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1964-10-01 第46回国会 衆議院 法務委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十月一日(木曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 唐澤 俊樹君 理事 小金 義照君    理事 小島 徹三君 理事 坂本 泰良君    理事 細迫 兼光君       上村千一郎君    大竹 太郎料       鍛冶 良作君    草野一郎平君       四宮 久吉君    中垣 國男君       馬場 元治君    森下 元晴君       井伊 誠一君    田中織之進君       松井 政吉君    竹谷源太郎君       志賀 義雄君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警備局         警備第二課長) 後藤 信義君         検     事         (刑事局長)  津田  實君         検     事         (刑事局公安課         長)      高瀬 礼二君         検     事         (保護局総務課         長)      常井  善君         専  門  員 高橋 勝好君     ――――――――――――― 十月一日  委員早川崇辞任につき、その補欠として鍛冶  良作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員鍛冶良作辞任につき、その補欠として早  川崇君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  法務行政及び検察行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  法務行政検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。細迫君。
  3. 細迫兼光

    細迫委員 保護局総務課長さんに御答弁願いたいのですが、問題は仮釈放の問題であります。まず仮釈放の大体の機構、どこが申請の窓口であるか、決定権はどこにあるか、法務大臣はどういう干渉を行ない得るか等を一応御説明を願いたいと思います。
  4. 常井善

    常井説明員 局長が二十七日から出張中でございますので、私で失礼させていただきます。  ただいまの御質問に対してでございますが、たとえば施設に、刑務所に入りました収容者収容所におきます所内の成績がよろしい、それから帰り行く先の環境の状態もよろしかろうという段階になりまして、本人改悛の情があり、かつ刑期の三分の一を過ぎますと、適切な時点におきまして施設の長から、刑務所でございますと刑務所長から、地方更生保護委員会でございますが、これは全国に八カ所、高等裁判所なり高等検察庁の所在地と同じ場所でございますが、そこにございます地方更生保護委員会に対しまして、仮出獄申請をいたします。そして通常三人の合議体よりなります委員合議の結果、その申請許可される、あるいは不許可になるということで、許可、不許可の最終の決定権は、ただいま申し上げました八つの地方更生保護委員会にあります。  それから法務大臣とその関係いかようになっておるかということのお尋ねでございますが、設置法によりますと、法務大臣の管理のもとに、ただいまの地方更生保護委員会を置くというふうになってございまして、法務大臣は一応地方更生保護委員会に対しまして指揮監督ができるたてまえでございますが、合議体趣旨からいたしまして、個々のケースに対する指揮ということにつきましてはおのずから限度がある、さよう心得て運用しております。
  5. 細迫兼光

    細迫委員 先ごろ熊本県におきまして、たしか西川と申したと思いますが、暴力団のボスが刑期をなお三年余残して仮釈放決定が行なわれた。これに対して熊本警察本部が抗議をして、取り消し要求をしたというケースがあります。一体更生保護委員会などの考える標準基準というものについて、おおよそそうしたものがあるだろうと思うのです。あるいは刑務所長申請するについても、三分の一経過したらどれもこれもというわけではなくて、いろいろ標準基準があると思いますが、そこらのところを御説明願いたいと思います。
  6. 常井善

    常井説明員 お尋ねの点でございますが、二つに分けてお答申し上げたいと思います。  第一の点は、ただいまお尋ねの仮出獄許可時点の問題でございます。これは刑法にございますように、刑期の三分の一を過ぎればできるということに相なっておりますが、おのずからケースバイケースでございまして、あるいは三分の二の時点、あるいは四分の三の時点というふうに運用がなされております。ことにやくざ関係を含みます粗暴犯等におきましては、大体残刑十分の一ないし十分の三くらいの期間を残さなければ、仮釈放されていないというのが実情でございます。もちろんケースごとによりまして、御指摘のようにあるいは早いケースもあるのでございますが、それはその時点におきまして、一応更生の意欲があって、就職先も正業につく、あるいはやくざ関係と手が切れるというような見通しが立ちましたケースにつきましては、私どもの仕事上、本人更正ということが重点でございますので、まれに早い時点におきまして仮出獄が許されるということもございます。これが第一点でございます。  それから第二点のいまの西川につきましての熊本お話でございますが、これはいまお話のように、一たん仮出獄いたしましたものを取り消し事案でございます。これが仮出獄をさせましても、そのまましり切れトンボにすることなく、たとえば残刑三年で仮出獄いたしますと、その三年の期間は、必ず全国に四十九カ所ございます保護観察所で、その行く末を刑期が終わるまで保護観察をする、指導監督、補導、援護をすることに相なっております。ところが、その保護観察中におきまして再犯が行なわれた。それからもう一つは、その出ますときに、たとえばやくざでございますと、やくざと手を切る、あるいは正業につくなどというような順守事項をつけてやります。その順守事項に違反しました段階でも、仮出獄を取り消すことになるわけでございます。いま申し上げましたように、再犯の場合と順守事項に違反した場合と、この二通りが、保護観察所の長から申請なり申報なりが地方委員会にございまして、一たん出したものを取り消してまたもとの施設に入れるという仕組みに相なります。いまの西川の場合はあと取り消しケースでございまして、これは確かに再犯の形で警察に――私どもも実は再犯が何であるかも承知しないのでございますが、恐喝の疑いということで警察にあげられたのでございます。私どものほうの委員会、つまりこれを担当いたしました九州の委員会といたしましては、先ほど申し上げましたやくざと手を切ることという順守事項につきまして、手を切りかねて、やくざとさらに手を結んでおったという事情をたまたま察知いたしまして、それで仮出獄取り消した、こういう事情に相なっております。そこで警察捜査の線上にのぼった事実とは事実が異なった事実でございます。たまたま時期を同じゅうしたという関係でございます。
  7. 細迫兼光

    細迫委員 終わります。
  8. 小島徹三

    小島委員 関連して聞きたいのですが、仮出獄申請はだれがするのですか。
  9. 常井善

    常井説明員 これは条文の形ではその施設の長が申請をするということに相なります。たとえば少年院におりますと少年院の院長、刑務所におりますと刑務所長が仮出獄申請をいたすということに相なります。
  10. 田中織之進

    ○田中(織)委員 関連して。いま刑期の三分の一を服役した場合に仮出獄の一応の条件が整うわけですが、少年犯罪の場合は短期刑長期刑がありますね。その場合に三分の一というのは短期刑の三分の一なのでしょうか、それとも長期刑の三分の一ということになるのでしょうか。
  11. 常井善

    常井説明員 ただいまお尋ね少年不定期刑の場合は、短期の三分の一ということになっております。
  12. 坂本泰良

    坂本委員 いまのに関連して。仮出獄の問題で、法律上は三分の一を経過して優秀で出獄させてもいいという場合は出すということになっているのですね。ところが、実際はなかなか三分の一では出さないのです。半分くらいつとめねばいかぬ、実際は実行されていないのですが、そういう点はどういうわけですか。
  13. 常井善

