○田中(織)委員 私は、奈良法務局で出てまいりました
人権擁護委員の部落問題に対するアンケートの集約による
文書のいわゆる部落差別問題、これは一度予算委員会で取り上げたのでありますが、
文書の出ました奈良法務局が、これは本省の問題だということで関係者に面会を拒否しております。そんなことでは——ここでこのときは
人権擁護局長、賀屋法務大臣も答弁に立たれたのでありますが、
国会で答弁されていることが末端にまで徹底していないというようなことではいけませんので、あらためて取り上げたいと思うのでありますが、
刑事局長の他の委員会への
出席の都合もあるということでありますから、それは後日に譲りまして、
刑事局長のおられる間に二つだけ質問をしたい。時間の関係も迫っておりまするので簡潔に質問いたしますから、お答えも要点をお答えいただきたいと思います。
一つは、一口に申し上げれば
検察行政のあり方の問題だということになるわけであります。これは同僚の坂本委員なりあるいはわが党の山田委員等が、たびたび本委員会においても取り上げておりまする近江絹糸
事件、この問題にあらわれる
検察庁の態度というものは、
刑事局長もたびたび
本件の
捜査段階の差しつかえない範囲でお答えになっておりまするように、相当事実関係が明白になってきておるけれ
ども、まだ
本件についての
検察庁としての最終的な態度がきまらないのです。そこにどうもやはり検察当局が、これは
行政機関の一部でありますけれ
ども、広い意味における司法部内の問題といたしまして、何らかそういう政治的な、ことに政界等に関係のあるような問題については、検察当局でてきぱきとした
結論が、
捜査の関係もございましょうけれ
ども、なかなか出ないというような一面があるかと思いますと、私がこれから申し上げる
事件は、たまたま高松
地検において提起されました四国電力に関する告発
事件の問題でございます。この問題は、やはり公益事業としての電力
会社の経理の問題、いわゆる背任容疑の問題でございます。さらにその問題は、大森川の発電所のダム建設にかかわる事案でございまするので、そのダム発電工事の使用セメントの問題あるいは掘さく量の問題等が科学的に調べられまするならば、先年フランスあるいはイタリア等においてりっぱな設計のもとに進められたダムの決壊
事件というような問題が出て、大きな社会問題を引き起こしておる関係があるわけです。ことに使用セメントは、この種の高堰堤には使えないといわれておる高炉セメントを、仕様書も何もなくて相当多量に使用いたしたのであります。その結果ダムに亀裂を生じまして、その亀裂の問題を究明いたしましたために、その
会社の土木部長が工学博士の学位までもらったというような深刻な問題を含んでおるような
事件にまつわる背任容疑の告発
事件でございます。
ところが、この
事件に関連いたしまして、公益事業令違反の問題がございます。これは
決算委員会で私宅取り上げたことがございまするけれ
ども、永久保存のダム掘さくのための最終設計書というふうなものが、現在四国電力にないというような事態もあるわけであります。
捜査の
段階から実地
調査を行ないまして、あらためてそういう図面が
国会にも提出をされてきたというような問題も含んでおる告発
事件なんであります。
ところが、関係の
事件はまだほかにも二つあるのでありますけれ
ども、そういうようなものと切り離して、これがたまたま、たしか昨年の十一月二十七日であったと思うのでありますが、四国電力の中川
社長に対する背任容疑の告発与件というものが不
起訴処分になった。たまたま翌日、四国電力が
定時株主総会を開いておるわけであります。待ってましたというように。この問題について
株主の一部から告発がなされたのでありますけれ
ども、
検察庁で不
起訴処分になって
会社に対する容疑は晴れたんだということを得々として
経営者側が
株主に報告しているという事実があるわけなんです。関連した幾つかの告発
事件がいまだ
検察庁の関係で残っておるのに、特に
株主総会にとって重要だと思われるような
事件を抜き出した形で不
起訴処分にするというような問題が実は起こっておるのであります。
それから、この
事件と関連いたしまして、
昭和三十八年の九月三十日に、これは
会社の嘱託関係の者で別の脅迫
事件でございますが、香川県警に告発されました。その後警視庁にまで
捜査官が参られまして、
実情調査等を行ないまして、昨年の十一月二十七日、その告発
事件が不
起訴になった日に、香川県警より高松
地検に書数が送付されている
事件がございます。この
事件については、まだ高松
地検では
