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1964-09-30 第46回国会 衆議院 法務委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年九月三十日(水曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 唐津 俊樹君 理事 小金 義照君    理事 小島 徹三君 理事 坂本 泰良君    理事 細迫 兼光君 理事 横山 利秋君       上村千一郎君    大竹 太郎君       鍛冶 良作君    四宮 久吉君       馬場 元治君    森下 元晴君       赤松  勇君    井伊 誠一君       神近 市子君    田中織之進君       松井 政吉君    竹谷源太郎君       志賀 義雄君  委員外出席者         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 九月三十日  委員篠田弘作辞任につき、その補欠として鍛  冶良作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員鍛冶良作辞任につき、その補欠として篠  田弘作君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政検察行政及び裁判所司法行政に関  する件      ————◇—————
  2. 小島徹三

    小島委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長が所用のためにおくれますので、私が委員長の職務を代行いたします。  法務行政検察行政及び裁判所司法行政に関する件について調査を進めます。  この際、去る八月行ないました委員派遣による各地実情調査について、派遣委員より報告を求めます。細迫兼元君。
  3. 細迫兼光

    細迫委員 第一班及び第二班視察調査報告をいたします。  去る八月四日より行なわれました派遣委員の第一班及び第二班の調査につきまして、坂本泰良君にかわり私よりその概要を御報告いたします。なお、詳細な報告書を別途提出いたしますので、会議録にとどめさせていただきます。  第一班及び第二班は、当委員会の決定に基づき、大阪神戸名古屋の各都市において、(一)青少年犯罪暴力事犯実態調査、(二)裁判所法務省関係庁舎整備状況調査、(三)その他現地要望不順三つ調査項目につき関係方面意見を聴取、懇談を遂げ、関係施設視察する等の方法によって調査を行ないましたが、今次の調査視察重点を、暴力行為処罰に関する法律の一部改正法の施行後の状況について関係方面意見を聴取し、懇談を遂げ、もって暴力犯界一掃と今後の国会運営に資するという点に指向しましたので、関係方面、特に第一線において暴力団に接触し、暴力犯罪取り締まりに従事している警察官、検察官からその実情を聴取するということに努力しました。  すなわち、大阪高検神戸地検並びに名古屋高校の各会議室に、検察警察当局において、この種事件責任者としてこれを現実に担当処理しつつある係官及び公平な住民代弁者として報道関係業務を担当しておられる有力新聞通信社社会部長論説委員方々に参集していただき、懇談会形式により、あらかじめ提出していただいた資料に基づき説明を聴取し、質疑応答を行ない、懇談を重ねました。なお、この懇談会の成果とあわせて、なまなましい体験談を通じてこの種暴力団活動状況暴力事犯実態を知るために、大阪においては西成署神戸においては生田署名古屋においては中村署の三警察署におもむき、現地視察し、実情調査を行ないましたが、得るところ多大のものがあったと考えております。  なお、名古屋においては大阪市における釜ケ崎、東京における山谷地区に匹敵するといわれる、いわゆる駅西地区現地調査も行ないました。  次に、裁判所法務省関係庁舎整備状況につきましては、大阪においては大阪高裁、同地裁、及び大阪高検、同地検庁舎の現況と新設希望地並び大阪法務局今宮出張所庁舎を、神戸においては神戸交通裁判所庁舎神戸拘置所庁舎をそれぞれ視察いたしました。  次に、調査概要とその結果について申し上げます。 一、暴力事犯について  大阪神戸名古屋のいずれにおいても暴力事犯は逐年増加し、悪質化しているばかりでなく、暴力団はその数と構成員増加しているばかりでなく、留意すべき多くの問題点が認められたのでありますが、いまこれを要約すると次のとおりであります。  (1)暴力団の再編成ないし、系列化が行なわれ、広地域にわたってその勢力を扶植するようになったこと。すなわち、  (イ)地方弱小暴力団の間に対抗争が激化している。  (ロ)この地方弱小暴力団の背後に必ず大きな暴力団が控えているのが普通である。  (ハ)大暴力団地方進出が盛んとなり、提携、統合が行なわれつつある。  (ニ)暴力団系列化が行なわれ、大暴力団は広地域にわたって勢力を扶植することに成功した。  (2)暴力団増加し、著しく機動性を備え、指揮命令系統を確立していること。すなわち、  (イ)暴力団構成員は逐次増加しているばかりでなく、不良青少年はあたかも暴力団予備軍化した情勢にある。  (ロ)暴力団は優秀な自動車を持ち、事件があると多くの団員を迅速に動員し得る機動性を持っているばかりでなく、その統制がよく保たれ、指揮命令が徹底している。  (3)ピストルその他の危険な凶器入手、隠匿に力を注ぎ、暴力事犯は凶悪化している。すなわち、  (イ)最近ピストル等危険な凶器の密輸入が多く、その大部分がこれら暴力団の手に入り隠匿されている。  (ロ)暴力団員による殺傷、その他の暴力事犯増加したばかりでなく、凶器としてこれらのピストルその他の銃器が使用されている。  (ハ)暴力団による殺傷事件が白昼公然と行なわれているばかりでなく、一般市民に損害を及ぼす等、悪質化している。  (4)資金入手方法が多様化し、かつ、その犯行が知能化しつつあるので、その取り締まりに困難を加えつつあること。すなわち、  (イ)暴力団組織を維持するため、暴力団首脳部飲食業遊戯場、その他の風俗営業を中心に、多角的事業経営を行ない、正業の陰に隠れて違法行為をするという傾向にあるので、取り締まりがむずかしい。  (ロ)従来行なわれていた賭博恐喝その他の違法行為に加え、債権取り立て業、会社荒らしその他の知能犯を犯すことが多くなった。  暴力団ないし組織的暴力事犯前記傾向に対し、関係当局においては、いわゆる頂上作戦を行ない、あたかも従来検挙の外に置かれているような観さえあった暴力事犯中核体検挙、摘発の手を進める等、その抑圧撲滅に真撃の努力を傾倒しつつあるが、次の諸点について、要望がなされた。すなわち、  (1)暴力団のばっこを押え、その資金源を絶つために、被害者は勇気をもって届け出ること。犯罪の通報その他について一般民衆が安心して協力してくれられるよう啓蒙活動が望ましい。  (2)暴力団中央地方ともに政治的な権力との結びつきについてとかくの批判があり、また、その事実なしとしないので、政界においては、中央地方ともにいやしくも彼らに利用されることのないよう格段の注意を払われたい。  (3)経済的に恵まれている暴力団の中には、優秀な自動車その他の運搬用具を備え、多くの構成員を擁しているので、これが取り締まりに当たる警察に対し、これに対抗し得る十分な優秀な自動車その他の器材の整備に特別の努力をいたされたい。ということがその主たるものでありました。 二、青少年犯罪について  関係方面努力にかかわらず、青少年犯罪も依然として増加悪質化一途をたどっているばかりでなく、その傾向年少少年層により顕著であることは憂慮にたえないところでありますが、特にこれを暴力団関係において観察いたしますと、次のような特色が認められるのであります。  (1)犯罪少年の低年齢化傾向学生犯罪増加傾向が認められること。すなわち、  (イ)従来少年犯罪重点は、いわゆる年長少年にあって、低年齢層である年少少年については比較的そのきざしが少なかったが、最近においては犯罪少年年齢はいよいよ低まりつつあり、しかもその累犯率は、その犯罪者年少犯罪者であればあるほど高い数字を示しているという憂うべき現象を示している。  (ロ)少年犯罪者のうちで学生、生徒の占める割合増加しつつあるばかりでなく、低年齢の中半生による犯罪が激増している。  (2)集団化悪質粗暴化傾向が顕著であること。すなわち、  (イ)青少年犯罪一般に二人以上の者によって集団的に行なわれる傾向にあるが、最近のそれは青少年がまず集団をつくり、その上で犯罪を行なうという傾向が著しい。  (ロ)青少年犯罪悪質化粗暴化傾向にあることはかねてから指摘されてきたところであるが、特に最近のそれは集団による輪姦事件強盗事件、教師に対する暴行傷害事件その他に見られるように、悪質化粗暴化が目立っている。  (3)再犯化傾向を帯び、暴力団予備軍化傾向があること。すなわち、  (イ)再犯化累犯傾向犯罪少年のうち年少少年層に多いことは前に指摘したが、他の少年犯罪者についてもその傾向が著しい。  (ロ)少年犯罪者が広く各階層に広がり普遍化傾向を示すと同時に、それはいわば暴力団予備軍化傾向をも示している。  このような傾向を示し、情勢を展開しつつある青少年犯罪に対し、関係方面において種々真摯な施策を試みているようであるが、これについて次のような上要望がなされた。すなわち、  (1)少年の福祉を害する成人の犯罪取り締まりを強化し、少年を取り巻く邪悪な社会環境の浄化に関係方面が協力すること。  (2)犯罪少年に対する家裁の措置適正化をはかり、関係機関緊密化をはかるために必要な立法指貫を講ずること。  (3)保護施設を改善拡充すると同時に関係法令改正を行ない、犯罪少年の更生と教化をはかるために予算上、立法上の措置を講ずること。  以上のとおりであります。三、裁判所法務省関係庁舎整備状況について  このたびの視察調査におきまして、裁判所並びに法務省関係庁舎のうち、大阪高裁、同地裁大阪高検、同地検大阪地方法務局今宮出張所神戸簡易裁判所交通部、いわゆる交通裁判所神戸拘置所の七カ所を実地に視察しましたが、いずれも狭隘もしくは老朽化し、その設備は劣悪の状態にあり、新営その他何らかの措置をとる必要があるものと思われました。なお、これについては現地方々より種々の陳情があり、要望が行なわれましたが、その詳細はすべて別紙報告書に譲りたいと考えます。  簡単ではありますが、以上をもって御報告を終わることにいたします。
  4. 小島徹三