    常井説明員 坂本先生の御質問でございますけれども、その点は法律上は御承知のように三分の一とございますが、改悛の情がさらにあるということが条件になっておりますので、期間は三分の一が最低限度でございますが、その点になりますと、結局ケースバイケースにならざるを得ないので、そのような運用がなされているわけでございます。
  14. 坂本泰良

    坂本委員 そこで問題があるのですよ。どんなに成績がよくても刑務所長が出さなければいかぬでしょう。刑務所長から出しても、今度は更正保護委員会、ここでまたぐずぐずして非常に法の運用を遅延させ、目的を達していない場合がある。それから短期の場合ですね、六カ月というような短い場合はほとんどやっていないのです。大分の刑務所火災が起きた。ある人が執行猶予になるような事件で、ただ県庁の職員滞納処分で差し押えに行って、うまく話し合えばおさめられたのをむちゃをやったものだから、反抗をしたというので公務執行妨害になり、弁護人も何もつけずにだいじょうぶだろうと言っておったら実刑六カ月になった。六ヵ月ならもうまじめにつとめていたら一、二カ月で出られる、そういうことで控訴もせずに行った。そうしたら四カ月日にあの火災が起きて、一種化学工場みたいなものですからガソリンをかぶって焼け死んだ。そういう問題があるのです。そういう短期の一年以下くらいには全く仮出獄は考慮されていないのですが、そういうような点はいかがですか。検討したことがあるのですか、それとも地方にまかせてほったらかしておるのですか。どうですか。
  15. 常井善

    常井説明員 お尋ねの仮出獄申請権の問題でございますが、たいへんなわ張り的で恐縮でございますが、刑務所のほうの運用になっております。委員会はいわば受けて立つ側でございますので、私ども保護半切といたしましては、おおむね九十何%は受けて立って、許可、棄却、却下の決定をいたしておる実情でございますので、その点はひとつ、たとえば六カ月以内の運用がどうなっているかというようなことにつきましては、なお矯正当局先生の御趣旨を伝えて調べてみたいと思います。
  16. 坂本泰良

    坂本委員 矯正当局というと、どういう関係になっておりますか。結局、法務大臣の管轄内にあって、その監督に服しているわけでしょう。問題は、暴力団なんかの仮出獄については十分あれしなければいかぬが、逆の方面について、ほんとうのわずかなことで問題になっているのができない、こういうようなことになっている。だから、そういうのは、受けて立つというと、あなたのほうの保護局では、そういうようなことについて統計をとったり、サゼスチョンなんかしないかどうか、その点いかがですか。
  17. 常井善

    常井説明員 重ねて恐縮でございますが、主務当局矯正局に相なっておりますので、私どものほうといたしましてはそこまでとやかく行うことができません。  それから第二点は、地力委員会は御承知のように三人の合議体運用でございますので、合議体趣旨からいいまして、ただいまのような運用が行なわれておるのでございます。
  18. 坂本泰良

    坂本委員 いまの答弁の趣旨がわからないのでもう一ぺん……。
  19. 常井善

    常井説明員 第一点につきましては、所長の仮出獄申請がどのような時期に行なわれるかということにつきましては、私、先ほども申し上げましたように、保護当局として出ておりますので、これはやはり矯正局が主体となった運用でございますので、私自身とやかく申し上げることができないのでございます。  それから第二点につきまして、地方委員会運用でございますが、先ほど細迫先生にも若干お答えいたしましたが、地方委員会運用は三人の合議体によりまして運用されておりますので、合議趣旨を尊重して、裁判の合議と同じような仕組みになっております。この点が、一々ああせいこうせいという法務大臣指揮監督権が普通の行政官庁のようには及ばないという点も御了解いただきたいという趣旨で申し上げました。
  20. 坂本泰良

    坂本委員 そこで問題は、委員会に持ち込んだ後はあなたの言ったとおりです。待ち込む前の問題です。結局刑務所長権限になっておるようなふうに考えるのですが、その点については保護局のほうは関係ないのですか。
  21. 常井善

    常井説明員 お説のように私どものほうは関係ございません。
  22. 坂本泰良

    坂本委員 そうすると、委員会のほうに持ち込むまでは刑務所長だ。しかし、その持ち込むまでが実際は問題なんです。所長権限を持っているのに大体やらない。やらないから委員会に出ない。いつかも私は所長にそういう話をしたら、委員会のほうで、あまり早く持って行くと、これは困るじゃないかとか、あるいはこれでいいかどうかというようなふうに権限のないことをあれして、あまり早く持って行ったら委員会のほうで何だかんだと言うし、委員会にかけてもそれを許可せぬ。こういうことになっているから、刑務所長はびくびくして、刑期の半分もしなければ持っていけない、こういう実情にあると思うのです。そういうような点については保護委員会権限を逸脱しているのではないかと思うのですが、そういう点について何か検討されたことがあるのですか、
  23. 常井善

    常井説明員 私、先生のおっしゃいます実情は実は知りませんのでございますが、もしそのような実情にございますならば、これは厳に慎むようにいたしたいと思っております。
  24. 濱野清吾

    濱野委員長 坂本君に申し上げますが、これは矯正局長でも一へん呼んで、それで仮出獄委員会にかけるまでの経過は、当面の責任者からお聞き取りいただくように、九日に開きますからそのときまで留保していただきたい。  それから、さらに学徒援護会の寮の紛争について坂本君から質疑が出ておりますね。これをひとつ発言願います。
  25. 坂本泰良

    坂本委員 きょう警備局長が出られないというきのうの非公式の連絡でしたが、警察庁長官並びに警備局長はどうして出られないか、その点を承りたい。
  26. 濱野清吾

    濱野委員長 警備局長はきのう大阪に出張しておるそうです。それから長官はいま公安委員会で何か審議中だそうであります。
  27. 坂本泰良

    坂本委員 実は公安問題でお聞きしたいものだから……。
  28. 濱野清吾

    濱野委員長 刑事局高瀬公安課長が来ておりますが、どうしますか。
  29. 坂本泰良

    坂本委員 では、やります。
  30. 濱野清吾

  31. 坂本泰良

    坂本委員 いま体育館ができております近衛連隊あとですが、そこに学徒援護会があって学生の寮があるわけです。その移転問題について、移転先がまことに不十分で、現在収容しておる学生も収容できないという状態だから、援護会理事者側学生自治委員会との間に団体交渉が持たれて、その団体交渉は数回あったと思いますが、先日の団体交渉の際に警察官が多数入りまして逮捕者等を出したわけですが、そのときのことを御説明願いたい。
  32. 後藤信義

