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1964-04-09 第46回国会 衆議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月九日(木曜日)     —————————————  議事日程 第二十一号   昭和三十九年四月九日    午後二時開議  第一 簡易生命保険法の一部を改正する法律案   (内閣提出参議院送付)  第二 オリンピック東京大会記念のための千円   の臨時補助貨幣発行に関する法律案内閣   提出)  第三 小型船海運業法及び小型船海運組合法の   一部を改正する法律案内閣提出)  第四 自治省設置法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  第五 運輸省設置法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  第六  昭和三十七年度一般会計予備      費使用調書(その2)      昭和三十七年度特別会計予備      費使用調書(その2)      昭和三十七年度特別会計予算      総則第十一条に基づく使用総      調書      昭和三十七年度特別会計予算      総則第十二条に基づく使用総      調書(その2)      昭和三十七年度特別会計予算      総則第十三条に基づく使用総      調書      (承諾を求めるの件)  第七  昭和三十八年度一般会計予備      費使用調書(その1)      昭和三十八年度特別会計予備      費使用調書(その1)      昭和三十八年度特別会計予算      総則第十四条に基づく使用総      調書(その1)      (承諾を求めるの件)  第八  金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改   正する法律案内閣提出)  第九 中小漁業融資保証法の一部を改正する法   律案内閣提出参議院送付)  第十 経済協力開発機構条約締結について承   認を求めるの件     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  麻薬取締法の一部を改正する法律案内閣提出、   参議院回付)  米軍機墜落事故に関する緊急質問安藤覺君提   出)  米軍機墜落事故に関する緊急質問山花秀雄君   提出)  米軍機墜落事故に関する緊急質問本島百合子   君提出)  肥料価格安定等臨時措置法案内閣提出)の趣   旨説明及び質疑  日程第一 簡易化命保険法の一部を改正する法   律案内閣提出参議院送付)  日程第二 オリンピック東京大会記念のための   千円の臨時補助貨幣発行に関する法律案(   内閣提出)  日程第三 小型船海運業法及び小型船海運組合   法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 自治省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第五 運輸省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程  昭和三十七年度一般会計予備  第六  費使用調書(その2)      昭和三十七年度特別会計予備      費使用調書(その2)      昭和三十七年度特別会計予算      総則第十一条に基づく使用総      調書      昭和三十七年度特別会計予算      総則第十二条に基づく使用総      調書(その2)      昭和三十七年度特別会計予算      総則第十三条に基づく使用総      調書      (承諾を求めるの件)  日程  昭和三十八年度一般会計予備  第七  費使用調書(その1)      昭和三十八年度特別会計予備      使用調書(その1)      昭和三十八年度特別会計予算      総則第十四条に基づく使用総      調書(その1)      (承諾を求めるの件)  日程第八 金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を   改正する法律案内閣提出)  日程第九 中小漁業融資保証法の一部を改正す   る法律案内閣提出参議院送付)  日程第十 経済協力開発機構条約締結につい   て承認を求めるの件    午後二時十八分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 船田中

    議長船田中君) おはかりいたします。  議員菅野和太郎君から、海外旅行のため、四月十一日から五月三日まで二十三日間、議員木部佳昭君から、海外旅行のため、四月十四日から五月九日まで二十六日間、議員河野正君から、海外旅行のため、四月二十二日から五月十二日まで二十一日間、右いずれも請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  麻薬取締法の一部を改正する法律   案(内閣提出参議院回付
  5. 船田中

    議長船田中君) おはかりいたします。  参議院から、内閣提出麻薬取締法の一部を改正する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して右回付案議題とするに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  麻薬取締法の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。
  7. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の参議院修正に同意の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  8. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、参議院修正に同意するに決しました。      ————◇—————  米軍機墜落事故に関する緊急質問   (安藤覺提出
  9. 小沢辰男

    小沢辰男君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この点、安藤覺提出米軍機墜落事故に関する緊急質問山花秀雄提出米軍機墜落事故に関する緊急質問、及び本島百合子提出米軍機墜落事故に関する緊急質問を順次許可されんことを望みます。
  10. 船田中

    議長船田中君) 小沢辰男君の動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  まず、安藤覺提出米軍機墜落事故に関する緊急質問を許可いたします。  安藤覺君。    〔安藤覺登壇
  12. 安藤覺

    安藤覺君 私は、自由民主党を代表いたしまして、去る五日午後四時半、都下町田商店街の一角に米軍用機墜落市民四人の死者と多数の重軽傷者、及び民家を損壊せしめました事件について質問をいたしたいと思います。  まず、質問に入りまするに先立ちまして、不幸、不慮の死にあわれました四人のお方及びその御遺族方々に対し、衷心より哀悼のまことをささげ、また重軽傷を受けられました多数の方々に心からなるお見舞いを申し上げ、その御回復の一日も早からんことを心からお祈り申し上げる次第であります。(拍手)  私は、まず第一に、被害事実の確認をいたしたいのであります。この日、各新聞紙、ラジオ・ニュース等報道によりますと、死亡者四名であることは各紙とも一致いたしておるのでありますが、負傷者及び民家破壊数に至りましては、報道はなはだしく区々でありまして、はたしていずれが真実であるか迷うのであります。また、重傷者の中に、さらに不幸なる死の結果を見られたような人はないかどうか、重傷者はその後いかなる容体にあられるか等々、詳細に御報告を願いたいと存じます。  次いで、飛行機墜落時、パイロット落下傘降下をいたし、けがも軽かったやに伝えられており、かつ事件発生後すでに五日間も経過いたしておることでありますから、墜落原因調査も進んだことであろうかと思われます。また、現地における市民の間において、墜落現場が町はずれ近いことではあり、もし。パイロットが、市街地上空から飛行機を脱出させることにさらに一秒あるいは二分の一秒なりとも努力してからパラシュート降下に移ったならば、この惨事は避けられたのではなかったかとの割り切れない思いが多いのでありますが、この点、パイロットについて、その後尋問、調査せられたかどうか、米軍当局から何ぶんのこれらに関する報告があったかどうか、この点明らかにせられたいのであります。  思い起こしますれば、昭和三十六年、松島の上空においてソラーズ米軍中佐のとった、わが身を犠牲にして人家稠密な地帯への墜落を防止し、そして海上に至ってみずからが犠牲となったあのとうとき人道主義の行動は、いまなおわれわれの脳裏に深く刻まれ、尊敬の念消えやらないのであります。わが自衛隊においても、日常人命尊重教育訓練が行なわれていると聞くのでありますが、はたしてこの事実が行なわれておるのであるか。また、米空軍においてもかようなことが行なわれておるのでありましょうか。これらの点についても明らかにしていただきたいと思うのであります。  次いで、悲しくも死去された方々補償額についてでありますが、これまでは最高額百五十万円であったということであり、政府は、今回の事件発生直後の閣議におきまして、これまでの補償金額があまりにも低きに過ぎるとの世論にかんがみて、これを改正、増額することに決定せられたやに聞くのでありますが、はたしてそれは事実であるかどうか。また、その算定基準はいかなる法規に依存せられるものであるか。以上の点について福田防衛大臣より詳細お答えを願いたいと存ずるのであります。  次に、今回の事故発生にあたって、ジョンソン米大統領は、国民を代表して、池田総理大臣に対し丁重なる覚え書きを送り「われわれの深甚なる弔意同情の念をなくなられた方々遺族及び負傷された方々にお伝えくださるよう要請いたします。これら被災者に対し、日本駐在米当局者がなし得るあらゆる援助の手を差し伸べるでありましょう。」と述べておるということでありますが、はたしてその事実があるかどうか。また、ラスク国務長官フェルト米太平洋艦隊司令長官またはエマーソン駐日公使等からも、それぞれ深い遺憾の意を表明せられたと聞くのでありますが、このことがはたして事実であるとしますれば、前例の有無にかかわらず、あるいは法規典礼等にとらわれず、これらのあたたかき米国民の意思を代表せられましたジョンソン大統領ラスク国務長官等々の方々のこのあたたかき心を遺族方々に対しあるいは被害者に対して伝達せらるるならば、四人の方のみたまも慰められ、また、極度の悲しみにひしがれている人々に幾ぶんなりとも心の安らぎをお与えすることができると思うのでありますが、はたしてお伝えになったのかどうか、この点お伺いいたしたいと存ずるのであります。  事情は異なりますが、さきにはライシャワー大使に対する精神異常少年傷害事件も、わが政府の適切なる真心に満ちた早急な処置とアメリカ国民の善意ある日米両国の親善に影響のない結果と相なったことは、まことに喜ばしいことでありますが、このたびの事故につきましても、ともすれば、当面のできごとのみとらわれまして、今日の国際情勢下においてわが国民が平穏、安全に生活している根底を見失い、近視眼的に日米安保条約を廃棄せよとか、あるいはまた米空軍基地を撤廃せよとかいうような議論をなし、国民不満を誘発しようとする考え人々がなきにしもあらずであります。まことに憂慮にたえないのでありますが、政府におきましては、被災者はもとより、国民全般に対しましても、これらについての十分なる方策を講ぜられたいと存ずるのでありますが、池田総理大臣並びに大平外務大臣の御見解をお聞かせ願いたいと存ずるのであります。  次に、米軍自衛隊とを問わず、基地そのものの問題についてお伺いいたすのでありますが、基地関係予算も年々増額はしておりますが、その内容は、公共施設等に対する騒音防止が主でありまして、基地周辺住民に対する民生安定の予算につきましてはまことに軽少であって、その施策に至っては、残念ながら、貧困そのものといわざるを得ない現状にあります。たとえば、基地における飛行機進入路真下における住民あるいは田畑に働く農民たちは、今日の事件ごとき事態がいつ勃発するやもしれない不安感に脅かされつつ日々を生活し、農耕作業に従事しておるのであります。これら進入路下農地はすみやかに買い上げ、これら住民の不安と危険とを取り除くべきであると考えるのであります。  また、現在、自治省基地所在の自治体に交付金を交付しておるのでありますが、基地あぜ一つ堀一つを境にしている隣接地域は、基地地域と全く同様の被害を受けながらも、交付金を受けられないのでありまして、これははなはだ不合理といわなければなりません。かつまた、基地周辺道路河川改修等につきましても同様であります。周辺住民はこれらの点について熱望いたしております。しかるに、政府は、基地問題の処理ケースバイケース方針処理するとの態度でありまして、そのことはいやしくも足元に火のついた事件的なものについてのみ優先的に解決せらるる結果となり、おとなしく要望しておる住民たちには手が回らないという結果に相なるのであって、これが、昨年来全国各基地における住民の間から燃え上がってまいりました基地住民安定法制定要望であります。これを主張する住民たち要望は、われわれは国家防衛観念において、決して人後に落ちるものではない。さりながら、国家防衛は、国民全体の均等に負うべきものであり、ひとり基地周辺住民のみが、重き犠牲を負担すべきものではないというにあるのであります。当然の主張であります。この当然の主張がいれられないところに不満がわき、そこに安保廃棄基地撤廃、無防備中立論等がつけ入るのであります。広義国防狭義国防議論をここに展開するまでもありません。近い過去の日本の歴史はこれを証明いたしております。基地周辺住民の生活安定とその協力なくして、基地安全性も、その効果も一〇〇%にあげられるわけはありません。真の国防はありません。  聞くところによりますれば、政府は、与党の基地問題特別調査会の申達した要望にこたえ、基地問題対策審議会設置法を今国会提出せらるべく準備中であると承っておるのでありますが、はたしていつごろまでにこれを提出される考えであるか。会期もすでに余すところあまり多くはないのでありますが、ぜひともこのことを取り急いで今国会提出せらるるよう要望してやまないのであります。  以上の諸点に対し、池田総理防衛大臣並びに大蔵大臣等々諸大臣より、その御見解をお示し願いたいと存じます。  以上をもちまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人登壇
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答えいたします。  町田市の飛行機事故は、まことに遺憾なできごとでございまして、私は、この機会に、なくなられた方並びに遺族に対しまして哀悼の意を表すると同時に、重傷軽傷をされた、いわゆる被害を受けられた方々に対しまして、衷心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。(拍手)  今日の国際情勢におきまして、日本国民が平穏な生活を続けて、国の繁栄を期する上におきまして安保条約の必要なことは当然でございます。私は、安保条約のもと、今回のような不祥事件が起こらないように、今後あらゆる努力を払って防止していきたいと考えております。(拍手)  なお、被害者に対しまする救済につきましては、ただいまできるだけの措置をいたすべく検討を続けておるのでございます。  なお、今回の事件につきましては、お話のとおり、エマーソン公使より、また、プレストン在日米軍司令官より政府へ、また、ラスク国務長官より大平外務大臣へ、ジョンソン大統領より私に対しまして、弔意並びにお見舞いのことばがかけられたのであります。私は、アメリカ政府並びに国民が、今回の事件につきまして衷心より遺憾の意を表し、お見舞いを言っておられることを、ここに皆さん方にお告げいたしたいと思います。(拍手)  なお、基地問題につきまして、これを法定したらどうか、こういう問題解決のための立法をしたらどうかというお話でございますが、私は、基地問題は、各地における事情が非常に違っておりますので、就任以来、基地問題に対しましては、事ごとに積極的に、早急に解決をはかるべく、基地問題閣僚懇談会、あるいは基地等周辺問題対策協議会を設けまして、そのつど前向きに解決していくことが適当であると考えまして、こういう閣僚懇談会を持ちまして、十分の措置を今後もとっていく考えでおります。(拍手)    〔国務大臣大平正芳登壇
  14. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ジョンソン大統領並びにラスク長官からの弔意見舞いの意を表しました電報の趣旨は、東東京都知事を通じまして、御遺族方々負傷者方々に伝達いたしてございます。  それから、事故が起こりましてからの米国側協力でございますが、七日午後二時から日米合同委員会事故分科委員会を開催いたしまして、事故原因究明事故再発防止対策につきまして、鋭意合同究明を続けておる状況でございまして、この状況、この調査を土台にいたしまして、あらゆる措置を講じてまいる決意でございます。(拍手)    〔国務大臣福田篤泰登壇
  15. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) お答えいたします。  まず、被害状況でございますが、死亡された方は四名、負傷された方は、重傷九名、軽傷二十名でございます。なお、重傷から死に至らざるよう目下万全の手当てをいたしておりますが、いまのところ幸い治療の見込みが十分でございます。  なお、家屋につきましては、全壊が二棟五世帯、半壊が二棟三世帯、なお、周囲の一部損壊も相当ございまして、詳細に調査中でございます。  第二の、パイロット脱出状況の問題でありますが、昨日までにとりまとめました状況は、ちょうど町田市の上空で遭遇することに相なっておりました僚機が、きりもみ状態で落下するのを目撃いたしまして、厚木基地に無電連絡いたしました時間が十六時三十二分でございます。たまたま、上空でスカイ・ダイビングの訓練をいたしておりました米軍ヘリコプターに、基地から救出の指令が出まして、事故発生現場から北方の麦畑にこのヘリコプターが着陸いたしまして、パイロットを収容したのが十六時三十八分でございます。なお、その後いろいろな問題につきましても、詳細に調査中でございます。  第三に、補償の問題でございますが、従来百五十万という限度がございました。労災法公災法参考にいたしておりまして、きわめて低額であるという意見が強かったのでありますが、この際ぜひとも大幅に増額いたしたい。自動車損害賠償その他を参考にいたしまして、ホフマン方式を取り入れ、具体的に目下大蔵省その他と交渉中でございます。  最後に、民生安定法の問題でございますが、何らかの法的な、たとえば審議会設置等によりまして、強力に基地対策に取り組むことは、私の立場から申しますと、まことに望ましいことでありますが、総理も言われますとおり、ケースバイケース解決する従来の方針もまた、取りどころもございますので、目下十分検討中でございます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮登壇
  16. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 騒音等基地対策費増額をはかれないか、なお、公共施設以外の個々の住民に対しての民生安定上の見舞い金というような形で交付金等を出せないかということでございます。  学校、病院に対する防音工事につきましては、事業はかなり進捗いたしておりますが、大蔵省といたしましても、すみやかにこれを完了せしむるように、三十九年度におきましても、従来、一件三年ということで処理をするようにいたしておりましたものを、二年ないし一年で処理をするように、所要の予算を計上いたしておるわけでございます。  なお、基地があることによりまして被害を受けておる基地所在市町村につきましては、いわゆる基地交付金を交付することに三十二年以来なっておるわけでございます。三十九年度におきましても一億五千万円程度の増額をいたしまして、十三億五千万円といたしたわけでございます。個人の騒音被害者に対しましては同情にたえないわけでございます。しかし、公害との関係等もございまして、法的に検討すべき点も多々あるわけでございます。しかし、実情に応じまして、今後この問題に対しては検討してまいりたいと存じます。  それから、演習地基地道路河川工事費補償のための予算は、経済ベースで行なっておることはどうかということでございますが、御承知のとおり、農地の問題、河川問題等は、防衛庁から建設省及び農林省に振りかえて使用いたしておるわけでございますが、こうすることによって、事案の処理はより能率的に処理されるという観点に立っておるわけでございまして、経済ベースということだけを考えておるわけではないわけでございます。  なお、基地関係被害者現行補償基準をすみやかに改定増額すべしという考え方につきましては、先ほど防衛庁長官から申されましたが、事故補償につきましては、従来、労災補償の例にならいまして、収入日額の千日分、遺族補償最高百五十万円でございますが、それにプラス六十日分の葬祭料基準でございました。しかし、国鉄その他加害者側過失、無過失を問わない世間一般補償レベルが、ホフマン方式その他だいぶ改善されておりますので、大蔵省といたしましても、時勢に応じた改定について前向きに検討いたしたいと考えておるのでございます。  それから、基地周辺市町村に対しての問題が提起をせられてございますが、問題の性質上、公害との関連、その他住民に対しての補償はなかなかむずかしい問題がございます。法律上の問題等もあるわけでございますが、実情に応じて今後検討をしてまいりたい、このように考えます。(拍手)     —————————————  米軍機墜落事故に関する緊急質問   (山花秀雄提出
  17. 船田中

