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1964-02-12 第46回国会 衆議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十二日(水曜日)     —————————————  議事日程 第六号   昭和三十九年二月十二日    午後一時開議  第一 昭和三十八年産米穀についての所得税の     臨時特例に関する法律案内閣提出、参     議院送付)  第二 日本鉄道建設公団法案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出)   の趣旨説明及び質疑  日程第一 昭和三十八年産米穀についての所得   税の臨時特例に関する法律案内閣提出、参   議院送付)  日程第二 日本鉄道建設公団法案内閣提出)    午後一時十一分開議
  2. 船田中

    議長(船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  3. 船田中

    議長(船田中君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出所得税法の一部を改正する法律案趣旨説明を求めます。大蔵大臣田中角榮君。   〔国務大臣田中角榮登壇
  4. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  政府は、今後におけるわが国社会経済の進展に即応する基本的な租税制度を確立するため、一昨年、税制調査会を設け、鋭意検討を加えてまいりましたが、昨年末、同調査会から、最近における経済情勢の推移に応じて、現行税制につき、さしあたって改正を必要とする事項について、「昭和三十九年度税制改正に関する臨時答申」を得たのであります。その後、政府におきまして、同答申中心にさらに検討を重ねた結果、昭和三十九年度におきましては、中小所得者重点を置いて所得税負担軽減するとともに、当面要請されている企業資本の充実と設備の更新を促進し、産業の国際競争力強化に資する等のための措置を講ずることとなし、国税において平年度千三百七十億円程度減税を行なうことといたしたのであります。これらの税制改正法案のうち、今回ここに所得税法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容について、その大要を御説明申し上げます。  まず、所得税につきまして、中小所得者中心とする所得税負担軽減をはかることといたしております。すなわち、基礎控除を現在の十一万円から十二万円に、配偶者控除を現在の十万五千円から十一万円に、それぞれ引き上げることとするほか、五万円の扶養控除額が適用される年齢区分を現在の十五歳以上から十三歳以上に引き下げて、その範囲の拡大をはかるとともに、十三歳未満扶養親族扶養控除額についても、現在の三万五千円を四万円に引き上げることといたしております。また、最近における給与支給額上昇等を考慮いたしまして、専従者控除について、青色申告者の場合は、年齢二十歳以上の専従者控除限度額を現在の十二万五千円から十五万円に、二十歳未満専従者控除限度額を現在の九万五千円から十二万円に、白色申告者の場合は、その専従者控除額を現在の七万五千円から九万円に、それぞれ引き上げることとするほか、特に、給与所得者負担の現状に顧み、給与所控除について、定額控除を現在の一万円から二万円に、控除限度額を現在の十二万円から十四万円に、それぞれ引き上げることといたしております。  以上申し述べました諸控除引き上げにより、夫婦子三人、計五人家族標準世帯を例にとりますと、所得税が課されない所得限度は、給与所得者では、現在の約四十三万円までが約四十八万円までに、事業所御者のうち、青色申告者については、現在の約三十九万円までが約四十三万円までに、白色申告者については、現在の約三十三万円までが約三十七万円までに、それぞれ引き上げられることとなるのであります。  次に、退職所得特別控除額について、現在、在職期間年齢区分に応じまして控除額に差が設けられておるのを、年齢区分廃止しまして、一律に勤務一年につき五万円に引き上げるほか、住宅または家財について支払った損害保険料について、保険期間等が十五年未満短期火災保険の場合は二千円を、保険期間等が十五年以上の長期の建物更生共済等の場合は五千円を、それぞれ限度としてこれを課税所得から控除する損害保険料控除制度を創設することとし、なお、生命保険料控除限度額譲渡所得等特別控除額寄付金控除控除対象限度額等についても、それぞれその引き上げをはかることといたしておるのであります。  その他、所得税制整備合理化措置の一環として、短期保有の資産の投機的な譲渡による所得に対する課税について半額課税等方式をとらないこととする等、所要の規定の整備をはかることにいたしたわけであります。  以上、所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)      ————◇—————  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  5. 船田中