    後藤説明員 お答え申し上げます。  この事件は、先生いまお話しのように、九段のもとの連隊の兵舎のありましたあとにあります学徒援護会東京学生会館に居住しております学生不法行為をやりましたために、警察が出ましてこれを取り締まったという事案でございます。これはことしの九月の七日でございました。あそこの東京学生会館学化は平素約六百名居住しておりますが、当日午前十時ころになりまして、約二百名の学年が、あそこの会館の付近の広場に集合いたしまして集会を持ったようでございます。それから若干あの辺で気勢をあげましてから約六十名の者が正面の、あそこに学徒援護会本部が中央にございますが、そこの建物の正面玄関のところですわり込みをし、約三十名の者が二階にあります学徒援護会本部の事務所にまいりまして、ここで専務理事下村さんと近藤さんなどに対しまして、いま先生指摘のような点で、お話しのような点で集団の交渉をやったようでございますが、その際、この下村近藤理事を前にいたしまして、種々のことばのやりとりがあったようでありますが、かなり荒いことばづかいをしておるようでございます。そういたしまして、学生側要求をいれなければ引き下がらないというような気勢を示しまして、下村理事に対しましては腹などを手でもってこづいたり、あるいは机の上に置いてありました茶わんなどを取り上げまして水をぶっかけるといったような乱暴をしました上に、さらに便所に行きたいという下村理事に対しましては、その辺でやれというようなことばを発しておるようでございます。そういうようなぐあいにいたしまして、下村近藤理事らが、その場から交渉を打ち切って出たいというのに対しまして、その行動を制約しておる。それからさらに再三もうこれで打ち切るから態勢を解いて立ちのいてもらいたいというような要求がありましたのを、これに対しまして要求を聞かないで気勢をあげまして、誠意ある回答があるまではピケを解くわけにはいかないというようなことを行っておりまして、要求に応じなかったのでございます。この状況におきまして警察のほうでは、援護会のほうから要請がありまして、急を告げられましたので、五時ごろには現場に約二百五十名の警察の部隊を配置いたしまして、再三態勢を解いて引き揚げるようにということを警告をしておりますが、これに対しまして一向に聞きいれる気配はなく、約二時間にわたりまして警告を続けたのでございますが、これを聞きいれないために、ついに午後七時三十分に実力を行使いたしまして、中に入ったのでございます。この場合でも学生側は、正面玄関あるいは側面に出入口が二カ所ありますが、それらの内部からとびらを締めまして、机とかあるいはいすなどを積み上げまして、バリケードのようなかっこうで外部との交通を遮断しておったのでございますが、これらを取り除きまして内部に入り、そして学生を排除し、監禁状態にありました両理事以下職員を救出したのでございますが、その際に学生六名を現行犯で逮捕いたしております。これは不退去及び監禁罪の容疑によって現行犯で逮捕したのでございます。それから同日のこの問題につきまして、その後捜査を進めました結果、この事件につきまして指導的な役割りを演じておりました三名の者に対しましては、十四日に至りまして裁判所の令状を得まして通常逮捕いたした、こういう状況でございます。
  33. 坂本泰良

    坂本委員 そうすると、警官隊の出動はだれの要求によってやったか。もう一つは、学生がこのように交渉し、すわり込みをしなければならないような状態にあったその原因について警察のほうではどういうふうに承知していたかどうか、その点を。
  34. 後藤信義

    後藤説明員 要請は、実は先生承知であると思いますが、この事件は九月七日に発生したのでありますが、これより先に……
  35. 坂本泰良

    坂本委員 九月三日じゃないか。
  36. 後藤信義

    後藤説明員 逮捕事件が起こりましたのは九月七日でございます。その前に、三十一日にも若干のトラブルがあったのでありますが、そういうぐあいにしまして、警察のほうでは、学徒援護会学生側の間においてかなり先鋭な対立があるということは承知しておりました。したがいまして、いつ何どきどういう事態が起こるかもしれないということで、十分な注意をしておったわけでございます。それで当然そのトラブル内容についても若干私のほうでは承知しております。それは先生が先ほどおっしゃいましたように、学生会館移転問題が起こりましたのに対しまして、学生側反対をしておるわけでございます。  反対の理由はいろいろあるようでございますが、私ども承知しておるところによりますと、一つは、移転をすることによって学生の負担する金額が多くなるということが一点のようでございます。それからもう一つは、学生が従来持っておりました自治権、その内容の主たるものは、いかなる学生をあそこに入寮せしめるかという入寮生適格性と申しますか、それを認める場合に、学年側が自主的にきめておって、援護会側はほとんで形式的にしか審査しておらなかったようでありますが、今度移転をしますというと、これが援護会側において責任を持って入寮せしめるべきかいなかをきめるというようなことになるそうであります。そういうことに対しまして、これは自治権の剥奪であるというようなことを学北側が考えておるようでございます。そのようなことで反対……
  37. 坂本泰良

    坂本委員 それだけですか。もっと重要なことがある。
  38. 後藤信義

    後藤説明員 これは重要かどうかわかりませんが、私のほうで承知しておりますのは、いま申し上げました二つの点のほかには、学生自治会をつくっておるわけでありますが、この自治会関係の部屋が少なくなると申しますか、いま考えられておる移転後の割り当てよりもっと多くよこしてもらいたいということを要求しておるようでございます。それから、これは先ほどの第一の点と関連いたしますが、光熱費とか、あるいは水道料金などの受益者負担の原則はぐあいが悪い、これに対して反対する、こういうことのようでございまます。  それから要請でありますが、警察のほうでは、別段要請がありませんでも、不法事態に対しまして備える必要は感じておったのでありますが、当日は、ただいま申し上げましたように、朝から相当な情勢にありましたので、注意をしておりましたところ、これは下村理事のほうから、後には学徒援護会の生悦住さん、この方は援護会理事長でありますが、この方からも警察のほうに対して要請と申しますか、危急を訴えてきておるのでございます。
  39. 濱野清吾

    濱野委員長 ちょっと警備課長説明しておいてもらいたいのですが、委員の皆さんに、どうして移転するかという、移転する必要性をどう受け取っておるのですか、これを説明してください。何のために移転し、何の必要があって移転するか。そうしないと、委員各位においてちょっと裏のほうの議論になってしまって、事情がわからないと判断ができないから、何のために寮を移転することになるのか、それから移転したあと、どういう施設を行なうのか、公共性があるのかないのか、どういうことに一体利用するのか、それを話してくれないと、争議だけで、委員諸君は何も知らないから、それを話してください。
  40. 坂本泰良

    坂本委員 いま委員長から言われたとおり、私ども聞かんとするところは、ただ表面にあらわれたことも必要だけれども、その原因の点をやって、どうして学生交渉をして、それから授護会の理事者側がそれを受け入れないか。それについて重要なことと私言いましたのは、大体基本はあそこの移転問題ですよ。体育館を、りっぱな体育館でしょうが、ああいうのをつくって学生を追い立てて、そして行く先が今度は狭くて金は高くかかるし、そして現在六百何名ですか入っているのがうんと減るという。問題はそういうところにあると思うのです。その点を警察はよく知っていたかどうか。もちろん知っておられると思うのだが、それをまずお聞きして具体的に入ろう、こういうことです。
  41. 濱野清吾

