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1964-01-25 第46回国会 衆議院 予算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十八年十二月二十日)(金  曜日)(午前零時現在)における本委員は、次  の通りである。    委員長 荒舩清十郎君    理事 愛知 揆一君 理事 青木  正君    理事 櫻内 義雄君 理事 野田 卯一君    理事 松澤 雄藏君 理事 川俣 清音君    理事 辻原 弘市君       相川 勝六君    荒木萬壽夫君       安藤  覺君    井出一太郎君       井村 重雄君    稻葉  修君       今松 治郎君    植木庚子郎君       江崎 真澄君    小川 半次君       仮谷 忠男君    川崎 秀二君       小坂善太郎君    重政 誠之君       周東 英雄君    田澤 吉郎君       中曽根康弘君    羽田武嗣郎君       古井 喜實君    古川 丈吉君       保科善四郎君    松浦周太郎君       松野 頼三君    水田三喜男君       山本 勝市君    淡谷 悠藏君       石田 宥全君    加藤 清二君       川村 継義君    小松  幹君       高田 富之君    楯 兼次郎君       堂森 芳夫君    野原  覺君       細谷 治嘉君    山口丈太郎君       山花 秀雄君    横路 節雄君       今澄  勇君    小平  忠君       永末 英一君    川上 貫一君 ————————————————————— 昭和三十九年一月二十五日(土曜日)    午前十時七分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 愛知 揆一君 理事 青木  正君    理事 野田 卯一君 理事 松澤 雄藏君    理事 井手 以誠君 理事 川俣 清音君    理事 辻原 弘市君       相川 勝六君    安藤  覺君       岩動 道行君    今松 治郎君       植木庚子郎君    江崎 真澄君       仮谷 忠男君    川崎 秀二君       鯨岡 兵輔君    小坂善太郎君      小宮山重四郎君    重政 誠之君       田澤 吉郎君    登坂重次郎君       中曽根康弘君    西岡 武夫君       古井 喜實君    古川 丈吉君       保科善四郎君    松浦周太郎君       松野 頼三君    山本 勝市君       淡谷 悠藏君    石野 久男君       加藤 清二君    五島 虎雄君       河野  密君    多賀谷真稔君       堂森 芳夫君    中井徳次郎君       山花 秀雄君    横路 節雄君       今澄  勇君    志賀 義雄君     —————————————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         法 務 大 臣 賀屋 興宣君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         厚 生 大 臣 小林 武治君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  福田  一君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         郵 政 大 臣 古池 信三君         労 働 大 臣 大橋 武夫君         建 設 大 臣 河野 一郎君         自 治 大 臣 早川  崇君         国 務 大 臣 佐藤 榮作君         国 務 大 臣 福田 篤泰君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君         国 務 大 臣 山村新治郎君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         総理府総務長官 野田 武夫君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         大蔵事務官         (主計局長)  佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君         大蔵事務官         (理財局長)  吉岡 英一君  委員外出席者         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 昭和三十八年十二月二十日  委員川村継義君、小松幹君、高田富之君、楯兼  次郎君、野原覺君、細谷治嘉君及び山口丈太郎  君辞任につき、その補欠として岡田春夫君、石  野久男君、河野密君、中井徳次郎君、五島虎雄  君、多賀谷真稔君及び井手以誠君議長指名  で委員に選任された。 昭和三十九年一月二十二日  委員川上貫一辞任につき、その補欠として志  賀義雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員井出一太郎君、井村重雄君、小川半次君、  周東英雄君及び羽田武嗣郎君が辞任につき、そ  の補欠として鯨岡兵輔君、小宮山重四郎君、岩  動道行君、西岡武夫君及び登坂重次郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員岩動道行君、鯨岡兵輔君、小宮山重四郎君、  登坂重次郎君及び西岡武夫君が辞任につき、そ  の補欠として小川半次君、井出一太郎君、井村  重雄君、羽田武嗣郎君及び周東英雄君が議長の  指名委員に選任された。 同日  理事楯次郎昭和三十八年十二月十四日委員  辞任につき、その補欠として井手以誠君理事  に当選した。     ————————————— 一月二十一日  昭和三十九年度一般会計予算  昭和三十九年度特別会計予算  昭和三十九年度政府関係機関予算  昭和三十八年度一般会計補正予算(第3号)  昭和三十八年度特別会計補正予算(特第3号)  昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第3  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  公聴会開会承認要求に関する件  昭和三十九年度一般会計予算  昭和三十九年度特別会計予算  昭和三十九年度政府関係機関予算  昭和三十八年度一般会計補正予算(第3号)  昭和三十八年度特別会計補正予算(特第3号)  昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第3  号)      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についておはかりいたします。  委員の異動に、よりまして現在理事が一名欠員となっております。つきましては、この際、その補欠撰任を行ないたいと存じますが、これは委員長において指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長井手以誠君理事指名いたします。      ————◇—————
  4. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより昭和三十九年度一般会計予算昭和三十九年度特別会計予算昭和三十九年度政府関係機関予算並びに昭和三十八年度一般会計補正予算(第3号)、昭和三十八年度特別会計補正予算(特第3号)、昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第3号)、以上六案を一括して議題となし、審査に入ります。     —————————————  昭和三十九年度一般会計予算  昭和三十九年度特別会計予算  昭和三十九年度政府関係機関予算  昭和三十八年度一般会計補正予算(第3号)  昭和三十八年度特別会計補正予算(特第3号)  昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第3号)   〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  5. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 まず、各案の趣旨について政府説明を求めます。大蔵大臣田中角榮君。