    議長(船田中君) ただいまの趣旨説明に対して質疑通告があります。これを許します。武藤山治君。   〔武藤山治登壇
  6. 武藤山治

    武藤山治君 私は、ただいま趣旨説明のありました所得税法の一部を改正する法律案に対しまして、総理大臣並びに大蔵大臣お尋ねをいたしたいと存じます。  池田総理は、施政方針演説の中で、「国民の一人一人が働く意思とすぐれた創造力を自由に遺憾なく発揮し、豊かで平和な生活を営み得る社会をつくることは、政治究極目標である」と述べております。この認識は、与党、野党を問わず、政治家として共通の目標として認識をしなければならぬ点だろうと考えます。問題は、いかなる方法をもってこの究極目標を実現するかというところに問題がひそんでおると思うのであります。消費者物価が年々上昇して生活を圧迫し、実質生活水準は停滞し、金融引き締めで倒産が続出するという経済変動の激しい今日の様相は、総理の言われる政治目標とはほど遠い現況ではないでしょうか。(拍手)もちろん総理みずから、「この目標を達成せんとする福祉国家の真の姿を実現する道は平たんではなく、困難が予想されます。」とも述べております。池田総理は、経済成長率に気を奪われ過ぎ、数字の魔術師のごとき態度で、所得倍増論をぶち続けてまいりました。しかし、経済成長が高ければそれでよいというものではないのであります。かのアメリカは、一九四八年から一九六〇年の十二年間に国民総生産倍増いたしました。しかし、倍増内容はどうかというならば、実質的増加がその五分の三、五分の二がインフレーションによるものであって、国民所得水準というものが、この国民総生産倍増に比例して生活水準が高まっていないというところに大きな問題があるのであります。五分の二の部分が、貨幣価値の下落、すなわち物価騰貴による成長であったのでは、国民が豊かで平和な生活などと、のんきなことを言っておるわけにはまいらぬと思うのであります。  今日、わが国財政政策として考えなければならないことは、物価騰貴という現実にマッチした所得倍増政策でなければならないはずであります。かかる観点から、私は、租税の高課税に徹底したメスを入れ、実質生活の向上をはかり、国民の可処分所得を一挙に増大する財政政策が必要であると信ずるのです。しかも、総理は、国際収支逆調原因を、予想以上の経済拡大、すなわち輸入の増加だと説明し、「需要面要素で特に行き過ぎた増大が見られたわけではありません。」こう述べております。すなわち、可処分所得が増大され、有効需要が極端に拡大されたために経済が混乱をしておる事態ではないことを、はっきり答弁いたしておるのであります。このことから、私は、当然国民の可処分所得増加策をとっても日本経済には決して支障がないと判断をいたすのであります。  すなわち、ここで政府減税方針を見ますると、昨年も一昨年も、政策減税と称して大企業中心減税を行ない、利子配当所得者に対する優先的恩恵を与える政策減税を行なってきました。私は、これこそまさに主客転倒減税の姿勢ではないかと思うのです。個人個人が働く意思創造力を発揮し、平和で豊かな社会をつくると池田首相施政方針演説で述べられることが実践されるためには、何といっても側人生活水準を高める大減税を行なわなければならぬと私は思うのです。こういう立場から、今回提案された所得税減税は、減税の名に値しない、まことに不満なちょっぴりの減税でありまするが、池田総理はこれに対して、所得税減税はこれで足れりとお考えになっておられるのか、総理所見のほどを伺っておきたいのであります。(拍手)  第二に、昨年十二月六日、税制調査会から所得税法及び法人税法整備に関する答申がなされました。その答申は、多くの改善すべき点を指摘し、一般納税者にわかりやすい法令体系にすること、租税法律主義のたてまえを根本として法律、政令、省令、通達などの税法整備の見地から検討を加えよという趣旨で始まり、非常に多くの点でわれわれに改善を迫る答申がなされておるのであります。この答申のどのように総理大臣は受けとめておるか。また、答申を実施するという立場に立つならば、いつごろからこの整備に関する答申を実施しようと考えておるか、総理の御所見を伺っておきたいと思います。  次に、大蔵大臣お尋ねいたしますが、田中さんは、二月七日の予算委員会で、歳入見積もりについて有馬議員から質問を受け、「従来のように、どうも自然増収が大きくなるから、初めから意図して低く見積もったのだというようなことでは困るので、明年度名目九・七%、成長率一ぱい見積もりをしておる」と答弁いたしております。しかし、財政当局は、編成作業の当初において、三十九年度GNP成長率一二%として六千五百億円の自然増収が算定されると発表されておりました。ところが、一二%の成長率で算定して六千五百億円の自然増が出るというのに、本予算では成長率九・七%と、より低い見通しにもかかわらず、自然増収額が六千八百二十六億円と逆に増加したのであります。