    濱野委員長 私のいまの質問にも答えてください。
  42. 後藤信義

    後藤説明員 ただいま御質問の点でございますが、私どものほうで承知いたしておりますのは、これは三年ほど前からお話が出ておるようでありますが、現在東京学生会館のあります場所科学技術振興会館建設予定地として設定されておったようでございまして、その当時から代林地として新宿下落合一丁目二百七十六番地への移転というものが話にのぼっておったようでございます。そして土地問題が若干長引いておりましたために、科学技術振興会館はあの場所ではありませんで、現在建っておるところに建設されたようでございます。しかし、学生会館の現在地は近く国民森林公園に予定されておるようでございまして、この移転が必然的になってきた、こういうような状況でございます。そして昭和三十八年の十二月末に至りまして三十九年度分の建設予算も計上され、移転する予定地でありました新宿下落合のほうの土地問題も解決いたしまして、来年、昭和四十年の三月ごろには移転することに大体きまっておるということでございます。そういたしますので、私ども理解いたしておりますところでは、まあ一種都市計画と申しますか、都市計画の一環といたしまして、あの現在の学生会館の敷地が国民森林公園になる。そうしてその代替地についても手当てができており、予算の裏づけもできておる、こういうことになったと承知しておるのでございます。
  43. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、三年前からと言うけれども、科学技術会館がそこへできる、そういうことで移転問題が発生したのですが、それは土地の関係でいまおっしゃったとおり少しずれて横へのびていったわけですね。それから今度はあそこへ体育館ができておるのですね。それとの関係はどうか。それがひっかかるのじゃないか。ただ、あなたの御説明のようにりっぱな国民森林公園というそれだけじゃないと思うのだけれども、その点についてのあれをやっておられたかどうか。それから下落合の土地問題が解決したのはいつであって、現在下落合の建築その他、そこは相当進んでおるかどうか。それには現在のあそこの学化会館に入っている学生の数が減るのじゃないかという点と、問題は援護会がどこに行くかわからない。いままでは援護会学年会館と一緒になっていたわけですね。それが援護会がどこへ行くかわからぬという問題と、それから学生委員会等が自主的にやっていたような部屋が全然なくなる、そういうような関係もあったと思うのですが、その点は知っておられたかどうか。
  44. 後藤信義

    後藤説明員 現在移転先であります下落合のほうの建設状況がどうなっておるかということを、私うっかりしまして調べておりませんので、さっそく調査いたしましてお答えさせていただきたいと思います。それから移転した場合の自治会関係の部屋がどうなるかということにつきましては、私ども承知しておるところでは、学北側がこれは狭くなるということで反対をしておるということでございます。これに対しましては格別理事者のほうからは反論もないようでございますので、あるいはそうなるのではないかというふうに理解をしておるのでございますが、これまた確認をしておりませんので、後刻調べまして御報告させていただきたいと思います。
  45. 濱野清吾

    濱野委員長 坂本君に申し上げますが、監督官庁の文部省を呼びましょう。そうでないと、いまのあなたの質問責任ある答弁もできないし、また、警察のほうはそういう具体的なことは承知してないようですから……。
  46. 坂本泰良

    坂本委員 そういう点は今度九日にやりますから、けっこうでございます。それでは、いまの点は留保いたしまして、先の点に進めます。  そこで第一にお聞きしたいのは、学生会館に私服の刑事が――これは麹町署だと思うのですが、これがかってに入りまして、これはずっと前から、団体交渉する前から、少なくとも二名は入って、そのときの写真なんかとっていた。こういうことを聞いておるのですが、その点いかがですか。
  47. 後藤信義

    後藤説明員 私、そういう具体的な話は聞いておりませんですが、かりに警察の者が出入りしておったとしますならば、警察側は、一般的に負っております治安の確保という意味からいたしまして、いろいろな管内の情勢をつかむ必要がある。したがいまして、あそこの東京学生会館の中にも常時どのくらいの学生がおって、どんな生活をしておるのかということは、端的に申しますと、通常の制服の警察官によります巡回連絡というやり方もありますのですが、そのほか私服の警察官によります、そのような理事者側といいますか、館主側と連絡をとりまして、その状況を把握しておくというようなことは、これは警察責任として当然やっておることであると考えます。
  48. 坂本泰良

    坂本委員 それが大きな間違いなんです。逮捕者を出した。警察側が発動する前に、私服の警官を入れて最初から学生側を弾圧して、何でもかんでもやるという、そういう考えがあるから、内偵というか、そういう写真をとるということをしておる。これは警察は越権だと思うのですよ。ただ学生の中にどろぼうとか窃盗とか、いろいろな具体的な事実があれば、これは別でしょう。三年前からとあなたは言ったけれども、三年前から交渉をしておる。その三年前ということは、はっきりわからぬけれども、ともかくずっと前から私服の警官を入れてやっておる。東大でも問題が起こったような、そういうようなことをやっておる。それがやっぱり最後の際に一番学生が先鋭化するようなことになっておるわけです。あなたのようなことなんかは警察官の職務の限りじゃないじゃないか。援護会と話し合いをする際に、私服を入れて、そして写真なんかをとるというのがいかないと思うのです。それを、あなたがいまおっしゃったような、やはりあそこは警察としては見なければならぬから、制服の警官じゃいかぬから私服の警官を入れて、そしてそういう治安のあれをやっていた、そういうのですか。どっちです。
  49. 後藤信義

    後藤説明員 先生お話の中に、学生側交渉の席上に私服の警察官が行っておったというお話でございますが、それは私どももその点については承知をいたしております。と申しますのは、これは平常の姿におきます交渉ではございませんで、かなり激しいことばのやりとりかある――やりとりと申しますか、私ども見ておりますと、いささかどうかと思うような罵倒に近いものを浴びせかけておるようでございますから、これは理事者側のほうでかなり困っておったようでございます。困るというよりはむしろ私どもの聞いておりますところでは、脅迫がましいような言辞のために不安である、したがって警察のほうでぜひ来て守ってくれというような要請がありましたために、これは要請に基づいて出ておるわけでございます。警察独自の判断で出たというものではございません。
  50. 坂本泰良

    坂本委員 その要請はいつごろからあって、いつごろから私服の警官をそういう交渉の場に出しておるだろうか、その点を承りたい。
  51. 後藤信義

    後藤説明員 これは、私の承知しておりますところでは、今回の逮捕事件が起こりましたために、九月七日及び九月三日の一件を中心に調べた範囲でございますけれども、それ以前――九月三日においては、少なくとも私服の警察官が中に入っております。しかしそれ以前、先生おっしゃいましたように何年か前から入っておったかどうかにつきましては、これはなお具体的に聞いてみないとわからぬと思います。
  52. 坂本泰良

