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1964-04-16 第46回国会 衆議院 本会議 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十六日(木曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第二十三号   昭和三十九年四月十六日    午後二時開議  第一 下級裁判所設立及び管轄区域に関する   法律の一部を改正する法律案内閣提出、参   議院送付)  第二 中小企業退職金共済法の一部を改正する   法律案内閣提出)  第三 外交関係に関するウィーン条約及び関係   議定書締結について承認を求めるの件  第四 企業資本充実のための資産評価等の特   別措置法の一部を改正する法律案内閣提   出)  第五 旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案   (内閣提出参議院送付)  第六 国際観光ホテル整備法の一部を改正する   法律案内閣提出参議院送付)  第七 労働省設置法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  第八 日本電信電話公社法の一部を改正する法   律案内閣提出)  第九 国立教育会館法案内閣提出)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  日程第一 下級裁判所設立及び管轄区域に関   する法律の一部を改正する法律案内閣提出、   参議院送付)  日程第二 中小企業退職金共済法の一部を改正   する法律案内閣提出)  日程第三 外交関係に関するウィーン条約及び   関係議定書締結について承認を求めるの件  日程第四 企業資本充実のための資産評価等   の特別措置法の一部を改正する法律案内閣   提出)  日程第五 旅行あつ旋業法の一部を改正する法   律案内閣提出参議院送付)  日程第六 国際観光ホテル整備法の一部を改正   する法律案内閣提出参議院送付)  日程第七 労働省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第八 日本電信電話公社法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  日程第九 国立教育会館法案内閣提出)  鉱山保安法の一部を改正する法律案内閣提   出)の趣旨説明及び質疑  赤澤自治大臣地方財政法第三十条の二の規定   に基づく地方財政状況報告についての発言   及び質疑  野田総理府総務長官観光基本法に基づく昭和   三十八年度年次報告及び昭和三十九年度観光   政策についての発言及び質疑    午後二時三十五分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 船田中

    議長船田中君) 御報告いたすことがあります。  去る十四日、正仁親王殿下の納采の儀が行なわれましたので、当日、議長は、本院を代表して、皇居において、天皇陛下、皇后陛下に御祝詞を申し上げ、次いで、義宮御殿において、正仁親王殿下に御祝詞を申し上げました。  右、御報告を申し上げます。(拍手)      ――――◇―――――  日程第一下級裁判所設立及び   管轄区域に関する法律の一部を   改正する法律案内閣提出、参   議院送付
  4. 船田中

    議長船田中君) 日程第一、下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。     ―――――――――――――  下級裁判所設立及び管轄区域に関  する法律の一部を改正する法律案    〔本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――
  5. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。     ―――――――――――――    〔報告書本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――    〔濱野清吾登壇
  6. 濱野清吾

    濱野清吾君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案趣旨は、第一に、簡易裁判所管轄区域の変更でありまして、土地の状況、交通の利便等にかんがみ、鰍沢簡易裁判所管轄に属する山梨県西八代郡上九一色付字富士ケ嶺区域富士吉田簡易裁判所管轄とすること、第二に、市町村の廃置分合等に伴い、下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の別表を整理することであります。  さて、当委員会におきましては、去る三月二十七日本案付託されて以来、慎重審議を重ね、本月九日に至り一切の質疑終了いたした次第であります。その詳細は会議録に譲ります。  次いで、十四日、別に討論がありませんので、直ちに採決に付しましたところ、本案全会一致をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、各党を代表して坂本泰良委員より、本案に対し、政府並びに最高裁判所当局は、未開庁簡易裁判所について再検討を行ない、簡易裁判所運営合理化すべきこと、及び、判事検事定員の増加につとめ、有資格者を可及的すみやかに判事検事に採用して、通常に遺憾なきを期すべきであるとの趣旨附帯決議案提出され、これまた全会一致をもってこれを付することに決したわけでございます。  右、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  7. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  日程第二 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案内閣提出
  9. 船田中

    議長船田中君) 日程第二、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案議題といたします。     ―――――――――――――  中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案    〔本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――
  10. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。社会労働委員長田口長治郎君。     ―――――――――――――    〔報告書本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――    〔田口長治郎登壇
  11. 田口長治郎

    田口長治郎君 ただいま議題となりました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、中小企業退職金共済制度の一そうの普及発展をはかるため、現行制度改善合理化を行なうとともに、期間を定めて雇用される従業員に関する特例を定めるものであり、そのおもなる内容は、第一に、中小企業者範囲を拡大し、製造業等の場合において、現行常用労働者数二百人以下を三百人以下に改め、第二に、掛け金月額最高額を、被共済者一人につき、現行の千円から二千円に引き上げ、第三に、中小企業退職金共済事業団は、共済契約者等に対し、労働者住宅その他の福祉施設設置整備に要する資金の貸し付けを行なうことができることとし、第四に、建設業等特定業種について、特定業種退職金共済組合設立し、期間を定めて雇用される者に関する退職金共済制度運営すること等であります。  本案は、去る二月十二日本委員会付託となり、四月十四日、質疑終了いたしましたところ、監事の権限に関する規定について、自由民主党日本社会党民主社会党の三党共同修正案提出せられ、竹内黎一君より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本案修正議決すべきものと議決いたした次第であります。  なお、本案に対し、小宮山重四郎君外二名提出にかかる三党共同附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  12. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  13. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ――――◇―――――  日程第三 外交関係に関するウィーン条約及び関係議定書締結について承認を求めるの件
  14. 船田中

    議長船田中君) 日程第三、外交関係に関するウィーン条約及び関係議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。     ―――――――――――――  外交関係に関するウィーン条約及び関係議定書締結について承認を求めるの件    〔本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――
  15. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。外務委員長臼井莊一君。     ―――――――――――――    〔報告書本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――    〔臼井莊一君登壇
  16. 臼井莊一

    臼井莊一君 ただいま議題となりました外交関係に関するウィーン条約及び関係議定議締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  国家間の外交関係及び特権免除は、従来国際慣行と礼譲によって規律されておりましたが、国際関係が広範かつ緊密となってまいりましたので、これを成文化するため、国際連合は、国際法委員会が作成した草案を基礎にして国際会議を開き、本条約及び関係議定書採決いたしました。  本条約及び関係議定書は、昭和三十七年三月三十一日まで署名のため開放され、わが国は同年三月二十八日これに署名を行なったのであります。  本条約は、外交関係の開設、外交使節団設置使節団の公館、公文書、公用通信外交官の身体及び住居等の不可侵、外交官裁判権並びに租税及び関税の免除外交官の移動、旅行及び通信自由等について規定しております。  また、関係議定書は、この条約の解釈または適用から生ずる紛争を、仲裁裁判所付託するか、調停手続をとることが、合理的な期間内に合意される場合以外は、国際司法裁判所の義務的管轄付託することを規定しております。  本件は、三月二日本委員会付託されましたので、政府から提案理由説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、四月十五日、質疑終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  17. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本件委員長報告のとおり承認するに決しました。      ――――◇―――――  日程第四 企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出
  19. 船田中

    議長船田中君) 日程第四、企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。     ―――――――――――――  企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案    〔本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――
  20. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。大蔵委員長山中貞則君。     ―――――――――――――    〔報告書本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――    〔山中貞則登壇
  21. 山中貞則

    山中貞則君 ただいま議題となりました企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、開放経済体制への移行に対処して、わが国企業の経理及び経営の一そうの健全化をはかるため、近く適用期限が切れることになっております現行の再評価積み立て金の資本組み入れ割合等による配当制限措置について、なお継続する必要が認められますので、企業の実情に即し、さらにこれを若干強化して、その適用期限を延長する等所要改正を行なおうとするものでありまして、その概要は次のとおりであります。  まず、第一は、再評価積み立て金の資本組み入れ促進措置でありまして、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度から二年間については、資本組み入れ割合が五〇%に満たないときは年一〇%、七〇%に満たないときは年一二%、八〇%に満たないときは年一五%をこえる配当を行なってはならないこととし、さらに、昭和四十二年三月三十一日を含む事業年度から一年間については、資本組み入れ割合が六〇%に満たないときは年一〇%、八〇%に満たないときは年一二%をこえる配当を行なってはならないこととしております。なお、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度以降三年間については、再評価積み立て金資本金に対する割合が一〇%以下の会社に対して、配当制限適用しないこととしております。  第二は、減価償却励行のための措置でありまして、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度から三年間は、特定の場合を除き、減価償却の額の合計額法人税法規定による普通償却範囲額に満たない場合には、配当率年一〇%をこえてはならないものとしております。  第三は、再評価積み立て金資本準備金への繰り入れ措置でありまして、現在、再評価実施会社については、再評価積み立て金の資本組み入れ割合が八〇%以上である場合、または再評価積み立て金の額が資金の額の一〇%以下である場合には、その全額を資本準備金に組み入れ、再評価積み立て金勘定を廃止することができることとなっておりますが、これを再評価積み立て金を有する株式会社全般適用することとして、再評価積み立て金最終処理促進をはかることとしております。  本案につきましては、審議を重ねた後、昨四月十五日、質疑終了討論省略の後、採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決となりました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  22. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  23. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  日程第五 旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第六 国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  24. 船田中

    議長船田中君) 日程第五、旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案日程第六、国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――  旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案  国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案    〔本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――
  25. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。運輸委員長川野芳滿君。     ―――――――――――――    〔報告書本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――    〔川野芳滿登壇
  26. 川野芳滿

