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1964-02-21 第46回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十一日(金曜日)     午前十一時四分開議  出席分科員    主査 松浦周太郎君       荒舩清十郎君    安藤  覺君       井出一太郎君    仮谷 忠男君       櫻内 義雄君    淡谷 悠藏君       加藤 清二君    川俣 清音君       兒玉 末男君    多賀谷真稔君       芳賀  貢君    玉置 一徳君    兼務 林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         厚生事務官         (年金局長)  山本 正淑君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     太田 康二君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君         農林事務官         (農政局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         農林事務官         (園芸局長)  酒折 武弘君         食糧庁長官   齋藤  誠君         林野庁長官   田中 重吾君         水産庁長官   庄野五一郎君  分科員外出席者         警  視  長         (警察庁交通局         運転免許課長) 藤森 俊郎君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    山下 元利君         農林事務官         (林野庁職員部         長)      森   博君         農林事務官         (林野庁職員部         労務課長)   隅田 達人君         労働事務官         (職業安定局失         業保険課長)  細野 禎二君     ――――――――――――― 二月二十一日  分科員加藤清二君及び小平忠委員辞任につき、  その補欠として芳賀貢君及び玉置一徳君が委員  長の指名分科員に選任された。 同日  分科員芳賀貢君及び玉置一徳委員辞任につき、  その補欠として兒玉末男君及び小平忠君が委員  長の指名分科員に選任された。 同日  分科員兒玉末男委員辞任につき、その補欠と  して加藤清二君が委員長指名分科員に選任  された。 同日  第四分科員林百郎君は本分科兼務と  なった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計予算農林省所管  昭和三十九年度特別会計予算農林省所管      ――――◇―――――
  2. 松浦周太郎

    松浦主査 これより会議を開きます。  昭和三十九年度一般会計予算並びに同特別会計予算中、農林省所管を議題といたし、質疑を続行いたします。  質疑の通告があります。これを許します。川俣清音君。
  3. 川俣清音

    川俣分科員 まず大臣に総括的なことをお尋ねいたしまして、部分につきましては、あるいは数字につきましては、事務当局お尋ねをすることにいたしたいと思います。  農林漁業の飛躍的な発展策として、生産基盤整備事業構造改善事業農林漁業近代化を相互に開運して資金的裏づけを行なう金融対策、及び農林水産物流通対策とその上の価格安定措置を講ずることは、最も適切なものであることは、これは認めます。これは農林省のとっております大臣の方針は非常にけっこうだと思いますが、しかし、その達成には幾多の障害や自己矛盾に逢着するのではないか、ついには破綻を来たすのではないかとおそれるのであります。破綻どころでなくて、みずから崩壊をするのではないか、農林省解消発展をするのではないかという憂いさえ出てくるのであります。したがって、これらの施策を完ぺきにするためには、日本の他の産業経済と相提携するばかりじゃなくして、そうしたこれらの施策が遂行できるような国民社会生活環境をつくりだしていかなければならぬと思います。また、そればかりでなくして、したがってそういう環境を育成するためには、みずから先頭に立って、農民自身がふるい上がって先頭に立ってこれが誘導につとめなければならぬだろうと思います。今後は、日本産業全体から見まして、第一次産業原料生産業者としては、他産業をリードしていく気概を持たなければならぬとともに、農業発展を支援するような社会環境及び政治環境を積極的に育成していかなければ、これらの施策は困難だと思うのでございます。おそらく大臣もそういうふうにお考えだと思いますけれども、この際、総括的な所見をお伺いしたいと思います。社会環境をつくり、政治環境をつくっていかなければ、農林省だけ独走しょうと思っても困難ではないか、こういうことなんです。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 まことにそのとおりでございます。農が国のもとだというようなことを言われておった時代もございますし、それからまた、農業そのものがいささか軽視されておるような傾向もなかったわけではございません。農林関係政策を進めていきますためには、政治的にも農業問題に対する再認識と言いますか、そういうものを高めてもらうことが必要でありまするし、一般社会環境も、農業政策を推進するように、またわれわれのつくりました政策を協力推進してもらうような社会環境をつくっていく、これはたいへん大事なことだと私も考えております。
  5. 川俣清音

    川俣分科員 そこで第一に取り上げなければならないのは主食生産であり、その需給確保でありましょう。高度な生産性をあげて需要の完ぺきを期すべきであろうと思います。高度の生産性とその生産様式近代化促進による国内の需給確保のための価格対策が最重要性を持つと思うのでございますが、大臣所見をお伺いする前に、大臣見解をお聞きしたいのですが、戦中戦後を通じて、食糧統制令のいわば生き残りになっておるのが食管法でございます。今日では他にほとんど同種のものを求め得られないほど希少価値を持っておるといわれております。もとより米の統制が依然として継続されている理由は、表面的には、それが国民主食であり、かつ生産量がはなはだしく需要量を満たさないということで簡単に説明がつくが、食管法が特に重要であるのは、かかる需給調整の面においてではなく、農家が生産する最大の商品である米麦を、政府決定する価格で収買して――米については独占的に収買されますが、消費者に売り渡す機能そのものにおいてであります。端的に言うならば、農民にとっては、政府決定する買い入れ米価いかんによって農業経営を完全に左右される。ここにおいて、政府こそが企業者であると同時に農業を動かす主体なのであります。また一般国民にとっても、それが主食であるという点で、その売り渡し価格生計費に響き、労働賃金に影響し、物価変動最大要因となる。まさに本法運用は、すなわち最大農業政策であり、国民経済動向を左右するものと言えます。なお、本法はこのような重要な煮転を有しながら、旧憲法下の立法であるために、法律自体は簡単であり、その実質的規制を多く施行令施行規則にゆだねておる点において、一つの特色を持っていると言われておりますが、農林省はいまでもそういう見解でおられますかどうか、この点を明らかにしていただきたい。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 食糧管理法存在理由といいますか、これは制定当時とはウエートの置き方においてはだんだん変わってきておると思います。変わってきておりますが、食糧管理法というものの存在理由は、いまお述べになった意味におきまして存在は非常に大事なことだ、こういうふうに考えております。
  7. 川俣清音

    川俣分科員 私がこれをわざわざ読み上げたのは、農林省で出しております小六法前文なんです。私の意見じゃないのです。農林省意見なんですが、いまでもこういう考えを堅持しておられるかどうかということを実はお聞きしたがった。この考えであれば、あえて質問する必要はなくなるのですけれども、木をつくるときはりっぱなものをつくらなければならないということで、なかなか名文をもって政策を明らかにしている。実にこれはりっぱな文句だと思います。なかなかいまどきこういうものを出版せいと言われても、農林省勇気がないと思いますけれども、かなり勇気がある前文をつけておられる。非常に敬意を表するわけです。そこで、このとおりやっておられるかどうか。それから徐々にお聞きしていきたいと思います。
  8. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 いまお読みになりました農業小六法の解説は、文書課で編さんしたものであります。法案制定趣旨を明らかにしたものであります。趣旨についてはそのようにわれわれも考えております。ただ運用におきましては、そういう趣旨のもとに、いま農林大臣からお話がありましたように、時代の要請によって改善合理化してまいってきた部分もあると思います。趣旨についてはそういうことによって運用しておるわけでございます。
  9. 川俣清音

    川俣分科員 わかりました。それでは具体的にだんだんとお尋ねをしてまいりますが、こまかくなりますので先に大きな点で大臣お尋ねしておきたいと思うのです。これは事務当局意見ではないように私は思うのですが、最近大臣が、米麦流通機構について改善策をとると、こう言われておりますが、私はこれはもっともだと思うのです。もっともだと思いますけれども、普通の農産物の流通機構改善というと、何だか一般消費者にもぴんとくるものがあると思うのです。米麦流通機構改善するということになると、消費者から見ると、小売り商整備ではないか、こういう印象を与えているようであります。これは大臣の求めざるものだと思う。おそらく卸売り業者整備統合程度のことを大臣流通機構整備とか改善とか表現しているのです。流通機構改善するというのはそういうことでないかと思うのです。赤城さんの人柄からいって、小売り商をいま整備するということまで踏み切っておられないのではないかと思いますが、そこらに不安があるようでございますから、この点を明らかにしておいていただきたいと思うのであります。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話しのように、卸売り及び小売り業者の合併とか経営近代化等をはかりたい、あるいは配給制度に伴う諸手続の改善簡素化を行なうように検討させておるわけであります。小売りの面につきましては、御承知のように人手が非常に不足しておりますから、相当機械などを入れまして、合理化というか、人手がなくてもやっていけるような方法を考えて進めたい、こういう意味であります。
  11. 川俣清音

    川俣分科員 それでよろしいのですが、特にこの際、じゃいまの小売り業をああいう登録制にしておいて、それだけでいいかというならば、流通機構ということになるかどうかわかりませんけれども、卸売り整備される段階にきていることは明らかだと思います。そういう意味でこれに触れられることは非常にけっこうな前進だと思います。しかし、この前進の前に準備が要るのではないかと思う。特に小売り段階になってまいりますと、現在の消費動向から見まして、一体背のように配達しなければならないのかどうか。ビニールか何かに入れて店頭に備えつけておいて、それを引き取るということが考えられないかどうか。これは非常に不便ですけれども、いまでは小売り業者配給手数料というものが非常にかかり過ぎているともいわれている。そういう点からいって、ことに若年労働者労働力が非常に枯渇しているときに、主食であるとは言いながら、これを配達しなければならぬのかどうか、こういう問題について検討を加えた上でなければ、小売り商整備というようなものは困難ではないか、こう思うのであります。ですから、流通機構改善、けっこうです、私はすぐ頭からこれを否定するのではない。やられるからには、農林省がそういう準備をしてからやらなければならないのではないか、こういうことなんです。その趣旨は私は反対じゃないのですよ。農林省自体がいろいろなことを検討して、その上でやらないと、事主食でありますから、もしも混乱が起きるというとたいへんなことになるじゃないか。役所の人はわりあいに机上論的な頭はよく働くのですけれども、実情にそぐわない点がときどき出てくる。そうなんですよ。そのくらいの企画は持たなければいかぬと思うのです。確かに企画性に富んでいるのが農林省の特徴であります。その点は認めるのです。しかし、ときどき失敗しないとは言えない、農林省はとかく失敗がちの官庁であると見なければならぬ。それほど農業というものは複雑である。それほど主食というものの動向については、役所考える以上のものがあるのでありますから、整備けっこうなんです、しなければならぬ事態にきているでしょう。その前にやはり前提条件整備しておかなければならないであろう。その整備が可能かどうかという後に、小売りあるいは卸売り商についての合理化というものを当然考えていいのじゃないか。これを人ごとのように考えてはならない。そのために私がわざわざ六法前文を読み出したのも、そういう点にあるわけです。非常にいい趣旨でできているのだが、実行になると、とかく批判を受けなければならないというところから、これはほんとう齋藤さんに質問してもよかったが、なぜ大臣が来るまで待ったかというと、とかく事務当局はせっかく明敏な大臣を持ちながら、事務的にごまかして失敗させる例がなしとはしないのですよ。私は農林省がかわいいために、これだけの問題を出したのはそういう点にあるのですから、齋藤食糧庁長官、御答弁順いたい。
  12. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 まことに貴重な御意見を承りまして、われわれも十分そういう点に配意いたしまして勉強いたしておるわけでございますが、いまお話しになりました流通機構の問題の一部として、その合理化準備段階が必要ではないか、私もそのように思っております。特に御指摘になりました将来の方向として、小売りのいまの配達関係をもっと合理化すべきではないか、その準備段階をどのように考えるか、こういう御指摘でございます。先生十分御承知でございますが、いまの米の小売り業者というのは、御承知のように、搗精施設を持っておるかわりに、同時に配達をするというのが常態でありまして、また農林省におきまする配給の必要なマージン等につきましても、そういう実態を踏まえて算定いたしております。これをいま全部店頭販売に切りかえるというようなことは、これはいまの配達実態にも合いませんし、また、消費者に対する迷惑というようなものもずいぶんあろうかと思うわけでございます。そこで、いまそれを店頭販売に切りかえるということは、これはなかなか慎重にやるべきことだと思います。ただ、御指摘意味が、そういう方向で何らかの準備段階を持つべきではないか、こういうことでありますならば、方向といたしまして、たとえば小売り業者段階におきましては搗精設備を持っておる、しかし、これがだんだん配給業務搗精業務というものが分離され、精米施設精米施設としてのある程度の規模を備えたようなものを持ってまいるとか、一部には集中精米施設を設けようということで、だいぶん動いているところもありまして、農林省も昨年度から集中精米施設モデル工場に対しては助成もするとか、あるいは資金のあっせんもするとか、そういうような措置をとっておりまして、昨年は約九百万円、本年は三百万円の予算を計上いたしておりますが、そういうようなことを一面考えながら、いまお話しになりましたことについても十分なる準備と配慮をもってやっていくことが必要であろう、こう考えておるわけでございます。企画でそのまま実現に移すというようなことについては、実情を離れてやっていこうという考えは毛頭私は持っておりません。
  13. 川俣清音

    川俣分科員 流通機構と言いますか、配給機構について考慮しなければならぬ段階に来たのは、いわゆる配給機構サービス料金不足であるために、今後一般のいわゆるサービス料の引き上げからそういう意向が非常に出てくるのじゃないかという傾向があるわけなんです。そこで、農林省ではおそらくそういう傾向に対しまして流通機構合理化というようなことを考えざるを得なかったのだろうと思います。そうでないと、いまのサービス業が、床屋をはじめふろ屋などが料金が上がっておるときに、主食サービス――これは小売りというものはサービス業みたいなものですから、したがって労賃の値上がり労働力不足の点からいって、当然また小光りマージンの値上げという問題が必至で、起こるであろうと思われます。そこで先手を打ったつもりで流通機構改善と、こう手を打ったのだと思います。ですから、その方途自体は悪いことではないのです。そういう動向を察知して早く考えられたこと自体については悪くはないのだけれども、先ほど申し上げましたように、やられるにはその前提をやらないと、事主食であるだけに、混乱が出てまいりましたりすると、さなきだに食糧不足の中において波乱を起こすならたいへんなことじゃないかということを憂慮して質問をいたしたのでありまして、これはほんとう質問というよりも教授料を取らなければならぬと思うのですけれども、それは別にして、こういう機会に明らかにしておきたいと思うのです。  次に参りますが、農林省食糧の問題について学識経験者を集めて意見を聞くというのですけれども、私は学者くらい無責任なものはないと思う。いつでも米審学者とけんかになるのですけれども、これは食糧庁考えていただかなければならない。学名というものは、過去のものを分析するには非常に有能な知識を持っておりますけれども、将来を判断することについては、自分の将来さえ判断できない者が人の将来を判断するというようなことはできないです。そういう境遇の中におるのですよ。ですから、かつて、もち米などがこのごろ需要がないのに加算金をつけるのはけしからぬと言ったのは学者ですよ。そういうことをやるともち米不足がきたときにどうするか、いや、そんなことはないと言ってがんばったのはだれですか。米審速記録を見てごらんなさい、学者ですよ。それがいまになって初めてあわてまして、将来のことについては学者の領域でないようなことを言われる。学者というものはそういうものだ、学識経験者というものはとかくそういうものだという理解を持って御相談にならないといかぬと思うのです。私、この消費構造について店頭販売をやらせるような方向をとらざるを得なくなってくるのではないかということで指摘をしたときに、学者は何と言ったか、あれは配給店があるということは道を尋ねるに非常に便利だから、やはり店頭販売などでなくて配給所方式がいいのだ、こういう御説もまことにもっともだと思う。確かに道を尋ねるときに配給所でたずねれば一番よく尋ねるところがわかるという意味で、非常に便利だけれども、配給機構というものはそういう道案内をするための配給機構じゃないわけなんだからね。それならむしろ交番なりそういう道案内機構をつくったほうがいいので、配給所がその使命を果たさなければならぬ、そのために配給マージンを上げなければならぬということになったら、これは消費者米価に非常に影響することであると同時に、生産者米価にも影響してくることでありまするだけに、前もってこれは警告しなければならぬということになるわけでございます。  次に移ります。この間淡谷委員からも、将来の農業構造改善を進めていく上からも土地値上がりについて十分考慮しなければならぬであろう、抑制しなければならぬであろうということで警告がありましたが、私、そのとおりだと思います。ことにいま生産者米価決定時期にあたりまして、買い入れ価格決定時期にあたりまして、生産費基礎にした米価並びに所得補償方式が従来どおりとられるようでございますが、従来は生産費の大きなウエートを持っておったのは肥料であるとか農薬であったわけですが、今後こういう土地値上がり傾向が出てまいりまするというと、従来は統制小作料で押えられておりましたために生産費に直接はね返ってくる算定方式はとっておらなかったのでありまするけれども、固定資産税の評価がえであるとか、あるいは国有財産貸し付け料金を上げろとかというような会計検査院の指摘を受けてまいりまするというと、何としても地価というものを放任できない、これを無視した生産者米価というものの決定が困難になってくるんじゃないか、こういうふうに想定するわけでございます。そう想定するというと、生産費及び所得補償方式による米価算定方式はやめるのかどうかという一つの疑問が出てまいりまするが、大臣は、たびたび従来の算定方式を変える意思はないと言明されております。私もそれは了といたします。そうするというと、生産物基盤でありまする土地価格生産費に非常に大きな影響を持ってくることは、これは私が申し上げるまでもないわけでございますが、土地価格上昇をどうして押えるかということも農業構造改善の進行の上からも必要になってきたんじゃないか、当面の米価算定基礎から見ましても重要になってきたんじゃないかと思いますが、これに対する大臣見解を、抽象的でよろしゅうございますからお聞きいたしまして、次に具体的に農地局長お尋ねをしたいと思いますけれども、まず大臣からお伺いしたい。
  14. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 土地値上がりをいかにして押えるか、非常にむずかしい問題でございます。いろいろ案も持っている人もあるようでございますが、どうもいろいろな案を聞きましても、この案が土地価格を押えられるというふうには考えておりません。宅地との関係工場地帯等関係が非常に大きいと思いますので、そういう意味におきまして、あるいは地帯を分けるというような考え方もありますが、これも具体的にどういうふうに分けるかというふうないろいろな問題があろうかと思います。いま土地造成すればいいということでありますが、その造成地価値上がりとの比率というような問題もあろうと思います。土地造成でも、宅地造成を進めて一般農耕地地価を上げないように、こういうふうな考え方もあります。いろいろありますが、私、いまここで、どうしてやろうかという結論を持っておりません。
  15. 川俣清音

    川俣分科員 大臣答弁としてはその程度でけっこうだと思いますが、押えることはできないにしても、少なくとも上がる傾向だけは阻止していかなければならぬじゃないか。最近農林省は上がることを特に進めておられるんじゃないかというような印象を受けるのでございます。そこで少し長くなりますけれども、これはあとで農地局長見解を聞くのですけれども、戦後土地価格というものは異常な上昇をしてまいりましたにかかわらず、比較的農地値上がりが徐々でありましたのは何かということになりますると、私の見解をもってするならば、土地移動というものを自作農主義規制をしておりましたために、売買を押えておりましたために、自由な価格が生じないで、いわゆる社会的な価格を生じないで、農地法の保護のもとに土地、いわゆる田畑耕地値上がりが押えられておったものと私は理解をする。これが自由に移動してもいいということになると、農地というものはもっと早く値上がりをしておったのじゃないか、こう思うのであります。そういう意味で、農業構造改善の一面からいうと、土地移動を自由にしなければならぬということも考えられる。しかしながら、一方土地移動を旺盛にするならば、これが移動自由性を持ってまいりまするならば、規制されなければ農地値上がりは必至だ、制限を受けておるところに、規制を受けておるところに値上がり要因を押えておるのだ、こういうふうに私は見るのでございますが、この点についての大臣見解、これはちょっとむずかしければ農地局長から御答弁願ってもけっこうだと思うのであります。
  16. 丹羽雅次郎

    ○丹羽(雅)政府委員 御質問の御趣旨は、農地移動に対します法的規制地価にどういう関係を持ってくるかという点だと存じます。実は地価問題につきましていろいろといま検討をいたしており、また有識者たちから、いろいろ議論をしております過程におきまして、二つ意見がございます。現行農地法は、ほんとう農地を必要とする人間にしか農地移動を許可しないわけでございますから、実需に対してだけ農地の提供がある。したがって、私どもの考えといたしましては、農地価格価格水準への影響に対しては中立である、ニュートラルであると考えております。ただ農地転用との関係におきまして、宅地、工場用との関係におきましては非常に大きく議論が分かれております。農地宅地化につきまして、どんどん無制限に許可すれば宅地の供給がふえるから、需要供給価におきましては、供給増で下がるのじゃないかという意見、それから、私どもこれに対しては、少なくともこれまた実需者に対してだけ許可をしておるのであって潜在需要、投機需要を抑えておるのであるから、工場、宅地用地に対する農地法の転用許可の規制は、投機による需要の働きを抑えて、これまた実務に対してのみ許可しておるわけでございます。価格水準に対してはニュートラルである、農地価格上昇経過は別個の要因によって動いておる、かように考えるというのが実は私どもの考え方であります。
  17. 川俣清音

