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1964-02-25 第46回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十五日(火曜日)    午前十時十四分開議  出席分科員    主査 松浦周太郎君       荒舩清十郎君    安藤  覚君       井出一太郎君    仮谷 忠男君       櫻内 義雄君    淡谷 悠藏君       板川 正吾君    加藤 清二君       川俣 清音君    多賀谷真稔君       藤田 高敏君    松井  誠君       武藤 山治君    吉村 吉雄君    兼務 石田 宥全君 兼務 辻原 弘市君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房会計課         長)      佐藤 二郎君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  向坂 正男君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君         総理府事務官         (経済企画庁水         資源局長)   崎谷 武男君         総理府事務官         (経済企画庁調         査局長)    淺野 義光君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    橘  恭一君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     金井多喜男君         通商産業事務官         (企業局参事         官)      馬郡  巖君         通商産業事務官         (繊維局長)  磯野 太郎君         通商産業事務官         (鉱山局長)  加藤 悌次君         通商産業事務官         (石炭局長)  新井 眞一君         中小企業庁長官 中野 正一君 分科員外出席者         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部金融第一課         長)      中村 俊夫君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     山本  悟君         自治事務官         (財政局財政再         建課長)    林  忠雄君         国民金融公庫総         裁       石田  正君         中小企業金融公         庫総裁     舟山 正吉君     ————————————— 二月二十五日  分科員加藤清二君及び多賀谷真稔委員辞任に  つき、その補欠として武藤山治君及び藤田高敏  君が議長の指名委員選任された。 同日  分科員藤田高敏君及び武藤山治委員辞任につ  き、その補欠として板川正吾君及び加藤清二君  が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員板川正吾委員辞任につき、その補欠と  して吉村吉雄君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員吉村吉雄委員辞任につき、その補欠と  して松井誠君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員松井誠委員辞任につき、その補欠とし  て多賀谷真稔君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第一分科員石田宥全君及び辻原弘市君が本分科  兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計予算経済企画庁及び  通商産業省所管  昭和三十九年度特別会計予算通商産業省所管      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これより会議を開きます。  昭和三十九年度一般会計予算中、経済企画庁所管を議題といたします。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代して分科員になられた方は三十分程度にとどめることとなっておりますので、御協力をお願いいたしたいと存じます。なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に要領よく、簡潔に行なわれますよう特に御注意を申し上げます。  これより質疑を行ないます。質疑通告順によりこれを許します。  藤田高敏君。
  3. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 私は、新産都市問題を中心質問をいたしたいと思います。時間の制約の関係がありますので、質問点を羅列する形になると思いますが、その点要領よく御答弁を願いたいと思います。  まず第一に、新産都市建設につきましては、その良否を越えて、すでに一昨年の五月、その法律の制定を見たわけでありますが、そもそも国が法律をもってまでこの建設に乗り出さなければならなくなった理由は何であるか。私の見解をもってすれば、それは独占資本が無計画自由意思によってどんどん設備をやり、工場建設をやり、そのことが大部市に産業と人口が集中してしまって、いわゆる国民都市化活に非常な悪影響を及ぼすこととなったために、その過度集中化を排除する必要に迫られてきたことが最大の原因であると理解しておるのであるが、そのように理解してよろしいかどうか、経済企画庁長官のお考えを聞かしてもらいたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 主査の御指摘もございますので、簡潔にお答えをいたします。  独占資本云々ということは、別にそのことに関係がないと思います。ただ経済の発展に伴って、経済効率のいい都市周辺企業が集まりまして、そのために過度に密集する地帯大都市周辺にできつつある、そういうことは事実であります。したがって、企業としても、より経済効率のいい地方受け入れ態勢さえあれば出ていきたい気持ちを持っております。また、国の政策といたしましては、そのようにして国の開発が大都会に片寄るということは好ましくないことでございますから、地方開発地域格差の是正という国の観点からも考えまして、新産業都市指定をしたということであります。
  5. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 新産都市法の目的を見ましても、これは産業過度集中を排除するということが法律の骨子になっておるわけでありますから、産業過度集中ということは、やはり独占資本経済政策あるいは池田内閣高度経済成長政策新産都市法という形で問題を提起してきたわけです。ですから、その点では肝心なところを長官は御答弁にならなかったようでありますけれども、私は先ほど指摘いたしましたような考え方観点に立つわけでありまして、そういう観点に立って、そういう性格のものが新鹿都市建設であるということになれば、これに要する産業基盤整備費と称すべき財政投融資は、国なり地方自治体財政投資をするのではなくて、資本家のいわば自前による投資中心としてこの種の産業基盤整備をはかることが基本でなければならぬと思うが、どのように長官考えられるか、御見解を承りたい。  また、私が指摘したようなそういう新産都市建設であれば、いわゆる資本家のために、独占資本のために便益を供与するという形の新産都市にどうしても流れると思うのですが、国なり地方公共団体財政投資をして、あるいはその他の便宜供与をして新産都市建設することになれば、おのずから地方住民の出港と福祉を向上さすのだ、こういうことを前提として新産都市建設をやるべきではないかと思うのでありますが、その点についての長官の御見解を聞かしてもらいたい。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前提において藤田委員と所見を異にいたしておるわけであります。すなわち、大都市周辺資本が投下されたということの理由は、おそらくはそれが生産、消費の両面から見て資本効率が高かったということの結果であると考えておるのであります。したがって、それを地方に分散するということであれば、地方においてもやはり資本効率がかなり高いというような条件を国なり地方公共団体なりでつくっていかなければならない、こういうことが新産都市という考え方基本であると思います。したがってその面から申せば、当該企業負担にこれはかかるのが当然でありますけれども、同時に国なり地方公共団体財政支出によって先行的な公共投資をする、それによって投下された資本効率が高くなるような受け入れ態勢地方につくっていく、こういうことが基本であろうと思います。もちろん、後段に御指摘になりましたように、これはただ工業地帯をつくるのではなく地方の総合的な開発の拠点をつくろうというのでありますから、開発というにはただ煙突から煙が出るという意味ではございませんで、地方住民福祉全体を総合的に考えるという観点が大切でございますから、そういったような配慮は当然いたすべきものだと思います。
  7. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 新産都市法成立をしましたときの経緯を振り返ってみますと、産業基盤整備にのみ重点を置くのではなくて、いわゆる生活基盤の拡充ないしは環境衛生整備、こういった地域住民生活福祉を向上さすという、そういう条件を少なくとも並行的に充実さすということが法案成立にあたっての重要な条件になっておったと理解をするものでありますが、その点について政府はどのような具体的な対策を講じようとしておるのか、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘はごもっともであると思います。ことに経済が進んでまいりますと、経済というものが経済だけでなく、国民の全体の福祉に奉仕しなければならない観点がはっきりいたしてまいります。消極的な面から申せば、環境衛生め不足であるとか、公害等々の問題からそれが国民に広く認識せられるようになりました。したがって、私ども地方に対して建設基本方針を指示いたします際に、ただ経済効率だけを考えずに、住民全体の福祉ということを考えて、厚生施設、公園でありますとか、環境衛生でありますとか、あるいは文教でありますとか、公害の問題、そこまでをよく考え建設基本計画を立てるように方針を指示いたしております。また、その運営については、現在の法律のたてまえでは厚生大臣要請大臣に入っておりませんけれども、当然厚政行政関係するところが多いわけでございますので、実際の運営にあたっては、厚生省当局をも建設基本方針の設定及びその検討について一緒に作業に入ってもらいますように、すでにそういうことでいたしております。
  9. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 若干角度を変えて質問をいたしますが、政府がこの新産都市建設にあたって建設をしておる建設事業費の大綱的な計画内容ですね、これを示してもらいたいと思うわけです。と申しますのは、たとえば私の調べたところによりますと、その建設事業費が十三地区に対して約二兆八千億の事業計画を立てておるようでありますが、その内訳として国がどの程度財政負担をやる、あるいは市町村、県がどの程度財政負担をやる、そういった負担割合内容を示してもらいたいと思います。それとあわせてその二兆八千億の事業計画のうち産業基盤整備に充てる財政負担割合生活基盤の充実に充当する財源内訳を示してもらいたいと思います。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、御質問でございますけれども、いまの段階お答えを申し上げることは困難でございます。と申しますのは、これから指定された地区ごとにあらかじめ示しました建設基本方針に従って建設基本計画を出してまいるわけでございます。その建設基本計画当該計画者と各商とが協議をいたしまして決定をいたすわけでございます。建設基本計画が各地方ごとにきまりますと、投資の具体的な額までわかってくるわけでございますが、いまのところ、指定をいたしたばかりで建設基本計画が出てまいっておりません。出てまいりましても、それから各行でそれを検討いたすわけでございますから、最終的には地方産業開発審議会建設基本計画がきまりませんと、それが計数的に幾らのものになるかということがわかってまいりません。それがわかりましたときに、これは、事業によりまして補助率も違うことでございますし、中央地方負担区分も違うことでございますから、それが確定いたしますと、大体当該地方建設基本計画、それに要する費用が幾らであって、そうしてその中央地方の持ち分が幾らであるといったようなことがきまってまいります。それを全国十三地区を総合いたしますと、ただいまの御質問お答えができるわけでございますが、まだそういう作業がそこまでいっておりませんので、計数的に申し上げることができない状態であります。
  11. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 私は、ただいまの長官答弁を聞いて非常に奇怪に思うわけです。私も約十年余り地方議会に籍を置いておった者ですけれども、いわゆるこの種の大事業を推進するということになれば、おのずから政府の示す方針に沿ってそれぞれの自治体というものは計画立案する。その立案の基礎になるべきものはやはり財政計画だと思うわけです。いま地方住民にとっては新産都市に対して一つの夢と、一面非常に大きな不安を持っておる。その不安とは何かといえば、地方自治体住民に対して非常に大きな財政負担がかかるのではないか、またそれぞれの自治体に対して財政負担にたえられないような自治体負担というものがかかってくるのではないか、こういう点の心配がいま一番大きいわけなんです。そういう立場からいきましても、また新産都市が仮指定からつい前月たしか二十四日であったと思いますが、俗に言う本指定がなされて、いま県に対しては政府基本方針を明示して、いよいよ長官指摘いたしましたようにこれから基本計画を出してくる、こういう段階でありますが、その基本計画は、どういった事業に対し、どれだけの財政負担地方自治体にかかり、あるいは国がどれだけの財政負担をしてくれるのか、そういう内容が大綱的に示されなければ、これは基本計画そのものが立たぬと思うのです。したがって、いま御答弁になったようなことでは、それではそれぞれの地方自治体においてどういう基本計画を立てさせようとしておるのか、その基本計画性格を御答弁願いたいと思うのです。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、当該地方が新産業都市をつくりますためにどういう公共投資を必要とし、それを何年間にどういう手順でやるかといったようなことが中心になるわけでございます。もちろん、その中には工業地帯ばかりでなく農村を含み、また先刻申しましたように、環境衛生関係のものをも含むわけでございますが、それらの建設基本計画を出してもらいまして、調査検討をして最終的にそれがきまるわけでございますが、これは一つ一つ事業でありますから、総事業費というものはおのずから計算ができるはずでありますし、事業の種別によりまして国と地方負担区分もきまっております。新産業都市に限って特段の高率の補助をいたすというつもりはございません。したがって、それは自動的に計算ができるはずであります。
  13. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 これは自治省とも関係があろうかと思いますが、少なくとも私どもがいま承知しております新産都市事業に関連をする財政計画内容というものは、これは一つ一つ事業種目にわたっては、いま長官答弁しましたようにこれはわからないと思うのです。しかしながら、十三地区ならば十三地区に対する建設事業興の大まかな資金計画内容というものはおのずからあると思うのです。私どものいま把握しております範囲では、先ほども指摘いたしましたように約二兆八千億、三兆程度計画内容になっておるわけですが、その内訳は、国、県、市町村というふうに区分いたしますと、国費によって行なうものが約四割、県及び県負担分が約一割、市町村負担分が約八%、特定財源と称するものが約五%、地方債が三五%、こういうふうになって、この比率からいきますと、市町村と県及び県の負担分というものがかれこれ六割程度から財政負担をするという計画になっておるというふうに私ども理解をしておるわけです。こういう大きな財政負担がはたして今日の地方自治体財政力をもって消化できると政府考えておるのかどうか。私の調査によれば、この十三地区であれば十三地区関係市町村財政規模の平均というものは年間約二百五、六十億程度であります。また、そういう程度規模で、その程度規模財政力しか持っておらないこれらの自治体に対して、いま私が指摘したような財政負担をやらすという計画のもとに基本計画を立てろ、そしていま、この六月かあるいは七月ごろにそういう基本計画を集約するという方向作業が進められておるようでありますけれども、こういうような膨大な財政負担地方自治体負担さすようなことで計画を立てろということ自体がそもそも無理な計画ではないのか、その点についての政府見解を示してもらいたい。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おそらく藤田委員が御質問になっておられます根拠は、現在各地方希望しておりますところの建設計画、それにあらわれました数字を総計されたものと思います。そしてその中には、したがって鉄道でありますとか、電電公社でありますとか、あるいは住宅公団でありますとか、そういう政府関係機関のいたします投資をも当然にこれは加えて各地方考えておりますから、それを総計された数字だと思います。しかし、これは各地方のいわば希望をしておる計画でありまして、なかんずく各地方ともその地域内の利害調整というものが事柄の性質上非常にむずかしゅうございますので、どれもこれもあわせて考える、いわば査定をしない形で希望図というものを描くということは、これは考えられることでございますから、最終的に建設基本計画をつくりますときにそれでは困るわけでございまして、やはり多少つらくてもその地域内の利害調整を、私どもお手伝いいたしますから、しなければなりません。そういたしますと、希望考えられておる計数はかなり圧縮されざるを得ないし、また投資効率から考えまして圧縮いたすべきものと考えます。したがって、それだけのプロセスを経ません現在で、どのくらいの数字になるかということを申し上げることは困難でございます。こう申し上げておるわけでございます。そこで、かりに最終的に現実的な建設基本計画がきまりましたときにも、なおもとより地方団体——県なり市町村なりの負担は相当なものであろうということは想像にかたくございません。けれども、私ども考えでは、その結果それだけの先行投資をいたします結果、企業による資本投下が行なわれて、やがてそれが生産になって出てくる。その結果は、当該団体財政力も当然大きくなるはずでございますから、これは将来にわたって負担していけるものであろう。また計画そのものは、建設基本方針で示しましたように、当該地方公共団体財政状況計画的に調整をしてもらわなければならないものだと考えるわけであります。いずれにしても、企業資本投下による生産当該地方団体財政力になって返ってくるまでの間には当然瞬間のおくれがございますから、その間それに対して起債をするなり何なり——起債を認めてやらなければならぬといったような問題は、これは当然起こることだと思いますし、またその用意はいたしております。
  15. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 名目的に財政規模が大きくなりましても、私の指摘をしておるのは、いま国が計画を進めておる資金調達計画と言いますか、新産都市建設に伴う事業費資金計画内容からすれば、全体的な、総体的な予算規模というようなものは大きくなったとしても、自治体と国との財政負担割合というものは変わらないのではないかと思うのです。そういうことでは、いま指摘したように六割からの財政負担地方自治体がやるということであれば、これはどんなにさか立ちしたって地方自治体なり地方住民負担においては消化し切れないと思う。したがって、これは根本的に、政府がいますでに五つの地区に対して具体的な基本計画を一この基本計画は私は単なるマスタープランではいけないと思うのです。もうすでに申請をした段階から今度は基本計画段階で、この基本計画というのは現実実現性のある計画でないと何ら新産都市計画そのものとしては価値がないと思う。現実性のある計画ということになれば、おのずから地方自治体負担がどれだけ、国がどれだけ、資本家幾ら、こういう資金負担内容というものが地域住民にも十分理解をされた形の上でこの新産都市建設というものがなされないと、たとえば農業構造改善事業ではないけれども政府指定を受けた——指定を受けるまでは非常に何か夢を描いておる、しかしいよいよ農業構造改善事業に取り組むという段階になってみると、その地域負担が大きくて返上しなければいけないという事態も起こってくる。こういう状態新産都市建設の問題に対しても起こってくる心配が十分にあると思う。そして、いま指摘したような地方自治体が六割に匹敵するような財政負担をしなければいけないような計画であれば、地方住民は、そんなものを、そんな財政負担をしてまでおれたちは新産都市建設に協力することはできない、こういうかっこうになってくるのじゃないかと思うので、いま政府がすでにこの地方自治体に対して一つ計画案として示しておる資金計画というものは、これを根本的に改正をして、極端に言えぱ、新産都市建設に伴う事業費全額国庫負担でやるのだというくらいな計画資金計画内容を変更しないと、この建設事業がいわゆる前向きの姿勢で進展をしないと思うわけですが、このあたりについての政府見解を示してもらいたいと思うわけです。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 地方公共団体に相当な負担がかかるであろうということは御指摘のとおりだと思います。また国としても、それを軽減するためにできるだけ国費の使えるところは使いますし、また受益者にも負担をさせるつもりでありますし、起債考えてまいるつもりであります。しかし、それにもかかわらず、地方が協力しないということであれば、それはもうそれとして受け取るしか方法がございませんので、地方にそういう御意思がなければ、新産都市建設はやめてもらうということしか私はないと思います。これは相当の御苦労であろうが、将来必ずそれが地方福祉になって立ち返ってくるであろうということをお互いに考えましたからこそ希望もし、指定もいたすのでありますから、それをそう考えない、全部国が持ってくれ、苦労はしない、こういうお気持ち地方があるならば、そこに新産都市をつくるということは、私は元来無理であろうと考えます。
  17. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 全額国庫負担というのは、極論をすればということなので、私が指摘をしておるのは、あまりにもいま政府考えておる計画内容からいえば自治体負担をかけ過ぎるという点を指摘をしておるのであって、問題は、その自治体にこんな多くの財政負担をかけるような計画を根本的に変更をするという方向地方自治体あるいは地方住民に対して新産都市建設を要請するのであればしていく、こういう姿勢に変わらなければ、農業構造改善専業ではないけれども、せっかくの政府考え方自身も挫折をするのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけです。この点は、いわば今日段階では、ある意味においては水かけ論になるかもわからないと思いますけれども、相当大きな財政負担自治体に余儀なくするのだという長官答弁からすれば、はたして今日の自治体がいま政府考えておるような財政負担をするだけの能力がどういう条件の中であると政府考えておるのか、そのあたり考え方を聞かせてもらいたいと思うのです。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 むしろ、ただいまの御質問を逆にお答えしたほうが私は正確ではないかと思いますのは、先刻申しましたように、国としても、公共事業による倒置の負担、あるいは政府機関によるところの投資起債によりまして負担を将来に引き延ばすといったような方法、あらゆる支援は惜しまないつもりであります。しかし、それにもかかわらず、なお地方財政力がとうていこれを負担し得ないというのであれば、負担し得る限度に投資規模を締めなければならない、むしろそういうふうに考えております。
  19. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 時間がありませんので、その点については私が納得するような御答弁をいただけないことが残念でありますが、地方自治体ないしは地方住民負担をかけない方向で、新産都市建設と取り組んでもらいたいということを強く要求をしておきたいと思います。  次に、角度を変えて二、三質問をいたしたいと思います。すでに政府は五つの地区に対しては基本計画の提示を要請する段階にまでこの新産都市計画が進行しておるわけですけれども、今日の新産都市法内容からいけば、最初政府に出してきておった申請案、次に今度は政府から出した基本方針、この段階では計画案がだいぶ変わっておると思うのです。というのは、最初、一つの例で言えば、工業の出荷額を五千億程度にするという案が出てきた。ところが、政府政府の立場でいろいろ検討して三千億くらいにならざるを得ぬじゃないかという形で、いわば計画案が当初のそれぞれの該当地区自治体考えておった案よりも小さくなったか、もしくは形が変わってきておると思うのです。そういうことになれば、これは当然それぞれの地方自治体においては、AからBという形に内容が変わってきた、政府方針がこういうふうに変わってきておるのだということを、地方議会に協議——それぞれの地方自治体にとっては大事業でございますから、できれば地方議会の承認を経て開発事業団をつくっていく、こういう形が一番望ましいと思うわけですけれども、今日の法律では、そういう議を経なければならないという義務規定にはなっていないわけです。したがって、これは地方自治体の責任だといえばそうかもわからないけれども、それぞれの自治体においては、計画案が変わってきておるにもかかわらず、議会に十分な相談も報告もあるいは協議もしないで開発事業団を一足飛びにつくっていく、こういう方向で既成事実が進行しているわけです。これはやはりA案がB案に変わったということであれば、十分それぞれの地方議会においては、計画案内容がこのように変わってきたのだということを協議した上で、基本計画なるものを出してくることが望ましいのではないか。その点について、政府は、具体的に該当市町村ないしは県に対してそういう手順で基本計画をつくるように行政指導をするお考えがないかどうか。これは自治省の関係にもなろうかと思うのでありますが、その点についての見解を聞かしてもらいたいと思うわけです。そのことにあわせて、この国会で、そういうふうに地方自治体意思というものを尊重するたてまえからいって、そういう議を経て基本計画を作成するように法律改正をする御意思はないかどうか、この点もお答え願いたいと思います。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはこうでございます。国が指定をいたしますときに、建設基本方針を示しておるわけでございます。したがって、今後出てくる建設基本計画は、示しました建設基本方針にのっとったものでなければならないわけでございます。したがって、かりに当該地方団体が最初に大きな夢をいだいておった、しかし政府の示した建設基本方針はそれとは違うということであれば、今度方針にのっとった建設基本計画を協議会を通じて出してこなければならないわけでございますから、これは当然その段階で、その地方の県議会にはかった後に建設基本計画として出てくるわけでございます。それをそのまま承認するというわけではございませんけれども、少なくともそういう手続が地方に要りますので、新しい建設基本方針はこのように示された、したがって建設基本計画はそれにのっとってかくかくでなければならないということは、地方住民も、地方議会もそれを可決しなければ政府に出し得ないわけでございますから、当然知る機会があるわけでございます。それをどのような時期にどういう形でされるかということは地方の自由でございますけれども、たてまえとしてはそのような形で、最初のいわば場合によってはかなり膨大な夢のような計画現実的なものに変化していく過程はそのようにしてつくられるわけでございます。
  21. 松浦周太郎

    ○松浦主査 藤田さん、あなたの結論を急いでください。
  22. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 いま長官の御答弁と同じような見解を自治省も持たれておるのかどうか、そういう方向で各該当府県ないしは市町村に対して行政指導をやられるお考えかどうか、念のために伺っておきます。
  23. 林忠雄

    ○林説明員 自治省といたしましては、長官の言われるのと同じ意見でございます。
  24. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 私は一つ要望しておきたいのですが、いまの長官答弁は私としては非常に了解できるわけです。ところが、すでに発表された地域においては、地方議会も、もう近く二月、三月に開かれるわけですが、それぞれの議会においては、そういったA案がB案に変わったというようなことであればあるほど、必ずといっていいくらいその内容を具体的に地方議会に示して、地方議会の意思基本計画の中に十分反映される、こういう手順が踏まれるように行政を指導をしてもらいたい。これは要望しておきたいと思います。  次に、現在の段階計画から申しますと、一つの例でありますが、三十五年と、一応の完成年度である四十五年との比較からいけば、数字は省略いたしますけれども、約六倍の工業出荷額を計画をしておるわけです。昭和三十九年度から四十五年までといえば、もうすでに半ば過ぎておる。こういう段階で、はたしていまこの建設計画の中に示されておるような工業出荷額が達成できると政府考えておるとすれば、私はいまのテンポからいって非常に無理じゃないかと思うのです。そういたしますと、かりに新帝都市を促進するという立場に立ちましても、六倍からの工業出荷額をもたらすような建設というものはどだいもう今日の時点において無理な状態が生まれてきておるのではないかと思うのですが、政府としては、いま考えておるようなこのままの案で新産都史を推進していくお考えかどうか、そのあたり見解を聞かせてもらいたいと思います。
  25. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは非常に興味のある問題でございまして、私どもも関心を持っておる問題でございます。つまり、そういう形で企業地方分散を進めていきたい、そのための公共投資をしておいて、需要、供給の両面から見て資本効率が高いからある地方に行こうといったようなことの判断をいたすのは、これは企業側の判断になるわけでございます。その問題を考える第一の前提は、わが国の経済が今後ともなお安定した成長をたどるかどうか、年率にして実質で七%くらいの成長をたどっていくかどうかという問題だと考えております。それは、私どもはそういうふうにしたいと考えておりますし、それができると考えております。それから、そのような経済成長が現在のように過度に密集した地帯においてだけでなく、公共投資が新たに先行して行なわれたような地方にも分散して行なわれていくかどうか。これは政府政策努力にもよりますし、企業側の判断にもよることだと思います。数倍という工業出荷額はいかにも高いようでございますけれども、実額で申しましたらどのぐらいになりますか、かりに昭和三十五年における十三の工業出荷額の総額は八千億だそうでございます。それが六倍ということは四兆八千億になるわけでございますが、ほぼ四兆円の工業出荷額がこれから数年の間にわが国全体でふえるかふえないかといえば、これはわけなくふえることは明らかで、四兆どころではないと思います。そのシェアがどのぐらい新産都市によって占められるかということになりますと……。
  26. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 私がいま聞いておるのは、国全体ではなくて、新産都市地区の工業出荷額ということですから、そこへ焦点をしぼってください。
  27. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私が申し上げておるのはまさにそのことであります。昭和三十五年の新産業都市十三の工業出荷額が八千億でございますから、それが四兆八千億になるか、こういう御質問ですから、国全体でこの数年の間に四兆どころではない工業出荷がふえるわけでございますから、そのうちどれだけのシェアが十三の地方にいくかということで、何も六倍ということは私は別段驚くにあたらない。ただそれは先ほど申しました前提で、政策努力がどれだけ行なわれ、また企業側がどう考えるかということによるものだと思います。
  28. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 時間がありませんので結論に移りますが、この新産都市法の趣旨から申しますと、産業人口の集中化を排除して、格差是正を行ない、そうして雇用の安定をはかるということが基本になっておると思うのです。その点から申しますと、新産都市に私が冒頭に触れたような相当な財政投資地方自治体においても国においても重点的にやっていくことになると、たとえば愛媛だったら愛媛、岡山だったら岡山という新産都市地域に多くの財政投資をすることになれば、他の地域はかえってそのために生活基盤整備に充てるべき財政投融資が希薄になって、同じ県内においても地域間の格差が増大する危険性があると思うのでありますが、そういう点からいけば、地域格差の是正ということはかえって拡大する心配さえあって、むしろこの法律方向づけをした方向とは逆の状態が止まれる危険性が十分にあると思うのでありますが、それに対するお考えを聞かしてもらいたい。  次に、雇用の安定というわけですけれども地域住民の立場から考えますと、それぞれの地域における遊休労働力を、たとえば新しい、工場ができる、その工場に対しては地域の遊休労働力をそこに雇用してもらいたい、こういう強い願望を地域住民は持っておると思うのです。そうしますと、政府が国の金を、あるいは自治体も結果的には若干の負担をするということで建設をする以上は、当然その地域の遊んでおる労働者が雇用されるような条件を国の責任において確立していく、そういう方向がとられなければ、地域住民には負担だけをかけて、雇用の安定なんというものは夢ばかり与えてもらって、結果は何も実現されないということになりかねないと思うのでありますが、そういう点については、雇用の安定というものに対して新産都市建設の問題とあわせて政府はどのように考えておるか、これが第二点。  もう一点は、四日市や水俣の公害ではございませんけれども産業公害に対する防止策を政府は具体的にどのようにいま考えているか。  第四点は、たしか昨年であったと思いますが、地方自治法の一部を改正して開発手業団を特別地方公共団体としたと思うのです。この特別地方公共団体は、住宅、工業用水道、通路、港湾、水道あるいは下水道、こういった今日まで自治体がやっているような事業をやるような性格のものになっておる。こういう事業団に新産都市建設と関連をして全部事業をやらすということになれば、既存の地方自治体というものはいわば開店休業のような状態になってきて、本来の地域住民福祉につながる自治というものが骨抜きにされる危険性があると思うのですが、その点についてどういうように考えているか、政府見解をお尋ねいたしたい。  最後に、新産都市建設にあたってすでに先行投資を行なって、臨海工業地帯の埋め立てをやっているところもありますけれども、これからいよいよそういう臨海地帯の埋め立てを行なって、土地造成をやっていくという地域もたくさんあるのですが、そこで一番大きくひっかかってくるのは漁業補償の問題だと思うのです。この漁業補償に対してはどういう基準で政府はやろうと考えておられるのか、政府見解をお聞きしたいと思います。
  29. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 新産都市ができていきます結果、当該地方の中で国なり地方公共団体投資が重点的に一カ所に集中して、それ以外の地方が置き去りになるのではないか、かえって地域格差が大きくなるのではないかということは、各県議会などでしばしば議論をされておるところであります。私どもは、基本的には、その地方産業開発あるいは一般的な開発をする意味で、一つの拠点を設けて、そこに重点投資をするということがいいであろうという判断に新産都市考え方は立っているわけでありますから、これは一つの拠点であって、それがその周辺の地方にも経済的及びその他の利益を及ぼしていくんだ、こういう思想に立っておるわけであります。それにもかかわらず、いまのような問題が起こっておりますのは、新産都市指定された地域においても、おのずから工業の中心になる部分と周辺の農村部がございます。農村部が置いていかれるというような考え方をするわけです。それは先ほど申しましたように、手足の充足した一つのまとまった新産都市といったようなものをつくってほしいということに建設基本方針も指示してありますし、また基本計画もそういうふうにつくってもらいたいと思いますので、ごく限られた地域だけがバランスをはずれて工業的に発展する、そういうことであってはならないということはかなり何度も申してあります。また地方の要望も、ただいまおっしゃったような不平があるくらいにそういうことを気にしておるわけでありますから、そういう建設基本計画が出てくるであろう、また出てきましたら、私どももそういう考え方検討をいたしたいと思っておるわけであります。  第二に、雇用の問題はごもっともなことだと思いますが、大企業が、こういう地方公共投資が先行しさえすれば各地方にも出ようと考えておる一つ理由は、中央で雇用が得がたい、得るとしても住宅施設等相当費用がかかるということに一つの大切な大きな動機があるわけでございますから、つまり地方へ行けば雇用が得られ、やすいということが動機でございますから、大局的には御心配になるようなことはないであろう。しかし、相当の技術的な水準を必要とすることでもありますから、私どもとしましては、数年前から地方に工業専門学校を履くとか、あるいは職業教育施設を置くとかいうことでそれを助けてまいるということをやってまいっておるわけであります。  それから第三に、地方開発事業団の問題でございますが、これは土地造成など地方でやられる場合に運用されるのだと思いますが、今度の建設のかなり大きな部分は国による公共投資でございますので、当該府県の協力を得て行なうことになるものと考えます。  なお、地方開発事業団と地方自治体との関係につきましては、私、ちょっとつまびらかでございませんので、必要があれば自治省当局からお答えを申し上げたいと思います。  漁業補償につきましても、特に新産都市建設のための漁業補償に特段の何か特例を設けるという考えはございません。一般の漁業補償のように、当該地方公共団体と漁業協同組合等々の折衡に基づいてやっていく。ただ、非常に漁業補償が甘くなりますと、それによって造成されました土地あるいは港湾の価格は非常に高いものになるわけでございますから、くれぐれもそういうことについては先のことを考えて注意をしてやっていってもらうようにということは、これは当該地方公共団体には建設基本方針その他でもお伝えをしてございます。
  30. 林忠雄

    ○林説明員 ただいまの事業団の部分についてお答えいたします。  事業団を昨年の自治法改正で設けましたときには、新産業都市のように総合開発をするところが、数多く自治体がばらばらに事業をするのでなく、共同して一つのまとまった方針でやろうというために設けました共同処理機構でございます。ですから、各自治体が個別にやるのを合わせて事業団がまとめまして、共同で処理しようというためでございますので、法律的には別個の地方公共団体にいたしたわけでございますけれども内容はおのおのの府県や市町村が共同で事業を執行しようという共同処理機関でございますので、お説のような心配はないものと考えております。
  31. 松浦周太郎

    ○松浦主査 藤田君、これでいいでしょう。
  32. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 十分ほど時間を超過して御配慮いただいたことに対してはなんですが、これで終わりますが……。
  33. 松浦周太郎

    ○松浦主査 藤田高敏君、もうこれで終わりですよ。
  34. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 この新産都市建設に関連をして、新藤都市地域においていま非常に問題になっておるのは、その地域の地価が急騰をしつつあるわけですね。これに対してどういう防止策を政府の立場で講じられようと考えておるのか。  それとすでに基本方針を明示された地域においては、地場産業の育成ということを一つ開発の目標に政府も考慮を払っておるようであるが、それぞれの地域における地場産業、これは主として中小企業関係になると思いますが、地場産業に対する振興計画といいますか、助成策といいますか、そういうものの大綱についてひとつお聞かせをいただきたい。  これで質問問を終わります。
  35. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 地価対策につきましては、一番心配をいたしておりますところで、昨年の夏に新産業都市を閣議で内定いたしましたときにも、わざわざ土地の確保について当該地方公共団体の特段の配慮を望みたいということを私の談話として申しました。国といたしましては、新産業都市地域の中の施設のあるものについては、当然土地収用の対象になるわけでございます。それと同時に、やはり土地収用全体あるいは先買い制度全体について建設省を中心に施策を練っておりますので、おそらくは今国会に御審議をいただくことになるのではないかと思います。つまり考え方は、土地の不当な値上がりを防止するために先買いをする、あるいは収用価格について収用発動時の価格、すなわち最終的に妥結をしたときの価格でない、ごね得でないような価格で買収をするといったような制度そのものの改善をはかる必要もございますし、また土地収用そのものの現実の行政手続を、魂を入れかえてもっと早急に進めるということも必要であろうと思います。これは主として私ども政府側の責任でしなければならぬことで、全部を地方公共団体にまかせるということは無理であろうと思いますが、地方公共団体にも御協力をしてもらいたいと思っております。  それから地場産業の育成につきましては、これを見ておりますと、工業地帯特別整備地域でも、新産業都市でも、やはり新しく入ろうとする企業は、どうしても地元の協力が現実に必要なものでありますから、自然に地場産業を、悪いことばでいえばその地方が売り込む、入る会社としても地方との融和という意味から、特段の支障がない限りできるだけ地場産業と結びついていこう、こういう傾向が見えますことは喜ばしいことでありますが、政府としても、あるいは当該地方公共団体としても、できるだけ使えるものは使っていってもらいたい、こういうことを企業現実にも要望しておりますし、これからも当然要望をし、企業もそういうふうにしていくであろうというふうに考えております。
  36. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて藤田高敏君の質疑を終わりました。  次に板川正吾君。
  37. 板川正吾