まことに陳腐な計算であると私は考えます。そこで、成長率を一二%と見込んでの今回の税収計算をしたとも考えられます。その他について大蔵大臣は、九・七%で間違いない計算をいたしたとお答えになりますが、もしそうだとするならば、財政当局が年末に一二%を基礎にして計算した六千五百億円の自然増収は間違いであるのか、いずれが間違いであるかを明らかにいたしてもらいたいと思うのであります。さらに、九・七%を前提として確かに目一ぱい予算を計上したというならば、財政当局としてはおそらく一千億円もしくは二千億円程度補正財源は当然予想しての見積もりだと思いますが、大臣補正財源がどのくらい予想されるか、予想の額でけっこうでありまするから、明らかにいたしてもらいたいと思うのであります。  次に、租税特別措置が近年恒久化され、既得権となって年々増加の一途をたどっております。昭和三十九年度特別措置による減収すなわち減税額は、国税でおそらく二千三百億円、地方税で一千五十億円を下らないと私は判断いたします。これらの特別減税措置を減らし、所得税、小企業法人税間接税減税を大幅に断行すべきでありますが、政府は、特別措置拡大こそすれ、公平原則を踏みにじる態度をとっております。今回も輸出所得控除制度廃止と引きかえに、名目を変えて特別措置拡大をしようといたしております。私どもは、租税特別措置を整理して、一そう公平な税制を実現せんとするものでありますが、なぜ租税特別措置整理縮小をしないのか、できないのか、大臣所見を承りたいのであります。  次に、所得税内容に入ってまいりますが、政府は二千億円減税大幅減税だと宣伝をされておりますが、小幅減税といわれた本昭和三十八年度ですら当初の自然増収に対して一六%の減税であるのに、三十九年度は一二%に低下しております。一般会計予算に対する比率分配国民所得に対する比率、ともに前年度より本年は少なくなっております。租税負担率から見ましても、二二・五%と負担率は高まり、昨年より一%上回っておることも皆さん御存じのとおりであります。  減税とは一体どういうことなのでしょうか。個人の税額を前年より減らすということなのか、所得増加に伴う増税を緩和することなのか、大蔵大臣減税の概念をどのように把握しておるか、明らかにしてもらいたいのであります。(拍手)特に問題なのは、減税内容であります。現時点における所得税減税は、物価騰貴に対する事後的調整というべきであって、それはあくまで事後的調整にすぎないのであります。昭和三十九年度の物価高には何らの対応措置がなされていないのであります。これで減税と言えるのか。物価騰貴を調整するにすぎないではないか。総理府統計局の発表によれば、昨年の一カ年間の消費者物価は、三十七年に比べ七・六%の上界、三十七年度の六・八%を上回っております。しかも、本年一月の騰貴率は昨年十二月と同率の上昇であり、三十九年も政府経済見通しによる四・二%にとどまるとは考えられない。かなりの生活圧迫をもたらす消費者物価上昇となるであろうことは、やや確実であります。しかるに、政府は、所得税減税をわずか三十九年度六百四十九億、平年度七百三十六億円しか行なわないのであります。この税制案がいかに不妥当、不合理なものであるか、私は、以下具体的な点を二、三摘出して、皆さん検討をいただきたいと思うのであります。  給与所得者の場合、納税人員は前年比四%の増で、百五十万七千人の増加になり、低所得者が新たに納税者に加えられる割合は一そう拡大される傾向です。しかも、課税最低限お話にならない低さであります。試みに給与所得者独身者の場合、年にボーナスを二回、かりに四カ月分賞与をもらう若い人を例にとって考えた場合に、月給一万一千円余りで所得税がかかるのであります。高等学校を卒業して就職すると直ちに所得税をとられる。パーセントは、六四・五%の人たち納税人員に加えられるのであります。日本と同じように戦争に負けた西ドイツはいかがでしょう。独身者課税最低限は二十五万九千余円ではないですか。総理は、先進国家の仲間入りをした日本自由主義陣営の柱に加えられた日本と、口を開けば大いに日本の今日の成長を謳歌いたしますが、戦争に負けたドイツと比較をして、いかに日本国民税負担が重いかということが、この一事をもっても明らかであります。(拍手)  特にけしからぬのは、わが国の場合、家族構成が多くなるに従って、先進諸外国との開きがますます大きくなるということであります。課税最低限は、昭和三十五年と比較いたしましても、三〇%程度しか増加いたしておりません。この増加率は、人事院調査による標準生計費増加割合を下回り、生活保護家庭における扶助基準額上昇率と比較しても下回るのであります。しかも、生計費計算基礎が、全く実情から遊離した資料もとにしているといわざるを得ません。税制調査会資料によると、成年男子一日当たり、主食三食で四十八円八十六銭、副食百一円十八銭、一日に百五十円四銭で三食を食べるという計算であります。