    川俣分科員 大臣、なかなかむずかしい問題ですから、大臣でなく農地局で当然検討しなければならぬということでお尋ねをしたわけです。したがいまして、大臣お尋ねをしたいのは、そういう検討をしなければならぬ問題を持っておりまするから、農業構造改善事業の眼前の問題解決のためとして農地法を改正しようということが、大臣の発言として出ておるようですけれども、これは非常に警戒を要するものではないか。構造改善事業は確かに規模の問題が重要でありまするから、そういう面からいえば流通を自由にして取得できるようなものにしたい。しかし、取得と同時にこれを離すこともまた自由になるということになると、移動性が激しくなると、そこに経済の自由価格傾向が出てくるわけです。自由価格というと、他の土地価格に非常に支配されるわけでありまして、日本のような絶対量の不足な国土におきましては、かなりの宅地造成をいたしましてもなお不足であるということになります。ですから、このくらいなところで旺盛な宅地需要を満たすだけの国土を持っていないのに移動だけを目的にした宅地造成ということを考えますのは、業者の手に乗ることであります。それは農地の上からいうと非常に危険だというふうに私は申し上げて十分な検討を求めたいというのが質問の大綱でございます。農林省は私は他人だとは思わない。これは失敗するとたいへんなことになる、農林省が発展的解消をしなければならぬのじゃないかという不安さえ持つのでこの意見を申し上げておるのであって、あなた方をとっちめていじめるという考えはないのです。かわい過ぎますためにちょっと鞭撻の力が強過ぎるかもしれないけれども、それはひとつ御了承願わなければならぬと思うのです。  次に食糧庁大臣お尋ねします。これは大臣が悪いのでなくて食糧庁が悪いのだと思うのですけれども、大臣はときどき米の逆ざやのようなことをさせないようにしていかなければならないと言われるわけなんです。私は大臣の感覚を疑うわけであります。こういうことを言われる材料は食糧庁が出しているのじゃないかと思う。補佐が十分じゃないと思うのであえてここでお尋ねするわけですけれども、逆ざやというようなことを言わせる根拠は、どういう資料を出して大臣にそう言わせているのですか。
  18. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 逆ざやというのは、買い入れ価格に対しまして、いかなるものをものさしとしてその差額が順逆になるかという見方がいろいろあると思いますが、一番はっきりしている点は、生産者から政府が買い入れる場合の価格消費者政府から配給を受けた価格とを比較してみた場合に、少なくとも生産者政府に売る価格のほうが消費者政府から買うよりも高いというふうな場合においては、これは逆ざやである。つまり通常の場合は、生産者が販売すれば当然流通過程を通って消費者につくわけでございますから、消費者価格のほうが上回るべきだというふうに通常の商品であれば考えられるのであります。米の場合につきましては、生産者価格と比べて消費者価格が安いという場合には、これは逆ざやである。そういう意味から見ますと、本年の政府の想定しております政府の買い入れ基準価格、それから消費者に売り渡される――これは精米でございますが、たとえば十キロ九百五十五円を玄米に換算した石当たりを出しますと、その間において百二十七円という差があるわけでございます。それをわれわれは逆ざやと考えております。さらにまた政府が買い入れまして、全然食糧庁の経費等も考えませんで売り渡す価格をきめておるわけであります。つまり消費者価格から逆算して政府がいかに売るべきかということで価格を出しておる。その買い入れ価格とその売り渡し価格とにおいてギャップがありますれば、これも私は食糧庁の立場、食管会計の立場からいえば逆ざやである、こういうふうにも言えるかと考えております。そういう意味から言いますと、現在は政府の買い入れ価格食糧庁の売り渡す価格との間におきましては約千円くらいの開きがある。こういう意味も含めて私は逆ざやと広義には理解しております。
  19. 川俣清音

    川俣分科員 農林省が逆ざやだと言うものですから、ごく普通の経済常識をもってすれば、学者の中におきましても、あるいは国会の中においても、逆ざやがなぜ悪いんだという議論をすると、もしも逆ざやであれば、売った米をまた買ってきて売ることができるのではないか、こういうことで逆ざやに対する批判が出てきております。そういう意味に使われることは食糧庁としてはちょっとお困りになるのではないでしょうか。農林省が言われる逆ざやについてはわかりました。しかし、世間はそうはとらないで、逆ざやというのは困るということになると、一ぺん売った米をもう一ぺん買ってきてまた売れるのではないか、そういうことで逆ざやというのはいかぬのだ、こういう批判をされていると思います。そういう批判が大きいですね、その点どうですか。
  20. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 いま世間で言ている意味はよくわかりませんけれども、先ほど申し上げましたように、消費者価格生産者政府に売り渡す価格との間におきまして非常な開きが出てくるということになりますれば――現実問題としては、おそらくいま統制いたしておりますから、農家が全部政府に売り渡して、安いものを買うというような事態は私はなかろうと思っておりますけれども、しかし観念上は、開きが多くなればなるほどそういうことが考えられるわけであります。もし世間でそういうふうなことを指摘されておるならば、逆ざやいかんによっては観念的には当然そういうことが考えられる、こういうこともあろうかと思います。
  21. 川俣清音

    川俣分科員 世間の考え方がわからないというけれども、あなた方は何のために米を統制しておられるかというと、世間のためなんですよ。あなたが言う世間という意味とはこれまた別ですけれども、国民動向、生活環境考えて、経済を考え食糧行政をやっておられるはずです。この文書の一番先にちゃんと指摘しておるでしょう。そこで先ほどこれを読んだ。世間がどう思おうと私はこうだというのでは食糧行政にはならないのです。したがって、世間が誤解しているのなら解かなければならぬ。あなた方何のために逆ざやということを言うかというと、おそらく消費者米価を上げなければならないという根拠に使うのか、あるいは生産者米価を引き下げなければならないという口実と申しますか、そういう宣伝力を大きく期待して逆ざやと言っているのではないかと思うのです。一般の社会での逆ざやという理解及び逆ざやに対する反発は、先ほど私が申し上げたように、それならば農民だけがつくらない米を売るなどというけしからぬことはないという批判になって出てきておる。国会の中でもそういうことがあるのですよ。食堂等で聞いておりますと、逆ざやというのはけしからぬ、生産しないでもう一ぺん売るような価格政策はけしからぬ、こういう批判が出ております。これは非常に誤った考え方です。なぜかというと、これはあなた方が計算される場合の逆ざやというのは等級による逆ざやではないのです。ひっくるめた価格です。ところが、消費価格のほうは確かにひっくるめておりますけれども、生産者価格というのは一本じゃない。そうすると一等米というのは逆ざやになるから出さないということになる。逆ざやが悪いなら等外米を出しておけば逆ざやにならない、そういう結果が出てくるのじゃないか。わざわざ一等米を出したほうが逆ざやになる。そういう議論からいけば、等外米を出しておけば逆ざやにならないということになる。食糧庁政策というものは、等外米を出せという方向へ結論づけておるような結果になることを私はおそれる。等外米だったら逆ざやになりませんよ、計算してごらんなさい、逆ざやにならぬでしょう。それじゃ逆ざやが悪いならば等外米を出しておればいいということに結論づけられる。そう言われても困りはしませんか、そういう意味で逆ざやを使うとするならば、困ることが起きるであろうと思う。だから世間が誤解しているならば、それを解かなければならぬ。それは農民にはね返ってきて、農業政策上あるいは食糧政策上とるべきじゃない方向へいくおそれがある。逆ざやということを言うのは、おそらく食管の赤字がやかましいからだと思いますが、要はそこだと思うのです。食管の赤字はつくられた赤字だということを私は極言したい。大体資料から見ましても――答弁を求めませんから大臣聞いておいてください。当初需給予定計画、または政府買い入れ価格に対する政府経費と申しますか、中間経費、これが常に当初計画と決算とは大きな隔たりがありますね。これはもうすでにお認めてございましょう。したがって、予想を立てる場合には、いかようにも見られるということなのであります。特に三十八年度の中間経費を見ますると、決算を予想いたしますると、ずいぶんこしらえた赤字、特にこしらえた政府経費じゃないかと思われる点があります。それは何かというと、食糧庁長官、これだけ言えばもうお気がつきになったでしょう。それは保管料です。いま食糧が相当窮屈だ、倉庫に米がないと言われているときに、従来のように倉庫に相当豊富にあったときと、もう倉庫の使用と言いますか、倉庫に滞在しておる保管米がすでになくなっておるときでも、従来のような保管料を払わなければならないという計算になっております。これは農協等の保管料の値上げを頭に置いて計算されるなら別です。また保管料はこれからでも上げようという意思があるなら別ですが、従来の保管料と変わりない、この年度内において変わりないということになると、米が減っておるのにどういうわけで保管料を払わなければならないか、ない米の保管料というものがありますか。ない米の保管料を考えるのは食糧庁だけです。計算からいうとそうです。そう思いませんか。
  22. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいまおあげになりましたのは、結局中間経費の見積もりの問題だと思います。予算のときにおきましては、従来の例によりまして、やはり計画でございますから、計画に基づいて立てたものが、実行上に差を生ずるということはやむを得ないことでございます。従来から大きく違っております点は、金利の関係が一番大きく違っておりまして、あとは若干の変動はありますけれども、これはある程度やむを得ないだろうと思います。金利関係は、あるいはこれからまた御質問があるのかもわかりませんが、国庫余裕金の利用関係によって大きく左右されるということからくる変動要因でありますから、われわれとしてはできるだけ中間経費の負担を軽減する意味におきまして、国庫余裕金が利用できれば利用するということを従来からもとってまいったわけでございます。  それから保管料についていまお話がございました。御指摘のとおり保管料につきましては、これをもし実績を見込んだ保管料にするということになりますと、最近のように早期出荷がだんだん行なわれるよりになりますと、米を農業倉庫に保管しておる期間、これを期数といっておりますが、保管期数がだんだん減ってきておることも事実でございます。したがって逆にいえば、農業倉庫としては、保管期数が政府の出荷調整のためにだんだん減りつつあるので、農業倉庫の経営がなかなかむずかしいので、何とかしてくれという要望が出てきておるわけであります。そこで、そういう実態ならば、もっと減るべきじゃないかということについての御指摘でございますので、それについてお答え申し上げますと、いま申しましたような事態でありますので、農業団体としては、保管料値上げの要望がことしは非常にあったわけであります。ところが、昨年度は実は保管料を上げましたけれども、農業倉庫の実態から言いますと、保管料の問題よりも、単協あたりではむしろ保管期数がだんだん減ってくることのほうが問題だというようなお話があったわけであります。そういうことから、農業倉庫の経営が非常にむずかしくなるという問題が一面考えられますと同時に、しかし、食糧庁としましては、農業倉庫経営のために米を長く保管させるというわけにもまいらない。やはり需給調節の必要に基づいて必要な出庫をしてもらうということになりますので、これらの量を目的に応ずるようにある程度の保管期数を見て、それに必要な所要経費を調整資金として交付しよう。こういうことで、三十九年度予算から大蔵当局と打ち合わせましてやるというふうにいたしたわけでございます。そこで考えられることといたしましては、従来の大体保管実績数量を確保できるような資金措置を講じたいという考え方をとりました。そこで、負担金額といたしましては、大体昨年度と同額程度に計上する、こういうことにいたしたわけでございます。これは、今度は見せかけではなくて、三十九年度からは必要な保管期数について支払う措置を講じてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  23. 川俣清音

    川俣分科員 まことにけっこうな答弁でございます。そのとおりでよろしいと思います。しかし、これはあなた伏線がありますよ。あなたはおそらくそういう答弁をするだろうと期待して質問をしたんです。一つ問題点が出てまいりますのは、私が聞いているのは、三十七年度産米、すなわち三十八年度の決算の見込みが高か過ぎると、こういうことなんですが、それよりもまして本質論は、あなたの言われたとおりなんです。というのは、倉庫のために食管制度があるわけではない、米を統制しているわけではない。そのとおり。倉庫の経営考えてやったんじゃなくて、全く米の需給事情のために倉庫を活用するだけだということですね。そのとおりなんです。そのとおりでいいのです。したがって、それは食糧行政上の要請に基づくものでございましょう。倉庫のためじゃなくて、食糧行政上保管を長くしたり短くしたりしなければならないということになるのでありましょう。倉庫のことでなくて、食糧行政上の問題だ、私はそういうふうに思う。それならば、行政上の必要でそういう処置をとるならば、この保管料というものは一般会計で見る、いわゆる行政費で見るという考え方が出てきてもいいんじゃないか。長く置くか、短く置くかということが食糧行政上必要だということになりまするならば、政策的なものだということになりまするならば、これらはいわゆる行政費として見ていいのではないか。すなわち、保管料というものは、全額は別にしても半額くらいは行政費として見て、初めから一般会計で負担をするという会計の立て方をするならば、世間で騒がれるような赤字というものがかなり解消されてくるであろうと思います。  もう一つ、この際言いますけれども、事務人件費もやはり行政費だと思います。たとえば、これからの成長農業でありまする果樹にいたしましても、あるいは畜産物にいたしましても、これらの生産価格、あるいは消費価格というものにすべて行政費を加算して価格を見るんだということになっていないと思います。これはまあ奨励する意味からです。かつて畜産局は、競馬の益金で運営をしたことがありまするけれども、そういうことでは今後の畜産行政はやれない。そこで、三十九年度予算を見ましても、畜産行政については画期的な予算の増額ができたということは、本腰を農林省が入れたものとして敬意を表しまするけれども、みんな消費者にこの行政費を負担させるような考え方で畜産行政をやりましたら、それは失敗するだろうことは明らかです。警察の費用をどろぼうに負担させるとか、強盗に負担させるというわけにはいきません。刑務所に入れて、かかった経費分を全部負担せいというわけにはいかない。これはその国民そのものを罰するということも一つの社会政策として必要でしょうけれども、一つは、社会不安を除くという行政費であるから、一般会計が負担をしておるのであろうと思います。あるいは消防署にしても、火事は起きないけれども、起こさないような予防措置を講ずる、社会不安を除くということで、これもかなり行政費が入っております。食糧が、主食が、ことに今年のように不足を来たしておるような傾向のときには、これは行政費として活躍しなければならないときだと思います。そういう意味からいって、事務人件費も、全額か半額か三分の二を補助するかどうかは別にいたしまして、農業団体にすら、普及員の職員に対して三分の二の国庫補助をしておる、そうでしょう。自分のところは団体にすら出しておる。それは農業政策上必要だからです。そうなったら、食糧はさらに必要だということになるんじゃないですか。あなた方、この前文の説明どおりにしまするというと、これは日本の経済全体に対して重要な役割を果たしておるわけであります。これは経済を支配する力を持っておる。それほど必要な行政でありまするなら、これは行政費で見る。それを全部見るか、三分の二負担するか、あるいは二分の一負担するか、これは別ですよ。私は全額負担すべきだと思いまするけれども、過渡的に他の団体と同じように、普及員と同じように三分の一を負担する、あるいは三分の二を負担するという考え方は不当な考え方では私はないと思う。というのは、大蔵省は、従来は、それはわかる、結局は赤字として一般会計から繰り入れるんだから、初めから繰り入れておかないでもいいだろう。どうせ赤字が出るのだから、出たときに始末をしたらいいじゃないかというのが、大体いままでの大蔵省の言い分です。私は大蔵省にかわって言うと、そういう答弁を従来しているわけです。そうじゃなくて、初めから計画の中に入れて、それでも赤字が出た場合には、この赤字をどうするかということが検討さるべきだと思うのです。そこで、初めて、これは消費者に負担させるべきか、あるいは一般会計で負担すべきかという問題が出てくる。そういう整理をしておくべきときにきたのじゃないか。いままで食管会計の中では、調整資金などを設けた改正を行なっておりまするけれども、あれはまだほんとうの大福帳的なものですよ。本来のすっきりした姿になっていないじゃないか。そういう意味では、別なことばで言うならば、はっきりその方針をきめて、そこで、出すべきものを初めから出しておくんだ。それで不足した場合には、これ以上は政府に負担をかけられないから消費者にかけるかどうか。消費者にかけることがあまりにも大きい場合には、社会不安を起こすおそれがある、あるいは経済に非常に大きな影響がある、そういうことになると、そこで初めて、さらに一般会計から補てんをするかどうかという問題が起きる。私は、財政のたてまえからいっても、そう整理すべきが当然だと思うが、食糧庁長官のお考えがあったら聞きたいし、これに対し、これは政策的な面がありますから、大臣にもお伺いしたい。
  24. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御質問が二点ございまして、一つは、食管の事務人件費の問題と、それから保管料の問題でございます。  事務人件費についての御質問は、コスト性があるのかないのか。つまり行政費的なものなのか、あるいはコスト的なものであるかというふうなことが一つと、その場合における経理上の処理をどうすべきかという二つの点を御指摘になったかと存じます。  事務人件費については、御質問の中にもありましたが、三分の二持つべきか、三分の一持つべきかというふうなことは、すでに事務人件費の中にもコスト的なものがあるということを踏まえての御質問かと存じますが、従来からこの事務人件費の問題につきましては、食糧管理特別会計の勘定区分をいたす際にずいぶん論議をいたしまして、結局、すっきりした分け方というものがなかなか困難である。コスト性があるということも事実である。しかし、それでは全部コスト性があるのかどうかというと、一人の人間について、一部はコスト的なものがあり、一部は行政費的なものがあるというようなことで、なかなかこれは分けられないということで、あの当時、とうとうそういうことがはっきりした形に必ずしもないままで終わっておるように私は記憶いたしておるわけでございます。今後におきましても、この事務人件費等についての食管のコスト的なものと、行政的なものとどういうふうにやるべきかということは研究を要する問題であるというふうには思いますけれども、なかなか一人の事業分量について、どの分が行政的でどの分がコスト的なものであるかというふうなことはなかなか分けにくい。いろいろの角度からずいぶんあの当時検討いたしたわけでありますが、なかなか分けにくい。ただ言い得ることは、一般食糧庁におりまする本庁の職員、明らかに一般会計で負担しておるものもあるわけでございますが、それ以外のものについてはなかなか分けにくいという実態だったわけです。しかし、今後の問題としてはなお研究を続けていきたいというふうに思います。その結論として、結局業務勘定というふうに勘定を分けまして、事務人件費等はいまは経理上は明確になっておるわけであります。そこで、その部分だけを一般会計で持つべきではないかどうかという点でありますが、これも、いま申し上げましたように、一般会計で負担するか、あるいは特別会計のコスト的なもので見るかということが結論がつかないわけでありますが、最終的には事務人件費というものは明確になっておる。しかもその全体としての赤字額は、いまお話しになりましたように全体としては一般会計で持っておるわけでありますから、この運営については、明確にしておる限りにおいては何らの支障がないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それに関連いたしまして、保管料の先ほどのことをちょっと釈明いたしておきますと、これは行政費的なものではないか、つまり追加分については行政的なものではないかというふうなお話もあるわけでございます。これも、その経理面においては結局は食糧庁において、食管会計で出ました損害額につきましては一般会計から補てんしておるわけでありますから、これも議論のあるところであろうと思いますけれども、結果的には同じものではないかというふうにも思います。ただ、農業倉庫につきましての保管というものにつきましては、若干常業倉庫と違う面がありまして、営業倉庫であれば、これも農業倉庫の保管期数が減っていると同じような傾向をたどっておるわけでありますが、これは営業倉庫でありますから、いつでもほかの貨物が入れられるという状態になっておるわけであります。農業倉庫でありますと、必ずしも米がなくなったからといってすぐほかの機械を入れるとか、ほかの貨物を入れるとかいうわけにまいらない、このことが農業倉庫の経営上としていろいろ論議されておるわけであります。そこで、農業倉庫の経営上ということになれば、これはやはり保管料の問題になるわけでありますが、まあ保管料を一般料金と同じような意味におきましてこの際は抑制して、そして保管料の値上げに見かわるといっては多少語弊がありますけれども、期数の減少する分を補てんするという意味でありますから、これを単純にわれわれ行政費であるというふうにも考えにくいものがあるわけであります。いまの集荷経費等につきましても、そういうものが当然一部に入っておるわけでありますから、保管料という中に入れても何ら差しつかえないんじゃないか、こういう見解予算を編成いたしたわけであります。
  25. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま食糧庁長官からお答えいたしましたように、私どもも米等の食糧を扱っている人件費については、これはコストとして計算すべきものか、あるいは一般的に農政をやっている費用としてコスト計算の中に入れるべきものでないかという面からもずいぶん検討いたしたことは、いま食糧庁長官からお答えしたとおりでございます。前のどんぶり勘定をいろいろ勘定別に分けるときに、できるだけ実はこれは一般行政費ということのほうへ分けたいと思って検討させたのでございますが、非常にむずかしい問題で、はっきり区分ができない面が相当ありまして、一そうこれは検討をしていくべき問題だと思います。
  26. 川俣清音

