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1964-10-09 第46回国会 衆議院 法務委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十月九日(金曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 唐澤 俊樹君 理事 小金 義照君    理事 坂本 泰良君 理事 横山 利秋君       草野一郎平君    小島 徹三君       四宮 久吉君    田村 良平君       森下 元晴君    神近 市子君       田中織之進君    中嶋 英夫君       松井 政吉君    竹谷源太郎君       志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 高橋  等君  委員外出席者         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         警  視  長         (警察庁警備局         警備第二課長) 後藤 信義君         法務政務次官  大坪 保雄君         検     事         (民事局参事         官)      上田 明信君         検     事         (刑事局長)  津田  實君         検     事         (刑事局総務課         長)      安原 美穂君         検     事         (矯正局総務課         長)     荻野かく一郎君         検     事         (保護局長)  武内 孝之君         検     事         (人権擁護局調         査課長)    鎌田 好夫君         検     事         (入国管理局次         長)      富田 正典君         公安調査庁長官 吉河 光貞君         文部事務官         (大学学術局長)杉江  清君         文部事務官         (大学学術局学         生課長)    笠木 三郎君         文部事務官         (管理局長)  斎藤  正君         専  門  員 高橋 勝好君     ――――――――――――― 十月九日  理事鍛冶良作君七月二十四日委員辞任につき、  その補欠として上村千一郎君が理事に当選した。 同日  理事小島徹三君同日理事辞任につき、その補欠  として大竹太郎君が理事に当選した。     ―――――――――――――  本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  法務行政検察行政及び人権擁護に関する件      ――――◇―――――
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  この際理事辞任に関する件についておはかりいたします。  すなわち、理事小島徹三君より辞任申し出がありました。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。  次に理事補欠選任に関する件についておはかりいたします。  ただいまの理事辞任に伴う欠員及び委員の異動による欠員、合わせて理事が二名欠員となっております。これの補欠選挙につきましては、先例により委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって大竹太郎君、上村千一郎君を理事に指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 濱野清吾

    濱野委員長 次に法務行政検察行政人権擁護に関する件、及び裁判所の司法行政に関する件について調査を進めます。  大臣がおいでになりましたなら、法務行政に関する法務大臣の所信を求めるための質疑がございますが、それをあとにいたしまして、かねがね質疑申し出がありましたその他の件について質疑を許します。志賀義雄君。
  6. 志賀義雄

    志賀(義)委員 人権擁護局にお伺いいたします。  去る二月十六日の各新聞に、日本弁護士連合会が、人権擁護委員会バス会社などバス電車従業員身体検査にからむ人権侵害問題の調査の結果を発表しておりますが、その発表の中に、電車バス車掌身体検査憲法違反である、こういう結論が出ております。この結論について、私は二月二十八日に人権擁護局長質問いたしましたが、その後身体検査の問題について、どういうふうに調査が進んでおるか、最近の結果をお知らせ願いたいと思います。
  7. 鎌田好夫

    鎌田説明員 その後、前回提出しました全国バス企業体の、いわゆる検査関係規定を集めまして、その規定を見て、この規定によるならばあるいは行き過ぎ検査が行なわれているのではなかろうかと思われる場所について、検査実態調査いたしました。その結果も取りまとめまして、すでに提出したところでございます。その実態調査の結果、横浜で行なわれているものについては、実態調査の結果を見て、どうしても問題があるということが明らかになりましたので、その点について、横浜にさらに詳細な調査をするよう命じてございます。それ以外のところにつきましては、一応実態調査の結果から見ますと、私どもが前に出した見解あるいは弁護士会で表明した見解に、必ずしも反しないと思われますので、現在のところでは、横浜についてのみ調査を続行中でございます。
  8. 志賀義雄

    志賀(義)委員 当時私は、神戸交通局若林栄子さんが自殺した事件が昨年六月でありますが、起こっておることについて、人権擁護局長に伺いまして、明らかに人権侵害疑いがある、こういうことになっております。しかもこの身体検査調査に当たる者を選ぶ方法が実に非人道的なものであります。そのことについて私は質問したのであります。明らかに行き過ぎであるということを擁護局長は言われた。ところが、いまあなたは、全然そういうととはないと言われた。しかるに最近九月十九日に大阪交通局は、大阪交通労働組合に対して服装検査を全廃すると申し入れております。その理由として、服装検査で不正が発見されるのは最近年間十二、三件で、金額もわずか一万円、ところがその検査に要する人員、施設その他の費用が九千万円。とうとう大阪当局もかぶとをぬいで、これを全廃することを、いま申しましたように申し入れているのですが、そういうことについて、いままでの連絡から、調査はなかったのですか。横浜のことだけ言われたが、私は神戸に次いで大阪と、もう一つ岩手県のバスの問題について伺ったことがあります。その点はどうですか。
  9. 鎌田好夫

    鎌田説明員 御指摘大阪岩手県の事件調査結果について御報告いたします。  まず大阪交通局事件でございますが、これは大阪交通局東住吉営業所勤務バス車掌山下志津子さんに関する件であります。大阪交通局乗務係指導係石川恵美子という人が、昨年十二月二十四日午後八時四十分ごろ、東住吉営業所玄関前の雨どいと壁との間にちり紙のまるめたものの捨ててあるのを発見いたしました。そこで調べてみると、そのまるめたちり紙の中に五百円札一枚が折りたたまれて包み込まれておる。そこでそれをその場に戻して、現業助役に連絡しようといたしました。石川事務室へ引き返そうとしたときに車掌山下志津子さんが帰宅するために事務室から出てくるのとすれ違っております。石川がその山下志津子さんの出ていくのを振り返って見ていたところが、山下さんが前記ちり紙を拾ってこれをポケットに入れるのを現認したので、呼び戻した、このように述べております。ただし、この点につきましては山下は、ポケットから手袋を出したところが、手袋名札とがその場に落ちたのでもこれを拾ったにすぎないと説明しております。山下石川の呼びかけに応ぜずに立ち去ったので、石川通用門までこれを追いかけて呼びとめ、山下さんに部屋まで来るよう求めました。その際石川は、山下さんがその場にマフラーとか手袋などを投げ捨てたのでもこれを拾ったと述べております。同営業所検査室まで同行して、石川山下所持品提出を求めたところ、山下マフラー手袋ちり紙名札等を出しております。そのちり紙の中に玄関前で五百円札を包んであったと思われたちり紙があったので、石川山下さんにこの点をただしたけれども山下さんのほうでは、それはくつをふいてよごれたのをそのままポケットに戻して持っていたものだと説明しております。石川本局の上司に事情を連絡し、本局の指示を受けて、本局から来た隈本という人にその後の事務を引き継いでおります。隈本らは再度山下所持品の提示を求めて検査し、石川ちり紙包みの五百円札を発見した場所などを調べましたけれども、何ら発見するに至っておりません。その後組合の申し入れによって十時四十分ごろに山下を帰宅さしております。この件につきましては、所持品提出を求めてそれを見たのみであって、それ以上の検査は行なっておりません。  岩手県南バス株式会社事件につきましては、同社の大東営業所勤務するバス車掌岩渕カツ子という人に関する件でございます。これは昨年十一月二十二日に起こった事件でございまして、当日乗務していた岩渕車掌が当日の午後零時三十分ころから当日午後七時二十分ころまで四ッ角――大原間のバスに乗務しております。ところが、この岩渕カツ子について、平素精算状況に疑念があるということを営業所から連絡されていたために、同人について監査を行なうことになりまして、この十一月二十二日に監査を行なうことになったのでございます。そのために監査係千葉栄亀佐々木明両名が岩渕の乗っているバスに乗客として乗り込んで執務状況を見ております。ところが、その際執務規定によって禁止されている勤務中のカバン在中金計算整理岩渕が行なっているのを目撃しております。千葉降車の際に百円硬貨支払いをしました。佐々木のほうは降車の際に百円札で支払っております。その後岩渕の清算結果を見たところ、百円硬貨が含まれておらない。九時ごろから滝田監査課長がその点について事情聴取をいたしました。というのは、百円硬貨一枚が少なくとも入っているはずなのに、それがないという点についての説明を求めておるわけでございます。これに対して岩渕は、百円硬貨を取り扱ったことはないと主張していたので、午後十時半ころ事情聴取を打ち切っております。この際、所持品検査あるいはその他の検査は全然行なっておりません。翌二十三日午前十一時過ぎ、営業所二階の炊事室において滝田監査課長千葉佐々木、この三名で事情聴取を行ないました。その際に千葉摺沢大原役場前まで自分が乗って、おりる際に百円硬貨支払いをした。佐々木のほうはやはり大原役場まで乗って百円札で支払ったということを述べている。二人が当日車に乗っていて支払い状況を見ていたところからみると、百円硬貨が一枚、百円札四枚がかばんの中になければならないのに、百円札三枚しかないというのが不可解であるということで追及をしております。その点については結局答えが得られないので、午後一時ごろその事情聴取を打ち切っております。  以上が調査の結果でございます。
  10. 志賀義雄

    志賀(義)委員 この九月二十日の産経新聞にあなたの談話として、「法務省としては神戸事件あと、運輸、労働、自治省など関係監督官庁を通じて各バス電車会社に注意していた。また、各地方法務局実態調査をさせ、その調査の過程を通じて人権侵害のないよう指導している。大阪市が身体検査をやめるという報告をきいたが、全国でもはじめてであり、結構なことだ」こういうふうに言っておられますが、これは間違いありませんね。
  11. 鎌田好夫

    鎌田説明員 間違いございません。
  12. 志賀義雄

    志賀(義)委員 ところで、先ほど申しました神戸バス車掌若林栄子さんが不当な調査を受けてとうとう鉄道自殺をした。そのことについて当時神戸地方法務局では、市当局側人権侵害だという結論を下しております。あなたのおっしゃるところでは、そういうことはなかったように言われておりますが、この法務委員会でも、明らかに人権擁護局長がその神戸地方法務局結論を報告されております。その点はどうですか。先ほどあなたの言うのと食い違いがある。
  13. 鎌田好夫

    鎌田説明員 神戸事件に関して人権擁護局としてとりました見解はすでにお出ししてあるとおりでございますが、その要旨は、所持品等検査を行なうことそれ自体が直ちに人権侵害になるとはいえない。その行なう程度のいかんによって、行ない方によって人権侵害することがある。しかもこのような検査というものは、人権侵害のような検査方法に及ぶおそれが非常に大きいから、こういう危険のある検査というものはやめてもらいたいということであります。先ほど申した趣旨も、したがいまして別に神戸のときに局として公にした見解と異なっているとは考えておりません。
  14. 志賀義雄

    志賀(義)委員 あなたは横浜以外には人権侵害はなかったと言われる。それではいま言われることと矛盾するじゃありませんか。神戸交通局のけしからぬことは、大阪市でもすでにそういうように全廃しているのに、当の自殺者まで出した神戸交通局が何ら反省するところなく、いまだに身体検査ということを固執しているところにある。法務局の警告をも無視してやっていることになるじゃありませんか。その点はお調べになりましたか。
  15. 鎌田好夫

    鎌田説明員 前会神戸市で勧告にかかわらず同種のことを繰り返しているという御指摘でございましたので、さらに神戸について調査いたしましたが、なるほど所持品等検査はそのまま行なっていることは事実でございますが、私ども人権侵害方法であると指摘したような方法はとっていないということでございます。
  16. 志賀義雄

    志賀(義)委員 最後にしますが、あなたのほうで調べられたというのは、こんなかつおぶし削りみたいな箱で、その中にビー玉を入れて、青いビー玉が出たらからだをさわる。赤いビー玉が出たらふろに入れてパンツまで検査する。くつの中まで検査するということをやっておりましたが、あの方法はどうなりましたか、調べましたか。
  17. 鎌田好夫

    鎌田説明員 私どもが調べたときには、ただいま御指摘のようなビー玉によって青玉赤玉を出しまして、青玉の場合には通常検査赤玉の場合には詳細な検査をやっているという取り扱いをしております。その赤玉検査の際に、私どもが調べた当時行なっていたのは、上着ボタンをはずさせて着衣ポケットの内側を検査する、あるいはズボン、スカートのバンドをゆるめさせて振らせるというようなことをしておった節がうかがわれました。したがって、そのような取り扱いはやめるように厳重に申しております。それ以後そのような検査は行なっていないということでございます。
  18. 志賀義雄

    志賀(義)委員 その入浴させる場所ですね、現場。私はそういうところまで調査してきましたが、そこはどうです。やっているのですか、やってないのですか。現場検査をされましたかどうか。
  19. 鎌田好夫

    鎌田説明員 私も現場へ行きまして、そのふろ並びにいわゆる検査場というものを見ております。当時御指摘のようにふろへ入れてその間に着衣検査するというような取り扱いは行なわれておりません。私が自分で直接車掌さんたち数名に会って事情を聴取しておりますが、確かに四、五年前にはふろへ入っている間に脱いでいる着衣を調べられるというようなことがあったと述べております。しかし、最近においてはそのようなことはなかったと車掌さん自身が述べておりました。それで検査場というのは、ふろ場の脱衣場に続く一角につくってございまして、そこは事務机が一つ置いてあって、その回りにかばんを入れるたながつくってあるというものでございます。その脱衣場検査場との境には厚いカーテンが引いてあって、普通の状態では中は見えないということになっております。
  20. 志賀義雄

    志賀(義)委員 おかしい。若林栄子君が自殺したのは去年のことです。そのあと私が行って、現に車掌の人が入って検査する現場を見ている。あなたは四、五神前まであったと言われる。まるで話がとんちんかんなことになっております。ひとつ今度行って、法務委員の参考のためにも、そのかつおぶしみたいな箱をあなたもらってきて、ここで法務委員皆さん方に見せて下さいませんか。そうすれば事の真相がもっとはっきりします。そして四、五年前というような調査では、現に私が若林さんの自殺したあとで行ったときに現場を見ております。そういう粗漏な調査の結果を当法務委員会に持ち出されるようでは、あなたの調査あるいは人権擁護局調査を信頼するわけにいきません。もう一度厳密に調べていただきたい。ついては、いつかここでも言ったんだが、将来、いかに昭和三十八年ごろの日本で不当な人権侵害が行なわれていたか、革命博物館にそのかつおぶしの箱のようなものを保存したい、こう私申したことがあります。もう一度調査をし直して、その箱がありましたら当法務委員会皆さんに見せて下さい。これをお願いしますが、どうですか。
  21. 鎌田好夫

    鎌田説明員 最初にも申しましたように、私どもとしては、検査を行なうことそれ自体憲法違反であるとかあるいは人権侵害であるという考えには到達しておりませんので、ただいまの御指摘のように箱をもって検査の数型を、どういう検査を受けるかということを分けているという程度のことは、当方で関与すべき問題ではないと考えております。ただ、その類別の結果行なわれる検査、主として問題になるのは精密検査においてでございますが、その検査程度人権を無視したような方法になるというときに、人権侵害の問題が起こると考えているわけでございまして、その選別方法としてどのような箱を用いておるかということは、当方では直接関知すべき問題でないと考えております。
  22. 志賀義雄

    志賀(義)委員 大体、人の身体検査をするときに、頭から不正があることを予定して、そういうビー玉でもって箱から出す方法をとるということが重大な人間侮辱であるということが問題になっているのです。三十六年に片岡稔恵さんという、茨城県の参宮バス車掌をやっていた婦人が「チャージ」、不正着服ですね、そういう小説を書いて女流新人賞をもらって、それからこの問題が世間で非常に問題になっている。そういうあなたのいまの考え方では私ども納得できません。ですから、もう一度調査をして――第一あなたは四、五年前と言っておられる。私は昨年それを見たのです。もう一度そこのところを調査し直してください。これをお願いします。どうですか、その点はあなたお答えがない。
  23. 鎌田好夫

    鎌田説明員 私が四、五年前に行なわれていたと申し上げましたのは、車掌さんがふろに入っている間にその着衣を黙って見てしまうというような検査方法が行なわれていたのは四、五年前であるということでございまして、箱に入れたビー玉の色で色分けして異なった検査方法をとっているということは、おそらく現在でも行なっていると思います。ただその場合に、赤玉が出た場合にとる精密検査方法が、われわれが指摘したようなひどい方法はとっていないということでございます。したがいまして、当方としては現在の段階においてはあらためて神戸について特に調査するということは考えておりません。
  24. 志賀義雄

    志賀(義)委員 考えていないというあなたの考え方を聞いているのじゃない。あなたは四、五年前に行なわれたということをうのみにしてここで報告しているから、現に私が昨年、事件あとで見たと言っている。みんながそれを訴えているのです。そういう粗漏な調査では困るから、もう一度調査してくださるかということを聞いているのです。ひとり合点の答弁をされては困ります。その点を言ってください。
  25. 濱野清吾

    濱野委員長 再調査やるかやらぬか……。
  26. 鎌田好夫

    鎌田説明員 いたさないつもりでございます。
  27. 濱野清吾

    濱野委員長 いたさないそうです。
  28. 志賀義雄

    志賀(義)委員 いたさない。そうすると、私が昨年見た。あなたは四、五年前に行なわれていたのを四、五人の人に聞いたと言われる。そこの食い違いがあるということを言っているのに、その食い違いということを認められるのか、認められないのか。それならばもう一度調査しようという気持ちにならないというわけですね。どうです。どこまでもあなたの調査だけを固執されるのか。法務委員がここで昨年その現場を見たというのを、どうなさるつもりか、その点について意見を言ってください。
  29. 鎌田好夫

    鎌田説明員 私自身松原支部組合支部長あるいは組合婦人部長などに会いまして、そのような事例があったということでございましたので、直接そのような人たちに会ったわけでございます。その事実がいつあったかということを聞きますと、いずれも四、五年前ということでございまして、昨年あるいはそれ以降にそのようなことが行なわれているとはとうてい認められませんので、私のほうとしては、私自身調査に自信がございますから、あらためて調べる意味はない、このように考えております。
  30. 小島徹三

    小島委員 いまちょっとお話を聞いていたのですが、赤玉ビー玉だとかなんとかいうのですが、疑い濃厚度によってその検査のしかたを変えるというのじゃなしに、赤玉とか青玉とかのビー玉が出た――ばくちみたいなものですね。ころころところがしてみたら赤玉青玉が出てきたということで取り調べの程度を変えるのですか。それはどういう意味ですか。
  31. 鎌田好夫

    鎌田説明員 検査方法には臨時検査というのと通常検査というのがございます。臨時検査といいますのは、本部の監査係員が各営業所を巡回いたしまして、その際には全従業員について検査を行なうことを臨時検査と述べております。通常検査というのは、先ほど問題になった、中にビー玉が五個ほど入っている箱を使っているわけでございます。勤務を終わった車掌さんがその箱を引きますと、六個入っている玉の一個がころがり出て、その色によって、青玉が出た人は持っている手帳とかあるいはカバンを出してそれを見てもらうだけで終わり、赤玉が出た人については、さらにポケットの中の私物まで全部出させて全部調べる。私が調べた当時は、先ほど言いましたようにバンドをゆるめさせてそこをゆすらせたり、あるいは上着ボタンをあけさせたりということまでしておったということでございます。
  32. 小島徹三

    小島委員 検査程度を、そんなばくちみたいな、赤玉が出るか青玉が出るかということによってきめるというやり方自体が、それは差しつかえないという考え方ですか。その点はどうでしょう。それは現在でも行なわれているという意味ですか。これはちょっと自分の感じから言って、人を調べるのにそんなばくちみたいな赤玉が出たり青玉が出たりしたことによって調べる程度を変えるというやり方というものは、一体現在でも行なわれているということなんでしょうか。
  33. 濱野清吾

    濱野委員長 あなた説明が多くなって……。端的に答えたほうがいいでしょう。あなたはそういうことはいま行なわれていないということなんでしょう。しかも四、五年前から行なわれていないというのでしょう。片一方のほうは、志賀君の質問は、そうじゃない、去年もすでにやっているじゃないかということを現認している。この食い違いだから、これは何とか考えて答弁しなさい。
  34. 志賀義雄

    志賀(義)委員 ちょっと委員長法務大臣が来られてほかの方もありますから、この問題は法務大臣質問が始まるので、最後に……。  あなたのおっしゃることは納得できません。いま小高委員からも言われたように、そんなばくち類似のことで検査の種類をきめるというようなこと、これについてはあなたは当方の関与することではない。それが人権擁護局の一人の言うことですか。あなたの言うことは納得できません。この前人権擁護局長が言明されたこととあなたのいまの答弁とは矛盾しますから、きょうは擁護局長御出張だそうですから、あらためて質問します。そしてあなたのきょう言われたこともそのときに質問することにして、私のきょうの質問は一応終わっておきます。そんなばくちみたいなやり方で人を検査するなんて、そういうことを当方は関与することでない。どうかしていますよ。
  35. 濱野清吾

    濱野委員長 調査課長、いまやってないでしょう。どうなんです。
  36. 鎌田好夫

    鎌田説明員 若林栄子さんの事件がありまして問題になったものですから、現在は中止して、組合と実施方法について検討を重ねているわけでございます。ただ現場のほうでは、その規定がきまるまでの間大体従前に準じて行なっておるというふうに聞いておるわけであります。それでただいま御指摘のような青玉赤玉がその点についてさらに続けて行なわれていたかどうか、その点については私のほうでは確認しておりませんので、その点については調査いたしたいと思います。
  37. 濱野清吾

