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1964-05-21 第46回国会 衆議院 法務委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十一日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 鍛冶 良作君 理事 唐澤 俊樹君    理事 小金 義照君 理事 小島 徹三君    理事 坂本 泰良君       上村千一郎君    大竹 太郎君       四宮 久吉君    中川 一郎君       古川 丈吉君    森下 元晴君       神近 市子君    田中織之進君       松井 政吉君    山本 幸一君  出席政府委員         検     事         (民事局長)  平賀 健太君  委員外出席者         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 五月十九日  暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正す  る法律案反対に関する請願河野密紹介)(  第三七三六号)同外三件(栗原俊夫紹介)(  第三八四六号)  同(島上善五郎紹介)(第三八四七号)  暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正す  る法律案反対等に関する請願岡本隆一君紹  介)(第三八四五号)  岐阜地方裁判所高山支部庁舎改築に関する請願  (金子一平紹介)(第三八四八号)  同(金子一平紹介)(第三九七九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  民事訴訟法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三四号)(予)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これから会議を開きます。  民事訴訟法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前会に引き続き質疑を行ないます。大竹太郎君。
  3. 大竹太郎

    大竹委員 前会の四宮委員質問に多少重複するところがあるかもしれませんが、一、二お聞きいたしたいと思うのであります。  今回出ましたこの民訴の一部改正でありますが、これは旧民訴にありました為替訴訟制度の、もちろん多少違ってはおりますけれども、その制度の復活というふうにも見られるわけであります。もちろん、当時と現在においては為替手形の流通の度合いとでもいいますか、そういうものは比べものにならないと思うのでありますけれども、当時、旧民訴為替訴訟廃止についても相当議論があったというふうに聞いておるのでありますが、第一、旧民訴当時の為替訴訟利用状況とでも申しますか、そういうものは一体どうだったのでありますか、それをまず第一番にお伺いいたします。
  4. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいまお尋ねの旧民訴当時におきましての為替訴訟利用状況でございますが、これはやはりある程度利用されております。詳しい統計が残っていないのでございますが、旧民訴がまだ効力を有しておりました一番最後の年、昭和三年でございますが、その当時第一審の通常訴訟事件の総件数は約三十一万七千件でございます。その中に為替訴訟事件が三万九千件ございまして、分量としばある程度の量を占めておったのでございます。
  5. 大竹太郎

    大竹委員 それならば、普通のものの考え方からいたしますならば、不備な点とでも申しますか、不都合な点を改正して、その制度を普通ならば残すというのがものの考え方だと思うのでありますが、それを廃止した理由は一体どういうことでありますか。
  6. 平賀健太

    平賀政府委員 御承知のとおり、大正十五年に旧民訴改正になりまして、昭和四年から施行されたのでございますが、その改正の際には、職権主義の強先あるいは欠席判決制度の大改正、そのほか訴訟促進という見地から相当大幅な改正がされたわけでございます。そういう関係で、この旧民訴の複雑な為替訴訟はこの際やめてしまっても、新しい訴訟手続でやれば十分実効をあげ得る。旧民訴為替訴訟にかわるような特別な制度をつくらなくても、新民訴規定でこれを運用していけば、十分訴訟促進の実をあげることができる、そういう考え方で為普訴訟を廃してしまったようないきさつでございます。旧民訴一つの大きな欠陥とされておりましたのは、いわゆる留保判決制度でございまして、被告側が争いました場合には、為替訴訟判決はいたしますけれども、なお訴訟通常訴訟としても引き続き継続をしておる為替訴訟判決に対しては独立に控訴ができる。しかしながら、その事件はなお通常訴訟として一審の裁判所に残っておるその通常訴訟でまた通常手続判決がされますと、その判決に対しても上訴ができる。二本立てで非常に複雑な制度になっておったわけでございまます。それからまた、為替訴訟判決がありまして、事件通常手続で審理されますと、これがやはり相当長く延びるのであります。どうも為替訴訟はそういう手続が複雑だし、通常手続に移りますと、また相当長引いておる、こういうことではやめてしまったほうがいい。なお、つけ加えて申し上げますと、当時におきましても被告欠席欠席判決がされる例が、非常に手形に関しては多かったわけでございます。この新法になりまして、欠席判決手続も非常に旧法に比して簡易化されたことでございますので、新法に移ってもこの簡易な欠席判決で片づく事件が相当あるんじゃないか、そういういろいろな事情から為替訴訟をやめてしまったといういきさつのようでございます。
  7. 大竹太郎