皆さんの近所、知り合いの中で、三食百五十円四銭の生活をしておる人が何人おりますか。かような現実に遊離した生計費計算もとにして今日の課税最低限度計算するに至っては、まさにナンセンスといわざるを得ません。かかる生活状態を想定して計算した消費支出金額でも、一世帯五人家族以上の家庭では、課税最低限を上回る生活費であるということを税調もはっきり認めております。  以上のごとく、政府所得税課税方針はまことに過酷であって、低所得者、中所得者以下の人たちに対してはまことに冷淡しごくであると断ぜざるを得ません。(拍手)私は総理大臣の責任なしとしないと思います。税調があるからと税調を隠れみのに悪用する向きもあるが、政府改善を要望すれば一朝にして改善できるものであります。総理大臣所見のほどを伺いたいと思います。  三十八年度税制改正は、所得税二百七十七億、租税特別措置二百四十六億円と、所得税租税特別措置減税がやや同規模減税でありました。これでは所得税減税が少な過ぎ、大金持ちや大企業にますます有利ではないかと田中大蔵大臣を当時追及いたしました。田中蔵相は、来年度所得税中心大幅減税を断行すると、再三にわたり等介したのではないでしょうか。しかも、税調答申を値切り、配偶者控除扶養控除税調が二万円引き上げ案だったのを五千円に値切り、ついに生計費に食い込み、物価騰貴を調整することすら怠ったのが、本年の減税方針であります。今回配偶者控除扶養控除をわずか五千円ずつ引き上げたが、これは三十八年度で当然行なうべきものでありまして、三十九年度引き上げしなかったのにひとしいといわざるを得ません。  しかも、政府態度でけしからぬことは、国際競争力強化企業近代化という美名のもとに、勤労者、サラリーマンに対してはまことに納得のいかぬ今回の処置であります。それは給与所得者給与所得控除引き上げについてであります。定額控除後の残額について税制調査会答申は、五十万円まで二〇%、五十万円をこえて一〇%、最高十五万円の答申をしたのであります。この答申すら政府は無視し、四十万円まで二〇%とし、最高十四万円にとどめ、そのため税調案より増税になった金額は九十四億円であります。日本労働者が自民党を支持しないから、あるいは労働組合社会党を支持しておるからという偏見によって、かかる勤労控除の仕打ちに対しましては、公平なる政治と断じて言うことができません。(拍手)私は大蔵大臣お尋ねをいたしたいのは、何ゆえに給与所得者控除税制調査会答申を守らなかったのか。これだけの政府の大予算の中で、九十四億円の減税労働者から取り上げるゆえんは一体那辺にあるのか、その理由を明らかにしていただきたいのであります。(「時間だぞ」と呼ぶ者あり)  さらに最後に、時間だと御忠告もございますから、一問申し上げて降壇をいたしたいと存じます。  それは、所得岩間課税最低限均衡という問題であります。標準世帯青色申告業者配偶者専従の場合を例にして考えてみますならば、四十三万二千六百七十円、給与所得者は四十八万五千三百六十九円でありまして、その差額五万二千六百九十九円もございます。事業所得の場合、所得の捕捉が正確でないというのでこの差を認めておるのか。租税負担公平原則から見て、これだけのアンバランスをどうしたらよろしいのか、このまま放置してよいと考えるか、この点大蔵大臣所見を伺って、時間の通告がございますから、降壇をいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣池田勇人登壇
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 租税負担軽減をはかりますことは、民主政治の最重点施策でなければなりません。したがいまして、われわれは、過去十数年間、ほとんど毎年のごとく減税を実施してきておるのであります。ことに、最近の日本経済力上昇にかんがみまして、三十九年度は、平年度二千百八十億円という、いまだかつてない画期的な減税をすることにいたしたのであります。しかも、その減税内容は、所得税住民税中心として行なっております。ただ、国際競争力強化のため、また、末長き日本経済発展のために、企業減税もある程度加味していることは御承知のとおりでございます。私は、いまの状況におきまして、国民一般基準生計費を考えながら、今回の税制は最もよい税制改正案と考えております。  なお、次に、わかりやすい税制ということでございまするが、御承知のとおり、負担均衡を正確にはかるというためには、文章その他がなかなかむずかしくなるのでございます。これは従来からいわれておることでございますが、われわれは、お話のように、できるだけ一般の方々に税法がわかりやすいように改めることを、いま調査会に諮問して検討を続けておるのであります。  ほかは大蔵大臣よりお答えすることにいたします。(拍手)    〔国務大臣田中角榮登壇