    板川分科員 管理価格問題につきまして、経済企画庁長官と公正取引委員長にお伺いいたします。  政府も、物価問題、物価抑制政策の一環として管理価格の引き下げ問題に取り組んでいる、こういう方針を示しておるようでありますが、管理価格引き下げに関する政府の取り組み方といいますか、考え方というものを伺いたいと思う。   〔主査退席、淡谷主査代理着席〕
  38. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 管理価格とは何を言うかということにつきましては、委員会でも、分科会でも、先般御議論がございましたので、繰り返して申し上げません。結局、企業に寡占状態がありまして、供給者が経済力を過度に乱用するという結果起こっておるのが管理価格でございますから、そういうことを戒めていく。それは公正な取引ではないということで、具体的にそういう事例のございますごとに、それに対し警告を発し、それを直していくということが政府基本的な考え方でございますし、また公正取引委員会におかれましても、そのような考え方で事態に対処しておられるように承知をいたします。
  39. 板川正吾

    板川分科員 いわゆる寡占状態で共同行為の伴わないもので、そうして価格は硬直しておる。そうしてだれが見ても出産性が上がり、あるいは収益が上がっておると認められておるが、しかし価格が一向に下がらないという状態があるわけですが、それを不公正な取引としてこれを具体的にどういう方法をもって引き下げるか。引き下げる方法は具体的にどういうことを政府はおやりになっておるのですか。たとえば、ある会社が非常に生産性が上がって、だれが見ても価格が下がらなくちゃならないのだが、数社で日本の生産を独占しておる、こういうのは不公正な取引だといわれるのですが、どうしてそれを引き下げるか、具体的なやり方というものをお伺いしたいのですが。
  40. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前に定義を申し上げましたので、ただいま定義を省略いたしましたが、ただいま板川さんの仰せのようなことがございましたときに、つまりその間に共同行為が伴っていないといったような場合に、それが不公正な取引になるものであるかどうか、実は私も有権的に解釈ができません。あるいは公取委員長に御所見があるかと思いますが、私自身明白でございません。ただ、実際問題としては、相当の輸入の自由化等が現実に行なわれておりますし、またそれらの寡占状態企業が共同行為を伴いませんでも、なお不当に高い価格を維持しておると考えますときには、そういう製品は自由化しても別段差しつかえないというふうに考えられますので、そういう方法で、つまり経済政策そのものの中で、それを改めていくことになるのではないかと思います。ただ、いまのような場合が、いわゆる政府の権力の発動の対象になるものであるかいなか、ちょっと私も有権的に自分で解釈するだけの知識を持っておりません。
  41. 板川正吾

    板川分科員 少数の寡占状態企業が独占している場合には、自由化すれば、それはまあ一つの方法として自由化によってよそから輸入されればいいんですが、品物によってはなかなか自由化を——たとえばガラスというようなものは、自由化したからよその、外国の、ガラスが自由に入ってきて、日本でその競争状態を生じるというわけにはなかなかいかぬですね。工業機械製品とか、そういう特殊なものならば別ですが、実際はなかなか自由化しても、あるいは関税を引き下げても、競争状態をもたらすということにいかないのです。管理価格という点については、定義についてはわかっておりますが、具体的に私は伺いますが、たとえばこういう場合ですね、珪素鋼板、これは昭和三十年の生産指数を一〇〇としますと、三十七年では生産指数が約五倍になっております。四七七%になっております。そしてこの産業集中度を見ますと、八幡が、五四%、川鉄が四五%、両方合わせまして九九%、一〇〇%近く、両社でもって生産をしておる。価格はどうかというと、価格は三十年を一〇〇として三十七年が五一%ないし一〇%上がっておる。操業率はどうかというと、三十七年度においては八幡が約五〇%、川鉄が七七%。原料は、くず鉄はどうかというと、一〇〇に対して七八、二割二分下がっております。鉄鉱石は一〇〇に対して八九、一割一分下がっております。また板ガラスは、三十年を一〇〇として生産は一九二です。そして市場支配率は、旭硝子が三十年は五七、日本板硝子が三十年に四三、それが三十七年には、旭硝子が五五、板硝子が三九。価格は、これは三十年を一〇〇として三十七年が一〇〇。操業率は、三十七年が六六、それから七二の割合。原料も、これは一〇〇に対して八六、九四というぐあいに逆に下がっております。ブリキは、これは三十年を一〇〇として三十七年が二七二です。八幡製鉄が企業支配率が四四%、東洋鋼鉄が二五%、両方で約七〇%を占めておる。価格は三十年を一〇〇として三十七年に若干下がって、四%ないし五%は下がっておる。しかし、大体動かない。操業率は七三%、七八%、原料はやはり鉄鉱石八九、くず鉄七八、こういうふうに下がっておるんですね。生産は二倍ないし三倍、場合によっては五倍近くもなる。その産業の市場支配率というか、三社か三社で大体八〇ないし一〇〇近くを支配しておる。価格は、この七、八年間出席が非常に上がったにかかわらず、ほとんど変わらない。操業率は五〇%、六〇%、七〇%——適正操業率というのが場合によっては八〇%程度かもしれませんが、とにかく適正操業率と思われるところから見れば非常に低い操業率を持っておる。原料はどうかというと、原料は総体的に下がっておる。こういう事業は、共同行為で値段をこういう形で維持しているんじゃないんですね。お互いに共通な認識の上に立って、そうして値下げをしないでおるんですね。これは経済の優越した地位を利用して、経済力の乱用をしておる。しかも私は、この会社は相当な利益を上げておると思う。株も非常に高い。こういうような経済力を乱用しておるような少数の寡占状態における企業、特にそれが価格の面にあらわれておりますが、こういうものを政府は積極的に——まあ有権的にどういう措置をしていいかわからないといいますが、政府は物価対策の一環として管理価格にメスを入れると言っておりますね。黒金官房長官もそういう言明をしばしばしておりますが、政府自身も、経済閣僚会議で、管理価格について大いに検討してメスを入れる、こう言っておるのだ。おりながら、こういったものに対して具体的にどうやるんだということをお示しにならなければ、おかしいじゃないでしょうか、経済企画庁長官
  42. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 非常にむずかしい問題だと思いますが、たとえばただいま御指摘のように寡占、しかもその場合にデュオポリといいますか、二つのメーカーが国内のマーケットをおのおの持っておって、そうして価格を下げないといったような場合に、共同行為はない、しかし、ただいまの御質疑によりますと、共通の意思はあるといったような場合、こういう場合に、それがその間に何らの意思の交換がないものであるかどうかということは、現実の問題としてはおそらくいろいろ問題があるであろうと思います。先進国、たとえば米国などでは、その辺の考え方あるいは裁判等もかなり進んでおるように承知しておりますが、つまり積極的な行為だけが共同謀議であるのか、あるいは消極的なものも共同謀議の範囲であるのかということは、しばしば争われておるように思います。わが国の場合、まだそこまでの先例はないようでございますが、少なくとも、そのような状態においては、第三者がそれに対して、この企業は相当に利益があるということで、新しく企業を興し得るような環境になっておるというのが、自由経済の原則ではないかと思うわけでございます。ただ、その場合に、非常に費用が、資本費がかかる。したがって、ちょっとやそっとでは始められないといったような場合が、ただいまおっしゃったような二社があぐらをかいて、事態が膠着したままであるということが起こり得るのではないか。しかし、たとえばそういう形のありました企業一つの代表であるといわれましたビールなんというものは、御承知のように、ともかく小さいものが市場に新しく声を上げて競争しようという形になりつつございます。つまり原則的には、輸入の自由化であるとか関税の引き下げであるとかいうものもございますが、もっと原則的には、新企業がそういうマーケットには入りやすい、入り得るんだというのが、自由経済の原則ではないだろうか。いま珪素鋼板でありますとか、幾つかの品目について御質問がございました。珪素鋼板なんかについても、新しいメーカーが市場に入っていこうという徴候があるように聞いております。いずれにしても、それらについては全く共通の意思なしに市場の協定というものがあり得るものかどうかということについては、公正取引委員会でも注意をしておられますようですし、通産省でもそういう考えで見ておられるようであります。現実には、その結果であるかどうかは申せませんが、板ガラスなどで若干の値下げがあったというようなこと、これはやはり企業家としても、相当大企業になれば、企業家の社会的な責任ということを全く否定しては存在を許されないというような世の中の認識になりつつございますから、それらのことから、そういう状態が非常に長く続き得るものではないというふうに考えるべきではございませんでしょうか。
  43. 板川正吾

    板川分科員 外国の場合は、共同行為が客観的にあると認められた場合は、アメリカの独禁法は発動できるんですね。ところが、日本の独禁法というのは、その間が不明確でありまして、共同行為によって価格をつり上げ、維持した場合には、これは独禁法の対象になります。お互いが拘束する。この拘束も、新聞値上げ等について妙な公取委員長の談話が出ましてくずれましたけれども、しかし、あれは公正取引委員会の解決を経た談話じゃないから判例にはなりませんけれども、お互いに意思を通じ合って値段を維持するという場合には、それは独禁法で規制の対象になります。しかし、数社がそういう優越した地位の上にあぐらをかいておる場合には、企業の社会的な責任というのを企業者に要求しても、それはちょっとできないでしょう。それは、たとえば下請関係のものでありましても、あるいは歩積み、両建ての問題にしても、これは親企業の社会的責任というだけじゃ、私は完全な民主的な経済という秩序は立たないと思う。日本の独禁法では、そういう点で不備なんです。  そこで、私は物価関係の面から伺っておるのですが、過般の総選挙のときに、社会党の物価問題に関する公開質問状に自民党の——党が返事を出したことに政府答弁するのはどうかということですが、いまは政党政治でありまして、自民党がいまの政府を組織しておるのですから、そういう意味で伺うのですが、この中にこう言っておるんですよ。政府・自民党側の答弁としては、管理価格の疑いのあるものについてはすみやかに検討を加え、もし不当な価格維持が行なわれていれば、これに対して必要な措置を講ずることは当然である、こういうことを回答し、国民に公約しておるのですね。だから、不当な価格を維持している場合にはこれに対して必要な措置を講ずることは当然であるというんだが、その必要な措置を当然やることをどういう法律に基づいて政府はおやりになるのかということが、私は聞きたい。もし法律的にいまの独禁法がそういう点に管理価格の問題について規制を加えられないとすれば、私はこれを法律的な措置をして、そうして管理価格の問題についてメスを加えるというのは、これは国民に対した自民党政府の約束じゃないかと思う。だから、政府がやるというからには、いまの法律でやるというんなら、どこの法律でやるのか。ただ企業者の社会的責任に期待するというあいまいなことじゃいけない。この管理価格を維持することによって企業者が利益を受けておるんですから、受けておる者の社会的な責任といったって、実際そういうことで管理価格にメスが加えられるものじゃないのです。だから、法律的にいまの法律の何を基準に管理価格にメスを加えられようとしておられるのか、物価対策上……。それを何か法律的に不備があるなら、その不備を是正するような考え方はないか、こういう私の気持ちですが、どう思いますか。
  44. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず不当ということの中に、不正という場合、違法という場合と、違法ではないが適当ではないという場合があるだろうと思います。違法の場合には、これはもう公正取引委員会のお仕事になるわけで、これについては問題がないと思います。それから違法であるか違法でないかということのけじめが非常に微妙な場合には、おそらくは、私の想像でありますが、公正取引委員会は当然実情を調査されるであろうと思います。実情を調査されるということは、かなり事こまかに会社の内容、他の会社との関係について立ち入られるわけでございますから、このことは企業家にとってはかなり一種の警告になる、決してうれしい事態ではないというふうに考えますので、それなりにこれは一つの警告的な効果を持つと思います。ただしかし、その後にもなお全く不正ではないという場合には、それは新しい企業が出てくるだろうということで、これは措置のうちに入りませんけれども、しかし、輸入自由化とか関税を下げていくとかいうことは、これは明らかに措置のうちであろうと思います。つまり、それは違法ではないが適当ではないといったようなものに対しては、そういうやり方もある。また、違法であるかどうかのけじめが微妙でありますから、判定するために公正取引委員会が事情を聴取されるということも、これも一つの警告的な措置であろうというふうに考えております。
  45. 板川正吾

    板川分科員 公取委員長に伺いますが、管理価格を規制しようというか、明らかに客観的に管理価格が形成されておると認められますと、これは結局管理価格かいなかということはよく調査してみなくちゃわからないわけですが、調査の結果明らかに管理価格と認められる場合には、それを排除するのにはどういう法的な根拠がございますか。
  46. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 管理価格ということばはミーンズが言い出したことばですけれども、現在いろいろな使われ方をしております。私なども、そうしたばく然とした意味のままで一応管理価格ということばを、むしろ逆に使っているわけなんです。したがいまして、管理価格の中には、やはりその裏づけとしまして、独禁法の問題になるような管理価格というものもあるのじゃないか。といいますのは、私がいま一番感じていますのは、普通の場合ですと、生産のほうあるいは出荷のほうがお互いに競争し合いまして、それを調節する意味で価格が上がったり下がったりするというのが、需給関係から見た普通の市場価格なんです。ところが、いわゆる管理価格と称されるものは、価格のほうが硬直しているだけに、むしろそれを維持するために、需要と見合いながら供給のほうが調節されるという傾向が多分にありはせぬか。そうする場合におきまして本、寡占状態でありましてもお互いのシェアという問題が一応あるわけです。したがって、管理価格を維持する意味においてシェアのある程度の協定というものがもしその裏にあると——これが一番管理価格を維持しやすい姿ですが、そういったものがあれば、これは独禁法の問題に当然なり得るわけです。したがって、現実にいま具体的にあなたがお示しになりました品物について、そういうような事実があるかないか、これは私のほうは別にまだあるとも言えませんし、ないとも言えません。しかし、そういったものがやはり一つの傾向として考えられますから、したがって、われわれのほうで管理価格というものについてとかく公取が従来摘発してきましたのは、わりあいにむしろどちらかといえば新聞などに麗々しく出るような独禁法無視というか、あるいは無知といったほうがいいと思いますが、そういうのが多かったのですが、しかし、独禁法を知りながらなおかつそうしたものもあるとすれば、われわれとしては、そういうものをもう少し対象に取り上げていいのじゃなかろうか。  それからもう一つ問題として考えられますのは、やはりニューエントリーといいますか、新規の入り込みだと思います。ところが、この場合におきまして、もちろんいろんな関係でニューエントリーが困難な場合もありますが、もしたとえば特約店制度とか、あるいはそうした販売網を既存の業者が独占しているということのゆえにニューエントリーを非常に困難にしているという問題になれば、これは事情によりますが、いわゆる不公正取引といったような問題にひっかからないでもありません。かかり得る場合が私はあり得ると思います。それで、公取として考えております問題は、いわゆる広い意味の管理価格の全部が全部それに当たるとは思いませんが、その中には、いま言ったようなかっこうで、管理価格を維持するために生産量を調節するとかシェアを調節するとかいう問題が何らかのかっこうでもってあるとすれば、これはわれわれのほうとしては、当然独禁法の対象になし得る。あるいはニューエントリーの問題として、過去において徳永硝子がつぶれたというような場合に、何かそんな問題があったというような話を聞いておりますが、そうした販売網を既存の幾つかの会社が独占することによって、ニューエントリーを阻止するというようなことがあれば、これは別途にやる。ただ、考え得る場合は幾つもありますから、頭の上から想像してまいりますと、それは、いやそういうシェアもないんだ、出産の協定もないんだ、ニューエントリーもないんだ、そういう意味の管理価格も確かに私はあり得ると思います。それに対してどうするかという問題は、これは独禁法の、われわれのほうでもって取り締まりの対象になし得る範囲という中には、私は考えておりません。
  47. 板川正吾

    板川分科員 いまも公取委員長の言われましたように、管理価格と思われるものについて、その価格を維持するために何らかの形で相互に意思を通じて拘束し合うというものがあれば、それは独禁法の対象になります。それからまた、その価格の販売形態で、他の会社のものを扱わないというような特約店式のもので、新しい企業の投入ですとか、ニューエントリーの入ってくるのを抑えるというような形があれば、これはいまの独禁法でも取り締まりができます。しかし、最近開放体制の中で、企業が非常に集中、合併が行なわれております。これは経済の必然的な傾向だと思います。そういう中で、お互いに協定がない、共同行為がないという形の中で、その少数の企業が優越した地位を利用して、高い価格、いわゆる管理価格を維持しておったというときには、これは独禁法ではそれを規制する条文がないんです、共同行為がないんですから。たとえばいまの三者のごとき、明らかに共同行為に基づいてやっているのじゃないんですね。そんなばかなことはしません。大体共同行為をする場合には、中小企業のような多数の企業があって価格を維持しようというときには、しょうがないから、大会の決議だとか何とかの申し合わせとかいう形になりますから、これは独禁法ですぐひっかかる。しかし、こういう二社か三社か、数社の場合には、公取がつかまえて、これは独禁法違反だと言ったって、証拠がないんです。こういう形のままでおくと、私は、今後ますます管理価格というものが、あらゆる産業分野でそういう形のものがあらわれて、価格の硬直性を示すようになる、これが日本の経済の発展に大きな阻害になる、こういう形になると思うのですね。ですから、私は、この管理価格と称するものに対して、公取の機能を強化する必要があるんじゃないか、それにはある程度の法的な措置が必要であろう、こう思うのです。これは社会党が市場支配的事業者の経済力乱用防止法というのを出しているのは、その意味もあるのですが、私は、この法律は、実はものわかりのいい経済企画庁長官なら、政府が本来出すべきものであって、社会党が出してくれたんならけっこうだという気持ちを持つべき性質の法律ではないかと実は思っておるのですが、それはいいです。その宣伝はまた別にあとにしますが、とにかくいまの独禁法では、そういう管理価格の規制に対して不十分です。だから、この不十分なものを、その分手直しをする必要があるんじゃないか、こう思うのです。  それともう一つは、公取をいまの東京、大阪、名古屋、九州、今度北海道につくりますが、こういう地域的な機能といいますか、地域に公取があるだけでありまして、たとえば東北とか、中国とか、北陸とか、四国とかはないのです。ですから、管理価格の問題にしましても、歩積み、両建ての解消の問題にしましても、下請関係の改善にしましても、私は、全国的な監視機能として、公取の機能を拡大してやる必要があると思う。そうでないと、政府は、選挙の際には、管理価格については措置をするのは当然だという。その後の閣議等においても、管理価格にはメスを加えるという。それから物価問題懇談会の答申にいたしましても、硬直的な価格については、生産性が非常に上がっておって価格の引き下げが行なわれないようなものは、政府としても措置をすべきであるということを、十三項目に物価抑制政策として打ち出されて、政府方針ともしておると思うのですね。だから、こういう物価政策を真剣に政府がおやりになるというならば、この管理価格の問題にも根本的なメスを加える必要がある。それには、法的に現在の法律では不十分じゃないか。だから、現在の法律を、独禁法をその分において補正する必要があるのではないか、こう思うのですが、企画庁長官のお考えはいかがですか。
  48. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 二つの企業が全く共同謀議といいますか、いわゆるコンスピラシーがなしにそういう状態をどれだけ長く続け得るかということについて、私は疑問に思います。ことに、一派の理論に従えば、資本資本を食うはずのものでありますから、お互いに攻撃をかけずに、両方であぐらをかいていまの状態がいつまでも続けばいいんだというようなことが、業者間においてもはたして永続し得るものであろうかということは、疑わしいと思います。いわんやそこにニューエントリーの問題があれば、これは国としても、政府機関などでニューエントリーを奨励いたすわけでありますから、どうもそういうようなものを規制する法律が要るとおっしゃいましても、私は、そういう状態はむしろ長続きしない状態なのではないか、法律の取り締まりの対象にすることが別に必要でない状態ではないかと考えますし、また、お説のように、それを反社会的なものであるというふうに考えるためには、どういう理論構成をするかということになれば、これもにわかには首肯し得る理論構成がないのではないかとも思いますが、いずれにしても、私はそういう状態はえらい長く続く状態ではないというふうに考えておるわけでございます。
  49. 板川正吾

    板川分科員 大臣にお伺いしますが、じゃ、その問題は、企業の社会的な責任に待つというほかはないのですか。あとは、新規事業者の投入というのを期待する。新規事業者の投入といいましても、八百屋やデパートをつくるならば、あるいはそういう自由な新規事業者が投入されましょう。しかし、条件として小さい機械類とか何とかという非常に価値の高いものなら外国から輸入というのもできるのです。しかし、ある意味では第一次産業的なガラスとか、いま申し上げたような性質のものは、かさばかりかかって、運賃がかかって、それは自由化しても外国からなかなかそうそうは入ってまいりません。あとは、新規事業者といっても、実際膨大な装置を必要とします。それから、販売のルートも、公正取引委員長の言われるように、販売ルートを独占して他のものは扱わせない、そういう事情があれば、それはなるほど独禁法違反ということになりますね。しかし、そういう形ができるまではなかなか独禁法が動くわけにいかない。実際は新しい企業をつくっても、それの販売的な劣勢というものがあって、実際はその次その次入ろうという新しい企業者が勇気を失ってしまう。たとえばビールなんかもそうでしょう。「タカラ」はなるほど出ましたけれども、「タカラ」を扱うというのはごく少数です。だから「タカラ」は伸びない。だから、実際は三社の独占です。ビールにしても砂糖にしてもそういう独占形態が行なわれておって、しかも、砂糖なんかは、最近はちょっと悪くなりましたけれども、一時は三割五分も四割も配当している。ビールも二割五分ぐらいの配当だった。数年前はそういうように独占の上にあぐらをかいて高配当を維持しておって、そして、しかも、その新規企業者が入れば、実質的にはそれを押える。法律でつかまらないような状態にして、実質的にはそれを抑えていきますから、こういう形の場合にはなかなかこれを規制する法律はない。企業家の社会的な責任に期待すると言っても、そんなことは企業者は考えません。そのときはごもっとものような顔をしたって、実際は聞かないです。聞いたって、それは価格にあらわれません。だからといって、何もそういう違反行為があったら刑法の対象にしろと言うのじゃないのです。法的な措置を加えると言ったって、刑法の対象にしてやれと言うのじゃないのです。たとえば、そういう市場支配的な経済力を乱用するような危険性のある企業者からは一定の報告書を取っておく。そして、報告書に基づいて調査した結果、これはどうも管理価格を形成しておって公正な取引ではないというおそれがあるときには、その事実を社会的に公表する。こういうことだっていいのです。何も刑事犯の対象にしなくていいのです。公取が社会的なこういう事実を公表する。公表するということは、企業者の秘密まで公表しろと言うのじゃないのです。そういう管理価格と思われる問題については、その基礎の数字を公表するということによって企業の社会的な責任というのを喚起する、こういう必要があるのじゃないでしょうか。とにかく、今後、管理価格というのは、似たりよったりのあらゆる産業にやはりいまのままでいくと拡大していきますね。だから、私は、何らかの法的な措置をして、そして企業者の社会的な責任を積極的に喚起するような措置が必要じゃないか。独禁法の若干の手直し、大きな手直しでなくていいのですから、その点について、いまのままでは、これはとても大臣の言うように社会的な責任に期待するだけでは管理価格の問題は解決しないと思う。
  50. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私が思いますのに、そういったような寡占、デュオポリの場合に、ことに共同行為があるという疑いを少なくとも非常に持たれやすい状態であることは確かだと思いますから、そういう意味では、不正があってはいけない、法律違反があってはいけないということで、公正取引委員会としては、現行の法律のたてまえでも、疑いがあれば事情の調査をなさるということは、これは当然なさっておられると思いますし、また、それだけで十分警告の意味をなす。幸いにして法律違反がなければまことにけっこうなことでありますが、当然そういう報告の徴収、事情の聴取などはしておられると思うわけです。そこで、問題になりますのは、板川委員のおっしゃいますように、そこで共同行為はなかった、不正の事実はなかった、しかし、業者の価格はより引き下げ得る余地がある、それが下がれば消費者の利益になることには違いございませんけれども、どういう理由に基づいて、どういう方法によって価格を下げさせるのかということになれば、国の権力自身が原価計算に立ち入ることも必要でありましょうし、適正な利潤はこれこれであって、これこれ以上の内部留保をしてはならぬというようなことまで申さなければ、権力をもって価格を引き下げさせるということは、私はできないと思うのです。そこまで国が自由企業に立ち入るべきかどうかということになれば、私は、いかにそれが短期のものであり消費者の利益になろうとも、そういうことはやはり権力をもってしてはならないものだというふうに考えます。いわんや、先刻申し上げましたように、そういう状態は決して永続し得るものではない、業者間の潜在的な競争及びニューエントリーを国が政府機関、開発銀行などを通じて奨励するというのであれば、永続し得る状態ではないと考えますので、そのような法律の改正は、私は必要がないというふうに考えます。
  51. 板川正吾

    板川分科員 私は、法律で価格を幾ら引き下げろというようなことを規制しようということではないのです。これはできません。いまの独禁法も、決して、そういう共同行為そのものがいかぬというか、共同行為によって生じた価格を幾ら下げろということは言っておりません。競争状態にあればその中で自然に価格がきまるものです。その競争状態を確保するというのが独禁法の考え方です。だから、われわれも、管理価格の問題に取っ組んで、板ガラスや珪素鋼板が高いから幾ら引き下ぐべきだというようなことを勧告するとかなんとかいうことを考えているのではないのです。しかし、この会社は生産性が上がり、しかも原料が下がったり、だれが見ても客観的に見て値が下がってもよいんじゃないかというような場合には、そういうような状態を社会に公表する。その公表をした結果企業が聞かなければ、これは罰則を加えるわけにはいきませんが、そういうことによって社会的な責任というものを自覚させる、こういう程度の法的な措置が必要ではないか。いまの独禁法では、なるほど調査は一般的にできます。しかし、調査する場合には、そこに共同行為があったではないかという疑いのもとに調査をするのですよ。そういう疑いがあった。ところが、三人や五人の企業で共同行為の疑いがあるという、そんなばかなところは実はないのです。そんなへまはやらない。だから、お互いに相談したなんということを言う必要はないのです。だから、共同行為があったかどうかということで立ち入り検査もできますし、報告書もとれますけれども、何でもないのに公取が乗り出していって立ち入り検査だ調査だということは、公取としてもいまの体制から言ってできないのです。ですから、私は、そういう意味で、いまの公取にいまの法律状態で管理価格まで立ち入り検査をし報告を求めるということは、ちょっとできない状態だと思うのです。ですから、その点、政府が管理価格問題についてメスを加えて物価抑制政策と真剣に取り組むというならば、そういう点の法的な手直しをする必要がある、私はこう思っているわけです。時間となりましたから、それについては公取の意見を聞きたいと思います。
  52. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 私のほうで申し上げられることは、結局先ほど申したことを繰り返すことになるわけでございますが、おっしゃるように、なかなかそれが、二つ三つの場合に、われわれがどこまでそこにあったかなかったかということを探究できるかというのは、これは非常にむずかしい問題だと思います。ただ、われわれのほうとしては、先ほども言いましたように、市場価格を維持するためには、とかく生産なり出荷のほうの関係においてある程度の共同行為がないとなかなか市場価格の維持ができないという場合が考えられますので、といって、ただそこだけの姿だけですぐ共同行為ということには結びつきませんが、それをきっかけにもう少し探究してみる。ただ、これは、おっしゃるように、向こうがわりあいに簡単にできるだけに、むずかしい問題じゃないか。ただ、われわれのほうとしては、絶えずそれに対してメスを入れていくということで仕事をしていく。それ以外の問題になりますと、これは公取の外の問題ですから、私がお話をすることはあるいは適当じゃないかもしれない。ただ、政府としては、企業の秘密に関する限りは別ですが、ある程度のことを公表するというのは、これは法律以前の問題としてでき得る問題ではないだろうかというふうに思ってはおります。しかし、これは別にそこまで公取委員長の仕事ではありませんから申し上げるつもりはありません。
  53. 板川正吾

    板川分科員 公取委員長は公取の使命を果たすためには独禁法四十四条によって総理大臣を経由して国会に対して意見を提出することができますね。ですから、この管理価格問題については、現行の規制に不備があるというならば、こういう条文によって公取という使命を果たすためにもっと積極的な具体的な意見があったら出してもらいたい、こう思います。これは要求すべき問題じゃないが、私はそれは出すべきじゃないかと思う。  それから、経済企画庁長官は、本心はやはりいまの法律ではやや不備だと思っていると私は思うのですよ。けれども、そうすると社会党のほうの提案に賛成するような形になるから、なるべく逃げ回って、わけのわからないことで何とかいまのままでいくようなことを言っておるが、しかし、これはやがて私は政府自身もこの問題と取り組まなければならなくなるだろうと思うのです。ひとつ今後検討していただきたいということを要望して、終わります。
  54. 淡谷悠藏

    ○淡谷主査代理 これにて板川正吾君の質疑を終わりました。  次に、石田宥全君
  55. 石田宥全

    石田(宥)分科員 経済企画庁長官に伺いますが、先ほど藤川分科員から新産都市の問題について一般論的に御質問がありましたので、私はなるべく一般論を避けて新潟における新産都市の問題についてお伺いをしたいと思います。  新潟新産都市指定はいつごろ行なわれる見通しでありますか、これを伺いたいと思います。
  56. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今月の末に地方開発審議会を開きまして、そこで指定をいたす予定になっておると存じます。
  57. 石田宥全

    石田(宥)分科員 次に、通産省の参事官見えておりますか。——今度の二十八日に審議会が開かれるようでありますが、ここで工場適正配置の構想について従来の構想の再検討が行なわれて修正をされるといわれておるのでありますが、そのおもなる内容は、これは一般論でありますけれども、どういう点に再検討がなされ、そしてどういう判断で従来の構想を修正されることになったのかという点を伺いたいと思います。
  58. 馬郡巖

    ○馬郡政府委員 前回、三十六年度でしたか、全国の工場配置構想を考えまして、大体地区的な生産額というものを考えておったわけでございますが、その後の実施の経過を見てまいりますと、必ずしもこの配置構想どおりまいっていないというようなこと、それから、その後におきます、主としてこれは鉄鋼、石油精製、石油化学等のコンビナート産業でございますが、当時考えましたのと、工場の技術的な理由等から、工場の配置の形が大きく将来変わるであろうというような点でございます。たとえて申しますと、従来千トン溶鉱炉と申しておりましたものは、大体銑鉄が千トンから千二百トン程度というのが従来の考え方でございましたが、その後の技術上の進歩によりまして、従来千トン溶鉱炉と称せられましたものから千五百トンなり二千トンなりといういうものが出銑せられるということになりました。したがいまして、全国的に見ました場合に、今後必要とされます高炉の本数自体が非常に減ってきたというようなことで、従来かなり地方に分散するであろうと思われました鉄の工場が、それほど分散しなくても所要の生産策は確保できるというような点、そういう点を主として検討して修正した次第でございます。
  59. 石田宥全

    石田(宥)分科員 次に、これは経済企画庁と通産省と両方にまたがるかもしれませんけれども、新潟新産都市における事業予算規模はどの程度のものになりますか。そして、その予算規模の中で国と県と指定地域並びに受益者と申しますか、そういうものの負担区分を明らかにしてもらいたい。それから、もう一つは、一般の公共事業と比べて国庫の負担率というものは違うのかどうか。この三点をひとつ……。
  60. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは先ほど藤田委員にもお答えいたしたわけでございますが、建設基本計画を出していただきまして、私どもがそれを承認いたしませんと、総体の事業量がどれだけになるかということがわかりません。県のほうではいろいろお考えでございましょうけれども、それは最終の建設基本計画とは別途のものでございますので、わかりません。したがって、その間における国あるいは鉄道、住宅公団等の政府関係機関及び地方公共団体の持ち分の比率も、確定したそのときまでわからないわけでございます。  なお、公共専業について特定のいわば高率の補助をするつもりがあるかどうかという点につきましては、ただいまそういうことは考えておりません。   〔淡谷主査代理退席、仮谷主査代理着席〕
  61. 石田宥全