    大竹委員 それではこの新民訴のやり方によって、大体この目的が達せられるという趣旨から廃止になったというお話でありますけれども、それで今度また復活したということは、それなら新民訴ではその目的が達せられなかったということになるのでありますか、その点を。
  8. 平賀健太

    平賀政府委員 為替訴訟廃止されましたのは、ただいま申し上げたような事情のようでございますが、実際この新民訴を実施いたしてみますと、当時の見通しが必ずしも正確でなかった。少し甘かったようなきらいがないでもないのでございます。新民訴訴訟促進ということを非常に大きな目標にして制定されました。実際運用しました結果は、皆さま方も御承知のとおり、必ずしも訴訟がこれによって画期的に促進されるというよりも、訴訟遅延ということが現在の一つの大きな欠陥になっておるという現状でございます。ことに戦後経済の発展に伴いまして手形小切手利用度が旧時に比してさらにふえておる。しかも裁判所事件もまた非常にふえておりまして、この手形小切手事件普要訴訟手続で、他の見事事件と同じ手続で同じペースでやっておりましては、どうしてもやはりほかの民事事件なんかと歩調を合わせていくということになってしまいまして、他の事件に比較しまして当然早く解決されなくてはならぬ手形小切手事件が、他の事件並みにおくれがちになる。経済界のほうでも、ことに各地の商工会議所なんかにおきましても、昭和三十一年ごろから、もう一度旧民訴にありましたような為替訴訟制度修正した上で新たに採用してもらいたい。他の通常民事事件も同じことであるが、特にこの手形小切手事件については迅速な扱いをはかるような、そういう手続をつくってもらいたいという要望が出てきたわけでございます。そういう関係におきまして、旧民訴為替訴訟制度欠陥をできるだけ是正いたしまして、それにかなり修正を加えて、今回のような案にいたしたのでございます。
  9. 大竹太郎

    大竹委員 いまのお話の中にもあったのでありますが、訴訟遅延ということはあえてこの手形関係のものだけではなく、一般的に言われておることであります。このいただいた資料、まだ全部見ておりませんが、この座談会資料を見ますと、現に東京の地裁では手形関係のものだけを別に設けてやっておる。そのために非常に迅速に処理できておるというようなことで、この新しい制度についてのアンケートなんかを求められた場合においても、東京商工会議所その他では、特に新しいその関係の部を設けてやっておるところはそれほど要望はなくて、関西その他の裁判所のほうでそういうことをやっておられないところで、特にそういう希望が多かったというようなことも書いてあるのであります。そういうような面から見ますと、現在の制度のもとにおいても、裁判所のお取り扱いいかんによっては、特にこういう制度を設けないでもいいんじゃないかというふうにも考えられるのであります。その点はどうですか。
  10. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま仰せのとおり、東京におきましては、昭和三十六年ごろからでございましたか、手形部を設けまして、手形小切手事件はそこで集中をしてやるということで、かなり訴訟促進の実をあげていられるようであります。それからまた大阪におきましても、最近手形部がつくられておりまして、成績があがっておることと思うのであります。ただ、手形部が設けられましても、やはりこれは主として被告側でございますが、証拠制限というものが全然ありません関係で、とにかく見込みのないものでありましても、抗弁を提出いたしまして立証する、証人申請をするというようなことになりますと、やはり裁判所としましては、その証人調べをしなければならない。ところが、証人期日に出てくればいいですが、欠席であるということになりますと、だんだんそれが延びていくということで、東京のように手形部がありますところにおきましても、やはりこういう証拠制限による迅速な裁判手続が必要であるというのが実情であると思うのでございます。
  11. 大竹太郎

