運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-02-18 第46回国会 衆議院 法務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十八日(火曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 鍛冶 良作君 理事 小金 義照君    理事 小島 徹三君 理事 三田村武夫君    理事 神近 市子君 理事 坂本 泰良君    理事 細迫 兼光君       大竹 太郎君    奥野 誠亮君       四宮 久吉君    田村 良平君       千葉 三郎君    中垣 國男君       馬場 元治君    井伊 誠一君       山本 幸一君    竹谷源太郎君       滋賀 義雄君  出席政府委員         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 津田  實君  委員外出席者         検     事         (刑事局総務課         課長)     辻 辰三郎君         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局         長)      寺田 治郎君         専  門  員 桜井 芳一君     ————————————— 二月十五日  委員田村良平辞任につき、その補欠として江  崎真澄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員江崎真澄辞任につき、その補欠として田  村良平君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三八号)  刑事補償法の一部を改正する法律案内閣提出  第四一号)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び刑事補償法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。  刑事補償法の一部を改正する法律案について逐条説明を求めます。辻総務課長
  3. 辻辰三郎

    辻説明員 刑事補償法の一部を改正する法律案につきまして、改正部分の御説明を申し上げます。  改正点の第一点は、第四条第一項中「二百円以上四百円以下」を「四百円以上千円以下」に改める点でありますが、この点につきましては、現行法は、無罪裁判またはこれに準ずる裁判を受けました者が、未決の抑留もしくは拘禁または自由刑執行等によります身体拘束を受けておりました場合には、これにその日数に応じ一日二百円以上四百円以下の範囲内で裁判所が決定した金額の割合によります補償金を交付するものといたしておりますが、右の二百円以上四百円以下という基準金額昭和二十五年に定められたものであり、現在におきましては低きに過ぎる面も生じているものと認められるのであります。ところで、右の基準金額を引き上げますにつきましては、当時の経済事情と今日のそれとの比較が正確に反映されたものでなければならないとは必ずしも考えられないのでありますが、試みに昭和二十五年当時の賃金及び物価の水準と最近におけるそれとを比較いたしますと、最近のそれはおおむね二倍程度の上昇を示しておりますので、これを勘案いたしまして右の基準を二倍に引き上げるといたしますと、四百円以上八百円以下となりますが、他面現行法制定の際、金額を決定するための参考資料一つとされましたものと認められます刑事訴訟における証人日当最高額は、当時百二十円でありましたものが現在千円とされておりますことや、常用労働者平均賃金が現在千円をこえておりますこと等にかんがみますと、右の基準金額の上限はこれを千円とすることが適当であると考えられますので、右の基準金額はこれを四百円以上千円以下とすることとした次第でございます。  次に改正点の第二点は、第四条第三二項本文中「五十万円以内」を「百万円以内」に改め、同項ただし書き中「五十万円」を「百万円」に改める点でありますが、この点につきましては、現行法は、無罪裁判またはこれに準ずる裁判を受けました者が死刑執行を受けました場合、すなわち死刑執行後、再審等無罪が確定いたしました場合でありますが、このような重大な事例は現在まで皆無であり、将来もあり得ないことと確信いたしておるところでございますが、この場合には、これに五十万円以内で裁判所の決定した金額補償金を交付し、なお、この場合本人の死亡によりまして生じました財産上の損失額が証明されましたときは、その損失額に五十万円を加算いたしました額の範囲内で裁判所の決定した金額補償金を交付することとしております。右の五十万円という基準金額も、昭和二十五年に定められたものでありまして、今回身体拘束による補償基準金額が引き上げられるといたしますと、これをも引き上げることが適当であると考えられますので、これを二倍に引き上げて百万円とすることといたした次第であります。  次は、この法律案附則関係でありますが、その第一項は、「この法律は公布の日から施行する。」といたしまして、施行期日を定めたものであります。  次は第二項として、「この法律施行前に無罪裁判又は免訴若しくは公訴棄却裁判を受けた者に係る補償については、なお従前の例による。」といたしておる点でありますが、これはこの改正法が、その施行後に無罪裁判または免訴もしくは公訴棄却裁判を受けました者に対しまして適用されることを明らかにしたものであります。刑事補償請求権無罪等裁判を受けましたときに発生するものでありますので、改正法施行後にこれらの裁判を受けました者につきまして適用することとしたものであります。  以上をもって御説明を終わります。
  4. 濱野清吾