    石田(宥)分科員 具体的な建設計画が出ないとわからないということでありますけれども、すでに関係市町村、それからその市町村の協議会の議決を受けて、知事の手元で一応案をまとめて申請書いうものが出されて、それに基づいて審議会の議を経て指定をされることになると思うので、最終的なものはわからないにしても、その申請書の中にはある一定の規模というものは明らかでなければならないと思うのですが、それはまだわからないのですか。
  62. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはこうでございます。この際、この月末になりますが、新潟県から当該これだけの区域を新産業都市指定してもらいたい、そういう申請がございまして、初めて審議会の議を経て政府として指定をいたします。そのときに建設基本方針というものをお示しいたします。そこから初めてどのような建設を何年かけてどういうふうにやっていくかという作業が県側で始まるわけでございます。そうして、建設基本計画の案がその後に中央に出てまいる、それを中央各省が検討をして、最終的に建設基本計画を決定するということでございますから、ただいまの段階では、県側ではいろいろな数字をもちろん構想しておられるでございましょうけれども、それは最終的に決定いたします建設基本計画とは全然別個のものでございます。
  63. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そういたしますと、その申請しておったものと全然別個のものだ、こういうことですか。
  64. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 申請そのものは、そういう数字に基づいて申請をしてまいるのではないのでございます。
  65. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そうしますと、二十八日に予定されておるそうでありますけれども、審議会にかけられる場合に、一応の事業費というものがほかの地区ではきまっておるわけです。たとえば八戸は一千億ないし二千億、大まかなものでございますけれども、常磐地区は三千五百億ないし四千億、松本、道央その他それぞれ一応の金額が示してある。何にもわからない、空気のようなもので諮問されるのですか。そういうことですか。
  66. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはこういうことでございます。これだけの地区について新産業都市指定の申請があった、この地区はこういう特色を有しておって、将来工業出荷額としてはこれくらいを期待し得るであろう、そのための先行投資公共投資はこういうことを配慮に入れて、こういうことをやればいいのではないかというような、きわめて抽象的な大綱だけを指定に際して建設基本方針として示すわけでございます。そこで、建設基本方針の中には、目標の年次昭和四十五年における工業出荷額はこの程度のものを目ざすべきではないかということは申します。しかし、そのための公共投資を、何をどういうふうにやるか、どのくらいの金額でといったようなことは、その後の段階建設基本計画が出てまいりまして、それを検討していくという段階で初めて数字として出てくるわけでわけでございます。
  67. 石田宥全

    石田(宥)分科員 あとで申し上げますけれども、まことに危険千万な話と言わなければならないのでありますが、これはあとに譲ります。しかし、大体の事業量というものについてはすでに経済企画庁から漏れておる。たとえば、総トータルで地区全体でどれくらいの資金だということがちゃんと漏れておる。申し上げましょうか。国の財政資金は五千億程度、地元市町村負担受益者を含めて八千億程度、道路公団、あと政府関係機関負担が七千億を見込んでおる。こういうものはだれか新聞社か何かがでっち上げたもの、こうお考えになりますか。
  68. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おそらく各地方では昨年の閣議が内定いたします以前の段階からいろいろな構想を検討しておられますから、そこで、今日までほとんど一年たちますので、いろいろな数字が地元でも言われ、また私どもの役所にも、地元からは御説明があっておるのかもしれませんけれども、それは、申してみれば地元側の希望ということでございまして、私どもあるいは政府全体として、それでようございましょうというようなことはもちろん申すわけもございませんし、また、それをどのくらい査定したらばようございましょうとか、それはもう申し上げられない数字ではないかと思います。
  69. 石田宥全

    石田(宥)分科員 あなたとぼけておられてもいいんですけれどもね。これはだんだん明らかになりますから。  そこで、われわれ新潟地方では、千五百億くらいの事業費だ、こう伝えられておる。そういう文書も一、二出ておるんですね。そうして、そうした場合に、ここでも書いておるように、大体政府の見込み額、政府ではこういうふうに見ておる、こう書いておるんですが、半額近くは地元の負担だということを言われておるんですが、この点はどうなんですか。
  70. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それも一部先ほど藤田委員に申し上げたわけでございましたが、事業内容によりまして、たとえば道路公団でございますとか、住宅公団あるいは国鉄、そういったような性格事業もございますし、港湾もございますし、国道、道路もあることなんです。環境衛生施設等々もあることなんです。みんなそれらの専業並びに公共事業一つ一つによって負掛率が異なっております。また、起債のつけ方も違うわけでございます。全体を総合して国の負担がどれだけになるかと申しますためには、事業内容が確定いたしませんと申し上げられませんわけでございます。
  71. 石田宥全

    石田(宥)分科員 次に、自治省の財政再建課長ですか、そちらに伺いたいのですが、新潟県の最近の財政の状況、はなはだ貧弱な財政の状態だということが言われておるのでありますが、新潟県全体での公共事業負担金の未納はどれくらいになっていましょうか。
  72. 林忠雄

    ○林説明員 負担金の未納の問題については、現在私案はつまびらかにいたしておりませんので、後ほどお調べしてお答えしたいと思います。
  73. 石田宥全

    石田(宥)分科員 公共事業負担金の未納が大体十三億と言われております。これは新潟市だけで四億の未納ということですが、そういうこと等大体わかりませんか。
  74. 林忠雄

    ○林説明員 最近、新潟県のみならず一般の地方財政の状況は、景気の変動でやや苦しい傾向をたどっているということは承知しておりますけれども、具体的な新潟県の数字はさらに確かめてお答えをいたします。
  75. 石田宥全

    石田(宥)分科員 これはあとでひとつ文書で私の手元に出してください。  ただ、ここで課長さんによく聞いていただきたいのですが、新潟県は、昨年、国体誘致のために、予算外支出というか、予備費の支出もありましょうけれども、十二億ほど支出したために、県内の公共事業を一時全面的にストップせざるを得ない状態になって、総務部長通達で一時全面的にストップをした。そういう状態のもとにあるときに、さらに今度は新産都市のために数百億も負担をしなければならないということになると、一体県財政に対してはどういう影響を与えるとお考えになりますか。
  76. 林忠雄

    ○林説明員 新産都市指定による公共事業集中で地元負担が相当なかさになるであろうということは、現在地方の財政について仕事をさせていただいております私たちも予想しておる次第であります。そこで、これに対して何らかの措置をとらなければならないということで、現在その措置を検討中でございまして、政府部内の話を現在進めておる段階でございます。何らかの手を打たないと新産都市建設の前途に地方団体の財政負担という面で暗影がかかるのではないかということを心配しているわけであります。遠からず政府部内で結論をお出しできると考えております。
  77. 石田宥全

    石田(宥)分科員 これは企画庁長官よく聞いておいてくださいよ。  それから、もう一つ自治省の方に伺いたいのですが、あなたの所管でないのかもしれませんけれども、新潟県は後進地域でありまして、道路や橋梁などが非常に悪いのです。それで、先般県議会でも問題になったのですけれども、いままでの五年間の県道舗装の進度率から言うと、県道全体を舗装するのに今後六十年間かかるということをある議員が計算をした。県知事はこれを認めた。そういうことになると、新産都市というものをつくることによってその今後六十年かかるところの県道の舗装というものが百年かかるか百五十年かかるのかわからないのじゃないかという不安が県民にはあるわけです。そういう影響を及ぼさないような措置をいま協議中だということですが、そこまで考えられませんか。
  78. 林忠雄

    ○林説明員 地方団体の仕事は、確かに需要は山ほどございまして、いまの御設問の道路の問題につきましても、そういう計算が新潟県で、あるいは秋田県でというふうに成り立つと思います。要するに、やらなければならない仕事は山ほどあるにかかわらず、地方財政のワク全体の問題だと考えておる次第でございます。新産都市建設そのものが具体的に新潟県で六十年かかるものが百年かかるような影響を及ぼすか、あるいは今後の経済の情勢でそれが六十年かかると思ったのが三十年になるかというようなことは予測はできませんにしろ、現在、新産都市建設に思い切って本気で取り組むが、相当地元の負担過重になるおそれは十分にあると考えて、これに対する措置をしたいと考えておる次第でございます。
  79. 石田宥全

    石田(宥)分科員 もう一つ自治省に伺いたいのですが、これもあなたの担当でないようで不適当だと思うのですけれども建設協議会がつくられています。そうすると、そこでいろいろな経費がかかるわけです。すでにいままでも正式な建設協議会でないけれども各種の会合が持たれ、いろいろな経費がかかっておった。ところが、従来は、自分の市町村内に公共事業などが行なわれなければ負担金はかからない、かけない、こういう話し合いのもとに準備が進められてきたのです。ところが、すでに相当資金がかかったわけだから、ついやはり県は指定市町村全体にそれを賦課をしたわけです。そこで、関係地域市町村長は、そういう約束ではなかったということで、その負担金は払えないという決議をしておるのです。さて、こういう状況なんですが、そうなりますと、財政は市町村ごとのアンバランスが相当にあるわけです。どうしてもこの卒業を進めるにあたってはやはり市町村合併というものが行なわれないと、その市町村の財政のアンバランスの上にその賦課金を賦課するというところにいろいろな矛盾が起きやしないか。そういうところから、市町村合併というものが、これはかなり住民意思に反する場合でも推進されるおそれがあるのじゃないかと指定地域住民心配しておるのです。こういう点は、あなたは担当じゃないかもしれないけれども、どうお考えになりますか。
  80. 林忠雄

    ○林説明員 新産都市建設というのは、やはり地区全体の総合的な計画と各地区の方々が一体的な気持ちになっていくというところに一番効果があがると考えております。そこで、お話しの市町村合併というのも、一体的にやるには非常にいい方法であるとも存じておりますし、新産法の中にも、市町村合併をやる場合には、それに対してやりやすいようにする規定も入っております。ただ、現在の自治法のたてまえ、あるいは地方自治のたてまえでは、住民意思に反した市町村合併ということは少なくともあり得ないたてまえになっておりますので、御心配のようなことはないのではないか。むしろ、合併が必要だということであれば、新産都市建設をするためには、これこれこういうふうにしなければならないということをPRして、住民の納得を得ての合併が進められるということをわれわれは期待するものであります。
  81. 石田宥全

    石田(宥)分科員 経済企画庁に伺いますが、いま申し上げたような状態で、市町村間のアンバランスがはなはだしいようなときに、その負担金の賦課が非常にむずかしくなる。そこらに計画の途中で破綻を上ずるおそれもないとは言えないのですが、企画庁としてはその点についてはどういうふうにお考えになっておるか。少しは無理をしてでも市町村合併をやらざるを得ないというようなお考えなのか。それはやはり地域住民の自主性を尊重して住民意思に反するような合併はできないであろうというお考えなのか。そうなると、私は事業に着手してからいろいろな問題が起こることが予想されるのですが、どうでしょう。
  82. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 自治省からもお答えがありましたように、新産業都市の促進法の中には、地域住民の自然な意思による町村合併というものは、これを従来の方針のとおり促進していこうという政府考え方があらわれておることは事実でございます。ただしかし、新産業都市をつくるために、どうしても住民の間にそういう意思がないのに、無理に合併をしなければならぬといったようなことは、一切考えたことはございませんし、またそういうことがあってはよろしくないだろうと思います。第一、その前に、まだ新潟地区は正式に指定にもなっていないわけでございますけれども、それだけ、その費用がかかったということが私にはむしろ納得できないことでございます。
  83. 石田宥全

    石田(宥)分科員 またあとで伺いますが、次に農林省官房長にお尋ねいたします。  農林省は、新産都市指定地区に対する農業投資というものをどうお考えになっているか。たとえば構造改善事業の問題、あるいはまたいま阿賀野川用水の問題、加治川用水等が着工の運びになっておるわけでありますが、これは、われわれの過去の経験からいたしましても、かつて愛知用水というものが夢の農業用水だといって、何十年も騒がれて、農業用水として工事が行なわれたが、今日は完全に工業用水化してしまっておって、一体ああいうものははたして農業投資と言えるかどうか。しかし農林省がこれを負担をすれば、やはり農林省の予算の中でこれをやるわけですが、そういう点について、新産都市地域関係する農業投資というものをどのようにお取り扱いになるつもりであるか。
  84. 中西一郎

    ○中西政府委員 お話の点、一般的に申し上げますと、相当広い地域にわたっての計画がこれから立てられる、建設事業もそれに従って進んでいく、こういうことで、農業との関連がいろんな形で起こってくると想像しております。ただ現在のところでは、工業用水あるいは商店、あるいは住宅、その他についてのもくろみもさほど明確になっていない。そういうようなのがだんだん明確になってきまして、それで、当面近い将来に農地でなくなるというようなことが非常にはっきりしてきますと、その土地で構造改善事業を進めるのは少し見合わせたらどうかというような話も出てくることが予想されますが、当面新潟県の加治川にしましても、阿賀野川にしましても、そういう問題にはなっておりませんし、従来の計画で取り進めるということで進んでおるわけでございます。
  85. 石田宥全

    石田(宥)分科員 四市六町十一カ村で大体六万町歩の地域新産都市指定地域となって、市町村議会は議決をし、県はそれを地域としていま準備を進めておるわけです。大体そういう状態の中ではどうお考えになりますか。
  86. 中西一郎

    ○中西政府委員 非常に広い地域でございますし、その中で工業用地なりその他の用地がどのくらいの面積を占めていくかということを考えますと、あの地域の中に、相当農業用地は残っていると思われます。その残っていった農地に、周囲の環境も相当変わってまいりますしするので、そこにどういうふうな構造改善をやるかというふうなことについては、時代の推移とともに考えなければならない点も多かろうと思いますけれども、それぞれ実態に即した農業投資を進める。と申しますのは、そういうふうに残りました農業地帯における農業にとって、やはりその近傍の工業労賃といいますか、そういうものとの比較といいますか、自家労働評価の問題も起こりましょうし、相当出産性の高い農業を打ち立てていく必要が起ころうと思います。そういう意味での各般の農業投資は、相当積極的にやる必要があろうと考えておる次第であります。
  87. 石田宥全

    石田(宥)分科員 いつ最終決定が行なわれるか、わからないのですね。これは途中でやめるかもわからない、つぶれる公算も大きいのですよ。そういう場合に、いまの川水計画でも、国営でかりに十年としても、末端までやるには十五年か二十年かかるわけです。そういう事業を、かんがい事業だけでとってみてもそういう状態であるのに、一体それを計画段階でどう扱うかということも考えなければならぬ。その間一体農林省はどういう態度をとりますか。その間、ここは農地でなくなるかもしれないから、ここのかんがい排水の計画はストップしておく、こういうふうに言われるのですか。この点は一体どういうことなんですか。
  88. 丹羽雅次郎

    ○丹羽(雅)政府委員 お答えいたします。考え方といたしまして、新産都市ができて四十五年、五十年の一応の構想が固まってくるのであるから、長期投資である国営事業その他についてそれを見て考えたらどうかという意見が、財政当局等には、率直に申しましてございます。ただ、農林省といたしましては、その間農民は働いておるわけでございますし、生きておるわけでございます。そこで、そういうことのためにいろいろの仕事をストップするという考え方はとらない。したがって、加治川にいたしましても阿賀野用水にいたしましても、既定の計画で進んでまいりたい。その進んでまいります過程におきまして新産都市計画等が具体化いたしまして、先ほど非常に広い面積のお話がございましたが、実際に工場用地になり、あるいは住宅川地になるのはその地区の一部でございまして、道路その他によって結ばれる地区新産都市として包括されておるように私ども考えます。そこで、その間におきます農業というものも続くわけでございますから、既定の方針で進んでまいりまして、情勢の変化に応じつつ、逐次要すれば計画変更をいたして前進してまいりたい、こういう考えで進んでおるわけであります。
  89. 石田宥全

    石田(宥)分科員 科学技術庁資源局長に伺いますが、この新潟の新産都市地域は、多年地盤沈下の問題でずいぶん問題になったところでありますが、ここの地盤沈下の状況は最近どういう変化をしておるのか、きわめて最近の資料に基づいてひとつご説明を願いたいと思います。
  90. 橘恭一

    ○橘政府委員 最近の状況は、概括して申しますと、天然ガスのくみ上げ規制その他の対策が効を奏しまして、非常に地盤沈下の速度が減少しております。たとえば昭和三十四年から五年にかけての一年間は、山ノ下地区の水準測量点では沈下速度が一日〇・八ミリでございました。ところが一番最近のデータとしまして三十六年から三十七年にかけましては、それが半減して〇・四ミリになっております。それから最近の一年間は、目下資料を整備中でございますが、さらに沈下速度は下降し、安定した状態に入っておるものと大体見込んでおります。他地区に比べましても、その状況でありますれば特に新潟がどうということではなくて、ほぼ対策が功を奏して安定した、そう考えております。
  91. 石田宥全

    石田(宥)分科員 新潟周辺で三十四年から三十七年の間では、多いところでは四百十六ミリ、あるいはもっと信濃川沿岸の付近では四百三十七ミリというところがある。海岸線では五百五ミリというところがあるのですが、これは三十四年−七年の調査ですけれども、いまの御答弁だと非常に少ないように受け取れるのです。私は、これは政府の資料に基づいて言っておるのです。ここでは四年−七年というふうにとっているのですから、そんなに急速に沈下程度が緩和したということですか。
  92. 橘恭一

    ○橘政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げました数字は一日当たりの沈下速度ミリメーターでございます。したがって、〇・四ミリはかりに三百倍しますと十二センチでございます。こういうことでございます。
  93. 石田宥全

    石田(宥)分科員 私の聞き違いでした。そうすると、大体私の手元にある資料と一致しますからけっこうです。  そこで、企画庁長官、新産業都市建設促進法の第五条第一項第五号では、地盤沈下をするようなところについては特別な規定があるわけですね。この地盤沈下というものがいかに影響が大きいかということについては、私から説明を要しないと思うのですけれども、まだとまったわけではないのです。将来またどうなるかということについても、これは科学技術庁の調査でもまだ結論は出ていないのです。そこで、そういう状況であるから、新潟鉄工と言えば新潟市における相当大きな工場ですが、これは地盤沈下のために非常に苦慮いたしまして、最近群馬県の高崎地方に三万坪の土地を買いまして逃げ出す準備をしておるわけです。それから北越パルプという、これも有名な工場ですが、最近百人ほどの労働者を千葉県の市川市の工場に配転を決定しております。われわれの接する範囲における工場主は、地盤沈下もさることながら、豪雪にでもなりますと、一カ月くらい交通が麻痺してしまう。こういう状態では新潟ではとてもがまんができないので、無雪地帯に逃避せざるを得ないということをしばしば聞くのです。  さて、そういう実情の中で、いま近く地域指定が行なわれようということであるが、そういう状況の中でも、これはやはり指定をおやりになる方針ですか。
  94. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 新産業都市の候補地十三カ所を決定いたしますときに、なるべくすでに過度の密集をしております大都市周辺を避けて、どちらかといえば開発度の低い地方にこれを適正に分散させたい、配置させたいというふうに考えたわけでございます。なかんずく裏日本、日本海沿岸につきましては、いろんな意味で後進地域だと考えられますので、多少条件を寛大にしても何カ所かの拠点を置きたいということは、実は私が積極的に考えました一つの問題であったわけであります。その結果、富山・高岡地区につきましては、いろんな点から見まして、まず適格であると考えたのであります。実はもう一、二点選びたかったわけであります。秋田でありますとか、新潟でありますとか、いろいろ考えました。京都以西、いわゆる山陰ではとうてい相当条件をゆるめましても適当だと思われる地帯がございません。また秋田と新潟につきましても、いろいろ比較論がございましたが、結局やはり新潟であろうというようなことから、実は政府としては、新潟がいいのじゃないかというふうに考えたわけであります。その際に、地盤沈下の問題がございますことは、むろん知らなかったわけではございません。ただ、最近では天然ガスの採取についても規制が行なわれておるようでありますし、また各省がいろいろ対策を立てて調査をいたしまして、従来のようなはなはだしい地盤沈下は今後はないのではないか、ほぼそういうふうに考えておるというふうに私は承知をしておったわけであります。ことに新潟地区につきましては、新しく港をつくらなければならないわけであろうと思いますが、それは阿賀野川の東のほうにつくるのではないかと思います。この辺については地盤沈下の問題はまずない。こんなようなことを総合的に考えまして、実は候補地として指定をいたしました。しかし、ただいまもお尋ねのように、かりに政府がそう考えるにいたしましても、事実がそうでなく、地盤沈下が続けば問題でありますし、また企業の側で別個な見解から、どうもこういうところは企業の用地に適さないと考えるようになれば、これは公共投資を先行的にいたしましても、新産業都市はできないということになります。したがっていまの問題は、それだけ御指摘がございますと、建設基本計画考えますときに、もう一ぺんもとへ返って検討してみなければならない問題であるのかもしれません。御注意がございましたので、よくもう一度留意をいたしてみます。
  95. 石田宥全

    石田(宥)分科員 いまの発言、非常に重要だと思うのですよ。ある程度まで進んでまいりまして、そこでその実体が明らかになったところで、これはやめるのだ、こういうことになると、その場合の負担は一体どういうことになるのですか。政府指定をしなければ、そんなむだ金を使いませんよ。政府指定したばっかりに、何かわからないけれどもいいことがあるのではないかということで、いま騒いでおるわけですよ。そうして、すでにもうぼろもうけしておるのは地面師だ。さっきも話があったけれども、土地の価格が上がって、もうぼろもうけしておる。そうして、何かひとつ工場誘致をしようというので手配をしたところが、建設会社だけがそこの敷地の要望をして出てきておる。それだけです。あとは何にもない。既設の工場が逃げ出す支度をしているところに一体来るかどうか。しかし、それがある段階まで政府指定をしたからということで進められますね。これがつぶれた場合の負担は一体どうなりますか。
  96. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 石田分科員の御指摘になっておられますことを決してお疑いするわけではないのであります。現実に地盤沈下ということが今後かりに相当ゆゆしい問題であるといたしますれば、企業が来いといっても来ないことになりましたり、またもろもろの建設事業そのものが、公共投資そのものが計画どおり行ない得ないということにもなるはずでございますから、そういう金を投下いたします前に、すなわち建設基本計画を確定いたします前の段階において、そういう危険がないものであるか、あるいは若干あるにしても、公共事業を行なうことによってそれを防げるものであるか、その辺の見きわめをもう一ぺんよくつけました上で建設基本計画を決定しなければならないと思います。特に御注意がありましたので、その点慎重に建設基本計画を立てます際に検討いたしてみます。もちろん、その前に資本を投下するなどということはいたしません。
  97. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 石田君に申し上げますが、申し合わせ時間もありますから、御協力をいただきます。
  98. 石田宥全

    石田(宥)分科員 これは、ほかの分科会も全部予算委員は一時間ということでどこでもやっている。
  99. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 そういうことはありません。ここの分科会は、兼務員もしくは交代して分科員になられた方については申し合わせでやっておりますから、少々の時間はもちろんこちらも考えますけれども、そういう意味でひとつ御協力をいただきます。
  100. 石田宥全

    石田(宥)分科員 協力いたします。  それからもう一つ、豪雪の被害というものはどの程度にお考えですか。
  101. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、私もよく存じませんけれども、日本海に近い地帯は風もございますし、雪もそんなにたくさんは積もらない。むしろ多少山側にかかったところでずいぶん積雪があるようでございます。昨年などもそのようであったようでございます。新産都市考えられておる地帯そのものは、そんなに昨年のようなことがしばしばあるとは思えませんが、ただその周辺でございます。輸送その他これにはかなりの問題があると思います。しかし、これは豪雪対策としてやはり処置をいたすべきなのではないかと思っております。
  102. 石田宥全

    石田(宥)分科員 もちろん、豪雪地対策でやりますけれども、新潟市も相当降りますね。市の周辺も降ります。けれども、輸送の関係で途中が一番問題です。しかも、都市との輸送路が遮断されてしまう、それが一カ月にも及ぶというようなことも考えられるのですね。だから、工場誘致をしようとするときに一番問題になるのはその点なんですね。むしろ地盤沈下のない地域の諸君は、雪の問題を多く取り上げておるわけです。こういう自然的な気象的な二つの大きなマイナス要因があるにもかかわらず、これを指定をされるということになって、それと取り組んだ。取り組んだけれども、途中でだめになった、そういう場合の負担は一体どういうことになるかということです。途中までやった分について、やはり政府負担分政府負担しなければならないと思うのですけれども、それよりも、経済効果も発生しないにもかかわらず、地域住民負担が非常に大きなものになるのではないかということをおそれるわけですが、その点を明らかにしてもらいたい。
  103. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 最初に申し上げましたように、どちらかといえば、日本海沿岸は新産都市の候補地として選びますときにやや緩大な標準で考えた。それは、そういたしませんと、この地方はいつまでたっても結局進運から取り残される、こういう考えがあったわけでございます。そういう不利な条件一つに、確かにただいまおっしゃいました豪雪の問題がある、これはそのとおりだと思います。それは、やはり豪雪対策としても処置をいたさなければなりませんと思いますし、また公共投資をいたします際にもそういうことは考えて、その対策も織り込んでいかなければならないと思います。しかし、その上で、豪雪があるので企業がここに行かない、むしろ逃げ出すのだというようなことであるかどうか、そうかといって、そういう地方をほうっておいていいというわけにはまいりませんので、その辺は企業の型にもよると思いますが、政府の施策と豪雪対策と相まってどういう種類の企業が入り得るかという目安を立てながら、それを考え公共投資をしていく、それにマッチするような、適合するような公共投資考える、こういうふうに考えるしか方法はないわけであります。
  104. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そういうことはもうわかっておるんで、つぶれた場合にだれが負担するかというのです、端的に言って。
  105. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、何がつぶれた場合に何を負担するという質問でございますか。
  106. 石田宥全

    石田(宥)分科員 いまのところ、計画が出てこないから、さっき長官も言われたように何が何だかわからないのです。だから、まあまあついていってみな動いておるわけです。具体的な建設計画はでき上がった、いやこれはだめだというときに、それまですでにいろいろな専業が始まっておる、その負担はだれがするのか、こういうことです。
  107. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、たとえば新産都市ができるであろうといって地面に投機をした人がつぶれるということは、全くその人のかってであります。
  108. 石田宥全

    石田(宥)分科員 県が指導し、県がやって、そして道路なり橋なりそういうものをすでにやっておるわけです。そういうものが、途中で地域住民の反対でやめようじゃないかということで取りやめになった場合に一体どうなるか、指定を受けた後に地域住民が反対してきてだめになったときどうするか、こういうことです。
  109. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 新産都市は、地域社会の申請に基づいて政府指定するわけでございますから、その申請を取り下げるということになりますれば、それは、そこで新産都市ではなくなるわけでございます。したがって、それについての責任を政府にとれと言われましても、私はとりょうがないと思います。
  110. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そうすると、県がやった場合には県が負担すべきだ、こういうふうに理解してよろしいですね。
  111. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 県が負担した部分の工事については、当然県の負担になると思います。
  112. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そこで、先ほどからいろいろお話を申し上げましたように、その事業費の大半は県並びに指定地域住民負担に帰することは明瞭なんです、若干の相違はあるとしても。そうなりますと、新潟県のような貧弱な財政のもとにおいては、県道を舗装するのに、いままでの進度率では六十年もかかるというのに、さらに山村地帯などでは、公共事業をほとんど全面的にストップしなければならないような状態になるのではないか。新潟市とその周辺は若干潤うかもしれないけれども、それがために県民全体が非常な負担をしなければならない。そうすると、県民全体、特に農山村民の犠牲のもとに新産都市というものがつくられるのではないか、こう考えるわけですが、どうですか。
  113. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、先刻も藤田分科員に申し上げましたように、私どもは、新産都市というものは、経済、文化等々が広がっていきます拠点になるというふうに考えておるわけでございます。何もここに工場川地だけをつくるという考えではございませんので、拠点をつくるという考え方、それから経済、文化が周辺に向かって広がっていくという考え方が誤りでない限りは、そのようなことは起こらないであろう。また建設基本計画は、先刻も申しましたが、ただ工場をつくるということだけでなく、一つのまとまった地域社会ができるように、すべてのバランスを考え建設基本計画をつくってほしい、また私どもも、そういう目で検討いたします。こういうふうな考えに立っております。
  114. 石田宥全

    石田(宥)分科員 一番最初に長官は、新産都市について国は特別な負担をしないということをおっしゃったでしょう。そうすれば、所得の少ない農山村にも、ことに固定資産税は今度上がることになるし——農地は上げないというけれども、山林も上がるし、宅地も上がる。そういうふうにして生産の非常に低い低所得階層に対して重税を課して、そうしてほんの一部、一地域開発をやるにとどまるという結果になるのではないかということを私は申し上げておるのです。端的に言って、そうでしょう。
  115. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、将来の発展を考えて現在それに対して資本的な負担をすべきかどうかということは、当該地域の人々が考えるべき問題であります。現在負担をするのがいやだから、将来の発展もあきらめようというのなら、それも一つ考え方であると思いますし、現在負担をしても、自分のところの将来の繁栄に何ら関係ないといわれる人々は、おそらく負担をしないという態度に出られるでありましょうから、そういう地域は、何も自分のところは新産都市地域に含めてほしくない、こういうふうにお考えになるであろうと思います。私どもは、それを何も無理にお入りなさいということを申し上げるつもりはございません。
  116. 石田宥全

    石田(宥)分科員 私は、その地域だけを言っているのじゃないので、県民全体を言っておるのですが、時間が来ましたからこの程度にいたしまして、ただ一言だけ申し上げておきます。  さっき藤田分科員も触れられたようですけれども、この新産都市の構想というものは、構想それ自体は農業構造改善事業と非常に似通った性格のものだと私ども理解をしておるのです。  農業構造改善事業は、御案内のように、せんだっての予算委員会でも問題になりましたように、たとえば千葉県の豊住地区で——これは宮澤さんも参画されたと思うのですが、豊住地区農業構造改善事業は、当初二十億くらいの規模で農村工家という非常に理想的な高度の構造改善事業計画されたのです。いろいろなものが発足して準備段階に入ったのですが、だんだん全体の内容が明らかになってきたところが、農民が反対して、これを返上の決議をしちゃったのです。返上決議をしたが、すでにある程度金を使っておる。農業協同組合がそれがために立てかえをした分だけで六千万円くらいあったわけです。そこで、立てかえをした農業協同組合は破産をするのじゃないかというので、取りつけ騒ぎが起こり始めたわけです。そこで、これじゃたいへんだというので、返上しっぱなしにもできないというので、それじゃ規模を縮小してやり直そうかということで、いま四苦八苦しているけれども、私は完全につぶれると思うのです。それと同じケースを新産都市に見ることが十分予想される。ことに最近では、池田内閣がつぶれたら新産都市なんというものは吹っ飛んでしまうだろうということが大かたの意見になって、非常に強くなってきておる。そうすると、ある程度いった、金はつぎ込んだ。ところが途中で——さっきあなたが答弁されたように、何も内容はわからないのです。内容がわかるまでには相当金を使ってしまっておるわけです。わかってきて、そして、この豊住地区と同じように、それは返上だということになったとき、すでに相当金を使っておる。それは、やはり県なり県民なり、その指定地域住民がこれを負担しなければならないということになるとたいへんじゃないかということを私は指摘しておるのです。私は、そういう点をも考えられて、この指定にあたっては慎重を期すべきであろうと考える。これは私の考えですから、答弁は要りませんけれども農業構造改善事業でいやというほど私どもは見せつけられておりますし、それがために、地域住民負担の過重に非常に困っておりますから申し上げるのですが、ひとつ参考にして御検討を願いたいと、要望申し上げて終わります。
  117. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 新産都市法律は、国会におきまして与野党御参画の上で成立したわけでございますから、一内閣の運命と運命をともにするようなものだとは考えておりません。  なお、十三地区、事情が同一ではございませんので、ただいま御指摘のこともよく考えまして、具体的な建設計画をつくります際に十分留意してまいります。
  118. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 これにて石田君の質疑は終わりました。  次に、吉村吉雄君。
  119. 吉村吉雄

    吉村分科員 私は、企画庁が監督をしておりますところの、ここ四、五年来たいへん問題になっております東北開発株式会社の問題について、若干長官並びに関係当局の意見を一開いておきたいと思うのです。   〔仮谷主査代理退席、淡谷主査代理着席〕  初めに、東北開発株式会社の現在問題になっておる事柄並びにその問題になった原因、こういうものについて、監督官庁としてはどのように考えられておりますか、お尋ねねをしておきたいと思います。
  120. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 東北開発株式会社では、昭和三十七年の決算までにすでに二十何億円かの赤字が累積しておるわけであります。また、今年度も十億円程度の赤字があるということで、今年度末には赤字が都合三十何億円かになるわけであります。その原因には、よって来たるところも非常に違うございますし、いろいろあると思いますが、現段階で分析をいたしますと、資本の利子負担でありますとか、償却費でありますとか、あるいは人件費といったようなものの割合がいかにも高いわけでございます。普通の事業会社でございませんから、普通の事業会社と比べるつもりはございませんが、それにいたしましても、いかにもそれが高過ぎるわけでございます。具体的にお尋ねがあれば申し上げてもよろしゅうございますが、こういう状態では、会社設立の目的をこのままでは達成することが困難だというふうに考えられるようになりました。  そこで、会社当局、私どもばかりでなく、民間の学識経験者数人の人にも、昨年の夏以来いかにしてこれを再建すべきかということについて検討をわずらわしておったわけでございます。と申しますのは、これが普通の営利会社であれば、当然倒産をいたすか、あるいは会社更生法の適用を受けるかいたすべきものであります。何ぶんにも東北の開発という大切な仕事は、依然として大切でございますので、何とかしてこの会社の目的を仕上げていきたい。そのためには、もう一度会社の再建をはかるということしか方法がないであろうというふうに考えたわけであります。したがって、私どもそれらの会社並びに学識経験者等々の衆知を集めまして、再建計画にただいま乗り出そうといたしておるわけであります。その方途としましては、ただいま申し上げましたような病因を除くということが必要なわけでございますから、第一に管理機構その他剰員と思われますところの人の整理をいたさなければならない。第二に、会社が直営事業としております仕事の中には、すでに時代の要請におくれておるものがございます。カーバイドとか亜炭というものはそういうものでございます。これらについてはやはり整理、縮小をしなければならない、こういったようなことが当然必要であります。しかし、それと同時に、これだけの事業をいたしていきます上には数年を少なくとも必要といたしますと思います。そのための再建資金は、国としてはこの際思い切ってめんどうを見る、そういうたてまえのもとに会社のマネージメントも一新をし、それから再建のめどがつきますまでは新規の事業は原則としてやっていかない、やらない、こういったようなことで昭和三十九年度から実は具体的にはもうすでにもろもろの準備を始めておりますけれども、再建に取りかからざるを得ない、こういう実情であります。
  121. 吉村吉雄