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 昭和三十九年度予算編成の基一本方針及びその骨子につきましては、先日、本会議におきまして御説明いたしましたのでありますが、予算委員会において今日から御審議をお願いするにあたりまして、あらためてその概要を御説明いたしたいと存じます。  昭和三十九年度の財政は、引き続き健全均衡財政方針を堅持しつつ、画期的な大幅減税を行なうとともに、経済各部門の均衡ある発展に資するため、農林漁業及び中小企業近代化社会保障充実社会資本整備等の重要諸施策を着実に推進することを主眼といたしておるのであります。  この方針により編成されました昭和三十九年度一般会計予算総額は、三兆二千五百五十四億円でありまして、昭和三十八年度当初予算に対し四千五十四億円、補正後の予算に対して、二千八百十二億円の増加となっております。  また、財政投融資計画総額は、一兆三千四百二億円でありまして、昭和三十八年度当初計画に対し、二千三百五億円の増加となっております。  まず、一般会計予算について申し上げます。  歳入のうち、租税及び印紙収入は二兆九千四十三億円でございまして、三十八年度当初予算に対し五千九百八十九億円、補正後の予算に対し四千七百四十八億円の増加となっております。これは、現行税法に基づく三十九年度の収入見積もり額二兆九千八百七十九億円から、税制改正による減収額八百三十六億円を差し引いた額であります。  税制改正につきましては、別途、政府委員をしてその詳細を説明いたさせますが、薫十九年度におきましては、最近の国民負担の現状及び経済情勢の推移に顧み、中小所得者重点を置いて所得税負担を軽減いたしますとともに、企業資本充実設備の更新を促進するための企業課税の軽減を行ないますほか、産業国際競争力強化科学技術振興等のため、平年度千三百七十億円程度、初年度千三億円にのぼる減税を行なうことといたしておるのであります。なお、このほか、後ほど申し述べます新道路五カ年計画策定に伴い、所要財源確保するため、揮発油に対する消費税税率を引き上げますとともに、関税定率法等につきましても、若干の調整を加えることといたしておるのであります。  租税以外の収入は、総額二千七百五十一億円でございまして、三十八年度予算に比べ六十九億円の減少となっておりますが、減少のおもなる原因は、後に述べます国立学校特別会計新設に伴い、学校付属病院収入授業料収入等を同特別会計へ振りかえることといたしておりますこと、及び地方における電気ガス税減税に伴い、市町村たばこ消費税税率を引き上げることといたしておりますため、専売納付金減少する見込みとなっていることであります。  前年度剰余金受け入れにつきましては、すでに、総額七百六十一億円と確定いたしておりまして、三十八年度予算に比べ千八百六十六億円の大幅な減少となっておるのであります。  次に、歳出のうち、おもな経費につき、その概要を申し述べます。  社会保障関係費といたしましては、総額四千三百七億円を計上し、経済発展に応じた国民生活均衡ある向上社会福祉充実を期することといたしております。  まず、生活保護費におきましては、生活扶助基準を一三%引き上げますとともに、社会保険費におきましては、国民健康保険世帯員に対する療養給付率を四カ年計画で五割から七割に引き上げ、医療保険充実を期することといたしておるのであります。  また、国民年金費におきましては、福祉年金につき、三十八年度に引き続き、扶養義務者所得制限を緩和する等の改善を行ないますとともに、失業対策費におきましては、最近の雇用情勢にかんがみ、労働力移動円滑化をはかるための諸制度につき、その一そうの充実改善をはかることといたしておるのであります。  文教及び科学振興費におきましては、教育水準向上教育環境整備改善に特に重点を置き、総額四千百三十六億円を計上いたしております。  まず、いわゆる改正標準法に基づき、小・中学校における教職員数充実をはかるとともに、補助基準改正する等によりまして、校舎等公立文教施設整備を一そう促進することといたしておるのであります。  次に、国立学校につきましては、その管理運営円滑化、なかんずく、施設設備飛躍的拡充をはかるため、国立学校特別会計を設け、国立高等専門学校理工系学部・学科の増設等を積極的に行ない、産業発展高度化に対処し得る人的能力確保に遺憾なきを期しておるのであります。  また、義務教育教科書につきましては、その無償給与の範囲を拡大いたしますとともに、理科教育及び産業教育振興私立学校の助成、学校給食改善等につきましても、きめこまかな配慮を加えておるのであります。なお、教育機会均等を一そう浸透させるため、育英制度改善充実をはかりますとともに、僻地教育振興にも特に配意をいたしておるわけであります。  最後に、科学技術振興費につきましても、すでに申し述べました科学技術教育充実に相応じ、原子力の平和利用、国産新技術開発等重要研究を積極的に推進することといたしておるのであります。  次に、地方交付税交付金といたしまして、六千二百十四億円を計上いたしております。地方財政は、地方税及び地方交付税の増収並びに国及び地方における財政健全化の努力により、幸いにして良好な推移をたどっております。三十九年度におきましては、中小所得者負担の軽減と不均衡の是正をはかるため市町村民税減税を行ないますほか、引き続き電気ガス税減税を行なうことといたしておりますが、それぞれ、市町村民税臨時減税補てん債の発行、市町村たばこ消費税税率引き上げにより、減税の結果地方財政の運営に支障を来たすことのないよう配慮いたしておるのでありまして、地方税及び地方交付税の増収並びに財政投融資計画における地方債の増額と相まちまして、地方における行政内容住民福祉はその一そうの向上が期待される次第であります。  防衛関係費としては、二千七百五十一億円を計上いたしまして、引き続き、他の重要施策との均衡を勘案しつつ、第二次防衛力整備計画に沿い、防衛力質的向上をはかるとともに、基地対策充実につとめることといたしておるのであります。  公共投資拡大による社会資本充実につきましては、近年特に意を用いてまいったのであります。この結果、一般会計予算に占める公共事業費の割合は著しい上昇を示しておりますとともに、公共投資の国民総生産に対する比率は、世界的に見て最も高い状態になっております。三十九年度におきましては、公共事業関係費として総額六千十一億円を計上いたしております。  まず、道路整備につきましては、道路輸送需要増大等現行五カ年計画策定後の情勢変化に対処するため、昭和三十九年度を起点とする総額四兆一千億円にのぼる新、五カ年計画策定することとなし、三十九年度におきましてはその初年度として、一般会計におきまして二千七百六十五億円を計上いたしますほか、財政投融資計画におきましても、日本道路公団等いわゆる道路公団に対し千百十七億円の資金を投入することといたしておるのであります。  なお、新計画策定にあたりまして、諸般の事情を慎重に考慮いたしました結果、揮発油税地方道路税及び軽油引取税を引き上げ、新計画の着実な遂行のため必要な財源確保につとめることといたしております。  次に、港湾につきましても、その重点的整備を促進するため、道路整備と並んで予算の増額を行ないますとともに、最近の港湾貨物量増大等に対応して、三十九年度を初年度とする新五カ年計画策定することといたしておるのであります。  また、日本国有鉄道につきましては、東海道新幹線の十月完成と改良工事拡充のため、日本電信電話公社につきましては、電信電話施設整備拡充のため、それぞれ政府関係機関予算及び財政投融資計画を通じて所要資金措置を講ずることといたしております。  なお、産業発展に伴い、ますます増大いたします産業用地用水需要に対処するため、土地造成水資源総合的開発推進いたしますとともに、新産業都市建設等地域開発を促進するため、予算及び財政投融資計画を通じ所要資金確保につとめております。  最後に、治山治水事業につきましても、その大幅な推進をはかるため必要な予算を計上し、災害復旧の進捗と相まち、国土保全に万全を期することといたしております。  住宅につきましては、住宅対策費として三百億円を計上いたしますとともに、財政投融資計画におきましても、住宅金融公庫及び日本住宅公団に対し千四百七十四億円の資金の投入を予定いたします等、昭和四十五年度における一世帯一住宅の実現を目標に格段の配慮を加えておるわけであります。  