○横山
委員 かねがね
理事会で話題になっておりました財団法人愛慈会の
理事者間の紛争について
法務省の見解をただしたいと思います。本件は
理事会において話題になりましたけれ
ども、時間の
関係上、
法務省から提出をされました資料を一ぺん簡単に朗読しまして問題の焦点だけお伺いします。
財団法人愛慈会は三十四年の七月認可されまして、設立者は金重哲爾、有地滋となっております。
目的は、更生緊急保護法、犯罪者予防更生法及び
執行猶予者保護観察法に規定する保護対象者に対し、その自立更生に必要な援護をなすこと、このようになっております。事業は、保護
施設の
設置経常、
病院の
設置経営、その他
目的を達成するために必要と認める事業でありまして、設立当初の
理事は金重哲爾、金重律子、有地滋、福田篤泰、西崎恵、近藤鶴代、山下勇、山上松義であります。この中の二人、福田篤泰と近藤鶴代はわれらの同僚議員ということになるわけです。
今日紛争しております状況は、
昭和三十八年十一月二十七日、
東京法務局日本橋出張所において、法政大学教授望月新八が、財団法人愛慈会
理事兼同会の他の
理事の代理人の資格で、同会の
理事変更登記の手続をとった。
その登記
事項は、同会
理事全員計七名が退任し、退任
理事中五名が重任、別に望月ほか一名が新任したという
内容であったが、車任されなかった
理事二名は、現に同会の運営に当たっている
理事長および常務
理事であり、この両人は
理事改選の事実について、何ら関知していなかった。
望月は、右変更登記した登記簿謄本を携行して、同会の取引金融
機関(富士銀行中野支店及び八千代信用金庫町田支店)におもむき、同会
理事長印の紛失届け及び
理事長の名儀変更の手続をとり、同会の預金の払い出しをはかったが、両金融
機関では、念のため即時払い出しを拒否するとともに、同会にこの旨照会し、あわせて従来の
理事長印による払戻し請求にも応じがたい旨を通告した。
さらに望月は、十一月五日夕刻数名を同道して同会にあらわれ、新
理事長(近藤鶴代参議院議員)の委任によるものとして、山上
病院長(変更登記前の常務
理事)、渡辺主幹ほか数名の職員の解任を申し述べ、その即時退去を要求し、その旨を記したビラを事務所内に掲示した。しかし同会職員の強硬な退去要求により、望月らは、同日九時ごろ退去したが、翌六日以降も数日にわたって朝から夕刻まで同様の行動を繰り返し、各職員の自宅に宣伝文を郵送する等した。
変更登記前の山下
理事長及び山上常務
理事は、東京
地方裁判所に、十二月十八日
理事改選の無効並びに両名が
理事長及び常務
理事の職務を行なうものであることの地位確認請求訴訟を提訴するとともに、預金の払い戻し不能
状態が直ちに同会の業務
執行に支障を及ぼすため、同月十九日登記上の
理事の職務
執行停止及び
理事職務代行者選任の仮処分命令を同
裁判所に申請し、紛争は法廷に持ち込まれることになった。
この結果、仮処分命令申請については、
裁判所の勧告により、
昭和三十九年二月二十六日和解が成立し、両当事者の代理人(弁護士)立会のもとに同会運営の必要経費は取引金融
機関から払い戻しが可能となり、一応同会の業務は維持されることになった。
保護観察所のとった
措置、同会の直接
監督官庁である東京保護観察所においては、設立後数年を出ずして同会の
理事間に意思の疎通が欠け、これがしばしばその円滑な運営を阻害し、同会の拡充整備の障害となっている経緯に着目し、特に医療更生保護会としての同会の存在の重要性にかんがみ、随時積極的な勧告助言を重ねたが、その主要実点は次のとおりである。
1、役員は同会の公益性にかんがみ一致協力して事業の円満な運営及び拡充発展のため努力されたいこと。
2、複雑困難な同会の事業の運営が常時円滑に
処理されていくためには、
監督庁との密接な連絡が不可欠であり、かつ同会運営の中枢となる
理事長と常務
理事とが常時話し合える地理的状況にあることが望ましいこと。
3、
理事の任期が満了しているのにもかかわらず、評議員の委嘱すら行なわれていない事態をすみやかに正常化されたいこと。この結果前記のとおり、昨年八月二十八日
理事長の更迭が行なわれ、評議員の選任準備等も
理事長と常務
理事の間で進められるに至ったのであったが、その矢先突如として昨年十一月三十七日に端を発する一連の事態が発生した。
理事変更の登記は行なわれたが、
法務省令等(更生保護事業の認可等に関する規則、法務大臣の主管に属する公益法人の設立及び
監督に関する規則等)に基づく
法務局に対する
理事の異動届け、保護観察所に対する経営
責任者及び幹部職員の変更認可申請はもとより、代表者変更の
報告の手続はとられず、保護観察所としては全く承知しなかったことから、
昭和三十八年十二月六日とりあえず職員が同会におもむいて
実情を
調査するとともに、同会の全
理事に対し、十二月九日及び十七日の二回にわたり、文書により
監督官庁として遺憾の意を表明するとともに事態の早急な収拾について善処方を要望したほか、所長みずから各
理事と面談の機会を得るようはかったが、引き続き同会の運営に当たっている山下、山上両
理事のほかは、健康上等の理由により、その実現をみないまま今日に及んでいる。
保護観察所においては、同会の現に果たしている更生保護機能の社会的重要性にかんがみ、紛争の解決に努力しているが、特に昨年末、同会取引金融
機関の預金払い戻し停止に際しては、同庁管内の連絡助成保護会(財団法人東京保護観察協会)等から総額五百四十二万六千四百九十五円に及ぶ一時融資をあっせんし、同会の十二月分及び一月分の職員の俸給、期末手当等の支給に事なきを得るよう
措置した。
今後の
対策、民事訴訟の提起をみたことは遺憾であるが、すでに争いが法廷において決せられることとなった以上、
監督官庁としては、何よりもまず現在進行中の
裁判の経過に注目しつつ、事態の円満な解決が一日も早く実現するよう
指導を継続すべきものと思料する。
時間の
関係上、あなたの御
答弁になることを全部朗読をして
質問をいたします。これを見ますと、第一に私
どもが痛感しましたことは、もう気違い
病院の
監督をしている人が、気違いのように両派に分かれて争っているということであります。こんな危険きわまることをそのままに放置してよいものではない。これは何としてもあなたのほうも同感だと思います。それから第二番目に
考えられることは、
監督官庁として、この法令に基づく手続が何らとられていないということを何も知らなかったということであります。
あとになって気がついて、やってないじゃないかと言うて文句を言いに行ったというんですね。それから三番目には、あなたのほうの基本方針である三項目によって
理事の更迭が行なわれた。そこまではよろしいのだが、あなたのほうも責任を持っておやりになったにかかわらず、突如として昨年十一月二十七日にこういう事態が発生をした。つまり、あなたのほうの言いつけによってやったけれ
ども、ちっともそれはおさまっていなかった。何しろあなたのほうのやり方が非常に不十分であったということが
考えられることであります。その次は、今後の
対策として一番
考えられることは、あなたのほうの態度としては、いま法廷の争いになっている以上はしかたがない。だから
裁判の経過に注目をせざるを得ないということのようであります。そうすると、一審、三審、三審でとことんまで争うとしたならば、おそらく争うでありましょうが、ここ数年間はほっておくつもりであるかということであります。
以上の点が私が非常に遺憾に思う点でありますが、御返事を願いたい。