    吉村分科員 この会社は、いま長官からの答弁のように特殊会社でありますから、通常の企業というわけにはいかないと思うのです。そこで、東北開発というものを目的にする国策会社でありますから、現在までの赤字がすでに三十億にものぼっておって何とかしなければならない、こういう実情についてはわかりますけれども、特殊会社という関係、あるいは東北開発というものを目的にしたところの事業、こういう性格から考えてまいりますと、この赤字の内容につきましても、当然会社の目的上からくるところの必然的な赤字というものも含まれておるのではないか、あるいはいま、長官から答弁のありましたところの不良資産の問題とか、あるいは今日の事態に適しない事業をやってきたというような問題、こういうような経営上の赤字というようなこともあるかと思うのですけれども、私の考えでは、会社の目的からするところのやむを得ない赤字というもの、あるいはそのほかに経営のミスというものが原因となって累積された赤字というもの、そういうものに大体区分されるのではないかというふうに考えられますけれども、その点については一体どのように判断をなされておりますか。
  122. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 元来この会社は、利益をあげるということを目的にしておったわけではございませんので、そういう意味では、吉村委員の言われますように、何も必ずしも利益があがらないからといって非難すべきものではないということがあるだろうと思います。それは私もそうだと思います。しかしながら、毎日三百万円ずつ赤字が出るというようなことでは、これはいやしくも会社と名のつくものは、非営利会社でありましてもやっていけないことは明らかでございます。ただいまのように、どの部分がやむを得ないもので、どの部分が誤りに基づくものかということの分析はちょっと困難であろう。たとえば、人件費はやむを得ないものであるかと言えば、余剰の人員をかかえておれば、その人件費はやむを得ないものとは申せないでありましょうから、今後収益をあげ得るであろうと考えられる事業、たとえばセメント事業のようなものでございますが、これに使いました支出は、かりに現在ペイしておりませんでも将来ペイすると考えられるものでございますから、これはもう当然やむを得ないといいますか、正当な説明のあるものだと思いますが、概して言えば、努力によって防ぎ得る赤字が大きいのではないかと考えます。
  123. 吉村吉雄

    吉村分科員 一昨年ですか、この会社の経営内容についてたいへん大きな問題になって、本院でも取り上げられ、あるいは決算委員会等でも特別の決議がなされたことは長官も御承知だろうと思うのです。私がいま会社経営上の必然的な赤字、あるいは経営のミスから免ずるところの赤字、そういうものに区分がされるのではないかというふうに申し上げましたのは、この会社の経営の首脳部のあり方についてすでに巷間問題になっておる、あるいは国会の中でも議論をされている、こういうことがありましたので申し上げたわけでございますけれども、たいへん問題を起こしたその責任をとるという意味合いから、会社の首脳部が総退陣をされた。この総退陣をされた方々のその後の処遇を調べてみますと、どうも政府として非常に手ぬるい状態というものが考えられるわけです。さらに、これらの方々に対する退職の場合の経済的な処置、こういうものについても、きわめてばく大な金等が支出をされておる。こういうようなことから考えてみまして、今回再建計画というものが出されましたけれども、新聞の報道するところによると、あるいは決算委員会における長官答弁によりますと、総裁を残して理事者は全員交代をしてもらう所存であるという趣旨のことが述べられております。交代をする、責任をとるというふうになるのかどうかわかりませんけれども、首脳部の人事一新という意味で陣容が一新される、こういう場合に、そうでなくてすら非常に苦しい経営を続けているといわれる中で、これまた前回と同じように多額な退職金等が支払われていくということになるとするならば、会社の再建のために今日まで協力をしてきた一般の従業員の気持ちから見てどうもそぐわない、納得でき得ないということが出てくるのではないかと思われるわけです。ですから、考えようによりましては、この首脳部の交代ということは、短い期間に首脳部が交代をする、多額の退職金なるものが支給される、そういうことを繰り返していくことが非常に私は問題ではないかと思われるのですけれども、この前の理事者が退職をする際に支払われた退職金と、あるいは昨年あたり合理化の一端としてなされましたところの人員の縮小、こういうことによって支払われた退職金はどういう状態になっておりますか、ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  124. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 どの程度までただいま計数的に申し上げられるかわかりませんが、政府委員から申し上げます。
  125. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 ただいま手元に退職金の金額がどれだけなのか持ち合わせてございませんので、たいへん恐縮でございますが、退職金の規定では、普通月額の六五%の金額を勤務年限に応じて支給することになっておりますが、先般の場合には六五%を四五%に削減して支給しておるという状況でございます。なお、刑事事件その他の問題になった方につきましては、まだ支給されておりません。そういう程度お答えしかできません。
  126. 吉村吉雄

    吉村分科員 六五%の規定になっておるのを四五%に下げた、こういうのでありますから、良心的なものが少しはあるというふうに思われますけれども、しかも、これは月額についての計算方法をとっておると思うのです。私がいま比較に申し上げましたのは、会社の経営に協力するという意味で昨年あたり約二百名くらいの方々がおやめになっておるはずだと思うのですよ。これらの方々に支払われた退職金の総額というのは、一体どのくらいになっておりますか。
  127. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 ずばりそのものの金額の数字を持ち合わせていないので、たいへん恐縮なのでございますが、会社都合による退職ということで、普通の退職金の三割増しの退職金を出して退職していただいておるということでございます。
  128. 吉村吉雄

    吉村分科員 一般の方々に退職を慫慂してやめてもらう場合に三割の増額しかできなかったというのでありますから、しかも一般職員の場合には、一年勤続でおそらく一カ月分になるかならぬ方々もおろうと思います。そういうものから比較をしてみまして、私が特に問題にしますのは、わずかの金のようなふうには見られますけれども、会社に協力するということで会社をやめていった方々に支払われるところの退職金に比較して、経営の首脳部に位置する人、それらの方々がまたいろいろな収賄とか不正に見られるような問題を起こしてやめていく、こういう方々がもらってくるところの退職金というものは、幾ら少なく減額してやったにしましても、その額というものはきわめて大きい。見ようによっては、何か問題を起こして、あるいは会社の経営というものがよくなくなってくることによって、会社の首脳陣というものが一掃されていくことによって首脳陣の方々のほうが非常に退職金なり何なりをもらって、また次の政府関係する機関のところに移っていく材料をつくっているとすら見れば見れない節はないと思うのです。こういう点を、私は会社の経営上の問題から見てたいへん疑問に感じておるのです。と申しますのは、法律のたてまえからいたしますと、総裁、理事その他は全部総理がこれを任命するということになっておりますけれども、こういうような事柄につきましても、会社に対して自主性というものがあまり与えられていない。そういうところに一番大きな問題をはらんでいるのではないか、こう考えましたので、非常に具体的なことを指摘しまして恐縮でありましたけれども、十分この法の内容等についても考慮を加えていく必要があるのではないか、こういうふうに考えます。  それから、その次にお尋ねを申し上げたいのは、時間が制限されておるので、はしょっていかざるを得ないのですけれども、再建計画というものが今度出されておるようでございます。いまも長官からその内容の一端の説明があったわけでありますけれども、これは、当然予算の裏づけが必要になってまいりますから、現在審議をされておりますところの予算が成立をすれば、その再建計画というものは当然のことながら実施に移されていく、こういうふうに考えられるのでありますけれども、そのような理解に立ってこの点は間違いありませんか。
  129. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 三十九年度の予算の御審議をお願いいたしております中に、政府として再建計画でになうべき金額を御審議をお願いいたしております。これは単年度にとどまりませんで、今後数年間継続して負担をしていかなければならないと考えているわけですが、それを背景にいたしまして、ただいま会社で再建計画を具体的に立てております。私どもの役所も協力をいたしておりますが、それはやはり従来の勘定、旧勘定と申しますか、再建勘定と申しますか、それと新しい勘定とをはっきり分けるような形をとり、経営者に対しましては、先ほどお尋ねのあったようなことが現在考えられているわけであります。それと同時に、事業の整理、さらに最後の点は非常に取り扱いに注意を要しますが、職員、工員についてもいろいろ転職先を考えながらある程度の整理をせざるを得ない。それらの再建計画を間もなくやがて会社から提示をしてまいることになっております。それが再建計画として認められ得るということになりますと、予算の御可決をいただきましたらば、政府としても再建資金をこれから出していく、こういう考え方でいるわけであります。
  130. 淡谷悠藏

    ○淡谷主査代理 吉村君、ちょっと申し上げますが、経済企画庁長官はやむを得ざる政務のために一時半までしかこの委員会におれないようございますから、あなたの質問は、企画庁長官に関してはその時間までに大体終結するように御配慮願いたいと思います。
  131. 吉村吉雄

    吉村分科員 そういたしますと、再建計画なるものは、まだ政府のほうでは承認を与えていないということになるのですか。
  132. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 さようでございます。まだ承認は与えておりません。ただ、もう少し具体的に申し上げますと、昨年伊藤総裁から経営者を一新して再建に着手をいたしたい、それについては、政府としても何ぶんの財政的な支援を請いたい、こういうお話がございます。したがって私どもは、その再建計画が承認され得るものであるということになりましたならば、そうして三十九年度の予算を御可決いただきましたならば、政府としてもこれに対して支援をしよう、こう考えておるわけであります。
  133. 吉村吉雄

    吉村分科員 この会社の再建、あるいは計画上の観点から見て、当然政府が出資をしているはずでありますから、それは予算で審議中だということになるでしょう。そうしますと、計画が承認をされていないのに、どうしてその予算が計上されることになるのですか。
  134. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはこういうことでございます。再建計画政府が承認しておらないのかというお尋ねに対して、そのとおりでございますと申し上げましたが、昨年の暮れに至りますまでの段階で数カ月の経緯がございまして、整理すべき事業はこれとこれであろう、育成すべき事業はこれとこれである、経営者についてはこういうふうにする、こういったようなことを、大筋は実は会社の首脳部と私ども考え方は合意をしているわけであります。それをさらに具体的にどういう段階でどういうふうにしていくか、ことに人員整理の問題がからまりますので、それらについてもう少し具体的なものを考えていかなければならない、それらのものを最終的に提出をしてもらい承認をする、こういう考え方であります。
  135. 吉村吉雄

    吉村分科員 その大筋の問題について、会社のほうと合意に達している、こういうことでございますが、その大筋というのは、先ほども長官の説明の中にもありましたけれども、今後の会社の事業としては、セメント事業とハード・ボード事業を根幹としながら亜炭の事業、あるいはカーバイド事業、こういうものについては、民間移譲あるいは小業縮小をやっていくということについての合意というふうに解していいのですか。
  136. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 さようでございます。そのうちで、ハード・ボードにつきましてはなお多少の疑問が実はございますが、おそらくはさらに手を入れますことによって、これは将来残していっていい事業であるということになるかと思いますが、その点についてだけ多少未確定な部分がございます。その他は仰せのとおりであります。   〔淡谷主査代理退席、主査着席〕
  137. 吉村吉雄

    吉村分科員 そういたしますと、長官もいま話されましたように木友並びに福島の工場については、これを民間移譲するということでございますから、その点については合意に達しているということでございますから、ここで働いておる従業員の問題が当然にして起こってくると思うのです。事務当局にお尋ねしますけれども、木友並びに福島の工場で働いておる従業員の平均年齢というのは、一体どれくらいになっておりますか。
  138. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 ちょっと調べるまでに時間をおかし願います。
  139. 吉村吉雄

    吉村分科員 この会社の経営なり事業計画なりというものは、各年次ごとに政府の承認を受けるということになっております。承認を受けますと、当然財源的にも制限をされたワク内で経営が行なわれるということになるのでありますが、こういった場合に、この会社の労使の関係というのは、言うまでもなく一般労働組合法の適用を受ける、こういうふうになってまいります。そこで会社と組合との間で交渉が行なわれていくことに対して、企画庁の監督権というものは、労使の団体交渉をある程度規制するおそれなしとしないと思うのでありますけれども、この点はどのように考えられますか。
  140. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 労使の交渉を、監督官庁として企画庁が規制するようなことはないと考えます。
  141. 吉村吉雄

    吉村分科員 先ほどのはまだわからないようですから、少し企画庁長官に知ってもらったほうがいいと思うので、私の大体の推測で申し上げておきますが、木友の鉱業所並びに福島の工場ともに、ここで働いておる従業員の平均年齢は、おそらく三十七、八歳になっておるだろうと私は思います。そうなってまいりますと、企画庁が合意に達しておるというこの計画によりますと、これらの方々がやめていかざるを得ないというあんばいになってまいりますけれども、言うまでもなく、現在雇用の問題として一番問題になっておるのは、中高年齢者の雇用というものが容易ではないということです。そこで当然労使間におけるところの団体交渉というものは、いわば賃金を上げるとかいうものよりも、もっと深刻な内容にならざるを得ない、このように考えられますけれども、何かこの前の長官の決算委員会におけるところの説明によりますと、これらの方々に対しては政府としてもできるだけ再就職のあっせんをしていきたい、こういう趣旨の答弁をしておるように私は読んだわけでありますが、こういった中高年齢者の問題というのが特に大きな問題になりつつあるときに、これらに対して政府が再就職の方途というものを努力するということは、具体的にはどういうふうに努力をされるということなのですか。ひとつ考えを聞かしてもらいたいと思うのです。
  142. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それにつきましては、どこの事業所等でどういう仕事をしております職員、工員なりをどういうふうにやめてもらうかというような、かなり具体的な計画前提にいたしませんと、具体的にどういうことをするかということが申し上げにくいわけであります。私が決算委員会で申し上げましたのは、少なくとも相当長いこと東北開発のために働いた人々でありますから、これについての財政上の処置、金銭上の処置、並びに今後いかにして生活上の転換をしていくべきかというようなことにつきましても、会社はもとよりでありますけれども政府としてもやはり責任のあることであって、具体的にできるだけのことをしていかなければならない、そういう心がまえを実は申し上げました。あまり早く、この案が熟しませんうちに、何人、どこへ、どこからというようなことを申し上げることは、いたずらに不安をかもすだけでございますので、その点は、もう少し具体的に話を詰めましてから申さしていただきたいと思います。
  143. 吉村吉雄

    吉村分科員 長官御存じだと思うんですけれども、この会社の再建計画なるものは、すでに相手側というべきところの労働組合のほうに会社のほうから提示をして、説明を加えておる段階になっておる。その中で一番大きな問題になっておりますのは、やはり木友の鉱業所並びに福島工場の縮小あるいは民間移譲という事柄です。こういうことですから、私は心がまえという段階でないと思う。しかも、この会社は、企画庁の監督を受けて、事業計画についてその承認を受けた上で経営が行なわれておるわけですから、私は予算が現在審議をされておるということは、その予算とうらはらの関係としての事業計画というものも、当然企画庁のほうでは承認の上で事が運ばれておるというふうに見るのが常識的だろうと思うのです。また、長官も、ハードボードの問題については少しく合意に達しない点はあるけれども、その他の点については会社のほうと一致した見解に達しておるということでございますから、会社のほうで労働組合側に提示をしたところの再建計画、具体的な内容としては人員整理を伴う再建計画というものについては、考え方を述べるという段階よりも、具体的にどうするかという段階に入っておるというふうに思うのでありますけれども考え方、心がまえ、そういうような事柄だけで済ませ得る時期だというふうに思われますか。
  144. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いまの段階は、事業の整理、それから今後の再建計画に伴いますところの資金的な措置、それらのものを中心考えておりますわけで、その結果として具体的に人員整理の問題にまで将来これは当然及ぶわけでございますけれども、ただいまの段階で、会社側と従業員との間で具体的な整理についての折衝があるなり、あるいは会社側の考えを示すなりするところまで事態は参っておらないわけであります、ただいまおっしゃったようなことは、したがっていまだ起こっておりません。しかし、これは将来どうしても起こらなければならないことだと思います。
  145. 吉村吉雄

    吉村分科員 そういたしますると、いまの段階としましてはそこまでいってはいない、しかし将来必ず起こり得るはずだ、こういう認識でございますけれども、この場合、予算におきましては、企画庁が承認を与えて、そうして会社がそれを運用する、こういうことになります。それが具体的には今度は労働組合との交渉ということに入っていくわけですけれども、当然人員整理の問題になってまいりますと、資金上の関係、こういう問題が起こってまいりますから、この予算がきまるということは、労使間の団体交渉というものを制約せざるを得ないという結果になるのじゃないか、このように私は思うのでありますけれども、その点はどうですか。
  146. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 東北開発株式会社の予算を御審議願っておるわけではないわけでございまして、政府として再建資金を予算上どう措置するかということを御審議願っておるわけでございますから、したがって、具体的な退職に関する手当その他は、なお今後昭和三十九年度の東北開発株式会社の予算の執行の面でかなり弾力性があるものだ、したがって、そこから人員整理についての労使間の交渉といったようなことが非常にこまかいところまで制約されるという筋合いではないだろう、こう考えます。
  147. 吉村吉雄

    吉村分科員 長官のいまの答弁内容からいたしますと、こまかいところまで企画庁としては立ち入っていない、あるいは再建計画の予算を審議しているのであって、それは柔軟性を持っておるという趣旨の答弁でございますが、そのことは次のように考えて差しつかえありませんか。そういたしますと、会社の再建計画なるものによって今後の労使の交渉というものが行なわれていくことに対して、企画庁としては人員整理をどうしろとかあるいはこうしろとかいうことは、全然関与する意向はない、こういうふうに解釈をしてよろしいですか。
  148. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 納税者の金を使いまして、国費を使いまして、今後数年間再建のために応援をしていこうというのでございますから、おのずから私どもにも私ども考えがございます。全くそういうことを何も申さぬか、申しませんとお答えすれば、私はそれはうそになるというふうに考えます。けれども、そういうことはまあおのずから——これは工場をただやめるというのではありません。人の問題でございますから、木で鼻をくくったような一方的な方針だけでものが片づけられるわけではございません。したがって、決算委員会でも申しましたように、かなりの資金的な措置はいたしますので、その間は会社側と労働者側と十分に相談をしてやってもらいたい。役所として、これはかくかくでなければならぬというようなことをこまかいところまで指示をいたすというようなことは、本来再建のこれからの基本方針としても間違いであろうと考えております。
  149. 吉村吉雄

    吉村分科員 ちょうどいいところで大胆に逃げられるあんばいなんで参りましたけれども、私の問題にいたしますことは、会社の再建計画というものを企画庁が承認をして、それとうらはらの関係にある予算が現在審議をされておる。予算はおそらく原案どおり通過をするでありましょう。そうなってまいりますと、会社の再建計画なるもの、企画庁が合意したこの再建計画なるものの中には、人員整理というものが含まれておる、こういうようになる。この人員整理が含まれておりますけれども、それを具体的に実施に移す場合には、労働組合法の規定に従って労使の同体交渉で行なわれていくということになります。しかし、予算的に制約をしている以上は、労使の団体交渉というものも、当然そのワク内で制約されるということになりはせぬか。再建計画の中身には、人員整理が伴っておる、こういうものであるとするならば、当然にその団体交渉というものに対してこの計画は制約を加えることになるのではないか。そのことは、現在の労働組合法の精神からするならば少し問題があるのではないか——少しどころか、非常に重大な問題があるのではないかというふうに私は申し上げているのです。ところが、いままでの大臣の答弁によりますと、こまかいところにまでは立ち入ろうとは思わない。思わないけれども国費を使っておるところの事業であるからして、何もものを言わないということではない、ここで答弁が終わったわけでございますけれども、何も言わないということと、こまかいところまで立ち入るという気持ちはない。これを具体的に言うならば、人員整理の計画というものが含まれた再建計画というものが承認をされているということは、この中には数字もすでに明確になっておる。再建計画の中には、たとえば木友の鉱業所には何人の人がおる、福島工場には何百人の人がおる、こういうことが明確になっておる以上は、それらの方々の整理というものについて、企画庁が承認を与えたということになるのではないか、こう思うのですけれども、この点についてはどうですか。
  150. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 ただいまの再建計画の中には、考え方としましては、機構の縮小、それに伴うかなりの人員の整理ということが必要であるということがうたわれております。そして予算の面では、会社の総資金量は財政投融資として五十億を予定し、十四億を政府出資として考え、その政府出資のうちの十二億を再建資金として会社の今後の利子負担の軽減をはかっていくというふうなことで、大体の大きなワクが組まれております。さらにその内容について、どういうふうな事業には幾ら、人員の給与のためには幾らといったような問題は、東北開発会社のほうで、実施計画的にも詳細な計画案をつくっていくわけでございます。ですから、おっしゃられたような意味で、再建計画に人員整理を考えている、かなり大幅に考えているという意味では、理事者は、そういうことを政府のほうと大体方針について合意に達していま再建計画を練っているという、そういう意味においての規制といいますか、あれがあるかと思いますけれども、たとえば整理の人員をどうするか、何人にするか、退職金をどうするかという問題につきましては、これから会社のほうが一つの具体的な案をつくって、その上で組合との団交によって話をまとめていくということになろうかと思います。
  151. 吉村吉雄

    吉村分科員 事実の問題は事実にしてもらいたいと思うんですよ。あまり言いわけがましいことを言わないでください。時間ばかりかかってかないませんから……。
  152. 松浦周太郎

    ○松浦主査 時間がだいぶん経過しておりますから、結論に入ってください。
  153. 吉村吉雄

    吉村分科員 私が申し上げておるのは、木友鉱業所並びに福島工場についてはこれを縮小し、民間に移譲していくという方針については、企画庁と会社のほうは合意に達しておる。当然その中には人員整理を含まざるを得ないということになるでしょう。その人員整理の内容を含んだ計画が承認をされておるということは、今後それが具体的な実施に移されていく場合に、労使の団体交渉というものを規制するという結果に、当然にしてなるのではないかということをお尋ねをしておるのです。
  154. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 会社のほうとしてこの会社をどういうふうに運営していくかということは、理事者の決意でございましょうけれども、そういう決意をして、役所のほうと相談をしてそういうふうにしていく決意をした以上、その決意が団体交渉に対して一つの規制として働くことは、事実であろうと思います。
  155. 吉村吉雄

    吉村分科員 そうなりますと、この事業計画なるものを企画庁との合意に達して実施に移していくということは、労働組合法の関係からしますると、労使の対等の団体交渉というものを制約するということになってくるというふうに私は申し上げたのですけれども、先ほどあなたはそういうことにはならないという答弁がありました。現実には、その答弁といまの答弁とは矛盾をしてきたというふうに思うのですけれども、この点はどうなりますか。
  156. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、労働組合との交渉に対してこうしろああしろという意味での企画庁からの差し出がましいことは一切いたしませんということで申し上げました。
  157. 吉村吉雄

    吉村分科員 そういたしますると、時間がまいりましたから、もう少しのところですけれども、要約せざる得ないと思うのです。今後その計画が具体的に実施に移されていくことについては、もう予測をされる。これは大臣が先ほど答弁をいたしました。その場合に、労使間の団体交渉というものについて、企画庁は、人員整理その他の問題について差し出がましいようなことは言わない、あまり深く介入しない、こういうふうに解釈をしてよろしいですね。
  158. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 よろしいと思います。
  159. 吉村吉雄

    吉村分科員 それでは、私がいままで会社のほうから受けた説明といまの答弁はだいぶ内容的に違っておりますが、この公式の席上であなたがそのように答弁をするのでありますから、そのとおり私は理解したいと思います。しかし、事実に反したような行動が今後とられていくとするならば、これはきわめて重大な問題になっていきますから、労働組合法の関係から見ても、重大な問題になっていきますから、私は、ここは十分いまの答弁の趣旨を考えつつ行動してもらうように御要望をしておきたいと思うのです。  最後に、この企画庁の考え方を確認をしておきたいと思うのですけれども、当然、これは労働組合法のたてまえから申し上げますると、労使の合意というものが前提にならなければならない。あるいはまた、長官も先ほど答弁されましたが、特に今度の問題については、東北開発のために長いこと協力をしてきた方々、私の推定によると、これらの方々は中高年齢者だろうと思うのです。現在雇用の問題の中で、中高年齢者の再雇用の問題が一番問題になっておる。この事態の中で、もし中高年齢者というものが、企画庁の計画、企画庁の監督によってこれが大量に整理をされるというようなことになっていくとするならば、きわめて大きな問題だというふうに言わねばならぬと思います。会社の経営の問題からするならば、赤字の問題がある。しかし、この会社はあくまでも特殊会社でありまして、国策上の観点から設立をされたのでありますから、企業成績だけにこだわって見るべきではない。そういう性格を持った会社だと思うのですよ。そのような観点からするならば、いまの事業計画、あるいは再建計画というものが、赤字をどうしたら解消できるのかという、そこにだけ目を向けたところの考え方によってつくられているということは、会社の設立目的に反しているのではないかというふうに考えますので、この点は十分監督官庁として考え直していく必要があるだろうと思います。そうでないと、これはえらい問題になってまいると思いますから、先ほど長官からも十分留意をしていくという話がありましたけれども、とにもかくにも、いままでのほかの政府機関にあるところの職員と違って、非常に低賃金のもとで会社の経営に協力をしてきた。昨年のごときは、会社の経営に協力するために、二百人にものぼる人が希望退職としてやめていった。そのときにも、会社はどういうことを言ったかと言いますと、それによって会社の再建というものができるということを確約したはずである。一年も過ぎないのに、またこういうことをしなければならない。こんなことで一体従業員はおろかのこと、東北の住民というものは、会社なり政府の言うことに対して信頼が置けるか。決して信頼は置けないと私は思うのです。しかも会社に協力してやめた方々の今日の状態はどうかというと、再就職どころか、非常に困った事態に置かれていることは、御存じのとおりであります。その二の舞いを演ずるかもしれない、演ずるおそれもある、こういう問題でございますから、五人、十人の問題でなく、多数の方々に関係した問題であり、しかも東北開発というような国策上の問題とも関連をするのでありますから、会社の設立目的、こういうものに目を向けたところの方針で今後監督なり指導に当たってもらうように要望しておきたいと思うのです。  さらに再言をいたしますけれども、これが労使間の団体交渉に移されていった場合には、その円満な結論、そういうものを見た上で初めてそれが具体的に移されていく、こういうふうになっていかなければならないと思いますけれども、その点はそのように解釈してよろしゅうございますね。
  160. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 そのとおりだと思います。
  161. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて吉村吉雄君の質疑は終了いたしました。  午前の経済企画庁に対する質疑はこの程度にとどめ、午後は本会議散会直後再開し、質疑を続行することといたし、暫時休憩いたします。     午後一時四十七分休憩      ————◇—————     午後三時十六分開議
  162. 松浦周太郎

    ○松浦主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  経済企画庁に対する質疑を続行いたします。  淡谷悠臧君。
  163. 淡谷悠藏

    ○淡谷分科員 東北開発三法ですが、この精神から見まして、さっき吉村委員からも質疑があったのですが、東北開発会社の問題です。これは、どうも、東北開発会社というものは、東北開発三法に基づいた会社でありながら、国策と企業との間に非常にあつれきがありまして、末端ではまことに困った状態が起こり、それがひいては赤字の原因をなしているような形がしばしば見える。これはセメントの工場もそうですが、ハード・ボードにしましても、企業を始めるときは非常にやっきとなって各地とも誘致運動を始めた。これは高専校、新産都市等でも同じですが、地元の誘致条件を非常につり上げながらやってしまうと、どんどん赤字を出していくという思わしくない傾向が見えておる。経済企画庁長官としては、これは一体原因がどこにあると思っていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  164. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 もう少しお伺いしますと、お尋ねの御趣旨がはっきりすると思いますが……。
  165. 淡谷悠藏

    ○淡谷分科員 それでは具体的な例をあげますが、これはむつ製鉄の問題です。これは企画の当初からいろいろな問題点があったと思います。特に砂鉄の鉱区の問題です。あそこにたくさん会社が入り込んでおりますから、その会社の鉱区を全部統一してやろうという計画があった。ところが、いつまでもぐずぐずしているものですから、どんどん鉱区が掘られていってしまう。そのために今度はまた企業採算の面で悪くなってきて、だんだん会社のやる仕事というものがその点で企業採算に合わなくなってきていることは事実です。一方これが政治的な運動の目標にも使われます。そして、あらぬうわさが立ちまして、木更津に持っていくとか、また別な県内のどこかに持っていくといったうわさが立ちますと、地元と新しく評判の立ったところとで猛烈な争いが起こってしまう。ですから、やはり、計画が立ち、その計画に対して許可がおりたならば、一日も早く事業が開始できるようにしてやりませんと、よたよたになっている開発会社の経理というものがますますよたよたにならざるを得ないと思いますが、その点どうですか。これは一例ですが、一例に限りませんで、あと全部そういう事業がだめになってくる、そういう矛盾があるように思われてならないのですが、どうですか。
  166. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今度は再建を考えられるに際しまして、実は伊藤総裁以下すべての役員から進退伺いが出たわけでございますが、いろいろ考えまして、伊藤総裁にはぜひともとどまっていただきたい、その他のことにつきましては、役員の構成あるいは会社の今後の運営等、できるだけ総裁に自由にフリーハンドをふるっていただけるようにしていただきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。そう申し上げております中には、私ども自身の反省も実はあるわけでございまして、ああいう特殊の会社でございますから、役所として十分監督すべきは監督をいたさなければならないと思いますが、従来、聞きますと、監督に熱心なあまり、会社の主体性というものに対して多少会社側で仕事がやりにくいといったような感じを与えたことが事実問題としてはあったやに私は感じるわけであります。もっとも、従来と申しましても、ここ数年会社の体質が非常に悪くなってきておりましたので、普通の場合に干渉をするというのとは意味合いが違うと思いますが、ともかく、今度再建案をきちんと立てまして、会社と私どものほうと合意をいたしましたその上では、その趣旨に沿って、できるだけ、私ども信頼しております総裁を最高の経営者として、その信頼する経営陣をつくって自由に仕事をしていただきたい、こういうことを申しておるわけであります。従来、ことに事情にお詳しい方々にお伺いをいたしますと、特定の卒業をいたしますような場合にも、同種の業界あるいはそれを代表する役所から消極的な意味でのいろいろな注文がついて、企業として必ずしも最善で最も経済的だというような形で存分にやれなかったということもあったという趣旨のことも実は承っております。そういうことが今後あってはならないと思います。さしずめ、これからの運営については、再建計画ができました上は、できるだけ経営者としての首脳陣にフリーハンドをふるっていってもらいたいと思っております。それがまあ基本的な心がまえでございます。  それから、さて、むつ製鉄という問題は、実は現在のように会社が最も疲弊いたしましたときに背負って歩きますには非常に荷物の重い仕事でございます。しかし、昨年むつ製鉄会社ができまして、一応製鉄事業をやるということは基本方針でありますし、また、それなりの資金的な準備もしておるわけでございます。問題になりますのは、その際にはたしてその製品が十分に販路に乗るであろうかどうかということであります。つまり、この事業そのものの採算性というものが問題なわけで、本来母体が健全でありますれば、多少採算のとれるようになるまでの期間が長くなりましても差しつかえないと考えるところでありますが、何ぶんにも母体がいかにも弱うございます。採算というものを、そう五年も七年も赤字を続ける、むつ製鉄が赤字を続けていくということには、母体自身がはたしてこれに耐え得るかどうか。ちょうど、たいへん病気の重いときに重い荷物をもう一つ新しく背負うかどうかというような問題になっております。これは、先ほど申し上げましたことと決して矛盾しないと思うのでございますが、フリーハンドはふるっていただくが、しかし、この際そういう重い荷物をかかえていけるだろうかどうだろうかということは、今日の会社の病状からしますと、もう一度振り返って考えなければならないことではないか。これは、製鉄事業をやらないということを申し上げておるのではございませんので、ただ、やるとしても、もう少し早くともかく採算に乗るような計画考えてもらわなければならないのではなかろうかということを、これも、ひどくはっきり、それならどうするかという考えがあっての上で申し上げるわけでもありませんが、いまそういう感じを私は持っておるわけでございます。
  167. 淡谷悠藏