    濱野委員長 志賀君、申し上げますが、調査するというのですから、次の機会までひとつ……。      ――――◇―――――
  38. 濱野清吾

    濱野委員長 それでは法務行政に関する商権法務大臣の所信を聞きたいという質疑通告がございます。横山君。
  39. 横山利秋

    ○横山委員 前もって大臣に、私ばかりでなくておそらく法務委員会全員としてあなたにお願いしたいことになるのだと思いますけれども質問の前にほんの二、三点について大臣に頭に入れていただきたいわけです。  というのは、まず第一に、大臣御就任以来数カ月になるのでありますが、法務委員会で大臣の所信及びその所信に基づいて法務行政についてとっくりと質疑応答をする機会がないのであります。他の委員会におきましてはそのようなことはほとんどなくて、いろいろと十分に新大臣の所信を伺い、そしてわれわれの意見も述べ、大臣の取り入れられるところは取り入れるということになっておりますが、この点について、休会中でもございましょうけれども法務委員会の出席は最大優先をもっていただきたい、これが第一の希望でございます。  なぜそういうことを言うか。他の委員会に比較して、特にわれわれが累次の法務委員会でいろいろいわれております点を二、三申し上げたいと思うわけです。それは法務行政は全く多岐にわたっておるのでありますけれども、一番天の声、地の声まさに人の声ともいうべきことは、おそ過ぎる裁判をどういうふうに解決をしていくかということがわれわれの一番大事な問題ではありますけれども、それをいろいろ議論をしていくうちに、私もかつて言ったのですが、法務の仕事をお互いに担当してみて、いろいろな欠陥がある。一つは最高裁及び法務省等々それぞれの任務の分担があるにしても、全体として、大臣も各省をよくごらんになっておると思うのでありますが、私見をもってすれば、協力一致の態勢というものが少ないところであるという感じがするわけであります。  それから第二番目には、全く微々たる予算である。これは一体何をしているのか。なすべきことのあまりにも多く、実際配分をされます予算は、先般私は例証をあげたのでありますが、国会の委員会へ出される予算の項目に、五百万だとか数百万だという予算が項目の中へ出てくるわけであります。一体これはどういうことなのかと、他の委員会及び他省の審議と比べますと、まことに話にもならぬ話が一応の筋道として議論をされるというばかばかしいところだという感じがいたします。  第三番目には、問題がちょっとも片づかないところだという感じがするわけであります。これは司法の問題でありますから、他省及び他委員会のように、それじゃそうしましょうということにはならぬということはわれわれもわかる。しかしながら、それにしてもわれわれの意見なり、あるいは政府の立ち上がりなり、法務者の立ち上がりなり、最高裁の措置のしかたなり、非常に適切を欠く、時間がかかり過ぎる。何か機能というものが動脈硬化におちいっているという感じのするところであります。  それから、それにしても大きな問題が山積をしておる。あとで臨時司法制度調査会の質問をいたしたいと思うのでありますが、いろいろな大きな解決をしなければならぬ問題があるにしても、まさに牛の歩みに似たような歩み方をしておるところであるという気がします。  それから歴代の大臣の人格なり何なりを、言うつもりはありませんけれども、どうしても大臣が短期間でかわって、腰を落ちつけて仕事をなされないようなことになってしまう。あらゆる点から見まして、私ども法務委員が心外にたえないような問題が山積をしておるわけであります。しかも大庭の出席が本委員会に少ないということになりますれば、まことにくつを隔てて足をかくような気がしてならない。きょう承りますと、ここに二、三十分しかおれないというようなお話でございまして、まことに遺憾千万だと思う。どういうお客さんか知りませんけれども、国会の審議を最大優先にお考えになるならば、十分御都合がつけられるのではないか、また、そうしていただかなければならない。そう思いますが、以上のような点について大臣の所見を伺いたいと思います。
  40. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 いろいろ御指摘になりました点につきましては、私も法務大臣に就任いたしましてから同じ感じを実は持っております。いろいろなむずかしい点もあるのでありますが、十分にこうしたことについて事務当局のほうへも検討いたすようにさせておりますし、必要な指示も与えておる次第であります。  それと委員会への出席でございますが、法務委員会へ最優先に出席をいたすことは当然のことと存ずるのであります。ただいままで当委員会から出席の要求がありまして、欠かしたことは一回も実はないのでございます。ただきょうは、イタリアの最高裁の長官がいま日本へ参っておりまして、法務大臣として正午から正式にこれを招待をいたし、そしていろいろお話をいたす日程が前からでき上がっておりまして、そのために非常に時間が少なくなったことは残念でございます。どうぞ御了承をお願いいたしておきたいと思います。最優先に出席をいたすということは私も十分心がけております。どうぞよろしくお願いいたします。
  41. 横山利秋

    ○横山委員 いろいろその点について、司法行政のあり方について総括的な御意見を承りたいのでありますが、しかし、そんなに時間がないとするならば、次の問題について伺いたいと思う。  臨時司法制度調査会の意見書が出ました。私もまだ全部を通読いたしておるわけではありませんけれども、これはきわめて膨大な意見書であります。しかも私の感ずるところは、この意見書が、ほかの調査会と違いまして一つのぱっとした意見を中心にきちんと答申をしておるということでもないようでありますが、これは多くの学者さんや弁護士さんや学識経験者の温厚な皆さんが出されたのでありますから、いわゆる文脈の中から流れくむ一つの考えをしなければならぬ、こう考えられるわけでありますが、一体大臣として、この意見書は今後どういうふうに具体化されるのでありますか、まずその点を伺いたいと思います。
  42. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 臨時司法制度調査会の答申につきましては、でき得る限りこれを尊重して解決をいたしていく所存でございますが、ただ、その中で非常に時間をかけてやらなければならぬものもあるのであります。いまやり方としましては、あれは政府が答申を受けたわけでございますので、内閣官房長官の手元におきまして各官庁の分担すべき項目をいろいろと区分けをいたしております。そしてどれから手をつけるかというようなことについての意見交換もいたしております。大体ごく近日中にそれが決定をいたしまして、法務省のほうへ回ってくる段取りになっております。さよう御承知願いたいと思います。
  43. 横山利秋

    ○横山委員 大臣の受け取り方を聞いておるのでありますが、このおそ過ぎる裁判とか、あるいは多くの司法制度に対する欠陥は、法曹一元化をすることによって根本的に除かれる、こういうふうに考えておる人が推進者であります。そういう点から見ますと、この答申書も、一般的な見方をすればまさに大山鳴動ネズミ一匹という見方もある。しかしながら、この推進をあくまでするという熱意を持ち努力をする人から見れば、ここから必ず実現をするという立場になる。大臣はこの答申書を受け取って、法曹一元化というものをあくまでやるという立場に立っておられるのであるか。否定論者から言うと、まあまああれはああいうことだという考えに立つ人があるわけでありますが、どちらの立場で仕事をなさるおつもりでございますか。
  44. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 非常に膨大なもので、実はまだしさいに全面的に私の手元で検討をいたす段階になっておりません。しかし、注意はいたしております。  法曹一元化の問題につきましては、なかなか問題が多いのでございまして、なおこれは十分に答申書に盛られた内容を参考といたしまして、また答申書の陰に隠れておりまするいろいろな議事の問題につきましても研究いたしまして、結論を出さないといけない。これはなかなか重大な問題でございますので、慎重に運んでいきたいと考えております。
  45. 横山利秋

    ○横山委員 それでは御答弁にならないと思います。大臣の就任早々ならともかくとして、数九月やって、しかもいまそれぞれの所管に仕事を分担さして、そして検討しているとするならば、分担をされておるそれぞれのところでは、この答申の意見書の根本理念というものをどういうふうに受け取っておるかについては、大臣の方針というものが指示されなくてはならぬと思うのです。法曹一元化というものが単なる理想論であるととらえるのか、絵にかいたぼたもちととらえるのか、それともあくまで推進するために、現実的な問題をその方向に沿ってやってくれというのか、これはどちらが重要な問題であり――全部を見なくても、この受け取り方の方針というものは大臣としてお持ちにならなければならぬはずであります。部下が、あるいは各省がどういうふうに受け取っておろうがかってであるとおっしゃるのでありますか。
  46. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 法曹一元化の問題は、いま御指摘になりましたように非常に重大な問題なのです。したがって、たくさん問題を含むむずかしい要素も実はあるのでございます。これが取り扱いにつきましては、なお慎重に検討いたしたい、こうお答えする以外にいまの段階はないのでございます。
  47. 横山利秋

    ○横山委員 これは押し問答になりますけれども、私は納得できないと思うのです。慎重に検討させる、これはいまあなた自身がしておるというのか。お話によれば、もうすでに各省各所管に渡して検討させておるというのでありますが、受け取るほうの側としては、どちらを向いて話をしていいのか、あなたの顔色をうかがうということになるのではありませんか。単に具体策はどっち向きでもいいから、とにかく具体策をやってくれということになるわけでありますか。その点は、あなたはいまもってこの意見書に対する基本的なものの考え方が確立していないということを私は不思議に思うのであります。重ねて伺います。
  48. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 内閣がこの報告書を受けたわけであります。そして内閣において、どれとどれを一応扱うかということを政府で方針をきめておるわけなのです。したがって、もちろんその関係各省が寄って相談をしておるのでありますから、内閣だけで、官房長官のところだけでやっているわけではもちろんないのであります。その結論を待ちまして、すべての作業に着手をいたすわけなのです。しかも法曹一元化の問題は、非常にやかましく言われておる問題でございます。ただ、いま申し上げましたように、たとえば弁護士の人を判事に採用し、あるいはわれわれのところの検事に採用をいたすにいたしましても、給与表の問題というようなものを根本的に変えないとやれないというような点もある。これはごく小さな一つの点でありますけれども、この実行にあたりまして、その考え方はよいといたしましても、これを実行に着手する場合に、どうやってやっていくかというような問題もありますし、したがって、なお検討を重ねた上でこれを処理したい。ただ答申につきましては、これを尊重していくことは当然でございます。そういう意味のお答えを申し上げておるわけでございます。
  49. 横山利秋

    ○横山委員 私の言っていることとあなたの話と食い違っておるわけです。現実にいまからやらなければならないことと、それから法曹一元化というものとの縁がないとお考えなのか、そういう方向に沿って現実問題を動かせと言っているのかということを私は聞いているのです。したがって、あなた自身の、いま法曹一元化を、非常に遠い道のりではあるけれども、具体的に推進をするという熱意というものが、私はいまの質疑応答の中から考えられないのです。一説にあるように、まあまあ大山鳴動してネズミ一匹、理想論であるから、それはそれとして、現実的な問題で答申の出ておる問題を処理していこうというふうにあなたが考えておるような気がしてならぬのでありますが、そう受け取ってよろしいのですか。
  50. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 いままでお答えしたとおりでございまして、なお慎重に検討して態度をきめたい。そうしてやるとすれば、どういう問題から手をつけていくかということを考えてみたい、こう考えております。
  51. 横山利秋

    ○横山委員 あなたはいろいろと国会のかけ引きなんかにベテランのほうでありますから、御答弁の中にそういう趣旨が見えるようでありますが、でき得べくんば大臣として法務の問題を担当いたしたときには、直截簡明に問題をお答え願いたいと私は強く切望しておきます。  現実問題について二、三伺いたいのでありますが、臨時司法制度調査会における具体的な問題点は、通常国会なり臨時国会なりに提出の準備をなさっているのであるかどうか。たとえば話題を呼んでおります司法協議会とかあるいは裁判所等の諸問題とか、そういう具体的な問題はかなりはっきりしている問題でございますが、一つ一つ検討なされるとするならば、もうすでにその具体的な準備にかかっておるのでありますか。提出の用意がありますか。
  52. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 ただいま申しましたように、ごく近日中に内閣として答申事項を区分けして、法務省あるいは裁判所その他の所管のところへこれを下げてくるわけであります。その下げてきたものを受け取りまして処理いたしたいのですが、臨時国会といいましても、これは少し無理かと思います。通常国会に出すことが適当であるものは、またそれが出す準備が間に合いますものは、とにかくできるだけ提出をするという考えでいるわけであります。
  53. 横山利秋

    ○横山委員 この問題についてもう一つだけ伺いますが、本問題は必ずしも政府だけの問題ではないことは御存じのとおりであります。弁護士会とか民間団体その他についても意見書の内容は多岐にわたっているわけでありますが、そういう問題の取り扱いはどうなさるのですか。
  54. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 必要があるものにつきましては、お互いに連絡しながらやっていきたい。また法案を出します場合にも、法務省の中にそうした各機関と相談する調査会のようなものがあるように聞いておりますので、そういうものに相談した上でないと、これは出せないという考えでございます。
  55. 横山利秋

    ○横山委員 次にこの間九月末ですか、全国の刑事部長会同をおやりになりまして、そこで大臣が暴力事犯についていろいろとお話をなさったことを新聞で承知いたしているわけでありますが、私どもいわゆる新暴力法をこの委員会で審議いたしました際に、私自身としては、新暴力法それ自身で暴力の根源を断つということはきわめて困難である、ものの見方が違うのだ、こう言ったわけであります。なるほど全国的に暴力事犯に対するいろいろな努力がなされておりますけれども、一向根を断つということにはなっておりません。ピストル、刀剣等をもってする凶悪暴力事犯というものはその後一向あとを断ちませんし、いわゆる暴力団の系列化はどんどん進行しているということが現実の問題だと思うのであります。私とものものの考え方と――ああいう法律を変えただけではとてもだめなんだ、ものの見方が少し違うのだと言うたわけでありますが、大臣が部長検事の会同でお話をなさって、もっともっとしっかりやれとおっしゃったわけでありますが、この現状について一体どういうふうにお考えでございますか。
  56. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 悪質の暴力事犯ないし暴力的諸団体に対します従来の取り締まりの実績を見ますと、暴力団相互の対立抗争等に起因して表面にあらわれました暴力事犯に関しましては、今日まで取り締まり当局がそのために格段の努力をいたしまして、かなりの効果をおさめつつあると思うのであります。また、過般の暴力行為等処罰に関します法律の一部改正によりまして、暴力団の構成員によってしばしば行なわれると認められる常習的ないし危険な暴力事犯に対する刑が引き上げられたこと、これは直接または間接にこの種悪質な暴力事犯の取り締まりの改善に寄与するところが少なくないと考えております。ただ、いま非常に問題に考えております点は、暴力団の活動の資金源に関する問題なんであります。麻薬であるとか、売春であるとか、賭博というようなものにつきまして、まだ問題の性質上十分なる取り締まりの成果があがっていないというように考え、これは非常に残念でございます。この間も刑事部長検事会同におきましても、この点に特に留意をして、これらの資金源を摘発するようにいたしてもらいたい、こういうことを私からもみんなに指示をいたしたようなわけであります。  なお、この暴力関係の専門の検事を各地の検察庁へ配置をいたしまして、これが警察とも連絡を緊密にして、いま申し上げましたようなこと、あるいは暴力団の背景、実態というようなものを実情把握をいたして活動さすということを考えております。  いま御指摘のように、この暴力行為等取り締まり法、これができましても、これだけで暴力犯罪が減るわけではもちろんない。ただその面におきましては非常に寄与いたしておるとわれわれは考えまして、この法案を通過をさしていただきましたことについて、非常に感謝をいたしておるようなわけでございます。
  57. 横山利秋

    ○横山委員 いまお話のありました資金源の問題でございます。先般名古屋で暴力団の資金源が警察当局で摘発をされた。それに対して国税局が協力をして、脱税容疑として追及をしたという事案がございました。私は多年大蔵委員をやって税の問題を扱ってきたわけでありますが、きょう国税庁にここへ御出席を願ったわけでありますが、御都合でどうしても出られない。国税局及び税務署としては、関税方面については警察なりあるいはその他の協力を常に得てやっておるわけであります。双方それぞれの自主性が、立場があるとは申しながら、暴力団退治はまさにこれは国の政策なんでありますから、あなたのほうで暴力団の資金源が明るみに出た場合に、これを税の問題としてさらに国税局側が一そう追及をするという協力関係はもっとあってしかるべきではなかろうか。その点についてあなたのほうは、おれのほうの分野は分野として、これは機密事項であるからというわけで、税の問題については放置されておる。税の立場からいうならば、どろぼうであろうと何であろうと、やみの金であろうと、収益は収益であります。課税をするのは当然なので、暴力団の資金源――私設競馬ののみ屋、あるいはばくち、債権の取り立て、景品買いというようなものが、随所に検察当局によって逮捕され、新聞なりいろいろな問題で、これがどのくらいの不当収益があがったかということはわかっておる。わかっておるについては、国税局は知らぬ顏して、あなたのほうも国税局には通知をしないという点については、いささかおかしなことだというふうに感じられるのでありますが、この点についてはどうお考えですか。
  58. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 御指摘のとおりのことは、たいへん必要なことだと考えるのであります。この間の刑事部長会議におきましても、これらの点については十分なる打ち合わせをいたしております。
  59. 横山利秋

    ○横山委員 十分なる手当てということをおっしゃるのは、検察当局及び司法当局として摘発をしたあとについて国税局側に通報し、税として捕捉をさせるという協力関係を結ぶということですか。
  60. 津田實

    ○津田説明員 事務的なことでありますので私から申し上げますが、現在暴力団の資金源を追及する問題といたしまして、過般の刑事部長会同において報告がありましたところによりますと、各地におきまして、いまのそれによります利得の面からそれに課税をする。のみならず、脱税については脱税事犯とし追求するということにつきまして、国税局と緊密なる連絡をとっており、現にそういうことによりまして実績をあげておる庁がございますので、その点については検察庁といたしましても、国税局といたしましても、抜かりはないわけであります。ただ実際問題として、脱税と申しましても一一記帳しておるわけでも何でもございませんので、なかなか把握困難であるという面は、これは非常にあるようでございまして、そういう点について、どういう方法をもって把握するかという点も、国税庁並びに検察庁において十分検討いたしておる次第であります。
  61. 濱野清吾

    濱野委員長 横山君に申し上げますが、実は大臣がイタリアの最高裁の長官を招待されているそうですから、大臣に対する質疑は午後にお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。-右の事情ですから、大臣に対する質疑は午後二時から行ないます。  質疑の通告があります。田中君。
  62. 田中織之進

    ○田中(織)委員 いつかこの委員会で取り上げて、法務当局から実情を調査されて報告をいただくという約束の問題でもあるわけでありますが、いまだに報告をいただきませんので、再び伺います。  まず第一に人権擁護の問題に関連をして伺いたいと思います。  それは昨年の十二月十七日の法務委員会で取り上げました横浜の警友病院、これは警察病院ですが、ここで昨年九月二十七、八の両日に渡辺シズさんという五十五歳の御婦人が手術を受けたのでございます。一回目の手術がうまくいかなくて、まだ麻酔からさめない間に二回目の手術にかかり、しかも二回目の手術の結果がよくなくて、ついに手術中に死亡したという事件の問題でございます。その後、私が取り上げたときには、すでに横浜の加賀町警察に、なくなった渡辺シズさんの御主人の渡辺利勇さんという方から業務上過失致死罪の疑いによる告訴を提起をいたしておったのでございますが、その告訴の取り下げについて神奈川県警の、たしか当時総務部長であったと思うのでありますが、それが神楽川県の県会議員を通じて、取り下げてくれ、こういうような交渉もあったのでありますが、どうしても納得ができないということで、告訴を取り下げずにおったのであります。その後、このことが横浜地検に送検をされて、もうおそらく半年以上経過するのではないかと思うのでありますけれども、いまだに地検の処分も決定を見ていないようでございます。この問題につきましては、私が取り上げましたことを契機にいたしまして、全国において幾多の類似の事件がございます。いわゆる医者の手術のミスによる死亡事件の問題をどういうように今後なくするかという観点から、幾多の事例が私の手元にも提起されてきておるのであります。この問題は非常に重要な人権問題であるということで、その後、一番最近では、九月二十七日の朝日ジャーナルには「誤診――それには救いがないか」という題で、八ページにわたりましてこの問題が取り上げられております。それからこの事件のことは、四月十六日号の週刊現代、さらにこれは主婦と生活誌の昭和三十九年の八月号でありますが、これにもやはり取り上げられておるのでございまして、さらに手術でなくなった婦人の主人の渡辺さんから、横浜法務局長を通じまして法務大臣にも人権擁護の立場から本件についての調査の上申書を出しております。それから厚生大臣にも同時に出しておるのでございます。朝日ジャーナルによりますと、その後厚生省のほうでは、その上申書に基づきまして医療事故処理制度調査研究会というものを、六十七万三千円の予算をつけて、厚生省の中に設け、こういうような事故を根絶するためにはどういうように制度的にも考えるべきかというような処置をとられ、厚生大臣からそういうような処置をとるということについて上申書に対する回答も来ておりますけれども、一番人権擁護の専門の部局を持っておられる法務省からは何らその点については回答もございませんし、法務省の所管である横浜地検において、すでに半年も経過して、いまだにこれだけ大きな社会問題化しておる問題についての処分が決定を見ないという点は、私ども、どうも納得ができないのであります。あらためて本日の委員会でこの問題のその後の処置がどうなっておるかということを伺うわけです。  経過は、先ほど申し上げました昨年の十二月十七日の法務委員会において、私詳細に事実を申し述べておりますので、その点を繰り通すことは避けますけれども、刑事局の関係あるいは警察庁の関係、さらに法務省の人権擁護局関係において、本件をその後どう処理してまいったかということについてまず報告を願って、それに基づいて若干の質疑をいたしたいと思います。
  63. 日原正雄

    ○日原説明員 先般の国会で御質問の際には鑑定が出ておりませんでしたので、その後の経過を、警察で取り扱いました経過だけ簡単に御報告申し上げておきたいと思います。  十二月の十九日に藤井医師から鑑定書が提出をされまして、これは十二月十七日付の鑑定書でございます。そしてその鑑定の要旨は、死因は急性心臓衰弱である。それから摘出された千官には子宮願ガンがあり、いわゆる第二期と称さるべき症状であった。それから体質的には心臓の軽度の肥大と脂肪肝及び軽度の動脈アテローム変性があった。それから死斑の発現も瀰漫性に存し、臓器の貧血も見られないのは手術における十分な輸血による補給の結果であろう。それから手術については、摘出した子宮と骨盤内の所見及び臨床所見とを総合し、その術式の過誤は認められないという鑑定書が提出されました。その後十二月二十七日に長内、塩足両医師を業務上過失致死で取り調べまして調書を作成いたしました。ことしの一月十日横浜地検へ書類送付をいたしたような状況でございます。  なお、先ほどお話にありました示談をすすめたという件につきましては、警察幹部がこの事件に対しまして示談をすすめて事件の処理をあいまいにしようとしたような事実は、その後の調査でも出ていません。このことにつきましてある県議が被害者のためにいろいろ奔走したように聞いておりますが、神奈川県警の総務部長その他がこの県議に対しまして示談のあっせんを依頼したような事実もございません。  なお、かかるような事件の一般の方針といたしましては、もし医者が通常の注意義務を怠ったために死亡したというような事柄は、遺族にとっても断腸の思いをする事柄でございますし、また、われわれとしても絶無を期したい。したがいまして、そういう意味におきましては、かような犯罪については十分な捜査をやってまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、ただ、医者という分野におけるいろいろな専門的な事項もございまして、捜査が非常にむずかしいということはございましょうけれども、そういうことが立証できるものにつきましては捜査を徹底してやってまいりたい、こういうようなつもりでおります。
  64. 安原美穂