    川野芳滿君 ただいま議題となりました二法案について、運輸委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、旅行あっせん業者業務を適正に行なわせるとともに、旅行あっせん業者全般の信用度を向上させるため所要改正を行なおうとするもので、おもなる内容は、第一に、邦人旅行あっせん業は、日本人の国内旅行のみを扱うこととし、第二に、営業保証金の額を経済事情の変動に応じて約五割を引き上げ、損害担保力の強化をはかったのであります。第三に、旅行あっせん業者が行なってはならない行為の中に、債務の履行を不当に延ばす行為及び重要な事実を告げない行為等を加えたことであります。  次いで、国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、外国人観光旅客接遇を充実させるため、登録ホテル業及び登録旅館業業務適正化施設の水準の向上をはかろうとするものでありまして、その改正点は、第一に、登録ホテル業及び登録旅館業を営む者に新たに宿泊約款届け出義務を課し、また施設の管理の方法及び従業員に施すべき教育程度等外客接遇上当然順守すべき事項を定め、第二に、事業についての報告及び施設書類等の検査に関する規定を整備し、最後に、施設に関しての登録基準を改めたことであります。  両案は、三月三日提案理由説明を聴取し、三月十八日本付託となり、四回にわたり質疑を行なったのであります。  かくて、四月十五日、討論を省略して両案を一括して採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党久保三郎委員より、自民社会民社党共同提案による、あっ旋業者禁止行為規定について、悪質旅客に逆用され、かえって混乱を招くことのないよう法の運用を期すべき旨の附帯決議が付され、また、国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案については、自由民主党山田彌一委員より、同じく共同提案として、登録ホテル及び登録旅館に対する地方税法の不均一課税の是正並びに融資条件改善をはかるべき趣旨附帯決議が付されたのであります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  27. 船田中

    議長船田中君) 両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  28. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、両案とも委員、長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  日程第七 労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提出
  29. 船田中

    議長船田中君) 日程第七、労働省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。     ―――――――――――――  労働省設置法の一部を改正する法律案    〔本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――
  30. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。内閣委員長徳安實藏君。     ―――――――――――――    〔報告書本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――    〔徳安實藏登壇
  31. 徳安實藏

    徳安實藏君 ただいま議題となりました労働省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、総合的な研修機関として、労働研修所本省設置するほか、本省定員を六百四十六人増員しようとするものであります。  本案は、二月五日本委員会付託され、二月十八日政府より提案理由説明を聴取し、慎重審議を行ない、四月十五日、質疑終了いたしましたところ、自民社会民社三党より、四月一日の施行期日を「公布の日」に改め、定員に関する改正規定は四月一日から適用する旨の修正案提出され、趣旨説明の後、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――   〔参照〕    労働省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案委員会修正)   労働省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則を次のように改める。     附 則  この法律は、公布の日から施行する。ただし、第二十二条の表の改正規定は、昭和三十九年四月一日から適用する。     ―――――――――――――
  32. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  33. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ――――◇―――――  日程第八 日本電信電話公社法の一部を改正する法律案内閣提出
  34. 船田中

    議長船田中君) 日程第八、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案議題といたします。      ――――◇―――――  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案    〔本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――
  35. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。逓信委員長加藤常太郎君。     ―――――――――――――    〔報告書本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――    〔加藤常太郎登壇
  36. 加藤常太郎

    加藤常太郎君 ただいま議題となりました日本電信電話公社法の一部を改正する法律案に関し、逓信委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案趣旨は、日本電信電話公社について、新たに一定の関連事業に対する投資の道を開き、その投資を通じて公社業務公共性の確保をはかろうとするものでありまして、その内容は、公社がその業務運営上必要がある場合には、政令で定める事業範囲において郵政大臣の認可を受け、かつ、予算の定めるところにより、公社の委託を受けて公衆電気通信業務の一部を行なうことを主たる目的とする事業、及び公社公衆電気通信業務運営に特に密接に関連する業務を行なうことを主たる目的とする事業投資できることを規定したものであります。  逓信委員会においては、去る二月七日本案付託を受け、慎重審査の後、四月十五日、質問を終了討論採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたした次第であります。  以上をもって御報告を終わります。(拍手)     ―――――――――――――
  37. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  38. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  日程第九 国立教育会館法案内閣提出
  39. 船田中

    議長船田中君) 日程第九、国立教育会館法案議題といたします。     ―――――――――――――  国立教育会館法案    〔本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――
  40. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。文教委員長久野忠治君。     ―――――――――――――    〔報告書本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――    〔久野忠治登壇
  41. 久野忠治

    久野忠治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審議経過とその結果を御報告申し上げます。  本案の要旨は、国立教育会館法人とし、資本金政府が全額出資し、その設置する教育職員その他の教育関係者のための研修施設運営し、教育関係者の資質の向上をはかり、もって教育の振興に寄与することを目的とするものであります。この法人の役員は、文部大臣が任命し、館長一人、理事三人以内及び監事二人を置き、任期は二年といたしております。  本案は、去る二月十一日当委員会付託となり、二月十二日灘尾文部大臣から提案理由説明を聴取し、以来、慎重に審議を行ないましたが、その詳細につきましては会議録によって御承知を願います。  かくて、四月十五日、本案に対する質疑終了し、次いで、長谷川峻君外四名より、本案施行期日である昭和三十九年四月一日を「公布の日」に改める旨の、自由民主党民主社会党共同提案にかかる修正案提出されました。引き続いて、本案及び修正案を一括して討論に入り、日本社会党を代表して長谷川正三君より反対討論が行なわれた後、直ちに採決に付し、修正案及び修正部分を除く原案は、それぞれ賛成多数をもって可決、よって、本案修正議決されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  42. 船田中

    議長船田中君) 討論の通告があります。これを許します。長谷川正三君。    〔長谷川正三登壇
  43. 長谷川正三

    長谷川正三君 私は、ただいま議題となりました国立教育会館法案につきまして、日本社会党を代表いたしまして、反対の意見を申し述べたいと存じます。(拍手)  まず第一に、本法案を提案するに至るまでの経過並びにその取り扱いについて納得しがたい点が多々あるのであります。  すでに皆さま御承知のように、国立教育会館につきましては、去る昭和三十六年度以来、教育関係者の研究あるいは研修の場所を提供することを主たる理由といたしまして、官庁営繕の形で、今日までに約六億の国費を投じて建設を進めてまいったものであります。このほどほぼ完成に至りましたので、あらためて本法案により、特殊法人国立教育会館設立し、国が建設した施設の財産を現物出資いたしまして、運営費についても一部国庫補助を行ない、その運営に当らせようとするものであります。  しかるに、この間一方において財団法人国立教育会館建設協力財団を組織し、教育界から一億、財界から二億の目標を立てて寄付金の募集を行なっているのであります。志ある者から浄財を集め、教育会館の建築工事の進行に伴い、文部省と協議の上、所要施設、設備を整備し、これを国に寄付するということは、現行諸法規に照らして直ちに違法だと断ずることはしばらくおくといたしましても、各地における募金の実態を見ますと、地方自治体あるいは地方教育委員会にこの募金が割り当てられたり、あるいはまた校長会、教頭会等を通じて半強制的雰囲気の中で募金が行なわれていると聞き及んでいるのでありまして、これは地方財政法の第二条にある「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」との定め、あるいはまた、同法第二十七条の三におきまして、今日国民の切実な要求であるために寄付行為等の行なわれがちな高等学校の施設の建設事業費について「住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。」と都道府県の責任をきびしく規定した精神に対しまして、政府みずから明らかに反する施策を行なっていると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  次に、昭和三十六年度以来、本会館を建設する予算支出にあたりまして、繰り返し繰り返し説明された会館の業務運営内容と、今回建物がいよいよでき上がった段階で提案されてまいりました本法案内容とは、きわめて重要な点について大きな性格の変更を行なっているのであります。  すなわち、昭和三十六年三月十七日の衆議院文教委員会において、時の荒木文部大臣は、山中吾郎委員の質問に答えて、「運営ということは建物の管理、運用ということだけであって、たとえば教職員の研修会を催すことそれ自体を企画したり、あるいは研修それ自体をみずからの責任においてやってみたり、などということは考えられない」と明言されているのであります。しかるに、本法案によりますと、教育会館の業務内容について、その第二十条の二項におきまして、教育関係職員などの研究集会及び講習会を会館自体が主催することを規定いたしておるのであります。文部大臣の監督下にあるとはいうものの、一応独立した特殊法人教育会館が教職員を集めて研修させるというのであります。まことに驚くべき本質的性格の変更でございます。(拍手)たとえ当時と大臣がかわろうとも、このような政府の食言は断じて納得しがたいのでございます。(拍手)  さらにまた、教職員の研修ということにつきましては、本来任命権者の責任と規定されており、地方公務員法あるいは教育公務員特例法あるいは文部省設置法等々の中には、幾多の規定があるのであります。いまさらこの教育会館法に研修会を主催させるごとき、屋上屋を架するごとき規定は断じて不必要でございます。  さらにまた、研修は、本来、地方教育委員会設置法に明らかなように、憲法と教育基本法の根本精神に立って各地方地方の実情に即し、自由な雰囲気の中で自主的、創造的に行なわるべきであります。今回、この法案によりまして、教育会館が研究会、講習会等を主催するということによって、これが文部官僚の隠れみのとなり、教育の国家統制への道を開くといたしますならば、本法案は断じて一会館の運営云云の問題でなく、日本の文教行政史上重大な結果を来たすおそれのある法案というべきでございます。(拍手)  本来、教育会館は、当初建設当時の説明のごとく、あくまで教職員の自由な研究あるいは文化の進展に即す各種の研修等のサービスに徹した場所として運営さるべきであります。また、その人事の構成等におきましても、真に信頼のおける民主的配慮が必要であり、運営がなされなければならないと存ずるのでありますが、本法案は、これらの点について何ら十分な保障がなされておらないのでございます。私は、戦前すでに十余年の教職経験を持っておるものでありますけれども、今日、新しい民主憲法のもとにまだ二十年を出ないわが国といたしましては、あらゆる機会に憲法の精神を国民に浸透させるために配慮をなさるべきであろうと思います。特に、教育の仕事は、基本的人権を根幹とし、主権在民、平和を希求する憲法の高邁な精神を国民の中に深く浸透させる使命を持っております。そのためには、教育の国家統制、官僚統制への道が少しでも起こるならば、再び国民をして大きなあやまちに導くことを考え、いやしくも民主憲法下の国会を構成するわれわれは、細心の注意を払って、これらの危険を取り除く必要があると存ずるのであります。  その意味におきまして、本法案はきわめて危険な要素を含んでおることを指摘いたしまして、反対討論を終わりたいと存じます。(拍手
  44. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  45. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。(拍手)      ――――◇―――――  鉱山保安法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  46. 船田中

