、大臣がおいでになれば大臣、次官にお伺いしておきますが、最近議員提案としていろいろな路線が計画されて、法律化され、また運動がなされておりますが、いま東海ブロック、それから北陸三県の与野党が一致して、そして自治体もそれに真剣になって、名前は、初めは中部高速道路ということでしたけれども、他にそういうようなものがあるからまぎらわしいので、東海北陸縦貫道路ということになりますか、法律の準備もいたしております。これは表と裏とをつなぐのに非常に重要な道路になろうと思いますので、こういうものの必要性を考えておられるかどうかということ、これは法律が通ってからでないと、あなたのほうでは、完全にこうするというような答弁はできないと思いますけれども、そういう必要性の度合いについて、あなたの抱負を承っておきたいと思います。同時に、これは建設大臣の抱負とも私は受け取っておきたいと思いますので、ひとつよろしく……。
  57. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 諸般の事情を勘案いたしまして、善処いたしたいと思います。
  58. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私は終わりますけれども、諸般の事情ではあれですが、これは必要なんだがら、そういう具体的なものが出てさましたら、それには協力してもらいたいと思うのです。いまは政治的な答弁として私は受け取っておきます。まだ法律が出ておらないから……。終わります。
  59. 稻葉修

    ○稻葉主査 玉置一徳君。
  60. 玉置一徳

    玉置分科員 道路、港湾、下水道の整備、あるいは治山、治水、住宅建設というように、わが国の公共投資は先進諸国に比べまして非常に立ちおくれており、政府のいわゆる所得倍増計画と申しますか、わが国産業の発展のネックになっていることは御承知のとおりでございまして、このおくれを取り戻しまして国民経済の進展に即応するように、政府は今般道路整備五カ年計画、下水道の五カ年計画、あるいは従来おやりいただいております住宅計画などにおきまして、従来にない思い切った社会投資を計画されておりますことはまことにけっこうなことと存じまして、敬意を表するものでございます。しかしながら、地域格差の是正と申しますか、こういう国民的要請にこたえるためには、経済社会の進展に先行して国土を整備することにせなければならないわけでして、前述のようないろいろな社会投資にかかわらず、なお一そうのばく大な伸びを要請されておるということも事実であります。こういうことになりますと、いまでも予算編成的にそれだけの原資を求めるのになかなか御苦労いただいておるわけでありますが、今後は新たな構想をもってこの原資の捻出にひとつくふうをこらさなければならない段階になりつつあるのじゃないか、こういうことが第一点。  第二点に、これらの事業進行に必要な用地取得あるいは立ちのき等にばく大な費用を要し、ことにオリンピック関係の東京都を中心としますこの事業には三割ないし四割もそういうものが要っているように承るわけであります。こういう点から考えまして、土地の暴騰をどうして押えるか、必要な用地を容易に取得するのにはどうするか。そうして工事施行に支障を来たさないようにしなければならないわけでありますが、これには法律の改正も要りましょうし、行政的ないろいろな措置も新たに考えなければならないと思います。こういう問題をどうやっていくか。  第三点といたしましては、同じくこれらばく大な事業分量を消化するのには、それだけの建設業界の健全な発展がなければならないと思うのですが、御承知のとおり、次第に労務不足に悩んでいるのはいずこの産業も同じであると思います。こういう建設業界の労務確保と経営の健全な発展をはかっていくのには、建設行政としてはどういう手を打たなければならないか。逆に、建設業者の工事受託能力というのですか、受注能力というのですか、受注能力の限界というものがありはしないか、こういった大きな問題が提起されてくると思うのです。本日は大臣も出席がございませんので、前の二者は自余の機会に譲りまして、最後の簡単な問題でございます建設業者の育成強化、ことに中小企業建設業者の育成という問題に焦点をしぼりまして、時間の範囲内で若干御質問を申し上げたい、かように存じます。  第一番目には、建設技能労働者不足は、建設工事量の増大に伴いまして、ますます深刻の度を加えてまいります。労働者獲得競争の激化、未熟練労働者の激増、災害事故の頻発、工期の遅延、こういうような各種の憂慮すべき事態を招いておることは御承知のとおりであります。すみやかに職業訓練制度を拡充強化いたしまして、必要な労務の需給調整、職業紹介機能の強化あるいは労務者の獲得、その獲得された労務者の技能訓練というようなことに強力な対策を樹立する必要があると思いますが、政府当局の御答弁を承りたいと思います。
  61. 町田充