  8. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私からお答えいたしますものが四、五点ございますから、お答えをいたします。  その第一点は、三十九年度成長率九・七%と見た場合、六千八百二十六億は過大ではないか、しかも、当初案一二%と成長率を算定した場合、六千億ないし六千五百億と言ったのに、いずれが正しいかという御質問でございますが、いずれも正しいのであります。出初一二%と見ましたのは、御承知のとおり、三十八年度経済成長率が非常に低いものだと考えて、まだ未確定要素状態において三十九年度を算定したわけでございます。ところが、御承知のとおり、三十八年度の下期、すなわち第三・四半期、第四・四半期経済成長率が非常に高いので、しかも、いま御審議を願っております第三次の補正予算案をごらんになればおわかりになるとおり、今年度において自然増収がすでに二千億余見込まれるわけであります。そのように経済成長率が商いので、三十八年度基本ベースが高くなりましたので、三十九年度経済成長率を、三十八年度の八・一%より下げても、税の自然増収は多くなるわけであります。でありますから、六千八百二十六億円の税収見積もりは、名目九・七%、実質七%で、積み上げ方式によって算出したものでありますから、適正な歳入見積もり規模だと考えておるわけであります。そこで、ちょっと申し上げますと、経済成長率税収との関係は、時期的にズレがございます。でありますから、三十八年度の下期の成長率の高い時代の法人税収入等が三十九年度の上期にずれ込みますので、このように見積もられることは御承知のとおりでございます。  第二点は、補正財源はあるのかということでありますが、一般会計予算を組んで御審議を願っておるときに、補正財源云々を申し上げることはいかがかと思います。しかし、災害等に関しましては、御承知のとおり、三十九年度予算に百億の災害予備費を計上してございますので、これによって対処いたしたいと考えておるのであります。  それからその次に、租税特別措置整理統合廃止について、どう考えるかということでございますが、御承知のとおり、租税特別措置法というのはいろいろ議論のあるところでありまして、租税の公平の原則から考えますと、できるだけ整理統合すべきであるという議論が存することは当然であります。しかし、日本のように、戦後の困難な情勢に対処して今日の経済拡大してき、われわれ国民生活基盤を確保してまいるには、ある時期において時間を限って特別な措置が必要であることもまた事実であります。御承知のとおり、三十九年度減税を契機にして考えますと、IMF八条国への移行、OECD加盟等開放経済に向かう特殊な条件がありますので、これらの国際競争力に対処する等のため租税特別措置が必要であることもまたお認めいただけると思うわけであります。これらの問題に対しては、税制調査会答申をまちながら処置してまいりたいと考えます。  その次は、三十九年度減税規模が小さいのではないかということでございますが、御承知のとおり、六千八百二十六億の自然増収見積もりましたけれども、三十九年度の特殊な事情として、前年度剰余金の減が千八百余億になるわけであります。六千八百億から千八百億ないし千九百億を引きますと、四千九百億程度歳入増であります。この当該年度における歳入増当該年度における減税額との比率が問題なわけであります。この問題につきましては、十分御承知のとおり、一七・一%でありまして、昭和三十二年以降最大の減税規模であるということも御承知のとおりであります。  それから、課税最低限五人家族の場合が少ないではないかということでありますが、減税によりましては、四十七万一千円というふうに見込まれる最低限を四十八万五千円程度まで引き上げておるわけであります。ところが、五人家族においては、わずかその差が一万四千円しかないのでありますけれども、三人家族、二人家族独身者によって見ますと、多いものは五万円も開きがあるわけでありますので、これらの計数に対しては御検討をわずらわしたいと思います。  もう一つ、税制調査会答申を守らなかったということでございますが、御承知のとおり、最高限度額三万円を引き上げるようにという答申に対して、二万円の引き上げを行ない、二〇%の控除率の適用範囲の拡大ということが答申にございましたが、これは見送ったということでございますが、これは所得税及び企業減税地方税等の勘案もありまして、先ほども申し上げました開放体制に対処する特殊な事情もありますので、二千億減税という政府の当初の方計を、二千百八一億までワクを広げて前向きに対処したわけでありますので、これらを見送ったことは事情御了承いただけると思うわけであります。税制調査会答申は二千三百八十億余でございましたけれども、これは輸出所得控除の当然増徴分を引かない数字でありまして、政府原案ではこれを引いてありますので、総体的な結論的な数字から申し上げますと、税制調査会よりも約五十億上回る減税を行なっておるという事実を申し上げて答弁といたしたいと思います。(拍手
  9. 船田中

