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1964-02-21 第46回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十一日(金曜日)    午前十時二十五分開議  出席分科員    主査 稻葉  修君       井村 重雄君    今松 治郎君       加藤 精三君    田村  元君       保科善四郎君    松澤 雄藏君       山本 勝市君    栗原 俊夫君       五島 虎雄君    坂本 泰良君       楯 兼次郎君    堂森 芳夫君       中井徳次郎君    肥田 次郎君       帆足  計君    吉村 吉雄君    兼務 淡谷 悠藏君 兼務 中村 重光君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第一部長)  山内 一夫君         総理府事務官         (経済企画庁水         資源局長)   崎谷 武男君         建設政務次官  鴨田 宗一君         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建設事務官         (計画局長)  町田  充君         建設事務官         (都市局長)  鶴海良一郎君         建設技官         (河川局長)  畑谷 正実君         建設技官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君         建設技官         (営繕局長)  建部 仁彦君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   青鹿 明司君         大蔵事務官         (主税局税制第         三課長)    宇佐美 勝君         自治事務官         (財政局財政課         長)      柴田  護君         自治事務官         (税務局府県税         課長)    佐々木喜久治君     ————————————— 二月二十一日  分科員江崎真澄君、重政誠之君及び五島虎雄君  委員辞任につき、その補欠として田村元君、加  藤精三君及び坂本泰良君が委員長指名分科  員に選任された。 同日  分科員加藤精三君、田村元君及び坂本泰良君委  員辞任につき、その補欠として重政誠之君、江  崎真澄君及び帆足計君が委員長指名分科員  に選任された。 同日  分科員帆足計委員辞任につき、その補欠とし  て栗原俊夫君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員栗原俊夫委員辞任につき、その補欠と  して楯兼次郎君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員楯次郎委員辞任につき、その補欠と  して肥田次郎君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員肥田次郎委員辞任につき、その補欠と  して吉村吉雄君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員吉村吉雄委員辞任につき、その補欠と  して五島虎雄君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第二分科員中村重光君及び第三分科員淡谷悠藏  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計予算建設省所管  昭和三十九年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 稻葉修

    稻葉主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和三十九年度一般会計予算及び同特別会計予算中、建設省所管を議題といたします。  まず建設省所管につきまして説明を求めます。鴨田建設政務次官
  3. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 建設省所管昭和三十九年度予算につきましては、お手元に配付してあります「昭和三十九年度建設省関係予算概要説明」によりまして御承知を願いたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  4. 稻葉修

    稻葉主査 お手元に配付してある「昭和三十九年度建設省関係予算概要説明」は、便宜これを会議録に掲載することにいたしますので、御了承をお願いいたします。     —————————————
  5. 稻葉修

    稻葉主査 これより質疑に入ります。  本日は多数の質疑通告者がありますので、持ち時間の厳守をお願いいたしたく、各位特段の御協力をお願いいたします。  なお、政府当局要望いたしますが、質疑時間は限られておりますので、答弁は簡潔、率直に行なわれますよう、あらかじめ申し上げておきます。  質疑時間は、一人三十分の厳守をお願いいたします。  田村元君。
  6. 田村元

    田村(元)分科員 私は建設省並び自治省に対して質疑をいたします。きわめて簡単な質疑でありますけれども、非常に重要な問題でありますから、今後に対して、明確な統一意見としてお聞きをいたしたいと思いますので、そのようなつもりで御答弁を願いたいと思います。  私がお尋ねいたしたいのは道路敷の問題でございます。国道においてはそういうことはほとんどないと思いますが、地方道、特に市町村道におきましては、いまもって道路敷個人所有にかかわる土地である場合が非常に多いやに伺っておりますが、この点いかがでございましょうか。
  7. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路敷地につきましては、道路法によりまして、道路一般の供用が開始されるまでにその権原を取得する、こういうたてまえになっております。現実には、古くからあります道路で、特に戦前道路におきまして、また市村町道におきまして、道路敷の中に私有地があるという関係があることは事実でございます。
  8. 田村元

    田村(元)分科員 道路敷の中に私有地が非常に多いということを私も聞いておるのでありますが、問題は、この道路が完全な——戦前のことでありましょうが、寄付行為によるものであるという場合がほとんどであろうと思いますが、実際に地方議会が議決をした後においても、なおこの私有地に対して固定資産税等がかけられておるというような実情が相当あるようでございますけれども自治省のほうは、どういうふうにお考えでありますか。
  9. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 固定資産税は、公共の用に供する道路非課税となっております。したがいまして、道路敷私有地でございましても、それが公共道路の用に供せられる限りは、非課税となっておるわけであります。
  10. 田村元

    田村(元)分科員 佐々木さん、それはたてまえなんです。現実には課税をされておる道路敷が相当たくさんあるわけですけれども、その実態は把握しておられますか。
  11. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 現在道路敷になっておりましても、登記簿個人宅地等の登録がなされております場合には、納税者あるいは徴税者側双方で気づかずに課税をしておる例もないこともないだろうというふうに考えております。ただ、現在の評価なり課税実情は、あくまでも現況によって取り扱うように指導いたしておりますので、市町村側もその点よくPRをいたしまして、逐次こうした課税対象になっているものは減少していっているであろうというふうに考えます。
  12. 田村元

    田村(元)分科員 そこで、こういうことで押し問答をしておってもしかたがないのですが、問題はこういう道路敷地を今後どのように扱うかという問題であります。たとえば、現在の市町村道国道に使うというような場合も起こり得るわけです。それを拡幅して国道にするという場合もあり得るわけでありますが、そういう場合に、用地取得に関する手続はどのようにされますか、道路局長お尋ねします。
  13. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 過去の道路におきましては、そういうふうに、道路敷地内に私有地があるかと思うのでございますが、私ども直轄あるいは補助工事として、今後あるいは現在施行しておりますものにつきましては、その土地所有を明らかにいたし、すなわち、原則的には土地買収するという形、あるいは、特殊事情がありますものにつきましては、地上権取得するという方法でいくことになっておりますので、そういう事態は少ないと思いますが、問題は、現在道路を開設するものでないもの、すなわち現在すでに道路として使用されておるものの中に多数そういうものがあるかと思います。これらにつきましては、道路の台帳を整備いたしまして、土地の帰属を明らかにした上で、買収できるものはできるだけ買収するという形に持っていきたい、かように指導したいと思います。
  14. 田村元

    田村(元)分科員 そのような場合に、一般宅地私有地道路敷との買収価格において格差をつけられますか。これは同じ私有地でありますから、平等であるべきはずでありますが、そういう場合に格差をおつけになりますか。
  15. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 買収にあたりましては、その買収するに際しましての適正な価格でやるわけでございますが、これにつきましては、そういうような差別を特にしておるという事例はただいまのところは聞いておりません。平等に扱うべきものではなかろうかと思います。
  16. 田村元

    田村(元)分科員 格差現実についておる場合があるのですけれども、それはもう指摘しないで、平等に扱うということでありますから、それを額面どおり受け取ることにいたしておきます。  それで問題は、かつて道路敷私有地寄付行為があった、そういう場合において、なおかつそれが登記私有地になっておる、かつて地方議会においても決議もしておる、しかしなおかつ十数年あるいは数十年間登記変更もしてない、というような私有地に対する御所見はいかがですか。
  17. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 こういう問題は個々事例ごとに解決すべきものと思っておりますが、そういうような個々事例に対しまして、管理者関係者とすみやかに話し合いを行ないまして、未登記であれば登記する、あるいは買収すべきものであれば買収するというように、所要の手続をとって進めるようにいたしたい、かように考えております。
  18. 田村元

    田村(元)分科員 戦後の寄付行為であった場合は、これは話は別でありますけれども戦前の場合あるいは戦争中の場合は、相当強い国家権力土地所有者に対して及ぼされたことも考えられないではないと思います。もう一つは、そういう国家権力の介入がなかったとしても、昔は国家、社会に奉仕するという考えが異常なまでに強かったということを考えるときに、よしんばかつて寄付行為がなされておったとしても、登記変更がなされていないというような私有地に対しては、やはり戦後の政府として、当然私有地とみなして、用地取得態度をとるべきではなかろうかと私は思いますけれども、それに対してどのようにお考えですか。
  19. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 この問題についてはやはり個々ケースバイケースに申し上げるべきだと思いますが、やはり問題は、戦前でありましょうとも、過去の手続がいかになされておるかということが基本になるかと思います。それらの手続があいまいでありますと、ただいまのような点があろうかと思いますが、私どもといたしましては、形式的になるかもわかりませんが、過去のそういった手続を尊重いたしまして、やはりその趣旨で処理すべきもの、かように考えております。
  20. 田村元

    田村(元)分科員 ケースバイケースという意味はわからぬでもありませんけれども、実際に公共用地取得に際して、建設省にしてもあるいは都道府県にしても、市町村にしても、あるいはまた公団にいたしましても、はっきり言って相当冷酷無情な面がないとは言えないと思います。そういう点で、いまのような私有地に対して情状酌量考え方を当然持つべきだと思いますが、いままで私が道路局長お尋ねをいたしました内容に対して、大蔵省自治省の方はどのようにお考えでしょうか、ちょっと参考までに御意見を伺いたいと思います。
  21. 青鹿明司

    青鹿説明員 ただいま田村先生の御質問でございますけれども、私ども予算実施段階におきましては、道路敷地の中の私有地につきまして、個々実情調査の上、検査を行なうよう従来も配慮してまいっておりますので、今後とも実情建設省から御説明を承りました上で処理いたしたい、かように考えております。
  22. 田村元

    田村(元)分科員 あまり長い時間をとってあと質疑者に迷惑をかけてもどうかと思いますから、簡単に結論に入りますが、そうしますと、大蔵省の場合は、ケースバイケースにしても、建設省のとる態度に対して、これを注目するというか、話し合っていきたい、こういうわけでございますね。  そこで道路局長に伺いますが、こういう問題はいままで自治省建設省もわりあいに軽くお考えのようですが、これは案外多いのですよ。特に自治省の方は、逐年そういう傾向は減っておるだろうと言われますけれども、実際にこれをどこまで検討されたのか。私は、おそらく実情の把握をしておられないと思うのです。逐年これが減っておるというようなことは聞いておりませんし、そういうような指示行政指導があって市町村がそのような作業をしたということも、かつて聞いておりません。これはどうでしょう。あまり追い詰めてもどうかと思うけれども、実際にいままで自治省としてそういうことと取り組まれましたかどうか。それだけちょっと承っておきたい。
  23. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 公共の用に供する道路敷地につきましての固定資産税は、以前から非課税法律に規定されておりますが、ただ現実の問題として、私道がはたして公共の用に供する道路になっているかどうかということが二、三問題になったことはございますけれども現実にだれが見ても一般道路と変わらないという状況のもとにおきましては、私どもとしましては、当然に非課税になっておるというふうに考えておるわけであります。
  24. 田村元

    田村(元)分科員 それはまことに無責任なお答えで、私はもうこれでやめておこうと思ったが、そう言われるとどうも開き直らざるを得ない。あなたのほうで、たてまえとしてはそういうことはないと言われておりますけれども現実にそういうことがあったらどうしますか。非課税になっていない場合もあり得るのだということを、現実にあなたの前に突きつけてみましょろか。そういう場合にあなたはどうされるか。いままで実際にどうされてこられたのか。現実には、原則として非課税でないというふうに考えておるから、捨てておったということですか。それとも、そういうことはないとおっしゃるのですか。どちらですか。
  25. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 これまで納税者のほうからの異議の申し立てもなしに経過してきておったものとすれば、おそらく徴税当局にいたしましても、その実態を十分に把握しておらないだろうということは想像されるわけであります。ただ、非課税のものに対してこれまで課税しておったということになります場合には、そういう事実が明白になってまいりますれば、当然に税の還付という問題が出てまいると思います。
  26. 田村元

    田村(元)分科員 その場合、かりに町有者市町村当局もともに怠慢であって税を納めておった場合にいたしましても、税の還付ということは考えられるというわけでしょうから、そうしますと、いまの金額に換算するわけですか、昔の何円何十銭というのを還付するのですか、どちらでございますか。
  27. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 税の還付は、現実に納税した金額について、納付の日から還付加算金を付して還付するということになります。
  28. 田村元

    田村(元)分科員 大体わかりましたが、もう一回、くどいようですけれども念のために繰り返して道路局長お尋ねをいたします。寄付行為が行なわれたけれども登記その他の法律行為がいまだなされていない私有地、あるいは寄付行為が行なわれていない完全な私有地、あるいは寄付行為が行なわれておったにもかかわらず、固定資産税等課税されておった、あるいは現に課税されておる私有地、そういうような私有地に対しては、政府は、原則としてそれに隣接する宅地と平等の扱いをする、もしくはすでに法律的手続が相当進んでおるものに対しては、ケースバイケースで温情味ある措置をとる、先ほどからの御意見をまとめてみますと、こういうことでございますね。
  29. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 いまのお話の三つケースは、それぞれ個々にあり得る代表的なケースだと思います。したがいまして、その中には補償対象現実にならないものもあり得ると思います。補償するものがあるとすれば、やはり平等の立場で補償すべきものである、かように考えております。
  30. 田村元

    田村(元)分科員 補償対象にならないものもあり得るだろうという御答弁でありますが、それはどういうような場合をさしますか。
  31. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 いまの三つケースのうちで、たとえばすでに過去におきまして寄付行為が明らかである、いろいろ過去の経緯を調べましても、そういうことが明らかであるという場合にはその必要はない、こういうように考えております。
  32. 田村元

    田村(元)分科員 そうしますと、その中間的な存在で、寄付行為は行なわれておるが、すなわち完全な私有地ではないが、現に何十年間もの長い間税を払ってきたという土地に対しては、どのような感覚で臨まれますか。
  33. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 そういうような場合、個々にどういうような形できておるかといういきさつをよく調べまして、個々に判断すべきものだ、かように考えておりますので、ちょっとはっきりした言い方をできなかったわけでございます。
  34. 田村元

    田村(元)分科員 いままでどういうような行き方をしてきたか調べてということでお逃げになるが、簡単なんですよ。寄付をした。それに対して、議会がそれを承認しなかったかもしれない、あるいはしたかもしれない。ところが、そのあと市町村事務当局の怠慢で、そのまま捨てられて、そうして税が課せられた。ただそれだけの形だと思うのです。そこで、これは非常に重要な問題ですし、全国の用地取得に及ぼす影響が大きいと思いますから、私はいまここで追い詰めて局長から答弁を求めようとは思いませんが、ただ分科会はもう終わりますから、私が御質問申し上げた問題に関してなるべく早く統一見解を出していただいて、建設委員会でけっこうですから、おりを見て、なるべく早くお願いしたいのですが、私に公式の委員会の席で御回答を願いたいと思います。  それから特に政務次官に、これは質問というよりも御要望を申し上げておきたいと思います。こういうようなケースは非常に気の毒な場合が多いのです。昔のはなやかなりし時代の地主等がどんどん気前よく土地を出した。いまになって非常に生活にも困っておる人々にとっては、これは泣くに泣けない問題もあろうかと思います。いわんや税まで取られた日にはたまったもんじゃない。それからまた、現実に旧地取得の場合においても格差がつけられておることも事実でございます。政務次官はきっすいの党人派政務次官でありますから、ひとつ温情を持って処置するように局長に御指示を願い、いろいろと御指導願って、よりよき結果が出るようにお取り計らいを願いたいと思います。  私の質問はこれで終わります。
  35. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまの田村委員の御要望、ごもっともでありますので、よく検討いたしまして、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  36. 稻葉修

  37. 保科善四郎

    保科分科員 東北縦貫自動車道路建設に関連をいたしまして、建設省当局にお伺いをいたしたいと思います。  東北縦貫自動車道路建設は、東北格差を解消する重要なる施策として、多年東北がこれを要望してまいっておるわけであります。今回四兆一千億の新道路五カ年計画が決定をされまして、これが建設の曙光を見るに至りましたことは、東北民が一同これを喜んでおるわけでありますが、一体どういうもくろみでもってこれが建設が行なわれるか、それを道路局長より御説明を伺いたいと思います。
  38. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 東北縦貫自動車道につきましては、昭和三十五年度以来調査を実施してまいりまして、いままでに約七千万円ぐらいの調査費をかけております。私どもといたしましても、おおむねこれで第一次的な調査が終わったものと考えまして、近くこの線につきまして、縦貫道によります予定路線法律を出したい、かように準備をただいま進めております。  なお今後の建設につきましては、一次調査がおおむね済んだと申しましたが、まだ若干残っております。三十九年度におきましても、この一次調査を継続して、今年度と大体同額の調査費をもって当たりたいと思っております。実際の建設の問題になりますと、相当多額の経費を要するものでございまして、御承知のように三十九年度から新しい五カ年計画をお願いしておるわけでございます。この中で、他の新規縦貫道を合わせましてどの程度見込むかという問題を検討したいと思っておりますので、まだ具体的な今後の建設といたしましては、今日の段階では申し上げる段階に至っておりませんので、よろしく御了承を得たいと思います。
  39. 保科善四郎

    保科分科員 三十九年度の予算には、実施地点測量費というものは入っておりますか。
  40. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 三十九年度の調査におきましては、ただいま申しましたように一次調査が若干残っております。その継続をやりますのと、二次調査に入る予定でおります。
  41. 保科善四郎

    保科分科員 まだ実際的な建設もくろみがきまっていないようでありますが、実はこれは東北全体の問題として非常に強く待望している問題であります。東北開発三法の関係もございますので、特にこの問題をすみやかに検討されて、明るい希望を与え得るように特別なる促進をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  42. 稻葉修

    稻葉主査 発言者に申し上げますが、本日は質疑通告者が多数ありますので、中井分科員とも協議の上、お一人三十分以内といたしますので、各位特段の御協力を願っておきます。  坂本泰良君。
  43. 坂本泰良

    坂本分科員 私は筑後川改修問題に関連いたしまして、特に下筌ダム問題について、大きく三つの点について質問いたしたいと思います。  第一に質問いたしたいのは、昭和三十五年、下筌、松原ダムにつきましては河川法による事業認定が出まして、土地収用にかかったわけですが、その際の事業計画によるものと、昭和三十八年十一月二十日、収用に対しましてさらに特定多目的ダム法第四条による基本計画が出されたのであります。それを見ますると、昭和三十五年当時の事業認定による計画と、昨年の多目的ダム法による基本計画とはほとんど違っておると言っても過言でないと思います。  そこでお伺いしたいのは、最初河川法による事業認定だと言いながら、その内容にはちょっぴり特定多目的ダム法第四条による計画のようなことをほのめかして、そして四年後の三十八年十二月に至りまして、特定多目的ダム法第四条によるところの基本計画を出した。これは明らかに前の事業認定とは違うのでありますから、もしそうであるならば、前の事業認定はその行政処分を取り消して、新たな特定多目的ダム法第四条によるところの事業認定を出さなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。そこでその内容の大きい違い、これは申し上げる時間がありませんし、建設省でもわかっておりますから、一、二点あげて、その点の見解を伺いたい。
  44. 畑谷正実

    畑谷政府委員 三十五年のときに出しました事業認定計画とそれからその後の計画でございますが、私のほうは重大な変更があるというふうな考えは持っておりませんが、ただ事業認定のときの計画とその後の計画につきましては、発電の問題を、常時電力というものをピーク発電というものに直すということで計画変更したわけでございまして、いわゆる洪水計画、それに対する計画変更もございませんし、ただ発電に対してそういうようないわゆるピーク発電というふうに直したということでございまして、計画全体としての重大な変更というふうには考えておらないわけであります。
  45. 坂本泰良

    坂本分科員 それはどうもおかしいと思うのです。まず第一に、河川法による直轄河川事業計画多目的ダム法による基本計画、これは私は法的に考えても、本質は違うと思う。それを、最初はこの河川法によるところの事業計画を出しておいて、そうしていま申されたような発電だけでなくて——発電が大きい問題ですが、発電を二カ所で、また一カ所ふやして三カ所にする。そうしてそのふやした発電というのは五万何千キロワットというので、膨大なものである。そうなりますと、それに対するアロケーションと申しますか費用負担の問題、さらにまた用地、いわゆる水没その他の関係も大きく違ってくる。ただ、違わないのは、いわゆるダムの高さとかそういうものだけである。そうしてさらに、いま事業認定になっているのは——最初事業認定は三十五年、当時は水没地帯を含む全部であった。ところが、三カ年内にこれは地目の公示をしなかったから、もう無効になってしまった。したがって、地目の公示をして収用委員会にかけておるのだけが残った。これはダムサイトの地域だけなんですね。この範囲がダムサイトだけに限られたあとに、この多目的ダム法四条によるところの基本計画が出された。全然そこが違っておる、こういうふうに考えますが、その点いかがですか。
  46. 畑谷正実

    畑谷政府委員 もちろん多目的ダム法によりまして、そういうダム法の規定によってダムが建設される。それから、そういうような手続上の経過を経て、多目的ダムとしての建設に移行するという前提のもとに、最初におきましては、河川法直轄の第八条にいう計画のもとに進めていっておるわけでございます。
  47. 坂本泰良

    坂本分科員 河川局長かわられたけれども、前の河川局長の、従来の問題は、これは多目的ダム法によるところの事業認定でなければならぬのを、河川法によるところの事業計画でやっているから、これはいかぬじゃないか、こういうふうに主張したのを、いや、まだそれはわからぬから、現在は河川法によるところの事業認定でやっておるんだ——河川法による事業認定というのは、明らかに言っておられる。ところが、昨年の十二月に出された基本計画は、多目的ダム法によるところの基本計画です。それは同じような点も、ダムサイトの場所あたりは同じでしょうけれども、その内容において、場所において、ほとんどというくらいに違っておるわけです。だから私は、河川法による行政処分はもう消滅して、新たな多目的ダム法によるところの問題で、これは収用すべきであるかどうかということは判断すべきじゃないか、こういうふうに考えますけれども、この点いかがですか。
  48. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いま問題になっておりますいわゆる土地収用法による事業の認定、これの事業計画と、それからいわゆるダム法による基本計画、こういう御質問と承るわけであります。土地収用法による事業認定に対する計画、これはこれとして、一応そういう計画を立ててやっております。ダム法によるダムの基本計画は、そういうふうにして移行するということで、当初河川計画ということから出発しておる、こういうことでございます。
  49. 坂本泰良

    坂本分科員 どうもいまの河川局長、よく内容も御存じないし、法の適用の点についてもまだあれのようですが、土地収用法による事業認定河川法による事業認定。ところが今度、昨年の十二月に出されたのは、多目的ダム法による基本計画、だから内容がほとんど違っておるんだから、もう前の行政処分は効果がないんじゃないか。したがって、そういうふうな建設省計画ならば、新しいダム法によるところの、いわゆる土地収用法の事業認定——基本計画をつくられたら、それでやり直しすべきじゃないか、こういうことなんです。ですが、そのことをやっておると時間がありませんから、大臣が見えましたのでお聞きしたいのです。  河野大臣に第一にお聞きしたいのは、昨年の昭和三十八年の十月、河野大臣は熊本においでになりました。総選挙前でありましたから、おそらく河野さん派の野田武夫君の事前の選挙運動においでになったと、熊本県下では大いに言っておるわけですが、その際にホテル・ニューキャッスルで記者会見をされました。その記者会見において、こういう趣旨のことを言っておられます。熊本に来るまでの間に、下筌ダム建設はよほどやめてやろうと思った。国家的見地からぜひ必要であればどうしてもつくらねばならぬけれども、いまのように中下流の者が不熱心であれば中止してもよろしい、こういう趣旨のことを述べられた。そこでお聞きしたいのは、中止すべきであれば、百十八億あまりの巨費を投じてやる必要はないじゃないか、中下流の実際の働く農民は、このダム建設に反対している。久留米市長とかあるいは杷木町の旅館の主人とか、そういうのは賛成しているが、実際の農民は反対しておる。そういう点から考えると、何も巨費を投じてこの下筌ダムを建設する必要はないじゃないかと思うのが第一点。  第二は、ぜひ必要な下筌ダムであれば、中下流の者が熱心であろうと不熱心であろうと、反対であろうと賛成であろうと、国家的の問題であればこれを断行しなければならぬと思う。この二つの点から考えますと、どうも選挙前の河野大臣の発言については、いささかふに落ちないものがありますが、その点についてお聞きしたい。
  50. 河野一郎