    川俣分科員 私、ここでぜひもう一度この点をお尋ねしたいのですが……。
  27. 松浦周太郎

    松浦主査 川俣君、協定の時間を相当超過しておりますが、ひとつ結論に入っていただきたいと思います。
  28. 川俣清音

    川俣分科員 大蔵省は、政策的になら考えられるけれども、こういうことを言うのですね。初めからこういうくぎをさし、政策的なら考えられないことはないという。私の言うのは、さきにわざわざこれを読んだように、これはコストであるかどうかという判断はやはり法律に基づく判断が一番正しいと思う、食管法がある以上。食管法では、こういうものをコストと見ないというたてまえで食管法はできておる。それを、あえてこれはコストであるかどうか疑問だというのは、食管法を知らないのじゃないか。食管法のたてまえは、これはコストと見ないというたてまえになっておる。食管法がある限りにおきましては、それに基いて行政をやる限りにおきましては、これはコストと見ないのは当然なんだ。それだから私は初めに言った。この前文を読み上げたのは、私の意見だと言うとあとで議論しなければならないと思うから。わざわざこれを指摘しましたのは、そういうために食管法があるんだ、その意義だということを説明しておるわけです。単にこれは農民のためばかりではなくして、日本経済の動向に非常な影響をし、さらに国民にとりましても、主食としてその売渡価格生計費に響き、労働賃金に影響し、物価変動最大要因になるんだ、こういう説明をしておられるわけですね。そういうために食管法をつくっておられるのだというたてまえだ。そうするというと、それらの経費は、この法律からいうとコストと見ぬというたてまえをとっておると思う。私はいま条文を読もうとしている。つまりあなたが指摘されたから読もうとしておりますけれども、ここに書いてある趣旨から見ましても、そういう運用をする、そういうたてまえであるからこの法律は非常に意義があるんだということを指摘されておる。だから、これはコストと児ないんだというのがたてまえである。そういう意味で検討すれば、赤字なんというものは出てこないで済むんですよ。赤字が出て悩むなんというのは、権力がないんですよ。たとえば、こういうことをしたらどうですか。一つの例です。私は時間がないから、質問しないで先に意見を述べますよ。そうして賛成かどうか聞きますよ。事務人件費の問題から起こってきたわけでありますけれども、検査手数料を、証紙代をとったらどうですか。おそらく農民は反対するでしょう。そのかわり、それを生産費の中に入れてやる。自家用米まで検査料をとらないというのは、ほんとうはおかしいですよ。保有米まで検査料をとらないというのは、ほんとうはおかしいです。だけれども、いまはそういう規定になっておるからともかく、本来であるならば、これは消費者にいくべきものを、経済全体の動向に影響するから、そこで検査料をとらないということになっておると思うんです。私はそう理解する。一俵について幾らと検査料をとったらどうです。そのかわり、その検査料は生産費の中に入れる、これが筋なんですよ。やるものはやる、取るものは取る、これは会計の整理じゃないですか。そうしてごらんなさい。これは事務人件費にはっきり入る。それを収入とする。そのかわり生産費の中にそれを入れて高い米を買うことになりますから、赤字のほうは別ですけれども、整理の都合からいえば、はっきりした整理になる。検査員が遠慮しなくったっていいことになる。相当な報酬をもらうかわりに手数料を取って、これを農民のほうに説明する、それは生産費の中に入っておるのだと。そういう整理をすればきれいに整理ができる。だから、やろうと思えばやれないことはないですよ。どうせ最後には一般会計から繰り入れられるのだからと大蔵省でいままで逃げておったのは、その点なんです。どうせ負担をするにしても、国民の前に明らかにして負担をさせるということが必要だろうと思うのです。頼み込んでお願いをして、そうして食管の権威を薄らげて出してもらうなんという卑屈なやり方でなくして、初めからこれらの経費は食管法に基づいて負担すべきものは負担する、さらに赤字が出た場合には、一体これは一般会計で税金で見るべきものか、あるいは消費者に転嫁すべきものかということになると私は思うのです。こういうものを一般会計で初めから見ないということになるとどういうことかというと、減税の対象にもならない。もっと減税の対象になるべきものがならないでおる。これは、税のたてまえからいっても私は本来の姿じゃないと思う。食糧管理の税金をかけられておるのと同じなんですよ、いまのやり方の赤字の出し方は。そういう意味で、赤字については、食糧庁がこれだけ多年の経験を持ち、しかも非常に大きな組織を持って君臨してきたのでありますから、当然もっと検討しておられるべきだと私は思う。そういう点で、大臣はもう一ぺん検討される必要があるんじゃないかと思いますが、どうですか。
  29. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 十分御意見のことを考慮して検討してみたいと思います。
  30. 川俣清音

    川俣分科員 そういう意味で、大臣が検討するということでございますから、ひとつ大臣がおられる間にこれを検討して、集約してほしいと思う。特に赤城さんに望むのは、農民実情をよく知っておられる赤城さんに検討してもらうことが、同じやられるにしても血の流れを感ずると思うのです。同じ政策でも、血の流れる政策と流れない政策、生きている政策と、せっかく政策をつくりましても生きてこない政策とがある。その決定について農民がどれだけ飛躍して政策に協力するかということが出てくると思う。そういう意味で、ぜひ赤城農林大臣時代にその決着を見たい、こういうわけでわざわざ時間をかけたのでありますから、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
  31. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、御意見は十分尊重して検討を加えてまいりたい、こう思います。
  32. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて川俣清音君の質疑は終了いたしました。  次に、芳賀貢君。
  33. 芳賀貢

    芳賀分科員 この際、日ソ貿易の中における木材輸入の問題について大臣お尋ねしたいと思います。  日ソの貿易については、御承知のとおり一九六三年から六五年までを一期とした日ソ貿易協定が締結されたわけでございます。したがって、ことしは二年目に入ったわけでございまして、特に先般二月の十日に一九六四年の日ソ協定に基づく品目表の議定書が合意に達しまして、交換公文が取りかわされたことは御承知のとおりであります。内応等によりますと、貿易の金額にいたしますと、FOBの現金ベースにしてことしの輸出の額が一億四千二百万ドル、輸入が一億三千万ドルで、前年度に比べますと、輸出においては約一六%の増、輸入においては二%の増加ということで相当伸展を示しておるわけであります。さらにまた、対岸貿易の点につきましても、到達目標を片道四百万ドルないし五百万ドルに置いて善意な努力をするというような内容と承知しておるわけでございますが、その中で、特に木材輸入の占めるウエートはだんだん高まっておるわけでありまして、これは結局、国内における木材の需要量が次第に増大するのに対しまして、国内だけの木材生産では十分供給力がないということから、輸入に依存しておる傾向はやむを得ないと思いますけれども、その場合、特に日ソ貿易を通じての木材輸入というものは、いろんな面について障害、あるいは国民経済に被害を与えておるという点は、農林省においても十分調査されておると思うわけでございます。したがって、今回の議定書の中においても、従来の日ソ間の貿易の阻害要因である取引のいろいろな具体的な問題等については、これを改善するという点に対しても相当協議はしたように見られるわけでありますが、この阻害要因の除去の問題にしても、特に木材の輸送上における問題が毎年のように出てきておるわけでございますからして、今回の交渉の過程においても、特に木材の輸送に関する問題等についてはどのような話し合い、あるいは取りきめをしたか、その点をまず説明を願いたいと思うわけでございます。特に木材の輸入については、ことしは大体二百二十五万立方メートルを輸入するということになっておるのです。これは相当の数量に及ぶわけでございます。この点について農林大臣から説明を願いたいと思います。
  34. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ソ連の木材輸入につきましては、いかだで輸送してくるその中途におきまして、暴風雨等の場合にいかだを解体し、それが北海道あるいは日本海方面の日本の陸地に漂着しまして、そして実に被害を与えておりますことはいま御指摘のとおりであります。このたびの日ソ貿易協定につきまして、その損害をだれが負担するのかというような問題、それからいかだ輸送というものはやめたらどうか、こう被害があるのだからという申し入れをいたしまして、貿易協定をする前にいろいろ論議をされました。貿易協定をつくり上げるまでにその結論が出ませんで、専門委員会を置きましてその点をさらに検討するということになっております。なお、こまかいことは事務当局から答弁させます。
  35. 芳賀貢

    芳賀分科員 時間の関係もあるから重点的にお尋ねしますが、結局、日ソ貿易の場合の決済方法はFOBの現金ベースということになっておるわけですから、当然それは輸出国における輸出港の木船渡しということになるわけでございますし、また輸送されるいわゆる積み荷というものは、当然輸入側の所有ということになっておるわけです。そうして、このFOB方式でやる輸送というものは、こちらから輸送貨を支払うということに当然なるわけですから、その場合、輸送上第三者に与える被害の補償等の措置というものは、これは当然取引の中においても明確にされておるのがもう通常のことでありますから、この点が不明確のままにいままで放置されているということは、非常な問題でもあるし、政府としても怠慢のそしりを免れないと私は思うのですが、その点はどう考えておりますか。
  36. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 ただいまの御質問の第一点は、日ソ交渉において木材の輸送についてどのような話し合いがなされたかということのように承ったわけでございます。第二点は、FOBで受け入れた材木であるから、その運賃は荷主が払っているはずじゃないか、その間における被害その他について何らかの取りきめがあったはずだ、こういうことかと思います。それで、初めのほうの御質問につきましては、昨年の暮れの二十三日から始まりました日ソ交渉の当初から、日本側としては、木材の輸入についてその輸送方法がきわめて重大な問題である、したがって、その輸送の方法にいかだ輸送を加えなければならないとすれば、その方法についても、あるいはそれの与える損害についても十分に話し合いをしようという提案をいたしまして、結局一月の三十日に輸送方法で確認をみましたことは、要するに、いかだ輸送をしないで済むものならばできるだけしないにこしたことはないわけでございますので、できる限り船舶による輸送への切りかえを要請いたしたということが一点と、やむを得ずいかだ輸送によらなければならない場合のいかだ輸送の技術的な改善、それから輸送の航路、そういう点について十分に検討する必要があるということでございます。それから第三点といたしましては、特に今回の問題の重点となりました松前町に与えたあのような被害に対するてん補について、ソ連側もできる限りの協力を与えるように、さらに最後に、この輸送の問題について日本側の納得できる結論が得られなければ、それまでは木材のいかだ輸送は再開しない、さらに将来に向かっても、日本側の納得し得る結論が得られない場合には、いかだ輸送を全廃せざるを得ないという話をした模様でございます。そうして、その各項目をそれ以後日ソ双方からなる専門家会議を設けて、その中で検討をするという話になっているようでございます。  それから第二点の、代金決済の契約面において何らかの協定があるはずだという御質問につきましては、この材木自体の損害についてのいろいろな場合を想定しての取りきめはあるようでございますけれども、その材木が第三者に与えた被害に対してどのようにするかについての取りきめはなされていないように聞いております。
  37. 芳賀貢

    芳賀分科員 長官に申しますが、そうであるらしいとか、思いますなんという答弁では困るのですよ。私は、政府に対して、これらの問題についてどうするかということを聞いておるのですから、推定したような答弁ではなくて、これはあなたに限らず、だれか責任のある立場から、これはこうだとかああだとか、こういう形の答弁をしてもらわぬと、これは質疑にならぬのです。  それではお尋ねしますが、従来の未解決の問題が解決するまでの間は、いかだ輸送の形式による木材の輸送は再開しないということははっきりしたわけですね。
  38. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 その点については、今後開かれる予定になっている専門家会議でその結論を出すというふうになっているようでございます。
  39. 芳賀貢

    芳賀分科員 では、いわれるところの同国の専門家会議において結論ができるまではいかだ輸送はやらない、こういうことになったわけですね。
  40. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 お説のとおりでございます。
  41. 芳賀貢

    芳賀分科員 再出家会議を設置することが今回の協定の中できまっていることは、私も承知しております。今後その専門家会議が設置されて、その専門家会議においてこのいかだ輸送の問題が当然議題になって、そこで結論が出るまでの間はいかだ輸送は絶対にやらない、それに間違いないですね。
  42. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 ソ連、材の輸入につきましては、御指摘のように、海洋いかだ輸送の水産業に及ばす影響につきましては、一九六〇年にこのいかだ輸送が始まりましてから問題が起こっております。それで、この問題につきましては、いかだ輸送中にしけを食うとか、そういうことで沿岸に近接して輸送するということのために、沿岸近くのワカメ、コンブ等の漁場を荒らすとか、あるいは布設した漁具を損壊する、こういった問題が一九六〇年から起こっておるわけでございまして、水産業の面からいたしますと、このいかだ輸送については、そういう被害の起こらないように万全の注意をしてもらいたいということを、これまでソ連側にも申し入れてきたわけでございますし、また起こりました被害についても、てん補するようにという申し入れをしたわけでございますが、ソ連側からは十分な回答が得られないままに今日まで推移して、御承知のように、昨年の十月から十一月にかけまして、松前町でいかだの解体により、それが沿岸に漂着して、漁船なり漁場なりを荒らしたという非常に大きな被害が起こったわけでございまして、水産庁としては、このいかだ輸送の撤廃ということを林野庁とも協議して申し出て、今度開かれました第七次の日ソ貿易会議で、いま大臣なり長官からお答えになったように、専用家会議を開いて、そこで妥当な結論が出るまではいかだ輸送はやらない、こういう点を確認いたしております。
  43. 芳賀貢

    芳賀分科員 その点はわかりますが、そうすると問題は、従来生じた、いかだ輸送によりこちらが受けた損害、被害に対する補償措置の問題については、政府としても自分の国内において国民が受けた損害であり、被害ですからして、その被害を与えた相手方が貿易業者であるか、輸送責任のソ連側であるかということは、どういう判断をされておるのですか。
  44. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 この輸送につきましては、ただいま芳賀先生からも御指摘のように、FOBで買っているということで、木材それ自体はこちらのほうに所有権が移っている、こういうことになります。海上輸送についてはソ連が担当しておる、こういうことになりまして、その間のいろんな事情がなかなか法律的にも複雑な問題があるわけでございます。ソ連側に対しましても、従来一九六一年に、そういう損害のてん補についても日本側からも申し入れを行なったわけでありますが、一九六二年に、そういう点についての十分な実効を期するようなことはなかった、こういうような実情でございます。そういうことで、従来起こった被害につきましては、木材輸入に関係されました輸入業者の方たちも林野庁の中へ入ってもらいまして、よく相談をいたしまして、見舞い金という形で処理されたわけでございますが、今回の松前町の被害につきましても、ソ連にそういう話を申し出るとともに、漁民の受けました損害をどういうふうに処理するかということについて、水産庁は林野庁とも協議し、林野庁が木材業者ともよくお話し願って、いまそういう点の協議中であります。
  45. 芳賀貢

    芳賀分科員 それはおかしいじゃないですか。輸送につきましては、こちら側からは運賃を支払って、ソ連側の船舶、あるいはいかだ輸送によって木材を輸送しておるわけです。いかだ輸送が安全輸送だということになれば、沿岸、接岸した地域を航行するほうが輸送上の安全は期し得られるわけだ、輸送中も接岸できる。それによって沿岸における施設に与える被害とか、あるいは水産養殖のための施設に対する被害であるとか、資源に対する被害というものが接岸航行する場合に生ずるということは予測されるわけです。ですから、日本海なら日本海の沿岸における被害を除去するためには、やはりどのくらいの地点以内を航行してはならぬという輸送上の安全を考えねばならない。その輸送船自体とか、いかだ自体だけが安全に航行すればいいというものじゃないでしょう。これは国際航法からいってもそうです。そういう点は一体どういうことになっておるわけですか。  それから、いかだで輸送するか、船舶を利用するかということは、当然運賃にも影響があると思うのです。ですから、木材を買いつける側から見れば、なるだけ運賃を安く支払ったほうが有利だということになる、そうじゃないですか。運賃上の計算からいえば、船による輸送よりいかだ輸送のほうが数段安いでしょう。だからといって、安上がりのために他に被害を与えてもかまわぬということにはならぬ。そういう与えた損害というものに対して、見舞い金的なもので済むと思っておるか。与えた損害とか被害というものに対しては、弁済金とか補償するということは当然なことだと思う。こういう点に手抜かりがあるのではないですか。それがもう数年やっておって、一九六一年からいままでやっておって、解決の方法がないというようなことでは相済まぬと思うのですが……。
  46. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 漁民に被害を与えておるということ自体は、これは漁民にはまことにお気の損なことだと思っております。被害を与えた責任がどこにあるのかということにつきましては、やはり法律上いろいろむずかしい面があるようでございます。そういう点を明確にするためには、結局は第三者の機関にかけて、そしてそれの判断に待つということにならざるを得ないのではないかと考えます。今回の松前町の不祥事につきましては、商社の側、それから松前町の側で、どの程度になりますか、いまなお話し合いの途中でございますけれども、水産庁、林野庁、さらに道庁の参加を得まして、見舞い金というような形で妥結ができるように協議中ということでございます。
  47. 芳賀貢

    芳賀分科員 被害を与えた責任の所在がわからぬということはない。いいですか、輸送上生じた責任ということになれば、たとえばいかだ輸送を運賃を払ってこちらがソ連と契約しているわけでしょう。輸送中あまりに接岸して、そしていかだが沿岸のいろんな施設とか資源に重大なる影響を与えてもかまわないという条件にはなっていないでしょう。いかだ輸送でどのように日本の沿岸において被害を与えてもかまわないから、安上がりでさえあればいいからやってくれということになっておるのですか。輸送上明らかに与えた損害というものに対しては、損害を与えてもかまわぬから安くやってくれという場合においては、運賃を払ったほうに責任があるでしょう。そういう被害を与えないような安全な方法で到着すべき港に輸送してくれということになっておるにもかかわらず、それを怠って、ソ連側がことさらに日本の沿岸に対していろいろな被害を与えているということになれば、これは輸送者の責任に帰すべきじゃないですか。そのいずれかじゃないですか。そのほかに責任をとるものはないでしょう。もう一つは、たとえば海上輸送の途中においてしけ等が生じて、それによっていかだが解体するとか、タグボートからいかだを切り離して、それが漂流して沿岸の漁港であるとか、あるいは漁船とかに重大な被害を与えているという場合においても、荷主側は、その漂流した木材をまた収集して目的地に運んでおるわけですね。一体そういう場合に、荷主側が与えた被害というものに対しては、ただ漂流した木材を集めて持っていけばいいというものじゃないでしょう。その間に漁船に損害を与えたとか、資源に重大な損害を与えたとか、その木材が沿岸一帯に漂着しておるために、あるいは漁船が出漁できないとか、あるいは水産資源をとるための仕事ができないというような、そういう与えた損害というものに対しては何ら明確な措置が講ぜられていないじゃないですか。不可抗力の天災による被害においても、やはり国内の行政的な措置とか、あるいは制度上の措置によって救済しておる。こういう現状において、与えられた被害に対してその救済措置とか損害の補てん措置とか補償措置がない、その帰属がわからぬというようなことではいかないじゃないですか。それで一体いいと思っているのですか。これは農林大臣から明確にしてもらいたい。特に被害を受けたものは、主として沿岸の漁民とか、それらの関係が非常に大きいわけです。一体沿岸の漁民を守るとか、沿岸漁業を振興するとか、構造改善事業をやるとかということを麗々しく打ち出しておって、取り返しのつかぬような被害が生じた、損害を受けたというものに対して国際的にも国内的にも何ら救済とか補償の道がないなどということは言えないと思うのですね。その点について伺いたい。
  48. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは民事上の損害賠償の問題です。ですから、被害を与えたものがソ連であるか、あるいは買い取ったところのこっちの木材業者であるか、こういう問題はむずかしい問題ですから、裁判上の問題です。裁判上損害賠償を請求する問題でございます。しかし、そういうことがなかなかめんどうで、被害を受けているということは事実でございますから、そういう裁判上の問題は抜きにして、水産庁、林野庁あるいは北海道庁とどういうふうにしてその損害につきまして金を支払っていくかというようなことを協議しているわけでございます。損害に対しましてと、構造改善をやっているのと、それを直接くっつけられても困ります。いろいろそういう面はそういう面の政策としてやっておるのでございます。捨てておるわけではございません。あっせんといいますか、仲に入って、どういうふうにやるかということを協議中、こういうことでございます。
  49. 芳賀貢

    芳賀分科員 それじゃ、原則的にいかだ輸送による被害というものを、天災のように不可抗力な災害というふうに考えておるのか、これは防止できる被害であるというふうに考えておるのか、その点はどうなんです。
  50. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは、いかだ輸送をしなければ一番いいことでありますし、またいかだ輸送をするにしましても、これを善良なる管理者として輸送をして、被害を与えないような方法をとらせるべく、またとるべきだと思います。しかし、善良なる管理者の注意を怠ったというようなことから、損害賠償という責任があります。そういう問題であると思います。
  51. 芳賀貢

    芳賀分科員 ですから、今後の問題としては、専門家会議において完全な措置が講ぜられる道が発見されるまでの間は、いかだ輸送は再開しないということは説明にありましたが、損害とか災害というものを完全に防ぐということになれば、この種のいかだ輸送による輸入ということはやめるべきですよ。何も船で輸送できないというものじゃない。ソ連材だって一〇〇%全部がいかだ輸送によるわけじゃないのですからね。貿易の条件としてどうしてもソ連側が輸送するとすれば、これは船舶による輸送にしなければいかぬ。向こうに船が不足するのであれば、わがほうの船舶を大いに活用して、それをこちらで輸送する、このくらいの取引上の話し合いができないなんということはないと思います。だめだというなら、その分だけは契約しなければいいじゃないですか。今後の問題としてはぜひこういう姿勢でやってもらいたいと思います。これは、当然政府としてもその道を進んでいかれると思うわけですが、問題は、たとえば昭和三十五年から昨年の松前の大きな被害に至るまでの間、私どもの調査した問題だけでも約十五件に及んでおるわけであります。これらの被害については、水産庁あるいは林野庁においても具体的な調査というものはされたと思うのです。こちらに調査の資料がありますけれども、時間がないから、明細にここで読み上げるわけにはいかぬが、政府として、私の言った三十五年以降昨年の松前被害までの間におけるいかだ輸送による被害の状況とか、被害の実態、それに対して調査とか、その措置等については具体的にどういうふうになさっておるか。
  52. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 一九六〇年からいかだ輸送による被害が起こっております。御指摘のように件数で十五件、道を通じて調査して報告を受けました分で一億八千万円、こういうことでございます。これは、松前町分を含めての道からの報告の被害でございます。それにつきまして、中間におきます一九六一年ころについては、ソ連ともいろいろ交渉をいたしたわけでございますが、なかなからちがあかないということで、被害を受けました漁民の損害についても何とかしなければならないということで、関係者相寄って見舞い金というような形で処理したことがあります。何ぶん今度の松前町の被害は――松前町の被害だけでも、道の報告によりますと一億四千万円、こういうふうに大きいわけでありまして、これについても、大臣からお答えがありましたように、法律上の問題はございますが、何とかこの損害は補償するようにという考え方で、われわれ水産庁としては林野庁にもお話をし、仲に入ってもらって、関係者で処理の対策を立てつつある、こういうことでございます。なお、松前町の被害等で漁船が受けました分について、漁船保険に入っておる分については漁船保険で処理する、こういう姿勢でわれわれは臨んでおります。
  53. 芳賀貢