また、上下水道、し尿処理施設等その整備の立ちおくれております生活環境施設につきましても、予算及び財政投融資計画を画期的に増額し、その積極的整備を促進することといたしております。  貿易及び経済協力につきましては、財政投融資計画におきまして、日本輸出入銀行に対し九百三十七億円の資金を投入し、その貸し付け規模拡大いたしますほか、税制面におきましても、企業国際競争力強化等に資するための税制改正を予定いたしております。  また、一般会計予算におきましても、輸出市場拡大のための諸施策強化いたしますほか、技術協力を中心に、引き続き、対外経済協力推進をはかることといたしております。  なお、最近の貿易外収支の状況にかんがみ、その改善に資するため、海運業体質改善外航船腹拡充国際航空事業育成強化国際観光振興等につきましても、予算及び財政投融資計画を通じ格段の配慮を加えております。  中小企業につきましては、中小企業基本法に基づき、その近代化周度化を通じて、経営基盤安定強化に資するため、財政金融上の諸施策を飛躍的に拡充することといたしております。  まず、一般会計におきましては、中小企業高度化資金融通特別会計への繰り入れを大幅に増額いたしますとともに、設備近代化補助小規模事業対策等の諸施策強化することとして、百六十六億円の予算を計上いたしますほか、税制面におきましても、国税・地方税を通じ平年度六百億円を上回る減税を行なうことといたしております。  中小企業金融対策といたしましては、手形割引保証拡充等中小企業信用保険公庫による信用補完制度充実いたしますとともに、財政投融資計画におきましても、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫貸し付けワク拡大商工組合中央金庫貸し出し利率引き下げのため、千五百十七億円の財政資金を投入いたしますほか、新たに中小企業金融公庫につき、債券発行による資金調達の方途を講じます等、中小企業金融拡充円満化に資するための諸措置を講ずることといたしております。  農林漁業につきましては、農業基本法の定める方向に沿いつつ、農業構造改善事業農業基盤整備事業を中心に、農業生産選択的拡大生産性向上、経営の安定強化に資するための諸施策を総合的に推進いたしますとともに、農水産物の価格安定と流通機構改善合理化に特に意を用いております。  また、農林漁業金融公庫につきましては、その新規貸し付け計画額を千七十億円に拡大いたしますとともに、融資条件改善簡素化を行ないまして、農業近代化資金農業改良資金融資ワク拡大とあわせ、農林漁業金融飛躍的拡充改善を期することといたしております。  特別会計への繰り入れにつきましては、食糧管理特別会計につきまして、同会計調整勘定及び新設輸入飼料勘定に合計千二十六億円を繰り入れますほか、産業投資特別会計につきましても、同会計の行ないます産業投資支出財源に充てるため、五百七十二億円を繰り入れることといたしております。  以上、主として一般会計予算について申し述べましたが、特別会計及び政府関係機関予算につきましても、一般会計に準じ、経費及び資金の効率的、重点的配分につとめ、事業の円滑な遂行を期することといたしております。  なお、三十九年度に新設を予定いたしております特別会計には、すでに述べました国立学校特別会計のほか、自動車検査登録特別会計がありますので、特別会計の数は四十三となるわけであります。  財政投融資につきましては、それぞれの項目で御説明いたしたのでありますが、その原資といたしましては、出資原資として産業投資特別会計八百十二億円、融資原資として資金運用部資金八千五十四億円、簡保資金千五百億円、合計一兆三百六十六億円の財政資金のほか、民間資金二千五百億円の活用をはかりますとともに、外貨債及び世銀借款見込み額五百三十六億円を計上いたしまして、総額を一兆三千四百二億円と予定いたしております。  運用につきましては、農林漁業及び中小企業金融充実住宅の建設及び生活環境施設整備重点を置くとともに、輸出の振興道路鉄道等社会資本強化及び地域開発推進に特に配意いたしております。  終わりに、今回提出いたしました昭和三十八年度補正予算、第三号、特第三号及び機第三号について申し述べます。  まず、一般会計補正予算規模は、八百二十六億円でありまして、歳出として、産業投資特別会計及び同会計資金への繰り入れ義務教育費国庫負担金等義務的経費不足補てん等を計上いたしますとともに、歳入において所得税法人税等租税及び印紙収入を追加いたしております。  これらのうち、産業投資特別会計への繰り入れば、同会計が行ないます日本輸出入銀行への追加出資に必要な財源繰り入れるものであり、また、同特別会計資金への繰り入れば、経済基盤強化企業体質改善を強力に推進する等のため、出資需要がますます増大しておりますので、その資金充実することが急務と考えられるところからこれを行なうものであります。  特別会計予算におきましては、一般会計補正に関連して産業投資特別会計並びに交付税及び譲与税配付金特別会計につき、また、失業保険給付費増加に伴い、失業保険特別会計につきそれぞれ所、要の補正の行ないますほか、政府関係機関予算におきましては、日本国有鉄道につきまして改良工率を促進するため、所要予算措置を講ずることといたしております。  なお、これらに関連いたしまして、財政投融資計画におきましても、日本輸出入銀行及び日本国有鉄道につきそれぞれ所要の追加を行なっております。  以上、ごく概略を御説明いたしましたが、なお詳細にわたりましては、政府委員をして補足して説明いたさせます。  何とぞ、御審議の上すみやかに御賛同願いたいと存じます。
  7. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 引き続き、順次政府委員補足説明を許します。主計局長佐藤一郎君。
  8. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 大蔵大臣の御説明に対する補足を申し上げますが、便宜お手元にその説明の要旨を印刷してお配りしてあると思いますので、それをごらんになっていただきたいと思います。  最初に予算規模でございますが、昭和三十九年度一般会計予算の規模は、三兆二千五百五十四億円でありまして、その二十八年度当初予算に対する伸び率一四・二%は、三十六、七年度当初予算のそれぞれ前年度当初予算に対する伸び率二四・四%、二四・三%を大きく下回ることはもちろん、三十八年度当初予算の三十七年度当初予算に対する伸び率一七・四%をもかなり下回っております。  次に、その三十九年度における国民所得見込みに対する比率は、一六・四%でありまして、過去における当初予算規模国民所得当初見込みに対する比率と対比いたしますと、三十六年度における一、五・三%を若干上回りますものの、三十七年度における一七・〇%、三十八年度における一七・一%をそれぞれ下回っております。  なお、三十九年度の予算で注目されますことは、前年度剰余金受け入れが激減することでありまして、三十八年度に比べ、実に千八百六十六億円の減少になっております。前年度剰余金受け入れば、過去の蓄積資金の放出ということでありまして、これが少なくなりますことは、財政資金の対民間収支における散超幅がそれだけ減少する結果となりますので、この観点から見ましても、やや引き締まりぎみの予算と称することができると存じます。  したがいまして、その規模から申しましても、その内容から申しましても、今回の予算は、景気に対して刺激的効果を及ぼすというようなおそれのない健全均衡予算であると信ずるのでありますが、なお、その運用にあたりましては、今後の経済の動向に留意しつつ、十分その弾力的運営につとめる所存であります。  次に内容でございますが、社会保障関係費は、総額四千三百七億円を計上いたしております。その三十八年度当初予算に対する伸びは、六百九十二億円、一九・二%であり、一般会計歳出予算中に占める割合も、一三・二%と過去の最高を示しております。  三十九年度におきましては、国民健康保険の世帯主七割給付、診療報酬の地域差の撤廃、福祉年金額の引き上げ等三十八年度より新たに実施いたしました諸施策の平年度化並びに単価上昇及び受給件数増に伴う医療費の増高等、いわば当然増的経費が相当額にのぼるのでありまして、この当然増的経費の増加傾向は、今後年とともに強まってまいると思われるのでありますが、国民生活の均衡ある向上社会福祉充実に資するため、引き続き社会保障関係諸施策改善充実をはかることといたしております。  