    ○河野国務大臣 いま、失礼な言い分ですが、あなたの御質問で、私が言うたことは選挙と何か関係がありましょうか。(坂本分科員「選挙前ですよ」と呼ぶ)選挙の前だろうがあとだろうが、そういうのと関係ありません。(坂本分科員「幾らかあったかもわからぬよ」と呼ぶ)私は全然ないですね。  第二には、ここにも新聞記者の諸君がたくさんおられるから、その前で私ははっきり申し上げます。私は、新聞の記事は、一切これを信用しないとは申しません。新聞の記事は信用いたします。いたしますが、地方、出先で発言いたしましたことは、大体の場合に、正鵠にこれが伝えられていない。私は注意して読みますが、たとえば五社の新聞記者諸君と会見いたします場合に、翌朝の新聞に、私がしゃべったことが、同じニュアンスを持って書かれている場合がほとんどまれである。各新聞それぞれの記事がみなばらばらである。したがって、ごらんになる新聞によっては、右に、あるいは左に、あるいはこれをまぜ合わしたように書かれておる場合が非常に多いのであります。たとえば下筌ダムの場合に、いろいろ新聞の記事が云々としてありますが、いま御発言になりましたように、私が明確に、必要がないならやめてもいいのだ——この段階まで進んでおるものを、そう簡単に、いやしくも建設大臣として、やめる大きな理由があれば別でございますけれども、軽々にやめてもいいのだという発言をするとは、私自身が考えられません。私自身も、いまもなおそういうことを考えておりません。ただこいねがわくば、これに関係しておられる諸君がすべて——直接湖底に多くの山林を沈めなければならない、多くの利害を持っておられる方々、その人たちに対して、下流のこれによって非常に災害を防止できる諸君も、大いに感謝の念を持ってこれに当たるということが、問題を解決する第一のかぎであると思うのであります。ただ政府がその間にあって、政府計画であるから無理やりにこれを推し進めるというようなことで、今日政治ができるものとは考えておりません。あくまでも地元の関係の方々全体の御理解ある御協力なくしては、何事も建設の仕事は進みません。ただ土地収用法を適用するとか、何らかの法律によって、これを簡単に押えつけてやるとかいうようなことは、毛頭私は考えておりません。できるだけ御理解ある御協力を第一義として事業を進めてまいりたい、こう考えておるのでございます。
  51. 坂本泰良

    坂本分科員 山林が水没するだけではなくて、このダムによって学校が三つ、三百数十戸の家屋が水没するのでありまして、大きい問題であるわけであります。  そこでもう一つお聞きしたいのですが、大臣が総選挙直前にホテル・ニューキャッスルで記者会見をされたときは、新聞に出たのよりも、記者諸君から聞いたことは、もっと深入りしていろいろあるわけなんです。しかし表面に出たのは新聞記事だけですから、それで言っておるわけです。しかしながら大臣がそうおっしゃっても、熊本県下においては、やはり大臣がおいでになる、記者会見を公式に発表してやられる、その御発言に対しては重大なる関心を持っておるわけですから、ほとんど信用できるような発言をしなければならぬ。もしそれが違っておるならば、これは大臣の権威があるから、取り消させてしかるべきであると思う。それをそのままそっとしておいて、あれはどうかわからぬ、そういうことでは、私は大臣の責任あることばとしては不審にたえない。現在においても、熊本県下においては、あの総選挙前の河野大臣の記者会見における発言に対しては、県民は忘れておりませんよ。その点を申し添えておきます。
  52. 河野一郎

    ○河野国務大臣 いまの点は、私も責任ある政治家として非常に重大でありますから、明確にいたしたいと思います。私は出先における新聞記者会見の翌朝の新聞の表現については、詳細に目を通します。できる限り目を通すことにいたしております。ところが、この記事が——ここに新聞記者諸君がおられる前で私は申し上げます。いつでも一致した方向で書かれない。非常に悪意とは申しません。悪意とは申しませんが、趣旨を取り違えて新聞に出る場合が非常に多いということでございます。そうであるからといって、一々それを取り消しをする——これは読まれるほうの人がごらんになれば、朝日、毎日、九州というような新聞の多くをあわせてごらんになるかどうか。あわせてごらんになれば、それはみんな違うのだと一目瞭然だと私は思う。これは関西に行った場合にもそうです。これははっきり言えます。そういうふうに、私は、少なくとも新聞記者の出身として深い関心を持っておりますから、明確に申し上げるわけでありまして、それを一々取り消せのどうのこうのといったところで、これを、じゃ取り消そう、これだけは合っておる、これだけは間違っておるというわけにまいりません。これは新聞記者諸君にお会いするときにも、私はそれはお断わりをする、そういう点がありますから、特に気をつけてお書きを願いたいということを申すのですが、そういうふうにならない場合が多いので、はなはだ私としても遺憾に思っておるわけでございます。これは名古屋方面へ行ったときでもお断わりしております。いつも記事が違わぬようにしてもらいたいと、ちゃんと断わっておる。慎重に扱っております。
  53. 坂本泰良

    坂本分科員 もちろん総選挙前であります。熊本日日新聞のごとき自民党一本に固まるような新聞の記事と、朝日、毎日のようないわゆる日本国じゅうの大新聞とは、その記事の内容が多少違います。多少違いますけれども、このときの各新聞の記事は、私が先ほど申し上げたような記事であるわけなんです。しかもそれを大きく新聞に取り上げると、やはり二、三日後に告示を控えておるところの総選挙に対しては非常な影響を及ぼすものである。この点については、大臣が何と答弁をされようと、熊本県下の二百万の県民は、何も新聞記者が間違いで書いたとか、うそを書いたというふうには理解をしていないわけなんです。その点を申し上げて、時間がないから次に移ります。  この筑後川の問題については、下筌ダムは、これは猛烈な反対があります。私もこれはやめさせなければならないと言って、全力を尽くしておる一人です。これに対しましては、筑後川松原・下筌ダム建設促進対策協議会というのができておる。このメンバーは久留米市長であり、はなはだしいのは杷木町長、この人の名刺を見ますと、マンモスジャングル温泉ホテル泰泉閣の社長、こういう肩書きのある方なんです。おそらく町長ではあるけれども、働く農民のことは十分理解していない人だと思う。筑後川の中流においては、大臣も御存じのように、農業用水の大石堰ほか三カ所の大きいせきがあります。そうしてここには一万人以上の農民で組織する土地改良区というのができ上がっておるわけであります。この人たちは、この下筌ダムについては、これは発電会社に奉仕するダムであって、われわれ農民のためにはならないというので反対をしておる。そうしてなおいまもう一つ心配になりますのは、この下筌、松原、さらに昨年の計画に出ておりまする鷹取ダム、こういうダムを建設省はつくるのだ、つくるけれども、これに対して北部九州水資源協会というのができておりまして、この協会の猛烈な運動は、この筑後川の水を、この三つのダムを合わせて水資源公団に移管する運動をやっておる、あるいは今後そうなるではなかろうか。そうなったならば、下流百万の農民はこの水をなくしてしまう、農業用水がなくなってしまう。このことも非常に心配をしておるわけなんです。そこで、このつくられるところの三つのダムは、今後水資源公団に移して北九州の工業用水に全部回すような計画があるかどうか、またそういうようなことになった場合に、いま建設省が言っておるところの、下流百万農民のためにこのダムがなるかどうかという点について、非常に疑わしいわけです。そういうような計画があるか、またそういうような場合に、この猛烈な反対を押し切ってつくったダムは移管されるような危険があるのじゃなかろうか、その点についての所見を承りたい。
  54. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私は、沿岸の農民諸君がいまお話しのようなお考えを持っていらっしゃる、もしくはそういう不安を持っていらっしゃる方がおありだとするならば、それは私たちの考えに対してなかなか御信頼が薄いにいたしましても、ひとつぜひ皆さま方の御協力によりまして、また沿岸に非常にお近しい方々の御信頼によりまして、そういうことは絶対あり得ないのだ、いかなる場合にも、上流にダムをつくりましても、そのダムをつくることによって、もしくは新河川法を制定いたしますことにより、河川が一元的に、建設大臣に水利権が移ることによって、既得の水利権もしくは既得の農業用水が、これによって左右せられるというようなことは断じてございません。そういう不安は断じて与えないようにすることが前提条件でございます。ということを明確にいたしますと同時に、どうかひとつ御理解ある御協力をちょうだいいたしたいと思うのであります。私といたしましては、できるならばひとり下筌ダムだけではなしに、この筑後川の上流地域でたびたび起こる災害を除去するために、できるだけ多くのダムを建設するということが国家として当然なされなければならないことでございます。こういうふうにしてダムをつくることによって余剰の水が出たならば、この水を、既存の水利権などを十分満たして余りがあるならば、その余剰の水を北九州開発に使うということは当然過ぎるほど当然であって、こういうふうに持っていくことが、われわれの基本の政策でございます。この点を明確にいたしますと同時に、建設大臣として、沿岸の農民諸君、既得の水利権、農業用水の権利にいやしくも御迷惑をかけたり、これに対して不安をかけたりするようなことは断じていたさぬということを、あらためてここで明確にいたす次第でございます。
  55. 坂本泰良

    坂本分科員 ひとつ間違わぬようにしてもらいたいのですが、現在九地建が行なっておる下筌、松原のダムの施工その他いろいろの問題については、なかなか大臣の言われるようなすっきりした国家的の事業でもないようです。その点はあらためてまた別の機会に譲ります。  そこで、先ほどもちょっと申しましたように、この筑後川については、いろいろ農民にほんとうにつながった代表でないような方々がつくっておる筑後川下筌松原ダム建設促進対策協議会というのがある。久留米市の建設省の筑後川の工事事務所の中にこの協議会がある。そうして、この協議会は熊本の土地収用委員会に、バス一台を借り切って数十名の人がそれに乗って、そして早く裁決をしろという圧力をかけておる。いわば圧力団体とも見える。それの事務所が建設省の事務所の中にある。ほんとうの農民や労働者が手弁当で運動するのでなくして、マンモスの社長であるとかそういうような人が、バスを借り切って来ている。久留米から熊本に行くのには相当の金がかかる、そういうような金がどこからきておるのだろうか。これは九地建の下筌、松原ダムの推進に際して、あるいはそんな資金が建設省から出ているのではないだろうかという風評がもっぱらであるわけであります。そこで、これに対しては、下筌ダムの反対派は、それでは促進する必要があるかどうか、下筌、松原ダムがはたして下流農民のためになるかどうかということを一般討議をしようじゃないか、日時、場所をひとつきめて、そこで双方から出て公聴会を開いて、そうして農民大衆の方々の批判を受けようじゃないかといって申し込むけれども、そういうことには返事もしない。反対派においては一審の訴訟は負けましたけれども、その判決の内容を見ると、私たちから考えれば、訴訟は負けたけれども理由は勝っておる。やはり権力闘争の判決は権力に従った主文が出るのだということで、この判決に対してはいろいろの学者、実務家、技術家から判決批判が出ておるわけです。そういう公開の席上で、それでは協議会が主張するのはどういう点にあるか、反対者が主張するところはどこにあるかということを、ひとつみんなで討論会をしよう、公聴会を開いてやろうじゃないかと言えば、それはやり切らない。そして収用委員会があるたびに——このごろは五日とか十日おきにやりますが、そのたびにバスに乗って大挙して来る。ただ下流の国民のために早く裁決をしろ、裁決をしろと圧力をかける。そういう事務所が九地建の筑後川事務所の中にある。看板がかかっておる。だから疑わざるを得ない。急に昨年の暮れから本年になってこの政界の方々の運動が激しくなったのは、先ほど私が申しましたように、大臣が十月においでになって、中下流の者が不熱心だから、そんなのはやめたがいい、こんなことを言われたから、それを裏書きするように強力な運動をどんどん展開している。そうして圧力団体にまで化している。それでは実際上どういう理由があるか、公開してやらないかと言えば、そんなことはやり切らない、こういう問題が起きておるわけであります。だから、大臣が国家のためだからすなおに協力してもらいたいと言っても、基本的にこの下筌、松原ダム計画が電力資本に奉仕するものであり、決して洪水調節のダムではない、そういう事実的にも専門的にも深い確信を持っているから、これに反対しておるわけなのである。そういう点を大臣は知っておられるかどうか、また、そういうような圧力団体にも比すべきようなものが建設省の工事事務所に看板をかけるというようなことをしてよろしいかどうか、御所見を承りたい。
  56. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私はそういう報告を受けておりませんから、いまにわかにここでお答えはできかねますけれども、しかし、政府が施行しようという工事に対して御協力をいただくということであれば、私は決してそれを排除して、おれのやることに協力するのは困るといって排撃するわけにもいかなかろうと思います。たまたまその協力しておる者がいいとか悪いとか、マンモスの何とかといっても、これは話は別であります。しかし、いまお話しのように、この事業を早く完遂することに御理解ある御協力は、各方面すべてに御協力をちょうだいいたしたいものだ、こう考えます。
  57. 坂本泰良

    坂本分科員 大臣がお見えになる前に、この下筌に対するところの土地収用については、昭和三十五年河川法によるいわゆる事業計画ができて、土地収用事業認定になっておるわけです。昨年の十一月二十日、九地建はさらに多目的ダム法による基本計画をつくりまして、四年前とはほとんど内容の違うものをその収用委員会に追加して、そうしてその裁決を求めておるのでありますが、このような行政処分は、昭和三十五年の行政処分昭和三十八年の行政処分は、その内容においてほとんど違うような基本計画でありますから、これはやり直さなければならぬ、こういうふうに私は考えるが、その点はいかがですか。  さらに、また、時間がありませんから、法制局のほうにお伺いしたいのは、昨年というか、本年の正月にかけてだと思いますが、熊本の土地収用委員会の会長福田虎亀氏外二名の委員が法制局に電話しまして、いま私が申し上げましたような、最初事業計画あと基本計画とはほとんど違うものであるが、これは土地収用法四十七条によって却下すべきものだと思うが、その点についての法律見解はどうだと聞きに行った、こういううわさがあるわけですが、はたしてこの福田虎亀氏外二名の熊本県収用委員が来て、その見解を求めたかどうか。それに対して法制局はどういう見解をやられたか。これに関連して、さらにこの三名は東京都の収用委員会にも聞きに行ったそうです。そうすると東京都の収用委員会では、そんなに違うならばこれは却下すべきが相当であろう、こう言うたと言われておる。私が聞いたわけではない。そう言われておる。そこで本日は、法制局にそういう見解を聞きに来たかどうか、来たならば、どういう見解をされたか、大臣と法制局の両方に御答弁願いたいと思います。
  58. 河野一郎

    ○河野国務大臣 建設省見解としては、いまお話しのように非常な違ったものになっていない、したがって、これは引き続き進めてよろしいという見解をとっておるのでございます。
  59. 山内一夫

    ○山内政府委員 この点につきましては、法制局に熊本の土地収用委員会の方がお見えになりました。法制局はどう言ったか、こういうことなんでございますが、私どもの公の考え方というのは、かつて地方公共団体の機関のほうにも正式に意見をお出ししていたことがあるのでございますが、だいぶ前からどうも各省の意見と食い違って、やはり各省のほうからお聞きいただいたときにお答えするということになっておりまして、そういうようないきさつがありまするから、収用委員会のほうに正式にお答えいたしたわけではございません。ただ私ども個人的な感想を申し上げたことは事実でございますが、そのときの考え方というのは、ごく簡単に申し上げますれば、確かに今度下筌にできますところのダムの根拠法が特定多目的ダム法のほうに変わったことは事実であります。しかし客観的なダムとしての効用をつくり出すところの計画には基本的に変わっていないというふうに、建設省のほうの御説明も聞きますと変わっていないとわれわれ判断いたします。著しく変わっているかどうか、これは収用委員会のお考えになりますけれども、根拠法が変わったというだけでは著しく変わったということは言えないのじゃないか、こういうふうにお答えしたことはございます。これはしかし個人的にそう申し上げたわけでございます。
  60. 坂本泰良

    坂本分科員 そうしますと、個人的に、根拠法が変わっただけではいいのだ、こういう見解ですね。  そこで最後に一点。熊本の収用委員会で鑑定人を任命いたしました。物件鑑定人が二名、立木鑑定人が三名、土地鑑定人が三名任命になっておりますが、この鑑定人は現場を見に行くと称して、現場は見ずに、その川の反対側の県道を自動車で通っただけ。ただ物件鑑定人二名が、この川岸からただ向こうのほうを見ただけで、鑑定書を書いておる、こういうことなんですが、こういうようなことで、いやしくも土地収用法に基づくところのその価格を決定するにあたって、このような方法で鑑定した鑑定書が、はたして有効かどうか。これはもっとしさいに調査をした上で鑑定をすべきである、こういうふうに思うのですが、このような鑑定人の鑑定は、これは断じて建設省は採用すべきではない、かように考えますが、大臣の所見をお伺いいたしたい。
  61. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私はあまり法律はえてではございませんけれども、ただいまお話を承っておりまして、それは収用委員会の事務、もしくは収用委員会の委員として、もしくはそれの参考人の意見をどういうふうに徴されるか。それはいまおっしゃるとおりであれば、それでは不十分だという認定は収用委員会がなさるべきだ。私は収用委員会の決定に従って事務を進めていくということが建設大臣としてとるべき措置ではなかろうか、こういうふうに考えます。
  62. 坂本泰良

    坂本分科員 そういう答弁をいただいたわけですが、そこで、この下筌の収用委員会に対しては建設省は猛烈な圧力をかけておるわけです。さらにそれの外郭団体というような協議会というのが圧力をかけておる。だから、このようなふまじめな、事実に基づかないところの鑑定でこれは決定すべきじゃないと思う。しかし大臣のいまのおことばのように、もちろん法的にはこれは熊本県収用委員会の権限でしょう。しかしこの収用委員会は、何をやるについても、大きな問題にかかると必ず東京に来て建設省意見を聞く。それから先ほどみたように法制局の意見を聞く。それだけでなくて、東京都の収用委員会意見も聞いてきているわけです。そういうように優柔不断と申しますか、何も独立性がない。だからやはり建設省もこれは一方の当事者であって、猛烈な反対を受けて、あの計画はだめだということがいわれておる一方のものであるし、ダム反対のほうは、そうではないといって、単に反対のための反対でなくて、筑後川の下流から上流までまたたいへん心配だという。それは下筌・松原ダムは今度水資源のダムにもなるようですが、久世畑にきまったのを、さらに下筌・松原まで、発電のために上流まで持っていったというような点まで、科学的に検討し調査をして反対をしておりますから——これは国家がやるから何でも正しいんじゃない。国家がやることでも反対に正しくない。それをいまやっておるのですから、これは公平な処置をひとつ私は大臣に要望して、時間がきましたから、あと小さいところは、また建設委員会に出まして質問することにして打ち切ることにいたします。
  63. 稻葉修

    稻葉主査 帆足計君。質疑者に申し上げますが、質疑の通告が多数ございまして、先ほど、あなたいらっしゃらない前に主査から申し上げましたとおり、お一人三十分ということを中井分科員とも協議の上、そういたしましたので、御協力をお願いします。帆足計君。
  64. 帆足計