    芳賀分科員 いま水産庁長官から説明がありましたが、それをもう少し具体的にするために、昭和三十五年から松前の被害に至るまで十五件の被害について、それぞれ被害の状況とか、その与えた原因が接岸によったものであるとか、あるいはしけによるものであるとか、その原因もわかると思うのです。それらの点については、あるいは見舞い金等の形で支出されたものがあるとすれば、それらの措置等についても、これは資料として委員会にお出し願いたいと思いますが、その点はどうですか。
  54. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 わかりました範囲において提出いたします。
  55. 芳賀貢

    芳賀分科員 わかりましたじゃなくて、あなたは、十五件で被害が一億以上に及んでおるということを言っておるわけだから、その内容を明らかにして、資料として出していただきたい。
  56. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 被害につきましても、直接漁船とか漁具に与えました被害もございますし、それから間接的に漁場が荒れたとか、あるいは木材が漂着して出漁ができなかったとかいうような間接的な推定被害もあるわけでございます。そういう点でかかりました範囲と申したわけであります。
  57. 芳賀貢

    芳賀分科員 もちろん被害の内容は、直接被害と間接被害に分かれるのがあたりまえだから、そういうことで出していただきたいと思います。  それから、特に松前の被害につきましては、これは私の手元にある資料によりましても、確定された被害が大体三千五百万円程度ということになって、被害を受けた側からは、確実な被害の三千五百万に対する当然の補償措置を要求しておるわけでありますから、これに対して、従来とられたような単に見舞い金的な涙銭を出してこれを処理するということであってはいけないと思うのです。やはり明確に責任を究明して、今後この種の被害が絶対起きないようにするためにも、当然政府においても積極的にこの内容を十分検討して、そうして指導的な立場で解決をされるべきだと思いますが、この点については、農林大臣に明らかにしてもらいたい。
  58. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 非常に気の毒な状態でございまするし、十分考えています。ただ問題は、国に賠償責任があるということではございません。ソ連か、あるいはその木材を輸入した者に賠償責任が、あるとすればあるわけでございます。しかし、また、これを訴訟上きめるということでは、判決があるまで――国際的な判決、あるいは国内的な判決ということでは、被害尾者が非常に気の毒でございます。でございますから、いまの御説のとおり、事情をよく調査しまして、政府といたしましても単なる見舞い金というのでなくて、賠償に近いようなものを出させるように尽力はいたします。
  59. 芳賀貢

    芳賀分科員 そこで、大臣お尋ねしておきたいのは、政府としてはどう考えているのですか。この種の被害というものは、その責任の所在は、こちらが運賃を支払って、いかだ方式によってソ連に輸送してもらっておるのであるが、これは輸送をしたソ連側に責任があるというふうに判断しておるか、あるいは木材を買い取って、運賃を支払って、いかだ輸送を依頼した商社側に責任があるというふうに判断しておるか、このいずれかだと思うのです。私は、政府自身に責任があるということは何も言っていないのです。これは輸送側の責任になると判断しておるか、買い取った商社側に責任があると判断しておるのか、その点をこの際明らかにしてもらいたい。なるたけ農林大臣に……。
  60. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 これはいろいろむずかしい問題がございます。FOBで買いました場合には、御指摘のように木材の所有権はこちらに移る、こういう形になっております。そういう関係で、木材の輸送はソ連側で担当しておる、こういうことになっておりまして、輸送担当のほうの責任と荷主の責任と二つ競合するわけでございます。この点について、民法上の問題があるわけでございますし、またソ連との関係においては、国際的な問題もあろうかと存じまして、そういう点の研究をわれわれもいたしておるわけでございますが、まだ明確にこれを判り切るというところまでいってないわけでございます。  そういうことでございまして、この責任を明らかにして追及するというようなことになりますと、こうむりました漁民の被害のてん補が非常におくれていく、こういうようなことでは被害漁民の迷惑もますますはなはだしくなるということで、そういう問題の究明とあわせまして、やはり輸入に関係されました木材業者なり輸入商社、そういうところで歩み寄って、できるだけすみやかにその被害のてん補ということの解決策を見出したいということで、林野庁を通じまして、われわれも加わりまして協議をいたしておる、こういう段階でございます。
  61. 芳賀貢

    芳賀分科員 そこで、こちらから注意しておきたい点は、たとえばいかだ輸送方式にしても、これは船舶の輸送に準ずると思うのです。そうなると、用船してソ連側に輸送を依頼したと同じですから、その場合わが国から見れば、ソ連の船舶がわが国の沿岸に非常に接近して、いわゆる領海の中をずっといかだを曳航しておるという場合においては、他国の船舶がわがほうの領海内において航行しておるわけです。そして、沿岸におけるいろいろな施設とか、あるいはわが国が資本とか資金を投下して沿岸漁民の生産を助長して、資源の養殖等をやっておるそういう地域を、公然として接岸航法によって航行して明らかに損害を与えておる、こういうことに対しても責任の帰属がわからぬとかいうようなことは、ちょっと変だと思うのです。いいですか、わが国の領海の中を他国の船舶が航行しておる、しかも接岸して明らかな損害を与えておる、そういうことが繰り返されておるわけです。海難によっていかだが解体されて漂着するということは、まあ不可抗力の事態とも言えますが、領海内に接岸して、長い距離にわたって被害を与えておる、こういう現象に対していままで放任しておったということは、非常に無責任だと思います。これは、特に注意として申し上げておきますが、こういう点も十分頭の中に入れて、従来の十五件にわたる問題の解決等についても、ひとつ大臣は積極的に努力をしていただきたいと思うのです。こういうことは、特に国民の側から見ても、被害を受けた沿岸漁民の諸君も政府に期待しておると思うのです。  もう一つは、昨年の十二月に、北海道議会においては、北洋材のいかだ輸送廃止並びに漁業被害補償措置に関する請願書というものを政府に出しておるわけです。北海道議会としては、このような日ソ貿易を通じてのいわゆるる木材の輸入について、いかだ輸送の方式が特に北海道の日本海岸に与える影響は甚大であるから、このいかだ輸送が継続される限りこの種の被害というものは根絶できないだろうということを予測して、そのいかだ輸送の方式はぜひ今後は廃止してもらいたい政府の責任においてこれは全廃するようにしてもらいたいという点と、従来の十斤件にわたる被害の中で、松前被害が一番大きいわけでありますが、これらの問題については責任の所在を明確にして――政府の責任においても、これらの被害というものは単に見舞いというようなばく然とした根拠からでなくて、やはり責任の所在を明らかにして、この損害に対する補償措置を講じてもらいたい、こういう北海道議会からの請願書というものが昨年十二月に政府にも出されておるわけでありますが、これは大臣として御承知になっておるかどうか。  この請願の問題と、私が言いました、領海内において接岸して明らかな損害を輸送上与えておる、この問題を十分考慮に入れて解決に当たるかどうか、この二点について明らかにしていただきたい。
  62. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 北海道議会からの請願は私も見ております。  それから、接岸地帯における航行について十分国際慣行というか、そういうものでいくべきである、それを怠っておるということでありますならば、それはソ連側に注意します。だから、そういうことを考慮に入れてということでございますが、先ほど申し上げましたように、いかだ航行の問題は、向こうは国と同じような形で、国の貿易機関のようなものでやっています。こっちは民間の業者団体、その契約によってきめられるわけでございますけれども、その契約をするにあたりましても、いかだ航行はやめるように勧奨いたしたい、そういう意味で、専門家の会議等におきましても検討いたしたいと思います。また賠償の点につきましても、先ほどから申し上げておりますように、賠償責任者が実ははっきりしていないわけです。航行の責任はソ連側にあるし、所有権は日本の材木輸入業者のほうに移っているわけです。しかし、これを争っておれば、結局管轄等も裁判でどっちかきめるよりほかはないので、それではおそいので、いまのお話のような点も考慮に入れて話し合いの上で賠償をするようなことをさせたい、こういうことに鋭意つとめていきたいと思います。
  63. 芳賀貢

    芳賀分科員 これで私の分科会における質問を終わりますが、いま大臣の言われたように、ひとつ熱意を持って解決に当たっていただきたいと思います。特に専門家会議の開催等については、相当強い姿勢で、やはり貿易を正常な形で伸展させることも非常に大事ですが、安上がりの輸送方式をとってたびたび沿岸における善良なる国民、漁民に被害を与えるようなことを根絶するという姿勢でやっていただきたいと思います。また、必要な場合には、他の委員会等においても今後の問題等についてお尋ねをするかもしれませんが、きょうはこの程度にしておきます。
  64. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて芳賀貢君の質疑は終了いたしました。  午後は本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十四分休憩      ――――◇―――――    午後三時三十八分開議
  65. 松浦周太郎

    松浦主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林省に対する質疑を続行いたします。  兒玉末男君。
  66. 兒玉末男

    兒玉分科員 制限された時間でございますので、端的に問題点を指摘しまして御答弁を願いたいと存じます。  まず第一点は、これは構造改善事業に関する問題でございますけれども、いままでの事業が各地域においていろいろな問題を生じて、当初の農林省の予定がなかなか実行されておらない。そういう点から、具体的に私は申し上げますならば、たとえば千葉県の成田市の例でございます。当初の計画は六百四十町歩を対象としてなされたものが、現実には四十五町歩しかこの事業の遂行の対象とされておらない、また同時に、その所要資金については、十六億円であったものが、現実には三千七百万円という当初計画を大幅に下回る現状にあるわけであります。なぜこのような実態になったのか、その原因について御答弁を願いたいと存じます。
  67. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 事務当局から詳しく御答弁申し上げたいと思いますが、あの地区は非常に問題になった地区でございまして、私のほうで構造改善の指定地区とするより、ある一体等におきまして模範的なひとつ構造改善をやってみよう、工場を誘致して、そうして経営面積なんかも広めてやっていこう、こういう企画でやっておりまして、これがいまお話しのように、いろいろ紛争などが起きまして、中途で挫折的な形になりました。計画を変更いたしまして、私どもでパイロット地区として取り上げて、県当局ともいま相談いたしまして、パイロット地区から農林省指定の構造改善事業というふうに進めていく、こういう段階で、いま何というか、設計といいますか、計画の変更及びこれらの遂行等について協議いたしております。経過はそういうことになっております。
  68. 兒玉末男

    兒玉分科員 大臣はあっさり計画の変更ということで流されましたけれども、やはり今後の構造改善事業を推進していく上において貴重な反省の材料になるのじゃないか。でありますから、その遂行できなかった欠陥がどこにあったのか、おそらくこれは地域における負担金の問題とか、あるいは予算を消化するだけの全体的な能力が欠けておったか、あるいは当初の計画がずさんであったか、きわめて限られた点にその原因があったと思うのです。でありますから、その点を担当者の方からでもけっこうでございますので、明確にお聞かせを願いたいと思う。なおまた、今後の遂行上に対する見通しなり、その二点についてのお答えをお願いいたします。
  69. 中西一郎

    ○中西政府委員 お話の成田地区の豊住の構造改善についてのお話でありますが、先ほど大臣が申し上げましたとおりの事情でございます。初めのうちは役所構造改善事業というのとは無関係に、地元の人たちが中心になりましてそれぞれ指導的なコンサルタント活動をしておられる人と寄り寄り協議をいたしまして、非常に大きな計画で構想を立てられたものであります。その後失敗した理由についていろいろ伝えられておりますけれども、お話のように地元負担の問題、それから労働力の問題、当初予定しておりました工場誘致といいますか、大きな農場をつくるかたわら、他方余剰の労働力をその工場誘致によって消化しようということも含めた非常に大きな計画であったと聞いておりますが、その工場誘致がうまくいかなかったというようなことで一たんとんざをしたわけでございます。その後は農林省なり県なりとの相談も進みまして、農林省考えて進めております構造改善事業の一環として、その中で地元の許可を練り直すということで計画を作成し、今後三年間ほどにわたって新しい計画で出直すということになっております。いままでの失敗の経過、反省すべき点等をよく見きわめまして、あやまちのないように進めていくということで進んでおるわけでございます。
  70. 兒玉末男

    兒玉分科員 本日は時間の制約がございますので、この点については、あらためてまた農林水産委員会において、構造改善事業の抜本的な改革についての意見等も私は申し上げたいと思います。  次に、流通機構と関連する問題で、すでに予算委員会等でも出たと思いますが、冬野菜の価格の暴落という点についてでございます。この点については、単に需給の調整ということだけでは解決のできない問題を含んでおるのじゃなかろうか、こういうように判断をいたすわけであります。御承知のとおり、今年は大体全体的な作付面積が一割程度ふえたということ、もう一つは、暖冬異変で野菜の生産が相当増加した、こういうこと等が一つの原因になっておるようでありますが、価格政策について、現在京阪神方町を中心とする指定生産地に対してはある程度の保護政策がとられておりますけれども、今日非常に交通機関が発達いたしまして、供給国というものが相当拡大をされておるわけであります。かなりな遠距離の地域からでも新鮮な野菜が市場に供給できる。こういうふうな客観情勢の推移ということを考えますならば、いわゆる指定生産地というものを拡大していく必要があるのではなかろうか、これが第一点でございます。  もう一つは、何と申しましても生鮮食料品等は、生産関係のいわゆる需給調整のバランスということについて、特に生産面の指導が需要と供給の関係について野放しの状態にあると思うのですが、この二点についてどういうふうな措置を今後とっていくつもりか伺いたいと思います。
  71. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 東京及び京阪地区ばかりでなく、九州方面、東北方面などに指定生産地域を拡大していくべきではないか、そのとおりに考えております。来年度におきましては、ずっと数多くやるつもりでございますけれども、今年度におきましても、またそういう方向でやり得るようなことであれば、その方向に持っていきたいということでいま検討いたしております。  それから計画的といいますか、需要供給に計画性を持たせるということも必要でございます。計画的な作付制限というようなわけにはまいりませんけれども、需要と供給とのバランス、各県との振り合い等、そういう面も調査して、始終出荷が調整できるような形に、あるいは作付が調整できるような形にしなければいけないと思います。そういう指導面等につきましても強化する対策を講じていきたい、こう考えております。
  72. 兒玉末男

    兒玉分科員 特に生鮮食料品の場合は、生産者価格消費者価格の間に非常に格差が大きい。よくいわれますが、リヤカー一台の野菜が魚一匹の代にしかならない。この価格政策についてやはりもう少し積極的な手を打つべきではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。昨年五月八日の統計資料によりますと、たとえば白菜の場合を例にとりますと、東京近県で大体卸値がキロ当たり十円から十一円、ところが小売り価格は二十五円から三十円、非常な開きを生じておるわけであります。この点は、小売り商人のマージンが全体価格の三〇%から五〇%を占めておる理由はわかるわけでありますけれども、生産者の手取り価格消費者小売り価格というものが非常に格差が大きい点について、この価格の差を縮小して、もう少し生産者を保護するようないわゆる法的措置なり、あるいは流通機構の改革という面において抜本的な対策を講ずる必要があるのじゃないか、この点について見解を承りたいと思います。
  73. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは、国ばかりででもできませんし、県あるいは農協その他とも連絡をとりまして、いま価格対策については、ある価格以下に下がるような場合に、その差額を出して価格を支持していく、こういう対策を講じておる県などもありますし、また国でやっておる野菜の種類もありますので、こういうものを拡大して、あるいは強化して、生産者の安定的な生産ができるように価格対策を進めていこうと考えております。
  74. 兒玉末男

    兒玉分科員 どうも大臣答弁は、ばく然としてつかみようがないのでありますが、これは、やはり現在の生鮮食料品等の出荷体制というところに私は問題があるじゃないかと思います。いわゆるそのときの買い手、売り手の関係で、天候が悪くて野菜が少ないということになれば八百屋さんが買い占めをする、こういうことで価格のつり上げをするが、ちょっと出荷関係が動くと非常に価格が暴落する。そういう点からこの出荷経路、いわゆる生産者関係をもう少し組織化して、そういうふうな調整に応じ得るような系統的な体制をつくる必要があるんじゃないか、こういうことをやはり農林省としては積極的に指導すべきだ。そのことによって、いわゆる集荷までの輸送経費なり、そういうふうな中間経費ができる限り削減されることによって、私は生産者の手取りというものが確保されるのじゃないかと思うのですが、この出荷経路の組織化、系統化ということについてどういうようなお考えをお持ちか承りたいと思います。
  75. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 具体的のことにつきまして園芸局長から答弁いたさせます。
  76. 酒折武弘

    ○酒折政府委員 青果物の出荷体制が整備していないことは、御承知のとおりでございます。これがいかなる政策をとる場合にも基本的な条件であります。そこで、これが強化をはからなければならないというわけで、現在具体的な下段といたしましては、先ほど大臣からも御説明のありました指定産地制度、これが、やはりそういう面において生産地の計画生産化なりあるいは出荷の調整なりをやっていく一つの重要なよりどころになろうという考えを持っております。
  77. 兒玉末男

    兒玉分科員 特に野菜等の安定政策として、現在まである出荷団体が市場に野菜を持ってくる。ところが、それはもう全部おまかせであって、せり市の仲買人なり、そういう担当者が一方的に価格をきめていく。せっかく生産農民が努力した野菜等がそれらの意のままに左右される。でありますから、今後の一つ方向として、生産者を代表する人がこの価格決定の場、市場において価格に対する発言権を生殖者に与える機会、そういう制度を私はこの際考慮する必要があるというふうに考えるわけですが、今後の安定政策の一環としてどういうふうな考えをお持ちか、お尋ねいたします。
  78. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 市場等に生産者の意向を反映させたいという気持ちは持っておりますが、御承知のように、多数の買い受け消費者と多数の生産打との間の全体的な需要供給による価格決定機関である市場でございますから、生産者そのものがそこにおいてこれでなければいかぬというような形は、いまの市場からいうとむずかしいんじゃないかと思います。ただ出荷の調整等におきまして、出荷数を減らすとか、市場へ持ってくる前のいろいろな問題といたしまして、生産者の主張を通すような方法はないわけじゃないと思いますが、市場へ持ってきてからの問題としては、いまの市場の組織運営からはちょっとむずかしいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  79. 兒玉末男

    兒玉分科員 これは要望でありますけれども、もう少し農林省としては、この生鮮食料品の価格安定に対して積極的な意欲を持って取り組んでいただきたい。同時にまた、現在の状況から見ますと、やはり生鮮食料品の消費の拡大ということ、あるいは貯蔵、冷凍設備、こういうふうな形において腐敗、変質しやすい生鮮食料品の取り扱いについて今後積極的な指導と予算措置を行なってもらいたい、こういうことを要望して次に移ります。  何と申しましても農業本法に示されました選択的拡大という方向で、いわゆる米、麦の政策から畜産ということも重要な課題になっております。ところが、現在においては相当ばく大な飼料を輸入に待っているわけですが、今日の飼料情勢というものは、外国の飼料があながち安いということが言えない。そういう点から考えますならば、野菜づくりはどちらかというと非常に安易な仕事であります。ところが一方、畜産奨励上麦等の非常に需要の高い国内飼料の需給関係のバランスをとること、こういう点から考えますならば、こういう生鮮食料品と並行的に、国内における飼料の増産等を含めて、私たちは積極的な改革をなすべきだ、昨年の二月二十二日のこの分科会でも私当時の大臣に申し上げたのですが、非常に国内飼料を増産するという面に対する取り組みが低調であることを指摘したわけです。本年度はそういうふうな野菜の暴落に対処する道として飼料の増産等を、特に麦類等の飼料増産等と関連してどういうふうな措置政府はとっているのか、また本年度の国内における飼料の供給を高めるためにどういうふうな予算措置をとっているのか、この点についてのお答えをお願いしたいと思います。
  80. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 非常に輸入飼料に依存しているということは、日本の畜産が健全なる発達をしていく上において支障があると思います。それで、いままでも自給飼料はどんどん日本で進めていこうじゃないかというふうにやってきたのでありますが、ことしは特段に草地造成等によって自給飼料を増していこう、こういう政策を強く取り上げております。こまかくはまた局長から申し上げてもけっこうなんでございますが、畜産生産振興対策として飼料自給度の向上、これが予算面で二十三億三千二百万円。その中で、草地改良事業の拡充十七億ばかりでございますが、去年はこれが十二億。あるいはまた緊急飼料作物の増産、こういう点なども取り上げてやっているわけでございます。いまお話のような欠陥をだんだんなくしていき、ことに自給飼料は全体の飼料の中の割合をうんと大きくしていく。また濃厚飼料等におきましても、できるだけ増産対策を講じて依存度を少なくしていく、こういう方針で対策を講じてきておるわけでございます。
  81. 兒玉末男

    兒玉分科員 飼料自給関係で多少予算がふえておるようですが、やはり百姓は、先ほど野菜の問題が出ましたけれども、白菜がいいといえば白菜をつくり、カンランがいいといえばカンランをつくる。第一線で生産している立場にはそういう国全体の視野に立った指導がなされてないから、同じことを繰り返しているわけです。この点は、ひとつ十分国内における飼料の自給度を高めるという関連性を考えて、積極的な指導を要望したいと思うのです。  次に、やはり飼料との関連ですけれども、現在私の宮崎県においても、集約酪農地帯として相当酪農が盛んであります。けれども飼料が非常に高いために、いわゆる酪農の経営が限界点にきている。そういうことで、いろいろな合理的な方法を考えて共同飼育ということをやっていますけれども、これがなかなかうまくいってない。何といってもやはりコストが高い、飼料が高いというとろに基因しているのですが、こういうような共同飼育の経営方向に対して政府はある程度助成措置をとっていくべきではないかというふうに考えるわけです。これは今後の課題として、畜産奨励、酪農奨励の立場から大臣はどういうふうなお考えか、その見解を承りたいと存じます。
  82. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 飼育の共同ということまでどういうふうにやっていけるかということは、検討いたしてみたいと思いますが、畜舎の問題とか、あるいは畜産物、家畜の導入ですが、こういう点については、共同的にやることについての助成といいますか、そういうことはいたしております。   〔主査退席、淡谷主査代理着席〕  なお飼育のほうをどういうふうにするか、共同についてどういうふうにやっていくかということについては、よく実態その他を見て検討していきたいと思います。
  83. 兒玉末男

