○
平賀政府委員 この
法例という
法律が、
明治三十一年ですかにできた非常に古い
法律でございまして、その後字句の若干の修正がございましたが、ほとんど制定当時そのままなのであります。ただいま
仰せのとおり非常に簡単な
規定でございます。
解釈上も非常に
疑義が出ております。
裁判所の判例もなかなかございませんので、多くの問題がございまして、この
法例もできるだけ早い機会に改正をする必要があるわけでありまして、法務省におきましては数年前から
法制審議会において検討中なのであります。しかしながら、属人法は
本国法なりや
住所地法なりやというような根本問題がございまして、なかなかそれの解決が困難でございます。法務省の現在の考え方といたしましては、
法例の改正は今後もなお検討を続けていきますけれ
ども、こういうふうに
条約によりまして個々の
事項ごとに国際的な解決がされていく場合には、これをいつも
日本に取り入れることにしてはどうであろうか。これを
国内法に取り入れることによって
実質的に
法例を改正していくということになるのではないか。たとえば動産の売買につきましては、やはり
準拠法を定める
条約が
会議で採択された例もございます。そういうふうに動産売買法あるいは養子縁組法という場合に、個個の
事項ごとに
条約ができておりますので、それを検討いたしまして、それを
国内法に取り入れていく。そういうことによって
実質的に
法例を改正していったらどうであろうかというふうに考えておる次第でございます。もちろん、この
法例に含まっておりますところの
国際私法の問題全部について、全部この
条約が
成立するということは、これはよほど先のことでございますので、それまで待つわけにいきませんけれ
ども、この
法例自体の改正と並行いたしまして、現在すでに
成立しておる
条約、あるいは今後
成立します
条約を
国内法に取り入れていくという努力も並行してやっていく。それによって
日本の
国際私法の改善をはかるというふうに持っていきたいと考えておる次第でございます。