    議長船田中君) 次に、山花秀雄提出米軍機墜落事故に関する緊急質問を許可いたします。山花秀雄君。    〔山花秀雄登壇
  18. 山花秀雄

    山花秀雄君 私は、去る四月五日夕刻、東京都下町田市における米軍用飛行機墜落事故に関し、その被害のあまりにも痛ましい様相を実際この日で見ました。かかる悲惨な事故を二度と繰り返さぬため、日本社会党を代表して政府所信とその責任をただすものであります。(拍手)  質問をいたします前に、私は、不幸にも犠牲になられた方々につつしんで哀悼の意を表するとともに、負傷された多くの方々が一日も早く全治されますよう、心よりお祈りいたすものであります。(拍手)  質問の第一は、かかる重大な事故が起きるその根本的な原因についてであります。すなわち、事故の起きる可能性、その可能性を生んでおる政治的な背景について、総理大臣所信をお伺いしたい。  過ぐる第二次世界大戦連合軍の全空軍が投下した爆弾の、その数十培近い破壊力を持っているのが、今日の核兵器だといわれておるのであります。今度の事故で、もし万一事故ジェット機がこの兵器を積んでいたら一体どうなるか、考えただけでもおそろしいことであります。かつて絶対に事故もなく、安全性の高いと宣伝されていたアメリカ原子力潜水艦事故を起こし、百三十余名の乗り組み員が船もろとも犠牲になったことを思い起こしていただきたいのであります。不幸は想像もできないところから起きてくるのであります。もしこの飛行機核兵器を積んでいたら、言うまでもなく、東京は言うに及ばず、関東全域が一瞬にして廃墟になったかもしれません。総理は、核兵器の持ち込みや核兵器を搭載しての訓練はやらないとおそらく答弁されると思いますが、国際情勢の急変などで、核兵器の輸送中不幸にもこうした事故が起きることも考えられるのであります。現在のアメリカ極東政策をしさいに検討すれば、こうした心配も十分あり得ることであります。すなわち、米国ドル防衛政策からアメリカ軍隊本国引き揚げに伴い、その肩がわりとして日本自衛隊の強化が確められ、第二次の防衛五カ年計画が進行中であります。東京周辺に四カ所のナイキの基地がつくられ、F105原爆戦闘機横田基地への配備など、その具体的なあらわれであります。今日のミサイルが核弾頭をつけているということは、もはや専門家の常識だといわれ、こうした軍事科学兵器の発展から、本年度の防衛関係費は、前年度に比べて一四・一%も増額されております。米国にかわって極東の戦略体制の頂点に立とうとする姿が明らかであります。二万五千丁の小銃の国産化とか国産戦闘機五十機の製造費として二百二十四億円の予算を要求する防衛庁考えは、自衛隊の概念をはるかに飛び越えておるのであります。同時に、それは今度のようなおそろしい事故を起こす機会をより多くつくり出す政治的な背景でもあります。軍用ジェット機の墜落事故の頻発は、これからもますます増大する事由とも相なるのであります。防衛力の強化増大、それに伴い予想される数々の事故、この事故の未然の防止策について、総理は、どうされるのが最良の道か、その考えを明らかにされたいのであります。総理は、昨日、参議院会議議場において岡田議員の質問に答えて、かかる不祥事は絶対になくするために努力したいと言われておりましたが、それでは、首都東京付近に存在する米国軍事基地の撤退を米国に要請する意思がありやいなやという点をこの際伺っておきたいのであります。(拍手)  質問の第二は、今回の事故も含めて、操縦者の判断とその訓練等についていろいろ指摘されておりますが、米軍事故が特に日本民間人に多くの被害を与えている事実にかんがみて、外務大臣にお尋ねいたします。今度の事故米軍の操縦者がいち早く落下傘で脱出しておりますが、私は、事故の翌日、社会党の現地調査団として参りましたとき、多くの人々が、搭乗員がもう少し人命尊重の精神を出してくれれば、すぐ近くにある広い畑の中に落とせなかったであろうかと、口々に訴えられていたのであります。町田市街を包む相模原は、文字どおり広い畑と林であります。厚木の基地は、飛行機で計算すれば指呼の距離であります。日本の航空法では、その第七十五条に、地上または水上の人、または物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くさなければ、機を去ってはならないと明記してあります。これは当然なことであり、飛行機の操縦者には最低の心得るべき条件でありましょう。わが身の危険をも顧みず、密集した市街地を避け、町はずれの林や海に墜落、みずからも飛行機と運命をともにしたりっぱな米軍あるいは自衛隊員の話も私は二、三存じております。しかし、このたびの事故やいままでの多くの米軍の場合は、あまりにも与える損害が大きく、しかも多過ぎるのであります。防衛庁より取り寄せました資料に基づきましても、最近米軍機の墜落事故は三十四件、そのうち、二十名を死亡させ、多数の重軽傷者を出しております。今回の事故は、四名死亡、九名重傷、二十名が軽傷したと新聞にも報道され、ただいま防衛庁長官も同じような答弁をされておりました。同じ防衛庁提出された自衛隊空軍事故は、米軍より墜落件数ははるかに多いのでありますが、人の被害は比べようのないほど少ないのであります。  試みに、日本自衛隊の最近の事故防衛庁の資料によって申し上げましょう。三十一年から三十八年まで、件数は百九十六件であります。破壊された飛行機は二百十三機であります。死亡した搭乗員は百六十七名であります。だが、民間人に与えた損害は、死者が四人、けが人が十人であります。私は、パイロットがほんとうに搭乗員として心得るべきことを心得て、常識的に、道義的に飛行機の操縦をやれば、ただいま申し上げましたように、多数の民間人に与える損害はなかったと考えておるのであります。(拍手)この点は、米軍の場合と日本自衛隊の場合との相違、単にアメリカ人と日本人という、そういう人種的な差ではございません。飛行機に乗る者のすべてが心得るべき一つの基準であると考えておりますが、こういう問題に対して、外務大臣は、日米合同委員会事故分科委員会等々を通じて厳重なる抗議をするやいなやという点を、この際はっきり承っておきたいのであります。(拍手)  ほんの少しの注意、判断によって、あえてとうとい人命を犠牲にしないで済むということが明らかであります。人種的偏見、特に有色人種を極端にさげすむというアメリカ人の気質が、潜在的にもせよ、あって、それがこうした事故になるのだろうという声さえも巷間の一部にはささやかれておるのであります。(拍手)沖繩では、交通事故で死んでも、相手の自動車が米軍であれば、抗議をしたり補償を要求してもむだだとして、最初からあきらめてしまうという暗いニュースをわれわれは知っておるのであります。私は、かかるとき、政府当局の強い態度、きびしい抗議があれば、米軍当局も十分に注意を払うと思うが、この際、外務大臣は、き然たる態度でかかる事故防止のためアメリカ当局に抗議し、注意、反省をなさしめなくてはならぬと思いますが、その所信のほどを明確に伺いたいのであります。  なお、今度の事故発生後、現場においては、直ちに米国軍隊の出動によって人々は現場に近寄ることができず、裏故原因調査のただ一つの手がかりであるエンジンについて、持ち去ったのではないかといううわさすら、人々の間にささやかれておるのであります。一説には、土中深く突入し、この上現場を掘り下げてもさがすことは不可能だとして、そのまま埋めてしまったといわれておるのであります。国民の多くは、この処置について非常に疑惑と不安の念を感じております。この際、事故原因の徹底的調査のため、アメリカ軍事局に、再度、エンジンを掘り出して原因究明の処置を要求されることが当然であると存じますが、所管大臣のお答えを願いたいのであります。(拍手)  次に、今回の事故による不幸な犠牲者、被害者に対する補償について、防衛庁長官にお尋ねいたします。  長官は、事故発生と同時に現場におもむき、すみやかに補償問題で米軍当局と話し合う、こういう談話を発表されておるのであります。当然の言明でありますが、私はこの談話に敬意を表するものであります。また即日、米国大統領も、異例の覚え書きを池田総理あて、駐日米大使館を通じて寄せられましたことについては、ただいま総理大臣からの御報告がございました。しかし、問題の解決は、一片の談話、一片の電報あるいは弔意によって基本的には解決するものではございません。  私が申し上げたいことは、これらの被災者に対し、日本駐在米当局者がなし得るあらゆる援助を差し伸べるであろうとアメリカ大統領は言明されておりますけれども、しかし、それがどのように急速に具現化するかということが問題点であります。今後の日米合同委員会事故処理対策の結果いかんが、米国大統領の覚え書きの精神が生かされるものと私は存ずるものであります。しかし、それは政府当局が努力しなければそうはならないと私は考えるものであります。  人間が死亡した場合、その人の収入日額の千倍プラス埋葬料が基準で、最高でもわずか百五十万円であります。しかも実際には百万円以下が多く、主婦の場合だと四、五十万円、あるいは子供では最高でも三十万円程度といわれておるのであります。昭和三十六年十二月、福岡県での米軍機の墜落事故では、四人の日本人が死亡し、住宅四むねが全焼いたしました。ところが、その補償は、すべて一切を含めて一千二百万円でありました。人間一人の生命と住居一むねの補償が、何と三百万円であります。しかも補償額としては、この種の例では最高に近いといわれておる。これらの補償措置は、人命軽視の具体的あらわれでありましょう。負傷者の場合はさらに深刻であります。月収五万円の人が米軍機で負傷させられました場合、一カ月仕事を休んで療養を余儀なくしても、その休業補償が四万円であります。自分の責任でもないのに、痛い思いをして、そして収入が二割も減る、こういう補償のあり方は、私は不合理千万な補償方式だと考えるのであります。(拍手)私は、こうした事故にこそ最大の思いやりを示すべきが、ほんとうの心ある、適切なる事故処理であろうと存ずるものであります。  特に今回最も大きな犠牲者である吉田さんの場合には、妻子のお二方が死亡され、御本人は重体で、たった三歳になられるお子さんが無事であると伝えられるありさまであります。しかし、店も家もこっぱみじんになり、そしておのれは重傷で、三歳になる幼児をかかえて病院に横たわっておられる古田さんは、この廃墟の中から立ち上がるためには、従来の前例ではいかんともなしがたいことは、万人の認めるところであります。政府は、ほんとうに心から犠牲者の立場に立って、その償いをすることを決意されたいのであります。  幸い、今回の惨事を機会に、補償問題を改定するよう日米間の交渉を進められているということを承っておるのでありますが、その具体的な額をどの程度に考えられて交渉に入っておられるか、この際明らかにしていただきたい。ただいまの答弁を聞いておりますと、検討するとか、前向きの姿というような答弁をされておるのであります。さような答弁では、一片の誠意も認めるわけには私はまいりません。(拍手)  最後に、私は、かかる事故を絶対になくするためには思い切った処置を政府に強く要求するものであります。さきに池田総理質問いたしました内容と若干重複にもなりますが、大事なことでありますので、総理より納得できる明快なる答弁を求めるものであります。  四月七日に、府中市の米第五空軍司令部で開かれた日米合同委員会事故分科委員会で、厚木飛行場付近の飛行コースや航空高度の検討を行なったと伝えられておりますが、問題はそんなことでは何らの解決の手段、対策にはなりません。問題の本質を根本的に解決しなくてはならぬと心得ております。立川や横田の基地をはじめ、その他各地に存在する大都市周辺の軍事基地は一切撤去して、今回の不祥事を解決することが根本的解決であるということを申し上げたい。  池田総理はじめ関係閣僚の誠意ある答弁を期待いたしまして、私の質問を終わるものであります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人登壇
  19. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問並びに御心配の第一の点は、もし今回の飛行事故核兵器を搭載しておったならば、たいへんなことだという御心配であります。私は、そういう御心配がおありでございますから、たびたびわが国へは核兵器の持ち込みは許せないということをはっきり言っておるのであります。  次に、前後二回にわたっての御質問でございました、首都付近での基地を撤去すべきではないかというお考えでございますが、防衛につきましてはいろいろ考えなければならぬ点があるのであります。したがいまして、まずそれよりも、都市あるいは集団地の上空での飛行規制を今後十分検討していかなければならぬと思います。従来、航空の安全につきましては、再三米軍に対しまして注意を喚起しておったのでございます。今回の事件にかんがみ、今後日米合同委員会におきまして、飛行規制について十分な検討を加え、適正な措置を講ずる考えでございます。  なお、救済につきましては、お話の点全く同感の点が多々ございます。われわれといたしましては、日米交渉におきましてお気持ちの点が十分実現するよう努力いたしたいと考えます。(拍手)    〔国務大臣大平正芳登壇
  20. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) パイロットの心得ないしはエンジンの撤去の件につきましての措置でございますが、事故分科委員会事故原因究明事故の結果の正確な調査をせっかくやっておるわけでございますから、その結果を待ちまして、米国側に反省ないし考慮を求むべきものがございますれば、当然そのような措置をとってまいりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣福田篤泰登壇
  21. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) お答えいたします。  ただいまエンジンのお話が出ました。まことにごもっともなポイントでございますので、実は本日アメリカ側に対しまして、埋没したままで今後の調査に差しつかえないかどうか、いまだめ押しをしておる最中でございます。現地の話を聞きますと、四メートル近くの穴が掘られておりますが、私も現場を見ておりますが、なお十メートル以上の深さにエンジンが埋没したらしいようでございまして、掘り出しの作業中、浸水がはなはだしく、なお近所の家屋の倒壊のおそれがありまして、現地からも強い希望があって、一応これはあきらめて埋めようというのが一昨日の話し合いでございますが、この点について現地側の意向も考えながら、米軍側に照会中でございます。  第二の、補償が従来低額ではないか、全く同感でございまして、先ほどお答えしましたとおり、今回の機会を生かしまして、ぜひともホフマン方式も取り入れました最大の取り扱いを私どもいたしたい。大蔵省その他と交渉中でございまして、近く決定を見る見込みでございます。  なお、これだけではなく、全壊あるいは半壊の家屋の改修、新築等でありますが、従来につきまして、いろいろと不備な点がございます。不足の点につきましては、長期低利の金融も考えることが適当じゃないか、いま事務的に検討させておる次第でございます。(拍手)     —————————————  米軍機墜落事故に関する緊急質問   (本島百合子提出
  22. 船田中