    濱野委員長 これにて逐条説明は終わりました。     —————————————
  5. 濱野清吾

    濱野委員長 これより両案の質疑に入ります。質疑の通告がありますから、これを許します。大竹太郎君。
  6. 大竹太郎

    大竹委員 それではこの定員法のほうから御質問いたしたいと思うのでありますが、いただきました資料を拝見いたしますと、現在の定員に対する欠員が七十一名、これはもちろん判事判事補を入れての裁判官定員についての欠員でありますが、七十一名の欠員ということになっておるのであります。これはもちろん現在の全体の定員は二千四百四十五名ということになっておりますので、これと比較いたしまして必ずしも多いということにはならないかとも思いますけれども増加しようとする十五名というものから見ますと、相当大きな数字というふうに考えられるのであります。そういたしますと、この増加理由でありますが、第一審の裁判の適正迅速な処理という点から見ますと、増員に先立ちまして、現在の定員欠員補充して、定員定員として確保するということがまず肝要かと考えられるのでありますが、この欠員に対する補充計画その他について具体的にお示しをいただきたいと思います。
  7. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。ただいま御質問ございました裁判官欠員の問題でございますが、これは毎回この法務委員会定員法の御審議をいただく際に問題になる点でございまして、私どもとしてもその充員にいろいろ努力を重ねてまいっておるところでございますけれども、御承知のとおり、裁判官補充給源と申しますのは、法律上司法修習生から判事補になってまいります者と、そのほかに検察官なり弁護士なりから判事なり判事補おなりになる、こういうふうに分かれておるわけでございますけれども、実際問題といたしまして、検事なり弁護士から裁判官おなりになる方はきわめて少数でございます。そういう関係からいたしまして、実際には司法修習生から判事補になる、判事補から判事になるというのが主たる給源になっておるわけでございます。そういたしまして、退官とかあるいは死亡なさる方というのは年間にずっと逐次ございます。定年退官される方は誕生日定年退官されることになりますので、これは年間に毎月ごとにあるわけでございます。それに対しまして判事補から判事になる、修習生から判事補になるというのは、教育機関関係で大体三月末になってまいります。そして四月に新たな判事補ができる、判事ができる、こういう勘定になるわけでございます。そういう関係でございますので、いまお話のございました七十一名という欠員も、昨年の四月にはほぼ充員いたしておりまして、それから逐次こういう欠員が出てまいった、こういう関係になるわけでございます。お手元にお出しいたしております表は昭和三十八年十二月一日現在でございまして、それ以後さらに本年の三月末までに四十名程度定年退官なりその他の理由による退職があるわけでございまして、そういうものを合計いたしますと、百名余りになるわけでございます。それに対しまして、私どものほうといたしましては、修習生から判事補になります者が大体六十名余り見込んでおります。それと、簡易裁判所判事につきましては選考任用方法もございます。そういうものを合わせまして、大体四月から五、六月ごろにかけましては、一応この程度数字充員できる、こういう考えでおるわけでございます。
  8. 大竹太郎

    大竹委員 そういたしますと、この欠員補充はもちろんのこと、十五名の増加のほうもこの四月にならなければ充足しないということになるのでありますか。
  9. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 大体四月以降になると思われます。
  10. 大竹太郎

    大竹委員 それでは重ねて聞きたいのでありますが、この裁判の適正迅速な処理という問題には、もちろん人員増加の問題もあると思うのでありますが、それだけではなかなかこの問題は解決しないと思うのでありまして、このほか、この目的のために裁判所としてとられておる方法というか方針があったらお聞きしたい。
  11. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいまのお尋ねの点でございますが、裁判所といたしましては、要するに裁判を適正迅速にやるということがすべてでございまして、裁判所予算はいわばすべてこの目的のためのものともいえるかと考えるわけであります。たとえば今回の予算でも営繕費といたしまして二十数億の予算を計上していただいておりますが、これも法廷の増設であるとか、あるいは新営でありますとかいうことでありまして、すべて裁判の適正迅速に奇与するものでございますが、もう少し直接的なことを申し上げましても、この定員増加のほかに、たとえば機械器具等整備あるいは自動車整備、少しお話がこまかくなりますが、たとえばコピアを整備する、あるいはゼロックスを整備するという費用、あるいは検証用自動車整備する費用、こういうものを合わせまして約一億円程度のものが計上されて、いま国会で御審議を受けておるわけでございます。予算関係から申しましてもさようなことになっておるわけでありますが、そのほかに手続の面といたしましては、先般来弁護士会その他ともいろいろ御協議いただきまして、刑事の面におきましては特に集中審理の方式につきましていろいろ討議をされております。そういう関係では、数年来第一審の司法協議会というようなものを設けまして弁護士会なり検察庁と御協議いただきまして、訴訟の迅速適正な処理についていろいろ検討を進め、具体的な実施方策検討を進めておるというようなわけでございます。  また予算のほうに戻りますが、なお、補助機構というものがきわめて大切であるというように考えるわけであります。つまり、先ほど御説明申し上げました裁判官充員につきましてはいろいろむずかしい問題もございますので、補助職員充員するというような関係から、今回の予算でも書記官調査官等増員も認めていただいておりますが、そのほかに、数年来問題になっておりました代行書記官書冊官への組みかえ、これが六百数十名予算に計上されておりまして、予算国会を通過いたすことになりますれば、従来の代行書記官はすべて書記官として働くことができる。こういう関係一つ訴訟に対する迅速適正化方法であろうと考えております。  さらに根本的な問題といたしましては、御承知のとおり内閣のほうに臨時司法制度調査会というものが設けられておりまして、法曹一元問題を含む裁判官任用制度その他につきまして研究を重ねられておりまして、今年の八月に答申が出るように承っておりますので、そういたしますれば、さらにそれに基づきまして抜本的な施策が行なわれることになるであろう、かように考えておるわけであります。
  12. 大竹太郎