    帆足分科員 私は外務委員会に所属しておりますが、河野建設大臣のこれまでの御業績につきましては、なき敬愛する鳩山首相を助けて日ソ国交回復の困難な仕事をなし遂げられ、また平素の御言動を見ますると、勇猛果断、実行力がある大臣として大いに敬意を表している次第です。  私は、質問という概念で新聞にいつも出ておりますが、議員は何も呼び出しやっこではございませんから、また政府の生徒でもございませんから、別に質問をして教えを乞うというつもりはありません。ただ国民を代表して、平素心に思うこと、人民の要望を強く主張し、合理的な点は政府に取り入れていただき、また問いただして、間違っている点は改めていただき、よい点は大いに政府を激励して協力して、いい政治をしてもらいたいと思うわけです。社会党はまだいま成長過程にある党でありまして、政権を担当するまでに若干時間がかかります。だとするならば、保守政府の与党の責任はきわめて重大でありまして、せっかく政権を握っておられるのですから、国民のために思い切ってよい政治をしてもらいたいとだれしも切に願うところです。  私は、平素外務委員をしておりまして、外務委員会の担当の仕事は、日本丸の進路をきめる仕事ですから、島国、海の国日本としては非常に重要なことであると思っておりますが、かたわら、今日の最大の課題は、住宅問題、道路問題、国土開発の問題、それから社会保障の問題でございますから、建設省の仕事と厚生省の仕事には、私どもとしても平素強い関心を持っておるのでございます。  思うてみますると、終戦直後、東京が焼け野原になったあのとき、せめて後藤新平伯のような人が知事に選ばれていたならば、いま東京の町は区画整然、せめて名古屋の町くらいに、またいにしえの奈良の都のように一条通り、二条通りと——原宿駅前のあの神宮通りを見るたびに、私は夕焼け雲を眺めながら、こんな町になり得たものを、安井都政などという俗物行政に十数年も都政をまかせ、また東竜太郎さんといいますけれども、実際は安井竜太郎といったような、旧態依然たる都政のやり方を、しろうとのお医者さんにまかしておいて、心もとないこととも思って、諸兄と嘆きを同じくしておる次第でございます。いまの東京は、盲腸炎ならば切開手術もできますけれども、腸捻転か腸閉塞か、どうなることやらと思っておる次第でございます。終戦直後、せめて河野さんのような人が知事に選ばれていたならば、相当思い切ったことをやっていただけたものであろうと私は思います。  終戦直後、私は経済復興会議の幹事長に推されたことがございます。労使協力して祖国復興のことを当時論じましたが、一国の国土計画は、その民族、その風土の特色に応じたものでなくてはならぬ。当時稻葉君が石炭ベースの復興を唱えたのに対して、私は、日本とは何ぞや。日本は昔は神風の国といわれておりますけれども、それは水と台風の国である。一年間における台風の被害だけでも、関東大震災の全被害の何割かにもたるくらいの被害を毎年受けております。しかしその被害の中に、使い方次第では大きな恵みがあること、すなわち農村に水を提供し、適当な湿度と豊かな農産物、それから水と沃土を提供してくれておるのですから、豊作の年の一割くらいは積み立てて、台風対策及び水利の対策、国土計画に充てるという、一つの国土計画への哲学が必要であった。すなわち石炭本位の対策、国土計画でなくて、やはり多目的ダム、水を使う水力電気本位の国土計画を立てて、それによって初めて石炭と石灰を活用することができる。化学工業、精密機械工業、電気機器工業がその上に乗る。道路はもう二十年前から田中清一君が縦貫道路をすぐ着手すべきであったと主張しておる。その上に乗って、すなわち船と貿易、そして先ほど述べました電源が開発され、電力が安くなり豊富になれば、化学工業、電気機械、精密工業に次いで雑貨工業もおのずから盛んになります。そういう立体的、民族的、英雄的国土開発が必要であって、私は、それが小学校の子供にまで浸透するようにしてもらいたかった。まあ小学校の一年ではわかりませんけれども、中学一年になれば、ぼくらはアジアの貧しい国に生まれた、しかし日本は、すでに戦国時代にアジア的水準を突破して、そしてりっぱな城を築き、ハムレットのエルシノアにまさる古城をわれわれは多く持っている。姫路城など、すばらしいものです。当時の冶金の技術、日本刀の技術はオランダをしのいでいたのです。種子島の鉄砲を見取り図一つで理解する能力を持っていた。日本は上半身はアジアのヨーロッパだった。頭にちょんまげをゆい、腰に日本刀を差しながら、イエスの教えすら理解して、そして人類、愛、そういう概念をすでに当時、六百年前、七、八百年前に理解し得た民族です。したがいまして、国土計画には哲学が必要である。同時に勇気と果断な精神が必要である。したがって、大いに建設大臣にまず軌道を残すために、いまのうちに、勇猛果断な建設大臣のおられるうちに、ひとつ業績を残しておいてもらいたい。  さらに私がここで注意を促したいことは、インフレの問題です。かつて銀行家というものは、通貨の安定を守るために命を捨てました。私が経団連に就職したころ、井上準之助氏が倒れ、団さんが倒れ、尊敬しておる高橋是清氏も倒れました。しかし古典的な経済学だけでよいわけでもなく、その後ケインズが、インフレーションを、通貨操作によって景気を調整するということを主張して非常に参考になりましたけれども、今日のインフレーションはケインズ的なインフレーションじゃなくて、腐敗堕落したインフレーションが続き、そのために国民生活はアンバランス、正直者は損をする、いわゆる昆虫物語りといわれるボーダーラインの人口が三千万人をこえております。いま生計費を分析しますと、普通の生計費は四百倍前後でしょう。しかし旅館に泊ると千倍です。住宅、土地の問題になると五千倍になっています。生計費の割合にこれをかけますと、老後の安定まで加えると非常なことになってくる。総評の友人諸君は、日本の勤労者の生活をヨーロッパ並みにしたい、その志は大いに壮としますけれども、私は賃金一本ではそういうことはできないと思います。やはり総合施策が必要で、そのうちの最も重要なものは住宅対策です。住宅問題が解決すれば、不良少年の問題も、交通地獄の問題も、連関してなくなる。国民の生活はおのずから穏やかになり心も豊かになります。池田さんのような教養の低い人が、人づくりなどと口から出まかせなことを言わなくても、住宅さえきらんとできて、東京全体があの神宮通りのような町になれば、子供のしつけはひとりでにおのずからできるものです。にせ証紙であまり賢くないお医者さんを東京都知事に持ってくるような総理のやり方で、人づくりとか子供の教育なんということは、もう少しあとでゆっくり言ってもらいたい。まあ石でも見て悠々自適してもらって、せめて悪いことをしないでもらいたい。それ以上のことをわれわれは望みません。したがいまして、河野建設大臣がせめて、国土計画道路の対策、住宅問題に対して、そう長くない在任期間にすべてはできませんけれども、軌道だけを明らかにしておいていただくならば、国民の信望は集まり、もう、かつての犬養木堂や尾崎咢堂先生のような風格のある政治家はどうせ望めそうもありませんが、池田さん程度の人が総理になったんですから、それよりはるかに風格もあり能力もある河野さんが総理になるのは、私は時の問題であろう、こう思っておりますから、御自重願いたいと思っておるわけです。野党であっても、やはりいい大臣がくることは、少なくとも不愉快なことではありません。与党が失敗したから野党が政権をとる、そういうさもしい考えは持っておりません。私たちは、与党よりも、もっとりっぱになって、それによって政権を取るなら賛成です。しかし、与党が失敗してパージになった。庶務課長が社長になる。そういうようなやり方はさもしいことであってまずないと思います。われわれは大いに実力を涵養せぬばならぬ。しかし与党がりっぱにならぬと、われわれもはげみが出ませんから、よき与党があればよき野党ができるし、よき野党が大いに勉強すれば与党もまたりっぱになるんじゃないか。  今日日本の貧困は二つあると思うのです。結婚の貧困と政治の貧困とよく言うのですが、しかし、やはり一番痛切なのは住宅問題です。住宅問題のためにどういうことが起こっておるかというと、不良少年が多くなる。それから、うちへ帰ってもつまらぬから、カフェ、バーなど世界一です。これが輸出産業であるなら大したものですけれども、これは浪費されておるもので、まことに残念です。お年寄りの自殺のふえておる数字を河野さんは御承知でしょうか。六十から七十、七十から八十と急激に自殺がふえております。これは住宅難をはかなんでというように書いてあります。子供が嫁をもらったら、年寄り夫婦の住む隠居部屋もない。世をはかなんでくびれて死ぬ年寄りのことを思うとき、楢山節考という奇妙な小説が二十年前にはやったのも、あれは詩人の直感力であったかと思わせられるくらいです。政府答弁ばかり聞いても、あまり趣味のあることでもありませんし、最初、国民を代表して私ども意見を聞いていただいて、まことに恐縮ですが、申し上げることばの中で、肯綮に値することがあるならば、どうか取り上げていただきたいと思う次第です。  さて、当面は、われわれは東京に住んでおりますから、東京のことから申しますと、東京の都市計画——私の住んでおりますのは東京第四区ですけれども、桃園川、妙正寺川、それから善福寺川、川の名前はまことに愛らしい詩的な名前ですけれども、ちょっと水が出ると、もう洪水です。区役所が何ができるかというと、洪水の済んだあと石灰をまくのがやっと手一ぱいです。都会議員は何ができるかというと、大した力は持っておりません。都庁に行くと、たくさんの、何というか、アブラムシほどの数の役人がおりますが、たいしてこれは役に立ちません。語るに足る役人はあまりおりません。都市計画を担当しておる役人など、割合まじめで一生懸命やっておるようですが、結局、首都圏整備の予算がなければできないことです。一国の首都の都市計画というものは、その国の品位にかかわる問題でもありますから、大臣もお忙しいでしょうけれども、首都圏整備問題の責任者として、もう少し力を注いでいただきたい。まあ東さんなんかは、任期中は、ちょっとしかたがありませんけれども、力のある都市計画の幹部を結集されて、大臣との関係を密接にして、そしてひとつ見通しを与えていただきたい。つらつら見ますと、東京都内の赤坂、新橋あたりの料亭などはなかなかいい建物があります。こういうものは、愛らしいから残してもいいでしょうけれども、多くの建物はまだバラックです。したがって、仮建築とお考えくださって、いまのうちに東京都政改革二十カ年計画をもっと立てて、国民に理解してもらって、せめて四五階建てにして、そうして道路率をせめて三割くらいにして、芝生の場所を多くして、そして公団といっても、ところどころ向きを変えたり、間に音楽堂をつくったり、子供の遊園地をはさんだり、キャッフェテリアをはさんだり、雑誌閲覧所や音楽を聞く場所をつくって変化を加える必要があると思います。なぜ私がそれを言うかというと、キューバにまいりまして、キューバの都市計画を見て驚きました。庭園に相当の金をかけているのですね。入ったあとからも百円ぐらいずつとりまして、一つの公団には一人のガードナーがついて指導しております。ここはフランボイアンのアパートである。フランボイアンというのは赤い花が咲きまして、幹が大きくなると恋人の名前をきざみ込む、きわめてロマンチックな樹木です。ここはスズカケのアパート、これはシラハギのアパート、ここはフヨウのアパート。ミコヤンが行ってびっくりして、こんなぜいたくするならおれは援助をやらぬぞと冗談を言うたところが、フィデル・カストロはこう言ったそうです。鶏のバタリー小屋ではありません。ここは人類、人が住むところです。私はそのことばを聞いて彼に魅力を感じてキューバに行きました。四十日間フィデル・カストロの国に滞在しましたが、その間一緒にシェラマイストラにもまいり、親しくフィデル・カストロと語り合う機会を持ちました。これは非常に愉快な旅行でした。キューバはニッパとわらぶきの、黒ん坊がフラダンスをしておる国かと思いましたら、ハバナは香港より美しいエレガントな町です。八割はスペイン系の民族です。これは非常に有名な美女の国です。ひとたび旅行すると、魅せられて心残りのする愛らしい国です。こういう小さな美しい国を相手にして四十男のアメリカがけんかしておるのは、趣味としあまり高尚でないことをアメリカに一度忠告する必要があろうと思って、キューバから帰りがけにワシントンに行って、多少講演会などもしてきました。皆さんはお笑いになっておるけれども、いま砂糖の問題が重大ですけれども、日本はキューバから多いときは六十万トン、すなわち日本の砂糖の半分です。少ないときでも、現在でも四十万トン砂糖を買わなければ、皆さんの奥さんが安心して蜜豆を味わうことができないのです。遠く離れた国でも、日本は島国ですから非常に深い関係があるわけです。  話が横道にそれましたが、いま私はキューバの都市計画をほめたわけですが、庭をとても大切にしておる。そうして驚くなかれ、日本も湿気が多くて暑い国ですから、日本の建築様式をキューバは取り入れまして、今度フィデル・カストロがつくったベルサイユというホテルは、草月流の様式を取り入れ、暑い国ですから、平安神宮のように軒をずっと長くして、涼しい風が入るようにして、ホテルとホテルをつなぐところに渡殿の様式を取り入れております。もちろん窓を大きくして下を高くしておる。キューバでは日本の建築に非常に興味を持ち、そのよいところを取り入れるように努力しておりますが、しからば、河野さんがおつくりになったわけじゃないですが、前任者が設計したひばりが丘とかなんとかいう団地など見ますと、私はいつも名古屋コーチンを思い出すのです。卵が幾つ産まれるであろうと思いますが、これは団地ストレスという病気になるのです。ところどころ間をあけて、そうしてプールをつくったり——幾らも経費はかかりません。プールは有料にすればいいのです。そうして樹木を植えるなら、指導して同じ樹木を一斉に植えればいい。そうして月に百円もとれば、そういうことはできるのです。なぜそういうことをなさらないのか。これは役人は——役人というものは学生時代に高文の試験を受けることに無我無中になって、ラブレターを書いた経験もない。この間通産省に行って、お役所の人はときには映画を見るかと言ったら、それは見るよと言う。映画を見たあとにアイスクリームを食べますかと言ったら、それは食べる。あとはコーヒーを飲みながら彼女とときには音楽に耳を澄まし、帰りがけには夜空を見て、星が美しいわねぐらいのことばを聞きますか、そういう質問をしなければ何か理解しがたいというのがお役所の心理でありますから、その役人がつくった団地なんというものは、私は絶対に住みたくはありません。しかし家がないから住むんでしょう。(笑声)したがいまして、団地のつくり方については、キューバもいいですけれども、デンマークもすばらしい。もう少し研究して、値段は安くても、結局おつむの問題です。設計の問題と心がけの問題です。もし東京が将来の見取り図を四階ないし五階のげたばきアパートにするということになれば、あき地はたくさんできます。そして商人を収容することもできます。ところが現在どうなっておるかといいますと、私も一つアパートをつくりました。というのは、家庭の雑用に政治家は追われたくない。追われて金に困ると、どこかの派閥に頭を下げなければ——天は人の上に人をつくらず人の下に人をつくらずという言があります。ただ同好の士を尊敬して派閥に入るならばいいけれども、家来になるために派閥に入るのは、封建時代ならいいけれども、今日の時代には私は好みません。したがって、ひとつ気のきいたアパートのいいのをつくっておこうと思ってお世話になりました。そこでまず都市計画課と交渉しますと、都市計画がきまらぬのです。事業決定がない場合は、鉄筋建築をつくることが許可されている。いつ事業決定になるかというと、答えることはできない。事業決定になると、今度は三割譲りましょうといって買収しないのです。なぜ買収しないかというと、金がないというのです。そうすると結局これは、インポテンツの男が女の子をくどいているようなもので、相手にしたところが金がない。金がなくて、インポテンツで、しかも都市計画をやる。これでは相手の女の子は迷惑しごくです。したがいまして、都市計画課におきましては、私はこうすべきだと思うのです。切開手術をするのですから、まず入院手続を急ぎ、ベッドを準備して輸血をする、アフターケアのことも考える、手術期間の生活のめんどうも見る。すなわち金融手続、軽減措置、不燃住宅にかえるのですから、普通の住宅なら五、六万円でできますけれども、不燃化建築は十五、六万かかる。建築の民主革命です。しゃんとした建築になるわけです。これは国家の援助なくしては不可能です。四十年年賦ぐらいの不動産金融をするという決心なくしてはできない。すなわち都市計画においては、都市計画平和福祉戒厳令司令部司令長官河野一郎。(笑声)そのくらいの政治力なくして、東京の改造ができるでしょうか。皆さん、笑いごととお考えになっていないでしょうけれども、われわれの孫から軽べつされるのは、私はほんとうに不愉快だからです。うちのおじいさまは政治家になっておりながら、こんな町を私たちに残している、さぞかしばかなおじいさまであったろうと、諸君とともに私も同列に加えられるのは……(笑声)いまの表現は礼を失しましたけれども、私も軽べつされ、皆さんもお巻き添えになられてはまことに恐縮である。私はきょうは河野さんへの激励演説をしておるわけです。それは見込みがあるからこそ言っておるのです。見込みのないむすこに小言を言う母親というのはいない。私は河野さんよりずっと後輩ですから、先輩に礼を尽くしつつ、自分の経験からみてこれを黙っておるわけにいかぬ。そうして賃金のベースアップだけをわが総評の友は言っておるけれどもあとは安保、安保——安保も大事でしょう。しかし住宅問題のためにデモンストレーションするくらいの社会党になったら、諸君は、そろそろ与党はあぶないということを考えなければならぬ。(笑声)住宅問題の深刻さというものは実に切実なものであって、三等重役になってもなお、娘の結婚、むすこの結婚のときには困るのです。これは住宅問題の解決なくしては一切解決はいたしません。  語るべきことはおおむね語りまして、時間がありません。委員長はもう注意を与えたいというような御様子でございますから、質問します。  ただいま私が申し上げたことのうち、まず住宅公団の単価はでたらめで、わずかばかりの金を出して、そうして建築者を縛ってしまおうとしておる。コーヒー一ぱい飲ませてめかけにしようというような心がけだ。住宅公団も、住宅金融公庫のガールフレンドくらいにはなっていいけれども、お金は少し出すだけです。ほんの三割くらいで、そうしてあとは全部縛ってしまう。人のふんどしで相撲をとるということばがありますが、あまり合理的かつ礼儀正しいことではないので、もう少し検討する必要があります。単価の問題、頭金の問題、それから権利金と称するもの——あれは権利金ではありません。下部機構が非常に金がかかるようになる。住宅公団の六階、七階をささえる下部機構の助成金のようなものです。広告塔まで取り上げてしまおうとしておりますが、これは不合理だと思います。  それから庭園の問題については今後指導してもらいたいし、また契約のときの条件についても話せばいいでしょう。月五十円くらい庭園費を出してもらって、庭園をつくり、国民の情操を養い、町をもっと美しくする。  それから固定資産税の問題ですが、これは二つあるのです。これはまた別の席で言いますが、大蔵省の諸君も来ておりますから、要点だけ申しますが、収益を本位とするものに対しては多少理由もあります。しかし本来は所得税でとるべきものだ。しかし自分の住んでいる家は、どんなに高くなっても高くなっただけ迷惑です。そうしてそのあとは子供が住み、未亡人が住むのです。したがって一定面積の自分の家には、相続税や過度の固定資産税はかけるべきではないと思います。特に相続税に至っては、未亡人の涙に追い打ちをかけるような無礼な行為であると思っておりますから、御研究を願います。  それから高層建築を許可することはいいことです。地震に対する条件を厳重にしなければいかぬ。高層建築を、都内だけではなく、東京周辺の駅の近所などには同時に及ぼしていいのではないかと思いますが、これも御検討願います。  それから土建事業は最近非常に発達しました。三十年前には、日本の財界での席次は、最高が銀行屋でした。私はこれは間違っておると思うのです。産業資本家こそがほんとうに努力しておって、銀行屋さんは大事ですけれども、財界では末席でいい。土建は末席のもう一つ下にあったのです。アメリカでは土建事業といえば一位か二位で、財界では尊敬されております。そういうような土建事業にひとつなってもらわなければならぬ。土建事業の海外進出を援助し、研究すべきときがきておると思うのです。日本の土木建築事業は非常に優秀です。それで海外進出も、もう少し政府が援助すべきときがきたように思います。小さな土建業者の諸君が協同組合をつくることはいいことですが、多少金融か何かの特権を与えてやらなければ、協同組合は動かぬと思いますから、御研究願います。小さな業者はいま穏健な労働組合をつくっております。私は土建の労働組合を見て、非常に着実で感心しております。技能、職人かたぎを尊重せよ、権利を主張するとともに、職人としての義務と責任感を重んぜよというスローガンを見て、私は心を打たれました。したがいまして、土建関係の日雇い労働者、それから職人さん、この人たちを河野さん、もっとかわいがってやっていただきたい。そうしていま労働力が不足しておりますが、との善良にして職人かたぎのある労働力の培養のために力を注いでいただきたい。よく職人がはっぴを着てバアに行くと、女の子がほれないわけです。こんなことでは困ると思うのです。大工さんとか壁塗りさんとかいうと、女の子が粗末にする。一体これはどこからきておりますか。労働日数が、雨が降ると壁などを塗れませんから、ときとしては一カ月のうらに半分くらいしか働けない者もある。あるいは壁塗り職人は高いといいますけれども、休みの日のことも考慮に置いて、もう少し建設省のほうで理解を示して、労働省、厚生省をひとつ指導していただきたい。  以上、言うべきことを一応言いましたから、その中で答えたほうがよかろうということは、ひとつ答えていただきたいと思います。そしてあと一分間だけお借りして、不満なことがあったら、その不満な点だけを、一分間、すなわち六十秒の範囲で申しまして、私の質問を終わりにします。
  65. 河野一郎

    ○河野国務大臣 建設委員会にお見えになりません、外交問題に専念していらっしゃる、しいて申せば他山の石ともいうべき非常に貴重な御発言を拝聴いたしまして、いずれも、私が建設大臣に就任いたしましてから考えなければならぬ、考えさせられたこと等々が多うございます。  しかし、第一に申し上げますと、首都圏内における、しいて申せば東京都内における都市計画の問題は、われわれ東京都民であるようなないような立場にありますけれども、実際にあたって検討をいたしてみますると、東京都に選挙区を持っていらっしゃる人がよくこれで黙っておられるなと思うことが非常に多うございます。お話しのように、都市計画はできておりましても、実際にこの都市計画は絵にかいたおもちのようなものが多いように考えさせられます。これは都庁のお役人さん、都庁の責任者が悪いばかりじゃない、都民諸君が理解ある協力をしようとする熱意が足らないということも指摘できると思うのでございます。したがって、いまお話しになりましたように、都市計画はあっても、これが実行できませんから、いつまでもいつまでも旧態依然たる幅の狭い、そしてバラック建てのような道路で、りっぱな通りにいつまでも改変されようとしていないのは、計画もあり、準備もありますけれども、もう一つこれをぶち破る力が足らないというような現状のように見えます。これまで東京都が持っていらっしゃった都市計画はあまりに理想に過ぎて、実現が困難のように考えられる点が多い。このままにしておいては、都民諸君に及ぼす影響、御迷惑も非常に多かろうと私は考えまして、昨年来これまで決定されました第一次、第二次の都市計画を再検討いたしまして、どの程度のものはどうしてもやらなければいかぬというものだけにしぼりまして、東京都と合議をいたしまして、新都市計画を、東京都との間に、一部についてすでに決定いたしました。そしてこれを着々実行していくべきものだということにいたしております。  しかし総じて申しますならば、古い都市に手を入れることがいいか、欧米諸国にありますように、新しい都市をつくって効率をあげ、古いところになじみのある人は古いところにお住まいになればいいし、いまお話しのように、新しいほうを希望の方は、新しい町においでになることのほうがよかろうというような意味で、最近はもっぱらニュータウンの建設に熱意を燃やしておるような次第でございまして、できるだけ早い機会に、東京の周辺に少なくとも四つ、百万都市の計画を持って、これが実現に努力いたしておるような次第でございます。これもおそらく三年、五年はかかるだろうと思いますが、一応の構想といたしましては、東京都とこれらのニュータウンとを結ぶ道路建設、そしてこれらをほんとうの新しい都市の設計のもとに都市をつくっていく。たびたび申し上げましたが、箱根の山の手前の西相模都市、群馬県の高崎の手前に一カ所、それから宇都宮の手前に一カ所、水戸の手前に一カ所というふうに、四つの新しい百万都市を想定いたしまして、これが実現に努力をするということにいたしまして、一応首都圏整備につきましては、これを大眼目にいたしておるわけでございます。東京につきましては、さらに建設省としては、環状線に重点を置いて整備をしてまいろう、都内のことは一応東京都に、ただいま申し上げましたような都市計画を実現していただくということでやっていただきたいというように考えておるわけでございます。  総じて申し上げますのに、だんだんお話しでございますが、道路と河川、住宅、この三つの問題に主力を注いで一応の計画を立ててみたいという情熱のもとに、河川法の改正をすることによって、お話もありましたが、台風その他の災害の水は、河川のもとにおいてこれをダム化することによって、河川は治水よりも利水に方向を変えて、そして余剰の水は全部ダムに吸収し、これを利水するということに理想を立ててこの調査にかかり、発足しようということにいたしております。  道路につきましては、おおむね二十カ年の計画を理想に持ちまして、このビジョンのもとに、順次第一次五カ年計画から引き続きやってまいりたい。この姿は、公開経済に移行してまいりますわが国は、国内における産業の分布、国民諸君の住居の変動というようなことを想定いたしまして、そして新しい日本のあるべき姿を想像しつつ、道路交通の整備をしてまいろうということに方向を置いておるわけでございます。  最後に、住宅問題でございますが、住宅問題はお説のとおり、いま申し上げましたような意味合いにおいて、公開経済を契機として、住居の変動をなさる人が非常に多い、産業の分布が変わってくるというような意味合いから、わが国の人口構造、住宅、都市の構造等が相当大幅に変わる運命にあると想定いたしますと、ますます住宅問題は、ただ現在想定いたします人口の上において、足りる、足りぬという問題を別にして、さらにこれが変動するというような数字まで入れますと、相当思い切った住宅計画を新たに検討して立てなければならぬのではないかと思っております。せっかく私といたしましては、昨年河川、今年道路、来年は、これらの方向を見定めて、住宅政策について抜本的な案を検討してみたい。これらは当然いま申し上げましたニュータウンの設計と相関連して想定してまいりたい。つけ加えて申し上げますが、法律関係におきましては、たとえば東京都内に一応の地区を限って、ある程度の高層建築を指定する、そして都市計画をやる、その他もろもろの法律関係は一応ある程度できておりますけれども、何分欠けておるものは、関係者諸君の御理解ある御協力と、またわれわれどもの決断が足りないのに加えて、この重大な段階において、わが国の宿命でございます資金が足りない。これはあまり大幅にやれば、いまお話しのとおり、インフレの傾向にも配慮しなければならぬというようなことがございますので、その点等も考えながらいたさなければならぬということがありますので、非常に困難な立場にあると思うのでございます。  住宅等について単価の問題は、非常に強く御指摘になりましたが、これはいまの住宅が、質よりも量のほうを非常に強く要請されました関係で、したがって非常にあわれな住宅が多いということでございますが、今後は量もさることながら、質について十分配慮していく必要がある。したがっていま御指摘のような点についても、深き配慮のもとに施行していかなければならないと考えておる次第でございます。
  66. 帆足計

    帆足分科員 一言だけです。  住宅を増設することにいよいよますます御努力くださるというお約束で、満足ですが、国際収支に影響する率を御研究くださって、なるべく国産品でおやりになればインフレは起こりません。その点御研究願います。  それから公団の環境を美的にすること、庭園に少し心を注ぐ、これを正確にひとつ大臣に御確認を願いたい。  その次、収益のない人の相続税については、これは大蔵省の問題ですけれども、大臣も関心を持っておいていただきたい。それはなぜかというと、土地が暴騰し始めているからです。収益のない人について土地が暴騰していることは迷惑千万なことです、何の関係もないことですから。人間はそこで住まねばならぬ、キツネの穴みたいなものですから。それの相続税はよほどの特別考慮が必要である。  事業決定を急いで、そして住宅改造をしようとする都民の熱意に対して、同時に政府も相呼応するように——決定の早いことでは河野さん有名なんですから、私も昔会社にいたころ、疾風雷電的事務伝票を出したことがあります。それくらいにしなければ、すぐふところにあっためる人がいる。あっためたって何もヒヨコはかえってこないのに、あっためる専門家がおりますから、事業決定を急ぐということを大臣に確認していただきたい。  労働力の不足は、やはりインフレにもなりますし、またいろいろ障害が起こりますから、土建産業の職人さんをもっと大事にしてあげてください。そして労働力の培養、すなわち後継者が育つようにしてあげていただきたい。つまり技能教育、社会保障などにあたたかい理解と援助を示していただきたい。そうせぬと、日本の伝統ある左甚五郎、飛騨のたくみ以来の職人の伝統が絶えることを私は非常に心配しております。したがって職人さんたちが下積みの仕事でどんなにつらい思いをしておるか、りっぱなビルができて、建築祝いのときにはもう来れない。恐しくてもう中に入ってこれないんです。一まつの哀愁を抱いて次の職場に移っていく労働者のことを、ひとつ考えていただきたい。  最後に、それ以上は申しません。御専門の建設委員会の皆さんがおられることですから、皆さまにおまかせします。建設委員会の使命は、最高の重要な委員会とおぼしめして、切に皆さまの御健闘をお願いいたします。  大臣いまのことだけ答えておいてください。
  67. 河野一郎

    ○河野国務大臣 きれいな団地をつくり、そこにはきれいな植物を配置せいということでしたが、これは阪神高速道を一ぺんごらんになりますと、あそこに欧米に見られないりっぱな中間緑地地帯をつくっておることを御注意いただけると思います。これはすでにそのことに必要を感じまして、専門の苗畑をつくりましてやっております。したがって今後もこういう面につきましては十分配慮してやるつもりでおりますが、御注意をいただきまして、なお一そう努力をいたします。  それから職人さんについて十分配意せよ、これは私も全く同感でございまして、何とか適当ないい方法があれば、専門の学校をつくるなり、専門の教育所をつくるなり、これらの地位をどうしたら上げられるか。たとえて申し上げますと、藍綬褒章、紺綬褒章等についても、従来は建設会社の社長にやっておりましたものを、昨年から直接の左官屋さん、直接の大工さんの古い棟梁にあげることにして、そうして鋭意その方面の振興に努力するということにいたしておるのでございますが、なお不十分な点がありますので、今後その方面に十分に努力するということを申し上げて御了解を得たいと思います。  事業決定は、予算関係の分につきましては、これは私は四月一日とは申しませんけれども、五日までには全部大体終わりまして、それぞれ各地に補助金を回してやる、その他のものにつきましても、予算が使われずに残るというようなことは絶対にさせぬという方針でやっております。民間からの要請につきましては、それぞれ地方を督励いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  68. 稻葉修