    坂本委員 それはわからなければこの次ひとつ調べてきてもらいたい。九日はまたあれしますから……。  そこで九月三日の問題ですが、九月三日はいまおっしゃったように私服の警官二名を入れて写真をとった、こういうふうに承知しておるが、そのとおりであったかどうかという点が一つ。  それから一時過ぎに交渉を始めて、すでに一時三十分ごろには機動隊三百名が侵入しておるが、その点は、三十分ぐらいしかたたないうちに機動隊が三百名も侵入しておる。それはそういうことがあったかどうか。これはまだ交渉も十分していないときと思うのですが、最初からけんか腰でやっておったからなのかどうかという点が第二。  それから三時ごろから機動隊がゴボウ抜きを開始して混乱におとしいれて、双方話し合いの結果、警官は撤去するという条件で、七時ごろは、交渉の結果警察官が撤去して、その日はもう話し合いも何もできなかった。こういうことを聞いておるのですが、その点いかがですか。
  53. 後藤信義

    後藤説明員 いまお尋ねの点は九月三日の事件であろうと思いますが、この事件につきましては、これは午前十時ごろから本部の横の中庭におきまして学生が集会を始めまして、十時半には約八十名の学年が四列縦隊ぐらいになってワッショイ、ワッショイと奇声をあげてスクラムを組み、本部事務所の建物の正面入り口から二階の事務室になだれ込んだというふうに私ども承知しておるのでございます。これに対しまして理事者側のほうでは、部屋の入り口に立ち入り禁止の文書による表示をいたしました。さらに口頭で再三にわたって退去を要求いたしましたが、学生はこれに応じないばかりでなく、この部屋におりました下村理事を取り囲みまして要求内容に対する回答を強要しておるというような状況で、不穏な状態になったようでございます。それで十二時近くになりまして下村理事が危険であると感じまして、電話で警察に対しまして救助の要請をいたしておりますと同時に、学生を退去さしてくれ、こういうことを要請しておるのでございます。この要請に基づきまして、麹町警察署は、署員を現場に派遣すると同町に機動隊のほうにも通報いたしておるようでございます。麹町署員は、十二時十五分ごろに事務室に到着いたしまして、この学生八十名に対しまして違法状態を直ちに解くように、それから自発的に立ちのかなければ、これは警察が力で排除しなければならぬというようなことを警告をいたしますと同時に、先生おっしゃいましたように写真を撮影いたしまして証拠を収集しておるのでございます。これに対しまして学生は、警察は何しに来たんだというようなことで激しく抗議をしたような状況が続いたようでございますが、十二時半ごろになりまして一応学生はこの警告に応じて退去をいたしております。  しかし、その状態は必ずしも全面的に平静に復したというふうに見られませんでしたので、一時ちょっと前には、十二時四十分ごろでございますが、十二時四十分ごろには麹町署長が、機動隊に現場に出動するようにということを機動隊に連絡をとっております。この警察官が現場に到着をいたしますと、これを見ておりました学生は、さらに下村理事に対しまして、警察官を導入したことに対する釈明を求めるというようなことで、会うことを理事に求めたようでございますが、下村理事はこれを拒否しておる。一時半ごろになりまして、再び学生本部の建物内に入りまして、これは約七十名でございますが、正面玄関にすわり込み、それからその他入口などに机等をもちましてバリケードを築いて、(坂本委員「それは九月四日でしょう」と呼ぶ)これは三日でございます。閉鎖をいたしておるのでございます。  それから、その後再び下村理事に対しまして会見申し入れをいたしました結果、二時ちょっと過ぎから四時ちょっと過ぎまでの約二時間にわたって下村理事学生側交渉をいたしております。その間午後二時ちょっと過ぎごろから各出入り口が完全に閉鎖されておるというような状況で、職員から苦情が出たと申しますか、困ったというような話があり、全体的に見ますと、ややこれは軟禁状態とも見られますので、内部と外部との通行を確保するという必要を認めまして、警察官がこれを、出入り口におりました学生を排除しておるのでございます。その際、約半数の学年ばさらに本部の建物内に入り込みまして、入り口のドアにかぎをかけるというようなことをやっておるのでございます。この間に学生代表六名は下村理事と話し合いをいたしましたけれども、平行線をたどって妥結点を児出すことができず、午後四時四十分ごろにはこのままの状態で解散をいたしておるのでございます。  先生お尋ねのなぜ警察部隊をここに出したかということにつきましては、ただいま申し上げましたような状態で、下村理事等が、言うなれば軟禁状態に置かれたということで、仕事ができないような状態にありましたために、同理事からの救助の要請に基づいて現場におもむいた。しかし、いま申し上げましたように、最後に玄関におりました学生を排除しました以外には実力的に排除するに至らないで事態は終わっておる。こういうことでございます。
  54. 坂本泰良

    坂本委員 この日は私服警官なんかは二名以上の者が朝から入り込んでいたと思うのですが、その点いかがですか。その点を九月三日のことでお聞きしておきたい。  問題は、これは九日に長官にも来てもらってやりますけれども警察は一般判決による家屋明け渡しなんかには一切出たことがない。私は三十年間弁護士をやっておりますけれども、どんなに頼んでも民事の関係は出れないといって出たことがない。それをこれは一つの民事の関係であるし――問題は九日に明らかになると思うのですが、学生会館の新しくできるのが狭い、学生にとってはいままでより以上に非常に打撃を受ける。さらにあそこには森林公園というけれども、とにかくなんというのですか、会館とか体育館とかをつくって、そうして、それも必要でしょうけれども、当面あそこを寮にして勉強をしておる学生のために、いままでやってきたのだから、それを簡単にそういうふうに追い立ててやってもらっては困るということの、民事関係だと思うのです。それを警察が、九月三日以前は私服が行ったかどうかわからぬと言うけれども、行っておると思うのですが、それは調べてもらいたいのだが、最初から一方の援護会側のほうに立って、そうしてとにかく学生をここから追い立ててしまえ、追い立ててしまえというのは、それは金持ちの学生は入っていないかもしらぬけれども、実際真剣に勉強しようという、その寮に入っておる者を追い立てて、これは一つの国民の学問の自由に対する断圧にもなると思うのです。そういう点を考慮せずにやっておるから団体交渉がまとまらない。それを警察が応援するというのは、警察は一方的に応援してやっている、こういうことに端を発しておる、こう思うのです。  そのことはまた九日にやりますけれども、この九月三日の日は朝から私服が、何かかんか言っているが行っていたと思うのです。その点どうかという点と、九月四日の問題は時間がありませんから、きょうの答弁によって私のほうもまた少し質問をまとめたいと思いますが、機動隊は午後八時ごろから、丸太ん俸を打ち出してあそこの寮の戸を打ちこわして中に侵入して、そうしてすわり込みをした学生をゴボウ抜きにして六名を検挙しておるが、さらに負傷者が数名出る、こういう状態になっておるのですが、その点についてはいかがですか。
  55. 後藤信義