    大竹委員 それでは、この十五名の定員増員について少しお尋ねしたいのでありますが、この前予算について説明していただいたときに、たしか裁判所の中の職員旅費の点につきまして、三十九年度は減額になっておる、これは一体どういう意味だという御質問があったときに、この件数が三十九年度は減る見込みであるというようなお話もありましたし、またこの資料から見ましても、ある点ではそういう傾向もあるわけでありますが、そういたしますと、この増員理由の中にある事件増加ということと矛盾するように考えるのでありますが、その点いかがでしょうか。
  13. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 まことにごもっともな御質問のように伺いましたのでございますが、実はこの件数の点でございますが、当初私ども予算の大蔵省に対する要求書を提出いたしました当時は、まだ昭和三十八年の実績というものがはっきりいたしませんでした時期でございまして、おそらくは三十八年、三十九年と相当事件がふえるであろう、かような見通しでかなりの要求をいたしたわけでございますが、その後、予算折衝中に逐次昭和三十八年の実績が明らかになるに伴いまして、若干増勢がにぶっておる、ものによってはむしろ減少の傾向をたどっておるというような数字が出てまいったわけでございます。あまり繁雑になることもいかがかと思いますのでごく簡単に申し上げますと、お手元に法務省のほうから配っていただいております参考資料の五ページに新受件数が出ておるわけでございますが、その五ページの表の中の一番上の欄の民事訴訟の第一審というところでございます。これが三十六年の六万三千件から三十七年には六万五千件とふえておりまして、相当大幅な増加でございますが、三十八年の実績は六万六千件余りで、ふえてはおりますけれども、そのふえ方はそう大きくないわけでございます。そういたしまして、そのトータル民事合計という欄がまん中辺にございますが、その欄で見ますと、三十六年が約三十二万件、三十七年が約三十二万八千件、これに対しまして三十八年は三十二万件ジャスト、こういうことで、つまり減っておるわけでございます。なお、刑事関係におきましても、三十七年の合計が約三十五が件に対しまして、三十八年は三十四万七千件、これまた若干減っておるわけであります。こういうところから、三十九年もトータルにおいては減るのではなかろうかというような見通しも立つわけでございます。これがおそらくは先般予算関係で出たと存じますが、そういたしましても、この一番上の欄の民事の第一審訴訟事件は、若干ではございますがふえておるわけでございます。なお、これは新受事件のことでございまして、従来からの末済事件がやはり相当にあるわけでございます。そういうものを全部勘案いたしますと、やはりこの際ある程度増員をしていただかなければ裁判所の迅速な処理ができない、さような結論になりまして、当初要求いたしましたよりもかなり少ない量でございますが、増員を認めていま計上いただいておる、かような関係になるわけでございます。
  14. 大竹太郎

    大竹委員 そうしますと、いまちょっとお話がありました当初に要求された人員というのは、許されたのが、十五人というようなかっこうなんでありますが、当初はどのくらい要求されたのでありますか。
  15. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 裁判官全体といたしましては百十三名要求いたしたわけでございまして、その内訳を申し上げますと、判事の二十四名、判事補四十六名、簡易裁判所判事四十名、合計百十三名要求いたしまして、合計十五名認められた、かような関係になるわけでございます。
  16. 大竹太郎