    議長船田中君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出鉱山保安法の一部を改正する法律案趣旨説明を求めます。通商産業大臣福田一君。    〔国務大臣福田一君登壇
  47. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 鉱山保安法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  労働者の人命の尊重は、申すまでもなく何よりも大切なことであります。このため、政府といたしましては、これまでも鉱山の保安の確保につきましてはできる限りの努力を払ってきたところであり、この間において、鉱山の保安の状況は漸次改善されてきているのでありますが、鉱山、特に石炭鉱山における重大災害の発生はなおあとを断たず、特に昨年十一月、不幸にして三井三池炭鉱におきまして多くのとうとい犠牲者を生じましたことは、深く遺憾とするところであります。  政府といたしましては、今後このような大災害を再び繰り返すことのないよう保安監督の強化、保安教育の徹底、保安融資の充実等を中心として鉱山保安行政を一段と強化したのでありますが、鉱山保安に関する法規につきましては、鉱山における保安の確保の基礎をなすものでありますので、特にその万全を期すべく鉱山保安法改正及び運用の各般にわたりまして各界の専門家からなる中央鉱山保安協議会に慎重な検討をお願いいたしておりましたところ、今回保安管理組織の整備等、当面法改正を要すべき事項につきまして答申を得ましたので、本答申に基づいてこの法律案提出することといたしました。  改正の第一は、保安統括者制度を新設する等、鉱山における保安管理組織を整備したことであります。  現行法におきましては、鉱山における保安管理体制の頂点に立つものとして保安管理者及び副保安管理者の制度を設けているのでありますが、これを技術的有資格者に限定しております関係上、鉱業所長とその鉱山の保安最高責任者が必ずしも一致しないといううらみが生じてまいったのであります。もとより鉱山における保安の責任者は、同時に資金、労務その他鉱業実施の全般の事項についての最高の責任者であることが望ましいのでありまして、このため、この際新たに保安統括者の制度を設け、鉱業所長、鉱山長等をもってこれに充てることとし、さらにこれを技術面から補佐するものとして、保安技術管理者及び副保安技術管理者制度を新設し、保安管理者及び副保安管理者制度は廃止することとしたものであります。  改正の第二は、保安監督員補佐員制度を新設して、鉱山における自主的な監査組織を整備したことであります。  鉱山における自主的な監査組織といたしましては、現在保安監督員の制度が設けられておりますが、災害、特に日常発生する事故の未然の防止をはかりますためには、現場に働く鉱山労働者の保安に関する意見がこの監査機能にさらに十分に反映することが望ましいと考えられるのであります。このことが今回保安監督員を補佐するものとして補佐員制度を新設し、その一人は鉱山労働者の過半数の推薦により選任させることを企図いたしました理由であります。  以上が、この法律案改正趣旨でありますが、この法律改正と相まちまして、さらに石炭鉱山保安規則等の関係省令についてもその整備充実をはかり、鉱山保安行政の万全を期してまいる所存であります。(拍手)      ――――◇―――――  鉱山保安法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  48. 船田中

    議長船田中君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。細谷治嘉君。    〔細谷治嘉君登壇
  49. 細谷治嘉

    ○細谷治嘉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました鉱山保安法の一部を改正する法律案について、池田総理大臣並びに福田通産、大橋労働両大臣に対しまして若干の質問を試みたいと思います。私の質問は、統計及び現在までの経験に基づいた具体的な点についてでありますので、しかも事柄が直ちに人命に関係するものだけに、誠意をもって具体的に答弁されるように希望してやみません。  昨年十一月九日、期せずして同じ日に起こりました三井三池の悲惨きわまりない炭鉱災害と鶴見の国鉄事故は、一瞬にして数百名の人命を奪い、国民に大きな衝撃を与えたのでございます。そして当時は、鳴りもの入りで人命尊重が叫ばれたのでありますが、時日が経過するにつれて、世の関心は薄らぎ、見るべき対策も講じられないまま現在に至っておることは、まことに遺憾と申さなければなりません。  しかも、特に指摘しなければならない点は、あの大事故以後上尊、白炭高松炭鉱の爆発、常磐炭鉱の落盤等、依然として各地の生産現場でとうとい生命が失われ続けているばかりでなく、さらに交通禍によって奪われる人命、傷つく人たちのあまりにも多いという事実でございます。このような事態は、諸外国に全くその例を見ないところでありまして、国の人的、経済的損失はけだしばく大なものと申さなければならず、まさしく日本の恥辱というべきでございます。  申すまでもなく、国民の生活と健康を守ることは、政府の最大の責任であります。いまこそ思いを新たにし、池田内閣は責任の重大さを痛感し、一切の施策に先んじて人命擁護と人命尊重の対策を急速に確立し、強力に推進すべきときと存じます。この点に関する池田総理の決意のほどをまずお伺いいたします。  なぜ災害が頻発するのか、その原因は一体どこにあるのか、私は至るところの職場で進められておる過酷な合理化と保安を無視した増産体制とが労働者の頭上に襲いかかり、一方的に強行されているからだと考えざるを得ないのでございます。例を炭鉱にとってみますと、合理化法が施行された昭和三十年を基準とした場合、昭和三十八年は労働者数が約十二万人も減少しているにもかかわらず、災害回数、罹災者数はいずれも増加し、稼働延べ百万人当たりの災害率は約一七〇と極端な上昇を示しておるのであります。このことは、首切りの強行、労働強化、労働条件の切り下げ、経費の節減、労働者の権利剥奪という一連の石炭資本の合理化が根本的な原因でございます。坑外夫を坑内夫に、坑内では間接夫から直接夫へ、直接夫では仕繰りから採炭夫へと、一連の移動が保安を無視して一方的に行なわれ、出炭量と能率の向上にのみ集中したことを雄弁に物語っていると申さなければなりません。したがいまして、炭鉱の合理化が炭鉱災害の続発を生んだと申しても過言でなく、また、労働者を人間として否定し去り、トン当たり幾らと計算しているのだとさえ申すことができるのでございます。災害は忘れたころに起こるといわれますが、起こるべくして起こっているのが現況でございます。にもかかわらず、政府は手をこまねき、資本のなすがままにまかせており、いな、むしろそれをバックアップしているかのごとき結果となっていることをまことに遺憾に思うのでございます。  災害防止の出発点は、まず、このような政府の姿勢と政策を正すことにあります。生産よりもまず保安、利潤よりも人命、そして保安とはただ単に災害防止だけでなく、進んで予防策を講じ、職場はむろんのこと、一般国民すべての健康保持、公害の撲滅へと発展させなければならぬのであります。これらの点につぎ、総理並びに関係大臣の所見をお伺いいたします。  第三に、法律案は中央鉱山保安協議会の第三次答申をうのみにしたにすぎず、きわめて形式的かつ不十分なものと申さなければなりません。国会は、過去数回にわたって本法の抜本的改正を決議しているにもかかわらず、それが取り入れられておらず、国会軽視ともいうべく、まことに遺憾でございます。現行法はきわめて抽象的で、作業個所の状態、諸施設の基準等は、あげて規則に譲り、技術の進歩、状況の変化に対応した生きた通常ができない仕組みになっておるのでございます。  一例を炭坑の種別にとってみても明白でございます。すなわち、昭和三十三年から三十八年までの六年間の統計によりますと、ガス爆発の発生件数が、甲種炭坑三十五に対し、乙種炭坑は二倍以上の七十三件となっておるのであります。この事実は、種別基準が実態に即しておらず、運営そのものもまた不当であることを証明しておるのであります。鉱山保安法の抜本的改正とはこの点にあり、これを抜きにして実効を期することは不可能であります。法律ではきわめて抽象的、皮相的な点のみを規定し、重要な諸点はすべて規則に譲り、政府と炭鉱資本のアベックで基準をきめ、これを運営してまいったところに災害の根源があると申すことができます。(拍手)この際、実情に即した新基準の設定と基本的事項を規則から法律へ移し、科学的運営と管理を行ない、真に保安が確立し、人命が尊重されるよう強く要望するものでありますが、関係大臣の決意のほどをお尋ねいたします。  第四は、監督機構の充実と労働者の保安体制への参加であります。従来の実例を見ますと、保安上心配な点が監督官庁によって指摘されていたにもかかわらず、これが軽視、実行されず、大災害を生んでおるのでございます。本来、保安は事業主が責任を持って自主的に実行すべきでございますが、実行されておらないところに問題がございます。したがって、人命を守るため、保安監督機構の整備充実が喫緊の急務といえるのであります。この点に関し、三十九年度予算は現状維持そのものであり、政府の熱意の不足とともに、責任まことに重大と申さなければなりません。  この際、私が特に主張いたしたい点は、実際の経験を有し、しかも自分の生命をみずから守らなければならない労働者の切実な意欲を生かすことだと信じます。法律案では保安監督員補佐員制度が新設され、鉱山労働者の中から一人が参加することになっておりますが、なおきわめて不十分と申さなければなりません。保安監督の強化と、被害者たる労働者代表が主体となるよう制度化することがきわめて大切だと存じますが、この点に関し、関係大臣の見解を具体的にお尋ねいたします。  第五は、労災補償の拡充でございます。まず災害によって不幸死亡した者は、遺族補償として法によって千日分と定められているのでありますが、金額にしてきわめて少額な人が多いのでございます。とうとい人命の補償としては、まことに少額であるばかりでなく、他の災害、事故との間に不統一と不公平が存在していると考えられるので、早急に実情にマッチした抜本的改正を要望いたすのでございます。  さらに、一酸化炭素中毒等のおそるべき後遺症に対しましては、ただ単に外見だけでなく、夫婦生活にも深刻な影響を持つことに思いをいたし、医学上の対策はもちろんのこと、生活保障上万全の保護対策を講ずべきだと考えますが、これらについて主管大臣の方針をお尋ね申し上げます。  最後は、保安行政の一元化についてであります。生産と保安とが不可分の関係を持つことは当然でございますが、それは、あくまでも完全な保安体制が前提でなければなりません。現在のごとく保安を忘れた生産を断固排除する有効な手段は、保安行政の一元化にあると存じます。資本と担当官庁のアベックや、保安の最終監視をゆるがせにしないために、保安と生産を一括して担当するやり方を改め、労働災害の主務官庁である労働省に一元化し、責任の所在を明確にすることは、急を要することだと思考いたすのであります。そうして、この上に立って、恒久的な人命尊重に立脚した各種災害根絶のための対策樹立と必要な財源措置を講ずるため、政府内に総合的な機関、または安全対策についての関係閣僚会議設置し、前向きに、積極的に保安問題と取り組むべきだと存じます。  以上について、総理並びに関係大臣の所見をお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇
  50. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。  人命の尊重は、政策を越える大事な質問でございます。したがいまして、われわれはあらゆる努力をし災害を防止しなければなりません。たとえば、例をとって鉱山保安について申し上げましても、生産に熱中して保安を忘れるならば、もとの生産がくずれてしまうということは、あらゆる鉱山災害の実例が示すとおりでございます。だから、われわれは、生産よりも保安を主体にして、その上の生産増加をはかるということは、過去の経験からいっても、当然行なわなければならぬ問題だと考えておるのであります。  次に、保安の行政についていろいろ御意見がございました。従来、鉱山保安について、通産省がやるべきか、あるいは労働省に移管すべきか、いろいろ議論がございますが、お話のとおり、鉱山行政につきましては、生産と保安一体でございます。われわれは、通産省あるいは労働省が主になりまして、この鉱山保安につきまして万全の策を講ずるよう努力していきたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣福田一君登壇
  51. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  保安法の抜本的改正をはかるべきであるということでございますが、われわれは、御趣旨に沿いまして、いままで、中央鉱山保安協議会において、労使双方並びに公平な第三者も加えて十分討議を尽くしていただきまして、今回提出いたしましたような改正が至当である、こういうような答申がございましたので、その答申に基づいて、今回、保安管理組織その他に関する改正案を提出いたしておるような次第であります。  なお、山はいろいろ大きさが違ったり、あるいはまた、採炭の方法等もいろいろ違ったりいたします。そういうようなことからいって、炭じん関係の規制であるとか、その他いろいろの問題は、その鉱山ごとにこれを処理していくほうが、流動性があり、実効が上がるという意味で、鉱山保安規則に相当部分が譲られていることは、こういう実情からそうなっておることを御理解を賜わりたいと存ずるのでございます。  なお、労働者の意見をいわゆる保安の面において十分尊重しなければならないという御趣旨でございまして、ごもっともでございます。そこで、今度は保安監督員補佐員制度を新たに設けたような次第でありますが、今後とも、われわれとしては、この保安と生産の問題につきましては、労働省とも連絡をとりつつ、一そう生産と保安が両々相まって鉱山関係がその仕事を十分に伸ばしていけるように努力をいたしたいと考えるところであります。(拍手)    〔政府委員藏内修治君登壇
  52. 藏内修治