    ○安原説明員 刑事局長がイタリア最高裁の長官の招宴に出席いたしましたので、刑事局の総務課長でございますが、かわって地検の捜査状況について御説明申し上げます。  ただいま田中委員指摘のとおり、検察庁でこの事件の送致を受けまして、いまだに捜査の結論を得ておらないことは事実でございますが、ただいま警察庁の日原刑事局長指摘のとおり、医師の手術上のミスということを認定するということはきわめてむずかしいことでございまして、そのような意味で捜査が非常にむずかしい事件であるという意味において、若干ひまがかかっておるということもございます。  そういうことのほかに、いまも御指摘のように、この事件の成否というものは、社会的に与える影響も甚大でございますので、慎重適切な鑑定人を――手術上のミスの有無について鑑定人を得て鑑定をしてもらうということも必要かという見地から、適当な鑑定人の発見ということに検察庁でつとめまして、そのことのためにだいぶ日がかかって、最近におきまして適切な鑑定人を得た次第でございますので、その鑑定の結果を待って早急に結論を出したい、かように考えておる次第でございます。
  65. 鎌田好夫

    鎌田説明員 このような問題が人権擁護という面で重大な問題であることは御指摘のとおりでございます。そうしまして、人権擁護局人権擁護の問題を専門的に取り扱うということも御指摘のとおりでございます。ただ、一つの事件が、人権の擁護という問題から見ますと、人権擁護局が独占的に取り扱っておるわけではございませんので、政府の各関係機関がそれぞれの立場において人権の擁護に当たっていることは御承知のとおりでございます。それで、本件のような事件につきまして、人権擁護の面では、ただいま御説明のありましたように、刑事責任の追及という面で行なわれるもの、あるいは民事責任の追及という形で行なわれるもの、あるいは行政責任の追及という形で行なわれるものが従来あったわけでございます。渡辺さんの御指摘になっておられる点は、渡辺シズさんが死亡したのは警友病院の医師、看護婦の医療上、看護上の過失に基づくものであるけれども、このような医療上の過失に基づく人権侵害の救済を受ける道が実際上閉ざされているのではないか。そこで医療事故に対する第三者的な処理機関の設置とかも死亡診断書の作成権限を第三者的な機関に委譲する、あるいは診療録の監査、医師の監督体制の確立を見ることが必要であるという御指摘のようでございます。これらは主として医療行政に関する事項かと考えられますので、厚生省について、その点につき調べてみましたところ、まず第一に、医師に対する監察制度につきましては、医療法第二十五条等によって、必要があるときは厚生大臣、都道府県知事及び保健所を設置している市の市長が担当者を病院等に派遣しまして、これに立ち入って、診療録等の検査を行なうことがで奉るという規定になっております。そして、この権限は実際上も随時行使されているということでございます。  第二にも事故の処理についてでございますが、事故処理のうち、その事故が死亡事故であるという場合には、死体の解剖がまず前提となろうかと思います。刑事手続が進みまして、刑事手続上の鑑定に付されるという場合がありますし、それ以外に死体解剖保存法による死体の解剖ということが行なわれます。現在死体解剖保存法によりますと、東京都、大阪市、京都市、横浜市、名古屋市、神戸市、福岡市におきましては、同法の第八条に定める監察医制度というものが施行されておりまして、いわゆる行政解剖が行なわれております。それ以外のところにおきましても、遺族の承諾のもとに死体の解剖を行なうということが、この解剖保存法の規定に基づいて行なわれているわけでございます。それで、医療事故が起こった場合に、医師に対する行政上の処分としては、医師法四条、七条によって、厚生大臣が医道審議会の意見を聞いて、免許の取り消しあるいは医業の停止等を命ずることになっております。  そのほかに、第三者的事故処理機関がないことは御指摘のとおりでございまして、現在は各医師会において自治的に事故処理委員会を設けておるにすぎない実情でございます。その点については、先ほど御指摘のあったように、厚生省においてもその第三者的処理機関の必要性を認められまして、その設置を前提として、機構制度等について本年度より調査打ち合わせ会を設け、検討を開始した、こういう実情でございます。  したがいまして、現在の状況におきましては、刑事上、民事上の責任の問題はそれぞれ裁判制度にゆだねるといたしまして、厚生行政の面におきましては、現在厚生省所管の各法律の実施、あるいは現在考えている第三者的処理機関の設置という厚生行政面を推進することによって、相当程度対処し得るものと考えますので、一応それらの機関の処理状況を見たい、このように考えております。
  66. 田中織之進

    ○田中(織)委員 いま報告のありました最後の分から伺います。  人権擁護局は、いま御報告になりましたような事項を上申しました本人に何か伝達の方法をとられたことがありますか。通例そういうような場合はどうなりますか。国会であらためて聞かなければ、その後どう処置したというようなことがわからないということでは私は困ると思うのです。特にこの問題を最初に取り上げたときにも、たしか人権擁護局長も出席されまして、調べて報告をするということが速記録に載っておるやに記憶するのですが、そういう点は通常の場合を含めまして、今回の場合には具体的にどういうように伝達の処置をとられていますか、まずその点を……。
  67. 鎌田好夫

    鎌田説明員 本件の場合、本省からは特に連絡してございません。通常の場合、取り扱った原局において通知する取り扱いでございますが、通知については別に一定の定めがございませんので、特にこちらからいっていないものですから、どのような連絡をとっているか、ただいまのところはお答えいたしかねます。
  68. 田中織之進

    ○田中(織)委員 原局は横浜法務局でありますが、どういうように処置されたか、私も実は聞いていないものでありますが、聞いていないだけに、厚生省からは返事もあった、またきわめて微温的であるけれども、何かこれから研究機関を設けて処置するということについて、厚生大臣名で回答を受けておるけれども、法務省からはまだ地検の処分もきまらぬし、何らの連絡がないということで、きょうあらためてこれを取り上げざるを得なかったわけです。しかも、先ほど私が指摘しましたように、朝日ジャーナルその他三種の週刊誌がこの問題を一斉に取り上げて、ひとしく国民が関心を持っておる問題ですから、私はやはりそういう判断をされて、少なくとも原局を通じて本人に何らかの形で伝達するというような締めくくりの処置をとらなければ、どうも人権擁護局としては万全ではないのではないかと思うのです。その点は私の希望と注意を申し上げておきたい。  それから、これは警察庁の刑事局長なり法務省の刑事局の総務課長に伺うのでありますが、行政解剖の結果は、先ほど警察庁刑事局長からお答えになったのでありますが、被害者と申しますか、死亡者の遺族等といたしましては、特に行政解剖の結果を知りたがっておるわけです。捜査段階であるからということで出さないというのがたてまえかもわからぬのです。しかし、そのときに本人の希望に基づいて弘中一雄という婦人科のお医者さんが行政解剖に立ち会っておるわけです。それだから、私はそのことについて、あらためて検察庁の段階で権威ある鑑定書を選任をされて、目下鑑定を進めていただいておる段階だ、非常にけっこうなことだと思うのでありますから、そういう段階からやはり手術に立ち会った、しかも産婦人科の病床で手術をしたのでありますから、そういう意味で解剖の結果、ある意味から見れば藤井さんの鑑定書というものは、立ち会ったお医者さんには連絡をしてあげるべきではないか。また、検察庁の段階においても、立ち会った医師の意見を求めることも捜査の万全を期する上から見たら、むしろ必要な処置ではないかと思うのですが、そういう点がいままでやっておられないように私聞くのでありますが、今後この問題の――これは非常にデリケートな問題で、私の党にもお医者さんの諸君がかなりおります。そういう意味で、医師の立場からのいろいろな意見をこの質問をするのについては聞いておりますし、ある意味から見れば、日本の医術の権威のためにも明らかにしておくべきだ、こういう積極的な意見の方もございますし、自分の経験から、はたして医師のミスがあったかどうかということについては、消極的な意見も私は実は聞いているのですけれども、その意味で、これだけ刑事事件として提訴されて捜査の段階に入ったということになれば、この問題については厳正な立場で責任の所在を明らかにしてもらいたいと思うのです。いま私が申し上げました、行政解剖に立ち会いました弘中医師に解剖の結果の連絡と、それに基づく立ち会いの所見を、捜査の段階においても求められることが必要ではないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょう。
  69. 安原美穂

    ○安原説明員 いま田中委員指摘のとおり、捜査の段階におきましては、捜査密行と申しますか、たてまえといたしまして、できるだけ外部に捜査の過程を申し上げないというのがたてまえでございます。ただ詳細は存じておりませんが、捜査の万全を期するという意味におきましては、積極、消極あらゆる意見を取り入れて、適正な結論を出すというのが捜査のたてまえでございますから、具体的には弘中医師に申し上げているかどうかは、遺憾ながら承知しておりませんけれども、厳正公正な判断を下すという過程において、場合によってはそういうことも考えられると思うのです。それで具体的な事件の捜査でございますので、弘中医師にこうすべきだということを私からこの場で申し上げることはできませんけれども、厳正公正な立場から結論を出すことについては、間違いなくしたと存じております。  なお、遺族の方々にその結果をお知らせすることも、先ほどのたてまえから申しまして、御心情はまことに同情に値するとは思いますけれども、告訴事件につきましては、告訴事件の処理ができましたときには、訴訟法上必ず告訴人にその結果を連絡することになっておりますので、捜査の完了を待ちまして、必ずその結果の内容は告訴人に連絡されるということで御了解願いたいと思います。
  70. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点が一つ私の希望です。また捜査の万全を期するという観点から、行政解剖に遺族の希望で立ち会って、捜査当局もそれを認められた立ち会い医でございますから、その連絡の内容については、私はたってとは申しませんけれども、ぜひひとつやっていただきたい希望を申し上げておきます。  それから、地検へ送庁されましてから、かなり期間も経過しておりますので、その間、鑑定の結果を権威づけるために時間がかかった点は了承できると思うのです。その鑑定の結果が出ましたら、ひとつできるだけ早い時期に検察庁としても御決定をいただきたい。  それから警察庁の関係でございますけれども、警友病院という警察に関係があるという立場で、総務部長と県会議員をわずらわして示談の話を進めたことは、そういう話を受けた当人から実は聞いておるのでございます。また総務部長は、ある意味からみればこの問題を契機に配置転換をされたというようなことも私の耳に入っておるのでありますけれども、この問題は、警察としても警友病院の権威というような点もあり、むずかしい問題ではあるけれども、それぞれの措置をとっておる段階ですから、事実があったとかなかったとか、事実のせんさくの問題はこれ以上進めようという考えはございませんけれども、やはり何らかのそういう動きがあって遺族を刺激したという事実は、私はどうもあったように思います。そのことだけは申し上げますけれども、現在検察庁の段階でさらに厳正な捜査が進んでおるということでございますので、いま申しましたように、その点はこれ以上追及をいたしません。重ねて検察当局に希望いたしますけれども、出版物等にこの種の事件が相当取り上げられました。私はまだ整理しておりませんが、私の手元にも、全国から幾つかの同様なケースの問題が出てきている。一々その問題を取り上げようとは思いませんけれども、一つ代表的な問題を取り上げまして、これを契機として医師の諸君が注意の上にもさらに注意を重ねるようになれば、私は非常にけっこうなことだという観点から取り上げておりますので、ひとつ捜査は厳正な立場でぜひ早急に完結をしていただきたいということを希望して、この問題はその後の推移を見ることにいたします。  それから次にもう一つは、暴力事犯に関連をいたしました警察行政のあり方の問題に関連をする問題でございますが、実は本年の九月四日の、ここに私の手もとにあるのは朝日新聞で、私も承知いたしたのでありますが、都内豊島区雑司ケ谷三ノ五百三十の、学校法人東洋文化学園、東洋音楽大学でありますが、学園の紛争の問題に関連をして、両方とも暴力団を動員して、九月三日でありますが、相当緊迫した場面があったという新聞報道で、実は私、こういう問題があるのかなと思っていたのでございますが、その後関係者から伺ってみますと、現在学園を管理しておるという側の関係者に、国家公安委員の名川保男氏が名前を連ねておる。もちろん名川さんは全国的に有名な弁護士でございますので、弁護士という立場で国家公安委員に就任をされる以前に、この学園のいわゆる紛争の問題、端的に言えば民事事件関係せられて、その後、現在の国家公安委員という職につかれておるのだというふうに了解をいたすのであります。この学園の紛争が、いわば両派が暴力団を雇うて、学校の占拠をねらう、こういうような問題の渦中に、現職の国家公安委員の名前が出てくるというようなことでは、私、これは大きな問題ではないか。こういう立場から、実は、この点について事情をひとつ明らかにしたいということで、先般委員長の許可を得て、きょう取り上げるに至ったのであります。  そこで、きょうは、文部省の管理局長もおいでいただいておりまするので、この学園の紛争問題について、文部省も所管の省として、事情等については詳しいと思うのでありますけれども、最近、新聞紙面をにぎわすような暴力事案までまさに発生しようとしておるというようなことについて、文部当局として――私学ではありますけれども、私は、当然、たとえば私学振興法に基づく補助金であるとか、国の援助も全然皆無ではないのではないかということも察知されるので、所管の文部省として、この東洋文化学園の紛争問題について、どういう状況を把握されておるか、また、紛争についてどう処置されてきているのか、まずその点をお伺いします。
  71. 斎藤正

    ○斎藤説明員 学校法人東洋文化学園の理事者間の争いというものは、非常に長い経過があったわけでございます。ただいま問題になっております両派と申しますのは、学園の創設者であるところの理事でございます鈴木一夫理事、それから昭和二十九年に短期大学を設置いたしますと同時に理事になりました野木良平理事、端的に言いますれば、その両派が、理事として理事会の運営等について、正常な形で理事会を運営できないような状況が生まれております。これに対しましては、民事上の問題といたしまして、理事会の地位についての裁判が長くありまして、本年の六月にその結果が確定いたしました。その結果と申しますのは、下山四郎氏、鈴木一夫氏、名川保男氏、野木良平氏、この四人の理事の地位が確定いたしました。その後、裁判係属中に理事会としてありました野木良平氏の理事長の地位、それから理事になりました松永東氏、堀熊治郎氏、三村英雄氏等の理事の地位はないという判決が確定いたしました。そういう状況でありまして、昭和三十三年の当時の理事会の理事の構成というものにさかのぼって、端的に言って地位が確定いたしました。そしてこの理事の四名の方、それぞれ二名ずつ、その主張するところは異なっておりまして、現在に至るまで、常識的な意味において、完全な形での理事会というものが開き得ない。そのために、いろいろこの理事の選任、解任というものがあやをなして現在に至っておるということであります。  そこで、九月の二日、三日にかけて起こりました、いやしくも学園に暴力的な雰囲気をかもし出すというような、多人数が押し出すというようなことは、これはもちろん論外のことでございますので、私どもとしては、直ちに直接警視庁のほうに伺いまして、その状況を把握いたしますとともに、とにかく理事会の紛争自体はよいことではございませんが、それはそれといたしまして、学校の教育というものに影響を与えないということをまず第一に考えまして、当時は間もなく新学期も始まることになっておりましたので、とりあえず、早く始まるであろう高等学校以下の問題につきまして、一体学校の授業が行なわれるかどうかという点について、直接の所轄庁でありますところの東京都の私学部に連絡をいたしました。それから、さらに警視庁等に私たちお伺いいたしました点は、引き続いてそういう暴力的な事件が起こって生徒の面前でそういうことが行なわれることがないかどうかということを心配いたしましたら、その点は引き続きそういう状態ではないということでございましたので、その点は関係者に会った場合に私どもも念を押したのでございます。それからもう一つは、理事の構成の面におきまして、全く相対峙しているような状況、主張でございまするので、一面、裁判によりましても地位に争いのない、この学校法人の監事に連絡をいたしまして、かかる不祥事のないようにということを理事者にお伝え願うということをいたしたのでございます。  なお、この助成の問題でございますが、昭和三十五年当時に私学振興会からの融資が二百万円ございまして、その後の問題といたしましては、補助ないし融資というものは現在行なっておらないような状況でございます。
  72. 田中織之進

    ○田中(織)委員 文部省の関係の立場からの経過はそれでわかりましたが、やはりこういう私学の問題であろうと学園の紛争の問題に、学園と全然無関係とは私は言えないと思うのでありますが、外部、新聞によれば暴力団というている人たちが、これも新聞の記事によると、二百名といえば相当な数だと思うのでありますが、そういう関与するというような状態は、これはいまおっしゃられたように、本年の六月に裁判所の判決が確定して、ずっと以前にさかのぼってではあるけれども理事の地位が確定しているということでありますれば、その確定判決によって地位の確定した理事者を、文部当局は相手として、今後の問題について解決するような指導をやられなければ、文部省は一体何しているのだ、私学ならほったらかしか、こういうことになるのではないか。その点は、まだこの問題はあとを引く問題だと思うのでありますけれども、私はやっていただきたいと思います。  そこで、警察関係に伺うのでございますが、この九月三日の紛争以前から、いわゆるいま文部省の管理局長がお答えになりました野本派のほうでいわゆる松実何がしという俗に暴力団というておる関係の人を、事務嘱託か何かの形をとっておるのでありますけれども、そういう者を使っていわゆる鈴木派なる関係理事及び職員等を学校に入れないというような、事実上の争っておる一派による学園の占有状態というのですか、占拠状態というようなものがあるので、それを排除してもらいたいということについて、所轄の駒込警察にたびたびいわゆる鈴木派のほうから要請をいたしておった。こういうことがあって、その間の事情は、警察当局としてはこの問題をどういうように把握されているのか。実は過日の委員会で同僚の坂本委員が、学徒援護会の学生と理事者との紛争の問題に所轄の麹町警察が――私らの立場から見まするならば、学徒援護会が特殊法人であろうと、もちろん公的な性格を持っているものでありますけれども、言うてみれば、そこにおる寮生と理事者との間の民事上の争いなんです。その問題に対して私服が、不穏な情勢にあるかもしれないというような形で紛争の前から入り込んでいる。当日は寮生が集会を持つということについては、何百名という機動隊を動員して、学化との間にいわばトラブルも起こっておる。けが人も出すというような問題も起こっておる。こういう一面があるかと思いますと、どうも東洋文化学園の問題については、数の点では問題にならないようでありますけれども、両方とも、いわゆる鈴木派のほうも若干の暴力団のような性格の人を動員した。それだから暴力団同士の争いだという形で、三日には警戒には機動隊も出たようでありますけれども、また、こういうような事態になる以前に、所轄の警察として連絡を受けておるということについてどう処置をされてきたか。聞くところによると、野本さんはたしか駒込署と存ずるのでありますが、いわゆる防犯協力会というか、そういうような役員もされておる。また、野本さんの関係の弁護士が公安委員である名川さんであります。名川さんがその弁護士であるという点から、この文化学園の理事に名前を連ねる。これは確定判決の上にも出てきておるわけなんでありますが、そういうような関係で、どうも学徒援護会の紛争の場合と、この東洋文化学園の紛争の場合とでは、警察の扱い方が二つ出ているというような印象を実は受けるので、この点は、ぜひやはり警察の威信のためにも事情を明らかにしなければいかぬのではないかということで、あえてこの問題を取り上げたわけなんです。野本さんが、いま秘書からの連絡によりますと、目白署の関係の防犯協力会ですか、そういうような関係の役員か何かをやられておるという関係があるわけなんです。その点はいかがなものですか。  それからあわせてお聞きをしたいのでありますが、ことしの六月に確定判決をされてから以後――きょうは法務省の民事局の関係も来ていただいているのですけれども、いろいろ理事の任免というようなことについて、法務省としては迷惑な話だとは思うのでありますけれども法務局の出張所、俗にいう登記所に対しまして、理事の解任、選任などの登記の申請がたびたびやられているということのようであります。したがいまして、そういうようなことを察知いたしました関係から、本年の八月の十何日ですか、十二日でありましたか、野本派のほうで出しました理事の変更登記申請が私文書を偽造しておる、それからいわゆる公正証書の原本に対する不実記載の犯罪の容疑があるというような形で告訴しておる事件があるのであります。これは鈴木一夫の名前で駒込署に対して提出をしておると思うのでありますが、こういう告訴事件はその後どういうように扱っておるか。  この東洋文化学園の紛争で、暴力団が両方とも学園の占拠の問題で新聞紙面をにぎわすような事態になった関係について、警察取り締まり、いわゆる治安維持という立場でございましょうけれども、どういうように処置されてきたか、経過とお考えを伺いたいと思います。
  73. 日原正雄