    大竹委員 そういたしますと、私考えるのでありますが、結局事件は多少減ってきても、いま荘での事件処理の上からいって、さっき申し上げた適正迅速な処理ということが不可能だということで、件数は多少減ってもそういう目的のために逐次ふやしていかなければならぬというふうに考えてよろしいのですか。
  17. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。実はこの最終的な十五名ということにつきましても、これはわれわれのほうとしてもあるいはもう少しふやしていただいたほうがというような気持ちがないではないわけでありますが、しかし事件の伸びの問題と、それから特に主としては先ほど来お話のございました欠員補充充員関係を見合いにいたしまして、まず本年度はこの程度の人数でやってみようかような結論になったわけでございます。将来、先ほど申し上げました臨時司法制度調査会結論いかんによりましては、どういう方向に進むことになるかわかりませんけれども、これが大筋において従来どおりというようなことでございますれば、やはり将来ともある程度増員も逐次認めていただかなければたいへんではないか、かように考えておるわけでございます。
  18. 大竹太郎

    大竹委員 それから、こまかいことでありますが、この十五人の配置はどういうようになるのでありましょうか。
  19. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 この十五人のうち、判事五角と判事補五角は、主として第一審訴訟の迅速適正という見地で認めていただいたものでございますので、大部分東京大阪等の大都会の裁判所、特に未済の多いところに重点的に配置するつもりでございます。簡易裁判所判事の正名と申しますのは、これは主として交通事件処理のために認めていただくことになっておるものでございますので、これをお的めいただきますれば、いわゆる交通裁判所のほうに配置する、かような計画でございます。
  20. 大竹太郎

    大竹委員 それでは裁判官のほうは終わりまして、裁判官以外の職員のことについてちょっとお聞きしたいのでありますが、百三十五名おふやしになるというのでありますが、この資料によりますと、私ちょっと計算してみると、欠員が八百六名、総員が二万八百八名でありますか、これはいろいろ職種がございますが、これの補充計画についてお伺いしたい。
  21. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 これはいま御指摘のございましたとおり、何と申しましても二万人という非常に大ぜいの職員の数でございますので、ある程度欠員は常時いろいろな操作関係で残るわけでございます。むろん、われわれのほうといたしましては、できる限り欠員補充して、十分な戦力で仕事をやってまいりたいと考えておるわけでございますが、全国にまたがっておりますし、それといろいろ全国的な冬裁判所定員配置等関係もございます。これは最近にも定員全国的な視野で改正するという計画をしておるわけでございますが、その点もう少し詳細に御説明申し上げますと、つまり、事件というものはある時期にはある裁判所が非常にふえ、また他の時期には減るというようなこともございまして、なるべくそれを事件の現状にマッチしたように配置することが一番望ましいわけでございます。そういうことで大体二年ないし三年ごとぐらいに全国裁判所定員を入れかえておるわけでございますけれども、そういたしましても、裁判官の場合は御承知のとおり全国的な転任、異動をやっておりまして、東京判事を札幌に持っていったりやるわけでございますが、一般職員の場合、それも上級者の場合はある程度それもございますけれども、比較的下級の若い方につきましては、なかなかそういうこともむずかしゅうございまして、定員をきめましても、すぐそのとおり動いていただくというようなこともむずかしい場合もございます。そういうようないろいろな関係からいたしまして、これはそういう間の操作におきまして、若干の欠員が出てまいったりするわけでございます。しかし、各地元の裁判所におきましては、欠員のある場合、極力それを充員したいという意向を持っておるわけでございまして、そういう点も、私どものほうで全国的にながめながら、できる限りそれを補充していくというふうにやっておるわけでございます。これも逐次——全然欠員かないという状態にはおそらく困難でございますが、逐次減少させてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  22. 大竹太郎

    大竹委員 裁判官のほうは、先ほどお話がありましたように、いろいろな関係から四月という時期に、欠員増加分も一語に任命されるということは一応わかるのでありますが、そのほかの職員は随時やられるのですか。やはり年に一度ずつ補充されるのですか。
  23. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 一般職職員の中でも、たとえば裁判所書記官でございますとか、あるいは家庭裁判所調査官というものは非常に資格のむずかしいものでございまして、書記官の場合で申し上げますと、裁判所書記官研修所というところで研修をいたしまして、その卒業生が通常書記官に任ぜられるわけでございます。そのほかに昇任試験という方法もございますが、主力は研修所出身者でございますので、その卒業時期になってまいるわけでございます。家庭裁判所調査官につきましても、調査官研修所というものがございまして、そこを卒業してなってまいるわけでございます。それから速記官につきましても、書記官研修所速記官の養成をいたしておりまして、これを卒業してなってまいるわけでございます。  しかし、それ以外の一般職員は、普通の各省の場合と同様に、そのつど採用することになるわけでございますが、実際上学校卒業期である三月あたりが比較的とりいいという面はございますが、特にその時期というふうに限定しているわけではないのでございます。
  24. 大竹太郎