    後藤説明員 いまおっしゃったのは九月七日の事件だと思いますが……。
  56. 坂本泰良

    坂本委員 それは九月四日だろう。
  57. 後藤信義

    後藤説明員 これは三日には夜分まではそういう事態が及んでいないようで、七日の日に逮捕事件が起こっておるのでございますが、これはいまおっしゃいましたように警察のほうでは実力を行使して中に入ったのでございますが、なぜ入ったかと申しますと、これは学生側が机やいすをもちまして出入り口にバリケードを築いて、そこにすわり込んでおったのでございます。これは当然職権行使として排除できるのでございますが、なお念のために警察のほうでは援護会の理市長である生悦住さんのほうからの要請といいますか、同意といいますか、むしろ入るときにはその辺のものをこわされてもけっこうであるというようなことまで承諾を得ておるのでございます。これは必ずしも職権行使上必要な同意ではないと思いますけれども、そのくらいの状況下にあったのでございまして、警察部隊を持っていきましてバリケードを排除して――これは排除しなければ中に入れないわけでございますから、これを排除して入りまして、そうして監禁状態あるいは不退去の状態、場合によっては威力業務妨害罪あるいは暴力行為という状態になると思いますが、そういうふうな状態にありました学生を排除した。こういう状況でございますし、この夜に学生側は暗やみに乗じましてかなり激しい抵抗をいたしております。外に出ました学生も、あるいは初めから外におりました者も一緒になったと思いますが、外に出ましてから、あるいはその辺にあります木ぎれでありますとか、あるいは石などをもちまして警察官に対して投げております。あるいは消火器でもって水をぶっかけております。こういうような抵抗を示しておるのでございます。  なお、当日朝からというお話でございましたが、これはもうすでに何べんもこういう状態が続いたわけでございますので、当日そういう不穏な状態を事前にキャッチしまして、警察としては当然のことで、これは情勢を見ておったのでございまして、当日は朝から私服が見ておるのは当然なことだと思っております。  それからこれは本日の問題ではないかと思いますが、冒頭に先生、民事問題ということをおっしゃったのでありますが、発端は民事かもしれませんけれども、出てきました事件は明瞭な刑事事件でございます。したがいまして、私どものほうでは、立ちのくほうがいいのか、立ちのかぬほうがいいのか、あるいは学生に対して費用を増徴するのがいいのか、悪いのかというようなそういう妥当性の問題につきましては、これは私どもは関与したところではございませんで、監着官庁である文部省当局なりあるいは学徒援護会のほうできめられる問題だろうと思います。私どものほうでは、さようなことは一応頭の中には入れておりまして、情状の問題としては考えておるのでございますけれども、事のいかんを問わず、このような乱暴をする学生というものを警察が放置するということは、これは警察が職務を放棄したことにほかならぬと思っておるわけでございます。
  58. 坂本泰良

    坂本委員 とんでもないことをあなたは言うね。私が言うのは、援護会学生がやむにやまれずやるということを知らずに、この際学生をやっつけようというので、夜に乗じてめちゃくちゃをやったということを聞いておるのです。これは問題は民事問題でしょう。しかし、一般の強制執行なんかの場合は一ぺんも出たことがない。こういう問題に対して警察官が出てくるというところに問題がある。というのは、警察官が出てきて一方を援助すれば、一方では非常な権力によって抑えられて不利になるのです。だから、その点は十分把握してやらなければ国民のための警察じゃないと思うのです。それを表面にあらわれたこと自体で、明らかに刑事事件でありますからやりました。明らかに刑事事件なんかを警察はつくらせて、それに乗じて人権じゅうりんをやるようなことがあるか。完全にこの場合は学生に対するところの問題であります。学問の自治に対する問題である。この援護会に入っている学生というものは全国から集まって、そう裕福な学生じゃありません。それがある程度の交渉がまとまらぬ、過激な団体交渉をやるからといって、学年側をどんどん押えていたならば、援護会のほうはそれに乗じてどんどん目的を達する。そこにあるのです。それだから警察官の出動の場合は十分慎重にやってもらわなければならぬ。一般の民事事件なんかで相当大きい家の取りこわし、家の明け渡しなんかの場合に、警察要求しても、署長さんは、それは民事事件だからといって問題にしないのです。こういう問題に限って機動隊三百名も繰り出してやる。バリケードではあるかもしれぬけれども、そうでないところも、この際この学生のやろうをやっつけようという、このごろ対立的の警察があって、国民のための警察でなくて、一方的権力下の警察ということで、この際暗やみだから戸をぶちこわしてでも入ってどんどんやる。なに、われわれがやったのは問題にならぬ、やればいいんだというような考え方が、このごろ警察に出ておるから、われわれは非常に憂えておるわけなんです。本件の問題でも、もっとやり方はあったと思うのです。その点は時間がありませんからあとにします。九日にまたやりますから、次に進みます。  その前に、六名を検挙したのは、これは勾留請求をしたけれども、それが却下になったから釈放したんだ、こういうふうに聞いております。その点はどうだということと、今度九月十四日にさらに三名を逮捕しておるわけですが、さらに家宅捜査令状を持たずに、自治会の立ち会いのないのに自治会室に入って、そうして館生の入館誓約書外数点の書類を押収するということをやっておるのですが、その点は、もし家宅捜査令状を持っておられたらば、どういう理由の家宅捜査令状であったかという点が一つ、それから三名の逮捕はどういう理由によって逮捕されたか、その後どうなっておるか。あまりごたごた説明せずに、結論でいいから答弁願いたいと思います。
  59. 後藤信義

    後藤説明員 三名、十四日に逮捕いたしましたのは、これは七日の事件捜査いたしました結果、この三名がかなり主導的な役割りを演じておった、あるいは主導者的な役割りを演じておったということで、悪性が強いということでその令状を請求して、その発行を得まして逮捕をしましたものでございます。  それから捜索をいたしました点につきましては、私、この令状の点は聞き落としましたので、これも後刻調べまして御報告させていただきたいと思います。捜索をいたしました事実は承知いたしております。捜索いたしましたその必要性は、これは前々からこういう事案がございまして、学生のある意味の計画的な犯行であると考えられますので、この証拠資料を収集するために捜索をいたしたのでございます。六名は勾留が却下になりまして、三名だけ勾留請求したのでございます。私のほうでは、警察といたしましては、全員身柄つきで検察庁に送ったのでございますが、検察庁のほうで勾留請求をし、三名については勾留は却下になりまして、そのまま検察庁のほうから釈放になっております。それから三名はその後身柄つきで検察庁に送り、検察庁で勾留請求いたしまして勾留になり、さらにそれが延長になりまして、ただいま勾留中でございます。
  60. 坂本泰良