    政府委員(藏内修治君) 鉱山保安の一元化につきましては、すでに総理よりお答えを申し上げましたとおりでありますが、当面、労働省といたしましては、鉱山保安法五十四条に基づく監督権を活用いたしてまいる所存でございまして、その際は、必要に応じ労働基準監督官が坑内に立ち入り調査を行なえる、さらに、その際には鉱務監督官はこれに協力する、このような了解を通産省との間に取りつけましたので、当面これをもって活用してまいりたいと思っております。  それから、労災保険のうち遺族給付についてのお尋ねがございましたが、遺族給付について平均賃金の千日分といたしました規定は、制定以来すでに十年余りを経過いたしております。そのために現実にそぐわないという御批判がございますので、ただいま労災保険審議会において検討をお願いしてございます。結論を得次第、善処いたしたいと思います。(拍手
  53. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑終了いたしました。      ――――◇―――――  赤澤自治大臣地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政状況報告についての発言
  54. 船田中

    議長船田中君) 自治大臣から、地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政状況について発言を求められております。これを許します。自治大臣赤澤正道君。    〔国務大臣赤澤正道君登壇
  55. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 地方財政法第三十条の二の規定に基づきまして、昭和三十七年度の決算を中心とした地方財政状況を御報告申し上げます。  昭和三十七年度の地方財政の純計決算額は、歳入二兆九千八百二十九億円、歳出二兆八千八百七十四億円でありまして、前年度と比べますと、歳入において四千七百十三億円、歳出において四千九百六十三億円増加しております。  次に、昭和三十七年度決算における実質収支は五百三十六億円の黒字であります。この実質収支を黒字団体と赤字団体とに分けますと、地方団体の八八・四%に相当する三千百団体が黒字で、その黒字額は六百九十五億円、二・六%に相当する四百六団体が赤字で、その赤字額は百五十九億円であります。  歳入のおもなものについて申し述べますと、地方税一兆五百六十七億円、国庫支出金七千八十一億円、地方交付税四千八百七十四億円の順でありますが、地方税、地方譲与税及び地方交付税を含めた一般財源の総額は一兆五千七百四十九億円で、その構成比は五二・八%となっており、前年度より若干低下しております。  次に、歳出のおもなものについて申し述べますと、教育費七千七百六十七億円、土木費五千六百五十九億円、庁費三千九百七十億円の順となっておりますが、これを性質別に分類しますと、人件費は九千九百六十九億円、普通建設事業費は八千六百八十億円で、この両者で歳出総額の約二分の二を占めている状況であります。  昭和三十七年度の地方財政は、前年及び年度前半における景気調整の影響を強く受けて、地方税収入等が伸び悩み、財政規模の増勢基調は鈍化しましたが、一方経済の高度成長による旺盛な公共需要に追われまして、歳出の増加率は前年度に引き続き歳入の増加率を上回ることとなりました。  この決算から見ますと、昭和三十七年度の地方財政には、次のような特徴が見受けられます。  まず第一は、財政規模の増加率が鈍化したことであります。財政規模の増加率は、歳入において一八・八%、歳出において二〇・八%となり、前年度に比べますとその増勢が鈍化しております。  第二に、投資的経費は引き続き増大していることであります。道路、橋梁等の産業基盤施設、高等学校等の文教施設、及び住宅、清掃事業等の生活環境施設等の公共施設の整備充実が推進されており、普通建設事業費の増加率は、前年度に引き続き著しい伸長を示しております。  第三に、公営企業等の特別会計に対する繰り出し金は、引き続き増大する傾向にあることであります。  第四には、税収入が伸び悩んだことであります。歳入の柱である地方税及び地方交付税につきましては、景気調整及び税制改正の影響を受けたため、その増加率はいずれも前年度を大きく下回っているのであります。  第五には、財政収支が悪化していることであります。地方財政の収支面につきましては、さきに述べましたように、前年度に比べ、歳出の増加率は歳入の増加率を著しく上回ったことによりまして、昭和三十七年度決算の単年度収支は百二十八億円の赤字となっていることであります。  最後に、財政構造の弾力性は、前年度に比べ減少していることであります。これは地方税などの伸び悩みにより、一般財源の比重は前年度より低下しました反面、人件費、扶助費等の義務的経費に充当された増加一般財源の比率は、前年度を著しく上回ったことによるものであります。  次に、公営企業につきましては、事業の実施要望が逐年強くなってまいっており、その事業数は急速に増加いたしておりますが、コスト上昇その他の原因によりまして、経営状況は遺憾ながら悪化の傾向を強めております。三十八年度の財政事情はまだつまびらかではありませんが、最近の地方財政は、国民福祉向上のため、逐年増大する行政需要を充足しながら、国及び地方の財政健全化の努力と経済の高度成長にささえられて、おおむねその収支の均衡を保持してまいりましたが、今後におきましても、行政水準の引き上げ、地域開発の促進、地域格差の是正などの要請は引き続き高まっていくものと考えられ、さらに、公営企業等の普通会計に対する財政依存度が強まっている等によりまして、地方財政全体としての健全均衡の保持につきましては、国、地方を通じ、さらに一そうの努力が必要であると考えられます。  以上、簡単でございますが、御報告の要旨にかえさしていただきます。(拍手)      ――――◇―――――  地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政状況報告についての発言に対する質疑
  56. 船田中