    大竹委員 それから先ほど書記官補から書記官に任命したというお話があったのでありますが、裁判所法附則か何かに代行書記官というのがあります。いままで代行書記官資格のあった人を書記官にしたのだろうと思うのでありますが、そうすると、この法律はまだそのままになっておるわけでありますので、この制度は今後どうなるのでありますか。まだ続いて富浦で書記官仕事をやる人があるということになるのですか、もうなくするのですか。
  25. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問まことにごもっともでございまして、先般来のいろいろ国会の御好意によりまして、多数おりました代行書記官が本年でもって全部書記官に組みかえていただけるということになるわけでございます。むろん若干いわゆる書記官になる書記官補は残るわけでございますが、これは書記官研修所入所中の者等がそれに当たることになりますので、実際上代行書記官という制度は廃止していただいていいのではないかというふうに考えておるわけでございます。その点につきましての法律改正等をやっていただきますかどうかという点につきましては、さらにもう少し私どもとしても検討させていただいて、その上でまた御審議をいただくなりするようにいたしたいと考えております。実際上はそういうものはほとんどなくなるわけでございます。  なお、先ほど、私聞き違いであったかもしれませんが、一般職職員欠員は、八百幾らとおっしゃったかと思いますが、四百六名でございます。そういうことで御了承いただきたいと思います。
  26. 大竹太郎

    大竹委員 そういたしますと、家庭裁判所調査官補も同じことですか。
  27. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 家庭裁判所調査官補につきましては、実はこれも先年来ある程度の組みかえをやっていただいたわけでございますが、現在でもなお百名余りの者は代行調査官という形になっておるわけでございます。こういう方々にもいずれ調査官になっていただいたほうがいいのではないかと考えておるわけでございますが、何ぶん調査官教育課程というものが相当長うございますので、そのある段階にいくまでのところで一応代行をやっていただいて、そしてまたその数年後にほんとうの調査官になっていただくということが現在のところとしてはやむを得ないのではないかと考えておるわけでございます。将来いろいろそういう方面の教育等も進んでまいりますれば、あるいはそういう代行制を全部なくするという時期もくるかとも思いますが、いまのところ、やはりもうしばらくは代行調査官制度を残していただいたほうがいいのではないかという考えでございます。
  28. 大竹太郎