  69. 中村重光

    中村(重)分科員 具体的な問題を数点端的にお尋ねしますが、いまの帆足委員の質問を伺って気づくのでありますけれども、土木建築関係指名入札の方法の問題であります。国にしましてもあるいは都道府県、市町村にしましても——市町村は別でありますけれども、業者をABCといったように分けて、指名入札をしておるのであります。それはそれなりに事業の規模という面からいたしまして、企業自体の能力という点で、これを分けるということは当然でありますけれども、これがあまりマンネリ化していきますと、いつも同じ業者で変わらない。それでは勢い弊害がかもし出されてくることがあるわけです。いつか大臣はそれらのことについて新しい構想を持っておるように伝えられたこともあるのでありますが、弊害の一つとして取り上げられることは、談合入札に勢いなるわけです。Aクラスの業者はそれの規模に応ずる事業をやっておるわけでありますが、回り持ちという形になる。これでは正常な指名競争入札が行なわれない、こう思います。また、BはAクラスにいつも上がりたい、CはBに上がりたいという業者の希望を押えていくことになると思うのです。ですから、その点については何か新しいくふうを講ずる必要があるのではないか。小規模の企業に対しましては共同化の方法もありましょうし、いろいろ構想が大臣としてもあろうと思いますが、その点について何かお考え方があればお聞かせ願いたいと思います。
  70. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御説のような点を私といたしましても十分留意しておりまして、従来よりも指名入札人の数をふやしまして、必ず十社以上を指名せよという条件をつけました。その十社の中には、Aグループには必ずBを三分の一程度加えること、Bの場合にはCを必ず加えるようにして、AとB、BとCということにして、競争入札をやらせるということにして、一応の基準を示しておるような次第であります。ただ、災害が、昨年も一昨年も非常に少なかったので、地方の中小業者が非常に困っておられることが顕著に見られますので、なるべく協同組合をつくって、一つの仕事を数名もしくは十数名の地方の中小の業者で落札して共同で仕事をするようにということを奨励して、目下地方の中小の業者には共同化を奨励しております。そして共同して代表者が入札人になって入札をして、それを持って帰ってみんなで分けてやるということでおやりなさいというふうに奨励しておるのであります。
  71. 中村重光

    中村(重)分科員 次にお尋ねしますのは、産業労働者住宅の問題であります。これも三十九年度の構想としましては、中小企業等の労働者の確保が非常に困難な状態に陥っている、そういうことから建設大臣としましても新しい構想をもって積極的に取り組んでいきたいということが新聞に伝えられたようでありますが、その点についての構想をひとつお聞かせ願いたい。
  72. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私は政府施策の、公営住宅等におきましては低所得者の住宅を充足するということに主眼を置いてやるべきであって、所得のある程度ある人のほうは第二次的でよいという考えと同時に、たとえば大資本、大産業というものに働いておられる人の住宅は、それぞれの会社においてめんどうを見てやってもらいたいということに一応の方針をきめております。したがって政府の貸し付け、金融公庫の融資にいたしましても、百億以上の資本金の会社には一応あと回しということにして——従来はこの百億以上のものがだいぶん使っておったのです。それをあと回しということにいたしまして、中小企業の方面に融資をして、そして余った場合にはよろしいけれども、まず御遠慮願うことにして、そしてもっぱらこれらの方面に政府の力が充足されるということに努力いたしておるわけであります。
  73. 中村重光

    中村(重)分科員 そうした大臣の構想が漸次浸透しまして、最近は中規模企業のそうした産業労働住宅が融資を受けて建設するということがあるわけであります。いまの大臣の答弁から漸次小企業へとずっと浸透していくことを期待するわけですが、ところがこの産業労働者住宅建設というのは、企業主がこの住宅を悪用するという傾向がまたあらわれておる。当該の労働者を入居させないで、全然別の者、自分の親戚縁者とかあるいは自分の企業に利害関係のある者を入れてくるという傾向がある。もっとひどいのは社長室も何も全部その住宅を使う。基準局等から検査に来ると困るものですから、これは寝台だというので実はソファに使って、ただまくらのところを一方だけちょっと高くするから、見るとこれは寝台でございますというのでごまかしができるのです。そういうことでせっかくの貴重な国の財政というものが悪用されて、肝心のねらいである労働者の利益になっていないということがあるわけであります。それらの点に対してもいろいろと調査されたこともあるだろうと思いますが、これはつくることだけが能ではありません。それがいかに有効に利用されておるかということに一番重点を置いていかなければならない。それらの点に対して、たいへん具体的な問題でありますけれども建設と同時にこれが有効に利用されていくということについて大臣のお考えがあれば承りたい。
  74. 河野一郎

    ○河野国務大臣 十分督励いたしまして、随時抜き取り検査をするというような方法で——いままでそういうことは考えておりませんでしたので、一ぺん調査してみます。
  75. 中村重光

    中村(重)分科員 次は新道路五カ年計画についてお尋ねをいたしますが、これは申し上げるまでもなく、地域格差を解消するという点に私はあるんだろうと思うのであります。そうなってくると、後進地域の道路開発ということについては、相当重点を置かなければ、地域格差の解消というものはあり得ないと思うのでありますが、考え方をひとつ聞かしていただきたい。
  76. 河野一郎

    ○河野国務大臣 これまでの考え方を基本的に変えましたことは、一、二級国道、主要府県道、この三つにつきましては、順次四十三年、四十四年、四十五年までの間に全国全部舗装を終わるということに年次を立てて事業計画を持っております。こうすることによって、従来都市偏重であるとかいうような議論もだいぶありましたけれども、少なくとも現在の全国の一、二級国道、主要府県道というものは全部舗装を完了するということにいたしておりますので、私はこれによって地方と中央とを問わず、道路は一応相当に整備されるということになるのじゃなかろうかと思います。もちろんそのほかに新産業都市その他の新しい道路建設は、これはまたおのずから別でございますが、一応道路計画としては都市と農村の格差を是正するという意味は、都市とか農村とかを問わずに、四十三年には一級国道、四十四年には二級国道、四十五年には主要府県道、これらの舗装を一応終わるということに方針を立てまして、そして事業計画をやっていく、こういうことにいたしております。これは具体的な事業を推進いたしますためにいま検討中でございますが、各府県の道路予算割り当て等につきましても、従来の比率は一応ここでたなに上げて、新たに各府県の面積、人口、財政等を要因といたしました府県割当の比率を再検討して、そして新しくできましたものによって新しい予算を割り当てていく。そして各府県の責任者と懇談をして事業を進めていくということにいたしたいと考えております。
  77. 中村重光

    中村(重)分科員 大体わかったのですが、具体的な構想について伺ってみたいと思います。  後進地域としては九州では東九州という点になろうかと思うのでありますが、この東九州の動脈的な道路網の開発という点で関係県のこれらの地域が計画の中に入っているかどうか。
  78. 河野一郎

    ○河野国務大臣 お話しの北九州の一番強く要請されておりますバイパス、これはひとつ五カ年計画では取り入れて、これを実施に着手したい、こう考えております。  それから東九州におきましても、これは宮崎方面——大分はわりあいに道路が悪うございまして、これは大分県でもう少し熱心になっていただきませんと、中央だけでは実はどうにもならぬわけでございますが、県が財政上お困りか何か知らぬが、どうも大分の道路は悪うございます。しかしこれとても十分地元と御協議申しまして、いま申し上げましたような意味合いにおいて整備してまいるつもりでございます。
  79. 中村重光

    中村(重)分科員 地域的な問題、しかも直接的なことでたいへん恐縮なんですが、長崎のバイパス道路、これは大臣自身が十分御記憶にあろうかと思います。これは三十九年度の中に必ず入るというので相当期待感を持っていた、ところが実ははずれた、こういうことですが、あれはどういう経緯であったのか。また来年度においてはこれを実施する意思を持っていらっしゃるかどうか。
  80. 河野一郎

    ○河野国務大臣 三十九年度ではずれておるということをおっしゃいますけれども、まだ私ははずしたという気持ちはございません。いま検討中でございまして、なるべく来年度には着手したいというふうに考えております。
  81. 中村重光

    中村(重)分科員 よくわかりました。これはほんとうに県民が期待をし、三十九年度間違いないということでありますので、ぜひひとつこれを計画の中にお入れ願いたいと思います。  次に、住宅政策の問題ですが、庶民住宅を払い下げをする方針である、こういうことが伝えられておるわけですが、終戦後に建設をしました庶民住宅というのはバラック建設である。しかももう老朽化しているというような実情にある。もちろんこの中に入っている入居者は、終戦直後の建物であるだけに非常に低家賃でいるわけであります。これを払い下げするということになりますと、建築費も非常に安かったわけでありますし、非常に期待を持っておるとは思いますが、私はそれなりに、その払い下げをするということ自体には賛成でありますけれども、ただ建設省のひとつの構想としてどのように考えておられるかということを伺ってみたいのは、平屋建築というのは、地価が非常に上がっているだけに、土地は高層建築であっても平屋であってもたいして変わりないような面積が必要になってくる。あと幾ばくもないようなそういう老朽の建物を払い下げをするという場合、土地が非常にむだになってくる。何か低家賃にして高層の住宅を建設する、そしてそれを有効に使っていくということもあってしかるべきではないか、こう思うのでありますが、それらの点に対してはどのようにお考えになっておりますか。
  82. 河野一郎

    ○河野国務大臣 戦後初期に建設されました公営住宅につきましては、各方面からこれは払い下げというか、処置をしたいという要望が、直接入居しておられる諸君からもありますし、各市町村からもそういう要請のありますことも事実でございます。しかしひるがえって考えてみますると、これらの住宅は戦後早々の間に設営されましたために、土地の利用においても非常に不十分であります。また今後の住宅としても、そのまま長くこれが利用されるということは困難でございます。したがいまして、一がいにこれをどうするということは、まだ建設省としては方針はきめておりませんが、私、いま考えておりまして下僚に調査を命じておりますることは、これらの住宅はどういうふうに処置したら一番よろしいかということを至急立案せい、たとえばこれを全部他に移転をしていただいて、他の新しい公営住宅に移っていただいて、そしてここを全部こわして高層建物に建て直して土地の利用度を高めることがいいか、ないしはそのまま払い下げをして地元の人たちに喜んでいただくことがいいかというようなことは、しいて申せばケースバイケースでございますので、はっきりしたことは申せぬのではなかろうかと思います。したがいまして問題は非常に簡単のようでございますけれども、困難でございますので、これをどう処置するかという基本的な問題には十分検討を加えまして、これを善処するということにいたしたいといま考えておる次第であります。
  83. 中村重光

    中村(重)分科員 時間の関係がありますので、住宅問題でもっと突っ込んでお尋ねしたいと思いますけれども、次に移ります。  地すべり対策ですが、御承知のとおり、佐賀、長崎あるいは四国なんかの阿蘇火山脈の火山灰が地すべりをするというような非常に危険な状態にあるわけです。この地すべり対策に対してどのようにお考えになっていらっしゃるか、まず伺ってみたいと思います。
  84. 河野一郎

    ○河野国務大臣 わが国の地すべりは全国各地に相当広範囲にわたって被害が見られ、もしくはその危険が想定できるのでございます。したがって、土木研究所の専門機関を動員いたしまして、まず各地に対してそれぞれどういう対策を講ずることが一番適切かということの研究調査を鋭意させておるということが目下の実情でございます。早急を要するものにつきましては、応急対策を講じておることはもちろんでございますが、いまお話しのとおり、新潟方面とか佐賀、長崎方面とか、それぞれの地区においていずれも原因が同じではないものもあるわけでございますので、これらの研究機関の検討を待って対策を講ずるということで、私といたしましてはわが国の地盤関係でどういうことか非常に広範に各地に見られますので、将来相当の規模の対策を立てなければならぬじゃなかろうかと思っておりますが、まだその現実段階に至っておりますのは少ないのでございまして、研究中ということでございます。すみやかに研究の結果を見て対策を講ずるということでございます。
  85. 中村重光

    中村(重)分科員 確かに大臣がおっしゃるとおりだろうと思うのですが、しかし具体的な計画対策というものがあるのじゃないか、具体的な対策をひとつお聞かせを願いたい。
  86. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いま大臣からお話しのとおり、この地すべりというものは、全国的に見ますと、新潟、長野、富山、石川、山形、福島、佐賀、長崎、熊本、こういうようないわゆる第三紀層の地すべり地帯、それから破砕帯の地すべりが徳島、愛媛、高知、和歌山、それから火山温泉地すべり地帯として神奈川、鹿児島、大分、こういうようなところが一般的に地すべりの多いところであります。ただいまも大臣からお話しのとおり、地すべりの個個の現象が、いわゆる原因というものが非常にまちまちでございますので、それぞれ個々ケースについて個々の対策をその現象に応じてつかんでいかなければならぬというところに、具体的な対策としては非常にむずかしい問題がございます。一般的な地すべりの現象とかあるいは基本的な対策というものについては相当進んでおるのでございまするが、個々のそういうような個所につきましては、その個々についてまた調査、検討、そういう研究を加えます。ですから現在新潟で非常に大きな松之山の地すべりがございますが、それはそれとして個々の対策を講ずる。長崎方面においても最近そういう地すべりが出ておりますので、それはそれとして個々の検討を加えて、その現場に適した判断をいたしまして計画を進める、こういう考えでおります。
  87. 中村重光

    中村(重)分科員 そうすると、いまのところ技術的にはどういう対策があるのですか。たとえば地下水を抜いて地すべりの圧力を押えるということ、それからふもとのほうに受けをつくる、そういうようなきわめて貧弱な対策だけしかいまのところないのじゃないか。
  88. 畑谷正実

    畑谷政府委員 地すべりというのは、非常に簡単な表現を使いますと、地殻の層と層の間に粘土のような層がございまして、そこに地下水がもぐり込みまして、その重圧によってすべり面が生ずる、こういうことが簡単に言うと言えるのです。しかしそのすべり面というものが、目に見えて、あるいは計算上きちっと出るということではなくて、いわゆる破砕帯のように非常に厚い層でそういう層ができておって、それがどこが終点になり、始点になっておるかというのが非常にむずかしいわけであります。ただはっきり言えますことは、そういう現状ですから、そこに地下水が流れ込まないというのが一番対策としてはできるわけでございます。そういうことで、まず第一に地下水が非常に多いという場合には地下水を抜く。それからそういう点がはっきりしない場合には、そこの重力の差によってアンバランスなものをバランスをとるように足をとめる。それから上からの電力を、掘さくして上の重さをとる、こういうようないろいろな方法があるわけであります。
  89. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣、お聞きのとおりきわめて貧弱な対策以外にないわけですね。しかし率直に大臣が先ほどお答えになりましたように、その点については特にひとつ研究していただきたいということをお願いするわけです。御承知と思いますが、長崎県の江迎でいわゆるボタ山くずれがある。ボタ山くずれは鉱害ではないので、一般災害、いわゆる水による地すべりであるということになって、一般災害としての工事が行なわれた。これによって御承知のとおり二、三億の貴重な国費が使われたという実情にある。ですから地すべりによって生ずる損害というものはきわめて甚大であるということになるわけですから、抜本的な対策を強く要望しておきたいと思います。  そこで、江迎の地すべりについて何か貴重な経験というか、研究をなさったか、その点どうでしょうか。
  90. 畑谷正実

    畑谷政府委員 江迎の地すべりのその後の結果は、ちょっと最近の結果は聞いておりませんけれども、要すれば、経過としては過渡的な問題でございまして、江迎におきましては、非常に大きな雨量のために、そういう地すべりが生じたわけでございます。それに対応する策といたしましては、前にお話ししましたとおり、やはりいろいろなそういうケース、たとえば上からの重みを取るとか、あるいは下のすべりどめをするとか、あるいは地下のさく井をして水を抜く。そういうような方法をいろいろ使ってやっておるわけでございまして、特別にそこでこういう新しい事態が起こった、あるいは新しい研究課題ができたということは、いまのところは別にありません。
  91. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣にお尋ねしますが、時間がございませんので、産炭地振興事業団は、産炭地振興から企業誘致等、いろいろ事業団がやっております。この法律案の審議にあたって議論されたことは、業務の範囲であった。どうしても企業を誘致するということになると、先行投資が必要になってくるわけです。道路をつくる。それに、企業に件うのは水でありますから、どうしても小規模ダムをつくらなければならないということになるわけです。小規模ダムの建設というのは、産炭地振興事業団の業務範囲に入っていないわけです。建設省でなければならない。そのことにこの問題点が実はあるわけです。私たちもこれじゃいけないから、ダムの建設はもっと一貫性、総合性を持たせなきゃならないのだから、産炭地振興事業団の業務範囲に入れるべきじゃないか、こういうことで、いろいろ議論もし、附帯決議等もつけて法律案を実は通過成立させたわけです。依然としてこの先行投資の問題は解決していない。なにかもっと一貫性を持たせる必要があるんじゃないか。産炭地振興事業団の業務範囲の中にせめて小規模ダムの建設を入れる、こういうことが必要じゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  92. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知のとおり、建設省で行なっておりまするダムは、河川法に準拠いたしまして、河川の改修もしくは治水の徹底というような目的から発足いたしております。いまのように産炭地振興ということになりましたならば、産炭地振興の事業団でダムをおやりになっても、それは行政上混淆するということにはならないのじゃないか。決して逃げるわけじゃございませんけれども。しかしぜひ建設省でやれとおっしゃるなら、事業担当の閣僚として逃げるつもりは決してございません。   〔主査退席、井村主査代理着席〕
  93. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣、なかなかいま御答弁のとおりじゃないわけですよ。正直に言ってうまくいかない。ですから、この点は大臣突っ込んで研究をしていただきたい。そうしなければ産炭地振興はできません。先行投資がどうしても必要です。先行投資ということになってくると、建設省でなければなかなかダムの建設はやれないのです。ですから、との点については実力大臣の河野大臣にひとつ強く要望いたしておきたい。  最後に一点だけお尋ねをいたしますが、道路工事等に伴いまして店舗営業等の閉鎖をしなければならぬという事態が起こってまいります。土地建物に対しての物財に対する損害補償はあるわけですけれども、営業補償はないわけです。これは長期間にわたりますと、いま金詰まりで困っておる上にもばたばたと倒れていくという状態にあるわけです。この点は何かお考えにならなければ、営業補償は無形であるから補償できないということになれば、それじゃどうして国民は生きていけばいいのだということになるのですが、その点はどのようにお考えになりますか。
  94. 河野一郎

    ○河野国務大臣 反面道路が改修され、道路が相当に投資をされますると、その地方が急に地価が上がり、商売繁昌し、うま過ぎるじゃないかという話もございまして、受益者から負担金を取ったらどうだという意見も相当あるわけです。それがいいか悪いかということも議論があると思いますが、いずれにいたしましても、いまお話しのような点があることは、私は十分御同情申し上げねばならぬと思っております。したがって、なるべくそういう被害の及ぶ期間を少なくし、早期短期に事業を終わって御迷惑を少なくするということが一番私としてのとる道じゃないかという意味で鋭意事業を督励いたしまして、一方には、そんなにお前が無理するから非常にけが人が出てきたり、仕事がおかしかったりするじゃないかというお小言を受ける場合もありますが、私は、これらの沿道の商店、これらの御迷惑ということを十分に考慮いたしまして、たとえば、青山通におきましても、二月、三月、早目の完成を要求いたしております。そうしてなるべく御迷惑がかからないようにしたいと思います。個々の場合の小さな場合につきましても、一々業者に対して厳重にその点は御迷惑の及ばぬようにすることを命令いたしております。これは遠慮なくそれらの方々からお申し出いただきまして、そうして地方によって商売に差しつかえのある場合には、これを除去する方法を別途とらせるということにしていく必要もあろうかと思います。遠慮なくそういう場合にはお申し出いただくように御協力いただきたいと思います。
  95. 中村重光

    中村(重)分科員 私、地元紙を読んでみましたら、ここに大臣こういうのがあるのです。「商店約四十軒が倒産寸前」「心労で閉店入院も」「期成会つくり補償要求」これに対して県側は「営業補償はできぬ」というので、本省と打ち合わせをするために上京をするということが書いてあるのですが、これは長崎市稲佐橋通立体交差、これは何か線路の堤防のようなものがあるわけであります。これは貨車を入れかえるということによりまして、そこへ自動車がたくさんたまっちゃう、そういうところで、結局人が通れないというので立体交差にしなければならないということになってこの工事になった。ところが、この地元の受益者はいないわけです。地元の商店街は、立体交差になりますと全く商売はあがったりになるというような状態にある。しかしながら、広い産業振興という立場からやむを得ずこれに賛成した。ところが、その工事が始められた。この工事は九月十五日に着工して三月末に完成する予定ですけれども、なお相当延びるという状態にあるようです。それで地元は受益者でもないが、工事をやるには店舗は閉鎖してしまわねばならぬ。三十万円の売り上げが一割程度に減っておる。全く店をしめてしまっておるという状態であります。こういうのは、ケースバイケースということによって、何か補償の措置を講じなければならないのじゃないかと思うのですが、この点に対してはどのようにお考えですか。
  96. 河野一郎

    ○河野国務大臣 どうも従来、役所が何月から始めて三月まで、年度末までという工事期間を設けて、実際それだけかかるか、かからぬかという計算なしに入札いたしておる場合が多いのでございます。私どもの役所のことを申しちゃ恐縮でございますが、鉄道はことにだらしがない。実は先日も佐藤さんと一緒にオリンピック道路を視察してまいりましたら、環状七号線、これが鉄道と立体交差をする個所が一番おくれて、そうしてこれがオリンピックにすれすれに間に合うということになっておる。工事をやっておるところの調査をいたしましたが、実際鉄道の役人さんがちょっと配意してやればいいのに、実際は通れるようになっておるところを、踏切の幅を広げてやらない。できている道路は、できているものを幅を広げてやりさえすれば、自動車も少しもたまらないで迷惑しないで済むものを、それをやらないというような場面にぶっつかりました。佐藤さんは鉄道の大先輩ですから、佐藤君だめじゃないか、そんなだらしのないことじゃと私が言うて、すぐその場で佐藤君から鉄道のほうにひとつ厳重に君言うてやれというて、踏切を倍にあけさすようにして、相当にその地方の混雑が緩和したと思います。それにしても、さっそく調査をいたしまして、実際三月までかかるのかかからぬのか、御迷惑は御迷惑といたしましても、もっと早く完成しないか、それは除去する方法があるのかないのかというような点についてさっそく協議をして、資料を出しまして、九州地建から調査をいたします。
  97. 中村重光

    中村(重)分科員 それでは時間が参ったようでありますからこれで終わりますが、非常に熱意のある御答弁でありまして、営業補償等について、ケースバイケースで特に善処していただくように強く要望いたします。
  98. 井村重雄

    ○井村主査代理 重ねて申し上げますが、本日は午後二時から本会議が開かれる予定でありますので、どうか質疑は持ち時間をひとつ厳守されまして、できるだけ簡潔にできるように、重ねてお願いを申し上げます。  栗原俊夫君。
  99. 栗原俊夫

    栗原分科員 大臣にまずお尋ねしますが、時間がございませんので、具体的な問題を端的にお尋ねいたします。これは事前に通告してなかったものですが、大臣が直接取り扱ってきた問題なので大臣にお尋ねするわけですが、昨年の総選挙の前に、大臣は群馬の高崎へおいでになって、高崎−東京間の高速道路のお話をしてくれました。総選挙にはこの高速道路やら関越道路の問題でなかなか花が咲いたのですが、河野大臣が引き受けてやってくれたんだから間違いなくできるだろうというようなことで、地元ではいま航空写真はできたんだとか、おれのうちが道路にひっかかるんだとかと、いろいろ取りざたされておるわけです。具体的にはどんなぐあいになっておるか、簡単にひとつ御説明願いたいと思います。
  100. 河野一郎

    ○河野国務大臣 東京−高崎間の新道につきましては、明年度からこれを着手する予定にいたしております。目下調査して路線の選定を急いでいるわけであります。
  101. 栗原俊夫

    栗原分科員 地元の人たちも非常な関心を持っておりますので、少しく明らかにしてまいりたいのですが、できます高速道路は、しろうと考えでよくわかりませんが、一般道路とは平面交差ではない道路ができるのでございましょうか。
  102. 河野一郎

    ○河野国務大臣 これは道路公団に事業をやらせますので、立体交差で、高速道路でございます。
  103. 栗原俊夫

    栗原分科員 いま一つお聞きしておかなければならぬことは、実を言うと大臣も十分御存じだと思いますが、大臣のお約束してくれた高崎−東京間の高速道路と、実は昨年つくった関越自動車道の法律との関係で、一体これはどういうことになるんだろう、こういうことを地元の人たちが頭を抱えてながめておるわけなんですが、この辺はどんなぐあいなのでございましょうか。
  104. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま申し上げますように、関越高速道路は、これは新潟と東京を結ぶ道路でございまして、これは将来本州の、先ほどもお話がありましたが、あばら骨のような道路、裏と表をつなぐ場合にどうするかというような道路として検討されるものと心得ます。同様な道路は全国各地にございますので、われわれといたしましては、これを実際具体的に調査をいたしまして、はたしてその議員立法どおりの道路がよろしいか、また議員さんに十分御理解いただきまして、調査の結果をお示しして、変更を願う場合もあるだろうと心得ます。  ただいま申し上げまする私が実行する道路は、高崎−東京間は、なるべく未開発の地方で、開発のおくれている地方で、しこうして距離がなるべく短いところ、そしていま十七号線のありますあたりは、御承知のとおり道路の両側が相当に開発されております。したがってあそこの南に入って、そしてまた高崎−東京間の秩父の山沿いに、工業団地、住宅団地として将来国土開発の上に非常に貴重な地方であるということを目ざしまして、これはこれなりにひとつ開発道路として開発したいという意味で計画しておるのであります。
  105. 栗原俊夫