    ○淡谷分科員 むろん国の税金をつぎ込んでやる事業ですから、軽々しくやってはたいへんだと思うし、セメントとか鉄の事業をやるのですから、重いことは重いでしょうけれども、そこはもう少しやはり事業をやる者の立場に立って考えてやりませんと、許可を出す前ならいいけれども、許可を出してしまってからぐずぐずしておったのでは、これはたまらぬじゃないですかな。地元のほうは地元のほうでわいわい騒ぎ出す。影響するところが非常に大きくなってくる。事業をされるのはむろんけっこうですが、慎重なる考慮は、この会社をつくる前、許可を出す前にやるべきことであって、許可を出してしまった以上は、それを何とか健全な方向で育成する方向に向いていきませんと、これから新産業都市計画もございましょうけれども政府に対しても、国会に対しても信頼しません。特に、人事の問題は、この砂鉄事業に非常に力を入れました前総裁の渡辺正人君ですか、この人はいろいろ下北その他の砂鉄問題で調査に行って帰ってきたら首になっているのです。そういうふうな人事をやられた。これは、むろんあのときの東北開発会社の実態がいいとは私は言いませんが、だんだん決算委員会で調べてみると、そういう疑いを受けたのは総裁ではなかったのですね。これもまたよく見ますと、企業人としてはあまり責めるべきではないんであったのですが、やはり少し国策会社という線をはみ出したのでやられた向きもあるようです。この任命権は総理大臣にあるわけですね。総理大臣が自分で任命しておいて、今度これはだめだからやめさせる、また任命してまただめだからやめさせるということなら、これは総理自身の問題になりますよ。かってなものではないのですから、いわば政府の総理大臣の任命でやる総裁、副総裁ですから、その総裁は十分事業をなし得る才能を持った人が任命されていると思うのです。もしもこの点で東北開発三法のどっかに法的矛盾があるならば、そこを直さなければだめだし、まあ卑俗なことばで言うならば、何と言いますか、つなぎ舟かよ何とかといったようなもんで、まことにこれはふらふらしたような処置なんです。こういうところに私はやはり実際事業と官庁の意識との間の開きが生じてきていると思う。それでひいてはああいう大きな蹉跌も起こってくると思うのです。  しかも、東北開発会社の赤字のうちで大きな比重を占めているのは金利なんですね。この金利はずっと前からひいてきた借金なんです。今度たな上げされるものもあるようですが、その赤字、身動きできなくなって半身不随のようになったこの金利の圧迫の問題を考えてやらなければならぬ。これは全体の仕事の上にも影響を及ぼします。いまの東北開発会社はセメントしかないわけです。重いものばかりかかえ込んでいるのです。鉄を切ってみたところで、セメントを切ってみたところで、古い借金ですから、金利は減らぬですよ。だから、前向きの姿勢で、新規事業はしないまでも、踏み出した事業はじっくりやっていきませんと、かえってこの会社はややこしい。ひいてはこれは東北振興以来東北三法に基づいてつくった会社はいずれもだめだというレッテルが確実になる可能性がだいぶある。  これはさまざまな目に余るものがありましたけれども、これは新しく発足する事業ではないけれども、まだ手をつけていない鉄の事業はすみやかに処置をつけられたほうがいいのではないか。地元ではもうやめてしまえという声も出ている。しかも、これは変な話ですが、私これを政治に利用する意思はございませんが、市長が、社会党から出た市長だからできないので、自民党ならできるだろうと思って自民党にくらがえをしてやってもなおできないというので、また身を変えようと言っているんだが、こっちはごめんこうむっている。そんなところまで影響しているんですね。むしろ、中には、自民党の市長になってもできないということを見せるために失敗させろという声もありますけれども、地元の利益のためには、私は育成していきたいと思って特に申し上げているのです。その点もう少し、長官のお覚悟のほどをお聞きしたい。
  168. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まことに残念なことでありますが、いま淡谷委員の御指摘になりましたことは、そのとおりだと申し上げざるを得ないわけであります。むつ製鉄の認可をいたしましたのも私が企画庁に参りましてからでありますし、また、東北開発株式会社の実態がもはや大手術を要するということを結論いたしましたのも私自身であります。それから、人事につきましては、現在の副総裁を総裁のお求めに応じて任命いたしましたのも私の時代であります。したがって、これらについてやはり私自身が責任があるというふうに考えざるを得ないわけでございます。いまになって考えますと、東北開発会社がこういう病状であったということであれば、むつ製鉄をあの際に認可すべきであったかどうかということは、正直申して疑いなきを得ないのでございます。その点は、もう少し実情を十分知っておったらと、いまになって申しわけないと思いますし、いろいろ考えておるところもございますけれども、しかし、いずれにしましても、むつ製鉄で仕事をするということは、御指摘のように既成事実になって、地元その他もそういうつもりになっておられるわけでございます。  そこで、考えますのに、会社の病状がこうだということがわかってまいりましたのですから、決して早急にむつ製鉄が利益をあげてくれろということは望んでも無理でございますし、望みもいたしませんが、あまり長いこと採算がとれないといったような状態では、会社母体そのものの再建に相当重荷をかけることになりますから、何とか少しでも早く採算点に達するような規模においてあの仕事をやってもらう、こういうふうに考えるより方法がないのではないか。その間、御承知のように、千葉県などで某製鉄会社が似たような製品をつくるというような情勢にもなってきておるようでありますから、販路についてもよほど考えませんと、再びあやまちを繰り返すことになると思います。その辺もよく検討いたしまして、やるのかやらないのか、こういう不安定な状態はできるだけ早くなくしていきたいと思いますが、それにつけましても、まずこの一、二カ月の間に会社の再建のプランをしっかり会社側と私どもの間できめて、その上で、いまの問題を処置しよう、こう考えております。
  169. 淡谷悠藏

    ○淡谷分科員 この前の人事の刷新の場合でもわれわれ注文をつけたんですが、半国策会社であっても、会社は会社であり、事業事業なんですから、政治的な含みから人事などは任命すべきではという議論は、私は変わらぬと思うのです。  もう一つ、いま長官から率直にお答えを聞いて私了としますけれども、少し誘致運動に太鼓をたたき過ぎませんか。これはむつ製鉄に限りません。政府が何か仕事をやろうというと、必ず地元は有利かということでにおいをかぐんです。事業だけではなくて、高専にしても新産業都市にしても、やたらに太鼓をたたくものですから、たくさん競争者ができて、誘致するまでは誘致条件をどんどん緩和していきますが、誘致してから非常に失望しているんですね。御承知のとおり、高専校の問題でも、八戸市と青森市とががっちりけんかして取り合いをしましたが、八戸市が取ったとたんに赤字を出してきている。よく内容を調べてみたら、学校の敷地の予算もついていないというかっこうがあった。このむつ製鉄の動きなども、われわれタッチしませんでしたけれども、最初のうちはかなり政治的な意図があったようです。希望を与えておいてふらふらさせておくもんですから、これが抜き差しならぬところまではまり込んでしまったのです。それを持っていかなければ山崎知事の首が飛ぶとか、何々代議士が落選するというようなことを言われるもんですから、相当無理な誘致運動になってしまう。これは実際だろうと思うのです。それからまた、今度は少し企画庁が二の足を踏んで、これはむずかしいなんて言うと、すぐそれじゃ別な土地のほうから誘致運動が起こってきて、それを横にしてまた陳情合戦が始まっているのです。やはり、地方の自治団体あるいは民間の人も、財的にも精神的にも肉体的にも要らざる犠牲を払わなければならないという形になっている。これは官庁の企画ですからさまざまな制約はありましょうけれども、実際に合わないような誘致運動を起こさせるような形は、やはりおやめになっていただきたい。私は陳情合戦というのはやはりよくないと思う。もし必要があるならば、堂々と国会の場で公開して要求なり陳情なりするのはいいけれども、暮夜ひそかに官庁の門をたたいて誘致運動をやるなんということは、まさに国策上とるべきことじゃないと思う。汚職、疑獄の種をつくりますよ。最近は、官庁なんかでも、陳情に行きませんと、おまえたちは陳情に来ないからやらないのだということを公然と言われているんですね。陳情に来いと言わぬばかりなんです。少なくとも、こういう問題に対しては、もっと明朗な、どこへ出しても御論議できるような形でこの事業の推進を始めていただきたい。  これについては川俣委員から関連質疑があるようですが、私の時間内でやっていただきたいと思います。
  170. 川俣清音

    ○川俣分科員 淡谷委員質問に関連して、企画庁長にお尋ねをしたいと思うのです。  この前も申し上げたように、大正年間から東北に埋もれている資源の開発について非常な決意を政府が示したわけでありますが、その一つに、東北に存在する特殊鋼の材料である砂鉄について、内務省時代から非常な関心を示しまして、特に川崎財閥が大きな犠牲を投じて製鋼計画をいたしました。そのあとを受けまして、当時青森及び東北全体に認可を受けた砂鉄鉱区が七百三十幾つあったと思うのです。それを川崎財閥が特殊鋼製錬に乗り出したわけですが、ついに失敗をいたしまして、帝国銀行はじめ大きな銀行に被害を与えて、大正パニックの原因をつくったわけです。それほど当時から国の要望として、砂鉄を利用した特殊鋼に日本は恵まれておりませんので、特殊鋼の資源である砂鉄に、財界をはじめ政府は異常な決意をした。その後財界も政府もそのままにしておりましたのを、東北開発会社が地域開発とそれから日本の埋もれている資源開発に乗り出したのが、むつ製鉄の起こりだと私はそう理解をいたしております。単に東北に埋もれた資源開発ばかりでなく、日本の特殊鋼の輸入状態から見まして、日本の産業の上から特殊鋼の需要が非常にふえてきておりますので、国内的に存在する砂鉄鉱を製鋼しようということになったのは御存じのとおりだと思います。したがいまして、一体、東北開発がやるべきか、民間がやるべきかということになると、こういう日本にかつてない特殊鋼の製鋼でありますだけに、民間ではなかなか危険だというととで、民間がやりかねておったと思うのです。最近、特殊鋼の需要が非常に旺盛になってまいりましたので、通産省も八幡製鉄等に盛んに特殊鋼の製鋼に力を入れてきてはおるようでございます。それがようやく八幡等を動かしまして、木更津に特殊鋼の製鋼所をつくるような方向が出てきたわけでございますが、むつ製鉄ができる当時は、民間ではなかなか腰を上げなかったので、民間を大いに刺激しようということのねらいがあって、特殊会社に任務を負わしたもの、私はそう理解をいたしておるわけでございます。これは日本の工業全体に非常に影響することでございますから、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、まずそれをお聞きしたいと思います。
  171. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私の知っております限りでは、ただいま川俣委員の仰せられたとおりのように存じております。むつ製鉄で特殊鋼をつくりますときに、その販路というものをしっかりしておこうということで、民間の相手方をいろいろ探したりもいたしました。結局、三菱系統がそれでは一緒にひとつやろうということになりました。これで問題は一つ解決したと当時感じておりましたが、その後に、川俣委員の御指摘のように、八幡製鉄が木更津で同じような仕事を始めるということが出てまいりました。その結果、当時考えておりました製品の販売先、販売の売り上げについて、当時持っておったようなやや楽観をしておりました考え方をもう一度再検討しなければならないのではないかということに変わってきておるのが実は今日の姿ではないかというふうに承知しております。
  172. 川俣清音

    ○川俣分科員 そこで、私どもの知る範囲におきましては、木更津計画というものが必ずしも通産省の期待しているような計画どおりいくかどうか、なかなか実際は企画的にはまだ多くの疑問を持っておるように聞いておるわけでございます。個人的な問題を出すことははなはだ恐縮ですが、先般、通産省の前の事務次官でありました平井君と車中でたまたま会ったのです。このときも、通産省からしきりに勧誘を受けておるけれども、なかなかほかの者が行っただけでは説明がつかないので、自身通産省に行かなければならないのだということで上京されたのとたまたま一結だったのですが、そのときに、こういう問題とかけ離れて、なかなか苦労の話をされたわけですけれども、別に反対だとか賛成だとかいうことではなくて、この計画についていろいろ苦労されておるということも話されたのでありますが、計画どおりいくかどうかということについてはすこぶる疑問の点があるようでございます。また、八幡の企画を担当している者の中にも相当議論があるように承っております。これは、真相はよくわかりませんけれども、議論があるように承っております。それほど苦労しているという話でございます。こういうことで、まだあまり固まっていないのに、むつ製鉄はだめなんだというようなことを、言われることは少し早過ぎるのではないか。これは常に企画庁に反省を求めなければなりませんのは、いつでも、ある程度事業を認可しながら、それから工場の設置までに時間をとるということが、東北開発会社をして時間的ロス、費用的ロスを多くいたしたゆえんでもあると思います。またぞろ、この問題について、ある程度土地を買収されたり、——土地などは、買収しましても、売り払うとまた元へ戻りましょうから、これはいいですけれども、それに対する企画上のロス、人的なロスを与えておいて、それでいまになってからまた何だかんだということを言われることは、企画庁の指導としてはいかがなものかと存ずるのでございます。それだからといって、無計画に何でもやらしてもいいということにはならない、もちろんそう思いますよ、しかしながら、やはり長い間かかって認可した。それほど早くはない。相当検討されて、検討検討を重ねて、それには当時三菱との合弁でなければならないということで、三菱との折衝にもずいぶん長い期間をかけた。ようやくでき上がった。でき上がってみると、三菱では、これはいろいろ企画庁から条件をつけられ、政府から条件をつけられるならば民間企業としておもしろみがない、味がないと言われてやめかかったのを、企画庁や何かが口説きまして、もちろん社長も口説いたでありましょうが、そうしてようやく提携ができたらば、今度は場所を変えるのだ、いや木更津でなければならぬのだということになりますと、民間の信頼も失われてくるのではないか。政府が率先して、こういう合弁でなければならぬ、共同でなければならない、こういうことで三菱を口説いて、そして同意をさせて、出資額もきまり、いよいよ工場設置ということになると、また八戸案だとか、いや木更津峯に近づけなければいけないという計画の変更を求めてくるということになると、民間企業と提携してやらなければ不安だ、提携できたところがそれも不安だということになると、それは政府の指導のいかんなんですね。これで、もしも政府の責任が強くなるからということでちゅうちょすれば、いままでかけた物質的、精神的な被害に対しては、これは政府が責任を負わなければならぬのではないかと思うんですよ。また、先ほど話がありましたように、単に政府ばかりではない。公平な選挙で選ばれた市長を、自民党に入らなければ許可にならないのだというようなことで強要して離党させる。これは公平な選挙で社会党公認で出てきたものを、そうして立候補したものを、どうして自民党に入れなければならぬか。それならば許可する、こういうことで、先ほど淡谷君から話がありましたように、自民党に入党した。これで大丈夫かと思ったところが、まただめになった。全く政界の正道をもこわしまして、強要してつくらせた。そして認可したものをもう一度御破算にするというようなことは、これは政治上も重大な責任を負わなければならぬのじゃないかと思うが、この点についていかがでしょうか。
  173. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政府が金を出しております特殊会社でありますがゆえに商機を失うというようなことは、実際あり得ることだと思います。少くともいままでにそういうことがなかったかと言えば、おそらく一般論としては川俣委員のおっしゃったようなことがあったのではないかと思います。これはよほど私どももまた会社当局も今後反省をしなければならないところだと思っております。  そこで、具体的にむつ製鉄のことでございますが、私どもが、結局これは民間の経営と販路とを持っておるものを一緒にあわせて仕事をしたいと考えましたのは、こういう機動性を高めようと考えたからでありますが、そして、そのときには、私どもこれはむつでやるのであるということはかなりはっきりさせておったわけでございます。ところが、その後に、先ほどお話の八幡の木更津の問題などが出てまいりまして、そうなりますと、かりにこれが成功いたしますならば、むつでは採算がとりにくい、むしろむつ以外のところのほうが採算がとりいいのではないかというような議論が出かかっており、しかも、それも大して決定的な議論ではないのでありますが、三菱当局としては、むつ以外のところを本来ならば考えておったらしい形跡がございます。そこで、片方で競争者が出てきたということから、その辺がもう一度、一ぺん解消した問題が再燃をしかかりそうな、そういう気配があることは、私も聞いておるわけでございます。しかし、この問題は、本来から言えば、むつでやるということでスタートをしたことで、提携先の三菱もそのつもりでおったわけであります。それで、八幡の問題がどうなりますかということは、しばらく見ておらないとわからないことかと思いますが、いずれにしましても、この一、二カ月の間に母体である東北開発のほうを、先刻申しましたような方法と考え方でひとつ再建に乗せまして、その上で早急にむつ製鉄がそこへ向かって何をすべきかということをはっきりさせたいと思います。そのころには、八幡の木更津における計画のメリットもはっきりしてくるのではないかと思いますので、川俣委員の言われましたように、特殊会社であり、政府が金を出し、監督をする、その結果商機を失したということは、おそらく従来確かにあっただろうと思います。今回はたまたま再建ということと時が一緒になっております。再建のほうをまず速急に軌道に乗せました上に、そのほうもできるだけ早く決断をいたしたいと思います。
  174. 川俣清音

    ○川俣分科員 東北開発会社が単独で計画する場合には特に再建計画に非常な影響をすると思います。しかしながら、販売のことも考え、技術指導もあわせて、しかも伊藤総裁の意向というものもかなりしんしゃくいたしまして関連の深い三菱と提携をさせたわけですが、三菱が参加するにはいろいろと不安がありまして、なかなか参加しきれなかったのを、いろいろ説いて共同させたわけでございます。三菱提携の中には木更津案なるものも出てきたはずです。それをいろいろ説明をされてあえて提携さしたのでありますから、いまごろ木更津案が出てきたからといって共同の許可を延ばされる理由というものは、日本の財界から言っても、産業界から言っても、あり得ないことだという批評が行なわれておるわけです。これはわれわれ政治家が言うばかりじゃない。民間人にもずいぶん政府というのは無責任なものだという批判が起こってきております。三菱側からもそういう批判が起こっている。それならば、われわれをくどいたときはあんなにしっかり説明したじゃないか、その説明にいやいや応じて、国策だからというから応じたのに、また国策だからというので変更したというのでは、もう政府のものと提携はできない、こりごりだという意見が確かに出てきました。それが総裁に相当働いておられる。伊藤さんは、御承知のとおり三菱鉱業の出身で、三菱の大御所ですよ。伊藤さんのやることだから間違いないだろうと期待し、しかも政府からも言質を得たということで共同に踏み切ったわけです。それがまただめだというのですから、これは単に東北開発の問題ばかりでなく、政府方針が財界にも不信を抱かせるゆえんになるものじゃないかと私は思うのです。自民党政府であるなら不信を抱かれてもいいですよ。しかし、そうではなくて、やはり日本の国民を代表しておると言われております政府が不信を受けるということになると、捨ててはおけぬ。自民党が不信を受けるのはかってですよ。そうではなくて、いま自民党政府であろうとも、抽象的に政府というものに対する不信が加ってまいりますならば、これはやはりおそろしい政府不信だと思わざるを得ない。自民党の不信ではないのです。政府という一つの機関を信用したということになる。自民党政府を信用したのではない。政府機関というものを信用したということになっておるのです。なるほど自民党政府だとおっしゃるかもしれません。財界でも自民党政府ということはばく然と考えないわけではないでしょうが、公の政府機関として信頼をしておると思うのです。その信頼が欠けることになりますならば、たいへんなことになるのではないかと思うのです。これは一東北開発の問題ばかりじゃないと思うのです。今後東北開発がいろいろ産業界と提携していくたびに一々不信を食うようでは、これからの事業はうまくいかない。せっかくこういう計画を立てても、不信の中にあるならば、再建計画もうまくいかないのではないかと私は憂うるのです。だから、私は無理に三菱でなければならないと強調するわけじゃないけれども、今日まであれだけ計画して許可されたものを、しかも東北開発が単独でやったのではなくして、政府の強要に基づいて三菱と提携させた。そうでなければならないということで提携さした。それでもなおだめだということになると、一体どういう理由なのか、その理由がわからないということになるのじゃないでしょうか。大臣ならおわかりになっているでしょうが、一般ではなかなかわかりにくいことになっておりますが、国民の信頼を裏切ることになりますので、この際明らかにしてほしいと思うのです。
  175. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いまの段階では、むつ製鉄がはたしてどういうふうに事業を進めていくべきか、長いこと採算がとれぬでもいつかとれればいいんだといったふうなことでは困るということは先刻淡谷委員にも申し上げましたが、そうでなく、もう少し企業としての範囲内でどうしたら採算がとれる仕事になっていくかということに会社当局が迷いを持っているのではないか。それは、本来、御指摘のように、むつ以外のところを最初は考えておったらしい経緯が三菱側にありますし、また、八幡の木更津という問題も出てきた。会社自身が模索しておるのが現状ではないかというふうに実は私はいままで理解しておったわけであります。そこへ持ってきて、母体の再建ということに私どものほうはほとんど寧日なきありさまでございましたから、しばらくこのほうの仕事は待ってもらおうというような気持ちでおったわけであります。川俣委員の御指摘のように、もしそうでなくて、純粋に企業観点から関係者である三菱などが判断して、これは速急にやったほうがいい、しかもそれについてはっきり採算の見通しがあるということであれば、これは私ども企業のわかりません者がそれ以上別の理由で遷延しなければならぬことはない。しかし、再建だけはひとつ早く軌道にのせたいと思っておりますけれども、もう一度、役所の話ばかりでなく、よく関係者の話を私も聞いてみることにいたします。
  176. 川俣清音

    ○川俣分科員 大体それでけっこうでございますが、一つだけ念を押しておきたいと思う。出資する三菱の方面から、採算が合わないようだから提携できないということで断わられるなら、これはある程度やむを得ないのじゃないかと思う。いま申し上げたとおり、それでよろしいということになるが、計画が変更したというのは、政府の感情からと申しますか、これは私は通産省の意向が強いのじゃないかと思うのです。いままで無理に八幡に勧誘した手前上、それと競争関係に立つ立場というものをできるだけ抑えていかなければならぬという気持ちが抑えているのじゃないかというふうにも理解されるわけですね。八幡のほうは八幡自身の計画じゃないのです。通産省が大いに日本の特殊鋼の将来を考えて盛んに強要していって計画を立てた。それと対立させては困る、それが通産当局の考えでないかとかんぐるわけです。そうすると、これは企画庁はよほど考えなければいかぬ。また、通産省がこういうことをやり出したということを警戒しなければならないのじゃないかと私は思う。ですから、無理に監督官庁が勧誘して入れた。その勧誘がうまくいかないと成績に影響するということで、もう少し条件をよくしてやろう、対立したものを解消してやろう、こういうことからむつ製鉄に犠牲を払わせるということになったならば行政ではない、それを調整するのが企画庁だと私は思う。そういう意味で特に大臣に質問しておるわけです。財界あるいは産業界が協力しないというならば、どうも政府の案に甘いところがあったのではないか、あったかもしれぬから再検討するということになるのもやむを得ないと思う。これは今度は東北開発計画ばかりではないのです。産業界と提携しての計画だ。その計画産業界で認めないというならば別にして、それならもう一ぺん再検討せいということもあり得てもやむを得ないと思うのです。そうじゃないのです。資金なんかのほうも、販売の上から言っても、そういうルートを持ったものと提携しなければならないということなんです。ところが、提携できたわ、だめだわというのでは何にもならぬと思うのです。  そういう意味で、むつ製鉄については、かなり東北開発、むつ製鉄も合わせて、資料の整備あるいは電力会社との交渉等、いろいろな行動を開始して相当な経費をかけて、これがみんなよそに移りましても欠損になってくるわけです。そういういまの赤字を出す要因をみずからつくっておるんじゃないか。これがみんな赤字になるのです。事業になれば必ずしも赤字ではないけれども事業をしないでやめたということになれば、大きな赤字の要因になるわけです。せっかく再建計画に入っていながら、あらためてまた赤字を起こさせるというようなことは慎まなければならぬのではないかと思うのです。また別の時代が来る、局長がかわるというと、この赤字は何だ、こういうことになる。いまの鹿野さんの時代は、自分が出させた赤字ですから文句は言わぬでしょうけれども、また局長がかわると、ずさんだ、この赤字は何だ、必ずこういうことになると思うのです。従来から見てもそうですね。局長がかわると赤字の問題が非常に強く出てくる。いまの鹿野さんの時代は、これはやめさした手前から、これでできた赤字だなんていうことは、どんなに心臓が強くても言い得ないと思うのです。別な時代になってごらんなさい。この赤字は何だということになるのです。これが今日までの東北開発一つの欠陥であったと思うのです。もう一ぺんこういうことにならぬようにしなければならぬのではないか。再建計画はけっこうです。けっこうですけれども、せっかく再建計画をして赤字解消に入っているときに、また新たなる赤字というような要因をみずからつくり出すことについては、十分警戒しなければならない、こういうことです。先ほどから申し上げたように、あの辺の土地買収からいろんなことが行なわれて、これは思惑ではありましょうけれども、むつの土地が非常に上がってきたのです。これはむつ製鉄ができるということを見通して上がってきたんじゃないかと思うのです。これで買った者は非常な打撃を受け、しかも下北半島の経済に非常に大きな打撃を与えるという結果になって、国民の恨みを買うことはなはだ大きいと思うのです。どうか、そういう意味で、無責任な計画にならないように。計画をしたからにはやはり遂行できるような計画でなければならぬ。これが、会社がかってに計画したなら別ですよ。全部企画庁の意見を参照して、その意見に従わなければ許可にならない条件なんです。みずからの計画にひとしいような計画なんです。それをやめた、責任も、会社が負わなければならないということは、きわめて無責任だと思うのです。これは企画庁の責任なんです。それじゃ企画庁はどれだけの責任を負うかというと、自分の金じゃないのですよ。全部国民の金ですから、こういう無計画のことをさしてはならないのではないかと思うのです。一段の改正を願って、私の質問を終わりたいと思います。  それから、東北開発のセメント工場から起こります公害ですね。いわゆる灰じんと申しますか、煙とともに灰が降ってまいります。農作物に与える被害は甚大だということで問題になっております。岩手大学でも調査しておりますが、これは、学者ですから、被害があることは認めておりますけれども、どの程度の被害であるかということは逃げております。ところが、会社へ行ってみますると、被害があるかないかわからないということでございますが、あるかないかわからないならば、風の方向であるとか、あるいは曇りのとき、雨のときはどれくらいかと調査しておるかというと、全然ない。こういう灰じんというのは、風の方向、風が非常に強ければ付近には落ちないで遠くへ散布する。そういう調査がなければならないはずなんですが、全然ないですね。ただ、ないないと逃げておるだけでございまして、抗弁するような資料はない。民間会社でありまするならば、当然この公害に対して補償をしておられるわけなんです。たとえ善意で工場を経営しておるとも、あるいは国策会社であろうとも、被害を与えたならば、その被害をなくしなければならぬ。一番いいのは、補償するのではなくて、被害の起こらないように集じん装置を設備することが一番いいでしょう。そういうことの予算もなかなか与えないということなんです。人に被害を与えるようなことについては、やはり公害を取り締まるのでありまするから、当然予算化についても企画庁は誠意を持って見てやらなければならないと思うのですが、三十七年度には集じん設備をする、三十八年にはやる、三十九年度はやると逃げて回っておりますが、一向に予算化されていないということで、農林商はたいへん激憤しておるようですが、企画庁はどういうふうにお考えでしょうか。これは、民間企業であろうと公益企業であろうと、やはり被害を与えないような設備をすることが近代的でもあるし、また、そうすべきだと思うのですが、いかようにお考えになりますか。
  177. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 あまり中間の段階でこまごましいことを申し上げてもいかがかと思いまして申し上げていなかったわけですが、むつ製鉄の問題について、先方にも実は問題がないわけではございませんので、最初に三菱と提携をして認可をいたしましたときに、東北側と三菱側との出資の割合というような問題があったわけでございます。三菱側としましては、二十億のうち四億を出資するということであったと思います。ところが、その後に再びそういう関係者たちが現地を視察をいたしますと、もっといいブランがあるということになり、しかも他方で木更津の問題があったりしまして、実は、当初お互いに考えておりました所要資金というものがかなりふえる、そうでなければ採算がとれないという話になってきたわけでございます。そういたしますと、二十億の出資でなくて四十億円の出資が要るのだ、こういうことになりまして、しかも三菱としては、依然として最初の四億しか持てない。経済界の情勢でも好転いたしましたら、やがてもう少し持たしてもらうかもしれないがという、こんな話になってまいりました。そうなりますと、それは最初に考えておりました両方の紳士協定とは違いますので、東北ないし政府側としても、二十億のところを四億三菱に持ってもらう、四十億になってもやはり四億だということは、理屈が通らぬではないか、こういうことを、私どもと申しますか、東北側で申したわけです。しかし、三菱は、それはそうかもしれないが、目下は金がないのでというような話になり、しかも、とにかく所要資金として九十億近い金が要る、これは当初考えましたより三十億くらいよけいなんでございます。その辺になりまして話が混迷をしておるというのが、実は今日の状態ではないかと思います。いずれにしても、政府幾らか金を出し、——いわゆる特殊会社というものは、ほんとうならば、私は、もう実に困ったもので、そんなものは全部やめてしまえば実にすっきりすると思ったことが何回あったかわからないわけであります。けれども、東北開発というものは、やはりそれでも必要でございますから、こうやっていくしかない。その間おしかりのようなことも実際ありますわけで、大体私ども企業の商売のことがわかれと言われましても無理なんでありまして、わからないことがほんとうだと思います。それにもかかわらず、監督もしなければならない、あれこれ言わなければならないということは、実につらいことでもございます。今後は、先刻申しましたように、再建の線に乗りましたら、できるだけビジネスマンらしい感覚でトップマネージメントに仕事をてきぱきとやっていってもらおう、そういう心組みでおります。  公害の点につきましては、現実にそういう公害があれば放置するわけにまいりませんから、きちんと調べまして、適当に処置をいたさせるようにいたします。
  178. 川俣清音

    ○川俣分科員 ただ一言申し上げておきますが、行政官は法律に基づいた施策を講じなければならないわけです。したがって、東北三法ができた以上、それを誠実に履行する義務が行政府にある。それを履行できないような行政官はやめてもらわなければならないというのが、私は法律のたてまえだと思います。法律を履行させるためにある行政機関であって、法律を変えようとするのは行政官の任務ではない。これは国会の任務だと思うのです。そういう意味で、もしも東北開発をやめるならば、この法律を廃止して、その上でやめなければならぬことになると思うのですよ。だから、やっかいであろうとも、企画庁は行政事務を遂行しなければならぬでしょう。特に大蔵商からおいでになりましても、鹿野さん、行政を引き受ける以上、この三法の精神に基づいて行政をやらなければならないことになる。どうも古巣の意見とは少し衝突があろうけれども、この法律に基づいて仕事をしなければならないということをここに強調いたしまして、私の質問を終わっておきたいと思います。
  179. 淡谷悠藏

    ○淡谷分科員 言いかけた時間がまだ五分残っておりますから、五分間だけ……  私からも最後に一言申し上げておきたいのは、特例会計が非常に膨大になって、内容事業予算の性格を帯びたものが多くなっております。国民の利害には直接かなり響く。したがって、政府の言うことが大きな反響を呼んでおることはまぎれもございません。この間農林大臣には申し上げておきましたが、酒の許可を少しゆるめるということになりますと、従来の小売り屋が一戸で千円ずつ金を取られた例がこの間あったのです。全国で一億二千万円集めておるのです。大蔵大臣が一言公定歩合の問題の話に触れますと、株価に大暴落が起きておるということが、いまの政治と経済との結びつきだろうと思うのです。長官もこれは御承知ないと思いますが、この木更津の計画から、むつ製鉄では採算がとれないんじゃないかという話が出ますと、青森県の竹内知事が、——ぼくの友だちですから、悪口は言いたくありませんけれども、さっそく新聞に八戸説が出たということで、地元に大混乱を起こしているのです。八戸が新産業都市に関連してこっちへ持ってこいというので、今度は地方自治体同士がけんかをするようなことが起こっている。  一方、今度は陳情運動を熱心にやって、山崎知事の銅像が、むつ製鉄が建つ前に建っておるのです。みっともないじゃないですか。生きているうちに銅像なんか建てるものじゃないのです。銅像を建ててもらった人が、その次の選挙では選挙違反をやって引っぱられた。その次の日見たら、建てた銅像の首を古いふんどしで絞めてあったという話がありますが、政府のやる仕事は政府がやるのですから、そんな陳情政治の余波がこの問題にもつきまとうようなまねはしてもらいたくない。あくまでも公平な東北開発の立場からこの事業は推進してもらいたい。一言が非常に大きな地方の動揺を起こすということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  180. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて淡谷悠藏君の質疑は終了いたしました。  次に、松井誠君。
  181. 松井誠

    松井(誠)分科員 私は離島の振興について基本的な点を二、三お伺いいたしたいと思います。  最近地域開発ということが盛んに言われるようになりました。これは所得倍増計画のひずみの結果でありますけれども、この中で僻地開発ということがいまようやく重要視をされてきておるわけですけれども、この僻地と離島とが、最近はともすれば僻地一般の中に離島が埋没をしてしまうような気配があると思いますので、離島はやはり僻地一般の中に入れてしまわれないような特殊な問題をかかえておるわけです。海に囲まれておる、あるいは土地が狭い、そういうことから、離島の特殊な問題がある。したがって、十年前に離島振興法ができたということも、そういう合理的な理由があったと思うのです。その離島振興法にもかかわらず、いまだに、離島民の生活水準というものは、まだまだ本土から見ればおくれておるわけです。地域の格差を解消するというためには、相当の努力、年月が必要だと思うのですけれども、企画庁がこの予算を一括要求されるときに、これは具体的な方針ということが言えるのかどうかわかりませんけれども、大体離島予算の総額は、国の公共事業の予算のおよそ一・五%というものをめどにして要求をしておる。これは離島の土地や人口と本土のそれとの比率から大体出た数字だと聞いておりますけれども、これは、人口や土地の広さが本土の大体一・五%だから一・五%の規模の予算を要求すればいいということになりますと、これだけで離島の振興という問題が片づくわけではありませんけれども、これでは結局本土におくれないというだけのものになってしまう。離島を振興するというのは、少なくとも本土に追いつくということである限りは、その格差をなくさなければならない。そうしますと、本土の公共専業の一・五%ということでは、少なくともこの公共事業費に関する限りは格差は縮まらないということになる。いわんや、離島ではこれからだんだん人口が減っていきますし、いまの予算要求のめどというもの自体に私は問題があると思う。この点について、もちろん公共事業だけが離島振興の唯一の方法じゃありませんけれども、しかし、これがいま少なくとも最大のささえになっておるわけですから、この一・五%というめどそのものが、地域格差をなくするという目標から見れば不合理である。したがって、これをもう少し上げるということをめどにして、これからあと離島の中の公共事業規模というものを考えるべきじゃないか、こういうことを思うのですが、いかがですか。   〔主査退席、仮谷主査代理着席〕
  182. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 面積、人口から考えまして、本土の一・五%、大体その程度だと思いますが、ただ事業効率などが本土ほどよろしくないということは確かにあると思います。したがって、少なくとも本土並みのところに持っていきたいというふうに私は考えております。いま一・四%くらいになっておるようでございます。少しでも勉強して近づけて、上げていきたいと考えております。
  183. 松井誠