    ○町田政府委員 御承知のように、建設業界ではいわゆる中小業者、資本金五千万円以下あるいは従業員三百人以下というふうな中小業者が九九%を占めております。そういう状況でございますので、大手業者はもとよりのこと、かかる中小業者の施工能力というものに期待する面が非常に大きいわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、中小業者の建設施工能力をできるだけ高めたい。こういう意味合いから、技術面につきましても、あるいは労務の面につきましても、実態調査を行ないまして、所要の改善事項というものを提案をいたしまして、その線でいろいろ指導をしておるわけでございます。特に建設技術の施行の面で私どもが調査いたしました結果によりますと、たとえば工事規模が二千万円を割りますと非常に労働生産性が減少をする。しかも労働時間の点、あるいは工期の点から労働生産性というものが非常に低くなる。したがって工事規模の発注にあたっては、できるだけ適正な規模で発注をする。具体的に金額で申しますと、二千万円以上の工事というふうな方向に持っていくことが望ましいということが、実証的な調査の結果、明らかになっておるわけでございます。こういった規模の適正化をはかりまして、これに対応する中小業者の体制といたしましても、できるだけ中小業者が共同をして協同組合を結成するなり、あるいは共同請負というふうな形で受注をする。こういうことによって工事量を増加してまいる、こういう考え方で中小業者に対する指導を行なっておるわけでございます。
  62. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで、中小企業建設業者の育成強化の対策についてでございますが、まず順序として、オリンピック工事が済みますと土木工事がどさっと減ってしまうのだというような間違った考え方が、かなり世間で流布されておると思います。そこで、そうじゃないのだ、政府の土木工事はこういうようなぐあいになっていくのだという御説明をこの機会にいただきたいのと、あわせて公共投資の予算が先ほど申しますように大幅に増額されてまいります。非常に喜ばしいことでありますが、同時に建設事業が機械化され、大型化されてまいりますことも事実だと思います。したがって、ただいまお話がございましたが、大企業と中小企業との事業分野をある程度調整してやっていただいて、中小企業建設業者を育成していくという配慮が必要だと思いますが、まず第一点に、オリンピック工事が済みましてからも決して工事分量は減らないのだということ、その次は、工事が大型化されてまいりますから、勢い一つの発注も大型化されてくるぞ、したがって中小企業の対策としては事業分野の調整はどういうようにしてあげよう、こういうことにつきまして当局から御説明を願いたい。  さらに大臣がお見えいただきましたので申し上げますが、先ほどお話のありましたように、建設業者は九九・七%までは中小企業者でございます。そのうちまた大部分が零細業者でございます。これは現在府県の土木工事に従事いたしておりまして、主として災害復旧その他もこの皆さんの手でやっていただいておることも御承知のとおりでございますが、幸いこの二年ほど災害がございませんでした。少なうございましたために、改良工事が少ない。府県の土木に従事しております土建業界は、ほんとうは相当に困難をしております。これが現状だと思うのですが、先ほどの説明のごとく、公共投資が増加するとともに機械化され、発注が大型化されてくるということにつきましては、これら中小企業者も育成いただいて、この発注の工事量の増加する日本の公共事業の完遂のために一翼をになわせてあげるように、ひとつ御指導をいただきたいと思うのですが、河野建設大臣の御所見を伺いたいと思います。
  63. 河野一郎

    河野国務大臣 オリンピックが済んだならば事業が云々というお話は、道路の五カ年計画について、これを初年度の予算と二年度以降に想定される予算とを御想像くださっても、いかにこれから倍増していくかということはおわかりいただけると思います。住宅にいたしましても、毎年一〇%ないし一一、二%ずつの増額をして予算を組んでいかなければ、一世帯住宅の完遂はできないということを御想像くださっても、公共投資がいかに今後増大していくかということは御想像いただけると思います。  そういうふうにしてお考えいただきますと、河川の改修にいたしましてもダムの建設にいたしましても、いま日本の当面しております少なくともここ五年、十年の間は、全力をあげてこれら道路、河川、住宅というようなものに公共投資をしなければならないということは、どなたがどういうふうに政治をおやりになっても、最重点的にしていかなければならない。これがおくれればおくれるほど、国土の開発、日本の産業の伸展が遅延するということになると私は考えますので、これに対するオリンピック云々の危惧は全然必要ないというふうに申し上げていいのではないかと思います。  第二に、そういうふうにしてだんだん事業が増大していくと仕事が大型化してくる。これは予算が大きくなるだけではなく、日本のこれら土木事業建設技術は、ここ数年の間に非常に飛躍的に進歩したと私は思うのであります。これを数年前、しいて申せば戦争前後に比べてみますと、問題にならない。それを依然として戦争前後の日本の土木経営形態をそのまま今日に持ち越して、そうして台風もしくはそういう緊急災害の善後処理をするような形式でこの公共投資を処理していくということは、おおよそ当たらざるもはなはだしいものと私は思うのであります。あたかも自動車ができてきて人力車が駅前にぶらぶらしておるのと同じような形態であって、これはあったところで問題にならない。機械そのものが違うのでございますから、われわれのほうが予算を組みます場合に、単価が違うといいますから工事を担当できるはずがないというふうにお考えいただかなければならないと思うのでございます。それだから、それじゃそれでだめになるかといえば、だめというわけにもいきませんから、私は就任以来、鋭意、いまも事務当局も御説明申し上げましたが、共同しておやりなさい、そうしてなるべく大きな組合をつくって仕事をおやりなさいということを申し上げ、同時に、機械設備その他技術の刷新をおやりなさいということで御指導申し上げておりますけれども、なかなかこの線に沿っておやりいただいておる面が思うにまかせません。しかし、もうすでに少なくとも各県に二つや三つはりっぱなものができております。したがって、これらのものが利用されて、そうしてまたこれらの人がりっぱに仕事をしていらっしゃる姿をごらんになって、この方面に入っていらっしゃる人はどんどん入っていらっしゃるでしょうし、それができない人は遺憾ながら他の方面に行かれるしかないだろうというふうに思わざるを得ぬのであって、どうも全部の人をみな御指導申し上げるというわけには、われわれとしては企業の自由という面からまいりましていきかねます。しかし、私としてはできるだけこれらの組合に対しては、そういうものをやるように御指導申し上げておるというのが実情でございます。
  64. 玉置一徳

    玉置分科員 せっかく大臣の御配慮にかかわらず、これは自覚の問題でございまして、業者自体が経営の合理化、近代化ということをよく認識してやっていかなければならないと思うのであります。  そこで次の質問を申し上げたいのは、中小企業建設業者の経営の合理化、近代化で受注能力を高めていくために最も肝要と思われますのは、中小企業近代化資金助成法に基づく設備近代化資金の貸し付け及び中小企業近代化促進法の業種指定をしていただきまして、先ほど大臣のおっしゃって、おりますような考え方をみずからまた実質を備えていくということが大事だと思うのですが、この指定になりますように御努力、御配慮をいただけるかどうかをひとつ御答弁いただきたいと思います。
  65. 河野一郎