    議長船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。川村継義君。    〔川村継義君登壇
  57. 川村継義

    ○川村継義君 私は、日本社会党を代表し、ただいま報告されました地方財政状況に関しまして、総理並びに関係閣僚に対し、若干の質問をいたしたいと存じます。(拍手)  地方財政状況報告内容とするものは、昭和三十七年度決算に基づく地方財政の概況及び地方公営企業決算の状況並びに昭和三十八年度、昭和三十九年度地方財政計画の集録であります。  政府は、地方財政計画の策定にあたっては、ここ両三年特に公共投資の充実と地方行政水準の向上、地域開発の促進と地域格差の是正、地方財政秩序の確立を強調いたしておりますが、はたして政府は、その方針に適合する所要の財政措置を講じているかどうか。この報告の示すところによれば、健全な地方財政はそこなわれ、地方財政運営は逐年苦境に立たされつつあります。白書と銘打って国会に提出される報告書であれば、ただ単に決算額を並べ立てるだけでなく、少なくとも財政運営上の欠陥、行政経費財源の適、不適等を積極的に、率直に報告し、地方財政健全化促進し、住民の福祉を向上する方途を明確にすべきであります。しかるに、この報告はそれらが全く等閑視されておるのであります。おざなりなこのような報告内容でいいかどうか、検討すべき課題ではないかと思うのであります。  そこで、私がお尋ねいたしたい問題は、政府地方財政施策についてであります。  昭和三十七年度普通会計の決算状況を見ますと、一つには普通建設事業投資的経費の増加が著しいのであります。それは高度経済成長政策により著しく立ちおくれることとなった社会資本充実の需要に追われている結果であります。二つには、特別会計に対する繰り出し金の増大が目立っております。三つには、財政収支が単年度百二十八億の赤字となったことが特徴であります。したがって、その財政構造において、一般財源の歳入総額に占める構成比は低下いたしまして、財政構造の弾力性を減少させているばかりでなく、単年度収支百二十八億の赤字を出したことは、前年度十五億の黒字であったことと比べて、一つの危険信号であると私は見るのであります。おそらく昭和三十八年度決算においても同様の結果を生ずるでありましょう。なぜならば、政府の高度経済成長政策は、あらゆる社会不安を生み出しているばかりではありません。地方行政水準の向上、地域格差の是正という地方団体の願望に便乗した資本擁護の公共投資におちいり、そのための財政負担を地方団体に大きくしわ寄せしているからであります。(拍手)たとえば昭和三十七年度決算に見る普通建設事業費八千六百七十九億七千万円の財源、国庫支出金は二千三百九十九億六千万円でしかありません。このことは、災害復旧補助事業、失業対策事業投資的経費全般について、さらには生活保護費等の義務的経費についても同様で、補助額、負担額の少ないことを指摘せざるを得ないのであります。政府はこの財政負担の実情をどのように考えているのか。このような現状が地方財政運営の弾力性を減殺し、地方財政の自主性をそこね、地方自治をゆがめていくことは明らかであります。地方財政法趣旨にも反する政府の責任だといわざるを得ないのでありますが、まず総理の御所見を承りたいと思うのであります。(拍手)  このことに関して、一昨年地方制度調査会は、保健所経費など、各種の国庫負担金、国民年金取り扱い事務費等にかかる国庫委託金の交付の実態について調査いたしました結果、ほとんどすべてにわたって多額の超過負担支出を地方団体が行なっていることが判明いたしましたので、国庫負担金等の基本額算定が過少であるとして、改善についての答申を行なっております。また、全国市長会をはじめ地方公共団体は、国庫補助負担金制度の改善に関する意見書を提出して、政府の善処を求めているのであります。政府はこれらに対してどのように対処してきたか、具体的に大蔵大臣並びに自治大臣から御答弁をいただきたいと存じます。  お尋ねいたしたい第二は、財政秩序を正しくするということについてであります。  このことも地方財政運営の重点としてうたってはおりますけれども、現実は全く無視され、財政秩序の乱れは正されそうにもないのが現状でございます。  その一つは、国の機関設置にあたって、その所要経費の一部を寄付金の形で地方公共団体に負担せしめたり、建物用地を無償提供せしめたりしている問題であります。その顕著な事例が、御承知のとおり国立高専の建設であります。昭和三十八年度着工の高専施設費予算一校当たり一億二千万円でありまして、敷地買収費は予算化されておりません。A高専の場合、住家補償、水道工事、土地買収費等一億七千万円の地元負担を必要としているのであります。一体どうしようということであるか。昭和三十七年開校の国立高専についても同様でありますし、本年度開校分についても同様であります。地方財政法地方財政再建法を無視して、あえてこのような措置を推し進めるということは、地方制度調査会が指摘するがごとく、それが特定の地域に恩恵を与えるものであるという旧来の考え方に支配されて、国家的視野に立って任務を適正に執行するという配慮が欠けているからであり、十分な予算措置を講じていないからであります。文部大臣は一体どのような見解を持っておられるか、お聞きをいたしたい。(拍手)寄付行為は地元民の熱意のあらわれであるなどという弁解は許されません。大蔵大臣はなぜ予算措置を講じてやらなかったのか、お聞きをいたしたいと思います。  本日、ただいま議決されました国立教育会館法案反対討論にあたって、長谷川議員よりも指摘いたしましたところでありますけれども、文部省は、本年国立教育会館を建設するにあたって、その資金として全国の学校長、教頭らに対して半強制的寄付を求めております。さらに府県市町村に割り当て寄付を求めているのでありまして、その総額二億五千万円というのであります。地方財政の秩序を正すことが地方財政健全化の根本でなければならないが、自治大臣はこのような法令違反行為を容認しているのかどうか、いないとするならば、どのような措置をとったか、示してもらいたいと思います。  その二つは、地方団体間相互の問題であります。地方財政法は、地方公共団体間の経費負担区分を乱すことのないよう定めをいたしております。しかし、これまた各種施設の建設に際して、県が市町村に全部または一部を負担せしめたり、市町村が公費支弁すべきものを住民に寄付金等の形で負担を転嫁する事例が少なくありません。その顕著なものが高校急増建設費であります。この財政状況報告によれば、昭和三十七年決算高校建設事業費は五百六十二億円で、同年高校急増整備計画二百十二億と比較するとき、政府の財政的無策があまりにも露骨であります。このことが府県財政を大きく圧迫し、市町村や住民に転嫁した額が七十六億にのぼると推計されるのであります。高校建設に限らない、法令外住民負担は三百億にのぼったのであります。いわゆる税外負担解消に対する自治大臣の具体的対策をお聞きいたしたいのであります。  第三の問題は、国民健康保険についてであります。昭和三十七年度の状況によれば、国民健康保険は加入世帯の九一%は四十万円以下の所得階層であり、被保険者総数の八七%を占めております。しかも、一世帯国民健康保険税平均負担額は四千五百七十五円で、一部負担金を含む実負担額は政府管掌並びに組合健康保険のそれよりも高額になっておるのであります。国保会計はいずれの市町村も苦しい経営状況でありまして、実施全市町村の五七%に当たる市町村が、一般会計から国保会計に持ち出しをしているのが現状であります。その額は六十億に達しているのであります。厚生大臣はこの実情を一体どう見るのか、やむを得ない事情だと判断をしているのか、所見をお聞きいたしたいのであります。私は、大半の責任は保険行政及び療養給付の負担率に基因するものであると思いますが、どうでありますか。政府は、本年度一月より家族七割給付を実現しようといたしております。これ以上被保険者に高額の国保税を負担せしめたり、地方財政を圧迫したりしない自信と見通しを持っているのかどうか、大臣の見解をあわせてお聞きいたしたいのであります。  次に、この際、大蔵、自治両大臣の見解をお聞きしておきたい。  すなわち、以上お尋ねいたしました問題を含め、また、地方公営企業会計をはじめ特別会計に対する普通会計からの繰り出し金の増加は、地方財政運営の健全な姿ではありません。地方行政における財政需要は、地域開発の事業費をはじめ各種の事業費及び行政経費等、逐年必然的に増加いたします。したがって、一般財源の充実をはからなければ、地方財政は全く硬直してしまう結果となりまして、地方自治は破壊されるのであります。一般財源の充実は急務の問題であります。そのために適切な財政措置をとる用意があるかどうか、お聞きをいたしたいと思います。その措置の一つとして、地方交付税率を改定増額する考えはないのかどうか、両大臣の見解をお聞きいたしたいと思います。  最後に、総理に重ねてお聞きをしておきたいと存じます。  地方財政状況は、この報告の示すとおり幾多の問題をかかえております。言うまでもなく、地方自治を守るためには地方財政が健全でなければなりません。産業経済の発展も、国民の福祉向上も、国の財政施策同様、地方行財政をおいては考えられません。毎年度地方財政計画を策定する政府の責任は実に重大だといわねばなりません。しかるに、政府は、毎国会、予算審議半ば過ぎに地方財政計画を国会に提示しております。あまりにも無責任ではないかと思うのであります。私は、地方財政歳入歳出の見積もりの基本となる地方財政計画は、国家予算と同時に予算委員会付託して、国会の審議に付すべきだと考えているのでありますが、次期国会からそのような手続をとるお考えはお持ちでないかどうか、総理の所信をお聞きしておきたいと存ずるのであります。  以上をもって私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇
  58. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 地方財政事情につきまして、各般にわたり御質問がございましたが、特に私に対する御質問は、地方財政の現状が非常に悪化しておるのではないかという御質問でございます。  すでに御承知のごとく、昭和三十二、三年ごろから四、五年までは、相当地方財政も心配する状況でございましたが、最近の国家経済の伸展に伴いまして、国の財政も地方財政も、おおむね健全に推移しておると考えております。(拍手)ただ、昭和三十七年度におきましては、御承知のとおり、引き締め計画によって歳入が思うほどふえなかった反対に、給与の引き上げが相当影響いたしました。そうしてまた、給与以外におきましても、お話のように、道路、港湾、特に新しい高等学校の整備のために歳出が非常にふえたという、ある程度一時的現象があるのでございます。しかし、全体といたしましては、私は地方財政の健全性は変わっていないと考えております。したがいまして、今後におきましても、政府地方財政の自主的かつ健全的な運営をいたすよう助長していく考えでございます。  第二に、財政につきましては、地方財政の健全が必要であると同時に、国の財政も健全でなければなりません。地方ばかりよかったのではいかない。国と地方両方とも健全でなければならないのであります。  しこうして、御質問の、地方財政計画を国会の予算委員会審議することは、いかがなものかと思います。これはよほどお考えにならなければいけない。ただ、地方財政というものは、その規模において、また、国の財政との関係において、国の予算を審議する場合に、地方財政計画を参考として考えることは当然でございますが、国会の予算委員会においてこれを審議するということは、私はにわかに賛成できないのであります。(拍手)ただ、地方財政計画を早く出せ、こういうお話でございますが、これは国の予算ができましてから後に、その予算の内容において、いわゆる国が補助金を出す、あるいは社会保障、公共事業等におきまして国の予算がきまりまして、それから各地方団体がそれによって補助率、単価等をはじき出すのでございますから、おくれてくるのはやむを得ない。もちろん、急いで出すようにはいたしますが、そういう関係があることを御了承願いたいと思います。  他は、関係閣僚より答弁させます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇
  59. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 私に御質問の第一点は、地方制度調査会等からの答申によりまして、地方財政健全化のためにどのような改善策をとったかということでございます。  この問題につきましては、三十九年度の予算編成にあたりまして、公立小中学校校舎の単価を引き上げております。工業高校建物等の単価も五・五%程度引き上げておるわけでございます。公営住宅においてもしかりでございます。農業改良普及員等の給与の改定、保健所職員等の問題もこの線に沿って改善をはかっておるわけでございます。ただ、国庫補助を実際の額まで補助すべしという議論につきましては、標準単価をもって行なっておるわけでありまして、実際の経費の補助をするということになりますと、地方公共団体間の格差をより以上につくるというような問題もありますので、補助単価につきましては標準単価を使うという原則を変えるわけにはいかないと思います。  第二は、国立高専等の設置に対して用地費を国が全然見ておらないということでございます。  これは地方財政に対して非常に圧迫をもたらしておるということでございますが、御承知のとおり、国有地の使用、また、地方公共団体等の持っておる土地と国有地との交換、また、地方公共団体及び設置期成同盟会等の無償借用というようなもので、この国立高専の用地費を計上しなかったわけでございます。これをもって、税外負担を強化したり、また地方公共団体の財政を圧迫しているという考えには立っておらないわけでございます。  第三は、地方交付税の、三税の二八・九%相当額を充てることになっておるものを引き上げる考えはないかということでございます。  これは何回も御議論になっておるわけでございますが、御承知のとおり、地方交付税の率は国税三税の二八・九%となっておりますが、この制度のたてまえは、地方交付税法第六条の三に規定するとおり、普通交付税の額が地方団体ごとに積み上げた財源不足額の合算額に比し、引き続き著しく異なるときという場合に、地方行財政制度の改正ないし交付税率の変更を行なうという基準があるわけでございます。御承知のとおり、地方財政の現況は、数年前に比しまして著しく良好な状態にありますので、現在の状態において、この二八・九%を改正する考えはございません。(拍手)    〔国務大臣赤澤正道君登壇
  60. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) お答えいたします。  最初に、一昨年十月の地方制度調査会の答申で、財政秩序の適正化、国庫負担基本額の改善策が答申されたし、また知事会その他から国庫負担の改善方について意見書が提出されたが、どう対処したかという御質問でございます。  財政秩序の適正化につきましては、昨年地方財政法の一部改正をして、最も問題とされていた都道府県立の高等学校について、この四月一日からその建設費を地元市町村に負担させることができないことにしました。また、住民に対する負担の転嫁をしてはいけない。先ほど、非常な税外負担があって困っておるのだがというお話でございましたが、それに対しまして必要な財源措置は一応とった次第でございます。基準財政需要額に算入したものは三十六億円でございます。  国立高専につきましては、その敷地について、地元から提供を求めるような場合におきましては、他の適当な国有地と交換するなどの方法をとることといたしております。  次に、国庫補助負担金の基本額の改善については、本年度において、公立文教施設、公営住宅などについて、一部補助負担対象、補助負担単価の合理化をはかっております。なお、昨年末補助金等合理化審議会の答申が出されました。昭和四十年度以降において補助金制度について種々の角度から改革が行なわれる機運にありますので、これらの問題についても、今後その一そうの改善合理化について努力してまいりたいと考えております。  最後にお尋ねになりました、地方団体が非常に窮乏しているので、地方交付税の税率を引き上げるべきではないかという御質問でございましたが、これにつきましては、大蔵大臣が詳細に御答弁申し上げましたので、私から触れません。(拍手)    〔国務大臣灘尾弘吉君登壇
  61. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えをいたします。  まず、国立高等専門学校に関連した問題でございます。  従来、御承知のように、国立高等専門学校は、それぞれの地方の非常な熱望にこたえて設置せられたものでございます。当該地方の住民に多大な便益を及ぼすものと考えますが、しかし、地方財政法等の関係もございますので、現在文部省といたしましては、校舎敷地等につきましては、自発的な地方有志の申し出にかかる寄付を受ける場合を除き、地方公共団体から寄付させたり、あるいは不当な寄付金を地方住民に割り当てるというようなことはいたさないつもりでございます。なお、可能なものにつきましては、国有地との交換等により取得する方法も推進したいと考えております。また、校舎等の建築費、設備費、運営費等につきましては、所要の予算措置を講じているのでございます。  次に、国立教育会館に関する寄付金の問題でございます。  教育界及び財界の有志の間で、国立教育会館の建設に協力し、その促進をはかる趣旨の募金が行なわれているのでございますが、この募金は、もとより関係者の自発的な発意によるものでございまして、市町村等に強制的に寄付金を割り当てるようなことはないものと存じております。  第三に、高等学校の急増対策関係の御質問でございます。  高等学校生徒急増対策につきましては、すでに御承知のように、国が全体計画を策定いたしまして、所要財源については、国庫補助金、地方交付税及び地方債を確保してまいったところであります。この計画は、必要な一定基準までの施設の整備を目途として策定されたものであり、計画と現実の実態に多少の誤差があるのはやむを得ませんけれども、この計画における事業量は本年度も既定計画どおりといたしましたが、建築単価及び構造比率等につきましては、実情に即して改善をいたしました。また、父兄の負担を軽減するということにつきましては、従来から努力しているところでございますが、高等学校の建築事業費につきまして、住民にその経費の一部を負担させているというような事実がこれまでございました。このようなことは、財政秩序の観点から好ましくございませんので、さきに地方財政法改正して、本年度からこれを禁止いたしているのであります。これにあわせまして、政府としましては、地方交付税による財政措置について、校舎建築費を中心といたしましてこれを強化することにいたしたような次第でございます。(拍手)    〔国務大臣小林武治君登壇
  62. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) 国民健康保険財政につきましては、逐年政府負担等を増加いたしましたので、漸次好転しておることは御承知のとおりであります。しかし、昭和三十七年にもなお五十五億円の繰り入れがあったということは事実でありますが、これらの問題につきましては、御承知のとおり、従来国庫負担が二割であったのを、三十七年には五分ふやしたのでございますし、また三十八年には、医療費の地域差撤廃、あるいは九万円以下の所得の方の保険料の減免税、また世帯主の七割給付による保険負担の四分の三を補助する、こういうふうな方法によりまして、昭和三十八年には約八十数億の補助金を出すということによりまして、現在では国庫負担が三三・五%ということに相なっておりますので、これらの問題が相当に好転するものと思うのでございます。なお、昭和三十九年度におきましても、来年一月から家族の給付を七割にする、四分の一について七割にすることにつきましても、その保険負担の四分の三を補助するということと同時に、三十九年度では国民健康保険の手数料を一人について十五円上げた、こういうこともございまして、手数料の問題につきましてはなお不足をしておる、こういう問題もありまして、これらも漸次改善をしなければならぬ、かような財政措置を講じておりますので、保険財政は漸次好転するものと、かように考えております。(拍手
  63. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑終了いたしました。      ――――◇―――――  野田総理府総務長官観光基本法に基づく昭和三十八年度年次報告及び昭和三十九年度観光政策についての発言
  64. 船田中