    松井(誠)分科員 この間離島振興対策審議会があって、その席でお聞きをしたのですが、今後十年間の公共事業費が、所得倍増計画の手直し後の一・五%を大体めどにすれば二千百億くらいになる、しかし二千百億というものをめどにして具体的な離島振興計画事業を立てると、どうもそれほどの数字に積み上がってこないというようなお話があった。これは離島関係者としては実に奇異の感に打たれた。離島民は自分の生活の回りにいろんな盛りだくさんな、要求や不満を持っておるわけです。そういうものの積み上げが二千百億にならないということ自体はどういうことを意味しておるかというと、大体一・四、五%くらいがせいぜいなんだ、それ以上要求しても無理なんだという初めから指導があって、したがって、いろいろな要求を持っておりながら、それが具体的な計画として出てこない。ですから、その積み上げが二千百億という数字にさえ届かないという、実に現実とはちぐはぐな数字になってくるわけです。だから、一・五%とか、六%とかいうそういうめどを、そういう壁を一応破って、ここで思い切った離島振興についてのかまえをとっていただかないと、もう言ってもだめなんだというあきらめがあって、これは県に要求しても県は頭から削ってしまう。企画庁へ持っていってもどだい無理なんだということになってしまったのでは、ほんとうに地元民の要求が吸い上がってこないので、ことしは、いまお話しのように、その基準であるべき一・五%にさえも達しなかった。しかし、それにもかかわらず離島振興予算はことしは非常に成績がよかったと言う。これではなかなかうまくいかないと思うのです。そういう点を要望いたしておきたいと思います。  その次に、これからの離島振興の方向といいますか、重点というようなものについてお伺いをいたしたいと思います。この前、昭和四十七年までの長期の離島振興計画の審議がありまして、私もその審議に参加をしたわけですが、そのときに、具体的な数字の裏づけがないという問題がありました。しかし、これは近く事実上補完をするということで、それはそれで解決ができたわけでありますけれども、その具体的な数字の裏づけがないという問題のほかに、この離島振興についての長期計画の残るところは、これは作文ですけれども、この作文自体にいろいろ問題があるのじゃないかと思うのです。いままで、御承知のように、離島振興の重点が基盤整備、公共事業ということに振り向けられておりましたけれども、この離島振興計画の示すところによれば、これからあとは基盤整備と並んで産業の振興というものに重点を置かなければならぬということがうたわれておるわけです。もちろん基盤整備が何よりも必要ですけれども、さて基盤整備だけでは島の振興というものはできない、具体的にやはり産業の振興ということにもっと政府がてこ入れをしなければならぬという、離島振興という考え方一つの転換をもたらすような考え方が述べられておるわけですけれども、これはますますそうなくちゃならないと思いますが、その点についてあらためて長官のお考えを伺っておきたいと思います。
  184. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 従来離島の生活環境がおくれておるということから、そのほうへの施策が概して行なわれてきたと思います。それは十年たちましてやはり一つの紀元を画した、今後は離島に人々が居つくために産業振興ということに重点を置いていくべきではないか、環境整備ができたとは申しませんが、ある程度進みましたので、廃業振興のための施設に重点を置いていくべきではないかという認識を基本的に持っております。
  185. 松井誠

    松井(誠)分科員 いまちょっと私の言葉が足らなかったかもしれませんが、いままではともかく生活基盤に限らず産業基盤整備というものに重点が注がれていた。具体的に言いますと、りっぱな漁港をつくる、しかし、その漁港はりっぱになったけれども、具体的にその漁港を利用して漁業を振興をするというためには、まだまだ島には足りないものがあるという、そういう問題にようやく目を向け始めてきたと思うのです。ですから、そういう点から、産業の振興というものが重点なんだ、それによる島民の生活の向上がこれからの問題だという、当然のことですけれども、そういう観点からこの長期計画をながめてみますと、実は非常に抽象的で不満が多いわけです。私はここで経済企画庁性格とも関係をすると思いますけれども、いままでは、いわゆる公共事業産業基盤あるいは生活基盤整備ということで地方からの振興計画の積み上げそのものが言ってみれば企画庁の振興計画というものになるといった一種の受動的な立場からでもどうにか一応の役割りを果した。しかし、さてこれから具体的にいまの産業をどうしよう、農業をどうしよう、漁業をどうしようということになりますと、いままでのようなと言っては失礼かもしれませんけれども、受動的な形では、なかなか間に合わないのじゃないか。たとえば、産業を振興するということが離島振興の重点だということが書かれておりますけれども、さてそのためには具体的に島の漁業というものには何が不足でどうすべきか、島の農業には何が不足でどうすべきかという、そういう具体的な点になると、非常に抽象的で、書かれてないわけです。ですから、これからあと離島振興というものは事業の振興が重点だということをほんとうに真剣に考えられるとすると、いままでの考え方を少し変えなければならぬのではないだろうか、あるいは企画庁の人間の構成その他の問題についてもいろいろ足りないところがあるという問題が出てきやしないかと思うのですけれども、その点はどうお考えになりますか。
  186. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 最初の十年間において生活環境を主にして施策をしてまいりましたときには、一般的に申して、全国の離島というものに一つの共通点があったと思うわけであります。つまり、それは生活環境施設が概して一般的におくれておる、水道でありますとか電気でありますとか、こういったものはほとんどの離島に共通の問題として把握ができたと思うわけであります。しかし、後の十年間に、今度は産業関連施設、あるいは産業基盤整備するということになりますと、離島というものに全部おしなべて共通している点というものは実はあまり多くない。一つは、漁業があるということはある程度共通いたしておると思います。したがいまして、そこから漁港の整備というくらいまでは共通した問題があると思いますが、一たび農業になりますと、もうほとんど全部の離島に共通した問題はございませんし、観光などになりますと、なおさらさようでございます。したがって、産業施設あるいは産業関連施設を重点に今後の難局の施策を考えていく上に、これを経済企画庁が一本の立場で行政をすることが適当であるかどうかということは、従来ともかく簡易水道でありますとか電灯でありますとか離島航路でありますとかいうことを考えておったのと違って、やはりそれは各商の施策の中へ織り込んでいくという形にせざるを得ないのではないだろうか、そういう感じがいたしております。
  187. 松井誠

    松井(誠)分科員 これは機構の問題としても非常に重要な問題でありますし、簡単にどうというわけにいかないかもしれません。しかし、それでは、たとえば各省に対して離島の振興のためにはこうあるべきだという、そういう、要望は当然しなければなりません。そうして、それをすることは、何も内政干渉でも何でもないと思うのですけれども、そういう点についてさえも実はこの離島振興の長期計画というものは非常に控え目で、抽象的であるわけです。たとえば、いままでも企画庁で努力をされております補助率のアップ、本土に比べて補助率を上げろ、そういうことも、補助金を上げるべきだということは一言半句も書いてなくて、各行政官庁は離島の振興に協力すべきだと言い、その中にこれも入っているんだという説明、これなんかは、まさに企画庁が何をおそれておるのか、何か他省に対する内部干渉というような非難をおそれるのかどうかわかりませんけれども、やはり企画庁としては離島の振興はかくあるべきだというその基本的な——港をつくればいい、道をつくればいいということでなしに、それを具体的に島の人が利用し得る条件整備するためにはこれだけが足りないのだということを、もっと勇敢に、やはりはっきり差し示して、それを各省が受け入れるかどうかは別ですけれども、やはりそういう基本的な態度をもう少しはっきりさせるということが、少なくともいまの段階では、やろうと思えばできるわけですし、またそれが必要じゃないかと思うのですが、その点、この計画書はいささかというよりも大いに食い足らないというところがあるわけです。いま長官から、各省にそういう点は要望するということでありましたけれども、そういう心がまえでひとつお願いをいたしたいと思うのですが、いまちょっと私が申し上げました補助率を上げるということについて、これは長官御存じかどうか知りませんけれども、たとえば補助率が上がる、そうしますと、県はいままで自分が出しておった負担というものを、その補助率が上がった分だけ自分自身の離島への補助率を下げてしまう。これはもう離島の振興じゃなくて、県の振興だという悪口をいわれるような事例がずいぶん多いわけです。これをきちんと規制するわけにはいかないでしょうけれども、こういう実情は、一体長官御存じですか。
  188. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 確かに、そういうふうに御指摘になりますと、経済企画庁としては、離島全体の共通の問題として財政力が乏しゅうございますから、補助率を上げたらいいじゃないかということ、それからいろんな事業について、本土と違って採択基準が非常に高ければ行ない得ないわけですから、それを下げたらいいではないか、そういう主張はこれからもしていかなければならぬ。確かに御指摘のように、そういう問題があると思います。いまのようなこと、県のほうでそれだけ少しなまけるということは、間々聞いております。
  189. 松井誠

    松井(誠)分科員 それが、地元の人にとっては法律の上の補助率幾らかということよりも、具体的に自分の持ち出す金が幾らかということが関心なんですから、実はそういう点についてひとつこれからあと厳重な行政指導をやって、離島の振興というものと県の振興というものとがすりかえをされないように、監視と指導をお願いいたしたいと思うのです。  そこで、補助率のアップだとか、採択規模の引き下げだとかいう点についてはいままでもやってまいりましたけれども、しかし産業の振興という立場からあらためて離島振興というものを見直してみますと、まだまだ足りないと思うのです。りっぱな港ができたけれども、さてその港を利用するためには船をつくらなければならぬ。船をつくるためには金がないではないか。あるいは、さてとれた魚を本土へ売ろうとすれば、それだけ運賃がかかるではないかということで、やはり産業の振興ということを考えると、足りないものは資金であり、もう一つ生産費がかさむということ、この二つの隘路というものを具体的に一体どうして打開をするかということについて、この離島振興計画、長期の計画そのものはきわめて抽象的で、言うならばおざなりだ。ですから、たとえば漁船を大型化しろということは書いてありますけれども、大型化をするための資金がないという現実には何にも触れてない。ですから、そういう資金の面について融資なり、融資の条件を緩和するとか、あるいは優先順位をつけるとかという形で、いろいろな意味での資金の面での特別の扱いというようなことについてお考えになってはおられませんか。
  190. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 離島に対する航路の補助というようなことは、御承知のようにいたしたことがございます。そうして、そういう船舶の建造について多少政府が助けたということはございますが、ただいま仰せられますように漁船を大型化するとか、あるいは水産物の貯蔵施設をつくるとかということのために、それも離島というものを対象にして特に何か金融の措置を講ずるということは、実はいままで考えたことはございませんでした。一般の問題として本土と同じような意味でならば処置があるわけでございますけれども、特に離島なりとして考えたことは、正直なところございませんでしたが、しかし、産業関連施設をこれから考えていくということになれば、そういうこともだんだんに議題になってこなければならないのではないかということについては、それは私もよくわかるというふうに考えます。
  191. 松井誠

    松井(誠)分科員 これはよくわかるというだけではなくて、くどいように思われるかもしれませんけれども、いままでの離島振興というものが、とかく港をつくろうということで必死になって、漁民としてはそれに最大の望みをかけてきたわけです。しかし、それができても、その港を利用するのは、よその県から大きな船がやってきて利用をするのであって、そこの島の人たちが船をつくってその港を利用するという形で自分にはね返ってくるのではないということから、一体離島振興はこれでいいのかという疑問、不満、失望が生じつつあるわけです。ですから、やはり具体的に足りない資金というものを何とかするという、そういう考え方の転換というものはどうしても必要ではないかと思う。  もう一つは、先ほど申し上げましたけれども産業を興すといっても、たとえば新潟県の場合なんかでは、もう島には二次産業は興らないのだという初めからの考え方で離島振興の計画が立てられておるようです。このこと自体にも問題がありますけれども、そのような考え方にさせるのは、何といっても安い労賃をもってしても償えないような生産費の割り高ということがある。生産費の割り高の中で、何としても大きいのは運賃です。原材料を買うにも運賃がかかる、製品を積み出すのにも運賃がかかる。この運賃の不利というものを何かの形で補うという必要があるのではないか。社会党は、この前、この離島航路の旅客の運賃について補助をしろという法律案を提案をしたことがありますけれども、さらにこの貨物運賃について、何がしかの国あるいは公共団体の保護という問題について、これはお考えいただく余地があると思いますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  192. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどの産業関連の施設のうちで、いわゆる融資の特別の対象にどういうふうに政府として考え得るかといえば、それは、たとえば農林漁業金融公庫で離島のためのワクを設けるということが考えれば考え得るわけ、でありますが、そこまで私具体的に検討したことがなかったわけでございます。しかし、これは検討いたしてみます。  離島の貨物の運賃補助につきましても、実はいままで考えてみたことはございませんでした。どういう形でそういうことが可能になるか、いま直ちにお答えを申し上げるだけの用意がございませんけれども、これも研究はいたす価値があると思います。
  193. 松井誠

    松井(誠)分科員 自治省の方にお伺いいたしたいと思うのですが、聞くところによりますと、今度地方交付税の改正で、正確な名称はわかりませんけれども、僻地に対する態容補正ですか、何かそういうものを考えておられるということを聞いたのですけれども、その点、どういう内容のものか、最初にお聞かせをいただきたいと思います。
  194. 山本悟

    ○山本説明員 ただいまの御質問の点でございますが、三十九年度の交付税法の改正に関連をいたしまして、県庁から非常に遠い離島等隔遠地にある市町村につきまして、遠いための増高経費というものがあるのじゃないか、それを交付税の算定上基準財政需要額の中に算入していきたいということで現存考えておるわけでございます。したがいまして、算定方法といたしましては、県庁から距離、あるいは県庁へ出てくるための出張の日数という点を基礎にいたしまして市町村の格づけをしていったらどうか。その際、離島等はそういうものがよけいにかかる、交通の便、不便ということから考えましてもそういうことが考えられます。本土とは違った割り増しの係数を使わなければならぬという点が考えられるじゃないかということで、現在検討をいたしておるわけでございます。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕 御承知のとおり、普通交付税は八月までに快走をいたしますので、五月、六月までには具体案をつくりたい、かように存じているわけであります。
  195. 松井誠

    松井(誠)分科員 そうしますと、僻地一般についての補正に、さらに難島の分については何がしか係数を変えるという形になるということをお伺いしましたが、その僻地一般の中には離島はすっぽり入るのか、いま言いましたように、何か県庁からの距離ということになりますと、それをはみ出す離島もあるということになると、離島については係数を変えるという点はなくなってしまうわけですが。
  196. 山本悟

    ○山本説明員 御指摘のとおり、距離という要素を取り入れてまいりたいと思っておりますので、島でありましても非常に近い島、たとえば瀬戸内海の中のある部分ということになりますと、必ず入るものかどうか、必ず入るとまでは申し上げられない点もあると思います。したがいまして、そういう条件からはずれてしまえば、おっしゃいますとおりに、離島のためのかさ上げはなくなる。やはり一定の距離があって、出張等におきましても相当日数を要する、そのために旅費も要る、通常の地域のところよりも通信、運搬費がよけい要るということで、そういうものも算定したい、こういうことでございます。ある程度の距離がございませんと、単に高であるからという理由では入ってこないのではないか、かように存じます。
  197. 松井誠

    松井(誠)分科員 離島関係者は、御承知のとおり、長い間離島補正というものを要求しておった。私は、冒頭申し上げたのですが、僻地一般の中に離島が入ってしまうという懸念があるというのは、いまの場合にも当てはまると思う。これはやはり僻地補正と離島補正を二本立てにするかどうかすれば、いまの矛盾は解決すると思いますけれども、離島でありながら僻地補正を全然受けられないということ自体に問題があるのではないか。離島というのは、単に距離が長いか短いかということだけでなしに、海に囲まれておるという特殊な環境にある。したがって、いまあなたも言われたように、距離は短くても船がなくて泊まらなければならぬということはあるわけです。ですから、やはり離島補正という独立なものができなければ、少なくとも離島が全部入るような形のものにしないと、ほんとうに僻地でありながら、まさか距離オンリーでいくわけではないと思いますけれども、しかしそれにしても、僻地でありながら物理的な距離が近いということのためにオミットされる離島が出るということになると、制度に一つの矛盾が出てきやしないか、そういうことを考えまして、ひとつ善処をお願いしておきたいと思います。  最後に、これはお尋ねするわけではありませんし、時間が参りましたので、要望いたしておきますけれども、申し上げましたように、僻地一般の中に離島が対象とされるには、離島の特殊性というものはあまりに多い。そうして、そのためにこそ離島振興法というものがあるわけです。ですから、いま私が申し上げました離島の特殊な悪条件というものについて、ほんとうに産業を振興するという離島振興についての新しい展開した立場から、これからあと一段の御努力を願いたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  198. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて松井誠君の質疑は終わりました。
  199. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これより昭和三十九年度一般会計予算及び同特別会計予算中、通商産業省所管を議題として質疑を行ないます。  質疑通告順によりこれを許します。  辻原弘市君。
  200. 辻原弘市

    辻原分科員 通産大臣にお伺いをいたします。時間がございませんので、要点だけお答えを願いたいと思います。きょう私は、主として中小企業の金融対策で、政府金融の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  実は先般来からの当委員会でも総括質問、一般質問、それから分科会等において例の歩積み、両建てをなくするということについて相当議論が行なわれておるわけでありますが、その中で、これもまたわが党から指摘をいたしましたが、政府金融の中でもそれに類似する行為が行なわれておるということは、これはまことに遺憾であります。私どもも数々この事例を知っておりますが、たとえば商工中金、これは他の政府金融機関と違いまして、直接国会に出るという責任はないとのことでありますが、私はかわって通産大臣に御意見をお聞かせいただきたいと思います。  まず最初に、商工中金ではいわゆる割商を発行しておる。ところが、この割商の発行の消化にあたって、政府資金を融資する者にその見返りとしてこの商工債券の引き受けを半ば強要しているという事例があるが、こういうことは、本来政府金融機関の態度としてあるべきことではないと私は思うのですが、そういう事例を通産大臣は知っておられるか。
  201. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 一部にそのような事例があったということも聞いております。
  202. 辻原弘市

    辻原分科員 知っておるならば、なぜそれを是正されませんか。
  203. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 その後できるだけそういうことをしないようにという方針で指導いたしております。
  204. 辻原弘市

    辻原分科員 きょう、商工中金の関係者はどなたもお見えになっておらないのですか。——その点については、これは参考人でなければ呼べないということでありますが、だから、私はそれにかわって中小企業庁ないしは通産大臣に的確にその点を御答弁願いたいということを要求しておるわけです。具体的にひとつお答えを願いたい。
  205. 中野正一

    ○中野政府委員 商工中金の債券の募集につきましては、商工中金の金を貸すのと引きかえにそういうものを割り当て式に、いわゆる強要的にさせるというようなことはさせないようにいたしております。ただ、資金を貸すのに関連をいたしまして、別個に、たとえばその経営者の縁故者であるとか、あるいはそこの従業員であるとか、そういう者に別の形で債券を店頭で非常に売っております。というのは、従来は、御承知のように、証券会社で相当引き受けてくれたのですが、現在は証券会社も募集成績が非常に悪いものですから、むしろ店頭で債券を売ることを非常にやっております。これは成績が上がっておるのですが、その際に、いま先生が御指摘になったように、商工中金の金を貸すのに直接関連して、割り当て式に債券の引き受けを強要する、そういうことはないように注意をさせてやっておるのであります。
  206. 辻原弘市

    辻原分科員 あなたがおっしゃられたような限度でとどまっておれば問題はない。しかし、事実上でそれに近い行為、またはストレートにそれと引きかえの条件めいた形でやっている事例があるのです。これは、少なくとも政府三公庫と言われておる商工中金のあり方としては、私は問題があると思うのです。したがって、できるだけなくするということではなくて、要するに政府資金を貸し出しするという条件のもとに債券の削り当てを引き受けさせるというふうなことは、これは絶対やらしてはならぬと思う。その点は、きょう商工中金の当事者お見えになっておりませんが、あなた方のほうで厳達をしてもらいたいと思います。これは、そういうことでは政府機関の意味をなさない。  そこで、簡単に承りたいのですが、債券の消化状況は一体最近どうなんですか。
  207. 中野正一

    ○中野政府委員 商工債券については、御承知のように二種類あります。利付債と一年ものの割引債、この二種類がございまして、利付債につきましては主として都市銀行、地方銀行等の金融機関にお願いをしてやっております。それから割引債につきましては、従来は、先ほどもちょっと申し上げましたが、証券会社を通じて——金融債についてももちろんそうでございますが、主として証券会社を通じて売っておったのですが、最近はこの成績が非常に芳しくない。大体この既発行のものから言っても横ばいで、ほとんどふえないという状況であります。それから銀行筋で引き受けていただいておる利付債は、大体年度当初の計画どおりに消化されております。それから商工中金で店頭で売っておるもの、これの成績が比較的よくて、大体昨年の終わりまでで三十億円程度当初の計画よりも上回った消化状況になっております。
  208. 辻原弘市

    辻原分科員 かなり上回っている消化状況であるならば、なおさら私はそういうことを強制する必要はないと思う。特にいま金融が逼迫しておるので、事実上そういうことを、あるいは市中銀行が往々やりがちな歩積みなり、それに類似する形をとるということは、特に最近の金融逼迫の状況からながめてみても、私は、これはきわめて遺憾なことだと思う。通産大臣としてもあらためてここでその点についてひとつ御明言を願いたい。
  209. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 仰せのように、そういうことは非常に遺憾でございます。今後そのようなことのないように指導していきたいと思います。
  210. 辻原弘市

    辻原分科員 そこで、もう一つ私は、いろいろ飛び飛びになりますが、類似する行為について、これもまた政府としては十分な指導をしてもらいたい。いまのは商工中金の債券の問題でありますが、他の二行においても、二行というよりはむしろ中小企業公庫の代理貸しに往々見られる事例ですが、比較的私そういうことは銀行の中でも相互銀行に多いと思う。要するに代理貸しでその資金を貸し出すことによって、やはり一方その何がしを見返りに歩積みをさせる、こういう行為があって、事実上、五百万の代理貸しの資金融資を受けても、たとえばそのうちの百万なら行方というものを銀行に積み立てる。これでは、実際国がそれぞれ公庫を通じて出している金の効率というものは何%かこれは減じていることなんです。だから数字の上では——ここに私は統計をもらいましたけれども、申し込みに対して貸し出し何ぼということなんだけれども、実態としては、その比率というものは、実際の効果からいいますと私はもっと下がっていると思う。特に零細な資金の中でそういう歩積み行為をさせるということは、政府金融に関してこれは全くいけないことです。したがって、これもあわせて、私はいまの商工中金の債券同様、政府資金の貸し出しにあたってそういうようなチェックをするということは絶対やらせないように、ひとつこれまた指導してもらいたい。その点については、公庫の方はきょうはおいでになっていると思いますから、そういう事例はないならないとおっしゃっていいが、あるならば、あなた方としてはどういう指導をされているかということをここで明確にしてもらいたい。
  211. 舟山正吉

    ○舟山説明員 中小企業金融公庫の代理貸しの場合に、政府資金を出します反面、代理店が預金を取り入れる、これは両建てでございますが、こういう事例はかつてある程度ございました。これは、最近の歩積み、両建ての取り締まりということから政府のほうでもやかましく金融機関に通達されましたし、私のほうもやかましく取り締まる方針でありますので、最近は非常に減少してまいりました。しかし、公庫の実地監査の場合にときたままだ散見されるのははなはだ遺憾でございます。これは徹底的にやめさすように取り締まっていきたいというふうに考えております。
  212. 辻原弘市

    辻原分科員 最近は減っておるというお話であります。確かに私も、最近はやかましくなってきているから、減ってきていると思うが、皆無になっているとは考えません。その事例を私は知っております、ここに持っております。というのは、やはりそれぞれの銀行で預金競争といったような面で両建ての形式を踏まされる場合が多いと思います。しかし、少なくとも代理貸しの指定を受けてやっている限り、これは他の銀行が扱っていると同じように公平な立場で貸し出しをやらないと、政府金融というものは生かされないので、もし万一今後においてもそういったような事例が見られるところに対しては、相当強硬な手を打つべきじゃないかと思うのです。たとえば、最も強く言えば代理貸し業務の停止をやるとか、そこまでいかぬとなかなかこれは皆無にならぬと思うのです。したがって、そういう措置を今後おとりになるかどうか、ひとつお伺いをしておきたい。
  213. 舟山正吉

    ○舟山説明員 歩積み、両建て、あるいはこれに類するような行為につきましては、従来通達にやかましくいっておりますほかに、現にそれを発見いたしました場合には、代理貸し付けワクの削減とか停止とかということを行なっております。その事例も最近ございます。今後なお悪質なものがございますれば、お話のとおり、代理貸し契約の解除というところまで進んでいくべきであろうと考えております。
  214. 辻原弘市

    辻原分科員 実際問題として、通達程度ではなかなかこれはきかないのです。まさに大蔵省が数十回に及ぶ通達を出しても歩積み、両建てがやまらぬのと同様に、あなたのほうで出された通達でも、なかなか言うことを聞かぬというのが現状だと思う。したがって、そういう事例を監査等において発見をした場合は、相当以上にやはりきびしくそのことを取り締まってもらわぬと、指導していただかぬとこれはなかなかやみません。事を簡単にお考えにならないで今後の処置をお願いしたいと思います。  次に通産大臣、それから大蔵省が見えておりましたならば伺いたいのでありますが、政府三公庫を含めて、政府関係機関金融の金利を引き下げることが不可能かという問題について、ひとつ見解を承っておきたいと思います。と申しますのは、三公庫の金利も、それぞれ目的がありますから違っておる。しかしながら、最近のように中小企業でもそれぞれ大幅な増資をやり、企業の近代化をやってまいりますと、かなり経営規模も大きくなってきている。ところが、御存じのように、日本の中小企業状態からながめて、金利負担というものはこれは想像以上に大きいわけなんです。だから、せめて政府金融だけは、やはりその企業に重荷にならないような形で考えてやるということがぜひ必要だと思うのです。というのは、十年前であれば国民金融公庫の対象になったような企業でも、今日ではもう国民金融公庫の二百万程度の資金ではどうにもならぬという状況になってきている。そういうクラスが非常に多くなってきております。そうすると、国金で扱ってもらう場合は比較的金利は安いが、中小企業の場合には金利が高い。さらに商工中金の場合にはより高い。こういうことで、いわゆる政府金融の妙味がだんだん薄れていくと思うのです。もちろん、たくさん申し込みがありますから、妙味がなくなったという意味ではありませんけれども、本来的な政府金融価値というものは少なくなりつつあるのではないか。だから、日本の場合には、低金利政策ということで基本的な方向としてはやっているわけだから、まずまっ先に政府関係機関のいわゆる金利というものをできるだけ引き下げるという方向に努力できないかという問題です。
  215. 中野正一

    ○中野政府委員 政府関係三機関の金利の問題でございますが、まず現行の金利を申し上げますと、国民公庫が年九分でございます。中小企業金融公庫は同じく年九分、それから商工中金はやや違っておりまして、組合貸しの場合で申し上げますと、一年以上二年未満の中期のものが九・三%、それから二年以上の長期のものになりますと二厘高くなって九分五厘、それから短期のものは、一年未満でございますが、組合貸しの場合で日歩二銭四厘五毛、これが現行の金利でございまして、これで見ますと、国民公庫と中小公庫は同じ金利でございますが、特に商工中金が高いのではないかという議論が前々からございましたので、ここらの法律改正もいまお願いいたしておりますが、来年度におきまして三十億円政府出資をしていただきまして、商工中金の自己努力を入れまして、長期、中期について三厘程度下げる、短期については日歩五毛下げるという方針をきめて、法律なり予算が通りますれば四月から実施する、こうなりますれば、少なくとも中期のものについては中小公庫、国民公庫と同じような比率になるわけでございます。さらにながめてみて、中小企業者の金利負担を軽減するという意味合いにおきまして、今後さらに三機関についての金利は引き下げの方向で努力してまいりたい、こういうふうに考えます。
  216. 辻原弘市

    辻原分科員 後段に言われた引き下げの努力をしてまいりますというのは、お座なりの答弁じゃないのですね。私が心配するのは、これは時間があれば詳しく聞きたいのだが、最近の人件費あるいはその他の諸経費、さらに支店網の拡充とか、そういった立場からいきますと、いわゆる資金コストというものがむしろアップの傾向にあるのじゃないかということを懸念するわけです。だから、そういうことがなくて引き下げるという方向に向かえるということならば、これはまことにけっこうです。しかし、もし資金コストが上がってまいって、金利に影響を及ぼすというようなことがあれば、何か方策を講じなければならぬから、いまその問題についてお尋ねをするわけなのですけれども、そういう心配はありませんか。資金コストに影響を及ぼすような、経営上そういうことは全然心配は要らぬ、こういうふうにおっしゃいますか。
  217. 中野正一

    ○中野政府委員 いまの人件費の高騰あるいは経費が増加する、これはだんだん規模を大きくしますれば、そういう面も出てくるわけでありますが、そういう点につきましては、三機関ともできるだけ経営の合理化というものを片面にやっていただく、商工中金あたりも今後相当の自己負担が出てくるわけでありますから、三機関とも、今後ともそういう方向にやっていただく。それからまた、政府から出資なりあるいは財政投融資等で応援をいたしますれば、現在の状況から見て今後引き下げが、不可能であるということは——いつの時期にやるかということになると、これは政府部内でよく検討してきめなければなりませんが、少なくとも中小企業庁の私ども方針としては、その方向に努力したい、また努力すればできないことじゃないのじゃないかというふうに私は見ております。
  218. 辻原弘市

    辻原分科員 だから、多少の経営費が資金コストにはね返ってくる点については、資金量をふやせばそれで大体今後上がっていくというようなことを防げる、そういうことですか。
  219. 中野正一

    ○中野政府委員 いま御指摘になったような方向でできるだけ中小企業者の金利、特に政府機関の金利負担軽減ということについては今後とも長期的に実現していくように努力していくつもりでございます。
  220. 辻原弘市

    辻原分科員 それを前提にして私はこういうことを一つ承りたいのです。それは特に中小企業金融公庫です。この取り扱いの中で、方針として代理貸し、直貸しがあるが、その中で面貸しの方向をできるだけふやし、直貸しの比率を今後高めていきたい、こういうことになる。確かに資料で見ますと、直貸しの比率というものが中小公庫の場合、昭和三十四年から見ますと、三十八年には直貸しのウエートというものが加速度的に上がってきているようで、これはけっこうな傾向だと思う。国金の場合に、八・九%が昭和三十八年には一八・一%、それから中小公庫の場合には三三・九%と六六・一%、これはそれぞれ公庫からいただいた資料を見ますと、こういうふうに上がってきている。これは非常にけっこうでありますが、問題は、やはり中小企業金融公庫の場合に、まだまだ代理貸しのウエートというものは非常に高いわけです。六六・一%を占めている。全国的にいわゆる直貸しの方法でやられることにはなっているようでありますが、実際問題としては、いわゆる遠隔の地にはこの直貸しの問題というのはそうたやすくいかないという事情もあるようであります。そうすると勢い代理貸しでやらなければならぬ。ところが、代理貸しの場合には一千万の限度で押えられている。これは相当中心部から離れたところでも、最近設備費等については一千万という資金では、いわゆる帯に短したすきに長しということで、むしろ直貸しを望む声が非常に強いわけです。ところが公庫の支店等でのお話は、やりたいけれども、人員その他の関係でとうてい全部をまかない切ることはできない。それが現在やはり六六・一%という代理貸しが行なわれている結果だろうと思う。だから、これを見れば、結局地理的に不便なところは、政府金融、特に中小企業の金融の場合には窮屈だという問題がある。その窮屈だということは、結局いまの社会趨勢には若干ピントが合わなくなってきている。言いかえてみると、御承知のように地方開発、それから工場分散等々は、むしろ直貸しのやりにくい地方にだんだんそういうものができつつあるわけです。だから、それをすべて直貸しでやれればけっこうだが、そうでない場合には代理貸しでやらなければならぬ。ここにどうも代理貸しの評判のよくない、原因があると思うし、地方によって現実の問題として政府金融も非常に不平等な形に置かれているという欠陥がある。だから、何とかその欠陥を是正する方法がないかという問題です。それは結局支店をふやす、あるいは出張所をふやす、同時にまた人員も増していく。しかし人員と申しましても、一朝一夕に相当の−能力を備えたスタッフというものをそろえるということはむずかしい。そうすると、やはり人員養成ということもしなければならぬ。だから、こういうことを積極的にやるためには、相当な経費というものが必要になってくるのではないかということを考えるのですが、その辺の実情を総裁は一体どういうふうにいまお考えになっておられるか。
  221. 舟山正吉

    ○舟山説明員 ただいま、中小公庫といたしまして直貸しをもっとふやすべきではないかという御意見を拝聴いたしましたが、公庫といたしましても、ここ二、三年の間直貸しを伸ばすということについてかなり力を入れております。お示しのありましたように、本年度は三三%ないし三四%、来年度は四〇%にいきたいと思うのでございますが、これを急速に実行しますためには、これも御指摘がございましたが、店舗の整備と、それから担当者の養成ということが必要なのでございます。代理貸しですと、貸し出しの内容の審査も代理店がやってくれるわけでございますけれども、直貸しはそれを面接しなければならない。それに対して人員の養成ということが問題になっておりますが、ここ二、三年着々それを実行している次第であります。  そこで、直貸しの比率を伸ばしてもらいたいと思っておりますが、また半面、代理貸しは代理貸しとしての長所を持っております。公印の代理店は現在五千八百くらいありますが、これらの代理店を通じて全国あまねく僻陬の地まで公庫の金をそのルートを通じて流す、これによって中小企業の金融を円滑ならしめております。  将来の問題としては、直貸しと代理貸しの問題を適当なバランスをとりながら両方やってまいりたい、こういう考えを持っておる次第でございます。そこで、たとえば新しく産業を興さなければならぬような企業につきまして、直貸しの御要望があって、たまたまそこに支店がないというようなところでは、公庫の金は設備資金を主として融資しております長期の金でございますので、また金額も代理貸しの額よりは張りますので、もよりの支店に来ていただくように、さしあたって地域的な中心の土地には支店網を完備したいという気持ちで、支店設置の認可をお願いしておるわけであります。来年度におきましては二支店、四出張所を設けることができるようになっておる次第でございます。  こういうような反面、代理貸しは、これも御指摘のとおり、融資限度は千万円であります。このごろは中小企業といえども近代化、合理化をはかるためには相当の金が要るのでございます。単位も上がっておりますし、また所要資金の総額というものもふえておるのであります。代理貸しというものは、その性質上全国あまねくこれを均てんさせるという趣旨からも出ておりますし、また代理店ではたとえ一件当たりの融資限度を上げましても、特定の少数の融資先に代理貸しが固まってしまっても適当でございません。面接貸し付けのようにきめのこまかい審査もできないわけであります。それに資金総員という問題がございます。資金総量が豊富でございますれば、代理貸しの貸し付け限度を上げてもいいのではないか、急には参らぬと思います。ただいまのところは、ただいま申しましたようなことで、直貸しと代理貸し両方を適当に運用いたしまして、中小企業の措置をはかっていきたいと考えておる次第でございます。
  222. 辻原弘市