    河野国務大臣 ごもっともな御要求でございまして、遅滞なく入れるように努力いたします。
  66. 玉置一徳

    玉置分科員 ぜひともお願いを申し上げたいと思います。  その次に計画局長のほうにお願いしたいのですが、建設業労務者の地域別基準賃金改定でございますが、御承知のとおり近年は労務者不足のために各地から人を雇ってまいりますというようなことで、全国的に賃金の差が前よりは非常に少なくなりつつあるということは事実だと思います。かような意味におきまして、地域別の基準賃金の改定にあたりましては、その格差をなるべく少なくしていくように御努力いただきたいと同時に、労働省の基準賃金の調査そのものも、御承知かと思いますが、八月に実施されますけれども、八月はこの業界の最もひまなときでございまして、しかもこの業界のいままでの例といたしまして、地方建設業者は名目賃金を非常に低くとっておりますというような関係で、低くあらわれているやに思うわけであります。こういう点につきまして十分の御配慮をいただきたいと思いますが、御答弁を賜わりたいと思います。
  67. 町田充

    ○町田政府委員 基準賃金の額なりあるいは地域区分につきましては、何しろ全国を画一的に甲、乙、丙というような区分をいたしておりますので、地域地域によりましては、必ずしも実情に沿わないというところもございましょうが、関係各省と十分御協議をいたしまして、是正につとめてまいりたいというふうに考えております。
  68. 玉置一徳

    玉置分科員 最後に、建設業法に規定されております建設業者の登録でございますが、これを撤廃しろとかいろいろな改正の御意見もあるやに承っておりますが、私は現在のこういう業界の実態からすれば、このままをやっていただくことのほうが正しいのではないか、かように存ずる次第でございますが、局長の御意見を承りたい。
  69. 町田充

    ○町田政府委員 いろいろ御意見を伺っておりますけれども、私どもといたしましては、現在の登録制度を改めるつもりはございません。
  70. 玉置一徳

    玉置分科員 終わります。
  71. 稻葉修

    ○稻葉主査 竹谷源太郎君。
  72. 竹谷源太郎

    ○竹谷分科員 道路の新五カ年計画四兆一千億円の案が出ましたことは、まことに少ないとは言いながら喜ばしいことでございます。ところでその計画の中に有料道路事業が一兆一千億計上されておりますが、この有料道路事業の中には、国土開発縦貫自動車道建設法によるたとえば東北自動車道、あるいは中国自動車道、九州自動車道というような路線がこの中に考えられておるのかどうか、それをまずお伺いをしたいと思います。  そしてそれが入るものとすれば、どの程度の金額をそれに振り向ける御計画であるか、お尋ねいたしたい。
  73. 河野一郎

    河野国務大臣 お話しのように、有料道路として想定いたしておりまする五カ年計画が一兆一千億、このうちですでに着工いたしておりまする東海道、詳細に言いますと、東京−名古屋、名古屋−阪神、さらに中央道の一部、その他の有料道路を完成いたしますのにおおむね九千億、残余は二千億ということになります。したがってこの二千億を今後どういうふうに、いまお話しの路線に割り当てていくか、新しい他のものに割り当てるかということでございますが、しかし、私といたしましては、これも御承知いただいておると思いますが、当初おおむね五兆を想定して五カ年計画を立てました。そうして大蔵当局といろいろ折衝をいたしました結果、おりあしく今年は明年度の予算の編成にあたりましては、財源的に道路公債の発行も適当でないということに意見の一致を見、さらに一般会計からも財源難のために繰り入れる予算があまり十分でないということのために、一応四兆一千億の五カ年計画意見の一致を見て、これを決定いたしましたが、その際にこの財政の情勢はそう長く続かぬだろう、当然両三年のうちには道路公債を発行をすることも適当になるようにもなるだろうし、そのときにはそのときにもう一ぺんあらためて相談をいたしましょうということにいたしておりますので、この五カ年計画をもって道路の建設は五年間このままでいくというふうには私自身は少なくとも考えていないわけでございまして、なるべくすみやかにこの五カ年計画をさらに増大改定して、そうして各方面の御要望にこたえるようにいたしたい、こう思っておる次第でございます。
  74. 竹谷源太郎

    ○竹谷分科員 東海道、中央道その他のすでに着手し、もしくは実施中の道路のために九千億、その他二千億に今後どういうものをやるかということを計画するというお話でありますが、聞くところによると、千八百億あるいは少ないと千五百億ぐらいがこの国土開発縦貫自動車道の東北自動車道、中国自動車あるいは九州自動車道に振り向けられるのではないか、こう予測されておりまするが、そんなふうに了解していいかどうか、もう一度お尋ねいたします。
  75. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま私が申し上げたとおりでございまして、その数字が千五百億、二千億とかいうことを明確にまだここで割り切る段階にはないと思います。
  76. 竹谷源太郎