    ○日原説明員 警察の措置の状況でございますが、九月二日、三日の事案は後ほど申し上げることといたしまして、七月二十三日から始まるわけでございますが、午後三時二十八分ごろ東洋文化学閥から、暴力団が押しかけてきたから来てくださいという一一〇番の連絡がございまして、パトカーに目白署の捜査係官が同乗して現場に急行いたしました。その当時、学園の入り口には警備員と認められる者が二、三人石の上に腰をかけておりまして、事務所前空地に自動車が二台停車をいたしておりました。事務所内に入りますと、数人の男女が事務をとっていたので、一一〇番で来たということを告げますと、鈴木理事が出てきて、いま学園と全然関係のない武沢教授が朝鮮人のような暴力団十四、五人を連れてきたので、立ちのきを求めたけれども応じないというふうに言ったわけであります。これに対して野木派と認められる者が、自分たちは立ちのく必要はない、一方的に管理権があると言っているが、相手も暴力団を連れてきている。こう申しますので、参りました部長は、民平準件に端を発した紛争でもありますし、武沢教授が連れてきた十四、五人の男も応接室などにおりまして、目前に急迫な事態が発生している様子もないので、一応双方の意見を聞いてから建造物侵入罪の成否について判断すべきであるというふうに考えまして、その旨本署にも報告して、両当事者を本署に任意同行いたしまして、そして関係者六名から事情を聴取いたしたわけでございます。結局、鈴木派の鈴木、下山の両理事、それから野本派の野本、名川の両理事、双方とも理事の地位を保持しているものと考えられる。また、学閥の管理権がいずれにあるか断定することが困難な状況であったのでございます。したがいまして、これらの理事の指示によって部外者が学園内に立ち入った場合に、反対派から見れば形式的には建造物侵入という犯罪の発生が考えられるわけでございますが、実質的には刑事事犯として処理することが困難と判断されますし、また暴行、暴力行為等の事実も把握はされませんでした。さらに双方の主張に、互いに自派を有利にするために警察権を利用しようというような意図もうかがわれる状況であったのでございます。しかし、警察がこのまま放置しておいた場合には暴力事犯に移行するおそれがありましたので、警職法に基づきまして刑事事件を起こさないように両派に警告をいたしました。  その後もいろいろな事項がございますが、九月二日、三日の関係について申し上げます。九月二日、三日の両日に学園理事者の要請によりまして、組関係者等外部の者が学園内に入りまして、反対派と対立するような状況があったわけでございますが、そのつど警察官を派遣いたしまして、不法事犯の発見、その防止に当たったわけでございます。  まず九月二日でございますが、午前七時五十五分ごろ、一一〇番に東洋文化学園から、十五、六人の酔っぱらいが来て学内に不法に侵入したから追っ払ったが、来てもらいたいという旨の通報がございまして、目官署の刑事課長以下十五名が八時ごろ現場に参りました。そのときすでに紛争は終わっておったのでありまして、不穏な事態はなかったのでございますが、紛争の状況を関係者から聴取いたしましたところ、この日の午前七時五十五分ごろ鈴木理事派の土方事務局長が住吉会の組員十五、六名とともに学園内に入りまして、事務室等にいた野本理下派の松実英夫ほか四、五名に対して、御苦労さま、きょうはもういいから帰ってください、こうせき立てるようにして追い出して、そのあとこれら住吉会組員等が二、三名ずつ各門を見張り、部外者の出入りを禁止していることがわかったのでございます。双方の関係者から事情を聞いたところでは、紛争の原因は両派の学園管理権の争いでございます。追い出しの際も暴行等の行なわれた事実も認められませんので、双方に紛争を円満に解決するように警告すると同時に、追い出された側の仕返しのおそれもありますので、午後六時まで目白署員、刑事課長以下三十七名で学園周辺の警戒に当たりまして、以後は重点警らによる警戒を実施いたしたわけでございます。  それから九月三日の警察措置でありますが、前日の状況から不測の事態発生のおそれもございましたので、この日は午前七時半、目白署員、署長以下九十一名で部隊を編成いたしまして待機させまして、佐藤係長以下四名を現場に派遣して情報の収集に当たらせました。午後一時ごろ野本理事とともに興論社、安藤組、松葉会、住吉会及び野本理事事務職員など約百名が正門に来たけれども、当時正門付近には前日から泊まり込んでいた反対派の住吉会組員ら十四、五名が見張り中でありましたので、両派の紛争が予測されましたので、係長が本署へ連絡すると同時に、現場で野本理事と鈴木理事派の松宮管財課長に対しまして、暴力事犯などを起こさないように警告をいたしました。松宮管財課長が野本理事派の興論社側と話し合っている間に、野本理事派が正門の横の車庫のとびらをあけて学園内に入りましたけれども、正門を見張り中の鈴木理事派の住吉会組員十四、五名は、反対派が大ぜいであったのに驚いて守衛所に閉じこもってしまいまして、暴力事犯などの紛争は見られなかったのでございます。先ほど申し上げました係長からの連絡で署から本部員四名、目白署員九十一名で現場警備本部を設置いたしまして、直ちに各門に一個分隊ずつ警備要員を配置して部外者の出入りを禁止し、さらに第二機動隊、捜査四課員、第一機動隊、こういうものの到着を待って、警戒を増強して不法事犯発生の防止に当たったわけでございます。午後二時二十分ごろ、目白署の次長らが野木理事及び鈴木理事に対しまして、学園の職員以外の部外者は双方ともすみやかに学園外に退去させるように措置されたいという旨を強く警告いたしましたところ、午後六時ごろまでに両派で雇い入れた応援要員もほとんど退去いたしまして、学園内も平穏になったので、午後七時五十分警戒本部を解散して、あとは目白署員とパトカーで警戒に当たらせたというような状況でございます。  これらの事案を通じまして、現在までの調査では、二日、三日に住吉会、興論社、安藤組等の組関係者が学園内に立ち入ったことは、紛争当事者であるこの学園の理事あるいはその部下職員の要請によるものでございますので、いずれの場合も管理者の意思に反して不法に侵入したものとは直ちに認めがたい状況でございまして、したがって、目下のところこの立ち入り行為を住居侵入非等の法令違反として問擬することは困難だと考えます。ただ、これらの者の立ち入りを要請した側に正当な管理権があるかどうかについては、なお疑義が存するので、現在この問題については調査中でございます。  なお、この紛争で部外者を入れたことにつきまして、国家公安委員である名川さんの問題でございますが、名川さんは民事裁判には関係があったのでございますが、この二、三日の事件につきましては全然関係がございません。それからお話がありました野木さんにつきましては、これは目白警察署管内の治安協力会の構成員で、現在は顧問でございますが、本年度は会費も納入していないようでございます。そういう関係だけで、現存警察署と特別の交際あるいは出入り等の状況はございません。そういう状況で、私どもといたしましては、このお二方――名川さんにつきましては、暴力事犯、この部外者を入れたことにつきまして全く関係がないことでございますし、それからまた、これらの方々が関与いたすことによって捜査上判断を異にするようなことはいたしておらないつもりでございます。
  74. 田中織之進

    ○田中(織)委員 経過は大体わかりました。  実は前回の一日の委員会で坂本委員の学徒援護会の問題に関する質問で、やはり大ぜいの学生というような形になりますと、あるいは公安関係というような問題で、警察が直ちに出動する。ある意味から見れば、私ら率直に申し上げて警察は行き過ぎだ、こういうふうに感ずるのに、たまたま前後して起こったこの事案については、私が調べてみると、公安委員の名川さんの名前も出ているというようなことになると、警察の態度というものが二様に出ているというような印象を受けたので、今日までの私の調べの段階では、鈴木派の関係から紛争のいわゆる民事裁判の関係の判決であるとか、そういうようなものを承知しているだけで、まあここへ取り上げる前に実は野木派という公費委員の名川さんにも会って、名川さんの言い分も聞いて、その上で私は私なりの状況判断をしたいと思っていたんですが、それが今日まだできていない。あなたのいまおっしゃられた経過は、実際に表の動きとして私はそのとおりだと思う。私が聞いているのと一致いたしますから。さらにできれば名川さんの関係、野木さんの関係にもさらに事情を私は聞きたいと思います。  ところで、これは鈴木派から提供されたコピーでありますけれども、二日の日でありますか、鈴木派の事務局長などが帰りまして、松実英夫という人ですが、そういう人たちを単調から追い出した。そのときに、松実さんらしいのでありますけれども、の日誌を入手をした写しが手元にあります。警察はそれをお持ちであるかどうかよくわかりませんけれども、それによりますと、なかなかこれは――まあ七月二十一日から始まっておるのでありますけれども、これは栃木県か何かに住んでおられるので、東京に支社があるかどうかわかりませんけれども、なかなか編隊、隊伍を整え云々というような形で、これは野木派のいわゆる警備のいろいろ体制かと思うのでありますが、敵機見えずと、なかなかそういうような形で軍隊的な用語を交えた日記が私の手元に入っております。それによると、やはり名川さんの名前が随所に出てきておるんですね、名川、会館云々というようなことが。なお、町の新聞記者の話によりますと、そういう松実何がしというような人と名川さんとが校内で話し合っていたのを目撃したというようなことも日誌の関係から出てきていると思うのです。私はそういう意味で、やはり、もちろん民心事件に弁護士の職掌柄関与されまして、鈴木派の下川というのが弁護士でありますが、野本さんのほうの弁護士としてそれぞれやはり学園の理事に名前を連ねておる。それから、いわゆる鈴木、下川、野木、名川。そのときにやはり学長で理事長になられたのが音楽界の大先輩である堀内一雄さんです。それから先ほど管理局長の述べられたように、かつて本院の議長をやられた松永東先生の名前も学長として出てきている。しかし、まあ判決の中では、それは正規の理事会で選任されたものではないからということで、判決では松永先生の理事長あるいは学長としての地位は否認されておるようでございます。松永先生としても私は迷惑な話ではないかと思うのであります。それはまあ判決の出た以後に一般に配布しました、ことしの八月六日にお願いという形で、これは残暑見舞い、暑中見舞いを兼ねて、さっそくながら昭和四十年度入学案内でき上がりましたので例年のとおりお届けおいたします。お手数ながら音学科進学希望者にお知らせのほどをお願い申し上げますという入学案内を学園が出されているんですね。それには、八月六日ですからもう判決が確定して、これも最初控訴審か何かで敗訴した野本さんらが控訴中であったんですけれども、裁判所からの慫慂もありましたか、控訴を取り下げて判決が確定されたんですね。それにもかかわらず、この八月六日のなかには、私は実物は見ておりませんが、東洋音楽大学長松永東、理事野本良平、理事名川保男というような形で入学案内が一般に配布されているんですね。そういうこと。これは文部省のほうでも、私、先ほど申し上げたように、野木さんも名川さんも、この判決の確定によって鈴木、下川氏とともに四人が理事ということが裁判所の権威で確認せられたのですから、これはやっぱり――しかも鈴木さんは大学の創始者で、大学はまあ、学校法人をつくるときの寄付者の中には東大の我妻先生の名前も出ておるような、なかなか名門校のように私伺うのですが、そういう創立者の音楽教育に道を開こうという熱意、ことに公安委員を現在やられておる名川先生なんか、やはり職掌柄関係することになったのだろうと思いますけれども、やはり名前を連ねておるということになれば、私はこの問題について、いわゆる暴力団的な人たちの協力を得なければ学園の管理ができないというようなことは、これはいささかどうかと思うので、そういう人たちの善処を私は要請したい。私は鈴木派でもなければ野木派でもないのでありますが、考えてみまして、これはやはり一つの社会問題としてこの場で取り上げることの意味がある、こういう意味で私取り上げておる。その点については、事公安委員というような関係になりますと、警察のほうも、そういうような関係者のある事件にはどこか横に寄っているような、そうでなくて全学連的な要素のあるものには機動隊が飛び出していくというような形では、どうも警察の威信のためにも、私は事件の早期の解決と、こういうような事案に対する警察の姿勢というものが問題であろうかと思う。その点のひとつ善処を、これは特に指導的な立場の文部省、それからまあ取り締まりの立場でありますけれども、特にまああなたたちの一番上の公安委員会の一員におられるのでありますから、きょうの国会で取り上げられたことはやがて名川さんの耳にも入ることだと思うのでありますけれども、私は、やはりこの際善処してもらわなければいけないのじゃないか。  まあ、法務省の関係に来ていただいたのは、ほかでもないのでありますけれども、こういう形でもちろん正規の理事会が開かれない。学校法人法によると五名なければならぬのが裁判所で確定したのが四人しかないということになれば、これは正規の理事会が開けようにない。それですから裁判所のほうで理事長代行に谷村唯一郎先生ですか、裁判所で任命された職務代行者が三人きめられておるけれども、そういうことに対する会計の引き継ぎだとかいうようなことが行なわれないで今日まで紛争が続いてきておる。これはやっぱり仮処分決定に基づいて裁判所のほうで職務代行者まで選任をされても、結局やはり野呂先生などが、とてもこれでは職責を尽くせないということで身を引かれるというような形になりますと、私は名川先生は法曹界の非常な先達だということを私も記憶をしておるだけに、やはりその裁判所の判決なり仮処分決定というようなものが具体的に出ているのが、そういうような法曹の先輩などによって――いろいろ訴訟戦術とかそういうようなものがあるのかもしれませんけれども、私はやはり法の威信の立場から見ても関係者にお考えを願わなければならぬ問題を含んでおるのではないかというふうに考えるのです。私はいままでの裁判の経過あるいは証拠関係というようなものの一通りの書類は見ておりますが、私の手元にきている限りにおいては、やはり私は裁判所の判決は正しいし、仮処分、そういうようなもののそれがなぜ確保できないのか、ある意味から見れば、この間の二日、三日の問題にいわゆる暴力団なるものが介入をしてくるというような形では、正しい裁判所の決定なりそういうようなものが正しく実行されない過程にそういうものが出てきているということになれば、これは私はやはりゆゆしき問題だというふうに実は考えてこの問題を取り上げたのです。さっきお断わりしましたように、両派の対立の中に起こった問題でございますから、一方の意見を聞いたのでは正確な判断がとれないと思いまするので、あと先になりましたけれども、まあ野本派の意見も聞いてみてさらに私も調査を進めたいと思うのですが、こういう内容を持っている事案であるという立場で、特に治安当局の立場からは判断に誤りのないように十分――こういう内部的なものが、ある意味から見れば防犯という見地から、理事者に対しまして、それぞれの関係者に対しましてこの問題は――幼稚園に至るまで持っておるようですから、おそらく千をこえる学生を収容しておるのではないかと思うが、そういう子供たちに与える影響というものも考えて、正しく一日も早く処理するように、これは文部省だけじゃなしに、警察当局も私はやはりただ単にそういう事案だけということじゃなく、防犯という見地は警察法の精神から見て特にあなたたちの今後積極的に力を入れていただきたい分野だと思う。その点をやっていただきたいと思う。  それから最後に、法務省の民事局の上田さんですか、来ていただいたのは、ほかでもございませんが、確定判決が出まして、これはまあ控訴中の事件を取り下げまして、それで判決が確定したので、そういう事態の中に正規の理事会が開かれぬのに理事会が開かれたような形で文書を出された。これは末端の法務局の出張所として私非常に迷惑だろうと思うのです。そのつど上申書などを出して受付を拒否された、却下をされたという関係がありますが、八月の末に鈴木派のほうから出された申請が却下になって、九月二十一日付でありますか、東京法務局長に審査請求をしておる事件があるようでございます。まあ、非常に出先として困る問題だと思うのでありますが、この事件等については、やはり審査請求が出ましたならば、これは早急に結論を出さなければならぬのではないかと思うのですが、そういうような関係が実際にどう扱われておるのか、その点をお聞きしたいと思ったのですけれども、何の予告もなく出ていただいたので、あるいは調査ができていないかもわかりませんが、いかがでしょう。
  75. 上田明信

    ○上田説明員 民事局長が外遊中でありますので、私がかわって答弁いたします。  いまお話しの東洋文化学園の問題につきましては、法規の上から申請なんかが出ていることは承知しているのでありますけれども、具体的来案につきましては、現在のところ承知いたしておりません。東京法務局板橋出張所といたしましては、大体形式上申請書類が整っておれば受理するし、申請書類が形式上整っておらなければ却下する、こういう扱いになっておりますし、また、そういうふうなことがなされたのだろうと思っております。それに不服がある場合は、上級官庁たる東京法務局長におそらく審査請求をなされたのだろうと思います。これはなお十分検討の上、法務局長から何らかの決定があるものだと思います。具体的内容につきましては、私いま承知いたしておりませんので、必要がありましたら調査の上お答えいたしたいと思います。
  76. 日原正雄

    ○日原説明員 先ほどいろいろお話がございましたので、ちょっとお答えしておきたいと思います。  お手元にあります資料と同じだと思いますが、先ほど申されましたような文書を私どものほうも手に入れております。お話のメモのことでございますが、これも、どういう内容の事柄が書いてあるのか、どういうことを証明しておるのか、多少私どもにはわからない点もございます。当事者などについて聞きましても、どういうことが証明されておるのか、多少疑問の点もあるようでございます。いずれにいたしましても、お互いに文書を出しまして、自派に有利にしようというような文書合戦が行なわれておるような状況でございますので、お話しのとおり、私どももそれらに惑わされずに慎重に裁断を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、公安委員としておられる名川さんの名前が出てこられるわけでございますが、私どものほうの関係では、先ほども申しましたとおり、今回のこの事件には全く無関係であるということでございますので、これから先は私の所管事項外でございまして、ほんとうの感想を申し上げるわけでございますが、私どものほうの関係では、名川さんはこの事件に全く直接関係した事実はないというふうな結論になっております。ただ、状況を見ますると、この東洋文化学園についての民事判決が確定いたしました結果、四人の理事がその地位にあることになりまして、野本氏も鈴木氏もみな理事であります。したがって、一がいに判決をだれが無視したとは言えないような状況にあろうかと思います。それからまた、現在なお未確定の民事裁判も、三つくらい裁判中のものがあるようでございまして、この民事裁判はまだ未了であるので、なかなかとかくの判断は現在の状況では言い得ないような状況にあるわけでございます。これは私どもの想像でございますが、こういうまっ二つに分かれて取っ組んだようなかっこうでございますので、名川さん自身といたしましても、これは推測でございますが、にっちもさっちもいかない、どちらにもどうにもできないような状況にあるのじゃないかと推測をいたすわけでございます。いずれにいたしましても、私どもの立場といたしましては、警察がそのどちらかの派に利用されないようにやってもらいたい、また、お話にありますように防犯的な見地、あるいは事件が起こりますれば刑事事件として、いろいろな事情も十分考慮いたしまして適切な手を打ってまいりたい。いずれにいたしましても、この学園の紛争が早期に解決されることがわれわれとして望ましいことではないかというふうに考えておる次第でございます。
  77. 斎藤正

    ○斎藤説明員 第一に、学校を経営する学校法人が、このようなことで警察のお手をわずらわし、あるいは社会の指弾を受けるというようなことは、全く遺憾なことであると存じます。ただ、この問題が全く確定いたしました理事が二名ずつそれぞれの主張をしているような段階でございます。  それからもう一つは、その後の理事会の開催あるいは理事の解任、理事長の選任その他につきましては、ただいま警察庁からも申されましたように、本訴並びに仮処分の提起があって進行中のようでございます。その際に、もちろん先生のおっしゃいますように、できるだけ円満に解決をするように私どもも努力すべき事柄であろうと思いますけれども、その方法が、いろいろな過去の経験が長い間ございまして、どのような処理のしかたが一体適切であるかということについては、この事件発生以来私どもも苦慮しているのでありますが、いずれにいたしましても、かかることが私学に長く行なわれることは、この大学の同窓生あるいは学生、父兄とも迷惑なことでありますし、私学の全般の上からもまた好ましいことではございませんので、事態の推移を見ながら関係当局とよく連絡いたしまして、事情を把握しつつ善処するように心がけてまいりたいと存じます。
  78. 田中織之進

    ○田中(織)委員 また新しい理事長として、これは鈴木派のようでありますが、選任をしたという方に前の文部次官の井手さんの名前もあがっておるようです。それから学長にはこれまた音樂界の古い権威者であるようでありますが、野呂先生の名前もあがっているようであります。どうぞひとつこの問題はそういう意味で、先ほど申し上げたような立場で、一日も早く正常な状態に戻るようにも特に文部省のほうでは御努力願いたいと思います。
  79. 濱野清吾

    濱野委員長 委員長からひとつお尋ねしておきますが、両派に分かれた一方には住吉会ですか、それから片方に興論社ですか、この両方は世間で俗にいうところの組織された暴力団と見るべき性質のものであるかどうか。それ一点と、それから名川さんはいま現に両派に属せずとしても、いずれにいたしましても、こういう事件を起こした学校財団の理事ですね。そして国家公安委員ですね。それだけひとつ答えてくれませんか。
  80. 日原正雄

    ○日原説明員 私どもの立場から申しますと、暴力団は一応執務上はこれこれの団体ということで名簿ができておりますが、それぞれの団体がいわゆる公認と申しますか、暴力団であるかどうかということは一々申し上げないようなことになっておりますので、俗にいわゆるということならばよろしいのじゃないかというように考えます。それから公安委員名川さんは、報酬も何も受けておられませんが、理事という立場になっております。
  81. 田中織之進

    ○田中(織)委員 もう一点だけ。  これはこの問題には直接関係のない問題なんですけれども、ちょうど法務省の刑事局長おられませんが、ひとつぜひ調べていただきたい問題があるわけです。それは最近の地方自治体におけるいわゆる汚職事件というものが非常に頻発しておると思うのです。最近新聞に出ましたのは、兵庫県の尼崎市の水道汚職、大阪府の関係では、例の木材港の建設にからんで、これは被疑者が自殺したというような関係で捜査の完結もできないような関係もあると思うのです。そういう意味で、最近いわゆる地方自治体が開発公社その他の経済開発をやる、あるいは水道その他の企業面の活動を強化する、そういうことに伴ってひんぱんに起こっておると思うのです。これは地方財政と関連を持つ重要な問題だと思う。それだから最近のそういうことについての調査の結果を次回の委員会にでも出していただきたいということをお願いいたします。  それに関連して、これはちょうど一年になるわけですけれども、昨年和歌山の市長が、これは建設省の大阪地建の関係の汚職事件に関連をして、いわゆる市長の収賄事件大阪地検で起訴されまして、現に裁判中の事件がある。その問題のために、和歌山市におきましては今月の初めからリコール運動が始まっておるのです。リコールについては、リコール派も反りコール派も、それぞれ宣伝戦をやることについては、選挙法のような制限がありませんので、相当なことをやっておるようであります。たまたまその関係で、これは自民党後援連盟という発行者が署名になっておるのですが、どうもいまリコールを受けておる高垣善一氏の署名による情と非情の記という冊子がある。これは引っぱられた当時のことを述懐した、新聞に載った記事をまとめたものだと思うのです。これによると、自分が収賄事件で起訴されたのは全く反対党の政治謀略だということをこれに書いておるわけです。私は現在高垣氏とは反対の立場に立っておるのでありますけれども、かつてこの人が公選の和歌山市長に――全国的に類例のない五選市長でありますけれども、一番最初昭和二十二年に公選の市長になるときには、私が推薦をして支援をしたというような間柄で、個人的にはよく知っておるのでありますけれども、今度の事件は、高垣さんのちょうど五選員で十八年でありますが、氏の長い歴史を汚した非常に不幸なことで、何とかひとつこの際いさぎよくあなたは辞任すべきだということを忠告する間柄なんです。たまたまきょうは朝、和歌山から出てきたのですが、出がけに私のところに届いた情と非情の記という形で、刑事裁判が進行しておるのだから、リコールでまで引きずり落とさなくてもいいではないかという常識論が出ておることは私は承知しておる。しかし、私どもの聞いておるところでは、大阪府警に検挙されて、本人がその事実を認められたので起訴されておるということで、関係の弁護人らも、事実関係は否定することはできないということが一般にいわれておる中に、当の本人から、あれは全く検事の謀略でやられた、こういうようなことが堂々と本人の署名入りで出るということになれば、これはやはり検察陣の立場から見ても考えてもらわなければならぬ問題が多少あるのではないかと思う。何かこのことについてもしお聞き及びであればお答えをいただきたいし、何か反対党からの差し込みというようなものが、このケースにはないのでありますけれども、かりにそういうような捜査の端緒をつかむということはあるかもしれませんけれども、起訴に踏み切るということについては、そんな形のものは私はないと思う。もちろん立証が十分できるという確信の上で裁判を求められたんだ、私どもはそういうふうに見ておるのでありますが、この点について、もしお聞き及びであれば御見解を承りたいし、もしそうでないということであれば、この次にお調べを願って局長からでも御答弁いただきたい。
  82. 安原美穂