    大竹委員 それでやはり必要だというお話でありますが、旧為替訴訟制度先ほどお話がありました留保判決ですか、今度の新しい制度におきましても、異議申し立てがあった場合には、やはり普通の手続に移るということになりますると、先ほどお話がありましたように、二本立ての弊害はなくなったわけでありますけれども異議さえあればやはり通常手続でやらなければいけないというような面から見ますと、五十歩百歩でありまして、問題のある手形その他につきまして一番それが長くなるわけなのでありますから、そういう意味から言いますと、やはりこの訴訟促進にはならぬように思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  12. 平賀健太

    平賀政府委員 手形訴訟手続で申しまして、判決をいたします場合には職権で仮執行宣言をするわけでございます。しかも原則として無担保で仮執行宣言をつけるわけでございまして、たとえば提起しました原告のほうでは直ちに強制執行ができるわけでございます。異議申し立てばできますけれども執行ができるというような関係で、債権者でございます原告のほうがすみやかに満足する道が開かれているのでございまます。  それから、なお、現在の手形事件実情を見てみますと、一審の判決で勝訴いたしまして、仮執行宣言に基づいて強制執行をいたしますと、被告のほうは多くあきらめまして、もう上訴しないというケースが相当あるのでございます。そういう関係で、迅速に手形訴訟判決がなされまして、仮執行宣言に基づきまして執行がなされますと、被告のほうはそれで観念いたしまして異議申し立てをしないというケースも相当出てくるのではないかと思うのでございます。現在の手形事件上訴率なんかを見ましても、これはほかの事件に比べまして非常に低いのでございます。現在の手形事件訴訟実情から見ましても、ただいま仰せのように、異議申し立てがあってさらに長引いてというか、最終的な解決が非常におくれるというようなことは、非常に救済され、是正されるのではないかというふうに考えられるのでございます。
  13. 大竹太郎

    大竹委員 それで、このいただきました資料を見ますと、いままでの手形関係する訴訟は大体五、六カ月というような資料にたしかなっていたと思うのでありますが、それなら、新しい手続によりますと大体その平均はどの辺にいくお見込みでありますか。
  14. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま御指摘の資料の十ページに表が出ておりますが。その資料から見ますと、大体三カ月以内、六カ月以内に解決している事件というのが相当多いのでございます。二カ月以内、三カ月以内、六カ月以内、現状のもとにおいてもこのようでございますが、非常に早く解決しているのは欠席判決によるものが相当入っていました関係だと思うのでございます。欠席判決は、先ほども申し上げましたように、今後も、この法律施行後も当然相当数を占めるだろううと思うのでございまますが、この新しい手続のもとにおきましては、六カ月以上をこえるような事件というものは非常に減るのではないか、非常に減るというよりも、手形訴訟手続におきましては、手形判決でございますと六カ月以上かかるというようなものはほとんどなくなると見ていいのではないか。これは私どもの想像でございまして、実際これは運用してみなくてはわからぬと思うのでございますが、一カ月以内で解決するという事件が圧倒的に多くなるのではないかというふうに私どもは大体予想をいたしております。
  15. 大竹太郎