    辻原分科員 代理貸しを、ある程度支店網あるいは出張所の充実が行なわれるまでどうしても残さなければならぬということは、これはわれわれも確かに考える。そうなると、どうも舌足らずのきらいがいまの代理貸しの限度にはある。ところがそれを上げると、いまおっしゃるとおりの問題が出るので、結局は資金量の問題に到達すると思うのです。直貸しは、先般の改正によって、いろいろ議論がありましたけれども引きしげた。代理貸しはそのまま据え置かれておる。確かにきめのこまかい配慮をするためには、金額の小さい融資も中小公庫として考えてもらわなくてはならぬが、同時にまた最近の企業状態から考えると、若干舌足らずの感もするわけです。将来この代理貸しについては若干限度を引き上げるような方向をお考えになっておるのか、それを一ぺんお尋ねしたい。
  223. 舟山正吉

    ○舟山説明員 さしあたっては、ただいま申し上げましたようなことで現状を据え置きたいと思いますが、将来代理貸しに対する資金の需要が大口のものになってくるということがございますれば、それは考えなければならぬことであろうと思っております。
  224. 辻原弘市

    辻原分科員 これはひとつ考えてもらわなければならぬのは、申し込みの状況を統計上で見たのでは、これは正確じゃないですね。だから私は、お出し願ったいろいろ資料を見ましたけれども、われわれが実際実感として見ている数字とは非常にほど遠いものがある。なぜかというと、申し込み以前にそういうものは全部押えられておるわけですね。特に代理貸しなんかの場合には、みな銀行さんの御都合によって、おまえさんのところはそんなに言ったってとても出せませんよということで、ほんとうは資金需要としては一千万ほしいとしても、五百万でかんべんしてくれ、それで申し込んでくれ、そういう数字が上がってくるわけですから、これはあまり意味がないわけです。だから、われわれは実態から見て、現在すでに代理貸しにおいても千万以上の要望というのは相当強いのではないかと思うのです。そういうことでこれもひとつ検討する必要があるが、ただ問題は、限度額を引き上げていきますると、きめのこまかい、零細な対策というものがなくなっていきますから、したがって、その点私はむしろ国民金融公庫を検討する必要があると思う。最近の国金の状況を考えますと、出張所、支店綱の拡充は中小公庫よりは一歩進んでおるように見える。したがって、これは直貸しの比率というのはそういう意味で非常にふえているのだと思うのです。だから、国金の限度をさらに引き上げて、零細な個人及び法人企業等の対策は主としてその支店網の完備している国金が重点的に扱うというような方法を積極的にやるべきじゃないか、こうして中小公庫の場合には、直貸しが不可能な地方においても最近の需要に応ずる貸し付けが行なわれるようにやはり限度を若干引き上げるべきじゃないか、私はそういう個人的見解を持つのです。そのほうが実際運営としては便利じゃないか。したがって、この点はひとつ国金の当市者にも伺っておきたいと思うのだが、現在の取り扱い状況の中で、もう少しいまの取り扱いよりも、いわゆる中小公庫で扱う部面の金額的にいえば比較的小規模なものを国金のほうで引き受けるべきじゃないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  225. 石田正

    石田説明員 私のほうは、御承知のとおり、中小企業と申しましても零細企業のほうを主としてやっておるわけでございます。いろいろ実際の仕丁をやっている方、またお客さまのほうから貸し付け限度をふやしてくれ、代理貸しの専決限度をふやしてくれという要望が非常に強いのでございます。ただ、私のほうといたしましては、ただ上のほうを上げるだけが能ではないのではないか、下のほうを重点にすべきではないかということを考えまして、実は昨年以来まず下のほうから直していく、営んでおります事業の種類によりまして二口に分けまして、それを一さらに法人と個人に分ける。ある中業をやっておりますと、個人には二十万円法人は五十万円、そういう口がございます。それから別の企業につきましては、個人では百万円、法人では二百万円、こういうことがあったわけでございます。その二百万円をふやせ、ふやせという御要望が多いわけでありますが、われわれはまず下から解決すべきであると考えまして、第一段階といたしましては、特別に業種によって個人、法人が二十万、五十万と違っておったのを五十万一本に統一したわけであります。この二月一日から企業別を全部廃止いたしまして、それから百万、二百万という個人、法人の別をなくしまして、みな二百万、こういうことを一方にいたしまして、まず下のほうをかさ上げすると言いますか、そういうことをまず先にやるべきである、それがやっとこの二月一日からできますように政府の御承認を得たわけでございます。  これから先は、今度はその二百万円をどうするかという問題に入るわけでありますが、しかし、私のほうとしましては、現在申し込みの方が全部二百万をこすというような、二百万一ぱいを申し込むのじゃなくて、実際はもっと少ない方が多いわけでございますから、そちらの小さいほうのまず需要を充足する、これは資金量の関係もございまするが、資金量が全体をまかなうに足りない場合は、まず小さいほうから充足していく、そういうふうな方針をとっておりまして、どこまでも零細なほうに重点を置いていくということをやっております。中小企業金融公庫さんのほうの仕事と比べてみますと、われわれの一番上と中小公庫さんの直接貸しの一番下のとはだいぶ懸隔がある、かような状況であろうかと思っております。
  226. 辻原弘市

    辻原分科員 確かに中小のほうと国金のほうとの関係では、中小のほうの下と国金の上とのつながりというものは、もとは相当の開きがあった。ところが最近においては、いまあなたのおっしゃられたように、国金のほうの資金需要というものがだいぶ上がってきている。一方中小企業のほうも上がってきておる。全体的にやはり上がっているというこの傾向なんですね。そこでそれを結びつけるためには、どっちかをもう少し引き上げていかないと多少ダブった形にはならない。そこで一体それに対してどうしたらいいかといえば、あなたのほうはもう一段下を固めるが、上のほうももう少し引き上げて、そしてむしろ地方産業等に有意義に国金としても活用できるような体制を固めていかなければならぬというのが、その点については私は常識だろうと思うのです。しかし問題は全体の資金量の問題でありますから、その点について私は、大蔵省がおれば大蔵省、それから通産大臣、中小企業庁長官にも伺っておきたいが、その前にそれぞれ二公庫の質任者の立場として、いま私が申し上げたようなことを充足するとすれば、大まかでけっこうですが、あなた方の要望される資金量のめどというのは現状において一体どの程度か、このことをひとつお尋ねをしておきたい。
  227. 舟山正吉

    ○舟山説明員 ただいまのお尋ねの資金量は具体的にどのくらいかということは、ちょっといますぐには見当がつきかねます。
  228. 石田正

    石田説明員 お話の点でございますが、政府関係の金融機関だけを見ました場合には、国民金融公庫と中小企業金融公庫がある階層でダブっていきます、こういう考え方だろうと思いますが、実際には、私たちが仕事をやっておりますその間に民間の金融機関というものがたくさんあるわけでございます。私は、考えまするに、国民金融公庫というのは、金融機関を学校のように考えますと、むしろ幼稚園のようなところではないか、その上に信用組合とか信用金庫、相互銀行、こういうふうな方面の私的な金融機関がございまして、これも中小企業の金融をいたしているわけでございます。実際の問題といたしましても、私たちはそういう国民金融公庫なら国民金融公庫が充足すべきところの層を全部国民金融公庫で充足するんだ、こういうことである数字をはじくとすれば出てまいりますが、この国民金融公庫の現状に満足している層にいたしましても、上の方もあるし下の方もある。上のほうの方になってきますと、信用金庫のほうにもお取引がある、こういうような事情がございまして、なかなかそこのところをどう割り切るかという問題を考えますと、どのくらいの金額が最も理論的であるということはなかなか言いがたいのであります。実際に私のほうの仕事といたしましては、大体国民金融公庫の支所及び代理所に対するところの申し込みの件数とか、あるいは金額の上がり方というふうなものを推測いたしまして、毎年政府に対して御要望申し上げております。これはむしろわれわれからいたしますと、内輪な数字を御要望申し上げておるわけでありますが、それが実際におきましては、当初予算においては許されない、こういう事情でございます。ただ幸いにいたしまして、年度間を通じまして弾力条項の発動がございますので、要求した額と当初決定額とは相当差がありますが、実際の追加がありますところの資金の実績でこれを見ますと、だいぶ近いところへいっている。そういう点、われわれの要求というものはわりあいに実際問題として合っているのではなかろうか、こんな感じを持っている次第でございます。
  229. 辻原弘市

    辻原分科員 いろいろ資料についてお尋ねしたいのでありますが、いまお話の実績と申し込みの比率というのは、最近三カ年間等の状況を見ても、申し込みの件数及び資金量はふえておるが、同時に一方申し込み金額も上がっておる関係で、比率から見るとあまり変わっておらない。資料によれば大体一・五、六倍から二くらいの間を動いておる。これはさっき申し上げたように事前にいろいろ抑えておりますから、資料としては正しいのですが、実態をつかむのにはやや不的確だと私は思うのです。そういう意味考えると、議論の前提数字にはあるいはなりかねるかもしれませんけれども、しかしながら、やはりいまの現状から、どのくらいの資金量にすればこのくらいのことはやれるという計画はあってよいのではないかというふうに、特にそういう意味では考えるわけです。もちろん、この零細企業あるいは零細資金に対する取り扱いについては、これは現状から見て努力はされておるようであります。努力はされておるようでありますが、一面零細企業の場合には、資金を豊富に持つということと同時に、少し金融についての要望が違うと思うのです。担保力とか、あるいは保証制度とか、むしろそういうものについて簡便にしていくことの方向のほうがより望ましいのであって、これからその点を固められる場合は、先ほど私が申し上げましたような時代の進展に即応するような政府金融機関のあり方を、それぞれ三公庫の連係ということを重点にして考えていくべきではないか。そうでないとせっかくの資金もロスになる。その辺のところをもう少し計画的に——時間があればもう少し私見も申し上げたいし、もう少し突っ込んだ意見も聞きたいのでありますが、それがありません。  最後に私が望んでおく点は、やはり審査処理等の能率化という問題であります。最近聞くところによれば、こういう審査能力というものに対して経験を持つためには相当な日子がかかる。したがって、支店をふやしてもなかなかスタッフが集まらぬという嘆きも聞くわけであります。だからいまの現状からいけば、特に中小公庫の場合にはもっと地方に対する配慮というものがなければいかぬと思う。それには出張所、支店網の拡充を積極的に進めなければいかぬ。そうなればやはり人が間に合わぬというようなことを言っておったのではたいへんなことですから、それにおくれないような積極的な計画をむしろ進められて、われわれにも提案をしてもらいたいという希望を持つのであります。先ほど申しましたように通産大臣それから大蔵省等も、いま私が申しましたようなことで、まだまだ政府金融機関の一つの状況としては——もちろんすべて充足ということはありませんけれども、しかし何となく舌足らず、何となくもの足りない感じがいたします。しかし、結局は資金需要の問題でありますから、これは政府としてもさらに一段のひとつ積極的な努力をお願いしたいと思うのでありますが、そういうお約束が政府においてもできますかどうか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  230. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 三機関の間によく連絡をとりながら、資金量をふやして中小企業の資金需要に応ずる、なお審査その他も簡素化して十分に利用者の便をはかれという御趣旨であると思います。まことにけっこうな考えであり、今後努力したいと思います。
  231. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて辻原弘市君の質疑は終わりました。  次に多賀谷真稔君。
  232. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私は可燃性天然ガスの採鉱についてお尋ねいたしたいと思います。  御存じのように最近秋田県における天然ガスの量が約三分の一に減ってきておる。関連企業はその天然ガスを燃料あるいは原料として使用する目的で工場が建てられておる。これが設備を終わって稼働をし始めた。まだ十分な償却もできないうちにその原料並びに燃料がなくなっていく。この問題は私は、単に当該石油並びに天然ガスの会社がその採算がとれなくなったというならば、それは見通しのあやまちですからやむを得ないと思う。その原料並びに燃料を使うことを前提とする関連工場が倒産のうき目にあう、あるいは赤字が累増する。このことは私は非常に影響が大きと思うわけです。  それでまず、具体的に秋田における状態はどういうような状態になっておるのか、これをお聞かせ願いたい。
  233. 加藤悌次

    加藤政府委員 昨年の夏ごろ以来、先先いま御指摘のように、秋田におきます天然ガスの生産状況が非常に悪化してまいりまして、これを燃料に使っている関係の工場に非常な迷惑をおかけしておることも、私責任者としてたいへん遺憾に存ずるわけでございます。自来、私どもといたしましては、一方において探鉱計画外のボーリングを積極的に進めるという方向で現在まで努力してまいったわけでございますが、担当する企業といたしましては、石油資源開発株式会社、帝国石油株式会社並びに秋田県等でございますが、これらにつきまして、当初の予定外に十数本のボーリングを追加して行なっていただいたわけでございますが、遺憾ながら現在までの成績を見てみますと、十分の成果を上げておらない。  現在までの実績を御参考までに申し上げますと、当初計画が十数本のボーリングでございましたが、これをことしの三月末までに四十四本実施するということで、そのうちすでに三十八本完了いたしております。ところが、その中で当たりましたのがわずか三本でありまして、これは平均の率から申しましても非常に低い率であるわけでございますが、あと残っておる数本にわれわれは希望を抱いておるということでございます。ただ時期的な関係、あるいは季節等の関係もございますので、ことしの三月末までにはそれにさらに追加していくということは不可能ではなかろうかというふうに存ずるわけでございます。特に秋田県として三本、県の直営でボーリングをされるわけでございますが、これなどは積極的にわれわれのほうでお手伝いを申し上げまして、いずれもいただいております探鉱補助金をつけるということで努力をいたしておるわけでございます。  それから、これは消極的な対策になるわけでございますが、いまこういうふうに非常に御迷惑をかけております大きな理由一つは、長年非常に大量の天然ガスを生産しておりました八橋の油田が、一昨年の夏以来非常に急速度な状況で減衰してまいったということでございます。一昨年の初めころ大体五十万くらい出ておったわけでございますが、これが昨年八月に二十万、暮れころになりますと十七万くらいの年産しか上げておりません。これが実は何人もこのような急速な生産減があろうとは予測しておらなかったわけでありますが、そういう状況で、いかに探鉱に努力いたすといたしましても、なかなか需要家の需要を千分に満足させるわけにいかぬのじゃないかということで、一方におきまして、一昨年の秋以来、他の原料に転換できるもの、これは燃料用として天然ガスを使っておる分野でございます。大きな需要家として東北パルプ、東北肥料、この二つでございますが、燃料用に使っていただいておりました天然ガスを、量にいたしまして日産十四万立方メートル、これをほかの燃料に転換をしていただいた、こういうわけでございます。  こういうことで、いろいろ努力をしてまいりましても、大体ことしの三月を予想いたしますと、そういった地元の需要に対する出産の不足が大体十五万くらいになるのじゃないか、こういうことでございまして、私どもこういう状況を少しでも早く解消する必要があるということで、実は昨年の特別国会にも、この秋田の天然ガス問題に対しまして特別の決議をいただきまして、その決議の方向に沿いまして来年度の予算の要求をいたしまして、十分とは申せませんが、大臣にもいろいろ御尽力願ったわけでございますが、大体予算の要求に近い数字の探鉱補助金あるいは地質調査所で行ないます層序試錐、その他地表の物理探鉱等の予算がまあまあつけられた、こういうかっこうになっております。私どもは、この予算をできるだけお困りになっておる秋田に重点的に使いますと同時に、一方政府の直接の監督下にあります石油資源開発株式会社の探鉱の実施につきましても、秋田の一番困っておられる状況に当面いたしまして、やはりそういったボーリング等を重点的に秋田県に向けるようにというふうな指導をいたしたいというふうに考えるわけでございます。
  234. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 単に秋田だけでなしに、新潟でも、いま御存じのように東京から新潟まで帝国石油はパイプを引いて東京瓦斯に提供しておるけれども、大体予定の輸送量だけいっていますか、計画どおり……。
  235. 加藤悌次

    加藤政府委員 実は帝石の東京向けのガスの供給につきましては、大体昨年の契約から見ますと、平均五十万立米ということになっておるわけでございますが、帝国石油は採算的に非常にぐあいが悪い状況になっておるというようなことを、昨年私が就任をいたしましてから心配をいたしまして、この当時はまだ東京に送る余力が相当あるのではなかろうか、当時の状況から見ますと、このパイプラインがいわゆるフルに活用されておらない。金利償却等の面から見て、これが一つの帝石の採算に対する負担になっておるということで、これをできるだけフルに使うようにもっと増量をしたらどうだろうかといって、実は側面的に指導を行なってまいったわけでございます。いま先生御指摘のように、秋田ほどのひどい状況ではないわけでありますが、特に需要期に際会いたしております現在の新潟県全体の状況から見ますと、やはり全体として、この冬場のもとにおいて、県自体としての供給が非常に窮屈になっておるという状況でございます。大体冬場になると八十万くらいの日量ガスを送る予定をいたしておったわけでございますが、これをフルに送ることができませんで、現在日量にして六十万立米くらいのガスを送っておる、こういう状況でございます。
  236. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私も現地を数年前あるいはまた最近も見たわけですが、確かに最初から私は不安であったわけですよ。一体ガスの埋蔵量なんていっても、はたして採算のとれるガスが出るだろうか、しかも工場は天然ガスブームでどんどんきつつある。これが千葉とか神奈川のようなところにそういう天然ガスが出て、そうしてたまたま工場がきても、ガスが出なくても、それは立地条件から採算のとれるところなんですよ。ところが、東北地区にわざわざ天然ガスということを重点に工場をつくって、その原料並びに燃料が供給できないということになると、これはゆゆしき問題です。国家的な損失です。ですから、当該石油会社の経営だけでなくて、関連企業が私は非常に問題だと思う。それで、ガスの第二次計画はどういう予定になって進行しておるか、これをお聞かせ願いたいと思う。とにかく三菱化成もくる、あるいは三井化学が進出せんとしてこれはやめましたが、日本軽金属はさらにアルミをやるという状態で、次から次へ工場ができたわけですね。ですから、あれだけの、工場ができて、天然ガスはあるというけれども、まあ日本全体にはあるわけです。天然ガスなんというのは、掘ればどこでもあるわけです。ただはたしてそれが採算がとれるかどうか、それからそれだけの規模の湧出があるかどうかというのが、問題なのです。ガスというのは、地下を掘れば大体出るのですよ。ですから、日本全体を一抗して鉱区を中請してみてもいいくらいにあるのですよ。ガスはどこにもあることはある。ところが問題は、それがほんとうに採算がとれて、工場のユニットだけあるかということです。秋田や新潟でも、いわば天然ガスブームで、今日のような事態を招いたと思うのです。一本全体として、一体天然ガスが計画どおりいっておるかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  237. 加藤悌次

    加藤政府委員 私ども、天然ガス並びに原油の国内開発を進めてまいります場合に、ただいま基本にいたしておりますのは、先年御承知のとおりの第二次五カ年計画、三十七年度を初年度とする第二次五カ年計画でございまして、この線に沿うて生産あるいは探鉱等を速めておる、こういう状況にあるわけでございます。まだ、いま三十八年度で、ようやく第二年度が終わるという段階にあるわけでございますが、現在までの実績を申し上げますと、天然ガスの生産量が、三十七年度の目標が十六億立方メートル、これに対しまして、実際の生産量は十二億立方メートル強ということで、目標を三億弱切っておるわけでございます。それから三十八年度の目標は二十億五千万立方メートル、こういう数字でございますが、現在のところ、見込みとしては大体十八億立方メートルくらいにとどまるのではなかろうか。来年度の目標が二十二億五千万立方メートルでございますが、私どもは、過去二年におきます減少をできるだけ取り返したいということで努力をいたしております。いままでのところの見込みといたしましては、これは、まだ最終的に来年度の各社の計画がきまらぬものですから、最終的な数字ではございませんが、せいぜい目標の二十二億を達成するのがやっとではなかろうか、こういう実は状況にあるわけでございます。一方、探鉱向けの投資数字でございますが、三十七年度の計画数字が二十三億八千万円ばかりでございますが、三十七年度の実績はこれを相当上回りまして、二十九億一千万、こういう数字になっております。それから三十八年度は、計画が二十八億八千五百万円という数字でございますが、実績の見通しといたしましては、これを多少下回りまして二十二億四、五千万円ぐらいになるのではなかろうか、こういうことでございます。  一方、原油のほうの数字を御参考までに申し上げさしていただきますと、三十七年度の目標の数字は八十が八千キロという数字でございますが、実績は八十七万六千キロ。それから三十八年度は八十二万二千キロの目標数字でございますが、これも九十万ないし九十二万に達するのではなかろうか、こういうふうに思っております。それから原油の探鉱の投資の目標と実績でございますが、これは三十七年度の目標数字が十六億一千五百万、三十八年度も同じ数字でございます。ところが、これに対しまして実績は、三十七年度が二十億五千八百万、三十八年度が二十二億六千七百万、これは見込みの数字でございますが、そういうふうになっております。  それで、この数字を受け取っていただきます場合にひとつお考え願いたいことがあるわけでございますが、現在原油並びに天然ガスの開発を担当しておりますのは、石油資源開発会社と帝国石油株式会社、この二つであるわけでございます。石油資源開発会社が新しく国策会社として昭和三十年にできました当時は、石油資源開発会社はもっぱら原油の探鉱、開発をやる、それから帝国石油株式会社は今後はもっぱら天然ガスの探鉱、開発をやる、一応こういう頭の整理をして自後の仕事を進めてまいったのでありますが、御承知の水溶性ガスの採掘によりますところの新潟の地盤沈下の問題が出てまいりまして、ああいった都市に近いところでは水溶性ガスをやはり規制する必要があるということでございまして、現在その規制を続けておるわけでございます。自来、やはり、天然ガスにおきましても、探鉱の重点はそういった水溶性ガスではなくて、構造性ガスであるということに相なりまして、現在の状況で見ますと、帝石とSKは一応そういう整備はいたしましたけれども、SKが石油を目的にして探鉱をやったところがガスが出たという状況がございますので、この探鉱のための投資の金額は、そういった目でひとつこれをごらんになっていただきたい。  ただ、そういうことではございますが、少なくとも実績の面から見て、原油のほうは計画数字をかなり上回っておるのにもかかわらず、天然ガスがこれに引きかえまして目標の数字を下回っておる。それからいま申し上げましたように、水溶性ガスが問題にならなくなったということも一つ理由かと存じますが、どうもいまから考えてまいりますと、天然ガスの採掘と探鉱による新しい埋蔵量の発見と申しますか、これとの比率が、必ずしも理想の線から見て十分ではなかったのではなかろうか。端的に申し上げますれば、一方において開発を進め、生産すると同時に、この出産性を埋めるための探鉱が必ずしも十分ではなかったのではなかろうか、こういう気が率直に申し上げましてするわけでございます。ちょうど先生御承知の帝国石油がああいう状況になっておりまして、今度新しく首脳陣がおかわりになるやに聞いておるわけであります。新しい首脳の予定になっておられる方たちとも、この点につきまして、私ども来年度どうするかといろいろ御相談を申し上げておるわけであります。率直に過去を反省してみると、帝国石油の探鉱のやり方について、やはりこの際考え直すべき点があるのではなかろうかということでございますので、私どもは、新しい首脳陣による再建計画と申しますか、その中心になりますところの探鉱なり開発計画、これを十分拝見いたしまして、できるだけこの五カ年計画の線に沿うような方向へ御努力を願いたい。そのために必要なわれわれ政府の側としてのお手伝いも、できる限り申し上げたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  238. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私は、確かに生産を増大し、さらに探鉱を増大しなければならないけれども、探鉱がおくれておったことは言えると思いますけれども、ボーリングをして、ある一定のガス量を十分確認をし、そうしてこれで工場がきても、まだ余裕があるという余裕分がなかったのじゃないか。むしろどんどんボーリングして出だした。ではおいでなさいというわけでやったというところに問題があるのじゃないかと思うのです。それは探鉱もおくれているわけです。総合的に言えば探鉱もおくれているけれども、むしろ秋田でもやっておりますように、三十八本ボーリングしたけれども三本しか出ないという状態ですから、十分確認をして、余裕を持って工場の誘致をやらないと、非常に問題じゃないか。もう出ました、もうだいじょうぶというので次から次に工場を誘致をしておったのでは、少しその湧出量が悪くなり、生産が落ちると、キャパシティー一ぱい一ぱいに工場がきているという状態ですから、ここに問題があるのじゃないか。そこでやはり政府としては、これは私企業が自己の採算でやるのですから当然だと言うことはできない問題があると思うのです。私は、帝国石油にも非常なあせりがあったのじゃないかという感じを受けるのです。   〔主査退席、淡谷主査代理着席〕 あれだけの能力しかないのに、東京までのパイプラインを引いて、そうして地元ではさらに工場の誘致をする。そうすると、天然資源ですから、ある程度いけば枯渇するのは当然です。そこで、いわば一時的なもうけをどっとやろうという思惑があったのじゃないか。これは推測ですけれども、そういう感じがする。それともう一つは、計画が途中で誤算だということがわかっても、徹底的にやりますね、責任者を出さないように。これは何も石油だけでなくて、炭鉱でも同じですよ。大臣はこの前筑豊炭田へおいでになって、筑豊炭田はみなスクラップだけれども、この山だけはだいじょうぶだといって、三井田川の伊加利坑を見られた。その前は佐藤通産大臣もおいでになった。水田大蔵大臣もあの山に入られた。みんなあの山に入られたのです。そうして、大臣が帰られて間もなく、あれはスクラップだ、こういうことになった。そして縦坑は全部使わないのだということになったわけです。私は全く責任があると思うのですよ。鉱山というのは、そこが問題だと思うのですよ。確かに三井山田だって、縦坑を二本掘ったのです。そうして完成をしたら、翌年石炭がどうもない、これはスクラップにしなければならぬ、こう言っているでしょう。これは三井だけでないですよ。北海道の釧路の庶路だって、明治鉱業が金をつぎ込んで開発をしたけれども、人もかなり入れたけれども、結局スクラップだという。ですから、膨大な投資をして、しかもみな十何億以上です。そうして、新しく投資をするけれども、最近はみなほとんどだめです。ここに私は非常に鉱山業の問題点があると思うのです。一体これはどこに問題点があるのか。これはチェックする方法はどういうところにあるのか。いまは天然ガスの話をしておるわけですが、総合的に大臣からお聞かせ願いたいと思うのです。
  239. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お説のように、秋田の場合も新潟の場合も、実はそういうような事情でいま実際に困っておるのです。それから、いまあなたの仰せになったように、鉱山の問題になると、なかなか実情がわからないで、調査が粗漏で、しかも仕事をするという事情があると思います。確かに山をやるというのは、それほどむずかしいということに昔からなっておるわけでありますから、したがって、今後やる場合には、今度鉱山法の改正などでも、かなり資力のある人にやらせるようにする、経験のある人、技術を持っている人にやらせるような改正の案が入れてありますから、そういうことも加味してあるわけでありますが、今後はそういう仕事を始めるにあたっても、また仕事を拡張していく場合に、よほど慎重に、保安その他の面も考えながらやらせるようにする必要があるではないか、かように考えます。
  240. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 大臣は十分御存じないからそういうお話をされるのですが、資力のないものとか、そういうのはやらないのです。またそれは、被害が小さくて迷惑をかけないのです、町全体に。そんなのではなくて、資力のあるのがやはり迷惑をかけるわけです、金もあり、能力もあるし。鉱業法の改正のような、小山の場合はあまり迷惑をかけない、自分がつぶれていくだけですから。そうでなくて、要するに、三井であるとかあるいは三菱であるとか、そういう財閥の大手の炭鉱がやはり問題になる。むしろそういうのです。その炭鉱は、自分の炭鉱ですから、それだけ被害を受けても、炭鉱だけで済むでしょう。しかし、それによって町づくりが行なわれたところは、とたんに終山だということになる。いま問題にしているガスは、なお問題です。そこで私は、政府としては、ある生産が確認をされて、将来の埋蔵量もはっきりする、そうして、工場を誘致する場合に、何かそこに介入して、工場の許可を与えるとか、それに対してタッチをする必要はないのか。あるいはまた、ボーリングをした、出た、余裕がない。余裕がないから、すぐ売ろうとする。ふたを締めて次のボーリングまで待てない、こういう状態もある。ですから、そのふたを締めて、あるキャパシティーが確認をされて後、工場を建てる、何かこういうような制度をつくらないと、いまのような状態では、まだはっきり確認をされないうちから、一ぱい一ぱいのキャパシティーで工場がくれば、当然起こる問題です。ですから、これについてどういうように考えられているか。  それからもう一点は、天然ガスでも油田でもそうですが、あれは石炭と違って、動くわけです。ことに天然ガスは動くわけです。要するに、早くボーリングをしたほうが勝ちということですねよその鉱区のほうからずんずん出て自分のところに出てくるわけですから。全部がそうではないけれども、事実そういう傾向がある。鉱区制なんて意味がないでしょう。鉱区ぎわ一ぱいにボーリングしてごらんなさい。その周囲はガスが移動しているわけです。ですから、相当規模の鉱区を最低限度として認めないと、あれは非常に問題が残ると思うのです。鉱区が非常にふくそうしておったり、小さい鉱区であれば、私は必ず問題が起こると思う。そういう点はどういうようになっておるのか、お聞かせ願いたい。この二点です。
  241. 加藤悌次

    加藤政府委員 秋田並びに新潟で今日のような状況になっておりますことにつきまして、私、率直に申し上げまして、両方に責任があるような気が実はいたすわけであります。先生御指摘のように、少なくとも、ただいま問題になりました帝国石油、これはいわば資金繰りに追われて、出ないものをすぐそのままずっと出るような勘違いをして商売をしてきたというところに一つの大きな原因があるではなかろうかという気が実はいたすわけでございまして、先ほど申し上げました、四十二本も掘って三本しか当たらない、これは、平均から言うと少し少な過ぎるように思うのであります。これはやはりいよいよボーリングをおろす前に、事前に十分地表から物理探鉱等の基本調査をやる。そういう事前の段取りが必ずしも十分でなかった。要するに、資金繰りの圧迫からくるあせりがそこに出たために、今日のような状況になっているということを実は痛感しておるわけです。今後計画の遂行のために、そういった面からのアドバイスをしていきたい、こういうふうに思っておるわけです。  それから工場が立地される場合には、御承知のように、政府が具体的に介入いたしておるわけではございません。あくまでもコマーシャルベースで供給の契約をするというのが実は現状であるわけでございますが、最近のような事情にかんがみまして、工場を誘致される地元の公共団体、あるいはそのお話によって工場を立地される各企業の方は、そういう点をいま申し上げたような点から十分やはり真剣に今後考慮する必要があるのではないだろうかという気が、私はいたすわけであります。実はこの天然ガスの不足をきっかけに、これは直接的には通産局が入っておるわけですが、地元の新潟県と、通産局と、それから生産する帝石と、それからそれを利用する工場の方、これが集まりまして一つの協議会というものをつくりまして、そこの場で今後の生産をどういうふうにしていくか、あるいは今後新しい工場が設置されれば、それをどういうふうに受け入れるかというような問題を具体的にいろいろ御検討願う。その結論をわれわれのところに持ってきていただいて、それに基づいて、私どもの今後の指導なりあるいは補助金の出し方についても考慮するというふうに持ってまいったらどうだろうかということで、目下その会合の準備をいたしておる状況でございます。
  242. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 次に、私は硫黄の輸入についてお尋ねいたしたいのですが、時間もあまりないですから、総合的に質問をしてみたいと思います。第一に石油の精製過程から出る硫黄は、今後は膨大な数字になるわけです。これと、日本で現在出ておる硫黄、それからもう一つは硫化鉱を原料とする硫酸、こういった一体的な政策はどういうようにお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。
  243. 加藤悌次

    加藤政府委員 率直に申し上げまして、国内におきます石油精製等からの回収の硫黄でございますが、これはまだようやく緒についたばかりと申しますか、今年度の見込みの数字で言いますと、大体国内全体の山の生産が二十二万五千トンばかりでございます。これに対しまして、五%ぐらいの一万二千五、六百トンという数字でごいます。そういうわけでございまして、いままで、国内の回収硫黄とそれから鉱山から出ます硫黄並びに硫化鉱というものを総合的にどう考えていくかということについては、まだ十分検討をいたしておらない状況でございます。御指摘のように、最近公害問題が非常にやかましいことは先生御承知のとおりでありますが、国内の石油精製のほうから出ます回収硫黄は、能力としては七、八万トンぐらい出る見込みを持っております。しかも、これはコストがあってないようなものでございます。せいぜい回収施設の金利償却を見ればいい。これは副産物でございますから、これは各国ともそうでございますが、特に日本の鉱山から出ます硫黄に比べてコスト的にも非常に安い。そういった面からの検討が必要であるわけです。私ども現在の考え方といたしましては、通産省の中に鉱業審議会というものを設置していただいておりますが、昨年は金属鉱業等安定臨時措置法に基づきます銅、鉛、亜鉛、この三つの鉱石並びに地金につきまして基本計画、実施計画等、この審議会でいろいろ御検討願いまして、幸い昨年末にそれぞれ基本計画、実施計画、またこの裏づけになる探鉱、あるいは鉱山、製錬所の合理化に対する必要な資金の問題、それから海外鉱石開発資金の問題、いろいろ御答申を願ったわけであります。いよいよ問題の硫黄、硫化鉱、こういった項目を次に取り上げていただきまして、先生御指摘のような問題をこの場で、需要業界、生産業界、あるいはこれに関係する方々、あるいは学識経験者等を含めまして、将来の方針を確立するようにお願いをしたい、こういうふうに存ずるわけであります。
  244. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 輸入はどうですか。
  245. 加藤悌次