    ○安原説明員 地方公務員の汚職事件の裁判結果等につきましては、調査いたしましてできるだけ御要望に応じたいと存じます。  それから、ただいまの和歌山市長の事件が無実だとか、検事の謀略によるものであるというようなことを述べたパンフレットが流布されておるということは承知いたしておりません。しかし、検察庁といたしましては、さようなことはなく、厳正公平、事実を事実として法に照らして処罰を求めているわけでありますし、かような非難、中傷が世間に流布されましても、われわれ検察官は公判廷において真実を明らかにする、そこが戦いの場であるというふうに信じております。
  83. 濱野清吾

    濱野委員長 午後二時より再開することとし、脚時体感いたします。    午後一時二十二分休憩      ――――◇―――――    午後二時二十八分開議
  84. 上村千一郎

    ○上村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横山利秋君。
  85. 横山利秋

    ○横山委員 午前に暴力団に関する質問をいたしましたが、午後はそれに関連をいたしまして、先般考えさせられる二つの問題がありました。一つは新幹線に対する妨害をした男が知能程度が非常に薄くて、たぶん無罪釈放ということになるのじゃなかろうかという話であります。もう一つは、ライシャワー大使を襲った青年も、これもまあちょっとどうかしているから無罪ということであります。  最近精神病患者による凶悪な犯罪が相次いでおりまして、本委員会も一回取り上げたことがあるわけでありますが、精神病者による犯罪であるから無罪であり、釈放をしなければならぬという現行法を私はとやかく言うわけではないけれども、しかし、だから社会的にもう問題はないとは言い切れないという気がするのであります。私が考えますのは、単に精神病者ばかりでなくて、麻薬中毒患者でも同じでありますけれども、何か新たにこれを措置する必要があるのではなかろうか。いわゆる保安処分の採用がほかの国で行なわれておるところがございますけれども、これらの検討をする必要がないだろうか。この新幹線が一度は事故があるだろうというのが世間の話題になっておるのですが、つかまえてみたら気違いであった、精薄者であった、だから無罪だ、しようがない。しかし、しようがないで済ませるだろうか。それらの麻薬中毒患者なりあるいは精神病者を一体野放しにしておいていいだろうか。これは将来犯罪をする可能性というものが全部が全部そうだというわけではありませんが、一ぺん少なくとも犯罪の疑いありとして検挙いたしました者についての将来の犯罪の可能性というものは、私ども非常に危険に存ずるわけでありますが、この点について御意見を伺いたいと思います。
  86. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 精神障害者によります違法行為は御指摘のようにきわめて危険であります。社会生活を脅かすことが著しい現況であります。これは観察、強制保護の各機関を通じて科学的に裏づけのある刑事政策的配慮を加える必要があるのでございます。現在刑法の改正を検討いたしておりますが、その中でこうした精神病者に対する保安処分制度の研究を推進することが必要であると考えて、これを急いで実施に移したいという熱意をもって当たっております。そういたしませんと、精神病者で犯罪等を犯した人等につきまして、いわゆる精神衛生法による関係の措置はできますが、刑事政策的配慮を加えた保安処分ということまでやらなければこれは完全でない、こういう考えで進んでおるわけであります。
  87. 横山利秋

    ○横山委員 そのような場合には、全治をするまでと言えるかどうかわかりませんが、そういう可能性がないと思われるまで一定の期間隔離をして、特別の施設に収容をして、その治療をなされなければならぬということになるわけですね。そういう施設というものが司法行政の中へ組み入れられる、設置をされる、そういう考えと承ってよろしいのですか。たとえば先般私問題にいたしました愛慈会はある意味ではそういう施設でありますが、しかし、残念ながら愛慈会は先ほどのほかの例と同じようにお家騒動を起こしまして、気違いを収容しておるところの理事者側が気違いのようになって両方ともけんかをする、こういうことになっているわけであります。いま愛慈会を問題にするわけではありませんが、少なくとも愛慈会の精神は私は非常にいいと思うのでありますが、このような特別の施設、社会からの一定期間の隔離、それによって治療をする。こういうような原則ですみやかに法律改正なり予算なり、そういうものをすべきだと考えています。いまの大臣の御意見はその線に沿うておると思うのでありますが、これは次の国会に上程をされるような気持ちがおありになるのか、あるいはまた刑法一般の改正の中に入っているから、それらのものとも一緒にというようなお考えであるのか。私は緊急性を持つものだと理解をしておるのでありますが、いかがでありましょうか。
  88. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 いまやっておりますのは、刑法改正の一環として実は検討を加えておるわけであります。しかし、状況によりまして、これを抜き出してやったらどうかという意見がいろいろありまして、いまそれをどちらをやるかという検討をいたしております。  それから予算措置におきましても、いまの刑務所等に入っておりまする精神障害関係者、あるいはこれに近い者につきまするいわゆる矯正施設、あるいはその人々を収容する施設というようなものにつきましては、あるいは治療する施設というようなものにつきましては、今年度の予算の重点施策の一つとして予算要求を実はいま出しておるようなわけでございます。
  89. 横山利秋

    ○横山委員 先般も家の中におりました精神病者が、愛知県の付近でございますが、一家皆殺しのような虐殺をいたしました。こういうような精神病者の犯罪のおそれのある者は、いま全国に、先般の統計を見ますると、たいへんな数になっておるわけであります。それらが自宅において治療をいたしておる過程に起こる犯罪、それは家庭のみならず、社会的に及ぼす犯罪というものを考えますと、まさにりつ然たる思いがいたします。でありますから、私は、短い時間でありますが、特に一般の刑法と別に緊急な必要性のある問題としてぜひ御考慮を願いたいと思います。いわんや、全世界の問題になりましたライシャワー大使の襲撃事件だとか、あるいは国内で関心の的になっております東海道新幹線のあの事件とか、こういうときでありますから、ぜひこの点については格段のお骨折りを願いたい、こう切に要望しておきます。  それから、その次の質問は、大臣があちらこちらでどうもお話をなさっておられるようで、真意の捕捉に苦しんでおりますが、少年法の問題であります。少年法を改正して、そうして少年法の適用年齢の引き下げをはかるということは、今日青少年犯罪が激増をいたしておりますときにおいては、まあ一般的にはなるほどという考えがしないとも限りません。しかしながら、戦後これを改正いたしましたについては、青少年保護という一つのにしきのみ旗があり、大義名分があってなされたものなのであります。大臣がただそれを十八歳に引き下げることによって少年をおとなにし、そうして刑事処分についても何らの仮借もないようにする。それが青少年犯罪をなくする、減少させるゆえんであるとまさか簡単にお考えではありますまいけれども、どうも逆行的雰囲気というもの、そういう感じをせざるを得ない。いま起こっております青少年犯罪というものの根本原因は、はたしてこの総合的角度から追究されての上であるかどうかについては、私はぜひ一度ただしたいと思っておったわけでありますが、この少年法改正についての大臣の基本的なお考えをまず伺いたいのであります。
  90. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 非行少年の問題は、これは非常に国家としても寒心にたえない重大事であることは、これはもう御存じのとおりで申すまでもありません。もちろん、法務省の措置だけでこの非行少年の問題が解決されるとは考えておりません。これは政府全体が総合的施策をやることによりまして初めて前進をいたすものであると考えておるのであります。しかし、この世の中のいまの国民の良識からいきましても、二十歳以下を少年とすることは適当でないと考えている国民も非常にたくさんおるわけでございます。また、その十八歳と申しますと、相当肉体的には十分成年になっておるものと考える。まあ精神的にはあるいはアンバランスの人もまだ相当あるかとも思うのでございますが、そういう観点から、またアメリカその他の各国でやはり十八歳以上を成年といたしておる例が大多数なんであります。というようなことを考えまして、この十八歳以上の人々に責任を持ってもらいたいということを考えておるわけでございます。しかし、ただ漫然と前の少年法の改正のように年齢を引き下げてもとの少年法に返るというわけではないのでありまして、大体十八歳以上二十三歳ぐらいまでを、これを準成年とでもいいますか、というような考え方のもとに刑事処分と保護処分とをその人の知能の発育その他等考え合わせまして、ある者につきましては保護処分、ある者については刑事処分をとっていこう、こういう考え方でいま私の手元で検討を重ねておるようなわけでございます。もちろん、これに対しまして、いろいろな賛成の投書、激励の投書も参っておりますが、反対の意見のあることも了承いたしております。したがいまして、一応の成案を得ましたならば、これを関係筋と十分に打ち合わせ、検討を加えまして、よろしければできるだけ早くこの改正をいたしたい、こういう考えで進んでおるようなわけでございます。
  91. 横山利秋

    ○横山委員 十八歳から二十三歳までを刑事処分と保護処分に分けて考えるという考え方の根底には、大臣が最初おっしゃったように、十八歳以上になれば身体も非常に成人に考えられるし、おとなとして考えてもいいではないかというお考えのようでありますが、そうだとして、その責任を考えてもらいたいとするならば、同時に権利も認めなければならぬ、こういうことになると思うのであります。ただ犯罪の面だけこれを扱うということで一体そういう考えが通るものであろうかどうか。たとえば選挙権についても同じことが言えることになるのではあるまいか。他の法令によって十八歳といわれておるもの全般について考慮をしなければならぬのではあるまいか。それをただ犯罪のみにとらえる、犯罪の中でもほんとうの普通の犯罪と、それから交通犯罪のような特殊なものもあるのだが、一体全般をとらえて青少年の年齢について線の引き方を変えるというのであるか、その青少年犯罪だけをとらえてやろうとするのであるか、これはどっちをやるのですか。
  92. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 そうした考え方は、いわゆる選挙権も与えないで刑罰だけを一人前に扱うことは不当じゃないかという意見は、新聞の論説等でも拝見をいたした記憶があります。しかし一面におきまして、十八歳以上の青年には道路交通法あるいは狩猟法等によってそうした場合にはこれを成年と同じように認めておるわけであります。選挙権を認めないから刑罰の対象にはできないんじゃないかという議論は私にはわかりません。いろいろいまそうした反対論については検討をいたして、独走いたすつもりは毛頭ないのでありますが、どうも私にはその議論があまりに飛躍的な感じがいたすのでございます。
  93. 横山利秋

    ○横山委員 飛躍ということの根拠をもう少し明らかにしてほしいのですけれども、いまあなたも十八歳から二十三歳までの分を、これはどういう意味だかよくわかりませんけれども、おそらく私の類推解釈するところによれば、二十一歳から二十三歳までぐらい、それ以下という年齢で線を引こうとなさっていらっしゃるのではないかと思うのでありますが、事案によってまたその線を引くというのであるかどうかわかりませんが、少なくともその考え方の立場の中には、青年にも責任を持たせるということがあるならば、それは権利も保障するということにならざるを得ないのではないか、こう言っておるわけであります。選挙法につきましては、別に二十一歳が神様の教えであるばかりではなくて、十八歳の例もないではないのでありますから、私は必ずしも飛躍だとは思わないのですが、一応大臣がどうしてそうきっぱりとおっしゃるのか、その御意見を参考のために伺っておきたい。
  94. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 どうも私にはピンとこないという意味のことを申し上げておるわけであります。どうもそれなるがゆえにいまの十八歳――あの少年法がありましたときは十八歳、それが二十一歳に改正された。しかも世界の趨勢は大体十八歳という辺で線を引いておるのであります。アメリカなんかはほとんどそれなんです。しかし、それなるがゆえに――選挙権の問題がどうなっておるか知りませんが、おそらく十八歳の青年には選挙権は与えられておらないだろう。そこでそうした議論があることは承知いたしておりますが、どうも私は何だかピンとこないという感じで申し上げておるわけなのであります。
  95. 横山利秋

    ○横山委員 十八歳で選挙権を与えている国はあるわけです。ところが、いま頭の中で青少年犯罪で職掌柄一ぱいであろうけれども、検討なさる場合においては、将来やはり青少年はどうあるべきか、権利一体の観念からいろいろと御検討しなければならないのじゃないかということを私は意見として申し上げておるので、この点はぜひ将来は検討の材料にしてもらいたい。  それから法務省筋で考えておみえになると伝えられるものに、第一に、いま十八歳から二十三歳までの問題として青年裁判所を新設をする、あるいは検察官に先議権を与えることとか、検察官に立ち会い権を認めるとか、検察官に抗告権を与えるとかいうような具体的な点が議論の対象になっておるそうであります。これらの点を要約いたしますと、まあ青少年の犯罪を普通に扱うのだというたてまえに立てば、これはまあお考えとしては一応理屈に合わないことはないと思うのでありますが、冒頭に申しましたように、それではこの線を、こういうふうに年齢を変えたことにおける根本的な理由について――根本的な青少年保護という立場というものが非常にきびしく後退をするというように考えられるのでありますが、いま私が承知いたしました四つばかりの問題、検察官にも先議権、青年裁判所、検察官の立ち会い権、それから検察官の抗告権という点はどういうふうにお考えになってお進めになっておるか伺いたい。
  96. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 これはまだ事務当局においていろいろな希望を出しまして、そうして検討いたしておる内容でございます。私はもう少しこれらについては検討してみたいということを考えておる。ただ青年裁判所制度といいますか、そうしたものを、少年法の廃止をいたす場合はどうしてもそれが必要であろう。その場合にはやはり検事というものが先議権を持つことは、この問題についてはいいじゃないか。ただ、いまのそれ以下の青年につきまして、いまの家庭裁判所でやっておりますることを変えるかどうかというようなことにつきましては、まだもちろん考えが固まっておるわけでもない。ただ法務省部内では長い希望的懸案であります。ただ、これは裁判所とも十分に話し合わなければならぬ問題でありますので、まだ私のところで熟しておる問題ではないのであります。
  97. 横山利秋

    ○横山委員 では、最後に伺っておきますが、この少年法改正を通常国会に提出し得る状況にあるのかどうかということが一つであります。  それから先ほどの保護処分にするか刑準処分にするかという線の引き方について、ちょっと私の聞き違いであったかもしれませんから、大臣のお考えをはっきりさせていただきたいのでありますが、十八歳ないし二十三歳の君を保護処分にするか刑事処分にするかはどういうふうにきめるのでありますか。裁判所がきめるのですか、年齢できまるわけですか、どういう方式で進められているのですか。
  98. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 刑事処分にするかどうかという問題は、最終的には裁判所がきめることになります。  それから少年法の提出の時期については、これからまだいろんな手順を経て、最高裁その他とも相談をいたさなければなりません。あるいはまた司法関係の審議会にもこれはかけるつもりでおります。そういう手続を経てやるわけでございますが、私は通常国会に出せるめどで、とにかく法務部内の意見の調整を急げということで急がせております。しかし、はたしてまとまりますかどうか。これはいろんな意見のあることで大切なことでありますから、十分意見を聞いた上で意見を合致させてやりたい、そしてなるべく通常国会に出したい、こういう希望を持っております。
  99. 上村千一郎

    ○上村委員長代理 四宮久吉君。
  100. 四宮久吉

    ○四宮委員 私は法務大臣並びに刑事局長関係者方面から御答弁をもらいたいと思うのですが、それは悪質な流言に対する問題であります。しかもその流言が検察庁並びに検事等の名をかりて、一般社会の人たちにいろいろな流言を流布しているという状況についての質問であります。  それは、私の聞いた範囲では河野国務大臣に対する内容であります。これはひとり河野国務大臣の問題だけでは済まされない。ことに政治を担当する者、その他国民の重要な地位にある人、ことに政治家等は、こういう問題は一身上の社会的な地位にも影響を及ぼすところであろうと思う。この点に対しての検察庁側の考え方あるいは法務省で考えられていることについて承っておきたいと思う。  私はもう十日ほど前に都庁の都議会で、ある議員から、どうも河野国務大臣は引っぱられそうだ、検察庁から聞いた話だが、こういう話であります。何か汚職事件があった。それは人によって、場所によっていろいろな角度から言われているそうであります。あるいは金融機関の者、あるいはところによると建設業者とか、人によっていろいろな宣伝方式が違うことばで流布されております。私は都議会議員の名前はこの席上では秘しておきますが、某氏でありますが、もうすでに取り調べは済んでおるのであるけれども、相当広範囲に調べられたから、近いうちにオリンピックでも済めば検挙されるのではないかというようなことばをもって一般に流布されているのであります。  そこで私は、一人くらいの話で、それはだれかのデマで、そんなことは信用するに足りないと思うがというふうに考えておったのですが、その後代議士諸君の間にも、そういう話は聞いた聞いたということを私は各所で承ったのでありますが、この場合、一体検察庁でそういう話をしておる部面があるのかどうか。それから河野氏の身辺に対して、いままでそういう取り調べその他のことをやっておる事実があるのかどうか。そういう事実があるとすればどういう状況にあるのかという点について、一応大臣並びに刑事局長から御答弁願います。
  101. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 いまの御質問は、私全く窓外にたえない。私のところにはまだそうしたことについては何らの報告もまいっておりません。またオリンピックがあるから、あるいはないからといいまして、この検察の問題、捜査、訴追の問題は、そんなものに影響されるものではないのでありまして、これは必要によって、オリンピックの期間中だろうが何だろうが、厳正にやっていくというように私は指示をいたしております。したがいまして、いま私の耳に何も入っていないということになりますと、これは私は流言飛語に類するものであって、まことに残念なことだと考えます。ことにただいま聞き捨てならないことは、検察内部からそうした話が出ておるということをお話しになったのでありますが、もしこれが事実とすれば、これはゆゆしい綱紀問題であります。  以上お答えいたしておきます。
  102. 津田實

    ○津田説明員 ただいまお尋ねのような流言と申しますか、うわさと申しますものについては、私ども全然関知いたしておりません。したがいまして、検察庁内部におきましてさようなことを、言いふらすというようなことはあり得ないところと思います。なお、事件の捜査の過程におきまして、さような事実が認められたというようなことは全然聞いておりません。そういうようなことはないものというように考えております。
  103. 四宮久吉

    ○四宮委員 そうすると、刑事局長の御答弁によると、そういう事件は現在取り扱ったことがないという御答弁になるわけですか。
  104. 津田實

    ○津田説明員 いろいろの事件に関連しまして、さような事実があるかどうかという点については、一応関心を持っておりますけれども、さような事実はないというように開いております。
  105. 四宮久吉

    ○四宮委員 私も弁護士という商売をしておる以上、いま法務大臣から御答弁があったように、検察庁から漏れるという理由はおそらくないと思います。漏れる事実がないものが、もしなにするとするなら、その人が悪意による企画に基づいた何か失脚をねらうということのためにそういう流言をいたして、その人を傷つけるという目的にあるんではないかと思うのであります。そこで過般の自民党の総裁の選挙があったときにも、私のところへはずいぶんいろいろないわゆる怪文書が連日のごとく流れ込んできた。私は、国会というものはもう少し正しいやり方で政治が行なわれておるものだと考えておったのに、そういう文書が毎日流れ込んでくるというような姿を見ましてまことに遺憾に思っておる。もしそういう事実があるとするなら、背から河野廣中のようなあるいは尾崎行雄のような大先輩は堂々と論議をした。そして自分の黒白をつけて、その政策あるいはその行為について論議をしてその人を攻撃するという立場にあるのはいいけれども、こういう検察庁の名前を使って、はなはだしきによると、検事の名前までも列挙した人があるように聞いておるのです。私は詳しい内容については知らぬが、私の聞いた範囲では検察庁でそういう話をしているという。それは私が事実聞いた話でありますが、こういうことが公然と行なわれるということは、日本の政治に対して一般国民に非常な不信感を及ぼすばかりでなしに、現内閣に対しても非常に大きな汚点を残すものだと私は思います。それでありますから検察庁当局としても、暴力団の取り締まりということについても当然必要でありましょうが、暴力団以上に、こういう無形の事実をもって日本の政治を惑乱させるような、しかも政治家の生命とすべき信用を傷つけるような行動が公然として各所に行なわれるというようなことがあったら、それこそ私は日本の政治の将来に非常に歎かわしいものがあると思います。そういう点から、ひとつこの際検察庁当局並びに警察当局に対してお聞きしたいことは、こういういわゆる流言飛語のために、日本でもほんとうに過去にも重大な問題が起こったことは多々その例があるのでありますが、そういう実情から考えて、こういう事実があるとするならば、それに対して十分取り締まりの処置をする考え方があるかどうか、この点をひとつ承っておきたいと思うのです。
  106. 津田實

    ○津田説明員 先ほども申し上げましたように、流言のある事実並びにその内容については全然関知しておりませんし、検察庁からも何らの報告を受けておりません。本日この御質問があることを昨日承知いたしましたので、各方面にいろいろ照会をいたしてみましたが、さような来集は認められておりませんので、流言の事実ははっきり当局としてはつかみ得ないのであります。ただ、流言というものが法律上いかなるものになるかということはいろいろ問題がございますが、大体におきましてこれは名誉棄損になるという場合が多いわけです。したがいまして、名誉棄損の事実がはっきりいたしまして、それに対して処罰の御要求があれば、これは当然厳重な取り調べをいたすということになると思いますが、具体的事実もいまのところ全く検察当局にはわかっていないわけでございまして、いまの段階では何ともいたしかたないのでございます。名誉棄損の事実があって処罰の御要求があれば、もちろん厳重に取り調べをいたすことになります。
  107. 四宮久吉

    ○四宮委員 いわゆるそういう事実があるかないかということがわれわれの質問の第一点であるし、これに対しての将来の処し方について、もしそれに対しての告訴の事実があったとするなら、厳重に当局では取り調べに万全を期してやられるということは当然のことだと思うのです。これは将来非常な悪影響を及ぼす結果になると思います。それでもしそういった場合には、この問題に対しての処し方について十分やられる意思があるかないか、もう一ぺん確かめておきたい。
  108. 津田實

    ○津田説明員 具体的事実につきまして告訴がございますれば、検察庁としては当然捜査をいたすべきであります。事柄の重要性にかんがみまして綿密に捜査をいたすことはもちろんでございます。   〔上村委員長代理退席、唐津委員長代理着席〕
  109. 唐澤俊樹