    議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  日程第一 昭和三十八年業米穀についての所得税臨時特例に関する法律案内閣提出、院送付)
  10. 船田中

    議長(船田中君) 日程第一、昭和三十八年産米穀についての所御税の臨時特例に関する法律案を議題といたします。     —————————————
  11. 船田中

    議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長山中貞則君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔山中貞則君登壇
  12. 山中貞則

    ○山中貞則君 ただいま議題となりました昭和三十八年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、昭和三十八年産の米穀の集荷に資するため、生産者が同年滝の米穀を、事前売り渡し申し込み制度に基づいて政府に対して売り渡した場合、同年分の所得税について、その売り渡し時期の区分に応じ、玄米百五十キログラム当たり、すなわち一石当たり一千七百五十円ないし一千百五十円を非課税とする措置を講じようとするものであります。  本案は、さきに参議院を通過して本院に送付されたものでありますが、慎重審議の後、昨十一日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  13. 船田中

    議長(船田中君) 採決いたします。  本法案は委員長報告のとおり決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 船田中

    議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 日本鉄道建設公団法案内閣提出
  15. 船田中

    議長(船田中君) 日程第二、日本鉄道建設公団法案を議題といたします。     —————————————
  16. 船田中

    議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長川野芳滿君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔川野芳滿君登壇
  17. 川野芳滿

    ○川野芳滿君 ただいま議題となりました日本鉄道建設公団法案につきまして、運輸委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本法案は、わが国の鉄道交通網を整備することにより、経済基盤の強化と地域格差の是正に寄与する目的をもちまして、国鉄にかわって鉄道新線の建設を行なわせるため、新たに政府及び国鉄の出資によって日本鉄道建設公団を設立しようとするものでありまして、公団の資本金及び財源措置、公団の行なう業務、新線建設の決定方式並びに政府の監督等について、所要の規定を設けております。  本法案は、去る三十八年十二月二十日当委員会に付託され、本年一月二十九日政府より提案理由の説明を聴取、自来五回にわたって委員会を開き、慎重審議を行ないましたが、その内容の詳細は会議録によって御承知を願います。  かくて、二月十一日、質疑の後、討論に入り、自由民主党を代表して細田吉藏君より賛成、日本社会党を代表して肥田次郎君より反対、民主社会党を代表して玉置一徳君より反対の討論が行なわれ、採決の結果、本法案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  18. 船田中