まず、生活保護費におきましては、被保護階層の生活内容の向上に資するため、生活扶助基準を一三%引き上げますほか、教育扶助、出産扶助等の基準をそれぞれ引き上げております。  社会福祉費におきましては、特に重度の精神薄弱児をかかえた家庭に対する援護の施策として、新たに重度精神薄弱児扶養手当を創設いたします等、児童保護、老人福祉を中心に施策充実をはかることといたしております。  次に、社会保険費におきましては、国民皆保険の中核をなします国民健康保険につき、四十年一月より四カ年計画をもちまして、世帯員に対する療養給付率を五割より七割に引き上げることといたしております。なお、かねてから給付水準引き上げの要望がありました厚生年金につきましては、四十年五月よりその画期的改正を行なうこととし、本年度におきましては、その準備のため必要な経費を計上いたしますとともに、関係法案の提出準備を急いでいる次第であります。  また、国民年金費におきましては、福祉年金につき、扶養義務者の所得による支給停止基準額を六十万円から六十五万円に引き上げますほか、戦争公務による死亡等の場合におきます公的年金併給の限度額を七万円から八万円に引き上げます等の改善措置を講じております。  失業対策費におきましては、失業対策事業の賃金日額を一〇%近く引き上げまして、平均五百一円九十銭といたしますほか、最近における雇用情勢にかんがみ、労働力移動円滑化をはかりますため、日雇い労働者の就職支度金の引き上げ及び中高年齢失業者の就職促進に必要な諸手当の引き上げ等の改善措置を行なっております。  文教及び科学振興費は、総額四千百三十六億円を計上いたしております。この増加額は三百九十億円、伸び率は一〇・四%にとどまっておりますが、これは国立学校特別会計の新設に伴い、学校病院収入、授業料収入等を、同特別会計に振りかえられるため等によるものでありまして、これらの点を調整いたしますと、その実質におきましては六百四十億円、一七・一%の増加と相なるのであります。  まず、最初に御説明すべきは、国立学校管理運営円滑化、なかんずく施設、設備の計画整備をはかるため、国立学校特別会計を新設することといたしたのであります。三十九年度におきましては、その財源として、一般会計からの繰入金これが千百四十億、及び付属病院収入、授業料収入等固有の財源のほか、病院施設整備のための財政投融資資金の借り入れ、不用財産の売却収入等を見込み、これによって国立文教施設、設備の飛躍的拡充をはかることといたしております。  次に、義務教育費国庫負担金におきましては、三十八年十二月に改正されましたいわゆる改正標準法に基づき、学級編制及び教職員定数の改善を行ない、小中学校における教職員数充実をはかることといたしております。  公立文教施設費におきましては、公立小中学校校舎等に対します補助基準坪数の算定基準を、現行の児童または生徒一人当たりの基準から学級単位基準に改めますとともに、構造比率の改善、建築単価の引き上げ等を行ない、校舎等施設、設備の質量両面にわたる整備を促進しております。  義務教育教科書につきましては、昭和四十年度におきます小学校第一学年から第五学年の全児童にまで、その無償給与の範囲を拡大いたしますとともに、学校給食につきましても、生乳四十万石を取り入れる等、その改善をはかり、また理科教育及び産業教育振興、学校保健対策にも遺憾なきを期しております。  さらに、私立学校教育振興をはかるため、私立学校振興会に対し十五億円を追加出資いたしますとともに、財政投融資計画におきましても、三十八年度に倍します四十億円の資金運用部資金の投入を予定いたしております。  科学技術振興につきましては、宇宙開発推進本部、植物ウイルス研究所の新設等により、各省試験研究機関の試験研究体制を整備強化し、原子力船の開発等、原子力の平和利用、国産新技術の開発、防災科学等、重要研究を積極的に推進することといたしております。  公共投資の拡大による社会資本充実につきましては、近年特に意を用いてまいったのであります。この結果、一般会計予算に占める公共事業関係費の割合は著しい上昇を示しております。これは三十三年度は二%くらいでしたが、三十九年度は二六・五%になっております。公共投資の国民総生産に対する比率は、世界的に見て最も高い状態になっております。これも総生産に対して一一%以上になっております。  三十九年度の公共事業関係費総額六千十一億円でありまして、三十八年度当初予算に対し八百七十八億円、一七・一%の伸びとなっておりますが、三十八年度をもちましてほとんど事業が完成する予定となっております伊勢湾高潮対策のための経費及び災害復旧事業費を除きました一般公共事業関係費で申しますと、三十八年度当初予算に比べ九百三十九億円、二一・二%という高い伸びとなっております。  まず、道路につきましては、新たに昭和三十九年度を起点とする総額四兆一千億にのぼる新五カ年計画を策定することといたしております。その事業区分は、一般公共道路事業分二兆二千億、有料道路事業分一兆一千億、及び地方単独事業分八千億となっておりますが、その着実な推進に必要な財源を確保いたしますため、キロリットル当たり、揮発油税については二千二百円、地方道路税については四百円、軽油引取税については二千五百円、それぞれ一〇%並びに二〇%の引き上げを行なっております。  三十九年度におきましては、この新しい五カ年計画初年度として、一般会計におきまして、税率引き上げに伴う増収分を含めまして、揮発油税等特定財源二千三百十五億円、一般財源四百五十億円、合計三千七百六十五億円を計上いたしますとともに、財政投融資計画におきましても、千百十七億円の資金投入を予定いたしております。  次に、港湾につきましても、三百三十六億円を計上いたしまして、主要外国貿易港湾、地域開発のための主要港湾等につき、その重点的整備を促進いたしますとともに、港湾貨物量増大等最近の情勢変化に対処いたしますため、新たな五カ年計画の策定を予定しております。  空港につきましては、引き続き、東京、大阪の両国際空港及びローカル空港の整備を推進いたしますとともに、新東京国際空港の建設に備え、所要の調査費を計上いたしまして、準備の充実を期しております。  なお、工業用水道事業につきましては、東京城北地区ほか七地区の事業につき補助率の改定を行なうことといたしております。  住宅対策費といたしましては、公営住宅等の建設のため三百億円の予算を計上いたしておりますが、これは三十八年度予算に比べ五十三億円、二一・六%の増加となっております。これにより各種の質的改善をはかるとともに、公営住宅、改良住宅を合わせて六万四千五百戸の建設を行なうことといたしております。  このほか、政府住宅施策といたしましては、住宅金融公庫による融資、日本住宅公団による住宅建設、厚生年金の還元融資による建設等がありますが、三十九年度におきましては、昭和四十五年度におきます一世帯一住宅を目標といたしまして、三十一万七千戸の政府施策住宅の建設を予定いたしますとともに、民間自力建設の推進に資するため、固定資産税、不動産取得税の減税及び新築貸家住宅の特別償却制度を拡充することといたしております。  次に、環境衛生対策につきましては、環境衛生対策費及び公共事業関係費の中の下水道事業費におきまして、合わせて百七十六億円を計上いたしましたが、これは三十八年度に比べ五十四億円、四四・七%の増加となっております。なお、財政投融資計画におきましても、地方債を大幅に増額いたしまして、その積極的整備を促進することといたしております。  貿易振興及び経済協力費といたしましては、三十八年度当初予算を二五・二%上回ります百七億円の予算を計上いたしましたほか、財政投融資計画におきましても、日本輸出入銀行に対し、産業投資特別会計からの出資金二百二十五億円を含めまして、九百三十七億円の財政資金を投入して、これによりまして、その貸付ワクを千三百億円から千六百億円へ大幅に拡大いたしますとともに、国際競争力強化等に資するための税制改正を予定しております。  また、貿易外収支改善に資するため、海運業体質改善外航船腹拡充国際航空事業育成強化国際観光事業振興等につきましても、予算及び財政投融資を通じ、格段の配慮を加えております。  このうち、海運対策費について御説明いたしますと、海運業再建整備臨時措置法に基づき、集約化を実行いたしまして企業に対しまして、日本開発銀行がその支払いを猶予いたしました利子相当額を日本開発銀行に交付するための経費を七十億円新たに計上いたしますほか、従来からの三国間輸送助成費及び外航船舶建造融資利子補給につきましても、予算の増額を行なっております。