    兒玉分科員 大臣としてはまだそういう構想はないということを言われますけれども、これは耕作反別の少ない地域における畜産面でも、特に酪農は、一戸の経営で多頭飼育というのは非常に困難なんです。ですから、どうしても共同作業等によって経営していかなければとてもやっていけない。できるだけ最小の労力で最大の効果を上げる。こういう点から考えますならば、当然これは農業本法の精神にも立脚して、積極的な共同飼育に対する奨励措置をとるべきだ。この点は、ひとつ今後の研究課題として、ぜひとも来年度は何らかの助成措置がとれるように強く要望したいと存じます。  次に、やはり流通機構に関連する問題でございますけれども、昨年の十月二十三日、中央卸売市場審議会において、中央卸売市場八カ年計画を発表いたしておるようでございますが、その構想なり、あるいは今年度の予算措置、また計画の内容というのはどうなっておるのか、お伺いしたいと思います。
  84. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 市場の整備等につきましては、昨年から相当手を加えてきております。その経過等につきましては経済局長から答弁申し上げます。
  85. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 中央卸売市場の整備計画につきましては、本年度を初年度といたしまして八カ年の計画で、全国の主要都市につきまして中央卸売市場の施設の新設、それから増設、開設、これを進めることにいたしております。来年度につきましては三億七千万円の補助金を計上いたしておりますが、内容につきましても、従来より補助対象の施設を拡充いたしております。それから起債のワクとしては大体二十七億円を、これは自治省と話をつけておるのでございます。
  86. 兒玉末男

    兒玉分科員 私は昨年のこの委員会で申し上げたのですが、例の昭和三十六年でございましたか、行政管理庁から食肉行政に関する勧告がなされまして、その問題点について、特に食肉取引の近代化ということでかなり突っ込んだ質問をいたしたわけです。それがあまり成果が期待され得ない。しかしながら、特に食肉市場における取り扱いは非常に非近代的だという点で指摘をしたわけでございますが、現在このような中央卸売市場法の適用を受けておる個所は何カ所あるのか、また現在この市場法の適用を受けていない個所はどれだけあるのか。それから、先般勧告を受けましたこの市場における冷蔵庫の不備、あるいは場外取引等によって公正なる取引を欠いておるが、こういう不適切なところの個所に対する指導、こういう面をどういうふうに行なってきたのか、この三点についてまずお伺いしたいと思います。
  87. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 屠場の関係につきましては、これは畜産局長からお話を申し上げますが、芝浦の屠場につきましては、いろいろ取引上の問題がございますので、中央卸売市場に切りかえるように、せっかく努力をしておるところでございます。  それから中央卸売市場としての食肉市場は幾カ所あるかというお尋ねでございますが、ちょっといま資料を調べて申し上げますから、後ほどにしていただきたいと思います。
  88. 兒玉末男

    兒玉分科員 いまの流通機構関係の中の市場機構の改革等につきましては、昨年たしか畜産局長は村田さんだったと記憶いたしておりますが、この議事録にもはっきり書いてあるとおり、特に芝浦屠場がその取引においても全国の相場を支配しておる。ところが旧態依然として相対取引によって、いわゆるそでの下の取引によって価格がきめられるということは不合理ではないか。この一千万人のマンモス都市である東京の芝浦屠場の改革なくして、全体の食肉行政に対する価格の公平なる取引、あるいは流通機構の改革は不可能ではないかということで、私強く要望いたしましたが、これに対して、積極的な努力をしてそれの改善につとめる、こういうことを答弁されておるにもかかわらず、いまの段階においても何ら前進のあとが見られないことは、きわめて遺憾だと私は思うのですが、これは、やはり主管大臣である農林大臣の積極的な御決意と御努力なくしては、この改革はなし得ないと私は思うのですが、この点についてそれぞれ担当者から責任ある御答弁を願いたい。  また、今日まで一年間どういうことをやってきたのか、この点についても御答弁を求めたいと存じます。
  89. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のとおりでございまして、芝浦の屠場につきましては数年来の問題点でありますが、一向前進しないのは、まことに私も遺憾であり残念ですが、近代的に推進させるべく督励させておりますが、経過等につきましては畜産局長から説明いたさせます。
  90. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 芝浦屠場を中央卸売市場化するということによって、食肉の取引の近代化をはかろうということにつきましては、農林省としましても、昨年の七月政府決定いたしました、生鮮食料品流通機構改善対策の一環として取り上げたわけでございますが、東京都が設置者になるわけでございますので、東京都に対しまして中央市場化の指示、要請をいたしますと同時に、協力いたしまして、中央卸売市場化の努力をいろいろいたしておるわけであります。東京都におきましても、昨年の追加予算によりまして、四千万円の施設整備費を計上いたしました。そうして早期に中央市場化するための施設の整備にあたっておるところでございます。問題は、この市場化する場合に、いろいろそこでの取引をいたします関係業者の組織化の問題、整備の問題がございまして、その点につきまして、数次にわたりまして東京都と関係業界との間で協議が行なわれております。現在は、業界の代表者との間で、市場化をした以後の運営をどうするかというような問題を中心にいたしまして、協議を続けておるところでございます。私らも都に協力いたしまして、なるべく早く市場化を実現したいということで、せっかく努力中でございます。
  91. 淡谷悠藏

    淡谷主査代理 だいぶ時間が迫っておりますから、簡潔にひとつやってください。
  92. 兒玉末男

    兒玉分科員 市場関係の問題については、いずれまた機会を見て、農林省にひとつ姿勢を正すようにハッパをかけたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  最後に、これは税制面についてでございますけれども、昨日井手先輩のほうから、農業用ガソリン税に対しては、これはガソリン税を非課税とすべきであるというような質問に対して、大蔵大臣は、百億程度別に農林予算と見合わせているからいいじゃないか、こういうきわめて不適当な答弁をしておりますが、やはり今日の農業実態から考えますならば、その区別は決して困難ではない。耕うん機なりトラクターのガソリン税の減税は、これは当然の措置だ。この点について、もう少し農林大臣のほうから大蔵省にハッパをかけて、これが減税になるようにすべきだと思うのですが、どうですか。  それから、家族の農業従事者に対して、いままで全部が所得税の基礎控除の対象になっていないが、従事する者は当然全部対象に認めるべきだ。  もう一つは、農地等に対する固定資産の評価がえがことしの一月からなされておるが、これはどうしてもわれわれは納得できない。この固定資産の評価がえは、これをふやすものではないと答弁しているが、その以前に、農地に対する固定資産税は廃止すべきだと思うが、これはどうか。  次に、農協の共済組合等が退職金の給与引き当ての積み立て金をやっております。これは当然全額非課税とすべきだと考えるのですが、これに対する見解を承りまして、時間がまいりましたので私の質問を終わります。
  93. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ガソリン税が農業用で免税になることは、私も望ましいことだと思って極力折衝しておるのでありますが、きのうも答弁があったかと思いますが、農業用機械とか農業用外とかを区別するのがなかなかむずかしいという徴税上の問題、あるいは徴税に非常にコストがかかって人数が多く要るとかいうことで、実現を見ておりません。そこで、これは目的税になっておりますから、そういう方面で、農道とか、あるいは農業改良の資金のほうにこの分を回そうというわけで、実はことしも極力その方面に折衝しまして、建設省なども応諾したのでございますが、最後的になかなかこれの実現ができませんで、結局、それに見合うような農道関係の改修費を計上するからということで、ことしは見送りになりました。しかし、なおこの点は今後とも実現を期したいという考えでおるわけであります。  なお、税金のことにつきまして農業の家族の控除を全部したらいいじゃないか、あるいは固定資産税の評価がえ等の問題につきましては、事務当局から御答弁申し上げます。
  94. 昌谷孝

    昌谷政府委員 固定資産税につきましては、御承知のように数年来の経緯がございまして、審議会のほうで各種固定資産の評価について統一的な措置をとるべしという御答申をいただいたことと関連をいたしまして、検討を加えられた問題でございます。ただ、これによって増税を考えるというようなことでは毛頭ございませんので、その趣旨で、特に農地につきましては問題も多うございますので、当面、評価がえの結果下がるものは新しい評価を用いますが、評価がえの結果上がるものは一切上げないということで、先般、自治省のほうでつくりました財政計画でもそういう線を織り込んで、むしろ前年度よりも少ない額を農地固定資産税の収入として見込んでおるというような実情でございます。  それから農協の退職積み立て金の問題でございますが、退職積み立て金につきましては、一般に労働協約を結んでおります場合の退職積み立て金の扱いと、そういった労働協約のない場合とで税法上に区分があることは御承知と存じます。農協につきましては、労働協約を結んでおりますものが、中央会の調べによりますと全体の二割弱というようなところのようでございます。かような関係で、例の四%という毎年の蓄積分のほうについては、やや労働協約を結んだ組合との間には差があるようでございますが、しかし、いわゆる累積限度のほうは各種法人を通じ全部共通のものさしで、所要額の二分の一というところで調べてみましたところ、農協につきましてはまだその限度額まで達しておる農協はほとんどないようでございます。そういうような実態でございます。  なお、所得税の扶養家族の問題につきましては、今回の税法改正によりまして、専従者控除も引き上げを見ることになりました。そういった状況で、逐次改善方向に進んでおるように考えております。
  95. 淡谷悠藏

    淡谷主査代理 これにて兒玉末男君の質疑は終わりました。  次に、多賀谷真稔君。多賀谷真稔君に申し上げますが、あなたの持ち時間は一時間でございますから、その範囲内で御質問を願います。
  96. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私は、林野関係の労務者の雇用条件についてお尋ねいたしたいと思います。  作業の実態からある程度やむを得ないとしても、あまりにもその雇用条件というのがおくれておる。一体国の雇用でこういう形態があるだろうかとわれわれ思うような状態であります。   〔淡谷主査代理退席、主査着席〕  そこで、まずお尋ねいたしたいのですが、定員内職員、常勤作業員、常勤処遇作業員、常用作業員、定期作業員、臨時月雇い作業員、臨時日雇い作業員、こういう区分をなされておられますが、この区分についてどういう差別があるのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  97. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 林野庁長官から御答弁申し上げます。
  98. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 いま御質問になりました常用作業員と定期作業員、臨時作業員、これを雇用区分といっておりますが、国有林野事業は林業生産を行なっているわけでございまして、それは、まず造林の面で申し上げますと、植えつけから始まって、下刈り、つる切り、除伐、そういう作業がございます。また一方には、立ち木を伐採をして搬出するという事業がございます。そうして、それぞれの事業が、林業という特殊性にかんがみまして、まずその作業の適期を選ばなければならないという季節に支配されるということ、あるいはまた、適期といいます場合に、その季節のうちに仕上げてしまわなければならないということ、あるいはその季節の気象条件を利用しながら作業をするというような特殊性がございます。その他、屋外作業であるということでの天候による支配もありまして、仕事の性質がそれぞれ独立をしておるといいますか、そういう作業が一年にわたってそれぞれの季節に展開されるわけでございます。したがって、それに雇用される作業員につきましては、いま申し上げましたような造林、あるいは下刈り、あるいは伐木、造材、搬出という仕事にそれぞれ従事する作業員の勤務する期間、それが仕事の性質上限定される、そういうことがございます。きわめてこの作業が臨時的である場合、また短期間にきわめて多くの作業員を必要とする場合には、臨時的な作業員が多く雇用される。それから、ある一定の長さの期間にわたって勤務をする、その期間が過ぎ作業が終われば解雇されるというような作業の場合に、定期作業員になる。これは、名前のとおりに、一定の期間にわたって雇用をされる定期作業員でございます。それから、その中間にあるものといたしまして月雇いの作業員というのがございます。さらにはいま申し上げましたようないろいろな職種を組み合わせまして、一年を通じて雇用をされるという常用作業員があります。そういうことで、通年的な雇用をされるものを常用作業員というふうに申しております。そこで通年的に雇用されるもの、あるいは定期的、つまり、たとえば六カ月以上十カ月、あるいは八カ月というような期間にわたって雇用される、あるいは四カ月未満の範囲で雇用される、あるいは日々雇用されるという雇用の区分の程度に応じまして、処遇につきましては段階がございます。通年的に雇用されております常用の作業員につきましては、現在といたしましてはほぼ定員内職員に近い処遇が与えられているということでございます。
  99. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 定員内作業員と常勤作業員並びに常勤処遇作業興、いわば月給制でずっと勤務しておりながら定員に入っていないという問題は、これは林野だけでなくて他の宿庁にもあるわけですが、一般の公務員を定員内に入れるという問題は別の問題として取り上げてみたいと思います。そこで、日給制常用作業員、定期作業員、あるいは月雇い、日雇いとありますが、大体どのくらいの数字になっておりますか。
  100. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 申し上げます。三十八年七月現在で申し上げますと、常用作業員が一万二千七十五人、定期作業員が三万五千三百四十五人、それから月雇い作業員と日雇い作業員を合わせて臨時作業員と申しておりますが、月雇い作業員が二万五千七百九十人、日雇い作業員が十一万二百七十三人で、臨時作業員の合計だけで十二万六千六十三人でございます。
  101. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 定期作業員は六カ月以上ですか。
  102. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 さようでございます。
  103. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 そういたしますと、この定期作業員は失業保険をかけておりますか。
  104. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 失業保険の問題になりますと、現在作業員に対しましては退職手当法ができておりますので、それによって支給をされております。
  105. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 そういたしますと、失業保険の支給は受けないわけですね。
  106. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 いま申し上げましたように、六カ月以上の分につきましては退職手当が出ております。六カ月になるまでの分につきましては、失業保険による失業者退職手当が支給されております。
  107. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 六カ月未満で失業保険をくれますか。
  108. 隅田達人

    ○隅田説明員 六カ月の失業保険の受給資格でございますが、退職手当法と失業保険法とに例外規定がござまいして、公務員の退職手当を受ける者につきましては、失業保険の金額と退職手当法による退職手当との差額の分につきまして、失業者の退職手当として失業保険に相当する金額を支給されることになっております。
  109. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 そうすると、六カ月以上は、失業保険をかけるけれども、実際は国家公務員退職手当法による退職手当をもらう、しかし、その退職手当が本来もらうであろう失業保険金額よりも少ない場合には、失業保険との差額をさらに退職手当法で追加する、こう理解していいですか。
  110. 森博

    ○森説明員 普通の退職手当をもらいまして、そして、それが失業保険に相当する金額に比べて差額がある場合に失業者手当を支払うということになっております。
  111. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 その財源は一体どこから出るのですか。
  112. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 その財源につきましては、すべて国有林野特別会計の資金から支出をいたしております。
  113. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 そうすると、その三万五千三百という国有林野の労働者の失業保険納付金額というものからは、逆に言うと一銭も恩恵を受けぬというわけですね。労働者は別ですよ、労働者は退職手当をもらうから。ところが失業保険会計からは一銭ももらわぬということになるのですか。
  114. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 それは、従来も特別会計負担としております。
  115. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 それでは、労働省はおられるけれども、最初から定期作業員というのは失業保険の恩恵を受けないということですね、退職手当法でいくから。しかし、失業保険の保険料は出しておる。そうすると、その給付は全部国家公務員等退職手当法で、しかも国有林野の特別会計で出すというならば、労働省はこの従業員については全部もらい得とこういうことになるわけですか。
  116. 細野禎二

    ○細野説明員 そういう場合も、制度のあれからあります。失業保険が支給される職員もあるわけであります。もう少し申し上げますと、失業保険の制度におきましては、六カ月、各月十一日以上被保険者期間があった場合に、失業保険が出るわけでございます。それで、国家公務員等退職手当につきましては、先ほど林野庁長官その他から御説明がありましたように、六カ月をこえて引き続き雇用される場合には、退職手当法のほうで支給がされる、こういうことになっております。
  117. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 でありますから、定期作業員というのは六カ月以上、大体十カ月くらいまで働くということなんです。その数字が三万五千三面ある。そうすると、その労働者は結局失業保険はかけるわけです。ところが、一般の失業保険の会計からは一銭も給付を受けぬ、こういうことになるでしょう、こう開いているわけです。
  118. 細野禎二

