○
三田村
委員 暴力犯罪が間尺に合う、商売になる、確かに
警察庁長官のおっしゃるとおりで、私は因った問題だと思います。テレビを見ておりましても、映画を見ておりましても、毎日出てくるものは
暴力暴力、何かその
暴力犯罪というものに皆さん麻痺してしまったような気がする。だが一面、その対象になるものは善意の
国民、善良な
国民です。たとえば先ほど
お話しになりました年少者、特に十四、五歳、十六歳くらいまでの
粗暴犯、近ごろ性
関係、特に
強姦に関する
犯罪がたいへん多くなりました。私もこの問題はここに記録を持っておりますが、
昭和三十一年かにこの
委員会でもだいぶやりました。
強姦罪は親告罪からはずすという法改正をやったのですが、それでもなおどんどん
強姦罪が起こる。正千件の
強姦罪は五千人の被害者があるということなんです。中には被害者に値しない者もまれにはあるかもしれません。しかし、そのことによって一生を失う善良な市民があるのだということを私は忘れてはいかぬと思う。しかも、これでそうたいした罪悪視されていないというところに問題がある。これはいま両
当局が申されましたように、
警察にも
検察にも裁判にも、どこかに欠陥がありましょう。これは直さなければなりません。直すためには、
警察のほうも自分
たちの努力が足りないんだ、手が足りないんだという自省、反省もさることながら、これはこの点をこういうふうに改めてくれなければ困るのだということを、私は勇気を持って主張してもらいたいと思います。
検察庁のほうでも、何ぼ起訴しても、裁判所に送っても、すぐ保釈してしまうのだ、保釈中にまた再犯をやる、こういうことで困るなら困るということを厳粛にどこか必要な機関に要請してもらいたい。こういうことになりませんで自分
たちの間口だけで考えていますと、全体の問題が前向きに進行していかないと私は思うのです。せっ
かく法改正をやるなら効果のある有意義をやりませんと、
意味がない。こういうふうに私は思うのでございます。たとえば最近の
暴力団の
傾向でもそうなんです。
警察庁長官が言われました、商売になるんだ、間尺に合うんだということでは一番困る。全く端的な話、
暴力団に加わっておれば商売になるんだ。資金は麻薬の密輸入か何か知りませんが、あるいは借金の取り立てか何か知りませんが、
暴力団に頼んで借金を取り立ててもらおうということが許されるからいけない。なくする
対策を講じていかなければいけないと私は思います。
暴力団暴力団と
一般の通称になってしまいましたが、一体ここで
暴力団というものは何だということをもっと法規範の面から
社会規範の面から
一般の
国民大衆に認識させることも必要だと思う。と申しますことは、私はこの
資料を読んで頭が痛くなってしまった。
犯罪白書、
青少年白書の中に実に詳細に重要なことが書かれておりますが、一体だれがどのくらいこれを読んでおるかということをしみじみと思うのです。これだけの
資料を——
青少年白書には定価がついておる。だれがこれを読むか。いま
刑事局長、
警察当局から
お話しのような、そういった重要な
事案はこんな大部なものにしなくてもよろしい。こんな大部なものにしなくてもよろしいから、私はもっと
一般の大衆に周知徹底せしむる方法をとってもらいたい。みんなが認識しなければ
暴力団はいつまでたっても商売になりますよ。いつまでたっても間尺に合う。経済
事犯、つまり
財産犯罪がだんだん減っていくということは、勘定に合わぬから、商売にならぬから減ってくる。
暴力団に関する限り商売になるから、間尺に合うからふえてくる。だから間尺に合わないようにするためには
一般社会の認識を深からしめることです。こんな膨大なものを、専門家は見ますけれ
ども、
一般大衆は見やしません。見たってわからぬ。もっと簡明に平易にこういったものをおつくりになって、必要なら予算もとって、それで
一般に認識させる。
学校の先生にも
家庭の主婦にもPTAの役員にも、すべての者に認識させるということが私は必要だと思う。さっき法務
大臣にここで申し上げようと思ったのですが、
大臣が来られてから言うつもりです。そういう措置をとりませんと、これは思想をこえた、政治的
立場、判断をこえた問題なんですよ。いつの
時代でも、いずれの
社会でも、
暴力行為というものは間尺に合わないんだという世の中にしませんと、
暴力事犯というものは絶えませんよ。幾ら法改正をやっても絶えない。そういうことを私は心配するのです。私一人であまり時間をとるとまた