    議長船田中君) 次に、本島百合子提出米軍機墜落事故に関する緊急質問を許可いたします。本島百合子君。    〔本島百合子登壇
  23. 本島百合子

    本島百合子君 私は、民主社会党を代表いたしまして、東京都下町田市原町田商店街米軍厚木基地所属の戸8U海軍ジェット戦闘機の墜落事故につきまして、御質問を申し上げたいと存じます。  死者四名、重軽傷二十九名、民家の全半壊十五戸の被害を受けましたことは、日本人にとって大きな驚愕でありました。ここに、私は、民主社会党を代表いたしまして、この痛ましい事故によってなくなられました方並びに御遺族に対しまして、心からなる弔意を表しますと同時に、重軽傷者方々の一日も早い御全快を心からお祈り申し上げる次第でございます。(拍手)  この際、政府に対し、再びこのような悲惨な事故を繰り返してはならない、また今回の事故に対してどのような補償が行なわれますか、以下数点にわたりまして、池田総理並びに関係大臣に御質問いたします。  私は、墜落事故がございました翌日、民社党調査団の一員として現地をお見舞いし、視察してまいりましたが、一夜を明かしました現地の悲惨な状態は戦地を思わせるようなものがあったのであります。終戦以来、日本人は平和憲法を守って、平和な日本、そして祖国の繁栄のために努力してまいったわけであります。市民は、米軍基地さえなかったならば、こんな惨事は起こらなかっただろうということを心から叫んでおったのであります。このとき私は、昭和三十五年日米安全保障条約改定の当時のことを思い起こしたわけであります。  政府は、この改定にあたりまして、日米対等の立場に立って、日本の安全と平和のために改定をすると称したわけでありますが、現実は、今回の事故を見ましても明らかなように、米軍機の飛行に関する権限は一切米軍の手に握られ、日本政府はこのような国内問題に対しましても何ら関与できなかったのではないでしょうか。日米対等の原則は安保条約において貫徹されていなかったということが実証されたと思うのであります。もし日本政府が、当時わが党の主張いたしましたように、米軍の装備、配置、展開等について、日本の拒否権を条約上明確に取りつけていましたならば、危険が予測される市街地における飛行等について事前に十分チェックできたはずであります。  現在、日本国土内に百六十八カ所の米軍基地があり、一億九百四十万六千坪が米軍使用に提供されております。このために米軍墜落による日本国民の生命、財産の損害事件がしばしば繰り返されております。このことは、日本の安全と平和が危険にさらされているといっても過言ではないと存じます。(拍手)当時この安保条約の改定には、野党の全員の反対を押し切り、単独採決、自然成立ということによって条約の発効を見たのでありますが、私ども民社党は、この安保条約は段階的に解消すべきことを唱え、一昨年、政府並びにアメリカ大使に要望書を提出いたしたのであります。その内容は、一、防衛力増強を削除すること、二、事前協議における拒否権を明確にすること、三、米軍の常町駐留を有事駐留に切りかえること、四、条約期限を短縮すること等であります。  池田総理にお尋ねいたしますが、わが党の要望に対しどのような交渉、努力がなされたかであります。今日、国際情勢は大きな変化を起こし、核兵器の発達とともに、各国の軍備並びに戦略は、大きな質的転換を遂げつつあります。たとえばアメリカ国内においても、仄聞するところによりますと、常時駐留を有事駐留にすべきではないかということで、目下検討がされているということでございます。この際、安保条約の再改定について政府は努力をされる意思がおありになるかどうか、御所見を承りたいと存じます。(拍手)  第二に、このような事故は、米軍機の飛行規制等十分な措置がなされておれば防止できるはずであります。たとえば飛行コースについては、市民の安全確保という見地から、密集市街上空の飛行を規制したり、高度について、事故の場合の安全性を確保するために、一定の高度以下の飛行を禁止したり、さらには、万一機体に故障が起きた場合でも、機体の放棄は海上とか山岳地帯に行なえるよう、飛行士の訓練並びに飛行条件を規制するなどがそれであります。このことは、日本国民の安全を守るために米軍においても当然とられるべき措置であったと思うのでありますが、この点について米軍の怠慢があったのではないか。政府調査の結果をこの際明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)  ただいま御答弁ございましたが、エンジンはいまだに掘り出されておりませんが、このことに対しても、日本人の疑惑を一掃するために、ぜひとも、どこにどのようなものがあるかということを、この際はっきりさしていただきたいと思うのであります。(拍手)  同時に、かかる最小限の安全措置は、基地を提供する日本政府としても当然要求してしかるべき問題でありますが、過去において、政府は、米軍当局に対しこのような要求を行なったことがあるのかどうか、その辺の事情、並びに米軍当局のこれに対する態度、さらには、これらの問題をめぐる日米合同委員会の審議実績等をこの際国民に明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)  私は、事故が発生し、適当な補償が行なわれればこれらの問題は一応解決するという見方に立っておるところの政府は、根本的に誤りを持っているということを指摘したいのであります。(拍手)この種の事故を今後絶対に防止するための対策の樹立こそが、政府に課せられた重大な責務であると申さなければなりません。この点について、政府国民にいかなる補償を与えることができるのか、あるいはその具体的な問題について、ただいま大蔵大臣等よりも御答弁があっておりますが、私納得できませんので、あらためて後ほど御質問いたします。  第三に、この問題と関連いたしまして重要なことは、基地周辺住民の生命、財産を守り、基地であるがゆえにこうむっておりますところの精神的、物質的損害から日本人の日常生活を守ることが大切であります。したがって、現在基地のある関係都道府県から、米軍または自衛隊による基地使用によって基地周辺地域における住民の生活環境が阻害され、もしくは経済活動に障害が生じている場合、これらを是正するための措置を講ずるという趣旨の基地周辺民生安定法案というようなものの制定促進の動きがあるように聞いております。先ほど、総理大臣は、ケースバイケースにおいて考えてみるというような御答弁があったようでありますが、この点に対する構想もあわせて御答弁願いたいと存じます。(拍手)  また、今回のような米軍機の墜落事件は、過去におきましてもたびたび起きておるわけであります。昭和三十三年七月埼玉県入間川の商店街にB57機が墜落、死者三名、重軽傷八名を出し、次いで三十六年十二月には、福岡県香椎の民家にF100ジェット戦闘機が墜落、死者二名、重傷一名、三十八年五月に埼玉県入間郡毛呂山病院看護婦宿舎に、マーチンB57Bジェット爆撃機墜落、死者一名、重軽傷二十二名を出しております。このほかの問題では、死者はなかったが、田畑などに米軍墜落は年に十件平均であるといわれております。  これらの事故補償については、現在地位協定十八条に基づいて処理されており、死んだ場合において本人の収入を最高千五百円に押え、その千倍、最高百五十万円であった。これはただいま答弁の中にも出ておりましたが、このことは昭和三十二年以来少しも改正されておりませんので、最近の諸物価高騰のおりからいかに低い基準であるかがわかるわけであります。たとえば、国鉄の事故死、また一般航空機の事故死の場合と比較いたしまして、相当下回っており、不当に低い補償額と申さねばなりません。今回の補償については、いわゆるホフマン方式がとられると先ほどから答弁されておりますが、これは洞爺丸事件の当時から採用されたものといわれております。この方式は、被害者の総月収から生活費、所租税などの諸費用を差し引き、年間の総収入を出し、それに平均余命数か、あるいは就労可能年数をかけ、中間利息を控除する方式であるといわれております。今日よりはやや高くなるとは伝えられておりますが、しかし、大体この線で計算いたしましても、所得の少ない人々に対しては、今日これだけの事故に対する補償として国民の納得できるものではないということが考えられるわけであります。(拍手)こうした点につきまして、もし低い計算が出た場合に、政府は、どのようなこの人々に対する心からなる弔慰を、あるいは重軽傷者に対してなさるお気持ちでございますか。その補償の内容をいま少し詳しくこの場において述べていただきたいと考える次第であります。こうした問題については、国の責任において、当然、手厚い補償をなすべきが至当と私は考えておる次第であります。(拍手)  最後に、天災でなく人災が非常に増加しております今日、また、ことに民間飛行機墜落事件等が相次いで起こっておる際でありますので、以上のような諸点について明確な御答弁をいただきますことは、国民に対して、こうした不慮の災害に対する一つの目標ができてまいると思います。もちろん、こうした原町田のような悲惨な災害事故を再び起こさないということは当然でございますが、同時に、米軍当局に対して、日本の態度をもっと腰強く、日本国民の利益を守るために行なわれていくことを心から期待いたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣池田勇人登壇
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 安保条約に対しまするお考えにつきましては、遺憾ながら、にわかに賛成することはできないと思うのであります。  なお、基地使用につきましては、年々、常時駐留が減少しておることを申し添えておきます。  また、米軍の駐留によりまする事故防止につきましては、政府は、日米合同委員会等におきまして、十分な措置を今後講ずるよう措置をする考えでございます。  また、基地周辺民生安定法案、これは先ほど申し上げましたごとく、基地問題につきましては、ケースバイケース措置したほうが適当と考えまして、ただいま法案を提出する考えはございません。  なお、救済につきましては、先ほど山花議員にお答えしたように、政府としては十分の措置をとるべく、いま検討をいたしておるのであります。(拍手)    〔国務大臣大平正芳登壇
  25. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 仰せのように、日ごろから事故対策について日米合同委員会におきまして、精力的にやらなければならぬことはお示しのとおりでございます。日米合同委員会におきましては、事故対策ばかりではなく、最近非常に発達いたしました兵器の実情に応じまして、これが社会生活に不当な影響を与えないような配慮も加えまして、検討を続けておるわけでございますが、こういった努力は今後一そう精力を傾けてやってまいる所存でございます。  それから、今回の事故は具体的な事故でございますので、これは先ほど申しましたように、事故原因究明し、事故再発防止対策もその正確な調査の上に立って打ち立ててまいりたいと存じておりまして、最善を尽くしたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣福田篤泰登壇
  26. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) お答えいたします。  従来の補償基準が低きに失するのではないか、全く同感でございまして、この機会に、従来の労災法ないし公災法参考とした基準は取りやめまして、先ほど申し上げましたような自動車損害賠償法その他いろいろな、いわば引き上げを根拠づけるような資料を整えまして、目下大蔵省当局と交渉中でございまして、近く決定するものと考えている次第でございます。  なお、エンジンその他の物的証拠の問題でございますが、これは事故分科委員会を中心にいたしまして、最後に疑点を殘さぬよう最善を尽くすつもりでございます。(拍手)      ————◇—————  肥料価格安定等臨時措置法案(内   閣提出)の趣旨説明
  27. 船田中