    坂本委員 それで指導者と思われる一名を逮捕した。これは逮捕状が出ていたと思うのですが、その逮捕状の内容と、それから家宅捜査は令状が出ていなければできないと思うのですが、令状も見せずにやたらにやった、こう聞いておるわけです。それだからその令状の点を私聞いたわけです。それから三名逮捕の際に、逮捕状を見せずにその場で逮捕した、こういうことを聞いておるのですが、その点はいかがですか。
  61. 後藤信義

    後藤説明員 示さないでやったかどうか、私のほうでは報告を受けておりません。
  62. 坂本泰良

    坂本委員 じゃ、その点はひとつ調査しておいてください。それから令状の点も、あったかどうか、あったならばどういう内容捜査令状であるか。あわせてその逮捕状もどういう内容の逮捕状であったか、その点はそれじゃ次会にひとつ知らせてもらいたいと思います。  それから、その後、警察からの呼び出し状を持っておると称して中にどんどん入って、そうしてその本人にそれを渡すだけならいいけれども、そんなことはいなければ渡すことはできないわけですが、その際にこの援護会の中をぎょろぎょろ見て、いろいろ職業意識で調べておる。これは所有権は援護会にありましても、やはり占有権はその居住者にあるわけです。居住者の承諾を得なければ中に入ることはできないと思う。そこでこの寮においては自治委員会をつくって、自治委員会が、入っておるすべての学生の代表として事務もとるし、そういうような点については委任されてやっておるわけです。したがって、援護会のほうの理事の承諾があっても、やはりそこに居住しておる者は学生であるから、その学生が委任しておる学生自治会の承諾を得なければ、いかに任意の呼び出し状その他を持っていても、中に入ることはできない、私はそう思うのです。それを中に入る。令状、呼び出し状を持っておるというのは口実であって、それを口実にして中に入って、あそこの中を調べる。そこに悪性があると思う。だから私は、援護会承知しても――団体交渉の場合はこれは別でしょう。事務室か何かでやるでしょう。しかし各学生の部屋部屋に入ることは、これはできないと思うのです。それを毎日のように入っておる。違法に入って、そうして本人はおらぬでも、それを口実にして中に入って中をいろいろ調べる。そうして警官が、私服はすぐわかるから、入ることが学生自身に対する威圧になっておるのです。ですから、居住者としての合理的代理である自治会の承諾なくして今後入ってもらっては困る。この点について、なぜ入ったか、どういう理由で入ったかという点と、今後入ってもらうことはいかに警察といえども越権であると思うのですが、その点はいかがですか。
  63. 後藤信義

    後藤説明員 いまの点は、私ども報告に接しておりませんので、なお詳しく実情を調べまして善処いたしたいと思います。  なお管理権の問題につきましても、十分検討さしていただきまして、誤りないようにいたしたいと思います。
  64. 坂本泰良

    坂本委員 まだ検討していないのか。そんなことをこれから検討してじゃいかぬでしょう。もうどんどん入ってやっているんだろう。そういうのを警察でやる以上は、ちゃんと検討して、これだけはやるぞというくらいのあれがなければ、それだけでも人権じゅうりんになるじゃないですか。そんなものじゃないですよ。警察だからどこへ入ってもいいというものじゃないでしょう。これから検討するじゃ困るですよ。少なくともあなた、警察庁の課長さんでしょう。そのくらいの考え方を持っておるでしょう、どうですか。
  65. 後藤信義

    後藤説明員 私が申し上げましたのは、具体的にそういう事例があったかどうかわかりませんので、その事例をよく調べた上で、はたして管理権の状態がどうであったかということを調べて、また御報告さしていただきたい、こういうことであります。
  66. 坂本泰良

    坂本委員 それじゃ、その点でひとつ次会にお願いします。  それで、まだ入っていることは事実だから、それだから早急に検討するなら検討して、これはもう自治委員会からの承諾がなければ入ってはいかぬ、こういうふうに私は思っておるのですから、明示してそしてやってもらいたい。そうでないと、ただ検討するということで、もうきょうも入っておるかもわからぬから、そういうことはひとつ検討の済むまではやめてもらいたい。それを要望しておきます。  それから、検察庁にちょっと一言……。刑事局長お尋ねしたいのですが、公安事件については非常にこのごろの処置が変わっておりまして、警察に行けば、弁護士が弁護届けをもらうために面会を求める、そうすると、あなたに頼むと本人は言っておりませんよ、それはこれから面会して頼まなければならぬし、公安事件なんかはだれでも弁護をやりませんよ、だからやはり弁護士としても面会をしてその内容の大様はキャッチして弁護するかどうかきめなければならぬ。大体弁護するようになるでしょうが、弁護届けをとらなければならぬ。そのための面会も警視庁はこれを拒否しておるのです。その点が一つと、それから今度は、検察庁も一般刑事事件の取り扱いについては民主的に行なわれておることもわれわれは認めるわけです。しかし、公安事件については、家族その他親戚の面会はともかく、弁護人の面会についても非常に時間を五分とか十分とかあるいは十五分とかと制限をしてやっておる。これは面会を禁止するということは捜査の都合上あると思うのです。あるけれども、これはほんの例外であって、一般的にはやはりあそこに逮捕された者の家族には直ちに通知しなければならぬ。というのは、検察庁の側では、それは容疑があると思うけれども、片一方のほうではないと主張しておる。それを証拠隠滅のおそれがあるといって面会を禁止する。これは私は間違っておると思う。ことに公安事件については、ほとんど全部が警視庁ではそういうふうで面会はできない。検察庁に回っても面会禁止をする。公安下作で面会を禁止しない事件はほとんどないのじゃないかと思うのです。そういう点の取り扱いについての所見をお伺いしたいと思います。
  67. 津田實

    ○津田説明員 検察庁の扱いについてのお話に関して申し上げます。もちろん法律の規定による接見禁止等行ないましたものにつきましては、いろいろそれ相当の措置がございますが、これを特に公安事件についてどうというふうに別意の扱いをしておることは私ども承知しておりません。ただ事件の内応いかん、あるいは事件捜査推移いかんによっての必要性から行なっているというふうに考えておる次第でございますが、その他の全部が全部そういう扱いをしているわけじゃない。常に一般事件と全く同じ立場でものを考えているというふうに私どもは考えておるわけであります。
  68. 後藤信義