特に、三国間輸送助成費につきましては、三十八年度予算の四億六千万円から九億六千万円へと大幅に増額いたしております。  中小企業対策は、本来金融を主体としつつ、税制並びに歳出予算両面での諸施策を総合的に展開すべきものと考えるのであります。  まず、金融対策といたしましては、手形割引保証の飛躍的な拡充、付保限度の引上げ等、中小企業信用保険公庫による信用補完制度改善充実をはかることとし、同公庫の融資基金に充てるため、一般会計より四十五億円を追加出資することといたしております。  また、財政投融資計画におきましても、国民金融公庫、中小企業金融公庫商工組合中央金庫貸し付けワクを大幅に拡大するため、千五百十七億円の財政資金を投入いたしますとともに、新たに、中小企業金融公庫につき債券発行による資金調達の道を開いたわけであります。なお、商工組合中央金庫につきましては、貸し出し利率を引き下げるため、産業投資特別会計より三十億円を出資することといたしております。  次に、一般会計中小企業対策費としましては、さきに述べました中小企業信用保険公庫への出資を含めまして、三十八年度予算額を三九・八%も上回る百六十六億円を計上しております。  その最重点は、中小企業高度化近代化でありまして、三十八年度に新設いたしました中小企業筒度化資金融通特別会計への繰り入れ額を三十八年度の二十三億円から四十四億円に増額し、新たに融資の対象事業として追加することとなりました商店街近代化事業を含めまして、中小企業の集団化、協業化を促進することとしております。また、設備近代化補助につきましても四億円を増額しております。  なお、税制面におきましても、法人税の軽減税率の適用限度の引き上げ等、国税・地方税を通じまして平年度総額六百億円をこえる中小企業者に対する減税が行なわれることになっております。  次に、農林漁業でありますが、三十九年度におきましては、農林漁業近代化を強力に推進するため、農林関係予算として、食糧管理特別会計への繰り入れを含めまして三千三百六十億円、食糧管理特別会計への繰り入れを除きまして二千三百三十四億円の予算を計上いたしております。それぞれの三十八年度当初予算に対します伸び率は、三二・八%、食管を除いたところで一六・九%でありまして、一般会計規模の伸び一四・二%をかなり上回っております。  まず、農業基盤整備事業につきましては、七百七十二億円を計上しまして、かんがい排水その他の土地改良事業を中心に、その事業を推進いたしますとともに、農業構造改善事業につきましては、百三十六億円を計上しまして、継続事業の進捗をはかるほか、新たに四百地域において事業に着手することといたしております。  それからまた、最近における消費者物価の動向にかんがみ、生鮮食料品の合理的な価格形成に資するため、新たに東京都に二十カ所の食料品小売市場を建設いたしますほか、主要都市における中央卸売市場の整備を促進する等、生鮮食料品の流通改善対策には特に意を用いております。  最後になりましたが、三十九年度における農林漁業関係諸施策の大きな特色は、農林漁業金融を画期的に拡充改善し、これを通じ農業経営の近代化を推進しようとしていることであります。  すなわち、系統資金を活用するための農業近代化資金につきましては、五百二十億円から六百億円に、また無利子の農業改良資金につきましては、十八億円から四十五億円にと、それぞれ融資ワクを拡大することといたしております。  また、農林漁業金融公庫につきましては、新規貸し付け計画額を三十八年度の八百七十億円から千七十億円へと拡大いたしますとともに、その貸し付け条件を簡素合理化いたしますため、財政投融資計画におきまして、産業投資特別会計からの出資二百九十億円を含めて、七百五十五億円の財政資金を投入することといたしております。  次に、特別会計への繰り入れでございますが、食糧管理特別会計への繰り入れは、千二十六億円もの巨額となって、おります。その内訳は、食糧管理勘定の損失見込み、調整資金の残額等を勘案して調整勘定繰り入れられますところの九百九十億円と、輸入飼料の売買に伴う損失を補てんするため、新設されました輸入飼料勘定繰り入れられる三十六億円であります。  次に、産業投資特別会計への繰り入れとしまして五百七十二億円を計上いたしておりますが、これは三十八年度に対し七十五億円の増額となっております。産業投資特別会計は、この五百七十二億円と同会計資金よりの受け入れ百八十九億円等を財源としまして、日本輸出入銀行住宅金融公庫、日本住宅公団農林漁業金融公庫商工組合中央金庫、日本航空株式会社その他八機関に対し、総額八百十二億円の出資を行なう予定となっております。  予備費につきましては、三十八年度予算に比べ百億円を増額し、三百億円を計上しております。災害復旧に要する経費等、最近における予備費使用の状況を勘案して増額いたしたものでございます。  次に、昭和三十八年度補正予算(第3号、特第3号及び機第3号)でございます。  まず、一般会計補正予算の規模は八百二十六億円でありまして、これにより、昭和三十八年度一般会計予算の規模は三兆五百六十八億円と相なるわけであります。  次に、歳出追加のうち、産業投資特別会計と同会計資金への繰入れにつき御説明いたします。  産業投資特別会計への繰り入れ六十億円は、船舶輸出の急増を中心に日本輸出入銀行の貸し付けが当初千三百億と予定しておりました計画を大幅に上回り、同行の所要資金に不足を免ずる見込みとなりましたので、資金運用部資金四十億円とあわせまして、産業投資特別会計より六十億円の出資を行なうこととなり、その、所要財源を繰り入れるものであります。  産業投資特別会計資金への繰り入れ三百億円は、開放経済体制への移行を目前に控え、出資需要の一そうの増大に対処いたしますとともに、今後の産業投資を経済情勢に応じて弾力的に行ない得るよう、同会計資金充実するため繰り入れたものでございます。  簡単でございますが、これで終わります。
  9. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、主税局長美之松君の発言を求めます。
  10. 泉美之松

    ○泉政府委員 昭和三十九年度租税及び印紙収入見込み及び税制改正につきまして、大臣の御説明補足して申し上げたいと存じます。  たいへん恐縮でございますが、お手元に「昭和三十九年度租税及び印紙収入予算説明」という冊子を差し上げておると存じますが、これのまず三ページの表をごらんいただきたいと存じます。  これに三十九年度租税及び印紙収入予算の内訳が表になって出ておるわけでございます。一般会計交付税及び譲与税配付金特別会計との二つに分かれまして、最初の欄に三十八年度予算が掲上してございます。カッコの中が当初予算でございまして、合計二兆三千五十三億三千四百万円であったわけでありますが、第一次補正の結果二兆四千二百九十五億一千一百万円の予算に相なっておるわけでございます。  昭和三十九年度におきましては、まず自然増収を三十八年度の当初予算に比較いたしまして六千八百二十五億八千六百万円見込みました。自然増収見込みにつきましては、従来とかく過小ではないかとの御批判がございましたので、今年度は特に適正に見積もるようにつとめた次第でございまして、六千八百二十六億の自然増収は、前年度当初予算に対しまして二九・六%の伸び率に相なっておりますが、約三〇%近い自然増収見込みましたのは、昭和三十六年及び昭和二十七年にそういう見込みをいたしたのでありますが、三十六年及び三十七年には、決算におきましてはそれ以上の収入を生じておりますので、今回の六千八百二十六億の自然増収は決して過大な見積もりではないと存じておる次第でございます。  六千八百二十六億の内訳は、前年度昭和三十八年度におきまして、第一次補正で千二百四十二億、第二次補正で八百二十六億の増収を見込んでおりますので、実質的に三十九年度におきまして増収になる分は四千八百億に足らない金額でございます。  税目別に見ますと、所得税で二千十六億、法人税で二千八百六十五億、酒税で四百八十億、物品税で四百三十六億、関税で四百四十九億と相なっておるのでございます。  その税目別のこまかい収入見込みにつきましては省略さしていただきまして、ごく大まかに申し上げておきますと、所得税のうち、源泉給与所得につきましては、雇用が四%、賃金が九・一%増加するものと見込みまして収入を計上いたしました。申告所得税につきましても、経済企画庁の生産物価の見通しに基づきまして適正に見込んだのでございます。