    議長船田中君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出肥料価格安定等臨時措置法案の趣旨の説明を求めます。農林大臣赤城宗徳君。    〔国務大臣赤城宗徳君登壇
  28. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 肥料価格安定等臨時措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  農業生産上の基礎資材としての肥料の重要性と輸出産業としての肥料工業の意義につきましては、ここにあらためて申し上げるまでもないところであります。政府といたしましても、昭和二十九年に現行肥料二法、すなわち臨時肥料需給安定法、及び硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法を制定し、肥料工業の合理化の推進につとめると同時に、農家に対し低廉にして豊富な肥料の供給を確保するよう措置してまいった次第であります。  ひるがえって、最近のわが国における肥料の生産、需給等の事情を見ますると、現行肥料二法制定当時に比べ、著しい変貌を見るに至っております。すなわち、肥料工業の合理化の進展に伴い、その生産能力は急速に増大し、現在では、内需を充足した上で、その生産量の四割以上を輸出に向ける状況となっております。また、価格も逐次引き下げられてまいっております。  国内需給がこのような状態にあるのでありますから、現行肥料二法のように、国が需給計画を策定し、 これに従って生産指示、調整保管指示等を行ない、また、国が価格を公定するというような措置を必要とする段階ではないと考えられます。したがって、今後の肥料対策の中心は、内需確保の趣旨に基づいて輸出を適切に調整するとともに、価格の低位安定をはかることにあると考えられます。  以上のような考え方のもとに、現行肥料二法失効後、すなわち本年八月以降における肥料対策のあり方につきまして、昨年より、関係各方面の御見解をも伺ってまいったところであります。これらの御意見を参酌し、慎重に検討した結果、内需優先、国内価格の低位安定、輸出体制の一本化等を基本とする臨時措置法を制定し、これによって、二法失効後の肥料対策につき、遺憾のないよう対処いたしたいと考えるに至った次第であります。  以下、この法律案の概要を御説明申し上げます。  まず第一に、内需確保措置について申し上げます。  肥料の国内需要を優先的に確保し、内需向け供給にいささかの不安もなからしめる措置をとることといたしました。すなわち、肥料の輸出、特にあとで述べます日本硫安輸出株式会社の肥料の買い入れについては、農林大臣及び通商産業大臣が定める肥料の需給見通しに基づいて通商産業大臣が承認するものとし、その承認については、農林大臣の同意を要するものといたしております。  また、前記需給見通しを定めたときは、これを関係者に対し通知するものといたしております。  第二に、国内価格の安定について申し上げます。  まず、肥料の国内価格の安定をはかるため、肥料の生産業者と販売業者とが互いに共同して自主的に、価格取りきめを締結することができるよう、当該共同行為について独禁法の適用を除外することといたしております。  次に、農林大臣及び通商産業大臣は、右の取りきめが農業または肥料工業の健全な発展に支障を与える等不適当と認める場合には、その取りきめの変更を命じ、または締結を禁止しなければならないこととしているのであります。  さらに、農林大臣及び通商産業大臣は、右の取りきめの締結を促進するためこれに必要な資料を当事者に対し交付し、または取りきめの締結に関し必要な勧奨もしくは助言を行なうことといたしております。  また、その取りきめが成立しがたく、その当事者の双方またはいずれか一方から申請があった場合において、特に必要があると認めるときは、農林大臣及び通商産業大臣は、調停を行なうことといたしておるのであります。  第三に、肥料の輸出についてでありますが、これに関しては一手輸出体制を引き続きとるものとし、このため、日本硫安輸出株式会社を存置することとして、これに関し所要の規定を設けることといたしておるのであります。  第四に、以上の措置を実施するため、農林大臣及び通商産業大臣は、必要があると認めるときは、肥料の生産業者及び販売業者に対し必要な事項の報告を求め、または生産業者の事務所等に立ち入り検査を行なうことができることといたしておるのであります。  第五に、この法律は、現在における肥料をめぐる客観情勢にかんがみ、附則におきまして五年以内に廃止することといたしておるのであります。  以上が、肥料価格安定等臨時措置法案の趣旨でございますが、政府といたしましては、このような措置のほか、肥料輸入の自由化をはかるとともに、肥料工業の合理化、体質の改善確立、流通の合理化、円滑化等に努力し、今後の肥料対策に遺憾なきを期してまいる所存であります。(拍手)      ————◇—————  肥料価格安定等臨時措置法案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  29. 船田中

    議長船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。足鹿覺君    〔足鹿覺君登壇
  30. 足鹿覺