    栗原分科員 そういたしますと、高崎−東京間の高速道路は未開発地域の開発をねらってつくるので、一方の関越のほうはまた別個の意義を持ったものだ、したがって高崎間の問題は別にできるかもわからぬし、またいろいろ考慮の結果、それを使う場面もできるかもしれない。いずれにいたしても高崎−東京間は、開発地域を通過して、来年度から着工に入る、こういうための調査に入る、こういうことでございますか。
  106. 河野一郎

    ○河野国務大臣 そのとおりであります。
  107. 栗原俊夫

    栗原分科員 よくわかりました。  それでは次に、やはり地元の問題ばかりなんですが、実は神流川に下久保ダムの工事が進められております。この工事ができたときに、御承知のとおり群馬県でも薗原などという地元に、絶対反対だという、てこでも動かぬというようなグループがあるが、それと違って下久保というところは絶対反対という人は一人もおりません。当局の仕事に理解を持って協力していく、こういう態勢で出発しましたが、ただその間に、下流の人たちの利便のためにわれわれもそういう事業に協力するのだが、おれたちがそのために小なる虫としてひねりつぶされたのでは困る、その点はひとつおおらかにめんどうを見て理解ある補償、買い上げ等もしてもらいたいというようなことから、いろいろと建設委員会でも私たちが質疑のやりとりをやってまいりました。その間、当時中村梅吉大臣でございましたが、買い上げ補償等の問題等については協力者の心持ちに十分応ずるようにする、その中で、特にそういう問題が片づくまでは本工事には着工しないというようなこと、それからまた、そうした地元の理解があるから、特に土地収用法あるいは特別措置法等の事業認定をやって強行手段に訴えるようなことはしない、できるだけ話し合いのうちに円満に事を進めるのだ、こういうような話があって事が進んでまいったわけです。たまたま水公団にこれが移管されまして、このときにも、それまで直轄工事として行なうたてまえでいろいろと国会を通じて約束された。地元民に対して有利な条件については、少なくとも公団にそのまま引き継いでもらいたい、こういうことについてお話しして、それはそのとおりだということに実はなってきておるわけでございますが、今回の新聞の公告を見てみますと、特別措置法の事業認定のための説明会が明日地元で開かれるようでございますが、この間のいきさつについて明らかにしていただきたい、こう思います。
  108. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私は事情をよく存じませんので……。
  109. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いまお話しのことは、前の大臣のときに、よくお話をし合いまして、その結果工事に着工するということはもちろん私どももよく承知しております。また、現在におきましても、水資源公団はその趣旨に沿いまして工事をやっているわけでございまして、これにつきましては、昨年の四月に関東地方建設局、それから水資源公団、それから水没地の下久保連合対策委員会、そういう人たちが集まりまして、連合対策委員会と公団の間で、補償の実施とダム建設の推進に関する覚え書きが締結されまして、円満に話し合いがついたということで進んでいるわけでございまして、最近におきまして、いわゆる事業申請書というものが出ておりますが、これは別に地元の人たちと話し合いがつかないから強制的にそういう行為をするということではございませんので、原則的にそういう話がつきまして、円満に交渉のもとにやっておりまするが、御承知のとおりに昭和四十二年度までにこれを完成しなければならぬ、特別に個人的な個々の問題でそういうことになっては、それが阻害されてはいけないという、予防線と言ってはいけませんが、そういうことのためにやっておるわけでございます。現在のところほとんど皆さんが円満な話し合いのもとに交渉が妥結する、こういう見通しでおるわけでございます。
  110. 栗原俊夫

    栗原分科員 それは、今日までおそらく全国で初めから反対という手を振った人が一人もいないというこんな大きなダムは初めてだろうと思うのですが、そういうことで進んできて、建設省直轄のときにはまことに円満にいっておって、その後水資源公団に移っても円満にいっているといういま局長のお話なんですが、ここでやはり土地収用法よりももっときつい、われわれから言わせると少し憲法に違反する疑義があるのではないかと思われるような特別措置法を、円満に進んでおるときにずばりと出してきて事業認定をやるということは、これはかなり刺激的な問題なんです。どうもある程度地元の意向が円満に進んでおる中でも、それは少しは意見の違いはあるものもあるのですね、私も具体的に知っています。たとえばダムの下になる道路の沿線にある人々、これは水没しない人なんですが、いまも立体交差で云云ということがありましたが、これはそこでダムができるというと人通りがなくなりますから、商売はあがったりなんです。上へつけかえ道路をやる。そのつけかえ道路土地は、この人たちの持ちものなんですね。ところが水没しないから補償はできないのだ、こういうふうになっているのです。この人たちに言わしむれば、自分の首をくくるつけかえ道路を、補償もなしにさあ出しなさいと言われるのはまことにうまくないというようなことで、幾らか問題点があるのです。そういうような問題もあるところへ、今度事業認定と出てくると、これはかなり刺激的な問題になるのじゃないかと思うのですが、そこらを十分お調べになりましたか。公団の人がおられましたら、ひとつ公団の人にも御意見を伺いたいと思います。
  111. 畑谷正実

    畑谷政府委員 公団の人がおりませんから、私からお話し申し上げます。個々のこまかい点に直接立ち会ったわけではございませんが、私が聞いている範囲においては、そういう事情をよくお話し申し上げまして、そういう点御了解を得るということでこれを進めていく、こういうふうに聞いております。
  112. 栗原俊夫

    栗原分科員 これは非常に珍しいケースであるだけに、もし激発すると——激発する危険性も全然ないとは言えないのですよ。これは大臣もよくわかると思うのですが、日本で初めてといわれるくらい、一人も反対がなかったということは、反面には危険性もあるかもしれぬという条件も実はあるわけです。だから、そういう点はひとつ十分考慮してやっていただきませんと、もちろん事業認定をやれば体制としては法的にやっていける体制はとれるわけですけれども、ただ法律でこうきまったのだからといってすっといけるかというと、これはそうはいかない。したがって、こういう点におきましては、十分ひとつ御考慮願って、善処していただきたい、このように考えます。
  113. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいまの点、ごもっともな御注意でございますので、さっそく水資源公団の総裁に私から要旨を伝えまして、十分細心の注意を払って善処するように注意をいたします。
  114. 栗原俊夫

    栗原分科員 そこで時間もございませんから、次にいま一点お尋ねしたいのですが、これは今回また提案された河川法の審議のときに大臣によくお伺いすればいいかと思いますが、実は具体的な問題がありますので、ここで一つだけ聞いておきたいのは、現行の河川法の中で局長とは前に渡り合って、局長も御存じだと思いますが、河川法の中で河川は私権の対象となすことを得ずということから、河川認定を受けたところは私権は消滅するのだ、こういうたてまえを管理しておる県のほうでは持っておるわけです。実際は土地収用法あるいは特別措置法のような強硬な強制法律でやっても、これはお金を払っているわけですね。お金を払うのになおかつ土地収用法ではかなり抵抗もあって、それではならぬというので、特別措置法などという、さらに輪をかけた強い法律ができておるわけです。この河川法で河川に認定されると、その認定されたところの所有権が消えるのだというたてまえをとる限り、買収もせずに認定をするときの手続は一体どうなるのかと思って、いろいろ法律を調べてみても、金を払う収用にさえ土地収用法に至れり尽くせりの手続規定があるのに、認定については、存外、規定がないのですね。具体的には一体どういう手続をするのか。一方では、認定によって所有権が消滅するのだと主張される側は、所有権者に対していろいろな主張をする機会を与えるのか、こう思うのですが、その具体的な手続はどうなっておるのですか。
  115. 畑谷正実

    畑谷政府委員 この私権の問題でございまするが、現行法の精神としては、認定をすることによって私権は一応抹消される、これはそのとおりだと思います。しからば実際にそういう私権というものがあって、ただ認定するからそのとおりになるということでは、いまの憲法のもとにおいてもそれは実際問題としてできない。具体的に言いますと、やはり河川敷としてこれを認定するという前に、そこに個人の私有権というものがあればお話し合いでその用地買収をしまして、それによって正規の抹消をいたしまして、そうして認定をする、こういうのが実際の認定の運営としての筋であります。
  116. 栗原俊夫

    栗原分科員 そうだろうと思うのです。また河川局で出した河川法にも実はそう書いてあるのですが、しかし実際には、群馬にたくさん出たのは、昭和十年前後の大荒れのあとの河川認定のときに、全然買収せずに認定行為をやっちゃったのです。そしていま問題が起こっておるわけなんです。これはあと河川法のときにあらためて時間をかけて再び議論をしてみたいと思います。時間もございません。ありがとうございました。
  117. 井村重雄

    ○井村主査代理 楯兼次郎君。
  118. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は、道路の問題をまずお聞きをしたいと思います。四兆一千億の新しい五カ年計画で大きな道路計画が出されたわけでありますが、そのうちで有料道路への配分について大体構想ができておったらお聞かせをいただきたいと思います。
  119. 河野一郎

    ○河野国務大臣 有料道路につきましては、東京−阪神間の、具体的に申しますれば、名神、東名、これを完成いたします。次に中央道につきましては、吉田まで完成いたしまして、その他いわゆる九州縦断、中国、東北というようなものにつきましては調査の上一部これに着手する。これはもう少し調査を進めた上で五カ年計画の中に一部入れていく。本州縦断道路につきましては、この五カ年計画に入るというわけにはいきにくいので、そのままでもなりませんから、一級国道の相当大幅な改修によりまして代行していくつもりでございます。
  120. 楯兼次郎

    ○楯分科員 いま大臣の言われましたのは、いま建設中、あるいは建設をしようという問題の路線ですが、大体有料道路費のうちでいま懸案になっておりまする分を除いて、新たに手をつけようという金がどのくらいあるかという大ワクをひとつお示しをいただきたいと思います。  それではこれは間違っておるか知りませんが、新聞、雑誌あるいは私どもがうわさ等を総合したところによりますと、有料道路費のうちで、いま建設省計画を配分をされておりまする費用を除いた残りが大体千五、六百億残るといいますか、ワク外になる、その千五、六百億の金で懸案の新しい有料道路に手をつけるのだ、こういうようなことを漏れ聞いておるわけであります。その残ります千数百億円の資金をどのように配分をするかという構想がおありかどうかということをお聞きしておるわけです。
  121. 河野一郎

    ○河野国務大臣 大体はいまお話もありましたが、二千億前後のものと想定しております。いま私はこれだけはやると言ったので、いまやりかけておるものは千八、九百億くらいかかるということになりますから、その残りおおむね二千億くらいが残るということでございます。それをどういうふうに使っていくかということにつきましては、先ほどお答え申し上げましたように、どの路線をどの程度やるかということは今後の調査の推移によってやっていきたいと思います。もっとも特に御考慮をいただきたいと思いますことは、当初私は五兆でどうしても五カ年間にやりたいというつもりでおりました。その五兆が明年度の財源の都合、財政規模もしくは経済の見通し等から一応四兆一千億で大蔵省と手打ちをしたわけでございます。しかしそのときに、財政事情の変化が生じまして、財源に余裕を持つとかもしくは道路公債の発行が可能であるとかいうような財政事情に変化を来たして考慮できるようなことになったならば、あらためて増額しようじゃないかという申し合わせを実はいたしておるわけであります。したがって、もちろんこの五カ年計画を鋭意遂行いたしますけれども、その過程におきまして遅滞なく計画をさらに増大していくことに努力しなければならぬということの情熱は持っておるわけであります。
  122. 楯兼次郎

    ○楯分科員 それでは具体的にお聞きしたいと思いますが、十年来この分科会で毎回私は質問をしておるわけですが、例の縦貫道、中央道の富士吉田−小牧間であります。われわれがいままでの経過を総合いたしますると、赤石を抜くのは困難だ、よそのルートを通ったならば五カ年計画では少なくとも飯田までくらいは何とか手をつけようというような話も聞いているわけです。そういう御用意があるかどうかという一点を端的にお聞きしたいと思います。
  123. 河野一郎

    ○河野国務大臣 中部の縦貫道路につきましては、これはもう皆さん方の御熱意によって議員立法で始めたものでございます。したがって、この議員立法が変更されないうちは、路線の変更を私のほうからいたすということはいたしかねるということでございますが、さればといって、その工事を進行するということにつきましては技術的に相当の困難があるということで、私自身としては沿道の皆さん方とその点について遅滞なくお打ち合わせをいたしておるわけでございますが、その後沿道もしくはこの法律に直接御関係の方々が法律変更、通過地点の変更等について、まだその処置が具体的に示されておりません。したがって、それが具体的になってきました際には、あらためて私としては考える、もしそうなればそのときに、いまお話しのように、小牧の方面からもある程度手をつける、もしくは小牧から飯田辺までは現在の一級国道を特別に整備して、その辺に結ぶということで御了解を得れば、何らかの方法で中部縦貫道路については結論を得たいということは考えておりますけれども、何分にも現時点におきましては、いま申し上げるようなこと以外に答弁いたしかねるのでございます。
  124. 楯兼次郎

    ○楯分科員 それでは次に移ります。  高速道路の償還計画でありますが、この償還計画は、うわさによりますと、地域別といいますか、こま切れ的な償還計画を立てておるというようなことを聞いておるわけです。大体国のやる仕事でありますから、これは全国プール計算による償還計画が最も妥当だと思うのですが、こういう点はどうですか。といいますのは、この部分的、地域別の償還計画を立てられますと、いわゆるもうかるところ、ペイされるところのみが先行をして、後進地域といいますか、国土開発といいますか、そういう道路の部面に高速道路が入っていかない、こういうことを私どもはおそれておるわけです。そういうことになりますと、せっかくつくります高速道路の使命、地域開発というものが意味がなくなってしまうというふうに考えるので、質問をするわけです。償還計画の計算方法をひとつお示し願いたいと思います。
  125. 河野一郎

    ○河野国務大臣 後進地域について非常に強く御主張でございますが、本来申しますれば、後進地域は公共事業で無料の道路をつくることのほうが本旨じゃないでしょうか。はやりもののように有料道路、有料道路とおっしゃいますけれども、私は国家財政が許すならば、また特に後進地域開発というような場合におきましては、償還とかなんとかいうことを考えないで、償還を考えるならば、特別に地方自治体が起債か何かで、地方の産業開発によってその起債を償還するというような考え方をして、公共事業で道路はやることのほうがいいのではないかと思います。しかし、それはいろいろ議論もありますし、実情にもよることでございますから、一がいには申せませんけれども、したがって、いま問題になっております。たとえば東海道とか中央道とかいうような、外資をなるべく取り入れて償還計画を立てるものにつきましては、相当の制約を受けます。したがって、これを国内資本だけでつくる場合とは相当趣が違う場合もあるわけでございます。いずれにいたしましても、現在決定いたしておりますように、こま切れ的に、この道路については償還したのだから、これはもうこれで無料にしてもよろしいというふうに、すべてをそういうような扱いをすることは、これだけ高速自動車道路が延長せられ、事業が大規模になってまいりました今日におきましては、必ずしも適当でない、これをすべて一律にするということは適当でない場合がございます。たとえばつい最近大阪において一つの橋を無料にすることについて、大阪府と話し合いをいたしまして、大阪府のほうから相当な負担金を出していただきまして無料にするということにいたしておるというものもあります。たとえば横浜の戸塚の道路にしましても、償還がもう終わりますので、これを無料にする場合もあります。これらそういうふうにして無料にしたほうがいいというような実情の場所もございましょうし、いまお話しのように、またわれわれがやっておりますような東海道全長何千億というようなものについて、これをこま切れにして、ここからここの間の部分は償還が済んだから云々というわけにはいきかねるというふうにも考えられますので、これについてはひとつ十分検討いたしまして、もう一ぺん考え直して、この有料道路の償還方法もしくは料金と償還計画というものについては再検討の段階に来ておると考えておりまして、なるべく早くその結論を出して御協議を得たいと思います。
  126. 楯兼次郎

    ○楯分科員 それでは次にお伺いをいたしますが、非常に時間がないので、これは名前を読み上げませんけれども、何々高速道路、何々というので六つも七つも名前のついた高速道路があるわけです。私はよく審議会で、大臣も御存じと思いますが、縦貫道の審議会はあるけれども、国有高速道路の審議会はない、こんなばかなことがあるかというので再三主張をいたしておるわけであります。これだけ名前の違った高速道路法律ができたのでありまするから、もうこの段階で何とかこれを体系化すといいますか、一本化すといいますか、そういうことを考えなくちゃいかぬ時期に来ておるのではないか、こういうように私は考えるわけですが、建設省の方針はどうですか。同じ規格で同じ性能を持ったものを五つも六つも十もばらばらつくって別々な仕事をやるということもどうかと思うのです。一本化すべきである、こう思いますが、どうですか。
  127. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 御指摘のように各種の自動車道路法律ができておりまして、私どもといたしましても、その整理が必要であることは十分承知いたしております。またそのほかに新たにそういうような別の自動車道を建設する法律を出すということも伺っております。私どもといたしましては、なるべく早く全国的なこういった自動車道路網の必要性を調査いたしまして、そういう体系ができ次第適当な機会にこれらを整理すべきものと考えますが、まだ今日の段階ではその準備ができておりませんので、そういう段階になったときに整理していきたい、かように考えております。
  128. 楯兼次郎

    ○楯分科員 それでは次にお伺いいたしますが、ことほどさように高速道路ができておる。そこでこの仕事を担当いたしております道路公団でありますが、小さな道路公団でそのような大仕事を消化できるかどうか。これは法律をつくって、そのうちにはできるであろうということではいけないと思うのです。したがって私ども考えておりますのは、道路公団は高速道路建設を専一にすべきである、地方の一般有料道路は地方公共団体あるいは民間の人たちにやらせればいいじゃないか、こういうように思うわけです。とても消化能力がないでしょう。現在の道路公団の将来に対する見通し、構想では、これは負担過重であるというふうに考えられるわけです。こういう点についても、法律が制定になって実際これを建設をし消化をするという意欲があったら、いまごろは、いま私が簡単に申し上げましたような構想に立たなければ、これは建設できないと思うのですが、こういう点はどうですか。   〔井村主査代理退席、主査着席〕
  129. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御意見ごもっともでございます。私も同様に考えまして、民間で何々道路の開設を有料でやりたいという申し出がありますれば、それはもう大賛成ということで、なるべく府県、民間ということにその開発をお願いすることは極力推奨いたしておる立場を私はとっております。したがって、これは道路公団がやるのだからおまえさんはあと回しだ、おまえさん、じゃまだという態度は一回もしたことはございません。なるべく民間でやっていただく、もしくは短いものは県等においてやっていただくということは、私はぜひそう願いたいものだと思っております。しかしそれもなかなか困難と思いますものもありますので、いまお話しのように、道路公団は東海道ないしは東北とかいうような大事業を行ない、地方の観光道路もしくは地方のわずかな区間のものについてはまた別途そういうものを扱う機関をつくったらどうだろうかというので、明年度予算の編成におきましても一部そう考えまして、まあまあもう少し仕事が進んでからにしようということでいま見合わしておりますが、そういうお考え方につきましては私も同感であります。
  130. 楯兼次郎

    ○楯分科員 次にちょっといやなことをお伺いいたしますが、実は昨年の後半から本年の初めにかけまして、建設省並びにその外郭団体の各種公団の入札につきまして非常に取りざたをされております。現に、これは、お読みになったかどうか知りませんけれども、「文芸春秋」のことしの二月号には、いま申し上げましたような疑惑が非常に多いというので、松本清張氏がきわめて具体的にそのことを指摘をいたしておるわけであります。私は、これが民間の会社ならば国会の中で取り上げてかれこれ言う必要はないと思うのでありますが、事はこれは税金の問題でありますので、この本を中心にいたしまして、時間もございませんから、二、三疑惑があると指摘をされ、書かれておりまする問題について質問をいたしたいと思います。  まず第一に、ここの中にも書いてありますが、お伺いをいたしたいことは、盛岡の四十四田ダムですか、これは水資源公団の入札でありますが、従来の慣行である、この本工事の規模に応じた施工能力と実績を持っていない、全くダム工事の経験が皆無にして見積もりすら十分にできぬような業者が入札に参加をしておる、こういうようなことがいわれておるわけです。その理由はどういうところにあるか。これは建設大臣に聞いてもわからないと思いますが、水資源の関係の方がおいでになりましたらひとつ御返答をいただきたいと思います。
  131. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私はたいへんいいことをしてくだすってお礼を申し上げます。その松本さんという人は、どういうことか知らぬけれども、でたらめをむやみに書きまくって、非常に私は迷惑しております。文壇において相当名前の売れておる人が、しかも権威ある雑誌に書いてあることの内容は、実にでたらめが多い。それは、ものには議論の相違、見解の相違というものはございますけれども、たとえば、私は建設省のお役人さんに親戚というようなものは一人もございません。いままでやめられた人にもないのです。それを河野一郎の親戚である、これはこうのどうのということがそこに書いてあります。大でたらめです。そのほかにもでたらめが非常に多い。権威ある人がいやしくもそういうことをする場合に、そういうことはお慎みいただきたい、こう思うことが多いのでございまして、いまの四十四田の入札につきましても、それに何と書いてあるか、私は松本さんが農林省のことをお書きになったときに一ぺん拝見しまして、あまりでたらめであるから、その人のことについては——小説は別でございますけれども、もう目を通さぬということにしておりますので、建設省のことをまた書いたということは聞きましたけれども、見ておりません。しかし、いまお話しのように、いやしくも四十四田の入札にそんなダムの経験のないものが参加したということは絶対あり得べからざることと私は思います。しかも四十四田は入札の結果、日本でも有数なダム工事をやる鹿島建設が工事に当たっております。いささかも支障を来たしておるというふうには考えておりません。そういうふうな水漏りするダムをつくるとかなんとかいうことを、そういう業者は十分建設省においては調査をしておりまして、入札には入札のランクがございまして、それは水資源公団のほうで一応やりました。それについて建設省は相談を受ける立場でございますから、そういう点についてもはなはだ迷惑をいたしておるところであります。
  132. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は建設大臣を追及するために言っておるわけではないのです。そういうふうに新聞、雑誌で盛んに言われておるから聞いておるわけです。そこで今度は具体的にここに書かれてあることを聞きますが、先ほど栗原君が質問しておりました下久保ダムですね。これの入札にあたって、一番、二番札を失格として、三番札に落札をさした。これは一体どういうことですか。安いほうには落さずに、高いほうに落札をしたというその理由をひとつお聞かせを願いたいと思います。
  133. 河野一郎

    ○河野国務大臣 明確に御説明申し上げたほうが真相がはっきりしてよいと思います。土木業界には、御承知かどうか知りませんが、おかしな慣行がございまして、自分がくい一本でも打った場所はその土建屋が引き続きやるといういわゆるなわ張りの慣行があるように聞いております。ところがたまたまその下久保ダムは、ダムの建設工事費が見ようによれば百億ともいい、五十億ともいわれる工事でございます。最近のわが国におけるダム工事の一番大きな仕事でございます。ところがそのダム工事をやりますために排水のわずか数千万円の工事をまず先にやらなければいけないということになりまして、そのわずか数千万円の工事を入札に付したのでございます。そうすると数千万円の工事を数千億ないし百億の工事の先行としてやります場合に、これが落札のためにはただでもよろしい、一升買ってもやらしてくれというようなことになりまして、全くその落札にほとほと手を焼いたのであります。そこでどうしたらば一番公正な入札ができるだろうかというので、各方面の意見を私は徴しました。私は全く公正無私な態度でりっぱなことをやりたいというふうに専念いたしまして、いままでこういうことを申したことはございませんが、ありていに申し上げます。私は池田総理に相談をいたしまして、池田さん、実はこれこれしかじかだ——これは工事の入札法に、予算金額もしくはその予算金額からどの程度のところで筋を引いて、それより安いものはダンピングの入札としてこれは無効にするということがあるわけであります。ところがその筋を引くのをだれに引いてもらったらいいだろうか、そしてその数字に一番近い人に落札させることが一番適切じゃないか、こう思うから、池田さん、あなたがひとつ責任をとってやってくれぬか、そしてそれは入札者の入札が済んだあとであなたに一番近い札の人に落札させるというふうにしてくれぬかと、私は思案に余った結果相談をいたしました。ところが総理は、まあそこまでせぬでもいい、建設大臣、自分でおやりなさいといって引き受けてくれなかった。そこで私は、世間でずいぶんやかましく、ああだろう、こうだろうといううわさがあり、流言飛語が飛んでおりますものでございますから、そこで一策を講じまして、建設省の中の河川局長、次官、官房長、それから水資源公団の総裁というこの四人に、めいめいに適当な価額を書きなさい、そして四人にその札を書かしまして、そうして開札の三十分間前にそれをそれぞれ開札をして、そうしてその四人の平均価額をもって落札価額、標準価額にするということをきめて、そうして落札、開札をした結果、その三番目の人がそれに一番近い札になった。これが一切の経緯でございます。ただし、私は当日は関東の研究都市の視察をヘリコプターでする日になっておりましたので、それらの処置の一切を次官におまかせして、私は帰ってきてどうなったと言って聞いたところが、こういうふうに計算したところがこうなりましたので、こういう落札になりましたということが落札に至った経緯でございます。どうぞ御了承ください。
  134. 楯兼次郎