    ○細野説明員 そういう、定期的に雇用されたといたしましても、もしその期間にいわゆるマル政と申しますか、国家公務員等退職手当の支給要件を満たさない職員がある場合において、失業保険の受給資格を満たすならば、失業保険を受ける場合もありますけれども、先生のおっしゃるように、大多数の職員については、そういう条件では失業保険を受けない場合が多いと思います。
  119. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 これは一つの問題点ですね。  次に、問題点だけまず拾っていってみたいと思いますが、この定期作業員というのは、実際問題としては何年も継続するんでしょう。一応形式的には十カ月でやめるけれども、君はまた来年来てくれというので、また来年来るわけでしょう。そうして、これは二十年も三十年も勤続して表彰を受けているわけです。事実問題はどうなんです。
  120. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 それはお説のとおりでございます。先ほども申し上げましたように、一年のうちの限られた期間内に勤務をすることによって雇用が年々継続しておるというような雇用のされ方でございまして、形式上は十カ月なら十カ月、八カ月なら八カ月目に解雇をされるという形になっております。それで、次の仕事の適期がまいりましたならばそこでまた雇用されるということが繰り返されておる。そういうような雇用のされ方で相当年数を経たものが表彰されるということはございます。
  121. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 それはどういうように表彰するのですか、たとえば二一年つとめたら、どういうことをやっているんですか、どういう表彰状を出すのですか。
  122. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 表彰という場合に、この表彰のものさしがいろいろございます。勤務の日数は一年に照らしてみて短かい場合であっても、その貢献度においてきわめて優秀である、また多年国有林野事業に寄与をしておるというような点で表彰される場合もあります。
  123. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 要するに、長くつとめれば淡彩を受ける。四十年、三十年、二十年、十五年、十年、こういうようになっておる。そうすると、その表彰を受けた労働者は退職金を事実上もらうわけですね、十年、二十年つとめてから。
  124. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 退職手当の問題につきましては、その雇用された年のその解雇の時点で退職手当をもらっていくということでございます。
  125. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 形式的には退職手当であって、実際上は失業保険をもらっておるわけです。失業保険金の額をこえないんだから、自分で払って自分で失業保険をもらっておる。それが三十年も継続する。政府のほうは退職金を払ったと、こういうようになっておる。しかし、本人から見れば、自分が失業保険料を出して失業保険給付額を退職金という名前でもらっておる。何年継続しても退職金を一銭ももらえぬという計算になるでしょう。どうなんですか。
  126. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 それは、その受け取る退職金の意味をどのように理解しどのように評価するか、それによって変わってくると思います。
  127. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 結局表彰を受けるのは、林野業に寄与した労働者は表彰を受けても、退職金は事実上一銭ももらえない、こういう制度でしょう。これは非常に問題がありはしませんか。
  128. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 そういう制度であるかどうかは、これはまた問題だと思いますが、いま定期作業員の処遇については、これをやはり退職手当というものに考えて支給しております。
  129. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 では、同じ問題として厚生年金を聞きましょう。こういった定期作業員の厚生年金は一体どうなっておりますか。
  130. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 厚生年金の適用につきましては、御承知のように法律でいろいろございますが、強制適用の事業所の中で、国または地方公共団体で常時五人以上の雇用あるものというワクがありまして、また除外規定を設けまして、除外規定は二つございます。一つは公務員共済制度に入っておる者は除く、第二点は、臨時に使用されるものであって、二カ月以内の者は除外される、こういった一応網をかぶせて除外しておるというたてまえになっておりますので、現実の問題といたしましては、公務員共済法でカバーされておる者は入らない。そして、いわゆる日雇い形式のものは、これは国民年金になるわけです。したがいまして、二カ月以上の期間の者というもので厚生年金の適用になる者がある。こういうことでございまして、数ははっきりいたしませんけれども、分類がそのまま出ておりませんが、大部分農林、水産関係というもので、その該当者が約五万くらいございまして、その大部分が林野庁関係の職員、こういうように理解しております。
  131. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 いま私が問題にしておりますのは、定期作業員といいまして、毎年六カ月以上十カ月程度雇用されておる、そしてそれは十カ月目に解雇をされる、それが毎年継続して行なわれておる、こういう労働者が大体三万五千おる。これに焦点を合わせて聞いておるわけです。ですから、いまお話しのように、国または地方公共団体で五名以上雇っておるものについては厚生年金の適用がある、ただし臨時の者はない、その臨時の二カ月以上の者についてはこの限りでない、こういうように理解する。あるいは季節的労働者として理解をすれば四カ月以上ということになりますが、何にしても厚生年金の適用には入る。そうすると、この厚生年金の適用を受けておる労働者は、九カ月なら九カ月で解雇をされる、あとの三カ月の分については厚生年金の掛け金はどうなりますか。
  132. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 資格喪失の場合には事業主のほうから資格喪失の通知が来るわけでございます。厚生年金は、御承知のように、月単位で積算されまして年金額が計算されることになっておりますから、一年のうちに九カ月であります場合には、昭和三十八年九カ月、それから三十九年も九カ月、こういう積算で、通算老齢年金なりの受給資格が満たされるかどうか判定される、こういうことになります。
  133. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 そういたしますと、たとえば二十年勤務をすれば老齢年金の資格がつくというときに、六カ月ずつで、更新をされれば四十年かかる、こういうことです。九カ月でやれば三十年も労働者は年金給付の資格を得るために働かなければならぬ、こういうことになりますね。
  134. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 おっしゃるとおりになるわけでございます。厚生年金からの正規の老齢年金を受給するにはそういうことになります。国民年金と通算されることによって支給される場合はあり得るわけであります。
  135. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 健康保険を聞きたいのですが、健康保険はどうなっていますか。
  136. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 健康保険も厚生年金も同じような適用をいたしておりますので、健康保険の強制適用、厚生年金の強制適用は同時でございます。したがいまして、厚生年金が適用になる場合には健康保険が適用になります。健康保険が適用にならない者は日雇い健康保険が適用になります。
  137. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 そうすると、定期作業員は、解雇をされてから、次に再就職をするまで、一体何の適用を受けておるか。国民保険の適用を受けておりますか、健康保険の適用を受けておりますか。
  138. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 退職の時点におきまして現に給付を受けておる場合につきましては、継続給付があるわけでございますが、退職の際に給付を受けてない、病気でないという者につきましては、たてまえといたしまして、国民健康保険の被保険者となって市町村所在の国民健康保険の中でカバーされる、こういことになるわけでございます。
  139. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 大臣、いまお聞き及びのような状態です。失業保険はかけるけれども、失業保険会計からは一銭ももらえない。二十年かけても三十年かけても労働省からはくれない。しかし、林野庁のほうで退職金という形で失業保険分だけはくれる。しかし、それはあくまでも内容は失業保険の給付と同じですね。ですから、何年林野庁につとめ、表彰状をもらっても、退職金という実質上のものはもらえない。それから、厚生年金をかけておるけれども、とにかく六カ月で解雇をされるということになれば、これは四十年も老齢年金をもらうためにかかる、こういう状態になる。それから、健康保険をかけておっても、これはその資格が切れればまた国民健康保険に切りかえをやらなければならぬ、こういう状態です。作業の特殊性はわかりますけれども、国の雇用する労働者を、しかも三万五千という人数をこういう状態で放置しておいていいかどうか。特に、これからは、かなり機械化され、若い労働力が要る、こういうことでは若い者は来ませんよ。いかに機械化しようと思っても、こういう雇用条件の不安定なところには就職しませんよ。一体どういうようにお考えですか。まずお聞かせ願いたい。
  140. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 定期作業員という雇用のしかたについては、初めにその理由について申し上げたわけでございますが、ところで、作業につきましては、そのしかたをいろいろくふういたしまして、ことに、積極的に機械化をするということで、天候、季節あるいは作業の場所、そういうものに支配されがちな仕事を、できる限り一年を通じて、いろいろ作業の形態を組み合わせることによって続けていくというような努力をいたしております。そこで、定期作業員につきまして申し上げますと、そういう作業の組み合わせが可能であり、また作業員自体の希望があり、その必要性も認められる場合に、できる限りその雇用の期間を延長ずるというようなくふうをいたしているわけでございます。
  141. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 そうすると、具体的に三万五千という数字はどのくらいになるのですか。あなたのほうは定期作業員は年間雇用をどのくらいにするんだという計画はありますか。
  142. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 将来に向かっての計画につきましては、今後におきますところの事業量の策定、それからその事業の機械化の進度の予定、そういうもので目下検討中ではございますが、過去三カ年で雇用の変化を見てみますと、たとえば常用作業員で先ほど一万二千七十五人と申し上げましたが、これが三十六年では一万一千四十九人ということで、このふえておりますのは、定期あるいは月雇の中から組みかわってきておるものでございます。それから、定期作業員のうちで、特に雇用期間の短いと考えられるところの八カ月未満の定期作業員、これは、先ほど申し上げました三万五千数行の中で一万六千九百七十七人いたわけでございますが、これが三十六年には一万九千四百四十二人いたということでございます。この減少は、常用その他に回していることがわかるわけでございます。それから、特に月雇いのうちで四カ月ないし七カ月、これが先ほど月雇いの中で一万五千七百九十人と、いうふうに申し上げましたが、その中で四カ月ないし七カ月が九千二百三十四人あるわけでございます。それが三十六年度のころは一万六千九百三十五人であったという点などに徴しますと、これはそれぞれ雇用期間の延長による雇用区分の変化ということを示しているというふうに考えているわけでございます。
  143. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 まず、この定期作業員、それはやはり作業が年間できるようにするということが第一ですが、あなたのほうは退職金を出さないで休業手当を出したらどうですか。全部、国というか、国有林野の会計から出るのでしょう。失業保険をもらっていないのだから、失業保険を納めていても労働省の失業保険の会計からは一銭もくれないというのだから、それならば、全額退職金を出すのなら、これは休業手当を出して、これを継続したらどうですか。
  144. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 その休業手当の意味でございますが、普通私どもが休業戸当ということで理解いたしておりますのは、ある事業におきまして、たとえば不況のために操業短縮をやるとか、一時事業量が減ったり、あるいはまた中断する、しかしながら、それは景気の回復なりその他客観情勢の変化によって再開し得る見通しがあるというような場合に、そこで再雇用の約束のもとに一時仕事をやめるということで、休業というのですか、帰休手当というものが支出されるというふうに理解をいたしておるわけでございますが、いまの国有林野事業の場合の年間の事業といたしましては、当初からその時点でその事業は完了するというふうに考えますと、あらかじめもうそこで仕事は終結をするわけでございますから、そのあと帰休あるいは休業という意味での手当を出すことについては疑問があるように考えております。
  145. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 帰休制度というのは、これは失業保険会計からもらうために繊維その他が操短のためにやった一時的の便法なんです。それがいままで取り扱われてきた帰休制度というものです。ですから、一時退職するのですから、あまり意義がないのです。私が言うのは、休業手当を出しなさいと言っている。というのは、全部国有林野の会計から退職金を出すのです、そうすると、失業保険を納めたけれども給付を受けないのだから、休業手当をお出しになってもいいじゃないか。そうすれば雇用が継続しますよ。労働者がああいう激しい仕事をやって、二十年勧めて、普通の労働者なら厚生年金をもらえるけれども、給付資格が三十年あるいは四十年しなければならないというような、いびつな雇用条件にしなくてもいいでしょう。労働省所管の失業保険会計から全労働者の連帯の状態において給付を受けるというなら別であるが、全部退職金をあなたのほうで特別会計から出すのですからね。ですから、私は、そんなむだなことをしないで、休業手当にすればいいじゃないか、こう言っているのですよ。どうなんです。これは会計としては同じことなんですよ。
  146. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 まあ、その辺の解釈いかんだと思います。休業手当なり帰休手当の出される意味が、先ほど私が申し上げましたような意味であるとすれば、定期作業員の場合は、これは事業の完結と仕事の終結ということで、以後仕事が続いていないわけでございますから、これを帰休なりあるいは休業という名で手当を出すということに疑問を持っておるわけでございます。
  147. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 休業手当の性格の問題ではないでしょう。基準法の二十六条、あるいは民法の危険負担の条項、私は何もこういうものにこだわる必要もないし、とにかく、あなたのほうで、それは休業にしてやるんだ――要するに、労務を提供しようというけれども、あなたのほうで仕事がない、こう言っているのですからね。休みなさいと言っているのだから同じことですよ。特に北海道の労働者が九州に行くことはないのでしょう。同じ営林署管内でしょう。事実問題としては、作業場は若干移動しても同じところなんでしょう。ですから、私は、同じように休業手当を出されたらいいじゃないか、こう言っているのですよ。
  148. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 いまの定期作業員が同じ形で仕事につくかどうか、これは属人的にいろいろ違うと思います。ただ、休業手当、その資金がこの特別会計で出るか出ないか、その問題は別としまして、休業手当あるいは退職手当、そういうふうな名で、したがってまたそういう意味で支出されているものを帰休手当というものに使い分ける、使い分けるといいますか、そういうお話のように伺うのでありますけれども、その点は、いまも繰り返し申し上げましたような意味で疑問を持っているわけであります。
  149. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 どうもお役人の答弁なんです。全く労働行政を御存じないですね。そんなことで労働管理はできぬですよ。それは各会社とも非常な苦労をしておるのです。それは何も林野だけでなくて、冬の仕事のないところだってある。各会社がどういう苦労をしているかといいますと、メタル山と石炭山を持っているところは、新潟のように豪雪で仕事場が冬はない。そこで、冬の間は九州の炭鉱に連れてきて働かしておるのですよ。ですから、それほどみな労務管理というのは苦労しているのですよ。それをばっさばっさと仕事がないからといって首を切って、また来年雇う、そういうことが私は許されぬとこう言うのですよ、いやしくも国が雇用する以上。あなたの言うのは末梢的な話で、退職手当で払ったものを休業手当に振りかえるわけにいかぬ、そういうことを聞いているのじゃないのです。退職手当を払わないで休業手当を払いなさい、こう言っている。人を雇っておって、そして何十年も事実上継続して雇用して、それを形式的に毎年六カ月からあるいは八カ月、九カ月、こう切っていくというものの考え方がいかぬじゃないか、こう言っている。ですから、冬場における仕事場を見つけるには、どこの企業だって相当苦労しているのですよ。私はこういう質問をしておるけれども、やがてあなたのほうは何とかしなければ労働者が集まらぬという状態が来ますよ。そんな答弁では現実に人が集まらない。ですから、国有林野というけれども、全部民間でやらすか、国有では、もうこういう方式ではできないという事情になるのですよ。私は形式のことを言っているのじゃない。ですから、それだけお金を出すならば、なぜ休業手当にされぬか、それならば財源的にも同じじゃないか、こういうことを第一に言っている。それから、そういったものの考え方で人を雇おうなどということが間違っている。とにかく、三十年も四十年も継続していて、表彰状まで出して、その人間は退職金を一銭ももらえない、厚生年金は人の倍かけなければ給付がもらえない、仕事はきついという、こういうことが一体国の雇用関係にあっていいかどうかですよ。大臣、一体どういうようにお考えですか。私はこの雇用形態は非常におくれていると思うのです。それは簡単じゃないですよ。確かに簡単ではないけれども、私はそのくらいの努力をしなければものが解決しないと思う。これは一般の私企業でありますと非常に苦労しているのですよ。それは林野の小規模な同じような伐採その他をやっておるところはあるいはそうではないかもしれぬ。お話のように、ことに林野事業というのはばったばったと百を切るから、なるべく一般の失業保険会計には入ってもらいたくないという気持ちがある。だから除外例を設けているのですからね。普通の林野に従事する者は失業保険から強制適用除外になっているのですけれども、それは、一般の者から比べれば、確かに制度としては、あるいは失業保険にも加入できる、こういうことになっている。事実上失業保険と同額の退職手当をもらえる、こういうことになっておるけれども、一体国の事業としてそういうことが許されるかですよ。これは非常に古いおくれた雇用形態にあるわけです。大臣、どういうようにお考えですか。
  150. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 三万五千人が二十年、三十年と継続しておりながら、年に六カ月ぐらいで切っていくということであると、形態としてはあまり好ましいものではないと思います。実態を私まだよく調べてないのですけれども、三万五千人が全部そういう形で四、五十年もやっているという形じゃないのじゃないかと私は思うのですけれども、その点よく調べてまたお答えします。
  151. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 定期作業員というのは平均の勤続年数は七、八年でしょう。どうなんです。
  152. 隅田達人

    ○隅田説明員 記憶をしておりませんので、調べましてお答えいたしたいと思います。
  153. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 それは、一年や二年ちょっと行ってみようという労働者もおるでしょう。これはしょっちゅう移動するのですよ。しかし、この労働者というのは、もう三、四年ずっと継続している者が多いのですよ。ですから、全体的に見ると、これは普通の工場等に勤務するのとあまり変わらない勤続年数になっておる。それは三万五千の個々の人間が四十年も五十年もはおりませんけれども、しかし、普通の勤務年限くらいになっておるはずです。ですから、そこに私は非常に問題があると思う。そして、いまからはこういった形態では事業そのものができなくなる。それは明らかです。現実にあなたのほうに定期作業員が、来年来てくれというけれども来ない。こういういわば離職者、離職者と言えばおかしいのですけれども、本来離職しておるから離職者というのはおかしいのですが、翌年再採用に応じないという者を見ますと、何といっても二十歳から二十四歳がピークです。これが非常に多い。それから、職種別に、そういう離職者、厳格に言うと再雇用に応じない者、これを見ると、造林が多い。それから製品、こういう形になっておる。そして、これは民間に引き抜かれておる、こういう形が最近は多くなってきておる。ですから、国が作業させておるのに、作業環境は非常に困難であるし、作業形態もむずかしいでしょうけれども、こういうことは放置できないと思うのです。長い間の伝統をこういうところで守ってはいけないです。長官、どうですか。
  154. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 いまお話しのとおりに、農村が雇用の源でありますだけに、最近の労務者不足、それから若い人たちの不足、これは仰せのとおりでございます。で、それに対応する方法といたしまして、先ほども申し上げましたが、できる限り省力といいますか、肉体労働を省き得るような機械化を導入することによって、省力し得るような作業形態に持っていこうという努力、また、そういう機械化を進めることによって、仕事の時期をできる限りつなぐことによって通年的に仕事が行なわれる、そしてそれに雇用される、そういう作業方法を考えるくふうをいたしておるわけでございまして、そういうことでの実績が漸次あがっておるというふうに心得ております。  ただ、いま先生のお話しの、仕事がない場合にそれを雇用しているような形でのたとえば休業手当といいますか、そういうものに取り扱いを変えるということは、やはり疑問を持っておるわけでございます。
  155. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私は、公務旦等退職手当法というものがあって、この上にあなた方は安易に乗っておると思うのです。これは大蔵省も払わなければならぬでしょう。法律ですよと言えば金を出すだろうと思う。あなた方のやり方は非常に安易です。ぼんぼん退職手当を出す。国有林野特別会計だ、こう言うけれども、払い下げはよそはできないのだから、これはいわば独占だ。それはもう昔からの遺産を受け継いでおるわけです。退職手当をぼんぼん払うから問題ないだろうと言う。民間なんかでは、こんな退職手当を払いません。仕事を見つけて働かせます。これは三万五千、それから臨時月雇いというものがどのくらいになるかわかりません。これが六カ月以上になるかもしれません。たまたま四カ月から七カ月、これが一万五千ほどあるでしょう。そして六カ月をこえれば退職手当を出す、六カ月未満なら何もやらない、こう言う。そうして、安易にどんどん退職手当を、法律があるから、制度があるからといって出す。逆に言うと、こういうずさんな会計は許されぬと思うのです。当然仕事をつくるべきです。六カ月やって三カ月その退職手当がもらえるという制度をつくっている。そうして本人はひとつもうれしくないのですよ。失業保険なら三カ月もらえるから、ひとつもうれしくない。そうして本人はほんとうの退職手当がもらえない。国は六カ月働かしたら三カ月退職手当をやる。こんなどこか抜けているような話がありますか。私は、その労働者の面から言っても、特別会計の意義から言っても、実にずさんだと思う。考え方が安易ですよ。この国家公務員等退職手当法十条というのは、そういうものに使うためにできておるのじゃないのですよ。これは本来再雇用が約束されるようなものに使うような十条になっているのじゃないのです。これは、たまたま入ってきたけれども六カ月以上の仕事がなくて首を切らざるを得ない、そこで、本来は失業保険がもらえるけれども、退職手当でいこう、こういう制度ですよ。本来、連続してこの十条が発動されて、そうして退職手当がどんどん国から出されるという仕組みじゃないのですよ。これにあなたのほうは便乗しておるのです。ですから、こういう制度に眠っているところに問題がある。一体どういうようにお考えですか。大臣でもいいですが……。これは両方の面から許されぬですよ。
  156. 田中重吾

    ○田中(重)政府委員 いまお話がございましたように、仕事をつくるべきだという御意見は、私ども先ほど申し上げましたように同感でございまして、そういう意味で、でき得る限り季節あるいは天候その他の自然条件に支配されないような仕事の仕組みに変えていって、でき得る限り通年的に雇用し得るように持っていく、そうすることによってまた処遇も改善をしていくという考えでございます。現段階におきますところの雇用の形態、これは先ほど申し上げましたような実態でございますので、そこで、国家公務員等退職手当法に基づいてその手当金が支給されておるということでございます。
  157. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 実は、これはあなたのほうのように長期の季節的な休業はないのですけれども、港湾労働者ですね、非常に波動性が多い。そこで、港湾労働者といえども、旧来はいわば休業手当のようなものは出ていなかった。ところが、どうしても、休業手当をやらないと、いわゆるあぶれ料をやらないと、労働者が集まらない。非常に波動性の多い企業ですけれども、これは何も経営者の責任じゃないのです。外が波があってしけたら、船は停泊しておっても品物は沿岸に持ってくることはできないのです。そういう場合だってある。しかも、これについてはそういう手当を出さなければならぬという答申がやはりなされておるのです。ですから、あなたのほうも休業手当にしてごらんなさい。これは、給料をやっておるのだという気持ちがあるから、一生懸命仕事を探しますよ。あなたのほうの部下でもいろいろ起案して名案を持ってきますよ。あなたのほうは、首を切っておるという気持ちがあるから、何もそんなに仕事を与えなくてもいいという安易な気持ちがある。まして、役所だから、しょっちゅう人がかわるのだから。ですから、この問題は、特別会計の面から言っても、雇用条件から言っても、こんなことは福祉国家を言う池田内閣のもとにおいて放置できないことですよ。これは、三万五千といいますけれども、その他月雇いとか日雇い作業員が二万六千おるわけでしょう。ですから、約六万人おるわけですからね。この点についてひとつ大臣の再度の考慮をお願いいたしたいと思います。御答弁を……。
  158. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 よく実態を調べて、考究していきたいと思います。
  159. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて多賀谷真稔君の質疑を終了いたしました。  次に、林百郎君。
  160. 林百郎

    ○林分科員 私は、まず最初に、現在非常に不安をかもし出しておる米の配給状態について農林当局からお聞きしたいと思うわけです。  米の需給関係が窮迫しておるということで国民が非常に不安に思っておるわけでありますが、それに対して、昭和三十八年度の米の需給関係について、大臣としてはどのような手を考えておられるか。こまかい数字は事務当局から聞くことにして、大臣としては行政上どういう措置をとられておるか、まずお聞きしたいと思います。
  161. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 三十七年、三十八年、端境期の繰り越し米というものがだんだん減ってきておりました。そういう関係で、昨年の端境期におきましても、古米の繰り越しが少なかったものですから、新米に食い込んでいる面がございます。でございますが、全体といたしましては、数字はあとから申し上げますが、政府の買い入れ米は昨年よりもふえているわけです。また、作柄もよかったわけです。そういうわけで、端境期における米の需給状況はいささか新米に食い込んでおるような状況であり、集荷が天候の状況でおくれたという状況から、端境期には少しどうなんだろうかという考えを持ちまして需給計画を立ててみたのですけれども、全体としての需給計画におきましては、政府で集荷した米も昨年よりも多いのであります。そういう面から見まして、不安ということはないと思います。  それから、配給面におきまして、徳用米、準内地米を配給米の中に加えました。こういう面が、配給を受ける消費者から見ると、米が不足のためにこういうものを入れたのではないか、こういう不安といいますか、懸念があろうかと思います。これは、作柄が非常に悪くて、五等米といいますか、そういうものが政府買い入れの中に非常に多くなってきましたので、いい米だけでの、内地米だけの配給では取り扱い上適当でないというので、徳用米、準内地米、こういうものを加えて配給の中に入れた、こういう形でございます。そういう関係から、何か主食であるところの米に不安があるように考えられている向きもございますけれども、私は、全体としては不安はない、ただ、収穫時の端境期になって少しずつ食い込むということに対しての対策というものは講じていかなくちゃならない、こう考えております。
  162. 林百郎

    ○林分科員 配給米の中へ、従来の内地米の配給量の中へ徳米あるいは準内地米を入れるようになって、実質的には大臣の言うおいしい内地米の配給が減ることになっているというのですが、それは従来われわれは一人月十キロと聞いておりますけれども、それが徳米が入ることによって、内地米の配給はどのくらいになるのですか。そしてどのような行政指導をなさっておるのですか。
  163. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 食料庁長官から申し上げます。
  164. 林百郎

    ○林分科員 大臣、つかんでおりませんか。あなた指導はどうしておるのですか、行政指導の大筋は。要するに純内地米の配給量がどのように減ったかということです。
  165. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その率は、ちょっと私いま覚えてないのです。それを指導したときには、量なども覚えておったのですが、いま覚えてないのです。ですから、ちょうど食糧庁長官がおりますから、その量等についてお答えいたします。
  166. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいま大臣からお話がありましたように、一月から十キロ配給のワク内に、従来ワク外にありました徳用米と準内地米を入れたわけでございます。多少補足して御説明申し上げたい点がありますが、実は十キロ配給というのは、一人当たりの購入の限度を示しておるわけでありまして、実際の受配量がどうなっているかといいますと、実際には約七キロ弱になっておるわけでございます。そこで、従来ワク外にありました徳用米あるいは準内地米につきましての取り扱いは、三十八年産米については、品質が総体的に低品位米がふえまして、いわゆる徳用米というのは五等以下のものでございますが、この割合が去年に比べて約倍くらいに増加するんじゃないかということでございます。また、逆に十キロのワク内にありましたいわゆる一、二等の特選米というのが総体的にことしは少ない、こういう関係がありますので、これは、やはり年々の等級別買い入れ数量の変動に応ずるほうが適当であるというふうに考えまして、これを十キロのワク内に入れるということにいたしたわけであります。  御承知のように、徳用米は、普通米の価格よりも安くしておりますが、この徳用米に大体準じたものが準内地米の取り扱いになっておる。そこで、徳用米をワク内に入れるならば、準内地米も入れるべきだということで入れたわけでございますが、全体といたしまして、この徳用米の量について申し上げますと、一般配給米の三十九米穀年度についての計画と、それから三十八年度についての比較をいたしてみますると……。
  167. 林百郎

    ○林分科員 いままでは純内地米を十キロだけは需要があれば配給してやったのが、準内地米や徳米が入るわけでしょう。そうすると、純内地米は十キロのいままでの基準に対して幾らになるか。率直に答えてください。そんなむずかしいことを言わないで。
  168. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは、さっき申し上げましたように、量から若いますと、徳用米は、全体の主食用の配給予定量約五百六十万トンに対してわずか約三十九万トンなんです。
  169. 林百郎