    議長船田中君) 総理府総務長官から、観光基本法に基づく昭和三十八年度年次報告及び昭和三十九年度観光政策について発言を求められております。これを許します。総理府総務長官野田武夫君。    〔政府委員野田武夫君登壇
  65. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 昭和三十八年度観光状況等に関する年次報告及び昭和三十九年度において講じようとする観光に関する政策について説明申し上げます。  昭和三十八年度観光状況等に関する年次報告は、観光基本法第五条第一項の規定に基づいて政府が国会に提出する報告書で、同法が昨年六月二十日に公布施行せられましたため、今回が第一回の報告であります。  内容は、「第一部 観光状況」と、「第二部 観光に関して講じた施策」から成り立っております。第一部におきましては、まず国際観光に関し、国際観光市場に大きな比重を占めるアメリカと西ヨーロッパ諸国の観光政策の状況に触れ、アメリカにおいてドル防衛策の一環として観光政策の転換が行なわれたこと、ヨーロッパにおいて、OECD加盟諸国が強力な外国人旅行者誘致政策を実施していること、及びわが国への来訪外客数の増加率が若干鈍化傾向にあること等につきまして述べ、今後わが国の国際観光を振興するため、なお一そうの努力が必要であるといたしております。  次に、国民の観光旅行について、国民所得の向上、消費構造の高度化等により、国民旅行の増加傾向が著しいこと、並びに外客の誘致、受け入れ体制、観光資源及び観光関係施設の現況等を述べています。  「第二部 観光に関して講じた施策」におきましては、政府観光に関して講じた国際観光の振興のための諸施策、たとえば国際観光振興会の海外宣伝網の形成、出入国手続の簡素化に関する施策等の外客の来訪の促進に関する諸施策、ホテル及び外客向け旅館に対する金融面の助成、並びに外客向けみやげ品に対する免税指定品目の追加等、外国人観光旅客に対する接遇向上に対する施策につきまして述べ、次いで、観光旅行者の保護、家族旅行その他国民大衆の観光旅行等を容易にするための国民宿舎、国民休暇村、ユースホステル等、低廉かつ清潔な施設の整備に関する施策等について、昭和三十八年度を中心とし、必要に応じ若干それ以前の施策についても触れた次第であります。  次に、「昭和三十九年度において講じようとする観光に関する政策」は、観光基本法第五条第二項の規定に基づき、三月十三日観光政策審議会の意見を求めましたところ、異議のない旨の答申を得ましたので、主要なる内容を次に御報告いたします。   政府昭和三十九年度の観光に関する政策を講ずるに際しては、外国人観光旅客の来訪の促進外国人観光旅客に対する接遇向上観光旅行者の利便の増進、観光資源の保護育成及び開発等のそれぞれ施策を講ずることにより、国際親善の増進のみならず、国際収支の改善、国民生活の緊張の緩和等、国民経済の発展と国民生活の安定向上に寄与することを政策の基本目標としております。  まず、国際観光の振興をはかるための政策の主要なものは、  一、外国人観光旅客の来訪の促進をはかるため、国際観光振興会の海外観光宣伝活動、外務省の本邦事情の広報活動、日本貿易振興会の海外宣伝活動等を強化する。  二、航空輸送力を強化して、オリンピック東京大会時における輸送力を確保するとともに、国際競争力の強化をはかる。  三、外国人観光旅客の出入国に関する措置改善するため、出入国審査事務の充実強化、旅具検査場の整備拡充、検疫事務の迅速化をはかる。  四、外国人観光旅客に対する接遇向上を期するため、観光みやげ品の品質の改善、ガイドの必要数の確保、旅行のあっせん業を営む者のサービスの向上等もはかることとしております。  次に、観光旅行者の保護及び観光に関する施設の整備等をはかるための政策の主要なるものは、  一、観光旅行の安全の確保を期するため、観光地における環境衛生施設の整備、食品衛生対策をはかるとともに、不当な営利行為の防止策を強化する。  二、国民大衆の観光旅行の容易化をはかるため、低廉な料金で利用できる国民宿舎、国民休暇村、ユースホステル等の整備を行なうとともに、貧困家庭の児童生徒のために、特に修学旅行費の援助を行なう。  三、観光基盤施設の整備をはかるため、大都市観光地及び観光地間を連絡する経路につき、道路、空港、鉄道等の整備を行なう。  四、観光資源の保護育成及び開発をはかるため、自然公園、都市公園、文化財等の整備を行なう。  五、国土美化等に関して、自然公園等の美化をはかるとともに、新生活運動の一環として国土美化運動を推進することとしております。  また、観光行政に関する組織の整備及び運営改善に関することとして、厚生省国立公園部を局に昇格して、自然公園に関する行政機構の充実強化をはかることとしております。  以上をもって観光に関する年次報告及び昭和三十九年度に講じようとする観光に関する政策についての説明を終わります。(拍手)      ――――◇―――――  観光基本法に基づく昭和三十八年度年次報告及び昭和三十九年度観光政策についての発言に対する質疑
  66. 船田中