    大竹委員 定員法については大体この程度にいたします。
  29. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ちょっと……。いま私、この参考書類を見て、裁判官以外の職員の四百六人ですね、これは一ぺんに欠員ができたわけではなく、おいおい重なってきたものだろうと思うのですが、四百六人に今度は百三十五人ですから、五百四十一人ですね、ことしはそれだけ補充する考えでございますか。
  30. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 前段のお話の点はそのとおりでございまして、逐次出てまいったわけでございます。補充の点につきましては、いまお話しのとおり本年五百四十名余り補充したい、かように考えておるわけでございます。
  31. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 実際ことしじゅうにできますか、どうですか、確信がありますか。
  32. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 これは五百何名と申しましても、いろいろな職種があるわけでございますので、私どもとしては、ぜひともこれを充員して裁判所の戦力を増強したい、かように考えておるわけでございます。
  33. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それはこういうふうになった以上やってもらわなければならぬが、私の言うのは、事実上やれますか、確信がありますかということです。というのは、一ぺんに四百何十名という欠員ができるはずはない、これはおいおいふえていったのだろうと思います。そういたしますと、欠員ができて補充できないからそれだけになったというのだから、そこへ持ってきて百三十五名ふやすとなると——これは大蔵省がよく認めたと思う。増員するよりなぜ先に補充をやらないのか、もし欠員を出しておるのであれば、補充をするといったって、欠員でやれるじゃないか、増員せぬでいいじゃないかと言われそうだと思うのですが、その点、私気がついたから申し上げるのです。
  34. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 これはおそらくこういう定員の改正の場合にいつも問題になることだろうと思いますが、どういう機関でも、おそらく全然欠員がないということは、二万人からの職員につきましては、むずかしいことではなかろうかと思うのであります。まことにごもっともなお話でございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、全国裁判所にばらまかれておるわけで、それぞれのところの欠員というものは、一名とか二名とか、しかもそれぞれの職種については、これまた一名とか二名とか、そういうふうに分かれてしまうわけでございます。その場合に、補充関係が、これは全部同じ職種で、私どものところに全部いる、こういうことなら、それは四百人からあるならそれを埋めたらいいということですが、定員をとにかく一応全国裁判所にまきまして、しかもそれがそれぞれの職種であるわけでございます。そうすると、それぞれのところでは、たとえばある裁判所ではタイピストを充員した、そのときにこちらでは事務官が退職したために欠員になった、そちらの事務官の欠員補充いたしますと、またこちらでは自動車の運転手がやめていって欠員になった。それを全国的にトータルいたしますと、こういう数になるわけでございます。もしこれが全然欠員なしで運用しようといたしますと、たいへんむずかしいことになるわけでございます。自信があるのかというお話、まことにそういうふうにお尋ねいただきますとお答えがむずかしくなりますが、私どもとしては、現在の時点においては自信を持っておると申し上げるよりしようがないわけでございます。
  35. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 まあなるべく多く充実するというならば、欠員はできるだけ早く補充しておかれぬと、欠員でいまやっているじゃないか、新しく要らぬじゃないか、こう言われると思いますから申し上げるので、その点を今後できるだけ御努力を願いたいと思います。  それから裁判官ですが、これはあなたのほうで百十三人要求しておったのに、簡易裁判所を入れてたった十五人ですが、たったこれだけ認められてやっていく自信があるのか、いかがです。
  36. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 この点、先ほど大竹委員の御質問に対しても申し上げましたとおり、私どもとしては最初百十何名の増員でなければやってまいれない、その基準は、一応現在の訴訟を大体半分くらいの期間にしたい、たとえば民事が約一年近くかかるとすれば、これをせめて半年くらいにする。それから刑事の場合は半年近くかかるとすれば、これは少なくとも三、四カ月程度に締めたい、こういう基準で一応そろばんをはじきました数字がこの百十何名でございます。この際にも、むろん百十何名要求して、はたして充員の見込みがあるかということが大蔵省等からも非常に追及されたわけでございますが、何とか努力して充員するということでお答えしつつ折衝を重ねてまいったわけでございますが、まあ正直に申しまして、なかかかその百十何名の充員ということはむずかしいということになりまして、また事件の伸びも従来ほどではない、こういうことになってまいりまして、まあことしは十五人程度でしんぼうしよう、こういうことになったわけであります。そうなりますと、自然、当初に予定いたしました一年かかっておったのを半年にし、あるいは半年のを三カ月にする、こういう計画ができないということになるわけでございまして、遺憾ながら、来三十九年度においても、若干の訴訟の促進ははかれるけれども、大幅な促進はなおむずかしい、こういうことになるわけでございます。まあ、従来よりは幾らか早くなるという程度でごしんぼういただくほかない、四十年度以降にひとつ御期待をいただきたい、かように考えておるわけでございます。
  37. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこでまた欠員ですが、これは合計が出ておるのですか。高齢では欠員が十人、地裁で六人、それから家裁で十七人と十一人、こういうことになりますね。その次には簡裁で二十七人、その次の、これは何ですか。
  38. 寺田治郎