    大竹委員 それで、むずかしいやつはどうせ異議申し立てがありますから、通常手続ですると相当長くなると思うが、簡単なものは二カ月ということになると思います。それで全然あきらめて異議申し立てもないというお話でありますが、そういうようなことになりますと、むしろこういう手形訴訟というような新しい制度を設けないで、督促手続のほうをもう少し考えまして、そのほうがむしろ実情に即するのではないかと私は思うのでありますが、その点はどうでありますか。
  16. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま仰せの点につきましては、督促手続修正でもって何とかならないかと、私どもも立案の段階におきまして一応考えたのでございます。ただ、実際この手形事件訴訟になる実情考えてみますと、被告になりました債務者のほうでは、できるだけ延ばしたい、少しでも延びれば、一日でも延びればということであります。督促手続も、手形事件につきましてかなり現在すでに利用されております。しかるに支払い命令が出ますと、異議申し立てをすれば、すぐに通常訴訟に移ってしまうという関係で、この督促手続改正では、やはりどうも目的を達することができないのではないか。今度新しい制度ができますと、債権者のほうといたしましては、いきなり手形訴訟手続を選ぶか、あるいは督促手続から入っていくかということは選択権があるわけでございます。この督促手続改正だけではどうも不十分であるように思うのでございます。  それからなお、この案におきましては、督促手続につきましても若干の修正をいたしまして、これは手形支払い命令、あるいは小切手支払い命令という制度をつくりまして、支払い命令に対して異議申し立てがありました場合には、通常訴訟を開始するのではなくて、手形訴訟を開始する。そういう道も開いたのでございます。両方の制度が相まって債権者がすみやかに権利の実現を得る道が開かれるということになるのではないかと考えておる次第でございます。
  17. 大竹太郎

    大竹委員 えらいくどいようでありますが、支払い命令に対して異議申し立てるような場合には、やはり手形訴訟でも異議申し立てる。そうすれば結論としては同じほうにいくのではないかと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  18. 平賀健太

    平賀政府委員 仰せのとおりでありまして、この異議申し立て債務者のほうからいたすわけでございます。債務者異議申し立てまして、それから債権者のほうへ手形訴訟をやってくれ、というよりも、もう最初から、支払い命令申請をいたします場合に、もし被告すなわち債務者のほうから異議申し立てがあったならば手形訴訟手続でやってくれという趣旨の申し出を、あらかじめしておけるというふうに改めたわけでございます。でございますので、先生の御趣旨のように実はなっておると思うのでございます。
  19. 大竹太郎

    大竹委員 最後に、いま一つお聞きしたいのであります。もちろん、この提案理由の説明の中にもあったわけでありますが、いわゆる手形権利を迅速に確定させ、そして手形の信用度を高めるという趣旨であります。御承知のように最近手形を安易に出す傾向が一般にあるわけでありまして、四宮委員からお話がありましたように、あるいは融通手形でありますとか、あるいは金融手形でありますとか、そしてまた、したがって、そういう手形かなり持ち回るというようなことから、そこにパクリ屋というものも非常に出ておるというようなことであります。そういう手形、いわゆるパクリ屋にパクられた手形、パクった手形を迅速に権利を確定されては非常に困るわけでありまして、そういうような面から見まして、やはりこういう制度意図として考えますと同時に、何とかそういう面でやたらに手形を出さないように、別な面で手形の信用というものを高めることを考えていかなければ、私は困るのではないかと思うのでありますが、それは裁判所や法務省の管轄ではないかもしれませんが、そういう点についてはどうお考えですか。
  20. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま仰せの点、非常にごもっともでございまして、新聞紙上にもいわゆる手形パクリ屋事件というものが報道されておりますが、現在この不渡り手形の中でかなり分量を占めておりますものに、月賦販売の品物の購入者割賦金手形で出すということが多いのでございます。セールスマンとしましては成績をあげるために、先々の代金は手形でいいんだ、手形をお出しなさい。そういう関係で、買い主のほうでは将来の支払いのあても必ずしも確実性がないのに、全然取引も何もない銀行支払い場所にして約束手形を書いて渡すというようなことがかなり多く行なわれておるわけでございます。これが現在の不渡り手形かなりの量を占めておるように私ども聞いておるのでございます。そういう手形不渡りになるというようなことで、手形訴訟で仮執行宣言がなされまして強制執行されてくるようになりますと、普通の善良な市民が非常に予期しないことになるというおそれが私どもとしましては懸念されるのでございます。そういう動きに対しましては、どうしてもやはりこういう新しい制度ができて、手形を出すとたいへんなことになるぞという点の啓蒙が必要だろうと思うのでございます。そういう関係もございまして、この法律施行期日も来年の一月一日からということにしまして、法律の公布後相当期間、やはり十分啓蒙をする必要があると考えておるのでございます。私どものほうとしましては、ただいま仰せのような点に対してはそういうふうに考えておる次第でございます。
  21. 大竹太郎