  110. 上村千一郎

    ○上村委員 ただいま四宮委員から質問があったのでございますが、多少その点とも関連しながら質問いたしたいと思うわけでございます。  実は先般横山委員からお話がありましたが、新暴力法を通過さしたそれによりまして、高橋法務大臣におかれてはいろいろと慎重な処置を講ぜられた。そして私ども見るところによりますれば、相当な成果があがっておるというふうに思っておるわけでございます。それで暴力事犯に対しまして、これが根絶を期するということはなかなか各方面の処置を要するわけで、御苦心のほどよくわかるわけでございますが、これも一に健全な民主政治の発達ということに相なるかと思うのでございます。が、この点は特に強力な処置を御要望するとともに、他面民主主義の健全な発進のためには、少なくとも個人の基本的人権というものをよく擁護しなければならないと思うわけです。そういう際におきまして、流言飛語というものが飛ぶ際、あるいは相当の根拠あるかのごとくに特定人に向かいまして何かとうわさを流すというようなことは、ある意味におきましては民主主義の基本的な健全な発達を阻害するものだと私は思うのでございます。そういう意味から言いますれば、暴力的な事犯の根絶とともに、精神的な無形な一つの暴力といわれるものの対策というものは、私は特に法務御当局としましてはその方針を確立しなければならぬと思うわけですが、これに対するお考え、根本的な処置あるいは御対策というものにつきましてお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。
  111. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 御質問の趣旨は私におきましても同感でございます。暴力は単に肉体的力をもって行なわれるものに限りません。いま御指摘のような言論あるいは捏造された流言飛語というようなもので、いろいろ迷惑をこうむる人が多いことはよくわかっております。しからばこれを法的にどう取り締まるかということになりますと、憲法その他のいろいろな関係がございまして、なかなかこれはむずかしい問題になるわけでございます。ただいまのところは告訴を待って処理をするという範囲を出れないことを遺憾に思っておりますが、またやむを得ない状況であろうと思います。なお注意深くこうしたことについての検討をいたしていこうと考えます。
  112. 上村千一郎

    ○上村委員 一々具体的な事実を摘示いたしまして御質問をするとよいと思いますが、そういう機会は他日に譲りまして、少なくとも現在普通一般にそうあるであろうと思われる良識としまして、最近のいわゆる怪文書、流言飛語の中には、ただ個人的な問題だけでなくして、場合によれば、相当ことばを強く言えば一つの政治的不安であるとか、そういうものを故意に醸成させようとするような意図のもとに行なわれておるものがあると思うのであります。そういう際におきまして、単に告訴を待って論ずるというだけの処置で、この重要な問題を放置していくその態度は、ますます怪文書、流言飛語が横行し、心ある者をして、いわゆる末世的な現象ではなかろうかと痛感させるような事態になっていく。こういうことを考えますと、告訴を待って論ずる、処罰ということであるでしょうけれども、もちろん名誉棄損罪はそういう意味の親告罪になっておりますけれども、それだけでいいだろうか。少なくとも告訴があった場合には直ちにそれが処置ができるぐらいの、何らかの配慮なりそういう対策を講じていかなければ、これが減少の形態ではなくして、ここほんの数年の経過を見ましても、この数字は激増し、質は悪質化していくという情勢にあって、識者は心から心配しておる際に、単に親告罪であるという一点だけで放置していく体制こそ、かかる風潮が次第に悪質化していく傾向を生むのではなかろうかというふうに思うわけでございます。何らかここで法務御当局においてぜひ真剣な対策というものを御考究されることを希望したいのでございます。その点についてお心がまえなりをお漏らし賜われば幸いかと思うわけでございます。
  113. 津田實

    ○津田説明員 ただいまの御質問の御趣旨はまことにごもっともと思われる点が多々あるわけでございます。元来名誉棄損罪を何ゆえに親告罪にいたしたかということを考えてみますと、これは御承知のとおりでありますが、この事件を捜査いたしましたり、あるいは起訴いたしますということによりまして、かえって当該被害者の名誉が棄損される、従来そういう事実を知らなかった人まで知り、その事柄の真否は別ですが、かえってそういう事実が広がるというようなそういうことを配慮した結果でもあるわけです。したがいまして、なるほど親告罪につきましても、刑事訴訟法上は告訴前に捜査をすることはもちろん可能でありますけれども、ただいまの刑法の立法趣旨を考えますと、その捜査というものの範囲はおのずから限定せざるを得ない。いわばほんとの捜査というよりも、むしろ内偵をしておくかどうかという程度にとどめるべきものだというふうに考えるわけです。それ以上に出ますと、かえってそのことによって、かりにその事柄が真実でなかったとしても、その事実が流布されるということになっては、かえって被害者御本人のためによくないというようなことを考慮いたしますと、おのずから活動の限界は縮小される。しかしながら、事柄の重要性も考えまして、そういう面については常に注視を怠らないということは必要であると存じますので、検察当局におきましても、従来ももちろんそうでございますが、今後ともさような心がまえで臨むべきものというふうに考えておるわけであります。
  114. 上村千一郎

    ○上村委員 最後に一点だけで私の質問は打ち切るわけでありますが、親告罪の本質の点から言いますれば、いま刑事局長のおっしゃるとおりであります。その個人の名誉というものを考え、そして法益を勘案いたしまして親告罪の制度があることはそのとおりでございましょうが、最近いろいろ問題になっておりますところのいわゆる流言飛語なり怪文書というものは、そういうものから次第に質的に変化を来たしておる様相があるように見受けられる。だから現行法をどう解釈するかという問題はもちろんそうでございましょうが、私が質問を申し上げておるのはそういう点を質問をしておるのではない。こういう世相の動き方について何らか法務当局として、あるいは立法的な、あるいはこれが対策的な御考慮がされておるのかどうかということを御質問をしておるのである。親告罪自身の内容、そういうものはこれはわかり切った話でございます。そういう意味において何らかひとつ御対策を考えないと、――特に捜査をせよというわけにはいかぬでしょう、現行法上いろいろな点があるでしょうけれども、そうでなくして、現在の世相というものについて、治安御当局としていろいろ考えるべき点があるのではなかろうか。しかもいま四宮委員が御質問申し上げたとおり、その御答弁の際におきましても、そういう御質問を申し上げたような内容の事実はいわば全然関知していない、そういう報告も受けていない、事実はないと確信しておるというふうな趣旨の御答弁があったわけです。私は、これはそうであろうというふうに推察するわけでありますが、最近特にそういういろいろな動きがあるに際しては、ひとつ民主主義の、また基本的人権という問題もございましょうし、あるいはそれが進展して治安あるいは政治的不安というようなものに次第に関連をしていくおそれもある。しかもそれに対する基本的な対策が全然ない場合には、どんどんとふえて、手がつかなければ、やれるだけやっていけということになるので、これが特別な対策というものをひとつ御考究されるような方向に進んでいただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終える次第でございます。
  115. 唐澤俊樹

    唐澤委員長代理 坂本泰良君。
  116. 坂本泰良

    ○坂本委員 時間がおくれましたから簡単に若干質問をいたしたいと思います。  それは先般、今月一日の委員会におきまして、学生会館の問題につきまして九月の三日、四日、十四日に学徒援護会とあすこの中に入っておる寮生の自治会との間に交渉が持たれて、その交渉の結果逮捕者を出す。そしてそれが現在は三名起訴されておる。こういう不詳事ができておるわけです。しかしながら、そういう問題がどうして発生したかということにつきまして、前会は警察庁並びに法務省の関係の方であります。現在の学生寮を移転する、それに関係する問題であるから、いわゆる民事的の交渉、その民事的な交渉に警察官が発動しておる。われわれの経験によれば、相当大きい家屋明け渡し、あるいは建物収去、土地明け渡し等の事件においても、警察に要請しても警察官は発動しない。私なんかも三十年来の弁護士の経験ですが、戦前戦後を通じて、要請をしたこともありますけれども、それは民事問題であるから何とかそっちのほうで話し合いでやってくださいということで、私の経験としましては一度もそういうことがない。したがって、どういう関係で警察官が発動されたか、その実態を把握しておられるかという質問に対しまして、その点があいまいであったわけであります。それではまず、その本質をわからずに警察官が発動して学生を逮捕する、そういうようなことはあるまじきことであるから――しかし、それはやはり警察官としても、発動する以上は十分それを認識しなければならないけれども、まずその基本である援護会、文部省当局に来ていただいて、そうしてその説明を聞きましてやりたい。そういうことで本日に至ったわけであります。幸い文部省からも見えておりますから、まず数年前からこの移転問題が起こり、新しい寮の建築も進んでおる、こういうことを聞いておりますが、その点についての御説明を承りたいと思います。
  117. 杉江清

    ○杉江説明員 学徒援護会の従来果たしてきた役割、または寮生との関係等の詳細については、後ほど学生課長から説明いたさせますけれども、問題の根本は従来の学徒援護会の管理運営の点において問題があった。と申しますのは、学徒援護会はその事業の重要な部門として学生寮を設置し、これを運営しているのであります。したがって、その管理運営の権限はあくまでもこれは学徒援護会が持つべき筋合いでございます。しかし、実際においてはいろいろな経過でもって、その援護会が当然持つべき管理運営の実質を学生が持つような事態に立ち至ったのであります。たとえば入退寮の権限等についても、学生がこれを実質的に持つというような結果になったのであります。その他いろいろな点において、管理運営の基本的な部面をも学生の手にゆだねられる、こういう事態になったのであります。そしてそこに多くの弊害を生じてまいりました。この点については、かねてから筋としてかくあるべきものではない、これは改善しなければならないということで、その努力も続けてまいったのでありますけれども、なかなかその改善がうまくいかなかった。その経過においては、私は、学徒援護会の当事者の責任の問題もありましょうし、またひいて財団法人の監督の立場におります文部省の責任の問題もあろうと思います。しかし、いずれにいたしましても、その点は改められなければならない、こういう立場をとってきたのでありますが、たまたまこの学徒援護会の東京学生会館、代官町にありますあの学生寮の移転問題に関連いたしまして、いろいろそういったいままでの学徒援護会と寮生との関係における積弊が、この問題を契機としていろいろ問題を起こしてきたということが端的に言い得るのではないかと思うのであります。  具体的にはいろいろ向こうの主張はありますけれども、要するにその寮の管理運営の責任と権限は一体どこにあるかという点について、従来の乱れた姿をそのまま維持しようとする、そういう点に私どもは根本的な原因があると考えております。いろいろ具体的問題についての話し合いを要求してきておりますけれども、決してその話し合いを拒否しておるわけではない。ただ向こうが集団的な団交を要求してきているので、そういうことでは話し合いにならない、ほんとうにじっくり話し合いのできるような場をつくりたいということを言ってきておりますが、その点についても、当初から集団団交多人数の代表者による団交を要求してきて、実質的な話に入らないというような状況であります。援護会としては、たとえば部屋割り等の問題については、よくこちらの計画も説明し、また学生の主張を実質的にどう生かすかということについても、よく相談したいという気持ちはあっても、そういうような具体的な問題については入らない。また寮費の引き上げ等についても、これは単に学徒援護会の学生寮の問題だけでなくて、国立大学の寮一般の原則をここにも適用しようとする問題であるから、その点についても理解してほしいという立場から話を進めたいと思っておりますけれども、なかなかそういう具体的な問題に入らない。その他いろいろな点がありますけれども、要するにこの問題の発端というよりも、今度の問題が起こったのは、そういった集団団交ということの形に固執してきてなかなか中身に入らないということと。それから、この集団団交を要求し、それをこちらがいれないときに、事務室を占拠し、バリケードをつくって出入のできないようにするとか、役員をかん詰めにするとか、そういうふうないわば暴力を用いて自分らの主張を貫こうとするようなことが現実に起こったのであります。そういう事態に対処しては、これはもはや警察権にたよらざるを得ない、こういう判断に立って援護会としては警察官の出動を要請されたのであります。  大体以上のような経過でございますが、なお詳細については学生課長から説明したいと思います。
  118. 坂本泰良

    ○坂本委員 課長説明を求める前に、ただいま局長の説明は、ただ管理運営の問題とか、集団的話し合いとかいう抽象的なことばかりなんですね。それじゃ何もわからない。だから、管理運営に問題があるというのなら、管理運営のどの点、どの点、どの点に問題があるかという点の指摘と、それから集団的話し合いなんて、それは新聞なんかにはそんなことを書いてあるけれども、しかしながら、六百名に達する学生の中には、それの自治会としての代表があるのは当然のことです。従来交渉としてやっているのだから、そういう点についての従来の運営をどうやっていたか、その運営に反するようなことが、どういう違う点が起こってきたか、その点をあわせて御説明願いたいと思います。
  119. 杉江清

    ○杉江説明員 いまの当面の問題を向こうの要求に即して具体的に申し上げますと、管理運営の点は、先ほど私が申し上げましたように、入退寮について学生がほとんどその実権を持っておったという点が最も基本的な問題点であります。その他については学生課長から説明いたさせます。
  120. 笠木三郎

    ○笠木説明員 ただいま局長から一番基本的な点についての御説明があったわけであります。特に会館の運営自体についていろいろ問題があるという点につきまして、ただいま局長の申し上げた入寮あるいは退寮についての手続の問題、あるいはそこの責任の所在の問題ということが一番基本的であることは申し上げたとおりでございます。  それから第二点といたしましては、特に寮の運営費につきまして、これは学生が支払いますいわゆる寮費にあたる金と、それから国から補助金を出しておりますが、その国の補助金による経費と、それを合体して寮の運営費に充てているわけでございますが、これの会館への配分につきましても、従来は実際問題としては学生の側の委員の手にあったという状況であったわけでございます。これはやはりその補助金の予算の執行という点に関連いたしまして、その責任を持っております援護会の立場というものの所在をはっきりするという意味から申しまして、従来非常に問題点として考えられておった点でございます。  それから第三点といたしましては、いわゆる経費の負担区分でございまして、これは寮で生活をいたします場合に、そこに営まれます生活関係の経費につきましては、これも基本的には、いわゆる会館の維持管理に関する経費は設置者である学徒援護会が負担するのが当然でございますが、いわゆる寮生の個人的な生活に関する経費につきましては、これは他の学生との負担均衡という問題もございますし、当然個人の負担になるべき性質のものでございますから、その点につきましても従来は設置者である学徒援護会がいわば持ち出しの形でございまして、その点についても負担区分の明確を欠いておったということがあったわけでございます。これも早晩修正いたしまして、あるべき姿に直すということが必要な点でございます。  大体根本的な問題は以上の三点でございます。その他まだいろいろ付帯的な事項はございますけれども、一番基本的な問題だけを取り上げて申し上げました。   〔唐津委員長代理退席、委員長着席〕
  121. 坂本泰良

    ○坂本委員 管理運営についての三点についてはわかりました。  そこで移転の問題についての重要な点を伺いたい。
  122. 笠木三郎

    ○笠木説明員 代官町にあります東京学生会館、これは援護会の本部と、それから学生相談所を含めた施設になっておりますが、この代官町の一帯がいわゆる北の丸地区といたしまして、将来森林公園として首都圏整備計画に入っておるわけでございます。そこでこの森林公園としての整備計画に即応いたしまして、学徒援護会の移転という問題が実は昭和三十六年ごろから話があったようでございます。それがその後いろいろ曲折を経まして、今年度の学徒援護会への国庫補助の予算にその移転に関する経費が計上されまして、これに基づきまして移転を年度内に完了するという計画を現在進めておるわけでございます。
  123. 坂本泰良

    ○坂本委員 その移転を進めるというのは、どういうふうに進められておるのですか、現在六百何名ですか収容しているのをそのまま全部収容する、そういうような設備ができるのかどうか、そういう点についてはいかがですか。
  124. 笠木三郎

    ○笠木説明員 この新しい建物自体はこの九月に着工いたしましたばかりで、年度末までの間に竣工するわけでございますが、計画といたしましては、現在学生会館の中に収容しております学生の収容定員は六百十五名でございますが、これを新しい建物に移した場合には六百二十名の収容ということを考えておるわけでございます。大体学生会館の部分の坪数といたしましては、現在の代官町の建物の関係部分は約千八百坪強でございますが、新たに移転します場合の移転先の関係部分の面積は大体千九百坪強でございまして、収容定員及び総坪数はいま申し上げたとおりの関係になるわけでございます。
  125. 坂本泰良

    ○坂本委員 いまお話しのとおりであれば、何も団体交渉をして異論があるはずはないと思うのです。そこに異論があるところに問題があると思うのです。この移転問題については、実際はそれとは違うんじゃないですか。その点が一つと、それから、この管理運営の問題について三点あげられたのですが、これをいままで十何年運営してやってきておるわけでありますが、いま三点の入退寮の問題、これは学生が自治的にやっても、私は実態はまだ知らぬけれども、大した問題はないと思うんですよ。もちろん、予算の執行は援護会がやらなければいかぬでしょう。しかし、それを六百名もの学生が入っているんだから、それが自治的に代表者を選んで運営するというふうにやってきておる、それを何もいま改める必要もないんじゃないかと思います。それから経費の負担の区分も、個人的の負担の部分を明確にしてやれば、そういう点は問題ないと思うんですよ。それを団体交渉で否定しているのは、何かあなた方のお話は聞いたのですが、自治会のほうでの要求はこれに対してどういう不当な点があるわけですか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  126. 笠木三郎

    ○笠木説明員 第一点の移転の問題につきましては、ただいま私が概要を申し上げたとおりでございまして、そのほかに特別な理由があるとは私は存じません。  第二点の管理運営の問題として、先ほど申し上げました点についてのお話でございますが、先ほど大学局長から概要の御説明がございましたように、管理運営の基本的な原則といたしましては、やはりその施設を設置し、管理運営する責任を持つ者がその責任を十分にとれるような、そういう形にするということが基本でございまして、現在のいわゆる学生の自主的な処置にまかしておる部分と申しますものは、私どもの判断では、これは援護会の判断も同様でございますが、これはいわゆる学生の生活の自治の範囲を逸脱しているというふうに判断するわけでございます。と申しますのは、もう少しこまかく申し上げますと、たとえば入寮の問題につきまして、これはこの会館の設立当時におきましては、たとえば援護会の当局の担当者が学生の立ち会いで共同して面接選考するというふうな形態があったそうでございます。この形態そのものがいいかどうかは別といたしまして、その後現在では、自主的な選考には会館の当事者はむしろ全然立ち会うことができないという状態でございまして、その自主的に選考されました者の名簿そのものも、これは事後に報告することが普通だと思いますけれども、それも通常には行なわれていないというふうな状況があるようでございます。そういう状況があるということは、やはり管理運営上の問題としては、これは正常な姿ではないというふうにどうしても考えざるを得ないということでございます。したがって、その他いろいろこまかい点がございますけれども、全体といたしましては、管理運営の責任の所在を明確にするということをやらない限り、援護会が学生会館の管理についてもし不測の事故でも起こりました場合責任がとれないような事態に立ち至るおそれがあるということでございます。  それから、経費負担区分の問題でございますが、これはもう少し詳しく申しますと、大体会館の経費につきましては、諸事国立大学並みという考え方でございます。ただ、実際問題といたしましては、たとえば長崎におきましての学生会館の館費は月額三百円でございまして、そういう例もございますように、完全に国立大学と同一で行なわれているわけではなくて、違った面で従来取り扱っていたという面も出ております。と申します意味は、実は最近まで国立大学の寮は全部月額百円でございました。これが本建築の建物になりましてから、その本建築の分につきましては月額三百円という形になったわけでございますが、この両者がただいま並行している形でございます。ところが、学生援護会におきましては、たとえば東京では現在月額百二十円の寮費を取っておる。それから長崎では、いま申し上げたような三百円の月額をいままで取っておったというような例がある点でございます。そこで、いまの国立大学並みという観点で経費の負担区分をきめておりますので、先ほど申し上げたことを繰り返して恐縮でございますが、原則としては、設置者である施設の経営者がその責任において維持管理する費用は設置者が支弁する。つまり、大部分は国費、つまりは国民の税金ということでございます。ところが、それ以外の個人がどの場所におろうと、自分の生活についてかかる経費というものは、当然その個人々々が負担すべきであるという原則であることでございます。  以上でございます。
  127. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで、こういうことについて、団体交渉は何回くらい持たれたんですか。そうして、あなた方の主張はわかりましたが、学生の側の自治会と申しますか、学生の側の主張はどんなものであったか、その点を。これの一、二、三、それに付随しての移転問題に関連しての学生の主張の点をお伺いしたいと思います。
  128. 笠木三郎

    ○笠木説明員 学生側からの移転問題につきましてのいわば反対理由としてあげてまいりました事項は、援護会の報告によりますと次のようなものでございます。大体五点ございまして、第一点は、新しい会館の入札、着工の即時中止。第二点は、会館施設の現状維持。第三点は、入館定員六百二十名の確保。第四点は、自治権の規制反対。第五点は、経費負担区分の強化反対。以上五点でございます。大体第一点から第三点は直接移転に関連した問題。それから第四、第五点は、基本的な寮の管理運営の原則に関する問題というふうに判断されるわけであります。  八月末にこの反対理由が出てまいりまして、これに基づいて理事者側の見解をただすという形で、いわゆる集団団交の要請があったけれども、そのいわゆる集団団交としての動きが具体的にございましたのは八月三十一日、九月三日、同じく七日、八日、十四日でございます。その場合に、援護会の理事者側といたしましては、先ほど大学局長から申し上げましたように、一般的には、具体的な学生の意見あるいは希望というものは、許す範囲において取り入れたいという考え方、具体的には、たとえば新会館の部屋割り等についてはなお具体的な意見を出すようにということも申したようでございます。ただ、その集団団交に代表としてまいりました学生の言い方といたしましては、これを相当多数の、具体的には六十人以上だそうでございますが、そういう多数の代表が事務室理事者側と面会をしたという要望のようでございまして、理事者側といたしましては、何ぶん狭い事務室でございますので、そういうところで非常に多数の学生と面接をするということは、事実上会の一般的な事務の運営に支障を来たすという観点から、むしろ場所をもう少し広い、たとえば食堂のような場所に移して、そこで十分な話し合いをしたい。その場合も、できるだけ代表者はしぼって十分な意思の疎通が行なわれるようにしたいという希望を表明したようでございます。ところが、この点につきましてまず最初の意見の食い違いがございまして、そのために実質的には関係の学生代表が事務室にすわり込むというような状態をとったわけでございまして、そういう状況が続く限りにおいては、援護会の理事者としても話し合いの余地がないのではないかという判断に立って、その旨を申し伝えたわけでございます。これを学生代表側がいれるところとなりませんで、御承知のように、先ほど言いました五回の機会に、いずれもトラブルが相当な規模として生じたわけでございます。  以上のような経過でございます。
  129. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで、この団交は八月三十一日と九月三日と七日と八日と十四日、これだけですか。その前にはなかったのですか。その点いかがですか。
  130. 笠木三郎