    ○林分科員 そういう総数はあとから聞くから、一人当たりの月の配給量を聞いておるわけです。内地米が幾ら減ったかということです。大臣も減らしたと言うのだから。
  170. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ちょっと補足説明をさしていただきます。  十キロというのは、一人当たりの配給限度でございまして、実際の受配量は約七キロ弱です。したがって、準内地米もあるいは徳用米もワクとしてその中に入れましたけれども、一人当たり幾らというきめは全然してないのです。パーセンテージとしては年間総売却量中わずか一〇%以内でございますから、ワクとして内地米を幾ら、あるいは準内地米を幾らというような割り当て売却をしておらないわけであります。ただ、その十キロの中に入れて、必要があればその準内地米も徳用米も配給し縛る、こういうことにしたわけであります。
  171. 林百郎

    ○林分科員 だから、従来なら月一人十キログラムのワクだったわけでしょう。それで、徳米や準内地米はワク外だったというのでしょう、大臣がそう言っているのですから。だから、それを今度ワク内に入れるとすれば、手持ちの準内地米と徳米を全部入れるとすれば、一人当たり十キログラムの中における純粋の内地米と準内地米、徳用米の比率は、何キロと何キロの割合になるかと聞いておるのですよ。
  172. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 量から言いましてどのくらいの割合になっているかということでございますが、ちょっと先生誤解があるんじゃないかと思うのですが……。
  173. 林百郎

    ○林分科員 かみ合いませんからちょっと……。こういうことです。大臣答弁からいっても、いままでは純粋な内地米が一人十キロほしければやる手配はしておいたというのですよ。しかし、いろいろの需給関係が若干窮屈になってきたから――若干だか大きいか知らぬけれども。だから、今度は十キロのワクの中に、幾らほしいといっても、必ずしも十キロ全部は内地米はやれないのだ、準内地米や徳米をその中に入れるようにしたというのだから、それじゃ十キロ米をほしいという人があったとして、その場合に、その中に純粋の内地米と徳米と準内地米はどのくらいのキロ数の比率になるか、聞いているのです。
  174. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 割合から言えば、先ほど申し上げましたように、十キロの中では、おそらく全国平均月一人当たりでは準内地米が約〇・一キロ、徳用米も約〇・四キロ程度だと思いますが、ただちょっと先生と食い違いがありますのは、結果的にどういう配給量になるかというのは、平均的なことなんです。ところが、いまやっておりますのは、十キロというのは一人当たりの購入の限度でございまして、人によっては七キロしか配給を受けてないし、あるいは五キロしか受けてないし、あるいは十キロ受ける。その場合に、何も基準というものがあるわけじゃありませんから、人によっては七キロ全部、十キロ全部内地米で受ける人もいるし、人によっては準内地米や徳用米をうんと受けるということにしておりまして、一人当たりの受配の限度は十キロでありますけれども、その内訳として幾ら幾らというふうな個人別の売却割当というものは、きめておらないわけです。ただ農林省が売ります場合に、そういうものをひっくるめて売りまして、人によっては、選択によって量は違ってくる。その平均的なものを言いますと、いま申し上げたような量になる、こう御了解願いたいです。
  175. 林百郎

    ○林分科員 だれが好んでまずい準内地米や外米がほしいなんて言いますか。みんなおいしい内地米がほしいと思うけれども、内地米がほしいといって、それじゃ十キロ単位にしますと――あなたの言うように、実質的には七キロも、いろいろあると思うけれども、実際は米の需要量がだんだんふえているわけです、あなたの言うように必ずしも十キロ取らないにしても。これはあなたは認められると思うのですよ。認めないですか。米の配給需要量というのはふえているわけですよ。それはそれとして、じゃ十キロほしいと言えば全部内地米をもらえるのですか、ほしいと言う人があれば。それが一つ。そしてその中に、ある人によっては外地米や徳米がまざるというのですが、それは人によってどう違うのです。私が配給所へ行くのとあなたが配給所へ行くのと、あなたは農林省の役人だから、十キロ全部内地米をやる、林さんは共産党だから六・八キロにして三・二キロは徳米だ、こういうふうに人の顔を見い見い分けるのですか。
  176. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 需要量がどうなっているかというお話でありますが……。
  177. 林百郎

    ○林分科員 いまの私の質問に答えてください。人によって違うというのでしょう。人によって徳米や純内地米をまぜるというのでしょう。どういう人にどうまぜるのですか。
  178. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 それは消費者の選択でございます。
  179. 林百郎

    ○林分科員 消費者が全部十キロ内地米がほしいと言えば、全部配ってくれるのですか。
  180. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 十キロというものについては、一人当たりの限度でありますので、政府の売却ワクの中で個人別の選択で十キロまで配給できれば、もちろん受けてもけっこうでございます。ただ十キロというのは限度でありますから、これは全部初めから十キロ配給するということをわれわれは考えておらないわけであります。事実また売却量というのは、先ほど申し上げたように七キロ弱ぐらいしかないわけであります。いわば十キロというのは、消費量のいまの実態から見ますと、まあ青天井と言っては語弊がありますけれども、実際の消費量から見るとはるかに多い数字なんです。そこで、十キロというワクの中においては消費者の選択にまかせる、こういうことになっております。
  181. 林百郎

    ○林分科員 そうすると、十キロという限度であるけれども、実際の需給関係が七キロですね。内地米は七キロの需給限度である、こういうわけですか。――それじゃそれはそれで聞いておきます。  それから大臣にお聞きしますが、昭和三十八年度は豊作であったといいますけれども、われわれの調査によりますと、三十七年度よりは減産だった。昭和三十七年度は大体千三百万トンの生産だったのですが、本年度は実績千二百八十一万トンだ。正確に言うと千二百八十一万二千トン。実際、昨年三十七年度より増産だったのですか、減産だったのですか。
  182. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 三十七年産はいままでで一番豊作でございました。一番豊作だったのは三十七年産米でございます。三十八年産米は豊作だったというのは、統計からいうと三番目でございます。ですから、三十七年産よりはずっと減っているわけであります。
  183. 林百郎

    ○林分科員 それから古米の持ち越しですが、古米の持ち越しは、三十八年度はどのくらいと予定していますか。
  184. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 われわれのほうは米穀年度で言いますが、三十八米穀年度の期末の政府持ち越し量中、古米は五万一千トンであります。
  185. 林百郎

    ○林分科員 三十六米穀年度の古米の持ち越しは、幾らだったのですか。
  186. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 三十六年度の期首持ち越しとして四十万トンでありました。
  187. 林百郎

    ○林分科員 三十六年度は古米の持ち越しは四十万トンであったが、三十八年度は六万トンであった、そういうわけですね。
  188. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 三十八年度期末は五万一千トンです。
  189. 林百郎

    ○林分科員 それから、その次に新米の早食いですが、これは三十八年度はどのくらいと予定していますか。
  190. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 三十八年度はもうすでに……。
  191. 林百郎

    ○林分科員 ことしは三十九米穀年度ですね。三十八米穀年度は九月までですね。
  192. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 いや、昨年の十一月一日から始まる、それが三十九年度です。
  193. 林百郎

    ○林分科員 あなたたちはそう計算するの。それじゃ三十八年の端境期の――だから暦年度からいえばことしになるわけですね。米穀年度でいえば三十八米穀年度になるが、もし計算のしかたが違ったら、それでいい。ことしの端境期の新米の早食いは幾ら予定していますか。
  194. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 約五十万トンくらいの見込みであります。
  195. 林百郎

    ○林分科員 三十六年度の新米の早食いは幾らだったですか、実績は。
  196. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 三十六年度におきましては十四万六千トン。先ほどから申し上げておる数字は、全部精米で申し上げております。
  197. 林百郎

    ○林分科員 精米にしても率は変わらないですからね。そうすると、あなたと私と――ことしの三十九年度の端境期は、三十八米穀年度でいいんじゃないですか。あなたは三十九米穀牛皮と言うんですか。
  198. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 去年の十一月一日からことしの十月までを私のほうは三十九米穀年度と申しております。
  199. 林百郎

    ○林分科員 それじゃもう一度聞きますが、先ほどの古米の持ち越しの五万一千トンですか、これは三十八米穀年度、これでいいんですね。今米穀牛皮の持ち越しでいいんですね。
  200. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 期首持ち越しはそのとおりです。
  201. 林百郎

    ○林分科員 それから新米の早食いというのは、三十九米穀年度の端境期の新米の早食い、そういうことですね。
  202. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 そうであります。
  203. 林百郎

    ○林分科員 それから精米にしまして、三十九米穀年度の最初の政府の予定の買い入れ計画と実際の見通しはどうですか。
  204. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは玄米でやっております。
  205. 林百郎

    ○林分科員 それじゃ、それでいいです。
  206. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 三十八年産米の買い入れ計画としては、約四千六百万石を見込んでおりまして、現在すでに四千五百六十万石をこえる進捗状況でございます。
  207. 林百郎

    ○林分科員 そこで、米の実費的な消費量についてですが、これは三十八米穀年度と、三十四年でも五年でもいいですが、年間一人当たりの数字が、私のほうの調査ではふえているわけですが、その数字はどうですか。
  208. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 消費量の調査ということにつきましては、いろいろの調査がありまして、総理府の家計調査で見た購入量から見た調査がございますが、それによりますと、総理府の家計調査では、三十四年度の七・九キログラムに対しまして、その後七・七、七・三、三十八年度は、十一月から五月まででございますが、七・一キログラムというところに下がっております。それから政府の売却壁が一人当たりどうなっているかということでございますが、これは三十六年度が六・一キログラムで、三十七米穀年度が六・八、三十八米穀年度が六・七と若干下がってきております。
  209. 林百郎

    ○林分科員 それは内地米だけですか、外米も入れてですか。
  210. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 内地米だけでございます。
  211. 林百郎

    ○林分科員 外米を入れたそういう数字は出ませんか。それは減っているんですか、ふえているんですか。
  212. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 家計調査では一人一年当たりで出ておりますが、三十四年が九十七・一キログラム、これに対して三十七年が九十・四キログラムというように出ております。若干下がる傾向になっています。
  213. 林百郎

    ○林分科員 そうすると、大臣にお聞きしますが、先ほどのように古米の持ち越し、それから新米の早食い、それから生産量の全体の減少というようなこともありまして、私のほうの調査の数字ですと、一人当たりの米に対する需要の要求量はふえているという数字が出ています。これは、やはり生活がきびしくなってきますから、カロリーがあって栄養のとれるものというと、とりあえず米が一番一般大衆、勤労大衆にとってはカロリー数があるということですね。漸次米の要求量がふえているということです。農林省のほうではそういう数字を出しておりますけれども、そういうことから、米の需要量は漸次ふえるし、本年度の需給関係については窮屈になるということで、行政指導として一人、月の配給量については六・八キロで――十キロのワクはあるけれども、六・八キロで押えるようにという行政指導をしているということをわれわれは聞いております。が、それが事実どうか。現に群馬具では、二月七日に、食糧庁配給のワクをふやしてもらいたい、三十九米穀年度は八万一千六百七十六トンほしいと言ったら、食糧庁では、需給事情が逼迫しているからこの要望にこたえられない。それから二月には、ぜひ五千六百九十五トンほしいということに対して、四千八百トンしかやるわけにいかない。差し引き約八百トン不足しているけれども、これはやむを得ない。食糧庁ではこういう指示をした。また、このために群馬県の警察のほうも、米不足で若干社会不安が起きるんじゃないかというようなことから、事実調査に乗り出している。それから長野県の場合は、松本市では配給量を約半分くらいにして、そして三カ年継続して配給を受けていない者に対しては配給をしない、こういうことが報告されておりますし、また農協の陳情としては、農協の保管料――保管米がどんどんはけるものだから、保管の手数料が昨年みたいにとれない、これに対して何とか保管料の値上げを要請したいという声もあるわけですが、こういう地方の実情からいうと、相当逼迫した状態にありますし、また食糧庁長官も、群馬県の県当局に対してはある指示をしているはずですが、こういうことをお認めになるかどうか。  それから米の需要については、御承知のとおりやみ米もあるわけですね。やみ米を買って食べているという者もありますから、そういう数字を入れても、日本国民一人当たりの米に対する要求量は、漸次減退しているというようにお考えになるかどうか、その点、この三つの点ですね。まず、十キロというワクはあるけれども、六・八キロに行政的に押えるように、そういうことを農林省として行政指導されたかどうか、その点を大臣にお聞きして、あと長官にお聞きしたい。してないならしてないでいいけれども、われわれはしているという確証を持っているんです。
  214. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 実際に七キロくらいがいままでの実績でありましたから、なるべくそれ以下くらいということに放出するといいますか、政府の米を放出しているという事実はあると思います。しかし、制限して少なく配給しろというような指導はいたしておりません。
  215. 林百郎

    ○林分科員 ちょっといまの点、わからないのですが、そうすると、実際は、実際の需要が七キロくらいだから、まあ七キロくらいにしておけという指示はしておるのですか。何もしていないのですか。ただそういう数字が出ているというだけなんですか。
  216. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 政府で売り渡しているのが、実際、実績が七キロくらいですから、だからそのめどで放出していればよろしい。配給を六キロにしろ、こういうような指示はいたしておりません。そういう行政指導はいたしておりません。
  217. 林百郎

    ○林分科員 そうすると、十キロのワクはあるけれども、実際の放出は七キロくらいになるんだ、そういう指示をしているというのですか。
  218. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 指示よりも、事実そういうことをしているわけです。
  219. 林百郎

    ○林分科員 大臣としては、何も米の需給関係については指示をいたしておらないのですね。それならそう聞いて、私は地方の県庁のほうにも言わなければならぬ。業者のほうへ……。
  220. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 配給量について、六キロにしろとかなんとかいう指令というか、指示はしておりません。事実上の問題として、実績上一人七キロくらいですから、それくらいの以下のものを政府のほうから放出しておるというか、売り渡しております。
  221. 林百郎

    ○林分科員 事実上その程度しか放出できないということですか。
  222. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 事実上そういうことをしている、こういうことであります。
  223. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほどお尋ねになりました第一の、一人当たり消費量が伸びておると見るかどうであるかという点でございます。やみ米を含めた全体の供給量のもとにおける一人当たりの消費量については、いろいろ統計資料がありますが、私のほうでいろいろそういうものを検討いたしました結果は、大体横ばいかないし微減である、こういうふうに考えております。
  224. 林百郎

    ○林分科員 やみ米も入れてですか。
  225. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 やみ米も入れまして。  それから第二点の、いまのお話で、六・八キロというふうに指示したかどうかという点でございますが、先ほど申し上げましたように、一人当たりの限度というのは十キロというふうになっておりまして、これはいま大臣からお話があったように変えておりませんけれども、従来とも実際に売却している量は、各県ごとに従来の実績等を見て食糧事務所で調整し目安を立てながら売却しておるわけであります。
  226. 松浦周太郎

    松浦主査 林さん、時間が大体……。
  227. 林百郎

    ○林分科員 一つだけでけっこうです。  それでは最後に、時間が参りますので、私、この質問で終わりたいと思いますが、私のほうの調査ですと、相当に米の需給関係が逼迫しておる。そうして、これは農林省からいただいた資料によりましても、ことしは外米が十三万トン、ある新聞では二十六万トン、スペインあたりからまで米を買うというようなこともありますから、これはそう楽観した状態ではない。それは農林省は、社会不安を起こしちゃいけないということから、いろいろの言いわけはなさるでしょうけれども、せめて国会くらいでは正直なことを言ってもらいたいと思いましたけれども、なかなか正直なことを言いそうもないから、いずれまた追及することにいたします。私は、実際は米が漸次生産が減っておる。実は私、きのうここの熊谷組の山形から来た農民の諸君と懇談をしたわけなんですが、大体山形の米どころ、庄内の米どろで、七分作だった、こういうように言っています。したがって、一町六反くらいの米づくりの農家が、みんなここへ十一月からことしの三月まで日当かせぎに来ているわけです。タコ部屋みたいなところにごろ寝して、みんな寝ているわけですね。その人たちにわれわれ聞いたわけなんですが、たとえば三反歩で十六俵しかとれなかった。これは、あるところでは半減であるというふうに言われておる。したがって、赤城構想でいっておる農業構造改善というような、農業の振興というようなものは、いろいろな要素もありますけれども、外国からの食糧の輸入というようなこともありますけれども、漸次米の生産をつぶしておるし、また、意識しているかいないか別として、むしろそれをつぶすような政策が強行されておるというように考えられるわけです。ということは、この農民の諸君の言うことには、こういうことを言っておりました。米づくりをして張り合いを持たせるようにしてもらうためには、まず肥料の値下げをしてもらわなければならない。米の値を幾ら上げてもらっても、他の税金だとか物価が上がっては、何の足しにもならない。肥料の値下げをしてもらいたい。それからガソリン税はぜひ引き下げてもらわなければならない。諸物価の値上げをしてもらっては困るし、ことに農機具を買ったために、農機具の金を払うために、われわれはこうやって半年も東京のこの高速度道路の仕事に来ておるのだ、こういうことを言っておるわけです。したがって、山形具の庄内の米どころの農民ですら、もう米作だけでは生活ができないということで、半年も女房と別れて――聞いてみましたら、正月には帰るければも、あとは帰らない。帰れば五千円くらいかかってしまうから、そんな金を使って女房に会いに行くわけにはいかない、こっちにいるというのです。そういう状態です。聞きますと、一日十二時間労働で、朝の六時から夜の六時まで、それで一日千二百円、二十五日稼働して約三万円くらいですか。このうち一日百八十円の食費、一枚五円のふとんで三枚十五円、一日五円の失業保険、こういうものをやりますと、半年働いて、どうしても十万円は家へ持っていけないと言うのです。こういう状態なんです。それで、村のほうは、あなた方みんな出てきていてどうしているのだと言ったら、消防団も婦人消防団をつくっている。青年団なんというものはない。青年はもう村にいてもしようがないから、仕事に出ている。せめてあのりっぱな国会議員の宿舎のあれだけの金を幾らかでも自分の村へ持ってきて、自分の村の道路でも川でも直すところへ使ってくれれば、われわれはわざわざ東京へ来て六カ月も女房と別れて仕事をしないでもいいんだが、ということを実感を持って言っておりました。私は、国会議員として責任を感じたわけです。大臣方は、米はやれ三番目の豊作だとかいろいろ言ってはおられますけれども、実際の米作農民のほうは、米をつくる意欲を相当喪失している。機械を買えば、その機械の金を払うために東京へ来て働かなければならぬ。それで、仕事をやってみますと、上から何か落っこってくるんではないかという心配を一番する。百姓はみな青天井で働いておるのだ。高速度道路のワクの下で働くから、何か落っこってくるんじゃないかという不安が非常にある。そうして技術を持っていないから、われわれはどうしてもスコップで土掘りやどろを運ぶ仕事しかできないのだ。それを一日十二時間やって六カ月も働いていれば、いかにがんじょうな百姓もからだが参りますということを言っていたわけなんです。そういう米作地帯農民の米の生産意欲を減殺していることについて、大臣としてはどういう施策をとって米をさらに増産することを考えておるか、また肥料の値下げだとか、ガソリン税の撤廃、引き下げ、あるいは農機具のための資金の償却については、どういうように考えておるかということをお聞きしたい。一町六反から二町、多い人は二町八反くらいの、村へ帰れば当然農協の組合長かりっぱな顔役のような人までが来て、このオリンピック工事について働かなければならないような状態なんですが、こういう状態に対して、農政の式年を持っている農林大臣は、どういうふうにお考えになっているか、これを最後にお聞きしておきたい。
  228. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 それは、働いている人の話を聞いて、それもまあ一つの参考でございますが、それを基礎として結論を出されているようでございますが、米作地帯は、米の値段がよかったもんですから、わりあいにいいのです。ふところは大体いいのです。ただ、御承知のように、いま単作地帯ですから――その前にちょっと申し上げますと、山形、秋田、青森あたりでは、いもちで非常に収穫がなくて、天災融資法を適用したところがございます。そこで、米作をやめるというようなことを言っているわけではございませんで、いまお話しのように人が足りない。ですから、私は、省力栽培といいますか、耕地を集団化したり、あるいはまた機械化したり、その他において労働力が少なくともやっていけるような方法で米は増産していく、こういうことを考えているので、米作をやめるとか、そういうことは方針として持っておらないわけであります。  それから、いまの六カ月も出ているというのは、まことに気の毒でございますが、大体御承知のように、農閑期ですから、外へ出て働こうというような意欲は、これはあると思います。生活面のこともございましょうけれども。  そこで、肥料をということでございますが、硫安系統、アンモニア系統は毎年々々下げてきました。ほかの物価は上がるのに、肥料だけは下げてきたのですから、これは非常な値下げをしたと同じでございまして、硫安、アンモニア関係は決して上がっておりません。毎年下げてきているわけであります。  それからガソリン税等につきましても、この間から問題がありましたが、私はやはり農業機械に使うガソリンは免税にしたらよかろうと思っているのですけれども、これはいろいろ徴税上困難だということで、実現しません。しかし、実現しなければ、そのかわりに、いま目的税として道路にこれを還元しているわけですから、農業用道路あるいは農業改良資金にこれを充てていこうということで、予算前にもそういう目標で折衝いたしましたが、これもいろいろの関係で実現はできませんでした。農業用道路に還元してもいいというので、建設大臣なんかはそういう意見で進めておったのですが、結果においてはできない。そのかわりに、それに該当するぐらいのものを改良資金のほうに回し、金をつける。あるいは農道とか、林道とか、そういう関係予算面でそれに見合うようなものをつける、こういうことが裏づけになっているわけでございます。でありますから、直接には還元したというようなかっこうでございませんけれども、還元しているような結果には一応なっておりますが、もっと直截的にしていきたいという考えをいまでも持っております。  農機具の金でございますが、これは近代化資金か何かで何年かに払えるような形でやっております。二面においては機械化貧乏というようなこともいわれているが、機械は使っても使わなくても、地方の青年あたりは買いたいという希望を持っております。しかし、これにつきましては、金融面の裏づけをいたしております。ただ、よけいなことですが、同じく機械を使うといっても、工業機械なら年がら年じゅう稼働しますけれども、農業機械というものはある時期しか稼働できません。相当休んでいる。こういうことですから、機械の償却費というものも、非常に高くつくわけです、長く高くつくわけです。農業においてはそういう実態でございます。それにいたしましても、金融面において機械を買う金を回している、こういう手当てをしております。
  229. 林百郎