次に、法人税につきましては、御承知のように、法人税の収入と出産物価の動向との間には六カ月以上のズレがございますので、そのズレを考慮いたしまして、このように二千八百六十五億を見込んでおるのでございますが、昭和三十八年度中に千百億近い自然増収が出ておりますので、三十九年度だけの自然増収といたしましては千七百億程度のものに相なるわけでございます。次に、酒税につきましては、清酒が八・二%、ビールが二二%、酒類全体といたしましては九・一%消費が増加するものと見込みまして計上いたしてございます。  物品税につきましても、最近の自動車、テレビ、洗濯機等の消費の状況を勘案いたしまして見込みました。関税につきましても、最近の輸入動向から見込んだ次第でございます。  以上の結果、六千八百二十六億の自然増収を見込むことができることになったのでございます。  その結果、税制改正をしない、現行法による収入見込みといたしましては、二兆九千八百七十九億円に相なるわけであります。これから減税を行なうわけでございますが、その減税の内容につきましては、その次の四ページ及び五ページに表がございますので、これをごらんいただきとうございます。さきに大蔵大臣から申し上げましたように、昭和三十九年度におきましては国税・地方税を通じまして平年度二千百八十億円の減税をいたすことになっておりまするが、そのうち、国税におきましては、この四ページから五ページにわたります表の下から三段目の合計のところにありますように、平年度におきまして千三百七十六億円、初年度におきまして千三億円の減税に相なっております。これから、揮発油税の増徴による増収、平年度二百十五億円、初年度百八十二億円を差し引き、それから、関税率の改定による減収、とん税の増徴、地方道路税の増徴、特別とん税の増徴とを差し引きますと、特別会計一般会計を通じますと、国税におきましては平年度千百二十八億円、初年度七百八十八億円の減収に相なるわけでございます。  その事項別の税制改正の内容につきましては、お手元の資料の二五ページ以下に税制改正の要綱が掲げられております。この詳細を申し上げることは時間の都合上省略させていただきまして、要点だけ申し上げますと、所得税におきましては、特に中小所得者負担軽減をはかりますことを重点にいたしまして、基礎控除を一万円、配偶者控除を五千円、扶養控除につきましては、十三歳以上の者の扶養控除を五万円、十三歳未満のものの扶養控除を四万円。給与所得者の給与所得控除につきましては、定額控除の一万円を二万円にし、収入金額四十万円までは二〇%、四十万円超一〇%の控除を行ないました。最高限度額が従来十二万円でありましたのを十四万円にいたしております。なお、事業所得者の専従者控除につきましては、青色申告の場合には、専従者が二十歳以上でありますときは十五万円、二十歳未満でありますときは十二万円と、それぞれ二万五千円限度額を引き上げました。白色申告の場合におきましては、九万円とし、一万五千円控除を引き上げておるのであります。そのほか、所得税におきましては、退職所得の控除を引き上げるとか、あるいは、譲渡所得に対しまして、短期保有の譲渡所得に対する課税につきましては半額課税をいたさない。あるいは、譲渡所得、山林所得、一時所得につきまして、十五万円控除いたしておりますのを、小額所得に対する軽減をはかりますために、三十万円まで免税、三十万円から四十五万円までは控除を引き上げまして、四十五万円以上の所得の場合には従来どおり十五万円を控除することといたしております。それからまた、個人の行ないます寄付金につきまして控除限度を引き上げておるのであります。  次に、法人税におきましては、開放経済体制への移行に備えまして、企業の内部留保の充実設備の更新をはかりますために、耐用年数を平均一五%短縮するほか、中小所得者に対する負担軽減するため、法人税の軽減税率の適用限度額を年所得二百万円から三百万円に引き上げ、留保所得課税の軽減をはかることといたしております。  相続税につきましても、遺産に対しまする基礎控除を二百万円から二百五十万円に引き上げ、贈与税の基礎控除を二十万円から四十万円に引き上げております。  なお、揮発油に対しまする消費税につきましては、しばしば御説明がございましたように、一〇%引き上げまして、道路整備財源充実をはかっております。  次に、租税特別措置につきましては、利子所得控除の制度がガットの十六条四項の規定に違反するという関係上、その適用期限到来と同時に、本年三月末日をもって廃止することになるわけでございますが、輸出振興がわが国国際収支の安定の上に重要でありますので、輸出特別償却制度の適用期限を延長して、その内容を簡素合理化する。技術輸出所得制度の適用期限を延ばしまして、控除割合を引き上げ、海外市場開拓準備金制度を創設し、低開発国に対する投資を促進するため、低開発国に対する投資の圧縮記帳の制度を設けることといたしております。また、企業の資本充実に資する見地からいたしまして、支払い配当に対する法人税率を二八%から二六%に二%軽減いたしました。また、証券投資信託の収益分配金に対する課税につきましては、源泉分離の措置を講ずることといたしております。そのほか、生命保険料控除の引き上げ、損害保険料控除の創設などを行ないます。また、科学技術振興に資するため、試験研究用機械につきましての特別償却を拡大いたしております。また、住宅建設の促進をはかるために、新築貸し屋住宅に対する割り増し償却を従来の十割増しから二十割増しにいたしております。そのほか、工業用水道、海運再建整備等のための特別償却の特例を認めております。なお、重要産業別合理化機械の特別償却につきましては、今回耐用年数を短縮することと考え合わせまして、初年度三分の一から四分の一に圧縮いたしておるのでございます。なお、農業協同組合、事業協同組合等の特別法人に対しましては、出資の四分の一に達するまで留保いたします場合には、その留保した所得につきまして特別法人の法人税を課さないことといたしております。もっとも、留保した所得につきましては、単位組合につきましては最高五十万円、連合会につきましては年二百万円という制限を設けております。次に、交際費につきましては、従来その乱費を抑制する見地から損金不算入の措置を講じておるのでございますが、これにつきましても、控除限度を従来の三百万円プラス資本傘の千分の一から四百万円プラス資本金額の千分の二・五に引き上げます反面、従来はその超過額の二〇%の損金を不算入といたしておりましたが、三〇%を損金に算入しないということにいたしておるのでございます。  以上の税制改正の結果、先ほど申し上げましたように、平年度千三百七十六億、初年度千三億の減税に相なるのでございますが、その結果、国民所得に対しまする租税負担は二二・二%に相なるのでございます。税制改正を行なわない場合の負担率二二・八%に対しまして〇・六%低下することに相なっております。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  11. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、理財局長吉岡英一君にお願いいたします。
  12. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 昭和三十九年度財政投融資資金計画及び財政資金の対民間収支見込みについて補足説明を申し上げます。  お手元にあります「昭和三十九年度予算説明」という冊子をごらん願いたいと思います。この予算説明の第六十五ページに財政投融資と書いたページがございますが、そのページの右のほうの「昭和三十九年度財政投融資資金計画、1原資見込」という表をごらんになりながらお開き取り願いたいと思います。  昭和三十九年度財政投融資計画は、その表の合計欄でごらん願いますように、一兆三千四百二億円の規模であります。三十八年度は一兆一千九十七億円でありまして、三十七年度規模に対しまして二二・六%の伸び率でありましたのに対しまして、三十九年度は、三十八年度に対しまして二千二百五億円の増、伸び率として二〇・八%の伸び率と相なっております。  原資別に申し上げますと、まず最初に産投会計出資でありますが、一般会計からの繰り入れ五百七十二億円を含めまして八百十二億円を計七いたしております。三十八年度に比べまして百七十八億円の増であります。産投会計はこのほかに資金を保有いたしておりまして、三十八年度におきましては、一、十九年度に持ち越します資金が二百六十九億円であったのでありますが、三十九年度におきましては、三十八年度補正によりまして資金に三百億円を繰り入れました関係上、四十年度に持ち越します資金は三百九十七億円と相なっております。