    ○足鹿覺君 私は、ただいま趣旨説明のありました肥料価格安定等臨時措置法案について、日本社会党を代表して、池田総理をはじめ、農林、通産両大臣及び公正取引委員長に対し、重要な数点にわたって質疑を行ないたいと思うものであります。(拍手)  まず最初に、基本的な問題について池田総理にお伺いいたしたいのでありますが、冒頭に特に申し上げておかなければならないことは、昭和二十九年現行肥料二法が制定されて以来、とにもかくにも農民に対し低廉にして豊富な肥料を供給する面で果たしてきた役割りは、高く評価されなければならないのであります。  ところが、政府、自民党は、かねてから肥料工業側の要請を取り入れて、一面においては肥料二法の廃止を策謀するともに、他面独禁法、輸出入取引法の改正等によってメーカーの利益を擁護しようとしてきたのでありますが、このような反農民的な立場をとることは、わが党をはじめ全国の農民の了承するところとならず、猛烈な反対運動の前にその野望はあえなくくつがえされて今日に至っておるのであります。(拍手)  しかるところ、本年七月三十一日をもって肥料二法が失効するにあたり、現行肥料二法に基づく肥料審議会とは全く別に肥料懇談会なる諮問機関を設けて、政府の意向に沿いやすい人々を委員として審議させ、その答申を骨子として肥料新法がここに提出されたわけでありますが、農民の立場に立つと、今回の新法は現行二法に比べて大幅に後退し、率直に言ってないよりはましとの疑問すらあると断ぜざるを得ないのであり、運用いかんによってはいたずらにざる法の数をふやすに終わってしまうおそれすらあると存ずるのであります。(拍手)このことは、政府の農業生産資材に対する政策がいかに真剣味を欠いているかを物語るものであり、政府はもっと農村の実情を謙虚に見詰め、大胆な政策を打ち出すべき段階でありましょう。政府の農業基本法第二条は「農業資材の生産及び流通の合理化並びに価格の安定を図ること。」を国の施策として掲げておりますが、今回の新法がこの規定を受けて農業基本法の関連法として提出されたとするならば、現行肥料二法にはるかに劣るお粗末なものといわざるを得ず、また、総理が選挙中に公約した農業に対する革命的な施策の一つとして提出したとするならば、あまりにも空虚な内容のない政策として、無定見のそしりを免れないと思うものでございます。(拍手)  御承知のとおり、イギリス、西ドイツなどにおいては、肥料工業を輸出産業として育成するためのしわが国内農業に寄せられないようにするため、肥料購入費に対し多額の補助金を支出して、農業を保護することを忘れていないのでありますが、この際、総理の総合的な農業生産資材政策の一環としての肥料政策及び輸出産業としての基本方針を承っておきたいのであります。  いま一点、総理にお伺いいたしますが、肥料新法の最も重要な点は、メーカーに対し価格カルテルを形成するための道を開こうというところにあるのであります。御存じのとおり、独禁法において容認される行為は、自然独占、合理化カルテル、不況カルテル等に限定さるべきであります。今回の肥料新法において価格カルテルそのものを容認しようとすることは、明らかに独禁法を骨抜きするものであり、総理の言う物価引き下げとはまさに逆行するものといわねばなりません。しかもなおかつ、新法によって公然と開かれた価格カルテルへの道は、他産業に及ぶおそれなしとしないのであります。現在最も総理の呻吟されている諸物価値上がりのさなかにあって、二法に守られた肥料は、総理にとって唯一の睡眠剤ではなかったかと私は考えるのでありますが、新法を見て、総理が物価値下げの宗旨を変えられたといわざるを得ないのでありますが、この際、御所信のほどを承っておきたいのであります。  次に、農林大臣にお伺いいたします。  端的に言って、政府は最近、政策としての肥料対策をはじめ、生産資材対策を軽視しておるのではないかと疑わざるを得ないのであります。一例を申しますならば、政府は乳価値下げの中にあって、その基本をなすえさの値上げをもくろみ、政府手持ちの輸入ふすま三十キロ当たり二十三円、専管ふすま同じく四十八円、大麦トン当たり五百三十円の大幅な値上げ案を策定したりして、全く農業基本法はほしいままに空文化されつつあるのであります。幸いえさの値上げは、農林水産委員会における決議とわれわれの追及にあって、これを断念したようでありますが、あらためてこの際、その方針を言明していただきたいと思うのであります。  そこで、今回の肥料新法の対象について承りたいのであります。肥料の生産及び消費構造は、最近大きく変化し、農村における硫安の消費は大幅に減少し、尿素や高度化成が飛躍的に増加しておる実情から見て、新法においては、これら尿素や高度化成についても、価格取りきめの対象とすべきであるにもかかわらず、硫安のみに限定したかかる部分的な構想をもってしては、需給事情の変化に適応した真の肥料対策の価値はきわめて乏しいと考えるが、尿素、高度化成等を対象にしなくてもよろしいのであるか、加えるのであるか、農林大臣所信のほどを承っておきたいのであります。  次に、新法は、施行の日から五年以内に廃止することとなっておりますが、政府は、この妥協の産物たるインスタント肥料法によって、当分の間需給または価格の動向を見守りつつ、五年後には農業基本法の体制に即応したよりよい肥料法を意欲的に考慮しておるのかどうか、この点もあわせてお聞きしておきたいと思います。  次に、この法案の最も重要な価格の取りきめについてお伺いをいたしたい。  新法は、現行二法の規定したパルクライン方式を廃止し、生産者と販売者の団体交渉によって価格をきめることとしております。しこうして、両者間の調整がつかない場合には政府が調停に乗り出すこととしておりますが、このような方式で、はたして適正な価格がきまるでありましょうか。これと全く同じケースであるさきの乳価の場合を見ましても、その結果はおのずから明らかといわねばなりません。すなわち、昨年十月全国的に四大乳業メーカーが一方的な乳価の値下げを通告し、これに憤激した酪農民は酪農振興法に基づく中央調停を申請したのでありますが、中央調停はおよそ二カ月間にわたって難航の末、酪農危機に対処するきめ手を持たず、きわめて不十分な結論を出し、その権威を失墜したのであります。政府は、新法において歴史ある肥料審議会を廃止し、また、新法第二条において「政府が価格取りきめを不適当と認める場合には、その取りきめの変更を命じ、または締結を禁止する」と政府の指示命令権を規定しておるが、もし当事者がこれを守らなかった場合の罰則すらもないのでありまして、かかる法神とその運用をもってして、はたして何をきめ手として公正な価格をきめられる所存であるか、承りたいし、とれに関連して、第三者を加えた仲裁裁定機関を設けるべきであるとも考えられますが、その意思ありやいなや、農林大臣の確固たる御所信を承っておきたいのであります。(拍手)  次に、通産大臣にお伺いいたしたい。  現行肥料二法が制定されて以来、硫安工業の合理化、輸出産業としての育成という名目のもとに、今日まで硫安製造業者に対しては実に驚くべき政府の手厚い保護がなされてきたのであります。すなわち、近くは昭和三十八年、輸出赤字の処理のために百三億円、体質改善合理化のために百六億円、合計二百九億円の政策融資が気前よく、無条件に決定されたことは、われわれのまだ耳新しいところであります。このほかにも、昭和二十八年度から三十八年度までに百七十四億円の財政投融資、輸出売り掛け金の損金算入に際して講ぜられた租税特別措置によるもの二十三億円、輸出売り掛け金に対する輸出所得控除によるもの九億円、尿素製造設備の特別償却による金利メリット約三億円等々、総計をいたしますと三百億円をこす巨額の減税と財政措置がとられてきておるのであります。これによって、硫安各社は着々と肥料以外の部門を強化し、そのほとんどのメーカーが総合化学工業としてマンモス化し、廃ガス、廃液から生産されるコストの安い回収硫安、副生硫安も大幅に増加の傾向にあり、いまや総合化学産業において肥料部門は副業的存在と変わりつつあるのであります。しかも、これらの政府保護はほとんど大手メーカーに集中し、このため、肥料工業間における格差は拡大しておるのであります。新法によってカルテル体制が許されるならば、この傾向に拍車をかけ、中小企業メーカーは系列化され、そこに働く労働者の首切りが行なわれるおそれが多分にありますが、政府は、かかる弱小メーカーもりっぱに成り立ち、しかも肥料価格が下がるよう、零細メーカー及びその労働者の対策を真剣に考えるべきであると思いますが、その対策ありやいなや、お伺いをいたしたいのであります。  第二点として、政府は、マル公主義を廃止する前提として、外国の安い肥料を自由に輸入すればよいとして、本年十月から肥料の自由化をもくろんでおることは御承知のとおりでありますが、自由化によって国内価格が下がることはとうてい期待できないし、また期待すべきではないのであります。なぜかならば、ヨーロッパではEECを中心にナイトレックスが結成され、国際独占間の価格地盤協定を行なう機運が強まりつつあるし、またもしかりに自由化の結果、安い外国の肥料がどんどん入ってくることになるとしますならば、政府は緊急関税を適用するのでありましょう。政府は、自由化の効果をどう考え、またそれにいかに対処せんとしておるのか、この際お聞きいたしておきたいと思うものであります。  第三に、さきに申し上げたとおり、肥料工業の合理化については数々の手厚い保護が講ぜられてきたにもかかわらず、その合理化の実態は今日に至るもなお明らかにされず、農民の強い批判を買っているところであります。すなわち、第一次合理化計画ではトン当たり硫安のコストを六十五ドルから五十ドルヘと十五ドル引き下げる目標であったものが五十七ドルにとどまったといい、第二次合理化計画は四十三ドルにまで引き下げる目標であるにもかかわらず、通産当局は依然として五十三ドル台だとメーカーの言い分をそのまま代弁して資料の提出さえもしていないのであります。一説にはすでに合理化目標は達成されたという声もあり、事実本肥料年度に入ってから、メーカーは当初の九〇%の操業度を輸出好転によって九五%に引き上げておるのであります。一体三百億になんなんとする巨額の財政措置やその他政策融資を講じたからには、当然合理化の経過なりその成果を通産当局は正しく把握すべきであると考えるが、この際これを明らかにされることを強く通産大臣に要求するものであります。  かりに百歩譲って、通産当局が言うがごとく、いまだに五十三ドル台であるとするならば、輸出が全生産量の四三%を与える現状からすれば、輸出赤字はさらに累積されるであろうことは言うをまちません。この輸出赤字を国内の消費者たる農民に転嫁しないという明確な保証はこの肥料新法のどこにもないのであって、現行二法の重要な点が骨抜きにされておるのであります。が、輸出赤字を国内に転嫁せずとの確約を、農林、通産両大臣から統一見解として明らかにしていただきたいと思うものであります。(拍手)  次に、公正取引委員長に伺いたい。  