    ○竹谷分科員 国土開発縦貫自動車道建設法は昭和二十八年に提案せられまして、衆議院は四党共同提案でありますから即座といっていいほどすみやかに満場一致をもって可決されたのでありますが、参議院において紆余曲折がありまして、約二年ばかりかかって成立を見た法案でございまして、国民はあげて日本全体の普遍的な開発のためにぜひこれを早急に実施をしてもらいたいというのは、東北であろうと、北海道であろうと、あるいは九州であろうと、異口同音に強く要望している点でございます。私は、四、五年前に中国地方の国土開発のために調査に参りました際に、中国の各県知事あるいは関係の各官庁、民間人等が集まりまして、あるいは宍道湖の干拓とか、あるいは広島県の尾道から四国へ島をつないで本土と四国を通ずる自動車道を建記してもらいたいとか、いろいろな大きな計画もございましたが、その中で中国の根本的な、全体にわたる、しかも最も効果的な開発事業は何かと質問したところ、これは各県知事もその他の関係者も異口同音に、中国自動車道をすみやかに建設してもらいたいという要望がありましたのを見ましても、私は東北出身でありますが、北のほうも南のほうも西のほうも、みんな早急にこれが実現を要望しているところでございます。それで、近畿と関東を結ぶ東海道あるいは中央道につきましては、これは日本社会的、経済的、政治的な要望からすでに着手され、一部完成も見ておるのでございます。これは言うまでもないところでありますけれども、立ちおくれた後進地域の開発のためにはいろいろな公共基盤の整備がございますけれども、おそらくこの縦貫自動車道ほど根本的な開発を進める一番の近道はないと私は信じておるのであります。しかしながら、中央道、東海道を除いたその他の地域に関しては、いまだかつて従来の建設大臣もどなたも企図されなかったのでありますが、河野大臣は今回の新五カ年計画にこれを入れようという考えで、東北自動車道その他の自動車道の予定路線法まで今国会に提案されるという計画があるやに聞いておるのでありますが、これはまことに画期的なその地方の開発になるのでありまして、ひとつ思い切って政治力を発揮して、これが実現のために努力をしていただきたいと考えます。財源がないために五兆円の要求に対して四兆一千億ということで九千億切られた、そのためにこうした事業についても十分手が伸ばせない、こういうお話でありますが、この国土開発縦貫自動車道は、これは国内の資源で、そして未開発地帯の相当労力も何とか調弁できる地帯であり、将来の再生産の非常に大きな基盤になるのであるから、インフレを伴う危険もなし、思い切って公債を発行してもこれをやるというような意気込みで今後推進していただきたい、こう考えるのでありまして、建設大臣の御意向を承りたいと思います。
  77. 河野一郎

    河野国務大臣 私も大体意見は違っておりませんことは御承知いただいておると思うのでありますが、ただもう少し具体的に申し上げますと、私どもといたしましては、建設大臣といたしましては、東北自動車道にいたしましても、中国縦貫道路にいたしましても、九州にいたしましても、これらの準備態勢に入りたいという情熱を持っておるのでございます。  そこで、準備に入るにはまずどういうことが必要かと申しますと、地元の方々が、こっちへ持ってこい、あっちへ持ってこいとけんかをされたのではまとまりません。何しろ技術的にも相当の要請がございます。御承知のとおり、中部縦貫道路にいたしましても、いまお話しのように、一番先に法律ができたけれども、ついにこれは今日に及びまして、関係者の諸君が一同御納得をいただきまして、もう一ぺん考え直さなければならぬなということに相なっておりまして、一時行き悩んでおることも御承知のとおりであります。したがいまして、関係者の皆さんがお集まりいただきまして、東北へ縦貫道路をやるとすれば、大体の路線はどのあたりを通ってどういうふうに行くことが好ましいんだ、これで東北関係者一同は満足なんだ、いかようにも協力いたそうという御意向が一致して、協力していただける態勢がなるべくすみやかにできていただくことを私は実は期待いたすわけであります。そういうことになりますれば、われわれといたしましては縦貫道の審議会を開きまして、その審議会の議を経て、法律案が必要であれば法律案を出す、調査ももう少し具体化してまいるということにしてまいりたい。私としてはなるべくこの程度まではすみやかに——むろん本国会には間に合わぬでございましょうが、次の国会くらいには当然この法律案を国会に出しまして、そして一方、先ほど申し上げましたように、公債発行について、政府、わが党の意見の一致を見ることになりますれば、いつでも道路公債を発行して五カ年計画を改定するということに私は推進してまいりたいというつもりでございます。せっかく御協力をいただければ幸いだと思います。
  78. 竹谷源太郎

    ○竹谷分科員 ひとつその意気込みで大いにこの縦貫自動車道の建設を推進していただきたいと思います。  ところで建設省とされましては、国土開発縦貫自動車道建設法に基づく予定路線の問題につきまして、東北自動車道の予定路線法を提案せられる——近く国土開発縦貫自動車道建設審議会が開かれるのであるが、それに提案を見るような運びになっておると聞いておりますが、いかがでございますか。
  79. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、東北につきましては、皆さんの御協力、御理解を得ておりますので、実は一応予定は立てております。しかし東北だけこの法律を出すというわけにもまいりませんので、中国につきましても、九州につきましても、いまそれぞれありますけれども、具体的に、たとえば九州のいまありますもののように、あまりにジグザグしたような希望をおっしゃったのでは、ちょっと案になりにくいというようなことも考えられますので、さらに各党でひとつ関係の有志の方がお集まりいただいて、そしてよく地元の意見もお聞きくだすって、おまとめいただければたいへんけっこうだ、こう思います。
  80. 竹谷源太郎

