○三田村
委員 政務次官にもぜひお聞き願いたいのですが、
法務省関係の仕事で国民に直接
関係のあるのは登記事務なんです。同時に国民の
権利を設定し、またその
権利を保護するという非常に重要な仕事が登記事務なんです。
不動産登記法のたてまえからこれを新しくすることもさることながら、私は一番必要なことは登記事務の円滑化と、それからほんとうに国民の便利、
利益に関しての業務だと思います。この前もやかましく言ったんですが、
法務省の御意見を伺っておると、人員が足りないからとよく言われます。人手不足だからとよく言われますが、これは私は見当違いだと思うのです。人手が足りなければ人手をふやせばいいのです。御
承知のとおり道路にしろ、あるいは工場の建設にしろ、土地の利用度が非常に高まってまいりまして、寸断また寸断されつつあります。そういうときに登記事務というものはますます繁雑になってくる。しかもこれは重要な
権利の設定なのです。人手が足りないから、少し人員が少ないところは登記所をやめて統合するというのは、私は反対です。交通機関が便利になったから少しぐらい遠くなっても来ればいいじゃないか、この思想も間違いだと思う。幾ら山の中でも、一日に三件か五件しかない登記所でも、置いてあることが、政府のなさなければならぬ
一つの方向であって、人員が足りないから、予算がないから登記事務所を減らしていくということは、私は根本から間違いだと思う。そういうことでなしに、これは必要な国民の
権利の設定であり、その
権利の保護ですから、登記所で確認されなければ国民の
権利になりませんよ。その重要な登記事務ですから、人手が足りなかったら堂々と予算をおとりになってよろしい、人員をふやすことが必要だと思う。この点はこの前も私、やかましく言ったんですが、なぜやかましく言ったかといいますと、登記事務所が統廃合されるというので、われわれのところに陳情団が殺到してきました。ところによっては局長御存じのとおりたいへんな紛争を起こした地域もあるのです。そんなことをやらなくたって、少し人員をふやして登記所を廃止するのでなくてふやすべきだと思う。私は根本思想が違うかもわかりませんが、とにかく
不動産の登記によって
権利が設定され保護されていくのです。しかも今日、道路一本つけたって
自分の
所有の土地がばらばらに切られてしまう、ますますこれが盛んになる。こういうときに、私は登記事務の簡素化、能率化も必要ですが、同時に国民の便利のために登記所というものを
考えなければいけないと思う。この点についての、事務的な御
判断もそうですか、ひとつ政務次官、しっかり
考えていただきたいと思うのです。登記所なんて廃止するものではないですよ、統合するものじゃない。山の中でも登記所をつくってやるべきだと私は思う。幾ら山間僻地だって学校はちゃんとある。必要だからあるのです。登記所も必要だから置いてあったのです。しかも、いままでの登記所というものは、地元の人が、あるいは町役場であるいは村で町で、建物から敷地から提供してつくってきたのです。それを人員が足りないから、予算が足りないから減らすということは、私はどうも合点がいかない。政務次官、ひとつ御意見を伺っておきますが、
民事局長も遠慮なく予算をとっていただく、われわれも登記事務に関する限り、お手伝いをいたしますよ。そしてもっと前向きに、いまの非常に進歩的な
法律ができたと言われましたが、幾ら進歩的な
法律をつくっても、国民の感覚にぴったりきませんと、だれも利用しませんよ。そこに政治があるのです。ほんとうの親切な行政があると私は思う。この点ひとつ十分お
考え願いたいと思う。ひとつ局長と政務次官から御答弁を伺っておきたい。