肥料工業のみでなく、従来までも地下カルテル、管理価格が存在してきたことは周知の事実でありますが、今回の肥料新法は、従来の輸出カルテルに加えるに国内価格についても公々然と独禁法の適用除外の共同行為が可能となる道が開かれておるのでありまして、これはきわめて重大なことといわねばなりません。現行肥料二法のもとにあっては、需給計画の策定、これに基づく生産指示、調整保管指示等を政府が行ない、また強力なコストの調査権もあり、これによってメーカーの極端な操業短縮を防ぐことができたのでありますが、新法においては需給計画は単なる需給見通しということに変わり、この結果内需優先に名をかりた不当な操業短縮や生産、出荷調整が行なわれ、価格のつり上げが自由に行なわれる危険性が非常に濃いのであります。価格と操業度及び輸出を含む需給計画は表裏一体、不可分の関係にあるにもかかわらず、これをことごとく取りはずしたその真意をわれわれは疑わざるを得ません。しかも、売り手と買い手が決定した適正価格よりも安い値段で売るメーカーがたまたまあったような場合には、逆にこれが不当な過当競争として制裁を加えられることも起こりかねないのでありますが、かりそめにもそのようなことありとするならば、公正取引委員会は事実上の管理価格を認め、結果的には弱い農民を取り締まるという独禁法の精神に根本的にそむくことに相なるわけでありまして、これに対する公正取引委員長の見解と、独禁法の厳正な運用について御決意のほどを承りたいのであります。  そもそも、肥料とは、土地を肥やし農作物を育てるためにあるのでありますが、戦後、農民は、やせる思いで食糧増産のために高い肥やしを使い、精魂を込めて国民食糧の確保にがんばり抜いてきたことを忘れてはなりません。われわれは、この農民の期待を裏切ることのなきよう、現行二法失効後の無法状態は許されないとの見地に立ち、慎重審議をもって当たることを申し上げ、私の質問を終わる次第であります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人登壇
  31. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申し上げます。  お話のとおり、いまから十年前に肥料二法を制定いたしました。その当時といまとはよほど事情が変わってきておるのであります。あの当時は窒素肥料は二百万トン以下の生産でございました。内需を確保するための措置としてやったのでございますが、その後、肥料工業の合理化によりまして、生産は増強し、価格も安定、低下の道をたどってきたのでございます。いまや、私は、十年前の肥料二法は要らない、廃止すべきだという考えのもとに進んで、今国会提出した案のとおりにいたしたのであります。事情がよほど変わってきたということは、足鹿さんもお認めくださると思います。  しこうして、農業基本法との関係でございますが、農業基本法は、御承知のとおり生産性の向上をはかり、農家の所得をふやすということが最終の目的でございます。したがいまして、この意味において、農業資材の生産あるいは価格の安定等をはかる必要がございます。そのための今回の法案と相なったのであります。われわれは内需を優先いたしまして、内需と輸出とを調整し、生産者、消費者が確固たる立場に立って、適正な生産と値段をきめることを念願しておるのであります。あるいは、西ドイツ、フランス等におきまして肥料に対する補助金を出しておることも承知しております。しかし、それは、外国に対してほとんどダンピング的な輸出をしておった結果ともいわれておるのであります。しかし、肥料行政をやるにあたりまして、補助金政策ということは経済の原則に反します。やはり肥料の安定あるいは低位価格のためには他の一般財政あるいは金融措置でいくことが適当であると考えておるのであります。  なお、独禁法の価格カルテルを適用しておるじゃないか。これはいままではバルクライン方式でいっておりました。非常に不当でございます。しかし、今後肥料の価格の安定、しかも低位に持っていくためには、ある程度カルテル方式をとることが時代の推移に沿うものと私は考えておるのであります。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇
  32. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) お答え申し上げます。  農業生産資材として肥料が重大な地位を占めておる、そのことは変わりございません。確かに飼料あるいは農業薬剤等が、相当なウエートが加わってきましたけれども、肥料の農業資材としてのウエートは依然変わりはございません。その肥料を値上げするということになってはけしからぬじゃないかということでございますが、先ほど総理からも御答弁申し上げましたように、生産の四割以上を輸出するというふうに、生産量が非常にふえております。そういう関係でございますので、当事者の、すなわち生産者及び消費者の話し合いによって価格は適当に決定される、値上げされるようなことは私はないと信じております。しかし、そういうような場合等も考慮いたしまして、政府における是正命令を出すことを留保しておるのでございますから、これが値上げされるということはないと思います。  この法案の適用が硫安のみであっては、法律の目的が達しないじゃないか、高度化成肥料等、その他の肥料も相当出回っておるので、硫安のみではこの法律の目的、あるいは考えるところが不適当でないか、こういう第二のお問いだと思います。硫安以外のアンモニア系統の肥料は、アンモニア系統肥料相互間に代替性がございますので、この硫安の価格に対する窒素成分の市価でおのずから価格がきまる実情でございますこと、御承知のとおりでございます。それから、アンモニア系統肥料中に占める硫安のウエートは漸次低下してきておりますが、硫安全体としては、生産においても内需においても第一位を占めておりますので、右のような肥料の取引価格は今後もなお続くものと考えております。しかし、新法では硫安以外のアンモニア系肥料についても、一応政令で指定すれば硫安と同様の措置をとり得ることとしておりますので、今後必要に応じて新法の対象とするようにしたいと考えております。なお、高度化成につきましては、窒素分のほか、燐酸分ないしカリ分も含んでおりますので、その規格、成分比率等が複雑多岐にわたりますため、高度化成の価格を一律にきめるということはきわめて困難であると考えております。  この法案が五年間の臨時立法であるということはどんなものだろうか、こういうお問いでございます。生産者及び消費者の自主的な話し合いによってきめるのを本筋とこの法律ではいたしております。もうすでにそういう段階に入っておる。しかし、価格等につきましての是正命令、あるいは輸出に対する認可制度、こういう制度を設けて、従来の二法律よりも緩和いたしました案になっておるのでございます。そういう案でありますので、五年の臨時立法としての経過を見まして、対処いたしていきたいと思います。  なお、価格の取りきめの問題でありますが、自主的な価格取りきめにおきましては、肥料の需給が大幅に緩和しておる実勢でありますので、当然ベースとなって行なわれると考えられますので、現行二法のようなマル公を定めなくても、肥料価格の低位安定は十分達成できる、先ほど御答弁申し上げたとおりであります。したがって、政府といたしましては、自主性を尊重する趣旨からいいましても、両当事者間の話し合いにあまり介入しないほうが適当であると考えておるわけでございます。しかし、先ほどからお話のありますように、重大なる生産資材でございますので、輸出のほうに対しましての認可制度を設け、また価格の取りきめが適当でないというような場合には是正命令を出し、あるいは調停の措置をとるということにいたしておりますので、その点で御趣旨のような心配はないと私は確信しております。  また、輸出の赤字が転嫁されるではないか、それに対する措置はどうかということでございますけれども、これは輸出に対する認可及び調停あるいは是正命令、こういうものによりまして赤字が転嫁されない措置をとり得る、こういうふうに考えております。(拍手)    〔国務大臣福田一君登壇
  33. 福田一

    国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  中小企業のいわゆる小さい肥料会社が困りはしないかということでございますが、従来も財政資金をつける場合等々においても、中小企業の育成に十分注意を払ってまいりました。したがって、かなり安定はしてきておるのでありますが、今後もこういう措置をとる場合には、中小企業に対して十分な考慮を払ってまいりたいと存じておる次第でございます。  なお、自由化についての御質問でございますが、自由化をする意味は、高い肥料を農家の方が使われないようにする措置考えておるわけでございまして、私は、御心配のようなことはあり得ないと考えます。むしろ、肥料会社がいわゆるダンピングによって困ることがありはしないかということをおそれておるところであります。その場合には緊急関税を取りたい、かように考えておるのであります。  一方、合理化目標が達成されないというお話でございますが、確かに四十三ドル半という合理化目標はまだ達成されておりません。これは労賃とか原料が上がったためでもございますが、しかしながら、私たちは今度の新法によりまして肥料の値段が上がるということは絶対ないと考えております。ということは、合理化が進んでくるのでございますから、合理化が進んでくるということは生産性が上がってくるということである。生産性が上がってきたのに、それ以上高い値段をきめるということは、これは不当な値段になるのでありますから、私たちは是正命令をもってこれを訂正し得るわけでございますから、そのような御心配はないと考えておるものでございます。(拍手)    〔政府委員渡邊喜久造君登壇
  34. 渡邊喜久造

    政府委員(渡邊喜久造君) お答えいたします。  この法案によりますと、価格については生産者と販売業者との自主的な取りきめにより値段をきめることになっておりますが、これは売り手と買い手との間の団体交渉によってきめられるものでありまして、メーカーの一方的なカルテルとはその性格を異にしているものと思っております。もちろん、こういう種類のカルテルにおきましても、両者の力の関係によりまして弊害の出るおそれはあるのであります。したがいまして、この法案におきましては、第二条第二項に第一号から第五号までの消極要件がきめられておりまして、これらの要件に適合しない場合には、主務大臣が取りきめの締結の禁止、変更ないし廃止の命令を出し得ることになっておりますし、また、公正取引委員会としましても、このような場合には主務大臣に対しましてその請求ができることになっておりますので、こうした弊害は十分阻止できるものと思っております。(拍手
  35. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  日程第一 簡易生命保険法の一部   を改正する法律案内閣提出、   参議院送付
  36. 船田中