    ○楯委員 私も質問する以上多少調べてみたのです。そうすると、この水資源の工事請負契約の事務処理要綱というのが、この入札をする同じ月に改正をされておる。それから財政法その他いろいろ私なりに研究しましたが、二番札と三番札の差約三十万円です。それで三番札に落としたという大きな根拠は、財政法その他を見ましても、著しく公正な取引の秩序を乱すおそれあるもの、この項目しか載っておらないわけです。何億というような、あるいは何十億、何百億というようなダム建設に三十万、五十万で著しく秩序を乱すというようなことも考えられないわけです。私がおそれますのは、中央の官庁においてこういうことをやれば、これは地方にいくに従って野放しになってしまうじゃないかということをおそれておるわけです。もうその入札の価値がなくなってしまうじゃないかということを、私の調べました結論として心配をいたしておるわけです。  それからもう一つ、これに関連して、たとえば三、四、五番札の金額の差を見ると五百円です。何千万円の入札金額に対して、あるいは本工事になれば何百億というような工事に対して、五百円の差できれいに並んでおるということがふしぎでしかたがないのです。これは偶然の一致かどうか知りませんが、やはり事前にこの金額が何とか漏れなければ、これだけきれいに五百円差で並ぶというようなことは考えられないわけです。まあこれは偶然の一致かもしれませんけれども、これを調べるに従ってわれわれとしてはますます不可解な感じを禁じ得ないわけです。
  135. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただ、いま私が命令をしてそういう処置に出たことについては、一点の疑う余地は持っておりません。当日私はたまたまその札をあけるところにも立ち会いませんでした。それから、それぞれの人がどういう札を入れられたかということも私は聞いておりません。おりませんが、そういうふうな処置が一番公正な処置であるという認定をいたしたのは、私が認定をいたし、そして四人の者にそれぞれの札を入れて平均してやりなさいというふうに指示したことは私の責任でございます。しかし、私はそういうことにしてやることが一番公正じゃないか。札が五百円違いであった、千円違いであった、大体の見当をつければ二割くらい下げたところでやるか、二割五分くらい削るという見当はつけてございますでしょうし、それは知りません。私はその辺は知りませんが、私は建設大臣の責任においてそういう処置においてやることが公正であったのではないかというふうに固く信じておるわけであります。
  136. 楯兼次郎

    ○楯分科員 それではいま一点お聞きしますが、いままでに建設省並びに各公団で最低の入札者を失効したという前例があるかどうかということをひとつお聞きしたいと思います。
  137. 河野一郎

    ○河野国務大臣 いま申し上げますように、私が建設大臣になりましてからこういうケースの工事にぶつかったことはございません。したがって、そういうふうにやっておりません、それは申し上げますが、この工事の入札前、あまりにあれこれ、あれこれという流言飛語が飛び、そしてときには贈賄であるとか、汚職であるとかいうようなうわさまで出ましたので、私はそれをおそれてこの種の方法にいたしたというものでございまして、これを従来の形式でそのまま放てきしてやらせるには責任がとりかねましたので、私独自の立場において、責任においてこういう命令をして入札をやった、こういうことでございます。
  138. 平井學

    ○平井政府委員 補足して御説明しますが、ただいま建設省関係で過去にこういうような事例があったかというお話でありますが、ございません。ただ、御案内のように入札に関する根拠法である会計法並びに予決令、これの改正が昭和三十七年に行なわれております。この改正の趣旨は、公入札については従来は最低の価格をもって入札した者に対して落とすという大原則がございましたけれども、戦後ここ最近数年間におきまして、御指摘のようにはなはだしく低い価格で入札をする者が出る。したがって取引の公正な秩序を害するおそれがある、ないしは適正な履行ができがたいのではないかというような声が建設業界自体からも相当強く出てまいりました。さような実情から、関係各省もついに意を決しまして、三十七年に特定の場合に入札の最低限をきめて、その最低限を下るような価格をもって入札した者については、これを審査の上失格とするかどうかをきめることができる、こういう法律改正が一昨年行なわれました。そこでこれに基づいて建設省といたしましては関係各省と協議の上、近くこの最低限の限度を設けて、これによって会計法の改正の趣旨に沿うて、はなはだしくそういうような不適正と思われるような価格をもって入札した者について、これは直ちに失格とするのではなくして、法律の規定にしたがって審査委員会意見を聞いて、これが失格とすることができるかどうかの判定をする。それによって場合によっては落とす、こういう趣旨でございますが、こういった制度を建設省の訓令をもってつくるべく現在検討いたしまして、近くそういったものを設ける、こういうことになっております。過去におきましては、したがってそういうようなはなはだしく低い価格でもって入れたところはございますけれども、これをいま言ったような理由で落とした事例はございません。
  139. 楯兼次郎

    ○楯分科員 予鈴が鳴りましたので、一点で終わりたいと思います。それでは、この雑誌にも出ておるのですが、いままで入札に参加しておった会社を次の入札には除外をした、こういう例も載っておるわけです。たとえば戸田組とかいうのが、いままで入札に参加しておったんだが、農林省増築等の入札については除外をしておったのも不可解である、こういうことを言っておるわけです。だからそのつど対象業者は何らかの基準において変わっていくのかどうか、この点どうですか。
  140. 河野一郎

    ○河野国務大臣 それは先ほどもどなたかから御質問がありましたとおり、入札のたびに指名請負人は原則としては変わってまいるわけでございます。たくさんありますから順番に……。
  141. 楯兼次郎

    ○楯分科員 入札に参加ですよ。
  142. 河野一郎

    ○河野国務大臣 指名入札でございますから、大体数は十名前後といたしておりますから、十人くらいを順番に回るわけでございます。
  143. 楯兼次郎

    ○楯分科員 これでやめておきます。
  144. 稻葉修

    稻葉主査 本会議散会後再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後一時五十四分休憩      ————◇—————    午後四時十一分開議
  145. 稻葉修

    稻葉主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管に対する質疑を続行いたします。堂森芳夫君。
  146. 堂森芳夫

    堂森分科員 建設大臣に簡単にお尋ねをしたいと思うのであります。  住宅問題についてでありますが、先般の予算委員会で、同僚の岡本委員から、いろいろ詳細に質問がございましたから、そうした詳細な点につきましては省略いたしますが、近ごろ東京都内を歩きますと、各地に、あたかも花盛りのように高級な分譲住宅、まあアパートでございますか、そういうものが各地で盛んに建てられておるのであります。これらは、もちろんいずれも冷暖房の完備したもので、もちろん熱湯を供給する。あるいはまた、その値段は一戸あたり一億円にもなる、こういうような超デラックスの分譲アパートすらある、こう言われておるのであります。ところが一方、公団アパートに入居したい人たち、八万、十万という人が抽せんに申し込みましても、せいぜいが二千戸くらいまでしか抽せんには入らぬ、こういうような現状があるわけであります。全く庶民にとっては、こういう高級なデラックス・アパートというものは夢物語と申さねばならぬ、こう私は思うのであります。そこで、先般私も原宿のある売りアパートの二、三を見せてもらったのであります。現在盛んに建設中であります。原宿駅から表参道を数分歩きますと、この地区に三つの高級分譲アパートが建設中であります。たとえばコーポ・オリンピア、あるいはグリーン・ファンタジー、あるいはパーク・ハイフ、こう横文字で広告がしてありました。ちょっと舌が回わらぬような名前の高級アパートが並んでおります。そこで、コーポ・オリンピアという超デラックスなアパートの内容を聞いてみたのです。そうしますると、大臣は御承知と思うのですが、これはアパートというより、アパートとホテルが結合したような建物で、なんでもこれはアパーテルというんだそうですか、豪華なレストランがあり、それから、コーヒを飲んでいる間に洗濯ができてかわく、こういうような豪華なランドリー・マットがある。あるいは温度と湿度とを自由に調節ができるような空気調節設備を持っておる。私、聞いてみましたら、これはオークラホテルとヒルトンホテルにしかないものと責任者は言っておりました。ガラスなども、ヒーターオブ・サーバーのガラスを使う、あるいはまた大理石で床や壁はやる。そしてチルト・ウォーターが摂氏四度くらいの温度で出てくる。まことに至れり尽くせりなものであります。値段を聞いてみますると、占用面積が三十平方メートルぐらいで約五百万円ぐらいで売る。それから三百七、八十平方メートルのもので約七千万、まあ一億円ぐらいである。こういうようなりっぱな住宅の売り物があるというわけであります。しかも、私これを見ておりまして聞いてみたのですが、この分譲アパートをつくるために、何かヘリコプターで空中から査察をしたそうであります。そうして東京都内で一番この辺がよさそうだということを見つけるためにかなりかかって、そうして、土地を手に入れるために立ちのき料などを加えると優に坪当たり数十万以上の土地買収費がかかっている。そのためにあの一帯は非常な土地の値上がりがきた、こういうようなことを付近の人も言っておるわけですが、私は、こういうような高級アパートを一体だれが買うかという問題が大いにあると思う。ほかにもまだその付近には幾つもあります。イタリア名前のビラ・ビヤンカというようなのも、ことしの四月完成するようでありますが、ビラというのは、何でも広大な庭を持った屋敷というイタリア語だそうであります。ビヤンカというのはお城だそうでして、大庭園を持ったお城、こういう意味の分譲アパートであります。これも非常な豪華なものでありますが、そういうことを一々申し上げておっても切りはないのですが、こういうふうな高級な分譲アパートというものがどんどん建っていく。こういうことは、今日住宅が不足しておる、先般も大臣は、四十五年までには一世帯一戸当たりの住宅はできるようになります、こういうお話でありましたが、今日の住宅難というのは、すでに何百万戸の住宅が不足しておる時期に、そういう高価なものでも建てば、もちろんそれでも住宅不足を補うことになるんじゃないかという理屈は立つでしょうが、こういうふうな高級な売り物あるいは貸しアパートというようなものがどんどん建っていくことを、建設大臣として何らかの行政指導でありますか、あるいははこれを禁止するというようなことはいろいろ問題もあるかとも思いますが、何らかの行政指導というものがここに建設大臣としてはあるべきじゃないか、こう思うのでありますが、いかがでありましょう。
  147. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私もお話しのようなアパートが建設途中にあるというお話を何かの機会に聞いたことがありますが、少なくともわれわれが住宅政策として考えておる範疇に入らぬものであって、社会の一つのできごととしてそういうものがあるということであって、それを住宅対策の一助に考えるとかなんとかいう問題じゃない。いまお話しのように、十坪か二十坪の住宅でも抽せんで大騒ぎをやっているときに、そういうものが同じ社会にあることはどうだろうかということになりますと、私も何か考えさせられるような気もいたしますけれども、さればといって、好ましくないと私が言うことはどうかという気もいたしまして、どう発言してよろしいか、発言のことばに困るようなわけでございます。別に、法律上これを制限するというわけにもまいらぬのでありましょうし、また、そういう手続も困難かと思います。建設する人がどういうふうに考えてやっておられるか、また、そういうところを希望される人がそういうところにお入りになることについて、いまの社会でこれを制限していけるものではないと思うのであります。
  148. 堂森芳夫

    堂森分科員 どうも建設大臣、答弁がしにくいというお話でありますが、これはやはり建設行政の最高責任者の建設大臣のことばとしては、私どもどうも受けとれぬと思うのです。私は、やはり住宅が非常に不足しておる——自由主義経済だからそれはできないのだ、こういってしまえばそれまでですが、しかし、そんなものじゃないと思うのです。たとえば、二月当たり何千万という売りものに買い手がついても、自由主義経済だからやむを得ぬといえば言えますが、あるいはまた、いろいろな民間会社がそういう分譲のアパートを建設して、そうして売るわけですが、そういうふうな民間の事業会社、営利会社に対して、やはり建設大臣としては、何らかの勧告といいますか、あるいは行政指導といいますか、そういう資金の余裕があるならば、こういうふうな庶民的な住宅をもっと建てて、そして売り出すようにしたらどうかとか、私は建設大臣にはもっと方法があるべきだと思うのであります。しかも、こういうめちゃくちゃな金を出して土地買収する、そして地価の値上がりをあおる、こういう影響は私は非常に大きなものがあると思いますし、これはやはり建設大臣としては、何らかの行政指導というようなものを部下の責任ある諸君にやらせるようにせられるのが、私はほんとうの住宅政策であると思いますが、いかがでございましょうか、もう一度お尋ねしたいと思います。
  149. 河野一郎

    ○河野国務大臣 たとえて申しますれば、人おのおの欲望をどの方面に求めるかということにあると思うのでございまして、何千万円という宝石を探して歩く人もあれば、何千万円という邸宅を探して歩く人もあり、何千万円という書画骨とうを求める人もあるということになりますれば、——たとえば先日来御発言のあります空閑地税をどうするかという問題になりますれば、私は相当の考慮の余地があるのではなかろうかという気がいたしますけれども、ただいまのようなことになりますと、私も個人としての意見はありますけれども建設大臣として、これに対してとかくの議論を差しはさむことはどうかと思います。御了承いただきたいと思います。
  150. 堂森芳夫

    堂森分科員 どうも、非常に勇敢な建設大臣としては、受け取れぬのです。これはある意味では、こういうものができるようになってきた一つの大きな原因としては、所得倍増政策というふうな池田内閣の一貫した経済政策にも、私は大きな原因があると思います。そうした豪華な、超デラックスなものがどんどん建っていって、一般の大衆は、一万五千円前後の公団アパートに入っても、三万、四万の俸給取りの人では楽ではない。   〔主査退席、中井主査代理着席〕  そういう時代に、こういうものが目先にどんどん建っていくということは、私は政治の本来の姿からいっても好ましくないと思うのです。池田大臣が幾ら生活はよくなったとおっしゃいましても、俸給は何がしか上がっても、こうして目先にああいうりっぱなものがどんどん建っていきますと、人間というものは貧乏感がますますつのっていく、こう思うのです。こういう住宅がどんどん建っていくと——それはもっと大衆の住宅がりっぱになって、西欧のような住宅水準にある国ならば、私はそう刺激しない場合もあると思うのです。しかし、わが国では残念ながら、住宅政策というものは従来から欠けておる。こういうふうな国からいきまして、私はやはり勇敢に、そういうあまり豪華過ぎるような住宅は建てぬほうがいいじゃないかということが、どうしていかぬのでしょうか、できないのでしょう。私はどうしても建設大臣の御答弁がわからぬのです。私、頭が悪いせいか——なぜそんなに、処女のごとくおとなしくしなければならぬのか、意味がわからぬのです。それくらいのことは、そんなに資金の余裕があるならば、庶民的な住宅に投資したらどうかというようなことは——それは自由主義経済だからできぬと、あなたはこういう意味だろうが、それは弱肉強食の全くひどい現象のあらわれだと思うのです。こういうものを借りる人はどういう人だと思って聞いてみた。大体において芸能界の人、それから社長クラス、それにいなかの、あるいは都市でもそうですか、素封家で、先祖代々大きな財産がある。そういう人の子弟が買うというように、大体限られておると言っております。もうごく限られた人たちが買うわけですが、やはりこういうふうな現象は、政府としては何にもできない、大きい声でものも言えぬというような態度建設大臣がおとりになるということは、私はどうしてもわからぬのです。こういうことは遠慮すべきではないかというようなことをおっしゃっても、私は当然なことだと思うのです。くどいようですが、もう一ぺんお願い申し上げます。
  151. 河野一郎

    ○河野国務大臣 たとえば東京都内の各方面を見聞いたしましても、同じ昼めしを食べるにいたしましても、非常に安いものから非常にデラックスなものがあるということからいたしまして、私は、いい悪いの議論は別といたしまして、いま日本の社会に点見いたしますものは、欧米に見受けられないような、そういう偏重したものがあることは御承知だと思います。この一つのあらわれとしてそういうものができてきたと私は思うのであります。これに対しては、政府が先に立ってそういうことを指摘することがいいか、世論の勃興によってそれに反省が求められて、りっぱな社会ができていくがいいかということについては、私は議論があることだろうと思うのでありますが、少なくとも政府のやる住宅政策は、かねてから私が申し上げておりますとおりに、金融公庫の貸し付け金にいたしましても、百億以上の資本金の会社にはなるべく貸さない、そして中小企業に優先的に資金の貸し付けをするということで、政府自身の施策としては極力そのほうを強調いたしておりますが、個人のおやりになる分についてどこまで政府が関与するかということになりますと、なかなか議論のむずかしいところだと思います。私個人としての意見は持っておりますけれども、責任ある地位におりまして、基本的な人権を非常に強調されます今日、どこまで主張していいかということについては十分考えなければならぬ、こう思って、先ほど来非常に当惑いたしておるわけであります。
  152. 堂森芳夫

    堂森分科員 どうも、幾ら聞いてもなかなか口がおかたくて、御意見もおっしゃらぬようでありますが、たとえば住宅政策をずっと詳細に議論をするということはできませんし、時間もありませんから省略いたします。私は時間が三十分しかありませんからもう終わりますが、それではああいう姿、たとえばキャバレーがどんどん建つ、あるいは娯楽場がめちゃくちゃに建っていく、これはやはり一貫した日本の社会現象の一つだと思うわけです。そこで建設大臣も、暗にああいう現象はよくないのだということはお認めになったと思うのでありますが、そういう姿は好ましくないのだ、こういうお考えであることは間違いありませんね、いかがでございますか。
  153. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私は、個々の人が自由に意識し、自由に計画しておやりになる自由企業に対して、好ましい好ましくないというようなことを申すことはどうかという意味で、自重いたしておるわけであります。
  154. 堂森芳夫

    堂森分科員 もう議論してもしようがありませんし、あれですが、将来総理になられる河野さんにしては、私はどうも弱いと思うのです。こんなことはもっとはっきりおっしゃったほうが河野さんらしくていいと思うのです。こんなものは好ましくないと思うのです。ああいうものがどんどん建っていくということは、非常に欲求不満といいますか、あるいは貧乏感といいますか、そういうものを庶民に与えていると思うのです。こんなものはいいはずがないのです。日本の国のような、一人一人の国民所得を見ましても、世界で二十何番目である。こういう国で、しかもわれわれの住宅が四十五年で一応一世帯一戸になるそうでありますが、これはわかりません。そうなるというのが、部下の局長のおっしゃることでありましょうが、その時分にはまた古くなりましょう。またいろいろございましょう、こういう住宅問題というものは。一応食が足りるようになりました。衣も足りるようになりました。そしてこの住宅問題が衣食住の三つのうちの、人間が生きるために大切なものの最後の問題であります。ところが一方では、そういうものがどんどん建っていく。こういうようなことに対して、やはり私は、建設大臣として、きぜんとして、そういうものは好ましくないのだ、自制してもらいたいくらいのこともおっしゃれぬというのはどういうことなのか、どうも私は理解できないのです。それは好ましくないなら好ましくないとおっしゃればいいと思うのでございますが、それもおっしゃれぬというのはどういうわけでございましょうか。自由だというなら、何をしてもいいでしょうか。自由主義経済の機構の中だから、金のある者は何をしてもいいということでは、それは政治ではないと思います。そんなことでは建設大臣だめですよ。自覚を待っておってはおそいですよ。選挙を見たって、金がばらまかれるのを見ておっても、みずからきれいにはならないではないか。これは是正をしていかなければならぬ。住宅問題だって、世の中の反省あるいは自覚を待つということではあまりにも無能な——無能というとしかられるかもしれませんが、建設大臣としてはどうもいただけないお答えだと思うのであります。これ以上幾ら聞いてもおっしゃいませんから私はやめますけれども、それは大臣おかしいですよ。あなたらしくないですよ。私はこれだけ忠告しておきまして終わります。
  155. 中井徳次郎

    ○中井主査代理 淡谷悠藏君。
  156. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 私は河野建設大臣の予算説明書を拝見いたしましてたいへん愉快だったのですが、ちょっと不安の点がありますので、これは池田さんの所得倍増計画ではございませんが、約束のしっぱなしにならないようにひとつ確かめておきたいと思います。  昭和四十五年までにすべての世帯が安定した住生活を営むことができるという項目、すなわち一世帯一住宅の構想ですが、これは本気になっておやりになるのですか。看板なら看板どおりに聞きますが、実際おやりになるのですか、まず河野建設大臣の御所見を伺いたいと思います。
  157. 河野一郎

    ○河野国務大臣 これは社会党さんもおっしゃっていらっしゃるように、そういう数字は決して架空の数字ではないのでありまして、過去の実績を忠実にやってまいりますれば、いま想定いたしておりまする建設は決して架空な数字ではありません。過去の実績をそのとおり追って、そこに努力してまいればそういう数字の積み上げになっていく、こういうことであります。
  158. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 私は過去の実績を見た場合に不安を感ずるのです。いまの政府の住宅のくじに当たった者は、宝くじに当たったような気がする。それくらい当たる可能性は少ない。住宅局長おられましたらお答え願いたいと思うのですが、一年間にくじに当たる者の率と落ちる者の率とはどうなっておるか、パーセンテージをお示し願いたい。どのくらい申し込みがあって、そのうち何%当たるか。
  159. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 現在政府が資金を出してつくっております公営住宅、公団住宅等につきましては、地区によって違いますが、かなりの率の抽せんになっておりますので、希望者のうちの相当部分の方が住宅に入れずに次の機会を待つということでございます。
  160. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 相当部分ではちょっとお答えにならぬと思います。私の聞きたいのは、はっきりしたパーセンテージを聞きたい。宝くじに当たるみたいなものであっては困るからお聞きしておるのですがね。
  161. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 三十七年度の六大都市の平均では、公営住宅につきましては三十一倍、住宅公団の住宅は、三十八年の四月から十二月までの調べでございますが、約四十五倍となっております。   〔中井主査代理退席、主査着席〕
  162. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それは一年ごとにまた新しいものが出てきますね。そうするとよほど大臣にがんばってもらいませんと、昭和四十五年度までの一世帯一住宅がむずかしくなってくる。この構想の中に農村住宅は入っておりますか。これは農村大臣をやられた経験がありますからその必要を感じておられると思いますが、農村住宅の構想はありますかどうか。
  163. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 昭和四十五年度までに一世帯一住宅を実現するという戸数の基礎は、全国の住宅不足と全国の将来における住宅需要を推定して積算いたしましたので、もちろん農村住宅も含めております。そのうち農村住宅が幾らであるか、あるいは都市部の住宅が幾らであるかという数字につきましては、まだきめておりませんけれども、住宅事情の実態に即するように、特に農村向けにつきましては農村に適するような住宅を供給するような方策を講じていく所存でございます。
  164. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 農村住宅で現在公庫、公団で提供しているものは何戸ありますか。
  165. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 現在特別ワクといたしまして農村向けの住宅貸し付けをしておりますのが、住宅金融公庫で三十八年度が五千戸、三十九年度は五千五百戸予定をいたしております。そのほかに、住宅金融公庫は全国地域限定なしに貸しておりますので、一般住宅を農村の方々もかなり御利用になっているようでございます。  それから公営住宅につきましても、農村地区にも建設いたしておりますし、また公営住宅につきましては、これは戸数は若干でございますけれども、特に農村における新しい作業形態に応じた連続的な農村住宅というものを試みまして、農村における公営住宅の施策を進めておるのでございます。
  166. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 農村向けでは、一般住宅は何戸、公営住宅は何戸ですか。
  167. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 いま申し上げましたように、住宅金融公庫では全体で十三万戸の予定をいたしておりますが、そのうち特に農村向けとして特別ワクを設けたのが五千五百戸であります。しかし一般住宅のうちで農村において建設されるもの、あるいは農民がおつくりになるというものにつきましては、明確なワクをつくっておりませんので、戸数は申し上げられませんけれども、地方にも貸しておりますので、この中で相当御利用願っておると存じます。
  168. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは今後やるのははっきりしませんが、すでにできておるのははっきりしておるわけじゃないですか。農村は幾ら、都市は幾らというふうにわかっているはずです。これはいかがです。
  169. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 住宅金融公庫の住宅の建ちました地域につきまして、郡部あるいは市部別の調べをいたしますとその数字がわかりますが、その際に、農村住宅と称していいものは一体何かという点が出てきます。農村におきましても、あるいはつとめ人が使う住宅もございますし、あるいは農家向きに使う住宅もございます。われわれが農村住宅として力を入れておりますのは、農家が農業を経営する、あるいは漁家が漁業を経営するという上において特に必要な住宅という点で考えておりまして、それ以外の一般的に住宅をほしい方は、これは農村地域であろうと都市地域であろうと地区別に差をつける必要がないと考えまして、そういう地域ごとのこまかい数字は本日持ち合わせておりません。
  170. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 河野農林大臣時代に私は一ぺんこの問題を取り上げまして、いろいろ公庫の方にお聞きしましたら、適当なモデルができていないので農家住宅はつくらぬというようなお話があった。それから若干農民のうちという形で計画をされていることは、私は一歩前進だと思う。ですから問題にしたいのは、農村におけるつとめ人、その他の住宅でなく、農業を経営するための住宅を私は言っている。これは現状を見た場合、うちをつくりたいという要求は全国で一体どれくらいありますか。農家の住宅をつくるためには、まず農家住宅の要求の実態から出発しなければ計画が立たぬと思うのですが……。
  171. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私は建設大臣になりましてから、農村向けの住宅は増改築でひとつ奨励していきたい、農村に増改築費の貸与を特にやったらどうかということで、その施策をやらしておるのでございまして、新たに建設するということについてはいま説明した程度だと心得ております。
  172. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 増改築の必要なところもありますが、増改築ができないようなうちもずいぶんたくさんあります。戸が締まらない、窓は締まらぬといううちは相当現実にある。ちょっと増改築をしたいというのは、うちの改築をするところまでいっていないから、長男にお嫁をもらうのに困るから、ちょっとこぶをつけてやろうというのが農家の実情なんです。そういう農家の実情をはっきりつかんでおかれませんと——私は非常に数は多くなると思います。五千五百や一万の程度では農家住宅といえない。一体その点はどうおつかみになっているのか。私も長い間農村に住んでおりますから、もう形が残る限りはうちに入っているというのがいまの農家の気持ちなんです。雪が降りますと、つぶれやしないか、私は自分のうちまで心配になってきますが、豪雪というと必ずうちがつぶれる、こんなような現実になっておりますから、これはさっき堂森委員の話もございましたが、都市の豪奢な文化的な住宅も必要ですけれども、人権問題として農家の住宅は考えてやらなければならないと思う。その点は一体計画を立てておりますか。
  173. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま申し上げましたように、一戸当たり二十五万円くらいまでの増改築費を貸し付けるという道をあけております。これをひとつ御利用願いたい、こう思います。
  174. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それでは、新しい構想で農村に農家の住宅をつくってやろうというような構想は立っていない、あくまでもやはり古いうちのそばにこぶをくっつけるという増改築のほうに主点を置かれる、これはたいへんな問題ですから……。
  175. 河野一郎