    大竹委員 それから、いま月賦お話がありましたから、ついでにお聞きしておきたいのですが、いわゆるパクリ屋式パクリ屋がパクッた手形というようなもので裁判になった。これはなかなかわからぬ問題だろうと思いますけれども、そういうものが裁判所に出た、そしてそれが問題になっておるというようなケースが相当あるのでありますが、その点は何か……。
  22. 平賀健太

    平賀政府委員 私も実はよく実情承知しないのでございますけれども手形授受の当事者間でありますと、これは比較的立証が容易というか、必ず立証ができるケースが非常に多いだろうと思います。ところが、その手形が転々いたしますと、立証かなり困難になるということが考えられるのでございます。そういうパクった手形が請求されました場合に、証拠法が非常に制限されております関係で、書証だけで立証しなければならぬという関係で、手形訴訟手続段階では立証できる場合が非常に少ないのじゃないかと思われるのでございます。たとえ一応その場合は債務者のほうが敗訴になりましても、その場合でも抗弁だけは被告のほうは提出することができるわけでございますが、抗弁かなり真実であると思われるような場合でございましたら、裁判所としましては、これは相当高額の担保原告側に積ませまして仮執行宣言をつけるというようなことで制限をしていく。そうして異議申し立てを待って通常訴訟で解決していくということになろうかと思うのでございます。しかし、このパクリ屋事件というものは、たくさん流通しております手形の中の割合からいうときわめてレア・ケースでございますので、そういう意見もございますので、やはり一応すべての手形金請求事件について手形訴訟制度が一律に適用になるというたてまえはちょっとくずせないのではないかというふうに考えるのでございます。
  23. 大竹太郎

    大竹委員 予備審査段階でありますので、一般的なことだけをきょうお聞きしておきまして、条文の点は後日に譲りたいと思います。
  24. 小島徹三

    小島委員 いまの質問に関連してですが、せめて手形支払い場所を、取引先銀行があればいいのですが、そういう資金があるかないかは別としまして、全然取引のない銀行を指定しておったというような場合は、これに対して何か刑事処分を加えるということで、そういう手形の乱発を防ぐというようなことはできないのですか。これはいまの大竹君の質問に関連して、そういう面から手形のトラブルを防ぐという方法はできないのでしょうか。
  25. 平賀健太

    平賀政府委員 全然取引のない銀行支払い人にする、あるいは支払い場所にするという点の御質問でございますが、その点は小切手法に実は規定があるわけでございます。小切手法には規定がございまして、前回申し上げましたように、そういう場合には五千円以下の過料ということになっておりまして、まあ五千円以下というのがいいかどうか、これは検討の必要があると思いますが、小切手法にはそういう制裁がございます。ただ、手形法にはそれがないのでございます。これは手形の性質上、あらかじめ取引がなくても、あるいは資金がなくても、現在ではそういう取引のない銀行支払い人あるいは支払い場所と定めるということもやむを得ないのではないか。それを全面的に禁止するというわけにはまいらないと思うのでございます。ただ、これは詐欺の意図をもってそういうことがされました場合には、もちろん刑法の問題になろうかと思うのでございます。いま仰せの点につきましては、私の現在の考えを申しますと、これは相当慎重に検討する必要があるのではないか、そう簡単にはまいらぬように思うのでございます。
  26. 濱野清吾

    濱野委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午前十一時八分散会