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池田国務大臣 そこが、私の高度福祉国家の実現のための所得倍増計画からくる結果であるのであります。ただ、たびたび申し上げましたごとく、私の七%あるいは九%程度の分ならば、こういうことは起こらなかったでしょう。そこで過去の
状況を見ましても、
昭和三十年、三十一年ごろの
状況は、大体
政府の見込みの数字よりもそう実績が三倍にもなるようなことはなかったわけであります。三十二年なんかは生産もあまり伸びませんから、大体
政府の見込みどうりにいっております。しかし、三十三年にいったら、
政府の見込みどうりにいった上に、その
政府の見込みが三%前後の見込みだったから、三%の実績はあげましたけれども、しかし物価は、卸も小売りも下がっております。そうして失業者もふえております。そうして格差は依然として拡大の
方向に向かっていきました、普通の三・四%の
状態では。これではいけないのです。そこで、
昭和三十四年ごろからだんだんのぼってきて、三十四年、三十五年、三十六年は
政府の見込みの三倍くらいにいったわけなんです。しかも結果において、三十年ごろから
一般組織労働者の賃金は上がってきておりましたが、他の組織労働者以外の所得は上がっておりません。しかし、公務員の給与も、三十六年だったか、十二%も上がるというふうに、三十五年ごろから毎年ずっと公務員の給与も上がり、そうして中小企業に遊んでおった中学卒業生で四千円から四千五百円の月給も、一躍一万円になった。こういうことで非常に格差が減ってまいりました。これは高度成長の結果でございます。
しこうして、
国民消費も、従来は総生産の五〇%程度だったのでございます。よその国に比べまして、生産に対して
国民消費が非常に少なかった。みな設備投資、在庫投資にいったわけです。それが、在庫投資、設備投資にもいきましたが、最近におきまして
国民の消費が非常にふえてきました。総生産の五五・六%くらいまでいっているでしょう。しかも、ふえ方が
世界に例のない、前年に対して一五%をこえるのが二、三年続いておる。こういうことで、全般の
国民生活が非常に向上した。それだから三十六、七、八年と消費者物価が上がったけれども、それ以上に所得がふえております。そうして社会保障その他も、三十六年ごろから従来よりも特別にいっております。こういう長い十年間の倍増計画のうちの、予定よりも行き過ぎたところの分が来ておりますから、いま行き過ぎないように七・八%、九%程度で維持しようとしておるのであります。だから、長い目で見てくれというのは、十年間で見てくださいというのです。
だからずっと振り返ってみると、
昭和二十七、八年ごろからの歩みを見ながら、いまちょっとふくれているときなのですが、だんだんこれが落ちついてくる。そうして、それには
政府としても二五%の
国民消費を二一・二%にしてもらいたい。こういうふうなことで、私は、ここの行き過ぎたのを押えようというのです。実際の
国民生活その他におきましては、私は
歴史が証明すると思いますが、かなり自信を持って私の計画を進めていこう。
国民も、それはいろいろ具体的にはある一部には不平もございましょうが、大体において倍増計画はいって、そうして
国民の消費水準も上がり、生活もよくなり、全体的に社会保障制度も相当遊んでいきつつある、こう私は
考えておるのであります。