    ○笠木説明員 いわゆる大規模な形での集団団交という要請ではございませんで、日常のいろいろ話し合いたいという機会はもちろんその前にもそのあとにも続いていると思われます。その一々については私、詳細に存じませんけれども、特に先ほど述べました五回が、この移転問題に関連いたしまして一番強くそういう形としてあらわれたわけでございまして、この点だけにしぼって申し上げたわけでございます。  なお、八月の初頭に、援護会の理事者側では全会館生を対象にこの移転関係の計画大要について説明会を催したそうでございます。
  131. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで御質問したいのは、八月初めかその前から、援議会のほうでは麹町警察ですか、そこに話をして、私服の刑事なんかを数名ずっと要請して入れていた、そういうことはありませんでしょうか。
  132. 笠木三郎

    ○笠木説明員 援護会の理事者といたしまして警察官に対する発動の要請をいたしましたのは、先ほど局長から申し上げた時期でございまして、その以前にどのような形態であったかということについては私、承知しておりません。
  133. 坂本泰良

    ○坂本委員 問題は、九月三日に初めてこういう現象が起きたのではなくて、その前から援護会のほうでは話し合いを拒否し、私服の警察官等を入れて学生の素行、日常の行事とか、そういういろいろなことを調査をする、こういうようなことをやっていた。そういうのから自然と話し合いもこじれてきておる。こういうようなことがあったから、自然と話し合いもだんだん先鋭化したと申しますか、つかない。こういうことになったのではないかということと、時間がありませんから、もう一つは、移転移転と言いますけれども、あそこは移転の内容についてはいろいろあるようですが、森林公園にするから移るのだというようなことを言っても、その中には警視庁の第一機動隊がおるし、皇宮警察宿舎があり、新たに科学技術振興財団が科学技術館をつくるというのだから、結局森林公園ではなくて、森林公園という名前のもとにここを移転して、移転すれば非常に不便ですわね、いろいろな点から。それだから援護会や文部省の言うことと実際やることが違うから、そういう点について学生側のほうでは反対をして、もっとやるならば――大学生で、小学校、中学校の子供と違いますから、もっとほんとうの森林公園をつくるべき姿でやるべきである。それをただ寮だけを移転して学生を困らせる。こういうような点があるからこの問題がこじれてくる。こういう点があるというふうにも考えられますが、その点はいかがでございますか。
  134. 笠木三郎

    ○笠木説明員 移転問題につきましては、先ほど御説明のありましたような経緯によりまして、学生援護会及び文部省の私どものほうの立場といたしましては、首都の整備計画に基づく森林公園の設置という公の目的に協力するというたてまえをとるのが当然だと思いますし、同時に、これは私の見解でございますが、学生援護会の現在の代官町の建物自体が、御承知のとおり旧近衛の兵舎あとでございまして、きわめて、不備な建物でございます。たまたまその全体としての公の目的に対応するということと、その機会に新しいもっと施設の完備したものをつくるというその二点で、この移転計画そのものに踏み切ったわけでございます。
  135. 坂本泰良

    ○坂本委員 その内容等は、もう時間がありませんし、これはまた文教委員会の問題かと思いますから。私はこの九月四日以来の不当な警察権の発動、そうして学生側を逮捕したり、あるいは公判を請求したり、こういうふうにして、いわゆるたな子いじめ、もちろんこの援護会の学生寮に入っておるのは金持ちはいないでしょう。あるいはアルバイトをして勉強をしておるのもたくさんおるでしょう。そういうようなものであるから、もっと合理的な方法をもって、また結果を得るような方法をしなければならないのを、そうでないからこの問題が起きておる。こう思うわけですが、それはまた後日に譲りまして、問題の点だけをあげておきたいと思うのです。  九月の二十一日に文部省の主催で、この学徒援護会の学生会館に入っておる各大学の関係者を集めて、そうしてその結果に基づいて、一つここに書面がありますのは、昭和三十九年九月二十八日に東京電機大学学生部長藤田豊、学徒援護会学生会館在宿学生父兄各位、こうしまして書面を在宿学生の父兄に出しておるわけですが、そういうことがありますかどうか。
  136. 笠木三郎

    ○笠木説明員 九月二十一日には、御指摘のとおりこの会館でお預かりいたしております学生の所属大学、これは全部ではございませんが、そのうち比較的多数の学生をお預かりしておる大学に対しまして、御懇談という形で、援護会それから各関係の大学及び私どもの間でいろいろこの問題についての御相談をしたわけでございます。これはまあ日常的に行なわれるべき問題でございまして、と申しますのは、この会館に収容いたします学生は、もともと各大学から御推薦を願って、そうしてその大学から推薦された志望者のうちから選考するというたてまえでございますから、したがって、その学生の身元なりあるいは教育上の指導なりは、絶えず援護会といたしましては、この所属大学のほうと密接な連絡をとる必要がかねてからあるわけでございます。これは以前からその必要性があげられておりまして、その試みも何度かされております。おりますが、特にこういう問題を契機にいたしまして、いろいろ社会的にも影響がある問題でございますし、各大津のほうでも十分実情を知っていただくという意味におきまして、その実情の御報告、それから各所属大学におかれて、それぞれの学生に対する指導なり助言なりという形を十分にお願いしたいという御依頼をかねてそういう懇談会を催したわけでございます。  それから第二点の、東京電機大挙の関係者のほうから各父兄に対しまして文書が出たという趣については、私ども直接には承知しておりません。ただこれもやや私見でございますが、やはり大学のほうから、お預かりしていると同時に、特に遠隔地等に父兄がそれぞれの学生におられるわけでありますから、そういうお預かりしている立場の者がその父兄に対しまして、特にかような問題が起こって、あるいは非常な心配を感じておられるかもしれないという時期に、実情についてのお知らせをすること自体は、これは当然のことと思うわけであります。
  137. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで九月二十八日の懇談会に出られた学校の名前と、こういう知らせをするのは当然だとおっしゃるのですが、現在までこういう知らせば何回くらい出されたか、この二つの点について……。
  138. 笠木三郎

    ○笠木説明員 その懇談会にお集まりいただきましたのは、数では二十一大学でございますが、いま手元に具体的な大学名の資料を持ち合わせておりませんので、ちょっと具体的な名前についてはいま申し上げかねます。  それから父兄に対しての御連絡は、いまのお話の場合は大学のほうからお出しになった趣でございますが、その以前にいろいろな問題で、父兄のほうへそういう形で文書がいったかどうかということについては、私承知しておりません。
  139. 坂本泰良

    ○坂本委員 こんな文書はいままでは出したことはないのじゃないですか、今度初めてじゃないかと思うのです。そこで二十一校の名前だけもこれはすぐわかるから、本委員会に書面でいいですから出してもらいたいのですが、委員長いかがですか、懇談会に集まった学校の名前、ようございますね。文部省のほうはいま持っておらぬというから書面でけっこうです。
  140. 笠木三郎

    ○笠木説明員 資料として御入用でございますれば提出いたします。
  141. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこでこの手紙によりますと、私が聞こうとするところだけを二カ所だけ読みますが、「拝啓、仲秋の候愈々御清栄慶賀申し上げます。さて、御保証の電大在学何々君は、」これは人の名前をあとで入れるのですが、「学徒援護会東京学生会館に在宿中でありますが、近頃新聞紙上或は御子息からの消息で御承知と存じますが、一部の学生自治委員が、学徒援護会に対し、妄動し騒ぎがあります。これについては、正しい事情が伝達されているかどうか疑わしいので、簡単に御知らせ致します。」いろいろ文部省とか学徒援護会のことを書いてありますが、「、しかるに宮城附近が自然公園となり、学生会館附近の警察学校その他は移転し、日本武道館(オリンピック関係にもなる)科学技術館以外は、森林公園の延長となることになり、この関係もあり、国有地の新宿の下落合にコンクリートの学年会館を新築し」こういうことがありますが、警視庁第一機動隊とか皇宮警察宿舎なんかはまだあるわけですね。そういうことは書かずに、ほとんど移転してしまったから全部移転すべきだという文句がある。「ところで、各大学の学生が在宿しているので、御承知の全学連(共産革命を目標とする学生自治会連盟)の各派のベースキャンプみたいに多年になっていました。その関係から新学生会館に移ると、従来のような自由勝手な活動が出来ないこと(各大学学生部の要望で、各大学の学生寮の如く正しい学生寮生活をやらせたい)その他から、適当な名目をつけ、特殊なグループの学生がリーダーになり学徒援護会に反対し、新聞にのる如き乱暴な行為を再三なし、各大学の自治会や、学友会にも応援協力を求めて、あくまで反対している次第であります。幸い電大学生は軽率な行動はして居りません。」こういうようなことを書いてあるわけですが、六百名の学生が、あるいはアルバイトをし、まじめに勉強しておる。あるいはここに書いてあるような人があるかもしれませんが、しかしながら、六百名もおれば、まじめな人――まじめと言っちゃ語弊があるが、勉強したい者は勉強して、自分たちが住まっているところの問題の交渉は委員にまかせる。また委員になる人は、非常にめんどうだけれども、多少はそういうのが好きだからやるのですね。われわれも委員をやったことがあります。しかし、大部分の者は、委員にまかせるから、アルバイトをし、あるいは勉強している。そういうのが六百名の中のほとんど大部分と思うのです。そういうのにこういうような書面を「在宿学生父兄各位」といって出す。こういうことは父兄を扇動して、早く学生をそこからほうり出してやろう、こういうようなふうに見えるわけです。われわれの言いたいこと、やりたいことは委員に一切まかせて、委員がやってくれるから、われわれはアルバイトしながら勉強する、こういうのが大部分だろうと思う。それをこういうようなことをやるということは、文部省自体が、学徒援護会自体が、学生を安い寮に入れて勉強させるという目的をはずれたような行為じゃないか、こういうふうに思うのですが、その点いかがですか。
  142. 笠木三郎

    ○笠木説明員 ただいまの大学から出されました文書そのものの内容につきましては、先ほど申し上げましたように、私ども内容を承知しておりませんが、これは大学の御判断なり責任でお出しになったものと考えます。  その会館の学生の動向それ自体についての援護会なり文部省の見解というお尋ねでございます。私どもとしては、相当多額の国費をつぎ込んでこの事業を営んでいる以上は、その目的ができるだけ学生の修学に資するような事業としてこれを発展さしていくことが望みであることは、これは当然のことでございます。私どもといたしましては、御指摘のとおり大部分の学生はいま先生のおっしゃったような気持ちで勉強に励んでいることと思います。ところが現実には、一部の学生でございますけれども、現に理事者側を軟禁の状態に置いて、その間にばりざんぼうをほしいままにするというような事態があったことは、これは残念ながら事実でございます。それと、先ほど来申しておりますような寮の管理運営の原則に対しまして、これを拘束するような、そういういわゆる自治権というものを主張することは、これはやはりその施設の管理運営の名分を正す意味で、これは許容できない問題だと考えます。したがって、私どもといたしましては、個々の学生がどういう思想信条を持ち、あるいはどういう政治的な意見を持とうと、それに関与するつもりは毛頭ないことはこれは当然の話でございます。ただ、そういう学生の一部が特定の立場に立って管理運営の原則に反対し、あるいはそれに名をかりて、いろいろな暴行類似の行為をするということ自体が、これは当然許すことのできない問題でございまして、その理屈はいかにあろうと、その方法においてそういうふうな手段を用いますことは、これは日常の社会生活のルールから考えましても、容認はとうていできないわけでございます。  以上のような考え方に立ちまして、援護会は、いまその会館の管理運営の姿勢を正すということに努力を傾けているわけでございまして、その間には、先ほど来局長からも申し上げましたように、援護会の理事者といたしましては、できる限りの範囲において具体的な問題についての学生側の意見は取り入れたいという心がまえを持っているわけでございますが、いかんせん、その具体的な話に入る前の段階で、ただいま激突が行なわれているというような様相を呈しているわけでございます。この事態は非常に遺憾でございますけれども、一方では、そういう原則的な問題について筋を曲げるということはできませんし、気持ちといたしましては、先ほど申しましたように、学生の修学環境をできるだけ整備するという観点に立っての努力でございますので、その点につきましては、むしろ全体の会館の学生諸君が十分その気持ちを了解いたしまして、できるだけよい会館の整備という点に協力をしてもらいたいというのが援護会並びに私どもの偽らざる気持ちでございます。
  143. 坂本泰良

    ○坂本委員 あなたの話を聞いていると、いまはやりの道徳の先生のお話みたいですが、六百一名もおる。これは居住しておるから、そうしてその上で勉強しておるわけですから、いかにえりを正すと申しましても、やり方があると思うのです。そうしてまた、自分たちのやることは事実に反しているようなことを、ことに機動隊のあれなんかは、移転したなんということを言って、そうして学生だけえりを正してどうこうしろなんと言ったって、なかなかそう具体的な問題はいくものじゃないと思うのです。これはやはり文部省が一番権力者というわけですが、権力的に学生を支配して、こう考えるからこうしろ、いままでだらしなくやってきて、すぐあしたから姿勢を正すんだといっても、なかなかそうは各個人の家庭生活でもいかぬと思うのです。ましてや、学生が六百名も住んでいる。そうしてそれを根拠にして勉強しておる。その寮の移転等については、さらにその運営管理については、直ちにこれが本筋だからこうしろというのではいかない。やり方があると思うのです。そういうのだから問題が起こると思う。この問題については、これは文教委員会とも連絡して究明されると思いますが、時間がないからそれだけお聞きしておきます。  そこで警察庁のほうにお聞きしたいのですが、いまみたような交渉の経過等では、共産党を弾圧するというような目的なら別ですけれども、六百名の学生寮の移転問題、管理運営等の問題について、これくらいの交渉その他では、直ちに私服を入れるとか、警察官の機動隊を派遣して検挙をする、こういうような情勢は、私は何度も言いますように、普通の民事判決、長年争ってその明け渡しの判決によって執行する場合においても、執行吏は法律に基づいて警察官の要求ができる、あるいは公安官、自衛隊の出動でもできるというように法律上はなっておる。しかし、それは一ぺんもやったことがない。そういうような現実に反して、この問題だけについては権力的にやってくる。援護会に対しては民主的なスムーズな団体交渉はあるいは最初からできないでしょう。できるようにしむけるのがあなたたちの任務ではありませんか。それをせずにして、そうして直ちにそこにあらわれた現象をもって警察権の発動をする。私は、これはやはり民事問題にひとしいものである、だから直ちに警察権を発動すべきものでないと思うのですが、その点はいかがですか。
  144. 後藤信義

    ○後藤説明員 これは、この前も当委員会で私から先生の御質問のときにお答えしたとおりでございまして、先生お話しのように、もともとこれは、この問題に端を発したわけでありますけれども、しかし、あらわれました形態は、先生がおっしゃるように、この程度では警察権を発動するのには当たらないというような状態ではないと私どもは考えるわけでございまして、その詳しい状況はこの前の委員会で申し上げたとおりでございます。これは通常の形態におきまする集団の交渉と言いますか、そういうかっこうでありましたならば、これは私どものあえて関知するところではございませんけれども、多数の者がすわり込みをしたり、あるいはバリケードなどを築いて、自己の主張を貫徹するまでは立ちのかない。用便をしたいという要求に対しても、要求を通すまでは立ちのかない、そこでやれといったような手ひどいことばまでも浴びせているようでございますし、さらに理事者に対しましては、腹などをこぶしでもってこづいたり、あるいは机の上のどびんを取り上げて水をかけるというようなことをやっておるのでありますから、これらはとうてい通常の形態における平穏なる交渉であるとは考えることはできないのでございまして、これは本来私どものほうでは、要請がなくても、こういう状態がわかりましたならば当然警察権の発動をすべき事案であると考えております。  それからまた、いま先生繰り返し民事卒件について立ちのきの場合に警察が出た例がないということをおっしゃるわけでありますけれども、かりに家屋の立ちのきの問題がありました場合においても、執行吏が参りました場合に抵抗がある場合におきましては、御指摘のように民事訴訟法の規定によりまして、警察官が出動してその妨害を排除するということは当然やるわけでございます。したがいまして、私ども、具体的に先生がどういう理由で要請をなさったのに警察官が出動しなかったのか、その辺は具体的な例を調べないとわからないと思いますが、もしかりに暴力をもって執行吏に対して抵抗するというふうな事態になって、なお警察が出ないというようなことは、とうてい私どもは考えられないと思っておるわけでございます。
  145. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういう民事事件の場合は警察が出ないし、泣き寝入りするわけなんですよ、家主は。そういう状態なんです。それを暴力が起きてからあとに出てくるというようなことは、民事事件は警察があとから出てきても間に合いませんよ。ただ私が不審に思い、警察で自制しておいてもらいたいのは、やはりその民事関係、そういう個人の生活あるいは学問に関することは、相当事実を把握した上でないと、ただ一方の理事者から要請があったからそうだといって出動すべきではない。出動すると、まとまるべき話もまとまらないし、スムーズに済む話し合いも進まなくなる。それが挑発というわけでしょう。挑発をする、そういうことがないようにしなきゃならぬ。遺憾ながら、この九月の三日、七日の事件については、そういう点があるということを私は指摘しておるわけです。  そこで、もう一つ聞きたいのは、麹町警察署から千代田区役所に対して、学徒援護会の集会、これは許可してくれるな、こういう申し入れを千代田区役所にしておるそうですか、そういうことは警察としてはやるべきものじゃない。そういうことが、警察がそういうふうに集会もさせない、一方的の方法だけ肩を持つというから、問題はこじれてくる。そうしてその犠牲者は、学生が逮捕されて裁判を受ける、こういうことになるわけです。そういうことにならないようにするのが警察の目的だと思う。それを、そういうのが出るように挑発するという権力的な行使は、私は、もう少し慎んでもらわなきゃならぬ、そういう点を指摘しておるわけなんです。そこで、麹町の警察署から区役所に対して、許可してくれるななんということは、これは言えないはずと思うのですが、もしそういうことがあったとすれば、それはどんなものですか、その所見を最後に伺っておきたい。
  146. 後藤信義

    ○後藤説明員 私、そういう要請をしたかどうかという話を聞いておりませんが、おそらくそれは、あるいはかりにそういうことがあるとしますならば、ある具体的な場合、それから場所において、そういう集会を認めることが一種の公安と申しますか、治安維持上思わしくない、適当でないと考えたために、そういうことを場合によってあるいはやるかもしれぬと思いますが、かりにそうでありません場合でも、御承知のように、東京都には公安条例もございますので、その方面で必要な規制はできるはずであると思いますので、どんなことになっておりましたのか、具体的な例をよく調べてみないとわからぬと思います。
  147. 坂本泰良

    ○坂本委員 これは、まだ集会あるいは集会をするであろうという予測のもとに、警察のほうから、もしそういう申請が出ても許可せぬようにしてくれ、学生自治会からの問題についてはやってくれるな、そういうことだから、そういうことは、どの公安条例を見ても、内容はよく知らぬけれども、基本的にあるべきものじゃないと思うのです。そういうことをやっておる。それがいけないと思う。そういう点については、今後ひとつもっと、規則は規則、その運営等についても乱用をしないように、また挑発をしないように、特にまだこの問題は、これからの問題だと思うのです。文部省の報告を聞いても、まだこれから話をしなければ、えりを正すといって、道徳のお話のようなことを言って、学生はこうしろと言ったって、そうはいきませんよ。まず文部省から考え直してもらわなければならぬ。そういうためには、これはやはり六百名の代表の自治会と援護会の者と話し合いをしなければならぬ。スムーズに話し合いをするようにしなければならぬ。それについては、文部省としてもあるいは警察庁としても、十分注意をしてやってもらわなければならぬ。ただこの際、あの学生を引っぱってぶち込んで裁判にかけてやろうなんということを考えたら、これは国家の破滅ですよ。そういう点を十分考えて今後善処してもらいたいと思うのです。警察庁刑事局長のこともありますけれども、時間のあれがありますから、これで打ち切ります。
  148. 濱野清吾

  149. 大竹太郎

    大竹委員 坂本委員のこの間、それからきょうの御質問で、大体事案の全貌がわかったような気がするのでありますが、この基本的な問題について、どうもわからない点がありますので、一、二お聞きしておきたいと思うわけであります。  それで、まずこの学徒援護会の内容でありますが、これは新聞等で見ますと、財団法人ということになっておるのでありますが、一体この財団法人学徒援護会の設立の趣旨というものは何でありますか、ちょうど文部省が見えておりますので、ひとつお聞きしておきたいと思います。
  150. 杉江清

    ○杉江説明員 戦後のあの荒廃した社会において、学生の生活はあまりにみじめでした。宿泊施設もきわめて不足しているし、また衣食住ともにまことに恵まれない状況でありました。そこで、学生の福利厚生は、これは座視するに忍びないということで、寮の建設、それからアルバイトのあっせんその他生活についての相談等を、こういう財団法人という形でひとつ十分親身になって世話しょう。それで、寮については、たまたま軍の施設等もあったわけでありますから、それらをひとつとりあえず学生の寮にしょう、こういうふうな趣旨で発足したものであります。現在、その寮については、東京以外にも数カ所持っているわけであります。そうしてまた、その事業は、単に寮の設置のみならず、就職あっせん、アルバイトあっせんその他生活相談等についてもやっておるわけでございます。
  151. 大竹太郎

    大竹委員 そうすると、これは戦後じきのころだと思うのでありますが、この設立の年月日、それから、その後かわっておりましょうが、現在の理事者の名前、これはどうなっておりますか。
  152. 笠木三郎

    ○笠木説明員 学徒援護会の設立されましたのは、現在の形での設立は昭和二十二年でございます。その前身といたしまして、勤労学徒援護会という名前で法人としてありました期間がございまして、その勤労学徒援護会としての法人の設立は昭和二十年でございます。  それから、学徒援護会の役員でございますが、これは現在常勤の理事は三名でございまして、理事長は生悦住という方でございます。それから常務理事は、下村という方と河合という方でございます。
  153. 大竹太郎