    議長船田中君) 日程第一、簡易生命保険法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  簡易生命保険法の一部を改正する法律案    〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  37. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。逓信委員会理事秋田大助君。     —————————————    〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔秋田大助君登壇
  38. 秋田大助

    ○秋田大助君 ただいま議題となりました簡易生命保険法の一部を改正する法律案に関し、逓信委員会における審査の経過と結果とを御報告申し上げます。  この法律案は、去る二月十三日内閣から参議院提出され、三月十八日同院において可決の上本院に送付せられたものでありますが、その趣旨とするところは、加入者の保険的保護を厚くし、あわせて、事業の発展を期するため、簡易生命保険の最高保険金額を現行の五十万円から百万円に、また、その最低保険金額を現行の一万円から五万円に引き上げるとともに、従来の養老保険の性格を保有させ、かつ、死亡保障を強化した特別養老保険を新設しようとするものであります。  なお、施行期日は本年四月一日となっております。  逓信委員会においては、本案付託以来慎重審議を続けた後、四月三日質疑終了、次いで、自由民主党佐藤洋之助君より、本法律案の施行期日を「公布の日」と改める旨の修正案が提出され、続いて、修正案及び修正部分を除く原案につき採決の結果、全会一致をもって可決、よって、本法律案修正議決すべきものと決しました。  次いで、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三党の共同提案により、簡易生命保険積み立て金運用の適正を期すべき旨等の附帯決議を付した次第であります。  以上をもって御報告を終わります。(拍手
  39. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  40. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程 第二 オリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣発行に関する法律案内閣提出
  41. 船田中

    議長船田中君) 日程第二、オリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣発行に関する法律案議題といたします。     —————————————  オリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣発行に関する法律案    〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  42. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。オリンピック東京大会準備促進特別委員長島村一郎君。     —————————————    〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔島村一郎君登壇
  43. 島村一郎

    ○島村一郎君 ただいま議題となりましたオリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣発行に関する法律案につきまして、オリンピック東京大会準備促進特別審議会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  本案は、本年十月に開催されるオリンピック東京大会を記念するため、すでに発行が決定されております百円の臨時補助貨幣のほかに、さらに千円の臨時補助貨幣発行することとし、その法貨としての通用限度を二万円までと定めること等を内容とするものでございます。  本案は、去る三日本委員会に付託になり、七日、政府より提案理由の説明を聴取した後、質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  44. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  45. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 小型船海運業法及び小型船海運組合法の一部を改正する法律案内閣提出
  46. 船田中

    議長船田中君) 日程第三、小型船海運業法及び小型船海運組合法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  小型船海運業法及び小型船海運組合法の一部を改正する法律案    〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  47. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長川野芳滿君。     —————————————    〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔川野芳滿君登壇
  48. 川野芳滿

    ○川野芳滿君 ただいま議題となりました小型船海運業法及び小型船海運組合法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、内航海運の輸送秩序の確立と内航船腹量の是正をはかり、内航海運に対する国民経済上の要請にこたえようとするものであります。  まず、小型船海運業法について申し上げます。  改正の第一点は、題名を内航海運業法に改め、その適用範囲を内航海運業全体としようとするものであります。  第二点は、運輸大臣は、海運造船合理化審議会の意見を聞き、当該年度以降五カ年間について各年度の適正な船腹量を定め告示するとともに、必要に応じて当該年度の最高限度を設定し、その船腹量が定められた最高限度をこえるときは、新たな登録または変更登録を拒否することとしたことでございます。  次に、小型船海運組合法について申し上げます。  題名を「内航海運組合法」に改め、その組合員の資格を内航海運業者全体とするとともに、組合の行なう調整事業は不況の場合に限るとするものであります。  本案は、二月二十七日本委員会に付託され、翌二十八日政府より提案理由の説明を聴取し、四回にわたり質疑を行ないました。  かくて、四月七日、自由民主党關谷勝利委員より、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党を代表して、自家用船舶の規制に関する修正案が提出され、討論を省略し、採決の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第でございます。  なお、本案に対しまして、日本社会党久保三郎委員より、自民、社会、民社三党共同提案による適正船腹量の設定に際し、諸般の事情を考慮、財政資金の確保、所要資金のあっせん、組合の組織強化について政府は適切なる措置を講ずべきである旨の附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  49. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  50. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第四 自治省設置法の一部を   改正する法律案内閣提出)  日程第五 運輸省設置法の一部を   改正する法律案内閣提出
  51. 船田中

    議長船田中君) 日程第四、自治省設置法の一部を改正する法律案日程第五、運輸省設置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  自治省設置法の一部を改正する法律案  運輸省設置法の一部を改正する法律案    〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  52. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。内閣委員会理事内藤隆君。     —————————————    〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔内藤隆君登壇
  53. 内藤隆

    ○内藤隆君 ただいま議題となりました二法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  自治省設置法の一部を改正する法律案は、地方公営企業制度調査会を二年間設置するほか、職員の定員を十五名増員することであります。  次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案は、第一に、伊勢湾港湾建設部を第五港湾建設局に改組し、管轄区域を愛知、静岡及び三重の三県とすること、第二は、東京陸運局の自動車部を自動車第一部及び自動車第二部とすること、第三は、職員の定員を二百六十四名増員することであります。  右二法案は、いずれも一月二十九日本委員会に付託され、二月十八日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、四月七日、質疑を終了いたしましたところ、右二法案に対し、施行期日について、自民、社会、民社三党共同提案にかかる修正案がそれぞれ提出され、趣旨説明の後、討論もなく、採決の結果、右二法案はいずれも全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、自治省設置法の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、民社三党共同提案にかかる、最近の地方公営企業の赤字経営に対し、地方公営企業制度調査会の検討と切り離して、政府はすみやかに赤字解消の対策を講ずべきであるとする内容の附帯決議案が提出され、とれまた全会一致の議決を見た次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  54. 船田中

    議長船田中君) 両案を一括して採決いたします。  両案の委員長の報告修正であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  55. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————
  56. 船田中

    議長船田中君) 日程第六、昭和三十七年度一般会計予備費使用調書(その2)外四件(承諾を求めるの件)、日程第七、昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(その1)外二件(承諾を求めるの件)、右八件を一括して議題といたします。  委員長の報告を求めます。決算委員長白浜仁吉君。     —————————————    〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔白浜仁吉君登壇
  57. 白浜仁吉

    ○白浜仁吉君 ただいま議題となりました昭和三十七年度一般会計予備費使用調書(その2)外四件、及び昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(その1)外二件の承諾を求めるの件について、決算委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  昭和三十七年度一般会計予備費使用調書(その2)外四件は、昭和三十八年一月から三月までの間に使用を決定したもので、その総額は五百三億円余で、昨年十二月二十四日本委員会に付託され、本年一月二十九日大蔵省当局より説明を聴取、また、昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(その1)外二件は、昭和三十八年五月から十二月までの間に使用を決定したもので、その総額は六百九十二億円余でありまして、本年二月十四日本委員会に付託され、本月一日大蔵省当局より説明を聴取いたしました。  本月七日以上各件について質疑を終了、同日、採決の結果、全会一致をもって承諾を与えるべきものと議決した次第であります。その詳細は会議録によって御承知願うことにいたしたいと思います。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  58. 船田中

    議長船田中君) 八件を一括して採決いたします。  八件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  59. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、八件とも委員長報告のとおり承諾を与えるに決しました。      ————◇—————  日程第八 金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案   (内閣提出
  60. 船田中

    議長船田中君) 日程第八、金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案    〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  61. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。商工委員長二階堂進君。     —————————————    〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔二階堂進君登壇
  62. 二階堂進

    ○二階堂進君 ただいま議題となりました金属鉱物探鉱融資率業団法の一部を改正する法律案について、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  貿易の自由化を迎え、わが国金属鉱業の体質を改善するためには、探鉱の促進によって優良資源を確保することが最も重要かつ効果的な方策であり、従来、大手鉱山に対しましては、金属鉱物探鉱融資襲業団による探鉱資金の融資、中小鉱山に対しては新鉱床探査費補助金の制度がありましたが、本案は、これに加え、企業の行なう探鉱に指針を提供するため、金属鉱物探鉱融資事業団の業務に地質構造調査を追加するものであります。  そのおもな内容は、  第一、事業団は新たに地質構造調査の業務を行なうこととし、これに伴い、法律の題名を金属鉱物探鉱促進事業団法と改めたことであります。  第二、事業団は地質構造調査の実施計画を作成し、または変更する際、その計画案を公表して、利害関係人に意見書を提出する機会を与えなければならないこととし、通産大臣の認可があった場合は、計画の要旨を公示しなければならないことであります。  第三、地質構造調査の費用は、政府の補助金、都道府県の負担金及び鉱業権者の負担金をもって充て、その負担割合は政令で定めることであります。  第四、事業団は、地質構造調査のためのボーリングによって、金属鉱物の鉱床が発見され、利益を受ける者がある場合には、当該ボーリングに要した費用の全部または一部を納付させる等であります。  本案は、去る二月十四日本委員会に付託され、二月十八日通商産業大臣より提案理由の説明を聴取した後、参考人の意見を聴取する等、慎重な審査を行ない、四月八日の委員会において採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、事業団の融資条件の改善、地質構造調査事業規模の拡大、新鉱床探査費補助金の充実、鉱床補てん準備金の創設等を内容とする附帯決議を付することにいたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  63. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  64. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第九 中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  65. 船田中

    議長船田中君) 日程第九、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案    〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  66. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長高見三郎君。     —————————————    〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔高見三郎君登壇
  67. 高見三郎

    ○高見三郎君 ただいま議題となりました内閣提出参議院送付にかかる中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案に対する農林水産委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  中小漁業融資保証制度は、金融機関の中小漁業者等に対する貸し付けについて、漁業信用基金協会がその債務を保証し、かつ、その保証債務について政府が保険を行ない、中小漁業者等の融資を円滑にしようとするものであります。  この制度は、昭和三十七年に発足し、十余年を経てきておるのでありますが、本案は、最近における中小漁業の現状に徴して、沿岸漁業者への融資の円滑化の推進及び水産加工業者等に対する信用補完の授与に関して、制度の拡充整備を行ない、中小漁業の振興により一そう寄与せんとするものであります。  農林水産委員会におきましては、去る四月一日提案理由の説明を聴取し、四月八日、質疑を行ない、これを終了し、討論を省略して採決いたしましたところ、多数をもって可決すべきものと決した次第であります。  なお、本制度本来の意義にかんがみ、沿岸小漁業者に重点を置いた運用を期すること、及び保険料率の引き下げをはかること等について附帯決議が付されたことを申し添え、御報告を終わります。(拍手)     —————————————
  68. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  69. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第十 経済協力開発機構条約締結について承認を求めるの件
  70. 船田中

    議長船田中君) 日程第十、経済協力開発機構条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。     —————————————  経済協力開発機構条約締結について承認を求めるの件    〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  71. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。外務委員長臼井莊一君。     —————————————    〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔臼井莊一君登壇
  72. 臼井莊一