すなわち、三十八年度当初に比べまして約百三十億円多い約四百億円の資金を将来の出資財源として保有いたしておるわけであります。  次に、資金運用部資金でありますが、八千五十四億円、三十八年度に比較いたしまして千六百四十一億円の増加を見込んでおります。その大宗をなしますものは次の郵便貯金でありまして、三十八年度に比べまして八百億円の増、二千七百億円を見込んでおります。非常に大幅な増を見込んだ形となっておりますが、郵便貯金は最近非常に好調でありまして、特に昨年の暮れからことしになりまして非常に好調な状況のようであります。ただいまの状況が続きますと、おそらく三十八年度中に二千七百億円に達するのではないかと考えております。したがって、三十九年度の二千七百億円の増加見込みは十分達成し得る金額であると考えております。  次に、簡保の資金は、集中満期の関係がございまして、三十八年度に比較いたしまして百億円の減、千五百億円を見込んでおります。  次の公募債借入金は、三十八年度の千八百八十二億円に比較いたしまして六百十八億円の増を見込みまして、二千五百億円を見込んでおります。その大宗をなしますものは次の政府保証債でありまして、千三百三十二億円に対し四百七十八億円の増、千八百十億を見込んでおります。御承知のように、民間資金を吸収活用いたしまして公共的な投資に振り向ける役割をいたしておるわけでありますが、四百七十八億円の増は、これまた相当大幅な増を見込んでおる形となっておりますが、これまた先ほど申し上げました郵便貯金と同様な状況がございます。すなわち、三十八年度の千三百三十二億円は、年度途中に追加改定をいたしておりまして、百五十億円の追加を下期にいたしております。その結果、最近の政府保証債の発行ベ−スは、すでにかなり拡大をいたしてきております。三十九年度の千八百十億円は、月割りにいたしまして、平均いたしますと月百五十億円の発行ベースでありますが、昨年の十二月の発行実績が百五十五億円、一月が百四十七億円、大体百五十億円のベースに現在すでに達しておるのであります。この公募債借入金二千五百億円につきましては、これを引き受け消化をいたします公社債引受協会あるいは全銀協を初めとする全金融機関の代表者が入っておられます金融機関資金審議会におきまして、三十九年度中には二千、五百億円程度のものを御協力いたしましょうという約束を得ておる金額であります。したがって、これによって特に民間資金を圧迫するような金額ではないと考えております。  次の外貨債等につきましては、ほぼ昨年度と横ばいの数字五百三十六億円を見込んでおります。アメリカの市場が、利子平衡税法案がアメリカの国会で審議中であるということから、一時停とんをいたしておりますが、三十九年度にはその問題も目鼻がつくと思われますし、他方ヨーロッパの市場は多少明るいきざしも見え始めております。彼此勘案いたしまして、産投外債並びに政府保証外債合計いたしまして三十八年度と同額の一億二千五百万ドルの調達を期待いたしております。   〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕  世銀借款につきましては、新たに一億ドルの借款の内諾を得ておりますものに基づきまして、三十九年度の引き出し額を計上いたしたものであります。  以上の原資合計いたしまして一兆三千四百二億円と相なっておるのであります。いずれも通常の原資を見込んだものでありまして、無理な数字ではないと考えておりますし、また、民間資金を特に圧迫したりする数字ではないと考えております。  この原資をもちまして、運用につきましては、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、農林漁業及び中小企業金融充実住宅建設及び生活環境施設整備重点を置きますとともに、輸出振興道路鉄道等社会資本強化及び地域開発推進配意をいたしたのであります。  その配分を主管別にあらわしたものがIIの資金計画の表でございます。これを御説明いたしますことは、先ほどの主計局長説明と重複をいたしますので、省略さしていただきまして、次の次のページの六十七ページの使途別分類表で大勢をごらん願いたいと存じます。  この(1)から(6)までの項目、すなわち、住宅、生活環境整備、厚生福祉施設文教施設中小企業農林漁業、いわゆる国民生活に最も密接な関係を持っております部門に対する投融資が、右の端の数字でごらん願いますように、三十八年度の五千四百四十五億円に対しまして六千八百十二億円、増加額が千三百六十七億円、伸び率は二五%でありまして、財政投融資全体の伸び率二〇・八%をはるかに上回る伸び率を示しておるわけであります。その結果、この六項目の財政投融資全体に占めます比重は、三十八年度が四九・一%であったのに対しまして、三十九年度は五〇・八%、三十九年度に至ってこの部門が五割をこえる状況に相なっております。   〔松津委員長代理退席、委員長着席〕  これに対しまして、(11)の基幹産業の項目をごらん願いますと、三十八年度の千百二十一億円に対しまして千九十七億円、やや減、横ばいの状況を示しております。すなわち、財政投融資全体の傾向といたしまして、基幹産業的な部門の比重が減りまして、国民出活に非常に密接な部門の(1)ないし(2)の項目、あるいは産業基盤を形成いたします(7)ないし(10)の項目に比重が移りつつあるここ数年来の傾向を、さらに本年も強化いたしておるということがいえるかと存じます。  以上、昭和三十九年度財政投融資計画についての簡単な御説明を終わります。  次に、お手元にやはり二枚紙でこういう「昭和三十九年度予算に関する参考資料」という表があると思いますが、それをごらん願いたいと思います。  昭和三十九年度予算に基づきます財政資金民間収支見込みでございますが、昭和三十八年度が、先ほど主計局長から申し上げましたように、前年度剰余金繰り入れが非常に多かった関係で、全体として三千七百五十億円の散超の見込みであったのに対しまして、昭和三十九年度は、剰余金受け入れが減りましたこと、それから国際収支の関係で外国為替資金が揚げに転じますという両方の理由によりまして、千二百十億円の散超にとどまる見込みでございます。もちろん、これは予算がそのとおりに実行されるという前提での数字でございます。  以上、簡単でございますが、補足説明を終わります。
  13. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、経済企画庁調整局長高畠節男君。
  14. 高島節男

    ○高島政府委員 私から、三十九年度予算案の前提となりました経済見通しと経済運営の基本的態度につきまして、補足説明を申し上げます。  お手元に「昭和三十九年度予算補足説明」といたしまして、ガリ版刷りの横に書きました説明要旨と、それから「昭和三十九年度経済見通しと経済運営の基本的態度」といたしました閣議決定に相なっております資料と二通り参っております。  補足説明のほうに即しまして御説明を申し上げてまいりたいと思います。  まず初めに、三十九年度経済の出発点となりまする三十八年度経済情勢でございますが、三十七年度の十月に引き締め政策が解除いたされましてから、順次回復基調に転じてまいりまして、三十八年度に入りましてからは、予想を上回る経済拡大というものを続けておりますことは御承知のとおりでございます。この結果、三十八年度の国民総生産は、ほぼ二十一兆九千五百億円という規模に達する見込みでございまして、経済成長率は、これによりますと、実質で八・二%というところまで達する見込みでございます。このような経済拡大は、個人消費、財政支出等が引き続き堅調に伸びておりますのに加えまして、在庫投資の増大や設備投資の回復が見られてまいりますなど、国内需要が全体として増大をしてきているというところによる点が大きいのでございます。輸出もまた、このような拡大されました国内経済を基盤として、予想を上回る増加を示しておりまして、また、鉱工業生産の活動も、このような総需要の増加に加えまして、最近特に設備能力の増大が見られて、これに伴って、企業が操業度を何とか高く維持しようという意欲が強いことも作用いたしまして、非常に大幅な増大を続けております。大体年度間では三十七年度に比べまして二三・六%程度の伸びになるのではないかと見ております。  この間におきまして、国際収支のほうでございますが、輸出は相当に好調でございまして、年度間五十五億ドル程度を達成いたす見込みでございます。ところが輸入がさらにこの輸出を上回りまして増大いたしておりまして、年度間五十七億五千万ドル程度のところまで達しそうでございますため、貿易収支はかなりの赤字が避けられない見込みとなってまいっております。