  39. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 高裁で三十三人ですか。
  40. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 高裁長官と判事と合わせまして三十三人の欠員です。簡裁の長官というのは、たまたまこの表をつくりますときに、高松高裁長官が欠員になっておりまして、そうなっております。
  41. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、三十三人と十一人で四十四人、それに二十七人、こういうことになるわけですね。
  42. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 さようでございます。
  43. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 七十一人になりますね。いま職員のところで言ったと同様に、これも容易に埋まらぬのですか。埋まらぬからこういう大きな欠員が出てきたのですか。
  44. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 これも先ほど大竹委員の御質問にお答え申し上げましたように、一般的には裁判官補充ということは非常にむずかしいわけでございます。ただ、一般職の場合と多少面の違う点がございますのは、一般職はそういうふうに全国的にばらまかれておる関係で、補充が片方にできれば、片方で出るということで、欠員が出てくるわけでございますが、裁判官の場合は、これは統一的に採用してございますから、そういう問題は全然ございません。むしろなり手があるかどうかということが第一の問題でございます。第二の場合は、やめていく方が毎月あるわけでございます。つまり定年ということが誕生日ごとに起こるわけでございますから。それから死亡ということも、これは不意にあるわけでございますが、これに対しまして補充のほうは大体四月に集中するわけであります。修習生から判事補になる場合と、判事補から判事になる場合は、これは全部四月でございます。したがって、こういう年間にたくさんの欠員ができておったのを四月に充員する。一般的に申しますと、そういう関係になるわけでございます。決してこの七十何人が四月に充員できないということではございません。これはむしろ先ほど申しましたよりは、非常に強い自信を持ってこの程度数字は四月から六月くらいの間には充員できるであろう、かように考えておるわけでございます。
  45. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、合計八十六人になりますね。
  46. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 合計一応八十六でございますが、もう少し正確に申し上げますと、この表をつくりました十二月一日からさらに本年の年度末三月三十一日までの間にも約四十人程度定年退官者等があるわけであります。それからすでに現在わかっております死亡者もあるわけです。そういうものを合計いたしますと、大体百十人余りになりますか、それだけ予定しているわけでございます。その百十人程度のものを四月以降数カ月間にほぼ充員できるという、こういう見通しでございます。
  47. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それはいまいう修習生卒業生で大体補われる確信があるのですか。
  48. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 これはこまかく申し上げますと、判事欠員判事補補充するということになります。あるいは簡易裁判所判事補充するということになりますが、裁判官全体という目で大きく見ますと、結局主たる給源判事補ですが、それ以外に弁護士、検察官からもきわめて少数でございますがございますし、それからなお、簡易裁判所判事につきましては特別選考等もあるわけでございまして、そういうものをひっくるめまして、大体百名ぐらいのものであれば充員できるであろう、かように考えているわけでございます。
  49. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いま初めてこんなにたくさん欠員があることを聞いたのですが、毎年こんなに欠員ができますか。押され押されでこうなってきたのではありませんか。
  50. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 その点はむしろそうではございませんので、大体四月前後にはほぼ充員が毎年できているわけでございます。全然欠員なしというふうに申し上げることはできないかと思いますが、ほぼ充員はできているので、押せ押せというわけではございません。
  51. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の聞きたいのは、毎年百人以上の欠員があるのですかということです。
  52. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 これは大体毎年四月、五月ごろにはほぼ充員になりまして、そうしてまた年間逐次欠員ができておって、年度末にはやはり百人前後の欠員になる、こういうことを繰り返しているわけでございます。
  53. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いま言われたように、修習生で埋め合わせるのを主にしておりますと、判事補の埋め合わせばできますが、判事の埋め合わせばなかなか容易じゃなかろうと思いますが、この点はどうですか。
  54. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 その点はいまちょっと申し上げましたが、つまり、いまから十年前に修習生から判事補になりましたのは、この三月三十一日で十年の期間がくるわけでございますから、これが毎年五十人前後、多い年は七、八十人ございます。それから判事充員するわけでございます。それから、その間にきっちり判事補から判事になる数と判事欠員がマッチいたしませんときには、たとえば簡易裁判所判事を本務にするというような操作もございまして、全体としてはそれで埋まる、こういうことでございます。
  55. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 実際見ておりまして、判事補判事の職務をとらせておるところがはなはだ多いのです。それは、判事補でもりっぱな人がおりますから、そんな心配は要らぬというかもしれぬが、われわれの見たところでは、なるべくなれた判事裁判してもらいたい。ことに一審を重視するという上におきましては、よほどなれた人でなければいかぬのじゃないかと思うのです。そうしてみますると、修習生だけにたよっておりますと、判事補の埋め合わせばできるだろうが、ほんとうの判事の埋め合わせばできないというギャップが出ると思います。そういうことがないかどうか。もしそういうことがあるとすれば、それの欠点をいかにして埋め合わせをやるというお考えでございますか、この点を承りたい。