    ○林分科員 大臣、そこで、これは質問でなくていいのですが、こういうことです。大きく分けて、わざわざ山形県あたりから東京まで出かけてきて――それは兼業農家がふえていることはわれわれ知っておりますけれども、女房と六カ月も別れて仕事をするということは、幾ら農業外の仕事の意欲があるといっても、これは家庭の破壊じゃないですか。そういうことでなくて、同じ労働の意欲があるにしても他の方法、少なくとも家庭の生活を甘みながら農業外の仕事のできるような、そういう施策を講ずる方法は考えてないかどうか。  もう一つは、そういう季節に流れてくる労働者は、普通の労働者と違って、労働組合があるわけでないし、低木的な労働権が保障されているわけではないわけです。そういう行に対する社会保障だとか民主的な権利をどう守っていくかというその二つをお聞きしたいと思うのです。連中はいかに労働の意欲があるからといっても、半年もこんなところに来て家族と別れて働いているということ、それを労働意欲があるからいいことだなんということは、それは冷酷な話ですよ。あなた半年も女房と別れていてごらんなさい、どんな気持ちになるか。
  230. 松浦周太郎

    松浦主査 私語ですか、正式に聞いたんですか。
  231. 林百郎

    ○林分科員 じゃ正式に聞いたことにして答えてください。
  232. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 半年来ているからいいということを申し上げたわけでありません。そんな酷なことを言ったわけじゃない。ただ、農閑期ですから出てくるという慣例はある。しかし、ことしはあの地帯等において、いもち病などがありましたから、こういうことで収穫もなかなか少なかった、こういう関係もあるでしょう、こう言っただけで、そのことがいいとは申しません。  どういうような対策を講ずるかといったら、やはり地方に事業を起こすということです。道路工事なんかが非常に多く行なわれている。これは、山形県でも相当奥地でも道路工事なんかいまやっているはずです。そういう賃金収得の機会と言いますか、そういう機会を与えることが必要だと思います。あるいは農業そのものがそういうところに出なくてもやっていけるようなことになると非常にけっこうでございますけれども、そういう面を考えていくべきだと思います。また、事実いろいろな事業等も地方に分散しておりまするし、ことに道路工事なんか農閑期において最も適当な事業だと考えております。それなしにまた農業だけでやっていければ、それに越したことはありません。そういう方法を講じていきたいと思います。
  233. 林百郎

    ○林分科員 もう一つ、季節労働者の身分的な権利の問題ですね、それをどう保障しますか。
  234. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 やはり社会保障制度といいますか、雇用制度の中において生理休暇でもできるような……。
  235. 林百郎

    ○林分科員 男の生理休暇を与えるんですかね。
  236. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そういうことを講じていかなければならないと思います。
  237. 林百郎

    ○林分科員 そういうことを行政的にやるわけですか。思うことはけっこうですけれども、月に何回かは有給休暇で帰す……。
  238. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 社会保障、雇用の安定について政府としてとり進めていきたいと思います。
  239. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて林百郎君の質疑は終了いたしました。  次は玉置一徳君の質疑に移ります。
  240. 玉置一徳

    玉置分科員 大臣もお急ぎらしゅうございますので、なるべく早くやりたいと思いますが、前の方がいままでかかりましたので、これから始めます。  私が質問をいたそうと思いまするのは、暖冬異変による野菜に天災融資法の発動ができるかできぬか。あるいは価格安定資金制度に準用してこれを取り扱って救ってあげる気持ちがあるかどうか。それから和牛の生産の振興をどういうふうにお考えになっているか。その次は、山林労働者と申しまするか、山林従事者に対して林業基本法においてどう考えておいでになるか。養鶏の関税をすみやかに上げなければ、チキン戦争で日本の養鶏が追いやられるのじゃないかということ。自動耕うん機の取り扱い、免許の問題。これだけをお伺いしたいと思いますが、急行でなるべく一問一答を避けましてやらせていただきたいと思います。
  241. 松浦周太郎

    松浦主査 簡潔に願います。
  242. 玉置一徳

    玉置分科員 ことしは暖冬異変によります野菜の被害というものはばく大なものがありまして、福岡では農民全部が決起して、ついに冬季野菜四千五百トンの廃棄をした。その他各地におきましても同じような被害を生じておるわけでございます。農林省の当局にお伺いしますと、天災融資法は天候異変によって損害を受けたやつでないとだめなんだ、こういうことですが、これは当然天候の異変によって――寒くなるだけが天候の異変じゃなくて、あたたかくなるのも天候の異変ですから、同じことが言えるのではないか、こう思うのです。たとえば大阪市場の価格を見ますと、昭和三十八年の一月中旬に大根がキロ当たり十七門でありましたものが、ことしは七円でございます。白菜十五円が四円であります。カンラン十五円が六円でございます。ホーレンソウ五十八円が二十八円であります。こういうように三分の一ないし四分の一に下がっておる。これは包装代と運賃を払ったらゼロという数字なんです。三分の一や四分の一に下がったのじゃなしに、農家の所得はゼロということが言えると思います。こういうような意味におきまして、各地の農民諸君は、冬のたった一つの収入でございますこの野菜を全くそこらここらで放棄せざるを得ないような現状にありますについては、その生活資金なり次に営む農業の営農資金が要るわけでありますから、私は、先ほど申しましたように、寒いやつにやられたり、洪水でやられたら、天災異変によるわけだけれども、あたたかいのでやられたら天災異変じゃないという言い方は、あまりにも酷じゃないか。どうしても天災融資法を発動してあげていただきたい。京都府で約三億ないし五億円の被害と見られます。   〔主査退席、仮谷主査代理着席〕 大体京都府の農産物を百倍しますと、いつも全国の農産物の類推ができるわけです。そういうことになりますと、三百億ないし五百億円の収入減ということが考えられますについては、当然天災融資法をいままでの経験からいっても発動していいんじゃないか。もしそれ、これができないとすれば、せっかく価格安定資金制度で関東地方のほうはお守りいただいておりますが、関東地方のほうの価格安定資金制度の関係で、あまりたくさん来たんでは関東のほうの価格安定資金がつぶれるから、それ関西へ出せというのでどっと送ったようなふうに関西の者は全部承知しております。そういうように話はなっておるわけであります。そういうような点から考えても、天災融資法の発動ができないのならば、せめて個々の価格安定資金制度に準じました緊急措置などとってあげなければ、これはやむを得ぬのだ、泣き寝入りせいというのでは、あまりにも被害が大き過ぎるのではないか、かように存じますが、農林大臣の御所見を承りたいと思います。
  243. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 野菜の値下がりに対する打撃が非常に大きいことは、お話のとおりに承知しています。ただこの被害が、あるいは気候のせいによって直接被害を受けて野菜が全滅したとかというような直接の因果関係を持っておるということではございませんので、天災融資法の適用ということは非常に困難であると思います。しからば、どういう対策を講ずるかということでございますが、恒久的な対策はいろいろ考えておりますけれども、なお、緊急的な対策についてどういうことかというと、いま対策は持っておりません。持っておりませんが、よく考えてみたいと思います。なお、事務当局から、あまりりっぱな対策でないかもしれませんが、いろいろ考えておること等を申し上げます。
  244. 酒折武弘

    ○酒折政府委員 当面の対策といたしましては、御承知のとおり、現在出荷調整協議会といったようなものをもちまして、そして出荷調整をやっております。それから京浜地区につきましては、先ほどお話のありましたように、価格安定制度による値下がり補てん金の交付をやっております。しかし、これは非常に範囲が狭くて、全般的に及んでおらないわけでございます。したがいまして、来年度の問題といたしましては、京阪神地区とか名古屋地区についても、価格安定制度を拡大したいと思っております。現在の価格の値下がりには間に合わないという状況であります。しかし、非常に気の毒な状況であるということで、いろいろ対策を検討しておりますが、とにかくいろいろなことを考えてみましても、いずれも急場の間に合わないようなことばかりでございまして、いまのところは出荷統制を強化すること以外にないと思います。
  245. 玉置一徳

    玉置分科員 農林省事務当局にこんなことを聞いても無理だと思います。大胆がどんなようにお扱いになる決意があるか、その決意を承りたいと思います。いまの字句に当てはまらぬからこのまま泣き牧入りさせるのか、何とか窮状を救ってやらなければいかぬというので対策を考えるようにお命じになるのかどうか、決意を承りたい。
  246. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 再建に必要なる金融価というようなことにつきましては、十分考えてやらなくちゃいかぬと思います。
  247. 玉置一徳

    玉置分科員 なお、これにつきまして将来白菜、カンランだけじゃなしに、野菜というものは果樹等に比べますと非常に普遍的であり、総量、総金額もばく大になると思います。これの価格安定制度につきまして将来どういうような方向でお考えになっていくか、ひとつ決意を御表明いただきたい。
  248. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 野菜につきましては非常に価格安定をやっていくのにむずかしいと思います。でありますので野菜の種類等につきまして、カンランだけ安定法に入れていくということにしましたけれども、なお種類をよく検討いたしませんと、どれを持っていくということはいま申し上げられませんが、できるだけ拡大していくという気持ちで進めていこうと思っております。
  249. 玉置一徳

    玉置分科員 非常に不満足ですが、時間がございませんのでこの問題はこの程度にいたしまして、次に山林従事者の問題でございますが、御承知のとおり、山村に参りましても一般の農家と同じように後継者を得ることが困難になっております。したがって、植林はどんどんされていくのでありますが、四十歳以下の山林労務者と申しますか、山林従業者が非常に少なくなってきている。あと十年、十五年いたしますと、りっぱな樹木はできますけれども、これを切り取るのには、いかに近代化いたしましても、あの山林のことでございますので非常に困難になる、かように思うのでございます。したがって、今度林業基本法をおつくりになりますときに、ひとつこの山林事業に従事しながら残りは農業に居ついておいでになる方々に社会保険その他の配慮をぜひとも考えていただきたい、かように思うのですが、農林大臣の御所見をお伺いしたい。
  250. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 国有林野等に働いておる人々は季節的なものですし、先ほども再々お話がありましたが、年じゅうを通じて雇用されないという不安もあります。またその不安ばかりでなく、農業もやっているのですから、年じゅうでは困る。山へ入る期間もあるし、自分で農業をやっていく期間も必要でございます。そういういろいろな事態に対処して雇用の安定と言いますか、あるいは社会保障的な制度を拡充していかなければならぬ、こういうことはぜひ考えて進んでいきたいと考えます。なお、山村等につきましても構造改善をいたしまして、農業面におきましても、あるいは山村民といたしましても、よくやっていけるような方途も考えていこう、こう考えております。
  251. 玉置一徳

    玉置分科員 私は、主としてお願いしておるのは、政府の管掌の山林じゃなくて一般民間の山林に従事する農家の方々でありますが、私のほうの皆さんにお伺いするところによれば、何とかして退職手当その他のあれを、業者は業者の方々、労務者は労務者の方々が相ともにそういう協議会なり何なりをつくってやっていけるような制度も政府のほうでお考えをいただきたいということを申しておりましたので、つけ加えておきたいと思います。  次に進みまして、肉用の和牛生産の振興対策についてでありますが、和牛の生産飼育に対する大臣の所信をお伺いするわけでありますが、わが国の産業振興に伴いまして、一般国民の生活が向上しますとともに、食需要が著しく水準を高めてまいったわけであります。したがって、食肉の消費量も年々非常な伸びを示しておりますが、この傾向は、現在の国民生活の構造や、社会経済情勢の著しい変化のない限りは続いていくものだ、かように存じます。そこで、このような消費量が増加いたします牛肉の給源であります和牛の生産がはたしてこれに追いつくかどうか。御承知のとおり、和牛は昔から役肉兼用の形で日本では伸びてまいりましたが、自動耕うん機その他の普及に伴いまして、ほとんど年々減少を見つつあるんじゃないか。統計では、ここ若干横ばいのような形を示しておりますけれども、減少する傾向はいなめないと思うのです。酪牛に関しましては非常に日の当たる、目下成長株でやかましくいわれますが、その陰に隠れまして、この必要な和牛の生産につきましては一向どこも騒いでおらない。いまに至って思い切った振興対策を講じなければ、この需要に追っつかずに、輸入をどんどんせざるを得ないようなところへ追い込まれるおそれがあると思います。これの問題につきまして、経営形態をどうするか、いろんな問題についてお伺いをいたしたいのでありますが、ただ一点、この和牛の振興対策についてどのようにお考えになり、あるいは振興対策を樹立して思い切ってこれまた増産対策をどのようにお考えになるか。それと和牛の輸出、すき焼き牛その他の輸出ができ得るはずでありますし、この問題は若干農林省でお考えなすっておいでになると思いますが、和牛の輸出対策について、どういうような方向でいま手段を講じておいでになるか。この点につきましては、大臣からは御方針を、当局からは若干具体的にお答えをいただければしあわせだと思います。
  252. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 玉置君に申し上げますが、大臣の約束は六時半ですから、先に大臣質問してください。
  253. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 役牛が、機械化されましたから、お話のとおりほとんど少なくなってきています。でありますので、肉用と兼ねることがだんだん横ばいで減ってくる傾向だと私は見ております。しかし、日本の肉牛というものは国際的にも非常に珍重されておりますし、国内でも需要がふえております。そういうことでございますから、やはり肉牛については適地にこれを奨励するという方針を進めていく、こう考えております。  輸出の方面につきましても、御承知のように、日本の肉が世界的だと外人なども非常に言っておりますから、需要も非常にふえる見込みであります。その輸出の態勢も整えてきておりますので、これも近く緒につくであろう、こう思っております。こまかいことはまた畜産局長から申し上げます。
  254. 玉置一徳

    玉置分科員 そこでひとつお願いをしておきたいのですが、東北、北海道を除きまして、国有林の開放がありましても、とうてい草地に適切なところを見つけるのには、それから以西には少ないと思います。そこで一つは、民間の林野でございましても、里近いところの、所有権は関係ありませんが、中へ放牧さしていただくような地役権と申しますか、それに似たものをお考えいただくわけにはいかないかどうか、お答えは要りません。  それからもう一つは、河川の裏表の膨大な草地であります。私は数字を持っておりますのですが、この間建設省の直轄河川並びに準用河川の堤防の草地面積を調べたのでありますが、これの活用いかんによっては、かなりの草地ができるのではないか。こういう点もひとつお考えいただいて将来政策をお立ていただければ非常にしあわせだ、かように思います。  次に養鶏につきまして、いろいろお伺いしたいのですが、ただきょうは時間がありませんので一点、チキン戦争の状態はどうなっておるのか、さして日本の養鶏を圧迫していないかどうか。それから私が武田食品工業の養鶏の研究室に行って調べたところでは、ブロイラーですが、やはり一〇%の関税を二〇%にしていただかなければ、一般農家のおやりになっておるやつは採算が割れるでしょうというのが、調べました結果でありますが、これをすみやかに二〇%にお引き上げになるのかどうか、これにつきまして大臣の御所見をお伺いしたい。
  255. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 養鶏関係にアメリカのブロイラーが影響なしとは私は見ておりません。ヨーロッパ等ではこの問題が大きく取り上げられました。影響ないとは考えられませんが、日本におきましても、ブロイラー的な産業を進めていく、こういうことが必要であろうと思いまして奨励しておるわけでございます。同時に、いまお話しの関税率でございますが、一〇%から二〇%に一応上げておく、こういう方針で法案も提出したか、するかになっていますから、御審議願いたいと思います。
  256. 玉置一徳

    玉置分科員 最後に大臣に一点、一番大切な飼料の問題は御質問があったかと思いますが、飼料の需給安定のためにどういうようなお考えをお持ちになっておるか、お伺いしたいと思います。
  257. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 自給飼料を増すということ、及び濃厚飼料等におきましても日本において生産を進める。輸入飼料の量はできるだけ少なくしたい。また、その価格等につきましても需給安定法に基づいて手を打っていく。大きな考え方からいえばそれだけでございます。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕
  258. 玉置一徳

    玉置分科員 非常にむずかしい問題でありますので、ひとつ御精励御恪勤いただきますことをお願いいたしまして、農林省の方々の御質問を終わりまして、自動耕うん機について、警察庁のほうにお願いしたい、こう思います。  おそくなりましたので一点だけお伺いしまして終わりたいと思います。  自動耕うん機の免許についてでありますが、農業の機械化に伴いまして、自動耕うん機の普及は百万台突破というのはすでに数年前でありまして、今日では農家の荷車であり、リヤカーであり、すでに農家の生活に溶け込んでおるわけであります。この必需品になりました自動耕うん機でありますが、御承知のとおり農村では青年諸君がだんだん離農いたしまして、お残りになってお働きになっておる主力は、やや年配者であり、御婦人になってきておるのは御承知のとおりであります。このように考えてまいりますと、御婦人や年配者にも簡単に乗れるようになっておる機械であり、しかも自分の田畑に行くその途中の道すがら往来を行きかうだけであります。順法精神というような点から考えまして、皆さんに免許を必ず取っていただくというようにしようと思えば、この使用の実態に応じた免許制度でいいのじゃないか、またそうでなければならないのじゃないか、こういうように考えるわけであります。しかるに現在は軽免許、こういうむずかしい試験を受けなければ、これに一応正式には乗り得ない、乗って動かすことができないという制度になっておるわけです。  それで、昨年八月の四十三国会におきまして、警察庁の方に来ていただきまして、私は農林委員会でお願いをしたわけであります。そこで、道路交通法の改正のときまでとりあえず一種の限定免許にして、軽免許ではあるけれども、そのものだけ運転ができる、ほかのものは運転ができないという形にして、試験制度はなるべくやさしくいたします、こういう冨永政府委員の御答弁であり、また近く行なわれる道路交通法の改正には、必ずこれの基準の低下と申しますか、試験をうんとやさしくするようにいたしましょう、こういうような発言でございましたが、道交法はいま検討されつつあるように考えますし、近く国会にも提案になるのじゃないか、かように思いますので、目下作業されておる段階におきまして、この自動耕うん機をどのようにしていただいておるか、またそのお考えはどうなのか、ひとつ高橋交通局長のかわりに免許課長からお答えをいただきたい、かように思います。
  259. 藤森俊郎

    ○藤森説明員 農耕用作業自動車の取り扱いにつきましては、その免許面でただいま御指摘がございましたような事情がございますことは、私どもも十分承知いたしております。昨年以来、ただいま申されました御趣旨に沿いますような運営をある程度いたしてまいったわけでございます。今回、私ども道路交通法の一部改正の法律案の準備作業中でございますが、その中で、先ほど申されました御趣旨の中で法律的な改正を要します点は、その中へ組み入れますようにいたしております。  内容的に申しますと、これも準備段階でございますので、その段階におけるものということを御承知おき願いたいと思いますが、現在の農耕機を運転いたしますためには、農耕機が軽自動車の中に入っておるわけでございます。これを軽自動車からはずしまして、また免許面におきましても、これを軽免許からはずしまして、独立の免許形態をつくりまして、その内容は、程度を現在よりもぐんと下げたものにいたしたい、かように思っております。その下げ方と言いますか、その内容につきましては、ただいまのところ技能試験がはたして必要であるかどうか、これを省略できるものかどうかという点を最終的に検討をいたしております。この場合、それを省略できるといたしますならば、省略いたした場合出てまいります、予想されるような道路上の危険が一体どの程度なのであるか、もしそれがある程度あるとすれば、どういうふうなそれにかわる措置考えなければならないか、こういうふうな点を最終的に詰めるべく準備をしておる段階でございます。
  260. 玉置一徳

    玉置分科員 そうすると、結局、技術試験の免除をでき得るかどうかという御検討をいただいておる。そうすると、学科試験のほうはこれまたどういうような程度に下げていただけるか。
  261. 藤森俊郎

    ○藤森説明員 法令の試験につきましては、問題はその内容を実態に即しましたように、農耕機が道路に出ました際に自分の危険を避けるためと、それが道路交通の妨げにならないようにすること、あるいはそれが他の車両の事故の原因にならないようにすること、そういうふうな点を中心にいたしまして、その利用者の層も考えまして、できるだけ妥当な内容のものをつくりたい、かように考えております。これは、法令の改正といったようなものを必要といたしませんので、内容的な問題として昨年来検討は続けておりますけれども、さらにその点の検討を掘り下げまして実情に即したものにしたい、かように考えております。
  262. 玉置一徳

    玉置分科員 最後にお伺いいたしますが、そうすると、それは法令の改正を伴わずに、試験の内容の、何と申しますか、程度の問題であるということだと思いますが、今度道路交通法の一部改正は大体いつごろに固まって国会に提案されるような運びでございますか。
  263. 藤森俊郎

    ○藤森説明員 私どもは提案されますのが三月の上旬、中旬くらいになってもいいように準備を進めております。
  264. 玉置一徳

    玉置分科員 そのことは、できれば四月一日から実施ということですね。
  265. 藤森俊郎

    ○藤森説明員 その時間的な見通しにつきましては、私ちょっとわかりかねますので、その点は御容赦いただきたいと思います。
  266. 玉置一徳

    玉置分科員 終わります。
  267. 松浦周太郎

    松浦主査 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十二日午前十時より開会し、通商産業省に対する質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十四分散会