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福田政府委員 学力とは何であるか、これは
教育学者などで興味を持っていろいろお考えがあるようでございますが、私
どもはこの学力という場におきまして、もちろん
学校教育の場でございますから、この
学校教育によって
子供が習得したあるいは体得した力というように端的に考えるわけでございます。言いかえますと、学習
指導要領の内容によってきめられておりますところの各教科にわたっての到達度、その力を
子供がどの程度に持っておるかということをはかるのが学力をはかる、こういうように考えているわけであります。そういった意味から申しますと、表現は悪いかもしれませんが、学習
指導要領にきめられた知識、技能その他、それによって習得されるものを具体的にどうはかっていくかということがやはり学力
調査の
一つの目的でございます。それに従って学力の差が、個人の差あるいは
地域の差というようないろいろなものが出てまいりますので、そういうことによって各教科ごとの学習の
指導の
改善をはかっていくということが
一つの大きなねらいでございます。各
学校におきましてもあるいは
教育委員会におきましても、学習方法の
指導あるいは研究に最近非常に力を入れておりますのはその点でございます。したがって国語なら国語、算数なら算数というものについて、どういう
指導方法を講じたら
子供の学力が向上するかというようなくふうをいたすわけでございます。
文部省もそれをとらえて、
全国的にそういう問題を研究したりあるいは今後学習
指導の
改善をはかっていくのにどうしたらいいかというような、各教科の研究会等を通じてそれを実施しているわけであります。ただそういう学習
指導の
改善ということのほかに、私
どもとしては行政機関でございますから、したがってこの学力の差というものが何によって起こっておるかあるいは
地域的その他いろいろな条件がございますので、そういう条件がはっきりわかってまいりました際には、できる限り格差をなくすような
施策を講じていくということは当然必要になってくるわけでございます。先ほど来
川崎委員の御質問がございました、たとえば
僻地の
教育というものをとらえた場合には、その
僻地の学力の向上という問題をひとつとらえましても、これは相当いろいろな
施策を講じなければなりません。それにはまず
教師の
指導力を高めるという意味において、
教員の研修ということも必要でございましょう。また
教員の
指導力を高めると同時に十分
定数というものも考えなければならぬというような点から、この前の
定数法の改正におきましては、
僻地小規模
学校をかなり重く見まして
定数の改正をいたしましたことは御
承知のとおりでございます。また財政的に申しましても、教材費などの配当の場合におきましても、かなり傾斜をつけて、重点的に
僻地に教材費を配分するというような方法も、昨年からいたしております。これらもやはり
教育条件を整えると申しますか、学力
調査の結果、
僻地教育をもう少し、そういう面から格差をなくすようにしていきたいという
一つのあらわれでございます。そう考えておるわけでございます。あるいはまた理科
教育にいたしましても、理科
教育の設備というものがかなり大きなウエートを占めますので、そういう設備の充実をはかっていくという場合には、やはり学力の低いところを考えて理科設備の
補助をするとか、あるいは
教員の再
教育をやっていくとか、そういう点をいろい私
どもは考えて進めておるわけでございます。あるいはまた特殊
教育におきましても、これはやはり考える面がかなりあるようでございまして、一例をあげますと、
一般の学級の中で、特殊
教育の対象になり得る
子供を、そこで扱っていくよりも、やはり精薄の
子供などにつきましては、特殊学級などをつくってやるほうがよりベターでありますので、そういった意味で、特殊学級を毎年一千学級以上
計画的にふやしていくという
計画も最近立てたわけでございます。これはことしから実施をいたしております。そういう特殊
教育の面におき価してもこれを活用していくという
考え方をいたしておるわけでございます。また、
中学校から
高等学校に進学する場合の育英奨学という問題につきましても、いままでは悉皆
調査をやらなかったのでわからなかったのでありますが、悉皆
調査をやって初めて、能力はあるけれ
ども、家庭の経済的な
事情が許さないというような
子供がかなりいることがわかりまして、五%から約六%近い数になっております。そういう点については、育英奨学のワクをふやしていく、あるいは特奨を設けていくというふうな、そういう
考え方で、育英奨学の面にもこれを活用していくということをやったわけでございます。
まだいろいろございますけれ
ども、二、三の例をあげますと、そういう格差をなくしていくという
観点からのいろいろな
施策を進めておるわけでございます。まだ今後も、いろいろ
検討し進めていくべき問題が多々あろうかと思いますが、そういう問題について、私
どもは、この学力
調査の結果をそういう面にも十分活用していきたい、こういうように考えております。