    ○竹谷分科員 東北、中国、九州、それらの路線をいずれも早く実現することが望ましいのでありますが、そうした場合に、現在のところ、これらの高速自動車道のために使う予算は二千億くらいしかない。そういう場合に、これを配分しなければならぬという問題があろうかと思うのです。路線の延長あるいは優先的にどれを先にやるのが全体のためによろしいかというようなことで、この二千億の予算を配分するようなことになろうかと思うのでありますが、優先性の問題でありますけれども、科学技術庁資源調査会が昭和三十八年十二月十七日に出しました「東北地域開発に関する勧告」、この勧告の中で、東北の交通網の非常に立ちおくれている点を指摘し、これが開発の非常なおくれとなっておるという点を述べておるのであります。その中でこんなふうにいっております。「とくにこの地方の開発が京浜地域における大都市問題に密接な関係をもつという点から云えば、交通条件の整備は最重点的な項目として思い切った先行投資がはかられる必要がある。」と述べ、そのあとにいろいろいっておりますが、結論として、これらの地域の開発のためには「それは高速自動車道を含めた道路施設を中軸に思い切った輸送体系の近代化をはかることにあると考える。なかでも高速自動車道の建設は、この地方の開発にとって、単なる経済計算を超えた衝撃的効果をもつものとして、積極的推進をはかる必要がある。」と述べております。これは東北地方の畑作物の京浜地帯との交流の問題、あるいは酪農、畜産というものの安くて豊富な、新鮮なものを供給する農産物地帯として非常に役立つ、また工業の適正配置、分散というような点からいいましても、何といってもいろいろ検討してみますると、この縦貫自動車道こそ東北開発のきめ手であるということを、いろいろな点でこの本の中で論証いたしておるわけであります。私は中国地方の視察に参りました際に、先ほどいろいろの開発事業があるが、中国縦貫自動車道こそ中国全体の開発に一番先行して行なわれるべきだという主張だということを申し上げましたが、御案内のように、中国地方には瀬戸内海という大交通路、水道があります。主として裏日本と瀬戸内海との間の幅も狭い。そのように東北地方と比べたら現在でもはるかに水陸の交通運輸の恵まれた地帯においてさえ縦貫自動車道が衝撃的発展の効果があるというのでありますから、東北地方のように太平洋と日本海との間に占むる面積と距離が相当広い、しかも日本海、太平洋ともに小船などでは輸送が困難である、しかも鉄道、道路の交通網が発達しておらない、こういう地帯につきましては、そのまん中に交通の中軸として東北縦貫自動車道を建設すれば、それこそ偉大な開発効果のあることは、大臣もよく御認識いただけると思うのでございます。これらの点を十分勘案され、ことに東北地方は西に比べまして山がなだらかでございます。したがって、トンネル等も少なくて済む、建設資金がはるかに安いということは道路局長も御承知であろうと思うのです。こういう点を十分お考えに入れて、この二千億円の配分等につきましても、国家的見地から日本全体の開発のために東北縦貫自動車道について十分御考慮を払われんことを希望するものでございまして、大臣の御意見をお伺いいたしたい次第であります。
  81. 河野一郎

    河野国務大臣 だんだんお話を承りましたが、東北につきましては、ざっくばらんに申し上げますれば、将来東北縦貫自動車道を高速道路に引き当ててもよかろう、この線を通っていくことになるだろうということを想定しつつ、実は宇都宮までの線をすでに着手いたしておるわけであります。こういうふうにして用地の買収等も一部それとはなしに、やっておるわけでございまして、いずれにしてもどこからやるということは非常にむずかしいことでございますが、いまお話しのように、東京−仙台間とかないしはまた神戸から始まりまして、そしてこれから津山もしくは岡山の方面へ、もしくは北九州からどの辺までというふうにしてまいらなければ、理屈を越えてやはり政治は実際にそういうことに相なるのではなかろうかと思います。ただ私がこいねがうところのものは、こういう公共投資は、中途はんぱに置きますと、効用価値は非常に少のうございますから、できることならば、一ぺんにやってしまいたい、できるだけまとめて片づけていきたいということを強く期待いたします。お話しのように、いま一応の数字としては東北の場合には三千五百億、中国の場合には四千億、九州の場合には三千億というような予算を実は想定しておるのでございまして、こういうものをなるべく早い機会に貫通する必要があるだろう、当然先ほど申し上げましたように、この次の道路計画の改定の際には、これとあわせて、本州の裏と表を結ぶ線も考えつつ、将来の日本道路網の中軸にするものを考えなければならぬのじゃなかろうか、こう考えております。
  82. 竹谷源太郎

    ○竹谷分科員 ただいま大臣がおっしゃったように、東北は三千五百億、中国は四千億の工事費が考えられておる。しかるに東北の自動車道の延長を一とすれば、中国は三分の二しかない、三分の一だけ短い、それにもかかわらず金額においては五百億多くかかるというのをごらんになりましても、非常に安い金で東北には従貫自動車道が引けるという点も十分お考えに入れていただきたいと思います。  さて次に、東北道の調査につきましては、昭和三十五年に、わずかでございましたが、百五十万円とりまして、その後は二千万円、それから数千万円の調査費によってもう四、五年間調査をされ、大体調査は完了に近づいておると考えるのであります。そこで予定路線法も立案できておるかと思うのでありますが、その予定路線法は縦貫自動車道建設法の基準に従う法律案になる予定かどうか、ひとつ道路局長にお伺いをいたしたい。この場合に問題となる点が二つあると思います。一つは宮城県においてこの縦貫自動車道が仙台市の東、つまり海岸寄りを通るか、あるいは仙台の西のほう、山形県境と仙台市の間のほうを通るか、これはいろいろ地元においても議論がありましたけれども、西側でよろしい、そうすることによって山形のほうに非常に活用されるという問題がございますが、これについては、建設省としては仙台市の西のほうを通すという意見に大体まとまっているかと思いますが、その点をひとつ伺いたい。  もう一つは、八戸地方は非常に最近開発されておりますが、縦貫自動車道の基準によれば、大体十和田湖辺を通って青森に抜けるということになっております。もし八戸を通るということになれば、何十キロか路線が長くなる。それだけ東京から青森までの連絡の時間も長くなるということがありますので、私としてはできるだけ短距離にし、しかも短時間で東京−青森−北海道の連絡ができる、こういう意味からいって従来の方針でいったほうがいいのではないか。八戸については、したがって縦貫道の支線として連絡することが有利ではないか、こう考えますが、この二点をお尋ねをいたします。
  83. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろ技術的に調査をいたしておりますことは御承知のとおりであります。しかしそれらを最終的にきめるのは、審議会の意見を承りつつ建設大臣責任において決定いたします。したがって、いまいろいろなことも想像されておるようでございますけれども、これはいずれもいわゆるA案、B案でございまして、最終的にどれをとるかということは、地元の御協力のいかん、もしくは今後の推移によって決定しなければならぬと思います。しかしいまお話しのとおりに、どこまでもこれからつくる道路は町と町を結ぶ道路ではないのであって、地方の開発を主眼に置く道路でございます。したがって、たとえばいままでの道路は門の前を通る道路であったが、これからの道路は裏のほうの人のあまり通らぬところを通す。そうして道路の上に乗って走っていただく。門の前から道路に上がるのじゃない。道路へ来て道路を使ってもらう。どこの町にしても、どこの場所にしても、道路まで出てきていただいて道路を使っていただくというたてまえで、最短距離を走るのが高速道路であるというたてまえをとるつもりであります。そうは申しましても、地方の実情、地元のいろいろの御要望等もありますから、これを全くすげなくする考えはございませんけれども、いずれにいたしましても、いま調査をいたしましたものに準拠をして、ああだろう、こうだろうというので地元にいろいろ御意見が出てまいりますことは、東海道の場合、静岡県内は最後までもめまして、そうして両方の工事にかかるけれども最終案がきまらないというようなことができて、A案とB案があって、最後に私が建設大臣になってC案をつくってそれでまとめたというような事態もありますので、事務当局においていろいろ調査をしておりますものを、この案だろう、あの案だろうというので地元でいろいろ御心配になっておりますことは、御意見は十分承りますけれども、いずれにいたしましても十分地元の御意見を承った上で、最終的に政府責任建設大臣責任において決定いたしますから、よろしく御理解ある御協力をちょうだいいたしたいと思います。
  84. 竹谷源太郎

