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平賀政府委員 四百四十七条におきましては、二項で、
訴訟を
通常の
手続に
原告が
移行させました場合には、直ちにその旨を
被告のほうに
通知するということにいたしまして、
被告にそれを知る機能を与えております。ただ問題は、
被告が全然争っていない。
訴状の
送達を受けまして、
答弁書を出すことになるわけでございますが、
答弁書を出さない。それから第一回の
期日にも出てこない、全然争っていない。そういう場合に、たとえば第一回の
期日におきまして、
原告が
通常訴訟に
移行するという
申述をいたしますと、これは直ちに
通常訴訟に
移行するわけでありますが、その場合に、
被告がそれまで全然争っていない場合には、この
通常訴訟に
移行したという
通知が
被告に到達する前でも、直ちにその日の
口頭弁論を閉じまして
判決ができるということを二項でやっておるわけでございまして、これは
被告にとっては非常に抜き打ちのような
感じもするのでございまして、ただいまの御
意見非常にご
もっともで、これは
法制審議会におきましても、この点、いろいろ問題になったわけでございますけれども、もしこの場合でも、その日は
口頭弁論を終結できない、必ず
被告側に
通常手続に
移行したという
通知をした後でなければ日賦弁論を終結することができないというごとになりますと、これは、
手続が遅延することはもちろんでございますが、
現行制度のもとにおきましても、たとえば第一回の弁論
期日に
被告は不出頭で、
答弁書も出していない、その他準備
書面も何も出していない、全然争っていないということで、第一回の
期日に直ちに
口頭弁論を終結いたしまして、いわゆる欠席
裁判ができることになっておるわけであります。ところが、
手形訴訟にしたために、
口頭弁論を直ちに終結して欠席
判決ができない、なお終結するにしても、これは
手形訴訟として終結しなければならぬということになりますと、
被告側はさらに
異議の
申し立てをして延ばすということが可能になってまいりまして、
現行の
手続よりももっと
被告側に有利になるといいますか全然争いもしないし、弁論
期日に出頭もしない、怠慢といってもいい、その
被告側に有利に扱われる結果になりはしないか、それでは
現行の
制度よりももっと
権利者に不利益になるではないかということになりまして、弁論
期日においても、直ちに
訴訟を
通常の
手続に
移行して、弁論の終結ができるということにいたしたわけでございます。ただ
被告がそれまでに全然争っていない、
書面でも
口頭でも争っていないという場合だけに、これば限定したのでございまして、そうすれば、
被告のためにもそう不利益なことにならぬだろう。一たんこういう
規定ができますと、
被告側としましても、
手形訴訟の
訴状の
送達がございますと、
答弁書あるいは準備
書面を出して全然争ってない、あるいは
口頭弁論期日までに出頭して争わないと、いきなり
通常手続による弁論を終結されて、不利益な
判決を受けて、
異議の
申し立てばできない、控訴しかできないということになるぞということを十分覚悟するということになるわけでございますので、こういう
規定を置きましても、
被告側に不利益ということに相ならぬだろうということでもって、こういう
規定に落ちついたわけでございます。