  56. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 鍛冶委員お話しの点も、まことにそのとおりでございまして、従来から、この判事補の単独裁判というものについては、いろいろ各方面から御指摘をいただいておるところでございます。充員関係だけから申し上げますれば、先ほど申し上げましたように、つまり判事補で十年たった人が判事になっていく、あるいは判事補で五年たった人が、いわゆる職権特例判事補になっていくということで、充員関係そのものには、この程度でございますれば支障はないわけでございますが、もう少し根本にさかのぼって、裁判をそういう若い方が単独でおやりになることが妥当であるかどうかという点につきましては、これは御承知臨時司法制度調査会等においても一番問題とされておるところでございまして、そういう点との関連におきまして、また法曹一元ということもいろいろ議論されておるように承っておるわけでございます。何と申しましても、その制度は、裁判所法から見ますれば臨時特例の制度でございますので、これを早急に裁判所の本来の姿にするということが根本的には望ましいわけでございます。また判事補諸君におきましても、むしろこの十年間はみっちり勉強するということを希望されるという関係にもなるわけでございます。そして、りっぱに修養、勉強ができた上で判事として裁判をやるということが、判事補諸君の側から見ても非常に希望される関係になるわけでございますが、まあ現在はやむを得ず判事補の方にも単独でやっていただいておる、こういうことになるわけでございます。  その制度を将来どういうふうにするかという点は、現在臨時司法制度調査会で、その辺は、いわば最も中心的な問題として論議されておるところでございまして、その答申が出ますれば、いずれ政府のほうで法案立案にかかっていただきまして、また国会で御審議をいただく、こういう運びになろうと考えておるわけでございます。
  57. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いまの問題は、それは判事補から全部判事を埋め合わせられれば問題ないのですが、そうでないという、私がいま杞憂したような現実であるとすれば、弁護士及び検事から採用してもらう以外にないと思うのです。そこで、その法曹一元という議論になるのですが、いまあなたは臨時司法制度調査会にたよっておられるのは、これは何もいまさら始まった問題ではありはせぬので、私はこれを主張してからまさに三十年になる。いまだにそれが実現ができません。臨時司法制度調査会でどういう結論が出ようが出まいが、これはやっぱり裁判所なり法務省でこれをやらなければならぬという気持ちにならなければ、これはできやしませんよ。  それから、現在のように判事判事で育てていく、検事は検事で育てていく、弁護士弁護士で育てていく。そして、弁護士でどうやらこうやら一人前になった者を、お前、やめて判事になれといっても、それはなかなかなり手があるものではない。だから、私は前から言うておるのですが、これらの点は、ここまで考えてみれば、私の主張だけを固執するわけではない。あなたのほうでも、なるほどそうでなければならぬとお考えになるかどうか、どうですか。
  58. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 いまお話の中の欠員補充関係につきましては、現在のところは一応判事補でもって判事を埋めるのにそう不足はしておらないわけでございます。ただそれはそれといたしまして、そういういわゆるキャリアの判事補出身の判事のほかに、たとえば弁護士御出身の方であるとか、あるいは検察官御出身の方であるとかという方々においでをいただきまして裁判官になっていただく、つまりそういういわばミックスした形で裁判所を動かしていくということが好ましいことは、これは私どももかねて考えておるところでございまして、検察官の方は一応それといたしまして、特に弁護士関係につきましては、数年前にも特に日本弁護士連合会のほうに呼びかけまして、そうしておいでいただくということの声をかけたわけでございますが、その際にも御希望になる方がきわめて少なかったというような状況になっておるわけでございます。私どものほうとしては、これは決して政治的なあれとしてではなしに、ほんとうにりっぱな優秀な弁護士の方が裁判所においでいただくということはほんとうに歓迎しておるわけでございまして、たびたび声はかけておるわけでございますが、なかなか実現しないという状況でございます。これは給与とか、補助者の問題とかあるいは手続の問題とかいろいろ関連してまいりますので、裁判所だけでそれ以上のことはなかなかむずかしいわけで、調査会にたよっておるという形になるわけでございます。現行制度のもとでおいでいただきますものは、これは非常に歓迎しておるのですが、遺憾ながらおいでいただかないという状況でございます。さらに進んで、そういうキャリアの裁判官をやめてしまって全部を弁護士出身者にするかどうかという問題になりますと、これはなかなか大きな問題でございますので、私どもとしては早急にそれに踏み切るということはむずかしいのではないか、なお十分検討しなければならないのではないかというのが現在のところの考えでございます。
  59. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 大体いいようですが、ここまでいったからついでに申しておきますが、それはいま言ったように判事判事で育てていく、検事は検事で育てていく、弁護士弁護士で育てていく。そうして、弁護士は十年たてば相当なものになりますよ。それをお前やめてひとつ判事になって行けといったって、なかなか生活を一ぺんに変えるわけにいかぬ。それから、やはり弁護士で十年やっておる者と判事で育ってきて十年やっておる者と、裁判所に行って裁判所仕事をやらせれば、それは劣るのはあたりまえだ、それらの点から考えてなかなか行きゃしません。私は法務委員になって毎年一番いやなのは、裁判官というものはえらいものなんだ、給料をよけいやらなければいけないのだ、それでは検事はどうだ、検事は下におらなければいかぬ、そんなことを言ったって、同じ年に卒業して同じように修習生を経て同じ道を進んでおって、おれは判事になったからえらいのだ、お前は検事になったから弱いのだ、そんなことで通るものではない。これはやはり任命方法を育て方できめてもらわなければならぬ、そういうことはできぬものか。それを同じところでやっていて、判事になったからよけいもらわなければならぬ、検事はなぜおれのほうは弱いのだ、こういうことになる。これらの点から考えましても、私は、この際ひとつ法曹一元ということを法務省も考えてもらわなければならぬし、裁判所はなおさら深く考えてもらわなければならぬということに気がつきましたから申し上げたので、ひとつ十分御研究のほどをお願いいたしたいと思います。
  60. 濱野清吾

    濱野委員長 他に質疑がないようでございますから、次会は二十一日午後一時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十八分散会