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石野委員 総理に私は最後に申し上げたいのですが、中国問題に関して、
総理は、歴史を
考えて、中国の人民がいることを頭に置いて、自主的な態度で
国民の利益を守るためにどういう態度をとったら
世界的に認められるか、当座の利益ではなく、長きにわたってわが国の利益のために広い、高い、強い態度で臨むと、こういうふうにきのう御答弁なさいました。これはまことにけっこうなことです。私は、
総理がいつも言う自由主義諸国間の二本の柱であるという
日本の国の
総理大臣として、
池田総理は、
日本と朝鮮との平和的な友好
関係、外交
関係を確立するために、謙虚にこの三十六年間のわが国が朝鮮に与えた植民地的支配の帯痛を反省し、それを清算する
考え方を基礎にして、朝鮮問題の外交
施策に当たらなければいけないのじゃないか、こういうふうに私は思っております。長いきょうだい的な友好
関係を持っておる
日本と朝鮮との
関係を、今日の事態から一日も早く平和的、友好的に改め直さなければならぬ責任が、多分に
日本の側にあるというふうに私は
考えております。
総理は、こういう
考え方に対してどういうふうにお
考えにたっておるか。ポツダム宣言、全面降伏、そして平和条約——この平和条約というのは全面講和ではないので、いろいろと国際間の問題を未解決のままに残しておりますけれ
ども、とにかくその条約の第二条は、朝鮮の独立を
日本国が承認することを
規定しております。朝鮮と
日本との外交
関係は、独立した朝鮮との間に互恵平等、善隣友好のもとに行なわなければならない。ところが、朝鮮は
日本に従属したという事実のために、この戦争の終末期におきまして、連合国によって二分された形になった。そういう形で解放されたのです。五年以内に南北が統一するという手はずになったところのものが、不幸なまま現状に立ち至っておるのであります。戦後二十年に及ぶ今日までそれが続いておる。朝鮮人民は、自分
たちの意思でこれを二つに分けたのではないのです。
日本の長きにわたるところの支配の結果として、そのように二つに分けられるような事態になっておると見なければいけないと思います。
日本は、朝鮮の独立に協力するという外交をとらなければいけない、その道義的責任があると私は思う。これは謙虚に
考えるべきだと思うのです。そのためには、この南と北とに分けておる三十八度線というものを一日も早くなくすように、積極的に協力する、妨害をしないようにする
義務が、私は
日本にあると思うのです。私は、
池田総理や、あなたの党の皆さんとは意見、
考え方を異にするところがございます。しかし、朝鮮民族が二つに分かれている現実を悲しみ、これを一日も早く
一つにしようとすることに対しては、きっとあなた方の同感を得られるだろうと思うのです。
日本の外交は、アジアを軸にして
世界の平和に寄与せねばならぬと思います。そして中国と交わり、朝鮮と結ばねばなりません。そのためには、外交の上で朝鮮の統一を妨げることのないように、むしろ協力すべきであると私は思うのです。日韓会談は、こうした重大な
日本の外交の道を誤らせます。南と北とはいま二つに分かれておる。サンフランシスコ講和条約でいう朝鮮の独立というものは、そういうことを予想していないのです。私は、まず、
日本の
政府は、この統一に協力するようにしなければいけない。日韓会談が少なくとも朝鮮の統一というものに対して妨げになるということになるならば、これはやめるべきだと私は思います。
総理は、そういう立場で全朝鮮との平和条約を結ぶようにすべきです。いまの南朝鮮は非常に
政治的にも、
経済的にも、
社会的にも
混乱をしております。そういうところに
日本人の膏血をしぼった税金を持ち込むということをしないで、朝鮮が統一した後にやっても決しておそくない。むしろそのことのほうが、
日本と朝鮮との友好
関係、アジアにおけるところの平和を確立する上において、非常によいことだと私は思います。
池田さんは、資本主義諸国における三本の柱の国の
総理大臣だそうです。大宰相としての自負心を持っておられると思う。あなたが行なうところの今日の外交は、千歳に残るものだ。あなたが
ほんとうに
日本の
国民と朝鮮の
国民との間に長きにわたるところの歴史的な
関係、将来にわたるところの歴史的な
関係の平和的友好
関係を結ぶについては、朝鮮の人々は、何といったって
一つかまのめしを食いたい、三十八度線を何とかなくしたいという念願を持っておるということ
考えるべきです。これはどんなにあなたがそんたくしても、朝鮮人の本心です。だから、朝鮮の平和的統一を阻害するという日韓会談というものについては、これは慎重な配慮をなさるべきだと思います。そして
ほんとうにこの朝鮮が平和的統一をしたあとで
日本と朝鮮との友好
関係を結んでも、決しておそくない、こういうふうに思いますが、
総理はそれに対してどういうふうにお
考えになりますか、ひとつ御意見を承りたい。