    ○臼井莊一君 ただいま議題となりました経済協力開発機構条約締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本条約は、一九四八年に設立された欧州経済協力機構を改組して、OECD、すなわち経済協力開発機構を設立したものでありまして、一九六〇年十二月十四日欧州経済協力機構加盟の十八カ国にアメリカとカナダを加えた二十カ国によって署名され、一九六一年九月三十日に発効しております。  この機構は、加盟国における高度の経済成長、後進国に対する援助及び世界貿易の拡大を三大目的とする国際機関でありまして、わが国は、この機構に加盟することにより、先進工業国との協力関係の緊密化を通じて、高度の経済成長を達成し、世界経済の発展に貢献することになりますので、かねてから、この機構に加盟するため、機会あるごとに希望を表明してまいりましたところ、昨年七月二十六日、右機構はわが国の加盟を正式に招請するとともに、わが国と機構の事務総長との周に、わが国が機構に加盟するための条件を具体的に取りきめた了解覚え書きの署名が行なわれたのであります。  わが国は、この了解覚え書きで、機構が採択している経常的貿易外取引の自由化に関する規約及び資本移動の自由化に関する規約に掲げる項目中、十九項目を除き完全に自由化することを約束しております。  本件は、二月十一日外務委員会に付託されましたので、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ない、また、大蔵、運輸の各委員会と連合審査会を開く等、慎重に審議を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、四月八日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して戸叶里子君より反対、自由民主党を代表して正示啓次郎君、民主社会党を代表して永末英一君よりそれぞれ賛成の意見が述べられました。討論を終え、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと議決いたしました。以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  73. 船田中

    議長船田中君) 討論の通告があります。これを許します。松井誠君。    〔松井誠君登壇
  74. 松井誠

    ○松井誠君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりましたいわゆるOECD条約締結について承認を求めるの件につき、反対の立場から討論をいたすものであります。(拍手)  このOECDの性格は、その結成の経過の中にまざまざとあらわれておるのであります。一九四八年、アメリカは、大戦後飛躍的に増大しつつあった社会主義勢力に対抗するために、あるいはまた、膨大なみずからの生産力のはけ口をつくり出すために、いわゆるマーシャルプランの名で、欧州の復興に主役をつとめてまいりました。このときに、その受け入れ調整機関として発足したのが欧州経済協力機構、いわゆるOEECであります。  このOEEC諸国は、その後、アメリカから注ぎ込まれた百二十億ドルの援助資金をてこといたしまして相互間の貿易・為替の自由化につとめ、かくして一九五八年、そのほとんどの国が相次いで自国通貨の交換性を回復して、ここに西欧資本主義国はいわゆる戦後を終えたのであります。  しかしながら、この資本主義諸国の協力には限度があるわけであります。一九五八年、独仏を中軸とする六カ国は、より広い市場を求め、より強い経済的統合を目ざして、いわゆるEECを結成し、これに反対するイギリスは、六カ国を率いていわゆるEFTAを結び、ここにOEECは、EEC、EFTA、及びそのいずれからも置き忘れられたギリシャ、トルコなどの中進国グループ、この三つに分裂してしまったのであります。そして、この ○EEC諸国の主要な国は、また反共軍事同盟であるNATOの加盟国でありますから、OEECの分裂は、事実上NATOの分裂につながる問題でありました。そこでアメリカは、ゆるみかけた資本主義陣営のたがを締め直すために、そのイニシアチブのもとに一九六〇年の暮れつくり上げたのが、OECDであります。そしてみずからもカナダとともに、今度は正式なメンバーになったのであります。この経過自体が物語っているように、OECDの基本的な性格は、何よりもまず反共的な政治同盟であるといわなければなりません。  さらに、当時アメリカは重大なドル危機に直面いたしておりました。これはアメリカが低開発国に対して、これを資本主義陣営に引きとめるために、あるいはまた中ソの封じ込めのために、軍事的、経済的援助のドルをばらまいた結果であります。そこでアメリカは、ドルを守ることは自由を守ることだと称して、低開発国援助の肩がわりを資本主義諸国に求めるに至ったのであります。そしてOECD発足に先立つ一九六〇年の春、OECDの下部機構として開発援助グループいわゆるDAGをつくり、OEECの中でも先進的な資本主義国がこれに加盟いたしました。そしてOECD発足とともにこのDAGはOECDの下部機構である開発援助委員会いわゆるDACとして生まれ変わり、そして低開発国援助という目的がOECDの主要な目的につけ加えられたのであります。  ここにOECDの第二の性格があります。第二の性格とは何か。それは端的に言って、低開発国に対する帝国主義同盟としての性格であります。もっとも、帝国主義といっても、大戦前のように軍事力を伴う露骨な侵出はあり得ません。それは増大した社会主義勢力、低開発国の民族的な自覚の高まり、あるいはまた帝国主義諸国の内部の平和勢力の増大があるからであります。  しかしながら、現に低開発国は、援助を受ければ受けるほど援助国に縛りつけられ、中には援助資金の利払いに追われている低開発国も出ております。だからこそ、低開発国は資本主義諸国のやり方を集団的植民地主義だと言って非難し、援助よりも貿易をということを叫んでおるのであります。しかも、その先進国との貿易は、交易条件の不利なために貿易をするほど先進国との社会的経済的格差が開き、そのためにいわゆる南北問題というものが一九六〇年代の最大の課題とされておるのであります。いまジュネーヴで開かれておる貿易開発会議こそ、この新しい帝国主義に痛めつけられておる低開発国の苦悩を物語っておるのであります。  第三の性格は、言うまでもなく、自由化促進を中心とした経済的な側面であります。資本主義諸国はガットによって貿易の自由化を、IMFによって為替の自由化を、そしてまたこのOECDによって資本取引の自由化を推し進め、もっていわゆる開放体制をつくり上げようとするのであります。そして、それによって戦後増大した社会主義勢力、あるいは喪失した植民地、そのことのために、狭められた世界市場の中で、相互間の市場を最大限に拡大しようというのであります。  以上申し上げました三つの性格に照らしまして、私は、多くの点から反対をせざるを得ないのでありますけれども、ここではこれを二点にしぼって申し上げたいと存じます。  第一点は、自由化によって生ずる日本経済及び国民生活に対する憂慮すべき影響であります。  池田首相がいかに力み返ろうとも、日本は依然として国際競争力を持たない、膨大な中小企業や農業をかかえ込んだ中進国であります。産業構造も、したがってまた輸出構造も、中進性を脱却することはできません。中小企業と農業に革新的な施策を施すという池田首相の言明は、通産省や農林省の役人をあわてさせただけであって、事態は少しも改善されておりません。政府はこれらの産業や企業を保護育成することによってではなく、これを整理し、首切ることによって開放体制を整えようとするのであります。大企業はまた合理化の波を労働者にかぶせることによって自由化のあらしを切り抜けようとしております。このような態勢において迎える自由化によって泣く者は一体だれであり、笑う者は一体だれであるか、言わずして明らかでありましよう。  資本取引の自由化によって、外資の導入は技術の導入とともに、さらに多きを加えるでありましょう。特に日米通商航海条約によってささえられておるアメリカの資本や技術の導入は、いままでも圧倒的に多かったのでありますが、今後さらに動きが激しくなるでありましょう。この外資が日本経済の成長に寄与した実績をわれわれは無視するものではございません。しかし、それが反面に中小企業を圧迫し、さらには大企業の経営権を脅かす危険が、日本実情に照らしきわめて大きいことを憂えるのであります。しかもいま、内には物価の騰勢と輸入の増勢がやまず、外には関税の一括引き下げが日程にのぼっており、国際収支の先行きできわめて不安であります。まさにそのときに、国際収支の均衡を至上命令とする開放体制に移行するのであります。この国際収支の均衡を実現するためには、またぞろ経済成長を犠牲にせねばなりません。その結果がどうなるか。われわれは池田さんのおかげで何度か経験しておるのであります。  IMF八条国移行によって、日本経済は背伸びして成人式を迎えました。その成年に達したばかりの日本経済が、今度は一足飛びに中年になり、資本主義諸国のリーダーになろうと気負っておるのであります。池田首相は大国意識と愛国意識を混同しておるやに見受けられますけれども、正確な認識を忘れた大国意識の危険さを、われわれは第二次大戦によっていやというほど経験させられたではございませんか。(拍手)われわれはいたずらに保守退嬰の城に閉じこもれというのではございません。あらしに向かうには、それにふさわしい身支度をせよというのであります。開放経済への道は、一度すべり出したらあと戻りのきかない一方交通だからであります。もっとも、政府は、自由化については留保をしておる。OECDは高級サロンでありクラブであるから、無理じいはしないであろうと説明しております。しかし、資本主義諸国の自由化の要求は、サロンで葉巻きをくゆらしながら談笑のうちにきめられるようななまやさしいものではございません。それはまさに肉を切らせて骨を切るという凄絶な戦いであります。だからこそ、現にOECD加盟の交渉に際して、日本は、その強い抵抗にもかかわらず、周知のように海運政策の大変更を余儀なくされたのであります。  反対の第三点は、低開発援助のあり方に関してであります。  日本は、奇妙なことに、OECDの加盟交渉に先立って、DAG成立と同時にこれに加盟をしております。しかも注目すべきことは、この加盟はアメリカのあと押しというよりも、むしろその要請によって行なわれ、イギリスなどの反対を押し切って、その結成直前にかけ込み加盟をしたのであります。そのアメリカ日本安保条約というものによって特殊な関係にあり、しかも日本の旧植民地を含む東南アジアは、アメリカの軍事援助が最も強く行なわれている地域であります。このことからOECDを通ずる日本の低開発国援助は、また特殊な形をとらざるを得ないでありましょう。それはアメリカとともに、あるいはまた、あわよくばアメリカにかわって進出をするということであります。現に政府も認めておるように、ことしの初めの日米合同経済委員会で、経済援助についての日米間の国際分業が論ぜられました。そしてその手始めに、韓国に対する有償無償五億ドルの資金の使途について、近くアメリカのAIDの長官を迎えて協議をする予定だと新聞は報じておるではありませんか。政府は口を開けば、それこそ何とかの何とかのように、国連中心主義を唱えております。しかし、その国連ではいま何が行なわれておるか。国連貿易開発会議において低開発国は、援助も貿易も国連の機構を通すことを要求しております。南北問題を東西冷戦の具にするなと呼びかけております。その声をよそに、貿易はガットの場で、援助はOECDの場で解決しようとあえてするのはなぜでありましょうか。国連の半数を占めるこの低開発国の要求に背を向けて、二国間のひもつき援助にしがみつこうとする路線は、必ずや歴史の手痛い反撃を食らうでありましょう。政府は、いまこそ国連中心主義を通すか、それともその看板をおろすか、去就を明らかにすべきときであります。  以上、反対の理由を申し上げまして、私の討論を終わります。(拍手
  75. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本件は、委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  76. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————
  77. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十一分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         厚 生 大 臣 小林 武治君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  福田  一君         郵 政 大 臣 古池 信三君         自 治 大 臣 赤澤 正道君         国 務 大 臣 佐藤 榮作君         国 務 大 臣 福田 篤泰君  出席政府委員         内閣法制局長官 林  修三君         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         運輸政務次官  田邉 國男君      ————◇—————