起訴、不
起訴等の決定がなされていない。
それからもう
一つの問題は、やはり四国電力に関しまする石炭納入権の譲渡、この問題は電力
会社の経理に非常に関係の深い石炭納入権にまつわる問題でございまするが、実はこの問題についての告発
事件が三十八年の八月十日に特別背任容疑ということで
地検に出されておるのであります。ところが、三十九年の三月になりまして、東京
地検を通じて、調書をつくるために
出頭してくれるように、こういうことの通知が告発人に対して出てまいったのであります。これは電話、電報、あるいは東京
地検を通ずるというような関係で、主任
検事からの
連絡の問題であったのであります。たまたま告発人の弟さんが、先般の大分空港における富士航空の事故でなくなりまして、その葬式その他の関係で結局出られなかったのでありますが、たまたまその担当
検事が
機関の異動で、現在大阪高検に移っておると思うのでありますが、異動の内命というものが出ましたので、こういう懸案事項の
調査を急がれよう、こういう意図ではないかという点は推察するにかたくないのでありますけれ
ども、最後は電話でもいいから出てくれないか、こういう形の催促と言いますか、告発人の
出頭要求ということが出てきておるのであります。電話で告発人に事情を聞くということによってその告発
事件の最後の
結論を出そうというのであるといたしまするならば、あまりにもこの
事件を軽く扱っている。昨年の八月十日に出されたもので、それまでに十分
調査をしなければならぬ。あるいは内面的な
調査が行なわれておったのかもしれませんけれ
ども、三月異動を前にして、その方は三月二十五日に高検へ異動されておるようでありますけれ
ども、異動直前になって——まあ告発人
本人の事情等もあったのでありますけれ
ども、現在それはまだ後任者によって
捜査が進められておるような
段階になってきているのであります。私
どもちょっとその点、電話に出てもらいたいというような形でこの関連の
事件の
捜査について
結論をもし出そうとする意図であったといたしまするならば、これはきわめて重大な問題を含んでいるのではないか、このように実は
考えるのであります。
最初に申し上げました近江絹糸の
事件等の問題についても、
刑事局長は当委員会でもたびたび質問があるたびに、あれは進行
段階であると御報告になりますけれ
ども、私
どもはそういう意味でも、いまだに使途不明の金が四千数百万円もあるというような金額まで出ているのに、この
事件の決をとらないというところに疑惑を持つと同時に、高松
地検の、私がいま申し上げました
事件については、実は
総会の前日に
結論を出す、待ってましたというように
会社がやっておる。そこで次席
検事にお会いいたしましたときには、犯罪の容疑というものは
起訴するに足りるだけのものはないのだ、しかし事実関係につきましては疑惑は残っているということは、
検察庁のほうでは告発人に説明をされておるようでございます。ところが、
会社のほうは不
起訴処分ということになったので、青天のへきれきだというような形で、
総会を乗り切るために、これは
検察庁の意図ではないだろうと思うのでありますけれ
ども、結果的にはきわめて政治的に、
検察庁のとった態度というものが利用されている。こういうような問題が出てきておるし、一面同じ
地検の関係では、それに関連して、二つの
事件についてはいまだに
結論が出ないでいる。これは
捜査の
段階である。ところが不
起訴処分になったということの事情を伺いに告発人等が参りましたときには、別途出ておる告発
事件等担当の
検事が、実は知らなかった、それは急速に調べなければならぬというようなことで、これはいずれも関連する
事件でありますけれ
ども、そういう事態が出ている。私は、この関係については、専門的な技術しの知識も要する問題もある中を、検察当局がかなり突っ込んだお調べをされているという一面も承知しておるわけでありますけれ
ども、少なくともあらわれた結果については、近江絹糸
事件とはまた違った意味において、どうも検察当局が政治的に動かされたのではないかというような疑惑が持たれるような
事件が出ておりますので、これは私は検察の威信のためにも、一度ひとつ検察の首脳部である
刑事局長のほうで、この間の事情をやはり
調査をしていただかなければならぬのではないかと思うのです。きのうようやく
連絡をしたようなことでありまするから、あるいは事実についての
調査もまだできていないかもしれませんけれ
ども、
検察行政のあり方がいろいろ問題になっているやさきでございますので、当局の御意向を伺いたいと思います。