社会党のほうからいろいろ御意見がありましょうから……。いずれにしても、
暴力団構成員の
前歴者調べが出ておりますが、八二%まで
前科者です。これは商売になるからこう出てくるのですね。
暴力団がだんだんふえてくるのだ。
昭和三十四年は四千百九十二
団体、七万二千八百六十人であったものが、三十八年の一月現在では、
団体が五千百三十一、
暴力団の
構成員が十七万二千七百十一人。十七万人もの
暴力団員がわれわれの平和な
社会に生存している。そして先ほど問題になった年少者、ますます凶悪化しつつある年少者は、やがて年次を経てまいりますとだんだんこの
暴力団構成員の中に入っていく。いまは十四歳、十五歳、十六歳ですが、三年、五年たつと肩ひじ怒らした一人前の
暴力団に養成されていくのです。しかも年少の
犯罪者はどんどんふえていく。将来ますます
暴力団の構成は、
団体において量においてふえていくという
傾向を私は見のがすことができないと思うのです。こういう問題に対してもっと抜本的なことを考えてもらいたいということが私の強い主張です。私は、一面において悲しみと一面において憤りを持ってこの問題を見る。これはどうしても
政府も
一般人も、与党も野党も力を合わせて
暴力犯だけはなくしたい、なくすることがわれわれの
責任だと私は思う。
資料を一々引っぱり出してやっているとたいへんでございますから、あまり多くの
ことばを費やしませんが、どうでしょうか、
刑事政策の面から見た問題点、
社会政策の面から見た問題点、文教政策の面から見た問題点、大体問題点をしぼっていくと三つあると思うのです。まだたくさん幾らでもありますが、特に一番必要なものは、池田さんの言う人づくりじゃありませんが、私の言うのは、人間形成の
過程における
社会環境——道徳教育とかなんとかいう問題を私は取り上げようと思うのじゃない。だけれ
ども一体人間とは何だ、人間とは何だということは、小さな子供の
時代から完全な民主
社会の
構成員としての人間として育てていくことが必要と思うのです。これは
一つの大きな文教政策でしょう。同時に
社会環境の問題もある。こういった問題についてほんとうに真剣になってこの国会でも取っ組んでいかなければならぬ。記録を見ますと、同じことを何べんもこの
委員会でやるのです。私自身も、いまここに
唐澤さんおられますが、唐津さんが法務
大臣のときにだいぶここで二人で議論したこともございます。岸総理
大臣に出てきてもらってやったこともあるのです。だけれ
ども、やったときはやっただけで、前向きに進んでいかない。私はこれじゃ
意味がないと思う。
中青協の事務局長が来ておられますが、私も中背協の
委員を一年やりましたが、私は歯にきぬを着せずに率直に申し上げます。これはお役所仕事に終わっては
意味はありませんよ。中背協の問題も、こういう
青少年白書をお出しになっておりますけれ
ども、
中央青少年問題協議会の白書で、これは四百三十円か何かで定価がついていましたね。中背協が定価をつけたこういう
資料を私は出版物でお出しになるというところとは思っていない。そうじゃないのです。青
少年問題をどうさばいていくか、この根源、根本の問題はどこにあるのだ、どういう環境をつくっていくことが青
少年問題の
対策になるのだということを掘り下げまた掘り下げていくことが、私は
中央青少年問題協議会の
任務であり、また仕事だと思うのです。苦言を呈しますが、こういう
資料はけっこうでしょう。けっこうですが、そうでないもっとほかの面があるのじゃありませんか。おやりになる面があるんじゃないですか。お役所になっては
意味がありません。単なる行政じゃないのです。われわれ善良な市民によって構成された
社会の内部にある疾患、
竹内刑事局長の
ことばをかりるならば病根かもしれません。どうしてこれを手当てしていくか、医者はだれなんだ、薬は何だということが今日問題なんで、医者も薬もなしに、病気がここにある、ここにあると病気だけ振り回してみたって
意味がないのです。この中にいろいろ
対策がありますよ。
対策がありますが、どこまでこれがおりておるか。大衆の中に、青
少年の中に、
家庭の中に、われわれが住んでおる地域
社会にどれだけおりておるかということが私は根本の問題だと思う。こういう点どうですかね。中青協のいまおやりになっておる
立場から、どういうことをお考えになっておるか、率直に伺いたいと思います。