    ○竹谷分科員 ただいまの建設大臣の縦貫自動車道建設の大方針は、私全面的に大賛成。とかく従来のオーソドックスな道路政策からういと、人がたくさんおって、どうしても道路が必要なところにばかりつくって、現在当面要らないところにはなかなかつくってくれない。これでは日本の普遍的な津々浦々まで開発するということにそぐわないのでございまして、ただいまの再短距離をできるだけ早い時間で連絡をして、国土全体を便利な、距離的には遠くとも時間的には非常に近いところに仕上げるということが、国土全体の効用を上げる上にとって大事なことでありまして、ぜひその御方針で貫いていただきたい。そうすれば、ただいま私が申し上げた仙台の西を通るという問題、あるいは八戸は縦貫自動車道の支線をもって連絡するというようなことはたちどころに解決する。建設大臣も私と同じお考えだと、その点理解ができる次第でございます。  ついでにもう一つ伺いたいのは、仙台と山形を連絡する道路はたくさんございますけれども、その中で昔から笹谷峠というものを通って山形の人たちは宮城県に参ったのでございまして、この点一番短いことはよくわかっておるわけでございます。ただ峠がございまして、現在その点で非常に不自由を感じておる。この峠に笹谷隧道をつくれば、いま自動車が自由に通って使われております関山峠を経由するものに比べまして、たぶん二十五キロぐらい短縮される。しかもこの笹谷峠は奥羽山脈中では一番積雪の少ないところでございまして、雪の多い東北といたしましては、できるだけ雪の少ないところを選ばなければなりません。そういう意味合いにおいて、この笹谷隧道というものを早くつくって、裏日本、表日本の連絡を密にするということは、東北全体、ことに山形県の発展のためにも大切なことと考えますので、この点建設省としては、笹谷隧道については前から要望がございますが、いかようにお考えでありますか、お尋ねいたしたいのであります。
  85. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまのお話につきましては、建設省におきましても十分理解をいたして、これに関心を持っておりますことは事実でございます。しかし、まず国道の整備改修を優先的にいたしまして、その国道の整備が終わりました次にやろうというふうな順位をもって研究しておるということに御了承いただきます。
  86. 竹谷源太郎

    ○竹谷分科員 それはごもっともでございますが、この問題は東北自動車道からの連絡線といたしましてきわめて重要でございまして、十分この点はお心にとめておいていただきたいと思います。  以上をもって終わります。
  87. 稻葉修