    議長船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。勝澤芳雄君。    〔勝澤芳雄君登壇
  67. 勝澤芳雄

    ○勝澤芳雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま説明のありました昭和三十八年度の観光年次報告及び昭和三十九年度における観光施策について、池田内閣総理大臣はじめ関係大臣に質問をいたしたいと存じます。(拍手)  さて、今回の年次報告は、昨年の第四十三回国会において、自由民主党日本社会党民主社会党の三党共同提案によって成立した観光基本法に基づき初めて出されたもので、提案者の一人といたしまして多くの期待を持っておりました。それは観光が国際平和と国民生活の安定を象徴するものであり、観光基本法はまさに観光立国の宣言ともいうべきものであるからであります。しかるに、発表された年次報告は、かつて運輸省観光局のつくった観光白書の焼き直しで、各行政機関の個別的報告を寄せ集め、並べただけで、観光基本法に基づく年次報告とは認めがたく、まことにお粗末なものであります。(拍手)さらに、三十九年度における施策についても、旧態依然とした寄せ木細工の各行政機関の予算説明であって、何らの積極的な方向が示されておりません。これこそ議員立法に対する官僚独善の態度であって、まことに遺憾にたえません。(拍手)私は、質問にあたって、特に政府観光基本法に対する認識の再確認を要望いたしておきます。  さて、第一の質問は、観光に対する政府の基本的な考えについてであります。  従来、わが国においては、観光に対する基本的な方針がなく、社会的にも重要性が忘れられておりましたが、昨年、観光基本法がつくられ、観光の再認識が行なわれました。すなわち、国際観光は国際収支の改善ばかりでなく、外国との経済、文化の交流、国際親善の増進に寄与するものであり、国民観光は国民生活における緊張の緩和や見聞の拡充等を通じて、国民の保健の増進、教養の向上、さらに勤労意欲の増進をもたらし、観光開発は地域格差の是正を行なうものであるということであります。しかも、観光の正しい発展は、わが国憲法の恒久平和と健康で文化的生活を享受させようする理想の実現であります。しかるに、この年次報告は、観光基本法に対する理解と認識が十分に行なわれておりません。したがって、私は、まず池田総理に基本的な問題として、観光に対する考え方と積極的な施策についての御所見をお伺いいたします。  第二の質問は、国際観光の振興についてであります。  国際観光は、国際社会の相互理解を増進するもので、国際平和の象徴であります。その上、観光収支は国の経済の重要な地位を占めており、今日の観光は貿易とともに外貨獲得のための観光産業であるというべきであります。昭和三十年にわずか十万人であった外国人観光客は、昭和三十八年には三十万人以上となり、その消費額も二億ドルに達し、本年はオリンピック東京大会を迎え、来訪外客は五十五万人の多数を予想されております。一方、四月から海外への観光旅行が自由化されたので、全体の観光収支は楽観を辞されません。この際、わが国からの海外旅行についての自粛、抑制よりも、むしろ前向きな外国人観光客の誘致に積極的な対策を講ずべきであります。  そのためには、第一に、出入国手続の簡易迅速化を行なうべきであります。なお、査証については、国際観光振興、発展の見地から、再検討すべきであります。第二に、国際観光ルートの指定は、総合的な視野からすみやかに行ない、これに対する環境整備を促進すべきであります。それとともに、従来のサクラ、フジヤマ、ゲイシャだけの観光ではなく、本田技研、ソニー、キャノン等の日本の代表的産業を見せる産業観光も積極的に指導促進すべきであります。第三に、西欧諸国に比べて割り高だといわれているホテル料金については、デラックスな高級ホテルより中級ホテルの整備に重点を置く施策を行なうとともに、最近特に利用されている日本の伝統的な宿泊施設である日本旅館についても、思い切った育成措置を講ずべきであります。第四に、太平洋航空運賃は、大西洋航空運賃に比べキロ当たりも高く、外客誘致の障害ともなっておりますので、日本航空の太平洋線整備のための助成を行なって運賃値下げを行なうべきです。第五に、今日の観光は、観光産業ともいわれる重要な産業の一つであります。外客誘致を行なっている、特に一般旅行あっせん業者に対しては、貿易商社と同様な租税特別措置法適用を考慮すべきであると思います。外務、運輸、大蔵各大臣並びに総理府長官の御所見をお伺いいたします。  第三の質問は、国民大衆の観光旅行についてであります。  従来、わが国における観光は、物見遊山ということばに表現されるごとく、一部の有産階層に占有視されておりました。しかし、今日の観光は、基本法に明示されておりますように、国民の保健の増進、勤労意欲の増進及び教養の向上にあるのであります。ともすれば従来の古い考えで、観光を単なる遊び、不道徳、不経済視している人々があることは残念でなりませんが、これは観光政策の貧困によるものであります。  この際、政府は、国民大衆の観光旅行を疲れた旅行から解放して、快適に、安全に、しかも容易に行なわれるよう積極的な施策を講ずべきであります。  ソシアル・ツーリズムの振興は、すでにヨーロツパ諸国をはじめ、先進国家においては国の施策として制度化され実行されております。わが国としても、まず第一に、旅行金庫制度による旅行の容易化をはかるべきであります。第二に、休暇旅行制度の確立を促進すべきであります。第三に、低廉な宿泊設備の増設による旅行健全化と家族旅行の大衆化であります。厚生省の国民宿舎、運輸省のユースホステル、文部省の青少年の家等の諸施設の拡充整備とともに、総合的な運営をはかり、さらに民間事業所の宿泊設備などの協力を求め、真に国民のための大衆旅行の総合的な施策を推進すべきであります。大蔵、運輸両大臣から御所見をお伺いいたします。  第四の質問は、修学旅行についてであります。  私は、先ごろ、参議院の運輸委員会で、与党委員から、のんき節の話を聞きました。その話はこういう話です。それは、小学校や中学校の門に国旗が立っておった、祭日でも日曜日でもないウイークデーに日の丸の旗が立っていた、何事かと思っていたら、修学旅行の生徒が無事に帰ってくるのでおめでたいといって国旗が立っている、こういうのんき節であります。池田総理、これはだれがつくった歌ごございましょうか。子供も親も、一生に一度の思い出として修学旅行には行きたい、行かせたい、だが、交通事故はないだろうか、食中毒を起こしはしないだろうか、ぐれん隊におどかされないだろうかと、親は心配で夜も眠れない。旅館代は、昨年は一泊二食で四百円でしたが、池田さんの物価倍増のおかげで二割五分の値上がりです。五百円になりました。しかも待遇は、六畳の部屋に八人も詰め込み、たんぜんやゆかたはない。一組みのふとんといっても、せんべいぶとんで、敷きぶとん一枚、かけぶとん一枚、その一枚で二人寝る、食事は朝夕一汁四菜、メンチカツ、 ハンバーグ、煮もの、 ホーレンソウで、人手を省くために一さらに盛りつけ、豚汁とどんぶり御飯、やせて疲れ切って帰ってきた子供の顔を見てほっとする。これが毎年五百万人で二百五十億円の消費が行なわれている修学旅行の実態であります。(拍手)この際、カリキュラムの一環としての修学旅行制度を真に教育的立場から検討すべきであります。そして修学旅行の交通安全対策や、宿泊、保健、衛生設備を完備させるための施策を行ない、宿泊料金の安定、内容向上をはかり、また貧困家庭児童の補助金を増額すべきであります。文部、大蔵両大臣の御所見をお伺いいたします。  最後に、観光行政の一元化による総合観光行政の推進について御質問いたします。  現在、観光行政は運輸省観光局が中心となって実施されておりますが、その行政は複雑多岐にわたっております。すなわち、国立公園は厚生省に、文化財保護は文部省に、森林は農林省に、道路整備は建設省に、出入国管理は外務省等七省にわたり、総合調整機関として総理府が当たっております。これでは今日の重要な観光政策を推進することは不可能であります。この際、せめて、観光省は無理としても、中央に観光庁を、地方に地方観光局を設置して、観光基本法の精神に沿って強力な総合観光行政を行ない、国際平和と親善、国民福祉の向上のために努力すべきであると存じますが、総理の御所見をお伺いいたします。  以上をもって私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇
  68. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。  観光の有する意義についての御質問でございますが、お話のとおり、観光基本法にはっきり書いてございます。すなわち、国際的には国際親善をはかり、そうして国際的文化の交換、あらゆる点が国際的にも考えられます。また、国際収支の改善ということもございましょう。お話にもありましたごとく、貿易外収支におきましては、ことに観光外国旅行の費用につきますと、受け取りのほうが少なくて支払いのほうが多いという状態から考えましても、国際的に見て観光事業の発展には大いにつとめなければならぬ。また、うちにおきましても、国民の生活の安定と向上、また教養、健康の増進からいっても、観光というものは必要でございます。お話の点は、おおむねわれわれの考え方と同じでございます。  ただ、問題は、修学旅行のお話をなさいましたが、修学旅行もだんだんふえております。池田内閣になりまして、いわゆる観光の人員は、統計によりますと、非常にふえております。これは経済成長のおかげである。(拍手)これを忘れて――観光のもとは、やはりお互いの生活が上がること、生活が上がることは経済の高度成長によって得られる。観光が必要ならば、高度経済成長に御賛成を願いたい。(拍手)こういうことでございます。  なお、最後に、観光行政についての御意見でございますが、これは従来からいろいろいわれておりますが、大事な仕事でございまして、われわれは、さしむき、昨年の十二月に観光行政につきまして観光対策連絡会議を設けまして、そうして行政の拡大、統一をはかっておるのであります。いま直ちに観光庁をつくるということは考えておりません。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇
  69. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 査証手続の簡素化の点についての御指摘でございますが、まず、出先の在外公館におきましては、観光等のため短期滞在を目的とする外来者に対しましては、申請人の写真の提出免除したり、また、申請人自身の出頭にかわるに、郵送によりまして申請を受け付けるというような簡素化の措置をはかっております。  なお、英、独、仏等、二十カ国との間にわが国は相互査証免除の取りきめを行なっておりまして、単純な入国目的の場合におきましては、無査証で入国を認める制度をとっておりますが、今後もこの線に沿いまして手続の簡素化を一そう進めてまいりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇
  70. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) まず第一番目には、外国人観光客に対する通関手続の簡素化の問題でございます。オリンピック等につきましては、横浜、東京の税関等には、他の税関から人を集める。なお、観光船等に対しましては、こちらから船に出張して通関検査を行なうというような配慮をいたしまして、手続等につきましては十分な配慮をいたすつもりでございます。  それからホテルの整備の問題でございます。ホテルの整備につきましては、御承知のとおり、開発銀行から融資を行なっておりますし、なお、北海道東北開発公庫、中小企業金融公庫等からも融資を行ない、外国人の旅客に対して旅館設備を整備いたしておるわけでございます。  第三は、日航の太平洋線整備の助成の問題でございます。この問題につきましては、御承知のとおり、本度年は三十八年に比して四十七億円余を計上いたして、国際線の乗員訓練等につきましても三億五千万円新たに計上いたしておるわけでございます。日航の運賃を引き下げろという問題につきましては、国際航空運送協会の協定がありますので、困難と思います。  それから旅行者のために旅行金庫を新設せよということでございますが、旅行金庫を必要とするとは、いま考えておりません。  それから低廉な宿泊施設をもっとつくらなければいかぬということにつきましては、国民宿舎、ユースホステル、文部省の青年の家等の施設を十分整備いたしておるわけでございます。  なお、修学旅行の問題につきましては、要保護児童等に対して、三十八年度の予算よりも八千万円余増額いたしまして、四億一千数百万円の補助を行なっておるわけであります。(拍手)    〔国務大臣灘尾弘吉君登壇
  71. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 修学旅行関係でお答えを申し上げます。  修学旅行が学校教育の上で大きな意義を持ちますことは、いまさら申し上げる必要もないことであります。文部省としましては、関係機関を通じまして、修学旅行が有効に、また適切に行なわれるようにという指導を加えてまいったわけでございます。しかし、現在の状況を見ます場合に、私も勝澤さんと感を同じゅうするものも少なくないので、まだまだ改善をはからなければならぬ点が多々あると思うのであります。交通安全の問題、宿泊施設の問題、衛生の問題、その他いろいろ問題があるのでありますから、関係各省ともよく協力いたしまして、総合的にこの改善をはかってまいりまして、修学旅行がほんとうにその目的を達成せられるようにいたしたいと考えておる次第でございます。なお、宿泊施設等につきましては、公共的なものを増設するというようなことについても推進してまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣綾部健太郎君登壇
  72. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 私、運輸省の観光局におきますことにつきましては、大体勝澤さんが御指摘になったようなことは、全部やらんとしておるところのことでありまして、非常にいい御示唆を得まして、その線に沿ってやっていきたいと思います。  なお、本年度、運輸省で、いま各大臣がお答えになった以外にやったことは、海外の宣伝の事務所を増設したこと、それからユースホステルにつきまして相当なる施設をしたこと等でございまして、それ以外は、勝澤先生がおっしゃったことをひとつ趣旨といたしまして、今後努力いたしてみたいと思います。(拍手)    〔政府委員野田武夫君登壇
  73. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 行政の一元化という問題でございます。すでにこれは総理大臣からお答えしておりますが、先ほど総理大臣のお答えの中にありました、昨年十二月に閣議決定に基づきまして、各省の関係を全部一つにまとめて総合連絡をしようというので、観光対策連絡会議を設けております。そしてできるだけ総合的に、効率的に観光行政を運営したい。そこで、先ほど私は三十九年度において講じようとする観光政策を御報告いたしましたが、さらに、いまお尋ねのありましたとおり、また御意見のありましたとおり、長期の観光政策を立てる必要があるというので、長期的な観光政策につきましては、現在、内閣総理大臣の諮問機関であります観光政策審議会というのがございまして、これにつきまして、さきに、所得倍増を目標とする長期経済計画に対応する観光政策についてという諮問をいたしております。この観光政策審議会の答申を近く見ると思っておりまして、この答申に基づきまして、さらに政府といたしましては、その内容についてできるだけ尊重して、そうしてこの施策の推進をはかりたい。したがって、今日御報告いたしましたのは、一応、政府の三十九年度に対する、国際観光、国内観光に対する計画の一端でございまして、結論におきましては、観光政策審議会の答申に基づいてさらに長期計画を立てたい、こう思っております。その点は特に御了承願いたいと思っております。(拍手
  74. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑終了いたしました。      ――――◇―――――
  75. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十二分散会      ――――◇―――――  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         法 務 大 臣 賀屋 興宣君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         厚 生 大 臣 小林 武治君         通商産業大臣  福田  一君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         郵 政 大 臣 古池 信三君         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         内閣法制局長官 林  修三君         総理府総務長官 野田 武夫君         運輸省観光局長 梶本 保邦君         電気通信監理官 畠山 一郎君         電気通信監理官 野口 謙也君         労働政務次官  藏内 修治君         自治省財政局長 柴田  護君      ――――◇―――――