    ○河野国務大臣 むろんそれも要望にこたえて、十分にいきませんが、順次やっていくつもりであります。
  176. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 農民に対して、こういうふうな住宅の計画があるんだということのPRは何か行なわれておりますか。うちを建てたいんだが、金はないし、しようがないからというのであきらめている農家がずいぶん多いが、一体申し込みの窓口はどういうところでやるのですか。
  177. 河野一郎

    ○河野国務大臣 県の農林部を通じて宣伝をしておるわけであります。
  178. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 町のほうは幾らでもありますが、農村では、申し込みの窓口は村なら村の役場でいいわけですか。たとえば、うちを建てたいんだが金が借りたいという希望があった場合に、どこに申し込むのですか。
  179. 河野一郎

    ○河野国務大臣 農協の窓口を通じて申し込みを受けております。
  180. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 農協の窓口を通して公団あるいは公庫の金が流れるわけですか。
  181. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 住宅金融公庫が資金を貸す場合に金融機関に委託いたしますが、その際に、都市部につきましては、信用金庫なり相互銀行等を利用しておりますが、それがない、あるいは不便な地方、農村におきましては、農村の信用組合連合会の窓口を借りまして、できるだけ農民の方に近い場所を借りて金を回しておるわけでございます。
  182. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 私はこのことをあえて申し上げたいのは、農家の経営は、経営と家計が分離しておりません。ですから、うちを建てる資金がない、うちを建てたいという場合は、経営に回すべきものが家計費に回る形でうちを建ててしまう。そこに日本の農村の経営が非常におくれている一つの原因がある。農業の体質改善が強く叫ばれておる今日ですから、かりに余裕があるとしても、これは経営面に回すべきであって、少なくとも都市に行なわれているくらいの家屋建設の構想が農村にもふんだんに回っていくのでなければ、農民の生活が非常に困ってくると思うのです。その場合に、これからの理想は理想としまして、現在まで住宅金融公庫が貸し付けしております金というのは都市のほうにどれくらい流れ、農業家屋ですね、農村家屋と言っちゃあれがあるかもしれませんが、農業の家屋のためにはどれくらい回っておるか、これは公庫の貸し付けの類別をひとつお聞きしたい。
  183. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 先ほど申しましたように、特別ワクとして流しましたのが三十八年度が五千戸、三十九年度が五千五百戸の予定でございますが、このほかに一般ワクとして貸しておるものの中の相当部分を農家としてもお使いになっているように聞いておりますが、ただいまのところ、農家として何戸かという数字は、まだそういう整理をいたしておりませんので、ここでは、申しわけありませんけれども……。ただいま申し上げました五千戸と五千五百戸という数字は間違いありません。そのほかに相当部分が農村のために使われているという御答弁で御了承願いたいと存じます。
  184. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは大臣、私の考え方が少し違っているかもしれませんが、いま農家の家屋をつくりたいという要求は実に膨大な数に上っていると私は思います。これは最近若い諸君が農村から出てくるのは、どうもお嫁さんをもらって一家ざこ寝じゃ気持ちが悪いというのがだいぶあるらしいのです。とても一万戸や何かの予定を組みましても、四十五年ですから六年ですか、この間に一世帯一住宅というのは至難だと思う。今後この数をもっとふやそうという御意思があるかどうか承っておきたい。
  185. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知のように計数は、各府県を通じ従来の計数をそのままとっておるのでございますが、建設予定計画は、政府の施策につきましては一〇・五%増加してまいっております。したがって、この増加率をそのまま計算をして、ぜひ最小限度これだけはやらなければいかぬという三カ年計画もしくは七カ年計画で計数をはじきます。そういうことにいたしますと、民間側のほうは、これもいままでの過去の実績は一〇%くらいになっておりますけれども、このほうの計数は前年の八%増加ということにして数字をはじいてまいりますと、数字が四十五年までに一世帯一住宅という数字になるのです。しかし、これはいま申し上げましたように、民間側のほうの建設の実数はこれよりさらに私は相当ふえてまいるだろうと思います。そういうことになりますから、いま一応最小限度の数字は押えておりますけれども、この数字が、またこの計画が、両三年後には新しい事態に対処して新しい三カ年計画というようなものに当然なると思うのでございまして、その際には、あらためて都市、農村を通じて、従来全体の量に重点を置いておりましたものを質に重点を置いてまいるとか、さらにまた建築する者の側に対しても堅牢住宅に思い切って重点を置くとかいうようなことに、住宅政策は三年くらいの間には当然変わるべきものだと考えております。
  186. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 さっきPRの問題を持ち出したのはそのためなんです。いま農村の実態としてはほとんどこういうことはわかってないのです。ですから、農協へ行きましても、そんなこと言ったってくじに当たるみたいなもので当たりっこないんだから、おまえ独自でつくれということを言っている。この説明書を見ましても、一世帯一住宅は民間住宅にかなりの期待を寄せられているようですから、農村における民間住宅を考えてみた場合に非常に無理があるということをひとつ御認識願いたいと思う。今後農民がこのことを知りましたときには、相当数の要求が出てくると思う。さっき大臣がおっしゃったように、一世帯一住宅の中には農村も入っているのだというようなこと、さらに、数がふえた場合にはそれに応じてその理想に邁進するということ、その方針をもう一度確認しておきたい。これは必ず出てくると思います。
  187. 河野一郎

    ○河野国務大臣 これは政治をやる者としてはだれでもがやらねばならぬ重大な使命でございましょう。したがって、数がふえてくれば当然充足するだけの施策を立ってやらなければいかぬ、こう考えます。
  188. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは早晩相当広い範囲で住宅建設の要求が出てくると思いますから、その点は十分頭に入れてお考えおき願いたいと思う。また公庫、公団のほうでも、かなり計画的に農村に進出するという形をお考え願いたいと思う。それから様式なども、農家には農家の仕事の上からきたさまざまな要求がございます。ただ心配するのは、家を建てるということは農家にとって一代の大事ですから、金を持ったから体裁に家をつくるというのが多く、もう実際の必要からつくるという者はごく少数である。これではむしろ逆な作用を及ぼしますので、そうした既存の農家の型にはとらわれないで、新しい農民の生活にぴったり当てはまるような農家の様式というものをお考え願いたいと思うのでありますが、この農村に住宅を建ててやるについての何かモデルができておりますか。
  189. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 御指摘のように、農村住宅の様式は各地方によりましてそれぞれ差がございます。同時に、いまお話しの指導、啓発をする意味におきましても、われわれもモデル住宅を考えまして、それぞれ地区ごとにそういうものをつくりまして、そういうものを見て新しい住宅を農村として持っていくというふうな指導をつとめてやっております。県におきまして、いま申しましたように、農林部及び県の農業関係の方々と県の建築関係の者と一緒になりまして、熱心に指導している県もございますが、しかし、いまお話しのように、できる限り農村における住宅の普及改善のためにさらに続けて努力しようと考えております。
  190. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これはさらに伺うのですが、そういうふうなモデル住宅で、建設省が誇りを持って示せるものがございましたならばお知らせいただきたいと思います。
  191. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ちょっといま思い出しましたのは、農村の共同化という面からアパートをつくりまして、地上一階を共同作業場といたしまして、二階、三階に住宅を建てる、従来考えられなかった型式でありますが、これによって農業の協業化という点と住宅の面でどういう効果があるかと思いまして、公営住宅を若干つくりまして、その結果を見ておるわけであります。
  192. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どこにございますか。これはいつか見せてもらいたいと思っております。
  193. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ただいま申し上げましたのは、岐阜県と三重県にございます。
  194. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 もう少し詳しくわかりませんか。行ってみたいのですが……。
  195. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 三重県のは桑名の災害の跡にできました住宅でございます。地名をいま失念いたしましたが、あとでお知らせいたします。愛知県の場合は鍋田の干拓地であります。
  196. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 寒地向きの住宅ではどこがありますか。いずれ見てきてからまた質問いたしますから。
  197. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 東北地方において、住宅金融公庫の貸し付けによりましてモデル的な住宅もございますが、いま私、個所につきまして覚えておりませんので、調べてまた後ほど……。
  198. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それじゃあとで資料としてお出しを願いたいと思います。われわれ見に行って参考にし、今後またいろいろ自分の意見を申し上げたいと思っておりますから。  それから最後に、時間が迫りましたから五分であと一問やります。  土地造成です。土地造成も相当にこの説明書には期待して書かれておりますようですが、気になりますのは、一体この土地は公団、公庫で造成する場合に二転三転するきらいはありませんか。直接持っておりました農家から買い集められないで、零細な土地ブローカーに集められて、値が上がってから売りつけられるという実態はありませんか。これは一まとめどのくらいの面積で買われておりますか。
  199. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 公団が宅地取得いたします場合に、できる限り直接所有者から買うようにいたしております。できる限りそうしますと同時に、市町村あるいは県等の公的な機関のあっせんを願いまして、中間のものが入らないように注意をして買わしております。買う単位は地区によって違いますが、できるだけ大きくしたい。公団の団地につきましては、ことに都市の郊外におきましても、数万坪以上の大規模な団地にするようにしております。
  200. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは建設大臣に特にお願いしておきたいのですが、この間農林大臣にも話をしておきました。北海道、東北、九州地方で、国有林開放の動きがだいぶあるようです。これは軒下の国有林の開放などはけっこうですけれども、いま地価が都市近郊の住宅の造成で非常に値上がりをしているわけですね。これは民有地は仕方ないと思います。私、この間北欧三国を回ってきましたときに、つくづく考えたんです。日本じゃ大体私有地にしてしまったものに団地をつくるから、木があれば木を切り、岩があれば岩を除き、渓流でも川でもみな埋めてしまって、ただずっとならしてしまって、もう単調な住宅団地をつくるんですが、これは建設大臣すでに御承知のとおり、ノルウェーでもスウェーデンでも、山は山なりに川は川なりに土地の条件を生かし、環境を生かしながら、実に気持ちのいい団地ができているのですから、現在国の持っております土地でも、住宅地になるところはあらかじめちゃんと設計をしまして、こういう北欧三国に劣らないような住宅地建設の構想も持たれてほしいと思うのです。河野建設大臣ならやれると思いますから、その点は大胆におやりになって、いたずらに土地騰貴のブームにあおられて、ブローカーなんかのふところをこやすような造成の方法は厳重に戒めていただきたい。このことを強く要請いたしまして私の質問を終わります。
  201. 稻葉修

  202. 肥田次郎

    肥田分科員 私は、またとない機会でございますので、建設行政上の重要だと思われる問題について、具体的に二点ばかり実は大臣の御見解を聞いて、ぜひこれは御協力を賜わりたいと思うのであります。  一つは、堺市と和泉市に接しておる——堺市の東南部から和泉市の北部に接しておるところに、今度大阪府が計画しておる住宅都市の構想があります。この構想で、もうすでに現地では、この府の計画発表を見て、相当いろんな意見がわいて出ておるのであります。そこで要約いたしますと、ここで問題になりますのは、千里山の例を一つとってみますと、大体千里山では三分の二くらいが言うところの分譲地にされて、三分の一くらいが、いわゆる勤労大衆と申しますか、公団や府営住宅の計画地、こういう実情になる。結局一般勤労大衆の低所得者層に対する住宅問題はこれでは解決しない、こういうことがいわれております。それから、もう一つは、安い値段で買い上げておいて、今度分譲住宅としては、数百万円あるいは五百万円近くで売られておるじゃないか、そうすると、その差額は一体どこへ消えていくんだという、こういう不満があるわけです。たとえば、今度堺で問題になっておる、あるいは和泉市で問題になっておる関係者の数は、約三千名くらい以上にのぼるだろうと思いますが、この人々の不満とする理由は、要約いたしますと、やはりいま自分の持っておる土地を、先祖代々の土地を千円くらいで買われて、そうしてそれが今度売られるときには、一万円あるいは二万円もの価格で売られておる。そういういろいろなよその例があるということに対して、非常な大きな不満を持っておる。私にもこういう話がありました。あなた、山の土地が要らぬか、家を建てるのにはどのくらい要るか、それは百坪くらいあったらいい、そんな土地ならいまだったら二千円くらいで売ってあげますよ、二千円くらいでいいのかと言ったら、これはまごまごしておると、住宅都市のために取られてしまうかわからぬ、いま村は大騒ぎしておりますよという話なんです。  そこで、いま申しましたように、一番問題になるのは、農民が不満としておるのは、安い値段で土地を住宅計画のために取られるということ、それから少々金をもらっても、あと補償が実は自力ではやっていけないというような問題、それから買収価格が安くて、今度譲渡価格が高いから、一体その差額はどこに消えていくんだろう、こういう不満の声があるわけです。その他、設備その他に対する一般の問題もむろんありますけれども、こういう際に、これから起こる問題ですから、ぜひ大臣が日ごろ理想としておられるところの理想的な住宅、いわゆる質的にもりっぱでしかも低家賃で入れる住宅を、これらの住宅都市に対して多数建設するという指導をぜひ強力にやってもらいたい、こう思うわけです。いますでに地域的にいろいろと意見も出ております。ほっておくとまた極端な反対の連中も出てまいります。それからまた、一般土地所有者も、とにかく値段をつり上げるということについては、ある程度までは同じ歩調をとって、いろいろな動きが出てまいります。ぜひひとつこれに対して強力な指導といいますか、大臣のお考えをひとつ承りたいと思います。
  203. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知のように、宅地を造成いたします場合には、従来と違いまして、たとえば一方には、先ほども淡谷さんからお話のありましたとおりに、全部山をひっくり返してしまって、木も何も全部取り除いて、坊主山にしてやるようなことをしないで、ある程度のものは残しておいて、住みよいきれいな宅地をつくったらどうかというような御意見もある。一方には、いまお話しのように、そういうことでぜいたくに使いましたならば、非常な高価なものになるわけでございます。普通に全部使うといたしましても、道路をとり、そして高低によってのりをとるということにしてまいりますと、実際は、宅地が、前の土地の四割ぐらいは当然消えてなくなってしまう。工事費とその消滅する土地の分をあとで利用できる部分にかけてまいりますと、相当高価なものに、——それだけでも二倍半ぐらいなものになってくると思うのでございます。そこへガス、水道などを引き込んでまいるとかいうことになりますと、やはり相当なものになるようでございます。しかし、私たちが監督し指導しておりまするものはあくまでも原価主義であって、少しでもそこに利益をはさんではいけないということを厳重に監督しておるわけでございますから、いま大阪の場合に、そういうお話を事前に承りました以上は、特に大阪府知事を通じて厳重に指導するということにいたしたいと思います。
  204. 肥田次郎

    肥田分科員 実は、和泉市の北部のほうに、御承知のように現在も自衛隊が使っております演習場があります。百万坪ほどは全然遊ばしておる土地があるのです。こういう国有地の処分について大臣はどういうようにお考えでしょうか。これはこの地域の長い間の願望であるところの、これを何らかの有効な国の施策のために使ってほしい、いわゆる開放してもらいたい、こういう強い運動があります。われわれもこの点は全くそのとおりでありまして、われわれは、もうわれわれの生涯を通じて一般に開放するために取り組んでいきたいと思うのです。いまただちにこれを住宅地に振りかえるということにはいろいろ問題があろうと思いますが、またこれは所管も若干よそに移る場合もありますが、これの周辺に膨大な住宅地域——工場地域が臨海開発ができるのですから、この地域を公園的なもの、あるいは総合運動場を兼ねたようなもの、こういうものに実現をしていただける御意思は大臣におありにならぬでしょうか。
  205. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私もあの演習場あとにつきましては関心を持って努力をいたしておりますが、一部分はすでに公団のほうに移したと考えます。ただあとの分につきましては、まだ自衛隊のほうできっぱりした返事をよこしませんで、まだ未解決になっておりますが、私は、なるべく自衛隊が全部持っておりますものの集約的な利用方法を考えていただいて、なるべく公共施設の対象にするようにいたしたいということで、あらゆる機会に努力はいたしておりますが、まだ十分とまではまいりません。いまお話しの点につきましてはそういう経過になっております。
  206. 肥田次郎

    肥田分科員 ぜひこれは大臣の御協力をいただきまして、この演習場をそのまま、膨大な百万坪という土地を遊ばしておくことのないように、御協力をいただきたいと思います。  それから、もう一つは、これは具体的な問題で、はなはだ恐縮なんですが、実は堺の堺東と俗にいわれておりますところの、ちょうど堺の市役所の前になるのですが、防災建築街区の造成がいま進められております。これについては、私はいままでにも一、二回建設省の御意見をいろいろと聞いたこともあるのですが、いま非常に問題が起こっておると思われることについて、率直に聞いていただこうと思います。これは、昨年の夏ごろに、建設省宅地開発課長の大塩洋一郎さんという人が現地を視察されておる事実がありますが、このときに、これは簡単でよろしいが、どういう方々と会って、現地視察という役目を果たされたでしょうか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  207. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 宅地開発課長が堺市におもむきましたが、堺市の市役所を通じて現地を調査いたしておりますので、具体的にだれに会ったかは詳しい報告は受けておりませんが、市の関係者とは十分連絡をとったことと思います。
  208. 肥田次郎

    肥田分科員 実は視察に来られるということで、いろいろ意見のある人が待っておったそうであります。ところが、たまたま見えたときには、その市場はちょうど休日であった。そこで、いま言われたように市役所の報告を聞かれた、こういうことになったのだろうと思うのですが、市役所の報告を聞かれるのなら、何もわざわざ堺市までおいでにならなくても、文書やあるいは市役所からやってきておる連中に聞かれれば、それで事足りることだろうと思うのです。そこで、いま実はこういうことを私は申し上げて、さらに強力な指導をお願いしたいと思うのです。この防災街区の造成については大多数の者ということになりましょうが、これは反対派ではないのです。事情やむを得ぬだろう、こういう点では完全に一致をしておると思います。ただ指導に問題があると思うのです。いわゆる仲よしクラブのように、自分の言うことを聞きそうな者を連れてきて、そうしてこれに対して意を含めて、その連中だけで動かそうとする指導体制というものに非常に欠点があったのでしょう。そういうことのために、意思の通じない者が、自分の意思のはけ口がないものですから、いろいろと不満が出てくる。こういう現状がありました。そこで、私もそのことでは、実はすぐ目と鼻の先におるものですから、二、三相談を受けたこともございましたが、依然として今日まで混乱が続いておるのです。そこで実はこれは自分の恥を言うようですが、昨年のちょうど選挙の少し前ぐらいに、組合の幹部らしい人から私のうちに無名のはがきがきました。そうして、お前は防災街区の造成に反対の連中の意見ばかり聞いておるが、そういうことをやっておると、この次の選挙はあぶないぞ、こういう意味のはがきが舞い込んでまいりました。ところが、今度はまたいわゆる不満派といわれる人から、こういう内容のものがきております。それは簡単に言うと、関係課長が、どうも事態がうまく進まないので、それで結局不満組の中の人々のというのですか、買収にどうも取りかかっているらしい、こういうのであります。これは問題が非常に微妙でございますから、私も名前はわかっておりますけれども、名前は申しません。慎重を要する問題ですから申しませんが、結局こういうことが実はいわれております。関係課長から金をもらったことを認める者が出てきたわけです。しかもそれは、その関係課長から小切手を書いてもらって、その書いてもらったものを持って住友銀行へ行って、一時間ほど待って現金にかえてきた、こういうのであります。確かにこれは、反対派におった連中——反対派というよりは不満派におった連中ですから、不満派の連中から、おまえけしからぬじゃないか、いつの間にそんなに向こうに買収されたんだということで、いやまことに申しわけないというようなことがあったということを、実は私のところに手紙で言うてきたものがあります。そこで、私は、事の真偽は別にしまして、組合の出資は一人一万円だそうでありまして、大体百八十口くらいあろうと思いますが、そうすると一人一万円ということになると、百八十万円くらいしかない。ところが、関係課長は、二億円くらいの金があるから少々運動資金を使ってもだいじょうぶだとかというようなことを言って、なかなか景気よくやっているというようなこともいわれておる。そこで、もしこういうことが真実であるとするならば、当然こういう問題が表向きに出れば、該当者も名誉棄損というような訴えも起こすでしょうし、それからいわゆる不満組は、こういう形でこの問題を強行しようとすれば、もう当然またこの問題を直接取り上げて告訴というようなことも起こってくると思います。いずれにしても、事の真偽というものは、これは私の関係する限りじゃありませんので、地域的に処置されると思うのでありますが、ここで問題になるのは、こういう状態が起こっておるということは、やっぱり本質的には指導の誤りがあった。御承知のように防災街区の中に入る人々は、借金をたくさん背負っておる人もおる。それから金を持っておる人もおる。いろいろな層の人がその中におるわけです。だから防災街区の建築に着工すると、その地域を出払って、いま現にある程度推捗しておるところの堺市の周辺にかりに市場をつくって、そこで営業をやらす。こういう形で進められておりますから、何とかいけるだろうと思うのですけれども、これらに対する補償の措置というものが何ら講じられておらない。いわゆる任意の組合ですから、そこまで積極的にやらない。ところが、一方市役所のほうは都市計画と並行してやろうとしておるものですから、きわめて積極的なんです。とにかくシカを射るのに猟師山を見ずというかっこうで、とにかくがむしゃらにそのことの実現のためにのみ私は命をかけてやりますぞよと言って力んでおる。こういう形になると当然指導上に誤りが出てくる。全体を見ないで、そのものの実現のためにのみ力を集中するということになりますから、どうしてもそこには不自然な姿があらわれてくる。結局そういうことが今日の問題を起こしてきたのじゃないかと思うわけです。ですから、私は、全体の人々がすでに了承しておるように、この問題についてあとに指導体制というものを確立をされて、いまこうして起きておるもろもろの不満を率直に取り上げて、これらの不満を解決するような処置を講ずる。いわゆるいままでのやり方を、反省と言うたら語弊があるかもしれませんが、少なくともいままでのやり方については反省をして、全体の意向を聞く。自分の言うことを聞く者とはよく話をするけれども、そうでない者はもう寄せつけない、こういうふうなやり方で指導をするということは、決して将来も円満な運営はできないと考えます。私は事実を率直に申し上げましたので、これに対してこの際強力な指導をぜひしていただきたいと思うのであります。それから、これは私の誤解があったら訂正をいたしますが、この組合は、法によるといわゆる任意の組合のようになっておりますけれども、加入脱退は自由なんです。そういうことになってまいりますと、もうすでに一万円の出資はしたけれども、そんなことならいまのままでけっこうだという声さえ出てきておるということも聞きました。これではせっかく今日まで努力した問題が水のあわになってしまいます。いわゆる加入脱退の自由というこの権利を行使して、みんながばらばらになってしまったら、市の都市計画はやれなくなってしまう、こういう関係があるわけでありまして、これは局長のほうで直接に事務を管掌しておられると思いますので、この間の経過について何か局長のお考えがあったら聞いておきたいと思うのであります。  それから、大臣にお願いしたいのは、これはなかなか微妙な問題でありますけれども、この際必要なことは、こういう困難な事業については、建設省建設行政の強力な指導性を発揮していただくという以外に、これの解決をする道はなかろうと私は思います。一日も早くりっぱなものができるということはけっこうなことでありまして、要は指導が悪いということ、それからいわゆる資金的な面でやはりこれは問題があろうと思います。私が考えるのはしろうと考えでありますけれども、いまそこにいろいろな不満がある場合に、これは一時融資をする処置を講じて、そうしてその中におった人々の現在のものを、とにかくある程度の価格で一応その防災街区の造成組合が買い取ってしまう、それからまた新たに入居する人に対して、適当な価格で、これを長期年賦なら長期年賦でまたこれを割賦していく、こういう措置を講じる道もあろうかと思うのであります。したがいまして、これについて、一言指導の体制と将来の措置についてお答えをいただきたいと思うわけであります。
  209. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 堺の駅前の広場の防災街区につきましては、いろいろ御心配をいただいておりますが、私たちのほうといたしましても、できる限り全員の関係の方々の円満な御協力によりまして、解決ができるように期待いたしております。市のほうにも、仕事を急ぐあまり、かえって仕事をこじらすことのないように特に指導をいたしまして、組合が全員一致して仕事ができますように特に督励をしたいと思います。この仕事はわれわれも数年前から非常に適当な仕事だと考えておりますので、防災街区の助成金なりあるいはその他でできるだけ援助をいたしまして、御心配のあります点も解決をし、そうして一日も早くりっぱな防災街区ができますように努力をしたいと思います。
  210. 河野一郎