    ○稻葉主査 山本勝市君。
  88. 山本勝市

    山本(勝)分科員 ほかに機会がないものですから、十分間いただいて、河野大臣にひとつ御考慮願いたいのであります。  経済成長、開発、これは絶対的にやらなければならぬ要請でありますが、しかしその経済成長、開発が進むにつれて、労働形態の中で、農業とか中小企業者のように、自分仕事計画して自分責任をとってやるという人の数がだんだん減っていく。そうして人に雇われて、賃金をもらって暮らしていくという人の数がふえていく。少なくとも相対的に全種労働者の中でそういう比率がだんだん変わっていく、これは一つの必然の勢いであります。ところが、農民とか中小企業者は、大体保守党を支持しておる傾向がある。しかしサラリーマン労働者は、労働組合を組織し、そうしていわゆる保守党反対の勢力を支持する傾向を持っておる、これは現実の事実であります。世界的な一つの事実だと思います。どうしても経済成長をはからねばならぬ、開発をせねばならぬという絶対の命令に従って政策を進めれば進めるほど、保守党を支持しておる支柱がだんだん比率が減っていて、反対党の地盤が強化されていくということは、これは保守党自身にとっても大きな問題ですけれども、そういう政党政派を離れて、健全な人間生活というものを考えた場合に、歴史を尊重し、伝統を尊重し、そうしてほんとう共同体としての人間らしい生活をすることがほんとう生活だという考えからいきますと、これは非常にゆゆしい一つのジレンマであります。したがって、私は建設大臣としての河野さんに伺うのですけれども、特に将来を考えて、大きな総合的な立場から、この問題に対してどうすればそういう結果にならぬように、開発が進み、成長が進むにつれて、健康な精神を持ったそういう人間がだんだん減るのでなしにふえていくようなことに持っていけるかどうかということをひとつ考えてもらいたいと思うのです。その場合に、私は時間がないものですから、自分で問題だけを提供して、こういうふうな点を考慮すべきじゃないかということを御参考に申し上げて、ひとつ御考慮願いたいと思います。  それは、一つには、われわれの保守党の地盤でもあり、またわれわれが健全な生活考えておる農民の数をできるだけ減らさぬようにして、しかもその生活を豊かにしていく方法を考えねばならぬ。だんだん数を減らすことによって規模を大きくして、そうして能率を上げて、他産業との均衡をとっていくというような経済的な観点だけから、能率だけから考えていくと、ますます農民の数が減っていく。つまり自分責任を負うて自由に仕事をやっていく人の数が減っていく。中小企業の近代化でも同じように、これに資金を与えて能力のあるものを大企業のほうにだんだん向けていくということによって救済するということでは、結局われわれとしてその遺憾な傾向を防ぐことはできない。ですから、中小企業者の数も、経営がよく成り立っていくように考えなければならぬが、数もなるべく農民と同じように減らぬようにしていくことが一つだと思います。その方法について私は考えがあるのですけれども、時間の関係で、どうすればそんなに減らぬようにして能率を上げていくかということはいま申しません。  それから建設関係で申しますと、私は、大都市生活というものは一種の地獄——ということばは悪いですけれども、ただ交通地獄だけでなしに、道徳的にいっても、すべての点からいって健全な生活からそむいていっておると思うんです。そこで政府のほうでもこのマンモスのような大都市をむしろ小さくして、地方に分散しようという考え方で進んでおることはひとつのけっこうなことなんですけれども、その前に百万都市を方々につくるという、百万ということは多過ぎるということ。健全な人間生活からいうと百万という人口では、もうすでに大都市の弊害を多分に持っておって、お互いに知らないということから、やはり腐敗もあり、健全な生活を送りにくい。だからむしろ百万都市一つつくるんじゃなくして、十万都市を十つくるという見当で地方の人口分散を考えていくべきだ、これが一点です。  それからもう一つ、なぜ農民中小企業者が比較的健全な考えであり、われわれ保守党を支持するかというと、根本的に考えていきますと、自分責任において、自分の自由な判断仕事をしておるという生活様式一つ大きく影響しておるのと、もう一つは、やはり財産を持っておる、自分の生産に必要な、全部じゃなくても相当の財産を持ち、自分の住む家屋敷を持っておる。そして隣も自分の家屋敷を持っておるから、長く隣と自分との関係が、親の代から子供の代までずっと続くというようなことから、近隣の共同生活において、お互いに助け合っていかなければならぬという気持ちが生じてくるのであって、大都市におけるアパートや借家のように、きょうはおるけれども、あすはどこへ行くかわからぬというようなことでは、これがだんだんとほんとうの健全な精神が失われていくもとだと思いますから、住宅政策で一世帯住宅という場合に、ただ寝る場所あるいはそこで話をしたりめしを食うというだけではなくて、自分の家か人の家かという所有形態が大きな影響を持っている。小さくても自分の家を、できれば全国民なるべくたくさんの人に自分の家を持たすということを考慮に入れて——都市を小さく地方に分散すると同時に、自分の家を持たせるということを考慮に入れるべきではないか、こういうことなんであります。それは小さくても、幾ら大きなりっぱな宿屋でも自分の小さな家のかわりにはならないし、どんなりっぱな公園でも自分の小さな庭の代理にはならない。ですから、ただ外形的に便利であるとかあるいは衛生上いいとかいうようなことももちろん考慮に入れる必要はありますけれども、そういうものよりももっと重大な影響を持つのは、できれば自分の屋敷の上に小さくとも自分の家、そうしてそこに野菜畑ぐらいはついておって、土曜の午後から日曜にかけては、おとうさん子供たちがそこで一緒トマトをつくったり、ナスをつくったりというようなことができるような、そういう家を与えるということ、これは一朝一夕にはできませんけれども、しかし、大体においてもうすでに農民中小企業者自分の家を持っておるのですから、持たない先ほど言った人に使われていく人間、人に使われて月給や労賃をもらっていく人たちの数がだんだんふえていくのは防ぎ得ないのですから、そういう意味自分の家を持たせるという考慮を住宅政策に入れられるべきだ、こういうことなんです。ひとつ御意見を承りたいと思います。
  89. 河野一郎

