○
四宮委員 無
担保が危険と言うが、とにかくもう仮差し押え、それじゃ仮
執行も危険なんだ、同じ理論からいくというと。ただ、
訴訟だけを認めるか認めぬか、
手形も振り出しをさえ認めれば問題がない。それだから、これはやはり債権ならいわゆる
手形所持人にその取得の
原因を聞けば、これはもう大体の模様がわかるのだ。高利貸しで金を借りてこの
手形をとったんだ、そういうような
状況によってそれぞれわかるんだが、とにかく
商業取引である場合は、そういうようなのをもう少し簡素にする
考え方をしなければ、
訴訟手続でどんなにお急ぎになっても、きょう
不渡りになって、それから弁護士に頼みに行って、弁護士がそれじゃ仮差し押えをやるというまでに、どんなにしたって一週間や十日かかる。きょう行ったからきょうやるという、なかなかそうは簡単な
手続にいかない。それからまた順次進んで、
訴訟をそれじゃ起こす。期日がきまってくるまでの間、東京の
裁判所なんか期日をきめるのでも半月というのはとても早い方で、うっかりすると一月くらいかかる、
手形訴訟でも。前の
手形訴訟法のあった時代でもそうなんだ。そのくらいにかかる。一月くらいかかる。それから期日がきまってくる。その間約二月くらい。これはまあお説のとおり一回か二回で片がついています。
手形訴訟だから、
通常訴訟と異なり早く結審するという形で片づいていることは事実でありますけれ
ども、しかし、現実の
商取引の
現状というものはそういうゆるやかなものでないという見地に立って、もう少しこれを早く
処理すれば、その
財産の
処理がうまく運営つくような
機会を得られることがあるのです。だんだんずらせばずらすほど、もう
再生の道がなくなるし、債権者に対して、いわゆる
手形所持人に対する回収の道もだんだん日がたつに従って閉ざされてくる。これを瞬間的に
処理するというところに私は妙味があると思う。こういう点をもう少し十分
検討を加えていただくことが、私はいまの場合非常に——これだけに
訴訟の進行を進めるのなら、仮差し押えの
方法は
法律上許されておる
方法なんだ、
担保を積めばできるんだから、できない道じゃない。ただ、
保証の金が、どろぼうに追い銭の金というものは、
商人としてはなかなか出しにくい金である。そんなことをやっているうちには間に合わなくなって、結局、それじゃひとつどこかで金の算段をしてきて仮差し押えをしなければならぬというような、またそれがために上塗りの苦労を中小商工業者にさせなければならぬというのが
現状であることについては、もう少し
考え方を十分
検討を加えていただきたい、こう思います。
それからもう
一つ聞きたいことは、この
訴訟は、
手形所持人の住所地で
訴訟する
方法はつかないものですか。