    ○河野国務大臣 だんだんお話を承っておりまして、私といたしましても、責任のある者を現地に派遣をいたしまして、あらためて事情をよく調査いたしまして、報告を受けましてから善処いたします。
  211. 肥田次郎

    肥田分科員 どうかひとつ、問題が起きているときですから、あとにまた忌まわしい問題にさらに発展するというようなことがあっても因りますので、ぜひいま大臣がおっしゃったように現地を調査していただいて、適切な処置を講じていただくようにお願いいたしておきます。質問を終わります。
  212. 稻葉修

  213. 吉村吉雄

    吉村分科員 河野さんはきわめて人情政治家であるということがいわれております。同時にまた実力大臣であるというふうにもいわれておりますから、そういう河野さんに対しまして、私はいま一つの具体的な問題をあげながら、はたして河野さんがほんとうに人情政治家であるのか、またそれに基づいた実力大臣であるのかということを明らかにしておきたいと思います。  初めにお聞きしておきたいのは、建設省所管の中で産業開発青年隊というものがありますけれども、この産業開発青年隊というものの発足、それ以降の役割、今日における発足の目的からするところの評価、こういうものについて、大臣でたくともけっこうでありますけれども、担当の局長のほうから明らかにしていただきたいと思います。
  214. 町田充

    ○町田政府委員 産業開発青年隊は約十年前に発足したものであります。発足当初の目的は、当時、農村の次三男対策というふうな問題がございましたので、そういう農村の青年対策、それと、そういった青年に対して技術的なある程度の能力を付与いたしまして、国内はもちろんのこと、できれば海外にも派遣をして、現地で大いに活躍をさせよう、こういう趣旨で始められた事業でございます。
  215. 吉村吉雄

    吉村分科員 その目的をもって設置された産業開発青年隊が、その目的のとおりに——十年過ぎておるのでありますけれども、本年度の予算でも昨年よりは若干増額をして計上されておるわけです。十年の歳月の中で、農村次三男対策という見地から見るならば、相当今日の状態というものは変わっておるというふうに私は思います。今日のそういう事態に照らし合わせてみて、一体産業開発青年隊というものがその目的なりあるいはその役割りなりを果たしてきておるというふうに考えられるのか、今日における評価をどういうふうにしておるかということをお尋ねしておきたい。
  216. 町田充

    ○町田政府委員 発足当初は先ほど申し上げましたような趣旨でございましたが、確かに今日におきましてはその間事情は大いに異なってまいっております。したがいまして、私どもといたしましても、この産業開発青年隊を今後どういうふうに運営していったらいいのかということについて検討中でございます。たとえば青少年対策という観点からながめますと、総理府に新しく青少年局というふうな部局も設置されようとしておりますし、あるいは海外派遣というふうな観点からながめますと、これも総理府の中へ新しく平和部隊というふうな構想も考えられつつあるやに伺っておりますので、そういった問題とも十分調整をしながら検討していきたい、こう考えております。
  217. 吉村吉雄

    吉村分科員 十年過ぎて、だいぶ情勢も変わってまいりましたけれども、これから十分時代にマッチするように検討を加えるということでございますが、私はその考え方はたいへんおそいと思います。しかも、検討が加えられつつあるという今日の段階において、予算の状況は、御存じのように昨年度よりは相当増額をしておる。こういうことでございますから、検討の段階ではなくして、むしろこれを強化していくという、そういう腹づもりがなくては、予算の増額というものはあり得ないのではないかと思うのです。ですから、これをどういうような形で強化をしていくか、そういうような計画というものがすでに樹立されていなければならぬだろう、こういうふうに思うのですけれども、その点はどうですか。
  218. 町田充

    ○町田政府委員 青少年対策という意味合いにおいての問題は別といたしまして、もう一つの面として、ある程度の機械の操作、運転、あるいは測量技術、そういうふうなものを身につけさせまして、国土建設に一役買わせる、こういう職能訓練と申しますか、技能訓練というふうな要素もございます。この面は、御承知のように国内の中堅技術労務者の不足というふうなことが叫ばれておりますおりから、ますますその必要性があるわけでございまして、たとえば建設業審議会から技能労務者の不足対策の方向としても産業開発青年隊の強化をはかるべきであるという答申をいただいておりますので、そういった技能労務者不足に対する一つの手段ということで、技能訓練、職能訓練というふうな面では、大いにそれを伸ばしていきたい、そういう考えでおります。
  219. 吉村吉雄

    吉村分科員 といたしますると、労働者では、今日技能労務者の不足というものが雇用問題でたいへん大きな問題になっておりまして、これを解消するために大々的な職業訓練をやっておることは、御存じのとおりだと思うのです。もし技能労務者の養成ということを主体にするとするならば、それは建設省所管というよりは労働省所管に移して、総合的にやることのほうが、国費を有効に使うということになるのではないかと思うのです。建設省がこの産業開発青年隊というものを置くということは、それはそれなりの目的というものがあってしかるべきだと私は思います。いまの御答弁によりますと、どうもこの技能労務者不足対策の一環としてというウエートを非常に重く見ておるようでありますが、これではどうも政府として一環したところの対策というものになっていない、そういうところにむだというものが起こってくる、こう言われてもしようがないのではないかと思うのです。私は、そういう点について、一体この技能労務者不足というものを解消するという、それがもし強いとするならば、それは労働省所管の職業訓練のほうに統合してしまったほうがいいんじゃないか、こういう気がしますけれども、この点一体大臣どうですか。
  220. 河野一郎

    ○河野国務大臣 労働省のほうでやっておられる技能訓練、これは、私は、建設省でやっておりますこれら青年諸君に土木、建築等に関連した技術を与えておるというものほど、積極性もなければ専門性もないんじゃないかと思うのです。同じ目的でありましても、すべて画一的に、同じ政府の中に二つあっちゃいかぬじゃないか——それは一つでいい場合もありましょうけれども、たとえば水産関係の学校にしましても、農林省で水産研究所を持っております。魚をとることを一生懸命やっております。水産関係の学校は農林省以外にやっちゃいかぬか。これは北海道庁にもありますし、また各種の専門学校がたくさんあります。こういうようなもので、そういうものはあまり繁雑になることはどうかと思いますけれども、機会はなるべくたくさん与えて、そうして専門的教育をしてやるということは、私はそう一がいに卑下すべきものじゃないんじゃないか。またそれを、そういう機会があります際にあくまでもがんばって、これは別にするんだと言ってがんばるほどの必要もないかもしれませんけれども、そういうふうにせっかくあるものを、そうして歴史を持って先輩、後輩もおる、現在のここの職員諸君を初めとして、ここにおります青年諸君が、非常に勤勉に能率をあげて、よくやっておられることを私は知っております。そういう関係にありますものを、一がいに労働省のほうにあるものと一緒にするということについては、必ずしも私はそれが上の上なるものじゃないんじゃないかというような気持ちもいたしております。しかし、これは将来永久にその方針をもって進まなければならぬものとは私は考えておりません。そのときそのときにおいて、ケースバイケースでひとつ考えていけばいいんじゃないかと考えております。
  221. 吉村吉雄

    吉村分科員 いまの大臣の答弁からいたしますと、労働省でやっておる職業訓練、というよりは、建設省がやっておる職業訓練的な産業開発青年隊のほうがいいという趣旨のように聞こえるのですけれども、私は、産業開発青年隊というものに職業訓練的なもの以外に任務を持たせるとするならば、それはそれなりの目的というものがあり、それなりの性格というものがあってしかるべきである、こういうふうに考えます。そこで、局長答弁では、私は、どうも情勢が変わってきたので、技能労務者不足というものを解消する一環としてこういうふうになってきたというふうな趣旨にその答弁がとれましたから、だとするならば、それはもう労働省の所管のほうに移したらいいんじゃないか、こういうふうに反問したわけです。  そこで、次にお尋ねしておきたいのは、この産業開発青年隊の実施要綱によりますと、第一に目的として次のようにうたってあります。「産業開発青年隊は、将来国内および海外における建設事業等に従事する青年を対象として、建設技術および建設技能の養成訓練を組織的に行なうことを目的とする。」こういうふうにあるのでありますけれども、この実施要綱というものは現在も変わっておりませんか。
  222. 町田充

    ○町田政府委員 現在も変わっておりません。
  223. 吉村吉雄

    吉村分科員 そういたしますると、この目的の中の「将来国内および海外に」とこういうふうにありますけれども、この場合の「海外」というものは一体どこをさしておりますか。
  224. 町田充

    ○町田政府委員 従来はすべてブラジルでございます。
  225. 吉村吉雄

    吉村分科員 これからはどういうように考えますか。
  226. 町田充

    ○町田政府委員 過去の例で、一人タイのほうへ就職をした青年がございますが、将来の地域としては、そういう東南アジアの方面というものが十分考えられると思います。
  227. 吉村吉雄

    吉村分科員 外務省の方を呼んでいただくようにしておったのですが、何かの都合で出ていないようですから、実力者である河野大臣がおりますから、すべておわかりだろうと思いますので、お尋ねしたいと思うのですが、御承知のようにコロンボ計画がある。日本はコロンボ計画の援助国になっているわけです。こういう状態から見ますると、産業開発青年隊の海外への、何といいますか、いろんな事業、そういうものをやっていくというこの目的からしますると、コロンボ計画の中の技術協力的な役割りというものがうかがえるものではないかというふうに思われますけれども、実際に国として、現在東南アジア諸国との技術協力というものを進めておる。あるいは経済協力というものを進めておる。こういう中で、コロンボ計画とこの開発青年隊との関係というものは、いままではなかったと思うのでありますけれども、将来はつながっていくということになるのかどうか。この点をひとつ大臣のほうから聞かしてもらいたいと思います。
  228. 河野一郎

    ○河野国務大臣 最近はわが国の建設技術は非常に優秀でございまして、東南アジア方面にも相当大事な工事の請負に当たって、出かけて行って工事を施行中でございます。これらの工事に従事する青年も、当然これらの中から出かけて行って従事してよろしいのじゃないかと思います。それは技術優秀であり、現地との関係において、それは尊敬され、また同時に要請された場合には、大いに協力するという事態が起こってくることはあり得ることじゃないかと思います。
  229. 吉村吉雄

    吉村分科員 大臣がおいでになる時間がないそうですから、はしょって私はお尋ねをしておきたいと思うのです。  いままでの質問によって明らかになってまいりましたのは、産業開発青年隊の今後のあり方の一つの方向としては、海外との技術協力、そういうことも考えられる、こういうことでございます。そこで、私は、この海外との技術協力ということは、実際には人が向こうに行って技術の指導に当たる、こういうことが当然伴ってくると思いまするので、一つの事例を申し上げて、一体これでよいのかどうかということを大臣から聞かせてもらいたいと思うのです。これは産業開発青年隊を終了した人、しかも幹部教育を受けた人、この人に建設省の所管課がタイ国に行ってくれぬかという勧奨をして、慫慂をして、その担当課の課長が、タイ国にある日本人商社とここを終了した人、名前を申し上げますると、いまは故人になっております村田栄君という方でございますが、幹部訓練を受けたこの方にタイ国に行ったほうがいいじゃないかと慫慂をした。担当の課長がその契約の保証人になった。こういうことで、向こうに渡っていくのにあたって、いろいろの労務契約的なものを結んで行ったわけでありますが、不幸にしましてこの方は作業に従事中になくなってしまった。ところが、このなくなった村田君の補償の問題について容易に問題が解決しない。そのために、遺骨はもう約一年も現地に放置されたままになってしまう。どういう点が問題になったかと言いますると、なくなった村田君に対する補償をどうするかということが具体的な問題になった。そういうことで遺骨が帰ってこないというために、この村田君の母親はたいへん心配をいたしまして、ついになくなってしまう。母親もまた、息子さんの遺骨もこないというようなことで、とうとうなくなられるという不幸な事態が起こったわけです。私は、この一つの事例を見まして、どうも政府のほうの考え方、建設省のやり方というものは、きわめて無責任なやり方をしておる、こういうふうに言わざるを得ないというふうに思います。訓練することは一生懸命訓練する。そうして、あなたはそちらのほうへ行ったほうがいいではないですかということで、その保証人にまでなったのです。そこまではたいへん親切だと思います。ところが、不幸にしてこの方がいまのような事態になった。そのあとの始末については、それは民間の会社と特定の個人の契約なんだから、したがって私どものほうとしてはどうにも方法はございません。できるだけのあっせんの労はとります。確かにあっせんの労をとったことは事実でございます。そういうことで、きわめて不幸な事態が起こったのでございますけれども、私はこの個人の問題を大臣に聞かせようとするのではないのでありまして、こういうようなやり方をやっておっては、はたして今後、日本人の技術者を東南アジア諸国に技術協力というようなことで派遣をするなり、あるいは工事をするなりということを国策上やっていこうとしても、そういうことが解決されない限り、とうていその国策は実現を見ないのではないか。そこにたいへん重要な問題があるというふうに私は思います。ですから、こういうような点につきましては、申し上げるまでもございませんけれども、東南アジア諸国の社会保険関係、そういうものは日本よりもずっと劣っておる。劣悪でございます。ですから、これらの日本の方々を向こうにやるという場合には、その事態に対して、留守家族なりあるいは当事者がほんとうに安心して、喜んで国策に協力でき得るような具体的な条件というものを国の担当の省が確立をする、こういうことがぜひとも必要ではないかと思うのであります。それがなっていない。今度のこの問題についてなっていないというふうに考えまして、決してこれは一人の労働者の死亡という問題でなくて、将来の日本の海外協力という国策上の問題からとらえてみて重要な問題だというふうに考えますので、これらの点について大臣は一体どのように考えますか、伺っておきたいと思います。
  230. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私もこの話はいま初めて伺うのではないのでありまして、全然別の機会にこの話を伺っております。しかし、話は建設省の話ではないのでございまして、外務省の話だと思います。わが国政府の問題であると思います。政府政府との関係の問題であって、一日本人がタイにおいて不慮の災難にあった。その人の処置について日本政府はこれをどう扱うかという問題だと思うのであります。あちらのほうに行くのは、訓練隊員として行ったものでもなく、建設省の職員として派遣したわけでもなければ、建設大臣が辞令を渡して行ったものでもない。これは日本国民があちらのほうに職を求めて行って働かれた。それが不慮の災害にあった。その場合に、日本の大使館なり領事館なりがこの問題をどう処置するかという問題だと私は思うのであります。むろん、それは災害の補償が適当でなければ、それに対して、相手国に対して災害の補償を請求する交渉ができるかできぬかという問題だと思うのでございまして、これはさかのぼって青年訓練隊の問題じゃない。青年訓練隊員であったかもしれませんが、青年訓練隊員として建設省がこれを派遣したわけでもなければ、建設省がこれをどうしたわけでもないということでございますから、私は関係ありませんとか、私は責任ありませんとかいうことではないのであって、その責任は日本国政府において十分に責任を負うて、日本国民がタイにおいてそういう事態が起こりました際に、わが外務省なり、公使館なり、大使館なり、領事館なりという出先機関が、これに対して十分な責任を負って処置することが適当な処置である。これを建設大臣が、国内の行政をやっております私が、この問題についてとやかく発言してみたところが、それによってどうするわけにもいかぬ。私は、国務大臣として外務大臣を督励して、この問題の処置をするということが適当なことだろうと思います。
  231. 吉村吉雄

    吉村分科員 この問題は一つの事例でございますから、まさしく政府全体としてこの種の問題にどう対処するかという方針が確立をされなければ、海外協力とか技術協力とかいう国策というものは円滑に遂行していけないだろう。そういう認識につきましては、私も全く同感でございます。ただいまの大臣の答弁によりますと、関係各省のほうと十分連絡をして善処をするということでございますから、実力大臣でもございますから、その点はその実力に期待をしたいと思います。  私がこの委員会で問題にしたのはなぜかと言いますと、担当の課長が労務契約の保証をしておる。それはどうして保証をするかということになれば、いろいろの事情があったかと思います。その建設省の担当の課長が保証をしている以上は、その行政官の一人であるところの課長は、国策上いまどうこの問題を処理しなければならないかという、そういう判断は当然にして生まれるべきだと思うのです。ところが、会社のほうから、会社がつぶれてしまったからどうにもしようがないとか、あるいはその企業の状態がうまくないからどうにもしようがないとかということで、日本の国内法の労災法の適用すら満足に行なわれない。こういうような処理のしかたをしておって、一体今後の技術協力ということができるのかどうかということを考えましたから、建設省の所管をしておる産業開発青年隊、そういうところから事が出発しておりますから、私はこの委員会でこれを問題にしておるわけなんです。だから、いま大臣が答弁をされましたように、まさしく政府全体の問題であるはずですから、これは今後十分こういうことのないようにしてもらわなければ困ると思いますし、この具体的な事例については、十分な措置で善処をしてもらうようにお願いをしたいと思うのです。私は、この問題が相当地方の新聞にも出ておりまして、現在もまた御承知のようにこの青年隊員の募集が行なわれておる。行なわれてはおりますけれども、そういった問題が解決しなくて募集をするということは、私はそれ自体どうも無責任だとは思いますけれども、そういうようなことが地方で相当大きな問題になっていけば、一つの事業をやっていくのにあたっても、それをやっていく協力態勢というものが国民の中に出てこないのではないかと思うのです。ですから、そういう点は、小さい問題だと考えないで、国策全般の問題としてとらえ、そうして十分に解決をしていく、こういうふうにしてもらいたいということを特に要望しておきたいと思うのです。  なお、時間になりましたから終わらざるを得ないのですけれども、誤解があるといけませんから、私の質問——いま申し上げたことの中で国内法の適用、こういうものについては基準法なり何なりを全部調べた上で、一体国内法でこれを処理する場合にはどういうふうにならなければならないのかということで、たいへん問題を含んでおります。しかも、遺族の方々はいまどういう気持でおるかと言いますと、そういうことを国が一生懸命——募集をするときには何のかんのと言って募集をし、そうしてまた、海外に行くときにも、建設省のお役人だからというので、国の行き方、国の考え方というものを信頼して海外へ出した。ところが、こういうふうになってしまったにもかかわらず、その満足な事後処理がなされていないということで、非常に憤慨をしまして、訴訟問題を起こすと言っていま騒いでいるというのが実情でございます。ですから、大臣からも先ほど適切な答弁がございましたけれども、一つの具体的な事例ではありますけれども政府全体の問題としてあたたかい配慮を持って措置をされるように、特に要望しておきたいと思うのです。  さらに、この産業開発青年隊のあり方につきましては十分検討されておるということでございますが、何といいましても、発足当時からすると、諸条件というものは相当変わっておる。農村の次三男対策というような、そういうようなことでやっていける時代でないことは、大臣も御承知だと思うのです。あるいは労働省の職業訓練所との関係もできてくる。あるいは青少年対策とするならば総理府の関係もできてくる。こういうことでございますから、この産業開発青年隊のあり方自体についても真剣に考慮した上で、そうしてとかくの問題を起こさないように、国費がむだに使われることのないように、十分検討をしてやっていただくように要望して、私の質問を終わります。
  232. 河野一郎

    ○河野国務大臣 だんだんお話を承っておりますと、一青年の不慮の死から、この産業開発青年隊のあり方が、非常に国費を浪費しておるような疑いの起こるような御発言を承ったわけでありますが、私は、もしこれがしいて募集をしなければ人が集まらぬようなものであれば、すみやかにやめてよろしいと思います。こういうものを地方の青年が要請して、これによって建設の各種の技術を修得しようという青年諸君の意欲がある。その意欲にこたえて技術の訓練をする。ただ建設省が、そういう機械も備えておりますし、そういう方面の教育をするのに適切なチャンスが多いという意味から、青年諸君にそういう教養を教授いたしておるということにほかならないのでございます。したがって、そういうむだなことをやるからやめたらいいだろう——もしはたしてほんとうにむだなことなら、すみやかにやめるのに少しもやぶさかではございません。何もこれをやってどうしようというのではない。そういう国家のためになり、青年諸君のためになることであると考えますから、引き続きやっているのであります。しかも、その学校を出た学生さんがたまたま就職をせられた先で不慮の死にあわれた。それがたまたま国内でなく外地だったという事態だと思うのでありまして、多数の青年諸君がこの訓練所で——私は訓練所を出られた多数の優秀な青年諸君にお目にかかっております。非常に喜んで、強力な団結のもとに、地方開発のために、または土地造成のために働いておられる諸君を私は承知しております。そういうふうに、私としても相当の期待を持っておるわけでありますが、ただいまのような御発言を承っておりますと、何か一部に誤解をされる向きもあるんじゃないかと思いますから、何も無理に海外に協力して、海外に派遣することが目的じゃない。おいでになるのがいやなら、おいでにならぬでけっこうでございます。国内で職場を求められてけっこうなことでありまして、そういう教授、授業をしたら、それは海外にいくのが約束である——海外に行くことを強要するとかというようなことは、全然考えておりませんのでございますから、それらについてなお検討をする必要があれば、十分検討はいたしますけれども、もし全国の青年に誤解でも与えるようなことになりましたらと思って発言をいたしたのでございますが、なお私としても十分検討はいたしますから、せっかく御協力をちょうだいいたしたいと思います。
  233. 吉村吉雄

    吉村分科員 終わるつもりでしたけれども、だいぶん話が込み入ってきましたから、しかも私の発言をだいぶ誤解をされてとられておるようでございますから、明らかにしておきたいと思います。  私はこの産業開発青年隊をなくせとかなんとかいうことを言っておるつもりはないのです。十分将来の方向について検討するということをおたくのほうからお話がございましたから、訓練所の関係、あるいは青少年対策としてならば総理府の関係も出るでしょうから、したがって、この青年隊の実施要綱、そういうものに沿うように十分検討してもらいたいということを言っただけでありまして、そこはひとつ大臣誤解のないようにしていただきたいと思います。そういう問題から、この実施要綱の中に海外との技術協力関係も出ておりますから、もしそういうことをやっていこうとするならば、先ほど申し上げたような具体的な事例についても、ほんとうに協力でき得るような事後措置あるいは事前の対策、こういうものを確立していくということが必要ではないかというのが私の申し上げている趣旨ですから、誤解のないようにしていただきたいと思います。
  234. 河野一郎

    ○河野国務大臣 わかりました。
  235. 稻葉修

    稻葉主査 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十二日午前十時より開会し、建設省所管について質疑を続行いたします。  これにて散会いたします。    午後六時一分散会      ————◇—————