    議長(船田中君) 討論の通告があります。これを許します。油谷裕夫君。    〔泊谷裕夫君登壇
  19. 泊谷裕夫

    ○泊谷裕夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、日本鉄道建設公団法案に反対の趣旨を述べます。  鉄道新線の建設は、国の産業開発、経済発展あるいは地域格差の是正のために、大きな役割りを果たすものであります。私ども社会党は、常に、国民経済発展のために、計画的な鉄道交通網の確立に努力を傾けてまいったところであります。しかしながら、現状は、新線建設の必要数は三百三十一線であるのに、建設工事を進めている着二線はわずか四十八線で、着工予定の調査線は十五線の実情にあります。  このように、新線建設が意のごとくならない根本的な原因は、鉄道建設審議会の答申が指摘しておりますように、鉄道新線の建設は、一般国民に与える有形無形の便益の増大と、国原経済に与える効果の多大なることにかんがみ、国家的な政策上の見地から論ずべきであって、日本国有鉄道の企業立場からのみこれを論ずべきでないことを明らかにしております。したがって、矛盾解決の方法としては、鉄道新線の建設を、道路、港湾と同様に、政府の公共投資とする以外にないものと思量せられる、よって、今後の新線建設については、政府が公共専業として主たる財源を負担することが適当であると述べておるのであります。このように、その必要資金が、国鉄の現状からして確保できないのであります。したがって、その根本的解決策は、政府が、新線建設を公共事業として、主としてその費用を負担することにあります。しかるに、本法案は、この重要な点について何ら解決をしていないのであります。  次に、真に、わが国経済基盤の強化と地域格差を是正するため、鉄道交通網の整備をはかろうとするならば、その根本的な方策と計画を樹立する必要があります。こんな常識的なことをあらためて主張する理由は、池田内閣が立案をいたしました所得倍増計画の交通体系小委員会は、ローカル線については、特殊な線区を除いて、今後の建設を中止し、現存の路線も、国民経済に非合理的なものは撤去をして、自動車にゆだねるべきである、また、一般に、新規投資について十分に特殊性を検討し、累を将来に残さないように注意すべきである、と書いてあります。このように、採算性を追求するあまり、従来、新線建設に積極的な意欲が見られないばかりか、今後も、その姿勢に不安なしとはいたしません。  本来、住民福祉向上に役立つよう、国全体の交通政策か、道路、鉄道、港湾、内航海運、航空、いわゆる陸海空と体系づけて、計画が立案されなければなりません。かりに陸上運送だけでも、鉄道、バス、トラックと、総合的な立場に立って、科学的な検討が加えられなければならぬと思います。今後の経済発展と地域の発展とも関連をいたしました十分な配慮がなければならぬものであります。いやしくも、世間から政治路線と指弾を受けるような、政治圧力によってそれが左右されやすい、場当たり的な無計画であってはなりません。  さらに、特に注意を払わなければならぬのは、道路、港湾については、すでに道路整備緊急措置法、港湾整備緊急措置法の立法化がなされ、一応五カ年計画のもと、その具体的推進には閣議決定などの条件を付して、十分とはいえないまでも、政府がその実施について責任を負う体制を整えております。しかるに、鉄道新線建設についてのみ、その立法措置に何ら触れておらないことは、問題解決の本質をぼかし、本法案は隠れみの的役割りを果たし、切実な国民の要望にこたえたものとは考えられません。  最後に、新線建設を具体的に促進する技術面から見まするに、新線建設の隘路は、ただいま述べましたように、国鉄か公団かではなくて、国鉄の技術陣をもってすれば、今日予定されております鉄通新線の建設は、決して不可能ではございません。むしろ、国鉄の技術陣の手にまたなければ、かえって多くの障害さえ予想されるのであります。せっかく長い経験を持つ国鉄工事要員を二分し、そのことは、不足を伝えられております工事要員の弾力的運用を失わしめ、公団役職員、特に管理者のみが増加する国家的むださえ生ずるのであります。  以上述べましたように、国鉄から新線建設を切り離し、建設公団を新設することは、組織の繁雑を来たし、効果的でないばかりでなく、法文の趣旨に合致しないものと考えます。私ども社会党は、日本国有鉄道が行なう鉄道新線建設の緊急かつ計画的な実施を促進するため、鉄道新線建設十カ年計画の策定と、その実施を要する国庫負担などについて必要な規定を設けようとして、鉄道新線建設緊急措置法を提出いたしました。政府案と対比して十分な審議を要請したのでありますが、討議不十分のまま、性急に政府案の成立を急ぎ、日本鉄道建設公団法によってすべてが解決するかのように世間を幻惑されるようなことは、政治的な責任からいってもとうていわれわれは容認できないのであります。(拍手)したがいまして、日本鉄道建設公団法に反対するものであります。  本法案も、やがて自民党諸君の数による成立を見ることでありましょう。願わくは、しょせん不可能と知りながらも、悲願にもひとしい国民の切実な要望にこたえるべく、政府・与党の再考を願って討論を終わります。(拍手
  20. 船田中

    議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  21. 船田中

    議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  22. 船田中

    議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         建 設 大 臣 河野 一郎君         自 治 大 臣 早川  崇君  出席政府委員         内閣法制局長官 林  修三君         運輸省鉄道監督         局長      廣瀬 眞一君         自治省財政局長 柴田  護君