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池田国務大臣 お話しの点は、出てきた
数字をすぐそれのままにおとりになりまして……(加藤(清)
委員「いや、私は具体的に持っている。」と呼ぶ)そして、その
数字の下に、底辺に何があるかということをお
考えいただきたいと思います。中小
企業の危機ということが一番叫ばれたときは、
昭和二十五年の三月危機でございます。それは、
昭和二十四年のドッジ政策によりまして非常なインフレを急激にデフレ政策に持っていった結果であるのであります。
昭和二十七年ではございません。
昭和二十五年でございます。
昭和二十七年ころはそうたいした問題はなかったと思います。そうしてまた、先ほど来
数字をお並べになりましたが、
昭和二十七年の百七十余に対していまが千七百何ぼだから、こうおっしゃいますが、大体破産をした、倒れたという会社の数はどうやってとるかということを見ますと、これは
資本金じゃない、一千万円以上の負債で倒れたのを見ておるのであります。そうしますと、
昭和二十七年に比べて十倍になったといっても、これは通産大臣が言っているように、実際の及ぼす影響は、不渡り手形の数でいけば
——いま言ったように、割合からいけばそうふえていない。しかし、つけ加えましたように、こっちは決して油断はなりません。ただ、いまが
昭和二十七年の十倍になっておると言っても、
経済規模が変わったということを一応頭に置いていただきたい。これが第一点。
それから第二点は、
昭和三十四、五、六と、これは件数が千百くらいであります。これは三十四、五、六は非常な好景気のときでございます。みんなの
所得がふえたときでございます。そうして三十七年に千七百八十件、三十八年に千七百四十件、まあ少し減っているのですが、これはいわゆる景気の調整期であるのであります。景気を調整したら政策の変更じゃないか、これは、全体の
日本の
経済を健康を続けさすための措置でございまして、やむを得ない措置。だから、倒れていく人の数はできるだけ少なくするようにいろいろな
施策を講じなければなりませんが、
経済の動きというものはそういうふうなものなんです。
そこで、巷聞伝えられるように、引き締めとか、公定歩合とか、いろいろなことを言っておりますが、
経済の
実態を見て、そうして非常に倒産の起こらないようにほどほどに
——前向きということでいくというのは、そういうことなんです。
そこで、あなたが御質問の、開放
経済に向かっていくから、そういう政策をとるから中小
企業の倒産が多くなった、こうおっしゃいますが、それは一つの手かもわかりません。しかし、開放
経済は、これはわれわれとして当然
日本全体のためにいかざるを得ない。だから、そこで破産を少なくすることは当然。あなた、はよく御存じと思いますが、こういう三月危機とかなんとかいうときに、どの業種が一番多いかというと、繊維関係が多いのでございます。なぜかというと、繊維関係はわりに思惑がしやすい。
日本には非常に強い力を持っております十大紡、あるいは新紡、新々紡等、また化繊のほうにつきましても、世界超一流の力を持っております。超一流の力を持っておるだけ、それだけみんながやりやすい。思惑をするのは繊維に限ったとは申しません。わりに昔から繊維関係が多い。そこで、あなたの近くの名古屋方面にはそれが出ておるのですが、これは、開放
経済に至ったからその当然の結果だと一がいに言えません。繊維関係はそれが多い。かてて加えて、暖冬異変というものを繊維関係が一番受けておるのであります。しかも、いま言ったように、一億円の会社で四十億円の借金というものは、これは中小
企業と言い得るかどうか、なかなか問題でございます。しかも、大蔵大臣が言ったように、信用組織が非常に広がっておりますから、一犬ほえて万犬これにことうというふうなことになってまいります。そこでわれわれとしましては、そういう
事情がございますから、景気調整その他につきましても、金利の問題につきましても、大蔵大臣は細心の注意を払ってやっておると思います。だから、十年前と
数字だけを比べるよりも、
実態をよく見ていただきたい。そこで私は、直接その衝に当たっておりませんが、繊維関係中心が多い。そうしてまた、開放
経済に向かう場合に、
相当の思惑があったと思います。これはやはり人間の欲でございます。そういう点は認めなければなりませんが、しかし、それを指導するのはだれかと申しますと、
政府もさることでございますが、やはり金融機関が大切なんでございます。だから、私は大蔵大臣のことばを聞いて非常に安心しておるのですが、大体一億円の会社に四十億円も融資するというふうなことは、健全な銀行家としてのたてまえかどうか、しこうして、それがそういうことをやった場合において、いかないからといってすぐ手を引いてしまってあとは見捨てるということは、正常な、りっぱな金融象の態度であるかどうか、そういう点につきまして、十分これから調べるということを大蔵大臣は言っております。そのとおりのことでございまして、
実態をよく調べまして、一々の
数字とか一々の事象でなしに、何がこういうことをもたらすかということを十分
検討いたしまして、対策を講じなければならぬと思います。