    後藤説明員 警察庁におきましても、ただいま法務省刑事局長お話趣旨と全く同様でございまして、特にどうということはございません。
  69. 坂本泰良

    坂本委員 そんなうそばかり言っている。私なんか公安事件で警視庁へ行って実際に体験していますよ。こっちは何とか面会をして慰めてやろうということもあるから、いろいろこっちは頭を下げて頼むと、なに、この代議士が来て何を言っているかぐらいの横柄なことを警視庁の巡査は言っている。公安事件で行ってごらんなさい、警察は絶対面会させていないのです。その点はどうですか。刑事局長になられたばかりで実情もおわかりにならぬでしょうが、刑事事件については、いろいろ大きい問題とかその他によって接見禁止の点はあります。しかし公安事件は、これはすぐ調査してもらいたいと思うのですが、警察から回ってくれば全部接見禁止です。もしやるとしたら、千に一つ二つぐらいしかないと思うのです。ことに家族なんかの面会は千に一つぐらいです。それから弁護士の面会にしても、非常に巧妙に悪らつにされるというのは、十五分間に制限する。何時から何時までの間、こういうふうに制限しておるのですよ。繰り返して申しますが、公安事件については弁護士に対しても全部接見禁止をして、そして弁護士が交渉した結果、あるいは十分、十五分に制限をして、それも何時から何時までというような制限をして面会をする場合が非常に多いのです。それは公安事件だから時の政府に反抗するでしょう。反抗するけれども、それは一つの確信を持ってやっているわけです。また、日本の国論は二つに分かれておりますから、公安事件として逮捕した者も、やはりその容疑者であり、被告人である以上は、同一に取り扱わなければならぬ。これが新憲法の中心の問題なんです。それが事実上憲法違反であり、じゅうりんされておるのです。そういうことのないようにしてもらいたいし、さらに調べが終わっても、警視庁のほうでほかの公安事件についても関連しておるからというと、もうそれはすぐ釈放してもいいけれども、ほかの取り調べの関係がある、逮捕する関係があるというので釈放してないという。公安事件については、ほんとうに反対の立場に立ちますと、われわれは涙のこぼれるように憤りを感ずるのです。そういう点について今後注意してもらうと同時は、本件に関連しているのは、公安検事の大津検事の係になりまして、九月十四日の検挙ですから、先日勾留理由開示の裁判が行なわれた。ところが、この勾留理由開示には検事は何も言わない。私はほんとうに国民の代表である検察官ならば、堂々と勾留理由開示の際に、これこれの理由があるからまだ勾留は継続すべきである、こう言うべきであると思うのです。局長は見たことがないかもしれないが、勾留理由の裁判を見てごらんなさい。裁判官が勾留理由を読み上げる。そうすると被疑者が意見陳述する。弁護人が意見陳述する。弁護人は三人に制限されて、意見は五分か十分にとめてもらいたい、こういう制限をするのですね。そうして検察官は意見を述べることができる、こうなっておるものだから、せぬでもいいということでしない。しかしながら、それは法の解釈の誤りであって、少なくとも人民を逮捕したならば、どういう現出で逮捕しておるか、弁護人あるいは被疑者から反対の話が出たならば、それはそう言うけれども、こういう理由があるから勾留は継続すべきであるというのを、堂々と検察官は述べてしかるべきである。そうして初めて国民の信頼を受ける検察官だと思うのです。それをいま全然やっていないのですよ。ただあそこに腰かけておればいいくらいな調子で、全く人権を無視した取り扱いが行なわれておる。これは刑事事件、選挙違反事件でもそういうようなものがある。そうしてその公安事件に限っては、公安事件に関する勾留理由開示の問題はすべてそういうふうに行なわれておる。こういう点についてどう思われますか。所見を承ります。
  70. 津田實

    ○津田説明員 勾留理由開示の場における検察官の活動と申しますか、につきましては、ただいま坂本委員の仰せられたように、もちろん活動すべきだというような御意見もあり得ると思います。しかしながら、勾留理由開示の問題につきましては、勾留の必要性についての問題を考えた裁判所の処置として行なわれるわけでございます。したがいまして、検察官がそれに対して意見を述べるかどうかということは、検察官のそれぞれの判断によるわけでございます。したがいまして、検察官として特に述べる必要がないとすれば、述べなくてもいいし、また場合によっては述べるべきでないという場合もあり得るかと思うわけであります。勾留状そのものは裁判そのものなので、そういう意味におきましての検察官の態度を現在持っているわけでございます。従来勾留理由開示の制度が始まりました当初におきましては、運用についていろいろ問題があったようでございます。今日におきましては、大体そういう方針で臨んでおると思いますので、それはもちろん御意見の存するところだと思いますけれども、現在におきましては、勾留理由開示そのものが本来の制度を適正に発揮するようにという趣旨を考えての上にほかならない態度というふうに考えております。
  71. 坂本泰良

    坂本委員 それは最も官僚的な答弁であって、もちろん勾留状は裁判所が出しましょう。しかしながら、出すのは検察官が請求するわけです。請求しなかったら裁判所は出さぬわけです。その出した検察官が、被疑者、被告人はるるその違法の事実を指摘して述べておるのに、検察官どうですかといっても言わないのですよ。言い切らないところにあれがあるわけですよ。それだから、そういうので勾留請求を裁判所が却下すると、今度あの裁判官はあれだというので、この間あなたもおいでになっておる司法制度調査会でも、検察側は裁判官の非難をするでしょう。私は、それは間違っておると思うのです。いやしくも国民を勾留するからには、それに対する反論があったならば、それには堂々と立ち向かうべき自信と確信を持ってやらなければならぬ。そういう確信がなかったら勾留請求すべきでないと思うのです。中にはりっぱな若い検察官があるというふうに聞いておる。しかし、たいがい公安部長、次長の指示によって動いておる。それはひいてはやはり法務省当局の指示によっておるからだ。そういうような解釈であっては、ほんとうに法を守るといっても法を守っていない。法を守るというのは、ただ法のとおりやるだけでなくて、国民のための法を守らなければならぬ。そういう点については私は誤っていると思う。しかも、もう十日間も勾留したならば釈放すべきである。それをさらに勾留の更新をするような場合は、よほど国民の人権を考えてやらなければならぬ。それを考えずにめちゃめちゃやるところに、公安事件に対する検察ファッションであり、権力に追従する検察といわれる。こういうふうに表面には言わないけれども、国民全部そう言う。そういう点についてひとつさらにこの次に御質問いたしますが、当面の問題として、これは大津検事の係でこの間勾留理由開示のなにがあったときに、検察官は何も言わない。そしてそのままになっておるということを聞いておりますから、そういう点は、これは裁判と違って検察官のほうは同一体の原則がありますから、ひとつ指示して、やはり学生はいま試験期なんです。だから普通ならば多少のことがあってもあれするのを、公安事件だと一も二もなく勾留請求をする。却下されると裁判官を非難する。そういうような勾留理由開示では意見も述べない、述べる知識もないかもしれない。そういうようなことはぜひ是正しなければならぬと思いますから、ひとつ大臣と相談されて善処方を要望しまして、自余のことは九日にやることにして、本日はこれで打ち切っておきます。
  72. 濱野清吾

    濱野委員長 次会は来たる九日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会