    大竹委員 いまのは常勤の役員だけでありますが、これは会長というのでありますか、そういう人もあると思いますが、そのほかの役員の方はどうなっていますか。
  154. 笠木三郎

    ○笠木説明員 非常勤の役員といたしましては、会長が高橋太郎先生でございます。それから、その他の非常勤の理事といたしましては五名ございますが、東俊郎先生、伊藤日出登先生、柴沼直先生、村上俊亮先生、それから杉江大学学術局長も非常勤の理事としておられるわけでございます。以上が非常勤の理事でございます。
  155. 大竹太郎

    大竹委員 その次にお聞きしたいのでございますが、この経理内容と申しますか、これは年々違ってくるわけでありますが、ごく最近の経理内容についてちょっと御説明を願いたいと思います。
  156. 笠木三郎

    ○笠木説明員 学徒援護会の財政の事情につきましてごく概要を申し上げますと、先ほど来御説明申し上げましたように、ほとんど事業費の全額、これは人件費、物件費を含めてでございますが、ほとんど全額を国庫補助金によっているわけでございます。一部会館の寮生のいわゆる館費、寮費に当たるものでありますが、それなどの収入がございますが、これは全体から申しますとごくわずかでございまして、ほとんど全額国庫補助であると考えられてよろしいわけでございます。具体的な金額は、昭和三十八年度で申し上げますならば約一億程度でございまして、これは先ほど申しましたように、人件費等を含んでおりますのと、それからその物件費の使途も、学生会館それから学生相談所、その他援護会の営んでおります一切の事業に要する経費をまかなっているわけであります。
  157. 大竹太郎

    大竹委員 いま昭和三十八年度総額一億ということでありますが、それなら、そのうち国庫補助は幾らくらいになっておりますか。  それからいま一つ、大部分が国庫補助だというお話でありますが、もちろん財団法人でありますから、できるときには寄付行為によってできたのだろうと思います。設立当時の財産とでも申しますか、あれは大部分国庫が出したのでありますか、だれか篤志家が出したのでありますか。その点はどのようになっておりますか。
  158. 笠木三郎

    ○笠木説明員 昭和三十八年度の全体の事業経費の中で補助金の占める割合でございますが、このいわゆる国庫補助以外の収入が大体四、五百万程度でございます。残りは全部国庫補助金でございます。  それから設立当初におきましての基金がどのような形でまかなわれたかということにつきましては、実は私、いま詳細に材料がございませんけれども、たとえば学生会館の整備等に要しました経費は国庫補助金でまかなっているわけでございますから、基本としては資産の主要な部分はやはり国庫補助金によっていると考えてよろしいかと思います。
  159. 大竹太郎

    大竹委員 そうするともこの建物、たとえば東京の学生会館を例にとりますとも東京の学生会館の建物、敷地というようなものはもやはり国有財産でありますか。
  160. 笠木三郎

    ○笠木説明員 東京の学生会舘は、これはいわゆる本部と、それから東京第一学生相談所というのと合わせて一体になった施設でございますが、この土地建物は全部国有財産でございまして、これを借用しているわけでございます。ただ、その他の学生会館、相談所等におきましては、大部分が会所有のものでございまして、一部やはり国有財産の借用という形をとっているところもございます。
  161. 大竹太郎

    大竹委員 次に、この学生会館のことでちょっと二、三お聞きしたいのでありますが、大体学生の収容人員が六百十五人だというようにさっきおっしゃったのでございますが、学校は何校ぐらいになっておりますか。
  162. 笠木三郎

    ○笠木説明員 東京学生会館の場合は、八月末現在で三十九校でございます。
  163. 大竹太郎

    大竹委員 それで、この点は一番大事な問題だろうと私は思うのでありますが、ここへ入寮する資格とでも申しますか、条件とでも申しますか、そういうものは一体どういうことになっておるのでありますか。
  164. 笠木三郎

    ○笠木説明員 現在の段階におきましては、東京の場合においては特に学生の自治と申しますか、そういうことによって選考されておりますので、その具体的な条件につきましては実は正確なところはわからない点もあるわけでございますが、基本的な態度として設立当初以来考えられておりました条件は、第一は東京において他に親戚、知人あるいは下宿等の便宜がない者、それから第二点といたしましては経済状況が比較的悪い者ということがとりあえずの大まかな考え方だったようでございます。
  165. 大竹太郎

    大竹委員 私は、これがやはり非常な問題だと思うのでありますが、先ほどもおっしゃったように、東京で下宿その他がないときにそういう恩典を受けるというようなことから考えまして、その当時は相当厳重な条件と言いますか、条件よりも、むしろ申し出た人間を審査されて入れられたものではないかというふうに考えるのでありますが、それで何か管理規則とでも申しますか、そういうようなものはないのでありますか、その点はどうなっておりますか。
  166. 笠木三郎

    ○笠木説明員 東京の学生会館につきましては、いわゆる成文化された規則というものは現在の段階ではないわけでございます。地方のその他の会館につきましてはつくられておるところもございますが、全体の会館を通じましての通則というようなものも、いまだ成文化されておりません。したがって、特に東京の学生会館におきましては、いわば慣例的な選考の方式等があったわけでございますけれども、それが成文化されないままで現在に至っておるという次第でございます。
  167. 大竹太郎

    大竹委員 私は、問題はやはりそこにあるのだろうと思います。事実上なかったというのならばそれはそれといたしまして、それから学生の負担の問題が先ほど来あれになっておりますが、先ほどお聞きしますと、現在百二十円取っておるというお話で、そのほか学生個人どこにいてもかかる金は払うべきである、取らんければならぬというようなお話なのでありますが、現在はそれなら百二十円だけであと燃料費でありますとか、そのほかのものは一切取っていないのですか取っているのですか、その点はどうです。
  168. 笠木三郎

    ○笠木説明員 現在は、いわゆる館費として月額百二十円を徴収しております以外に、光熱水料等の経常費の負担についてはゼロでございます。食費につきましては、これは食堂がございまして、そこで実費で食事をしておるわけでございます。
  169. 大竹太郎

    大竹委員 それで先ほど自治会の問題が出ておったのでありますが、これはなかなかおわかりにならぬ点もあると思うのでありますけれども、一体何人くらいでどういうふうにこの自治会というものが運営されておるのですか、御承知の範囲でお答え願いたいと思います。
  170. 笠木三郎

    ○笠木説明員 詳細の点、内容は存じておりませんが、一応全体の学生を構成員といたしまして、そこから中央の執行的な役割りをする委員等を若干人あげて、そこで全体の学生の自治会というものをつくっておるようでございます。その点につきましては、各大学等につくられております自治会と形態としては大体似通った形になっておると思います。
  171. 大竹太郎

    大竹委員 自治会というようなものは、私は必要なものであろうと思うのでありますが、その人数とかあるいは名前とかいうものは管理者のほうでわかっているのですか、わかっていないのですか、これはどうなんですか。
  172. 笠木三郎

    ○笠木説明員 実質的には判明しているわけでございますが、たとえば委員の改選のたびに、だれが委員になったかという点の報告があるかどうかという点は、私、承知しておりません。ただ現在のような紛争も生じておりますので、そういう報告が経常的にはおそらく行なわれていないのではないかという感じがいたします。
  173. 大竹太郎

    大竹委員 時間もないようでありますから、移転の問題で簡単に一、二お聞きしたいと思うのでありますが、先ほど学生のほうから移転に対して五つの要求があったということでありますが、これは具体的に言いまして、移りますと、収容人員のほうは六百十五人のところを今度六百二十人収容するというのですから問題はないようでありますが、そのほかの経費の負担がどういうように変わるといいますか、変えようとしているのであるか、また自治権は、いままでの自治会の活動等に対してどういう不自由になるのか、その点を具体的にひとつ説明をしていただきたいと思います。
  174. 笠木三郎

    ○笠木説明員 新しい会館に移り接した場合の経費の負担の問題につきましては、その原則的な考え方は先ほど来申し上げたとおりであります。具体的にどの程度に実際の額がなるかと申しますことは、これは一応の試算はできておると思いますが、なお実際の会館の移ったあとの経常的な経費の算出等を待ちまして初めて具体的には明らかになると思います。しかしながら、先ほどのような原則的な考え方に立ちまして、以後経費の負担をしてもらうといたしますと、館費は、新しく入館する者については月額三百円ということでございますが、そのほかに経常的な光熱水料、それから浴室等の使用に関する実費というようなものを含めまして、現在の時点よりは実際の額としてはふえることは事実でございます。ただ、この点につきましては、従来からいわゆる受益者負担という考え方自体は、理事者側と学生のほうではずいぶん前からいろいろ話し合いが行なわれておったようでございますが、基本的には、先ほど申しましたように国立大学の寮並みという扱いでございますので、その線に即しまして、もちろん総体的には低廉ではございますけれども、設置者の負担する分は負担する分として確保し、寮生が自分たちの個人生活のための経費として消費するものにつきましての実費負担は、これは学生のほうにやってもらうというかまえで処理していきたいというふうに考えているわけなんでございます。
  175. 大竹太郎

    大竹委員 それから自治権の規制の問題についていまお答えがなかったのでありますが、いままでは管理の規則というようなものがなかったというお話でありますが、今度はそういうものをおつくりになるおつもりなのですか、その点はどうなんですか。
  176. 笠木三郎

    ○笠木説明員 先ほど御質問の点を申し落としまして恐縮でございます。自治権という問題でございますが、いわゆる生活面での自治ということは、これは教育上の意味ということも評価されますわけでございまして、これは認めらるべきものだと思っております。ただ、現在一部の学生のほうで申しておりますいわゆる自治権と申しますのは、むしろ寮という施設自体の管理運営という問題でございまして、管理運営権ということでございまして、その点につきましては、先ほど来申し上げましたように、基本的な管理運営の責任者の責任の所在ということを明らかにする意味におきまして、これは原則として対立している点でございます。
  177. 大竹太郎

    大竹委員 これに関連して、新聞等でちょっと見たのでありますが、たとえば自治会の部屋とか、そういうようなものを今度の新しいところには置かないというようなことで学生が反対をしているというようなことも出ておったのですが、これはこまかいことでありますけれども、そういうような自治会というようなものを認めないというようなお考えであるか、その点はどうですか。
  178. 笠木三郎

    ○笠木説明員 ただいま申し上げましたように、いわゆる生活面の自律的な規制という自治につきましては、これは教育上の意味もございまして、これは必要な問題だと考えております。したがって、そういうふうな形の自治会というものがございますならば、それのたとえば集会に要する部屋等の問題は当然考慮しなければならぬ問題でございます。現在のところ承知しております限りでは七いまの設計関係では特に自治会事務室というふうな銘を打ったスペースは特に用意されてないようでございますが、ただ集会等に要する談話室、図書室というようなものは現在用意されております。それから先ほど申しましたように、具体的な部屋割りの問題につきましては、援護会といたしましても、できるだけ許す範囲において学生の要望は取り入れたいというかまえでございますので、その点は具体的な話し合いの問題になると思っております。ただ不幸なことに、現在の段階ではそれ以前の問題で話が進まない状況でございますので、そういう具体的な話し合いというところまで場面が移っておりません。
  179. 大竹太郎

    大竹委員 最後に、自治会と寮の管理者との間のいままであった団交の内容でありますが、先ほど、この程度では警察として見のがしておけない、黙っておれないというお話があったのでありますが、その点について警察のほうからもう少し具体的にお話しをいただきたいと思います。
  180. 後藤信義

    ○後藤説明員 最初に警察のほうで今回の事件につきまして警察官が現場に出動いたしましたのは八月の三十一日でございます。この日は、午前八時五十分ごろでございますが、このころから学生が西館――あそこには東館、西館がございますが、西館と援護会本部――これは東館、西館の中間にございます。その本部の建物の入り口付近に材木などでバリケードを築きましてピケを張り、午前十時ごろになりますと、中庭に約八十名が集まりまして集会を開いた後、十時半ごろから集団で援護会の事務所に入りまして、床に新聞紙等を敷いたりして大半はすわり込み、集団交渉を要求しておったのであります。理事者側のほうでは、このような状況では交渉には応じられないということで学生側に回答したわけでございます。この間、援護会の事務は完全にストップしておるということであります。それからこの三十一日の二日前、実は二十九日でございますが、援護会のほうの理事の下村さんら三名ばかりが、これは所轄が麹町警察署でありますが、麹町警察署に来られまして、担当の警察官に対しまして、学生側がどうも不穏な動きがあるようであるので、万一の場合には警備をよろしく頼むというようなことで帰っております。警視庁のほうでは、そのころからさらに一段と十分な警戒の体制に入っておったのでございますが、この三十一日には、このようなぐあいにしてバリケードを築いたり、あるいはすわり込んだりしておるというような状況になったのでございますが、二時半ごろになりまして、不穏な状況があるということで要請がございましたために、私服員を学生会館に派遣しております。そしてこのバリケードが構築してありましたので、会館の中にも入れないというような状況でございました。そこで学生側に対して、これを取り除くようにということを警告いたしまして、学生側がこれを三時過ぎに取り除いております。当日は援護会の事務室に入りました学生も、三時近くには全員退出して中庭に集合して、しばらく集会をした後に解散をしております。  その次、九月の三日の状況は、これは同じようにやはり午前十時ごろでございますが、中庭で集会を始めました学生が、十時半ごろになりますと約八十名くらいになりまして、わっしょいわっしょいという気勢を上げてスクラムを組んだりして、援護会本部の建物の入り口から入りまして、二階の事務室になだれ込んでおります。これに対して理事着側のほうでは、入り口に立ち入り禁止の文書も掲示しておるようでございますが、さらに口頭で再三にわたって退去要求をしております。学生はこれに応じないばかりでなく、室内において下村理事を取り囲み、要求内容に対する回答を強要しております。こういう状況が続きましたために、お昼ごろになりまして、下村理事は身の危険を感じまして、電話で麹町署に対して救出の要請をしております。この要請に基づきまして、麹町署では、まずとりあえず私服員三名ばかりを昼過ぎに事務室に派遣しておりまして、この三名の者が学生に対しまして事務室内から退去するように警告をいたしております。学生は警察官の出動を激しく攻撃するといったような不穏な状況になりましたので、一時近くになりまして、さらに機動隊を学生会館に派遣をいたしました。この状況を見ておりました学生は、さらに下村理事に対しまして、警察官を導入したのはどういうわけであるかというようなことで、釈明を求めて会見を申し入れておりますが、下村理事がこれを拒否しております。このために一たん外へ出ました学生が、一時半ごろになりまして再びこの援護会の本部の建物の中に入りまして、約七十名の学生が玄関のところにすわり込み、他の学生が二ヵ所の出入り口を、机、いすなどを積み上げてバリケードを築いて閉鎖をしております。そして一部の者は再び下村理事に対して会見を申し入れ、この要求を受けまして下村理事もやむなく二時間ばかり代表者六名と事務室で会っておるのでございます。このころ、ただいま申し上げましたように二時過ぎから、その建物の出入り口が完全に閉鎖されるというような状況で、室内におりました職員からトイレにも行けないというような苦情もありました。また、全体から見ますと軟禁状態になっておるような状況でございましたために、警察のほうでは再三にわたって警告をしております。ところが、これに応じない状態でありましたので、正面入り口にすわり込んでおりました学生を、警察部隊のほうで建物の外に排除しております。これが警察部隊によります実力行使の第一回でございます。しかし、この場合にも数十名の学生は建物の中に入り込んで、入り口のとびらを締めるというようなことで、なかなかすなおに応じておりません。そういうような状況でありましたが、最後には、五時近くになりまして学生は全部解散をいたしております。これが三日の状況でございます。  七日の状況でございますが、これは同じように十時半ごろになりまして、約二百名の学生が援護会の本部横の中庭で集会を開いた後に、十一時ごろになりまして百五十名が本部の建物の中に入り、二階の援護会の事務室及び一、二階の廊下を占拠し、事務室内におりました下村、近藤両理事ら、その他十二人ばかりの職員がおりましたが、こられの人々を取り囲んで、その出入口とかあるいは廊下を人垣でふさぎ、両理事らが外に出るのを不可能にしております。そうして、先ほど申し上げましたように、こもごもこぶしをもって机をたたいたり、統一管理規程を引っ込めろ、ばかやろうということをどなったり、あるいは下村理事に対しては、腹などをこぶしをもってこづいたり、あるいは机の上に赴いてありました茶わんの中の水をぶっかけるといったような暴行を加えております。こういう状態では話し合いにならぬから、態勢を解いて立ちのいてくれということを下村理事のほうから再三にわたって要求があったのでございますが、誠意ある問答を聞くまでは立ちのくことができないというようなことで、学生はどなり、さらに用便を訴える下村理事に対して、その辺でしろというようなことばを加えております。  こういう状況でございまして、ちょうどお昼前ごろからもうすでに五時近くになったのでありますが、相当長時間にわたりましてこういうような状態が続いたのでございます。そこで五時近くになりまして援護会のほうから麹町署のほうに連絡があり、救出方の要請がありましたために、部隊を派遣しまして、現場警備部隊が到着しておりますが、警備部隊は約一時間半にわたりまして、再三再四バリケードを除いて室外に退去するようにということを警告しておりますが、学生はこれに応じませんでした。そこでやむなく午後七時三十分に実力を行使いたしまして内部に入り、警察の力をもって、中に入っておりました学生を建物の外に排除しておるのでございます。この際に六名を不退去及び監禁罪の容疑をもって現行犯で逮捕しておるのでございます。また、このとき指導的な役割りを演じておったと認められる者三名につきまして、その後の捜査を進めました結果、十四日に至りまして三名を逮捕状によって逮捕しておるのでございますが、こういうような状況で、これはとうてい話し合いをしておるといったような状況ではなくて、むしろ一方的に、学生側の要求をいれなければ腕づくでも要求をいれさせるのだといわぬばかりの気勢を示し、現実にまた暴行を加えて理事を責めておるのでございまして、ただいま申し上げましたような、かなり長時間にわたりまして監禁状態を続け、さらに暴行を加えておるというような状況が続いておったわけでございまして、警察といたしましては、これらの問題につきましては責務上取り締まりに当たるのはあたりまえのことであると考えておるわけでございます。
  181. 大竹太郎

    大竹委員 先ほど文部省のほうにちょっとお聞きするのを忘れたので、一つお聞きしたいのであります。大体この移転に対する今後の考え方というのは御答弁をいただいたのでありますが、今後移ったらどうなるのだ、そしてまたどういうようにするつもりなのだということを学生代表に十分説明してあるのでありますか、どうでありますか。また、そこに在住しておる人間全部にもこれが徹底するようにしてあるのでございますか、その点はどうですか。
  182. 笠木三郎

    ○笠木説明員 全体の会館の学生に対しましての趣旨の説明につきましては、最近では八月初旬に説明会を催しておるわけでございます。それ以前にも、移転の問題という点につきましては、現在の形でない場合であってもいろいろ話が出ていたことは事実でございまして、その間いろいろ学生側、理事者側での中のやりとりがあったと考えております。このたびの移転計画が大体骨格がきまりましてからの全体としての説明会は、いま申し上げましたような段取りで行なわれたようであります。なお、その実施結果はまだ承知しておりませんが、さらに各館生に対しましては、必要な情報資料等を簡単な形で漏れなく周知するようにという意味の伝達は、さらに行なわれるという状況であったということを聞いております。
  183. 大竹太郎

    大竹委員 それではもう一度念を押しておきたいことは、たとえばこの五項目の反対事由の中で、結局、定員六百二十人確保というような条件があるところから見ますと、先ほどのお話だと、建物が広くなって六百二十人をだいじょうぶ入れるのだというお話があるわけでございますので、もちろんこれはその前に出た要求であるかどうかわかりませんが、その点はどうなんですか、もう一度念を押しておきます。
  184. 笠木三郎

    ○笠木説明員 この六百二十名という収容定員を予定しておりますにかかわらず、学生の方から六百二十名の定員確保という形でいわゆる要求が出てまいりました点について、実は私もその間のいきさつはよくわからないのでありますが、あるいはそれまでの経過におきまして、いろいろやりとりの間では多少そういう点の意見が食い違ったという点もあるかと思います。しかし、全体としての坪数なり収容定員の確保につきましては、実は現在与えられました財政上の許せる坪数の範囲内で極力優先的にこれをリザーブするという考え方でとったわけでございまして、そのために事務室等の管理関係の部分は若干現行の面積よりも減少しているというような状態でございます。
  185. 大竹太郎

    大竹委員 最後に警察へ一言だけお聞きしておきたいのでありますが、この七日の日には相当、一口に言えば実力行使といいますか、乱闘といいますか、そういうようなことがあったらしいのでありますが、それで負傷者というようなものは学生のほう、警察のほうは出ているのでありますか、どうですか。
  186. 後藤信義

    ○後藤説明員 警察のほうでは負傷者が出たということを聞いておりません。また学生のほうに出たということも聞いておりません。  ただ、この前申し上げましたように、これは夜に及んだわけでございます。そうして最後に実力を行使いたしましたのは、ただいま申し上げましたように七時半でございます。そうしますと暗くなっております。学生側はことさらに電灯などを消しておるような状況もございます。そして警察官が実力を行使する際に際しまして、暗がりから棒きれや石などをぶつけております。したがいまして、けがというほどではない、軽微な擦過傷程度の、擦過傷とまではいかない、あるいは打撲傷といっていいかわかりませんけれども、その程度の、けがというほどのけがではございませんけれども、そういう抵抗は受けております。また、二階から備えつけのポンプから水をぶっかけるというようなことで、警察官の実力行使に対しまして相当熾烈な抵抗を学生側が行なっております。
  187. 大竹太郎

    大竹委員 大体これで、また次に……。
  188. 濱野清吾

    濱野委員長 委員長からお願いしておきますが、文部省、あなたのほうの監督下にあるこの財団ですね。どうも管理規程も全然なかったというような御答弁でありますが、なるたけそういうことは管理責任、運営の責任、これらは明らかにしておくことが、こういう問題を誘発しない前提条件だと思いますから、局長ひとつ十分検討して指導してください。お願いいたします。
  189. 杉江清

    ○杉江説明員 この点、確かに遺憾な点があったと思います。今後はその点ははっきりさせまして筋を正したい、かように考えております。
  190. 濱野清吾

    濱野委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会