  5. 大竹太郎

    大竹委員 去る八月三日より四日間行ないました第三班すなわち東北班調査について、その概要を御報告申し上げます。なお、詳細な報告書は別途提出いたしますので、会議録にとどめていただきたいと思います。  この班は大竹太郎井伊誠一委員編成で派遣され、仙台盛岡青森の各都市において、当委員会の決議に従い、一、青少年犯罪暴力事犯実態調査、二、裁判所法務省関係庁舎整備状況調査、三、その他現地要望事項、の三つ調査項目につき、関係施設視察あるいは懇談会を開くなどの方法により調査を行ないました。懇談会仙台高裁盛岡地検青森地裁の各会議室において行なわれました。なお、裁判所法務関係庁舎整備状況につきましては、仙台少年鑑別所盛岡少年刑務所盛岡地方裁判所盛岡地方検察庁公安調査庁合同庁舎青森少年院新築現場青森地方裁判所青森法務合同庁舎青森地方法務局青森保護監察所視察しました。  次にその調査概要を申し上げます。  第一に暴力事犯について申し上げますと、東北地方における暴力団関係暴力事犯は、いわゆるなわ張り争いを原因とする凶悪な暴力事犯が少なく、反面一般市民に対する小暴力的事犯が多いことがその特色としてあげられます。また、これらの暴力団体は、団体数に比して団員数が少なく、関東関西方面暴力団に比べてみればいわゆる弱小団体であるといえると思います。警察当局説明によりますと、東北地方にも関東関西方面暴力団の影響が徐々にあらわれてきており、宮城県、岩手県では松葉会組織拡大活動が活発に行なわれておるようであります。暴力団資金源については、賭博東北各県に行なわれておりますが、最近目立ってきているのは、暴力団上層幹部による債権取り立てであり、またそれにかこつけて恐喝等犯罪が行なわれておるのであります。  暴力団対策については、特に民間側の協力を強調しておるのでありますが、官民協力しての暴力追放運動の事例として、最近岩手県水沢市において関係機関市民が一体となって暴力追放に立ち上がり、暴力団一掃に成功しつつあることであります。この暴力追放運動若手県各地に反響を呼び、盛岡、花巻、江刺、北上などの県内の主要都市料理飲食業者も結束してこの運動に乗り出しておるのであります。  第二に青少年犯罪について申し上げますと、東北地方においても青少年犯罪は逐年増加一途をたどっておるのでありまして、東北六県の少年人口少年事件受理人員との比率は、少年百人について四人強の割合となっており、さらに虞犯少年数を加えると十人強となっておるのであります。少年犯罪は、刑法犯については窃盗犯が最も多く、また漸次増加しておるのでありますが、これは少年非行が最も手軽な形の窃盗から始まるものとして看過できないものがあります。当地方における少年非行兇器所持による悪質犯行が比較的少なく、この重大都市における傾向と異なっておりますが、半面輪姦事件の多いことが特色としてあげられます。なお、少年院送致少年のほとんどが前歴のある者であり、また検察庁へ逆送された少年中、業務重過失致死傷犯や殺人、強盗強姦等重大犯罪を犯した少年の半数以上が、すでに保護監察あるいは少年院送致の処分を受けており、この傾向が逐年増加しておることは注目すべきことであります。  青少年犯罪対策としては、各関係機関がさらに緊密な連絡協調をはかる必要があることを強調しております。  第三に営繕施設について申し上げます。  東北地方冬季降雪期間が長く、北海道に次ぐ寒冷地帯であるため、等により一般的に営繕施設耐久度が低く、腐朽度の著しい施設や狭隘な施設が相当多数あり、それぞれその新営方を強く要望しております。また、矯正施設暖房設備は主としてストーブによってまかなっているため、その周辺のみがあたたかいだけで、舎房全体に暖気が及ばないという不合理があるので、暖房スチーム設備を願いたいとの要望もありました。これらについての詳細は、別途報告書に譲りたいと思います。  最後に、その他の要望事項について申し上げますと、  (1)岩手県はほぼ四国全土に匹敵する広さを占めていますが、その大半は山岳地帯であり、交通がきわめて不便であります。しかるに裁判所検察庁職員配置自動車割り当てが少なく、非常に不便を感じておるのでありますが、これは事件数等を基準にして職員配置自動車割り当てが行なわれているからであるので、この地方特殊性について格段の考慮を払ってもらいたい旨の要望がありました。   〔小馬委員長代理退席委員長着席〕  (2)東北地方の諸都市住民税は、東京などの大都市に比べて非常に高く、東京などより転勤してきた場合、相当の減収になるので、この点について考慮を払われたい旨、仙台高裁当局よりの要望がありました。実例をあげてみますと、判事四号俸クラス扶養家族三人の場合、東京に比し、仙台市は一・四八倍、福島市は一・四一倍、山形市は一・四六倍、盛岡市は一・四四倍、秋田市は一・七三倍、青森市は一・六五倍となっております。  以上簡単でありますが、東北班報告概要を終わります。
  6. 濱野清吾

    濱野委員長 この際おはかりいたします。ただいま概要報告のありました調査報告は、これを会議録に掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よってそのように取り計らいます。  本日の議事はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後十時五十四分散会