このように輸入が著しく増大いたしてまいりました理由としましては、鉱工業生産が予想以上に上昇いたしまして、原燃料の輸入が増大したことのほかに、粗糖その他の一部の商品の海外市況が高騰いたしましたり、あるいはまた海上運賃が一般的に上昇いたしましたこと、さらには長雨被害によりまして国内産麦が不作であったことというような、多くの臨時的な要因が重なってまいっておるわけでございます。また海運収支の悪化等がございまして、貿易外収支の赤字幅も増大いたしてまいっておりますほか、資本収支の面でも、三十八年七月に米国のドル防衛措置強化されまして以来、資本収支の黒字幅が急激に減少いたしてまいっておりまして、特別借款の残額九千万ドル程度の返済もいたしましたので、年度間の国際収支の総合収支じりといたしましては、一億ドル程度の赤字とならざるを得ない見込みでございます。  次に、物価の動きでございますが、卸売り物価は、全体といたしましておおむね安定的に推移いたしておりますが、消費者物価は、農水産物、サービス料金のほか、中小企業製品を中心といたしまして、その騰勢は、なお弱まっていない段階にございます。  このような三十八年度の見通しを中心にいたしましたわが国経済の現状から見ますと、過去二回におきますように、設備投資とかあるいは在庫投資とかいったものの特定の項目の行き過ぎによりまして、国際収支の危機を招いた場合とはその様相を非常に異にいたしておりまして、個々の需要面の、要素の中で特に行き過ぎた増大が見られるというものではないようでございます。しかしながら、もしこのまま推移いたしますと、国内の需要や鉱工業生産は、引き続ききわめて活発な伸びを示しまして、国際収支の均衡や消費者物価の安定を期待することは、非常に困難な事態となり、わが国経済の長期にわたる安定成長の基盤がそこなわれることになるものと判断されるのでございます。  したがいまして、開放経済への移行という月下直面いたしておりますきびしい国際環境に対処しつつ、経済の安定成長を確保することを目途として、今後の経済運営をはかってまいるという考え方にならざるを得ない次第でござます。  このため、三十九年度経済運営に当たりましては、絶えず国際収支及び消費者物価の動向に注意しつつ、国内需要が適正な水準を越えないよう経済を引き締め基調で運用いたしてまいりますということとともに、他面、輸出振興、海運収支の改善、あるいは物価の安定、あるいは農業、中小企業近代化、あるいは社会資本充実といったような重点施策を強力に推進いたしてまいりまして、わが国経済のバランスある発展国民生活向上をはかってまいる、こういう基本的な考え方に相なる次第でございます。  それで、三十九年度経済の見通しはどういうことに相なるかという点でございますが、このような経済運営の基本的な態度に基づまして、三十九年度経済均衡基調を失わない望ましい姿というものを描いてみますと、国民総生産の規模はおおむね二十四兆円、その成長率は実質で七%程度というものに相なってまいるのでございます。これは成長率といたしましては、三十八年度——先ほど申しました八・二%というものには及ばないのでございますが、国民所得倍増計画で想定いたしております成長の基本路線というものの線には沿ったところにあるわけでございます。  次に、この場合におきます経済の主要な項目につきまして、三十八年度と比較いたしながら、簡単に御説明いたしてまいりますと、まず、個人消費支出でございますが、経済環境が引き締まってまいりまして、消費者物価も安定の方向に向かってまいりますに伴いまして、その名目伸び率はやや鈍化して、大体二、二%程度の伸びになるものと見込んでおる次第でございます。次に、設備投資につきましては、中小企業等の部門では、近代化の必要性が強く、また投資意欲自体も強いので、かなりの増加が見込まれますが、全体といたしましては、金融面の制約も出てまいっておることでございまして、四兆一千億円程度と、対前年度比三%前後の伸びにとどまるものと考えております。また、在庫投資は、経済が引き締め基調で運営されるということになってまいりますと、幾、ふん減少ぎみに推移すると思われます。また、政府の財貨、サービスの購入でございますが、この関係は、中央・地方財政を通じまして、先ほど来御説明がありましたところにのっとって算定いたしますと、約五兆二千八百億円という程度と見込まれまして、三十八年度の実績見込みに比べますと、伸び率としては一一%程度ということに相なってまいります。  このような需要に対しまして、供給面の姿でございます鉱工業生産を見てまいりますと、金融政策の機動的な運用と相まちまして、企業及び金融機関の慎重な態度が期待されておりますので、その伸びが漸次鈍化してまいることと考えられまして、年度間では九%程度という上昇率にとどまるものと見込んでおります。農林水産業の生産の点につきましては、三十八年が不作でありました麦類の生産が回復してまいるというようなこともございまして、伸び率はやや上がり、全体として五%程度の上昇が見込まれております。  以上の裏をなします国際収支の点でございますが、まず、輸出につきましては、海外の経済情勢が三十八年度以上に好調に推移するということが期待されておりますので、政府・民間一致協力して、あらゆる輸出努力を重ねてまいりまして、三十八年度に伸びるであろうと見ております現在の一二・三%程度の伸びというものは、三十九年度においても達成されるのではないかと期待されます。また輸入のほうも、国内の経済全般が落ちついた推移をたどってまいりますと、漸次増勢も鈍化してまいりまして、八%程度の増加にとどまるものと見込んでおりますので、貿易収支は大幅に改善されまして、年度全体としましては、おおむね均衡することができるのではないかというように思われます。これに対しまして、貿易外の収支におきましては、外航船腹の増強といったような長期的な効果を期待する構造対策が講じられておりますが、三十九年度のところでは、赤字の増大がまだ避けられません段階にありますので、経常収支全体としましては、五億五千万ドル程度の赤字が見込まれざるを得ない状況でございます。当面、このような赤字を補うため、長期健全な外資の導入を促進してまいる必要があるのでございますが、米国のドル防衛措置強化の影響もありまして、資本収支の面において、三十八年度程度の黒字を期待することはできませんので、総合収支では、年度間を通じまして一億五千万ドル程度の赤字となることは避けられないのではないか、こういう見通しに相なっております。しかし、ただいま申し上げましたように、貿易収支の改善に伴いまして、国際収支の基調は、全体として逐次均衡化の方向へ向かってまいるものと考えております。  次に、物価につきましては、卸売り物価は、まずほぼ横ばいの状態に推移するものと判断いたしておりますが、消費者物価につきましては、あらゆる施策を結集いたしまして安易な値上げムードを抑制いたしてまいりましたならば、騰勢はかなり鈍化して、三十九年三月から四十年三月までの上昇率としては、おおむね三%程度におさまって、年度平均で四・二%という上昇にとどまることを期待いたされるわけでございます。  以上、簡単でございますが、三十九年度経済見通しと経済運営の基本的態度につきまして、補足説明を申し上げた次第でございます。
  15. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 以上をもちまして政府説明を終わりました。      ————◇—————
  16. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、公聴会の件についておはかりいたします。  御承知のとおり、総予算につきましては、公聴会を開かなければならないことになっておりますので、この際、昭和三十九年度予算について、議長に対し公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。  なお、公聴会の開会承認要求並びに公聴会の開会に関する諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これについて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。  次会は、来たる二十九日午前十時より開会し、昭和三十九年度予算についての質疑に入ることにいたします。  なお、引き続き理事会を開会いたしますから、理事の諸君は、第二委員室に御参集を願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十六分散会