    加藤政府委員 資源的に申しますと、日本の硫黄源資というものは、アメリカに次いで世界第二位であるということであります。そういった資源の面から見ますと、少なくとも日本の需要量を補ってなお余りがあり、相当長期にわたって充足できるということに相なるわけでございますが、問題になりますのは、コストの面であります。最近の海外各国における硫黄の国内価格、それが大体九千円弱から一万円弱、少なくとも一万円弱で国内の出産業者に対して売られておる。ただしイタリアとインドは、少し例外であります。これに引きかえまして、日本におきましては、いろいろと合理化の努力を願っておるわけであります。現時点におきましても、コストは大体二万円であるということでありまして、コストだけから申しますと、外国の二倍であるということであります。特に最近顕著になってまいりましたのは、フランスあるいはカナダでございますが、天然ガスからの非常に安い回収硫黄が大量に出産ざれるということに相なってまいりまして、こういった面から、ただいま申し上げました国外の価格というものはますます低下の傾向にあるということになりますと、量的には十分であるとはいいながら、コスト面あるいは販売の面から非常に割り高であって、需要家に対して相済まぬ、こういう感じを持っております。私ども目標といたしましては、現在二万円でありますが、一万五、六千円くらいのところを一つのめどにいたしまして、できるだけ国内の硫黄鉱山の合理化を推進していただくということでまいっておるわけであります。大体その程度の値段になれば、外国に比べて割り高であることには相違ございませんが、国内の需要家も、将来の安定供給という面から考えまして、国内の硫黄を優先的に引き取ろうというような感じにもなっていただいておるわけであります。まず、私どもは、先ほど申し上げましたように、将来の価格引き下げ目標は鉱業審議会の最終の結論を待つわけでありますが、その目標に向かってできるだけ合理化を進めていただくというふうな考え方でおります。それで、はたしてそういう目標の価格のもとでどれだけの生産が確保できるかということが、ここで問題になるわけでございます。こういった努力目標の価格でできるだけ国内の全需要をまかなえるような数量を生産できるということが好ましいわけでございますが、何としても一部不足であるという場合には、やはり需要家の立場も考えざるを得ないというふうに思いまして、ある一定の安定的な数量を国内ではひとつ出していただきたい。そのときどきの状況におきまして、需要の状況というものは非常に伸び縮みが激しいわけでございます。ことしは、ちょうど化繊あるいは紙パルプが盛況なものですから、非常にその需要が大きく出ている年に当たる。そういうときには、不足のものは輸入で一時的にまかなう、つまり、輸入を一つのクッションにして考えるという考え方でいくべきではなかろうか、こういう感じを実は持っているわけでございます。すでに今年度は、ただいま申し上げました人絹あるいは紙パルプ、これが非常に生産の状況が活発でございまして、ただいま申し上げました国内の出産が、回収量を含めまして大体二十四万トン近くになるのでございますが、需要のほうはさらにそれを四万トン近くオーバーするということで、現在までに実はすでに三万七千トンばかりの外貨の割り当てをやっております。現在まで三万トンばかり入っておるわけでございますが、こういう状況が来年度にも続くかどうかということで、実は陳情等も受けておるわけでございますが、考え方としては、ただいま申し上げましたような考え方で、せっかく合理化の方向でいま国内の硫黄鉱山が努力なさっているわけですから、こういう際に、一時的に非常に景気がいいからということでまた人をふやしたり、またコストがそれによって上がるということで増産したのでは、その裏目が出てきたわということでは困ると思いますので、やはりいろんな国内の需要の見通しなり、あるいは生産の見通しも、非常に慎重にやる必要があると思いますけれども、その結果、どうしてもこれだけはやはり不足であるという場合には、これを輸入するということに考えざるを得ないのではなかろうか、こういう感じで私ども考えております。
  246. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 昭和三十八年度は、一体業界のほうは十分生産できる、こう言っておるんじゃないですか、どうです。あなたのほうは三万七千トンほど足りないと言っておりますけれども、業界のほうは出産できる、こう言っておるのですか。
  247. 加藤悌次

    加藤政府委員 輸入量をきめます場合には、需要業界はもちろんでございますが、山の側とも十分な打ち合わせをいたしまして、ことしの外貨の割り当てをいたしておるわけでございまして、ことしは、明らかにいま申し上げました数字の輸入をせざるを得ない。在庫の見通しを立ててみますと、これだけのものでは在庫が適正量から見て少ないのではなかろうか、こういう感じがするわけでございます。いま鉱山のほうで言っておられますのは、とりあえずいま検討いたしております三十九年の上期の需要あるいは生産量でございますが、一応山側の言い分といたしましては、上期に予想される本年度の需要、これにたえられるだけの生産力があるので、輸入はひとつ押えていただきたい、こういう御意見等を実は伺っておるわけでございますが、基本的な考え方といたしましては、ただいま申し上げましたような方向で進まなければいかぬと私は思っております。最終的な要輸入量がどれくらいになるかということにつきましては、さらに慎重に数字的に検討いたしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  248. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私は、硫黄はいまお話しのようにアメリカに次ぐ第二の埋蔵量を持っておるというのですから、相当伸ばしてやりたい。しかし、率直に言いますと、石炭の二の舞いをさせてはならぬという気持ちがあるのです。私たち石炭の経験をした者は、その合理化をしておる過程で、石炭が足らなくなって増産をする、増産態勢に入ったら、またその次に過剰生産になる、そうするとまた首切りが起こる、ここ十年くらいそれを繰り返してきたわけです。ですから、いま局長のお話しになるように、業界が言うように、生産をします、生産をしますといっても、問題はその生産のしかたにある。ですから、その一時的にいままで休止をしておった硫黄鉱がどんどん掘り出したり、それから臨時にどんどん人を雇ってきて増産をするのでは、やはり安定的な出産ではない。将来ずっと安定的に需要があるという見通しがつく、それがわりあいに安定した価格で売られるという見通しがあれば、それは推進をしてやらなければならぬ。そのかね合いが私は確かにむずかしいと思うのです。ですから、将来の需要の伸びを考えながら、かなり長期的にそれを考えて、そして安定的な生産とその価格、これを見ながら輸入で調整をされるというなら、それもけっこうだと思います。しかし、問題はそれだけでは解決をしないので、一体回収のその硫黄をどうするかという問題、それから輸入する硫黄の価格をどうするかという問題、これは率直に言って、プールでもしたらどうですか。プールでもしたら、これは悩みがなくなるわけです。それは一万五千トンと言われますけれども、この一万五千トンがキャスチングボートを握ったときは、一万五千トンはものすごい暴落の契機をつくるのですよ。ですから、問題はそこにあると思うのです。いまからことに公害問題がやかましくなれば、亜硫酸ガスを出す硫黄は回収せいということになるでしょう。かなりの量になる。そうした場合に、これは金利の回収さえすればいいんだということで、償却と金利だけの価格で売られれば、硫黄業界はお手上げです。外国の攻勢を待つまでもなく、国内でお手上げをするわけですから、むしろ価格を安定さすという意味で、これらのものをプールする。銅でやっておるわけですし、それから関係業者はどのくらいおるか知りませんけれども、協力を得て、しかも硫黄は、需要家のコストから見れば非常に低いでしょう、需要家のコストから見れば、いわゆる原料として使うという面は非常に少ないのですから、ひとつ硫黄業界の安定のためにも、労働者の安定のためにも、プールに踏み切ったらどうか、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
  249. 加藤悌次

    加藤政府委員 今後の基本的な方針につきましては、先ほど申し上げましたように、さっそく鉱業審議会でいろいろ御検討願いたい、こういうふうに思っておりますが、いま先生御指摘のように、実は御意見も一、二拝聴いたしておるわけであります。要は、やはり長い目で見た安定供給ということが、需要家側にとっても最も重要なことであろうというふうに存じておりまして、そういった見地から需要業界と山の側との協調態勢、これを今後さらに一そう密接に進めてまいりまして、役所も相談相手になるなら、いま先生御指摘のようなものになるかどうか、これはわかりませんが、できるだけ密接な協調態勢のもとに、国内の硫黄鉱山が安心して安定的な生産供給ができるようにいたしたい、こういう考えでおるわけです。ただ、現状におきまして、海外から入ります硫黄の価格は、昨年の日本の港湾の荷役問題を契機にいたしまして、現在入っておりますのが全部包装されて入っております。そういうわけで、中身の価格よりも包装のほうが高いという状況でございまして、一時日本の硫黄も二万円ばかりにまで値段が下がったのでございますが、カナダから包装して入っておるのが現に二万七千円、その後中共のほうから入る、これが二万四、五千円くらいということになりまして、需給関係の緊迫等の影響を受けまして、国内生産硫黄の値段も最近は二万三、四千円というふうなところで推移しておるやに聞いておりますが、この荷役の問題が今後どういうふうになりますか、これによって先ほど申し上げました内外の価格差が、今後どの程度開くかということがきまってくるのじゃなかろうかと思いますので、少なくとも現時点においては、輸入されるもののほうが割り高ということは申し上げられるのじゃなかろうかと思います。  それから、石油精製等から出ますのは、石油精製業は私の所管になっておるわけでございますが、これがイニシアチブを取って国内硫黄の需給を左右するということにはならぬので、むしろそのときどきの需給関係から言いますと、山の側から出てくる硫黄の量によって値段がきまるという形になるのではないか、こういう感じがいたすわけでございます。おれのほうはコストが安いんだから、それをプール機関にでも出して、国内の山のものもプールして需要家に渡すということではたしてうまくまいりますかどうですか、これについてはそういった問題もあるのではないか。いずれにいたしましても、緊密な協調体制ということで両方の話し合いを進めていき、基本的な方針といたしましては、鉱業審議会でさっそく検討してまいりたい、こういう考え方でございます。
  250. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 石炭局長見えておられますから、一言だけ予算に関連してお尋ねいたしたいと思います。  産炭地振興審議会に、通産省の原案として産炭地に四十二年までに三千九百億投資をする、そうして四十二年度においてはその地域における鉱工業生産額を三十五年実績の二倍以上とする。その投資によって労務者を三十七万人雇用増大をはかるという膨大なものを出している。これはちょうど十月二十五日に政府が出しておるのですから、産炭地ではわれわれ選挙をしておったのです。政府もこういうふうにおやりになるだろうと自由党の諸君もだいぶ宣伝したわけですけれども、えらい膨大な三千九百億の予算の一環として出された三十九年度の予算を見ると、そういうことがさっぱりうかがわれないのですね。事業団だけでございませんけれども中心となる事業団の予算も財政投融資を含めて事業量が五十二億ですね。そうして土地造成、ボタ山事業等貸し付け金がおもである。細部については別の機会にお尋ねいたしますが、要するにあれだけ膨大な原案を出しておきながら、あまりにも三十九年度の予算はみみっちいではないか。これはどう関連があるのかお聞かせ願いたいのです。
  251. 新井眞一

    ○新井政府委員 ただいま御指摘の産炭地振興の基本計画でございますが、三千九百億の非常に大きな投資が四十二年度までにできるというのは、さような計画に相なっております。ただ、これは御承知のように、いろいろ国のほうでも誘導いたしますし、また民間の投資もございます。なおかつ各般の公共投資もございます。そういうのを全般を四十二年の姿で描いて三千九百億のあれができるという形になっております。したがいまして、私どもの予算のほうは、通産省関係で土地造成でございますとか、あるいは工場誘致の貸し付けでありますとか、あるいはこれをやるための企業と産炭地の結びつけの問題でありますとか、そういう点での予算であるわけでありまして、このほか建設省あるいは自治省、その他の関係におきましては、産炭地に関連する国の予算がやはりあるわけでございます。もちろん労働省の予算というのは、先生よく御承知のとおりでありまして、かような意味で四十二年度の目標に関連して、そこに誘導していくための通産省関係の予算が私どものほうの予算であるということでございます。なるほど来年度いろいろお願いいたしましてできておりますが、まだまだ現地の要望からいたしますと、私どもとうてい満足はいたしておりません。
  252. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 では三千九百億の投資に該当する三十九年度の各省予算はどれくらいになっておるのか、それをお聞かせ願いたい。
  253. 新井眞一

    ○新井政府委員 ただいま各省のほうで張りつけをやっております最中でありますので、ただいま明確にお答えできませんが、いずれはっきりいたしまして御答弁させていただきたいと思います。
  254. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 予算委員会の分科会ももう日にちがありませんから、私はこれでやめますけれども、石炭委員会にひとつ提出を願いたい。三十九年度においては、一体三千九百億の一環としてどういうように各省の予算がなっておるか、これを各省総合して、項目別に、しかもその計画と対比して出していただきたい。このことをお願いしておきます。
  255. 淡谷悠藏

    ○淡谷主査代理 これにて多賀谷真稔君の質疑は終わりました。  次に、武藤山治君。
  256. 武藤山治

    武藤分科員 たいへんだそがれも迫まりまして、皆さんいろいろ御予定もあろうと思いますし、何か大臣は御予定がございまして早く帰りたいというので、これ以上長い時間質問するのも人権問題に関しますから、できるだけ結論を先に大臣に尋ねて、その後繊維局長に許される時間の範囲内でお尋ねしてみたいと思います。  私が尋ねたいと考えておりますことは、中小企業団体の組織に関する法律の第十七条に基づいて、織物織機の調整をいたしております。そこでその調整の台数が、一体科学的に現実を把握してなされておるのか、実体とはたいへんかけ離れた調整が行なわれておるのではないか。そういう疑いがありますので、特に私の選出地域である足利は織物の産地でありまして、繊維では徳川時代からの歴史に残っておる大きな産地でありますので、お尋ねをいたしたいと思うわけであります。そこでまず最初に、今日の繊維製品の需給状況は一体どうなっておるのか、特にそれも大ざっぱではなくて、絹、人絹、さらに綿、スフ、ナイロン、そういう種類別の生産状況を把握しなければ、この調整組合の行なっておる調整が適切であるかどうかということの判断ができないと思うので、まず種類別の需給状況というものを最初に局長のほうから御答弁を願いたいと思います。
  257. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 数字お答えいたします。  種類別に申し上げますと、昭和三十七年度の繊維の需給状況について見ますと、天然繊維、合成繊維を通じまして、全繊維の生産量は約百二十六万トンでございます。この内訳といたしましては、綿、毛等の天然繊維が七十二万トン、それから人絹、スフあるいは合繊等のいわゆる化学繊維が五十三万八千トンでございます。大体そういうことで、五対七という関係になっております。
  258. 武藤山治

    武藤分科員 大臣が十五分くらいで帰りたいというので、結論を先に聞かなければならぬのでありますが、実はこの調整組合というものは全国各地にございまして、特にこの調整をいたしたときからはすでに十年になんなんとしておりまして、その後日本の経済規模もかなり拡大をされる。特に所得倍増政策など発表されて、繊維関係も当然年を追って出産規模が拡大をされると同時に、内容も変化をしてきておると思うのです。そういう事態のときに、今日の登録台数が製品別に適切に調整をされておるのか。特に私が具体的に聞きたいのは、ただいまの絹、人絹、あるいは綿、スフ、人造絹糸は全部合計されておりますからわかりませんが、ナイロン製品、ナイロン糸を使ったものとこういう三つに分けた場合に、年々の需給状況というものが、どうも適切に把握されていないような気がいたしますが、現在調整をしている登録台数、それから登録されていないもぐりの織物織機台数、これが大体どのくらいあると把握しておりますか。できればその地域別の未登録織機の台数もお知らせ願いたいと思います。
  259. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 織機は、ただいまお話しのように、一部の例外を除いて全部登録になっておりますので、大体において実数をつかんでおるつもりでございます。綿、スフ、絹、人絹、タオル、毛織、麻織いろいろございますけれども、そういう織布の段階をやっております織機全体といたしまして、七十二万六千台現在登録織機があります。それから無登録のものにつきましては、綿、スフ織機が約一万八千台ございます。それから絹、人絹織機につきまして約三千五百台、それから毛織の織機につきまして約八千台、合計いたしまして約三万台近くの無登録の織機がございます。  地域的に申し上げますと綿、スフにつきましては、主として大阪、愛知、三河等でございます。それから毛織織機につきましては愛知、岐阜、大阪等が主でございます。絹、人絹織機の無登録のものは栃木、山梨、京都、これらが主要な地域であります。
  260. 武藤山治

    武藤分科員 大尉もいまの答弁でおわかりのように、綿、スフ、絹、人絹、毛、こういう分類をいたしておるわけですね。ところが実際にはこの範疇に入らないナイロン製品が最近非常に増産をされて、しかもそれは輸出品である。そういう事態を調整の場合に科学的に把握しておるのかどうか、こういう疑問を私は持つのですが、これを本年はもっと細分化して、種類別に織物台数を計算をし直してみる。需給関係はバランスがとれていないと判断するけれども、実際には種類が違えば台数だけでは割り切れないものがあるわけですね。確かに絹、人絹は飽和状態になったかもしれぬ、綿スフは飽和状態になったかもしれぬ。しかしナイロン製品のスカーフや、最近非常に進歩してきておるこういう化学繊維の場合には、需給関係は決してオーバーになっていない、生生過剰になっていない、こういうものがあるのではないか。特に私どもの産地では、そういう傾向が常識的に考えても考えられるわけでございます。あとで具体的に申し上げますが、科学的に現状の把握を、ひとつ大臣から命令を出してもらって、もっと事実に合致した調整をするような考えはないか、この点をまず最初に伺っておきます。
  261. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 仰せのように、こういう織機を使って機を織っております人たちの立場から見ますと、非常に仕事があったりなかったり、あるいは一ぺんに減ったりふえたりすることが、困った事態を及ぼすことは事実でございます。したがって、それがうまく調整ができるくふうがありますと非常によろしいのですが、御案内のように、最近はテトロンとかナイロンとかいろいろの新しい化繊が出てまいりまして、そして、それが流行に従って非常に動きが激しくなるというような事態にあります。その新しい分野の面については、なかなかこれの需要供給を把握できない。またその新しい分野のものは、旧来の綿、スフだとか、絹、人絹というものにどういう影響を与えていくかということも、なかなかにわかに判断できない面があるわけでありまして、われわれとしては、そこは非常に残念に思っておるのでありますが、ただ、いまお話がございました綿、スフとか、絹、人絹とか、あるいは毛の織機というものについては、毎年大体の計画を立てて、これくらいのものは必要であろう、そしてどれくらい織機が余るであろう、過剰設備として認めるかというような調査は、毎年一応できるだけ精密にやらせるようにいたしておるわけであります。
  262. 武藤山治

    武藤分科員 繊維局長、いまの四分類にした場合、どの製品が一番過剰生産に今日なっておりますか。過剰生産になっておる繊維の種類、もし数字でわかったら実数でちょっとお示し願いたい。
  263. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 生産数量から過剰出産は幾らであるかという数字はございませんが、織機の台数から、過剰の台数、あるいは率がございますので申し上げてみますと、綿スフ織機につきましては、これは全部三十八年の十月から三十九年の九月までの調整数量に基づきまして所要台数をはじき出して、それから現有台数との差し引きの数字でございますが、そのパーセンテージでございますけれども、過剰度を申し上げますと、綿、スフ織機につきましては一五・八%、絹、人絹織機につきましては二五・一%、毛織の織機につきましては一四・七%、麻織の織機につきましては八・八%というような数字に相なっております。
  264. 武藤山治

    武藤分科員 ナイロン・スカーフなんかは、いまの範疇で分けますとどれに入りますか、ナイロン製品でスカーフといって、いま盛んに輸出をいたしておるわけでありますが、これはどれに入りますか。
  265. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 先ほど大臣からも御答弁がありましたように、よく御承知でございますけれども昭和二十七年、つまり十一年前にほとんどゼロでございました合成繊維が、現在、昭和三十八年度について見ますと、糸にしまして約二十万トンの生産になっております。それから私どもの見通しからまいりますと、四十年には約四十万トンというように倍増するであろうという見通しを立てております。こういうふうに合成繊維は、特に非常に早いスピードで伸びてまいりますので、合繊の糸あるいは合繊と天然繊維の糸との交織によります織物につきましては、そういうふうないわば累増的な状態がございますので、登録の有無にかかわらず織ってもよろしいというふうなことにしております。ただ分類から申しますと、これもよく御承知と思いますけれども、ナイロン、テトロン、あるいはそういうふうな合繊糸を織るにつきましては、機械の性質上、絹、人絹織機が一番それに適当しているわけでございまして、実情といたしましても、大体絹、人絹織機がそういうものを織っているのが一番多いという状態に相なっております。
  266. 武藤山治

    武藤分科員 いまたいへん重大な発言を局長はなされたのですが、登録以外の織機で、そういうナイロン製品などの場合は織ってもよいことにしている、これはほんとうですね。それは一体どういう通達でそういうことをきめたか、時期はいつですか。
  267. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 登録以外の織機で織ってもいいということではございません。ちょっとことばが足りなかったと思いますが、絹、人絹織機として登録された織機で織ってもよろしい、こういうことでございます。
  268. 武藤山治

    武藤分科員 大臣にちょっとお尋ねいたしますが、内地もののめいせんやお召を織っておる絹、人絹織機の台数は、十一年前に一応きめられた。ところがその十一年の間に新しい繊維がどんどん発展してきて、とにかく四十年には倍になる、二十トンの糸の生産量だったのが倍になる。そのように飛躍的にナイロンあるいは合繊というものが伸びておる。その織物を織っておる調整組合というものはないわけですね。調整組合の幹部というのは旧態依然とした織物を織っておる。新しい零細なものはナイロン製品をどんどん織っておる。それすらも以前にきめた台数に規制されてしまって、せっかく外貨をかせげるナイロン製品が横行しておっても、これを台数だけで押えようとしておるから、非常な矛盾が出てきておるわけです。こういう場合には何かもっと種類別に制限規制というものを考えるほうがより私は科学的であるし、現実にマッチすると考えますが、あなたはどうお考えになりますか。
  269. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 なかなかそれは私むずかしい問題でなかろうかと思うことは、たとえば絹にしても人絹にしても、そういうテトロン、ナイロンなどが出てきますと、需要が食われてしまう。そのほうは台数が減ってくる、現実に数量は減ってくる。そうして一方テトロンとかナイロンがだんだんふえてくる、こういうことになる。しかも絹、人絹の織機というものの過剰の度合いを見てみましても、ただいま局長が申し上げましたけれども、なおかつ去年の十月からことしの九月までで二五%余っている。過剰台数がまだ五万六千台もある、こういうことになっておりまして、一定の度合いでナイロン、テトロンなどこれ以上の新しいものは出てこない、将来はナイロン、テトロンが天まで行って、これぐらいで大体横ばいになるだろうということになると、いまお説のような問題等をも加味しながら、もう少し再配分するという方法はできるかと思うのでありますが、現段階においてはまだ非常な勢いで伸びておりますので、かなりむずかしかろうかと思っておるわけであります。
  270. 武藤山治

    武藤分科員 繊維局長にちょっとお尋ねしますが、絹、人絹の場合は登録と呼んでおって、ナイロン、テトロンの場合には許可証といっておるのですね。どうして片方は登録と呼んで、合成繊維のテトロン、ナイロンは許可証といって織機台数に表示をさせるのですか、この違いはどこにあるのですか。
  271. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 これは、合繊の織物につきましては、登録と別に届け出という制度をある時期にしてきましたので、その関係どもあって許可というふうなことになっておると思います。
  272. 武藤山治

    武藤分科員 そうすると、その許可証というものは、現在新たに通産局としてはふやさせてもいいという考えは持っていないわけですか。合成繊維がこういう伸びで、糸の生産も二十万トンから四十万トンに飛躍的に伸びているという状態の中で、合成繊維の場合にはもう少し許可をゆるめていくというような考え方は現在はないのですか。
  273. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 これは、ちょっと時期は忘れましたけれども、その時点でやった措置でございまして、いまあるいは将来そういうような措置によって許可するということは考えておりません。
  274. 武藤山治

    武藤分科員 大臣、お約束の時間になりますから、結論だけ聞いておきますが、未登録の織機が三万台もある。この三万台の未登録の織機の業者は、私ども地方では非常な零細な機屋さんで、二台とか四台とかという家庭工業で、それこそその織機を差し押えられるとおどかされて、休業すれば、あすから生活に困るような零細な機屋さんなんです。そういう機屋さんに対して、いま東京通産局から個人別に再三の通牒が発せられて、しかも監視員が調査に歩いて、織機をこわしなさい、織るのはやめなさい、こう言って、実はおどかされておるわけであります。この三万台の処置についてはこういう法律調整組合があるからやむを得ず機械的にそういう人は廃業させるのか、機械を強制的にぶちこわすのか、格納するのか、こういう点の大臣のお考えはどうですか。あなたも繊維の産地の出身ですから、関心はおありだと思いますので、どうでしょうか。
  275. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 その問題は実は多年の悩みの種であります。しかし、いまあなたもお話しになりましたように、登録制度というものを認めておいて、そうして未発録のものを持っておるのはけっこうだから持っていらっしゃい、こう言うわけにはどう考えてもいかない。したがいまして、登録のない方には何とかして登録のプレートを買ってもらう。現実には、最初申し上げましたように、こうなっておるということでありますから、何とかそれを買って登録をして、大手を振ってやってもらいたいということがわれわれの念願であります。ただそうやっても、急にあすからやらなければすぐ織機をぶちこわす、そういう過激なこともできないでありましょうが、しかし、方針としては買っていただく、何かそういうような措置をするように、そのために金融問題とかなんとかということであればまた別途考慮する、あるいは組合の方式でやるとかいろいろなことがあれば、これは考えられないわけでないかもしれぬし、そういう余っているところへ買いに行ったら、いやにプレートの値を上げてしまうというようなことをさせないようなくふうをさせるとかなんとかということは、考えられないわけじゃないかとも思うのであります。これはいろいろこまかい問題ですから、十分に研究させていただきたい。
  276. 武藤山治

    武藤分科員 その登録のプレートの値段ですね。これは大体の相場というものは、現在三六織機を基準に考えた場合に、どのくらいの相場が無理のない、不当でない相場だなと局長はお考えですか。ブローカーが中に入ってべらぼうにこれをつり上げてしまうから、三万台の織機を登録させようとしても資金的にできない、こういう業者もたくさんおるわけです。こういう点で、大体幾らくらいの相場が現在正当な、あるいは不当でない相場と考えておるのか。
  277. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 私どもの立場から申し上げますと、およそ未登録の織機はあるべきでないわけでございますので、登録料といいますか、登録のプレートを買うのが——そのプレート代が幾らが一番いいか、あるいは幾らが適当であるかということは実は考えておらぬわけでございます。ただ、いろいろ話としては聞いておりまして、これもいろいろな需給関係とか、あるいは織機の、たとえば絹織機、綿スフ織機とか、そういう織機の種類によっても現実にはいろいろ市場価格が違っておるようであります。
  278. 武藤山治

    武藤分科員 しかしそれは局長、責任者としてちょっと無責任ですよ。大体調整組合が誕生したときに、既存業者と廃業業者との間で幾ら補償金を出すかということをプールして、残存業者に負担をさせたわけでしょう。供出させたわけですね。そのときの相場というのがあるわけですね。その後、今度組合に加入して組合費を分担していけば、長期の間にそういう残存業者の負担というものは軽減されていくわけですね。したがって一定の基準というものはあってしかるべきだと思うのです。未登録の人がいつもおどかされて、差し押えをされて、おののいているような態勢というものを、指導行政としては早く解消しなければならぬと思うのです。特にひどいのは、福井県の県政振興計画というものによると、四十二年度までには二万八千台の織機を現在ふやすという計画を県で立てているのですよ。私ども栃木県でも、県の振興計画で織物産業を大いに振興するということをやっておる。ところが一方、いま言ったような形で政府は制限をしておるから、さっぱり計画倒れになってしまう。こういう点行政同士の連絡というものは非常に不備、不徹底ですよ。そこで、もしいま大臣のおっしゃるように、金融の面で何かめんどうを見て登録をさせる、買わせる、こういう考え方を大臣がお持ちだとするなら——さっきの答弁はそうですからね。そういう点のあっせんなら何とか考えられる。しかしそれには相場がありますよ。一台の織機について何ぼ、それを通産局長が、そういうものは私の立場上言えぬ、——大体全国の相場を知っておるんじゃないでしょうか。あるいはブローカーがどのくらい介在しておるかということも、繊維局長知っておるんじゃないですか。だから大体のあなた方の判断で幾らくらいの相場かということは言えるんじゃないでしょうか。一台の織機の登録料は幾らくらいが適当だ……。
  279. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ちょうど私の福井県のこともあるからお答えを申し上げるのですが、これは百台買いにいくときと、二千台買いにいくときはまるで違うのでありまして、やはり需要供給の関係も非常に動いておるわけであります。だから、一番安いのはどれくらいかということならばわかると思いますけれども、いまここで局長の立場で幾らですと言っても、それは非常に稼働しておる値段になる可能性が多いと私は思います。
  280. 武藤山治

    武藤分科員 そうすると大臣、あれですか。そういう調整をしておるのに、金さえ出せば何ぼでも登録ができるという情勢にあるのですか。そこはどうなんですか。
  281. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 いまの団体法の規制の立場から参りますと、およそ織機は登録が必要なわけであります。したがって登録を売ります場合には、それまで登録をつけておった織機を物理的に破壊をしまして、そうしてその登録を売り渡すというような仕組みになっております。
  282. 武藤山治

    武藤分科員 そうすると、その、ぶちこわした登録で、全国の調整組合で今日保有しておる数はどのくらいあるのですか。
  283. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 それは、従来の実績はいろいろあると思いますけれども、ちょっと資料がございませんので、あるいはあとから……。
  284. 武藤山治

    武藤分科員 私ははっきり通告しておいたのです。この問題はあなたに聞くということは、きのうからわかっておるのですから、現在どのくらいの台数が登録——買う気ならばあるぞ、そういうことがわからぬことには、この三万台の人たちに対する指導方針も出てきませんから、その数字はひとつはっきりお示し願いたいと思います。これはあしたの朝までにそうしなかったならば、またここでお尋ねしますから……。  そこで私は足利の場合にこだわっておるのですが、スカーフの場合には輸出がかなり出ておるわけですが、繊維の輸出総額の中で、昨年なり、ごく最近の数字でどのくらい輸出額を占めておりますか。   〔淡谷主査代理退席、主査着席〕
  285. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 これはスカーフだけの数字でよろしゅうございますか。
  286. 武藤山治

    武藤分科員 けっこうです。
  287. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 合繊のスカーフであるという前提で、合繊の実情を申し上げますと、昭和三十七年に合繊糸の生産が全体で二十万四千トンでございます。そのうち輸出は三万五千五百トンで一七%を占めております。大体昭和三十八年におきましても、二十六万五千トンのうち四万七千七百トンが輸出されておりますので、生産の一七、八%が輸出に向けられておるというような状況でございます。
  288. 武藤山治

    武藤分科員 その未登録織機の人たちが五万円だ、七万円だとあまり高いので買えない。そういう場合に通産局としては最終的にはどういう処置をとりますか、いま考えておる処置は。
  289. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 いまの未登録に対しまする私どもの態度といたしましては、これはとにもかくにも現在織機が動いておるわけでございますので、そういう関係もももろん考えないといけないと思います。ただ一方で登録業者がやはりおりますので、未登録織機に対する処置としては、登録業者もその措置を納得し、それから未登録業者もそれを納得するという、つづめて言いますと、常識的な線で実態に即して解決するというのが一番いいと思っております。
  290. 武藤山治

    武藤分科員 その場合に指導官庁として、調整組合と機業者との間をひとつ橋渡しをして、そういう不安を解消するような努力というものを惜しまないという考えでおりますか。それともそれは調整組合の仕事だ、通産省としては、この際ノータッチだ、こういう態度でいきますか。
  291. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 調整組合としていろいろやるのは、これは当然でございます。これは現実にいろいろやっております。それから私どもからいきますれば、未登録織機をとにもかくにも努力をいたして登録織機に置きかえることが必要でございますので、現にそういうふうなあっせんはある程度やっておるわけでございます。
  292. 武藤山治

    武藤分科員 現にあっせんをしておると言うけれども、東京通産局の役人なんか個々に歩いた場合には、登録が幾らくらいでありそうだから、どこどこに相談して買いなさい、そんな親切なことは一言半句言っておらぬですよ。いつ幾日まで君のところは織物を繊ってはいかぬ、やめろ、こう言っておどかすのですよ。だから生存権を剥奪されるというので、ほんとうに不安におののいていますよ。そういう指導行政はいかぬですね。あなたの判断でいかぬと思ったら、そういうことを注意してください。時間がおそいから、私はこれで質問を終わりますが、あなたの最後の見解を聞かせてもらって、質問を終わります。
  293. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 いまいろいろ通産局のお話もございましたけれども、これは現地の取り締まり官庁としての態度という点もございますので、まあそういうふうな点もあろうかと思いますが、しかし全体の問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、登録業者も未登録業者も納得ができる常識的な線でこれを解決していきたいという態度でございます。
  294. 武藤山治

    武藤分科員 あとでまた詳しく委員会でもお尋ねいたしますから、ひとつ十分調査をしておいていただきたいと思います。  これで終わります。
  295. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これをもって武藤山治君の質疑は終わりました。  本日の質疑はこの程度にとどめ、連日の委員諸君の御奮闘を感謝しますが、明二十六日は、午前九時より開会いたしますことを申し上げます。午前中、通産省の所管をいたしまして、午後、農林省所管についてそれぞれ質疑を行なうことといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時十一分散会