    河野国務大臣 私は御承知のように建設大臣になります前に、農林大臣をたびたびやりまして、新農村の建設運動とか、農業改善運動とかいうような運動に挺身をいたしました。当時はこの自分考えを、来たるべき農村の再編成、農村の将来のあり方として絶対自信を持って当たっておりました。ところが、建設大臣になりましてから、最近考えさせられますことは、抜けてるものが一つあったということであります。といいますは、いま山本さんがお話しになりますように、日本農村は、自分計画して、自分で設計して、自分責任において一切をやっておる。ところが、それがただ単に新農村運動とか構造改善運動とかいうことでいけるかというと、いけない時代がまいりました。それは大きく経済の、何と申しますか、このごろのことばで公開経済といいますか、世界経済の中に日本経済が溶け込んでいくようになった。そのために、どうしても、この大きな経済の中になるべく近寄って、そうしてこの影響をなるべく受けていくことのほうがより暮らしやすい社会があるということのために、日本の人口が大幅に移動をしてきた。これがいま山本さんのおっしゃる農村の人口がだんだん減ってきて、都会にだんだん流れてくるようになった大きな一つの原因だろうと思います。それはただ単に所得の倍増でもなければ何でもない。そういう大きな経済上の変化、世界的な変化というものから、すべての人がなるべく経済に一番便利なところに立ってやるほうがよろしい。さらに、また、これをよりよく消化するためには、大資本のもとに、大工場のもとにこれに取り組むほうがより便利であるということのために、大工場ができ、大企業がますます育成されて、小さなものはだんだん衰微してくるというような時代に入ってきた、これが現在の日本の姿ではないかと思うのであります。これをこのままこれでけっこうだということで推進してまいりますれば、確かにいまあなたのおっしゃるような世の中になって、私は好ましい世の中とは考えておりません。  しからば、どこに一番欠点があるかと申しますと、たとえば都会における物価高、私はおそらくわれわれが政治に関係いたしましてからでも——都会の野菜ものが暴落したから農村の野菜ものが暴落する、農村の野菜ものが高いから都会の野菜ものが高い、その程度も違います。しかし、最近のように、都会では野菜ものが高いといわれながら、あなたの選挙区、わずか東京から十里、十五里離れたところに参ると、大根が一本二円、三円、トラック賃にも足りるか足りないかというような姿は、いままでの日本社会にはなかった現象だと思うのであります。これは一体何だ。もっと大きな例をとって申しますれば、私は最近神戸に参りましたが、神戸で使っておる野菜の中には、台湾からニンジンが入っておる。日本人が台湾でつくったニンジンを食べておるということにまで変わってきておるわけでございますから、いかに日本農村自分の設計によって立っていこうとしても、立っていかれなくなってきておるというこの姿でございます。これを見るときに、何としても最も優先的にやらなければならないことは、全国的な輸送、道路の整備、完備である。そして生産条件をすみやかに整えることである。今日の時世に日本国土全体が生産条件を整えて、世界経済の中に国内経済が大きく寄与できるように生産条件を整えてやるべきである。先ほどの竹谷さんのお話しのように、東北方面の野菜ものが簡単に東京の市場に入ってくるようにすることだ、早くて、安く入るようにすることだ。そういう条件のもとに、東北の農民諸君はそれぞれの設計をされることだ。まず自分が従来の計算で設計を立てれば、みなこれは成り立ちません。それを、新しい時代に即応して運賃の計算をし、時間の計算をし、そうしてそこにどういう農業が適するか、どういう設計でやれば成り立つかということを、公共投資を優先して、国全体の産業のあり方をどういうふうに条件を整えてやるか、その整えられた条件のもとに、大多数の国民諸君、農民諸君、もしくは中小商工業者の諸君が、この条件に合うようにみずからのくふう設計において独立した産業に従事することのできるようにして差し上げることが基本的な根本的な政治の要諦であると第一に考えます。  第二には、いまお話のありましたように、百万都市は大き過ぎる、東京のようなものは困るじゃないか、私も同感でございます。がしかし、それら百万都市といわず何都市といわず、しいて申せば、私は関東全域にわたってきめのこまかな職場をそれぞれ持てるようにして差し上げることだ。それには道路、下水、交通その他すべての生活条件に合致するようなものを、順次、きめのこまかなものを関東全域に広げて、関東全体が世界の一つの産業の基盤として、これが十分に利用できるようにして差し上げることだ。そうして安い土地に中小工場ができ、その中小工場から横浜なり東京なりに簡単に物資の、原料の輸送、製品の輸送ができるようにすることだ、そういうふうにして差し上げるようにして、そこに中小企業者の発達、生活の基盤も与えるということにして差し上げることが、将来の日本がこの公開経済のもと、世界経済の中にあって、民族の生々発展に寄与する根本である。これをやることによって、私はいま御心配になるような点がある程度考えられるんじゃないか、これだけは絶対にやらなければいかぬと思っております。その意味におきまして、建設大臣になりましてから後は、道路、河川、住宅というものに専念いたしておるのはこのゆえんでございまして、ぜひこれをやりたい、こう考えております。もちろんほかにもいろいろございましょうが、これだけはどうしてもして差し上げることが、あなたが多年、企業の自由、本人のくふうというものの上に立って資本主義を主張される基盤、その基盤を与えるということが政治としてはすべてに優先してやらなければいかぬことだということを、私も同じ立場に立って考えております。
  90. 山本勝市

    山本(勝)分科員 労働者でつくっておる労働組合などをどうして過激にならぬようにするか、これは産業の分散と同時に住宅政策が大きな……。
  91. 河野一郎

    河野国務大臣 いまの労働政策につきましては、私はあまり勉強しておりません。おりませんが、住宅政策については私も全く同じ考えでございますが、現状はまだそこまでいっておりません。まだ不足しておる住宅を緊急に供与する、量を与えるという段階でございますので、まだそこまでいっておりませんけれども、できることならば——デンマークあたりで、それぞれの農場が、一分、三分、三十年、五十年というような最低利、最長期の資金を与えて、これらに店舗や住宅が持ち得るようにということをやっておりますが、いまわが国におきましても、農村に対して無利息の金を一年に百億、二百億貸して、そうして農村の安定をはかっていこうとしておる。この思想、この政策と同じような意味において、住宅政策とここ数年のうちには当然取り組まなければならぬときがくるだろう、こう考えております。
  92. 山本勝市

    山本(勝)分科員 その場合に、住宅がなぜ長い間、十年も十五年も不足だといわれておるのか。需要供給というものは自然の法則ですから、必ず過剰になったり不足したりして、結局均衡をとるものなんです。それが十年も十五年も足らないというのは人為的にチェックしておるからです。人為的にチェックしておるのは、借家の場合には、家賃統制令というようなものが長い間じゃましておった。それがだんだん改まってきておるのですけれども、もう一つ自分の家をつくる場合の大きなチェックになっておるのは、家をつくると必ず税務署がきてその金がどこから出てきたかということをつつき出されることを実は小さな家を建てる連中が一番心配しておる。これは一例ですけれども、人為的にチェックさえしなければ、自然の傾向としては、もし借家を含めて解決する気なら、それは自然に必ず解決する。しかし自分の家を持たせるということなら、これは自然の勢いだけではいかぬものですから、いま言ったような、家をつくるときに税務署が所得の源泉を調査するというようなことを、これは建設省仕事ではないですけれども、大臣として、そういういろいろなチェックしておるものを除くことが必要だと思うのです。
  93. 河野一郎

    河野国務大臣 この席で申し上げることは適当かどうかわかりませんが、実はいまの点は、閣議におきまして、その点は税務署は触れないということに申し合わせをいたしております。
  94. 稻葉修

    ○稻葉主査 他に質疑はございませんか。——別に質疑の通告もないようですので、これをもちまして昭和三十九年度一般会計予算及び同特別会計予算中、建設省所管に対する質疑は一応終了いたしました。  次会は、来たる二十五日午前十時より開会し、郵政省所管の審査を進めることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会